○田原
委員 次に進ませていただきますが、不公平
税制と言われる中に医師
税制があります。今度かなりの見直しをやっておりますが、私はひとつ希望だけ、お答えは要りませんが、述べさせていただいておきます。
多額の収入、多額の売り上げのある、売り上げという言葉は変でありますが、売り上げのある医師に対しての特例の適用を認めないという点は納得できるわけでありますが、これが将来御研究するに当たりまして、過疎地、離島などにおきますお医者さんはそれなりに非常に苦しい思いをしておるということ等を御勘案の上、御検討いただくようにお願いいたします。
また、国際課税の問題でございますけれ
ども、商社など、
日本を代表する大会社が、全体としてかなりの利益を上げながら、外国に
税金を払っているために
日本では余り払っていないという、こういうものにつきまして素朴な
国民感情があります。国際的な二重課税の排除ということはこれは絶対必要であると思いますが、海外で活躍する法人に対して過重な負担を求めるということもこれもまたどうかと思いますし、外国税額控除制度自体を否定することはこれは到底できませんが、現行制度におきましてやや甘い部分がないのか、故意にやったらやれるようなものが幾らでもあるのではないかというような気がするという
指摘もたくさんあります。これらにつきましても今後よろしくお願いいたします。
いわゆる不公平
税制の是正の問題に関し、直接税をめぐる幾つかの点について今
質問いたしましたけれ
ども、しかしながら、不公平は直接税の中だけに存在するのではありません。現行の間接税の中にも幾つかの矛盾、不公平な点が見受けられるところであります。これらの点につきましても、今回の改革の中であわせ抜本的な見直しを行うことが不可欠であります。
野党四党の不公平
税制是正の共同
提案におきましても、最後の項目で個別物品
税制の改革を主張されておりますが、これは野党の諸君から見ても現行個別間接
税制度が不公平であると
認識しておられることを示すものであると解釈しております。この点につきましては、我が党と問題意識は共通になっているわけであります。
実際、
我が国の現行の物品税など、個別間接
税制ほど不公平で時代おくれ、国際的にも通用しなくなっている
税制は他にないと私は考えます。この不公平の最たるものは、一体何が課税の基準なのか、課税されている物品と課税されていない物品との格差がどうにも説明できなくなっていることであります。
これは例えば、金貨と金地金、コーヒーと紅茶、そういう問題等を並べてみましても、ゴルフ用具とテニス用具、いろいろ並べてみましてもわかることでありますが、これを一々御
質問申し上げましてやるとクイズの番組みたいになるわけでありまして、それほどこれらの中には整合性がないというような不合理な制度になっておるわけであります。
なぜこのような不合理な制度になってしまったのか。あるいは、なぜこれは不合理だと我々が感じるようになったのか。私は、それは戦後四十数年の間に
我が国の
社会や
経済の
状況が大きく変化しまして、それに伴って我々自身の価値観が変わってきた、そのことが個別間接
税制度の
前提を今や覆しているからであると考えるわけであります。
言いかえますならば、現行の個別間接
税制度は、ぜいたくなもの、奢侈品的なものに負担を求めるという考え方の上に立った税であるわけでありますが、確かに二十五年にシャウプ
勧告が出されたころのように、
国民の所得
水準が一般的に低くて、何がぜいたく品であるかがわりかし明確であった時代においては、この制度はそれなりの合理性があったと思うのであります。しかし、所得
水準が今日のように大幅に
上昇し、世界でも最も豊かな国の
一つに
我が国が成長したわけでありますから、一億総中流化と言われてもいいわけでありますから、所得の平準化が進んだ今日、消費も価値観も多様化しており、一体何がぜいたく品か、何が奢侈品なのか、その
判断を客観的に行うことは困難になっておるのであります。今や、その用具に物品税が課されているゴルフが大衆スポーツでないとはもはや言えないわけであります。ゴルフ場へ行ってみたらわかります。すなわち、現行の個別間接税の
前提の崩壊であります。
〔
委員長退席、海部
委員長代理着席〕
私は現行間接税は時代おくれであると先ほど申しましたが、
社会経済情勢の大きな変化の中で、
経済はサービス化が著しく進展しております。家計の消費支出に占めるサービス消費の割合は、昭和六十一年度で見ますと五三・四%と消費支出の半分以上を占めるに至っております。しかし、
我が国の税収に占めるサービス課税の割合は、同じ昭和六十一年度で見ると、国税と地方税を合わせましてもわずかに一・一%、国税、地方税のうちの間接税等の税収に占める割合を見ても四・八%にすぎません。この時代の流れとかけ離れたサービス課税の欠如が、サービスと物品の間の不公平をもたらしているとも言えるわけであります。そして、先ほど申し上げましたように、
我が国税制全体の課税のバランスを崩し、
税制全体を不公平なものにしておる消費課税のウエートの趨勢的な低下は、まさにこの個別間接
税制度ゆえに生ずる面が大きいのではないかと思います。
かつて間接税収の多くを依存してきた酒類やたばこといった嗜好品は、月給が上がったからといってたばこを一本たくさん吸うとか、一箱たくさん吸うというようなことでもありませんから、その性格上、消費の
伸びにおのずと限界があります。消費支出に占める負担割合が低下していくからであります。また、今述べましたように、サービスに課税が行われておらず、課税対象とされている物品にも限定があるからであります。現行個別間接
税制度は国際的に通用しなくなってきているとも言えます。さらに進んで、
我が国の貿易摩擦の一因にもなっていると言えるのではないでしょうか。
先進諸国の中で
我が国のような課税方式をとっているのは
我が国だけであります。OECD加盟二十四カ国の中で、二十三カ国は全部何らかの間接税が入っております。十八カ国は、付加価値税その他いろいろの税でありますが、入っております。また、アフリカ諸国、中南米諸国あるいは東欧諸国を入れましても、みんな何らかの形で間接税、付加価値税その他いろいろな形で間接税の制度を採用しております。米国はないと言われますけれ
ども、ほとんどの州において小売売上税があります。カナダでは、連邦に製造業者売上税、州に小売売上税があります。カナダも近く
税制改革をして付加価値税にしようとする動きがあると聞いておりますし、国際国家
日本として、しばしば国際国家と言われながら、
我が国の間接
税制度は欧米諸国等から見ると極めて特異な制度であると言えます。それがゆえに、
取引に当たって諸外国に戸惑いを与えるわけであります。その国の輸出品が、たまたま
我が国の個別課税の対象となっていると、その相手の国にしてみれば、何だかわざわざねらい撃ちにされたような感じになるものもあると思います。それが国際摩擦の原因になってきておるとも言えます。昨年秋のウイスキー、ワインについてのガットのパネルの判定が
我が国にとって不利なものであったことは記憶に新しいところであります。
以上、物品税などの現行個別間接
税制度の問題点を私なりに整理して申し上げましたが、政府として現行制度の問題点をどのように考えておるか、
大蔵大臣にお伺いしたいと思います。