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1988-12-07 第113回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月七日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 近江巳記夫君    理事 粟屋 敏信君 理事 加藤 卓二君    理事 片岡 武司君 理事 亀井 善之君    理事 柳沢 伯夫君 理事 関山 信之君    理事 正木 良明君       太田 誠一君    岡島 正之君       川崎 二郎君    北川 石松君       左藤  恵君    佐藤 静雄君       緒方 克陽君    永井 孝信君       早川  勝君    新井 彬之君       中野 寛成君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         警察庁交通局長 内田 文夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省貨物流通         局長      大塚 秀夫君         運輸省海上技術         安全局船員部長 田辺 淳也君         運輸省航空局長 林  淳司君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁次長 野尻  豊君         建設省道路局長         事務取扱    鈴木 道雄君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   廣瀬  権君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         工業技術院標準         部標準課長   柴崎 徹也君         高等海難審判庁         総務課長    今村  勇君         参  考  人         (東日本旅客鉄         道株式会社代表         取締役社長山之内秀一郎君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     玉置 一弥君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件(中央線東中野構内における列車衝突事故)  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 近江巳記夫

    近江委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る五日の中央線東中野構内における列車衝突事故について政府より説明を聴取いたします。丹羽運輸大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官
  3. 丹羽晟

    丹羽政府委員 中央線東中野構内における列車衝突事故につきまして御報告申し上げます。  一昨日午前九時三十八分ごろ、東日本旅客鉄道株式会社中央線東中野構内において、西船橋発中野行きの普通旅客列車が客扱い中、後続千葉発中野行きの普通旅客列車がこれに追突して後続列車の一部が脱線し、現時点で死者二名、負傷者百十名、うち現在においても入院している方十七名を出す事故が発生いたしました。  このような事故が発生いたしましたことはまことに遺憾であり、ここに死亡された方々には心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈りする次第でございます。  運輸省としましては、今回の事故重大性にかんがみ、事故後直ちに関東運輸局担当官四名を現地に派遣するとともに、同日付で東日本旅客鉄道株式会社に対し、  一 被害者に対する誠意ある対応  二 原因の早期究明  三 同種事故再発防止対策の樹立 の三点について通達するとともに、他のJR各社に対しても同種事故に関する注意喚起等について通達いたしました。  これを受けて東日本旅客鉄道株式会社は、  一 年末年始の輸送繁忙期に向けて、現場管理者運転台への添乗指導等全社を挙げての安全体制の強化  二 ATS—P型取りつけ工事について、東中野駅付近の来年度中の完成等最大限の繰り上げ実施  三 事故データの分析、新しいATC等の開発を行う安全研究所設置  四 現場安全体制を強化するための地方における総合訓練センター設置 の四点について、とりあえず同社としての今後の安全対策に関する方針を決定いたしました。  申すまでもなく、輸送機関の最大の使命は安全の確保でありますので、運輸省といたしましては、今後とも安全対策にさらに万全をするようJR各社を強力に指導してまいる所存でございます。  以上御報告申し上げます。     ─────────────
  4. 近江巳記夫

    近江委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長山之内秀一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近江巳記夫

    近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  6. 近江巳記夫

    近江委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君。
  7. 左藤恵

    左藤委員 ただいま御報告がありました東中野構内におけるJR事故につきまして、私は、自由民主党を代表して、亡くなった方にお悔やみを申し上げ、また、負傷者の方が一日も早く治られますようにお見舞いを申し上げたいと思います。さらに、今お話がありましたように、JR東日本会社だけでなくて全国的にもう一度そうした安全対策の徹底的な点検をして、こうした事故がこれから起こらないように対策を考えていただきたいと思います。  それでは、昨年に比べまして昭和六十三年は交通事故死亡者が非常に増加しておる、非常に遺憾なことであると思います。今の状況では年末までに一万人を超えるのではないかというふうに心配されておりますが、前年に比べでどのような事故がふえておるかということをまずお伺いしたいと思います。
  8. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  ことしの交通事故、特に死亡事故の実態、状況を見てみますと、十六歳から二十四歳までの若い人たち事故、それと六十五歳以上の高齢者の方の事故がふえているというのが一つ特徴かと思うのです。そして、若い人たち事故というのは、これは四輪車、二輪車を含めてですが、車を運転しているときの事故高齢者の方は歩行者として、そしてまた自転車に乗っているときの事故というのが大変ふえているということでございます。それと、時間的に見てみますと、やはり夜間の行動というのですか、社会全体がやや夜行性になっているというのでしょうか、そういうような傾向から夜間事故が大変ふえているというのが一つの大きな特徴であろうかと思います。
  9. 左藤恵

    左藤委員 若い人たち暴走族というのが前から非常に問題になっているわけであります。深夜の無謀運転をやるわけですが、最近そのまた暴走族無謀運転を見に来る、マスコミの命名では期待族とかなんとかいう言葉を使っていますが、そういう者が随分出てきておる。これは暴走族予備軍になるのじゃないか、このようにも思います。そして前から高校生なんかにバイクの免許を取らせない方がよいというような議論もいろいろありましたけれども、最近はむしろ学校教育の中で交通マナーを修得させた方がいいという意見の方が多いように聞いています。大部分の生徒たちはそれでいいけわでしょうけれども暴走族のような者については、今指導ということを考えておられると思いますが、それではとても追いつかないんじゃないか、事故がなくならないと思います。  そこで、例えば自動二輸の高速道路におきます通行を場合によっては禁止するとか、あるいは少なくとも急な坂の下りだけでも公安委員会で指定して禁止するとかいうようなことを考えられないだろうか。また、無謀運転ということで実際その暴走によって事故を起こしたような者につきましては、またこれを繰り返すというふうなこともあります。無免許運転は論外ですけれども、とにかくそういった者に対して、今たしか三年くらいたてばまた免許を取れるようになっていますが、そういうことじゃなくて、例えば十年とか場合によったら永久に免許を与えないというような思い切った対策も考えていいんじゃないかと思いますが、この点はどうか、お伺いしたいと思います。
  10. 内田文夫

    内田(文)政府委員 二輪車事故が大変ふえているわけでございまして、二輪車というとすぐ若者暴走ということを言われるわけでございます。確かに若者暴走による事故というのは大変多いわけでございます。しかし、やはり二輸車のドライバーといいますか二輪車運転する多くの方は、普通の、ちゃんと交通ルールを守って運転されている方が大変多いのだと思うわけであります。二輪車というものも通勤だとかその他いろいろな用途に使われているわけでございまして、そういった意味で、二輪車若者暴走が多いということだけで、法令上で道路の種類を定めて一律に通行を禁止するとかいうのもいろいろ問題があるのだろうと思うわけであります。もちろん、道路交通状況によりまして二輪車通行が危険である、そしてその通行を禁止した方が妥当であるというような場所につきましては、個々にそういったことを検討した上での交通規制等を行う必要はあるわけでございますし、今現在進めているところでございます。  それから、暴走行為等をやって免許を取り消されたりした場合の期間というお話がございましたが、確かに常習的にまた免許を取ってまた事故を起こすということもあるわけでございますが、やはり現在の車社会の中において免許というのは生活必需品といいましょうか、そういうものであろうと思うのです。そういった意味で、やはり免許を取り消している期間というものもそういったことをよく考慮しながらしなければいけないと思っておるわけでございまして、問題はやはりその間に講習とかそういった教育活動ということで本人に反省をしてもらい、これから安全運転に取り組んでもらうという心を植えつけていく、そういうことが大切ではないか、こう思っているところでございます。
  11. 左藤恵

    左藤委員 私は、それだけでは十分じゃないのじゃないか、もう少し強力な方法というものを考えていただきたいと思います。  深夜運転のことに関連しまして、ひき逃げとかあるいは悪質な犯行の際に、捜査してそういった者をつかまえてもらわなければならないわけでございますが、そういったときに、今のナンバープレートですけれども、たくさんの車がありますからなかなかナンバープレートの字を大きくするということも難しいのですけれども、例えば四文字のような車検所の名前ですか、そういうようなものがあるときにはとても読めないのじゃないかと思いますし、また字光式というのですか、光る形のものがあります。ああいったものは暗いところの方がかえって見えて、そして後ろから車のライトが当たったらほとんど見えないのじゃないか、こう思うのですが、こういった問題についてもそれがいいかどうかもう一遍再検討していただけないか。  それからもう一つは、ガラス窓に黒いフィルムを張っているのがありますが、このために車内が見えないので凶悪犯を逃がすようなこともあるでしょうし、いろいろな面でやはりみんなオープンで走るべきであって、ああいったものは禁止すべきじゃないか、こう私は思いますが、これについての御意見があれば伺いたいと思います。
  12. 清水達夫

    清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  最初に、ナンバープレートの問題でございますが、現在使用しておりますナンバープレートは、昭和三十七年に警察庁の御意見参考にしながらそれまでの番号標の大きさをさらに大きくする、それから文字の大きさを拡大した、数字の字体も見やすくした、それから有効数字がそれ以前はゼロを使っておりましたが、そういうものを排除した、こういうことで所要の改善を行いまして現在に至っておるものでございます。  それから、字光式ナンバープレートにつきましては、昭和四十一年に私どもの附属の研究所におきましていろいろな試験を行いましてその性能を確認するとともに、昭和四十三年から四十五年にかけまして関係機関で構成されます委員会により実地試験を行った結果、視認性については一応問題がないということを確認いたしまして現在やっておりますが、先生御指摘でございますので、そういった御指摘も踏まえまして今後ともより視認性にすぐれたナンバープレートにするように努めてまいりたい、かように考えております。  それから、窓ガラスフィルムの問題でございますが、この問題につきましては、これも御指摘のように、私どもといたしましても交通安全上やはり問題がある、こういうふうに考えておりまして、現在鋭意、道路運送車両保安基準によりそれを排除するということができるような方向で基準改正の作業をしておるところでございます。
  13. 左藤恵

    左藤委員 ぜひやっていただきたいと思います。  それから、大都市においては経済活動が活発化すればするほど道路交通渋滞する。これによって都市住民生活に重大な影響を与えていると言わざるを得ませんが、交通対策本部が本年七月二十八日に決定されました対策案というものを見せていただきますと、道路交通円滑化を図るために短期的な施策とかあるいは中長期的な施策とに分けて種々の具体策が提案されているわけでございます。交通事故を少なくするためにもぜひ強力に実施していただきたいことばかりなのですが、その中から二、三の点について伺いたいと思います。  まず、交差点等違法駐車排除につきまして 公安委員会が指定して、今側道のところの石に黄色い色を塗っておりますけれども、これを例えば赤にするとか、何かそういう交差点等、車がそこに置かれたときには事故も起こりやすいし非常に危険であり、またさらに車の渋滞影響するようなところに駐車しているものに対して、違法駐車を引っ張っていくなり何か適切にやっていただきたいと思うわけですが、そうした場合に例えば違法駐車の罰金を倍にするとか、あるいは点数は今は一点なんですが、これを二点に上げるとか、こういうことにしてはどうか、こういうことを思います。この点をまず一つお伺いしたい。  それから、次の提案の中に、郊外部への業務用車両の持ち帰りによります朝夕の通勤時の自動車交通量減少対策というのが一つあるわけです。これにつきまして、車を家へ持って帰る、そのために通勤にそれを使う、そうすると、結局、今度は市内へまた持ってくるということになりますと、市内駐車違反というようなものを大変激増させているわけなんです。こういった点について、シンガポールでもやっておりますような、例えば朝の特定の時間帯だけ限ってでも高速道路通行料金を二倍にするとか、三倍まですることはどうかとも思いますが、そういうことは今まででは考えられなかったと思いますけれども、そういった何か違った発想でもやらないことには今後どうにも都市渋滞というものを解決できないのじゃないか。実は前のときにも私、質問申し上げたのですけれども、今度関西の泉州沖に新国際空港が建設されますと、結局そこから市内へ来るのに、朝のラッシュ時に二時間も三時間もかかるようなことになる。こういったこともありますので、今からそういった点についても対策を考えておいても遅くないのじゃないか、このように思いますので、まず駐車関係につきまして二点お伺いしたいと思います。
  14. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  渋滞対策で殊に幹線道路交差点駐車というのが一つの問題になっているわけでございまして、警察庁といたしましては、主要幹線ラッシュ時に常時渋滞するような幹線を各都道府県で指定いたしまして、その交差点にはラッシュ時には必ず警察官を配置して駐車をさせない、取り締まりというよりもさせないという指導を強化する、そして、もしとまっているのがあればそれはもちろん検挙する、こういうことで今指導をいたしてきているわけでございまして、まだ十分じゃない面もあろうかと思いますが、今後さらにそれを強化していく必要があろうかと思います。  それから、先ほど交差点の中の点数を高くしたらどうかというお話がございましたが、この点につきましても、一般のいわゆる道路の普通のところでとまった場合と交差点等特に問題がある場所にとまった場合とでは区別をいたしておりまして、交差点等については道交法の四十四条違反ということで、これにつきましては点数も二点ということにいたしております。実際の全駐車取り締まり検挙の中でこの四十四条違反というのが大体四%の検挙になっておりますが、検挙数から見れば必ずしも多くはないと思いますが、先ほど申しましたように、こういうところはとめるというよりもともかく排除する、とめさせないということに重点を置いて取り組んでいかなければならないものと思っております。
  15. 左藤恵

    左藤委員 今の点についてもう一点。  交差点といったところについては二点ということでありましたけれども、何か特別にいろいろ車の流れが悪くなる、またさらに交通安全の点から見ても危険であるというところで、交差点のないところにつきましても何か一つ基準をつくって、公安委員会が指定してそのことを考えられたらどうだろうか、こういうことを申し上げているわけです。そして現実に、例えば大阪の御堂筋の南の方に行きますと、真ん中に二列ほど植え込みがありますが、とにかくその植え込みの中まで車を乗り上げて駐車したり、特に金曜、土曜、日曜の晩がひどいわけです。そうした点につきまして、これは単なるマナーに対する問題とかそんなものではないのじゃないかと思うし、非常に危険だと思いますので、こういった点は何か公安委員会が指定してそういった排除を考えてもらいたい。やはり重点を置いて指導するというだけでなくて、そういったことを、指導段階ではなくて、きちっとしたルールをつくってやっていただきたいということを私はお願いしているわけです。この点ぜひ強力にやっていただきたいと思います。  それから、今のその次の問題についてのお答えはどういうことになっていますか。これは通行料金の問題もありますが、むしろ建設省の方の御意見を伺いたいと思います。
  16. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 朝晩のラッシュ時に料金抵抗をかけて交通を減らしたらどうかという考え方は従来からあるわけでございますが、現実的には、料金を三倍なり四倍なり上げた場合に一般道路の方にかなりの車が転換する。そうすると、一般道路の方の混雑が非常に激しくなって、全体として交通麻痺が起こるということ、それから特定の時間から料金を切りかえるということは技術的に大変難しいということがあって、従来は行われておらなかったわけでございます。したがいまして、基本的には、後ほど大阪湾岸道路の御質問もあろうかと思いますけれども、その混雑箇所交通が緩和するような全体の交通ネットワークをまず整備するのが先ではないかと考えております。
  17. 左藤恵

    左藤委員 それはそうだと思いますけれども、今お話し申し上げたように、そういった今までの発想の延長じゃなくて、やはりこの辺で思い切った対策を考えないと、それほど抜本的なことをやらないと交通円滑化というものが図れないということを申し上げているので、それはだめだというふうなことでは困ると私は思います。それは確かに車をほかへ流していくという努力はしなければなりませんけれども、それでも追いつかないような段階に来ているということだけはひとつよく考えて、そういうことで思い切った対策を、とるとらないは別としても、そこまで踏み込んだ検討をしていただきたいということを申し上げているわけであります。  それから、駐車違反のことに続けて申し上げたいと思いますが、現在、取り締まりのことにつきましては、とにかく警察官の数にも限度があると思います。しかし、公正な取り締まりというか、またこれは交通マナーを教育していく上から見ても正直者がばかを見ないような、隣の駐車違反は見逃しているのに自分のものだけやられたということになるとかえって反感だけが残りまして、そしてそれを今度これからよくしていこうということにはならないと思います。そういう意味もありますので、駐車違反取り締まりについて、例えばどうしても要員が足らなければ、警察官責任指導のもとで警備会社か何かに委託して取り締まりができるかどうか、これは法の改正を必要とすると思いますけれども、そういったものまで検討していただくような段階に来ているのじゃないかと思います。  それからもう一つは、この点も前に申し上げたのですけれども駐車違反の紙をいろいろ張られて出頭しないのがたくさんあって、警察の方にも非常に御迷惑をかけているという不届き者が随分いるわけです。こういったところに対しては、例えば裁判でどうだとかいうことになりますと、結局は一般と同じことになってしまうということもありますので、こういった点も、先ほどの点数の問題なんですけれども点数を倍にするとかいうことも検討できないか。これもひとつ警察で検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  18. 内田文夫

    内田(文)政府委員 駐車取り締まり駐車の数が大変多いということ。で確かに要員不足という問題はあるわけでございますが、現在でも警察官のほかに交通巡視員制度がございまして、これは全国で約四千五百名おります。こういったものを導入して指導取り締まりを進めてきておるわけです。また、パーキングメーター等設置した場合、その管理等を民間に委託してやっておるというようなことで、なるたけ警察官要員不足をカバーしていく方策をいろいろやっております が、今後そういったものを進めていかなければならないだろうと思っておるわけでございます。  それから、不出頭車両の問題でございますが、確かに逃げ得を許しては秩序の問題に大変大きな影響があるわけでございます。そういった意味で、逃げ得を許さないということで厳正に対処していかなければならないし、現在もそういたしておるわけでございます。今後ともそういったものを効果的にやっていくために、コンピューターを利用して不出頭車両追跡調査システムをつくるというようなことで現在準備を進めておるところでございます。  それから、駐車全般の問題として、これは大変大きな問題で、諸外国でも大都市の問題として頭を痛めているものでございます。  車というのは、荷物の積みおろしとか人の乗りおりということで車をとめなければならない。日本の場合、都市構造といいますか、いろいろな建物の構造によって荷物の積みおろしの場所がない、それから駐車場が十分にないというようなことから、どうしても道路の上で荷物の積みおろしを行うとかそういうものが出てきておるわけです。それが習慣化してしまっているといいましょうか、それが先ほどの大阪・御道筋の問題とかこういう問題があると思うのです。そういった意味で、ただ取り締まりという問題だけじゃなしに、駐車場整備を進めていく、その整備ができたところの取り締まりを強めていくといいましょうか、そういうような問題、それから同じ駐車でもまさに渋滞影響のあるもの、それから大きな車両とか、そういう意味において取り締まりもめり張りのある取り締まりをやっていくといいましょうか、そういうようなことを進めているところでございます。例えば大阪では、大阪の財界、それから府も市も、もちろん警察も入っておりますが、そういう関係者がいろいろ集まって大阪駐車問題をどうするか、駐車場整備の問題から道路の余裕のあるところにはパーキングメーターをつけるという問題も全部含めてでございますが、そういう組織、調査会というのですか、それをつくって活発に行われておるようでございますが、駐車の問題というのは、ただ取り締まりというだけじゃなくて、総合的に都市の問題として考えていかなければならない問題だろうと思っておるところでございます。
  19. 左藤恵

    左藤委員 車のふえ方が異常であって、そういった面での対策が非常におくれておると思います。警察もそういった問題に振り回されておると申し上げていいんじゃないかと思いますが、とにかく一歩先へ出ていくようなことを検討してもらいたいと思います。  もう一点だけお伺いしたいと思います。  環境衛生対策といいますか公害対策の問題としまして、前に乗用車に対してNOXの規制が行われて一時非常にそういった数値が下がったのですが、最近は車の数も非常にふえてきたこともあってまた数値が上がってきているという一つの大きな都市の環境問題が論議されておることは御承知のとおりだと思います。  そこで、最近、普通の乗用車につきまして、車両検査が三年に一度ありますが、この車両検査が終わった後で公害対策の公害防止装置といいますか、そういうようなものを取り外す。そうするとパワーアップできるというようなことから、そういったものが非常に多いと聞いております。そういう取り締まりも、前には一度途中で車をとめてやっておったこともありましたけれども、非常に技術的なこともあるし難しいだろうと思います。しかし、そういった改造をさせるということについては、行政指導というか行政の対策から見ても、本来の公害対策から見たら逆行することですからこれは非常に問題があるような気がするわけであります。これを単に処罰するとかいうことでなくても、例えば修理工場とかそういったものに対しての指導とかいろいろなことについてどういうふうなことをやっておられるのかも伺いたいということが一つ。  もう一つ、トラックにつきましては割とこういう公害対策の規制というものが今まで余り強力なものが行われていなかったように思います。最近特に重量物を非常に積んでいる。これは過積載の問題は論外ですけれども、そうでなくて、重量物を牽引するようなトラックとかそういった場合に、軽油、ディーゼルの関係で公害対策が非常におくれたために排気ガスの中のNOXの値が高いということが言われておりますけれども、これに対しては今後どうされるのか、また現在どういう指導をなさっておられるのか、このことについてもしおわかりだったら教えていただきたいと思います。
  20. 清水達夫

    清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  まず、第一点目でございますが、公害関係の装置を車を使用中に不正に取り外すとかこういった御指摘でございますが、これは御指摘のように大気汚染の防止という観点から考えても非常に問題があるということでございます。私どもといたしましては、そういうことのないよう関係整備業界並びにユーザーに対して指導をしておるところでございますが、さらに街頭検査等の機会をとらえてそういうことのないように徹底してまいりたいと思います。  それから、第二点の大型車に関します排気ガスの問題でございますが、これは環境庁と私どもと連携をして規制の強化を進めておりますが、何といいましても大型車は大気汚染に対しまして寄与率が非常に高うございますので、これの規制強化をしなければならないということで、現在各自動車メーカーに対しまして技術開発を急がせ、お聞きするところによりますと来年環境庁におきまして中公審から新しい規制の目標値が示される、こういうことになっておりますので、その結果を踏まえましてさらに対策の強化に努めてまいりたい、かように考えております。
  21. 左藤恵

    左藤委員 大都市のそういった環境対策につきまして、そういうことでせっかく一つの方向が出たにもかかわらず、そういったものが漏れているということからかえって数値が非常に上がってきたという大きな問題がまた最近は浮上してきておるというので、そういった点についても十分、ただこの数値を示すとかそういうことだけでなく、積極的な指導をぜひやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  まだ幾つかお尋ねしたい問題もございますが、時間が来ましたので私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で左藤恵君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。
  23. 関山信之

    ○関山委員 先ほど丹羽審議官からJR東中野事故についての御報告がございました。大変大勢の犠牲者を出しておるわけでございまして、私も、お亡くなりになりました方の御遺族に対しましては心から哀悼の意を表し、負傷者の皆さんには一日も早くお元気になられますようにお見舞いを申し上げたいと存じます。  交通事故という言葉は、しばしば予期せざる事態に遭遇したときの代名詞のように使われるのでありますけれども、この委員会でも今までに随分数多くの大小さまざまな事故が取り上げられてきておりますが、一つとして単純に偶発的な事情によって説明できるものはないわけでありまして、多かれ少なかれ、事故は、それが海であれ陸であれ鉄道であれ、起こるべくして起こる背景や原因が最終的には私たちに確認をされるわけでございます。今回の事故もその例外ではないと思うのです。  実は話は横っちょへまいりますけれども、私、かつて国鉄の改革のときに特別委員会に籍を置いておりました。当時を思い起こすのでありますが、民営化がやむを得ない趨勢としても、本当にこの体制で極端な人減らしが進み、あるいは採算至上主義といいましょうか、またそれに伴うさまざまな合理化が進み、あるいは陰湿な労使関係の対立が高まるというようなことがいつか再び三河島のような大事故に結びつかなければよいがというふうに念じてあの席に座っていたことを思い出すわ けであります。今回の事故によってその当時の思いが杞憂でなかったという結果を実証して見せてくれたことを私は大変残念に思うと同時に、まさにJR体制における安全管理の軽視と言っていいのだろうと思いますが、その氷山の一角を見る思いがするわけです。きょうは山之内参考人にもおいでをいただいておるわけでございますけれども、まずもって、冒頭、本事件に対する認識を伺いたいと思います。なお現時点における原因究明に係る状況把握について御説明をいただきたいと存じます。
  24. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ただいまお話がございましたように、このたび中央線の東中野構内におきまして大変大きな事故を起こしまして、しかも、大変多くの死傷者を出し、お一人の方が亡くなられるという大変痛ましい事故を起こしまして、まことに申しわけなく思っております。深くおわびをいたしたいと思います。  JRが発足いたしまして一年八カ月たちまして、大変な激動期でございましたが、激動期であるがゆえに安全の確保は一番大事だということで気を引き締めてまいりました。おかげさまで昨年一年間は大した事故はなかったのでありますが、なるがゆえにことしは余計気をつけなければいかぬというやさきにこういった事故を起こしまして、本当に申しわけなく思っております。この事故を契機といたしまして、一層心を引き締めまして安全に万全を期していきたいと考えている次第でございます。  事故の原因の究明につきましては、事故が非常に大きく、負傷者の方も多かったものでございますから、私ども、まず全力を挙げて亡くなられた方及びけがをされた方の応対に当たりまして、それから事故の復旧に当たりまして、昨日から事故調査警察関係方々と協力して進めてまいっておるところでございますが、現在のところ、車両、信号機、ATS等についての異常は認められておりません。なお引き続き関係者の意見の聴取並びに車両関係についての調査を進めているところでございます。
  25. 関山信之

    ○関山委員 警察の方に伺いたいのですが、事故発生後まだわずかなんですが、新聞報道等によりますと、かなり具体的かつ断定的な報道があるわけですね。例えば、「追突した電車のATSによる非常ブレーキはかかってはいなかった」あるいは「追突直前にかけたとみられる手動ブレーキの跡はあった」「ブレーキは十分にきかず、ホームにさしかかる際の通常速度に近い状態で追突した」、これは第一報ですけれども、あるいは昨日の夕刊あたりはラジオがつけっ放しだったとか、この辺、警察当局の調べとして幾つかの事実が報じられているのですけれども警察としては調査はどういう段階で、こうした事実は警察として改めて確認をしながら発表されているのでしょうか。
  26. 廣瀬権

    ○廣瀬説明員 本件事故を認知いたしました警視庁におきましては、直ちに五百名の体制によりまして事故対策本部を設置いたしまして、負傷者の救出、関係者からの事情聴取、事故現場の実況見分等を実施いたしました。その後、中野警察署に八十名から成ります捜査本部を設置いたしまして、本格的な捜査に入ったところでございます。  現在までJR東日本関係者あるいは乗客等五十名からの事情聴取をいたしておりますし、また現場検証を行ったところでございますが、これまでの捜査によって判明いたしておりますところは、信号機には異常がなかった、線路にブレーキ痕があったということが判明をいたしております。いろいろ報道はされておりますが、警察の捜査におきましては、なお綿密な鑑定あるいはたくさんの関係者からの事情聴取、そういうものを積み重ねまして本件の事故原因の究明あるいは刑事責任の追及をしてまいりたいというふうに思っております。  なお、ポケットラジオの点でございますが、これも報道にあって承知をいたしておりますけれども、本人の所持品の中にあったということでございまして、本件の事故と結びつくものであるかどうかということは、今後慎重なる捜査を進めてまいらなければわからないということでございます。
  27. 関山信之

    ○関山委員 私が今質問申し上げている意味は、運転士の方はお亡くなりになっているわけですけれども、私どもは、報道機関なども指摘をしておりますが、この事故の原因を単なる個人の操作ミスというようなものに矮小化してしまったのではいかぬということが大前提としてあるものですから、もちろん運転士さんには運転士さんの操作ミスの可能性もなかったとは言い切れないでしょう。しかし、ここ一両日の報道を見ておりますと、どうもJRサイドの車両や信号機やATS、そういういろいろな安全施設については何の落ち度もなかったというようなことが先へ来まして、そして運転士の操作ミスだけが、新聞報道の面ではそこに焦点が当てられて先行する、事の本質、事故の背景がはっきりしないまま問題が展開をしていくというのは非常によくないパターンだと思うものですから冒頭申し上げておるわけでございまして、その辺はどうぞひとつ十分御配慮の上JRの方も警察の方も御対処をいただきたいと思います。そこで、ATSが何だかんだいろいろと言われておるわけでございますけれども、このATSという装置を、私も専門家でないものですから改めて関係者といいましょうかJR関係の方や何かにお話を承ったりしているのですが、この機能というのをちょっと確認をしておきたいのです。  ATSというのは、いわば追突するような危険な状態が来ると赤ランプが点滅をする、そして、その赤ランプが点滅をしブザーが鳴って五秒で確認ボタンを押さないと、その次の五秒後にブレーキがきいてくるということなんですね。同時に、今ATSを切ったとか切らないとかというのが運転士さんの操作上の問題として言葉として使われているのですが、この面で切るという意味は二重に使われているようなんですけれども、これは今回の場合今もATSは異常がなかったと、機能としては異常がなかったのでしょうけれども、いわゆる確認ボタンを押すことによってATSの機能が切れるというのともとからATSの機能を切ってしまうという、切るという意味には二つの意味があるように私どもは承知をするのでありますけれども、この点はどういうことになっているのでしょうか、ちょっとお聞かせをいただきたいのです。
  28. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 お答えをさせていただきます。  ATSの概略の機能は先生のお話のとおりでありますが、若干確認をさせていただきますと、列車が赤信号等に近づきますと、場所によって違うのでございますけれども、速度が高いところは遠くで、そうでないところは比較的近くで鳴るようになっております。ブザーが鳴り赤ランプが点滅をいたします。そこで五秒以内に確認ボタンを押さないと、その鳴り出してから五秒後に非常ブレーキがかかるようになっております。したがって、五秒でかかるのであり、またその次にもっと五秒があるわけではございませんので、そこはそのように御説明をさせていただきたいと思います。  次に、切るというお話が今ございましたが、私どもは確認ボタンを押すことを切るという表現は一切使っておりません。一部報道等でそういう表現がございますが、私どもは確認扱いということでございまして、これは切るという操作とは全く違うというふうに考えております。ATSのシステムの構成上一種の一連の機能でございまして、切るという概念とは全く違っておると考えております。ATS全体のもとスイッチみたいのがございまして、これを切ると警報を含めて全部の装置が動作しなくなりますから、これは切るというふうに当てはまると思いますが、今お話しのあった確認ボタンを押すのは、私どもは専門用語では確認扱いと申しておりまして、切るということではないというふうに御理解賜りたいと思います。
  29. 関山信之

    ○関山委員 そうすると、今回の場合は、切ってはないけれども確認扱いがあったというふうに理 解をしておいてよろしゅうございますね。
  30. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 冒頭申し上げましたが、事故の原因その他については現在調査中でございます。特に車両運転台は大変大きく壊れておりまして、スイッチ類は運転状態のときにどうだったか、類推がちょっと難しい状態でございます、大破いたしておるものですから。ただ、もとスイッチが切ってあったという事実は現時点で判明いたしておりません。
  31. 関山信之

    ○関山委員 事実上、通常の運転の状態では確認扱いを繰り返しながら車は進行していく。つまり、本来でありますと、ATSの機能は黙っていても危険な状態が来れば赤いランプがついて、そしてまたその五秒後には車が自動的にとまる、そういう機能というよりも、ラッシュ時においては絶えず確認扱いをしながら手動で車を動かしていくという状態にあったことは、私どももいろいろな方のお話を承って大体そういう状態だということに承知いたしておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
  32. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 先ほどお話しいたしましたように、このATSは赤信号に近づきますと、赤信号以外の場合もございますが、基本的に赤信号に近づいた場合に動作を開始いたしますので、列車が本当にダイヤどおりきちんと走っている場合にはそういうことは基本的に起きないのでございますけれども、おくれますと後の電車が追いつきまして、そこで赤信号が出て警報が鳴るというチャンスがふえてまいります。したがいまして、ダイヤどおり走ることが大変重要でありますと同時に、東京の通勤電車区間のように列車本数が非常に多いところ、特に最近の十一月、十二月にかけて着膨れラッシュが始まりますとそういった機会がふえることは事実かと思います。
  33. 関山信之

    ○関山委員 事実上、自動制御装置というよりも自動警報装置的な役割しか果たしていないというのが今のATSの機能じゃないかという感じがするのです。  そこで、いずれにしろ確認扱いをした後に手動で一たん停止するというのが原則だと思うのです。いずれにせよ、五秒後に自動的にとまるものを確認扱いをして解くということは手動でとめるということなんでしょうが、しかし最近では、黄色信号のところでATSが働いて確認扱いをしても次の赤信号の直前までは走っていっていいというような指導といいましょうか、暗黙の許容といいましょうか、そういう状態があるというふうに私どもは承知しておりますが、それを認めているとは山之内さんなかなか言いにくいでしょうけれども、現実の問題としてそういう状況であるということはお認めになられますか。
  34. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ATSというのは、基本的に、今申し上げましたように警報をまずやりまして、乗務員から正常な確認扱いがなかった場合に非常ブレーキを動作させる機能でございます。したがいまして、警報を与えて、後は乗務員が正常であることを確かめて、注意を喚起して正常運転をすることになっております。ただ、過去にもこういった事故があったものですから、そのときから、警報を受けた場合には一たん停止するよう指導をいたしておるところでございます。
  35. 関山信之

    ○関山委員 しかし、現実に今、総武線、中央線、事故の起きた線について申し上げても、事実上一たん停止をするなんという状況にない。事実上、赤信号まで行って後を追尾していくという状況にあったという現実そのものはお認めになりますか。
  36. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 この列車の乗務員がどのように運転していたかにつきましては、今関係者からの証言を聞いておるところでございますが、私も仕事の関係上、よく運転台に乗りましたり、あるいは客席におりましても乗務員がどういう運転をしているかを注意しておるのでありますが、ATSが鳴ったらしいときに停止をしている機会が非常に多いのは事実でございます。
  37. 関山信之

    ○関山委員 事実上、分秒を争うダイヤの確保はそういうことをやっておっては不可能だという状況が今現実に中央線には存在をするということを私は申し上げたいわけで、あなたそうやっておっしゃるけれども、現実はそうじゃないのではないでしょうか、特にラッシュ時は。  特に今回の事故をめぐって、十二月のダイヤ改正というのが非常に大きな影響を及ぼしたのではないかという新聞などの指摘も中にはあるのですけれども、私も、十二月一日のダイヤ改正というのは、ただでさえ超過密ダイヤをさらに極限まで高める、そういう結果になっているのじゃないかと思うのですが、中央線の緩行線御茶ノ水—三鷹間は、今度のダイヤ改正で何分ぐらい短縮されていますか。
  38. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ただいま御茶ノ水—三鷹間の数字を持ち合わせてないのでございますが、総武・中央緩行線というのは総武線と中央緩行線が一つの線のような格好で運転をいたしておるものですから、千葉と三鷹の間で三、四分の時間短縮を実施しております。
  39. 関山信之

    ○関山委員 ピーク時のダイヤ間隔というのは今何分ぐらいなのですか。何分何秒と聞かなければいけないのでしょうね。
  40. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 朝のラッシュアワーの一番列車本数のふえるときの列車間隔は、当該線区は二分三十秒でございまして、これはダイヤ改正前もダイヤ改正後も同様でございます。
  41. 関山信之

    ○関山委員 わかりました。そうすると、一番短いダイヤ間隔というのは詰めなかった、その他のところで調整をとっている、こういうことですね。—わかりました。  それにしても、今度のダイヤ改正というのはどういうメリットがあったのですか。
  42. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 今回のダイヤ改正は幾つか主な項目がございますが、一番大きなダイヤ改正というのは、京葉線という千葉から東京湾岸を通りまして有名なディズニーランド、並びに、近く開業の予定されております幕張メッセ等を通りまして、いずれは東京に入ってくる京葉線というものが今、新木場まで開通いたしました。これがまず第一の最大のテーマでございました。  次に、中央快速線、今回の事故の起きた線の隣の線でございますが、長年の懸案でございましたが、国分寺の駅に追い越し線ができたものですから、そこで列車の運転がかなり楽になったものでございますので、中央快速線を中心に特別快速の増発でございますとか特別快速の国分寺停車とか、特に夜間ラッシュ時間帯にお帰りになるお客様のための快速電車をふやすとか、そういったことを中心にやったわけでありまして、あわせて中央緩行線につきましては、ラッシュのピーク時間帯以外の時間帯の列車の増発と、中央緩行線にかねがね進めてまいりました旧型電車を廃止して新型電車に置きかえる計画が完了したものでございますので、その新型電車の加速性能が従来の型よりかよいものでございますので、それにあわせまして、先ほど御指摘のありました運転時間の短縮を実施したわけでございます。
  43. 関山信之

    ○関山委員 そういうことによって中央緩行線では具体的にどういうメリットがあったのですか。
  44. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 御利用になられているお客様にとりまして二点あったかと思います。一つは、今申しました千葉—三鷹間で若干の時間短縮があったということと、一日で片道十二、三本の増発があったということでございます。
  45. 関山信之

    ○関山委員 私、承知しておりますのは、二本の増発というふうに聞いておりますが、そうじゃないのですか。
  46. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ちょっと二本というのはわかりませんが、一日全体で見ますと、片道十二、三本の増発でございます。
  47. 関山信之

    ○関山委員 私の聞き方が悪いのかもしれませんが、ラッシュ時において、八時半から九時半の時間帯では二本しか増発をしてないですね。もともと詰まっているところでふやすわけですから、全体で十二本ふやした、十三本ふやした、そこを問題にしているわけじゃないわけです。つまり、その間隔を詰めながら一体どれだけのメリットがあったのかということになりますと、この八時半から九時半の時間帯では、私の承知しております のは二台です。しかも詰まった時間帯というのは、さっき三、四分とおっしゃいましたけれども、実際には二分三十秒程度の短縮なんですね。私は、それは確かにラッシュ時に二本の列車がふえるということが利用者の利便性を高めることにならないとは言いませんが、しかし、一体ここでのメリットの評価というのはどういう基準でなさっているのかと思いますよ。ここで一分、二分を争うほどのダイヤの間隔を詰めて、ただでさえきかないATSが、ますますATSの機能を落とすような状況に追い込んでおいて、二本電車をふやしたからといってどれだけ通勤のお客さんに余裕が出るのだろうかというふうに思うわけです。  このダイヤ改正が十二月に始まってわずかしかたたないのですけれども、始まって以降連日ラッシュ時のダイヤというのはかなりなおくれを見せているというふうに私は聞いておりますが、いかがでございますか。
  48. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 中央線を中心にダイヤ改正を実施いたしまして、特に今回の事故とは別の中央快速線に若干のおくれが十二月一日以降できているのは承知をいたしております。ただ、もう一つ、これは非常に判断が難しゅうございますのは、十一月、十二月というのは、着膨れラッシュが始まりまして一番込みまして、例年列車のおくれの多くなる時期でございますので、今その関係をちょうど注意をして見ておるところでございます。
  49. 関山信之

    ○関山委員 そのことをお伺いをいたしておりますのは、先ほど申し上げましたように、この無理をしたダイヤ改正のために、結果として安全管理というものがおろそかにされていたのじゃないかという点が今回の事故の背景で一番大きな問題だと私は思っておりますので伺っているわけですけれども、会社は、このダイヤ改正に当たって、ダイヤの確保や安全問題に対して本当に自信を持って改正をおやりになったのでしょうか。まだ始まって五日、五日目にして事故が起きちゃったわけですけれどもね。当初、問題が多く発生をすればこのダイヤの修正もあり得るというようなことを労働組合との交渉の中でも御発言になっていらっしゃるやに伺っておりますけれども、そうまでしてダイヤ改正をしなければならなかった理由——ダイヤ改正というのは私は全体のことを言っているのじゃないのですよ。特にこういう過密ダイヤの状態のところまで無理やり二分三十秒縮めて二本増発を押し込むというその皆さんの御判断を問題にしているのですがね。
  50. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ダイヤ改正というのはあくまでもお客様の利便を図るのが中心でございまして、今、首都圏の各線ともに混雑がひどくなっております。当該の中央緩行線は、今回の事故が起きたときの中央緩行線の下り電車というのはかなりすいておったのでありますが、この電車が走っている途中ではむしろ総武線の地区で大変込む状態でございます。二本がとおっしゃいますが、一本の電車というのはラッシュ時間帯には三千名からのお客様を運んでいるのが実態でございまして、それが二本ふえますというのは、私ども安全を見つつ可能な限りの努力の中でかなり大きなサービスではないかと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、安全がすべてに優先でございますので、一番ラッシュアワーの中心でありますところは本来二分半から詰めたいところでございますが、ここは安全上従来と同じように二分半でダイヤを組んでいる次第でございまして、そこのところは一切変えていないのが今回のダイヤ改正でございます。
  51. 関山信之

    ○関山委員 それから、私おくれの問題を伺ったのですけれども、日本の国鉄というのは本当にダイヤが正確であるということで世界に冠たる国鉄とかつては言われたわけですが、特にJRへの移行前後から電車の遅延に対するダイヤ確保の管理というのでしょうか、非常に厳しくやっていらっしゃったというふうに伺っておりますが、その辺はいかがなんでありましょうか。
  52. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 ダイヤを正確に守るというのは国鉄時代からの伝統でもございますし、これはやはり一番重要なことだと思っておりますし、先ほど冒頭ATSの機能でも御説明いたしましたが、ダイヤが乱れるということはすぐ次の電車が追いついてきて赤信号にぶつかる区間がふえるわけでございますから、ダイヤどおりきちんと走るということは、ただ単にサービスだけではなくて安全上極めて重要なファクターかと考えております。したがいまして、国鉄時代百年以上の間ダイヤを確保することについては全員が非常に努力をしておりまして、それが今お話がありましたように、日本のダイヤは正確であるという伝統を諸先輩の努力でつくってきたのかなというふうに考えております。  今の御指摘の件と申しますのは、実は国鉄の終わりのころから、五十年代の末期ごろから、小さな事故をきちんとつかもうではないかという運動をいたしたことがございます。これは、一つは、ある時期職場が荒廃をいたしまして事故を隠す風潮がありましたものですから、それをぜひ根絶をしたいということ、それから、やはり小さな事故をつかんでいくことが大きな事故をつぶす根源になります。今回の事故の前にも別のところで赤信号に飛び込むという事故があったものですから、急遽私どもは九月にJR東日本といたしまして新型ATSを入れることを意思決定したばかりでございまして、かような例から見ましても、小さな事故を正しくつかむのは肝要かと思っています。ただ、それとラッシュ時間等のようにやむを得ざる事情で列車がおくれることは別でございまして、そういった事情について厳しい管理をしていることはございません。
  53. 関山信之

    ○関山委員 ダイヤを守ることも小さな事故をきちっとつかむことも当然のことなのでありますが、しかし現実には、現場では遅延すれば乗務停止という処分もあり得るという実態があるというふうに伺っていますが、それは事実ですか。
  54. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 列車がおくれた場合には、今申し上げた特にラッシュアワーみたいに不可抗力の場合もあれば、内容によってはやはり職員側に大きなまずい点とかあるいは技量不足の場合もありますので、そういった場合についてはそういった処置をとることもあります。
  55. 関山信之

    ○関山委員 こういうところで御答弁をいただけばそういう不可抗力の場合とまずい点とということを区分けしてお話しになるのでしょうが、現実に現場では、絶えず遅延をすれば乗務停止もあるという不安が、やはりさまざまな事情でおくれれば時間を回復しようという努力に結びつくわけですね。それはもう当然のことだ、こうなるのですけれども、しかし、先ほどATSの機能の問題などもお伺いをしているのは、今回の事故を見ておりますと、ともかくこれだけ超過密ダイヤというふうになってしまって、そこでいろいろな事情でおくれる、おくれれば処分があるかもしれない、そういうことになればこれはやはり何が何でもおくれを取り戻そうと努力するでしょうよ。仮にATSで赤の点滅があった、そして確認扱いをする、そのときに、本来からすれば一遍とまらなければならぬのもやはり赤信号まで行く、そういう状況をつくり出していることが事故の背景に一番大きな問題として指摘されなければならないんじゃないか。しかもなお、そういう問題の処理の背景にあるのは、お客さんのためのサービスといえば聞こえはいいのですけれども、そういう側面も否定はできないでしょうけれども、しかし現実に安全とどちらを第一義的に考えているのかということになりますと、私は、やはりダイヤ確保のためには安全性がなおざりにされてきたのではないか、そのことが結果としてこういう事故の遠因になっているのではないかと言わざるを得ないわけですね。  ダイヤ確保と安全運転とどちらを優先させるのですか、端的に伺いましょう。
  56. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 安全はすべてに優先をいたします。ダイヤの確保というものも、先ほど申しましたように安全にとって極めて重要だという位置づけのもとに、安全確保に努めている次第でございます。
  57. 関山信之

    ○関山委員 こういう事故が起きますとそういう 御答弁をいただくことになるのですが、どうですか、今回の事故を契機にしてこの十二月のダイヤ改正について、それは全体を見直せなんと言っているのではないですよ、今申し上げた一連の議論の上に立って超過密ダイヤの見直しあるいは運転、運行の、今のATSの問題も現状は変わらないわけですから、そういうものに対する運転者に対するマニュアルの見直しといったものをお考えになる御所存はございませんか。
  58. 山之内秀一郎

    ○山之内参考人 今回の事故につきましては、いずれにせよ大変大きな事故を起こしたわけでございますから、私どももちろん全社を挙げて物心両面からこの事故防止に取り組んでまいりたいと思います。今、原因につきましては鋭意究明をいたしておる段階でございまして、まだいかなる原因によるものかわからない状態でございますので何とも申しかねますが、ダイヤの方に安全上に基本的問題があるとすれば、それは修正をいたさせていただきます。
  59. 関山信之

    ○関山委員 運輸省の方にお伺いいたしたいのですが、冒頭に山之内さんはことし一年大した事故はなかったというような御発言があったのですが、私どもが承知している限りでは随分といろいろ事故が発生をしておりまして、JR内部でも非常事態宣言などが次々に発せられるというようなことも承知をしておるわけでありますけれどもJR発足以降の続発する事故の実態というのをどのように承知をされていたのか、そしてまた運輸省としてはこれらについてどのように対応されてきたのか、この際お伺いをしておきたいと思います。
  60. 丹羽晟

    丹羽政府委員 お答え申し上げます。  JR発足後におきましては、踏切事故とかホーム転落、そういった場合を除きまして、列車内での旅客の死亡事故というのは絶無でございました。そういう意味では今回の事故は私どもにとっても重大な事故だと受けとめております。  JR発足後の昭和六十二年度における死傷事故を含む全体の鉄道運転事故件数というのは九百二十七件でございます。それで、国鉄時代のその前年度、昭和六十一年度は千三十五件、それに比べますと対前年比約一〇%の減少を示しております。それで、この数字だけで見ます限りは新会社としては良好なスタートを切っていたものだと判断しておりました。しかしながら、今回このような事故が発生いたしましたので、このこと自体につきましては、先ほど申し上げましたように、大変遺憾に存じております。  安全の確保というのは、ここでもう既に御議論が出ておりますように、輸送機関の最大の使命でございますから、今後とも安全対策については万全を期するようにJR各社を強力に指導してまいりたいと考えております。
  61. 関山信之

    ○関山委員 こういう事故が起きてこういう場所へ来ますと、安全とサービスとどっちが大事だと聞けば安全ですというふうにお答えになるのは当然のことなんでしょうが、結果として、私はきょう申し上げましたように、過剰なサービスといいましょうか、タイヤの過剰なサービスという言い方も誤解を招いても困りますけれども、しかしいずれにいたしましても、安全にかかわる過剰なサービスというものは絶対あってはならないことでありましょうし、ぜひ厳しく指摘をしておきたいと思います。  特に今回の事故は、同じ場所での三度目の事故だ、一体何をしていたのか、国民の側から見ればそういう思いが大変強いわけですね。再三申し上げておりますように、あらゆる事故は、単純なたった一つの原因で起こるなどということはあり得ないし、さまざまな要因が絡み合って起きるわけでしょうけれども、しかし、何よりも基本は安全投資、いわばハードの面での安全投資というものが基本であることは言うまでもないことだと思うのです。  そこで、実は最後の質問として用意をしておりましたことがけさの新聞やテレビ等で一定の答えが出ているようですので、最後の質問をしなくてよくなったことを大変うれしくは思っておるのですけれども、いずれにいたしましても冒頭から申し上げておりますように、このATSが非常に中途半端な施設である。これは過去古い時代に運輸委員会等でも議論があったのだそうですけれども、一遍確認扱いで解かなければならないようなATSというのは、あってもなくても事実上同じ状態がある特定状況の中で発生するわけですから、当然早い機会にいわば施設の更新が行われていなければならぬということだったと思うのです。全体としてやはり安全投資がおくれているのじゃないだろうか。そして、今回新ATSへの切りかえを二年早めるという方針をお決めになったようですけれども、大臣、最後の質問になりますので、この事件をめぐっての安全性の問題について、そして特に安全投資の問題について、民営化になって会社になったといったってオーナーは国民であり国家なんでありますから、国有民営なんでありますから、どうぞひとつ大臣の強い御指導で、再三いろいろな議論を重ねてきてついにまたこの事故が起きたかという思いひとしおなものですから、御決意のほどを承ってこの問題に一応区切りをつけたいと思います。
  62. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 御指摘のように、安全対策の設備投資は鉄道会社の他のいかなる設備にもまさる優先順位を持つべきものだと思います。そういう形で東日本にも働きかけまして、これを受けて東日本、JRの方でもATS—Pの前倒しの普及を決断したわけでございまして、今後こういう姿勢で東日本に限らず各JRあるいは他の鉄道会社にも指導していくつもりでございます。
  63. 関山信之

    ○関山委員 じゃJR関係の質問は終わります。山之内さん、どうもありがとうございました。  ちょっと時間がなくなってしまいましたので、はしょって海上交通の問題の方について、今まで二回ほど議論をいたしておりますが一、二整理をしておきたいと思います。  冒頭、海難審判庁からおいでいただいておりますが、海難審判の関係の見通しといいますか現状、それから当初、受番人というのですか、指定関係人と、それぞれ確定をしておるようですが、新しい関係人や新しい参考人などの招致があるのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  64. 今村勇

    ○今村説明員 お答えいたします。  横浜地方海難審判庁におきましては、九月二日に審判開始の申し立てを受けまして、十月三日に第一回の審判を開始いたしております。  現在までのところ、計六回審判を開廷いたしておりまして、受番人、指定海難関係人の人定尋問その他を行っておりまして、証拠調べもほぼ終わりの段階に近づいておりますが、新たな指定海難関係人また受番人につきまして追加の指定をするということを私は今のところ伺ってはおりません。  今後につきましては、月二回の割合で証人尋問を中心といたしまして審理を進めてまいる予定にしておりまして、本年度中に事実審理を終えればという段階でございます。
  65. 関山信之

    ○関山委員 それから、通報関係の問題について三つばかりまとめてお尋ねをしておきたいと思います。  一つは、横切り船の把握です。これは浦賀水道の話です。浦賀水道の横切り船の把握及び通報体制について、従来はなかったわけですが、自衛艦、米艦、一般船それぞれについてこの時点でどういう取り扱いにすることになったのか。自衛艦の場合は、前二回の委員会でも通報をすることになったというようなことになっておりますけれども、それは、いわば双方の間で協議といいましょうか、さまざまな規則その他のどういう根拠をもってやることになったのか、その辺が不確かなまま推移しておりますので、これをまず一つお伺いしたい。  それから二番目に、十月十四日の皆さんの方の対策の2で対象艦船、船舶の拡大について触れていらっしゃるわけですけれども、この内容はどういう具体的な内容を持つものであるのか。  それから三番目に、これも前回議論したままになっておりますが、海上交通安全法上、放射性物質は危険物としないということになっていること の理由について、私どもも事務当局からいろいろと御説明はいただいておるわけでありますけれども、改めてここで御発言をいただきながら、事実上のセンターへの通報というものはこの際しっかりやっておくべきじゃないかと思いますので、その辺も含めて、この三点についてお伺いいたします。
  66. 野尻豊

    ○野尻政府委員 お尋ねの第一点の自衛艦の問題につきましては、今回の対策要綱におきまして、自衛艦につきましても東京湾海上交通センターの方に通告、通報していただくことにしております。現在、難船を除く自衛艦については、原則としましてすべて当センターに御通報いただいて、それに基づきまして私ども所要の指導等を行っているところでございます。  それからその次に、海上交通センターの業務拡大の御質問だったと思いますが、東京湾交通センターの業務の拡大につきましては、具体的には、今年度、老朽化いたしましたレーダーの映像処理装置等の換装を行っております。これによりまして処理能力の増大が図られます。また、来年には船舶交通のふくそうする浦賀水道周辺海域のエリアにつきまして、現在二海域から三海域に細分化しまして密度の濃い監視を行うということで予算要求をしているところでございます。  それから、対象船舶につきましては、今自衛艦について御説明申し上げましたが、そのほか一般の民間船舶につきましても、多数の人が乗船しあるいは一定以上の大きさの船舶につきましては海交センターの方に通報していただきまして、それにより監視をするという体制をしくことにしております。  それから三番目の問題で、放射性物質を海交法上の危険物として取り扱わないかという趣旨の御質問かと思います。  海上交通安全法上の危険物積載船は、衝突等の事故に際しまして積載危険物の爆発等によりまして付近航行船に危険が及び、航路の船舶交通が混乱することを防止するという法律の目的から規制されております。放射性物質につきましては、このような付近船舶に対する危険性はないというように承知しております。  一方、放射性物質などの積載船が東京湾等の海上交通安全法適用海域を航行する際には、危険物船舶運送及び貯蔵規制によりまして、航路通報、位置通報を行わせるといったようなことによりまして衝突等の事故を未然に防止するための措置を講じております。また、万一衝突等の事故に際しましても放射性物質等が漏えいしないように、船舶安全法等によりまして、容器、固縛、積載方法等につきまして安全規制がなされております。  このように既に法律によって各般の対策が講じられておりますので、改めて放射性物質等の積載船を海上交通安全法の危険物積載船に含めるというような改正は当面は必要ないというように考えております。
  67. 関山信之

    ○関山委員 今の御答弁をもう少し突っ込んで確認をしておきたいのですが、自衛艦です。これは規則の上であるいは両省間の取り決めで通報を義務づけるというような形をどこかで担保しているのですか。  それからもう一つ、対象船舶の拡大についてはどうも余りはっきりしないのですけれども、今は海交法上、対象船舶の枠組みが決まっていますね。それをどういう形で拡大をするのか。船舶の長さを縮めるとか対象船舶の質を拡大するとか、つまり、ここで言っている「連絡をとるべき船舶の範囲を拡大」の中身は、どういうものを考えていらっしゃるのかということを伺っているわけです。  それから、最後の放射性物質についても、規則と海交法上の通報義務と直接法律的に結びつけることは困難だということであれば、どこかでそのことを規則の面できちっと担保していることがはっきりしなければ、私どもとしてはお伺いしている答えにならないわけでございまして、その辺はどうなっているのかですね。
  68. 野尻豊

    ○野尻政府委員 まずお尋ねの第一点の、自衛艦につきまして東京湾海上交通センターへの通報をどういう形で担保しているか、法律上義務づけているのか、あるいは両省間で取り決めをしているのか、こういう趣旨の御質問かと思います。  この点につきましては、政府の第一富士丸事故対策本部、ことしの十月十四日に開かれました会議におきまして「船舶航行の安全に関する対策要綱」というものが決められております。その中の二項目で、東京湾海上交通センターの機能充実と同時に、自衛隊の艦艇につきましても同センターと連絡をとるべき船舶の範囲に入れるという趣旨の決定がされているわけでございまして、いわば自衛艦につきましては東京湾海上交通センターにおきまして所要の対応をとるということが政府レベルで決定している、かように承知しております。  それから、センターで自衛艦に対してどのような内容の処理を行うのかという趣旨の御質問がと思います。  自衛艦につきましては民間船舶と同じような扱いをしていただくということにしておりまして、例えば、航路の通報であるとか、現在どこの位置を通航しているかという位置の通報をするとか、あるいは当方でレーダーで監視いたしまして、海難が発生しておれば海難の状況について情報を提供するとか、その他所要の指導等をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。  それから、放射性物質につきましては、今申し上げましたように、海上交通安全法上の危険物積載船という考え方は、事故が起きた場合に付近の航行船舶に危険が及ぶという観点から規制しているわけでありまして、そういう意味で、放射性物質を輸送しております船舶を海上交通安全法の適用対象にするということについては適当ではないというように考えておりますが、ただ、これにつきましては、一方、先ほど申し上げましたように、危険物船舶運送及び貯蔵規則あるいは船舶安全法といったような体系で細かく規制されておるわけでありまして、今先生が御指摘された点を含めまして今後そういう観点からなお検討させていただきたい、このように考えております。
  69. 関山信之

    ○関山委員 時間が参っておりますのでこれでやめますが、最後に、航路体系の見直しの問題が対策の四番目の二項で取り上げられております。  先般、首都圏サミットあたりでも東京湾内の航路見直しなどという問題が取り上げられたりしておるわけですが、私も、この二回ほどの審議の中で、東京湾内の船舶の航行安全については、将来の東京湾横断道の架設も含めて湾内の船の交通量の整理を図る、そのための新しい見直しをやるべきだろうということを申し上げてきているわけです。対策の中にこう書かれていることは、幸いにして、海交法及び海上衝突予防法だけではやはりいかぬのかなという運輸省、海上保安庁サイドの姿勢の変化ととらえて、大いにこれからの御検討に期待をいたしておるところですが、この取り組みについて具体的にはどういう展開になるのかお伺いをして質問を終わります。
  70. 野尻豊

    ○野尻政府委員 東京湾の航行の安全問題につきましては、今先生が御指摘されましたように、東京湾横断道路の建設等これからいろいろなプロジェクトが展開されるであろうというように考えております。したがいまして、当庁といたしましても、これらの環境の変化を踏まえた望ましい航路体系を設定すべく今後鋭意検討してまいりたいというように考えております。
  71. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。
  72. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、早川勝君。
  73. 早川勝

    ○早川委員 大臣に最初に、JR東日本の事故に関連して先ほど関山委員指摘された幾つかの問題があるのですけれども、今回の事故についての直接的な原因はともかくとして、背景といった問題についてどのようにとらえられているのか、伺いたいと思います。  といいますのは、先ほど指摘されましたように、同じところで過去二回、今回三回目の事故が起きたわけです。あそこは、東中野駅と大久保駅間というのは例えば地形的に見ても非常に特徴のある ところだとか幾つかの問題があるわけですが、今回起きた背景についてどのように認識されているのかということだけちょっと伺いたいと思います。
  74. 丹羽晟

    丹羽政府委員 今回の事故の原因そのものの具体的なお話につきましては、今究明中の段階でございますので具体的に申し上げるコメントは差し控えたいと思っておりますけれども一般的な話といたしまして事故の原因として考えられますのは、地上及び車両の信号装置、ブレーキ装置、それから運転取り扱い、そういったもののハードとかソフトとか、そういった両面の問題が考えられておりますけれども、いずれにいたしましても、その原因究明を早期にかつ徹底的に行っていただいて、この種事故の再発防止に万全を期するようにしてまいりたいと思っております。  それで、先生の御指摘の中にございました過去二回の事故関係でございますけれども、御指摘のとおり二回同じような場所でございまして、昭和三十九年と五十五年でございますけれども、三十九年の事故当時のその区間につきましては、保安装置としては、現在ついておりますATSではございませんで、前方の信号機が停止信号の場合には警音を発する車内警報装置、それだけが設置されておりました。それで、昭和四十年にATSをつけたということでございます。  それから、五十五年の同じ区間につきましての同様の事故の問題につきましては、これは原因究明の結果、ブレーキの扱いなどに不適切な問題があったということが判明いたしましたので、当時の国鉄といたしましてはその区間に先行列車の後方の信号機の二基を停止信号とする、それまでは前の方の信号が赤で二基目が注意信号ということでありましたのですが、二基とも停止信号にする、そういう形に直しました。それから、後続列車の速度をスピードダウンする、そういうことを行っております。
  75. 早川勝

    ○早川委員 先ほどの質疑の中で、今回の背景の一つ運転教育の問題があるんじゃないかと思うのですね。先ほど伺っていてちょっとわかりかねたところがあったのですけれども、五秒以内に確認を押さないととまるというシステムになっているのか、一たん押すと後は手動で運転士ができるのかというところがよくわからなかったのですが、いずれにしましても、確認扱いをした後で自分で見込み運転をしていくというのを許しておるというところに問題があるんじゃないかなと思うのですけれどもJRの方帰られたのですけれども、この点については運輸省の方でお答えいただけますか。
  76. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先ほどJR東日本の副社長の説明にありましたように、停止信号がございますとそこで必ず停止する、そういうことが原則でございます。特に駅の前後の信号につきましては停止して動いてはいけない、こういうことが絶対的に決まっておりまして、それ以外の場所につきましては、停止してから一定時間がたっても信号が変わらなかった場合に万全の注意を払いながら徐行するという形がJRの内部では決められているというふうに伺っております。
  77. 早川勝

    ○早川委員 つまり、そういう停止装置、機械がついていてもいわばそういう見込みで、先ほど来ありましたけれども、三回め事故ともいわゆる時間がおくれているわけですね、不足しているわけですから。そういう状況の中で許されるというところに、先ほど最後に何か安全がすべてに優先するのだということを言われながら、確認扱い等のことを人間がしなければ安全にとまるわけですね、そういうことを機械にゆだねないで、逆にそこでストップさせてまた見込み運転を認めていくというようなそういう教育問題、管理的な問題についても今までの欠陥がここに露呈したんじゃないかなというふうに思います。そういう意味で、大臣に伺いたいなと思った意味は、今回の事故の直接的な問題じゃなくて、いろいろな要素が今までの積み上げの中にあるということを認識されて、それを今回是正するという方向に取り組んでいただきたいな、そういう意味があります。  それに関連して、実はこれは全議員に配られているんじゃないかと思うのですが、JR各社が営業報告書を出されていみわけですね。そこで拝見したわけですけれども、すべてのJR旅客会社の営業報告書を全部目を通してみますと、皮肉なことに安全面についてJR東日本だけが書いていますね。安全面について「本社内に「鉄道安全推進委員会」を設置して安全推進体制の確立を図りました」以下云々と書いてあるわけですが、そう書いた途端にこういう事故が起きているわけです。こういう委員会を設けてあたかも誇示するような表現で指摘しているのですが、一体その中身はどういう議論がされているのかということについて運輸省はどの程度把握されておりますか。
  78. 丹羽晟

    丹羽政府委員 JR東日本におきましては、運転事故及び障害事故防止に関する事項を重点的にかつ迅速に検討し、その効果的な対策を推進するため、関係する部長で構成いたします今先生御指摘の鉄道安全推進委員会一つ、それから、安全に関する技術の向上とか技術革新に積極的に取り組み安全性の高い鉄道システムの開発を目指すということで技術開発委員会、この二つの委員会設置しております。  それで、前者の鉄道安全推進委員会では、JR東日本の社内において発生した運転事故などにつきまして原因究明等防止対策の検討をするということでありますし、それから技術開発委員会では、さまざまな列車に対応可能な保安度の高いATSの開発とかそういったものに取り組む、現実にそれがATSのP型ということで、今までのATSが設置されております線区につきましても今回取りかえをいたすことにしました改良型の開発などに取り組んでいるというように聞いております。
  79. 早川勝

    ○早川委員 今回の事故を奇貨として、ぜひ大臣が積極的に広範な問題把握をされて安全確保について指導性を発揮していただきたい、こうお願いをしておきます。  次の問題に移りますけれども、十二月一日に行革審、臨時行政改革推進審議会が「公的規制の緩和等に関する答申」を出されました。その中で、今回の規制緩和というものは民間活力を今後一層活用するのだとかいろいろ書かれており、背景があるわけですけれども、その中に物流にかかわる、いわゆる交通にかかわる部分も規制緩和ということで方針が出されております。大臣も読まれたと思うのですけれども、今回こういう物流システムの規制緩和について、いわゆるサービスの多様化とコストの低減を図ることを目的とするという指摘があります。一方、これは政府がやっているのじゃないかと思うのですけれども、市場の活性化にとって今回の運輸規制の緩和は非常に必要だという指摘がありまして、それと同時に、今回の基本は安全性の問題だ、安全の確保が運輸サービスの基本であるという指摘があります。  これは大臣に所感で結構なんですけれども、今回の物流、運輸サービスの規制緩和と安全性という問題について、私などは今まで以上に安全性にいろいろな欠陥が出てくるのじゃないかという形で危惧しているのですけれども、この点についてはどのように認識されておりますか。
  80. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 お客を乗せて走る鉄道その他の運輸事業と、トラックの場合載せるのは荷物でありますけれども、そこに運転者がいるわけでありまして、まず運転者の安全というものが注目されなければいけない。これは同じ人間でございますから当然のことでありまして、そういう点では、現況でも特に中小企業のトラックの運転者というのは非常にいろいろな条件のために過酷な状況の中で仕事をしておられますが、それが今回のデレギによって助長されるようなことがあっては決してならないと思います。これはその基本姿勢で行政上の配備をこれからもしていかなければならないと思っております。
  81. 早川勝

    ○早川委員 あってはならないわけですけれども、現実は、私は、今例えばトラック事業に関連して起きているいろいろな弊害が一段と強まるのじゃないかなという感じを持っております。言うまでもなく過当競争が非常に行われているわけ です。  これに関連して、八月三日だと思いますけれども警察庁が運政審で意見を述べているのですけれども、どんな内容だったのか、ごく簡単に説明していただきたいと思います。
  82. 内田文夫

    内田(文)政府委員 それはこういうことだと思うのです。行革審の答申が出る前に警察庁が運政審のヒアリングを受けて意見を出した、こういうことが一部ちょっと出たことについてだと思うのでございますが、これは運政審のヒアリングを警察庁が受けたということではございませんで、過積載の取り締まりだとか過積載というものを抑制していく上でどういう問題があるか、運輸省に対する要望とかそういうものがあるかどうかということで運輸省と話をした、それの内容を運輸省の方で運政審の方へ説明された、こういうふうに私は聞いているわけでございます。  私の方から運輸省に申し上げました内容と申しますのは、道交法上はいわゆる行為者責任の追及というのが原則である、したがって、背後責任の追及というのは立証上大変難しい問題があり、どうしても限界があるというようなこと。それから、過積載について行為者に対する取り締まりだけで担保をしていくというのは難しい、運輸省が監督官庁として事業遂行の一環として事業者に対する行政処分とかそういうものをやっていただきたいというようなこと。それから三点目には、同じく運輸省が事業監督の中で指導なり規制をいろいろと行うことができるのではないかというようなこと。例えば、下命容認等の背後責任が明確な場合には、車両停止のみではなくて事業停止などその運用の強化ができないだろうかというようなこと。それから、取り締まりといいましても要員の問題とかいろいろ大変困難な問題もある、したがって、自動車に精度の高い自重計の設置義務づけなどが行われれば、その違反の抑止だとかあるいはそれによって指導警告ができるとか、相当の効果があるのではないかというようなことをお話したわけでございます。
  83. 早川勝

    ○早川委員 今の警察庁意見に対して、運輸省との話し合い、運輸省に対する要望がかなり含まれていたというのですけれども、これに対する運輸省の見解を伺いたいと思います。
  84. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 運輸省としましても、トラック事業にかかわる過積載の問題はこれの防止が極めて重要であると考えておりまして、事業者を通じこれの防止の徹底を図るということで常日ごろ指導しておりますが、特に最近は運輸省の監査の中での重点項目として、事業者の意識の徹底あるいは違反の処分の厳正化を図っているところでございます。
  85. 早川勝

    ○早川委員 最近の高速道路における事故状況だとか、あるいは営業車の事故の比率が最近若干上がっているのじゃないかと思いますけれども、こういう事実認識は正しいでしょうか。
  86. 内田文夫

    内田(文)政府委員 営業用のトラックの交通事故状況は、全道路で見てみますと、昭和六十年を一〇〇としますと、死亡事故は、六十一年で一〇二、六十二年で一〇九とふえております。そしてまた、ことしに入りましても約二・三%六十二年に比べてふえているという状況でございます。全事故で見ますと、やはり六十年を一〇〇として、六十一年が一〇五、六十二年が一〇八ということでございまして、これもことしに入りましても増加の傾向が続いておりまして、一・七%の増ということの状況が続いております。  高速道路についていいますと、これは一時かなり減ったわけでございまして、六十年を一〇〇としますと、六十一年に八一、これは死亡事故でございますが、六十二年にややふえて八七という数字になったわけでございますが、ことしに入りましては、これは今、手元に九月までの数字がありますけれども、約四〇%ふえているという状況になっております。それから、死亡事故だけでなしに全事故でいいますと、高速道路でも年々ふえておりまして、六十年を一〇〇とすると、六十一年が一〇四、六十二年が一二二になりまして、ことしに入りましてはさらにそれが一四%ぐらいふえてきているということになっております。  それから、こういった事故の原因といいましょうか、死亡事故につきまして見てみますと、営業用のトラックが第一原因者となった場合のその原因ということで一般事故との対比で見てみますと、ほかと比べて大変高いというのが、例えば過労運転というのが全事故の中の原因の第一原因ということで我々分析しておりますが、一般のあれが全体の四・四%に対しまして営業トラックの場合は一〇・八%になる。それから、これは逆に、最高速度違反だとか酒酔い運転というようなのはむしろ営業車の方が一般のドライバーに比べてぐっと低い、こういう状況でございます。
  87. 早川勝

    ○早川委員 先ほど運輸省の答弁を伺い、今、交通事故状況を伺ったのですけれども道路運送法違反の処分状況について、最近五年間、御存じのように今は免許制で業者はやっているわけですが、今度緩和という形で許可制になっていくわけですね、そういう状況と、今現在の例えばトラック運送事業者に対する免許の取り消し状況、最近五年間、あるいは車両の使用停止、これは微妙な絡みがあると伺っているのですけれども、それらの状況についてもし数字等わかりましたら教えていただきたいと思います。
  88. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 先ほど申し上げましたように、最近の監査では過労運転の防止、過積載の防止等を重点的に監査しておりますので、このような違反状況は相当ふえてございます。六十二年で申し上げますと、監査対象事業者四千三百四十五事業者、そのうち違反内容別の件数は六千二百七十二件。また、違反内容で最も多いものが過積載防止違反三千百件ということになっておりまして、これは監査を従来より強力に実施しているということもございますけれども、数年間を見ますと違反件数は相当多くなってございます。
  89. 早川勝

    ○早川委員 では、私の方から言いますが、例えば「トラック運送事業者」の「処分内容別事業者数」のうち「免許の取消」について資料を見ますと、八三年から八七年、昨年までの件数なんですが、五年間ですが、十五業者から九、十四、十三、昨年は二。それから「車両の使用停止」が、それぞれ五百五十一、六百二十九、七百九十四、八百九十四、千三百四十六、これは逓増しているわけですね。で、免許の方はどうも八二年のときの二十二件に比べますと、去年は極端に減っているわけです。そして今「過積載防止違反」のところの三千百一、それを五年間さかのぼりますと、八三年が九百七、千三百四、千七百四十六、八六年が千九百三で昨年が三千百一と、これはずっとふえているわけですね。厳しくしたからふえるんじゃなくて、ずっと多くそういう違反があって摘発できたのがふえただけだというふうに私などは考えますし、また、ふえているのかもしれません。  そういうことを考えますと、規制緩和ということをやりますと、一言で言えばもっとそれぞれの事業者のいわば自主規制な面があるわけですね。みずからをコントロールしなさい、みずから守りなさいということをやるわけですが、現行よりは緩やかになる。ところが、現行を見ても、交通事故の問題もここ二、三年またふえているわけですね。それから違反状況も今指摘したような状況だ。その中で緩和をして免許制からいわば許可制に移行、そして、こういう取り締まりという面からいえば、規制という面からは後退するわけですね。そうすると、今言った事故だとかこういう違反という問題がもっとふえるのじゃないかな。逆に、今までの傾向でずっと改善されてきて、これは法的にそれほど厳しくしなくてもいいんだという状況だったらよくわかるわけですね。あえてこれ以上法律、無用の長物は要らないからという、極端に言えばそれぐらいで対応できるんですけれども、実態はそうじゃなくて何かふえてきているのに、そういう中でもっと競争を激化というよりも盛んにして、もっと自主競争を強めていこうという今回の方針が出ているわけですけれども、どうも逆なんじゃないかなと思うのですけれども、その点どういう理解をされていますか。
  90. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 今回の規制の見直しに当たりましては、最近の物流ニーズの多様化、高度化に対応して、トラック事業の活性化を図るという点とともに過積載の防止、過労運転の防止と安全の確保に係る点を我々の基本的視点としておりまして、社会規制に関してはより実効性を高める方向で検討をしておるところでございます。
  91. 早川勝

    ○早川委員 いや、それだけじゃ全然改善されなくて悪化するんじゃないかなという私の指摘なんです。例えば先ほど警察庁の方が四点指摘された中で、義務づけの問題として精度の高い自重計の設置ですか、義務づけがあればいいなというような指摘一つあります。それから、規制緩和をされていく中で、今まで指摘されていた中で放置されてきた部分が幾つかありまして、これらについて新しい発想で対応を考えなければいけないんじゃないかなという問題で二つ指摘させていただきたいと思います。  一つは、実は事業者からの忠告がありましてそれでわかったのですけれども、俗称排気ブレーキ、あれは俗称というのですか、正式には法律上の名称はあるわけですが、一般的には排気ブレーキと言われるものがあります。これについてある専門家の指摘は、ブレーキ灯、御存じのように非常に多くの荷物を積んで非常な重量で走っているわけですね。で、実際にフットブレーキだけじゃなくて排気ブレーキも使って運転されているようです。つまり、意見が二つありまして、一つは排気ブレーキの使用はできるだけしない方がいい。つまり、後続車が一体ブレーキをかけて減速しているかどうかわからない。したがって、安易に排気ブレーキを踏むのはやめた方がいいというのが一専門家の意見です。もう一つの方は、「トラックの追突事故等の防止に関する研究」というトラック協会の委託研究の報告書を見ますと、こういうことが書いてあります。排気ブレーキはそういう意味で非常にブレーキとしては効果があるわけです。問題は、追突事故をなくすためにどうしたらいいのかというときに、「排気ブレーキに連動する新たな灯火を備えてテストしたが、非常に有効であることがわかった。そのため現行の制動灯と連動するようにするか、あるいは別に灯火を新設するかは別途検討を進める必要があるが、この種の表示灯火を使用することは有効であると考察できた。」専門家は、今のままだと使わない方がいい、どうしても使うんだったら表示灯にきちんと連動させるべきだ、こういう意見があるわけです。私が業者から聞いた意見でも、つけた方がいい、別に非常に多くの投資を要するわけではなくて割と技術的にも簡単にできるからという意見を聞かされたのです。そういうことを考えますと、義務づけというようなことも考えていいのではないかなと思います。  まずこの二つの点、先ほどの自重計の設置の問題とこの排気ブレーキの義務づけの問題についてどんな考えを持たれているのか伺いたいと思います。
  92. 清水達夫

    清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  最初に自重計の問題でございますが、一般のトラック用の自重計につきましては、使用者が定期的に較正を行うなどの適切な管理のもとで使用するのであれば、積載重量の目安として活用できるものは既にございます。しかしながら、一般のトラックに自重計を装着することにつきましては、既に規制しておりますダンプトラック用の自重計に比べまして構造的に精度を常時維持していくことが非常に難しゅうございまして、これの義務づけについては問題があろうか、かように考えております。  それから二点目の排気ブレーキでございます。これにつきましては、御指摘のように両面ございます。いわゆる補助制動装置として排気ブレーキを大型トラックなどが高速道路なんかで使っておりますが、若干減速した場合につくようにした方がいいという意見と、そうしたことによって本当の主ブレーキ、フットブレーキを踏んだ場合に赤ランプが変化しない、最初からついておりますから。そういったことによってかえって危険がある、両方の意見が御指摘のようにございます。したがいまして、私どもといたしましては問題はこのような補助ブレーキの減速度の問題だと思います。どの程度速度が変化する、その辺の兼ね合いの問題だと思いますので、その辺の今後の補助ブレーキ——排気ブレーキ以外にもまだ補助ブレーキがございます。そういったものも含めまして技術開発の状況を見守りつつ、これは所要の検討をしてまいりたい、かように考えております。
  93. 早川勝

    ○早川委員 それは安全性の問題なんですから、ぜひ前向きに検討していただきたいなと思います。  それから、この規制緩和に絡んで、車両総重量規制についてある業界から、御存じのように今は二十トンが制限重量になっているわけですが、二十五トンまでに車両総重量の制限を緩和すべきである、こういう意見が見られます。ところが問題は、じゃそういう大型車に乗っている人、そしてその免許についてはどうなっているのかなということで調べましたら、こういう指摘があるのですね。「大型運転免許のための練習は五トン車か六トン車で行っているため、十一トン車に習熟する機会は全くないままで仕事に就くのだそうである。」こういうふうに考えますと、免許を取得するとき、そして教習所を含めて免許を取るために実際に乗る車と、大きさといい重さといい、それとその後で自分が業として乗る場合の車に非常に差があり過ぎるのですね。その間、恐らく企業訓練をしている、企業が自主的に運転技能訓練をしている、こういうことを言われると思うのですけれども、このギャップですね、この問題についてはどのように理解されているのかというのが一つ。  それからもう一つ。企業の技能訓練の状況について、運輸省ですか、どのように把握しているのか、この二点だけ伺いたいと思います。
  94. 内田文夫

    内田(文)政府委員 大型自動車の免許につきましては、先生御指摘のとおり、今五トンか六トンぐらいの車で、いわば大型免許としては一番小さい車両で実際の免許を行っているということでございますが、確かに最近大型の車がずっとふえてきている。今や十トンクラスの車というのが主流というようなことになっているということについての問題意識を我々ももちろん持っているわけでございます。  ただ、現在の制度としましては、大型の免許につきましてはいきなり受けるのではなしに、普通の免許を取ってから少なくとも二年たたなければ大型の免許を受けられない。そしてまたその場合でも、例えば二十一歳に満たない者は六・五トン以上の車ですか、それと車両総重量十一トン以上の車を運転してはいけない。それから普通免許を取ってからは通算して三年以上たたないと、今言いましたような車両総重量十一トン、それから最大積載量六・五トン以上の車を運転してはいけないというような制約が置かれているわけでございまして、そういった意味で、大型の車を運転するというのはあらかじめ十分な運転経験を持った者が運転をするというシステムにはつくられてきているわけでございます。  実際問題として、先生御指摘のように、企業等で普通免許を持っている段階からいろいろな訓練を受け、あるいは免許を取ってから訓練を受けてということをやっているわけでございまして、そういったことで事業所等におきますそういった安全教育というものを一層推進していく必要があろうかと思いますとともに、我々もそういった最近の車の大型化ということで問題意識を持っております。これはちょっと年度を忘れましたけれども、つい最近、数年前でございますけれども、大型貨物自動車の事故の特性、それから運転者の意識調査とか、そういうようなものも部外に研究委託をいたしまして、そういった問題をいろいろ検討はいたしております。  ただ、現時点でそういった大型車両による事故がふえているという状況にはない、いろいろ事故の分析をいたしておりますけれども、特に大型のトラックの事故がふえているという状態にはな い、こう思っておりますが、将来、大型車両事故の問題があればいろいろな面で、免許制度も含めてということになろうかと思いますが、そういった免許を与えるに際しての教育の問題、そういうものを含めていろいろ検討しなければならない、こう思っております。
  95. 早川勝

    ○早川委員 時間が来ましたので、最後に大臣に一言だけ見解をお聞きしたいのです。  いわゆる規制緩和という形でこれからこの行革審の方針がトラック事業の分野にも適用されて、それに基づく対応が行われるのじゃないかと思うのですが、その中で、今の現状の中で法改正を含め、道路運送車両法だとかいろいろなところに手をつけて抜本的に安全というサイドから考えなければいけない問題が多々あるんじゃないか。今二つ、三つ指摘したわけですけれども、そういうことを考えますと、この公的規制緩和の方針が出たということを一つの契機にして、安全というサイドから法的な規制等を含めて考える必要があるんじゃないかと思うのですけれども、その点についてだけ伺いたいと思います。
  96. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 時代の変化とともにお客側のニーズも多様化しているわけですね。トラック業界としてもそれにこたえなければ社会的な方法の一つとしての責任も果たせないわけでございまして、そういう歴史的な状況の中でデレギをやるわけでございますけれども、御指摘の点はあると思いますが、しかし一方では業者自身の自覚の問題もあると思います。でありますから、トラック業界の方々の自覚とも相まってこういう時代の要請にこたえる、変化の中でやはり運転をする方々の安全というものが確保されていくような多角的な努力を運輸省としてもこれからしたいと思っております。
  97. 早川勝

    ○早川委員 終わります。
  98. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で早川勝君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  99. 近江巳記夫

    近江委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  100. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 初めに、十二月の五日、JR東中野駅で起きました追突事故につきまして、お亡くなりになりました方に心からの御冥福をお祈り申し上げるものでございます。また、けがをされました方々に対しまして、一刻も早い御回復をお祈りするものでございます。  この問題につきましても、午前中、関山先生、早川先生のお二人から質問がされておりますので、私もそれを踏まえまして若干質問させていただきたいと思います。  今回の事故というのは、過去に二回起こっている、今回三回目である、このように理解いたします。開通はされていると思いますが、きょうもやはり同じような状況の中で運転をせざるを得ないのではないか、このように思うわけでございますが、例えて言いますとATS、この機械を過密ダイヤのために切って運転をしなければいけない、言ってみれば事故のときと違ったようなことが何かあるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  101. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先生のただいまの御質問は、ATSが設置されているわけでございますけれども、それの確認扱いをしてやらなければならないというそういう実態があるかという御質問だと受けとめて御答弁申し上げますが、列車の運転は信号に従って運転して、停止信号に対しては信号機の手前で停止するということが基本になっております。それで、運転士のミスを防ぐため、それだけではなくて、停止信号を現示している信号機の手前一定の距離にATSの警報点を設置しまして運転士に注意を喚起する仕組みとなっておりますのが今のATSの仕組みでございますが、運転士はATSの警報、ベルとチャイムと両方ございますけれども、それを受けたときは確認ボタンを扱いまして信号機が停止信号であるとの意識づけを運転士に対して行う、こういうことになっておりまして、当該信号機の手前に停止できるように速度を停止しつつ運転することとなっております。それで、運転士はこの信号機が停止信号であることを意識して運転するということでございますので、ATSを確認扱いとして運転を行ってもATSの役割が損なわれるということではございませんで、確認扱い後も列車が停止するまではそのチャイムが鳴り続ける、そういう機構になっているというふうに聞いております。
  102. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そこで、私が言いましたのは、したがいまして、そういうようなシステムでございますから、極端に言いますと、ATSを入れたままで、言ってみれば信号のところでもう自動的に人の操作なしにとまるというようなことに今回この事故から変わったのかというと、そうでもないわけですね。要するに、今のところはそんなに変わったようなところはないということが一つ考えられるわけでございます。  それで、今回のこの状況から見ますと、急ブレーキというのは三秒前にかけられたという報道がされております。いろいろ実地検証をやった中で、非常にカーブであるいはまた下り坂であるということですから、六百メートルまでは前の車両が確認できない、六百メートルぐらいから確認ができて、それから直線コースの五百メートルに入ってこれははっきり確認ができる、こういうようなことになっている。  それで、言ってみれば今回のこの衝突というのは四十秒の間何をやっていたかということが非常に疑問になるわけですね。そのときにわき見をしていたのか、あるいは極端に言えば心臓が何か急に悪くなってそれで操作できない。それこそ三秒前になってようやくボタンを押して追突をされた。いろいろなことが想定されるわけでございますが、そういう中で今回新しい機材を導入するということがありますが、今のままでやった場合において事故の起こる可能性というのは何が考えられるわけですか。
  103. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先日の事故の原因究明の問題につきましては、今調査中でございますので具体的に申し上げる段階ではございませんですが、一般的な話としましては、今のやり方をそのまま延長した場合には、一応信号の装置とかそういった一般的なハードの施設と、それからそれを取り扱う人側の問題と、両方の問題があるのではないかと思います。
  104. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、今回その原因は別といたしまして、例えて言いますと運転士さんがわき見をしたあるいは急の病気で倒れてしまった、こういろいろなことがありまして、どちらにしても操作不能であるというようなときに、今のままでは、機械のボタンを押し続けてあれば問題なくいけるということなんですか、どうですか。
  105. 丹羽晟

    丹羽政府委員 現在ついておりますATSは確認ボタンを押さなければ一定の時間の経過後に列車がとまる、こういう装置でございますので、押さなければそこで列車が停止いたします。
  106. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、ちょっと聞いておきたいのですけれども、ほとんどの列車というのは、これはボタンを押さないのじゃなくて、押して手動でもって——自分は注意を喚起されているわけですね。前に電車が入っていますよ、追突物がありますということを喚起されているわけですから、それでボタンを押して徐行なり何かして走っているわけですね。したがって、極端に言えば、また今回と同じことが起こる可能性というのは当然同じような状況である。それは過去二回も同じような状況でもって追突されているような状況があるわけですね。したがって、今回は三回目である、これはまた四回も五回もあるだろう。客観的にはそういうことが考えられるわけですけれども、それは間違いございませんか。
  107. 丹羽晟

    丹羽政府委員 今回の事故の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、事故 原因の内容が明快ではございません。それで基本的に、今装置されておりますATSは、ダイヤどおりに列車が進行している場合については信号が赤になりませんから、停止信号がつかない限りはATSの警報のベルとかチャイムとかいうのは鳴らないわけであります。ですから、そのまま確認ボタンとかそういったような問題が起きないで運行できるという形になっているのだと思います。  それから、過去二回の事故関係は、先ほどこの委員会で御説明しましたとおり、第一回目の話といたしましては、当時はまだATSがついてなかったので、その後ATSを、現在のものをつけたということでございます。それから、二度目の五十五年の事故関係では、当時の事故の原因調査の結果、確認ボタンを押してからのブレーキの取り扱いのふぐあいの問題があったということで、それにつきましての教育なり、それから信号機につきましても若干の信号の現示の仕方を変えるとか、それからその手前のスピードを制限するとか、そういったような改善を行っているというふうに聞いております。
  108. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 私は、何も今回の事故に対してそれをどうのこうのと追及だけしても仕方ないわけですから、要するに答弁者が、こういうことだから今後はもう絶対間違いなく安心して乗れますよということを利用者の皆さんにここで言っていただきたいのですよ。そういう意味で聞いているわけです。要するに、この事故を契機にしてこれとこれは変えました、だから、こういうことだからもうどんなことがあっても大丈夫なんだという答弁さえいただければそれでいいわけですよ。ところが、一般の利用者から見ると、三回も起こるというのは一体どういうことなんだ。全く同じ場所で同じような時間で、それでもって同じような状況になっているではないか。それで今回はお気の毒に運転士さんまで亡くなったじゃないか。そうすると、新聞で見ている限りは、こういう自動のブザーもついていてこんなに安心だとか言ってJRも努力しているのに、それでなおかつこれだったら一体どうするんですかということを聞かれるから、わかりました、きょう委員会運輸省の最高責任者が出てきますよ、二度と再び起きないという答弁だけは、どこが問題でどこをこう直したから問題ないということだけ答弁をとりましょうということで僕は出てきたわけです。私も専門家じゃないので、機械がどうなっているとかはわかりません。わかりませんが、少なくとも当たった状況の中にあって、こことこれを直せば、原因は別として、こういうことをやっておけば一〇〇%安心ですよということをちょっと答弁をお願いしたいのですが。
  109. 丹羽晟

    丹羽政府委員 今回の事故後、私どもといたしましてはJRに対しまして、事故原因の徹底的な究明とそれを踏まえた再発防止策ということを早急に樹立するように、そういうことを通達をいたしております。それで、まずJR側といたしましては、とりあえずの内容といたしましては、ただいま装置されておりますATSの改良型というのが開発されましたので、ことしの九月から六十六年度までに新しい改良型のATS—P型というのですが、それを設置する予定だったものを前倒しいたしまして、この線区の場合、当該区間の場合につきましては来年度中にはその新しいものをつける、こういうようなことを決めましたほか、安全の研究所設置するとか、そういったほかのもろもろの当面の対策をとるような意思決定をいたしております。  ただ、原因の究明の問題につきましてはもう少し時間がかかりますので、それを踏まえて再発が絶対にないような新しい再発防止策を樹立していただくように私どもも強力に指導いたしてまいります。
  110. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 これはきょうの新聞ですけれども、五十五年の事故のときに、向こうは何車線もありますから信号が非常に見えにくいので警視庁から移動要請ということをしておった、しかし、それも移動要請にこたえて信号も変わってないなんということも出ているのです。これは例えて言いますと、警視庁だけじゃなくて運転士さんとかあるいはほかの方が、こうした方がいいのじゃないか、事実また調べたらその方がいいというようなことはどんどん速やかにできないものなんですか。
  111. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま先生御指摘のけさの新聞報道の問題につきましては、まだ私どもその内容の事実関係の確認がとれておりませんので明快なことは申し上げられる段階ではございませんけれども、今、新聞報道を踏まえましてJRに、見間違えるおそれのある信号の話が書いてございますので、当該区間でそのような信号に該当するものがあるかどうかにつきまして確認を求めているわけでございますけれども、現在までの報告では特にそれほど見にくいというのでしょうか、そういった信号は、今のところJR側からそういうものがあるという話を聞いておりません。
  112. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 私は、今回こうして運転士さんはお亡くなりになってしまったのですけれども、この方だって今まで一生懸命緊張されてあの過密ダイヤの中を、それこそブレーキかけたり出発させたりして、ある意味では大変立派な運転士さんじゃなかったかと思うのですね。たまたまこの日だけ、どういう原因かわかりませんがこういうことになりましたけれども、これは自動車を運転しておりましても立派な方がそれこそ一生に一回のちょっとしたミスで命をなくされるということですから、運転というようなものはもう全く、野球のバッターで言えばツースリーの中でバッターに立ってホームランを打つか三振になるかというぐらいの真剣勝負みたいな緊張感が要るだろうな、それを持続するということも大変なことだろうな、それで一生に一回ちょっとやっただけで事故が大変なことになる、こういうようなことですから、ほとんどの運転士さんは毎日毎日が緊張なんですけれども、一生の中で一回、二回、そういうような中で、気の緩みといいますか、いろいろなことがあって、コンディションの悪いときもあるでしょうから、そういうようなこともある。そういうことも踏まえまして、今後新しい機種も導入されるとかいうことがありますが、総合的ないろいろの判断の中で間違いないというような、ダイヤを組むにしろ運転士さんの管理にしろあるいはそういうことの指導指針にしろ、機械を据えた場合こうだというようなこともとにかくよく検討していただいて、もう再び事故が起きないというようにここで確約していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  113. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、今回の事故原因の徹底的な究明をしていただいて、それを踏まえた万全の再発防止策を樹立していただくつもりでおります。
  114. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 もうこの前からたびたび言われていることでございますが、交通事故死者数が一万名を突破する、これは八千名の目標に対しまして非常に残念なことだ、こう思うわけでございますし、総務庁初め警察庁、もうあらゆる方々がこれは何とかしなければいけないということで大変な努力もされている。しかしながら、それにもかかわらず、どんどん死亡事故数がふえているということでございます。  総務庁長官が六十三年十一月三十日に現下の緊急事態に関する交通対策本部長談話を出されまして、交通対策本部決定推進の申し合わせで各方面に順次連絡が行っているわけでございますが、こういう御努力に対しては本当に感謝を申し上げるわけでございます。そういう中で一番の基本になっておりますのが、八月二十二日の交通事故防止に関する緊急総合対策でございます。  この中でいろいろのことを言われておりますけれども、「高齢者交通安全対策の新たな展開」ということがまず一つ出ております。それにつきましてまず質問をさせていただきたいと思います。  高齢者交通事故による死者数の増加が、本年に入ってから九月末現在の死者数の状況を見ますと、六十歳から六十四歳が四百五人、前年度比八%増、六十五歳から六十九歳が三百八十五人、一四・九%増、七十歳以上が千百七十七人、九・一%増、 こういうことでふえておりますし、全体の二六・六%を占めて四分の一以上になっておるわけです。そしてまた内容を見ますと、歩行中、自転車乗用中が目立っておるわけです。交通弱者としての高齢者事故から守るため、具体的にはどのようなことをやられているのか。また、本年は特に高齢者交通安全旬間ということでやられたわけでございますけれども、これについての結果はどうであったというようなことについてお伺いしておきたいと思います。
  115. 加美山利弘

    ○加美山政府委員 お答えいたします。  高齢者交通事故死者数を状態別に見ますと、歩行中及び自転車利用中が全体の約四分の三を占めておりまして、御指摘のとおり交通弱者としての立場にある場合が多いわけでございます。  このような高齢者事故を防止するため、高齢者交通事故から守っていこうとする国民全体の意識の醸成を図るとともに、高齢者自身が交通事故から身を守るための知識、能力の向上のための施策を推進しているところでございます。具体的には、九月の十一日から二十日までの十日間を初めて高齢者交通安全旬間として定め、高齢者交通安全に関する国民の意識の醸成等を目標として各種の行事、街頭における保護活動等を全国的に展開したほか、高齢者交通安全教育のための教材の作成とか組織の整備等を図り、地方公共団体、老人クラブ等の協力を得まして高齢者に対する交通安全教育の推進を図ってきておるところでございます。  旬間の結果についてどうかというお尋ねでございますが、ことし、初めての高齢者交通安全旬間を先ほど申し上げましたように九月の十一日から二十日までの十日間行いました。目標を三つ定めまして、高齢者交通安全に関する国民の意識の醸成、高齢歩行者・高齢自転車利用者の交通事故防止及び高齢運転者の交通事故防止を目標といたしまして、各地域において高齢者交通事故防止を図るための各種行事、街頭における保護活動等が積極的に展開されたわけでございます。旬間中の交通事故による六十五歳以上の高齢者の死者数、亡くなった方の数は七十人でございました。昨年同期と比べてみますと九人、一一・四%減少という結果が出ております。  以上でございます。
  116. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 きょうもお昼のニュースでやっておりましたけれども、お年寄りが信号無視でさっと出られた、それをあるバイクの女性がはねちゃった、しかしそれは避けようがなかったというようなことも言っておりますし、高齢者対策というのはこれは大変な問題であるなと思うわけでございます。  こういうものの特集で「お年寄りの事故を防ごう」ということで、警察庁交通企画課の吉村課長補佐さんが「高齢者交通事故の現状とその対策」ということを書かれておりますが、私も毎日走っておるわけでございますので、全くそのとおりだなと思うわけでございます。まず、歩行中と自転車乗用中の事故が過半数を占める、それから、信号無視、直前直後横断による歩行中事故が多い、一時不停止、信号無視による自転車事故が多い、高齢運転者は注意力の散漫による事故が多い、致死率が高い、こういうことがずっと言われておるわけでございますが、小学校とかあるいは幼稚園の子供さんのように、こうしなさい、ああしなさいということをどこかでまとまって教えられるという状況でもありませんし、年齢層は非常に幅がありますし、おのおのの方が非常に掌握できにくい。そして、かつては私はこうだったということで、自分では意識が非常にあるわけでございます。中にはある程度意識的にももう欠如されているお年寄りもいらっしゃる、こういうような状態でございますので、これからますます高齢化社会を迎えるに当たって、信号無視をされて出てこられる、あるいは自転車で一時停止をしないというのは事故のとめようがないということも考えられるわけでございます。みんなが交通ルールを守ってこうしましょうというときはまだそれなりの一つのやり方があったかと思いますが、これからの時代は、そういうお年寄りというのは老人会とかあるいは家族が、お父さんが自転車に乗るなどというのは危ないと。我々もよく車に乗っておりますが、お年寄りの方は真っすぐというよりも横にふらふらしながら行きますから最徐行してよけていく。しかし、中には行けるものと思って行って事故を起こされていることもたくさんあるのじゃないかな。したがいまして、新たなことを考えないと高齢化社会に向かっては交通事故の減少はないのではないかな、これが一つあるわけでございます。  それからもう一つは、御承知のように自動車も台数が非常にふえております。自動車あるいは自動二輪車、原付自転車、自転車の台数がとにかく毎年物すごくふえているわけですから、利用が多い。  もう一つ言えますのが、やはり夜間ですね。今まで夜は余り走らなかった人が、夜ファミリーレストランへ行くとかいろいろなことがあるのだろうと思いますが、活動範囲が広がっている。したがいまして、警察にはいつもいつもお世話になって大変なんですけれども総務庁長官も言われておりますように、これはもう国民一人一人の問題でございますから、警察だけではなくて、地域の老人会から家庭からあるいは学校の先生から全部ひっくるめてやっていかなければならない、全く交通戦争の時代に入っているなという実感がするわけでございます。  もう一つ言えば、飛行機だって需要が非常に伸びております。したがいまして、世界各国、飛行機もどんどんあれしているわけですから、耐用年数の問題とかいろいろな状況の中で飛行機事故だって決して減る傾向じゃない。  こういうわけですから、高齢化社会に向かっての新たな施策を考えていただきたいなと思うのですけれども、まず総務庁長官に一遍こういうことについての御所信を承っておきたいと思います。
  117. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 先ほど新井委員から御指摘がございましたように、今年の交通事故による死者数は一万人を突破することはもう必至という状況になっております。先日、当委員会近江委員長からも非常に強い御鞭撻をいただきまして、私どもといたしましても、交通事故防止のためになお一段と真剣に全国各種団体にお願いをいたしまして交通事故防止対策の万全を期そうということで交通対策本部会議を開催したところでございます。  ちなみに、御参考までに申し上げますと、昨日現在の数字が私のところに報告が参っておりますが、昨日現在の死者数が合計で九千五百八十二人ということでありまして、一万人まであと四百十八人という状況であります。きょうも朝からニュースで、いろいろ先ほどからお話しございましたように既に何件もの事故死が報道されておる、そのような状況でありまして、大体今のペースでいきますと、十二、三日ぐらいで一万人突破というような状況にございます。しかもその相当数がお年寄りの方であるということからいたしまして、私どもといたしましては、先ほど私の方で事務方からお話し申し上げましたように、今年は特にお年寄りの交通事故防止に重点を置いた運動を盛り上げていこうというような対策もいたしたところでございますし、また、国民の生活様式が夜行型になっているということからいたしまして、警察におきましても特に夜間交通取り締まりということに最大重点を置いてこれから年末まで取り組んでいこうということをいたしておられるところであります。人員の張りつけ等なかなか容易じゃないと思いますが、国民の命を守るという立場でぜひ真剣にやっていただきたいということであります。  これは交通安全運動に参加をしていただくような方々は十分認識をしておられるわけでありますが、お年寄りにいたしましても、あるいはもう一つ非常に事故の多い方々は若い諸君でありますけれども、いずれもそうした運動にはなかなか参加していただけない方々であります。これはもうあらゆる組織を通じまして一大国民運動として交通安全運動を展開していかなければならない、そういう時期に来ておると考えまして、都道府県知事 さんなどにもあえてお願いをいたしまして、それぞれの都道府県におきましてそれぞれの地域の特性を踏まえた交通安全対策をぜひ真剣に推進していただきたいというお願いもいたしたところでございます。シルバーマークあるいはシルバーゾーンの制定などなどいろいろな施策をこれからさらに重ねていきたいと思いますので、ぜひなお一層の御鞭撻をお願いしたい。これはとりたてての名案というものはあるわけではございませんで、みんながその気になって真剣に注意をするということ以外にないと思いますので、またいろいろお考えがあればお聞かせいただいて、私どもとしても真剣に受けとめてなお一層努力してまいりたい、こう思っておるところであります。
  118. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 今、一つはシルバーマークというのが出ましたけれども、やはりこれからはそういうのが絶対に必要じゃないかなと思うのです。といいますのは、いろいろ事故状況を見ますと、前の人は何を運転しているのだ、言ってみればのろのろ運転をやっているわけですから、それは何が原因でやっているのかわかりませんけれども、初心者マークであるとかシルバーマークがついていれば、これはあれなんだな、注意して走っているのだな、これなら無事に抜いていこうというようなことも一つの合図としてもわかりますし、注意をこっちもできる。そういうわけですから、当然シルバーマークはつけていただきたいなということを一つ思います。  それから高齢者の方は、国際交通安全学会の調査によりますと、人間の動体視力は五十五歳ぐらいから著しく低下する、そういう結果も出ておりますし、急ブレーキを踏むまでの反応時間も年齢とともに延びまして、六十歳以上になると若い年齢層より〇・二秒から〇・三秒おくれる、こういうデータも得られているわけですから、動体視力を含めた目の機能の衰え、また、反射神経の低下など高齢者の身体的機能の特性を考慮した安全対策が望まれるわけでございますけれども、そういう方々運転免許を更新するときに、静止視力の検診のみならず、視力、聴力、運動能力、こういうものの衰えというものも検査をしてあげて、やはりこういうことを注意しなければいけないというようなこともやっていただきたいなと思うわけでございます。そうしますと、ああ、それだったら自分もシルバーマークを張っていただきたいとかいうことがわかるわけですし、そういう検査というのはほかでもやってくれないことはないと思いますけれども、やはり警察でそういう機会があればそういうことも簡単にそのときにちゃんとできる、そして本人も意識して次の三年間はこういう形でやるということにもなろうかと思うわけでございます。  次に、今度は二輪車事故防止対策についてでございます。これも一つの項目として載っておるわけでございますが、近年二輪車、乗用車の事故数の伸びは、昭和六十二年では死者数が二千四百二人、本年に入っても九月末現在死者数千九百十三人で、前年同月比百三十五人、七・六%増というようなことで、極めて憂慮すべき状況になっております。警察庁では本年、二輪車事故防止に関する当面の重点対策事故防止対策を強化したわけでございますが、また本年八月二十二日の交通対策本部決定による「交通事故防止に関する緊急総合対策について」では、「若者を中心とした二輪車事故防止対策の一層の推進」が打ち出されたわけでございますが、その対策は現在どのような状況で効果が上がっておるのか、まずお聞きしておきたいと思います。
  119. 内田文夫

    内田(文)政府委員 若者二輪車事故というのが大変大きな問題になっているわけでございまして、最近におきましても二輪車の数そのものも増加しておりますし、また、若者二輪車志向が一層強まっているということでございます。そういったことから、この二輪車事故を抑えなければいかぬということで、本年早々の一月二十九日に、今先生おっしゃいました「二輪車事故防止に関する当面の重点対策について」という通達を各県に示したところであります。さらには、八月二十二日に交対本部の交通事故防止に関する緊急総合対策が決定されましたときにも、その中で二輪車事故防止対策が盛り込まれているわけですが、そういった意味でさらに一層の推進方を指示しているところでございます。  具体的には、指定自動車教習所におきます二輪車の教習だとか、あるいは免許取得後の講習とか、そういったいろいろな講習の充実、それから特に若者の安全マインドの高揚、交通危険予知能力の向上を図るというようなことに意を用いているわけであります。それから広報、啓発活動の推進とか、あるいは二輪車利用者組織に対します指導の強化とか、いろいろ取り組んでおるわけですが、残念ながら二輪車事故が減らないわけでございまして、そういった意味では数字的な効果は出ていないというのが偽らざるところであるわけでございます。しかし、各県も積極的にこれに取り組んでいるわけでございまして、やはりこういった対策というのは早急に成果がなかなか出てこない、そういった地道な努力の積み重ねで、近い将来よい結果が出てくるものであるということを期待いたしているわけでございます。
  120. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 今答弁いただきまして、そのとおりでございます。運転技術の未熟さあるいは安全意識の欠如、そういうような特徴がございますし、また、二輪車というのは走行バランス、制動等の面で非常に難しい、そういうことで高度な技術というようなことも教えなければいけない。あるいはまた、スポーツタイプのバイクの性能向上というのは今大変すばらしいものがあるそうでございますけれども、そういう面でメーカーサイドにおいても事故防止対策に積極的に取り組む必要があるのではないかと思っておるわけでございますが、メーカーサイドへの指導監督等についてお伺いしておきたいと思います。
  121. 清水達夫

    清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、二輪車につきまして私どものやっております型式指定あるいは認定の申請があった場合には、保安基準への適合性等を厳正に審査しておることはもちろんでございますが、さらに自動車メーカーに対しまして、車両の開発に当たっては節度ある設計を行いまして、より安全性の向上を図った車とするよう指導をいたしております。また同時にユーザーに対しまして、二輪車の正しい使い方につきまして販売店などを通じまして周知徹底させるようメーカーを指導するとともに、過度な広告宣伝活動などによる二輪車暴走行為等を助長するようなことがないようあわせて指導をいたしておるところでございます。今後ともより一層二輪車の安全性の確保につきましてメーカーの指導監督に力を入れてまいりたい、かように考えております。
  122. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 前にも申し上げたと思いますが、やはり交通事故をなくすというためには交通安全教育というのは非常に大事である。高校生は一応三ない運動ということで全国の約八割の高校でそういう運動が行われて、一応単車等には乗らない、これはこれで一つの成果はあろうかと思いますが、後でも申し上げますけれども交通安全の教育というのは小さいときからずっとやってまいりまして、小学校、中学校あるいは高等学校、大学と、一般社会になってまたそれが活用される、こういうことですから、高校、大学あたりで余り規制をする、あるいはまた高校だけでも余り規制するということが本来の教育にならないんじゃないか、やはりそのときそのときに応じた教育というものをやって、一貫した幼稚園から高校までぐらいの交通教育というものをする必要があるんじゃないか。私はいつも思っておるわけでございますが、そういうことと二輪車事故防止との関係性について聞いておきたいと思います。
  123. 石川晋

    ○石川説明員 学校におきましては、今先生御指摘のように、交通安全教育というのは子供たちが安全に生活する、特に交通安全につきましても、身近な安全一般という意味では子供たちが人間の生命を尊重するというところから出発しているわけでございますが、特に現下の中では交通社会の一員として身近な交通問題から入りまして、さま ざまな危険というものを自覚し、かっ的確に判断し行動するということを指導してきているわけでございます。そういうものを幼稚園ではごく簡単な仕組みから始まって、御承知のように、小中学校では例えば特別活動の時間に警察等の協力を得て交通であるとか歩行の安全指導をする、そういった積み重ねの中で高等学校まで来ているわけでございます。  先生御指摘の高等学校段階でどうなんだということでございますが、学校の教育としては原則としては歩行者としての安全教育を中心に行っているという現状でございまして、御指摘のように二輪車の問題については多くの学校で、これは私どもがどうこうということではございませんが、三ない運動という形でどちらかというと触れさせないという形の指導をしている学校が多いという現状でございます。これにつきましては、一方、実際に二輪車事故が多いということで、私どもは、三ない運動とは別に、高等学校においては二輪の交通安全教育というものについては特に充実してほしい、地域や学校の実態に応じて柔軟な姿勢で取り組んでいただくというようなことで指導している、こういう実情でございます。
  124. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 十六歳でバイクの運転免許が取れます。十八歳では普通自動車の免許が取れるというようなことがございますし、今九〇%以上の方々が高校に行っているということでございますので、高校においての乗らないというのも一つのそれで、ペーパーの上だけでのいろいろの教育というのも非常に大事だろうと思いますけれども、やはりそれに相応したようなことを本来は教えるというのが一番いいんじゃないかというようなことも大分言われておるわけでございますし、諸外国にありましては自由にそういうこともやっている。そうでないと、急に今度は大学を出てから運転をやれと言われましてもなかなか難しい面もあるんじゃないかなというようなこともありまして、これからの時代を見定めて教育の一貫したあり方というものを今後とも検討していかなければならないんじゃないか、このように思っているわけでございまして、その辺はひとつまたよく御検討いただきたいと思います。  次に、暴走族対策についてでございますけれども暴走族の蝟集走行状況は、昭和六十一年は、蝟集走行回数二千七百九十六回、参加人員十万四千四百八十人、参加車両四万九千九百五十三台、これが昭和六十二年では、蝟集走行回数三千二百四十九回、参加人員十二万七千八百六十七人、参加車両六万五十一台、このように大幅にふえているわけでございます。本年に入っても、まだ増加傾向にあると聞いております。小規模グループによるゲリラ的暴走行為、マフラーの改造による爆音走行といった事案が見受けられる。警察庁はこうした状況についてどのように認識をされておるか、まずお伺いしておきたいと思います。
  125. 内田文夫

    内田(文)政府委員 暴走族の問題というのは、かつては百台以上の車がまとまりましてまさに集団暴走行為をしたという時代があったわけでございまして、大変迷惑をかけるということで、昭和五十三年に道交法改正いたしまして「共同危険行為等の禁止」という条項を設けて厳しい取り締まりを行ったわけでございます。そういった結果、このような大集団による暴走行為というのは五十五年をピークに減ってきたわけでございます。しかし、それが六十年から形を変えて、今先生ゲリラ的とこういう表現でお話しになりましたけれども、いわゆる本当に数台の少人数によります小規模な爆音走行、それが市街地の中でも走り回る、こういうような傾向になってきたわけでございます。  暴走族が減らない、こういう問題でございますけれども、これは暴走族の解体とかいろいろ取り組んでやってきておるわけでございますが、何分暴走族の構成メンバーの九〇%というのが未成年者でございます。いわば若いころの一種のはしかといいましょうか、そこで、入って大体成年に達すれば抜けていく。だから、常に新陳代謝が行われているということでございます。だから、取り締まりを何回も受けている者は抜けていく、そしてまた、いつも新しい者が新規参入をしてくる、また、今若者が簡単に車を手に入れることができる、こういうようなことでございます。  それから、何分にも少年であるということから、検挙された後の処罰といいましょうか、そういうものも大変軽い、そういったいろいろな問題がございまして、なかなか抜本的に暴走族の減少が行われないというのが現状でございますが、現在そういった実態に対応しまして取り締まり方法も、例えば一一〇番による騒音の苦情というのがたくさん参っておりますが、そういうものを地図に落として分析をいたしまして、その時間だとか曜日、そういうことで予測的にこの時間帯この辺で暴走行為が行われるのじゃないかというような予測を立てまして、我々要撃捜査と言っておりますが、そういうようないろいろな新しい捜査的手法を取り入れて対応いたしておるところであります。
  126. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 これは大変な御苦労をされているのではないかなと思います。非常にいい子であっても、単車に乗りますと非常に暴走をやる。一種のはしかにかかったような時期といいますか、そういうものが何かあるような感じでございます。したがいまして、この方々を直すというのは、警察だけにお任せするというようなことは、私はとんでもないことである。要するに、捕まえてきて説教しても、本人は、はしかみたいのにかかっているわけでございますから、とにかく乗ってストレスを解消したいというのかスポーツ的に楽しみたいといいますか、そんなようなことで、全く我々から見ると命をかけて走っている。あれを下手に追いかけたりすればまた事故が起こるとかいうようなことを目の当たりにいろいろ見ておりまして、これは大変だなと思っております。  この前警察庁暴走族の何か調査をされておりましたけれども、その中で、そういうことをやめろと言って一番効き目があったのは、彼女に言われているのが一番パーセントが多くて、一番だめなのが先生であったというようなことが出ておりましたね。先ほどもお話しありましたように、僕らも知っている中で、元暴走族なんという方で今まじめにやっている方がたくさんいるわけですね。そういう元暴走族みたいな方にそれこそ集まっていただいて、その方々が家庭訪問してあげたり、それで家族とも一緒になる。それからまた、学校というのは単車に乗っただけで首にする学校がたくさんあるのですね。だから、事故を起こしてもこれだけはないしょにしてくれということが大分あるので、要するに単車の問題については停学程度にして退学まではいかない、とにかくそういうことで、学校とも一緒になってやれるようなことでなければならない。暴走族の人というのは、とにかく捕まったら大変だ、学校は首になっちゃう。まあ学校に行ってない人もいるかもわかりませんが、学校は首になる。それで、何らかの形でばかに怒られる。とにかくこれは逃げなければいけないということで、たくさんでやれば怖くないというのでだあっとやっている。こんなような繰り返しでございますので、暴走族対策としてはやはり、警察と民間の中間ぐらいの何かそういう方がいて、そして怒ったりしかったり、これはこうしろとかいうような形のもので教えたりいろいろするという者が必要じゃないかな。でないと、今の若い方というのはますます暴走的な行為をする人がふえてくるんじゃないか。この方々がみんな悪(わる)ならいいんですよ。悪(わる)なら逮捕して捕まえて徹底的に縛ればいいのですけれども、その面については大変悪いのだけれども家に帰れば別にそうでもない、なかなかきちっとした人もいる。いろいろな方がいらっしゃるわけですから、それを直すためには、データにありましたように、それこそ友達にも家族にもあるいは彼女にも、あるいは暴走族の先輩みたいな者、そういうのをグループを組んでやってあげるというのが一つ必要じゃないか。  それからもう一つは、やはりせっかくいい性能のある単車を、じゃどこで走らせたらいいのか。これまた大変な悩みでございますけれども、サー キットなんてそんなにたくさんあるわけじゃありませんし、そういうようなものも余り走らせて命にかかわっては悪いわけですけれども、どうしても走らせたい人はこういうようなところもありますよというようなことも考えられるのじゃないかなと思うわけでございます。  これはきょうの答弁にはならないかわかりませんが、本当に今の学校の問題と、それから警察だけがそうして御苦労されて夜中までそういう場所を選んでやられている、それは気の毒といいますか申しわけないというのか、それだけでもまだ解決されないだろうというような考えを持っておりますが、こういう考えについて今後新たにまたいろいろ取り入れていただきたいと思いますが、その件について御答弁いただきたいと思います。
  127. 内田文夫

    内田(文)政府委員 暴走族の問題というのは、我々としても大変てこずっているといいましょうか困っている問題であるわけですが、先生御指摘ありましたように、例えば暴走族のそういう経験者、OBといいましょうか、各県ではそういう人をモニターに使ったりそういう人を核としていろいろな話し合いの場を持ったり、そういうような苦労もいたしております。それから、暴走するというだけじゃなしに、やはり若い人たちが集まってグループで動きたいとかグループ活動をしたいというあれがあるわけでございます。そういった意味で、殊にいわゆるバイク販売店といいましょうか、そういうところを中心に今でも一つのグループ、一種のサークルというのでしょうかクラブがあったりするわけですが、今各県でもそういった者をむしろそういうクラブに入るように、そしてむしろそういうものを組織化をして、そういうところで、ちゃんと責任者がいるその中で集団的な行動をやる。まあ暴走されるのは困るわけですけれども、そういうようなことをやっております。  それから基本的には、これは私たちも言うわけですけれども、生涯教育といいましょうか、教育の問題というのは大変大きな問題だと思うのです。殊に、こういったちょうど十六から十八ぐらいの若い者に対しての教育というのは、ただ単に——小学生や幼稚園の生徒ですと、気をつけて渡りましょう、右左を見ましょう、こういうまさに自分の身を守るという教育でよろしいかと思うのですけれども、そうでなしに、やはり車社会人として車を持った者の責任ですね。それから、車のいろいろなルールというのは、別に取り締まるためにあるのではなしに自分の身を守るためにあるのだし、いろいろな通行方法というものは、限られた道路というものをいかに多くの人が有効に使っていくかというためにいろいろなルールがあるのだ、そういった基本というのも車社会人としての心構えというのでしょうか、そういうものをやはりしっかり教えていくということが大切なのだろう、こう思っております。
  128. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 よろしくお願いいたします。  それからもう一つは、爆音走行というのが市民の間から安眠の妨害とかそういうことで大変な苦情が寄せられているようでございます。それで、そういう機種からいきますとマフラーを外すこと自体は別に違法行為ではないということになっておるようでございますが、今警察庁の方は運輸省に対して、保安基準をマフラー装着を義務づける内容に改正するように要請をされておるように聞いております。この申し入れに対しまして運輸省はどのように対処される予定ですか。
  129. 清水達夫

    清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましても、暴走族の問題は大変重大な問題であるというふうには十分認識いたしておるつもりでございます。このため当省としましては、使用過程車に対する騒音規制を強化するために、既に街頭検査などの際に簡便にかつ有効に騒音を測定し得る近接測定法というものを導入して暴走族等の不正改造車の排除に利用していただいているところでございますが、さらに、先生御指摘のように、今年の七月に警察庁の方から、道路運送車両保安基準改正いたしまして消音器の備えつけ義務を規定するように要請がされておるところでございます。これは、先ほど申しました現行の排気騒音の大きさを定量的に規定しております近接排気騒音規制の性能規制にさらに同一の目的のために重ねて装置規制を課すこととなりますので、両規制間の整合性が保たれるかなどにつきまして法制上の問題もございますが、私どもといたしましても、この暴走族の問題は非常に重要でございますので、御要請の趣旨を踏まえまして関係の省庁とも相談をしまして、消音器備えつけを義務化する保安基準改正の可能性につきまして検討をしておる最中でございます。
  130. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 その件もよろしくお願いしたいと思うのです。それは、ブレーキもききます、よく走ります、安全装置はこうですと言いますけれども、そんなでっかい音が出るなんというのは、逆に言えば、今の時代から言えば全く騒音公害ですから、これも欠陥商品であるというような形で、別に走るときの交通安全は関係ないかもしれませんけれども、それも音がやかましかったらこれはもうとんでもないことだというようなことでも、僕らから見て当然規制ができる問題じゃないか、このように思うわけでございまして、よろしくお願いしたいと思うのです。  それから、もう時間が参りましたので、最後に一つだけ聞いておきます。  大分前です、五十年ぐらいだったと思いますけれども、私の田舎の方で新宮町というところがあるのですが、非常にまじめな方が自動車を運転しておりまして、雨の日だったのですけれども、自動車で人をはね飛ばしたのですね。それで死亡事故になりました。私、その方に会ってよく聞いたのですが、そうしたら、全然見えなかったと言うのですね。だから、真っ暗なところで街灯も何もない、そういう田舎道で見えなくて事故を起こしたわけですから、私は委員会で、とにかく自転車に反射鏡をつけてくれ、もう何が何でも反射鏡をつけてくれということを大分言いまして、今は後方から百メートルのところではぴかっと光る、これはペダルについているとかあるいはサドルについているとか、いろいろなところについていますが、光るように今工業規格ではなっているようでございます。  それで、この前ちょっとテレビを見ておりましたら、今無灯火で走っている自転車というのはわりかたあるわけですね。そうしますと、大体後ろからはねるとは思いますけれども、前の方にもつけておかないと危ないのじゃないか。あるいはこれからの老齢化社会に向かって、例えて言いますと真っ暗な道路からたっと飛び出したというときに、横にもちょっと光るものをつけておいた方が事故率は少なくなるのじゃないか。それがついてから非常に自転車の事故というのは減っております。大分減っておるわけでございますが、自転車の台数もふえておりますし、これから高齢化社会も進むわけでございますから、やはりメーカーがつくるときだったら、簡単に横にも前にもちょっと張ってもらえばいいわけですから単価もそうつかないし手間もかからない、そういうことでそういうことをやられたらなお一層前からも横からもの飛び出しとかいろいろなことの交通事故対策になるのではないか、こういうことを非常に感じたわけでございます。  そういうことでそういうことを通産省に申しましたら、いや、通産省ではそういう法律がないんだ、法律と言ったら変な話ですけれども、これにはJIS規格があります。これはちゃんと道交法にのっとってこうだということが決まっておるわけですから、それはそれでやります。だけれども、法律にあるとかないとかにかかわらず、とにかくいいな、なるほどと、邪魔にもならぬというようなことなら、法律違反でも何でもない、それをやった方がいいということなら別に遠慮されないでやったらいかがですかという質問を言っておいたのですけれども、その御答弁を願いたいと思います。
  131. 柴崎徹也

    ○柴崎説明員 日本工業規格におきましては、ただいまの反射鏡、これはリフレックスリフレクターということで規定しております。それで、御 指摘のように後ろの方に取りつけるもの、これにつきましてはJIS規格上も取りつけなければならないというふうに規定しておりますけれども、横につけたり前につけたりするものにつきましては、特にそこまで規定はしておりません。ただいまの御提案の趣旨を念頭に置きまして、今後関係方面と勉強を進めてまいりたいと思います。
  132. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 じゃ、それはよろしくお願いいたします。時間ですから終わります。
  133. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうはお尋ねをしたいことがたくさんあるのです。ところが与えられた時間が二十九分で、質問をさせていただく予定であったのができないことが起こり得るような気がいたしております。まずお断りをして質問に入りたいと思います。  まず最初に、一昨日発生いたしましたJR中央線東中野駅での電車の追突事故に関してお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、亡くなった方の御冥福を祈り、負傷された方の一日も早い御回復を祈るものであります。  今回の事故は、本当に近来例を見ない大事故でございます。この事故について、新聞などの報道によりますと、ATS装置をいわゆる切ったとされる運転手に責任を全面的に転嫁をするJR東日本当局の動きがあるやに報じられていることはまことに遺憾であります。なぜなら、今度の事故現場というのはこれまでに二度起こっている、同じような時間に起こっている、そういう魔の箇所と言われております。八年前にも同種の事故が発生したときには、裁判所も国鉄関係者の指摘を採用してきたのですね。それはダイヤ厳守の心理的な圧迫と過密ダイヤによる曲芸的運転の強要、信号の場所等の構内構造上の問題が事故の真の原因である、これは国鉄関係者の指摘でありますが、これを採用されたということからも明らかだと思うのです。さらに、JRになって以来の安全を無視した運転手へのダイヤの厳守、回復運転の強要、運転時間短縮の推進などがこのような事故の重要な原因であるというふうに私どもは考えているわけです。さらに、この事故の背景にあるのは、これまで我が党が繰り返して述べてまいりましたように、国鉄分割・民営化による人減らし合理化、車両検査の簡素化、あるいは国労、全動労への差別、排除、こういうことなどによる安全よりもダイヤ優先というJRの営利優先の経営姿勢にあることを私ども指摘をしなければならない、このように思うわけでございます。  けさの論議の中でJR東日本の山之内副社長が、分割・民営化後大きな事故はほとんどなかった、こういうふうにおっしゃっていたのですけれども、その辺は、十月でしたか上越線で貨物の衝突脱線事故がありましたですね。私は現地へ行って見てきたのですけれども、あれは大事故なんですね。幸い貨物でしたし、人身事故が非常に少なかったということですが、あれはプロパンガスが載っておりましたし、近くに人家がありますし、衝突したところがもう少しずれておればとか、あるいはプロパンが爆発すればどうなったのかというようなことでしたね。貨物列車には乗務員は一人しかおられない、運転士さんだけ、こういうことになっているのですね。その後の対応などを含めまして、私はやはり人減らし合理化があの事故を二重にも三重にも大きくした、こういうことではなかったのかなと思っているわけでございます。  そういう背景の中で具体的にお尋ねをしたいと思うわけですが、今回のダイヤの改正によりまして中央緩行線の運転時間が千葉—三鷹間で三分四十五秒短縮をされた。この運転時間の短縮や安全無視のダイヤの厳守、回復運転の強要などが原因の大きな一つと言わざるを得ないのであります。現に十二月一日にダイヤ改正が実施された中央線は、急行線、緩行線とも乗客の少ない土曜日以外は、ラッシュ時に連日おくれが出ていたようであります。これはいわゆる余裕のないダイヤの結果と言わざるを得ないのであります。  先ほども触れましたように、今回の事故発生地点は、これまで二度ありました。八年前の同種の事故が発生したとき、その件の判決の中に、ダイヤ密度の高い中での定時運転確保の要請があり、ダイヤの乱れを回復しようとする意識が被告人の運転操作に影響を及ぼした、こういうふうに記されているのでございます。今日のダイヤの状況はその八年前に比べますともっともっと深刻な状態になっていると思うのです。今日のダイヤ改正の目的の一つに、少しでも早く目的地に着くことが挙げられているのです。そのことは一つのなにだと思うのですが、安全を無視したダイヤの改正はやはりこれは見直すべきではないか。  きのうの我が党の中路議員の質問の御答弁で運輸大臣は、ATS—Pを前倒しで早く設置をするとか、その他もろもろの対応をいたしますというようなお話があって、それを見た上でダイヤの改正など検討したいというようなお話だったように私は聞いておるのですが、そういう先というよりも、私は今度のダイヤ改正というのは本当に無理な、安全を無視した、危険がいっぱいというような内容ではないか、だからもうすぐに見直すべきではないか、このように考えるのですが、御答弁をいただきたい。
  135. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先生御指摘の十二月一日にダイヤ改正が行われたわけでございますけれども、それは表定速度を上げるということと、それからピーク時のいわゆる列車間隔というのでしょうか、最少運転時隔、当該線区では二分三十秒でございますが、それは変えないで、その前後の時間帯の列車の密度を上げることによって輸送力増強を図る、こういうことをしたダイヤ改正でございまして、そういう意味ではその安全性を損なわない範囲内で実施されているというふうに理解しております。  それで、今先生御指摘の中に、ダイヤ改正後ダイヤどおり運転された実績が土曜日というお客様の少ないときであるというお話がございましたけれども、ダイヤ改正後まだ数日の期間しかたっておりませんので、余り定着した形での答弁はできないわけでございますけれども、先ほど午前中のJR東日本の山之内副社長の御答弁にもあったかと思いますけれども、十二月というのはちょうど着膨れの時期を迎えるということで客扱いに時間を要する、そういうのが通常でも行われるわけでございます。ですから、ダイヤ改正の結果であるとかないとかというあたりのところにつきましては、もうちょっと様子を見ないとわからないのではないかと思っております。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、今度のダイヤ改正というのはやはり非常に危険な内容のものではなかったのか、当面は機器による対処というようなことではなしに、すぐさま思い切った対処をされるべきである、このように再度申し上げておきます。  それから、ATSが問題となっておるのですが、現実にはATSが作動したらこれを解除して運転を行っているわけですね。JR自体が、ATSが作動したらそれを解除して二十五キロ走行にすることを手順としておる、こういうことですね。  そこで問題は、たとえ解除したとしても信号と運転規則に基づいて運転すればそれはよいということになるのですが、そのためには、それが本当に安全にやられるためには、ダイヤに余裕というのですか、そういうものがないと、やはり人間の諸条件の中では誤りが起こり得る、やはり余裕がないとだめだということだと思うのですね。それは本数の問題もありますし、スピードの問題、時間の問題ですね。ダイヤ厳守、それからおくれればそれを回復する、こういうことが非常にやかましく言われておる。私どももよく国鉄労働者のお話を聞くと、一分おくれる、あるいはまた少し規定のところから行き過ぎてとまる、あるいは行かずにとまるということもあるかもわかりませんけれども、そういうことがあれば、すぐもうペナルティーというのですか、乗務停止というようなことになって、見せしめ的な罰則みたいなことがどんどんやられている。非常に神経質になっておら れるのですね。ですから、過剰な精神的な状態でダイヤを守ろう、おくれを取り戻そう、こういう絶えず前へ前へという気持ちが私はあると思うのですね。それではかえって安全が守り切れないというふうに思うのです。やはりダイヤの余裕、ゆとりというのですか、何事にもそういうものがないと、ぎりぎりの極限のところで仕事をするということはやはり問題があるのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  そういう意味で、ダイヤの厳守、それからおくれの回復、こういう問題への見せしめ的なペナルティーを含めた対応というのは即座にやめて、安全運転を保障すべきだというふうに私は考えるのですが、いかがですか。
  137. 丹羽晟

    丹羽政府委員 これも午前中の山之内副社長の御答弁の中にあったかと思いますけれども、まずは、ダイヤはお客様のサービスのためにできるだけ守っていくということは会社の方としてもそう考えているんだろうと思いますが、これはしかし、安全面を阻害してまでそういうことをするというわけじゃございませんで、今の先生の御指摘のダイヤを守れなかったことによるいろいろな問題につきましても、安全上の問題として停止したり、そういったような取り扱いとの関係で問題にしているということはないとJRから聞いております。  それから、運転時隔の話につきましては、当該線は二分三十秒ヘッドで、これは十二月一日のダイヤ改正でもそこのところはさらに短くするというような形にはなっていないわけでございます。それで、これよりもさらに運転時隔の短い線区はほかにもあるわけでございますので、それ自体が直ちに問題になるということではないと思います。それから、一昨日の事故の起きた時間帯というのは、今の二分三十秒ヘッドよりももう少し長い時隔の、三分ないし四分の時隔の時間帯に事故が発生したと伺っております。
  138. 辻第一

    ○辻(第)委員 それはその時間に起こったのですけれども、その時間でもそういうことが起こるわけですから、短ければ私はもっと危険だと思いますので、十分な対応をとっていただきたい、こういうことであります。  それから、ATS—Pの前倒しの設置というのをお聞きをしているのですが、これはできるだけ早くやっていただきたいと思うのです。これは交通新聞に載っておったのですが、JRはATS—P型の導入を明らかにしたときに、この導入と一定の対策を行い、中央快速線ではラッシュピーク時の運転間隔を現行の二分十秒から一分四十秒に短縮でき、二、三割の増発が可能としている、こういう記事があるんですね。それは乗客の要求があって、サービスの向上、輸送能力の向上ということにはなるのですけれども、一面、安全性の問題、先ほど来申しておりますそういう問題があるので、不用意な増発で安全面が軽視されることのないように十分留意をしていただきたい、このことを申し上げておきます。時間がありませんので、それでは簡単に御答弁いただけますか。
  139. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、今回の十二月一日のダイヤ改正につきましても、今の二分三十秒ヘッドの一番時隔の短いところで増発しているという話よりも、その前後のもう少し時間間隔が長いところで増発をするというようなことをやっておりまして、十分安全面には配慮した形で増発をしている、こういうふうに伺っております。
  140. 辻第一

    ○辻(第)委員 それから、きのうの読売新聞、またきょうの朝日新聞にも載っていたのですが、事故直後、自宅や病院へお見舞いに行かれる、そのときに現金を配られた、あるいは示談書もそのときに出されたというようなことがあったようですね。私は、これは非常に慎むべき問題が含まれているというふうに思うのです。そういうことも含めて、事故被害者に対する対応あるいは補償の問題などに十分な御対応をいただきたいというふうに思うわけでございます。その点で大臣、一言。
  141. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 賠償の問題は当事者同士の問題でございますけれども、やはりJRが本当に誠意を持ってこれに当たるように運輸省としても指導していくつもりでございます。  示談書の件は、聞いてちょっとびっくりしたのですが、最初の報告ではそういう事実はないということでしたけれども、一部の社員が気をきかせて持っていって、本部で聞いて、慌てて本社側が慎ませたというのが真相のようでございます。
  142. 辻第一

    ○辻(第)委員 運転士さんのポケットに、胸にですか、携帯ラジオが入っておったということで、きのうあたりから、それを装用して、それがこういう結果を招いた一つの要因になっているのではないか、こういうテレビを私も何回も見たのですけれども、けさ警察庁からの質問に対する御答弁があったようです。どこでどうなったのか私はわからぬのですが、事実がどうなのか、何か携帯ラジオの本体に耳につける線が巻いてあった、こういうような話もあるのです。それから、JRは否定をされておる、こういうこともあるのですが、こういう問題についてはいかがなものかなというふうに思うのです。これは運輸省にお尋ねのしようがないので話として申し上げて、とにかく再発防止のために万全の御対応をいただきたい、重ねて要望して次に移りたいと思います。  次に、高速自動車道の安全問題についてお尋ねをいたします。  この前のときに、私はトラックの問題、トラック輸送の問題、規制緩和の問題でお話をしたわけでありますが、トラックの安全問題というのはやはり大事なことで、私、もう二週間ほど前ですかトラックに乗せてもらったんです。そんなに長くないのです。東京から沼津まで深夜のトラックに乗せてもらったのですけれども、なれない者が乗せてもらいますと、やはり怖いところだなというのが正直な印象でした。私はそんな時間しか乗っていないのですけれども、途中で眠たくなって、つねってみたり何をしてみても眠たいなという時間がかなりあったのです。運転手さんはそれなりになれておられるのですけれども、人間のことですから眠たくなったりいろいろなことがあろうかと思います。殊に運転手さんというのは非常に長時間労働であります。そういうことで過労の状態である。  そこで、時間がありませんので一つ二つお尋ねをしたいのですが、東京インターから沼津インターまで東名高速道路で約百キロ、途中には二カ所のサービスエリアと四カ所のパーキングエリアがあります。これは高速道路を走る自動車のドライバーにとっては非常に大切な場所だと思うのですね。ところが、実態は、その駐車場以外のところ、ランプウェーなどにたくさんの車が駐車している、あるいはバスストップにも駐車している車がある、こういうのを見てまいりました。建設省としてはこういう実態を御存じだと思うのですが、いかがですか。イエスかノーぐらいで結構です。
  143. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 近年、東名・名神高速道路におきましては利用交通量が大変増大しておりまして、また長距離トラックが増加している、あるいは物流構造が変化しておりまして、休憩施設の利用度が大変高まって、東京の、特に都市近郊では相当の混雑状況を呈しまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、時間帯によってはランプや路肩や、場合によってはバスストップ等に違法駐車していることにつきましては、我々十分承知しております。
  144. 辻第一

    ○辻(第)委員 私も、これは二、三年前なんですが、地元の長距離トラックの運転手さんにいろいろお話を聞いたときがあるのです。大体東京へ来られるのですが、一番の要求はパーキングエリアあるいはサービスエリア、ここをもっとふやしてほしい、疲れた、あるいは眠たくなったようなときに入って、十分休養がとれるような、そういうところを確保してほしい、いっぱいでなかなか入れないんだというような話を聞いたのです。そういうことで、これは非常に大事な場所だと思うのですね。先ほど申しましたような駐車場以外でとまっておられるというような理由は、駐車場が狭くて、そこへ駐車すると出にくいとか、それだか ら出やすい場所駐車をしている、また、労働強化や到着時間はそのままで出発時間をおくらせる無理な運行、こういうことがこのごろ非常に行われているようですね。そういういろいろな状況の中でそういうことが起こっているのだと思うのですね。  先ほど御答弁の中でもお話があったのですが、ぜひ必要な駐車場を拡張していただきたい、また、必要な箇所へ新設をしていただきたい、このことを積極的にやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  145. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 休憩施設の増設につきましては昭和四十八年度から逐次やっておりまして、現在ちょうど大型駐車升につきましては当初の二倍ぐらい、小型車につきましては一・四倍ぐらいに拡充したところでございますが、まだまだ足りないということでございまして、現在、東名高速道路におきましては海老名のサービスエリアほか七カ所、また名神高速では多賀サービスエリアのほか三カ所の計十二カ所の改良事業を行っているところでございます。特に東名につきましては混雑しているというところで、御殿場から大井松田の拡幅をやっておりますけれども、それに応じまして、足柄とかあるいは鮎沢のサービスエリアあるいはパーキングエリアに大型車の駐車施設を大幅に拡大したいと考えているわけでございます。今年度から始まりました第十次の五カ年計画の中では、この東名の駐車台数を現在の大型車については一・五倍、小型車については一・三倍にしたいというふうに考えております。しかし、何分大都市周辺で新しく土地を買収してつくるというのはなかなか難しいわけでございますので、現在のサービスエリア、パーキングエリアを改良しながらやっているということで、少しでも早く駐車台数をふやすように努力しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  146. 辻第一

    ○辻(第)委員 高速道路での交通事故防止なんですが、やはり事故の発生率の高いところがあるのですね、事故多発地帯というのですか、私、この間、高速道路事故を研究されている方にいろいろお話を聞かせていただく機会があったのです。その方の出されている「事故現場からの警告」という本を見せていただき、またお話も聞かせていただいたのですが、静岡県では起点から七十三—八十キロちょうどの鮎沢PA、足柄SA付近、それから百六十五—百七十一キロの日本板付近、それから百八十八—百九十八キロの牧之原付近、ここのところが非常に事故の多いところだと聞いているのですね。それはカーブがあるとかあるいは勾配のなにがあるとか、いろいろ要因もあるようでありますが、やはり事故が多いところ、そこのところについてはこれまでもいろいろ御検討をいただき、対策もとっていただいたというふうに思うのですが、最近のどんどん車がふえ、しかも事故が多発しているという状況の中では、これまでよりもさらに一歩進んだ何か対応がないのかなと思うのですね。簡単に道をつけかえるというわけにもいかぬでしょうし、そういう簡単にはいかぬ問題もあるとは思うのですが、その中でもできることをいろいろ御検討いただいてやっていただきたいなというふうに思うのです。  構造上の問題もあるのですが、それと、もっとドライバーへの注意喚起のやり方、そういうことにももう少し対応の仕方がないのかな、こういうふうにも思うわけでございます。そういう点について御答弁をいただきたい。
  147. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生御指摘のように、特にことしになりまして高速道路事故がふえておりますので、東名高速道路につきましては、日本道路公団におきまして、六十二年から六十三年九月までの事故データに基づき事故多発区間及び死亡事故発生区間の二十二のインター区間を抽出いたしまして緊急点検を実施しております。  この結果に基づきまして、緊急対策といたしまして、中央分離帯突破事故対策としての強化型ガードレールの設置十一カ所、それから二番目は、速度超過、居眠り運転防止、運転者の注意喚起を促す等薄層舗装の設置、要するに居眠り運転をしていますと、それに注意喚起を促すようにがたがたとするような薄層舗装というのをやっておりますけれども、これを二カ所、三番目といたしまして、道路線形の視認性の向上を図るための視線誘導線の設置三カ所、四番目といたしまして、注意喚起のための標示板の整備九カ所、合計二十五カ所の交通安全設備を今年十二月末を目途に緊急に整備するように現在実施させております。
  148. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、運輸大臣にお尋ねというか、決意をお伺いしたいのですが、米駆逐艦タワーズが房総沖で射撃した事件であります。  もう時間がありませんので詳しく述べませんけれども、これはもう本当に許すことのできない問題だと思うのですね。運転士さんがいろいろな条件の中で疲れて過って事故が起こったというのとは、私は問題は本質的に違うと思うのですね。大臣は非常に、あれはどう言ったらいいのかな、名言というのは、もうそれ以上言いませんけれども、そういう言葉で物をおっしゃっておる。非常にはっきりした態度でおっしゃっているわけでありますが、どんなことがあってもこんなことは許されない。国際法の違反でもあります。僕はあのときは見えていたと思うのですね。見えているにもかかわらず、海上保安庁巡視船「うらが」のすぐ横ですか、しかも当たらないようにちゃんと計算してやっているのでしょうけれども、これはけしからぬですね。こういう問題はもう絶対、二度と再び許してはならない。この間、海上自衛隊の「なだしお」がああいう事故を起こした。その直後に、今度はアメリカがこういうことをやるというのは、本当に民間軽視、安全軽視、軍事優先——民間軽視と言いましたか、巡視船軽視ということでしょうか、そういうことでございます。  既に大臣は厳しい御対応をされているように聞いているのですが、どうかこの問題は十分な御対応をいただきたい、重ねてお願いをしたいのですが、御決意のほどを伺いたいと思います。
  149. 野尻豊

    ○野尻政府委員 大臣のお答えの前に、事実関係だけちょっと御説明申し上げます。  アメリカ側は、その事件の翌日、事実関係を認めまして、我が方からの注意喚起及び再発防止対策につきまして、我が方の申し出に応じる旨の表明をしております。  また、アメリカ側に対しまして、今お話しのタワーズの訓練弾発射に関する詳細な調査を申し出ましたところ、アメリカ側は調査段階におけるとりあえずの回答を行いまして、またさらにタワーズの艦長を艦長職から解任するというような処分をしております。  これまでのところ以上のような状態でありまして、なおさらに我が国の領海内で射撃をした理由はどういうわけか、あるいは再発防止対策、そういうようなことにつきまして外務省を通じて米軍当局に対する調査をお願いしているところでございます。
  150. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今報告しましたような手続はとっておりますが、運輸省としても、外務省を通じて速やかに米軍から回答をもらい、また、対応策の周知徹底を強く申し入れるつもりでございます。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  152. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十六分散会