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1988-10-21 第113回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十一日(金曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 草川 昭三君       天野 光晴君    岡島 正之君       林  大幹君    小川 国彦君       新村 勝雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    野間 友一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    中田 一男君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 児玉 良雄君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 池田 久克君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁労務         部長      吉住 愼吾君         沖縄開発庁総務         局長      手塚 康夫君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         警察庁長官官房         総務課長    鈴木 邦芳君         北海道開発庁総         務課長     三浦 琢右君         沖縄開発庁総務         局会計課長   山城  勉君         法務省刑事局総         務課長     木藤 繁夫君         外務省北米局安         全保障課長   重家 俊範君         外務省情報調査         局分析課長   田中 謙次君         外務省情報調査         局安全保障政策         室長      森本  敏君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         厚生省薬務局生         物製剤課長   小野 昭雄君         運輸省海上技術         安全局検査測度         課長      松村 文夫君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 小坂 英治君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       下里  晃君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      磯田壮一郎君         建設省建設経済         局宅地開発課長 五十嵐健之君         消防庁消防課長 川崎 正信君         会計検査院事務         総局第二局長  志田 和也君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         北海道東北開発         公庫総裁    吉岡 孝行君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  藤仲 貞一君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁防衛庁沖縄開発庁)、北海道東北開発公庫沖縄振興開発金融公庫〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、北海道開発庁防衛庁沖縄開発庁北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  この際、粕谷国務大臣及び田澤防衛庁長官概要説明会計検査院検査概要説明北海道東北開発公庫当局及び沖縄振興開発金融公庫当局概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十一年度北海道開発庁決算概要説明  昭和六十一年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移替え又は特別会計への繰り入れ措置を講じ、直轄事業については北海道開発局補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和六十一年度の当初予算額は六千八百六十億四千八百五十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額百五十一億七千百八十四万円余、予算補正修正減少額一億六千八百十八万円余、予算移替増加額四千七百七十七万円、予算移替減少額二千百八十七億八千九百二十万円余、前年度繰越額十億二千三百五十三万円余、流用等増減額四億 七百九十二万円余を増減いたしますと、昭和六十一年度歳出予算現額は四千八百二十九億二千六百四十二万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は四千八百十四億二百二十五万円余、翌年度繰越額二億一千五百九十九万円余でありまして、その差額十三億八百十七万円余は、不用額であります。  次に、開発事業執行のため、関係各省所管への移替え及び繰入れの状況を申し上げますと、移替えた額は厚生省所管へ一億七百万円、農林水産省所管へ一千四百六十七億六千二百二十四万円余、運輸省所管へ六億三千二百三十万円、建設省所管へ七百十二億八千七百六十六万円、合計二千百八十七億八千九百二十万円余であります。  また、特別会計への繰入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百二十七億七千五百七十二万円余、農林水産省所管国営土地改良事業特別会計へ六百三十七億四千三百四十八万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ四百三十七億三千八百三十三万円余、運輸省所管空港整備特別会計へ九十二億九千三百九十一万円余、建設省所管治水特別会計へ八百八十五億五千二十九万円余、建設省所管道路整備特別会計へ一千九百八十一億四千五百二十九万円余、合計四千百六十二億四千七百五万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費百二十三億二千五百二十七万円余、北海道開発計画費一億三百四万円余、北海道開発事業指導監督費三億七千六百十七万円余、北海道開発事業の各工事諸費五百二十二億四千八百九十一万円余、北海道特定開発事業推進調査費五千四百三万円余、科学技術振興調整費二千七百五十九万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千八百四十三万円余、災害対策総合推進調整費百七十二万円余であります。  以上、北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算北海道開発庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度防衛庁関係歳出決算に関する概要説明  昭和六十一年度における防衛庁関係歳出決算につきましてその概要を御説明いたします。  まず(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三兆百五十一億一千万円余でありまして、これに政府職員昭和六十一年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額二百九十三億四千百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移替えを受けた額四千二百万円余、震災対策総合訓練調査のため、国土庁から移替えを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額十七億八千三百万円余、前年度からの繰越額二十七億六千五百万円余を加え、既定予算不用等による予算補正修正減少額三百四十九億四千六百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三兆百四十億九千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は二兆九千九百二十四億八千万円余、翌年度へ繰り越した額は二十七億四百万円余でありまして、差し引き不用額は百八十九億一千二百万円余であります。  昭和六十一年度予算執行に当たっては、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする「中期防衛力整備計画」の初年度として計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下、陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。 一 陸上自衛隊につきましては、七四式戦車六十両、七三式装甲車十六両を取得し、新たに昭和六十二年度以降取得予定の七四式戦車五十六両、七三式装甲車二十三両の購入契約をいたしました。  また、航空機は、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター七機、多用途ヘリコプター五機、輸送ヘリコプター二機合わせて二十二機を取得し、新たに昭和六十二年度以降取得予定の対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十二機、多用途ヘリコプター五機、輸送ヘリコプター四機合わせて二十九機の購入契約をいたしました。 二 海上自衛隊につきましては、昭和五十七年度計画護衛艦三隻、昭和五十八年度計画潜水艦一隻、昭和五十九年度計画中型掃海艇二隻、補給艦一隻、昭和六十年度計画支援船一隻、昭和六十一年度計画調達に係る支援船一隻合わせて九隻を取得し、新たに昭和六十二年度以降に竣工予定護衛艦三隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、輸送船一隻、訓練支援艦一隻、支援船二隻合わせて十隻の建造契約をいたしました。  また、航空機は、対潜哨戒機七機、救難飛行艇一機、訓練支援機一機、対潜ヘリコプター七機、救難ヘリコプター一機、新対潜ヘリコプター用機体一機合わせて十八機を取得し、新たに昭和六十二年度以降取得予定の対潜哨戒機十機、救難飛行艇一機、初級操縦練習機一機、計器飛行練習機一機、対潜ヘリコプター十三機、掃海ヘリコプター四機合わせて三十機の購入契約をいたしました。 三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十三機、支援戦闘機三機、輸送機二機、救難捜索機二機、輸送ヘリコプター一機、救難ヘリコプター五機合わせて二十六機を取得し、新たに昭和六十二年度以降取得予定要撃戦闘機十二機、輸送機二機、中等練習機十二機、輸送ヘリコプター三機、救難ヘリコプター四機合わせて三十三機の購入契約をいたしました。  また、地対空誘導弾ペトリオット一個高射群分購入契約をいたしました。  昭和六十一年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万二千七百六十八人、自衛官以外の職員二万三千百六十九人でありまして、これを前年度定員に比べますと、自衛官については六百六人の増員であり、自衛官以外の職員について百九十人の減員となっております。  また、予備自衛官員数は、四万四千九百人でありまして、これを前年度員数に比べますと一千三百人の増員となっております。  次に翌年度への繰越額二十七億四百万円余は、計画及び設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額百八十九億一千二百万円余は、外国為替相場の変動があったこと等により、航空機購入費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三千二百八十二億八千四百万円余でありまして、これに政府職員昭和六十一年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額三億二千九百万円余、前年度からの繰越額百二十五億四千六百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額二億九千三百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ九億一千六百万円余、建設省所管建設本省へ十七億二千万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三千三百八十二億二千九百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は三千百八十八億五千万円余、翌年度へ繰り越した額は百六十九億七千四百万円余でありまして、差し引き不用額は二十四億四百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者労務管理離職者対策、福祉対 策等に要した経費二百十二億九百万円余、施設運営等関連諸費につきましては、「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」等に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地購入及び借上げ、施設整備、各種の補償障害及び騒音の防止措置飛行場等周辺移転措置民生安定施設助成措置等に要した経費二千六百八十八億二百万円余、提供施設移設整備費につきましては、「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費四十七億二百万円余等であります。  昭和六十一年度防衛施設庁職員定員は、三千四百九人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、十六人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額百六十九億七千四百万円余は、計画及び設計に関する諸条件用地関係アメリカ合衆国軍隊等事情等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額二十四億四百万円余は、土地使用関連補償が少なかったこと等により、施設運営等関連補償費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、昭和六十一年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終ります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算防衛庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、装軌車整備用交換部品納入方法に関するものであります。  陸上自衛隊の七四式戦車、七三式装甲車等装軌車整備用交換部品調達につきましては、武器補給処では、菱重特殊車両サービス株式会社と契約し、各地区補給処では、同サービス会社に代わって地区補給処に対する販売業務を担当する各三菱ふそう自動車販売株式会社と契約しております。そして、これらの部品武器補給処等への納入の際には、サービス会社がこれらの各販売会社等納入品開梱仕分整備受領検査立会等納品関連業務を代行させるなどして納入しておりますので、陸上自衛隊では、納品関連業務に係る手数料をこれらの部品価格の中に含めて算定しておりました。しかし、この納品関連業務武器補給処等が自ら行うなどして各販売会社等の介在を必要としないようにすることとし、これに係る手数料相当額の節減を図る要があると認められました。  この点について当局の見解をただしましたところ、陸上自衛隊では、これらの部品納入方法を改善し、納入場所において各販売会社等を介在させないこととし、六十二年七月、これらの部品価格の算定に当たり納品関連業務に係る手数料を計上しないこととする処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十一年度沖縄開発庁歳出決算概要説明  昭和六十一年度における沖縄開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁歳出予算現額は一千三百三十六億七千五百六十四万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は一千二百九十五億三千九百八十五万円余、翌年度へ繰り越した額は四十億三千七百十三万円余、不用となった額は九千八百六十六万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百二十八億二千二百十六万円、予算補正追加額四十億八千三百五万円余、予算補正修正減少額六千百七万円余、予算移替増加額九百六十九万円余、予算移替減少額八百六十三億五千四百七十四万円余、前年度繰越額三十一億七千六百五十五万円余を増減しまして、一千三百三十六億七千五百六十四万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄振興開発のための財源として、治水特別会計国有林野事業特別会計道路整備特別会計港湾整備特別会計空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計繰り入れ経費一千六十三億六千六百九十七万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額四十億三千七百十三万円余は、道路整備特別会計等において、計画及び設計に関する諸条件、気象及び用地関係補償処理の困難により事業実施に不測の日数を要したため、同特別会計等への繰り入れ年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった九千八百六十六万円余は、退職手当必要額予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして、昭和六十一年度沖縄開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算沖縄開発庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度沖縄開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度北海道東北開発公庫決算概要  北海道東北開発公庫昭和六十一年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫昭和六十一年度事業計画は、当初、総額一千三百五十億円の出融資うち貸付金一千三百三十七億円、出資金十三億円)を予定しておりました。これに対し、実績は、貸付金一千三百四十九億二千五百万円、出資金七千五百万円で、昭和六十一年度出融資合計は一千三百五十億円となり、前年度実績と同額となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十七億円、政府借入金三百八十八億円、債券発行による収入二百九十六億三千七百五十万円及び自己資金六百三十八億六千二百五十万円、合計一千三百五十億円をもってこれにあてました。  次に、昭和六十一年度収入支出状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額六百五十五億五千六百五十一万円余に対し六百三十八億三千九百十三万円余、支出済額は、支出予算額六百五十二億七百八十一万円余に対し六百三十三億七千七百七十一万円余でありました。  また、昭和六十一年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が八百十九億六千六百五十三万円余、支払利息事務費等損金総額が、滞貸償却引当金繰り入れ前で七百九十八億五千七百五十六万円余となり、差額二十一億八百九十六万円余を全額滞貸償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和六十一年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産は、貸付金八千三百九十五億三千三百八十九万円余、出資金百二億八千九百万円、主な負債は、政府借入金二千七百六十二億三百六十七万円余、債券発行高五千二百五十九億三千四百四十万円、滞貸償却引当金二十一億八百九十六万円余であります。また、政府出資金は三百六十七億円であります。  なお、昭和六十一年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、八十二億 九千四百七十九万円余でありまして、これは貸付金残高に対して一・〇パーセントになっております。  以上、昭和六十一年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算北海道東北開発公庫についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度沖縄振興開発金融公庫業務概況 一、沖縄振興開発金融公庫昭和六十一年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。 二、昭和六十一年度事業計画は、当初、貸付けとして千二百億円、出資として四億円、合計千二百四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、出資については実績がなく、貸付契約額が千百三十一億円余となっております。 三、次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和六十年度末の貸付残高は七千九百二十二億八千万円余でありましたが、昭和六十一年度中に貸付けを千百十五億円余行い、回収が八百七十九億円余ありましたので、昭和六十一年度末においては八千百五十八億七千万円余となっております。  なお、貸付金延滞状況につきましては、昭和六十一年度末におきまして、弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は百六億円余でありまして、このうち一年以上のものは百億九千万円余となっております。 四、次に、昭和六十一年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済額は五百七十六億九千万円余でありまして、これを収入予算額五百八十八億七千万円余に比較いたしますと、十一億八千万円余の減少となっております。この減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  支出済額は五百七十九億九千万円余でありまして、これを支出予算額五百九十八億円余に比較いたしますと、十八億円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。 五、最後に、昭和六十一年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は六百五十五億六千万円余、借入金利息等の総損失は六百五十三億七千万円余となり、差引き一億八千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が、昭和六十一年度における沖縄振興開発金融公庫業務概況であります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十一年度決算沖縄振興開発金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、農林漁業施設資金の貸付方法に関するものであります。  沖縄振興開発金融公庫では、貸付先が農業協同組合等の団体に限定されている農林漁業施設資金を、直接貸付けの方法又は沖縄県信用農業協同組合連合会に、審査、貸付け、債権管理等の業務を委託して貸し付ける代理貸付けの方法により貸付けを行っておりますが、その代理貸付けに係る業務委託手数料として、沖縄県信用農業協同組合連合会の受託貸付金の残高に応じて回収利息に一定割合を乗じた金額を償還が終了するまで支払うことになっております。今回、農林漁業施設資金の代理貸付けの実態について調査いたしましたところ、従前から直接貸付けを行っている農業協同組合等に対しては、直接貸付けの方法によって貸付けることが適当であるのに、代理貸付けによって貸し付けていたものが六十、六十一両年度貸付分で十三件あり、そのため、償還期限までに、これに係る業務委託手数料計約六千三百二十万円を不経済に支払うことになっている事態が見受けられ、従前からの直接貸付先に対しては、すべて直接貸付けを行うことにより、業務委託手数料の節減を図る要があると認められました。  この点について当局の見解をただしましたところ、沖縄振興開発金融公庫では、六十二年十一月、沖縄県信用農業協同組合連合会に対し、既に農林漁業施設資金の直接貸付けを行っている貸付先に対しては、直接貸付けを行うことを内容とする通知を発して、同年十二月の借入申込みに係るものから実施することとする処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、最初に、防衛庁に対しまして、防衛庁が道路交通法に基づく緊急車両として無料通行できる場合、それはどういう車で、どういう場合であるかということをまず伺いたいと思います。
  6. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁・自衛隊におきまして使用いたしております自動車が、いわゆる高速道路の通行に際しまして、法令によりその料金を徴収されない、無料で通行できる場合といたしましては、まず緊急自動車として指定された自衛隊の車両が、例えば部内の秩序維持に従事するに当たって必要がある場合とか、自衛隊法第六章の規定する自衛隊の行動に関し必要がある場合とか、機雷の除去及び処理に関し必要がある場合、また不発弾等の除去及び処理に関し必要がある場合等、そのほか自衛隊車両が災害派遣等のため必要がある場合でございます。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 こうしたケースの前例としては今までどういうようなケースがございましたでしょうか。
  8. 日吉章

    ○日吉政府委員 前例で数多くといいますか、前例の中で今挙げました中で最も多く見られますのは災害派遣の場合でございます。
  9. 小川国彦

    小川(国)委員 防衛庁においてこうした道路公団の道路あるいは首都高速の道路を通行する場合に、回数券をどの程度購入なすって利用なすっていらっしゃるか、それぞれについてお答えいただきたいと思います。
  10. 山本雅司

    ○山本(雅)政府委員 防衛庁の場合、特に首都高速道路を通る場合には基本的には回数券を利用することになっております。その利用実績につき報告申し上げます。  昭和六十二年度の首都高速道路の回数券利用の実績でございますが、これは内局、陸幕、海幕、空幕、それぞれに分かれておりますが、内局から申し上げますと、内局は三十四万円、陸幕は百九十九万円、海幕五十三万円、空幕八十五万円、合計いたしますと、端数はやや四捨五入しておりますが、約三百七十一万円になっております。
  11. 小川国彦

    小川(国)委員 これらの部署におきまして、無料券等の発行によって通過をなすっているという事例はございますか。
  12. 山本雅司

    ○山本(雅)政府委員 防衛庁におきましては、基本的にはすべて有料で通行いたしておりますが、先ほど防衛局長から答弁申し上げましたように、災害派遣のときにはこれは無料という形になっております。
  13. 小川国彦

    小川(国)委員 この災害派遣の場合については、金銭的に換算しまして、あるいは回数的に年間とのくらいとか、そういう御記録はございますか。
  14. 日吉章

    ○日吉政府委員 災害派遣出動の回数及び件数はわかりますけれども、それが有料道路を無料でどれだけ通ったかというような統計は残念ながらとってございません。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 私が伺うところによると、例えば行動が行われた後にそれを何台通ったかということを確認して支払いが行われる、あるいはまた確認が行われる、こういうふうに伺っているのですが、そういうことはございませんですか。
  16. 日吉章

    ○日吉政府委員 確認行為といたしまして先生ただいまおっしゃられたような事務処理はいたしておりますけれども、それを統計といたしまして集計作業はいたしておりません。.
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしても、こうした内局、陸幕、海幕、空幕等においては全面的に回数券の利用をもって行っている、こういうことでございますね。  それでは、次に建設省に伺いたいわけでありますが、建設省の道路局長さん、都市局長さんにおいでいただいておりますが、最近三カ年において各役所ことの無料通行券の受領状況の総数はお幾らになっておりますか。
  18. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それではお答えいたします。私の方から道路公団等につきましてちょっとお答えさせていただきます。  まず昭和六十二年度分でございますが、維持修繕業務用で道路公団が九千七百、これはプレートで行っております。それからモニター等がすべてで五万七百枚、こういう結果になっております。
  19. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  無料通行券の首都高速道路におきます発行枚数は、保全関係等のために百十六万六千枚、それから管理関連で四万六千枚、以上でございます。
  20. 小川国彦

    小川(国)委員 相手方のいわゆる官公署に対して発行を許可して、それが使用され、受領した枚数は何枚になっておりますか。
  21. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 六十二年度におきまして九十三万七千台となっております。
  22. 小川国彦

    小川(国)委員 参考に、六十年、六十一年はいかがになっておりましょうか。
  23. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 六十年、六十一年度分の状況につきましては、法令に基づく無料通行券関係の書類の保存期間の関係上、承知いたしておりません。
  24. 小川国彦

    小川(国)委員 これはちょっとおかしいですね。私、先日確認したところでは、過去三カ年分の数字を把握しているのですが、こういうものを、少なくも総トータルぐらいの数字をきちっと記録されていないというのは、役所としてはいかがなものかと思います。  それから、日本道路公団の方も同様、こういう法令に基づく受領枚数は何枚になっておりますか。
  25. 三谷浩

    ○三谷政府委員 法令に基づきと申しますと、例の緊急車両とかその他について規定がございます。それについての道路公団の確認は、例えば緊急自動車等でございますと、赤色灯の点灯であるとかあるいは当該車両の発行をいたします証明書によって確認をいたしております。この証明書の受領は、料金収受の業務の適正を確保するために行っておるものでございまして、それが目的でございます。したがって、その都度記録はしておりますけれども、例えば期間、一年とか二年とか、こういうような期間の記録として残しておるものではございません。
  26. 小川国彦

    小川(国)委員 おたくの方では公務自動車証明書というので、「発行番号」「年月日」それから「時間」何時から何時まで、「高速道路名」「通行区間」「乗車責任者職・氏名」「自動車登録番号」「用務」、「この自動車は公務自動車であることを証明する」、こういうような証明書を消防署とかそれから警察関係とかあるいは赤十字関係とか検察庁関係とか、そういうところへこれをそれぞれ印刷させて、そして使用を認めておりますね。
  27. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  今御質問ございましたように、これはもちろん省庁によって違いますが、公務自動車証明書というようなことで、例えば時間であるとかあるいは通行区間、だれが乗るかとかあるいはもちろん車の番号、こういうものについて公務自動車であることの証明をつくっていただきまして、それを例えば料金所で確認をして受け取っておる、こういうことでございます。
  28. 小川国彦

    小川(国)委員 そういうことで、公務とはいいながら実質上無料で通行している車の台数を何台というふうに把握されておりますか、最近三カ年の数字で。なければ一番新しい六十二年度でも結構ですから。
  29. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高速自動車国道を、例えば今のような緊急自動車であるとかその他のそういう規定に基づきまして無料で通行する自動車、こういうものにつきましては、先ほど申し上げましたように、まず我々側として一番大事なのは、果たしてそれが適正な自動車であるかどうか、こういう確認をする必要がございます。もちろん緊急自動車にはそういう規定がございますから、例えば赤色灯の点灯であるとか、それから先ほど御指摘がございました証明書の受領、こういうものにつきまして、料金徴収の適正を確保するために行うものでございますから、実際の手続を申し上げますと、例えば公団の入り口では、ボタンを押しまして緊急自動車というようなことで記録されるわけです。もちろん道路公団の場合は出口もございますから、そこでも同じようなことになろうと思いますが、そういうことでその都度記録をしております。  ただ、先ほどお話をいたしましたように、そのときに確認をしておりまして、一年とかあるいは二年とかというような期間の記録については集計しておりません。
  30. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、この総数については、建設省としてもあるいは道路公団としても把握をされてないということですか。
  31. 三谷浩

    ○三谷政府委員 集計はしておりません。
  32. 小川国彦

    小川(国)委員 これは重大な怠慢だと思います。  私、けさ二カ所ほど料金徴収所を回りまして、首都高速のそれぞれの徴収所のところを回って、こういうものが利用されているかということを確認したのですよ。利用されています。どういうふうに処理されていますかと言うと、これから申し上げますけれども、警視庁で出しているこういう車両通行券、あるいはまた献血供給事業団で出しているこういう券とか、それからまた消防庁の車両通行券とか、これは警察も消防も同じようなものを出しておりますが、全部それぞれに集約して枚数を確認して、料金徴収所が公団に報告をしているというのですよ。そういうふうにしてきちっと枚数を確認して報告されたものが、なぜ集約されてないのですか。
  33. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 今先生お調べいただきました首都高速につきましては、このような緊急自動車等につきましては、年間トータルで、六十二年度につきましては先ほど申し上げました九十三万七千台となっているという報告を受けております。
  34. 小川国彦

    小川(国)委員 日本道路公団は、これを集約してないのですか。
  35. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたけれども、例えば今証明書あるいは赤色灯がついた車がそこを通りますと、料金徴収所で緊急車の操作をいたします、これは具体的にはオペレーターの話でございますけれども。そこで、今先生のおっしゃったような御指摘は、例えばそういうことで不正に通られることがあるのではなかろうか、あるいは……
  36. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっと、答弁は、この枚数を確認しているかしていないかだけを聞いているのですから、そのことだけを答えればいいのですよ、ほかの説明はいいですから。この枚数を確認しているかしていないか、それだけを答えればいいです。
  37. 三谷浩

    ○三谷政府委員 正確な答弁をするために、失礼をいたしました。  その都度その都度の一日ごとについては確認をしております。それで、通った交通量と緊急自動車の台数と、あるいは有料の台数とのチェックを全部させております。  以上でございます。
  38. 小川国彦

    小川(国)委員 一日一日の確認をしたものが、一年間の集計ができないのですか。
  39. 三谷浩

    ○三谷政府委員 全国集計はしておりませんが、六十三年度につきましては、これは道路公団の場合は非常に交通の流れが多種多様でございますので、磁気領収システムが普及をいたしましたので、時間はかかりますが、できます。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 道路局長を相手にしていると時間ばかりかかりますので、実態把握がどういう状況かということはおよそわかってきたのですが……。  警察庁の方、おいでになっていただいておると思いますが、警察庁でこの昭和六十年、六十一年、六十二年、首都高速道路でこうした無料券が発行された枚数は何枚になっているのでしょうか。
  41. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 最初に六十二年の関係をお答えいたしますが、六十二年に通行券の発行券数は、警視庁で約七十八万枚、神奈川県警察が約三十五万枚、埼玉県警察が約七万枚、千葉県警察が約十八万枚でありますが、この通行券は全部の高速道路のものでありますので、警視庁分について申し上げますと、首都高速がおよそこのうち八三%、その他が一七%。埼玉県警察におきましては首都高速が約三六%、その他が六四%というふうになっておるところであります。なお、神奈川県警察と千葉県警察につきましては統一の通行券を使用いたしておりますので、内訳は判明をしておりません。  なお、ただいま申し上げました警視庁七十八万枚というものに該当いたします全体の通行券の発行枚数ということでありますが、六十年は警視庁は七十万枚、六十一年は九十万枚というふうになっておるところであります。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 参考のためにお伺いしたいのですが、警視庁における回数券の購入金額はどのくらいになっておりまして、どういうような部門でそれは使用されておりましょうか。
  43. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 警視庁におきましては、回数券を必要に応じて購入をしておるというふうに思われますが、詳細については現在のところ承知をいたしておらないところであります。
  44. 小川国彦

    小川(国)委員 その数字については、後ほど調査してお答えをいただきたいと思いますが……。
  45. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 警視庁、各所属が大変多いものですから、若干時間はかかるかと思いますが、承知をいたしました。
  46. 小川国彦

    小川(国)委員 まあ、警視庁の実態は大体わかりました。  次に、消防庁についてお尋ねしたいと思います。消防庁の最近三カ年における通行台数は、無料券は何枚になっているか。それからパス券が消防庁の場合発行されておりますが、これは何枚になっているか、それをお伺いしたいと思います。
  47. 川崎正信

    ○川崎説明員 お尋ねの件でございますが、東京都内を管轄いたします東京消防庁につきまして問い合わせましたところ、消防緊急用務車両通行証というものが発行されてございます。  その発行枚数は、これは車両単位でございまして、昭和六十年度当初で千五百七十九枚、六十一年度当初で千六百四枚、六十二年度当初で千六百二枚ということでございます。また、通行の台数を確認できる券といたしまして、通行の都度、消防緊急用務車両通行補助券というものが発行され、これが手渡されてございまして、その発行枚数は、昭和六十年度は書類上不明でございますが、六十一年度は約六万三千枚、六十二年度は約六万八千枚との報告を受けてございます。
  48. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっとパスの方の数字は、六十二年度は何枚とおっしゃいましたか。
  49. 川崎正信

    ○川崎説明員 パスは、六十二年度当初で千六百二枚でございます。
  50. 小川国彦

    小川(国)委員 その内部における使用はどういうような形になっておりますか、どういう目的で。消防庁の場合、この一千六百二枚の車両通行証というのは、いわばこれはパス券のようなものです。それからもう一つ、車両通行補助券というものです。これはどういう部門にどういうふうに配分されて、どういう目的でこれを使うのか、どういうことになっておりましょうか。
  51. 川崎正信

    ○川崎説明員 東京消防庁の通行証等の取扱要領によりますと、消防用車両が高速道路等を通行する場合の取り扱いを定めてございまして、これはそれぞれ所属長に申請をし、その承認を得てパス並びに補助券を受け取るということとされてございます。聞きますところ、現在、東京消防庁の使用します緊急車両並びに業務用車両等のほとんどについてこのパス券を認めておるということと聞いてございます。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 この発行は、東京消防庁で今パス券と補助券について数字が出たのですが、その他の消防についてやはりこういうものの発行は行われておりますか。
  53. 川崎正信

    ○川崎説明員 高速道路の通過する市町村におきまして、消防機関が救急・緊急用務で通行するということは当然予想されるところでございまして、この点につきましては、首都高速公団と地元の市町村消防当局との間で、東京消防庁に準じ、またはそれに類似の、確認できる手続がなされているものというふうに考えてございます。ただ、関係いたします市町村、市町村単位でございますので、ちょっと私ども現段階では把握いたしてございません。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 都市局長さんの方でこれは把握しておりますか。首都高の消防機関が、東京消防庁のほかに、例えば自治体消防署がそれぞれまた発行しているということですが、その総数は把握しておりますか。
  55. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 九十三万七千台という総数だけでございまして、内訳は承知いたしておりません。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、法務省にお伺いしたいと思いますが、検察庁にも同様な無料券がつくられているということでありますが、その発行枚数はそれぞれ何枚であって、どういう目的のためにどういう部門で使われているか、その内容を御説明いただきたいと思います。
  57. 木藤繁夫

    ○木藤説明員 お答え申し上げます。  検察庁の使用する自動車に関しましては、緊急自動車以外の車両でも、犯罪捜査のため使用する自動車につきましては首都高速道路等において料金を徴収しないこととされております。東京地検の場合を調べたわけでございますが、そのような料金を徴収されない扱いを受けるために、検察用務従事車両証明書あるいは公務自動車証明書といったものを作成して使用しているわけでござい良す。六十二年の数しか今のところ把握していないわけでございますが、その一年間におきまして、東京地検の場合、いずれも本庁、第二庁舎及び八王子支部をも含めまして、首都高速道路の関係合計六千九百四十四枚、首都高速道路以外の高速道路の関係合計七百六十四枚をそれぞれ作成し、使用しておるところでございます。  また、使用の際の業務の目的でございますが、犯罪捜査ということでございまして、具体的に申し上げますと、犯人の逮捕あるいは必要箇所の押 収・捜索あるいは関係人からの事情聴取等といったものでございます。  以上でございます。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 検察庁においては、回数券の購入は行われておりましょうか。
  59. 木藤繁夫

    ○木藤説明員 これも東京地検の例を申し上げますと、首都高速道路の回数券を購入していると聞いておりまして、昭和六十二年度、これは年度で申し上げますが、二百五十枚つづりを四冊、合計一千枚、金額にして四十万円購入しておるということでございます。
  60. 小川国彦

    小川(国)委員 厚生省お見えになっておると思いますが、厚生省において、緊急車両として血液運搬車は何台になって、指定台数は何台おりまして、これに対してこういう首都高速を利用する場合の予算措置はどうとられているか。
  61. 小野昭雄

    ○小野説明員 お尋ねの件でございますが、献血供給事業団で現在保有しております血液運搬車は六十八台でございます。このうち四十三台が緊急車両に指定をされているところでございます。なお、この緊急車両の運用に関しましては、国におきまして特別の予算措置を講じてございません。また、東京都が予算措置を講じているというふうにも聞いてはおりません。
  62. 小川国彦

    小川(国)委員 この血液供給緊急用務用に使われております無料券は何枚か、把握しておられますか。
  63. 小野昭雄

    ○小野説明員 献血供給事業団にかかわります実績でございますが、昭和六十二年度の通行券の利用状況でございますが、緊急出動の総回数が七千二百二十三回ございまして、そのうち百七十五回につきましてはこの通行券を利用しておりまして、そのパーセンテージは二・四%というふうになっております。
  64. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省の都市局長さんに伺いますが、このほかの官公庁にこういう緊急用自動車、それに準ずる自動車のための無料券の発行を認めているところは、どういう役所で何枚ございますか。首都高速についてまず伺いたい。それから、道路公団について道路局長に伺いたいと思います。
  65. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  それでは前段のほかの省庁の関係でございますが、首都高速道路や高速自動車国道におきまして料金を徴収しない車は、道路整備特別措置法によりまして道路交通法に規定をする「緊急自動車その他政令で定める車両」ということにされております。緊急自動車以外で無料通行が許されている車は、当該道路の通行または利用が災害救助であるとかあるいは水防活動その他特別の理由で料金を徴収することが著しく不適当であると認められているものでございます。具体的には、運輸大臣、建設大臣の告示で決めておりますが、まず告示の第一番目は、警察庁または都道府県警察におきまして、警護とかあるいは警らあるいは緊急輸送その他の緊急の用務のために使用する自動車でございます。それから二番目は、検察庁におきまして、犯罪捜査のため使用する自動車でございます。それから三番目は、災害救助あるいは水防活動または消防活動のために使用する車で、災害あるいは水防、消防に関係する省庁がこれに当たるのだろう、こういうふうに考えております。それから四番目は、当該道路の沿道またはその近傍におきまして、国または地方公共団体の職員が防疫活動あるいはその他の緊急を要する公務を行うために当該道路の通行を余儀なくされる場合において、当該公務に使用される自動車であり、厚生省等が所管するものでございます。五番目は、当該道路の管理事務に使用する自動車で、例えば維持修繕等の清掃車、こういうものでございます。そのほか、管理事務に使用する自動車を除いては、各省庁、所管省庁におきまして通行するシステムとなっております。  以上でございます。
  66. 小川国彦

    小川(国)委員 三谷道路局長、その説明はわかったのですが、それぞれの項目で、どの省庁で何台認めているかという中身を聞いているのです。
  67. 三谷浩

    ○三谷政府委員 道路公団関係でございますが、道路公団の関係につきましては把握しておりません。
  68. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 首都高速につきましても、全体数は把握いたしておりますが、発行するそれぞれの省庁で何枚ということについては承知いたしておりません。
  69. 小川国彦

    小川(国)委員 道路局長の方も都市局長の方も、日本道路公団なり首都高速道路公団をそれぞれ監督する立場にありながら、これは全く無責任だと私は思うのですよ。こういうような券が、それぞれの官公署で全く独自に印刷されて発行されているということですね。それが何枚印刷されて、何枚使われたという報告も求めていない。それからまた、それぞれの道路公団においてこれをまた確認して、その分類をしていない。それを監督官庁である建設省の道路局も都市局も、総数のみあるいは総数も把握していない。  ちょっと三谷局長にもう一遍伺いますが、さっき一日の数はわかると言ったのですが、年間の総数はわかりますね。
  70. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、記録は全部残っておりますので、若干集計は時間はかかりますが、例えば六十三年度分についてはできます。ただ、今のところ数字は持ち合わせてございません。
  71. 小川国彦

    小川(国)委員 非常に無責任な、でたらめな答弁だと思うのです。六十三年というのは今年度ですから、六十一年度と六十二年度の集計は持っておられますかということを聞いているのですよ。
  72. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほどもお答えしたのでございますが、六十一年度、六十二年度の集計については、業務の適正を確保するために確認ということで記録を短期間についてとっておりまして、集計は道路公団はしていない、こういう報告を受けております。
  73. 小川国彦

    小川(国)委員 重ねて伺いますが、日本道路公団はこれらのこういう公務自動車証明書というものを認めているわけですよね。この発行は認めているわけですね。
  74. 三谷浩

    ○三谷政府委員 法令に定めます料金を払わないで通行するという規定でございますので、先ほど御説明をいたしました省庁の、緊急自動車等についてはこういう証明書、あるいはそれ以外のものについてはこの証明書で通るということについては認めております。
  75. 小川国彦

    小川(国)委員 認めておって、その枚数は確認していない、こういうことですね。――枚数だけでいいですよ、確認しているかしていないかだけで。
  76. 三谷浩

    ○三谷政府委員 枚数は、六十三年度は短期的にやっておりますから集計できます。  それから、過去の数字については私は今報告を受けておりません。
  77. 小川国彦

    小川(国)委員 過去の数字というのは六十二年度、本年の三月で終わった去年の四月からことしの三月までの六十二年度の数字を、あなたの方は確認されていますかということを聞いているのですよ。
  78. 三谷浩

    ○三谷政府委員 もちろん記録は道路公団でやっておりますので、今道路公団で調べさせておりますが、例えば六十一年度のデータについては、電算に入れまして、やはりある期間でそれは廃棄しておりますので、集計はできないというふうに伺っております。
  79. 小川国彦

    小川(国)委員 三谷道路局長、六十二年度はどうなっているかを聞いているのです。
  80. 三谷浩

    ○三谷政府委員 六十二年度も同様だというふうに伺っております。
  81. 小川国彦

    小川(国)委員 あなた、道路局長をやめてもらった方がいいと思うのですよ。こういうので通れば、これでもって何万円という交通費を払わなくて済むわけですよ。一般の国民はみんな日本道路公団に長い距離を利用すればお金を全部払っている。役所は公務だからといって、払わないで済むからといって、それが何枚発行されているかという総数も確認していないような監督官庁の道路局長は、私はその任をやめてもらった方がいい、こう思いますよ。あなたは道路局長として、国会の この場所でこの総数を確認していないということが道路局長の責任として恥ずかしくないかどうか、その点を御答弁願います。
  82. 三谷浩

    ○三谷政府委員 六十一年、二年につきましては先ほどのようなことでございますが、六十三年度から磁気カードシステムを拡充しておりますので、これについては先ほど申し上げましたように集計をさせるよう命じます。
  83. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたの言っていることは、今この委員会でも証人喚問なら――をついているのですよ。一日一日の集計があると言って、それで今度は六十一年、六十二年の集計がもうないなんて、そんなでたらめなことを……。だから、あなたへの質問は保留しておきますよ。そういう無責任な局長に質問していても、これは怒りがくるだけですから。  首都高速の方で、もう一遍戻って伺いますが、警視庁では大変な枚数を使用なすっている。七十八万枚の約八三%が警視庁で使われているというのは大変な数字になるわけです。約六十四万七千四百枚が警視庁の首都高速分です。これはいろいろ緊急の用務で動いていらっしゃると思うのですが、枚数が余りにも膨大に上っているが、警察庁の方ではこの目的はどういうふうに、どういう部門でお使いになっているか、把握されておりますか。
  84. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 警視庁における通行券の使用は、警衛、警護、警ら、緊急輸送その他緊急の用務のために使用しているものであります。警察は、そのときに応じまして各般の業務を行うという立場でありますので、個々の目的ごとの使用枚数を計算するということは技術的な困難がございます。  ただ、あくまでも一般論でありますけれども、犯罪捜査、交通事故の処理も広い意味で犯罪捜査でありますが、そうした意味で犯罪捜査あるいは警ら、警戒等の犯罪防止活動、こうしたものに主として使われているというふうに一般論としては御理解いただいてよろしいかと思います。
  85. 小川国彦

    小川(国)委員 これは警視庁には、例えば刑事部があるとか交通部があるとかあるいは公安部があるとか、部門がいろいろありますね。こういう部門別の集約は確認されておりますか。
  86. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 警察は先ほど申し上げましたように非常に広範な業務を担当しておるということと、警察署など総合的な目的を持っている部署もあるというようなこともございまして、部門別の使用枚数の計算というのは技術的な困難もございまして現在いたしておらないところであります。
  87. 小川国彦

    小川(国)委員 消防庁に伺いますが、消防庁のこの約七万枚の枚数は、東京消防庁の本庁とか、例えば城東消防署とか日本橋消防署とか出先がありますが、そういう部門別、それから目的別にどういうふうに使われているか、把握されておりますか。
  88. 川崎正信

    ○川崎説明員 ただいまのところ、東京消防庁から総数についての報告を受けている次第でございます。  なお、これはどのような目的、当然のことといたしまして、緊急、救急、消火、消防活動等によって使われておるものでございますが、活動ごとの仕分けというのは困難と考えますけれども、どの単位でどのようなところで多く使われるというものがわかるのかどうか、これは御質問の趣旨を体しまして、なお東京消防庁に聞いてみたいと考えます。
  89. 小川国彦

    小川(国)委員 私が調査したところでは、消防庁でいいますと、何々消防署というのがそれぞれ申請をして交付を受ける、そして残った枚数が何枚ある、それから繰り越しが何枚ある、こういうのを見ておりますけれども、本庁の使っている数が圧倒的に多いのですよ。出先の緊急車両のあるところの使用枚数が非常に少ない。それから、通行証明書を千五百枚つくって、それから今度こちらの補助券は七万枚つくっているのですね。考え方によれば、これが千五百枚あればもうこれで十分じゃないかというふうに考えるところに、こっちをまた七万枚つくっているわけですね。しかも、緊急車両の多い出先の消防署よりも本庁の補助券使用量が圧倒的に多い、こういう実態があるのですよ。そういうことは消防庁の方でお調べになっておりませんか。
  90. 川崎正信

    ○川崎説明員 現在までのところ、東京消防庁における使用の具体の実態については、私どもとして把握いたしてございませんが、東京消防庁で具体の使用についてどのような、この分類が可能かどうかはわかりませんけれども、総数ではなくて、使用の姿がもう少しわかるような実態については報告を受けてみたいというふうに考えます。
  91. 小川国彦

    小川(国)委員 私の調査したところでいきますと、例えば東京消防庁の本庁の管理課というところでは、申請枚数が六百三十枚、使用枚数が五百六十二枚、繰り越し枚数が二十一枚、返納四十七枚。本庁の人事課では、補助券の申請枚数が二千百枚、返納枚数が百十二枚、使用枚数千九百八十八枚。こういうふうに本庁は非常に大きいのですよ。本庁の例えば広報課というようなところで、六十二年度受領千六百八十枚、六十一年度繰り越し二十一枚、こういうので広報課あたりで千六百八十枚も使われている。  それから、今度牛込署とか四谷署とか上野署とかこういう署に参りまして、例えば王子署などではこれは非常に出動の多いところだと思うのですが、こういうところでも申請二百十枚、繰り越しが十一枚あって六十二年度は二百二十一枚、品川署で八百六十一枚とかいうふうに、出先よりも本庁の一般行政と思われる部門の使用の方がはるかに多くなっている。これは緊急用自動車の範囲を逸脱しているのじゃないか、そういうふうに思うのですね。  そういう点で警察庁や消防庁は、こういう券を発行する法的根拠というものはどういうふうなところにおありになるとお考えになっていらっしゃいましょうか。
  92. 川崎正信

    ○川崎説明員 東京消防庁におけるその発行の考え方につきましては、もちろん首都高速公団との協議の上で、法律の趣旨を体してなされておるものというふうに考えますが、特に本庁、出先、単にそれだけの区分というふうに考えるべきではなくて、やはり一般の予防活動なり、いわゆる広報活動とかいう部門も相当ウエートを占めるところでございますので、もう少しその使用の実情について、先生の御指摘も踏まえて聞いてみたいというふうに考えます。
  93. 小川国彦

    小川(国)委員 警察庁の方ではこの法的根拠はどういうふうにお考えになりましょうか。
  94. 鈴木邦芳

    鈴木説明員 警察車両は、道路整備特別措置法及び関係の附属法令によりまして、一定の要件で高速道路の無料通行を認められておるというふうに理解をしておるものであります。通行券は、法令によりまして無料で発行するに際しまして、事務や管理の便宜のため、道路管理者と警察との間の合意により定められているものであるというふうに理解をしておるものであります。
  95. 小川国彦

    小川(国)委員 これは発行されている役所からいえばその法的根拠が明確に出てこないのは当然なんで、これは建設省の方に伺いたいのですが、緊急用自動車のこういうような券の発行の法的根拠というものはまずないということなんですよ。建設省の法律でも政令でも省令でも規則でも通達でも、こういう車両通行券を発行してよろしいという、その制度の法律的根拠があったらまず示してもらいたいと私は思うのです。これがないということですよ。  それからもう一つ。道路整備特別措置法とか道路交通法の三十九条一項、それから道路交通法施行令第十三条、この条文を全部見てまいりますと、緊急用務の車というのは明瞭にわかるということに法律でなっているのですよ。だからこの法律からは、ただ券とか、私ども白券とも言われるし、きょうカウンターに行って聞いたら雑券と言われてましたよ。何だかわからない、役所がむやみやたらに勝手にこういう金券と同じようなものを発行して、それでこれを全部回収している人たちは、表現のしようがないから雑券と言っていましたよ。公務通行券なんて言っていませんでしたよ。  結局、緊急用自動車というのは何かというのを道路整備特別措置法と道交法三十九条、施行令の十三条から見ていきますと、まず消防自動車と救急用自動車である。それからそのほか政令で定める自動車もあるけれども、それも決められている。そして、緊急自動車を特定するために、道路交通法施行令の第十四条で、緊急自動車の要件というのはサイレンを鳴らしながら行くことだ、かつ赤い色の警光灯をつけなければならない、こういうことになっています。これが緊急自動車の定義になっているのですよ。そうすると私どもは、東京警視庁の七十万枚にせよ、東京消防庁の七万枚にせよ、赤色灯をつけて、そしてサイレンを鳴らしている車がそんなにたくさん通っているだろうかと考えてみると、私どもしょっちゅう毎日のようにあそこを利用させていただいていますが、そういうふうなサイレンを鳴らして赤色灯を載せている車がそんなに通行しているのを見たことがないのですよ。火事の場合、今ののろのろ高速道路を通っていたら全部燃えちゃうんじゃないかという状態ですから、とてもこれを使っていたらまずいという状態の方が多いのです。だから、サイレンを鳴らして赤色の警光灯をつけたというのは見たことがない。そういうことからいくと、法的根拠はないんですね。  しかも、昭和三十一年の道路局長通達では「料金徴収免除の適用について公正を期し、料金収入の確保に遺憾のないよう措置されたい。」こういうふうに書いています。これが道路局長さんの通達で出ているわけですよ。こういうものを見ますと、こういうような券を出す法的根拠はまさにないということなんです。皆さんにこういう券を出す法的根拠があるならばここで示していただきたい。簡潔に御答弁願いたいと思います。
  96. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今御指摘がございましたように、特措法、道路整備特別措置法でございますが、それで道路交通法の緊急自動車、あるいはその他政令でということで二種類あるように決めております。したがいまして、こういう緊急自動車あるいは政令で定める車両、こういうものにつきましては、そういうときには料金を払わないで通る、こういうことについてはここに根拠を認めております。もう一つの、サイレンを鳴らしている車がどのくらいかということについては、ちょっと私も所管でございませんので、緊急自動車として、あるいはその他の政令で定める車両として官公庁が発行しているものについては、ここに根拠を置いて私ども無料通行を認めている、こういうことでございます。
  97. 小川国彦

    小川(国)委員 首都高速の方、都市局長からも……。
  98. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 首都高速につきましても、この料金を徴収しない自動車につきましては、「道路交通法第三十九条第一項に規定する緊急自動車その他政令で定める車両について」という考え方は、同じ根拠条文に基づいてやっております。
  99. 小川国彦

    小川(国)委員 この規定で、緊急用自動車というのはすべておのずから外見でわかるというふうになっているのですよ。警察の車は白い色、あるいは黄色い色とか赤い色とか、それぞれ外見標識でわかる。徴収猶予を与えているのは車に対して与えているのですよ。それを皆さん方はだんだん拡大解釈をして、緊急自動車その他というような項目を入れていって、そしてだんだんそれを拡大してしまって、さっき申し上げたように、消防庁の例ではないけれども、一般業務に及ぶようなところにまでこの券が使われ始めている。そういうふうに拡大解釈していった、だから緊急用自動車というのをあのいわゆる一つ一つの料金徴収所で確認できなくなってきちゃった、だから今度こういうものの発行を認めるようになってきたと私は思うのですよ。そうでなければ、外見でそれぞれの緊急用務は判断できるのですから。その他、例えば覆面パトカーのような問題もあるでしょうが、そういうものはそれなりの、ごく一部の例外についての処理の方法はあると思うのです。  だから、これは建設省の道路局にしても都市局にしても、この券を発行していいという法律根拠はないのですよ。緊急自動車その他を徴収猶予できるという規定はあるけれども、こういう券を発行してよろしいですという規則か規定を皆さんは持っていますか。その規則か規定があったら示していただきたい。道路局長と都市局長にそれぞれ示していただきたい。
  100. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  料金徴収の対象は道路整備特別措置法に書いてありますが、これは道路交通法の規定いたします緊急自動車とその他の政令で定める車両ということで、実はここで法律では決まっております。したがいまして、その法律を受けて施行令がございまして、先生御案内のとおり料金を徴収しない車ということで、運輸大臣、建設大臣、その他の道路にあるものについては云々というような規定がございます。それを受けまして告示がございまして、各省庁がこの告示に従いまして証明書で確認をする。  それからもう一つは、緊急自動車等につきましては確かに先ほどおっしやるとおり外見、つまり赤色灯云々ということで判断できるわけでございますので、料金徴収員はそれで的確にそういう判断をして通行を認めている、こういうことでございます。
  101. 小川国彦

    小川(国)委員 日本の公的な交通機関でこんなでたらめをやっているところはないですよ。例えばかつての国有鉄道が、国民の鉄道だ、だからといって各省庁が、警察も検察も厚生省もあるいは消防庁も、そういうところがそれぞれ公務だからといってその国鉄の乗車券を発行して自由に乗るということを許していましたか。私は、こんなことをやっているのは道路公団と首都高速道路公団、その他の公団にも及ぶでしょうが、建設省が監督している公団しかないと思いますよ。しかも道路局長においてはその総数も把握していない。これは全く無責任ですよ。それから都市局長においてもその中身を把握していない。各省ごとに何枚発行されているかというその確認もしていない。監督官庁の無責任さは本当に目に余ると私は思います。こういうところに道路公団の今度の値上げがまた出てくる。首都高の値上げ、二年ちょっとの間に五割もアップされる。そういう無責任な経営体質というものは、監督官庁の皆さんのこういうずさんな、乱脈な経営指導にあるというふうに私ども指摘せざるを得ないと思うのです。  田澤大臣、所管が違って大変恐縮ですが、国務大臣という立場で、この議論をお聞きくださっておってどういうふうにお考えになるか。私ども先ほど自衛隊のそれぞれの利用状況を伺いましたが、非常にきちんとされて対処されているというふうに判断をしているわけです。建設省のこうしたずさんなやり方というのは非常に重大な問題点を含んでいる、こういうふうに思いますが、大臣の国務大臣としての所見をひとつ伺いたいと思います。
  102. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 御質問にお答えする前に、決算委員会は私は初めてでございますので、したがいまして、一言ごあいさつを申し上げたい、こう思います。  私は、八月二十四日に防衛庁長官を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  自衛隊の役割については、申すまでもございませんけれども、我が国の独立、平和、そして国の安全を確保するという、国家存立の基本に関する重要な役割を果たすのでございます。この大任を果たすために、皆様方の御協力をいただいて、誠心誠意努力してまいりたいと思いますので、将来とも変わらざる御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。  さて、ただいまの御質問でございます。私も今ずっと聞いていまして、確かに当初緊急時の車両の無料通過というのは必要であるために設定されたものと思いますが、長い間にだんだんそういうことが、何かきちっと整理されないまま惰性に流されているような嫌いが合うかがえました。したがいまして、防衛庁から考えてみましても、平時の場合でも災害の場合だとか、あるいはまた有事 の場合はもちろんでございますが、そういうときにはやはり緊急を要しますからぜひそういう恩典は必要だと思いますけれども、そのことによって全体が乱れて、いわゆる御指摘のような形であってはいけない、こう思います。  将来とも、この問題については各省庁とも、特に建設省はこの問題については一層慎重に検討していかなければならない問題ではないかと思いますので、一言だけ申し上げます。
  103. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思います。
  104. 野中英二

    野中委員長 ただいまの小川国彦君の発言中、不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当な処置をとることといたします。(発言する者あり)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  105. 野中英二

    野中委員長 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。     午前十一時十五分休憩      ────◇─────     午前十一時三十一分開議
  106. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、「なだしお」の事故についてお伺いしたいのですが、この問題については現在海難審判にかけられています。どちらが悪いということではなくて、あるいは潜水艦に手落ちがあったかもしれない、あるいは第一富士丸に手落ちがあったかもしれない、また両方に手落ちがあったかもしれないし、また両方に手落ちがなかったかもしれないわけでありますけれども、とにかく一つ言えることは、東京湾の現在の船の過密状態、それから東京湾の湾内の状況といったものを考えた場合に、これはある意味では起こるべくして起こった事故ではないかという気がするわけであります。  既に東京湾においては、最近においても、最近といっても十年ぐらい前になりますか、中ノ瀬航路で発生した第十雄洋丸四万三千トンとパシフィック・アリス一万八千トンの衝突によって三十三名が死亡したというような大きな事故もあるし、そのほか中小事故はもう数え切れないほどあるわけであります。こういう状況の中で、当然運輸省あるいは自衛隊、関係各省庁が協力して東京湾内の交通安全を図る、いわば法体系というかルールを完備していなければならなかったはずでありますけれども、そういう点で非常にまだ不備な点がある。  そして第一に、東京湾の状況からして、例えば浦賀水道ですけれども、有効幅員が七百メートルしかないという状況ですね。それから中ノ瀬航路についてもやはりそれ以下という状況であります。そういうところへ大型船がどんどん入ってくる。特に十五万トン、二十万トンのタンカーの場合には回転半径が五百メートルなければ回転ができないということがありますね。数十万トン、二十万トン以上のタンカーがどんどん入ってくる。そのほかにもたくさんの船が入ってくるわけでありますから、そういう状況の中で、現在のようなルールがあってなきがごとし、浦賀水道あるいは中ノ瀬航路においてはこれは一定のルールがあるのでしょうが、それ以外のところについてはルールはなきに等しいというふうに聞いておりますけれども、こういう状況の中でああいう事故が起こるというのは、起こるべくして起こったということが指摘されておるわけであります。  そういう点で、そういうことをやらなかったという国の不作為の責任があるのではないか、どちらがいい悪いということを問う前にあるのではないかと思います。そういう点で大臣はどういうお考えでございますか。
  108. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 潜水艦「なだしお」と第一富士丸の衝突事故につきましては、海上自衛隊もその一つの当事者でございますので、この事件はまことに遺憾に考える次第でございます。  今、衝突事故原因については、御指摘のように海難審判だとかあるいは検察当局で捜査を進めておりますので、私たちは、正しい事実関係、それから事故原因が速やかにしかも公正に行われますことを期待いたしているような次第でございます。  しかも亡くなられた方々に対しましては、既に申し上げておりますように、衷心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対して心からなる弔意を表する次第でございます。  今御指摘のように、防衛庁としましても、この痛ましい事故を二度と起こしてはいけないというので、再発防止対策をいち早くつくりまして、現にそれを実施しております。またもう一つ、今御指摘のように、浦賀水道は、商船、漁船あるいはレジャー船、それに、横須賀に基地があるものですから自衛隊の艦船が通るというようなことでございますので、それに対する対策として、政府は、第一富士丸事故対策本部をつくりまして、石原運輸大臣が本部長になって対策を進めてまいりまして、過般それに対する対策要綱の決定を見ているわけでございまして、今後さらに世論に応じてその対策を進めていきたい、こう考えているものでございます。  ただ、今何か、何もしなかったからそれは政府の責任じゃないかというようなことのようでございますが、これまでも、あの地域については海上衝突予防法あるいは海上交通安全法等によりましてそれぞれその法律をわきまえながら進めてきているわけでございます。特に防衛庁はその法律をよくわきまえながら、例えばあの浦賀水道に入る場合は隊列を解除してそれぞれの船の艦長が責任を持って行うなど、十分な注意を払ってこれまでも来ているわけでございます。  不幸にして衝突事故が起きたのでございますので、今後、御指摘のように痛ましい事故が二度と起こらないように私たちは再発防止のために積極的な努力をしてまいりたい、かように考えております。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 衝突予防法あるいは海上交通安全法、これは確かにあると思いますけれども、それは航路の中あるいは水路の中等、それ以外のところについてはこの法律が適用されるかどうか、これは適用されないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  110. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 私どもの所管の法律でございますので、私の方から御答弁させていただきます。  現在、東京湾につきましては、三つの法律が適用されております。第一に例の浦賀の航路、それから中ノ瀬の航路について航法を規制しております海上交通安全法、それから東京港、千葉港等の港域内に適用されます航法を特に定めております港則法、そしてそれ以外の海域に適用されるのがただいまお話のございました海上衝突予防法でございます。  以上の三法で、私どもの方といたしましては、航法上必要なすべてのルール、海上交通ルールというのは定まっていて、これを守っていただければ事故がない、かように考えております。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 ところが、現在東京湾に入る船の数は、一年間にどのくらいいっていますか、二十万隻ぐらいいっているのでしょう。それから、特に横須賀港は軍港というか海上自衛隊の基地あるいは米軍の基地でもあるわけですから、そういう特殊な施設、それから特殊な艦艇がそこを出入りする、頻繁に通るということになりますと、この二つの法律ではとてもカバーし切れない状態ではないかということが専門家によっても既に指摘をされているわけなんです。そういう点で、この二つの法律だけで東京湾の交通を安全に確保することができるかどうか、できないという指摘が今されておるわけです。  そういう点で、例えば自衛隊あるいは米軍、それと一般の船舶の交通の安全を確保するための協定なり交通の調整、そういったものができていないのではないか。それがもしできていないとすれば、こういう問題は、例えば「なだしお」の事故のようなものは起こるべくして起こったんではな いかということが言われてもいたし方ないわけですが、そういった点について十分の法的なルールの確立がされておるかどうかという点はいかがでしようか。
  112. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 ただいまの御指摘の件でございますが、まず東京湾の入湾してまいります船の状況を申し上げますと、六十一年で浦賀水道航路を通ります船が七百二十二隻ございます。一日当たり七百二十二隻が浦賀水道航路を航行しておるわけでございますが、海上交通安全法を定めました昭和四十年代半ばのころと横並びか、若干減少ぐらいのようでございます。  それから、横須賀へ入る船、それから横須賀から出てくる船がどうかということでございますが、今回の事故の直後の七月終わりごろに調査しました結果によりますと、一日当たり出入りが大体二十隻弱というような状況でございまして、今おっしゃいましたような特段のルールというものを例えば今おっしゃったような船に適用するという必要はない。現行法というものは、御存じのとおり、海上自衛隊の艦艇であれ、いかなる米軍の艦艇であれ、すべて適用をされまして、国際的にも了解されておるルールでございまして、それが適用される状況でございます。したがいまして、特段のルールの改定というものまでは必要ないんではないか。現状の状況がそういうことでございますし、また保安庁は、そのルール以外にもいろいろと、海上交通センターというような航法支援のためのいろいろな施設をつくりましたり、それから必要なところでは海上交通についてさらに追加の指導をするというようなことをやっておりますので、現在のところではそういうルールの見直しということは必要ない、かように私どもは今考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、事故の起こったときの気象状況については決して悪い気象ではなかったし、視界も十分であった、こういうことが言われております。そして、その湾内を規制する諸法規についても十分であった、これ以上必要ないということであれば、なぜああいう不測の事故が起こったのかということについて甚だ疑問なわけでありますが、ああいう決して気象条件も悪くなかった状況のもとでなぜ問題が起こったのか、そこらはどうなんでしょうか。
  114. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 お答え申し上げます。  今回の場合につきまして、基本的に、事故の起こりました原因というのは、先ほど先生から御指摘ありましたように、あそこは非常に、その当時はまだ交通量も少ない時間帯でございまして、それから視程も非常によかったということで、私どもの考えておりますのは、先ほど申し上げました海上衝突予防法というルール、このルールを両当事者が適切に守っていれば避けられた事故だ。残念ながら、既に御存じのとおりの書類の送検を行っておりますが、両当事者が適切な衝突予防法に従った対応というものをとらなかったために今回の事故が起こったということを考えております。  ただ、先生御指摘の中で、いろいろな航法援助のための情報センター、海上交通センターというものを使って情報の提供を行っておりますが、これについては今まで部分的に足りない部分がございました。そこについては、今回の政府の対策本部決定によりまして、海上交通センターについての情報提供機能の充実強化を図り、対象船舶を広げていくということで、足りない部分はさらに現在の体制を強化していくということでやっておるところでございます。  基本的には、先ほど申し上げましたように、今回の事故は大変痛ましい事故でございますが、当事者の法律に対する遵守がやや足りなかったということではないか、かように考えております。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 情報提供というお話ですけれども、情報提供はどの程度に行われているわけですか。潜水艦に対しては基地から既に誘導、これは航空機を電波で誘導するのとは違うわけでしょうから、どの程度に情報が常に提供されているのか。  それからまた、民間の船舶とはいってもこれは許可を得ている船舶でしょうから、海上の航行には安全な性能と必要な機器等は備えているはずでありましょうけれども、どの程度に外部からの情報が提供されているわけですか。
  116. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 お答え申し上げます。  現在、東京湾海上交通センターで情報提供の対象としております相手方でございますが、まずいわゆる巨大船等と呼ばれます二百メーター以上の船、それから危険物積載船、それから長さが二百メートル以上になります押し船、引き船、こういったものにつきましては、あらかじめ入港時刻、入湾時刻を出させまして、これについて調整をやっております。さらにこれ以外に、一万トン以上の大型船につきましても同様に、事前に通報を出させまして、いろいろと必要な指導をやるということにしております。それからさらに、旅客船につきまして、旅客船が事故を起こしました場合大変問題でございますので、これについて、あらかじめ一定のラインを通りましたときに、位置通報ということで通報をさせまして、これをレーダー画面上で常に監視をしておる。それで、何か行く手に例えば漁船の集団がおる、避けなければならないというようなときには、こちらからVHFを通じまして船を呼び出しましてそういう情報を提供して、すぐに避けなさい、危ないですよというような情報を提供する、こういう格好になっております。  今回御指摘のございました潜水艦につきましては、従来位置通報が行われておりませんでした関係上、レーダー画面にそれの位置を把握することができませんでした。それで、今回の事故にかんがみまして、それにつきましては新たに東京湾海上交通センターの方へ位置通報をしていただくということになりましたので、これからは常に位置をレーダー画面上でとらえまして、位置のいろいろな情報、例えば危険情報ですとか海象情報ですとか、そういうことの提供ができるように対応したというところでございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、民間の船につきましては十分把握をしておる。一方、潜水艦については、もちろん海上自衛隊の諸艦艇については自衛隊の方で基地あるいはどこか知りませんけれどもそこからやっておる。これは当然やっておるはずですね。民間の船以上に完全な把握あるいは指示を与え、常に情報交換をやっていると思いますけれども、そうしますと、これは、一方では民間の系統でやっておる、それから自衛隊でもやっておる、その相互の連絡が悪かったということですか。海上自衛隊の各艦船に対する統制あるいは情報の交換、そういう点についてはどういうことになっておりますか。
  118. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 済みません、もう少し補足して御説明をさせていただきます。  東京湾海上交通センターでは、民間船に限らず、先ほど申し上げましたように、自衛隊の艦艇からも、出港される際、入港される際にはすべて位置通報をしていただいております。位置通報をしていただいて、レーダー画面上でこれをとらえるようにしております。  今までは潜水艦については位置通報をしていただけませんので、レーダー画面上でどれがその対象潜水艦かということが把握できませんでした。しかし、今回の「なだしお」の事故にかんがみまして、これからはすべて位置通報をしていただくということで位置通報の対象を広げました。そういうことで、すべてレーダー上にとらえるように対応しております。したがいまして、民間船であれ自衛隊の艦艇であれ、すべて海上交通センターのレーダーでとらえて、必要な情報の提供を行うという体制をとったということでございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、自衛隊の艦船については今まで潜水艦だけやっていなかったということですか。
  120. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 今までは護衛艦はすべてやっていただいておりましたが、潜水艦はやっていただいていなかったということでございます。  それで、今回の「なだしお」事故を受けまして、実際に潜水艦も含めてすべての自衛艦艇についてやっていただく、こういう体制になったというこ とでございます。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、潜水艦だけは抜けておったというのはどういう理由ですか。何か戦略上の配慮があるのですか。それとも何かほかに配慮があったわけですか。
  122. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 これは今までの対応と申しますのはあくまで任意で、当事者の方から申し出をしていただけた場合に初めてできるという任意の対応でございました。したがいまして、例えば米軍艦の場合、それから自衛隊の護衛艦の場合は任意にこちらに通報していただけたので、レーダー画面上それが把握できた。しかし、今回の事故を契機に、今まで残念ながら任意に通知をしていただけませんでした潜水艦についてもすべて通知していただくという体制が整った、こういうことでございます。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、潜水艦はなぜ任意に申請をしなかったかということなんですけれども、その申請をしなかった理由は何かあるのかどうかということです。
  124. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  海上交通センターへの通報につきましては、全般的にただいま海上保安庁の課長から御説明をいただいたわけでございますが、法律上義務づけられておりますものには、現在の自衛艦、護衛艦といいますものは第二次世界大戦までの巨艦と違いまして小そうございますので、その法律には該当しないわけでございますけれども、私どもはやはり航行の安全という観点から自発的に通報させていただいておったわけでございます。  ところが、なぜ潜水艦につきましては通報していないのかということでございますが、浦賀水道のようなところに参りますと潜水艦はすべて浮上航行をさせております。潜航航行はいたしておりません。これは航行の安全のためでございます。ただ、潜水艦が浮上航行いたしましても、浮上している部分は非常に小そうございます。したがいまして、私どもが通報いたしましても、これはセンターの方でのレーダーが必ずしも正確にとらえることができない、困難であるというふうな事情がございまして、通報いたしましてもその効果が発揮できないというような事情があります。これはただいま申しましたように、護衛艦につきましても、法律上ではありませんで事実上の行為でございますので、運輸省、海上保安庁の方ともお話し合いの上、私どもの方で通報をいたさなかったわけでございます。  今回、通報いたしました場合にも、そのままの状態でございますればこの事実は解消されないわけでございますので、あわせまして、私どもは予算要求等をいたしておりますけれども、この浦賀水道を航行いたしますときにはレーダー反射体というものをそれにつけまして、浮上している部分が非常に小そうございましても、センターの方のレーダーにキャッチできるように、そういうレーダー反射体というものを装備することによって航行する、こういうふうな措置をあわせてとらせていただきたいと思います。  このレーダー反射体は来年度予算で要求しておりますので、現在どの潜水艦もついておりませんけれども、ただ、通報するということそのものは既に始めさせていただいております。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 専門的なことはわかりませんけれども、日本の潜水艦はいわゆるシュノーケル型というものですか、原潜ではありませんから浮上して航行する期間というか距離、時間が当然長いわけですね、原潜と違いますから。時々浮上しなければ息が詰まってしまうでしょうから。そういうことを考えた場合には、やはり潜水艦といえども普通の艦船の扱いをしていかなければいけないのじゃないかと思います。  それから、潜水艦は特に浮上して航行している場合には船舶としての安定性というか操縦性というか、そういった点でもかなり落ちると言われております。そういう点を考えた場合になおさらのこと、潜水艦については情報を提供し、あるいはまた基地における統制というかそれに服していかなければ危険が伴う、こういうことになるのじゃないかと思いますけれども、そういう点で、ほかの艦船と違った一層の入念なフォローが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  126. 日吉章

    ○日吉政府委員 先生ただいま御指摘のように、潜水艦は非常に特殊でございます。そもそも潜水’艦の航行といいますのは潜航する、潜って行動するのが本業でございますけれども、浦賀水道のような交通ふくそう地域に入りました場合には浮上して航行しなさいということで、浮上して航行させているわけでございます。  それから、浮上いたしました場合にも運行性能というものはそれほどよくございません。といいますのは、潜って行動することを目的にいろいろな設計がなされておりますので、浮上いたしました場合にも水上艦艇のような敏捷性等はございません。したがいまして、他の艦艇に比べますと浮上航行では大きなスピードが出ないというような性能のものになっております。したがいまして、浦賀水道等の浮上しての航行に当たりましては、見張り等につきましても厳しい制限といいますか規則を設けておりまして、見張りの人数を何人立てないといけないとか、こういうふうな措置をとってきております。  ただ、今回政府でお決めいただきました措置の中では、見張りの人間をさらに一人ふやすというような措置も加えてとらせていただいております。
  127. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、潜水艦の特殊な性質上、要するにこれは要注意なわけですよ。一般の船舶以上に注意をしなければいけない。自分が注意をしなければいけないし、また潜水艦に近づく船も注意をしなければいけないわけでしょうけれども、あらかじめそういう危険が特に予想されるわけですが、潜水艦の訓練あるいは航行中のいろいろなマニュアルといいますか原則、基準、そういった点に抜かりがあったのではないかという気がするわけであります。そういう点ではいかがでしょうか。
  128. 日吉章

    ○日吉政府委員 今回衝突いたしました事故原因につきましては、現在第三者機関でございます海難審判庁で審理されているところでございますので、そちらの方あるいは司法当局の方で結論が出ることと思いますので、その結論を待ちたいと思います。  ただ、私どもは「なだしお」艦長及びその他の乗組員から事情聴取している限りにおきましては、これまでの訓練あるいは自衛隊が定めております規則、そういうようなものに特別の手落ちがあった、そういう手落ちが今回の事故に直接連なっているというようなものは実のところ見当たらないというところでございます。
  129. 新村勝雄

    ○新村委員 いや、我々一方的に「なだしお」が悪いとは決して言っておりません。どっちが悪いかわかりません。ただ、潜水艦の性質上、浮上して航行する場合は、潜航中はこれは別でしょうけれども、素人から考えればその船の性質上危険が多いと考えざるを得ないわけですけれども、そういうことに対して十分対応できる訓練の航行の基準、マニュアルというんでしょうか、それが確立されていたのかどうか、それが一つの疑問なわけですね。  それからまた、今までのマニュアルが不十分であったとすれば、どういう点、どういう点といってもここで専門的なことを伺ってもしようがありませんけれども、そういった点について、この事故を教訓として十分補完されたのかどうか、またされようとしているのかどうか、そういう点はいかがですか。
  130. 日吉章

    ○日吉政府委員 事故の原因につきましては、ただいま申し上げましたように、第三者機関でお調べを、御検討をいただいておりますので、その結果を待ちたいと思いますが、その結果どういうことになりますかでございますが、私どもとしましては、航行そのものにつきましては特段、決定的に改めるべき点、強化すべき点等は今のところ見当たらないのではないか、かように考えております。  ただ、不幸にして事故が発生いたしました後の 遭難者に対する対応につきましては、水上艦艇と違いまして、潜水艦といいますものは水上におきます事故の発生等を予測いたしておりません。なおかつ、先生御案内かと思いますが、潜水艦は中が非常に狭い船でございますので、その狭い中を極めてむだのない形で効率的に機器等で覆われておりますものですから、水上事故に際しての救難装具というようなものがございません。そういうものが、今回の事故後の処理におきまして、乗組員は精いっぱいの努力をしたと思いますが、水上艦艇と違って敏速なる動きがなかなかできなかった点があろうかと思います。  したがいまして、事故は起こってはならないわけでございますが、万が一不幸にして事故が起こりました場合に、潜水艦という性能を損なわないで、どの程度までそういう場合に救助活動が効果的にできるかという観点からの救難具等の整備は検討いたしたい、かように考えております。
  131. 新村勝雄

    ○新村委員 潜水艦に限らず、海上自衛隊の艦船についていわゆる救難訓練、こういったことはやりますか。
  132. 日吉章

    ○日吉政府委員 航行訓練、戦術訓練等とともに救難訓練も非常に重要な訓練課題の一つになっておりまして、水上艦艇、潜水艦ともども十分なものをやっているつもりでございますが、さらに、こういう事故が起こりましたので、これを教訓といたしましてその強化を図りたいと考えております。
  133. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、相手の方の第一富士丸でございますけれども、この第一富士丸というのはかなりの老朽船であった、航行の許可検査は受けていたんでしょうけれども、航洋船としては適当ではなかったというような指摘もありましたが、その点はいかがですか。
  134. 松村文夫

    ○松村説明員 御説明いたします。  第一富士丸は昭和四十五年四月に漁船として建造をされたものでございますが、これが昭和五十八年十二月に遊漁船に改造されまして、その時点で行われました定期検査におきまして、船舶安全法上、旅客船といたしまして構造、復原性あるいは救命設備といった基準に適合していることは確認されております。その後も毎年定期的な検査が行われておりまして、最近では六十二年の十二月に定期検査をいたしまして、これに合格していたものでございます。
  135. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、痛ましい犠牲者がたくさん出たわけでございますが、これに対する補償ですね、これについては万全を期さなければいけないと思いますが、今これはどういう段階ですか。
  136. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 賠償の問題でございますけれども、これは御遺族を第一義的に考えまして、まず負担割り当てについては、やはり原因究明と関係がございますので、それは今のところ外に置いて、今積算作業を進めているところでございます。したがいまして、積算作業を進めるに当たっては、第一富士丸の親会社でありますところの富士商事の了解をいただかなければなりませんものですから、富士商事に、私たちの方で積算作業を進めたいが御了承いただきたいということを申し入れいたしました。ところが富士商事としては、私たちは負担能力はない、また責任もないということで、そういう態度でございましたので、そのことについてはこれからいろいろまた法的な措置を講じなければなりませんけれども、まず御遺族の方々にできるだけ早い機会に賠償の問題を処理をしてさしあげなければならない、こう思いまして、ただいま積算作業を各省庁といろいろ協議をしながら進めているという状況でございます。できるだけ早い機会に賠償の作業を進めまして御遺族の皆様方におこたえしたい、かように考えております。
  137. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、補償については国というか防衛庁が窓口になって遺族の方々と話し合いをする。責任の割合、まるきり防衛庁が悪いわけでもないのでしょうけれども、仮に一方に一定の責任があるということになれば、国が遺族に払って、富士商事ですかの責任の分については富士商事に求償する、こういう形になるわけですか。
  138. 藤井一夫

    ○藤井(一)政府委員 賠償の問題につきましては、ただいま大臣からお答えいたしましたように何よりも早急にということで、ただいま賠償額の積算業務を鋭意進めているところでございます。賠償額が積み上がったところで、その支払い方法、遺族に対してどういう対応をするかということに関しましては、これはやはり国民の貴重な血税を使わしていただくことでございますので、慎重に検討しなければいけないと考えております。賠償額の積算が終わりました段階で、関係省庁とも十分調整の上その方途を決めていきたい、かように考えております。
  139. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、先ほども出ましたが、東京湾の安全対策の問題ですけれども、我々の調査によりますと、東京湾の船を受け入れる能力の限界を既にはるかに超えておるというようなことが言われているわけですね。例えば浦賀水道は、現在の船を受け入れるとすれば航路の幅は二千八百から三千ぐらいないと無理ではないかと言われておりますけれども、それが実際には七百しかない、それから中ノ瀬航路についてもやはりその程度しかないということですから、幅のないところに、その幅の安全性をはるかに超える二十万トンあるいはそれ以上の船が入ってきているわけですから、それだけでも事故が起こって不思議ではないというふうに指摘をされているわけです。二十万トンの船は旋回するのに直径千メートルが必要だというのに幅は七百しかないわけですから、旋回をそこでするとすれば、必ずもうはみ出してしまうわけですね、そういった点で現状は既に危険がいっぱいだ、こう言われておりますけれども、運輸省としてはどういうお考えですか。
  140. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 お答え申し上げます。  東京湾の浦賀水道航路は、先生御指摘のとおり幅が非常に狭くて、いろいろ問題があるというのは事実でございます。ただ、そういうことがございます関係上、あそこに航路を設定いたしまして海上交通安全法でいろいろな規制をやっておる、特に進路警戒船というようなものを義務づけまして、前の方にいる船に注意を喚起し、進路をあけまして、結果として先生御指摘のようなそういう回避をする回避動作というものを必要のないようにする、そのためにさらに航路管制であらかじめ入ってくる時間も制限する、こういうような安全対策を講じているところでございます。
  141. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、安全対策は十分だということでありますが、例えば、こういうことは普通の状況ではないのでしょうけれども、七百メートルの幅の航路の先で別の船が事故を起こした、その後大型タンカーか何かが行った、ところがそこで事故が前に発生している場合には通れないわけですから、その場合には旋回して戻るのか、あるいは横を迂回していくのかということになりますと、どっちにしても七百メートルでは危ないのじゃないかということを専門家は言っておりますよね。そういう点ではどうでしょうか。
  142. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 ただいま御指摘のございましたような問題がございますので、確かに航路は広ければ広い方が望ましいことは事実でございますが、今先生の御指摘のような問題がございましたので、一応現在の海上交通安全法では二十三条という規定がございまして、大型船、巨大船については、湾内に入るときにあらかじめ航路管制をして入港時刻の規制をできるという規定を置いておりまして、実際に事故が起きましたような場合には、航路警戒艇というのを二隻、入り口と出口のあたりに置いております。これから直ちに海上交通センターへ情報が入りまして、海上交通センターから入ってきておりますタンカーに対して入湾をやめろ、直ちに湾外で停止せよという指示を行うようになっています。  今お話の出ましたのはいわゆる巨大船でございますが、これだけでは必ずしも不十分であるということで、さらに保安庁では行政指導におきまして一万トン以上の船についても同様に指示をする、行政指導でございますが、指示をするという体制をとっておりまして、今御指摘のような問題はないように一応努めておるところでございま す。
  143. 新村勝雄

    ○新村委員 これは性質が違うのかどうかわかりませんけれども、昭和四十九年に起こった第十雄洋丸とパシフィック・アリス、四万三千トンと一万八千トン、これが衝突しました。これは航路の幅が狭い、あるいは東京湾の能力が超えているという問題ではなかったのですか。
  144. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 四十九年に起きました第十雄洋丸の事故でございますが、これについて少し具体的に御説明させていただきます。  第十雄洋丸は浦賀水道航路を南から上がってまいりまして、それから中ノ瀬航路に入って、中ノ瀬を抜けて目的地へ行こう、こういうふうにしていたわけです。そこへ木更津港の方から出てまいりましたパシフィック・アリス号が横から出てまいりまして、ちょうど中ノ瀬航路の若干外のところで衝突した。この場合、非常に問題でございますのは、中ノ瀬航路の中では航路を航行している第十雄洋丸に優先権があった。ところが外へ出ますと、木更津港から来ますので、相手船を右側に見ることになります。そうしますと、航路から出ますと、ここは海上衝突予防法の適用でございますので、右側に見た船である第十雄洋丸の側がパシフィック・アリスを避けなければならないという問題が出てまいります。この関係から、実はその前からでございますが、非常に問題があるということで、木更津から出てくる船は、南下する場合に中ノ瀬航路の出口のところを避けていくようにという指導をしておったわけでございますが、これが外国船に十分徹底していなかったという問題が生じたわけでございます。  保安庁では急速この問題を検討いたしまして、木更津港の中ノ瀬航路の出口のさらに先に木更津港沖灯浮標というのをつくりまして、この灯浮標を木更津港から出て南へ下がる船は必ず大きく迂回しなさいということをしたわけでございます。この灯浮標と中ノ瀬航路の出口との間に約一キロの距離がございます。この一キロの距離を使って避航の必要がある場合には避航する、あるいは先ほど申し上げました進路警戒船がついておりますので、進路警戒船が、右から来た場合に、その右の船に対してちょっと待ってくれ、まだ行き足がついていて避航が難しいからちょっと待ってくれというような対応がとれるようにする、こういうことで、行政指導で実はブイを入れまして、必ずこれを回るようにということを指導したわけでございます。その後、この出口での事故というのはこのことの効果によりましてなくなったということでございます。
  145. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、錨泊水面については今全く無統制であると思いますが、これについて船舶の大小別あるいは船種別に錨泊水面を区分すべきではないか、こういう議論がありますけれども、その点はいかがですか。
  146. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 錨泊水面が不足するというような御指摘があることは十分存じております。現在、保安庁がどういうことをやっておるかということでございますが、特に問題になりますのは、台風等の荒天時に錨泊船が非常にふえる、この場合に錨泊船の錨泊海域をどうやって確保するかという問題でございます。  これに対しまして、現在、東京湾海上交通情報センターにおきまして、そういう荒天時の錨泊のために錨泊船情報というのを提供することにしております。これは一時間に一回ずつ、湾内を十二の区域に分けまして各区域ごとにレーダーで錨泊船の状況を把握しながら、ここにはこれだけ今錨泊しているよ、ここはこれだけあいているよという情報を提供するわけでございます。さらに、先ほど申し上げました東京湾内の配備しております航路哨戒船を使いまして、VHFによって走錨しているような船に対しては、走錨状況であるとかあるいは走錨のおそれがある、対応しなさい、もうちょっといいところへ移りなさいといったようないろいろな指導を行っておるところでございます。  現在までのところ、こういった指導によりまして、いろいろと台風が来ておりますが、この指導が適切に行われた結果、錨地の不足という事態はまだ起きておりません。  さらに、荒天時の場合にはこの錨地の不足が特に問題になります大型船の対策をとるために、大型船については先ほどの二十三条の規定等を使いまして、荒天時には入湾を規制するというような指導あるいは指示を行いまして、対応をとっているというのが状況でございます。
  147. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、いわゆる広域避難体制は十分できている、対応できるというお話のようでありますが、この点について、特に台風等の場合に東京湾への入湾を制限するということはどうしても必要だと思います。今そういうことをなさっているようなお話でありますからそれでいいのですが、特にそれを一層徹底して、合理的にお願いしたいと思います。  それから、錨地は十分だということでありますが、専門家の考えによりますと錨地が不足である、そこで船舶の総量規制をしなければならない段階に来ているのではないか、こういう指摘もあるわけですね。特に荒天の場合には錨地が不足する、これに対する対策、そういった意味からいって、東京湾に入港する船の総量規制が必要ではないか、こういうことが言われておるわけであります。それから横断道路ができますから、横断道路ができることによって錨地水面が一層減少するわけですね。そういったこともありまして、入湾する船の総量規制について検討すべきではないかというのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  148. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 総量規制の問題でございますが、その前に横断道路の錨地の問題についてまず御説明をさせていただきます。  横断道路ができますと、確かに先生御指摘のとおり錨地の若干の減少が生じます。これにつきましては、日本海難防止協会の中に、東京湾横断道路のできますことに関係します安全問題を検討します委員会ができまして、錨地の減少の問題も十分検討していただいたわけでございます。その結果、実際の台風のときの避泊状況、これをレーダープロッティングいたしまして、これについて、横断道路ができる、その横断道路に影響を与えるようなエリアに錨泊しておる船が一体どのくらいいたのだということを調べたわけでございます。現在までの調査結果では、錨泊船舶の四%程度にとどまるということで、直ちに特別の措置が必要な状況ではない、かように考えております。  ただ、先生おっしゃいましたように、錨泊船問題は非常に重要な問題でございます。特に台風時の問題でございますので、さらにこの錨泊対策、どういうふうに適切にやっていったらいいかということ、港内錨泊による安全対策というような問題もございますので、その辺を含めてこれからさらに安全対策を検討しようということになっております。  それから、その絡みで出ました総量規制の問題でございますが、危険物積載船とか巨大船等が入湾しないで済めば、先生のおっしゃるとおり非常に望ましいというのはだれも否定できないところでございます。ただ、同時に、これらの船舶は他方において、私どもの生活を支えておりますエネルギーですとか産業活動の基盤となるいろいろなものを運んでおるわけでございます。それをそのまますべてなくすことができるか、あるいは総量を規制することができるかどうかというのは非常に難しいことと私どもとしては考えております。この絡みで、私どもも最近のいわゆる管制船舶の通航状況を調べてみたわけでございますが、五十三年から若干の微増でございますが、余り大きな増加はない状況でございます。  こういう状況を考えますと、先ほどのようないろいろな対策を今とっている、その対策に加えてさらに総量規制といったような非常に抜本的な対策を講じるまでの状況かと言われると、やや難しい、非常に慎重に検討しなければいけないような問題ではなかろうか、かように考えております。
  149. 新村勝雄

    ○新村委員 船の増加が余りない、横ばいということのようでありますけれども、東京湾の沿岸の 開発はまだまだ進行中でありまして、これから一層進むのではないか。それからまた、現在俎上に上っております埋め立ての計画等もありまして、そこにはいろいろなものが立地するでありましょうから、そうしますと傾向としては船が減るということはないんじゃないかと思います。そして、現状においても湾全体に決して十分な能力がないということからして、一つの対策としては、浦賀水道あるいは中ノ瀬水道以外に、これは前に環状航路をつくるという運輸省の構想があったそうでありますけれども、環状航路ではないにしても、航路をもっと拡充をして、中ノ瀬を延長するなりあるいは別の方向の水路、航路をつくるなりという施策が必要ではないかと思います。その点はいかがでしょうか。
  150. 磯田壮一郎

    ○磯田説明員 お答え申し上げます。  現在の私どものやっておることでございますが、私どもの方といたしましては、まず、先ほどお話ししました浦賀水道航路、中ノ瀬航路の航路航行規制を行うほかに、さらに行政指導で、先ほど申し上げました木更津港沖に灯浮標を入れて、これを大きく回りなさい、それから川崎沖に同じように灯浮標を置きまして、川崎港の灯浮標のところから一キロ置いて出ていきなさい、さらに、中ノ瀬という非常に浅瀬がございまして、この中ノ瀬の西側にずっとブイを入れておりましてこれを避けるようにしておるわけでございますが、このブイのさらに外側一キロの範囲内には南下する船は入らないようにという格好で、実は先ほど先生が御指摘になりました日本海難防止協会でつくりました「望ましい環状の交通体系」にある程度近い形をやっております。現在の自然条件等を前提にする限りでは現在の指導及び法規制が最善である、かように考えております。  ただ、おっしゃいましたように、理想的な航路体系というものは、その日本海難防止協会の報告書にも書いてございますように、環状につくるいろいろな航路の整備をするということが望ましいわけでございます。ただ、これを実現いたしますためには、例えば中ノ瀬の浅瀬を掘らなければならない、それから第二、第三海堡といったような、そういういわば海上交通の障害になっておるような海上にありますいろいろな工作物を撤去しなければならない、こういう問題があるわけでございますが、これがあって初めて今申し上げた理想体系はできる。ところが、これを撤去します際には、やはり関係者との間でいろいろな話し合いをいたしまして、関係者が納得した上でないとこれができない、このために今まではなかなかできなかったという状況でございます。  先生御指摘のとおりそういう問題がございますので、今回の政府対策本部決定で、東京湾内の航路体系について再検討する、見直しを行いなさい、あわせて、そのために必要な湾内浅所等の航路環境を整備しなさい、そういうことを検討しなさいというのが一応決定されたわけでございますので、保安庁といたしましても、それを前提に、できるだけ現実可能な形で、どうやって望ましい航路体系をつくっていくか、これから少し勉強させていただきたい、かように考えております。
  151. 新村勝雄

    ○新村委員 わかりました。  それでもう一つですが、いわゆる便宜置籍船、リベリアとかそういうところに籍を置いて航行している船があるわけです。この便宜置籍船は整備も悪いし、しばしば世界各地で事故を起こしているというようなことが言われておるわけです。これが問題になりまして、EC八カ国では便宜置籍船については厳重に指導、統制というか入港の制限をするというふうなことが決められたそうでありますが、東京湾にも相当にこの便宜置籍船が入港すると思うのですけれども、こういう船に対する対策は考えなくていいのかどうか。
  152. 松村文夫

    ○松村説明員 船舶は、海上人命安全条約、海洋汚染防止条約あるいは一九七八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、こういったいろいろな海事関係条約によりまして、その構造あるいは設備、船員の資格等の基準が定められておりますが、各国の政府におきましてはその責任において自国籍船舶の基準適合性を確認しているところでございます。  一方、ただいま御指摘がございましたように、近年発展途上国の保有する船舶が増加をいたしてきております中で、その海難の発生率も高くなっておるということでございまして、一九八五年の国際海事機関の統計によりますと、重大海難の約三分の二がそういう便宜置籍国でありますとか発展途上国の船舶で占められておるというようなことも聞いてございます。こういうところから、欧米を中心といたしました先進諸国におきまして、旗国主義、これはその船の掲げる旗の国の政府ということでございますが、旗国主義による自国船の検査だけでは自国沿岸の航行の安全確保あるいは海洋環境の保護、航海当直体制及び船舶職員の資格の保持等が十分にできなくなる、こういう認識がございまして、昭和五十七年から、自国に入港する外国船舶に対しまして、ボート・ステート・コントロールと申しておりますけれども、これは入港国によるその港に入った船舶に対する監督という意味でございますが、これを実施してきておるところでございます。  我が国といたしましても、こういうような先進各国の動きに呼応し、また欧州各国からの働きかけもございまして、昭和五十八年から外国船舶への立ち入りを実施してきておるところでございます。さらに、本年十月からは、これまでは単なる条約証書の有効性の確認にとどめておりましたが、今後さらに、船舶の構造でありますとか設備の具体的な内容についてまでも立入検査を行って、その内容を強化するということで、本格的な実施を始めておるところでございます。  これからは、さらに立ち入りの隻数を増加させるということと、それから基準に満たない外国船舶に対しましては的確な指導監督を行い、さらには我が国沿岸の航行の安全確保に資してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  153. 新村勝雄

    ○新村委員 運輸省、海上保安庁、以上で結構でございます。  大臣にお伺いいたしますが、先般INF全廃条約が調印され、既に批准をされて発効していると思いますけれども、このような新しい状況の中で、INF全廃条約発効後の世界の軍事情勢、また極東の軍事情勢についてどういうふうに認識されておられますか。
  154. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今御指摘のように、INF全廃条約の署名、そして発効、地域紛争としてはイラン・イラク紛争の停戦あるいはソ連軍のアフガニスタン撤退の開始等があるわけでございまして、米ソ間のいわゆる軍縮あるいは軍備管理の交渉が行われているということは、世界の平和の面から言ってまことに望ましい状況であろうと思いまして、将来ともこの状況が一層促進されることを私たちも期待いたしているわけでございます。  ただ、しかし、世界の軍事情勢というものは、依然として米ソを中心として東西間の軍事対峙というものは進められておるわけでございます。したがいまして、国際社会における平和あるいは安全というものは、依然として力の均衡による抑止によって支えられていると言って差し支えないのじゃないだろうかと私たちは見ているわけでございます。
  155. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣のお言葉でありますけれども、しかし、一応INFが調印をされ、発効したということは世界の緊張緩和の方向に進んでおるわけでありますから、これは極めて好ましいことであるし、やはりこの潮流というかこの流れを一層強化していかなければならないと思うのです。  それから、イラン・イラク戦争が一応停戦、それからアフガニスタンからもソ連が撤退する、あるいはカンボジアのベトナム軍、あるいはアンゴラのキューバ軍、それからラオスのベトナム軍も大体撤退あるいは兵力を削減する方向に行っているような情報があるわけでありますが、こういったことで局地紛争についても鎮静化あるいは平和への方向に向いているわけですから、そういう状況の中で平和国家日本としての役割が当然あるわけですし、日本でなければできない役割もあると 思います。そういった意味でこれから、そういう平和への潮流を一層強化するための日本としての役割、やるべきことがあると思いますけれども、そういう点についての大臣の御見解はいかがですか。
  156. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま申し上げました以外にも、今中ソ間のいわゆる平和交渉が進められてきているということで、また御指摘のように、アフガニスタンの問題あるいはカンボジアの問題だとかいうことによってかなり緩和されようとしておりますし、朝鮮半島における韓国でのオリンピックの成功以来、南北間の話し合いというものがさらに進められようとしている。しかし、極東におけるソ連軍の状況というものは、確かに今お話しのように、米ソ間でいわゆる核抑止に対する交渉は進められておりますけれども、依然として軍事的な面で言えばその行動あるいはその状況等においては変わりはない状況にあるわけでございます。  したがいまして、私たちとしましては、防衛大綱に従いまして節度ある防衛力整備するということと、日米安保体制の信頼性を維持しながら我が国の安全と平和を守っていかなければならない、こう考えているわけでございます。
  157. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、時間がありません、最後に一問だけお願いしたいのですが、NLPの問題ですけれども、NLPが最終的にどこへ決まるかということについては我々非常に強い関心を持っておるわけであります。これが三宅島では御承知のとおりでありまして、最近硫黄島に決まったというような情報もありますけれども、硫黄島を暫定的に使用する、あるいは暫定かどうかわかりませんけれども硫黄島に決まったというような話がありますが、NLPの場所の選定についてはどういうことになっていますか。
  158. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 具体的には後ほど政府委員から御説明させますが、NLPにつきましては、三宅島はそういう意味では適地なんでございますので、ぜひここに設置をしたい、こう考えておりますが、現状はなかなか厳しい状況にございます。したがいまして、ただいま御指摘のように、硫黄島の一部を活用するということで今米側と交渉を進めているわけでございますが、その状況等については後ほど政府委員から説明させたいと思います。いずれにしましても、そういう状況にあるわけでございます。
  159. 池田久克

    ○池田政府委員 NLPの適地といたしまして三宅島が適切であるということは、大臣から御説明を申し上げました。三宅島に建設するといたしましても、早くて七、八年、場合によっては十年くらいの期間が建設工事が完了するまでかかる、こう思われます。そこで、厚木の現状を考えてみますと、このままほっておくわけにはまいりませんので、何とか硫黄島で暫定的に使わせてほしいということを申しております。米側は、施設整備など所要の条件が整えば、暫定的であれば硫黄島を使う方向で考えてみようというような感触が示されておりまして、我々は大臣の方針を受けまして現在米側と折衝を継続しております。  米側もいろいろ関係者がございますし、また施設などの要望等につきましてもいろいろございます。また自衛隊といたしましても、現在海上自衛隊航空自衛隊がここを現に利用しているわけでございまして、そういう関係を全体的に調整しながら納得のいくところで案をまとめていく、そういうことが日米の今の折衝の内容なんでございますけれども、もうちょっと時間がかかる状況でございます。何せ相手側のあることでございますから、こちら側だけで判断できないという状況でございまして、いましばらく時間が必要である、こういう状況でございます。
  160. 新村勝雄

    ○新村委員 以上で終わります。  外務省にはおいでをいただいておりますが、時間がありませんので、別の機会にお願いしたいと思います。
  161. 野中英二

    野中委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ────◇─────  午後一時三十分開議
  162. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  163. 小川新一郎

    小川(新)委員 防衛本庁庁舎等の移転計画についてお尋ねいたします。  昭和六十二年八月に既に公表済みとされております防衛本庁庁舎等の移転計画概要について御説明いただきたいのでございますが、まず現在、防衛本庁等と言われる防衛中枢の所在する檜町、すなわち六本木地区周辺の商業地の発展のために、国土の有効利用の観点から防衛中枢を檜町から市ケ谷地区に移転させる、こういう目的のもとに計画が練られておるようでございます。  そこで、まずお尋ねしたいのは、六本木檜町の防衛庁の本庁庁舎を空っぽにして市ケ谷に移転する、これは今言ったような理由なのか。これがただ単なる官庁であるならばそのようなことも言えるでしょうけれども、我が国の国土防衛という大任に任じております防衛庁が、軍事的機能を発揮するための防衛戦略上の目的というものが勘案されなければならないし、指揮系統の利便さ、また一たん緩急あったときの機動力、指揮系統の統一化、こういった問題を近代化するために市ケ谷に移転するのか、そのために市ケ谷にあるところの軍事力を他に移転していく、玉突きになってそれぞれの地域に移転していかれるわけでございます。まず、その点とういうわけなのかということでございます。  その結果、玉突きのように市ケ谷や十条に置かれているものが私どもの住んでおります埼玉県内の朝霞、大宮駐屯地、茨城県内の霞ケ浦などに押し出されることになるわけでございます。また、朝霞はどのようになるのか、埼玉県の防災計画との調整はどのようにするのかという諸問題と大きな絡みが出てくるわけでございます。  例えば旧軍隊の組織からいいますと、参謀本部とかまたは指揮系統の中枢部が移転いたしますと、その移転する施設を守るための実動部隊、これは普通科連隊とか特科連隊とかいろいろな組織がありますが、実動部隊がそこに常駐するのは当然でございます。大宮市の場合は、今まで普通科連隊がおりませんが、この移転計画に伴って普通科連隊が大宮の地に移転してくることに相なってまいりますが、その辺の見解はいかがでございましょうか。
  164. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、防衛本庁の市ケ谷移転の関係が昨年の八月に決定をいたしました。この理由は、檜町地区周辺が商業地域として発展を続けており、国有財産の有効利用の観点から同地区の活用を考えた場合、防衛中枢を置くよりも、その位置、環境等にふさわしい他の用途に利用した方がより適当ではないかということで移転が考えられたということでございます。  ところで、移ります市ケ谷地区でございますが、他の中央官庁とか国会等との距離は檜町地区に比べてやや遠くなるという点はございますが、高台にあるということから警備、通信面での支障が生じにくいという利点もあります。こういった点を総合的に考えた上で、同地区が防衛中枢の移転先として決定したということでございます。  なお、今先生お尋ねの防衛政策上の観点が何かあるのではないかというような御指摘でございますが、今回の移転に当たりましての考え方としましては、あくまで檜町周辺の商業ビルの高層化による警備、通信面での影響等も考え合わせまして、長期的に見ると檜町地区が防衛中枢の所在地として適当かどうかという問題も確かにございますが、あくまで国有財産の有効活用を図っていくという観点から今回の決定を行ったということでございます。  なお、今先生移転の概要ということでお尋ねでございますので、再配置計画概要を申し上げますと、一つは、御指摘のとおり檜町地区に所在する内局、統合幕僚会議、各幕僚監部、調達実施本 部、防衛施設庁等を市ケ谷地区に移転させる。それから、調達実施本部の東京支部というものは十条の方に移転させる。それから、それに伴いまして市ケ谷地区に所在する東部方面総監部を朝霞地区に、三二普通科連隊を大宮地区に、統幕学校でありますとか各自衛隊の幹部学校、市ケ谷にございますが、これを目黒地区に、それから補給統制部隊は十条地区に持ってまいります。そのほか、先生御指摘のように大宮地区に所在する通信補給処を霞ケ浦地区に配置するというようなことが概要でございます。
  165. 小川新一郎

    小川(新)委員 長官、今お聞きになったように、日本の軍事力、また防衛力の展開をしている中枢指揮系統の所在地を、ただ単なる商業化とか、ただ単なる利便さのために絶えず玉突き移転をしていくような考え方もそれはもちろんあるでしょう。我々国民の側からいけばそういった利便さというものは非常にありがたく感ずる面もあるでしょうけれども、軍事力の面、そういった統括力の面からいくと、そういう簡単な原理だけでこういった移転をするということは我々としては納得できない。何かそこにあるのではないかという気がしてならないわけであります。ただただ今後ともそういった利便さを追求するために、例えば市ケ谷が今度同じような状況下になったときにはこれまた同じような論法を用いるのでしょうか。
  166. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 防衛庁本庁を移転する計画については今御説明したような状況でございまして、そんなに深い意味のものじゃございません。しかし、だからといって防衛政策がこのことによって大変な不便を感ずるというようなことでもございませんので、そういう点では皆様方の御理解をいただきたい、こう思います。
  167. 小川新一郎

    小川(新)委員 確かに内局、統合幕僚会議、各幕僚監部、各自の長官直轄部隊、これらが移転することについては市ケ谷の施設が十分でありましょうけれども、東部方面総監部、これは東部方面というとどこを指すのか私にはよくわかりませんが、この東部方面総監部がすなわち今度朝霞にやってくるわけです。そしてこの第一施設団と東部方面総監部が一体になって当然朝霞に入ってくるわけです。朝霞に入りますので、その直轄護衛部隊として、通信補給処、武器補給処が大宮支処としてございますが、これを今度霞ケ浦の方に移転させ、その跡に第三二普通科連隊を大宮に移す。これはやはり、一つそういったものが動いてくると、機能としては非常に大きく変更してくるわけですね。こういう点は私どもとしてはよく理解できないのでございますが、例えば朝霞に入る今度の東部方面総監部及び同隷下の部隊は、今現在三千百名おるところが今度は三千九百名にふえるわけです。さらに今大宮にいる部隊を霞ケ浦に移転させましても、九百人だったものが今度は千五百人に普通科連隊の人員が拡大してくるわけです。こうしてきますと、埼玉県自治体の見方というものは、県下に拡大してくるのではないか、防衛庁の自衛隊の戦力というものはそれだけ拡大するのではないか。こういうことは埼玉県とか所属の地方自治体とはお話が済んで、了解なんでしょうか。
  168. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  本移転計画概要、それから理由その他については、関係市町村あるいは県、関係するところが一都二県、十一市町区ございますけれども、そういう地方自治体等については十分時間をかけて御説明しておるところでございます。
  169. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま私が申し上げました当該地域の埼玉県については、県庁に問いただしますとまだよく理解してないようでございますね。それから、大宮だとか朝霞だとか所沢だとか、所沢は過日大臣が御視察くださいまして、非常に友好ムードだったということを聞いておりますけれども、この朝霞にしても、大宮にしても、所沢にしても、それから和光にしても、米軍基地だとか自衛隊の基地のあるところというものはそれなりの神経をとがらしておるところでございますので、これらと自治体とが十分話し合い、コンセンサスを得て、愛される自衛隊として、防衛庁としてそれなりの施策を、あの「なだしお」事件のように国民にいたずらな無理解な反感を持たせるような行為をとるようなことを、愚かな行為をしてはならない。そのためには、やはり民主的なテクニック、そしてその過程というものを踏んでやっていくべきだと私は思うのでございますが、一昨日問い合わしたところ、そのような認識というものは非常に希薄でございますが、どんなものでしょうか。
  170. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私たちは、先生御承知のように、防衛大綱に従って節度ある防衛力整備しよう、こういう考え方、さらには、決して他国に脅威を与えるような軍事大国にならないというこの考え方に立って、防衛力整備をしているのでございます。したがいまして、こういう考え方をできるだけ地域住民と理解を深めていかなければならないということで、国民の理解を得なければ、また国民の信頼がなければ自衛力の整備なんというのは意味がありませんから、そういう意味では、私は就任早々、地域住民と密接な連絡をとりなさいということを進めているわけでございます。  したがいまして、私は、海上自衛隊の視察のために横須賀へ参った折にも、横須賀の市長さんとお会いしまして、いろいろお世話になっております、これからもまたいろいろな問題がありましたら私の方でも直接お伺いしていろいろお話し申し上げますので、将来ともよろしくお願いしますというごあいさつをいたしました。また小川先生の領分である所沢にも参った。ちょうどそれは医科大学を視察のために参ったのでございますが、大変な御協力をいただいているということで、あの若い市長さんと、せいぜい十分ぐらいでございますが、ごあいさつを申し上げて、今後どうぞひとつ御理解をいただいて御協力のほどをお願いしたい。演習の場合でも、あるいはまた他のいろいろな仕事をする場合でも、地域住民、国民との何といいますか話し合いがどうも足りないのじゃないだろうか、そのことによって多くの誤解を招きますので、したがいまして、できるだけ国民の中へ飛び込んでいって、防衛庁、自衛隊というものを理解してもらう、そういうような考え方で私は今までも進めてまいりましたし、これからもそういう方向でいきたい、こう考えております。
  171. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、具体的な例で申しわけないのでございますが、そういう御精神、意図というものはよく理解いたしました。理解しておりますが、さて、私が理解しても当該自治体及びその住民の皆さんが理解しなければ何にもならないことでございまして、それでは朝霞、大宮、今言ったような防衛力の拡大というか、現存勢力が拡大していくわけですから、そういうところに御迷惑をおかけするという考えであるならば、県庁もしくは当該地に大臣、おいでになってくださいますか。
  172. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 具体的ないろいろな問題が起きた場合、また大宮等にお伺いする機会がありましたら、県知事さんにお会いして、また県議会の議長さんなどにもお会いしていろいろごあいさつをしたい、こう考えております。
  173. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいまの防衛庁本庁の移転問題については、県とか自治体がまだ理解を示しておりませんので、どうぞ今言ったお言葉を実行していただきたいと思います。  そこで、檜町にあるブロック機関の東京防衛施設局を昭和六十三年七月十九日の閣議決定に従って東京都区部外に移転することになっておりますが、これは一体どこへ移転するように検討されているのでしょうか。また、埼玉県大宮操車場の跡地も候補地として考えていることを聞いておりますが、いかがでしょうか。
  174. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  東京防衛施設局の移転は七月十九日に行われました閣議決定に従いまして、国の行政機関の移転の一環として行われるものでございますけれども、この閣議決定によりますと、東京防衛施設局を含む地方支分部局につきましては、業務の効率化等の観点から集団的な移転が行われるように配 慮するということになっております。現在、国の機関等移転推進連絡会議が中心になりまして検討をなされておるという状況でございまして、ただいまの時点で移転先を申し述べる段階にはなっておりません。  なお、仮定の問題として大宮はどうかということになりますと、東京防衛施設局の業務遂行あるいは周辺の地方公共団体あるいは住民等との連絡調整の便を考えてみた場合に、移転の適地の一つであろうかとは思っております。
  175. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、大宮操車場跡地というものは適地の候補には上っているのですか。
  176. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 今、国の機関等移転推進連絡会議というところで協議がなされておるということを先ほどお答えしたとおりでございまして、具体的に大宮となるかどうかについては、なお候補の一つとなっているかどうかについては十分承知しておりません。先生、先ほど大宮はどうかというお尋ねでございましたので、仮に、仮定の問題としてお答えした次第でございます。
  177. 小川新一郎

    小川(新)委員 いずれにいたしましても、今官公庁の移転問題で、首都圏、首都の東京都の拡大の中から、首都移転問題の一つの過程として六十六カ所、埼玉県としては各分局、本庁その他の移転を要請を出しているところでございます。そういう中の一環としてこういう問題を議論していいのかどうかということは私にもちょっと判断がつきかねますが、そういった声が非常に上がってきておりますので、今お尋ねした次第であります。  次に、大臣、これは時間がありませんのではしょって申しますが、米軍基地の返還問題について。  先日、十月十五日、沖縄の金武町で起きた機関銃弾の被災事故。民間地域、給油所、酒造廠、サービスエリアのトイレ等に米軍使用のM16の小銃弾が飛び込んだ。しかも射撃方向とは全く九十度後ろの方に弾が飛んできた。一体これはどう理解していいんだ。我々も軍隊の経験がありますが、実弾射撃をするときというものは標的以外に絶対銃口を向けてはならないことになっている。その標的とは全く裏の、九十度後ろの方に弾が飛んでくるというのはどう理解すればいいんでしょうかという問題でございます。この被弾事故原因を早急に究明し、県民の前に明らかにすべきであると思いますが、どうかということでございます。これは、米軍基地のキャンプ・ハンセンの実弾演習によるものであるという理解が県民の間に広まっております。これは外務省が担当でございますが、これらの問題についてアメリカ側、米軍に対し抗議をしたのか。提供施設外に危険を及ぼす演習は地位協定三条三項に違反するのではないか。これらの問題を踏まえて御答弁いただきます。
  178. 重家俊範

    重家説明員 まず、米側との関係がございますので御答弁させていただきたいと思います。  本件につきましては、私どもといたしましても非常に深刻に受けとめております。事件発生直後、米側と連絡をとっておりますし、また、十八日には米側に対して申し入れを行った次第でございます。また二十日に、地位協定のもとでつくられておる日米合同委員会というのがございますが、この機会におきましても米軍に強く申し入れを行ったわけでございます。  現在、事件につきましては詳細米軍等を中心にしまして調査中でございますが、米軍演習に起因するものであれば非常に遺憾なことだと考えております。いずれにしましても、政府といたしましては起きてはならないことであると考えておりますので、そういう考えに立ちまして、米軍等の調査を踏まえまして、本件について適切的確な対処を行っていきたいと考えております。
  179. 池田久克

    ○池田政府委員 今回の事件につきましては我々も大変重大に受けとめておりまして、局を通じまして現地の状況等もできるだけ調査するとともに、米側にも今回の問題について原因の究明と今後の対応について調査するように非常に強く申し入れでございます。これについて米側も同様に重要に受けとめておりまして、これを調査いたしまして、こういう事故がないように対応しようということを申しております。  標的と違う方向に飛んだ云々の問題でございますが、これは、どういう状況でどんな演習をしたのか、またそこでどういう行動がなされたのか、そういうことについて第一義的に米側が現在調査をしておりますので、その結果を待って判断いたしたいと思っております。  いずれにしましても、こういう事件はあってはならぬことでございますので、今後とも我々も非常に重大な関心を持って米側と折衝を続けていきたいと考えております。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 その際、米側の責任者の答弁というのはどなたなんですか。
  181. 池田久克

    ○池田政府委員 これは先ほど外務省からもお話がございましたけれども、日本政府として公式に代表いたしますのは、外務省の方からそれぞれ大使館とかそういう関係がございますし、また我々のところは在日米軍司令部もございますし、沖縄の司令部もございますし、各般にわたって対応を講じていきたいと考えております。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 長官、実弾射撃という実に重要な軍事訓練の中で、少なくとも民間の施設、ハイウエーの公衆トイレに実弾が舞い込むということは平時国家においてはあり得ない。しかも、抗議を申し込んだ相手の所在さえ明確でない。一体だれに、どういう責任者が対応の答弁をしたのか、私たちとしてはまずそういうところを厳しくチェックしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  在日米軍の駐留に伴う光熱・水道費、米空母の修理費は日本側で負担するよう求める動きが最近米側で相次いでおります。これらの要求にどう対処していくかということでございますが、九月二十七日の米下院軍事委員会防衛分担特別部会の公聴会でジャクソン米国防次官補代理は、光熱・水道費について日本側負担の希望を表明し、同じく九月三十日に米上下両院で可決され、十月一日にレーガン大統領が署名、成立した一九八九会計年度国防歳出法に、米第七艦隊の空母ミッドウェーの再修理を行う場合、約五十三億円の修理費を日本が負担するか、同額以上の在日米軍駐留費の追加負担をするという条項が盛り込まれておりますものに大統領のサインが行われたわけであります。  これは現在の日米地位協定第二十四条では、アメリカ側は在日米軍の維持に伴う経費を負担し、日本側が施設区域提供に伴う経費を負担するよう義務づけております。在日米軍の維持に伴う経費は当然米軍が負担をするわけであり、日本側は施設区域、例えば住宅等の提供その他、区域提供に伴う経費は日本側が負担することになっておる。光熱・水道費や空母修理費等を負担することになれば、これは大きな問題になると思うのでございますが、いかがでございましょうか。これは地位協定の拡大解釈、特別協定の改定、さらに地位協定の改定へと話が進むことになれば、日米安保条約の変質につながるという議論が予算委員会でもまた巻き起こるのではないかという懸念のもとに、決算委員会で昭和六十一年度決算に当たって、これから以後の、以前の問題はともかくとして以後の決算の対象になるわけでございますので、あえて質問しているわけでございます。お願いします。
  183. 重家俊範

    重家説明員 先生御質問のジャクソン国防次官補代理の発言につきましては、私どもも承知しておるわけでございます。その発言の中で、ジャクソンさんの使われた言葉、ユーティリティー・コストと言っておられるわけでございますが、その具体的内容は必ずしもよくわからないわけでございます。まあ一般的に、我が国による在日米軍駐留支援に対しまして一般的な期待があることは確かだと考えておりますが、そういう意味で、ジャクソン次官補代理の発言もそういう文脈での発言ではないかと考えております。いずれにしましても、米側から具体的にこのような要請が行われているということではございません。また、政府としてこのような在日米経費を負担することを検 討しているということもないわけでございます。  また、ミッドウェーの修理の件につきましても、成立しました歳出法にそういうことが書いてあるということは十分承知しておりますが、これはアメリカの法律でございまして、私どもが一元的に有権的に解釈する立場にないわけでございますが、いずれにしましても、そういうことについても米側から要請はないわけでありまして、私どもとしてそういうことを検討しておるということではございません。  また、日米地位協定との関連にお触れになりましたけれども、もちろん日米地位協定との関連ということも問題になるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、具体的に要請はないということでございますので、私どもとしても地位協定上の問題について現在先生に申し上げる断定的なことを持っておるわけではない次第でございます。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういった問題は必ず起きてくると私は想定しているわけでございますが、こういう問題を、今ここでないからといってこの発言を軽く見ておるわけにはいかないと思います。  これは大臣にもちょっと感想をお聞きしたいのですが、我が国の防衛費は既に巨額であることは御存じのとおりでございますが、それほど伸ばしていく必要はないという趣旨の発言が、最近東南アジアの国々のみならずアメリカ側から相次いでいることについて、防衛庁長官の御見解を最後にお聞きして、私の質問を終わらしていただきます。  カールーチ米国防長官は、ワシントン市内で開かれた米国実業界の会合で講演し、日本の防衛費について、ここ数年の実績になっている年率五%の実質増を大きく上回るような増強は要求しないとの考えを明らかにしたということであります。米政府当局者が日本の防衛力増強に関してこのような考え方を明示したのは初めてであり、またタフト米国防副長官は、アメリカ・アジア協会の総会で演説し、日本の防衛費は絶対額でいえば米国を除く北大西洋条約機構、NATO加盟国のいずれをもしのぐ、あるいは最大支出国と同規模にまで拡大していると述べております。同盟国というか友好国というか、もし日本が防衛力増強にもっと大きく踏み出すことになれば、日本は防衛戦力を攻撃力に転じることになるだろうという危惧を友邦であり友国であるアメリカが既に持ち始めたということ、そういうことを考えますと、私たちの防衛予算のあり方、防衛費の拡大、また防衛そのものについての洗い直しということを考えるとき、曲がり角に来たのではないかと私は思うのでございますが、今の問題を踏まえて長官の御見解をお聞きしたいと思っております。
  185. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 いろいろ防衛費について諸外国の見方がありますが、確かに最近の世界の軍事情勢というものは、INF条約の批准だとかあるいはイラン・イラク戦争の停戦その他、地域紛争がある程度解決の方向に進んでいる。また、米ソ間でいわゆる軍縮あるいは軍備管理の交渉が進められていることは事実でございますので、したがいまして、このことは国際平和にとって非常に喜ばしいことで、将来ともこの趨勢が大きく拡大していくことを期待している。また、この極東においても、朝鮮半島にしてもあるいは中ソ間の状況等も緩和の趨勢、話し合いが進められている状況にございます。またソ連の状況でございますが、確かに核戦略に対する、それが一つの縮小の段階にございますけれども、現実の問題としては、ソ連の軍事力あるいはその行動というものは依然として変わらない状況であります。  また世界の趨勢も、先ほど申し上げました状況から見て、国際社会の平和というものは依然として力の均衡による抑止で支えられているというような状況から見ますと、先生御承知のように、我が国の防衛は防衛大綱に従っている、すなわち、限定的な攻撃に対して原則として日本が単独で対応する必要最小限度の防衛力整備するということでございますので、その線を常に私たちは守って、そして、その線のための予算中期防衛力整備計画にのっとって進めているわけでございます。そういう点、専守防衛のあり方というものは常に守りながら進んでまいりたいと思いますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がちょうど過ぎたのですが、大臣、私の質問とちょっとずれているのです。最初の日本の防衛力の強化とか防衛上のいろいろな問題はアメリカのいろいろな注文も受けてきたわけですね。そのアメリカが年率五%ずつふえていくことに危惧を感じ始めたという発言が出てきたということに対するお答えがないわけです。ただ、今まで決まったのだからしょうがないのだ、このまま進んでいくのだと言われておりますけれども、アメリカが、年率五%ずつ伸びていく日本の子供が我々が想像したよりも強力な子供になりつつあるという危惧感を持ち始めたから、責任者としての長官のお考えはどうかと聞いているのです。
  187. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私もまだアメリカの新聞あるいはマンスフィールド等のお話も聞いて、書類では読ませていただいておりますが、実際のアメリカの考え方というものはまだ直接承っておりませんので、私たちは、そういうことをこれからアメリカとの間でよく話し合ってみて、実際にそういう状況なのかということを今後さらにアメリカと話し合ってみたいと思っております。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、実際にそうだった場合は予算の編成問題は変更もあり得るのですか。
  189. 日吉章

    ○日吉政府委員 事実関係でございますから、私の方からお答えを申し上げたいと思います。  先生ただいま例を挙げられましたカールーチ国防長官なりタフト副長官の講演、私どもも存じております。必ずしも先生御引用になられたとおりの発言であったかどうか定かに記憶いたしておりませんが、一般に先生ただいまおっしゃられたような形で報道された講演があることは承知いたしております。  これらにつきましては、私どもは、長官あるいは副長官の講演等の内容を取り寄せて調べてみましたところ、そもそも米国の中には、特に議会筋を中心といたしまして、日本に対しまして過大とも言えるような防衛努力を求めてくる動きがございます。これに対しまして、米国政府の責任者といたしまして、日本国は十分なる防衛努力をしているのだということの理解を深める意味で、先生が今お挙げになられましたような議会での証言あるいは講演とかいうようなものがなされておるというふうに私どもは理解をいたしております。これは前後あるいはその背景等をお調べいただきますと御理解いただけるかと思います。  私どもは、ただ米側から要請を受けたから、あるいは受けないからというようなことで防衛力整備を図っていくのではございませんで、あくまでも自主的に我が国にとって必要な防衛力はいかにあるべきかという観点から防衛力整備を進めていきたい、かように考えております。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間ですから、終わります。
  191. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  192. 草川昭三

    ○草川委員 今の小川委員の質問には大変重要な点がございますので、私もそれに関連した質問を最初にさせていただきたいと思います。  今、局長の方から、米側からも過大な要求があることを認めるというような趣旨の御発言がありましたが、そのとおり受けとめてもよろしいわけでございますか。
  193. 日吉章

    ○日吉政府委員 要求という言葉を厳密な意味で解釈するということではございませんで、一般的な言葉として御理解いただきたいのでございますが、そういう意味で、過大とも言えるような対日の防衛努力要求というものが米国の中及び米国議会内であることは事実であると思います。
  194. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、これは本来は外務省に聞くべきだと思いますけれども、きょうはせっかく防衛庁長官もお見えになりますから、延長線の問題としてお伺いしたいことは、この春以来難行してきたアメリカとフィリピンの基地交渉がようやく決まったようですが、この合意文書の要点を私ど もが報道から聞いたところによりますと、アメリカは在比米軍の基地使用の見返り援助として九〇年、九一年の二年間に九億六千二百万ドルを支払う、ほかに五億ドルの援助も行う、こういうことが言われております。特にスビックとクラークの空軍基地でございますが、これは私どもも現地へ行って見てまいりましたけれども、極東最大の基地であることは間違いがございません。でありますから、米軍としても非常に重要な基地として確保するためには相当な譲歩をしたのではないか、こう思うのでございますけれども、いわゆる米国が今回とりました大幅なプラスアルファの援助費というものが将来一体どのように転嫁をされてくるのか。これは、もし日本に転嫁をする、肩がわりをするというような形になってくるとするならば、日本の防衛予算というものは相当膨らんでくることになるわけですね。私どもは、そういう意味でこのかかわり合いというのは非常に大切だと思うのでございますが、まず最初に、防衛庁としてスビック、クラークの両基地についての評価、戦略的な意義をどのようにつかんでおみえになるのかお伺いしたい、こう思います。
  195. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 もとよりフィリピンとアメリカとの基地交渉、これはフィリピンと米国の問題でございますので、我々として直接コメントする立場にはございません。ただ、一般的に申しまして、アメリカは、ハワイを司令部といたします太平洋軍のもとで、海空軍部隊を主といたしまして西太平洋、インド洋に向けて前方展開をいたしているわけでございます。この前方展開部隊は、日本を含めたアジアの同盟各国の安全保障の上から見ても非常に大きな意義を持っているものと存じます。この地域における紛争抑止という立場から過去においても大きな役割を果たしてまいりましたし、今後ともそういう役割を果たし得るというふうに我々も考えております。そういった観点から、もちろん米国の国益を守るものでもございますけれども、同時に、この地域における米国の役割というのは、それ以上にやはり同盟諸国の利益を守るという役割も果たしているというふうに我々は考えております。
  196. 草川昭三

    ○草川委員 今、米国以外にも我が国にとっても非常に重要な位置づけだ、こういう答弁ですが、五年ごとの見直しというので今回の交渉になったわけですけれども、当初フィリピンの方は年間十二億ドルを要求した。米国の方は従来どおり一億八千万ドル、この中をとったというわけじゃありませんけれども、九億六千万、そしてその他に五億ドルの一般援助、こういうことになってきますね。ところが、アメリカの財政赤字というのは非常に膨大になっておるわけでありますし、アメリカの経済の立て直しのために、諸外国からもいろいろな一般的な要求があるわけでありますから、アメリカの国内では当然のことながら、次期の交渉については今回のようなわけにはいかぬのではないだろうかという推定もあるわけですね。  我が国が全然かかわりがないとするならば、アメリカとフィリピンの関係だけをもし仮定として取り上げたとするならば、財政的に基地の縮小というようなことがもし行われるとするならばそれは日本にとって困るという立場になるのか、今の答弁の延長線からいうならば非常に重要なので我々も考えなければいかぬという発想になってくるのか、その点の見解を求めたいと思います。
  197. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 先ほど申し上げましたとおり、フィリピンとアメリカとの基地交渉自体、その基地交渉の結果として合意されました基地使用料ないしその援助については、あくまでその二国の、両当事国の問題でございまして、我々としてとやかく言い得る立場にございません。  それから、私が先ほど申し上げましたのは、一般的にアメリカの東南アジア方面、インド洋をにらんでの前方展開の戦力というものが我々の安全保障の上でも意味があるということを申し上げたわけで、それが果たしてフィリピンのスビック、クラークでなければカバーできないものであるか、それ以外の方法もあり得るかというところまではちょっと私として申し上げることができない次第でございます。  もとより、我が国の方は御承知のとおり一千海里、航路帯の場合一千海里までの航路帯、海域についてある程度のその安全を確保することを目標としているわけでございますけれども、それ以遠になりますと我が国自体の防衛力においてはカバーできないということになりますので、そうなりますと米国の前方展開兵力の持つ意義というものももちろん大きゅうございますし、それと同時に、その地域の諸国が経済的に安定しているということが非常に重要なファクターになってくるというふうに考えております。
  198. 草川昭三

    ○草川委員 きょうは、ここは決算委員会なものですから、また安全保障の特別委員会があるわけですからそこでの議論になりますので、問題を前へ戻しまして議論をしたいのですけれども、私が申し上げたいのは、いずれにいたしましても、フィリピンとアメリカの軍事基地の借款の関係がヨーロッパに非常に大きく反映をいたしまして、ギリシャだとかスペインだとかそういう基地の提供の国々も同様な要求、プラスアルファ要求というのは出てくる。これは当然予想されますし、そういう動きがあるわけであります。ですから、ヨーロッパの方もそれをどのように見るのか。米軍のプラスアルファの援助費というのを全体的にカバーしなければいけないのではないかという話がいずれ出てくるのではないだろうかという心配があるわけです。  それで、防衛庁予算の中にも当然、先ほど来お話がありますように中期防衛計画総額というのはあるわけでありますから、これから思いやり予算というのが全体的にふえてくるのではないだろうかという前提に立つならば、また事実、思いやり予算というのは昭和六十二年度予算から六十三年度、六十四年度というようにずっとふえてきておるわけでありますけれども、米軍の関係費というものが増大をしてくる。とするならば、一定の枠というのはあるわけですから、思いやりの方のパーセントというものがふえてくるならば本来の自衛隊の予算というものが圧迫されて、防衛整備計画というのが支障を来すようなことがあるのではないだろうか、こういう感じがするわけでありますが、その点はどのようにお答えになられますか、お伺いいたします。
  199. 日吉章

    ○日吉政府委員 先生お尋ねのように、現在私どもは中期防衛力整備計画という五カ年計画、六十年度価格で十八兆四千億でございますが、その中で防衛関係費を賄っているわけでございます。その中には、具体的に装備等につきまして積み上げているものもありますれば、ある程度マクロ的に計算をいたしております後方維持経費のようなものもございます。その中に、我が国みずからの防衛力整備に充てます部分と、先生がただいま御指摘になられました駐留米軍関係経費もございます。それの区分けも一応経費的なめどとしてはいたしております。今後、駐留米軍関係経費が増加するとしますと、総額が一定でございますればそのシェアは高くなるというようなことも考えられるわけでございますけれども、現在までのところ、三年目に差しかかっておりますけれども、特にそのような事態には立ち至っておりません。  ただ、先生も御案内のように、駐留米軍日本人労務者の給与につきまして我が国の負担をふやした部分がございますけれども、これにつきましては、駐留米軍経費として予定をいたしておりました提供施設関係工事等の進捗が若干おくれているとか、あるいはその後の効率化によりまして予定いたしたとおり執行する必要がないというようなもの等々がございますので、そういうようなもの等がお互いに相殺し合いまして今までのところ特段支障なく円滑に行われてきておりますし、あと二年間あるわけでございますけれども、現時点におきまして先生が御心配なさるような事態は予想されないと考えております。
  200. 草川昭三

    ○草川委員 私は将来の展望のことを聞いておるわけです。ただいまのところは支障がない、こういう答弁ですが、支障があるというのは後で質問しますけれども、大きな流れからいけば明らかに 食い込んでくることが必定だと思うのです。だから、一定の歯どめが必要ではないだろうか、予算編成の立場あるいは将来計画の面からもそういう時代に来たのではないだろうかという質問を私はまた後でしたいわけです。これはぜひ長官にも答弁をしてもらいたいのですがね。  それまでに、今も小川議員の質問で航空母艦の話だとか細かいいろいろな話がありましたが、アメリカの下院の軍事委員会の公聴会におけるジャクソン次官補代理の発言なんですが、こういうことを言っておるわけです。「日本が我々の軍隊を支援するために更に多くのことをすることを期待することができる。例えば、日本が、在日米施設におけるユーティリティー・コストを負担することを望む。」こういう言い方になっておるわけです。  防衛庁にちょっとお伺いをいたしますが、先ほど外務省が答弁をしておりましたユーティリティー・コストというのはどの程度の範囲までのことを含むのか、防衛施設庁の見解をお伺いしておきたいと思います。
  201. 池田久克

    ○池田政府委員 先ほど本件につきましては外務省からお話がございましたし、また外務省がこれを所管しております。外務省のお答えでも、ユーティリティー・コストたるものがどういうものかよくわからないというお答えだったように私承っておりますが、我々はより一層わからない立場に置かれております。
  202. 草川昭三

    ○草川委員 そういう答弁で済むかどうか、少しまじめに議論をしたいと思うのです、せっかく新聞にもいろいろな具体例が日本語に翻訳されて出ておるわけですから。  今、これは決算委員会ですから、今の防衛施設庁長官の、外務省がわからぬと言ったら私もわかりませんよ、それは木で鼻をくくったような答弁ですが、防衛庁がそういう答弁でやるなら、基本的にこれは委員長、こういう答弁で黙って私どもは聞いていくわけにいかぬと思うのです。撤回してもらいたいのです。
  203. 池田久克

    ○池田政府委員 先ほどから申し上げましたようにこれは所管が外務省でございまして、在日米軍彼ら自身が今負担している経費の細部について、私ども詳細は存じておりません。我々が負担しているものはわかっております。これは外務省が全体的に掌握する立場にありますが、先ほどのお答えですと外務省もわかっておらないようでございまして、そういう事情を申し上げたところでございます。
  204. 草川昭三

    ○草川委員 この種の議論で突っぱねておってもしようがありませんけれども、少なくとも日本の新聞にはかなり具体的な名前で紹介をされておるわけです。だから、私ばかりではなくて前の委員も、具体的にどうなんですかという質問をした。たまたまこれは相手は外務省だから、幅が広いことですけれども、少なくとも彼らが言っておることについては、新聞報道でありますように随分細かいことを言っておりますけれども、ミッドウェーの修理等も含まれるのではないか、こう言っておるわけですから、これは防衛施設庁としては相当腹を決めて今から考えておかなければいかぬことでしょう。少なくとも彼らが言っておることについては外務省が明らかにしてから考えればいい、そういう程度の施設庁の予算の考え方でいいのですか。
  205. 池田久克

    ○池田政府委員 米国でいろいろなことが言われているということは新聞でも報道されておりまして、我々はもちろん新聞は拝見しているわけでございますけれども、これもまた恐縮でございますが、先ほど外務省からお話がございましたように、日本側に対して公式にそういう要請がなされているわけではございません。したがいまして、我々は、そういうことにつきまして細部を承知はしておりませんし、また、それにどう対応するかについて検討している状況ではございません。
  206. 草川昭三

    ○草川委員 では、もう時間がどんどん過ぎていきますので、沖縄の米軍の居住施設についてお伺いします。  六十二年度の思いやり予算の中には三百五十二戸、六十三年度で三百九十六戸、六十四年度で四百二戸、これが今沖縄で新しく基地内に建設をされているやに聞いております。それで問題は、思いやり予算の増加に伴いまして米軍軍人の居住は基地内に移りつつあります。そのために沖縄の民間アパートの空き家が増大をし、家主は非常に深刻になっておる、こういう訴えが出ておるわけであります。  これはもう皆さんの方にも相当地元の方からもいっておるからおわかりだと思いますけれども、現在思いやりで基地内へ移動している家というのは全部で七千二百二十五世帯と聞いております。それで、基地の外で入居している世帯というのが、一九八七年の十二月には四千二百十、これがどんどん減ってまいりまして、ことしになって、最近では八月で三千六百七十三、九月で三千七百三、こういうように非常に減ってきておるわけです。  これは沖縄の方々にとると非常に深刻です。自分が好きでアパートをつくったわけじゃない、当時の米軍の司令官の方からも要望があった、あるいは県の方からも、おやりなさい、いろいろと資金の援助をしようというのでどんどんできた。さあ、つくってみたら今度は入居が減っていった。もうことしじゅうにもこれがもつかもたぬかというような深刻な事態がある。こういう事態の前提に立つならば、この思いやり予算というものの使途のあり方を補助金にかえるような形で、少なくとも民間アパートに入っていただいて差額を出す、そして民間アパートの方で不十分な場合は基地の中に移動するとか、そういうあり方があってもいいのではないだろうか、こういう具体的な提案を私どもは持っておるわけですが、その点についても外務省に聞かなければ答えられませんか。
  207. 池田久克

    ○池田政府委員 これは私どもの仕事でございまして、御指摘のように米軍の強い要望がございまして基地内に米軍の住宅の建設を進めておることは事実でございます。しかし、米軍の住宅事情は非常に厳しいものがございまして、引き続き民間の住宅をお借りしていく必要があります。この辺のバランスも考えなければいかぬと思っています。  さらに、今御指摘の、民間の住宅を米側が使いやすいように、借りやすいように何かできないかという点でございます。まことにごもっともな御意見でございまして、これは米側との話し合いも必要なんでありますけれども、例えばこれを借り上げることができないかとか、いろいろな方法を現在研究しなければいかぬと思って研究を始めております。しかし、協定上の問題とか経費の扱いの問題とかいろいろな検討すべき問題が多々ありますが、御指摘のように民間の住宅を何とか活用できないかという点についてはさらに検討してまいりたいと思っております。
  208. 草川昭三

    ○草川委員 時間がどんどん過ぎていきますので、今度は高蔵寺の弾薬庫の問題に質問を移します。  愛知県の高蔵寺に航空自衛隊の第四補給処高蔵寺支処というところで管轄をしております弾薬庫があるわけですが、これはどのような事業内容になっておるのか質問をいたします。
  209. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  第四補給処高蔵寺支処でございますが、通称高蔵寺弾薬庫と申しておりますが、航空自衛隊の唯一の弾薬支処といたしまして各種の弾薬を保管しておるということが任務でございます。
  210. 草川昭三

    ○草川委員 今、日本の航空自衛隊の唯一の弾薬庫だ、こういうことですが、総面積は百四十七ヘクタール、隊員は約二百数十名が常駐をしている、こういうことだと思いますが、どのような弾薬が貯蔵されているのか、あるいは爆薬量はトータルでどの程度のものか、差し支えのない範囲でお答えを願いたいと思います。
  211. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  各種の実砲あるいは空砲その他爆弾等でございますけれども、弾種、数量等については御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  212. 草川昭三

    ○草川委員 空対空ミサイル、サイドワインダ ー、こういうものが少なくとも百発前後、あるいは戦闘用爆弾、こういうものが、少しこれはデータが古いのでありますけれども七、八千トンある、こう言われております。  問題は、私が申し上げたいのは、この弾薬庫というのは戦前からの陸軍から引き継いだものでございますから、自衛隊が現在使用しておるわけでありますが、そのそばにいわゆる公団住宅がございます。これは建設省にお伺いをしますが、この弾薬庫に対して、第一工区、第二工区、第三工区という工区があるわけです。この弾薬庫は第三工区の将来計画に入っておるというふうに聞いておるわけですが、その点建設省、どのようなことになっておるのか、お伺いをします。
  213. 五十嵐健之

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  高蔵寺ニュータウンにつきましては、六十年に現在つくっておりますニュータウン計画が一応終わっております。今先生御指摘のところにつきまして、第三工区と言うかどうかは別でございますけれども、当初からここを含めまして一体的に開発をしたいという希望を持っておるところでございます。
  214. 草川昭三

    ○草川委員 それで、今の答弁にありますように、この弾薬庫を含めてトータルな意味で開発をしたい、こういう答弁ですが、それが現実にはどういう交渉状況になっておるのか、お伺いします。
  215. 五十嵐健之

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、ここの弾薬庫敷地につきましては、高蔵寺のニュータウンといたしまして一体的に開発をしたいというのを当初から持って、住・都公団側から防衛庁の方にいろいろお願いを申し上げていたということでございます。  この協議と申しますかお願いにつきましては、ずっとかなり長い時間お願いしておりまして、六十年春ごろにはいろいろ具体的なお話し合いまでいったところでございますが、残念ながら調整がつきませんで現在に至っているというような状況にございます。
  216. 草川昭三

    ○草川委員 今度は防衛庁にお伺いします。  今建設省がこういう答弁をしておりますが、防衛庁としては、条件が合えば、日本国内で唯一の弾薬庫だというのですけれども、有数の団地の中にあるわけですから私は決していいところではないと思うのですね。また戦略的に言っても、愛知県の春日井市というところに日本唯一の火薬庫があるということは問題があるのじゃないか、もっとこれは分散をすべきではないだろうか、私はこういう考え方を持っておるのですけれども、防衛庁としてどのような見解か、お伺いをします。
  217. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  今先生御質問のように、あの地域、周辺が大変な住宅地域、名古屋のベッドタウンという状況になっておりまして、弾薬庫としては必ずしも適切な立地、いわゆる保安距離がたくさんとれるというような状況にはない。しかし一方では、小牧基地に非常に近いというようなこともあって交通の便もいいというようなこともございますけれども、私どもとしましては、本件が、唯一の弾薬庫でございますから、適地が得られまして、その適地の問題と、もう一つは若干価格の折り合いの問題等もございますので、そういう問題が解決されれば、しかるべきところに移るということも十分検討に値するというふうに考えております。
  218. 草川昭三

    ○草川委員 今防衛庁の方から、条件が合えば、必ずしも適切な場所ではないので移転をする考え方がある、こういう趣旨の答弁がありました。  建設省、今の答弁を踏まえまして、私は、住宅公団に対して高い値段で売りつけて、それが果たして住宅の運営に適切かどうか、これは非常に難しい問題があると思いますね。ですから、私は大きな視野に立って、これはまた防衛庁長官にもお伺いをしたいと思うのですが、この種の移転については特特会計、特別の会計という予算執行ということになると思いますが、売って、その範囲内で大蔵省の許可を得て新しいところを探すということになると思うのです。こういう移転のことについては、私は住宅公団なり建設省の方も積極的にアプローチをしていただいて、金額的に合わない点は別の一般会計でこれを面倒を見るとかいうことにしていきませんと、あれは永久に残ってしまうことになると思います。周辺は非常に宅地開発が進んでおる中で、日本の航空自衛隊の唯一の火薬庫がある。これはいつまでも許せるわけではありません、事故があったら大変なことになるわけでありますから。  私は、そういう意味で、別途これはチームをつくっていただいて考え直していただきたいと思うのですが、この点長官どうでしょう。
  219. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この問題については、今参事官の方からお話ししたとおりでございますので、建設省とよく打ち合わせをして今後の対策を進めてまいりたい、早い機会にそういうような方向を見出したい、こう思います。
  220. 草川昭三

    ○草川委員 では次に、航空自衛隊の小牧基地の問題に入りたいと思います。  行空自衛隊の小牧基地というのは、住宅密集地にあるわけです。住民の方々からは騒音公害についての数多くの問題点が寄せられているわけですが、この小牧基地における航空自衛隊業務内容は一体何と何かお伺いしたい、こう思います。
  221. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  小牧基地におきましては名古屋空港、民間空港を共用させていただきまして、輸送航空団の第一輸送航空隊、航空救難団の救難教育隊、それから第五術科学校がそれぞれの所掌の任務を遂行させていただいております。
  222. 草川昭三

    ○草川委員 航空輸送隊のことでございますけれども、名古屋空港における自衛隊機の月別の着陸回数を、六十三年度だけで結構ですからお伺いをしたいと思います。これは、航空自衛隊でなければ運輸省、どちらからでも結構ですから答弁願いたいと思います。
  223. 下里晃

    ○下里説明員 お答え申し上げます。  名古屋空港におきましての軍用機のタッチ・アンド・ゴー、ローアプローチ、この回数につきましては、六十三年というお話でございますが、私どもの統計としましては、六十一年七月から六十三年六月の間の過去二年間における回数は九千四百四十九回でございます。  なお、月平均約三百九十四回ございます。
  224. 草川昭三

    ○草川委員 名古屋空港における自衛隊機の月別着陸回数と、今言うタッチ・アンド・ゴーあるいはローアプローチ、着陸をしないやつですね。先ほどの答弁、月別平均三百九十四というのはタッチ・アンド・ゴーの話ですか、それとも自衛隊機の月別着陸回数全体の話をしてみえるのですか、分けて答弁してください。
  225. 下里晃

    ○下里説明員 統計上、着陸回数とローアプローチ、タッチ・アンド・ゴーの回数は分けてございます。  着陸回数で申し上げますと、同時期、六十一年七月から六十三年六月の間の過去二年間の自衛隊機の着陸回数は一万三千七百七回でございまして、月平均約五百七十一回ございます。
  226. 草川昭三

    ○草川委員 今答弁がありますように、月別に大体五百七十一、その中でタッチ・アンド・ゴーあるいはローアプローチが三百九十四、こういう答弁ですが、このタッチ・アンド・ゴーというのが非常に多過ぎるのではないか。タッチ・アンド・ゴー訓練というのは、必ずしも飛行場でなくて、想定する海域、そういうところで何かブイでも置きながら、そこでタッチ・アンド・ゴーの、タッチ・アンド・ゴーにはなりませんけれども、そのような訓練というのがあってしかるべきではないだろうかと私は思うのですが、それは教育上いかがなものか、お伺いをしたいと思います。
  227. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  パイロットが離着陸に関係します戦術技量を維持向上するために、限られた滑走路の使用時間を有効に活用して効果的な訓練を実施しますためには、どうしてもそのタッチ・アンド・ゴーという方式をとる必要があるわけでございます。これを全く別の場所でやってみるといいますと、その自分の所属する飛行場における慣熟という目的は十 分達せられないことになりますし、まして海上では非常に難しいということだと思います。
  228. 草川昭三

    ○草川委員 今、海上等ではできない、しかもこれは非常に重要だと言ってみえますね。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕 ところが、私は防衛庁に、名古屋空港における自衛隊のタッチ・アンド・ゴーの回数の内容について事前にレクで質問しました。そうしたら、名古屋空港における自衛隊機のタッチ・アンド・ゴーの回数などについては、同空港は運輸省が管理しているので防衛庁は独自に集計していない、こういう答弁だったのです。そういう極めて大切なタッチ・アンド・ゴーについて、どうして防衛庁は自分でカウントしないのでしょうか。その程度の大切さということですか。
  229. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 その件は大変失礼いたしましたけれども、もちろん小牧につきましても、回数の概要につきましては運輸省の方から、管制していらっしゃいますので教えていただいているわけでございますが、その正確な数というものは管制機関にお尋ねいただくことしかるべし、そういうことで申し上げた趣旨でございます。
  230. 草川昭三

    ○草川委員 私が防衛庁に対してそういうことを言うのは、タッチ・アンド・ゴーなんというのは別に秘密でも何でもないわけですから、一人の操縦士を育てるためには少なくとも月にこれくらいの回数の教育が必要だとか、そういう親切な答弁があってしかるべきだと思うのです。私の趣旨というのは、地域住民の方々は騒音に対して大いに不満がある、だからタッチ・アンド・ゴーというのはもっと別なところで訓練できないだろうか、こういう素朴な質問ですから、今のように、それは運輸省に聞いてくれとか言われるような態度だと、先ほどの、外務省の意見を聞かなければ何もできませんというのと同じだと思うのですね。  念のためにお伺いしますが、雨の日は訓練はやらないのですか。やらない理由はどういうことでしょうか。
  231. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  自衛隊機の飛行訓練は一般にVFR、有視界飛行方式によって行うことが多いわけであります。そのために、視界不良の雨天時にはこれができませんので、雨の日には飛ばないことが多い、こういうことでございます。
  232. 草川昭三

    ○草川委員 同じ意味で、救難教育隊の方に話を移しましょう。  この救難教育隊というのはMU2、それからバートルというのですか、V107で救難訓練を行っておると思うのですが、これは別に有視界というのか、雨の日でも有視界の範囲内でやれると思うのですが、こちらはどういう訓練をしておるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  233. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 小牧基地には、先ほども申し上げましたけれども航空救難団の救難教育隊が配備されておりまして、ここでは今問題のホバリングをやります、空中停止をやりますバートル四機を使い、操縦士を教育しております救難操縦課程というのがございます。  この場合に、やはり飛行場及びその周辺で空中停止の訓練を行うことがどうしても必要なのでありますが、その際も管制と連絡をとりまして、そのときの状況に応じて、可能であれば本来の高度よりも、六百フィートですけれども、それよりも高い高度が使用可能なときにはその高い高度で飛行したり、それから空中停止以外の他の場所で行える訓練、例えば計器飛行とか航法とか捜索等の科目は、飛行場周辺の人家の密集地上空を避ける仕方で飛行して、ほかの方でやるというふうなことで、地元の方々に航空機騒音による御迷惑をできるだけおかけしないように努力しておるところでございます。
  234. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、ホバリングを含めて一番問題になりますのはV107の騒音なんですけれども、飛行場周辺、どの程度のエリアで訓練をなすっているのかお伺いをします。大まかにヘクタールでも結構ですし、飛行場のそばならそばと言っていただいても結構ですし、周辺なら周辺で訓練をしておると言っていただいても結構ですが、場所について概要説明していただきたいと思います。
  235. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 離着陸とホバリングは飛行場の中でやっております。それ以外のものは飛行場周辺、こういうことでございます。
  236. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省にお伺いいたしますけれども、運輸省は自衛隊の訓練・試験空域について一定の場所を設定していると思います。愛知県の小牧周辺でどこが自衛隊の訓練・試験空域になっているのか、空域の場所を教えていただきたいと思います。
  237. 下里晃

    ○下里説明員 お答え申し上げます。  名古屋空港周辺における自衛隊の訓練・試験空域は、例えば渥美半島の南方海上にK訓練空域というのがございます。
  238. 草川昭三

    ○草川委員 今運輸省の方から、自衛隊の訓練・試験空域というのは、エリアKというのですか、渥美半島の上空周辺、こういう答弁がありました。防衛庁の先ほどの説明によりますと、ホバリングは上がったままのあれですから飛行場でやるのは当たり前ですけれども、その他の訓練は飛行場周辺、こういう答弁がありましたね。この救難教育隊のヘリの訓練はどうして自衛隊の訓練・試験空域で行わないのか、お伺いします。
  239. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  K空域は別途ジェット機等の訓練に使っておるわけでございまして、そのほかに我々がお借りしております民間航空の訓練空域というふうなものも使わせていただいております。それからまた、そういう訓練空域で特にやらなくてもよいような航法訓練のようなものは、そういうことが許されておる普通の飛行科の空域でやらせていただいておる、こういうことでございます。
  240. 草川昭三

    ○草川委員 いや、こういうことじゃないのですよ。私の方はこういうことだということを今から言いますけれども。  今K空域というのはジェットだというようなことがございますが、自衛隊訓練・試験空域として指定されているわけですよ。だから私は、自衛隊機というものは、ジェット機であろうとヘリコプターであろうと、訓練をするということならば試験空域を使って訓練をされたらどうでしょうか、こう聞いておるわけです。先ほどの答弁では、それは別です、私どもはこの地域で、近くでやると言うのですが、この近くということは一体どういうところが近くかといいますと、住宅密集地域ですよ。なぜ住宅密集地域の上空でヘリコプターの訓練をしなければいけないのか、運輸省が定めた試験空域というのがあるんだからそこでなぜやらないのか、これを聞いているのです。答弁してください。
  241. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  K空域、これの一部に洋上訓練場というのもありますが、これはいわゆる低高度で使う場所でございまして、そういうふうなところでの訓練もやってはおりますが、そのほかに問題のない場所で、民間航空の訓練場とかその他のいわゆる通常の飛行形態による航法訓練ができる場所、そういうふうな場所でもやっておるということを申し上げたわけなんであります。
  242. 草川昭三

    ○草川委員 私がいろいろと関係者に聞いたら、未熟練者の訓練をやっておるから渥美半島の先のような遠くまで行って訓練するわけにいかない、こう言うのですよ。未熟練者の訓練だから飛行場の周辺の近いところで訓練をしておる、こういう答弁ですよ。それは地域の住民にとっては甚だ迷惑ですね。私はここの出身の議員ですから詳しい地形を全部承知をしておりますが、この飛行場のそばには大きな川もあるのです、矢田川であろうと庄内川であろうと。あるいは明治村というような大きな丘陵地帯があるわけですよ。なぜそこでやらないのですかと聞いたら、実は山だとか川というのは非常に難しいところなんで、そこで訓練をするほどまだ上達していない、こう言うのですね。では、その未熟練者の訓練をするのは住宅密集地域の上空ならいいのですかという反論があるわけです。しかも雨の日は訓練しないのでしょう。なぜ雨かというと、雨はやはり難しいからでしょう。そうすると、地域の住民にしてみると、 雨が降って雨戸を閉めておるときには訓練をせずに、天気になって窓をあけたらわあわあやるわけでしょう。非常に強い不満があるのです。  だから、このヘリコプターの離発着の記録を運輸省にも求めたのですが、運輸省にも統計がないようなので、地域の住民の方々が、毎日、雨が降った、天気が悪い、雪だった、飛行場が閉鎖になったというようなのを六十一年から何年か統計をとったのが私のところにありますけれども、一日に四十回だとか三十回だとかと全部統計があるわけです。一回の日もあるわけです。その一回の日というのは雨だからやらないわけで、天気になるとやるわけですよ。こういう話は地域の住民にとりますとちょっと納得できないですね。  先ほど長官は、地域の住民の方々と本当にひざを交えて、そして理解を深めながらやっていこうというようなことをせっかく言ってみえるわけでしょう。ところが、地元の方では今のようなことなんですよ。少なくとも救難訓練というのは非常に騒音でやかましいので、場所を少し移動して、川の上だとか丘陵地帯だとかそういうところでなぜできないのか。そんなに長距離じゃないですよ。私は渥美半島まで行けと言っているわけじゃないですよ、すぐ周辺にあるわけですから。これは考える余地があると思うのですが、その点はどうでしょう。
  243. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 この八月にも春日井市の飛行場周辺対策市民協議会の方々からの御要望がございまして、我々もそれをよく承っておりますが、私どもの側といたしましても、できる限り住民の方々に騒音の障害がないように、場所を考えながらやっておるということなんであります。今後ともこの航空機騒音の低減のために、例えば高さをより高くとるとか、もちろん市街地上空を避けるとか、そういうふうな努力は続けたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  244. 草川昭三

    ○草川委員 私が言っておることはそんな無理な話ではないのです。そんなに長距離移動しろということを言っておるわけではございません。今の航空自衛隊の救難訓練のパイロットは、育てるのは年間十数人でしょう。だから非常に大きな部隊ではありませんから、川の上空だとか今申し上げました近くの丘陵地帯を利用してやられることを特に要望して、今の教育訓練局長の答弁を理解をしていきたい、こう思います。  それから、同じくこれは名古屋空港の問題でありますが、これも運輸省にまずお伺いをしたいと思うのです。  名古屋空港は最近、国内線、国際線ともに大変旅行客がふえております。ジャンボなんかが入ってきたり、いろいろな避難港としても利用されておりまして、大変なラッシュになるのです。しかも、最近航空貨物も非常に増加をしておりまして、六十二年度は旅客数だけでも約三百六十万人を超えると言っておりますし、航空貨物も二百四十万トン、大変な量になってきておるわけです。中部圏の経済のポテンシャルというのですか、今後の経済成長の非常に大きな柱になってくるわけで、さらに航空需要というのが増加をするものと思われます。  現在、ターミナルはエプロンも非常に狭いわけでありますし、それからターミナルの建物の中も大変混雑をしておりまして、今空港ビルの方も増築工事をやっております。中部国際空港の要求をしておりますが、これもあしたというわけにはまいりませんので、いずれにいたしましても現在の空港の用地を拡張することが非常に必要になってきているわけです。そこで、ターミナル地域の拡張についての運輸省の見解を求めたい、こういうように思うわけです。どうでしょう。
  245. 小坂英治

    ○小坂説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり旅客、貨物ともにふえておりまして、そのうちで特に話題になっております旅客でございますが、国内につきましては、最近できました今の旅客ターミナルで若干余裕がございます。それを使っていくということになります。今時に問題になっておりますのは国際の方でございますが、この航空需要の急増に対応するために、名古屋空港ビルディング株式会社というのがございますが、ここで六十四年度完成を目指しまして現在拡張工事をやっております。  ただし、それではまだ足らないだろうということで、先生御指摘のような形で抜本的に拡張していくという要請が地元から強く出ておりますが、十分承知しておりまして、運輸省におきましても現在ターミナル地域の拡張整備について鋭意検討を進めております。
  246. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省にもう一度お願いをしたいのですが、要するに見直し計画が今検討されているということは我々も十分承知しているのです。見直し計画というのがもうできたのではないだろうか、またできていなければおかしいわけですけれども、地元の知事なんかも、それを早くやってもらいたいという要望を出しておるようであります。そして、自分たちも何なら先行投資をして用地買収をやりますよと。しかし、運輸省の基本的な計画の見直し作業にある程度の見通しがつかないと、なかなかそういうことはできませんね。もう一部ではある程度報道も出ておりますので、もしこれが非常におくれていきますと、かえって最終的には国にも迷惑をかけることになると思うのです。ですから見直し計画を急げということですが、見直し計画はもう完了しておるのでしょう、その点どうでしょう。
  247. 小坂英治

    ○小坂説明員 先生御指摘のように完了しているかといいますと、「はい」という状態にはなっておりません。大都市圏域の空港の拡張というのはそれなりにいろいろな大きな問題を抱えておりまして、私ども慎重に対応していく所存でございまして、鋭意努力してまいりたいと思います。
  248. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにいたしましても、第六次の空港整備計画を待たなくても、一定の今のようなことが進めばやれる、こういうことでしょう。その点だけはちょっと確認しておきたいと思います。
  249. 小坂英治

    ○小坂説明員 お答え申し上げます。  ターミナル地区の拡張は五カ年計画で取り上げる、特に五カ年計画の中に計上しましてその中に縛られてやるというものとは理解しておりません。
  250. 草川昭三

    ○草川委員 整備計画を待たなくても進展できると思うのでございますので、私どもとしては、いずれにいたしましてもあの空港の役割というのは非常に重要な時期になってきました。それでぜひ地元の意向等も承知をしていただいて、早急に内容が地元の方にも伝わるようにしていただいて整備計画が完成するようにしていきたいと思っておりますのでお願いをしたい、こう思います。  最後になりますが、もう時間があとわずかしかありませんので要望だけを申し上げておきますが、防衛費の、いわゆる自衛隊のF15、E2C、P3Cの購入についてどの程度の円高差益の還元が図られているかという問題を実は細かくやりたかったわけでありますが、時間がございませんので一言だけ申し上げておきます。  例えば六十三年の予算あるいは六十四年の概算要求、こういうのを見てまいりますと、例えばF15、これだと平均単価が対前年度に比べまして非常に引き下げ率が少ないわけですね。例えば六十年度では平均単価が百二億、六十一年度では平均単価が九十九億、六十二年で八十八億、六十三年で七十九億、六十四年度で八十億と逆に今度は上がるわけでありますが、平均単価でありますから、各種のオプションの関係があって単純にはまいりませんけれども、こういう数字を見てまいりますと非常に急激な円高の差益というものは反映していないのではないか、こういう疑問があるわけですが、時間がございませんので最後に長官の方から、防衛費の使途あるいは購入、円高差益の還元について適切に行うようその決意を求めて終わりたい、こう思います。ぜひお願いしたい、こう思います。
  251. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま御指摘のような円高差益については適切に、やはり防衛費の問題がこのように大きな関心を持たれているときでございま すだけに、円高差益については十分注意をして、今後期待に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  252. 草川昭三

    ○草川委員 以上です。
  253. 谷津義男

    ○谷津委員長代理 野間友一君。
  254. 野間友一

    ○野間委員 最初に、沖縄のキャンプ・ハンセンでの米軍の実弾演習、これによる金武町伊芸地区の民家、その周辺に対する被弾事故についてお伺いしたいと思うのです。  十月の十五日のようでありますが、被弾事故がありまして今大変な衝撃を与えております。施設庁にお伺いいたしますが、一体何発の実弾が発見されたのか、まず教えてください。
  255. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に発見されましたのが、十月十五日の十時半ごろでございます。伊芸のサービスエリア内の給油所の事務室出入り口付近で発見されております。  次に、同じく十五日の十二時五十分ごろ、同じく伊芸の崎山酒造廠の酒瓶入れのケース集積所内で発見されております。  三つ目は、十月の十六日の日曜日八時ごろでございます。沖縄自動車道伊芸サービスエリア内の男子公衆トイレ内で発見されております。  それから四つ目が、十月の十七日十六時四十分ごろ、伊芸の玉城幸信という方の家の屋上で発見されております。  五つ目は、十月の十八日八時三十分ごろ、金武農協の伊芸支所の建物の横で発見されております。  六つ目が、十月の十八日、仲里全孝さんという方の小屋の前で発見されております。  さらに、十月の十九日の夕刻でございますが、伊芸の新築工事現場で一発発見をされております。ただ、これについては現在調査中でございます。
  256. 野間友一

    ○野間委員 防衛庁長官あるいは沖縄開発庁長官、お聞きのとおりなんで、十五日からわずかの五日間に七発の実弾が民家周辺に撃ち込まれたという大変な事故であります。これは単なるはね弾とか流れ弾、これとは全く性質、性格を異にした大変な事故だと思いますが、それについて長官はどういうふうにお考えになるか、それぞれお答えいただきたいと思います。
  257. 粕谷茂

    粕谷国務大臣 御指摘の点につきましては、先日閣議で私が特別発言をいたしました。このたびの被弾事故につきましては、沖縄開発庁といたしましては、型どおりのことを申し上げますれば直接関与できる立場にはないわけですけれども、しかし、県民の生活の安全を確保するという上から私は極めて遺憾と思っておることでございます。したがって、現在関係方面におきまして事実関係を厳しく究明をし、かつまた調査を鋭意行ってほしい、同時に、沖縄開発庁といたしましては、今後こういった問題につきまして県民の不安が生じることのないように関係方面に十分連絡をとっていきたい、こういうふうに思っております。
  258. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま沖縄開発庁長官の御発言にもありましたように、沖縄住民にとっては大変な不安を与える事故でございますので、防衛庁としましても、できるだけ早い機会に、この事故の原因究明、そしてその後の対策等について、防衛施設庁を通じて強く米軍に要請をしている状況でございます。
  259. 野間友一

    ○野間委員 粕谷さん、結構です。  施設長官にお聞きしますが、先ほど申し上げたように昭和三十年代から今日までキャンプ・ハンセンにおきます被弾事故、これは今回を除いて今まで十一件あるわけですね。ところが、今までの被弾事件と違う点は、今度は同時に七発も発見された。まるで戦場のようだ。沖縄の新聞を見ましても「住民に向けられた銃口」、こういう見出しで書かれております。まさにそうだと思うのです。そういう点で、今までの被弾事件とはちょっと性格が異なった、そういうような感じが私はしますが、その点についていかがですか。
  260. 池田久克

    ○池田政府委員 今回のキャンプ・ハンセンの場外で弾丸が発見されたことにつきましては我々も非常に重大な問題であると考えておりまして、これは外務省からも合同委員会を通じて米側に正式に申し入れしておりますし、私どもも、まず、現地の沖縄に局がございますので、そこの責任者から米軍の沖縄の海兵隊の責任者に申し入れをいたしました。  さらに、私としましては、単なる申し入れだけではと思いまして、私のところの庁議のメンバーの一人であります幹部の調停官、この関係の責任者でありますが、これを直接、私の意思を込めて、現地の沖縄の最高司令官に対して、この事態を重視している旨を伝え、一緒に現地を見させております。
  261. 野間友一

    ○野間委員 聞いたことにお答えくださいよ。これは、キャンプ・ハンセンでは三十年代から今まで十一件あったのです。流れ弾とかあるいははね弾ですね。ところが、今度は七発も同時に見つかったわけですよ。無差別にやっておるんじゃないかという疑いが非常に濃いわけですよ。ですから今までのものとは全然性格が違うじゃないか、こう聞いておるのです。
  262. 池田久克

    ○池田政府委員 確かに、先生おっしゃいますようにそういう点は見受けられます。  現在七発発見されております。警察の調査によりますと多少古いのも入っているようでありますけれども、いずれにしましても、先生おっしゃいますように、従来のものと少し違うものがあります。しかし、だからといって、これが沖縄の県民に銃口を向けたとかそういうことはないのでありまして、現在、米側に強く申し入れまして、当時どういう形の演習をどのようにやっておったのか、そしてどうしてこうなったのかということについて、さらに詳細な調査をいたさせておるわけであります。  なぜ銃口を向けたのではないと申し上げるかといいますと、これは一人でやっているわけではございませんで、当然指揮官のもとに大勢でやっておる演習でございますから、そう申し上げておるところであります。
  263. 野間友一

    ○野間委員 その点については、おいおいお聞きしていきます。  この事態の重要性を私どもは非常に重視をいたしまして、きのうも実は外務大臣と、それから施設長官あてに、演習の全面中止とそれから基地の全面撤去ですね、この申し入れをやったわけであります。  今も、施設長官も言いましたけれども、これは非常に大変な事故だということで、今までかつてない、原局の報告を受けただけで直ちに現地へ佐々木さん、この方を派遣してそして調査に当たったということからも、施設庁としても非常にこの持つ意味を重要に考えておるんじゃないかというふうに思うわけです。  そこで、調査に行かれて、おとといですか帰られたわけですね、具体的にどんな調査をされたのか。原因とかあるいはその調査内容等についても報告をしていただきたいと思います。
  264. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答えを申し上げます。  調停官を現地に派遣いたしまして、早速沖縄の海兵隊の最高司令官であります師団長のもとに赴きまして、この事故の事態を非常に防衛施設庁として重視をしているということで、原因究明とその対応策について早急な措置を求めた。同時に、弾の発見された場所に赴きまして、それぞれどういうところで、どういう状況のもとで発見されておるかというようなことを調査をしております。
  265. 野間友一

    ○野間委員 きのう申し入れしたところ、その佐々木さんがなされた調査の結果だと思いますが、私どもの聞き取りではこうなっております。  一つは、七発目の銃弾、これは地元の大工さんの腹をかすめたわけですね。きのう発見されている、おとといですか。あわや、本当に人命にかかわるそういう事故であった。これはもう七発目ということで、先ほどから言われたとおりであります。  それで、米軍の四軍調整官スミス少将に会いましていろいろと聞き取りをした。現場を見て、訓練の模様も見た。訓練の指揮に当たった中佐ある いは撃った兵隊、これに会って話も聞きながら調査をした。それから指揮官の話では、米軍には訓練のマニュアルがある。訓練は射座から山の手をバックストップに撃っていた。レンジ6ですね。ここから、今申し上げた山、恩納岳、これに向かって訓練をしておった。匍匐前進をしながら訓練をする。こういうことのようですね。しかも射座から的には、一定の角度で両側に、上が赤、下が白のドラム缶二、三本を立てられて、撃つ角度が決められておる。したがって、本来の訓練からは考えることができないような奇妙な事件だということもきのう聞かせていただいております。  米軍もアンユージュアルな事件だ、そういう現象だ、こういうふうに述べたということも聞き取りをしておりますが、この点については間違いないと思いますが、いかがですか。
  266. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 まず最初に、第七発目の弾の見つかった件につきまして状況を御説明申し上げます。  この弾が見つかりましたのは十月十九日の夕刻でございます。先ほど申しましたように、新築工事現場で見つかったわけです。くぎ箱の中で見つかったわけでございます。そして、そのときになって、その工事現場に働いておられますもう一人の方が、そういえば、あるいは数日前、腹に熱い痛みを感じた。これにつきましては御本人の証言から、あるいは十五日であるか十七日であるかということがはっきりしないというような点、不明確な点もややございます。その点も含めて現在調査中でございます。  それから、調停官は事故現場等に赴きまして先ほど申しましたような調査をしております。新聞にもいろいろ報道されておるようでございますけれども、このレンジ6の状況、レンジ6に行きまして、いろいろその場で、その時点でわかっている範囲内の説明を受けておりますけれども、レンジ6から山側に向かっての射撃の範囲内には射撃しておった、海兵隊の部隊がやっておったというようなことを調査しております。
  267. 野間友一

    ○野間委員 長官、大変おかしなわけですね。恩納岳、山がありまして、ドラム缶を立てて目標を決めて、その中で撃つ練習、匍匐前進か何かやるわけですね。こういうことですよ。ところが実際に被弾したのは、ここから九十度も右側なんですよね。しかも伊芸地区、民家の密集するところで、先ほど大工さんも腹をかすめたとか、あるいは玄関口におっこっておったとか、お酒をつくるところにおっこっておったとか、大変なことなんですね。だから、子供を外で遊ばすことができないとか、もう二階には寝られない、いつ降ってくるかわからぬ。ですから、通常の演習からすれば全く考えようのない、米軍でもアンユージュアルと言わざるを得ない、こういうようなことですね。  だから施設庁としても、これは大変奇妙な事件だ、おかしい、こういうことは思っておると思いますが、いかがですか。
  268. 池田久克

    ○池田政府委員 演習場外で多くの弾丸が発見された、これは非常に重大なことは先ほど申し上げましたし、我々としてもあってはならないことと考えております。そこで、米側とも相談をしまして、米側の自発的な意思で、これはレンジ6という演習場でございますが、ここの演習を停止させております。したがいまして、停止している以上、こういう格好のものはこの地域では起こらないのではないかと考えていますが、いずれにしましても、今先生おっしゃった、どういう格好でどういう演習をしていたのか、また、どういうわけでこうなったのかについては、一義的には米側が調査をして、その結果を待って判断しなければいけないと我々考えておりまして、その結果を待っているところでございます。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕
  269. 野間友一

    ○野間委員 安富祖さんという方、腹をかすめた大工さんですね、これは今言われた十五日、六発が同時に見つかった、時間的にはそれと別の時期なんですね。そうすると、その当時レンジ6はとまっておったわけでしょう、中止しておったわけでしょう。だから、それがまたどこからか、どの穴なのかさっぱりわからないという状況ですが、それは今どういうふうに認識しておりますか。
  270. 池田久克

    ○池田政府委員 これは先ほど総務部長も申し上げましたように、一体いつ生じた弾なのか、これがよくわからない状況でございます。本人もよく定かでないというような状況でございます。しかし、これがレンジ6から撃たれたのだとすれば、それは現在中止しておりますから、その後ということはないはずであります。
  271. 野間友一

    ○野間委員 ですから、地元ではこういうふうに疑惑を持っておるんですよ。そのレンジが六つあるんですか、そこで射座から発射し、また匍匐して進んでいく、あくまでそのターゲットというのはその山ですね、恩納岳。ところが、全然違う九十度右の方のところで被弾をした。そうすると、もうマニュアルどおりじゃなくてゲリラ戦、入り乱れてずっとやって、方角が全くわからなくなって、それで被弾したんじゃないか。だからゲリラ戦の訓練をしておったんじゃないか。レンジじゃなくて、そこの演習場の中でやっておったんじゃないか。そうでなければこの現象は理解できない。あなた、専門家でしょう。そういうふうに考えざるを得ないと思うのです。ゲリラ戦の訓練をやっておった、いかがですか。
  272. 池田久克

    ○池田政府委員 通常このキャンプ・ハンセンでは、そういう形の演習は、ゲリラ戦というようなことはやっていないと承知しております。これは北部の訓練場が別にございまして、ゲリラ戦、どういう意味でゲリラ戦と申しておられるか、私が理解するいわゆるゲリラ戦というのは北部の訓練場でやっておるようでございます。しかし、再三申し上げておりますように、このレンジ6で当日どういうふうに、どういう格好で演習したか、これはやはり米軍の調査を待ちたいと考えています。
  273. 野間友一

    ○野間委員 繰り返しですが、レンジから実弾で演習する場合にはマニュアルがあるでしょう。それに基づいてやるわけですから、そのとおりやっておけばそれるわけがない。たまたま流弾とかあるいははね弾、これがあったとしても、一発ぐらいならそうかなと思うけれども、同時にそれだけたくさんの弾が民家あるいはその周辺に飛んでおるということは、これは実際のマニュアルどおりにやっておればそういうことは起こり得るはずがない。これは常識でしょう、いかがですか。
  274. 池田久克

    ○池田政府委員 再三申し上げておりますように、演習の内容は定かに我々わからない、今現在わからないわけでありますから、軽々に物を申し上げることは適当でないと思いますけれども、確かに問題はあろうと思います。
  275. 野間友一

    ○野間委員 さてそこで、確かにこれは問題があるのですよ。  次にお聞きしたいのは、この演習場の問題なんですが、これは今申し上げた金武町ですね、これに近接して六つの実弾の射撃場があります。2から7ですね。レンジは六つですね。それで、各レンジと民間地との距離ですが、これはレンジ2が五百メートル、3が三百七十メートル、4が二百三十メートル、5と6は二百メートル、わずかそれだけしか離れていない。7が二百三十メートル、こういうことです。ところが、M16ライフル、要するにこの効力ですけれども、防衛年鑑で調べてみますと、有効射程距離は四百メートル、最大の射程距離が三千五百メートル、こうなっていますよ。そうしますと、このレンジから民家よりも有効射程距離あるいは最大の射程距離、これがはるかに長い、こういうことになりますね。ですから、従前から我々はここの演習場は実弾演習には適さない、欠陥演習場だ、だから撤去すべきだ、こういうように言ってきたのですけれども、その点についてどう考えますか。
  276. 池田久克

    ○池田政府委員 沖縄に駐留する米軍がその任務を遂行するために、そして、当然それは日米の連携による我が国の防衛ということでありますけれども、そのためには演習が不可欠であります。したがいまして、そのための演習場を確保することは、また提供することは、日本政府の義務になっております。ただ問題は、そうは申しましても、 今のようにこういう民間の方々に御迷惑をかけるような誤射とか事故とか、そういうことはないように手立てをしていかなければいかぬというふうに考えております。
  277. 野間友一

    ○野間委員 ここの状況ですけれども、沖縄の高速自動車道がありますね。それを越えてしかも被弾しておるわけでしょう。これは調べてみますと、年間の高速を通行する車の量ですが、六百十九万一千八百五十五台、一日一万七千台、こういうことですね。こういうところ、さらにそれを越えてこういうことになっておるわけでしょう、現実は。そうしますと、先ほど申し上げたように、M16ライフルの有効射程距離よりもその隣接する、近接する民家との距離が二百メートルあるいは三百メートル、こういうところなんでしょう。しかし、これは本当に実弾演習に適するというふうにお考えなのかどうか、いかがですか。
  278. 池田久克

    ○池田政府委員 やはりどういうふうに演習するかが最大の問題であろうと考えております。
  279. 野間友一

    ○野間委員 そのどういうふうにという、今まで十一回事故があった。その都度同じことを米軍は繰り返しておるのですね。いやいや済まなかった、もう二度とそういうことはしない、それの繰り返し、繰り返しで、今度は結局大きな、もっと幅の広い、今までと違った、あなたが今おっしゃった問題のあるそういう事故が起こった、こういうことなんですよ。  北米局長お越しですか。あなたの方は、きのう同僚の社会党の上原議員が同じような趣旨のことを申し入れに行かれたそうですけれども、その席で、キャンプ・ハンセン演習場が演習用として不適格かどうか、事件の原因究明の内容を見た上で判断したい、こういうように答えたそうですが、いかがですか。
  280. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 私が上原先生をお迎えしたときに今仰せられたとおりに申したかどうか、私、的確に記憶いたしておりませんけれども、私が申し上げましたことは、今般の大変不幸な事件、これの調査を徹底的に行って、そして、その結果を待って今後とるべき措置についての判断を行いたいと申したつもりでございます。
  281. 野間友一

    ○野間委員 だから、先ほどから言っておりますように、これは適地じゃないのですよ。こんなことを放置しておったら、さらに沖縄県民の米軍に対する物すごいあれが出てきますよ。だって、銃口を今向けられている、そういうふうに認識されておるわけです。これは今までの事実の事の経過からしても当然だと私は思うのです。ですから、こういう欠陥演習場ですね、一つはやはり演習を即座に中止させる。特に、ちょっと戻りますけれども、安富祖さんという大工さん、この方の被弾、この弾はM16ライフルではなくて軽機関銃の弾、M16よりもさらに大きいそういう弾だったというふうに言われておりますけれども、結局M16ライフルだけではなしに、またレンジ6だけではなしに、さまざまな実弾訓練をやっておった、こう言わざるを得ないと思いますが、事実経過、結果からしてそうなると思いますが、いかがですか。
  282. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 安富祖さんをかすめたと言われている弾につきまして、どういう機種のものに使われる弾であるか、そこらを含めて現在調査中でございます。
  283. 野間友一

    ○野間委員 弾の大きさですぐわかるわけですよ。あなたのところで今調査した結果としては、M16ライフルとは違う弾だということは認識があるでしょう。
  284. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 正確にその弾を精査しなければ何とも言えないと思いますけれども、やや違うのではないかという印象を持っております。
  285. 野間友一

    ○野間委員 地元の金武町の町議会、ここでは伊芸地域内の米軍基地撤去を要求する決議をしております。地域を限定せず基地全域の実弾演習場の撤去要求の決議を採択したのは、これが初めてであります。ですから、県民の生命と安全、これを本当に大事に考える場合には、当然こういう欠陥演習場は撤去してしかるべきであるし、当面緊急に演習の中止、これは当然だと思う。その点について再度、防衛庁長官はどういうふうにお考えなのか、所感を聞かしていただきたいと思います。
  286. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今キャンプ・ハンセンでのレンジ6については中止をしている状況でございます。  先ほど来施設長官から答弁させておりますように、その原因をできるだけ早い機会に調査をして究明をしまして、それで今後の対策を進めたい、こう考えております。
  287. 野間友一

    ○野間委員 このキャンプ・ハンセンの問題については時間の関係でこれで終わりまして、あとF16の低空飛行訓練についてお伺いをしてまい,りたいと思います。  これは田澤防衛庁長官の地元でも大変深刻な事態で、大問題になっておりますね。私持ってまいりましたのは、九月二十八日付の朝日新聞の夕刊ですけれども、これは北海道でもそうだし、この新聞では秋田あるいは青森、岩手ですね、ここで低空飛行訓練がどういう被害、影響を与えておるのかということが詳細に調査の上で書かれております。例えば秋田では、ある中学校で校庭の真上をぐわっと飛ぶから、授業は完全に中断、こういうことであるとか、青森では、ゴーッという音がしてガラスがびりびり震える、去年の夏はひどかったのですよ、三カ月くらい続いて、多い日には一日四、五回来たのですよ。さらに食事や昼寝の時間、これは保育所ですが、小さい子供は怖がって昼寝から飛び起きる、泣き出す、御飯は食べられなくなるし、おしっこは漏らすし、本当に子供たちがかわいそうだ、こういう記事が随所に出ております。そして、田澤長官も御案内のとおり、青森県議会では十月の十一日にこれを中止しろという議決をしておりますし、秋田の県議会では九月の二十八日、同様趣旨の要望書、これは外務省あるいは施設庁等に対して出しております。  この点について、こういう大きな被害を与えるF16の低空飛行訓練、これについてどのようにお考えなのか、これは田澤長官にお伺いしたいと思います。
  288. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 訓練については、野間先生御承知のように、我が国及び極東における安全を保障するという意味で駐留米軍がその訓練を進めているわけでございまして、そのことによっての事故はやはり防止していかなければならない、事故に対しては十分な注意を払わなければならないというのは当然のことでございます。したがいまして、ただいま御指摘のようなことのないように今後進めていかなければならない、こう思います。
  289. 野間友一

    ○野間委員 いや、今指摘のことのないようにという答弁ですけれども、それは具体的にはどういう意味ですか。低空飛行訓練はやめろという意味なのか。どうですか。
  290. 池田久克

    ○池田政府委員 F16の訓練実施に関連しまして、昨年来北海道、東北北部でいろいろな被害をもたらしたことは事実でございます。本件につきましては、外務省とも一緒になりまして、アメリカに対しまして、できるだけ被害が少ないように考慮してほしい、そして事故が起こらないようにしてほしい、そういうことを再三にわたって申し上げてきております。アメリカ側もその点は理解を示しておるやに判断しておりますけれども、極力人家の上を避けるとか、そういう配慮をしておるようでございます。  しかし、不幸にして先生御指摘の被害が出ているわけでございまして、我々といたしましては、そういう被害に対して丁重に補償措置を講じるように現在いたしておるところでございます。
  291. 野間友一

    ○野間委員 被害の補償というのは事後措置でしょう。事故が出てからそんなとやかくお金の話をしたって意味ない話で、北海道の日高地方では牧場の競走馬が暴走して負傷した、こういうようなショッキングな出来事があるわけです。もともとこの狭い日本で、しかも人口の密集した――山もありますけれども、東北、北海道の周辺一帯を三沢から飛び立ったF16がぐあっと低空飛行で、これは物すごい音ですよ。怒るのは当たり前ですよ。被害が出る、被害が出たら補償したらいいということで、それは低空飛行そのものはやむを得ないという立場なんでしょうかね。  ちょうど去年の十二月に、三沢基地の四三二戦術戦闘航空団司令のジョン・ローバー大佐は、「F16は実戦的に飛ばなければ強くなれない。空対地訓練の目標は道路、鉄道、橋、レーダー基地」こう言っております。岩手でF16が墜落したでしょう。これも「墜落地点の東方二十数キロにある航空自衛隊第三七警戒群山田分屯地のレーダーサイトを目標に見立てて、訓練していた」こういうふうにありますが、この点についてどうでしょうか。
  292. 池田久克

    ○池田政府委員 このF16の飛行に伴う被害等について、金を払えばいいというふうには我々は考えておりません。低空飛行の訓練は、F16の性能、その部隊の任務遂行、これは申すまでもなく我が国に対する侵攻阻止の有力な力として機能するためのものでありまして、それに伴ってそういう被害が生じてきておるわけでありますけれども、我々とすれば、米側に対して極力そういう被害を制限するように、できればなくするように、ましてや事故を起こさないように、再三にわたって申し入れをしているところであります。
  293. 野間友一

    ○野間委員 いや、だれもやりとうてするわけじゃないでしょう、事故は。こういう低空飛行訓練をやることによって不可避的に起こる被害でしょう。だから、低空飛行を認めながらなるべくというのは、そんなことじゃだめだと思うのですよ。だからこそ、青森の県議会でも秋田の県議会でもやめろという要望が出てくるのは当たり前ですよ。この要望についてどういうふうにお考えなのか、もう一遍聞かせていただきたいと思います。
  294. 池田久克

    ○池田政府委員 また繰り返すようで大変恐縮でございますけれども、これはF16部隊の任務を遂行する、その機能を維持する、能力を維持するためには欠かせない訓練であります。しかし、それにしましても被害をできるだけ少なくするように、そして、またおしかりいただくかもしれませんけれども、不幸にして被害が生じた場合は我々として懇切に補償措置を講じていく、こういうふうにやってまいりたいと思っております。
  295. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、これは県議会の要望書を今引いたわけですが、秋田の佐々木知事さんも、この低空飛行訓練中、山中に墜落したF16の問題に関連してですが、結果として低空飛行が引き起こしたものだ、米軍へ直接中止を要請した。事実を調べますとそのようですね。これは知事がやはりこういう切実な県民の要望を担って中止を要請したということなんですけれども、こういうような要請そのものについて、政府としてはこれは認められぬという立場ですか。
  296. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 なぜこのような訓練を行わなければならないかということは、一方において既に防衛庁長官が仰せられましたし、それから施設長官も述べたわけでございます。  他方、昨年十二月、今先生が御指摘になられましたような事故が発生いたしました際、我が方といたしましては米国政府に対して、安全に対して最大の注意を払うようにと申しまして、その後米側は、この種の低空の訓練を行うに当たっては人口密集地域を避ける、それから航空法第八十一条、これは高度を決めた我が国の国内法でございますけれども、これが排除はされておりますけれども、実態的には遵守する、すなわち、通常百五十メートルの高度を維持し、人口密集のところでは三百メートルの高度を維持するようにして訓練を行うということを申しておりまして、私どもの懸念は篤と承知しております。  したがいまして、我が国政府といたしましては、一方において米側がその練度を維持するために必要な訓練を行うという要件と、他方において周辺地域の安全等確保するということにまつわる一連の要件の調和を図るために最大の努力をしていくということでございまして、中止を申し入れるということは考えておりません。
  297. 野間友一

    ○野間委員 いや、それはもう大問題ですよね。  関連してこういうのもあったでしょう。これは新聞でも大きく報道がありましたけれども、十月十七日から十九日、三沢の基地でF16の訓練のために午前の二時、三時に、未明にサイレンをウーッと鳴らす、何事かとびっくりしまして三沢の市民があちこち電話をかけまくる、基地とかあるいは役所へですね。大問題になった。こういうようなのがありました。それで、三沢市の市長も、市民の我慢ももう限界だと言うて、これをやめろというふうに、朝早くからサイレン鳴らして、やめると言ったけれども、三沢基地のジョン・G・ローバー司令官ははねつけた、こういう報道があります。私もいろいろ確認しますと、どうもそのようでありましたけれども、これはやはりやめるべきじゃないですか、どうですか。
  298. 池田久克

    ○池田政府委員 今先生の御指摘になりました三沢で夜中の二時にサイレンで轟音を発したという件について、私まだ存じておりませんので、早速帰りまして調査をしたいと思っています。
  299. 野間友一

    ○野間委員 外務省は御存じでしょう。
  300. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 承知いたしておりません。
  301. 野間友一

    ○野間委員 いや、これは素人でも新聞を読めば書いてあるんですよ。おかしな話で、十七日から十九日まで三日間やったわけです。こんなこと、市民の感情を逆なでするようなことはやめさせてください。どうですか、調べて。
  302. 池田久克

    ○池田政府委員 早速調べまして、どういういきさつでそうなったのか、その上で判断したいと思っております。
  303. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと戻りますけれども、もう北米局長は中止は要請せぬ、こういうお話でした。そうしますと、ジョン・ローバー大佐、これは基地の四三二戦術戦闘航空団司令のようですが、「F16は実戦的に飛ばなければ強くなれない。空対地訓練の目標は道路、鉄道、橋、レーダー基地などだ」、こう語っております。これは幾つかの新聞にもありますけれども、これをこのまま是認するのですか。
  304. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 軍隊の属性と申しますか、その練度を維持するあるいは向上するために、さまざまな想定を設けまして訓練をしているということは容易に想像できるところでございます。
  305. 野間友一

    ○野間委員 結局、あなたの立場というのは、前にも問題になりましたが、国民の生命や安全よりも、まさしく安保は国是ですよ、そんな立場を堅持している以上は被害は絶えないのですよ。私はそれはどうしても許せません。いかがですか。
  306. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 我が国の安全保障を維持するに当たりまして、その根幹の一つをなしております在日米軍の運用につきましては、これに対して具体的には、周辺の住民の方々の御理解が得られなければならないということは私ども篤と認識いたしております。しかし、その認識の上に立ちながらも、今申し上げましたように、抑止力としての在日米軍というものを考えた場合に、それが行われなければならない、演習をするということは理解しなければならないことと考えております。
  307. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんので、最後に田澤長官、本当に今、北と南、沖縄と北海道、東北の国民に対する米軍のいろいろな被害の問題を取り上げて、しかもこれが与野党を問わず、保革を問わずすべての県民の切なる願いなんですよ。ところが、今の北米局長の話を聞きますと、あえてそれに挑戦するようなことしか私は受け取れないわけですね。やはり人命や健康というのは非常に大事です。そういう立場で、今本当に切実に望んでおる国民の要望、これを体して、この被害をなくしていく立場から、長官として十分検討していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  308. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私も、地元の青森県の問題、また秋田県、岩手県とも関連する問題でございますので、しかも、地元の方々の非常にこの問題に対する関心の高いことも存じ上げております。しかし一方、今外務省が言ったように、また先ほど私も申し上げましたように、やはり日本及び極東の安全保障、平和を守るという役割から駐留米軍が訓練をしている、また飛行訓練なくして本当の意味のF16というものの性能が発揮できないわけでございますから、いわゆる抑止力としての立場から考えますというと、そういうこともまた理解していかなければならないわけでございます。したがいまして、これから私たちも、外務省を通じて 米軍に、できるだけ事故のないように、こんな地域住民のことも考えてほしいということを強く要請してまいらなければならない、こう思うのでございます。  過般、私は、在日米軍の高官が見えました折にも、日米安保体制の信頼性を確保する意味においても、あなた方もどうか、演習地においてもあるいは他のいろいろな地域に日本国じゅう出向いた場合には、必ず日本の地域住民と握手をして親しい仲になっていただかなければいけませんよということをも申し上げているわけでございまして、日米両国が互いに信頼性を確保することによって本当の意味での日本の安全性が確保されるもの、私はこう思います。そういう意味では基地住民に不安を与えるということは非常に遺憾な問題でございますので、今後私たちも精力的にアメリカとの対話において事故のないように進めたい、こう思います。
  309. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、事故のないようにとおっしゃいますが、低空飛行そのものが即被害になるわけですよ。それを認めることになるわけですね。だから、これはみんな切実だと思いますので、さらに運動をうんと盛り上げてやめさせなければいかぬと思います。  またいずれかの機会をとらえて続けることにして、きょうはこれで終わりたいと思います。
  310. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会