○
薮仲委員 だから、あなたのような答弁だから納得できないのですよ。国民はそれほど原子炉に対して知識がないわけじゃないのですよ。今あなた方は、原子炉は安全です、そんなことは設計の段階から事故は起きません、安全だから。例えば静岡県なんというのは大規模地震が来るときの避難に対する訓練もやっているのですよ。しかし、後でやりますけれ
ども、被害想定とか避難とかそういうことを論じようとしない。それはいたずらに国民の不安を呼び起こすのじゃないか、それはわかるのです。でも、いいですか、
審議官、顔を上げて聞いていらっしゃい、私の言うことを。
IAEA、国際原子力機関、この「原発の基本安全原則」という勧告があったでしょう。二月ごろ東京でもいわゆるマン・マシン・インターフェースという
会議が持たれたはずです。あの国際原子力機関がどういう原則に立っているか、国民は知っているのですよ。あなたみたいに、そんな空論を言ったってだめなんですよ。私はその
会議の中にいたわけじゃないから資料を見て仄聞する限りですけれ
ども、国民が知っている
立場で言いますと、「あらゆる人間活動に絶対の安全はない」こういう大原則に立っているのですよ。あらゆる人間活動に絶対の安全はない、その上に立って深層防護と安全文化ということを提言しているのです。
さらにもっと大事なのは、東京でやったマン・マシン・インターフェースの国際
会議の冒頭の、あのブリックス事務
局長の演説の中に何があったか。「世界の人々が何を訴えているのか、きちんと耳を傾けるべきだ」。あなたの言うようなことは、きちんと耳を傾けていないで、答弁書を読んでいるのですよ。生きた対応をしていないから、そんなことが言えるのです。
しかも、ここが大事なんです、IAEAの安全に対する基本的な認識としてどう言っているか。スリーマイルアイランドといわゆるチェルノブイリ以後の考え方はこうなったんだ。多くの専門家は炉心に重大な損傷を及ぼすような事故の可能性は全くないと、私だって、ここにいる諸
先生だって国
会議員を何年もやっていらっしゃるのだ、当時幾ら
説明を受けたって、炉心の損傷はないと科技庁さんだってエネ庁さんだって我々に
説明したのですよ、絶対炉心に対しては安全ですと。しかし今はどうですか。チェルノブイリのあの黒鉛の原子炉は、設計段階から低出力になったときに異常に反応が上昇するような設計になっていて、設計が悪いとか、人間のやったことが何重にも重なったとか。でも、この国際原子力機関は、人間は間違う。しかも、ここで言っているのは、あなたがおっしゃったようなことじゃないのです。考えられない事故はあるという前提なんです。シビアアクシデントは起きます。月これは過酷事故なんです。もう最悪の状態、安全システムはあるというけれ
ども安全が全部きかなかった、人間が全部間違った行動を行った。人間の行うことだって思い違いもあるけれ
ども、チェルノブイリはどうか知りませんけれ
ども、人によってはこのことは絶対間違いないと思って誤操作をやる場合もあるのです。
あなたは専門的なことをおっしゃるけれ
ども、スリーマイルアイランドだって、あそこの配電盤の前に集まった専門家が、今炉の状態がどうなっているかわからなかったんですよ。あなたは都合のいいところだけ切り張りして御答弁になるけれ
ども、私はそういう賛成とか反対じゃないと言っているんだ。本当に国民がわかるように取り組まなきゃだめだ。そんな空理空論をやってたって、国民は白々しいと思う。あなたの答弁を聞いたって私は納得できない。何を言っているんだ。今、国際原子力機関だって、過酷事故は起こり得る、その前提に立ってどうするかが大事なんです、そう言っているじゃないですか。しかも、日本の専門家は、ソ連の科学者に、日本はどうですか、日本はそんなことありませんと答えている。そうじゃなくて、あると考えてどうなんだということを国民はある
意味では知りたいのですよ。軽水炉にしたって、水があれば大丈夫ですよ、ECCSが瞬間に働いて炉心の温度は二百八十数度ですよ、温度を下げれば反応は減速します、そんなことは我々どこへ行ったって聞いているんですよ。国民の大方は知っているんです。だから、何が知りたいのかといったらば、安全だと言う前に、最悪の事態でもこれくらいの被害しか、そんな域内でどうのこうのなんていうんじゃなくて、今日本の中で稼働している三十五基の原子炉というのは、仮に人間も誤った、安全も誤った、すべて誤ったとしてもこれ以上の被害は出ませんよとはっきり言えばいいじゃないですか。仮にこれが暴走したらどうなるか、むしろその方が国民はわかりやすいのです。ああそうか、これはこの程度の被害なのかな、この程度の怖さなのかな。怖さをしっかり教えないから、正しい知識、正しい知識と言うけれ
ども、最悪の事態がどうなるかということをはっきり言って、なおかつ本当に大丈夫なんだということが徹底されないとだめなんだ。
あなたの御答弁聞いても国民の大方は納得しないから、これは大臣にお願いしたいと思うのですけれ
ども、いいですか、安全に対して私の考えを申し述べたいんです。一〇〇%安全はない、だれでもそんなことは知ってますよ。階段だって落ちるんです、自転車だって転ぶんです。そんなこと、我々国民は知っているんです。でも、なぜそれを受け入れているか。例えば、エネ
庁長官だって、
局長だって、自動車にお乗りになる。あのエンジンのメカニックというのは、燃えやすいガソリンを燃焼さして、それをエネルギーにかえて走っているんですよ。しかも自動車には可燃性のガソリンが何十リッターと入っているんですよ。しかも、ある特定のスピードが出るんですよ。でも国民はなぜあれを受け入れているか。ガソリンを燃焼させるというメカニックに対して、技術的なあるいは機械的な安全について国民は納得して受け入れているんですよ。しかもスピードや何かを制御できるという制御のメカニックも国民は理解しているんですよ。
私が今何を一番言いたいか。皆さん方が答弁することは白々しいんだ。皆さん方が言っている安全と国民が受け入れる安全との乖離があり過ぎるというのです。これを僕は本当に考えるべきだと思うのです。何が問題かということ。皆さん方がしゃべっているのは、私だってこれは何を言っているのと言いたくなるようなことをここで答弁しているんです。ましていわんや、多くの国民の方が、八割以上の方が反対するのは当たり前なんだ。安全と口に出すのだったら、国民のレベルで受け入れられなければ本当の
意味での安全じゃないと私は思う。自動車にしたって自転車にしたって、なぜ国民が受け入れているか。さっきエネ
庁長官は、安全の実績の積み重ね、そのとおりですよ。しかし機械的にもある程度我々は理解している部分があるかもしれない。確かに巨大な原子炉の機構やなんかについては我々は理解しようといったって無理かもしれません。でも、冒頭でおっしゃったように、これから原子炉というものの位置づけをしなければならないんだったら、国民が本当に受け入れてくれるものでなければならない。あなた方は国民の理解と合意とかなんとか言うが、そういうのじゃなくて、本当に国民が、じゃ私のと
ころにもつくりましょう、私もいいですよ、これが国民の安全に対する合意であり、受け入れなんですよ。国民が納得するのですよ。その辺を真剣に論議をしなければならない。そんな、ここに私がいただいたようなペーパーでは、国民は納得しないのです。冒頭に私は、国民の不安をどう考えていますかと言った。何を不安に感じ、何をどうこたえてどうすれば、今おっしゃった主婦のレベルであるいは青年のレベルで、専門家のレベルで御理解いただけるか、これがなければ非常に危険だと私は思うのです。そういう
意味で私は、この安全について本気になって取り組むことが、目下の急務であろうかと思うのでございます。
これは行政マンの御答弁を聞いているより私は大臣にお願いするのですが、私たち国民が本当に抱いている素朴な、しかし日本の将来を考えたときに避けて通れないエネルギーの問題で、本当に国民が納得して受け入れてくれる安全のレベルがどうなのかということは、私もわかりません、でも何とかそこを乗り越えないといけない。八十数%の方がノーと言う、これを単なる反対者の意見ということじゃなくして、通産行政全体として、どうしても大臣に、国民の一人として、何とかこれに期待の持てる、安全を確保した将来の原子炉のあり方について
対策をお考えいただきたいと思うのでございます。大臣、いかがでございましょうか。