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安田委員 私、
皆さんは狭い範囲だけしか見ていないような感じがする。
皆さんの場合は、専門的にこういう立法をするために研究されて、そして練り上げて各
省庁と調整しながらまとめられた
法案ではあるけれ
ども、今のお答えを聞いておると、
皆さんがつくったことを守るために狭い範囲しか
考えないで言っていらっしゃるように私は思う。わざとそうおっしゃっているのか、のっけからそういうぐあいに言っていらっしゃるのか。
それで、私が特に感ずるのは、十月十一日の
委員会で、特にこの
収集制限の問題、田口
委員の質問に答えられて、詳しく
収集制限の原則ということについて
重富政府委員からお答えになっております。その中に、西ドイツ、カナダのような場合ということで、この場合には何ら
収集制限が設けられていない、それから
情報の
収集手段の場合、この
収集手段の
制限の場合にも、我が国と同じような
考え方から、スウェーデンとかイギリスでは
本人同意という
規定は設けられていないとかということが触れられておるわけでありまして、私、
皆さん方の
考えておられることを見て、そして今のお答えを聞いて、なるほどこれではやはり今おっしゃったようなことで尽きていくのかなと思ったのですけれ
ども、それほどこの立法技術を見ても法技術の場合すべてそうでありますが、法の理念とする
目的像が個別の
規定にどうあらわれてくるかということが必要であります。そこで、西ドイツ、カナダの場合も、そういう点では
一つの条項にないけれ
どもどこかに別の機能をする条項があって、全体を組み合わせるとそこにきちっと網がかかってくる、こういうことになっておるところに私はみんな特徴があると思うのです。今、我我の場合には、この
法案というのは原則幾つかくい打ちがあるわけです。これはOECDの
関係から原則くい打らしなければ先進国
日本が何だということで物笑いになります。ところが、抜け穴が随分出てきてしまっている。ですから、機能を果たさないじゃないかというのが私
どもの言い分になっているわけです。
例えばこの西ドイツとカナダの場合は、
行政機関が所掌事務の範囲内で
法律に基づいて
個人情報の
収集を行う場合については何ら
制限は設けられていないというのが
皆さん言っていらっしゃる十一日の
答弁であります。確かに、西ドイツは
日本と同じように、所掌事務の範囲内で
法律に基づいて
個人情報の
収集を行う場合に許容され、そして
保有の場合にも同様の
規定があります。しかし問題は、私これを見ていますと、何か
皆さんは
都合のいい部分だけをおっしゃっているような、例えば
日本とここが一緒ですよ、だから、とおっしゃるのですが、ところがこのような
皆さんの解釈というのは、実際は事実と違っているのじゃないだろうか。それは、御存じのようにOECDのガイドラインにも明記されておりますけれ
ども、そもそもOECDの八原則というのは、それぞれが
一つ一つ、この
項目は隣と隣の
項目、一と二は完全に違うという独立したものではなくして、あれそのものというのはお互いに密接に連関したり部分的には重複しているところがあります。例えば
収集制限ですとか
目的とかいう問題になりますと、あるいは
個人の参加とかいろいろなところになりますと、お互いに重複したり連関したりというのがありまして、これはOECDのガイドラインにもそこらあたりについて解説等で述べておるところです。
さてそこで、
皆さんの
答弁の中で、先ほ
ども言いました
収集制限には、
一つは
情報の
内容による
制限、それから二つ目は
情報の
収集手段による
制限ということを挙げて説明した中にも、OECDの八原則の中の
四つに該当するんじゃないかと私は思うのですけれ
ども、その中に入り込むようなことが
答弁の中に既に出てまいっております。それは私当然だと思うのです、そういうぐあいに入ってくるのは。
そこで、私は西ドイツ等の場合と比べてみるわけですが、例えば所掌事務の範囲内のほかに
本人の同意、しかも西ドイツの場合は書面を必要とする。またもう
一つ、これは翻訳によって違いますが、連邦
データ受託官と言ったりあるいはまた連邦
データ監督官と言ったり、どちらが本来
日本的に言ったらわかりやすいのでしょうか、我々の場合、監督官と言うのがわかりやすいのですが、一種のオンブズマン
制度があって、オンブズマソが任命され、——この受託官あるいは
データ監督官というのは一種のオソブズマソでしょう。これが公的機関の監督、
データの改善のための勧告、政府、
大臣への助言、衆議院、政府の要請に基づいた鑑定書の作成、年次報告書を衆議院に提出などというすごい権限を実は持っておる。こうした
もろもろの機関、機能というものが結合されて初めて
収集制限の立体像というものがそこに出てくるわけです。これではとてもじゃないが網がかかってできないのじゃないか、こういうようなことが私は出てくると思うのです。
私、何でも外国のまねをせい、そう言うつもりはございません。たまたま、十一日の田口
委員の
答弁を私読んでおりまして、いや、こういうことをおっしゃっているのか、これは不思議だ、これはいいところだけのつまみ食いじゃないかと実は思ったのですが、まあこれは
皆さんの場合の組み立てからすると、先ほど聞いてそうなら
ざるを得ないのかなと思ったのです。要は、このようにドイツあたりはまじめに
制限ということを
考えている。では、
日本の場合はふまじめなのか。ふまじめよりも落とし穴をたくさんつくっている、こう私は思うのです。そういう点で、もう少し実効性のある
制度化ということが本
法案の場合に必要ではないか。そのためには、本来もう
法案のここらあたりは見直してつくり直してもらいたいという気持ちで私はいっぱいであります。そういう点で、どうでしょうか、
皆さんの方はどういうぐあいにここらあたりは
考えておられるのですか。