○国務大臣(
堀内俊夫君) 先ほど来伺っておりまして、例えばオゾン層の
保護という
観点に立っても、現在百万トンないし百十万トンぐらいのフロンガスをつくっておるわけです。しかも、その中で我が国が大体十七、八万トンでアメリカが三十五万トンと言っているんですから、この地球上でオゾン層を破壊する懸念のある
物質の世界の生産量の半分までアメリカと
日本でつくっておる。だからまず日米がこの問題にしっかり取り組まないとこれはどうにもならないというような立場でアメリカへ行ったわけです。ところが、先ほど委員が懸念をちょっとおっしゃったけれ
ども、本当はこの条約の成立というのはうまくいって来年の今ごろになるんじゃないかと思うんですけれ
ども、モントリオールの議定書の発効過程においてもう既にこれはだめだと、もう少しきつい制限をしなければならないということをトーマス長官が言っていました。これは一体何だと、今の状態でもこれ九八年には半分にしなければならぬというのでしょう。そういう過程でこういうことを言うているというので実は驚いたわけです。
しかし
考えてみますと、きょう衆議院の
環境委員会で皆国公研を見に行ってもらっているわけですけれ
ども、あそこにようやくレーザーレーダーを設置して、そして六月からこれデータをとっているわけですけれ
ども、NASAでは二つもうずっと前からやっておるわけですね。ところが、NASAでの知見あるいはTOMSというような大気圏の観測の衛星を向こうではもうやっておるわけです。我が国ではようやくSAGEという、これ北極、南極の
調査をやろうというものでしょう、一番安いものですね、金額にすれば。向こうは何百億、こっちは五億ぐらいを
環境庁予算にするのに四苦八苦、しかも、これ五年先の話ですよ。
そういうような状態だから知見が違うんですね。だからこの知見をやはり
情報としてお互いに交換し合ったら、これは西ドイツもレーザーレーダーあるんだし、フランスもあるんだから、これらの五つのレーザーレーダーの
情報交換だけでも大気圏の状態のもっと違った知見が出てくるのじゃないかと思うんです、あるいは衛星に上げているNASAの資料を、データをもらうことによって。もちろんこれ交換しておるんですが。また、うちの国立
公害研究所とNASAの研究所とのドッキングをやると、あるいは派遣をやると、こういうことを決めてきたんですけれ
ども、こういうことをやらないと、私も素人なんですけれ
ども、知見自体がいたずらに不安を招いていますね。今いろいろな知見を言っておるけれ
ども、確たるものがないんですよ、皆そういう懸念があると言っているんですけれ
ども。ところが、懸念が本物だということになったら我々はもうおしまいなんです。そういう大きな問題が含まれているだけに、これは私
ども今
経済活動から言うと相当なところまで
日本は行っているわけだから、やはり地球
環境にも責任を負うべきだと思います。
幸いにこの間ECEの事務
局長と会う機会がございました。訪問してくれた、
日本へ初めて来たというのです。いわゆる先進工業国、
日本を除いての先進工業国が集まってやっておるわけなんですが、やはり
経済とこの地球
環境というのはもう密接な関係があることを強調したことと、もう一つは、ソビエトのゴルバチョフさんが
環境問題について懸念を持っておられるということを非常に強調していました。
また、今度竹下総理が中国へ行かれて、日中交渉の十年記念行事の中で
環境問題のプロジェクトを向こうは希望したんです。李鵬さんの経歴なんかを調べてみると
日本で言う
環境庁長官をやっておるんですね、向こうでは主任と言っておるが。だから非常に過去の経験から言うとこの
環境問題の知見の相当ある人だという感じです。
また、向こうでびっくりしたのは、アメリカの大統領選挙今やっておりますね。この論争の中に、
日本の総選挙で与野党の間で
環境問題を論争点に挙げたことないです、私ら今まで見ていて。向こうでは今大統領選挙の論争の中に入っています。
そういうことを
考えると、非常に
日本が今しやすい、軍事問題とか
経済問題と言ったらいろいろやっぱり
日本のしにくい立場があるけれ
ども、この地球
環境問題であると、
日本の立場もあるし、これ何ぼ力を入れても、いわゆる世界じゅうから言うと
日本を正しく理解してもらえる機会じゃないか、そういうことも思いまして、私は今委員の御
指摘があるように、この地球
環境問題こそ
経済力を持った我が国が果たせる唯一の大きな仕事じゃないか、ことしはその突破口がようやく開けたから、これはもうみんなでこの問題を世界じゅうの信頼を得られるように、また、ほかのことだといわゆる批判の場合の方が多いです、
日本が金を出すことに対して。しかし、このことでもう少し金を出したってみんなに喜ばれるんじゃないか、私は今そういう気持ちでおります。