○辻(第)
委員 そういう過当競争という表現についてはいろいろ今おっしゃったわけでありますが、まあやはり過当競争なんですね。そして、その中で運賃のダンピングというのが行われている、非常に混乱した
状況だろうと思うのですね。それはもう白トラの問題もありますし、多重の下請の問題もありますし、それから今流通コストの低減というのですか枠というのですか、そういうもののある
状況の中、しかも、このトラック業界というのは大多数が中小あるいは零細業者であり、
労働集約という
状況の中で運賃ダンピングということがほとんどやられている。運賃ダンピングというのは、言いかえれば採算の合う
状況での運賃でないと言っても言い過ぎでないと思うのですね。どこで勝負をするのか。結局、それは長時間
労働をやるとかあるいは過積みをやるとか、反社会的なと言ってもいいような土俵の中で勝負がやられているということではないかと思います。六十年に私がお尋ねをしたときに当時の栗林貨物
局長から、そういう反社会的なところで勝負がされるというようなことはもってのほかでございます、こういうような意味の御答弁があったのですね。今もそういうことは変わらない、そういう
状況だと私は思うわけであります。そういう
状況の中で、先ほど来お話がありました非常な長時間
労働、そして過積みの問題、こういう問題が起こってきておると思います。
そういう
状況の中で、業界に対して新行革審では
規制緩和に向けて今作業が進められておる。十二月に答申が出される予定だというふうに聞いておりますし、
運輸省も九月二十二日に物流事業
規制の見直しの
基本方向というのを明らかにされておるということであります。この中で、
運輸省の九月二十二日の物流事業
規制の見直しの
基本方向というものの
中心的な問題は、トラック事業
規制の見直し、もう
一つは、複合一貫輸送促進のための
規制の見直し、これが一番大きな柱だと思うのです。
そのトラック事業
規制の見直しについて見てまいりますと、
一つは参入基準、これまで免許制だったものを許可制にするということ、それから事業区分、路線と区域との区分の統合、あるいは積み合いと貸し切りによる区分の廃止、こういうものもあるのですが、ここでもう
一つ大きいのは運賃の
規制ですね。これは認可制を事前届け出制に改める、こういうことが柱であります。この参入基準の問題、運賃
規制の問題、ここのところだけでもまさにこれまでのいわゆるトラック運送事業の根本的な仕組みを変えていく、そのような
内容ではないのかというふうに思うわけであります。
そういう点でトラック事業
関連の多くの
労働組合、
労働者はその
規制緩和について反対の
立場をとっておられるわけでありますが、全日本運輸一般
労働組合の
委員長であります石澤賢二さんから
石原慎太郎運輸
大臣、運政審物流部会の宇野部会長にあてての申入書というのが出ておりました。それを見てまいりましても、その申入書の中に「すでに三万七千余の業者が過当競争でひしめいており、そこへ「事業免許を許可」にすれば、零細業者をいっきょに急増させる。」また、運賃認可を届け出にすることは、「現在ですら事業者の微弱な運賃交渉力は決定的に低下される。」こういうように書かれているわけであります。「その結果、中小・零細事業者の多死多産をくりかえさせ、
労働者の賃金低下、過酷な
労働を強い、
労働基準法や道路
交通法を守らない反社会的企業が続出、横行することになる。」また、「複合一貫輸送取扱い制度は、大荷主、大商社、大流通資本、一部の大運輸会社を
中心とした物流支配を確立させ、中堅・中小・零細トラック企業への隷属を強いるものである。トラック運輸産業全体の構図を、オール下請化に塗りかえようとするものである。」こういうように書かれているわけであります。もう
一つ、「トラック運輸の長時間
労働、過積載、スピード競争などの
規制を、事業者の「自主的活動にゆだねる」ことは、」こういう項がありますね。そういうことは「
運輸省の陸運
行政からの撤退であり、国民の安全にたいする責任の放棄である。」こういうことも書いてあるわけです。私もそのとおりだと思うのですね。
今の現状の中でこのような新規参入の免許制を許可制にするとか、あるいは運賃料金を認可制から届け出にするというようなことは大変な事態を招く。この
委員会の
関連でいえば、
交通安全の上で重大な問題を招く、こういうふうに
考えるわけであります。そういう
立場で、私は今度の
運輸省やあるいは新行革審の
規制緩和、これは中止をすべきである、こういうふうに
考えるわけであります。これが一点。
もう一点は、先ほど来申しました社会的な
規制、これは強化すべきである。過積みの問題あるいは
労働時間の長い問題、そこから起こってくる過労の問題、スピード違反の問題、こういうような問題ですね。こういう社会的な
規制をもっともっと強化をする。そういうような対応を
運輸省としてはぜひやっていただきたい、また総務庁としてもぜひやっていただきたい、こう思うわけであります。
この二点について運輸
大臣並びに
総務庁長官からの御見解を伺いたい、こう思います。