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1988-10-26 第113回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十六日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 中村  靖君    理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君    理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 鍛冶  清君 理事 林  保夫君       逢沢 一郎君    青木 正久君       井出 正一君    石渡 照久君       工藤  巌君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    杉浦 正健君       谷川 和穗君    松田 岩夫君       江田 五月君    嶋崎  譲君       中西 績介君    馬場  昇君       有島 重武君    石井 郁子君       山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中島源太郎君  出席政府委員         文部政務次官  船田  元君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部省初等中等         教育局長    古村 澄一君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      國分 正明君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      松原 莊穎君     ───────────── 委員の異動 十月二十五日  辞任         補欠選任   江田 五月君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     江田 五月君     ───────────── 十月二十六日  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願串原義直紹介)(第一九二八号)  同(清水勇紹介)(第一九二九号)  同(中村茂紹介)(第一九三〇号)  同(粟山明君紹介)(第一九八九号)  同(井出正一紹介)(第二〇三八号)  同(小川元紹介)(第二〇三九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二〇四〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第二〇四一号)  同(園田博之紹介)(第二〇四二号)  同(中島衛紹介)(第二〇四三号)  同(羽田孜紹介)(第二〇四四号)  同(宮下創平紹介)(第二〇四五号)  同(村井仁紹介)(第二〇四六号)  同(若林正俊紹介)(第二〇四七号)  小学校社会科における森林・林業の記述充実に関する請願園田博之紹介)(第二〇三七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  教育職員免許法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十二回国会閣法第四五号)      ────◇─────
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  第百十二回国会内閣提出教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
  3. 逢沢一郎

    逢沢委員 教育職員免許法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  臨教審関連重要法案とも呼ばれております本法案につきまして質問させていただきますことは大変光栄でございますが、与えられた時間も限られてございますので、早速その中身に対しまして質問をいたしたいというふうに思います。  幾つかの大きな柱があるわけでありますけれども、まず最初に、いわゆる普通免許状種類化の問題でございますが、旧来二種類対応いたしておりましたこの免許状が、伺うところによりますと三種類になる。現行は御承知のように一級、二級ということでございますけれども改定後には専修免許状、そして一種免許状、二種免許状、こういった区分分けということになるわけでありますけれども、これは一体どういう考え方に基づき、なぜそのような対応をするのかということを冒頭伺いいたしたいと思います。
  4. 倉地克次

    倉地政府委員 今お尋ねのように、今回専修免許状、それから一種免許状、二種免許状の三種類免許状を設ける次第でございます。  一種免許状は、教員に求められる資質能力の標準的な水準を示すものとして設けられる次第でございまして、専修免許状は、特定分野についてより深い学問的研究を行い、高度の専門性を身につけた方に授与する免許状として設けられる次第でございます。また、二種免許状につきましては、一種免許状との比較におきましてなお一層資質能力向上が必要であるという位置づけがされて設けられる次第の免許状でございます。  このような三種類免許状が設けられましたのは、幅広い範囲からすぐれた人材教育界に誘致すると同時に、教員の自発的な現職研修をこうしたことによって助長しようということで設けられる次第でございます。
  5. 逢沢一郎

    逢沢委員 特に専修免許状という新しい免許状を設けて、区分を設けて大学院修士課程に学んだ方々にも教職の世界に入ってきてもらいたい、こういう思い入れといいますか、意図があるというふうに私ども理解をいたしておるわけであります。考えてみますと、確かに学校教育現場多様化は著しいものがありますし、最近私どもが見ておりましても、子供たち自身、例えば家庭生活学校における生活が大きく変わってきたな、そんなような思いがあります。  まさにそういった新しい時代の中にあって教職員、特に教員方々子供の心をしっかり理解をするあるいは高度の専門知識を駆使して教育資質向上に当たってもらう、そのことは大変重要であり、思いとしては、意図としては、そういったところに大学院課程を修了した人に大活躍をしていただきたい、そういう意図があるやに思うわけでありますが、一方、多少意地悪な見方ということになろうかとも思うのですけれども、そんなに専門分野知識を持った人が果たして、特に小学校中学校教育現場に必要なのかどうかといったような疑問もあるやに伺っておりますし、また、最近、小学校中学校教科書をぺらぺら見ても、昔に比べて随分難しくなっているんだなといったような声もあるわけであります。また、子供の心を本当につかむということといわゆる大学院課程を修了した人たちにそんなことを期待することは少し次元が違う、そういったような声、疑問あるいはある種の誤解もあるやに思うわけであります。  そこのところの思いあるいは意図について再度、特に専修免許状の設定ということですね、そのことについてもう一つ突っ込んでお伺いをいたしたいと思います。
  6. 中島源太郎

    中島国務大臣 具体の御質問があれば政府委員からお答えさせますが、基本的には教育職員というのは学校教育を支える重要な担い手であると思うのです。そういう教員方々資質向上させるということは何よりも大切だ、こう思っております。そういう面で、今おっしゃった中で、専修免許状を設けまして、そして大学院修士課程以上の学力がそれほど必要かなということでありますけれども、これは一種免許状がございますけれども、その中で特に特定分野知識を高めてきた方々に対しまして、より教育の場に踏み込んでいただこう。それには知識だけじゃなくて、今おっしゃったように社会多様化しておりますし、子供の、児童生徒の心情も多様化しておりますね。したがって児童心理学とかあるいは情操面の受け取り方、あるいは教育方法、そういったものに対しましても、よりそういう分野でなお深く修得された方々教育の場に入っていただくということが大変必要なことだ、そういう基本的な考え方がございます。  またもう一つは、こういう専修免許状を設けることによりまして、いわゆる現職研修によって知識を高めていくという意欲とそれから活性化をもたらすといういい方向もやはり当然出てくるであろう、そういう面を含めましてこの専修免許状というものを基本的には考えておるということだけ冒頭に申し上げておきます。
  7. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございました。  それでは、時間も限られてございますので、次の大きな項目の方に質問を移させていただきたいと思うのです。  いわゆる免許基準引き上げというテーマに移らせていただきたいと思います。  考えてみますと、よりよい教育を行っていくためには、確かに特に初等中等教育におきましては学校先生教員資質に負うところが非常に大きいと私どもそのような認識を持たしていただいているわけであります。また、子供たちの先々の人生に与える先生の持つ影響力、これもまことに大きいものがあると言わざるを得ないというふうに思います。  そこで、そういった将来の日本を背負う子供たちに大きな影響を与える学校先生、その先生をつくっていく養成段階ということにつきましては、これはまことに意を払っていかなければならない、当然のことでございますが、じゃ一体どういうふうな形で、その養成段階においてきちんとした将来立派な先生として大活躍がしていただけるような資質あるいはまた能力というものを身につけてもらうか、ここのところは十二分に研究もしていかなければならぬ、そのように思うのです。  考えてみますと、最近の子供たちは例のパソコンだとかファミコンだとかいうふうなものにも十二分になれ親しんでおるようであります。学校教育現場におきましても、パソコンのたぐいでありますとか、あるいはワープロのたぐいでありますとか、こういった私ども小学校中学校では経験し得なかったような新しい機器等も、もう当たり前のようにして教室の中に入ってきているわけでありますから、そういった新しい機器というふうなものも、やはりこれからの先生というものは立派に使いこなすことが求められるでしょう。子供は知っているけれども学校先生はちんぷんかんぷんだ、こういうことでは話にならぬというふうに思います。  また、最近はどうも報道では昔に比べて鎮静化しておるというふうにも思えるわけでありますけれども、その底流にあってはいじめの問題あるいは登校拒否の問題、やはりこういったものもずっとあるわけでありまして、そういった子供たちが起こす問題行動への的確な対応、こういうことも教員に求められる資質ということの中には大きな位置づけがあるやに思うわけでありますが、こういった問題意識の中で、この免許基準引き上げということでは具体的にどういう対応を考えておられるのか、そのことをお伺いいたしたいと思います。
  8. 倉地克次

    倉地政府委員 今御指摘のように、学校におきましてはいろいろな問題が起きている次第でございます。情報化進展でございますとか、学校教育内容改善等について、それに十分対応した教員養成していくということが非常な課題というふうに考えられておる次第でございます。  そこで、今回の法律案におきましては、こうした点について養成段階十分学生に学んでいただくために、免許状を取得するために修得すべき最低単位数引き上げることとしている次第でございます。新たに設けるべき科目でございますけれども、これは昨年十二月の教育職員養成審議会答申を踏まえまして、教育方法技術、これは情報機器とか教材の活用方法も含むわけでございますけれども教育方法技術に関する科目特別活動に関する科目、それから生徒指導に関する科目というようなものを設けまして、そうした教育現場実態対応しよう、そういうふうに考えている次第でございます。
  9. 逢沢一郎

    逢沢委員 免許基準引き上げということに伴っていわゆる履修をしなければいけない専門教育科目単位がふえる、こういうことでございますが、単位がふえるということになりますと、当然各大学において新しい講座をつくる、あるいはそのために新しい先生が必要かもしれない、物理的な教室でありますとか器材でありますとか、そういうものが必要かとも思うわけでありますが、そういった対応が十二分にできるのかどうか。これは予算とも絡まってくることだと思います。  あるいはまた、いわゆる専門教育科目単位がふえるということによって本当の人材がかえっていわゆる教職課程を遠慮するのではないか、敬遠するのではないか、そういう一部の心配と申しますか不安の指摘がなされているやに耳にいたしておるわけでありますが、まとめてその二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 倉地克次

    倉地政府委員 今お尋ね一般大学におきます今回の単位引き上げをどう処理していくかという問題でございますけれども、これは私どもいろいろ調べてみますと、現状におきましても既に各大学において現在必要とされる最低単位数を相当上回る教育がされているのが実態でございます。一般大学と申しますと中学校高等学校が主に関係するわけでございますが、その関係につきましては五単位引き上げでございますので、この五単位程度一般大学においても十分こなしていける問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。  また、学生が応募してくるかどうかということでございますけれども、五単位程度引き上げでございますし、それから小学校の方では十一単位ということになるわけでございますけれども、これも既に現在の大学相当程度教育課程を組んでやっておるわけでございますので、学生がそこからさらにたくさん学ばなければならないということにも余りならないのではないかというふうに考える次第でございまして、そうした懸念はないのではないか、さように考える次第でございます。
  11. 逢沢一郎

    逢沢委員 次に、今回の免許法改定の中でこれも大きな柱の一つになってございますいわゆる社会人方々学校教育への活用と申しますか登用の道を開く、そのことに質問を移していきたいというふうに思うわけであります。  確かに、考えてみますと、いわゆる情報化でありますとか国際化というふうに呼ばれております大きな社会の変化の中にありまして、学校を取り巻く状況と申しますか環境というものは本当に大きくまた急激に変わってきているように思います。それだけにいろいろなところで指摘がされておるわけでありますけれども、まさに十年一日のごときような教育では新しい時代対応できない、このことについては言をまたないわけでありますし、また一方では、現在の学校教育のあり方についていろいろな提言あるいはいろいろな批判というものもたくさん出てきている。そういったものについては確かにこれは真摯に耳を傾けなきゃいけないな、素直にそういうふうに感じる向きも多いわけでありますけれども、そういった大きな流れの中にあって、社会人学校教育への活用の問題、これは大変重要な柱であるというふうに私どもも思わせていただいておりますが、豊かな知識を持っている万々あるいは経験能力を持ったいろいろな分野活躍あるいは活動なさっておられる社会人学校現場に登用する、このことを一体どういう基準、決まりのもとに行おうとしているのか、そのことについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  12. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のように、今回社会人学校に迎え入れるということでいろいろな制度をつくっている次第でございます。特別免許状の創設がそうでございますし、講師に係る特例措置もそのようでございます。しかしながら、現在の我が国の教員養成大学における教員養成原則としておるわけでございまして、これとの調和の上にこうした制度導入したいというふうに考えている次第でございます。  そういうことでございますので、特別免許状について申し上げますと、小学校につきましては音楽、図画工作などの教科に限定してこれを付与することにしている次第でございますし、教育委員会特別免許状教育職員検定を行いまして合格を決定するに当たりましては学識経験者の意見を聞く必要があるということを法律で規定している次第でございます。  また、外部の講師学校に来ていただくにつきましても特例を設けているわけでございますけれども、それにつきましても非常勤講師に限っておりますし、また担当する事項につきましても教科領域の一部に限るというふうに限定しておりますし、またそういう方に来ていただくに当たりましては免許状授与権者の許可を必要とするというようないろいろなことをいたしまして、大学における教員養成との調和を保ちながらこうした措置導入したいというふうに考えてやっていく次第でございます。
  13. 逢沢一郎

    逢沢委員 いわゆる特別免許状を新たに創設して対応する、こういうお答えであったわけであります。既に局長が答弁の中でお答えをいただいたようでありますけれども、考えてみますと、現在までの、そして現行教員養成制度というのは、御承知のように大学における教員養成ということで対応してきた、そのことが大原則であったわけであります。そのこととあわせて特別免許状制度を創設して社会人方々学校教育現場に登用する、新たにそういう道を開くわけであります。  今、社会人活用、それから大学での養成、その二つ調和ということを大事にしなければいけないのだ、こういうお言葉がありました。確かにそれはそのとおりだというふうに思うわけでありますが、そのバランス、調和ということの、哲学というとちょっと言葉が大げさになるかもしれませんけれども、基本的な基準と申しますか、あるいは考え方というのですか、具体的にはどういうふうなことでもって調和をとっていくのかということを重ねてお伺いをしておきたいと思います。
  14. 倉地克次

    倉地政府委員 現行教員養成免許制度の基本的な考え方と申しますと、これは免許状主義の徹底、それから教職課程履修による専門職制の確立というのがまずあるわけでございます。その次に、大学における開放制教員養成というのが二つ目原則であるというふうに私ども考えている次第でございます。第三番目が現職研修の重視という考え方があるわけでございまして、この三つ基本的理念によって現在の教員養成制度ができていると思う次第でございます。  ただ、社会進展に応じまして、この原則と若干変わりまして、学校教育多様化とかそういう観点から、いろいろな幅広い人材教育界への誘致ということが必要になる次第でございます。現行制度におきましても、高等学校教科領域の一部についての教員導入につきましてはそうしたことが考えられておりますし、また特殊教育学校におきます特殊の教科教員につきましてもいろいろな社会人を連れてくるというような観点からの特例措置が設けられている次第でございます。  最近の教育界現状は、教育内容多様化でございますとか児童生徒状況などから見まして、まさに社会でいろいろな勉強をされた方々においでいただきいろいろ活躍していただくことを学校状況が待っているという状況でございまして、そうした観点から、今回特別免許状また非常勤講師についての特例措置などを設けまして学校現状対応した教員導入というものを考えている次第でございます。
  15. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございました。  質問の都合で多少順序が相前後するように思うわけでありますが、今回の一部改正案の中に入ってございますいわゆる教職特別課程、このことについて若干たださせていただきたい、あるいは御質問申し上げたいというふうに思うわけであります。  この新しい特別課程でございますが、この意図と申しますのは、いわゆる幅広い人材教員に誘致して教員構成多様化してその組織の活性化を図るということが一つの大きな柱、目的になっているというふうに思わせていただいているわけでありますが、このことについて少しく詳しい説明をお願いいたしたいと思います。
  16. 倉地克次

    倉地政府委員 教職特別課程でございますけれども、これは大学ないしは大学院を修了した方に一年程度ここで教職に関する課程履修していただいて免許を付与しようという制度でございます。  これは広く人材教育界に求めたいという観点から設けられた制度でございますが、現在の養成制度教科に関する単位教職に関する単位を並行して履修するという原則をとっておりますけれども、この制度によりまして教科に関する単位を取った後で教職に関する単位を取るという縦型の考え方による制度ということになる次第でございます。広く人材を求めるという観点からこの制度が設けられたものと承知している次第でございます。
  17. 逢沢一郎

    逢沢委員 今回の教育職員免許法等の一部を改正する法律案、具体的にどういうところが改正になるのか、その意味は、あるいは意図は、思いはという柱別にお伺い申し上げたわけでありますけれども、最後に中島文部大臣に直接お伺いを申し上げたいと思うわけであります。  私ども、今回のいわゆる教員免許法改正が将来の日本教育に与える影響は、もう本当にはかり知れないほど大きなものがあるんだ、大変大きなものがあるんだという強い認識を持っているわけであります。そして、私自身としても、教育改革を逐次立派に前進をさせていく、その中にあって今回まさに議論をさせていただいております免許法改正というものはどうしてもやらなければいけない、避けて通ることのできない大事な、そして将来を考えた立派な法律改正なんだという誇りと自信を持たせていただいているわけでありますけれども、改めて大臣の今回の教育職員免許法の一部改正についての基本的なお考えあるいはまたその姿勢決意をお伺い申し上げたいと思います。
  18. 中島源太郎

    中島国務大臣 逢沢議員からの適切な御指摘をいただいて拝聴いたしておりました。  この教育職員免許法改正いたすということはまさに教育改革の一番大きな柱に沿ったものでございまして、先ほども申しましたけれども、少なくとも社会そのもの成熟度を増しますと多様化個性化国際化をいたしてまいります。それにみずから対応できるような児童生徒を育成することが必要でございます。そのためには当然のことながらその学校教育を支えている重要な教員方々資質能力向上というものが必要でございます。もう一つは、児童生徒に対するときに、単に教員知識を伝達するという職業ではなくして、それぞれの個性、それぞれの年齢に応じまして適切に指導するという能力も必要でございます。  したがって、そういう中で今政府委員お答えいたしましたように、三つの点で、一つ養成段階において、それからもう一つは採用の問題もございます。もう一つ現職研修の中で資質能力を高めていただこうということで、一つ専修免許状という中で特定知識指導力を有した方々教員導入する、もう一つ社会人として活躍していらっしゃる方々教育の場を与えて導入させていただく、もう一つはそういう中で現職の過程におられながら現職研修をみずから積んで次のステップに対して意欲を高めていただく、こういうことを盛り込んだものでございますので、最初に申し上げましたように、まさに教育改革の重要な柱に沿った改正である、私どもはこの内容をぜひ御理解いただいてぜひとも成立をさせ、教育改革を一歩前進させたい、こういう決意で臨んでおりますし、今後とも努力をいたすつもりでございますので、一層の御鞭撻、御指導をいただきますようにお願いを申し添える次第でございます。
  19. 逢沢一郎

    逢沢委員 今回の法律改正に対する大臣の基本的な姿勢、そして強い決意を改めてお伺いすることができまして、私ども大変意を強くさせていただいたようなことでございます。基本的なそういった大臣姿勢をこれからも堅持をしていただきまして、教育改革を進める中の大きな柱の一つが、この教員免許法改正によってつくることができるんだという思いを共有いたしながら前進をしていきたい、改めて私どももそういう思いを持たせていただいたところでございます。  若干の時間を残しておるようでございますけれども免許法等の一部を改正する法律案の重立った問題点と申しますか、私自身がここを伺っておきたいなということをすべてお伺いすることができましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
  20. 中村靖

    中村委員長 次に、佐藤徳雄君。
  21. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、最初に申し上げておかなければいけない点があります。  この審議付託順序に従って、つまり国会の慣例でありますから、そういう条件の中で審議を進めるべきであるという主張をかねがね理事会等でも何回か繰り返してまいりました。しかし、結果的にはまたぞろ審議順序を事実上入れかえたようなこのやり方に対して、私は極めて遺憾であることを冒頭に表明して、質問に入りたいと思います。  まず最初に、教育免許法は戦後初期の民主的教育改革の一環として一九四九年に制定されまして、戦前の師範学校を中心とする閉鎖的教員養成制度を否定し、大学における教員養成開放制免許主義、教職専門職制現職教育の重視などを原理として成立してきたはずであります。それが戦後の教育発展、特に教師の力量形成や連帯の強化に果たしてきた役割は極めて大きかったと言えましょう。  さてそこで、質問最初は、今日まで法改正が何回か行われてきたはずでありますが、その経過についてお尋ねをいたします。そしてまた、この間廃案になった経過もあるわけでありまして、その廃案になった理由は何であったのか、明らかにしていただきたいと存じます。
  22. 倉地克次

    倉地政府委員 免許法に関する主な改正でございますけれども、昭和二十八年、二十九年、それから四十三年、四十八年提案の法律が成立いたしまして、四十一年と五十九年提案の法律が廃案となっている次第でございます。  四十一年と五十九年に廃案になった理由でございますけれども国会において他の法案審議との関係から日程的に審議時間を確保できなかったという理由などによるものと理解している次第でございます。
  23. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 他の法案の関係について今説明がありましたが、どうも私は、厳密に調べてみないとわかりませんけれども、その経過をたどってみますと必ずしもそういう状況ではなくて、しかも調査室が発行した資料によりましてもその経過は違うような気がしてなりません。なぜ一体廃案になったのかというのは、その時点時点の問題ではなくて、この免許法が抱えている今日の問題点、そしてさらに将来を見通したその状況の中から廃案という状態が生まれてきたのではないか、私はこんな感じを強く抱いているわけであります。  さて、免許状種類免許基準に関するものは五十九年の改正だけであったのじゃないかと思いますけれども、五十九年改正内容を具体的にひとつ説明をしていただきたいと存じます。
  24. 倉地克次

    倉地政府委員 五十九年に改正法案を提案いたしまして廃案になっている次第でございますけれども、この五十九年の法案内容免許状について三種類免許状を設定し、かつ、免許基準引き上げをしている次第でございます。ただ、五十九年提出案につきましては、免許基準引き上げが現在御審議いただいております法案よりは相当数高くなっているというのが実情ではないかというふうに考えております。
  25. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは次に、教職課程の認定を受け、教員養成を行っている大学、短大、大学院の数を明らかにしてください。そしてまた、それぞれの割合についてはどうなっているのか、この点についても明確にしていただきたいと存じます。
  26. 倉地克次

    倉地政府委員 課程認定大学、短期大学などの数でございますけれども大学の正規の課程として認定されておりますのが三百九十四、これが全大学に対する八三・一%ということになっている次第でございます。それから、短期大学の正規の課程でございますが、これは四百五十ということになっておりまして、そうした大学に対する総数は八〇・二%ということになっている次第でございます。それから、大学院課程認定を受けておりますのが二百三でございまして、これが大学院総数の七〇・五%ということになっている次第でございます。それから、大学の専攻科につきましては七十七でございまして、総数に対して八七・五%ということになっている次第でございます。それから、指定養成機関でございますが、これが七十九ということになっている次第でございます。それで、大学、短期大学の総数が千四百九十でございまして、課程認定を受けている大学、短期大学は千二百三でございまして、八〇・七%ということになっている次第でございます。
  27. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その次に、一般大学・学部、短大出身者の教職就職者の割合はどうなっておりますか。これも具体的に明らかにしてください。
  28. 倉地克次

    倉地政府委員 教員就職者でございますけれども、これは養成大学一般大学を比較しますと、養成大学につきましては三五・五%、一般大学につきましては六四・五%という比率になっている次第でございます。
  29. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私がお聞きしておるのは、具体的に申していただきたいということをつけ加えてあるわけであります。例えば、幼稚園、小学校中学校高等学校、障害児などあるわけでしょう。それも細部についてお知らせください。
  30. 倉地克次

    倉地政府委員 それでは、各学校種別につきまして申し上げますと、小学校については、養成大学が八六・三%、一般大学が一三・七%、中学校につきましては、養成大学は五八・四%、一般大学が四一・六%、高等学校につきましては、養成大学が一五・三%、一般大学が八四・七%、それから盲学校につきましては、養成が六〇・八%、一般が三九・二%ということでございます。それから聾学校につきましては、養成が六三・〇、一般が三七・〇ということでございます。養護学校につきましては、養成が六五・二、一般が三四・八、幼稚園につきましては、養成が一・七%、一般が九八・三%、それから養護教員につきましては、養成が三〇・八、一般が六九・二ということでございます。
  31. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 教員養成大学・学部の教員免許取得者は何名ですか。
  32. 倉地克次

    倉地政府委員 教員養成大学・学部の免許状取得者の数でございますが、実数で申し上げますと二万六百八十三ということになっている次第でございます。
  33. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 昭和六十二年十二月十八日に教育職員養成審議会、つまり教養審であります、教養審答申が発表されましたが、その答申内容と本法案内容とにどのような相違点があるのでしょうか、あるとすれば具体的に指摘をしてください。
  34. 倉地克次

    倉地政府委員 答申の内容と本法案内容でございますけれども、大筋においては一致しておると思う次第でございますけれども、御指摘に基づきまして詳細に申し上げますと、普通免許状の名称について差がある次第でございます。教養審答申では専修免許状、標準、初級免許状というふうになっておりましたけれども、本法律案では専修免許状一種免許状、二種免許状というふうになっている次第でございます。その理由でございますけれども、専修、標準、初級という呼び名が普通免許状を三段階にするような印象を与える次第でございますので、これを専修、一種、二種というふうに変更した次第でございます。一種と二種につきましては、一種がいわゆる二種に対して上級免許状ということができるわけでございますけれども専修免許状と一種の間にはこのような関係はございませんで、専修免許状は一定の分野について深く研さんを積んだということになっているわけでございまして、名称変更によりそうした関係をより明確にした次第でございます。  それからもう一点は、特別免許状所有者の普通免許状取得の件でございますけれども、これは教養審答申では「特別免許状を有する者が、現職経験を積み、普通免許状を取得するには、普通免許状種類に応じて所定の単位を修得しなければならない」という記述があるわけでございますけれども、本法律案におきましては特別免許状所有者の普通免許状の取得については規定をいたしませんで、特別免許状所有者も通常の方式に従って普通免許状を取得する場合には取得していただきたい、そのようにしている次第でございます。
  35. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そういたしますと、大筋については答申とほぼ変わりはない、つまり文部省の諮問、試案どおりにほぼいった、こういうふうに理解してよろしいですか。
  36. 倉地克次

    倉地政府委員 十二月に教養審から御答申いただいた内容とは大筋において相違はないというふうに理解している次第でございます。
  37. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そうなりますと、その期間にもよりますが、ほぼ文部省が描いていたものと変わらない、逆に言ったら文部省が描いていたものを答申してもらった、こんな印象を私は強く受けるわけであります。果たしてその答申のあり方がそういう状況でいいのかどうか。これは、国会の中でも十分これからも教養審に限らずすべての問題について私は言及をして検討を必要とする大きな問題点ではないか、こんなふうに感じているわけであります。  さて、普通免許状種類現行の一級、二級という二種類から新たに、今説明がありましたとおり、専修、一種、二種の三種類に細分化をした。その細分化をした趣旨と目的は何ですか。
  38. 倉地克次

    倉地政府委員 細分化いたしましたのは、先ほど免許状の性質で若干触れた次第でございますけれども専修免許状につきましては、一種免許状を基礎といたしまして特定分野について深く学識を積んで資質能力について十分な研さんが積まれた免許状ということで設定された次第でございまして、こうした免許状を設けましたのは、修士課程を卒業した方々教育界に誘致したいという考え方一つある次第でございます。  また、一種免許状を持っておられる方々が修士レベルの所定の単位を取っていただきまして現職研修によって専修免許状をお取りいただくというように、現職研修を一層自発的に受けていただくということを奨励する意味でもこれを設けた次第でございます。  また、標準免許状につきましては、現在大学卒業程度資質能力教員資質能力に必要とされる標準的な水準であるというふうに考えましてこの一種免許状が設けられている次第でございます。  また、二種免許状につきましては、短大卒業を基礎資格とした免許状でございまして、これにつきましては、一種免許状との比較においてなお研さんが必要であるというふうに位置づけられている免許状でございまして、二種免許状方々については一種免許状をできるだけ早くお取りいただくように努力していただくということを期待して法律案はつくられている次第でございます。
  39. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 なお、この問題については後ほどまた具体的に申し述べまして質問をいたします。  さて次は、専修免許状を取得できる大学院は現在幾つあるのでしょうか。
  40. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状が、制度が実施された場合に取得が恐らく可能になるであろうという大学院について調べてみた次第でございますけれども高等学校につきましては約二百程度大学院がある次第でございます。中学校につきましては百八十程度大学院がある次第でございます。小学校につきましては、小学校課程認定を受けた大学にあります大学院について調べたわけでございますけれども、三十四大学院ということになっている次第でございます。幼稚園につきましては、三十三の大学院ということになっている次第でございます。
  41. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これは後との関連もありますから、後ほど言及をいたします。  さて、学歴偏重を克服することが今日の教育の重要な課題となっていることは御承知のとおりでありまして、修士課程を修めたというだけで制度上の格差をつけるということはどういうことなんでしょうか。端的にお答えください。
  42. 倉地克次

    倉地政府委員 修士課程を基礎資格とする専修免許状を設けましたのは、修士課程を終えて大変よくいろんなことについて研究された、そういう方々をぜひ教育界に誘致したいということと、もう一つは、現職方々が修士レベルの単位を修得し、現職研修を行いたい、そういう自発的な意欲を喚起するためという二つの理由をもってこうした免許状を設けた次第でございます。
  43. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 つまり、仮にこの法案が通って専修免許を取れる大学院というのは、数からいって事実上極めて少ないわけでしょう。それはどうですか。
  44. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど大学院の数を申し上げましたけれども高等学校につきましては、現在高等学校一級普通免許状を取得することができる大学院専修免許状が創設された場合にも対応できるというふうに考えておりますので、これは相当数あるというふうに考える次第でございます。  それから、中学校の場合も、多くの大学中学校一級普通免許状と高校二級普通免許状の両方の認定を受けた課程がございますので、そうした課程におきます大学院対応できるということで、これも相当数あるというふうに考えられる次第でございます。  幼稚園と小学校につきましては、先ほど申し上げましたように、現在におきましては大学院の数が非常に少ないわけでございますけれども、実際において専修免許状が設けられました場合には、現在大学院の整備充実が相当進んでおりますので、相当数の修士課程専修免許状課程認定を受けられることが予想されるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  45. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これはいずれ明らかになることでありますが、しかしあなたがおっしゃっているような数の上からいって計算をしてみますと、必ずしもそういうことにはならないんじゃないかというような感じもいたします。つまり、事実上開放制をとっておるとはいいながら、しかしこういう法案が通るとすれば、実際には私立大学学生が初めから道を閉ざされてしまう、こういうことは考え方としては十分できるのじゃないか、こんな感じがするわけであります。  もしそうだとすれば、一部国立大学の学歴を特権化することになることは明らかであります。果たして、今日までとってまいりました開放制に逆行しないかどうかということを、多くの現場や学者が指摘していることは御承知のとおりだと思います。これを特権化につながらないとするなら、その理由を具体的に、大学を含む教育現場人たちが納得するような答弁をぜひお願いをいたします。いかがですか。
  46. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど申し上げました大学院の数の中に、私立の大学大学院も相当数あるわけでございまして、国立と私立が両々相まって、専修免許状を取得できるような課程認定を受けた修士課程大学院が用意されるというふうに私どもは期待している次第でございます。
  47. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 この問題だけでやりとりしても相当な時間が必要になってくるわけでありますが、いずれ私どもの同僚議員がさらにこの問題の追及をするはずだと思いますので、そこにゆだねたいと思います。  さて、普通免許状を学歴により専修、一種、二種の三段階に改めるという今度の法律案は、すべての価値を学歴によって評価をし律しようとする、いわゆる形式的、画一的発想であり、学歴社会の廃止を唱えている臨教審の改革の方針とはどうも反するんじゃないか、こんな感じを持つのですが、これは大臣、いかがでしょうか。
  48. 中島源太郎

    中島国務大臣 先ほどから政府委員お答えをいたしておりますように、教育の、要するに学歴化とは申せないわけでありまして、しかも一種、二種と分けまして、その一種の中で、特に専門分野で深い知識を有した者に専修免許状を与える、しかも、三種類にいたしましたけれども、その三種類免許状について職務内容の違いや給与の差は設ける考えは毛頭ございません。  それともう一つは、それぞれの免許状を取得する道をそれぞれ開いておるわけでございまして、二種の免許状を有していらっしゃる方はさらに一種を、一種をお取りの方はさらに専修免許状をお取りになる、もちろん現職研修の意義を認めつつそういう道も開いておるわけでございます。そういう意味で、この三種類免許状が永続的に免許状の範囲を固定したものではないわけでございますし、そういう意味からいたしまして、学歴によるランクづけが教育の場に持ち込まれるという考えは毛頭ない、また、おっしゃるような御指摘の点の懸念は生じないというふうに私どもは考えておるところでございます。
  49. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 具体的にその次の段階お尋ねをいたしますが、今のお答えの中で確認をさせていただきます。  人事、給与、昇給昇格ですね、給与の部類に入るわけでありますが、それに差をつけるということは毛頭考えていないとおっしゃいましたけれども、人事の面についても確認ができますか。――大臣に聞いている、大臣に。
  50. 倉地克次

    倉地政府委員 制度といたしましては、給与等につきましては制度がきちんと定まっているわけでございますので、そうしたものにつきまして差をつける必要がございませんですし、またそういうつもりもないわけでございます。ただ、人事につきましては、一般的な人事ということになりますと、これは任命権者のいろいろな要素による人事ということになりますので、画一的にどうだということを申し上げることはなかなか難しいのではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  51. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうもわかりませんね。だから私は大臣と言ったんですよ。だから、大臣が先ほどおっしゃったことを確認する意味で再度お尋ねをしたんですから。人事の問題だって給与の問題だって無関係じゃないでしょう。大臣、いかがですか。人事にも給与にも関係を持たさない、こういうことを再度確認してよろしゅうございますか。
  52. 中島源太郎

    中島国務大臣 職務内容、給与について、この三種類免許があることによってそれぞれの差がつくことは考えておらない、こう申したわけでございます。
  53. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 まず、一たんこれをおきます。  次に、ちょっと角度を変えまして、これは大臣お尋ねをいたしますが、文部大臣大臣就任以来今日まで学校教育現場を視察をされた経験がございますか。もしあるとすれば校種別、さらには感想をお聞かせください。
  54. 中島源太郎

    中島国務大臣 お尋ねの点は、私も意識してできるだけ機会を見ましてお訪ねをしたい、こう思っておりました。都内におきましては、たしか台東区の竹町小学校、それから中学校は千代田区の一橋中学校、それから都立の港養護学校等を拝見をいたしました。小学校におきましては一緒に給食を……(「東京都ばかりじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、などでございます。一緒に給食をとらしていただいたこともあります。特に養護学校におきましては、教えていらっしゃる教員方々の御苦労も胸を打たれる思いがいたしましたし、その保護者の方々の御労苦も胸を打たれるような感じがいたしました。  しかし、率直に申しまして、二つの感想を持ちました。一つは、こういう児童生徒諸君は無限の可能性を秘めておられるなという感じはつくづくいたしました。もちろん見た目にはそれぞれ生き生きと生活をしていらっしゃるし、学校で学んでおられますけれども、それよりも、目に見えない無限の可能性を有しておられる新しい生命体が生き生きとここにいらっしゃるなという感じはいたしました。  ただそれだけに、二つ目は、この資質を伸ばしていただける教育職員方々の責任というものは大変なことだな。その意味では、資質をできるだけ向上していただき、先ほども申しましたけれども、少なくともそういう児童生徒諸君に新たな知識を伝達するだけにとどまらず、それぞれの個性あるいは発達段階に応じてきめ細かく指導していただく、育てていただく大事なお仕事だけに、そういう資質能力の高い教員方々が一人でも多くいらっしゃることを心から願った次第でございます。
  55. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 東京都内の学校を視察された感想をお聞きしたわけでありますが、もちろん御承知のとおり学校は東京都だけではありません、全国至るところにあるわけであります。しかも、恵まれない条件の中で教育を受けている子供たち、山間僻地もあるわけであります。いろいろ忙しい日程もおありでしょうが、ぜひ地方にも足を伸ばして、そしてそういう子供たちの授業の実態なり教師の苦労なりをつぶさに視察をしていただくと同時に、現場の教師とひざを交えて大臣が直接語り合う、こういうことがもしできるとすれば、私は、今後の教育を見詰める教師の目というものも変わってくるのじゃないかという感じがしているわけであります。  さて、私も長いこと教員経験をしまして現場経験を持っている一人でありますが、次のことを申しておきます。  まず、教師は常に子供たちとともにあるんだ、そして子供たちとともにいるんだ、これを押さえて認識を深めてもらいたい、こう思っておるところであります。  まず先生が出勤しますね、職員室に入ります。そして、小学校であればクラス担任を皆持っているわけでありますから、教室に入って子供たちの元気な顔をまず確認するでありましょう。これはだれもがやることであります。そしてまた、朝の授業の準備をさせるあるいは宿題の整理等を子供たちにさせて授業に入る、こういうパターンですね。まあ恐らく全国どこの学校でも、校種別によっては違いが出てくるかもしれませんが、ほぼ同じような形態をとっているであろう、私はこんな認識をしているわけであります。そして、予定された日課表に基づいて授業を進めています。これは御承知のとおりであります。そして、午前中の休憩時があります。この午前中の休憩時には、子供たちと一緒に校庭でほぼ教員は遊んでいます。そして、子供たちがけがをしないか、そして子供たちとともに、遊びを含めたいろいろなことをなされているのが実態なのであります。  そしてまた、午前の授業が終わって給食の準備に入ります。これは全く休む暇もなく子供たちと一緒に給食の準備をするわけでありまして、給食の時間が終われば今度は午後の授業に直ちに入る。そして一定の時間が終われば、学校によっては違いますが、清掃指導を行うとかクラブ活動に入るとか生徒指導や補習授業に入るとか中体連の練習に入るとか宿題の点検をするとか、そして週案や日案の作成をするとか、その合間を縫うと言っては失礼でありますが、教材研究をする、そして退勤をいたしますけれども、それでも仕事を家に持ち帰ってやらなければ次の日の授業なり子供たちに接する準備ができない。これが大体共通した現場教師の実態だろう、私の経験から言ってもそれは確信を持って実は言い切れることであります。  これは後でお調べをいただきたいと思いますけれども、たび重なる学校行事というものがたくさんあるわけです。そして、その合間を縫ってまた教材研究、こういう状況が続いているわけであります。だから、私から言わせれば、まさに今日学校実態というのは多忙化時代だ、もっとゆとりがあって、落ちついて子供たちに接するような状況がどうしてできないのか、これは私がいつも頭に描いているところなのであります。  それでも教師は常に子供たちとともにあるという観点に立ちながら、教師間の連帯は学校の和を保ち、それが子供たちに大きな影響を及ぼして、ひいては学力向上にもつながっていく、ここが私は一番大事な点ではないか、こう思っているところであります。そして、教師間の相互連帯と自己研修が折り重なって、それを授業や生活指導に生かす。子供たちの人間形成と先ほど大臣が申されました子供たちが持っている限りない可能性を引き出すことが私は本当の教育だろうというふうに信じているわけであります。  さて、臨教審が次のことを言っています。「教員には、児童、生徒に対する教育愛、高度の専門的知識、実践的な指導技術が不可欠である。」こう結んでおります。あるいは教養審でさえも「専門的知識、広く豊かな教養」、そして「実践的指導力」など、このようなことから生かされるのであって、これが免許状種類によって変わるべきものではないと私は思うわけであります。  教職員は職場で育つと私はよく先輩から教えられてまいりました。まだまだ言い足りない点たくさんありますが、かいつまんで私は今日の教育現場実態と多忙化の問題について触れましたけれども大臣、いかがですか。先ほどの感想につけ加えて、私の話を聞いたその中身についての大臣の感想なり御見解なり伺いたいと思います。
  56. 中島源太郎

    中島国務大臣 直接教鞭をとられた佐藤先生の御指摘でございますが、拝聴しておりまして、私も先ほど申し上げましたように教育職員方々の責任も重大でありますし、お仕事も大変なことであろうな、私も心からそう思います。また、先生が御指摘されたことも、現場にいらっしゃる先生の実感といたしまして私もよくわかるわけでございます。  それだけに、無限の可能性を秘めた児童生徒を育て上げるために、せめて養成段階にありましても実践的な指導力を養うような方法も必要でありましょう。また、臨教審あるいは教養審で指摘をされておりますけれども、私ども現行教育職員免許法の理念を全く否定するものではありませんで、この理念は今後とも遵守をしていく。そしてその中で今おっしゃるようなこともございますので、開放制の中に専門性向上させていくということも必要であろう、また、先生になられる前の養成段階でも特に必要であろうな、こういう感じはいたしました。そしてまた、そういうお忙しい中でありますけれども、日々児童生徒に接せられる中から学ばれた中で、また先生方の中でのいわゆる現職研修のとうとさというものも、私は伺っておりまして再認誠をさせていただいたところでございます。
  57. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 免許状、今度は専修、一種、二種とありますけれども、その免許状によって子供たちに接する教育内容は変わるわけではないのであります。まさに一種を持とうが二種を持とうが、仮に専修になろうとも、この人は専修の先生だからこういう授業をしなければいけないとか、そういうことはないのですね。まさに子供たちは平等に取り扱って、そして発達段階に応じた子供教育をしなければいけない。これは、私が言うまでもない話なんであります。そういうところから、かなり教育の本質というものをえぐり出していかなければいけないだろうというふうに私は思っておるわけであります。  今お答えをいただきましたが、まさに学校は、もっと多くの学校を見られるならば感じられるだろうと思いますけれども、多忙化ですよ。本当に忙しい。もっと教師にゆとりを持たせてくれるとすれば、もっといい教育ができるんじゃないか、こんな感じはいつでも私の頭から離れません。ひとつそういう実態も、大臣、お調べをいただいて、そして御検討いただきたい、こう思うのであります。これは要望しておきます。  さて、教育関係者や教職員団体、幾つかあるわけでありますが、教育現場等からは、今日提案をされております免許状を三種類に種別化する、あるいは階層化するということにつきまして、そういうやり方が対等、平等の本質に反しているんじゃないか、そして教職員の協力関係を悪化させるんじゃないか、あるいはまた、子供たちや父母、国民の教師に対する見方を混乱をさせて、教職員と子供、父母との信頼関係や連帯を大きく損なわせてしまうんじゃないかという危惧の念があることも事実であります。これは教育現場を知っていれば知っている人ほどこういう考え方が実は多く出されてきているわけであります。  学校内外の教育関係者のチームワークが不可欠であるべきなのに、それが免許状が階層化されて教師が格付をなされるとするならば、それは一層困難となるという指摘も事実あります。傾聴すべき問題提起であろうと私は思いますが、そんなことはありませんよ、つまりそうならないという反論があるとすれば、大臣を含めて具体的に述べてください。
  58. 倉地克次

    倉地政府委員 戦後の教員養成免許制度の基本的な理念にもかかわることでございますけれども、私どもといたしましては、戦後の教員養成免許制度の基本的な理念としては、専門職制の確立、それから大学における開放制教員養成、それから現職研修の重視ということがあると思う次第でございます。  今度、専修免許状、二種免許状一種免許状という免許状を設けましたのも、それぞれ免許状をお持ちの方々現職研修などをしていただきまして他の種類免許状をお取りいただくという自発的な研修の意欲ということに重点を置いている次第でございまして、現行免許制度の基本的な理念の一つである現職研修の重視といったところから出ているものというふうに理解しておる次第でございます。
  59. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣、いかがですか。
  60. 中島源太郎

    中島国務大臣 今政府委員からお答えしたこと、私が先ほど申し上げたこととやや重複をいたしております。また、重ねて申し上げますが、私も先ほど申しましたように、現行免許制度の基本理念をこれは遵守していくものであります。ただその上に、開放制原則といたしながら専門性向上も行っていこうということでございますし、またこれも繰り返すようでございますが、三段階とは考えておりませんで、三種類免許状をつくりますけれども、その三種類によって職務内容が変わりましたり給与が変わったりするものではない。また、三種類免許がそれぞれ取っていく道もつくっておるわけでございまして、永続的に固定したものではない、そういう意味で先生の御懸念はないものというふうに私は考えておるわけでございます。
  61. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間がありませんから、この問題だけに言及するわけにはまいりません。いずれまた問題提起をしたいと思います。  さて、本法案提出に至る経過については先ほどお答えはいただきましたが、調査室から配付をされましたこの資料ですね、これはごらんになったと思いますけれども、この中に幾つか問題点が書かれています。例えば――おわかりになりませんか。「教育職員免許法等の一部を改正する法律案内閣提出第四五号)に関する資料」昭和六十三年三月、調査室から出されている資料、これをごらんになっていませんか。局長
  62. 倉地克次

    倉地政府委員 私ども、大変恐縮でございますが、まだ見せていただいていないのが実情でございます。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  63. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その中にはこう書いてありますね。「昭和四十七年の教養審の「教員養成の改善万策について」の建議及び昭和五十三年の中教審の「教員資質能力向上について」の答申に基づき、教員資格認定試験の実施、新教育大学の設置、既設の教員養成大学・学部の大学院の設置、教育実習地域連絡協議会の設置などの法改正や施策が行われてきた。しかし、免許基準の引上げ、免許状種類改定などは手がつけられないままであった。これらは、問題が複雑であり、教員を始めとして大学、私学、教育委員会などの関係者の間で同意形成が進まなかったためである。」と言われております。  そうしますと、前段の段階で答弁した、つまり手続上の問題で廃案になったというような言い方とはこれは違うんですね、理解の仕方が。  そこで、お尋ねしたいのは、同意が進まなかったその原因と理由は何だったんでしょうか。そして、法案提出段階では同意形成ができなかったという理解をしてよろしゅうございますか。
  64. 倉地克次

    倉地政府委員 五十九年の改正におきましては、率直に申し上げますと、大変大きな幅の免許基準引き上げを行うという案になっておった次第でございます。この点については、最終的には皆さんの御了解を得て法案を提出した次第でございますけれども、その過程においてその大幅な引き上げについていろいろ御議論があったのは事実であろうというふうに私ども考えている次第でございます。
  65. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 さて、それでは次に、修士課程修了者は、さきの教養審答申、つまり昭和五十八年十一月二十二日で触れたように、高度の資質能力を備えていることを明らかにする意味で専修免許状等とするという言い方をしているのでありますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  66. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状は修士課程を修了した方に授与される免許状でございまして、修士課程におきましてはそうした高度な能力養成するわけでございますから、私どもとしてはそのように理解している次第でございます。
  67. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 一部の国立大学大学院の学歴が特権化をして教職員の間に差別を持ち込み、教員の管理体制の強化につながるんじゃないかという心配をしている人がいます。いかがですか。
  68. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状につきましては、先ほど申し上げましたけれども一種免許状を基礎といたしまして、その一種免許状を授与されるに必要な分野特定分野につきまして深く研究された方に授与されるわけでございまして、いわば一種免許状を深める形の免許状というふうに私ども理解している次第でございます。そうした次第でございますから、今御指摘のような懸念はないのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  69. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほど大臣からの答弁もありましたけれども、教養審答申でも開放制原則に立つと言い切っているようであります。また、本法案大臣の趣旨説明あるいは先ほどの答弁にありましたが、そのことをまさに強調しておられるようでありますけれども、しかし、このような法案の事実内容からいいましても、結果的には閉鎖制への志向を強めることにつながるのではないかというようにどうも理解せざるを得ません。  つまり、専修免許状の問題を取り上げても、あるいは国立大学の関係からいいましても、そういう懸念が非常に強いし、そしてむしろ、開放制をそのまま伸ばすのではなくて、新たな免許状をつくることによって逆な方向に行くのではないかという懸念をされますけれども、その点についてはいかがですか。
  70. 倉地克次

    倉地政府委員 現行教員養成免許制度でございますけれども、基本理念を申し上げますと、専門職制の確立、開放制、それから現職研修の重視ということがあるわけでございます。  私どもといたしましては、この三つのバランスによって現在の教員養成免許制度がつくられているというふうに考えている次第でございまして、現実に必要となる教育の実情に応じて、このバランスを考えながらそれぞれ手当てしていくのが最も妥当ではないかというふうに考えている次第でございます。
  71. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その次に、他の種類免許状を取得する取り扱いの問題でありますが、特に二種免許状を所有する教員の取り扱いについてお尋ねをいたします。  短期大学卒業程度を基礎資格とする初級免許状については、十五年以内に必ず標準免許状を取得しなければならないという教養審の答申でありますが、たしか十五年失効の措置が入っていたのではないかと思いますけれども、それが、今度はその部分については消えていますね。いかがですか。
  72. 倉地克次

    倉地政府委員 二種免許状が十五年で失効するというのは、中間報告の段階では入っておった次第でございますけれども、本答申の段階ではそうしたことは除かれた次第でございます。
  73. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは角度を変えてお尋ねいたしますが、この問題について失効はしないということでありましても、かなりの制約が出るわけであります。これについて、短期大学学校当局ないしは関係者の意見を吸い上げての法案提出という状況ですか。
  74. 倉地克次

    倉地政府委員 中間報告発表後、審議会におかれましてはいろいろな団体からまた御意見をお聞きになった次第でございまして、その段階におきまして短期大学方々の御意見も十分伺いまして今回の案に至っている次第でございます。
  75. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 いろいろな人の意見と申しましたけれども、例えばどういう短期大学の関係者ですか。
  76. 倉地克次

    倉地政府委員 審議会におかれまして御意見を聴取されました団体の名称を申し上げますと、全国公立短期大学協会、それから日本私立短期大学協会などにつきまして、御意見をいろいろとお聞きした次第でございます。
  77. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 直接短期大学先生方にお聞きになったという経過はありますか、ありませんか。
  78. 倉地克次

    倉地政府委員 私どもにおきましては、こうした協会の方々現場のいろいろな方々の御意見を集約して、私どもの方と申しますか、審議会の方へ御意見を申し上げられたのではないか、このように考えている次第でございます。
  79. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 いろいろ問題はありますけれども、例えば、団体ないしはいろいろな人、こうおっしゃいましたから、いろいろな人の部分に入ると思いますが、その中でいろいろな意見があったと思います。反対意見があったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  80. 倉地克次

    倉地政府委員 中間報告でお示しした案につきましてはいろいろ御意見がございまして、その結果、現在御提出してある案にまとまった次第でございまして、現在の案については、大筋において皆様御了解いただいたものというふうに考えている次第でございます。
  81. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は具体的に聞いているのです。反対の意見はあったのですか、ないのですかということを聞いているのです。あるとか、ないとか答えてください。
  82. 倉地克次

    倉地政府委員 中間報告につきましては、率直に申し上げまして、大変反対の意見も多かったわけでございますけれども、現在の案につきましては御了解をいただいたものというふうに考えている次第でございます。
  83. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 中間的には反対が多かったけれども、今回の場合はなかった、こういう説明ですね。  それでは、短大だけではなくて大学関係についてはどうですか。一般大学関係については、反対があったのですか、ないのですか。
  84. 倉地克次

    倉地政府委員 一般大学につきましても、十五年でその二種免許状の効力が切れるということについては反対の御意見が多かった次第でございますけれども、今回の案につきましてはおおよそ御了解をいただいているということでございます。
  85. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これ以上言えば水かけ論になりますけれども、どうもおかしいですね。中間では反対が非常に多かった。そうすると、説得したのですか、どうなんですか。あるいは、若干の手直しをしたことによって、文部省が提示したような、あるいは教養審が提示したようなことについては賛成だ、こういうふうになったのですか。
  86. 倉地克次

    倉地政府委員 二種免許状が十五年によって効力を失うということについては反対があったわけでございますけれども、今回の案ではそうした効力を失うということはないわけでございますので、大筋において御了解をいただいている次第でございます。
  87. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 まあいろいろありますから、後で時間があれば申し上げますが、一たんそこはおきます。  さて、その次に、本法律案では、二種免許状を所持する教職員について一種免許状を取得するよう努める義務を新たに規定しておりますね。この義務違反に対して、何らかの不利益、制裁措置は予定されているのですか、どうですか。
  88. 倉地克次

    倉地政府委員 九条の二におきまして、二種免許状を持っておられる方が「相当の一種免許状の授与を受けるように努めなければならない。」という努力義務が規定されている次第でございますが、この規定に直接そうした制裁規定と申しますか、そういうものが設けられていることはない次第でございます。
  89. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そうすると、制裁措置はしない、こういう理解をしてよろしいですね。
  90. 倉地克次

    倉地政府委員 九条の二というのはそうした努力の義務を定めた規定でございますので、この規定自体にはそういうものは含まれていないということを申し上げている次第でございます。
  91. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 含まれている、いないにかかわらず制裁措置は行わないのですねということを聞いているのですよ。制裁措置はやらないのですね。
  92. 倉地克次

    倉地政府委員 九条の二と申しますのは、そうした努力をしなければならないという義務を定めているわけでございますから、その義務に直接的に、その義務違反を構成要件として罰則を定めるとか、そうした制裁措置を規定するということはしていないということでございます。
  93. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それで納得したわけじゃありません。いずれまた触れさせていただきます。  現行法では、一級免許状を取得する場合、十五年の教職経験があればということになっておりますが、本法案ではこれを廃止しようとしているわけであります。これは在職経験による教員資質向上の評価をしないものじゃないかという声も高まっているわけであります。この点についてはいかがですか。
  94. 倉地克次

    倉地政府委員 十五年ゼロ単位制度のことでございますけれども、これは二十九年の改正によって設けられたものでございます。その当時、僻地などにおきまして現職研修の機会をなかなか得ることができないような方々につきまして、その長期の在職経験をどのように評価したらいいかということで特例的に設けられた措置でございます。  今回、この制度をなくすることにしているわけでございますけれども現職経験に応じまして修得すべき単位数を一年に五単位ずつ逓減するというような措置を設けておりますので、現職経験につきましては十分尊重した措置をしている次第でございます。
  95. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 教育現場における経験というものは私は重視をすべきだ、かなりの経験を積んでいるわけでありますが、そういうお考えに立ちませんか。
  96. 倉地克次

    倉地政府委員 教員資質能力は、何と申しましても、養成段階でいろいろ勉強されることも必要でございますが、これはあくまでも現場での実践、指導力の基礎を養うものでございまして、その後の現職経験によってそうした指導力は高められていくというふうに私ども考えている次第でございます。  そうした観点から、今回におきましてもその現職経験を重視し、一年に五単位ずつ逓減するというような措置も設けている次第でございまして、今回御提案申しております法律案におきましては、その現職経験を重視すると同時に、また体系的な研修を受けることが一層実践的な指導力を高めるものであるという観点に立ちまして、両々相まって資質能力向上が図られるという観点からこのような制度が設けられているというふうに理解している次第でございます。
  97. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それではその次に、二種免許状を所有している教員で、採用後十二年を経て一種免許状を取得するために受講すべき認定講習の指定を授与権者から受ける教員の予想人員を把握していると思いますが、どうなっておりますか。
  98. 倉地克次

    倉地政府委員 今回御審議いただいております法律の中には、二種免許状所有者につきまして一種免許状を取得するようにという努力義務規定も入っておる次第でございます。私どもといたしましては、二種免許状の方につきましては、一種免許状に比較し、なお研さんの必要のある者というふうに理解している次第でございますので、教職におつきになってからできるだけ早くいろいろな研さんを積まれまして一種免許状を取得されることを期待している次第でございます。  そういうことでございますので、この法律施行によりまして二種免許状方々が早急に一種免許状を取得されるようなことがありますれば、この七号以下の規定の適用を受ける方は少なくなるわけでございまして、そうした事態を私どもは期待しているわけでございます。そうしたことから、現在のところどの程度の人がそういうふうになるかということについては予測していない次第でございます。
  99. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これだけの確信を持って法案を出しているのにこういう調査もしないで法案の提出をしているのですか。予想される人員ぐらいは調べておくべきじゃありませんか。どうなんですか。
  100. 倉地克次

    倉地政府委員 私ども、十五年ゼロ単位で一級の免許状をお取りになる方につきましては毎年六千名程度の方がおられるということは承知している次第でございます。そういうことでございますから、この程度の数字を上回ることはあり得ないというふうに考えている次第でございます。
  101. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも官僚一流の答弁のような気がしてなりません。こういう問題につきましては、個人個人にとりましては極めて重要な問題でありますから、きちんとこういう予想人数等を踏まえて、把握をしてひとつ答弁をお願いしたいということを要望しておきます。  さて、採用後十二年を経て一種免許状を受講する場合、本人の希望というものはどの程度受け入れようとしているのですか。
  102. 倉地克次

    倉地政府委員 それは、そのときの授与権者におきます個々の実情ということが非常に影響する次第でございますけれども、私どもとしては、本人の意見を聞きまして適切な研修が受けられる、いわゆるここに書いてあります大学課程等が指定されることを期待しているということでございます。
  103. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 本人の勤務や家庭条件などを無視した一方的な内容を指定するということはありませんね。いかがですか。
  104. 倉地克次

    倉地政府委員 そうしたことも十分勘案してこの大学課程等が指定されることを期待している次第でございます。
  105. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも期待するとか努力するなんという言葉だけでは答弁にならないですね。いずれまた触れます。  さて、指定された講習等を受講する間に、本人は休職、休暇、勤務のいずれかの取り扱いになるのだろうと思いますが、いかがですか。
  106. 倉地克次

    倉地政府委員 先生お尋ねは、この三年の中で休暇をとられたり休職をとられたりした場合にはどうなるかというようなお尋ねであろうかと思うわけでございますけれども、病気による休職でございますとか産前産後の休暇のような問題が生じた場合には、そうした期間につきましてこの三年から除外するということによりまして適切に対応してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  107. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 次に、同じようなことを質問いたしますが、これは政策にかかわる問題ですから、ちょっと大臣お答えいただきたいのですけれども、この場合、欠員を補充する予算、それから人事上の措置というものは考えていらっしゃるのですか。どうなんですか。ちょっと大臣に――専門家ですか。
  108. 倉地克次

    倉地政府委員 ただいまのお尋ねの場合でございますけれども、これは当該の講習の形態とか時期とか期間によりまして一概に申し上げることは大変難しいことではないかというふうに考える次第でございます。本人ができるだけ無理なく受講できるようなことで私どもとしてはやってまいりたいと思う次第でございますけれども、本人が大学などにおいて長期にわたり受講するような場合には、研修等定数などの活用によりまして遺憾のないよう措置していきたいというふうに考える次第でございます。
  109. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間も限定がありますからもうあと五分ぐらいしかありませんで、もっと言及する時間がありませんのは残念でありますが、いずれまたこの問題についても触れさせてもらいます。  さて、単位修得の方法の指定に当たりましては、大学課程、認定講習、公開講座、通信教育、試験の中から複数のものを選択的に指定するようになるのでしょうか、それとも一つだけ指定をするようになるのでしょうか。
  110. 倉地克次

    倉地政府委員 これは本人の御意見もよく勘案いたしまして一つを御指定申し上げることになるのではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  111. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それじゃ、具体的な指定の仕方としては、大学名、講座名、講習のテーマ、日時等まで指定をするんですか。
  112. 倉地克次

    倉地政府委員 おおよそこの大学で行われるこの講座をとってほしいということで指定することになるのではないか、そのように思っている次第でございます。
  113. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 十五年経過をするわけでありますが、単位修得はなかなか困難だという場合だって想定できるわけであります。いろいろな個人個人によっての条件があるわけでありますけれども、時期の指定についてはどうお考えになっていますか。
  114. 倉地克次

    倉地政府委員 時期の指定につきましては、そこの七号にございますように、経過日から起算して三年間の間に単位をお取りいただくように指定する次第でございます。
  115. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほども触れましたけれども現行法は、他の免許状を取得する際、最低在職年数を超える在職年数がある場合にそれに応じて必要単位数が逓減される仕組みになっておりますね。改正案はこの軽減措置を認めていないんじゃありませんか。当初必要な単位数を四十五単位に引き戻してしまう、こういうことなんでしょう。それはどうです。
  116. 倉地克次

    倉地政府委員 改正法におきましても、最低在職年数を超えた場合につきましては一種と二種につきましては一年に当たりまして五単位ずつ逓減する次第でございます。現行法ではこの逓減が十五単位で終わりになる次第でございますけれども改正法では十単位まで逓減する次第でございます。
  117. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 だから、最悪の場合を判断した場合については、当初必要な単位数四十五単位に戻ってしまうんでしょう、その場合は。違いますか。
  118. 倉地克次

    倉地政府委員 改正法におきましては、ただいま申し上げましたように、修得すべき単位数が十単位ということになるわけでございますけれども、この単位をお取りいただくということになる次第でございます。  この十単位が、十二年を経過するとそういうふうになるわけでございますけれども、その経過したときから三年の間につきましては大学等の講座を授与権者が指定し、任命権者の方においては指定された講座がとれるようにいろいろと協力をするということがあるわけでございまして、そうした本人の方の研修の意欲とそれから任命権者の方の努力、授与権者の努力が両々相まってこの十単位が十五年以内に取れることを期待している次第でございます。そうしたことでどうしてもお取りになれないというときには、十五年過ぎた場合にはまたこれが四十五単位に戻るということになっておる次第でございます。
  119. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 実は予定したものがたくさんまだ残っているわけでありますが、もう時間になってしまいました。私の同僚議員のだれかがこれを受け継いでくれるだろうとは思いますけれども、最後に、ILO、ユネスコの勧告、御承知だと思いますけれども教員の地位に関する問題であります。その内容についてちょっと説明してください、そう長いはずはありませんから。
  120. 倉地克次

    倉地政府委員 教員の地位に関する勧告でございますけれども、これは教員の経済的社会的地位を高めることを目的として作成されたものというふうに考えている次第でございます。
  121. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 本来ならこの部分でもやりとりが必要であります。しかし、時間がもう参りました。  そこで、最後に大臣、こういうILO、ユネスコの勧告がせっかくあるわけでありますから、教員の研修に対する自発性や意欲を持たせるためにも、このILO、ユネスコの勧告について、本会議でも多分以前に答弁をされたような記憶があるわけでありますが、この部分の関係について、ひとつ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 中島源太郎

    中島国務大臣 佐藤議員のおっしゃっておりますユネスコの勧告は、一九六六年の勧告だと思います。これにつきましては法的拘束力は持っておりませんけれども、この勧告は努力目標を示したものというふうに考えております。そういう意味で、現職教育の重要性を認識するということ、これは三十一条から読み取れるわけでございます。また七十二条では、教員教員団体は生徒教育活動、社会一般の利益のために当局と十分協力するよう努めるものとする、こういうことでありまして、両者の力を合わせながら教員資質向上に資していこう、こういうふうに私どもは読み取っておりまして、その線に沿って努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  123. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 終わります。
  124. 町村信孝

    ○町村委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  125. 中村靖

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林保夫君。
  126. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣初め皆様、御苦労さまでございます。教育職員免許法の一部改正案を中心にいたしまして、きょうは第一日目の質問でございますので、基本的なべーシックな問題につきまして文部省当局の御意見を十二分に聞かせていただきたい、このようなことで質問させていただきたいと存じます。  それより先に、臨教審の答申が出まして、その後いろいろ文部省あるいは政府各機関あるいは大学その他におきましても対応を急いでおられると思いますけれども、ポスト臨教審の推進会議どもまだ法律すら成立していないような状況にあると思います。そしてまた、私ども現場へ行きまして非常に大事なことは、臨教審の答申がそのまま全部実行に移されるわけではないことも承知の上で、もうこうなってしまうのだというようなことからいろいろな面での期待と、それから、逆に言いますと混乱が出ているような感じがしてなりません。  本日審議いたします免許法もその一つの例だと言っても過言ではないと思いますが、そういった点で非常に大事であると同時に、きっちり対応してあげなければ困るという問題もあろうかと思いますが、その辺につきまして大臣の御所見をまず承っておきたいと存じます。
  127. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃいますように、臨教審あるいは教養審の御答申もいただいておるわけでございます。しかし、そこに一貫して流れておりますものは、やはり社会の変化に対応できるような青少年を育成する、そのためには、小学校中学校あるいは高等学校教育内容が変化をいたす、それに対応するような方策を速やかにとるべきであるという内容の御答申でございます。  これはまさに教育改革を前提といたしました幾つかの御提言でございまして、それを踏まえてまいりたいと思っておりますし、その根本は、やはり教員方々学校教育の重要な担い手でございます。そういう意味では、教員方々が生徒児童に対しまして単に新しい知識を伝えるということにとどまらず、その児童生徒の発達段階あるいは個性に応じて適切な指導をしていただくような幅広い知見と専門的な知識を必要とするであろう、そういうことを主にいたしまして今回の免許法改正も御提案をいたしておるところでございまして、基本的なことのみを申し上げますが、よろしく御理解をいただきたい、このように考えております。
  128. 林保夫

    ○林(保)委員 本法の提案の理由について、ここにございますように、   臨時教育審議会の答申を受けて、教員資質の保持と向上を図るため、専門的知識又は技能を有し、かつ、社会的信望等を有する者に授与する特別免許状を設け、また、教科領域の一部に係る事項等の教授又は実習を担任する非常勤講師教員免許状を有しない者を充てることができることとするとともに、普通免許状専修免許状一種免許状及び二種免許状区分する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 と出ておりますが、ここに至るまでの経過を事務的にどのように文部省が受けとめておられるのか、御説明いただきたいと存じます。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  129. 倉地克次

    倉地政府委員 六十一年の春に臨教審の答申をいただきまして、その第二次答申の中に教員資質向上の問題が指摘された次第でございます。その後私どもといたしましては、その具体的な施策についていかようにしたらよいかという問題につきまして教育職員養成審議会にお諮りした次第でございます。  教育職員養成審議会におかれましては、一年七カ月にわたり御審議いただきまして、昨年の十二月に御答申になった次第でございますが、その間にはいろいろな諸団体から御意見を伺うとともに、中間発表をいたしまして、それについても団体から御意見をいただくと同時に、各界各層からの御意見をいただいた次第でございます。そうした慎重な審議を経まして、昨年十二月の審議会の答申に至っている次第でございます。  私ども、今回御提案申し上げております法律案につきましては、その審議会の答申を踏まえてこうした法律案を提案させていただいている次第でございます。
  130. 林保夫

    ○林(保)委員 局長御答弁のように、私どもから見ますと、社会の急激な進展、それから児童生徒多様化など、今日の学校教育を取り巻く環境が大変大きく変化してきております。それに対応いたしまして、児童生徒教育をいわゆる適切につかさどらなければならぬ、そのためには教員資質向上が大変大事であることはもうだれしも認めるところでございます。そして、ただいまお話しの六十二年十二月十八日の教育職員養成審議会の答申が出ております。  ただいま局長がおっしゃられた中で、いろいろな意見があった、この中には、一言で言えば画一的に過ぎやしないかとかいろいろな話もあったやに聞いておりますが、その辺はどのように受けとめられて法律をおつくりになったかの経緯をひとつ御説明いただきたいと思います。
  131. 倉地克次

    倉地政府委員 審議会の中におきましていろいろ御議論があった次第でございますが、一例を申し上げますと、短期大学卒業程度を基礎資格とした免許状の問題につきましても、中間報告では期限が十五年ということになっておった次第でございますけれども、その後いろいろな御意見を踏まえまして、そうした制度をなくするなどの措置も講じまして最終的な答申になっている次第でございます。  細かい点につきましてはつまびらかに申し上げる次第ではございませんけれども、各界各層の御意見を伺って審議会の答申に至ったものというふうに理解している次第でございます。
  132. 林保夫

    ○林(保)委員 もちろん国会にこういうものを出される以上は自信を持ってやられたのだ、このように理解するほかございませんけれども、なお文部省として教員資質能力向上、こういう問題について従来どのような御努力がされてきたのかという点を伺っておきたいと思います。
  133. 倉地克次

    倉地政府委員 従来教員養成制度の改善につきましては、いろいろな審議会からの建議でございますとか答申があった次第でございます。四十七年の教育職員養成審議会の建議もございますし、五十三年の中央教育審議会の答申もございますし、また、五十八年の教育職員養成審議会の答申もある次第でございます。  これらの中で、審議会におかれましてはいろいろ提言されているわけでございますけれども、結果的に文部省としましては、教員養成大学・学部の整備充実でございますとか新教育大学の創設、教科教育学の発展、定着の助成、それから、教育実習の改善とか実践的な教育研究の推進など実現可能なものから逐次施策を講じてきているというのが実情でございます。  また、初任者研修につきましては、国会の御了解をいただきまして来年度から本格実施に移る準備に取りかかっているところでございます。
  134. 林保夫

    ○林(保)委員 したがいまして、旧来のいわゆる現行法が欠陥がある、こういうことでの是正でございますが、私ども見まして、非常に複雑多岐になっておったという実感はぬぐえませんけれども、しかし、なおそれはそれなりの伝統と歴史があったものだというふうにもこれは解釈できるわけですが、文部省としてはそのあたりの辺をどのように、欠陥があり、これを是正しようとしているのかという点を明確にひとつ御説明いただきたいと思います。
  135. 倉地克次

    倉地政府委員 現行教員養成、それから免許制度の基本的な理念は、専門職制の確立でございますとか開放制教員養成、それから現職研修の重視という三本柱に基づいて的確な養成が行われていたというふうに考える次第でございますけれども、最近ややもすると現場におきます実践的な指導力の強化ということが言われるわけでございまして、今回の改正につきましては、こうした点に留意いたしまして、現場におきます実践的指導力を備えるために免許基準引き上げ生徒指導の問題とか、それから情報化対応する問題でございますとか特別教育活動の問題などを養成段階で取り扱っていただくよう措置しようとしている次第でございます。
  136. 林保夫

    ○林(保)委員 これと対応いたしましていろいろと内外の文献あるいは実情をお調べになった上で本法の各項を決められたものだと思います。したがいまして、各国の教職員の免許状況を、概括的で結構ですから、大体どうなっているのだ、国際的な基準はもちろんありませんけれども、よそと比べてどうなんだという点を御説明いただきたいと思います。
  137. 倉地克次

    倉地政府委員 アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツの制度についてごく概括的に申し上げたいと思う次第でございます。  アメリカでは、免許取得の要件といたしまして、すべての州が学士の取得、これは修業年限四年でございますけれども、それを要件にしている次第でございます。最近では、幾つかの州では、学士の取得後に一年間の教職専門課程履修を新たに課しているというところもある次第でございます。  それからイギリスでは、教員養成機関の修業年限は三年から四年ということでございますけれども、この国におきましては教員としての採用は仮採用でありまして、一年間の仮採用期間を良好な成績で経過した場合に初めて正式採用になるという仕組みになっている次第でございます。  それからフランスでは、初等教育教員養成については師範学校で修業年限三年であったわけでございますけれども、一九八六年の改革によりまして四年へというふうに延長されている次第でございます。  それから西ドイツにおきましては、ここは伝統的に試補制度教員養成の一翼を担っているわけでございまして、大学における所定の課程履修、これは三年から四年で行うわけでございますけれども、その後十八から二十四カ月の試補としての期間がある次第でございます。その試補を良好な成績で勤務することによって初めて正規の教員になるというようなことになっている次第でございます。  こういうふうに概括して見ますと、全体として養成課程の年限の延長を図っているというのが各国の実情ではないかというふうに考える次第でございます。
  138. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう点も多分御参考になってやられたと思いますが、今説明を聞きますと、モデルなしに日本が一番いいものを出したのだと言われればそれまででございますけれども、特徴的なのは仮採用、試補期間がないということも一つの特徴じゃないかと思います。その辺は教職員の皆さんの資質能力向上についての問題としてどういう手を打っていくかという問題も一つあるかと思いますが、文部省は今回の本法の制度で万全だ、このようにお考えになっておられるのか、特に国際的な比較の面からの視点でお答えいただけたらありがたいと思います。
  139. 倉地克次

    倉地政府委員 国際的な視点ということで申し上げますと、先ほど申し上げましたように、各国とも年限の延長を図っている実情がある次第でございまして、こうした点から、私どもといたしましては、専修免許状を設けまして、修士課程を修了された方にできるだけ教育界へ来ていただき、その専門性を高めたいというふうに考えている次第でございます。  また、各国の制度を見てみますと、二年間で教員養成するという制度が見当たらないわけでございまして、そうした観点から、今回の二種免許状につきましては一種免許状との比較の上におきましてはなお研さんを要する免許状ということで位置づけ一種免許状への努力義務等を規定してその一層の資質向上に資するよう私どもとしては措置するよう努力しているところでございます。
  140. 林保夫

    ○林(保)委員 ただいま局長おっしゃられたように、旧来の現法による欠陥は、言葉じりをとらえて言うのじゃありませんけれども現場における実践的な指導力の欠如と言ってもいいような感じのお話が先ほどございました。これを具体的に言いますと大体どんな点なんでしょうか。その辺をひとつ事務当局の方から、こういうことなんだ、こういうお話もいただきたいと思います。
  141. 倉地克次

    倉地政府委員 最近の方々においてややも言われておりますことは、特定教科についての学識は非常によく備わっているけれども現場におきます実践的な指導力についてはもっとさらに高めていただくと幸いであるということは言われることがあるわけでございます。  これは具体的に申し上げますと、個々の児童生徒の実情に応じましてきめ細かく指導する心配りとか、そういったような問題が含まれているのではないかというふうに考えるわけでございます。そうしたことにつきまして、さらに一層実践的な指導力を高めることが課題ではないかと考えている次第でございます。
  142. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで大臣にお聞きしたいのでございますが、今申しておられましたように、学識その他大変能力があるのに、実践的な指導力というか実際に動かす力が足りないというのは社会一般的な風潮でもあろうかと思うのですけれども、そういった点で、これから教育改革すべてにかかわる問題でございますが、そういう点について、教師への期待といいますか、もう一つは国際的に見てどうなんだ、こういうのをどのように大臣が御認識なさっておられるか、承らさせていただきたいと存じます。
  143. 中島源太郎

    中島国務大臣 林先生おっしゃるように、実践的な指導力というものはぜひとも必要なことであろうと思います。  そこで二点ありまして、林先生おっしゃいますように、我が国には試補制度というものがないが、どう思うか。これは政府委員お答えしましたように、西ドイツあたりですと十八カ月から二十四カ月の試補制度期間がございますが、我が国では身分の不安定ということも考えまして、そこで身分の安定を考えつつ、しかし実践的な指導力を身につけていただくために、百十二国会で初任者研修制度を御可決をいただいたわけでございます。  また一方で、今度御提案をしておる中に含まれておりますが、実践的指導力現場において行うのと同時に、養成段階におきまして実践的な指導力を身につけていただくことが必要であろう。そういう意味におきまして、一応大学・学部卒を一種免許状といたしましたけれども、その中で特にある分野におきましてさらに高度な知識を身につけていただき、そして先ほど申し上げましたように、生徒児童の発達段階あるいは個性に応じて適切な指導をしてもらえるという資質のある方を教育職員の中にできるだけ多く招致をいたしたい、こういう考えを持って御提案をいたしておるところだということだけ申し上げさせていただきます。
  144. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣のおっしゃるように実践的な指導力、これは資質能力のある人でなければなれませんね。それが戦前との比較で申しますと、昔の師範学校、高等師範学校、そのことを目的として、そういう立場なりあるいは力なりをつけていったと思うのですね。今そのことがなおざりにされたような状況での職場への進出になっているのじゃないだろうかというのが一般的な人の意見だと思うのでございますが、この点について、養成段階におけるそういう資質能力をつけることは、大体どのような形で文部省は指導していらっしゃるのか、承りたいと思います。
  145. 倉地克次

    倉地政府委員 これは養成段階におきましても、教育職員免許法によりまして所定の単位を修得することになっている次第でございます。大学において養成を行うということは、それだけ専門性の高いところで立派な教育を行っていただく次第でございますけれども、やはりこれは養成全体で対応していただく問題ではないだろうかというふうに考える次第でございます。  ただ、さりとは申しましても、現在の学校の実情を見ますと、やはり現在の子供の実情に応じて生徒指導の問題でございますとか特別活動の問題でございますとか、そういうものについては、なお一層養成段階でいろいろと御指導いただく必要があるのではないかということで今回措置しようというふうに考えている次第でございます。  またそれと同時に、最近の情報化にも対応いたしまして、そうした問題についても御指導いただきたいということで今回免許基準引き上げ等を考えている次第でございます。
  146. 林保夫

    ○林(保)委員 確かに免許基準引き上げになって、この結果としてやはりよくなる方向を展望されての問題だと思いますが、具体的に個別にそれはこういう意味なんだ、こういうことでお答えいただきたいのでございます。  ここに出ております法律案の中に、普通免許状というのがある。それから特別免許状というのがある。臨時免許状もある。これをどのように解釈したらいいのかという点をまず承りたいと思います。
  147. 倉地克次

    倉地政府委員 普通免許状でございますけれども、これは大学で所定の単位を取り、所定の修業年限を修めて卒業された方に与えられる免許状でございまして、これが一番学校における教員方々の中核をなす方々免許状ではないかというふうに考えられる次第でございます。  それから臨時免許状でございますけれども、これは普通免許状所有者を採用することができないという事情があるときにやむを得ず授与する免許状でございまして、これは有効期限も三年ということになっている次第でございまして、そうしたごく特例的な免許状というふうに考える次第でございます。  また、特別免許状でございますけれども、これは大学における養成という原則調和させつつ現在の世の中に対応していこうという考え方で今回御提案しているわけでございまして、小学校などにつきましては、ごく限定された教科について授与するということも考えておりますけれども一般社会におきまして優秀な技術とか知識を備えた方々学校においでいただいていろいろ御活躍いただこうということで設けられた免許状でございます。  何と申しましても、この免許状は従来から若干特例的なものになるわけでございますので、この免許状を授与するときには学識経験者の意見を聞いて授与するというようなことで厳重な要件、手続のもとに授与される免許状というふうにされている次第でございます。
  148. 林保夫

    ○林(保)委員 続きまして、普通免許状を三種類として専修免許状一種免許状、二種免許状、そういうことにしているわけですが、その名称の意味と相互の関係について、この機会に少し詳しく、わかりやすく説明しておいていただきたいと思います。
  149. 倉地克次

    倉地政府委員 教員として期待される資質能力としては、大学・学部を卒業するのが標準的な水準を示すことになるのではないかということで、今回、大学・学部卒業を基礎資格とする免許状といたしまして一種免許状というのを設定した次第でございます。  それから、一種免許状の取得要件を備えておって、修士課程などにおきまして特定分野につきまして深い学識を積み、高度の資質能力を備えていることを示す意味で、今回専修免許状というのが設けられた次第でございますが、これは一種免許状特定分野についてさらに深めたという意味の免許状でございます。  それから、短期大学教員養成で大変重要な役割を果たしておられるわけでございますので、今回も引き続き二級免許状に相当する二種免許状というのを設けた次第でございますけれども、これは一種免許状との比較におきましてはなお一層の研さんが必要であるという免許状でございまして、そうした観点から法案の中にも一種免許状を取得するようにという努力義務などを規定している次第でございます。
  150. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、そのこと自体は御説明どおりなんでございましょうけれども、具体的に、例えば十年後に高校は、中学校は、小学校は、ということになりますと、規模にもよりましょうけれども、大体どんな構成の先生方がおるという状況になるのか、幼稚園を含めて図をかいてちょっと見せていただきたいのですが。それは何も固定的なものじゃなくて、大体こんなことになるんだということを聞いておきませんと、私どももこの是非を判断するに一番大事な問題だと思いますので、文部省のお考え方をひとつ。
  151. 倉地克次

    倉地政府委員 高等学校中学校小学校、それから幼稚園とあるわけでございますけれども高等学校におきましては一種免許状がやはり中心でございまして、専修免許状をお持ちの方は現在の一級よりもさらに相当数多くなるのではないかというふうに考える次第でございます。  中学校におきましても、やはり一種免許状の方が中心でございまして、専修免許状をお持ちになる方も高等学校に次いで多くなるのではないかというふうに考える次第でございます。  それから小学校についても、何と申しましても一種免許状をお持ちの方が中心でございまして、ただ、専修免許状をお取りになる方は、私個人の推測でございますけれども中学校段階に比較すれば少ないのではないかというふうに考える次第でございます。  幼稚園につきましては、若干小中高と違った様相があるわけでございまして、二種免許状の方が相当多数おいでになるのじゃないかというふうに考える次第でございます。ただ、二種免許状をお持ちの方も、今回の法改正後相当年数推移すればある程度少なくなるのではないかというふうに考える次第でございます。
  152. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。何とかわかるような気がいたしますけれども、この結果としまして、ここにありますように幼稚園にも専修免許状の人がおってもいいような状況ではございますよね。そうですね。  それからまた、二種免許状が今の現状からいたしますと大変大勢いると思うのですね。そうすると、二種の人の効用というのがちょっとここではなくなってきたような感じがいたしますが、各論は後でまた質問の機会が同僚議員からもあろうと思いますけれども、とりあえず局長の方から、そのあたりをどのようにお考えになっているか、疑問に答えていただきたいと思います。
  153. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど、小中学校における二級免許状相当の方のことについて申し上げることがなかった次第でございますけれども現行制度におきましても、小中学校におきましては毎年二級免許状を持って小中学校の教諭におなりになる方はそんなに多い数ではないというふうに考えておる次第でございます。  それで、今回の法律改正によりまして、具体的に二種免許状を持っている方々について一種免許状をお取りいただくよう誘導するような措置をする方々につきましては、小中学校関係の二種免許状の方が主力になるわけでございまして、小中学校関係の二種免許状の方は今後相当数少なくなっていくのではないかというふうに考える次第でございます。  ただ、幼稚園の方につきましては、二種免許状をお持ちの方につきましては努力義務はあるわけでございますけれども、具体的な誘導措置などの対象とはいたしておりませんので、幼稚園の方の二種免許状方々につきましては相当数今後も幼稚園の教諭としておられるのではないか、そのように考えている次第でございます。
  154. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、二種免許にこだわるようでございますけれども資質能力向上させるために努力をしなければならぬ、できるだけ一種を取れ、こういうような形の法律になっておると思うのでございますけれども、このために、いわゆる短大卒業程度を基礎とする二種免許の者たちがどのようにして具体的にやったら上れるのかといいますか一種免許が取れるのか。これは具体的に言うとどういうことになるのでございましょうか、御説明いただきたいと思います。
  155. 倉地克次

    倉地政府委員 二種免許状をお持ちの方が一種免許をお取りになるためには四十五単位をお取りになる必要があるわけでございますけれども、これは最低在職年数を超えますと在職期間一年について五単位ずつ逓減されるわけでございます。  それで、最終的には十単位を取れば一種免許が取れるということになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、法律に一種免許を取るような努力義務も規定した次第でございますから、何も十年近くたってからその単位を取るというのではなくて、やはり計画的に若い年代のあたりのときから研修をお積みいただき、順調にこの十単位をお取りいただきたいというふうに考えておる次第でございまして、例えばその一つ方法としては、認定講習の講習を受けられるような措置もございまして、そうした認定講習を開いております県の講習をお受けいただいて、毎年計画的に夏休みなどにお取りいただければそうしたことが可能になるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  156. 林保夫

    ○林(保)委員 それから専修免許状のことでございますけれども、何か専修免許状ということでぱっと一つ出しますと、専門にやっているということで、例えば歴史とか地理とかというような限定されたものしかできないような印象を受けるのでございますが、その辺で専修免許状は、一般にわかりやすく言うと学校における教育の中でどのような形でこの免許を持っている人が組み込まれるのであろうか、この辺の図をひとつ文部省のお考えとして承っておきたいと思います。
  157. 倉地克次

    倉地政府委員 私、先生の今の御質問をちょっと取り違えているかもわかりませんけれども学校の中の先生方の活躍という面から考えますと、一種免許を持っておられる方も専修免許を持っておられる方も、その職務内容が変わるわけではございませんので、同じように活躍されることになるのではないか、そのように考えておる次第でございます。
  158. 林保夫

    ○林(保)委員 私が申し上げましたのは、学科ごとにこれしか教えられないんだとかいうような限定的なものが今度の制度の中にあるのかないのか、そして、それだったらどうするのでしょうかという質問でございますので、言い方が不適切であったかもしれませんけれども、もう一度その辺のところを……。
  159. 倉地克次

    倉地政府委員 中学校ですと教科ごとに免許状が与えられることになるわけでございますので、専修免許状の方も教科はその教科について担当される次第でございます。ただ、一種免許状をお持ちの方が専修免許を取られるに当たりましては、教科について単位をお取りになってもいいし、教職について単位をお取りになってもいいわけでございますので、教科についてさらに深めたいという方は教科について深められるわけでございますし、教職について、教育方法とか技術についてさらに深めたいという方はそういうものについて単位をお取りになる次第でございます。  それから小学校については、教科単位免許状が与えられるわけではございませんので、特定教科についてさらに深めたいという方は中学校と同様のことでございますけれども生徒指導とかそういうことの対応についてさらに一層深めたいという方につきましては、教職関係の単位に重点を置いて単位をお取りいただくということになるのではないか、そういうふうに考える次第でございます。
  160. 林保夫

    ○林(保)委員 教員資質向上には、大学等における単位の修得と同時に、教員としての現場経験の積み重ねが非常に大きいということは申すまでもありませんが、そういった現職現場経験、体験はどのように本法では生かそうとしておるのか。その辺のことを趣旨という形で、考え方はこうだと少し御説明願いたいと思います。
  161. 倉地克次

    倉地政府委員 免許法におきましても、現場における経験というのは大変貴重なものだというふうに考えておるというふうに思う次第でございます。この第三表などを見てみますと、最低在職年数を超えた場合には一年について五単位ずつ修得すべき単位を軽減するということになっている次第でございまして、そうした方法によりまして現場における教職経験というものを評価しているのではないかというふうに考える次第でございます。  また、専修免許状につきましては一年について三単位を軽減するというような措置を講じているわけでございまして、単位現場における教職経験というものをリンクさせることによってそうした現場における教職経験を貴重なものとして評価しているというふうに考えている次第でございます。
  162. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、次の質問という形になるのですが、そういった形で専修、一種、二種免許というのが学歴区分によってこうなってくるというふうになりますと、私どものところにも反対の陳情などもかなり来ております。そういった中でいわゆる学歴偏重の弊害についての反対が多いように思いますが、これらにつきまして、教員資質を上げなければならぬ、上げるためにはやはりしっかり勉強しておかなければいかぬ、学歴もようなければならぬということもわかるのですが、大臣として、今回の法改正に当たりましてその学歴というものについてどのような御視点でお考えになっておられるか承っておきたいと思います。
  163. 中島源太郎

    中島国務大臣 私ども一般に学歴偏重から脱却をしなければいけない、そのように考えております。ただ、今回の免許法改正によりまして、これは学歴による種類別ではないかというような御意見もないわけではありません。  ただ、今回の場合には、先ほど政府委員からもお答えしておりますように、大学・学部卒を一般的に教育職員として中核的な役割をしていただこう、その中から、特定分野でさらに知識を深めていただいた方々専修免許状、そして、免許を持っておられましてもさらに資質向上をしていただくということを含みといたしまして二種免許状、ただし、この三種類免許状は設けますけれども、先ほどもお答えをいたしておりますように、職務内容とか給与で差があるわけではございませんし、この三種類が永続的に固定をいたしておるものでもない。現職研修によりまして二種の方は一種を、一種の方は専修免許状をそれぞれお取りいただくという道も開いておるわけでございますので、そういう意味からいきまして、これが学歴による種類別と申し上げる内容ではございませんし、そのような御懸念には当たらないものというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  164. 林保夫

    ○林(保)委員 先ほども触れましたように、昔と違いまして今はもう教員は全部大学養成されておるわけですが、このように学校教育に非常に大きな役割を持つ教員大学に任せ切ることの是非というのが一つ、いろいろな人の賛成、反対の陳情の中で出てきておりましたけれども、そこには、先ほど触れましたように教員資質の問題として実践的な指導力のある、これがきっちりビルドアップされればそれはそれなりの効果があると思うのでございますが、今の大学教育現状で文部省はこれでよしとされているのか、それともこういう点をもっとやってもらいたいとされているのか、この機会に明確にひとつ、まず事務局の御見解を承りたいと思います。
  165. 倉地克次

    倉地政府委員 現行教員養成制度の基本的な理念の一つといたしまして、大学における開放制教員養成ということがあるわけでございますので、私どもとしてはこれを十分尊重して制度の改善については進めていきたいというふうに考えている次第でございます。  ただ、先ほど来実践的な指導力ということが問題になっている次第でございますけれども、こういった点についても、今後大学において一層御努力いただきますよう今回免許基準引き上げまして、生徒指導とか特別活動などの単位について御指導いただくようお願いしてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  166. 林保夫

    ○林(保)委員 ちょっと言葉をとるようで悪いのですけれども大学において実践的な指導力をつけるという、今もカリキュラムの組み方、あるいはいろいろあるのでしょうけれども、どういうふうにしたら具体的にいくのかという点、御専門の立場ではお考えになっておられるのでしょうか。
  167. 倉地克次

    倉地政府委員 実践的指導力そのものを大学ですべて養成するということではございませんで、実践的指導力の基礎を大学でおつくりいただきたいということで、生徒指導とか特別活動などの単位につきましても大学でお取り上げいただきたいというふうに考えている次第でございますが、従来とも、教育実習でございますとかを通じまして大学においてもそうしたものについて御努力を払われてきているのは事実ではないかというふうに考える次第でございます。  特に、実践的指導力は、大学で基礎をおつくりいただくと同時に、その後の学校におきます生活におきましてだんだん形成されていくものでございます。特に初任者の段階では教員生活の基礎をそこで培うことが非常に大切でございますので、実践的指導力を培うということも含めまして、今回、初任者研修などにつきましてもさきの国会で御了承をいただいたというふうに考えている次第でございます。
  168. 林保夫

    ○林(保)委員 同じカテゴリーに入ると思うのですけれども、パーソナリティーとしての実践的な指導力と同時に、いわゆる情報化社会によって新しい情勢が生まれてきて、それを子供たちに教えるためにはもっともっと勉強してもらわなければならぬという技術あるいはノーハウ、そういったようなものもあると思うのです。これらの点については、文部省は今の大学教員養成段階における仕方についてどのような評価をされておるのか、伺っておきたいと思います。
  169. 倉地克次

    倉地政府委員 、ただいま御指摘のありましたような、情報化対応するような実践的な指導力につきまして各大学状況はどうかということでございますと、必ずしも全部の課程においてそうしたものを取り上げているわけではございませんので、今回の基準引き上げにおきまして、情報機器の取り扱いも含めまして教育技術方法について修得単位に含めるということで措置しようというふうに考えている次第でございます。
  170. 林保夫

    ○林(保)委員 これについては、各大学ごとに差もあると思いますし、お金も伴う問題でありますので、よほど注意して指導もし、あるいは連携をとり合わなければならぬという感じもいたしますので、この点も要望しておきたいと思います。  時間がございませんので、続きまして、今回の法改正で、先ほどの御説明にもありましたように社会人活用という形が出ていると思います。提案理由の頭の方に出ているくらい重視しておられると思うのでございます。これについて、悪いことでなくていいことだと思うのですが、大臣、どのようなお考えを持っておられるでしょうか。
  171. 中島源太郎

    中島国務大臣 これは、今先生おっしゃいましたように、養成段階で実践的な指導力を養うということはもちろんでありますが、一方におきまして、このような教育多様化の中では、社会に出ておられる方々、そして社会活躍されておられる方々教育の場に招致をいたすということをさらに広めたい、こう考えておりまして、そういう方々はほとんど職を持っておられましょうから、今現在の職をおやめになって教職の場に入られる方々には特別免許状ということで常勤をしていただきましょう、あるいはまた、職を直ちに辞されない方、職を持ちながら、しかもその御経験教育の場に生かしていただくという方々に対しましては特別非常勤講師という道を開いてまいろう、こういうことでございます。  こういう方々知識経験をぜひ教育の場に入れることによりまして、教育多様化あるいは生徒児童個々の個性化対応した教育を充実させたい、このように考えておるところでございます。
  172. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣の理念、そのとおりだと思います。  つきましては、社会人として教職につきたいという人はどういう手続及び方法、手段があるのでしょうか。その辺、文部省はどういう図を描いておられるか、貝体的にお示しいただきたいと思います。
  173. 倉地克次

    倉地政府委員 まず、特別免許状でございますと、これは都道府県の実施しました教育職員検定に合格することが必要なわけでございますけれども、その前段階といたしまして、教育職員を任命したりまた雇用したりしようとする者は、学校教育の効果的な実施のために特に必要があるというふうに考えますと、それを授与権者の方へ推薦することが必要になる次第でございます。その推薦に基づきまして授与権者の方は教育職員検定を行うことになる次第でございます。その推薦につきましても三つの要件がございまして、学士の称号を有するとか、専門的な知識、技能を有するとか、それから社会的信望があり、かつ、教育の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っていることが必要であるというような要件が定められている次第でございます。  また、授与権者の方は、教育職員検定に基づきまして特別免許状を授与しようとする場合には、学校教育に関して学識経験を有する方々の意見をお聞きになることが必要でございまして、その意見をお聞きになってからよしということになればこの特別免許状を授与するということになる次第でございます。
  174. 林保夫

    ○林(保)委員 特別免許状を出すところ及びその任免の権限は学校ごとあるいは教育委員会ごと、どういうふうになるのかちょっとわかりにくい点があると思うのですが、もう少し具体的に、いわゆる手続、手法ですね、そういったものを。
  175. 倉地克次

    倉地政府委員 まず、免許状を出す方法でございますけれども、これは都道府県の教育委員会が先ほど申し上げました手続に従って免許状を出すということになる次第でございます。  それから、具体的に特別免許状を持っておられる方を教員に採用するのは、公立学校であれば所管の教育委員会ということになりますし、私立学校であればそこの学校理事長ということになるのではないか、そういうふうに考える次第でございます。
  176. 林保夫

    ○林(保)委員 心配すれば切りがないのですが、各県あるいはそれぞれの学校ごとにそういうものがアンバランスになるおそれがございますので、これが実施、施行の段階でいろいろとまた工夫のあるところだと思いますが、時間の関係もございますので進めさせてもらいます。  今反対をしておられる方、多くの人ということよりも、反対もしないままでじっと見守っている人が大勢おるわけです。そうしますと、旧免許状の扱いですね。自分たちの身分は一体どうなるのだということが非常に強く出ております。当然ですわね、みずからの仕事でございますので。そこら辺を、時間をかけても結構ですから、こういうふうになるんだ、こうやるんだ、こういうようなことをそれぞれにひとつ一種、二種、専修といったようなことで御説明いただきたいと思います。
  177. 倉地克次

    倉地政府委員 これは法律案の附則の第二項に規定している次第でございまして、そこをちょっとごらんいただきますと表がある次第でございますけれども、その上欄にあります小学校教諭、中学校教諭、それからずっとまいりまして養護教諭まであるわけでございますけれども、そこの一級普通免許状、二級普通免許状を持っておられる方々は、それぞれ下にありますような、一級の方については一種、二級の方については二種の免許状の授与を受けたこととされる次第でございます。  それから、高等学校教諭につきましても同様にそこに表がございますが、こちらにつきましては、一級の方については専修免許状、それから二級の方については一種免許状が授与されるということになる次第でございます。  ただ、中学校高等学校については、それぞれ教科に応ずるものということになる次第でございます。
  178. 林保夫

    ○林(保)委員 そういった不安のほかに、これができて、これから人事、給与そのほか御本人それぞれに関係する問題ですから心配する向きがありますが、人事はそれといたしまして、給与、待遇そのほか文部省はどのように考えておられるのでしょうか。
  179. 倉地克次

    倉地政府委員 この免許状の切りかえそのものによって給与について変更が生ずるということはないというふうに考えておる次第でございます。
  180. 林保夫

    ○林(保)委員 私ども考え方からいたしますと、これだけ厳重な資格要件を整えさせますと、やはり待遇もそれなりにしなければいかぬのじゃないかという常識を持っておりますがね。  これは六十四年四月一日から施行する、最低修得単位数は六十五年度から適用するというふうになっておりますが、そうすると、六十五年から卒業年次まで考えますと大分先になるということになりますが、その辺の関係を具体的に、六十四年はこうなんだ、六十五年はどうなんだ、そしてこれが全体的に動き出すのはどうなんだということを御説明いただきたいと思います。
  181. 倉地克次

    倉地政府委員 この法律が六十四年四月一日から施行されるわけでございますので、新しい免許状をもらったことになるのは四月一日からということになる次第でございます。  ただ、六十五年の方の四月一日から適用になるというのは大学における養成の関係でございまして、六十五年四月一日からは新しいこの法律によります単位等の教育課程によって養成が始まるということになる次第でございます。
  182. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、もう一つ聞いておきたいのですが、大学もそういうことで教員養成対応を考えるわけですね。そうすると、今の傾向からいきまして、多くの大学あるいは多くのところが、本法によって生徒数をふやしてしっかりやろう、こういうふうになっておるのでしょうか。それとも、どういう傾向にあるのでしょうか。文部省には問い合わせそのほかいっぱい来ている、こういうようなことも聞いておりますので、つまびらかにしていただきたいと思います。  それと、もう一つ一緒に伺います。  この法律ができますと大学の方もそれなりの受け入れ態勢をしなければならぬと思うわけです。受け入れ態勢について、教員養成する大学側の具体的な受け入れといたしまして、これから規模を拡大してどういうふうにして充実してやっていくかというような問題が学校側において今問題にされていると思うのですが、その傾向は文部省はどのように受けとめられておるのでしょうか、こういうことでございます。
  183. 倉地克次

    倉地政府委員 今回の改正によりまして、中学校高等学校については五単位増ということになる次第でございまして、小学校については十一単位の増ということになる次第でございますけれども、現在の課程認定を受けている大学の実情を見てみますと、最低修得単位数より大幅に上回る教育課程を組んでおられるのが実情でございます。五単位も、おおよそその組んでおられる教育課程の数の中にははまるような実情でございますので、その辺は割とスムーズにそうしたことが実現できるのではないかというふうに考える次第でございます。  ただ、生徒指導でございますとか特別活動ということになりますと、その辺に堪能な教授の採用が可能かどうかという問題があるわけでございますけれども、その辺につきましては、現場のそうしたことについて経験の深い方々においでいただくとか、教育委員会指導主事経験者などに来ていただくとか、そんなような対応措置もあり得るのではないかというふうに考える次第でございます。
  184. 林保夫

    ○林(保)委員 そんなことで、また改めて具体的には機会を得てひとつ質問したいと思いますけれども、最後に、本法改正に伴って省令そのほか変えなければならぬ問題があると思うのですが、具体的にどういうものがあるか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  185. 倉地克次

    倉地政府委員 本法の改正によりまして、単位の修得方法などにつきましては文部省令で定めることになっておりますので、この点につきましては、御承認いただいた後早急に準備に取りかかり改正を行いたいというふうに考えている次第でございます。  また、教育委員会におきましては、免許の授与手続などについていろいろ改正する点もあろうかと思いますけれども、これは教育委員会の方で規則の改正などを行うことになろうかというふうに考える次第でございます。  それから、課程認定などにつきましては審議会の方でいろいろお考えになることと思いますけれども、おおよそ現在の基準活用することによって対応できるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  186. 林保夫

    ○林(保)委員 これから私ども審議いたしまして、きっちりとした結論をこの機会に出さなければなりませんが、このほかに大臣にちょっとお伺いしたいのでございますが、この後、地教行法、教育委員会にかかわる問題が出ております。そのほかまだ教育改革という形で臨教審の答申が出ておりまして、まだ解決していない問題がいっぱいあります。国会の日程はこの二十四日まででございますし、あとは通常国会へ持っていかなければならぬ。そういったことで、先はともかくといたしまして、次の通常国会までの間に大体どのあたりのところまで進めるか。実は、このことは前回もこの委員会で聞いたわけです。  国民の期待からいたしますと、私ども大変大きな期待を持っておりますのは生涯教育の問題なんですね。これに関する単独立法をやるような話も聞いておりますし、まだもちろん出ておりません。といいますのも、この生涯教育に関しましては、大臣承知のように、各省庁とも関連いたしますね。恐らくやどの省庁も、生涯教育という視点からいくと自分のところで法律一つ持ちたいということもあるわけでございます。そこら辺で、ポスト臨教審の問題を踏まえて文部省がどの範囲までやるかというのは私ども大変注目しております。これは教員免許法、地教行法、そしてその後はそういうような問題があろうと思うのでございますが、その辺を事務当局の方から先に承った後、大臣の御説明にしていただけたらと思います。生涯学習関連法を出されるかどうかというような問題です。
  187. 中島源太郎

    中島国務大臣 具体的な点は政府委員から補足する場合があろうと思いますが、基本的には百十二国会教育改革を含めまして八法案を文教委員会にお願いをいたしました。また、内閣委員会マターでございますが、ポスト臨教審を引き続きお願いをいたしておるところでございまして、この百十三国会では御提案をいたして、なおかつ審議、御可決をいただいていない部分をぜひとも御審議をいただき御可決をいただきたい、こう考えておるわけでございます。  また、教育改革推進大綱の第一番目に書かれております生涯学習の点はまさに重要な点でありまして、組織的には七月に生涯学習局を発足させていただきましたけれども、これを進める上で具体の法案その他をお願いする面も出てくると思うわけでございます。その点で、一方、いわゆる教育改革の推進会議のあり方も、各省庁による調整その他を含めましてお願いをしていくところでございますし、これは両々相まちましてぜひともそれぞれの委員会におきまして御理解を得て法案可決をしていただきたいな、こう思っておるところでございます。  なお、具体に補足がございましたらば政府委員からお答えをさせていただきます。
  188. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣のおっしゃいましたように大変大事な問題でございますし、大変多岐にわたる問題でもありますので、何か事務局の方で特別な審議会あるいはそのほかでもっての検討の御予定はありますでしょうか。その点だけひとつ……。
  189. 倉地克次

    倉地政府委員 大変恐縮でございますが、私、生涯学習を所管しておりませんで、個人的な情報としてはいろいろ承知しているわけでございます。それで、生涯学習局でもいろいろ御努力されているということは承知しているわけでございますが、そういうことでございますので、答弁は差し控えさせていただきたい、そのように考える次第でございます。
  190. 林保夫

    ○林(保)委員 意図はわかっていただけると思いますけれども、いろいろな対応が、そこらあたりへこう私ども審議している教育改革に関連する法律案そのほかも関連してくると思いますので、総合集約的な意味でひとつ早くいい案を出してもいただきたいし、私どももそういう方向で努力したい、このことを申し上げましてとりあえずの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  191. 町村信孝

    ○町村委員長代理 次に、嶋崎譲君。
  192. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 既に我が党の佐藤委員から質問がございまして、集中的に教免法の審議に入ったわけでありますけれども、大変時間の制限がございまして、いまだかつて重要法案を一人の委員が大体一時間から一時間十五分なんという委員会の運営は、私が国会に来て十六年間初めてであります。それだけに、非常に短い時間の審議だということは、十分なる審議はできないということを言わざるを得ない制約の中での議論になっていると思います。そういう中で佐藤委員質問に際しても、個別的な詰めが行われていないまま問題が提起されている課題もございますので、重複する部分、新たに提起する部分を含めて御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、前の佐藤質問に関連して確認をしておきますと、教免法の今度の改正は、昭和五十九年にまず改正案として国会に上程された。これが今度の改正案に至る一つの節であります。その後、六十二年の十二月に教養審の答申が出ております。前回の五十九年度改正案の場合も前に教養審答申があって、それを受けて法律ができている。今度の場合も教養審の答申が六十二年十二月に行われまして、そして今次の法律案になっているという経過と思いますが、その経過は御確認できますね。
  193. 倉地克次

    倉地政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  194. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこでまず、昭和五十九年度の法律案、提案された改正案、これは廃案になったものですが、これと教養審の答申で新たに付加されたものは何と何ですか。
  195. 倉地克次

    倉地政府委員 五十九年の改正案とその後付加されたものでございますけれども、これは普通免許状の点で申し上げますと、名称が変更されているということでございます。  それから、短期大学卒業程度を基礎資格とする免許状の扱いでございますが、これは二種免許状を有する教員に対して一種免許状の努力義務を課したということでございます。  それから、二種免許状を有する者で採用後十二年を経過した教員に対して実質的な誘導措置を講じているということでございます。  それから、採用後十五年を経過した教員については、いわゆる十五年ゼロ単位措置がなくなるということでございます。  それから、免許基準引き上げでございますけれども、五十九年の改正案では小学校の標準免許状は七十単位、それから中高の標準免許状は六十六単位ということでございましたけれども、今回は小学校一種免許状は五十九単位、それから中高の一種免許状は五十九単位ということになっている次第でございます。  それから、教育実習につきましては、小学校は八単位、中高は六単位ということでございましたけれども、今回は小学校については五単位、中高については三単位ということになっている次第でございます。  それから、社会人活用につきましては、特別免許状が創設されている次第でございますし、また免許状を有しない非常勤講師制度も創設されている次第でございます。  それから、教職特別課程につきましても今回は創設されたということでございます。  それから、中学校の職業実習の扱いでございますが、これは五十九年ではその免許状は廃止するということになっておりましたけれども、今回の免許状につきましてはこれを存置することとしたことになっている次第でございます。
  196. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の質問は、次の質問に関連するから制限して質問しているのですよ。五十九年の法案改正したとき、そして後に教養審の答申が出た。教養審の答申に基づいて今の法律ができるわけです。そこでまず、五十九年の法律案ができてから、教養審答申で五十九年度法律案で変更したり加えたものは何か、答申の内容で新たなものは何かと言ったのです。その点について、もう大半触れていますが、二、三大事なものが落ちています。  申し上げましょう。まず、名称変更がそうですね。免許種類の変更。それから十五年措置ですね。要するに、ゼロに持っていくとか義務規定とかいうようなものが一つ。三番目にもう一つ重要なのは、高等学校教科の問題について地歴、公民が設けられた場合、免許教科として設けるという答申がありますね。これがあなたがおっしゃらなかったこと。それから、単位数に関連して文部省令、その新しい免許教科免許状の取得要件等については教養審の意見を聞いて文部省令で定めるというのが教養審のときに新たに出た提案です。それからおっしゃる社会人活用。そして、一年間の教職特別課程。そして、もう一つ大事な問題が抜けています。六年制中等学校教員の資格。これが教養審答申で出た、五十九年度法律案でない、新たに出たものです。この点の確認をしたかったのです。これでよろしいですね。
  197. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のとおりでございます。
  198. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、まずここでちょっと確認をしてお聞きします。  高等学校教科、地歴と公民が設けられた場合、免許科目として設けるということを答申しているが、今の段階ではまだこれは具体化していませんね。しかし、これは、将来具体化するということになれば、大学におけるいろいろな教科課程に変化が起きるということになりますか。
  199. 倉地克次

    倉地政府委員 高等学校教科といたしまして地歴、公民が設けられた場合には、免許法の方におきましても免許状教科といたしまして地歴、公民を設ける必要が生ずるというふうに考えております。
  200. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それは将来の課題として、これは当委員会で地歴、公民という問題の位置づけは改めて議論しなければならぬ課題ですから、あなた方がやろうとする、大学側はどう受けとめるか、これは一つ問題点ですから申し上げますが、本法律案とは直接関係はありません。  さて、今度はもう一つ、六年制中等学校教員の資格という問題を教養審は答申しているが、これについてはその答申を受けて今後どうなさるおつもりですか。
  201. 倉地克次

    倉地政府委員 六年制の問題につきましても、これにつきます教育課程が整備された暁におきましてそれに対する免許状措置を考えなければならない、そのように考えておる次第でございます。
  202. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 本委員会における免許法では直接問題になりませんが、これは重要な臨教審の教育改革の一本の新しい課題、問題ですから、これがまた教員資格問題、それに免許制が絡む問題だということがあるということを想定して、次の国会法律その他で出される用意はありますか。
  203. 倉地克次

    倉地政府委員 六年制中等学校につきましては、先ほど申し上げましたように、教育課程基準が具体化された場合にそれを踏まえて改めて検討する次第でございますので、教育課程基準の具体化の進行度合いによるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  204. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では次の国会にまだ出しませんね。
  205. 古村澄一

    ○古村政府委員 六年制の中等学校を創設するということは学校教育法の改正を必要といたしますが、現在そこまでの準備はいっておりません。
  206. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 法案とは直接関係ありませんが、教養審答申を受けて今度国会に提出された法案ができているというこの過程から見ますと、この高等学校の公民、地歴問題並びに六年制中等学校問題は今後検討されるということがこれでわかりました。  それで、本法案の方に関連していきます。  さて、今度は、六十二年十二月の教養審答申の中で、今国会に出された法律案として受けとめて、変更したもの、新たに追加したものは何ですか。
  207. 倉地克次

    倉地政府委員 答申の内容と本法案の相違点のことではないかと思う次第でございますけれども普通免許状の名称の問題がまず第一にある次第でございます。教養審の答申では、専修、標準、初級ということになっておりましたけれども、本法律案では、専修、一種、二種ということにしている次第でございます。  それから特別免許状所有者の普通免許状の取得の件でございますけれども、教養審答申におきましては「現職経験を積み、普通免許状を取得するには、普通免許状種類に応じて所定の単位を修得しなければならない」というふうになっておった次第でございますが、本法律案では、特別免許状所有者の普通免許状の取得については規定を設けなかった次第でございます。特別免許状所有者も通常の方式に従って普通免許状を取得していただくことになるということにしている次第でございます。
  208. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の質問の意味がおわかりでないみたいだ。つまり、前に、五十九年に法案が出たわけでしょう、廃案になったものが。それを受けて六十二年の教養審の答申でさっき言った新たな項目が提起された。五十九年の法律を受け、教養審の答申を受けて、今国会に提出された法案で新たに変更したりつけ加えたものは何ですかと聞いたのです。もう時間がありませんから、私が整理します。  一つは名称の変更、これは大事なことですね。それから新たな問題は上進制度、一級から専修とか、二級から一級とか、これを私は上進制度というふうに名づけておきましょう。皆さんもそう理解しておるはずです。この上進制度における十五年経過措置、これが法律案として新たに出されている問題です。例の経過措置単位軽減打ち切り措置、これは今から質問いたしますが、重要問題であります。もう一つ社会人学校教育への活用、これが新たな課題であります。それからもう一つは、大学における教職特別課程の設置というのが新たな課題であります。  この三つが今までのものと違った新しい法案として出てきたものと私は確認をいたしますが、いかがですか。
  209. 倉地克次

    倉地政府委員 前回廃案になった法律と比較すれば御指摘のとおりであると思います。
  210. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 さてそこで、戦後新しい憲法、教育基本法ができて、そして学校制度が発足して、今日までの教員免許というものに関しての基本的な四原則というのは何と何と何ですか。
  211. 倉地克次

    倉地政府委員 基本的な原則でございますけれども、私どもは、免許状主義の徹底、教職課程履修による専門職制の確立、大学における開放制教員養成、それから現職研修の重視というふうに考えておる次第でございます。
  212. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ちょっと順序が違うが、私は四原則をこう理解します。  第一、免許状主義、これは非常に重要なことですね。つまり、教員は必ず各相当の教員免許状を有すること、これは法律の三条にきちっと起こしてあります。  それから大学における教員のいわば養成開放制。これが非常に大事な第二原則であります。かつてのような教員養成を目的大学として限定しないという意味です。これは大変重要なことです。  第三番目は、現職教育の重視ということであります。免許状を持っていて現職教育を行うその経験免許状について上進の条件が行われている。これは現職教育の重視という考え方です。  もう一つ大事なのを落とされましたが、地方分権です。今度だってそうでしょう。一教育委員会や何かで多くの権限を持つ地方分権、かつてのような中央集権でなくて地方分権で教育行政というものを進める。免許状についてもその分権のシステムを適用する。  これを四原則というというのが教育法学者の定説であると思いますので、この四点をまず確認してお聞きしておきたい。四点、確認できますね。ちょっとずれがありましたが。もう、別に言いわけして説明せぬでよろしい。――次に行きます。  さて、この四原則に照らして、最後の四番目はおっしゃられなかったけれども、これは直接今関係ありませんから、局長がおっしゃった免許状主義、開放主義、大学開放制現職教育の重視、この中にはもちろん専門性というのが含まれることは言うまでもありません。  さて、これらの四原則に照らして、今度の法案の中には特別免許状非常勤講師など、免許状を持っていない者についても、特定知識経験があれば教員として資格を認めるという考え方に立っているところがある、その節がある、この考え方と今までの原則との関係をどう理解しますか。
  213. 倉地克次

    倉地政府委員 最近の学校教育多様化などによりまして幅広い人材教育界へ誘致するということで、特別免許状、それから非常勤講師の問題などが今回創設された次第でございます。  ただ、これについては、先ほど来御指摘のあります教員養成免許制度との調和の上に立ってこうした制度を創設すべきというふうに考えまして、いろいろな限定措置を厳しく設けている次第でございます。
  214. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 時間があれば、この問題、最後に問題点を整理したいと思います。  私の感じを申し上げますと、免許状主義ということで、今度はいろいろな単位についても教職にかかわるものだとか、教科または教職にかかわるものだとか、そうかと思うと教科が減ってみたり、よくわからない。私などのように現場経験のない人間にはわからないことだらけでありますが、いずれにいたしましても、免許状主義という考え方に立って、新たな、いわば専修、一種、二種という判断、二種から一種へ、また一種から専修へという、教師自身の自主的な努力を含めた制度導入しようとなさる、そういう制度を一方に導入して、現場の教師に叱咜激励をなさる契機をお与えになっておいて、片っ方の方では正規の免許状主義に基づかない教師が非常勤で入ってきたり、それからまた特別な教師が入ってくるわけであります。それが恐らく、特別免許状を持った先生も、これは大体非常勤の扱いになるのじゃないかなと僕は思うけれども、そんな学校行事から全部一緒にやれるような教官であるはずがない。皆さんの、臨教審で発想された社会人活用というのは、そんな人を言っているのじゃないと私は思います。  そうしますと、学校現場の行事なんかには、日ごろ余り御参加がない、そしてある知識や技能が専門的で、確かに特別の免許状は持っているかもしれないが、今までの免許状主義に立って経験を重視されている教師と異質な人が現場に来る、こういう状態が起きてきたときに、ただでさえ忙しい小中学校高等学校現場の中にそういう先生を受け入れて、カリキュラムをどうするかから始まり、いろいろなことがさらに多忙になると私は思うのです。  そこで、さっき文部大臣がおっしゃいましたが、質問の中でお答えになっていたが、そういう知識ある人を学校に持っていきたいというのはいいことだと思う。そんなのは、特別講演だとか、今までやっておるじゃないですか。郷土の立派な指導者たちが立派になっていたら、帰ってきて学校でちゃんとお話を聞くとか、そういうようなことで処理すべき性質のものであって、何も特別免許状を与えて、学校に乗り込んできて現場先生方と非常勤的な役割を果たす必要はない。これは私の感想です。意見を聞く必要はありません。したがって、今までの免許状主義という考え方に立った教員資質向上ということとこういう問題の立て方との間には異質な問題の考え方があるよということだけをまず申し上げておきたかったのであります。  さて、免許状種類の問題についてお聞きします。免許状は、前の法律案のときには、五十九年法案は特修、標準、初級と言いましたね。教養審の答申は何と言ったかというと、専修、標準、初級と言いましたね。今度の法律案は専修、一種、二種となったわけです。  さて、前の法律案から今の法律案に、こういうふうになぜ種類や名称を変えたのか。教養審の答申で出した名称を提案の法律案ではなぜ変えたのか、その変えた理由を述べてください。
  215. 倉地克次

    倉地政府委員 専修、標準、初級という呼称がややもすれば普通免許状を三段階とするものであるというような印象を与えることが強い次第でございますので、今回は専修、一種、二種というふうにした次第でございます。  ただ一種と二種の関係につきましては、いわゆる上級免許状という関係にあるわけでございますけれども専修免許状一種免許状を基礎といたしまして、一種免許状を取得するについて必要な教科教職などにつきまして特定分野について深く修めるということでございまして、一種免許状特定分野を深めたという感じを強くするためにこのような名称を使った次第でございます。
  216. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、免許状を専修、一種、二種となさったのは、ランクづけではなくて、教師の資質向上のために一定の標準を判断しての名称の変更と理解してよろしいですね。
  217. 倉地克次

    倉地政府委員 一種、二種の関係につきましては、二種は一種に対してさらに研修を要するものということでございますから上下の関係があるわけでございますけれども、専修と一種の関係につきましては、御指摘のようなことになるのではないかというふうに考える次第でございます。
  218. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では一種と二種の間には、二種を一種にするには法律で義務づけしているから、だからそこにはランクづけがあるが、一種と専修の間にはランクづけはないという理解だという説明でよろしいね。そういう理解でよろしいね。
  219. 倉地克次

    倉地政府委員 法律審議として、厳格に申し上げましてランクづけということがなじむかどうかということもあるわけでございますけれども先生意図されていることは、大体私どもとしてもそのようなことではないかというふうに考える次第でございます。
  220. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それならば三種類、特に専修免許状というのはなぜ必要なんですか。
  221. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状は、先ほど来申し上げておりますように、修士課程等におきまして特定分野にいろいろ研究された方々学校にお入りいただき、そうした資質能力活用していただきたいということで設けている次第でございます。
  222. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 今度の専修免許状は中学以下にも適用しますね。中学、小学校、幼稚園まである。大学院出の人たちが幼稚園まで必要とする配置になる、この免許制度は。そういう免許制度が一種と同じような性質のものだと最初お答えになったことと矛盾しませんか。
  223. 倉地克次

    倉地政府委員 一種免許状について特定分野についてさらに深化させたという免許状でございまして、格段矛盾するというふうには考えていない次第でございます。
  224. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それならちょっと角度を変えましょう。  では専修免許状大学院の関係、専修免許状というのは大学院ですからね、それと大学院。特に中学以下の専修免許のための教職科目、中学以下の専修の履修のための教育科目大学院の開設は、現行大学現状で可能ですか。
  225. 倉地克次

    倉地政府委員 現在小学校、幼稚園などにつきまして専修免許状の取得が可能な大学院として予測されるものについて調べたところでは、小学校については三十四大学院、幼稚園については三十三大学院ということで、数としては少ない次第でございますが、今後そうした大学院も開設されるのではないかというふうに予想している次第でございます。
  226. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、今の数でもおわかりのように、今度は具体的に聞きますからね、国立の教員養成大学で、大学院を持っていて中学以下の専修科目履修できる大学は幾つあって、どことどことどこの大学でありますか。それのモデルを挙げてください。     〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 倉地克次

    倉地政府委員 国立の大学につきまして中学校以下ということになりますと、私どもの予想しておりますのは五十八大学院ということになる次第でございます。ただ、今個別の名称についてちょっと把握しておりませんので、ひとつ御猶予をいただきたいと思う次第でございます。
  228. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、一般大学ではそういう専修の中等以下の教員養成する科目を設定することは極めて困難であるということを逆に意味しませんか、今の五十八大学院ということになれば。答えてください。
  229. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状を取るために大学院で修得する単位というのは教科または教職どちらでもいいし、また両方取ってもいいわけでございます。そういう観点からまいりますと、私立の大学院などにおきましても中学校以下で百十大学院が予想される次第でございます。
  230. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 だから大学院教科科目を今度はごそっと減らしたのと違いますか。  つまり「教科に関するもの」、「教科又は教職に関するもの」、後で免許引き上げ単位がどこがどうふえたかということが問題になるときに、専修の場合には教科に関する科目は減っているのです。物すごく減っています。十七か二十二か、二十じゃなかったかな、減っているんですよ。だから大学で専修のいわば資格を取る教科が少ないということは、大学ではそういう科目を持っているところが少ないから、少し減らしておかないといけないではないですか。十八だそうですが、そういうことと関係ないでしょうな。
  231. 倉地克次

    倉地政府委員 今先生のおっしゃいましたのは、現行の別表一が高等学校の一級につきましては甲ですと六十二の教科であるけれども、今度は高等学校専修免許状教科に関する単位数が四十単位となっているということを御指摘になっているというふうに思うわけでございますけれども、この点につきましては大学の方の事情によってこのように減らしたということではないというふうに承知している次第でございます。
  232. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それはちょっと脱線の質問だったんだ。  では、専修の免許状の取れる大学というのは国立の教員養成大学では幾つありますか。
  233. 國分正明

    ○國分政府委員 専修免許状を授与できるであろう国立の教員養成系の大学院は現在二十一研究科、百五十専攻というふうになっております。また、取得可能な専攻科につきましては十四大学で設置している、こういう状況でございます。
  234. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私立大学にありますか。
  235. 倉地克次

    倉地政府委員 高等学校につきまして専修免許状の取得可能な大学院といたしましては、これは特に限定されたものではございませんけれども、私立大学大学院として百十八大学院が予想される次第でございます。
  236. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私立大学教員養成というタイプの大学がありますか。
  237. 倉地克次

    倉地政府委員 そういうことを前提といたしまして特別な限定はないがというふうに申し上げた次第でございます。
  238. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ですから、数があるということとみんながそこに行って専修の単位を取るかどうかということは別なのですよ。大事なのは国立の教員養成大学四十九校中、専修免許状を授与できる大学院は二十一校だということです。非常に限定されるということは、その大学が特権化したり、そこを履修してきた先生現場における一定の管理体制の中での機能を果たし得る可能性を含む、そういう側面を持っているのではないかと考えざるを得ないという意味であるということを質問したかったのです。どうですか、そうならぬと思いますか。
  239. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状を設けましたのは、先ほど来申し上げましたようにそうした高度の資質能力の方を教育界にお迎えするということと、現場における現職研修の啓発のために設けた次第でございまして、こうした免許状が設けられれば都道府県におきます認定講習の開催なども今後図られることでございますし、そうした御懸念には当たらないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  240. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 だったら標準、初級ということや現行の一、二級ですべて教員の必要な条件と資格があるのであって、その上に専修だとか新たなものを設けない現行制度の方がより教師の社会に適しているというふうに私は思います。専修をこしらえて、そして一種、二種、それで二種と一種はランクづけです、こういう説明なんですから、明確に一種、二種のランクがあれば、当然限られた国立教員養成大学大学院を出た、そういう専修の資格を取った教師たちが現場に配置されるということを想定した場合に、そこにランクが起きないという保証はどこにもないということを、日本は特に縦社会ですから、どんなに文部省がそうじゃないと言ったって、現実はそういう縦社会の構造にフィットしてあらわれるというふうに想定しておくべきだということだけを私の主張として申し上げておきます。  さて、そこでお聞きします。今度の上進制度、つまり二種から一種、それから一種から専修、これも上進です。これは法律の第六条、別表の第三で決められています。これは現行制度の要件とどこが違いますか。
  241. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状につきましては、新しく設けられた免許状でございますから省略するといたしまして、一種から二種の関係で申しますと、毎年逓減される年数については変わりありませんけれども、今回の改正案におきましては十単位まで逓減されるということでございます。改正前におきましては十五単位が限度となっていた次第でございますが、これを十単位に改めたということでございます。  それからもう一つ制度といたしまして、現行制度におきましてはいわゆる十五年ゼロ単位という制度があった次第でございますけれども、今回の制度におきましてはこの制度を廃止したというのが大きな違いになろうかというふうに考える次第でございます。
  242. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 今おっしゃったことを私流にまとめれば、一つ、最低在職年数というものを現行制度は定めて、そして現職教育を重視している。これが現行制度の特徴です。四原則のうちの第二番目か三番目に私はなると思う。そして所定の単位修得ということで現行制度は運用されております。  そこで、今度の改正案一つのポイントは、先ほど答えられた二種から一種への上進、これが問題であります。二種から一種に改定するに当たって、改正案の九条の二でその上進に対しての努力義務というものを法定されております。そして同時に、この今までの現行制度を変えまして、改正案では別表第三の備考の第七号、八号を新設いたしまして、これ皆さんからいただいた資料ですね、これの二十七ページから二十八ページにかけて二種から一種についてはこの備考の七、八、九においてこの条件を規定しております。新たな規定であります。  さて、ここで問題になります。今までの現行制度における十五年の特例、十五年したらゼロですよ、単位は要りませんよ、そして、今で言えばおのずから二種から一種にというふうにいく十五年特例は、現職教育重視の考え方に立ちそのような制度を設けていると思うが、今度の新しい制度はなぜ必要になり、この考え方現職教育の重視の考え方と矛盾しませんか。
  243. 倉地克次

    倉地政府委員 いわゆる十五年ゼロ単位の廃止の問題を御指摘になっていることじゃないかというふうに考える次第でございますけれども、この十五年ゼロ単位は昭和二十九年の免許法改正によって設けられたものというふうに承知している次第でございます。  これは僻地などにおきます学校で勤務しておりますために容易に現職研修の機会がないという方につきまして特に特例的に設けられた制度であるというふうに承知している次第でございまして、今回二種から一種へ参りますにつきましては努力規定も設けられた次第でございますので、最低に修得する単位を十五単位から十単位に減らすと同時に、この十五年ゼロ単位制度を廃止した次第でございます。
  244. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 法律事項として義務規定を法定化したんですからね、そうすれば義務違反ということはあり得るんですね。現実にあり得るということになりますね。
  245. 倉地克次

    倉地政府委員 九条の二で規定しておりますのは、二種免許状をお持ちの方が相当の一種の免許状の授与を受けるように努めなければならないという規定でございまして、努めない人についてはその限りにおいて九条の二の違反ということになることは御指摘のとおりであろうと思う次第でございます。
  246. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 十五年でそれができなかった人はどうなるんですか。
  247. 倉地克次

    倉地政府委員 九条の二という規定につきましては、これは小中学校先生ばかりではございませんで、幼稚園、小学校中学校特殊教育学校の教諭、それから助教諭についても、この二種免許状である方は一種免許状を取得するような義務が課せられているものと承知している次第でございます。その中で、特に二種免許状をお持ちの小中学校方々についてこの七号以下の規定が設けられているというふうに承知している次第でございます。
  248. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いや、僕が聞いているのは、十二年目から十五年にかけて三年間のうちに、今までは十五年すれば単位ゼロになるんだ、そういう措置なんだが、今度はこの間にいろいろな講習を受けたり単位を取ったりいろいろしなければならないようになるんでしょう。それができなかった場合に、十五年たったときにその先生教員免許の資格はどうなるのと聞いているのです。
  249. 倉地克次

    倉地政府委員 十五年たった以後につきましても、免許の資格自体については変わりないというふうに承知しております。
  250. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しかし、この備考によれば、第九号「第七号の規定により大学課程等の指定を受けた者で経過日から起算して三年を経過する日までに一種免許状を取得していないものについては、第五号の規定にかかわらず、当該日の翌日以後は、第四欄に定める最低単位数は同欄に定める単位数とする。」と書いてある。その意味わかるでしょう。四十五単位になるのよ。今度は免許の資格があるけれども、四十五単位をもう一遍新たに検討しなければならないスタート台に立つということにこの九号は理解できませんか。
  251. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のとおりでございます。
  252. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それは大変な、ある意味じゃ義務違反に対する制裁的措置ですよ。今までは教職経験というものに基づいて、十五年したらその実績主義に従って自動的に上進ができた。それが今度は十五年になって、定められたことができなかった場合に、またもとの四十五単位に相当する分をスタート台に立たせられるということは、必死になってその単位を取るために、二級から一級になるために、単位のために学校では物すごい勉強をせにゃいかぬことになるのですよ。  この法律事項として決めました義務規定というのは、そういう今まで長々と十五年勤めて、そして現場で信頼のある教師が新たなスタート台に立たせられるのですよ。そうすれば、今までの教職の実績主義という、今までの教員免許の基本と今度の提案しているものとは違う、少なくとも教育実績主義のいわば今まで重視してきた考え方から外れるというふうに理解せざるを得ないと思うが、どうですか。
  253. 倉地克次

    倉地政府委員 二種免許状をお持ちの方については努力義務も設けまして、私どもといたしましては、十数年たってから単位をお取りいただくということではなくて、教職におつきになってから計画的に単位をお取りいただきたいというふうに願っている次第でございます。そうして、そうした自発的に単位をお取りいただくということをできるだけ啓発するためにこのような誘導規定を設けておりますので、この規定はそうした誘導する措置として意味があるものというふうに私ども承知している次第でございます。  その過程におきましても、十二年を経過した段階におきましては、研修としてお取りいただく大学課程等につきまして御意見を聞いて授与権者の方が指定などを行うと同時に、任命権者の方はそうした課程等の受講ができるように機会を与えるように努力する次第でございます。  任命権者、それから授与権者、それから二種免許状をお持ちの方々のそれぞれ三者の御努力によってこの十単位が取られるようにということがこの規定の趣旨でございまして、その三者の協力によってもなおかつ取れない場合には、やむを得ないこととして四十五単位になるというふうに理解している次第でございます。
  254. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それでは、これから法律にされる第二種免許状を取得される人は毎年大体何人ぐらいですか。知っていますか、数字。僕は数字ありますよ。――もう時間かかるから言うよ。昭和六十一年三月卒業者の中では短大卒者は四百三十二人、こういうのはずっと毎年十数年積み重なってきているわけ。今十五年でゼロ単位に、一級免許状に上進する人、これが昭和六十年度で大体六千三百五十八人、私の調査では。だから、平均して大体六千人ぐらいの人間が当面、いよいよ法律が施行されてから十二年が来たぞ、さあ十五年になるぞという人を含めて、先ほどの佐藤質問では大体六千とおっしゃったのは、恐らくこの六千三百五十八、これは昭和六十年度の数字です、そういうことを想定されたものと私は思うのですが、それでいいですな。
  255. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のとおりでございます。
  256. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、今十二年目にいよいよ来る、来年なら来年来る。ことしなら昭和六十三年だ。六十三年で二種免許の人が十二年が来た。それで、法律が施行されてこれが動き出す。単位の関係は再来年からですから――そうでしょう。来年この法律は施行するのだが、新しい単位の問題は再来年だけれども、この法律が施行されると同時に、十二年目からいよいよ考えなければならぬ教師たちが大体六千ほどいるわけですね。そういうふうに想定していいのですか。この数字の判断、間違っていますかな。正確かどうか、そういうふうに理解していいかどうか、まず確認してから。
  257. 倉地克次

    倉地政府委員 この十五年ゼロ単位廃止が施行されますのは五年後ということになる次第でございまして、採用後十年を既に経過しているような方々については、この制度の対象にならないことになっておりますので、若干その辺の数字については異動があろうかと思う次第でございます。
  258. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そういうふうに理解すればいいのですね。いずれにしても、大体六千そこそこですね。  さて、その教師たちは、現在今までの教育実績や教師としての経験から見て、そういう新たにゼロ単位になれる資格の人が改めてそういうふうにしなければならないという、そういう教師を現場でどういう基準であなた方は判定していますか。
  259. 倉地克次

    倉地政府委員 若干経過措置も含めまして申し上げた方がいいかと思う次第でございますけれども、この法律が施行されたときに、既に十年以上たっている方は十五年ゼロ単位の規定がそのまま適用される次第でございます。それから、十年末満の方につきましては、ゼロ単位ということは適用されませんけれども、十単位はぜひお取りいただくという制度が残るわけでございます。それから、先ほど申し上げましたけれども、いろいろ三者が努力して、なおかつ取らなかったという方について四十五単位になりますよというのは、新しく施行後に教員になられる方についてそのような制度がとられるということでございます。
  260. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、前より数は多くなるのじゃないですか。十年経過をしている人たちにこれが適用される、十年経験している人に適用されて十五年ゼロ単位でないという形を努力しなければいかぬわけでしょう。そうじゃないか。そこは僕の理解が正しくないかな。ちょっともう一遍説明してください。
  261. 倉地克次

    倉地政府委員 六十年四月一日現在で十年を経過してしまった人につきましては、これは十五年ゼロ単位という制度がそのまま適用される次第でございます。十年たっていない人につきましては、ゼロ単位にはなりませんけれども、十単位はお取りいただくという制度になる次第でございます。それから、新しく入る人につきまして、先ほど御指摘のような制度になるということでございます。
  262. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、その過渡期の段階人たちですね。問題は、今までは自動的に十五年で二種から一種に行ったのが、その間に新しい対応をしなければならない過渡期の人がいるわけでしょう。そういう人たちの中で、私の言っているのは、今まで教師として一定の経験を踏んでいる、そして十五年ゼロという今までの教育の実績主義とでもいいますか、教育現場主義に基づいて、延長線上で考えていたのとは違った条件をそこで考えざるを得なくなった、そういうことが必要だという判断は何を基準にして出していますか。
  263. 倉地克次

    倉地政府委員 もともと十五年ゼロ単位と申しますのは、二十九年の改正で入った次第でございますけれども、当時の資料などを調べてみますと、僻地などで勤務しておられる方につきまして、現職研修に恵まれないという方について特例的に適用するという考え方で出発している次第でございます。そういうことでございますので、やはり上進に当たりましては、何がしかの単位をお取りいただくのが筋道ではないかという考え方が基本にあるかと思う次第でございます。  さらに、二種免許状につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、一種との比較においてなお研さんを要するという資格でございますので、その学校におきます現場の体験は貴重なものとして単位の逓減の対象とはいたしますけれども、最終的に十単位だけはお取りいただきたいというふうにしている次第でございます。
  264. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ここで、前国会で問題になった教師の研修権という問題と、それから新しい単位修得の問題がぶつかってくるのです。  つまり、現職教育主義というのは、経験に基づいて一定の教育経験を持てば、ベテラン教師として位置づけられる可能性を秘めたところ、その評価の上に立ってきたわけです。そのときにまさに教育公務員特例法に言うところの研修という問題が単に初任者だけじゃなくて、教師の持つ研修ということが重大な意味を持っていたのです。そういうふうに考えてきた今の教育公務員特例法で言う学校の自主的研修という問題と、外からいよいよまた新たな単位、その場合には教科もあれば、通信教育の場合もあれば、講習もあれば、いろいろタイプがあるようだが、本人の意見を聞きながらと言っているけれども、自主研修という問題と、そういう外から制度が持ち込まれた際に起きる現場上の問題について、トラブルが起きる可能性というものを秘めていると私は思います。ですから、それだけにこの十五年のいわば二種から一種に行く義務規定という法律事項とそれに伴う運用に際しては、教育公務員特例法上の研修の問題と、外から持ち込まれる研修の問題との間に学校現場で問題が起きるということをまず申し上げておきたいのであります。  ここで、本来ならば、こういう法律で十五年経過した人についてもとの四十五単位単位を取るスタートラインに立たせられるということは、この義務違反に対する一つのペナルティー的性格を持っているなと見ますだけに、教師の教育実践を尊重し、人権を尊重するという建前から、この法律のこの部分は何らかの形で修正したり直す必要がある。もう少し慎重に検討すべき事項であるということを申し上げておきたいわけでございます。  しかも、その十五年ゼロ単位措置問題には、片一方で義務規定だけ法律事項として起こしておいて、こんな大事な問題を、これは何ですか、第六条関係別表第三の備考で述べているのですよ、こういう問題は法律事項ですよ。法律事項として、法律の体裁からしても隠れて提案しているとしか思えぬ。きちんとしたそういう考え方を述べておく必要があるし、もし法律事項で起こすということになりますと、二級免許という教員資格を今後継続するのかどうかを含めて議論しなければならぬ問題です。  そうしますと、皆さん困るのです。文部省は今まで二級免許に必要な学校をいっぱい許可してきているのですから、そうでしょう。そして、現場では実際に二級免許になる先生が育ってくる、そういう制度を一方で置いて、そして他方では、これからは二種の人は一種に上進するように努力義務を付するのですよ、そういう二種免許の資格の教師養成というものがいいのかということが改めて問われる課題なんです。それだけに、これは法律事項で起こして議論すべきかどうかという法の体裁の問題もありますが、基本的な教員資格に関連する問題に触れる、こういう性質の問題であるということをよく頭に置いて、今後、我々の議論に耳をかしていただきたい、これだけ申し上げておきます。  さて、今度は一種から専修の場合、同じく上進の中の一種から専修の場合を見てみましょう。これを今後奨励するのですか、しないのですか。
  265. 倉地克次

    倉地政府委員 私どもとしては一種免許状をお取りの方が専修免許状をお取りいただくことは非常に好ましいことではないかというふうに判断している次第でございまして、一種免許状の方につきましても、そういう観点から単位の軽減措置などを講じている次第でございます。
  266. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 奨励しているのじゃないですか。中学以下の小学校や幼稚園に至るまでの専修資格を持った教師の配置を制度化しようというのでしょう。そうすれば、一種からその専修へ、ないし専修の教師資格を取るということを制度的には奨励し、誘導しているということではないですか、違いますか。
  267. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、一種免許状方々現職研修を受けて専修免許状をお取りになることは、大変適切なことではないかというふうに考えている次第でございます。
  268. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、先ほどあなたは二種から一種に関してはランクづけだと言った。しかし、一種と専修についてはランクではないとおっしゃった。しかし、制度の中には中学以下には専修、一種、二種という制度制度化している。そうすれば、明らかに専修という教員免許は一種に比べてより上進できる制度として教師全体が受けとめると理解しませんか。
  269. 倉地克次

    倉地政府委員 その辺は教育職員養成審議会の答申でも明らかになっておりますように、専修免許状一種免許状特定分野についてさらに深化させたものだというふうに私ども理解している次第でございます。
  270. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 深化させたかどうか知らぬが、こういう制度現場に出てくれば、それは上進制度なんですよ、二種、一種、それから専修というのは。上進制度という言葉があるように上進なのですから、上に進むのですよ。だからこれは縦社会の構造なのです。ところが、今までの答弁は、一種と専修は給与の上でも実際において何の差別や何かがない。そして、後は本人の教師としての資質の自主努力であり、そういう資質の教師が出てくることを期待する制度として誘導したい、そういうことでしょう。そういうふうに今までのは理解していいだろうと僕は思っています。確認していたのでは、あと十五分しかありませんからやめます。  そこで、改正案別表第三備考四号、御存じですね、改正案の備考四号、これによれば、単位修得を認める大学課程、認定講習、公開講座、通信教育、試験エトセトラと書いてある。これらは具体的にどのような大学、機関で行うのか、どのような機会で行われるのか、どういう内容のものなのか、これについて説明ください。
  271. 倉地克次

    倉地政府委員 認定講習をまず申し上げますと、これについては都道府県の教育委員会などが開催しているわけでございますけれども、それについては大学指導等を受けて行うということになっている次第でございます。  大学の公開講座などにつきましては、毎年数校の大学で開催されている次第でございますし、通信教育につきましても、大学等において行われているというふうに承知している次第でございます。
  272. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それも大変あいまいなのですよ。では聞きますけれども大学で既にこういう問題の検討をしていますか、各大学院教育学部で。検討を今からせねばいかぬのですよ。しかし、既に法案が提案されてから今日まで、昭和五十九年法案から見たって四年たっているのよ。教養審答申が出てからも一年たっているのだよ。こういう状態の中で、それぞれの大学でこういう一連の通信教育や公開講座、こうなるとまた教育委員会の独自判断が要るし、そのレベルをどうするのか、どういうふうに認定するのか、これもまた難しい問題ですよ。簡単じゃない。まあこれを大学に限りましょう。そうした場合に、大学でこういうものを既に検討でき、ないしは実現できるとお考えですか。
  273. 倉地克次

    倉地政府委員 この法律案を成立させていただきましたときにおきましては、私どもも各大学にお願いして、こうしたことについても御検討いただくよう十分努力してまいりたい、そういうように考えております。
  274. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 先ほどの質問で、国立教員養成大学では二十一校だと言いましたな。その二十一校の大学では、いわば専修免許に関連するコースとしてきちんとしていますが、一般大学では、こういう単位数を含めて問題にしていくとなかなか難しいということです。特に私立大学では大変問題があるということは先ほどの数字でおわかりのとおりです。  さて、単位を取るのは、本人の希望があれば与えるのか、あるいは試験による選抜でいくのか、授与権者の裁量で決めるのか、いずれですか。
  275. 倉地克次

    倉地政府委員 具体的に講習を受けられる時期にも関連するかと思いますけれども、その学校の実情その他のことを勘案いたしまして監督権者の方が許可するということになるのではないかというふうに考える次第でございます。
  276. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 今までも筑波大学とか上越の教員養成大学とか兵庫や名古屋の教員養成大学等々に行くときの本人の希望と教育委員会側の推薦とが合致しない場合が幾つかありますよ。御存じでしょう。もうこの委員会では僕が十年前に大問題にしたことがあります。ですから、本人の希望があれば与えるという、本来ならばこの原則でなければいけません。  ところが、現実はそうならないの。現実は選別が行われているの。だから、そういう選別と、今度は実際にそれを取ってきた人が現場に帰ってきたときには一定の職場における地位という問題と関連があるのです。現に、教頭さんになっておって校長になる一歩手前になって出かける人がいる。また教頭になる寸前になっている人たちが行く。そういう形で一歩一歩上進していくための努力をなさっている。努力が悪いと言っているのじゃないのです。だけれども、管理体制とこれは無関係だという議論は、局長の言うようには成り立ちません。現実の過程は違います。そういう意味で、この一種から専修免許というものを新たに制度化して中学以下にまでこのような制度で誘導することは、学校現場に学歴社会を持ち込むことになると私は思う。それがいろいろな意味の差別を将来生む可能性を含んでいる。  さて、この場合に、現場の欠員対策はきちんとしますね。本人は休職なんですか、休暇なんですか、勤務の扱いなんですか、在職年数の計算は現行どおりなんですかという問題が残るのですよ。こういうことなどについてきちんとした判断をお持ちになって法律を提案されているのでしょうな。時間がないから細かに言わぬでもいい、考え方があればいずれ私の次の質問で明らかにしてもらえばいいですから。
  277. 倉地克次

    倉地政府委員 在職年数などにつきましては現行どおりというふうに考えている次第でございます。長期に学校をあけられる、いわゆる大学院などにお入りになるというようなことにつきましては、研修と定数などの活用によりまして適切に対応したいというふうに考えておる次第でございます。
  278. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 大臣、これだけ確認しておいてください。免許状種類が今度専修と一種、二種ですね。この種類と、教員の昇任、昇格、昇給などのいわば待遇問題、あるいは人事、登用に差異をもたらすというようなことはないと断言されましたが、確認できますね。
  279. 中島源太郎

    中島国務大臣 今名称とおっしゃいましたけれども、私どもは、普通免許状の中の三種類という設け方をいたしておる、こういうふうに感じておるわけでございます。先生、上進という、この言葉は御自由でございますけれども、私どもは、二種から一種へ、一種から専修へと、それは移行するということは現職研修の中での一つ意欲をもたらすものであろう、こういうふうに感じておるわけでありまして、その根本は、臨時免許、それから普通免許、普通免許の中の三種類であるという立場から申しまして、先ほど他の委員お答えをしたわけでございますけれども、その三種類免許状の種別と申しますか、名称と申しますか、それによって職務内容あるいは給与等について差ができるということは現在考えておらない、こういうことを申し上げました。
  280. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 もう一遍確認しましょう。  給与の区分はありませんね。これが第一点。第二番目、校長、教頭、主任の登用、任命とは関係ありませんね。この両方の具体的な確認できますね。
  281. 倉地克次

    倉地政府委員 給与につきましては、今のところ学歴と経験年数に応じて教育職俸給表(三)の二級の号俸が適用されているわけでございますので、そうした取り扱いを変えることは考えていない次第でございます。  それから、校長、教頭の資格について、現在までのところ一級免許状、それから教育関係の職を五年というような規定があるわけでございますけれども専修免許状につきましては、高等学校の一級免許状の取り扱いを参考にしつつ、今後も検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  282. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ここしばらくはとおっしゃったな。先々検討するの。今のところと言いましたが、先はこれに基づいて何か検討するのですか。今のところというのは非常に重要ですよ。現行で四、五年なのか、法律が動き出した六十六年、五年後になったら検討するというのか。原則はきちんとしておかなければいけませんから、大臣大臣は先ほど原則的にはないと言った。今のはちょっと違うが、もう一遍確認してください。
  283. 中島源太郎

    中島国務大臣 私のお答えをしておりますのは、三種類免許の名称あるいは種別によって職務内容あるいは給与について差があるということは考えておらない、こう申し上げたわけでございます。
  284. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 さて、もう時間が十分しかない。そうしますと、あとまだ幾つかある。僕が前から言っているものを一つだけ確認しておこうか。  必修の単位数の問題に関連して、昭和四十八年に、教員免許法第五条第一項第六号、授与に関する欠格条件として云々というのを挙げて、そしてこの際の教員免許法施行規則でもって憲法の二単位必修というのをなくしました。これはいつか私はここで質問しました。そして、そのときの初中局長は、今後先生の御意思に沿うように努力しますと答えました。  さあ、今度いろいろな単位引き上げをなさるが、この中で日本国憲法、今の憲法というものを必修単位として起こすように工夫をして提示するということをやるのですか、やらぬのですか。
  285. 倉地克次

    倉地政府委員 これは法律案の別表第一の備考の四をごらんいただきますと、そこでは「一般教育科目及び保健体育科目につき特に必要なものとして文部省令で定める科目単位大学又は文部大臣の指定する教員養成機関において修得していることを要するもの」という規定がある次第でございます。ここの一般教育科目と申しますのは、先生指摘日本国憲法の修得などについて定めようというふうに考えている次第でございます。
  286. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、必修科目にするんですか。選択ではないのですね。必修にするのよ、僕の言っているのは。
  287. 倉地克次

    倉地政府委員 この条文にございますように、「修得していることを要するもの」ということでございますので、必修になるということでございます。
  288. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、確認をしておきます。  最後に、まだ本当は単位引き上げ問題と大学問題という大問題があるのです。問題点だけ言っておきましょう、後でまたいろいろな委員が議論するのでね。  今度の単位引き上げるということに関連して、さっき言った専修ということに関連する専修免許資格、これが中学以下にまでいくわけでしょう。そうすると、そういうことに伴う教育課程教科に関するもの、教職に関するもの、特に教養審の中では例として生徒指導だとかいろいろなものが挙がっていますよ。それから、教育の基本理念というようなものも挙がっています。それから、教育技術的なものに関連してコンピューター等々の問題も挙がっていますよ。こういうものを今後教員免許の新たな単位として加える、そのような単位の目安を文部省がつくった場合に、大学側の自主的なカリキュラムの編成と密接に関連してくることになります。それぞれ大学には教育学部というのがあるのです。その上に大学院があります。教員養成大学もあり、大学院もあります。その際に、こういうように外からいろいろな問題を持ち込んできた場合に、特殊な教員養成大学がそれを受けとめますと開放制原則に矛盾する。つまり、法学部の大学院単位でもって専修の方の単位を満たすことだってできるわけです。開放制ですから。そうでしょう。  その場合に、片一方では、教養審が言っているような、特別な教職や何かに関するような科目の要請がある。ところが、大学ではこれからつくらなければならぬと仮にしましょう。そうすると、よその法学部や経済学部の大学院ではそんなものつくらぬわな。恐らく、教育学部に関連するから、教員養成大学に関連する学部の系統の大学院や学部で重視されるでしょうね。そうしますと、開放制原則で教師の資格を取った免許状主義大学開放制という四原則のその原則からすると、こういう制度を持ち込むことが大学におけるいわば学問研究の自由や自治の問題とどうかかわるだろうかという問題が、抵触するような問題がありはしないかというふうに思います。これはもう議論している時間ありませんから、問題点一つ。  もう一つは、大学卒には学則上の最低単位というものがありますね、大学にはみんな学則で決めて、これだけ単位取ったら大学卒業生と認定するのですから。ところが、教職単位というものはそれにプラスしてまた取らなければならぬ。そうしますと、四年制の大学卒に教員の資格を与えてきた今までの大学開放制原則と、四年制大学卒でもって一定の単位を修得した場合に、その資格を取るその基本と、今度はさらにそれに専修や教職課程というものをとるために新たな単位が付加されるということによって、教職専攻の学生一般学生よりも非常に多忙をきわめるということを言葉をかえていうと画一化されるということです。  おれはこんな単位取りとうないけれども、これを取っておかなければ教職の資格はないやということになると、つまり本来持っている学生の自主研修や学部の持っている大学の人間形成という問題と抵触してくる問題が起こりはしないか。つまり、大学における卒業要件を満たして、さらに教職履修する大学生の負担という問題をどう理解するか、これが問題点だということを申し上げて、きょうはこれを回答していたらもう僕の時間ありませんから、これは問題点として出しておきましょう。次に答えてもらうことにしましょう。  最後に一つだけ聞きましょう。社会人学校教育活用は、時間がなくて私は質問できません。したがって、教職特別課程、この教職特別課程の対象者は大学学生ですか、現職教員ですか、それとも一般社会人を頭に置くのですか。この教職特別課程というものに参加する対象者をどう想定していますか。
  289. 倉地克次

    倉地政府委員 教職特別課程は、大学を卒業した方または大学院を修了した方がその後において教職関係の免許状を取得していただく制度でございますから、そうした大学卒業者であれば、一般社会人でもよろしいし、教職にある方でも結構であるということになる次第でございます。
  290. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 さて、この課程は教師の普通の教育認定課程、各学部の持っている教育の認定課程と別個に行うのですか。
  291. 倉地克次

    倉地政府委員 別個に置くことになる次第でございます。
  292. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それには専修免許課程は含みますか。
  293. 倉地克次

    倉地政府委員 教職免許の授与でございますけれども、いわゆる専修免許に該当するものも入るということでございます。
  294. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そんな絵にかいたぼたもちみたいなことができますか。特別に今までと違った一年制の教職課程大学にこしらえるのよ。そこには一般人も来れば、大学生はもちろん現職教諭も来る。一種免許を頭に置いているだけじゃなくて、専修免許まで頭に置いた単位数も含めた一年制のもののカリキュラムをやって、どうぞいらっしゃいというような大学はどことどことどんな大学でできますか。貝体的にその措置についてどう考えていますか。どういう大学にどういう措置をしてどういう判断で今予算その他の対応をするのか、貝体的に説明してください。
  295. 倉地克次

    倉地政府委員 既に大学院などを修了した方につきましては、教科についての免許は既にお取りになっている次第でございますから、教職について必要な単位をここで御修得いただければいいということでございますので、可能ではないかというふうに考えている次第でございます。
  296. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 貝体的な設置計画というのはどうなっているのですかと聞いている。具体的な設置計画、各大学に一年制コース、どういう計画ですか。
  297. 倉地克次

    倉地政府委員 これから各大学で御判断いただいて御申請いただき、それを認定することになるというふうに考える次第でございます。
  298. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、各大学教育学部やなんかじゃこの免許法にもろ手を挙げて賛成している雰囲気じゃないと簡単にできませんな。  最後に一問。昭和六十二年以来、国立の教員養成大学の学部と大学院教員以外の職業分野へ進出することが予想される課程、今度は先生になるんじゃないのですよ、先生以外のところに進出が予想される課程を設ける改組が現在進行していると思うが、どこの大学でそのような改組が行われているか、これが一つ。この課程は、今皆さんは教員養成課程を充実させるために、いい学生が来る、いい教師たちができ上がるようなオープンな対応をなさっているのに、現実には、教員養成大学をつくったけれども人間があふれているんじゃなくて、教員になりたくない人間も来て新たなコースを選べるようにしようじゃないかということを意味しているのではないかと思う。  そうしますと、今の教員免許制度を提案なさっている皆さんの文部行政の中の大学行政として、どこにどう設置されるかということを含めて考えてみて、免許基準引き上げと希望者の減少という今日の現状の矛盾をどのように考え、どう措置されようとしているかがこの改組問題と密接な関係があると思う。大学の関係ですから、これは助成局長じゃないでしょうな。
  299. 國分正明

    ○國分政府委員 国立の教員養成大学におきまして、先生指摘のとおり、近年における教員の需給状況ということを考えまして、教員以外の分野へ進出できる課程あるいは他学部へ入学定員を振りかえる、こういう措置が六十二年度以降行われておるわけでございまして、これは個々の大学における十分な御検討を経てやるものでございますから、文部省が計画的にああしろというものではございませんが、六十二年度におきましては三大学、六十三年度におきましては十三大学、それから六十四年度にはまだ概算要求中で最終決定はいたしておりませんが、十三大学というところで学生入学定員を御指摘のような方向で振りかえるという措置を講じているところでございます。
  300. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それ、後でデータをください。各大学現状と何をどんなふうに変えてきたか。免許法と直接関係あるかどうか別として、今後の一つの問題であろうと思いますので、資料の提出を要求を申し上げます。
  301. 國分正明

    ○國分政府委員 資料を整えまして御提出したいと思います。
  302. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これで質問を終わりますが、大臣、相当問題点があるというのはおわかりでしょう。特に、二種から一種、専修という制度、それから大学と今日の免許制度引き上げに伴うカリキュラムの編成、それから新しい教職課程問題等々非常に多くの問題を擁している法案でありますから、それこそ慎重審議問題点を明らかにして、原案でなければならぬというような、数だけで事を処理するのではなくて、謙虚に、提案者である政府側としては、大臣としては、これを検討するということができるかどうか、その点について最後にお聞きをして私の質問を終わります。
  303. 中島源太郎

    中島国務大臣 いろいろ御質疑は拝聴いたしておりました。簡単に三つ申し上げたいのですが、私どもが御提案を申し上げておりますこの改正案教育改革に準じる重要な部分である、こう考えております。二つ目は、現行免許制度に係る基本理念は遵守をいたしてまいりたいと思っております。ただ、その中で、開放制原則を守りながら専門性向上をいたしたいということ、それから、それぞれの養成現職研修を通じまして教員資質向上に資してまいりたい。もう一つは、社会経験を積んだ方々学校教育の場に入っていただいて、そして学校教育そのものに生気と広い視野を与えていただきたいものだ、こういう点で御提案を申し上げておるわけでございまして、そういう意味を御理解いただきまして御賛成をいただければありがたい、このように考えておるわけでございます。
  304. 中村靖

    中村委員長 次に、有島重武君。
  305. 有島重武

    ○有島委員 教育職員免許法等の一部を改正する法律案を審査さしていただきます。  なかなかの大法案なんですから、これは短い時間で総論と各論とをやるのはなかなか大変だと思いますけれども、簡明にひとつ進めてまいりたいと思っております。  教員養成ということについては私は三つ原則があると思っているのです。一つ開放制を守るということ、それから第二番目には現職での研修を非常に重視すべきである、三番目には採用方式を改善していかなければならない、この三つであろうと思っております。  それから、もう少し前の前提として申せば、文教行政ということを全般から見れば、行政介入ということは、特に国レベルの行政介入ということはできる限り少なくしていく方向が望ましいのじゃないか、こういったことが原則として言えるというふうに私は思うのでありますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  306. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃいますように、有島委員最初に御指摘いただきました今回の改正、それから教員養成の要点、全く同感でございます。したがって、行政は余り関与、介入しない方がいいのではないか、こういうお言葉もございました。私は、先生がおっしゃいました三つの要点の一つ、つまり現職研修あるいは養成段階におきます資質向上、こういったものを図っていく必要があると思うわけでございます。  特に現職の研修につきましては、教特法十九条がいつも提起されるわけでございますけれども、これは当然教員方々研究、修養と同時に、またそういう機会をつくっていくことに御協力を申し上げる、そういうことがございますので、系統的な研修ということを含めますと、過度の介入はともかくといたしまして、やはり双方力を合わせながら、介入、関与が絶対いかぬというものではなかろう、両方相まって資質向上が求められれば結構なことではないか、私はこのように考えます。
  307. 有島重武

    ○有島委員 第百一国会教職免許法等の一部改正案というのが昭和五十九年にございましたけれども、これについては、私どもは反対をいたしました。その理由は、単位数の大幅引き上げというようなことが入っておった。行政介入拡大の方向性が著しいということ。もう一つには、昭和五十八年に教養審の答申があった。それと、それ以後にできる臨時教育審議会の審議との兼ね合い、こうしたことを待つべきであって、これは重要問題だから急ぐべきではない、そのように判断をいたしまして反対をいたしました。  このたび、また同じ名前の法律案が出てきたわけでございますけれども、これが百一国会のときの法案との、何か共通点もあるのでしょうが、明確なる相違点というのがあると思いますね。その中でも特に、表現の違いということもございますし、それから意図そのものがかなり違っているとすれば、表現の違いもさることながら、その意図がこのように違うんだということがあれば、大臣から御説明をいただければと思います。
  308. 倉地克次

    倉地政府委員 五十九年改正法案との関連でございますが、まず、具体的にその違いを御説明させていただきたいと思う次第でございます。  最初に、それは普通免許状の名称の違いがあるわけでございまして、当時は特修とございましたのは今度は専修としておりますし、標準免許状は一種、それから初級は二種としている次第でございます。  それから、短期大学卒業程度を基礎資格とする免許状の扱いについて、五十九年については規定がございませんでしたけれども、今回についてはいろいろと規定を設けているということでございます。  それから免許基準引き上げでございますが、五十九年改正法案におきましては、小学校の標準免許状につきましては七十単位の修得を要するということにしておった次第でございますけれども、今回はこれを五十九単位ということにしている次第でございます。それから中学校高等学校の標準免許状につきまして、五十九年改正法案につきましては六十六単位ということにしておりますけれども、今回はこれを五十九単位ということにしている次第でございます。  また、教育実習につきましても、五十九年につきましては小学校について八単位、中高につきまして六単位ということでございましたけれども、今回は五単位とそれから三単位というふうにしている次第でございます。  それから、社会人活用につきまして、今回は新しく制度を創設している次第でございます。  こうした措置を見てみますと、五十九年改正法案につきましては、専門性をより高めるということに非常にウエートがかかっておったのではないか、そのように推測する次第でございます。
  309. 中島源太郎

    中島国務大臣 具体のことでございましたので、先に政府委員からお答えをさせました。そのとおりでございます。
  310. 有島重武

    ○有島委員 大臣の御認識で百一国会のときの法案とこのたびと、意図するところは同じだ、そういうふうに決めつけた言い方でよろしいか、あるいはこの点が違うというところがあるのかどうか、これを伺いたいと思うわけでございます。
  311. 中島源太郎

    中島国務大臣 その中で名称を変えた、こういうことでございますが、名称も変わってはおります。ただそういう段階で私の認識では、臨時免許状あるいは普通免許状の中の種別をふやさせていただいた、こういうことでございまして、三段階免許を設定をするというよりは三種類免許状を設定をするということでございまして、そういう意味で冒頭に申し上げましたように幅広い範囲から教育職員方々を迎え入れる。それから、養成段階あるいは現職研修の中からさらに資質を高めていただきたいという面については大差のない理念を盛った改正であろう、このように考えております。
  312. 有島重武

    ○有島委員 先に行きましょう。  教職員について大臣の御見識を伺っておきたいと思うのです。平たく申しますと、どういう教師が今求められているのだろうか、そういうことなんですけれども資質能力という言葉がしきりと用いられております。今求められている教員資質能力、どういうことが求められているのか。
  313. 中島源太郎

    中島国務大臣 お答えの前提として、私は教員方々というのは少なくとも生徒、児童、学生諸君のいわゆる学校教育を支える重要な職務であるというふうに考えております。求められる教員像と申しますか、教員方々に求められる資質能力としては、教育者としての使命感、よく言われることでございます。それから教育の理念、人間の成長あるいは発達段階にそれぞれ深い理解を示してもらえる、そういう教員であってほしい。また幼児、児童、生徒に対する教育的な愛情をぜひ持っていただきたい。それから教科等に対する専門的な知識を持っていていただきたい。それから御自身が広く教養を持っていていただきたい。以上申し上げましたことを基礎とした実践的な指導力を持っていただきたい、こういう資質を持っていただいておる教員像というのが好ましい教員像であるというふうに私どもは考えております。
  314. 有島重武

    ○有島委員 この問題についても慶応義塾の石川塾長の言葉だったと思うけれども、不易ということと流行ということが言われますね。教師としてどんな時代だって使命感は大切だ、情熱は大切だ、こうございます。戦前における求められた教師像、こういうものがあったと思いますね。それから戦後新しい学校教育制度がしかれた、そのときに求められた教師像というものがあると思う。それから今日、今の社会情勢の中で求められている教員資質能力というのを裏返しに言えば、こういった面で著しくこれを強化しなければならぬというような今日的な一つの要請というものがございますでしょうね。それからさらに、二十一世紀というものも見据えたときに、これから養成しなければならない教師というものはこうあらなければならない、こういったようなことがあると思うけれども、もう少し詳しく御見解があれば今承っておきたいのです。
  315. 中島源太郎

    中島国務大臣 今有島委員がお触れになりました中で、例えば使命感とか愛情とかというものは時代を超えて求められる同じ資質だと思うわけでございます。ただ最近は児童生徒その他の個性化あるいは生活、学習の多様化というものもあるわけでございますので、それぞれの児童生徒に対しますときにそれなりにやはりその生徒諸君の個性あるいは発達段階を見きわめられるだけの知識が必要であろう。そういう意味では、先ほど述べましたように少なくとも免許につきましても開放制原則というものはもちろん重視をいたしてまいりますけれども、その中に専門性向上というものも求められている時代だと思いますし、これからも求められていくであろう、こう思うわけでございます。  それからまた一方におきましては、最近の社会の変化に対応できるように新しい部門の知識というものはあろうと思います。例えば情報社会の到来に従って、情報あるいはコンピューター処理、そういったものの分野におきます特殊な教育資質を持つということも必要であろうと思います。そういう面は時代によって変わると思いますが、繰り返すようですが、使命感、愛情などはいつの世でも求められるものであろう、このように考える次第でございます。
  316. 有島重武

    ○有島委員 私たち公明党の教育改革推進本部というのがございまして、昭和六十一年に「学校教育に関する校長・教員・父母の意識調査」というものをいたしました。お目にとまっているかどうかあれですけれども、これは校長さんと教員方々に同じ設問を行いまして、どのくらいずれがあるかを見た。それから、内容によりましてはこれに父母を加えまして調査をいたしました。この調査対象は、全国の三万六千百十一校の学校全部に総当たりをしたわけでございます。それで、昭和六十年の十二月から六十一年の二月にかけていたしました。回答率は、校長さんで七一・六%、教員で六五・五%、父母で七二・一%、全国的にはこういったことでございました。  これは文部省の方にも、臨教審の方にも発表当時に全部差し上げたと記憶しておりますけれども、この中に教師として最も重要と思われる資質は何だろうか、こういった設問があるのです。この中で校長先生の側の順位ですけれども、これが「教育者としての自覚(使命感)」、第二番目が「子供が好き」、三番が「研究心」、四番が「情熱」、五番が「子供に対する公平さ」、以下「行動力」とか「他の教職員との協調性」とか、それで「教育技術」ということになりますと八番目ぐらいになっております。それから、「明かるくユーモア」とか「体力」であるとか「教えることが好きである」とか「一般的な教養」というもの、これは十二番目ぐらいになっておるのです。あと「子供に対する威厳」とか「その他」ということになるわけです。  これは教員側の方の順位で見てまいりますと、一位が校長さんと同じように「教育者としての自覚(使命感)」ですね。第二番目には「情熱」、これが挙がっております。情熱が大切なのは当たり前なんだけれども、あえてこれが挙げられたというのは相当いろいろな悩みを持っていらっしゃるのじゃなかろうかと私たちは感じました。三番目は「子供が好き」、それから「研究心」、五番目が「子供に対する公平さ」、それから「行動力」、七番目が「教育技術」ということになっております。  これに対して父母の方の意識でございますけれども、これが一番はやはり使命感なんですね。二番は子供に対しての公平さというのが来ているのですね。三番目には熱意、子供教育に熱意がある。これが非常に多かった。それから、子供たち一人一人に対する気配り、愛情、厳しさを持っている、サラリーマン化していないこと、明るいこと、一般的な教養、こういうような順番でありました。  これは小学校中学校も高校も全部のトータルでございますけれども、中学になってくるとまたやや別なニュアンスが出てくる。高校は高校でもって別なニュアンスが出てくる。全体平均いたしますと、小学校先生の数、御意見というのが割と支配的に思いました。こういうことでございました。  それで、開放制原則ということでございますね。大臣のこの法案の提案理由の説明の中でも「開放制原則に立ちつつ、」「専門性の一層の向上を図る」、そう言っておられます。開放制ということについて、その開放制のメリットといいますか、よさ、大切さがどこにあるのか、これはどう認識していらっしゃるのかということを承っておきたい。
  317. 倉地克次

    倉地政府委員 先生指摘開放制の問題は、戦後の、現行教員養成免許制度の中の基本的な理念の一つとして挙げられている問題であろうかと思う次第であります。これは具体的には、すべての教員資格は大学教育によって養成するということでございますし、またすべての大学制度上均等に位置づけ免許法に定める科目大学が開設し、学生がその単位を修得したときに免許状が授与されることとしている建前のことを言うのではないかと考える次第でございます。戦後、開放制教員養成を行いまして、高い資質教員を大量に供給できたことは一つのこの原則の功績であったのではないかと考えている次第でございます。
  318. 有島重武

    ○有島委員 広さと深さということがあると思うのですね。それで広さの方は一般的な教養ということになるでしょう。あるいは教科の上でも非常に広いということもあるかもしれません。深さの方でもこれは専門性ということに近いことですけれども教職員としての教科あるいは教職科目、これの突っ込み方が旧来の閉鎖制よりも深いというわけにもちょっといかないと思うのです。  それでこの開放制の反対というと、これは師範制というか閉鎖制というか、あるわけだけれども、このたびの法改正というのはこの開放制をもとにしながら専門性ということを言う。だから、トータルで見るとこの開放制をどんどん進めていく方法、今御説明のあったその方向をどんどん進めていく方向なのか、あるいは開放制をやや狭める、制限する方向なのか。方向性の問題がある。これは大臣、どう思いますか。
  319. 中島源太郎

    中島国務大臣 政府委員からもお答えをいたしましたけれども開放制というのは、従前の師範学校あるいは目的的な学校における教員養成が建前でございましたけれども、現在はすべての教員資格は大学教育によって養成することを原則とするということで、広さと深さというのは、先生も御指摘のように広い教養、そして深い専門的知識、こういうことでございまして、私が開放制原則としつつ専門性を高めたいと申しましたその言葉どおりでございまして、今後ともこの開放制は維持をいたします。少なくとも狭めるというようなことは毛頭ございません。  その中で、専門性を高めるということになりますと、じゃ今までの方向では専門性を高められないか、こういうことも一方にあろうと思いますけれども、そうではなくて、今までの開放制の中でさらに専修免許状等を一種類つくることによりまして、一種免許状をお持ちの方の中からさらに特定分野知識を深めている方々に対して、一つ養成あるいは現職研修の中での意欲を持っていただき、さらに専門性開放制を損なわずに高めていただく道につながるであろう、こういうことで御提案を申し上げておるところでございます。
  320. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、開放制を狭めていく、制限するというようなことはいたしません、こういうことですね。
  321. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  322. 有島重武

    ○有島委員 じゃ、そのようなおそれがあったときには、それは修正なり引っ込めなければならぬ、こういうことですか。
  323. 中島源太郎

    中島国務大臣 そのようなおそれはないと思いますが、そのような隘路がもしあります場合には、それは周辺からその隘路を開いてまいるように努力をいたしたい、こう思います。
  324. 有島重武

    ○有島委員 今、総論ですから、ここでとどめておきます。  その次の問題といたしまして、教員資質能力、これも教員養成段階でさまざまな手だて、本人の努力によって向上させた、充実させたということになった場合、それを現場で発揮できるかどうか、これが大切なのじゃないですかね。  従来も開放制によって養成された教員が大勢いらっしゃる。その方々がやはり御自分の専攻科目を持っておる。それから教職員としてのしかるべき単位もちゃんと取っておる、こういうことです。それから広い教養も持っておるはずですけれども、これが十分に発揮できたかどうか。こういったことを反省しなければ次に進めないと思うのですね。これが十分に発揮できない阻害要因というものが正直に見たところあったのではないか。その阻害要素というものがあるとすればどの辺だっただろうか、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  325. 倉地克次

    倉地政府委員 私ども現場教員方々はそれぞれそのお立場において十分お力を発揮しておやりになっていると思うわけでございまして、とりたててこれが阻害要因であるということを現在のところ申し上げるまでに至ってない実情でございます。
  326. 中島源太郎

    中島国務大臣 御質問伺っておりましたけれども、私も政府委員が答えましたように思います。特に今、阻害要因があるとすればどこと思うかとおっしゃられますが、ちょっと阻害要因を具体に申し上げる知識がございません。
  327. 有島重武

    ○有島委員 先ほどの意識調査の中にこういった問いがあるのですよ。「教師は雑用など、いろいろな仕事を抱え込んで、教師としての本来的な仕事に専念できなくて困るという声をよく耳にします。あなたの場合はどう考えられますか。」これに対して、校長先生は総体的に割と否定的なんですね。先生方は非常にそうだと、こうおっしゃる。特に中学校においては非常に雑用が多過ぎて専念できないという方々先生の中にも多いようでした。  それでこの中で特に、これは校長さんの方ですが、「会議が多すぎる」「学校行事が多すぎる」、それから「児童・生徒の転出、転入の整理、学級日誌、出席簿の保管等、校務、分掌の事務が多い」。それから「研修の回数が多すぎる」というのが四番目ですね。それからPTAの仕事。あとは教職員組合関係の事務。それから七番目が学校施設設備の購入、管理の方の仕事。八番目が「文部省、教育委員会よりの資料の作成」。こんなことが挙げられているわけですね。  教員方々は、初めの二項目は「学校行事が多すぎる」「会議が多すぎる」。それから三番目、転入等の事務が多いということ、これも順序としては大体似ておるのです。それで、特に小規模校になってくる、あるいは従来は大規模な学校であったのだけれども今は二十クラス以下の学校になってしまった、こういったような中学校の場合には、人数の融通がつかないと申しますか、非常に校務に追われている、そういった現状があるようです。  それからもう一つ、いろいろな専門の人たち教育現場の中にいる。これは昔の師範学校なんかにはなかったような現象がある。いろいろな学部を卒業された方あるいは大学院を出てこられた方々、短大を出てこられた方、いろいろな方がいらっしゃる。それだから多様な人材一つ現場の中にいる、こういうふうに上の方から見ると言えるのです。  ところが、その方々が、先輩後輩の関係をよく結びながら授業についても子供たち指導についても相互にいろいろ話し合いをしたり意見の交換をしたり、そういうコミュニケーションがあれば多様化が生きるのでしょうね。現実にそれが生きているかどうか、その辺はやはり実態をお調べいただいた方がよろしいのじゃなかろうかと思うわけですけれども大臣、いかがですか。
  328. 中島源太郎

    中島国務大臣 御指摘の点は傾聴すべきことだと思います。私自身もできるだけ学校その他へ足を運びたいと思っておりますが、悲しいかな、私自身が教鞭をとった経験がございません。現場学校教育に携わっておられる方々はそれぞれそれなりに大変な御苦労があろうと思いますし、また時間も、それぞれのお立場でなかなか自由に討議し、コミュニケーションを図るお時間がないのかな、そういうこともあり得るだろうなということを、拝聴しておりまして考えました。  いろいろな多様性というものがコミュニケーションにプラスになる要素がありながら、それが生かされないとするならばどこにあるのであろうかということも含めまして、私も私自身耳を大きくいたしまして、実際の現場教員方々あるいは学校関係者の方々あるいは御父兄の方々の声をできるだけ耳に入れて、そして教育改革を進める上で大きな参考にいたしながら進めてまいりたいと思いました。
  329. 有島重武

    ○有島委員 大臣の提案理由をこの間拝聴いたしましたけれども学校教育多様化等に対応するためにも、社会経験を積んだ教員を入れるとか、学校教育に生気を入れる、広い視野を与える、こういう御理想のわけですね。これも大変貴重なことなんですけれども、今大臣のおっしゃったことはよほどフォローしておかぬと事志と違った方向に行ってしまって散り散りばらばらになる。それで、先生方がこれから研修といっても、これは時間をつくってはどこかへ出かけていってしまう。そういうことになると、ますます校内でのコミュニケーションが少なくなるかもしれません。  それから、そういうふうに孤立化された先生方に教えられているお子さん、子供の側から見ると、さらにそれは余り望ましくないことであるし、多様化ではなくて、何かそれぞれ偏ったところに追い込まれていくということになるわけです。これはせんだっての高校の多様化のときにも申し上げたとおりでございます。あのときにもお役所側からは、これが緩和だけれども、生徒さん側からその選択が、あのときには定時制を四年制から三年制にするという問題であった。三年以上にしてもよろしいということなんだから、そこにいろいろ幅ができてよかろう、こういうことでございましたね。それはお役所の言うことであって、それをどっちでも選べるという定時制の高校生の方々一つの選択幅とは現実問題としては違うのじゃなかろうか、だからそれを考えてくださいと申し上げたけれども、そのときには余りいいお答えはいただけなかった。そんなことは考えておりませんでおしまいだ。  それからこちらは踏み込んで、それだけじゃなくて考えてくださいと申し上げたわけでございますけれども……。そういったことをよほどしっかりしておかないと、せっかくそうしてお金をつぎ込んで、大学にも大騒ぎさせてやるわけですから、現実に力量を発揮できるような場をつくる、阻害要因をどうしたら排除できるか、これは大きな課題としてひとつ、この法案が成立するか、あるいはもう一遍考え直すか、その瀬戸際におりますけれども、いずれにせよ、しっかりとここでお約束をいただきたいと思うわけです。大臣、いかがですか。
  330. 中島源太郎

    中島国務大臣 前の法案もそうでございます。私どもは現在御提案をしております法改正につきましても、教育改革にのっとりました重要な改革の一環であると考えて御提案を申し上げております。  しかし、一つの改革を進めますには、それなりに非常に長所、その反面に短所があるかもしれません。もしあるとするならば、私どもは長所をできるだけ伸ばして、そして短所があるならばあらゆる面でそれを改善し、そして隘路があれば排除をしていく努力をいたしながら、根本の理念でございます教育改革に沿った一つ一つの改善方法を御提案をし、御審議の結果、御可決をいただきつつ、一歩ずつ着実に、確実に前進をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  331. 有島重武

    ○有島委員 先に行きます。  今後の教員の需要予測。育てる手だてもいいのですが、それは設備をつくらなければならない。この教員の需要予測はどのようになっておりますか。何かちゃんと表のようになって、資料ができておるならばいただきたい。
  332. 倉地克次

    倉地政府委員 現在の児童生徒数の予測を見てみますと、全体として減少の傾向にある次第でございます。今後、しばらくこうした状況が続くのではないかと私ども考えている次第でございまして、こうした状況を踏まえまして、教員の採用数もこれに伴って全般的に見れば減少していくのではないかと考えている次第でございます。こういうことでございますので、現在におきましては、供給面においては余り心配しなくてもいいような状況ではないかと考えている次第でございます。
  333. 有島重武

    ○有島委員 一言で言うと、今後、採用の数は減っていくということですか。
  334. 倉地克次

    倉地政府委員 全体の傾向としてはそのようなことになるかと思っております。
  335. 有島重武

    ○有島委員 それで、減っていくから今度は教員志望者の資格を少しハードルを高くして、質を向上させてというようなお考えでしょうか。
  336. 倉地克次

    倉地政府委員 今回、免許基準引き上げということを図っている次第でございますが、これは教員の採用者が少なくなるからというよりも、むしろ学校教育実態を考えますと、やはりその実態から見て、生徒指導でございますとか特別活動でございますとか、それから情報化時代を考えまして情報機器の取り扱いの問題とか、そういうものを養成段階においてもぜひ学生に学んでほしいということでその改定を図っている次第でございます。
  337. 有島重武

    ○有島委員 私の御質問の言い方が教員の需要予測と申し上げた、これはそうなりました。これを教員の配置計画、こういうふうに言いかえると、今の予測は一つの掛け算、引き算みたいなものでございますから、それは今の方針でいけばそうなるということでございますね。それはそうかもしれぬが、大臣としては、今後の教育教員の配置ということについてどういう原則を新たに立てなければならないのか、二十一世紀まで今の定数法をそのままずっと適用していけばいいのか、定数のあり方そのものをもう一遍考え直さなければならないときに来ているのではなかろうか、その辺はどうお考えになりますか。
  338. 中島源太郎

    中島国務大臣 教員の需要予測をもとにお尋ねでございました。その前からの御質問の経過で伺っておったものですから、需要予測としては需要減の時代に入ってくるであろう。御質問の前に一つだけお答えいたしておきますと、それと特段に関係なくこの法案は御提出を申し上げておるということをまず前提で申し上げさせていただきます。  また、教員の定数あるいは配置につきましては、これは今後の予測も一応立つわけでございますけれども、現在の十二年計画は六十六年に向かって進んでおるところでございますので、先生は二十一世紀に向けて、こうおっしゃいますけれども、その時点の完成度その他を見まして、そしてさらに考えてまいりたい、今具体に申し上げられなくて申しわけないのでございますが、そのように考えております。
  339. 有島重武

    ○有島委員 今の日本小学校教員一人に対しての子供の数が二十五・四人ですか、それでアメリカが十九・七、英国が二十二・〇、フランスが十七・一、西独は十六・四、こういった数字ですが、これは臨教審で議論された数字でしょうか。
  340. 倉地克次

    倉地政府委員 今先生指摘の数値は私どもにおきましても承知しておるわけでございますが、臨教審でもこういう事情を十分御承知の上で教員の定数問題についても議論されたと承知している次第でございます。臨教審の答申におきましても、現場の十二年計画は六十六年までこれをまず着実に進めることが重要だということを御指摘になっているわけでございまして、その後におきましては欧米のそうした水準も勘案して検討することが必要であるということを御指摘になっていると考えている次第でございます。
  341. 有島重武

    ○有島委員 そんな物騒な数字を持ち出されちゃかなわないなと思うのは大蔵省の心配なのであって、我が文部省においては大いに勢いを得て……。  今、お子さん方はだんだん減っておる。日本としても非常に大きな一つの転換期であろうかと思うのですね。その中で、ただ教員の数だけふやせばいいというわけじゃございませんね。だけれども、今、定数法に制限されて心ならずもこうだ。先ほどの、教員が持っていらっしゃる力量を発揮する、ないしはいろいろな自主的な研修ということもあるでしょう。あるいは父母とのもっと密接なコネクションということもあるでしょう。そういったようなことの阻害要因を排除するということとも絡め合わせて、未来に向かって計画を描くべきときが来ているのじゃないだろうか、こういうように思うわけですね。重ねてひとつその御決意のほどを表明しておいてもらいたいのですよ。それでこの法案に入っていきたい、こう思うわけなんです。
  342. 中島源太郎

    中島国務大臣 御指摘の理念はよくわかります。教育改革を着実に進めていくという中の一環でおっしゃっておられるわけでありまして、私どももあらゆる点で教育改革は進めてまいりたい。その中の定数配置その他につきましては、少なくとも六十六年、これに全力を挙げておりますので、六十六年達成を目指し、そしてその時点でさらに前進的に考えていきたい、このように思います。
  343. 有島重武

    ○有島委員 そうした大きい背景の中でこの法案位置づけるということならばまた考えも違うと思うのです。  もう一つ、総論の中で最後に、今後外国人の採用という問題が起こってくると思うのですね。これは、社会人を採用するというような、そこら辺のところに位置づけられるものなのか、こういった体系とは全く別なことで、別に考えなければならぬことなのか、その辺はどう考えていらっしゃいますか。
  344. 倉地克次

    倉地政府委員 外国人を教員に採用する問題でございますが、これはそもそも公務員については、従来から、公務員に関する当然の法理といたしまして公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる公務員には日本国籍を必要としているところでございます。それで、公立の小・中・高等学校等の教諭はこの法理が適用されるものと解釈されておるわけでございまして、外国人をこれらの学校の教諭として採用することはできないこととされている次第でございます。  ただ、文部省では、外務省、自治省と共同の事業といたしまして、語学指導などを行う外国青年の招致事業を昭和六十二年度より行っておるわけでございますけれども、現在約千四百人の外国人が臨時の英語指導助手といたしまして学校で語学指導に当たっている実態はある次第でございます。
  345. 有島重武

    ○有島委員 以上の総論を前提として、今度は各論に入らしてもらいます。  各論は一から八ぐらいかと思いますけれども、一番目が免許状種類の変更ということにつきまして、従来の一級、二級、これを専修と一種と二種にされたということでございますが、この意図は何なのだろうかということです。まあ今は昔と違って高学歴社会になったわけでございますから、先生方に聞いても、親御さんたちの学歴がばかに上がってしまって、PTAなんかでも大学出のお母さん、いや大学院を出ているお父さんやお母さんというのがいる、昔は教師の方がみんな学歴がややあって権威があって尊敬される、どうも恐縮してしまうみたいなところがないわけでもない、そんなことを聞いたこともございます。大体みんな高学歴になってきたのだから、だから全体をそういった意味でのレベルアップをしようかというのがこれの意図なのかな、単純に考えてそんなふうに思います。  ただ、ここにさまざまな批判がございますね。今までもこの場でもって繰り返されたとおりでございますけれども、これは学歴という一つの価値観がある、学歴が高ければ信用される、そういう価値観にやはりひっかかってしまっているんではないだろうか、それが一つでしょう。  それから、こうした教員資質能力ということにかかわって先ほどからもお話がある。それも形式的な、画一的な発想の中にまた閉じ込めてしまうのじゃなかろうか、そういうような批判がございます。  それから三番目には、学校内に一種の人だ、二種の人だ、あるいは専修の人だというふうな格差の意識を持ち込んで何かぎくしゃくすることもあるのじゃないか、こういった心配も随分出ておるようでございます。  それから、給与の問題でございますが、現在は別に給与体系とは無関係、こういうことを承っておるけれども、将来、あのときはそうだったがそっちの方に持っていかれてしまうのじゃないのか、給与による優位方式ということになるのじゃなかろうかという疑いもなかなか根深くあるようでございます。あるいは、給与表というものの裏づけになっている校長、教頭、主任への任命条件の中にこれを持ち込んでくるのじゃないだろうか。  大ざっぱに言ってこんな疑いがある。こういった疑いは全く杞憂にすぎない、大丈夫だ、そういうことはございません、こういうことになりますか。
  346. 倉地克次

    倉地政府委員 まず第一に、学歴主義の問題でございますけれども、これは、現在の教員養成制度が公開制を原則といたしまして大学における教員養成という考え方をとっている次第でございます。大学における教員養成ということでございますと、大学においてどのような学習をしたかというその基準といたしましては、やはり何と申しましてもどのような学科について何単位修得した、また修業年限何年の課程を卒業したというのが最も客観的な基準になるわけでございまして、そうした意味で、今回も単位修得制度というのをとっている次第でございます。そういうことでございますので、学歴を重点に置いているわけではございませんで、大学における教員養成をとる以上はこうした測定方法が一番客観的ではないかということでこのような制度がとられているものというふうに考える次第でございます。  それから、二種、一種、専修という免許状を設けて学校の中に格差を持ち込むのではないかというお話でございますけれども、これにつきましては、そうした免許状をお持ちのどなたについても職務内容は同じでございまして、学校の中で同じ仕事をされるわけでございますから、学校の中に格差を持ち込むということにはならないのではないかというふうに考える次第でございます。  また、給与につきましては、私ども、これについて格段の措置をするということは現在念頭に置いていないということでございます。  それから、校長、教頭の資格の問題でございますが、これは、専修免許状については高校の一級免許状に相当するわけでございますので、その辺の均衡を考えつつ今後検討したいというふうに考えておる次第でございます。
  347. 有島重武

    ○有島委員 結論として、そういったことはないということでいいですか。いろいろ説明があったけれども、ずるずるとそうなってしまったというのじゃ困るわけです。大臣、そういうことはさせないという判こをひとつ押させて、これは次の大臣になってもちゃんと持続してもらわないと困る、こっちも安心して審査できない、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  348. 中島源太郎

    中島国務大臣 私の頭の中には、学歴偏重社会からは脱却いたしたいということでございます。たまたま免許状大学を中心に行われるわけでありますので、その中でさらに意欲を高めていただくという一つ方法として御提案いたした次第でございます。また、この三種類免許状を御提案し、つくるということでランクづけが行われることはないと思いますし、私の頭の中では考えておりません。
  349. 有島重武

    ○有島委員 「教員養成課程において、教科教職についての基礎的・理論的内容と広い教養、そして実践的指導力の基礎を確実に身につけさせる」、こういうふうに大臣はこの間言われました。そのためには「学部を卒業して免許状を取得させることが必要である」、きっと短大卒ではこれはできないということなんでしょう。そして、これが「教員資質能力の標準的な水準を示すもの」だ、こうおっしゃるわけですね。  何かわかったようなわからぬようなところがあるわけですが、この中で特にわからないのは「実践的指導力の基礎」、これは何ですか。それを「確実に身につけさせる」わけだから、あとは「確実」というばかにかたい言葉になっているけれども、この「実践的指導力の基礎」というのは、ここはどういうことを言っていらっしゃるのですか。
  350. 倉地克次

    倉地政府委員 「実践的指導力」でございますけれども、これは教員としての実際的な行動様式でございますとか具体的な教育活動に関する知識、技能といった単なる技術的なものを指すというふうには考えていない次第でございます。豊かな人間性と深い専門性が統合されました全人格的なあらわれとして教授の場において発揮されます総合的な指導力ではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  351. 有島重武

    ○有島委員 大臣も御存じかもしれないのだけれども、全国の学校の中で、特に公立中学なんかでいろいろな事件が起こっておる。それは新聞報道は大変少なくなりました。これはいいことだと思うのです。報道が少なくなっているということの方がずっといいと思うのですけれども、私たちの身近なところにも、一遍荒れ出すとなかなか何年もおさまりがつかないで、授業といっても生徒さんが入ってこない、それをつかまえに行って入れる、それでおさめてやっと授業が始まりかけたころはまたベルが鳴っちゃう。本当に授業に連れてくるまでが大変なのですよ。そういうことを繰り返して、それでも挫折感にとらわれないでけなげにやっていらっしゃるというところが幾つもあるのです。そういったことは御存じでしょうかと言っては大変失礼だけれども。  そこで、実践的指導力なんといっても、そういうのをうまくいなしちゃってさっとできるような人がいたらいいだろうと私は思うのだけれども、それでは武道でも柔道でも剣道でも空手でもやってきた先生みんなやるか、そういうこととまた違うわけですね。見かけは非常にやさしい、か細い先生みたいなんだけれども、それはうまくいなしちゃって仲よくやっているところもあるということもありますでしょう。僕なんかは、今の実践的指導力というとそういうことを思うのですけれどもね。動詞の活用の教え方がこうだとか年号の覚え方がこうだといっていろいろごろ合わせみたいなことが上手になる、そういうような実践的指導力もあるかもしれないけれども、現実に今求められていることはそういうのじゃないでしょう。どうですか。
  352. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃいますように、学校内の大方の生徒児童諸君は生き生きと学業に励んでおられますけれども、中にはやはり問題行動あるいは暴力事件など、報道されます件数は半減はいたしておりますけれども、やはりその中ではいろいろ御苦労があるのであろうと思います。  そういう実践的指導というのは二つありまして、私どもは、現職の研修の中から実践的指導力を養っていただくということももちろんありましょうし、また、現職に出られる前の養成段階でやはり実践的指導力というものを養うということはできると思うのですね。私は現場を如実に知っておる人間ではございませんので失礼ですけれども、そういう中で、一教科に対する知識と同時に生徒児童諸君にはそれぞれの個性がございますから、そういうそれぞれのシグナルを聞き分けて、そしてやはり児童心理の面でもそれをキャッチして誤りなく対応できるというような専門性、あるいはその前提としては、有島先生がお調べになりましたように、使命感、愛情、公平性というものは求められると思いますけれども、そういう面で、やはり実践的指導力というものは二つの面で養われていくべきものでありましょうし、その実践的指導力を支えるものはやはり使命感とか愛情とかいうものが根底から支えているものであろうかな、私は伺っておりましてそう感じました。
  353. 有島重武

    ○有島委員 ある校長先生から直接伺った話でございますけれども、三十五歳から四十歳くらいの本当に今働き盛りといいますか中堅の先生方、先生としてはもう十年選手ですね。資質能力という点からいうと本当にいいと思うのだけれども、体のでっかい生徒が入ってきた、なかなか強そう、それにぎゅっとにらまれて何か言われてしまうと、それでおどおどしてしまうみたいな、どうなんだと言うと、その年代の方々の中には、それこそ兄弟も少ないし大切にされて育ってきて、塾にも行ったし、優秀な成績もとったのでしょう、けんかした覚えがないというのです。そういう人がいるそうですよ。  今の道徳の教え方では、けんかなんか奨励しないで、親切に仲よくしろというようなことばかり教えているから、その方がきっとよかったのでしょう。そういうような問題が一つありますね。それは短大卒とか大学院を出てきたとかということとはまた全然違った話になってくるわけですね。それが非常に大切な要素になっている。そういったことをやはり十分含んだ上でやっていかないとおさまりがつかないことになるのではなかろうか。それは繰り返して申し上げておきます。  それから、これも大臣の提案理由によりますと、今度専修免許状の設定は何のためだ、二つある。一つは、現職教員方々が修士課程等において研修することを促進するのだというようなことでございますか。第二番目は、修士課程等を修了した方が教師になろう、学校現場に行こう、こういうことを誘う。この二つの効果があるというふうにおっしゃっているように思います。それがうまくいくでしょうか。
  354. 中島源太郎

    中島国務大臣 御提案をいたしました趣旨は、有島先生がわざわざ反復をいたしていただいた点のとおりでございます。  そういう面で、一つは、大学・学部卒業程度方々一種免許状といたしたわけでありますけれども、その一種免許状の中の変形といっては失礼ですが、その中のまた特定分野におきまして知識を広めた方々に対して特定免許状を創設をいたしましょうということで専修免許状をつくらせていただいたわけでございます。  そういう面では、おっしゃいますように、少しでも幅広い方々学校教育の場に招致をいたしたいという一面と同時に、また、三種類免許を設定することによりまして、二種の方は一種へ、一種の方は専修免許状へ、そういう道も開いておるものでございますから、そういう面でさらに研修の実を上げると申しますか、意欲を高めるという方向に着実に進むべきものというふうに私どもは考えておるところでございます。
  355. 有島重武

    ○有島委員 実際問題としまして、僕は工学部出身だけれども、工学部の修士課程を出た人が、これはまだ教職課程は全然関係ない、その人が、では教師になろうかなと思ったとするのですね。それはどうしたらいいですか。
  356. 倉地克次

    倉地政府委員 工学部を出られた方が教職につかれようとする場合は、今度の改正法によりますれば、一番早い方法は特別の教職課程にお入りになって一年間教職単位をお取りいただければ免許状を授与されることになるというふうに考える次第でございます。
  357. 有島重武

    ○有島委員 内容としては大卒の方と大体同じことになるわけですか。今度は大学院にさらに行って教科の幾つか必要なもの、それから教職関係のものをまたやる。その教わる内容は、学部で免許を取ろうと思って初めからやっておられる方もいますけれども、その内容とほぼ同じもの、大学院を出てきた人なんだからまた上等なものをやらなければならぬということではないわけですね、今の御説明で。
  358. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状の取り方でございますと、例えば教職単位を全然お取りにならなくてもう修士の課程を修了されている方ということになりますと、それは専修免許状につきましては教科または教職に関するもの二十四単位取ればいいわけでございますから、教科の方においてこの二十四単位が満たされていればあとは教職に関するものをお取りいただければいいということになる次第でございます。この教職の取り方につきましては、先ほどのような取り方もあろうかと思う次第でございます。
  359. 有島重武

    ○有島委員 先ほどから、ではどういう大学院でどういう大学、だんだん絞られちゃうんじゃないかと言ったら、そんなことはございませんみたいな話だったけれども、私立大学なんかの場合ですと、理科系統と文科系統ですね。教員養成にかかわることというのは大体文科系統の方で押さえているわけですね。それだから、そっちの方に行くということになるのです。それで、そこに教員養成課程という学部がきちんとあるかといったら、今までだってなかったわけですよ。なくて、学部の中で今までの一級免許というのですか、それはできていたわけです。それが、今度はその上に一体何かつくっておかなければいけないんだろうか、あるいは大学院というような名前のものをつくらなければいけないのか、あるいは後から出てくる一年間でできる教員養成課程というようなものを別に何か私立大学の中につくっておかなければいけないのか、そういったようなことが余りよくわからないで混乱しているところがあるようですね。  それで、さらに今度は実際問題のことを聞きますと、修士課程の人、出た、出る予定になっている。それで、じゃ教員をやろうかな、こう思う。ところが、就職の試験というものは大体九月にいろいろあるわけですね。だから、そこでやはり、いや、おれは就職試験は一切はねのけて教員になるんだ、こう言ったとしても、これはなれるかどうかというのは、今まただんだん教員の採用は少なくなっている御時世でございますから、不安要因が多いわけです。だから、使命感に燃えて一年でも二年でも浪人してでも教員になるんだという人は別だけれども、やはりやめておこうか、もっといい条件で、教師になるよりかよほどいい条件での就職もあるんだからといって大部分の人は行かないというんですよ。行こうと思いかけたんだけれども、多分そこまで待って行かないだろう。  そういうことになると、これも私たち主張してまいりましたけれども教員採用というものの約束を一般の職業並みに少し前の方に持ってくる、前倒しにしておかないと、そんな、こういった制度をつくったから、専修免許状というのをつくったから大学院の人まできっとこっちに流れてくるだろうなんて、そういう甘いことではうまくいかないんじゃなかろうかと思うのです。そういった面もやはり多少は考えていらっしゃるのか、あるいは余り考えていなかったというのか、今後研究してみようということになるのか、実際問題いかがですか。
  360. 倉地克次

    倉地政府委員 先生指摘の採用の問題でございますけれども、私ども先生と同じような気持ちを持っているわけでございまして、採用スケジュールの早期化ということを従来から指導してきている次第でございます。何と申しましても、教員資質向上というのは養成の問題のほかにこの採用の問題があるわけでございまして、ここで適切な時期に採用を行うことがまた重要であると同時に、適切な方に教員に来ていただくということが非常に大切ではないかということで従来から重ね重ね指導を行っているところでございます。
  361. 有島重武

    ○有島委員 先に行きます。  今度は、現職教員大学院に行く、そのときに条件はどうなるのか。現職教員の研修というのは教育公務員特例法の中の二十条三項というところで決まっておるそうですね。長期研修については任命権者の定めるところによるということになっているわけです。それもいいのだけれども、行ってしまった後どうしたらいいのかというと、これは各都道府県で定員法といいますか、公立義務教育学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律というのの第十五条の二号で、研修等のためのまた別枠定数というのですか、これを政令で加えることができる、こういうことになっている。これは文部省から説明を聞いた。これはいいのだけれども、現実にこういった適用を受けて今現職研修をやっていらっしゃる方が一体どのくらいあるのか。兵庫と鳴門と上越ですか、決まったところで六百人ほどいるみたいな御報告もあった。数字が間違っていたら言ってください。そういうようなことがあるけれども、今後その幅を飛躍的に広げるという御用意があるのか。  それから、現職の研修、現職教育というのは、せんだって衆議院を通過したいわゆる初任者研修も含まれてしまうかもしれないけれど、一週間ぐらいのもあるし、一月ぐらいのもあるし、それから三カ月くらいの内地留学というのがあったり、あるいは外国に行ってくるのがあったり、そういういろいろな研修形態があると思います。単位が取れる、それは確かにいいに違いない。単位が取れるのばかり優先して、それで従来やっていた研修の幅を今度狭めるというようなことは望ましくないと思うのです。よくないと思う。そういうおそれがないかどうか。今度の免許状について一つクラスを上のそういった措置をした。だけれども、従来の研修というものはますますこれは幅も広げるし人数もふやすし、それから予算もつけます、こういうお約束をやはりいただきたいわけです。大臣、いかがですか。
  362. 倉地克次

    倉地政府委員 最初に、先生からお尋ねのございました新教育大学などで研修している方の人数の問題があるわけでございますけれども、これは、六十一年度入学者が四百四十六名、それから六十二年度入学者が四百六十五名ということでございますので、約五百名程度の方がそうした形で勉強されている次第でございます。この方々は、都道府県からの研修出張ということでそうした大学へ行って学習をされている次第でございます。  また、こうした定数の問題を今後どうするかというお尋ねでございますけれども、これは六十六年度までの十二年計画の中に計画として入っている定数もございますので、今後そうしたものの着実な進行に十分努力してまいりたいと思う次第でございます。  このほかに、大学院の修士課程につきましてはいろいろな学習の仕方があるわけでございまして、特定の時期とか、それからまた夜間などにおいての学習も認められることになっている次第でございますので、そうした方法で修士課程単位を修得するということもあり得るのではないかというふうに考えている次第でございます。
  363. 有島重武

    ○有島委員 それでは、その研修の幅は今度広げる、あるいは人数をふやす、そういったことはちゃんと確保してください。  それから、大学院専修免許状を出すということになる。これは、大学院大学院たるゆえんは一体何だったのだろうかということをもう一遍考えなければいけないと思うのです。  それで、大学院ではやはり大学と一味違って、まず僕の条件としては小人数教育といいますか、小さなグループによる研究、相互の切磋琢磨、そういったことが大学院には必要なのではないかと思います。大学院という名目のもとに何か夏季講習会みたいなものをやって、カルチャーセンターよりもっとましでしょう、そういったことをやったとして、ペーパーテストをして平均点よりかとれました、それでもって単位、そういうような安直なことはしないでしょうね。
  364. 倉地克次

    倉地政府委員 大学院の修士課程と申しますのは、「広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うこと」ということになっている次第でございまして、今後、認定講習というような形で修士課程レベルの単位を修得するような機会を設けるといたしましても、こうした精神を十分尊重してそういうことを行うことになろうかというふうに考える次第でございます。
  365. 有島重武

    ○有島委員 安直なことはしないのですか。するのですか、しないのですか。
  366. 倉地克次

    倉地政府委員 いろいろな機会を設けることは必要だというふうに考えておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような精神は十分尊重して対処してまいりたい、そのように考えております。
  367. 有島重武

    ○有島委員 大臣、この辺もしっかりしてもらいたい。お願いいたします。  それから、二種免許状教員の今後の運命です。これは、二種免許状というのはもう過渡的なものであるということに位置づけられているような印象を受けますね。教員としてなお一層の資質能力向上を必要として、さらに研さんが必要であるとしている。努力義務があるわけだ。この義務を果たさぬ人は首になるのですか。
  368. 倉地克次

    倉地政府委員 これは今回の案の中には努力義務として規定されておりますけれども、あくまでも努力をしていただく精神を持っていただいて対処していただくという規定でございまして、いろいろな制裁措置がこれに伴っているということではないわけでございます。
  369. 有島重武

    ○有島委員 もう時間が来たから、まだ各論というとこれはなかなか時間がかかってしまう。もうやめますけれども、二種免許状の人というのは事実上締め出されていくということですか。  ただ、幼稚園の場合はどうなのか。幼稚園に準じて保育所、保育園ということもございます。これは都道府県の方に幾つか話をお聞きしました。都道府県の方でも、表向きからいくと文部省のおっしゃることを頭から批判することはできませんから勘弁してくれとおっしゃるのだけれども、まあまあこの場だけでいいから本音を言ってごらんなさいと言うと、二種免許状の行く先ということをやはり相当気にしておられる。  それで、自動的に一級になったという時代もあるわけだ。それから、暫定措置みたいなものも多少あるのでしょう。ただ、やはり相当この二級を持っているという県もあるようです。そういった地域もあるようです。そういうところから、今度の法律が通ってしまうとみんな肩身が狭くなってしまって、何か二種というのはちょっと標準じゃない、努力が必要だ、こういうことになるわけだ。ところが、そういった方々の中に一級なんかよりかよっぽどしっかりやっていてくださる方というのが実態的に大分いるということですね。さっきからの教員資質能力という点からもいささかも遜色のない、そういった方々もたくさん見受けられる。どうもそういった実態がある。  その実態を踏まえないでこれが何か――僕の今言っている二種免許というのは、これは見放された人たちだなんていう印象を僕は受けてしまうわけだけれども、みんなも相当受けているわけですよ。それがそうじゃないと言うのだったら、そうじゃないような相当な宣伝をするなりこういう措置があるのですと何かやらなかったらば、これは必ず万策崩れてしまう。これは警告を発しておくということだ。  そのほかにもまだあるのだけれども、またチャンスがあると思いますから、これでもってやめます。ありがとうございました。
  370. 中村靖

    中村委員長 次に、石井郁子君。
  371. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 議題となっております教育職員免許法等の一部改正案でございますけれども内容が大変多岐にわたっていますし、また複雑でもございます。かつ戦後の教員養成制度内容、理念、その根本にかかわるものが含まれていると考えなければなりません。そういう意味から慎重な審議が必要であるというふうに言わなければならないと思うわけです。  初めに委員長にお願いしたいと思うのですが、文教委員会らしく禍根を残すことなく徹底して審議を尽くされることを強く申し上げておきたいというふうに思います。  まず、免許状の三種類化問題点について質問をいたします。  学歴によって免許区分けしているということになっているわけですけれども、やはりこれは免許状に学歴主義を持ち込んでいるというふうに言わなければならないというふうに思うのですが、先ほど来、大臣の御答弁もございますけれども、もう一度、学歴社会の是正と言いながら学歴を固定するというようなことについて所信を伺いたいと思います。
  372. 倉地克次

    倉地政府委員 現行教員養成制度の基本的な理念の一つとして、大学における開放制教員養成ということがある次第でございます。大学において教員養成を行う以上、どの程度学問を積まれたかということにつきましては、大学における修業年限でございますとか、そこにおきます単位の修得ということによってそれを測定するのが一番客観的な方法ではないかというふうに考える次第でございます。そういうことで今回におきましても、修業年限でございますとか、それから修得単位数によっていろいろな教員免許状が授与されることになっている次第でございますが、学歴主義という観点からのことではなくて、いかなる客観的な尺度を用いるかという観点からそういうものを採用しているということでございます。
  373. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣の御答弁をお願いします。
  374. 中島源太郎

    中島国務大臣 石井委員からは特に三種類化による理念をお尋ねでございました。私ども現行免許法の基本理念もこれはもちろん遵守し、踏襲をしてまいります。その中で、開放制を維持しながら専門性を高めるという意味と、それから幅広い分野から教員に人を得るということを含めまして御提案を申し上げておるところでございまして、決して学歴尊重の思想によるものではございません。  また、この三種類免許を設けたということによりまして、これはいずれも普通免許状の中の三種類化でございますし、担当し得る教育活動も変わるところはございません。そういう意味で、ランクづけをし、あるいは学歴でのランクづけをいたしたという点は毛頭考えておりません。
  375. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 学歴によるランクづけではないという御答弁をいただいたわけですが、重ねて教員の資格に格差を持ち込むものではないというふうに確認してよろしいでしょうか。
  376. 倉地克次

    倉地政府委員 教員の資格に格差を持ち込むことではないということでございますけれども、先ほど来御説明申し上げますとおり、一種免許状が標準的なものというふうに私ども考えておる次第でございまして、二種免許状をお持ちの方につきましては努力義務を規定し、早急に一種免許状をお取りいただくようにお願いしている次第でございます。専修免許状につきましては、一種免許状特定分野について研さんを積まれまして、さらに一種免許状を深化したものが専修免許状であるというふうに理解している次第でございます。
  377. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 専修免許状について伺いますけれども、これは身分上の優遇措置というのは一切ないということを考えてよろしいですか。
  378. 倉地克次

    倉地政府委員 専修免許状が設けられましても、給与につきまして格段のことをしようということは今のところ念頭にない次第でございますし、また、校長、教頭の資格については既に高等学校の一級免許状があるわけでございますけれども、今回の専修免許状はこれに相当する免許状でございますので、その扱いとの均衡を十分考慮して今後検討してまいりたい、そのように考えております。
  379. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 戦後の免許制度で申しますと、普通免許状という考え方がございましたね。そこで一級、二級ということで、二級というのは戦後の経済的な事情からの特例的な措置というふうに私ども理解しているのですけれども、この普通免許状という考え方からしますと一種がそれに当たるということでしょうか。また、普通免許状という考え方は踏襲しているというふうに理解してよろしいでしょうか。
  380. 倉地克次

    倉地政府委員 これは第四条に規定しているところでございますけれども普通免許状学校種類ごとの教諭の免許状、それから養護教諭の免許状ということになっておりまして、その中でさらに専修免許状一種免許状、それから二種免許状というふうに分かれているということでございます。
  381. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもなぜ三つに分けるのかという意味がはっきりしないわけですね。だから、普通免許状という考え方は踏まえていくんだということであれば、しかもその普通免許状大学において取得されるということですね、大学専門性を磨いて免許状を取得しているということを基本に考えますと、その上に専修を設けるというのが、一種と専修の関係はどういう関係になるのでしょうか。
  382. 倉地克次

    倉地政府委員 一種免許状との比較において申し上げますと、先ほど申し上げましたように特定分野について深い学識を積み、高度の資質能力を備えた方に専修免許状を授与するということでございます。これは大学院の修士課程修了程度ということになりますので、そうした特定分野について専修免許状をさらに深めたものというふうに私ども理解している次第でございます。
  383. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大学教員養成を受け、そして一種の免許を取得した、この人は教師の資格として最低限の資格を持っている、また専門性も持っているというふうに考えていいわけですね。だけれども、その上に専修をつくるとなると、その一種の専門性というのはそれではまだ足りないというお考えがあるからでしょうか。そういうふうにならざるを得ないと思うのですね。だから大学教員養成では、四年卒業では資格として不十分だということだから専修の免許というのを設定するわけですか。
  384. 倉地克次

    倉地政府委員 教員資質能力ということから考えますと、一種免許状は標準的な水準を示すものというふうに私ども考えておるわけでございまして、学校で御活躍いただくためには十分標準的な資質能力を備えた方がこの一種免許状をお持ちになっているというふうに考えるわけでございます。
  385. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 標準的な水準を持っているということだったら、それ以上のことはないわけですよね。それ以上になぜ専修免許状を設けるかという問題が一つ大変残るわけです。  そこで、専修免許状について伺いますが、現在大学院修士卒で教員になっていらっしゃる方はどのくらいおられるでしょうか、学校種類ごとにお示しいただきたいと思います。それから、ついでに質問しますけれども、今後修士卒で教員になるという見込みをどのように持っておられますでしょうか。
  386. 倉地克次

    倉地政府委員 これは新規卒業者の教員就職数ということで申し上げる次第でございますけれども、六十二年三月ですと、小学校大学院とか専攻科を卒業しまして教員に就職された方は四十八名ということになっている次第でございます。それから中学校の方ですと、これが百二十四名ということになっている次第でございます。高等学校ですと五百三十四名ということでございますし、特殊教育学校では三十三名ということでございます。  これは新規卒業者に限定しての数字でございますが、新規卒業以外を含めますと、ちょっと今ここに数字は持っておりませんが、私の記憶では小学校中学校でもそれぞれ二百名程度いるのではないかというふうに考える次第でございます。
  387. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 新規卒で全国の数字、何%に当たるのか、非常に驚くわけですけれども、この免許状につきまして、専修免許を取るようにと上進制度というのを今回設けているわけです。上進する方が望ましいと先ほど来御答弁をいただいていますけれども、そのように考えてよろしいですか。
  388. 倉地克次

    倉地政府委員 今先生のおっしゃった意味での免許状の上進制度というのは、別表第三というのを規定いたしまして、それぞれ所要の在職年数と修得単位数によって二種免許状の方は一種免許状が取れることになっている次第でございます。また専修免許状につきましては、三年十五単位ということで規定されている次第でございます。
  389. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そうしますと、現場には専修免許取得者はいないというのは言い過ぎですけれども、圧倒的に少ない。そうすると圧倒的に多くの教員専修免許状を取るために、現職でいろいろ認定講習を受けなければいけないということになりますね。そういうふうに先生方を専修免許にいわば駆り立てるようなことを今後されていくわけですね。
  390. 倉地克次

    倉地政府委員 私どもは、学校で御活躍いただくためには、一種免許状が標準的な水準を示すものですから、十分それで御活躍いただけるというふうに考えている次第でございますが、なお特定分野について研修したいということで専修免許状をお取りになるよう単位を修得されることは、それ自体非常に結構なことではないかと考えている次第でございます。そうした機会もできれば設けるように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  391. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 標準免許状で足りるはずだ、十分水準を満たしているというふうにおっしゃりながら、圧倒的な現場教員を専修免許へと、この辺はどうしてもおかしいのじゃないでしょうか。ぜひ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  392. 中島源太郎

    中島国務大臣 御質問の前提に、教員方々資質というものとその影響力というものがやはり大前提にあるんだと私は思います。教育職員方々学校教育の中で占める役割というものは非常に大きいものがあると私は思いますし、また、生徒児童の発育段階に応じて与える影響は大変大きなものがあると思うのです。  したがって、それだけの重要な職務につかれる教育職員方々は、資質向上に常に努めていただく。これはこの法案だけでなく、例の教特法十九条をめぐりましてもそういう御論議がございました。これには個々の教員方々の自主的な研修意欲はもちろんでありますし、またその研修意欲をサポートするような両々相まった資質能力向上が必要だ、こういうことであります。ですから、今回の場合も資質能力をどうして向上させていこうか、また、そういう特別な分野であれ、資質能力の高い方々をいかにして学校教育の中に多く招致をしてまいろうか、こういうことの一環でございます。  したがって、今おっしゃるように、まず三段階が先にありきで、その三段階の上進を義務づけるように追い立てるのかとおっしゃられますけれども、そうではなくて、その前段にそれぞれの教員資質能力向上が求められておる。また社会の変化、それから生徒児童諸君の多様化個性化に即応できる資質能力を常に高めていただこう、こういうことが前提にあるわけでございますので、それを意欲を持っていただけるのにより資する方法として御提案を申し上げておる、このように御理解いただければと思います。
  393. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 もちろん、現場に就職したから後はもう専門性について深めなくていいというふうにはだれも言わないと思います。教職の中では絶えず専門性を深めていく、資質能力を磨いていくのは当然のことだと思うのですね。ただ問題は、なぜそれが資格の上進ということに結びつかなければならないのかという問題です。そこのところが納得いくような御説明はいただいてないというふうに思うのですね。  それから、研修はもちろん否定はしていません。自主的な研修は同時にみんなやっていかなければいけないということなわけであります。  さて、上進について少し立ち入って伺いたいと思いますけれども、一種から専修へという問題ですね。三年在職者が十五単位、六年の在職になりますと六単位と、単位数が減るということもありますが、もう少し貝体的にどういう形でこの単位の修得というのは行われるのでしょうか。何か夏休みの集中講習という形になるのか、年間を通して何か講義を受けに行くという形になるのか、その辺、教えていただきたいと思います。
  394. 倉地克次

    倉地政府委員 これは、いろんな形態の取り万があるのではないかというふうに考える次第でございますが、今のところ一般的になっておりますのは、認定講習などにおいて単位をお取りいただくというのが非常に一般的になっておるのではないかというふうに考える次第でございます。そのほか、大学の公開講座、通信教育どもあろうかというふうに考える次第でございます。
  395. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 いやもう少し、在職している教員は、ちょっと貝体的にイメージを描きたいと思うのですけれども質問お答えいただきたいと思うのですが、どういう形になるのですか。授業を持ちながら、その授業の合間を縫ってどこか講習に出かけるのですか、夏休みとか冬休みの集中講座という形になるのですか。それとも授業を外れて一年間どこかへ行くという形になるのですか、ちょっと具体的にお答えください。
  396. 倉地克次

    倉地政府委員 一年間大学院などにお入りになる方もございますし、認定講習などで夏休みなどに集中して単位をお取りになる方もございますし、また公開講座へ行って単位をお取りになる方もあるということでございまして、その方々のいろんな実情に応じての形態があろうかというふうに考える次第でございます。
  397. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもそういうことではよくわからないのですけれども、その講座の話がありますので、そこも伺っておきたいと思います。  これも先ほど来出ておりますけれども大学の公開講座だとか通信講座、現実にこれが実施に移された場合で考えまして、大学がそれを行うというような返事というか、打診といいますか、もしくはその見通しはどのように持っておられますか。
  398. 倉地克次

    倉地政府委員 法律が通りましてから、私どもそうしたことを調査したいというふうに思うわけでございますけれども、個人的にいろいろお話を伺うところでは、そういうことをしたいということをお考えの大学もあるようでございます。
  399. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それは公開講座をするかどうかは大学が主体的に自主的に決めるという話ですね。多くの大学がとてもいろいろな負担その他で条件に合わないというような返事になった場合には、ほとんど開かれないということも考えられますね、どうですか。
  400. 倉地克次

    倉地政府委員 公開講座につきましては、御指摘のように大学で自主的にそういうことをおやりになるということでございますが、そのほか認定講習ということもございますし、また大学へおいでいただいて研修していただくという方法もあるわけでございますので、多様な方法によって先生の皆様方が一層研修ができやすいように私どもとしては努力してまいりたい、そういうふうに考えております。
  401. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この公開講座は大学が主体的に決めるということは確認してよろしいですね、それは後でお返事いただきますが。  結局そういう条件は今のところ余りないということでは、文部大臣認定の講習に頼らざるを得ないということになるんじゃありませんか。文部省として、大臣認定の講習は何かマニュアルはもうおつくりでございますか。
  402. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のように認定講習が比較的多くなるだろうというふうに私どもも考えるわけでございますけれども、これにつきましては、大学先生方の御協力をいただいて開催してまいる必要があることでございまして、現在、御指摘のようなマニュアルを作成するというような段階までには至ってないところでございます。
  403. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 講習ですから、どなたが講義をされるのか、どういう内容になるのかが重要だと思うのですね。その辺はいかがですか。全然決めてないのですか。
  404. 倉地克次

    倉地政府委員 御指摘のように、認定講習は授与権者大学の協力を得てやる場合もございますし、また大学が主体的にやる場合もございます。その内容についてももちろん重要でございますけれども、この法案が通りました暁におきまして十分その辺を詳細に詰めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  405. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 法案が通ってからでなければそういう内容が一切わからないというのは、これはどうなんですか。私どもは、やはり法案審議の過程でその内容を提示していただかなければ、それがいいのか悪いのか、あるいはどういうふうに改善すべきなのかということは何も申し上げることができないということになりませんか。そういう法案の提案なんでしょうか。
  406. 倉地克次

    倉地政府委員 免許法の認定講習の枠組み自体は、現在行われております免許法の認定講習と変わるわけではございませんで、そこでは講師の半分以上が大学教員でなければならないとかいうことが既に規定されているわけでございますので、そうした点を考えまして今後進めていくことになるというふうに思うわけでございます。
  407. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 専修免許状については、大学院修士卒程度の資格ということでは一定の教育水準を要求しているわけですね。ところが、現職で上進という場合になりますと、その内容はまだ極めてあいまいだということでは矛盾しませんか。最初専修免許状を与えたという問題と現職教員専修免許状を取るということの中身は随分隔たりがあるというふうに考えなければなりませんけれども、いかがですか。
  408. 倉地克次

    倉地政府委員 今後におきます講習の内容ということを今先生おっしゃっておられるのではないかと思うわけでございますが、どのような教科を何単位、どのような時間を受けるとかいうことにつきましてまでまだ詳細に詰めていないということを申し上げている次第でございますけれども、大枠において、現在の免許法認定講習がある次第でございますからそれを参考にして今後検討していくことになるということを申し上げている次第でございます。
  409. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そのように考えますと、一体専修免許状を出す必要性がどこにあるんだろうか。つまり大学院修了者に専修免許状を出す必要性がどこにあるのかということがどうもはっきりしないわけですね。やはり何か現場で、資格取得、免許取得のために教師に研修を課していくということのためにこの免許状種類分けしたのではないかというふうに考えざるを得ないわけです。現場の中から見ますと、やはり教員の資格に格差があるということではありませんか。大臣、いかがでしょうか。
  410. 中島源太郎

    中島国務大臣 私が伺っておりまして、先ほどお答えをしたつもりでおりますが、重ねて申し上げますと、教育職員方々の責務ということから考えまして、資質向上には常々御努力をいただく、私どももサポートをしなければいけない。また、御指摘の中で、大学院の修士課程卒の方々学校教育の中で占める割合というのは非常に少ないではないかとおっしゃっておられました。それも含めまして幅広い分野から教育職員として学校教育にお招きをしようというのが一つ方法でございますので、そういう意味でもこの専修免許状制度というものを普通免許状の中に設けさせていただいた、こういうことでございます。それで後は、先生は上進という言葉をお使いになる、私どもは一種からさらに専修免許状へという移行についてその道をできるだけ開いておこう、こういうことでございます。  先生おっしゃるように、大学の公開講座が大学の方の立場で持たれるわけですから、結局認定講習というものが非常に深いかかわりを持ってくるのではないかとおっしゃられる点は私も同感でございまして、この認定講習そのもののあり方についてできるだけその道を開くような方法で努力をいたしたい、このように考えております。
  411. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 認定講習をその基本に据えていくというお話でございますか、私はそういうことは全然申してないのですけれども。それはちょっと困ると思うのですね。  子供と親の方から見ますと、学校現場に専修免許を持った先生、それから一種、二種の先生、しかも先ほど来、専修の方は専門性が高いとかいうふうに言われますと、専修の先生の方が何かいいように見えるのじゃないでしょうか。そうすると、先生方も結局親と子供の手前、やはり専修免許を取るように動かざるを得ないということになりますね。  だからその点で、一体普通免許状という考え方は根幹にあるのですか、それともそれを外したのですか、一体普通免許状というのは何ですか、専修免許状普通免許状ですかという話になるわけですよ。だからそういう意味で、資質能力向上免許と結びつくというのは現実には教員の間の格差、分断、また、かえってさまざまな競争意識を生むという、教育現場にとってより混乱を生み出すことにならないか。なると思うのですね。そういうことで私は主張しているわけであります。  またもう一点は、大学における教員養成という原則が事実上崩されることにもなりはしないか。つまり、現職になって免許をどんどんいわば更新というか、変えていけるわけですからね。ある面でその方が簡単だ。在職六年で六単位取って専修免許がもらえるということになれば、なぜ無理をして修士課程大学院に行く必要があるだろうかということにもなるわけですね。だから、いろいろと戦後の原則としてうたわれてきた一つ一つ原則に照らしますと、矛盾していることがたくさんありますね。その点、私はきょうは時間がありませんので、これ以上突っ込みませんけれども、また別な時間にもっと突っ込んでぜひ伺ってみたいというふうに思っています。  次に、大学での単位数の引き上げについて質問をいたします。  今回、専門教育科目の修得単位数を引き上げました。現行でも教員養成大学ではこの専門教育科目単位数は多過ぎるという指摘がございますけれども、文部省はそのように認識はしておられるでしょうか。
  412. 倉地克次

    倉地政府委員 現在、大学で実際に教育課程として組まれておる状況を私ども見てみますと、おおよそ全体で百三十単位を超えるような教育課程が組まれている次第でございまして、適正な教育課程ではないかというふうに考えている次第でございます。
  413. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私も実は教員養成大学におりましたので、学生からも、また担当する教員の間でも、非常に教職関係の科目は細切れになっているという点ではかねがね批判がございました。  それはおいておきまして、今回の引き上げでは教育大学以外の一般大学での取得は困難にはならないでしょうか。その点、いかがですか。
  414. 倉地克次

    倉地政府委員 一般大学に関係の深い中学校高等学校について見ますと、今回の単位数の引き上げは五単位ということでございますので、さほど大きな影響にならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  また、小学校の方は十一単位ということでございますが、小学校については、私立大学を見ましてもある程度小学校教員養成ということで教育課程が組まれているわけでございますので、若干の御努力をいただければこうした措置ができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  415. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その点では、私学の教職課程を持っているところの御意見は十分踏まえての文部省の今の御答弁と考えてよろしいですか。
  416. 倉地克次

    倉地政府委員 これは審議会の御審議におきまして、中間報告を出す以前についても関係団体の御意見を伺っておりますし、中間報告を出した以後におきましても関係団体の御意見を伺っている次第でございまして、そうした意見を十分踏まえまして今回の提案になっている次第でございます。
  417. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 教育大学ではこの単位数が引き上げられるわけですけれども、それに伴ってこの法案の中では教員の講義負担というような問題、人的な整備というか、そういう問題は出てないわけですが、文部省の方ではその点、何かお考えはございますか。
  418. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、既に大学教育課程におきましては、いわゆるこの免許法で定めます最低修得単位数を大幅に上回る単位による教育が行われているわけでございますので、五単位とか十一単位の問題はその中で処理できることになるのではないかというふうに考える次第でございます。  ただ、生徒指導に関する科目でございますとか特別活動に関する科目につきましては、大学でそれを担当していただく教官につきましてどういう方に担当していただくかという問題があるのではないかと考える次第でございますけれども、これにつきましては、現場経験の深い方でございますとか県の指導主事の方でございますとか、そういう方に非常勤講師などとしておいでいただくという道もあろうかというふうに考えるわけでございます。こうした点につきましては、非常勤講師手当などの措置も今後十分考慮し、努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  419. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それでは、新しい科目の設定に伴う教員の配置ということについては今のところ一切考えていない、非常勤講師やそういう形で埋めていくということでございますか。
  420. 倉地克次

    倉地政府委員 今ここに数字を持っていないわけでございますけれども生徒指導と情報関係につきましては既に大学である程度おやりになっているところもあるわけでございまして、そうしたところでは、そうした先生方はもう既におられるわけでございます。そのほかの大学については先ほどのような措置もございますし、若干の御努力をいろいろ願わなければならない点もあろうかと思う次第でございます。
  421. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この点でも教大協などの御意見は十分伺っているというふうに言えるでしょうか。
  422. 倉地克次

    倉地政府委員 審議会の審議の過程におきまして十分そういう御意見も拝聴したということを聞いている次第でございます。
  423. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 教大協あたりのレベルではそういうことになるのかもしれないのですが、大学現場の方では到底このまま受け入れられるものではないというふうに私は思うのですね。今でも特に教員養成大学課程制でありまして、学科目制のところもありますけれども、非常な講義、教育負担ですね。それは文部省はもうよくおわかりだと思います。講座制大学と比べて課程大学がいかに研究教育条件が劣悪であるかということはあると思うのです。だから、その上にさらにただ単位数を引き上げるということを大学に押しつけて、どうして本当に学生をちゃんと指導することができるだろうか。また、もちろん教育学の新しい分野についての研究も必要ですから、そういう研究の時間の保障ですとかということなくして質の高い講義などということはできないわけですよ。私はそういう点で、教育大学への待遇の問題について文部省はぜひ前向きに取り組むべきだ、そのことなくして、ただ単位数の引き上げを押しつけただけでは事態は少しも解決しないということを申し上げたいと思います。  文部省、この点、いかがでしょうか。
  424. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、既に百三十単位を超える状況教育課程が組まれているわけでございますので、今回引き上げました単位数もその中で処理することも可能かと思う次第でございますけれども、真に必要のあるところにつきましては私どもとしても十分努力してまいる必要があろうかというふうに考える次第でございます。
  425. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私が知っている先生が嘆いていらっしゃるのですけれども、道徳教育は必修になりましたね。大学の道徳の授業がどんなふうか御存じでしょうか。大体マンモス授業ですね。二百人、三百人というマンモスの授業、講義です。そういう中でその先生が講義を幾つも持っていらっしゃる。だから、単位を出すのも大変だということがあるのですね。  道徳教育に関する科目もさらに強化をするということが今回出ているわけですけれども一つ伺いたいのは、教養審答申でもいろいろな教職科目特定科目の設定まで、こういう科目をやはり大学でやるべきだというふうに提案があるわけです。文部省としても、それをそのとおり教育大学に要請をするというふうに今お考えでしょうか。
  426. 倉地克次

    倉地政府委員 この現在御審議いただいております法律案が成立いたしますと、単位の修得方法といたしまして、私ども文部省令でその修得方法を定める必要がある次第でございます。その内容につきましては、教育職員養成審議会で御提言いただいておりますいろいろな教育課程単位の名称でございますとか単位数がおおむね妥当だというふうに考えておりますので、その内容に沿ったものを省令によって定めることになろうか、そのように考える次第でございます。
  427. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ある授業科目まで文部省が省令で決めるということは、大学一般についていうと、教員養成大学以外のところではあり得ない話ですね。教員養成大学にはなぜそれが認められるのでしょうか。
  428. 倉地克次

    倉地政府委員 今回の審議会の御答申では、その辺について十分心を配っておられるわけでございまして、従来、教育原理とか教育心理学とか、大学における開設科目そのものをあらわしたような表現になっておった次第でございますけれども、今回そうした取り扱いをやめまして、「教育の本質と目標に関する科目」でございますとか、「心身の発達と学習の過程に関する科目」でございますとかというような表現を用いまして、履修すべき分野やそのねらいを明らかにしまして概括的な表現にした次第でございます。そういうことによりまして、具体的な科目につきましては、こうしたものの範囲におきまして大学が自主的に具体的な科目を御設定いただくというふうに今回審議会の方では御提案になっている次第でございます。
  429. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、先ほど教育大学の充実についても文部省として一定程度はお考えいただけるというふうにも伺ったわけですけれども、この際、本当に、教員養成大学が請け負っている教員養成、とりわけ小学校教員を主として教育大学で行っておりますので、この教育大学の整備充実という問題についてもっと広くいろいろと大学関係者からの意見もやはりお聞きになっていただきたいということをこの法案に関係して申し上げておきたいというふうに思います。その上で、この免許基準引き上げという問題が本当に妥当なものであるのかどうかということについても私どもはやはりもっと慎重に考えていきたいというふうに思います。きょうは時間がありませんので、その点も残しておきたいというふうに思います。  三つ目の点は、社会人活用について質問をさせていただきます。  今回の改正案一つの問題がこの点にあろうかと思うのですけれども社会人の登用によって学校教育活性化が図られるというのはどのように言えるのでしょうか。
  430. 倉地克次

    倉地政府委員 今回、社会人活用として、特別免許状でございますとか非常勤講師につきまして特例措置を設けるようなことをしている次第でございます。その理由でございますけれども、これは学校教育多様化などに対応いたしまして、一般社会でその分野について専門的知識とか技能などを身につけた方を学校でお招きして御活躍いただくということでございます。こうすることによって実際に即した教育活動が期待できると同時に、児童生徒のさまざまな要求にもこたえることができるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  431. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ちょっとこの法案に則して質問させていただきますけれども、任命権者が学校教育の効果的な実施に特に必要があると認める場合において行う推薦に基づいて授与されるということですけれども、これは文部省として、例えば各都道府県がどういう必要を認めているのか、そういうデータは持っていらっしゃるのでしょうか。あるいは、その根拠はどういうところにあるのでしょうか。
  432. 倉地克次

    倉地政府委員 審議会の審議の過程におきまして、都道府県教育長協議会からその辺についての御意見を聴取したというふうに聞いている次第でございます。
  433. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それはもう少し中身を言っていただかなければとても審議ができないと思うのですね。少し中身を御説明ください。
  434. 倉地克次

    倉地政府委員 例えば高校の情報処理関係の学科などにおきましては、これに対応する教員を確保することが非常に困難な情勢にあるわけでございますけれども一般社会におかれましてこうしたことにつきまして知識、技能をお持ちの方に学校へおいでいただくときに、特別免許状によっておいでいただくとかというようなことができれば非常に効果的な授業が期待できるというようなことも承っておる次第でございます。
  435. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 じゃ、学校種別に伺いますとどういうことになりますか。今高校の例で申されましたね。小学校中学校についてはいかがですか。
  436. 倉地克次

    倉地政府委員 小学校の場合につきましては、私ども、これは実際に社会で修得されました知識、技能が活用できるのは全般に対しては余り実際的ではないということで、音楽、図工、家庭、体育などに限定しているわけでございます。音楽であれば、実技指導でございますとか、そうしたことについて非常に意味があるのではないかというふうに考える次第でございます。  中学校などにつきましては、これは全教科について特別免許状の授与が可能でございまして、例えば英語の英会話などにつきましてもこういう特別免許状活用すれば実際に即した教育ができるのではないかというふうに考える次第でございます。
  437. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ですから、都道府県の方から具体的に小中高別に今こういうことが必要なんだというような実態と申しますか要望と申しますか、そういう形では文部省はつかんでいるのかいないのかということを伺っているわけです。
  438. 倉地克次

    倉地政府委員 都道府県教育長協議会におかれまして調査をされまして、こういう分野でこんなようなことが必要であるというような資料であれば私どもの方の手元にあるということでございます。
  439. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 じゃ、これは余り実態はつかまえられなくて、むしろ上の方からこういうことを活用したらどうですかということで今度創設されるというふうに考えた方がどうもいいようですね。  少し伺いますけれども、任命権者が必要を認めるわけですけれども、例えばどういう科目でどういう教員学校にいたらいい、その授業や教育活動が効果的にいくということは、むしろ学校現場が何よりも知っているわけですね。その任命権者と学校現場の判断というか、そこの関係はいかがになりますか。
  440. 倉地克次

    倉地政府委員 最終的には、任命権者が学校教育の効果的な実施に特に必要があるというふうに認めるわけでございますが、当然のこととして学校長の意見などを十分聞いた上でこういう措置を講ずるわけでございますから、学校長と任命権者との話し合いによってそういうことが確定されるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  441. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 先ほど来現場実態のことを聞いているわけですけれども特定科目についてはそういうことがあり得るのかもしれませんけれども、例えば小学校で音楽、体育、家庭というような科目にしても、現実には教員の資格を持っている方々が就職できないという問題がありますね。とりわけ近年教員養成大学の就職率が非常にダウンしているわけですけれども、そういう問題との関係でいけば、この社会人活用というのは文部省はどのようにつかまえていらっしゃるのでしょうか。つまり、資格を持った学生の就職難という問題とそういう社会人活用という関係ですね。
  442. 倉地克次

    倉地政府委員 特別免許状でございますとか非常勤講師制度は多様な社会人学校の中で御活躍いただくという趣旨で設けられているわけでございますので、先生方の就職口がそれで狭まるというようなことについて私どもは危惧しているわけではないわけでございます。
  443. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 就職が狭まることはないということは、はっきり確認してよろしいですか。
  444. 倉地克次

    倉地政府委員 そのとおりでございます。
  445. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この特別免許状は、実は免許状の授与と採用というのが事実上セットになっていますね。まず、推薦を任命権者が行う。そして試験もまた都道府県教育委員会が行う。だから、推薦した方は必ず採用されるということにもなりまして、一体この試験というのは何のための試験、どういう意味を持つのだろうかということになりまして、この教育委員会の行政判断で非常に恣意的に行われるのではないか。推薦してすぐ採用ということですから、いかがでしょうか。特別に必要があるというふうに認める場合も教育委員会が非常に恣意的に行うということも考えられるわけですね。この点ではいかがでしょうか。
  446. 倉地克次

    倉地政府委員 特別免許状の問題につきましては、私ども大学における教員養成との調和を図ることが極めて重要な課題だというふうに考えている次第でございます。そうしたことから、教育職員検定に合格するということではございますけれども、その前提要件として任命権者の推薦というものを置いているわけでございますし、教育職員検定を行いまして合格の決定をしようとするときには学識経験者の意見も聞かなければならないということは法律によって定められるわけでございまして、十分厳格な運用を期するよう措置している次第でございます。
  447. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 一方では、大学教員の資格を取得するための条件というのは免許基準引き上げ等々によって非常に厳しくされているというふうに思われるわけですね。しかし他方で、こういう形で、教育委員会の行政判断で非常にいろいろな道が開かれるということになりますと、この場合はどうなんでしょうか、教職専門性というのは本当にそこに保障されるのかどうか、そういうところに問題がないというふうに言えると考えてよろしいでしょうか。
  448. 倉地克次

    倉地政府委員 今回の特別免許状の創設でございますが、これは学校教育への社会人活用を進めるということでございまして、教職にできるだけ広くから人材を求め、教育界活性化を促すと同時に、全体としての教員資質向上を図るという考え方からこのような措置をしている次第でございます。
  449. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それで、この免許状の期限が三年から十年というふうにありますけれども、これは十年で切られるのでしょうか。それとも更新ということもずっとできますか。
  450. 倉地克次

    倉地政府委員 これは三年から十年以内におきまして都道府県の教育委員会が決めることになっている次第でございます。その年限を超えたときにどうなるかということでございますけれども、もう一度教育職員検定を受けられまして、事実上更新されることはあり得ることではないかというふうに考える次第でございます。
  451. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そうしますと、一度社会人として採用されますと、ずっと更新、更新で学校におられるということになりますね。そういう意味では、学校の中にいろいろな資格、資格というかいろいろなコースで教員免許を持った方がいらっしゃるということですね。そのように考えていいですね。
  452. 倉地克次

    倉地政府委員 今回の特別免許状につきましては、社会におられる人材を広く学校に招致するということでございますから、その限りにおきまして学校の中に多様な人材がおいでになるということになろうかと思う次第でございます。
  453. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 もちろん、教育の場にいろいろな方がかかわっていただくということは、私、否定できないというふうに思うのですね。けれども、広くそういう人材がいらっしゃる、その方を迎え入れるということが今なぜ学校に求められているのか、そのことが学校教育活動あるいは子供たちの成長発達にどのように本当にプラスになるのかということはどのように御説明されますか。
  454. 倉地克次

    倉地政府委員 私ども、今ほど社会が急激に変動しておりまして、そのこととの関連におきまして学校の中でのいろいろな対応が求められる時代はないのではないかというふうに考える次第でございます。先ほどの情報化の問題もそうでございますし、国際化の問題もそうでございますし、また、社会の近代化また複雑化によりまして学校の中でいろいろ難しい問題が生じているのも事実でございます。そうした学校の近来におきます変化に対応いたしましてこのような制度を考え、実施しようというふうに考えている次第でございます。
  455. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ここの問題でも、今私は非常にかいつまんで主な点だけを質問いたしました。大学における教員養成という原則やそれから免許状主義、これは戦後打ち立ててきた原則ですけれども、そういう点からしますと、この特別免許状という制度はそれとひどく違った免許状の授与の仕方になっているというふうに言わなければならないと思うのですね。だからその辺は、一方で非常に学歴による資格とか免許を固定しながら、固定というか、その免許にこだわりながら、任命権者によっていわば広く人材を求めることがむしろ優先されるといいますか、そういう点ではこれは大変矛盾した事柄が同時に進められようとしているということだというふうに思うのですね。私は、この特別免許状の創設というのは、戦後の教員養成免許状主義というのを実質的に崩していくものになっていくというふうに言わなければならないと思うわけです。  この点についても、私は、本当に今現場方々がどのように考えておられるのか、そういうことがどれほどの必要性があるのか、また現状でなぜできないのか、わざわざ特別免許状という形で創設しなくても、例えば特定教科特定の人にぜひ学校に来て指導していただきたいというようなことは現行ででも幾らでもできるのではないかと思うわけですね。そういう意味ではこの特別免許状というのは何かやはりおかしいというふうに言わなければならないと思います。現行でなぜこういう制度活用できないのかという点で、一言いかがですか。
  456. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど来申し上げましたことを現行制度の中で行おうとしますと、例えば臨時免許状を出して助教諭でお入りいただくということになりましたり、事実上教諭の手助けというような形でいろいろおやりいただくというようなことになる次第でございます。社会から立派な方に来ていただきますにはやはりそれだけの処遇を学校の側でもする必要があるわけでございまして、普通免許状と同じように活躍いただけます特別免許状というのを用意いたしまして、そこでそうした社会での経験を豊かにお持ちの方に来ていただきまして御活躍をいただこうというような考え方に基づきましてこの制度を提案させていただいている次第でございます。
  457. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間がなくなりましたので、最後になりますけれども、何度も社会から立派な方というふうに言われますと、それは確かに立派な方はいろいろいらっしゃるわけですが、そこを強調されますと、じゃ四年制で教員養成の勉強をしてきた方々は本当に教員資質や資格としてどうなのか、何かそういうことになるわけですよ。きちんと教員養成制度があり、そこで資格を持って学校に来ている方が、何かちょっと立派な方でないかのように聞こえますよ、今の話だったら。社会人活用というのは、もともと臨教審の答申から出てきているものでありまして、私は全面的に賛成するわけにはいかないのですけれども、しかしもっと十分にこの辺はぜひ審議をしなければいけないというふうに考えています。  時間が参りました。私は、現場のいろいろな意見をぜひ聞いていただきたいということを申し上げましたけれども教員免許状については、いろいろな団体がいろいろな形で取り組んでいます。免許状というのは大変複雑ですから、もっとよいものにするにはどうしたらいいかということでの研究もございますよね。そういう点で、私はぜひこの次に伺いたいのは、全国私立大学教職課程研究連絡協議会、それから全国教員養成問題連絡会、もちろん日本教育学会もございます。そういうところの御意見を文部省は十分伺っているのかどうか。全国教員養成問題連絡会は、国立、私立の大学関係者三千名の方々が、この改正案については反対の意見表明をされております。一言、こういう方々の御意見をどのようにお聞きになっていらっしゃいますか。
  458. 倉地克次

    倉地政府委員 審議会の御審議の過程におきましては、できるだけ広く、いろいろな各分野と申しましても、そういう分野を広くカバーした団体の方々から御意見をいただくということで御意見を伺った次第でございまして、そういう方々の所属しておられる構成分野も含んだ団体から私どもとしては既に御意見を伺ったことではないかというふうに承知している次第でございます。
  459. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その点については、私はまた改めて御質問申し上げたいというふうに思います。  時間が参りましたので、本日はこれで質疑を終わります。     ─────────────
  460. 中村靖

    中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  461. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十八日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会