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1988-10-27 第113回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十七日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 官下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       江藤 隆美君    大村 襄治君       松田 九郎君    宮里 松正君       村井  仁君    谷津 義男君       角屋堅次郎君    安田 修三君       井上 和久君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         総務庁長官官房         長       山田 馨司君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         総務庁行政管理         局行政情報シス         テム参事官   重富吉之助君         総務庁統計局長 田中 宏樹君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      岩渕  静君     ───────────── 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   河本 敏夫君     松田 九郎君   大出  俊君     安田 修三君 同日  辞任         補欠選任   松田 九郎君     河本 敏夫君   安田 修三君     大出  俊君     ───────────── 十月二十六日  犬猫の避妊・去勢等に関する請願大出俊紹介)(第一八九四号)  恩給の改善に関する請願田村良平紹介)(第一九四三号)  人事院勧告早期完全実施に関する請願粟山明君紹介)(第一九八七号) は本委員会に付記された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  行政機関保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律案内閣提出、第百十二回国会閣法第八二号)  統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十二回国会閣法第八三号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  第百十二回国会内閣提出行政機関保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律案、及び統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安田修三君。
  3. 安田修三

    安田委員 それでは、これから本法案につきまして若干当局に質問いたしたいと思います。  まず初めに、今年四月現在で、全国自治体約三千ありますが、そのうち四百三十四自治体個人情報保護に関する条例を定めております。そして、四千三百万人の人々がその条例の網の中に入っているわけでありますが、この数字現状間違いないかどうか。そして、自治体がこのように積極的に取り組んできておるわけでありますが、これに対しまして長官はどのような評価を持っておられるか、まず先にお聞きしたいと思います。
  4. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま安田委員御指摘のように、これは四月一日現在の自治省調べ数字でございますが、全国において四百三十四の自治体が既に何らかの形で個人情報保護条例制定しておるというふうに私ども承知をしておるところであります。  この個人情報保護条例でありますが、規定しておりますところは、私どもが現在御提案申し上げております法案と同様に、個人情報ファイル公示でありますとか、あるいはその内容開示、さらには訂正制度などを盛り込んでおるところであります。自治体によりまして、コンピューター処理されたものだけではなくて、いわゆる手書きのものなどをも含むというような制定をしておるところも中にはございます。それから、都道府県によりましてかなりばらつきがありまして、四月一日現在ですと例えば安田先生の富山県の場合、高岡市一つだけであります。お隣の石川県はゼロというような状況であります。  今回国がこのような法案を成立させていただけますならば、現在都道府県は国の法案待ちというような形のように見受けておりますが、都道府県並びに市町村においても、必ずしも私ども法案に準じてということを考えておるわけではありませんが、恐らくこうした個人情報についての保護制度というものが幅広く取り上げられていくのではないかというふうに期待をしておるところであります。
  5. 安田修三

    安田委員 そこで、国の個人情報の量が、先般来の委員会審議の中の答弁を承っておりますと約十一億八千万件余ということになっております。それで地方自治体の場合は、事務量からしますと大変膨大な情報の量になると思われるわけでありますが、事務的に自治省の方に照会しましてもそれはなかなか掌握し切れていない、こういうお話であります。しかし、このように保護法案が国の方で出され、三千自治体のうち四百三十四の自治体個人情報保護条例をつくっておる、こういう日本全国どこかで網は必ずあるというような現状になってまいりますと、おおよその推定情報量というものなくして国の行政が勤まるわけはない。そういう点では、現在大体どの程度情報量地方自治体にあるかということを皆さん方は既に数値をある程度推測しておられるのじゃなかろうかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  6. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、地方自治体個人情報というのは相当膨大な量に上がると私どもは推定しておりますが、その実数は、自治省承知していないのと同様に私どもも把握していないところでございます。
  7. 安田修三

    安田委員 皆さんの方で時々こういうことが出るわけですが、私は後ほども触れますが、先般も江田五月委員が資料の提出要求をいたしましたところが、二週間ほどかかるというのが、ガラガラポンと二十四時間たたない間に出てくる。徹夜がやられたというのですから大変御苦労だと思いますが、私はまともにそのとおり受け取るわけにはいきません。これだけコンピューター処理の問題を扱って、こういう法案が審議されておる中で、情報量がどの程度か掌握していないなんというのは、今日この世の中でまともに聞き取るわけにはいかないと私は思うのです。この点はまた個別に省庁問題で後ほど少し皆さんにお聞きしたいと思いますが、もしそうであれば、私は、地方自治体に国が関与するということは望ましいことではないが、だが、どのような情報量が現在あるかということを何ら事前準備、調査されていないということになれば、これは怠慢であると言わざるを得ない。そういう点で、そのとおりとは私は思わないけれども、そうであれば怠慢だ、こう指摘しておかなければならないと思います。  さてそこで、地方自治体条例の中で情報収集について、先ほど長官はいろいろと開示請求訂正権の問題等規定されたことを述べておられました。情報収集制限についていろいろな規定の仕方がございますが、自治体でどの程度こういう条項を載せているか、皆さんで掌握しておられる分についてお答えいただきたいと思います。
  8. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  全体の四百三十四自治体のうち、収集規制を何らかの形で設けておられるところは九十六でございまして、全体の二二・一%と承知しております。
  9. 安田修三

    安田委員 それでは、今おっしゃったのは収集規制でございますが、さらに記録規制その他いろいろなものがあるわけでありますが、規制種類として、どういう種類が多いように皆さんの方で掌握しておられるでしょうか。
  10. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  私どもが把握している範囲で申し上げますと、目的による規制それから方法による規制というものが多いと把握しております。
  11. 安田修三

    安田委員 これは収集規制のうちに目的による規制方法による規制データ種類等による規制といろいろあるわけであります。さらに記録規制あるいは、私はいろいろな規制種類ということを言っておるわけでありますが、例えば利用提供別による規制ですとかいろいろなものがありますが、そこら辺は皆さんの方では全部掌握し切れておると思うのですか、どうでしょうか。最新の記録というものはございませんか。
  12. 重富吉之助

    重富政府委員 自治省記録によりますと、記録による規制が全体の九八%、四百二十七、それから利用提供による規制が全体のうち四百十八、九六・三%と承知しております。
  13. 安田修三

    安田委員 そこで、これは皆さんが今度の法案をまとめるに当たって、地方自治体の場合は、皆さんが一番御存じのようにデータ保護について着手したのが随分早いわけでありまして、条例化されてきたのは近年ではございますが、そして毎年毎年ふえておる。国の方がどちらかというと後追いになってきた。そういうような現況の中に立ってそれでは国はどうするか、こういう観点にもちろん立ちながら今度の法案を練られたと私は思うのです。  そこで、こうしたもろもろ制限というのは、今お答えのように、収集規制では九十六自治体、二二・一%、記録規制では四百二十七自治体、九八・四%、それから利用提供規制、こういういろいろな規制が随分出ておりますけれども、とにかく記録保有関係に関するものではこのように大きな規制の網がかかっておるわけであります。こうした状況をにらみながら、それでは一体、地方自治体行政運営はどのような支障があったかどうか、あるいは混乱があったかどうかということを皆さんの場合には考察しながら国の行政にも生かされておるのではなかろうかと私は思うのでありますけれども、その点は皆さんはどのように見てまいられたでしょうか。
  14. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  正直に申し上げますと、その運営実態はつまびらかにはいたしておりませんけれども、私どもがお聞きしているところによりますと、開示請求とか訂正請求というようなものはそう大きな件数に上がっていないと承知しておりますし、地方公共団体行政運営上大きな支障は生じていないと理解しております。
  15. 安田修三

    安田委員 そうしますと、私はそのような実態に立って、今の場合開示請求という問題も触れられましたが、確かに今日まで開示請求あるいは中止の請求という問題について見てまいりますと、余り混乱もなく、しかも開示申し出訂正申し出という部類になりますとかなり多くの事項を載せられます。開示の場合は実に八八・五%、訂正は八六・六%、削除は七〇・三%、こういうようにかなり多くの自治体では本人自身開示権訂正権削除権という問題を載せておりまして、それらが余り混乱なくやってきておる。その点、今度の国の法案の場合にももろもろのそういうものについては規定は戦っておりますけれども自治体との関係で、私は際立って自治体の方がすぐれた規定が多いのじゃなかろうかと思うわけですが、どのように考えられますか。
  16. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  私ども条例の細部をつまびらかにしておるわけではございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、例えば訂正のところでも訂正請求権というような形で規定されているのかどうか、そこらは必ずしもはっきりしていないわけでございます。  ただ、申し上げておきたいのは、国の個人情報と申しますのは、国の安全とか地方公共団体にございません外交の問題とか治安の問題とかそういうものがございまして、市町村個人情報データと性質が非常に異なるものが多いのではないか。そういうところも私ども開示請求権とか訂正申し出とか訂正請求権とかというものを考えます場合に頭に置いておかねばならぬのではないかと考えております。
  17. 安田修三

    安田委員 それは本委員会でも再三議論されておるように、皆さん方は国の安全とか外交という問題については、既にファイルの記載から抜いたり、あるいは総務庁長官通知をしなくてもいい例外事項にしたりして、いろいろ安全とか外交上の秘密の中身については議論のあるところでありますが、皆さん自身はそういうことは既に抜いてしまっている。そして、それは後ほど情報の量についても皆さん答弁に基づいてちょっとお聞きいたしますが、にもかかわらず、残った公開さるべき情報についての開示問題についていろいろと皆さんの場合になおかつ問題があるわけであって、それを今のように、自治体の場合と事務内容が違うからということで済まされるものではない、それは抜いてしまっているのだから適切な皆さん方の答えではないと私は思うのです。そういう点では、自治体がこのようにやっているのだから、国の方が都合が悪いなら都合の悪いことをもっと素直に言ってもらったらいいと私は思うのですよ。自治体の場合は住民と密着しておるからそれはしようがないのだ、うちの場合はそうじゃないのならないとおっしゃった方がいいので、外交あるいは国の安全というのはこの法案ではどららかといえばもう除外されておるのだから、その点どうですか。
  18. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  確かに安田先生がおっしゃいますように、市町村行政というのは地域住民に密着をしているというような点はございましょう。それから、本法案を検討いたします際に、この法律を国、地方一本の法律で適用すべきではないかという議論が非常に出まして、そういう議論研究会の中で大勢を占めたようにも聞いておりますけれども自治省出身のOBの方もその中に入っておられまして、その地域特性とか地方自治あり方等をいろいろと御主張なさいまして、今回の法案で御提案申し上げておりますように、地方自治を尊重する、地方自治体地域的な特殊性、その他の事情を配慮するということで、こういうふうな違った形の法案が提案されているというふうに承知しております。
  19. 安田修三

    安田委員 そこで、さらに際立ったのは附属機関設置なんですが、地方自治体の場合は実に二百三十五団体、五四・一%が附属機関設置を決めております。こういう状況からしますと、非常に住民とも密着しているし、個人情報の取り扱いについては特に敏感である。国の場合は安全だとか外交上ということにあるいは敏感かもしれないが、しかし地方の場合は、住民と直接接しているから個人情報量も豊富だし、また特にその保護については敏感であるという点では、かなり先進的な規定ということについて工夫がなされてきておるように私は思います。  そこで問題は、今度の法案によって、都道府県の場合は恐らく国が決めてから一斉にこれから保護条例制定に向かうのだろうと私は思うのでありますが、日本の従前の行政あり方からしますと、国がつくればそれに左右され得るというようなことになって、国の基準最低基準で、それから上回るということよりもそれで頭打ちされるような傾向も非常に多いわけです。そういう点では、既に先進的なあるいはまたいろいろな工夫を凝らして地方自治体保護条例をつくってきておる、しかもそれは毎年ふえておるわけですから、そういう渦中にあって、今度の法案は決して私たちにとれば前向き法案ではない。また大臣答弁をいろいろ聞いておりましても、それはすべてに網のかかるようなものまでまだいかない、これだけコンピューターが発達して個人情報ファイルも多くなったし、これをとりあえずどのように保護し扱うかということが重点なのだから、行政との調和という問題がトップに出てきてもやむを得ないのだというような御答弁もあります。それだけに、私たち地方自治体に及ぼす影響ということもいろいろと考えてみなければならぬわけでありますが、まずは国は、現状においてほんの部分的にしかも最低のもので、もっと進んだものを将来考えていく、あるいは自治体はこれ以上のものをもっと進んで工夫してやってもらいたいという意向が本来あるべきだと私は思いますが、その点、大臣考えをお聞きしたいと思います。
  20. 高鳥修

    高鳥国務大臣 今回私どもがこの法案をまとめるにつきましては、関係省庁の合意を形成するためにかなり努力をしたつもりであります。いろいろ御批判もあろうかとは思いますが、現在国がやっております行政の責任を果たす上においてぎりぎりのところを追求したつもりであります。  地方自治体がそれぞれの特性に応じまして、私ども法案規定しておらないあるいは法案を超えた規定をしておられるところも、私自身承知をいたしております。それのよしあしについて私どもは評価する立場にございませんが、この法案によってこれから制定される条例拘束をされるということはないと考えます。私どもは、こういう法案制定したことによって、地方自治団体においても個人情報保護されるという制度がより前進することを期待いたしておりますが、決して私ども法案によってそれを拘束するというような考えはございません。
  21. 安田修三

    安田委員 私は、拘束するというよりも国として、いや皆さん方の方ではもっとすばらしいものをつくれという意見があるが、私どもでは現状この程度のものしか出せなかった、自治体はもっと進んだものを工夫してもらいたいというような積極的なお考えがあっての話なのかどうか。ただ単に拘束するとかしないとか、それは当然拘束するとはここに書いてないですから、また拘束を受けるわけはないが、しかし日本現状からすれば、国が法律を出すとそれに左右されざるを得ないような行政上の風土が間々ある。そういう点では、国は、もっと創意工夫していいものを、これは最低なんですよ、そういうような謙虚なお考えがあるのかどうかということをお聞きしているのです。
  22. 高鳥修

    高鳥国務大臣 自治省におかれましても、自治省独自で個人情報保護に関する研究会のようなものをやっておられまして、この間、その成果も既にまとめておられるところであります。地方自治団体におきましては、自治省がそうした研究会を持たれたことを背景にして、またいろいろと施策を進めていかれるものと思いますので、私ども、大いに謙虚に構えてやっていくつもりであります。
  23. 安田修三

    安田委員 さてそこで、コンピューターマッチングコンピュータープロファイリングが日本現状ではどの程度皆さんの掌握の中では行われているか、それをお聞きしたいと思います。
  24. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  私どもは正確には把握しておりませんけれども、現在はコンピューターマッチングというのはほとんど行われていないのではないか、特に個人情報データについては、各省庁縦割りとかその他の日本独自の行政風土がございますので、ほとんど行われていないというふうに承知しております。
  25. 安田修三

    安田委員 それから目的外利用ほどの程度になっておるでしょうか。
  26. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  ほとんどの個人情報データ目的内の提供ということでございまして、目的外利用というのは余り行われていないというふうに承知しております。
  27. 安田修三

    安田委員 それから外部への提供というのは現状どういう状態でしょうか。
  28. 重富吉之助

    重富政府委員 現在、私ども承知しております外部提供されている個人データを含んでいるファイルは十ファイル程度ではないかというふうに考えております。(安田委員「二十ですか」と呼ぶ)十数ファイルだと思っております。  例を幾つか申し上げますと、警察庁の持っております運転者管理マスターファイル、これはデータの一部が自動車安全運転センターの方に提供されております。それから外務省で旅券管理マスターファイルというのがございますが、これは都道府県とか法務省に旅券発給事務等の必要のために提供されておる。それから運輸省では、自動車登録検査ファイルというのがございますが、これが自動車検査登録協会にごく例外的な場合に提供されておる。例えて申しますと、リコールというような安全対策のためにメーカーに提供されることがある、こういうことでございます。
  29. 安田修三

    安田委員 今お聞きしまして、目的外利用というのはほとんどない、内輪だけだ、それから外部への提供は今のように十数ファイル程度で、どちらかというと国の行政上の関連したところというのでしょうか、この程度の限定されたものだというお話があります。  そこで、目的以外の使用原則禁止してもらいたいというのは、皆さん世論調査の中では七六・九%と非常に多くの人が答えているわけでありますが、さて、目的以外の使用原則禁止するということが当然あってということに私は思うのですけれども、その点、どういうお考えでしょうか。
  30. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  この法案では、利用提供原則禁止ということを法案の第九条で規定しております。それを読みますと、「処理情報は、法律規定に基づき、保有機関の内部において利用し、又は保有機関以外の者に提供しなければならないときを除き、ファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。」法律規定に基づかない場合は原則外部利用提供をすることは禁止という規定にしております。
  31. 安田修三

    安田委員 また後ほどその九条はちょっと触れますけれども、実は、そういうのはあるのだけれどもざるみたいなことになるものだから、問題になるわけです。後ほどまたその問題は触れたいと思いますが、今おっしゃった九条ではそうなっておるのだ、皆さんの場合もそういう前提はみんなつけてあるのだけれども、ところが、そこに四つばかり列挙をされてくるその中身がまた問題になるのです。そこで、ざると一緒で形はあるけれども水はくんだら一つも残らない、こういうことになるのじゃないかと思って、実はいろいろと問題が出てくるわけなんでして、形だけは整えてやる、そういう点で、今のように原則禁止と言う以上は、まず極めて例外以外は、こういうことにならざるを得ない。ところが、そういう原則禁止項目という格好にはなっているけれども例外事項四つばかり列挙してあって、それも本人のためになるとかなんとかといろいろなことがありますが、それでざるになるような可能性がある。そういう点で実は危惧をしておるわけです。  さてそこで、個人情報ファイル保有通知総務庁長官通知しなくてもよい事項が第六条第二項で十一項目、それから掲載しなくてもよい事項が第七条第三項で六項目定めておりまして、これも本委員会で再三にわたって実は議論されておるところです。このように膨大なものが保有通知から漏れる、あるいはまたファイル掲載そのものから漏れるということになりますと、本人自身がその情報の存在を知らないということになってくるわけですので、こういう法秩序のもとに生活している場合にそういうことというのが一体許されていいのかどうか、私は大変疑問に思うわけです。そういう点で、皆さんも再三この点は答弁していらっしゃるのですが、このように多くの例外事項をなぜ設けなければならぬのか、もう一度お答え願いたいと思います。
  32. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  このように事前通知とか公示とかそういう段階で適用除外を設けました理由は、個人権利利益といいますか、個人データ保護するということを第一の目的とすべきということは当然でございますけれども公共利益とかまたは第三者利益にもある程度配慮する必要がある、社会というのは一人で存在できるわけではございませんので、そういう公共利益とか第三者利益にも配慮をしてこういう例外規定を設けたわけでございまして、私どもとしては必要最小限例外規定であるというふうに考えております。  もう少し詳しく申し上げますと、事前通知につきましては、国の安全にかかわるものとか極めて秘匿性が高いものとかまたは短期間に消去されるものとか、そういう改めて総務庁事前通知したり官報等公示するまでもないというものを適用除外としているわけでございます。  以上でございます。
  33. 安田修三

    安田委員 そこで、皆さん委員会における答弁を見ますと、公開される情報量というのは大体八〇ないし九〇%でなかろうかというお話です。そうしますと、隠れてしまう情報量というのは逆に言えば一〇ないし二〇%かな、こういうぐあいに私は思うわけであります。だから、量としては大きくないぞというのが皆さんの言い方なんでしょうが、どうなんでしょう、八〇ないし九〇というのはファイルの数から推した数値ですか、それとも情報量全体の数値からでしょうか。
  34. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  情報量から見た数字でございまして、ファイル数字から見た数字ではございません。
  35. 安田修三

    安田委員 例えば情報量から見た場合に、郵政省の情報量あるいは厚生省の年金関係情報量というような関係になりますと、もう何億という情報量が大体一つ事項くらいに集中するのがありますね。そうしますと、情報量だけからした場合に、八〇ないし九〇%公開してありますといっても、だからといって、それが多くの情報を公開しているようなことには実際はならない、少数の情報を掲載しているファイルの中により重要な個人としては知りたい情報量がある、ところが、それらがこの中に消されていっているということになってくるのではなかろうかと私は思ったりするわけです。そういう点で皆さん方情報量というのは余り当てにならないと思うわけですが、どうでしょう、隠れておる情報量は今のところはまた皆さんの方で推測の域から出ないわけでしょうか。
  36. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  私どもは、先日の江田委員の資料請求に基づきまして、お手元に未定稿という形で数字を出しておるわけでございますが、これはあくまでも私どもの調査に対して各省庁が自主的に協力していただいた数字でございまして、きちっとした数字ではございません。そういう数字をもとに私どもが推定いたしますと、八、九割が一応本人が自分の情報を見ることのできるものだ、こんなふうに考えているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、公共利益とかその他のことで、先生の御説のとおり、一〇%程度が見られないということは確かでございますが、今度の法案目的というのは、先生御承知のとおり、個人情報保護でございまして、それがみだりに第三者とかその他の人々に見られないようにする、個人データが外に漏れていろいろと不利益本人がこうむらないようにするということで、この法案はいろいろな規定をしております。例えば、正確性の確保とか安全性の確保とか利用提供制限とか、そういうことをこの法案規定しておりますが、残りの一〇%につきましてもそういう規定は当然適用になるということになっております。
  37. 安田修三

    安田委員 そこで、保有される情報量、これを皆さんは量で規制されるようなことに実はなっておりますね。政令で定める数に満たないものは保有しない、それが約千ぐらいだということを承っております。  そこで、皆さんの中で研究会を持たれて、俗称加藤委員会、この中では、個人情報の量をもって対象とするかどうかの基準とすることは、その合理的基準を明らかにすることが困難であり適当でないと考えられる、むしろ処理の目的により規制の必要性の乏しいものは個別の保護措置の適用除外とすべきであるとする意見があった、こう報告に載っておるわけであります。さて、こういう少量の場合は総務庁長官通知することを適用除外とすることがなぜ適当になってきたのでしょうか。
  38. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  加藤委員会には確かに安田先生がおっしゃったような記述のくだりがございます。しかし、加藤委員会といいますのは、この委員会での議論の際に大臣からもしばしばお答え申し上げておりますが、これはOECD勧告が出た直後に個人情報保護に関する基本理念、基本的あり方、そういうことを研究していただいたものでございまして、その後、先生御承知のとおり、加藤研究会等も参考にしながら、臨調の個人データ保護の法制化を図るべきであるというような答申を受けまして、林研究会で立法のための具体的な検討をしたわけでございます。  加藤研究会では確かに少量のことをそうおっしゃっていると思いますが、それは、加藤研究会コンピューターに入っている個人情報だけではございませんで、マニュアルの文書による個人データもその対象にすべきという意見になっております。それから、当然にそういう見解になると思いますけれども、私どもは、コンピューターに入った個人データというのはコンピューター特性、すなわち大量処理、迅速な処理、それから結合、ブラックボックス化、そういうことによるいろいろな国民の不安というのがあるので、一応コンピューターに入力されている個人データ保護ということを考えております。  そういうふうにいたしますと、行政を効率化し、合理化するということは国民の負担を少なくするわけでございますが、そういうことからして、オフィスオートメーションとか行政の効率化ということを考えますとそこにおのずから線が出てくるのではないか。そういうことでマニュアルを外したということ。それからマニュアルを外しておることとの均衡、そういうことを考えまして千程度ということでどうであろうか、今のところ、政令を定める際の区分の判断をしているわけでございます。しかしそういうものも、繰り返して申し上げて大変申しわけございませんが、安全性の確保とか正確性の確保とか利用提供制限等によってこの法律保護される、私どもはこんなふうに考えているわけでございます。
  39. 安田修三

    安田委員 そのマニュアルとの関係というのはどちらかというと、これはいろいろな見方がありますが、散逸しやすいのはかえってマニュアルの方が散逸しやすいという意見もあれば、保存という点からいったらかえってその方が確実だという意見もいろいろあるのでございます。問題は、電子計算機の場合に特にこう問題になっているのは、例えば情報公開とか情報保護、これは双方裏表の関係でありますが、そういう議論の中には、いや、かえって電子計算機の方が保存という点からいったらいいんだ、何といっても磁気テープにぽんと入れておけばほんの小さい面積の中に情報が入っていて一番保存しやすいのだからそれでちょっと持っていれば絶対外へ出ない、こういう説もあれば、現在心配されているように、これが情報散逸の一番しやすいシステムの中に乗っておるのもまた事実でございますから、こういう法案の必要性も出てくるわけです。  そこで、今言われたように、大量処理という点からすればマニュアルとの関係では少量情報は抜かざるを得ないというお話のようですが、やはり皆さんの場合は電子計算機によって処理された個人情報保護という問題から出ておるわけですから、そうすれば、情報の量ではなくして、電子計算機の持つ危険性あるいはそこから派生されるいろいろな問題点、そういう点から実は本法案が一番問題になっておるのではなかろうかと私は思うわけです。そうすれば私は、量で規制するということではなくして、加藤委員会が当時OECDの八原則を縮めて五原則を立てた、それに基づいて打ち出したこのような報告書に基づいた処理の仕方というのを皆さんがとられる方が正しいのではなかろうか。何か途中で道筋が曲がっていってしまっているような感じがするわけです。そういう点で、何か今のお答えには無理があるのではないか、皆さんがおっしゃるならもう少し別の理由があるのではないかと私は思うのですが、どうでしょう。
  40. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  この法案一つの起点になりましたOECD勧告がございますが、OECD勧告の中でその「解説メモランダム」には、要するにマニュアルを外して電子計算機に係る個人情報のみを対象とすることを妨げないということが書いてございます。そして、サミット参加国で最近つくりましたイギリスの個人情報保護法はコンピューターだけを対象にしている。先生の御説もわかりますけれども、そういうこと等を勘案して私どもコンピューターに係るものだけを対象としたわけでございます。そしてその際に、OAとか行政の効率化とかいうことも考えていかねばなりません。そういうことを考えますと、どこで妥協をするのかということで、いろいろな問題を総合勘案しまして一応千以下のものは大丈夫ではないか、危険性が非常に少ないということで、こういう規定を設けさせていただいているわけでございます。
  41. 安田修三

    安田委員 千以下が大丈夫ではなかろうか、私は、その千以下の情報の中に、それはいろいろなことを心配すれば切りがないのだけれども、我々個人の立場からしますと、そういう情報の中に横に散逸あるいはまた利用されていって、本人の知らない間にいろいろなことが組み立てられるということを一番恐れるわけでありまして、そういう点では皆さん方に、保有している情報が散逸しないという保証があり得ない、だからこそこのような電子計算機に係る情報はこのように保有することの法律をつくろうということになったわけですから、その趣旨からすると今おっしゃる理屈がどうも合わない。  電子計算機であればこそ、少量であれ大量であれ手間がかからないわけですから、手間がかかるのであれば問題がないのだけれども、手間がかからないものをなぜ抜かざるを得ないか。今では公開しようがあるいは保存しようが電子計算機にかければほとんど問題にならないわけですから、だからそれをなぜこういうぐあいに仕分けをせざるを得ないのか。マニュアルのものを抜くというのは現状でわかります。とりあえずマニュアルは抜こう、電子計算機でだけやっていこう。だが、電子計算機の中でなおかつ量規制を、十や二十の量ではない、千というものをなぜ抜かざるを得ないかということについてはどうもわからない。そうしますと、それは情報隠しではないか、こういうことに疑われてくるわけですね。そういう点でどうもここらあたりは私たちにとって釈然としないところです。  さてそこで、情報収集の方に少し入るわけですが、第四条に、個人情報ファイル法律の定める所掌事務を遂行するために必要な場合に限り保有することができ、かつ記録される項目必要最小限度のものでなければならぬ、こういうぐあいに規制されているから、保有制限によって実質的に収集制限をしているのだというのが皆さんの先般来のお答えのように私は承っております。しかし、このような包括的な規定では実際、制限の網というのはざるになってしまうのではないだろうかと私は思うのですが、皆さんはそれでもそうじゃない、こうお考えなのでしょうか。
  42. 百崎英

    ○百崎政府委員 この法律は、これまでにもたびたび御答弁申し上げておりますように、まず基本的に電子計算機処理に係る個人情報保護する、こういうことでございまして、収集一般を制限している法律ではございません。そこで、電算処理ということでございますので、まずその入り口に当たります個人情報ファイル、それの保有というそこのところで一応規制を課しているわけでございますが、その内容といたしましては、今先生がおっしゃいましたように、四条一項で「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、できる限りその目的を特定」する、この「できる限り」をめぐりましても今までいろいろ御議論がございましたが、ここではほどほどにというようないわば緩和という方向ではございませんで、むしろ逆にあとう限り、とにかく可能な限り、こういう意味でございますので、そのように御理解いただきまして、ここで一つの縛りをかけているわけでございます。  そして第二項におきまして、その「ファイル記録される項目の範囲」とか、あるいは「個人情報ファイル記録される個人の範囲」これもその「保有する目的を達成するため必要な限度を超えないものでなければならない。」ということで、いわば二重の縛りをかけているわけでございまして、そういう意味で、私どもといたしましては、これで一応規制は十分達成されているのではなかろうかと考えているところでございます。  かつなお、各省に対しましても、総務庁からいろいろ問題があろうと考えました場合には説明を求めたりあるいは資料を提出させたりいたしまして、この法律目的が十分達成されるようにチェックする、そういう場面もございますので、そういうこともあわせまして十分規制ができるのではないかというふうに考えております。
  43. 安田修三

    安田委員 それは皆さん、やはりいろいろな立場というものを考えてみなければならぬ。今度の場合は、私たち個人情報保護という立場でいろいろ言うことと、それから皆さん法案を提出されたそのお考えの基礎になっているところは、個人情報保護ということでは一致しておるけれども、立場の相違というのがやはり私は本法案を通じて非常に浮き彫りになっておると思うのです。それは冒頭の提案説明、それから答弁をめぐっても、いや、個人情報保護全体ということまで及ばないんだ、うちはこれだけ政府機関、行政機関ファイルもたくさんたまってきたし、まずこれをどうするかということから出発しておるんだというように答弁になっているし、また法案もそういうことで出発しておるんだというように実は議事録を読んだりして考えてみておるわけでございますが、そうしますと、多少皆さんと私たちの間にずれがあるということになるかと思います。しかし、原則的なことについてはやはり貫いてもらわないと困ると私は思うのです。  同時に皆さんが、行政機関ファイルがたくさんたまったから、とりあえずそのことからだけ手をつけるんだ、もしこういうことであれば、将来どういう展望を持って国民の個人情報保護一般について広げていくかということもまた示していかないと国民には不安が出ると私は思うのです。そういう点で、これもお聞きしたいと思うところであります。  さてそこで、今おっしゃったことですが、収集制限の問題で実際は網がかかっているというようなお答えなんでございますけれども、私はやはりこれは具体性に欠けているのではないだろうかと思うわけです。特に皆さんの場合に本委員会でお答えになっている場合にも、収集制限の原則というようなことで二点について述べられております。一つ情報内容による制限、もう一つ情報収集手段による制限という二つがあるが、それについてしかじかと詳しく述べておられます。そして諸外国の立法例ということについても述べておられるわけでありますが、どうでしょう、本法案というのは、所掌事務を遂行するために必要な場合に限り保有するという程度、そして最小限でなければならぬということでは、これは余りにも皆さんの思いのままなんじゃないだろうか、それは皆さんの範囲だけなんですから。こういう個人情報保護という以上は、もっと具体性のある制限条項というものがあってしかるべきじゃないかと私は思うのですが、そう思われませんか。
  44. 百崎英

    ○百崎政府委員 おっしゃっている御趣旨は私どもも十分理解できるわけでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、この法律は電算処理に係る個人情報保護ということでございますので、この法律自体の中にいわゆる情報収集一般について規制をする、こういう規定を設けるのは立法技術的にも非常に無理があるというふうに感じておりますので、この法律では、入り口に当たるファイル保有制限、そこのところに規制をかけたわけでございますが、我が国の今の法令を見ておりますと、例えば今まで議論になっておりましたいわゆるセンシティブ情報等につきましても、個別の法律でもってそういうものが収集できるとかできないとかということを規定している法律はまずほとんど見当たらないわけでございます。実際に各省がいろいろ所掌事務を遂行するために必要な情報を集めているわけでございますが、それはあくまでも法律に基づく所掌事務を遂行するために必要な範囲で現実にも行っておりますが、そういう範囲で今回も規制を課していく、それ以外にちょっと、立法的にもなかなか収集制限一般に関してこの法律規制するのはいかがなものであろうか、そういうふうに私ども考えております。  かつ、先ほども申し上げましたように各省自体も、この法律が施行されますと、この法律の精神を体して、と申しますのは、第一条の「目的」にも書いてございますように、あくまでもこの法律個人権利利益保護ということを第一義の目的にいたしておりますので、そういう精神を体しながらこれからも適切な情報収集あるいは保有に当たるのではなかろうか、私どもはそのように考えております。
  45. 安田修三

    安田委員 私、皆さんは狭い範囲だけしか見ていないような感じがする。皆さんの場合は、専門的にこういう立法をするために研究されて、そして練り上げて各省庁と調整しながらまとめられた法案ではあるけれども、今のお答えを聞いておると、皆さんがつくったことを守るために狭い範囲しか考えないで言っていらっしゃるように私は思う。わざとそうおっしゃっているのか、のっけからそういうぐあいに言っていらっしゃるのか。  それで、私が特に感ずるのは、十月十一日の委員会で、特にこの収集制限の問題、田口委員の質問に答えられて、詳しく収集制限の原則ということについて重富政府委員からお答えになっております。その中に、西ドイツ、カナダのような場合ということで、この場合には何ら収集制限が設けられていない、それから情報収集手段の場合、この収集手段の制限の場合にも、我が国と同じような考え方から、スウェーデンとかイギリスでは本人同意という規定は設けられていないとかということが触れられておるわけでありまして、私、皆さん方考えておられることを見て、そして今のお答えを聞いて、なるほどこれではやはり今おっしゃったようなことで尽きていくのかなと思ったのですけれども、それほどこの立法技術を見ても法技術の場合すべてそうでありますが、法の理念とする目的像が個別の規定にどうあらわれてくるかということが必要であります。そこで、西ドイツ、カナダの場合も、そういう点では一つの条項にないけれどもどこかに別の機能をする条項があって、全体を組み合わせるとそこにきちっと網がかかってくる、こういうことになっておるところに私はみんな特徴があると思うのです。今、我我の場合には、この法案というのは原則幾つかくい打ちがあるわけです。これはOECDの関係から原則くい打らしなければ先進国日本が何だということで物笑いになります。ところが、抜け穴が随分出てきてしまっている。ですから、機能を果たさないじゃないかというのが私どもの言い分になっているわけです。  例えばこの西ドイツとカナダの場合は、行政機関が所掌事務の範囲内で法律に基づいて個人情報収集を行う場合については何ら制限は設けられていないというのが皆さん言っていらっしゃる十一日の答弁であります。確かに、西ドイツは日本と同じように、所掌事務の範囲内で法律に基づいて個人情報収集を行う場合に許容され、そして保有の場合にも同様の規定があります。しかし問題は、私これを見ていますと、何か皆さん都合のいい部分だけをおっしゃっているような、例えば日本とここが一緒ですよ、だから、とおっしゃるのですが、ところがこのような皆さんの解釈というのは、実際は事実と違っているのじゃないだろうか。それは、御存じのようにOECDのガイドラインにも明記されておりますけれども、そもそもOECDの八原則というのは、それぞれが一つ一つ、この項目は隣と隣の項目、一と二は完全に違うという独立したものではなくして、あれそのものというのはお互いに密接に連関したり部分的には重複しているところがあります。例えば収集制限ですとか目的とかいう問題になりますと、あるいは個人の参加とかいろいろなところになりますと、お互いに重複したり連関したりというのがありまして、これはOECDのガイドラインにもそこらあたりについて解説等で述べておるところです。  さてそこで、皆さん答弁の中で、先ほども言いました収集制限には、一つ情報内容による制限、それから二つ目は情報収集手段による制限ということを挙げて説明した中にも、OECDの八原則の中の四つに該当するんじゃないかと私は思うのですけれども、その中に入り込むようなことが答弁の中に既に出てまいっております。それは私当然だと思うのです、そういうぐあいに入ってくるのは。  そこで、私は西ドイツ等の場合と比べてみるわけですが、例えば所掌事務の範囲内のほかに本人の同意、しかも西ドイツの場合は書面を必要とする。またもう一つ、これは翻訳によって違いますが、連邦データ受託官と言ったりあるいはまた連邦データ監督官と言ったり、どちらが本来日本的に言ったらわかりやすいのでしょうか、我々の場合、監督官と言うのがわかりやすいのですが、一種のオンブズマン制度があって、オンブズマソが任命され、——この受託官あるいはデータ監督官というのは一種のオソブズマソでしょう。これが公的機関の監督、データの改善のための勧告、政府、大臣への助言、衆議院、政府の要請に基づいた鑑定書の作成、年次報告書を衆議院に提出などというすごい権限を実は持っておる。こうしたもろもろの機関、機能というものが結合されて初めて収集制限の立体像というものがそこに出てくるわけです。これではとてもじゃないが網がかかってできないのじゃないか、こういうようなことが私は出てくると思うのです。  私、何でも外国のまねをせい、そう言うつもりはございません。たまたま、十一日の田口委員答弁を私読んでおりまして、いや、こういうことをおっしゃっているのか、これは不思議だ、これはいいところだけのつまみ食いじゃないかと実は思ったのですが、まあこれは皆さんの場合の組み立てからすると、先ほど聞いてそうならざるを得ないのかなと思ったのです。要は、このようにドイツあたりはまじめに制限ということを考えている。では、日本の場合はふまじめなのか。ふまじめよりも落とし穴をたくさんつくっている、こう私は思うのです。そういう点で、もう少し実効性のある制度化ということが本法案の場合に必要ではないか。そのためには、本来もう法案のここらあたりは見直してつくり直してもらいたいという気持ちで私はいっぱいであります。そういう点で、どうでしょうか、皆さんの方はどういうぐあいにここらあたりは考えておられるのですか。
  46. 高鳥修

    高鳥国務大臣 西ドイツの例などにつきましては、私も若干勉強してみたわけであります。今御指摘のように、いわゆる第三者機関のような形でこの法案が適切に運営されるような監督、助言等を行うものとして個人情報保護の受託官、まあ受託官と訳すのが一番妥当なんだろうというふうに思いますが、そういうものを設けております。ただ、いわゆる本人の承諾ということについては、これは政府が持っております情報については大部分が法令に基づいてやっておることであります。したがって、当然本人からの申告等によって記載をされているものが大部分であります。一部公安関係等については別でありますが、ほとんど大部分が当然のことながら本人の申告によるということであります。したがって、本人の承諾云々ということは問題にならないのではないか。あるいはまた特に問題は、民間部門の場合には勝手に自分の情報収集してもらっては困る、自己情報コントロール権というようなものを前提といたしまして、本人の承諾がない情報収集についてはこれを消去させることができる、そういう要求ができるというような趣旨において、そのような規定を設けておるというふうに理解いたしております。  なお、先ほど安田委員から、他の民間部門等についても今後どう考えるのかという趣旨の御質問もございましたが、私どもといたしましては、まず政府機関の保有するものにつきましてこうした情報コントロールを確立することを通じまして、今後民間部門においてもこうしたことが行われるような、そういう第一歩とまで言えないかもしれないけれども一つの礎石を置きたい、こういうふうに考えて今回御提案申し上げた次第であります。  民間部門につきましては、プライバシー全体ということになればこれは法務省に考えていただかなくてはならぬことでありますし、さらにまた、例えば経済企画庁の国民生活局などにおいても現在いろいろと勉強しております。さらにまた、大蔵省、通産省等におきましても個人の信用データなどの管理について勉強しておるところであります。今後、政府といたしましては、できるだけ速やかにそれら民間部門につきましても適切な情報コントロールシステムというものを確立をしていかなければならない、そういう方向で勉強してまいりたい、このように思っております。
  47. 安田修三

    安田委員 それはわかりました。長官の展望は、そういうぐあいにこれから各省とも研究をするし、これから対策を練っていくという意味なんでございましょうが、さてそこで、収集制限の方はどうですか。
  48. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  安田先生からお話がございましたように、翻訳の違い等もこれあり、そこのところはなかなか難しいだろうということでございます。  ただ、西ドイツは要するに警察等の公安関係の機関については一応外されておるわけですね。機関除外になっておるわけでございます。そういうこともございまして先生がおっしゃったような規定になっている面があるかと思いますけれども、我が国の場合はそもそも、この間参考人の意見聴取の際に林参考人から述べられたのですが、要するに法律による行政ということで、行政というのはすべて法の規定を正確に執行するということで我が国は行われている、したがって、例えばその手段等につきましても、行政というのは当然に法律規定に従って行われるのであるから、行政機関だけを対象としている法案であるから、手段等についての規定はあえてやらなくても当然に適正かつ公平に行われるであろう。こういうことで、そういう基本的な考え方のもとにその収集制限規定保有制限という形で置いているわけでございまして、その保有制限も、行政機関の所掌事務の範囲内に限って、かつ目的を特定した形で行わねばならぬということを規定しておりますので、先生のおっしゃるような御意見は必ずしも当たらないのではないかというふうに考えております。
  49. 安田修三

    安田委員 時々皆さん、ひょんな話が出ると私思うのですが、初めに安全保障、外交関係の場合がどうとかと、皆さんそういうところをみんな外しちゃうのですね。今の公安の場合、西ドイツは外してあるということですが、この場合でもやはり公安関係はみんな抜けておるじゃないですか。それから、特に内閣官房関係情報は全部外れておるじゃないですか。だから、どうしてそんなひょんなことが出るのか。我々の場合にも、ちゃんと皆さんそういうのは外して出てしまっているわけですからね。  だから、私先ほどいろいろと言いましたように、局部的なことを見て皆さんは何かおっしゃっておるようだが、全体のいわゆる立法技術といいましょうか、法の理念とするものを練り上げて、そこに像を結ぶ、そういう点からすれば、それぞれにそういう幾つかの条項があって機能が絡まってちゃんと網のかかるようになっていますよということを、私先ほど皆さん答弁から引用して、そしてこういう見方になるんじゃないですかということでお聞きしておるわけですよ。  先ほど長官は同意問題でちょっとおっしゃいましたが、例えば前回、十一日の答弁の中でも、スウェーデン、イギリスでは本人同意という規定は設けていないという、部分的にはこういう問題が出るんだけれども、しかし、こういう場合であっても、スウェーデンだって別に、特にこういう関係では先進的に長らくやってきておるわけでありますから、ここ数年の間にできたわけではなくて、長年の間に各種の法律の中でこういうデータ保護という問題が論じられ、規定され、結局総合的なデータ法というのができたのは日は浅いけれども、それだけにデータ検査院等があって、独立の機能を持っていろいろな情報収集やあるいは保有について許可しておる、そしてまた厳しい刑罰もある。そういう点では、細かいことはそこに決めていないかわりに、そういうところが一々審査なりそれから枠をやっていく、こういうものがあって、一つ制限というものをやっているわけですね。  我々の法案の場合には、そういう歯どめというべきかあるいは枠づけというべきか、そういうものがない。皆さんは、個人情報全体に広げるのではない、電子計算機によるという、行政機関を中心にという狭い範囲に閉じ込めてきた。しかもまた、狭い範囲の中で利用あるいはその他についてのいろいろな歯どめやその他をしたいと言う。それだったら、収集等についての中身やあるいは手段についてもいろいろと具体論を出すべきじゃないか、こう私は言っておるわけですね。それが困難なら、諸外国の立法例は、それぞれのいろいろな条項があって、それらの機能が絡むとこういうぐあいに制限ということに網がかかってきますよ、日本の場合はそうじゃないのではないか。諸外国の例を見た場合に、一つ項目だけ見れば、やはり日本と一緒の項目になっています、いや、こちらは違ったのが入っていますが日本と一緒ですよというようなことにしかなりませんが、実際は別の規定等があってちゃんと網がかかるようになっていますよ、日本の場合はなぜそういうような網のかけ方にならないのでしょうかということを私はお聞きしておるわけですよ。  それは皆さんには理由ならある、いや、行政が適法にやっておるんだからそれは間違いないのです、こういうことなんだが、それは当然どこだって法治国家ですから、行政からはみ出したことをやっているわけではございません。そういうことを言うと諸外国に失礼になるわけですから。ただ、確かに諸外国の場合、日本よりも情報収集の仕方が別のやり方があることは承知しておりますが、おおよそどこでもそんなにむちゃな、何でもかんでも持っておるということはない。特にドイツあたりは大陸法なんというようなおかたいところですから、そういうむちゃくちゃなことがあるわけはないのでして、そういう点では皆さんの場合に余りにも言い方が粗雑なんじゃないだろうかと私は思うのです。ざると言うとちょっと酷かと思いますが、とにかく余りにも例外事項が多過ぎる。そういう点ではこれは皆さんの方で考え直される必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  50. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ヨーロッパの各国の中で一番早くデータ保護法を制定いたしましたのはドイツのヘッセン州の州法であることは、御承知のとおりでありますが、私はヘッセン州のデータ保護受託官といろいろ話をいたしまして、なぜヘッセン州が先駆けてこのようなものをつくったのかということについて事情の説明を受けました。  そのときに彼らが申しましたことは、これはいかにもドイツ人的だと思うのですが、要するに、そのようにコンピューター処理された情報がいろいろあるならばそれらを全部つないで活用したらいいじゃないか、いわゆる大データ処理システムといいましょうか、そのようなものをつくったらどうかという意見が非常に強くなってきた。そういうことが進んでいくと、国民一人一人の情報が政府によってすっかり握られてしまうということになれば、かつてのナチス・ドイツのような政権が個人を好きなように翻弄したといいましょうか、そういうふうな事態になったら大変だ。そこで、個人情報というものをもっときちっと保護する必要があるではないかということが我々の出発点であったというふうに申しておりました。  さらにまた、国の個人情報保護法案が成立をいたしましたり、あるいはまたOECD勧告が行われた背景というものも、国が持っておる個人情報あるいは州が持っておる個人情報がそれぞれの枠を超えてオンライン化されて活用をされる、そういうことが現に行われてきておるということであります。例えば、この前もテレビでやっておりましたが、臓器移植なんかで適当な提供者があった場合に、国境を越えてヘリコプターでこれを輸送してそして移植なんかをやるというようなことが日常行われるようになっておるわけでありますが、これはまさに個人の病歴などについてのデータがオンライン化されて国際的に流通しているということであります。そういうふうな事態を踏まえてOECD勧告は、個人利益保護とそうした目的の調和を図るということのために勧告が行われたということであります。でありますから、欧州各国の場合におきましては、初めからデータを自由に流通させる傾向が非常に強くなってきたのに対して制限をかけなければならぬというところが出発点であったと思います。  それに対しまして我が国の場合におきましては、個人情報保護ということについては、それぞれの役所の縦割り行政と申しましょうか、それぞれのセクションごとに持っております情報をよその省庁には見せない、よく局あって省なしなどと言われるぐらいによそに見せないということがかなり普通に行われておるわけでありまして、その限りにおきましては、国の持っている情報保護ということについて今まで前に進んでこなかった、そこに最大の理由があると思うのであります。でありますから、私どもはこの法案を立案いたします過程においても、何で総務庁に我々が持っているデータファイルを出さなければならぬのか、何で総務庁に監督を受けなければならぬのか、そもそも総務庁がそんなことをする必要があるのかというところから出発せざるを得なかったという事情があるわけであります。  そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、現在の日本の国情あるいは政治の実態行政実態を踏まえてぎりぎりのところでまとめたのがこの法律案でございます。したがって、欧州各国ないしはアメリカなどとその点において事情が根本的に違っておるということが、今お尋ねになって何となく不満をお感じになる、そういうところの一つの原因ではないかと思いますが、私どもといたしましては、これでかなり十分現在の日本行政実態に即してやっていけるものというふうに考えております。
  51. 安田修三

    安田委員 大臣、あなたの方でヘッセン州へ行ってこられて現状を見ますと、そういう気質といいますか、そういう情報が流通する。それは確かにヨーロッパ人と日本人の場合で社会の開放度、閉鎖性、いろいろ違いますので、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、逆にこういうことになるわけですね。日本のそういう縦割り行政なりで各省庁がいろいろな個人情報保有しておる。そこで、これまたなかなか情報公開ということが日本の場合は法律もない、進んでもいないということでは、こういう情報社会になってまいりますと、先ほど皆さんおっしゃるように、行政に基づいていろいろな個人申告その他があった情報を実は保有しておるのだから、別にそのときは本人の同意という制度がなくても同意して出しておるんだ。確かにそういう申告制度による情報というのは、いろいろ申請したり申告したりということで随分あります。ただ、最近いろいろな情報の量がたくさんになってまいりますと、自分の知らない情報というのが随分あるのじゃなかろうか、そういう不安感が国民の中に随分出てくるといいましょうか、日本の場合に逆に言うとそういうものがある。諸外国の場合、オープンになっているから自分のものなら何でもわかるかわりに、またそれが横へ広がっていくのが心配。日本の場合は、今度は隠れて裏にぐるぐる回っていかないだろうか。諸外国のように広範囲にはいかない。しかし自分の知らないものが集まっておるのじゃないかという不安感が出てくる。  だから、情報公開とプライバシー保護というのは全く表裏一体でありますから、例えば情報公開の場合だって本人情報開示権というのは必ず出てくるわけですので、そういう点では、ここらあたりというのは立法上あるいは制度の取り扱い上はよく——中には学者によっては一緒だと言う人もあるし、それはそれぞれ違うという説もありますが、我々素人目からすればそこらあたりは全く一緒じゃないか、こう言いたいところでありますが、それだけに日本の場合に逆のそういう意味で実は個人情報保護という問題について心配点が出てくる。だから、例えば保有ファイルについてもなぜ全部が出てこないかというのは、逆に言えばそういう問題点があるからそういう話が出てくるわけですね。何か隠してくるのじゃないかという話が出てくるのはそこらあたりにあるわけでして、そこらあたりはやはり日本的なそういう風習といいましょうか、それから大臣のおっしゃった各省庁縦割り行政だから横へ流れぬ、それはおっしゃるとおり。そのかわりまた、隠れておるのじゃなかろうかという国民から見た目が逆にあるという点も皆さんは十分考慮、しんしゃくしながら提出に当たってもらいたいという考えが私たちの中に浮かんでくるわけです。  さてそこで、十月二十五日に我が党の江田五月委員が、政府が保有する個人情報ファイルの数やそれから情報量、これについての資料請求をしたところが、二週間程度かかるとおっしゃったわけでありますが、先ほども言いましたように、実は昨日提出されました。余り目新しいようなものもございませんでしたが、ただ数値の上でいろいろと変動がございました。皆さんの方でも各省庁から鋭意集めたと先ほどもおっしゃっておりましたが、そこで、十一日にこの委員会で井上委員の質問に答えられた数値とかなり違っておるところがあります。これはどのような差によって違ってきたのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  52. 百崎英

    ○百崎政府委員 実は、江田委員の御要求におこたえしまして提出させていただきましたけれども、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、まさに徹夜作業で何とかこの御審議に間に合うように作業を進めたわけでございますが、いずれにいたしましても、今回お出しいたしました資料は、各省庁が出したものをとりあえずこの御審議に間に合うようにということで取りまとめたものでございまして、私どもといたしましても、どういう点が井上委員の御質問のとき発表したファイル数字と食い違っているのか、そのあたりのチェックは実はまだ済ましておりません。いずれにいたしましても、この食い違いがあるといたしましたら、そのあたりはまた各省に照会をしないと私どもとしては今の時点ではちょっとよくわからないというのが実情でございます。
  53. 安田修三

    安田委員 それじゃ、わかりました。各省庁がなぜ違っているか、これは次の、うちからまだ最終総括で質問される予定ですから、とりあえず照会されたことはうちの理事にぜひ報告していただきたいと思います。そして次のときには、答弁をいただくことになると思います。  さてそこで、総務庁の方でわかることでお聞きしておきます。皆さんの方で各省庁ファイルは全部掌握しておられるわけでしょう。どうでしょうか。
  54. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  各省庁から報告があったファイルについては把握しております。
  55. 安田修三

    安田委員 どうでしょう、五十七年、行政管理庁時代に皆さんが調査されたその中にファイルの一覧がありますが、当時のものは全部皆さんで掌握しておられるわけですね。
  56. 重富吉之助

    重富政府委員 当時加藤研究会でいろいろ議論があったわけですが、その際に、その検討の資料として各省庁に報告を求めて各省庁から出されたものであると理解しております。
  57. 安田修三

    安田委員 そこで、皆さんの方で各省庁保有磁気データファイル一覧マスターファイル、こういうのは持っておられるのでしょうか。
  58. 重富吉之助

    重富政府委員 もう一回おっしゃっていただきたいと思いますが……。
  59. 安田修三

    安田委員 もう一遍正確に言います。各省庁保有磁気データファイル一覧マスターファイル、要するに名称はこういうことです。コードナンバー二二〇〇一。
  60. 重富吉之助

    重富政府委員 手元にはございませんが、そのようなファイルを持っておると考えております。
  61. 安田修三

    安田委員 そうしますと、その各省庁保有磁気データファイル一覧マスターファイルというのは、各省庁保有しておられるファイルファイル番号、ファイルの名前ですとか、ずっとデータ別に全部出るわけですね。それから、項目マスターファイルというのも持っておられますね。
  62. 重富吉之助

    重富政府委員 ただいまお尋ねのファイル一覧表は個人情報とは関係のないファイル考えております。
  63. 安田修三

    安田委員 ただ、法人であれ何であれ、分類していないけれども、その中には個人情報が入っているのが随分ある。これはまじっているのでしょう。どうでしょう、混合されておるのじゃないでしょうか。
  64. 重富吉之助

    重富政府委員 お答えします。  統計データであると理解して、個人情報というふうには理解しておりません。
  65. 安田修三

    安田委員 例えば、個人名にわたるところは外に出さないようにというような記録になっているように思うところが他の省庁の場合にあるので、これは統計じゃない。統計のものもありますが、統計ではないのもあると私は思うのですが、そうでしょう。統計のもまじっておるということじゃないでしょうか、どうでしょう。
  66. 重富吉之助

    重富政府委員 統計用のデータであって、個人情報データではないと理解しております。
  67. 安田修三

    安田委員 そうですか。それでは、統計用のデータであれば、皆さんの方でそれは別に公開して差し支えないものばかりですか。
  68. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  統計データでございますから、各省庁が相互に利用できるファイルという形で一覧表ができているというふうに承知しております。
  69. 安田修三

    安田委員 統計データだということになりますと腑に落ちないところがあるわけであります。統計ファイルもありますよ、ちゃんと統計という名前のついておるのがありますから。ところが、個人にわたること、配偶者ですとか兄弟だとかというのが出てくるのがいろいろとあります。この分類というのは皆さんの中で行われているのではなかろうか。例えば、統計上のもの、個人情報になるもの、あるいは法人と個人との関係というのは、分類がなされてしまったのかあるいはこれからなされるのか。いずれにしても、やはりここからデータが分類をされるのではないかと私は思うのですが、既に分類が終わったのかあるいはこれから行われるのか、行われている最中なのか、そこらあたりどうなんでしょう。
  70. 重富吉之助

    重富政府委員 お答え申し上げます。  個人情報と申しますのは個人が識別できる形であるものでございまして、私どもは、今おっしゃったファイルというのは個人が識別できる形では入っていないのではないかというふうに理解しております。
  71. 安田修三

    安田委員 個人が識別できるかできないかということについては、これは個人が識別できるのではなかろうか、中身を見ないとどうかわからないのですが、項目別からしますと識別できるのではないだろうかと私は思っているわけです。そこで、統計だけであれば余り細かいことまで必要はないのですけれども、そうではなくしてかなり細かいところまで入っておりますので、それからいきますと私の判断ではこれは個人の識別ができる。ただつきまぜてある。おっしゃるように統計ファイルもある、そうでないものもある。  私がなぜそれを聞くかといいますと、皆さんの方で各省庁ファイルというものは、まあこれからの分類は、例えば量的分類、千以下のものはふるい落とすとか、膨大でしょうからそれはあるのだろうと思うけれども、それは皆さんの方で掌握しておられるのではないでしょうか。ある程度把握しているから法案も出されたのだろうと思うのです。各省庁の概況というのは、全部細かくぴしっとというわけにはいかぬでしょうが、ファイルは大体これとこれとこうですよというのは掌握されておるのではないでしょうか。違いますか。
  72. 重富吉之助

    重富政府委員 個人情報につきましては、江田委員の御質問に対して、私どもが現段階で見ていこうとした形で各省の提供に基づく情報ファイルを出しておりますが、私ども承知しておるのはそれだけでございます。
  73. 安田修三

    安田委員 そこで、「処理情報利用及び提供制限」第九条ですね。先ほどちょっと皆さんの方からお話がありました。二項では、「ファイル保有目的以外の目的のために処理情報利用し、又は提供することができる。」そこでは四号まで列挙例示してあります。そこで、四号まで列挙してあるうちの第四号の中で、「処理情報本人以外の者に提供することが明らかに処理情報本人利益になるときその他処理情報提供することについて特別の理由のあるとき。」こういうことがありますが、これはどういう場合を指すのでしょうか。
  74. 百崎英

    ○百崎政府委員 一、二の例を申し上げますと、例えばある人が、その人がここで言う本人だといたしまして、不慮の事故に遭った。ある私立病院に担ぎ込まれた。そこでいろいろ調べたところ、その本人が国立病院に問い合わせをすれば、血液型とかあるいは何かがわかる。そういうような場合に、私立病院から国立の病院に問い合わせをする。まさに緊急の事態ですから、国立病院としても至急それを調べて、私立病院の方に本人データを教える。そういうような場合が一つでございますが、もう一つは、例えばある人が表彰なり叙勲なりを受ける、そういう申請が出されている場合に、ある機関が、本人の経歴等につきまして、例えば過去に国の行政機関等に勤めておられたというような場合に、そこに問い合わせて本人情報を得るとか、例えて言えばそういうような場合があろうかと思います。
  75. 安田修三

    安田委員 例えば、こういう例として、ある事業主から、現に使っている人、被用者あるいは採用予定者の年金見込み額等について照会があったという場合、こういう場合はどうなんでしょう、現状でも例のあることなのですが。
  76. 百崎英

    ○百崎政府委員 基本的に、処理情報利用あるいは提供制限につきまして、二項に、「処理情報本人又は第三者権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。」という規定も置いてございますので、本人権利利益を不当に侵害しない、そういうことでございました場合には、この条項、法文に該当している相当な理由がある場合に限っては利用なり提供なりができるというふうに考えております。
  77. 安田修三

    安田委員 それが権利の侵害になるかならないかという判断、それが問題だ。皆さんの場合、ここらあたり、どれからどれまで、そうかといって条文に細かいことをきっちりというわけにいかないことは私承知しておりますが、しかし例外とかいろいろなのがあるために、例えば先ほどおっしゃったように、血液のどうのこうのということもわかりますよ。だから、今のような答えが返ってきますと、まあそれは例のあることは、例えば高齢者が再就職あるいはまた高齢者のいろいろな新規採用等の場合に出てくるのですけれども、年金照会した、そうしたらば、あなたの年金はこれだけだから、じゃ給料はこれだけ安くてもいいんじゃないでしょうかとか、こういうものに使われることが日本の場合多い。  しかし、これは先ほどの大臣お話じゃないけれども、アメリカあたりに行くと、就職にそういうようなことは聞かない。聞いてもいい質問と悪い質問というのがある。もう既にガイドラインのように州によっては制度がつくられて、個人にわたるそういうものは聞かない。そういう風習のところと、日本の場合は、逆に今度はそういう情報をとって利用するというところであるわけですね。私たちは、余り悪意でやっているどうのということではないが、日本の場合はどうもそういうおもしろい風習の出てくるところであるだけに、個人情報ということについて例外という問題が出てまいりますと、やはり注意を喚起せざるを得ない。  そういう点で、この場合も利用されたら提供は無制限になっていってしまうのではなかろうかなという不安が出てくるわけですよね。ですから、こういう点の歯どめをどうしていくかということですね。皆さんの方で法案を出された以上は、そこらあたりの考えはあるんでしょう、どうでしょうか。
  78. 百崎英

    ○百崎政府委員 私どもといたしましては、この法律が実際に施行されます場合に、各省庁のこの法律運営法律の趣旨に適合するように、かつ統一性が保たれるようにというようなことを基本にしまして、早速法律の運用に当たってのガイドラインを作成したいというふうに考えております。
  79. 安田修三

    安田委員 私そのガイドラインのことについても実は大変不満に思っておるのですが、皆さんは再三答弁で、これから統一性確保ということでは皆さんが責任省庁でありますので、特に適正な管理を行うためにそれは作成したい、こうおっしゃるのですが、しかし加藤委員会でも、このガイドラインについては既に挙げてきておるわけですね。そこで、今度の場合は個人情報保護の基本法というものはなくて、いきなり個別の法に入っていってしまったわけですね、実定法に入っていってしまった。  そこで、これはもう大臣答弁皆さん答弁の中に再三あらわれ、特に大臣答弁はその点が大変上手であって、冒頭もこうでありますと、大きくガードはしないで、それはそうなんだ、うちは小さくやむを得ないんだというようなことで、のっけから個人情報というものを大上段で守り得るという大それたことはやれないんだというような話をしながらこの委員会に臨んでおられますので、そういう点からしますと、これは個別のそういう電子計算機を中心にした、そうしてしかも政府の行政機関が持っているということに限定されたような言い方をしながらも、私が考えるのに、個人情報関係保護法として当分はこれで押し切っていきたいという考え皆さんの場合は巧みにあるんじゃなかろうか、こう思うわけですね。しかし、そういうことはしてもらっては困る。こういうことで、法案がどういう採決になるかわかりませんが、もし成立するということであれば、これはもう近い将来抜本的に変えてもらわなければならないし、また私たちは、そうであればこれは反対せざるを得ない。  したがって、この法案の取り扱いということによりましては、どちらかというともろ刃の剣のような性格を持っておりますから、個人情報保護法というのは速やかに制定してもらいたいというのは、一般論としてはだれしも全部持っているだろうと思う。世論調査でもそうですし、みんなそうだと思う。しかし、中にはないよりはましだというふうに考える人もありますし、それからない方がまだよりましだ、こういう全く両論あるのがこの法案に対する見方だろうと私は思います。それだけに、この維持管理が適正に行われる担保として、本来はガイドラインというものはあらあらと皆さんの中にこれが作業が進められて、そして並行して、骨子なり概要というものが委員会に出ていなければ、私はおかしいと思うのです。そうでなければ、まともな審議にならないと私は思うのですよ。適正な管理とかそういうものの担保は何もなくて、さあ法案ですから審議してくださいというのは、私はちょっとおかしいと思うのですよ。  皆さんの方で、ガイドラインはこういうものをあらあらとして骨子なりあるいは概要というものは考えておるんです、だが細部は各省庁のこともあるし、これからなお詰めなければならぬと言ってその種のものがあって初めて、この法案のいわゆる裏づけというものが出てきて、審議というのは実質身が入るんじゃなかろうかと私は思うのです。そのものが今日まで示されていないというのは、これは大変国会軽視ではなかろうかと私は思うのですが、そこらあたりどう思っておられるんでしょうか。
  80. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ガイドラインの問題につきましては、本法案が何しろ初めての法案でございますので、国会における御審議の状況、あるいはまたいろいろと理事会等で附帯決議等の御検討もされておるようでありますが、私どもそれらの内容等もまた十分踏まえまして、しかるべきガイドラインを設定したいというふうに考えております。安全確保措置あるいは正確性の確保措置等については、現在一応のものが考えられておるところであります。  なお、しばしば当委員会における審議に際しまして、巨大なブラックボックスを設けるものではないかというようなおしかりも受けておるわけでありますが、あえて申しますれば、今はどの省庁がどのような内容ファイルをどういうことで持っておるのかということは、全部いわばブラックボックス化されておるわけでありまして、少なくともこの法案の成立によりまして相当部分が本人に対して開示される対象になるという意味においては、むしろブラックボックスをぐっと縮小していくものであるというふうに私ども考えておるところであります。  なおまた、委員から情報公開の問題についても先ほど御指摘がございましたが、情報公開法につきましては、これも当庁におきまして今鋭意勉強しておるところでございますので、いずれかの機会には御審議をいただくことになろうかと思っております。
  81. 安田修三

    安田委員 そこで、さっきの続きになりますが、ちょっと統一性という問題が出ましたのでガイドラインの方に入りましたが、また関連して前に戻りますと、例えば「租税の賦課又は徴収に関する事務」これは第七条の三の五では、頭から「ファイル簿に掲載しないことができる。」こうなっているわけです。私はちょっとこれに触れておきますと、「租税の賦課又は徴収に関する事務」が、これはなかなか難しい問題ですけれども、頭からファイル簿に掲載しないということは、かえって納税者にいろいろな疑問やあるいは場合によったら不信感を抱かせるんじゃないだろうか、こう思うのです。  なぜかといいますと、税務調査によって収集された納税者に関する租税資料というのは、これは当然国家公務員法上の職務上知ることのできた秘密に該当して、法によってもちろん保護されておるけれども、さらにそれ以上に、プライバシーの保護関係では、所得税法なり法人税法で秘密漏えい罪で、実はこれは二重の枠組みになったりあるいは歯どめになっておるわけです。そこで、こういう納税者等の個人的、経済的な秘密に接する機会の多い税務調査に関する事務、これについては多くのガードがされておりますから、そういう点では、今の場合日本の納税者というのは、ここらあたりの行政ということについてはどちらかというと信頼関係といいましょうか、我々のことは外には漏れないということ、そういうものがあるということについては承知をしておる。  ところが今度の場合、すべてはいろいろなファイルに表面に出てくるわけですが、その中に皆さんの場合に開示請求に応じられるものあるいはまたそうでないもの、いろいろ分類されてくるわけですけれども、のっけからファイル簿に掲載されていないということになってまいりますと、納税者とすれば、おれのは一体どのような情報がどういうぐあいにあるのかなということでかえって不信感が出るんじゃないだろうか、あるいは不安感が出るんじゃないだろうかというようなことも懸念される。これは大変微妙なところであります。そういう点では、ここらあたり皆さんはどのように考えておりますか。
  82. 百崎英

    ○百崎政府委員 ここらあたりは非常に微妙な問題だろうとは思いますが、ファイル簿に掲載しないということにつきましては、「ファイル保有目的に係る」ここではいわゆる税務事務の「適正な遂行を著しく阻害するおそれがあると認めるときは、これを個人情報ファイル簿に掲載しないことができる。」ということでございまして、すべてのっけから租税関係ファイルファイル簿に登載しないということではございません。今おっしゃいましたように、税の場合には特に守秘義務等が課されているわけでございますが、いずれにいたしましても、そのファイル簿の内容をちょっと私どもも詳細は存じておりませんけれども、例えば、その税務調査の結果等につきましてそれが登載されている項目が仮に表に出された場合には、やはり一方では税の適正なあるいは公正な執行ということが場合によっては著しく阻害されるというおそれもある場合がございますので、そういう意味で、ここでは「掲載しないことができる。」というふうな規定を置いたわけでございます。  確かに、個人個人にとってみればある意味では不安感を持たれる方もあろうかとは思いますけれども、実際に今度はファイル簿等に基づくデータに基づいて税の執行、課税が行われるというようなことになりました場合に、その場合にはまた一方で租税関係の不服審判制度等もございますので、そういったところで適正な課税を求めるという、そういう道も開かれているわけでございますから、ここのところはそのように御了解いただきたいと思います。
  83. 安田修三

    安田委員 そこで、これはどうなんでしょう、皆さんの方でこの法案が成立した場合、初めての取り組みと再三出てまいります。初めて国としてこの種の個人情報、しかもそれは全体像じゃない、それから民間関係の場合はこれから検討してやっていかなければならぬということ、どうなんでしょうか、試行錯誤的に出された法案だということになれば、こういう点について皆さん方は短期間の間に見直しながらというような考えというのはあるのでしょうか。
  84. 高鳥修

    高鳥国務大臣 この法案は初めての法案ではありますが、委員承知のように、既に十年余りの歳月をかけまして諸外国の立法例等も勉強しながら取り組んできた法案でございますので、提出いたしました現段階におきましては、私どもといたしましてはぎりぎりのところを追求した最善のものであると考えております。ただしかしながら、電算処理のやり方などにつきましてはまさに日進月歩でございますし、国民意識の変化もあるわけでございます。そうしたものを踏まえまして、私どもといたしましては今後、しっかりまた常時検討を進めて、直すべき点があれば当然直していかなければならない、このように考えております。  林研究会などにおきましても、適当な学識経験者等の審議会などを設けたらどうかというような意見も述べられておるところでありますが、何しろ行政改革を担当する当庁といたしまして、今審議会をふやすというようなことを法案に盛り込むことはいささかいかがなものかと考えましたので盛り込まなかったわけでありますけれども、今後短期間、臨時のものであれば、あるいはそのようなことをお願いすることも適当であろうというふうにも考えております。いろいろな方法で検討は進めてまいりたい、こう思っております。
  85. 安田修三

    安田委員 それから、初めに全体のプライバシー保護ということでその場合は法務省が所管かというお話もありましたが、どうなのでしょう。民間からひっくるめたそういう全体個人情報保護ということについて、担当省庁というのは、まだ皆さんの方でそこまでの話というのは煮詰まっていないのですか。どこかが所管して全体をというのは、対策あるいは立法についての検討をしていくというようなものはないのですか。
  86. 百崎英

    ○百崎政府委員 この問題につきましては、昨年の年末に決めました行革大綱におきましても、それぞれ関係省庁において検討するということは決められておりまして、現実には、例えば経済関係につきましては経済企画庁の国民生活審議会ですか、そこで広く検討が行われておりますし、また個別の金融分野につきましては大蔵省、それから信用行政等につきましては通産省、それぞれの審議会等において検討が進められております。例えば人権関係のプライバシーといいますか、これは法務省の所管だろうと思いますけれども、これらを全体をひっくるめた形でどうするかということは、今そういう協議機関のようなものはできておりませんけれども、ただ、それぞれの省庁がそれぞれの所掌する範囲内において鋭意検討を進めているという段階でございます。
  87. 安田修三

    安田委員 そこで、今度の個人情報については、たまたま行政機関の方の統一機関確保ということで皆さんが所管庁になってきた。そうしますと、将来的なそういうものについても、行きがかり上総務庁がどちらかというと推進役にならざるを得ないのじゃなかろうかと思うのですが、どうなのでしょうか。
  88. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる民間部門における個人情報保護につきまして、総務庁の所掌事務なり権限から見て、直接的には非常に無理がございます。ただ、一方におきまして、経済企画庁なり通産省あたりがそれぞれの所管する行政についてそういう研究なり検討を進めるということになっておりますと、私どもとしては、先ほど申し上げました行革大綱を推進するという立場もございますので、そういった機関を通じてさらに促進するようには働きかけるという可能性はございます。
  89. 安田修三

    安田委員 私は大臣にぜひ要望しておきたいと思うのですけれども、そういう全体のものをつくれということを政府側に言うても、窓口がなければこれはまたおかしいものですね。そうすると、総務庁の方が、おれのところははばかって出られるわけがないじゃないかという考えがあるのかもしれませんが、今の経過からして、将来独立の機関ができようと、あるいはまた他の省庁でやるような適当なところがないわけですから、それの旗振り役は当然総務庁が担うべきではなかろうかと私は思いますし、ぜひ大臣も、民間をひっくるめた全体個人情報保護ということの対策と立法化について取り組んでもらいたい、私はこう要望したいと思いますが、どうでしょうか。
  90. 高鳥修

    高鳥国務大臣 昨年の十二月二十八日に閣議決定いたしました行革実施の方針におきましては、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、「民間企業等の保有する個人情報保護についても、それぞれの関係省庁において所要の連絡調整を図りつつ、引き続き検討を進める。」ということを決定しているところでございます。  この法律を出しますについても、総務庁がそもそもという、先ほど御紹介申し上げたような議論がありましたので、その上に民間部門まで私どもが旗振りをやって法案を出しますよなどということを言いますと、おまえたちは何の権限があってと、こういうことで大変な反発を食うおそれがありますので、私の口からそのような口幅ったいことを申し上げることは差し控えなければならないと思いますが、私どもは各省庁間にまたがる事務について調整をするという役割も担っておるところでありますので、今後また国会においてそうした御鞭撻をいただきながら私どもとしても取り組んでまいりたいと思っております。
  91. 安田修三

    安田委員 最後に、この法案はまだこれから審議が続きますが、いろいろと言いました点で、再三本委員会で問題になっておりますが、私としては、原則的なくいを打ちながら抜け穴が多くて非常に不十分である。そういう点では、みんな個人情報保護ということについての立法は望んでおるけれども、場合によっては、考え方によっては、あるよりはない方がましだという見方もできる、欠陥も随分含んでおるということで、本法案がなおよりいいものになるように皆さん方の方で鋭意検討をいただきたい、こう思っております。  以上で終わります。
  92. 竹中修一

    竹中委員長 次回は、来る十一月一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会