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1988-12-08 第113回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月八日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         稲村 稔夫君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 沓掛 哲男君                 赤桐  操君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 川原新次郎君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 宮島  滉君                 小川 仁一君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        国土庁防災局長  三木 克彦君        建設政務次官   古賀  誠君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省道路局長        事務取扱     鈴木 道雄君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        公正取引委員会        事務局官房総務        課長       矢部丈太郎君        警察庁刑事局捜        査第二課長    垣見  隆君        科学技術庁科学        技術振興局研究        振興課研究開発        基盤調整官    天野  徹君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       櫻井 正昭君        法務省民事局参        事官       寺田 逸郎君        法務省刑事局刑        事課長      古川 元晴君        法務省入国管理        局参事官     山崎 哲夫君        文部省学術国際        局教育文化交流        室長       西澤 良之君        運輸省港湾局計        画課長      堀井 修身君        海上保安庁警備        救難部航行安全        課長       磯田壮一郎君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    畠中 信夫君        建設大臣官房技        術審議官     森本 裕士君        消防庁危険物親        制課長      次郎丸誠男君        消防庁特殊災害        室長       原  純一君    参考人        首都高速道路公        団理事      松原 青美君        住宅都市整備        公団総裁     丸山 良仁君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (東京湾岸開発に関する件)  (土地対策に関する件)  (河川災害復旧に関する件)  (道路整備に関する件)  (外国企業参入問題に関する件)  (リゾート整備に関する件)  (リクルートコスモス社の宅建業法違反問題に関する件)  (地震対策に関する件)     ─────────────
  2. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団及び首都高速道路公団の役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) それでは、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 赤桐操

    赤桐操君 私は、東京湾並びにその湾岸地域をめぐる最近におけるいろいろ問題が出ておるようでございますので、質問をいたしてまいりたいと思います。  東京湾岸地域開発計画につきましては、東京都の臨海部都心開発計画、あるいは千葉県の諸計画横浜市のみなとみらい21建設計画等自治体が大変積極的に進めております。また、民間におきましても大規模開発計画が相続いて発表されておるというのが現状であろうと思うのでございます。  このようなぐあいに東京湾岸の各自治体民間のそれぞれの企業が大変積極的な開発計画を進めつつあるわけでありますが、このような状態でそれぞれの立場で進めていかれてよろしいのかどうか、環境への影響あるいはまた防災対策上の問題等々いろいろあると思います。あるいはまた過密化する東京湾海上交通の問題、大分いろいろの問題が懸念されるわけであります。東京都の一極集中排除、人、物、金の一極集中排除ということで地方分散が今いろいろと検討されている状況下に置かれておるわけでありますが、四全総計画におきましてもそういう方向で進められておるようであります。現在、一方においては一極集中を排除し、分散方向を進めようとしておるし、一方においてはそれぞれの立場に立ったさらに大規模開発計画考えられておる、こういう大変矛盾したような状況が出てくるように思うのでありますが、長官の御認識はどのように現状をお考えでいらっしゃるか、まず最初に伺いたいと思います。
  6. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいまの赤桐先生の御指摘のように、東京湾湾岸計画等についても一極集中といった四全総の趣旨と多少食い違いがあるのではないかというような御指摘を含めての御意見だったと思いますが、東京への過度の集中を是正いたしまして多極分散型の国土形成を図るということで全国的な分散施策を講じておるところでございますが、東京圏におきましても大都市問題を解決するため諸機能のバランスある配置を図る必要がこれまたあるかと存じております。  このため、千葉市、横浜市等その受け皿となる多極分散型国土形成促進法の中にもございますそういった業務核都市育成整備により、東京圏を多極多圏域型の地域構造に改善することも東京中心部においては、臨海部の再開発あるいは副都心整備等を通じ多心的な地域構造に変える必要があるとも考えております。したがいまして、御指摘東京湾岸開発計画につきましては、こういった基本的な認識のもとに沿いまして、東京湾につきましても東京都を中心とした首都圏のこういった整備も当然多極分散型国土形成の一環として東京都としては必要ではないか、こういうふうに考えております。
  7. 赤桐操

    赤桐操君 今大臣の御答弁でありますが、東京一極集中を一方においては排除しよう、多極分散型の形をとろうとしておる、一方においては各自治体企業が積極的に開発プロジェクトを先を争って進めていくという現状、これは私はもっと積極的に東京湾並び東京湾岸全体を一つ考え方の中におさめてマスタープランといいましょうか、そうしたものをつくる必要が出てきているのではないか。なるほど四全総等にはいろいろ方針が出ておりますが、東京湾東京周辺東京湾岸における状態というものは私はもっと本格的な一元化したプランを立てていかないというと今のような矛盾を乗り切ることはできないんではないか、こう思うんですが、大臣はどうお考えになりますか。
  8. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま先生からの御指摘のございましたように、国土庁といたしまして、六十三年度の予算におきましてこれらの問題につきまして調査費をちょうだいいたしまして、東京湾地域開発整備につきましては、地域全体の広域的かつ総合的な観点で取り組むべきものであるという認識のもとに立って調査を進めておるわけでございます。そのためには、広域的、総合的な視点に立って東京湾地域の全体の利用保全に関する計画策定するという考えに基づいて現在調査をいたしておるところでございます。
  9. 赤桐操

    赤桐操君 今年度から予算の計上がなされて東京湾地域の総合的な利用保全計画策定調査が進められておるということでございますが、この調査というのは一体どういうことを具体的に目標としてやるのか、あるいはまた、調査項目といいますか、調査期間、こういうものについてもう少し具体的に御説明を願いたいと思います。それからまた、この調査に基づいていつごろまでに東京湾岸地域マスタープラン策定されるようになるのか、これを少し詳細に願いたいと思います。
  10. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) それでは、東京湾地域の総合的な利用保全計画策定調査につきまして御説明を申し上げます。  この調査に六十三年度から取り組みましたゆえんは、一つは、東京湾地域における土地利用構造転換が、非常にその動向が明らかになってきたところでございます。例えば港湾機能にいたしましても、今までのはしけ荷上げというような形態、あるいは岸壁に接岸いたしまして船を使って荷上げするというような形態から、コンテナというような形になってまいりまして、迅速に、しかもコンテナ荷さばき機器を広範に持った港湾機能が必要になりまして、従来型の非常に細い桟橋、あるいははしけ等利用するための沿岸地域、あるいは隣接する河川地域倉庫群というようなものが不要またはその機能を縮小することになってまいりました。一方、新しいコンテナ埠頭の増設というようなものが必要となってまいりまして、大規模港湾土地利用が変わってきているわけでございます。  一方また、産業全体から見ましても、いわば臨海型の重厚長大産業から内陸型の軽薄短小というような産業構造の変化が起こりまして、従来予定しておりました東京湾岸埋立地のいわば臨海型、装置型産業への利用というものが予定されなくなってきた。つまり、広大な埋立地というものがただいま転換を待って空き地になっているというような状態がございます。  もう一つ臨海部にありました既存中小企業等も含めまして、公害の観点、その他近代化集約化観点等から、東京湾臨海部からの移転あるいは再配置というような点が起こってまいりまして、大規模土地利用が、現在の流れからいたしますと、港湾あるいは工場等用地から都市的な住宅業務用地への移動というような形の動きが非常に活発に起こりつつあるわけでございます。各都県等も、この計画というものを踏まえましてそれぞれ独自の計画等も立てていらっしゃいますし、港湾あるいは工場サイドにおきましても、それぞれの改善計画あるいは移転配置近代化計画というものが進捗中でございます。  しかし、このまま放置いたしますと、非常に強いエネルギーがかえって東京湾全体の総合的な環境保全しながらの利用にあるいは将来禍根を残すことになるやもしれぬということで、私ども国土庁予算をちょうだいいたしまして、国の関係省庁、それから都県当局ともよく御相談いたしまして、六十三年から継続いたしまして調査をすると同時に、最終的には東京湾地域の総合的な利用の面が一つ、それから保存の面が一つ、両々相まった計画策定したいということでございます。  内容につきましては、六十三年度一千五百万の予算をちょうだいいたしまして、まず計画基本方針を、どういう形で調査を進め計画立案に至るかという委員会策定いたします。そして内容としては、現在の土地利用状況とか、それから水域でございます、港湾等水域利用状況とか、こういう状態を把握いたしますと同時に、六十四年度以降も同様な予算等を継続いたしまして、交通関係それから東京湾の持つ歴史、文化保全関係、あるいは防災安全の関係環境保全関係産業、それは交通体系整備関係、そういう各般の問題を検討いたしまして、六十五年度以降にいよいよ計画策定にとりかかり、できるだけ早期にその保全利用を兼ねました計画策定したい、こういうことで現在調査を実施したところでございます。
  11. 赤桐操

    赤桐操君 お話によるというと、六十五年度以降に具体的なものをまとめ上げたい、こういうお話のようでありますけれども、六十五年度以降というと三年後になりますね。二年後ですか。六十五年度以降ということは、六十五年度には大体できる、こういうことですか。
  12. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) これほどの計画になってまいりますと、原案をつくりましてから取りまとめに至りますまでにも一年以上はかかるのが通例でございます。四全総におきましても両三年ほど全体の取りまとめにかかりたということでもございますので、私どもも、今度つくる計画が二十一世紀の東京湾土地利用を定めるという大事な計画であるという観点から、やはり最低取りまとめに二年程度はかかるだろうということで、私ども覚悟しているというとおかしゅうございますけれども、それほどの意欲を持って取り組んでまいりたいと考えております。
  13. 赤桐操

    赤桐操君 六十一年の六月に策定されました首都圏基本計画では、東京湾岸地域において「東京湾が貴重な内湾として首都圏全体の共有の財産であることに充分配慮し、環境保全を図るとともに、各種の利用調整を図りつつ、海上交通安全確保防災性向上等を図る。」と述べているんです。それからまた、「東京湾外沿岸城と適切な分担を図りつつ、その秩序ある利用を進めていく」、こういうことが述べられております。  首都圏基本計画の中での東京湾岸地域の位置づけ、それからそれに対するところの整備等についての今までの施策でありますが、これはどういうように具体的におやりになってきたか説明を願いたいと思います。
  14. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまお尋ねの首都圏基本計画には、既存計画等も踏まえましてその総合的な位置づけを改めて定めたという意義があるわけでございます。したがいまして、環境保全につきましては、これはやや釈迦に説法でございますけれども東京湾というのは非常に生態系でも多彩な生態系を保存しておりますし、あるいは環境に、例えばレクリエーションに対する機能から申しましても非常にすぐれた特性を持っておるわけでございます。一方、東京という大消費地を抱えておりますと同時に、東京周辺の各都県一大生産基地でもございます。非常に海上交通が、貨物という点から申しましてもあるいはエネルギー、加工という面から見ましても交通がふくそうしている、こういう点がございます。さらには、東京湾周辺につきましては、やはり関東大震災のような巨大地震の危険がある区域ということで、この三点を特に東京湾岸について重要な点と考えまして、環境保全につきましては今までも環境庁あるいは都または県を中心とするさまざまな環境保全についての御調査及び御提言等がございます。  それから海上交通につきましては、運輸省及び都県中心とする港湾関係の御当局中心といたしますさまざまの港湾計画、あるいはそれに付随いたしました埋立計画もございます。  それから防災につきましても、当然のことながら、私ども国土庁の所管しております防災あるいは都県等が独自に調査しております防災上の問題等もございます。  この三つをやはり基本に据えまして、その上でのやはり東京湾利用保全ということが基本考えまして、首都圏計画におきまして大きく位置づけまして、しかも、海上交通の面では東京湾のただいまふくそういたしております交通分散するためには、どうしても東京湾外関東沿岸港湾機能というものを充実しなきゃならない。そうしますと、港湾機能は単独では存在しませんので、陸上交通を兼ねまして、陸上へ揚げた荷物あるいは陸上から運ぶ荷物道路交通等も含めて考えなきゃなりませんので、やはり首都圏全体の計画として大きく受けとめる必要があろうかということで、首都圏計画の中で諸計画取りまとめ立場で位置づけたものでございます。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 東京湾並び東京湾岸地域開発について私は今若干の考え方を申し上げたいと思うのであります。  この地域開発についてどうしても考えなきゃならないことがあると思うんです。それは、今述べられてきておりますように、東京湾上の海上交通の安全の問題とこの周辺における防災の問題であると思います、東京湾を含めた防災の問題。いわば大別して防災上には二つあると言っても過言ではないと思います。その一つ東京湾を航行する船舶の安全の問題でございます。まず、東京湾における海上交通の実態について少しく明らかにしてもらいたいと思うのでありますが、東京湾六港の最近一年間の出入しておりまする船の隻数、これはどのくらいになっておりますか。運輸省、来ておりますか。
  16. 堀井修身

    説明員堀井修身君) お答え申し上げます。  昭和六十二年のデータでございますけれども湾内の六港の入港船舶数は約三十三万隻というふうになってございます。それから六港の港湾取扱貨物量でございますけれども、約四億八千万トンということでございます。
  17. 赤桐操

    赤桐操君 この三十三万の船が東京湾に出入りしているわけでありますが、東京湾の湾口すなわち浦賀水道を通過する一日当たり船舶数、これはどのぐらいになっておりますか。
  18. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) お答え申し上げます。  大体七百二十隻前後とお考えいただければ結構でございます、一日当たり
  19. 赤桐操

    赤桐操君 湾岸地域に立地する石油コンビナート火力発電所等に油や天然ガス等危険物を積載する巨大船舶でありますが、こういういわゆる危険物を積載する巨大船舶通航状況、これはわかりますか。
  20. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 危険物積載船通航状況でございますが、私ども海上交通センターで把握しておりますところでは、一日当たり約三十六隻が東京湾内に出入りをしておる、こういうことになっております。ただ、これは危険物積載船だけではなくて、二百メーター以上のいわゆる巨大船も含めた数字でございます。
  21. 赤桐操

    赤桐操君 その巨大船と称するのは、そちらの方の認識では何トン以上のものになりますか。
  22. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 船長二百メーター以上でございますが、これはトン数は必ずしも長さに比例をいたしませんので、おおむね大体二万トン以上と考えていただいて結構でございますが、これは確定的なものではございません。大体二万トン以上、おおむねということでお答えを申し上げたいと思います。
  23. 赤桐操

    赤桐操君 私の手元にある海上保安白書で見た内容でありますが、これによると、年間では危険物積載巨大船舶は六十一年度で浦賀水道で千七百九十二隻、中ノ瀬水道でもって七百七十九隻、合計二千五百七十一隻となっておりますね。通常船舶等を除いたものでこれだけのものが入っておる。年間通常船舶を含めて危険物積載船舶を含めるというと合計で八千隻になる、こういうように出ておるようでありますが、こういうことでよろしいでしょうか。
  24. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 浦賀水道航路通航いたしております管制対象船舶で申し上げますと、私ども手元にございます最新の六十二年のデータで申し上げますと、いわゆる巨大船と呼ばれますものが九千二百隻。これは危険物積載船が千九百十九隻、それ以外のいわゆる巨大船、二百メーター以上のタンカーでない船、これが七千二百八十九隻。それから巨大船でない危険物積載船がございます。これが約四千九十五隻。そのほかに長大物件曳航船が三十四隻。合わせて東京湾浦賀水道通航しておりまして航路管制を受けておりますのが一万三千隻になっております。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 今御説明では巨大船通航が三十六隻と言っておりましたね、最初説明では。私が聞いているところでは、これはタンカーだけでも二割、二〇%ぐらいに至っているだろうと言われておりますが、そうではないんですか。
  26. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 三十六隻のうちの約二割が危険物積載船でございます。先生がおっしゃるとおりでございます。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 その他の船がまだあると思うんですね。これは自衛隊関係とか合衆国の軍艦、他国の艦船等がここに出入りしておるように思うんですね。東京湾への出入状況、これらのその他の出入状況についてはおわかりになりますか。
  28. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 東京湾海上交通センターの方で航路管制をしておりますのは、先ほど申し上げましたように、船の長さが二百メーター以上の船、それからそれ以外の、巨大船でございませんが危険物を積んでおります千トン以上の船、それから二百メーター以上の長いものを引いておる船ということでございまして、例えば米海軍で申しますと二百メーター以上の船というものはこの数字の中に入っております。しかし、それ以外のものにつきましは、現在のところ何隻年間に入っているというような形でのデータは把握しておりません。ただ、先ほど申し上げました七百二十隻という一日当たり通行隻数の中にはこれは当然含まれております。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、自衛隊の船とか合衆国艦船というのはこの中に入っているんですか、原則として、今のお話数字の中には。その他になっているわけじゃないんですか。
  30. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 大変細かい話になりまして恐縮でございますが、少し細かく御説明をさしていただきます。  東京湾海上交通センターで、先ほどから申し上げております一年間一万三千隻という数字、この一万三千隻というのは、事前通報を受けましてその船と船の間隔を一定以上広げなければいけない、あるいは前に船が待っておるので入るのを規制するというような形でいろいろと指導、規制をやっておる対象の船でございます。これに対しまして、先ほど申し上げました浦賀水道通航しております船一日当たり約七百隻、七百二十隻と申しておりますが、これはすべて浦賀水道通航している船すべてでございます。したがいまして、米海軍の船あるいは自衛艦についてもすべてこの七百隻の中に入っていると申し上げたわけでございます。  それから米海軍の船につきましても、先ほど申し上げましたように、二百メートルを超えるような、一例で申し上げますと例のミッドウェー、こういったような船というものはこの巨大船として事前に私ども通報を受けまして、これについて前後の関係等調整さしていただいている。したがってその部分は入っております。しかし、二百メートルを超えませんような小さな船、例えば駆逐艦のようなものでございますとか、こういったものについては残念ながらこの一万三千隻の中には入っていない、こういうことでございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろ説明を伺うと、さすがにやはり東京湾状態というのは超過密である、こういうように感ずるのであります。  世界各国にもたくさん港はあるわけでありますが、この過密状態については、日本の東京湾六港の状態、これは世界各国と比較してどんなようなところにありますか。おわかりになったらちょっと説明してください。
  32. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 東京湾そのものにつきまして、世界と比較するより先にまず日本の国内で申し上げたいと存じます。  日本の国内の狭水道につきまして一日当たり通航隻数という点で見ますと、浦賀水道航路以外に、例えばいわゆる伊勢湾の入り口の水道、それから備讃瀬戸等々ございまして、これらについては海上保安庁が毎年調査をやっております。現在のところ、こういった狭水道の中では通航隻数だけで申し上げますと東京湾は最も少ない部類に属します。一番多いのは備讃瀬戸、それから明石等でございまして、これが大体東京湾港の二倍ぐらいの数字になっております。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 「なだしお」の事件が発生をいたしましたし、その前には第十雄洋丸の衝突事件、こういうものが重なっておったわけであります。こういうような状況が発生するということについても、これはやはり海上交通状態から見ていって発生している原因があるんだろうと思うのであります。いろいろ専門家の意見等で見るというと、この状態の中ではこういう状況が繰り返されていくだろうということも言われておるわけでありますが、私もそういうふうに今の報告を聞いて感ずるわけであります。  いろいろな原因が想定をされるわけでありますが、二つ目の問題としては、これらの巨大タンカーと称する船が一たび事故を発生して火災事故が発生するというようなことになりまするというと、湾内は恐らく流出した油で覆われてくるであろう。爆発火災、あるいは他の船舶への類焼、沿岸コンビナート等への延焼、こういったものが次々と発生してくるわけでありまして、まさにこれは大災害ということになるであろうと思うんです。一時、巨大タンカー東京湾への出入についてはこれはやるべきでない、禁止すべきだという意見もあったようでありますが、巨大タンカーによる事故というものはこれからも発生しないということはあり得ないだろうと思うのでありますが、こうした状況等に対する安全対策についてどんなふうに考えておられるか御説明を願いたいと思います。
  34. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 今回の事故ももちろんでございますが、基本的に、東京湾というところは先生指摘のとおり非常に大きな船が多数東京湾に入ってまいりまして、いろいろと湾内そのものがまたふくそうしておりまして、いろいろと横切り関係等非常に難しゅうございます。  そこで、私どもの方では従来からこういうふくそう海域につきましては三つの法律をつくりまして、一つはいわゆる一般法でございます海上衝突予防法以外に、海上交通安全法という形で特別の規制を行っている。それから港の中については港則法ということで特別のルールを定めるということで、特別のルールをそれぞれ定めております。そのほかに、東京湾それから瀬戸内海につきましては、海上交通情報センターをつくりまして、これを通じて、先ほど申し上げましたような船と船の間の間隔を適正に保つ、あるいはレーダーで監視をいたしまして、危険な場合には直ちにVHF無線を通じて、危険が生じておる、何とかしろという指導を行う、こういったような体制を整えておるところでございます。そのほかに、今回の問題になりましたいわゆる浦賀水道航路、それからその先に出ております中ノ瀬航路につきましては、常時、二十四時間、二隻の巡視艇を配備いたしまして、これで常に安全の確認、チェック、指導を行うような体制をとっております。  ただ、先生指摘のとおり、今回の事故にかんがみまして、さらにこれらの対策を強化する必要があるということで、先般十月十四日に政府対策本部で船舶の安全対策要綱というものを定めまして、この要綱に基づきまして、先ほどの海上交通センターについてはさらに機能の充実強化を図る、あるいは東京湾内の船艇による安全指導体制をさらに強化する、さらに、今後の問題といたしまして、航路体系の再検討を行う、こういったようなことを定めたところでございます。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 今の段階ではそういうことでやっておるんだろうと思いますけれども東京湾のいろいろ湾上の交通を体験した人たちの専門家の意見を聞くと、大体今日の巨大タンカーあるいは巨大船、こうしたものが、今のお話のように、交通の管理や指導がなされている中ではありましょうけれども、それでもまだ「なだしお」みたいな事件が発生するわけでありまして、そういう場合における切り返しといいますか、船の転換といいますか、こうしたものが大変困難な状況に置かれているというように聞いているんです。したがって、今の浦賀水道から中ノ瀬に至る間の中では「なだしお」事件のようなものが発生することはもう当然ではないんだろうか、こう言われているんですが、この点はどうなんですか。
  36. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 私どもの方の立場から申し上げますと、先生指摘のような形で非常に狭い航路の中を大きな船が通らなければならない。しかも、大きな船というのは小回りがききませんで、例えばとまるだけでも数キロ先まで行ってしまうというような問題が出てくるわけです。  そこで私どもの方では海上交通安全法という特別のルールをつくりまして、これではそういった大きな船、非常に運動性能の悪い船は航路の中は優先権を与える。優先権を与えるかわりにこれらの船には前方を警戒する船、それから側方を警戒する船、これらの船を配備させまして、そういったような前でぶつかるようなおそれのある場合にはすぐにそれをどかせるといったようなことをさせております。さらに、これだけでは足りませんので、先ほど申し上げましたように、海上交通情報センターをつくりましてレーダー監視をいたしまして、あらかじめ報告を受けさせて、非常に込んでいるような時点での入湾というのはできるだけ抑える。入湾する際には周りの船に情報を流しまして、大きな船が入ってくるからよけなさいといったようなことで指導を行いまして、今のところ事故がないように努めているという状況でございます。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 またもう一つの問題点としては、いろいろ船が入ってきて荷揚げその他を待つ、いわゆる停泊する場合とかあるいは避難錨地、こうしたものが必要のようでありますが、これは決定的に少ない、不足しておるというように聞いておりますが、この点はどうですか。
  38. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) この問題は、いわゆる日常的な錨泊の問題と、それから緊急時の錨泊の問題とに分けて御説明しなければならないと存じます。  日常的な錨泊で錨地が不足しているということは、現在のところ全くございません。これはすべて先ほど申し上げました海上交通センターで常に把握しながら必要に応じて指導を行っておりますので、特に問題は生じておりません。  問題は、台風時等非常に海が荒れます場合、やはり船というものは岸壁につけておきますとかえって船そのものが壊れる可能性がございます。そこで極力沖出しをしろという指導をするわけでございます。沖出しをしますと船が多数湾内に出てくる。そうすると錨地というものが問題になってくる可能性がございます。これにつきまして私どもも非常に心配をしておりまして、このために海上交通センターで、台風の際には錨泊地のエリアを定めまして、湾内を十二に区切りまして、そのエリアごとに錨地が今どういう状況にあるか、こういう情報を提供することによって相互の錨泊関係が安全なように担保をしておるところでございます。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 一日の平均で大体どのくらい湾内には常時船が入っておるんですか。
  40. 堀井修身

    説明員堀井修身君) 東京湾内におきます全船舶の停泊度数を把握したデータは今のところございません。ただ、昭和五十八年の十一月末にレーダーによりまして停泊船の観測が行われてございます。これによりますと、岸壁に接岸しております船については捕捉ができておりませんで、平たく申し上げれば、いわば海の上に浮かんでいるというような船泊の数は一日で三百五十隻程度というような数字が出てございます。これは先ほども申しましたように、岸壁に着いておりますとかいうものについては把握ができておりません。したがって、おおよその数字が、海に浮かんでいる船はこんな程度かなということで御報告をさしていただきます。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 余りよく停泊しているものがわからないようでありますけれども、台風時とかそういう場合で緊急避難を必要とするような場合、いわゆる沖出しと称するやつ、こうした指導をするとしても、あるいはまたそれぞれの錨泊の地域を定めるにいたしましても、隻数が余りよくわからないという状況の中ではこれは余り適切な指導ができないんじゃないですか。
  42. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 先ほど港湾局の方からも御説明がございましたように、私どもの方でもレーダー調査をしておりますが、おおむね現在までのところ三百数十隻の船が東京湾内では錨泊ができているという実態を把握しております。台風等の場合には、先ほど申し上げましたような、湾内全体を十二の錨地に区分をいたしまして、海上交通情報センターの方から情報を提供いたしまして、さらに先ほどの航路警戒艇等を使って適切な錨地の選定等を行うよう指導することとしております。  さらに、こういう台風が非常に大きくて湾内危険物船を入れるのが危険なような場合には、先ほどの航路通報を受けました巨大船危険物積載船については、場合によっては湾内へ入ることを見合わせるようにというような指導もあわせて行うことによって湾内での錨泊の問題というのを事前に対応できるように処理しているところでございます。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 湾外に出て待機できるような大型なものであればいいけれども、それまでの大きなものでない場合においてはそれはできないでしょうから、それにさらに加えて、東京湾の横断道路がいよいよ始まるようでありますが、これができ上がると千葉県側の方には橋脚が立つことになるし、一層その問題が厳しくなってくるように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  44. 磯田壮一郎

    説明員磯田壮一郎君) 東京湾横断道路の建設に伴いますいわゆる錨地の問題につきましては、先ほど申し上げましたレーダー情報等をもとにいたしまして、実は日本海難防止協会の方で御検討がなされております。これは道路公団からの委託を受けまして、日本海難防止協会の方で御検討がされておるわけでございますが、その結果によりますと、あの横断道路ができますことによって錨地が数%、大体三、四%と伺っておりますが、その程度影響を受ける。したがって、決して影響がゼロではないが、先ほど申し上げましたようないろいろな対策を講じることによって、今のところ保安庁としては十分対応可能であろうと考えております。  ただ、この問題につきましては、さらに海難防止協会の方で具体的な安全対策をどうするのかといったことを御検討いただいておるところでございますので、その結果を見ながらさらに適切な対応をとっていきたい、かように考えております。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 次に、東京湾岸地域開発の第二の問題点は、湾岸の埋立地が非常に軟弱地盤で地震に大変弱いと、こういう問題点だろうと思います。  九月七日の東京都の港湾局が明らかにいたしました大地震時の地盤の液状化に対する予測調査の中間報告を見ますると、東京港の埋立地の三分の一の地域に液状化の現象が発生をする、こういうように予測いたしております。また、今月の六日の日に国土庁長官が明らかにされておりますが、東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県を関東大震災並みの巨大地震が襲った場合を想定した、そしてその被害状況を中央防災会議に報告をされております。その対応策が決定されたわけでありますが、ここでひとつ注目しなきゃならぬ問題は、千葉県の木更津から神奈川県の横須賀市にかけての東京湾一帯で発生する地盤の液状化現象と堤防の崩壊の問題だろうと思います。巨大地震時の発生の場合の東京湾岸石油コンビナート地帯の再点検、こういうことについては私は喫緊の問題だろうと思うのでありますが、その点はいかがお考えですか。
  46. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) ただいまお話しの南関東地域の地震被害想定調査でございますが、このたび中央防災会議で決定されました南関東地域震災応急対策活動要領を検討するための基礎資料として行ったものでございます。  液状化現象についてでございますが、その可能性について想定を行っておりますが、南関東地域の全体的な傾向を把握するという観点からでございますが、一キロメッシュごとに液状化の可能性について想定を行っております。この結果によりますと、液状化現象が地下水位の高い砂質地盤のところで生じやすいということでございますので、東京湾沿岸部の多くの地域におきましては全体的に一五%程度の面積が液状化するというふうな結果になっております。液状化の可能性が見込まれている地域におきましても、液状化が具体的に生ずるかどうか、この点につきましては、それぞれの地点におきます局所的な地質条件によるわけでございますので、対応策につきましては、その地域の特性を見ながら個別に検討されるべき問題であるというふうに考えております。  一般的に申しますと、液状化の可能性の高い地域での開発当たりましては、十分な地質の調査を行いまして、その地域におきます地盤、地質、そういった条件を把握いたしまして、それに対応した方策を講ずるということが重要であるというふうに考えております。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 消防庁の方からいただいた資料によりますると、東京湾岸の石油タンクの数が大小合わせまして六千三百四十四ある、これは六十一年の四月一日現在の数字でありますが、ということで報告をいただいておりますが、各年次別の建設状況、これはわかっておりますか。
  48. 原純一

    説明員(原純一君) 私どもで毎年統計はとっておりますけれども、年次別の資料をきょう持ち合わせてございません。後刻調べれば、その建設状況わかると思います。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 これはお願いをしておいたんですが、できないようでありますので、引き続いてひとつ克明に調査していただきたいと思うんでありますが、建設年次によって私は強度が変わってくると思うんですね、タンクの。また構造も違うと思うんです。あるいは地盤構造なんかも違ってくると思います。そういうものについて検討をする必要があると思うのでお願いしているわけなんで、これは早急にひとつ提出してもらいたいと思います。  この六千三百のタンクの構造は大体どういうようなものになっているのか。地中式の原油タンク方式で行われているのか、地上式の払い出しタンク方式で行われているのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  50. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) 石油類を中心とします大規模な屋外タンクは、一般的に地上に立っているタンクが大部分でございまして、地中タンクというのは非常に数が少ないようになっています。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 ちょっと重ねてそのまま伺いたいと思いますけれども、地上式の払い出しタンクがほとんど全部だ、こうおっしゃるんですか。地中式はないというんですか。
  52. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) いや、地中式は非常に少なくて、地盤面に立っているタンクが大部分だということでございます。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 その数はわからないんですか、区分けは。
  54. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) 現在、地中タンクというのは、私どもが把握している限りにおいては秋田県と岡山県に今数基しかないというように存じております。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 それじゃここにはないんじゃないですか。東京湾岸の六千四百の中には地中式はない、こういうことですか。
  56. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) ちょっと確認してみないとわかりませんけれども横浜に一件あるかもしれません。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 それを後でひとつ報告してくれませんか。  それから続いて、東京湾岸のタンクはそういうことで大体地上式のタンクになっていると思います。そうなると、地盤改良というものが少なくとも埋立地建設する場合には大前提になると思うんですね。そして、今回国土庁が想定した巨大地震が発生した場合に、タンクの地盤と建造物の安全性、こうしたものが問われてくると思うんですけれども、この点については、今回の国土庁の発表されたその想定、こうしたものとの関連の中で検討されておりますか。
  58. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) 現在の規定でございますが、地震対策としましては、特に今先生指摘の地盤のそれぞれの地域の特性がございますが、そういった地盤の特性に応じまして液状化しやすいものについては地盤改良するとか、あるいは非常に地盤のいいところにつきましても検査をしまして、タンクの設置につきましての細かい基準が現在の消防法令で決められておりますが、そういった規定に沿って許可をし、この基準に沿っていなければ使用ができないというような形になっております。その後これらのタンクにつきましても定期的に点検をいたしまして、その点検の結果、特に地盤が悪くて不等沈下をするとか、そういったものについては当然改修の問題が出てまいりますが、そういった改修をさせる。あるいは、現在不等沈下の量もチェックをするようにいたしておりますけれども、そういったチェックの結果、直径に対して百分の一を超えるような場合には臨時的な保安検査をしまして、適切な改善をしていくというようなことになっております。  なお、現在の新しい基準によれば、こういった耐震的なものにつきましては関東大震災クラスの地震を想定した基準ができておりますし、万一これらのタンクが問題がありましても、防油堤というのがございますが、これは漏れた油が拡散をしないというような防油堤を設けることにしておりますけれども、こういったものについても十分な耐震的な基準を適用して維持管理に当たっておるところでございます。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 私の伺っているのはこういうことなんですよ。国土庁長官が六日の日に明らかにした、いわゆる巨大地震、マグニチュード八前後、こうしたものが発生した場合において今までのタンクは耐え得るかどうか、こういうことを言っているんです。  その点についていろいろ構造上の問題等を聞いてみるというと、地盤改良といってもいわゆるサンドパイル方式程度のものにすぎないのではないか。そういう状況の中で、例えば千葉県の例で申し上げますと、浦安から富津まで八十キロあるんですね。坪数にして四千五百万坪ですよ。ここに工場やタンクが建っておるんですが、タンクはいずれも水深五メーターの岸壁に近いところへみんな建てられておるんです。これは油を入れる関係があるから。そうすると一番地盤の弱いところなんです。そこにタンクが林立しているわけです。タンクのキロ数にしても、千葉県側の方なんかの例でいくと六千四百のうちの三千、半分ぐらいが千葉県側に建っている。房総半島の真ん中を横断する一番軟弱な地域の市原地域、ここに相当の大きなものが建てられておる。ここに大体十万キロリットル以上のものが二十ぐらいある。そうすると一番軟弱地盤のところにそれが建てられておる。そういう状況の中で、今のようなお話で果たして保証ができますかと、こういうことになると思うんです。  だから、私があなたに聞いていることは、今までの考え方で果たして通るのかどうなのか。新しい事態を想定するというと、今までの考え方よりも倍の十五万人の死傷者が出る、あるいはまだたくさんのビルディングが崩壊する、こういうことがおとといの六日の日の発表でなされている状況です。各県のそれぞれの自治体では被害状況は倍だと、こういって大変驚いている状況です。そういう状況が想定されてもなおかつこのタンクには心配はないんですか、私はこういう質問をしているんですよ。
  60. 次郎丸誠男

    説明員次郎丸誠男君) ちょっと説明が不足しておりましたけれども昭和五十二年以降のタンクにつきましては、今回の国土庁が想定されたような地震については大丈夫だということが言えるんじゃないかと思いますが、五十二年以前に建ったタンクにつきましてはこういった耐震的な細かい基準ができておりませんので、これにつきましてはそれぞれの設置者がその地盤に応じたタンクを建てておるということだろうと思います。  そこで私どもは、やはりこの地震対策というのは重要な課題でもございますので、実は五十四年の十二月に、屋外タンクの地震対策という問題につきまして、特に点検の総合的な実施を行わせ、それから実施を行った場合にいろんな問題が出てきますと、それについての補修方法であるとかあるいは対策方法を具体的に示して、それに基づいて実は点検もさせ、安全上チェックをいたしたわけでありますが、今回こういった想定がなされまして、私どもこういった点検をまた十分に行わさせ、その結果何か不都合が出てくれば、これについては万全の対策を講じさせるようにしてまいりたいと思っております。
  61. 赤桐操

    赤桐操君 時間の関係がありますので少し急ぎたいと思いますが、軟弱地盤の上に建てられた建造物であります。地盤改良が行われたといっても、この一番最近において想定されているような被害状況巨大地震におけるところのいざという場合の対策、こうしたものについての物の考え方から見るならば、私はもっとこれは検討すべき余地がある、再検討の必要性がある、こういうように考えております。  それからさらにまた、東京湾岸の幾つかのタンクが倒壊する場合においては、防油堤のこともあなた言っておられましたけれども、防油堤は役に立たないですよ、ああいうものは。水島事件で明らかになっているんです。そしてまた、軟弱な地盤のところではそういうものは私はいざというときに役に立たない、こういうことが言えると思うんです。それで、わずか三万キロリットル程度の水島における油の流出、あれだけの大きな作業をしておるわけです。  巨大地震の中で、例えば千葉の海岸やあるいはまた対岸あたりでもって発生したそういうタンクの倒壊、こうしたものが具体的に出てきた場合においては私はこれは想像以上の問題になるだろうと思うんですね。恐らく私は東京湾は火の海になるだろうと思います。こういう状況において一体防災対策は確立されているのかどうなのか。たった三万キロリットルの水島における流出のときにおいては、回収船がなかったじゃありませんか、油の。それで、ひしゃくでもって回収するという大変お粗末な状態だったと思うんです。今聞いてみるというと、東京湾には公的なものは三隻しかない、こういうことを聞いておりますが、これで果たして十分だろうかどうなんだろうか。  それからまた、コンビナート法が制定されたのは水島事件の発生後一年半です。この一年半、五十一年の春にこの法律ができ上がったのでありますが、今日十年余を超えているんですよ。しかも、今日想定される災害というものは、当時想定されなかったような大きなものになってきている。また東京湾岸状況も変わっている。東京湾交通状態も変わっている。こういう状況等を考えてみるというと、新しい事態を想定した中で、もう一遍コンビナート法の再検討、こうしたものも必要ではないか、こう思うんですが、これは国土庁長官どうお考えになりますか。
  62. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生指摘のとおりだと思います。  関東大震災程度の地震がもし発生をいたしたならばという想定のもとに今回の中央防災会議における発表になったわけでございますが、関東大震災当時と比べますと臨海工業地帯の開発も進んでおりますし、地下街といったような従来ないものもございますし、耐火建築にはなったとはいいながらも超高層化の時代になっておる。こういうような関東大震災の当時とは非常に事情が違ってまいっております。しかも、高度情報化時代で、地下ケーブル等の事故等によりましても、世田谷等における例からいきましても大変な被害が出ておる。  こういう総合的な観点からいきますと、関東大震災のような程度の地震が出ますと、あの当時は火災ということに重点を置いて、木造家屋であったから避難地へ逃げた方が火災によって亡くなられた方が非常に多いというわけでありますが、超高層時代に、電気がとまってエレベーターが動かなくなる、あるいは地下街の状態が非常なパニック状態になる、あるいは埋立地がこれだけ進んで液状化現象が出て大変なことになる、あるいは先生が御指摘になりましたタンク等の崩壊によって火災が生じやすくなる、非常に危険性をはらんでおる、規模も非常に大きい被害が出るであろうということを想定いたしましてあの結果を報告をいたしたわけでございます。それに基づいて、日ごろから関係省庁も十分肝に銘じてこれに対する対策を十分常日ごろからとらなければならないという警告的な意味も含めまして今後その対策を十分立ててまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 終わります。
  64. 小川仁一

    ○小川仁一君 初めに土地対策についてお伺いをいたします。  国土庁はさきに、昭和六十三年度都道府県地価調査の結果を公表いたしましたが、それによりますと、この一年間では大阪圏、名古屋圏、一部の地方主要都市等でかなりの地価上昇が見られたが、東京圏については周辺部では地価上昇が見られたものの昨年秋以降は鎮静化傾向が顕著になった、それ以外の地域では地価はおおむね安定している、こういう概況を発表になっています。しかし、どうもこの発表と私たちが言っている感覚とは違う感じがいたします。それで、この調査結果に基づいて、庶民の感覚と調査結果とのこの食い違いみたいなものがあるように感じられますので、この際国土庁長官からお考えを伺いたいと思います。
  65. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 本年十月一日に公表いたしました七月一日現在の都道府県地価調査、それからまた、その後、監視区域におきまして十月一日現在で地価の動向調査というものをやっておりまして、こういう地価調査の結果によりまして、最近の地価の動向について報告させていただきたいと思います。  まず、六十年ごろから東京圏が突出して地価上昇があったわけでございますけれども、最近では東京から比較的遠い四十キロとか五十キロとか、そういうところではまだ地価上昇が見られているという状況でございますけれども東京圏では地価が下落に転じている地域が次第に拡大しているということで鎮静化傾向が顕著になっているというふうに思っているわけでございます。さらに今度は大阪圏でございますけれども、かなり広い範囲で著しい地価上昇が見られたんですけれども、ことしの四月ごろから上昇のスピードが鈍化したというような状況になっております。また名古屋圏でも、名古屋市、この周辺において著しい地価上昇が見られたわけでございますけれども、やはり四月ごろから上昇が鈍化傾向にあるということでございます。しかし、大阪圏、名古屋圏につきましては、まだ上昇傾向は持続しているというような状況でございます。  それから地方圏では、地方の主要都市それからリゾート地というところで一部で地価上昇が見られますけれども、それ以外の地域では地価はおおむね安定的に推移しているというふうに認識している次第でございます。
  66. 小川仁一

    ○小川仁一君 安定しているという言葉が非常に問題なんですよね。そして鎮静化傾向にある、こう言われている。だけれども国民の多くは、安定化しているというその安定というものに対する非常に実感的な距離感覚といいますか、心理的な遠さがあるわけです。例えば翌日の新聞見てみると、ある新聞は、「東京高値安定 池都市高騰飛び火」、こう言ったり、あるいは「地価高騰全国に拡散」、こういった言い方をしておられる。  昨年同月比で上昇率を見てみますと、東京圏では二二・六%、昨年の五七・五%に比べますとやや鎮静化の傾向はありますけれども、まだ国民が土地や住宅を買えるような状況ではないんです。例えば東京住宅土地の平均価格は一平方メートル当たり八十九万円とも言われておりますが、この三年間で三倍ぐらいになっていますね。だから、鎮静化、安定化という言い方はあなた方の気休めの言葉のような感じがするんですが、高値安定だということをもう少しはっきり言わないと次の対策が出てこないと思いますが、その点いかがでしょうか。
  67. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 今回の地価高騰は非常に地域的に偏って起こっているというようなことでございまして、東京圏について見ますと、東京圏で過去五カ年間東京圏住宅地平均で二・二倍程度に上昇しているということは事実でございます。さらに、これを東京の例えば二十三区ということでとりますと約三倍近くに上昇しているということも事実でございまして、私どもといたしましては、こういう東京圏の地価の上昇のスピードが落ちたとか、それからまた下落傾向に転じているということでございますけれども、地価水準そのものは非常に高いものになっているということは事実だと思います。また、東京圏周辺部では依然として地価が上昇しているということもございますので、私どもといたしましては、今後とも地価動向を厳重に監視いたしまして、地価の安定、さらには引き下げに努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  68. 小川仁一

    ○小川仁一君 ですから、言葉の使い方というのは、非常に国民の、特に住宅を求めている国民の心理に近いような言葉の使い方をぜひお願いをしたい。  この調査が発表された翌日の九月三十日に政府は土地対策関係閣僚閣議を開いて、旧国鉄用地売却の凍結をやめる方向の検討を決めておられるんです。国鉄用地の売却凍結を決めたのは去年の秋で、一年しかたっていないんです。高値安定の中でこういう状況をもうお考えになっているというのは、一体どういうことなんですか。
  69. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今御指摘がございましたように、土地対策関係閣僚会議におきましては、一部の方から、一般競争入札によって国鉄の長期債務を早く解決すべきであるというような御意見も確かに出ました。土地担当大臣といたしまして私は、一般競争入札というのはまだやるべきではないという見解に立ちまして、断固反対ということで、そのときの会議では一般競争入札による売却は当分行わないということに決定をいたしたわけであります。  また、その後いろいろと国鉄清算事業団等も、清算業務が進まないというようなことで、元金にさらに利息が重なってますます債務がたまる、こういうような事情もございましていろいろ相談がございました。しかし、地価の高騰を伴わないような方法を工夫してもらいたいということで話し合いを行ってまいりまして、地価の高騰を伴わないような地域もいろいろ具体的に持ってまいりました。それは、道路が二メートルぐらいしかございませんで、恐らく昔の国鉄職員の寮のあったような百坪かそこらの程度の土地が幾らかあるようでございましたので、高値を伴わないような地域については、国鉄債務の状況からいってこの辺はやむを得ないであろうというような見解も示しましたけれども、大型な土地につきましては、これは別途もっともっと工夫と研究をして、土地の高騰を招かないような方法で考えるようにということで、一般競争入札はいまだに差しとめておるというのが現状でございます。
  70. 小川仁一

    ○小川仁一君 確かに国鉄の清算事業団の債務問題は問題だと思います。ただ、中曽根時代の民活が国公有地の高値売却で地価暴騰をつくり出したという記憶は新しいところでございますが、旧国鉄用地とかあるいは国有地の処分を始めるというなら、どういう基本的な考え方でこれをおやりになるか、何を目指してやるかということが非常に大事だと思うんです。私は、その処分が再び地価上昇の誘因にならないような対策、今大臣がおっしゃいましたけれども、そういう基本だけはぜひ貫いていただきたいし、また、民間に売却するのではなくて、むしろ公的住宅建設用地として活用する。  土地対策というのは、結局人口の集中した東京、大阪、名古屋といったような圏内ではやっぱり住宅問題が基本だ、こういう認識を持っているんですが、このことについて国土庁建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  71. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま御指摘がございましたように、私は、元来土地というのは日本の国土であり日本の領土であるといった認識のもとに立ちまして、やはり社会性、公共性を優先的に配慮して考えていくべきものである、そういった国民の共通認識を確立することが大事である、こういった考え方から、現在土地基本法というものについての各界各層の御意見も承りながら取りまとめの作業を行っておる次第でございます。したがいまして、高値を呼ぶようなことにつきましては、絶対そういうことは認めない。国土利用計画法に基づく監視区域というものを有効に、機動的に運用してかぶせておるわけでございますが、何せ民間の事業をやる人たちは、我々の先を越してどんどんやるような嫌いもございますので、何となく行政の方が手おくれになるという点については甚だ残念に思っておる次第でございます。  先般、ある先生からも御指摘がございましたが、監視区域の中でも民間同士の取引で話がつかなくて、値段が高過ぎるから、行政指導で監視区域だからこの値段ではだめだということを言いますと、とんでもない離れた簡易裁判所へ持っていって、この値段でお互いに合意して和解したんだからいいではないかと言うと、全然知らない簡易裁判所の方で、調停ができているならいいだろうということで、監視区域の中で高い取引をしておるという、全く我々の考えの及ばない、悪い知恵を持った者もおるものだなということを、逆に私ども指摘を受けて、裁判所の方にもお願いをいたしまして、地方の裁判所、簡易裁判所といった余り用のない裁判所の方にそういう例が非常に多いということで、最高裁判所の方から通達をしていただきまして、そういう問題について簡単に和解成立の判決を下さないように、こういうことまで手を回して地価の安定ということについては十分我々も対応していっているつもりでございます。  しかし、金もうけを考える業界の人の方が我々より多少は知恵がまさっておるんではないかと思いますと非常に残念でございますけれども、目下私は意地悪じいさんに徹してこの大臣をやっておるというつもりでございますので、いろいろ御指摘の点がありましたらおっしゃっていただければ、びしびしと抑え込んでまいりたい、こう考えております。
  72. 古賀誠

    政府委員(古賀誠君) 先生指摘の旧国鉄用地の跡地利用について、公的な住宅供給に利用すべきだという御意見でございますが、最近の既成市街地におきます新規の用地取得は御指摘のとおり大変厳しくて難しい状況にあるわけでございますが、そういった中で、旧国鉄用地の跡地の内に公的住宅の供給に適するものにつきましては、関係機関との協議を鋭意進めながらその積極的な活用を図って、良質な住宅の供給の促進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  73. 小川仁一

    ○小川仁一君 今国土庁長官お話しになったのは、リクルートコスモスの浦和の土地の件でございますか。
  74. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 具体的にはそうだと思います。
  75. 小川仁一

    ○小川仁一君 その問題はまたの機会に、きょうはそれを考えておりませんでしたので。  そこで、今お話しになった土地基本法のことでございますが、野党は四野党一緒になりまして土地基本法を提案しております。政府の対応がおくれておるような感じなんですが、せっかく土地基本法をおつくりになるとすればぜひ国民の期待に沿うようなものをおつくり願いたい。特に土地臨調の答申を受けて六月に政府が出した総合土地対策要綱、いわゆる五つの原則というものがございます。この五つの原則が基本法の中に具体的に生かされてくることが非常に大事ではないかという感じを持っておりますので、この点についてのお考えがありましたら伺いたいと思います。
  76. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま小川先生からも御指摘がありましたように、土地基本法につきましては野党がお出しになりました土地基本法案の中身も十分私どもも検討させていただきまして、それらの趣旨も十分踏まえて、今、私の私的諮問機関といたしまして土地基本法に関する懇談会というような形で各界各層の先生方に委員になっていただきまして、既に四回にわたっていろいろ御論議を賜っております。今お話の出ました総合土地対策要綱、土地臨調が答申をいたしました線に基づいて政府が先般決めました総合土地対策要綱、これらに御指摘のように五項目にわたっての基本的な土地に対する理念というものが掲げられております。この理念を基本法の中にいかに生かして、それを国民の共通認識の中にまとめ上げていくかということで今御議論をいただいております。今月の十五日に第五回目の土地基本法に関する懇談会を開く予定にいたしておりまして、大体五回でほぼ結論を得るような御議論がなされると思います。したがいまして、通常国会に法案として、法制局等の法律的な作業も踏まえまして御審議を願うように提案をいたしたい、こういう考え方でございます。  それは、先ほども申し上げましたように、土地というのは日本の国土である、その中で憲法という基本法があって私有権を認めておるということでございますけれども、やはり土地については国民共有の国土という観点に立ちまして、社会性、公益性ということを優先的に認識をしてもらうという国民の共通認識を確立していただくという意味でこの基本法をつくってまいりたい。基本理念はそういうところに置いて作業を進めておるということだけ申し上げる次第でございます。法案が提出になりましたらよろしく御審議をいただきまして、ぜひお認めいただければ大変ありがたいと思います。  こういう地価問題が国民の間で大きな議論を呼ぶときにこそこの土地基本法というものは御議論いただいて、これを成立させるのに一番いい時期ではないかと私どもも判断をいたしますし、野党の先生方からも四党共同提案で出されておりますし、この懇談会の論議の中でも野党の先生方のお出しになっておる法案につきましてもそれぞれ先生方から御意見を賜りまして、いろいろな点を織り込んで土地に対する国民の共通認識を確立するという目的に向かって作業を進めておるということを申し上げる次第でございます。
  77. 小川仁一

    ○小川仁一君 土地基本法に関する懇談会、いろいろ御審議をいただいておりますが、新聞報道によると、財界四団体が素案の二つの原則に反対して、その内容が非常に薄められてきているというふうにも伝えられております。株とか財界の方から余り意見を聞くといろいろ面倒な話になりそうでございますから、思い切って政府としては総合土地対策要綱、この前出されましたね、あの線に沿って毅然としてお進め願いたい。土地問題、先ほどの長官の御認識にある問題をゆがめないようにしていただきたい、こういうことを要望して次に入ります。  次に、臨時行革審の中で具体化された施策の中で、大深度地下の公的活用、こういうことが出ておりますが、この公的活用ということを提案しているので、土地が大手のデベロッパーや銀行などによって投機の対象になることがあってはならないといいますが、まずこの点について基本的なお考え建設省が用意されている法案についてのお考え説明願いたいと思います。
  78. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど来お話がありますように、地価の高騰等を伴う中で大都市地域の社会資本整備が大変に立ちおくれておる、こういった現実があるわけでございますが、そういった中でいわゆる私的利用が一般的になされないような深い地下、大深度、これにつきまして新しい目が向いておる、こういった今日でございます。そういった中で各省庁からそれぞれいろいろな御構想が今現在検討され、出されつつある、こういう状況にございますが、建設省といたしましては、大深度というのは大都市問題を解決するためにまことに貴重な空間である、こういった基本認識に立ちまして、一つには秩序ある利用、こういったものを担保しなきゃならないだろう。もう一つは、やはり我が国の法制の中での私的所有権、これとの調整というものが大変大事である、こういったことを念頭に置いて今検討中でございます。  私どもの現在考えておる基本線というものは、まず一点は、公共利用基本考えていきたい。それから二つ目には、私権との調整のためにいろいろな手続が必要になりますので、この手続を整備したい。それからさらに一点は、各種事業に共通する制度として確立したい、こういったことで現在私ども真剣に検討中でございます。
  79. 小川仁一

    ○小川仁一君 大深度地下利用について、運輸省は地下鉄、通産省は地下空間の利用、郵政省が地下通信網、厚生省が下水道、ばらばらの計画をお出しになっているようでございます。したがって、国土行政という立場から申しますと、各省庁間の地下利用というものの構想を一つにまとめていわゆる総合的な土地対策、地下利用という問題が必要になってくると思いますので、国土庁としては思い切って調整といいますか、構想段階における各省庁のまとめが必要だと思うんですが、いかがでございましょうか。
  80. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 小川先生の御提案、私どももよく関係省庁大臣の方からも御相談を受けるときもございます。しかし、それぞれの省庁で目下、自分の役所の場合にはこういうことで大深度地下を利用したい、いろいろな御計画があるようでございます。  したがいまして、そういう御計画が出そろったような形のときに、どこがそれを取りまとめていくかというときに初めて私どもが、閣議等のお話し合いの中でおまえのところでやれというようなことにでもなれば、私の方でもお世話をするにやぶさかではないとは思っておりますけれども、それぞれの省庁でそれぞれの所管事項の中で今御検討して具体的な案をおつくりになっておるさなかに、私どもが各省庁の中身のことをわからないのに最初から調整というわけにもまいりませんので、関係省庁立場でいろいろなお考えを出していただいた中で、それを有効に活用するにはどうしたらいいかというようなことが具体的に問題として取り上げられた段階でおまえの方でまとめ役をやれというような御指摘でもあれば、いろいろと関係省庁と御相談をして先生の御指摘のようなこともあるかと存じますけれども、まだそこまでの段階に至っていないということだけきょうはお答えしておきます。
  81. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、各省庁の計画がそれぞれの省によってなされているということを否定しませんが、しかしそのスタートが非常に大事なような気がするんです。例えば、先ほども建設省からお話がありましたように民法上の私権の問題もある、また地下水脈の保全というふうな環境問題もある、あるいは防災という問題も大深度地下となるとこれは大変な仕事になりますし、先ほどお話があった震災、関東震災等の問題が出たとき、大深度地下利用というものに対する構造その他に対する非常に大きな問題がある。こういう問題をまだ一々御検討になってはおられないと思いますが、違った意味でいけば巨大な地下改造なんです、土地改造なんです。こういうときに、スタート時点において建設省、国土庁一つ方向性を出して改造の基本的な計画でもおつくりにならないと、後で調整するということは非常に難しいんじゃないかと思います。  地方の都市の表面でも、電線は電線、水道は水道、下水は下水、みんなこうあって、一年に三回も四回もうちの前を掘り返されるような状況、これが今までの開発状況だったんです。今度行われるのが大地下ですから、スタート時点においてさっきみたいな遠慮したようなお話長官やっておられてはいけませんよ。思い切って大きな構想と考え方建設省等と御相談の上でぴしっと出していただきたい。そのためにはかなり慎重な御配慮、検討が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  82. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私が先ほど申し上げましたのは、関係省庁でどういうような大深度地下について利用をされるかというような具体的な案が出てまいりました段階で、それをどういうふうに組み合わせて有効に大深度地下を利用するかという段階になったときに恐らく閣僚の方々との御相談が出ると思います、もう仕事が始まってしまって、掘り始めてそこに大深度の地下鉄が通ってしまったというような段階から待ったをかけるというわけにもまいりませんから。  結局大深度を利用するとすれば、運輸省の場合は大深度の地下鉄を考えるであろうし、建設省の場合には高速道路というような道路網を考えられると思いますし、それぞれの役所によっていろいろな考え方が出てくると思います。それがまだ始まらないうちに、どうせやるなら共同溝方式のように一つの大深度の中にいろいろなものが包含されるような形でいくことが国費の乱費にもつながりませんし、そういうような意味で調整をいたすというような段階になりましたら、おまえのところでやれということであれば私ども調整の中に入るにはやぶさかではない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  83. 小川仁一

    ○小川仁一君 次に、ちょっと住宅問題に移らしていただきますが、先ほど旧国鉄用地や国有地などの公的利用、これを特に公的住宅利用すべきだという意見を申し上げましたが、この立場に立ってさらに幾つかお伺いをします。  東京都知事の諮問機関である住宅政策懇談会が十月末に中間報告をまとめて知事に報告をいたしました。その報告は、新しいタイプの公的住宅である都民住宅とか木造賃貸住宅の建てかえを推進するための「住宅整備、まちづくり基金」などいろいろ提言をしております。その中に、公共住宅用地を確保するために、旧国鉄用地や政府機関の移転跡地などの国有地を確保するための住宅開発用地プール制度という制度があるのは御存じだろうと思いますが、ちょっとこれ御説明を願えないでしょうか。
  84. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 都の懇談会で都の住宅政策につきまして非常に新しいアイデアをいっぱい盛ったものが出たことは承知いたしております。  今先生指摘の土地のプール制度でございますが、土地はいろんな主体が、あるいは機関が持っておりまして、どこがどういうふうに適正利用されておるかとか、それから将来利用転換したいと思っているかとか、今使っている用途がもう用途済みになる土地であるとか、そういうことはなかなかわかりませんものですから、東京都におきましては、そういう土地の情報というものを一本化をしてその中で合理的な用途を決めていこう、こういうことではないかと思っております。その中で、住宅として使える土地については積極的に住宅に使っていきたい、こういうふうにお考えになっているものと承知しております。
  85. 小川仁一

    ○小川仁一君 ちょっと話題を変えて、私は災害対策委員会に属しておりますので、今度の水害、冷害等各所を視察してまいりました。  水害の河川関係の工事、今までは原状復旧であったのが今回改良復旧という形で堤防等が強化されております。これは建設省の決断、努力に敬意を表しまして各地域とも大変喜んでおりますが、今後とも、河川改修、特に水害が起きた、決壊した場所などは改良復旧という形で進まなければ、災害の繰り返しといったような感じがするんですが、この方向性、今後もお進め願えるでしょうか。
  86. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  災害復旧制度と申しますのは、先生御存じのように、財政的にも、それから大変短い時間で復旧できるという点でも、私どもの仕事の中では一番優先されている仕事でございますので、やはり原則は原形復旧という思想が強く長年残っておるわけでございますが、御指摘のように、その前後の条件とかを見まして、改良費を多少入れまして復旧しますことが将来的に好ましいものは、財政当局ともいろいろ御相談をしながらできるだけそういう方向で採択できるように努力を続けているところでございます。少しずつでございますがそういう方向で努力を続けていきたいと考えております。
  87. 小川仁一

    ○小川仁一君 島根の浜田では同じ箇所が三回やられているんですね。原状復旧、またやられ、原状復旧、またやられ。こういうことを考えると、原則が原状復旧じゃなくて、被災という立場からいけば原則が逆に改良復旧にならなきゃならない。でなきゃ国土保全にならぬと思うんですが、その点いかがですか。
  88. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生、島根の恐らく浜田市周辺の例をお挙げになったと思います。  あれも実は、五十八年にあれだけ大きな災害を受けまして、私どもやりましたものは改良復旧が大分入っていたと思っておったわけでございますが、今回の被災の状況を見ますと、さらに大きな雨が降ったというのがやはり一番の原因でございますが、つくりました堤防なりつくりましたダムなりはそれなりにお役に立っておったという私どもは評価をしておるわけでございます。ただ、それにいたしましても、現地の方が大変悲惨な水害に、おっしゃいますように両二度遭われておられることは確かでございますので、先生の御趣旨に沿いまして、その都度その現地にふさわしい工法で災害復旧をやっていかなければいけないというふうに考えております。
  89. 小川仁一

    ○小川仁一君 岩手県にも水害がありまして、岩手で水害といえば北上川の水害、支川系の水害であり一関の遊水地というのがいつでも話題になるんですが、これはいつごろまでにできるんですか。あれができないことには全体の北上川水系の被災問題が片づかないような感じがするので、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
  90. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生御存じのとおり、北上川というのはあれだけ大きな川でございまして、ちょうどそれの首根っこに当たりますところに一関という場所がございまして、おっしゃいますような大変大規模な遊水地計画を持っておるわけでございます。恐らく全体の事業費は二千億とかそんなオーダーでございます。ですから、あと何年で全体がというのはなかなか難しいのでございますが、幾つか計画調整池を考えておりますうちの一番大きなものにつきましては、その遊水地に計画すべき中から大体人家は堤防の内側へ動いていただきましたので、事実上遊水機能を、田んぼ、畑はあれでございますが、人家に御迷惑をかけない形で機能を発揮できる状態になり始めておりますので、そういう形で部分的にしろ使えるようなことを少しずつでも早くできますようにやっていかなければいけないというふうに考えております。
  91. 小川仁一

    ○小川仁一君 これはぜひとも期間短縮して早くやっていただくことが大事だと思いますので、極力努力を願いたい。  それから、この遊水地の陰に隠れているんですが、その下流にある川崎村に砂鉄川という川と千厩川という川が流れ込んでおります。砂鉄川は自然状態の無防備河川になっておりますために、堤防が高くなって、一関の方、水量が増しますから逆流も一緒になって、非常にこの地帯は冠水、水害が多いわけです。砂鉄川と千厩川の治水事業というものは今後どういうふうな形で関連して進行するのかお伺いしたいと思います。
  92. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  まず千厩川でございますが、北上川の本川の水が流れ込むのを防止するための堤防と水門は先生御存じのように既にできているわけでございます。したがいまして、千厩川につきましては、これからは、直轄事業、補助事業の区別で言いますと、補助事業といたしまして千厩川自身の出水に対して安全なような工事をしなきゃいけないわけでございますが、大変曲がりくねった川でございますので、放水路みたいに、何といいますか一部新川をつくる工事を現在やっております。そのために必要な新しい橋梁でございますとか一部堤防を大分つくりかけておりますので、このまま順調に工事を進めれば数年で大体概成できると考えております。  それから砂鉄川でございますが、これも北上川の本川の水位が大変高うございますので改修の難しい川であるわけでございますが、ごく最近住民の方に一部アンケート等もとらしていただきまして、どういう改修方式にすべきかということを大体決めさしていただきました。と申しますのは、北上川の水位が高いために、支川だけを守ろうと思うと小さな堤防でいいわけでございますが、先生がおっしゃいますように、北上川の水位の影響まで全部守ろうといたしますと大変支川筋でも高い堤防をつくらなきやいけなくなりまして、そのために農地が大変つぶれるわけでございます。どういう形を選択なさるかを大分住民の方とも相談いたしまして大体改修方式を決めましたので、できるだけ早く全体の絵をかき上げまして一日でも早く用地交渉に入りたいというふうに考えております。
  93. 小川仁一

    ○小川仁一君 とにかく本流の方が堤防がよくできて水位かぐんぐん上がっているわけです。支流は流れ込めない。水門で千厩川のはとめる。内水による内水面のはんらん、水害というのはこの川は特徴的に二つ大きく被害が出ておりますけれども、他の小さな地域にも幾つかできているんです。これは北上川だけじゃないと思います。したがって内水面の排水というふうな問題を考えていただきたい。北上なんかでも新幹線の東側のところがもう床下浸水ぐらいの内水面の被害になってくる、こういうことなんで、この点はいかがなんでしょうか、内水面排水について。
  94. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 一般的に、本川の洪水を守るために高い堤防をつくりますと、先生おっしゃいますようにいわゆる内水被害が各地で起こるわけでございますが、北上川のように本川の流量と、おっしゃいます、流入しています支川の流量があれだけ大きく違う区間というのは全国ではそう幾つもないわけでございます。それだけに対応が大変難しいわけでございますが、私どもは、本川の水の逆流を防ぐこと、本川の水があふれないようにすることがまず先だと思っておりますので、おっしゃいますように砂鉄川あたりはまだその防御すらできてないわけでございますので、まずその辺を手がけまして、その後に内水問題をあの区間については考えさしていただくという順序で考えておるわけでございます。
  95. 小川仁一

    ○小川仁一君 北上川水系というのは特異な水系でございますから、そして最終的に一関に集まってくる、こういう格好ですから、支流それから内水面の排水を精力的に考えていただかないと、逆に被害が大きくはないけれども非常に広がるという可能性もありますので、十分御検討を願いたいと思います。  その北上川水系に関連して石淵ダム、新石淵ダムといいますか、胆沢ダムといいますね、これについてちょっとお聞きしたいんですが、これはロックフィルダムだ、こういうふうにお聞きしております。非常に多くの岩石を必要とするわけです。ですから、今度それをおつくりになるとあの付近の山を崩す、自然破壊につながる。特に猿岩などという地元民が奇岩として愛している岩の付近からも全部石を取る、こういうことになるんではないか。もう一つは、当然石を取ってまいりますとその後ろにある自然林の崩壊、こういうことになります。今石淵ダムの奥地のブナ林を守る会というのが水沢にできて、非常に大きな署名、三万ぐらいの署名も集まっている。  自然保護とダムという関係は、ロックフィルダムになるというと余りにも地域破壊という形、自然破壊という形になるんですが、ロックフィルダムじゃないコンクリを使った堰堤ダムにできないんですか。そうすれば、その地域の自然破壊やブナ林破壊につながらないで済む、こう思うんですが、私は技術的なことなんだろうとも思うんだけれども、何か今の最高の技術を使ったらロックフィルでなくてもやれるんじゃないか、こういう感じがする。  それにつけ加えまして、前にありました石淵ダムはやっぱりロックフィルですから、あたりを掘ってやった。その崩壊の石でもって、堆積率といいますか、五〇%を超えたと言われている。あれはダムじゃなくて砂防ダムになってしまいそうな感じなんですね。そういうふうな形をまた胆沢ダムで繰り返すんじゃないかという心配もあるので、この点お伺いしたいと思います。
  96. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 胆沢ダムに関する御質問でございますが、おっしゃいますとおり、ダムにはロックフィルタイプとかコンクリートタイプとか、コンクリートの中でも重力とかアーチとかいろいろあるわけでございますが、やはりそこのつくろうと思っております場所が持っております地形の条件でございますとか地質の条件を十分に調査いたしまして一番ふさわしいタイプ、これは、ダムは必ず安全でなければいけないわけでございますので、同じ安全な構造物としてつくるという条件のもとで経済的なタイプを選び出すわけでございます。御存じのように、この胆沢ダムの場合は大変谷が広い形の場所でございますので、ロックフィルタイプが一番有効なタイプということで、これは確定をしたわけではございませんが、そういうことを前提で調査をしておるわけでございます。  コンクリートにしたらという御質問でございますが、やはり全体の事業費が相当上回ることになりますかと思います。したがいまして、私どもできますればロックフィルタイプでということを考えておるわけでございます。  一方、環境の点でございますが、これだけの大きな構造物をつくります場合には、当然私ども建設省が、閣議決定に伴いまして内部で決めております環境影響評価の手法によりまして、自然環境に対する影響あるいは歴史、文化的景観に対する影響を十分に調査するわけでございます。その中に当然おっしゃいます猿岩というあの地元信仰の岩だとかいろいろ天然記念物等も入ろうかと思いますが、そういうものにできるだけ影響を与えない形で掘れる場所を探さなければいけないと考えておりますので、そういう形で進めさしていただければというふうに考えております。  また、今の石淵ダムに相当砂がたまっておるではないかというお話でございます。百年でこのくらいたまろうかなと考えておるものが、大体四十年近くなりました現在でおっしゃいますように五割ぐらいたまっておりますので、計画いたしました数字よりはちょっとたまる進度が速いかと思いますが、これは石淵ダムそのものをつくりますために原石山として山を使うために表土をはいだ、それが原因でたまっておるわけではございませんで、流域全体から流れ込んでくる土のたまりぐあいが、結果、計画よりちょっと多かったということでございます。そのように理解をしております。
  97. 小川仁一

    ○小川仁一君 ダムだけが砂や岩を出したとは言いません。今これは林野庁の問題にも絡むのです、林野のブナ伐採問題と。林野庁はブナを切っている。したがって非常に地盤が悪くなって土砂流出が出てくるという面もある。しかし同時に、建設省が山を削ってロックフィルダムに使ってきた岩、その跡の崩落状況もあるわけで、一つとは言いませんけれども、いずれにしても山を削って石を取ってしまいますとその後がやっぱり一つの自然破壊につながる可能性を持ちます。経費の関係もあると思いますが、ロックフィルでやるといろいろ自然破壊問題や何かに絡まって面倒な問題が起きるだろうという予測を私自身持ちながら、ぜひコンクリのダムにしてほしい、山を削らないでほしいということを再度要望しておきます。ここで御答弁は要りません。  私、冷害対策をやりながら、今度もう一つは、海岸の国道四十五号線を下がってみました。非常に気がついたのは大型の車が飛んで歩いているということでございますが、あの道路が意外と学童の通学路に使われているというのが部落部落を歩きながら感じられたんです。歩道が必ずしも適切に整備されているとは思われなかったわけなんです。ですから、子供が安心して通学できるという範囲内の歩道というのはぜひ調査をしてつくっていただきたい。こういうことなんですが、いかがでございましょうか。
  98. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 国道四十五号の歩道の整備状況でございますけれども、岩手県内におきましては歩道の設置必要延長は百六十七キロございますが、そのうち約八三%の区間については整備済みでございます。しかしながら、残りの区間がまだ未整備で御指摘のような状況がございますので、六十三年度におきましては二十五カ所、約九・二キロメートルの歩道整備を行っておりまして、今後とも通学路等緊急性の高いところから整備を進めて、一日も早く安全な通学ができるようにしたいと考えております。
  99. 小川仁一

    ○小川仁一君 子供の事故をここで問題にしましたから、ことしから後は子供の交通事故は起きないだろう、こういうふうに確信をしますし、おたくの方でも通学中の子供が交通事故で死ぬというふうな状況はつくらないということでおやりいただくものと考えて、次に進行します。  四十五号線を北から下がってまいりますと釜石に参りますが、あそこに国道二百八十三号線というのがあるんです。これは釜石から国道四号線と高速道路につながる道路でございますが、御承知のとおり大変な難所でございます。何せ釜石側の山の取りつけの標高が百四十二メーター、トンネルの入口が五百四十メーターといいますから、大変な標高差を短距離で詰めなきゃならない。したがって傾斜もきついしカーブもきつい。事故多発地帯でございますが、それで地元釜石や遠野の市民が大集会を持って新しい仙人トンネルをつくってくれという要望をしていることは御承知のとおり。去年調査費等もつけられたようでございますが、この仙人トンネル、新仙人トンネルとあの地域の人たちは言っておりますが、今後どんなふうな計画の進行があるだろうかということが一つであります。  あそこにもう一つ、釜石から花巻の高規格道路が予定線として出ております。私も国幹審の委員だが、こいつは全然地図の上に線を引いただけで具体計画がなさそうでございますだけに、こちらの線のはもう新仙人トンネルというのが非常に強く要望されております。この関係もありますので、御計画をお伺いしたいと思います。
  100. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) まず一般国道二百八十三号でございますけれども、この路線は釜石と花巻市を結ぶ幹線道路でございまして、特に仙人峠付近におきましては先生が御指摘のように大変地形が厳しく、最急縦断勾配が九・七%、最小曲線半径が十五メートルとなっておりまして、冬季には積雪や路面凍結のための交通障害が生じているところでございます。この改修につきまして、建設省におきましては二百八十三号を含みますその周辺の道路網体系の調査に入っておりまして、六十三年度からは特にこの仙人峠付近の具体的な路線調査を実施しているところでございます。今後概略の地形地質調査、気象調査等を行いまして比較路線等を検討し、できるだけ早くこの仙人峠の整備方針策定し事業を進めていきたい、かように考えております。  それから二番目の御質問の三陸縦貫自動車道のことでございますけれども、これは仙台市から石巻市付近、釜石付近を経まして宮古市に至る延長約二百二十キロメートルの高規格幹線道路でございまして、この道路は一般国道の自動車専用道路として整備することになっております。したがって、国土開発幹線自動車道として整備することではございません。  この岩手県下の整備状況でございますが、現在、大船渡三陸道路十キロ、それから山田道路八キロについて事業を推進しておりますけれども、六十四年度につきましては、この大船渡三陸道路につきまして残っております七キロメーターの事業化を進めまして、全体について事業が進捗するように現在これは要求しているところでございます。それからその他の区間につきましても、六十三年度から高規格幹線道路調査ということで本格的な調査を推進しておりまして、今後周辺開発の動向とか交通事情を勘案しながら、路線計画の定まった区間から逐次事業に着手していく方針でございます。
  101. 小川仁一

    ○小川仁一君 三陸自動車道路はまだ質問しないうちにお答えが出てしまいました。しかし質問をしたいんですが、岩手県側から工事をしていただいたということに感謝を申し上げます。三陸トンネルは大体でき上がりました。少し距離を置いて今度は大船渡の市の方から南へ出る道路が事業にかかったようですが、トンネルとここの間が未事業部分、こんなふうになっておるようですが、これも六十四年から工事着手あるいは計画に入るわけですか。
  102. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 先にお答えして大変申しわけございませんでした。  実は、今御指摘の七キロメートルの区間につきましても、間が残っておりますので、お答え申し上げましたように六十四年度に事業化を現在要求しているところでございまして、予算編成のときに何とかそういったものを具体化していく考えでございます。
  103. 小川仁一

    ○小川仁一君 それで、道路四車線の計画だが、しばらくは片側二車線でもって供用開始をするのではないかというようなお話がありましたが、そうすれば確かに距離は延びますが、そして早く供用できる分もあると思いますが、そういったようなこともこの計画の中にございましょうか。
  104. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) やはり延長をできるだけ延ばしたいという考えもございまして、ただ、用地だけは四車確保しておきませんと、将来交通量がふえたときに確保できなくなりますので、当面、交通量が少ない区間については用地を四車線、工事二車線ということで基本的に進めていく方針でございます。
  105. 小川仁一

    ○小川仁一君 どうもありがとうございました。  いろいろお聞きいたしましたが、まだ申し上げたいこともありますけれども、きょうはここで終わらせていただきます。
  106. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  107. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  108. 石井一二

    ○石井一二君 私は、建設大臣並びに国土庁長官に対しまして、まず最初昭和六十四年度の予算編成絡みに関して御質問をしたいと思います。  若干来年に持ち込むかと予測されておりますけれども予算編成もいよいよ大詰めに近づきつつございますが、まずその基本方針を伺いたいわけでございます。特にシーリング枠下での財源確保についてどのようなめどをお持ちであるかということが最大の関心事でございます。例えば、具体的には、建設関係の公共事業費の国費分は、NTTのA型分を除けば前年度比一%減、NTT—A型分を加えても前年同額の概算要求となっておると仄聞をいたしております。果たして同額でよいのか。おくれている社会資本の整備促進を図るために増額要求をすべきではなかったのかと思いますが、基本的な御姿勢や大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  109. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 国土の均衡ある発展を促進し、活力ある経済社会と安全で豊かな国民生活を実現するためには、長期的目標に向けて社会資本整備の着実な推進が必要であります。また、内需主導型の経済成長の定着及びふるさとづくりの推進を図る上でも公共事業の推進は重要な政策課題となっております。このために、昭和六十四年度の概算要求におきましては、投資的経費等につきましては、前年度と同額とする概算要求基準のもとで財政投融資資金の活用、NTTの株売り払い収入の活用等によって公共事業費の確保、拡大を図ることを基本として、一般公共事業費で国費四兆七千九百十一億円、事業費で前年度を上回る十八兆六千七百一億円の要求を行っているところであります。  この中で、今御指摘がございましたように、NTT株のA型の問題でございますが、これは概算要求の枠が前年度並みということでございましたので、そのとおりいたしておりますけれども、A型をB型に振りかえてもらうということをいろいろ折衝いたしましたが、それはこの予算編成期にしようということで大蔵大臣との申し合わせをいたしております。でございますから、おおむねこの六十三年度と同額あるいはそれ以上に今後折衝を進めていきたい、かように考えている次第であります。
  110. 石井一二

    ○石井一二君 鋭意御努力をお願い申し上げます。  さて、昨今地方自治体の長にお目にかかりますと、最大の陳情事項というのが六十三年度限りとなっている公共事業関係の補助率カットの復元、こういうことでございますが、これについてはどのようなお見通しをお持ちでございましょうか。
  111. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) お説のとおり、地方公共団体では補助金の復元、もとどおりの復元ということが非常に強く望まれております。我が建設省としても補助金がもとに復元することを望むものであります。しかし、やはり私の方は先ほどもお答えいたしましたように、事業量の問題がございますので、この補助率がもとどおりになりますとその分だけ事業費が減る、こういうことになりますので、それとのにらみ合わせで今後大蔵と折衝をしていきたい、こういうふうに思う次第であります。補助率は上がったけれども事業費が少なくなるということでは到底、少なくとも六十三年以上の事業費を確保したい、事業費ベースで確保したい、こう思っておりますので、今からその折衝を予算期に進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  112. 石井一二

    ○石井一二君 きょうは道路局長御病気と承っておりますが、道路関係の概算要求が五年ぶりにダウン、果たしてこれで第十次五カ年計画がどうなるかという懸念もいたすわけでございます。その辺いかが解釈さしていただいたらよろしいでしょうか。
  113. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 六十四年度の概算要求におきましては、先ほど大臣が答弁されましたように、NTTの関係もございまして、概算要求といたしましては対前年度比一を切るような要求になっているわけでございます。第十次道路整備五カ年計画の二年目といたしまして、事業量を確保すべく、今後予算編成期におきましては、NTT—B型を中心として予算の増額を図る所存でございます。
  114. 石井一二

    ○石井一二君 よろしくお願いします。  さて、望月建設経済局長にお伺いします。  国際化時代でいろいろ外国の企業建設工事に参入させろといろんな声が高うございますが、先ごろの日米合意の際にエンカレッジメントという言葉を我々は使いました。その言葉が具体的に今どのような措置となってあらわれておるのか、端的に御説明を賜ればありがたいと思います。
  115. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、去る五月の日米合意におきまして、いわゆる公共事業以外の第三セクター等が行う幾つかのプロジェクトにつきまして内外無差別の調達方針をとっていただくようにエンカレッジする、日本語で言うと勧奨する、こういう言葉を使わしていただいたわけでございますが、これらの幾つかのプロジェクトについて実態を見ますると、事業主体が既に確定しているものとしましては、例の横浜のみなとみらいの国際会議場、あるいはまた東京国際空港の第二期のターミナル、こういった事業が現実にあるわけでございます。これらにつきましては、それぞれの事業主体の社長さんから内外無差別の調達方針をとるという声明を既に当時出していただいておりまして、その後その線に沿って事務が進められている、こういう状況でございます。  そのほかのプロジェクト、六つほどございますが、これにつきましては現時点でまだ事業主体等も明確になっておりません。いずれこれらが具体化する過程で、政府といたしまして日米合意の趣旨の徹底について十分の御理解を得ていきたい、深めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  116. 石井一二

    ○石井一二君 今たまたま局長からみなとみらいというお言葉が出ましたが、私が新聞上で理解するところでは、米シャール社を含んだJVがこの仕事をすることになったように聞いております。また、十一月二十五日付の日本経済新聞を見ておりますと、米シャール社の「リチャード・ハルパン会長など幹部が相次いで来日し、関係機関を回った。」、こういう表現ですが、そういうときのごあいさつには大臣のところに来られるんですか、局長のところに来られるんですか。そういったまたアポイントメントをおとりになるんですか。
  117. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 今お話しのシャール社、大変日本の市場に対する熱心な企業活動をしておるようでございます。そういった中で、日は忘れましたけれども、シャールの社長さんが我が省にお訪ねになられました。いわば表敬訪問という格好でございますが、お話の点につきましては率直に言って私がお会いさしていただいた、こういう次第でございます。
  118. 石井一二

    ○石井一二君 といたしますと、内外無差別の中で、日本の企業であれ、韓国の企業であれ、米国の企業であれ、ややしかるべき方の表敬訪問程度は受ける、そういうように理解さしていただいてよろしゅうございますか。
  119. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 別に私ども行政を進める上でどこがどうという区別は本来ないわけでございます。とりわけ私ども、特に米国企業、新しい合意に沿って積極的な企業活動を本来すべきものはしてほしい、こういう構えでおりますので、そういった中でおいでいただくものについてあえてお断りすることもない、これは何も米国企業に限らず日本企業でもそうでございます。ただ、具体的にどの事業についてという話ではございませんで、日本の市場に習熟したいという姿勢でおいでいただいたものについてお会いさしていただいた、こういうものでございます。
  120. 石井一二

    ○石井一二君 米国、EC、韓国、中国等の外国企業建設業許可取得状況についてわかればちょっと数字をお教えいただきたいと思います。
  121. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 外国企業の日本での建設業の許可の取得状況でございますが、昨年の秋以降で十一社が日本の建設業の許可を取得いたしております。その内訳は、アメリカ企業が六社、韓国企業が四社、それから日仏の合弁企業が一社、こういう状況になっております。さらにそのほかに八つの韓国企業から建設業の許可をとるための事前手続でありますいわゆる技術者の特認の手続、こういったものが申請されている、こういう状況でございます。  なお、欧州諸国あるいは中国の企業につきましては現在のところ具体の動きはございません。
  122. 石井一二

    ○石井一二君 本年の九月一日に日米独禁法会議なるものが催されておると聞いております。この会議の内容でございますが、特に建設関係の入札に及ぼす影響建設省また公正取引委員会はどのように考えておられるか、会議の空気等も含めてお聞きしたいと思います。特にこの会議には日本側からは梅澤公取委員長、米側からは司法省の反トラスト局ルール局長と連邦取引委員会のオリバー委員長が出ておられるというような文字どおりのトップ会談でございますが、いかがでございますか。
  123. 矢部丈太郎

    説明員矢部丈太郎君) 本年九月一日に東京におきまして日米独禁当局間の意見交換が行われまして、会議の出席者につきましては先生指摘のとおりでございます。  この中で、入札談合につきましては、日米それぞれ双方の制度が違いますので、その中で基本的な考え方であるとか最近の違反事例についての意見交換を行ったものでございます。この中で、公正取引委員会の方からは、我が国では入札談合につきまして独占禁止法に基づきまして厳正に対処しているということを説明いたしまして、日米それぞれ独禁当局が、入札談合を初めといたしますカルテル事件につきましては厳しく取り締まっていく必要があるというようなことで一致したものでございます。
  124. 石井一二

    ○石井一二君 特に建設省は変わった御意見があれば、同じ考えであればそれで結構でございますけれども……。
  125. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 独禁法会議の内容そのものについて私ども詳細に承知する立場になくて、ただいま公取の方から御答弁あったとおりでございますが、いずれにしましても、建設工事の入札にかかわりまして独禁法を遵守する、これはもう当然のことでございまして、建設省としてもあらゆる機会を通じて指導をさしていただいています。とりわけ、今先生がおっしゃったような国際化の波が進んでいる、こういった背景を踏まえまして今後とも私どもとしては独禁法をしっかり守っていくように、誤解を生むようなことのないように一層指導を強めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  126. 石井一二

    ○石井一二君 先ほど局長は内外無差別という言葉を言われ、その中で韓国とか中国とか米国その他の国名もおっしゃったと思います。そして今現実に韓国の会社が建設業としての許可もとっておる、そういうことでございますが、もともと我が国が建設の門戸開放を、特にアメリカの要請もあって行うという方向へ進んだ裏には、日本の企業が米国において相当な仕事もいただいておる、また日米間のいろんな貿易上の背景もあるわけでございます。  そういった観点から韓国の建設業界を見た場合に、本年六月二十四日、日本経済新聞の囲み記事の中で次のような一項目があるわけであります。「韓国は国内の建設市場を外国企業に開放していないのだから、相互主義の立場から韓国企業の日本市場参入を認めるのはおかしい」、こういう記事があるわけですが、この件について先ほど来の御発言の絡みで御所見をちょっと承りたい。
  127. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 我が国の建設市場、申し上げるまでもなく、公共事業の部分と民間事業の部分と両々相まって形成されているわけでございます。  そういった中で、とりわけ民間事業等を念頭に置いて申し上げさしていただきますと、日本の建設市場は基本的に内外無差別である、こういったことでございますし、特に建設業の許可を取得するに当たりまして特別の区別もしていない、こういった状況でございます。そういった中で、本当に熱意ある企業というものは当然日本の法制に従った手続を踏んでいただく、こういったことが前提でございますが、その上に立って日本での市場活動というものが出てくる、かように考えている次第でございます。そういった中で、日本の建設業界全体におきましてもひとついわれなき誤解を招くことのないようにますます一層頑張っていただきたい、こう考えている次第でございます。
  128. 石井一二

    ○石井一二君 今私は日本の建設業協会が米国でかなり仕事をさしてもらっておるということを言いましたけれども、現実の話として、米国の公共事業での日本企業の受注実績を、もし数字をお持ちであれば御示唆いただけないか。  また、先般来我が国の建設市場門戸開放もございまして、米議会がいわゆる日本企業締め出し条項を削除した、そういった新聞報道もございますが、具体的に削除された項目の中で軍事建設支出法案絡みのものが一応言葉の上では載っておる。こういった分野でも我が国の建設業協会が実績があるのかないのか、もしわかればちょっとお教えいただきたいと思います。
  129. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) アメリカにおきます我が国建設企業の受注の動向でございますけれども、六十二年度が三千二百六十六億円、大体三千億円余りということでございます。が、この中で公共事業については六十年度百九十四億円、六十一年度九十八億円、あるいはまた六十二年度百九十三億円ということで、大体百ないし二百億円の水準で推移している、こういう状況にあります。  その中で、ただいま先生指摘の軍事建設支出法によります経費、これで充てられた受注があるかということにつきましては、率直に言いまして、私どもよく厳密に整理できていない、承知できないという面があります。ただ、六十二年度で見ましたときに、アラスカのバラックの改築工事、あるいはまたハワイの衛星追跡基地の電源改修工事、あるいはまたテキサスの排水工事といったようなものはいずれも陸軍工兵隊が発注してこれを受注している、こういった経緯がございます。いずれにしても、こういった実態でございますけれども、これらの工事はいずれも六十二年の九月から十月に受注されたものでございまして、例の一九八八年の予算決議が成立する以前に契約されておる、こういう次第でございます。  その後、御案内のとおり、ブルックス・マコウスキー条項が決められたわけでございますが、この成立以降は、連邦費による公共事業一般に、あるいは軍事建設支出法等に基づくものも含めて一切受注ができていない、こういう次第でございます。  ただ、これにつきましては、御承知かと思いますけれども、一九八九年の歳出決議の面では一切こういったものがなくなりまして、ただいま御指摘の軍事建設支出法案、そのほかエネルギー水源予算法案あるいは郵政財務予算法案、運輸支出法案、これらについて不公正国として締め出すという条項があったものも一切なくなっております。そういったことで、これから我が国建設業がアメリカの公共事業を受注するに当たってのそういう面での制約は当面ない、こういうふうに理解しております。
  130. 石井一二

    ○石井一二君 次に、建設業界における外国人労働者の問題について若干質問をいたします。  御承知のように、日本には閣議決定として単純労働者を受け入れない、こういった基本方針がございますが、この場合の単純労働者という範囲を法務省なりあるいは入管、どう御定義になっておるのか、ちょっと念のためにまず確認をさせてもらいたいと思います。
  131. 山崎哲夫

    説明員(山崎哲夫君) 単純労働者につきましては、法的解釈があるわけではございませんが、外国人の出入国管理行政上は特段の技術、技能、経験年数を有しなくてもできるような職種につく者がこれに当たるものと考えております。
  132. 石井一二

    ○石井一二君 もう一つはっきりしませんが、単純労働者でないということを示すためにいろんな手だても出てきておる。例えば、研修生の名目で受け入れて研修をして、研修を受けたんだから単純労働者ではない、こういった論法も成り立つようですが、その辺の実態について建設省はどのように把握をしておられますか。
  133. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) おっしゃったように、建設企業あるいはまたそれ以外の公益法人等を通じまして、建設関係の研修生はかなりの数を受け入れておりますが、実はこの研修の実態が公民についてどうなっているかということについて私ども詳細につかみ切っていない面があります。そういった中で、観光ビザ等で入った者が不法就労していると同じように、研修の名で入った者の実態がどうかということもよく言われるところでございますが、私どもとしましては、現在この辺の実態をやはり洗ってみたいということで、建設業界におきます研修の実情を調査させていただいております。  くどいようですが、お話のように、研修の名によって入って単純労務についている者が多いんじゃないかという御指摘もあることも承知している中で、この辺の実情調査に努めているというのが現状でございます。
  134. 石井一二

    ○石井一二君 と申しますと、今おっしゃった調査の結果の御発表をいただけるのは大体第一次的にいつごろと期待したらよろしゅうございますか。
  135. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 実は私ども、この研修という名で行っている実態が、例えば賃金、給与がどういう水準になっているかとか、あるいは期間がどうであるか、あるいはオリエンテーションがどうなっているかなどなど、ちょっとこれ本格的に調べてみたいということで、いわば追跡的に調べさしていただいておる、こういう感じでございます。したがいまして、全体でどうかということについてはちょっと私、今やっている調査と必ずしもかみ合ってこないんじゃないかと思いますが、ともかくこの研修というものが本当の意味での研修という格好で受け入れていけるように、またそれ以外のものについては何とか整理できるように、こういう考え方で調べてみたいと思っておる次第でございます。
  136. 石井一二

    ○石井一二君 現場の労働者が足りない、これは需要と供給の関係でございますから、仕事量がどんどんふえた場合足りなくなる、また労働者の供給が国内でどんどんできた場合はそういうことはない。簡単な論理だと思うんですが、昨今新たに建設業界へ入ろうという若い方が減っておるように私は仄聞をいたしておりました。ところが、建設業業界全体から見れば、大きな業界でございますし、またもうかっている会社はとことんもうかっておる、そういうことでございます。  例えばここに日経新聞の十二月五日に、「「ダサイ」「暗い」…の汚名返上「若者来れ」産学官でPR」というような努力の跡も産学官でなさっておられるようでございます。それで、なぜ来ないか。いろんな原因があると思うんですが、例えばここに、私も質問に関して若干勉強せにゃいかぬと思っていろんなものを読んだわけでございますが、若年建設従事者の確保に関する調査という中で、「休日が少ない」、「肉体労働・汚れ作業等カッコウが悪い」、「労働時間が長い」、「建設業界全体のイメージが悪い」とかいろいろございますが、建設省としてはやはりこういった傾向を払拭するための努力をなさるべきではなかろうか、そのように思います。何か御所見があれば承りたいと思います。
  137. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) おっしゃいますように、建設業が五百三十万余りの雇用を吸収する非常に基幹的産業である、こういった側面があると同時に、一方で、最近の傾向を見ますると、良質の若年労働者というものがなかなか入っていただけない。大学卒、高校卒で新規に入っても大体四万人から四万二千人くらいの水準に実は落ち込んでおります。  それで、こういったことのよって来るゆえんというものは、ただいま先生おっしゃったような、仕事がきついとか、あるいは給与が少ないとか、あるいはまたさらに言えばイメージが悪いとか、いろいろな見方が今の若者にあるという面も否定できないわけでございますが、そういった中で、とにかく今後の建設業の健全な発展と社会資本等の着実な整備というためには非常にこれは重要な部分である、こういう認識に立ちまして、私ども現在建設業の構造改善という格好で取り組ませていただいております。その際には今お話しのようなことを十分頭に置きまして、特にイメージの問題あるいは給与水準の問題等々、とにかく業界として努力して克服できる部分というのはかなりあるはずである、こういった認識に立ちまして、今具体的にこの辺のメスを入れたいということで行政も業界もともに手を携えてやっていきたい、こういう構えで取り組み中の真っ最中でございます。
  138. 石井一二

    ○石井一二君 先ほど私は研修生の名目で入ってきておるんではないかということを申しましたが、これともう一つ、日本語学校が不法就労の温床となっておるという声が非常に昨今高くなってまいりました。この日本語学校に関する管理監督について文部省のちょっと御見解を承っておきたい。
  139. 西澤良之

    説明員(西澤良之君) 日本の国際的地位の向上あるいは国際化の進展等に伴いまして、日本語あるいは日本文化の学習を日本でやりたいということで希望して日本に来られる外国人が非常に急速に増大しているということ、それからその目的というものも非常に多様化してきているというのが現実だというふうに思っております。これらの方たちがいわば本当に日本語あるいは日本文化というものを日本で勉強したいということでございましたらば、我々としては非常に歓迎するところであるわけでございますけれども、しかしながら、他方、今御指摘ございましたように、日本語学習というのを一つの口実にいたしまして日本での就労を希望する人の数もかなりふえているんではないかというふうに予測されますことは御指摘のとおりでございます。日本語学校がそのような不法就労の名目に悪用されるということは教育的観点からも非常に望ましくないことでございますので、こういうような問題を解決していくということは必要ではないかというふうに考えているところでございます。  このような問題の解決のためには、教育的観点から、多少遠回りなやり方ということになりますけれども、日本語学校の質的な水準を向上させるということを通じまして、そういうトラブルが入り込む余地がなくなるというふうにしていくことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。  このような観点に立ちまして、文部省といたしましては、日本語学校の質的水準の向上を図りまして、外国人が安心して日本語を学習できるような環境整備することが急務ではないかということで、この一環といたしまして、本年七月に学識経験者等から成ります調査研究協力者会議を発足させまして、法務省、外務省等の御協力も得て日本語学校の標準的基準のあり方についての検討を進めているところでございます。できるだけ早急にこの基準を策定いたしまして、これに基づきまして、就学生の入国管理、在留管理等を所管しておりますのは法務省でございますけれども、こういう関係省庁と協力いたしまして日本語学校に対します指導、援助等の充実を図っていきたい、このように考えているところでございます。
  140. 石井一二

    ○石井一二君 いずれにいたしましても、この問題は今後ますます国際的な論議の的になろうと思います。特に日本が失業率が低い、また所得レベルが円高の関係もあって高いということになりますと、日本へどうしても来て働きたいという方々がふえるだろうと思います。百年の国家の計に立っていろいろ我々は考えていかねばならない、そのように思っております。  そういった面から、余分でございますが、朝日新聞の本年十一月二十六日「ガリバーの目」という中で「外国人労働者」という記事が、こんな大きな記事でございますが、ございます。その中で私が特に気になる面を、西独の例が紹介されてございますので、ここで引用さしてもらいたいと思います。すなわち、戦後の高度成長期の労働力不足を補うために、一九五五年以降、国際協定でイタリア、トルコ、ギリシャ、ユーゴスラビアなどから二百六十万人の労働者を受け入れた。それが三十年たってから四百六十万人にふえ、非常に今困っておるという趣旨の記事でございますが、こういった方が帰っていただこうと思ってもなかなか帰っていただけない。またいろんな社会的な問題を生じておる。こういった例も見ながらひとつ慎重な態度で臨んでいただきたい、そのように思います。これは要望ですから答弁は要りませんので、次の質問に入らしていただきたいと思います。  若干地元的なことでございますが、明石海峡大橋の工事が現在着々と進んでございます。ことしではございませんが、建設委員会としても現場等も見にいったことがございますけれども、先のことで申しにくいと思いますが、昭和七十二年度の完成のめどについて、現在の進捗状況から見てどのような予測を持っておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  141. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 明石海峡大橋につきましては、現在下部工事を継続しており、工事は大変順調に進んでおります。したがいまして、今後も七十二年度完成を目標に引き続き努力してまいりたいと考えております。
  142. 石井一二

    ○石井一二君 昨今、児島—坂出ルートが実際オープンしてみると非常に利用が少なくて採算が苦しくなっておるという話も出てございます。明石海峡大橋の採算の話をすると、来年のことを言うと鬼が笑うのに十年先のことを言うなという御答弁になろうかと思いますが、やはり基本的に今から考えておかねばならないことは若干あろうかと思います。そういった面で、道路単独橋にした結果、採算的には私はこれはプラス要素であろう、そのように思いますが、もし何か現時点で多少そういったことについて御所見があれば承っておきたいと思います。
  143. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) まず、明石海峡が単独橋になった場合の状況について御説明を申し上げますけれども、明石海峡大橋を今回道路単独橋として整備した場合、併用橋に比べまして道路分の費用は増加することになりますけれども、道路利用交通量が結局鉄道から転換することになりますので、採算性につきましては単独橋にしたから悪くなるということはないと考えております。  しかしながら、先生がただいま御指摘のように、今般、児島—坂出ルート、四月開通後の通行実績を見ますと大変計画より低くなっております。この理由にはいろいろございますけれども、私どもといたしましては、まだDルート関係、児島—坂出ルート関連の関連道路の整備の進捗がおくれているということ、あるいはその結果今までの輸送形態が本四架橋を利用するような形態にまだ変更していない等いろいろな理由があるわけでございますが、いずれにいたしましても、本四の場合には三ルートプールして採算計算をしておりますので明石海峡にも当然影響が出てこようと思っております。したがいまして、先般、道路審議会に今後の本四の架橋の三ルートが採算性を確保しながら整備することについて基本的な問題について検討を大臣から諮問いたしまして、採算性を図りつつ三ルートを今後二十一世紀に向けて整備することについての勉強をし始めたところでございます。
  144. 石井一二

    ○石井一二君 このような大工事は地元の協力なくしては成り立たない、またそういった面で地元も協力しておるわけでございますが、できてからああだこうだというまたいろんな問題が出てまいるということもまずい。そういった意味で今から地元の意向もできるだけ酌んでやっていただきたいわけでございます。  一つの心配は、環境保全されるかということでございます。例えば換気塔は十分なサイズか、騒音対策についても後から不十分だったというようなことのないような構造になっておるか、その絡みで緑地帯のこともございますし、トンネル上部の公園化の面もございます。もちろん、今お話しのございました沿道の整備もございますが、環境保全という観点から特に環境庁何か御所見があれば承りたい。特にこういうことに留意しておるんだ、こういうことをやっておるんだ、そういう面で御答弁願えればありがたいと思います。
  145. 櫻井正昭

    説明員(櫻井正昭君) お答えをいたします。  明石海峡大橋の建設事業に関しましては、既に基本計画の指示が昭和四十八年になされておりましたことから、閣議決定要綱に基づく環境影響評価の対象とはならなかったわけでございますけれども、大変に大規模な事業でありますことから自然公園法の手続の際に環境影響調査が実施をされまして、環境庁といたしましては、その調査結果を踏まえて自然保護以外の環境保全上の観点からもこの手続の処分に当たって意見を申し述べておるところでございます。また、大橋に関連する道路のうち、神戸側につきましては都市計画決定の際に閣議決定に基づくアセスメントが実施をされまして、環境保全について十分に配慮されているものというふうに聞いております。  今後、環境庁といたしましても、事業の実施に当たり環境保全に十分な配慮がなされますよう、関係機関と連絡を密にしてまいりたいというふうに考えております。
  146. 石井一二

    ○石井一二君 次に、科学技術庁にお伺いしたいと思うんですが、大型放射光施設に関しての論議が過去数年来行われてまいりました。岩手、仙台、三重、兵庫各県より誘致希望の意向もございましたけれども、たしか昨日付あたりで科学技術庁は、いろいろ検討した結果、候補地の中で土地条件のすべての事項について兵庫県が高い適合性を有しているとの結論を得たというような発表をされたわけでございますが、この土地の高い適合性、具体的にちょっと御表現をいただければありがたいと思います。
  147. 天野徹

    説明員(天野徹君) 大型放射光施設におきましては、高輝度でかつ短波長の放射光を安定的に発生させるということから、機器の製作ですとか設置ですとか、建物の建設当たりまして極めて精度の高いものが要求されております。また、運転開始をいたしましてからも地盤の不等沈下とか振動だとか、そういう放射光の安定性を阻害するような要因は極力排除したい、そういうことでございまして、そのために大型放射光施設の立地場所につきましては、浅い位置に十分な広がりを持ったかたい岩盤があるということが極めて重要な条件ということにされております。  丘庫県の播磨科学・公園都市内の候補地につきましては、浅い位置にかたい岩盤が極めて広く分布しておりまして、造成をいたしますと直接そのかたい岩盤を支持層として本施設の主要な施設が建設できるということでございまして、そういう点で極めて高い適合性があると判断されたものでございます。
  148. 石井一二

    ○石井一二君 六十四年度の概算要求を見ておりますと、この関連で二十億一千二百万円、項目が建設基本設計費等と計上されておりますけれども、どの程度までの基本設計を本年度考えておられるのか、お差し支えなければ御披瀝願いたいと思います。
  149. 天野徹

    説明員(天野徹君) 私ども本施設の建設につきましては、六十五年度から建設を開始したいという計画でございまして、その前提として六十二年度から六十四年度にかけまして所要の研究開発及び設計をやりたいということで考えてございます。  六十四年度、今先生の御指摘の設計に関しましてでございますけれども、大型放射光施設は先ほど申し上げましたように極めて精度の高い施工を必要とするということから、そういった特殊性を踏まえました施工法ですとかそれから特殊な仕様について検討するといったこと、さらに、具体的な地点を想定いたしまして敷地の調査、主要な施設の配置計画、そういったようなことの検討を行うための経費を要求しておるところでございます。
  150. 石井一二

    ○石井一二君 再び望月局長にお伺いしたいんですが、その当時は望月さんじゃございませんでしたが、たしか昭和六十一年十二月に建設経済局長命で、暴力団の建設工事からの排除問題についての都道府県知事あての通達がございました。この通達の効果というと言葉が適当かどうかわかりませんが、地方自治体の対応状況等について把握しておられれば御披瀝を願いたい。
  151. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、六十一年十二月九日でございますが、私ども建設省としまして、警察庁とも緊密な連絡をとりながら、都道府県知事あてに建設業からの暴力団排除の徹底に関する通達を出させていただきました。これを受けまして、現在までの状況でございますけれども、すべての都道府県で建設業団体、発注者、そして行政当局、具体的に言うと県でございますが、それと警察との連絡協議会が結成されております。  また、二つ目に申し上げたいことは、都道府県におきます建設業許可、この段階で暴力団を排除する、このことにつきましても警察当局との情報交換体制が非常に緊密にできておる、こういう状況になっております。  さらにまた、都道府県におきます公共工事の指名に当たって暴力団関係の業者を排除する、この点につきましても、現在まで四十四都道府県で指名停止要綱などが策定されて、着実にこの趣旨が徹底しつつある、こう理解いたしております。
  152. 石井一二

    ○石井一二君 こういった問題は、役所ばかりがハッスルしても肝心の建設業協会がどう対応して協力してくれるか、例えば勇気ある告発があるか、そういった面もございますが、建設業協会の動きについてどのように理解しておられますか。
  153. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) おっしゃるとおり、この問題は行政だけで対応できるものではございません。御指摘のように業界の毅然たる態度というものが非常に問われるところでございます。  そういった目で業界の実情を見ておりますと、通達を出しまして以降、各部道府県の建設業協会におきまして暴力団排除決議、こういったものがほとんどなされております。そういった決議をするだけでは済まない話でございますが、そういった協会としての強い決意を確認し合いながら、強い姿勢で業界としても事に当たっておる、こういった状況になっております。
  154. 石井一二

    ○石井一二君 この問題に関して警察庁の協力体制についてお伺いしたいんですが、もし具体例があれば差しさわりのない範囲で一、二の例を挙げてどのような協力体制をしかれておるか、御示唆願えればありがたいと思います。
  155. 垣見隆

    説明員(垣見隆君) 暴力団の建設業への介入に対処いたしますために、警察といたしましてはこれまで建設業をめぐる暴力団犯罪につきまして取り締まりを徹底してきたところでございまして、昨年中も、暴力団関係者らが建設会社に対し工事の下請を強要し、それを断られたことに因縁をつけるなどして総額一億円余りをおどし取った事件とか、暴力団幹部などが公共工事の入札参加業者に対して、今度の工事はおりると圧力をかけて暴行をしてその工事の落札を断念させた強要事件といったような事案を含めまして、全国で二百五十七件、二百七十四名を検挙いたしております。  今後とも、建設業に絡む暴力団犯罪の取り締まりを徹底いたしますとともに、建設省など関係官庁、団体等と緊密な連携をとりながら建設業からの暴力団排除活動を強力に推進してまいりたいと考えております。
  156. 石井一二

    ○石井一二君 予測していたよりも数がうんと多いように思いましたが、まあよろしくお願い申し上げます。  さて次に、河川敷について若干お伺いしたいと思います。  日本は山国とも言えるような山の多い国でございまして、雨もたくさん降っております。そういった面でおのずから河川の果たすべき機能も多いわけでございますが、同時に狭い国土に人口もかなり多い。そういった面から公園等の面積も非常に限られておる。こういった面で国民による河川敷の利用状況の実態をまず御説明願えればありがたいと思います。
  157. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  御指摘のとおり、全国にございます河川敷地の何よりの目的は、一たん洪水が出ましたときにこの洪水を間違いなく、何といいますか、海まで運んでもらうための土地であるわけでございますが、普段は大変広大な土地でございます。そういう洪水が通るときに支障のない範囲で普段には一般国民の方の自由な利用に供していただくのが相当と考えておるわけでございます。また、その範囲内で特定の方、例えば公園あるいは緑地それから運動場として使っていただくこともある程度考える必要がございまして、河川敷地の占用許可準則などというものをつくりまして河川管理を行っておるところでございます。  ただ、全体の河川敷から申しますと、使われてますものは、ごく大ざっぱでございますが、全体の敷地の中の一割ぐらいだけに使われておるわけでございまして、例えば一級河川で利用の実態等、いわゆる自由使用というのは統計値に出てまいりませんので、占用関係の使用状況でございますが、例えば公園、緑地等は一級河川につきましては全国で二千件程度、約四千六百町歩ほど使われておりますし、運動場といたしましては二千二百件程度、面積にいたしまして約三千四百町歩ほど使われておるのが実態でございます。
  158. 石井一二

    ○石井一二君 具体的な問題ですが、来年度の概算要求に見る、せせらぎふれあいモデル事業、これについてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  159. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  来年度の概算要求の中に御指摘のせせらぎふれあいモデル事業というものを要求いたしておりますが、俗に私どもはネーミング事業と申しておるわけでございます。予算上特に新しい目を立てる、あるいは目の細分を立てるということではございませんで、在来ある事業制度、河川環境整備事業制度の中でこういう名づけ方をしまして、新しくといいますか、事業をやっていったらどうかと考えておるわけでございます。川の上流部、比較的自然環境のすぐれている場所におきまして、例えばキャンプ場とか、例えば野外学習施設等、水辺に親しめる施設をつくりますために河川事業としてそれらの基盤施設を整備する。で、周辺の関連のほかの事業とあわせまして、そういう人が集まっていただける場所にしたらどうかという考えでございます。  モデル事業という名前をつけておりますのは、さしあたり何年かいわゆるモデル的に幾つかの河川を選びまして実施をいたしまして、うまくいきますようでございましたら本格的な事業に引き上げていこうかと考えておるわけでございます。
  160. 石井一二

    ○石井一二君 時間の関係で先を急ぎたいと思いますが、道路行政についてもう一度お伺いしたいと思います。  特に昨今日本道路公団の業務内容が悪いということをよく耳にいたします。例えば「選択」という雑誌の本年九月号にも、「日本のサンクチュアリシリーズ 日本道路公団」として、「業務収入では維持費も賄えない」といったような見出しでいろいろ書いてございますが、本年十月に道路審議会が答申を出しております。その題名が「高速自動車国道の整備と採算性の確保についての答申」ということでございますが、その概要をまずちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
  161. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 六十三年十月の道路審議会の答申の概要でございますが、まず一番は、六十二年九月に追加されました国土開発幹線自動車道三千九百二十キロ、予定路線の追加を行っておりますが、これの整備のあり方についての答申でございます。具体的には、このたび新しく追加された三千九百二十キロメートルにつきましては、巨額の費用を要し、また早急な整備が要請されるので有料制で整備をしていくべきである。また、これについては従前の高速自動車国道、改正前は七千六百キロあったわけでございますけれども、それと一緒になってプール制の中に取り込んで整備をするのが至当だろうというのが第一点でございます。  それから第二点は、従来高速自動車国道の車種は三車種で料金をいただいたわけでございますけれども、より公平性を確保する意味で、これを五車種区分にしたらどうかという提言をいただいております。  それから三番目には、ただし、長期的に採算性を確保しながら整備をしていく必要があるわけでございますので、従前にも増して建設費、管理費を節減する、あるいは国費による助成措置、あるいは適正な料金負担、こういったものの方策を強力に実施し、採算性を確保しながら整備を進めるというのが第三点でございます。  それから第四点につきましては、料金の割引制度につきまして、小口の多頻度利用についてはハイウエーカード等の全国的導入を図り、利用者の便宜を図るように措置することというようなことが主な内容となっております。
  162. 石井一二

    ○石井一二君 要は、不採算路線に対する内部補助だとか国の助成強化策ということについてどうされようと思っておられるのか、もし御意見があればお聞きしておきたいことと、ただいま料金比率の区分の変更について申されましたけれども、料金そのものを変えるとすれば、いつ改定をされるのか、わかればお教えを願いたい。
  163. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高速自動車国道はプール制で行っているわけでございますから、採算性のいい路線から採算性の悪い路線へのある程度の内部の補助というものは当然あるわけでございます。ただ、こういったことが過度にわたりますと、料金を支払っている方から負担の不公平ということを言われますので、これにつきましては、採算性の悪い、利用者の少ない路線につきましては資金コストを下げる、国からの助成を強化するという措置をとっておりまして、現在全体としては六・五%の資金コストでやっておりますが、そういった路線については三%まで資金コストを下げるよう国費をつぎ込むというようなことを現在行っておりまして、今後とも新しく編入するような路線につきましては、そういう国費の助成、資金コストを下げて行いたいというふうに考えているわけでございます。  それから料金改定の御質問でございますが、ただいまお答えいたしましたように、十月七日の審議会の結果、そういう車種区分の変更も示唆されておりますので、現在道路公団におきまして車種区分の改正も含めて料金改定の内容について審議をしているところでございます。その結果を待って、公団から料金改定の申請がいずれ上がってくるというふうに考えております。
  164. 石井一二

    ○石井一二君 よくプール制というお言葉が出るわけでございますが、大体このプール制のもとでは、ある程度の年限を切って、そのころになりますと全面無料で開放しますというような公約めいた発言をしてきていることもあろうかと思うんです。その後に不採算の路線がその中へ入り込んでさらにそれが延びる。いわばこれ公約違反的な感じがするんだというような意見もあるわけでございます。だからプール制すべてオールマイティーにあらず、違った意味の解決策も急がねばならない。そういった面にも御配慮をいただくように要望をしまして、次の項目に移らしていただきたいと思います。  せっかく国土庁長官がお越しでございますので、一、二点御質問をさしていただきたいと思います。  御高承のごとく、リゾート法も徐々に徐々に軌道に乗ってまいりました。特に、リゾート法が進むと一石三鳥と言われております。国民は遊びたい、地域も活性化になってくる、内需の拡大も図れる、こういうことでございますが、もし仮にどんどん各県から申請が出て認めていったならば、リゾート地供給過多になりはせぬかというような懸念を私もいたしております。そういった角度から、需要と供給絡みの論議でございますが、まず長官の御所見を賜りたい。
  165. 内海英男

    国務大臣内海英男君) リゾート法の指定につきまして、先般、先生の地元の方の淡路島を指定したわけでございまして、いろいろ各県からも要望がたくさん出ております。出ていない県もございますけれども、都道府県のうち三分の一以上は出ているかと思います。それを順次、関係省庁とも協議をいたしまして適正なものから指定をしておるというような形でございますが、現在のところ六県の分を決めた時点でございます。あとまた何県かずっと続いておりますけれども、必ずしも各県に一つというようなことで考えておるわけじゃございませんで、それぞれの計画なり民間業者のそれに対する協力あるいは地元市町村の対応、それからリゾート指定地としてのいろいろな要件、こういうものの整ったものを決めておるということでございまして、必ずしも各県に一つというようなことでこれを扱っておるというわけではないということを申し上げておきます。
  166. 石井一二

    ○石井一二君 労働省にお伺いいたしますが、週休二日制もかなり浸透してきた、また四週六休を役所で採用するとかいろいろございますし、また大いにバカンスをとれといったような施策もございます。ただいまのようなリゾート地で長期滞在型といったような休暇の過ごし方というのは、今まで余り我々になじんでおらない。こういった面から労働政策としてどのような策を講じておられるのか、御説明を賜ればありがたい。
  167. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 先生指摘のとおりに、確かに我が国の年次有給休暇の取得状況というものは必ずしも芳しいものではございません。  昨年度の状況を見てみますと、全国全産業平均では約五割という消化率にとどまっておるのも事実でございます。しかし一方、私どもといたしましては、この年次有給休暇というのはまさにその趣旨に沿って長期にかつ連続してとるのが最も望ましいのだということで、従来から長期連続休暇の普及、定着を図ってきておるところでございます。特に、季節の折節ごとに、例えばゴールデンウイークだとか、あるいは夏季だとか、そういう季節の折節をとらえまして私ども各種のキャンペーンを張ってまいったところでございます。  ことしの状況を見てみますと、ゴールデンウイークには九〇・一%の企業が三日以上の連続休暇の制度を実施いたしまして、平均休暇日数は四・六日という状況になっております。それからことしの夏につきましても八三・〇%の企業が三日以上の連続休暇というものを実施しておりまして、平均休暇日数は六・三日となっておるという状況でございます。  さらに、本年四月には改正労働基準法が施行されておりますが、その改正労働基準法におきまして、年次有給休暇を連続して取得することを容易にするための一つの新しい規定が設けられております。すなわち、年次有給休暇の計画的付与制度というものでございます。そういういわば法律上の裏づけなどを駆使しつつ、労働省といたしましては今後ともに労使に対する働きかけや積極的な広報活動などによりまして長期かつ連続した休暇のより一層の普及、定着に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  168. 石井一二

    ○石井一二君 通告ではまだ大分案件が、質問のあれがございますが、四分ほどおくれて始まりまして、ちょうど二時でございますので、一応通告を申し上げた省庁にはすべて御回答いただきました。ちょっと言い足りない面がございますが、一たんこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  169. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、今、国会で問題になっております株式公開等についてのリクルートコスモス社の問題点につきましてですが、この建設委員会におきましては、コスモス社というのは不動産業者である、そういう観点から何点か質問してみたいと思います。  御存じのように、報道等でも、また各地方自治体等でも大変いろんな問題提起が多々なされておるのは、やはりこの本社のリクルート並びに関連のコスモス社について、例えば川崎市のテクノピアの問題とか、あるいは多摩ニュータウンの問題だとか、あるいはJRの浦和駅西口再開発の問題とか種々ございますが、私は特にきょうは、リクルートコスモス社が六十年ごろから代理契約をして、日本橋や新宿の超一等地の土地売買に対して代理人として介入して、土地売買の仲介手数料として宅建業法に定められた手数料の上限を超える違法な手数料を取ったというコスモス社に対して建設省は六十一年二月十二日に処分を行われましたが、この事案にかかわる取引の概要、違反の内容あるいは監督処分の内容等を御説明願いたいと思います。
  170. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) リクルートコスモス社につきましては、昭和六十一年の二月の十二日に宅建業法によります指示処分を行っております。  この処分した理由、ゆえんでございますが、この会社、今先生お話ありましたが、六十年の八月ころから九月ころにかけまして新宿と日本橋の物件の売買について、買い主のいわば代理人として参画したわけでございますが、その間におきまして幾つかの宅建業法に抵触する行為があったわけでございます。その中の一つが、いわゆるあっせん手数料等を決めております建設大臣の告示に決められた所定の率を超えて手数料を受け取ってしまった、これが第一点でございます。そのほかには、売り主との売買契約書に、代理人として取引主任者をして記名押印せしめなきゃならないのが、してなかった。あるいはまた、依頼者との関係で、ほかに、自分の会社以外にいわゆる仲介、代理等を依頼することを許すか許さないかということについてもこれを明確にしなければならないわけでございますが、そのことも怠った、こういったことがありますが、基本的には仲介手数料を所定の率を超えて徴収してしまったということについて指示処分を行ったものであります。
  171. 馬場富

    ○馬場富君 だから、その案件の内容について、取引の概要について説明願いたいと思います。
  172. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 実は新宿区の物件あるいは日本橋の物件、いずれもでございますが、売り主から有南関発という会社がこの物件を取得しようという過程でリクルートコスモス社が代理人として介在したわけでございますが、その際にいわゆる報酬としてリクルートコスモスはそれぞれの事案について六%の手数料を徴収しています。ところがその際に、リクルートコスモス社以外にそれぞれの取引に他の仲介業者がいた。それぞれもまたしかるべき手数料を取っていたために全部合算したところが六%をはるかに超えてしまった。言うなればそこで建設大臣告示に触れてしまった、こういったケースでございます。  その間におきまして、いろいろと問題が表に出た過程でございますが、リクルートコスモス社においては取り過ぎた手数料を買い主である有南開発に返すということをして、結果的には関係介在業者全体合算したものが所定の率におさまっている経緯はございますが、いずれにしても、そういった行為があったことについて私どもは処分さしていただいたわけでございます。
  173. 馬場富

    ○馬場富君 ここでまだ説明を詳しく聞きたいわけですけれども、順次質問をしながら内容についてちょっと聞いていきますが、私が今問題としようとしておるのは、新聞報道でもありますし、また我々の調査でもはっきりわからぬのは、やはり違反事実の内容に照らしてみて適正、妥当なものであったか、この処分がですよ。これが一点私はあると思うんです。  そこで、今あなたが三点の違反問題があるという第一点である手数料違反の問題です。業者として、大臣の告示で定められておる法定額がある、それをオーバーして取った。それも後から何%取ったかも言ってもらいたし、金額も言ってもらいたいです。それはやはり宅建業法四十六条の違反であるわけですけれども、六十年度に全国でこの四十六条違反の行政処分が四件あったわけですね。そのうち業務停止は一件、指示処分が三件と私は聞いておりますが、この業務停止の一件と、それから指示処分、まあリクルートを除きまして他の二件についての内容をひとつ説明してもらいたいと思います。
  174. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、六十年度では総計四件の処分を行っております。そのうちの一件が業務停止であり、三件が指示処分、その三件のうちの一件がリクルートコスモスの事例でございます。  それで、こういった処分の態様がそれぞれ微妙に違うわけでございますが、業務停止処分を行いましたのは、率直に申しまして、実は業務停止を行った一件というのは、そのほかにもいろいろな実は違反条項がございまして、一番基本的に大事なのは、一般消費者に対して明示すべき報酬額表を掲示しなきゃならぬわけでございますが、そういったことも怠っているということで、一言で言えば、一般消費者に対して非常に影響が大きい、こういうふうな側面も重視して業務停止をかけたものでございます。七日間の業務停止でございます。  そのほかの指示処分につきましては、個人業者であったり、いろいろいたしますけれども、やはり注意を喚起して指示を行った、こういうものでございます。
  175. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、この四件のうちに、まあ一番重いのは取り消しですわな。それから罰金もあります。その下に業務停止があり、指示処分があるわけです。この一番軽い指示処分というのは、今あなたがおっしゃった三件あるわけですけれども、その中にリクルートコスモスが一社含まれている。あと二社は、店頭にこれだけの金額以上は取っていけませんよという表示を怠ったというわけで、これは指示処分なんです。もう一つ、業務停止を受けたのは、これはリクルートコスモスと一緒に、やはり六%以上の手数料を取った会社であるということははっきりしているわけですよ。ここらあたりが非常に今論議をされておるし、非常に大きい疑問点になるわけです。だから、この点についてちょっと説明してもらいたいと思うんです。
  176. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 宅建業法の四十六条二項に違反するという、言うなれば所定の率を超えて徴収したときの対応の仕方としましては、今先生いろいろおっしゃったわけでございますが、業法上はいわば指導というのがまず一つ考えられます。それから指示処分というのがありまして、もう一つには業務停止処分、こういう三つの種類のものが考えられるわけでございます。これは監督処分の世界でございますが。それについてどういうふうなそれぞれの配慮、判断をしているかということについては、基本的には、個人消費者に対していわばどちらかというと非常に悪質性といいましょうか、そういったことを私ども非常に重視するという面が当然ありますししますが、同時に、やはり今後こういうことを繰り返さないようにといういわゆる戒めの要素も当然あり得る。  こういったことで、ケース・バイ・ケースで、ずばりこれはこうだというふうに申し上げにくくて恐縮でございますけれども、私どもとしましてま、リクルートコスモス社のこの件は、業者間の取引であったとか、あるいはさっきちょっと申しましたようにオーバーした部分はまた返したとか、あるいはそのほかいろいろな事情等を総合的に当時判断して適正な処分を行ったもの、こういうふうに理解している次第でございます。
  177. 馬場富

    ○馬場富君 それは私調査したんですけれども、業務停止を受けたのは大阪の業者で、中小企業で、その手数料違反についてはほとんど変わりないんですよ。片一方は大手のリクルートコスモスという会社との相違だけですよ。ここでとやかく今皆さん方が論議されたり新聞報道もなされておるけれども、疑問点の一つはそういうところにあると僕は思う。違反内容が同じような手数料違反であったならば、今の客観情勢のことはありますよ、だが公平に判断しなきゃいかぬですよ。  それから、そういうことについて、たとえ大手であってもその違反については同じような問題であれば適切にしなきゃならぬ。指示処分というのは、店頭に六%以上は取ってはいけませんよという表示を怠ったときはみんな指示処分ですよ。あと手数料違反の問題というのは業務停止の中に入っておるわけですよ。そういう人としたらこれは不公平を感ずるし、そのためにいろんな圧力の問題があったんじゃないかという疑問だって、私はこういう問題があるからぬぐい去ることはできぬわけですよ。どうですか。
  178. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私の御答弁がいささか舌足らずで大変誤解を招いていると思います。  実は、先ほど来出ていますような六十年度の指示処分、ほかの事例、これは一社がずばり所定の率を超えたもの、オーバーして徴収したもの、こういうケースでございます。ところがリクルートコスモスの件は、先ほど来規定の率を超えたということを申し上げておりますが、他の業者が介在したことと相まって、それを合算したその数値が六%という規定の率を超えてしまった、こういったことについていささか事情が違うわけでございます。そういったことを、別に私は弁護するわけでも全くございませんけれども、そういった中で、しかしそうは言っても大手の業者である、こういったことを考え合わせれば決してこれはいわば指導等で済む性質のものではない、指示をぴっしりする、言うなれば監督処分を行うという体系であえて措置をしよう、こういったことで当時させていただいたものだ、こういうふうに承知いたしておりまして、私どもとしては決してこれは軽過ぎたというようなものではないだろう、こう確信している次第でございます。
  179. 馬場富

    ○馬場富君 それは順を追ってまたいきますが、結局業務停止の方が重いんでしょう。そこらあたりのところをきちっと押さえてまた後で答弁していただきたい。  それから二点は、売買契約書に代理人として取引主任者の記名捺印がしてなかったという問題です。これは事実してなかったことだと思いますが、一点聞きますが、個々にこの契約をしたときに主任者がいたかいなかったか。
  180. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私どもの承知しているところでは、当時この会社には当然取引主任者がおりました。おりましたけれども、今回のこの契約に当たって主任者の記名押印がなかった、このことを措置したところでございます。
  181. 馬場富

    ○馬場富君 私が言うのは、個々に契約したときですよ。いいですか。わからなければ調査した後で答弁してもらえばいいんです。個々の契約を行ったときにいたかいなかったか。それはもしあなたが自信がなければ調査して後からでも答弁してください。それから、なぜあったものを記入をしなかったか。この二点だけ先に説明してください。
  182. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 個々の取引という、例えばその取引の現場にとかいうことになりますと、率直に申して今私ちょっと御答弁するほどの材料を持っておりませんので、後ほどちょっと調べてみたいと思います。  それで、なぜそういうことが起こったのかということでございますが、私どもこの処分を行うに当たりましては、当然のように宅建築法に基づく聴聞をいたしております。そこではっきりわかっておりますことは、一言で言えば、全くもってこの会社がそういう基礎的なことについて無知であった、こういったことが原因と理解いたしております。
  183. 馬場富

    ○馬場富君 それはあなたのように善意に解釈する人もありますが、今リクルートコスモスの政界でのいろんな追及点での実態を考え合わせてください。それをとかく今論議するよりも、その時点であなた方がこの問題に対してはっきりと見きわめてなかったということを理解しなきゃいかぬと思うんですよ。  三点目は、この依頼者が他に代理人を依頼しているかどうかということが記載されてなかったんですよ。これはどうしてこういうことをされたと思いますか。
  184. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) これは、実は昭和五十五年の宅建業法の改正で、一般的な媒介契約のほかに専属媒介契約という制度が導入されたことは御案内のとおりでございましょうが、その中で、要するにほかに業者をさらに頼むか頼まれないかということについては、頼んでもいい、あるいは頼むのは拒否する、どちらか明確にしなきゃいかぬ、一般媒介契約であるか専属媒介契約であるかを明確にしなきゃならぬということが法文上整備されたわけでございますが、このコスモス社はやはりこの点もそういうことは知らないままにいわば欠落した、こういうことのようでございます。
  185. 馬場富

    ○馬場富君 知らなければ済むというその論法は、その当時ではよかったかもしれないけれども、今となってはそれは全然認められませんよね。  この物件については、他の代理人のことを記入しなかったという点で、あなたの方も御存じであろうと思いますが、この案件については、新宿四丁目の物件約二百坪を六十年九月十九日に四十五億一千八百二十五万円で売却したというんです。買い主は、今とかくどうかと言われておりますが、報道等ではダミーだとも言われておりますが、有南開発株式会社ですよ。これが買い主になっています。それから中央区の日本橋二丁目、やはりこれも買い主が有南開発株式会社で、約三百坪で二十七億。これに対する手数料の違反と今の問題があったわけですけれども、その代理契約の代理人として両方ともリクルートコスモスが出てくるわけです。有南開発株式会社というのは明らかに不動産売買の東京都の許可を持っておるわけです。どうしてこの代理人にリクルートコスモスを選ばなきゃならなかったかという問題なんです。  今報道等でも疑問視されておるのはここらあたりの問題だと思うし、この有南開発株式会社というのは五十九年九月に設立したんですよ。東京都の不動産の許可を得たのは何とこの取引の半年ぐらい前に、半年もたってない、六十年四月十二日に実は東京都の不動産の認可を受けておるいわばまだ一年生にも足らぬような、赤子のような不動産屋が実はこんな大きな取引を行った。しかもこれに対して、コスモス株の融資に一生懸命やっておるファーストファイナンスの融資が全面的にこれに乗っかっておる。こういう取引を見まして、これは本当に代理なのか何なのか。この種の問題が東京土地を中心にして、ほかの先ほど説明したいろんな埼玉の問題とか川崎の問題もありますよ。あるけれども東京土地を含めてこういう問題がコスモスには多過ぎるということです。こういうケースはまだほかにもあるし、みんな資料持っていますよ。これはどういう取引なのか。あなたは結局善意に解釈して、間違えたとか書くのを怠ったとおっしゃっています。  実際としてこの問題というのは、この前最上恒産のときも問題になったが、そういう関連会社、ダミーを使っての取引をしたということが新聞でも報道されておりますが、こういうふうな問題については私たちも疑わざるを得ぬじゃないですか。ここをしっかりひとつ答弁してもらいたい。
  186. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) おっしゃるとおり、今日的にいろいろなことがわかってまいりますと、非常な感想を持つことも率直に言ってございます。  ただ、先ほど来申し上げていますように、私どもとしては当時その行為、一連の行為を見たときに、それが法に抵触する部分がどうであったかということを精査さしていただいたつもりでございまして、その限りにおいて、私さっき申しましたように、どうも知らなかったがゆえに幾つかの違反を犯しているという面もこれがあるというふうに認識した、こういう面がございます。しかし、知らないからといって許されるものではもちろんございません。それがゆえに私どもでは指示処分という処分をさしていただいた、こういうものでございます。  今お話しの有南開発あるいはリクルートコスモスとの関係でございますが、正直言って、私ども宅建業を預かっている行政事務の世界においては、これはどういうかかわりである会社であるかということは実は一々詳細につかみ切っておれなかったことも事実でございます。そういった意味で、宅建業者、今お話しのように有南開発自身も東京都知事の免許を持っておる会社でございます。その免許を持っておる会社の代理をさらにやるということについての問題等々御指摘ございましたけれども、いずれにしても、この辺につきましても東京都において公正な取引を害するものということを理由にした一つの処分がなされた、こういったこともあるわけでございまして、私どもとしましては当時厳正に調べられる限り調べた上でそういう措置をさしていただいた、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  187. 馬場富

    ○馬場富君 ちょうどこの時期が、今国会で問題になっておりますリクルートコスモス社が株の店頭登録を控えての時期であった。そういうことから、この行政処分はやはりリクルートコスモス社にとっては死活の問題であった、停止かという問題については、信用上。そういうことについて実は論議する問題点がそこにポイントがあるわけです。だからこそ、今報道等でも言われておりますように、この行政処分に対してはかなり政治家等の圧力があった、電話陳情があったということが言われておりますが、この点につきまして建設省は、余りの状況なので建設省かリクルートコスモス社の社長を呼んで異例の厳重な注意をされたと報道等では言われておりますけれども、この点はどうですか。
  188. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、このことをめぐりまして最近いろいろな報道がなされているわけでございますが、私ども実はそのことについて当時の担当者たちにもいろいろと当たっております。その限りにおいて、今先生指摘のようなことが全くない、あったと認識している者は一人もいないという状況でございまして、結論からしますと、今の御指摘の点、そういうようなことはありませんというふうにはっきり申し上げさしていただきたいと思います。
  189. 馬場富

    ○馬場富君 建設省がリクルート社を呼んで、こういう種の問題について、だれがどうだったか疑問でありますよ、リクルートコスモス社のだれかを呼んでそういうことはいかぬと言った事実はあるんでしょう。
  190. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど来申しているように、そういう報道等がございまして、私どもも当時の関係者に当たってまいりましたが、その間に例えば政治家を使ってどういうことを、やめろとかいうふうな指導をした覚えはちょっと浮かんでこないというのが実態でございます。  ただ、あえて申し上げさしていただきますと、当時、このころは非常にあちらこちらでいわゆる地上げだとか投機的取引ということが話題になった時期であることは間違いないわけでございまして、そういった意味で、当時の担当官たちは、小耳に挟んだこと、何もこのリクルートコスモスに限らないんですけれども、小耳に挟んだこと等で気になることがあれば、その都度といいましょうか、折々に触れましてしっかりやるようにとか、あるいは余りひどいことをするなとかいうようなことは当然のように行っていたものと、こういうふうに考えられます。
  191. 馬場富

    ○馬場富君 それからもう一件、これも報道にありますが、リクルートコスモス社じゃなくて本社自体のビル事業部が、宅建業法の許可のない会社ですけれども、これがやはり南青山三丁目の土地の地上げを図ろうとしたことは、これは無許可であるから建設省はいかぬという命令を出したということについてはどうですか。
  192. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 実はこの点も当時の担当者に当たっているんですけれども、率直に言って、リクルート自体にどうだったかということは記憶がどうもはっきりしてないという面がありまして、ただ当時、先ほど言ったように非常に地上げだとかあるいは投機的取引というものがにぎやかなときに、いわば免許のない者がそういう不動産の取引に手を出すということについては、これはよくないということはいろいろの機会で言っている、これは当時の職員の記憶としてかなり出ております。
  193. 馬場富

    ○馬場富君 いつまでたってもあなたは否定していらっしゃいますから水かけ論になるが、今、新宿の土地の問題、日本橋の問題含め、その他リクルートコスモスが不動産の取引の上で行った事案について私の手元にも何件か来ています。そういう点で私はあなたに資料を提出しますが、宅建業法に照らし合わせまして現時点で一遍このことを調査してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  194. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) もう私どもは、先生先ほど来おっしゃっていますように、要するにこの社に限らず、一般的に不動産業者が投機的取引に走るということについては今までも非常に神経をとがらしているところでございますし、今後なおのことそういう姿勢を強めていかなきゃならぬ、こういう認識に立っておる中でございます。そういったときでございますので、また先生の方に御参考になるような資料がございますならば私どもも見せていただければ幸いである、かように考える次第でございます。
  195. 馬場富

    ○馬場富君 この問題については、じゃその問題を提起しまして、またこの論議を今後続けていきたい、こう思っております。  ちょうど今この問題、国会で株の問題が調査、審議されていますし、あわせまして、いわゆる告発問題もあって裁判にゆだねられておる点もございますが、この面を含めまして、東京土地、この不動産面につきましてもかなり私は問題点があると思うんです。そういう点について、検察庁の方はこの問題についての疑惑についてかなり調査をされておると聞いておりますが、この土地の問題に関しても関心を持ってみえるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  196. 古川元晴

    説明員(古川元晴君) ただいま委員御指摘のような具体的な案件につきまして東京地検におきましてどのような対応をしておるかというようなことは、警察当局と法務省との関係もございまして、私ども立場から申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても、御指摘の点につきましてはいろいろな報道もある、また、ただいまの御議論も含めました国会におきます御論議もございまして、このようなことにつきましては検察におきましてもその都度拝聴等いたして承知しているというふうに考えておるところでございまして、もしそこに刑罰法令に触れるような事実があればそれなりに厳正に対処するであろうというふうに思っておるところでございます。
  197. 馬場富

    ○馬場富君 この問題の締めくくりに、大臣、前の土地国会で私は最上恒産のことを追及しました。それについては二、三日前に判決が出ました。宅地事犯の問題だけれども、国土計画法の違反の問題あるいは宅建法違反の問題でしたけれども、非常に裁判官は厳罰をもって臨まれました。判決の内容の中には、やはりその外形的な問題よりも、それを背景とする東京にある土地を転がして多くの皆さん方に迷惑をかけていった、そういう背景もあってこの問題については厳正な判断を下したというふうに実は裁判の決定もなされております。  東京の土地は今、大臣も御存じのように、サラリーマンが住めないほど土地が上がってしまったことは御存じです。そのくらい多くの社会問題、政治問題でもこれほど大事な問題は私はないと思うんですよ。人が住めない土地にしてしまったというような問題について、宅建業法といたしましてその法の精神からいって、購入者やそういう関係者の利益を守るという言葉は目的の中にはっきり出されております。それに反するような背景があって行われる違反関係については、今の局長答弁、その当時は書き落としたか、そういう表面だけの問題ではなくて、背景にあるその悪質な問題等がはっきりした場合には、やはりそういう違反問題についての臨み方を、考え方を見直さなきゃいかぬのじゃないかと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  198. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 宅地建物取引業者の指導につきましては、お説のとおり厳正に行わなければならない、また悪質なものをそのままほうっておくということはいけない、このことはお説のとおりであります。ただ、先ほど来お答えいたしております建設経済局長の話でございますが、いろいろ報道やあるいは国会でのいろいろ議論があるたびに我が省内でいろいろ調査をさしておりますが、ただいまのところ、先ほどお答えしたように、特に圧力がかかったとか、そういうことはございません。  また、指示処分にしたということでありますけれども、お答えを政府委員がいたしましたように、手数料の六%、これは一方の方の問題は、六%をその業者自体が取っておったというような、いわば悪質でございます。このリクルートの場合は、他の業者との合計でオーバーをしたというような点が違うわけであります。でございますから、その当時いろいろ聴聞会等も開きまして指示処分にした。これは適正であったと確信をいたしております。  今後、いろいろ宅地建物取引業者についての指導、特に悪質なものについての指導についてはより厳正に進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  199. 馬場富

    ○馬場富君 大臣、もう一度要望しておきますが、今の時点で、リクルートコスモス社が行っておる、この国会挙げて大問題となっておるわけですよ。そういうときに、かつてはそういうことがわからなかった時代にこの問題は処理された。だが、後からそれを振り返ってみると何点か大きな問題が実は裏に潜んでおるわけですよ。  そういうことを考え合わしてみたときに、この間の裁判の判決でもそういう背景というものが問題だと言われている。だから、宅建業法の違反を処分するについても、現時点に立って、その背景というものはどういうところにあるのかということをよく見きわめての対応をしてほしいということを言っておるわけですが、その点もう一遍明確に御答弁願いたい。前の問題じゃないです、これからの問題ですよ。
  200. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 宅地建物取引業者また取引行為につきましては、十分目を光らして指導をしてまいりたい、そういうことが行われないようにしてまいりたい、かように思います。以前のことでございますけれども、その当時といいますか、当時行いました行為については厳正であった、こういうふうに思っておりますし、また今後悪質者の出ないように指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  201. 馬場富

    ○馬場富君 大臣の答弁余り私は理解できませんから、今後の委員会の中では事案を示しながらそれはまた質問をしていきたいと思います。  次に、地震問題について幾つか質問いたしますが、六日に国土庁は、関東大震災級の南関東地域に起きた場合の被害想定というのが中央防災会議に報告されました。これは私は、かねてから土地国会や予算委員会等でも、この東京中心とした南関東地震については大変心配もしてきたし、それからこの問題については被害想定もされてないというようなことでお願いもしてきましたが、そういう想定がなされたことは非常に結構だと思います。  なお、この問題の中で、特に被害が人や建物やそういう問題に対する影響等はかなりかつての東京都の被害想定よりも深刻に見られておると思いますが、まだその地震の中に、東京集中による中枢機能の被害だとか都市機能の被害というものについては、日本の中心の都市の一極集中と言われるほど今集中しておりますが、この大災害が起こったときに、この被害というのは表面上のものよりもそういう点にうんと大きい波及が出てくるのではないかという点で、その点がちょっと楽観ではないかとこの想定を見ますと思いますが、その点はどうでしょうか。
  202. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) このたび報告をいたしました南関東地域の地震被害想定調査でございますが、これは南関東地域における震災応急対策活動要領を定めますための基礎資料として策定をいたしたものでございます。  想定のやり方でございますが、南関東地域に、過去最大の被害地震でございます関東大震災クラスの地震が発生した場合におきます南関東の全域にわたる地震被害の全体の像を明らかにしようということで行ったものでございます。したがいまして、基本の骨格でございます、地表加速度、液状化、津波、浸水、建物被害、火災被害交通施設被害、供給施設被害、電話通信被害、中枢機能被害、人的被害、こういった項目につきましてそれぞれ震災事例等に基づきまして想定を行ったものでございます。  ただいまお話しの都市化の進展に伴います災害につきましては、一つには、こういった過去の震災事例を参考といたしまして想定いたしたものであるために適当な震災事例がまだ存在しないという点が一点。それからこういった複合的な都市災害につきましては、いろんな要素で理論的にも、ある意味では実験的にも想定いたしまして詰めていく必要があると考えておりますので、今回の被害想定ではこの点については及んでおりません。しかし、御指摘のように大変重要な課題であると思っておりますので、今後の課題といたしまして真剣に取り組み、想定手法の開発を含めまして実施をしてまいりたい、かように考えております。
  203. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、被害を最小限度に食いとめなきゃいかぬという点で、そういう観点からいって対策のポイントは国土庁はどこにあると考えているのか、またそのポイントに対してどのような対策を講じようという方針をお考えか、お尋ねいたします。
  204. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 南関東地域での防災対策基本といたしまして、政府では中央防災会議におきまして大都市震災対策推進要綱を決めております。いわゆる三本柱と称しておりますが、都市防災化の推進、防災体制の強化と防災意識の高揚、地震予知の推進、この三点につきまして重点的に施策の推進を図っていきたいと考えているわけでございます。また、地域防災計画を所掌いたします管内の一都三県につきましては、地域防災計画によりますもろもろの防災対策の推進につきましてその整備を図っているところでございます。  ただいま申し上げました三点についてでございますが、応急対策につきましては、今回公益的な立場あるいは政府の立場から応急対策活動要領を定めましたので、これをもって対策の推進を図っていきたいと考えているわけでございます。  次に二番目でございますが、都市防災化の推進でございますが、これは非常に長い時間をかけてやっていかなければならない恒久的な対策でございます。避難地、避難路の整備あるいは市街地の防災開発、こういったことを通じまして都市の防災力を強化するということが必要でございます。これにつきましては、それぞれ所要の施策を総合的に組み合わせまして実施していく問題であるというふうに考えております。  最後の地震予知の推進でございますが、南関東地域でその対策が懸念されております南関東直下の地震につきましては予知が難しいということでございます。この点につきましては、今後とも地震予知計画におきまして直下型地震を重点的に取り上げていただいて、早い機会に予知ができるような体制ができるように推進をしていくべきであるというふうに考えております。
  205. 馬場富

    ○馬場富君 今回の中央防災会議で今後の検討課題に残されたのは地域指定の問題があるわけです。これは、今あなたがおっしゃったいろんな対策があるけれども、先立つものは金ですね、予算です。だから、そういう点について幾ら議論をして、また項目を並べてみて想定してみても、東海沖地震には地域指定がなされて予算措置がされておるわけです。前回の土地国会でも、非常に関東地震というのは今あなたの御説明のように危険性がある。特に密集地帯だけに東海沖よりも多少震度が小さくても被害が大きいということは、この前の予算委員会でも専門家が説明したとおりだと思うんですね。だからそういう点で、今言われたそういう各種対策をやるについてはやはり予算措置が必要だということになってくると思うんです。いわゆる地域指定のために東海沖の予知だとか、あるいは防災計画だとか、あるいはそれに対する待避訓練とか、そういうものに対する予算措置が随分しっかりやられておるわけです。  ところが、今あなたがおっしゃった南関東については、例えばプレート的な地震というものはまだ距離があるということを専門委員会は言っていますけれども、直下型やあるいは房総の地震や、それから相模灘の沖でも、その奥部に対する問題については危険性は近きにありと論じておるんです、この中間報告は。ただ予知が難しいというだけで、これは法的に非常に難しいということで検討課題になっておりますけれども、これは私は学者の方々の意見だと思うんです。我々政治家というものはやはり身近な問題として、災害が起こった場合に、それは結局身近な起こり得る問題が、直下型にしても房総沖にしても相模湾の関係にしても、身近な距離にあることは三点論じられておるんです。ただプレート的な、いわゆるフィリピン海溝から延びた延長線上の地震についてはまだ距離があるというだけの話であって、直下型の地震なんかは年々どこかで起こっているくらい実は確率が高いんです。プレートよりも直下型の方が随分多いんです。  そういうような状況から推してみて、この密集地の東京においてもし起こった場合にだれが責任をとるかということですよ。これだけの被害が想定されたならば、それに対して地域指定をとって予算措置をするか、地域指定がなくても予算措置ができるのか、ここらあたりのところをひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。
  206. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生指摘のとおり、現行の大規模地震対策特別措置法によりますと、強化地域の指定は、地震発生の切迫性及び被害の甚大性を要件として地震の予知可能性を前提として判断しておるということになっておるわけでございます。  先般、防災訓練で私も東海地震ということを想定いたしまして浜松の訓練に参加をして現地視察をいたしました。ところが、東海地震というのはいつあっても不思議ではないという前提に立って強化地域になっておりますが、指定後約十年になっております。ですから、指定されたけれどもなかなか起きないではないかというようなことで訓練に熱が入らないのかというような感じもいたしておりましたけれども、行ってみましたら大変御熱心な訓練ぶりを拝見しまして、やはり地震の危険というものを身をもって感じ取って真剣な訓練をされているなという感じを受けてきたわけでございます。  そういった訓練状況を見まして、本年六日中央防災会議の専門委員会先生方の中間報告におきましては、相模トラフ沿いの地震については、地震発生の可能性は切迫していないことというふうに専門的なお考えをお出しになっておりますし、南関東直下地震については、ある程度切迫性はあるものの予知は非常に難しいことというふうに専門的な先生方は言っておる。さらに、房総半島仲の地震につきましては、現時点ではこれまた予知は非常に難しいというようなことを申されておりますので、南関東地域に想定されているいずれの地震につきましても強化地域を指定するということは現状ではまだ時期的に早いのではないか、こういうような判断をされておるわけでございます。  したがいまして、南関東地域は御承知のとおり我が国の政治、経済の中枢でもあり、先生おっしゃるとおり、一たび大規模な地震が発生した場合にはその被害が激甚なものになることが予想されるわけでございますので、中央防災会議専門委員会におきましては、想定される地震及び地震防災対策を推進すべき地域の範囲について引き続き御検討をいただいておりまして、その結論を待ってできるだけ速やかに適正な措置をとりたい、こういうふうに考えております。
  207. 馬場富

    ○馬場富君 大臣、今の意見を否定するわけじゃありませんが、それはそれでなお検討していただきたい。  それで、専門委員会は専門委員会なんです。大臣はやはり地震対策に対する我が国の一つの推進者ですから、そういう立場から、大規模地震対策特別措置法の要件というのは、ちゃんとこの中間報告にも述べられておりますが、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいということが第一点です。第二点は、大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生じやすいおそれがあることが第二点。第三点が、今非常にあなた方が大きい声で言っていらっしゃる予知が難しいということなんですよ。三つの条件のうちの一つが予知で、それが地域指定をなお検討が要るということですけれども、三つのうちの二つが我々政治家としては問題なんですよ。予知よりも起こった場合のことですよ、問題は。そういう観点からいって、その総責任者である国土庁長官、そういう立場で専門委員会にも再度一遍地域指定——大臣が別に予算を組んでくだされば結構ですよ、地域指定しなくても。そういう地域指定をしなきゃ特別措置が講じられないでしょう。だからその辺の角度から御答弁願いたいんです。
  208. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 政治家という立場に立ってお答えを申し上げると先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、その基礎となる科学的専門家の御意見というものも尊重して結論を出さなければならないという立場にもあるわけでございまして、私の気持ちとしましては、日本国としての中枢的な機関の存在しておる地域でございますから、できることなら指定をしたい、こういった考え方でおりますけれども、科学的な専門的な知識に私どもはそういう点につきましては専門家の先生方よりは乏しいわけでございますので、そこのところを早く結論を出してもらいたいというような、結論を引き出すような方向で私もお願いをしておる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  209. 馬場富

    ○馬場富君 最後に道路問題です。  この前、大臣に中部に来ていただきまして、いろんな道路事情というものを視察してもらいまして大変感謝をしておりますが、そのときの一つの懸案でもありましたのは、愛知県は交通事故がいつもトップだという背景には、国道級の大きな幹線道路が市街通過をしておるということから実は端を発しまして、市内通過を特に避けていくために環状二号線というのが計画されて、外回り環状でこれを避けようという大きい計画が実はあるわけです。  その一つの実施方法として、伊勢湾を使った伊勢湾岸道路をこの国会でも何回か私は質問してきました。大臣現状を見ていただきまして、湾岸道路は計画決定をして今進むことになっておりますですけれども、ここに第二東名の問題が今起きまして、あわせてこの計画を一緒に推進していくことは、あの地域として位置づけだけきっちりしていただければ、湾岸道路推進について非常にプラスがあるし、両者がこれはいいんじゃないかという角度で陳情もあり、大臣も聞いていただけたかと思います。来年一月には国幹審も開かれる予定になっているし、そこで討議もされると聞いておりますけれども、ぜひそういう角度から、人命の問題もこれあって、また中部のかなめの道路ともなり、東京—大阪を結ぶ線上の第一要衝ともなる使命を帯びた道路ですから、この点についてひとつ大臣からこの推進についての御所見を伺いたいと思います。
  210. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 伊勢湾岸道路につきましては、馬場先生初め各国会議員の方々からも強い要請を受けておりますし、また愛知県あるいは三重県あるいは各市からもそれぞれ非常に強い要請を受けております。また、これを第二東名・名神に位置づけること、これがぜひ必要だ、こういうふうに感じております。でございますから、次に、次といいますのは、年度内に開かれます国幹審にかけまして早急に事業化を進めていくように手続を踏みたい、こういうふうに思っております。なるべく早くこの事業化をするように努力をいたしたいと思っております。
  211. 馬場富

    ○馬場富君 次に、あともう一点ですが、それとあわせまして、前回もこの席で私質問しましたが、名古屋から岐阜あるいは高山、北に伸びる線が非常に今渋滞で困っておりますが、それには二十二号と四十一号がありますけれども、これは庄内川を挟んでいつも渋滞状況で、四十一号には名古屋空港がありますが、飛行機に乗りおくれる外人が随分あるわけですよ。これは珍事が起こっているくらいの状況ですので、地元ではぜひまず早急にあの環二から名神の小牧インターまでのいわゆる二階建ての調査を早くやってほしいという点等や、二十二号、これは名古屋と岐阜を結ぶ最重要ポイントの道路ですから、これの二階建ての問題、これを早急に予算措置をしていただきたい、調査に入ってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  212. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 今先生が御指摘の、四十一号と二十二号の上に自動車専用道路をつくって交通の緩和を図れということでございますが、これにつきましては、第十次道路整備五カ年計画におきまして、大都市圏における自動車専用道路網の一部をなすというような位置づけをしたところでございまして、六十三年度から路線、構造等の調査に着手したところでございまして、今後関係機関と十分調整を図りながら調査の推進に努めてまいりたい、かように考えております。
  213. 馬場富

    ○馬場富君 終わります。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 幾つかの問題について質問いたします。  まず、道路の環境影響評価を二つお聞きします。  最初は圏央道問題でございますが、大臣のところに十一月三十日にお伺いしまして、内藤議員、岩佐議員と一緒に上がりまして申し入れをいたしました。十一月一日に東京都の環境影響評価審議会の意見が答申されて、これは何と五十七項目で、これまでにない非常に多くの問題点が指摘されていて、評価書案のずさんさが明らかになったわけですが、再調査が必要な重要な問題が指摘されているにもかかわらず、わずかに記述の書き足しをするだけということで、今月の二十三日、東京都の都計審で決定しようとしている。  それで、もう既に関係市町村の都計審が開かれていて、これには正式な評価書が提出されないで、ここにありますが、非常に簡単なメモ風のものがおろされまして、それが配付されて、それで非常に強引に進められているわけです。しかし、八王子市では都計審でこれもう通らないという状況が起き、秋川市でも一回継続となっております。評価書もつくらないで関係市町村の都計審を通そうとする。何よりも、八王子ではまだ決まってもいないという点で、私は、今月の二十三日に都計審で決定しようというのは、都民それから八王子市民のあれだけの反対意見、それから学者たちの意見を見てみても、こういう暴挙はやめるべきだと思うんです。  大臣への申し入れは、この答申を真剣に受けとめて、圏央道の環境影響評価書案及び見解書は撤回、再検討し、環境影響評価手続をやり直すとともに、十二月二十三日の都市計画決定をやめるよう東京都を指導すべきだということなんですが、御返事をまだいただいていないのでここでお伺いしたいと思います。
  215. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 申し入れ書はちょうだいをいたしております。十分読ませていただいております。そこで、御回答ということでありますが、ここではっきりと申し上げておきたいと思います。  首都圏中央連絡道路は、首都圏の環状道路として重要な役割を果たすものであります。環境影響評価については、これまで適切に実施してきたと考えております。  お説のように、東京環境影響評価審議会から五十七項目の意見が答申されたことは承知をしておりますし、御承知のとおりであります。今後は、東京都において適切に都市計画決定がなされることを期待いたしております。  以上であります。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一つ一つ具体的にきょうは取り上げる時間がありませんけれども一つだけ、残土問題というのがあるんですよね。前にも中央高速道路の残土があの裏高尾に積み上げられて、谷間に積み上げられて、本当に遠くから見るとダムのようになって大問題になっているんですが、私も現場にも行きましたけれども、今度はもっと多くの残土が出るわけです。  この答申には、残土問題については、「その発生量を明らかにするとともに、処理・処分の方法について記述すること。」と書いてあります。ところが、市町村の都計審に配られたメモには一言も書いていないんです。今度の評価書案で、発生量並びににこの処理方法ですね、はっきり書かれるのか、それとも無視してやるのか、この問題だけお伺いします。
  217. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 残土問題の処理方針でございますが、今回の評価書におきましては、処理方法については書く考え方でございますし、現実的にこれが事業にかかるまでの間にまた事業者等に十分指示いたしまして、今先生指摘のような環境を害するような残土処理のないように私どもとしても十分指示監督をしていきたいと考えております。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結局、非常にあいまいなままお茶を濁して済まそうとしているので、私は強く抗議したいと思います。  次に、首都高速中央環状新宿線、この問題についてお伺いします。  これは豊島区から目黒区まで十・一キロ、山手通りの地下をトンネルで通そうという計画で、四車線、一日十万一千台の計画です。換気所が七カ所できまして、高さ四十五メートルの換気塔がそそり立つわけですが、ことしの六月に評価書案が出て、説明会、意見書提出が行われました。今、この沿線に住民団体が七つつくられて、連絡会も生まれて、やはり環境問題だというので住民運動が起きています。豊島区は区議会も挙げてこれに反対の態度をとっています。  さて、アセス案ですが、ここにあります。これも圏央道にまさるとも劣らないひどい内容だというので大問題になっております。日本科学者会議の東京支部もこういう意見書を出しているんです。  それで、これもきょうは細かく内容に入る時間がございませんので、一点だけ、この科学者会議東京支部の中でも指摘されている問題をお聞きしたいんですが、この地下トンネルは昭和七十年に完成の予定になっています。自動車交通量の予測がこのアセスに書いてあります。トンネルを掘るわけですが、トンネルの上の山手通りの街路推定日交通量というのが昭和七十年、七十五年、両方載っているんです。七十年と比べて七十五年は山手通りの自動車は減るというふうになっているんですね。これは不思議だということなんです。  例えば、山手通りの早稲田通りから新目白通りの間、昭和七十年には一日五万四千台、それが七十五年には四万一千台に減るということになっている。毎年自動車台数は三%から四%ふえているわけですね。何でこんなに減るのかどうしてもわからない。それで説明会で質問したそうです、板橋五小の説明会で。そうしたら、計算式で減少するんだという弁解で、どういう計算式かは皆目よくわからないというんですけれども建設省はどうですか、こういう七十年から七十五年に五万四千台が四万一千台に何で減るのか説明できますか。
  219. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) ただいま手元に詳細な資料がなくて正確にはお答えできませんが、交通量の将来推定をする場合に、道路のネットワークがどのように完成されていくかというのが一つの大きな要件になるわけでございます。例えば環状道路ができますと、そこに交通転換するわけでございますから、仮に今この中央環状線ができた後に例えば外郭環状線ができるという想定を置きますと、そちらの方に交通が流れるような計算になりますから、したがってそこの交通量が減るという結果になることは十分あり得ると思います。  ただ、冒頭申し上げましたように、私今資料を見ながら御説明しているわけでございませんけれども、現実に七十年に五万台だったのが七十五年には四万台になるということは、そういった外的条件が変化いたしますと十分計算上は出ることでございますので、必ずしも間違っているというふうには言えないと思いますが、具体的な数字に基づく御答弁でないわけでございますので、そういう傾向があるということだけ御説明申し上げます。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 七十年にできちゃうんですから。五万四千台がそれからトンネルが掘られるんで減るんじゃないんですよ、もうできているんですから。だから今の説明成り立たないんだけれども、これ議論はいいです。これは後で数字を見て答えてほしい。  それで、きょうここで聞きたいのは、アセスの中身は今の一つにして、基本問題で、今度建設委員会も深度地下の利用問題で視察に行くことが理事会でも決まりましたけれども、これはトンネル内を最高一日十万台自動車が走るということなんですね。やっぱり新しい事態だ。それで、トンネルの中で大規模な衝突事故など災害発生時の被害想定、運転者の行動パターン、こういう予測分析は一体やっているのか。それからまた、十万台というと、例えば首都高速三号線も約十万台なんですけれども常時渋滞しているんです。そうするとトンネル内も渋滞になるんじゃないか。幾ら換気塔をあちこち建ててあっても空気汚染は物すごいことになるんじゃないか。その予測、運転者への影響などこういう調査、分析をしているのか。  こういう問題をこの十一月十七日に住民団体が首都高速道路公団と交渉したんだけれども、皆目まともな返答がないんですね。これは一番大問題だと思うんだけれども建設省としてはどういう見解をお持ちですか。
  221. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) トンネル内の防災対策につきましては、先生指摘のとおり大変重要な問題でございます。  通常は、トンネル内の防災対策につきましてま、トンネル非常用施設設置基準というものがございまして、それに基づいて設備を行っているところでございますが、当該路線は御指摘のように大都市部におきます初めての長大トンネルでございますので、昭和六十二年から首都公団におきまして都市部長大トンネルの防災対策検討委員会を設置いたしまして、例えば消火設備、避難通路、監視用テレビの設置、交通管制のあり方等、渋滞時の問題あるいは火災時の問題等につきまして種々の検討を行いまして、そういった結果を踏まえて防災対策に万全を期したいということで今検討をしているところでございます。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは非常に大問題なので、今後こういう地下の利用があるだけに一層きちんと対策を立てていただきたい。  この新宿線についてもう一問。  今度の計画は、都市計画道路環状六号線を今の四車線から六車線へ拡幅するという事業と一体になっているんですね。ところが、こちらの方はアセスをやらぬということだ。というのは、アセスについての建設省都市局長通達で、もう既に都市計画決定されている事業はアセスが不要とされている。環状六号線の都市計画決定は確かに昭和二十五年、幅員四十メートルで決定されているんですけれども昭和二十五年ですからアセスがされてないわけです、当時。ですから、今昭和六十三年で、昭和七十年にでき上がるんですから、当然法律でそうなっているからということで、都市計画決定に従っているからアセス不要というようなことでなくて、アセスを住民のためにはやるべきだと思いますが、いかがですか。
  223. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 東京都の環境影響評価条例によりまして、今先生お話しのように、都市計画既決定で、しかも道路として相当部分が使用されているというものについては、同条例が念頭に置いております、その環境影響評価の対象外とは条例上はされておりますが、東京都におきましては、この都市計画道路の環状六号線の環境面への配慮の重要性にかんがみまして、中央環状新宿線の環境影響評価を今やっているところでございますが、これに当たりまして環状六号線の拡張工事の影響もあわせて予測評価をしていくようにしたいというふうに承っております。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはいいことで、きっちりやっていただきたいと思います。  次に、きょうは住都公団の丸山総裁においでいただきまして、公団住宅の建てかえ問題について質問をさせていただきます。  去年の七月三十日に質問をいたしました。このとき、これは公団法上も賃貸契約上も根拠がない、契約違反だと指摘したところ、渡辺理事が、借家法を踏まえ、建設大臣の承認で建てかえをすると答弁されました。そのとき指摘して、もう有名なことで繰り返す必要ありませんけれども、借家法の第一条ノ二で、「建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス」。だから、「自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由」、これが一番問題になるわけです。渡辺理事は去年私の質問に対して、この正当の事由に当たる理由は、立地条件のよいところなのに容積率が二〇〇%あっても六〇%ぐらいしか使っていない、高度利用する、それで都市地域の賃貸住宅をつくって居住水準の向上を図ることが社会的に必要なんだ、そう答弁されたんです。  丸山総裁、これが借家法第一条ノ二で言う正当な事由だという主張ですか。
  225. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 建てかえ事業につきましては六十一年度より始めさせていただきまして、幸い六十一年度、六十二年度でやっておりますものは一つの団地を除きまして大変順調に進んでいるところでございまして、心から感謝申し上げます。  そこで、今のお話でございますが、我々といたしましては入居者の皆様方に誠心誠意お互いに話し合いで話がつくように努力をしている最中でございます。しかしながら、一部の方につきましてはどうしても御納得が得られないという場合があり得るわけでございまして、現にございます。したがいまして、その場合には、今先生からお話のございましたように、借家法一条ノ二の規定によりまして、その正当理由ということで、更新の拒絶であるとかあるいは解約せざるを得ない、こういう事態が発生をすることを恐れているわけでございますが、私はある程度やらざるを得ない、こう思っております。  その場合の正当理由でございますが、今もお話のございましたように、一つは、敷地の適正な利用を図り、好立地を生かした職住近接の住宅を供給するものであること。第二といたしまして、居住水準の向上を図り、良質な住宅を供給するものであること。それから第三番目といたしまして、さらに居住者に対しまして次のような措置を講じていること。すなわち、建てかえ後住宅の優先入居及び家賃の激変緩和措置、次に代替住宅のあっせん及び家賃の減額措置、次に移転料の支払い、これらをもって正当理由であると我々は考えておりますし、我々の顧問弁護士団に御相談したところでも、これで正当理由と認められる、こういうことでございました。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、ちょっと総裁、とにかく裁判やるべきだということで聞いているんじゃなくて、やはり建てかえをするということの法的根拠、この問題で聞いているんですから、これは間違えないでほしい。  そこで、公団側は今の理由が正当な事由だと考えている、顧問弁護士もそうだと言っている。正当事由の有無というのは、家主側の事情だけで決まらなくて、賃借人の方の事情、この比較が問題になるんだと思うんですね。  それで、有名な判決ですけれども、大阪地裁、昭和五十七年七月十九日の判決というのがあります。建物明け渡し等請求事件で、これは木造長屋を壊してマンションを建てたいという裁判だったんですね。その判決は、原告側の事情もある切実なものがある、マンションを建てたいというのは。しかし、被告らすべて——被告の方ですよ、長屋に住んでいる人、すべて本件建物に居住する必要性は高い、双方の必要性を比較すれば、原告の解約申し入れは正当事由があるものとは認められない、こういう判決なんです。これは確定しています。  それで法務省にお聞きしますが、だから、民間の場合は土地の有効利用ということだけでは正当事由ありと認められないんだが、公団なら正当事由ということになるんでしょうか。いかがでしょうか。
  227. 寺田逸郎

    説明員(寺田逸郎君) お答え申し上げます。  今御指摘がございましたとおり、借家法第一条ノ二では、自己使用の必要その他正当の事由がないと借家の更新の拒絶、解約はできないということになっておりますが、今の条文にございますとおり、その絶対的な事由が挙がっているわけでございませんで、自己使用の必要ということが一つの例として示され、さらに一般的に正当の事由があれば更新の拒絶ができるという形の規定をとっております。現実の裁判所の判断でも、今例を一つお挙げになりましたとおり、さまざまな使用の形態等の要素を所有者側と賃借人側のそれぞれの事情を総合考慮した上で判断するということになっておりますので、したがいまして、一概に所有者側に必要性があるということだけでこれが認めるわけでございませんし、ましてや、所有者側に公益等の理由あるいは有効利用の必要性があるということだけでこの正当の事由を認めるというわけではございません。  ただし、逆に申しますと、さまざまな事由が判断の対象となるわけでございますので、公営住宅の場合におきましても、その公営住宅を供給する側の供給の必要性ということもまたこれ判断の一事由に要素として考慮されるということは間違いないことでございますので、公団等と民間等との比較ということは一概にどちらがどうということは難しい判断ではございますけれども、公団で一定の住宅の供給ということがその使命として課されているということが仮にあるというふうにいたしますと、その使命というものが民間住宅の建てかえという点と違う判断も要素として考慮されるということもまた当然あり得ることでございます。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり一概にはなかなか言えないということですね。一言でずばり言っちゃったけれども。だから、公団側の正当な事由主張と、それから貸借人側の事由主張ですね。賃借人側も単に経済的な事由だけでなくて、生活条件、それから人間関係、こういうことがいっぱいあるわけですよ。判決もいっぱいあります、もう時間がありませんから余り述べませんが。  ただ、公団の場合、現入居者の生活水準、これは自治協のアンケート調査で、例の収入の分位でいきますと、第一分位三百五十万円以下の方が三九%、第二分位四百五十三万円以下の方が六二%というんですから、なかなか皆さん大変なんですよ。五十歳を超えている方がもう半数ですからね。やはり三十年団地やっているわけだから、長く住んでいますし、地域のコミュニティーが本当にできている。そこを壊されて、さあ建てかえだということになりますと、で、戻り率大体五〇%と計算しているわけだから、半分住めなくなるということで、大変つらいわけですね。だから、そういう双方の条件をよく考えないと、総裁のように、おれの方にも正当な事由があるんだと、言うことを聞かないのは裁判だぞというような態度ではこれは絶対解決しないということを指摘しておきたい。  それで、立ち退き料、これは借家法の場合には立ち退き料問題が出る。これは、正当事由が不足している、正当事由なかなかこれは足りないぞというとき立ち退き料を払ってその不足分を補うという判決がいろいろあります。例えばここで出ている判決では、さっきの例では五百六十万円、これはあるお年寄りの方に支払うよう示しております。それから東京高裁の五十七年十月二十五日判決、これは市街地再開発事業のための解約申し入れで、正当事由を補うというので立ち退き料の額として一律六百万円、これ相当額という判決がある。公団の場合には、団地外に出る人に支払うのは最高の場合百八十五万三千円ですから、だから今まで出ている判決の約三分の一ということで、立ち退き料の問題を見てもまことに非常に低いということがあるんですね。これも法務省の方にお伺いしようと思いましたが、私、二十七分までなので一方的に申し上げましたが、これは大体正確なことです。  さて、先ほど丸山総裁は一つの団地を除きと言われた。これは東京の蓮根団地のことだろうと思うんです。それで、十二日七日、きのうですが、きのう公団の東京支社で自治体の区とそれから自治会と公団東京支社とで懇談がありました。そこで公団側は、来年の六月三十日着工をあくまで目指す、反対で着工がおくれればコストが上がるからということを一つ挙げて、早く締結しないと希望の仮移転住宅を確保できないということを二番目に挙げて、三番目に、今総裁が言われた、少数の反対がどうしても残れば法的手段を講ずることもあり得ると、こう述べたんですね。これは公団の方針ですか。
  229. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 蓮根団地につきましては、一番難航している団地は先生御承知のとおりでございますが、それでも既に七〇%の方の同意はいただいております。したがいまして、これらの方々はそれぞれ生活設計を持っているわけでございますから、三〇%の方のためにこれらの方が非常に生活に不便を生ずるというようなことは我々としても責任があるわけでございますから、やはりできるだけの協力をいただくようにできるだけの努力はいたしますが、どうしてもやむを得ない場合には法的措置を講ぜざるを得ない、このように考えているわけでございます。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、去年の質問のとき、最後に当時の天野建設大臣に、「最後に、大臣、とにかく住民とよく話し合って民主的にやるということぐらいは指導してほしいと思います。」、天野建設大臣は、「そのとおり、今住んでいる者たちの了解を得てやるように指導いたします」と、こういう答弁だったんですね。  建設大臣、どうですか。東京都で一つ残った。蓮根団地というのは板橋の非常に古い団地なんですが、私も何回も行っておりますけれども、そこで一つ残っているという。きのうの交渉で、反対する者は裁判に訴えるぞということを公団は言ってるんですよね。話し合いで解決するのではなくて。私はこれはやっぱり建設大臣建設省の出番が来ているというように思うんです。大臣はひとつ、天野建設大臣がこの委員会で約束されたように、「今住んでいる者たちの了解を得てやるように指導いたします。」という方針でやらしていただきたい。裁判でおどかすようなことは撤回させるように御指導をぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  231. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 天野前大臣がお答えいたしておりますこのことも承知をいたしております。でき得る限り話し合いで進めていくということは天野大臣のとおりであります。いささかも変わっておりません。  しかしながら、七、八〇%の人の同意が得られるということになれば、あとの人もひとつ話し合いに応じて、話し合いで解決していただくことが最上だと、かように思います。それもどうしてもできない場合には、やむを得ないということもあり得る、こういうふうに解釈をいたします。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう終わりますけれども、どうしても、どうしてもって、これはまだ一年もたってないんですよ。それを来年六日三十日と決まったことを押し通すためには、早速もう裁判だ、一つ残っていると。それは東京で蓮根団地がうまくいかないと全部響くから、ここは強引に解決しようということだと思うんですよ。だから私は建設大臣の出番だと。そんな簡単に住民の声も聞かないでやむを得ないでしょうというようなことは絶対に言っていただきたくない。どうですか。
  233. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 一年間の話し合いすれば大体の意見は出尽くすと思いますが、さらに、まだ来年の六月でございますから、大いに話し合いを進めてでき得る限り円満に解決することを望むものであります。しかし、その間にどうしてもできないということになりますれば、これもまたやむを得ないかと、かように存ずる次第であります。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 押し問答になりますうちに時間も延びますから、本当に話し合いで解決することを強く期待して質問を終わります。
  235. 山田勇

    ○山田勇君 国土庁長官にお尋ねをいたします。これちょっと質疑通告してないんですが、同僚馬場委員の旧国鉄用地凍結解除の件につきまして答えられる範囲内で大臣結構でございます。  よくわかるんです。地価の異常な高騰があった、そして国会におきましても土地対策特別委員会という特別な委員会もつくり、国土庁長官としての土地抑制という責務を背負ったお立場におられることを十分承知いたした上での質問になろうかと思います。  我が町であります大阪市を一つの例にとりますと、旧国鉄用地を抱えておるところが約三カ所、大きいので言えば三カ所、まあ四カ所という形の中であるんですが、都市開発計画を推進する、その計画を遂行していくということになればどうしても長期ビジョンの都市開発というものをやるわけでございます、各地方の市町。そういう中にありまして、これ一年弱でございますが、決して満足のいく鎮静化の方向とも私も言い切りません。しかし、長官も再度この問題やるときには、金融の引き締め政策、それからそういういろんな行政の指導という形でやや鎮静化へ向かった。  その中にあって、一年弱でございますが、総務長官の先日の発言の中で、返却計画も大幅にずれてきたという諸般の事情もあって、凍結の解除の方向というようなこと、これは決定したわけではないんでしょうが、考えてみたいということですが、大阪市という形でとれば、空港開港に向かっての大きな都市開発整備をやっていかなければならない。    〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕 それにはどうしても旧国鉄用地等々も大阪市として大きな計画を立てなければならない。そういう中にあって凍結解除的なニュースが流れると、地方自治体としてはまたその開発一つの大きなジャンプになるというんで期待をしている面もあるので、長官、今の時期で長官が一人でこれは解除しますとかしないとかいう問題ではないと思うんですが、方向として、具体的に言えば時期としてもう少し考えてからの解除がどうか、その辺の御所見を伺いたいんですが、よろしくお願いします。
  236. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほども御質問がありましたのでお答えを申し上げたわけでございますが、先般の土地対策関係閣僚会議におきまして、御指摘のように、国鉄清算事業団の大変な債務、これが計画どおりいかない、さらに利子を生んでさらにふえつつある、大変な苦しい立場ということも私どもも理解しないわけではございませんけれども、ようやく、高値安定とはいいながらも鎮静化の傾向にあるんだから、ぜひ国鉄の立場考えて一般競争入札でやらせてもらえないかと、やるべきじゃないかというような意見も出たことは出ました。  そこで私は、野放しで一般競争入札をやって高く札を入れた者に債務の関係で売り渡すんだ、こういうようなことをやったのでは、私どもは地方公共団体に地価の抑制のために監視区域というものをお願いして御協力をいただいて地価の抑制というものをある程度、鎮静化といいますか、高値安定といいますか、抑え込みができた段階において、国が一方的に土地対策関係閣僚会議で国有地の国鉄用地については一般競争入札で野放しでやるんだというようなことはとても決められるものではないということで、土地担当大臣といたしまして一般競争入札には断固反対をいたしますということでその場では決定をいたさなかった。  その後いろいろ清算事業団、運輸省、その他関係方面からもいろいろのお話がございまして、地価の高騰に刺激を与えないような、言うなれば、小さいもので表通りに面して地上げ屋なんかが暗躍をしないような場所、そういうものも多少あるようでございました。そういうものについてはケース・バイ・ケースで考えてもいいではないかというような形には話はなっております。    〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕 ただ、大型のものにつきましては、新聞紙上等にも出ておりますけれども、土地信託のような形でやるか、あるいは地方公共団体に優先的に地価公示価格程度で引き取っていただくか、いろいろ方法があるだろうということで、それらはまだ一般競争入札はだめだということで抑え込んでおります。地価の高騰に影響のないものについてはケース・バイ・ケースで御相談にあずかろう、こういう形になっておるのが現状でございます。
  237. 山田勇

    ○山田勇君 よく理解できます。  その中で旧国鉄用地、今現在これは貨物ヤードとしても稼働をしているんですが、ほとんど前のような大きなシェアは持っておりません。だから吹田あたりに梅田貨物ヤードの移転をお願いして、吹田市が受ける受けないは別でございますが、そういう計画をして、旧梅田、旧といいますか、今は梅田貨物ヤードとして現存しているんですが、その辺の大きな開発が、空港開港に向かう国際都市大阪市としての大きな開発計画もあるものですからちょっとお尋ねをさせてもらったわけです。  これは粗っぽい素人の意見としてお聞き願いたいんですが、監視地域、それから金融政策、それから行政の指導、こういうものが相まってある程度は鎮静化へ向かった土地価格、それに対して、正直申し上げまして、今旧国鉄用地の解除という分野については、実際は市内の真ん中に立地しているものですから、そこに大きな住宅政策を持っていくということはそれはすごい効果はあるんですが、用地売却とかいろんな償却を考えると住宅としては都市のど真ん中ですからちょっと計画的には無理だろう。  そういう意味で、いわゆる商業地区ゾーンとか大阪市民の娯楽ゾーンだとか緑のゾーンだとかいうふうに計画を立てて、全体でそういう半公共的な形の中で使用していくということになりますので、それについても、そういう売却することによって周辺の地価が上がるということがあれば——監視地域というのはわりかた効いているみたいなんです、業者で。午前中長官おっしゃったように、業者はまたその上の知恵を働かせまして、いわゆる裁判で争っている形でもって、妥協して、暇な裁判所で許可をもらう。そうすると国土法を免れますものですからそういう手法もやっているということもよくわかりますが、特別監視地域、何キロ四方とか、その用地周辺に対してまたもう一つ傘をかけた特別監視地域というようなものを仮に設定して周辺の土地高騰を抑えていくというような方法もありましょうし、またそういう違う形でやらないと何をおいても地価高騰は免れないと思うんですね、あれだけの大きな用地が仮に解除されまして動き出しますと。  何かその辺をまた皆さんのお知恵を出して、違う形で、臨時的な、時限的なものでも結構ですが、そういう周辺土地対策、特別監視地域とかいうふうに厳しい規制をかけていくというので歯どめをしていっていただければ幸いかと思います。
  238. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今特別監視地域というお話がありましたけれども、監視地域の上には規制区域という制度がございます。これは許可制ということになっておりまして、監視地域は届け出制ということで扱っておりますから、さらにきついということになれば規制区域ということに相なります。規制区域を今かけているところは現在のところはございません。  ただ、今はやりのリゾートというようなことに指定されそうだということになりますと、業者の方は素早くそちらの方へ手を回しましてやるというようなことで、私ども考えている先々と動き出すものですから、やっぱり商売の関係の方がどうしても行政より先へいくものですから、私どもは何としてでも、リゾートに指定したところはとりあえず監視区域に指定しちゃおうということで現在その方向でやっております。でありますから、リゾートの予定地域といいますか、リゾートに指定されたところは、従来のような野放しじゃなく、急激な上昇はある程度抑え込んである、こういうつもりでおります。
  239. 山田勇

    ○山田勇君 高値安定ということで、決してまだまだ一般庶民にとっては先行きの希望が持てるという状況ではありません。  そこで、土地基本法の制定ということが現在論議をされているわけですが、この問題についての取り組みがどうなっているか、その点お聞きかせをいただきたいと思います。
  240. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私、先ほどもちょっとこの問題について触れましたけれども、土地そのものの私の概念といいますか、土地というのはすなわち日本の国土である、それが財産権というものにも認められて所有権というものがある、こういうような形になっております今の制度からいきまして、やはり余りにも私有権が強調され過ぎてなかなか公共的な面に生かされない面もあるということから、社会性、公共性というものをある程度重点的に考え土地対策をやっていかなければ将来とも土地問題というのは解決しない、こういった考え方で取り組んでおるわけであります。  さらに、四全総の中でうたわれておる多極分散という形もございますし、土地臨調が出しました土地に対する考え方基本的な五項目ですか、そういったこともありまして、それらを織り込んだ土地基本法というものをこの際、地価問題がこれだけ国民的な世論を喚起しておるときでもあるから、土地基本法を制定して国民の共通認識を、土地に対する意識を確立する時期ではないか。  また、先般の通常国会に野党四党の方々がお出しになりました土地基本法等もございますし、それらも参考にいたしまして、土地臨調の答申等も踏まえて土地基本法というものの制定を考えてみよう、こういうことで各界各層の権威者の方々に御依頼を申し上げまして、国土庁長官の私的諮問機関でございますが、基本法に関する懇談会というようなものを過去四回開きまして、今月の十五日に五回目の会合を開いてようやくまとめにかかろうか、こういった状況にございます。まとめにかかったものをこれを法制局にお願いして法文化して、次の国会にできれば御提出をして御審議をいただいて、土地に対する国民の共通認識を持っていただくということがこの際必要ではないか、こういうことで土地基本法というものに取り組んでおるということでございます。
  241. 山田勇

    ○山田勇君 その法律の制定に当たって現在懇談会が設置されていますが、間もなくこれは今長官が申されましたように結論が出るというふうに聞いておりますし、報告書が提出されると聞いておりますが、これほどのような内容になる見通しでしょうか。
  242. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 土地基本法に関する懇談会におきましては、土地基本法の制定の意義とか、それからまた土地基本法に盛り込むべき事項、どんなものを盛り込むべきであるかというようなこと、それからまた、この土地基本法の主な内容であります土地に関する基本理念の内容をどうすべきか、それからまた、土地基本法には土地政策の展開方向というようなものも盛り込んだらどうかということで、その展開方向をどのように盛り込むかということを熱心に議論をしていただいているわけでございまして、最終的な取りまとめにつきましてもこれらの点が中心になるものと考えております。
  243. 山田勇

    ○山田勇君 この土地基本法の制定作業とあわせて、大深度地下の利用など、これは後ほど時間があれば建設省にお尋ねしますが、検討されておりますが、土地問題の解決に当たっては緊急かつ長期的な視点に立った対策が求められておるわけでございます。地下をどうする、海上をどうするということより、現に存在する都市の土地利用をどうするのかというのが重要な課題であると考えますが、その点どう取り組んでいきますかお尋ねをします。
  244. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 土地基本法に関する議論の中でもいろいろ議論をしているわけでございますけれども、特に都市部についての土地利用という面で今後重点に取り上げていくべき事項といたしましては、まず既成市街地における再開発といいますか、することによりまして高度利用を図る必要がある、そのための各種計画の充実、事業の推進、それからまた、大都市周辺部の例えば市街化区域農地のようなところでの計画的な市街化といいますか、これも基盤整備を進めながら計画的に市街化を進める必要があるというようなこと、それからまた、最近議論しております地下とか空間、空中とか、そういうところも計画的に利用を促進していく必要があるというような点でございます。  そういう土地利用の高度化というようなものを推し進めていくためには、やはり現行の計画、制度というものをもう少し充実していくということと、またそういう計画に基づいた土地利用の推進方策というものを総合的に進める必要があるというようなことがポイントではなかろうかというふうに思っております。
  245. 山田勇

    ○山田勇君 懇談会の報告はもう最大限尊重することが大切でありましょう。  そこで、土地基本法というのはあくまで具体的対策まで個別に細かく規定できるものではないと私は考えますが、基本法の制定とあわせて、国土利用計画法、都市計画関係法令など個別の法律の見直しも行わなければならないと私は考えます。また関係省庁への働きかけなども必要だと思いますが、これらの点はいかがなんでしょうか。
  246. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 土地基本法はあくまでも宣言的な法律にならざるを得ないというふうに思いますけれども、具体的な土地政策の前進は、都市計画法とか国土利用計画法とかそういう個別の法律の改正なり、大深度に関する法律の制定とか、そういう法律の改正とかそれから現行法規の運用の強化とか、そういう施策の展開によってなされるものであるというふうに思います。そういう観点から、私ども関係省庁と十分連絡をとりながら土地政策の前進を図ってまいりたいというふうに思っております。
  247. 山田勇

    ○山田勇君 先日の白書に土地税制についていろいろ書いてありました。一番国民の関心は、非常に税制については高いわけですが、わけても不公平の是正ということは大きなポイントであります。そこで、土地税制の抜本的見直しといった中で、開発利益の還元ということも重要な問題であります。土地を持っているかいないかで資産に大きな格差が生じます。国民の間にそういう格差が生じているわけです。まさに不公平税制の象徴とも言えるものが土地税制と言っても過言ではないと思います。  土地基本法の制定とともに土地税制の抜本的見直しということについて、国土庁として今後どう取り組んでまいるのかお伺いをしたいと思います。
  248. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 土地基本法の検討に際しましては、さきに決定を見ました総合土地対策要綱にうたわれております、開発利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すること、第二点としては、土地の利用と受益に応じた社会的な負担の公平を期すべきこと、三番目に、公共の福祉を優先させた利用の責務を伴う等の理念を盛り込んでおります。こういった基本的な認識を生かす方向関係省庁とも十分協議をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  私どもとしては、直接税金を取り扱う立場でないものですから、こういう項目を並べまして関係省庁と協議を進めていきたい。国税、地方税を通じ、土地の取得、保有、譲渡等に対する適正な課税について、土地政策の観点から国土庁としてもさらに関係省庁と具体的に話を詰めてみたい、こう考えておるわけでございます。
  249. 山田勇

    ○山田勇君 次に建設省にお尋ねをします。  去る十二月の三日に、大深度地下利用法制懇談会の報告書が出されておりますが、この法制懇の目的は何だったのか、まず御説明をお願いします。
  250. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生も御案内のとおり、大都市地域の大深度地下を何とか有効に使おうではないかという観点から、各省庁いろいろな構想が今持たれ、あるいは具体的に検討されているという中でございますが、建設省といたしましては、具体的には、やっぱり公共的施設のために秩序ある利用というものを図ってまいりたい、これが基本でございますが、あわせて、何よりも大事なことは、無償でその土地を使っていく、こういう考え方に立ちたいものですので、そうなりますと私権との調整ということが大変の大事な問題である、こういう認識に立っています。  そういった認識のもとに、今御指摘のように、九月の十六日に、民法、公法の専門の先生十名にお願い申し上げまして懇談会を設置させていただきました。非常に精力的な御検討をいただいて、その結果を去る十二月三日にいただいたという次第でございます。
  251. 山田勇

    ○山田勇君 だれも利用しない深い地下空間を地上の土地所有者の同意を得なくても利用できるようにしよう、これが大深度地下利用法の目的でしょうが、大深度地下利用について技術面での検討はどうなっているのか、また現行法で対応はできないのか、この点をお尋ねいたしておきます。
  252. 森本裕士

    説明員(森本裕士君) お答え申し上げます。  地下空間の合理的で安全な利用を図りますためには、地盤調査技術あるいは地下空間の設計、施工技術、そしてまた防災管理技術など、地下利用に関する技術開発を総合的に推進する必要がございます。  建設省としましては、六十二年度から産学官の協同体制によりまして総合技術プロジェクトを進めておりますが、その中で地下空間の利用技術の開発を現在鋭意進めております。また、今望月局長から説明がございましたが、法制に関連しまして、技術的諸問題あるいは課題につきまして、ことし十一月に、建設大臣の私的諮問機関でございますが、建設技術開発会議の中に学識経験者等から成る地中開発専門部会を設けまして、地下利用技術の開発動向あるいはもろもろの影響を踏まえました専門的な検討をいただいているところでございます。  以上です。
  253. 山田勇

    ○山田勇君 またちょっと若干質問がそれるかもわかりませんが、これは大深度地下、公共的なトランスポーテーションといいますか、輸送、かなり限定していますが、それは局長御承知のとおり、民間レベルで地下、大深度かどうかわかりませんが、ある程度の、この法律も制定される中で、将来にはこれは住宅政策の中にも今後利用されていく傾向にもありましょうし、今まで民間の地下住宅の技術というのは相当なものを持っておられます。これは企業名言いませんが、先日ちょっとある企業へ行って見せていただいたんですが、直射日光を今まで地下の深いところまで入れるのに非常に苦労があったけれども、反射板的なものをコンピューターで角度を変えて、地下であっても真昼のような日光が直接入るというようなすごいプロジェクトを組んでの研究といいましょうか、技術開発をやっているのを見て驚いたわけです。先ほど来御説明ありました技術を駆使しながらそういう輸送というものは考えられるのでしょうが、将来は住宅にもこれが大きく起用されていく問題だろうと思うんです。  それで、先日新聞でこれを発表したときに、我々知恵のない者が全部集まって、運輸それから環境建設、国土、こういう言葉は大変使いたくない言葉ですが、各省の縄張りという中でこの大深度地下鉄道というのがあったら、君たち、一般の人にですよ、我々の一般の者に、これはどこが所管やと思う、これクイズやと、こう言ったんです。そうすると、正直言いまして、土地なんだからこれは国土庁が所管やというふうに十人が十人そう答えるわけですね。  そういう形で、今大変建設省の角地さんなんか、調整課長さん、公共への土地収用手続を定め た土地収用法は建設省の所管である、大深度地下空間は公共の利益のために使うんだから建設省が一元的に所轄するのが筋だと勇ましいことを言っておられるんです。これは勇ましいかどうかわかりませんが。これも前に郵政と通産がちょっとありましたね。これはやっぱり政治不信にもつながるんですよ。まあ我々政治家のモラルの問題でしょうが、行政の不信につながるということになるんで、そういう醜い争いを今出さないで、これは法律も徐々に制定まで行くんですから、この辺もうちょっと、僕は建設でも国土でもいいんです。運輸とか郵政とかそれぞれ言い分あるんですよ。あるんですが、この辺はひとつこの勇ましい課長を先頭にそれはちょっと持ってもらいたい。許認可制度とかそういう利害といいますか、利権といいましょうか、そういうものが絡むとかそういういろんな問題ありましょう。ありましょうが、これは僕は個人の意見としては、国土庁がまず所管する。そして運輸、郵政というふうに許可をしていくのもいいんではないか。また建設省が許可をしていくのも一般常識ではないかなというふうに思います。  時間が来ましたのでこれは御答弁要りませんが、こういう醜い縄張り争い的なことをしないで、何とか皆さんのお力でひとつまとめていただきたいと思います。  質問終わります。
  254. 青木茂

    ○青木茂君 まず、これは建設省に対する質問というより、ちょっとお願いに近いんですけれども、年度末になりますと、もう道路工事がめちゃくちゃにふえてくるわけなんですよ。道を掘ったり、掘ったやつをまた埋めて、また掘ってまた埋める。それは全部必要があってやっていらっしゃるんだろうと思うけれども、これはとにかく大交通渋滞それから騒音。それが詰まってくれば、何だ税金のむだ遣いじゃないか、そういうところへ来てしまうんですよ。  一例を挙げれば、ここに僕は写真を撮ってきたんだけれども、世田谷も宮坂三丁目から赤堤一丁目、膨大なこれは道路ですよ。それの目的は表層改良と書いてあるんですよ、上っ面をきれいにする。それが十一月十六日から一月七日まで。こんなのが一体必要であるのかどうか。だから、建設省としては必要度というものを判断して行政指導をやってほしいというのがまず第一のお願いなんです。これに対して、大臣いらっしゃらないけれども、次官いらっしゃるから、どうでしょうか。
  255. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 先生指摘のように、大変道路工事が各所で行われて御迷惑をかけているところでございますが、弁解じみたことになるかもしれませんが、掘り返し等をやっております内容を見ますと、九割ぐらいがいわゆる占用企業者の行う工事で、残りの一割ぐらいが道路の修繕工事というようなことになっております。それで、占用者のやります工事といいますのは、御存じのとおり水道とか電話とかあるいはガスその他でございまして、これまた生活に欠かせないものでございますので、どうしても掘り返しが多く行われるということでございます。  ただいま先生が例としてお挙げになりました赤堤通りでございますが、これは東京都の工事でございまして、道路管理者の工事としては道路環境整備工事、それから企業者の工事としては下水道というようなものが重なってやっているわけでございまして、今先生指摘のような交通渋滞を起こしているわけでございます。私どもといたしましても、道路管理者、占用企業者から成る連絡協議会を設けまして、できるだけ同じ時期にやるように、あるいは年間を通して平準化するような調整指導等を行っているところでございますけれども、今言ったように、家ができて水道を入れるということになるとなかなかそれをだめというふうにいきませんで、そういうのがたまってくると一年に二回行うこともございますので、なるべくそういうことかないように、工事の平準化とかあるいはそれをまとめてやるように今後とも指導していきたいと考えております。
  256. 青木茂

    ○青木茂君 ぜひお願いしたいですね。特に水道とガスなんて一緒にやれば一回で済むやつを、水道をやってまた掘ってまたガスをやるというようなことが目立ちますから。  時間がございませんから次へ移りますけれども、首都高の方どうもご苦労さまです。  首都高の方にちょっと伺いたいんですけれども、町田の旭町に職員住宅らしきものがあって、これA、B、Cと三棟あって、Aには人が入っていらっしゃるようだけれども、B、Cは全くの空き屋で草ぼうぼう。ここをまた写真をちゃんと撮ってきたんですけれども、何かキツネとタヌキが出そうなような荒れ果てた状態になっている。町田の旭町といえばまさに一等地ですからね。これが二棟が遊んでいるということ、これまた税金のむだ遣いに通じそうなんです。税金というのか料金というのか、むだ遣いに通じそうなんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。
  257. 松原青美

    参考人(松原青美君) ただいまお尋ねの町田宿舎につきまして若干経緯を御説明させていただきたいと思います。  この宿舎は昭和三十七年に取得した宿舎でございますが、当時四十六戸ございなした。昭和五十年ごろから職員が持ち家による退居者が非常にふえてまいりましたのと、生活環境が余りよくないということで、よりいいところ、といいますのが、あの立地条件から申しますと、駅から二・五キロございます。歩きますと三十分。それから朝の出勤時にはバスが駅付近で非常に混雑いたしますので、結局バス停まで五、六百メートルございますがやはり三十分かかるというようなところ。それから付近には買い物をするスーパーのようなものもない。こういうようなことで、職員がより住みやすいといいますか、生活環境のいい方へ移っていった、こういうことで空き家がふえてまいりました。五十六年に、この町田の宿舎について今後どうするかということを検討いたしました。  また、ちょっと申しおくれましたが、この宿舎、四十二平米から四十三平米という非常に、できた当時はまずまずだったのでございますが、今となっては非常に手狭になってきた。子供さんが少し大きくなると非常に住みにくいということでございます。そういうことでございまして、また当時の建物でございますから、中の造作、設備関係が今ほどよくないということで、だんだん人気がなくなってきたわけでございます。五十六年にこれについて……
  258. 青木茂

    ○青木茂君 ちょっと済みません、私三十分しかないから簡単にひとつ。
  259. 松原青美

    参考人(松原青美君) 失礼しました。  A棟には十八戸ございます。これをいわゆる二戸一にいたしまして八十四平米にいたしまして、これを今後とも使う。あとの二棟につきましては宿舎としての用途を廃止しようということを決定いたしました。これをどのように処分するか、今後どう使うかということを検討中でございます。最近になりまして首都圏の地価の上昇が著しいものですから、職員の宿舎需要が急激に変わってまいりまして、私どもの宿舎に入れてもらいたいという要望が非常に多くなってまいりました。全面的に廃止する予定でございましたのが、最近の状況を見まして、今後はひとつあれを、もうすっかり老朽化いたしておりまして、そのまま住めないものですから、診断いたしましても修繕費をかけるだけむだだということなものでございますから、近く取り壊しまして、いずれ予算との関連もございますが、予算がつき次第新しい宿舎に建てかえようと考えているところでございます。
  260. 青木茂

    ○青木茂君 ありがとうございました。  しかし、三棟のうち二棟があいているということは土地もあいているということで、今東京のサラリーマンは家がなくて困っているわけですから、無理に使おうというような計画をお立てになるよりも、この付近ずっと住宅街ですから、もう一般に開放するというのか売るというのか、少しでも住宅問題に貢献できるような前向きな配慮をいただきたいと思うわけなんです。  実は首都高の方にもう一問あったんですけれども、まだほかにも質問ございますものですから、お呼び立てしてえらい簡単なことで申しわけないけれども、これでひとつ……。  ただ、この両ケースとも一般の庶民感覚から見ますと、やはり税金あるいはそれに類似なもののむだ遣いと庶民の目から見ると見えるんですよ。だから、それが本当にむだ遣いであるかどうかということを、会計検査院の方もいらっしゃっておるようですから、これからの会計検査院の処理は余り大きいことだけでなしに、こういう庶民の生活に直結した小さな問題でもひとつ目を光らしていただきたいということをお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、今大変問題になっておりますところのリクルートの問題につきまして二点ほどお伺いを申し上げたいと思うわけなんです。  実は、私どものグループは参議院においてリクルート並びに税制の問題に発言する場を失ってしまいましたから、この委員会で私としてはやるしか仕方がない。しかし、建設委員会でございますから、関係しないことまでやるわけにはいきませんから、数あるリクルート疑惑の中で建設あるいは国土、それに関係のある二つのテーマに問題を絞りたいと思っております。ただ、この二つの問題とも非常に根が深くて、これから非常に問題になるテーマだと思いますから、きょうは私といたしましては、一問一答を繰り返して突っ込むというより、問題提起して基本的なところをそれぞれの所管大臣の御見解を伺いたいということで進行をさせていただきたいというふうに存じます。  第一の問題は、これは一部政党関係の機関紙で既に報道されたことですから皆様方御存じだと思いますけれども、新宿の戸山町一丁目ですか、ここに約千平方メートルの土地がございます。一年間でとにかく六億五千万の土地が二十億近くはね上がったといういわくつきの土地ですね。これを登記簿を取り寄せまして、この登記簿ですね、これを取り寄せまして見てみますと、最初はどうも農協連合会が持っていた。それが昭和六十年八月二十日、まさにリクルート問題に火がつきかけたころ東京興産なる会社が購入をしております。この東京興産というのは御承知のように非常に政治献金の好きな会社だということですね。六十年八日二十日に東京興産なる会社が購入をいたしまして、わずか二カ月ぐらいで鹿友信販株式会社、ここが購入をしております。これもまた、御承知のように、何かここの社長は、お役人をやめて選挙に立候補するような人にただで事務所を提供するということの好きな人ですわな。それでまた半年たって六十一年四月二日、ここでエハラハウジングなる、これは静岡県から生まれた会社、ここに転売がなされております。  そうして六十一年十月六日、まさに真打ちのリクルートコスモスがここで登場してくるわけですね。リクルートコスモスに売却しております。そうすると、わずか一年ぐらいで非常に今疑惑の対象になっている方々が関与するところをトンネル的に転がされまして、焦点のリクルートコスモスがあらわれてくる。これはある意味におきましては、こういう土地転がしが物すごく土地をはね上げて、庶民の生活を直撃するということはもちろんでございますけれども、もし頭としっぽ、つまり農協とリクルートコスモスというものが初めからなれ合いで真ん中を転がしたとするならば、これは新手の極めて巧妙に仕組まれた政治資金の財源づくりであるということも言えなくはないんじゃないか。  こういう問題につきまして、これは土地の問題で国土庁の問題だと思いますから、まず国土庁長官の御意見を伺いまして、後から建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  261. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 青木先生からの御指摘で、私もこの書類を見さしていただきましてびっくりしたんですけれども、私まことに恥ずかしい話ですけれども、今度の国会でリクルートの問題が出るまで、リクルートという会社も知らなかったわけでありまして、ましてコスモスが何をやるんだかさっぱりわからなかったというんで、これは不動産の会社だというようなことを知ったわけでございまして、なるほどこういう一年足らずの間にこういうことをやって土地転がしをやるということではけしからぬなという認識を深めたわけでございます。  この当時はまだ監視区域というような国土利用計画法の指定をやっておらなかったということをうまく利用してこういうことが行われた、投機的な土地取引が行われたというようなことで、私どもといたしましては、その後監視区域の網をかぶせまして、そしてしかも、金融関係のこういった取引に対して多少遠慮していただくというようなこととか、投機的土地取引はやめてもらう、宅建業者に対する行政指導を強める、こういうようなことで対処いたしておるわけでございますが、今後はこういうことのないようにがっちりと抑えていきたい、こう思っております。
  262. 青木茂

    ○青木茂君 建設大臣、政治家としてひとつ伺いたいんですけれども、今リクルート問題の疑惑対象になっているあれがずらずらずらと縦の系列にあらわれてますね。ここに自民党の大物政治家として何かお考えになるところございませんか。東京興産だとか鹿友信販ですか、もう一つエハラハウジングという静岡県から出ている会社があるんですけれども、それからリクルートコスモス。何かここに新しいパイプというものが、今まで言われてなかった新しいパイプというものがあるような気がしますけれども、そういうことをお感じになりませんか。
  263. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 大物政治家ではございません、小物でありますが、土地が異常に高騰した土地問題の対策につきましては、国土庁長官が担当大臣として、私どもも協力をして極力、短期間に急激に上がるということは好ましいことではないということでいろいろ土地政策をやっておるような次第であります。  御指摘のようなこと、一般的に言いまして、土地が短期間に急激に値上がりするということは好ましいことではない、こう思いますけれども、事実関係につきましては、調査をしておりませんのでここでお答えするということにはちょっと、今すぐということでは、調査をしてみないと、その成り行きがわかっておりませんので、なるべく値上がりがしない、かえって値が下がってくる、このことを望んでおるものであります。
  264. 青木茂

    ○青木茂君 この問題は確かに、こういうことが方々で行われるならば土地なんというものはもうめちゃくちゃに高くなって、まさにまじめに働いてまじめに生活設計に努力するサラリーマンが家が持てないというような、先進諸国に比べて類を見ないところの経済大国、ゆがんだ経済大国というものをつくってしまうということで私どもも非常にこれは残念だし、関心を持っているということ。さらに、先ほど申し上げましたように、もしこれが農業協同組合連合会とリクルートコスモスがもう話がついていて、その真ん中にいろんなところを入れたとするならば、新手の非常に巧妙な政治献金の財源づくりになるということ、そういう角度からの見方というものも我々は忘れてはいけない見方なんじゃないかというふうに考えております。  それで、これはもう既にあれなんですけれども、もう一つ実はリクルート関係で申し上げたいことがあったわけなんですけれども、これは午後から馬場先生の話でかなり出ちゃいましたから、私は急に角度を変えなきゃならなくなっちゃったからあれなんですけれども、リクルートコスモスの新宿と日本橋の問題についての宅建業法との絡みの問題、これは今各方面が取材をしておりまして、報道各社あるいは警察当局、各方面がいろいろ調査をしておりまして、その調査というものを私も調査いたしました。  私なりに総合してみますと、とにかく仲介もしていないのに手数料を取った。これに対して建設省は宅建業法違反の疑いでリクルート社に事情聴取を始めて、六十一年一月には行政監督処分の検討を始めた。ところが何となくしりすぼみになってしまって、いつの間にか極めて簡単な処分になってしまった。ここが第一点です。  第二点としては、一方今度はリクルートの方としては、六十年の末ごろから、警視庁から移られた麻野さんですか、常勤監査役を中心としてどうも政界工作があったらしい。しっかり調査をしろということは、調査に手心を加えよという反対の意味があるんだそうですね。そこら辺は私どもよくわかりませんけれども、かなりの圧力電話があったと。それに建設省側が音を上げまして、そういう工作はやめるようにとリクルート側に注意したといううわさも聞こえてきています。ある報道機関によりますと、何かそこでちょっと現金が動いたんじゃないかなんて、まさかとは思いますけれども、信じられないようなことをニュース的に流したところもある。  この問題は報道機関といたしましても私はまだ捨てネタとは考えてはいないと思います。それから警察当局も、先ほどの御答弁の言外を私考えてみたんですけれども、六十年時点では一たん始めたこの問題に対する情報収集は警察当局は打ち切ったと思いますよ。ところが今やこの問題が噴出をしてきたので、もう一回始めたんじゃないかというような考え方もないではないというふうに思います。  これをまくらに振りまして、質問なんですけれども、私は実は質問を三つ用意しておったわけなんです。第一は、一体建設省はリクルート社に事情聴取を開始して行政監督処分の検討を始めたのかどうか、その結果はどうなったのかということが第一点の質問でしたけれども、これは馬場先生のあれで大分わかりましたからこれはカットします。第二点は、まさかとは思いますが、そこに何かおかしな物的なものが動いたというようなうわさを聞いたけれども、これは実際事実関係はどうなのかという第二の御質問をしたいと思いましたけれども、これも前の一問一答で、まさか受け取りましたなんて言いっこないんだから、これもカットします。  ただ一つ、第三点として伺っておきたいことは、建設省がリクルート側に、変な政界工作をやるなというような注意を促したことはあるんですか、ないんですか。ここのところをちょっと伺っておきたいんです。
  265. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど馬場先生の御質問にもお答えを申し上げましたけれども、当時の関係者に私ども、そういう報道があったものですから直ちに当たっております。そういった中で、いわゆる政界関係者への働きかけをやめるようにとか、あるいは新聞で報道されているような具体的な指示をだれそれにしたというようなことは当時の関係者は全く記憶にない、もしやったとすれば記憶にあるはずだ、こういう前提でございますが、要するにそういうことはない、こういうことでございます。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、六十年当時はいろいろと地上げ等がにぎやかな時期であっただけに、いろんな会社に対して、要するに行儀の悪い、あるいは免許のないままに仕事をやるとかいうようなことを含めてもいろいろと折々に触れての指導はしたことは当然あるけれども、今先生指摘のような具体的なことをめぐっての記憶は全くない、こういう実情でございます。
  266. 青木茂

    ○青木茂君 しかし、ロッキード事件以来、記憶にないというやつは裏から言うとあったという、そこまでは言いませんけれども。  そうすると、こういうことはありますか。少なくともリクルート社の方から建設省に対して、お手やわらかにとか、ちょっと勘弁をしていただけませんかとかいうような陳情はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
  267. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) この点も正直言ってなかったという報告を受け、確認いたしております。そうは言っても、当時、前か後か正直言って記憶も明らかでありませんが、リクルート社の職員といいましょうか、こういう人たちが、何の目的かは別で、出入りしていたことがあるので、そのときに自分のところの処分はということが本当はあってもおかしくない、通常、常識的にはあり得る話だけれども、それも記憶かない、こういう実情でございまして、要するに、今私申し上げられますことは、今先生指摘のようなことはなかった、こういうふうに申し上げるのが至当かと思います。
  268. 青木茂

    ○青木茂君 そこら辺のところが何か奥歯に物の挟まったようでよく我々としてもわからないんですけれども建設省側から積極的にリクルート社に対して、変な工作はやめろと、それは仮になかったということを御信用申し上げるにしても、リクルートのあの会社の体質からして、いろんな人を使ってお手やわらかにとか勘弁してほしいとか言ってくるのは常識的には考えられるわけなんですよ。そして、それが全くなかったということは、かなり確信を持っていらっしゃらないとこれは言えないことなんだけれども、その確信が将来崩れることはございませんか。
  269. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) はっきり申しまして、私ども現在の担当官がそのときの担当官であれば、私の記憶なり私の認識ではというふうに明確に申し上げられるんですけれども、先ほど申しましたように、新聞報道が出ますと直ちに関係者を確認する、こういったことを積み重ねてまいっておりますが、その中ではなかった、こういう返事をいただいておりますし、このことを確認させていただいております。
  270. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました。  時間が来てしまいましたからもうこれ以上は言えないわけですけれども、この問題は、最大の問題点は私は三つあると思うんですよ。一つは、例えば麻野さんらリクルート社の関係者が建設省の幹部の方に物的利益誘導というのか、それをやったことがないのかあるのか、この問題の解明が一つ。それから第二は、政界関係者がリクルート社側に立って、お手やわらかにとか何かいわゆる圧力電話というものに協力したことが事実あったのかどうか。そして、その結果を受けて、第三点として、建設省がリクルート社に極めて甘い処分をしたのではないか。疑問点は私はこの三点だと思うんです。  我々といたしましては、建設委員会ですから、建設にかかわる者として、労働省というのか文部省というのか知りませんけれども、他省庁と違って建設省はまさに潔白であったと胸を張って言える現実が現存することを確信しつつ、それを強く期待しますよ。期待しますけれども、期待して裏切られたらこれは承知できないわけですから、私の確信、期待、ある意味においてこれは祈りだ、それを裏切ることのないようにひとつちゃんとしていただきたい。この点についての両大臣の御見解を伺って、ちょうど時間ですから質問を終わります。
  271. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 先ほど来建設経済局長からお答えしたとおりであります。  私も、新聞報道その他でいろいろ情報があった都度指示をいたしまして、先生が言われるように、例えばリクルート社から人が来た場合に、罪を重くしてくれというようなことはないであろう、軽くしてくれと言うのが常識だがどうか、こういうことまで含めて、また政界から何か、政治家から圧力がかかったか、全然電話もなかったかとかいろいろ具体的に聞いております。その返ってくるのが、いろいろ調査をしておるけれどもそういうことは一切ないと、こういうことでありますから、私もないと信じておる次第であります。
  272. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほどお答えしましたとおり、私は、この問題を国会で議論になるまでリクルートという会社も知りませんし、コスモスが何をやっているかも知らないというくらいわからないのでございますから、何にもわからないというふうに申し上げておきます。
  273. 稲村稔夫

    委員長稲村稔夫君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散