○中西(啓)
委員 大変大事な問題でございますので、ひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。
いろいろお三方から承ったわけでございますが、今の
税制改革ができずに現行のままで放置した場合には、とにかく行き詰まってしまって、もうにっちもさっちもいかなくなるというようなことが大体わかったわけでございます。
私もよくいろいろな方々から税についての質問を受けることもございます。そのときに長々としゃべるわけにまいりませんので、要約してお話を申し上げておるわけでございますが、とにかく租税の負担率は、日本は先進国と比べても、全体的には、総体的には、金額的には低いわけですね。低いにもかかわらず非常に
重税感が強い、こういうふうな現実があるわけでございます。それは言いかえたら、二千七百万人の勤労者の方々の納めてくれておる
所得税と住民税、それから二千七百万人の勤労者の働く場である
企業、会社が払ってくれておる
法人税、この二つで実は
歳入全体の七割を占めるわけです。
ですから、どうしても今、例えば奥様方は大体家計簿というのをつけておられると思いますが、その家計簿を見ても、サービス支出というのがもう五〇%を超えているわけです。ところが、サービスに対する課税というか捕捉なんというのは、地方税、国税合わせてわずか一・一%しか捕捉できていない。これは法律を改正しない限りは、個別間接
税制度ですから、
物品税八十五品目以外は税金を取れないわけです。たしか
昭和五十九年、六十年でしたでしょうか、財源が不足いたしました。財源が不足すれば
予算編成できませんから、大蔵当局も、OA機器が非常に調子がいいというのでOA機器に目をつけて、そこから税金をもらおうというようなことを一時もくろんだこともあったわけでありますが、太鼓をたたかれて大騒ぎになって、とてもとてもOA機器から徴税どころの騒ぎでなくなった。そこで、それじゃ酒の方に我慢していただこうというので酒に課税をしようとしたのでありますが、取らぬタヌキの皮算用で、みんなそんな高い酒を飲めるかということでしょうちゅうへいってしまって、
見積もりどころかゼロを通り越してマイナスになったみたいな経験もございます。
そういうことで、サラリーマンの方々は、入社して係長、課長、
部長というふうに昇進していけば月給も同じように上がってくるわけですが、同じようにミサイルみたいに税率が追っかけてきて、全然財布の中身がふえない。そうしたら、
部長にでもなれば、たまに部下を連れて飯くらい食いに行かなきゃいかぬし、仲人を頼まれれば、千円や二千円お祝いを持っていくわけにいかぬ。何かと金がかかる。ちょうどお嬢さんがいれば、嫁に出さなきゃならぬ適齢期にもなっておる。ところが、手取りが全然ふえないというところにサラリーマン
たちの苦しみ、悩み、不満があるわけですね。
また、さっき田村通産
大臣が言われましたが、働く場である
企業だって、私は会社の経営者というのは本当に大変だといつも思うのですね。数人の会社から数十万人の大きい会社まで大小さまざまございますが、会社の経営者というのは従業員に給料を払わなきゃならぬ。従業員には、それぞれ家族を抱えておるわけですから、生活の保障をしなきゃならぬ。あるいは
株主に配当をしなきゃならぬ。だから命がけなんですね。ところが、今度四〇%台に下がるにしても、大変な
法人税の高さで、これは国際的にも競争していかなきゃならぬというような
状況になってきておって、今とてもとてももうこれ以上というような限界に来ておる。
そういうところから、野党の言われるいわゆる個々の税の不公平の是正ということももちろん大事です。これは竹下総理も
大蔵大臣も、また
金丸委員長も柔軟に、謙虚に耳を傾けて
対応してまいりますと明言もされておられるわけでありますから、それはやれるものはやっていくのは当然だと思いますが、やはり総理がよく言われます
所得、
消費、
資産、まあ
所得の
段階で全部
所得を把握して、累進税率で総合課税で仮に課税できれば、これは私はある程度公平さが期せられると思うのです。ところが、二千万人も三千万人も税務署員でも置かない限りは、そういうことは実現できない。また、三千万人も税務署員がおったら、かえって何か世の中に暗いものが出てきて、副作用が起こってくる。だから
所得の
段階で公平を期したいのだけれども、なかなかそれも現実できない。
ですから補足的に、だれだって得た収入で生活をするためにいろんなものを買ったりサービスに使うわけですね。その使う
段階で担税力を測定して、そこで税金をちょうだいするというのも、私は公平さを期する一つの有力な手段だと思うのです。それで収入から支出を引いて、全然引けない人は借金ということになるわけですが、引いた残りが
資産になっていくわけです。その
資産も大小測定して、そこで担税力をはかって税金をちょうだいするというのも、まあまあ納得のしてもらえる公平な手段なのじゃないのかな、私はこう思うわけでございますが、やはり税金というものは、向こう三軒両隣の比較の問題、要するに公平であるかどうか、この公平さが私は税の生命だと思っております。
そこで、
リクルートの問題がいささか問題になってきているわけでありますが、その
リクルートの問題に
関連して野党の方々が証人喚問をよく要求されるわけですね。選挙区なんかへ帰りましても、自民党の支持者、私の支持者が、どうも自民党はほっかむりをして逃げ腰なんじゃないのか、こういう言い方をするのですね。よく聞いてください。ところが、証言法の内容というものは有権者の方々は実態はほとんど知らないのです。──いや、知りません。
私も深く勉強したわけじゃありませんが、この議院証言法というものは、そもそも終戦直後に不当財産
調査特別
委員会というものができまして、あのころはまだ民主主義の世の中じゃありません、成熟しておりませんから。その不当財産
調査特別
委員会で生まれた産物なんですね。それで
国会のこの場に証人が呼ばれるわけです。それで手帳はおろかメモの一片の紙切れも持参してはならぬ、弁護士の同行は許されぬ、そしてライトにこうこうと照らされて、人民裁判のような詰問をされるわけですね。だれだって、頭の中にコンピューターが入っていれば別ですが、例えば総理、十日前の一時に何をなさっておられましたか、こう聞かれたら、総理ならまああれかもわかりませんが、手帳でも見ない限りは、もう三日、四日前のことを聞かれたってなかなか答えられないのが人間なんですよ。それが二年前、三年前のことを、あのときにだれとどこで何時に何をしておったというふうな詰問をされても、何年前の話などというのはだれも答えられるはずがないのでありまして、手帳でもあればこれは答えられるわけです、こうめくって、ああ何月何日ならこうしておりましたと。ところが手帳も持って入れない。そうすれば、もう記憶にございませんとしか言いようがないわけです。それでちょっとでも間違ったことを言ったら
たちまち告発される。
私は、やはり日本人に生まれてよかったなと思うのは、何といっても基本的人権が尊重される民主主義国家だからだと思うのです。文部省からもらったあれにも書いていますよ、基本的人権が尊重されなければならないと。私はそういう
意味で、議院証言法というものはもっともっと民主的な、人権を尊重した内容に改正されてしかるべきである、そのように強く思うわけでございます。どうかひとつ当
委員会から、これは議運になるのでしょうか、
委員長、速やかに民主的に改正されるように要望していただきたいと
お願いをする次第でございます。
そういうことで、
国民の方々も随分誤解もされておられる面もあるわけでございますが、大体今の
税制はもう行き詰まってしまって、何とかしなければどうにもこうにもならぬ、こういうふうなことになってきたわけでございますが、その
所得、
消費、
資産の
バランス、配分をどのようにして構築していくか、これがこの
税制抜本改革の議論の最大のポイントだ、私はこんなふうに心得ているわけでございます。そこにメスを入れることが非常に大事なポイントである、こんなふうに考えておるわけでございますが、全体の体系のシェアの問題ですね、これについての総理の御見解をひとつ承りたいと思います。