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1988-11-10 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月十日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君       甘利  明君    池田 行彦君       衛藤征士郎君    片岡 清一君       岸田 文武君    志賀  節君       鈴木 宗男君    田原  隆君       谷  洋一君    谷垣 禎一君       玉沢徳一郎君    中川 昭一君       中川 秀直君    中島  衛君       中西 啓介君    中村正三郎君       西田  司君    野田  毅君       葉梨 信行君    浜田 幸一君       原田  憲君    堀内 光雄君       宮下 創平君    村山 達雄君       山口 敏夫君    山下 元利君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         大蔵省主税局長 水野  勝君         国税庁次長   伊藤 博行君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     谷垣 禎一君   浜田 幸一君     衛藤征士郎君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     浜田 幸一君   谷垣 禎一君     池田 行彦君     ───────────── 十一月十日  大型間接税導入反対に関する請願柴田睦夫紹介)(第二五一九号)  同(不破哲三紹介)(第二五二〇号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第二五二一号)  同(中路雅弘紹介)(第二五七一号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五七二号)  消費税導入反対に関する請願安藤巖紹介)(第二五二二号)  同(石井郁子紹介)(第二五二三号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五二四号)  同(浦井洋紹介)(第二五二五号)  同(小川国彦紹介)(第二五二六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二五二七号)  同(金子満広紹介)(第二五二八号)  同(経塚幸夫紹介)(第二五二九号)  同(工藤晃紹介)(第二五三〇号)  同(児玉健次紹介)(第二五三一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二五三二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二五三三号)  同(田中美智子紹介)(第二五三四号)  同(辻第一君紹介)(第二五三五号)  同(寺前巖紹介)(第二五三六号)  同(中路雅弘紹介)(第二五三七号)  同(中島武敏紹介)(第二五三八号)  同(野間友一紹介)(第二五三九号)  同(東中光雄紹介)(第二五四〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二五四一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五四二号)  同(正森成二君紹介)(第二五四三号)  同(松本善明紹介)(第二五四四号)  同(村上弘紹介)(第二五四五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五四六号)  同外一件(岡崎万寿秀紹介)(第二五七三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二五七四号)  同(不破哲三紹介)(第二五七五号)  同(正森成二君紹介)(第二五七六号)  同(松本善明紹介)(第二五七七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五七八号)  同(中路雅弘紹介)(第二六〇〇号)  同(永井孝信紹介)(第二六〇一号)  同(松本善明紹介)(第二六〇二号)  大型間接税反対に関する請願山原健二郎紹介)(第二五四七号)  消費税生協課税強化反対等に関する請願小川国彦紹介)(第二五四八号)  同(竹内猛紹介)(第二五四九号)  同(馬場昇紹介)(第二五五〇号)  同外二十一件(山口鶴男紹介)(第二五五一号)  同(上坂昇紹介)(第二五八一号)  同(権藤恒夫紹介)(第二五八二号)  同(武藤山治紹介)(第二五八三号)  同(森本晃司紹介)(第二五八四号)  同(浦井洋紹介)(第二六一六号)  同(佐藤徳雄紹介)(第二六一七号)  同(日笠勝之紹介)(第二六一八号)  新大型間接税導入生協課税強化反対に関する請願沢田広紹介)(第二五五二号)  同(沢田広紹介)(第二五九一号)  生協課税強化反対に関する請願外二件(玉置一弥紹介)(第二五七〇号)  消費税導入反対課税最低限引き上げ等に関する請願外一件(小川新一郎紹介)(第二五七九号)  同(森本晃司紹介)(第二五八〇号)  同(浦井洋紹介)(第二六〇三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二六〇四号)  同(金子満広紹介)(第二六〇五号)  同(経塚幸夫紹介)(第二六〇六号)  同外一件(佐藤祐弘紹介)(第二六〇七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二六〇八号)  同(中路雅弘紹介)(第二六〇九号)  同(野間友一紹介)(第二六一〇号)  同(日笠勝之紹介)(第二六一一号)  同(松本善明紹介)(第二六一二号)  同(村上弘紹介)(第二六一三号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六一四号)  同(山原健二郎紹介)(第二六一五号)  税制改革消費税導入反対に関する請願石田幸四郎紹介)(第二五八五号)  同(大野潔紹介)(第二五八六号)  同(貝沼次郎紹介)(第二五八七号)  同外一件(武田一夫紹介)(第二五八八号)  同(沼川洋一紹介)(第二五八九号)  同(小谷輝二君紹介)(第二六一九号)  同(日笠勝之紹介)(第二六二〇号)  同外二件(伏屋修治紹介)(第二六二一号)  消費税導入生協課税強化反対不公平税制是正に関する請願安倍基雄紹介)(第二五九〇号)  同(前島秀行紹介)(第二六二二号)  同(松前仰君紹介)(第二六二三号)  リクルート疑惑全容解明に関する請願寺前巖紹介)(第二五九七号)  同(中路雅弘紹介)(第二五九八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五九九号) は本委員会に付託された。 十一月八日  新大型間接税導入反対に関する請願(第四九〇号)、同(第五三七号)、不公平税制是正新型間接税導入反対に関する請願(第七二九号)、同(第一二九〇号)及び新型間接税導入反対に関する請願(第一五四七号)は「上田卓三紹介」を「井上一成君外一名紹介」にそれぞれ訂正された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合日本共産党革新共同所属委員出席を要請いたしましたが、出席がありませんので、やむを得ず議事を進めます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、昨九日、各法案審査のため、熊本県、石川県及び宮城県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を求めます。第一班海部俊樹君。
  3. 海部俊樹

    海部委員 第一班、熊本班派遣委員を代表して御報告申し上げます。  派遣委員は、羽田孜君、村山喜一君、二見伸明君、甘利明君、坂上富男君、安倍基雄君、工藤晃君、それに私の八名で、現地参加として委員野田毅君が参加されました。  会議は、熊本県立劇場において開催し、現地各界意見陳述者方々から、税制改革法案外法律案について意見を聴取し、これに対して熱心な質疑が行われました。  意見陳述者は、熊本県民テレビ非常勤取締役河端脩君、熊本商工会議所会頭粟津雅敬君、熊本商科大学経済学部教授菅知彦君、税理士袋田正明君、飽託郡北部町長緒方泰之君、熊本労働同盟副書記長矢鳴浩一君の六名でありました。  その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、税制改革法案外法律案賛成立場からの意見としては、現行税制は、経済社会変化から我が国現状に適応できない状態にあり、所得消費資産等の間で均衡のとれた税体系を整備する抜本的な税制改革が必要であること。現行所得税最高税率は高過ぎること、累進度がきついこと、サラリーマン重税感不公平感が大きいことから見直す必要があること。法人税については、その税率が国際的に見て極めて高いこと、現状では企業内部蓄積ができないこと等から、今回の減税案は評価できること。現行物品税については、アンバランスが甚だしく、諸外国の例も勘案しつつ、消費一般に薄い税率消費税を課すことが現実的であること。今回の税制改革に伴う地方税減収に対処して、消費譲与税を創設し、また、消費税地方交付税対象税目に加えることにより、地方に対する配慮がなされていること等の意見が述べられました。  また、反対立場からの意見としては、税制全般の位置づけを国民生活の将来のビジョンに合わせて明確にした上で、国民のコンセンサスを求めるべきであること。不公平税制是正行財政改革をまず行うべきであること。有価証券譲渡益課税については、総合課税方向改正すべきであること。消費税については、産業経済に対する中立性に問題があること、価格転嫁が困難であると同時に商品によっては便乗値上げのおそれがあること、納税義務者負担が大きいこと等から導入すべきでないこと。最近の自然増収状況から今すぐ消費税導入しなければならない必然性がなく、時期尚早と思われること等の意見が述べられました。  次いで、各委員から陳述者に対し、相矛盾する消費税価格転嫁困難性便乗値上げとの関係サービスに対する間接税課税あり方、多額の自然増収がある中での税制抜本改革必要性税制改革地方行財政に与える影響、みなし法人課税是非帳簿方式税額票方式による価格転嫁の難易、中小企業消費税価格転嫁困難性、三%の消費税率引き上げ可能性、リクルート問題と税制改革法案との関係等について質疑が行われ、滞りなく全部の議事を終了いたした次第であります。  以上が第一班の概要でありますが、会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、本日の会議録参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。  以上をもって第一班の報告を終わります。
  4. 金丸信

    金丸委員長 次に、第二班藤波孝生君。
  5. 藤波孝生

    藤波委員 第二班、金沢班派遣委員を代表して御報告を申し上げます。  派遣委員は、加藤万吉君、玉沢徳一郎君、鈴木宗男君、山下洲夫君小谷輝二君、玉置一弥君、矢島恒夫君、それに私の八人で、現地参加として理事瓦力君が参加されました。  会議は、金沢国際ホテルにおいて開催し、現地各界意見陳述者方々から、税制改革法案外法律案について意見を聴取し、これに対して熱心な質疑が行われました。  意見陳述者は、渋谷工業株式会社会長渋谷亮治君、石川労働組合評議会議長粟森喬君、株式会社ホテル百万石社長吉田豊彦君、公認会計士税理士高口稔君、石川町村会長矢田剛君、石川労働同盟会長宮西実君の六名でありました。  その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、税制改革法案外法律案賛成立場からの意見としては、給与所得者中心とする納税者に、重税感不公平感が根強く存在し、抜本的な税制改革早期実現が期待されていること。今回の消費税導入は、不公平の地ならしを行いつつ、負担アンバランスが生じている現行物品税を見直し、消費税率を低く設定しており、広く薄く課税する税制の確立に対する配慮であると評価されること。法人税に関しては、税率の引き下げが盛り込まれており、ずっと増税の歴史であった我が国法人税制にとって画期的なことであること。これにより企業事業拡大意欲を支えるとともに、産業空洞化に歯どめがかかること。料理飲食等消費税特別地方消費税に改め、税率を引き下げる等の措置により税負担の軽減が図られていることは大変評価されること。国税の減税に伴う地方交付税減収についても、消費譲与税を創設し、また、消費税の一部を地方交付税対象税目とすることで、十分な補てん措置が講ぜられていること等の意見が述べられました。  また、反対立場からの意見としては、税制改革に当たっては、行政改革五カ年計画、新財政再建計画福祉ビジョンの提示を前提として、大幅な減税と徹底的な不公平税制是正が必要であるが、今回の税制改革はこの手順を無視しての消費税導入であり賛成できないこと。今回の改正案では、地方自治及び地方財源あり方についての視点が欠け、税制面での中央集権化がさらに進むこと。消費税については、売上税反省が見受けられるが、転嫁困難性免税点簡易課税制度等の採用により一物複数価格となること。逆進性があること等の問題が懸念されること。消費税導入に当たっては、税率引き上げの歯どめ策、実施の一年先送り等が必要であること。キャピタルゲイン課税については、納税者番号制度導入して総合課税へ移行すべきこと。資産課税については、土地の供給を促進するため課税強化を図る一方、居住用住宅等に対する相続税固定資産税等は軽減する必要があること。法人税制については、減税を行い、企業に対する優遇措置を見直しすべきこと等の意見が述べられました。  次いで、各委員から陳述者に対し、給与所得者重税感を解消するための所得税減税についての評価、高齢化社会を迎えるに当たっての公正な給付と負担あり方現行物品税消費税の本質の相違点消費税転嫁を確保するための納税事務あり方年金生活者老人等社会的弱者に対する消費税導入影響地方財政から見た消費税導入影響消費税率引き上げ歯め策納税者番号制度導入是非中小企業に対する課税あり方、リクルート問題と税制改革関係法律案との関係等について質疑が行われ、滞りなく全部の議事を終了いたした次第であります。  以上が第二班の概要でありますが、会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたします。  以上をもって第二班の報告を終わります。
  6. 金丸信

    金丸委員長 次に、第三班加藤六月君。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 第三班、仙台班派遣委員を代表して御報告申し上げます。  派遣委員は、米沢隆君、池田行彦君、中村正三郎君、伊藤茂君、川崎寛治君、坂口力君、正森成二君、それに私の八名でありました。  会議は、ホテル仙台プラザにおいて開催し、現地各界意見陳述者方々から、税制改革法案外法律案について意見を聴取し、これに対して熱心な質疑が行われました。  意見陳述者は、東北電力株式会社総務部長田沼四郎君、日専連仙台会理事長伏見亮君、若生工業株式会社社長若生金郎君、東北学院大学経済学部助教授高橋志朗君、多賀城市長伊藤喜一郎君、宮城労働同盟会長三浦重信君の六名でありました。  その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、税制改革法案外法律案賛成立場からの意見としては、今回の法律案所得消費資産等の間での均衡のとれた税体系の構築を目的としており、公平、中立、簡素の観点から適切であること。法人税減税は、企業国際競争力強化、活力の維持に資するもので高く評価すべきであること。金融・証券市場国際化から見て、キャピタルゲインについての原則課税への移行は適切であること。相続税減税は、残された家族の生活安定に資することとなり、適切な措置であること。物品税における奢侈性の概念は、社会情勢変化とともに何が奢侈であるか容易に区別しがたく、広く薄くという観点から消費税に移行することは妥当であること。今回の税制改革に伴う地方税減収に対処して、消費譲与税を創設し、消費税地方交付税対象税目に加えることにより、地方財政運営に支障のないように配慮されていること等の意見が述べられました。  また、反対立場からの意見としては、不公平税制是正が不十分なまま消費税導入することは容認できないこと。所得水準の上昇及び平準化を立証する十分な根拠が法案には見当たらないこと。キャピタルゲイン課税については、納税者番号制度導入とともに総合課税とすべきであること。消費税については、逆進性の問題、税率引き上げのおそれ、価格転嫁問題等があり、十分な審議が必要であること。土地保有税強化等土地税制抜本的見直しを図ること。医師優遇税制、みなし法人課税制度の廃止を緊急課題とすること等の意見が述べられました。  次いで、各委員から陳述者に対し、消費税税率に対する具体的歯め策、望ましい土地対策土地税制消費税簡易課税制度地域経済税制あり方税制改革地方経済地方財政に与える影響実質増税となる低所得者問題、消費税納税コスト及び転嫁問題、リクルート問題と法案審議等との関係等について質疑が行われ、滞りなく全部の議事を終了いたした次第であります。  以上が第三班の概要でありますが、会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたします。  以上をもって第三班の報告を終わります。
  8. 金丸信

    金丸委員長 ただいま報告のありました各班の現地における会議記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ─────────────     〔会議記録は本号(その二)に掲載〕     ─────────────
  10. 金丸信

    金丸委員長 お諮りいたします。  各法案審査のため、江副浩正君、高石邦男君、加藤孝君の三名に参考人として出席を求めることとし、その日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、暫時休憩をいたしたいわけでありますが、その理由は、野党にいま一度あるいはいま二度懇請して、委員会に参加してもらうという意味暫時休憩をいたしますが、また御通知を申し上げますが、御出席は、こちらの委員会が始まりましたら御出席を願いたいと思います。  それでは、暫時休憩いたします。     午前十一時二分休憩      ────◇─────     午後五時十四分開議
  12. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を許します。宮下君。(発言する者多し)宮下君、宮下君、質問を始めてください。宮下君、やってください。
  13. 宮下創平

    宮下委員 ただいま委員長からの…(発言する者多し)ただいま委員長から御指名がありましたので、私が質問をいたします。御静粛にお願いします。委員長、御静粛にお願いします。  私は、こういう異常な段階でございますけれども、整々とこの税制改革六法について質疑を行いたいと存じます。(発言する者多し)  まず最初にお伺いしておきますけれども、こういう異常な雰囲気、こういう異常な雰囲気でございますけれども、どうか、国会は言論の府でございます。私は、委員長許可を得て質疑をやろうとしているわけでございますので、どうか議員各位の皆さんに御静粛にお願いしたい、このように思います。(発言する者多し)  それでは、委員長許可を得ておりますので、最初にお尋ねをいたしたいわけでございます。  今日まで税制改正につきまして種々議論がございました。私は、この税制改正の当委員会における審議状況をタイムスタディーによりまして、どの程度今まで時間が費やされたかということについてまず最初に申し上げたいと思います。  この当委員会は、九月の十四日以来、総時間で九十五時間の審議を行っております。そして、それを、正確を期する意味で、事務当局に時間のブレークダウンをしていただきました。そういたしますと、当面のリクルート問題、これが十八時間十五分費やされております。そして、不公平税制是正あるいは野党の提出されました税制改正基本構想あるいは税制全般に対する質疑法案に対する総括、公聴会、昨日の地方公聴会を含めまして、総時間で九十五時間のうち七十七時間、実に八一%をこの税制改正に費やされておるのであります。  さきの国会におきまして国鉄改革をやりました際は、国鉄改革は六十六時間で議了いたしておりますから、公聴会を含めて国鉄の場合七十六時間でございますが、本委員会税制に関する論議だけでも七十七時間ということでございますから、竹下総理の言われる、審議しつつ理解を求め、理解を求めつつ審議を行うという姿勢に立って今日までやってまいりましたが、私は税制改正論議はここに至りまして十分熟しておるというように考えております。そして審議は十分行われたものだと理解をいたしております。この点に関する総理のお考えをお承りしたいのでございますけれども、この点よろしくお願いいたします。  ただいまの質問に対する総理の御答弁をお願い申し上げたいと存じます。総理答弁を求めます。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの宮下委員が御指摘になられましたように、当委員会におきましては長時間にわたりまして政府提案につきまして御審議を賜ってまいりました。その間幾たびかお答え申し上げましたように、政府といたしましては、四十年間に近く骨格を改めませんでしたいわゆるシャウプ税制につきましてこの際抜本的な改正をいたし、所得消費資産の間でバランスのとれました税体系を構築いたしまして、高齢化社会の近づきます二十一世紀に備えてまいりたい、かように考えております。
  15. 宮下創平

    宮下委員 大蔵大臣、ありがとうございました。  私は、次いで内容についてひとつ入りたいと思います。  まず第一は、税制改正趣旨基本理念についてでございます。今までも税制改正につきましてその趣旨がいろいろ論ぜられておりまして、大体その方向ははっきりしたかと存じますが、与党の質問でございますので、改めてこの点につきまして確認を申し上げたい、このように存じます。     〔委員長退席海部委員長代理着席〕  まず第一は、中堅サラリーマン中心とする重税感不公平感の緩和でございます。税のゆがみ、ひずみが大幅なものとなり、その解消が迫られておりますが、大幅な所得税減税が今日要請されております。これが第一。  私は、五十九年度の税制改正反省の上に立ちまして、今日政府が提案されております税制改正法案は、まさに歴史的な必然性を持つものである、このように存じております。  そして第二番目に、所得消費資産の間でバランスのとれた税制を確立するという視点が第二でございます。  それから第三番目には、個別間接税を解消いたしまして、サービスも含めた広く薄い課税必要性が強調されております。  そして同時に、第四番目に高齢化社会への対応ということが言われておりまして、同時に国際化への対応という四つの視点が今日の税制改正の基本的な視点であろうかと私は存じますが、これに対する確認の意味大蔵大臣の御答弁を求めます。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま宮下委員から御指摘になりましたように、所得消費資産の間にバランスのとれた税体系を構築することは目下最も大切なことであると存じます。殊に、シャウプ税制以来大きな骨格の改正をいたしませんでしたために、ただいま中堅の給与所得者、その層の重税感が非常に強い。それはやはり今日の不公平感のもとになっておると存じます。したがって、この重税感を何とか解消をいたしたい。また、御指摘のように法人税も国際的に非常に高い水準になっておりまして、かくては我が国経済の将来あるいは雇用の今後の確保につきましても問題がございます。さらに、御指摘になりましたように、物品税等を初めといたします個別間接税が、今やこのままではなかなか維持しがたいような現状になってまいりました。かたがた、我が国国民所得水準がこれだけ高くなり、また、所得間の格差が少なくなってまいりましたので、この際、社会の共通な費用は広く国民負担をしていただくことが望ましいし可能である、かような見地から消費税を御提案いたしました。  以上、このたびの税制改革は、御指摘のように所得消費資産の間でバランスのとれました新しい税制を構築いたしまして将来に備えたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 宮下創平

    宮下委員 次に、私は、この税制議論で一番垂直的公平と水平的公平という議論がございますので、この点につきまして所得税の負担感、累増感を解消し、累進税率の緩和を図るべきだと考えておりますが、この点についてお伺いをいたします。  所得税の負担累増感を解消するためには累進税率の緩和を図るべきであるというように考えておりまして、このことは、所得水準が上昇して平準化しておりますので、垂直的公平への要請というものは比較的低下しておるのではないかと私は考えます。この点について、過度な累進税率、今までの所得税が過度な累進税率でございましたが、この過度な累進税率でございますとどういうことが起きるかといいますと、重税感とか負担累増感が非常に高くなります。そして勤労意欲とか事業意欲の阻害要因になります。また節税、脱税の要因にもなりかねないということでございますから、この累進緩和の必要性ということはいよいよ歴史的な必然だと私は思います。そういう意味でひとつ御所見を承りたい。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、先ほども申し上げましたように、やはり今の所得税の累進構造でございますと、いわゆる中堅給与所得層における負担重税感が非常に大きい。したがいまして、このたびはこれを改めまして、いわゆるライフステージにおきましてできるならば一つの一〇%の税率、場合によりまして二〇%まで、八九%ぐらいまでは一〇%の税率でいわば社会に出て会社の勤めを終わられる、このようにいたしたい、これによりまして累進構造を緩和いたしたいと考えております。  確かに所得税にはいわゆる所得の再配分という機能はございます。ございますが、我が国もこれまで所得水準の高い、格差の少ない社会になりますと、例えばアメリカにおきましてこのたび税率は二つになった、一五と二八である。イギリスもまた極めて所得税構造を簡易化いたそうとしております。我が国はそこまでまいりませんけれども、やはりこれだけの社会になりますと、所得税の累進構造を緩和し、また段階を少なくするということは、国民のいわゆる勤労意欲と申しますか、社会の安定に寄与するものであるというふうに政府は判断をいたしております。
  19. 宮下創平

    宮下委員 次に、今回提案されている消費税所得税を補完するものでございます。そして、今問題になっておりますが、水平的公平を確保するためにこの消費税というものは多大な貢献をするのではないかと思っております。  すなわち、この消費税消費の支出に応じまして比例的に負担をいたします。そうしてまた、消費税所得税を補完し、水平的公平の確保を推進するために私は役立つと存じますので、その点の御所見をお伺いしたい。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国の所得構造が高度化し、また格差が少なくなりますと、御指摘のように、垂直的公平も大切でございますが、同時に水平的公平というものが極めて大事なものになってまいったと思います。消費は一定量以上はいわば各人の自由でございますから、多く消費する人は多くの消費税負担をする、これは水平的な公平にかなうものである、そういうふうに存じております。
  21. 宮下創平

    宮下委員 次に、租税原則は簡素、中立それから公平、公正ということが言われておりますが、私は今回の改正を通じまして、税制原則とまで言えないにしても、国際性の問題というものが非常に大きな視点を占めると思っております。国際性、税制の国際性ですね。税制の基本原則として国際性を重視すべきだという感じを私はひしひしと受けるわけでございます。  そして、所得税にまず例をとりますと、アメリカ、イギリスの改正も二段階税率でございまして、アメリカの場合は一五%と二八%、イギリスの場合でも一八と四〇%という二段階の所得税についての税率でございます。そして、今までの累進構造の高いのがだんだん是正されてくるのが世界の傾向だと私は存じます。そういう意味でやはり国際性は所得税の面でも生かされなければならない、それが第一です。  それから法人税につきましても、これだけ経済取引が国際化されてまいりますと、この法人税の多寡によりまして、経済空洞化、あるいはそれがさらに影響しまして雇用面にも影響するということが懸念されるわけでありまして、我が国経済の活力を維持していくためには、将来展望としてさらに法人税の実効税率を国際水準並みに下げていくということが必要ではないかと存じております。  それから三番目に、消費税について申し上げます、消費税について。国際性という視点について、消費税との関連を申し上げます。  まず、個別間接税制度のみに依存している国は、OECD二十四カ国でも我が国だけだと承っております。十八カ国はEC型の付加価値税、その他は製造者課税、小売税等を採用いたしておりまして、いずれも我が国物品税制度のような個別間接税制度をとっている国はないわけでございますので、こういう点でひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの宮下委員のお尋ねは、税制の国際性に関する問題でございました。  すなわち、御指摘のように所得税につきまして、アメリカにおきましてもイギリスにおきましても所得税の累進構造は極めて簡単なものになりました。二段階というようなことにまでなってまいっております。これは私は、我が国のような社会、少なくとも米、英に匹敵するような社会になりました場合のやはり新しい考え方、これが所得税の新しいあり方であるというふうに考えております。そういう意味では、我が国はまだそこまで行き切れませんけれども、やはりそういう国際的な趨勢にこのたびの改正は沿うものであると考えております。  次に、法人税でございますが、言われますように、一九八〇年代になりましてから各国が、いわゆる先進工業各国が非常に法人税税率を下げてまいりました。現在ではほとんど我が国だけが非常に高い税率をそのまま持っておりまして、今日のように世界どこにでも会社が本店を置けるという時代になりますと、これは勢い我が国から企業が出ていきやすい、そのことは我が国産業政策のみならず、雇用の問題にも関係をいたします。いわゆる空洞化に導く心配がある。  それから第三に、消費税国際化ということについて仰せられました。確かにOECD二十四カ国のうちでいわゆる付加価値税を持っております国が既に十八カ国ございます。そして、あとの五カ国は幅の広い間接税を持っておる。何も持っておりません一カ国が我が国でございます。したがいまして、こういう意味におきましてもベースの広い消費税というのはやはり先進国間の国際的な流れである、かように考えております。
  23. 宮下創平

    宮下委員 ありがとうございました。
  24. 海部俊樹

    海部委員長代理 以上でもって質疑を終了いたします。     ─────────────
  25. 海部俊樹

    海部委員長代理 次に、税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案に対し、加藤六月君外一名から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。加藤六月君。     ─────────────  税制改革法案に対する修正案  所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案  消費税法案に対する修正案  地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号(その一)末尾に掲載〕     ─────────────
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 ただいま議題となりました税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案及び地方税法の一部を改正する法律案、以上四法案に対する修正案につきまして、修正の内容はお手元にお配りしてあるとおりでございますが、提出者を代表して、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  初めに、税制改革法案に対する修正案につきましては、実施時期を昭和六十三年十月一日を同法の施行の日及び施行の日の翌日に改め、施行期日を昭和六十三年十月一日を公布の日に改めることといたしております。  次に、所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、当税制問題等に関する調査特別委員会等での審議を勘案しつつ提案したものであります。  まず、株式譲渡益課税について、上場等の日以前に取得した株式等のうち同日以後一年以内に譲渡するものについては、源泉分離選択課税の対象としないこととし、この場合において、上場等の日において所有期間が三年を超える上場株式等を同日以後……(発言する者あり)
  27. 海部俊樹

    海部委員長代理 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  28. 海部俊樹

    海部委員長代理 六法案及び加藤六月君外一名提出の四修正案について、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  税制改革法案について採決いたします。  まず、加藤六月君外一名提出の修正案について採決いたします。  加藤六月君……(発言する者多く、聴取不能) ——起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  賛成の諸君の起立を求めます。——多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、加藤六月君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、消費税法案について採決いたします。  まず、加藤六月君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本修正案は可決されました。——どいてください。  次に、ただいま可決しました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。——ちょっとどいてください、見えませんから。起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、加藤六月君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、消費譲与税法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願うことに賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  29. 海部俊樹

    海部委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会      ────◇─────   〔本号(その一)参照〕     ─────────────    派遣委員熊本県における意見聴取に関する記録 一、期日    昭和六十三年十一月九日(水) 二、場所    熊本県立劇場 三、意見を聴取した問題    税制改革法案内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出)、消費税法案内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)、消費譲与税法案内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 海部 俊樹君       甘利  明君    羽田  孜君       坂上 富男君    村山 喜一君       二見 伸明君    安倍 基雄君       工藤  晃君  (2) 現地参加委員       野田  毅君  (3) 政府出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   薄井 信明君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君  (4) 意見陳述者         熊本県民テレビ         非常勤取締役  河端  脩君         熊本商工会議所         副会頭     粟津 雅敬君         熊本商科大学経         済学部教授   菅  知彦君         税  理  士 袋田 正明君         飽託郡北部町長 緒方 泰之君         熊本労働総同         盟副書記長   矢鳴 浩一君      ────◇─────     午前十時開議
  30. 海部俊樹

    海部座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院税制問題等に関する調査特別委員会派遣委員団団長の海部俊樹でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  この際、派遣委員を代表いたしましてごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、税制改革関連諸法案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、各法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地を初め金沢市、仙台市におきましてこのような会議を催しておるところであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分間程度お述べいただきまして、その後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日御出席方々を御紹介いたします。  出席委員は、自由民主党の羽田孜君、甘利明君、日本社会党護憲共同村山喜一君、坂上富男君、公明党・国民会議二見伸明君、民社党・民主連合安倍基雄君、日本共産党・革新共同の工藤晃君、並びに現地参加委員として、自由民主党の野田毅君、以上であります。  次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  熊本県民テレビ非常勤取締役河端脩君、熊本商工会議所会頭粟津雅敬君、熊本商科大学経済学部教授菅知彦君、税理士袋田正明君、飽託郡北部町長緒方泰之君、熊本労働同盟副書記長矢鳴浩一君、以上の方々でございます。  それでは、河端脩君から御意見をお願いいたします。
  31. 河端脩

    ○河端脩君 座ったままでよろしいのですか。立っていたしましょうか。
  32. 海部俊樹

    海部座長 座ったままで結構でございますが、立った方がお好きでしたらどうぞ御自由に。
  33. 河端脩

    ○河端脩君 それでは、税制改革に対します意見の陳述を申し上げます。  まず第一に、日本のいろいろな現在の制度あるいは仕組み等のあり方を考える場合に、私は二つの点について特に留意すべきであると考えております。言うならば、現在の制度の是非、善悪を考える判断の基準あるいは物差しと言ってもいいと思います。そういうものが必要である。  その第一は、今、日本のいろいろな制度とか仕組みというものは、世の中の変化に応じて改正されてきたのでございますけれども、依然として戦争中あるいは戦後、我々が食うや食わずのとき、衣、住もないとき、そういう窮乏時代のものがそのまま現在に残っておるものが非常に多い。戦後四十年たった現在、この進展しつつある経済情勢にふさわしいものに改正していかねばならぬという点が第一点であります。  それから第二点は、今盛んに国際化時代ということが言われております。ペルー提督が江戸幕府に開国を迫りましてから百二十年、今まさに第二の開国の時代と言われておるのでございますけれども、経済、文化その他いろいろな分野において海外との交流というものは日に日に盛んとなり、すべての仕組みとかいうものは海外とのかかわりというものを度外視して考えてはならないということであります。言うならば、国際的な視野に立ち、国際的均衡という点から制度は見直さるべきである、このように考えるわけであります。  この二つの基準というものから考えてみまするに、今の日本の税制というものは見直さるべき最たるものと私は考えております。昭和二十四年のシャウプ勧告による税制の基本というものが四十年間基本的には続いてきたわけでありまして、経済社会変化に全く対応していないというのが実情であると思うからであります。特に、直接税に対する偏りというものが国民に非常な不満を呼び、国に対する信頼というものを危うくしておるとも考えるわけであります。  まず、所得税についてでございますけれども、日本の最高税率は六〇%、住民税も含めますと七六%の高きに及んでおります。アメリカにおいては二八%、イギリスにおいては四〇%と聞いておるのでありますけれども、このように世界的に極めて高い。そこから国民の不平不満のうっせきというものがあり、士気の阻喪というものが生じてきておると思うのであります。このまま放置するならば、今や新技術とかソフトの開発とか、いわゆる技術革新の波が押し寄せておるのでありますけれども、こういうものに必要な若い創造的な人材というものは海外に逃避するであろうと私は考えます。言うならば日本の頭脳の海外流出であります。恐るべきことであると言わねばなりません。  また、海外から優秀な人材を日本に招こうといたしましても、税金が高く、手取りが少なくなるということから、日本には人材の誘致もできなくなるでありましょう。日本では七六%、アメリカでは二八%だということになりますと、手取りは七二対二四、言うなら三分の一に減ってしまうわけでありますから、外国の優秀な人材が日本に来るはずはないと思うのであります。  それからまた、所得税はいわゆる累進税率ということで刻みは十二段階、非常に累進性が高いのであります。給与が上がりましても、実質手取りというものがなかなかふえない。特に四十七、八歳から五十五、六歳に至る、言うなら子供を大学に送り、あるいは結婚をさせる、そういう時代においては全く収支相償わない実情であります。私も二十年前に県の副知事をしておったのでありますけれども、副知事をしておりましても子供を大学に二人やる場合には百万円の借金をいたしました。そうでないと大学に子供を出せないのであります。  こういう税制では、言うならばサラリーマンにおいては非常な重税感あるいは不公平感というものが押しかかってまいりまして、これを除去してやらねばならない。努力して仕事をして本当にかいがあったな、そういうふうな税制にしていただきたいと心から願うものであります。  次に、法人税についてでございますけれども、日本の税率は五二%、これに対してアメリカは四〇%、イギリスは三五%と聞いておるのであります。国際的に見て日本の法人税率というものは極めて高い。  私も三、四カ月前までは建設事業に携わっておりましたが、本年の三月の決算で二百万円の利益を出したのでありますけれども、税金を控除され、それから寄附金、交際費の控除をされますと、手取りはわずかに百万円でありました。これは事実であります。全く何かむなしい感じがするのでありまして、こういうことでは企業内部蓄積、内部留保というものが絶対にできないし、そうしていわゆる日本の企業の活力というものがそがれると私は思うのであります。  それからまた、国際的に活動をしておられる企業にありましては、国際競争の上でも極めて不利な立場に立つでありましょうし、そういういろいろな観点から、本業に邁進することなく、節税対策に頭をひねらねばならぬ、こういうことでは日本の企業の将来性はないと私は判断をいたしております。  法人税あり方を今のままに放置しますならば、企業は恐らく海外に本社を設け、税金の負担の軽い国に逃避をするという傾向が助長されるであろうと思いまするし、言うならば日本の経済空洞化が引き起こされるのではないかとも懸念するのであります。  この際、国際化時代にふさわしい諸外国との均衡のとれた税率に軽減すべきであると私は考えます。今回、減税措置というものが提案されておりますけれども、私は、なお一層の引き下げが必要であるとも考えますし、あるいはまた、経費とみなされぬものの内容をよく分析していただいて、緩和の方向に持っていっていただきたいと要望するものであります。  それから、現行物品税を初めとしますところの間接税についてでありますけれども、全く世の中の実態に合わず、アンバランスが甚だしいと私は考えます。  物品税というのは、もともとぜいたく品であるという立場から課せられたと聞いておるのでありますけれども、ゴルフの用品にはかかるけれどもテニスやスキー用品にはかからぬとか、コーヒーを飲めば税金がかかっておるけれども紅茶を飲めばかかっていないとか、白黒のテレビには税金がかかるけれども家庭用のコンピューターを買えばかからないとか、電気掃除機にはかかるけれども炊飯器にはかからぬ、何か全く頭が混乱してしまうのであります。要するに世の中の新製品に税制が追いついていけない。それから、今の多くの人々の価値観が多様化しておりますけれども、これに対応できずにおるというのが実態であろうと思うのであります。言うならば、ぜいたく品が今や大衆の品物になってきたのであります。  私は、昭和二十四年に東洋繊維という会社に入ったのですけれども、そのときは東洋繊維には車は一台しかありませんでした。社長の乗用車が一台しかない。それで、私も一生のうちに一回は車に乗る身分になりたいなというのが言うならばそのときの人生の目標でした。ところが、もう数年を経ずして一般大衆化し、今では突っかけげたのかわりになっておる。そのように昭和二十数年から今日まで世の中は激変しておるのであります。これに対応ができていない、全くナンセンスな制度と言わねばならぬと思うのであります。  特に、いろいろ弱者救済その他の問題が言われておりますけれども、漆塗りのたんすとか桐のたんすには税金がかからない、しかし、杉の木のたんすを買うと二〇%税金を払わなければいかぬ。全くこれは何のことか、あいた口がふさがらないのであります。要するに、伝統工芸の技術を保護するというのがその税の趣旨であると聞いておるのでありますけれども、税金をもってすべてのことを規制する、あるいは助長するということが不可能であるということを知らねばならぬと私は思うのでありまして、そういうことで何でもかんでも税金で対応するのだという考え方が間違っておるのではないかという気がするのであります。  この際、今申し上げましたようないろいろなことから、経済消費の相互間の税負担アンバランスを解消し、外国等の例も勘案しながら、今経済というものは非常にソフト化し、あるいはサービス化しておるのでありますから、そういうものも含めて消費一般に対して薄い税率消費税を課するということは現実的であると私は判断しておるのでございます。  最後に、現在こそ勇断をもって税体系の見直しをすべきときであると私は存じますので、基本的には政府案に賛成であります。しかしながら、三つの点について私は強く要望しておきたいと思います。  その第一点は、法律用語が極めて難解であるということであります。したがって、国民一般はこの税制改正の本当の内容というものがわからずに非常に戸惑っておる。国民一般が使う日常語によって解説するということをもっともっと徹底していただきたい。例えて言うならば、今度の消費税転嫁というふうな問題にしましても、非常にわかりにくい表現でありますために実態を理解できない。あるいは変化に対する何となしの不安感、そういうものから反対する人が非常に多いということを御認識いただきたい。ぜひお願いをいたしたいと思うのであります。  第二点は、税体系のほかにも当初申し上げましたように今日の日本の実情にそぐわぬところの制度とか仕組みというものがまだたくさん残っております。私が列挙するまでもないと思うのでありますけれども、税体系の見直しと同時にそういうふうな矛盾のあるいろいろな制度、仕組みというものを現状に即して一日も早い改正を願いたい、総合的な対策を願いたいと思うのであります。言うならば、行財政改革の徹底的な遂行というものを要望するものであります。そうでありませんと、二十一世紀に向けての日本の将来というものは非常に危ういのではないかとすら考えるのでございます。  第三点は、今回の税制改革によりまして極度のマイナスを受ける人が出てくるかもしれません。これは、改正をするときには制度を変えるわけでありますから、そのことは当然起こってくると思うのであります。例えば母子家庭でありますとかあるいは年金受給者であるとか、言うならばそういう社会的な弱者に対して、これをすべて税金で解決しようということは無理であろうと思います。今まですべてのことを税金で解決しようとしたために、税金に対する理解というものが非常に難しくなってきて、ごじゃごじゃごじゃごじゃして何のことかわからない、混乱を来しておるのが実態と思いますので、税金は税金としてびしっと筋道を立てる、そうしてそれによって影響を受ける人があるとするならば、それは別途の施策をもって十分に国民の期待にこたえるような制度、仕組みに変えていっていただきたい、それを強く願うものであります。言うならば、例外規定というものはできるだけ少なくしていただきたい。すっきりしたものにしていただきたい。そうして、そういうすっきりしたものにしなければ、それを通じて悪の温床ともなりかねないのでございますから、すっきりすべきものはすっきりさせる、あるいはそれ以外で手を打つべきことがあるならば別途の措置をもって十分な手を打っていく、こういうことでぜひ対処していただきたい。  以上三点を強く要望いたしまして、意見の陳述を終わります。
  34. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  次に、粟津雅敬君にお願いをいたします。
  35. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 商工会議所副会頭の粟津でございます。  私は、今国会における税制改革での消費税導入は時期尚早であり、絶対反対であります。  その理由、提言等を申し述べたいと思います。  公約違反であるということでございます。この前の衆参同時選挙の際、中曽根前総理は当地熊本において選挙演説中に、段階的、網羅的、普遍的、包括的で、投網をかけて取るような税制は、導入しない、しないと言ったらしません、私がうそを言う顔に見えますかというような発言があったわけでございます。我々は全面的に信頼をいたしました。しかるに、このように昨年の売上税も今回の消費税も、段階的でありそれから普遍的であり網羅的であり、包括的であります。このようなことは、選挙公的違反となると解釈をいたしております。そこで、政府は今何としても導入したいのであれば、国民に信を問うべきであると提言をいたすものであります。  次に、リクルート問題でございますが、リクルート疑惑国民の最大の関心事となってきました。現在司直の手で取り調べ中で、そのうちに内容が明らかにされることと思いますが、去る十月三十日付の新聞によりますと、リクルート関連会社の数社が、これはトンネル会社と言われておるわけでございますが、六十年の四月に七百一万株、二千五百円のうち、ドゥ・ベスト社八万株は自民党中枢の幹部の九人の方に分けられています。六十一年九月ごろにドゥ・ベスト、エターナルフォーチュン二十万株は三千円で買い戻されまして、お偉方、国会議員の方々に配られております。その差益は、秘書や奥さん方がやったというようなことで自分は知らないと言っておられますが、それらの先生方が税制改革論議される資格はないと解釈をいたします。リクルート解明なくして税制改革なしで、徹底したリクルート解明が先決であると思います。国会は金権政治の場にしないでほしいと提言をいたします。  次に、赤字財政解消のためや、来るべき高齢化社会に備えての消費税導入と言われますが、税制国民生活経済社会の構造を大きく左右するものであり、国民に一番身近な重大なことであります。このたびの消費税は全国民課税であります。税制全般の位置づけを国民生活の将来のビジョンに合わせて明確にした上で、国民のコンセンサスを求めて、税制全体像の中で試案、試算を重ねて、それ以降に決めるべきであると思います。初めに大型間接税ありきでは国民は納得できません。  次に、現行税制の中での不公平税制是正行財政改革をまずやってほしいということであります。現行税制の見直しによる公平、公正の回復のため、まず不公平の是正を優先してお願いしたい。これには、これまでよく言われている所得税の減税キャピタルゲイン課税強化法人税の外国投資等による節税行為の規制、宗教法人等への課税医師優遇税制の廃止、クロヨンと呼ばれるものの見直しなどなど、ほかにもたくさんあると思います。新税を導入の前にぜひ実現していただきたいと思います。  次に、国民が今望んでいることは徹底した行財政改革であります。国、地方を通じて行政改革を徹底遂行して歳出の削減に努めていただきたい。日露戦争の終結後、莫大な赤字財政の解消のために時の山本権兵衛内閣は積極的な行政改革を断行いたしております。国会議員の俸給の一〇%カット、行政官庁の歳出の一律一〇%カット、役人数の減員や管理職の俸給カットなどを実施しております。我々は家庭でも、またどこの企業においても、収入と支出を考えて一生懸命努力し、節約に努めております。政府自体も、安易に国民負担をかけることなく、歳入の中での支出をみずからの自助努力によって行うべきであると思います。徹底した行革で、小さな、公正にして効率的な政府にすべきであります。天下りの数多くの団体、協会などを洗い直していただきたい。  次に、消費税は新たな不公平を招くということであります。  我が国はそもそも単民族により形成された国家であります。税制面においても応能負担の原則のもとに培われてきたわけでありまして、高額所得者も低額所得者も同率負担をする税制は望ましくないと思います。報道されている計算によりますと、消費税導入により年収六百五十万以上の者は減税効果があるが、それ以下の者は増税になり、低所得者ほど負担が大きく、逆累進性を招く結果となります。  次に、現行間接税のうち物品税の見直しを提言いたします。  現行物品税は、消費者の所得額により担税力に着目してその消費支出に課税するものであります。現行物品税は、大型モーターボート、貴金属類、ボーリング用具、高級たんす、香水、毛皮、自動車等にそれぞれ物品の奢侈性に応じて税率が異なって課税され、消費者は担税力に応じて買い物をしております。私は、これらを一律にして、水や米、野菜など空気以外のすべての物品に一律に課税する必要は絶対にないと思います。現行物品税を見直し、洗い直して、課税率、課税額等の限度を考え、強化することが望ましいと思います。  次に、消費税課税転嫁が困難であり、税の徴収義務者としての負担が増大するということでございます。  今日の流通業界の実態は、大型店、つまり百貨店、スーパーを初め中小零細業者はお互いにしのぎを削っての販売合戦を展開しており、目玉商品等による客の奪い合いの状況にあり、中小商店においては三%の税を売り上げ時点において転嫁することは、実情としてはまことに困難であります。そのため、商品によっては、転嫁できない場合は第二の事業税として払い、そのようなことが我々の負担となってくるわけであります。また消費者においては、物品によって便乗値上げということになり、物価高を招くおそれがあります。  なお、徴税に当たっても煩雑さは免れない。そこで、新たなレジの導入や人手が必要となって経費は増大するわけであります。一人の事務員を入れますと、月十五万円にいたしまして年三百万の経費負担となるわけでございます。なおまた、法制化されると罰則規定等も制定され、精神的苦痛に耐えがたい次第であります。  次に、現時点での消費税導入は時期尚早である。  六十二年の歳入が大蔵省の予算より五兆六千億の増収であった、また六十三年度はそれ以上に見込まれているとのことで、税収見積もり方法を変更するということが昨日の日経新聞に載っておりました。昭和五十年代は、税収弾性値、つまり経済成長率に対する税収全体の伸び率の比率は一・一程度であった。ところが、六十二年度には過去最高の三・三になっておる。「大蔵省が税収見積もり方法を変更するのは、大幅な自然増収が続けば野党側から「税制改革は不要」との批判を招く半面、かりに減収を招けば目前に控えた六十五年度赤字国債発行ゼロという財政再建目標の達成を危うくしかねないためだ。」というふうに書いてあります。このように、円高差益三百兆円が下地となって内需拡大政策のもとに国民経済の活性化が進み、国の歳入の自然増収が国家として一番望ましい姿であると思います。このようなときに、国民課税である大型間接税の導入は、物価上昇、内需減退、国際摩擦の増大など国の経済政策の基本に逆行するものであると考えます。世論調査等におきましても六十数%の人が新税導入反対していると報道されております。性急な消費税導入はぜひやめていただきたいと思います。  最後に、私どもはこのように反対を述べておりますが、国民としての納税義務、また愛国心を十分持っております。私どもの声を真剣に受けとめていただきまして、我々の納得のいくようにしていただきたい、このようにお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
  36. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  次に、菅知彦君、お願いいたします。
  37. 菅知彦

    ○菅知彦君 私は、基本的に今回の税制改革賛成いたします。  かなり以前でありますが、十数年前に私は当地で熊本国税局主催の納税月間のシンポジウムにパネラーとして参加いたしました。その折話題になったことは、私ももちろん強く発言したわけでありますが、一般によく話題になりますところの直間比率ですね。当時既にいわゆる所得税、法人税等直接税と間接税の比率がかなり高まってまいりまして、所得関係で徴税するということがかなり重くなってまいりましたので、そのことを私は指摘いたしました。  と同時に、もう一点は、これも多くの方が指摘されますようないわゆる不公平税制と申しますか、クロヨンとかトーゴーサンとか言われるような事態がもちろん当時からありまして、そのことも指摘いたしました。  ところが、その後の論議を見ておりますと、特にフロアの方では不公平感というところに論点がいきまして、まあ集まっている方は中小企業の方もあればサラリーマンもおるわけですが、都市部ですから主としてそういう方が多いのですが、やはり不公平感の指摘が強くございました。私そのとき思ったのですが、やはりいろいろな方が、国民の多くの方はどうしても立場立場不公平感というものを持つものである、立場によって多少その実感が違うのではないかということを感じました。  そういうことを十数年前考えたのでありますが、その後、日本の経済が変わってまいりまして、御承知のようにオイルショック以後、国債がどんどん累積するという時代になりました。これは、国債が出ることは、その後の日本のいわば短期金融市場に対する影響を与えまして、今日のようないろいろな、もちろんアメリカの影響もございますが、金融の自由化やあるいは国際化、そういうものの進展に寄与した面もあると思いますが、これもまた御承知のように国債が累積いたしまして、昨今の、もう数値は省きますけれども、国債償還に絡むところの国債費が随分財政支出面に比重を増しております。そして近年、そういうこともありまして、財政改革が強く叫ばれ、また行政改革も進んでまいりました。  こういう現状の中で、私はやはり何らかの形で、国民あまねく完全に不平等感がなくなるということはなかなか難しいのですが、まあまあ外国でもそうであるように、所得税の割合をもう少し下げて、間接税、いわゆる直間比率を改善していくべきだと長年考えてまいりました。もちろん、この間の幾多の経過を見ておりますと、売上税等々の提案がされ、それが廃案になるというような経過もございますので、具体的な中身についてはいろいろ問題があるわけですが、今回の消費税のような、一方で国民所得あるいは収入に比例したような累進的な課税は直接税の方でやり、そしてあと間接税で薄く、今までも指摘されましたようないわゆる物品税におけるようなアンバランスのない薄い消費税をかけるということはいいのではないかというふうに考えるわけであります。  そしてまた、たまたま六十年代に入りましてから、特に昨今景気がよくなりまして税収が上がってまいりまして、一部には、財政改革は基本は済んだような印象を与える面もございますけれども、問題は、日本が抱えるのは、多くの方が指摘されますように、今後、今から二十一世紀にかけて日本がどうなるかということを考えますと、日本はやはり世界でも最もこの面では高齢化が進んでおる国でありまして、総体的に言いますと、いろいろなそういう変わってまいります中での施策、いわゆる財源が今後ますます必要になる。ところが、相対的には税金を払う方の人は少なくなるといいますか、そういう中で、やはりここで抜本的な税制改革が必要である。  こういうふうに考えてまいりますと、決して今回のような財政改革消費税を提起するようなことが早いことはありません。また、たまたまこの一両年自然増収があって多少やりくりが楽になってまいりますので、そこで気を許しまして、例えば財政支出の方を多少放漫にするとかあるいは行政改革をなおざりにするとかいたしますと、これはやはり将来に禍根を残すわけでありまして、税制改革と同時にそういう行政改革等も続行してやっていただかなければならないということだと思います。  最近、私は「エコノミスト」に出ております東京大学の貝塚啓明教授の論文を読んだのですが、これはなかなか示唆に富む趣旨が展開してありまして、確かに今日のように税収が多くて歳出との関係がやりやすくなっている事態があるけれども、これは今後とも緊縮財政の精神を捨ててはいけないという趣旨の論文でございます。結局、その財源は国債整理等に今充てておるわけですが、そういうことのほかに、ある程度減税によって——減税をするということももちろんできるわけですが、減税もただ次から次に減税をしていけばいいのではなくて、やはり将来を見通して、ここ十年、二十年、三十年の先を見通した施策がされるべきだというふうに考えます。  それから、この貝塚教授の指摘にあるのですが、公共投資というものは在来財政投融資によってなされる面と一般会計から充当される面とございますけれども、財政投融資の原資とかそういうものの検討も当然必要でございますが、一般会計から充当される分も将来やはり増していくようなことでなければならぬ。そういうことから考えますと、やはり十分な財源の確保が要る。こういう観点で、今後の財政運営は今回の税制改革を土台にして慎重な運営をされるべきだというふうに考えます。  細かい点を余り申しておりませんが、初めに申しましたように、国民各層いろいろな立場の人がおりますので、当然多くの方が全部満足するというのはなかなか難しいわけで、それは前の方々がおっしゃいましたように、やはり税制ですべてを解決することは不可能でありまして、そのほかの施策によってまた解決されるべき道もある。しかし、この移行過程においては、既になされておりますように、今手のつけられております不公平税制の改善等も一層今後充実されますように、とにかく大きな流れを変える改革の時期にあるのではないかというふうに考えます。  最後に、細かいことを省いておりますが、私が関係しております教育界のことについて一言申し上げたいのですが、今回の消費税につきましては医療、教育、社会福祉関係で対象外の措置がございます。ありがたいことだと思いますが、ただし教育費につきましては、授業料と受験料については対象外でございますけれども、入学金とその他施設費とか実習費とかそういう名目で徴収をしている分がございますが、これは対象になるわけで、この辺が私にはちょっと理解が難しいので、でき得べくんばその辺の御検討があれば幸いというふうに存じます。  ごく簡単でございますが、大まかな陳述といたします。終わります。
  38. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  次に、袋田正明君、お願いいたします。
  39. 袋田正明

    ○袋田正明君 本日は、このような会場で意見を述べさせていただくことを心より御礼申し上げます。  私は、税理士として常日ごろより中小企業の経営と税務に携わっている実務家でございます。したがいまして、私は、今回の税制改正につきましては実務家としての立場から意見を申し述べさせていただきます。  まず第一点は所得税の改正について、それから第二点、相続税について、そして第三点を消費税導入に関して進めてまいりたいと思います。  まず所得税につきましては、さきの改正により預金利子についてマル優が廃止されるとともに二○%の分離課税となりました。また、今回の改正案を見てみますと、有価証券の譲渡についても原則課税となっているようであります。有価証券課税につきましては早くから課税の公平を図れという声が高かったわけでありますが、今回の改正案によって一歩前進した思いがいたしております。  そこで、時間の関係上端的に申し上げますと、課税の対象とするということは必要条件ではございますが十分条件ではございません。といいますのは、分離課税では所得階層間に違った不公平をつくり出します。すなわち、同じ一千万なら一千万という預金でございましても、一億持っている方の一千万ととらの子の一千万の預金を持っている方とは当然経済的に差が出てまいります。そういう意味で、そういう不公平をなくすためにはやはり応能負担を考えなければならないと思うわけでございます。応能負担をどうやって実現するかといいましたら、これはもう総合課税しかございません。したがいまして、現在の預金利子及び有価証券課税についても速やかに総合課税方向に組み入れていただくように提案をいたす次第でございます。  次に、相続税の方に参ります。私は先ほど申しますとおりに実務家でございますから、具体的な例でもって申し述べさせていただきます。  相続税につきましても、今回の改正ではかなり抜本的な改正もあっておりますし、私どもも税の専門家としまして喜んでおる次第でございますが、実は、昭和五十六年の三月に通産省中小企業庁の諮問結果として中小企業事業承継税制に関する報告書というのが発表されております。その中で数多くの提言がなされているわけでございますが、今回の改正でそのうち何点かはほぼまあまあいい線に来ているというふうに感じております。  その一つの例は、まず遺産にかかわる基礎控除の引き上げでございまして、従来二千万円プラスの四百万円掛ける相続人の数であるという計算をしておったのが、これがちょうど今回の改正で倍になりまして、四千万円に八百万円掛ける人数というふうな改正になっております。ですから、ちょうど倍額になるわけでございます。これは私事で恐縮でございますが、実は七日の日、二日前ですが、一件相続税の申告をいたしまして、税法が早く年内に通ってくれないと困るのですが、消費税の絡みがございまして、実に困っておる次第でございます。  次に、税率の緩和につきましては、現在最高七五%の税率が今回の改正で七〇ということで、幾分緩和をしていただいておるということでございます。  それから、第三番目に小規模宅地、つまり自分の事業用に使っている宅地であるとかあるいは住まいに使っている宅地について減額割合が大きくなっております。事業用については四〇から六〇にダウンした、居住用につきましても三〇から五〇にダウンしたということで、これは納税者にとってはいい改正になっていると思います。しかし、先ほど申し上げました中小企業の事業承継税制に関する報告書という報告書の中で申しておりますのは実はこれは二つでございまして、あと二つ残っているわけでございます。したがって、今国会でだめであれば近い将来においてぜひとも実現していただきたいというふうに要望いたしたいと思います。  その第一点は、まず中小企業につきましては、そこの事業者であるとか経営者の死亡に伴いまして、例えば、熊本あたりでは余りございませんが、東京あたりの地価が高騰している地域におきましては、その相続した財産に対しての相続税が過重になりまして払えない、しかも売ることもできないというようなジレンマに陥ります。六十一年それから六十年もたしかその問題が引き金となって実は自殺した方がいらっしゃいます。そういう深刻な事態が出ておるわけでございますが、いわゆる潜在化していた相続税が、ある日死亡という、相続の開始という時点を境にいたしまして金額を伴って具体化してまいるわけでございます。したがいまして、中小企業の事業を円滑に後継者の方にバトンタッチできる、そういう制度をひとつお考えいただきたいということでございます。それについては何よりまず、人的な問題もございますが、こちらは税制改正の問題でございますので、やはり税金をそれ相応に安くしていただきたい、事業続行ができるような形までに下げていただきたいということでございます。  具体的に申し上げますと、専門的になりますからはしょりますけれども、いわゆる同族会社あるいは中小企業につきましては自社株の評価については三つほど方法がございまして、そのうち小企業、まあ小会社と言っておりますが、それから中会社の小企業といったものについては純資産価額方式と類似業種の比準価額の平均に評価するようになっておるわけです。これも前回の相続税改正で取り入れられたものでございまして、その前までは純資産価額方式だけでいっていたわけです。そうしますと物すごい株価になりまして、それに対する相続税も多額なものになってくるという結果であったわけです。それが前回の相続税法の改正によりまして幾分緩和されたということでございます。しかし、私どもから言わせますとまだ足りないし、それから先ほどの報告書からいきますと、もう一歩踏み込んで、できれば収益還元方式といったものをお考えいただきたいということでございます。これは、配当還元方式というのは現在ございます。それは大企業中心でございまして、これは配当をしている会社について対象になるわけでございますが、中小企業で、しかも同族会社である、そういった場合は強いて配当する必要はございません。内部留保をいたします。そういった場合、配当がございませんものですから、勢い配当還元方式ではできないということになります。したがいまして、事業の続行あるいは企業そのものを考えた場合においては企業の収益力ということについて焦点を当てていただきまして、例えば過去三年間の税引き後の利益を資本還元率で割っていただくというような形で評価していただければ、中小企業者についてはかなり助かるのではないかというふうに思います。  これは法人の場合でございますが、次に個人の場合におきましては、農業経営者に認められております農業相続という制度がございます。これは、いわゆる生前の一括贈与あるいは相続時の農業相続という形が出てまいります。中小企業の個人事業についてもこれに準じて、かなり難しい面もあるとは思いますが、いわゆる事業用資産、特に土地に関しまして農業に準じたような、二十年なら二十年の納税猶予をするというような制度をお考えいただければ幸いかと思います。相続税の方については今の二点がさきの報告書にもございましたし、私もかねがねそう感じておりました。  次に、消費税の方に入らせていただきます。  消費税につきましては、私としましては、次の理由から導入に対しては反対意見を申し述べさせていただきます。  まず、消費税中立性の問題がございます。もともと税法の中で所得税、法人税といったものは、これは中立でないわけでございまして、累進課税の適用もございますし、そういう意味では違うのでございますが、間接の場合であれば、これはいわゆる普遍的それから網羅的にかかってまいりますので、これが中立性を失いますと、経済活動あるいは消費活動の中に影響を与えるようなことになりましたら問題になろうかと思うわけでございます。  今回の消費税の場合は、売上税と異なって非課税品目もかなり絞られておりまして、また物品税の廃止に伴う買い控えあるいは売り急ぎなどの事態が一時的には出るにしても、長期的には安定するとのことでありますけれども、同じ消費税の対象になります耐久財と消費財の関係が一つございます。耐久財は、例えばたんすであるとか車であるとか、要するに何年も耐用年数がある品物でございます。消費財は、名のとおり、いわゆる米からみそ、しょうゆに至るまで日々消費する部分が入ろうかと思います。それからまた、生活の必需品と奢侈品、この関係もございます。必需品は、これは上がったからといってそれを減らすことはできない支出なわけです。それに対しまして奢侈品につきましては、これは必ずしも購入しなくてもよろしい、今でなくてもいい、先でもよろしい、こういう商品でございますけれども、こういったものに一律に三%でも、低い税率ではございますが課税されますと、逆進性が生ずることはどうしようもないことであろうと思われます。さらに、これは所得の分配という意味からいきましても公平性が壊される危険性があるというふうに考えます。  次に、企業に与える影響といたしましては、一つは、サービス業などの人件費割合が高い企業と、装置、いわゆる設備を使って設備投資の割合が多い企業との間には、明らかに新たな不公平が生ずると思います。これは消費税が人件費についてはアウト・オブ・スコープ、課税範囲外ということで、人件費は除外してございます。したがいまして、サービス業などにおいては人件費が八〇、九〇となるケースも多いわけでございますが、その場合は、仕入れ控除の余地がほとんどありません。その反面、設備を使って営業をやるような企業になりますと、設備を購入した年度で一時に消費税を仕入れ控除ということで控除できるわけでございまして、この面からいいましても、労働集約的企業には不利に働き、装置企業、いわゆる資本集約型の企業にとっては有利に働くのではないか、このように考えます。  次に、簡易課税制度の問題について一言申し上げたいのでございますが、年商五億円以下の事業者については売上高の二〇%、卸売業の場合は一〇%でございますが、これをマージンとみなして、税率三%を掛けて税額を算定する制度が選択できることになっております。これはもともと仕入れ税額の計算の煩雑さからくる事務の煩雑さを省略するための制度と聞いておりますが、売り上げ五億円以下といいますと、全事業者の九六・七%が対象になるというふうに試算されております。消費税の場合は、売上税と異なってインボイス、いわゆる税額票を今回の場合発行いたしません。帳簿方式のアカウント方式をとっておりますが、売り上げの中から消費税を納める格好になる可能性があります。そういたしますと、事業者の方は納税分をあらかじめ売り上げの中に取り込んでおく危険性が出るものと思われます。そういたしますと、ちょうど昭和二十四年、もうちょっと前でございますか、旧取引高税が一年とちょっとぐらいですかございましてすぐ廃止になりましたけれども、その取引高税と同じように、累積して消費者物価に影響を与える可能性があるということを指摘しておきたいと思います。  以上、消費税産業経済に与える影響と弊害について申し述べてまいりましたが、私の率直な感想といたしましては、なぜ今消費税なのかという必然性を考えてみる必要があると思うのであります。  法案の提案理由におきましては、「政府は、今次の税制改革の一環として、物品税等の現行個別間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設することとし、本法律案を提出した次第であります。」このように書かれているわけでございますが、私の意見といたしましては、まず「税負担の公平」ということでございますけれども、これはむしろ消費税の前にやることがあるのではないかというふうに考えます。  まず、中小企業と大企業との格差がございますが、これは、一つには税法の規定によるところも原因しておると思います。したがって、大企業向けの優遇あるいは特例等、措置法の見直しをお願いをしたいし、引当金等の縮減等も、これを検討の余地があろうかと思います。  それから、先ほど冒頭に申し上げました利子所得、有価証券課税、これは総合課税にして応能負担の原則を貫いていただきたいと希望するものでございます。  次に、同じく提案理由の中に「国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化」とありますが、先ほども陳述人より出ましたとおり、最近の六十一、六十二、六十三年、自然増収は大幅な増収でございます。現在、今時点で消費税をすぐ導入しなければならないとする必要性はないように思われます。  最後に、シャウプ博士はその勧告書の中で「一般国民政府のためどれ程の寄与をしているか、その量をあいまいにし、寄与していることさえ気付かないようにしてしまう重い間接税の制度に帰えることである。そうなると、政府は、これら国民にとつて縁遠い存在となり、国民は、時折政府の恩恵にあずかる以外、全くこれと関係のないものとなる。」このように述べておられます。  どうか、一般国民が税金の重さに泣く税痛を御理解いただきまして、行財政改革等の苦痛にも勇断をもって臨まれますよう切にお願い申し上げ、私の公述を終わらせていただきます。
  40. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  次に、緒方泰之君、お願いいたします。
  41. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 熊本県北部町長の緒方泰之でございます。  税制問題等に関する調査特別委員会の諸先生方には、地方行政につきまして日ごろから格段の御理解と御配慮を賜り、衷心より感謝を申し上げる次第であります。  本日は、せっかく公述の機会を与えていただきましたので、私から忌憚のない意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  なお、御承知のとおり、今回の税制改正につきましては、地方団体間におきましても種々の意見や主張がございますが、全国町村会としてこれらについてすべて集約をしたわけではございませんので、以下私が申し述べますことは、地方行政を預かっております私個人の意見としてお聞き取りいただきたいと存じます。  御案内のとおり、我が国の社会経済は、産業・就業構造の変化所得水準の上昇・平準化、人口の高齢化、消費の多様化、さらには経済活動の国際化など、急激に変化しております。しかしながら現行税制は、給与所得などに対する直接税に負担が偏るなど、さまざまなひずみが生じ、また各種の税制上の不公平も指摘されるなど、今日の社会経済状況に十分対応できない状態にあります。このため、このような国民税負担に対する不公平感を払拭するとともに、いわゆる直間比率を見直し、所得消費資産などの課税ベース間で均衡のとれた望ましい税体系を整備するため、所得課税負担の軽減合理化並びに消費税消費譲与税の創設などを内容としたいわゆる税制改革関連六法案が今国会に提案されたものと存じております。  したがいまして、公平、中立、簡素という租税原則に照らして現行税制を見直し、所得消費資産などの間で均衡のとれた望ましい税体系を整備するという今回の抜本的税制改革につきましては、必要なものであると考えております。  さて、私どもは、今回の税制改革に関連して、地方税財源の確保の見地から、改革に伴う地方財政全体の大幅な減収について適切な措置をおとりくださいますよう強く要望申し上げるところであります。  とりわけ地方団体の貴重な自主財源であります市町村税としての電気税、ガス税などの廃止などの改正が行われることとなっております。そして、これらにかわるものとして消費譲与税が創設され、既存の地方間接税の減収に対する補てん措置を講じることとされたところでありますが、これらはいずれも今回の税制改革の一環として簡素化と納税事務負担軽減という観点からやむを得ないものと認識をいたしております。この既存の地方間接税の廃止または改正に伴う減収見込み額につきましては、消費譲与税などで補てんすることとされているようでございます。  さらに、所得税、法人税などの国税の減税に伴います地方交付税減収見込み額につきましても、消費譲与税部分を除く消費税地方交付税対象税目として加え、その二四%を地方交付税とすることで補てん措置が講ぜられるとされているようでございます。  なお、個人住民税などの地方税の減税のうち、相当部分は自然増収によって賄うこととされましたが、これにつきましては、住民負担の軽減合理化を図るという見地から、いわば自前の減税として受けとめるべきものと理解し、今回の税制改革の重要性にかんがみ、やむを得ないと考えております。  このように、今回の税制改革による全国トータルの減収見込み約二兆九千二百億円に対しましては、消費譲与税の創設及び消費税の交付税対象税目への追加によりまして、約二兆一千三百億円が補てんされる予定とされており、補てん措置率を見ますと、国の六七%に対し地方が七三%と高くなっていることは、地方への配慮がなされたものと認識をいたしております。  今後とも個々の地方団体の行財政運営に支障を生じることのないよう、引き続き地方税財源の確保につきまして万全の措置を講じていただきますよう、改めて強くお願いを申し上げる次第であります。  次に、せっかくの機会でありますので、私ども地方団体が現在直面しております最重要課題について、この際一言申し述べさせていただき、諸先生方の御理解を賜りたいと存じます。  まず、国庫補助負担率の復元に関する問題であります。  御案内のとおり、国は、財政難を理由として昭和六十年度から数次にわたり国庫補助負担事業にかかわる補助負担率の引き下げを行い、これによる地方財政への影響額はこの四年間で約五兆円もの多額に上っているところであります。  この措置は、法律に基づきその都度本年度限りの暫定措置として実施されてきたものであります。しかも、その後の国の財政状況は、最近の経済状況を反映して巨額の自然増収を生じており、当時とはその事情が一変してきております。したがいまして、明年度以降は、当然のことながら、その引き下げが行われた以前の昭和五十九年度の水準に復元すべきものと考えております。国と地方との財政秩序を回復し、その信頼関係を確立するため、これは国の当然の責務であると考えておりますので、予算編成に当たり、諸先生方の御理解と御高配を賜りますようお願いを申し上げます。  次に、今後本格的な高齢化社会の到来等に対応し、私ども地方団体におきましても、来るべき二十一世紀に向けて多極分散型国土の形成と活力ある地域社会の創造に全力を挙げて取り組んでいるところであります。しかしながら、その裏づけとなります地方財政状況を見ますと、交付税特別会計の借入金を含め、全国のトータルでおおよそ六十七兆円にも上る巨額の借入金残高を抱え、地方財政の硬直化を一層深めているところであり、個々の地方団体におきましても公債費の増高など、依然として極めて厳しい状況にあります。  また、特に私ども地方の市町村にとりましては、例えば企業立地につきましても、地理的、社会的、経済的条件に恵まれておらず、本県では過疎の問題を抱えている団体も多いところでございまして、その振興策は極めて困難な状況にあります。その上、本県の主要産業であります農業につきましては、特産のミカン、肉用牛について価格の暴落あるいは二、三年後の輸入自由化といった問題があり、また、農産物の中で最も生産額の大きい米につきましても価格の引き下げや、これも輸入自由化の要求など、日増しに厳しい状況となっており、切実な問題であります。  このような地方現状につきまして何とぞ事情御賢察の上、今後、活力のある地域づくりができますよう、また地域の特性に応じた魅力ある地方自治の実現のため、引き続き財政基盤の充実強化地方分権の推進を図っていただきたいことをこの機会をおかりいたしまして強くお願いを申し上げる次第であります。よろしくお願いいたします。  大変貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。  以上です。
  42. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  次に、矢鳴浩一君、お願いいたします。
  43. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 熊本同盟の矢鳴と申します。  八八年、ことしの九月九日の日に、新聞の広報だと思いますが、スローガンが出ておりました。「きっと、日本のためになる。」「あなたに大減税」「明日を支える消費税」「税制改革は自民党の良心です。」、きょうの熊本県立劇場を取り巻くようなすがすがしい、いいスローガンだなと思っておるわけですが、内容よりもごろが非常にいいわけで、「税制改革は自民党の良心です。」というのはすばらしい言葉だなと思っておるわけですけれども、実際は非常に問題が多いような気がします。  結論から申しますと、税の不公平というのは今のままでは放置できないということを申し述べたいと思っています。労働組合ですから、サラリーマンの代表です。しかし、サラリーマンの声がなかなか今生かされていない。絶対多数的になっているにもかかわらずサラリーマンの声が生かされていないというのが現状ではないかなと思っています。ですから、サラリーマンの良心を申し上げます。  まず、公平、不公平ということになりますと、どうもある面では、税でもうけている人はこれが公平だと思っているわけで、余りそうでもないという人は不公平だ。だから、公平、不公平という議論は非常に難しいかと思いますが、ですからそういう税の不公平、重税感があるままに消費税導入するだとかそういうことはぜひやめていただきたいということです。  まず、日常生活の中で私が経験した不公平というのをぜひ紹介しまして、サラリーマンの怒りみたいなものを感じていただきたいと思いますが、熊本に牛肉一〇〇%のおいしいハンバーグを食べさせてもらえるレストランがあるわけですが、そこに私と家族で食事に行きました。いざ精算ということになって、前にお客さんがおられまして、お父さんとお母さんとお子さん二人で精算しておるわけですね。それで、おもむろにその奥さんが、領収書を下さいと言うわけです。どうも何かおかしいなということを感じますし、同じ日本人だろうかなということを感じるわけです。自分がこういう領収書を切っていただいてもどこにも持っていく場がないわけだし、ただの紙くず同然です。何かおかしいな、世の中が少しおかしくなっているんだなというようなことをレストランの中で感じました。  同じく、東京の方に出張がございまして、熊本空港の売店で雑誌を買おうとしていましたら、前におられた方がチューインガムを二つ買ったわけです。四十年配ぐらいのスーツを着た立派な方でしたが、このチューインガム二つに領収書と言ったのにはびっくりしました。これは使えるんだろうかと思ったわけですけれども、実際言ったのは間違いないわけで、そういうのを見ても、同じ日本人として何か異人種、貴族みたいなやつがおるんだな、どうも不公平だなということを非常に感ずるわけです。そういう面で、ひがみじゃないですけれども、羨望の目で見たわけです。  今、私たちの抱えるサラリーマンの怒りといいますか不公平感というのは二つあると思います。先ほど申し上げました制度上認められた必要経費、これに対する不公平感、怒りじゃないかなと私は思っています。さっき申し上げましたチューインガム二つに対して、また必要経費をどこから出すのかわかりませんが、そういうような必要経費のあり方だとか、自分の同期の者でも自由業者、要するに自営業者がおるわけですが、立派な車に乗っているし、服装も派手だし、私はおごってもらうばかりなんですが、どうも憎らしいなと思うような、そういう不公平感を持っているわけです。  それともう一つは、自己申告制度でございます。これに対する不信感がやはりあります。だれでもそうでしょうけれども、人情として多目に申告する人はいないわけで、ほとんどの方がきっちり青色というように正直に申告しているんだと思いますが、できるなら少し少な目に申告するというのが人情じゃないかな。しかし、私たちサラリーマンの場合は完全に把握されていますから、こういう面でどうにもならないというのがあります。ですから、きっちり申告している人に対しては申しわけないのですけれども、実際はマスコミ等を非常ににぎわしている何百億円、何千億円というような脱税金額がありますが、こういうことに対してどうも憤りを感ずるのが今の現実です。こういうものに対してぜひ是正をしていただきたいし、不公平感をなくしていただきたいなと思っております。  日本経済がここまで発展したのは、日本の、サラリーマンとは言いませんが、勤労者一人一人がこつこつ何とかまじめに正直に働いたら報われるというような、そういう風土があったからここまで経済活動ができたし、日本経済は栄えたと思っています。今の段階でいきますと、どうも不公平があるな、先ほどの領収書でも違う人たちがおるなということを感ずる、そういう機運というのは、日本経済にとっては日本の将来知れたものというようなことになるのではないかと思っています。ですから、そういう不公平感というものをまずなくしていただきたい。働く者が疲れ切って、重税感に悩む、不公平感であきらめてしまうというような、生き生きしていないというのですか、そういう人たちがふえるのは非常に心配です。日本経済を支えているのは生き生きした働く者たちで、やはり人間というのは生きのよさが大事なわけで、そういう生きのよさをつくるためにもこの不公平感重税感をなくしていただきたいと思っています。ですから、先ほど申し上げましたように、サラリーマン意見が出てないな。立て万国の労働者というのがありますけれども、立て万国じゃない、日本のサラリーマンと言いたいわけでございます。ですから、サラリーマンのこういう不公平感がある段階でもっともっと議論を深めていただきたい、日本の将来のためにもぜひそういう意見を大事にしていただきたいと思っております。  ちょうどこういう機会でしたからちょっと雑誌を見てみますと、私の好きな邱永漢さん、金もうけの神様と言われていますが、この方がコメントを述べておるわけです。この方が言っているのは、私ならサラリーマンをやめますというようなことを言っているわけですね。何でかと申しますと、全く節税方法がないというわけです。悪く言えば脱税方法でしょうけれども、節税方法が全くない、だから会社をつくりなさいということを一生懸命——この方は何十冊に及ぶ本を書いているわけですが、サラリーマンはだめだと言っているわけです。この人の意見もどうかと思うのですが、実際は不公平感のためにこういう意見が出てくるのだと思いますが、ぜひそういうことを考えていただきたいと思っています。  きょうは私の給料明細書を持ってまいりました。この中でいかに完全に把握されているかということを申し述べたいと思っています。  私は、昭和五十二年入社で、今は勤続十一年です。給料は約二十九万四千三百円です。このうち社会保険料と申し上げるのは、健康保険が一万一千九百二十二円、厚生年金が一万七千三百六十円、雇用保険が千六百五十五円、これが社会保険料です。所得税、これが八千八百九十円、そして地方税九千九百円でございます。これを合計しますと四万九千七百二十七円、総支給額に占める割合は一六・八%です。それに、個人に掛けています生命保険料だとかそういうものを引かれますと三〇%近く引かれているということです。ですから、ある人が冗談半分に、賃金を上げたらどこが一番喜ぶかといったら、働く人じゃなくて大蔵省だと言った人がおるわけですが、どうも自分たちが一生懸命賃金を上げてもどこかでどんどん吸い上げられている、頑張って働けば報われるのではなくて、給料が上がった分だけ累進でたくさん取られるというようなことでございます。  ですから、税の不公平感は放置できないということですが、サラリーマン以外にどういう人たちがおるかと申しますと、医師だとか中小企業、政治家、ここに政治家の皆さんがおられますが、それから宗教団体の方々の税の申告というのは非常に緩やか、はっきり言うとずさんではないかと考えています。これは、私はきっちりした資料を持っているわけではないのですけれども、マスコミ等の雰囲気、そういう機運なんかで見ると、どうも何かおかしいのではないだろうかということを感じます。まずこれを正すべきだと思っています。  それと、土地や株でもうけた人に対しての課税が不十分ではないか、持つ者と持たざる者というのが非常に格差が広がっている。特にひどかったのはこの何年かじゃないかなと思っているわけです。リクルートの問題が出ていますが、ぬれ手にアワという言葉が出ています。一般庶民からいけば、人情からすると、だれもぬれ手にアワみたいなことをしたいわけでございます。それも合法的にできるのだったらぬれ手にアワがいい。もうとにかくそんなものをもらえたらいい。しかしそれができないわけで、宝くじがそのぬれ手にアワといえば、宝くじを買っても何十万分の一、何百万分の一しかそういうぬれ手にアワみたいなことはないわけで、要するにばくちみたいなものです。そう考えると、どうもおかしいな。一億数千万の日本の国民一人一人がぬれ手にアワみたいなことになるのであれば別に問題はないわけですが、どうも一部分の人だけがやっている、不公平感がある、そういうことを申し上げたいと思います。  こういうことを考えますと、与野党での協議の中で、全力を挙げてこの問題については協議していただきたい、まだ自民党さんの回答は不十分ではないかなと思っています。まずそれなくしては日本国民、庶民の政治への信頼感というのはなくなる。それがひいては日本の将来知れたものというような活力のないような日本経済になる、日本の国になるのではないかと思っています。  税制の六法案については専門知識を持っていないわけですけれども、全体的な気分というか印象をちょっと申し上げたいと思っています。  所得減税が盛り込まれていますが、これについては非常にいいことではないかなと思っています。特に、働き盛りの中堅層の教育費及び住宅費の負担が軽減されて、手厚い減税になっていると思っています。  それと、先ほども出ていましたが、法人税についても減税が必要だと思っています。国際化社会の中で企業の海外流出を防ぐためにもぜひ法人税についても御検討をお願いしたいと思っています。日本の法人税は諸外国に比べて非常に重たいという資料が出ているようです。例としてアメリカの税制改革では、法人税を思い切って減税したかわりに企業に対する優遇措置をなくした、これが成功したということも出ていますので、これについてもお願いしたいと思います。  それと、先ほども出ておりますが、消費税について申し上げたいと思います。  消費税については、これは将来にわたってどうするかというときに非常に論議が分かれるわけですが、日本の財政赤字が非常に膨らんでいるということ、それと、高齢化が進んで年金や医療費に非常に負担がかかる、サラリーマン及び働く人たちが数的には減るわけで、そういうことを考えるとちょっとあれだということ。それと、一般の物品税については自動車であるとか電気製品、こういうものに対して偏っているのではないか、そういうことを考えますと、消費税というのは将来にわたっては考えていく必要もあるのではないかとは思っています。ただし、前提があります。先ほどの不公平税制是正、これをぜひお願いしたいと思います。それと、もう一点は税金のむだ遣い、これを徹底的になくすということが望まれるのではないかと思っています。家庭でもお父ちゃんの給料が減るとお母ちゃんはどうするかといえば、支出を減らすというのがもう当然の結果でありまして、もしそれができなければどこかから、高いサラ金からお金を借りるということになるわけです。ですから、当然入るものが少なくなれば出すものを減すということが望まれるのではないかと思っています。ですから、十分時間をかけて国民理解が得られるように消費税についてお願いしたいと思っています。  さらに、消費税について申し上げたいのは、先ほどこれも議論が出ていましたけれども、相対的に低所得者について負担がかかるという逆進性の問題があります。これについてもぜひ御検討をお願いしたいと思います。  それと、EC型といいますと、税率がどんどん上がるという恐怖感みたいなものを持っているわけです。ですから、三%という税率が今後高まるということに対しての論議もお願いしたいと思います。  最後に、これも先ほど商業者の方から出ていましたけれども、価格の転嫁が本当にできるのだろうか、そういう問題も含めてお願いしたいと思っています。  最後に、今回の税制改革については、不公平の是正をぜひお願いしたいということを申し述べて、私の意見陳述を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  44. 海部俊樹

    海部座長 ありがとうございました。  以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  45. 海部俊樹

    海部座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
  46. 甘利明

    甘利委員 自民党の甘利明でございます。  公述人の先生方には、本当にお忙しいところ貴重な御意見を大変ありがとうございました。大変に興味深く拝聴させていただいたわけでございます。  御案内のとおり、今回の税制改革というのは昭和二十五年のシャウプ勧告以来まさに抜本的な四十年ぶりの、しかも日本人の手による改革であるわけです。各地で私ども、この税制改革に取り組むに当たってはいろいろな方々の御意見も伺っておりますし、党内でもそうでありますし、また税制改革特別委員会におきましても広範囲な議論を展開しているわけであります。きょうの先生方の御意見もいろいろ伺ったわけであります。  こうして各方面から御意見を伺いまして、それを精査をしていきますと、共通する考え方というのは、とにかく今この現行税制で何もしなくていいということをお考えの方はほとんどいない。ひずみやゆがみやいろいろな問題点が出てきているから、とにかく今のままでなくて、どこか手をつけなくてはいかぬというのが共通の御意見であろうと思います。先生方にも共通をしている意見であろうと思いますし、また国民のコンセンサスにもなっていると思うわけでございます。ただ、それじゃ何をしていくか、どこからどう手をつけるかということについて意見が分かれるわけであります。先生方の御意見も、それぞれ方法論については分かれていたわけであります。  例えば、今お話しいただいた中にも、抜本是正などという前にもっとやるべきことがたくさんあるじゃないか、まだまだ取るべきところから取っていないじゃないか。つまり、不公平是正をもっと厳格にやらなくてはいかぬという御意見もございましたし、あるいはむだな出費を抑えることをきちっとやらないといかぬ、つまり、行革をとことんやるべきだ、行革をとことんやってやり抜いて、それからでも遅くはないじゃないかというような御意見もございましたし、いずれにしても、何もそう急ぐことはない、拙速だけは避けた方がいい、じっくり時間をかけて、いろいろな意見を聴取しながらゆっくりやっていっても抜本改革という以上はいいじゃないかというようなお話もあるわけであります。あるいは、中には、今は税収の伸びが非常にいいわけであります。政府見通しよりもはるかにいいんだから、何もこんなに税収がいいときにやらなくたって、そんなに早急に手を打たなくても乗り切れるではないか、だから今慌ててやる必要はないと。あるいは、今公述人の先生からも出ましたけれども、売上税というのは公約違反だから、そういうものが入っている税制改革というのはやるべきではない、まず国民に信を問うてからにせよというお話もありました。まあ売上税が公約違反かどうかは別にいたしまして、売上税に関連して各方面からいろいろ指摘をされた、そういうおしかりを反省材料として織り込んだのが消費税であることは間違いないわけであります。  こういう点いろいろと御指摘をされたわけでありますけれども、不公平是正については与野党間でも協議機関をつくって、野党側が不公平と考える点、あるいは与党側がむしろ積極的に考える点、いろいろと意見をずっと闘わせてきたわけであります。精力的に与野党間で詰めてまいったわけです。それで中間報告もしましたし、その織り込めるものはどんどん改革に織り込んでいこう、そしてこれからも議論を闘わせて、出てきたものはどんどん積極的に詰めていくということにもうしているわけでありますし、現実にそういう動きをずっとしてきたわけであります。  それから、行政改革についてでありますけれども、行革は、これはもちろん当たり前に大事なことであります。今までも各種民営化であるとかあるいはシーリングの枠を設ける、あるいは補助金の見直し、とにかくいろいろむだがないかどうかずっと取り組んできたわけであります。しかし、何よりも行革というのは、行革を徹底的にやって、それがし終わってから次にかかるという種類のものではなくて、行革というのは常に行政の肥満体質を自己チェックをしていくという種類のものでありますから、行政機構にむしろビルトインされて、組み込まれて、未来永劫ずっとまだむだがないか、新しくこういうところでむだがないか常にチェックをしていく、これは未来永劫、永遠の課題であるというのが行革であるはずでありますから、行革が徹底してし終わってから次にかかるという種類のものではなくて、行革と並行して考えるというべきものであろうと思うわけであります。  それから、拙速は避けるべきだという意見も多々あるわけでありますけれども、この税制改革の問題というのは随分前から取り組んでまいりまして、政府税調であってももう全国で二十五カ所公聴会を開いて各方面の意見を聴取し、かんかんがくがく意見を闘わした。あるいは、我々自民党の党税調でももう随分本当に長期的にやりまして、連日連夜、全く夜遅くまで、自民党のほぼ全員といっていいぐらいの人が参加をして、まさにかんかんがくがく連夜の激論を交わしながらずっとやってきたわけでありまして、参加した議員の意見も幅広く聴取をしてきたわけでございます。私も連日出席をしましたけれども、まさにこれでもかこれでもかというくらいの激論を闘わせてきたわけであります。  また、この税制特別委員会自体も、この間計算しましたら、この地方公聴会が終了すると九十六時間四分費やしたことになりまして、特別委員長税制法案審議の宣言をしてから数えても実に八十七時間四分になるわけですね。  ちなみに、過去の重要法案の費やした審議時間と比べてみますと、五十八年の行革法案のときが五十八時間三分でありまして、それから、かの有名な、まさに百十年ぶりですか、百十五年ぶりでしたか、あの六十一年のときの国鉄改革法案、このときですら七十六時間十三分を費やした。それよりももっと長い時間をかけてやっているわけですね。だから、決して拙速ということには当たらないと思うのですね。もちろん、時間をどれだけ費やしたから拙速じゃなくて、これ以下だと拙速だと言うようなつもりは全くありません。もちろん中身の問題であるということはよく承知をしておりますけれども、これは私の個人的な感想かもしれませんけれども、最近この委員会で与野党を問わず質問を伺っていますと、もうそろそろ焼き直しの質問とか再焼き直しの質問とか、大分ネタに困ってきたかな、大分疲れてきてしまったのではないかなというような感じも個人的には印象を持つわけであります。  それから、私ばかりしゃべって申しわけないのですが、税収の伸びが好調だから今は云々という話はむしろ逆だと思うのですね。税収の伸びが好調な今だからこそ減税先行の大改革ができるのですね。あるいは、円高の還元がさらに進めば、政府見通しの物価が一・一%上がるのだってもっと低く抑えられるかもしれない。最高のタイミングだと思うわけですね。  いろいろ言ってきましたけれども、要するに、ずっと指摘されてきたことは、これが終わって、しかもいつ終わるかわからない、それで次に税制改革にかかるという種類のものじゃなくて、今までも詰めてきたし、これからも並行してずっとやっていく、その中で税制の抜本是正というのをやっていくべきものである、つまりパラレルにずっと進行していくべきものであるというふうに私は考えるわけでありますけれども、河端公述人はいかがお考えになりますか。
  47. 河端脩

    ○河端脩君 全く同意見でありまして、ただ問題は、いろいろな批判が出ますと、それを切り抜けるために、ためにする言いわけがましい理論構成がなされてきた。言うならば、筋の通った一本の哲学がなかったのじゃないかという気がするのです。だから、いや高齢化社会のためにこれをやるのだとか、常に揺れ動く。それで哲学がないと思うのです。だから、抜本的な改正についてはすべきであるという感じですけれども、抜本的改正をやる場合には筋の通った哲学、物差しというものをぴしっとしてもらいたい。それでないと国民は非常に惑いますよというのが一点、私の感想です。  それから第二点、今のお話を聞いて考えましたことは、時間が九十何時間かやったとおっしゃるけれども、言うならば、国民の目に触れていない形の部分が非常に多かったのではないか。やはり国会の本当の本会議の場で与野党かんかんがくがくとしてやりとりをしていただく。そのやりとりを通じて本当の、先ほども申し上げましたけれども、難解な法律用語というものが日常語に変わってくる。その日常語に変わった言葉でやりとりが国会の本会議でなされるのを見れば我々は本当の真意がわかるのですけれども、その時間というものが非常に少ないのじゃないか。そこが国民理解不足あるいは不安感というものにつながっておるのではないかというふうに思うわけです。その二点を今感じました。
  48. 甘利明

    甘利委員 ありがとうございました。非常に共感する部分が私も多うございます。  次に、消費税の話に移りますけれども、各公述人のお話の中にもありましたように、今の間接税体系というのはだれが見ても不公平ですね。車と家電で七割以上ですか、支えている。しかも、ほかの物品間でも全く課税基準がてんでんばらばらでありますね。  お話にもありましたけれども、いろいろなことが指摘されているわけでありまして、二万円の毛皮の襟巻きには税金がかけられていて、百万円のシルクの着物には税金がかけられていないとか、あるいはまさに今や大衆スポーツとなった、公述人の先生方もおやりになっている方はいらっしゃると思うのですが、ゴルフ用品というのは相当な重税がかけられていますね。それと比べて東京の高級テニスクラブでプレーされる方のテニス用品には税金がかけられていないわけでありますね。あるいは先ほどお話も出ましたけれども、家具でいえば、普及品と言えるケヤキ類の家具には税金がかけられている。それと比べれば、むしろ高級品だというふうに我々が感覚を持つ桐のたんすや、あるいはもっと高級品なんでしょうか、漆塗りの家具製品はかけられていない。同じくスキーの板一つとってみても、水の上を滑る水上スキーの板には税金がかかっているのですね。これが、雪の上を滑る板になると税金がかかっていないのですね。水の上を滑ると税金を取られて、雪の上を滑るとただですから、なぜ水の上だと税金を取られるのか、税は水ものというのは余りしゃれにもならないと思いますけれどもね。それから、コーヒーやウーロン茶にはかかっていて、紅茶とか緑茶ですか、これはかかっていない。ここまで来たらもうわけがわからぬですね。事ほどさように、今の間接税体系というのは不公平であるわけであります。  しかも、御指摘にもありましたように、今の経済というのがソフト化、サービス化してきている。消費も物品からサービス商品にかなりの部分が、比重が移っているわけですね。物品には課税をされていてサービスには課税をされていないということも、これは物品対サービス間の不公平ということにもなっていますね。同じビデオを見るにも、ビデオ機器を買って自分で見ると税金をかけられて、機器を借りてきて見ると税金がかかっていないのですから、これも不公平の一つとも言えるのじゃないかと思うわけであります。その点では、今回の消費税というのは、物品もサービスも分け隔てなく広く薄く課税をするという点で物品間の公平も図られるし、あるいは物とサービスとの間の不公平をなくすという点でも私はすぐれていると思うのですね。粟津さんはどうお考えになられますでしょうか。  現行物品税改正で十分であるというようなお話がさっきあったと思うのですけれども、そうするとサービス課税はどうするか。それから、先ほどのお話の中で、転嫁ができないおそれがあると片方でおっしゃっていましたけれども、もう一方で便乗値上げが起こる、これは私の聞き違いかもしれませんけれども、そういうふうに聞こえたのですが、転嫁が一方でできないとおっしゃって、一方で便乗値上げが起こるから心配だというふうに聞こえました。これは、便乗値上げというのは、転嫁ができ過ぎてしまうから便乗値上げになるのじゃないでしょうか。そういった点をちょっと御質問いたします。
  49. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 まず、物品税の問題でございますが、この物品税というものは非常に高額商品といいますか、貴金属とか、自動車なんかにしましても大きな、ジャガーとか、一千万とか二千万とかするようなものを買うお方、それから自動車も小さな五十万か八十万ぐらいのものを買う低所得者、そういうふうな方があるわけでございまして、物の価値観によってそういうふうなものを買える方は、やはり応能負担といいますかそれを買うだけの給料があるわけでございまして、その収入によってそれは現在分かれておるということで、我々はそういうふうな二千万とかするような自動車あたりは到底今買えないが、しかし、買える人はそれをどんどん買う。そこにそれだけの収入の剰余といいますか、たくさん持っているから買えるわけでございまして、そういうような所得の差によって、これはやはり高級品と一般商品との差はつけるべきであるというふうに考えるわけです。  それから、先ほど申しましたところの物品に転嫁できないと申しますのは、大根一本が今大体百二十円ぐらいしますが、では販売のときに百二十円に三%を掛けると、これが三円六十銭ですか、そうすると百二十三円六十銭という支払いになるわけですね。そういうふうな場合に、それの端数の三円六十銭、こういうふうな金あたりはもう到底使えぬ、そういうふうな状況で、やはりこれは上乗せするか、それともまけてやるかどっちかになるわけでございます。これを上乗せすれば便乗値上げという形で、恐らく税金だけでなくて、三円六十銭の場合に、端数が切り上げられて五円か十円上げると思うのです。そうしますと、それが相当な便乗値上げになっていく。また、これを切り捨てますと、第二の事業税的な要素が生まれてくるということで、支払う税金はやはり徴収義務者である小売店が払うという形になりますものですから、どうしてもそういうふうなことで我々の第二事業税としての負担になるのじゃないかというようなことです。
  50. 海部俊樹

    海部座長 甘利委員に御注意申し上げますが、時間が来ておりますので、簡単に、率直に御質問をお願いします。
  51. 甘利明

    甘利委員 もう時間が来ましたので、質問はいたしません。  ただ、今高額所得者が買えるようなぜいたく品というのは、庶民が買えないのだからそれに税をという話がありましたけれども、この間、私は結婚して何年ぶりかで初めて女房にダイヤの指輪を買ってあげまして、これは十万円だったのですけれども、友達のサラリーマンに、おまえ、結婚のとき幾らのを買ってやったと言ったら、五十万だと言いました。私の方が明らかに所得は高いと思うのでありますけれども、だから、どこからがぜいたく品でどれがそうじゃないというのは、最近は非常に難しくなってきていると思いますが、そのことだけ申し上げて質問を終わります。
  52. 海部俊樹

    海部座長 次に、坂上富男君。
  53. 坂上富男

    ○坂上委員 私は、社会党・護憲共同を代表いたしまして、先生方に御質問させていただきたい、こう思います。  公述人の先生方には、本日わざわざお忙しいところお出かけをいただきましてありがとうございました。大変な勉強をさせていただきました。早速でございますが、質問させていただきます。  今お話を聞いておやおやと思ったのですが、六十一年のあの衆参ダブルの選挙の際に、この熊本に中曽根首相が参られまして大型間接税に対する公約をなさったというお話を聞いたわけでございますが、そのときの模様をもう少し詳しくお話しいただければありがたいと思っておるわけでございますが、特にそのお話を聞かれた皆さんがおられたら、もうちょっと具体的にお聞かせいただけましょうか。粟津さんは直接お聞きになりましたか。——ちょっと模様をひとつ。
  54. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 これは、日時はもう忘れましたけれども、とにかく衆参同時選挙が発表されまして、そうして中曽根総理熊本に遊説といいますか応援演説においでになったわけですね。その場所は熊本市の一番の繁華街でありますところの下通り商店街の入り口でございます。ここに、例のスピーカーをつけた自動車の上に乗られまして、そこでいろいろ延々と演説をされた中にそういうふうなことをおっしゃったわけでございます。そこには、我々は近代化協議会といいまして熊本市の商店街、約百三十の商店街を擁しておりますが、その商店街の方たちの代表者並びにいろいろなその近郊の商店街の人たちが集まりまして、それで一応当時大型間接税導入という兆しが非常に盛り上がっておりまして、これは私どもがその大型間接税について当時いろいろ勉強しました結果、こういうふうなものが現時点で導入されたら非常に困るのじゃないかという立場で、当時そういうふうな大型間接税は反対であるという意思表示をしたらどうかというようなことでのぼりをつくりまして、そうしてそれを中曽根総理の来られた車の横に十本ばかり立てまして、そうして反対の気勢を上げたというのが実情でございます。  以上です。
  55. 坂上富男

    ○坂上委員 それで、大型間接税は導入しない、それから、私はうそを言うような顔に見えますかとまでたんかを切った、ここですね。
  56. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 はい。そこではっきりさっき述べたとおりおっしゃいました。
  57. 坂上富男

    ○坂上委員 ああそうですか。  そこで、今度は先生方にお聞きさせていただきますが、これは中曽根さん、いわゆる自由民主党内閣の公約違反であるとお思いでしょうか。あるいは、今の税制は、さっき言ったようなことから見て、いやこれは公約違反でないというふうにお考えでございましょうか。大変恐縮でございますが、先生方一人ずつお答えいただければ、ずばり一言ずつで結構でございます。
  58. 海部俊樹

    海部座長 それでは、御着席順にお答えをお願いいたします。
  59. 河端脩

    ○河端脩君 私は直接聞いておりませんけれども、選挙演説と本当の国の基本的な路線を決定することは切り離して考えるべきではないかと思います。言葉じりをとらえる必要はない。
  60. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 このときに、段階的で普遍的、網羅的、包括的というふうな言葉を申されております。それで、現在のこの消費税においても、私どもの考えますに、段階的であることは間違いない、それから普遍的で網羅的で包括的であるという点から、これははっきり公約違反であるというふうに解釈をいたしております。
  61. 坂上富男

    ○坂上委員 先生方、簡単で結構でございます。
  62. 菅知彦

    ○菅知彦君 私は、公約違反とまでは思いませんけれども、多少成り行き上まずかったといいますか、そういう感じがいたします。やはり私は、もとから売上税という形態は別として消費税的なもの、間接税的なものをやった方がいいと思っていましたから、だからこういう成り行きからしますと、今度大型ではありませんし……(坂上委員「結構でございます」と呼ぶ)そう思います。
  63. 袋田正明

    ○袋田正明君 公約違反ですね。
  64. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 私は聞いておりません。選挙のときはやはりある程度はそれぞれいろいろうわさはありますけれども、聞いておりません。また、税制改革についてはやむを得ないと思っております。
  65. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 私は、新聞等で公約違反という文章のスクラップをかなりしております。公約違反だと思っております。
  66. 坂上富男

    ○坂上委員 ありがとうございました。  先生方のお話を聞いていますと、私もそう思うのですが、シャウプ勧告以来の抜本的な税制改革である、こう皆さんおっしゃるし、また国民の皆さんもおっしゃるわけであります。かかるがゆえに我が党は、国民の信を問え、解散せよということも言っておるわけでございます。これについて全部でなくて結構でございますが、矢鳴さん、いかがでございますか。
  67. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 ちょっと、もう一度お願いします。
  68. 坂上富男

    ○坂上委員 こういう抜本的な税制改革については国民の信を問え、国会を解散してその是非を判断せよ、こう言っておるわけでございますが、一言だけ、それについてはいかがかということです。
  69. 海部俊樹

    海部座長 その質問は、お一人だけですか。
  70. 坂上富男

    ○坂上委員 いや、今度はそちらの方から簡単に。
  71. 海部俊樹

    海部座長 では、矢鳴さんの方から一言ずつお答えください。
  72. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 これは、ここで論議というよりも、政党間でいろいろと主義、主張があるわけですから、それに対してはお答えはできませんが、社会党さんは社会党さんなりの独自の主張をすればよろしいかと思います。
  73. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 私は、国民の信を問うという必要はないと思います。私は、お並びの諸先生方に政治はお願いしているつもりでございます。
  74. 袋田正明

    ○袋田正明君 最終的に消費税導入するということでまいりますならば、やはり信は問うべきだと思います。
  75. 菅知彦

    ○菅知彦君 問う必要はないと思います、もう話は始まっておりますので。
  76. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 私は、ぜひ解散をして信を問うべきだというふうに思います。
  77. 河端脩

    ○河端脩君 私は、我々にそういう質問をされずに、国会で御議論を願いたいと思います。
  78. 坂上富男

    ○坂上委員 ありがとうございました。  今度、ちょっとリクルートの問題についてお聞きをいたします。  この問題について粟津公述人が申されましたが、これに対する問題点、いろいろ内容はよろしゅうございますが、リクルート解明が国会の中では必ずしも思うようにいってないわけでございますが、そういう点についての皆様方の率直な御意見はいかがでございますか。
  79. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 リクルート解明につきましては、私ども国民は、この問題は非常に関心の深い問題でありまして、キャピタルゲイン課税等をいろいろ話し合われる、つまり、そういうふうな場においてその当事者の方々がそれに関与されておるということはまことに不合理な感じがするわけでございます。つまり、リクルートの前会長さんであります江副さんそのものが税制調査会の委員であったというふうなことから考えますと、このような方々が考えてやられる税制というものは、どうしても自分なりにいいようにこれを改正するような気がいたすわけです。国民としては、そういうふうな疑惑を感じるような形での方々は非常に困るというふうな点で、このリクルート問題に関連された方々審議に関与する資格がないのではないかというふうに感じておるわけでございます。
  80. 坂上富男

    ○坂上委員 菅先生、これは簡単でよろしゅうございますが……。
  81. 菅知彦

    ○菅知彦君 極めて遺憾でございまして、国会及び司直の手によって解明されるべきだとは思います。ただし、問題は、税制改革と政治的にはつながっているようですが、私どもが判断する場合は、関係ないとは申しませんけれども、やはり並行してと思います。
  82. 坂上富男

    ○坂上委員 それでは今度は、今我が国は景気が最高になっておると思うのですが、これはまた相当続くとも言われておるわけでございます。今、矢鳴さんがおっしゃいましたが、労働者がまじめに働いた大きな成果なんだ、こうおっしゃっておるわけでございます。ごもっともだと思います。  そうだといたしますと、税制においても、今ここに抜本的な改正必要性というのは、日本の現在の景気の繁栄から見ていかがでございましょうか。特に河端先生、それから菅先生、いかがでございましょうか。
  83. 河端脩

    ○河端脩君 私は、先ほど当初に申し上げたように、今の日本の制度あるいは仕組みというものを改正する場合には哲学がなければならぬ、これは二つのことだということで当初に陳述をいたしました。そういう観点から論議をすべきであって、財源が今余っておるからとか足りないとかという議論とは別問題であると私は認識しております。仮に財源が足りておってもやるべきことはやらなければいかぬ、私はそう思います。
  84. 菅知彦

    ○菅知彦君 私は、代議士と一緒だと思いますが、財源が余っている時期に、やはり国民負担というものは一時期に増税になるような形では困るわけでして、総体としては財源がありますから余り増税にならないような、一万では所得減税等をして、そして間接税を、消費税を置くという形でちょうどいい時期じゃないか、いいタイミングだというふうに思います。
  85. 坂上富男

    ○坂上委員 御両人の先生方にもう一遍また別の問題ですが、河端先生は副知事をなさって、給料としては悪い方じゃないんだ、それでも大学を出すにもなかなか容易じゃなかった、こうおっしゃったわけです。私ももっともだと思うのですが、菅先生は学校の第一線におられる教授の先生であるわけでございますが、入学金に課税をし、授業料と受験料は課税しないということなんだけれども、入学金に課税されるのは非常に困るとおっしゃるわけでございます。この点はいかがでございますか。  まず菅先生の方は、先生の大学の方は大体どれぐらいの入学金で授業料はどれぐらいで受験料はどれぐらい、そこでこういう点で学校財政上大変に困るんだということをひとつお聞かせください。私も教育にこうやって課税するのは大反対なんです。  それから、河端先生の方も、これはいかがでございましょうか。もう入学金にぶっかぶせる、こういうやり方のようなんでございますが、もう一度ひとつ。
  86. 菅知彦

    ○菅知彦君 私のところの細かいことをすっかり覚えてはおりませんが、全国でも最も安い方ということで運営しておりますので……(坂上委員「簡単で結構です」と呼ぶ)でありますが、全国の私立の学校を見ておりますと、この辺の仕分けがやはり違うと思います。だから、本当の実態と違いまして、例えば授業料以外に施設費とかあるいは実習費とかいうのを取っている例もあるわけで、そういう意味で授業料と判定されるものはほかにもあるんだということだと思うのです。そういう趣旨でございます。
  87. 河端脩

    ○河端脩君 質問趣旨がはっきりしなかったのですけれども、私は当時副知事でしたけれども、月給が二十三万でした。そして、二人の子供を、一人は国立、娘の方は私立にやったのですけれども、やはり月に平均して三十万ぐらい仕送りしなければならない、そういう状態でした。
  88. 坂上富男

    ○坂上委員 課税反対でございますね。入学金などに課税することについては、先生いかがですか。
  89. 河端脩

    ○河端脩君 私は、そういう個々の議論というよりも、基本的にぴしっとやって……
  90. 坂上富男

    ○坂上委員 結構です。  最後でございますが、緒方先生、三割自治とか言われて、地方自治体の独立性というのがとかくいたしますと財政面から揺らぎがちなんでございますが、今回またガス税、電気税をとられると、しかも譲与税でこれを賄うというようなことになりますと、ますますそのおそれもあるのではなかろうか。しかも五十九年から一割カット、補助金負担率をカットされると、これも非常に困ったことだ、復元せよ、こうおっしゃっておるわけです。  そうだといたしますと、今の消費税の体制をつくってまいりますと、ますます地方の分権というものが剥奪されるのではなかろうかと心配するわけですが、地方自治観点からいかがですか。簡単で結構です、もう時間がありませんので。
  91. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 自主財源と申しますか、電気税等についても廃止される。一時は私も、これは大変なことになったということを心配しましたけれども、消費譲与税等でそれに見合うだけの補てんはするということが明確になっておりますので、やむを得ないなということです。一時は私もびっくりしました。そういうことでございます。
  92. 坂上富男

    ○坂上委員 どうもありがとうございました。
  93. 海部俊樹

    海部座長 次に、二見伸明君。
  94. 二見伸明

    ○二見委員 公明党・国民会議二見伸明でございます。  六人の方々に大変貴重な御意見を賜りましたことに心から御礼を申し上げます。  私は、河端さんあるいは矢鳴さんが御指摘になられたように、所得税の減税それから法人税減税はしなければならないと思いますし、袋田さんが、所得税をいじる場合には総合課税にする必要があるという御提言にも私は賛成でございます。ただ、消費税そのものにはシステムの上からいってもいろいろと問題はあるというふうに感じております。  それで最初に、粟津さんと袋田さんにお尋ねをいたします。  先ほど矢鳴さんが領収証の話を出されました。領収証をもらうことの意義ですね。これは、恐らくこの税制でいくとみなし法人課税の問題だろうと私は思います。私は、与野党政策担当者協議の一員でございまして、ここではみなし法人課税についてのいろいろな議論をしてまいりました。みなし法人というのは、もう釈迦に説法でしょうけれども、同族会社との関係で見ればこれはイーブンになります。しかし、サラリーマン立場から見れば、これほどの不公平はないと感ずるのは、私は当たり前だと思います。  それで、粟津さんはいろいろな不公平税制の具体例を挙げられました中で、みなし法人にはお触れになりませんでしたけれども、その点については粟津さんはどういうふうにお考えになるのか。  それから、袋田さんは税の実務者の立場から、みなし法人課税というものをどういうふうにお考えになっているのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  95. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 みなし法人課税の問題ですが、零細企業といいますか、非常に小さな業者におきましては、やはりある程度どんぶり勘定といいますか、そういうふうなものがみなし法人だと思いますが、あってしかるべきだというふうな感じがいたします。
  96. 袋田正明

    ○袋田正明君 もともとみなし法人課税は、私の記憶に間違いがなければ、たしか商工会の肝いりでできたというふうに覚えておりますが、もともと所得税の安くなることを目的としてつくられたものですから、本来からいえば、確かにそういう面では、サラリーマンの方が見れば不公平税になるだろうとは思います。しかし、専門的な立場からいいますと、必ずしもみなし法人にしなくても法人組織にすればいいわけでございまして、結果的にまだ安くなる可能性もございます。ですから、そういう論議でいきますとなかなか難しいなというふうに私は感じます。よろしゅうございましょうか。
  97. 二見伸明

    ○二見委員 はい、結構です。  粟津さんにお尋ねをしたいと思いますけれども、価格転嫁が非常に難しいというお話がありました。私もこの消費税についていろいろな御意見を伺っている中で、やはり業界の方々から出てくるのは価格転嫁の難しさです。私もそれは非常によく理解できるところであります。これを税のシステムから見ますと、今度は帳簿方式ですけれども、帳簿方式にしたのと、いわゆるEC型のインボイスを導入する、税額票を導入するというやり方と比べてみて、どちらの方が転嫁がしやすいというふうにお考えになりますか。帳簿方式の方が転嫁がしやすいのか、あるいは税額票なりインボイスを発行した方が価格転嫁はしやすいのか、両方とも同じように転嫁しにくいのか、その点についてはどういうふうにお考えになりましょうか。
  98. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 私は、帳簿方式が五億円以下の中小業者というふうなことになっておりますとおり、やはり帳簿方式の方が簡便である、つまり転嫁がしやすいというふうに感じます。
  99. 二見伸明

    ○二見委員 河端さんと、それからサラリーマン立場で矢鳴さんにお尋ねします。  一つは、河端さんにお尋ねしたいのは、消費税導入した場合、産業、業界への影響ですね。というのは、物品税が物によっては三になる。例えば、宝石の場合は一五%が今度は三%になりますね。自動車も、経過措置はあるけれども三%になる。しかし、今までゼロだったものが三になるということになりますと、業界なり産業界に、物品税の下がるところは非常に今までと比べて価格的に優位になるけれども、そうでないところは不利になるとか、いろいろな影響が出てくると思うのです。そうした業界、産業界への影響については、消費税導入した場合どういうふうになるか、果たして中立だというふうに言えるのかどうかですね。  同じことは、矢鳴さんはサラリーマンとおっしゃいますけれども、一つの企業で働いていられるわけですから、それがどういうふうに響いてこられるのか、ひとつ経営者になったつもりで御意見を承りたいと思います。
  100. 河端脩

    ○河端脩君 問題は、現状が正義であるという観念、これは廃止すべきだと思います。何が本当に正しいのかという観点で、現状を一応捨象して考えるべきだ。現状を肯定して、現状が正義であって、現状を変更することは不公正であるという考え方には私は反対です。
  101. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 先ほども出ていましたが、価格転嫁の問題も入ってくると思うのですね。そうしたときに、九十八円とかよく百円を切った値段で値段設定をしていますが、それに三%をかけると百一円だとかになってくるわけです。こうなると、大きな企業はある程度下請の方というか、要するに業者の関係で値切る、力関係でどんどん動いてしまってかなり混乱も起きるのではないかと思っています。そういう面で、最終的には政治的な決着をし過ぎると、力関係でこういう問題は動いてきますから、もっともっと慎重にやらなければならないと思っています。  それで、経営者の立場からといっても、なかなかそういう立場じゃないからわからないわけですが、日本全国一遍にやるわけですから、そういう面では後問題がないようにやれば定着はしてくると思います。実際は、世界各国はそういう税をかけているわけですから、そういういい見本を取り入れていけば、そんなに大きな問題はないと思います。先ほども申し上げておりますが、それよりもまず不公平是正をやっていただきたいと思っています。
  102. 二見伸明

    ○二見委員 結構です。
  103. 海部俊樹

    海部座長 次に、安倍基雄君。
  104. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、皆様にいろいろお聞きしたいと思います。  公述人の皆様、お忙しいところ本当にありがとうございました。与えられた時間が十分でございますので、余り細かいこともできないかと思いますけれども……。  我々民社党は、消費税論議をする前にきちっと行政改革をしなさいよ、それが十分行われていますか、また、これからどういうプログラムで行政改革を行うかをきちっと提示しなさいということを要求しております。この点に関連しまして、さっき、行政改革は税と一緒にやっていこうという議論もありました。しかし、少なくとも私は現状において、中央もさることながら地方における行政改革、あるいは熊本県は随分なさっておられるのかもしれませんけれども、全体的に見れば、国家公務員というのはほとんどふえていないが地方公務員というのは大分ふえておる、給料も国家公務員以上である、しかもメガロポリスに人員が非常に集中している、そういう面もございますが、現状において行政改革が十分行われているという認識であるかどうか、サラリーマンとしての矢鳴公述人とそれから河端公述人の御意見を承りたいと思います。
  105. 海部俊樹

    海部座長 それでは、御質問の順に矢鳴公述人。
  106. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 ちょっと、じゃ河端さんお願いします。
  107. 海部俊樹

    海部座長 いや、御答弁をどうぞ。最初質問されたのだから、お答えください。
  108. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 ちょっとポイントがあれですので、もう一度ポイントだけお願いします。
  109. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 従来のいわば行政改革で十分であるかどうかという認識をお聞きしています。
  110. 矢鳴浩一

    ○矢鳴浩一君 これにつきましては、どうもやはりそういう日本の機運ができていないと思っています。まず、不公平だとか、あるいはどうも何か増税をやればすぐ簡単にできる、支出を減らすという論議よりもそういうことを先にやっているようです。そういう風土的なもの、あるいは日本国を取り巻く機運みたいなものが、どうも安倍さんが言われるように準備が整っていないと思っています。
  111. 河端脩

    ○河端脩君 私、先ほどは列挙しなかったのですけれども、食管法にいたしましても借家法にしましても、都市計画関係の法律にしましてもあるいは農地法の関係にいたしましても、いわゆる戦争中あるいは戦後の本当の窮乏時代につくられた制度がそのまま生かされておる。そうして本来つくられたときの趣旨というものが、現在これだけ経済が発展し、社会が進展してきたときには、全くつくられたときの趣旨とは違うものになってしまっておる、そういうことに大変憤りを覚えます。もう数え上げれば切りのないそういう制度を根本的に、逐次というか、本当に一日も早く現状に合うものに改正してもらいたい、そういう気持ちでいっぱいであります。
  112. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 次に、いろいろ転嫁困難性というのが随分言われました。私どもも非常に心配しておりますのは、さっき矢鳴公述人も言われましたけれども、大きいものと小さいものとの関連で、結局いろいろな市場取引で大きいものに小さいものが負けていく、そういう可能性がある。そうすると、もちろん転嫁というものはそれぞれのいわば業界によって転嫁しやすいもの、あるいはしづらいものがあると思います。例えば繊維などはNIESからも追い上げられて、しかも需要は一定である、なかなか伸びない。その辺の転嫁の問題につきまして、袋田公述人も言われておりましたけれども、この消費税が中小と大企業との関連において、あるいは中小を要するに非常に不利な立場に立たせるのではないか、転嫁し切れないのではないかという懸念が大分なされております。  私は、よく日本と欧州とを比べますと、生産、販売について、それぞれ日本の場合には中小に働いている雇用者が大体七〇から八〇であるが、イギリスあるいはドイツにおいてはそれぞれが三〇である、非常に中小の占める割合が欧州においては少ないということを聞いております。これは、ある意味からいいますと、今まで欧州においては取引高税みたいなものがあって、そういった中小が自然淘汰されてきているというような議論もあります。この点、河端公述人は、これは非常にいいとおっしゃいますけれども、こういう中小企業と大企業との転嫁の関連で、今度の消費税中小企業に対して圧迫要因にならないかということについての御見解を承りたいと思います。
  113. 河端脩

    ○河端脩君 私は、大企業中小企業が今回の税制改革によって著しく変化を及ぼすとは全然考えません。
  114. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 その理由は何でございますか。
  115. 河端脩

    ○河端脩君 委員質問はできないと当初海部座長がおっしゃったのですけれども、本当は私の方からどうして違うのかを聞かないとわかりませんですね。
  116. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それじゃ御説明いたしましょう。  いわばいろいろの取引において転嫁を行わせるときに、どうしても力関係でなかなか転嫁し切れないという場合があります。でございますから、税金分を帳簿方式転嫁していこうと思っても、強い立場の者が、それはおまえ、税金分のめと言う可能性も十分ある。また市場によって、いわば買い手市場の市場ではどうしても競争が激しくて、幾らカルテルを結んでもその価格を転嫁できないということがございます。こういった意味で、いわば力関係において転嫁できるかできないかというのは非常に重要な問題でございまして、消費税が三%のうちはいいけれども、一〇とか一五になったら果たして中小が転嫁し切れるものかどうか、この点について河端公述人とともに袋田公述人の御意見も承りたいと思います。
  117. 河端脩

    ○河端脩君 小売価格というのは、本当に今の小売価格が正しいのかどうかも非常に不明確ですよ。もうチラシを見ておりますと軒並み最後は八円ですね。それは九十八円というのが本当の正しい値段なのか、あるいは百円だけれども、八円という方が消費者が飛びつきやすいから二円はまけて八円にしておるのか、そこら辺は非常に不明確でありまして、現在の価格制度そのものが全く正当な価格をつけているとは私は思っていないのです。だから、消費税が仮に導入されましても、そこら辺は知恵の多い日本人ですから、うまいこと切り上げ、切り捨て、あるいは両方に少し減らすとかふやすとか、そういうことでもって十分対処していかれると思います。全然心配はしておりません。
  118. 袋田正明

    ○袋田正明君 私は、影響があると思います。といいますのは、大企業中小企業の決定的な違いは何かというと市場占有力でありまして、それからもう一つはそれから出るところの価格決定力でございますから、いずれにしましても、私どもが見ております中小企業の例で現実の中で申し上げますと、ほとんど影響を受けると思います。  ちょっと前になりますが、一時日本が不況になった折に、下請の会社がありまして、親会社がなかなか金を払わないということで下請代金支払遅延等防止法という法律ができたことがございますが、あれで中小企業を守れというようなことまでできた事例もございます。そういうことで、仮に建築業の場合でも、下請が三%乗せて請求をいたしましても、三%乗せたところで、はい出精値引きというところでどんと引かれますから、結果的には価格転嫁中小企業の場合なかなか難しいのではないかというふうに考えます。
  119. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 十分間しかございませんので、この辺で質問を終わらせていただきます。
  120. 海部俊樹

    海部座長 次に、工藤晃君。
  121. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 日本共産党・革新共同の工藤晃です。きょうは六人の公述人の方、本当にありがとうございます。  日本共産党は、御存じのように、今度の消費税は公約違反である、撤回せよということと、同時に、今お話もありましたように、税制改革中心の中にリクルートの黒い株に群がっている名前の出ている人たちもいるわけでありますから、それを徹底的に糾明すべきであって、そういう人たちが中心になって税制改革を推進する資格はないという声はまことに正しいというふうに考えております。それから、消費税そのものは最大の不公平税制である、何となれば逆進性が非常に強いということも強く指摘してまいったわけであります。私は最後の質問者でございますので、今まで出なかった質問について絞って伺います。  最初に、粟津さんに伺いたいと思います。  それで、今、中小企業庁の調査などでも、全国の商店街の八割が衰退傾向ということを明らかにしております。そういうときに、今度の消費税導入というのは、今流通あるいはサービス、そこに製造業や農業などから出てきた人たちがずっと集まってきているときに非常に大きな打撃を与えると我々は考えるわけですが、それに対して、政府の方でカルテルを認めましょう、このカルテルも大変わけのわからないカルテルで、転嫁の方法に関する共同行為とそれからその表示に関する共同行為といってよくわかりにくいわけでありますが、その中に、例えば商店街だけでもまとまってやっていいんだというようなことで何か転嫁が可能であるかのようなことを言っておりますが、そういうことが実際に可能かどうか、その点について粟津さんに伺いたいと思います。
  122. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 商店街においてその転嫁の問題について話し合ったことがありません。でありますけれども、現時点におきましては、中小商店におきましても、非常に競争意識の中でありますが、店によっては何とか内需拡大といいますか内需の影響を受けまして、現時点におきましては多少利益を上げておる店が多いのじゃないか。八〇%というのはいつの時点かわかりませんけれども、現時点においては多少好況な感じがいたします。そういうふうな点から価格の転嫁問題とかなんとかにつきましても、先ほどから申しますとおり非常にしにくい商品もありますし、また大きい業者と小さい業者の格差によって転嫁しにくいというようなこともあると思います。そういうふうなことで、まだ私たち商店街の段階でどうこうという話し合いはやっておりません。
  123. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それでは袋田さんに伺いたいのですが、今中小企業の問題として、業者の立場からすれば転嫁が大変難しいからこういうことになったと説明されているわけですが、よくよく見ると七通りぐらいに分かれるわけですね。年商五億円以上というと、これはそのとおり払う。それから五億円以下ですと、これはやはり三通りに分かれると思うのですね。付加価値率が二〇%以上だといわゆる簡易を選ぶ。それから、付加価値率が二〇%以下でももうしようがない、簡易の方が簡単だからこれを選ぼう。それからもう一つは選ばないというふうに分かれるわけですね。それから、三千万から六千万というのは一年間たってみないと何%の税率かわからないというのがありまして、さらに下に三千万以下が、免税になるけれども、これは取引の関係で納税業者にならざるを得ないという場合もあるというように大変に多岐にわたるということなんですが、このことは転嫁の難しさをあらわしていると私は思う反面、逆に言うと消費者の側からこれほどばかにした税金の仕組みもないのじゃないかということも出てくると思うのです。そうすると、結局において、ともかくこれでだましだましして導入して、それでやってみたところがもう非難ごうごうで、結局はEC型付加価値税というところに持っていく仕掛けではないか、からくりではないかと私は思っておりますが、その辺いかがでしょうか。
  124. 袋田正明

    ○袋田正明君 何か難しい問題なんで、そのままお答えできるかどうかわかりませんけれども、ただ、限界控除あたりも確かにおっしゃったとおりで緩和する、それから事務負担を軽減するというのも簡易課税制度の目的でございますが、どうも私も個人的にはそういう感じは確かに持っております。
  125. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 もう一度粟津さんに伺いたいと思うのですが、先ほどの公約違反の問題との絡みもあるのですが、今度政府は、五兆四千億円を消費税で、間接税などで調整すると純増が二兆円というのですね。純増が二兆円というけれども、国や自治体の負担増が約一兆円ある、あるいはもっとあるかもしらぬというと、本当に新たにふえる財源というのはもうわずかで、しかもこれが人件費に少しでも波及したらたちまちなくなってしまうぐらいである。そういうものでありながら、一方では何か二十一世紀への新財源である、それで竹下総理は国際社会への貢献とかいろいろ言われているわけでありますが、何か新たな財源でうんとふやすというならば、当然この三%というのはたちまち上げるということを前提にした導入になっているとしか見られないわけでありますが、そこで、竹下首相がこの前国会で、竹下内閣の続く限りは三%はいじりませんと言っているけれども、二年前の選挙の公約を平気で二年後に、情勢が変わったと言うぐらいでありますからなかなか信用ならないのですが、この三%というのがどんどん上げられるということも危惧されているのではないか、その点についていかがでしょうか。
  126. 粟津雅敬

    ○粟津雅敬君 全く同感でありまして、この三%というものはEC諸国におきましてもそういうふうな低パーセントはもう一つもありませんし、高いところは二五%というようなところもあるやに聞いております。そういうふうなことで、これはもう当然一時的な導入の、一番皆さんが耐えられるような数字を提示したにすぎないというふうに感じます。
  127. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 緒方町長に伺いたいと思います。  先ほど述べられた中で、政府に対するいろいろ御注文も述べられたと思って、まことに同感であります。その中で特に、補助金一律カットというので四年間に四兆九千億円と言われましたが、それで毎年毎年だましだましみたいな形で切ってきた。そういうことをやった上、今度消費税導入で実際穴があくわけですね。それで、これで埋めましょう、あれで埋めましょうと言ったけれども、本当に埋まるかどうか、その辺今までの補助金カットのいきさつからしてもまことに信用ならないことであると思うのか、あるいは少し信用ならない、その辺どうか。  それから、もう一つ、農村地域として、例えば今生産者米価がどんどん抑えられ、あるいは下げられていますね。そういうところへもってきて消費税導入されると、これは経費にはかかってくる。農家の方は免税業者になる方が多いと思いますが、それでも結局この経費の負担をどうにかしなければいけない。非常に苦境に立たされるのじゃないかと思いますが、町長としてその辺はどのようにお考えでしょうか。
  128. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 五十九年ですか、そういうことで補助金等をカットされたことがございます。それは一時的の問題だ、いわゆる財政の事情でやむを得ないということできましたけれども、一日も早くそれらのものを五十九年度の状態に復帰してほしいということでございます。  それで、税制改革については詳しい専門的なことは私も余りわかりませんけれども、消費税導入等につきましても、もろもろの不公平と申しますか、これをなくして、それらの弱い市町村等については、足らないところについては補てんをしてやるということですから、これを信用するかせぬかということになると、これは非常に難しい問題ですけれども、やはり私は、先ほど来いろいろな問題も出ておりますけれども、信用して行政を預かる以外にはない、やむを得ないと思います。
  129. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今、農業のことをちょっと伺ったのですが、お米についてはどうですか。
  130. 緒方泰之

    ○緒方泰之君 これは本来、我々日本民族は米によって育って今日があるわけで、これについては、絶対私は堅持して、よもや自由化等は許していただきたくない。許したとするなら大変な事態、あるいはもっと強く言いますれば国滅ぶ、農家を軽視したら私は国滅ぶという考え方を持っております。
  131. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 どうもありがとうございました。
  132. 海部俊樹

    海部座長 これにて委員よりの質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をそれぞれお述べいただき、まことにありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は、税制改革関連諸法案の審査に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  それでは、これにてきょうの公聴会を散会いたします。     午後零時四十一分散会    派遣委員石川県における意見聴取に    関する記録 一、期日    昭和六十三年十一月九日(水) 二、場所    金沢国際ホテル 三、意見を聴取した問題    税制改革法案内閣提出)、所得税法等の一    部を改正する法律案内閣提出)、消費税法    案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する    法律案内閣提出)、消費譲与税法案(内閣    提出)及び地方交付税法の一部を改正する    法律案内閣提出)について 四、出席者  (1)派遣委員    座長 藤波 孝生君       鈴木 宗男君       玉沢徳一郎君       加藤 万吉君       山下洲夫君       小谷 輝二君       玉置 一弥君       矢島 恒夫君  (2)現地参加委員       瓦   力君  (3)政府出席者         大蔵大臣官房審         議官      瀧島 義光君         自治大臣官房文         書課長     横田 猛雄君          自治省税務局企         画課長     鶴岡 啓一君   (4)意見陳述者         渋谷工業株式会         社会長     渋谷 亮治君         石川労働組合         評議会議長   粟森  喬君         株式会社ホテル         百万石社長   吉田 豊彦君         公認会計士・税         理士      高口  稔君         石川県町村会長 矢田  剛君         石川労働総同         盟会長     宮西  実君      ────◇─────     午前十時開議
  133. 藤波孝生

    藤波座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院税制問題等に関する調査特別委員会派遣委員団団長の藤波孝生でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。  この際、派遣委員を代表いたしましてごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、税制改革関連諸法案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、各法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地を初め熊本市、仙台市におきましてこのような会議を催しておるところであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。  まず、この会議の運営につきまして御説明を申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日御出席方々を御紹介いたします。  出席委員は、自由民主党の玉沢徳一郎君、鈴木宗男君、日本社会党護憲共同加藤万吉君、山下洲夫君、公明党・国民会議小谷輝二君、民社党・民主連合玉置一弥君、日本共産党・革新共同の矢島恒夫君、並びに現地参加委員として、自由民主党の瓦力君、以上であります。  次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  渋谷工業株式会社会長渋谷亮治君、石川労働組合評議会議長粟森喬君、株式会社ホテル百万石社長吉田豊彦君、公認会計士税理士高口稔君、石川町村会長矢田剛君、石川労働同盟会長宮西実君、以上の方々でございます。  それでは、渋谷亮治君から御意見をお願いいたします。
  134. 渋谷亮治

    ○渋谷亮治君 渋谷でございます。  税制改革に関する私の意見を述べさせていただきますが、私は決して税に特別に詳しい者ではございません。これまでマスコミ等で報道された内容に基づいて、その範囲内でしか勉強しておりません。したがいまして、ごく普通の人の普通の感じ方として、また一企業経営者として率直な考え方のつもりで述べさせていただきますので、あらかじめお許しを願っておきたいと思います。  まず、税制改革全般に対する意見でありますが、税制改革は今や全国民的な重大関心事にまで高まっておると存じます。したがって、言うなれば抜本的改革の機は熟しておるというふうに判断をしております。今回のこの改革なくして二十一世紀に向けての安定的な税制を確立することはできないのではなかろうかというふうに考えます。  ここ近年の間、本格的な税制改革が行われなかったために、直接税とりわけ所得税のウエートが著しく高くなってまいっております。その中にあって、いわゆるサラリーマン給与所得者を初めとして、納税者重税感不公平感は年々高まってきておるというふうに感じております。したがって、今回の改革は、単なる減税策だけではなく税制全般にわたる制度の改革が求められているというふうに認識をしております。すなわち、言うなれば税金は国民の安全で豊かな暮らしを維持するための会費であり、国民の重要な義務であるという認識が広く必要である反面、一方、公平にして納得して納税できる制度が望まれます。また、行政側におかれては、税金のむだ遣いと指摘されたものを直ちに排除するのが納税者に対する義務であるという立場を貫くべきであり、一般国民との間に互いに信頼関係を醸成させるためにも、ぜひとも真に納得して納税できる制度の導入をお願いしたいと思います。今回の税制改革にはいろいろな意見や考え方が出されておりますが、真に国民にプラスとなる最大限の公約数を国会で結論づけ、速急に実行に移していただきたいというふうに願っております。  今後は、いや応なく高齢化社会といいますか高齢者社会といいますかを迎えることになりますが、ここに三つの問題点が考えられます。  一つは、高齢化がピークに達する昭和九十五年には二・三人の働き手で高齢者一人を支えることになり、これは現在の二倍以上の負担になってまいります。  さらに二つ目は、現在の税制を続けておりますと、給与の中に占める源泉所得税、個人住民税の負担が、二十年もたつと現在の二倍から三倍にも達してしまいます。  三つ目には、高齢化社会は社会保障負担の増大をもたらしますので、給与の中で税金と社会保険料の負担が三割も占めるという事態になってまいります。  このような将来展望を踏まえて、真に働く意欲を持った人の意欲をそぐような税体系は今のうちに回避しておかなければ、将来に禍根を残すことになりかねないと心配しておるものであります。  次に、所得税負担の軽減合理化に関しては、昨年度の税制改正所得税軽減が行われましたが、給与所得者中心とする納税者になおまだまだ重税感不公平感が根強く残っておるのが実態ではなかろうかと思います。これを払拭するためにも今回の抜本的改革早期実現を切に期待しております。  所得税、個人住民税の税率については、累進度を緩和し、刻み数を簡素化することについて改正案は当面妥当と判断しております。  次に、負担の公平の確保をねらいとした税制改正案であるとのことでありますが、現在の税制についてのさまざまのゆがみや不合理を放置しないとしておりますが、本当にそうなのかと疑いの目をもって見られないように、広く国民にわかりやすく、まじめな議論を尽くしていただきたいと思うものであります。  有価証券譲渡益課税も医師の社会保険診療報酬課税の特例もそれぞれ妥当な内容と判断いたしますものの、やはり税金がふえる側の立場に立ってこれらの人々に対する十分な説明と資料を提供し続けるのが納税者に対する重要な義務だと考えるものであります。  次に、相続税、贈与税の改正案については、課税最低限現行の二倍に引き上げ税率構造では最高税率を七五%から七〇%に引き下げるなど、諸所に見直しの施策が講じられておりますので、おおむね妥当な案であると考えます。しかし、最高税率の七〇%はまだ引き下げの検討余地を残していると見るべきであると思います。国民が営々として蓄積した資産を子孫に残すところが少ないとする税制は、やはり資産形成意欲を低下させ、現経済体制を揺るがすことにもなりかねないからであります。  次に、税制改正案による減税規模は平年度で九兆円という膨大なものであり、この原資としても消費税制度の導入が必至となっております。また、シャウプ勧告に基づいて根幹がつくられ、既に四十年を経過しております現在の税体系が、経済社会変化によってさまざまなゆがみ、ひずみ、重圧感というものが出てきており、抜本的大改正の機に至っていることは周知のとおりであります。いわゆる総論賛成、各論反対に陥らないためにも十分に論議を重ね、積極果敢に実施に移すべきときにあると判断しております。今回の消費税導入が不公平の地ならしを行いながら、一方で間接税のあり方に鋭くメスを入れるものであることから、多少の混乱を生じるのはやむを得ないことと思います。負担アンバランスを生じている現在の物品税を見直し、税率を三%と低く設定したのも、広く浅くの税制確立の見地からの配慮と思いますが、将来、この税率引き上げには有効な歯どめが施されているのも妥当な措置であると存じております。  ここで大切なことは、行政当局に、こだわりのない謙虚な姿勢を強く望みたいと思います。それは、人間がつくる以上、当初から絶対完璧な制度は皆無と言ってよいと思います。したがって、実施後も納税者意見を柔軟に取り入れて、制度の改悪でなく、改善に年一年と継続して努力していただきたいものであります。  次に、法人税は過去、所得減税の財源に充てるために一貫して引き上げられてまいりましたが、ただ法人だから取れるだけ取ればよいという議論が成り立たないことは当然でございます。企業活動の盛衰が国民生活に及ぼす影響が極めて大であることは、戦後四十年余の経済の推移を見ても明らかであります。国際的に見て法人の税負担が重過ぎると企業の海外流出につながり、産業空洞化が広がり、雇用が減少し、国の経済力が衰えます。円高が進み広く海外に開かれた経済社会に移るほど、国内の企業を育て経済の活性化に役立つ税制が真に求められていると思うものであります。  法人税の基本税率現行の四二%から三七・五%に引き下げ、地方税を合わせた法人課税の実効税率を五〇%以下にするとされていますが、企業活動がますます国際化している現在、税制の国際的な調和が必要とされておると思います。我が国法人税の実効税率はアメリカの四〇%、イギリスの三五%に比して大きな隔たりがあります。こうした格差是正及び企業活動の活性化の観点からも、実効税率が五〇%をわずかながら下回る程度では不十分であり、実効税率を四五%程度としていただきたいと思うものであります。  一方、法人税減税の財源として、改正案においては配当軽課制度、受取配当益金不算入制度の見直しが図られておりますが、これら制度は二重課税を排除するための基本的仕組みとして不可欠であり、また、引当金制度は、費用の期間配分を適正化するためのもので、現行制度を維持すべきであると思います。国際的な視点に立って、企業の設備更新を図り、技術革新をさらに推し進めるためには、耐用年数を含む減価償却制度を見直すべきであり、区分の簡素化、償却可能限度額の一〇〇%引き上げを図るべきであると思うものであります。  最後に、税制改革に絡んで、税金の使い道という見方から、行財政改革の推進について一言触れさせていただきます。  日本の公務員数は、人口千人当たりの人数で主要先進国の中で最も少ない割合になっていると聞いております。簡素で効率的な行政をしくために、六十三年度に三千数百人の減少を図るなど、着実に減らしているとのことであります。しかし、単に人を減らすことがサービスの低下につながっては困ります。したがって、人数が減りましても行政サービスの質は低下しないという大前提をもって、さらに真剣に行政改革に取り組んでいただきたいのであります。小さい政府というか草の根行革をぜひお願いしたいと私は思います。  とにかく安心して、子孫に誇れる税制を今実現させるべきときに来ていると思う次第であります。どうか国会委員会の場できめ細かく思いやりのある論議を深め、進めていっていただきたいと念願するものでございます。  以上で、私のつたない意見陳述を終わります。 (拍手)
  135. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  次に、粟森喬君、お願いいたします。
  136. 粟森喬

    ○粟森喬君 私は、きょうといいますか今なぜ地方公聴会を開かなければならないのかということについて、強い疑問と反発を持って参加をしているという気持ちをまず冒頭申し上げます。  私どもの内部では、本日のこの公聴会に参加をすべきではないという意見もございました。ボイコットしろというふうに言われました。しかし、社会党からも推薦をいただきましたし、社会党の議員先生も出ておるわけでございますから、そのような気持ちをまず原点に置きながら、以下幾つかのことについて申し上げたいと思います。  私が今なぜ地方公聴会をこの段階で開くべきではないというふうに言うのかといいますと、今私は、国民の関心はリクルートコスモス問題に集中をしていると思うのであります。本問題の全容は解明されていません。政治家、官界に、六十数名に及ぶ人に非公開株が渡っていることだけは明確であります。検察庁も捜査中でございます。そして新たな事実としては、リクルートコスモス社の土地転がしなどに政治や行政がさまざまな形でかかわっている事実も断片的ではございますが出されております。このようなことに対して政治家や行政が今何をしなければならないかという、それぞれかかわっている人たちの哲学の問題だと私は思います。そのことが違法なのか合法なのか、時効が成立しているかということは司直が判断をすべきでありまして、このことに私は言及するつもりはございません。しかし、政治的、道義的責任も明確でございますし、今国会がやらなければならない責任は、リクルート問題の全容解明がまず先決であるということが私の気持ちの一つでございます。あれはあれ、これはこれと言われる発言については、何となくわかるようで、私どもはそのような発想にはついていけません。今回の公聴会開催の日程も強行採決という手だてで行われました。これまた、この公聴会が終われば、次への強行採決への手だてとしか私は思われません。  ぜひともお願いをしたいのは、リクルート問題に集中される今、政治に対する不信を取り除かなければ税制審議というものが本当の意味で真っ当なものとして、あるいは国民が選択をする一つの論理を組み立てることが果たして可能なのかどうかということについて、今、国会の中の皆さんあるいは行政の皆さんに対して私どもの考え方、私を取り巻く人たちの中でそんな意見があることについて耳を傾けていただきたいというふうに思います。  次に、その前提に立ちまして税制の問題について若干幾つかのことについて御意見を申し上げます。  税制への不満が高まっていることは、これはお互いが事実として確認しなければなりません。また、私どもはこの間、不公平税制是正所得税減税などを要求してきたことは事実であります。しかし、私どもはそれをある意味では逆手にとられているのではないかというふうに思います。税制への不満というのは、もう少しトータルに一歩突っ込んで考えたら、私はむしろ政治や行政への不信感というものとして考えながら税制改革というものを進めなければならないと思います。国民という立場で申し上げましたら、極端な言い方かもしれませんが、国民が政治や行政にかかわりを持てるのは選挙のときと納税のときしかないと言ってもいいほどの、これが現実でございます。税金が結果的に、納めるということを通じて行政と政治へのかかわりを持っているわけであります。したがって、そんな立場からの不満をどう解消するかということなしに税制論議というのはやはり難しいということを、いま一度皆さんにお考え願いたいというふうに私は思います。  私どもが税制改革に対するさまざまな情報や資料をいただくのは、主たるものとしては政府広報などがございます。マスコミを通じてのいろいろな広告もいただいております。しかし、私どもはある意味ではそこで情報が操作されている感が一方ではいたします。今回の税制改革は、今までの政府広報などあるいは新聞広告やコマーシャルなどを見ると、いいところばかりで悪いところはないように表現されています。こんなことを言ってなんでございますが、その広報でさえいろいろと汚職が絡んだような事態でございます。私たちは自動車を買うのではありませんから、もう少し広報というのは弱点と長所を明確にしながら、そこで選択を求めるべきではないかと思います。私は余りにもこの間の広報の出し方については一方的ではないかというような気がします。今まで消費税という制度が日本の国内に導入されなかったのはそれぞれの理由と原因があったというふうに私は思います。したがって、そういう意味で私どもは広報の中身などについてもいろいろ意見があるということを申し上げます。  減税のために消費税導入が必要だというふうに言います。しかし、私は減税のためだけなのかどうかということについてかなり強い疑問を持っています。百六十兆円に上る国債の発行でございます。建設国債と赤字国債がありますから、すべてを借金と見るかどうかはいろいろ評価の分かれるところでございますが、この国債発行を解消するという手だての中には増税的な要素がなかったら借金は返せないわけであります。それは何とかなる、とにかく消費税導入することは減税のためにするんだという論理だけで、果たして本当のことを言っているのかどうかということについて私どもは納得しておりません。やはり消費税導入というのは増税ありきという前提だという私たちの不信感を解消していただくためにも、この辺はより国会論議の中で明確にしていただきたいと思います。七つの懸念などもその部分だと思いますが、解明されたとは思っておりません。そういう意味で申し上げておきます。  高齢化社会に備えてこの税制は必要だというのが政府広報などに随所に出てまいります。しかし、その論理の中にまだまだ考えなければならない問題もあるし、果たしてそれだけで消費税導入につながるのかといいますと、私どもは決してそういうふうには思っていません。税制論議するに当たって、税制という歳入だけではなく、支出のところももう少しメスを入れるべきだと思います。  中曽根内閣時代に、行政改革断行というふうに言われました。結果的に三公社の解体といいますか、評価はいろいろございますので、あえてその評価について言うつもりはございません。あるいは、役人の数を減らすなどのことについてもやりました。福祉も切り捨てられたと思っています。それは、それぞれの予算の伸長率を前年度と比較すれば明確でございます。しかし、これらは結果的に、例えば福祉の切り捨てなどは弱い者いじめだけであって、本来メスを入れるべきところに本当にメスが入れられたのかというと、私どもは必ずしもそうも思っていません。それはさまざまな補助金でございます。補助金の問題について言うならば、ほとんどが手つかずと言っても過言ではないというのが私どもの見方でございます。ぜひともこの辺のところについて明確にしていかないと、何となく税のところの税制の仕組みだけが問題であって歳出のところは問題がないということでは、政治に対する不信感というものはなくならないと思います。  法人税の問題についてもいろいろ言われましたが、私は、法人税の問題と例えば通産関係のさまざまな補助金とのバランスも考えていかないと、法人税が高過ぎると言うだけではすべてを律し切れないというふうに思います。日本が外国へさまざまな格好で進出していることは、税金を安くすればとまるという性格とはやや違うのではないかと思います。日本がここまでなってきたのは、企業の努力でありあるいはそれを支えてきた勤労者でありますが、法人税を安くするために消費税を入れなければならないという論理については、必ずしも私どもは納得していません。  次に、消費税の問題について若干申し上げます。  消費税導入については私は絶対反対でございます。これほど勤労者といいますか消費者がその税負担をしなければならないことが明確になった税制は納得できるものではありません。売上税のときより以上に消費転嫁といいますか消費負担の原則は国会論議の中でも明確になっています。三%の中から幾つか、教育、福祉、医療というところで消費にかかわる問題としては取り除かれることになっていますが、それはすべてではなく、例えば教育で申し上げると、子供を大学へやるときの授業料の問題より、その間の生活費を含めて大変な負担がかかるわけであります。ここを減税すればいいというやり方。あるいは大蔵省の試算などを見ると、三百万以上ではサラリーマンはお得ですよみたいな話が部分的に見られますが、かなり実感とは遠いものになっているような感でございます。私たちなりの試算もございますが、余りにもこれに差があるということは果たしてどういうことなのかという意味で、私どもは、消費者にそのような格好で負担をさせること、そしてお年寄りや年金受給者にもとにかく消費という行動をしたら必ずそこに税金がついて回るということ、そのような制度の入れ方については、過去の累進税率や応能負担ということから見て、全体に画一的にかかるこのような税制あり方については、より慎重で、よりいろいろなやり方があるのではないかというふうに思います。  試算の中では、貯金の部分などについて税金がかからないというふうに書いていますが、貯金は将来消費するために貯金しているのでありまして、預金が例えば何百万かたまったらうちを建てるときにその部分が消費に使われたらその部分の消費税というのは当然かかるわけでございますから、試算の仕方、方法などについても、先ほどの意見も含めましてやや納得できないところはそんなところにあるのだということであります。  次に、三%で歯どめがされていることも承知をしています。法律的に行政が一方的にやれないという制度にしたということも承知しています。しかし、私どもの側から見ると、三%の税金を新たな税制として実施をした場合にかかるコストと一〇%の税制の場合もコストは一緒なのであります し、特に三%では問題があるというふうに大蔵省がこの原案を作成する段階で自民党などに働きかけた経過などを見たときに、この歯どめがここでとまるなどということがだれも保証できないというのがこれまた事実ではないかと思います。したがって、三%だからいいという論理は成り立ちません。消費税そのもののあり方についてはより時間をかけてやらなければならないと思います。  直間比率の問題が指摘の非常に重要なところになっているように思います。現実の間接税、物品税の中にはかなりの矛盾があることは承知をします。しかし、このような矛盾が出てきたのは、この間に当然現行税制、法制の中でもやれることを放置して、結果としてその矛盾がうんと高まることの中でこの際税制改革だというエネルギーに結びつけようとしたことも、私は私たちなりに判断するとそういう部分があるような気がいたします。パソコンなどが無税であってほかのものがあるというのは、そのときどきの社会や経済状況変化をした物品税あり方をやってこなかったからで、税制改革消費税導入するということに結びつけてやっていたやり方にも問題があったのではないでしょうか。  このようなやり方は、勤労者の立場から見ると、先ほどから申し上げているように幾つかの問題点があります。とりわけ現行で言うと、例えば税金の問題を申し上げますと、税収の見込みが六兆円も見込み違いをしていたというのは、会社ならもうかったからいい話でございますが、六兆円余計税金を払う側にとったらたまった話ではございません。歳出と歳入という原理原則から見たって、見通しにそれほど変化があるところで試算をした試算について、いま一つ私どもなりに考えたときに、この種のことについてもう一度論議するに当たって深めていただきたいところの一つだと思います。  勤労者の賃上げ率より高い税率、このことが私たちが税制問題で最も指摘をしている一つのことでございます。累進税率の中で、過去逐年ごとに減税といいますか、減税というよりむしろ税率を賃上げ率に連動させるという方法でやってきたわけですが、そのことを放置して、このような矛盾を拡大するようなやり方の中で税制改革をするということはやはり問題があるのではないかと思います。つまり税金というのは、国民が平等感を持って税を負担するのにはどうすればいいかということについて時間をかけてやる必要があるし、歳出をどうするかということについてもう少し論議をしていかないと、歳入の税金の部分だけではやはり問題が残るのではないかと思います。  最後にもう一度申し上げますが、私は民主主義というのは多数決だけではないと思います。自民党が多数だからということでこの問題を考えていただいたら大変問題があるのではないかと思います。  税制に対する不満が国民の中で、総理府の統計調査を初めさまざまなところでかなり高い水準であることは皆さんも御承知のはずです。消費税の問題についても、これは調査の方法ややり方についてもいろいろございますので見方がいろいろあると思いますが、ほぼ過半数を超える人たちの中で消費税導入について反対意見があることもこれまた事実であります。やはり弱い者やお年寄りに対する配慮をしたり時間をかけて、例えば一つの試算があるとすれば、その試算が本当に成り立つのかどうかということをちゃんとやることが税制改革ではないかと思います。  民主主義というのは、先ほども申し上げたように、字引に書いてあるように民(たみ)が主(あるじ)という意味であります。政党主導ではないと思います。やはり皆さんの中でこのことを論議をしていただくことが大切だと思いますので、以上申し上げまして私の意見にかえさせていただきます。(拍手)
  137. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  次に、吉田豊彦君、お願いいたします。
  138. 吉田豊彦

    ○吉田豊彦君 今回の税制改革に関して私の意見を陳述させていただきたいと思います。  時代の流れは大きく変化いたしております。日本経済がまだ食うや食わずの非常に貧困のときに、昭和二十五年に制定されたシャウプ勧告以来大きく改革されていない現行税制では、大きく変化するまた国際化する社会経済体制に対応できずに、あらゆるひずみがあちこちに出ておる次第でございます。こういうときに税制改革が求められておるわけでございますが、今国会に提出された税制改革関連法案について、私は心から賛意を表するものでございます。  今回の税制改革については、主なものとして五つ挙げられております。一つは所得税、個人住民税の負担軽減、二つは国際的視野に立った法人税制の確立、第三点は望ましい間接税制度の確立、第四点は負担の公平の確保、第五点は相続税の軽減合理化、この五点でございます。  このような五つの問題につきまして、私は特に間接税の問題、そして所得税、個人住民税の負担軽減の問題、そして国際的視点に立った法人税制の確立につきまして私の意見を述べたいと思います。  まず、間接税制度の改革についてであります。現行の間接税は特定の物品やサービス課税する個別間接税制度をとっておりますが、現行個別間接税制度にはさまざまな不公平やアンバランスが生じております。  第一に、個別に課税されるものとそれ以外のものとの間のアンバランスがあります。例えば、いわゆる高級衣類でも、毛皮には課税されるのに絹織物には課税されません。ゴルフは今や大衆のスポーツとなっているのに、ゴルフ用品には課税され、テニス用品やスキー用品には税金がかかりません。テレビや掃除機は課税されているのに、家庭用のパソコンや電気パン製造機といった最新の電気製品には課税が行われておりません。このほかにも、コーヒーは課税、紅茶は非課税、ケヤキの家具は課税、桐の家具は非課税などアンバランスの例は枚挙にいとまがありません。  第二に、物品税は主としてぜいたく品、奢侈品に課税することとしておりますが、価値観が多様化し、消費態様の変化が激しい今日、何がぜいたく品、奢侈品かを客観的に判断することは困難になっているという点が挙げられます。また、新しく開発された物品に対して課税が追いつかないという問題もあります。このように考えていきますと、個々の物品を個別に課税していく現行物品税のような課税方式は、時代の流れにそぐわなくなっていると思われます。  第三に、現行の間接税は物中心で、サービスに対する課税がほとんど行われていないという点であります。産業経済サービス化が進み、消費支出に占めるサービス支出の割合も五〇%を超えると言われているにもかかわらず、サービス課税は、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税のほか、わずかしかありません。その結果、物とサービスの間で課税アンバランスを生じております。  このようにさまざまなゆがみ、ひずみを生じている現行の間接税制度を抜本的に改め、物品税などの個別間接税を廃止、合理化し、消費一般に広く薄く課税する消費税を創設することは、我が国税制を時代に即した公平なものとするためぜひとも必要であると考えられます。  所得税や法人税減税については後ほど若干の所感を述べさせていただきますが、所得税、法人税などの大幅な減税と間接税の抜本改革をあわせ盛り込んだ税制改革の実現は、二十一世紀へ向けて豊かな社会の創造を目指す我々国民にとって緊急の課題であります。  その関連で私どもが大変評価しておりますのは、料理飲食等消費税の廃止、特別地方消費税の創設でございます。宿泊、外食等に課税されている料飲税については、戦争中のぜいたくは敵だという思想のもとにつくられた遊興飲食税に端を発したものであり、レジャーが大衆のものとなってきており、国を挙げて余暇の充実を図ろうとしている現在、時代おくれのものになっているので、消費税導入に当たってはこれを廃止していただきたいと要望してまいりました。これは業界のために申し上げてきたのではございません。御利用いただいているお客様のために申し上げてきたのでございます。  今回、料飲税は地方の固有の税源として重要であるからということで特別地方消費税に改組され、形式的には存続されたわけで、その面では私ども併課反対ということで反対してまいったわけでございますが、そういうことで、非常に残念でございます。その税率は一〇%から三%へ引き下げられ、また免税点引き上げられるなど、消費税導入されましても合わせたお客様の御負担はかなり軽減されることになり、評価いたしております。また、税目の名が変更されることで料飲税の持っていた古いイメージがなくなることや、特別地方消費税納税事務が簡素化されることも喜ばしく存じております。  しかし、その結果、私ども観光県である石川県においては、料飲税の税収見込みが約百億円あるわけでございますが、この地方特別税によりまして約七十億円も減収されまして、地方特別税の収入は三十億というふうに見込まれておるわけでございます。これは私ども石川県民にとりまして非常に残念といいますか非常に困ることでございまして、財政調整額で十分補てんをお願いいたしたい。特に石川県におきましては、県民一人の料理飲食税は日本一の金額を納めておるわけでございます。そういう点御配慮を十分賜りたい、さように思う次第でございます。  次に、直接税の改革に関して、私たちと特に関連の深い幾つかの事柄について意見を申し述べたいと思います。  最近、所得減税がほとんど行われてこなかったことから、私たちが汗水垂らして得たスズメの涙ほどの収入の中から納めなければならない所得税や住民税が重くのしかかってきております。こうした重税感が強いからこそ、サラリーマン中心税制そのものに対してあるいは税務行政に対して不公平感や不満感を抱くのだと思われます。これは私どもの旅館を御利用くださっているお客様の間からもよく耳にする話でございます。  現行所得税については、昨年九月の税制改正減税が行われ、負担感、重税感はやや緩和されたものの、依然としてその税率構造はかなり累進度のきついものとなっております。この結果、現在サラリーマン中小企業経営者の中でも、特にお子様の高校や大学に通学するための費用がかかる、あるいはやっと手に入れたマイホームのローン返済にあえいでいる働き盛りの中年の方々、つまりこのような方々は発展ある我が国社会を双肩にがっちりと担っている中堅層に該当すると思われますが、このような方々の間で、収入がふえても手取りが余りふえず、所得税の負担感が強くなっているというのが現状であります。このような状態を放置すれば、幾ら働きバチと言われるような我が国労働者でもやがては働く気力を失い、社会全体を活力のないものに導くことになってしまうでありましょう。このような問題に対処するため、私はこの際相当思い切った所得税減税がぜひ必要であると考えております。この意味で、現在政府が提案している所得税減税はまことに時宜にかなったものであると考えております。  次は、法人税減税についてであります。  皆様御承知のとおり、我が国法人税は、地方税を含めると所得の五割を超える負担となっています。この水準は、主要先進国であるアメリカ、イギリス、フランスと比べてもかなり高いものであります。このように汗水垂らして働いて得たもうけの半分以上が税金で持っていかれるというふうな税制では、経営者は合理化努力をしてあるいは設備投資をして事業を拡大していこうという意欲が半減しようというものであります。また、いろいろと経費の節減等々を図っておりましてもほとんど税金で取られるということになりますと、これは問題でございます。また、現在のように国際化した社会では、我が国企業が国際競争をしていく上でも大変不利な立場に立たされているということが言えましょう。私ども観光業者におきましても、これからこの石川県の観光地とハワイ、香港、オーストラリア、韓国、台湾等々と競争していかなくてはいけない立場にあるわけでございます。  この負担水準の格差は、我が国では昭和四十年代半ば以降、国の台所事情がよくないということでたびたび法人税率が引き上げられてきた一方で、主要先進国では逆に民間経済の活性化に重点を置いて相次いで法人税率の引き下げが行われたことによるものであります。我が国においてこのような高い負担がこれからもずっと続くということでありますと、我が国経済にとって取り返しのつかない結果を招く心配があります。また、経済国際化の進んだ現在では、企業は確実に税金の安い海外に逃避してしまうと思います。  今回政府から提案されている税制改革関連法案では、私がただいま申し上げたような経済に与える悪影響を考慮し、法人税率の段階的引き下げが盛り込まれております。これは昭和四十年代半ばからずっと増税の歴史であった我が国法人税のことを考えると画期的なことであります。しかしながら、我が国法人税は今回の引き下げ後においても企業家にとってはまだ重い負担となっております。民間の活力を呼び起こし、我が国経済の安定成長を実現していくためには、さらに一層の法人税率の引き下げが必要であると考えております。  以上、今回の改革案についての所感を述べてまいりましたが、税は国家の礎であり、この礎が不安定であれば国家の活力は減退し、国家の存立そのものが揺るぎかねません。しかしながら、よき法律も運営が問題であります。一方においては政府はさらに行政改革を推し進め、むだな経費を節減し、今後さらに税率を下げる努力をしていただき、民間の活力を引き続き引き出すように努力をお願いしたいと思います。こうした意味で、今回の改革は新しい経済社会に適合した安定した税制の構築を目指すものであり、私は基本的にこれに賛成立場をとるものであります。  税制についての国民の関心は極めて強いものとなっております。改革案について国会でさらに審議が進められ、一日も早く我が国にとっての望ましい税制が構築されることを切に願う次第でございます。  以上、終わります。(拍手)
  139. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  次に、高口稔君、お願いいたします。
  140. 高口稔

    ○高口稔君 会計士の高口でございます。今回の税制改革につきまして率直な意見を述べさせていただきます。  税制改革は、財政需要とその財源確保という形式の中でどのような税体系の中に財源を求め、だれにどのような形で負担をしてもらうかということであろうかと思うわけであります。そのためには、財政需要について中長期的観点のもと、負担と給付の関係をどう展望し、それに国の財政がどうかかわっていくか明確にしなければなりませんが、その点明確さがないように思われる次第であります。したがいまして、税制改革の基本である財政需要の策定が急務ではないかと考えます。財政需要が出れば、その財源確保のため税体系をいかに構築するかを考えなければなりませんが、負担の中には応能負担と応益負担があり、前者は担税力のある人が多く負担し、後者は利益を受けた者が受益に応じて負担するというもので、前者は直接税体系に、後者は間接税体系におおむねつながっていくものと考えます。  直接税体系がよいか間接税休系がよいかは物の考え方によって異なりますが、税制の使命の中には財源の確保のほか所得の再配分機能もあり、担税力といった点からしましても、所得資産課税する直接税体系が基本であり、間接税は補完的役割が相当ではないかと考えております。幸い、我が国の教育水準が高いところから、直接税導入には問題はないと思っております。  直接税体系がすぐれているからといって、すべて直接税体系だけというわけにはまいりません。直接税体系にはすぐれた長所がある反面、所得資産の捕捉漏れからくる課税の不公平や、所得資産のない人はどれだけ国等から恩恵を受けてい てもただという感覚では、別の意味不公平感が募ることと思います。その意味からも、直接税体系で充足できない面は間接税体系を取り入れた税体系とすべきでありますが、直間比率がどうでなければならないかは国民感情に合ったところで選択すればよろしいことで、他国との比較から出てくるものではないと思っております。  以上のような観点に立脚いたしまして税制改革を考えますれば、消費税導入については、昨年の売上税から比較いたしますると、確かにいろいろ手直しされ苦労の跡が見受けられるところでございます。  しかし、次のような問題が懸念されます。  その一つとして、消費税転嫁が難しい、取引は力関係によって決まるということからしまして税の転嫁が非常に難しい、こういった点でございます。  それから第二点といたしまして、免税点、簡易課税、限界控除制度等の採用により物価体系が一物一価、二価、三価と複数価になり経済が混乱されるのではないか。また、そうでないとするならば、価格が一本になるとするならば、便乗値上げあるいは逆に泣く方、逆に負担を強要されるということが出てきはしないかということでございます。  それから第三点といたしましては、これは間接税の持つ必然的な性格なんですが、少なからず逆進性を持つため、所得の低い人に負担がきつくなるということでございます。  確かに、消費税消費課税するため、所得課税方式と異なり景気に中立で安定した財源の確保になりますが、このように幾つか懸念材料が考えられる中で、要はこれ以外に財源の確保が考えられないかどうかということであります。したがいまして、二十一世紀に向け確実に高齢化社会に移行するに当たり、ビジョンの策定、年金、医療体制等のあり方を含む高齢化社会の支え方について検討し、高齢化社会にふさわしい長期税制をどう確立するか。国民の租税に対する不公平感を払拭するために不公平税制是正の徹底を行い、次に、その後の国民税負担状況を勘案しながら長期的な展望のもと国民合意が形成されるよう、もっと多くの資料と十分な論議が尽くされてからでも遅くはないのではないかと私は思っております。  このほか、いろいろ今回の改正等に賛成反対の面がございますが、私としましては、原則的には総合課税への移行を図っていただきたい。利子、配当、有価証券譲渡所得、いわゆるキャピタルゲイン土地の譲渡所得等、分離課税から総合課税への移行をお願いしたいところであります。  それから、資産土地等の保有に対する課税の適正化であります。土地の供給を促進する意味からも、保有形態によっては課税強化を図り、一方、居住用住宅等に対する相続、固定資産税等の軽減をお願いしたいところであります。  さらに、所得法人税率の引き下げ等を含む軽減でございます。余り累進性が高いと、勤労意欲、事業意欲、租税回避と連なりますので、相当程度、私としましては国税、地方税を合わせまして五〇%以下になるよう引き下げを図っていただきたい。この以下というのは、いろいろあると思いますが、天井は五〇%という意味でございます。  それから、執行面の公平を図るため、プライバシーの面に配慮しながら捕捉を高めるための納税者番号制の導入をお願いしたいところであります。  さらに今回、消費税がもし導入になるといたしました場合に、先ほどの懸念されることに対する具体的な配慮のほか、税率が何らかの形で将来とも歯どめができるような措置、並びに実施時期が来年の四月一日ということになっておりますが、私としましては、準備期間その他もございますので、一年程度ぐらいの先送りはお願いしたいと感ずるところであります。  以上、またいろいろな意見もありますが、時間の制約もございますので、簡単でありまするけれども私の意見の陳述といたします。(拍手)
  141. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  次に、矢田剛君、お願いいたします。
  142. 矢田剛

    ○矢田剛君 津幡町長の矢田でございます。  税制問題等に関する調査特別委員会の諸先生方には、地方行政につきまして日ごろから格別の御理解と御高配を賜り、衷心より感謝申し上げる次第でございます。  本日は、せっかく公述の機会をお与えいただきましたので、私から忌憚のない意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  なお、御承知のとおり、今回の税制改革につきましては、地方団体間におきましても種々の意見や主張がございますが、全国町村会といたしましてこれらについてすべて集約しておるわけではございませんので、以下私が申し述べますことは、全国町村会の意見としてではなくて、私個人の意見としてお聞き取りをいただきたいと存じます。  御案内のとおり、我が国の社会経済は、産業・就業構造の変化所得水準の上昇・平準化、人口の高齢化、消費の多様化、さらには経済活動の国際化など急激に変化いたしております。しかしながら、現行税制は、負担が給与所得等の直接税に偏るなどさまざまなひずみが生じ、また各種の税制上の不公平も指摘されております。  このため政府は、このような国民税負担に対する不公平感を払拭するとともに、いわゆる直間比率を見直し、所得消費資産等の間で均衡のとれた望ましい税体制を整備するため、所得税負担の軽減合理化並びに消費税消費譲与税の創設などを内容とした、いわゆる税制改革関連六法案を今国会に提案されたものと存じております。したがいまして、公平、中立、簡素という租税原則に照らして現行税制における所得税等の直接税偏重を見直し、所得消費資産等の間で均衡のとれた望ましい税体制を整備するための今回の税制改革につきましては、基本的には賛成いたすものであります。  さて私どもは、今回の税制改革に関連して地方税財源の確保の見地から、改革案に伴う地方財政全体の大幅な減収について適切な措置が行われるよう強く要望申し上げてきたところであります。とりわけ、地方団体の貴重な自主財源であります市町村税としての電気税、ガス税等の廃止、道府県税としての料理飲食等消費税、娯楽施設利用税の改正が行われる予定でありますが、これらにかわるものとして消費譲与税を創設し、既存の地方間接税の減収に対する補てん措置を講じることとされたところでありますが、これらはいずれも今回の税制改革の一環としてやむを得ないものと認識をいたしております。  このように既存の地方間接税の廃止または改正に伴う減収額約一兆一千億円につきましては、消費譲与税で完全に補てんすることとされております。さらに、所得税、法人税等の国税の減税に伴います地方交付税減収額約九千億円につきましても、消費譲与税部分を除く消費税地方交付税対象税目とし、その二四%を地方交付税とすることで完全な補てん措置が講ぜられることとされております。  なお、個人住民税等の地方税の減税約九千億円のうち相当部分は自然増収によって賄うこととされましたが、これにつきましては、国民ニーズに対応して住民負担の軽減合理化を図るという、いわば自前の減税ということとして受けとめるものと理解をいたしております。  今回の消費税の創設に伴う収入額のうち地方への配分割合は、前回の売上税案の際の三一・四%から三九・二%に拡大しており、また今回の税制改革全体の減収に対する補てん措置率も、国の六七%に対し地方が七三%と地方への配慮がなされたものと認識をいたしております。  なお、個々の地方団体への譲与なり交付を通じまして激変緩和措置等が講ぜられると伺っておりますが、個々の地方団体の今後の行財政運営に支障を生ずることのないよう、引き続き地方税財政の確保につきまして万全の措置を講じていただきますよう改めて強くお願いを申し上げる次第であります。  次に、せっかくの機会でありますので、私ども地方団体が現在当面しております最重要課題について、この際、一言申し述べさせていただき、諸先生方の御理解を賜りたいと存じます。  まず第一点は、国庫補助負担率の復元に関する問題でございます。  御案内のとおり、国は、財政難を理由として昭和六十年度から数々にわたり国庫補助負担事業に係る補助負担率の引き下げを行い、これによる地方財政への影響額はこの四年間で約五兆円もの多額に上っておるところであります。この措置は、法律に基づき本年度限りの暫定措置として実施されてきたものであります。しかも、その後の国の財政状況は、最近の経済情勢を反映いたしまして巨額の自然増収を生じており、当時とはその事情が一変してきております。したがいまして、明年度以降は、当然のことながらその引き下げが行われた以前の昭和五十九年度の水準に復元すべきものと考えております。  この問題につきましては、政府としては、昭和六十四年度の国の予算編成の過程でその取り扱いを検討することとしているようでありますが、国庫補助負担率を復元し、国と地方との財政秩序を回復し、その信頼関係を確立するため、国の当然の責務であると存じておりますので、予算編成に当たり、諸先生方の御理解、御高配を賜りますようお願いを申し上げます。  次に、今後本格的な高齢化社会の到来に対応いたしまして、私ども地方団体におきましても、来るべき二十一世紀に向けて多極分散型国土の形成と活力ある地域社会の創造に全力を挙げて取り組んでおるところであります。しかしながら、その裏づけとなります地方財政状況を見ますと、交付税特別会計の借入金を含め、およそ六十七兆円にも上る巨額の借入金残高を抱え、地方財政の硬直化を一層深めているところであり、個々の地方団体におきましても、公債費負担比率の上昇等依然として極めて厳しい状況にあります。したがいまして、今後、地域の均衡ある発展と地方団体がそれぞれの地域の特性を生かした住みよい地域づくりができますよう、引き続き地方分権の推進と行財政基盤の充実強化を図っていただきますことを強くお願い申し上げます。  最後に、過疎地域の振興対策でありますが、御案内のとおり、過疎地域振興特別措置法は昭和六十五年三月末を期限といたしまして失効いたしますが、過疎市町村は、今もなお若年層の流出に伴う高齢化の進行による地域活力の減退を初め、道路等交通条件の整備、生活環境の改善、産業の振興等ほとんどの団体において今もなお解決すべき多くの課題を抱えており、今後とも強力な施策の継続を必要といたしますので、引き続き新たな法律に基づく振興策を続けていただきますことをこの機会をおかりしまして強くお願い申し上げる次第でございます。  大変貴重な時間をいただきましてありがとうございました。(拍手)
  143. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  次に、宮西実君、お願いいたします。
  144. 宮西実

    ○宮西実君 私は、石川県で労働運動を進めております石川労働同盟会長の宮西でございます。  今回の税制改革法案の細かい内容につきましては、これを論ずるほどの税制についての専門的な知識を持っておるわけでもございません。しかし、私なりに考えを申し上げまして意見とさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  私が申し上げるまでもなく、政治は国民のためにあるわけでありますから、何といっても公平でなくてはならないと思うのであります。そしてまた、正直者がばかを見ない政治でなくてはならないことは、これまた言うまでもございません。特に、弱い立場に立つ人たちに光を与えることこそ政治の使命であると私は思うのであります。  しかし、今日、政治はどちらかといえば強い者には追い風であり、弱い者には逆風の現状にあろうかと言ってもよいと思うわけであります。それは、ただいま論議をいたしております税の問題一つ取り上げてみても明白でございます。クロヨンやトーゴーサンに代表されますように、勤労サラリーマンの税金は、医師や中小企業者あるいは政治家、宗教団体などとの比較におきましては問題外に高いわけでございます。また、株や土地でもうけた人に対する課税が不十分なるがために、持つ者と持たざる者との格差が広がる一方でもございます。この不公平を放置すれば、自由で公平な社会は崩れてしまうと思うわけであります。  さて、今日国民が切実に望んでおります最大の政治課題は、かつては物価の安定が第一位であったと思うのでありますが、近年では税制改革がトップを占めておるわけであります。これは、私どもの組合員に対するアンケートやあるいは意識調査等々でも圧倒的に減税不公平税制是正を望む声が多いのでございます。さきに行われました総理府の世論調査やあるいは経済企画庁の意識調査でも、国民の八〇%以上が税金の不公平を訴えておるところでありますし、また、九七%にも及ぶ人たちが税制改革を望んでおるということでございます。このことは、もはや国民税制に対する不満が最高潮に達していることを証明していると言ってもいいと思うのであります。この際、不公平税制是正について与野党のすべての力を挙げて国民の期待にこたえてもらいたいと私は思うのであります。  私は、今回の税制改革に当たってまず第一の課題は、所得税の減税、そしてまた不公平税制といった直接税におけるゆがみやひずみの是正を行うことにあると思います。また、第二には相続税のこれまた改革であり、第三は法人税減税、そしてまた第四には間接税の改革であるというふうに思うのでございます。  したがって、この改革を進めるに当たりましては、まず第一段階として、所得税、住民税、法人税あるいは相続税などの大幅な減税を行うとともに、国民各層から不公平税制と言われておるものにつきましては徹底的にこれにメスを入れ、改革を進めることだと思うのでございます。そして、これらの改革がなされた後、第二段階として現行の個別物品税改革を進めるべきだと私は思うわけであります。その改革の前提といたしましては、一つには行政改革五カ年計画、二つには新たな財政再建計画、三つには高齢化社会福祉ビジョン国民の前に提示をすべきだと思うわけであります。  しかし、政府税制改革はこの手順を無視しておりまして、減税案とセットで消費税導入しようとしているのでございます。確かに、今回提案をされております政府減税案には、我々が待望しておりました所得減税が盛り込まれていることなど、一定の評価はできるのでございますが、それと引きかえに、いまだ国民のコンセンサスを得ていない消費税導入を同時に提案していることは、どうしても私は賛成をすることはできないのでございます。また、国民が最も注目をしております不公平税制是正につきましても、内容的に極めて不満足なものであるわけでありまして、これでは税に対する国民の信頼を取り戻すことはできないと思うわけであります。  私たちが従来からも主張をいたしておるところでございますが、税制の抜本改革を進めるためには、行政改革によって税のむだを排除し、これまた是正をすることが大前提であるという考えでおるわけでございます。しかし行革は、竹下総理も認めておられますように、いまだ道半ばでございます。これからが本番でありますから、政府は臨調あるいはまた行革審の提言を実行に移すだけでなく、新たな決意に立って行革五カ年計画を速やかに策定し、その実現に取り組んでもらいたいと思うわけであります。  また政府は、今回の税制改革を行う理由に、高齢化社会への対応を挙げておられますが、それでは一体高齢化社会はどういう社会になるのかという、国民理解をできる具体的ビジョンを明らかにしておらない。そしてまた、年金の水準はどうなるのか、また医療費はどの程度になるのか、公的福祉はどうなるのかといったような点についても明示することなしに税制改革論議するのでは、高齢化社会対応することにはならないのではないかと思うわけでございます。そういった中で、既に民社党の要請に応じて一定の資料が出ておるわけでございます。この点は評価をいたしたいと思いますが、全体を通じてまだ不十分と言わざるを得ないと思うわけでございます。  さらに消費税そのものについては、相対的に見て低所得者に負担がかかるといういわゆる逆進性の問題がございます。三%というこの税率が今後高まるかもしれないという問題や、価格への転嫁が本当にこれまたできるのかという問題などがあると思うのでございます。したがいまして、拙速を避けて、十分時間をかけて国民理解を得ながら進めていただきたいものだと私は思うわけでございます。  さらにまた、今回の税制改革案全体について言えますことですが、地方自治あり方、そしてまた地方財源あり方などについての視点が欠けているのではないか、このようにも思うわけでございます。そして、依然として東京一極集中が進む中にあって地方の落ち込みが激しい。今回の改正案では、これまた税の面でも中央集権化が進むのではないかという心配があるわけでございます。  いずれにいたしましても、国民の大多数が不公平な税制を直してほしい、こう言っているのでありますから、政府もこの国民の素朴な声に耳を傾けるべきだと私は思うのでございます。もしどうしても今回の税制改革消費税導入しようとするのであれば、その信を国民に問うべきが本当の民主政治ではないかと私は思います。  今日、リクルート問題が日増しにエスカレートしております中で、国民の政治不信は募るばかりでございます。このように政治不信の高まる中で、国民の期待に反して消費税導入を強行するとするならば、国民の税に対する不信とあわせて、政治に対する信頼を今後長きにわたって取り戻すことができないという、日本の民主政治にとっても決定的なこれまた禍根を残すことになると私は思います。  ここで、前後いたしましたが、法人税について一言申し上げます。  先ほどもいろいろと出ておりますように、日本の法人税は諸外国に比べますと非常に重いと言われておるところでございます。国際化の中で企業の海外流出、こういったことを防ぐためにも減税は当然だと私は思うのでございます。既にアメリカにおきまして法人税が思い切って減税をされたと聞いております。これにかわりまして、企業に対する優遇の措置はこれまたほとんどなくしたとも言われておるようであります。こういったことも私は適切な措置ではないかなと思う一人でございます。  さて次に、今日の税に対する国民一般の認識についてでございます。  国民は納税の義務を持っているのでありますから、本来ならば税金を納めるという表現が適当かと思うのであります。しかし、私どもの周囲、そしてまた現実はそうではなくて、ほとんどが税金を取られているという印象と感覚ではないかと思うのでございます。これは税に対する不満、そしてまた認識の不足、こういったものからしてこういう言い方になってきておるのではないだろうかと思うのであります。したがいまして、この際、税金に対する認識を高めるためにも、学校教育を初め社会教育等々含めて、その意識の向上のために対策を図るべきではないだろうかと思います。同時にまた大切なことは、前段申し上げておりますように、国民理解と納得のいく税制にすることこそ何よりも大切であることは論をまたないところでございます。  さて、最後に申し上げたいことは、現在この法案審議をされておるわけでございますが、法案審議と並行して、これらが実施に移された場合の執行現場の体制についてでございます。  すなわち、執行面でどのように変化が出てくるのか、どういった影響が出てくるのかというような点についても十分議論を尽くす必要があるのではないかと思うのであります。なぜならば、幾ら立派な法案ができましても、運用が的確に進められなければ、これまた意味がないわけでございます。言いかえれば、制度と執行の両面がうまくかみ合って、かつ制度が真に国民に受け入れられるものでなくてはならないわけでございます。そういった考えに基づいてこれからの国会の議論が展開をされることを強く私は望みたいと思うのでございます。  言うまでもないことでありますが、現在、執行現場で働く人たちは限られた人員で年々増加する業務量の消化に大変御苦労をされているのを見ますと、ぜひこの点についても十分意を尽くして国会審議が進められることを重ねてお願いを申し上げまして、以上、私の意見とさせていただきたいと思います。(拍手)
  145. 藤波孝生

    藤波座長 ありがとうございました。  以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  146. 藤波孝生

    藤波座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  147. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 本日は、地方公聴会におきまして貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。  皆様の御意見をそれぞれお伺いをいたしまして感じましたことは、消費税そのものに対しましては賛否はいろいろございます。しかしながら、現行税制に対しましての認識は、やはりいずれも不満である、こういう点については一致したかのように受けとめております。したがいまして、それぞれの方に御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  現行税制に対して不満とするというところはどこが一番多いかといいますと、まず何と申しましても給与所得者重税感、これが第一の理由というふうに受けとめたわけでございます。そこで、いろいろ数字を見てまいりますと、現在の状況のままで将来推移をしていくということになってまいりますと、例えば赤字公債が百五十八兆円に達しておるという問題をどうするか。あるいは高齢化社会ということを言われておりますが、一九九五年におきましては、高齢化社会というのは六十五歳以上の方が全人口の七%、しかし高齢社会というのは一四%に達した段階、そうなってまいりますと、給付よりも負担をどうするかという問題になってまいるわけですね。現行税制改正しないでこのまままいりますと、やはり直接税の負担が相当多くなってくる。当然それは所得税を上げるかあるいは法人税を上げるか、こういうことになってくるわけですね。そこで、消費税のねらいとするところは、国民に広く薄く全体として負担をお願いしよう、こういうことに相なるわけでございます。  ただ問題は、所得の格差におきまして、消費税導入した場合におきましては逆進性の問題がある。所得が低い方におきましては非常に負担が多くなるということだと思うのですね。そこで、各党もそれぞれ試算をいたしておりますけれども、三%の消費税導入して、なおかつ現在の所得税の減税というものをやった場合におきましては、家計の負担におきましてどこが損益のプラス・マイナス・ゼロになるか。大蔵省の試算におきましては二百七十四万円、それから各党それぞれやられておるようでございますが、社公民の試算を見ますと大体三百万ちょっと超えたところでございます。ところが、所得税を源泉徴収で取られておる階層というのを見ますと、三百一万円以上で大体八七%の所得税を負担しておるという数字がございます。そういうことからいいますと、減税の効果というものを考えてまいりますと、それなりに負担をしているところに多くの減税効果があるようにしていくということが大事じゃないか。  それから、日本の場合におきましては、企業に就職する場合におきましても、生涯その企業に入る。年功序列ということで、二十代におきましては非常に収入は少ないわけですけれども、だんだん三十代、四十代、五十代ということになってまいりますと収入がふえていくという年功序列型になっておるわけですね。そういう観点からいいますと、現在、例えば二十代で確かに家計においては負担が多いけれども、三十代、四十代ということになってまいりますと、所得税に対する減税の効果というものは相当大きくなってくるのではないか。そういう観点から考えてまいりますと、国民全体で消費税というものを負担しまして高齢社会に対応する、あるいは財政難というものを克服していく上におきまして増減税を今回行うということにつきましては、活力ある社会を目指していくという点におきまして非常に大きな効果があるのではないか。  だから、先ほど粟森さんは実感がないということを言われましたけれども、しかし、ほかの方からはやはり所得税の減税というものを高く評価するということなんでございますが、この点についての御見解を賜りたいと思います。
  148. 粟森喬

    ○粟森喬君 例えば試算の仕方をいろいろ見なければならないので、一つの例で申し上げます。私は「税制改革案のあらまし」「いっしょに考えませんか。」という政府の出した一つの例でちょっと考えてみたいと思います。  給与収入が例えば三百万の方でいきますと、減税をこれだけするから三万九千七百円軽減されますよ、こういう計算ですね。では、この方の消費というのはどの程度なのかという試算の仕方について、かなり違うのではないか。例えばこの方が、健康保険とかいろいろなものを引いて収入のうちで二百五十万が消費に回ったとします。かなり所得としては低い方ですから、消費に回る比率というのは非常に高うございます。これがもし教育とか医療とか福祉の部分を抜いて、これをどの程度で見るかということも各党で少し意見が違うようでございます。この人のことを見ると、では、本当に所得税を減税して税の負担が減ったという印象が出てくるのかというと、一万では健康保険が上がる、年金もまた高齢化社会負担が上がる、そうすると、租税効果という言い方か可処分所得という言い方かは別にいたしまして、本当に減税というか、そういう負担が減ったという印象になるのかというと、数字上の問題と現実感とはかなり違うということについて、私どもの考え方としてはそういうふうに思っているということを申し上げたい。これがまず一つでございます。  ですから、私はさっきも申し上げたように、先生の方からもかなりはっきり言われたのは、例えば国の財政でいったら百六十兆円近い国債が出ておる。これをどうしようかといったときに、素直に考えたら、これを何とかするためにはちょっと税金の負担をふやしていただかないとまずいのではないかというのが素直な気持ちだろうと私は思うのです。ところが、何となく所得税を減税するから消費税いいんじゃないか、いいんじゃないかという論理だけで果たしてそれが本当の論理なのかというと、平たく申し上げれば、その辺のところをもう少しみんなが考えていかないといけないのではないかという意味で、その辺はそういうふうにお受けとめ願いたいと思います。
  149. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 そこで、例えば試算をいろいろ見てまいりますと、二十代よりも三十代、四十代、五十代になってまいりますと所得が高くなってきますね。所得税減税の一番ねらいとするところは、やはり四十代で子供が成長するし、うちを持たなければいかぬし、いろいろそういうところに一番の重税感があるのではないか。そうなってまいりますと、そこの収入の多いところに、非常に重税感の多いところに所得税減税の効果がある。これはどう評価をするかということなんですね。  それから、ついでにもう一つ。やはり公平な負担と給付を確保するというのが税制改革の一番の点でございますけれども、もしこういう消費税というものを導入しない場合に、一つの方策としましては補助金を見直した方がいい、それから行政改革を大いにやるべきだということですね。行政改革におきましても、かなり今までNTTとか国鉄とかその他ずっとやってまいったわけですね。したがって、もし消費税導入しない場合、財源をどう確保するか、こういう点についてはもっと詳しいお話を、もし御所見がありましたら、これは宮西公述人さんにもひとつその点についての御意見がありましたらお話を賜りたいと思います。
  150. 粟森喬

    ○粟森喬君 私は部分的には同調できるところもございます。例えば、給与所得者減税といいますか、重税感が非常に高いというのはこういうことじゃないでしょうかね。累進税率ですから、賃上げを五%しても税金は七%上がるわけです。過去の所得税減税をやってきたときは、五%の賃上げなら五%程度の税率アップにしようというのが大体私は勤労者所得減税のやり方だったと思う。これを国の財政が逼迫をした段階から事実上それの是正を、正確な日時は覚えていませんが、やめたことがかなり重税感をもたらした。これが気持ちの中に非常に強うございます。したがって、やっぱり所得税の減税というのは、私はとにかくめちゃくちゃに安くしろという意味じゃなく、賃上げ率と同率の税率が上がるくらいなことについては、お互いがいろいろあっても納得し合える一つの接点ではなかったのか。そのことをちゃんとやってこなかったことについて果たしてどうなのかという意味で、若干さっき所得税にかかわるところで申し上げたつもりでございます。これが一つです。  それから、行政改革といったときに、例えば今までのやり方の中でいうと、一つは役人の頭数を減らすとか、何かその辺のところが行政改革のキーみたいに言われていますが、私は行財政改革といったときに、国の歳出といいますか、予算案の基本的な骨格の見直しをどこかでやっていかなかったら、高齢化社会の中で今のようなやり方だけでこれで適正だというふうに考えたらやっぱりどえらいことが起きるだろうということですよ。これは意見一致します。  ですから、私どもが行政改革反対をしてきたのは、結果的に弱い者だけが我慢して強いところというのは何となくしのいできたという印象は、依然として私は行財政改革の中では持っています。例えば私どもが見るのは、厚生なら厚生の伸びを見たら、片っ方で医療費がふえた、ふえたと言っているけれども、予算の部分から見るとやっぱりそこは抑えられているとかそういうことなどがあれでございます。  ですから、財源の問題というのは、とにかく今のまま支出をむやみやたらにふやすということだけで財源を考えていったらこれは必ずパンクいたします。ですから、入りも大事ですが出るも含めてバランスをとれたものにする。何か財源というのはもう初めから足らないというか、足らないという意味で言うなら、私は国債の部分は、これは借金になって明確に残っておるのですから、これを何とかしなければいけないという意味論議するんなら論議の仕方もございましょう。しかし、財源一般といったときに、支出を全くさわらずに財源だけだということですと、財源、財源と言うだけでは少し難しいのではないか、こういう感じでございます。
  151. 宮西実

    ○宮西実君 私は、先ほども申し上げておりますように行政改革、今までもお話がありましたようにこれはもっともっと進めていく必要があるだろう。私どもは行政改革推進派で、やれということで始終運動の中でこれまでやってまいりました。ただ頭数を減らせということを申し上げておるのではなくて、基本はあくまでもむだを排除して効率的な行政運営をやれというのが基本でありますから、先ほど最終後段で申し上げておりますように、今回のこの法案の成立された後、まあすべて共通する問題でありますが、執行するその立場、そういった面をきちっとやっていただきたい。そういう点で、例えばの話ですが、人員が足らなければ要るところは当然ふやすべきだという基本的な考えに立っておるわけです。そういう立場行政改革を進めてください、むだを排除して、そういう立場からの財源の確保といいましょうか、そういうものを我々は基本的に求めてきておるところでございます。これが最大の今の御質問に対する第一点の答えになろうかと思うのであります。  行革の、これは詳しいことは時間も関係しますので長々申し上げる必要はございませんと思うのですが、やはり従来とも言っておりますように、中央の省庁の統廃合だとかいろいろなことを私どもは言っております。百二十八もあります部局の削減だとか予算の二五%に当たる十四兆にも上る補助金の整理だとか、いろいろとありますね。だから基本的に、何遍も申しますけれども、何でもかんでもやめてしまえとか統廃合せいといったようなことをむちゃくちゃに言っておるのではなくて、あくまでもその基本というものは前段申し上げたようなことで、それを基本にした行革を進める。こういうものを進めていく段階で、私は消費税を今すぐ導入しなくてもその財源は出てくる、十分にある。十分にあるという具体的な数字は、細かいことは申し上げられませんけれども、私の考えとしてはそれは賄える。そしてまた、どうしても足らなければ、無責任な言い方になりますけれども、NTTの株だとか国鉄用地だとかこれまたいろいろとあるわけでありますから、そういうものをあれやこれや十分に見る中から財源を求めていくべきではないだろうかというのが基本的な考えでございます。
  152. 藤波孝生

    藤波座長 よろしゅうございますか。
  153. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 ありがとうございました。
  154. 藤波孝生

    藤波座長 次に、加藤万吉君。
  155. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どうも皆さん御苦労さまです。ありがとうございます。大変貴重な意見を拝聴いたしました。  そこで、時間の制約がございますから、項目的に各皆さんにちょっとお聞きをしたいと思うのですが、まず渋谷さん、お聞きをいたしたいのですが、実は今度の税法では、例えば渋谷さんの会社で一億円付加価値があったとしますと、三百万円消費税を支払わなきゃいかぬわけです。ところが、渋谷さんのところで新しい工場とか機械をつくりまして、一億円資材あるいは工場をお建てになった、こうしますと、前段の税額は全部控除になります。したがって還付されます。したがって、渋谷さんの会社は一銭も消費税を払わなくてもよろしい、こういうことに今度の法律ではなっておるわけでございます。実は国会でも大変問題になっておりまして、投資産業のところは消費税を減額ないしはゼロ、あるいは時によっては還付されてプラスになる。こういうことはますます企業間格差を拡大するのではないか。したがって、そういう税法のあり方がいいんだろうかという議論がございます。  それに加えて、先ほどの法人税率の問題は、諸外国に比べて日本の方が高い。確かにそうなんですが、これは経済研究センターあたりで調べたのを見ますと、日本の実効税率は大体二〇%から四〇%くらい、実は法定税率よりも実効税率の方が低い。例えば、それはいろんな租税特別措置とかあるいは補助金とかいろいろあります。したがって、総体的に見ますと、消費税の税法が入ることによって企業間格差がさらに拡大をして、巨大な企業はまた巨大になりはしないか。中小零細企業は最終消費者として税だけ取られてしまう、そういう趣があるのではないか、こういう意見が非常に強いわけですが、この辺はどのようにお考えになるでしょうか。  それから、時間の関係もありますから全体的にお聞きをしてまいりますが、先ほど三%の税率の問題、それぞれ皆さん方がおっしゃいました。今、一律税率で三%は結構だという御意見が吉田さんあたりも出ておりましたが、皆さんがおっしゃっている中に、消費税物品税との税の性格の違いというのがどうもしっかりとつかめられてないんじゃないか。物品税における税額が、例えばコーヒーがかかって紅茶がかからないとか、こういう物品税に対する税率の問題で問題があることはわかります。ただ、消費税の場合には、御案内のように選択をすることができない商品でございます、例えば米にいたしましても水にいたしましても。そうしますと、消費税というのは、いわゆる医療その他わずかなところを除いては全生活必需品にかかる、国民生活の上で選択ができない税金と、それから物品税のように、まあこれは税金が高いから買うまいというものとの違いが本質的にあるわけです。したがいまして、物品税は差があるからそれを三%に一律にした方がいいというのはどうも論理として成り立たない。諸外国の例を見てみますと、ゼロから三〇ないし四〇くらいの差で消費税が、付加価値税がかかっているわけですね。多くの学者は大体、消費税というものは税率構造をつくって、そういう生活に必要なものとそれからやや奢侈にわたるものと税率の格差はあってよろしいのではないか、したがって、一律税率三%というのは、まさに国民生活経済の上からいえばナンセンスだという意見が非常に強いわけでございます。  そこで粟森さん、この三%がかかった場合、政府統計で大体一・二%、我々の計算ですと二%近く物価が上がるだろう、こう言われておるわけです。さて、消費税がかかった場合、物価が上がる分は労働運動で、これはまあ宮西さんでも結構なんですが、賃上げでこれをカバーをしていくんだろうか。賃上げでカバーをすると、税の分の消費税の分とそれから本来所得が上がってかかってくる源泉徴収の所得税、さらに本来持つべきみずからの生活のよさといいましょうか、水準を高めようというそういう意欲が絡んでくると、現在の日本の労働運動の中ではそれだけの賃上げができないのではないか。結果的にはこの消費税部分、いわゆる生活費にかかる部分は、実質生活の低下ということになるのではないか。この辺はこれからの労働運動を指導される立場でどのようにお考えになっているんだろうか、この面をお聞きしたいところです。  それからもう一つ。粟森さんは先ほど、三%消費税が百六十兆円に近い国債の償還、国の借金に使われるのであって、消費税のいわばよって来る目的的なものは、例えば社会福祉政策についても余りきちっとしてない、こう言っておるのですね。国会でもこれまた問題になっておりまして、せんだって厚生省、労働省がそれぞれ社会福祉の基本計画を出しました。これは理念的なものは大変あるのですが、具体的なものはない。たまたま出たのが、六十五歳以上に厚生年金を今度は適用を広げていこうというのがやや具体的なところでございまして、現実に生産現場では六十歳定年にようやく到達するかしないかというときに、一体六十歳から六十五歳までの間、厚生年金などいわゆる年金体制としてどのように我々は考えてみたらいいんだろうか。この辺はひとつお聞きをしたいところです。  それから、公認会計士の高口さんにこれはお聞きをしたいのですが、実は宮澤大蔵大臣国会答弁の中で、精緻にわたっては大変法律上不備がある、こういう御指摘があったわけです。税理士さんですからお聞きをするわけですが、例えば三千万円以下でしたらこれは非課税ですね。ところが、途中で更正決定を食いまして三千百万円あった場合にはこれは課税になるのですね。私は、日本の税務体制で一番の欠陥は税務署交渉だ、こう言っておるのです。いわば税務署交渉して税額を決めるというシステムはどうも、ヨーロッパでECの付加価値税を導入したとき、あるいはアメリカにおける税体系などを見ましても、相当監視機能が強いですね。したがって、税務署ではもう書類を受け付けてそれで税額をぴしっと払うというくらいでありまして、税務署の窓口で、いやこれは本来必要経費だったとか、あるいはこれは利益に計上されるべきだという折衝が、私どもの聞いておるところでは余りないのですね。  今度の場合では、先ほど言いましたように、大蔵大臣は、この法律は非常に欠陥があります、精緻な面では大変欠けています等々、実は自他ともに認めているのです。したがって、とりあえず消費税になれてもらいたい、したがって今度の法律はと、一言で言えばそういう意見になるわけです。さて、この場合どういうようにお考えでしょうか。今言ったように、三千万で非課税であって三千百万円になった場合には今度は課税になる。その場合に、御案内のように二年間ですから、二年前にさかのぼって消費税を払うか払わないか、そういう問題点があると思うのですね。したがって、例えば高口さんが従来仕事をやっておられる関係で、この税法の中で最も精緻にわたる面の欠けている面はこことここだと、もし御指摘があれば二点ほど教えていただければ、こう思います。  それから矢田さんにちょっとお聞きしたいのですが、実は先ほど地方税財政は大変難しい、財政困難だから財政的な措置を講ぜよという御意見がありました。そのまま拝聴いたしたいと思うのです。  今度は御案内のように、年金生活者が雑所得者になります。従来ですと、源泉の関係所得でそれぞれ控除があって、年金にかかわる税は大変安かった、と言っては失礼ですが、いわゆる普通のサラリーマン並みの計算でできたわけですね。今度雑所得ですから、例えば国民健康保険などは、年金生活者は大体三割から四割ぐらいアップをしやしないか、こう言われているわけです。こうなりますと、今市町村財政の中で一番大きな財政欠陥は国民健保の財源ではないか、こう私は見ておるわけです。この層が、比較的所得の低い人が雑所得者になった結果としてなおお金が足りない、いわゆる納め切れない。そうしますと、国民健康保険の財政はますます赤字が強まるのではないか。  さらに加えて、先ほどお話がありましたが、この消費税が入ることによりまして地方の財政歳入の減額分は七千八百億円です。それから、これは自治省の財政局長が国会答弁したのですが、六十三年度、地方における消費税負担額、例えば公共事業をやったり、いろいろ出ます。あるいは先ほどのように賃金を上げれば当然扶助費が上がるとかあるいは職員の給料も上げなきゃならぬなどなど、加えてまいりますとこの額は約六千億と言われておるわけです。そうしますと、地方財政は実は総体で一兆四千億以上の穴があく。それを自然増収でカバーしようというのですね。これまたおかしな話なんですが、自然増収というのはここ二、三年の話で、安定的なものではないわけですね。さて、安定的な財源を当てにして消費税導入し、同時にそれが地方財源にとって一兆四千億から五千億の赤字になるとすれば、地方財政破綻ではないでしょうか。こういう面から見て、地方財政の面から見て消費税は、財政の歳入の面、あるいは譲与税とかあるいは今度の消費交付税とか、そういう面でどのようにお考えになっていらっしゃるのか、御見解をお聞きしたいと思うのです。  済みません、個々に申し上げました。
  156. 藤波孝生

    藤波座長 順次御指名申し上げますが、時間に限りがございますので、なるべく簡潔に御意見があればお述べいただけたらありがたいと思います。
  157. 渋谷亮治

    ○渋谷亮治君 今お話ありましたように、やはりある程度格差がついてくるということは否めない事実であろうかと思います。特に欧米に比べて、欧米の横社会に比べて日本の場合には総階層社会でございますので、元請に対して下請あるいは孫請、非常に不利な立場になるんではないかということは十分考えられると思います。しかし、現在の国際経済あるいは成熟経済の中では二極分化という方向は大きな流れでございますし、業態の変化も次々に出ておりますから、一面ではやはりある程度流通なんかの場では合理化が進むということも言えるのではないかというふうに思いますし、それからまた、実際経済活動は生き物でございますから、やってみなければわからないという要素も非常に大きいのではないか。経営形態も、何々工業といいましても商事部門が入っておるとか、業界の領域が非常に今は入り組んで複雑になっておりますから、先ほど申し上げましたように、やはり実際やってみた上で逐次的確な是正対応というものが適切になされるならば、その影響は少ないのではないかというふうに考えております。  以上です。
  158. 粟森喬

    ○粟森喬君 二点についてだけお答えします。  一つは、消費税物品税はやはり性格がかなり違うという意味では、認識は加藤先生と一致です。私は、物品税における矛盾が何か税制改革すべての問題のように言われるというのはちょっと問題だという立場で先ほども意見を申し上げました。  というのは、パソコンに税金をかけないでいいというふうにだれが、なぜ、どこで決めたのかといったら、これはそういう部分を積極的に手直しをして矛盾をできるだけ解消していくという手だてをしなかったことについて、やはり行政なり政治をやる方々が考えておかないと。だから、物品税をある程度、そういう矛盾を少しずつ直しながら、直間比率を直しながら、将来へ向けて最後は消費税どうなのかというならまだ方法論としては、一つの意見としては聞かなければならないけれども、何か矛盾をもう拡大するだけさせておいてそういうふうに言われるということについては、先ほどの意見と同じでございます。  それからもう一つお願いをしたいのは、先ほど大蔵試算で一・二%、社会党さんが計算したとき二%だと言われた。それで〇・八ぐらいの話でございますが、大問題なんでありまして、政治を議する人たちの中で将来の見通しの数字についてはやはり意見を一致してもらいたい。意見の一致なしで、見解の相違だということで多数で決するというのはやはり問題だと私は思います。その種のことについて、意見が一致した上で、どうするかということについて見解の相違があるのは、これはある意味ではせん方ないことかもしれませんが、試算の数字でさえそれぞれが違うというのは、今消費税導入なり税制改革するには少し乱暴過ぎないかという、そういう印象で見ております。私なども、例えばこの種の数字をいじるときに、根拠はどうなのかということをそれなりにかなり精査しながら、それから自分たちの現実の感覚みたいなものをつけ加えて言わなきゃならぬというのは、やはり数字は正確にお互いが見解の一致をどこかでしていただいて論議をしていただきたい。これは要望を申し上げます。
  159. 藤波孝生

    藤波座長 吉田君、御意見ございますか。
  160. 吉田豊彦

    ○吉田豊彦君 ございません。
  161. 高口稔

    ○高口稔君 私ども常日ごろ税務当局と接触しておりまして、今先生おっしゃるとおり判断基準というか判断ですね、人の判断にゆだねられるところが非常に多うございまして、見解の相違といいますかそういったものが非常に多い。そういうものが税務の中には特にあるのじゃないかと思うので、今消費税の問題で三千万円が調査を受けて三千五百万あるいは四千万になった、こうした場合には多分取れないと思います。泣かなきゃいかぬと思います。企業において負担しなきゃいかぬと思います。つまり転嫁できないだろうと思います。(加藤(万)委員「もとへ戻って負担するのは」と呼ぶ)それはちょっと難しいだろうと思います。それは何も消費税ばかりでありませんので、今までも源泉税その他で、一たん給与といいますかほかの経費で払った、それが給与として認定されれば、給与の源泉税というのが出てまいるわけでございますが、払った方からまた戻してくださいと言うのは現実的にはなかなか難しい。理論的にはそのとおりなんですけれども、現実的には難しい。  そこで、手前みそなんですが、私ども会計士、税理士がある程度関与しておるものにつきましては、特別目に余るものは別といたしまして、ある程度の判断というものは少し尊重していただいて、課税の公平という面から見てよほど目に余るもの以外はある程度、人の判断というものは甲論乙駁でございまして、不服審査機関その他もあるのでございますけれども、そういったものも活用すればいいといえばいいのでございますけれども、理論と現実はなかなかいかない面がございますので、その辺は手前みそでございますが、またできるだけ尊重していただきたい、そういうぐあいに適正に指導していきたい、こう思いますが。
  162. 矢田剛

    ○矢田剛君 年金生活者所得算入の方法が変わることによる国保への影響でございますが、その影響についてまだ十分に調査をいたしておりませんので、ここではちょっとお答えをいたしかねるかと存じます。  それから、地方へのはね返りの七千八百億でございますが、これは先ほど申し上げましたように、自前の減税という受けとめ方をして、自分たちの行財政改革の中で消化をしてまいりたいと思いますし、また一方、自然増収もございます。私どもの町を例に申しますと、オイルショックのときは非常に横ばいになりまして、上昇することはなかったのですが、それを除いてはおおむね順調な伸びを示しておる。そういう意味におきましては、今回、今全国的に好景気にあり、地方税収の伸びが見られるときに減税が行われるということは、ある意味では私は非常に適切な時期であるという判断をいたしておるわけでございます。  いま一つ、六千億と試算される歳出増でございますが、これは例えば補助事業等につきましては、当然国の補助の中でも増額を認めていただけるものと確信をいたしますし、またその他のものにつきましては、地方財政計画によってその年度年度で対処されるものという期待をし、ぜひそういうふうにお願いをしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  163. 宮西実

    ○宮西実君 労働組合運動を進める者として賃金の関係についてどう指導するのかということでございますが、私どもは従来とも、働く者の賃金はやはり実質賃金を高めていかなくてはならないというこの基本に立っておるわけでございまして、もちろん物価が上がればその物価の分を補てんするということをこれまでの運動のベースとして進めてきております。そういうことが連合の舞台でも今いろいろと論議をされておりますが、それが今後、来年度の分もそのとおりいくのかどうかということについては、中身はまだ決まっておりませんからそのことについては申し上げることはできませんけれども、私は、基本的に申し上げたいのは、物価が上昇すればそれを補てんし、働く者の生活をこれまた実質的に高める、これはいかなるあれが変わってもその部分は変わっていかないと思うのです。  というのは、働く者の生活が実質的によくならなければ社会全体がこれまたよくならない。賃金が上がればそれだけ一面消費購買力も上がってくるわけでありますし、大きな意味では日本の経済がよくなっていく、内需拡大につながっていくということになるわけでありますから、我々としてはやはりそういう視点でこれからも賃金の問題については対処していきたいというふうに思っております。  とはいっても、一面それではそればかりではどうかという面がございます。私どもの方としては、従来もそうでありますが、やはり生産性を上げていくということ、これは従来ともそういう方針で来ておりますから考えていかなくてはならない。そういう部分、これは労使ともにみずからが努力する部分でありますが。  それからあわせて、私どもがもっともっと大きく期待し、またお願いしたいのは、先ほどから言っておりますように、政治的な面で政策面でのこれまた皆さん方の御努力を何としてもお願いしたい。土地の問題だとか住宅の問題だとかたくさんあります。そういうものが相まってうまく前へ進んでいくのではないかと思うのでありまして、今申し上げたようなことでもってこれからのこの賃金の問題について運動を進めていきたいというふうに思っております。  それから、年金の関係については、六十が六十五という問題ですが、これはどうですか、雇用の安定確保、六十歳代前半層の雇用の確保といいましょうか、こういうところにかなりウエートを置いていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、あとは余り……。  以上で終わらせていただきます。
  164. 藤波孝生

    藤波座長 加藤君、よろしゅうございますか。
  165. 加藤万吉

    加藤(万)委員 はい。
  166. 藤波孝生

    藤波座長 小谷輝二君。
  167. 小谷輝二

    ○小谷委員 貴重な意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  入り口論の問題で県評の議長粟森さんにちょっとお尋ねしておきたいと思います。  サラリーマン重税感不公平感、要するにクロヨンと言われる問題、これを払拭することがまず第一であり、これはもう所得の捕捉から起こるものでありまして、間接税を導入することがこの不公平感を払拭するということにはならない。こういうふうなことで、クロヨンの問題、不公平感の問題、この問題を放置したまま新消費税導入するということについては意味がないではないか、こういう御意見があるわけでございますが、まずこの点はどのようにお考えですか。
  168. 粟森喬

    ○粟森喬君 そのとおりでございまして、一つの例で申し上げると、私どもの地域に行くと保育所なんかに入るときに、どう考えたってサラリーマンのうちの子供と隣の中小企業、余り特定するとだれかのことを言っていることになりますからあれですけれども、どう考えたって私の方が安くていいはずなのにもかかわらず片一方は安い、片一方は高い。これはやはり税の取り立て方に問題があって、これは過去にも私たちは税務署とかこの種の公聴会で言いました。そうしたら、それを捕捉するにはコストがかかり過ぎてそんなことできませんとかいってかなり高飛車に言われて、結構頭にきたのを私は覚えておるのですが、やはり不公平感を本当に直すというのは捕捉率といいまか、コストも含めまして、そんなことがあっていろいろちゃんとやっていただくことを抜きにして消費税というのは、どう考えてもこの消費税だけは——物品税なら選択の余地があります。消費税は選択の余地がございません。それだけに、その種の前提条件を整備するというのは重大問題でございまして、これをまず先決してやってほしい、こういうことでございます。
  169. 小谷輝二

    ○小谷委員 同じ入り口の問題になろうかと思いますけれども、消費税導入の前にまず不公平税制是正が必要ではないか、このように宮西同盟会長からあったわけでございますし、またそれ以外に、行政改革を目指すべきではないか、このような意見でございます。不公平税制の中には、医師の優遇税制キャピタルゲイン課税、またそのほかみなし法人等々あるわけでございますが、この点についてはどのような御意見を持っていらっしゃいますか。
  170. 宮西実

    ○宮西実君 私が先ほど前段で申しておりますように、公平でなくてはならないということが大原則ですね。公平というのは、やはり収入の多い人はそれなりに負担をするということだと思うのです。そして生活の苦しい人、そういった人はそれなりのこれまた対処の仕方、こういうことが的確になされてこそ、これが公平だと思うのです。ただ一律パーに集めるとか一律パーに安くするというのは、それは必ずしも公平だとは言えない。そういう中で、現在の勤労者と、今言っておりますお医者さんだとかあるいは中小企業、申告をやっておいでる方との違いは余りにもこれまた大きい。ですから、こういうものは何としても是正をし、直していくことが政治に対する信頼を回復する、そしてまた勤労者、一般労働者が意欲を持って働くことになるのではないか。先ほども言っておりますように、税金は納めるものだと私自身は基本的に思いますけれども、もうほとんど取られると言いますね。この取られるという意味は、そこに何があるのかといいますと、先ほどから言っておるようなことがある。ですから、まず不公平を是正することによって、そこで出てくる財源というのは、私は細かいことはわかりませんが、しかしながら大変な金になるというふうに私は思います。したがって、そういうことを申し上げておるわけです。
  171. 小谷輝二

    ○小谷委員 高口先生は現場で税をそれぞれアドバイスし、また責任を持って納税の業に当たっておられるわけでございますので、お尋ねをしておきたいと思います。  税は公平、公正でなきゃならない、これは大前提でございまして、そこで原則総合課税に移行すべきであるという御意見を承りました。また、所得の捕捉率を高めるために納税者番号制の導入、こういう御意見もあったわけでございます。この番号制の問題につきましては、世論調査でもかなり反対が多いわけでございますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  172. 高口稔

    ○高口稔君 何といいますか、今回の税制改正の一つの起爆力になったのはいわゆる不公平感、こういうものがやはり強いのじゃないかと思うのですね。その不公平感の中には、制度上の不公平とそれから執行上の不公平があると私は思うのです。そういった面で、制度上の問題は今議論されておるわけですけれども、一たん法律ができたものを適正に執行する、こういう感覚になりますと、先ほど来お話が出ておりますように、捕捉がやはり十分でないといけない。捕捉というのは税務当局の方もいろいろと非常に御努力なさっていらっしゃるのですけれども、十分でないからいろいろな問題が出てくるのだろうと思うのですね。そういった意味で、番号制というものは、ある程度プライバシーその他の問題というのは出てきまするけれども、やはり一つの方向性でないかな、こう私は思っております。
  173. 小谷輝二

    ○小谷委員 高口先生にもう一つお尋ねをしておきますけれども、御意見を承っておきたいと思いますが、消費税転嫁が非常に難しいのではないか、この点が一点と、また、納税事務売上税のときよりも考慮されているように思うけれども、事業者の事務負担がかなり大きいのではないか、こういう御意見があります。この点はいかがでしょうか。
  174. 高口稔

    ○高口稔君 十月でしたか、私の関与先を集めまして消費税の勉強会をしたわけでございますが、その席上でも、一番懸念されることは転嫁の問題でございました。転嫁が難しいということになりますと、川上の方へ持っていくということになるわけでございますが、それもなかなか難しいということになれば、最終的には自分のところで負担しなければいけない、こういった問題で、採算ちょんちょんのところが、なおその上にプラスの支出が出てマイナスということも出てくるんじゃないか、そのことが懸念されますので、その環境の整備をひとつぜひお願いしたい、こういうことでございました。  それから、もう一つ何でしたか。
  175. 小谷輝二

    ○小谷委員 結構です。わかりました。  吉田社長にお尋ねしますけれども、今度の消費税税率は三%ということで、これについて歯どめの明文はございません。この点についてはいかがでしょうか、御意見をお伺いしておきたいと思います。
  176. 吉田豊彦

    ○吉田豊彦君 それは、行政改革等々でやはり三%をできる限り長期にわたって守っていただきたいというふうに私は思っております。よろしくお願いいたします。
  177. 藤波孝生

    藤波座長 次に、玉置一弥君。
  178. 玉置一弥

    ○玉置委員 きょうは大変御苦労さまでございます。  先ほどからいろいろな御意見をお伺いしておりますと、税に対する認識といいますか意見というのは皆さん大体同じようでございまして、それに対してどうやっていくかというのがいろいろ立場があっていろいろ違う、こういうふうな感じがいたします。我々国会の中での論議も似たようなところがございまして、今の税制度に対する意識、これは皆さん方と同じでございまして、やはりいろいろな面での問題点がある。ただ、どういう手順でどこを手直しをしていくか、この辺の違いがあるかと思います。  その中で、私ども税制の問題点として考えておりますのは、一つは、先ほどの中にもございましたように、昭和二十七年以来ほとんど手直しをされていない、そのために大きなひずみが来ている、それから、粟森さんがおっしゃいましたように、昭和五十年ぐらいからほとんど所得税減税が行われなかった、こういうこともございます。それから、累進課税率が非常に高額の方に条件の悪い累進課税率、これはもともと高額の方だけだったのですけれども、いつの間にか一般のサラリーマンもその分野に入ってきた、こういうこともございます。それから、宮西さんがおっしゃいましたように、税制間の不公平あるいは把握の不公平、執行面での不公平、こういう三つの不公平からかえって重税感というものが増大をされてきた、こういうことがあるかと思います。  そういう中で、政府の方が今度消費税導入ということに踏み切ったわけでございますが、私ども、税制論議はやはり国民全体が納得するだけの時間をかけてやりたい、こういうことを申しております。昨年一年は売上税反対ということで賛否の論議しかできなかったわけでございますが、今回は少しでも税制そのものの中に入って論議をやりたい、こういうことでやってまいりまして、ようやくそのチャンスが来たように思います。しかし、どうも自民党さんの方は急いでおられるみたいでございますから、後どうなるかわかりませんけれども、少なくとも皆さん方の意見税制の今度の新しい制度の中に吸収されるか、あるいはもっと新しいものができるかというようなことでやってまいりたいと思う次第でございます。  そこで、一つは財源論でございますが、これから確かに高齢化社会を迎えて、特に福祉関係、医療、年金、そういうものの負担が二倍から三倍になる、こういうことも言われております。それをどうして負担していくのか。  最近の国会論議は、今政府が三%で出しておりますけれども、この消費税三%をどこまで守れるのかという心配がございます。歯どめは何かというと、もちろん国会の中で審議をして決定していくわけでございますから、我々国会議員が頑張っていかなければいけないのでございますが、しかし、国会の中でもやはりすぐ賛否が分かれてしまうというような状況でございますから、何としてもこの歯どめについての一つの明確なものが欲しいというのがございます。  また、転嫁の問題、これは繊維関係は特に石川県、福井県に多いわけでございますが、流通が十五段階とか十二段階とか、大変多段階なものがあるわけでございます。まして材料メーカーが強い、消費者が強い、こういう中でございますから、そのしわ寄せが真ん中に持ち込まれるという可能性もあるわけです。これをどう回避していくのか、これも大きな問題点だと思います。  そういう中で我々考えていかなければいけないのは、国民が、どのぐらい時間をかけて税制論議を行えば、またどういう形になれば納得していただけるか、このことについて、大変大きな問題でございますが、まず、税制の専門家としての高口さん、それから消費者の代表としての宮西さんあるいは粟森さん、それぞれお伺いをしたいと思います。
  179. 高口稔

    ○高口稔君 時間の問題というよりも内容の問題だろうと実は思います。そこで、私の個人的な意見を申し上げれば、リクルートの問題はリクルートの問題として別に論議して、税制税制国会内外でもっと資料あるいは時間、その意味での時間ですね、徹底してやる。問題は、時間がどれだけ、何日あればいいとか、こういう問題じゃなしに、内容さえ充足されて満足できればそれでよろしいのではないか、私はこう思うわけであります。
  180. 宮西実

    ○宮西実君 私も、例えば時間的に具体的にと言われても、ちょっと明確にお答えできないのですけれども、言えますことは、現在こういう税制論議が沸騰しておるわけでありますけれども、果たしてそれでは一国民レベルでどの程度この税制について理解をし、またいろいろと勉強しておるのかといいますと、本当にこれからだというような感じがするのですね。ですから、そういうことを考えますと、少なくとも二、三年ぐらいはこれにかけて、ゆっくりまず中身の勉強から始めて、そういう中から理解が出てくるのではないだろうかと思うのでありまして、今、何か近く、すぐこれを決めるということについては非常に私どもも懸念を抱いておる一人でございます。  そういうことからいたしまして、どんどんいろいろな資料なりそういったものを提供していただく、公平な立場で税をどうするのかということについての一つのアクションがこれから時間をかけてやられるべきだ、そのことがひいてはいいものができるのではないか。今、無理やりにこれだけ反対やあるいは無理解の中でこれを進めることが、これから何十年後果たして日本の政治の上でいいのかどうかということになりますと、私はこれは非常に考える必要があるのではないか。  先ほどもちょっと申しておりますように、税なり税制に対する教育は、小さい義務教育から徐々に、この税金というものはどういう役割を持つのかということを、やっておいでるのだろうと思いますけれども、まだまだそういう点が足らぬのではないか。また、社会教育の面でもそういうこともやっていただく。税務担当の方でもやっておられるようでありますけれども、限られた人員でそこまで教育指導ということについてはなかなか手が回らないと私は思うのです。それでいいかというとそうではなくて、やはり一番大事なのは、そういうことをきちっとやることが最終的に国民のためになるわけでありますから、そういうことをあれやこれや考えますと、やはり年単位の時間をかけていくべきではないだろうか、こういうふうに思います。
  181. 粟森喬

    ○粟森喬君 一つは、福祉との関連でどうなのかという御意見ですが、消費税は福祉目的税となっていないので、福祉をどうするかということについて今政治の場で、財源問題といいますか国の財政なり将来の見通しの中で、高齢化社会の中でこれは大変な問題だよ、だから消費税導入だということで、何となく福祉目的税的に論議が進行することについてやや懸念をしている一人でございます。それで、福祉目的税でやるのならやるで、これまた私たちもそういうサイドから論議もさせていただきたいし、福祉問題との関係でいうと、福祉はやはり私どもは守ってほしいという立場からいうと、財源問題というのは大変だという意味ではわかりますが、目的税じゃないということは、やや論議そのものをそこで論議するには本日の段階ではちょっと無理があると思っています。  それから、財源問題では株式譲渡税、キャピタルゲインの問題なんかもいろいろ論議されて、さっき背番号制の話も公明党の先生からも出されていましたように、一人一人の税というものを考えたときに、例えば税務調査を、個人であろうと企業であろうと組織であろうと、どなたがやられても必ずちょっとどこかが漏れておるのです。だから、そのことで何となく背番号制が嫌だという感じ、何か管理されることを否定するという問題と、背番号をつけたときにそれを管理する側に対する信頼みたいなものが本当にあり得るのかというと、やはりないということと、二つの側面から否定的な見解もありますが、株式譲渡税などというのはどこかで実施に踏み切るための、これはやはりそういうこともあっていろいろとトータルにどうするのかということが必要だと思いますが、新しい財源の話になると何か難しい難しいといって消えていくというのが、私どもの感覚からいくとどうも何となく納得できぬという感じでございます。  以上です。
  182. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間が参りましたので、あと一言だけお聞きをして終わりたいと思います。  今回、法人税の引き下げもやっておりますが、中小企業税制については若干の歩み寄りといいますか、そういう形になっております。いわゆる普通の一億以上の法人税といわゆる中小企業税制、この間の開きについてこのままでいいのかどうか、これについて渋谷さんの方から御意見がございましたらお願いをしたいと思います。
  183. 渋谷亮治

    ○渋谷亮治君 必ずしもいいあるいは悪いということじゃなしに、やはりこれは試行錯誤的に前進しながら、適宜修正をしてやっていくということが必要ではないかと私は考えております。
  184. 藤波孝生

    藤波座長 矢島恒夫君。
  185. 矢島恒夫

    ○矢島委員 共産党の矢島恒夫でございます。陳述者の皆さん、本当に御苦労さまでございます。  私どもは、今国会でやるべきこととして、何といってもリクルート疑惑の解明であるということを主張しております。最近の新聞やそのほかの世論調査によりましても、この問題をいずれも取り上げていると思います。朝日新聞によりますと、リクルート問題ということで、税金を納めることがばかばかしくなったというのが三五%に上っている。政治家の倫理の問題だということでの意見が二四%。さらには、いわゆるキャピタルゲイン、創業者利得あるいは未公開株売り抜き、こういうことに対する課税が行われていないことに対して我慢ができないは二二%、ここまで足しますと、まさに八一%になるわけであります。こういう状況の中で、何といっても今やるべきことはリクルート疑惑の徹底解明だ。とりわけ、今回の税制改革を推し進めようとしている政府の首脳、いずれも名前がこの中で関連して出てきている。粟森さんはNTTの先輩だと思いますが、NTTの疑惑の中ではいよいよ中曽根前総理の周辺までいろいろと取りざたされている、こういう状況が生まれております。  そこで、宮西さんにお聞きしたいのですが、こういう世論というものに対してどのようにお考えになっていらっしゃるか。  それから、粟森さんの方はそういう方向での陳述がなされましたが、私どもの今やっているこの疑惑解明のためには証人喚問が必要だということで、江副氏を初め三十数名の証人喚問を要求しております。現在の議院証言法で私どもは証人の人権をしっかり守りながら証人として喚問できるんだ。江副さんのあの病床質問のような事態から考えてみても、法的拘束力のない参考人ということで本当に国民の皆さん方に納得のいくような解明ができるのかどうか疑問に思っているわけです。その点についてお答えいただければと思います。
  186. 宮西実

    ○宮西実君 先ほど触れておりませんけれども、一言最後段に言っておったと思うのですけれども、私もこの問題については基本的にやはり解明をすべきだ。それでなければ国民の政治に対する信頼というものは回復できませんし、そのことがこの消費税問題、税制すべて、政治課題すべてにおいてなかなか理解できぬのではないか。不信感が高まっておるわけでありますから、これは申し上げるまでもなく全容の解明は極めて大事であるし、やるべきだ、そのことは改めてはっきり申し上げておきます。
  187. 粟森喬

    ○粟森喬君 前段の部分はほとんど陳述で述べましたので、それで尽きると思います。  証人喚問はぜひともやるべきだと思います。といいますのは、例えば検察が今、言ってみれば司直の手で調査して取り調べをやっているということは、私は国会の権威にかかわる問題だと思う。国会がちゃんと証人喚問をして、みずからの問題をみずからがそこはちゃんと襟を正していくというのがやはり政治の基本であって、司直の手でそれが暴かれざるを得ないというのは私は悲劇だと思っています。ですから、いろいろ難しいことがあるのでしょうけれども、国民の一員として襟を正す意味でこれはぜひともお願いをしたい、こういう立場でございます。
  188. 矢島恒夫

    ○矢島委員 けさの各紙を見ましても、読売それから日経それから北陸中日というのですか、いずれも社説は税制改革とリクルート問題が全部載っております。そのほかの新聞を見ましても、いわゆる投書欄というところには最低二つは国民意見としてリクルート問題が挙がっている。まさに今やるべきことはリクルート疑惑の徹底解明だ、こういうことを私たちも思っております。  そこで、やってはならないことの問題があると思うのです。というのは、今度の税制改革に当たって私どもは、あの同時選挙のときの選挙公約、さらには大平内閣時代の一般消費税にかかわる国会決議、こういうものに違反するのだから、これはやってはならないことなんだ、もしあえてやろうとするならば国会を解散して総選挙によって国民の信を問え、こういうことを主張しておるわけですが、これについて粟森さんそれから宮西さんのお考えをお聞かせいただければと思います。
  189. 粟森喬

    ○粟森喬君 日本の政治の中の一つの欠陥として住民投票とか国民投票というのが事実上できない仕組みになっておるから、これは結果として選挙で問わざるを得ないだろうということで、私どもも解散・総選挙すべきだというのはそういうことです。本来的には、これほど民意がいろいろ問われているときには、もし選挙、解散をしないのだったら国民投票とか住民投票にかけてやるぐらいのことをしないと、本当の意味の民主主義というのはやはり根底から問われてくるのではないか、こういうように考えている一人です。
  190. 宮西実

    ○宮西実君 私も先ほどちょっと申し上げておるのですけれども、これほど国民の大多数が、意識調査なりいろいろな調査結果でも出ておりますように、税の問題に対して関心を持っておる、そして消費税に対しては反対立場をとっておる人が非常に多いわけでありますね。したがいまして、ならばこれを導入するとすれば、やはりそこには一つのそういった手順といいましょうか、国民にその信を問うということが至当ではないだろうか、私はこういうふうに思います。
  191. 矢島恒夫

    ○矢島委員 持ち時間の関係で、たくさんの皆さん方に御質問したいのですが、最後の質問になってしまうと思います。  地方自治体への影響ということで矢田さんにお聞きしたいと思います。  既に同僚委員の方からも質問がありましたとおり、住民税や法人税減税、さらには現在の間接税のいわゆる調整、そういうようなことによって二兆九千二百十四億円ですか、これだけの減収になっていく。しかし、譲与税や地方交付税の追加分というようなことがある。あるけれども、全国的な視野で見ますと、七千八百七十九億円の減収、これは事実として出ている。これはいわゆる自然増でということでお話が先ほどございました。石川県の例をとりましても、やはり料飲税の問題では全国一位、八十六億からの減収になるんじゃないかと言われておりますし、間接税全体でいきますと、百六億円というのが石川県の減収ではないかということです。  同時に、シャウプ勧告以来の抜本的税制改革ということが今度の税制改革で言われているわけですけれども、あの勧告の中心的な柱というのは何本かあったと思います。もちろん直接税中心主義であるとか、あるいは累進性だとか総合課税の問題だとか、あるいはまた生活費非課税の問題だとか、しかしその中心にもう一つ地方自治強化、いわゆる自主財源の確保ということが大きく挙がっていたと思うのです。自治省もそのことは認めながらも、今日まで三割自治と言われるような事態が依然としてずっと続いてきている。  今度の消費税導入によってどういう事態になるのか。石川県で調べてみましたところ、県税においては百四十八億円からのいわゆる自主財源の減収という事態が起こってくるだろう。一次的影響や二次的影響というのを考えていきますと、これは公共料金の値上げなんということで住民負担転嫁される可能性もあるので、これも重大な問題ですが、もっと大きな支出増ということも考えられてくる。そうなりますと、いわゆる自主財源というものがますます減少する中で、二割自治だとか一割自治だとか大変な事態になっていくのではないか。先ほど来、消費譲与税やあるいは交付金の追加分とか国庫の負担率の問題とかで穴埋め、しかし自主財源を確保して、そして地方自治強化していかなければならないという事態には逆行する方向に今度の税制改革は行っているのではないか、このように思うのですけれども、それについての御意見、御感想ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  192. 矢田剛

    ○矢田剛君 税体系全体を通ずる公平の確保と地方自治の尊重ということ、私ども、今回の税制改革においてはある程度これを踏まえて対処されているという解釈をいたしておるわけでございます。  ただ、個人住民税の減税ということ、これは先ほども申し上げましたとおり、ほぼ全体的に地方へのしわ寄せはかかってくるわけでございますが、先ほど申しましたように合理化等の推進によりましてできるだけこれを解消していきたい、こう存じますし、また国の方でも地方財政の運営に支障がないように措置を講ぜられるようにまたお願いも申し上げたいわけでございます。  全体としては、先ほど述べましたように地方の存在を認めていただいておるというふうには解釈をいたしておりますが、現実、石川県における、ただいま御指摘ありました料飲税等につきましては、先ほども公述の中で申し上げましたが、激変緩和措置等の採用によりましてこれをカバーしていただきたい、このことについてはぜひお願いを申し上げたいと思っておるわけでございます。  地方自治全体にとりましては今後まだまだ大きな課題のあることも、先ほど起債、公債費率の関係から申し上げましたけれども、そういう意味におきましても先生方の御理解をいただきまして、ぜひ今後ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  193. 藤波孝生

    藤波座長 これにて質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は、税制改革関連諸法案の審査に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  それでは、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会    派遣委員宮城県における意見聴取に関する記録 一、期日    昭和六十三年十一月九日(水) 二、場所    ホテル仙台プラザ 三、意見を聴取した問題    税制改革法案内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出)、消費税法案内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)、消費譲与税法案内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 加藤 六月君       池田 行彦君    中村正三郎君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       坂口  力君    米沢  隆君       正森 成二君  (2) 政府出席者         大蔵省主税局総         務課長     杉崎 重光君         自治省税務局固         定資産税課長  小川 徳治君  (3) 意見陳述者         東北電力株式会         社総務部長   田沼 四郎君         日専連仙台会理         事長      伏見  亮君         若生工業株式会         社社長     若生 金郎君         東北学院大学経         済学部助教授  高橋 志朗君         多賀城市長   伊藤喜一郎君         宮城労働総同         盟会長     三浦 重信君      ────◇─────     午前十時三分開議
  194. 加藤六月

    加藤座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院税制問題等に関する調査特別委員会派遣委員団団長の加藤六月でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。  この際、派遣委員を代表いたしましてごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、税制改革関連諸法案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、各法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地を初め熊本市、金沢市におきましてこのような会議を催しておるところであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようにお願いいたします。  まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたく存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日御出席方々を御紹介いたします。  出席委員は、自由民主党の池田行彦君、中村正三郎君、日本社会党護憲共同川崎寛治君、伊藤茂君、公明党・国民会議坂口力君、民社党・民主連合米沢隆君、まだちょっと汽車の関係でお着きになっておりませんが、間もなくお着きになると思います。日本共産党・革新共同の正森成二君。  次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  東北電力株式会社総務部長田沼四郎君、日専連仙台会理事長伏見亮君、若生工業株式会社社長若生金郎君、東北学院大学経済学部助教授高橋志朗君、多賀城市長伊藤喜一郎君、宮城労働同盟会長三浦重信君、以上の方々でございます。  それでは、田沼四郎君から御意見をお願いいたします。
  195. 田沼四郎

    ○田沼四郎君 御指名をいただきました東北電力総務部長の田沼四郎でございます。  民間企業に勤務している者の一人として、今回の税制改革案に対する私見を述べさせていただく機会をお与えいただきまして、まことに光栄に存じております。  税は国家の存続あるいは国家繁栄の基盤の一つの柱であることは、だれしもが認識しているところでありましょうし、納税が国民の義務であるということについてもまたしかりであります。しかも、社会の高度化や高齢化が進展する中で、高福祉社会の実現は国民共通の願望であろうと思われますが、その実現のためには、社会保障を初め公共サービスが常に一定の水準を確保さるべきことが不可欠であるというふうに考えております。さらに、二十一世紀を展望いたしますとき、高齢化社会への進展は一層進むものと思われますので、こうした中で、長寿でしかも高福祉社会をより確実なものにしていくことは、我が国にとって長期的に見ても極めて重要な課題であると認識しております。  一方、我が国財政の現況は、昭和六十三年度末で公債残高が百五十九兆円の多額に上り、その利払い費は一般会計予算の二〇%にも当たる重い財政負担を強いられているというふうに伺っております。こうした中にあって、経済の活性化を図りながら長寿で高福祉社会を実現していくには、国民負担増につながってくるということは当然のことながら予想されるわけであります。納税者立場といたしましては、税は軽いにこしたことはないというのがごく素朴な庶民感情として否めませんが、社会共通の費用を国民として公平に分かち合いながら社会の発展や国家の繁栄を実現させることは、民主主義の原点として大多数の方々のひとしく認識しているところと確信いたしております。  さて、現行税制は、昭和二十五年、シャウプ勧告に基づく税制改革を基点とするものであるというふうに伺っておりますが、その後社会経済が大きな変貌を遂げる中で、これまでの間抜本的な税制改革が実施されなかったということもございまして、現在の税制には多くの問題を抱えているのではないかと考えております。  まず、国税全体に占める所得税や法人税など直接税の割合は、昭和四十年の約六〇%から昭和六十一年の約七〇%強へと大幅に上昇いたしております。これにつきましては、諸外国における、例えばフランスの五〇%、西ドイツ、イギリスの六〇%などに比べまして、大きく直接税に偏ったものになっているということが指摘できます。  なかんずく、所得税につきましては、納税者の圧倒的多数は給与所得者、すなわちサラリーマンでありますが、その実収入に占める税金と社会保険を含めた負担割合を見ましても、昭和四十年の八・四%から六十一年の一六・一%へと倍増している現状にございます。さらに、私たちサラリーマンにとりまして、給与所得がガラス張りとなっていることから、課税所得が他に比べて捕捉されやすいということなどもございまして、とかくサラリーマンにとって重税感不公平感が一段と強く醸成されていると言うこともできるのではないでしょうか。とりわけ、サラリーマンの就職から退職までのライフサイクルの中で、持ち家の取得とか子弟の大学進学時期等が重なる中高年サラリーマンにとりまして、累進税率影響などもございまして、その重税感は格別大きいものがございます。  また、法人税につきましても、地方税を含めた実効税率がこれまた諸外国に比べて高く、企業税負担に国際間格差が生じていることもございまして、いわゆる産業空洞化、ひいては雇用面への弊害をもたらすおそれがあるのではないかと懸念しているところでございます。  一方、現行の間接税について見ますと、酒税や物品税など個別間接税制度となっていることから、例えばコーヒーやココアなどが課税されているのに対して紅茶は無税であるとか、個別品目の間のアンバランスが生じていること、また洋酒や自動車にかかる税金などのように、国際的摩擦の原因ともなっているものがございますことは、既に皆様御認識のとおりでございます。  以上、私なりに感じている現行税制の問題点を若干述べさせていただきましたが、次に、今回の改正案について意見、要望を申し上げます。  最初に、今回の税制改革の大きな柱となります消費税の新規導入についてでありますが、これは所得消費資産それぞれへの課税の間でバランスのとれた税体系を構築するため、国民に広くかつ薄く安定的な負担を求める観点から導入されるものと理解をしており、税負担の公平化を図るという基本原則に則したものとなっておりますので、私は消費税導入について基本的に賛意を表するものでございます。  しかし、実施に当たりましては、消費所得資産それぞれへの課税について将来にわたる適正なバランスを保持していくことがぜひとも必要であり、また、安易な消費税率引き上げなどによる増税あるいは物価上昇を避けるためにも、消費税率に例えば上限を定めるなど、後世に禍根を残さないよう何らかの形での歯どめ措置を講ずることが必要ではないのかなというふうに感じております。また、この消費税は、商品やサービスの値上げを通じて我々消費者に転嫁されやすいものでありますので、便乗値上げなどによる物価の上昇を引き起こすことのないよう、関係諸官庁からの十分な御指導をお願い申し上げる次第でございます。  なお、電気事業に携わる者の立場から申し上げますと、国民生活に必要不可欠な電気につきまして、消費税導入に伴い、既存の間接税を統合するという観点に立って今回電気税が廃止されますことは、電気を御使用されるお客様にとりましても受け入れやすいことではないかというふうに思う次第でございます。  次に、私たちサラリーマンにとりまして最も関心の深い所得税の減税について申し上げます。  これにつきましては、既に大蔵省、各政党、大学あるいはその他の研究機関などで消費税導入も含めた家計への影響が試算されておりますが、それによりますと、私たち中高年サラリーマンにとりましてはそれ相応の減税となっておりますので、その点は大いに評価をいたしております。しかしながら、巷間言われておりますように、給与所得課税は非課税法人あるいはみなし法人課税などに比べて課税所得が捕捉されやすいということから、私たちサラリーマンにとって依然として根強い不公平感を残すものでございます。したがいまして、今回の税制改革基本理念の一つである公平な課税という観点に立って、より一層の公平化が促進されますことを期待するものであります。  さらに、サラリーマン負担軽減を図るという観点から、累進課税の簡素化と退職給与金の非課税限度額の引き上げについて要望をさせていただきます。  まず、累進課税の簡素化につきましては、既に実施されております六十三年度所得税減税の中で税率構造の見直しが行われているわけでありますが、今後の見直しにおきましても、さらにこの考え方を進めていただきたいものと考えております。  次に、退職給与金の非課税限度額の引き上げについてでありますが、これに関しては、先日の新聞報道によりますと既に御検討されているということでございますので、退職後年金生活を余儀なくされる我々サラリーマンにとって退職金は余生を補うものとなるものでございますので、ぜひその実現を図っていただきたいと思っております。  また、企業人の立場から法人税減税について申し上げます。  これは、単に直間比率の見直しにとどまるものではなく、企業国際競争力強化する意味においても、税率の国際間格差の是正を行うものであり、企業の活力を維持する上で時宜を得たものというふうに高く評価をするものでございます。  次に、相続税についてでありますが、残された家族の生活安定に配慮されてその非課税限度額が引き上げられますことは、これまた適切な御処置と判断をいたしております。  これにあわせまして、サラリーマンにとって一大事業でありますマイホームの取得が容易になりますよう、持ち家の取得、土地税制などに対する特段の御配慮をお願い申し上げるものでございます。  最後に、せっかくの機会でありますので一言つけ加えさせていただきますと、今回の税制改革とあわせて重要なことは、財政支出面における見直しであります。これにつきましては別途検討が進められているわけでありましょうが、新行政改革審議会答申なども十分勘案され、国家支出の合理化、削減に特段の御配慮をいただきたいものと、この機会に申し添えさせていただきます。  以上、種々私なりの意見を申し述べさせていただきましたが、今回の税制改革に当たりましては、国家百年の大計に立って国民全体のコンセンサスが得られるような税制が実現されますことを期待いたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  196. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、伏見亮君、お願いいたします。
  197. 伏見亮

    ○伏見亮君 伏見でございます。  私は、宮城県内の中小企業団体、労働団体、消費者関連団体などで構成されている消費税の新設をやめさせる宮城県民会議を代表して、消費税の新設に反対する意見を申し述べます。  あらかじめお断り申し上げておきますが、私は今社会党の御推薦でこの場に立っておりますが、この団体はもともと不偏不党、いわば超党派的な大衆団体であり、私自身は自民党の党友であります。しかし、消費税問題に関する限り、政党政派の立場を超えて是々非々の姿勢を堅持しております。  私たちは、昭和五十四年大平内閣が大型間接税の創設を提案して以来、次のような二つの主張を原則として運動してまいりました。  一つは、行財政改革と租税特別措置法など不公平税制是正を徹底的に行うことを求める。もう一つは、その結果、国家の運営上どうしても財源に不足を来すときは新税の創設もやむを得ないが、その場合は、政府・与党は合理的な税制案を提示し、適当な機会に国民の信を問うことを求める。  この二つは、当時も今も変わりない大方の世論であると存じます。昭和五十四年の第九十一回国会決議も、一昨年の衆参同日選挙の政府・与党の公約も、この世論を無視し得なかったあらわれだろうと存じます。  しかし、その後、中曽根内閣から竹下内閣に至る政府・与党の政治行動は、この世論と国民の期待に逆行するのではないかと思われてなりません。  私は、これから消費税の新設に反対する理由を、立場を異にする構成団体それぞれの視点から詳しく申し述べたいと思いますが、時間の制約がありますので、包括的に陳述いたします。  反対理由の一つは、六十三年六月に大蔵省から発表された国税、地方税についての税制改革の骨格を拝見いたしますと、課税の適正化など、いわゆる不公平税制是正については若干の努力は認められますが、しかし一兆二千億円で、ほんのわずかにすぎません。これは、税の専門家である富岡幸雄中央大学教授の調査によると、租税特別措置法で三十二項目を見直し、廃止しただけでも九兆七千億円の増税ができるし、地方税では六兆四千五百億円が出るという結果が出ております。もちろんそれぞれの立場視点が異なるにしても、この数字には雲泥の差があり、不公平税制是正についての国民の期待は満たされておりません。  反対理由の二つ目は、税の減収に伴う埋め合わせは専ら三%の消費税の創設による五兆四千億円によって行われることになっておりますが、既存間接税の廃止など三兆四千億円はいわばダブりであり、消費税の創設による純増収は二兆円にとどまります。二兆円の純増収では、減税に伴う地方税の減収分や消費税そのものの中央、地方負担分を補てんするとほとんどゼロに近いかマイナスになるのではないでしょうか。宮城県ですら県市町村の税の減収は八十九億円となり、消費税負担分は県だけで六十億円から七十億円で、市町村まで合わせると二百億円近くになるだろうと推計されております。最近、政府は、中央、地方負担分を八千億円と試算したようでありますが、これは宮城県のケースから見て甘過ぎるのではないかと思われます。ある民間の調査機関の試算では、国の負担が一兆円、地方で同じく一兆円、合計二兆円となっております。これらの正否については国会で詰めていただかないと判然といたしませんが、場合によっては我々は消費税に加えて地方税の増税など二重の負担を強いられるのではないかと危惧されております。  反対理由の三つ目は、先ほども申し上げたとおり、三%の消費税では、税の純増収はゼロに近く、新鋭に伴う中小企業の手間暇、税務当局の徴税コストを考えたら、何のための新鋭かわからないナンセンスな税であると思われてなりません。したがって、消費税が税としての意味を持つとしたら、政府は五%から一〇%の税率アップを予定しているのではないかと考えられるわけでございます。  反対理由の四つ目は、三%の税率でも中小企業にとっては消費者への完全転嫁は至難であります。消費支出、特に減反、米価引き下げによる農家の消費支出の落ち込みは深刻であり、消費税含みの価格アップは中小企業の売り上げの減少につながり、経営危機に陥ることは必至であります。殊に宮城県におけることしの米の減収は、金額にして五、六十億円にも達するだろうと推計され、地域経済の荒廃が心配されている現状であります。  なお、税を転嫁するためのカルテルを認められても、中小企業は大企業と違って競争体質が強く、税の転嫁が困難であるばかりでなく、大企業のカルテルを利用した値上げを消費者とともにかぶる危険性は極めて大きい。ましてや、歯どめのない税率三%から五—一〇%への税率アップとなった場合は、中小企業は致命的な打撃を受けることは必至であります。  反対理由の五つ目は、リクルートコスモスの疑惑によって国民の政治不信は高まるばかりです。特に金融資産課税キャピタルゲイン課税の適正化を求める声はちまたに満ちております。殊に東北地方の金融資産の保有、とりわけ利殖効果の高い有価証券の保有高は、総務庁の六十一年貯蓄動向調査によれば、九つの地方別比較で最低の数字を示しており、金融資産課税に甘い税制改革はますます地域格差を拡大いたします。中小企業立場からばかりでなく、地方の住民の立場からもこの改革案に対しては全面的に反対であります。  なお、終わりに臨み、国会の先生方にお願いがあります。それは、法案審議状況公聴会の開催など余りにも性急、拙速、形式的ではないかと思いますので、今後は国民の納得を得られるよう実施、運営の方法を改善されたく切望する次第でございます。  以上で、私の意見陳述を終わります。(拍手)
  198. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、若生金郎君、お願いいたします。
  199. 若生金郎

    ○若生金郎君 私、ただいま御紹介いただいた若生金郎でございます。  このたびは、国会の先生方、御多用のところわざわざ仙台までお越しいただきまして、我々の税制に対する意見を聞いていただく機会をつくっていただきまして、まことにありがとうございます。  私は、宮城県の石巻で建設業を生業としております若生工業を経営しておる者でございます。なお、地域におきましては、石巻の商工会議所の会頭、それから県の建設業の会長を引き受けております。きょうの意見は、この公聴会も大変唐突で忙しかったものですから、そういうような意見を調整する間がございませんので、若生金郎個人の意見としてお聞き取り願いたい、かように考える次第でございます。  税制につきましては、今日まで深く研究したことはございませんので、したがって私の意見陳述は、数値を駆使した論議よりも、市民、国民の一人として肌に感じた抽象的なことが多くなると思いますが、この点につきましてあらかじめ御了承をお願いする次第でございます。  我が国税制が昭和二十五年のシャウプ勧告に基づく税制を根幹といたしまして、その後においては抜本的な改正は今日まで行われておりません。しかし、二十五年から今日に至る間、我が国経済規模の拡大、国民の生活の向上、国の富の増大、これは非常に大きなものがございます。したがいまして、この税制改革につきましては、歴代の内閣はいろいろお考えになったようでございますが、大平内閣しかり、中曽根さんしかり、しかし、今度の竹下内閣においてどうしても決着を迫られる事態になってきたということは、我々としても肌で感ずる次第でございます。  そういうわけで、この税制改革法案につきまして、間接税と直接税の比重の大きさ、これが欧米先進国に倣うように、逐次直接税から間接税への比重の移行が行われるために今度のこの法案ができたものと承っております。  戦前の昭和九年から十一年ごろの統計を見ますと、所得税、法人税、いわゆる直接国税の比率は三二、三%、その他は酒税、専売の納付金、それから税関の税金、関税、印紙収入、そういうもので占めておった状態でございますが、シャウプさん以来そういうような直接国税が重点になったというのが今日に至った経緯ではないかと思っております。  しかし、先進諸国におきましては、そういうわけで間接税の比重が大きいということで、逐次こういうような傾向になったと思われますが、この点につきまして、私どもはこのたびの法案に対しまして基本的には賛成でございます。ただし、その施行につきましていろいろお願いしたいこともございますので、後刻申し上げるつもりでございます。  賛成の理由といたしましては、前の陳述者も申し上げましたように、所得税の累進の厳しさの是正、それから法人税率の低下。法人税率の低下によりまして各法人が内部資産を蓄積して、そしてそれはすなわちまた税として還元していくというような循環が行われるので、所得税の累進の厳しさの是正法人税の低下、こういうことにつきまして、これも賛成でございます。  それから、物品税が廃止されて一般の消費税になるということ。物品税は、何となく奢侈税という、奢侈、ぜいたくというのが根本になって設定されたような気もいたします。したがいまして、現在のように国民が高度の生活を持って、そして十分な消費の生活をしているというときにはまことに不適合だということは、先生方の御指摘になったとおりでございまして、これにつきましても、消費税という広く浅く税を徴収しようということについて賛成しております。  それから、キャピタルゲインの問題が出てまいましたが、これは前の陳述者が申し上げたと同じく、全く賛成でございます。このキャピタルゲインにつきましては、きちっと把握いたしましてある程度の税を取るというようなことを、これはこのたびのことにもうたってありますので、大変いいことだと思っております。金融の面が、最近日本におきましても非常に世界の金融界をリードするような銀行がどんどん上位に出ておりますが、そういうような事態を踏まえた中で、金融市場、証券市場の膨大さは物すごいものがございます。その中でキャピタルゲインに特例がございまして、そして税金を払わないで済むというようなことが、やはり国民的な常識から考えましても不適当だと思います。したがいまして、これにつきましては、税の徴収、原則課税ということは賛成しております。  それから、国民感情といたしまして、医師の優遇税制などございましたけれども、これにつきましてもやはり補正するというようなこと、それから相続税に対する配慮、そういうことも、先ほど陳述がありましたが、全く同意見でございます。  なお、私が賛成している理由の最後に、景気が大変よろしゅうございます。昨年の五兆円の追加補正や何かによりまして、鉄鋼六社、高炉六社も復配ができるというような状態で、日本の景気が今非常に好調になっております。承るところによると、この好調は今後一年は続くのじゃないか、こういうふうな状態でございますので、こういうような景気の好調なときにぜひこういうことを実施に移していただきたい。時期としては今、できるだけ早く議会の協賛を得てこういうことをしていただきたい、かように考えるところでございます。  それでは、この法案を実施するにつきましてどういうことをお願いしたいかと申しますと、各業界ともそれぞれ特殊事情がございます。小さい小売業店に行きますと、小さい商品に三%かけて百円を百三円で売るのはまことに困るというような意見もございますが、全部を百円で売るような商品をつくってその中に包括させる、そういうようなこともできようと思います。例えば、缶ジュースを買いましても、それに三円乗っけるのでなくて全体として百円の商品をつくる努力、これも業界でやっていいことだと思います。そのように、各業界ともそういうおのおののミクロの状態におきます要望がございますので、この要望を各業界代表とよく打ち合わせを願いまして、そしてその要望を取り入れていただく、かようなことをお願いしたいと思います。  なお、消費税につきまして、三%ということが、昨年は五%という数字も出ましたので三が五になるんではないかというような危惧もございますので、できるだけ三%という線を厳守していただきたい。  それから、次は公正取引委員会に対して理解を少しお願いしたい。これから殊にソフトの分野の仕事がふえてまいりますと、ソフトの分野の仕事は一件幾らというような契約になりがちでございます。その中に三%をねじ込まれてしまうととても仕事ができなくなる。そういうようなことでございますので、一部は公正取引委員会におきましてもカルテル行為は認めるよというようなことは承ってはおりますが、いろいろ個々の問題になったときに、それはおれの方の見解でないというようなことが多々出るんではないか、こういうふうに危惧しておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それから、この法律は、私は一読ぐらいしかしておりませんが、法というものは簡明にしていただきたい。昨年のように法並びに施行法でいろいろ細かいことまでどんどんどんどん広げていきますと、煩瑣が先に立って我々払う方の事務能力は追いつかない、そういうことにもなろうかと思います。今度の法案はそういう点も十分考慮されているようでございますが、なおこれにはお心をお尽くしくださいまして、そしてできるだけ簡明なところでやりやすい方法でお願いしたいということでございます。  それから、最後でございますが、この法案審議の過程においてリクルート問題のようなものが出てまいりました。リクルート問題はキャピタルゲインにも関係あるし、おのおの政治家の姿勢にも関係あるやに承っておりますが、この法案の成立こそ次の二十一世紀を目指す日本の将来の税制として私は非常に期待しているものでございますので、政府並びに与党の先生方はほかの政党とよく情理を尽くして議論願う、そして後は議会の規則にのっとって採決をなさる、そういうようなことにしていただいて、リクルート問題は一つの刑事問題としてももういろいろ手が入っておりますが、それはそれとして、この問題を片づけた後にリクルートのような問題を厳正にそして正確に処理していただきたいもの、かように考えております。  以上で大体私の申し上げることを終わったわけでございますが、昨年の場合は、国民の間に非常に不信感それから不可解な点がございまして、まずわからないから反対であるというような声がちまたにみなぎっておりました。ことしになりまして、私も大変人と接する仕事をしておりますが、消費税はしようがないんじゃないか、ただやり方だというような受けとめ方になってきたような気がいたします。したがいまして、政府当局におきましても、よくそのPRを国民の隅々まで至るような方法を考えられまして、そして国民にPRをする。要するに税ですから、みずから好んで納めましょうというような態度には出るわけはございません。したがいまして、そういうふうにPRをして、その税を理解して、そしてそれについておのおのの業界、立場がございます。そういう立場のところは微調整できるものなら微調整をしていただいて、そして同意を得てこの法案審議を進めていただきたい、さように考えるわけでございます。  先生方、各党ともこの問題については大変お骨折りと思いますが、私は、先ほど申し上げましたように将来の日本の運命、運命と申すと大きゅうございますが、とにかく財政を施行する上においてこの税の改革は必要欠くべからざるものと認識しております。そういうわけでございますので、どうぞよろしくお願いする次第でございます。  したがいまして、第三番目に、賛成という態度で以上のことを申し上げた次第でございます。(拍手)
  200. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、高橋志朗君、お願いいたします。
  201. 高橋志朗

    ○高橋志朗君 初めに当たりましてお礼を申し上げたいと思います。このような意見を発表する機会を与えられましたことは非常に光栄に存ずる次第であります。  私は、公明党の推薦ということでございますが、お墨つきをいただいておりますので、一研究学徒として私見を述べさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。私の見解は、既に中央の先生方が述べているものと本質的にはそうかわりばえのしないものになると存じます。しかも、短時間でまとめ上げましたために未整理な部分がございまして、不明な点も多かろうと存じます。しかも時間も限られておるということですので、言い尽くせない部分が出てくるかと思いますが、それらにつきましては、後に御指摘を賜りまして可能な限り御説明申し上げたい、かように思うわけです。  私の結論といたしましては、次のような二段階改革論を支持いたします。税制改革の当面の課題は、シャウプ勧告に示されました包括的所得税の再建を目的として、現行税制の整理合理化に置かれるべきというのが第一段であります。次に、消費税導入でありますが、これにつきましては税制改革の中長期的な課題とされることが望ましい。以上であります。  今日提案されております税制改革法案の源流と言われますものは、昭和六十一年十月に政府税調から発表されました抜本的税制改正答申に求めることができると考えております。この中間答申は、従来から問題の指摘されておりました直間比率是正論というものにかえまして、所得消費資産という異なる課税ベース間の組み合わせを問題とするいわゆるタックスミックス論を展開しておる点で大きな前進が認められたと考えます。今日提案されております改革法案も、また基本的にこの改革論を踏襲しておると見ることができると考えます。しかしながら、それは税制改革案としては極めて不十分な展開を示しているにすぎない、かように考える次第であります。  従来、多くの支持を集めてまいりました税制改革論の一つは、シャウプ勧告に代表されます包括的な所得税と呼ばれるものであります。それは、応能負担原則と呼ばれるものに基づきまして課税の公平を保証する制度として、今日もなお広く一般にその意義を認められております。  こうした包括的所得税の発想に対して、消費課税ベースを求めるもう一つの考え方がございます。この考え方は二つのタイプに分かれます。一つのタイプは、付加価値税に代表される間接課税方式による消費課税を推す考え方であります。第二のタイプといたしましては、包括的所得税と同様に応能負担原則に基づく課税の公平の実現を目指して、直接課税方式による消費課税を提案する改革論であります。これは耳なれないものでありますが、一般に支出税構想と呼ばれております。  これらの改革論は、そこで支持されている課税ベースこそ異なりますが、特定の課税ベースをもとに構成される整合的な税体系の構築を目的とする点では、いずれも全く同様でありまして、そこでは、論理的な首尾一貫性というものが極めて重視されておると言えます。消費税導入は、消費課税論の立場からは消費ベースの租税として積極的に支持されるばかりでなく、包括的所得税の立場からしましても、間接税制度の合理化あるいは近代化という観点から合理的に支持され得るものと考えられます。  しかし、今回の法案が打ち出しました広く薄い課税という改革構想は、こうした伝統的な改革論の領域を超えるものでありまして、そこに税体系論としての首尾一貫性を見出すことは非常に困難であります。つまり、広く薄い課税という改革構想は、それが異なる課税ベースへの均衡のとれた租税体系の確立を主張する点で、伝統的な改革論の立場からは、所得課税論と消費課税論の共存という矛盾した主張を唱えるものとみなされることになるからであります。  何ゆえこうした改革構想が採用されなければならなかったのか、その理由は必ずしも明らかではございません。法案は幾つかの事情を挙げて、その理由を説明しようとしております。  その一つに、所得水準の上昇及び平準化と呼ばれているものが挙げられます。これは、我が国国民の生活水準が押しなべて平均化しているという実態認識を示しておるのであります。しかし、こうした認識の正当性を立証するに足る十分な説明は、法案には全く見当たりません。仮に、それが単に給与所得者所得水準だけを対象にした議論であって、しかも、そこで所得水準の上昇と呼ばれているものの中に、インフレーションによる名目賃金の上昇あるいは円高による国際比較上の優位性の影響等が反映されているとすれば、そこから導き出される結論は、勢い、国民各層の生活水準の動向を正確には反映しない、非現実的なものとならざるを得ない側面があると考えます。こうした問題提起は、広く薄い課税という改革論の根底を大きく揺るがすものとなると考える次第です。  さらに重要な論点は、広く薄い課税という改革構想に、抜本的改革案としての有効性が認められるか否かという点にあります。最近の統計資料、これは昨年、昭和六十二年十一月の発行ですが、大蔵省の広報から発行されております「ファイナンス」という雑誌がございます。この別冊の資料です。若干古いかもしれませんが、国際比較をする上では、ちょっとほかに手元に資料がなかったものですから、これによりますと、我が国所得税の国税収入構成比率は四〇%程度、正確には三九・三%だと思います。これは先進各国と比較しますと、アメリカが七四・二%で図抜けておりますが、イギリス三六・八%、西ドイツ四一・五%、フランス二四・三%でございまして、決してそれは高いものではございません。それにもかかわらずなぜ重税感がかくも強いのか、特に給与所得者中心に強いのか、これが問題であります。  その原因の一つは、所得税の負担給与所得者に余りにも偏り過ぎているのではないだろうかというふうに考える次第です。資料によれば、所得税の中でも源泉課税分の国税構成比率、これは三〇・六%になっております。したがって、所得税の負担の内訳でいきますと、実に八〇%近くが給与所得者の肩にかかっている、こういうことになるわけであります。  こういった状況に対しまして、今回の法案は、広く薄い課税を提案し、所得税減税消費税導入の組み合わせによってこの問題を解決しようとしているわけであります。こうしたアプローチは、給与所得者重税感をある程度緩和するものとなると考えます。しかしながら、それは所得税制度の内部改革を伴わない以上、不公平の抜本的な解消にはつながらないばかりか、所得税への依存度の低下によって新たな不公平が生まれる危険性があると考えます。また、広く薄い課税構想のあいまい性が租税体系に錯乱要因を持ち込むことも考えられます。現行所得税制度のひずみを取り除くには、その内部改革が不可欠であるというのは至極当然の理屈であります。  現行所得税制度の内部改革という視点に立つとき、アメリカ合衆国における一九八六年租税改革法、とりわけその改革構想の基本とされましたアメリカ財務省報告は格好の手本になると思います。  この報告書の最大の特色は、基本的に包括所得税を支持し、免税及び非課税制度の撤廃を通じて課税ベースの徹底的な拡大を図ることで、個人所得税の累進税率構造の簡素化及び税率の思い切った引き下げを可能にしている点にあります。そうすることによって、一定の垂直的公平を維持しながら、水平的公平性や簡素性、さらには経済中立性といった改革目的の達成がそこで図られております。そして、こうした改革構想はシャウプ勧告のそれと基本的に一致するものであります。そこに示された改革構想は、我が国税制改革にとっても極めて有力な指針を提供するものと考えます。  次に、所得税制度の内部改革という見地から、今回の改革法案で問題とされるべき具体的ポイントの幾つかを指摘したいと存じます。  まず、包括的所得税の最も基本的な要素であります課税ベースの拡大という側面では、今回の改革法案は、株式キャピタルゲイン原則課税を打ち出している点で評価できるが、不徹底な部分もなお多いと思います。不公平税制として従来から批判のありました医師優遇税制、みなし法人課税制度などの業種別優遇税制の廃止は緊急の課題とされるべきであります。また、納税者番号制の導入は、主にキャピタルゲインや預金利子といった資産性の所得の捕捉に極めて有効であり、包括的所得税の適正な運営に役立つ。その意味で、その早急な導入がより積極的に検討されるべきであろうと考えます。  また、所得改革法人税改革を通じて見過ごされてならない点として、法人税所得税の統合の必要性が挙げられます。法人に対する課税をどのように考えるかにつきましては、これを個人に対する課税と全く同様に独立した課税であるとする考え方、いわゆる法人実在説的課税と、法人を株主の集合体とみなして、法人税所得税の一部であるとする考え方、いわゆる法人擬制説的課税とに二分されます。株式が公開され、所有と経営が分離しているような大法人にあっては、法人擬制説的課税は実態にそぐわないものと言えるかもしれません。しかしその反面、法人擬制説的課税においては、配当所得に対する所得税の総合課税必要性が強調されるのに加えて、法人所得の内部留保に対する株主持ち分への課税としてキャピタルゲイン課税総合課税が強く要請されることになります。包括的所得税の徹底を図る上では、法人擬制説的課税の意義が大いに認められるところであります。  最後に、今回の改革の柱とも言える消費税法案の問題点に触れておきたいと思います。  何よりもまず、消費税が間接消費税としてその本来の機能を十分に発揮するための仕組みが確立される必要があると思います。租税の転嫁が業者間の経済的な力関係によって支配され、消費税負担の多くが業者に及ぶことにでもなれば、間接税としての消費税本来の機能は大きく損なわれることになります。消費税は第二の法人税あるいは第二の事業税として変質していくことになるわけです。税額の転嫁を保証し得るかどうかという問題は、消費税導入の意義を大きく左右する重大な問題でありまして、帳簿方式の採用は望ましくない、かように考えます。また、簡易課税制度が広範に導入されていることや免税点が比較的高く設定されていることも問題となろうと考えます。  次に、消費税における簡素性と公平性との間に存在するいわゆるトレードオフの関係がより明確に認識されるべきであろうと考えます。付加価値税は大なり小なり逆進的であります。そして、ヨーロッパ諸国の経験が示すように、それを軽減しようとすれば、税額の還付を伴ういわゆるゼロ税率の採用あるいは複数税率の採用が避けられず、それによって制度の複雑化が招来されることになります。  これらの点で、付加価値税あるいは消費税導入には周到な準備が必要であり、それなくして付加価値税の円滑な運営は期待できません。今回の消費税法案は、昨年の売上税法案とは全く対照的に、導入及び実行可能性への配慮を優先し過ぎている嫌いがあり、逆進性の緩和や税額の転嫁に対する配慮は必ずしも十分とは言えないと考えます。しかも、既に述べましたように、所得税に対する税収の依存度は比較的低く、所得税にはいわばまだ余裕があります。付加価値税の導入を今急ぐべきではないとする理由がここにあります。  しかし、高齢化社会を急速に迎える中で、近い将来、所得税制度の内部改革だけでは対応し切れない財政需要に直面することが十分に予測されるわけであります。したがって、付加価値税の導入は、むしろ避けては通れない重要課題として税制改革の中長期的なプログラムの中に組み込まれる必要があるものと思われます。  以上です。(拍手)
  202. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、伊藤喜一郎君、お願いいたします。
  203. 伊藤喜一郎

    伊藤喜一郎君 ただいま御指名いただきました多賀城市長の伊藤でございます。  衆議院税制問題等に関する調査特別委員会の諸先生方には、日ごろから地方自治行政につきまして格段の御理解と御高配を賜っておりますが、この機会に厚くお礼を申し上げたいと存じます。  本日は、税制改革問題につきましてせっかく公述の機会を与えていただきましたので、都市行政を預かる市長の立場から意見を申し述べさせていただきます。  なお、今回の税制改革につきましてはそれぞれの立場から種々の意見や主張がございまして、私ども市長をもって組織いたしております全国市長会の中で特に意見の集約をしたものではなく、以下私が申し述べますことは、あくまでも私の個人の意見であるということでお聞き取り願いたいと思います。  さて、御承知のとおり現在の我が国税制は、皆様方からもお話がありましたとおり昭和二十五年のシャウプ勧告をもとにしておりますが、約四十年を経過した今日、さまざまなゆがみが目立ってきておるわけでありまして、これは周知のとおりでございます。このゆがみやひずみは、近年におけるところの我が国経済社会の著しい変化税制が十分に対応できないために生じているものであり、結果といたしましては国民の中に税に対する不公平感重税感が高まってきていることは否定できないところでございます。  したがいまして、今後におけるところの我が国の本格的な高齢化社会の到来や経済社会の将来を展望いたしますとき、このような国民税負担に対する不公平感を払拭するとともに、所得消費資産等の間で均衡のとれた望ましい税体系を整備することが強く期待されているところでございます。この点につきましては、私だけではなく、多くの市民がそれを望んでいるところでございますし、また、かねてより全国市長会といたしましても要望をいたしておるところであります。  このようなことからいたしまして、今回政府におかれましては、所得税負担の軽減合理化及び消費税消費譲与税の創設等を内容とした、いわゆる税制改革関連六法案を今国会に提案されております。この法案は、公平、中立、簡素という租税原則に照らして、国民の税に対するところの不公平感を払拭するとともに、いわゆる直間比率の見直しを行い、所得消費資産等の間で均衡のとれた望ましい税体系の構築を図ることを目的としているのでありますからして、私といたしましてはこれを信じ、また従来からの私どもの要望に沿うものであると存じております。  ところで、私ども地方団体は、税制改革案において、国民の租税に対する重税感不公平感の解消を図る見地から、消費税の創設に伴う収入見込み額を超える大幅な減税が行われることとなりましたことから、税のいわゆる減税及び地方間接税の廃止または調整併課に伴い地方交付税並びに地方税の大幅な減収となり、これが地方税財政運営に支障となることにかんがみ、この減収分に対するところの十分な財源補てん措置を求めてまいったところであります。  幸いにして、既存の間接税の廃止または調整併課に伴うところの減収額につきましては、消費譲与税の創設により完全に補てんされることとなり、また、所得税、法人税等の国税の減税に伴う地方交付税減収分につきましては、消費譲与税を除く消費税地方交付税対象税目として、その二四%を地方交付税とすることで完全な補てん措置が講じられたことになるわけでございます。  また、個人住民税等の減税に伴うところの減収分につきましては、地方交付税によりその一部が補てんされることになるものの、七千九百億円の純減収が生ずる見込みとなっておりますが、これにつきましては、今回の税制改革が、前回の売上税関連法案のようないわゆる税収中立性の原則によらず、国民のニーズに対応して住民負担の軽減合理化を図ることを先行することとされたことから、いわば自前の減税ということとして受けとめておりますので、今回の税制改革の重要性にかんがみ、やむを得ない措置と私は考えております。  また、今回の税制改革案に伴うところの減収の補てんにつきましては、その補てん率が国の方では六七%に対しまして地方が七三%と高く、また改正後の国、地方の財源割合も改正前に比べて若干地方が高くなることとなっていることは、地方への配慮がなされたものと理解をいたしているところであります。  なお、個々の地方団体に対しましては、今後地方交付税消費譲与税を通じまして激変緩和の措置が講じられると伺っておりますが、今後とも地方行財政運営に支障を生ずることのないように、万全の措置を講じていただきますように改めてお願いを申し上げる次第でございます。この点、特によろしくお願い申し上げたいと存じます。  なお、地方税の減税に伴うところの減収額につきましては、最近における税の自然増収の一部により賄われることとされておりますが、基本的には行政改革による対応が必要であると私は考えております。  既に行政改革に取り組んでいる私どもといたしまして、地方公共団体の立場から申し上げますと、補助金等の整理合理化あるいは地方への権限移譲を前提とした組織の縮減、諸制度の改善など、国におかれましては引き続き行政改革の推進をお願い申し上げたいと思うのであります。  もとより、地方自治団体といたしましても、今後とも一層行政改革に取り組んでいくことといたしておりますが、行政改革を推進するに当たりましては、国と地方の信頼関係の確立が何よりも重要であり、これは今回の税制改革にも通ずるものであると考えております。  しかしながら、現在国と地方の間において国庫補助負担率の復元問題が懸案となっているのであります。せっかくの機会でございますので、この点につきまして一言述べさせていただきたいのでありますが、諸先生方の御理解と御協力を賜りたく存じます。  御案内のとおり、国は財政難を理由といたしまして昭和六十年から数次にわたって補助負担率の引き下げを行い、四年間で約五兆円もの多額に上っておりますが、厳しく地方財政を圧迫しておる状況であります。申すまでもなく、この引き下げ措置は、国の補助金等の臨時特例等に関する法律等に基づき、本年度限りの暫定措置として実施されたものでございます。したがいまして、法律の期限がもう既に来ておりまして、しかもその後の国の財政状況は、最近の経済情勢を反映して巨額の自然増収が生じております。当時とはその事情が大きく異なっているのでございまして、当然のことながら、明年度以降の国庫補助負担率は昭和五十九年度の水準に復元すべきものと私は考えているのであります。  この問題につきましては、政府において昭和六十四年度予算編成の過程でその取り扱いを検討されることになっておりますが、以上申し上げましたとおり、明年度以降の国庫補助負担率を昭和五十九年度の水準に復元することは、国と地方との財政秩序を回復し、その信頼関係を確立するための国の当然の責務であると存ずるものでございますので、予算編成に当たり、諸先生方の御理解と御高配を賜りまするようにお願いを申し上げる次第であります。  以上、甚だ簡単ながら、税制改革並びに当面する地方財政に関する重要問題につきまして忌憚のない意見を述べさせていただきました。  大変貴重な時間をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。終わります。(拍手)
  204. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  次に、三浦重信君、お願いいたします。
  205. 三浦重信

    ○三浦重信君 三浦でございます。  本日は、民社党の推薦によりましてこのような機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げます。  私は、宮城地方同盟の会長をしておりますけれども、と同時に、地方の連合準備会の議長もしておるわけでございます。そういう立場から意見を述べさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  実は私も二年前、税制調査会の仙台公聴会にも公述人として出席をいたしまして、その際も、税制改革はまず現行不公平税制の徹底是正を断行し、国民各層の公平かつ公正な税負担を基本とする増税なき抜本改革を図るべきだと意見を申し述べてまいりました。特に私ども労働組合、いわゆる勤労者、サラリーマンの主張は、一つは、勤労所得に重く、資産所得または資産に軽くなっている現行税制を改善をしていただきたいということ、二つ目は、源泉納税と申告納税との間にある制度と執行面の不公平を徹底是正をしていただきたいこと、ということでございましたが、このような観点から今度の改革案を見ますと、率直に申し上げまして依然間接税の導入が先にありきで、私どもが主張しております不公平税制是正の実質的な内容に乏しく、全体を通じまして課税の公正なり国民生活に立った視点が欠けているのではないか、こういうふうに判断をされるものでございます。  これまでも不公平税制是正につきましては、勤労者の立場からいろんな場で繰り返しその内容を明らかにしてきたわけでございます。その主なものにつきましては、サラリーマン重税感解消という立場から、一つは、物価自動調整措置導入の問題、二つ目は、冠婚葬祭費とか通勤手当の無税というふうな実効ある実額控除制度の導入、さらには退職所得控除の引き上げとか、財形非課税限度額の引き上げとか、住宅取得促進税制の改善とか、そういう政策福祉減税の実施の問題、さらには脱税の問題なり捕捉率の問題で、記帳義務とか総収入申告制とか罰則の強化とか時効の延長とかこういう問題、さらには優遇税制と言われておりますようなみなし法人及び医師優遇税制の撤廃、さらには宗教法人の課税、こういうことでございましたが、今回の法案を見ますとほとんど手つかずの状況であり、一部見直しがされているところもありますが、抜本改正とは言いがたいものでありまして、もっと突っ込んだ審議と明確な改正を実現していただきたいと要望をするわけでございます。  また、資産課税につきましても、キャピタルゲイン原則課税とすることに賛同するわけでございますが、今回の案では現行の有価証券取引税の拡充程度と考えられるわけでございます。私は、捕捉制度としての納税者番号の導入などによる総合課税制度にすべきだと考えるわけでございます。  一方、今日の土地高騰は目に余るものがあるわけでございまして、既に首都圏ではサラリーマンのマイホームの夢というのはなくなり、今や地方にまでそういう問題が広がりつつあるわけでございます。そのことが、まじめに働く者が報われない社会的格差や不公平を拡大しつつあるわけでございまして、このまま放置いたしますと自由で公平な社会が崩壊してしまうのではないか、こういう危惧さえ感じるわけでございます。しかし、これらの問題に対しまして政府案はほとんど触れられていないのではないかと思うのでございます。したがって、生活にかかわる部分は除外としまして、土地保有税強化など土地税制について抜本的に見直していただくことを要請するものでございます。  これまで述べてまいりました諸案件は国会の中でも論議されていることは承知をしておるわけでございますが、不公平税制に関する与野党協議に対する回答は極めて不十分というふうに感じておるわけでございます。総理府の世論調査でも明らかなように、国民の八〇%が現行税制の不公平を訴え、加えまして税制改革必要性を認めている国民が九七・二%というふうな数字が出ているわけでございまして、この不公平税制是正なくして抜本税制改革はあり得ないと思っておるわけでございます。そして、この是正をすることが、国民の政治への信頼感を回復できるものというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この不公平税制の徹底是正に与野党は全力を挙げていただくことを強く要望するものでございます。  続きまして、消費税に関して意見を述べさせていただきたいと思います。  現行の間接税につきましては矛盾、問題点があること、さらには赤字財政を解消する財政再建が急務であること、さらには高齢化が進むにつれまして年金や医療費など歳出がかさむこと等々、十分承知をしておるわけでございます。だからこそこれまでも、所得資産課税の不公平是正を徹底的に行いながら、高齢化社会の姿と税制全体のあるべき姿、基本構想を明らかにしながら、これをもとに税制改革の大枠を固め、個々の税目について拙速を避け、十分時間をかけ、国民の合意形成に努めながら改革すべきであろうということを申し上げてきたわけでございます。しかし、この不公平是正が不十分のまま、そして高齢化社会のきちんとした姿があいまいなままこの新消費税の具体案が出されましたことは、到底私どもとしましては容認するわけにはいかないのであります。  また、その内容を見ますと、今回の法案の中に中堅層を中心所得減税が盛り込まれていることは評価をするものでございますが、低所得者に対しては減税の幅が小さく、消費税導入をされますと逆に増税となること、加えて非課税世帯が重税となることなど、いわゆる逆進性の問題、それから三%で導入をするわけでございますが、先進諸国の例を見ましても税率が今後高まるかもしれないという問題、さらには価格の転嫁が本当にできるのかという問題、そして所得捕捉が不徹底なものであるわけでございますから新たな不公平を生む可能性があることなど、多くの問題を内蔵しております。したがいまして、十分時間をかけ審議していただくことを強く要望するものでございます。  重ねて申し上げるわけでございますが、何よりもまず現行の不公平と言われている税制を徹底是正をしていただきたい。もしもこの臨時国会消費税導入しようとするならば、国会国民の信を問うべきではなかろうかと考えるわけでございます。  以上申し上げまして、最後に、これまで申し上げました意見、これからの審議の中でぜひ実現していただくことを重ねて要望し、私からの意見陳述にかえさせていただきたいと思います。  ありがとうございます。(拍手)
  206. 加藤六月

    加藤座長 ありがとうございました。  以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  207. 加藤六月

    加藤座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。池田行彦君。
  208. 池田行彦

    池田(行)委員 意見陳述者の皆様方には、大変御多忙の中をわざわざ御出席賜り、そしてまた、ただいまはそれぞれのお立場から大変貴重な御見解をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございます。ありがたく御礼申し上げます。  時間も限られておりますけれども、若干補足して御見解をお伺いしたいと存じます。  まず最初に田沼さんにお伺いしたいのでございますが、御意見の中で、現在消費税は三%という税率導入されようと提案されているけれども、将来これを引き上げるというような動きがあるかもしれない、それに対する歯どめ措置をしっかりしていくようにという御意見がございました。この点につきましては、既に当委員会におきまして総理大蔵大臣初め政府側から繰り返し、そのようなことはないという見解が明らかにされておるわけでございますが、そういった政府答弁に加えてさらに何らかの歯どめ措置が必要なのか。例えば決議だとかあるいは法律の中において附則においてとか、そういうことをお考えになるのかどうかという点、それが一点でございます。  それから第二点ですね。今回の所得減税、全体としては評価するけれども、この改正がなされて依然として中堅層、特にサラリーマン層の中においては不公平感は完全に払拭されないであろう、将来にわたってより一層の推進を願いたいという御意見がございました。それで、具体的にどういうことを将来さらに改善していくべきであると考えておられるか。例えば、さらにサラリーマン中心とした所得減税を進めるべきだという、これが一つの道だと思います。あるいは、まだいろいろ不公平のもとになる税制なりあるいは執行面でもいろいろあるだろう、そちらの方を改めていけという御見解なんだろうか。その二点について御意見をお伺いしたいと思います。
  209. 田沼四郎

    ○田沼四郎君 それではお答え申し上げます。  第一点の消費税三%に対する歯どめの問題でございますが、これは立法上どういうふうにすればいいのか、むしろ先生方が御専門でいらっしゃいます。あらかじめ上限を決めるということになりますと、上限まではその上昇も認めるということになるわけでございまして、私ども納税者立場からすれば、現在の案で示されております三%が将来にわたって確実に持続されることを前提として私は賛成を申し上げているわけでありまして、それがあと何%まで許容できるかという問題は、これまた将来的な課題ではなかろうかと思っておりまして、今具体的にどうすればいいのか、さしたる代案もないのでございます。  ただ、私ども心配しておりますのは、三%でスタートして、近い将来にこれが歯どめがないままに税率の改定、増税があるということが懸念されれば、この消費税に対する国民的な合意は到底得られないだろう、その点を危惧するものでございますので、何か立法上そういうことについての御措置ができるものならばぜひやっていただきたい、こういうつもりで申し上げました。  第二点の中高年サラリーマン不公平感といいますか、重税感の問題でございますが、一つは、累進税率につきましての是正が六十三年度は既に実施を見ているわけでございますが、これをさらに特に中高年層に対する累進の税率是正して下げていただくとか、一番金のかかる年ごろにどうも税が高いという感じが、これはまあ感覚的なものかもしれませんが、概して我々の世代には多いわけでございます。その辺の問題。  もう一つは、先ほどほかの陳述人からも申し上げておるわけでございますが、我々給与所得者は源泉徴収という形で着実な捕捉をされておる。一方、同じ所得税でも申告所得の方とかあるいは公益法人等の中にも実質かなりの営利的な事業を営んでおりながら非課税法人が存続しているというような、そういうようなことからの不公平感、あるいは何かサラリーマンの被害者意識かもしれませんが、そんな感じが否めないというところがございますものですから、その辺につきましての十二分な御配慮を賜りたい、こういうつもりで申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  210. 池田行彦

    池田(行)委員 ありがとうございました。  ただいまの不公平感の問題につきましては、各陳述者からもそれぞれの観点から御指摘があったわけでございます。  それで、この問題は高橋先生にお答えいただきたいと存じますが、この不公平感の問題についていろいろございました。まず個々の不公平是正を徹底的にやった上で中長期的な観点から間接税の問題に取り組むべきではないかという御意見が、高橋先生初め多くの方から出されたわけでございますけれども、不公平税制につきましては、もう私ども国会におきましても、これはあってはならないというので毎年毎年見直してきたところでございます。  しかし、御承知のとおり、これは最初から不公平であれと思ってやっているわけではございませんで、それぞれの政策的課題に応じて、必要性を認めてやっておるわけでございます。特に先ほど伏見陳述者から、国税だけでも九兆円、あるいは地方税で六兆円のそういったものがあるじゃないかという御指摘がございましたが、これは少し過大なんじゃないかなというふうに私は感じます。現在、租税特別措置なんかを見ますと、法人税関係で約四千五百億の政策減税がございますけれども、そのうち中小企業関係が例えば千八百億円であるとか、あるいは所得関係等の特別措置一兆二千億ぐらいでございますが、この中でも例えば御年配の方、老人を対象としましたいわゆる少額非課税、マル優の問題が五千億、それから生保の関係、老後の保障を考えて生保の関係の二千五百億があるとか、いろいろそういった観点からの政策的配慮でございまして、これを全部特別措置をなくして、そこから税源が出るというのは行き過ぎだと思うのでございますね。  そして、確かに我々としてもまだ是正をしなくちゃいかぬということはよく認識している問題がございます。そういった問題については、現在も与野党の協議の中でいろいろやっておるわけでございますが、それをさて実行するとなりますと、現在残っている問題は、非常にこれまで毎年毎年やってきてなかなかいい方策が見つからないという問題でございますから、なかなか簡単にいかないということでございますね。  例えばキャピタルゲインの問題につきましても、今回原則課税にいたしましたけれども、まだ不十分だという御指摘がございます。しかし、これを本当に総合課税にするとなりますと、これはどうしても番号制の問題が出てくる。そうなると、これはやはりプライバシーの関係はどう考えるのか、あるいは金融市場、資本市場における資金シフトが経済に及ぼす影響をどう考えたらいいかとか、いろいろなことを考えなくちゃいけない。これはやはり若干の時間を要する問題ではないか、方向はわかったとしても。そういう感じもいたします。そのほかの問題につきましても、同じような問題があるわけでございます。  そういったことを考えますと、そういった個別の不公平是正については引き続き努力していくけれども、だから全体の改革は待てというわけにはいかない。今ではやはり経済の実態と余りにもかけ離れた、全体として税体系そのものが一番大きな不公平感の源になっているんじゃないか、こういう感もあるわけでございますね。そういった意味で、やはりその税体系の全体の見直し、今回提案したようなものはやりながら、一方で個別の不公平是正も進めていくという道をとるべきじゃないのか。そうしなくては国民の中の不公平感重税感というものを払拭することも不可能なのではないか、こんな感じがするわけでございますけれども、その点について、皆さん御意見がおありかと思いますけれども、高橋先生からお願いいたします。
  211. 加藤六月

    加藤座長 この際、議事の途中でございますが、先ほどちょっと御紹介申し上げましたが、民社党・民主連合米沢隆君が到着されましたので、御紹介を申し上げます。  それでは議事を続行いたします。高橋君。
  212. 高橋志朗

    ○高橋志朗君 池田先生から今御質問があった点、先生方のお立場からすれば当然の質問だろうというふうに私は考えておるわけです。  というのは、先生のお立場は広く薄い課税ということを前提としてのお話なわけです。ところが、私が申し上げたのは、実は広く薄い課税という構想そのもの自体がかなり論理的に煮詰めていきますと整合性が低いんじゃないか、こういうことなのであります。それは、論理的な面、理論的な側面だけではなく、諸外国の例というふうにすぐ引き合いに出されてECの例が出てくるんですけれども、アメリカなどの改革方針はむしろ、先ほど申し上げましたように包括的所得税に回帰しようという方向性があるわけですね。ですから、一概に所得税体系が悪いから現行の不公平が生まれているというふうには言えないのじゃないか。むしろ逆に、包括的所得税に回帰する方向の方が論理的であり、かつ実効性が上がるんじゃないだろうかというのが私の基本的な見解なわけです。  したがって、現在審議されている問題が従来から行われてきましたような部分的な税制の手直しである場合には、私は、段階的な、部分をいじっていくという発想で十分だろうというふうに思います。しかし、あくまでもこれは抜本的な見直しですから、先生がおっしゃるように、まさに税体系が問題になってくるわけです。その税体系があいまいであるということは非常に不満だ、こういう意見であります。したがって立場が若干異なるんじゃないか、こういうことであります。
  213. 池田行彦

    池田(行)委員 時間もありませんので、あと一問、これは伊藤市長さんと若生さんにお伺いをしたいと思うのでございますが、きょうも余り出てまいりませんでしたけれども、若干出ましたけれども、土地の問題、土地課税の問題でございます。  この問題につきましては、今全体として所得も高水準である、しかも平準化している、すばらしい社会だと言われる日本の中で、新たな格差の問題が生じてきた。これでニューリッチとニュープアが生じたというようなことで、大変懸念されておる。私どもも、そういったいろいろな観点からいいまして土地税制どうあるべきか、随分毎年考えてきたわけでございます。ことしの税制改正にも一部含まれております。しかし、そういった歴史を振り返ってみますと、よかれと思ってやったことがなかなか所期の効果を発揮しませんで、本当にこれは困ったなと思っておるわけでございますけれども、やはりこれは税制だけでいわゆる土地問題に対応するのは難しいのじゃないかというような観点もある。  そういったことで政府においても、あるいは各党においても、土地の総合的な基本的な法律というものをつくらなくちゃいけないという機運があるわけでございますけれども、そういったものの中で土地の基本法みたいなもの、あるいは土地税制について何かこういうことをやったらうまくいくんじゃないかといった妙案が、地方自治の責任あるお立場にある伊藤さん、また建設を初め土地の有効活用の面で御苦労なさっている若生さんのお口から、いいアドバイスでもございましたらお聞かせいただきたいと存ずるのでございます。
  214. 伊藤喜一郎

    伊藤喜一郎君 土地問題につきましては、いろいろな論議があることは承知いたしております。しかし、これは極めて難しい問題で、結論的に申し上げますと、これを上げたからといって果たして納税者が承知をするかどうかが極めて問題であります。十分検討しなければならぬ問題でございまして、今余りこれに重税を課すというようなことは、よほど注意をしていかなければならぬという考えでございます。
  215. 若生金郎

    ○若生金郎君 ただいまの土地の問題でございますが、日本全国ひとしくそのとおりというわけには言い切れないので、私のような小さい町におりますと逆に土地の値段が下がってしまって、金融機関が貸したのを土地が担保だからいいと思って処分しようと思いましても、なかなか処分できないというようなことになっております。ただ、東京のようなあるいは仙台のような都市が情報産業中心になってまいりますと、そこで非常な土地の高騰が見られる。ところが、そこに住んでいる人が亡くなったりあるいは売ったりしようと思うと、膨大な税金がかかる。非常に困惑している状態も私承知しております。  そこで、抜本的な方法とおっしゃいましたけれども、私もその点については全く困ったなという態度で見ておりますが、土地という問題は何か昔から私有財産の根本になっておりまして、いろいろな経済論争の中にも出ておるようでございますが、現実に住んでいる人と、商品として扱っている人と、それを自分の産業というか自分の企業の中で取り組んで、この土地なら幾らまでペイするというような三つの立場があろうかと思います。  そこで、居住している人の税制についてはある程度考えてやるとか、あるいは天井なしに買おうとする人については、政令都市などではやっておりますが、ある程度売買価格を抑える、そういうようなことをしていただかないと、仙台あたりでも相当土地の高騰が起こっておるようでございます。抜本的な対策といってもなかなか大変でございますので、ひとつケース・バイ・ケースで、法のできる範囲で、今言った天井価格のあれとか、あるいはそういうものに対するきちっとした税金を取るとか、そんなことでひとつお願いしたい、かように考えます。
  216. 池田行彦

    池田(行)委員 ありがとうございました。終わります。
  217. 加藤六月

    加藤座長 これにて池田行彦君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  218. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 意見陳述者の皆様、お忙しい中をお越しいただきまして、本当にありがとうございます。そしてまた、大変慌ただしい中でございましたし時間も短いので、もっと述べたいことも言い尽くせない面もあるだろうと思います。残念ながら御質問を申し上げる時間も少ないのですが、補足をしていろいろ御発言いただければありがたいと思います。  何点か短い時間に質問をさせていただきたいのですが、まず伏見さん、お願いしたいんです。  先ほど伏見さんからお話がございました、税制改革の前提にはリクルート問題の全容徹底解明あるいは徹底的な不公平是正、そして選挙公約などはきちんと守りなさいということは、国民のひとしく思っておられることではないだろうかというふうに思います。そういう前提の上に立ってでございますけれども、今回の消費税の仕組みに関するところのさまざまの深刻な不安、矛盾、お話がございました。  その中で一つお伺いしたいのは、簡易課税方式という問題ですね。これは小売の皆さん、また卸の皆さん、みんなが不安に思っておられることであろうと思います。伏見さんおっしゃいましたように、特に中小のお店の皆さん、やはり激しい価格競争、サービス競争という中で転嫁ができない、これは深刻な不安であろう。公取法その他措置はございましても、現実にはそうはいかぬというのが切実な声であろうと思います。  また、三%と口では政府がおっしゃっても、実際にはそうならぬだろうというのを実感としてお感じになっているというようなことであろうと思いますが、それらとあわせて、この簡易課税方式というのは非常に楽でいいよというふうには政府が原案では申しているのですが、実際には、一〇%、二〇%、卸、小売の皆さん、利益は法律でこうみなしますよと税金かけるわけですから、非常に不公平が起きるというふうなことであろうと思いますが、その辺に対する御見解をつけ加えて伺いたいと思います。これが一点であります。  もう一つは、先ほど東北経済の非常に不安な気持ちというものをお話しになりました。私も山形生まれで、東北人の一人で、生まれ育ちがそちらでございまして、何かふるさとを思いながら非常にそういうことを実は感ずるわけであります。やはりこういう税制改革によって国と地方とのあり方、それから大都市圏と地方圏を含めた地方ごとの格差、現実には相当拡大しつつあるというのが今日の状況で、ほかの皆様の御発言がございました。そういうものが加速をされる、市長さんその他お話がございましたけれども、やはりそういうことのない、むしろ平均に発展をするような税制改革のプリンシプル、原則を立てるというのが本当は望ましいというふうに実は私も思っておりますけれども、特にそういう意味で、計数的には別にして、さっき一言おっしゃいましたが、実感としてお感じになっていることでも結構でございますから、二点お話をいただければありがたいと思います。
  219. 伏見亮

    ○伏見亮君 税というのは、これは政治そのものでございます。今リクルート疑惑で非常に政治不信が高まっている中で、竹下さんがおっしゃっているように、それはそれ、これはこれとしてまず税制改革だということは、ちょっと私たち国民にとっては納得のいかないところでございます。税というものは政治そのものであるとするならば、やはり国民の政治不信を払拭する努力を払って、そして次に税制問題を論ずるのがこれは順序ではないか、これは国民的な感情からそう私は考えておるわけでございます。  それからもう一つ、簡易課税制度は、これは全く私たち、私も商人でございますが、全く私たち商人にとっては納得のいかないところでございます。例えば、小売はそのマージンが二〇%である、卸は一〇%である、それを基準にして税をかける。例えば小売によって、あるいは卸でもそうでございますけれども、小売によっては三〇%、四〇%のマージンを取っているところがございます。こういうところは三%の税をかけると、その三%の税そのものが、徴した税そのものがその懐の中に入ってしまうというようなことになるのではないかと思います。それから、卸は一〇%といいますけれども、一〇%のマージンを取っている卸業者というのは、私たちの周囲にはそう見受けられないわけでございます。私のところも卸業を兼務しておりますが、これはせいぜいマージンが七、八%、これはメーカーをたたいて、仕入れ先をたたいて、そしていろいろ販促費その他をいただいて計算してもやっと粗利益が七、八%ということでございます。この実際の利益が七、八%のところへ一〇%とみなされて課税されるということは、まさにこれは第二事業税になってしまうのではないかというふうに考えておりますし、むしろこの点で不公平が拡大されるのではないか、そういうおそれが十分にあると思うわけでございます。  それから、地域格差の問題でございますが、これは私たちが県民会議等でいろいろ話し合っている中で、県の議員さん、それから市の議員さん、そういう方々と話し合っているわけでございますが、そこからの情報によると、この消費税によりますとやはり地方負担地方自治体の負担が非常にふえてくる、これをどうして埋め合わせるか今から頭が痛いのだ。あるいは国からちょうだいできるかということで、いろいろ実収入、純増分を計算してみるとなかなかそういう見通しもないということでございますし、また、先ほど私が申し上げましたような理由で、東北地方とかそれから関東圏とかそういうところの地域格差が非常に広がるのではないか。そうすると、地方における中小企業というものは非常に将来の展望を失ってしまうのではないだろうか。いろいろな計算その他に立ってそんなふうに感じておるわけでございます。これらはひとつ専門家である先生方に、国会審議を通じて徹底的に究明していただければ大変幸せだと思うわけでございます。よろしくお願いします。
  220. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 短い時間でございますので、もう一方、三浦さんにお伺いをしたいのですが、先ほどの御発言の中にも冒頭に、徹底的な不公平是正が前提であるというお話がございました。私どもも、坂口さん、米沢さん参っておりますけれども、与党と協議を行ったメンバーであります。まだまだ半煮えの状態でございまして、私どもは租税特別措置法とか今の狭い枠内での不公平とは考えておりませんので、国民の七割、八割の皆さんが不公平だと残念ながら思っておられる、そういう状態を一掃することが民主日本にふさわしい税制改革の前提であろうということで、特に資産課税を重点にしているということでございます。  その不公平是正、私ども野党十項目というのがございましたが、一々は別にして、実感として労働者の声として勤労者の声として、まだまだではないかと思いますが、どのような声がこちらで上がっているでしょうかということが第一点であります。  それから二つ目には、この議論の中で三浦さんお話ございましたように、手順として不公平是正あるいは徹底的な財政の見直し、税金をむだ遣いしない、そして福祉のビジョンをきちんとつくるということを前提にして、将来どういう負担を考えようかということが筋であろう。ところが、福祉ビジョンについての国会の議論の中でもまだまだ不十分でございまして、表向きは年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に延ばしましょうという方がマスコミでも大見出しで報じられているというふうな状態でありますが、それについての御見解をお伺いをしたいと思います。  それから三つ目には、所得税についてのさまざまなことがございました。福祉政策減税ももっとやらなければなりませんし、私ども統計で伺いますと、三百万以下の勤労者の皆さんが四七%以上、大蔵省のシナリオでもその方々はかえってプラス・マイナス増税になるというふうな状況、それから所得税を払わない人、ほとんど払わない人、さまざま入れて一千万に近い。ある意味では、消費税によって不公平をなくするどころか、かえって不公平を拡大すると考えておりますが、これは勤労者の実感からいってもその辺をどうおとらえになっているのか。一緒くたにして恐縮でございますが、その三点、御見解を伺いたいと思います。
  221. 三浦重信

    ○三浦重信君 陳述の中でもお話をしたわけでございますが、一つはシャウプ税制以来の抜本税制改革、こういうふうなことで今回の税制改革は取り組んでいると思うのです。だとするならば、やはりすべての税制に対してもう一回見直しをして、将来の二十一世紀に向かった税制がどうあるべきか、そういう視点に立って個々の税制というものを審議をすべきではないだろうか、まず一つ、こういうふうに基本的に思っております。  そういう中で不公平税制、いろいろ一生懸命やっている部分については承知をしておりますし、なかなか難しいものもあるわけでございますが、しかし私らから見ますと、極めてあいまいであるということなんです。この不公平というふうに言われている税制が、審議はしていますけれどもどういう決着をつけて、なぜそれが不公平でないのか、不公平で時間がかかるとするならばいつそのことを実現をするのか、こういう部分についてもっと明らかにしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから税収の問題でございますけれども、やはり抜本改正でございますから、全体の税制基本構想、先ほども申し上げましたけれども、そういうふうなものを明らかにしまして、さらにはそれに基づいた税制の骨格をきちんとつくりまして、そして一つ一つの税制の問題について審議をしていく、こういうふうなことが必要ではないだろうかというふうに思います。高齢化社会到来でいろいろ年金とか何かにお金がかかるというふうなことだとするならば、どれくらいいわゆる公助、自助、そういうものが出費になるのか。そういうものをきちんとビジョンというふうなものを明らかにしながら、だから税金はこれくらい必要なんだ、こういうふうなことも考えるべきではないだろうかというふうに思うわけでございます。  それから、これまでも主張してきたのですけれども、増収入というふうな部分があるわけでございますが、私らは一貫して、現行行政改革を断行する、さらには不公平税制是正する、さらには自然増収、そういうものを置きかえて歳入歳出をはかってみながら検討をしていく、そういう部分が若干甘いのではないだろうか、こういうふうに感じております。  三つ目の減税でございますけれども、先ほど申し上げましたように中高年層の方々にそれなりに張りついていたわけでございますが、ちょっと資料があるのですけれども、いろいろ試算をしてみますと大体年収三百万円、いわゆる低所得者層と申しますか、こういう方々減税は、年間で一千二百円でございますから月に直しますと大体百円ぐらいの減税になる、こういうことでございます。したがいまして、三%の消費税導入をされますと、減税消費税の見合いでプラス・マイナスかえって増税になるのではないだろうか。こういう問題の不公平というふうなものをもっと明確に審議をしていただきたいというふうなことで先ほど申し上げた次第でございます。
  222. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  223. 加藤六月

    加藤座長 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。
  224. 坂口力

    ○坂口委員 御意見をお述べいただきました皆さんには大変きょうはありがとうございました。公明党の坂口力でございます。政党が小さくなってまいりますと質問いたします時間も短くなってまいりまして、我々以下は十分ずつでございますので、簡潔にひとつ御質問を申し上げさせていただきたいと存じます。  本来ならば、私の方は高橋先生にお願いを申し上げまして御出席をいただいたわけでございますから高橋先生に御質問を申し上げるのが本意でございますが、かなりまとまった御意見を発表していただきましたので、時間がありましたら後で御質問をさせていただくことにいたしまして、きょうはむしろ少し意見を異にする皆さん方に先に御意見をちょうだいをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  東北電力の総務部長さん田沼さん、そして若生社長さん、そして伊藤市長さん、御意見をまず先にお伺いをしたいと思うわけでございます。  先ほど伊藤先生のお話にも少しございましたが、やはり東北も東京から少し離れておりますだけにいわゆる地域の活性化というのはこれからの大きな問題ではないかというふうに思います。承っておりますと、東北大学の学長さんが中心になられましてインテリゲンツコスモス構想でございますか、多少言い方は違ったかもわかりませんが、そういう構想も打ち出されまして官学産三位一体の地域活性化の問題を御検討になっているやにお伺いをしているわけでございます。そうした地域活性化の問題と絡めまして、税制の税理論としての整合性の問題もございますが、地域の経済にどんな影響を与えるのかということはこの税制にとりまして非常に大きな問題ではないかと考えております一人でございます。アメリカが税制問題を一生懸命やりましたときにも、その中の最大の問題の一つは経済活力にいかに影響を与えるかということであったと記憶をいたしております。そういう意味で、東北の経済活性化というものに対してこの税制がいかなる影響を及ぼすのかということについてどのようなお考えをお持ちかということをお伺いをしたいわけでございます。  我々いろいろ心配をいたしますのは、先ほど田沼総務部長さんは三%ということが続くということを前提にしてというお話でございましたけれども、一度これが導入されますとどうしても三%ではとどまらない、少なくとも五%なり八%なりということになってしまうのではないかという懸念を持っているわけでございます。たとえ三%といたしましても、それが地域に対しまして、消費税がかかるということでどうしても消費が抑制される。五%なり八%になってくれば当然のこと、これは余計に抑制をされるということになりますと、地域にかなりな影響が出るのではないだろうか、こんなふうに思っております。そのことに対して部長さんからひとつ御見解をお伺いしたいと思います。  それから続いてちょっとお願いをしておきますが、若生社長さんもみずから御商売と申しますか建設業をおやりいただいておるお立場からいたしまして、そうした懸念はないか、それに対してお考えがもしもございましたらあわせてお伺いをしたいと思います。  伊藤市長さんに対しましても同じような御質問でございますが、伊藤市長さんの場合には行政の責任者としてそうした税制というものに対してどのようにお考えになっているか。  お三人からそれぞれの御意見をちょうだいをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  225. 田沼四郎

    ○田沼四郎君 ただいまの御質問に私の意見を申し上げさせていただきます。  東北の地域活性化につきまして大変深い御理解を賜っているように承りましたが、私どもの会社も、東北インテリジェントコスモス構想には積極的に参加をし、東北地域全体の活性化に幾らかでもお役に立とうということで一生懸命参加をさせていただいているつもりでございます。ただいまの御質問で地域の活性化の問題と今回の税制改正との関連というふうに承ったのでありますが、私は先ほど消費税導入について賛成をした立場で、ではこれが一体地域経済とどういう関係があるのかという御質問だというふうに受けとめましてお答えを申し上げます。  確かに、先ほど池田先生からも三%のことでお話がございましたが、私は、三%程度の税率でございますればこれはやはり消費者としても是認すべきものである、かわりに所得減税も図られるわけでございますし、そういう意味におきまして、三%程度の税率でございますれば、これはやはり薄く広くという今回の改正の要点でありますその薄くという範囲に入るのであろうと思うわけでございます。そういう意味で、具体的に買い物をすることで考えますと、千円の物を買って三十円の税負担、一万円の物を買って三百円の税負担ということでございますと、庶民感情としても、まあこれは安ければ安いほどそれにこしたことはないわけではございますが、そういう意味で十二分に消化できる程度の税率だろうというふうに是認せざるを得ないと思います。したがいまして、これが特に東北地域だからどう、いや関東圏だからどうということではなくて、オール・ジャパンで見てこの程度のものは容認してしかるべきだというふうに考えております。  以上でございます。
  226. 若生金郎

    ○若生金郎君 お答えいたします。  その前にちょっと数字を申し上げますと、個人の貯蓄が一九八二年に三百八十兆あったそうでございますが、八七年に五百七十二兆にふえておるわけでございます。また、全金融機関、これはまた年度は一九七〇年でございますから大分前になりますが、そのとき九十七兆、それが一九八七年の九月には八百四十兆、それから全取引所の株式売買時価総額でございますが、それが一九八〇年ですから八年前、七十九兆、これが三百四十五兆、こういうふうに非常に金融市場が大きく膨らんで、日本の繁栄をこういうところであらわしているのじゃないか、かように考えております。  そこで、こういうことを含めまして先ほどの御質問に入りますが、東北の地域活性化という点では最近は、かつては熊本がシリコンバレーと言われておりましたが、昨年、一昨年は東北地方に進出する電子産業は、日本の各ブロックごとの地域を分けますとトップになりました。そのように、東北新幹線や何かができました関係で時間距離が短くなって、しかも清浄な空気、豊富な労力というようなことで、今東北地方は、仙台が政令都市になって東北の重都と称して情報の中心都市になりつつあるし、それから交通機関はそのように二時間以内で東北の中心に入れる。  こういうふうな状態の中で、では消費税とどういう関連があるかということでございますが、直接には関係ございませんけれども、このごろ我々がよく聞くのは、テレビを買ったために家を建てたとかオーディオを買ったから部屋を大きくしたとか、そういうように消費というものがどんどんどんどん拡大しておりまして、消費の需要も、消費税は三%でも恐らく財源としては十分間に合うのじゃないか、こんなふうに考えております。東北は今まで一日、二日あるいは何十年おくれておりましたけれども、これからは東京地方に比べてすぐあるいは一年、二年の間にそういうような成長が行われるような事態になりました。したがいまして、消費税がそういうふうに決まりまして、きっとそれがなくても繁栄することでございますから、消費税を取って、そして財源が政府は豊かになって東北地方の発展に先生方が目を向けていただければ繁栄間違いなし、こう思います。
  227. 伊藤喜一郎

    伊藤喜一郎君 東北の活性化というようなことでございますが、私は、政府配慮等もございまして、現在まだ景気が上昇しておりますので、大分解消してきていると思うわけであります。交通関係も大分よくなってきておりまして、東京と仙台あるいはまた盛岡というようなぐあいにそれぞれ近くなっている関係もございまして、あるいはまた辺地のところには先端技術なども配置されるというようなことで、予想以上に辺地の地域が発展していると言っても過言ではございません。そういう意味において、今後さらに政府の御指導を得てこれが発展を続けるようにいたしてもらいたいというぐあいに考えております。  それから、質問に答えることになるかどうかわかりませんけれども、三%消費税の問題ですが、これは初めて日本で実施するものでありますから、恐らくそれぞれの反対論もやむを得ないと思うのであります。これはまた、それぞれの市民と市当局との関係もございまして、いわゆる市民が消費税を取られる、そうなりますと、取られただけの金は配慮していただいておりますけれども、例えば五十億の事業をいたしますと、三%でもって、いろいろな事業がありますから、そうなればその方に市の方で金を払うとしますと、一億五千万円も余計支出しなければならぬというようなことになるわけであります。しかしながら、その一億五千万というのは、国の補助金でもそれぞれ配慮されますから、大した支障もないような関係になっているわけでありますが、そういうところはやはりそれぞれの行政の改革なりその他自然増収なり等々で賄っていこうというような気持ちでおりますから、余り心配したことではないというぐあいに考えております。  以上でございます。
  228. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  229. 加藤六月

    加藤座長 これにて坂口力君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  230. 米沢隆

    ○米沢委員 皆さんの意見陳述も聞かずに質問しますのは大変失礼でございますが、言われた中身等については、それぞれのお話は大体わかったつもりで質問をさせていただきたいと存じます。  まず、三浦さんにお答えいただきたいのでございますが、昨日私ども、連合の山田事務局長さんに来ていただきまして中央公聴会をやりました。その際に、いわゆる所得税の減税についてまだぴんとこないという話がありました。御承知のとおり、昨年は一兆五千四百億円の減税、ことしはもみにもんで結果的には一兆三千億の減税地方税につきましても六千五百億の減税が既にもうことしは始まっておるのでございますが、そこらがぴんとこない。確かにサラリーマンの皆さん方にとりましては長年の減税要求でございましたから、これぐらいの減税されても実際は今まで貸したやつを返してもらったぐらいのものだということで、そういうことでもぴんとこないというところもあるのかもしれません。そういう意味で、いろんな組合の皆さんとお話をしますと、課税最低限税率ですね、一〇%をもう少し下げたらどうだ、もっと踏み込んだらどうだとか、あと一押しの減税がなければという話がよくあるのでございますが、そういう問題提起等について三浦さんはどういうふうにお考えか、これが第一点です。  第二点は、これも連合等の資料に発表されておりますように、今度のトータルの増減税の分岐点ですね。我々民社党が計算したら、夫婦子供二人さんの標準世帯では大体三百万ぐらいが増減税の分岐点になっておるわけですが、労働組合の中にも五百万、七百万ともらっておる人もおる、また若い連中は三百万をかなり切る。僕は非常にショックといいましょうか、大変な数字だなと思ったのは、民間労働者の給料みたいなものは平均で三百六、七十万、三百以下の皆さんが半分ぐらいおるのですね。あるいはまた三百五十万とか四百万まで入れたら七、八割はみんなそういう連中なんですね。そういう意味では、かなり減税したと言いながらも、実際、給料の低い皆さん方はほとんど増税になってしまう。  ですから、労働組合の中にも五百万、七百万もらっている人もおれば、先ほどもお話ししましたように大体民間労働者の半分は増税のグループになってしまうという意味では、労働組合の中にもたくさんもらう人ともらわぬ人、そこらの中でかなり葛藤が出てくるのじゃないのかな。下手をするとこういう議論をする際に、かなりもらっておる方は減税の方が多いんでございますから、いいじゃないか、いいじゃないかという話になるかもしれないし、下の方は、冗談じゃないというような話になって、逆に組織そのものが変な議論を強いられるということになるんじゃないのかなということを心配しておりますが、その二点についてどういうふうなお考えを持っておられるか、まずお話をいただきたいと思います。
  231. 三浦重信

    ○三浦重信君 私もここに連合の資料を持ちながらきょう出席をしたわけでございますけれども、実はこれまで減税要求をずっとやってきましたのは、御存じのように源泉徴収でございますから実際のもらった給料に税率が掛けられるというふうなことでございますが、今まで賃上げとかそういう中でいろいろ問題提起をしてきましたように、実質可処分所得はかなり伸び悩みの状況であったわけでございます。しかしながら、その税率を掛ける場合は額面に掛けられるわけでございますから、給料が上がらない、税金は高くなるわということで、ますます実質手取りが少なくなってくる、こういうふうなことから減税というふうなものを叫んできたわけでございます。  ちょっと資料を見ますと、今日まで実施されました減税につきましては、昭和四十一年から五十年の十年間トータルをとってみますと三兆六千九百二十五億円でございます。さらには、昭和五十一年から六十三年、十三年間のトータルをとりますと三兆八千六百六十億円。これは、今回実施の予定になっております一兆三千億円ですか、これを含んでおるわけでございますが、それを勤労サラリーマンに当てはめてみますと大体八〇%の方がその減税の対象になります。しかしながら、年収の状況を見ますと、先ほどもちょっとお話をしたのですけれども、三百万以下の年収のある方が大体全体の五〇%、こういう数字になっております。したがいまして、勤労者の五〇%の方々減税になりますと、年間で大体一千二百円、したがって月大体百円程度、こういうふうなことになるわけでございますから、減税やったからかなりいいだろう、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、実際は年収三百万以下の勤労者が五〇%もおるわけでございますから、そういう方々消費税導入をされると逆に減税プラス消費税導入増税になる、こういう不安を抱いているというのが現実であるということをお話をしておきたいというふうに思うわけでございます。  したがいまして、先ほど民社党が算定をしましたいわゆる減税増税かというふうな分岐点は、私どもは三百万、こういう部分ということで一つ置いておるわけでございます。ただ、年収四百万の方も大体月四百円弱、こういう状況でございますから、極めて消費税が勤労サラリーマンにとって税負担になる、こういうふうな分析をしているところでございます。  以上でございます。
  232. 米沢隆

    ○米沢委員 伏見さんと若生さんに御質問したいと思いますが、御案内のとおり、今度の消費税売上税反省から事業者の皆さん方に納得していただくような方向でつくられた、そう言われるわけでございますが、先ほどからの話にありますように、簡易納税制度だとか免税点を上げたとか、いろいろありますけれども、実際は伏見さんおっしゃったように、かなり逆に不公平をつくるものになってしまっておる。私は、これが強引に導入をされますと、特に日専連の会員の皆さん方に相当の混乱が生ずるのではないか。しかし我々は商売をやったことがありませんのでわからないのでございますが、一体、いろいろと不公平が温存されるようなこういう消費税導入された際、皆さん方の会員の間に具体的にはどういう混乱が生ずると思っておられるのか、それが第一点ですね。  それからもう一つは、三千万以下の人、上の人、五億以上の人、以下の人、それぞれ受け取り方は違うのでございますが、納税コストについて一体どういうような御判断とかいろいろな議論が会員の間でなされておるのか、そのあたりについてお聞かせいただきたいと思います。  それから若生さんにお願いしたいのでございますが、果たしてこの消費税が皆さんの業界でうまく転嫁できるであろうか。入札制度、官公庁の需要についての入札だったら、決めた人でございますから消費税を払ってくれるかもしれませんけれども、民間の入札なんというのは、ほとんど転嫁できないままに実際は皆さんがみんなしょい込むんじゃないのかな、そんな感じがしてならぬわけですね。  今、カルテル、いわゆる公取法の除外例等をつくっていろいろと相談して決めるんだという話でございますけれども、皆さんの業界、アウトサイダーがたくさんおるという業界でもありますね。あるいはまた、価格をつくる形成者というのはかなり一部の人に限られておるのではないか。下手して価格形成力のない人がたくさん集まってカルテルでいろいろ決めたところで、そんなの全然無力というか無効で、実際は今までと全然違う。それを公取法の除外例を適用して頑張られても、実際はそんなことはほとんど効果がないということになってしまうのではないのかな。特にアウトサイダーの圧力というのは相当なものだろうと思うのですね。結果的には消費税なんか転嫁できないままに、またひいひい言うということに実際なっていくんではないのかな。特に中小の建設業者あたりはですね。そういう点について一体どういうふうにお考えなのか、これをお尋ねしたいと思います。
  233. 伏見亮

    ○伏見亮君 先ほども簡易課税などについて御質問があったわけでございますが、この卸が一〇%、小売が二〇%というのはどこからどう引っ張り出してきたのか、私たちには理解がいかないわけでございます。これは業種、業態、その規模によっていろいろ相違があるわけでございまして、この簡易課税の一〇%、二〇%の粗利益の問題というのは、全く私たちにとってはナンセンスではないかというふうに考える次第でございますし、それで通用されますと、片っ方にそれによって利益を得る者、またそれによって大きな犠牲を払う者、こういうことで不公平が拡大されるのではないかというふうに考えております。  それから、私たちのいろいろな試算によりますと、小売店の経常利益というのは大体一%あったらよい方でございますし、今、東北の一般の町の中小小売商にとっては、恐らく経常利益一%はないだろうと思います。もし税が転嫁できないとすれば、これは非常に大きな負担、犠牲になってしまうのではないかと思うわけでございます。  私は昭和二十三年の取引高税を経験しておるわけでございますが、非常にこれは価格転嫁が難しい。お客様方のいろいろな圧力によりまして、とにかく転嫁できない。しかも私たちが、その当時官庁納入が多かったわけでございますが、官庁へ行って入札をする。入札でございますから、もうぎりぎりの価格を出す。利益があるかどうかわからないような価格で入札する。そうすると、これに対して一%の税金をかけるのか、取引高税をかけるのか、取引高税をちょうだいしますと言うと、我々の予算も非常に少ないので、ひとつこれは何とかできないか、もしできないとなれば二番札の方と交渉する、そういうような体験をしておるわけでございまして、私たちの価格に対する税率転嫁というものは非常に難しい。難しいことをだんだん政府もわかりまして、そして、独禁法の適用除外をするというような話が出てきたのではないかというふうに考えておるわけでございます。これは、いかなる方法、手段を講じてもなかなか価格転嫁というのは難しい、私は、自分の体験からそのように考えておるわけでございます。
  234. 若生金郎

    ○若生金郎君 ただいま御指摘受けました問題は、実は私の方でも重大問題になっております。殊にそれは建築の分野でございまして、官公庁の発注も全部の建築分野から申しますと二五%ぐらい、ほとんどが民間、そういう中で、米沢先生のような御指摘はみんな懸念しておるところでございます。  殊に建築工事の場合ですと、粗利益が大体四、五%、純益で一・五ないし二。二とれればまことにいい仕事。こういうときに、先ほどもちょっと申し上げました、ソフトウエアの業者と申しましたが、我々も含んで総括的に金を入れますので、三%ぐらいまけたらどうだと言われると、やはりそういうことでまけてしまう、原価を割ってしまうというようなことになりかねないので、この点については私ども非常に苦慮しておるところでございます。  それから、業者の数はとにかく五十万あると言われておりまして、たばこ屋さんより数が多い。ところが、その中で組織的に入っているのは、全国の建設業界に入っているのが二万五千社、大手六社、準大手二十社、それから中堅四十三社。ところが、六社と二十社と四十三社の統計をとりますと日本の建設産業の大体の動向がわかる、こういうような、どっちかというと寡占の体制の中におる。我々は地方の業者としてその中で創意独創とかなんとか言っておりますが、そういう点は県協会を中心にしまして、今挙がったような問題点をどう解決するか、まだこうしたらいいということはございませんが、そこで先ほど申し上げました公取の深い理解のもとに民間工事においてもある程度税金分だけ上乗せしていこうじゃないか、そういうようなことがきちっとできるような方法を考えていただきたい、こんなふうに思っておる状態でございます。
  235. 米沢隆

    ○米沢委員 どうもありがとうございました。
  236. 加藤六月

    加藤座長 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  237. 正森成二

    ○正森委員 日本共産党正森成二でございます。  まず最初に伏見さんにお伺いいたします。  リクルート問題については伏見さんと若生さんがお触れになりました。若生さんは、司直の手も入っている、それはそれとして法案を片づけた後厳正に処理してほしい。それはそれという表現は竹下総理とそっくりでありますが、伏見さんは、それはそれ、これはこれというわけにはまいらない、消費者の不信は高まっているというように言われました。  大体リクルート問題というのは、江副さんが株をばらまいたわけですけれども、消費税をつくったのは政府税制調査会の第三部会なんですね。その第三部会の会長代理をして一番張り切ったのが東大教授の公文俊平という人で、この人がちゃっかり一万株をもらっているんですね。そして、その政府税調委員には江副氏も入っているし、第三者割り当てを受けたウシオ電機の社長も入っておる。また、自民党の政調会長で法案をつくる立場だった渡辺美智雄さんもちゃっかりともらっておる。こういう人が消費税法案をつくった。そして江副氏は、自分自身は昭和六十一年十月の店頭登録直後に二百八十万株を売って百四十七億円もうけたけれども、創業者利得と称して一文の税金も払ってないんですね。しかもこの人が、税の痛みを知っている側の代表として積極的に発言したいということを当時の新聞紙上で大きな顔をして言っているんです。  一方審議する側はどうかといえば、大蔵大臣宮澤喜一君が一万株ちゃっかり自分の名前でもらって、秘書の名義らしいですけれども、二千万円利得を得ているということになりますと、この法案をつくった側もあるいはこれから審議する責任者の側もリクルートで汚染されていると言っても言い過ぎではありません。ですから、消費者が不信感を持つのは当然のことでありますが、それについて、まず参考人の伏見さんに御意見を簡単に承りたいと思います。
  238. 伏見亮

    ○伏見亮君 そのことは先ほど申し述べたわけでございます。  簡単に申し上げますと、リクルート問題が起きる前は、消費税に対して反対をする人々も非常に冷静に反対をしておったわけでございますが、リクルート問題が起きてから非常に先鋭的な反対運動者になった、積極的な運動者になったということが随分行われて、そういう現象が見られるわけでございます。  私考えますのには、やはり便所に行って手も洗わないで料理をされたのでは、その料理はなかなか食えないだろうと思います。やはりそれと同じことであって、国民の政治不信を取り除いて、それから税の問題を論議すべきではないか、私はそのように考えておるわけでございます。
  239. 正森成二

    ○正森委員 三浦さんにお伺いいたしたいと思います。  米沢さんが言われましたように、昨日私どもは中央公聴会をいたしまして、全民労連の幹部である山田精吾さんに御意見を伺いました。山田精吾さんは、ボーナスも残業も全部入れて年間三百万以下の勤労者が四七・四%だ、四百万以下が累積で六五・五%だということを言われました。今三浦さんは、消費税逆進性が強くて低所得者等は増税になるという意味のことを言われましたね。ところが今から十年前に大蔵省の伊豫田という、当時官房審議官をしておった役人が、消費税になると物価は必ず上がる、しかしそれは税金なんだから物価が上がっても仕方がない、それだからといって賃上げやら給料値上げを要求すれば回り回って増税の効果が薄れる、こう言うて、勤労者は消費税で物価が上がっても賃上げを要求したらいかぬ、経営者は出したらいかぬという意味のことを、ここに雑誌を持ってまいりましたが、「経済人」という雑誌に堂々と論文を発表しているんですね。それについてきのう全民労連んの山田さんに、あなたの方はこういう見解に基づいて消費税で物価が上がりましても賃上げは要求なさいませんか、こう聞いたら、そんなことはない、我々は当然要求するというようにお答えになりましたが、当宮城県の労働組合はいかがでしょうか。消費税で物価が上がっても賃上げを要求せずに我慢なさいますか、それとも中央の山田精吾さんと同じ意見ですか。
  240. 三浦重信

    ○三浦重信君 結論から申し上げますと、賃上げはやらせていただきます。  それで、ちょっとさっき米沢先生から問われたときに具体的な数字を言わなかったわけでございますが、実は六十二年度に民間給与実態統計調査報告というふうなものがなされております。その中を見ますと、先ほど言いましたように一年を通じました給与所得者数が三千七百六十七万人いる。こういう中で平均給与が三百七十二万円だ。今正森先生がお話しされましたように、この三百七十二万円というのは時間外労働なりボーナスなり諸手当を含む平均賃金、こういうふうな統計になっております。  それぞれ分類的に見ますと、二百万円以上六百万円以下の方々が大体六二・六%、それから三百万円以下の方が四七・四%、四百万円以下の方が六五・五%、五百万円以下の方が七八・六%で、五百万円以上の方が二〇・四%、そして六百万円以上の方が一二・八%、こういう数字でございます。したがいまして、多分中央でもそういう論議があったと思いますけれども、国民全体が中流意識、こういう意識の中であるわけでございますが、実態は決してそういうものでない、こういうことでございます。  ですから、余計な話になるわけでございますが、連合は欧米並みの生活水準の確保をこういう実態から主張しておるところでございますので、ぜひこういうサラリーマンの実態を十分認識をしていただきまして今後の審議に入っていただきたい、こういうふうに思います。
  241. 正森成二

    ○正森委員 伊藤さんにお伺いいたします。  先ほど伺っておりますと、消費税地方財政への影響について伏見さんと伊藤さんがお触れになりましたが、御両者の意見はある意味では正反対のようでございました。伊藤さんは、減収になるけれども地方譲与税二〇%と交付税二四%で補てんされるという意味のことを言われ、伏見さんは、これは宮城県全体では二百億を超えるかもしらぬという意味のことを言われました。私どもは、宮城に参る前に私どもとして減収の効果を試算してまいりました。それによりますと、減税のはね返りと娯楽施設利用税あるいは料飲税等、これが自主財源として失われますから、そういうものを入れますと宮城県では百七十六億円余りの減収になります。それに対して、消費譲与税が人口割と従業員割で補てんされ、さらに交付税もつけ加わりますが、その額は百十八億余りで差し引き五十七億円の歳入減になります。それだけではなしに建設事業費、物件費、維持補修費、災害復旧費等に、用地取得費を除いて消費税による税額が三%加わりますから、これによって財政支出がふえます。宮城県ではどうかというのを試算しますと、それが九十四億円余りであります。そのほか、今三浦さんが言われましたように労働者は当然賃上げを行います。民間準拠ですから、人事院勧告で公務員の給料も当然上がります。その点を入れますと宮城県では、県段階でありますが、それによってふえる分が、仮に一・五%とすると五十五億円であります。それらを差し引きいたしますとバランスシートは宮城県だけで二百億円を超えます。したがって、市町村を入れるとそれをはるかに超えることは明らかであります。  あなたは、補てんが十分に行われるととれるような御発言でしたが、行政を預かる市長さんとしては消費税の結果が地方財政に及ぼす影響について少しお考えが甘過ぎるのではないですか。
  242. 伊藤喜一郎

    伊藤喜一郎君 先ほど申し上げましたように、市町村といたしましては、とにもかくにも七千九百億というものがそれぞれ配慮していただいても不足をする。これらについては行政改革なり自然増収なりで何とか補てんした方がいいのじゃないかというようなことになっておりますが、さらにそれぞれの交付税で配慮してほしいというふうなことは市長会でも申し上げているところでございます。  ただ、その市町村の状況でみんな異なるわけでありますから、今私が申し上げた一億五千万円というのは、例えば多賀城市で事業を五十億やるということになれば、三%掛けますから一億五千万円になる、それが今まで支出しなかったのを支出するのだという意味を申し上げたのですよ。その他はそれぞれ交付税で来ておりますけれども、その三%の支出する面で一億五千万だというようなことだけれども、もっと詳しく申し上げますと、 政府では事業費に対する補助金というものをよこすのですよ、交付するのです。それを差し引きしますと八千万円ぐらいにしかなりません。何もかも総合いたしますと、大体二億三千万円ぐらいになりましょうか、そういうようなことでございます。  なお、これは数字をしっかり見ていただきませんと、大きな数字であるいは宮城県の数字はこれだから、民間の数字がこれだからと言われましても、我々は、市は市で十分その数字でもってはじいているわけでありますから、そこでこれと若干違う場合もございます。
  243. 正森成二

    ○正森委員 資料は国会にも出してありますよ。いいです。
  244. 加藤六月

    加藤座長 正森さん、若生さんに対してはあれは質問じゃなかったのだね。名前を出しただけだね。
  245. 正森成二

    ○正森委員 時間がありませんでしたので……。聞いてもいいですか。
  246. 加藤六月

    加藤座長 時間が来ました。  これにて質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は、税制改革関連諸法案の審査に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして深甚の謝意を表する次第でございます。  それでは、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会