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1988-10-19 第113回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月十九日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       石破  茂君    衛藤征士郎君       遠藤 武彦君    大石 千八君       川崎 二郎君    小坂善太郎君       近藤 元次君    杉浦 正健君       田邉 國男君    武部  勤君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       上原 康助君    沢藤礼次郎君       新盛 辰雄君    竹内  猛君       前島 秀行君    安井 吉典君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         農林水産技術会         議事務局長   谷野  陽君         食糧庁長官   甕   滋君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     関根 芳郎君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    佐藤 一雄君         経済企画庁物価         局物価政策課長 井坂 武彦君         農林水産省経済         局統計情報部長 海野 研一君         通商産業省基礎         産業局化学肥料         課長      坂野  興君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       田村 修二君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     稲川 泰弘君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 堀込 徳年君         会計検査院事務         総局第四局農林         水産検査第二課         長       山崎 宏武君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 十月十四日  辞任         補欠選任   石破  茂君     工藤  巌君 同日  辞任         補欠選任   工藤  巌君     石破  茂君 同月十八日  辞任         補欠選任   石破  茂君     佐藤 一郎君   衛藤征士郎君     稻葉  修君 同日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     衛藤征士郎君   佐藤 一郎君     石破  茂君 同月十九日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     新盛 辰雄君   前島 秀行君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     前島 秀行君   新盛 辰雄君     田中 恒利君     ───────────── 十月十三日  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  肉用子牛生産安定等特別措置法案内閣提出第八号) 同月十九日  土地改良事業償還金農家負担軽減に関する請願(五十嵐広三紹介)(第一七七七号)  同(五十嵐広三紹介)(第一七八七号)  同(五十嵐広三紹介)(第一八一九号)  同(五十嵐広三紹介)(第一八三八号)  同(五十嵐広三紹介)(第一八七一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  肉用子牛生産安定等特別措置法案内閣提出第八号)  農林水産業振興に関する件      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  内閣提出畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案及び肉用子牛生産安定等特別措置法案の両案を議題とし、審査に入ります。  順次趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。     ─────────────  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案  肉用子牛生産安定等特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  牛肉につきましては、我が国農業生産及び国民食生活における重要性にかんがみ、畜産振興事業団が行う価格安定操作対象とするとともに、輸入割り当て制度のもとで、事業団輸入牛肉買い入れ及び売り渡しを一元的に行わせ、その価格需給の安定を図ってきたところであります。  しかしながら、近年、諸外国からの農産物の市場開放要求が強まる中で、牛肉輸入割り当て制度についてその撤廃が強く求められていたところであり、我が国は、先般の日米及び日豪間の協議において、昭和六十六年度から、牛肉輸入数量制限を撤廃するとともに、事業団輸入牛肉を取り扱わないこととしたところであります。  このような牛肉輸入をめぐる事情の変化に対処して、国産牛肉を引き続き事業団価格安定操作対象としてその価格の安定を図りつつ、事業団業務及びその実施方法等について所要の見直しを行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、事業団は、輸入牛肉については、買い入れ売り渡し等業務を行わないこととするとともに、これに伴う所要規定整理を行うこととしております。  第二に、畜産経営改善等に資するため、事業団は、主要な畜産物に関する情報収集提供等業務を行うこととしております。  第三に、事業団政府からの交付金による資金財源として行う指定助成対象事業についての補助について、所要改善を図ることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  引き続き、肉用子牛生産安定等特別措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国肉用牛生産は、動物性たんぱく質食料の重要な供給源として国民食生活の向上に大きく貢献するとともに、農業生産の増大や地域農業の発展、国土資源有効活用等に大きな役割を果たしてきたところであり、今後も、これらの役割はもとより、農業生産の再編成、農山村の振興等を図る上で重要な役割を担うことが期待されております。  このため、政府といたしましては、肉用牛生産を我が国土地利用型農業の基軸として位置づけ、その振興合理化を総合的に推進してきたところであり、また、牛肉価格需給の安定を図るため、輸入割り当て制度のもとで畜産振興事業団輸入牛肉の一元的な買い入れ及び売り渡しを行わせてきたところであります。  しかしながら、この輸入割り当て制度につきましては、先般の日米及び日豪間の協議において、我が国は、昭和六十六年度からこれを撤廃することとしたところであります。この決定は、輸入数量制限をめぐる厳しい国際世論我が国の置かれている国際的立場等を考慮し、所要国境措置を確保しつつ行ったものでありますが、牛肉輸入自由化は、今後、国産牛肉需給及び価格に重大な影響を及ぼすことが見込まれるところであります。  このような中で、我が国肉用牛生産の存立を確保するためには、肉用牛生産合理化を初め関連する諸施策を積極的に推進し、輸入牛肉に対抗し得る価格水準国産牛肉を供給し得るようその生産体制を整備する必要がありますが、牛肉内外価格差の現状、我が国国土条件制約等から見て、直ちにその実現を図ることは極めて困難と判断せざるを得ず、我が国肉用牛生産の基盤である肉用子牛生産の存続に大きな困難が生ずることが危惧されるところであります。  このような事態に対処して、我が国肉用子牛生産の安定その他畜産の健全な発達を図り、農業経営の安定に資するため、当分の間、事業団に、肉用子牛についての生産者補給交付金等交付業務を行わせるとともに、生産者補給交付金等交付その他食肉に係る畜産振興に資する施策実施に要する経費財源に関する特別の措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、事業団は、都道府県知事指定を受けた都道府県肉用子牛価格安定基金協会肉用子牛生産者交付する生産者補給金に充てるため、当該都道府県協会に対し、生産者補給交付金交付することとしております。  第二に、生産者補給交付金金額は、肉用子牛の再生産を確保することを旨として定める保証基準価格から肉用子牛平均売買価格を控除した金額基礎として算定することとしております。  この場合、平均売買価格が、肉用子牛生産合理化により実現を図ることが必要な肉用子牛生産費基準として定める合理化目標価格を下回るときは、都道府県協会生産者積立金から生産者補給金の一部を交付することとしております。また、事業団及び都道府県は、都道府県協会生産者積立金に充てるため、生産者積立助成金交付することとしております。  第三に、牛肉及び特定牛肉調製品に係る関税収入を、生産者補給交付金等に充てるための事業団への交付金交付並びに繁殖、育成及び肥育を通ずる肉用牛生産合理化食肉等流通合理化等に資する施策実施に要する経費に充てるための特定財源とすることとしております。  第四に、事業団財務及び会計につきまして、生産者補給交付金等交付業務についての区分経理等所要措置を講ずることとしております。  最後に、事業団による生産者補給交付金等交付昭和六十五年度から、牛肉等に係る関税収入についての特別の措置昭和六十六年度から実施することとしております。なお、昭和六十五年度生産者補給交付金等財源といたしまして、本年度から昭和六十五年度までの間の事業団輸入牛肉差益の一部を充てることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、補足説明を聴取いたします。京谷畜産局長
  5. 京谷昭夫

    京谷政府委員 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足をさせていただきます。  第一に、輸入に係る牛肉等に関する規定改正であります。  畜産振興事業団が行う買い入れ売り渡し等業務対象から、輸入に係る牛肉等を除外するとともに、牛肉輸入についての事業団の一元的な運営機能に関する規定を削除することとしております。また、これに伴い、事業団価格安定操作として行う買い入れ及び売り渡し方法輸入に係る牛肉買い入れ売り渡し等業務についての区分経理等につきまして、所要規定整理を行うこととしております。  第二に、事業団業務の追加であります。  畜産経営改善事業団価格安定機能の強化に資するため、事業団業務範囲に、主要な畜産物生産及び流通に関する情報収集整理及び提供業務を追加することとしております。  第三に、指定助成対象事業についての補助限度の廃止であります。  指定助成対象事業についての補助の機動的な実施に資するため、その補助等に要する経費として事業団政府からの交付金に係る資金から支出することができる額の限度に関する規定を削除することとしております。  以上のほか、事業団理事及び監事の任期を三年から二年に改めるなど所要規定の整備を行うとともに、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法について所要改正を行っております。  なお、施行期日につきましては、公布の日から起算して三十日を経過した日といたしておりますが、輸入に係る牛肉等に関する規定改正昭和六十六年四月一日としております。  以上をもちまして、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  次に、肉用子牛生産安定等特別措置法案につきまして、提案理由補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足をさせていただきます。  第一に、畜産振興事業団業務範囲特例であります。  事業団は、畜産物価格安定等に関する法律に基づく業務のほか、肉用子牛についての生産者補給交付金及び生産者積立助成金交付業務を行うこととしております。  第二に、肉用子牛についての生産者補給交付金等交付であります。  事業団は、家畜市場における一定肉用子牛売買価格平均額として、政令で定める期間ごとに算出される平均売買価格が、毎会計年度農林水産大臣が定める保証基準価格を下回る場合には、都道府県知事指定を受けた都道府県肉用子牛価格安定基金協会肉用子牛生産者交付する生産者補給金の全部または一部に充てるため、当該都道府県協会に対し、生産者補給交付金交付することができることとしております。  この場合、保証基準価格は、肉用子牛生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用子牛の再生産を確保することを旨として定めることといたしております。  また、事業団及び都道府県は、平均売買価格政令で定める期間ごと農林水産大臣が定める合理化目標価格を下回る場合の生産者補給金財源として肉用子牛生産者負担等により都道府県協会が積み立てる生産者積立金の一部に充てるため、生産者積立助成金交付することができることとしております。  この場合、合理化目標価格は、牛肉国際価格の動向、肉用牛肥育に要する合理的な費用の額等から見て、肉用牛生産の健全な発達を図るため、肉用子牛生産合理化によりその実現を図ることが必要な肉用子牛生産費基準として定めることとしております。なお、この合理化目標価格につきましては、畜産物価格安定等に関する法律に基づく指定食肉たる牛肉安定価格決定に際しても考慮することとしております。  このほか、都道府県協会指定等について所要規定を設けております。  第三に、生産者補給交付金金額であります。  生産者補給交付金金額につきましては、保証基準価格から平均売買価格を控除した金額基礎として算定することとしております。ただし、平均売買価格合理化目標価格を下回るときは、保証基準価格から合理化目標価格を控除した金額をその算定の基礎とし、合理化目標価格を下回る部分については、さきに申し述べました都道府県協会生産者積立金から生産者補給金交付することといたしております。  また、生産者補給交付金交付対象となる肉用子牛は、その生産者が販売したことまたはその生産者が飼養しており、かつ、一定の月齢に達したことにつき都道府県協会が確認したものとしております。  第四に、牛肉等に係る関税収入についての特別の措置であります。  政府は、毎会計年度当該年度牛肉及び特定牛肉調製品に係る関税収入見込み額に相当する金額を、生産者補給交付金財源等に充てるための事業団への交付金交付及び肉用牛生産合理化食肉等流通合理化その他食肉に係る畜産振興に資するための施策実施に要する経費財源に充てることとしております。ただし、この関税収入見込み額がこれらの経費を超えると見込まれるときは、その超える金額についてはこの限りでないものとしております。  また、これらの経費に照らして必要があると認められるときは、当該年度の前年度以前の各年度牛肉等に係る関税収納済み額累計額からこれらの経費決算額累計額を控除した額に相当する金額の全部または一部を、これらの経費財源に充てることとしております。  第五に、事業団財務及び会計に関する規定であります。  事業団は、生産者補給交付金等交付業務については特別の勘定を設けて他の業務に係る経理と区分して整理するとともに、さきに申しました政府からの交付金をこの特別の勘定への繰り入れ等に充てるための資金として管理する等、所要規定を設けることとしております。  なお、施行期日につきましては、公布の日といたしておりますが、肉用子牛についての生産者補給金等交付に関する規定昭和六十五年四月一日と、牛肉等に係る関税収入についての特別の措置に関する規定昭和六十六年四月一日としております。  また、昭和六十五年度生産者補給交付金等財源として、昭和六十三年度から昭和六十五年度までの間に事業団輸入牛肉勘定において生ずる利益の額の一部を充てるための措置等事業団財務及び会計に関し所要特例措置を講ずることとしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明を終わります。
  6. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で両案の趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  7. 菊池福治郎

    菊池委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました両案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  9. 菊池福治郎

    菊池委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  10. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、連日御苦労さまであります。  まず最初に、よく問題になっております例えば北海道の七月から八月にかけての長雨台風被害、さらには東北、関東一部の冷害、凶作、この関係につきまして、関係者、また各地域から天災融資法、さらには激甚法指定を早くしてもらいたいという強い要望が来ておりますけれども、いつ指定をしてくれるのか、この際、大臣に私はお聞きしたいと思います。
  11. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今の御質問は、異常気象による問題とそれから北海道長雨について一番要望の強い激甚法地域指定、あるいは天災融資法発動、この見込みについて明らかにせよ、こういうことでございます。  まず、広範な地域における低温あるいは日照不足長雨による被害につきましては、統計情報部において十月十五日現在で調査実施し、目下その取りまとめを急いでいるところでございます。また現在、都道府県としても資金需要額等把握に鋭意努めているところでございます。これをひとつ急いでやってくれと、我が方といたしましては早期に適用する気持ちを申し上げておるわけで、早くその素材となるべき数字を上げてくれと、関係者お願いをいたしておるところでございます。天災融資法発動等については、こうした調査結果を把握の上で関係省庁協議を行い、早急に対処してまいりたいと考えております。  なお、九月六日、決算委員会の席上でも御指摘のあった八月下旬の北海道東北地方豪雨被害に関しまして、東北は岩手でございますが、農地等災害復旧事業に係る激甚災害法適用については、近く政令公布する予定で関係省庁手続を進めているところでございます。近くというのは、一口に言うと来週中に、こういうつもりで申し上げておきたいと思います。と申し上げます根拠は、去る十月十四日、中央防災会議によって既にこれの適用が了承されておるということでございますし、委員御存じのように、一連の手続を踏んで、次官会議とかいろいろございます、そういうものを踏んで、そして来週中には公布をいたしたい、こう思っておるところでございます。  以上でございます。
  12. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、来週中に公布ということで、これはもう大変ありがたい話でありますから、感謝申し上げます。  同時に、今大臣から天災融資法等関係につきましては、資料の精査といいますか上がり次第ということでありますけれども、大体それはめどとしてはいつごろでありましょうか。
  13. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 異常気象災害の問題は、東北太平洋側等、あるいは北関東の一部とかいろいろな広がりを見せておるわけでございまして、八月十五日当時の数値、作況というものが少しでもよくなるかな、こういう、実はいい方にいい方にと思って念願をいたしておりましたが、依然としてよろしくない、こういう気象状況にございます。九月十五日になってもよろしくない、さらに十月十五日の結果がどうなるのか、それの取りまとめを急いでおる、こういうことでございまして、九月中くらいにそのめどがもうついておればもっと早く適用できたかと思っております。  私は、去る日に福島県下に被害調査に訪れました際も、記者会見の席上においていつ適用されるかと言われたのに対して、十月中くらいにはやれるか、何とかひとつそこらで、私自身こう思っておりましたけれども、これが九月中に締めくくりができず、また十月にも及ぶ。そうすると、資金需要はどうなるのか、その枠の設定はどのように財政当局と話を進めるか、こういうことで今地方から上がってくるその数字を待っておる、それを急がしておるということで、先ほどちょっと急がしておるということを申し上げたわけでございます。  少なくとも、従来の例からいきますれば、十月までに及ぶ際、相当及んだ場合は十二月中、あるいは九月末くらいで終わっても十二月中くらいの公布適用地域指定天災融資法並びに激甚災の問題の処理の実績はございますけれども、これをひとつハイピッチで始末をつけなければならぬ、こういう強い願望を持ちまして、それでも何としても今現在自体の予測を言えと言われれば、私は十月中に何としてもやらねばならぬ、被害県におきましても、お忙しいではございましょうけれどもということで、知事さん方にも私直接お願いを申し上げてきたところでございます。
  14. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今までの審議の中で、この天災融資法さらには激甚災についての時期を明確に言ってくれたのは今回初めてですから、私はこれは多といたしたいと思っております。どうか大臣、今おっしゃったとおり十月中……(佐藤国務大臣「十一月中」と呼ぶ)わかりました。ちょっと元気よ過ぎて大臣も一カ月早く言ってくれたようですけれども、十月中に被害調査を終えて十一月中に指定をするということでよろしいのですね。
  15. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 大変私も実は心配しており、また何とかしなければならぬという気持ちで、言葉があるいはあいまいであったかもしれません。申しわけございません。
  16. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今の大臣の答弁を見ても、いかに大臣が農政に一生懸命であるかということがおわかりいただけるということで、いい話ではないか、こう思っております。  大臣、次に、けさほど六十三年産のてん菜、芋、大豆の価格決定がされました。てん菜につきましては対前年比四・二%のマイナスであります。バレイショについては五・五%のマイナス、さらには、大豆につきましては五・五%の対前年比マイナスであります。  私は現下の農業情勢を見るときに、ことしは十二品目の問題がありました。さらには、牛肉の三年後の自由化決定もありました。今農家の皆さん方は、果たして農業をやっておっていいのかな、やっていけるかなという大変な不安感に覆われているわけなんです。その時期に価格が下げられるということは、私は極めて遺憾であります。今回のこの四・二%あるいは五・五%のマイナスで再生産できるかどうか、私はこの点を大臣に伺いたい。  特に北海道の場合は、輪作体系、これはまさに農民の血のにじむような努力で今何とか築き上げてきた、あるいはベースができたというところなんです。それにちょっと冷や水をかけるようなこの三年連続の価格の引き下げというのは、私はやはり農民代表の政治家としては、果たしてこれで政治があるのかなという感情を率直に持っているのです。そういった意味からも、この価格の引き下げで、この値段で果たして本当に農家がやっていけるかどうか、農林省なり大臣の見解を伺いたい。
  17. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 てん菜、サトウキビ、カンショ及びバレイショの生産者価格につきましては、農業パリティ指数に基づき算出される価格基準として、物価その他の経済事情を参酌して決定することとされております。  六十三年産については、生産性の向上の動向、畑作物間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる、今おっしゃられるように内外の厳しい情勢、需給事情のもとで、制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定することとし、このような観点から、てん菜の最低生産者価格をトン当たり一万八千二百六十円、カンショの取引指導価格をトン当たり三万三千百三十円及びバレイショの原料基準価格をトン当たり一万五千三百円と決定したところであります。  大豆については、大豆なたね交付金暫定措置法に基づき、生産費その他の生産事情需給動向及び物価その他の経済事情を参酌して決定することとされており、これを基本に、大豆をめぐる厳しい事情を考慮し、生産性の向上、品質の改善、畑作物相互間の価格関係等にも配慮して、基準価格を六十キログラム当たり一万五千六十円と決定したところであります。  おっしゃるように、関係者あるいは団体等には、再生産に向けて何とか御理解いただけるものと考え、私も耐えがたいところがございます、申し上げにくい気持ちもございます、しかし、何とか再生産に向け御理解をいただけるぎりぎりの線であるということを、この席でも御理解賜りたいと思います。
  18. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣の答弁もわかるのですけれども、とにかく大臣、農家の皆さん方が夢を持って、一生懸命働けば、努力すればやっていけるんだという、そんな道しるべだけは農林省はこれからもぜひきちっとしてもらいたい、私はこう思っております。  それで、きょうのこの価格決定でも一番に言われたのは、農家の負債整理です。いわば負債があって困っている、その償還できゅうきゅうとしているというのが実態でありますので、特に今回の価格決定に当たりましては、畑作を含めた負債対策をやるということが一つの決定関連事項でありますので、この負債対策を具体的にどうやっていくか、農林省の考え方をお聞きしたいと思います。
  19. 吉國隆

    吉國政府委員 負債資金の問題につきまして、従来からも自作農維持資金の特別の限度枠の設定等の対応が進められてまいっているところでございますが、ただいま先生お話しのように、畑作農家の負債ということも、北海道の専業的な畑作農家等で見ますと増加傾向にあるということで、畑作経営もその面から厳しさが加わってきているというような状況があるわけでございます。一般の負債対策問題とあわせまして、そういった農業経営を取り巻く状況に対処するために、自作農維持資金制度の中で、農業経営再建の見込みのある農家の既往負債の償還円滑化のための資金の創設ができないかという見地から、今省内で検討を行っているところでございます。
  20. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 局長さん、もう六十四年度予算の概算要求も終わって年末の編成に向けて進んでおりますけれども、予算関係で間違いなくその負債対策については目に見えたものをするということだけを、ここできちっと約束してもらいたいのです。
  21. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいま、先ほど申し上げましたような考え方で鋭意検討を進めておりますので、その実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  22. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣も、農家の負債整理につきましては、乳価のときも言われます、あるいは小麦の決定のときも言われますし、米の決定のときも言われる話でありますから、これは農林省の中での一番大きな柱として取り扱っていただきたい、こう思っております。  さらに、時間がありませんのでこれで最後にいたしますけれども、今の諸般の情勢、特に国際情勢から見ましてもあるいは消費者のニーズ等を考えても、もう価格で論じる農業の時代じゃない、やはり構造政策を思い切って推進する、このことが日本農業が生きていける唯一の道ではないかと思っているのです。そういった意味でも、予算なんかではシーリング等の枠もありますけれども、大事な国民の食糧を供給するという観点からも、食糧安全保障の上からも、農家のための構造政策、特にこの負債整理には思い切り策を講じていただきたい、この点について、大臣の決意並びに具体的な考え方がありましたらお聞かせをいただいて質問を終わりたい、こう思います。
  23. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 後段の部分からお答えして恐縮でございますけれども、まさに価格政策だけで事済むかというと、そういう認識ではやっていけるものではない、やはり構造政策を主体にして足腰の強い農業を育て上げていく、将来を見越してやっていかなければならぬ、こう心得ておる認識は同じでございます。  負債整理そのものについては、この場におきましても、委員からは何回か私も注文をつけられました。また、北海道は特に畑作農業の成り行きについて極めて敏感である、そういうことを心せよということで指摘を受けてきたことも数次にわたります。従来の対策に加えまして、自作農維持資金制度の中で、農業経営再建の見込みのある農家の既往負債の償還円滑化のための資金の創設ということもできないかどうか、できるようになればいいがな、それにはいろいろまだ若干の検討をしなければならぬ。そういうことも具体的な検討を進めておるところでございますが、それではこうなる、こうなったわいと明言する時期ではまだない。しかし、その意欲、今実務方で十分に検討を進めておるということを申し上げておきたいと思います。
  24. 菊池福治郎

    菊池委員長 保岡興治君。
  25. 保岡興治

    ○保岡委員 今、我が党の鈴木委員から北を代表していろいろ質問がされました。私は、南の方の地域の者として若干の質問をさせていただきたいと思います。  今、質疑の中にもいろいろ出ておりましたけれども、我が国の農産物の輸入自由化、これはさきの十二品目の交渉、日米牛肉・かんきつ交渉などが決着をされまして、農産物の輸入が急速に進行していくのではないだろうか、我が国農業や農村地域の経済に大変な影響を与えるのではないかということが懸念されて、農家も非常に心配をしておる。また国全体としても、このことについては将来どうなるかということについて、国民が関心を持っているところだと思います。  このような中で、農家が将来に対して希望を失うことがないように明確、適切な対策を講じて、それぞれの地域で農家が将来の見通しを持って、先ほど鈴木委員もおっしゃっておりましたけれども、一回しかない人生でございますから、本当に農家がその仕事に従事して将来やっていけるかどうかということのはっきりした見通しを持ちながら、農業が産業として自立していけるような方向を計画的に施策として進めていかなければならない大変な時期に今差しかかっているのではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、私たちの地域のカンショ、サトウキビについてでありますけれども、まずカンショについては、さき日米農産物交渉の決着の結果、でん粉について自由化は保留されたものの、トウモロコシの無税枠の拡大とか二次税率の引き下げなど関税割り当て制度の運用緩和により、国内産でん粉及び原料用カンショ生産に与える影響は非常に大きいものがあるというふうに思われるわけでございます。そういう意味で、カンショは御承知のとおり南九州の畑作農業の基幹作物で、これにかわる他の作物がなかなかないということで、鹿児島、宮崎県を中心として二万七千ヘクタール栽培されて、畑地の二六%も占めているわけです。そしてこの地域は、御承知のとおり台風、干ばつ、それから桜島の降灰の常襲、発生地域で、輪作体系上も欠くことのできない土地利用型の作物であるだけに、その収益性が即地域農業だけではなく、経済の状況にかかわってくると言っても過言ではない。  また一方、サトウキビも、沖縄県及び鹿児島県の南西諸島における基幹作物で、これもまた、なかなか他の作物に簡単にかわるといってもかわるものがない、唯一の基幹作物と言えるものであって、また我が国の甘味資源の安定供給にも貢献をしておる。  南西諸島は、先ほど話したように台風、干ばつの常襲地域で、ところが土地基盤整備が非常におくれておる。そして、機械化もおくれておる。これは後でもう少し詳しくお話も申し上げますけれども、農家が高齢化が進んでおる、しかも規模が非常に小さい、こういうような生産性向上に大きなネックがあるわけで、この点について政府も、お互いも一生懸命努力して取り組んで、それなりの成果を上げているところでありますけれども、しかしまだ十分な将来の展望が持てない状況になっております。こういうカンショ及びサトウキビの地域の持つ特性があるわけでございますけれども、そういう特性を踏まえた上で若干の質問をさせていただきたい。  まず、価格についてでありますけれども、カンショ、サトウキビ関連の行政価格については、ここ二、三年連続して引き下げられてきた。先ほど鈴木委員からも指摘されているとおりでございますけれども、これ以上の引き下げは、牛肉・かんきつやブドウ糖等の輸入自由化決定に伴い、ますます厳しい環境に迫られている南九州の畑作農家にとっては容易に受け入れられがたい、そういう非常に悲痛な声が上がっておった。  ところが、先ほど大臣説明されましたカンショの価格においても、ことしも切り下げが行われた。これは確かに、ことしのサミットなどにおいても、各国の首脳が、農業に対する補助、支出、あるいは支持価格の切り下げ等を具体的に議論をしなければならないような国際環境にあって、なかなか大変だとは思うのでございますけれども、それにしてもこの地域の実情を考えると、こういう価格の引き下げが続いていくことは、非常に寒々とした気持ちに農家がなっておるというのも現実であります。  そういう観点から、今度、来週にはサトウキビの価格を決めることにもなろうと思うのでございますけれども、カンショあるいはサトウキビの価格決定に向けての政府の基本的な姿勢をまず伺わせていただきたいと思います。
  26. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 北とか南のお話もございましたけれども、四全総で明示されておるように、それぞれの地域の特性がどう生かされていくか、もちろん農業におきましても、農村におきましても、それぞれの地域、これを考えると、地域農政の再出発という感覚で進めていかなければならぬ課題である、かように心得ております。  サトウキビ、カンショの生産者価格につきましては、農業パリティ指数に基づき算出される価格基準とし、物価その他の経済事情を参酌して決定することとされております。  六十三年産については、生産性向上の動向、畑作物間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる内外の厳しい情勢、今も委員触れられました需給事情のもとで、制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定することとし、このような観点から、カンショの取引指導価格をトン当たり三万三千百三十円と決定したところでございます。  サトウキビは、月末を目途に努力を積み重ねておるところでございます。  とにかく、私も言いにくい点もある、また耐えがたい点もございますけれども、何とかひとつ生産者にも、また関係団体等にも御理解をいただけるよう、さらに努力を積み重ねてまいりたい、かように考えております。
  27. 保岡興治

    ○保岡委員 なかなか大変でございましょうけれども、先ほど鈴木委員との質疑の中でも、価格政策によって、その地域の経済の中心となるような、地域の経済にも影響するような、そういう国民の立場というものを守っていくということは、なかなか大変な状況になってきているのは現実であります。  しかし、従来、価格というものを中心に農家は希望の火を燃やしながら頑張ってきておる現実を考えると、やはり価格とて細心の注意を払って、地域の実情はなるほど考慮したんだ、政府も考えておるということがわかるような、あかしになるような決定をぜひしていただきたいと、心からお願いを申し上げる次第でございます。  それからもう一つは、生産対策についてでありますけれども、カンショの用途開発、需要の喚起ということは、一つの重要な焦点であると思います。この点について、政府としてどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  28. 谷野陽

    ○谷野政府委員 カンショにつきましては、現在その非常に大きな部分がでん粉用に用いられているわけでございまして、従来から生産面あるいは加工流通面におきましても、でん粉に対する品種改良あるいはその加工についての合理化等の技術開発が行われてきたわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のような事情の中で、今後はでん粉用以外、さらに一般の食用以外のいわゆる新しい用途への需要を開発していくということは、極めて重要であるというふうに考えているところでございます。  この新しい用途の開発のためには、まず第一には、新しい用途に適しました品種の開発が重要でございますし、またそのような品種を活用いたしました新しい、消費者のニーズに合ったような、いわば商品の開発が必要なわけでございます。  まず品種の開発といたしましては、従来のいわゆる甘いサツマイモの特性を生かしたもののほかに、最近開発されたものといたしましては、ニンジン並みのカロチンを持ち、デザートその他に活用されておりますベニハヤトという品種が開発されておりまして、これにつきましてはカリビアンというような名称でアイスクリームその他に既に実用化をされているところでございます。  また、甘味を抑えたフライドポテト等のための品種でございますとか、その他紫色の色素を持つ品種というようなものがあるわけでございまして、現在その開発が進められ、あるいは一部品種として発表されているところでございます。  また、これらの品種を活用いたしました最終製品につきましては、最終製品を担当いたします、国では食品総合研究所あるいは県の食品関係の試験所、さらには民間の商品開発力を活用するという考え方のもとに、相互に連携をとりながらその開発に取り組んでいるところでございます。
  29. 保岡興治

    ○保岡委員 生産基盤の問題でありますけれども、これは鹿児島、沖縄、奄美、こういう地域の基盤整備の整備率というのは非常におくれておる。一々挙げませんけれども、私の郷里の奄美について言えば、畑地かんがいの整備がわずか四・五%、基盤整備率も四割にも達しない低い率である。このことは、この地域に押しなべて共通であります。台風常襲地帯で、かつ干ばつ地域であるというにもかかわらず、どうしてこういうふうに基盤整備がおくれているのかということも、真剣に問うてみなければならない問題でもある。  また、機械化を進めるといいましても、例えば基盤整備の進んでおるところは、非常に大型の機械が入れられて補助対象にもなる。しかしながらこの地域は、農家の経営面積の平均というのか規模が、三ヘクタール以上持っている農家はわずかに五%ぐらいである。あと六割は一ヘクタール以下の農家だというような、そういう状況の地域でもありますし、非常に規模が小さい。規模が小さいそういう地域の農家にとっては、基盤整備がおくれているにもかかわらず、今手を上げているにもかかわらず、今の予算では、あと十年待たなければいけないのか十五年かかるのかという状況である。そうして一方で機械化は、小規模のもの、小さいものをつくってやろうとしても、これは補助対象にならないというようなことで非常に苦労する。これでは先行き出る道が、抜け穴が全く見えないという話になってしまうわけでございます。  特に機械化は、これは米とか非常に全国共通の作物であれば大量生産ができて、投資も、いろいろ研究もされて立派な機械がどんどんできていく、そして安上がりの機械ができていく。しかし、こういう限定された地域の作物については機械化は一つの会社がやっていて、しかも小規模でやっているから、どうしてもできたときのコストが高くついてしまう。そうすると、一体この機械を購入して、生産性のメリットがその投資を支払うだけのものであるのかどうか、こういうことも問われて、なかなか機械化も進まない。  こういう現状を考えたときに、私はまず第一に、かんがいのための水対策、こういったものについては、この地域は、基盤整備も含めて確かにおくれた地域として傾斜配分を受けております。このことは大変ありがたいと思いますけれども、やはりあと何年したらこうなるんだという計画のもとに、思い切った傾斜配分が必要ではないか。それからこういった小規模の、しかも限定された作物の機械化については特別な補助を考えていかなければ、これまた現実に進まない問題ではないだろうか。それから品種改良なども含めて、計画性のある、将来こうなるんだということをもう少し詰めた形での予算措置を、改めて政府も我々もはっきりさせていかなければならないのではないか。そのことには苦労が伴いますけれども、どうしてもやってのけなければ、今の農家の状況は、将来に対して希望の持てる状況になかなかならないというところに追い込まれているという印象をぬぐい切れないものがあります。  大臣は、非常に先ほど来、またこのところ本当に御苦労されて、農家のために一生懸命、温かい気持ちを持って農政を進めていただいているわけですが、こういう本当に地域地域特定の作物についても具体的に、政府の中にあってきめ細かい、将来に計画性のある対応をひとつ策定いただくように心からお願いをして、時間がありませんので大臣の決意を伺って、私の質疑を終わりたいと思います。
  30. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今、今後の農政、特に地域農政にかかわることについて、その特性を十分に生かした政策決定、予算措置、そういうものをやれ、従来も多少なりともそういうことは認めるけれども、さらにもっと努力せよ、こういうお諭しであったと思います。そのためには、具体的に基盤整備の推進も、やはりめどをちゃんとつけて長期にわたる——何年たっても事業効果が上がらないというような実態、方々の地域によってはそういうことが実際あるわけでございます。これは、南だけの問題ではなくていろいろございます。したがって、傾斜配分も多少心がけてきております。そういう中にあって、特にまた加えれば最近の国際化の現状、これもやはり頭に置きながら、どうするかということを一口で言えば、やはり地域の活性化がなくて国全体の活性化があるわけはない。地域の活性化は何かといえば、農業、農村の活性化、振興がなくて何が地域の活性化かということになりますと、話は戻って地域農政というものを本当に真剣にまた考える。地域農政という言葉ができてから若干の時間がたってまいりました。しかし、地域農政というものについて私ども自身が、地域農政維新とか地域農政元年とか言葉はいろいろあるようでございますけれども、本当に改めて取り組むような気持ちで努力を続けてまいりたい、こう思っております。  機械化の問題につきましても、今まで取り組んできた、ただ省力だけの問題ではいけない。やはり機械化をするにしてもお金がかかっておる。その償還はどうするのか、その機械の効率的な利用をもっとどう考えるべきかということについて、コストを下げる手段としてもやはりもう一工夫あらねばならぬということで、機械メーカー、業界に対しましても、あるいは農業団体に対しましても、きめ細かく指導をしていかなければならない。そして、その地域に合った機械の効率化というのは何なのだということになりますと、特に委員の直接関係する地域におかれてはまた特別なものがあろうかと思っております。きめ細かく配慮する必要があると十分認識をする次第でございます。
  31. 保岡興治

    ○保岡委員 ありがとうございました。
  32. 菊池福治郎

    菊池委員長 安井吉典君。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 私は、初めに大臣に抗議をしたいのです。  きょうは衆議院の農林水産委員会が開かれるというのを大臣は御存じだったはずであります。そして、きょうどんな質問をするのかと言うので、私たちみんな、畑作の三品の問題を価格問題を中心にして質問を通告していたはずです。通告義務はありませんよ。こんなものはありませんけれども、あなたの部下の人たちが、大臣がへまなことをしてはいかぬので何とか教えてくださいと言うので、私どもは内々のお話をしているわけです。こういうことで明確な準備をしている。そういうつもりでおったら、けさ、何のことはない、価格決定ですということで私ども配られたわけであります。  ですから、国会の意見をお聞きいただくのはきょうなんですよ。自民党も十分お話し合いがされたのはわかりますけれども、自民党だけの国会ではないわけです。全体的な意見を聞いてお決めになるという、それくらいのお気持ちがあってもいいのではないか。なるほど国会の決議事項ではありませんよ。それはありませんけれども、今までだって決議事項以外の問題でも十分いろいろ御論議を願って、それによって政府が方針をお決めになったのは何度でもあるわけです。きょうは特にそのことによって、私たちはもう全部そのつもりで来ておったわけですよ。  では、まあこれは政府としての最終の決定でないのかどうか、その点伺います。
  34. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私自身、自分を省みて決して完全な者ではございません。時にしてへまをやることもあるでしょうし、失礼の段は数々あろうかと思います。しかし、価格決定は私の責任において実務方を督励をいたしまして、そしてたび重ねての私のところに来ております陳情、要請、これを頭に置きながら、私が政党のことを言うのはいかがかと思いますが、おしかりを受けるかもしれませんけれども、政府・自民党の責任、政府・与党の責任、これは極めて重いものであるということで今までどおりの運びでやってきた。しかしその結果は、やはり不満も残っていることも承知をしておりますがゆえに、先ほども自民党の質問にも答えておりますように、農業者あるいは農業団体等々に十分再生産をしていくに足るぎりぎりの線を御理解いただけるものである、その努力もまたさらにしていかなければならぬ、こう申し上げておるわけでございまして、慎重にも慎重、そして一日も早く要請にこたえたいという気持ちだけはひとつお酌み取りいただければありがたい、こう思っております。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 時間的な余裕がないとか、国会のセットがおくれているというようなときに、先にどうしてもしようがないというような状況なら、これは理解できないでもありません、例えば国会閉会中とか。しかし、きょうはもう、きょう委員会をやるというのが決まっていて、やれば出てくる問題をその前にこう決まりましたと、こう出されたのじゃ、幾ら人のいい野党の委員の人たちでも、これはやはり胸に落ちかねるわけであります。それは、法律的な権限の問題で私は申し上げているのじゃありませんよ。そんなものは、当たり前な政治的な配慮というようなものじゃないかと私は思うのであります。どうでしょうか。
  36. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 重ねての御質問でございますが、私自身、きょうこの農林水産委員会を開会するという通告を、政府委員室を通じて私が受けまして、そういうことは頭に当然あるわけでございます。にもかかわらず、きょうここで議論されることを避けるためにこういう価格決定をしたのかと言われますと、それはいかように言われても御自由でございますけれども、私が申し上げているように、私はそういうつもりでやっているわけではない、罪悪感を持ってやっているわけではない、まじめに取り運んできたつもりでございますと、こう申し上げておるわけでございまして、どうかひとつその点は御理解をいただきたい、こう思っております。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 後の皆さんの御発言もあろうと思いますし、私は、いかに御理解を願いたいと言われても理解しかねます。しかし、後の質問時間が減りますので、そういう問題点の指摘だけひとつ明確にしておきたいと思います。  それからもう一つ、自民党の方はこれは了承したのですか。先ほどはどうもこれに反対のような御意見も出ておったようでありますけれども、自民党は了承したのですね、これは。
  38. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 具体的な取り運び、その実態については、私が党の会合に出席しておるわけではございません。私は、責任を避けてそういうことを申し上げるのではございません。先ほど申し上げましたように、私の責任において実務方を督励し、取り運ばせておりますので、その点につきましては、当然のことながら決定をしたということにつきましては、私の責任で決定をした、政府・与党の責任は非常に重い、そういう意味で党の了承も得ておるものと私は理解をいたしておりますし、その実態については局長から答弁をさせます。
  39. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 私、自民党で開かれましたこの件に関します会合に出席をさせていただいておりました。その中で、非常に今まで御議論がありましたような厳しい情勢を踏まえまして、去年の引き下げ、さらにことしもまた引き続いての引き下げということでは、農業経営がなかなかぎりぎりのところへ来ておるのであって、安定的な生産もおぼつかないではないかというようなことで御議論が非常にあったわけでございますが、結果といたしましてはやむなしということで御決定をいただいたのを……(発言する者あり)いや、自民党として了承をされた経緯がございます。
  40. 安井吉典

    ○安井委員 わかりました。いや、それならわかります。何か了承していないような発言があったものですから、気になったので念のために伺ったわけです。  そこで、この価格の問題でありますが、ずっと拝見いたしますと、軒並みの引き下げであります。ことしも、初めの段階では米麦が四・六%もずっと引き下がっておるので、大豆を中心に全部だあっと引き下げの流れになるのではないかというような憶測もあったわけでありますけれども、しかし、結果は全くそのとおりになっているということであります。  これから後、一つずつの品目につきまして、価格決定の経緯について伺ってまいりたいと思いますけれども、やはり基本的にはそれぞれの法律的根拠があるわけですから、その法令の規定に忠実に従った計算でやるということはもちろんだし、また農業経営が極めて不安定な状況にあるわけですから、その安定化に配慮し、所得を保障する、そして、再生産ができるようにするという基本原則はすべてに共通の課題ではないかと思います。とりわけ自由化問題という極めてショッキングな事態の中に、今畑作農業は置かれているわけであります。そういうショックの激しい、ショックを受けている状況の上に、さらに価格を全体的に下げて追い打ちをする政府の姿勢のような印象を、私はぬぐえないわけであります。  これはいわば残酷価格ですよ。そういうふうな思いを、私は全体的なこの価格決定の流れの上に強く感ずるわけでありますが、自民党の中でも、そういう御意見が出たということはさっきもありました。しかし、了承されたそうでありますけれども、私は、そういう率直な農民感情や、我々農業の問題に深く関心を持っている者として、そういう感じを否めないわけです。どうですか。
  41. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 非常に厳しい御意見を承りました。私自身、言うに言われぬ、耐えかねるような気持ちもございます。しかし、何とか再生産をするに足るぎりぎりの選択であるということを、ひとつ御理解賜りたいと思います。  もちろん、この価格決定後におきましても、いろいろな不満が一部には残るということも想像をいたしております。であればこそ、私自身はそういう前段申し上げたことに御理解を賜り、さらにこの後においても御理解をいただけるよう努力を続けたい、こう申し上げておるわけでございます。私としては、そういう農民感情を思うとき、せつない気持ちもあるということを率直に申し上げておきたいと思います。そして、何としても将来展望につなげていかなければならぬ、こういうことでお互いが努力をしていかなければならぬのだということ、そして、足腰の強いものにしていかなければならぬのだ、こういう考え方で私も決定をいたした次第でございます。決して、むごい仕打ちという受け取り方をされるような気持ち、やり方でやったわけではございません。
  42. 安井吉典

    ○安井委員 大臣のお気持ちはわかります。わかりますが、それだけで問題は少しも解決するものではないということであります。  例えば大豆を例にとってみますと、今まさに国内自給率は五%、これはかつて長い日本の農政の歴史の中で大豆と麦はネグレクトしていく、そういう方針でこんなような状態になって、後で慌てて交付金制度や何かやってみたってさっぱり成果が上がっていないというのが、今日の大豆の置かれている状況です。自給率五%、その現状に対してどうするのかといういろいろな問題もあると思うのですが、それはきょうは後回しにいたします。  昨年は、価格算定方式をパリティ方式から生産費方式に置きかえたわけですね。去年のここでの畑作価格の論議は、もうそこに焦点があったわけであります。しかし、ことしはもうそれが二年目ということになっているわけであります。パリティから生産費という方向に移ったわけでありますからして、最も重要な算定基礎というのは六十二年産大豆の生産費調査ではないかと思います。私ども農水省の方からいただいておりますその統計調査の資料を見ますと、第二次生産費が随分上がっていますね。ですから、生産費が中心だとすれば、その第二次生産費価格算定の基礎となるべきものだと思っていたわけです。ところが、ことしの第二次生産費、去年の実績ですね、これは六十キロ当たり全国は二万三千六百八円、北海道は一万九千八百九十一円。ところが、これで出てきた数字は、全く似ても似つかぬ一万五千円台の数字でしかありません。何で生産費方式、生産費を中心とする価格算定方式に変わったのですか。全く意味がわからないというのがこの大豆の問題ではないかと思うのですが、どうですか。
  43. 吉國隆

    吉國政府委員 大豆の価格算定についての法律上の規定が変わったことは、ただいま先生お話のあったとおりでございます。私ども、こういった法律改正趣旨からいたしまして、やはり今の大豆の生産の現況というものが、非常に地域間、経営間によりまして格差が大きゅうございます。今後、大豆は食生活の面でも、また農業生産の面でも、畑作、水田ともに非常に重要な位置づけを持った作物であるというふうに私ども考えているわけでございますが、この大豆生産の展望を切り開いていくという点からいたしますと、何としても生産合理化を急いで進めていくことがかぎであるというふうに思っている次第でございます。そういった状況、また大豆は不足払い制度のもとで財政負担が非常に大きくなってまいっております。内外価格差も依然として極めて大きいといったような状況がございますので、こういった財政負担に依存した大豆作という状態からできるだけ改善をしていくということが非常に重要な点であるというふうに考えている次第でございます。  そういったことから、私ども生産費基礎として算定をするわけでございますが、その価格決定に当たりましては、そういった大豆をめぐります諸事情、また、現実に生産性向上というものがある程度のテンポで進んでいるという状況も、昨年も勘案をして決定させていただいたわけでございます。本年も、そういった生産性向上のテンポということもにらみ合わせながら算定を行ったというふうに、御理解をいただきたいと思います。
  44. 安井吉典

    ○安井委員 今の御説明では、財政負担や内外格差の拡大、さらにまた生産性の向上だとかというようなものを見込んでというふうな言い方が、私の耳に残るわけであります。生産費というものが基礎になっているという考え方は一番初めにおっしゃったわけでありますけれども、現実に計算された生産費よりもぐんと下に決まっているわけですから、つまり生産費には及んでいない価格だということだけはお認めになりますね。
  45. 吉國隆

    吉國政府委員 生産費に基づく算定を行う際に、どういった算定要素のとり方なりあるいは対象農家のとり方をするかというところは、価格決定農産物の状況によりましていろいろと考えていかなければならない点があるというふうに一般的に考えているわけでございますが、昨年も一定規模以上の農家を対象として算定をする、かつまた先ほども申し上げましたが、生産性向上のテンポを総合勘案しながら算定をしたということになっているわけでございます。  ことしの算定におきましても、そういった実際の平均的な生産性のテンポもにらみ合わせて算定をする、また、主要な地域一定規模以上の農家の生産費がカバーされるというような水準もにらみ合わせて算定をするというようなことで、これは先ほど申しましたように、大豆の生産地域間で非常に変動が激しゅうございます。経営間でもございます。一体どういった水準のところを守るのかというところは、実は非常に幅の広い議論があったわけでございます。私どもは、現実の生産性向上のテンポということもにらみ合わせて、また畑作物価格相互の関係ということも考慮しながら決定をするということが、必要かつ適切であるという考え方で算定を行ったというふうに御理解を賜りたいと思います。
  46. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ。これは統計情報部、来ておられますか。大豆の生産費調査の点でありますけれども、ほかの作物なら前年の数字が出て、その比較がずっと出るわけですよ。大豆はこれがないのですね。つまり、きちっとした従来からの本格的な調査というのはないのでしょう。その辺どうなんですか、ことし初めてじゃないのですか。
  47. 海野研一

    ○海野説明員 お答え申し上げます。  生産費調査につきましては、もちろん調査を行う上で労力の配分でございますとか経費とかいうような問題がございますので、調査対象作物の利用目的等の実情を踏まえていろいろな形での実施をしているわけでございます。  それで大豆生産費につきましては、六十一年産までは、田作、畑作別のそれぞれの主産地を主対象とした調査をやってきたわけでございます。その後、大豆の生産費の使われ方が変わってくるということを踏まえまして、昭和六十二年産の調査から調査地域も拡大しまして、標本もふやしまして、全国の大豆生産の実態をより的確に反映できるようにというふうなことで、できるだけ正確ないわば全国生産費を出すように努めているということでございまして、それではそれに相当する昨年産の全国生産費があるかと言われますと、確かにそれはない、こういうことでございます。
  48. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、お聞きのように生産費調査はないのですよ。去年はやったわけですけれども、それ以前のものは本格的なものはないわけですよ。そういうようなことで去年やったのが出ていて、その生産費よりもかなり下回った今度の決定額であったということであります。生産費調査そのものの基礎データも、これはもう余り信頼性がないわけですよね。しかも、余り配慮がないという点に私は極めて疑問を感ずるのですが、もう決まってしまったそうですから、私が今指摘した点について今後の配慮をひとつお願いしておきます。  次に、てん菜でありますが、ことしの作柄は全体的に平年を少し下回るぐらいじゃないか。糖分含有量も去年、おととしは非常によかったわけでありますけれども、ことしは余りよくないのではないかというふうな見通しを私なりに持ってきたわけでありますが、農水省はどういうふうなとり方をしておりますか。
  49. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 てん菜につきましての収量予測の発表が、統計情報部におきまして九月一日現在のものについて発表がなされております。それによりますと、問題は単収でございますけれども、対前年で見ますと九八の水準になっておりますが、平年ベースで見ますと一〇〇でございます。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 糖分の見通しは終わりになってみなければわからぬと思いますけれども、どんなようなお見込みを持っておられるわけですか。
  51. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 今申し上げました統計の数値は、その後の天候の推移等は平年並みという予測のもとに、今のような推定が行われておるようであります。その後の天候状況でございますけれども、現実にも私たちいろいろな方々からお聞きするわけでございますけれども、ほぼ平年並みにいっているのではなかろうか。ただ、糖分の乗り方が少しおくれているのではないかというようなことを申される方もいらっしゃいます。そういう現状でございます。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 農業パリティの方も余り大きな伸びではありませんけれども、ちょっと上がっているような状況にあるし、作柄は若干落ちているし、糖分の乗り方も少しおくれている、しかし価格の方は四・二%下げるのだ、どうしてもこの論理が合わないのですよ。ですから、こういう数字のあり方に対して、基本的な疑問を私は呈せざるを得ないわけであります。  そこで、原料生産者が品質向上あるいはコスト引き下げのために大変な努力をしているわけでありますが、それが十分に評価できるような基準糖分帯の設定とか、そういうような配慮が必要ではないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  53. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生御承知のように、ビートにつきましては二年前から糖分取引というものに移行をいたしております。その結果でございますけれども、非常に高糖分の品質のいい品種に転換が進むとか、栽培管理が非常によく行われるようになったといったようなことがございまして、糖分が向上している傾向にございます。私たちはその実態に合わせまして、糖分の決定に当たりましては、そのような実態を反映して決めさせていただいておるわけでございますけれども、当然そのような面での生産性の向上につきましてはその一部が、当然のことでございますけれども、努力をなさっておられます農家の方々に帰属するという形で物事を決定させていただいている次第でございます。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 私が今質問したのは、基準糖分帯の設定を農家の手取りがふえるような方向で、とりわけ今もお話しのように、品種の選択等についても糖分がふえるような方向の努力を一生懸命にやってきたわけです。そのことで結局価格は下げられた。それではやはり納得しないと思うのですよね。その努力が多い人ほど報いられるような考え方をもっと具体的にあらわしたらどうですか。
  55. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 具体的には糖分格差の問題かと思います。糖分格差につきましては、今まで〇・一度当たり百三十円という格差がついた価格帯を設定しておるわけでございますが、ことしはそれを十円上げまして百四十円といたしたところでございまして、だからより糖分が高ければ今までより、百三十円より百四十円の手取りになるということで、努力が報いられるような結果をもたらすような措置をとったつもりでございます。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 それぐらいでは極めて不十分ではないかと思います。  そこで、糖分対策費は今まで六百円であったのが、今度は四百六十円に引き下げられたわけですね。なぜ下げたのですか。
  57. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 御指摘のように、糖分取引対策費は前年トン当たり六百円でございました。ことしといいますか、六十三年産につきましては四百六十円となったわけでございます。この糖分取引対策費は、六十三年産で三年目を迎えるわけでございます。糖分取引がある程度定着してきているのではないか、もう大丈夫なのではないかということで、これはもう六十三年産については要らないという主張を強く大蔵省はやってまいりました。それに対しまして私たちといたしましては、確かに向上は見られますものの、糖分取引が始まってまだ二年にしかなりません。より定着を図るためには、どうしてもまずこの糖分取引対策費は残す必要があるということで議論を重ねたわけでございまして、結果的には残すことに成功いたしました。ただ、その過程におきまして、今申し上げましたような、ある程度軌道に乗りかけておるというような事情を反映いたしまして、この単価といいますか金額といいますかにつきましては、若干の下げをせざるを得なかった。また、してもそのような糖分取引の今後の定着に支障はないという範囲内ぎりぎりのところで、そのような判断をしたわけでございます。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 この糖分対策費というのは、こういう名前で農家の手取りをふやすという考え方が当初からあって、それが糖分対策費という名前に変わって今日まで来ているわけですね。ですから、農家の方からすれば、これはビートの価格そのものなんですよ。ですから、今計算してみましても、前年よりも最低生産者価格は一万九千六十円から一万八千二百六十円へ八百円下がったわけでありますけれども、その上にこちらの方で百四十円ですか、それを加えた九百四十円がダウン、そういうふうに農民の手取りの段階では言わざるを得ないわけであります。いろいろ努力をされたというお話でありますけれども、そういう点の不満は必ず残るというふうに申し上げておきたいと思います。  経費等の問題がありますが、これはちょっと時間がありませんので、バレイショの方に移ります。  バレイショは、北海道の輪作体系になくてはならない作物で、有効な土地利用型作物として長期的な安定的な拡大を図ることが必要だというふうな見方を私どもはしているわけで、現在でも七万二千ヘクタール。しかし、今日の状況ではもっと減らせというふうな方向に進んでいるために、畑作農民の心配が非常に高まっているというふうな状況です。  そういうような中での今度の原料基準価格決定でありますが、これは特に五・五%というような大幅な引き下げとなっている点であります。この点について、バレイショの需要が余り伸びないとか、そんなような一般的な人為的な状況がこの引き下げ幅になったのではないか。つまり、本来の法律で書いてある、農安法で書いてあるその仕組みを超えた何か大きな勘案が行われ過ぎて、こういう引き下げ価格になったのではないかという印象を受けるのですが、どうですか。
  59. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 バレイショをめぐります状況と申しますか、北海道でつくられますバレイショの六割は、要するにでん粉になっておるわけでございますが、そのでん粉をめぐります状況と申しますか、要するに過剰傾向でございます。御承知のように、でん粉につきましては関税割り当て制度という制度によりまして、抱き合わせによりまして販路を確保してまいっておりますけれども、最近バレイショそのものにつきまして、面積につきまして計画生産をしていただいておるわけでございますけれども、増産傾向にありまして、それがでん粉の過剰をもたらしておるという現況にありますことは否めない事実でございます。  私たち、いろいろな視点を考慮に入れさせていただきまして、御指摘がありましたような価格決定になったわけでございますけれども、その過程におきまして、今申し上げましたような需給事情というものも考慮させていただいたことは事実でございます。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 需給事情が非常に厳しい状況の中にあるということは間違いないわけでありますけれども、基本的な価格計算の方式があるわけですね。パリティも若干上がっているようなそういう状況の中にあるわけですから、そういうようなのは全く無視されて、まるで自由販売のときみたいに市場の状況だけで左右されていく、そういう価格決定というのは非常に問題がある、私はそう思います。  そこで、今もお話がありましたように、でん粉工場も買い入れ制限をしておりますし、コーンスターチとの抱き合わせの方も、その抱き合わせの比率の変更によってどうしても余るような方向にいく、こういう傾向があるだけに、バレイショの用途を、新しい用途の開拓といいますか、それをもっともっと努力をすべきだと思います。そのための対応も農水省は考えておられるということもお聞きするわけでありますけれども、もっともっと思い切った対策というのが私はあってもいいような気がするのですが、どうですか。
  61. 吉國隆

    吉國政府委員 バレイショの用途拡大ということで特に重要な点として考えておりますのは、近年需要も伸びてまいっておりながら輸入に対する依存が強いたぐいの加工食品、ポテトチップ等を初めとしまして、そういった加工食品分野への用途の拡大を進めていくことが重要であろうというふうに考えているわけでございます。そういったものを進めていく上におきまして、輸入品との競合関係ということからいたしますと、原料芋の生産性の向上、コストダウン、また品質的にも、加工適性が高くて商品歩どまりも高いという良品質のものの供給を図っていくことが必要であろう、また、いろいろな新製品の開発ということも含めまして、需要拡大が必要であろうというふうに考えているところでございます。  私ども、それに向かって従来からも加工産地の育成を図るという見地から、生産の組織化等もやりながら排水等の基盤整備、あるいは加工用の芋を収穫するための特別の収穫機、御存じのピックアップハーベスター等でございますが、そういったものの導入、あるいはバレイショの貯蔵面におきましても、還元糖等によりまして加工した際の品質低下が起こるということを防ぎます温度調節の可能な貯蔵庫の設置、こういったことが必要になってまいるというようなことで、事業をスタートさせておったところでございます。  先般、十二品目のでん粉関連の国内対策について取りまとめさせていただきました際にも、そういった一般的な生産性向上あるいは優良種苗の増殖等の事業の推進のほかに、特別にでん粉原料用芋類の用途転換をできるだけ地域の自主性によりまして、地域の実情に応じたいろいろな事業が推進できるような弾力的な予算措置を講じていくということにつきまして決定を見ているところでございますので、私どもこういったものの活用も図りながら、御指摘のような用途の拡大に向かいまして努力を進めてまいりたいというふうに思っております。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 今お話のあったいろいろな対策は、これはぜひやるべきだと思います。その点は私も全く同感なんですが、どうも発想の限界が何かあるような気がしてならないのですね。つまり、農水省がお考えになるのだからそうなのかもしれませんけれども、もっとエネルギー対策へバレイショを向けられないのか。つまり、アルコールだとかそういうふうなもっと大きな観点から用途拡大への道がないのか。そういう努力を、これは農水省だけじゃないのかもしれません、科学技術庁や通産省や政府全体の問題じゃないかと思うのです。  といいますのは、これからの日本の農産物、過剰のものとそれから足りないものとが出てくるわけでありますけれども、そういう中で反当たりのカロリーの高いのは、一番高いのはたしかカンショでん粉、カンショじゃないですか。それからバレイショ、それからお米というふうな順序じゃなかったかと思います。これは私もちょっと手元に数字がありませんけれども、そんなような思いをしております。ですから地元手持ちの、自前のエネルギー源がない日本としてバイオに、つまり植物にエネルギーの一つの源を見出していくという努力が、私はもっともっと強くあってもいいのじゃないかと思うんですよね。そういう点について、これはもう政府部内でもっと検討してください。大臣どうですか。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
  63. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 バレイショに関連をいたしましてエネルギー対策、エネルギー源というものについて政府全体として考えてはどうか、こういうお話でございます。  おっしゃいますように、バレイショに限らずいろいろな品目について、エネルギー源にしたらどうかといういろいろな声があることは事実でございます。しかし、一部研究もされているようではございますけれども、私もそう勉強しているわけじゃございませんが、コストの問題でどうだというようなことも考えながら、またエネルギー源と相なった場合の実需者というものが那辺にあるか。実需のないところに生産があってもまたいかがかと思いますし、そういう点について壁にぶち当たっておる例も一、二、私も聞き及んでおります。  しかし、エネルギー対策ということになりますと、事重要でございます。農産物対策という点からの私の所感も加えて政府全体としてどうするか、それにはやはりおのずから科学技術の観点からどうだというようなこともございますし、政府全体として取り組む、考えるというところまでなかなかいっておらないという現状にあるように思います。しかし、私は関心を持っておるということだけは申し上げておきたいと思います。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 農林水産省がエネルギーの問題までイニシアを持つというところまでいけば、これはもうすばらしいことじゃないですか。ひとつ、頑張ってもらわなければいかぬですよ。  そこで、時間がずっと不足してしまいましたので、バレイショの問題、まだたくさんあるのであります。特に、でん粉工場の合理化等の問題があって、通産省からもおいでを願っているわけでありますけれども、あといろいろな問題もありますので、それは時間の都合を見てお尋ねをすることにして、総体的な畑作問題についての大臣のお考えを今伺っておきたいと思います。  九州は新盛さん、沖縄は上原さんと任務分担をしておりますので、私は北海道の畑作の立場から申し上げたいわけでありますが、麦類とか豆類、てん菜、バレイショ、こういったようなものは畑作輪作の基幹作物であります。ところが最近は需要が変化をし、水田の転作が畑作の方向に進んでいくというふうなこと、その上ガットの自由化問題があります。そこで作付制限なども起きてきて、この作物はこれ以上つくってはいかぬというようなことで、そのことが輪作体系を揺るがし、畑作農民の方は、一体何をつくればいいのか、農民につくる権利を与えよ、そういうような切実な訴えをしている現状がございます。  ですから、農水省は今度農産物の需要と生産の長期見通しを新たに策定する、そういうお考えでありますけれども、その中にぜひ畑作全体を明確に位置づけ、今これだけ苦しくても後はこうなってちゃんといけるんだぞという展望を示すべきだと思うのです。これは、大臣も全く異論のないところではないかと思うのでありますが、そういうようなことで農民の不安を取り除くための努力をぜひしてほしい。どうですか。
  65. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 この場であったかどうか定かではございませんが、今の御質問に私が答えた経緯があるように今思い出しておるところでございます。  畑作全体を考えますと、あるいは農産物全体と言った方がいいかもしれません、その長期の展望を開く前には、やはりその需給見通しが必要だ、それには専門的な立場の方々からのいろいろな御意見もいただく必要がある、こういうことで農政審の小委員会で御検討をいただいております。これは年内にというよりも年をまたがるかと思う、こういう表現で過去にお答えをした経緯があるように思っております。来年にまたがりますけれども、いろんな今日までの事態の変遷を頭に置きながら、そして国内の農業、農村の活性化、こういうことも考えながら、私がさき取りまとめさせました国際化に対応する農業、農村の活性化に関する基本方向、これを九月に示したところでございまして、これについての御批判もまたいただきながら、そして農政審小委員会における結論を待ちながら適切な判断を下してまいりたい。  いずれにしても、先ほども厳しいお言葉がございましたけれども、こんなものはなくなってもいいんだというようなことは毛頭考えておりませんし、何とかひとつ畑作についても生産を確保していいと言うに足る工夫を凝らしていかなければならない、その中には技術、バイオテクノロジーの問題もある、こういうことを申し上げておきたいと思います。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 安井吉典

    ○安井委員 きょうはあと少し、自由化に伴う農産物のコストダウンを促進しなければならないという立場から、通産省や運輸省やあちこちからお呼びをしているわけでありますけれども、一番初めに少し大きな声を出し過ぎたもので時間が足りなくなってしまいましたが、一つ農業基盤整備に関する問題、これだけは会計検査院からもおいでいただいておりますので伺っておきたいと思います。私の質問での通産、運輸の方は、もう結構です。  私は、農業基盤整備の問題については従来からもう何度も取り上げておりますし、これからは自由化対策の本格化の中で何度も取り上げていかなければならぬ問題だと思うのでありますけれども、設計基準の見直しをもっと進めて、いい工事が必要であることは間違いありませんけれども、こちらの方ももっとコストダウン、安上がりの質のいい基盤整備をやるという観点が必要なのではないかと思います。そういうことで農林省の方もやってもらいたいし、会計検査院の方も——私もかつて決算委員長で、しっかりやりなさいという会計検査の激励をいろいろしておった立場であったこともございますけれども、工事の出来形を見て、あるいはまた経理の不正を摘発するとか、そういうのは相変わらず重要な問題であることは間違いありません。  しかし、もう一つ、今日日本農業の生き残りをかけた重大な段階に来ているという段階において、農産物のコスト引き下げというのが非常に重要なことだと思います。ですから、会計検査院の重点監査の調査項目を見ますと、ことしの場合は事業費単価の抑制等に配慮した事業の実施についてという項目がございました。それに私注目をしているわけであります。したがって、事業の単価というのは、それによって仕事の質的な向上が図られるのは当然でありますけれども、受益者にとってプラスかマイナスかという点からの見方というのは、非常に必要なのではないかと思います。その点について、これは農水省側のお考えも聞きたいし、会計検査院のお考えもこの機会にお聞きをしておきたいと思います。
  67. 松山光治

    ○松山政府委員 御指摘のように、現下の厳しい農業状況の中で足腰の強い農業をつくっていくためには、基盤整備を的確に推進していくことが必要でございますし、また、その円滑な推進のために、どのように事業費の節減を図りながら農家負担の軽減を図り、これを円滑にやるか、非常に重要な課題であるというふうに受けとめておるわけでございます。  従来から、事業費の節減の問題につきましてはいろいろな工夫は凝らしてきておるわけでありますが、御案内のように昨年局長通達を特に発しまして、今お話のございました計画基準の弾力的な適用の問題でございますとか、あるいは地域の実情に応じた経済的な工法の工夫の問題、さらにはまた整備の程度によって事業費が大分違ってまいりますので、言ってみれば整備の程度と負担の程度を複数で示して地元に選択してもらう方式を徹底していくとか、また事業費の増高にここのところ非常に寄与しておる要因の一つに工期の問題がございますので、予算の重点配分を行ってできるだけ工期の短縮を図っていく、そういった方針を明らかにして、できるだけ経費をかけないで、しかし的確な事業をやるような工夫をやろうということで、組織を挙げて今取り組んでおるところでございます。引き続きその努力を続けたい、このように考えております。
  68. 山崎宏武

    ○山崎会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院といたしましては、従来から農業基盤整備事業につきまして、特に検査上の重要項目として真剣に取り組んできたところでございます。その結果、例えばここ数年におきまして会計検査院法第三十六条の規定によりまする、国営かんがい排水事業及びこれに附帯する同県営団体事業の施行につきまして、重点的な予算配分をするなどして速やかな事業の実施を図る要があるとしたもの、あるいは農用地開発事業によって造成された農地の利用につきまして、効率的な施行を図る要があると意見表示をいたした例もございます。その他、工事費の節減化を要請した不当事項等の事例等もございます。  いずれにいたしましても、事業の経済性、効率性といった観点から指摘いたしたものでございますが、これらの指摘は事業費の節減、ひいては今先生おっしゃる受益者の負担軽減化等に結びつくものと考えております。その意味で今後とも、毎年度多額の国費を投入して実施しております農業基盤整備事業につきましては、先生の御指摘の趣旨を踏まえながら検査を実施してまいる所存でございます。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 もう時間ですから、あとこれの負債整理といいますか、土地改良事業の負担金の償還についての条件の緩和とかいったような問題もあるわけでありますけれども、これはまた別な機会に譲ります。  では、これで終わります。ありがとうございました。
  70. 菊池福治郎

  71. 上原康助

    上原委員 まず、先ほど来与党委員の先生方、あるいは今また我が党の安井先生からも御指摘がいろいろあったわけですが、やはり我が党でも一番紳士の安井先生がきょう冒頭、これまた紳士の農林水産大臣に苦言を呈した点はしかと御理解をいただきたいということを、私も強く不満の意を表明しておきたいと思うのです。といいますのは、畑作三品の価格決定はもちろん農林大臣あるいは与党の権限でできることではあるでしょうが、せっかくきょうこういう委員会が開かれるというやさきに、何か私たちの質問の出ばなをくじくというお気持ちはなかったと釈明があったのですが、余り民主的な方法ではないという点だけは申し上げておきたいと思うのです。  そこで、限られた時間ですので早速本論に入りますが、まず甘味政策全般にかかわることになりますので、国内産糖あるいは輸入糖、その他異性化糖、甘味全般にかかわることに関連するわけですが、最近糖安法の改正問題というのが、一部のと言うと語弊があるかもしれませんが、かなり強く主張されている向きがあるようでございます。これに対して農水省は、国内産糖の立場というものに理解を示されて、合理化であるとか生産性の向上であるとかそういうものをもっと促進しながら、糖安法改正についてはお考えになっていないということを聞かされているわけですが、この糖安法の改正問題について現段階でどのような御認識をお持ちになって、どういうふうに農水省としての考えを持っておられるか、明らかにしていただきたいと存じます。
  72. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほどの安井委員の御質問に関連をして重ねて民主的にやれ、こういうお言葉でございます。事のいかんを問わず、民主的にやることは心がけるべきことと心得ております。  また、糖価安定制度、一口に言いますとこれからも維持するのかという意味を込めてのお話でございますが、これからも維持してまいらなければならぬものと考えております。  残余は局長から答弁させます。
  73. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生御指摘がございますように、糖安制度につきまして精糖業界を中心といたしまして、要するに今の糖安制度は、コストに見合う高価格を支持するためにゆがんでしまっておって、調整機能を持っていないというようなことから、改正をしてはどうかというような御意見があることは事実でございますが、私たちが考えておりますことは、先生御高承のとおりでございますけれども、この糖安制度は、国内産糖の原料作物でございますてん菜あるいはサトウキビ、要するに北海道、鹿児島県及び沖縄県の農業におきまして非常に重要な地位を占める作物でございまして、地域特産品であろうかと思いますけれども、やはりこの安定的な生産を今後とも確保していく必要があると考えておるのが第一点でございます。  ところが、先ほども申し上げましたように、これらの作物からつくられます国内産糖につきまして、コストが高いために現状では輸入糖との価格差につきまして、一方では国庫からの交付金を出しております。また他方、輸入糖から調整金を徴収いたしましてそれに充てておりまして、要するに価格支持をやっておるわけでございます。このような、原料作物の安定生産を確保するということとその価格を支持するということが糖安制度の基本でもあるわけでございまして、そのような観点から私たちといたしましては、今後ともこの制度は維持してまいらなければならないものというように考えておる次第でございます。  しかし、内外価格差といったようなものも大分大きいわけでございまして、この解消に努める必要もあるわけでございます。そのような観点からいたしますれば、要するに砂糖の消費者あるいはユーザーの納得の得られるような価格で国内産糖を供給していくということも、これまた非常に重要な事柄であろうかと考えておりまして、引き続き国内産糖のコストの低減を図ること等によりまして、この制度を運用してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  74. 上原康助

    上原委員 基本的なお考えにつきまして大臣並びに局長の方から御答弁ありましたし、また今、後段お述べになったことについても、今の制度が大変複雑な面がありますので理解しないわけでもございません。ただ、ユーザーの立場とか価格支持、コスト高等々を改善をしていくには、指摘されて久しくなります砂糖消費税の問題であるとか、あるいは関税の引き下げ等々によっても、この改正要求を出されている団体の意向というものに相当沿える面、また今局長がお述べになったこと等については改善の余地が私は大いにあると思うので、そういう点を含めて、ひとつ国内産糖の厳しい状況についても対処を引き続きやっていかれることを強く要望を申し上げておきたいと存じます。  そこで、私は、主に奄美諸島、南西諸島を含めて、サトウキビの問題についてお尋ねをさせていただきたいわけですが、きょう、てん菜の価格が、ビートの価格決定を見た。前年比で四・二%の減、これは率直に申し上げて大変なショックですね、私たちにとっても。月末に決められるであろう南西諸島、沖縄のサトウキビ価格に連動していくことは間違いない。  そこで、具体的なお尋ねに入る前に、ここ二、三年の農産物をめぐる国内、国際情勢ということを理解しないわけでもないわけですが、一体どこまで引き下げられていくのかという、これは農民、関係者の不安、生産者の不安というのは私は大きいと思うのですね。物価は、安定はしているといっても年々上がる。いろいろな面で労働コストにしても上がる。賃金だって、上げ幅は少ないにしても年々改善されていることは間違いないわけですね。しかし、農民の農産物価格だけは年々引き下げられていくとなると農家が苦しくなることは間違いないので、どこまで引き下げていくのかという、どういう目標を持っておられるのですか。ここはある程度明らかにしてもらわないと、どんなに大臣の方が真情込めて理解を示すとおっしゃってみたって、これは生き物ですからね、価格にしても、生産にしても、生活というのは。その点は、もう少ししっかりしたお考えを明らかにできないものでしょうかね。
  75. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 非常に難しい御質問でございまして、お答えになるかどうか自信がないわけでございますけれども、先ほども御説明申し上げましたように、常識的に見てもコストがかかり過ぎているというようなところは否めないわけでございまして、その引き下げに努力いただきまして、できるだけ消費者なり実需者に納得のいただけるような価格で供給できるようなということを最終目標に考えたいということではございます。ところが、余りにも価格差があるものでございますから、これは目標ということにとどまるかとも思います。  現実の話といたしましては、要するにサトウキビだけの問題じゃございませんで、農産物価格全体の価格政策の持っていき方ということにも絡むと思います。そのような大きなことを申し上げませんで、特に甘味資源に、あるいは畑作物ということに限って申し上げましても、そのようないろいろな、砂糖について言いましても、一つはサトウキビそしてビートまたサツマイモ、バレイショもその六割は、全体ではございませんけれども、北海道、鹿児島生産のサツマイモだとかサトウキビにつきましては、六割がでん粉という形を通じまして甘味になっておるというようなことで、四つ作目があるわけでございます。それからまた畑作ということで考えますと、北海道におきましてはビートとバレイショと小麦とそれから豆が輪作体系を組んで生産をされておるわけでございまして、そのような関連もあるわけでございます。したがいまして、そのようないろいろな作目間のバランスをとって、その輪作体系が崩れないような形で生産の安定化を図っていく、そのためにはどのような価格体系をしくか——体系をしくかというのはちょっと大げさでございますが、価格決定に当たっていくかということを真剣に考えなければならないわけでございます。  非常に難しい話ばかり申し上げましたけれども、要するにいろいろ複雑な要因が込み入っておるわけでございまして、一概にサトウキビについて将来どの程度まで下げるのかとかいうことにつきましては、この段階で明確にお答え申し上げられない次第でございますことを御了承いただければと思います。
  76. 上原康助

    上原委員 畑作物全体について言えることですが、しかし作目間のバランスをとるとか、価格体系を国際価格というか国際相場というか、そういう面との格差を是正しつつバランスをとっていかなければいかぬ、一方また消費者の立場もということで、それは確かに難しい。だが、サトウキビにしても大豆にしても、あるいはてん菜にしても芋にしても、みんなそれぞれの歴史があり、それぞれの条件が違うわけですよ。それを一つの箱の中で動かそうとするから、いろいろな弊害が出てくると私は思う。  ですから、確かに国際価格とかいろいろなことを考えなければいけないことは、目下の社会状況下でだれしも否定はしないとは思うのですが、余りにもそういった国際化への対応ということに目が向き過ぎて、日本農業、日本の農産物の価格体系というか、価格はどうあらねばいけないかという基本に——少し農林省も政府全体の中で、まあ一生懸命やってはおられると思うのだが、押されぎみじゃないのか。そこの基本をもっと踏まえて、少なくとも日本の農業の転換、大臣がおっしゃる足腰を強くする、価格政策から構造政策へ、これは言葉の聞こえはいいわけですが、どうも中身が伴っていないわけです。将来どこまで自助努力をし、生産性を上げれば価格が再び引き上げられていくのか、どこまで引き下げられていくのかという目標というか見境がつかないと、農民の不安はなくならないのじゃないですか。この点は少し政治の話も関連するので、大臣のお見通しを聞いておきたいと思うのですが、いかがですか。
  77. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今朝来議論をしておりますように、価格政策だけで済むものではない、こういうことはもうお互いの共通した認識だと思います。そういう意味で価格だけどんどん下げて、そして価格だけここまで下げたから、それじゃこういうことで存立をするんだというような答えはなかなか出しにくい。これはもう出してはいかぬと私は思っております。  そこにまた国際化の問題があり、また国内全体のバランスということも当然考えます。そういう感覚で、国際感覚というものも今現在私どもが心得てしかるべきものだと思いながらも、国内の政策はどうするのかということになりますと、国内全体の一括的、一律的な物の考え方にちょっと今までウエートを置き過ぎたのではないか。とはいいながら、地域農政という言葉が出てきてから若干の時間がもうたっておる。これを全部あわせて考えてみますと、地域農政元年とか地域農政維新とかいろいろな言葉があるようでございますけれども、改めて地域農政で考えていくということで私どもは全力を挙げなければならない。  そういうことを余りまた言い過ぎますと、じゃおまえ、一体本省の責任を回避して地域に全部しょわせてしまうのか、そうではございません。日本の農政、日本の食糧政策をやはり主体に考えながらも、地域農政をどう生かしていくか、厳しい中にあってどう努力していくかということに詰まっていくと思います。決して、国際化だけに偏り過ぎていると申し上げるわけにはまいりません。そんな考えは持っておりません。  しかし、現実、国際化の波は、一波ずつ乗り越えてきました。それにはお互いの不満もあるでしょう、私にも不満があります。しかし、その私が就任以来でももう十一カ月、いろいろな困難な問題をおかげさまで一応乗り切ってはきたけれども、それは全部アメリカの言いなりになってきたではないかという批判もあることは重々承知をしております。しかし私は、そうではない、やはり我が国の食糧政策を基本にしながら努力していくんだ、そして守るべきものを守ったんだ。  特に、沖縄出身の委員に大変恐縮でございますが、重ねて申し上げるようでございますけれども、沖縄の地域農政を考えれば、地域農政というものに重点を置きたいという念願に加えて沖縄の今日まで来た歴史的経緯、これは絶対に忘れてはならぬということも重ねて申し上げてきたところでございますので、そういう意味で、ただせつないのだから頼む、よろしく御理解頼むと言っておるだけではございません。私は、具体的な中身を何としても位置づけていかなければならぬ努力を積み重ねておる、こういうことでございますので、御理解を賜りたい。
  78. 上原康助

    上原委員 お気持ちはよくわかるのです。しかし、どうも年々大幅に引き下げられていくと、生産者の立場、国内の農産物の自給向上という一つの政策目標がどうなるのか。やはり何とか地域農政あるいは自給率を維持していく、拡大をある面ではやると言いながらも、中核というか中級農家以下はもうみんな切り捨てていくという、その考えもなきにしもあらずじゃないかという懸念を持ちますので、それは即価格の問題、農産物の価格に影響してきますから、改めて価格の切り捨て、抑え込みはもうそろそろやめていただきたいということを強く申し上げておきます。  そこで、先ほども安井先生からも御指摘があったのですが、ビートにしてもそうなんですが、例えばサトウキビの場合、生産費と最低生産者価格の比較ですが、しばしばこの点、私は本委員会でも機会があればやりましたし、沖特その他でもやってきたわけですが、六十二年産が沖縄県の場合、生産費が二万六千二百二十九円、告示価格は二万四百六十円ですね。これに生産奨励金を含めて昨年は二万九百十円。何と農家手取りにおいて、農林省が科学的というか、いろいろ調査をして出されるトン当たりの生産費と実際に告示をする価格との差が余りにも開き過ぎる。この矛盾に対しては、農民の皆さんは率直にこれを見るわけですよ。何と五千三百十九円の差があるわけです。農林省自体がサトウキビを一トンつくるのにこれだけの生産費がかかると言いながら、決める価格は五千三百十九円も二十円も差があると、農民は社会的にも納得しませんよ。ここはどう見ておられるのですか。先ほどもいろいろ説明しておったのだが、もう少し単純明快にわかるようにやってくださいよ。なぜ、一トンつくるのにこれだけかかるとあなた方が公表しておるのに、決める農産物の価格はこんなに差があるのかというのが農民の偽らざる声なんですよ。どうお考えですか。
  79. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生御指摘のように、近年のサトウキビ価格の農家手取り価格生産費との関係を見てみますと、ずっと生産費価格を上回るという関係にございます。  言いわけをするわけではございませんけれども、よく子細に生産費調査の中身をビートとかほかの作物と比べてみますと、沖縄の場合に非常に特色がございますことは、生産費調査の中の賃金部分でございまして、収穫労働に非常に多くの時間をかけておられるということでございまして、要するに労働時間の削減が進んでいないということでございます。同じサトウキビの中でも、鹿児島のサトウキビと沖縄と比べてみた場合にもそのようなことが言えるわけでございまして、剥葉作業に多くの時間がかかっておるということは聞き及んでおるのでございますけれども、そのような実態があるということが非常に大きな特色になっております。  それからもう一つ、単収につきましても、鹿児島よりはもちろんいいわけでございますけれども、依然として思うように向上していないという実情にあるというようなことでございまして、先ほど申しましたように、手取り価格に比べまして生産費の方がずっと上回った格好になっておるということでございます。  私たちといたしましては、このような状況等も勘案いたしまして、御高承のとおりでございますけれども、四十九年以降この奨励金を別途交付することによりまして、農家手取りの確保に努めておるわけでございます。また、そのようなこともございまして、目を変えて、この沖縄県あるいは鹿児島県の南西諸島でのいろいろな作目の中で、サトウキビは、単位面積当たりの粗収益あるいは所得で見ると、やはり一番収益性の高い作物になっておるわけでございまして、地域におきましてはやはり高収益を上げられる作物になっておるということもあるわけでございまして、そのような実態につきましても先刻御承知だと思いますけれども、申し上げさせていただいた次第でございます。
  80. 上原康助

    上原委員 もう、そういう御説明はよく聞かされているのですよ。いつ聞いてもそう言う。しかし、私が単純明快にお答えくださいと言うのは、あなた方がはじき出す数字がこれだけ差があるよということです。確かに、労働時間に七七%くらいですか、八割近くかかる。しかし、これも改善をすべきであるということはしばしば言ってきておるわけですが、なかなか実を上げていません。それではその原因は何かということもいろいろ議論されてきたのですが、なかなか改善されぬ。この点は、今の私のお尋ねについては納得できる御答弁がなかったわけです。  そこで、六十三年産の奄美、沖縄のサトウキビの価格決定に当たっては、農林大臣、どういうお立場でやるおつもりですか、この月末にお決めになるわけでしょう。
  81. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 もう、委員御承知のことを答えることになると思いますけれども、せっかくのお尋ねでございますので申し上げさせていただきます。  サトウキビの生産者価格については、農業パリティ指数に基づいて算出される価格基準として、物価その他の経済事情を参酌して決定することとしておるわけでございます。御承知のとおりでございます。六十三年産については、生産性向上の動向、畑作物間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる内外の厳しい情勢、需給事情のもとで、制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定をしたいと考えておるわけでございます。  この程度の答弁では納得いかぬと言われても、そうお答えをさせていただきたいと思います。
  82. 上原康助

    上原委員 昨年はたしか二・六%でしたか、今度ビートが四・二%のカット、それ以上でもない、それ以下でもない、どっちなんですか。
  83. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 政府部内でのいろいろのすり合わせもまた必要でございますし、最終的には私が責任を持って決めなければならぬことも事実でございます。それ以上とかそれ以下ということも言いにくい今日であるということでございます。
  84. 上原康助

    上原委員 つくれば赤字の状態になるという結果だけはぜひ出さないように、農民の期待を大きく裏切らない、失望感を与えない価格決定を強く求めておきたいと思います。  そこで、先ほどの局長の御答弁ですが、奨励金制度が四十九年以降確かにありましたね。しかし、この奨励金は、当初は三千八百円もついておったのですよ。もうどんどん切り込まれて、これは奨励金といっても、農家の、農民の、生産者の皆さんは実質価格と見ているわけでして、こういうことが農民の生産意欲を本当に高めていく奨励金制度としての機能を果たしていないという点を強く指摘しておきたいと思うのです。  さらに、いろいろ生産性の向上あるいは収穫期の労務費の低減というようなことをしばしばおっしゃるわけですが、それも必要でしょう。また、現に農家の皆さん、農業団体も努力をしてきておられることも実績が示しているところなんです。だが、昨年、品質取引条件整備費がサトウキビ関係にも導入されたわけですが、いわゆるブリックススライド制の導入は今後どのようにお考えになっているかというのが一つ。  もう一点は、農業生産体質強化総合推進対策における甘味資源作物の生産総合振興事業というものが、この六十三年度予算から事業費として計上されているわけですが、六十四年度要求額はどうなっているのですか、たしか少なくなっていますね。生産奨励金はカットをしていく、一方において品質取引は導入していく、皆さんが体質改善という面で総合推進対策事業をやろうとするのに、その振興事業費は削られていくということになると、政策面においてもなかなか理論的に合わないのじゃないですか。甘味資源作物生産総合振興事業と言うからには、予算面においても、機械化の面を含めて、その地域の特性を生かしたように抜本的に再検討する必要があると私は思うのですね。ここいらが本当に言葉を並べただけの政策というか方針になってきた嫌いがないのかどうか、ぜひお考えを聞かせてください。
  85. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 第一の点につきましてお答え申し上げます。  品質取引条件整備費というものを六十二年産、去年から導入いたしたわけでございまして、これは御高承のように、甘蔗糖につきましても生産コストを引き下げていくことが強く求められている中にありまして、そのためには製造経費合理化とあわせまして、サトウキビの品質の向上に努めていかなければならないということでございます。そのためには、今第二点として御下問ございました生産振興対策をもちろん十分にやっていかなければならぬわけでございますけれども、それとあわせまして、生産者が品質向上に取り組むためのインセンティブとなり得るようなサトウキビにつきましての品質取引の実施ということが、必要不可欠ではないのかと考えておるわけでございます。  私たちといたしましては、生産者あるいは糖業者等関係者から十分実情をお聞きしながら、今申し上げました点を踏まえまして、できればできるだけ早い時期においてこの品質取引を実施することが望ましいものと考えておる次第でございます。
  86. 吉國隆

    吉國政府委員 サトウキビ生産対策の予算についてお答え申し上げます。  先生御指摘のように、サトウキビの生産総合振興事業につきましては、苦しい予算の枠の中で若干圧縮された要求になっておるところでございますが、全体の予算の圧縮の程度に比べればはるかに小さい圧縮ということでございます。  また、今先生言及されましたこの事業だけについて言えばそういうことでございますが、実は先生も先刻御案内のところでございますが、高糖分系の品種の開発ということも進んでまいっております。六十年に農林登録されました沖縄県のNIF4とか鹿児島県のNIF5、こういったものの開発が進んで普及段階に入っております。こういった優良な種苗を普及させていくという見地から、御承知の原原種農場におきます生産とかあるいは原苗圃の設置、こういったものの予算につきましては相対として拡充されてまいっておりますし、また、試験研究の予算というのを私ちょっと手元に資料を持っておりませんけれども、相対で御判断をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  87. 上原康助

    上原委員 もう時間がありませんからまた別の機会にいたしますが、どうも甘味資源作物生産総合振興事業と大きく銘打った割には、予算措置の面、事業進捗という面で余り見るべき成果はおさめ得ないのじゃないかという懸念を持ちますので、その点御検討をお願いしたい。  それと、今お述べになりましたが、この中央団体から出ている要請書についても、サトウキビの試験研究の充実強化という点あるいはサトウキビ生産振興対策ということに機械化の問題も含めて、強く要望が出されております。この点も、引き続き強化をお願いをしたいと思います。  そしてあと一点は、含みつ糖対策については引き続き従前どおりの方針でおやりになっていかれると思うのですが、最後にお答えをいただきたいと存じます。
  88. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 分みつ糖ができないようなより条件の悪い離島におきまして生産されております含みつ糖でございます。いろいろ事情等もございまして、糖安制度の中にも入っておらないわけでございます。したがいまして、そのような分みつ糖に対しましては、従来に引き続きまして同様の対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  89. 上原康助

    上原委員 終わります。
  90. 菊池福治郎

  91. 新盛辰雄

    新盛委員 カンショ、カンショでん粉を中心に、三点に絞って御質問申し上げたいと思います。その一は、でん粉の自由化問題の考え方、それに昭和六十七年度以降における抱き合わせ制度の運用の方針、二つ目には、六十三年産芋でん粉価格決定について、三つ目に、カンショ及びカンショでん粉の需要拡大と新規用途の拡大についてであります。  まず、第一のでん粉の輸入自由化等に伴います諸問題でございますが、ガットで違反勧告を受けたことはもう御承知のとおりでありますが、その自由化の保留に佐藤農林大臣は懸命の御努力をしていただいた、これまでの十二品目を初めとする、特に牛肉・オレンジの問題を含めて大変御苦労されましたことについて、冒頭敬意を表します。  しかし、これからの問題でありますが、最低六十六年度まで、関税割り当て制度とコーンスターチとの抱き合わせ制度を継続することになったわけでありますけれども、サトウキビなどの問題、特にトウモロコシとの関係もございますが、例えばトウモロコシの無税枠が六十四年度の三百二十五万トンから毎年十万トンずつふえていくということと、また抱き合わせの比率が、現行の国産でん粉を一にしてコーンスターチ七・六が六十四年度は一対八になる、以後は六十六年度まで毎年〇・五ポイントずつ高まっていくという現状、いわゆるアクセス改善であります。そして、抱き合わせの比率がこうして拡大していきますし、二次税率の引き下げ、現在は十五円ですけれども、来年度からは十四円、十三円、十二円、このように緩和措置が講じられていく。こうなりますと、六十六年度も大変なことではございますが、六十七年度以降、これはまだ協議はされていないわけですから一体どういうことになるのだろうか。  それから、牛肉・かんきつを初めとして八品目の自由化受け入れの中で、でん粉の輸入自由化を阻止したことは極めて重要な意義がございますけれども、しかし、だからといってこのでん粉の輸入制限はガット上の違反であるという認識は、いまだに国際的には通用しているわけですね。日本の場合は、この分がまだ解決されておりませんから、農家の方々は先行き非常に不安を持っておられます。そこで、このでん粉の自由化問題がガットでどう位置づけられているのか、でん粉の自由化について我が国はこれからどのように対処していくのか、大臣の所見を伺いたい。
  92. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 委員御承知のように、本年七月に当面の決着を見たところでございます。この協議において、でん粉に関連するトウモロコシの関税割り当て制度については、抱き合わせ比率の拡大、二次税率の引き下げ等を行うこととしたものの、制度の維持、継続を確保するとともに、でん粉の輸入割り当て制度についてもその存続を確保したところでございます。  でん粉の輸入割り当て制度については、六十五年度において再協議されることとなっておりますが、その際に、我が国の芋でん粉生産の実情を踏まえつつ、芋でん粉の生産の根幹を守るという基本方針、これを守るという基本方針のもとに対処してまいりたいと思っております。  残余は、流通局長から補足をさせます。
  93. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 大臣からお答え申し上げましたことに余りつけ加えることはございませんが、要するに、自由化は阻止した、それから、関税割り当て制度を廃止しろというアメリカの強い要求があったわけでございますけれども、制度は守った、ただし、アクセスの改善は受け入れられるぎりぎりのところで受け入れた、このような状態になっておるわけでございまして、それにつきましても、五十七年度以降はまた……(新盛委員「六十七年度」と呼ぶ)失礼いたしました。六十七年度以降の扱いについては再協議、こういうようなことになっておるわけでございます。したがいまして、非常に難しい状態にあるわけでございますけれども、とにかくでん粉の原料であります芋の生産を確保するということで、今後ともその運用につきまして十分な配慮を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  94. 新盛辰雄

    新盛委員 それでいいのですか。現実、十二品目もそうでしたけれども、牛肉・オレンジが確実に自由化の方向を示しているし、これから先、米の問題もいろいろとちまたに議論されているわけです。だから、保証があるか、今まで食いとめ得たところをさらに確実に維持、継続することができるか、その決意を伺っているわけです。  しかし、将来のことですから、六十七年度以降の協議をするわけですから、そのときになってみなければわからないということではあるけれども、生産者農家の皆さんは、もう恐らくだめになっちゃうのじゃないかな、そういう認識を持つと、地域農政が云々と先ほどから議論がございますが、これは大変なことになる。はかり知れないじくじたる気持ちをみんな持っておられるのですから、不安を持たせないように、そこに大臣のお答えが欲しいのですよ。自信を持って、継続をいたします、そのための努力をします、これを政府の姿勢として明確にしてほしいのです。
  95. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、六十五年度に六十七年度以降のことについて再協議をすることになっているわけであります。その際は、芋でん粉生産の根幹を守るという基本方針は変わらない、そのとおりでいく、こう言っているわけでございまして、あなたの言うとおりに言っているのでございますよ。
  96. 新盛辰雄

    新盛委員 それなら、今度抱き合わせ制度が大幅に緩和されましたね。その結果、国産のでん粉は不要になってくるだろう。これは北海道を含めてですけれども、四千ヘクタールの減反ですよという話がもう先走りしてしまっている。何かの新聞で見ましたけれども、これは事実ですか。これは及ぼす影響が非常に大きい、生産面積とかカンショのでん粉の消費量の影響、こういうようなものがいろいろと出てきますから、これは生産者農家の方にも周知徹底をさせなければならないのでありますが、こうしたいわゆる減反の方向というのは明確に数字が出ているのですか、担当局は。
  97. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 新聞をもとにしてのお話でございますけれども、そのことに関連をいたしまして、私から最初に一言お答えをいたしておきます。、  今、委員おっしゃるように、新聞の先走りかもしれないがという控え目な御発言ではございましたけれども、私自身、この場におきましても、一部新聞の先走りには迷惑をして、外交交渉に非常に迷惑をこうむっている事実がたくさんございます。しかし、それは腹におさめて、余り言ってはいけない、こう思いまして、耐えるところは耐えて、そして今日まで乗り切ってきたということだけは申し上げておきたいと思います。
  98. 新盛辰雄

    新盛委員 大変立派な決意をいただきましたから、これから南九州の畑作の将来展望、そうした問題も踏まえて、基幹作物であると同時に転換が極めて厳しい状況のカンショなどでございますから、それを留意していただきたい。  次に、価格問題でありますが、安井、上原委員の方からも抗議、苦言があったように、価格決定のあり方について、どうもこれは我々農林水産委員会として果たしてこれでいいのだろうかと疑問を持たざるを得ないのであります。  今ここに、けさほど出されました価格決定、確かに芋でん粉は三・七%、三年連続の引き下げであります。こうしたものが前々から、引き下げだよ、引き下げだよと宣伝をされている。そして現実、けさほどはその発表がなされた。政府の方では、生産者米麦価の価格が決まると同時に横並びで全部引き下げなければならないという、何か命題があるかのごとくやっておられる。これはそれが目安だろう、四%前後だろう、これは前々から言われていたことです。こういうことがどんどん巷間伝わって、もう生産者農家は、どうせ要求したって価格は引き下げられるよ、これじゃ済まされないと思うのです。生産費や財政を起点に物事の判断、価格、パリティ指数がどうこうとおっしゃいますけれども、今厳しい環境だ、自由化の波が来ている。そしてカンショでん粉に携わる皆さん方が、一体どうしてくれるのだ、地域農政発展のため云々というのと裏腹に、逆に地域農政をつぶしている、こういう形は憂慮すべき事態だと思うのです。  だから価格決定される際は、そういうパリティ指数がどうだこうだということじゃなくて、全体的な横並びじゃなくて、実際に生産者農家が生産意欲を持てるように価格決定するのが至当ではないか。もう価格決定したのですから、どう申し上げようもないのですが、これは自民党は了解したのですか。政府はお出しになったのですが、自民党の農水部会とかそういうところでは確認されているのですか。世間に回られますと、私どもは反対したんだけれどもこうなっちゃった、こういうふうな話ばかり伝わるのです。ここでは賛成なんですか、反対なんですか、どうなんですか、はっきりしてほしい。
  99. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私から党の立場を申し上げる立場には今ございません。しかし、あらゆる場面におきまして、政府・自民党はということで、御批判なり御指摘をいただいておることは現実の問題でございます。そういう意味において、言うならばという意味で先ほども安井委員にお答え申し上げましたように、政府・与党の責任は重いということをまず申し上げたわけでございます。そういう意味において、私どもが考えておることを了承をいただく、また了承をいただいた結果私どもが決定をする、こういう段取りになっておるわけでございます。
  100. 新盛辰雄

    新盛委員 そうしますと農林水産省、内外価格の格差の是正だとか財政事情生産性向上、パリティ指数の微増などが理由で引き下げた、こうなっているわけです。だけれども、これから一体、では価格決定されましたが、農政上どういう位置づけをされるのか、いわゆる地域農政との関係でありますが、今後どのように指導されるのか。具体的な数字で、今後は作付面積、収穫数量はどういうふうにお考えなのか、あるいは生食用、でん粉用、こういうことについてどういう展望を持っておられるのか、ひとつお示しいただきたい。数字でいいです。
  101. 吉國隆

    吉國政府委員 数字というお話でございますが、先生御承知のように、現在農政審議会で長期見通しに関する検討を行っている、ちょうどそういう段階でございます。私ども、南九州を初めカンショの生産が非常に重要な役割を占めている地域があるということを認識をいたしておりますし、また先ほど減反とか転換のお話が出ましたが、加工食品用の需要というものは若干ながら伸びてきているということがございます。もちろん、でん粉の問題についていろいろと将来の問題もお触れになったわけでございますが、私ども、そういった需要の動向というものに即した生産体制を確立していく努力も、並行して進めていく必要があるのではないかという見地から、先ほどもバレイショに関連して御答弁申し上げましたが、なるべく自主的な形を尊重しつつ弾力的にそういった転換が進められるというようなことを助長してまいりたい。  先ほど技術会議の方からも御答弁したように、加工用の新しい品種というものも開発が進んでまいっております。ベニハヤトなり、あるいは甘くないカンショ、サツマビカリとか、そういったものも開発されてきておるところでございますので、新しい製品に対する需要拡大のための諸措置というようなことも並行しながら、需要に応じた生産体制を確立していく。また、生食用の仕向けにつきましても、西南暖地の気象特性を生かしまして、出荷時期を早めた早出し栽培、こういう形によりまして、生食用の出荷をできるだけふやしていくということも一つの方向であろう。そういったことを総合いたしまして、生産の安定なり生産性向上に努めてまいりたいというふうに思っております。
  102. 新盛辰雄

    新盛委員 でん粉の需要は停滞していたというふうに認識していたのですが、少し拡大の基調にあると今御回答があったようであります。これからの新規用途の開発が十数年来言われておったのでありますが、特にカンショの用途開発、南九州の生産者にとっては緊急の課題でございますから、今お話しのような生食用、でん粉以外の加工向けに、必死の対応がなされなければならないわけであります。農水省はでん粉原料用芋類の対策として、生産性・品質向上対策の拡充強化、需要拡大、でん粉原料用芋類の用途転換、こういうことで食品流通局が中心になってやっておられるようでありますが、これは予算はどういうふうにおつけになっておられますか。本年度の補正予算でやる部分、来年度の予算で格付する部分、それをひとつお知らせをいただきたい。
  103. 吉國隆

    吉國政府委員 お尋ねは、十二品目関連対策で実施したものの今後の予算措置の問題だと思います。  でん粉原料用芋類等対策について決定したものは四本の柱がございまして、一つが生産性・品質向上対策の拡充強化、これは従来やっておりますいろいろな対策を拡充して実施していくというものでございまして、各年度の予算で対応する、ということを前提としております。六十四年度以降の各年度の予算措置として対応していくという方針でございます。(新盛委員「総額幾らですか」と呼ぶ)でん粉原料用対策の総額といたしまして五十一億でございます。
  104. 新盛辰雄

    新盛委員 もうその理由はいいですから、あとは需要拡大、幾らですか。
  105. 吉國隆

    吉國政府委員 失礼しました。今の五十一億というのは総体の対策でございまして、一つの柱の生産性・品質向上対策、来年度以降五年間を予定いたしておりますが、五年間で二十億という内容でございます。  それから二番目に需要拡大、これは加工食品等の需要拡大、新製品の開発等を含めたものでございますが、これが三億。  それから三つ目の柱が、先ほど申し上げました用途転換を助長していくための対策でございまして、これが十八億。  それから四つ目の柱が国内産芋でん粉の緊急販売促進、これが十億でございます。  補正予算というお話がございましたが、私どもとしては、全体五十一億のうち約三十億余りは六十三年度中に対応したいというふうに考えておりまして、これは一部流用等が出てくる可能性もございますが、補正予算の編成の段階において作業を詰めて必要な予算措置については緊急に対応したい、言うなれば二番目から四番目のものについては、なるべく緊急の予算措置で対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  106. 新盛辰雄

    新盛委員 終わります。
  107. 菊池福治郎

    菊池委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  108. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席が少しおくれますので、その指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。藤田スミ君。
  109. 藤田スミ

    ○藤田委員 質問を始める前に一言申し上げておきたいと思います。  我が党は、きのう、六十三年度産畑作物の価格等に関する申し入れを行いました。大臣に行ったわけです。昨年に続く引き下げは、北海道、沖縄、九州の基幹作物であり水田転作の重要作物である畑作物の生産を不安定にし、地域経済にも、また農民にも深刻な打撃を与えることは必至であって、到底認められるものではないという旨を申し入れました。アメリカの大干ばつによる食用油等の値上がりが伝えられてくる中でますます我が国の畑作振興は重要になっているという点も申し上げました。にもかかわらず、本日の決定は極めて遺憾であり、強く抗議をするものでございます。  それでは本論に入ります。  ことしの二月の農産物十二品目の日米交渉で政府は十品目の自由化決定しました。そして、そのことによりブドウ糖を初めとする異性化糖が九〇年四月より自由化され、でん粉については、抱き合わせ比率が現行の一対七・六が九一年には一対九になるとともに、トウモロコシの二次関税率が十四円から九一年には十二円にまで引き下げられるということになったわけであります。この自由化などによるバレイショ、カンショ生産に与える影響について農水省としてどのように把握しておられるか、お示しをください。
  110. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、まず糖化製品については六十五年四月から自由化をするということになりました。しかし、国境措置を講じまして保護をするということにいたしたわけでございまして、現行は関税が二五%でございますけれども、六十五年度には七〇%、六十六、六十七と一〇%ずつでございますけれども減りまして、六十六年は六〇、六十七年は五〇%でございます。このような国境措置を講ずることによりまして糖化製品につきまして保護をしたということでございます。  それからもう一つは、でん粉につきまして、先生御指摘がございましたような形で運用改善を図ることといたしたわけでございます。  でん粉につきましては、御承知のように自由化をしろということがまず第一ありましたが、その部分につきましてはこれを守ったわけでございます。また、第二次的には、御承知のようにTQ制度のもとにおきまして抱き合わせということで国内産でん粉の消化を図っておりますが、これにつきまして廃止を強く要求されたわけでございますけれども、制度の根幹といいますか制度自身はこれを守り得たということになっておりまして、そういう意味からいたしまして激変は緩和できたといいますか、不測の悪影響を与えることは防止できることになったわけでございます。したがいまして、このような異性化糖あるいはでん粉の原料でございます芋の国内生産の基本は確保することができたというように考えておる次第でございます。
  111. 藤田スミ

    ○藤田委員 影響がないというふうにおっしゃっておられるように聞いたわけですが、そうすると国内対策というのも必要ないじゃありませんか。それは私は言い逃れだと思うのです。  新聞報道によっても、抱き合わせ比率が六十六年には一対九になることに伴い現行より四千ヘクタールの国産でん粉が不用になると推定されている、こういうふうに報道されています。これにブドウ糖などの自由化、コーンスターチの二次関税率の引き下げが加わるわけですから産地に相当の打撃になることは明らかではないでしょうか。もう一度お答えください。
  112. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 ちょっと舌足らずで申しわけございませんでしたが、芋生産の根幹は守り得たということを申し上げたわけでございます。もちろんアクセス改善等、TQ制度の運用改善というようなことで先生先ほど御指摘ございましたような形で妥結をしたわけでございます。  国内産のでん粉につきましては、需要が停滞的である反面、若干増産基調にございまして、過剰傾向がございます。そのような中でこのような運用改善ということになるわけでございますので、需給はかなりきついものでございまして、したがいまして、私たちといたしましては、計画生産ということを従来からでございますけれども生産者お願いをしておる次第でございます。しかし、その根幹は守り得たと今でも信じておる次第でございます。
  113. 藤田スミ

    ○藤田委員 結局、需給はかなりきついということをお認めになったと思うのです。そして計画生産ということになったら、またここでも減反の話が出てくるのじゃないですか。  鹿児島県では、カンショは台風に強くシラス土壌に最適ということで大部分の農家が、量はそんなにたくさんではありませんがつくっているわけです。そして、この価格の引き下げは農家経済を直撃することは必至であります。鹿児島はそれだけではありませんで、牛肉自由化による打撃もあり、大変な状況になるというふうに言われています。  そういう中で、私は、今回のこの生産者価格の問題についても、トウモロコシの二次関税の引き下げが、抱き合わせ制度がある中では今後もますます国産でん粉価格の引き下げにつながっていくのではないかと考えるわけですが、この点はいかがですか。  同時に私は、この際はっきりもう一度大臣に求めておきたいわけです。今、自給率を高める方向をはっきりさせることが非常に大事になっていると思うのです。その点から農産物十品目の自由化及びコーンスターチの抱き合わせ比率及び二次関税率の削減を撤回することこそが行政の上でも求められていると思いますが、これは大臣お答えください。
  114. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今御質問の点については、前段については食品流通局長からお答えを申し上げたとおりでございます。  なお、一言つけ加えるならば、不測の悪影響を与えたのではないか、悪影響ということでございましたが、悪影響と思われないようにとは思いながら影響をしておるということは、私も率直にこれを認めます。今日のいろいろな事態の中で影響は確かにある、しかしそれが悪影響、あるいは不測の事態も心配しておりましたが、そういうことは回避できたのではないか、こう思っておるところでございます。  今、これも食品流通局長からお答えをいたしましたけれども、ちょっと訂正をしておきますと、計画生産という言葉がございましたが、計画的生産、私どもはそれに徹しておりますので、それを訂正をいたしておきたいと思います。その意味するのはもう御案内のとおりでございます。  なお、需給見通しを早く立ててということでございますが、従来から実は需要に見合った計画的な生産の推進に努めてまいりましたが、これからもそういうことで努めてまいりたいと思っておりますし、これによって存立がどうなるかということになりますと、それは存立を守り得るものである、そういうふうに認識をしております。  しかし、一番最後に触れられました点は、この十二品目問題、この二月のガットの理事会における決着を撤回すべきであるという日本共産党からの御意見はしばしば伺ってきたところでございます。その都度私は、撤回しようと思っておりません、そういうことを申し上げてまいりましたが、撤回をできる状況にはない、重ねて申し上げておきたいと思います。外交交渉とあわせて国内における対策についてあわせて万全を期してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  115. 藤田スミ

    ○藤田委員 私どもとしては、今後ともその撤回を強く求めていきたいと思います。影響はあるということを認められました。そして、悪影響、不測の事態は回避できた、こういうことですが、現に今回の価格の引き下げは、このことによって生産者価格を引き下げるという点に重大な影響を与えたということだけは私は申し上げておきたいと思います。  次に、大豆の問題です。  アメリカの干ばつ被害状況によると、大豆は前年比で二三%減という大幅な不作となっています。これにより、シカゴの穀物相場も大豆が一月に一ブッシェル平均六・二ドルであったものが九月には八・六ドルまで値上がりしました。これを受けた形で、食用油は、業務用の十六・五キロ入りが四月の一・七倍の三千三百円から三千四百円、家庭用が一・四キロ入りで百九十八円であったものが八月には二百九十八円に値上がりをいたしました。最近は、もっとも少し下がったというふうに言われておりますけれども、しかし四月と比べますと一・五倍の高値安定であります。こういうふうなことは、食糧自給を放棄して農産物の自由化を行うことが食糧安全保障上いかにマイナスであるかということを端的に示していると言えるわけであります。  そこで、お伺いをいたしますが、こういう値上げが今後また繰り返されるということになりますと、国民生活上支障が出てくるわけでありますので、どのような対策を考えていらっしゃるのか。また便乗値上げや買い占め、売り惜しみは決してあってはならないことですが、この二点について、農水省並びに経済企画庁の御見解をお示しいただきたいと思います。
  116. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生御指摘のように、アメリカの干ばつによりまして米国農務省の十月十二日に発表した結果によりますと、大豆は対前年比二二%の減産ということになっておるようでございます。しかし、南米諸国におきまして作付面積が増加するということも伝えられております状況もありまして、価格も六月には大豆のシカゴ相場ブッシェル当たり十ドルを超えたようなこともあったのでございますが、現在は八ドル程度ということで安定しておるようでございます。また、我が国への輸入につきましても、トン当たり四万八千円という状況でございまして、ただ、これをどのように評価するかということでございますが、過去、非常に高騰いたしましたとき、例えば五十年ではトン当たり八万四千円とかいような水準があったわけでございまして、そのようなときまで至るような大きなパニック状態を呈するような状態ではないというような認識をいたしております。  国内価格でございますが、食用油につきまして先生御指摘のような傾向でありまして、最近は下がっております。また、家庭用の食用油あるいは豆腐、納豆等の小売価格も安定的に推移しておるわけでございます。  私たち、現段階におきましてはこのような情勢から国内需給につきまして不安定要因は少ないというように考えておりますけれども、今後とも需給動向等の推移を注視してまいりたいというように考えております。  なお、大豆につきましては、御承知かと思いますけれども、政府で通常の食用大豆の需要量の一カ月分に当たります八万トンを備蓄をいたしております。また、製油メーカー等におきましても食用油が通常在庫として一カ月分程度確保されております。というようなこともございまして、需給につきましてはそれほど不安のない状態にあるのではないかというように判断をいたしておる次第でございます。
  117. 井坂武彦

    ○井坂説明員 御指摘のとおり物価の安定といいますのは国民生活の安定の基盤でありますし、経済発展の基本的な条件でございます。特に国民の消費生活に必要な生活関連物資につきましては、価格が異常に上昇し、さらに買い占めとか売り惜しみといったことが行われることのないようにするということは極めて重要なことだというふうに考えております。ただ、ただいま農林省の方からお答えがございましたとおり、幸いなことに現在までのところ食用油あるいは豆腐等の大豆関連製品につきましてはそういった事態は生じておらないようでございますし、今後もそういうおそれは少ないものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、こういった生活関連物資につきましては、その需給あるいは価格動向について常に関係省庁とも十分連絡をとりながら注視してまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 藤田スミ

    ○藤田委員 経済企画庁、結構です。大いに注目をして、対策をいつでもとれるようにしておいていただきたいと思います。  大臣、ことしは世界的にも大変な異常気象でした。しかし、これがことし限りのことであるとはだれも断言できないわけです。そうでしょう。日清製油の部長さんは、来年もことしのような不作だと食用油が足りなくなる可能性もある、さっき一カ月の備蓄があるということでしたけれども、そういうふうに見通しを明らかにしています。大豆は農産物自由化によって壊滅的な打撃を受けました。その後、大豆なたね交付金制度と転作作物の位置づけがなされたことによって、生産は食用大豆自給率三一%まで持ち直しました。しかし、こういうときだからこそ大豆生産を抜本的に拡大して自給率を引き上げるべきではないでしょうか。  ところが政府は、今回価格の引き下げをまたも強行された。大臣は、生産の存立を守るということをたびたび言われますけれども、このような価格の引き下げを毎年繰り返すことは、存立を守るどころか、自給率にも逆行して農業破壊を進めるとしか言いようがないじゃありませんか。大臣、いかがでしょうか。
  119. 吉國隆

    吉國政府委員 大豆につきまして、農林水産省としては水田農業の上におきましても、また畑作地帯におきます輪作体系を構成する作物としましても非常に重要な位置づけをいたしているわけでございます。ただ、実態といたしましてはまだ生産性という面で非常に大きな問題を残している、合理化の余地が非常に大きい作物であるという認識をいたしているわけでございまして、そういったことが内外価格差にもはね返っておりますし、また、不足払い制度のもとで農家手取りの大部分が財政負担というような状況になってあらわれてまいっているわけでございます。私どもは、重要な位置づけであればこそ大豆の生産コストの削減を急ぎ、大豆についてのそういった大事な位置づけということを今後とも守っていきたいという気持ちで取り組んでいる次第でございます。
  120. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今農蚕園芸局長から答えましたが、委員御指摘の点は、どこかの会社の部長さんが来年もまた不作ではないか、こういう見通しを明らかにした、こういうことでございますけれども、私どもは、食糧の安定供給体制に責任を持たなければなりません。不確定要素について確定したがごとき言葉を申し上げるわけにはまいりません。それはひとつわかっていただきたいと思います。いろいろな学説もあるようでございます。しかし、日照時間とかそういう気象条件とか、いろいろなことがあってのこと、そういう点について第一次産業の難しさがあるわけでございまして、それを明言することはなかなか困難である、こう思っております。  なお、先ほど企画庁からお答えがございましたけれども、私ども一番心配しておるのは生活物資、とりもなおさず我が省に言わせれば食品関係、食料関係、こういうものに乱高下があったのではならない。できるだけ安定した価格に推移をさせなければならない。そういう意味において、売り惜しみ買い占め防止法の発動等、そういう事態があれば直ちに発動して、そして鎮静にこれ努めるということは当然のことながら必要なことだと常に思っておるところでございます。
  121. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣、私が質問していることにまともに答えていただいてないのです。今回のように価格を引き下げていくということが繰り返されるということは、農業破壊を進めるとしか言いようがないじゃないですかということに対して大臣の御答弁を求めているのです。けさほどからも大臣は、今回の価格決定、つまり価格の引き下げは、再生産に向けて御理解をいただけるぎりぎりの選択で決めたんだということを言われました。そして価格政策よりも構造政策で足腰の強い農業を進めていきたい、こういうこともおっしゃいました。  私は思うのです。足腰が強いものにしていくというなら、そのための条件を整えなければならない。ところが、その条件というのは、現実に例えば基盤整備などを見ても、テンポは極めてのろいものです。それでいて価格の引き下げだけはどんどん先行させていく。これで何で足腰が強くなるのか、こういうことなんです。だから、結局政府は、この価格の引き下げにたえられる農家はついてこい、それができないものはもうやめろ、そういうことになるんじゃないですか、こういうことを大臣にお尋ねをしているところなんです。
  122. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 破壊をしようなんということは思っておりません。
  123. 藤田スミ

    ○藤田委員 破壊をしようと思っていると言ったら大変でしょうから、そうとしか言いようがないと思いますが、今回の価格の引き下げは、足腰が強い農業だとか存立を守るとか言われているその言葉とは全く裏腹のものになっているということをもう一度申し上げておきたいと思います。  次に、サトウキビの、時間がありませんのでサトウキビの……
  124. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 それから、価格政策はだめで構造政策だけでと私が言った、こう先ほど言われましたけれども、私が午前中御答弁申し上げておるのは、価格政策はだめだと言っているのではない、価格政策は要らないと言っているわけじゃございません。価格政策だけで、オンリーでいくわけにはまいらぬ、構造政策も必要でございます、こう申し上げているわけでございますから、価格政策も必要であるということは当然のことでございます。
  125. 藤田スミ

    ○藤田委員 もっと時間があれば本当に議論ができるのにと思いますが、大事な問題が後に残っておりますので、サトウキビの問題に移っていきたいと思います。  このサトウキビの問題で、関連して沖縄は、今度のパイナップルの自由化で大変な状態になっています。当初農民が要求をしていたパイナップルの食管も実現されない中で、農民の失望は非常に大きいものがあります。加えて、ことしはサトウキビについても台風による被害がたくさん出ました。こういう状況でも政府はサトウキビ価格について引き下げを考えようとしておられるのか。また、ブリックススライド制の導入を考えておられるのか、明らかにしていただきたい。  また、沖縄では、製糖工場が農民の状況も考えずに一方的に操業期間を短縮するために、その操業期間内にサトウキビを納入しなければならないということで、農民のサトウキビの刈り取りが極めて過酷なものになってきているという訴えが出てきております。このようなことがないように厳しく工場を指導するべきだと考えますが、以上三点について明らかにしてください。
  126. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 六十三年産サトウキビの価格決定につきましての考え方ということでございますけれども、先生御承知のように、農業パリティ指数に基づき算出される価格基準として、物価その他の経済事情を参酌して決定するということで法定化されておるわけでございますけれども、あわせまして生産性の向上の動向、あるいは畑作物間のバランスというようなことも総合的に勘案して決定していくことにいたしております。  今の段階におきましてその水準がどのようなものになるのか、引き下げをするのかという御質問でございますけれども、今鋭意検討中のところでございまして、まだ判断をいたしておらないということで御了承いただければと思うわけでございます。  また、サトウキビにつきましては品質取引といいますか、ブリックスによる取引は今行われておりません。ビートにつきましては二年前からそのようなことが行われまして、かなりいい成果を上げてまいっております。やはり生産者が品質向上に取り組むためのインセンティブとなるためには、このサトウキビにつきましても品質取引の実施というものが必要不可欠だと私たち考えておりまして、条件がなかなか難しい点もあるようでございますけれども、整う限り早く、できるだけ早くそのような品質取引が実施されることが望ましいというように考えておる次第でございます。  また、製糖企業の操業期間についての御質問でございますけれども、当然のことでございますが、原料生産量なり工場の処理能力なりというようなことで操業期間が決まってまいるわけでございますけれども、あわせて農家との話し合い等によりまして集荷体制をいろいろ整えて、そのような農家の事情も十分考慮して操業期間が決められておるというように聞いておる次第でございます。
  127. 藤田スミ

    ○藤田委員 サトウキビの収穫というのは、その生産における労働時間の半分以上が刈り取りにかかわるものなんです。そして、本島北部や離島では、サトウキビの生産の主体はだんだん高齢化していっておりまして、現に短期間の収穫ということになっておりますが、それにはもう耐えられないという状態になっているんです。  一方、その製糖工場はどうかというと、さっき処理能力ということを言われましたが、沖縄にあるすべての製糖工場が、許可能力をはるかに超える圧搾量で操業期間を短縮しているわけです。これは明らかに許可違反じゃないですか。許可能力をはるかに超える圧搾量で操業期間を短縮しているとしたらこれは許可違反でしょう。このような製糖工場の実態をただすとともに、製糖工場の責任のもとに収穫のための援農班を出させるべきであると考えますが、再度明らかにしてください。
  128. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 製糖企業の操業に絡みましての御質問がございましたが、私たちそのような実態はまだ聞いておらないわけでございまして、何ともちょっとお答えいたしかねる次第でございます。  それから、老齢化等が進みまして、援農班というお話がございました。確かに労働力の問題が老齢化等がありまして非常に難しい状態になっておることは認識をいたしております。聞きますところ、製糖企業におきましても、キビ作農家等とよく話し合いまして、結いと申しますか援農班と申しますか、集落単位等に班体制を設けるというような努力を行って、労働力の需給といいますか、足らざるところを相補うというようなことでの助け合いというようなこともやっておるようでございまして、今後ともそのようなことも含めまして、労働体制の確保といいますか労働力の確保ということに努めていく必要があるのではないかというように思っておる次第でございます。
  129. 藤田スミ

    ○藤田委員 もうちょっと本当に真剣にサトウキビの問題に取り組んでおられたらそんな御答弁にならないと思うのです。許可能力を超えるような圧搾量になっていると全然考えられない、こういうことですが、現に私が今ここに持っているのはその沖縄県庁の資料です。これによりますと、沖縄製糖株式会社は、許可能力が千九百トンに対して圧搾量が二千八十一トン、そういうふうになっています。宮古製糖株式会社城辺工場は千五百トンに対して千七百七トン、それから宮古製糖株式会社伊良部工場は三百六十トンの許可能力に対して五百四十一トン、これは許可能力を超えた圧搾量ではありませんか。違いますか。
  130. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 まことに申しわけありません。答弁を、今一生懸命にやっているところでございますので、大変申しわけございませんが、暫時お待ちいただければありがたいと思います。また、ほかの御質問等があればやっていただければありがたいと思っております。
  131. 藤田スミ

    ○藤田委員 そうしたら少しこの問題は後に回します。どうか大臣にそういうことを言わせないでください。委員長、これはちょっと保留、最後にします。  次に、農業資材の問題についてお伺いします。  カンショ生産で見てみますと、カンショ生産費に占める農薬費は十アール当たり四千二百三十七円で生産費比率で全体の四・九%を占めるものになっています。農民は一円でも安い農薬を買い生産コストを下げたいと考えているわけです。ところが、私が先日カンショの生産地を視察をしましたときに、農民の方から、昨年二十リットル一万五千円で買えました土壌消毒殺虫剤、商品名でいいますとドロクロール、クロピク八〇というのがそれですが、ことしの春先に突然商品がなくなって、再び出回り始めたときには四〇%も値がはね上がって二万一千円になっていた、メーカーのやり方は汚い、こういうふうに訴えられたわけです。  公正取引委員会にお伺いいたしますが、土壌消毒殺虫剤の生産メーカー、三井東圧、日本化薬、南海化学の三社がことしの春協調して出荷調整をし農楽のメーカー出荷価格を引き上げていたとするならば、独占禁止法上どうなるでしょうか。
  132. 佐藤隆

    佐藤説明員 先生御指摘の点に関しましては、私どもその具体的事実関係把握しておりませんので、独占禁止法上問題となるかどうかにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。  なお、一般論として申し上げますと、事業者が出荷量を協定することによりまして競争を実質的に制限するというような場合には独占禁止法違反となることは申すまでもないことでございます。
  133. 藤田スミ

    ○藤田委員 農薬については、全農と農薬メーカーが協定価格を結ぶ仕組みになっています。この点では、カルテルを結ぶことが法律上認められている肥料とよく似た価格決定方式になっているわけです。当然、農薬メーカー同士が横の連絡をとれば独占禁止法違反になるわけですが、そもそも肥料価格安定臨時措置法については、農民からカルテルは生産コスト引き下げの足かせだと強い批判が出されている代物であります。まして、法律上の位置づけのない農薬については、もっとメーカー間の競争を働かせて価格を引き下げさせることが農民の利益になると思います。そこで、農業資材の中で競争制限を認めている肥料価格安定臨時措置法について、競争政策の導入を進めている公取委としての見解をお示しください。また、大臣、もっと農業資材が安く買えるように農林水産省としても価格競争的な方向を重視する考えはないか、明らかにしていただきたいわけです。
  134. 関根芳郎

    ○関根説明員 お答えいたします。  肥料につきましては、先生御指摘のように、肥料価格安定臨時措置法ということで、肥料メーカーとユーザーとの間で共同しまして価格協議して取り決めるということが認められておりまして、これにつきましては独占禁止法の適用除外ということになっておるわけでございます。独占禁止法の目的からしますれば、いわゆる市場における公正かつ自由な競争の維持促進ということになるわけでございますので、こういうような適用除外につきましては必要最小限度の例外的なものでなければならないというふうに考えておりまして、できればこういうものはなるべくならない方が望ましいというのが基本的な考え方でございます。
  135. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 後で補足を農蚕園芸局長からさせますけれども、一口に申し上げますと、農業資機材、これを農業者に安く提供するために競争原理というものをもっとちゃんと考えろ、こういう御指摘、私が考えておる基本的な考え方と同じでございますので、ありがたく心にとめておきたいと思います。
  136. 吉國隆

    吉國政府委員 一般的に農業生産資材の取引におきまして、全農が関係のメーカー等と契約を結んで価格形成を行う、こういう形をとっているものが多いわけでございますが、こういう価格形成の過程を通じまして競争条件が特に制約されている関係にはなっていないのではないかと思っております。  お尋ねの肥料価格安定臨時措置法につきましては、特定肥料の三品目につきましてお話しのような制度ができているわけでございますが、この制度におきましても、まさに買い手と売り手との間の交渉を通じて価格が形成される。それを制度上、生産費等のデータを行政の方で把握いたしまして、その資料を提供して価格を形成する、こういう仕組みでございまして、批判としては、必要以上に競争を制限しているのではないかという批判があることも事実でございますが、一方におきまして、肥料価格の安定という面からそれなりの機能を果たしているのではないかということもあるわけでございます。  これは各方面でいろいろな御議論があるところでございますが、私ども来年六月に法律の期限を迎えるということでございますので、その後どう取り扱うかという問題を含めまして肥料対策協議会というのが設けられております。これは農林水産省と通産省とで共同で設けている機関でございますが、ここで関係方面の方々にお集まりをいただきまして議論を始めている状況でございまして、それを通じましてこれから判断を固めてまいりたいと考えている段階でございます。
  137. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう私の持ち時間が過ぎましたので、まだお調べのようですから、これは実態をもう一回調査してください。そして、単に生産量だとか農家との話し合いの問題だけじゃなしに、明らかにこういうふうに許可能力を超えるような圧搾量になっている以上、これはもう御指導を十分いただかなければいかぬことですし、それから高齢化の中で援農班という問題についても、これは製糖工場の理由もあってのことですので、製糖工場の責任でこういうものがつくられていくようにしていただきたいということを申し上げて、もうやりとりの時間がありませんから、これでやめましょう。
  138. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 まことに申しわけございません。先生御指摘のように、実態を調査いたしまして対処してまいりたいと思います。
  139. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  140. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 玉城栄一君。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、昭和六十三年産サトウキビの価格の問題について、最初に大臣に改めてお伺いいたしておきたいと思います。  午前中もこの問題につきましての大臣の基本的なお考えにつきましては一通り伺っておったわけでありますが、地域農政の重視という立場から大変前向きのお話を伺ったわけであります。特に沖縄のサトウキビの価格問題に関係しまして、沖縄の歴史的な経緯等これは忘れてはならない、したがって、いろいろな具体的な問題も積み上げてきているという趣旨も、午前中の同僚委員に対して御答弁しておられました。ところが、また各論と申しますか具体論になりますと、これまた期待が持てないのかなという感じもしながら伺っておったわけでありますが、サトウキビの六十三年産価格決定に当たりましてどういうお考えを、あるいはどういう要素をお持ちになって、基準にしてされようとしているのか、改めて大臣にお伺いいたします。
  142. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 サトウキビの生産者価格につきましては、農業パリティ指数に基づき算出される価格基準といたしまして、物価その他の経済事情を参酌して決定されることといたしておるわけでございます。六十三年産については、生産性向上の動向、畑作物間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる内外の厳しい情勢、しばしば御指摘をいただいているわけでございますが、そうした情勢、需給事情のもとで制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定いたしたい、かように考えておるところでございます。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはそのとおり、午前中他の同僚委員へのお答えで伺ったわけであります。ですから、そういうことからしますと、具体的に申し上げますと、現在トン当たり農家手取り価格二万九百十円ですね。これがいろいろな、これから申し上げますけれども、上がる方向に行くのか。その辺が一番お伺いをしたいところであります。大臣、御決意としてどういう決意を持っていらっしゃいますか。
  144. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 農業者に十分理解を得られるように、私自身が判断を最終的にしなければならぬと心得ておるところでございます。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 農家の方々に十分理解が得られるような価格にしたいということでありますが、もちろん決まっておりませんので、具体的には幾ら幾らということは今の段階では当然言えないと思います。  そこで、私は農林省の方にお伺いをいたしたいのですが、去年の六十二年度のトン当たりキビ価格農家手取りは今申し上げましたとおりに二万九百十円。これはその前の年から二・六%価格が下がっているわけです。今申し上げましたトン当たり二万九百十円というのは、六十二年のトン当たり生産費を賄う価格と申しますか償う価格になっているのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  146. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  六十一年度生産費は、六十二年度とおっしゃったと思うのでございますけれども、その農家手取りを賄っておりません。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 その数字は幾らですか、生産費の。
  148. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 失礼しました。六十二年度の農家手取りは六十一年度生産費を賄っておりません。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 どれだけ賄っていないのですか。
  150. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 六十二年度の農家手取りは二万九百六十円でございます。それから、六十一年度生産費は二万六千七百六十四円でございます。したがいまして、トン当たり六千円足らずでございますけれども、賄っていないということになろうかと思います。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 トン当たり二万九百六十円。この手取り額は二万九百十円ということで、六千円弱いわゆる賄っていない、償っていないということは、その分農家は赤字ということですか。
  152. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先ほども御答弁申し上げたわけでございますけれども、生産費の中に剥葉労働なんかが入っておるということもあるわけで、結果といたしましてそのような生産費の結果があるということと、それからのそのような手取りがあるということでございます。しかし、言葉がちょっと過ぎるかと思いますけれども、そのような結果に基づきまして、それならばということで作付面積が減るとか、言葉がちょっと悪いのですが、要するに採算が合わないからやめてしまうというような傾向にあるというように私たちはまた考えていないわけでございます。また、先ほども御答弁申し上げたわけでございますけれども、ほかの作物もいろいろあるわけでございますけれども、調べてみましたら、サトウキビがそのような地域におきまして一番収益性の高い作物であるということもまた事実であるわけでございます。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、私がお伺いしていますのは、いわゆる皆さん方が発表しましたこのトン当たり二万六千七百六十四円、生産費がかかっている、しかし、農家手取り額というのは二万九百十円ですね。おたくは六千円弱賄ってないという言い方、そのことはこの数字上からしますと、農家にとってはやはりこの分は、トン当たり六千円弱は赤字、それは言えないのですか、言えるのですか。
  154. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 年次が一年違いますけれども、要するに傾向は同じでございますから、このことだけでとらえてみれば赤字になっておるということであろうかと思います。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、もう一つお伺いしておきたいのですが、ことしの沖縄県のサトウキビの生産量は、例年に比べてふえる傾向として予想されるのか、減る傾向として予想されるのか。その辺、いかがでしょうか。
  156. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 まだ統計情報部の方で発表されておりません。十月二十日ごろ発表されるというように聞いております。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 局長さん、ですから今度は干ばつが大分ありましたので予想としては減るというふうに、これは数字的にも大体出ておりますが、いかがでしょうか。沖縄のサトウキビの生産量はことしの場合減ると……。
  158. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 干ばつの被害につきましていろいろお話をお聞かせ願っておるわけでございますけれども、統計の数字もまだ出ておらないことで、確定的なことは当然申し上げられませんが、若干減るのじゃないかという声が多いことは事実でございます。
  159. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、大臣、改めてお伺いしたいのですが、これはサトウキビの価格について申し上げていますが、五十八、五十九、六十、六十一、トン当たり二万千四百七十円でしたかね。昨年はそれから二・六%下がりまして、六十二年度キビ価格の農家手取りは二万九百十円なんですね。キビの価格は下がったわけですよ。そのことは、大臣もよく御存じのとおり農家の方々の生産意欲に大変不安感を与えています。今後どうなるのか、果たしてこれ以上、本当に真剣に取り組んでいいのかどうか、こういう問題が一つありますね。しかも、今おっしゃいましたようにいわゆる生産費と農家の手取り額とはトン当たり六千円弱、これはその年じゃなくても大体そういう傾向なんですね。こういう問題が一つあります。さらにまた、ことしの場合は干ばつの、この委員会でも私はその対策等についても御要望申し上げましたけれども、生産量も減る。しかも、これは後ほどお伺いしたいのですが、沖縄のパインの自由化の問題、これはいろいろ今度お伺いしますが、そういう問題を含めますと、今農家の方々の生産意欲は、大変不安感が伴っていますから減退しているわけです。  したがって、沖縄の今回のサトウキビの価格決定に当たりましては、そういうことを考慮しまして、さっきバランスとかいうことをいろいろおっしゃいましたね、そういうことをやはり抜きにしまして、パリティ指数の上昇分、これは〇・三九、これは農林省に確認しましたから上昇しています、その分だけは価格にちゃんと上乗せする形の価格決定をぜひしていただきたいということが、私が今申し上げたい趣旨なんですが、いかがなんでしょうか。
  160. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 非常に厳しい御指摘でございまして、私自身はまず農産物一般論といたしまして、足腰の強い農業にしていくためにお互いひとつ汗を流そう、そういう中身は何かというと、何でも言われるとおりにやるということにはなかなかならぬ、そういう意味では出血部分もあるであろう、こういうことは当然意識をしながら厳しい、ぎりぎりの選択、決断をしておるわけでございます。  そういう意味において、やはり長期需給見通しというものが従来のものとは変わっていくであろう。とするならば、どのように判断したらよいのか、専門家に集まっていただいてその意見を早く出していただきたい、こういうことで農政審の小委員会にもお願いをし、年はまたがると思いますけれども、来年にはその新しい需給見通しというものをもとにしてまた新たに考えなければならない。これはしかし、どのような答えが出てくるか、不確定要素でございます。いずれにしても政治のバランス、行政のバランスということも当然頭の中に置かねばなりません。  しかし、たまたまあなたからお話が出ましたので申し上げますけれども、パインの場合も、私はただ調子よく、何とかしたいと思うと言葉だけで言ってきたわけではございません。とことんの努力をいたしました。その結果、私、決して自慢して言える話ではございませんけれども、沖縄の農業団体から、まずまずということでパインの始末、国内措置、このことについては評価をいただき、お礼を言っていただいて、かえって私自身恐縮をいたしておるところでございます。  そのように心通じながら、具体的な施策をどう進めていくか。その施策については、今、委員おっしゃるように、わかりやすくしなければならぬ。そうすれば、パリティの部分で出た分はその部分だけすぽっと上乗せすればいいじゃないかと言われても、全体的なバランスの中で、しかしそうは言いながら地域農政として特異な——地域農政といっても一番歴史的ないろいろな事情にある沖縄ということになりますと、また感慨は別である、こういうことをしょっちゅう申し上げておるわけでございまして、そういう意味でできるだけの努力を積み重ねてまいりたい、こう申し上げておるわけでございます。  なお、これもこの場で言うことは決していいことだとは私思っておりません、言いわけをするのは私も嫌いでございますけれども、先ほど来、食品流通局も答弁がちょっと間を置いたり大変不手際のように見えます。しかし、一連の価格決定等の作業等で、正直申し上げて一睡もしていないということで、これは言いわけになりません、私言いたくないですけれども、私は一睡はいたしましたけれども、一睡もしていない、そういうことでぜひ、まだ厳しくおっしゃりたいではございましょうけれども、お許しをいただきたいと思っております。
  161. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはもう大変な御苦労をしていらっしゃることはよく理解もし、そういう意味では心から敬意も表しているわけですが、私も沖縄の二万六千キビ作農家の苦悩を知っておるだけに、これはまたやはり申し上げることは申し上げておかないと、大臣はよく沖縄のことを御理解され、パイン問題もすぐ飛んでいかれて現地も視察しておられ、よく沖縄の、特に歴史的な背景等申しておられますが、沖縄はサトウキビにかわる作物というものはこれからいろいろ研究の課題で、今もって農水省自体も、キビにかわるものはこういうものだ、しかもサトウキビについて生産性を上げろ、しかし一向にその実も上がっていないという状況からしますと、価格の問題というのは非常に深刻な問題なんです。それはキビ作農家にかかわらず県民非常に関心のある問題です。  それで、今申し上げましたとおり、昨年は下がり、しかも生産費が今度は赤字だ、しかも干ばつの影響で生産量も減る。そうしますと、農家の生産意欲が減退したときには、二十一条で言う「甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定める」という法律趣旨にのっとらない形の価格が出てきたときには当然それこそ深刻な問題になるわけで、そういう立場から先ほど申し上げておりますが、過去におきましても、パリティ指数を基準にして価格決定し物価その他の経済事情を参酌という問題は抜きにして価格決定した時期もあったわけですよ。それはなかったですか、どうでしょうか。
  162. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 物価その他の経済事情を参酌してということがあるわけでございまして、いつもそのようなことは参酌させていただいておる次第でございます。
  163. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはあるのですよ、前には。ですから大臣、今回も、私申し上げていますのは、やはりこういうさっき申し上げましたいろいろな状況がある、農家の生産意欲を高めるためには、やはりそのパリティの上昇分だけは、その他の横のバランスとかそういうことは参酌しないで、何とか特殊な政治的な判断でいわゆる最低ぎりぎり現在の価格は下げないという線だけは貫いていただきたいのですけれども。
  164. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 実は私も不勉強でございまして、そういうときがあったのか、いやあったはずだと言われると、どうも知っている方に知らない私が聞かれているようでもともと話にならぬわいと、私恥ずかしい思いをいたしておるわけでございます。月末に向けてきょうおっしゃいましたことも頭に置きながら十分勉強し、そして理解をいただけるように価格決定をしなければならぬと改めて誓っておきたい、こう思っております。
  165. 玉城栄一

    ○玉城委員 これ以上この議論を申し上げましてもなんですが、大臣が何回も繰り返しておられますように、理解の得られる価格に必ず自分はする、こうおっしゃいましたので、やはり沖縄の立場、沖縄のキビ作農家の方々の理解が得られる価格が当然決定されるものという立場でこの問題はひとまず今後の推移を見守る。絶対下げないで、上がるということを、そうでないと理解できないわけですから、ひとつお言葉どおりやっていただきたいわけです。  それではもう一つ、今度は当局の方に伺いますが、生産性向上ということはずっと努力して、当然当事者の農家も努力をしているわけですが、なかなか目に見えた形で上がってきてないわけですね。例えばサトウキビでも、反当たり七トン前後という形でずっと推移してきていますね。その辺の原因と、どういうふうに生産性向上を具体的に考えていらっしゃるのか、その辺を概略御説明いただきたいのです。
  166. 吉國隆

    吉國政府委員 生産振興では、たびたびお話が出ておりますように、沖縄のサトウキビの生産コストの中で労働費のウエートが非常に高い、また、特に収獲段階の労働時間がその中でも過半を占めているという状況でございます。これをいかに労働時間を短縮できるかということがやはり一つの大きなかぎであろうというふうに思っているわけでございまして、地元の方々のお話を伺ってみますと、これまたお話が出ておりましたが、高齢化が進んできて、これから先ますます機械化ということがそういう意味でも必要になるし、またそれが進んで、生産性向上ということがその面では進んでくるのではないかという期待もいたしているわけでございます。収穫機の開発なりあるいはその普及という面で今までも各種のことが行われておりましたが、特に六十三年度からは高能率の乗用の小型収穫機、小型の収穫機ということに対する地元の熱望にこたえまして、そういうものの実用化も進めてまいるというようなことも取り入れてやってまいっております。  また、けさほども出ておりましたが、品種育成の問題がございます。これは高糖分というような問題、あるいは黒穂病に対する抵抗性の強いという問題、あるいは早熟性、こういった育種課題に向かって取り組みをやっておるわけでございますが、新しい品種、昭和六十年に登録をされました品種も出てまいっておりますので、こういうものの普及の努力をしていく。また、その際に、ウイルスフリー等の技術を活用しました優良な苗の増殖、配布、こういったことにも努力をいたしているところでございまして、そういった過程を通じまして、単収について必ずしも伸びてないというお話もございましたけれども、生産性は若干ながら向上してきつつあるのではないかというふうに思っておりますし、今後さらにそれのスピードアップを図っていくべき時期であろうというぶうに思っているところでございます。
  167. 玉城栄一

    ○玉城委員 生産性向上という立場から、いろいろな条件整備はぜひ強力にお願いを申したいわけです。  そこで、いい機会ですからぜひ皆さん方にお願いしておきたいわけですが、例えば農道の整備だとかかんがい排水の問題とかいろいろ基盤整備をやるときに、御存じのとおり沖縄県は島々ですから、土地改良しましても、その工事の過程でもあるいはでき上がった後でも、大雨が降りますと海岸べりのその土地からざあっと土砂が海域に流れていきまして、そこにモズクだとかいろいろなものがあります、今大問題になっておりますサンゴだとか、そういういわゆる海域汚染が相当あるわけです。これは、大雨が降ったときは翌日は間違いなく一面赤く海は汚染されています。それは農林省だけではありません。建設省、道路建設に伴ってそういう問題もあります。それはぜひ防止対策を、やる気があればできるわけですから、一部やっていらっしゃるようですがそれではまだまだ汚染はとまってないという状況ですから、その辺はいかがなものでしょうか。
  168. 松山光治

    ○松山政府委員 土地改良事業は、どうしても土をいじる事業でございますので、やり方次第では周辺への影響の問題というのが潜在的にある事業であるということを私ども常々認識をいたしております。特に、先生御指摘ございましたように沖縄の地理的条件その他からすれば、細心の注意をもって事に当たる必要のある地域だというふうに考えております。  全国的に土砂流出の防止に努めるようにということで、事業の実施に当たりましては必要に応じて砂を沈める池をつくりますとか土のうを築くとか、いろいろな実情に応じた対応をしながらやるようにという指導をしておるわけでございますが、沖縄県におきましても、県なり総合事務局におきましてそういった土砂流出問題についての対策を考える検討会、協議会のたぐいをつくっておりまして、具体的に事細かな防止に当たっての留意事項なども明らかにしております。そういうものを踏まえて今現地でも細心の注意をもって事に当たってくれておるというふうに理解をいたしておりますが、なお一層土砂流出の問題については的確な対応をするように指導していきたい、このように考えておる次第でございます。
  169. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、例えば土砂の流出を沈砂池、いわゆる土砂が段階的に沈殿するように、それを皆さんがやっていらっしゃることもよくわかりますが、規模が小さいわけです。大雨が降りますと全部オーバーして出ますので、やはりちゃんと役に立つように、それには予算が小さいのであれば、大臣、予算も獲得していただいて、とにかく沖縄の場合、海域の自然というのは非常に大事ですから、これがそのたびに汚染される、今もってそうなんです。ですから、ぜひ防止対策を強化をしていただきたい、このようにお願いをしておきます。  それからもう一つ、午前中も出ましたけれども、含みつ糖、これは分みつ糖ができない島々でサトウキビをつくっているわけです。これは、買う場合はトン当たり、もちろん大臣が決められる価格で買うわけです、含みつ、いわゆる黒糖です、そこの島の製糖工場で。ですから、御存じのとおり、売る値段とその差額、三分の二は国が出し、三分の一を県が出す、こういう制度ですね。それをぜひ続けていただきたいわけです。  問題は、この制度の根拠といいますのは沖縄振興開発特別措置法にあるわけです。これは昭和四十六年で、一応制度は切れる、法律そのものが特別措置ですから。あと四年ですけれども、午前中大臣は、これはずっと維持していきたいと言う。沖縄開発庁もそうですが、そういう期限切れ後も沖振法というものをさらに延長しようという考えがあるわけです。だからそういうことでも、この含みつ糖の現在の価格差補給制度の存続のためにも、私が今申し上げておりますそういう沖振法の今後のさらなる延長という問題は大事なことであるという御認識をお持ちであるかどうか、お伺いいたします。
  170. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 きょう午前中も答えたではないかという御意見ございましたが、そのとおりでございます。
  171. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生御指摘のように、含みつ糖につきましての価格差補給金の制度は六十六年まで一応法律で認められておるわけでございます。したがいまして、六十四年度につきましても引き続きこの措置を講ずるということで、予算要求を今いたしておる状態にございます。
  172. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣が大変御苦労されましたパインの国内対策が何か報道されておりますが、これはあのときも私たちも申し上げましたけれども、これはもうよく御存じのとおり、沖縄のパインが、パイン缶詰等が自由化されますと、例えばマレーシアとか外国の、年に二回とれるとか人件費が非常に安い、そこと競争していくとなると、どうしてもいろいろな面で不利があるわけです。したがって、これは何としても生かさなくちゃならぬという御決意で大臣は当時もおられたし、そのための対策を今回細々とおつくりになっていらっしゃると思うのですが、基本的に私は、本当にパイン農家が安心して、ではこれでずっと頑張っていこうというふうになるかどうか、その辺はまだわからないわけですから、その辺の御説明をひとついただきたいわけです。大臣でなくても結構です。
  173. 吉國隆

    吉國政府委員 パイナップル対策につきましては、先ほども大臣から申し上げましたとおり、非常に広範な対策を今回地元の御要望等も承りながらまとめさしていただいたわけでございます。  基本の考え方としましては、まず缶詰につきましては、輸入缶詰との関税割り当てによる抱き合わせ制度によって国産缶詰の販路を確保する、これは日米の交渉の過程でそういうことをやることについての了解をアメリカ側から引き出したわけでございますが、それが一つと、それからもう一つは、生食用のパイナップルの生産、本土への出荷でございますけれども、これを進めていく、この二本の柱で考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。そういうことから、生産から流通にわたる各般の対策を仕組んだわけでございまして、重要なポイントは、もう申し上げるまでもないかと思いますが、特に原料価格輸入品との競争上低落していくという事態に備えまして、原料価格価格差の特別補てんを八年間行うという問題でありますとか、あるいは単収の高い、かつ安定性のあるN67—10の早期普及を図るということで、これの緊急増殖も進めてまいるという内容等が決まっているわけでございます。そういう形を通じまして、パイナップル缶詰生産の安定を図っていく、同時にまた生食用につきましては品質を保持した形で、完熟パイナップル、おいしいパイナップルを本土の消費者に供給するための流通設備、新しい技術を駆使いたしました流通施設を整備していくということで、現地における対応という面ではそれなりの御苦労もあるというふうに思っておりますが、私どもはこういうものを二本の柱といたしまして、その存立を守っていけるということを期待をし、またそういう前提で努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  174. 玉城栄一

    ○玉城委員 ついでに、向こう八年間とおっしゃいましたが、予算的には大体どういう目安でいらっしゃるのか、あるいはことしはどういう対応をされるのか、その辺ちょっと御説明お願いします。
  175. 吉國隆

    吉國政府委員 この加工原料用パイナップルの価格安定対策全体で約二十四億円というふうに考えております。これの予算措置につきましては、なるべく緊急に措置すべきものについては緊急に措置したいと考えておりますが、何年でどれだけというようなところはまだこれからの調整作業でございます。
  176. 玉城栄一

    ○玉城委員 例えば私も新聞報道でわかったんですが、また皆さんからの御説明、この対策の骨子等の御説明の際にも一応お伺いしたのですが、沖縄のパインの対策費として七百億ですか七十億ですか、ことしは四十二億を補正するという話も伺ったが、それはどういうことでしょうか。
  177. 吉國隆

    吉國政府委員 総体で七十億でございまして、そのうち緊急に予算措置対応をしたいと思っておりますものが四十二億でございます。ただ、補正というお言葉が今出ましたけれども、一部、例えばジュース工場の整備のための予算が既に確保されておるものがございまして、自由化対応の方向との関係ではっきりしなかった部分がございますが、これの流用というような要素も入ってまいりますので、補正等でどういう対応をしていくかというのは、これからの調整を進めた上で確定すると思っております。
  178. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう時間がございませんので、最後に大臣にこのことも含めてお伺いしておきたいわけですが、例えば今後のパインの自由化に伴って沖縄のパインが成り立つようにいろいろな対策があるのですが、細かくはまた事務当局と詳しく勉強もしたいわけですけれども、一つは、いい生果用のパインの栽培の奨励という意味もあるわけですが、生果用のパインのハウスをつくりますとその施設費というのに金がかかるわけです。この金は補助なのか低利の融資なのか、いずれにしても農家は借りなくてはいけない。今でさえ大変なのですから、もしそういうことをやるなら十分の十ちゃんと国が持ってくれ。そしてそのハウスはビニールです。毎年台風が来ますとこれは飛びますね。これの費用だって大変なんですから、もし本当に役に立つように、生きられるようなことを国が考えてくれるのであれば、そういうところもきちっとやってもらわないと、借金はさせた、うまくいかないということになりますと、これはえらいことになるわけです。沖縄の農業は御存じのとおりサトウキビとパインですから、これが抜けると沖縄の農業はそれこそもう崩壊です。そういうものも含めて、ひとつ大臣のお考えをお伺いしておきます。
  179. 吉國隆

    吉國政府委員 技術的な点についてまず御説明申し上げておきたいと思います。  ハウスの整備につきましては、沖縄につきましては特別の助成の制度がございますので、それを大幅に拡充をいたしまして整備をしてまいりたいと考えているところでございます。  また、経営の安定という点につきましては、私ども技術指導については県のお力にまつ部分が多いかと思いますが、精いっぱいの協力、努力をしながら、先生のおっしゃいましたような御心配のないような形でなるべく進めたいと思っておるところでございます。     〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今ほどのパインのことについての御質問でございますが、今農蚕園芸局長からお答え申し上げたとおりでございます。  そして、台風常襲地帯という言葉がいいかどうか、適切ではないかもしれませんけれども、割合しょっちゅう強い風に当たる、台風も多い、そういうところに対して施設をしても、その後また復旧に困るとか、それがまた経営に差し支えるとか、そういうことのないよう、災害対策でできる部分は災害対策で手厚くやっていく。そのほか存立を守るということで、あそこまで細かく、決して私は自慢して言えることではございませんけれども、実はもう精いっぱいの努力をしたつもりでございますので、それでこの間も団体の皆さんとも話をして、これでひとつ立ち上がってくれ、こういうお願いをして、やあ、やりましょう、こういうことになっておるわけでございまして、委員からも、そういう意味での激励を現地の生産者にしていただければありがたいと思いますし、私どももそういう話し合いの中での今後の成り行きについては、それなりの責任は持たなければならぬ、徹底した指導をし、またお金のかかる部分は、十分の十というお話がございましたけれども、そこまでこれ言われると、なかなか容易ではございませんけれども、できるだけの努力はしてまいりたい、こう思っております。
  181. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。どうもありがとうございました。
  182. 菊池福治郎

    菊池委員長 神田厚君。
  183. 神田厚

    ○神田委員 畑作物の政策価格の問題について質問をするということでありましたが、その前に委員会運営について委員長に一言お願いをしたいと思うのでありますが、本日の委員会の設定は、畑作物の政策価格決定を前にして、国会の意見をそこに反映をしてもらうというような趣旨で、したがって畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案と、肉用子牛生産安定等特別措置法案については、その趣旨説明を受けることのみにし、質疑は来週に送って、今委員会の質疑は畑作物の政策価格の問題に集中をする、こういう理事会での取り決めでもあったにかかわらず、既にもうこの畑作物の政策価格決定されているということは、理事協議を踏まえて、委員会で我々が合意をした問題と多少違う形になっていると私は思うのでありますが、その点、どういうふうにお考えでありますか。
  184. 菊池福治郎

    菊池委員長 本日の委員会については、委員お話しのように、畜産物肉用牛の法案についての趣旨説明、それから農林水産業振興に関しての一般質問ということで、理事会では合意をしておるわけでございます。  そうした理事会の合意がありましたが、たまたまこれは政府の方で、畑作物の価格決定をいたしました。そのことについて、決定についての質問を、本日の理事会において、それも質問として本日の委員会に取り上げるという決定をしたわけでありまして、先ほど来お話あったように、委員会をするという前提になっておりますから、政府決定はというふうなこと等、そういう問題があるわけですけれども、我々といたしまして、政府に、本日委員会を開くから、政府決定を待てとか、あるいは決定せよとかというふうなことについては、全く政府に対してそういうことは申し上げておりません。全く独自に、別に動いてきた形になっておるというふうに思っております。
  185. 神田厚

    ○神田委員 この問題は、当時、理事会には農林省の責任者も同席をしていたわけでありますから、この委員会趣旨ということについては十二分に理解をしていたはずだと思うのであります。したがって、それにもかかわらず、こういうふうな形で政策価格決定をされた後に委員会を開催するということは、今まで私の記憶では多分なかった委員会の運営だと思うのであります。したがいまして、本日はこのような形になっておりますからこれ以上のことは言いませんけれども、今後のこういう形での委員会運営については十二分に農林省側としても配慮をし、国会軽視と思われるような形のことにならないように、十二分に注意をしていただきたいと思うのであります。  そこで、もう既に政策価格決定されましたので、これからの問題としまして全体的な構造対策その他のことについて質問をさせていただきたいと思うのであります。  まず最初に大豆の対策の問題でありますが、大豆の値段を、昭和六十二年産を基準輸入価格と比較した場合、国内基準価格一万五千九百三十五円、輸入価格はおおむね二千二百七十一円と、約七倍もの開きがあります。また、六十一年産の交付金額は一万四千五十円と、財政負担率が八三%にも達している。これは米や小麦をはるかに上回るものとなっており、加えて交付金額は、六十一年産三百九・七億円、六十二年産はそれを上回ることが予想されるわけでありますが、今後このような財政負担の増大にどのように対処をしていくのかお聞かせをいただきたいのであります。
  186. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいま先生からお話のございました内外価格差の状況は、御指摘のとおりでございます。  私ども大豆につきましては、我が国国民食生活の上でもまた水田農業の面でも、また畑作専業地帯におきます輪作体系という面でも非常に重要な役割を果たしているというふうに考えているわけでございますが、御指摘のように財政負担への依存という姿が非常に高いというのが残念ながら実情でございます。  やはり基本的な問題といたしましては、生産性の向上がおくれているというふうに考えている次第でございまして、それも特に地域によって、経営によって非常に差が大きいという問題があるわけでございます。優良事例等のデータを分析いたしましても、単収の面でも、また労働時間あるいはそういうものの相場として出てまいります費用合計という面でも非常に大きな差がございます。  そういったことから、私ども全体に生産性向上を進めていくという努力を通じましてこの大事な制度を守り、また財政への過度の依存というものから改善を図っていくという努力を着実に進めていくことが、大豆の重要な位置づけにかんがみまして非常に大切であろうというふうに思っている次第でございます。
  187. 神田厚

    ○神田委員 水田農業確立対策の中で転作作物として大豆を奨励しておりますが、さきに述べましたように大豆の財政負担率が八三%にもなっている。このことは、今後さらに交付金額がふえることが予想されるわけでありまして、交付金額の増加を抑えるとすれば、基準価格を圧縮することになるわけであります。  本日のこの決定によりましても、前年度に比べまして約九百円弱の基準価格の値下げが決定されているわけでありますから、こういう将来価格が下がるという農作物を農家に普及拡大しようといっても、非常に無理が出てくるというふうな感じがするわけであります。そういう意味では、大豆をつくっている農民の皆さんも将来的な不安を持つのではないかと思いますが、こういう点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  188. 吉國隆

    吉國政府委員 水田農業に特に関連をしてお尋ねであったかと思いますが、水田農業確立対策の推進の面におきましても集団化、団地化の促進という要素を取り入れてやってまいっております。  水田で大豆をつくる場合、水の浸透というような問題もございますし、何よりも収穫等の機械化によりまして、やはり規模のメリットというものを発揮しながら生産をしていかないとなかなかうまくいかないという作物であると思っております。また、生産技術も伝統的なあぜ大豆というようなものから一変をいたしておりまして、品種も変わってまいっておりますし、栽培法も違ってきているという状況でございますので、そういった基本技術の励行というようなことを普及をさせていくということも重要な課題であると思っております。  値段が下がっていくという事実があるわけでございますが、生産性向上の余地が非常に大きい作物であるだけに、そういった努力を各地でやっていただきながら、望ましい大豆生産の姿というものに次第に近づけていくという努力を積み重ねてまいりたいというふうに私ども思っている次第でございます。
  189. 神田厚

    ○神田委員 大豆の一戸当たり収穫面積は日本の場合七アールであります。土地利用型作物である大豆の国際競争力というものをどういうふうに培っていくのかということは非常に大きな問題でもあります。そういう意味では、農家としてはまた何%のコスト低減を目標に努力をしたらいいのかということも、これは具体的に方向を示していただかなければならないと思うのでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  190. 吉國隆

    吉國政府委員 中長期的な生産コストの低減目標というか経営の指標を示すことがむしろ農家のために親切と申しますか、今後の誘導の方向を明らかにするということが農家の取り組みの上で大切なのではないかという御指摘でございます。  近年そういった御指摘も、大豆に限らずいろいろな作物について御指摘がふえているように感じている次第でございます。米麦につきましても同様な議論がございまして、これにつきましては今、農林水産省の中におきましてそういったものを設定すべく検討過程に入っております。大豆につきましても、土地利用型作物の一つとしてそういったことをやってはということは一つの有力な御議論であろうというふうに考えている次第でございます。何さま現状のばらつきが非常に大きいものでありますだけに、技術的にはなかなか困難な問題も含んでいようかというふうに思っておりますが、御指摘の点についてどういった対応ができるかにつきましては私どもよく勉強をしてまいりたいというふうに思っております。
  191. 神田厚

    ○神田委員 先ほどのことにも関連しますが、政府は自立し得る農家の育成ということを常に言っているわけでありますが、結局土地利用型作物の導入と構造改善を中心に水田農業確立対策を提唱しているわけであります。自立し得る農家とは農業所得で生計を営むことのできる農家を少なくとも指すものと考えておりますが、しかるに米の転作として小麦、大豆を推進し、日本の平均的農家、現在約一・二ヘクタールと言われておりますけれども、これが米、麦、大豆等によって果たして生計を維持していけるのかどうか。こういう内外価格差の大きいものを主として拡大していることは、将来的に価格が下がっていくというようなことから考えると非常に問題がある。農家の所得の補償をどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思うのであります。
  192. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいまの御指摘は、日本の農業生産なり土地利用の組み立てをどういう物の考え方でやっていくかというまさに農政の基本に触れる問題であるというふうに拝聴いたしたわけでございます。  大臣からも先ほどお話ございましたように、今新しい長期見通しの検討を農政審議会においても進めていただいている段階になっているわけでございますが、土地利用型作物は我が国においては条件的に国際比較としてはハンディキャップがあるということは一面においてそのとおりでございますが、一方におきまして、さなきだに乏しい耕地でございますので、これを全体をいかに有効に活用していくかということも当然頭に置く必要があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  我が国の得意な、土地を余り必要としない集約的な農業では国際的に競争力で負けないものも数多く育っているわけでございますが、そういうものを需要の限りで積み重ねてみても農地の有効利用が図れない。有効利用を図らないということは、やはり食糧の長期的な供給体制という面から問題が生ずるのではないか。この点についてもコストとの兼ね合いで、どの辺で物を考えたらいいのかということも非常に難しい問題であるというふうに思っておりますが、私どもの政策の方向としては、先生よく御承知のとおり、確かに一戸当たりの耕地規模は小さいわけでございますけれども、最近の労働力事情の変化なりあるいは農業技術の発展、特に機械化技術の発展に応じまして、そういった機械化技術にマッチした実質の規模の拡大、これは権利の移転のみならず生産組織、作業受委託、そういったものの推進によりまして作業単位、生産単位を拡大していくという形を通じても効果があらわれてまいりますので、そういったものを推進をしていくということだけで相当程度なコストダウンが可能であると考えているわけでございます。そういったものを中心にいたしまして、今後も生産性向上を図りつつ農地の有効利用にできるだけ努力をしていくことが必要ではないかというふうに思っている次第でございます。
  193. 神田厚

    ○神田委員 この大豆の基準価格が下がっていますが、その下がった根拠と理由について、そのポイントを説明してください。
  194. 吉國隆

    吉國政府委員 大豆の価格算定の基本的な考え方につきましては、大臣からもけさほど来御答弁がございましたが、法律規定に基づいて算定を行うわけでございますけれども、大豆をめぐります厳しい事情、これについては先生からもいろいろお話があったわけでございますが、また生産性の向上なり品質の改善、畑作物相互間の価格関係、こういうことに配慮して算定をしたということでございます。  具体的な算定方法の問題といたしましては生産費に基づく算定という考え方に昨年の法改正で切りかわっているわけでございます。生産費にも連続性等の面でまだ問題があるという状況もございますし、また先ほど申しましたように生産の格差が非常に大きいという状況の中で、どこをつかまえて生産費を算定したらいいのかという問題についても、実は幅広い議論があり得たしあったわけでございますが、私どもとしてはやはり現実の生産性向上のテンポというものをにらみ合わせて算定をしていく必要があるという見地に立ちまして算定を行ったという経過になっている次第でございます。
  195. 神田厚

    ○神田委員 甘味資源作物でありますが、まず、昭和六十一年より導入されたてん菜の糖分取引対策費、これが本年度やはり値下がりをしております。産地からは、ぜひとも昨年同様同額において継続してほしいという要望が強かったのでありますが、これがこういうことになった理由について御説明いただきたいと思います。
  196. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 糖分取引対策費についてでございますが、二年目を過ぎまして、六十三年産につきましては三年目ということになるわけでございます。二年の経過を見てみますと、ある程度糖分取引が定着をし始めておるというように評価をできるかと思うわけでございます。地元と申しますか、関係地域の方々からは、ぜひこれをまだ継続すべきであるという強い御要求があったわけでございますけれども、片や財政当局は、もうこれは定着したんだからいいのではないかということで、この糖分取引対策費自身をどうするかということが大きな議論になったところでございます。結果といたしましてこれが存続ということになったわけでございますが、その定着の度合いといいますか、ある程度定着したというようなことを勘案しつつ、百四十円の減額ということに結果としてなったというように御理解いただければありがたいと思うわけでございます。
  197. 神田厚

    ○神田委員 サトウキビその他の問題もございますが、いずれにしてもすべて引き下げというような状況で、まことに私としましては大変遺憾であります。  時間の関係で余り詳しく質問ができませんけれども、今糖価問題で、特に食品工業からは糖価の高さが指摘をされているような面がありますが、これらの問題と、さらに、糖価安定法について今後どういうふうにするのか、考え方をこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  198. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 御承知のように、砂糖の需要の四分の三は食品工業において使われております。したがいまして、食品工業にとりましては砂糖というのは非常に大きな原料の一部であります。円高等もありまして製品輸入が多くなってまいっておるというようなこともありまして、食品工業におきましては、この砂糖の価格が高いのではないかという声が非常に強くて、その引き下げ方等についての要望が強くあるわけでございます。私たちといたしましては、このような大きな需要先であります食品工業の声にも十分耳をかさなければならないということでありますとともに、もともとやはり実需者あるいは消費者の納得の得られる価格ということで砂糖につきましても供給する方向というのが正しい方向ということでございまして、したがいまして、できるだけ納得の得られるような価格で今後とも砂糖が供給することができるように、コストの引き下げ等につきまして生産者あるいは精糖メーカーの努力をお願い申し上げているところでございます。  それから、砂糖につきましてございます価格安定制度でございますけれども、先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、砂糖の原料でありますてん菜だとかサトウキビ、それぞれの地域におきまして重要な地位を占める作目でありまして、その安定的な生産を確保する必要があることは言うまでもございません。しかし、これらの作目からつくられます砂糖は、残念ながらコストが非常に高いわけでございまして、これにつきまして国庫からの交付金輸入糖から徴収いたします調整金をもちまして価格支持を行っておるところでございます。このように原料作物の安定生産を確保し、そして、具体的にはその価格支持をするという、こういうような糖価安定制度でございますので、今後とも私たちといたしましてこれを堅持してまいらなければならないというように考えておる次第でございます。
  199. 神田厚

    ○神田委員 次にでん粉問題ですが、国産でん粉用のカンショやバレイショの生産は、抱き合わせの比率が六十六年度に一対九になり、約四千ヘクタール分の国産でん粉が不用となる、こういうふうに見通しが立てられておりますが、こういうことに関しまして農家の所得補償はどのように確保されるのか、その考え方をお聞かせをいただきたい。  さらに、バレイショシストセンチュウの防除体系の確立を求める声が非常に大きいのでありますが、この対策についてお答えをいただきたい。  二点お願いを申し上げます。
  200. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 でん粉につきましては、アメリカとの交渉等について経緯を先般来御説明させてもらっているわけでございますけれども、TQ制度は守ったということでございますが、運用改善ということになったわけでございます。そのような約束を果たしてまいります場合に、もともと現在でん粉につきましては過剰の傾向がありますことから、計画的生産お願いをしておるところでございまして、それをより一層進める必要があるというようにも思っておるわけでございます。ただ、それがために芋の生産面積を直ちに減反するといったようなことはなかなか難しい話であろうかと考えておりまして、できればでん粉用に回さずに生食用にするとかでん粉以外の加工用に向けるとかといったような方向で、作付をしながら用途を転換していく、しかも、それを自主的な動きの中で行っていくことが必要なのではないかというように考えておるわけでございまして、そのようなことが推進される過程におきましては、農家の所得の確保ということは十分実現できるものではないかというように考えておる次第でございます。
  201. 神田厚

    ○神田委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、このように大豆、サトウキビ、てん菜、芋、でん粉、すべての品目が内外価格差の問題に直面しております。一方、食品加工業界や消費者の方からはそのことによってかなり批判をされている、生産農家が将来に向かってそういう意味で大変不安を持っているという状況であります。政府は、こういう時期に今こそこの畑作物の生産問題に対し、農業的立場から生産農家に対してビジョンを示して、これらの農家に対して納得をしてもらうような、見通しのあるビジョンを示す必要があると思うのでありますが、これらについて大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。
  202. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 バレイショ、てん菜、サトウキビ、大豆等畑作物は、合理的輪作体系を構成し、あるいは、地力の維持増進を図るため、重要な作物であると認識いたしております。我が国の畑作農業は、北海道の一部を除いては生産規模が零細であり、生産性は低い状況にあることに加えて、最近では、先ほども話が出ておりますように、大幅な円高により内外価格差というものが拡大をしておる、これも現実の問題であります。このような厳しい情勢の中にあって、今後の畑作農業を切り開いていくには、これら作物についての長期展望をやはりおっしゃるように明らかにしなければならぬと思っております。合理的な輪作体系の確立、栽培技術の向上等を図るとともに規模拡大、生産の集団化等により徹底したコストダウンを推進することが必要だと考えております。特に、生産の集団化という点につきましては、権利移動、所有権と利用権の関係生産者におかれても十二分に理解をしていただけるようさらに指導の徹底に努めていくとか、あるいは長期展望にいたしましても、これも先ほど話が出ておりますように農政審議会で小委員会をつくっていただきまして、そして専門家に集まっていただいて、年内にと私も願いを込めておりましたけれども、今日の状況を見ますと、やはり年は明けて来年のことになるようでございます。  そういう中にあって長期需給見通しというものを、ただいま現在の時点に立って長期見通し、こういう見通しを誤ると、政策の継続性あるいは他産業との整合性等々また遺憾な点が出てくるわけでございますから、そういう意味において長期の需給見通しというものを来年はどうしてもひとつ答えを出していただいて、それを参考にしてまた政策決定を進めていく、特に畑作についてはそのことがいよいよ必要である、こう思っておるところでございます。
  203. 神田厚

    ○神田委員 最後に、先ほども申しましたが、今回の決定は、これはすべて引き下げですね。引き下げを決定しておいて、この引き下げ決定について委員会でいろいろ意見を述べろと言われましても、これはこの次の、来年の一つの価格決定の参考に我々今やっているわけでありますが、こういうことはまさに本末転倒でありまして、やはり好ましくない。昨年が大変引き下がって、ことしも引き下げがあったら困るという生産農家の声があったからことしは開こう、しかもこの問題に限って審議をしようということであったわけでありますから、これはやはり政府の方に十二分にこの点について今後の取り扱い、今後のこのやり方については、これはしっかりと頭の中に入れておいていただかなければいけないと思いますが、最後に一言答弁をいただいて、終わります。
  204. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど冒頭に委員会の運営ということに触れておっしゃいました。私にそのことについての質問がなかったわけでございますが、今改めて私に対しての御意見でございます。申されたことを私も深く心にとめておきたいと思っております。何か一生懸命徹夜までしてやって、その結果がまたこういうことになる、しかしそれにしてもちぐはぐなことだなと私は率直に申し上げて、済まないなという気持ちはございますけれども、決して軽視をするということで、そんなの国会の農水の委員会の議論なんかどうでもいいわいと思ってやったことではないということだけは、ひとつ御理解を賜りたい、重々注意をいたしてまいりたいと思っております。
  205. 菊池福治郎

    菊池委員長 藤原房雄君。
  206. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 母船式のサケ・マスの危機的な状況の中で、北洋の問題を中心としましてきょう決起大会がございまして、そちらの方に行っておりまして時間がおくれましてまことに申しわけございません。  きょうは畑作物ということですから、そのことについて御質疑するわけでは決してございませんが、船主の方、乗組員の方、また家族の方、それぞれ非常に悲痛な叫びを訴えておりまして、今日まで祖父が築きました伝統あるサケ・マス、北洋から大きく後退をしなければならぬ、後退どころか最も友好国と言われているアメリカ、そしてまたソ連との交渉、こういうことで非常に危機的状況にある、漁業外交を強力に進めてもらいたいということを中心としまして何点かについての決議があったようでございます。それらのことについても、大臣農業、漁業どちらを向きましても非常に大事なときでございますが、ひとつ全生命力を打ち込んで取り組んでいただきたい、このように冒頭に申し上げておきたいと思います。  同僚委員からも数々お話があったと思うのでありますが、大臣もいち早く東北の冷害の問題については現地に参りまして、つぶさにごらんになったようでございました。心から敬意を表するものでございます。そこでも現場的にはいろいろお話があったろうと思いますが、私ども党といたしましても現地へ参りまして、宮城県、岩手県それぞれ回りました。これらにつきましての天災融資法を初めとします諸問題について、本会議でも我が武田議員からお話がございました。きょうの質疑の中でも、これは農林省で決めることではございませんので国土庁、庁議で決定するということだろうと思います。できるだけ早くにこの対策を、天災融資法を初めとします諸対策、それから明年への再生産の諸準備、これらのことにつきまして本会議、またきょうの委員会でもるるお話があったろうと思いますが、総括して大臣からお話を賜りたいと思います。
  207. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 改めて、被害を受けられた皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。  今お話しの災害は、六十三年八月九日から三十一日までの豪雨にかかわる農地、農業用施設関係激甚災害法第五条関係についてだろうと思います。けさほども私から発言をいたしておりますが、十月十四日、既に中央防災会議適用が了承されております。来週中には公布をいたしたいということで、一連の次官会議、閣議等を予定いたしておるところでございまして、重ねて申し上げますが、来週中には公布をいたしたい、こう考えております。
  208. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 今お話申し上げたのは東北を中心とします冷害、これに対する救済策でありますが、どうもその陰に隠れてといいますか北海道で極地的に、地域的に集中豪雨があったわけでありまして、八月の末に北海道で集中豪雨がございました。空知、美唄を初め沼田、それから留萌、こういうところで大変な被害を受けたわけであります。大きな、五十五年に匹敵するといいますか、五十五年を超える大変な被害東北でございました。その陰に隠れて忘れてはならない大事なこととして申し上げているわけでありますが、きょう同僚委員からも北海道の十勝方面、非常に長雨が続いたということでのお話がございましたが、空知方面も八月の末に集中豪雨がございまして、四百ミリを超えるような大変な雨でございました。五十六年の災害のときに石狩川がかさ上げになりましたので、石狩川がはんらんするというような大きなことには至りませんでしたけれども、中小河川といいますか奥地の方の河川、それから石狩川につながるこういうところで被害がございました。これは農作物はもちろんでありますが、農業被害北海道で現在調べたところではおよそ百三十億と言われておるわけであります。これはもう早速取りかかりませんと、明年の農作業に、また明年はどういう気候になるか、こういうこと等もあわせまして早急にひとつ対策を講じていただきたい。これは天災融資法というよりも激甚災害ということになるのだろうと思うのでありますが、この問題についてはちょっと今大臣からもにおいがしたようでありますけれども、この対策についてぜひひとつお聞きしておきたいと思います。
  209. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 どうも済みません。いろいろな災害があって、大変御無礼をいたしました。申しわけございません。藤原委員が質問されるとすぐ北海道のことが頭にありまして、まことに申しわけありません。  異常気象災害にかかわる部分については、一口に申し上げまして、十一月中には何とかなるのではないか。私自身現地視察を第一回目にしたとき以来、なるべく早目にひとつ天災融資法適用、それから激甚法地域指定、これを早々にやらなければならぬと自分は思っておるということを申し上げてきたところでございますけれども、特に天災融資法部分等についての融資の関連ということになりますと、また、お忙しい地方行政に携わっている方々からの数字が上がってきませんとこれはなかなか容易ではないということで、関係知事さん方にもお願いを申し上げ、あらゆる機関に今お願いを申し上げ、一日も早くひとつその数字を上げていただきたい、それによって、また早目にひとつ適用もいたしたい、こう申し上げておるところで、ございます。  北海道長雨等についての問題は先ほど申し上げたとおり激甚法第五条にかかわることだろうということで、先ほど申し上げたとおり来週中にはということで運んでおるところでございます。
  210. 松山光治

    ○松山政府委員 八月下旬の集中豪雨によります農地、農業用施設の復旧の問題でございますが、私どもの方といたしましては、直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、応急工事の着手等を指導いたしますとともに、現在鋭意査定を急いでおるところでございます。御指摘のありましたように、営農に支障が生じないようにできるだけ早く復旧に努めたい、このように考えておる次第でございます。
  211. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 あちこちに災害があるのでちょっと混乱しているみたいですが、確認しますけれども、東北を中心とします低温によります被害につきましては十一月いっぱいぐらいまでにいろいろな問題については検討した上、結論は天災融資法ということで検討なさるという、それから北海道の十勝を初めとします長雨、それから北海道の空知地方に八月の末に四百ミリを超える大変な雨があったわけでありますが、これは同じような現象として、今お話しのような激甚災の中で見よう、こういうことですか。局長で結構です。
  212. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 もう一度間違いのないように申し上げておきますけれども、豪雨の方が激甚法の五条関係、そして異常気象の方は長雨の部分と一緒、こういうことで天災融資法適用を十一月中には何とかやりたいものだ、それで数字を今上げてもらいつつある、こういうことです。  その天災融資法にいたしましても、激甚地の地域指定をあわせて行わないといけないと思っております。ただ、激甚法絡みの話になりますと、その窓口は国土庁でございますので、適宜私どもの方から国土庁にデータを送りまして、そして内閣としてその後の指定を決めたい、こういうことでございます。
  213. 松山光治

    ○松山政府委員 大臣からお話のございました、来週中に激甚災指定をというのは、先生御指摘のございました八月下旬の北海道等における集中豪雨の農地なり農業用施設の災害復旧にかかわる問題でございます。
  214. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 さて、さっきも申し上げたのですが、五十六年に石狩川が横溢する大変な雨が降ったわけでございますが、そのときにいろいろな議論がございまして、かさ上げをするということで工事が進みました。そういう点では危機一髪というところもありましたが大事には至らなかったのでありますが、それに流入する河川、それから揚水場の揚水の容量とかこういうものを今逐次改革しつつあるのですけれども、全部が全部できたわけじゃございません。私が参りました美唄の中村という部落があるのですが、そこなんかを見ますと、揚水の容量が足りないために冠水しておる。こういうところがございまして、これは一遍にやるということは大変なお金のかかることであるのですが、主要なところから順次対策は進めていかなければならぬじゃないか。  それからもう一つは、非常に減反をしておりますので、本来全部水田ですと大体そのくらいの水はのみ込むだけの容量はあるのですけれども、減反しているために結局湛水力がない。これはもう山の木を切るとか舗道になるとか、そういうこと等も全部総合的にあるわけでありますけれども、この石狩川があふれたときにもそういう百年に一遍とかいろいろなことを言われておりますが、社会の大きな変化の中でやはり現時点ではもっと容量を大きくしなければならないんじゃないかという大きな議論になったのですが、それと同じことが言えると思うのです。ですから、排水路の整備、それから揚水しているところについては揚水の容量、こういうところについてもかつての計算で十分かということで、かつてというのは何年前かということもあるかもしれませんが、減反がずっと続いて、北海道の場合は四八%、五割からの減反をしておるということになりますと、今までのみ込んでいた水がのみ込めない、こんなこともその要素の中の一つとしてある。確かに集中的な、局地的には四百ミリを超えるような、雨量が多かったということも一つはあるのです。しかし、それだけではなくて、いろいろな要素がかみ合わさっておるのですけれども、一つには揚水ポンプの容量を大きくしなければならないというところも各地にありまして、これは地元でいろいろ御検討なさっていらっしゃることだと思うのです。こういう問題についての積極的な取り組みといいますか、こういうものをいたしませんと大変大きな災害につながる可能性がある、私どもはそのように思うわけであります。これらのことについていろいろな報告を受けていらっしゃると思いますし、また現在検討していらっしゃるのじゃないかと思いますが、どうなんでしょう。
  215. 松山光治

    ○松山政府委員 かんがい排水事業の実施に当たりましては、一定基準に基づいて、それも一定の安全度を見込んだ事業の実施を行っておるところではございますけれども、委員御指摘のように昨今の気象変動はかなり激しいものもございますし、かつまた社会経済情勢の変化ということもあろうかと思います。そういう意味ではこれからも事情の変化をよくにらみながら、かつまた地元の意向にも十分耳を傾けつつ適切な対応を図っていく必要があろうか、このように考えておる次第でございます。
  216. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 旧美唄川とがそれぞれの水系がいろいろございまして、原形復旧じゃなくて改良復旧という形でぜひこれは進めていただきたいし、それから時代の大きな変化の中で最近は災害は深化すると言われていますが、同じところに同じような形じゃなくて、社会の大きな変革の中でいろいろな形で対応策を考えておかなければならないことだろうと思います。同じところで同じ災害を繰り返すということほど愚かなことはないといいますか知恵のなさはないと思います。  そういうことで、同じようにちょっと雨量が多いとすぐ問題になります、冠水する石狩川沿いのところにつきましては、ひとつ十分に御検討いただきたい。特に先ほど申し上げた石狩川中流左岸地域の内水の排除事業、これらのものにつきましては毎年雨の多いときには被害を被っておるということで、ひとつ早急な対策を講じていただきたいと思います。減反がこんな形であらわれるのかというモデルみたいな姿で私は見ました。  もう一つは、土地改良区の水門があるのですが、これはだれの責任で、どういうことになっておるのかよくわかりませんけれども、これがあかなかったために地域の田畑が冠水をするということがございまして、本当にきょうも同僚委員からいろいろな角度からお話があったと思いますが、今日まで農業に一生懸命いそしんでおりました方々、それなりのプライドを持ち、食糧生産という一つの使命感の上に立ってやっておったと思うのでありますけれども、こういうように追い詰められるような形になってまいりますと、そういう意欲や使命感というものもだんだん失われてきてしまうのではないか。そういうことが決してあってはならぬ。  そういうことで、先ほど申し上げましたような被害を受けましたところについて、また雨量がちょっと多いといつも冠水するような、同じような被害を受けるような地域につきましては、ひとつ早急な対策を講じていただきたい、このように思う次第でありますが、いかがでしょう。御答弁をいただきます。
  217. 松山光治

    ○松山政府委員 全体といたしまして、再度災害の防止という点には十分留意していく必要があろう、このように考えておりますが、同時にまた石狩川中流左岸の問題につきましては、現在全体実施設計を実施中でございまして、適切な対応を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  218. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 さて、畑作物の価格決定という重大なときが参りまして、昨日参議院で委員会があって、十九日は衆議院ということであったのでありますが、これは審議会とか法的な裏づけということではないのかもしれませんけれども、やはり委員会でのそれぞれの立場の意見を聞くということも価格決定の上においては重要な意味をなすのではないかと思うのでありますが、委員長価格決定の日付は大体いつごろかということも勘案なさって委員会の設定をなさったのではないかというふうに思うのであります。理事会でいろいろ御協議なさったのだろうと思いますが、当委員会を開く前に決定しているということについてはちょっと今までに例のないことだなという感じがするのですけれども、委員長はどういうふうにお考えなのですか。
  219. 菊池福治郎

    菊池委員長 先ほども申し上げましたように、理事会でもいろいろ協議はしたのですが、その日程を決めました。本日も理事会を開いて全体の合意を得たわけでありますが、政府が何日に決定するというふうなそれぞれの情報というものがあったのだろうと思いますが、的確には何日にどういうふうに決まるということは我々としては十分に承知しておらないわけで、また政府に対しても委員会として委員会を開く前に決めてはいかぬとか、あるいはその後にしろとかその前にしろとかいうようなことはもちろん申し上げる立場でもありません。それぞれ独自にこれは進行していったことでありますが、結果的には十分ではない、余り好ましい形ではないというふうに思っておりまして、本来であれば価格決定の前に委員会が開かれて、そこで十分論議をされて、そういったものも反映をして、そして政府決定するということが一番形としては望ましい形ではないかというふうに私自身は思いますけれども、今回の場合はそういうふうに独自にそれぞれ計画というか作業が進められてきておりまして、前回の理事会においてその点を特に発言というのはありませんでした。委員会の開会の前に決まったらどうなるのだとか、それはうまくないのじゃないかとか、それをよく調べてから開けとかというふうな御意見はなかったと思いますけれども、委員会を開くのでありますから、その後に決定された方が形としては望ましいというふうに思います。
  220. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 委員長の真意もわからないわけではございませんが、結果的にはそういうことになったので、同じ轍を踏まないようにひとつ今後の運営に——今後の運営といったって来年まで委員長をやっておるかどうかわかりませんけれども、しかとひとつ申し送りか何かしていただくようお願いいたします。
  221. 菊池福治郎

    菊池委員長 しかと承知しました。
  222. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 私ども畑作物の価格の問題につきましては農林水産部会長の水谷さんを中心にしまして申し入れをいたしたところでございまして、非常に厳しい現下の諸情勢の中で再生産をできるようにということで、それぞれの作物についての問題については御提起を申し上げたところでございますが、残念ながらそれぞれ引き下げになっておりまして、引き下げ幅も決して小幅という、小さいということではない、このように思う次第であります。  きょうは時間もございませんから一つ一つ申し上げることはできませんのであれですが、てん菜についての糖分取引対策費はちょっと減額になりました。これは大分なれたろうとか、いろいろな同僚委員に対する答弁がございましたが、これは現場的には非常に大事な要素なので、これは定着をするといいましても一年に一遍しかとれない作物の中でのことでありますから、何度か経験した中で、そういうものの経験を積んで物事をするならいざ知らず、一年に一遍、また品種を改良してより糖度の高いものということが言われておりますが、これもまた十年、二十年かかっていいものができるかできないかという中でのことでありますから、糖分取引対策費というものは、もう定着したのだというように安易におとりにならないように今後も十分にひとつ気配りをしていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。  それから、大豆につきましては、最近の作付指標から見まして随分少なくなっておる。これは等級間格差が非常に大きく開き過ぎておりまして、北海道におきましては、北海道生産する者が非常に不利な立場に立つ、こういうことで、もう大豆をつくってもしようがない、今までは大豆しかなかったのですけれども、大豆をつくってもしようがないという、特に刈り取りを初めとします機械化、これがなかなかできていない。手間がかかって、しかも価格がぐっと落ちる、こういうことでことしは畑作産品、これは輪作体系の中ですからそれを削るなんていうことは本当に大変なことなんですけれども、実際に働いても働いただけの報酬にならぬ、こういうことでことしは随分減反、作付面積が減っておる、こういう現状をよく御存じだと思うのであります。やはりこういう銘柄間格差を急激にいたしますと、せっかく努力しつつと思いながらもそれを避けざるを得ないということになってしまう。こういうことについては農林省はどのようにお考えになっていらっしゃいますか、この大豆。
  223. 吉國隆

    吉國政府委員 大豆の価格決定に関連しまして、等級間格差につきまして北海道生産者を初め心配する声があったのは事実でございます。等級間格差は、昨年法改正をさせていただきまして、そこで導入する方向が決まったわけでございます。それで昨年、六十二年産の価格から導入をされたところでございます。  これは先生も御承知のとおり、等級の違いによりまして整粒歩合の差がございます。この整粒歩合の差によります理論的な価値差に着目をして設定をしたわけでございますが、導入初年目であるということで、この価値差の全部を格差に反映させるということをやりませんで、価値差とはまた小さい格差になっているという状況でございます。この長期的な方向としてはこれの拡大という問題があるわけでございますけれども、昨年初めて導入されて今年度が二年目であるということから、種々調整の結果、引き続いてことし格差を拡大するということは避けようということで決定をさせていただいた次第でございます。  なお、北海道の大豆生産の面積が減っている事情についていろいろお話がございました。生産面積がこの二年間減ったことは私どももよく承知をいたしております。ただ、その前の二年間は非常に面積がふえたわけでございまして、これはいろいろな要素もあろうかと思いますが、北海道の大豆作はまだ単収が年次変動が激しいという問題がございます。私ども、育種的な問題も含めましてこれの解決を目指しているわけでございますけれども、五十九、六十と単収が非常に高かったのを受けまして、六十、六十一は面積が非常に伸びた、六十一、六十二は単収が低かったということ、どちらかといえば低かったということで、また雑豆とか一部麦に移行した、こういったような出入りがあるわけでございます。  なお、畑作大豆の収穫段階の機械化の問題につきまして、機械化の開発は一応行われているわけでございますが、なお収穫段階の機械化を円滑に進める上で若干の問題が残っているということは私どもも認識をいたしておりまして、これも近々解決されるのではないかと期待をしながら研究の推進にも取り組んでいるところでございます。  そういった状況を改善、解決をしていきながら、長期的にはやはり生産性向上、コストダウンということに努めていく必要がある、また、そういうことを通じまして財政負担に非常に依存している今の大豆生産の姿というものを次第に改善をしていく必要があるというふうに考えておるところでございますので、御理解をちょうだいしたいと思う次第でございます。
  224. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 個々の問題についてもいろいろ申し述べたいと思うのですが、時間もございませんから、あと一、二問にしたいと思います。  過日の申し入れのときにも申し上げましたし、個々の価格決定に当たりましてもいろいろな要素が加味されて価格決定をなさったと思うのでありますが、国際競争力に打ちかつとか、今の日本の農業が国際化の中で生き延びていくためには、やはりいろいろな施策をしなければならぬ。何項目があるだろうと思いますが、生産費を低減するとか単収を増大するとか品質を向上させるとか合理的な作付体系とか流通コストを低減するとか、いろいろなことがあるだろうと思うのであります。そういう中で、農家の方々が一番望んでおることはやはり生産費の低減ということであって、農業生産資材というものが円高の恩恵に浴していないということが非常に言われております。  我々もいろいろな資料もございまして、一つ一つ申し上げたいところでありますが、その時間もございません。確かにえさのように円高メリットのあるところもございます。それから、国際競争力といいますと、今日どんどん円が高くなっているという状況の中で、どの時点で国際競争力と言うのかという問題もございます。いずれにしましても円高の還元ということが、これは当然農業団体、それぞれの立場の方々が努力をしなければならぬことでもありますし、それから行政官庁として特にそういう問題について御関心を払っていただいて、問題のあるときには行政指導、これはどちらかというと農林省というより通産省なのかもしれませんが、農林省、通産省それぞれで農業生産資材の価格を引き下げるということに対する努力、農林省としまして農業を守るという立場からしますと、やはりこの努力は国際化に対応する一つの大きな仕事ではないか。仕事といいますか大事な要素ではないか、こう思うのであります。  今日までも農林省がいろいろ数字的にははじき出して、こうですという実態は把握しているのかもしれませんが、具体的にこれだけ円高になっておる中で適切と見るのか。こういう非常に動いておる中での議論は別としましても、やはり農民に還元のできる要素があるかないかということに対して絶えず気を配っていく必要があろうかと思いますし、そういうことはしているだろうと私どもは思っておるのですけれども、現実どうなっておるのか。この農業生産資材の価格引き下げということについて農林省の現在の取り組みと、また通産省との話し合い、こういうことはどうなっておるかということ。  もう一つは、単収の増大とか品質向上とかいうことになりますと、やはり研究開発ということが非常に大事なことになってきます。これもいろいろ資料がありまして、いろいろ申し述べたいことがあるのですけれども、これらのことについて、やはり農業振興しようということの上に立ちますと、生産者にとって、農家経済にとって非常に重要なことでありまして、負債整理はもちろんのこと、これらのことにつきましてもやはり最大の努力を払ってもらわなければいかぬと思うのですが、これらのことについてお伺いしておきたいと思います。
  225. 吉國隆

    吉國政府委員 農業資材価格また資材費の節減という問題が、こういった厳しい農業情勢のもとでますます重要になってくるという御指摘でございます。私どもも、そのとおりに考えている次第でございます。  肥料なり農薬なり農業機械、それぞれ円高というようなものは還元されているのかというお尋ねでございますが、肥料につきましては、六十一年度には一一・四%の引き下げ、六十二年度も引き続きまして五・六%の引き下げということになっておりますし、農薬につきましても、六十二年度二.二五%の引き下げ、六十三年度二・三四%の引き下げ、また農業機械につきましては、六十二年度外国産トラクター1につきまして五%の引き下げ、また一定の安全フレームを装着したトラクターにつきまして一%ないし三・四%の引き下げ、六十三年度におきましては外国産トラクターについて四・一%の引き下げ、こういった実態になっているわけでございます。  これで十分と思っているかというお尋ねでございますが、私ども、さらにメーカーサイドに対してはいろいろと合理化の要請を通産省とも連携しながら行ってまいっておりますし、またこういった農業資材につきましては利用面からも、特に農業機械の問題につきましては、規模拡大なり集団化の問題とも関連をいたしまして利用面からも節減を図っていくということが特に重要ではないかというふうに思っているわけでございまして、農協の方におきましても、先般、農業機械の購買事業の面で新しいやり方というものを全国組織を通じて意思決定をいたしまして、これは単に農家の注文をとって生産をするということではなくて、提言型の販売と称しておりますけれども、営農指導との組み合わせの上に、どういった機械をどういう利用の仕方で入れていくかということを指導しながら販売をしていくというような方式も決めたところでございます。そういった努力。また機械につきましては、余計な部品を省いたシンプルな機械をつくっていこうという動きがメーカーサイドにも出てまいっておりますし、また私どもも、利用する方々にそういった面についても普及啓蒙していくというようなこともやってまいりたいというふうに考えております。その他、輸入品の活用でございますとかそういったことも含めまして、より低廉な農業資材が安定的に供給される仕組みというものに向かってさらに努力を続けてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  226. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 もうこれで終わりますけれども、農産物価格はどんどん下がる、実際農家の立場に立ちまして、下がる要因は一体何かというこんな素朴な疑問。それが今お話しのように確かに下がっておるものもあります。しかし、全体的に全国的な視野でのはじき出しですから、地域によっていろんな差があるのはやむを得ないといたしましても、やはり農林省としても、農業生産資材の引き下げに対する最大限の御努力をぜひひとつ賜りたい、こう思いますが、大臣から一言いただいて終わりたいと思います。
  227. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 おっしゃられるように、厳しい環境の中てぎりきりの価格政策を進めておりますが、同時に構造政策というものに相当力を入れていかなければならない。あわせて、今おっしゃいますように農業に関する生産資機材、これのなるべくよくて使いやすく安いものが提供されるように、私どもも今まで以上にまた努力を重ね、関係方面を指導していかなければならぬ、かように思っております。御趣旨に沿うよう努力をいたしてまいりたいと思っております。
  228. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 終わります。
  229. 菊池福治郎

    菊池委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会