○水谷
委員 大臣、お見えになりましたので、
大臣に何点かお伺いをしたい。
率直なところ、今回この二法の審議に入っております、
国内対策の万全を期すという観点から我我も真剣に取り組みをしているわけでありますが、その
法案の中身はさることながら、
大臣に何点か、今回のこの
牛肉・かんきつ交渉の経過等を踏まえて、私が感じている感想も含めてお尋ねをしておきたいと思います。
それは、今ウルグアイ・ラウンドにおける
農業貿易ルールづくり、もうすぐモントリオールの中間レビューというこういう時期を迎えているときだけに、この
牛肉・かんきつ交渉の経過の中で我我が危惧を抱いたり
国民がまたいろいろなことで
政府に対していろいろな感情を抱かれた。それらの経過をしっかり踏まえて、今後の
我が国のいわゆる
農産物貿易における理念といいますか長期ビジョンというか、
我が国の
食糧の安定供給、さらには
我が国の
農業、農林水産業の存続、活性化、発展、こういう観点に立ってのしっかりとしたお取り組みをより一層お願いをしたい、こう考えるからお尋ねをするわけでございます。
特に、
牛肉の
輸入制度については、もう言うまでもございませんけれ
ども、ただいまも
議論になりましたアメリカの食肉
輸入法、カナダでも同じ
内容の食肉
輸入法、これらを持ち、実質的には明確に、いわゆる
輸入制限措置というものをとれるようになっている。先ほどそういう発動をしたことがないとおっしゃいますが、やはり買ってもらう方は弱いものでして、お客様の意向に沿わなければならないというので自主調整をおやりになって、そこまではいかないところでとまってはいますけれ
ども、そういう明確なものをぴしっと持っている。ECにおいても高率課徴金、いわゆる可変課徴金制度を明確に持って、実質的には
輸入の禁止的措置を明確に保持している。
我が国だけが三年後完全
輸入自由化、こういう解決を迫られた。これは、我々がどんなに譲ってもこの交渉結果というのは
我が国の
畜産、
農業、あらゆるものを見た場合——ましてそれは三年後という非常に短い期間でこれがやってくる。これは、当然納得もできないし、不満であり、怒りがあり、現場では大変なお気持ちを皆さんお持ちになっていることは当然であります。
そこで、私も
大臣、そして竹下総理に
予算委員会等の席で、交渉のさなかいわゆる
牛肉・かんきつの
自由化の問題についてはどうするんだ、
政府の態度はどうなんですかということで何度もお尋ねを申し上げました。
政府の答弁は、
大臣も総理も
自由化は困難であります、この答弁で終始なされてまいりました。外交交渉ですから、相手があること、こちらの思うとおりに物事が運ぶなどということはあり得ない。しかしながら、
我が国の
政府の
方針、また
国民が期待をされている
政府がとるべき
方針というのは
最後までその
方針を貫き通していこうという徹底した姿勢がなければ
国民にこたえていくことはできないと私は思うわけであります。
さてそこで、
昭和五十九年四月、山村・ブロック会談における交渉の結果、
我が国は四年後も枠の
拡大の交渉という立場を主張し、その時点で既にアメリカは四年後の交渉はもう枠の
拡大の交渉などはありませんよ、完全
自由化のテーブルに着く以外にない、こういう認識をお持ちになっておった。昨年私
どもがアメリカへ参ったときも、もう枠の交渉などというのは全然考えておりませんぞ、
自由化しかないですよ、このような話もあり、また我が党の訪米団が現地に伺った折も、ヤイター代表から、もう四年前にその話は申し上げてあるはずだ、それ以外に我が方では一切交渉に携わる考えはございませんよ、こんなやりとりがあった。これはもう
国民すべてがよく御存じのことであります。
私は、こちらはこちらの主張をし、向こうは向こうの主張をする、決着をつけるときになって初めてその結論を出すのだ、これはもう外交交渉で当然のことだろうと思いますが、やはりその場で明確に、常に交渉の中で、区切りとなるその交渉の時点で
我が国の主張は明確に、先方も、ああ
日本はそういう主張でしたな、我が方はこういう主張でしたよ、こういう明確なものが必要ではないのか。その場所はうやむやにして、まあまあというような感じで、聞きおきましょう、ああそういう考えですか、こういう形で推移をしていく交渉では必ず今回のように——私は先ほど日米、日豪のその合意の
内容について何点かにわたって質問をいたしました。私から見れば、これは譲りに譲りに譲った決着
内容だな、こういうふうに考え、残念であります。そういう
事態が起きてこないためにも、交渉における双方の
意見の食い違いであれ何であれやはりそこに明らかにしておく、そして最終交渉の時点に向けてのそれぞれの
努力を続けていくんだ、こういう
基本的な
考え方といいますか姿が必要であったのだろうというふうに思います。
大臣が二度も訪米をされた。大変な御苦労だったと思います。ところが、一説には官邸筋からの強い力で、交渉がもうそういう形で決着をつけざるを得ない。日米友好という大局の中に、またいわゆる貿易の出超、そういう経済全体のマクロの観点から、この
牛肉問題については
最後まで徹底的に闘うということは許されない国際環境、そういうような高度な判断から今回の
自由化の決着がつけられた、こう論評する
人たちもおります。私は、それが全部そうだという判断には立っておりません。しかし、先ほど申し上げたように
輸入自由化を実施する時期が三年という非常に短い期間、また可変課徴金の問題を出してもとてもこれは受け入れられなかった。EC諸国からすれば、
日本がそういう主張をし、ECと同じような立場でともにこのアメリカとの交渉に立つ、そういう姿をECの諸国は願って、陰ながら声援を送られていたのではないのかな、そんな感じもするわけでありますが、これもだめ。また可変関税の導入についてもだめ。また緊急
輸入制限の発動条件、先ほど
指摘しましたこの条件も、私から見ればこんなことではなかなか発動ができないんではないかと思うほどの水準等々、
内容について非常に厳しい厳しい
内容であった、このように考えるわけであります。
大臣、今私は、私の感想を含めて申し上げました。事実
関係がそのとおりであると主張しているわけではございませんが、しかしながら、今問題になろうとしている米についてのいろいろな交渉における問題についても、
発言といいますか両国の立場に違いがあって当たり前でありまして、そんなに簡単に一致するところは出てこないはずです。ところが、それは常に違いを
内外に明らかにしながら、そして交渉に当たっていくという——中途半端な玉虫色で、向こうがそう判断するのはやむを得ない、我々はそう言っているのではないのだよ、こんなのではなくて、そうは言ってませんよ、明確なはっきりとした区切りといいますか、そういう姿を出していくべきであっただろう、そういうふうに考えるわけでございます。
大臣、本当に一番御苦労された方にこういうことをお尋ねするのは、大変私も心苦しい点はありますが、しかし、将来のためにと思ってお尋ねをしたわけでありますので、
大臣の御所見を伺っておきたいと思います。