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1988-11-04 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第18号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月四日(金曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    池田 行彦君       片岡 清一君    岸田 文武君       斉藤斗志二君    志賀  節君       鈴木 宗男君    田原  隆君       谷  洋一君    谷垣 禎一君       玉沢徳一郎君    中川 昭一君       中川 秀直君    中島  衛君       中西 啓介君    中村正三郎君       西田  司君    野田  毅君       葉梨 信行君    浜田 幸一君       松田 九郎君    宮下 創平君       村山 達雄君    山口 敏夫君       山下 元利君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    坂上 富男君       中村 正男君    野口 幸一君       山下洲夫君    貝沼 次郎君       草野  威君    小谷 輝二君       坂井 弘一君    坂口  力君       宮地 正介君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    工藤  晃君       正森 成二君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         農林水産大臣  佐藤  隆君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         建 設 大 臣 越智 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       糸田 省吾君         総務庁長官官房         審議官     紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         審議官     増島 俊之君         総務庁人事局次         長       服藤  収君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁労務         部長      吉住 慎吾君         経済企画庁国民         生活局長    末木凰太郎君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主計局次         長       寺村 信行君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部省初等中等         教育局長    古村 澄一君         文部省高等教育         局長      國分 正明君         文化庁次長   横瀬 庄次君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 多田  宏君         厚生省薬務局長 北郷 勲夫君         厚生省保険局長 坂本 龍彦君         厚生省年金局長 水田  努君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       高橋 達直君         通商産業省産業         政策局長    児玉 幸治君         通商産業省機械         情報産業局長  棚橋 祐治君         通商産業省機械         情報産業局次長 水野  哲君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         運輸大臣官房審         議官      金田 好生君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設省道路局長 三谷  浩君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         会計検査院長  辻  敬一君         会計検査院事務         総局次長    秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十一月四日  辞任         補欠選任   西田  司君     松田 九郎君   原田  憲君     斉藤斗志二君   堀内 光雄君     谷垣 禎一君   坂口  力君     貝沼 次郎君 同日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     原田  憲君   谷垣 禎一君     堀内 光雄君   松田 九郎君     西田  司君   貝沼 次郎君     坂口  力君     ───────────── 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸委員長(金丸信)

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 今国会提案をされました税法法案審議に入るに当たりまして、まず、現在までにリクルート疑惑の問題が大変な広範囲にわたってまいりまして、残念ながら我が党にも関係者が出てきたという状況の中にあります。こういうような状況の中にありまして、今日までこの真相解明のために論議をいたしてまいりましたが、まさにそういうような意味においては政界、官界、財界ぐるみ疑惑の構造が広がり始めて、現実にそれが明らかにされつつあります。まずその問題について政府の考え方をただしてまいりたいと思います。  きょうの新聞によりますると、加藤労働事務次官に引き続いて高石前文部事務次官の問題が大きく報道をされておりまするし、NTTの問題に関連をいたしましてまた疑惑が広がりつつあります。  このような状況に立ち至っている状況の中にありましては、先般来からこの席において、刑訴法四十七条に基づいて公益のためにはきちっと対応をすべきではないかという質疑が行われましたが、これに対しまして法務大臣にこの中間報告を求めたいと思いますが、いかがでございますか。
  4. 林田国務大臣(林田悠紀夫)

    林田国務大臣 東京地検におきましては、去る十月十九日に強制捜査に着手をいたしまして、翌二十日に松原リクルートコスモス社長室長を逮捕いたしまして以来、捜査に当たる検事を順次増員をいたしまして、現在二十三名の検察官を投入した捜査態勢のもとで松原室長に係る贈賄申し込みの事実の解明中心に鋭意捜査中でありまするが、この間、松原室長の取り調べのほか多数の参考人事情聴取を行いますとともに、リクルート本社とかあるいはリクルートコスモス本社、また東洋信託銀行などの関係箇所の捜索、差し押さえにより押収しました証拠物の分析、検討を行うとか、所要の捜査を続けてまいっておるところであります。  また、国会で指摘されました事柄なども念頭に置きながら、厳正公平な立場で対処をするものと考えております。
  5. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 法務大臣に再度お尋ねをいたします。四十七条によります資料の要求をいたしたいと思いますが、もう事ここに来れば資料を中間的な報告でもお出しをいただいて、そして、事実解明のために国政調査権に基づくいわゆる調査に協力をいただく意味において、そのことを決意として示していただくわけにはまいらないかということが第一点でございます。  第二点は、この問題は株の譲渡という形はとっておりますが、内容的にはどうも現金を、株の譲渡という名をかりた形でお金を配り歩いているという姿が国民の前にはっきりと出てまいりました。それがどのような意図に基づいてなされたものかを明確にする意味においては、江副氏を再度証人としてこの席に喚問をする必要が出てきたと判断をいたします。  なお、社会的公正を確保していくためには、既に二百五十名の株主名簿が次から次に断片的に出てくるような状態でございますので、二百五十名の株主名簿をこの席に出していただくということができないかどうか、この点について再度答弁をお願いをします。
  6. 林田国務大臣(林田悠紀夫)

    林田国務大臣 国会国政調査に対しましては、法務省といたしましても法令の許す範囲内でできる限り協力すべきものと考えておりまするが、事件は御承知のとおりまだ捜査中の段階でございまして、そのときに当たりまして資料を公表するとかそういう問題につきまして申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  7. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私たちは、我が社会党としても関係者の名前が明らかになった以上は党としての責任の中においてきちっと対処してまいる決意でございますが、当然のことながら、職務関連の行為として疑われるような状態の中にあるものについては、徹底的に究明をしてその問題を追及をしていかなければならないと考えております。  この問題は後ほどリクルート関連の問題として追及をいたすことにいたしまして、本題の税法の問題に入ってまいります。  まず初めは、六十二年度の決算額と六十三年度の税収見込み状態について伺いたいと思います。  自然増収が大変な勢いでふえてまいりましたが、この見込み違いはどこにあったのか、なお、超過税収という形で見るべきなのかどうか、税目で見た場合にはどのような状態になるのか、大蔵大臣お尋ねをいたします。
  8. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 ここ一、二年におきます歳入見積もりをはるかに上回るいわゆる自然増収が生じましたことにつきましては、いろいろの原因があろうと思いますが、基本的には、まず土地等中心にするところの資産の、殊に土地でございますが大都市における値上がり、それからまた株式の取引も相当多くなりまして株価も上昇したといったような、いわゆる資産効果と称するものが一つございます。  他方でまた、ここに参りまして、いろいろ日本経済円高で困難な時代を通りましたが、その結果として円高というものがコスト低減等々のメリットになりつつあること、それから石油価格下降に転じておりますこと、それから金利が非常に低い状態である、史上最低金利になってまいりましたので、企業から申しますと、石油価格低下円高による原燃料等々のコスト低下、それから金利そのもの低下といったように三つの企業経営上のいわば有利な条件がここで重なりまして、それが法人税の非常に大きな増収に変化をしてまいった、六十二年度におきましては三・三三という異常な弾性値になりましたことは先般も村山委員が御指摘になられたとおりでございますが、そのようなことが基本であったと存じます。
  9. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そこで、税目ごと税収伸びが当初予算との対比でどのような状態になったのか、これは大蔵大臣の手を煩わすまでもないと思いますから、税収の、その決算状態と、六十三年度の税目ごとの今の伸び率が、当初予算に示されたものと対比しながら今日の時点においてどのような状況にあるのかということを説明を願いたいと思います。
  10. 水野(勝)政府委員(水野勝)

    水野(勝)政府委員 全体の動きにつきましては、ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございます。  計数的に申し上げますと、昭和六十二年度におきましては、補正後予算額に対しまして三兆七千百九億円の増収となったところでございます。その中の一番大きな税目といたしましては法人税でございまして、これが二兆八百八十一億円ございます。その次が所得税でございまして一兆二千四百九十一億円、このうち申告所得税は七千三百四十五億円、源泉所得税五千百四十六億円となってございます。この法人税所得税との増収額でもって三兆七千の大半、大部分を占めておるわけでございますが、そのほかのものといたしましては、物品税の千六百四十九億円等が大きなものでございます。  それから、六十三年度といたしましては、このような決算額に対しまして六十三年度予算四十五兆九百億円は、ただいまの六十二年度の決算額四十六兆七千九百七十八億円に対しまして九六・四%といういわば逆の数字になってございます。  一方、現在まで判明いたしております九月末までの六十三年度の税収、これは五・三%の伸びとなってございます。予算額といたしましては前年比九六・四%、したがいましてマイナス三・六%でよい数字でございますから、八・九%伸び率としては上回っているというのが九月末までの数字でございます。  この中で大きな税目につきまして申し述べますと、法人税は一七・五%の伸び、それから物品税が二〇・三%の伸び、また相続税が六・七%の伸び、関税が一五・六%の伸び、大きな伸びを示している主な税目としてはこのような状況でございます。
  11. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 これは単なる見込み違いなのか、あるいは意図的にそういうようなのが自然増収という形で国庫に入ってくるという姿が認知されるような格好になるのかどうか。  特に私たちが注目いたしておりますのは、六十二年度の決算額に対比いたしまして六十三年度の予算額がその決算額よりも下回るというような状態予算編成というのは、いかにもぶざまな格好ではないかと思わざるを得ないのでございますが、九六・四%しか決算額に対比して計上されていないということは、一体こういうような自然増収というのか、それは税の取り過ぎという形の中で出てきたのではないだろうか。  といたしますると、この当初予算比で見てみますると、売上税が六十二年度の場合には一兆一千億計上されておりました。それは差し引いた形の中で当初予算比で五兆六千億もふえたのですから、六十三年度の場合でも一体消費税というものを新たに創設をしなければならない格好の中で歳入歳出の問題が論議できるのかどうか。私は、もうそういうような消費税を当て込んでいくというような形の中で問題をとらえていく段階じゃないんじゃないかと思うのでございますが、その税の自然増収に対して、大蔵大臣はこれにどのような対応の仕方を示そうとしているのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  12. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 そのような自然増収が起こりました主たる理由と考えられるものにつきましては先ほど申し上げましたが、六十三年度の予算編成に当たりまして、したがいましてこの三・三三というような異常な事態をできるだけ捨象いたしました形で税収見積もりを行うことが正しいであろう、こう考えたわけでございます。  したがいまして、ただいま政府委員が申しましたような非常に飛び抜けて目立つような税目、例えば法人税でございますが、これは六十二年度の決算に対して六十三年度予算額はかなりそれを下回るもの、いわば一〇〇を下回るものと考えておくべきであろう、あるいはまた所得税申告分につきましても、土地等のことを申し上げましたが、これにつきましてもそう考えるべきであろう。なお、有価証券取引税につきましても御承知のような事情でございますから、そのような推定をいたして六十三年度の予算編成をいたしたところでございます。  そこで、消費税との関連でございますが、このたび御提案をいたしております六法案そのものは、税制抜本改正をこの際やらせていただきたいと考えておりまして、消費税そのもの提案理由につきましては後ほどまた恐らくお尋ねもあり申し上げる機会があろうと存じますが、全体といたしましては、歳入増加を図ると申しますよりはネット減税に、二兆四千億円の減税になる、財政事情からは大変に実は心配のあるところでございますけれども、しかしここは思い切ってやはりネット減税によって、直接税等々、殊に中堅所得層重税感のきつい所得税等々の減税を思い切ってこの際させていただくとともに、消費所得資産に対する課税のバランスを図りますために、社会の共通の費用負担を皆さんに薄く負担していただくということもございまして、消費税を御提案をいたしました。しかしこれは、ただいま申しましたように、財源対策としては、むしろネット減税になるわけでございますので、そこを意図したわけではございません。
  13. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 新税導入というので、今税収中立性というものは何だろう、これはやはりネットで二兆四千五百億の減税歳入不足という形を立てているんだから、問題はそういう点から心配をいたしているんだということでございますが、私は増減税同額の原則というのが税収中立性だと思うのでございますが、それはどういう認識でございますか。
  14. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 基本的に私はそうありたいものと考えております。殊に、御承知のように特例公債をなお発行しておる、赤字公債を出しております我が国財政でございますので、できるならばそういうふうにいたしたいというのが財政当局としての気持ちでございます。  ただ、このたびの税制改正は、過去四十年近い制度を改めることでありますし、また、急速にやがて老齢社会を迎え高齢化社会を迎えて、若い方々がたくさんの老齢人口を背負っていかなければならないという状況がわかっておりますので、それらを考えますと、過去を顧み、将来を展望いたしまして、どうしてもこの機会に抜本的な税制改正お願いを申し上げたい、そういう至上命題から申しますと、それがいわゆるネット減税になるということもあえてやむを得ない、財政当局としては、今後の歳出の削減あるいは租税措置法等々いろいろまだまだ見直すこともあろうかと存じます、そういう財政再建の努力を続けていく、そういうことをいわば覚悟いたしました上で、あえてネット減税を御提案をいたしたわけでございます。
  15. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 新税に入っていく誘い水みたいな格好に見られてなりません。膨大な国債残高を擁している財政を抱えておる中で、あえてそういうようなことをやられるということは、予期しないという名における自然増収、そういうようなものが背景にあればこそ、そういうような措置をとろうとした政策的な意図があるんじゃなかろうかと疑うのでございますが、それはどうですか。
  16. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 よく御理解いただいておりますとおり、三・三三というような弾性値は、これはもうまことに異常でございますので、したがいまして六十三年度見積もりにはそれを排除した形で税収の計上をいたしておるところでございます。したがいまして、そのような自然増収が今後さらに続いていくというようなことは、なかなか簡単に考えられることではない。  例えて申しますと、地価の上昇というものは下降には転じておりませんが、しかし鎮静をし始めておりますし、非常に多くの有価証券取引があって有取税がたくさん入ったといったようなことも、ややもう過去のことになりつつございます。 その他、これは具体的に申し上げることはできませんけれども、今の我が国金利史上最低であるといったようなこと、それから石油価格もかなり低いところに来ておる、円も相当上り詰めておるといったような条件が、さらに今後企業経営にこれ以上どんどん有利に進んでいくということはやはり考えにくいところではなかろうかということを考えますと、今後の歳入につきまして余り楽観をするわけにまいらないというふうに考えております。
  17. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 高齢化社会を迎える中で、なぜ所得消費資産三面の上から見てバランスがとれた体系が必要なのか、このことについて伺いたいと思います。  といいますのは、自然増収が進んでまいりますとなれば、直接税の比率が高くなることは六十二年度の決算状態を見れば明らかでございます。したがいまして、所得消費資産という三面バランスがどのようにとれなければならないという想定が頭の中にまずあるんでしょうか。私たちは、高齢化社会の中でなぜそういうバランスがとれなければならないのかという政府説明がわからぬのであります。宮澤大蔵大臣のお考えを承りたい。
  18. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 ただいま、六十二、三年あたりの我が国人口構成は、御承知のように六十五歳以上を高齢者といたしまして、その高齢者生産年齢人口、すなわち十五歳から六十五歳までの人口がいわば背負っておる、そういう姿の比率は六・六人で一人を背負っておる姿でございます。これが二〇〇〇年になりますと四人で一人を背負う姿になり、二〇一〇年には三人で一人を背負う、これはほぼ人口統計的に明らかでございます。  つまり、ここから急速な、いわば社会の高齢化が始まる。そのようなときに、今より半分以下の人間が我が国社会保障制度を安定的に背負っていってもらうといたしますと、人数が半分以下になるわけでございますから、現行の税制でこの人たちがどれだけ所得税を負担をしてもらいましても、このような大きなお荷物を背負うということは私は到底可能でないというふうに考えております。しかし、さりとてこのような社会保障制度はもとへ戻すというようなわけに、いわばこれよりさらに昔のような不十分なものにするというわけにはまいりません。やはり安定的に推移していかなければならないことは明瞭でございます。  そういたしますと、もとより保険料の負担にも限度があることでございます。であるとすれば、やはりこのような社会の共通の負担は国民みんなが広く薄く背負っていただくということが、今の我が国社会におきましてはできることであるし、また望ましいことではないかと考えるものでございます。  すなわち、年をとるということは、所得を得る、いわゆる稼得能力はこれはどうしても衰えてまいります。これはやむを得ないことであります。しかしながら、消費というものは一応どなたもされるのでございますから、我が国のような所得水準が高い、かつ所得格差の少なくなりました社会におきまして、若い方もお年寄りも消費に応じて薄い広い消費税を背負っていただく、それによって我が国全体の活力ある高齢化社会を維持していく、発展させていくということは極めて大切なことではないか。そうでありませんと、たださえ非常な重税感を持っております今の中堅勤労階級に、さらにほとんどたえがたい負担を負わせる結果になることが目に見えておる、そういうふうに考えておるものでございます。
  19. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 消費税を導入したら直間比率が七三対二七から六七対三三になるという見積もりでございますが、大蔵省はこの比率を六、四に持っていきたいというお考えですか。いわゆる消費あるいは所得あるいは資産、このバランス論というのは、何をどこまで持っていこうという政策的な意図をお持ちでございますか。
  20. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 従来直間比率ということで申し上げておりますので、まずそれを申し上げるわけでございますが、シャウプ税制が始まりましたころの直接税は大体五五であったと存じます。間接税がその残りでございました。昭和三十年ごろに一度直接税と間接税がほぼ五〇、五〇にいっときなりかかっておりますけれども、その後はもう我が国所得伸びが非常に大きゅうございますから、現在のように七三対二六、七ということになってまいりました。これは、現象としては先ほど申し上げましたような給与所得中心とする非常な重税になってまいったということでございますが、何としてもこれは直さなければならないということで、このたび御提案いたしました税制が平年度化いたしますと、大体六六、七対三三、四、二対一ということになろうか、これはまあまあの姿であると私は考えるわけでございます。  なおそのほかに、今度は資産課税というものを導入してまいりますと、この直間という中へ流通税のようなものが入ってまいりますので分類がやや異なってまいりますが、資産課税について申しますならば、このたびの御提案によりましても、大体資産課税の占めるウエートというのは従来と変わっていない。これは都会における土地の価格の上昇等によりましてかなり大きな減税をいたさなければならない、また、昭和五十年度に決めましたままでございましたから控除等も倍にしなければならないというようなことがございますけれども、しかし他方で資産課税のウエートを落とすということはまたそれなりに問題がございますので、これはほぼ維持をしておるということでございます。
  21. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 その資産課税、今は約二〇%ですね。これはそのまま維持する方向、それで直間比率は二対一ぐらいの割合、大臣が頭の中に入れていらっしゃるおよそのバランス論というのはそういうところでございますか。  そうなりますると、フローの所得からストックの方へ変わっていく、資産の形成ができていくという姿が、後ほど私は新しい国民経済統計に基づいてその点をただしてまいりたいと思いますが、それは今度消費税を入れる場合に、資産課税というのはもうふやしもしなければ減らしもしない、そしてフローの所得として得たものの所得税比率を減らしながら、消費をしていくその面に着目をして課税を強めていく、こうしてバランスをとるんだということになってまいりますると、キャピタルゲイン等が手に入りまして思わぬ資産を持つに至った、ストックの増価益がふえた、そういうような人たち社会における社会的公正をどのようにして果たさしていくのかということについては、まだ考えていらっしゃらないのですか。
  22. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 それはいつぞやも村山委員が御提起なさいまして、お考えを私は傾聴いたしておったわけでございますが、確かに、所得税をなるべく、いわば税率の刻みを少なくしていこう、最高税率も下げていこうということ、これが世の中が正常でございますとそれでよろしいわけでございますが、たまたま地価の上昇のようなことがございますと、そういう人たちは、いわば所得税が下がってまいりますと資産という形でそれを蓄積していくことがやりやすい。したがいまして、片っ方で所得税におきまして土地の短期売買の重課であるとか、あるいは有価証券、株式につきましてもいろいろ当委員会で御議論がございます、それらの不公平と言われている税制の是正とかいうところで、そこはそれで所得税側で重課する方法を考える必要がございます。  それでも、しかし資産の方の蓄積はどうなるのかというお尋ねは私はごもっともなお尋ねだと思っておりますので、実を申せば、都会における猫の額ほどの土地が、本当にちゃんと相続税をかけますともう相続人がそこへ住んでおれないというような、こういう異常な状況にだけはともかくこの際対処しなければならないという問題がございまして、それがございましたためになかなかその点を除いて資産課税をきつくすればいいというだけの方に走れませんで、そこで非常にいろいろ私ども悩んでおるところでございます。  それにいたしましても、我が国の今度御提案いたしております後の資産課税、相続税等の税率は、諸外国に比べまして決して低いものではございません。むしろかなり高いものでございますし、また、ともかく資産課税としての比重は全体の中で下がらないようにいたしまして御提案をしたところでございます。
  23. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私はこの際、政府税調へ諮問をされたのが六十二年の十一月の十二日、そして中間答申が出てまいりましたのが六十三年の四月、最終答申が六月に出てまいりました。それで、この答申を求められたのは、竹下総理大臣の名において求められたわけでございましょうが、これに対する中間答申を見てみますと、こう書いてあるのですね。六十二年の十一月の十二日に、総理から、「長寿・福祉社会の維持のため所得消費資産等の間でバランスのとれた税体系を構築することを目的とした」云々の諮問を受け、今日まで審議を重ねてきましたと。  これからまいりますると、もう初めから総理は、その諮問をするのに当たりまして、一定の枠組みの中で答申を求められたのではなかろうか。ということになると、初めに消費税ありきという形の中でその答申を求める用意をされたのではなかろうかと思われるのでございますが、そうでございませんか。
  24. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 元来、この政府税調に対して諮問をいたします際は、私はいつも申し上げておりましたが、国税、地方税を通じて税体系いかにあるべきや、だから予見を挟まないということをよく申しておりました。そういう諮問の仕方が一つと、それからいま一つは、その際、何年度の税制についてというので予算編成前に答申をちょうだいする年度税制と、二つの場合を考えておりました。したがって、あるべき税制のあり方というふうに本当は前提条件をつけないで諮問申し上げるのが、私は専門家の皆さん方のお集まりに対する礼儀でもあるというような感じを長らく持っておったことは事実でございます。  しかし、変わってまいりましたのは、やはり一つは、国会の議論等におきまして、今志向すべき問題点のあり方というようなのが徐々に明らかになってきたことは事実であろうというふうに思います。これは五十四年の際からの経過からしてそういう傾向をたどってきたんじゃないかなというふうに思いますから、私は基本的には偉い先生方に、あるべき税制の姿、こういうことをお願いすると同時に、国会等で最も議論の多かった問題を若干つけ加えさせていただいてこの諮問文をつくらせていただいたという印象を私自身持っております。したがって、初めに消費税ありきということを念頭に置いておったわけではございません。
  25. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 その答申を見てみますと、現行の所得税法人税、間接税等については問題がある、不公平感、重税感がある。財政は巨額の赤字を抱えている、国債残高を抱えている、いよいよ厳しい状況の中にある。しかし、減税はやらなきゃならぬ。それで、有価証券の譲渡益については原則課税にする。広く薄い安定的負担を求める新しい消費税が必要だという答申を得られて、それに基づいて党税調などでいろいろ打ち合わせをされた結果、今日提案をされたものでございますが、どうも、二十一世紀に向かって国民が公平感を持って納税できるような安定的、信頼感のある税体系を今度提案をされましたこの法案によってつくり上げることができるんだろうかということで、この前から野党四党が政審会長会議で懐を開いて税制の基本構想を持って国民に訴えてきたわけでございます。  一体そういうような、二十一世紀に向かって国民が公平感を持って納税ができるような税体系というものに今度はなるのでしょうか。その点については御自信がございますか。  というのは、どうも日がたつにつれて国民の間に、何だ今度の税制改正は、これはもう一回やり直しをしてもちわなきゃいかぬじゃないか。特に消費税について非常に人気が悪うございますね。そういうようなことを考えれば、国民が税のあり方の問題について、納税者としての主権的な立場から、どうも今度提案をされたのはそういうような二十一世紀に向かって安定的な公平感を持った税体系にはなり得ないんじゃないかというふうにひとしく思っているんじゃないでしょうか。そっちの方が多いように感ずるのですが、これは宮澤大蔵大臣、どうなんですか、PRが足らないからそうなっているのでしょうか。
  26. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 政府は昨年売上税の形で御提案をいたしましたが、これは国会からもまた世論の上からもいろいろな御批判を受けました。その御批判にかんがみまして、今度は十分反省の上、国民の御意見も広く聞きながら新しく消費税を御提案した、税制改革全般についての改めて御提案をしたわけでございます。  その際、今国会におきまして、いわゆる不公平税制というものがたくさん残っておって、これが解決されなければ国民としては新しい税制改革を議論するのはまだまだ早いのではないかという、八月十七日でございましたか、野党各党で御検討なされました結果を、さらに与野党間の御協議が続きまして、そうして今日いわゆる不公平税制の是正につきまして、この際直ちに実行すべきもの、あるいは先の日付でその再検討をはっきりさせておくべきもの、あるいは何年かうちに検討結果を求めなければならないといったようなもの、幾つかに各党御協議の結果は分類されつつ、その姿がかなり明瞭になってまいったように承っております。  この点は、国会の御意志でございますから政府としてももとよりそれを素直に承るべきものであるというふうに考えておるのでございますが、これによりまして、まず不公平是正部分につきましてはかなりの改善が見られるということを期待をしてよろしいのではないかと考えております。  なお、これとの関連で、老齢化社会高齢化社会と言うけれども、一体それはどのようなことを考え、どのような施策を可能にするものかといったようなことについて、もっとはっきり、できる限りの姿を国会にお示しすべきであるといったような御指摘もあり、また行財政改革を推進しなければ国民は新しい税というようなものについて不信を持つというような御指摘もございました。これらの点もまことにごもっともなことであって、政府部内でもその点はいろいろ勉強させていただいたところでございます。  そういう背景がございまして、今、その問題の消費税について国民がどう考えておられるかということでございますが、昨年の私どものいわば苦い経験もございまして、このたびは内容もかなり簡素なものにいたし、国民にもおわかりやすいものにしてまいったつもりでございます。  しかし、私どもが直接地方に参りましていろいろな機会に、いわゆるつじ立ち等の機会に受けます御批判は、一つは、行財政改革の努力をなお十分にやらなければならないということ。もう一つは、いろいろございますが、転嫁ということが果たして十分に行われるのか。これは国民の側におかれて、もしこれをやっていく場合には、これはいわば消費者が転嫁を受けて負担すべきものでございますが、それがうまくいかないときには自分のところの持ち出しになってしまうと事業者が考えられるのは、心配されるのはもっともなことでございますから、この激しい自由経済の中で転嫁が本当にできるのか、それをどうやって政府は担保するかというようなことは大変に御議論になっております。  国民の御批判はいろいろございますけれども、ただいまの行財政改革の推進ということ、それから転嫁をどうすれば確実にできるかといったようなことが、ほかにいろいろございますが、いろいろ御議論になる中で目立った点である、そういう点についての政府の努力が求められておるというふうに考えております。
  27. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私は、今の宮澤さんの答弁では国民を納得させることはできないと思います。  しかし、その問題をこれ以上質問をするわけにはまいりませんが、この新しい消費税、間接税制度というものを考えてきたのは、売上税の反省の上に立って考えたと政府税調の答申の中にございますね。そのいわゆる基礎的な条件、新間接税を導入する基本的な条件は、今も宮澤大蔵大臣がお話がありますように、いろいろなことをおっしゃいます。所得水準が上昇をして平準化している、社会生活全体が均質化してきた、国民の関心というものが水平的公平を考える方向へ向かってきている。これは恐らく小倉会長がそうお考えになったのだろうと思うのですが、その答申を受けて、御無理ごもっともだという会心の笑みをたたえるような答申だとお考えになっているのだろうと思うのだけれども、一体そういうような状態に今進んでいるのでしょうか。これから悪くなるんじゃないか。例えばジニ係数の問題等をとらえてみますと、私は楽観できない状態になりつつあるのじゃないかと見ているのでございますが、そういうような答申を受けた状況の中の情勢と今日の情勢ではどのような変化があり、またこれからどういうふうに変化していくというとらえ方をなさっていらっしゃいますか。
  28. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 これは、あるいは他の閣僚からも御答弁があるべき問題かと存じますけれども、シャウプ税制以後今日まで我が国が歩みました道をいわば長期的に見てまいりますと、国民の間の所得水準が上がり、格差がかなり急速に縮まったということは、これは長期的に申し上げて間違いではないと思います。五分位階層の比較で申しますと、昭和二十五年あたりが一対五・八でございましたと思います。ただいまが一対二・九ぐらいでございます。ジニ係数につきましてもかなり途中まで好転をしてまいったところでございます。  村山委員のおっしゃることは私はごもっともだと思いますのは、そのような長期の流れとしては私は間違いないと思うのでございますが、この何年かのところでその流れがどうも停滞した、あるいはやや逆転している部分がありはしないかという点に関してであると私は思います。  それは、やはり二度の石油ショック、それからかなり円高が急激に短期間に訪れたというようなことがありまして、我が国に雇用不安が御承知のようにごくごく最近までございました。これは非常に深刻な問題でございますから、雇用不安になりますとどうしても賃金水準よりは雇用そのものの確保というふうに労使とも考えやすい、これはやむを得ないことであると存じますが、そういうところで今格差是正の流れが停滞をした。  ただいま二・九と申し上げましたけれども、これはいっとき、もう少しいい、二・六でございましたか、昭和四十五年でございますか、いわば一遍完全雇用みたいな感じの出ました石油危機の直前、かなりいいところまで行きまして、それから石油危機でずるずる、しかし二・九より悪くなってはいない。こういったような中期的と申しますか短期的には必ずしも好転をしていない部分があることはおっしゃるとおりでございます。  しかし、ここに参りまして有効求人倍率が一を超えた、だれが考えてもかなり人手不足に近い経済になって、比較的経済がうまく動いておるということになりますれば、雇用の不安というのは急速に解消しつつある、したがって、長い間進んでまいりましたそのような大きな流れというものはここでまたもとの流れの方に戻っていくと考えて相当なのではなかろうか、こう考えますものですから、ここ何年間かの問題がありますことは私は村山委員のおっしゃるとおりであると存じますが、これからの流れというものは、やはり何十年進んできましたその方向にさらに進んでいくと考えてよろしいのではないかと思っておるものでございます。
  29. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 今の大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、私は納得ができないのであります。  というのは、今度国会に出されてまいりました所得税法や法人税法の改正あるいは相続税法の改正の中身を見てみると、資産を持っている人たちには有利に働く、しかし、土地も持たなければ株も持たない、一生懸命働いている人たちにとりましては余りありがたみのない税法でございます。そこへもってきて消費税をかけられるわけです。消費税は、そういうような平準化し社会全体が均質化している中でかけるということになると、私がいつか言ったように人頭税なんです。人間の頭にかける税金なんです。そういうようなところからいえば、社会的に所得の少ない人にはやはりそういうようなことの方向で不利に働いていくということは否めない問題でございますから、ジニ係数は一時的に悪くなっているが将来はよくなるだろう、それはいただけません、そのことははっきり申し上げて、今この消費税をつくらなければならない客観的な条件というものは、もう少し掘り下げて論議をしてみる必要があることを指摘をしておきたいと思います。  そこで、今度、年金の課税の問題にちょっと移らしていただきますが、給与所得から雑所得になりましたね。雑所得になった。そこで、いわゆる高齢者に対しますいろいろな特別な控除方式等を用いまして、厚生省の資料によれば、六十五歳以上の夫婦の場合の課税の限度額というものが、従来の二百二十九万六千円から二百五十六万六千円になろうとしている。このことはそうでございますね。  そこで、その中で、私たちのところに参ります手紙やら訴えの中に、公的年金控除が百二十四万一千円になった、これが十五万ぐらい下がることになったわけでございますが、そうなってくると、どうも十四万五千円ほど公的年金受給者の控除が下がることに伴いまして、国民健康保険税がその分を受けて二万数千円上がった。それは市町村によって違いますけれども、大体そういうことでありましょう。  年金のいわゆるスライドというのは物価スライドでございますから、〇・一%しか上がっておりませんので、そういうようなところで百七十五円ぐらいでしょうか、年金はコーヒー一杯分しか上がらないわけです。そこへもってきて、高齢者社会の中において年金制度というものを考えておる、あるいは所得の問題を考えてそういうような問題を取り上げてきたと言うのだけれども、現実の問題としては、収入はふえないのに、税の形をとる国民健康保険税、あるいは国民健康保険料でもよろしゅうございますが、これは余計に出さなければならないということになったら、それにおまけに消費税消費に対して課税をされるということになると、今度の税法改正というのは年寄り泣かせの税法改正じゃないでしょうか。その点はどういうふうに説明ができますか。
  30. 水野(勝)政府委員(水野勝)

    水野(勝)政府委員 年金課税の制度につきましては、御指摘のように先般改正が行われてございますけれども、この点につきましては、御指摘にもございましたように、年金課税につきましてとりますれば、現在が二百六十九万円までが非課税、これが三百一万円まで非課税ということでございますので、老年者年金特別控除それから従来の老年者控除にかえまして、公的年金控除と老年者控除の大幅引き上げをもって対処いたしました結果といたしまして、年金課税、所得課税につきましてこれが負担増になるということはないことでございます。  それから、消費税との関連におきましては、六十五歳以上の方々の世帯をとりましても、今回の組み合わせでも減税になっておる。また、六十二年度改正をも含めて考えますれば、これは負担軽減は明らかなところでございます。  ただ、御指摘の国民健康保険料の計算につきましては、この年金課税制度の仕組みの控除の態様が変わったことによりまして、課税の方式の選択によりましては負担の変動が起こり得ることはあるようでございますけれども、全体としてのこのような年金課税の軽減によってそのあたりは吸収されるものではないかと思っております。
  31. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 吸収されるものと涼しい顔をしておっしゃるけれども、厚生省はどういうように計算をしているのですか。それは直ちにそういうような──厚生省じゃなくてこれは自治省ですね。自治省はどうなんですか。負担がふえることをお認めになるんじゃございませんか。
  32. 湯浅政府委員(湯浅利夫)

    ○湯浅政府委員 国民健康保険税の問題につきましては、所得税、住民税におきまして年金所得を給与所得から雑所得に変えたということによりまして、いわゆる総所得金額から基礎控除だけを控除するただし書き方式を採用している地方団体におきましてはこの老年者控除というものが適用されなくなるというようなことがございまして、年齢あるいは収入の多少によりましては税負担が増加する場合が出てくる場合があるんじゃないかと思います。  この点につきましては、国民健康保険というものは被保険者全体が医療費の総額を負担し合うということで、どのように公平に負担し合うかという問題に帰着するわけでございますので、この辺を今後どう考えていくか、これは六十四年度から出る問題でございますので、この問題につきまして関係省庁との間でいろいろ議論をいたしまして、今回の年金の取り扱いの改正の趣旨などを踏まえまして御協議をしてまいりたいと思うわけでございます。
  33. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 総理大臣、お聞きのとおりに、租税負担率だけの問題で我々はこれからの高齢化社会を論ずるわけにはいかぬと思うのですよ。やはり社会保険料を、あるいはそれに類するいわゆる掛金、負担金という問題を織りまぜながら、全体的にどういうような状態になるかということを描かなければならない。  これは給与所得対象から雑所得対象に変わっていった。高齢者の人たちは言うておりますよ。おれたちは、昔はちゃんと満員電車に乗っていった、今は恩給生活、年金生活だから必要経費というものは現役に比べたら減るだろうけれども、しかし給与所得者として働いてきたなにを受け継いでやっていくんだという気持ちでおったら雑所得者になってしまった、そういうふうに希望したわけではないのにさせられた、その中でこういうような弱者に対して打撃を与えるようなことをやろうとしているじゃないか、何とかおまえたちしっかりせいよとOBの連中から言われるのですよ。  その人たちは、現役のときには共済年金なりあるいは厚生年金に入っていた。共済年金の受給者の場合、特にこういうような国民健康保険とかというものに変わっていくわけですから、やはりそういうような年金受給者が不利にならないようにするというのは、提起をなさいました皆さん方が、六十四年度からこの問題については発生をするんだから関係省庁打ち合わせをしたいという事務当局の答弁があるのですが、自治省と厚生省になるんでしょうか、大蔵省になるんでしょうか、それはやはり全体を眺める総理大臣が、そういうような政策的な意図はないのにそのような不都合なことが生じているとするならば、これは前向きに処理をすべきだという答弁をいただくわけにいかぬでしょうか。
  34. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 村山委員おっしゃいましたように、今後の税負担のあり方について、これは租税負担率だけで議論することは私もいけないと思います。大きく言えば国民負担率と言った方がよかろうかと思っております。保険税のところもございますし保険料のところもございますので、総合して申しますとやはり国民負担率そのものがどれぐらいなところにあるかということで、まず今後の国民生活そのものは見ていくのが私はいいことだというふうに今までも思ってきたところでございます。  それで、年金関係が確かに雑所得というところへ参ったことも今度のことで私も承知をしております。今もお答えしておりますように、この問題についてはいわゆる医療保険そのものの問題というのがもう一つある。したがって、これについてはやはり地方税でございますから六十四年に実施されるわけでございますので、それまでの間に協議しなければいかぬという答弁があっておりましたが、私も協議すべき課題であると思っております。  本当は厚生大臣が年金担当大臣ということに指定してあるわけでございますが、税の問題ということになるとだれが主宰者になるかということについては、ちょっと私も今すぐお答えするだけ準補しておったわけではございません。
  35. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 厚生大臣、私はやはり高齢化社会の中で、今総理がおっしゃるように国民負担率の問題で考えていく。その中で、そういうような制度の改正に伴ってマイナスに働くようなことがあってはならないという気持ちは厚生大臣が一番お持ちだろうと思うので、それについてのあなたの所見をお聞きいたしたい。
  36. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 昨年の税制の改正によりまして、年金受給者の国保税の取り扱いについての御指摘、状況につきましては政府委員から答弁申し上げましたとおりでございます。  確かに、年齢それから年金受取額の数字によりましては、プラスになる人もあり、御指摘のようにマイナスになる人もあるわけでございまして、特に、新聞に投書がありました丸山さんだったかと思うわけでありますが、あの事例を拝見しておりますと三十数%国保税が今までよりも上がる、これはやはり大変大きな数字だと私は思います。こういうことはやはりいかがなものであろうかという問題意識を持っておるわけでございまして、今後自治省と私ども十分に詰めてまいらなければならない、さような考え方でおります。
  37. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 十分詰めていただいて、期待にこたえていただくように要請をしておきます。  そこで、年金制度の問題、ちょっとやはりここで詰めておいた方がいいだろうと思いますので申し上げますが、日本の年金制度というのは、税が持っております垂直的な再配分機能というものはほとんど果たしていないんじゃないかということがよく言われます。それは今の仕組みが、生涯一生懸命独身で働いた女性の工員と、それからその人の所属している会社の社長夫人と、受け取る公的年金の収益率を考えていけば、その社長夫人の方が余計もらって独身で一生懸命働いた人の方が下がるというような仕組みでございますから、これは、垂直的な公平感というものは今の年金制度の中ではないんじゃないかというふうに、全然ないとは言いませんが、ほとんどないと言われるのは当然だろうと思っています。  そこで、今こういうような社会保障の問題をめぐりまして、今後高齢化社会を迎えてくるんだからこういうような消費税が必要だということで提起をされた。しかし、その中身はどういうふうになっているのかということについて、これから承ってまいりたいと思うのであります。  日本の公的年金制度というのは、今までは拠出方式が中心でございましたが、今実質的には賦課制度になってきているのではなかろうかと私は思うのでございます。というのは、具体的な例として、中曽根行革で出発をいたしまして今日まで国の負担金はずうっとカットをしてまいりました。厚生年金だけでも国庫負担の四%分が繰り延べになりまして、六十三年度末の元利合計金は二兆四千億余りでございます。老人保健制度の発足に伴います毎年度の健保からの繰り入れは約三兆円でございます。それを拠出金として繰り出している。だから、保険料を税金がわりにすりかえているのではないだろうかと疑われるのでございますが、今の日本のこういうような公的年金制度というのは、積立方式という社会保険料の制度から実質的にはもう賦課制度に変わりつつあるのではないだろうかと思うのでございます。  これからの社会保障関係の財源というものを、見通しをつけたものも数字を示されておりますが、この前この委員会に提案をされました厚生省の案を見てみますると、そういうような基本的な課題に対する考え方というのはございません。どういうふうにしてその財源を保障していくのかということについての考え方がないという点を私は残念ながら指摘をせざるを得ないのでございますが、一体今の年金制度というのはそういうような積立方式に返られるつもりでございますか。それとも、賦課方式という今の変わった形に転化していきつつある、いっている。これをもとの姿に返すことができるというふうにお考えでしょうか。もうやむを得ない、今のままでいくよりほかにないんだという考え方でありましょうか。  その点についてお答えをいただかなければ、消費税を導入する目的が、明らかにそういうような高齢化社会における、それを全体を予想して提案をしているわけでございますから、その点から明確にならなければ消費税の根本的なあり方についての論議ができないと私は思うのでございますが、厚生大臣の所見を承りたい。
  38. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 我が国の年金制度は賦課方式か積立方式か、これは今まで随分議論がなされてきました。極めて基本的な問題でございますが、御承知のように今日は積立方式で年金制度を運営しておるわけでございまして、厚生年金、国民年金合わせまして現在六十六兆円の積立金もございます。  ただ、今後の方向を考えてみますと、団塊の世代が年金受給者になりましょう八十年代の後半、このあたりでは給付額が総体的に現在よりも大変な金額になってくるわけでございますので、賦課方式の状況にならざるを得ない。また、そういう状況になればなるほどこの年金財政の問題が極めて重大な課題になるわけでございまして、この給付に対する負担をどうやって安定的に確保していくか、こういう問題も当然出てまいると思っておるわけでございます。
  39. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 この前、厚生省、労働省の案だとしてこの委員会に示されました「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」というものを拝見をいたしました。なるほど、生きがい対策とかあるいは社会参加とか健康づくりとか、あるいは家庭、地域生活の問題やあるいは老人施設や病院の整備、雇用、年金、こういうような問題について触れていらっしゃるわけでございますが、私は、やはり高齢化社会への対応というのは、その問題を基本的に据えながらも、今の税制なりあるいは社会保障のあり方が果たしてそれに対応できるのであろうかということを追求をしなければならないと思うのであります。  そこで、これは税制の問題でございますが、いわゆる家庭における専従主婦というものは特別に配慮して、その貢献度に応じて特別の妻の座を確保するための措置をとりましたね。その問題といわゆる婦人労働者が市場に参加することを抑制をする問題とのつながり。また、今の年金の計算をいたしてみますと、婦人労働の市場参加は現在のままという想定の中で計算をして、将来はこういうようなのが金が要りますよという計算をしているのじゃないですか。だから、婦人労働者がそういうような労働市場に参加をして、そして掛金を納めていく、そういうようなシステムをつくっていけば、公的負担金というものは、国が出さなければならない負担というのは比較的少なくなるのじゃないか、私はそういうような計算をすべきだと思うのでございます。  税制の中で家庭の専従主婦に対する貢献度を尊重してやるというのは、一面においては非常にいい制度に見えますが、一面においては婦人が労働に参加するシステムを抑えることになり、そして社会保障体系の中ではそれは後退をする方向に働くし、そしてまた財源計算をした場合でもそれはマイナスに働くのじゃないか。  だから、高齢化社会というのは、やはり年をとっても働けるような状況をつくっていく、スウェーデンにおける部分労働、部分年金というのでしょうか。そういうような制度を我が国でも取り入れていくというようなシステムを考えなければ、現在のシステムの中でこの問題を整理をしようと思っても、どうも負担だけはふえていくということになるのじゃないでしょうか。その問題については厚生大臣、どういうふうにお考えになっているのですか。
  40. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 部分年金の問題にも御指摘がございました。  私は、基本的には、平均寿命がどんどん延びてまいりまして、これからの日本の社会というのは人生八十年型の社会になってまいるわけでございますから、そういう中で人生五十年時代の発想というものを変えていくということが最も基本的な取り組みの問題だと思うわけでございます。これは、個人であるとか家庭であるとか企業であるとか社会であるとか、また地方自治体であるとか国、あらゆるレベルで社会のシステムを変えていく、新しい行き方を考える、新しい物の考え方を行う、こういうことだと思うわけでございまして、そういう全体の中でいろいろな具体的な問題を解決していくということが最も基本的に大事であろうと思うわけであります。  部分年金の問題は、おっしゃるように、年金を六十五歳から受給する前に、部分的に年金を受給してそして退職をしていく。これは実は失業率との関係がございまして、早く年金をもらうことによってリタイアする、そして若い人たちの失業をカバーしていく、こういうねらいがございましてスウェーデン等で実施しているわけでございますが、日本の場合は、御承知のようにそういった失業率が低い、もうほとんど完全雇用の状況でございまして、この部分年金を採用するというような状況には日本はないわけでございます。  ただ、考え方としては、六十歳の今の定年、それから将来六十五歳に年金の受給年齢が引き上げられた場合に、その間をどうやってつないでいくかという問題になるわけでございまして、その点につきましては、部分年金とは異なった、この六十歳から六十五歳までの間をつなぐということについては考えていかなければならない、そういう問題だと思っております。
  41. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 総理が長寿・福祉社会を維持するために税制のあり方を考えろということで答申を求められて、それに基づいて今提案をされた基本が示された。ところが、今その長寿・福祉社会を実現するに至るいろいろな仕組みなり財政なり制度論というものを私は考えてまいりますと、これは本当にまだはるかでございます。そしてもう七十年には公的年金の一元化が待ち受けておりまするし、六十五年には老人医療費の保健法の見直しの問題も出ておるわけでございます。医療の問題だけではございませんで、国鉄共済の問題がありまするし、年金制度の全体の長期の見通しの問題等もある。  そのときに、今そういう目的として描いているものがまだまだ姿がはっきり見えない状況の中で、税金だけは先に取るんだぞという消費税の姿は、これはどんなものであろうか。長寿・福祉社会を実現するための施策、そしてまたそれを維持するための税制ということを考えたら、やはりそういうような税金と、税金を徴収して達成をしようとする目標とをきちっとした形で置かなければ国民の理解は得られないのじゃないだろうか。私は、アメリカの場合でもイギリスの場合でも、基本税率を下げたりして、きちっとした形で水漏れを防ぐような税制というものを企業税制でもつくって、そして活性化を取り戻していったあの手法を考えると、私たちもやはり学ぶところがなければならぬと思うのでございます。  今の長寿・福祉社会と税金との関係は、もう少し時間をかけて詰めてみる必要があると思うのでございますが、総理の御見解を承りたい。
  42. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 私は、今の村山委員の議論を聞いておりますと、私どももかつてやっておりました福祉目的税的な方へ若干何か引き戻されるような感じをしながら本当は話を聞いておったわけでございます。確かに、五十四年のあの決議をつくりますときに、国民福祉充実のため安定した財源が必要であるということが書き出しになっておりますときには、あるいは私を含め、いずれ訪れてくる長寿社会というものに対する福祉目的税的な感覚があったのじゃないかという感じがいたします。  確かに、安定した財源が必要であるということは言うをまたないことでありますが、さようしからば、そのビジョンをきちんとしたものを出して初めて国民に理解を求めることができるではないか、こういう御趣旨であります。  したがって、たび重なる本院における御議論の中で、福祉ビジョンというのを先般提出いたしたわけでございます。これについては、しょせん給付、負担の関係は最終的には国民の選択に関する問題でございますが、今の水準を落とさないという議論はもちろんできるわけにいたしましても、あらかじめ将来の負担と給付を予測しながら長期計画を数字を入れたようなものを出すのは、これはなかなか難しいことだということは御理解をいただけるものであると思っております。  むしろ、これはいささかきょうの議論の流れで最初の御質問を何かお借りするような気がいたしますが、あるいは自然増収とかそういうものが幾ばくでも出るような今こそ、将来を展望した、完全なものはありません、不磨の大典であるとも思えませんが、可能な限り安定した税財源の構築の議論が一番できるときではなかろうかというふうに考えて、急ぐべきではないというよりも──急ぐべきだとは申しません、今こそ最適の機会だ、こういうふうにお答えをするにとどめておきます。
  43. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 消費税の具体的な例で一つだけ通産大臣に尋ねまして、それから問題の企業税制からリクルートの問題についての質問をいたしたいと思います。  通産大臣、今石油業界は、十兆円の売上高に対しまして既に三兆二千億円の石油関係諸税を受け持っているというふうに聞いております。ところが、新たに今度消費税を設けるという姿が出てまいりました。そうなってまいりますると、この石油関係諸税の問題についてはさきに大蔵委員会で決議がございまして、国際比較の上で非常に高い、複雑である、これを是正すべきであるということの決議がなされておることは大蔵大臣は御承知でございます。  これは非常な基礎物資であり、産業や国民生活に非常に重大な問題を提起するということですから、そういうようなことからいえば、ここだけ、この部門だけが三千億円加重されるというようなことになったのでは、消費税提案の趣旨からいっても極めておかしなことになるのじゃないかというふうに考えておりますし、他のエネルギーとの競争力を考えたりすると、どうも均衡がとれない素地が生まれてくる可能性があると思うのでございますが、通産大臣はそういうような問題について非常に深い理解をお持ちでありますので、大臣の所見をまずお伺いをしておきたいと思います。
  44. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 御承知のように、消費税といいますのは、消費に対して薄く広く課税ということで、原則非課税を認めていないということでございますので、石油諸税におきましても例外ではあり得なかった。  しかしながら、実際に消費税がかかるわけでございますから、そういう点で、我々は総合的にこの消費税分をどういうふうにするのかということで、今鋭意検討をいたしておるところでございます。
  45. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 検討を願うことは結構ですが、やはり善処願わなければならないと思いますので、その点については要望を申し上げておきます。  そこで、企業税制の問題でございますが、今回はまあ配当軽課制度は法人段階で廃止をする、受取配当の益金不算入制度というのは一〇〇%を八〇%に下げておるわけでございます。  そこで、一体その受取配当等を益金不算入にする制度というもので一番受益者というのは今までどこだったんだろうかという企業の実態調査を私たちの方でもしてみると、これは商社が一番大きな利益を受けておりますね。三菱は六八%受けています。三井も四九%受けている。丸紅が四二%、日商岩井は六〇%受けておることが明らかになってまいりました。こういうような一部の業種だけがそういう税制によりまして特別な恩恵を受けるという仕組みは、租税特別措置法なりあるいは法人税法の本体にもかかわりますが、そういう制度の仕組みというものはよくない、私はそう思うのでございます。というのは、日本の会社の場合には法人間の株式の持ち合いが八〇%を占めているということから生まれてくる現象でもございます。  やはりこのような状態企業税制のあり方としては直していかなければならないという意味で、今まで一〇〇%であったものを八〇%に下げられたんだろうと思うけれども、もう少しこれを下げていく意思はないのか、宮澤大蔵大臣にその点をお尋ねしておきます。
  46. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 これはよく御案内でございますのでくどくは申し上げませんが、いわばシャウプ勧告によって始められたところの制度でございます。  二つの会社の間がいわば親子関係にあるといったような場合には、この課税をいたしますと、それならばもう会社は一緒になってしまった方がいいということに当然なりますので、そうしますと会社間の垂直的な合併を、統合を税制が促すようなことになって、それは税制中立性ということからいうとやはり好ましくないであろうという問題が一つ御承知のようにございます。しかし、他方で、そういう場合ももちろんございますけれども、いわば投資物件として株式を保有するということも、これも間々あることでございますから、そういう場合にまで益金不算入ということは、それはそこまですることはないではないかといったようなことが他方でございます。  そこでこのたび、特定の場合、例えば株式を二五%あるいはそれ以上持っているといったような場合には、これはまあ一種の親子関係でございましょう、そういう場合はともかくといたしまして、それでないような場合にはこれはやはり課税をある程度すべきものであろう、結局二年間で八〇%にまで下げるということを、益金不算入ということを考えたわけでございます。これは聞きますと、アメリカでもそういうような八〇%ということをやっておるそうでございますけれども、結局もうこれは議論をしてまいりますと、配当というものは、法人と法人、法人と個人の間でどういうふうに扱うべきなのかといったような、これは私なんかには非常にわかりかねる難しい税の方の議論に入っていくらしゅうございますが、現実にはしかし投資物件として持っているものまで不算入という必要はないということで、このたびの踏み切りをいたしたわけでございます。
  47. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 この問題は、企業税制のあり方の問題として、余りにも特定の業種だけが利益を受けるような税制というものは直していかなければならぬ、私はその方向性というものは間違いないと思うのですよ。  したがいまして、大商社が、社会的責任を果たしてもらっておるけれども、では本当にどれだけの税金を納めてくれているのかというのを調べてみますと、余り税金を納めていないのですね。何十兆というような取引をしながら経常利益も上げておるような大商社が、法人税も余り納めていない。それで中身を見てみると、そういうような配当所得によりますウエートが非常に高過ぎる。このことを考えてみますと、もっと税制の切り込みは、引当金であるとか準備金であるとかというだけではなしに、そういうような本体の分までしっかりとねらいを定めて公正な税制をつくるようにすべきである、私はそのことを要請をいたしておきたいと思います。  そこで、これはもう時間がだんだんになくなって恐縮でございますが、経済企画庁長官、六十三年版の国民経済計算年報をお配りをいたしました。この中から私たちは、経済活動によりまして六十一年の暦年の間においてどのような資産が形成をされたかということが非常によく統計的にわかります。  これをあなたは税制やあるいはこれからの経済運営の中でどのように生かしていこうというふうにお考えになっているのか、私はこの中には非常に教えられるものがたくさんあると思うのでございますが、これの活用の方法をこの新しい国民経済統計に基づいてお考えかをお聞かせいただきたい。
  48. 中尾国務大臣(中尾栄一)

    ○中尾国務大臣 新SNAといいましょうか、システム・オブ・ナショナル・アカウンツという形で私ども発表いたしましたが、発表したような方向で、また先生の御指摘のようなことも十分に踏まえながら活用していきたい、こう考えております。
  49. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そこで、リクルートの問題でございますが、総理がこの前ここで整理をなさいました。この問題は証取法上の問題が一つある、それから税法上の問題がある、それから刑法上の問題がある、それから道義、倫理の問題がある、四つのカテゴリーに分けて大変正確な表現で説明をされました。  そこで私は、今国民の中にありますのは、本当にどこまで広がっていくのだろうかという、政界、官界、特に公の職にある者、しかもそれが職務権限とのつながりの中において疑わしき者、これが次から次に出てきているという事態は、これは国民の大変な不信を買う状態に立ち至っているなと思うのでございます。  そこで、私たちもきちっといたしてまいりますが、やはりこの問題については、まず文部大臣から、高石邦男前文部事務次官につきましての状況について、本人の名義で一万株を六十一年の九月に入手いたして、それを処理をいたしておると言いますが、この高石君は、前に事務次官在任中に大学審議委員に江副君を任命をした、それにタッチした人でありまするし、また初中局長のときに教育課程審議会の委員に任命をいたした人でございますから、その意味において職務との関連が非常に強いのじゃないかと疑われるのでございます。このことについて、今まで文部省としては何もございませんということで答弁をなさっておりましたが、新しい事実が出てまいりまして、これに対して文部大臣はどのような措置を今日までとられたのか、まずお聞きをいたしたいのでございます。
  50. 金丸委員長(金丸信)

    金丸委員長 文部大臣ちょっとおりませんから、加戸官房長。(発言する者あり)静粛にしてください。勝手なことを言ってもらっては困りますよ。休憩の権限があなたにあるか。来るまで待つと言っているんじゃないか。静かにしてください、来るまでやりませんから。──もう大臣が向こうの委員室から出たそうですから、いましばらくお待ちください。  村山さん、改めて質問してください。それで、今の時間ロスは後で見ますから。
  51. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 リクルート解明は、竹下総理がおっしゃるように、証取法上の問題、税法上の問題あるいは刑法上の問題、そして道義上、倫理上の問題という分類をなさった。  そういう中で、今広範な汚染が広がりつつある。この中に、その地位にあって、その職務権限に基づいてそのような疑惑を生じているような者が存在をするということについては、私たちはやはり厳しく責任を追及していかなければならない立場にございますので、文部大臣に再度お伺いをいたしたいのでございます。  高石邦男前事務次官が本人名義で六十一年の九月に一万株の譲渡を受けた。そしてそのことは、事務次官在任中に大学審議会の委員を任命をし、さらにまた初中局長のときに教育課程審議会の委員に本人を任命をいたしているという状態の中にありまして、この事実関係を説明を願うと同時に、文部大臣の見解を承りたい。以上です。
  52. 中島国務大臣(中島源太郎)

    中島国務大臣 まず事実関係について政府委員からお答えをさせ、そして私の見解を申し上げたいと存じます。
  53. 加戸政府委員(加戸守行)

    ○加戸政府委員 昨日早朝でございますが、事実関係について高石前次官から確認をさせていただきました事柄は、御本人の奥様が六十一年の九月にリクルートコスモス株一万株の購入をされて、その二ヵ月後でございますが、十一月にそのうちの六千株を売却し、ファーストファイナンス社からの融資金、借入金の返済に充てた、そして残り四千株は現在保有しているが、これは生涯学習振興財団の方に寄附をする予定であるという関係のお話がございました。  それから、審議委員の発令関係につきましては、当然事務次官として大学審議委員を発令する事務に関与する立場にあったわけでございますが、このことに関し一切指示等は行っていない、下から上がってきた書類を決裁しただけである、そのような説明がございました。  以上が簡単な事実関係でございます。
  54. 中島国務大臣(中島源太郎)

    中島国務大臣 事実関係についてはただいま政府委員がお答えをしたとおりでございます。私自身また前事務次官の行動につきましては昨日の報道によって承知をいたしたところでございます。  事実関係は今のとおりでございますが、私の率直な感想といたしまして、これが本人であれ夫人であれ、この行為はまことに慎重さを欠いたものといたしまして残念至極に存じます。私どもといたしましてはさらに詳細な事情を聴取いたしたい、このように考えております。  同時にまた、省内に対しましてさらに厳正な職務を遂行いたしますように徹底をいたしたい、こう思いまして、昨日既に事務次官並びに官房長に指示をいたしまして、省内の徹底を図っておるところでございます。
  55. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 詳細に調べてみようということでございますが、一体この高石邦男夫人の益枝さんという方と江副さんとの関係はどういうような問題があるのですか。  というのは、新聞の報道をするところによりますと、株が欲しいんですねと自宅まで来て、そしてそれに四カ所か五カ所判こを押した。だから、恐らくこの夫人も株券を見たこともないんじゃないでしょうかね。そして、ファイナンスからお金を借りてやる手続なんかも知らないで、私の方が面倒を見てあげましょうということで全部やったんじゃないですか。しかも、だんなさんは、御主人はちゃんと十年ぐらい前から江副さんとはいろいろなつながりがある。夫人の方はつながりはないわけですね。それを夫人の名義だからということでは、これは言い逃れはできませんよ。  そうすると、このことはやはり行政の衝にありましたその責任を明確にしてもらわないと、審議会の委員として彼を活用して今日まで使ってきたのは文部省なんだから、そういうような意味においてこれは文部大臣の責任でもありますが、今やめていらっしゃるわけですから、このことについてどういうような形で、今のところは電話で確認をした程度じゃございませんか、その事実関係はどういうようなところまでなにしているのか、官房長、あなたの方からお答えをいただきたい。
  56. 加戸政府委員(加戸守行)

    ○加戸政府委員 高石前次官からお聞きした範囲のことでございますが、今のリクルートの江副元会長との関係につきましては、十年ほど前から御夫婦一緒に御交際があったような事情承知いたしております。それから、その株につきましては、奥様が三、四年前からNTT株その他株の事柄をなさっていらっしゃったようでございまして、その事柄は、高石前次官のお話によりますればすべて奥様にお任せっきりであったという事情のようでございます。そして、この購入するに至りました契機は、奥様からの話によりますと、リクルート関連会社の方であったけれども、そのお名前等ははっきりしないというような状況で私どもお聞きいたしております。  このような運用自体をすべて家内に任せていたというお話でございますし、現段階におきまして、例えば当国会委員会等におきますいろいろな御質疑、その他問題となります事柄、私どもがもっと深く確認したい事項等もございますので、そういった事柄をまた改めて高石前次官から御協力いただきまして事情をお聞かせいただければと思っている次第でございます。
  57. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 求人情報を発行しているのはリクルート社の本業ですね。就職関係のそういう求人情報、一番つながりがあるのが労働省であり、そして文部省ですね。この二人の事務次官が二人とも関係があって株の譲渡を受けた、しかもそれは本券株を手にするのではなくして、株券は全部譲り渡したところが持っておって、そして公開と同時に、店頭登録と同時にうまく売り抜けるというやり方は、株という方式を使う明らかな現金の譲渡じゃございませんか。そういうことで、やはり収賄の疑いがあるのじゃございませんか。そのことを私は明確にしなければならないと思うのでございますが、事実関係を明確にしていく中で、このことについて法務大臣、いかがでございますか、どこまであなたは関心をお持ちでございますか。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  58. 林田国務大臣(林田悠紀夫)

    林田国務大臣 現在、検察におきましては楢崎議員の告発問題を中心にいたしまして鋭意捜査を進めております。ただいま国会において御論議のある問題につきましても、検察におきましては視野に入れまして検討をするものと確信をいたしております。
  59. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 文部大臣が詳細な点についてはこれからさらに調べてみるということでございますが、いつまでにお調べになって、この委員会で報告ができましょうか。
  60. 加戸政府委員(加戸守行)

    ○加戸政府委員 私どもの立場といたしましては、既に退官された方でございますけれども、文部省の要職にあられた方でございますし、後輩の私どもといたしましてお願いをいたしまして、例えば問題点、この点が明らかではない、この点はもっと確認してほしいと言われましたような事項につきましては、早急に御本人の御協力を求めて状況等が明らかになるような努力をしたいと考えております。
  61. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 本人が確認をされているわけですね。これは既にファーストファイナンスから金を借りて購入した分で六千株分については処分をした、残り四千株を、これを本人が理事長をしている生涯学習振興財団に寄附すると新聞では報道しておりますが、これはどこに財団として届けがされているんですか。自治省ですか、文部省ですか。
  62. 加戸政府委員(加戸守行)

    ○加戸政府委員 生涯学習振興財団は、七月だと思いますが、福岡県によって認可されました福岡県に所在する財団でございます。
  63. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 本人が理事長をしている生涯学習振興財団、ここへ寄附をするという行為は、公職選挙法の定めるところや政治資金規正法の定めるところでどのようになりますか。これは自治大臣ですね。──関係の局長で結構です。だれか役人がおるでしょう。
  64. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 わかっている人、手を挙げて。自治省湯浅税務局長
  65. 湯浅政府委員(湯浅利夫)

    ○湯浅政府委員 恐れ入りますが、ただいま担当部局から出席しておりませんので、詳しい点につきましてはちょっと答弁ができませんので、御了承願いたいと思います。
  66. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私は、高石さんというのはこの次に福岡三区から衆議院に出られる予定で、既に決起集会もされたり事務所も用意をされていらっしゃるということも報道で聞いております。そして、高石頑張れといって大変華々しい集会も東京であったように聞いております。ということを考えますと、本人はどれだけのお考えがあるのかわかりませんが、自分の選挙区内にありますそういうような財団に四千株も寄附をするということは一体どういうようなことなんでしょう。そういうことがおわかりにならないはずはないと思うのでございますが、そのようなことを続けるというのは一体どのようになるのか、この点については調べてみるということでございますが、自治大臣お帰りになりましたのでお答えをください。
  67. 梶山国務大臣(梶山静六)

    ○梶山国務大臣 中身を残念ながら他出をしておりまして承知をしませんが、仮定の事実に対してお答えをするだけのことがございませんので、事実関係が解明され次第にお答えを申し上げたいと思います。
  68. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 この高石さんの預金は本人の名前であるようでございますから、そして、高石さんの預金の出し入れは奥さんが握っていらっしゃるという話を聞いているのでございますが、寄附をするというのは、前から株の処分をしたときにそういうような計画をお持ちであった、私は、やはりそのような地盤つくりのために、おやりになるためにそういう計画をもともとお持ちであったんじゃないか、それが今こういうふうに出てきたから慌てて、そういうところに寄附するんだからおれはやましいところはないんだぞという姿をつくろうとしているんじゃございませんか、文部大臣
  69. 中島国務大臣(中島源太郎)

    中島国務大臣 今の御質問に対しましては、私は推測では申し上げられません。ただ、私が先ほど申しましたのは、そういうことを除きまして、きのうの報道に出ておりました未公開株の譲渡を受けたという行為そのものが、本人であれ夫人であれ、慎重さを欠いた残念な行為であった、こう申し上げたわけでございます。
  70. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 この問題は、後日調査をされた報告が当然、この委員会において問題を提起したわけでございますから、報告があるであろうということを考えますので、私の方からは本日はこの程度にとどめておきたいと思います。  そこで、もう一つの問題点が出てまいりましたのはNTTの問題でございます。  回線リセール事業の認可が行われる、直接の責任者が式場取締役である、NTT関係者から地検も事情聴取をしている模様であるというのが報道をされておりますが、刑事局長はこの事実関係をどういうように説明をされますか。  なお、この際、時間の関係がございますので一緒にお伺いいたしますが、五十九年の七月五日に逓信委員会で社会党の代議士から発言がありまして、この問題については附帯決議がなされているというふうに聞くのでございますが、これについては、その附帯決議を解釈を曲げて、そしてスーパーコンピューターを提供した疑いがあると思われるのでございますが、その点については郵政大臣はこの前から他の委員の質問に対してNTTをして調べさしておるという報告でございましたが、それらの状況も含めて郵政大臣の方からこれについての説明をお伺いをいたしたいと思います。
  71. 根來政府委員(根來泰周)

    根來政府委員 ただいまお尋ねの件を含めましてリクルートの問題につきましては、検察庁も十分この問題について国会の御議論を拝聴しておりますし、いろいろ報道されております情報についても、十分情報は情報として配慮していると思います。ただ、具体的にNTTの職員を調べたかどうかということについては、私ども申し上げる立場でございませんので、その辺御了承願いたいと思います。
  72. 中山国務大臣(中山正暉)

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  基本的に御理解をいただきたいと思いますのは、スーパーコンピューターの問題とそれから国会決議でいわゆる専用線を使って電話線につなぐという問題は、これは全く別の問題でございますので、その辺の御理解はいただいておきたいと思います。  それから、式場氏につきましては、これはもうNTTの方でも把握をしておりまして、自己資金で長期保有という形で株を取得しておるということは、御本人もNTTも認めておるようでございます。  それから村田氏、いわゆる真藤会長の秘書、これは電電公社の総裁になられたとき以前に所属をしておられた会社の社員を秘書として連れてこられておりまして、この方は嘱託という形でNTTの社員になっておられますが、この問題に関しては認めていない、これは事実ではないということのようでございますので……。  それから、長谷川寿彦氏に関しましては、これはもう六十二年の五月にNTTを退社いたしておりますので、この問題に関しては把握をしていないという報告でございます。  なお、内部調査をするための委員会の準備を進めているという報告をいただいております。
  73. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 これは回線リセールの問題で決議を上げたのだ、私たちもそういうふうに思っております。ところが、そういうような回線リセール事業を進めていくためにはそれだけの大型のコンピューターが必要だ、私はそう思っているのでございますが、これらの関連で直接の責任者が式場さんであったということを考えてまいりますると、やはりNTTの営業政策をめぐる政策変更の問題につながっているのではないか、国会の附帯決議というものがゆがめられているのではないだろうかという疑惑がございますので、この点については、大臣、もう一回お調べをいただいて、そういうような関係の問題を整理をしておいてください。後日また我が党の方からこの問題については進行の状態についての質疑をするであろうと思いますので、そのことはよろしゅうございますか。
  74. 中山国務大臣(中山正暉)

    ○中山国務大臣 先ほどから国会の附帯決議に関しての問題でございますが、これは、今第一種電気通信事業というのはもう三十九社、四十社ばかりになっておりますし、あっという間に第二種電気通信事業というのは五百七十七社、特別第二種が二十社ばかりになっております。そのときに、専用線を使って大衆線につながれてはNTTとしては事業が成り立たないということが、これはいわゆるいろいろな国会委員会での根回しの関係で、それだけは困るということが国会決議に記載をされておるようでございますので、その点は再度申し上げたいと思いますが、大型コンピューターの問題とは全くこれは無関係の問題であるということを再確認を申し上げて御答弁をしたいと思います。  あとの問題に関しては、先生の御指摘がありましたように、いろいろな件に関しまして国会の御質問がありましたら、そのときには御答弁の準備を時間的に早めるようにいたしながら対応いたしたいと存じます。
  75. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 総理、もうどこまで広がっていくのか、そしてどこまで続くぬかるみなのか、大変疑惑を持たれていることはお互いに残念でございます。そのことを国会で明確にしていく意味において、総理がこの前分類をされましたが、今の官僚を中心にする汚染の問題については、行政の最高の地位においでになります総理としてはどのような御所見をお持ちでございましょうか。
  76. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 今の村山委員お尋ねというのは、いわば私が一番大事なことだとしておりました私を含む政治家の道義的責任、その前に申しましたいわゆる刑事事件上の問題についてあるいは関係があるじゃないかという前提の上におけるお尋ねだと思いますが、要はやはり再発防止というのが一番大切であろうと思います。  それにつきまして、たびたび綱紀粛正に関する通達等が出されておりますが、今度具体的な問題についての御議論があり、今文部省等においてもいろいろ調査をしておられますので、一番国民の皆さん方に対しても的確な措置というのは何だろうか、私自身が今日まだ検討しておる段階であるというふうに申し上げることが適切かと思います。
  77. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 これは、大蔵大臣、あなたは証券の責任者でもございますからお尋ねいたしますが、今、リクルートコスモス社の株主は二百五十名ですね。これは数は変わりませんか。
  78. 角谷政府委員(角谷正彦)

    ○角谷政府委員 リクルートコスモス社につきましては、六十一年の十月に店頭登録が行われまして、かなりの株式の公開が行われた結果といたしまして、現在、正確には記憶しておりませんが、株主数は大体千八百名を超えているのではないかというふうに思います。
  79. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 店頭登録後に有利に売り抜けて、その前に一株千二百円で入手した人も七十六人の安定株主の中にある、それから、第三者割り当て増資で銀行筋が二千五百円、そして事業会社等に対する、三十七社一個人ですか、これがやはり二千五百円、それを今度はまた再度譲渡を受けまして三千円口、いろいろありまして、五千二百七十円で売り抜けた人もある。その後、株が上がりまして七千円台にまで上がったが、今はぐっと下がりまして二千円台でそこそこだ、こういうような状況の中にある。  私は、やはりそのときに、店頭登録前にそういうような地位にありまして特別な便宜を図ってもらった人たちは、もうかった人たちですが、その人たちはだれの犠牲によってもうかったのだ、株の取引ですから、株の取引の場合にはその他の株主の犠牲において、先に有利に取得をしてそれを売り抜けた人たちはそういう状態にあるというふうに、株の取引の関係では見るのが当然だと思うのですが、その点は宮澤大蔵大臣、いかがでございますか。
  80. 角谷政府委員(角谷正彦)

    ○角谷政府委員 上場しましたときには五千二百七十円という値段がついたわけでございますし、それによりまして、入札で分配が行われたわけでございますけれども、その前の段階におきましてだれが得をし、だれが損をしたかということにつきましては、これはちょっと一概に言えないのではないだろうかというふうに思います。
  81. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 店頭登録をすることによって、リクルートの場合には資金が集まってくる、株主も大衆公募というような形で集まってくるのでしょうが、したがいまして、会社自身も利益を受けることは間違いないのですけれども、会社というものを株主が構成をしているというふうに見れば、私は、ある人は売り抜いて、そして、はい、さようならと言って大変なもうけをしてしまった、残った人たちには、やはりそのことについてはプラス・マイナスを考えるとマイナスに働くんじゃないか。そういうような関係のものとして、この問題は、経済行為という言葉をよく言われるので、そのような経済行為をされた人はその大衆株主に対して損害を与えているんじゃないかと思うのですが、宮澤大蔵大臣、あなたはどうなんですか、いかがお思いになりますか。
  82. 角谷政府委員(角谷正彦)

    ○角谷政府委員 確かに五千二百七十円で値がつきまして、その場合の最低基準価格がたしか一株当たり四千六十円だと思いましたが、いずれにいたしましても、店頭登録前につきましては一般大衆投資家というものは実はないわけでございまして、そういった意味では、その人たちが直ちに損をしているとは必ずしも言えないだろうと思います。  それからもう一つ、仮にだれか損をしているといいますかそういった人がいるといたしますと、それは例えば四千六十円という最低基準価格あるいは五千二百七十円という実際の入札価格、そういったこととの関係でいいますと、それはむしろ、その価格を下回る価格で例えば第三者割り当て先から譲渡が行われたといたしますと、その第三者割り当て先の方が相対的に得べかりし利益を失ったといった意味では損失があるかもしれませんが、一般大衆投資家との関係で損が出ている、あるいは不利益が出ている、こういったことではないのだろうというふうに思います。  しかしながら、今、村山委員御指摘のように特定の方が公開に先立ちましてあらかじめいわば特定の値段で株を取得いたしまして、それを高値で売り抜けるという行為は、株式公開市場のあり方からしますと、確かに一般大衆投資家の目から見れば不公平ではないかという制度的な問題がございますので、こういった問題につきましては、現在証券取引審議会不公正取引部会におきましていろいろな改善策を検討しているところでございます。
  83. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 ここのリクルート三社の六十三年三月末における銀行からの借入資金という銀行融資、これが一兆四千九百七十八億あるということなどが報道をされておりました。これは異常な借り入れではないか。というのは、一年間の三社の営業収入が四千億台にあるのに対して、このような四倍も五倍も高い融資を受けているというのは一体どういうことなんだというのが報道をされておりましたが、これは銀行融資をめぐる土地の地上げ工作等に関与した疑いが非常に強いわけでございますが、その点についてはどのようにお調べになっておいででしょう。
  84. 角谷政府委員(角谷正彦)

    ○角谷政府委員 ただいま銀行局長がおりませんので正確なお答えは申し上げかねますけれども、これは銀行といたしましては、リクルートコスモス社との関係におきまして、通常の経済行為といいますか、貸し出し行為として行われているものであるというふうに、一般的にはそう理解すべきものであろうというふうに思います。
  85. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 宮澤大蔵大臣は先般来から株に私の名義を使われたということの説明をなさいました。これをめぐりまして、そういうことにならないように、これからの自後の対策というのですか、再発防止のためにこのことをきちっとしておかなければならぬじゃないかということで、私も証券行政のあり方の問題から、いわゆる証券局長の通達の問題やその他出してまいりました。  しかし、今度は株の取引というものが原則課税に変わっていく、こういうことになってまいりますると、証券行政とそれからそういうような租税をめぐる課税の問題と両方大蔵省は持っているわけでございますが、やはりこれまでのように、私の名前が使われて申しわけありませんということで済まされる問題じゃないじゃないか。特に、今度は課税の対象としてこれをとらえていく場合に、偽名や仮名が使われたのではおかしなことになる。  私は今銀行行政が、昔はちゃんと本人確認をいたしまして間違いないかということを調べておったのですが、例のグリーンカードが廃止をされましてからその必要がなくなったというので、本人のいわゆる照合はなされていない状態にあると聞いておる。そのときに、証券行政上の問題とそれから課税上の問題とをどういうふうにして間違いないようにしていくのかということを考えてまいりますと、やはり、SECの未公開株の譲渡売却の届け出義務に関する規則百四十四条というのがございますが、きちっとそういうようなものをしなければおかしいじゃないかと私は思うのでございます。  その点について、税務執行の上から万遺漏なきを期していくという意味においてどういうふうに処理をなさろうとしておいでになるのか、承りたいと思います。
  86. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 問題は二つに分かれるわけでございますが、まず証券行政の立場から申しますと、公開前の株式の譲渡及び第三者割り当て増資の問題、もう一つは公開株そのものの配分の方法、それから、公開価格を算定いたしますが、その算定はどういう方式が適当であるかといったような、抽象的にはそういうふうに分類されます多くの問題がございますので、証券取引審議会の不公正取引特別部会に去る九月にこれらの問題についての御審議と答申をできるだけ早くということでお願いを申し上げまして、ただいまその検討を進めていただいておるところでございます。  ところで、この問題は御指摘のように課税に関係をしてまいりますわけで、政府が御提案を申し上げましたのは、一般的に今度は株式のキャピタルゲインを原則課税とする、そして源泉分離の場合には利益を、売買益を五%と考え、それに対する二〇%の課税をする、あるいは申告分離の場合にはキャピタルゲイン、キャピタルロス等々を計算して課税をする、こういうことを御提案申し上げたわけでございますが、その後の各党御協議において、原則課税はいいとして、それだけでいろいろな場合が果たして適切にカバーできるかという御指摘がありました。それは例えば、いわゆる売り抜けというのでございましょうか、短期に非常に大きな譲渡益がある場合、それは五%にとどまらないということがしばしばではないかというような御指摘、あるいはそれと多少違いますけれども創業者利益、創業者が株を放出いたします場合の差額というものは相当大きい、それらのことについて政府提案そのものでは不十分であるという御指摘がございました。  これは、各党御協議の結果につきましては私ども誠実にそれを承って、改めるべきところをひとつ国会の御意志を承ってまいらなきゃならないというふうに考えておるわけでございます。  殊に仮名、偽名の問題はその課税のところに関係をいたすわけでございますが、ただいま政府が御提案をいたしておりますいわゆる源泉分離でございますが、この源泉分離によりましてのその部分の課税は、源泉でございますから可能であると存ぜられます。  ただ、その場合にいたしましても、将来、この間から御議論のように、これを総合していく方向でいろいろ検討しなければならないという御指摘を追ってまいりますと、この仮名、偽名というような問題は、もちろん証券会社、証券業協会で十分注意をしてもらわなければなりませんが、さらに課税当局におきましても、このようなことが行われないシステムは何であるか、それは例えば納税者番号とかそういうようなことに、いつぞやも村山議員のお話しになりましたようなことになってまいるわけでございますが、その辺が検討を要する事項であると考えておるわけでございます。
  87. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私は、このリクルート疑惑の問題に発展をいたしまして、そして今日いろいろな事象が生まれてきているわけですが、やはりこの際、委員長に特に要請をいたしまして理事会あたりでまた御協議をいただきたいと思いますのは、だれに何のために未公開株が配られたのかということが、江副さんに来てもらわなければこれははっきりいたしません。このことは、もう本人の病床質問もいたしましたが、あれからもう十分時間が過ぎておりますし、診断の結果も一カ月程度ということでございますので、その時期が間もなく参りますから、やはりここに出てきてもらって国民の前にその事実関係を明らかにしていただくことが必要であると思いますので、そのことについての取り運びをお願いをいたしたい。  同時に、私たちは今までずっと関係の人たちから経済行為ということで釈明をされていることを聞いてまいりましたが、果たして国民の前にそれは経済行為として受け取られるであろうかということを考えてまいりますると、その問題については釈然としません。このことについては、我が党の関係ありと言われる人も含めて、きちっとしておかなければならない国会に課せられた極めて重要な課題であると考えておりますので、これはこれから明らかにしていきたいと考えるのでございます。  そこで、総理大臣に、これは最後の注文にもなりますが、先ほど国民負担率の問題を総理大臣に御説明をいただきました。租税負担率とそれから社会保障負担率、合計をいたしまして国民負担率ということでお考えであろうと思うのでございます。この際、やはり社会保険料というのは定率である上に課税最低限がないという受益者負担制度でございますから、言うならば逆進的な点もあるわけでございまして、その意味において租税の方も弱い者が大変困るような形になる、四百五十万円以下の方は、はかりにかけたら負担が大きくなるという計算もございます。  そのことを考えてまいりますと、税制の上でも大変逆進的に働く、そしてそれを改めなければ社会保険料の方も逆進的に働くとなれば、これはもうどっちの方も弱い者をいじめる格好に相なりますので、そのことは意図せざるものであると総理もお考えであろうと思うのでございまして、そのためには、やはりこの消費税の導入というのは、もう慎重に慎重に、もっと念を入れてやられる方がいいのじゃないか、この国会ではもうおやめになって、じゃもう一回練り直して出すぞというところまで決意をしていただくならば後世に名を残すことになるんじゃなかろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  88. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 村山さんも議論しながらお感じになっておるに違いないと、まあ他人のことを予測するのは非礼でございますけれども、我々本当に五十三年から今日まで十年間、あるときは直間比率の是正という言葉も使いました、あるときは福祉目的税という議論もいたしました、ある人はまた財政再建税だと、いや海外協力税だと、いろんな形で議論されたというのは、やはり所得消費資産に対する均衡のとれた税体系の構築というのをいつかしなきゃいかぬという気があったに私は違いないと、やや推測の押し売りかもしれませんけれども、そういう感じが率直にいたしております。  そういうことを考えますと、本当にこれだけ国会で微に入り細をうがった議論がなされるようになったというのは、それこそ今こそこの税体系を構築するためのまさに機到来したのではないかということを問答を聞きながらしみじみと感じて、心強く感じた次第でございます。
  89. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 総理の所感をお聞きいたしました。  経世会をあなたがおつくりになったときに、世の中をおさめ、人の苦しみを救うために経世会をつくると出発をされたというふうに承っております。今日お出しになっている税制国民に歓迎をされていないこともよく総理は御承知のところでございます。となれば、どこに問題があるのかということをやはりもっと国会質疑の中で、そのことを十分に受けとめながら対処されることを総理に要請をいたしまして、あと五分ぐらい時間がありますが、それはその次の人にバトンタッチをすることにしまして、これで終わりたいと思います。
  90. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  91. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  各法案審査の参考に資するため、議長に対し、委員派遣承認の申請を行うこととし、派遣地、期間、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     ─────────────
  93. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 質疑を続行いたします。中西啓介君。
  94. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 まず、御質問をさせていただく前に、闘病をなさっておられます天皇陛下に対して心から御同情を申し上げ、一日も早く復帰されることを心からお祈りを申し上げたいと思う次第でございます。  きょうは、竹下内閣が発足してちょうど丸一年という大変記念すべき日に、竹下総理を……(発言する者あり)いや、もっと続いていただきたいと思いますが、支持する者の一人がこうして質問をさせていただけるというのも、大変うれしい限りでございます。  七月の十九日に国会が召集されました。召集された目的は、まさに税制の抜本改革をやるために召集されたのでございます。約三カ月半たちましたが、やっと税制改革の本格的な審議に入れた。それから公聴会も来週設定された。また、参考人の招致も全会一致で議決された。これも大変喜ばしいことでございます。  私も実は今、党の財政部会長という立場に立たされておりまして、ことしの三月、四月、五月、党の山中税制調査会長のもとに、きょうも加藤理事もそれから村山委員長も、山下先生は──いらっしゃいますね。とにかく多くの方々と実に二百数十時間、私も大学四年間、勉強を余りしなかった方ですけれども、大学時代よりも、実は税調で真剣に税制改革の作業に参画をさせていただきました。口角泡を飛ばし、机をたたいて、涙ながらに激論した日のことが懐かしく思い起こされます。最後に原案がまとまって山中会長が謝辞を述べられたときには、目頭が熱くなるのを覚えたのは私一人ではなかったと思います。それだけ苦労してたたき上げて出した原案がいよいよここで本格的に審議されるということでありまして、感慨もひとしおでございます。  そこで、今国民が最も注目しているのは、何といっても税制の抜本改革であることはもう言をまちません。いわゆる国民注視のこの国会で、国民の最大の関心事である税制の問題が討議されるということは非常に結構なことでございまして、代議士というのは、民衆に代わって議する士(さむらい)と書いて代議士と読むわけでありますから、忠犬ハチ公前や数寄屋橋で演説するのも結構でありますが、やはり国民の負託を受けた者が、国民注視の前でこうして堂々と議論を展開していく、それこそ代議士の、国会議員としての使命が果たされるということになるのではないか、そのように私は思っておるわけでございます。  これから質問をさせていただきますが、竹下総理は、私は初級講師だ、こんなふうな前置きをされてよく答弁なさっておられるわけですが、竹下総理が初級講師であれば、私なんぞは低級の予備校生みたいなものでございまして、その私がこれから質問をするわけでありますから、田舎のみこしみたいに、あっちへぶつかりこっちへぶつかりみたいな質問になるかもわかりませんが、できるだけ国民の方々が率直に、素朴に疑問として、不安として感じておられることを、一時間という限られた時間内でございますから十分意は尽くせないと思いますけれども、御質問をしてまいりたい、このように考えております。  まず総理に、いささか失礼かと思いますが、念のために日本の国民の三大義務、これを一遍お伺いしてみたいと思います。
  95. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 旧憲法の中に徴兵の義務というのがございましたが、それは御案内のとおり完全にありません。まさに憲法二十六条そして二十七条、三十条でございましたか、二十六条におきましては、国民が教育を受ける権利と同時に、子女に教育を受けさせる義務というのがありました。それから二十七条は、勤労の権利と義務が両方書いてありました。三十条は、これは法律の定めるところにより、納税の義務を負う、以上三つであろうというふうに思います。
  96. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 まさに総理のおっしゃられたとおりでございます。  第一の普通教育を受けさせる義務、これはもう日本は世界でも冠たる最高の教育水準をいっているわけでありますから、これは合格という印は押せると思います。  二番目の勤労の義務、これも世界でも最高の労働者の質ということは定評があるわけでございます。ただ、昨今日本は働き過ぎであるというような指摘等もございますが、労働者の質はいいけれども、労働条件というか、特に税制の面で勤労者は不満を持っている、こういう面はあろうかと思いますが、まあしかしこれも合格。  ところが三つ目の納税の義務、ここら辺がどうも義務感として、もちろん良識ある人々もたくさんいらっしゃいますし、税金というものは納めるものであるという感覚で御協力いただいているわけでございますけれども、反面、どうもそういう義務感が非常に希薄であるような感じを私は強く受けてならないわけでございます。  そこで文部大臣にお伺いをいたしたいわけでありますが、義務でございますので、義務教育の段階で、特に納税の義務に限定してで結構でございますから、どのように教育をされておられるか、その教育の仕方は十分であるのか不十分であるのか、その点簡潔にお伺いをさせていただきたいと思います。
  97. 中島国務大臣(中島源太郎)

    中島国務大臣 お尋ねの点で、勤労の義務、教育の義務と並んで三大義務の一つであります納税の義務について、小学校、中学校でそれぞれ発育、発達段階に応じまして教えているところでございます。  小学校においては、社会科で四年の教科書にやや出てまいりまして、例えば自分の身の回りの図書館とか公民館が何によってできておるか、これは人の払っていただいた税金によってそういうものが建てられるのであるということであります。それから六年に相なりますと、やはり社会科で国の重要な収支の点が含まれてまいります。中学校は、やはり社会科の公民の分野におきまして、今先生がおっしゃった三大義務の一つとして、納税の義務をはっきりと教えているところでございます。
  98. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 適正にやっておる、そういう文部大臣のお話でございます。  納税者というのは、英語で言えばタックスペイヤー、こういうふうに大蔵大臣言われるわけです。ペイというのは支払う、あるいはあれはもう十分ペイしたよとか元を引いた、こういうふうな意味に使われるわけでございます。そういう意味に解釈した場合は公共サービスの裏づけというものがあるわけですね。ところが、私がさっき納税義務が希薄であるというふうに申し上げたのは、税金をむしり取られる、取っていかれるみたいな表現をよく耳にするわけですね。ここら辺どうしてそういうふうな、教育も十分やっているのだけれども、どうして取られるものだというふうな発言になってあらわれるのか。大蔵大臣、いかがですか。
  99. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 まさに御指摘になりますように、国民が選ぶ国会においてのみ税金の問題が決められるということは近代国家の大原則でございますが、最近経済社会が非常に大きく複雑になりますと、国民の一人一人が受けておりますいわゆる公共サービス、公益サービスとでも申しますか、公共サービスの受益者であるということの結びつきが、社会が複雑になり、大きくなりますとついつい薄くなってまいります。そういたしますと、それに対する負担という観念がやはりそこで大変に希薄になる、そういうことは中西委員の言われますように確かにあるのだろうと思います。殊に、この負担の方が、みんながとにかく公平に負担しているということでございますとそれでもよろしいのでございますが、現在ありますように、中堅の給与所得者が自分たちのところに大変な重みがかかっている、自分たちばかりと申すのでないかもしれませんが、とにかく大変に公平でないという気持ちを持っておられる。そういうふうになりましたときに、ただいまの観念はさらに強くなるのではないかと思います。
  100. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 重税感あるいは不公平感のなせるわざだ、一言で言えばこういう大蔵大臣の御答弁でございました。ということは、今の税制はもう限界に来ておる、行き詰まっておる、こういう言い方もできるかと思うのでございます。  私は、実は山中税制調査会長のもとで二百数十時間、党本部で連日連夜原案をつくる作業に参画したわけでございますが、そのときに土曜、日曜日、まあ土曜日もやったときもありますが、日曜日なんかに選挙区へ帰りまして、年老いた七十四歳の体も小さくなったおふくろと、余り税金のことなんか知らないのですが、おふくろ相手に禅問答をしたことも実はございます。そのときに、もし税金というものがなければ、これは極端な言い方かもしれませんが、税金がなかったら役場もない、市役所もない。ということになりますと、毎日毎日生活して出てくるごみなんかを集めに来る人ももちろんいなくなる。あるいはまた水道が出なくなるわけですから、井戸水をくむか池に水をくみに行くかやらなきゃならぬ。火事が起こったって、消防車がいないわけですから、バケツリレーしているうちに全部燃えてしまう。お巡りさんがいないわけですから、泥棒天国になってしまう。先生もいないわけだし学校もないわけですから、小人閑居して不善をなすみたいなことになりかねません。  こんなような話をおふくろとしながら、やはり税金というものは大事なんだね、こんなふうな話になっていったことを今思い起こしておるわけでありますが、私は選挙区でもよく、中西さん、税制改革は今度できますか、大抵の人からこういうふうに聞かれるのです。そのとき私は、できるもできないも、この税制改革は何が何でもやり遂げなければなりません……。政治の大きなテーマは、確かなあすを構築するということが私は一番大きなテーマだろうと思うのですね。そのためにも税制改革というものは、さっき大蔵大臣のお話にもございましたように、もう大変行き詰まってしまっているわけでございまして、そういう意味で何が何でもやり遂げなければならない。そのために開かれた国会でもありますから、私は必ず成立できるものと確信をいたしておりますが、もしこの税制改革が仮に、仮定の話でございますが、現行税制のまま改革できずにずっとこれから行っていったとしたら、どんな弊害が起こると思われますか。竹下総理から言語明瞭、意味明瞭にひとつお答えをいただきたいと思います。このままの状態で放置したらどんな弊害が起こるか、一、二で結構です。
  101. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 極めて簡単な言葉で申し上げますならば、いわゆる勤労稼得に過重な負担が起きて、ますます不公平感が助長される、こういうことではなかろうかと思います。
  102. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 竹下総理、一年前に総理でなかったわけでありますが、それまで私も何カ所かに演説のお供に行ったり、またいろいろなところで竹下総理の世界一物語というのをよく聞かされました、非常におもしろくて好評であったわけでありますが。自民党ももちろん人間の集団ですから、いろいろ失敗も起こします。今度のリクルートの問題も若干そういう嫌いもあるかもわかりませんが、まあまあそういう問題も、もちろん国民が今注視しておりますから、速やかに解明はしなければならぬと思いますが、要は、私はリクルートに関して申し上げたら、災い転じて福となすというか、過ちを改むるにはばかることなかれ、そういうことが非常に大事なのでありまして、ちょっと話が横道にそれましたが、自民党、失敗もたまには起こしますが、まあしかし合格点を与えていただいているということは、やはり国民から評価されているあかしだと私は思うのです。  その中にもちろん、世界じゅうで一番長生きする国になったとか、あるいは世界でも最も豊かな国になったとか、もう何十年も戦争のない平和な社会が続いているとかいろいろございますが、その中でも、失業率が二%台という非常に低い水準で推移しているということが大変な功績だと思うのでございます。この失業率がどんどんウナギ登りに上ってまいりますと、家庭団らんのひとときもなければ、世の中が陰惨な社会になっていって、活力のない社会になるのは必然でございます。  そこで通産大臣にお伺いをしたいのでございますが、このままの税制のままでいけば、法人税、これも世界でも飛び切り高いわけですね。そういうようなこともございまして、空洞化の問題も今指摘されてきているわけでございますが、通産大臣の御所見を、このまま放置したらどうなるかということをひとつお伺いしたいと思います。
  103. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 もう既に御承知と思いますが、我が国では昭和四十年代以降、法人税の税率を逐次引き上げてまいりました。ところが一方で、主要先進国におきましては、逆にその引き下げが行われております。現在、我が国企業の税負担は、国際的に見て相当高い水準にあるということが言えると思います。今後、日本の経済社会の国際化の一層の進展の中で、このような税負担水準の国際的な格差というものが放置されていくとするならば、我が国企業の活力を阻害して、いわゆる経済の空洞化を招きかねないという懸念があちこちで表明されておることは確かでございます。  このような認識から、今回の税制改革案におきましては、企業の税負担について国際的な水準を実現するために、とりあえず実効税率を四割台、四割台の高い方でありますけれども、とりあえず四割台を目指して、段階的な法人税率引き下げを行うこととしておる次第でございます。
  104. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 ありがとうございます。  今回の案は、四割台といっても限りなく五〇%に近い四割台なんですね。そこら辺も、企業家の方々はもっともっと下げてほしいという要望が非常に強いわけでございますので、そういうことを実現するためにも、やはり税制の抜本改革は急がなければならぬ、こういうことに相なろうかと思うわけでございます。  それからもう一つ、この税制改革にとって大変重要な改革の根拠、必要性は、今はまだ欧米各国に比べて老齢化率は下位の方でありますが、日本はもう急ピッチで、老齢化国への階段を物すごい勢いで今駆け上っている感じなんですね。二十一世紀まであと十二年ぐらいでございます。この間、米沢議員に対して厚生大臣から高齢化社会のビジョンを詳しく述べられたわけでございますが、二十一世紀に入れば、もう年金と医療費だけでも百兆円ぐらいは軽く突破してしまうということもはっきりしているわけですね。ですから、ひとつこれも大事な問題でございますので、時計が一秒時を刻むたびに人間は年とっていくわけですから、人間である限りはだれも避けて通れない高齢化への問題なんですね。ですから、厚生大臣にもう一度、エキス分だけで結構ですから、そのビジョンをひとつ答えていただきたいと思います。
  105. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 本格的な高齢化社会を迎えまして、我々としては健康で明るい、しかも生きがいのある人生を送れる人生八十年時代の社会を実現していこう。これは言いかえれば、日本型福祉社会ということが言えると思うわけでございますが、その場合に、社会保障というもの、福祉というものをどういうふうに進めていくか、こういうことで先般ビジョンを提出させていただいたわけでございます。  これは、基本的には三つの考え方がまず総論としてございまして、各論として、今後の目標、水準については八つの具体的な項目で記してあるわけでございます。  中でも基本的な考え方の一番大きな問題としては、高齢者社会における位置づけ、これを明確にしたわけでございまして、今までの援護であるとか支援、そういうような形ではなくて、これからは高齢者が積極的に社会参加をしていく時代、またそういうことが可能な社会をつくる、これが大事でありますよということを言っております。  二番目は、福祉の中身について、やはりそういう人生八十年の時代になるわけでありますから、まず自分で備えていくという自立自助が大事でありますよ。それに社会の相互扶助であるとか国、地方のサービスが加わっていく。こういうことから、福祉の内容については、今後は公的な施策だけでは制度的にも内容的にも不十分でありますから、例えば年金のように、公的年金がまずありまして、その上に企業年金だとか個人年金、こういう公的施策の上に民活を活用して、連携の上に充実した福祉をこれから築いていくんですと。  三番目には、何といっても、これからの社会保障の給付と負担というものを展望しまして、おのずから負担には限界がございますよという三つの基本的な考え方を申し上げ、それに基づいて、医療、年金、老人介護、健康づくり、それから身体障害者の問題、子供の問題、雇用の問題等々につきまして具体的に記述をしておるわけでございます。  今後、それらの目標を達成させるために全力を挙げてまいらなければならぬと思っておりますし、先ほど言われましたように、今日でも年間一兆円の医療費がふえていく。しかも年金受給者は百万人、一兆五千億ふえていくということでございますから、この財源の手当ては緊急を要する課題である、かように考えておるわけでございます。
  106. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 大変大事な問題でございますので、ひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。  いろいろお三方から承ったわけでございますが、今の税制改革ができずに現行のままで放置した場合には、とにかく行き詰まってしまって、もうにっちもさっちもいかなくなるというようなことが大体わかったわけでございます。  私もよくいろいろな方々から税についての質問を受けることもございます。そのときに長々としゃべるわけにまいりませんので、要約してお話を申し上げておるわけでございますが、とにかく租税の負担率は、日本は先進国と比べても、全体的には、総体的には、金額的には低いわけですね。低いにもかかわらず非常に重税感が強い、こういうふうな現実があるわけでございます。それは言いかえたら、二千七百万人の勤労者の方々の納めてくれておる所得税と住民税、それから二千七百万人の勤労者の働く場である企業、会社が払ってくれておる法人税、この二つで実は歳入全体の七割を占めるわけです。  ですから、どうしても今、例えば奥様方は大体家計簿というのをつけておられると思いますが、その家計簿を見ても、サービス支出というのがもう五〇%を超えているわけです。ところが、サービスに対する課税というか捕捉なんというのは、地方税、国税合わせてわずか一・一%しか捕捉できていない。これは法律を改正しない限りは、個別間接税制度ですから、物品税八十五品目以外は税金を取れないわけです。たしか昭和五十九年、六十年でしたでしょうか、財源が不足いたしました。財源が不足すれば予算編成できませんから、大蔵当局も、OA機器が非常に調子がいいというのでOA機器に目をつけて、そこから税金をもらおうというようなことを一時もくろんだこともあったわけでありますが、太鼓をたたかれて大騒ぎになって、とてもとてもOA機器から徴税どころの騒ぎでなくなった。そこで、それじゃ酒の方に我慢していただこうというので酒に課税をしようとしたのでありますが、取らぬタヌキの皮算用で、みんなそんな高い酒を飲めるかということでしょうちゅうへいってしまって、見積もりどころかゼロを通り越してマイナスになったみたいな経験もございます。  そういうことで、サラリーマンの方々は、入社して係長、課長、部長というふうに昇進していけば月給も同じように上がってくるわけですが、同じようにミサイルみたいに税率が追っかけてきて、全然財布の中身がふえない。そうしたら、部長にでもなれば、たまに部下を連れて飯くらい食いに行かなきゃいかぬし、仲人を頼まれれば、千円や二千円お祝いを持っていくわけにいかぬ。何かと金がかかる。ちょうどお嬢さんがいれば、嫁に出さなきゃならぬ適齢期にもなっておる。ところが、手取りが全然ふえないというところにサラリーマンたちの苦しみ、悩み、不満があるわけですね。  また、さっき田村通産大臣が言われましたが、働く場である企業だって、私は会社の経営者というのは本当に大変だといつも思うのですね。数人の会社から数十万人の大きい会社まで大小さまざまございますが、会社の経営者というのは従業員に給料を払わなきゃならぬ。従業員には、それぞれ家族を抱えておるわけですから、生活の保障をしなきゃならぬ。あるいは株主に配当をしなきゃならぬ。だから命がけなんですね。ところが、今度四〇%台に下がるにしても、大変な法人税の高さで、これは国際的にも競争していかなきゃならぬというような状況になってきておって、今とてもとてももうこれ以上というような限界に来ておる。  そういうところから、野党の言われるいわゆる個々の税の不公平の是正ということももちろん大事です。これは竹下総理も大蔵大臣も、また金丸委員長も柔軟に、謙虚に耳を傾けて対応してまいりますと明言もされておられるわけでありますから、それはやれるものはやっていくのは当然だと思いますが、やはり総理がよく言われます所得消費資産、まあ所得段階で全部所得を把握して、累進税率で総合課税で仮に課税できれば、これは私はある程度公平さが期せられると思うのです。ところが、二千万人も三千万人も税務署員でも置かない限りは、そういうことは実現できない。また、三千万人も税務署員がおったら、かえって何か世の中に暗いものが出てきて、副作用が起こってくる。だから所得段階で公平を期したいのだけれども、なかなかそれも現実できない。  ですから補足的に、だれだって得た収入で生活をするためにいろんなものを買ったりサービスに使うわけですね。その使う段階で担税力を測定して、そこで税金をちょうだいするというのも、私は公平さを期する一つの有力な手段だと思うのです。それで収入から支出を引いて、全然引けない人は借金ということになるわけですが、引いた残りが資産になっていくわけです。その資産も大小測定して、そこで担税力をはかって税金をちょうだいするというのも、まあまあ納得のしてもらえる公平な手段なのじゃないのかな、私はこう思うわけでございますが、やはり税金というものは、向こう三軒両隣の比較の問題、要するに公平であるかどうか、この公平さが私は税の生命だと思っております。  そこで、リクルートの問題がいささか問題になってきているわけでありますが、そのリクルートの問題に関連して野党の方々が証人喚問をよく要求されるわけですね。選挙区なんかへ帰りましても、自民党の支持者、私の支持者が、どうも自民党はほっかむりをして逃げ腰なんじゃないのか、こういう言い方をするのですね。よく聞いてください。ところが、証言法の内容というものは有権者の方々は実態はほとんど知らないのです。──いや、知りません。  私も深く勉強したわけじゃありませんが、この議院証言法というものは、そもそも終戦直後に不当財産調査特別委員会というものができまして、あのころはまだ民主主義の世の中じゃありません、成熟しておりませんから。その不当財産調査特別委員会で生まれた産物なんですね。それで国会のこの場に証人が呼ばれるわけです。それで手帳はおろかメモの一片の紙切れも持参してはならぬ、弁護士の同行は許されぬ、そしてライトにこうこうと照らされて、人民裁判のような詰問をされるわけですね。だれだって、頭の中にコンピューターが入っていれば別ですが、例えば総理、十日前の一時に何をなさっておられましたか、こう聞かれたら、総理ならまああれかもわかりませんが、手帳でも見ない限りは、もう三日、四日前のことを聞かれたってなかなか答えられないのが人間なんですよ。それが二年前、三年前のことを、あのときにだれとどこで何時に何をしておったというふうな詰問をされても、何年前の話などというのはだれも答えられるはずがないのでありまして、手帳でもあればこれは答えられるわけです、こうめくって、ああ何月何日ならこうしておりましたと。ところが手帳も持って入れない。そうすれば、もう記憶にございませんとしか言いようがないわけです。それでちょっとでも間違ったことを言ったらたちまち告発される。  私は、やはり日本人に生まれてよかったなと思うのは、何といっても基本的人権が尊重される民主主義国家だからだと思うのです。文部省からもらったあれにも書いていますよ、基本的人権が尊重されなければならないと。私はそういう意味で、議院証言法というものはもっともっと民主的な、人権を尊重した内容に改正されてしかるべきである、そのように強く思うわけでございます。どうかひとつ当委員会から、これは議運になるのでしょうか、委員長、速やかに民主的に改正されるように要望していただきたいとお願いをする次第でございます。  そういうことで、国民の方々も随分誤解もされておられる面もあるわけでございますが、大体今の税制はもう行き詰まってしまって、何とかしなければどうにもこうにもならぬ、こういうふうなことになってきたわけでございますが、その所得消費資産バランス、配分をどのようにして構築していくか、これがこの税制抜本改革の議論の最大のポイントだ、私はこんなふうに心得ているわけでございます。そこにメスを入れることが非常に大事なポイントである、こんなふうに考えておるわけでございますが、全体の体系のシェアの問題ですね、これについての総理の御見解をひとつ承りたいと思います。
  107. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 まず、納税の義務の問題にお触れになりましたが、国民の皆様方、憲法に定めるところ、納税の義務をそれぞれ自覚していらっしゃると思います。しょせん天から金が降ってくるわけじゃございませんから、消費段階でサービスしていただくのか、あるいは所得段階で拠出していただくのか、あるいは資産そのものの言ってみれば取得、保有、譲渡、そういう段階で負担していただくのか、およそそういうことが言えるのではないかと思います。したがって、所得段階についてのいわば重税感というものが消費という段階、ある意味において消費の多寡によって金額が違うわけでございますから、応能主義的なこともございますがゆえに、いわゆるこの消費段階により負担を求めることが大事ではないか。  こんな議論から、さて具体的にシェア、こういうことになりますと、私いつも申しておりますように、本当は直間比率というのは、これはその結果として生まれるものであって、あらかじめ直間比率というものを確定しておいて税制を構築するというのは、実際問題大変難しいのではないかなというふうに思います。経済の推移の中で変動していくべきものでございます。したがって、たしか昭和九年から十一年は直接税が三五、間接税が六五、それからシャウプ勧告以来の推移がずっときょうも宮澤大蔵大臣からお話があっておりましたが、先ほどもお話がありましたように、大ざっぱに言って所得税が、個人所得が四〇%弱、法人税が三〇%強、合わせてアバウト七〇%、こういうような状態になっておるわけでありますが、今日のいろいろな積み上げの中で予測されるものというのは、大体二対一というようなことになるではないかというお答えがきょうも大蔵大臣からあっておりました。  それから、資産に関する問題につきましては、これは戦前のものから見ても余り大きな差異はございませんが、戦後、改正前、今度の改正案をお願いしておるその後を比較しても、大きな変化はないではなかろうかというふうに思うわけでございます。ただ、この資産の問題につきましては、いわゆる資産の中で、なかんずく土地あるいは株式の譲渡に関する問題というのは、株式市場の発達に何か行政が時にはついていけないほど発達した、あるいは土地の問題は、行政の意図せざるところで大変な含み益等が上がっておるというようなところについては、その都度また、土地であるならば土地政策の観点から考えるべきこともあるではないか、さように思いますがゆえに、確定したおよそのシェアというものを申し上げる筋のものではなかろう。今改正されたもので予測されたものがおよそ二対一であるといたしますならば、その一の部分は経済の変動に比較的左右されない消費税でございますがゆえに、言ってみれば安定的財源という表現には適しておるではなかろうかというふうに考えておるところであります。
  108. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 個別間接税制度、結局シャウプ時代に、今から約三十年ほど前に、あのころはまだ貧富の差もありましたし、ぜいたく品ということを推しはかる尺度というか基準もある程度明確にできた時代であったのだろうと思いますが、今ではそういうことがなかなか、もう余りにも潮の流れが速く、時代がさま変わりしてしまって、何がぜいたく品なのかどうか。例えば自動車なんというのは、今ではげたみたいなものじゃないかと言うような人もおります。ダイヤモンド、確かにそれは高価なイメージは持ちますが、大小は別にしてだれしもが、結婚しない人もおりますけれども、結婚する人は大体指輪の交換のときにエンゲージリングにダイヤモンドを使うとか、そういう時代になってきておるわけでございます。野党の方々だって、現行の個別間接税というものは改革をしなきゃならぬ、こうおっしゃってくれておるわけですから、非常に自民党と共通するわけですね。  そこで、それじゃ一般的な間接税に移っていかざるを得ないわけでございますが、その必要性というか大体の姿というか、どういうイメージを大蔵大臣、頭に描いておられますか。
  109. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 確かに物品税というのは戦前からございまして、かつては非常にたくさんの品物を包含いたしました大きな税金でございましたが、その後おっしゃいますようにいろいろな変遷がございまして、今御指摘になりましたように、何が課税で何が非課税かということは、ちょっとクイズの番組になりかねないようなところがございますし、これは、中西委員は大蔵行政にごく最近まで直接御参画いただきましたのでよく御存じでございますが、自動車と家庭電気製品だけで三分の二でございますから、どうしてそこだけそんな重荷をしょうのか、ほかはなぜいいのかというようなこと、ぜいたく品であるかないかというようなことも価値観で違います。確かにエンゲージリングを若い人が、三十万円ぐらいのものはローンででも買うわけでございますから、どうもその辺から説明ができなくなってきたばかりでなく、実は個別の酒税なんかで言いますと、これはイギリスからウイスキーを買わないために高くしているのだろうというような、どうも思いがけないことを言われる。  しかし、やはり一番問題は、サービスというものが全く課税の対象になってないということが、今の消費生活からいうと、これはいかにもどうも説明のできないことでございますから、やはり個別間接税というものには問題がございまして、でありますからこそ、OECDの参加国が二十四カ国ございますが、付加価値税をやっております国は十八あるそうでございます。残り六つでございますが、そのうち五つはベースの広い間接税を何かかにかやっている。一つ残りましたのは我が国、こういうのが現状でございます。
  110. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 確かに大蔵大臣御指摘のとおり、もう本当に、世界各国でやってないのは日本だけなんですね。この「なぜ、今、税制改革か?」という自民党の出したパンフレットにも出ております。ハンガリーやソビエトや中国や東ドイツやチェコスロバキアまで幅の広い間接税をやっておるわけでありまして、日本だけが個別間接税で、もうにっちもさっちもいかなくなってしまっておるわけでありますから、貿易摩擦の原因にもなるし、世界の潮流に取り残されるというような大蔵大臣の御見解でございました。  そこで、私どもも党税調で、売上税の反省の上に立ってという視点からいろいろ議論をして原案をまとめてきたわけでございます。今度の改革案はまさに苦心の労作だと私ども心得ておりますが、大蔵大臣としてはこの批判をどのように受けとめて、そしてまた消費税にどのように売上税のときの反省を生かし、改善しているのか、そこら辺も簡潔で結構ですから、ポイントだけで結構ですから、わかりやすくひとつお答えをいただきたいと思います。
  111. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 前回の売上税の場合、やはり大変に不評判であったのは税額票という部分で、これがどうしても御理解がいかない。そして税率五%というと、何か売り上げの五%を持っていかれちゃうのじゃないかというようなことになりまして、つまり、付加価値というような考え方が我が国では大変になじまないということがつくづくわかりました。そういうことが一番大きゅうございます。それから、やはりよかれかしと思ってやりましたことが、何が免税で何が非課税かということが、これもクイズまがいの話になってしまいました。  そういうことがございましたので、今度は思い切りまして、もう税額票ということはやめて帳簿で結構です、それから売り上げ五億円まででございますが、売り上げの二割は粗利益とお考えくださっても結構ですとか、それから医療と社会保障関係と教育だけに非課税を限る、そういうことで、ともかくわかりにくいという感じではない。そうすると、あとは転嫁をどうやって間違いなくさしてさしあげるかということで、大分いろいろ反省はいたしたつもりでございます。
  112. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 売上税の反省に立ってという視点から我々も検討してきたわけですが、わかりにくかった、だから今度は非常に簡素でわかりやすいものに力を入れた、こういう大臣の御見解でございました。  そこで、帳簿方式だとかあるいは簡易課税に対する批判もいろいろ出ているわけですね。逆にかえって転嫁がしにくいのではないかとかいろいろございますが、そういう不安を解消するために、今後機会あるたびに大蔵大臣及び大蔵省も、我々ももちろん頑張ってまいりますが、積極的に果敢に行動をしていっていただきたい。  特に簡易課税に対する批判もいろいろあるわけでございますけれども、しかし私は、やはり消費者にかわって納税する業者が非常に事務が軽減されるという大きなメリットがあると思うのですね。ただ、心配されているのは、マージン率の大きい業者が得をするのじゃないかとか、その一部を、納めた税金をやつらは懐に入れるのじゃないかとかというふうな心配も現実に世間ではあるのですね。そういう声にも十分配慮して、やはり税というものは公平さこそ生命でございますから、十分留意してひとつやっていただきたい。これは注文だけさせていただきたいと思うわけでございます。  また逆進的な話も、これはもう耳にたこができるぐらい同僚議員やあるいは野党の方々からも御質問がございました。確かにミクロに見れば、それは逆進性というものは理論上否定はできないわけでございますが、しかし、年金受給者の人は物価スライドして年金も上がっていったりもするわけでございますし、問題は、一%に相当する生活保護を受けておられる方々に、社会保障の面で予算編成段階で十分ひとつ配慮をしてあげていただきたい。このことも御要望としてお願いをさせていただきたいと思います。  そこで、今大蔵大臣の方からお話の出ました、今度この消費税を理解していただけるかどうか、これがこの税制改革ができるかどうかのかぎになると私は思うのです。そのポイントはやはり転嫁の問題だと思うのですね。転嫁をするのが前提、これがこの消費税なんです。転嫁しなきゃならぬ、これが消費税なんですが、転嫁というのは今までだれも、日本人でありますからやったことがない。だから非常にふなれなんですね。そのやったことがないふなれな転嫁だから、うまくやれるのだろうかというような不安が一番大きな声としてあるわけでございますが、きょうは幸い公取委員長もおいでいただいておりますので、その転嫁に係る共同行為あるいは表示に係る共同行為、この点について新聞とかなんとかでいろいろ報道もされておられますが、国民の方々が安心できる状態にすることが大事なんです。ですから、カルテルについての具体例、もう決まっておるのだったら、その具体例をひとつわかりやすく示してあげていただきたい。そして、そのガイドラインの設定も早期に発表してあげていただきたい。御要望を兼ねて、その具体例を簡潔にお聞かせ願えませんでしょうか。
  113. 梅澤政府委員(梅澤節男)

    ○梅澤政府委員 今回政府から提案されております共同行為に対しては二つの例、タイプがございまして、ただいまおっしゃいましたように転嫁の方法に関するカルテル、これは中小企業だけに限定をされるわけであります。もう一つは表示の方法の決定に関するカルテル。  前者につきましては、例えば今ある商品が百円で売られておるといたしますと、税率を三%、それを的確に転嫁するとすれば百三円になるわけでございます。ところが、市場の実態を見ますと、一物一価ということではなくて、現実には同じものが百円で売られている場合もございましょうし、九十円で売られている場合もある。そういった場合に、九十円の商品についても的確な転嫁が行われなければならないわけであります。その場合によく誤解されますのは、そういった場合にその商品全体を新しく全部百三円として決めちゃう、これは便乗値上げにもつながりますし、価格カルテルそのものでございますから、今回政府から提案されておる特例措置でも認められないわけでございます。  九十円の部分について、仮に三%といたしますと二円七十銭という端数がつく数字になるわけであります。こういった場合に、その業界でその端数処理について、四捨五入でやるのか、あるいは切り上げでやるのか、あるいは切り捨てでやるのか、合理的な範囲と認められるものでお決めになるとすれば、この例で言えば九十円のものについては三円引き上げることで、結果として百円で売っていらっしゃる方は百三円、九十円で売っていらっしゃる方は九十三円で売るという形になる取り決めは、これは認められるということでございます。  これはまた商品の種類によりますけれども、価格は百円とか九十円のままにしておきまして、その業界で、この商品についてはお客さんに渡す分量で調整しようという商品も考えられなくはない。そういった場合には、価格で転嫁を考えるよりも、量でこれを調整するという取り決めもできるということでございます。  表示につきましては、先般もいろいろ申し上げましたけれども、それぞれ正札を消費者に示す場合に、その税額相当分、先ほど申しました百円の例で言えば、三円の部分を外書きにするのか内書きにするのか、あるいはそこの店にいろいろ並べてございます商品の価格は消費税導入前の価格そのままの値札にしておきまして、全体の買い上げが終わった段階で、レジの段階でまとめて三%いただくという取り決めをし、かつそれを店頭に表示するということも業界として決めるということが可能でございます。  それから、事業者同士でございますと、たまたま先ほど税額票の話が出たわけでございますけれども、インボイスでございますね、納品書とか請求書に本体価格の部分と消費税相当部分を区分けして、業界で一つのフォームをつくって、事業者間でそういう取引を正確に行うというふうな表示の規格をお決めになるということ自体は、今回の特別措置で認められる共同行為になるということになると思います。  いずれにいたしましても、私ども事務局の方にもいろいろな方面からいろいろな御相談とか御質問も来ておるようでございまして、いずれ法律が成立いたしました段階、もちろん国会でいろいろな御指摘もあるかと思いますけれども、そういったものを参考にいたしまして、消費者にも事業者にもわかりやすい手引のようなものをつくりまして、公明でかつ透明度のある運用を図ってまいるつもりでございます。
  114. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 ありがとうございます。要するに、これなら安心だと、ふなれで非常に不安になっているわけでございますので、そういう点に十分配意しながら、私が申し上げた方向でひとつ作業を進めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  それから、地方に参りますと、民間事業で適正な転嫁を求められるのだったら、国や地方公共団体としてもやるべきじゃないか、こういう声も非常に強いわけでございます。梶山自治大臣、この前の委員会でも、やりますとはっきりおっしゃっておられたわけでございます。言ったことは必ず守る梶山自治大臣でございますが、もう一度ひとつ胸をたたいていただければ大変ありがたいと思います。
  115. 梶山国務大臣(梶山静六)

    ○梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  何で胸をたたいたかちょっと記憶に定かでございませんが、多分消費税の転嫁の問題であるとすれば、これはここで胸をたたいた覚えはございませんが、やらなければならないという意思表示をいたしております。  消費税は、転嫁を通じて消費者が負担をすることとなっているため、地方公共団体も消費、サービスの受益者として歳出増が生ずると考えられております。このため、今後税制改革法案の成立を踏まえ、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、地方財政計画の策定を通じて所要額を適切に計上するとともに、地方公共団体に対してもこの趣旨を指導してまいりたいと考えております。
  116. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 よろしくお願いします。  梶山大臣に、まことに申しわけありませんが、もう一点。消費税の導入を含む今次の税制改正によりまして地方交付税の減収が生ずるわけでありますが、これに対する補てんはどのようになっているか。地方は非常に心配しておりますので、この点ももう一言だけお答えいただければ大変ありがたいと思います。
  117. 梶山国務大臣(梶山静六)

    ○梶山国務大臣 今回の税制改革案における地方に係る税財源措置としては、地方間接税の減収分についてはおおむね消費譲与税で措置し、地方交付税の減収分についても、消費税を地方交付税の対象税目とすることによって措置をすることとしているが、住民税の減税等については、その一部についてのみ消費税を対象税目とする地方交付税によって措置するため、地方において七千九百億の減収超過額が生ずることになっております。この減収超過額については、自然増収やあるいは行財政改革での減量を通じてこれに対応してまいりたいと考えております。
  118. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 これは総理の六つの懸念の追加分といいますか、その懸念の一つでもございまして、地方も大変心配いたしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  もう時間もありませんので、この転嫁の問題に関しまして、他の店に比べていかにも安いような表示をするとか、そういう不当な表示はなるべくやらさないような行政指導もひとつお願いしたいと思いますし、また下請や納入業者、いわゆる弱い立場の人ですね、通産大臣、こういう人たちが税金分をかぶらされるのではないだろうかというような心配も非常にしておりますので、実力大臣、田村通産大臣指導のもとに、こういう不安も取り除いてあげていただくようにひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、時間ももう参りましたので、最後に総理にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。  私は、竹下内閣ができて一年と、こう申し上げました。大変謙虚な姿勢で、しかも国際的にも国内的にも着々と功績を上げておられるわけでございまして、その点大変喜ばしい限りでございます。しかし、あわせて竹下総理は運が非常にいい人だな。運も力のうちですから、これは結構なことでありますが、なぜ運がいいかといいますと、例えば昨年も自然増収が七兆円を突破いたしました。今年度も極めて景気が好調のようでございます。財布の中身から一円玉がぽろりみたいな状態では、やはり寂しい限りですね。そういう意味で、景気がいいというのは本当に気持ちも明るくなってくるし、結構なことだと思います。  しかし、そういう反面、日本がここまで大きくなったのは平準化した社会であったということも言えると思うのですが、最近その平準化に少し乱れが生じてきているのではないか。いわゆる二重格差、あるいは不公平、あるいはまた個人的にも地域間においてもまた業種間においても、ちょっとばらつきみたいなものが目立ってきておる。こういうものも直していくというのが政治にとって非常に大事なテーマだと思うわけでございます。  公平に集められた税金は、やはり納得のいく公平な形で予算として国民に還元されるべきものだと私は確信をいたすわけでございますが、そういう豊かなときにこそ、財政が好調なときにこそ、税制改革をやるというのは非常に絶好のチャンスだと私は心得ております。  総理、あわせて、地域間格差で申し上げましたけれども、もう今は東京一点集中なのです。そういうことでいろいろなひずみが生じてきておる。総理の大きな政策テーマの一つに「ふるさと創生」というのがございます。日本はとにかく今五百六十兆円くらいですか、金融資産を持っておりまして、百三十円で計算しても五兆ドルぐらいになるのでしょうか、世界じゅうから大変な金持ちだと。宮澤大蔵大臣が池田勇人蔵相の秘書官をしているころは、世界銀行へ金を借りに行っておったわけでありますから、もう隔世の感がするでしょう、今は貸しているわけですからね。だけれども、そういうふうに世界じゅうから物すごい豊かな日本だと言われている割には、何か生活が余りゆとりがない、そういうのが世論調査でも出ておるわけです。  そういうことを解消するためにも「ふるさと創生」というのは非常に大事なテーマ、政策だというふうに私は考えておるわけでございますが、この税制改革の位置づけと「ふるさと創生」への、税制改革が終わればいよいよ「ふるさと創生」に本腰を入れていかれるのだろうと私は推測するわけでございますが、その御決意を最後に総理にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  119. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 あるいは私自身も長い間大蔵大臣でございましたから、私自身の行政の延長線上にもあろうかと思われるのが税制改革そのものであると思っております。したがって、税制改革でございますから、これで税制改革が実現を見た暁、私は、その税が国民の中にいい意味においてなれていくことによって必ず良税となり、そしてまたこれが活力を生む源泉となるであろうということをかたく期待をいたしておるところであります。  そこで、そういう個人個人の持ついわば活力というようなものが、今度は、先ほどおっしゃいましたように、宮澤大蔵大臣がかつて秘書官をしていらしたときに、それこそ世界銀行へお金を借りに行く、それが精いっぱいの仕事であった。今は、貸しに行くというわけじゃございませんが、大変な世界一の債権国になっておる。にもかかわらず、国民の心の豊かさというものがそれについていっていないという実感は、国民の皆さん方がお持ちになり、政治家の我々も、一人一人そのことを絶えず念頭に置いておかなければならないと思うわけであります。  その個人の次の原点というものが、私はいわゆるふるさとというものではなかろうか。そこへお住みになっておる皆さん方が知恵を絞りながら、その地域地域の独自性を生かしつつ、それを中央政府等がサポートすることによって、どこの地域におろうと、そこがみずからのふるさとであるという印象づけができるようなことに、心を新たに、また二年目へ入りますと進めていかなければならない課題ではなかろうかというふうに考えておるところであります。
  120. 中西(啓)委員(中西啓介)

    ○中西(啓)委員 竹下内閣の御健闘をお祈りして、質問を終わります。
  121. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 これにて中西啓介君の質疑は終了いたしました。  次に、二見伸明君。
  122. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 私は、公明党・国民会議の二見伸明でございます。  これから消費税本体の議論に入るわけでありますけれども、その前に一言、総理大臣並びに大蔵大臣の御見解を承りたい点がございます。  甚だ残念なことではございますけれども、このリクルート問題に対して、我が党から実弟名義での株の譲渡を受けた代議士が明らかになりまして、本人は先日実弟ともども記者会見をいたしまして、また党内でも役職を辞任をいたしました。また、ただいま承るところによりますと、社会党の某代議士も議員を辞職されたという報もございます。我々は、このリクルート問題というものを何としてでも解明しなければ、これは日本の政治の大きな不信を助長させるばかりであると考えております。野党の二名はこのようにみずからけじめをつけたわけでございますけれども、総理、大蔵大臣はこのけじめについてはどういうお考えを持っているのか、改めてお尋ねをいたしたいと思います。     〔海部委員長代理退席、羽田委員長代理着席〕
  123. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 私は、この場でリクルート問題に関する見解を四つに分けて申し上げております。  一つは、何回も申すようですが、証券取引法上の問題であり、二つ目は税法上の問題であり、三つ目は今日問題になっております刑法上の問題であり、四つ目が私を含む政治家の道義上の問題である、こういうふうに申し上げておるところであります。したがって、私ども、特に四番目の問題につきまして、やはりせっかく汗をかいて倫理綱領というものが確立された今日でございますので、これを拳々服膺しつつ、今後とも身を引き締めて対応していかなければならぬということであろうかと思っております。前の二つにつきましては、これは私どもいわゆる再発防止という点からいたしまして、この法律、行政等の整備について全力を挙げなければならない課題だというふうに考えております。
  124. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 事実関係につきましては、先般元秘書の報告に基づきまして申し上げたとおりでございますが、私自身がまことに至らないことがございまして、申しわけないことに思っております。今後深く反省いたします。
  125. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 政治家というのは、出処進退、けじめというのは最も大事な要素の一つであります。  ところで、国民はこのリクルートの株ばらまきに率直かつ素朴な疑問を抱いております。  それは、何のために政治家や高級官僚に、公開直後に売り抜ければ莫大な利益が上がるとわかっている株を譲渡したのかということであります。政府税調の委員になりたかったのか。あるいは大学審議会のメンバーに入りたかったのか。あるいはNTT回線リセールに何かがあったのか。スーパーコンピューター導入に際して何があったのか。あるいは民活導入に際して川崎市や多摩ニュータウンの土地払い下げに何があったのか。そして政治家や高級官僚がそうした事柄に関してどのようなかかわり合いを持ち、どのような職務権限を行使したのか。さらに、そうした疑惑の中枢に政府、政権は何をしたのか、政治のど真ん中に、政権の中枢に一体何があったのか、ここに国民は素朴な疑問を感じているわけでありまして、素朴な疑問どころか、心からの怒りを抱いているわけであります。私たちもその究明には全力を挙げねばなりませんし、それができないようであるならば、国会国民から多大の不信を受けることは間違いありません。  そういう折も折、きのうは元文部次官であった高石氏が一万株の譲渡を受けたという事実が明らかになりました。御存じのように江副さんは、ここ数年間文部省に急接近をしてきた人であります。江副さんは、六十年九月には教育課程審議委員になり、一年後の六十一年九月には一万株の株の譲渡を行い、そしてさらに一年後の六十二年の秋には大学審議会の委員に任命をされております。この間、高石氏は初等中等局長をやり、そして文部次官を歴任をしておりまして、まさに文部行政の中枢にいた人であります。  きのうの文部大臣の記者会見あるいは午前中の文部大臣の御答弁の中で、職務権限とはかかわり合いがない、ただ上がってきた書類に判こを押しただけだとおっしゃいますけれども、そんな単純なものではないと私は直観をいたしておりますし、しかも子弟の教育に最も大事な、まさに大臣を除いては最高の責任者である文部次官がリクルートの株に関与していた。これで国民が、判こを押しただけですかと、そんなことで納得できると思いますか。文部大臣は、既に午前中も指摘がありましたけれども、この委員会で指摘された問題点も含めて、この事実関係の全容を一日も早く当委員会に報告をしていただきたいと思います。  それから、自治大臣に要求をいたします。聞くところによりますと、高石さんは、来るべき衆議院の選挙で福岡三区から立候補する予定で、既にそのための活動に入っていると聞いております。そして、ことし七月には福岡に教育関係の財団を設立し、みずから理事長になった。一万株のうち六千株は売ったけれども、残り四千株は持っている。その四千株はこの財団に寄附をするんだときのう話されたということでございますけれども、もしそういうことになれば、これは公選法上やはり大きな問題が出てくるんではないかと私は思います。  この二点について、文部大臣、自治大臣の御見解を承りたいと思います。
  126. 中島国務大臣(中島源太郎)

    中島国務大臣 御指摘の高石前事務次官の件でございますが、私自身も昨日の報道によって承知をいたしました。その事実関係は早速文部省としても調べましたけれども、現在のところ、新聞に報道されました事実関係以上のものは知り得ておりません。私自身としてはその報道を知り得たとき、瞬間から、これは本人であれあるいは夫人であれ、このような未公開株の譲渡を受けたということは甚だ慎重を欠いた行動であって、まことに残念だ、このように思いました。さらにこの事実の状況を速やかに調べさしていただきたい、こう思っております。きのうは電話で聴取をいたしました。これは電話で済ましたということではなくて、地理的に離れておりましたものですから、電話で聴取するのが一番速やかな方法であったということでございます。  さらにつけ加えさせていただければ、省内の厳正な職務のあり方について、さらに省内に昨日事務次官、官房長を通して徹底をさしていただいたところでございます。
  127. 梶山国務大臣(梶山静六)

    ○梶山国務大臣 高石氏の問題につきましては、昨日の新聞、それから先ほどの村山委員の御指摘で承知をしたわけでございます。早速昼休みに、この財団の所在の有無あるいはその内容、また寄附の事実関係等、これを調査するように指示をしたところでございますが、残念ながらまだ事実関係は確認をするに至っておりません。ですから、この問題に対する答弁を差し控えますけれども、公選法上の問題としては、一般論では、公選法第百九十九条の二においては、候補者になろうとする者は、選挙区内にある者に対して、寄附をすることはできないということになっております。
  128. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 寄附をすれば公選法上問題になる、寄附をしなければ四千株は丸々懐に入る、これがこの構図であります。しっかりと頭に入れておいていただきたいと思います。  国会は、二度とこのような不祥な事件が起こらないように、法律をつくり制度をつくり、あるいは法律を改め制度を改める責任があります。そのためには事実関係を徹底的に究明しなければなりません。私は、その事実関係を徹底的に究明し、二度とこういうことが起こることがないように、委員長、改めて江副さんの国会招致を要求いたします。先月、江副さんは医師の診断書を出して、一カ月余りの治療を要するということでございました。一カ月もそろそろ近づいてきているわけでありますから、改めて江副氏にこの委員会に出席をしていただいて江副氏自身から、何のためにだれにどういう目的で株をばらまいたのか、そのことを洗いざらいしゃべっていただいて、事実の究明をしていきたいと思いますので、改めて江副氏の国会招致を要求いたします。  と同時に、やはり教育の最高峰にいた人が一万株の株を譲り受けて、それで済まされるわけにはいきません。そんなことをすれば日本の教育の荒廃にもつながりかねない大きな問題になりますので、高石氏を本委員会に証人として喚問することを要求いたします。
  129. 羽田委員長代理(羽田孜)

    ○羽田委員長代理 ただいま二見君から御提案のありました件につきましては、理事会でまた協議をしたいと存じます。
  130. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 総理、このリクルート問題の底辺には、私は一般庶民とはかけ離れた金銭感覚があると思います。ぬれ手でアワの一つかみを当然と思うようなことがあるならば、汗水流して働いている庶民の心を理解することはできないし、つかむこともできないと思います。また、政治に携わる我々は、これを他山の石として、自分のこととして反省をしなければなるまいし、みずからも襟を正していく気持ちがなければ、私はこれから議論しようとする税制改革も議論できなくなるのではないかと思います。また、私は終生リべラリストでありたいと考えておりますけれども、民主主義というこの大事な政治価値というものをこれからも強固なものにするためには、その底にあるのは政治家の高い道義心であります。こういう風潮がこれからもし蔓延していくとするならば、日本の民主主義はまさにがけっ縁に立たされていると言っても過言ではないと思います。  私は、そういう危機感も持ちながら、改めて総理にお願いをしたいと思います。  今回のリクルート疑惑は、単にリクルートコスモス社株の譲渡問題にとどまりません。実はリクルート社が近年、社の命運をかけて取り組んできた情報通信事業や国際VAN事業に関して、リクルート社とNTTが極めて密接につながっており、さらにその資材の米国からの調達に関して、日米首脳が深く関与してきているということであります。この点がリクルート問題の核心部分であると考えているわけであり、さらに踏み込んだ疑惑解明を行う必要があると私は考えております。この点につきましては、後ほど我が党の持ち時間の範囲内におきまして貝沼委員関連質問を行いますので、この問題についてはこれ以上議論をいたしませんけれども、いずれにせよ、政府としてもこのリクルート疑惑の徹底解明に全面的に協力すべきだと思います。私は、出すべき資料は当委員会に全部出していただきたい、政府資料を出すことに逃げ腰であってはいけない、逃げ回ってはいけないと思います。改めて総理大臣の御決意を伺いたいと思います。
  131. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 やはり一つには、先ほど来申しておりますが、政府自体こうした問題に対して襟を正し、どのような措置をとるかという問題が一つあります。  それから、今お尋ねの部分は、国会で最大限の国政調査権をもってこの真相解明にお取り組みになる、これに対しては政府側としては資料提出を含め最大限の協力をするというのは、当然のことであろうというふうに考えております。
  132. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 それでは、消費税本体について議論を進めたいと思います。  私は、今回提出されました消費税というものは、極端な言い方をすれば、空気を除いてすべてのものに全部税金をかけようとする売上税よりもひどい税金だなというふうに思います。間接税論者である学者の先生たちも、これは堕落した間接税だ、こう酷評いたしております。  まず第一に伺いたい。それは、何のためにこの消費税を導入するのかという率直な疑問であります。私は、政府税調の答申だとか税制改革要綱を読んでみました。不公平税制のために消費税を導入するのかなと思いましたけれども、提出をされた政府法案では不公平税制については全く手をつけておりません。この点についてはいかがでしょうか。
  133. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 まず、何のためというお尋ねでございましたが、これは御造詣の深い二見委員に改めて申し上げるまでもございませんけれども、今の税金についての不公平感の一番大きな部分は、私はやはり給与所得者の、しかも中堅層の給与所得者が、先ほどどなたかが給与が上がるとミサイルのように税が追っかけてくると表現をされましたそういう感じの、自分たちだけが非常に重いものを背負っておるというその感じではないかと考えております。また事実、長い間シャウプ税制以来の大枠を変えておりませんので、所得税が非常な重税で、中堅勤労給与所得者にこたえてきたということは事実であろうと思います。これをまず改めたい。  それから法人税についても、国際的な比較というものはもはや無視できませんので、それもさようでございます。それが直接税側の事情でございますが、それらの減税をいたしますのにはかなりの税源を必要とすることも事実でございます。  間接税側の事情は、これも繰り返して申し上げませんが、今の物品税というものが実はもう体系として維持が非常に困難である。自動車と電気製品だけで三分の二を背負っておる。あと何が課税、何が非課税ということも、大変に実はわかりにくいものに少なくともなっておるばかりでなく、これだけサービスの多くなりました世の中で、サービスの課税ができていないということ。物品税を除きましても、個別間接税で酒税も、外国からいろいろな意味で、輸入防圧のためであるという批判を受ける。しょせんそれは、OECDの二十四カ国のうちで十八カ国が付加価値税を持っている、あと五カ国はベースの広い間接税を持っている、ただ一国残りましたのは我が国でございますが、個別間接税でやってまいりましたけれども、それがもうやれなくなったという感じの問題がございます。それは間接税側の事情でございます。  さらにつけ加えて申しますならば、これも何度も申し上げておりますが、やがて高齢化社会になりますときに、今の半分以下の若い人が老齢人口を背負わなければならないというその負担は、今の制度をそのまま残しておけば所得税にならざるを得ないわけでございますが、そのような所得税の賦課ということを担税してもらうということは、事実上不可能であるというふうに考えざるを得ません。我が国所得水準が高くなり、所得格差も小さくなりましたので、このような社会の共通の負担は広く薄く国民各位に背負っていただくことは可能でもあるし、好ましいのではないか、こう考えまして、このたびの税制改正お願いをいたしておるわけでございます。
  134. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 税制改革に対してサラリーマンや一般庶民がまず要求したのは、不公平税制の是正であります。しかし、政府法案は不公平税制についてはほとんど手をつけなかった。むしろ野党が強く要求したために、政府の方では渋々、例えば総合課税を導入しようとか、あるいは今度のリクルート株の譲渡益みたいな、いわゆる売り抜けについても課税を強化しようとかというふうに、野党の我々の要求によって不公平税制について若干でも手をつけようとしてきたわけであります。六法案を出すときに、不公平税制なんか最初から手をつけていないじゃありませんか。  しかも今政府の方では、消費税という新しい税金を国民の皆さんから取ろうとしておる。我々は政治家のパーティーには課税しろと、私は具体的に印紙税方式で課税したらどうだという提言までしたのです。ところが、政治家の方は政治資金規正法上の問題があるからと、いろいろ理屈をつけてパーティー課税には逃げ腰である。国民から三%税金を取ることには積極的で、自分のパーティーに対して税金を取られることには反対だ。そんなことをやっていて国民が納得いたしますか。総理大臣は、私がこの質問をしたときに、二見さんと同じ仲間の立場になって考えてみたい、確かに情緒的不公平はあるとおっしゃられた。総理大臣、情緒的かもしれないけれども、不公平税制の典型的な形として政治家のパーティーがある。どうお考えになりますか、これは。
  135. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 先ほど来御指摘でございましたが、いわゆる野党の共同で十項目の不公平ということを御指摘なすった。それで、政府といたしましてもそうした問題に気がついておりますからこそ、これはさらにやれという御指示があり、またそれに対する与党のお答えもあっているようですが、およそ三つの点、すなわち原則非課税を原則課税にしたという点、それからみなし法人の事業主の税の問題等、御提案申し上げておる案の中にも入っておるものもございます。しかし、これでは不十分だということで、さらに協議が進められておるということは十分承知をいたしておるところであります。  しかし、今申し上げましたのは、私は情緒的不公平感のうちだけにとどまるものではないだろう、今私どもが御提案申し上げておる点は。確かに政治家のパーティーの問題というのは、これは政治資金規正法のサイドから議論を展開していきますと、実際問題、税の世界になじむものかということに対しては、これはだれしも疑問を持ちつつ壁に突き当たることがございます。これは二見委員の先般の御質問の中にも、そういう何といいますか、自己矛盾をも抱合しながらも、しかし何かをしなければならぬ、こういう御提案であったというふうに私自身も感じておる次第であります。  したがって、具体的に印紙税構想というのも確かに御提案がありました。それからまた議論の中には、いわゆる他の方法による消費税方法とかいろいろ議論もあっておりますが、私はあの際仲間入りさせていただきたいと言ったのは、要するに個人で、あるいは政府サイドに立って、これでいかがかというものを明示することが非常に難しい問題であるだけに、知恵の塊である国会の中へ仲間入りをすることによって何かないかという、そういう情緒的不公平感に対する私の持っておる気持ちは、あなたがおっしゃった気持ちと符合しておるということでございます。
  136. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 大蔵大臣高齢化社会対応するためにというふうにおっしゃられました。私は、どうも高齢化社会対応するために消費税を導入するとは考えられない。なぜかといいますと、例えば厚生省の推計によりますと、昭和七十五年には六十五歳以上のお年寄りは二千百三十四万人、昭和八十五年には二千七百十万人になります。また十月二十五日に政府が発表された「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、これでは七十五年にはこうやりますよということは書いてあるけれども、そのための財源には全く触れておりません。税制改革大綱の中でもあるいは税調の中間答申の中でも、高齢化社会対応した財源だと明言はしておりません。これから高齢化社会が到来するという事実関係を述べているだけであって、高齢化社会対応するために消費税を導入するんだ、そのための財源にするんだということはどこにも書いてありません。どうですか、それは。
  137. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 税制調査会の中間答申がございました中で、今後人口の高齢化が進展する状況の中で、現行制度のままでは社会保障負担、勤労所得に対する税負担の増大が予想され云々と述べられておりまして、税制大綱におきましても「今後の高齢化社会の到来」ということを申したところでございます。なお、法案関係におきましては、税制改革法案におきまして「将来の展望を踏まえつつ」ということを述べております。  実は、この点は私どもの中でもいろいろ議論をいたしたところでございまして、背景としてはそういうことを考えておるわけでございますが、いわゆる目的税と考えるかどうかにつきましてはいるいろの議論がございまして、目的税としては定義づけずにおるわけでございますが、背景としては、このような考え方があることは間違いないように存じます。
  138. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 高齢化社会が到来するということは、税調の答申にうたわれなくてもだれでもわかることであります。  それではさらに伺います。  高齢化社会で最大の課題は何かというと、これは介護です。寝たきり老人、痴呆性の老人もひっくるめて、介護が最大の課題です。私は、その介護を考える場合に、一つは理念的な面で発想の転換をしなければならないなと思います。  それはどういうことかというと、いわゆるノーマライゼーションという考え方です。これは日常化とか普遍化とかということになります。これは社会福祉事業の対象者を特殊化し、隔離的に処置するような考え方ではなくて、障害者も体の自由がきかないお年寄りも、あるいは長期療養の病人も、できる限り住みなれた環境の中で、日常的な普通の生活ができるようにすべきであるという考え方です。働く年齢層の障害者はできる限り働き、学校へ行く年齢ではできる限り学校へ行って、普通の生活を送ることが本人の福祉と幸福にとって好ましいという考え方です。単にお金を与えればいい、物を与えればいいということではなくて、住んでいる環境を、お年寄りや障害者が我々と同じように、同じ条件のもとで住めるように変えるということです。  例えば町づくり。例えば東京という町は、お年寄りにとってこんな住みにくい町はない。どこかへ行こうと思ったって、駅の階段は上りにくい。車いすの人は駅の階段なんか上れやしない。だれかの手をかりなければ駅には上れない。車いすのまま電車に乗りたくたってなかなか乗れるものではない。体の不自由な人がバスに乗ろうと思っても乗れるものじゃない。東京という大都市に限りませんけれども、町というのは、体の不自由なお年寄りや車いすの人たちにとってこんなに住みにくいところはない。それを住みいい町につくり変えてしまうということが私はノーマライゼーションだと思うし、これは一朝一夕ではない、意識の変革もあるんだけれども、そういうことに取り組んでいかなければならない。  住宅もそうです。例えば公的住宅がある。階段をとことこお年寄りが三階まで歩いていけるのか。車いすの人がとことこどうやって階段を上っていくのか。公共住宅のつくり方一つだって、全部健康な人を基準にしたつくり方だ。そこにはお年寄りや障害者に対する何の配慮もない。それを改めていくのがノーマライゼーションという考え方であります。  その考え方についての御感想を総理大臣に承りたいんだけれども、もう一つ具体的な問題として寝たきり老人、痴呆性の老人がある。私自身、私の家族では私と家内と当時中学一年、小学校五年、小学校三年の男の子三人、この五人でもって我が家にいた寝たきりで痴呆性のおばあちゃんの面倒を見た。私も家内も忙しいときには、中学校一年の男の子と小学校に行っている二人の男の子が交代で、汚い話だけれども、おばあちゃんのおむつの取りかえまでやった。これは想像に絶する大変なことです。格闘です、これは。  じゃ、そうした老人に対してどういうことをやるのか。例えば厚生省では日常生活用具給付等事業というのがある。特殊寝台、浴槽、腰かけ便器等々、これは低所得者の寝たきり老人、ひとり暮らし老人を対象としている。この発想は、これは救貧対策ですよ。生活保護の延長の考えです。所得の高い低いにかかわりなく、私も十五年後には六十八です。二十年後には七十三です。サラリーマンは全部十年、二十年、必ず年をとる。その年とった老人に対する施策が生活保護の延長では、これはうまくいくわけがない。この発想を私は改めていただきたいと思います。  まず、その点について総理大臣と、さらに細い点について二、三お尋ねしますけれども、とりあえずそこまでの段階で総理大臣と厚生大臣の御見解を承ります。
  139. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 我が国の福祉政策の基本理念としてノーマライゼーション、まさしく基本的な理念であると私も考えております。  それから、我が国の福祉政策、高齢化社会に向かいまして福祉政策の最大の眼目は、やはり仰せのようにお年寄りの介護問題だと私どもも考えております。さらに日本の場合には、我が国の高齢化の特徴の一つとして、六十五歳以上の高齢者人口の中で、二十一世紀に入りますと七十五歳以上の方の方が多くなる、こういう特徴もあるわけでございまして、まさに寝たきりのお年寄りがふえる。その介護が福祉政策の最大の最重点課題であると考えております。  それらの対策につきましては、今後とりあえず七十五年を目標にいたしまして、ホームヘルパーであるとかショートステイ、デイサービス等々、具体的な目標を掲げておるわけでございまして、その実現のために最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  それから、最後のお尋ねの日常生活用具の問題でございますが、御指摘のとおりでございまして、お年寄りにつきまして所得による制限等が行われているという現状を変えるという問題につきましては、今後検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  140. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 いわゆるノーマライゼーションというのは、そういうハンディを背負った人をアブノーマルな状態の中でお互いが見詰めるのではなく、そうした人が高齢化社会になればなるほどノーマルな普通の社会にいらっしゃる、そういうことを大前提に置いて考える福祉政策であろうというふうに私なりに理解しております。したがって、かつての、勤労意欲のある国民がその能力、適性に応じて職場のある社会、ハンディがあってその意欲あるなしにかかわらず働けない方々には社会保障を行うという、ちょっと最初ごろの完全雇用的発想からは随分進歩して、そういう表現が適切であるかどうかわかりませんが、究極の福祉とはすなわちノーマライゼーションである、こういうことが言えるのではなかろうかというふうに思う次第であります。  そこで、具体的な寝たきり老人問題という御指摘がございました。厚生大臣からお答えがあっておりました、言ってみれば救貧対策的なそうした対策、それからそれにボランティアというものがあって、その中間的な奨励策、こういうようなものが今お示ししましたビジョンの中にも念頭に置かれながら、今後の計画の中でそれを実現に移していかなきゃならぬ、こういう考え方であろうというふうに思っております。  ちょうど寝たきり老人の問題は、昭和六十年の二月の衆議院予算委員会で二見委員と私とが問答をいたしました。これは、いわば税を納めていらっしゃる方々に対する問題ではございましたものの、いわゆる控除額のプラスがなされたというようなのも、その議論の後、たしか金丸幹事長でございましたか、幹事長・書記長会談に上がって、あれが実現をされたというふうに私も記憶しておるところでありますが、さらにノーマライゼーションという角度から、これらに対する検討というものは一層加えていかなきゃならぬものであろうというふうに思っております。
  141. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 高齢化社会の問題をもうちょっと議論してみたいと思いますけれども、高齢化社会を前にして、多くの国民は老後の生活にたくさんの不安を抱いているわけでありまして、安心できる長寿社会を実現するためには、年金、医療、社会福祉の各分野における幅広い対応が必要だと私も思っております。とりわけ人生八十年と言われる我が国において、社会福祉の中でも最もおくれているのが寝たきり老人の在宅サービスの分野です。現在、寝たきり老人はどのぐらいいるかというと、約六十万でしょう。痴呆性の老人も約六十万。これはダブっている部分があると思いますね。七十五年にはこれが百万人ぐらいになるだろう、痴呆性の老人も百十万人ぐらいになるだろうという予測があります。このように、これからの高齢化社会というのは、ある面では寝たきり老人、痴呆性の老人がふえるということです。  厚生大臣、先ほどあなたは七十五年のことについてのビジョンを語られたけれども、七十五年にこうなりますよと言うのでは到底間に合わないんじゃないですか。例えばデイサービス事業、通っておふろに入ったり、リハビリ受けたりというサービスが六十三年度、ことしで六百三十カ所、六十四年、来年度は、実現するかどうかわからない要求で、三百ヵ所プラスで九百三十カ所。全国に市町村は四千もあるんですよ。老人がこれからふえてくるならば、一つの中学校区に一カ所デイサービスの施設があってもいいじゃありませんか。それを七十五年や八十年までのんべんだらりんと待っていられるほど高齢化社会はのんきなものじゃありません。  そうしたデイサービスにしろあるいはショートステイにしろナイトケアにしろ、いわゆる介護に関する施策というものは、緊急三カ年対策を立てるみたいに、前倒しで実行するぐらいの意気込みがなかったならば、高齢化社会対応できないと思いますし、それに対応できないでいて税金を取ろうなんて、とんでもない話だと私は思います。厚生大臣、いかがですか。
  142. 藤本国務大臣(藤本孝雄)

    ○藤本国務大臣 御指摘のような七十五年を目標にいたしました計画を今つくっておるわけでございまして、家庭奉仕員は五万人、ショートステイが五万床、それからデイサービスが中学校区ほぼ一カ所ということで一万、こういう目標をつくっておるわけでございますが、二見先生も御承知のように、この介護を要するお年寄りへの対応といたしましては、在宅以外に中間施設であるとか特別養護老人ホームであるとか、そういう総合的な連携、機能分担ということも片方であるわけでございます。そちらの方の整備もこれから進めてまいるわけでございまして、そういう全体の中で、究極の福祉と申しますか、高齢者の寝たきりの福祉の対応をしていくということが私どもの考え方でございます。  それから第二に、在宅における介護がおくれているではないかという御指摘はまさしくそのとおりでございまして、その点につきましては、今後最大限の努力をこれから払ってまいりたいと考えております。
  143. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 総理大臣は先ほど、六十年二月の私の質問に対する答弁のいきさつについてお話がありましたけれども、要するにこの消費税というのは、結局はだれが一番苦しむかといえば、お年寄りとか減税の恩典も受けないような所得の低い人、これに一番しわ寄せが来るわけです。逆進性ですね。総理は、この逆進性については、税制全体あるいは歳出を含む財政全体で検討するとずっと言われてきましたけれども、それは私はまさに当たり前のことだと思います。では具体論として、寝たきり老人に対して税制上の配慮を払う用意があるのかどうか。さらに、年金受給者なんというのは深刻ですよ。年金受給者の抱えている、消費税が導入されたら自分の生活はどうなるのだろうかというこの深刻な悩みというものを、また年金受給者に対する深刻な影響というものを総理大臣はどういうふうにお考えになっているのか、その点についてもう一度きちんとした御答弁をいただきたいと思います。
  144. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 先ほど、おぼろげながらの記憶をたどったような感じがいたしましたが、正確に申し上げますと、昭和六十年二月十四日でございます。ここで二見さんの質問に対して私がお答えをいたしまして、それから幹事長・書記長会談等で取り上げられたのが三月の六日でありまして、法律として寝たきり老人減税法案が成立したのは十二月四日ということでございます。したがって、今とっさの場合、あのときの議論も覚えておりますが、ではこういうふうな形でどうだろうということを具体的にお答えするだけの自信は私にはございません。     〔羽田委員長代理退席、瓦委員長代理着席〕 したがって、この問題についてはそういう御指摘が前にもあったわけでございますが、そういう御指摘、いわゆる老人に十分配慮せよという御真情に基づく御指摘というものにどうこたえていくかということは、私どもも検討課題の一つでございますが、またハウスにおいても御相談いただく一つの課題なのかな、こんな感じを深くいたした次第であります。  それから、年金受給者問題について、特に私が申し上げた六つの懸念の中で一番の、今まで少なくとも所得税を払っていない方々というのは、それだけ当然増税、負担が増加するではないかという懸念についてお答えいたしました問題が、いわゆるそうした控除等も含めた税制の問題でやるのか、いま一つは歳出の問題で対応するのか、こういうことを申し上げてきたところでございます。  年金制度につきましては、関係審議会で今検討が行われておるというふうに承っておりますので、当然のこととして、この物価スライド問題というのはもとより私どももよく承知しておる問題でございますが、その検討等、本院における議論等を踏まえながら対応すべきもの、すなわち、消費税というものが、そういう意味における社会的弱者の方々の第一の懸念には十分こたえなきやいけない。今当たり前じゃないですかとおっしゃいましたが、当たり前であるという前提の上にこたえなきゃいかぬ問題だというふうに思います。
  145. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 もう一つ、退職控除というのがありますね。老後の生活というのは、年金と退職金きり当てにするものはないのです。現行の制度は昭和五十年に改正されたもので、勤務年数が三十年ですと、一千万円までが言うなれば非課税ですね。あれから十三年たっている。当然引き上げて当たり前ですね。千五百万あるいは二千万に引き上げて老後の生活を安定させる、このぐらいのことは考えてもよろしいですね。いかがですか。
  146. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 前回の改正から随分長い時間がたっております。御指摘の点は検討させていただきます。
  147. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 私はこの冒頭に、消費税を何のために導入するのかというのが私の問いの第一問でございますけれども、一連の御答弁を伺っていて、改めて消費税を何のために導入しなきゃならないのかなという率直な疑問が依然として残っております。というよりも、これこれこういうことをやりますから、申しわけないけれども国民の皆さん、三%負担してくださいというのじゃなくて、まず三%いただきますよというのが最初にあって、じゃ一体いただいたその三%で何をしようかというのはこれからの議論なのではないか。不公平税制だとか高齢化社会対応するというのは言葉としてはあるけれども、現実中身は全くないというのが私の率直な感想であります。消費税収というのは、GNPがマイナスにならない限り着実に増加をいたします。私は、政府はまずそこに着目をして、まず税収ありき、制度をつくって税金をまず取ろう、これが発想の第一、そして使い道はそれからゆっくり考えるわという感がしてならないわけであります。  したがいまして、私は改めて申し上げたいと思います。消費税を導入する明確なる理由政府にはない。したがって、我々が当初から要求してきたとおりに、消費税というのはもうきょうこの場でもってさっさと引っ込めた方がよろしい。総括質問は七日までやりますから、七日まできちんと議論した上で、やっぱりこれはよくありませんねと潔く撤回されるべきだと私は考えております。このことについては御答弁は要りません。  第二問は、政府はこの税制を行う場合に何と言ったかというと、こう言っていますね。「税制が個人や企業消費活動、事業活動に対して極力介入を避け、産業・経済に対して中立性を保っていくことは経済全体としての活性化にとって極めて重要」この税制を導入しても産業や経済には大きな影響は与えせんよ、中立ですよ、これは税制を導入するときの政府側の言い分です。  通産大臣に伺います。この消費税というのは、付加価値の高いものがたくさんの税金を納めることになりますね。要するに消費税といえども付加価値税ですから。そうすると、日本の産業の将来を展望した場合に、重厚長大から軽薄短小、要するに人的資源を使った付加価値の高いニュービジネスがこれからの日本の経済、産業の中核になってきますし、通産省もそういう方向で助長をしているんだろうと思いますけれども、これはそういう産業のこれから進んでいく道、それとは逆行するんじゃありませんか、そういうところから余分に税金を取ろうというんだから。その点は厳密に言うとどういうことになりますか。
  148. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 今おっしゃいましたニュー産業というんですか、その代表的なものが、一つの例をとればサービス産業だと思います。このサービス産業のように労働集約型の非常に人件費が多いという産業、つまり売上高に比較して仕入れ原価の少ない産業の場合、そういう場合に消費税の制度においては、みずからが納付する税額が多くなることは御指摘のとおりだと思います。しかしながら、消費税消費者に広く薄く負担を求めるものでございますから、価格を通じて消費者に転嫁されていく、これはやはり鉄則であろうかと存じます。円滑な転嫁というものをいかに確実にするかということが消費税の成功への道だとすら私は思っております。  このために政府としましては、税額の価格への転嫁を円滑に行うことが申し上げたように重要なことと考えておりますので、各種の転嫁円滑化のための措置を講じることにしております。サービス産業が、つまり人をよく使う新しいタイプの、つまり軽薄短小型というのでしょうか、そういう産業が、人件費が多いという理由で特に多くの負担が強いられるものではないと考えております。  また、売上高三千万円以下の事業者についての免税制度、それから五億円以下の事業者に簡易課税制度を設けるというようなことで、中小事業者に対する配慮もなされておりまして、この点からも消費税導入に伴う負担増は大幅に軽減されるものと考えております。したがいまして、御指摘のような経済のソフト化、サービス化というような方向に逆行するというような事態は生じないであろう、生じないものというふうに認識をいたしておるものでございます。
  149. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 具体的な幾つかの産業、業界を例にとって、中立性の問題について、これは経済、産業には決して中立ではない、場合によるとつぶれてしまう産業も出てくる、業種も出てくるということをお示ししたいと思います。  具体例で言います。石油業界への影響です。石油関係だけをなぜ単純併課にしたのか。例えば物品税のかかっているものは、物品税をゼロにして三%乗っけることにしましたね。例えば宝石は一五%の物品税がかかっている。税金がかかっている。ですから百万円の宝石は、十五万円の税金が乗っかって百十五万円です。今度は十五万円、一五%をなしにして三%でいいですよということで、宝石の場合には百万円の宝石は税金を足すと百三万円になります。そのように物品税消費税に吸収されております。  それから、酒税なんかの場合はどうかというと、例えばお酒の特級は、現行は一・八リットル当たり税抜き価格が千六百三十円、それに酒税が千百円で、現在は二千七百三十円です。今度はどうなるかというと、税抜き価格は千六百三十円ですけれども、千百円の酒税が二百六十円に下がります。そして、これは調整併課ということですけれども、税金はどれだけかというと、千六百三十円足す酒税二百六十円掛ける三%、それが新しい消費税で、合計いたしますと小売価格は千九百五十円ということになります。これは、酒税はゼロにはしなかったけれども、消費税三%の間で調整をして、むしろ減税になったということです。  ところが、石油に関してはそうした調整は一切行われなかった。石油というのは、石油関係の年間の総売り上げは十兆円です。そのうち六兆八千億円が税抜き価格であって、三兆二千億円というのがガソリン税とか軽油引取税とか何とか税という石油にかかるもろもろの税金です。今度は売上高だから、税抜き価格プラス税金、六兆八千億プラス税金三兆二千億円の合計十兆円に三%の税金がかかって、三千億の税金を取ろうというのです。三兆二千億の税金を取った上に、さらに消費税として三千億円取ろうというのが今度の石油関係の税金のやり方です。これが単純併課ですね。なぜこういう単純併課にしたのか。なぜ調整併課なり、あるいは他の物品税と同じように消費税の中に吸収できなかったのか、その理由説明していただきたいと思います。
  150. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 今回の消費税法案におきましては、先ほど来皆さんがおっしゃっていますように、消費に対して広く薄く公平に負担を求めるという趣旨でございますから、定義上非課税となるものを除きまして非課税品目を設けないという原則から、石油につきましても単純併課とすることとされたものでございます。  ただし、石油につきましては、既におっしゃいましたように、三兆円を上回る石油関係諸税が課せられていることに加えまして、さらに消費税が併課されるということで、税負担の増大とともに円滑な転嫁が可能か、懸念されていることは事実でございます。通産省としましては、御指摘の単純併課による税負担につきましては、原油関税問題を初め引き続き総合的に検討する所存でございます。  まあ日本人的な感覚で物を言えば、同じ家の者が人様にお世話になるということになれば、それに対して懸命にその補いとしてお努めをするという感覚でございますから、大蔵省でも、主税局がこの消費税で率直に言って我々に随分苦労をかけておるわけでございますから、主計局もまた、仲間の主税が大変お世話になっております、できるだけのことはいたしますからどうぞ遠慮なくおっしゃっていただきたいと、必ず言うであろうと私は思っております。そういうことで、石炭等いろいろな問題がございますけれども、それに決して迷惑をかけないように、可能な限りの努力をいたしてまいる所存でございます。いずれにいたしましても、関係業界と関係者の納得のいく形で結論を得るように、最大限の努力を傾注するつもりでございます。
  151. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 通産大臣、ついでですからお尋ねいたしますけれども、石油は八月から従価税を従量税に変えましたね。ガソリンにいたしますと一リットル当たり一円四十銭の負担増になりますね。ですから、ガソリン価格が一リットル百二十円であるとすると、今度は一円四十銭上積みになりますから百二十一円四十銭ということになりますね。現行ですよ。ガソリンはまだいいけれども、重油だとか軽油だとか、これは立場が非常に弱いですね。まず、ガソリン自身が転嫁できているのかどうか、石油関係諸税というのは現実に現在でも転嫁できているのかどうか。しかも石油産業は、例えば構造的に過当競争でしょう。スタンドは全国に五万九千と言われている。そのうち四割、二万五千は赤字なんです。こういう過当競争のところでもって価格になんか転嫁できるのですか。その点、通産大臣の認識はいかがですか。
  152. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 もちろん政府として十分の対応をしなければなりません。と同時に、この極端な過当競争という体質を持っております石油業界においても、また自助努力をしてもらわなければならぬことは当然でございます。でございますから、通産省としましては、そういうことへの忠言も忠告も十分にいたしながら、また行政的に可能な限りの努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  153. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 大蔵大臣、石油の関係は三兆二千億円という税収に三%を掛けるのですね。それも取るわけですね。タックス・オン・タックスですね。そうすると、例えば公平という面から見て、こちらの業界は三%の消費税を加算するかわりに物品税の方はまけてあげます、こちらの方は三%かけるかわりに調整してほかの税金は安くします、石油は今までのガソリン税や何かについては全く手をつけずに上へ乗せます、これで公平ですか。業種間においてこの消費税のやり方というのは公平なんですか。不公平でしょう。それは単に不公平だけではなくて、経済、産業の中立性ということから比べれば、ある産業には壊滅的な打撃を与えてしまう、こういうことじゃありませんか、この消費税というのは。これは公平なんですか、大蔵大臣
  154. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 これはいろいろ御存じの上でお尋ねでございますので、くどくなっては申しわけないと思いますけれども、御承知のように石油関連諸税の税収はいわゆる特定財源になっておりまして、道路でございますとか空港でございますとかエネルギー対策でありますとか、そういう意味では受益者と申しますかあるいは原因者と申しますか、そういう原因者負担みたいな部分がございますものですから、まあ消費税とはその課税の趣旨を異にするというのが私どもの物の考え方であるわけでございますが、それはタックス・オン・タックスだろうとおっしゃれば、やはりタックス・オン・タックスでないとは申し上げにくい、事実そうであると私は思います。  それで、これからの財政需要の動向あるいは石油に係る租税負担水準などを考えまして、各方面の御意見を引き続き承りながら、なおこの問題は将来に向かってひとつ解決策がないかどうかは検討しなければならない問題だと思っておりまして、私どもとしては、実はそういう特定財源であるということから、決定をいたしますのに政府部内でも非常にいろいろな議論がございましたことは事実でございます。
  155. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 私は、石油に係る三兆二千億円の財源が道路財源であることは百も承知しております。それならば、総売上高の中から三兆二千億円を引いた税抜きの六兆八千億円に三%掛ければいいじゃないですか。そうでしょう。それならまだ理屈は合う。三兆二千億円の税金にまで三%の税金をかけることはないじゃないですか。そのやり方は不公平だと私は言うんです。消費税は公平を保つためにやるんだ、中立なんだと言ったって、現実的に行われてみればこのように不公平であり、このように非中立的じゃありませんかと申し上げたいのです。本当に公平であり、中立でやりたかったらば、石油関係は非課税にすればいいのです。どうですか。
  156. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 ただいま申し上げましたような事情で、政府部内でもいろいろ御議論のあったところでございます。また、ただいまのお話もよく承りましたので、さらに検討をいたしたいと思います。
  157. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 自動車業界だって同じようなことがある。今度自動車に係る税金が消費税に集約されますね。そうすると、高級車、普通車は税金ががばっと下がる。軽の方は下がらない。物によっては上がるのもある。今までなかったのが三%に上がるものがある。価格差でもって業界が生き長らえてきたところが、価格差が縮まることによって、需要が普通車、高級車の方にシフトする。そのことによって軽自動車や軽トラックを生産していた業界は壊滅的な打撃を受ける。死活問題になる。ここにはたくさんの労働者もいるんです。生活を奪われることにもなりかねない。私は、この自動車関係の税を下げるのがいけないと言うのじゃありませんよ。このように消費税というのは、プラスになる業界もあるかもしれないけれども、そのことによって壊滅的な打撃を受ける業界もあるということなんです。それに対する手当てというものは何もないでしょう。取ることきり考えていないんです。  建設大臣、あなたも消費税法案を出すとき、消費税法案には賛成の署名をされた閣僚の一人だ。高速料金ぐらい下げたらどうですか、軽自動車のために。例えば首都高速は六百円、それを四百円にするとか三百円にするとか、そんなことでもしなかったら業界はつぶれてしまうよ。どうなんですか。
  158. 越智国務大臣(越智伊平)

    ○越智国務大臣 高速自動車道を御利用いただく料金の問題でありますが、これはこれとして公正に行わなければならない、こういうふうに考えております。道路審議会にお願いをいたしまして、道路の料金に対する考え方、これ等をお諮りをいたしました。先般道路公団につきましては、普通車、大型車、特大車と三種類になっておりますけれども、この普通車というのがマイクロバスで二十九人乗り以下軽まで一緒になっておりますので、軽自動車あるいは単車等については二十九人乗りといかにも差があるではないか、であるからこれを分けたらどうかというような御答申をいただいております。  この問題につきましてはただいま道路公団で鋭意検討をいたしておりますが、ただ、税の問題と交通料金の問題を一緒に考えるというのはちょっとなじまないのではないか。道路使用については、御利用をいただく方々にできるだけ公平な立場から検討を進めていく、こういう考え方であります。
  159. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 税金というのは、百人寄れば百人の利害がある。幾ら公正だ、中立だと言ったって、結局消費税を、新しい税を導入すれば、そのために泣かなければならない業界や苦しまなければならない人たちがたくさんいるんだということを、私は具体例を挙げて申し上げたわけです。このように利害が絡む問題では、単に税制理論とか財政理論とかという学者の議論だけでは済まされない、もっとどろどろしたものがあるんだということを、私はあえてそういうことで申し上げたわけであります。  第三番目の質問に移ります。  それは、今度の税制は不公平税制を是正するということがうたい文句の一つにはあったけれども、その不公平税制には手をつけていないことは冒頭に申し上げました。今度は、この税制を採用することによって新しい不公平が生じるということを申し上げたいんです。これは数字の話になりますので、大蔵大臣数字にお強いからおわかりでしょうけれども、より数字の誤解がないように、数字資料を見ていただきながら少し論議を進めたいと思いますので、ちょっとお願いします。  まず、簡易課税方式というのを今度は採用されましたね。これの問題点。今度は納税事務負担の軽減を図るため、課税売上高が五億円以下である事業者は、選択によって簡易課税方式を適用することができます。この結果、課税売上高の〇・六%、卸業の場合には〇・三%を税金として納めればいいことになります。そういうことになりますね。すると、付加価値が高いと過大転嫁になるのじゃないか。  表を見ていただきます。  例えばA製造業者が原料を輸入いたしました。その税抜き取引額は五千万円です。それを加工して卸業者に販売をいたしました。七千万円で販売いたしました。マージン率は二八・六%であります。本来ですと、まず五千万円で原料を輸入したということは、その上に三%、百五十万円の税金が乗っかって買うことになりますね。ですから、原料価格が税抜き価格五千万円ということは、税込み取引額は五千百五十万円になります。それを七千万円で売ったということは、七千万円で売ったA製造業者は、売った瞬間に税金を納めなければなりませんね。七千万円引く五千万円掛ける三%、六十万円を税務署に納めることになります。そうすると、A製造業者は卸業者に幾らで売れば完全に価格が転嫁できるかというと、七千二百十万円ですね。こうしなければ価格は完全に転嫁できませんね。  B卸業者はこの製品を小売業者に販売をいたします。八千万円で販売をした。マージン率が一二・五%。そうすると、八千万円引く七千万円掛ける三%で三十万円納めることになりますね。ですから、税込み取引額は八千二百四十万円ならば、これは価格が完璧に転嫁されたことになります。それで、小売業者が製品を一億円で売る場合にはこういうことになりますね。  そうすると問題は、これを簡易課税制度で計算すると、例えば原料を輸入した段階では三%、百五十万円払ったとしますね。今度は簡易課税制度ですから、製造業者というのは売り上げの七千万円掛ける〇・六%でいいわけです。そうすると四十二万円でいいんですね。価格が完璧に転嫁していれば六十万円だけれども、取引額は七千二百十万円でも、実際には納める額は四十二万円でいいわけですね。  こういうふうにやってまいりますと、簡易課税制度というのは付加価値の高いものほど有利になるということでしょう。付加価値が高ければ高いほど簡易課税制度を導入した方が、利用した方が税金は安くなるという仕組みですね。大変細かいことになりますけれども、そういうことですね。
  160. 水野(勝)政府委員(水野勝)

    水野(勝)政府委員 簡単に申し上げますと、簡易課税制度は、まさにそのマージン率を二〇%、卸売業につきましては一〇%とみなして計算をするということでございますので、それを上回るマージン率をお持ちの業者につきましては、その分は税金が軽減されることになるわけでございます。その点は御指摘のとおりでございます。  ただ、この簡易課税は、まさにこの名前の示しておりますように、できるだけ納税者に御負担を、手数をおかけしないということから、ある意味では税制につきましての精密さを損なう要素はあるとしても、それはこの際は踏み越えまして、とにかく事務負担に極力配意するという点につきまして、中小零細事業者につきましてはそれが最重要課題であるということで踏み切った制度でございます。御指摘のような点があることは否定できないところでございます。
  161. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 もう一つ問題点がありますね。限界控除の問題点。限界控除というのはどういうのかというと、本来納付すべき税額に掛けることの三千万円を分母にとした課税売上高引く三千万円ですね、大変高等数学で申しわけありませんけれども。これが納税額です。例えば、本来納付すべき税額が二十万円で課税売上高が四千五百万円の事業者の納付税額は十万円になりますね。この差額の十万円はどういうことですか、これは。
  162. 水野(勝)政府委員(水野勝)

    水野(勝)政府委員 今回、中小零細事業者のお立場を考えまして、三千万円という免税点を置いているところでございます。この免税点制度は、程度の差はございましても、このような税制を採用いたしておる国では、必ず中小零細事業者につきましての配慮として導入されているところでございます。  そこで、三千万円の免税点といったものを前提といたしますと、三千万円の納税義務でございますと、もし仕入れ控除がなければその三%で九十万円、もし簡易課税制度的なものでやっておりますれば、その〇・六%で十八万円といったものが、まさに納税が免除されるわけでございます。その分だけが、十八万円でございましたら十八万円がゼロになるというところでございます。  三千万円を超えますとその点が一挙に消滅するというのは、取引の円滑化といったような観点から、あるいは中小零細事業者への御配慮といった点からいかがかということから、三千万円と六千万円との間のお取引につきましては、御指摘のような限界控除でもって十八万円が一遍に消滅するということでなくて、三千万円の業者から六千万円の業者に至るまでにおきまして、十八万円が少しずつ小さくなるような仕組みといたしているところでございますので、ただいま御指摘の四千五百万円の方につきましては、その部分が軽減される仕組みになっておる。これがこの制度につきましての、先ほども申し上げました制度の精密さと申しますか、精緻さを損なっている点は、これは先ほども申し上げたようなところから否定はできないわけでございますけれども、免税点制度といったものをある程度の水準で置きます場合には、激変緩和と申しますか、円滑な推移を確保する意味におきましては、このようなものが適当ではないかと御提案を申し上げているところでございます。
  163. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 今度は限界控除と簡易課税を組み合わせるとどういうことになるか。お手元の資料をごらんください。課税売上高が三千六百万円の業者は、本来納付すべき税額は二十一万六千円であります。簡易課税ですから〇・六%を掛ければ二十一万六千円になります。これを限界控除を適用いたしますと四万三千二百円になります。差額は十七万二千八百円。課税売上高が四千二百万円の場合には、本来納付すべき税額は二十五万二千円です。限界控除により納付すべき税額は十万八百円です。差額は十五万一千二百円です。課税売上高が四千五百万円の場合には、本来納付すべき税額は二十七万円です。限界控除により納付すべき税額は十三万五千円です。差額は十三万五千円。五千百万円の場合には、本来納付すべき税額は三十万六千円、限界控除により納付すべき税額は二十一万四千二百円で、差額は九万一千八百円です。課税売上高が六千万円になった段階で差額はゼロになります。  これは、主税局長の御答弁がありましたように、三千万円を超えた場合に直にかかったのでは大変だという、激変緩和のためにこういう措置をとられたということは、私は理解をいたします。しかし、それは一方で見れば、こういう不自然な結果も出てくるということです。この十七万二千八百円、これは価格を一〇〇%転嫁していた場合には、税金を補助金として使ったようなものでしょう。その点はどうなんですか。
  164. 水野(勝)政府委員(水野勝)

    水野(勝)政府委員 同じような御答弁、御説明で恐縮でございますが、まさにその点は免税点制度を設け、中小零細事業者のお手数に配慮したということによりますところの結果でございます。先ほども申し上げましたように、このような税制を持っておる国におきましては、日本ほど免税点の水準が高くはございませんので、こうした傾向が出現する程度は大きくはないわけでございますが、それぞれの国にもあるようでございます。  ドイツにおきましては、この簡易課税制度といったものを業種別に決めるといったようなことで、かなりな零細事業者をこうした制度の対象にしておる。ということになりますと、やはりドイツのような逆に税率が高い国では、その差額というのはかなり大きくあらわれるといったことにもなるわけでございまして、多少ともこのような制度を持って中小零細事業者のために配慮しておる国におきましては、どうしても起こる現象でございます。  まして我が国におきましては、こうした幅の広い、薄い消費税制といったものはほとんど税制の歴史に例のないものでございますので、とにかく納税者の方々になじんでいただく、無理なく実施していただくということの配慮から、このような結果が生ずるところでございます。そうした意味におきまして、御指摘のように不公平と言えば不公平、非中立的と言えば非中立的な点ではございますが、その一方の必要性といったことから、こうした制度の意味を御理解いただければと考えるところでございます。
  165. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 主税局長は非常に正直でございますから、これが非中立であり、不公平であることをみずからお認めになりました。消費税というのは、消費者の目から見る消費者の立場に立った反対論、それから業者の立場に立った反対論、これはかみ合うものじゃありません。しかし、いずれにいたしましても、簡易課税制度にしろ限界控除にしろ、まず業者同士を見ても、これをうまく組み合わせて利用できるところは税金を有利に使うことができる。利益の薄い力の弱い業界あるいは力の弱い事業者は、簡易課税制度もあるいは限界控除制度も組み合わせてうまく利用することができない。業者同士を見ても、この制度は新たなる不公平を生みます。これは一〇〇%所得を捕捉されているサラリーマンから見れば、とんでもない不公平と映るのはやむを得ないじゃありませんか。  それは納税事務を簡素化するとかいろいろあるだろうけれども、こういう無理な手だてをしなければまとめられない消費税というのは、やはり根っこの部分で欠陥がある。消費税というこの体系それ自体に無理があり、欠陥があるから、そういうびほう策というか手当てをしなければならないのだと私は思います。そういう意味で改めて消費税の撤回を要求いたしますけれども、私の質問があと十何分残っておりますので、その最後に改めて御見解を承ることにいたします。  もう一点、消費税に対する不安というのは、三%と決められたけれども、いつまでも三%じゃないだろう、五になり七になり一〇になるのはそう遠いことではないだろうという不安感であります。これは恐らく事業者も、そしてサラリーマンも共通の不安感だと思います。この税率の引き上げの懸念につきまして総理大臣は、税率は国会を通らなければ改定できるものではない、したがって安易な引き上げなど考えられない、こうおっしゃられました。これは当たり前ですね。総理大臣がそうおっしゃられたから、ああ税率は引き上げられないな、ずっと未来永劫に三%だなと素直に理解する国民がいると思いますか。総理大臣、いかがです。
  166. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 三%という問題、それはたびたびお話しいたしますように、諸般の問題をことごとく議論して、詰めて詰めてできたのが三%というものでございますので、それの作業に参画し、御提案申し上げた最高責任者として、これが変更されるなどということはとても考えられないというのが私の率直な感じでございます。  ただ、私がいつも申し上げておりますのは、竹下内閣などというのはしょせん歴史の一こまでございます。私が五十四年のときにも皆さん方と相談して、いわゆる一般消費税(仮称)という言葉をしつこくまでも使わしていただいたのは、消費一般にかかわる税制そのものが否定されてはならない。後世代でいわば意識の変化があった場合に、例えばヨーロッパのそれを見ましても、所得減税をする場合に必ず率が上がってきたという一つの歴史がございますだけに、後世の皆さん、有力な方々の手まで縛ってはいけないという考え方でありますが、これを作成し、提案いたしますまでの経験、そして国会のこの厳しい議論等があって、私は、そういうことは現状において考えられ得ないことだというふうに、いつも感じておることを素直に申し上げておるところでございます。
  167. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 大蔵大臣に伺いますけれども、政府提案税制改革法案第四条二項で、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えないようにする、こうなっていますね。また、税率を決定する際に大蔵省が提出した資料によりますと、六十五年度赤字国債脱却が危ぶまれる、こういう言い方もされておりますね。財政再建にも支障を来しかねない、こういう認識をしながら大蔵省は三%の税率を決定したと思います。ということは、大蔵省としては、五だの一〇だのというと国民がびっくりして飛び上がっちゃうから、三ならば何とかごまかせるだろう、なじみやすいだろうというので三という数字を決めたんじゃないんですか。  戦前、昭和十二年だと思いますけれども、〇・一%の低税率の消費税を導入しようということが検討されたことがありますね。私は、そのとき担当した人の座談会での記事を読みましたけれども、〇・一ならばだれも余りわからないだろう、そのうちなれたところで上げればいいやというのがその当時の議論だったやに聞いております。  ということになりますと、三%という、ある場合には事業者が転嫁できないで泣く泣くのんでしまう、そういうような泣く泣くのまざるを得ないような、負担せざるを得ないようなぎりぎりの三という数字を設定しておいて、何年かやって、なれた段階でぼんと上げようとするんじゃないか、こういうふうに私は考えております。いかがですか。それとも、引き上げについて明確な歯どめというのを政府はお考えになっていますか。国会での議論で国会で議決することだから、それは当たり前のことですから。そんな当たり前のことじゃない、もっと実効性のある歯どめというのを政府はお考えになっているのか、これは総理大臣大蔵大臣お尋ねをいたします。
  168. 宮澤国務大臣(宮澤喜一)

    宮澤国務大臣 ただいまのお話は、当時シナ事変と呼ばれた状況のことであったかと存じますが、あのころとただいまとを思いますと、もとより我が国の国のあり方、目的も、また民主政治のあり方も全く違っておりますので、その点はもう私からくどくど申し上げることもございませんが、財政再建との関係では、確かにこのたびの税制改正ネット減税でございますので、いろいろつらいことがございます。それはそのとおりでございますけれども、しかし、それでも経済運営よろしきを得て、何とか昭和六十五年度には特例公債をやめてしまいたいということで、今一生懸命政府を挙げて努力をしておりまして、これはぜひ貫徹をして、財政再建への一歩を進めたいと考えております。  三%の税率が上げられるというふうに私は考えておりませんし、そういうことなしに、経費の節約あるいはいろいろな工夫、経済運営等によって財政再建をやってまいらなければならない。そういうことには頼らない。また、そうでないと、何かに頼りますと決して財政を厳しくやることはできないのでございますので、頼らないということでやってまいらなければならぬと思っております。
  169. 竹下内閣総理大臣(竹下登)

    ○竹下内閣総理大臣 まず財政再建の問題でございますが、今大蔵大臣からお答えがあったとおりでございます。お互い思い返してみましても、土光臨調が「増税なき財政再建」、そこで本委員会等においてたびたび議論されて、増税なきとは何だ、すなわち、新たなる税目を設けることによって大きく租税負担率等を変えるものでないこと、こういう定義が定着して、お互いそのベースの上に立って議論をしてきております。したがって今回、今朝も議論のありました、せめて財政再建というものを考えるならば、レベニュー・ニュートラルであってこそ本当のあり方だ、これも私ども随分議論したところでございます。  しかし一方、この減税に対する国民の皆様方の御期待、そういうことからいたしまして、今度は差し引き減税になっておりますものの、私は、言ってみれば「増税なき財政再建」とは、新たなる税目を設け、大きく租税負担率を変えてはならないという精神は、今次の提案の中にも貫かれておるではなかろうかというふうに思っておるところであります。したがって、なお行政改革あるいは歳出の節減合理化、言いなれた言葉でございますが、これらに対しては厳しい対応をしていかなければならないと思っております。  また、税制面においても、御指摘があります中長期の問題について、いわゆる各種引当金等々についての措置も行わなければならないというふうに考えておるところであります。  そして、いま一度とおっしゃいました三%というものの歯どめというのは、私は、国会にかけるのは当たり前だ。しかし、行政府の立場、幸か不幸か今は二見さんその経験ございませんが、こちらへお立ちになった場合、国会ほど大変なところはないということを常日ごろ感じておりますので、それは当たり前のことではなく厳粛なものである、このようにお考えいただきたいものであると考えます。
  170. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 私も、総理大臣おっしゃられたように、一度そこに立って、二見総理大臣と言われてみたいと思っております。  それはそれといたしまして、もう一点、時間も参りましたので、はしょって質問いたします。  価格転嫁は恐らくできないだろうという疑問です。業者にとっては価格転嫁ができなければ、これは大変なことになります。  公取が見えておりますから伺いますけれども、主として中小企業を対象に、価格転嫁の方法と表示の方法を決める二種類のカルテルを公取は今度の改正でもって認めたのですね。それで、今度はこのカルテルを認めたことに対して、まず消費者の立場に立っての不安を申し上げます。それは、消費税の部分じゃなくて本体の価格の部分まで価格の申し合わせをするんじゃないか、あるいは価格を転嫁しやすくするために、生産数量そのものについての申し合わせまでするのではないかという不安が消費者から出てくるわけでありますけれども、公正取引委員会はその点についてはどういう御見解でしょうか。
  171. 梅澤政府委員(梅澤節男)

    ○梅澤政府委員 今回提案になっております独占禁止法の特例措置でございますけれども、条文ではっきり書いてございますように、転嫁の方法に係る決定、それから表示の方法の決定でございますけれども、価格本体のカルテル、同時に、いわゆる便乗値上げにつながるような不当な引き上げのカルテルは認めないということになっておるわけでございます。もちろん、こういう共同行為を認めることによって、ともすれば、今委員がおっしゃいましたように、本体価格カルテルとかあるいは生産数量の制限のような話し合いが行われやすい、つまり、そういうカルテル体質を助長させるのではないかという指摘があることは事実でございます。  これは競争政策を運用する者の立場として最も心しなければならないわけでありますが、今回はそういうことで制度上非常に明確になっておるということと、同時に、この特例措置が認められる共同行為につきましては、事前に公正取引委員会に届け出をしなければならない。それは、恐らくそういうことをおもんばかってこういう措置がとられたと私は思うわけであります。したがいまして、事前の届け出に当たりましては、そういった委員が懸念されるようなカルテルに発展しないように、いろいろ御相談にあずかったり御注意申し上げますと同時に、そういった届け出のありました共同行為を手だてといたしまして、後々までもこれをトレースしていく、そういうことによって、この特例措置が本来期待しておる適正な転嫁と、しかも消費者の一番懸念しておられる便乗値上げにつながらないような、そういった厳正な運用をしてまいるということで、今いろいろ具体的な方策について検討いたしておるところでございます。
  172. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 通産大臣、輸入品で例えばNIESからニットが来る、安い家電が来る。もちろん上陸した瞬間に三%の消費税はかかるのだけれども、繊維業界など非常に過当競争の激しい、常にNIESから追い上げられているところでは、消費税分を上乗せするための価格協定というかカルテルなんというのは、理屈の上では結べても、これは結べませんよね。そんなことをすれば日本製品はどんどん輸入品に追いやられてしまいますから。どうですか。
  173. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 業種によりましては、昨今の円高等を背景にいたしまして、安価な輸入品が増加しておることはおっしゃるとおりであります。そのために、御指摘のような懸念があることは、確かに我々も認識しております。これに関しましては、業界の自主的な構造調整努力、それに期待いたしますとともに、通産省としましても業界の実情に応じた必要な対策を講じていくことといたしております。いずれにいたしましても、一方においては公取と十分連携をし、一方においては今申し上げたような施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  174. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 運輸大臣にまとめてお尋ねをいたします。  私は、関連質問で貝沼委員がこの後質問をしますので、その時間を確保しなければなりません。したがって、まとめてお尋ねいたしますが、お答えを受けてさらに私が感想を述べるわけにいきませんので、消費税についての感想と申しますか、この論議を通しての率直な印象をまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  高齢化社会に対処するといい、不公平といい、あらゆる角度から見て、またサラリーマンの立場から見ても事業者の立場から見ても、この消費税というのは欠陥税制であると断定せざるを得ません。したがって、これは当然撤回してしかるべきであることをまず冒頭に申し上げておいて、運輸大臣にまとめて質問いたします。  この消費税が本決まりになりますと、私は、鉄道、バスあるいはタクシーは空前の値上げラッシュになるんではないかと思うのです。そのために運輸省はどう対処するのか伺いたいのだけれども、例えばJR東日本は、初乗り運賃などの短い区間の運賃は据え置いて、遠距離を値上げするなど全体の収入で調整する方針だということを六月二十日にJRの社長さんが言われておりますね。そうすると、まず出てくるのは、遠距離の利用客に負担を強いるという、これは同じ利用者間の不公平が生じるのですね。  もう一つ、今度は例えば帝都高速度交通営団では、初乗り百二十円、最高が二百六十円ですから、十円上げたって取り過ぎですね、これは。そうすると、料金区間の見直しとか運賃体系を変更しなければなりませんね。結果としては三%ではなくて、料金、運賃そのものの引き上げということにならざるを得ない。こうしたことが交通関係には随所に出てまいると思います。  それで、まずそうした鉄道、バス、タクシー等々の空前の値上げラッシュに運輸省がどう対処されるのか。また、例えば私は今JRについて申し上げましたけれども、そうした遠距離客の方に負担を強いるという不公平をどう考えるのか。短距離区間百二十円から二百六十円というところは、三%じゃなくて大幅な、三%を超えた言うならば便乗値上げにならざるを得ない。こういうことに対して運輸省はどういうふうに考えているのか、まとめて御答弁をいただき、貝沼委員に質問を移したいと思います。
  175. 石原国務大臣(石原慎太郎)

    ○石原国務大臣 全部説明しますとかなり込み入った問題がございますが、要するに、原則としては消費税は最終的に消費者が負担すべき性格のものでありますから、バスとかタクシーの事業についても、消費税の導入に合わせて運賃改定を行うこと、これは仕方がないと思います。その転嫁が円滑かつ適正、つまり公正に行われるように配慮をしていきたいと思っておりますが、バス等はこれによって利用者離れをするんではないかという懸念もあるようですけれども、税率が三%でございまして、すべての価格体系が同時に変化するわけでありますから、その影響はかなり緩和されたものになると考えております。ただ、全くお客の減りがないということはないと思いますから、これはサービスの向上とか経営努力を重ねることで補っていくという指導をしていきたいと思っております。  それからJRは、確かに住田社長がそういう発言をされましたが、これは運輸省があずかったことでございませんし、あの時点での発言でございますけれども、いずれにしろ、おっしゃったように、初乗りの区間でありますとか営団等は三%運賃を上げるといっても、つまり十円未満のことになりますので、一気に十円便乗というわけにはならないと思います。ですから、そういったものはいろいろの手を講じて、いずれにしろ企業体の全体の売り上げ増収が三%の枠以内で確保されるような多角的な工夫をしていくように指導するつもりでございます。
  176. 二見委員(二見伸明)

    ○二見委員 以上で終わります。
  177. 瓦委員長代理(瓦力)

    ○瓦委員長代理 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。貝沼次郎君。
  178. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 時間が余りありませんので、端的にお尋ねをさせていただきます。  私は、このリクルート問題というのは二つの側面があるのではないかと思います。一つは、NTTとリクルート社の便宜供与の疑い、それからもう一つは、時の首相まで絡んだ一つの通信機器輸入にかかわる疑いの問題、これがあると思います。  そこで、十一月二日、新聞にリクルート社が購入をしたスーパーコンピューター、これの値段が報道されております。それによりますと、XMP216というコンピューター、これが二十億円程度、そして五%の工事費とかそういう費用を加算いたしまして大体二十一億円、さらに、今大阪にありますXMP18というのが約十億円、そして五%加算いたしまして十億五千万円、合計三十一億五千万円というような数字が出ておるわけでございます。  そこで郵政大臣にお伺いいたしますが、この数字について、間違いですか、それとも私どもは大体こういうものと判断してよろしいですか。
  179. 塩谷政府委員(塩谷稔)

    ○塩谷政府委員 お尋ねの件でございますが、私どもNTTから報告を受けているところによりますと、お尋ねのRCS事業にかかわりますスーパーコンピューターでございますが、これの転売価格につきましては、これは企業間の個別の契約内容にかかわるものでございまして、当事者以外には明らかにしていないと申しております。また、リクルート社には、NTTがクレイ社からスーパーコンピューターを購入するのに要しました費用にシステム設計等の必要経費を加算した金額を請求したものである、こういう報告を受けている次第でございます。     〔瓦委員長代理退席、海部委員長代理着席〕
  180. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 ですから、その金額はこういう程度のものと考えてよろしいかどうかということをお尋ねしております。答えてください。
  181. 塩谷政府委員(塩谷稔)

    ○塩谷政府委員 私ども、今申し上げましたようにNTTからはそういった趣旨の報告を受けておりまして、御指摘の数字でございますが、その数字について何ともコメントする立場にございませんので、さよう御了承いただきたいと思います。
  182. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 郵政省は本気になって国民疑惑にこたえようとしていない。私はまことによくないと思います。  それから通産大臣、これは輸入したものですから、通産大臣は大体の相場はわかると思うのです。大体これぐらいのものですか。
  183. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 ちょっとこれは私きょう聞き始めでございまして、クレイ社と工業技術院の契約の問題も、この程度のことでございますと大臣まで上がってくる問題じゃございませんので、ちょっと聞き始めでございますので何とお答えしたらいいかわかりませんが、ちょうど工業技術院長を呼んでございますので、ちょっとお聞きを願いたいと思います。
  184. 飯塚政府委員(飯塚幸三)

    ○飯塚政府委員 お答え申し上げます。  私ども工業技術院でも、昭和六十二年度に補正予算によりましてクレイのスーパーコンピューターを購入いたしました。これは予算といたしまして約四十六億円でございましたけれども、本体部分についての価格というものがどの程度であるかということははっきりとしておりません。しかし、クレイ社の今までのいろいろな資料からして、約二十億円程度というふうに考えております。
  185. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 約二十億円程度、これが重要でございます。それに比べて通産省が輸入されたのは四十六億円。どういうことですか、これは。──いや、ちょっと待ってください。四十六億一千百万円ですね、予算で、決算書にあるのは。 これの額とそれから大体二十億円程度というのと余りにも差が大き過ぎる。二倍以上ですよ。一体これはどんなになっているのですか。これで国民が納得できたと思ったら大きな間違いです。これは問題だと私は思います。したがって、便宜供与の疑いが出てくるのです。  そしてさらに、通産省の価格決定に至っても大変はっきりしない面がございます。そこで、私は時間がありませんので、通産省から教えてもらったことをちょっとここで復習いたしますから、間違いかどうか後でお尋ねします。  まず、通産省が購入したコンピューターというのはNTTを通じてリクルート社に渡ったコンピューターと型が全く同じものであります。クレイXMP216という型でございます。契約年月日は六十二年十月二十三日、一年ばかり後です。普通のコンピューターなら一年たてば安くなるのです。それが急に高くなっておる。これが問題なんですが、それから、購入金額は四十六億一千百万円。そして競争契約か随意契約かという問題については、競争契約である。そして競争入札、官報告示が六十二年八月十八日に行われた。八月二十五日に説明会をしたら多数の人が参加をした。そして九月二十八日、応札を締め切った。そのとき応札したのはクレイ社一社のみ。こういうことなんですね。そしてクレイ社に決定した。こういうことになっておりますが、これは間違いありませんか。
  186. 飯塚政府委員(飯塚幸三)

    ○飯塚政府委員 お答え申し上げます。  私どものスーパーコンピューターの導入は、私どもの筑波研究センター等における大型の科学技術計算のニーズが非常に高まったために、既存の設備の稼働率が限界に達したために導入したものでございます。  それで、このNTTの方と比較してお尋ねでございますけれども、私どもの場合には、周辺機器、特にフロントエンドコンピューター等が含まれております。また、五十種類以上のソフトウエアも含まれております。したがって、単純な比較はできませんで、私が申し上げましたのは本体価格でございまして、これについてはほぼ同等ではないかというふうに考えております。
  187. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 ソフトウエアも含まれているのは当たり前のことです。これは先般NTTに行きまして、向こうの方も、ソフトウエアもちゃんと含まれておる、工事費も含まれておると、全部確認をしてきておるわけであります。それにしても余りにも価格が違い過ぎる。しかも時間がたっておる、円高にもなっておるというようなときに、なぜこうなるのか。  しかも、これは六十二年五月二日に日米首脳会談がありまして、その後、時の総理大臣、中曽根総理大臣が新聞で言っております。そのときに一つずつ言っておりますが、その中に、一々私がチェックをする、こういうふうに言っております。だから、これはチェックされたものだと思う。さらに、補正予算ができたのが七月、そうしてこの入札が行われたのが八月、にもかかわらず七月の補正予算では既にクレイ社の価格が予定されておる。ほとんど差がない。こういう事実。そうしてまた、こういう入札をするときに、たくさんの参加者があったにもかかわらず、クレイ社一社しか応札締め切りのときになかったということは、あらかじめ政治的な力が働いて指定されておったのではないかという疑いが出てまいります。こういうようなこと。  したがって、こういう面は大変重大な問題であり、時の総理大臣の身辺にリクルートの株の問題等が起こっておるところから考えましても、ゆゆしき問題と私は受けとめておるわけでございます。  したがいまして、この件について会計検査院はこれをもう一度調査されるかどうか。そしてまた、この入札のいきさつ等を考えたときに、私は刑法あるいは予決令あるいは独禁法その他に抵触する疑いが多分にあると考えておるわけでありますが、検察当局はどのようにお考えか、御意見を承りたいと思います。
  188. 田村国務大臣(田村元)

    ○田村国務大臣 まず、その前に私からお答えをしたいことがあります。  これは八月十八日、競争入札官報告示、おっしゃったとおり。説明会があって、九月二十八日に応札の締め切り、応札はクレイ社のみ、そして十月五日にクレイ社に決定、こういうことも事実であります。それから購入金額は、クレイ社製スーパーコンピューター約二十億円のほかに、前処理用コンピューター十数億円、ソフトウエアが九億円などを含むということ、それで四十六億一千百万円になっておるということだそうであります。  ここで私が申し上げたいことは、私は前総理からもそういう話は一切聞いておりません。同時に、応札した者が一社というのなら、もし貝沼委員のおっしゃったことがある程度事実であるとするならば、それは業者の談合じゃありませんか。通産省に関係はありません。これは徹底的にお調べを願います。通産省においてそういうことがもしあるとするならば、この田村、責任をとります。こういうことを軽々に、国民の疑いを生ぜしめるようなことは、私は迷惑千万でございます。ここで私からお願いしておきましょう。検察庁も警察も徹底的に調べてもらいたい。そういう妙なことは私は困ります、率直に言って。これだけは極めて明確に言っておきます。
  189. 貝沼委員(貝沼次郎)

    貝沼委員 徹底的に調べていただきたいと思います。  時間が参りましたので、終わります。
  190. 海部委員長代理(海部俊樹)

    ○海部委員長代理 これにて二見伸明君、貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日土曜日午前九時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会