○滝沢幸助君 先ほど
農林水産大臣より御
報告のありました北海道、
東北、北
関東等にわたる
冷害、その
対策等につきまして
質疑を申し上げたいと存じます。民社党・民主連合を代表して申し上げます。
天皇陛下におかせられましては、九月十九日吐血を見られまして以来既に三週間、あついお病に耐えていただいております。私は、真心込めて陛下の一日も早い御
快癒をお祈り申し上げるものであります。
つきましては、日夜陛下のおそばにあってお守りされておりまする侍医団の皆さんを初め宮内庁など
関係各位の御苦労をねぎらい、今後とも心込めてお仕えされまするように
希望するものであります。(
拍手)
さらにこの機会に申し上げたいことは、宮内庁と
政府との間に、御病状の公表その他におきまして
連絡の不十分ないしは
認識のずれなどがいささかなりともあってはならないのでありまして、国民の前に開かれた皇室であらせられまするよう、十二分に
対応のよろしきを得ていただきたい。強く
要請いたします。またさらに、これに関しての
総理の御
見解をお
伺いするものであります。
さて、
災害につきましてでありますが、まずもって
被災農家に対しまして心からお
見舞いを申し上げ、この
災害から雄々しく立ち上がって、あしたを期して頑張っていただきたいと申し上げさせていただきます。
さて、
総理大臣、まずあなたにお尋ねをいたしたいのでありますが、その前に、御理解をいただきたいことの二、三がございます。
つまり、私は
農家でありますが、その体験から申し上げますると、役所が発表しまする
調査、そしてその統計、そういうものの数字と
農家の
実態というものはまことに落差があるのであります。つまり、ひどいなと思うけれども、稲を刈ってみればああまたひどいとたまげる、そしてこれを脱穀をすればさらに驚く、精米をすれば全くひどいということになるわけでありまして、このことをまず
総理大臣、わかっていただきたい。
次に、
農業というものは御存じのごとく自然、天を相手にする仕事でありまして、商工業などとは全く違った、いわば生産計画どおりにいくというものではございません。そのことをまず二番目にわかっていただきたい。
次に、
総理、戦中戦後、もう増産増産、そして供米を強制的に割り当てた
時代、そして
農業が将来を期していろいろと拡大された
時代、そして今日、いわゆる
減反の
時代、猫の目
農政と申しまするけれども、こういうことを見ておりまする
農家は、政治を、
政府を信用していないのであります。このことをよくと心に秘めていただきたいのであります。
そして、私は
総理が島根県の県
会議員であられたと承っております。実は七月の水害に私も島根県を
調査させていただきました。拝見しますると、
農山村、まさに過疎地であったように見受けます。なればこそ、
総理は「ふるさと創生論」というあの大著作をなされたのでありましょう。私もこれをつぶさに拝見させていただきまして、労作を多とするものであります。しかし、批評する者がありまして、これは言葉豊かにして内容、実体乏しいものである、いわゆる過剰包装であるという
評価もあるわけでありますが、謙虚に受けとめていただきたいのであります。
以上申し上げながら、具体的に四つのことをお
伺いさせていただきます。
天災融資法、激甚災の指定
発動を速やかにされたい。
二つ目、今回の
被災地のその多くはいわゆる過疎地であります。そこで、過疎
地域振興特別
措置法、これは議員立法、六十五年に切れまするけれども、これを
政府提案として出されるお
考えはな
いか、あるいは議員立法とするならば、このいわゆる延長ということをされなければなりません。
総理として、自民党の総裁として、このことをお
伺いさせていただきます。
三つ目、これにちなみまして、発電用施設周辺
地域整備法、まことにこれはその地方にとってはありがたい
制度でありまするが、しかし十分とは言えない。そこで、これが充実改善のための
見直しをされる用意があるかどうか、承らせていただきたい。
四つ目、この
被害地の
農家につきまして、かつて言う救農土木、いわゆる建設事業を
早期に発注し、大幅に予算を増額していただきたい。特に、
災害復旧事業等の大幅なる予算の計上をお願いしたいというのが
被災地の声であります。
お答えを賜りたいと存じます。
次に、
農林水産大臣、御苦労さまであります。九つのことをお
伺いさせていただきます。
一つは、共済
制度につきまして、これを
早期に査定し、
早期に支払ってほしい、これが
農家の声であります。
お答えをいただきたい。
二つ目、
被害調査の
徹底と親切なる
指導ということであります。先ほども
総理に申し上げましたけれども、お役人さんの
調査、そしてコンピューターの計算というものは冷たいものであります。政治は温かく、心を込めていなければなりません。いわゆる血の通った
調査と査定というものが必要であるというふうに申し上げさせていただきます。(
拍手)
いかがでありましょうか。
三つ目、
被害農家に対する
各種の
制度資金、これは
農業金融公庫のものなど数々ございまするが、極めて膨大なる
資金が出ております。例えば
福島県の平田村、これは数千の人口でありまするが、無慮十億の金が貸し出されているわけであります。ところが、これは六%ないし七%の
金利でなされているわけであります。つまり、古い
金利の計算であります。先般
金利の引き下げというものがなされまして、市中銀行ですらこれを整理をして安い
金利で貸し出しをし直しているのですよ。なのに、どうして
制度資金においてこれがなされないのであろうか。速やかに、恐らく平均五%台になっているはずでありますから、これを切りかえていただきたい。このことについての御
説明を願いたいのであります。
四つ目、米の
自由化問題につきましては、大臣のたくましい努力を
評価するにやぶさかではありません。しかし、今アメリカが大統領選挙を目の前にいたしまして、アメリカの国内の
状況というものはどうなっておるものだろうか、あるいはガットの今後というものはどうであろうか、現状と今後の見通しについて御
説明をいただきたい。
五つ目、葉たばこの
農家、これは価格が下がります。そして、面積を減らされるわけであります。どうにもこうにもやっていけない、生きていけない、これが葉たばこ
農家の叫びでありまするけれども、
一体この人たちは何をすればいいのでしょう。
営農指導についてどのようにされているか、承らせていただきます。
また、六つ目のことを申し上げますが、牛肉・オレンジ、これは大臣御苦労されたけれども、三年後にいわゆる
自由化するのでしょう。そうならば、その
農家の
方々というものは、これまた
いかに生きたらいいのか。
営農指導を、あるいはまたその援助
対策を
いかにお
考えであるか、お
伺いをいたします。
さらに七番目に、コンニャクの
農家、そして養蚕を営んでいらっしゃる
農家、全く同じ
状況でありまして、苦しんでおります。これに対し
いかなる
指導と援助の
対策を持っておられるか、承ります。
八つ目に、
冷害によりまするいわゆる凶作ということは、先ほどもお話がありましたけれども、規格外の米がたくさん出るわけであります。これを全部
政府が買い取っていただきたい、これが
災害地の
農家の真実の叫びであります。
お答えをちょうだいいたしたい。
八つ目、申し上げましたので、九つ目、
最後に、
減反政策ということはまことに愚策であります。その愚策をもう数年間やってこられたけれども、大臣、あと何年間
農家はあなたの割り当てによって
減反すればもとどおりつくれるのですか。三年ですか、五年ですか、十年ですか。いつまで
減反を耐え忍べばもとどおりつくれるということでありますか。
その見通しと約束ができないならば、
減反をやめたらいいじゃありませんか。
減反をしてそれに補助金を出す、このようなことは、
政府にとっても、何よりもまず
農家にとってありがたいことではないのです。つまり、いつまでたってもこれ以上
米づくりを拡大することができない、もとどおりつくらせることができないならば、広い
田んぼの中にぽつんぽつんと野菜がつくられていたりするようなことはやめたらいいじゃありませんか。そして、米をつくる場所は米をつくる場所、畑にするところは畑、山林は山林というように、いわゆる農地の再編成をいたされたらいいのではないですか。お
伺いいたします。
とにかく、先の見通しのできない
農家について、子供が、青年が既に見捨てております。「翁やひとり山田守るらん」、
農家は既に六十代、七十代、八十代の人しか
田んぼに出ておりませんよ。大臣、あなたの選挙区だってそうでしょう。ひとつ心込めて御
答弁をお願い申し上げたいのであります。
最後に、文部大臣、先ほど私は陛下の御
病気について触れさせていただきました。その陛下は、ことしの春も昨年の病を押してお田植えをみずからいたされました。また、ことしの秋の稲刈りにつきましては、侍従が、かわって私が務めさせていただきますと申し上げましたら、残念だけれども仕方がない、そうしておくれとおっしゃったというのであります。また、御病床にあられまして、ことしの米の
作柄はどうかと問われたというわけであります。つまり、陛下がこのように
農業に対し、米に対し御関心を持っていらっしゃるということは、すなわち
日本は農の国である、米の国であるということでございまするから、教育の原点をここに置くべきじゃありませんか。
大臣、小中学校におきまして、給食等に際し、先生と生徒が一堂に会して同じ場所で一緒に食べておりますか。我が党の春日一幸先生に言わせれば、幾人かの人が同じときに同じところで同じものを食べれば同じ気持ちになる、同時、同所、同食、同心、このようにおっしゃっております。大臣、これが教育じゃありませんか。これが教育です。
そこで、お尋ねをいたしますが、食前食後のごあいさつというものはいろいろの言葉が古くから使われましたけれども、これを教師と生徒が同じ場所で一緒に唱えて食べておりますか。あるい
は、食事についての正しい作法を教師は子供に教えておりますか。そしてさらに、この米というもの、どのようにしてできるものであるか、これを教えておりますか。つまり、
一つの品物、これをつくる人々の苦労、汗と涙、そしてそのつくった人の真心がこもっているんだよ、だから物はすべて魂が入っている、大事にしなくちゃ
いかぬよということを教育しておるのでしょうかどうでしょうか、お
伺いをいたします。
そして、学校給食を全部米にしろ、これが
農家や農協の叫びでありまするけれども、
いかがでありましょう。
そして
最後に、これはいささか論点が違いますが、教育論者の声であります。学校給食はむしろやめて、弁当を持たせた方がいい。弁当はお母さんと子供のきずな、母と子の手紙だというのであります。朝から忙しく遊んだり学んだりしておりまする子供がお弁当を開いたとき、お母さん、こう思う。これが教育です。(
拍手)そして弁当の空を持って帰ったときに、お母さんがそれを流しで洗う。そのときに、うちの花子はこのごろ残す、体が悪いのだろうか、あるいはまた子供の心に何か迷いがあるのだろうか、こう思うお母さん。そして健康のこと、心のことをお母さんが知っていただく、これが教育だというのであります。
二つのことは論点が全く違いまするけれども、しかし、私はその精神的原点は一緒だと思うのです。
文部大臣、以上申し上げましたことにつきましての教育の基本方針についてお
伺いをいたします。
申し述べまして、
質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣竹下登君
登壇〕