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1988-09-07 第113回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十三年九月七日(水曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
七月十九日
辞任
補欠選任
亀長
友義君
添田増太郎
君
大木
正吾
君
小野
明君
七月二十日
辞任
補欠選任
福田
幸弘
君
大河原太一郎
君 九月六日
辞任
補欠選任
小野
明君
大木
正吾
君
馬場
富君
猪熊
重二
君
橋本孝一郎
君
柳澤
錬造君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
松前
達郎
君 理 事 宮島 滉君 及川 一夫君 飯田 忠雄君
神谷信之助
君 委 員 遠藤 政夫君
大河原太一郎
君 工藤万
砂美
君 沓掛 哲男君
熊谷太三郎
君 山東 昭子君 鈴木 省吾君 田沢 智治君
田辺
哲夫
君 森山 眞弓君
大木
正吾
君 対馬
孝且君
猪熊
重二
君
小笠原貞子
君
柳澤
錬造君
事務局側
第三
特別調査室
長 高橋 利彰君
説明員
資源エネルギー
庁長官官房国際
資源課長
佐瀬 正敬君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
産業
・
資源エネルギー
に関する
調査
─────────────
松前達郎
1
○
会長
(
松前達郎
君) ただいまから
産業
・
資源エネルギー
に関する
調査会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る七月十九日、
亀長友義
君が、また、翌二十日、
福田幸弘
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
添田増太郎
君及び
大河原太一郎
君が選任されました。 また、昨六日、
橋本孝一郎
君及び
馬場富
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
柳澤
錬造君及び
猪熊重二
君が選任されました。 ─────────────
松前達郎
2
○
会長
(
松前達郎
君)
産業
・
資源エネルギー
に関する
調査
を議題といたします。 先般、本院から、
ニュージーランド
、
オーストラリア
、
シンガポール
における
産業
・
エネルギー問題調査
のため、
海外派遣
が行われました。その
調査
の結果については
議院運営委員会
に
報告
されることと存じますが、この際、
派遣議員
から
便宜報告
を聴取し、本
調査会
の
調査
の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 議事の進め方といたしましては、まず
派遣議員
を代表して
大木正吾
君から総括的な
報告
を聴取した後、
懇談形式
で
派遣議員
と自由に
質疑応答
をしていただきたいと存じます。なお、その際、
政府側
にも御出席いただいておりますので、補足的に御答弁をいただく方法で行いたいと存じます。 また、質問されます方は、
会長
から指名さしていただきますので、挙手をお願いいたします。 それでは、これより
大木
君から
報告
をお願いいたします。
大木
君。
大木正吾
3
○
大木正吾
君
参議院特定事項調査議員団
(第一班)報告書。 本議員団は、産業・
資源エネルギー等
の問題の調査のため、
前田勲男
君、
添田増太郎
君、
田辺哲夫
君、
猪熊重二
君、
小笠原貞子
君、柳澤錬造君及び私の七名で、昭和六十三年六月十七日から七月一日までの十五日間、
ニュージーランド
、
オーストラリア
及び
シンガポール
の三カ国を訪問いたしました。 出発に先立ち、外務省及び通商産業省の担当課から前述三カ国の状況につき説明を受け、
団員一同
の理解を深めました。 一行は、
関係政府機関
及びその他諸施設を訪問し、
調査事項
についての説明の聴取、施設の視察、関係者との懇談等を行うとともに、
関係資料
の収集に努めました。 以下、調査結果の概要を
訪問日程
に従って報告いたします。 まず、
ニュージーランド
について報告いたします。 同国の
経済動向
は、金融・
財政引き締め策
による内需の冷え込みと
主力輸出商品
である一次
産品価格
の
世界的不況
により、ここ数年景気は低迷しております。特に八八年は、
製造業
、小売業、
サービス業
が振るわず、
実質GDP
(国内総生産)成長率は一%程度と予測されております。八六年十月に導入されたGST(物品・
サービス税
)、八五年賃上げの影響などで
インフレ率
は一八・九%(八七年六月期)と過去最高を記録いたしましたが、徐々に鎮静化しつつあります。
失業率
は、八四年以降低下しておりましたが、
景気低迷
に伴い八六年後半から、従来農村部が主でありましたのが、
製造業
、
サービス業
の低落とともに都市部にまで拡大しております。
経常収支
は、
対外債務返済
による
利払い減少
で、やや
赤字幅
が減少しつつあります。一次
産品市況
の回復により輸出は好調を維持しておりますが、
関税引き下げ
の影響で輸入の増加も考えられ、予断は許されない状況でございます。
貿易動向
は、石炭以外の
鉱物資源
にはさほど恵まれていないため、
経済活動
に必要な物資のほとんどが輸入されております。輸入の八五%以上は原材料や
生産必需品
、
輸送燃料
であり、一方、放牧に適したその気候と
農産物生産
への
エネルギー投入
が割合少なくて済むため、食肉、
酪農製品
、羊毛は
世界最大
の
輸出国
の一つであります。八六年度の貿易は、輸出について食肉、羊毛が好調で、前年度の七〇%増の百十五・三億
ニュージーランド
・ドル、輸入については
国内経済
の停滞により低調で、前年度比五・九%減の百五億
ニュージーランド
・ドルとなり、
貿易収支
といたしましては、前年度の九億
ニュージーランド
・ドルの赤字から十・三億
ニュージーランド
・ドルの黒字へと大幅に改善されております。 次に、
ニュージーランド
の
地熱エネルギー
についてでありますが、この国の
地熱エネルギー開発
は、一九五〇年初期に
タウポ火山帯
内の
地熱活動
の顕著な数域での探査、ボーリングから始まりま した。この
地熱活動
は、ホワイト島、タラウェラ山、トンガリロ山などの活火山につながるマグマが地深部で雨水を熱することに起因すると言われております。一九五〇年から六〇年代には、
ニュージーランド政府
の
主要科学研究助言組織
である
科学産業研究省
によって
地熱探査
及び評価が行われました。地熱による発電では、
イタリア
の
ラルデレロ地熱発電所
に次ぎ、世界で二番目の
地熱発電所
として開発された
ワイラケイ地熱発電所
が一九五八年に発電を開始し、現在百五十七
メガワット
で稼働しており、また、
ブロード・オハーキ発電所
は、一九八九年の半ばに百十
メガワット
で
発電開始
の予定で、全国の
発電量
の五%を占めることとなります。 その他、
地熱利用
としては、カウェラウ町の
タスマンパルプ製紙会社
は
地熱蒸気
を
木材加工
に利用、他の地域では、地熱を利用してのさくのくいや
ムラサキウマゴヤシ
を乾燥しております。小規模なものでは
ビニールハウス
、
家庭暖房
、
温水プール
などがございます。 技術的な問題として
廃水処理
がありますが、
気水分離器
の開発、廃水の地下への再注入という形でほぼ解決されております。
地熱パイプライン
への鉱物の付着という問題がありますが、これも
気水分離器
による前処理により少なくすることができました。前処理の過程で金や経済的な価値のある鉱物を抽出する可能性も調査中とのことでございます。 訪問しました施設は
オハーキ地熱発電所
及び
ワイラケイ地熱発電所
であり、
オハーキ地熱発電所
は
タウポ
のホテルから、
グランド次長
以下
ニュージーランド科学産業研究省
の方々の案内で車で約三十分程度行くと、大きな
チムニー状
の
冷却塔
、高さ百五メートル、直径七十メートルが建設中でありました。この
冷却塔
は、
タービン発電機
を回した後、液化及び蒸気中の
硫化水素
などの不純物を除くため設けられるものであります。ここは
ニュージーランド
で
ワイラケイ地熱発電所
に次ぐ二番目のもので、
タウポ
の北東三十キロメートル、
ワイラケイ
の北三十キロメートルにあります。
電気出力
は約百十
メガワット
で、一九八九年の半ばには
運転開始
の予定であります。発電に使用される熱水は、公害、
環境保護
上から、すべて地下に戻される計画であります。また、温水を利用してランが栽培されており、そのほとんどが日本へ輸出されるとのことであります。
ワイラケイ地熱発電所
は、
ニュージーランド北島
の
主要地熱地帯
、長さ二百四十七キロメートル、幅五十キロメートルの中心で、
タウポ
の近くに位置し、この周辺の
マオリ族
の料理用として熱水、蒸気が利用され、早くから地熱の利用については検討が進められておりましたが、
イタリア
の
ラルデレロ地熱発電所
に次いで一九五八年に世界で二番目の
地熱発電所
として開発されました。 建設は二期にわたって行われ、第一期は一九六〇年、第二期は一九六三年にそれぞれ完成し、
電気出力
は一期、二期合わせて約百九十二
メガワット
となりましたが、
蒸気能力
の低下のため、現在約百五十七
メガワット
となっております。
地熱井
からは年間四千五百万トンをくみ上げ、これまで河川へ放流しておりましたが、
環境保護
と熱水源の涵養の観点から
地下還元
の実験を開始しました。また、
地熱蒸気
は九九・五%は純粋な蒸気だが、残りのガスの九五%中に含まれる
硫化水素
がパイプなどの腐食の原因となるため、精選されたステンレスやテフロンの抵抗材の使用など、腐食の低減化の対策がなされております。
地熱発電
については
我が国
の先駆者であった
ニュージーランド
も、現在においては環境問題を中心に
我が国
から指導を受けているのが実情であります。 六月二十日、
ニュージーランド政府手配
のバスによりホテルを出発し、
ニュージーランド最大
の
地熱地帯
でありますワイオタプに向かい、ワイオタプ・サーマル・ワンダーランを訪れました。タポとは、
マオリ語
で聖なる水と呼ばれ、この
あたり一帯
では活発な地下のマグマの活動でつくられた水蒸気が地上へ押し出されており、その際周囲の鉱物と反応して地表はさまざまな色を呈しています。例えば
黄色—硫黄
、
白—シリカ
、
赤茶—酸化物
、
オレンジ—アンチモン
、
グリーン—砒素
、黒・硫黄とカーボンといったようなもので、クレーターやプールにおいて独特の色が観察されました。特にアーチスト・
パレット
と呼ばれるところは、名前のとおり絵の具を
パレット
上に散らしたようなきれいな色であり、端の方では
シャンペン
をグラスについだような
シャンペンプール
が見られました。また、黄色に赤味を帯びたところでは金が生成されており、現在その過程を調査中とのことでございます。 次に、
オーストラリア
について報告いたします。 同国の
経済動向
は、一九八五年末から景気が
後退局面
に入りましたが、八六年後半以降の
豪ドル安効果
などによる貿易・
サービス収支
の改善に加え、最近
個人消費
、
設備投資
などに動意がうかがわれ、景気は底離れしつつあります。
主力産業
の状況を見ると、羊毛業は
合成繊維
の進展や人件費の高騰等の問題を抱えているものの、最近の
天然繊維ブーム
の中で一息ついております。
資源開発産業
も
輸出先国
の
景気回復
や多様化などによって底離れしつつあり、
失業率
は、八六年の
炭鉱スト
を中心に前年比一〇%増加しましたが、八七年には前年比五・四%減少しました。
インフレ率
は、八七年に入ってからの
豪ドル
の安定及び
賃金抑制
によって、八六年末の九・八%から八七年末には七・一%へ改善されました。
経常収支
は、金、羊毛などの一次
産品輸出
及び
サービス収支
が好調だったことから、
赤字幅
がやや減少しております。
日豪経済関係
については、一九五七年の
日豪貿易協定
の締結、六〇年の
鉄鉱石輸出禁止解除
によって急速に伸び、現在では貿易額は、
日豪貿易協定
の締結当時約四億
米ドル
から約二十五倍、百億
米ドル
までに伸び、豪州にとって日本は第一位の
貿易相手国
になっております。
オーストラリア
は、日本から機械、鉄鋼、自動車などの
輸送機械
、
電気製品
などを輸入し、日本へは砂糖、小麦、チーズ、食肉、羊毛などを輸出しております。
輸出入品目
が相互補完的となっているのが特徴でありますが、近年豪州側は
工業化
に積極的に取り組んでおります。 次に、
オーストラリア
の
鉱物資源
についてであります。 この大陸には
先カンブリア紀
から古生代にかけて生成しました鉄、金、銀、銅、鉛、亜鉛を初め、中生代の石炭、石油、マンガン、新生代の
ボーキサイト
、すずなどが多量に埋蔵されております。建国以来、開発が進められておりますが、近時、
新規開発
が積極的に着手されており、
鉱物ブーム
が起こっております。すなわち西部の鉄、ニッケル、東部の石炭、中部の
ウラン鉱
、東・中・西部の石油、北部の
ボーキサイト
、各地の金その他の
非鉄金属
で、その相当の部分が日本に輸出されております。
訪問施設
について申し述べます。 まず、
ブリスベン国際レジャー博覧会
についてですが、本年建国二百周年記念を祝う
オーストラリア
の最大の行事であるとともに、
国際博覧会条約
に基づき、一九八三年十二月七日に
博覧会国際事務局
に登録された
今世紀南半球
で開催される最初の
国際博覧会
であり、一行はそこを訪れました。 次に、
ブレアソール炭鉱
であります。
オーストラリア
から輸入される石炭は日本の全
輸入量
の約五〇%を占めております。
ブレアソール炭
は
一般炭
でありますが、
一般炭
のみで見ると、
豪州炭
の占める割合は全
輸入量
の七〇%までになります。
ブレアソール炭
は豪州からの全
輸入量
の二一%になります。炭鉱はクイーンズランド州
中央部クレアモント北
約二十二キロメートルのところ、
ボーエン盆地石炭埋蔵地区
の西側の盆地にあり、
露天掘り
であります。鉱区は約二十三・七平方キロメートル、
確認埋蔵量
は二・七億トン、可採
埋蔵量
二億トンであります。 これまで港から離れていることや
輸出用石炭市場
が小さかったことから
小規模生産
でありました が、
EPDCオーストラリア社
(
電源開発(株)
の子会社)、
JDCオーストラリア社
(
石炭資源開発(株)
の子会社)、コール・
クリフ・コリアリ社
、
アナコンナダ・オーストラリア社
その他の
豪州企業
四社により
合弁事業体
を編成、一九八一年に本格的な開発を開始し、一九八四年、出炭を開始いたしました。この炭鉱からの
輸入量
は、
豪州一般炭輸入量
、一九八七年、千七百二十一万トンの二一%を占めております。現在
生産規模
を五百万トン体制から八百万トン体制へと拡張中でございます。 採掘は
露天掘り
で、灰分、硫黄分など不必要な成分の含有量が少ないため選炭の必要もないとのことであります。剥土比は石炭一トン当たり一・三六立方メートル、炭層は
ナンバー
一より
ナンバー
四まであり、長さが約二キロメートルにわたり、
ナンバー
三は炭層が平均二十九メートル、
ナンバー
四は三から六メートルあり、これが採炭の対象となっております。採掘炭は
ハンドリング施設
を経て、約二百八十キロメートルの鉄道によりダーリンブルベー石炭専用積み出し港に運ばれ、約六千キロメートルの
海上輸送
により日本へ運ばれます。現在のところ、十五年間では約七千二百万トンを日本へ輸出することとなっております。 続いて
褐炭液化パイロットプラント
についてであります。
ビクトリア州都メルボルン
から東へ約百五十キロメートルの
モーエル
を中心とする
ラトローブバレー地区
に、
世界有数
の
埋蔵量
を誇る褐炭の大
炭田地帯
があります。
推定埋蔵量
約二千二十億トン、経済的可採
埋蔵量
は約四百三十億トンと言われております。しかも、約二千から三千万年前に形成されたもので、炭層は百メートルを超すところも多く、合層して三百メートルに達しているところもあります。表土の厚さは三十メートル以下と薄いので
露天掘り
が可能であります。ここの褐炭は極めて多孔質で四〇%以上の空隙率を有し、水分が多いが、乾燥したときは粉末状となり、大気中で自然発火するため、輸送、貯炭には極めて不向きであります。このため、
年間出炭量
三千三百万トンの約九〇%をこの地区で立地している
発電所
などに利用されているにすぎません。 一九八〇年、
日豪両国政府エネルギー研究開発
に関する会議におきまして、この
ビクトリア褐炭
の
最適液化プロセス
を確立し、
基礎データ
、ノーハウなどを蓄積するため、
モーエル
に
パイロットプラント
を建設し、運転して
研究開発
を行うことで合意されております。 新
エネルギー総合開発機構
、NEDOは、この合意と日本で進められている
サンシャイン計画
に基づき、
パイロットプラント
の建設及び
運転研究
の実施を
日本褐炭液化(株)
(
現地法人ビクトリア褐炭
)に委託して
日豪協力プロジェクト
の
研究開発
を進めています。 この
プロジェクト
の一環として、
モーエル
の
炭田地帯
の近くに
パイロットプラント
が建設されました。この
プラント
は水分は多いが灰分が少なく、反応しやすいという
ビクトリア褐炭
の特徴を生かした
高温高圧下
での二段直接
水素添加液化法
を採用、
処理能力
は乾燥炭一日五十トンで、百五十バレルの中質油、軽油等の
液化油
が得られます。 計画では十月からの
総合運転
を軸に約二年間の実験を続け、技術的な評価、採算性を検討した後、一九九〇年代中ごろ日量五千トンの
実証プラント
に移行することになっておりましたが、最近における
原油価格
の低迷によって、直ちに実施することは困難な状況となっております。しかし、
ビクトリア褐炭
を経済的に輸送の容易な
エネルギー
に転換する
最適液化技術
の基礎が確立され、
日豪双方
の
エネルギー事情
の改善と
我が国
の主導的な
技術開発
を仲立ちとした
日豪連携
の一層の強化に役立てていくために、この
技術開発
を強力に推進するとともに、将来の開発を目指して
開発技術
のポテンシャルを高めることが必要と考えています。 続いて、
オーストラリアLNG
について申し述べます。
オーストラリア北西大陸棚天然ガス計画
は、第一、第二期計画とに分けられ、第一期はカラサの北約百三十キロメートル沖にある
ガス井戸
にプラットホームを建設、ダンピアの近くに陸上の
ガス処理施設
を建設、さらに精選されたガスをパースまで運ぶ千五百キロメートルの
パイプライン
を建設、一九八四年九月竣工したもので、
全量国内消費用
であります。 第二期は、掘削されたガスを陸上にて液化し日本へ輸出する計画で、一九八五年八月着工となりました。この計画には
ウッドサイド
、シェル、BHP、クラシアテック、BPに加え、MIM1、三菱商事及び三井物産の
合弁会社
が六分の一ずつ資本参加して計画が遂行されており、一九八九年九月を
出荷目標
(実際は十月と言われている)に工事が行われており、現在の
工事達成率
は八二%であります。LNGの
年間生産量
は、一期及び二期
工事おのおの
三百万トンで、合計六百万トンで日本とは二十年間の契約であります。日本での需要先は東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力、東京ガス、東邦ガス及び大阪ガスが予定されており、今後
我が国LNG輸入国シェア
で大きなウエートを占めていくものと思われます。 六月二十八日、西豪州副
首相パーカー
氏へ表敬を行いました。
パーカー
氏は閣僚の中でも最も有能で行動力があり、党内において支持者が多く、いずれは首相になると見られている
若手政治家
であります。副首相として
経済開発貿易
を担当しておられ、表敬に当たって、
資源エネルギー
の
安定供給
の確保について、今後日豪の
友好関係
の一層の強化が強調されました。 なお、前後しますが、六月二十三日、
シドニー日本商工会議所主催
の夕食会があり、
シドニー
で活躍されている会員の人たちと
事業活動等
について親しく
意見交換
を行いました。同
商工会議所
は昭和三十三年七月設立され、現在の
普通会員
は二百四十七法人で、主な
事業活動
は
各種情報提供
、
調査活動
、
商取引紹介
、懇談会、
寄附活動
、
太平洋地域官民合同会議
、
日豪経済合同委員会
への参加などであります。 六月二十四日、
褐炭液化プラント
に行く途中、
現地日本企業
の
子供たち
が地元の小学校に溶け込んで教育が行われている
モーエル
のコマーシャル・
ロード小学校
へ寄りましたところ、
小学生たち
の非常な歓迎を受けました。同小学校の
日豪共同教育
の試みは、小さいながらも
日豪関係
にとって重要であることを認識した次第でございます。 最後に、
シンガポール
について報告いたします。 同国の
経済動向
は、一九六〇年代より
中継貿易基地
として栄え、その蓄積をてこに
金融立国
、
加工貿易中心
の
工業化
などで成功し、さらに
地場産業
の知識・
技術集約化
を目指し、
ハイテク部門
への
外資誘致
、
技術導入
を積極的に取り入れています。しかし、
輸出品価格
の低下を受け、賃金の割高感が表面化し、八五年初めて
マイナス成長
となりました。このため
国際競争力回復
が急務となり、新
経済政策
の策定などを行った結果、八六年には運輸・
通信部門
の回復、
製造部門
の立ち直りにより一・八%の成長となり、八七年には八・八%、八八年第一・四半期には一〇・九%と大きく回復しております。 続いて、日本と
シンガポール
の
経済関係
について申し述べます。
貿易関係
については、日本は
シンガポール
にとって米、
マレーシア
と一、二位を争う相手国で、日本からは
機械機器
、
シンガポール
からは
石油製品
、ナフサなどが交易されており、投資面では、
投資残高
十九・八億
米ドル
の米国に次いで日本は十四・六億
米ドル
となっております。
日本企業
の進出は総数約八百五十社あり、
製造部門
では、
労働集約的業種
から
資本技術
・
知識集約的業種
へと投資の重点が移行しています。
経済協力
は、七四年以降
資金協力
の約束はなく、
技術協力
が中心であります。また、
シンガポール
における
日系企業数
は、八七年四月一日現在八百五十二社で、
日本商工会議所会員数
は、八八年三月現在、四百八十六社にも上っています。 訪問した施設二カ所について申し上げます。 まず、
日本エレクトロニクス・ディバイス株式
会社であります。
スコール
の中、ホテルを出て目指す会社を訪れました。この季節は
スコール
は時々あるそうであります。この会社は一九七八年、
カラーテレビ用
及び
カラーディスプレー用
の
カラー受像管
をつくるため、
(株)日立製作所
と
シンガポール経済開発局
との合弁により設立されたもので、敷地は十万三千八百平方メートル、建物は四万六千九十平方メートルであります。従業員は千九百五十人で、一日に三
シフト制
をしいており、現在日産三十万個の能力を有し、一九八七年三月、一千万個を超えたとのことであります。 工程は材料から組み立てまでを一貫して行うもので、
品質管理
は
日立製作所
の技術が用いられ、現在では
現地従業員
も対応できるようになりましたが、
就業期間
がまだまだ低いそうであります。コスト的には日本よりも安く、
マレーシア
、
シンガポール
、インド、日本、
ヨーロッパ等
へ輸出を行っております。 二番目は、
ポッカ・コーポレーション・シンガポール株式会社
についてであります。日本の
ポッカ(株)
が一〇〇%出資している会社で、一九七七年一月に設立され、現
工場敷地
五千平方メートル、建物二千平方メートル、新工場は敷地七千平方メートル、建物六千二百平方メートルであります。
生産能力
は、現工場で
缶入り飲料
十五万缶、ゼリー一万七千カップ、新工場で
缶入り飲料
三十万缶あり、販売先は日本を初め香港、中近東、
マレーシア
、インドネシア、
シンガポール
であります。原料は現地の豊富な果物が対象となりますが、今好評の
つぶつぶオレンジ
の砂嚢だけは日本から輸入しているとのことでした。工場の視察の後、
高木社長
から、
シンガポール
でも
日本企業
が頑張っていますとの言葉に何か晴れ晴れしい気持ちで工場を出ました。 以上をもって本団の
調査報告
を終わりますが、我々は今回の調査により、
ニュージーランド
、
オーストラリア
及び
シンガポール
の現状と問題について改めて認識するとともに、視察先で自然が生み出すすばらしい
エネルギー
や資源、親日的な人間関係に触れることができました。これも在日大使館、総領事館、ジェトロ等の方々の一方ならぬ御配慮によるものでありまして、
団員一同
改めて心から感謝の気持ちを表する次第でございます。 なお、最後に申し上げたいことは、二週間の日程は、例えばホテルの出発時刻が平均午前七時三十分ということにあらわされますように、強行なものであったにもかかわらず、
団員一同
の結束がかたく、心身ともに健康で和気あいあいの雰囲気ですべての日程を消化でき、所期の目的を達成できたことを心から喜んでいることをつけ加えまして報告を終わります。 ありがとうございました。
松前達郎
4
○
会長
(
松前達郎
君) どうもありがとうございました。 以上で
報告
の聴取は終わりました。 それでは、これから懇談に入ります。 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
宮島滉
5
○宮島滉君 私は、残念ながら今回の
視察
団に参加することができなかったわけでありますが、ただいま副団長で
視察
にお出向きになりました
大木
先生からの御
報告
を伺ったわけであります。まことに
エネルギー
資源のすばらしさをまざまざと聞かされるような感じで、ただいまお聞きしたわけであります。 そこで、
地熱発電
でございますけれども、かなり汎用されておるようでありますが、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
ニュージーランド
の
地熱発電
でありますけれども、
イタリア
に次いで第二番目の
地熱発電
の総電力量を誇っているということでありますが、その中で特に環境問題が二、三点
報告
がございましたけれども、
我が国
におきましても、環境問題が御承知のとおりもろもろあるわけでありまして、そのことが
地熱発電
のいわゆる
開発
にかなり支障を来すに至っている、このように実は感ずるわけでありますが、そこらあたりの環境問題につきまして少し詳細に御
報告
いただければと、かように思います。
猪熊重二
6
○
猪熊重二
君 私がお答え申し上げるのは非常に僣越でございますけれども、少々お答えさせてもらうというか、御
説明
させていただきますと、
地熱発電
に使用される熱排水の問題について、環境上種々問題があるわけでございます。御承知のとおり、この熱排水をそのまま放流しますと、周辺環境に種々の熱汚染の問題を生ずる、あるいは
熱水
をくみ上げることによる地盤沈下の問題等が生じております。これらの問題を解決するための熱排水を
地下
に還元する問題が公害防止上種々議論されているわけであります。
ニュージーランド
におきまして最初に設置された
ワイラケイ
の
地熱発電
においては、当初は熱排水全量を河川に放流していたわけです。ところが、今申し上げたような種々の問題がありますので、
ワイラケイ
においても最近、熱排水を
地下
に還元するということについて
実験
を開始しており、早晩
地下還元
という方策をとる
予定
になっております。また、来年一九八九年に運転を開始する
予定
のオハーキの
地熱発電
におきましては、使用される熱排水はすべて
地下
に戻されるという
計画
に当初からなっております。このような点で、公害防止、環境問題上、一番問題となる熱排水の問題は、近い将来には
ニュージーランド
においてすべて解決されるというふうに先方でも言っておられましたし、そのようなふうに理解しております。 環境問題については、今の熱排水の
地下還元
の問題のほかにも、
我が国
においてはしばしば温泉地とのトラブルというふうなことが問題になっておるわけですが、
ニュージーランド
においては、国の事情が異なるというか、土地の広さの割にそれほど人々が、人口が密集していないというような点から、温泉地とのトラブルというふうなことは問題になっていないようであります。
地熱発電
の
地下
水のくみ上げ自体による温泉地とのトラブルというふうなものはないというふうに言っておりました。 なお、先ほど
大木
副団長からの御
報告
にもございましたように、ロトルア周辺においては、各家庭において暖房だとか、いろんなことで各人勝手に
地下
から
熱水
をくみ上げる、そのために今までは湯が噴き出していたのが
蒸気
だけになるとか、
蒸気
が噴き出していたのがその分量が少なくなるとか、とまってしまうとかいうふうな問題があるので、今後新しく各家庭においても、勝手に
地下
から
熱水
をくみ上げるというふうなことはまかりならないというふうなこともあるようですが、それは
地熱発電
との問題とは異なりますが、念のために申し上げておきますと、そんなことでございます。
山東昭子
7
○山東昭子君
大木
先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、私、皆さん方の行かれた後、ちょっと個人的にブリスベーンの近くの
石炭
の鉱山の現場を見てきたんですが、以前から
オーストラリア
というのは、とにかく資源は豊富だけれども、労働環境と申しましょうか、ストライキがあるために、どうももう一つ
景気
が盛り上がらないというようなことを言われていたわけなんですけれども、労働問題の専門家の
大木
先生がごらんになって、
日本
と
オーストラリア
の組合の組織の
状況
であるとか、それからその内容であるとか、そういう環境みたいなものについてどのような御意見を持っていらっしゃるのかなと思いまして、比較されてちょっと何か聞かせていただけたらと思います。
大木正吾
8
○
大木正吾
君 私たちの
調査
項目の外の問題でございますけれども、ただ、ここの場合には、イギリス労働運動の
影響
を伝統的に受けていますから、イギリスTUCの脈絡の中でできている組合で、恐らく
日本
と違いまして、
会社
のために働くという意識は
割合
に薄く、やっぱり自分個人の、言えば
賃金
なりあるいはレジャー、そういった事由のために働く、そういう気持ちが強いと思うんです。 ですから、労働党政権ということもございまして、現在ではストライキの数は相当減っているようですけれども、かつては先生おっしゃったとお り相当多かったことはあります。しかし、ただ私たちが見た限りでは、そういった話題は経営の方々とも、
商工会議所
の方々とも随分話はいたしましたけれども、ストライキの話題はほとんど出なかったですね。ということは国際環境、同時にやっぱり物価の上昇、
貿易
の
赤字
の問題、そういったことがある程度
日本
型のものが相当理解され始めている。と同時に労働党政権でございますから、言えば自分たちの政府じゃないかという気持ちがやっぱりあるんじゃないかと思うんです。ただ、本質的にしからばイギリス型、TUC型の個人加盟労働組合の体質が変わっているかどうかまでは実は私たちも調べる時間がございませんでしたので、ちょっとお答えになりませんけれども、その程度のことで御勘弁願いたいと思います。
宮島滉
9
○宮島滉君 済みません。二、三点ちょっと伺った後、先生方また御意見がおありかと思いますので、お願いをいたすことにいたしたいと思います。 続いて私から、二、三点お尋ねしたいと思うんですが、昨今、
日豪
貿易
が極めて
資源エネルギー
を中核として順調に拡大してまいっておるところであります。なかんずく、
石炭
について
日本
の全
輸入量
の五〇%程度を
豪州
から
輸入
しておる、そのように承知しているわけなんですが、一九八七年度の
我が国
の
輸入量
をいわゆる原料炭、それからまた
一般炭
に分けて少し教えていただければどうかなと、こう思いますし、それからまた、そのうち、ブレアソールの今お話が実は出たわけでありますけれども、この取引量がどのくらいに相なるのか、ここをひとつ示していただければと、こう思うんです。
小笠原貞子
10
○
小笠原貞子
君 お答えしたいと思います。 今先生おっしゃいましたように、
日本
の
石炭
の総
輸入量
の実に五〇%のシェアを占める四千七百九十八万トンという数字が出ております。その四千七百九十八万トンの内訳を申しますと、原料炭が三千六十万トンで、これは四四%のシェアです。それから
一般炭
が千七百二十一万トン、六九%のシェアを占めております。その
一般炭
がブレアソールなわけですけれども、このブレアソールが占める
割合
というのは、新しいのを統計で見ますと三百八十一万トン、
一般炭
の二二%をブレアソールの
一般炭
が占める、こういう数字でございました。
宮島滉
11
○宮島滉君 先生に済みませんけれども、もう一つお尋ねしたいんですが、今先生から
輸入量
につきましての御
報告
をいただいたわけでありますけれども、いわゆる太平洋コールフロー構想から見ても
豪州
の
石炭
は
我が国
にとって重要なエリアだ、こう思うんです。しかしながら、
我が国
の
石炭
産業
の現状、これをあわせ考えるときに、先生今回御
視察
なさってみてどのような御感想をお持ちになったか、ひとつお聞かせいただければと、こう思います。
小笠原貞子
12
○
小笠原貞子
君 その感想たるや実に複雑な感想を持って帰りました。 今おっしゃったように、太平洋コールフロー構想というのを調べてみますと、ちょっと八七年の通関統計見ましたら、アメリカが約千百九十万トン、カナダが千七百九十万トン、中国が三百八十五万トンという国々の数字になっているんです。その中で
豪州
というのが約四千八百万トンという量を占めるわけですから、太平洋コールフロー構想から見てもダントツに
豪州
というのが多いわけですよね。 それで、私は初めて行って、そしてもう本当にびっくり仰天することばっかりだったんです。北海道だったら、だんだん深部化いたしまして、立て坑でどんとおりて、ずっと行って、六百から八百、千メートル近い深部になっているわけですよね。それで、
ガス
抜きだの事故があったりというので、この
委員
会でもしょっちゅう私取り上げざるを得ないというような、その
炭鉱
のいろんな問題を抱えてブレアソールへ行ってみましたら、とにかく上の土をはねますと、そこがもう
石炭
なんですね。こんな山じゃなくて、見たらずっと
石炭
で、
報告書
にあったように、しかも
炭層
が二十九メートルというのが何キロと続いているわけでしょう。だから上土をぱっとはねまして後、大きなシャベルでがばっがばっとこうやるだけで、そして質もいいから選炭する必要がない、こういうわけなんですよね。 それがどういうふうに出てくるかといったら、二百八十キロ離れた港まで行って、それで
日本
まで六千キロ船で運ばれる、こういうわけなんです。それで、この貨車が、ちょっと情緒的になって、あら貨車が来た、数えようなんて数え始めたんだけれども、とにかく数え切れないんですね。西側の鉄鋼
輸出
するところを見ても、そんなもう情緒的なものでないんですわ。このブレアソールの貨車というのを聞いてみたら、百十六両連結するんです。それで五台の機関車で、二百八十キロ運ばれるわけですね。 こういう
状況
から見たら、
埋蔵量
は豊かで、
露天掘り
で質もいい、そういうところで
日本
に持ってこられたら、CIF価格で
日本
の三分の一だなんて言われていたのが、いやこれはもう大変な次元の違いというんで、びっくり仰天したわけですよね。そのとき思い出したのが、工藤先生がよく、せめて電源
開発
は
国内
炭を買うべきだなんて何回もここの
委員
会で頑張っておられたけれども、そういう
石炭
を買っているのが、電源
開発
が資本出してどんどん買っているんだから、
日本
の
炭鉱
の状態考えれば、これは大変なことなんだなという意味で非常に複雑な感想を持ったと、こういうわけなんです。 しかし、大事なことは、豊かな
豪州
の
地下
資源、これだけでは生きないわけですよね。もうどこを
視察
しても全部ここに
日本
の資本が入り、
日本
の
技術
が入って、これとうまく結びついて、人類的立場から言えば、すばらしいいい資源
開発
になっているということは客観的な事実ですよね。だから、これは本当にいいことなんだけれども、私は一つ
西豪州
の副
首相
との話で言ったんだけれども、これもまさに平和な世の中であってこそ成り立つんであって、豊かな資源は六千キロ向こうにあって、
技術
があるといったって、これがもし何かのことがあったら、
エネルギー
というものがここで結びついて
開発
できないということになったら、やっぱりこういう
日本
と
豪州
の結びつきを考えたときに、もっともっと親密な関係を持たなければならない。それと同時に、国際的な中で平和という問題が本当に大事だなとつくづく考えました。 そして
日本
の
炭鉱
の事情を考えたときに、
日本
の
炭鉱
がどんどんどんどん閉山に追い込まれて、
炭鉱
労働者は職を失っていくわけですよね。そして一つには、
日本
の
エネルギー
そのものが
国内
で賄えなくてほかに依存するということは、
日本
の国の独立ということから考えて、これはひとつ考えなきゃならない問題だというふうに考えました。それで、そこから考えてみれば、
石炭
資本というのは、利潤がなかったら
石炭
開発
なりなんなりしませんから、あくまで資本なんだから、だから、その資本に対して
エネルギー
の自給自足を目指すということの責任は負わせられないとするならば、そうすると、
日本
の
エネルギー
を根本的に考えた場合には、
エネルギー
開発
というようなものは一私企業に任せられるものではなくて、公社的なものにやっぱり発想していかなかったら、利潤を上げる資本に任すというわけにはいかないんじゃないかということも本当に考えさせられました。 しかし、国会の
調査
として私も何回か行きましたけれども、今度の
調査
ほど具体的な、日程はきつかったけれども、もう本当に有効な
調査
ができたということは、大変いい
調査
であったと思いますし、これをきっかけにして、いろいろな
日本
の
エネルギー
の問題を我々自身がまた勉強するという一つの大きなきっかけに私自身がなったということで、驚きながら
日本
を考えるという、まことに複雑な心境で、先生もいらしたら、長崎考えて、ううんと私と二人でうなるんじゃないか、そう思って帰ってまいりました。
宮島滉
13
○宮島滉君 大変ありがとうございました。
政府側
にちょっとお尋ねしたいんですが、八八年度の
豪州炭
の取引量及び価格については目下交渉が大体終わっているんじゃないかと思うんです。その中身を少しお尋ねをして、さらにお伺いしたいと思います。
佐瀬正敬
14
○
説明員
(佐瀬正敬君) 御
説明
申し上げます。
豪州炭
の引き取り交渉でございますけれども、これはもちろんコマーシャルベースで行われておりますものでございますので、政府としましては、民間当事者の具体的な取引内容につきまして申し上げる立場ではないわけでございますけれども、概略聞いておりますところを御
説明
させていただきますと、原料炭につきましては既に合意がなされておりまして、これは炭種によりまして上げ方が違うわけでございますけれども、昨年度より若干程度値上げをするということで合意がなされているというふうに聞いております。また、
一般炭
でございますけれども、これにつきましては現在交渉中でございます。まだ価格が折り合っていないというふうに聞いております。
一般炭
は御案内のとおり、主として電力関係の購入が多いわけでございます。 いずれにいたしましても
日豪関係
非常に大事でございますので、今後当事者間で円滑な交渉が行われますように十分見守ってまいりたいと思っております。
宮島滉
15
○宮島滉君 今交渉の中で大体値上げが数
ドル
行われる、こういうことでありますが、今後の見通しとしてどうなんですか。やはり将来に向かって値上げをしなければならないような
状況
下にあるんですか。どうでしょうか。
佐瀬正敬
16
○
説明員
(佐瀬正敬君) 実は
石炭
の価格につきましては国際的な需給関係、それから競合燃料でございます
石油
価格との関係が非常に密接であるわけでございます。御案内のとおり、
石油
価格ずっとここのところ
低迷
をいたしておりまして、その
影響
も受けまして
豪州炭
、
世界
の炭の値段がそうでございますけれども、ここ三、四年若干低めに推移してきておるわけでございますが、この春ぐらいからやや需給関係が
石炭
に関しましてはタイトに変わっております。そういうようなことから、それほど暴騰するというようなことはないと思いますけれども、今までのようにスローダウンするという
状況
からは若干今変わりつつあるように私どもは見ております。
宮島滉
17
○宮島滉君 もう一点いいですか。 それから、これは少し地元のことなんですが、御高承のとおり、今地元で松浦火力
発電所
が大体
建設
が終わっていよいよいわゆる操業開始、こういうことになっているんだね。伺いますと大半が
豪州炭
、こういうふうに伺っているわけですけれども、その使用炭の比率、
国内
炭は全く使わないのかどうか、そういうことはちょっといかがですか。わからないですか。
佐瀬正敬
18
○
説明員
(佐瀬正敬君) 私、申しわけございませんが、国際的側面だけを担当しておりますものですから、後刻御
報告
させます。
宮島滉
19
○宮島滉君 わかりました。またの機会で結構ですけれどもね。我が地元には、いわゆる
石炭
の
炭鉱
があるんですよ。ですから、そんな遠いところからばかりでなくてね、やはりその比率も私はしっかり主張してもらいたいと思うね。特にそのことをきょうはお願いを強調しておきたいと、こう思います。
佐瀬正敬
20
○
説明員
(佐瀬正敬君) 御答弁できなくて申しわけございませんが、後刻御
説明
をさしていただきます。
沓掛哲男
21
○沓掛哲男君 この
報告書
の四ページなんですが、
オーストラリア
のいわゆる
褐炭液化パイロットプラント
についてちょっと質問さしていただきます。 ちょうどこの真ん中ごろに書いてございますように、 一九八〇年
日豪両国政府エネルギー研究開発
に関する
会議
において、この
ビクトリア褐炭
の
最適液化プロセス
を確立し、
基礎データ
、ノウハウ等を蓄積するため、
モーエル
に
パイロットプラント
を
建設
し、運転して
研究開発
を行なうことで合意されております。新
エネルギー総合開発機構
(NEDO)はこの合意と
日本
で進められている
サンシャイン計画
に基づき、
パイロットプラント
の
建設
及び
運転研究
の実施を
日本褐炭液化(株)
(
現地法人ビクトリア褐炭
)に委託して
日豪協力プロジェクト
の
研究開発
を進めています。 というこの部分について質問したいんです。 化石
エネルギー
というのは
世界
でたくさんある。しかし、
液化
エネルギー
はある程度限界があるというふうに言われております。確かに
石油
については、需要と供給の関係で
石油
の値段は非常に下がっております。そういういろいろのこともあって、
我が国
で通産省は
石炭
の
液化
研究をことしからですか、やめましたですね、予算計上を。この
石炭
の
液化
研究というのは
日本
がちょうど戦時中もやっていて、あのときでも既に
石炭
から
石油
をつくっていたわけなんですね。元素は同じCHでございまして、いわゆる
石炭
はHが少ない。だからH、水素を付加してやれば
石油
になるという、一番
石油
がつくりやすいものであることは間違いないんで、今は確かに
石油
は何となく需給関係で安値だし、供給量も今後ともあるように見えますけれども、何といっても可採
埋蔵量
には限界があるわけですから、やはり
我が国
のような国として
石炭
の
液化
研究を放棄するというのはいかがなものかなとかねがね思っていたんですが、それが
豪州
のこういうところで、今そういう
日本
と
豪州
が共同で
研究開発
を進めていくということなんです。 そこで二つお尋ねしたいんですが、この今、合同研究の
日本
と
豪州
の費用の分担がどうなっているのか。そして
日本
の費用負担金は政府と民間がどういうふうになっているのかを一つお聞きしたいこと。 それから二番目に、これは
研究開発
にいつもつきものなんですが、成果が出たときに、その成果をどういうふうに分け合うか。これからこのいわゆる知的財産というのは大変貴重なものですが、これがうまくいったその成果は一体
日本
と
豪州
でどういうふうに分け合うのか、そういうことをちょっと
大木
先生から教えていただきたいと思います。
田辺哲夫
22
○
田辺哲夫
君
大木
先生に御指名ですが、お許しをいただきまして私からお答えさしていただきます。 まず第一に、資金の問題でございますが、それに答える前に経過をちょっと御
説明
申し上げますが、これは
大木
先生の御
報告
にも若干ございましたが、
昭和
五十五年に
日本
と
オーストラリア
の連邦政府の間で
褐炭
の
液化
開発
、こういう問題につきまして共同で進めようと、このような合意がなされたわけでございます。その合意に基づきまして、
我が国
といたしますと通産省の外郭団体、特殊
法人
でございます新
エネルギー総合開発機構
、通常NEDOと言っておりますが、ここにその
プロジェクト
の委託をしたわけでございまして、実権は新
エネルギー総合開発機構
が持っておると。そしてこのNEDOは、今度は
日本
褐炭
液化
株式
会社
にその事業の推進を委託した。この
日本
褐炭
液化
株式
会社
の中身を申し上げますと、五つの
会社
で組織されておりまして、神戸製鋼、三菱化成工業、日商岩井、出光興産、アジア
石油
、この五つの
会社
が今申しました
日本
褐炭
液化
株式
会社
という
会社
をつくった。これは資本金が五億円でございます。さらにこの
会社
が
オーストラリア
に
現地
法人
をつくったと、これはもう本当の
子会社
でございますが、この
現地
法人
の名前は
ビクトリア褐炭
液化
株式
会社
、こういう名称でございます。そしてその事業費は全部政府補助でございまして、今申しました
日本
褐炭
液化
株式
会社
は、この事業に対して自己のお金を使っておりません。全部
日本
政府の補助でございます。 ちなみに今までの予算関係を申し上げますと、
昭和
五十六年から
昭和
六十三年度まで、
昭和
五十五年に両国で合意したわけでございまして、五十六年からその
プラント
の
建設
に取りかかりまして、総予算が約八百億でございます。その内訳は、 三百三十億が
人件費
とか運営費、四百七十億が
建設
費、このような内容になっておるわけでございます。
昭和
六十四年度の予算等はまた後ほど申し上げますが、今までの予算関係はそんなことでございまして、全部
日本
政府の補助である、こういうことでございます。 次に、研究結果の帰属でございますが、非常にこれは将来の両国の国益の問題に絡みまして重要な点ですが、両国政府で合意をいたしました直後に、今度は
現地
のビクトリア州政府、向こうは州ごとに政府がございまして、
首相
と言っておりますが、そこと通産省でさらに具体的な合意を見たわけでございまして、この研究成果は
日本
に帰属する。具体的に言うならば、さっき申しました新
エネルギー総合開発機構
、通称NEDO、これに帰属する、このような取り組みがなされておるわけでございます。 それで、さっきの質問で両国の出資関係いかん、これは
日本
が金銭的な面は全部負担する。
オーストラリア
の負担は、この研究に対しまして
褐炭
の無償供与、大体一日五十トンという
褐炭
を使って試験運転やっているんですが、
褐炭
の無償供与。さらに
工場
の
敷地
の土地、これを無償供与。そして
工場
をつくるためにいろいろの機材とその他を向こうへ送るわけですが、その陸揚げの際の関税等につきまして恩典を与える。これは無税であったか緩和しておるのか、そこら辺は私もまだはっきりわかりませんが、これに相当の恩典を与えておる。こんなような関連で、共同で今研究を進めておる、こういう段階でございます。
沓掛哲男
23
○沓掛哲男君 もう一問だけ。 そうすると、確かにお金は
日本
が出しているけれども、原料の
褐炭
や
工場敷地
、そういうような協力を向こうはしていて、こちらがその成果を一〇〇%いただけるというのは大変ありがたいんですが、そうすると、
豪州側
として一体これに取り組んでいる目的、恐らくそういう
褐炭
が、いろいろ運搬がしにくかったものが、そういうものが製品になるということだけのメリットを考えてそういうふうに協力してくださっているんでしょうか。そうすれば、
技術
はこちらに来るけれども、そういう
技術
をそこで
利用
するのは、あくまでもこの
褐炭
に制限されているんでしょうか。あるいはそこから出てきたいろんなものが、中国にも
石炭
がたくさんあるでしょう、これからああいう国の
石炭
の
液化
についても
利用
してもいいようなものなのでしょうか、その点をお聞きしたいことと、もう一つは、この本
プロジェクト
の将来、一体どれぐらいのめどでこういう成果を上げられるような
計画
になっているのか。そういう
計画
面からの将来性と申しますか、めどというようなものがもしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
田辺哲夫
24
○
田辺哲夫
君 質問の要点は二点ございますが、一点は、研究成果につきまして
豪州側
は将来何を求めるか、両国でどのような利益分配するのか、こういうことでございますが、今申しました研究成果は
日本
に帰属する、しかしながら、これは商業ベースへいく前の問題でありますよね。あくまでも私がさっき言いました試験
過程
の問題であって、いよいよこれが商業ベースに移行する場合にどうするかということですが、実は今までは個別的な試験をやっていた。ことしの十月から二
年間
、総合的な試験に今度は移るわけです。そしてその成果がそこに出てくる。そうしますと、コストがどのくらいだとか、または試験の
評価
がどのくらいなのか、実用的にはどういうような見通しがあるのか、いろいろ二
年間
で成果が出てくるわけです。そしていよいよ商業ベースに移行するわけですが、今の
計画
では、商業ベース移行は、二
年間
で総合的な試験をして、それから数年置いていろいろの検討を重ねて、大体
昭和
七十年ごろから商業ベースに移そうという
計画
があるわけです。 そして、そのときには両国でどのような利益分配をして、どのような責任分担をするかまだ決まっていない。そこで、その決めのときが私は大切じゃないか。向こうが
褐炭
を無償で現物支給するならば、商業ベースになった利益を向こうへどのくらいやるのか、いろいろあるわけでございまして、これはまだそこまでいっていないんです。恐らく商業ベースにこれが乗るとなると、そこで両者が真剣に検討して、向こうも自分の国益を考える、
日本
も自分の国益を考える、そこで何かしら合意を見出して、お互いに納得する方法をとらざるを得ないということだと思いますが、そこまでまだいっていないということでございます。 ただ、
オーストラリア
とすると、
現地
の
人たち
が働く場所が出るということを非常に歓迎している。現在約三百名
従業員
がいるんですが、うち
日本
人が七十名、その他は向こうの
現地
の方です。これが商業ベースで大規模でやりますと、何万という
従業員
が要るんじゃないか。その場合は
現地
採用がほとんどであろうということで、労働力の確保または雇用の問題、こういうことから非常に
オーストラリア
も希望的な観測を持っておる、こういうような背景があることも申し上げたいと思います。 それで、もう一つは何でしたか。
沓掛哲男
25
○沓掛哲男君 大体期間ですけれども、今お話の中にありました。商業ベースにするには研究に目を向けてとありましたから全部お答えいただきました。どうもありがとうございました。
松前達郎
26
○
会長
(
松前達郎
君) 沓掛
委員
、よろしゅうございますか。
沓掛哲男
27
○沓掛哲男君 はい。ありがとうございました。
大木正吾
28
○
大木正吾
君 今の問題に絡んでちょっと一言。 前
調査会
長といたしまして、今の
褐炭
液化
問題について責任も若干感じているんですが、NEDOの方々の御努力も非常に大変なものがあるんですね。特に
エネルギー
資源の非常に少ない
日本
ですから、同時に国際的には原発に対する批判もふえてきますから、だからそういった意味合いでは、現在はリスクがどれぐらい出ているかどうか、もっときめの細かい資料も要るんですけれども、ただ毎年毎年、去年からことし研究の予算が、ここ二、三年ずっと若干減っているんですね、これ。私が思うのは、やっぱり単に
褐炭
液化
問題だけじゃなく、やっぱり
石炭
の五〇%を
輸入
、
オーストラリア
から入れている問題とか、その他非常に対日関係も、言えば外交一般的にいいわけですから、そういう点等も総合して考えた場合に、この問題の
計画
を縮少する方向で、立ち消えになってしまったんではもったいないと、同時に外交関係が極めてまずくなる、こういう心配をしておりまして、この間、田村通産大臣と予算
委員
会でもって、ちょうど休憩中でございましたからお会いいたしまして、新
調査会
長に私の方から
報告書
を提出いたしますから、新
調査会
長からぜひこの
褐炭
液化
問題につきましては、エネ庁が
中心
でしょうけれども、予算をもう少しもとに返しながら、言えば先行きのめどもほぼついてきているわけですから、そういった問題について大臣としても努力してもらいたいと、こういったことをちょっと口頭で申し上げてございますので、本
調査会
といたしまして、そういったことについての御認識を改めて確認しておいていただきまして、いずれ大臣等に対しましても要請していく、このことをお願いしておきます。
松前達郎
29
○
会長
(
松前達郎
君) わかりました。 それでは及川
委員
。
及川一夫
30
○及川一夫君 私はまとめて御質問いたしたいと思いますので、大変先生方に恐縮なんですけれども、もし分担されているとすれば、そういうお立場からお答えいただければ大変幸いだというふうに思います。いずれにしても
調査
団の皆さん、大変御苦労さまでした。大変貴重な
報告
が出ておりますので、これからのこの会の討議にも大変役立つのではないかと、こういうふうに感想を述べておきたいと思います。 まず第一点、これはきょう特にお答えは要らないんですけれども、この
報告書
を読みまして、次のようなことはぜひ国会に正規に
報告
される際には
調査
室などを含めて入れていただきたいということで申し上げておきたいんでありますが、例えば
ニュージーランド
における物価の上昇という問 題がありますけれども、その上昇の原因が八五年の賃上げにあるのか、八六年の物品・
サービス税
の導入によるのか、いずれにしてもはっきりこれだけ見るとわからないわけであります。あるいはまた、鎮静化しているというけれども、どの程度の一体物価の上昇になっているのかということも定かでない。さらには
失業率
が問題になっているというんだが、幾らかということも実はこの文書には明示されていないわけです。さらに
貿易
経常収支
の問題についても精緻でないために、ちょっとトーンとしてはわかるんですけれども、正確な理解ができないということ。さらには
貿易動向
ということになりますと、国別にということになりますが、特に
我が国
との関係は一体どうなんだということを聞きたくなるというような問題ですね、こんなところがあります。 さらに、
オーストラリア
の関係では、これだけ
鉱物資源
が豊富なのにもかかわらず、財政的には必ずしも万々歳という形にはなっていない。なぜかということは当然
オーストラリア
でも問題になっているはずだと思うんですが、そういった点などを少し明らかにしていただくと非常にこれからの論議にプラスになると思いますから、ひとつ通産省などを含めて
報告
される際には、ぜひそういったものをつけ加えていただけたら大変ありがたいということを申し上げておきたいと思います。 これから先御質問なんですが、一つは
ニュージーランド
、
オーストラリア
含めてなんですけれども、
エネルギー
政策の問題ですね。
我が国
でも火力があり水力があり原子力があると、こういう格好になっているんですけれども、一体両国の場合、まあ
シンガポール
の場合ちょっと事情は違いますから外に置くにしても、
ニュージーランド
と
オーストラリア
の場合の
エネルギー
政策というのはどこにウエートを置いてなされようとしているのか。両国の中には原子力という言葉が一つも実は
報告
の中には出ていないわけですし、とりわけ
ニュージーランド
の場合には、原子力に対しては大変厳しい態度をとっておられるように私は理解しているんですが、したがって、
エネルギー
といったって
エネルギー
がひとり歩きするわけじゃないんで、やっぱり生活構造の問題とか、あるいは
産業
構造の問題とか、あるいは経済の行く末をどう考えるか、みんな関連している問題だとは思うんですけれども、火力、水力、原子力と、大きく分けて大体そういうふうにあるけれども、一体どの辺にウエートを置いて二国の
エネルギー
政策を樹立されようとしているのか、この辺のことについておわかりでしたら教えていただきたいというふうに思います。 それから、まあこれは細かい問題で恐縮なんですが、
メガワット
という単位を使っているんですが、恐らく万キロワットよりは高い数値を示しているんだろうと思うんですが、
我が国
ではどちらかというと、万キロワットでずっときている関係があるものですから、数量を理解するために、
メガワット
というのと万キロワットという、
我が国
と対照した場合に一体どういう数値になるんだろうかということもお伺いしたいというふうに思います。 それから
地熱発電
の問題、
ニュージーランド
でやっておられるんですが、これはコスト的に見ると一体どの程度なのか。高いのか安いのかという問題ですね。これもひとつお伺いしたいというふうに思っています。 二番目の御質問としては、
褐炭
液化
問題について、沓掛先生からも大変重要なポイントをついた御質問がございました。私なりに理解もできたわけなんですが、問題は、
褐炭
液化
という問題を
我が国
でとらえた場合に、端的に言って、原子力にかわるようなそういうものになり得るだろうかと。なるのかならないのかという見通しの問題なんですけれども、当然これにはコストがついてくるわけで、コストだって端的に言えば、
石油
より安ければ火力
発電
として応用できる、こうなっていくわけでして、今のところどうも
石油
の値段が安くなったものですから、
褐炭
に対する研究費の問題とか、いろんな問題がどうも
我が国
では、さっき
大木
先生がおっしゃられたように、どんどん研究費が減らされていっている。これでは非常にまずいと思うんですが、ぜひ
褐炭
液化
という問題については何か非常に明るい、
世界
にとっては明るいというそんな感じがいたすものですから、
石油
にかわり得るものになり得るかどうか。同時に、現状でコストは一体どのぐらいになるんだろうということがおわかりであれば教えていただきたいというふうに思います。 それから
報告
にない問題なんですが、
世界
的に情報化社会ということが言われているんですけれども、情報化社会ということが論議をされ、それに対応する情報
産業
、こういった取り組みが現実に両国で行われているかどうか。そんな議論がございましたら御紹介いただきたいというふうに思います。 それから四つ目に、
我が国
で悩み多い議論をしているんですが、
産業
構造の変化という問題ですね。
我が国
と事情は違うんでしょうが、構造変化の問題についての論議があるのかないのかということであります。 それで、最後になりますけれども、以上のこと等から見て、とりわけ
報告書
に基づいて考えてみたときにこの
調査会
、あるいは
我が国
として一体考えるべきものは何なんだろうかということが
調査
団として御議論はなされていないと思うんだけれども、個々でよろしいんですけれども、何かこういったことはぜひ考えるべきだと。先ほど小笠原先生からも、何か
石炭
を
輸入
するに当たって、私的企業よりは公的企業で受けた方が利潤というものをもっともっと下げることができるんじゃないかという意味と私は受けとめたんですけれども、そんなような議論もあったようなんですが、そういう受けとめ方もあるようなんですが、
我が国
として考えるべきものがあったのだろうかと。ありましたらぜひ御紹介をいただきたいというふうに思います。 以上です。
松前達郎
31
○
会長
(
松前達郎
君) たくさん質問がありましたけれども、
大木
委員
、いかがでしょうか。
大木正吾
32
○
大木正吾
君 後でもって補足をしていただきたいと思いますけれども、一
メガワット
というのは、大体千キロワットですね。そういうことですから、そういうふうに御了承いただきたい。 それから、両国を通じまして、どちらの国も原発はやっていないということですね。これは非常に
特徴
的なことでありまして、
国内
において、幸いにしまして
ニュージーランド
の場合には
地熱
、それから
オーストラリア
の場合には
石炭
というものがございますので、そういったような資源に恵まれ、あるいはある意味では自国の資源を非常に活用しているんですね。そういった姿が、言えば
特徴
的な問題でないかと思うし、
日本
の場合どうなんでしょう。別府とかあるいは北海道の登別とか、そういったところで、あるいは一定のエリアの中でもってああいった
地熱
の
利用
などができるかどうかわかりませんけれども、
日本
の場合、すぐに温泉旅館とかできていきまして、
地熱
を生活に
利用
するという知恵はなかなか浮かんでこなかったと思うんですが、そういった点で、やっぱり両国の
特徴
的な問題としまして、言えば非常な努力、同時に目的意識を持った自国での
エネルギー
調達をしている、こういったことが
特徴
として受けとめることができますね。 それから、コストのことがちょっと及川先生から出ましたけれども、これは大体一キロワットにいたしまして、
日本
の場合、原発
エネルギー
は九円程度になりますが、
ニュージーランド
の
地熱
の場合には二円か三円ぐらいですね。非常に安いコストでもってできているんですね。ですから、そういった面のこともやっぱり無視し得ない問題ではないかという感じがいたします。 それから同時に、
褐炭
液化
問題がこれが将来原発にかわり得るかどうかということは、ここに書きましたとおり五%程度ということでもって、この
国内
におきましては今そういったことで書いてございますけれども、いずれにいたしましても、そこまではすぐにはいけないんですね。ただ、私 たち自身が、ソフト
エネルギー
というものをあらゆる方法でもって、あらゆる
地域
に適合したものをやっぱりつくっていくということがどうしても求められざるを得ない社会に先行きはどうもなるかもしれない、こういう感じもいたしますので、ですから、そういった意味を含めて考えてまいりますと、先ほどどなたか質問がありましたとおり、中国も物すごい
石炭
がございます。その中に質が
割合
に軽いといいますか、原料炭にならないような
褐炭
的なものがありますれば、中国なんかでもこういった
液化
問題についての研究をしてもいいんじゃないかという話もありましたが、そういう点を含めて、言えばソフト
エネルギー
絡みの問題として、原発にかわるべき
エネルギー
の一部としてこれから大いに研究していくべきものだろうし、同時に、コスト問題等についても研究している専門家の方々と話をいたしますと、商業ベースにほとんど乗るだろうという見通しは持っておられるようですから、そういう点ではこれは無視し得ない問題だろう、こう考えて受けとめてまいりました。 それから
産業
の構造変化、これはそこまでなかなか突っ込んだ話はできなかったんですが、一般論的にはこの
報告
の中に若干含めておきましたけれども、やっぱり資源、原料の
輸入
、そして
輸出
、そういったことだけでは済まされぬ問題ですから、いずれにいたしましても、
ニュージーランド
という国はどっちかというと南洋的なところでありまして、
割合
に何といいますか、住んでいる方々ものんびり型でございまして、それほど意欲が、新しい近代
産業
、
機械
あるいはそういった
機械
金属の
産業
構造の
日本
みたいな形での問題までは意欲があるかどうかということは余り発見できませんが、
オーストラリア
の場合には、やっぱり原料だけ
輸出
して、そして
日本
から自動車とかあるいは
電気製品
などを買っているだけではつまらぬと、こういう意識がございますから、そういう点ではこれからの両国の政府間の、あるいは民間もそうですが、
貿易関係
の話し合いなどを通じながら当面は原料
輸入
、資源
輸入
、同時に製品
輸出
ということでいかざるを得ないと思うんですが、大事なことは、やっぱり
貿易
の
赤字
黒字のバランスをとりながら
日本
の
技術
をどんどんどんどん
輸出
していくということがどうしてもやっぱりせざるを得ない問題であるし、
日本
の場合はさらに高度なものを創造していくということにならざるを得ないだろう。 こういうふうに考えていまして、まだまだそういったことが過熱状態、アメリカと
日本
みたいな過熱状態ではありませんけれども、将来はこれはほっておきますと、そういったことがないとは言えない。このことは情報化問題と関係してきまして、恐らく私たちが見た限りでは
日本
の東京、大阪等に見るようないわゆる情報化時代というようなものは残念ながらここでは見ることはできませんでして、むしろ自然を大事にしようという意識の方がはるかに強い、こういう感じを持っておりまして、そういう関係で、今の
産業
構造変化の問題と関連いたしまして、情報化問題についてもだんだんウエートは高めていくんじゃないか、こういうふうな感じを持った次第でございます。 お答えになりませんが、以上、かいつまんで申し上げました。
田辺哲夫
33
○
田辺哲夫
君
褐炭
の
液化
のコスト、この問題につきまして
大木
先生から話がございましたが、具体的に申し上げますと、現在の試験によりまする見通しといたしますと、一バレル当たり三十
ドル
から四十
ドル
、こういう見通しでございます。
石油
の方が今一バレル当たり十五
ドル
前後。ですから現時点では二倍でございますが、まあ
石油
の権威者に言わせますと、二〇〇〇年になりますと
石油
も一バレル当たり三十
ドル
ぐらいにはなってくるんじゃないかと。そうすると
褐炭
の
液化
も大量にやりますと三十
ドル
ぐらいになるんじゃないか、そうすると将来やや同じような価格になるんじゃないか、こういう見通しがございまして、極めて私はこの
液化
問題は有効ではないか、このように感じたのでございます。 それと、この予算の問題でございますが、さっき本年度の概算要求は申し上げませんでしたが、実は総合試験運転ということにこれからなりまして極めて重要な時期になりますので、通産省といたしましても大変実は力を入れております。具体的に、
昭和
六十三年度のこの問題の予算は六十七億でございましたが、六十四年度では概算要求で七十七億の予算要求をしております。だから前年度に比べまして十億の増、こういうことでございまして、
大木
先生からもお話ございましたが、本
調査会
といたしましてこの問題、私はこの事業というものは大変
日本
のためになる、ぜひ概算要求が通ってもらいたい、七十七億通ってもらいたい、
調査会
でも特段のひとつ御支援、御協力をお願い申し上げたい、こんな個人的見解を持っております。
小笠原貞子
34
○
小笠原貞子
君 さっき及川先生おっしゃいました、私が公社の問題を申し上げたのは、
石炭
の
輸入
だけを考えているのではなくって、
エネルギー
全体を公社という形にすべきではないかという考え方。 といいますのは、農業とか
エネルギー
、特に
日本
のような高度に発展した資本主義社会の中で、この
エネルギー
というものがどれだけ自給自足できるかというのが大きな国の存立にかかわるという点ですね。それから考えると、これが安いとか高いとか、もうかるとかもうからないというような見地からで
エネルギー
というものが見られるならばこれは非常に危険であるということから、
エネルギー
を全体として考えて、そして高い安い、損する損しないなんという問題じゃなくて、
日本
の
産業
をしっかり守る
エネルギー
を確保するという立場に立てば、やっぱり利潤追求の資本に任せるということは無理なんで、公社化が必要であろうという考え方を申し上げたんで、
石炭
輸入
だけではなくて全体のことを考えた公社という問題の提起をいたしまして、ぜひこういう問題についても当
調査会
でもいろいろとまた意見を出し合って勉強もしていく今後の課題として私は大事な問題だなと、そう思ったわけなので補足させていただきます。
松前達郎
35
○
会長
(
松前達郎
君) 大分活発な御意見、しかも幅広い御意見等出されたわけでありますが、ほかに発言の方おられますか。
猪熊重二
36
○
猪熊重二
君 一言だけよろしいでしょうか。
大木
先生からも
田辺
先生からも予算のことでお話ございましたけれども、私は全然素人でよくわかりませんですが、例えば
褐炭
の問題にしても、
オーストラリア
であれだけ自分の国の国土を
日本
に提供して、ともかくやっていこうというのを
日本
の財政だとか、もうかるもうからぬということだけでやってしまうということは非常に道義的な問題としてまずいと。ですから、予算がどのぐらいが妥当かどうか、そういう数字は私はわかりませんけれども、ともかく
日本
で言えば、富士山の山ろくの広いところをある国に
利用
させるというふうなことの場合に、その国にとって非常に根本的な協力をしているわけですから、いいかげんにほっぽり出すというふうなことがないように、それはやっぱり道義的に許されないことだと、行って非常に感じましたので、そのことだけ申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
松前達郎
37
○
会長
(
松前達郎
君) ありがとうございます。 他に発言もないようでございますので、
海外派遣
報告
についての懇談はこれで終わることにいたしたいと存じます。
派遣議員
の皆様におかれましては、貴重な御
報告
をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。 ─────────────
松前達郎
38
○
会長
(
松前達郎
君) 次に、本
調査会
の今後の運営方針について
意見交換
を行いたいと思います。 本
調査会
における
調査
も本年はいよいよ三年目に入りまして、最終
報告書
の作成等、いわば仕上げの作業を行う段階になりました。 この最終年度に行うべき
調査
のテーマの選定、作業の進め方等につきましては、これまで二回ほど理事
懇談会
を持ちまして御協議いただいたとこ ろであります。本日は、その要旨について
委員
各位に御
報告
を申し上げたいと思います。 まず、
調査
のテーマであります。 本
調査会
は、第一年目においては、内需拡大対策並びに円高・構造調整下の雇用対策及び
地域
経済対策等について。第二年目においては、構造調整下の
我が国
製造業
の抱える課題等、
国内
的課題を
中心
に
調査
を進めてまいりました。したがって、三年目には国際的な観点から
調査
を行うべきだということで、まず、
産業
の分野では、
我が国
企業の海外展開に伴う問題、
投資
摩擦等を含めてであります。それから
地域
経済社会の均衡ある発展の問題、さらに情報・通信
産業
の現状と展望、こういった三つの分野を
産業
の分野として取り上げたい。さらに
資源エネルギー
分野としましては、
資源エネルギー
における国際協力、この問題を取り上げることといたしたのであります。 次に、以上のテーマを選んだ理由等について御
説明
申し上げます。 まず、
我が国
企業の海外展開に伴う問題、
投資
摩擦についてであります。 近年、円高の進行等により海外直接
投資
が急増しておりますけれども、
投資
先の国の企業や労働組合等との関係、
現地
におけるインフラ等、環境整備などいろいろな問題も生じているようであります。本
調査会
としては、その現状を十分に把握し、適切な対策の樹立に資するべきであると思います。 次に、
地域
経済社会の均衡ある発展についてであります。 東京のみに経済力が過度に集中することを避け、各
地域
が多様な独自の文化を生かしつつ、均衡ある発展を果たしていくための方策を
調査
する必要があります。例えば中枢都市を核として広域経済圏を設定し、
研究開発
機能を整備し、
地場産業
の育成を図るとか、あるいは高速交通、高度情報通信網の整備等、各
地域
の均衡ある発展を達成するための手段を
調査
いたしたいと思います。 次に、情報・通信
産業
の現状と展望についてであります。 今や我々は高度情報化社会の入り口にあると言われておりますが、高度情報化社会への主要な推進力として、また
我が国
の先端
産業
の一分野としてその現状を把握し、かつ
産業
構造全般との関係、雇用、さらに
地域
振興に果たし得る役割等につき
調査
を行うことが有益であろうと思います。
資源エネルギー
分野におけるテーマとしましては、
資源エネルギー
における国際協力を取り上げたいと思います。 本件については、
石炭
問題が依然重要であり、過去二年に引き続き事態の推移を見守っていく必要がありますが、環太平洋
地域
における
エネルギー
協力、
エネルギー
共同
開発
等、国際協力の面からも
資源エネルギー
事情を見直すことも必要かと考えられます。 以上、
調査
テーマにつき御
説明
いたしましたが、
調査
を進めるに当たっては、それぞれのテーマについて政府の見解をただし、参考人の出席を求めて意見を聴取するなど、長期的展望に立って
調査
、討議を行い、またこの間において
委員
派遣、地方公聴会を随時行い、充実した最終
報告書
の作成に向かって努力することといたしたいと存じます。 なお、
調査
テーマを取り上げる順序については、参考人の出席の都合等もあり、これを
会長
にお任せ願いたいと存じます。 また、
状況
によっては、全部のテーマを取り上げるについて時間的な制約が出てくる
可能性
もないとは言えません。したがって、理事
懇談会
において、情報
産業
を
地域
振興と関連づけて検討することも一案であるという御意見があった経緯もあり、数個のテーマを一体として取り上げる必要が出てくることもあろうかと存じます。そのあたりの取り扱いにつきましても、これを
会長
、理事にお任せいただければありがたいと存じます。 また、当面する諸問題についても適宜
調査
の
対象
とすることは当然でございます。 次に、
調査会
に与えられております立法勧告権の行使については、
委員
各位の御協力をいただき
最大
限の努力をいたしたいと存じます。 以上の理事
懇談会
の協議の
報告
について、
委員
各位から御意見、御助言等がございましたらこの際承りたいと存じますが、いかがでございましょうか。何か御意見ございましたらどうぞ。——それでは、別に御意見がないようでありますので、本年度の
調査
は、ただいま御
報告
申し上げた要旨に沿って進めさせていただきたいと思います。 それでは、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十七分散会