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1988-09-02 第113回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月二日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君       岡島 正之君    林  大幹君       古屋  亨君    小川 国彦君       新村 勝雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         外務省中南米局         長       坂本重太郎君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     古川 元晴君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       三本木 徹君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部清算業務指導         課長      宮崎 達彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課長   澤田  諄君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部日本鉄道建設         公団本州四国         連絡橋公団監理         官       荒井 正吾君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部鉄道施設課長 本多 辰巳君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      細野 嘉昭君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         自治省行政局行         政課長     秋本 敏文君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     高瀬 武史君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  淺井新一郎君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   松原 青美君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   栗山 昌久君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  岡田 哲夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  大橋 昭光君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管住宅金融公庫)      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事高瀬武史君、首都高速道路公団理事長淺井新一郎君、理事松原青美君、理事栗山昌久君、本州四国連絡橋公団理事岡田哲夫君、理事大橋昭光君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 次に、建設大臣概要説明会計検査院検査概要説明住宅金融公庫当局資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度建設省所管決算概要説明  建設省所管昭和六十年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済歳入額は、一般会計三百十六億九千三百万円余、道路整備特別会計二兆四千八百七十億三千六百万円余、治水特別会計治水勘定九千三百十七億九百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千百四十九億八千二百万円余、都市開発資金融通特別会計四百八十一億二千三百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計四兆四千二百二十七億四千百万円余、道路整備特別会計二兆四千六百十九億七千七百万円余、治水特別会計治水勘定九千百八十億四千三百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千六十五億六千九百万円余、都市開発資金融通特別会計四百八十億六千二百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分百三十六億九千五百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第六次五箇年計画の第四年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川中小河川改修事業七百六十河川について工事実施し、ダム事業では、直轄五十一ダム補助百三十二ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百四十一カ所、補助三千七百二十一カ所の工事実施いたしました。  海岸事業では、第三次五箇年計画最終年度として、直轄十一海岸補助八百七十七箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、五箇年計画の第三年度として、二千百八十三地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第九次五箇年計画の第三年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道改良二千九百六十五キロメートル、舗装三千五百十三キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団首都高速道路公団阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団にたいして出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金貸し付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第三次五箇年計画最終年度として、国営公園十二カ所、都市公園二千五百十カ所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第五次五箇年計画最終年度として事業実施し、管渠(きょ)二千三百九十九キロメートル、終末処理場施設二百五万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百十三地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、五十四カ所の買い取りに対し、資金貸し付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第四期五箇年計画最終年度として、公営住宅四万二千二百三十二戸、改良住宅三千三百三十四戸、住宅金融公庫融資住宅四十七万五千八百九十戸、住宅都市整備公団住宅二万三百四十九戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百五十一カ所の工事実施いたしました。  以上が、昭和六十年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和六十年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明               会計検査院  昭和六十年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項五件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号七五号から七九号までの五件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったり、補助金を過大に受給していたりしていたものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、公営住宅新築空家等に関するものであります。  公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することを目的として建設されておりまして、この建設を推進するため建設省では毎年度多額公営住宅建設費補助金事業主体に対して交付しており、これにより事業主体建設し管理している公営住宅は多数に上っておりますが、人口及び世帯数の減少、工業団地への企業進出の遅れなどの事情もありますものの、公営住宅への需要の把握が十分でなかったなどのため、多数の公営住宅が長期間空家のまま遊休している事態がございまして、事業の効果が発現しておらず適切でない事態と認められました。  したがいまして、建設省におきまして、各事業主体に対し、このような公営住宅空家の解消に努めるよう指導することはもとより、今後の公営住宅建設に当たり立地条件等を検討するなどしてその需要を的確に把握して需要に応じた事業計画の策定に努めるように指導するとともに、事業計画審査の充実を図り公営住宅建設事業の適切な実施を期するよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十九年度決算検査報告に掲記いたしましたように、公営住宅の管理について意見を表示いたしましたが、これに対する建設省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和六十年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金付け三兆二千六百二十二億九千六百万円、関連公共施設等資金付け五十億円、宅地造成等資金付け一千五百八十七億五千四百万円、財形住宅資金付け一千億円、合計三兆五千二百六十億五千万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額住宅等資金付け三兆三千百三十五億二千三百万円、関連公共施設等資金付け八億七千四百万円、宅地造成等資金付け一千百九十三億九千八百万円、財形住宅資金付け五百五億四千九百万円、合計三兆四千八百四十三億四千四百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金付け三兆三千百二十一億五千四百九十五万円、関連公共施設等資金付け八億七千三百七十万円、宅地造成等資金付け一千百九十二億九千四百十万円、財形住宅資金付け五百四億七千二百五十万円、合計三兆四千八百二十七億九千五百二十五万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、昭和六十年度貸付契約に係る分一兆六千九百四十五億四百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆七千二百十八億五千六百万円を合わせた計三兆四千百六十三億六千万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計三兆五千三百七十三億七百七十七万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金三兆四千五百二億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金三百億円、財形住宅債券発行による収入五百八十七億一千万円、住宅宅地債券発行による収入二百一億二千百万円を合せた計三兆五千五百九十億三千百万円から借入金償還等二百十七億二千三百二十二万円余を控除した額をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金付け三兆六百九十億三千四百八十四万円余、関連公共施設等資金付け八億一千三百十万円、宅地造成等資金付け一千二百二十九億五百七十五万円、財形住宅資金付け三百六十億八千二百九十四万円、合計三兆二千二百八十八億三千六百六十三万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、一千六百七十億一千二百六十万円余、率にいたしまして四・九%減となっております。  また、年度間に回収いたした額は一兆四千八十五億三千六百四十六万円余でありまして、前年度に比べますと一千八百八十六億三千九百五十九万円余、率にいたしまして一五・五%増となったのでございます。この結果、年度貸付残高は二十五兆十五億九千百十万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、一兆八千二百二十四億三千八百四十万円余の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、昭和六十年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百十億二千六百七十四万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは百六十六億九千二百四十五万円余でございました。  次に、住宅融資保険業務につきましては、昭和六十年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千六百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千三百四十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは七百七十六億一千百七十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額一兆七千二百五億九千六百四十四万円余に対し、一兆七千九十億八千七百七十七万円余となりました。支出済額は、支出予算額一兆八千百八十九億九千二万円余に対し、一兆七千九百七十二億四千八百六十九万円余となり、収入より支出が八百八十一億六千九十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益一兆九千九百十九億八千百九十四万円余、総損失一兆九千八百九億五千三百八十万円余となり、差し引き百十億二千八百十三万円余の利益金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る利益金百三億四千万円、住宅融資保険特別勘定利益金六億八千八百十三万円余によるものであります。  このうち、住宅資金融通事業に係る利益金は、住宅金融公庫法附則第十三項の規定により、特別損失を埋めるため一般会計から受け入れた交付金により生じた利益金でありますので、同法附則第十四項の規定により特別損失を減額して整理することとし、住定融資保険特別勘定利益金は、同法第二十六条の二第三項の規定により同勘定積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和六十年度において、同法附則第十一項の規定により特別損失として整理した額は一千三十四億円でございます。  以上をもちまして、昭和六十年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    昭和六十年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明               会計検査院  昭和六十年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項七件であります。  これらは、一般土地担保賃貸住宅建設資金等貸し付けが不当と認められるものであります。  この資金貸付事業は、土地又は借地権を有していて当該土地耐火建築物等住宅建設し賃貸する事業を行う者に対し、当該住宅建設に必要で一般金融機関から融通を受けることが困難な資金を、長期かつ低利の条件貸し付けるものでありまして、検査報告に掲記いたしました七件は、借入者が誠実でなく事実と相違した内容の報告をしたこと、これに対する公庫の審査及び確認が適切でなかったことなどのため、貸付金額が過大に算定されていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  6. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  7. 衛藤征士郎

    衛藤委員 大臣、きょう一日じゅう御苦労さまでございます。  第百十二回通常国会におきまして多極分散型国土形成促進法という法律が制定されたことは御案内のとおりかと思いますが、この多極分散型国土形成促進法案の中身を見ますと、その眼目とするところは、第四次全国総合開発計画基本的目標、これを達成する、こういうような中身になっておるわけでございます。  また、この法案を見ますれば、五点ほど指摘してございますが、第一点は国の行政機関の移転、第二点は地方振興開発、第三点は大都市地域の秩序ある整備促進、第四点は住宅等の供給、第五点は地域間の交流促進、こうなっておりまして、特に地域間の交流促進については、「国は、地域間の交通利便性情報の流通に関する地域格差是正等に配慮しつつ、高速交通施設の総合的な体系整備情報通信基盤整備促進に努めるとともに、地域間の経済文化等に係る多様な交流の機会の増大等に努めることとしております。」こうなっておるわけでございます。  また、四全総につきましては昨年の六月国土庁から計画が示されたところであります。分厚い資料でもありますが、この四全総は、大まかに言いまして、昭和六十年を基準年にして昭和七十五年、西暦二〇〇〇年まででございますが、この十五年間に約一千兆円の国づくりをやろう、そのうちの五百兆円は、国、地方あるいはNTT等こういうものも含まれますが、いわゆる公共事業の範疇の中でやり、残りの約五百兆円は民間にお願いしよう、こういうことだと思うのです。この四全総中身をしっかりと支えておるのが今度の多極分散型国土形成促進法である、私はこのように理解をしておるのでございますが、とりわけ地域間、ブロック間、例えば北海道、本州四国九州というような一つのブロック間の地域交流促進しよう、このようにうたい上げておるわけでございます。これは大変結構なことでありまして、ぜひともそれをやってもらいたいと思うのであります。  一刻も早くこの四全総事業を達成いたしませんと一極集中型になってしまうわけでありまして、羽田沖にさらに七千億をかけまして滑走路等等の展開をしなければならない、あるいはもう一極である関西に新空港を云々ということにもなるわけでございますが、それにいたしましても、九州ブロックあるいは四国ブロックあるいは瀬戸内経済圏と言われる西瀬戸経済圏、こういう地域におきましても、国土軸となるところのいわゆる幹線開発道路整備がおくれていることもありまして、どうしても一極集中型に引っ張られがちになるわけであります。そういう観点からいたしましても、速やかに計画を位置づけし、また基本構想から基本計画実施計画、そして着工と、このように進まなければならないのではないかというように思っているのでございます。  つい先般、整備新幹線につきましてもめでたく着工順位等あるいは来年度からの着工等決まってきておるわけでございまして、大変結構なことであります。それは、我が国を西日本、そして東日本という大きなブロックの分け方をするならば、むしろ東日本を中心に整備新幹線の今度の整備が進められる、このように見受けられる点もあるわけであります。  さて、この西日本のいわゆる国土軸となるところの幹線動脈でありますが、その中に、四全総でははっきりとうたわれておりませんが九州四国間、つまり豊予海峡ですね。豊予海峡の下に海峡トンネルを貫通するというような構想があるのでありまして、これは私の記憶に間違いがなければ、昭和四十九年から始まりまして毎年、単年度二億ずつ八年間、十六億円の経費がここに注がれたと思いますし、また最終年度は一億をかけまして、合計十七億円で豊予海峡トンネル計画あるいは九州四国海底トンネルはどうなんだという調査が行われた、このように私は思っております。  残念でありますが、この九四海底トンネル豊予海峡トンネル調査結果の公表はまだなされておりません。運輸省あるいは鉄建公団もそうでありましょうが、あるいは関係省庁におきましても、協議をされた上での最終的な取りまとめはまだなされてないわけであります。せっかく九年間にわたりまして十七億の国費を投じたこの豊予海峡トンネル計画が、そのまま放置されておるというのは残念なことでもあります。そこで私は、豊予海峡トンネル計画早期公表に向けての御努力と、また九四海底トンネル政府における公式の位置づけといいますか、そういうものを急ぐべきだ、このように考えておるわけであります。  振り返ってみますと、東京湾横断道路につきましては、私は、九四海底トンネル豊予海峡トンネルに比較いたしまして、九四海底トンネルほどの綿密な長期間にわたる調査というものは行われずして、一気に東京湾横断道路着工するということになったようにも見受けております。一方では、九年間の歳月を費やし、そして十七億円の国費を投じた十分なる調査計画書ができ上がっておるにもかかわらず、それが放置されておるというのは残念なことでもあります。このことにつきまして建設大臣から所感をまず冒頭お伺いしておきまして、最後にもう一度大臣から締めていただきたい、このように思っておりますので、ひとつ所感をお伺いいたしたいと思います。
  8. 越智伊平

    越智国務大臣 四全総お話、また国土分散、均衡ある発展、これについては全く先生のお説のとおりであります。  さて瀬戸内海瀬戸内海西瀬戸内経済圏の問題、これは沿岸、主として広島、山口、大分、愛媛、こういうところのお話、これもそのとおりだ、かように思う次第であります。これは発表されたわけではございませんけれども、いろいろ話を聞きますと、先生の言われるとおり鉄建公団、非常な調査をやっていただいておるようであります。四全総でも、お話のとおり、長期的な視点から、九州本州四国との広域的な圏域形成を図るための交通体系について検討する、こういうふうにうたわれております。これもそのとおりだ、かように思う次第であります。  ただ、この海峡が御承知のように十四キロでありますし、非常に海が深い、百九十五メーターですか、こういう深さでございますから、トンネルを掘るといたしますと六十キロぐらいの距離が必要だ、このことも聞いておるわけであります。しかし、やはりこれは四全総にもうたわれておりますし、西瀬戸経済圏も非常に大事でございますから、このことについてよく調査をし、前進をさせていかなければならない、こういうふうに思います。  我が建設省としても、ことしから調査費をいただきまして調査を進めてまいる、こういうことでございます。しかし、これはやはり各省庁との連絡をとらないと、我が建設省だけが前に出てもなかなかうまくいきませんので、もともと鉄建公団調査を進めておりましたので、運輸省等とよく連絡をとりながら進めてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。
  9. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ただいま建設大臣から、各省と連絡をとりながら、特に運輸省との連携をとりながら前向きに調査を進めてまいりたいという御答弁をいただきました。大変力強く思っておる次第でございます。  運輸省にお伺いをいたしますが、運輸省といたしましてはこの豊予海峡トンネル建設につきましてどのようなお考えを持っておりますか、承りたいのであります。  御案内のとおり、これは整備新幹線構想の前段であるところのいわゆる新幹線構想の中に位置づけられておった、このように思っておりますし、また四国幹線の起点が大分市であって、そして豊予海峡トンネルをくぐり抜けて四国経由新大阪に、こういうルートであったと思います。その点につきまして、経緯を踏まえまして、また豊予海峡トンネルの位置づけについてのお考えを承りたいと思います。
  10. 荒井正吾

    ○荒井説明員 豊予海峡につきまして鉄道建設公団が行いました調査につきましては、今先生御紹介のとおりでございます。トンネル自体につきまして、調査トンネルの技術的可能性についての調査でございます。  トンネルは、今御紹介ありましたように、四国幹線の一部の区間として考えられております。四国幹線はただいま基本計画が策定されております。基本計画の策定されております路線は他に十一路線ございますが、実はそのほかにいわゆる整備新幹線、いわゆる整備計画を策定しております路線が五路線ございまして、整備新幹線につきましては、これも先ほど先生御紹介のように八月三十一日で一応の進展を見ております。したがいまして、基本計画路線の策定されておりますこの四国幹線につきましては、整備新幹線をまず進展させまして、その後の問題として新幹線建設ということで取り上げていくというふうに考えております。
  11. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ただいま荒井公団監理官から御答弁がございましたが、整備新幹線の後にこの四国幹線の位置づけ、すなわちそれにかかわる豊予海峡トンネルの明確な位置づけを行いたい、このような御答弁のように思うのであります。そういたしますと随分先の先の話になってしまうわけでございまして、確かにこれを所管しておりますのは運輸省であり、また鉄建公団である、このように理解をしておるのでありますが、私は、戦後あの灰じんの中から今日、世界の第二番目の豊かな国をつくり上げてきたその大きな牽引力は国鉄であった、このように高く評価しております。この国鉄がJRになってまいりまして、しかもそれぞれ分割されるということになったのでありますから、そういたしますと、今でさえも整備新幹線着工について財政的にも大変困難を来しておる中で、この四国幹線構想というのはかなり先のことになってしまうのではないか、このように懸念をするものであります。このときに当たりまして、運輸省建設省もひとつ共管事項としてこの豊予海峡トンネルを位置づけをしてもらいたい、このように思うのであります。  現在のところ豊予海峡トンネルは軌道ということになっておるわけでありますから、軌道ということは運輸省、車道ということになりますとこれは建設省、こうなるわけでありますが、私は、この豊予海峡トンネルは将来、国道フェリーというような形がありますように、国道のカートレーンといいますか、そういう方式はとれないものだろうか。片一方は運輸省の所管である、そして片一方は建設省の所管である。そして、考えてみますと、長崎―大分間九州横断高速道路がずっと二百五十キロ延びております。長崎―佐賀―福岡―大分まで二百五十キロであります。片や本州四国連絡架橋が児島―坂出間、これが四月十日供用開始になりまして、そして今度は四国横断高速道が延びてくるわけでありまして、それが愛媛県の方に延びてくる、八幡浜の方に延びてくる。片一方は大分の方に長崎から迫ってくる。そういたしますと、本州四国はつながりました。そして九州の東側の玄関口となる大分、それから新しい玄関口になります愛媛、この豊予海峡、これを私は自動車道の関連としても考えられるのではないか、このように思うのであります。  いわゆるヨーロッパの方に行きますと、アルプスなんかに行きますと、長いトンネルは御案内のとおりカートレインというのをやっているのでありますが、この九州四国海底トンネル豊予海峡トンネルもいわゆる九州横断高速道、四国横断高速道をつなぐカートレインとして考えられないものかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。そうすると、建設省もこの件に関しまして前向きに踏み込んでこれに参加できますし、また運輸省も、運輸省単独じゃなくしてあるいはJR単独ではなくして、建設、運輸両方の、国の後ろ盾、予算でもって取り組むことができるわけでございます。  財源のことが心配でございますが、財源につきましては青函トンネルは約五十四キロ、一キロメートル当たりの建設費約百億ぐらい、このように承っておるのでありますが、この豊予海峡トンネルにつきましても、大体一キロ約百億ぐらいではなかろうか、このように思われるのであります。私が心配しておりますのは、六十キロといいますと六千億、こうなるんでありますが、一キロ百億といいますが、実は今九州横断高速道をやっておるのでありますが、大臣、たしか一キロメートル当たりの用地買収費と工事費を合わせましても九州横断高速道は約四十億円だ、このように承って おります。間違いないと思うのでありますが、約四十億円。いわゆる陸上の平面を走る四車線の高速道路の建設費が一キロ四十億円であります。百九十五メートル下の海底を貫通していく海底トンネルですね、この建設費が一キロメートル約百億とするならば、私は百億でできると思うのです、十九年間を要しました青函トンネル、あの世界最高の海底を掘削・掘進する技術をもってすれば、世界最高の技術集団である鉄建公団の技術をもってすれば、私はそれはできると思うのです。一キロ百億、そうすると六千億。九州横断高速道、大分県区間は百キロですから、大分県区間だけでも四千億以上かかるでしょう。九州四国の島を結ぶこの海底トンネル、六千億でできる話でありますから、そんなにびっくりするような源ではない、私はこのように思っておるのであります。  なぜかといいますと、冒頭申し上げましたように、これをやりませんといつまでたっても東京一極集中になってしまうのでありまして、それを回避する意味からしましても、せっかく多極分散型国土形成促進法という法律の後ろ盾までここにしたのでありますから、ぜひこれをやっていただきたい、運輸そして建設が一歩前に出てもらいたい、こういうことであります。  大臣は、大変詳しいということも承っております。大臣は愛媛県でありますから、九州海底トンネル豊予海峡トンネルに大変精通されているということも承っております。約六十キロで、そして勾配は千分の十二、こういうことでありますが、北陸新幹線の最大勾配は、高崎―軽井沢間、これは千分の三十と承っておりますが、間違いございませんか。そうすると、高崎から軽井沢の北陸新幹線、この間約四十キロ、これが最大勾配千分の三十だ。九州四国海底トンネルの最大勾配は千分の十二。私は、北陸新幹線が千分の三十の最大勾配をやるならば、九州四国海底トンネルも千分の十二とは言わず二十ぐらいはたとえカートレインを引っ張るとしても可能ではないか、このように考えておりますが、その勾配について可能かどうか、ちょっと運輸省の荒井公団監理官からまず承りまして、最後大臣から、ひとつ今のような私がお願い申し上げましたその趣旨をよく踏まえていただきまして、大臣の前向きの力強い御答弁をお願いいたしたいと思います。
  12. 荒井正吾

    ○荒井説明員 豊予海峡トンネルの勾配につきましては、今子細に先生御紹介になりましたそのとおりでございますが、千分の十二が青函トンネルの勾配でございます。北陸トンネルは千分の三十を一応予定しております。
  13. 衛藤征士郎

    衛藤委員 そうすると、九州四国海底トンネルの勾配は千分の三十でいけますか。
  14. 荒井正吾

    ○荒井説明員 建設はもちろんでございますが、まだ未検討の問題が少々残っております。一口で言いますと鉄道の牽引力でございまして、旅客の新幹線タイプでございますと千分の三十というのはクリアしております。あとカートレインでございますが、大きな貨物列車でございますと、これから検討すべき問題ということになっております。
  15. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ただいま運輸省の荒井公団監理官のお答えがございましたとおり、北陸新幹線の最大勾配千分の三十、この豊予海峡トンネルも今千分の十二ではあるが千分の三十近くいけるのではないかというようなお話でもございます。  私は、先ほどから、これもいわゆる客車じゃなくして、貨物と客車一緒に併用できるような勾配を考えるべきだ、このように言っておるわけですから、千分の三十は難しいかもしれない。そうすると千分の二十くらいになるかもしれない。それにいたしましても、六十キロメートルの海底トンネルの長さが、百九十五メートルの水深ですから、恐らくさらにずっと行きますと海面から約三百メートルくらいのところを掘るということになるでありましょう。そうしましても、六十キロメートルじゃなくして、トンネルの延長が五十キロメートルくらいでいけるのじゃないか。そうすると、トンネルを素掘りするという形でも一キロメートル百億とするならば約五千億だ、こういうような勘定になるのじゃないかと思います。  そこで、大臣にお願いでありますが、これをいわゆる在来線型の軌道を敷きますと、もう在来線型に対しては政府の援助はしない、このようになっておるわけでありますから、新幹線タイプでなければ政府の援助は出ないわけであります。新幹線型ということは、いわゆる狭軌じゃなくて広軌のレールを敷くということであります。ですから、九州四国海底トンネルには広軌のレールを敷く、そしてカートレインを使うということになりますれば、運輸省もまた建設省も相乗りができるという形になるわけでございます。  世界にちょっと目を転じてみますと、御案内のとおり、ただいま英仏海峡トンネルをやっております。英仏海峡トンネルでございますが、これは海底部が約三十八キロメートル、事業費が一兆二千億円であります。英仏海峡トンネル三十八キロの長さでありますが、英国とフランスの間の海峡トンネルですが、事業費は一兆二千億。恐らく九州四国海底トンネルの二倍でありましょう。また、この着工及び完成時期を見ましても、本年の四月に着工しておりますが、一九九一年には供用開始というようなことであります。これについても我が国の鉄建公団の技術が関与しておる、このように承っておりまして、大変結構なことでございます。また、御案内のとおり香港のイースタンハーバー横断トンネルでありますが、これは我が国の大手の建設業者が受注をしておりまして、これを見ても、海底部は千八百メートルで約七百億円もかけて香港イースタンハーバー横断トンネルを掘っておる、こういうことでありますし、さらに言うならば、いわゆるジブラルタル海峡であります。スペイン、モロッコ、この間のジブラルタル海峡トンネルも、これまた橋梁にするかあるいはトンネルにするかということでただいま検討されておる、こういう状況であります。  世界で第二番目の豊かな国、一九九二年までには、今から五年をかけまして約五百億ドルのODAをするという我が国政府でもあります。五百億ドルといいますと、一ドル百三十円で計算いたしましても六兆五千億円のこれからのODA、政府開発援助を後進・中進国にするわけでありますから、大変なことであります。あるいは五十五億ドルの債務国に対する借金も棒引きをしてあげましょうという我が国でもあります。そのときに当たりまして、この約五千億、六千億ぐらいの九州四国海底トンネルというものは、世界第二番目の経済大国のスケールからすると、さほど大きなナショナルプロジェクトでもないと私は思うのであります。  大臣は大変スケールの大きな大臣でございますから、ひとつ、先ほど申し上げましたいわゆる運輸省建設省が併用するというような、共管するというような立場に立っての地域経済調査、そういう方向に向けての取り組みを大臣にお願いしたいのであります。御答弁をひとつよろしくお願いいたします。
  16. 越智伊平

    越智国務大臣 先生のお説、いろいろ承りました。日本国政府は一つでございますから、運輸省がどうだとか建設省がどうだとか、こういうことは調整できると思います。しかし、お説の中の問題でございますけれども、やはり調査を今まで進めておりましたのは運輸省であり、鉄建公団であります。でございますから、建設省もできるだけ御連絡申し上げながら、この交流ネットワークの中でどうすべきかということを検討を進めていくべきだ、かように思う次第であります。  今、技術的にはトンネルとか橋梁は我が国は非常に技術が進んでおりますし、さらに研究をしておりますから、もちろんできる可能性は十分あると私は思います。  金額につきましては、やはり地質とかいろいろの問題もありましょうし、また勾配の問題も重量やあるいは牽引をする方法等を考えて計算すべきでないか、これは技術者が十分検討していくべきものだ、かように思う次第であります。  いずれにいたしましても、我が建設省としては、運輸省初め各省庁とできるだけ連絡をとりながら前向きに進めてまいりたい。しかし、重ねて申し上げますけれども、今までやっておりますのが、鉄建公団がこの衝に当たっておられますので、そこの意見運輸省意見等を十分踏まえて御協力申し上げながら進めていく、こういう方向で進ましていただきたい、かように思う次第であります。
  17. 衛藤征士郎

    衛藤委員 最後運輸省にお願いしておきますが、昭和四十九年から昭和五十七年までかけたこの九年間の豊予海峡トンネル調査でございます。いろいろと事情があったにせよ、もうこのあたりで政府における公式の位置づけをすべきだと思います。意味はわかるでしょう。もうやってください。このあたりでやはり公式の位置づけをする、これを速やかにやるようにひとつ御答弁をお願い申し上げたいと思います。  それから、大臣御案内のとおり瀬戸内海大橋本州四国連絡架橋ですが、承りますと、建設、運輸に承りましても約三千億円の新しいマーケット、経済を生み出す。たった一本の橋があの地域に新しく三千億円の経済を生み出す、マーケットを生み出すということでありますから、これからいたしましても、九州四国のこの海底トンネルが貫通すればいかに大きなメリットが、経済効果が生まれてくるかということを御判断の上、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは運輸省の答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 荒井正吾

    ○荒井説明員 調査につきましては、できるだけ早く提出させますように指導していきたいと思います。また、調査結果につきましても、建設省その他に十分御利用願えるよう配慮していきたいと思いますし、我が省といたしましても十分協力をしてまいりたいと思っております。
  19. 衛藤征士郎

    衛藤委員 これで私の質問を終わります。
  20. 野中英二

    野中委員長 この際、谷津義男君から関連質疑の申し出があります。衛藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷津義男君。
  21. 谷津義男

    ○谷津委員 衛藤先生のお許しをいただきまして、時間をいただいて何点か質問させていただきたいと思います。時間がありませんので簡潔な御答弁をお願いいたします。  我が国は、先進国の中でも下水につきましては非常におくれているということで、建設省は非常に積極的にこの対策に当たっておるところでございまして、敬意を表しているところでありますけれども、この処理面積あるいは処理人口が増大するに従いまして、汚泥の処理が地方自治体においても非常に大きな問題になってきておることは御案内のとおりだろうと思います。  こうした問題につきましてはいろいろな方策がとられておりまして、例えば埋め立てに使うとか、あるいはコンポスト化するとか、あるいはまた固形化してそれを建設資材に使うとか、いろいろな対策が打たれていることは私ども十分知っておるわけでありますが、だんだん処理人口がふえてまいりますと、ますます汚泥が出てまいります。そうなってまいりますと、自治体におきましても、これが対策のためには大変な予算も必要としますし、また土地も必要とするということで、大変困窮しているということを最近聞くわけでありますが、この点につきまして建設省はどのような対応をこれからしようとしておるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  22. 木内啓介

    ○木内政府委員 お答え申し上げます。  先生、既に御指摘のように、下水の汚泥処理は、全国的にと申してもいいくらい地域の大変な課題といいますか、難問になっておる実情でございます。ただいま下水の汚泥は全国で年間約二百七万立米ございますけれども、六八%が埋め立て、それから一七%が有効利用、あと、その残りは海洋投棄等がございますが、そういうことで、まず埋立地をどうするか、どう確保する、これが大変なことになっているわけでございます。これはいろいろ努力するしかないわけでございますけれども、その他焼却等による汚泥の減量化だとか、先生御承知のACEプラン、広域汚泥処理というふうなこと、それからもう一つは緑農地利用、例えば肥料などの利用、あるいは建材利用というふうな有効利用をできるだけ推進するという形で、総合的に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  23. 谷津義男

    ○谷津委員 この汚泥処理につきましては、いろいろな問題が出てきておるということも聞いておるわけであります。これはあってはならないことでありますけれども、この面積、人口等がふえてまいりますとかなり自然の中にも重金属がまざるというふうな説もありますし、また、そういったことでいろいろと研究もなされているというふうに聞いておるわけであります。これは単にコンポスト化して肥料として使う、あるいは処理をするという面におきましても、もしこういった重金属等がまざるということになるとなかなか処理しづらいという面も出てくるわけであります。  そこで、私は、一つ建設省にお聞きしたいのは、流域下水をかなり進めておりまして各地で流域下水が行われる、そうすると集積面積がかなり多くなる、人口が多くなる、すると当然のこととしてそこに重金属が混入する危険も、むしろ濃度も高くなるという心配も出てくるのではなかろうかというふうに私なりに考えるわけであります。そうなってまいりますと、流域下水がいいのか、あるいは公共下水ですね、その都市なりにそれで処理していくのがいいのか、これは大きな問題になるだろうと思うわけでありますけれども、建設省は、今後の方針としまして流域方式をじゃんじゃん進めていくのか、あるいはできるだけコンパクトにして、経済性の問題もありますが、そういった面で公共下水で進めていくのか、どっちをとっていくのか、建設省のこれからの方針を聞かしていただきたいと思います。その辺どうなのでしょうか。
  24. 木内啓介

    ○木内政府委員 先生指摘の点、二点あろうかと思います。  第一点の重金属の問題でございますけれども、これは先生御承知のように大量にまとめて処理しますと量的には確かに大量になりますけれども、ただ、分けてやっても重金属の濃度というのは変わらないわけでございまして、いずれにしましても、一緒のところにたくさん出るということはありますが、それぞれの濃度は大量にやったからふえるということではない、これは御承知のとおりでございます。そうすると、先生のおっしゃるように一カ所にまとめて出るということはかえって処分に困るのではないかということもありますけれども、また逆に、処分する方の立場になりますと、例えばACEプランとかのようにある程度まとめた方が処理コストとかいうものが便利だという長所もございます。したがいまして、そういった点に配慮して重金属の処理については慎重に考えてまいりたいと考えている次第でございます。  ところで、もう一つの、流域下水道みたいな大規模な下水道がいいのか、通常の単独の下水道がいいのかという問題、これは従来からの課題でございます。確かに、水質保全効果とか経済性を考慮しまして、地域の特性によってこれはまちまちでございますので、先生御承知のようにどこでも流域がいいということにはならない。ですから、その地域の水質保全効果とか経済性を考慮して、地域特性に基づいて選択されるべきであると私たちは考えているわけでございます。この決定は、関係市町村と協議した上で、都道府県が決定主体でございますけれども、建設省も、そういった二点からよりよい計画をしてもらうように御指導を申し上げたいと思っている次第でございます。  なお、流域下水道を現在九十三カ所やっておりますけれども、今後地元、県、市からそういった要望があれば、それがケース・バイ・ケースで流域下水道がよろしいということになれば、新規採択しまして積極的に推進してまいる。ただ、流域下水道にするより個別処理の方がいいという場合には、それはそれで応援してまいりたいと考えているわけでございます。  なお、流域下水道等につきましては、非常に規模が大きいためになかなか自分のところまで来ないとか、時間がかかるという問題もございます。 そういうことのためには、来年度あたりから、例えば中間処理場的なものを必要な場合には設けて、何でもかんでも下からやってこなければいかぬというやり方を少し改めてまいりたいというようなことも検討してまいっております。  そういうふうなことで、結論的には、流域をやるか公共をやるかというのはその地域の実情に応じてやってまいりたい、しかも流域をやる場合でも弾力的なやり方をとってまいりたい、こういうことを考えている次第でございます。
  25. 谷津義男

    ○谷津委員 確かに中間処理場的な考え方も新しい考え方でやられるということなのですが、これは私、非常に大切なことだろうと思いまして、これはぜひ進めていただきたいということでございます。  そこで、もう一点この問題についてお聞きしたいのですけれども、この処理施設の問題の中に上流県、例えば私どもの場合は群馬県なのですが、群馬の場合は三次処理をしてほしいというふうな話があるわけであります。三次処理ということになりますとかなり金がかかってくるわけでありますが、下流県になりますと二次処理でもいいということになっておるようであります。そうなった場合、この三次処理をやる資金、これは当然水質の問題で、良質の水を例えば利根川に流すということでこの三次処理をやれということになるのだろうと思いますが、上流県なるがゆえに三次処理をしたければならないということであるならば、この資金建設省、国の方で見てくれるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 木内啓介

    ○木内政府委員 上流県、水源の保護という観点もありまして、三次処理の必要性が出てくる場合が多いかと思いますけれども、ただいま特段の上乗せ的な補助というものはやっておりません。
  27. 谷津義男

    ○谷津委員 これがもし三次処理をやれということであるならば、その辺のところは特段の配慮をしてもらわないと自治体の負担は大変なことになりますからね。その辺のところはぜひ検討していただきたい。これは答弁は結構です。そのようにお願いしたいと思うわけであります。  続いて、この汚泥処理の問題につきましては、日本下水道事業団が実施している下水汚泥の広域処理事業、ACEプランというのですか、この事業が今実施されておりますけれども、この状況と今後の見通しについて一言聞いておきたいのです。
  28. 木内啓介

    ○木内政府委員 下水道事業団が実施しております下水汚泥広域処理事業、ACEプランと我々申しておりますけれども、その実施状況でございますけれども、これは主として大都市における汚泥処理を行う事業としまして昭和六十一年度より事業を開始したわけでございます。現在、兵庫地区、兵庫県の東及び兵庫県の西の二カ所でございますが、この兵庫地区及び大阪北東地域、それから大阪南地域の三地域において事業を行っております。このうち兵庫東、大阪北東地域の二カ所については昭和六十四年度当初に、他の二カ所につきましては昭和六十五年度中に供用の開始になる予定でございます。また、首都圏とか中部圏等におきましても、これから事業化を図るべく現在いろいろな調査をしている段階でございます。  ちなみに、昭和六十三年度事業費は二百一億円ということになっております。
  29. 谷津義男

    ○谷津委員 これは私ども大きな期待をかけているわけでありまして、できれば大都市だけじゃなくして中小都市におきましても、この問題は自治体が一番困窮をしている問題でありますので、積極的に御支援をいただきまして、自治体との有機的な連携をとっていただきましてぜひこれを進めていただきたい、これはお願いしておきたいと思います。  この汚泥問題について、最後大臣に一言お聞きしたいわけでありますけれども、この下水の汚泥処理問題はこれからの問題としまして大きな課題になってくるであろうと私は思うわけであります。そこで、先ほども申し上げましたとおりコンポスト化したり、あるいはいろいろな処理方法を考えているようでありますけれども、地方自治体としましてはこの研究を一生懸命やっているのでありますが、どうしても財源的に非常に弱い面がありましてなかなかやり切れない面もある、また、研究しようとしましてもなかなかスタッフ等がそろえられないという面もありまして、各地でこれは何とかしなければならぬと思いながらもなかなか進んでいないというふうな状況にあるのではなかろうかと私は考えているわけであります。  そこでひとつ、建設省の方でこの問題については資金を積極的に投入して研究していただいて、そして将来に向かっての方法をきちっと今から立てていく必要があると思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 越智伊平

    越智国務大臣 下水道そのものが我が国は大変おくれております。先進国の九十何%あるいは八〇%というようなところから比べまして我が国が現在普及率が三九%、大変おくれております。でございますから、これはどうしても前進させなければならない、鋭意努力をしておるわけであります。  それに伴いまして、先生お説の汚泥処理の問題であります。今、いろいろ研究をいたしております。一部、肥料とか骨材とかあるいは埋め立て、さらに海中投棄であります。もう先生お説のとおり公害の問題、これを最重点に考えなければならない。また有効利用ということも考えなければならない。こういうことについて研究を進めていく研究費につきましては、今後増額をして、我が建設省の責任において進めてまいりたい、かように思います。  しかし、地方公共団体もあるいはメーカーもいろいろ大変な研究をしていただいております。例えば東京都にいたしましても横浜市にいたしましても、あるいはその他のメーカー、自治体等々も大変な研究をしていただいておりますが、建設省が中心になりまして今後この有効利用、そして将来どうしていくか、汚泥の問題、大切な問題でありますから、研究費を増額して努力をしてまいりたい、かように考える次第であります。
  31. 谷津義男

    ○谷津委員 ぜひこの点についてはよろしくお願いいたします。  それでは次に、外国人労働者の問題についてお聞きをいたしたいと思います。  この問題につきましては、労働省や法務省、外務省も含めましていろいろと検討しておりまして、政府におきましては、単純労働者は入国をさせないということでも一致しているようでありますけれども、最近、中小の建設業者のところなんかには随分と外国人の労働者が就労しているという話も聞いておりますし、私も実はその事実を知っておるわけであります。こういうことで現実には、そういうことで就労できないということになっておりましても、現在そういった働いているという事実から見ますと、この問題はほうっておけない問題になってきているんではなかろうかなというふうに私は考えるわけであります。  聞くところによりますると、例えばけがをした場合に、これを労災に出すということになると不法就労が見つかって強制送還ということもあるから、けがしていても申請をしないというふうな話も聞くのでありまして、いろんな難しい人道上の問題も起こりつつあるというふうな感じがするわけであります。もし間違って死亡事故なんというのが起こってきた場合においては、これは大変な問題になるんじゃなかろうかというふうに思うわけでありますけれども、従来、この単純労働につきましてはもう入れないということでありますので、いろいろと建設省におきましてもその辺のところは御検討をなされておることと思いますし、またいろいろと苦慮なされているのではなかろうかと思うのですが、現在この問題につきまして建設省はどのように掌握しておるのか、その実態をお聞かせいただきたいと思います。
  32. 望月薫雄

    ○望月政府委員 いわゆる単純労務者としての外国人の入国問題、これについては、ただいま先生お話しのように、日本政府はこのところずっと入国を認めない、こういう方針を持ってきているわけでございます。そういった中で、お話しのように不法入国者というものがいろいろな格好で存在しているということは、私どもも心を痛めている次第でございますが、やはりこの問題は、基本的には、我が国の雇用政策なり産業政策なり、もっと広くいえば社会問題なりというふうな、非常にすそ野の広い、奥行きの深い問題ということで、慎重に検討しなければならぬ問題だろう、こう思っておるわけです。そういった中で、お話しのように建設業現場という中で、特に土木作業員という格好で入っておるという御指摘でございますが、私ども、こういったものについて、だから大いにこれを方向づけして秩序づけて入れるべきだというふうなお考えについては、基本的に慎重でなければならぬという考え方で現在おります。  と申しますのは、建設業の就労実態というものを見た場合に、製造業と比べても率直に言いましてまだまだ落ち込んでいるという現実が指摘されておりますし、そういった中でとりわけ私ども重視しておりますことは、いわゆる若年の良質な労働力といいましょうか、いわゆる若者たちがなかなか参入してきてくれない環境ができている。一言で言えば魅力のない環境というものが率直に言ってあるわけでございますが、そこに、こういった労働力がないからということで単純労務者を安易に入れるということについては、ますますこの環境を悪くするというふうに私どもは深刻に受けとめなければならないと思っております。そういった意味で、この問題、私ども大いに前向きにという考え方、現在持っていませんが、それだけに今後、こういった問題を含めて建設業の労務者確保の問題をどうするかという問題、大変大きな問題でございます。お話がありましたように、また私どももそう認識しておりますが、とにかく雇用環境をよくしなければならないし、そういった意味での条件整備というものが建設業自体の課題であるということで、安易に外国人単純労務者に期待するんじゃなくて、むしろみずからの経営基盤を強化し、あるいは雇用状況を改善するという意味での広い意味での構造改善対策こそ重要である、こういうことで私ども、今年度からその面を大いに念頭に置いた構造改善対策というものに力を入れているところでございまして、今後早くこの辺の方向づけを着実にしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  33. 谷津義男

    ○谷津委員 私も全くそのとおりであろうというふうに思うわけでありますが、ただ、私が心配しますのは、この窓口を閉めますと、その裏で暗躍する手配師みたいな者がかえって金もうけの手段に使うような面も出てくるという話を聞いておるわけでありまして、一方で、閉めるだけではなくしてそういった問題についてもきちっと対応しておかないと、後々国際間の問題にも発展しかねないというふうな心配をするものでございまして、その点も含めてこのことについては、これは建設省だけの問題じゃありませんけれども、しっかりと対応する必要があるんであろうというふうに考えるわけでありまして、その辺をもう一遍お聞かせいただきたいと思います。
  34. 望月薫雄

    ○望月政府委員 基本的認識、全く先生と同じでございます。それだけに私ども、いろいろの多面的な対策というものが改めて大事だなという気持ちで、先ほど申しましたような構造改善対策を進めているところでございますが、同時にまた、当面のこととして、建設業者団体に対しましても、安易にそういうことのないようにというふうな指導はより一層努めていきたい、かように考えている次第でございます。
  35. 谷津義男

    ○谷津委員 それはよろしくお願いいたします。  それでは、最後になりますが、河川敷の有効利用についてお聞かせいただきたいと思います。  私ども地元におきましては、かつて公害の原点と言われた足尾鉱毒事件の真っただ中にあるわけでありますが、そのときに、この足尾の鉱毒事件の田中正造翁が天皇に直訴するという歴史的な非常に大きな問題も含めまして、いろいろと問題があったわけです。そのときに谷中村、今の渡良瀬川遊水池、この一村が強制的に移転をされまして、三千三百ヘクタールの広大ないわゆる渡良瀬川遊水池というのが今日まで残ってきたわけでありますが、最近に至りまして建設省が非常に積極的にこの有効活用を打ち出しまして、最近ではアクリメーションランド等を第三セクター方式によって整備をやろうということが決定いたしまして、十月ですか十一月ですか、いよいよこれが発足をするということになってきました。これは地元の住民も、それから関係県、市町村も非常に大歓迎でありまして、喜んでおるわけであります。この建設省の英断に私どもは大きな拍手を送るわけでありますが、この整備計画が今後どうなっておるのか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  御指摘の渡良瀬遊水池でございますが、大分以前から、地元の四県二市四町の皆様からその利用計画の強い御要望をずっと受けておったわけでございますが、たまたま六十三年度からNTT株の売却益を無利子融資できるという制度、収益事業として行なえることになっております。これが実際にはおっしゃいます第三セクター等の実質的発足の契機になっておろうかと思います。私ども、多分間違いなく年内に第三セクターが発足してくださるものと思っておるわけでございますが、池を管理しております私どもといたしましては、やはり何といいましても、あそこが持っております自然、これをつぶすことはできませんので、やはり自然との触れ合いの場をつくることが一つと思います。それから、先生指摘の田中正造先生の大変な遺徳のある場所でございますので、そういうものを顕彰できるような場がやはり必要かと思っております。また当然でございますが、スポーツ、レクリエーションの施設ができることが必要だと思っております。そういうことを中心に、周辺の地域の皆様の御意見を聞いて、これから整備計画を立てていくことになろうかと思っておりますが、私ども河川を管理する立場の方としましても積極的に御協力をしていこう、そういうふうに考えております。
  37. 谷津義男

    ○谷津委員 これは、第一期工事が発表によりますと百三十億ということですか、そういうふうな資金をかけるということで整備をしていくということですが、第一期工事というからには第二期、第三期というのも考えておるんでしょうか。その辺のところもひとつお聞かせいただきたいと思います。
  38. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  渡良瀬遊水池の整備に関しましては、先生よく御存じのようにいろんな構想がございます。これは私がお答えしていいのかどうかあれでございますが、国営公園化したらどうかというようなお話もあるわけでございます。やはり諸種の事情から一番早く手をつけられる方法が今の第三セクター方式ということで地元もほぼ踏み切られたということかと思います。  おっしゃいますような第一期計画というのは、これはまだ固まったものとは私ども思ってないのでございますが、御指摘のように三千三百町歩ございますわけで、その中の三分の一ぐらいが多分そのおっしゃいます第一期計画の絵になってございます。ただ、これは三分の一と申しましても千数百町歩あるわけでございますから、大変な広さでございまして、これが全部公園なりレクリエーション基地になるには相当時間がかかるのではないかと私どもは思っておりますが、地元の方が一期計画と銘打っておられるということは、それだけで終えてしまうのではないというお考えが十分あろうかと私どもは考えておるわけでございます。  以上でございます。
  39. 谷津義男

    ○谷津委員 この広大な土地は、かつて私どもが聞き及んだところによりますと、成田に国際空港を持っていく前にあそこに国際空港をつくったらどうかというふうな話もあったわけで、全部国有地だからいいのではないかという話があったわけですが、年に何回か冠水するという危険もあって、なかなかそういう問題もできなかったというふうに聞いておるわけであります。最近、ダム等が整備されてまいりまして、そういった問題も非常に減少されてきて、最近では冠水するということがほとんどなくなってきたというふうに聞いております。  そういうことがありますから、今度の計画というのも進んできたのだろうというふうに考えておるわけであります。一説によりますと、あそこに滑走路あたりを一本つくってほしいという希望も出ているというふうに聞くのですけれども、その辺のところは、建設省は何か情報を得ているのでしょうか。
  40. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  あれだけの広大な土地でございますので、地元においていろいろな御構想を持っておられるということは私ども仄聞しておるわけでございますが、御指摘の空港のお話は、比較的固まり始めたお話としてはまだ私ども本省は伺っておらないわけでございます。
  41. 谷津義男

    ○谷津委員 それでは、次に進めさせていただきますが、時間がありませんので端的にお答えをいただきたいと思うのです。  こういった河川敷の利用というのは非常に大事なことだろうというふうに思うわけでございます。最近、建設省もこの問題については積極的に取り組んでいただきまして、東京都あるいは大都市周辺の河川敷が、運動広場とかあるいはちょっとした公園とか、そういった有効利用をされておるわけでありますし、場合によっては水面等も、サーフィンだとかあるいはヨットなんかも浮かんでいるというふうな場所もありまして、私どもから見ましてもこれは非常にすばらしいことだなというふうに考えておるわけであります。  ただ、地方に行きますと、地方河川敷がまだまだ利用されていないという面がありまして、いろいろ聞いてみますと、制約があったりいろいろな問題がありまして、非常に使いたいのだけれども、この辺の問題で建設省との話し合いができない場合もあるのだという話も聞くわけです。  これは提案でありますけれども、むしろ建設省が積極的に出て、場合によっては地方を誘導していただきまして、時によっては補助的なことも考えて、そういった面での有効利用をもっともっとなさるべきだというふうに私は考えるわけでありますけれども、この辺のところは河川局は何か考えておるのでしょうか。
  42. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  河川敷の利用につきまして、おっしゃいますような運動場として、あるいはそういうレジャー施設としてというお話を中心にいろいろ御要望が高まっておりますことは、私ども十分承知いたしておりますし、またほかの、自然のままこういうふうに残したいという御希望がたくさんあることは十分承知しております。特に例えば利根川等の大きな川につきましては、御要望が出る都度、といいますのはちょっとおかしゅうございますが、全体的にどのゾーンはどういう利用計画という大きな構想は私どももまず持っておきまして、いろいろ具体的に地元から御要望が出たときにできるだけそれにこたえられるようにというようなことでやっておるつもりでございますし、また特に最近、いろいろ私どもの川を管理いたします規則が厳しいために云々というお話が従来あったわけでございますけれども、その辺もできるだけ、いろいろな角度で川を見まして、具体的に支障のない場合はできるだけ御要望に沿えるようにというようなことも考え始めておりますので、十分対応してまいりたいと考えております。
  43. 谷津義男

    ○谷津委員 最後に、時間がなくなりましたのでお聞きしたいのですが、河川敷というよりも土手を利用して道路をつくったらどうかということを最近盛んに私どもの方でも聞くわけです。何とかそういうのを、建設省は、河川局はお許しがいただけるのであろうかというふうな話を聞くわけです。これは私も、利用の方法としては非常に効率的であろうと思うわけでありますけれども、なかなか難しい問題があってできないというふうに聞いているのですが、大臣に一言、この問題は可能性はどんなものでしょうか。
  44. 越智伊平

    越智国務大臣 堤防を道路に利用したらどうか、もっともな御意見であります。  ただ、河川は第一義的にはやはり洪水時に危険のないようにしていかなければならない、この点がございます。でありますから、河川ごとに堤防、特に堤防の河川側はだめでありますけれども、逆な側について、今の堤防の勾配等をにらんで、これはできないかどうか、こういうことを検討するように今命じておるところであります。  でございますから、でき得る限り、河川そのものについても、洪水等に支障がない限り、運動場、公園、また堤防わきの道路、こういうことも考えまして、地域の方々に親しまれ愛される河川、こういうことで進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  45. 谷津義男

    ○谷津委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  46. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  47. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、建設残土あるいは廃材、そういったものを中心とする廃棄物の投棄についてお伺いしたいのです。  新聞報道によりますと、東京湾の中央部に大量の土砂、建設残土あるいはコンクリートの破片、そういったものが大量に投棄をされているということがわかりまして報道されております。そして、ここは湾内のカレイの漁場でありまして、このカレイの漁場が大変な被害を受けておる、こういう報道が最近あるわけでありますが、この廃棄物については、実は千葉県を初めとして東京、首都圏の周辺の各地がいろいろの被害を受けて困っておるわけであります。  千葉県につきましては、陸上部にこの投棄場があるわけで、この投棄場は正規の手続を経て許可をとってあるわけですが、そこが管理が不十分なために周りへあふれて出る、あるいはまた、一定の量が投棄をされてもうそこに投棄できないような状態であるにもかかわらず、そこへ次々と投棄をしていくというようなことで周辺住民が大変困っておるということで、千葉県においては、県政上の問題としてもかなり大きな問題として今取り上げられておるわけであります。これは陸上の問題でありますけれども。  今度は海上、しかも重要な漁民の生命ともいうべき漁場に対してそういう投棄がされておるということが伝えられておるわけでありまして、これは網にもたくさんそういうものがかかってくる。関係の市川あるいは船橋等の漁協で船を出してその事実の確認をしたところが、網にたくさんかかってきたというようなことが伝えられておるわけでありますけれども、この問題については今どういう認識を持っていらっしゃいますか。
  48. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいま先生指摘の東京湾中央部での建設残土の投棄問題、これは実は私どもも新聞報道等で事情を初めて承知しているわけでございますが、現在このことについては関係機関でいろいろと調査をしていると伺っている段階でございます。  これは、実態は一体どういうものであるかということを現在掌握していないだけに、一体建設業との関係がどうであったとかいうことはちょっと私ども掌握いたしておりません。今後、関係機関の調査の動向を見ながら、そういった中で建設業者としての責任というものがどうであったのかないのかというようなことをきわめる中で、私どもも適切な対処をしなければならぬ、こう思っている次第でございます。
  49. 新村勝雄

    ○新村委員 まだ現状を確認をしておられないということのようですが、この事実については既に地元において確認をされておるし、また県においてもそういった事実があることを認めておる。認めておるというよりは今対策に苦慮をしておるという方が正しいと思いますけれども、そういう状態でございます。  そこで、現状を余り御存じないということであればいたし方ない、今後の調査を待つわけでありますけれども、海上でありますから、しかも木更津と羽田空港の中間あたりのようであります。ですから、これはどういう経路でどういう者がいつ投棄をしたのかということについても確かめる必要がございますし、現にあることはあるのですけれども、その事実は事実として動かしがたいと思いますが、どういう経路で、だれが、いつということになるとこれは今後の調査を待つよりほかないわけでありますが、そういったことについても全く御存じありませんか。
  50. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど申しましたように、この廃棄物がどういう経路で出てきたのかということを私ども全くまだつかんでいない次第でございます。たまたま運輸省あるいは千葉県、こういった関係当局でその問題について調査しよう、こういうふうな状況と伺っておりますので、私ども関心を持ってひとつ調査結果を待ちたい、こういう状況でございます。
  51. 新村勝雄

    ○新村委員 至急に御調査の上、対策をお願いしたいと思います。  そうしますと、この問題と絡んで、一般的に廃棄物の投棄についてはいろいろ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律ですか、そこにも規定がありますし、そのほかにも海上に投棄してはいけないというような法的な規制があると思います。そこで、海上にちゃんと周りにさくをつくって埋め立てをするのならばこれはいいのでしょうけれども、そうではなくて海中にばさっと落とすということですね。これについては絶対に避けるべきであるし、当然これは規制があると思いますけれども、そういう海中に土砂を投棄するということについてはどういう規制があるのか、またどういう処置をすればいいのか、そういった法的な問題はどういうことになりますか。
  52. 望月薫雄

    ○望月政府委員 この問題、基本的には厚生省の所管が大きな部分、こういうふうに認識いたしておりますが、あわせて海洋面での関係法令の規制など、確かに先生指摘のとおりたくさんあります。私どもとしては、そういった法令を遵守するというのが、言うならば、もしこれが建設業者の業務の関係のものであるならば建設業者としてのもちろん守らなければならぬルールになってまいりますが、ただいまの御質問のどういうことについてどうだという具体的な点につきましては、私どもよりもむしろ関係省庁の方から御答弁させていただくのが適当かと思いますので、ちょっと御遠慮させていただきます。
  53. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生法律の仕組みあるいはその規制法がどんな法律があるかということのお尋ねでございますが、廃棄物処理法では実は不法投棄を禁止しておりまして、これは法律の第十六条で不法投棄をしてはならない、こういうことになっておりますが、海上におきましては、廃棄物処理法の特別法の立場で、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というのがございます。その法律で船舶からの産業廃棄物等の廃棄物の排出については規制されているところでございまして、それの具体的な中身につきましては海洋汚染防止法の中で種々規定がなされている、こういうような仕組みになっておるところでございます。
  54. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、そういうことであれば、海洋汚染防止法がどういう規定であるのか、そしてまた、それを監視する体制なりはどうなっているのかということを伺いたい。
  55. 三本木徹

    ○三本木説明員 私どもの承知しているところでは、廃棄物の種類によりまして投棄できる海域が定まっている、あるいは投棄できる排出方法が決まっている、このように理解しておりますが、具体的に産業廃棄物の種類によりましていろいろな排出の方法、船からの排出の方法、例えば一度に出しなさいとか物によりましては拡散して出しなさい、あるいはその場所についてもA海域であるとかB海域であるとか海域が指定されている、このように理解しております。
  56. 新村勝雄

    ○新村委員 土砂の投棄については、海中に土砂を投棄することについては一切だめであると思うのです。ですから、海中に土砂を投棄する場合には、周りにさくをつくって埋め立ての形でなければこれはできないはずなんです。そこらがどうなっているのか。  それから、海洋の汚染防止についてはあなたの方の所管ではなくて海上保安庁で監視をしているというふうにも聞いておりますけれども、その辺の管轄の関係はどうなっていますか。
  57. 細野嘉昭

    ○細野説明員 海上保安庁でございます。お答えいたします。  海域への物の投棄という御質問でございますが、その件につきましては、捨て方の基準とか海域等につきましては一応環境庁の方で一元的に決められておりますが、ただいまのお話の中で、手元に海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というのを持っておりますが、この十条に「船舶からの廃棄物の排出の禁止」という点がございまして、「何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない。」このように定められているところでございます。
  58. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、当然土砂を投棄することはいけないわけですよ。そうですね、土砂はいけない。そういうことになりますと、海上ですから、それを監視するなり防止する体制、そういったものについてはどうなっておるのですか。
  59. 細野嘉昭

    ○細野説明員 お答えいたします。  海洋汚染の防止・監視・取り締まりということで、私どもの方は海上におきまして巡視船艇、航空機を用いて監視をしているところでございます。  それから本件、東京湾のことについて少し申し上げますと、第三管区海上保安本部が横浜にございますが、その下部に、東京保安部、横浜保安部、千葉保安部が湾内に面しております。そこの所属船艇並びに羽田に航空基地がございましてそこの航空機を用いて、定期的に、昼間あるいは夜間、公害監視という任務で業務を展開しているところでございます。
  60. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、三つの海域、地域に分けて監視を常時されておるということですが、その監視あるいは巡視の程度、毎日一回ぐらいやるのか、どの程度の監視をされるのか。  それから、今までそういう湾内の海中に直接投棄された例があるのかどうか。  それからまた、仮にそういうことがあった場合に、目を盗んでやったということがあればそれは当然違法なわけですから、それは原状回復というのがその投棄したものをさらってもとに戻せ、そういうところまでやらなければいけないと思うのですけれども、そういう一連の行政的な指導あるいは命令、そういったものについての執行の状況はどうなっておるのでしょうか。
  61. 細野嘉昭

    ○細野説明員 監視の状況という点についてお答えいたします。  巡視船艇にありましては、特に東京湾はいろいろな問題がございますので、少なくとも二日に一回、飛行機は三日に一回というふうなことをやっておりますが、他の業務とあわせまして監視・取り締まりをやっているところでございます。ちなみに六月から八月までの監視・取り締まり状況の延べ回数でございますが、巡視船艇にありましては千五百三十八回、航空機にありましては二百八十六回、合計千八百二十四回という回数でございます。  それから次の御質問で、海中に投棄されたものについてどうなのかという点でございます。海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十条で申し上げました点でございますが、この点について違反があれば、当然所要の捜査をいたしまして、当該行為をいたしました原因者を突きとめまして所要の措置をしているところでございます。  次に、そういう捨てられたものにつきましての原状回復という点でございますが、これは実行行為者がわかりました段階で、その者の責任により原状回復をさせているという状況でございます。
  62. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは、今回の事態についてはぜひ至急に調査をされて、しかるべき処置をとられるようにお願いをしたいと思います。  次に、都市計画法の運用であります。  最近、地価の高騰ということが大変な問題になっておりまして、その原因についてはいろいろありますけれども、供給をふやすということが有力な一つの方法になると思います。政府においても供給の増加については考慮、検討されておるようでありますが、現在の都市計画法は既に施行以来相当年がたっておりまして、あの法律が施行された当時の状況と現在とではかなり経済情勢も地域の状況も変わってきておるわけですね。それからまた、地価の高騰、特に首都圏、首都の中心あるいはその周辺の地価の高騰ということを考えた場合に、何といっても供給をふやすということ、これがどうしても必要なわけでありますが、そのためには都市計画法の運用あるいはその法体系をこの際抜本的に見直す必要があるんではないかと思うわけです。建設省においてもいわゆる規制緩和という政策の一環として都市計画法の運用についてかなり検討はされておるようでありますけれども、まだ抜本的な検討というか抜本的な供給の増加というところまでは至っていないわけです。  一方、交通条件とも関係がありますけれども、首都圏の周辺には住宅に適する住宅適地が相当にあるわけであります。二〇〇〇年までには首都圏で三百万人の新しい人口増があると言われておりますが、仮にそれだけの増加があっても、首都圏周辺には合理的に土地政策を推進すればその程度の人口は十分収容することができる余地があるのではないか。しかし、このまま、現在のままの法体系ではそれができないわけでありますから、そういう意味での都市計画法の抜本的な再検討、特に土地供給をふやすという観点からする抜本的な検討はされておるのでしょうか。
  63. 木内啓介

    ○木内政府委員 最近の地価問題、これに対応する方策としまして、優良宅地の大量供給あるいは市街地の有効利用ということが大事なことは先生の御指摘をまつまでもないと思います。それで、都市計画の観点から、私どもとしましては規制緩和とか計画の見直しとかいろいろなことをやっているわけでございますけれども、いずれも、例えば一律に規制を緩和するということになりますといい町になりませんので、やはり優良な町づくり、市街地づくりというふうなことを目指しながらさまざまな規制緩和等を行っている次第でございます。  大体四つの分野に分かれていろいろやっておりますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。  第一点は、先生もちょっとお触れになりましたけれども、都市計画の線引きの問題でございます。これにつきましては従来制度制定当時は若干硬直的な面がございましたので、いわゆる想定人口フレームというふうな制度をつくりまして、一定の想定人口の枠内であればそのフレームを保留して随時市街化区域に編入できるというふうな弾力化を図ったのが一点でございます。それからもう一つは、第二回の線引きの見直しを全国的に現在展開しているわけでございますけれども、この線引きによりまして新しく市街化区域を六万七千ヘクタールほど拡大したわけでございます。それからまた、人口が余りふえないような中小都市、例えば宮崎の都城においてはそうなったわけでございますけれども、地方公共団体が希望すれば線引き制度を廃止できるような形のものも考えたわけでございます。それからもう一つは、市街化区域内の設定を容易にするために、市街化区域の設定編入条件を改善いたしました。細かくなりますのでその中身はちょっと省略させていただきたいと思います。  それから第二点としましては、開発許可制度でございます。開発許可制度につきましては、従来は開発行為の規模要件は二十ヘクタールということになっておりましたけれども、それを五十八年の政令改正で五ヘクタールに引き下げたわけでございます。それからまた、市街化調整区域において許可できる開発行為も追加した。例えば地域振興のための工場とか沿道の流通業務施設等を追加したというふうなことでございます。  それから第三点は、農村部でございますけれども、市街化調整区域内の集落地域につきましては、土地利用の動向等に対応した計画整備を推進するために、集落地域整備法というのを六十二年五月に制定していただいたわけでございます。現在三十地域程度で調査を行っている、事業化をしたいと考えているところでございます。  それから第四は、用途地域と容積率の関係でございます。用途地域、容積率につきましては、土地利用の動向、道路等の公共施設整備状況等に対応した用途地域、容積率の的確な見直しをする。見直しをするということで現在かなり多くの市町村でやっておりますけれども、例えば大都市では、十一大都市については十都市が六月までに見直しをやっております。なお、東京都区部につきましては六十三年度末までに見直しを完了する予定でございます。  それから、用途地域、容積率関係につきましては、個別の優良プロジェクトの推進のためにスポットゾーニングを実施するとか、あるいは先生御承知の特定街区とか、そういうふうな制度を利用するというようなことも積極的に対応してまいりたいと考えております。  さらに、前回の国会で、工場跡地等がたくさん規制市街地にございますので、そういうものの有効利用のための再開発地区計画制度というものを創設していただきまして、これから積極的に活用したいと思っているところでございます。  以上、経緯的に申しましたけれども、新しい制度あるいは方針の変更等含めまして、これからもなお一層積極的に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  64. 新村勝雄

    ○新村委員 大分前向きのお答えがあったわけでありますけれども、要するに、調整区域の中にも住宅適地が相当あるわけです。ただその場合に、都市計画法の趣旨である優良な住宅地あるいは市街地の形成ということからいたしますと、すぐにこれを解除するわけにもいかないでしょうけれども、例えば、隣接の市街化区域との道路あるいは排水路、水道、そういう社会資本といったものについてある一定の条件をつける、あるいは一定の負担をしてもらう、あるいは開発者にその負担をさせるというような条件をつければ、調整区域であってもかなりこれは積極的にやってもいいというふうな感じを受けるわけであります。首都圏、東京の中心から三十キロあるいは四十キロのところにそういう優良宅地の適地が実はたくさんあるわけであります。ところが、あの法律をつくったときに、線引きをした当時は極力市街化区域を狭くしよう、そういう方針でやったものですから、したがって、いいところがあってもうちが建たないということなんです。ですから、それらを十分地方団体とも協力をされて適当なところはどんどん住宅化できるようなそういう措置、しかも一方では乱開発にならないように、優良な宅地というその趣旨を貫徹をしたから、なお開発をするということが十分可能な部分が相当あるわけであります。から、そういう点についての御努力をひとつお願いをしたいと思います。  次は、ペルーの潜水艦の事故の問題であります。潜水艦の事故が重なって、今度は不幸にして外国との関係を含む潜水艦の事故になったわけでありますが、この問題については、外務省としては現状ではどういう認識を持っていらっしゃいますか。
  65. 坂本重太郎

    ○坂本(重)政府委員 お答えいたします。  先生も御案内のとおり、事実関係に関しましてまず簡単に御説明いたしますと、八月二十六日の午後六時二十分ごろでございますが、ペルーにございますカリャオという港を第八共和丸が出港いたしました。出港後十分ぐらいいたしまして、港から約八キロの地点で、ペルーの海軍の潜水艦パコーチャの左舷後尾部に衝突いたしました。その結果、ペルーの潜水艦は衝突後沈没をいたしました。幸い第八共和丸の乗組員全員二十一名は無事でございましたけれども、残念ながらペルーの潜水艦の乗員、乗組員の間には死亡者が発生いたしました。衝突直後二十二名が救出されました、また二十八日には二十三名が救出されましたけれども、うち一名はその後病院で死亡いたしました。九月一日現在、艦長を含め五名が死亡、三名がなお行方不明、生存者四十四名のうち一名がなお重体という悲しい事態が発生しております。  現在、第八共和丸はカリャオ港に停泊しておりまして、乗組員は港外への退出は禁止されております。しかし身柄は拘束を受けておりません。  そこで問題は、事故原因の探求でございますけれども、現在これはカリャオ港の海上保安当局が原因を調査中でございます。これまで日本側船長から事情聴取を三度しておりまして、一応第一回目の調査は終わったということになっております。それからまた、ペルーの潜水艦側の生存者からも事情聴取を行っております。  当然のことながら、我が方大使館、この問題に関して全力を挙げて対応しております。事件発生直後館員を港に派遣し、それから二十七日には宇野外務大臣からゴンサレス・ペルー外務大臣あてのお見舞い電も発出いたしましたし、二十八日には現地の妹尾大使も潜水艦長の葬儀等に列席しております。  問題は、ペルー側の反応でございます。ペルー側の反応は、現在のところ、ペルー政府といたしましては、日本との友好関係、それから事故の偶発性などを勘案いたしまして、非常に冷静かつ公正な対応を期しておると私どもは判断しております。もっともガルシア大統領は、恐らく日本の漁船が潜水艦の長さを誤認したのではなかろうか、こう発言もしておりますし、それからまたロペス国防大臣も、潜水艦の乗組員の見方によれば、日本漁船の接近に誤りがあり、避けようとしたが潜水艦後尾に衝突した、多分日本漁船に責任があるだろうという発言をしております。したがって、このように一部には日本の漁船の過失を示唆する発言も出てきております。  さらに、けさ入りました電報によりますと、直接捜査に当たりましたオソリオ海上保安庁本部長は、潜水艦は汽笛を通じて同艦、つまり潜水艦が優先権を有することを日本漁船に警告したが、日本漁船長が認めているように、それを認めるのが余りにもおくれたため今次衝突となった旨、けさ、日本時間でゆうべでございますが、発言をしております。  こういうことで、我々が今、現在原因は客観的に調査中でございますから、過早な判断または発言は差し控えるべきであろうかと思いますが、現地から来ております報道によりますと、日本の漁船に瑕疵があったのではなかろうかと示唆されております。  以上でございます。
  66. 新村勝雄

    ○新村委員 これはもちろん過失でありましょうし、両国の友好関係を損なうおそれは今後の対処次第によってはないでしょうけれども、どちらに責任があるのかというようなことについては判断が下されると思うのですが、これはペルー側の決定に従うわけですか。それとも、もしその決定に不服な場合には対抗措置はどういう形でされるのですか。
  67. 坂本重太郎

    ○坂本(重)政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の事件はペルーの領海内で発生しております。したがって、ペルーの国内法が今回の場合に優先的に適用される、裁判管轄権も第一義的にはペルーにありということになります。したがって、私どもといたしましては、ペルーの司法当局の調査にこの問題に関してはゆだねざるを得ません。  そういうことでございますので、外務省といたしましても、ペルーがどういう結論を出すか現在のところ見守っておりまして、その結論によって今後慎重にかつ適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  68. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、ペルー側の判断に必ずしも一方的に従うということでもない、これは判断が出たその段階でどうするかを決める、こういうことですか。  それから、新聞報道等によれば、日本側の船長に過失があるのではないか、また船長もそういうことを認めているというような報道もありますけれども、そういった場合には、仮に責任が我が方にあるという場合に、これは船の船長対ペルー、あるいは船を持っておる会社対ペルーの関係で済むのか、あるいは日本政府対ペルー政府の問題になるのか、そこはどうなりますか。
  69. 坂本重太郎

    ○坂本(重)政府委員 第一の点に関しましては、あくまでも第一義的には我々はペルーの裁判管轄権に属さなければならない、こう思っております。もちろん、ペルーとの友好関係にかんがみ、大使館及び日本政府が側面的にいろいろ支援することはあろうかと思いますが、あくまでもこれはペルーの国内法に基づいてペルーの裁判管轄権を我々は認めなければならない、こう考えております。  問題は、第二の点の今後の補償の問題でございますけれども、もし日本側に過失がありとした場合、しかも大門船長御自身は、実は日本側の記者団に対して、左舷側に赤ランプを見たという点からいえば自分の船に回避義務があった、こう言ったと伝えられております。これは日本の新聞にも出ておりましたし、現地の新聞にも報道されておりますが、もしこれがそうであり、日本側に多くの過失があったと認められた場合には、現在のところペルーの法律では刑事責任と民事責任が問われることになっております。死傷者が出た関係上、業務上過失致死ということで一応刑事責任が発生いたしまして、これはペルー側としても今後我が方の政府に対してもいろいろ通報があろうかと思いますが、我が国といたしましては、先ほど申しましたようにペルー司法当局の判断を尊重するという原則的な立場でいこうと思っております。  民事責任につきましても、補償問題等出てくる可能性がございまして、これに関しましては一応ペルー政府と当事者、つまり船主及び船長との間で原則的に話し合われますが、しかし私どもも、政府としましては、邦人保護の見地からやはり側面的にその解決のためにいろいろ協力をすべきであろう、こう考えております。
  70. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、今のお答えでは、ペルーの国内法、ペルーの法体系に基づいて判断が下される、その判断には日本は服する、日本というかこっち側は服するというのが基本的な態度であるということでよろしいですね。  それから、仮に我が方に過失があった場合に、これは賠償の責任があるわけでしょうが、そういう民事的な問題が一つあるわけでしょうけれども、もう一つは、これは民事ではあっても日本の国民あるいは日本の船が相手側にそういう損害を与えたということでありますから、日本国として、日本政府として何らかの措置が必要であるのかどうか。例えば陳謝をするとか、あるいは国の立場から、慰謝料というのか何かわかりませんけれども、そういうものをやるのか、そういう国としての何らかの行動あるいは行為をする必要があるかどうか、その点はいかがでしょう。
  71. 坂本重太郎

    ○坂本(重)政府委員 御質問のとおり、第一義的にはこれはあくまでも関係当事者の話でございますけれども、もし結論がはっきり日本側に過失あり、こう出た場合に、その後日本政府としてどうするかに関しましては、その結論を見た上で我々としては適切に処理していきたい、こう考えております。  特にその際、ペルーは御案内のとおり日本とは大変友好的な、伝統的に友好関係にある国でございますので、この事件を契機といたしましてこの友好関係にひびが入ることがあってはいけないということは私ども非常に痛感しております。特に、現在八万人ほどの日系移住者もおりますので、そういう点も勘案しながら、外務省としても、そしてまた日本政府としても適切な措置を講じていきたい、こう思っております。
  72. 新村勝雄

    ○新村委員 最後に、大国としての立派な行動をとってもらうようにお願いしたいと思います。  終わります。
  73. 野中英二

    野中委員長 小川国彦君。
  74. 小川国彦

    小川(国)委員 私はきょう、建設省の所管になります決算の中で、首都高速道路公団の大量な無料券の発行、あるいはまた外郭団体によるところの経費のむだ遣いの問題、そうした点について質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、首都高速道路公団はこの二年間にその料金を四百円から六百円に値上げをしたわけであります。何と五割のアップでございます。今、円高時代を迎えまして電気料、ガス料、そういうものが相次いで値下げをしている時代に、役所がこのような無謀な料金の値上げをするというのはどうも不合理ではないか、こういうふうに感ずるわけでございます。調査をしてみますと、やはり公団の経営内容に非常にむだが多い、むだ遣いが多い、こういうふうに感ずるわけでございます。  一番理解しやすい問題として、公団の無料通行券というものが配られているわけでございます。これが、調べてみますと政府や国会などの役所関係で四万六千枚、道路管理とか保全とか、そういう関係の民間企業の百十五社に対して百十六万六千枚、合わせますと百二十一万二千枚という大量の枚数に上っていることがわかったわけでございますが、この数字については間違いがないかどうか。  それから、この無料通行券の発行の趣旨、考え方というものはどういうことでこれを発行されているのか。  まずその点から伺いたいと思います。
  75. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 お答えします。  先生指摘の無料通行券と申しますか、これは実は管理業務のための交通整理券といったようなものでございますが、どうしてそういうものを出さなければいけないかということをまず御説明いたしますと、実は首都高速道路は入り口で全部均一料金を徴収いたしますわけで、出口は全部フリーで出るような形になっておりまして、入り口で徴収、収受関係で受け取る券種といいますか種類といたしましては、現金で徴収する場合の料金の受取の控えと、それから別に回数券と、それからもう一つ管理用に通過するいろいろな車の数、この三つを把握して料金徴収の方から報告されるわけですが、一方、これに対して、その数字が間違っていないかどうか、こちらとしては厳重にチェックする必要がございます。そのために入り口には全部トラフィックカウンターというものが設置されておりまして、そのトラフィックカウンターで一回通れば必ずカウントされるということで全量がカウントされるわけで、その両者を見比べて適正に料金収受が行われているかどうかを営業管理所でチェックするというシステムになっておりまして、このシステムでやる以上、どうしてもそういった無料の交通整理券といったようなものを出して処理せざるを得ないというような事情がございまして、そういうことで先生指摘のような数字の管理業務用の券が出ております。
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 まず民間分が百十六万六千枚出ておるわけでございます。この中で料金徴収業務関係というのが十四社で二十一万五千枚、料金の集金業務関係が五社で五千枚というような形で、そのほか電気関係の維持修繕とかいろいろ分かれていくわけですが、まず民間分、銀行の料金の集金業務に対して無料券が五千枚出ているわけです。三井銀行で千二百二十枚、第一勧銀で千四百九十四枚、富士銀行で八百六十枚、東京都民銀行で八百四十八、横浜銀行で千二百八。五社で五千枚なんですが、これは本来銀行の集金業務でありまして、これに対して、出入り業者のために無料券を支給するというのはいかがなものかというふうに思うわけなんです。  これは旧国鉄などでも、国鉄のためにいろいろな業務で出入りする業者の方がたくさんいらっしゃると思うのですが、そういう方のために国鉄が無料券を交付しているという話はついぞ聞いたことがない。また、私鉄ももちろんそういうことはないでありましょうし、そういうことで考えて国鉄のパスも現在廃止になっている。  こういうふうに考えてみますと、公団金融機関に対する無料券の支給というのはまさにサービス過剰ではないのか、こういうふうに思うのでありますが、この点はいかがお考えになりますか。
  77. 栗山昌久

    栗山参考人 お答えいたします。  料金所で集めた金を一応料金計算所に保管してございます。それは高速道路上にございまして、銀行が集金に来るときには必ずどこか首都高の料金所を入って、それで集金したお金を受け取りに来なければいかぬ、こういう形になりますので、もしそれをただで入(はい)れるようにしなければ、集金するたびにその料金を集金手数料として公団が払うという形にもなります。  また国鉄の場合も、運送でなくて、はっきり言えば集金のために駅構内に入(はい)るのであれば、多分入場料を取らずに、お金を取るために駅構内へ入(い)れるということは考えられるのではないかと思います。実質的には、通行と書いてありますけれども、料金計算所へ料金を取りに行くことを認めるだけで、それで銀行が通常の運送とか何かに使うことを認めるということではございません。それは一日二度なり料金計算所へ取りに来るという実績を見て、その回数の枚数を、五千枚というと非常に大きいようですけれども、これは一回一回渡していますので、一日に直しますと数は非常に少なくなる、こういうことでございます。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 実は私、昨日までいろいろ調査をしておるわけですが、皆さんの方で料金徴収業務関係ということで、新東ハイウェイサービスなんというのは一万三千三百三枚、日本ハイウェイサービスは五万三百四十三枚とか、ハイウェイフレンド一万七千枚、湾岸道路サービス一万九千枚、首都ハイウェイ興業二万一千枚ということで、これは一日にしても大変な枚数の無料券が配られている。  この料金徴収業務を委託されている十四社は、この申請の中にいずれもまず最初に各バースで料金なりチケットを受け取る人のための回数券、それから今度はそこのバースの料金を回収するための集金するための無料券の申請をして、またもらっているわけですね。そうすると、その料金徴収所でそれぞれの料金徴収会社が集金を行っているところに、また銀行がそこへ集金に行くのでございますか。そうすると、これは二重に出されているということになると思うのですよね。  どう管理体制を見ましても、銀行が個々のバースに集金しているのなら、各料金会社が全部申請しているこの料金回収のための無料券というのは今度は不要になってくるでしょうし、どう見てもこれはおかしいのですよ。  しかも、銀行一社に一千枚からの無料券というのは、個々の銀行がそこまでやるのなら、今度は料金徴収会社の方の料金回収というのはおかしくなる。これはどういうことですか。
  79. 栗山昌久

    栗山参考人 銀行の方は料金所へお金を取りに行っているのではなくて、大体一つの料金計算所に六カ所ぐらい料金所がございます。そこで集まった金を料金集受会社が一応料金計算所まで持ってくる。そのためにやはりどうしても首都高を使う。銀行の方は、いわゆる集められた料金計算所で料金収受会社からお金を受け取る、こういう形になっておりますので、二重という形にはなってございません。
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 ともかく、まず役人の商法だと言えると思うのですよ。各バースから集めた料金は、各料金徴収会社がそれぞれの営業所へ集金するわけですよ。しかも集金したものはまた本社に集金して、それから銀行さんに回収に来てもらえばいいだけの話なんです。料金徴収会社は、そのために皆さん雇っていらっしゃるわけだから、料金徴収会社なんだから。券を売ったやつの料金を集めてそれを銀行に集めさせているのなら、料金徴収会社を頼む必要ないのですよ。  だから、ここにもう明らかに、五千枚で六百円というと毎年三百万でしょう。これを毎年毎年十年やっていれば三千万ですよ。銀行に一社千枚ずつの無料券を配って、何で毎日毎日あそこに集金に来てもらわなければならないのか。料金徴収会社を使ってやらせているというところ、まず皆さんのむだ遣いがここから始まっているのじゃないですか。一年間三百万ですよ。しかし、大手の銀行に一々細かい料金徴収所のお金の回収をさせているということ自体が、じゃ料金徴収会社にも、後ほど言いますけれども大変なお金をまた払っているわけでしょう。  こういうことから見ると、まずこのお金はむだ遣いだと思いませんか。
  81. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 御指摘のような点もあろうかと思いますが、必ずしも二重手間になっているかどうか、その辺はよく調査してみないとわからぬと思いますが、御指摘の趣旨を踏まえてよくその辺の流れを検討してみたいと思っております。
  82. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、この無料の回数券が、一社一万五千枚から一万枚という大変な枚数が流れている。そのために、悪質な事例は、この無料の回数券が町で横流しされている、こういうことが言われております。  大手ディスカウントショップの富士コインの社長は、「道路公団とか警察とか消防など公的機関に配られている券まで売りに来る人があります。これはちょっと変ですね。うちでは紛失品とか、盗難品とかのチェックはできません。幸い、この券は額面の記載がないので、うちでは扱えません。額面のないものを買うわけにも、売るわけにもいかないからです。」こういうふうに言っているわけですね。つい最近も、私の友人がやはりディスカウントショップでこの業務用の券をばらで購入した、こういうことを伝えられているわけなのですが、こういう富士コインの社長が証言するような横流れの実態というようなものについては皆さんは御調査なすっておりますか。
  83. 栗山昌久

    栗山参考人 回数券に全部番号が入っていまして、どの業者にどういうルートで渡ったか調べられるようになっております。私の方でも一応そういう金券屋等に職員を出しまして、そういう事実があるかどうか調査しております。そういう調査をした結果、金券屋等では一応先ほど先生がおっしゃったように、額面の書いてない券はうちは取り扱いませんということで行なわれておりますので、少なくとも金券屋等でそういう券が流れているということはないと信じております。  それからまた、具体的にあるのであれば、その券を見せていただければどういうルートで出たのか、その辺が調べられるので、もし見せていただければ私の方で一生懸命調べまして、どういうルートで流れたか的確な対処をしたいと思います。
  84. 小川国彦

    小川(国)委員 一九八五年、昭和六十年二月十日の読売新聞によりますと、首都高速道路の無料券が一千枚以上ディスカウントショップに持ちこまれた。この千代田区内の金券取扱店が公団に照会したところ、通し番号の打たれている公団発行の無料通行券と確認された。この横流しのもとについては、公団の小林好実元道路管理課長が対応しているが、こういう乱脈な無料券の流通について、このときにどういう御調査をなすったか、この点をちょっと伺いたいと思います。
  85. 栗山昌久

    栗山参考人 御指摘の読売新聞に掲載されました無料券について、一応当方でもこういうことがあるはずがないということでいろいろ調査しました。それで、金券屋等にも行きまして、通行券のナンバー等をぜひ教えてほしいということでいろいろ当たったわけですけれども、金券屋の方もなかなかその辺は明らかにしていただけなかった。ただ、我が方としては、そういうことがあったので同じような券がそういうふうに流れないように、その後通行券の発行については発行体制を再度検討しまして横流れしないように措置をとっております。
  86. 小川国彦

    小川(国)委員 これは三年前に、しかも大量に起こった事件なんですから、当然皆さんの方としては当該店に調査に行かれて報告を受けられたと思いますが、その報告書はございますか。
  87. 栗山昌久

    栗山参考人 公団の職員が調査に行った調査報告はあります。金券屋の方からは特に報告書は出てございません。
  88. 小川国彦

    小川(国)委員 この場合、この横流しをした場合には法的にどういうような罪名に相当するのでありますか。
  89. 古川元晴

    古川説明員 具体的犯罪の成否ということになりますと、委員も御承知のとおりと思いますが、やはり具体的な事実関係が明らかになっておりませんと何とも申しようがないわけでございまして、お尋ねの件につきましても、問題となっておりますこの無料通行券の法的性質がどのようなものであるか、あるいはまたその公団が配付先にどのような趣旨でこれを配付しておるか、また配付先においてそれをどのような状況で保管しておるか、このような所要の事実関係が明らかになりませんと何とも申し上げようがないわけでございまして、恐縮でございますけれども、その辺の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  90. 小川国彦

    小川(国)委員 公団の方としてはどういうふうに御研究なすっておりますか。
  91. 栗山昌久

    栗山参考人 基本的には、そういうふうに流れるということは不必要にそういう無料通行券が配付されていたということにもなるので、その辺の交付の必要性等について、十分必要枚数等に再検討を加える必要がある、こういうふうに考えております。
  92. 小川国彦

    小川(国)委員 枚数に再検討を加えるのはこれからの仕事でいいわけでありますが、百十六万枚もの枚数が民間に出されておりますと、これは大変膨大な数量でございますね。しかも、いろいろなメンテナンスの会社にも数万枚から行く、しかも皆さんの方は、それを申請させてその申請に基づいて交付して、残ったら残りを返還させて、皆さんの方は何か穴をあけて焼却する、こういうことなんですけれども、私は無料券の配付ということについては非常に疑惑を感ずるのですよ。一一、銀行から始まって料金徴収会社からメンテナンスの工事会社から全部申請をさせて、そして一枚一枚の確認はとてもできませんですよね。それで、何枚残ったからといっておたくの方に返しに来る。そうすると、全部その百十六万枚の使用報告というのは出るのですか。一枚一枚どういうふうに使ったかという報告は出るのですか。
  93. 栗山昌久

    栗山参考人 仮に、路面清掃の会社、スバル興業ならスバル興業に対して、年間二万一千枚という形で出ている。これは一遍に出しているわけでございませんで、毎月作業計画、これははっきり言えば清掃の作業計画表を公団の方に提出していただきまして、その計画で作業をした場合に、何回何台の自動車がどこの入り口を出入りしなければならないかという点をチェックしまして、その月の作業計画に従って枚数を定めて交付しております。その有効期間は一カ月というふうに限ってございます。それから、あとは、そういう作業計画どおりに実施されなかった場合に余りが出るわけでございますので、それについては返納させる、こういう形をとっておるので、作業委託会社から不正に余分な券が出ていくということはほとんど考えられないのではないかというふうには考えております。
  94. 小川国彦

    小川(国)委員 皆さんの方は申告に基づいて交付しますけれども、どの入り口をどういうふうに出入りしたかといったって、百十六万台のチェックは到底できないだろうと思うのですよ。一社五万枚も持っていったものが、月々何千枚も使われるものが、とてもそれはチェックし切れないだろう。私は残りの報告書なんか見ても非常に疑惑を感ずるのは、千枚もらっていって八枚返しに行った、今月はまた千枚もらって二十枚返しに行ったと書いてあるのですね。その一つ一つの申告を皆さんは文書で審議するだけで、具体的に百十六万枚がどう適正に使われたか監督できませんでしょう。いかがですか。
  95. 栗山昌久

    栗山参考人 一枚一枚全部追跡調査するのは困難でございますけれども、作業のパターンというのが決まってございます。その作業がパターンどおり行われているか行われていないかについてはそれぞれの現場で監督しているということで、その辺は一々一枚一枚の通行券をトレースしていかなくても正確に把握できるのではないか、こういうふうに考えております。
  96. 小川国彦

    小川(国)委員 例えば、ある清掃会社で年間五万枚発行されているのですね。これは料金徴収所の清掃を行うだけの会社なんですよ。ゲート付近の清掃を行うだけの会社に、この五万枚の無料券が必要なのかどうなのか。清掃会社の車も色が塗ってある、その人たちも服装に特色がある、そういうときに、そういうところに何で五万枚もやって、紙を余計また散らすようなものじゃないですか。その辺はいかがなのですか。
  97. 栗山昌久

    栗山参考人 公団としても好きこのんで一々通行券をやっているわけではございませんで、出入口に自動で測定しますトラフィックカウンターというのがセットされてございますので、作業のために一遍通行してもそれは通行実績という形で公団の方へ自動的に機械で報告が上がってきております。それをもとにしまして料金徴収会社が、はっきり言えば現金をきちっと収受したかしないか、そういう面のチェックに使っている関係で、通行証みたいな形で、この作業車はこういう作業のために公団の道路の上で作業してよろしいというようにその車両に標識をつけるだけにしますと、その辺のチェック機能が働かなくなる。その辺がございますので、公団としても無料の通行券という形で一回一回に確認できるような形をとらざるを得ないわけでございます。それが悪用されないようにやり方については今後いろいろ検討して改善していきたいと考えております。
  98. 小川国彦

    小川(国)委員 この無料券の配付の中には、高架下の巡回点検業務関係で首都高遠道路技術センターに二万九千枚行っているのです。また、道路構造物巡回点検業務関係で同じ首都高速道路技術センターに二万九千枚配付されているのですね。これは私、説明を聞きますと、高架下の巡回点検というのですから、高架下に異常がないように見て調べて歩く会社に二万九千枚、一日百枚以上の券を交付して、上を走っていられたのじゃ下の検査はできないはずでございますよね。この二万九千枚はどういうふうに使っていらっしゃるのですか。両方合わせると五万八千枚になりますね。
  99. 栗山昌久

    栗山参考人 二万数千枚というと非常に多いようでございます。清掃で二万数千枚という形であれば非常に多いようですけれども、実際に清掃するときには台数を三台ないし四台の編成を組みまして、決められた道路上の各区域を清掃するということで、一遍の清掃で五枚のほかに、各出入口を出るたびですから、十回出れば五十枚使うというような形になりますので、どうしても枚数は多くなる。  それから今、高架下点検になぜ必要かというのは、下から点検する、高架下ですから高架の下を点検するのですけれども、高架下の中には高速道路上の高架下もございますし、あと高架下を効率よく回るためには自分の基地から途中まである程度高速を利用して点検するという形になりますので、やはり必要かと思います。
  100. 小川国彦

    小川(国)委員 この高速道路技術センターには職員は何名おいでになりますか。役職員全部で何名で、そのうち現場職員は何名おいでになりますか。
  101. 松原青美

    松原参考人 お答えいたします。  職員が四十五名と、今先生おっしゃいました現場には八十名程度ございます。
  102. 小川国彦

    小川(国)委員 この点検のために使用している車は何台ございますか。
  103. 栗山昌久

    栗山参考人 今手元にセンターの保有している台数等細かい資料がございませんので、後ほど調査して御報告したいと思います。
  104. 小川国彦

    小川(国)委員 だめですよ。私は、こういうことがあるだろうと思うから、昨日来建設省から公団に対して、この技術センターの理事長にもここに出席してもらいたい、きょうも理事会でそういうふうに要請をしたわけですよ。こういうふうに肝心なところに来て――皆さんは全部答えられるという話だったのでしょう。道路公団理事長以下理事がおいでになって、私たちで答えられないことはございませんから、こちらの財団の方は御遠慮させてもらいたいということを言われたのですが、現実にこの二万九千枚もの無料券を使っている台数が何台かということが答えられないで、適正な使用だと言えますか。皆さん、責任を持って答えられると言ったでしょう。その点はどうなっているのですか。――時間がもったいないから、私の質問が終わるまでの間にしっかり答えてもらいたいと思います。  それでも、民間の配付分の百十六万枚については、どこの企業にどういう目的で行っているかというのは、その内容が明らかになっているわけです。しかし、役所関係において、国会関係の一万一千四百枚、政府関係の二万四千二百枚、地方公共団体の三千三百枚、こういうものの配付先は一体どこになっているのか。その配付先を伺いたいと思うのです。
  105. 松原青美

    松原参考人 技術センターが保有している車両でございますが、八台でございます。失礼いたしました。  ただいま先生がおっしゃいました通行券につきましては、公団を監督する立場にある建設省あるいは出資団体であります地方公共団体等、当公団業務と密接な関連がございまして、いろいろな立場から当公団業務の運営について御指導、御意見をいただく、そういう趣旨から私どもの方で配らせていただいているわけでございます。
  106. 小川国彦

    小川(国)委員 国会関係に一万一千四百枚ということなんですよ。私、国会関係の車をずっと調査してみたのですが、国会の車は各政党に配置になっている。その各政党では、燃料の使用とか高速道路の回数券は各政党の事務局で購入しているわけですね。それから、衆議院の事務局の方に伺いますと、衆議院の事務総長さん以下事務当局が使う、法制局が使う、専門調査員が使う、そういう車も約二十台おありになるそうですが、これは全部会計課の方で一括購入されて支給されている。  そうすると、国会関係で公的には一万一千四百枚というのはどなたが受け取っているのか。各政党が受け取ってなくて、そして衆議院の事務局も受け取ってないというと、一万一千四百枚というのは一体どこへ配られているのですか。
  107. 松原青美

    松原参考人 国会といいますか、先生に御説明しました中で国会と御説明しましたのは、国会においてそれぞれ私どもの業務運営について密接にいろいろ御監督、御指導いただく立場にある方々に差し上げているわけでございます。
  108. 小川国彦

    小川(国)委員 お世話になるというのですが、国会議員はみんな一生懸命同じ立場で仕事をしていると私は思うのですよね。その国会議員の中で皆さんが特定の人にお世話になるということでこの一万一千四百枚を使っているとしたら、これは私のものとして使っているというふうにしか理解できませんですよ。五百十二人の国会議員がおって、その国会議員のところにこういうふうにして公的なことに使ってくださいとかいうふうに持ってきているというのは、これも問題が検討されなければならないのかもしれませんが、いずれにしてもこの一万一千四百枚というのは国会関係と書かれたんじゃ大変迷惑なお話なんですよ。だから、どこへ持ってらっしゃっているのか。これは大変な枚数ですね。  それからもう一つ。政府関係も、建設省関係三千三百枚、その他省庁関係二万九百枚となっていますが、私、建設省の皆さんの方も会計課の方にお電話して聞いたら、やはり皆さんの方も、各局から必要に応じて回数券は会計課で購入して配っているというのでしょう。そうすると、公的なものは皆そういうふうに役所の予算で購入できる。しかも衆議院の事務局などは、公務以外はこの回数券は認めませんということなんですね。公務以外の場合は本人負担が原則、このぐらい厳しくなっているのですよ。そして、皆さんの各省庁だって、恐らく会計課が回数券を購入してやっていると思うのですよ。これは恐らく各省庁聞いてみたら、皆さんの建設省だってそうおやりになっているのでしょう。そうおやりになっているところへ、何で二万四千二百枚も政府関係に配らなければならないのですか。  理事長、ちょっとそれは重大な問題だから、責任を持って答えてください。
  109. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 御指摘のように、国会関係、それから関係の官庁関係にそういう種類の券が出ておりますが、これは先ほど理事から説明もありましたように、あくまでも首都高速道路公団業務の合理化のためのモニター、指導、そういうような意味でお願いしてお配りするという趣旨のものでありまして、これはあくまでも私どもの業務に反映させたいという気持ちでやっておるわけでございます。
  110. 小川国彦

    小川(国)委員 理事長がそういうでたらめな答弁をされては困るのですよね。モニター関係は四千八百枚出ているのですよ。都内二十三区の中から、これも選定にいろいろ問題があったというので、たしか今二十名ですか、この人たちに一人当たり月二十枚、年間二百四十枚配られているというのですよ。  そうすると、モニターの方はそれであるので、国会や政府関係の中にモニターがいたという話は私は聞いてないのですよ。いらっしゃるのなら、ぜひひとつ氏名を発表していただきたいと思います。
  111. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 言葉が足りないで失礼しました。私の言いました趣旨は、モニターというのは、いわゆるモニターとしてお願いしている一般の方々はいわゆるモニター制度の中でお願いしているので、これは当然そういうことで、一般の方々にはそういう券をお出しして首都公団についての御意見を聞いているわけですが、国会関係のモニターと言ったのはそういう意味じゃなくて、いろいろな御指導を願うという意味のモニターでございまして、国会の先生方にモニターをお願いしているという趣旨ではございません。
  112. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣にちょっと伺いますが、何か建設大臣のところへも行っているんじゃないかという話もあるし、あるいは建設委員長のところへも行っているんじゃないかという話がいろいろあるのですよ。真相がわからないのですね。大臣はこのことについては御存じですか。  それからもう一つは、こういうことがあった場合、大臣としてはこれはどういうふうにお考えになりますか。
  113. 越智伊平

    越智国務大臣 国会議員の他の大臣は私よく知りませんが、私自体は、確かに大臣車につきましては役所の方で運転手が回数券をいただいておるようであります。  私、車を二台といいますか、大臣車と自分の自家用を持っておりますが、自家用は自分の方で購入をいたしております。これはずっと大臣になる以前から当然そうでありますから、大臣になりましてもきちっと自分の自家用車の方は、公用以外のそういうものにつきましては自分の車の分は購入をいたしております。  この話、一カ月ばかり前に聞きまして、建設省の中で、首都高速だけでなしに、道路公団あるいは阪神公団、本四公団含めまして、今の工事用は工事に、あるいは清掃とかメンテナンスの分についてもメンテナンスの必要経費の中へ積算して、出と入りになると思うわけでありますけれども、その委託あるいは請け負った業者にきちっと買ってもらったらどうか、そういうことができるかできないか検討せよということで指示をいたしております。少なくとも国民の疑惑を招くようなことはやらないがいい、こういうことで今検討中であります。  今までのこと、いろいろうわさは聞きますけれども、事実関係をつかんでおりませんので、私もはっきりとここで、そういうことがあったかないかお答えできないわけでございますが、今後の方向としては、ひとつ必要なところには買っていただいて、またそれが経費として必要なればその積算に加えて、出と入りになりますけれども、はっきりと国民から疑惑の目で見られないような方法をとったらどうか、これを検討せよということで指示をしておるような次第であります。
  114. 小川国彦

    小川(国)委員 この四万六千枚の使途というのは、これは無料券といいながらやはり金券だと私は思いますよ。それは国民が六百円払って通行しているところを無料で通るわけですから、それは金券でございますよ。無料と書いてあるけれども、あそこを通行するときは六百円を、結局払うべきものを払わないで通るわけですから。ですから、このものは金額にすると年間二千七百六十万円ですよ。いわばこの無料券は二千七百六十万円の金券と同じですね。その金券をどこへ配ったのかということが明らかにならないでは、これは問題だと思う。非常に重大な問題だと思います。大臣として、使用先を調査して御報告を願いたい。  それから同時に、今大臣自身は車を二台持っていらっしゃるけれども、公用車は役所の方で買っていただいている、自分のは自分でお求めになっている、非常にきちっとしていらっしゃるわけですが、では一体建設省の中ではどういうところで使っているのか、国会の中はどういうところへ配っておられるのか、これを明らかにして、今後改善するという改革の方向をきちっと大臣にお示し願いたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  115. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、この話を聞きまして、今後どうあるべきかということで検討をするように指示をいたしております。  今までの、聞いてみますが、百十何万枚ですかということになりますと、なかなか複雑で、ちょっとわかりにくいというのが実情でなかろうか、こういうふうに思いますが、なお聞いて、調査をしてみたいと思う次第であります。
  116. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、百十六万枚の民間の企業に配付しているのは、どういう会社に何枚行って、どういう内容でというのは全部明らかになっているのですよ。官庁関係に配られたこの四万六千枚がどこのどなたに行っているのかが明らかになっていないと言うのですよ。この中身を明らかにしてほしい。百十六万枚と別ですからね。四万六千枚、しかも国会関係は一万一千四百枚、政府関係は二万四千二百枚とはっきりしているのですよ。建設省関係は三千三百枚とはっきりしているのですから。この使途については調査して御報告をいただくことが当然のことだと私は思いますが、いかがでございますか。
  117. 越智伊平

    越智国務大臣 四万六千枚については調査をしてみましょう。過去のこともありますしなかなか難しいと思いますが、調査してみます。
  118. 小川国彦

    小川(国)委員 私はこの際、もう一遍建設省に改めて伺いたいのですが、百十六万枚の無料券は六百円で六億九千六百万になるのですね。それから十年でいくと六十億になりますし、それから役所関係も十年たつと、十年分もうやっているのですから、やはり二億七千六百万、大変な金ですよ。それだけのものが使途不明になっては困るので、今大臣調査結果をきちっと報告していただきたいと思います。  この無料券というものの発行については法律にどうも規定がないと思うのですが、一体法的根拠はどういうところにおありになりますか。
  119. 木内啓介

    ○木内政府委員 法的根拠と申しますと、道路整備特別措置法施行令の第六条で、ちょっと長くなりますのでかいつまんで申させていただきますと、「災害救助、水防活動その他特別の理由に基くものであるため料金を徴収することが著しく不適当であると認められる車両」そういったものは「その他の道路に係るものにあっては建設大臣が定めるものとする。」ということで、そういったものについては建設大臣の定めるものは料金を取らなくてもいいという規定が第六条にございます。  その料金を徴収しないでもいい自動車についての定めは、運輸大臣建設大臣の告示によりまして「これも幾つかございまして長くなりますけれども、例えば第一は、「警察庁又は都道府県警察において警衛、警護若しくは警ら又は緊急輸送その他の緊急の用務のため使用する自動車で道路交通法第三十九条第一項に規定する緊急自動車以外のもの」。それから「検察庁において犯罪捜査のため使用する自動車で緊急自動車以外のもの」。それから「災害救助、水防活動又は消防活動のため使用する自動車で緊急自動車以外のもの」。それから「当該道路の沿道又はその近傍において国又は地方公共団体の職員が防疫活動その他の緊急を要する公務を行うため当該道路の通行を余儀なくされる場合において、当該公務に使用する自動車」。それから五番目は「当該道路の管理事務に使用する自動車」こういうふうになっております。  ただいま先生の御指摘の無料通行券というのは、大方その第五号の「当該道路の管理事務に使用する自動車」というふうな形の中に入って解釈されているということでございます。
  120. 小川国彦

    小川(国)委員 この無料券制度というのはいつからお始めになったのですか。
  121. 木内啓介

    ○木内政府委員 ただいま私がお読みしました告示が昭和三十七年十二月十八日付でございますものですから、公団発足の当初からと考えられます。
  122. 小川国彦

    小川(国)委員 今、無料券の法的根拠というものを申されましたが、私ども法的な面を調べてみると、法的な根拠はないように思うのです。いろいろな法律、法令関係を全部調べますと、緊急の際か道路の管理目的、これ以外は無料で通行できないということになっているのですよ。緊急の際というのは今局長がお答えになった緊急の際、火災とか水難とか台風とかそういう緊急事態、それから道路の管理目的、これ以外は無料で通行できない、こういうことになっているわけで、料金を徴収しないというふうに規定しているだけなんですね。だから、無料券の発行の法律、法令の根拠規定はないように思うのですが。
  123. 木内啓介

    ○木内政府委員 第一点の料金を徴収しないというのは、先ほど来理事長、理事さんから御説明がございましたように、公団の無料とすることの非常に技術的な問題からやはり無料通行券というものを発行して把握した方がいいという、これは技術的な理由でございます。そういうことでございます。  それから、無料通行券の意義は公団の管理業務用の必要だというふうなことで、先ほど申しました公団の管理業務ということで出している。管理業務というのも、この場合、公団の運用全体をかなり広くとって解釈できる話でございますので、通常の維持管理という管理とは私ども解釈しておりませんで、公団の運営その他、そういうものも含めて解釈しておるわけでございます。そういうことになりますと、先ほど国会関係、政府関係というふうに先生指摘ございましたけれども、公団業務のあり方あるいは実情、そういうふうなものについて大いに関係する立場にある方に、そういったことについて現実的な、あるいは行政的な、あるいは制度的な的確なアドバイスを受けるというふうなために、公団の方からできるだけ高速道路を使っていただいて建設的な意見なり御指導を願いたいという趣旨のものでございまして、こういったものもいわゆる一般のモニターと同じような感じで、やはり公団の管理上の必要というふうに読めるのではないかと解釈している次第でございます。
  124. 小川国彦

    小川(国)委員 道路整備特別措置法の第十二条一項のただし書きを読みますと、料金徴収の例外というのは、「ただし、道路交通法第三十九条第一項に規定する緊急自動車その他政令で定める車両については、この限りでない。」こういうことになって、緊急用と道路管理用以外は「政令で定める車両」ということになっているのですよ。政令でこの車両を定めたということは聞いていませんね。  それからもう一つは、道路整備特別措置法施行令第六条ですね。あなたの読んだ「政令で定める料金を徴収しない車両は、当該道路の通行又は利用が災害救助、水防活動その他特別の理由に基くものであるための料金を徴収することが著しく不適当であると認められる車両で、」「建設大臣が定めるものとする。」こういうふうになっているのです。そうすると、当然政令で定めるか、あるいは建設大臣が定めない限りは、あなたが言うように制度的アドバイスを受ける、御指導を受けるなんというものを勝手に拡大解釈してするということはできないわけですよ。この法律から読む限りは出てこないのです。  さらに、「料金を徴収しない車両を定める告示」という昭和三十一年十月の建設省告示、これを見ると、この中で、「料金を徴収しない車両を次のように定める。」「警察庁又は都道府県警察において、警衛、警護若しくは警ら又は緊急輸送」そういうものとか、検察庁の犯罪捜査、災害救助、水防活動、こういうふうに非常に限定されているのです。  さらに、「料金を徴収しない車両について」というので昭和三十一年十月二十九日の建設省道路局長の通達があるのですが、これを見ていきますと、「料金徴収免除の適用について公正を期し、料金収入の確保に遺憾のないよう措置されたい。」こう書いてあるのです。みだりに料金徴収の免除をやられては困るのだ、公正を期して料金収入の確保に努めよというのを建設省が通達として出している。  「料金を徴収しない車両について 昭和三十一年十月二十九日道発第三百三十二号 日本道路公団総裁、都道府県知事、五大市長宛建設省道路局長通達」これでいきますと、その七項には、「当該道路の管理事務に使用する車両」、あなたが言った管理事務とは何かというのは、「「管理事務」とは、当該道路の維持、修繕、料金徴収その他当該道路の管理に必要な事務をいう。」というので、明らかにその範囲が限定されているのですね。それを皆さんの方はどんどん拡大解釈して、大量に無料券をつくって、何か商品券でもあるかのように印刷して配るようになってしまった。こういう法的根拠のない違法な配付は全廃すべきではないかというふうに私は思うのですが、公団理事長、大臣からそれぞれ御所見を承りたいと思います。
  125. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 御指摘のように、法律の条文で明確になっていない点があるかと思いますが、現状では、それを管理業務に係る必要ということで拡大解釈した形で運用しているということだと思いますが、この辺は先ほど大臣からもお話がございましたように十分内容をチェックしてみたいと思います。
  126. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、少なくとも国民の立場で疑惑を受けることのないように、しかしこの首都公団だけでなしに、阪神道路公団、本四公団含めましてどうやればいいかということを再検討して、こういうことをできるだけなくするような方向で検討をするように指示いたしておるところであります。今後十分検討してみたい、かように思う次第であります。
  127. 小川国彦

    小川(国)委員 今の大臣の御答弁でございますと、再検討しなくてはならぬ、そういう指示をしているというお話でございましたが、この指示は今までに出されたものでございますか。それとも、これからお出しになる、こういうことでございますか。
  128. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、一カ月ばかり前にこういう話があるということを聞きましたから、その後、話を役所内、建設省内でいろいろ聞きまして、事実そういう無料券が出ておるということでありますから、それについて、そういうことをなくすることができなければ少なくする方向で検討をするように、もう既に指示をしておるということであります。
  129. 小川国彦

    小川(国)委員 都市局長の方から、その具体的な指示についてはどういう文書とか、どういう形でなすったかをちょっと伺いたい。
  130. 木内啓介

    ○木内政府委員 大臣のお答えがありましたように、大臣から私どもの方に指示が出ております。それで、現段階で、大臣からお話がありましたように、世間から疑惑を招くようなことが万一にも起こらないような形で現行の制度を抜本的と申しますか根本にさかのぼっていろいろ検討しなさいというお話がありまして、私どもは、公団も各公団ございますので、いろいろ検討を始めておりますけれども、私どもの内部あるいは公団の一部において、こういった今の制度を変えた場合にどういうふうな問題、例えば交通渋滞とか作業が非常に手間取って変なことになるとか、そういったいろいろな問題があろうかと思いますけれども、そういった問題を洗い直して、そういった問題に対する対応がもしうまく見つかればいろいろな面から今の制度を見直していきたいということを関係者で検討している次第でございます。
  131. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、この問題はひとり首都高速道路公団だけではなく、日本道路公団にも阪神道路公団にもあるいは本四架橋公団にもあると思いますが、この実態については御調査をなすって、これも大臣としては同様の御指示をなすったわけですか。この無料券の発行の実態については他公団についても御調査、把握されているかどうか、その点をちょっと御報告願いたいと思います。
  132. 越智伊平

    越智国務大臣 日本道路公団、本四公団あるいは阪神公団についての実態調査はいたしておりません。  ただ、制度として、物の考え方として同じような考えでなかろうか、かように思いますので、ひとつそこらの横並びも考えて、今後改めるべきものは改めていくという方向で検討をしてもらうということの指示をしておるような次第であります。でございますから、必ずしも日本道路公団なり本四公団なり阪神公団なりにそれがあるかないか、それを調査したわけではございませんけれども、皆横並びで同じような方向で進めるべきだ、こういうことの指示をいたしたような次第であります。
  133. 小川国彦

    小川(国)委員 これで質問を終わりますが、午後の再開までに、これらの公団でもそれぞれの発行枚数がどの程度あったのか、その実態、同様な御指示が横並びで大臣から出されるということであれば、私どもその趣旨の徹底も期したい、こういうように思いますので、午後の冒頭に、これらの公団での発行枚数を御答弁願えればと思います。  以上で質問を終わります。
  134. 野中英二

    野中委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ────◇─────     午後一時四十一分開議
  135. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川国彦君。
  136. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、午前中、首都高速道路公団の発行している無料券の配付状況の問題についてただしたわけでありますが、同様な無料券の配付、提供、そういうようなことが日本道路公団、阪神道路公団、本四架橋公団、それぞれにそういう当該の内容がありますれば御報告を願って、それからさらにその対処の方法、方針についても承りたい、こういうことで申し上げたわけでありますが、その点についてまず御答弁を伺いたいと思います。
  137. 木内啓介

    ○木内政府委員 先生突然の御要求でございまして、私どもできるだけ調べようというふうにしたわけでございますけれども、概数でとりあえず申しわけないのですけれどもお許し願いまして申し上げたいと思います。  二つに大きく分けまして、一つは、阪神高速道路の営業保全、道路管理及び交通管理の関係で、公団業務のため通行する場合というのが年間約四十万枚ぐらいでございます。それからもう一つは、阪神高速道路公団の管理に密接な関係のある機関の職員、モニター等が阪神高速道路公団の管理に関する用務のために通行する場合というのがおよそ四万枚程度でございます。  ちょっとラフな数字で申しわけございませんけれども、早急でございましたので、この程度で御勘弁願いたいと思います。
  138. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それでは、お答えいたします。  道路公団関係でございますが、ちょっと時間が非常に短かったものですから、同様に概数で御報告させていただきます。  道路公団の方のいわゆる無料通行証でございますが、これには業務用の通行証とそれから特別通行券と二つございます。業務用の通行証につきましては、いわゆるモニター、これは全国、地方に分かれております民間の方にお願いをして、このモニターの方に一万枚程度お願いをして、これは業務としてやっていただいております。もちろんそのほかに公団の職員等が業務で乗ります場合は、この範囲とかあるいは期日を切ってやっておりますが、それについては全国でやっております。そのほかに特別交付券としては概数で四万枚、昭和六十二年度の数字でございますが、出しております。これは地方がそのうち三万枚でございます。なお、内容等についてはちょっと時間の都合がございましてまだ精査いたしておりません。  それから本四公団でございます。これも昭和六十二年度のデータでございますが、昭和六十二年度、御案内のとおり大鳴門橋あるいは因島、大三島等、橋がかかっておりました。これにつきましては、すべて通行証は業務に関係のある公団の職員あるいは地方公共団体の職員あるいは工事関係者、合わせまして約二万枚、こういう数字になっております。
  139. 小川国彦

    小川(国)委員 この阪神高速道路公団とそれから日本道路公団とはそれぞれ密接な、阪神高速道路公団の場合は密接な関係ある職員ということで四万枚ということになっておりますが、これもやはり国会とか中央省庁、地方自治体というものが入ってまいろうかと思いますが、その点についてはおよそ概数はどのように把握されておりますか。
  140. 木内啓介

    ○木内政府委員 ちょっと急ぎのことでございまして、この内訳まで手が回らないわけでございますけれども、関連地方公共団体あるいはモニター等が入っておるものと推測されます。
  141. 小川国彦

    小川(国)委員 私が伺いましたのは、この四万枚の中に中央省庁あるいは国会関係のものが入っておりますかどうか、その点を伺っておるわけです。
  142. 木内啓介

    ○木内政府委員 そこまで確かめてございません、申しわけございませんけれども、ただいまの段階では。
  143. 小川国彦

    小川(国)委員 この点については後ほど調査の上、御報告をいただきたいと思いますが。
  144. 木内啓介

    ○木内政府委員 調査してみたいと思います。
  145. 小川国彦

    小川(国)委員 同じく道路公団におきまして特別通行券というものが四万枚、そのうち地方の三万枚というのは大体地方のどういうような関係、官公署に配付されておりますか。また、一万枚というものは、これはやはり国会関係、中央省庁のものが含まれておりますかどうか、その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  146. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  まず地方の三万枚でございますが、これは例えば地方業務に高速道路と密接な関係のあります地方の自治体であるとか等々だというふうに伺っております。  それから、全国の一万枚につきましても、概数をつかんでおりますが、内訳については今調べておるところでございますので、ちょっとまだわかりません。
  147. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしましても、この内訳につきましては、首都高速道路公団と同様の対応で、これは委員長の方で、経由でも結構でございますから、資料として御報告をいただきたいと思いますが。
  148. 野中英二

    野中委員長 はい、承知しました。
  149. 小川国彦

    小川(国)委員 では、そういうことで、これは委員長を通じまして資料として後ほどちょうだいいたしたいと思います。  さてそこで、私は、回数通行券の販売業務委託手数料の問題についてまた伺いたいと思います。  これについては、回数券というものが首都高速道路公団から発売されているわけでございますが、昭和六十三年三月までは四%の手数料が道路公団から財団法人の首都高速道路協会に支払われていた、本年の六十三年四月からこれが三・九%の手数料に変わったということでございます。そしてまた、協会から、この委託店といいますか第二次店といいましょうか、一般に回数券を発売しているところへの支払いは、昭和六十三年三月までも三%の手数料であり、また、この四月からも同様三%の手数料であるというふうに伺っております。この手数料の支払い方法はこのとおりで間 違いございませんか。
  150. 栗山昌久

    栗山参考人 先生の御指摘のとおり三%、それに販売奨励金等がつきますので少し上になろうかと思います。
  151. 小川国彦

    小川(国)委員 六十三年四月からは三・九%の手数料になったようでございますが、神奈川線及び特定料金区間についての料金はやはり四%の手数料、こういうふうに承っておりますが、それでよろしゅうございますか。
  152. 栗山昌久

    栗山参考人 神奈川線については従前の四%の手数料としております。
  153. 小川国彦

    小川(国)委員 そういたしますと、本年四月からでまいりますと三・九%になりました手数料のうち、首都高速道路公団から首都高速道路協会に支払っている手数料は何%になっておりますか。
  154. 栗山昌久

    栗山参考人 東京線については〇・九%、それから、その中から奨励金を払いますから実質的には〇・八%になると思います。
  155. 小川国彦

    小川(国)委員 横浜線についてはお幾らでございますか。
  156. 栗山昌久

    栗山参考人 神奈川線については〇・九%程度になると思います。一%の中から一部またいい成績を上げた販売店については奨励金を払いますので、実質的には〇・九というふうになると思います。
  157. 小川国彦

    小川(国)委員 私の調査した数字でまいりますと、昭和六十二年度首都高速道路公団から首都高速道路協会への支払い額は十九億九千二百六十七万円、そのうち協会に払われた手数料は五億九千九百五十三万八千円、二次店の手数料百三十七社分は十三億九千三百十四万一千円、こういうふうに承っておりますが、この数字で間違いございませんか。
  158. 栗山昌久

    栗山参考人 間違いございません。
  159. 小川国彦

    小川(国)委員 さらに、昭和五十三年から六十二年まで、最近十年間において、公団の回数券委託販売手数料は百十二億二千三百六十三万一千円、このうち協会の手数料は三十四億八百十四万八千円、第二次店の手数料は七十八億一千五百四十八万三千円、こういうふうに承っておりますが、この数字はこのように把握してよろしゅうございますか。
  160. 栗山昌久

    栗山参考人 御指摘の数字についてはそのとおりでございます。ただ、協会は直接自分のところでも販売いたしておりますので、そういう直接売っている分の手数料まで入った数字でございます。
  161. 小川国彦

    小川(国)委員 直接販売の手数料はこのうちお幾らぐらいになりますか。――その答弁については、私の質問の中でまた数字がわかり次第御答弁願いたいと思います。  私が建設省なりあるいはまた首都高速道路公団理事長に伺いたいと思いますのは、この協会に払われてまいりました手数料というものが果たして必要な手数料なのかどうかという点について、私は極めて疑問に感ずるわけであります。  なぜならば、回数券について、一般の東京都民の皆さんあるいは首都圏の皆さん、国民の皆さんが首都高速道路を御利用になるときは、それぞれ、先ほどの百三十七社の指定された販売店がございまして、そこへ直接購入に行かれるわけです。その第二次店はそこで三%ですかの手数料を受け取って、そしてそれを納めている。私は、何も首都高速道路協会をトンネルのように通さなくても道路公団に直接納めることは十分可能なんじゃないか、それをあえて首都高速道路協会を通すためにここに一%近い経費を支払ってきている。言うならば、六十二年度の単年度でいうならば協会の手数料の五億九千九百五十三万八千円、またこの十年間でいうならば三十四億八百十四万八千円というものは、本来、これを第二次店から直接公団が納入を受けるならば、ここに払うべき一%の手数料は全く不要であった、こういうふうに考えるわけであります。そういう点で私は、天下りの建設官僚の皆さんの行き先のようにこういうトンネル協会のようなものをおつくりになって、そこを通すがゆえにここで一%の手数料が余計になっている、こういうふうに理解せざるを得ないわけでございます。  この点については、私は、こういうところにもいわば経費のむだ遣いがあるということを率直に指摘せざるを得ないのでありますが、理事長はこの点をどうお考えになりますか。
  162. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 回数券の販売手数料四%ないしは三・九%ということで、そのうちの一%ないし〇・九%が協会の取り扱いのための経費という形で出るわけでございますが、これが高いか安いかということについてはいろいろ御判断があるかと思います。  私どもは、今この回数券を、首都高速の機能的な面からいいますと入り口でなるべく回数券を使ってスムーズに車が流れるような形にしたいということで、回数券の使用をどんどん広げていかなければいけないというふうな認識になっておりまして、そういう意味では現在まだ少し回数券の普及率が足りない。そこで、これからやはりいろいろと協会に頑張っていただいて、もう少し販売店を指導して、もっと広く、どこでもたやすく買えるような形のものにしていかなければならぬという要請が一つはあるわけでございまして、そういうことのためにはいろいろと広報宣伝等もやっていかなければならないこともあります。それから、いろいろ販売店の指導ということも強化していかなければならぬこともございまして、そういう意味から、一%程度のものを交付して、そういうものにこれから努力していってもらうという趣旨で、まあまあ妥当なものではないかというふうに認識しておる次第でございます。
  163. 栗山昌久

    栗山参考人 先生の御指摘では、公団みずからやったらいいじゃないか。今理事長の方からも御説明しましたとおり、もし公団みずからそういう業務を行うとなりますと、回数券の保管管理、それから適正な販売店の配置状況、その他販売店の開拓ということで、相当の事務量になります。公団として職員等をふやさざるを得ないということになりますので、実質的には協会に払っている金額ないしそれ以上の、もし公団がみずからやるとすればそれくらいの経費はかかることになるのではないか、こういうふうに考えております。
  164. 小川国彦

    小川(国)委員 公団の方でこの回数券の担当をしていらっしゃる職員の方は、何部の何課で、何名くらいおいでになるのですか。
  165. 栗山昌久

    栗山参考人 各出先の管理部の中に、全員で九人で今やっております。
  166. 小川国彦

    小川(国)委員 それで、年間の販売枚数は、昭和六十二年度、何枚になっていらっしゃいますか。
  167. 栗山昌久

    栗山参考人 お答えします。  公団職員が直接販売しておりませんので、そういう職員は内部の管理事務をやっているにすぎません。公団職員が直接売っている枚数はございません。
  168. 小川国彦

    小川(国)委員 いやいや、私が伺っているのは、道路公団として六十二年一年間で発売された回数券は何枚でございますか、こういうことを聞いているのです。
  169. 栗山昌久

    栗山参考人 六十二年度一億四千三百五十万枚になっております。
  170. 小川国彦

    小川(国)委員 それで、これは私の調査したところによりますと、回数券の保管管理とか配送に大変御苦労なさるということを聞いているのですが、二次店と高速道路協会の契約書を見ますと、二次店がいわゆる百三十七社都内にある、それからまた販売所もある、そこから、その方々は道路協会の窓口へ来て現金を払って、そこで回数券をもらっていかれるというのですよね。全然手間がかからないわけですよ。早く言えば、購入される代理店は、販売店は、全部協会の窓口へもらいに来る、しかも前金でもらいに来る、こういうシステムになっているのじゃないですか。
  171. 栗山昌久

    栗山参考人 一応回数券については現金で協会の方へ引き取りに来る、こういう形になっております。
  172. 小川国彦

    小川(国)委員 相当な事務量とおっしゃいますけれども、全然事務は要らないわけでございます。  それから、適正な配置も伺いたいのですが、この皆さんは今百三十七社に限られていますが、都内で御希望のある方には第二次店として自由に販売させるというシステムに今なっておりますか。
  173. 栗山昌久

    栗山参考人 回数券の販売につきましては、一応資力、信用が確実な者、それから回数券の販売、普及について熱意と能力のある者、それから一般の利用者が広く便利に購入できるような、要するに販売所の適正な配置が図られることというのを一応選定基準といたしまして、具体的には協会の方でそういう基準に従って事業者を選定しておる、そういうふうになっております。
  174. 小川国彦

    小川(国)委員 資力と信用というのは、どういう御条件になっていますか。
  175. 栗山昌久

    栗山参考人 資力と信用というのは、事業が安定的に継続されることというふうに考えております。
  176. 小川国彦

    小川(国)委員 例えば資力では、どのくらいの資本金を持っている会社であるとか、どのくらいの資産のある会社であるとか、一定の条件がございますでしょう。そういう条件はお決めになっていらっしゃるのですか。
  177. 栗山昌久

    栗山参考人 特に資本金は幾ら以上というような基準は決めてございません。
  178. 小川国彦

    小川(国)委員 私が調べてまいった中では、今理事長は、ともかく協会をつくって、そしてどんどん販売してくれるようなところを、気安く買えるように広報宣伝しなければならぬと言っているのですよ。私はそうじゃなくて、皆さんがこういう販売店をふやすつもりなら、幾らでもふえる可能性がある。今申し上げたように、資力一つとっても、資本金幾らの会社という明確な基準を持っていないわけでしょう。言うならば、もっとはっきり言えば公団から協会に天下りをして、その協会からこういう料金徴収会社とか回数券の販売会社に天下りしていったところしか業務をやらしてない。そういう実態があるからどんどんふえない。そういうことでいろいろ都民にも国民にも不便をかけている。それでいながら現金を全部販売店は窓口へ前金で持ってきてくれる、そういう契約を組んでいるわけなんです。公団自体がそれを組めば、一つも協会を必要とする理由というのは全くないと私は思うのですよ。  しかも、協会のメンバーを見ますと、理事長の中谷善雄さんという方は首都高速道路公団理事であって、この人がこの協会にいわゆる天下って理事長になった。それから常務理事の田中靖七さんという方も、首都高速道路公団の秘書室長からこの協会に天下って常務理事になっている。同じく、公団の人事部長だった三浦赳さんという方も常務理事。それから首都高速道路公団の管理部長さんが常務理事になっている。餅田陽一さんという方です。それから首都高速道路公団の人事部長だった久保田邦一さんという方が常務理事になっている。何のことはない、公団理事から、秘書室長から、人事、管理の部長さんが全部この協会へ天下っている。しかも、取っていらっしゃる給与が、六十二年度でいけば、一千二百八十二万から、大体一千万から上の給与を皆さん取っていらっしゃる。それからまた、協会の退職役員に対する退職金の支払い状況を見ると、一年いないんですよ、十一カ月でやめた方で百七十四万。それから五年の方で一千三百二十四万。  こういうふうに、建設省から公団に来て、公団から今度はこの協会に来て、それでみんなこの協会でまた退職金をたくさんもらっていらっしゃるのですよ。だから、何のことはない、この協会はいわば公団をやめた方々がさらにまた高給与なり高退職金をもらうためのトンネル協会にしかすぎないんじゃないか。しかも、回数券を販売するところは希望者があっても限定しておって、それの広報宣伝のために協会が必要だなんというようなことで、そこに一%といいながら毎年五億円もの金を払っている。十年間では五十億も払っている。こういうことでは、二年間で五割も料金を値上げしている公団の姿勢としては納得されないと思うのですよ。一体どこに経営努力があるのか。この点ひとつ理事長からもう一遍、こういうシステムの中で協会の存在は不要である、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
  179. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 今、首都高速道路公団は年間五千数百億の予算で、建設費にしましても二千億がらみの仕事をいたしております。それから、先ほどからお話のありましたように非常に多種にわたる業務を遂行しているわけでございますが、その中でやはり、公団の周辺であって、非常にそういうものをよくわかる機関がこれをサポートしてくれるという組織もまた必要だと思います。今御指摘の協会につきましても、協会の業務といたしましては、回数券の取り扱いはごく一部でございまして、そのほかにも高架下の管理だとか、あるいは植樹、清掃業務だとか、あるいは道路に関する広報活動も積極的にやってもらわなきゃならないし、それから、いろいろ公園、駐車場、緑地帯というものも抱えておりますが、こういうものの管理、そういったものが非常に多いわけでございまして、これらを効率的にこなしていくために、やはりこれらの業務もこれからどんどんふえていくということでございますので、そういうものが十分こなせるような組織としてこれからも大いに伸ばしていかなきゃならぬというふうに認識しておるわけでございます。  ただ、先生がおっしゃるようなむだな点がありますれば、これからの業務運営の中で十分指導して改めていって、いい組織に育てていきたいというふうに認識しておる次第でございます。
  180. 小川国彦

    小川(国)委員 ちっともいい組織に育てていただく必要はないわけでございます。何か業務の内容がそればかりじゃないというふうにおっしゃいましたけれども、この協会の業務収入は二十六億二千八百八十七万円余ですね。ところが、このうちの回数券受取手数料は十五億四千三百三十三万ということで、実に半分以上が回数券の受取手数料なんですよ。こういうふうに、建設省公団の皆さんが、間に四%の手数料を払いながら、その間の一%をこういうトンネル協会に早く言えばただ取りさせて、そして、こういうところに皆さんが天下って高い給与や退職金をもらっている。これは都民や国民から見たら納得できないことですよ。そういうところを育ててもらっちゃ困ると国民は思いますよ。そういうところに払う手数料はやめてもらう。これははっきりやめてもらう、縮小してもらう、私はこれが当然だと思いますよ。そうじゃなくても、一般の御商売している方から見れば、二年間に五割の料金を上げられる商売なんというのはよっぽど殿様商売でないとできない仕事だとおっしゃるのですよ。  最後に、大臣、こういうずさんな経営の実態をお聞きいただいたと思いますが、こういう点で今の協会の存在について大臣としてはどういう御見解をお持ちになりますか。
  181. 越智伊平

    越智国務大臣 いろいろお説を承りましたので、私も、少し不勉強でございますが、よく勉強して調査してみたい。要は、合理化、効率化、これはこの首都高速公団だけでなしに、全体的に合理化あるいは効率化に持っていくように努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  182. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、以上、私が申し上げた、きょう午前中の無料券の問題、さらにまたこの回数券の販売の問題、これはまだ氷山の一角でございます。こういう点の経営改革を建設省公団も挙げて取り組む、そういうことでなければ、四百円の料金を二年間に二百円、五割もアップするようなことは国民感情から許されない問題ですから、大臣、どうかひとつ十分御指導いただいて、また、次の委員会にぜひこの問題についての改革の御報告がいただけるようお取り組みをお願いして、質問を終わりたいと思います。
  183. 野中英二

  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま社会党の小川君から、高速自動車国道の管理の問題、運営の問題について、迫力のある御質問がありました。私は不勉強ですから迫力のない質問をしますが、ひとつ小川小川で大変嫌らしい質問が続くのですが、御了解をお願いします。  その前に、委員長首都高速道路公団のお偉方は帰ってしまうのかな。残っていた方がいいんじゃないの。きのう私がお呼びしたら、忙しくて来れないということですが、こうやって来ていらっしゃる。小川でも、なめられたかなと思って、私はちょっと不愉快な気持ちがしているのです。そういう答弁じゃ困るので、いらっしゃるなら、聞いていて、あえてちょっとやってくださいよ。だめなの。質問に答えなくていいけれども、聞いていらっしゃいよ。忙しいと言うからこっちは呼ばなかったのに。――今理事が来て何か言っていますから、私もそれ以上は言わないけれども、とにかく大臣、その分だけあなたが頑張ってください。お願いします。  建設大臣は、道路審議会にどのような諮問をしているのか、その理由をまずお願いしたいのでございます。やぶから棒にそう言ってもおわかりにならないでしょうが、高速自動車国道等の管理運営についての諮問、内容は簡単で結構です。それと、答申のされる時期はいつですか。
  185. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  建設大臣から道路審議会に対しまして、「高速自動車国道の整備と採算性の確保について」ということで、かつて諮問をしたところでございます。この諮問に対しまして、昭和五十六年七月に、主として、計画的な国の財政上の措置、それから採算性の確保、こういうものに対しまして中間答申をいただきました。引き続きまして、昭和六十年八月には、主として、いわゆる内部補助の問題、こういうことにつきまして中間答申をいただいたわけでございます。  そこで今般、四全総を受けまして、うたっております多極分散国土形成に向けまして、昨年追加されました国土開発幹線自動車道の整備のあり方、それから、先ほど申し上げました中間答申で残された車種間の負担の公平の確保等、こういう問題を中心にいたしまして、多角的な検討を今お願いしているところでございます。  審議事項が新しい時代の国土開発幹線自動車道のあり方ということで非常に多岐にわたっているために、もうしばらく時間がかかろうかと思っておりますが、私ども九月から十月にかけまして答申をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 九月下旬から十月初旬、十月の五日か六日ごろを指しているのだと思います。  そこで、そういうまだ答申が出ないうちに、これは架橋公団の祝賀パーティーでしたか、五月十五日の記者会見で越智建設大臣が、車種区分の見直しを現在進めている、十二月ぐらいには現在の三車種区分を五車種区分程度にしたい。これは、オートバイとか軽自動車とか、その走る区分帯をふやして料金に格差をつけるということだと思うのですが、この区分によって料金が少し上がるところもある、オートバイのように下がるところもあるが、結果的には全体としてやや上がるのではないかという気がしていると発言なさっております。  こういう、答申もされない、まだお読みになっていない中で、車種区分と値上げについての御発言はちょっと異な感じがするのでございますが、それは大臣の所管でございますから私どもがとやかく言う必要はございませんが、やや上がるのではないかという気がしているということは、下がるところもあるけれども上がるところがあって平均して上がるということは、日本道路公団の高速道路料金の値上げについて含まれているのですか。
  187. 越智伊平

    越智国務大臣 私が記者会見でお話し申し上げましたのは、今の道路公団の車種区分が三つになっております。これは単車も軽も小型も同じような料金体系になっておる。でございますから、例えば単車でいいますと非常に高い料金、こういうことであります。そこで、区分を五つ程度に分割をする、そういうことが今論議をされておるようでございますから、そのことについての発言をいたしました。  でございますから、これはまだ答申をいただいておりませんのでどうなるかわりませんけれども、要は、区分をちょっと多くして公平な料金体系にしていく必要がある、こういうふうに思います。そういう意味の発言をしたように記憶をいたしておる次第であります。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、道路公団の値上げというものは、年内及び来年等にはないのですか。
  189. 越智伊平

    越智国務大臣 今そういうことを検討してもらっているわけであります。でございますから、ただいま料金の値上げがあるともないとも、そういうことは申し上げておりません。  私は、車種の区分、あるいはもう一つ言いますと、通行量の非常に少ないところも今工事をいたしております。そういう全体的なことを考えて料金体系というものを今後審議していく必要がある、こういうふうには思っておりますけれども、前に発言いたしましたのは、車種区分のことを頭に置いて、高くなるのも安くなるのもある、こういうことの発言をしたように記憶をいたしております。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 高くなるというのはどこを指して言うのですか。
  191. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど御説明いたしましたように、現在車種区というのは普通車、大型車、それから特大車の三種区分になっております。公平という意味では車種区分をうんと細かくすればいいわけでございますけれども、これはまた、例えば実際の料金徴収の技術上の問題等々いろいろございます。したがいまして、六十三年の十二月に、通行券を磁気カードで非常にスムーズに料金が徴収できるような制度、こういうものができるときにひとつ公平の観点から車種区分を見直したらどうかということを、先ほど申し上げましたように、かつての道路審議会の中間答申でいただいております。それを踏まえまして、そういう技術的な問題が解決される時期にひとつそういうものを導入したらどうだということで、今審議会でいろいろ議論をしていただいているところでございます。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっとわからないのですが、安くなるところは今言ったオートバイとか軽自動車、そういう車種ですね。そうすると、ほかのところに負担がかからないで安くなってしまうのですから、今まで百円取ったところが、今度は軽自動車だとかオートバイは安くするのですから、その分は前よりも欠損になりますね。その穴埋めは、そのままでいいのですか。
  193. 三谷浩

    ○三谷政府委員 現在の車種区分、三種類と申し上げました。もう一遍申し上げますと、普通車、大型車、それから特大車でございます。これの比率は一対一・五対二・七五というのが現在用いられている数字でございます。ところが普通車の中には、先ほど大臣からもお話がございましたように、例えば単車であるとかあるいは軽自動車であるとか、それからもう少し大きな方でいいますと普通貨物、こういうものも一つの分類になっておるわけでございます。したがいまして、今言ったように、これは審議会でこれから議論していくところでございますので、予断を云々というわけではございませんが、例えば今のような単車についていろいろなことを考えてもう少し下げたらどうかとか、あるいは普通車をもう少し上げたらどうか、こういう議論があるということでございます。
  194. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは大臣、安くしなければならない車が、同じものを取られているという意味なんですね。はっきり言えば不公平だということでしょう。単車や軽自動車等は安くしてあげなさい、こういう配慮のもとに区分帯をつくるのだと思うのですが、今まで普通車並みに取っていたものを安くすれば、結局料金体系の中でだんだん減りますね。そうすると、そのマイナス分は補わないでサービスしてくださる、こう理解していいのですね。
  195. 越智伊平

    越智国務大臣 そういう意味ではありません。車種区分が三段階でありますのを五段階にいたしますと、例えば単車は安くなる、しかしその他で高くなる、こういう部分が生まれてくる、かようなふうに思っております。これは今から十分論議をしなければならないと思いますから、どの部分が高くなるか、どの部分が安くなるか、単車などは恐らく安くなる、こういうふうに通念的に思っておるような次第であります。
  196. 小川新一郎

    小川(新)委員 しつこいようですけれども、私は単車に乗って高速道路を走らないのです。二千ccの普通乗用車に乗って走るのですが、その場合、単車が安くなった、あれが安くなった、道路の上がってくる金が減ってきたから今度おまえさんの方に少ししわ寄せするよということをしなければ、今でも赤字だと言っているのに、赤字になってしまうじゃないですか。私は道路公団建設省に味方のことを言っているのですよ。どうするんだと心配してやっているのですよ。だから、上げるのか上げないのかだけ聞けばいいのですよ。私の乗っている二千ccクラス乗用車というものも同じ値段でずっと続いてくれるのか。その中で、今言った五車種区分をして、安くするものはサービスしてあけるんだというのなら、それはいいのですよ。それを審議会で今諮って、これから議論するんだ、こういうことですが、だけれども、それは当然だれだってそういうことを踏まえて言うでしょう。だから、大臣のお考えの中に、全体には今までの仕組みよりも上がってくるだろう、ということは値上げじゃないですか、簡単に言えば。簡単に言わなくても、うんと言っても同じですね、値上げについては。
  197. 越智伊平

    越智国務大臣 例えば、今マイクロバスの二十九人乗りも単車も同じ料金であります。でございますから、端的に言いますと、二十九人乗りのマイクロバスは上がるであろうけれども、一人乗りの単車は下がるであろう、こういうことであります。
  198. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、二十九人乗りを聞いているのではなくて、普通乗用車を単位として聞いているのです。私どもの乗っている車は上がらないのですか、上がるのですかと聞いているのです。
  199. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今申し上げましたのは、公平の観点から車種区分のいろいろな検討を審議会でお願いしている、こういうことでございます。それで、今審議会でいろいろ議論しているところでございますので、その結果を見まして我々としても考えてまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、高速道路全体としましてこれから整備を、今ちょうど四千数百キロ供用しておりますけれども、これを昭和六十三年度から始まります第十次五カ年計画で六千キロまで整備をしようと考えておりますので、そういう整備のときに、いろいろな考えられる方策等についても議論していただいておりますので、そういうものを踏まえて結論が、審議会でいろいろ御意見をいただいて、我々は検討させていただきたいと考えているわけでございます。
  200. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうしてもはっきり言えないわけでございますけれども、そうしますと、日本道路公団発行の昭和六十二年度版の年報によりますと、決められた料金徴収期間、通常三十年を満了したときなどは、日本道路公団の管理から本来の道路管理者である行政機関建設省等に引き継がれ、無料の道路となりますとありますが、これは本当になるのですか。
  201. 三谷浩

    ○三谷政府委員 我が国の高速道路は今まで非常に整備がおくれておりまして、その整備を早急にする、あるいは非常に事業費が多額であるということで、現在有料道路制度を活用してその整備を進めているわけでございます。料金の決めにつきましては法律で決められておるわけでございますが、いわゆる採算性の確保ということで、建設費それから維持管理に要する費用、こういうものを料金で一定年限で償還をしていく、それが三十年でということで考えております。現在その制度で進めておりまして、先ほど申し上げました昭和六十三年度からの五カ年計画で大いに整備をするわけでございますが、その整備のあり方、いろいろ問題があることも事実でございますので、審議会で議論していただいている、こういうことでございます。
  202. 小川新一郎

    小川(新)委員 何でもすぐ、審議会の結論が出なければで、大臣は答えられないのですけれども、京葉道路はあと二年で満期除隊になるんですね、軍隊の言葉で言えば。旧軍の言葉で言えば満期が来るんです。そうすると、二年たつとただになってしまうのですが、京葉道路はただにしてくれますか。――これは大臣に聞いているんだよ。大臣、少し答えてくださいよ。
  203. 三谷浩

    ○三谷政府委員 内容だけちょっと説明させていただきますと、京葉道路は一般有料道路でございまして、若干説明を要するのでございますが、高速道路、先ほど私が四千数百キロと申し上げましたのは、全体としての日本の高速道路はプールでいろいろ今運用しているわけでございます。京葉道路は今道路公団では一般有料道路という分類になっておりまして、いわば単品でございます。したがいまして、もちろん関連する街路とか有料道路の延伸とかということはございますが、いわゆる一定の時期が来ましたら無料道路になる、こういう仕組みでございます。
  204. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、昭和六十三年であと二年、六十五年、一般道路だとかいろいろと区分帯があるのですが、難しいことはわからないにしても、お金を払って私たちは走っているので高速道路、有料道路と言っているのですが、この有料道路から、三十年償還が来るということでお約束を取りつけたわけですが、そうすると、二年たったその日には、京葉道路から千葉の方へ向かったときはあそこの料金関門所がなくなってすうすう行くんですか。それはもう間違いなく確約していいんですな。そうすると、何とかプール制にしたとか、東金道路がどうだとかといって週刊誌に出ているけれど、あれはうそなんですな。週刊ポストの取材が不備、今あなたの言っていることが正しい、そういうふうに理解いたします。
  205. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、京葉道路は有料道路として単品でございます。ただし、先ほどちょっとお話がございましたように、密接な開運があるものを一つの単品として有料道路として経営しております。したがいまして、その分として三十年ということが原則でございます。
  206. 小川新一郎

    小川(新)委員 何だかいつもこうやってごまかされちゃうのです、最後は。道路を走っていて、道路はただだと我々は思っていたのですけれども、公団の偉い人に聞くと、ただにすると車が殺倒してきて動かなくなっちゃうと言うのですよ。ただにすると道路が渋滞すると言うのですよ、大臣。そういうばかなことを言ってみたり、今言ったような単品だとか、複品だとか景品だとか、わけのわからないことを言っているけれども、それならここではっきり、償還期限をあと五年なら五年延ばしましょう、延ばしてくださいよ、理由をつけて頭を下げて国会の承認をいただいて、今のままじゃどうしても三十年じゃ無理だと。だけど、小川先生、私じゃありませんよ、こちらの小川先生の御指摘では、一%ピンはねしたとかしないとか、いろいろな悪いのが出てきているわけだから、そういうのを直したら直るのですか。これは関連して、小川小川で悪いんだけれども、先ほどの社会党の小川先生の、言っていることを引き継いで聞くと、そういうものがなくなれば、不正のことがなくなって正しい立派な組織にするとかしないとか、してくれとか、してくれなくてもいいとかと言っているけれども、国民にとっては、道路の料金が三十年償還できちっとするためにはどうしたらいいか。経費がかかり過ぎたとかいろいろな理由で延びていっちゃう、それで百歩譲って私どもがそういうことを承認したとしても、無理であるなら無理であるような――大臣、これは十二月までには恐らく結論が出ると思いますから、料金の値上げの問題にしても、この場を取り繕っても、審議会の議を経ていろいろとあなたの方で御審議の結論を出さなきゃならぬときが来るわけです。そのときに、今言ったような三十年償還満期の問題も含めて大臣の御決意、はっきり言えば私たちも納得して、それはそうか、なるほどもっともだ、そういう辛い面もあるのかということで理解できるのですけれども、何だかんだと言ってふわあっといってしまって、国民の、またドライバーの知らない間に値上げが続行されて、どこにも発言をする場がない。ドライバーでもって告訴状態だって起きているじゃないですか。こういう問題を解決するのが建設大臣の大所高所に立つお力であると私は確信しておりますので、その辺の御理解、ドライバーの理解、そしてまた国会のこの質問を通じてひとつ御決意をいただきたいと思います。
  207. 越智伊平

    越智国務大臣 有料道路はお説のとおり三十年の償還ということで一応計画をいたしております。しかし、一般的な有料道路、延長をしないそれだけのものであれば、三十年で償還を終えて無料になるのが当然であります。しかし、その後次次と延長をいたしておりますと、全体的に言ってそれを換算して三十年ということを決めますと次次に延びていっておる、これが実情であります。今の均衡ある国土の発展ということでございますから、少し交通量の少ないところも有料自動車道を延長しておる、こういう状態であります。でございますから、償還がこの部分で終わったからそれを無料にするということではございませんので、有料自動車道全体で見てやっておるわけであります。  京葉道路については今道路局長からお答えをいたしました。そのままであれば当然そうなるわけでございますけれども、これは今いろいろ検討といいますか議論が出ておるというのが実態であります。ですから、そういうことをよく検討してみたい。率直に言って、もうあと二年で無料になりますよというようなことを今ここで申し上げるような状態ではない。これはもう先生も御承知のとおりであろうと思いますけれども、やはり全体的なことを考えて、我が国の高速自動車道はどういうことで進めていくべきであるか、こういうことをよく議論してやっていかないと、今絶対なりませんとも二年後には無料になりますともはっきりと私がここで申し上げるような段階ではございませんので、今いろいろ議論をされておるということが実情でございます。
  208. 小川新一郎

    小川(新)委員 本当は最後まで結論を出してここでわあわあ言った方がいいと思いますけれども、大臣もそこまでおっしゃるのであれば、値上げの方向でないような検討の中で大臣のお力を発現できるようにリーダーシップをとっていただきたい、それはお約束できますね、一言。
  209. 越智伊平

    越智国務大臣 でき得る限り値上げしないような方向に進めたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、非常に利用度の少ないところ、また非常に渋滞をするところ、いろいろありまして、これを今後建設を進めていくという中にあって、車種区分の見直し等を含めまして料金がどういうことになるか、今後これも十分検討をしてまいりたい。ただ、でき得る限り値上げをしない、あるいはするにしても少額にとどめるように努力をしていきたい、かように思う次第であります。
  210. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、渡良瀬遊水池のアクリメーションランドについてお尋ねします。  埼玉、群馬、栃木、茨城の四県にまたがる広大な渡良瀬遊水池を今言ったような企画のもとに建設省を中心に進められておりますが、具体的にはどのような構想なのか。運営主体はどこ、費用の分担は地元はどうなるのか、国費はどのくらい投入するのか。総額百三十五億と言われておりますが、簡単で結構でございます。
  211. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  先生御存じのとおり、大変広い遊水池であるわけでございますが、その一部分をスポーツですとかレクリエーション、またいわゆる自然との触れ合いの場ということで整備しようという構想でございます。現在のところ、おっしゃいました四県、それから周辺にございます二市四町が第三セクターをつくりまして、それでやっていこうということで動いておられるようでございます。ですから、資金の点につきまして、まずその設立資金が要るわけでございますが、これはやはり御関係の四県、二市四町を中心に出損されることになると思いますし、実際に事業が動き出しますれば、その事業費は、たまたま六十三年度からそういう導入が可能になりましたNTTのいわゆる無利子の貸し付けを受ける、また民借をする、そういうことで事業が進められていくことになろうかと思います。  また、国費の投入ででざいますが、第三セクターそのものに国費を投入するという形、NTTのA型も考えようによれば国費の投入なんでございますが、在来の公共事業費は入らないかと思いますが、いずれにいたしましても、渡良瀬遊水池そのものは、私ども公共事業で大変莫大なお金をかけて整備をしている施設そのものでございますので、そういう意味では引き続き国の事業としていろいろな形であの池の中で仕事が進んでいく、それが整備にもお役に立つという部分は出てこようかと考えております。
  212. 小川新一郎

    小川(新)委員 私どもは埼玉県でございまして、群馬、栃木、茨城の四県関係市町村団体はこの問題に非常に関心がございます。第三セクター方式ということがはっきりしました。どうかこの問題に国は関心を持たれ、十二分なる監督のもとに立派な計画を遂行するよう御努力いただきたいと思います。  次に、老朽マンションの建てかえ及び改修についてでございますが、大都市を中心にした地価高騰に伴い、マンション居住者が一戸建てに住みかえたり別のマンションに買いかえることが難しくなってきております。その一方でマンションの老朽化が進み、建てかえや改修、すなわちリフォームが今後の大きな課題になってまいりますが、建てかえや改修を必要とする老朽マンションの実態を把握しているのかどうか。建築後二十年以上たったマンションは昭和七十年にはどれぐらいになるのか。また、今後老朽マンションは年々ふえるわけでありますが、どれくらいの戸数になり、その対策はどう見ているのか。また、現在の実態の中でマンションの建てかえの実例はどのくらいあるのか。
  213. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えします。  まずマンションという言葉でございますが、私どもは中高層の共同の分譲住宅ということで考えておりまして、先生のお考えと同じかと思いますけれども、これはいわゆる賃貸住宅と違って歴史が浅うございまして、四十年代の後半あたりから急激にふえてきたものでございます。  今現在、先生おっしゃいましたように建てかえや大修繕が要るというような老朽マンションがどのくらいあるかということにつきましては、全体の数字は把握してございません。住宅についての国勢調査ともいうべき住宅統計調査というのがございますが、そこでは大修繕を要するものというようなことで調査をしております。したがいまして、こういうマンション問題につきましてもそういう調査の中で全体の姿がわかるような統計がおいおいでき上がってくるものと思いますが、現在のところはわかっておりません。  お尋ねの、今後どういうふうにふえるかということでございますが、六十三年度以降、今の水準で年間十万戸程度建っておりますので、これも今後どんどん続いていくということで考えますと、今現在、六十二年度は百七十二万七千戸でございますけれども、これが七十年には二百五十一万戸になるということでございます。その場合に、二十年を超えたものは五十一万戸に達します。したがって、全体の五分の一が二十年を超すということでございます。  先生が御指摘になりましたように、建てかえその他がだんだんと多くなってまいると思いますけれども、このコンクリートの共同住宅の建物の経験としては公団住宅が一番あろうと思います。昭和三十年代に建てたものが今やっと建てかえの時期に入ったということで建てかえに入っておりますから、したがって、二十年というのはちょっと早いと思いますけれども、三十年たちますと個別にそういう必要性のあるものがふえてくるのではないかと思います。そういう意味で、七十年に二百五十一万戸になった場合に三十年を超えるものということで数字を見てみますと、約二万戸、全体の〇・八%というようなことになろうかと思います。  今現在、建てかえの実例は把握しているかということでございますが、これも統計的に全国で何年何月というような数字はございません。ただ、私どもは、いろいろとデベロッパーに調べてもらったり、あるいはいろいろな研究報告書がございますが、そういうものを全部網羅して調べてみますと、いわゆるマンションを建てかえたものの実例としては八件ほど把握してございます。
  214. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは集合住宅ですから、いろいろな人の意見また経済的なバランス、ばらつき等々がございまして、一概にこうということは言えません。そこでいろんなトラブルが起きるわけですが、リフォームについて、技術的な面の問題もさることながら、マンションの管理組合が設立されていない場合に非常にトラブルになっております。この管理組合のないマンションというのがどのくらいあるのか私どもはつかんでおりませんけれども、新築マンションへの入居の際に、管理会社と入居者個々の管理契約になっているところに問題が多いのであります。最初に入居するときから管理組合の設立を促進するよう業界の関係者に指導を徹底すべきではないかと思っておるわけでございます。また、建設省としては、建てかえや改修に直ちに役立つノーハウを作成して、建築業者に徹底することも大事でしょう。そういった対策がまだ講じられないときに、二十一世紀に向かって老朽集合住宅、マンションが起こす大災害、またいろんな問題の環境の中での変化、こういう中で、今のままでいいとは思っておりませんので、その辺の対応についてお答えいただきたいと思います。
  215. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、マンションの管理というのはやはり日常の管理が非常に大事でございます。そのためには、おっしゃいますようにマンション管理組合のしっかりした活動が必要でございます。  現在、このマンションの管理につきましては、建物の区分所有等に関する法律というのがございまして「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成」するということになっておりまして、法的には区分所有者が当然に管理組合を構成するということになっておるわけでございます。これは法律が施行されました時点で、そのときに既にございましたマンションについても当然に管理組合があるということになっております。したがいまして、管理組合がないということは実態上ないわけでございますけれども、問題は、それがどれだけ活動しているか、実態的に建物の維持管理にどれだけ有効に機能しているかというところが非常に重要ではないかと思います。そういう意味で、区分所有法で、年一回は必ず開催しなければならぬようになっております管理組合の集会というのが、どのくらい開かれているかということを私ども調査いたしました。そうしましたところ、年に数回、少なくとも一回は開いておるというところが、千三十六組合調べましたうち九五・五%がそういうものに該当しておるわけでございまして、残りの四・五%は一回も開いてないというような実態がございます。  それから、管理規約が非常に重要でございます。管理規約につきましては、五十七年に管理規約のモデルを住宅宅地審議会の答申をいただきましてつくりまして、これを分譲業者や管理業者が住宅を分譲する際に購入者にそれを示す、そして管理組合が管理規約をつくるときの案として活用してくださいということで、その普及を図ってきております。したがいまして、この管理規約をきちっとつくっておるかどうかということもマンションの管理上は非常に重要なポイントでございます。そういうことで、これも実態調査をしましたところ、管理規約のある組合は、先ほど申しました千三十六組合のうち九百九十一組合、九五・七%ということで、ともかく管理規約は相当普及しておる。ただ、ない組合もあるということでございます。  先生指摘のとおり、マンションが老朽化しまして建てかえをしなければならないような時期になるというまでの間にはまだまだ時間があるわけでございますが、その時点になってから慌ててはいかぬと思います。そういう意味で、日常の管理で、そこに住んでおる方々が常に共同してその建物の維持管理に当たるということが非常に重要でございます。そういう意思疎通をしておりますと、その建てかえのときにも意思の共同化といいますか、共通の意思が固まってくるということになろうかと思います。そういうことで、私ども、問題意識としては先生の御指摘のようなことは十分持っておるつもりでございます。  そこで、建てかえや改修につきまして、居住者がどういうふうなことを皆さんで考えていただければよろしいか、ではどういうような費用負担であったらいいのかというようないろいろな問題につきまして、建てかえの実例の調査をしたりそういう検討を進めようと思っております。そして、具体的な方策の指針としましてマニュアルを作成したいということで、現在検討に入っておるところでございます。
  216. 小川新一郎

    小川(新)委員 よくわかりました。  時間がありませんから、二つお尋ねします。  来年度の新規事業のことについてですが、埼玉県の目玉事業として推進しておりますさいたまユーアンドアイプラン、埼玉中枢都市圏構想の関係で、新都市拠点整備事業として新規にこれが予算の中で組み入れられるのかということです、一つは。  二点目は、旧国鉄大宮操車場跡地の払い下げ問題についてはどのような話し合いが行われているか。地価高騰の引き金になるような入札は行うべきではない。ただし、公共事業を行うという県の構想を聞きながら、この県の公共事業をバックアップするための地方自治体に対する随意契約における土地の払い下げ、これは一体できるのかどうか。そして、来年度の新規事業の中に、埼玉中枢都市圏構想の中に首都圏の、東京都の分散構想というものが含まれてくるはずでございますから、その辺のところを踏まえての御答弁をお願いいたします。
  217. 木内啓介

    ○木内政府委員 先生の御質問の第一問の前段についてお答え申し上げます。  国鉄清算事業団の大宮操車場跡地の新都市拠点整備事業でございますけれども、この事業につきましては六十年度一般調査地区にしておりまして、調査を終え、六十二年から六十三年までに基本設計調査を行いました。それで、いよいよ六十四年度には事業地区として新規に予算要求をしているところでございます。県の意向を踏まえまして、建設省としても事業推進に今後とも努力してまいりたいと考えております。
  218. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  まず清算事業団用地の処分の一般論をお答えいたしますと、清算事業団は二十六兆の莫大な国鉄長期債務を抱えておりまして、その処理のための貴重な財源ということでこの用地がとらえられております。したがいまして、また国民共通の財産ということでもありますので、公正の確保のためから公開競争入札というのを一般論としては原則の方式とさせていただいております。ただ、地方公共団体等におきまして公用なり公共用に具体的に使うということが確実であります場合には、当該地方公共団体と話し合いの上で随意契約により処分するということになっております。ただ、大宮につきましては現在、先ほども御答弁がございましたように、来年度から整備事業をしていくということの構想のようでございますが、具体的にどの土地についてどのような公用、公共用の使い方をするかということがまだ明確には決まっておりませんので、その辺が具体的になりましたら適宜御相談に応じて、必要に応じて随意契約により処分していきたいと考えております。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、最後に一つだけ、どうしてもおまけにちょっと聞いておきたいのですが、埼玉中枢都市圏と都心を結ぶアクセスの首都高速大宮線、これはいつごろできるのか、それだけお願いしまして終わらせていただきます。
  220. 三谷浩

    ○三谷政府委員 首都高速大宮線は、戸田市の美女木から与野の円阿弥に至る延長八・二キロの路線でございます。昭和六十三年度より事業採択されまして、現在都市計画決定の準備を進めております。昭和六十年代の供用を目途に、今鋭意努力しております。それからなお高速大宮線、その延伸部でございますけれども、これは与野市円阿弥より再開発計画されております旧国鉄大宮操車場跡地を通過し、浦和市の三浦まで延長五・七キロの路線でございますが、これは昭和六十四年度の新規事業ということで今予算要求をしようとしているところでございます。  以上でございます。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  222. 野中英二

    野中委員長 古川雅司君。
  223. 古川雅司

    古川委員 初めに建設大臣に伺います。  建設市場への外国企業、労働力の参入の問題、いわゆる市場開放の問題でございますが、去る八月二十五日、北京で行われました日中首脳会談で、李鵬首相から、中国市場は開かれており、日本の建設会社は中国で仕事をしている、中国も、この際日本で仕事がしたいので協力してほしいという要請がなされた。これに対して竹下首相は、建設市場開放を積極的に検討をするという前向きの姿勢を見せたというふうに報じられております。また、先日の参議院の予算委員会におきましても、首相は非常に前向きの姿勢を明らかにされているわけでございますが、まず、この点について建設大臣の御所感を伺っておきたいと思います。
  224. 越智伊平

    越智国務大臣 中国の日本の建設市場への参入の問題、もともと我が国は内外無差別であります。内外無差別でやっておりますので、どこの国が見えましてもやはり同じように扱いたい、かように思う次第であります。ただし、その場合には我が国の法令に合致するような方法にしていただきたい、こういうふうに思います。  それから、もう一点は公共工事の問題でございますが、公共事業につきましては、やはり互恵関係もこれあり、いろいろ今後検討をしていく必要がある、かように思っております。その点につきましては総理の真意を十分承っておりますので、今後公平に進めてまいりたい、かように思います。でございますから、まずとりあえずは、日本の、我が国の諸法令に基づく手続から進めていただきたい、かように思っておる次第であります。
  225. 古川雅司

    古川委員 この問題の米国との関係でございますが、いわゆる日米協議が決着して以来、今日の傾向を見ますと、米国企業の参入意欲が、許可取得の申請状況によって推しはかると、極めて鈍いということが指摘をされております。これはいろいろな要素があると思うのでありますが、いわゆる契約問題であるとか建設資材の問題であるとかあるいはさまざまな制約があって、アメリカから非常に参入しにくいということが指摘されているわけでございますけれども、心配をいたしますのは、そうした障害が残っていることによって、日本からアメリカに進出をしている建設業界に対して何らかの報復措置がとられやしないか。たまたまこの八月二十三日に包括通商法が発効をいたしております。その中の、参入実績が上がらなければ米国はいわゆる通商法三〇一条、これは不公正貿易の慣行に対する報復措置、この発動をほのめかしてさえいるわけでございますが、この辺の問題についてどうお考えでございますか。
  226. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生ただいまお話しのように、ことしの春に日米間で大詰めを迎えた建設参入問題が、形式的には五月の二十六日でしたでしょうか、文書交換という格好で決着を見ているわけでございます。それ以来、建設省を初めとします関係機関におきまして、この約束されました合意事項というものについて誠実にこれを実行していこうということで、いろいろと努力をしている現在でございます。  具体的には建設省におきましても、建設業関係のいわゆるアクセス推進体制というものを庁内的にもあるいは関係公団におきましてもそれぞれ準備いたしまして、濃密な情報提供あるいは必要な資料提出などをやってまいっておるわけでございますが、お話しのように、今日までのところ米国企業で我が国の建設業許可の取得のための申請をしているのが二社、現在まで取得したのが一社、こういう状況でございます。  いずれにしても、そういったことで、形式的に実は上がっていないという今のお話かと思いますけれども、私どもとしては、合意された内容というものをとにかく着実に誠実に履行に努めていくということをもってやはり日本はこれにこたえている、こういう考え方でおりまして、成果が具体的に上がるかどうか、これはもう先ほど大臣も御答弁されましたけれども、具体の企業努力というものがない限りは云々できる部分でございませんので、そういった企業努力に期待するという部分は当然ございます。  いずれにしましても、私どもとしては、いわれなき障壁というものが残らないようにそういった面での努力を十二分に努めている次第でございまして、そういったことが米国政府にも十分な御理解をいただけるもの、こういうふうに考えている現状でございます。
  227. 古川雅司

    古川委員 この件に関して日本の建設企業界でございますが、米国の場合は日本の市場に風穴をあけただけだ、参入の意欲という面では冒頭に伺った中国、さらには韓国ですね、韓国は特にオリンピックの後、これまでオリンピックにかかわる建設の一つのブームがあったわけでございますから、このオリンピックの後にその建設業界がそれこそ大挙して日本への参入を目指してくるのではないかということが盛んに心配をされているわけでございます。こういったことに対して建設省としては何か対応を考えていらっしゃるかどうか、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  228. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま政府委員から答弁いたしましたが、率直に言って米国は我が国と国民性も違うわけでございましょうけれども、どうも企業の熱意といいますかそういうことが乏しい、こういうふうに受けとめざるを得ない、こういうふうに思います。私の方、建設省といたしましては、関係公団等を含めて窓口を開いて誠心誠意受け入れ態勢を整えておる、これが実態であります。  これに比べまして韓国、中国、非常に熱意があるようであります。しかし、やはり先ほど申し上げましたように諸法令とかまた互恵関係とかいろいろのことを考慮いたしまして、内外無差別でございますからその精神にはいささかも違いはないわけでありますけれども、今後努力をしていきたい、かように思います。  また、その中で労務者の問題等もこれあり、今の我が国の方針としては一般労務者、これは建設だけではございませんけれども、一般労務者は入れないというような方針になっておりますので、そこらの関連等も含めまして今後よく理解を求め、努力といいますか進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  229. 古川雅司

    古川委員 建設省とされましても、国の方針の大前提であるいわゆる国際化時代に対応していくというその姿勢はわかるのでございますが、米国はこういう状況でありながら、今後中国あるいは韓国が大挙参入をしてくるということになりますと、一番心配になりますのはやはり国内建設業界、中でも中小企業をかなり圧迫するのではないか、そういう不安が強いわけでございます。  建設関係企業数というものが約五十万社、総従業員数は約五百二十万人、約二千万人前後の人たちの生活を支えているわけでございますけれども、当然建設市場の開放ということに伴ってこうした方々に対する対応策、これは十分御検討をなさってその準備を進めていらっしゃると思いますが、この点はいかがでございますか。
  230. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設業の世界での国際化が進むということについては、何らかの関係でいろいろと影響がないままで済まないということはお話しのとおりと思います。ただ、ここではっきり申し上げさせていただきたいのは、今回の日米合意あるいは最近のいろいろな動き等を踏まえて外国企業が日本で仕事をする、こういった場合におきましても、この建設業の実態というものは、その労働力というものをほとんどその国で調達しなければならないという現状でございますし、あるいは下請の関係などの問題もこれは非常に大事な部分だ、こういったことを考えますと、いわゆる現地生産という特性がある業種だと我々は理解しておりまして、そういった意味でこれが非常に強烈なインパクトを与えるかどうかということについては、私どもにわかにそうだというふうな感じは持っておりません。  ただ、ただいま先生もちょっとおっしゃいましたけれども、大きな意味で国際化というものがひたひたと建設業も含めて及んでいる、こういった環境というものは率直に私ども見詰めなければならぬだろう、こういった中で基本は日本の中小も含めての建設業界自身の体質強化というものがやはりこの際改めて問われるのじゃないか、こういうふうに受けとめている次第でございまして、直接米国の企業が来るからどうとかいうこととは別に、そもそものこういった環境変化の中で健全な企業経営体質というものを強めていきたい、こういったことで私どもいわゆる構造改善対策というものに取り組んでいる現状でございます。
  231. 古川雅司

    古川委員 その点については大臣も同じお考えでございますか。
  232. 越智伊平

    越智国務大臣 そのとおりであります。  いずれにしても、この国際化は建設業のみならず全般的に避けて通れない問題であります。でありますから、日本の企業の合理化、また技術の向上、こういうところに重点を置いて構造改善を進めてまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  233. 古川雅司

    古川委員 では、次の問題に移ります。  きょうは日本道路公団と本四連絡橋公団においでをいただいております。最初に本州四国連絡橋、尾道―今治ルートについてお伺いを進めていきたいと思います。  これは申すまでもございませんけれども、昭和六十一年に生口橋が、昭和六十三年五月には来島大橋着工されたところであります。先日の六十四年度予算の概算要求の中で多々羅大橋とそれから尾道第二橋、この建設費の要求が見送られているわけでございますが、これはいろいろと憶測を生みまして地元では非常に不安を持っております。これは同時に着工もおくれ、完成もこうしたことでだんだんずれ込んでいくのじゃないかという不安がまずあるわけでございますが、この点いかがですか。
  234. 三谷浩

    ○三谷政府委員 多々羅大橋につきましては、現在つり橋案とそれから斜めつり橋、斜張橋の案と両案がありまして、その概略設計を行っております。この二つの型をいろいろ比較いたしまして決定するためには、この設計に基づいた風洞実験、こういうものが必要でございます。したがいまして昭和六十四年度も、こういう実験等必要な調査を行うために調査費を要求いたしましてそれから事業に着手をする、こういうことで六十四年度調査をする、こういうことでございます。  それから尾道大橋でございます。これは現在供用中の旧橋に隣接をいたしまして二車線の新橋を架設する、こういう計画でございますが、二つの斜張橋が隣接することから生じます技術的な問題、例えば耐風安定性であるとかあるいは取りつけ部におきます供用中道路に近接して大土工を行う、こういう問題を十分検討する必要がございますので、その検討を進めている、こういうところでございます。
  235. 古川雅司

    古川委員 この本州四国連絡橋尾道―今治ルート、非常に長い言い方になるわけでございますが、いずれ全線開通をして供用された場合にそれなりの名前がつくと思うのでございますけれども、新聞の報道などでは括弧書きで西瀬戸自動車道というふうにうたっております。この名前のつけ方といいますか、これは大臣の選挙区と私の選挙区を結んでいる大事な連絡道でございますので、大臣、何かお考えであればこの際御披露いただきたいと思います。
  236. 越智伊平

    越智国務大臣 今の橋の名称でございますけれども、香川―岡山、岡山―香川の方が瀬戸大橋自動車道、こういうふうになっておりますので、通常明石を東瀬戸大橋と呼んでおりますし、そうなるとやはり西瀬戸大橋というのが適当でないか、こういうふうに存じております。いずれにいたしましても、瀬戸内海でございますから中央、東、西と、これが適当なんでなかろうか。それ以外の名前を考えたこともございませんが、いろいろ言いますとまた論議を呼ぶことになるのでなかろうか、かように思います。  それから、先ほど道路局長からお答えいたしましたが、多々羅大橋の問題、ぜひとも六十四年度からやりたい、こう思っていたのですが、斜張橋を皆さんが非常に美しいので喜ばれる。斜張橋にしては少し長くて、技術的にやれるのかどうかということの検討を今しておるということでございますが、いずれにしても開通は来島大橋と同時にできるようにということで、ほぼ皆さんそういうふうに思っておりますので、一年あるいは二年おくれましても開通は一緒でございますから、どうぞひとつ御安心をいただきたい、かように思う次第であります。
  237. 古川雅司

    古川委員 大幅におくれるような心配はないという明確な御答弁をいただいたわけでございます。  たまたま、この四月に開通をいたしました瀬戸大橋の方が当初見込んでいたような通行量まで思うように伸びない、来年度の概算要求で見込み台数を大幅に下方修正したということが伝えられているわけでございますけれども、こうした傾向が残る二つの連絡橋についてその建設促進を鈍らせていく今度のこの概算要求の中で建設省の要求を見送ったということはそういうことの一つのあらわれじゃないかという懸念もあるわけでございますが、いかがでございますか。
  238. 岡田哲夫

    岡田参考人 本年四月に供用を開始いたしましたDルートの交通量でございますが、これまでのところ予想の交通量とかなりの乖離が見られます。これはまだ開通の初期でございますので安定的に交通量が落ちついていないというようなことでございまして、現時点で今後これがどうなっていくかということはまだ予断を許さない、今後の推移を十分見守っていきたい、そういうふうに思っております。  そういうことでございまして、六十四年度は財投資金、縁故資金業務収入等全部合わせて六十四年度事業執行に差しさわりのないようにという意味で、その内訳の中身といたしまして、業務収入の見込みはこの五カ月間を想定いたしまして落としてあるということでございますけれども、これが今後長期的な収入がどうなるかということと、それから先ほども御質問の出ましたような多々羅大橋とかこういう事業の展開ということについては、今の時点でそういうものと関係をつけて考えているわけではございません。
  239. 古川雅司

    古川委員 この瀬戸大橋の方の思わぬ通行量の伸び悩みでございますけれども、これは公団の本社としては、これから職員の皆さんにハッパをかけてとにかく営業努力をして、広報宣伝もして伸ばせというふうに取り組んでいらっしゃると伺っているのですが、そのとおりでありましょうか。ただ、これは非常に料金問題との絡みがあります。特にトラックの通行量、これはフェリーとの競合があるわけでありますけれども、香川県のトラック協会の南側専務理事でいらっしゃいますか、その方が、移送コストの問題からどうしてもフェリーになるというような談話も発表していらっしゃいます。大体そういうことが実態であろうかと思うのでございますが、これは単なる広報やあるいは職員が足を棒にして駆けずり回っても解決できることではないのじゃないかという感じがするわけであります。料金をいじるというのはまた大変なことだと思いますし、フェリー業界との関係もいろいろ問題になってくると思いますけれども、通行量はこのままいくと伸び悩んだまま、下方修正したままさらに下方修正を繰り返すのじゃないかという感じがいたしますけれども、その辺はいかがでありますか。
  240. 岡田哲夫

    岡田参考人 瀬戸大橋の料金は、道路整備特別措置法等関係法令に基づいて定められているところでございます。先生指摘のように通行量が伸びない、料金が高いのじゃないかということも巷間言われているわけでございますけれども、まずこのプロジェクト、非常に多額の予算を要した仕事でございます。それから、この橋ができますことによって本四間の所要時間は著しく短縮されておりまして、例えばフェリーと比較した場合、倉敷―坂出間で見ますと、この橋の利用によって八十五分も短縮されるというようなこと、それから霧とか台風とかの天候に左右されずいつでも通れるという保証があるというようなメリットがあるわけでございます。それからフェリー料金との関連でございますけれども、大型トラックについては平均的にフェリーよりも安くなっておりますし、乗用車についても同乗者が三人いればほぼ等しいということで、料金としてはそういうことになっておるわけでございます。この料金につきましてもいろいろ割引制度とか回数券制度とかそういうようなこと、それと新しい橋ができましたわけですから利用をPRする、いろいろな努力をしてまいっておるわけでございまして、この辺を総合的に勘案いたしますと現在の料金水準は妥当と考えておるところでございます。
  241. 越智伊平

    越智国務大臣 今の料金の問題でありますけれども、これは料金を下げたから利用が多くなるというものではない、私はかように確信を持っております。全然ないかといいますと全然ないとは言い切れませんけれども、大きい変化はない、かように思うのであります。  それはなぜなれば、今、四国内に高速道路が実は四県で七十キロしかございません。また、岡山側も実は中国自動車道につなげてない、こういうこともございます。これはやはり高速道路との絡みもこれあり。でありますから、中国側でいいますと今の中国自動車幹線道路、山陽自動車道路、それから四国内の高速道路、こういうものを整備したいと、橋だけではなかなか伸びない、こういうふうに率直に思っておる次第であります。  率直に申し上げまして、十次五カ年計画の中で高速道路が県庁所在地に行っていない、今見込みが立っていないのは島根、鳥取、愛媛、高知、徳島、この五県であります。ですから、こういうものが全部整備されればトラックも含めて利用者は大いに伸びてくると確信をいたしておます。したがって、今この料金を値下げするということは考えておりません。それよりも四国内、中国側を含めまして道路整備を急ぐべきである、かように思っておる次第であります。
  242. 古川雅司

    古川委員 通行料金と通行量との関連でまず伺ったわけでございますが、これは利用者にしてみれば少しでも安い方がいいのに決まっております。では、どのくらい下げれば高いという声は消えるのかということ、この辺は非常に難しいと思います。しかし、一たん決めた料金はなかなか動かせない、これは利用者にとってはどうも納得できないわけでございまして、特に因島大橋とか尾道大橋のようないわゆる生活橋、生活道の性格が非常に強いところではその声がさらに強いわけであります。  御承知のとおり、瀬戸内海の島々の造船業界というのは壊滅に近い状態です。因島も御承知のとおりの状況です。そうしますと、島の中に仕事がありませんから、橋を渡って対岸の尾道あたりに仕事を求めて出ていく、そのときに、一番大きな負担になるのが橋の通行料金である、何とか少しでも低くできないものかという声が絶えないわけでございますが、こうした特殊な事情にあるところについては、それを何らか操作して、たとえ一時的であっても通行料金の引き下げというような措置がとれるように対策をすべきではないか。建設省としてはいつも、今の制度でやむを得ない、この制度でいいんだという態度を続けておられるわけでございますが、大臣、この点はいかがでございましょうか。
  243. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、今の因島大橋にいたしましてもあるいは大三島橋にいたしましても、今度できます生口橋にいたしましても、同じ計算方法で計算をして料金を設定いたしております。むしろ私は、橋自体は尾道から今治までを早く開通することが必要でありますし、またその両岸の道路整備、高速道路を主体にいたしまして国道、地方道を含めまして道路整備を早く進めていくということに力を入れていきたい、こういうふうに思っておりますので、ただいま料金の値下げということは考えておりませんので、ひとつ御了解をいただき、御協力をいただいて、道路整備の方を早く進めていくようにいたしたい、かように思う次第であります。
  244. 古川雅司

    古川委員 大変残念な御答弁なのでございますが、この料金問題に絡みまして、この橋の問題で最初に申し上げた尾道の第二橋の建設費見送りの問題でございます。  これは、伝えられるところによりますと、通行料金のアップを非常に心配している地元住民の立場、それに対して建設省の方は、料金アップの理解が得られたい限り着工できないという姿勢を続けておられるということなのでありますが、これは御承知のような事情でございまして、現在供用しております尾道大橋が道路公団から本四公団に移管されました。そのとき住民からこの料金問題で大変強い意見が出されてきたわけでございますが、この移管に際して本四公団と県の間で何らかの決着をつけて、いわゆる第二橋の早期着工、また料金についても軽減していくということが確認されていたはずでございますけれども、今回この尾道第二橋の建設費の概算要求の見送りということ、これは地元といたしましては非常な不安として伝わっているわけでございますが、この際公団建設省のお考え、御対応を明確にお示しいただきたい。
  245. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほども申し上げましたように、尾道大橋の二車線の追加の問題でございますが、これは今のような問題ではございませんで、全く技術的な、斜張橋を二つ並べてやる場合のいろいろな検討、こういうことでございまして、先ほど大臣からお話がございましたように来島大橋、これが一番規模が大きいものですから検討・施工に一番時間がかかります。できるだけ早くと思っておりますが、二年の準備期間あるいは九年の建設期間を要するわけでございますが、その橋を完成するまでには今の尾道の四車線化あるいは多々羅大橋の架設、こういうものを終わらせて全線開通ができるようにする、こういうことでございます。
  246. 岡田哲夫

    岡田参考人 ただいま道路局長が答弁したようなことでございますが、公団としては、並べた斜張橋の耐風性とかこういう技術的な問題について今一生懸命勉強しておるところでございまして、これについて今後とも努力してまいりたいと思っております。
  247. 古川雅司

    古川委員 これは、建設費の要求を見送ったけれども調査費はついているということで一面理解はできるわけでございますが、先ほど申し上げたように両公団の間でこの橋を移管いたしました。そのときに今後の料金問題というのは非常にクローズアップされていたわけでございまして、これはまだ住民の間には懸念として残っているわけでございます。今回その調査のためということでございますけれども、既にマスコミ、新聞紙上等では「着工の見通し立たず料金問題の対立が響く」という見出しが躍っているわけです。その点についてもう少し明確に、否定なさるなりあるいはまた着工の見通しなりをお示しいただければ大変ありがたいと思います。
  248. 三谷浩

    ○三谷政府委員 既に尾道人橋、二車線の現在橋はかかっております。それで、先ほどの施工性の問題あるいは技術的な検討が終われば、実際の施工期間は四年ぐらいでございますので、全く技術上の問題、そういうことでございますので御理解を賜りたい、こう思っております。
  249. 古川雅司

    古川委員 大臣はこの問題については非常にお詳しいと思うのでございますが、大臣の御所感を伺っておきたいと思います。
  250. 越智伊平

    越智国務大臣 尾道大橋について、今の料金問題との絡みで意識的におくらせておるというようなことではございません。尾道大橋はとにかく今通っておるわけでありますから、むしろ私どもは、政治的にいいますと多々羅大橋の方を早く着工してという気持ちでいっぱいであります。それが今の斜張橋の問題あるいはつり橋の問題でいろいろ検討がなされておる、こういうことであります。  でございますから、当然全通までにはこの尾道大橋も完成をしなければなりません。ただ、尾道大橋は、今も道路局長からお話しのように非常に期間が短いということで、効率的にいいますと、早く多々羅の方を着工して、少しでも早く開通したらそれだけ収入は上がる、こういうふうに思いますけれども、やはり技術的な問題もこれあり、幾らおくれても来島大橋の開通までには全体を整備しなければならない、こういう考え方のもとに、調査費で、特に多々羅については十分調査を進めて、なるべく早く着工したい、こういう気持ちであります。
  251. 古川雅司

    古川委員 時間でございますので、次の問題に移らしていただきます。  これも中国地方に関連をする問題でございますが、先般、広島県下の中国自動車道のトンネル内で、大型トラックに大型トラックが追突をいたしまして、約十台が追突して炎上、五人の死者が出ました。その後、兵庫県下のトンネル内で、これはのろのろ運転のためですが、酸素欠乏状態になったということが相次いで起こったわけでございますけれども、これは道路公団とされても、また建設省としても、再発防止に早速取り組んでいただいていると思いますが、特にこの兵庫の方の問題は想像もしていなかったというふうに言われておりますけれども、建設省の基準によると、トンネルの設計は一酸化炭素の濃度を常に一〇〇ppm以下に保つことが義務づけられている。これはトンネルの長さと関連をしているわけでございますが、この辺の基準の見直しということを早急に考えておられるのかどうか。これから高速道路がさらに総延長をふやしていくわけでございますが、当然トンネルもいろいろな形、いろいろな形態でもってふえていく、これは重大な今後の問題を残しているわけでございますが、この点いかがでございましょう。
  252. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えします。  八月十三日に兵庫県で起こりましたトンネルの事故というのは、日本道路公団一般有料道路でございまして、これは太子竜野バイパスと言っておりますが、渋滞が非常に多くて、それで渋滞中の車両に乗っていた方十九名が、暑さと排気ガスのために被災を訴えられて、病院に搬送、治療を受けたものでございます。  トンネル内の換気設備につきましては、道路トンネル技術基準に基づきましてその設計を行っているわけでございますが、本基準では、常時渋滞が生じる道路の場合は、交通渋滞時の換気量についても、実情を考慮した上で適切な換気量を算定する必要があるということで、渋滞時の換気についても配慮をするわけでございますが、今回のこの城山トンネル、これは帰省利用者によります大渋滞ということで、非常に異常な事態でございましたけれども、こういうような今回のことにかんがみまして、換気施設のないトンネルにおきましても、早急に実態を把握して対策を検討するために、建設省、道路公団によります調査検討会を設置することとしておりまして、この調査結果によりまして、基準の運用、交通管理のあり方等について検討をしたいというふうに考えております。  当面の緊急処置につきましては、やはり渋滞をなるべくトンネルの中に持ち込まない、こういうことが重要かと思います。したがいまして、トンネル内の渋滞防止対策というものを、関係機関と連携を図りつつ、いろいろ全国の道路管理者にも指示をいたしました。  以上でございます。
  253. 古川雅司

    古川委員 いずれにいたしましても、これは人命の絡んでいる問題でございますので、今後ともひとつ強力に対応をお続けいただきたいと思います。  次の問題は、今大変話題になっております、宇宙と海洋と並んで、ニューフロンティアの空間として地下が注目を集めているわけでございます。特に大深度地下に対していろいろ検討がなされているようでございます。  これは六月末、政府が総合土地対策要綱で次期国会に法案を出すというふうに閣議決定したと言われておりますが、各省がこれは絡んでいるわけですね。郵政省、厚生省、通産省、それから建設省建設省が主体になって法案の作成、検討をしていくということなんでしょうけれども、大臣、この点についてどういう決意で取り組んでいらっしゃるのか。  当然これはいろんな問題が出てまいります。そして役所間の連携の問題もあるでしょうし、また技術的にも安全性にも、それから地下利用について私権がどこまで制限できるのか。通常国会法案の提出ということになりますと、かなりもう詰めていると思うのでございますが、これはどうなっているのでありましょうか、それを伺っておきたいと思います。
  254. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お話しのように、昨今の土木技術の大変な進歩と発展ということと相まちまして、またその他の要因も含めて、大深度地下利用というものが大変重要な課題というふうに位置づけられてまいっております。  そういった中で、建設省におきましてもこの利用の仕方というものについては大変大きな関心を持っている次第でございまして、特に大深度地下空間を公共的利用に資するためにどういう制度を構築するかということを、現在私ども大車輪で勉強中でございます。  と申しますのは、大深度と一口で言いましても、地下何メートル以上というふうに単純に割り切れない面があります。当然のように地表利用との関係で支持地盤がどうであるかとか、あるいはまた言いかえれば、高層ビルなどをつくる場合に、基礎等をどこまで必要とし、それとの関係がどうであるかというような問題もクリアしなければならぬという問題があります。また、そういったところについて、いわゆる私有財産権あるいは私的利用権というものがどうなっているか、どう理解できるか、セーブできるかなどなどの問題がございます。  ただ、私ども、いずれにしてもそういった問題も勉強させていただきながら、基本的には大都市地域におきます大深度地下空間というものを、公共的利用目的のために秩序ある利用の道筋をつくるための制度化というものについて、何としても次の通常国会へ向けて法案整備すべく頑張ってまいりたい、こんな段階で現在研究中でございます。
  255. 古川雅司

    古川委員 時間がぎりぎりになってしまいまして、道路公団からせっかくおいでいただいたのにまだ御答弁をいただいておりません。この一問で終わらせていただきます。  先ほど来高速料金についていろいろ御論議があったわけでございますが、それぞれ市民団体からも不服審判請求が出されておりますし、利用者からもいろんな声が寄せられているわけでございますけれども、料金の値上げ、それとまた渋滞もマンネリ化をしております。高速料金ではなくて渋滞料金ではないかというふうに言われている面もあるわけでございます。  さらに、この不服審判請求を見ましても、それぞれ非常に設備が悪い、サービスが悪い、それから料金の決め方の問題等不満が出ているわけでございます。時間が十分あればそれに詳しく一々伺っていくわけでございますが、いずれにいたしましても、建設省としては財源難を理由に今の制度を維持していくという、これは変わらないわけでございますけれども、この実態はどうしても放置しておくわけにはいかないと思うわけでございますが、この料金と渋滞との関係、その辺ひとつ御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  256. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それでは、建設省の方の考え方でちょっとお話をしたいと思っておりますけれども、先ほど来お話をいたしましたように、ちょうど日本の高速道路が四千五百キロぐらい開通しております。路線といたしましては縦断方向を大体整備をしまして、今横断方向の整備を進めているわけでございますが、例えば東名・名神、この道路につきましても大変混雑をしておりまして、混雑度がもうほとんど一を超すという区間が全区間になっております。したがいまして、今後の整備に当たりましては、横断道路の整備とともに、従来の非常に大幹線であります道路、この渋滞を防ぐための道路というのが、今後の一万四千キロメートルの高規格幹線道路網の整備への第一歩として非常に必要かと思っております。それから一方、多極分散国土形成を目指しまして、横断方向あるいは地域間の交通を結ぶための高速道路の整備というものも必要でございます。  そういうおくれております高速道路の整備を進めていく際に、今事業費の大きさあるいは早急に整備という観点から有料道路制度を適用しておるわけでございますけれども、こういうものを二十一世紀へ向かっての道路の整備ということで考えていきますと、長期的な採算性を確保する観点から、従来にも増して建設費あるいは管理費の節減、こういうような事業運営上の合理化がどうしても必要であると思いますし、さらにいわゆる財政上の処置、それからいろいろな整備手法の工夫も要るかと思います。  こういうものを配慮した上で、利用者の公平な料金負担というものを、諸方策を組み合わせたことによりまして、高速自動車国道の整備の推進を図っていきたいというふうに考えております。
  257. 高瀬武史

    高瀬参考人 先ほどの先生のお問いにお答えいたしますが、その前に、このたびの二件のトンネル事故につきましては、道路を管理する者としましてまことに遺憾に思っております。また、亡くなられた方々につきましては、心からお悔やみ申し上げる次第でございます。  それで、先生の、公団はどうかということでございますが、ただいま道路局長の御答弁のとおり、道路公団といたしましても、建設省の指導を受けて、今後このような事故がないように努力してまいりたいと思います。  なお、渋滞の件でございますけれども、東名・名神では事故渋滞が五割、それから自然渋滞が三割、残りが工事の渋滞、こういうことでございまして、我々もその三つを取り上げまして、いかに渋滞を減らすか、こういうことで日夜努力をしておるわけでございます。ひとつよろしくお願いします。
  258. 古川雅司

    古川委員 終わります。
  259. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  260. 大矢卓史

    ○大矢委員 先月二十五日に、当委員会において新村委員からの質問で、関西新空港の土砂の価格に談合があったということで、公取では調査をしていらっしゃるようでございますけれども、このことにつきましてまず建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  261. 越智伊平

    越智国務大臣 関西新空港の砂利、土砂問題で談合があったということが報道をされました。もともと建設業者は、法令に基づきこうしたことがあってはならない、こういうふうに思って、常々指導をしているところであります。  関西空港問題については、公取の方で何か御調査をきれておるようでございますから、その結論を待ちたいと思いますが、一般的にこの談合問題、ひとつ法令に基づいてやはりこういうことがないように業界を指導してまいりたい、かように思う次第であります。
  262. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは正確に言いますとやみカルテルということでしょうけれども、そういうことも含めて一般的に談合だと言われておるわけであります。私も非常に残念なことだと思いますけれども、これも大臣もよく御存じか知りませんが、関西というのは特殊なそういう業界の土壌がございまして、この関空の竹内社長にいたしましても、余りにもひどい談合体質があるので驚いた、それを排除していくのに非常な努力をしておるということを、過般この委員会が視察に参りましたときに社長みずからが言っております。あの方は港湾の専門家でございますから、護岸につきましては自分の十分な知識を持ってそういうものを排除してきた、それには非常な抵抗があったというところまで言われましたけれども、それから先のことにつきましてはあの方も専門家でございませんので、自分自身の気持ちの上では排除したいということがありましても、これはがっちり組まれておりまして、既に関空が事業決定がなされて、やるんだという事態で、もうどの工区はどこがやるんだということが決まっておるのが常識なんだというぐらいに、関西ではそういう業者間の土壌が非常にきついわけであります。  ある役所の担当助役にいたしましても、市が来年度建設省から工事のこういう予算をいただいてこういうものをやりますよと言って発表した途端に、私の方でやらしてもらうことになりましたと言ってあいさつに来られた、どこを入札さすとも何とも、そういうことも一切決めておらないのにあいさつに来られたというぐらいに非常識な業者もおりまして、それはそういうがっちりと決められた中での運営をされておる、そういうことで余りにもむなしいんだと言っていらっしゃいましたけれども、それぐらいひどい体質が、その体質の一端が先日の質問の中でこういう形で出てきた。これは関西では常識化しておるわけであります。これは日本全国がそうであるかどうかは私知りませんけれども、そういうことで非常に嘆かわしい状態になっておる。大臣、今御答弁いただきましたように、これを少しでも排除するためにどうしたらいいんだということを大臣自身も真剣に考えていらっしゃるでございましょうし、そういう形でこれからも進めていく意味でいろいろとお聞きをしてまいりたいと思います。  国会で昭和五十六年の秋から五十七年にかけて、公共工事の談合入札問題ということでいろんな取り上げ方がなされました。私、読んでおりまして、このときのやり方が言うならば余りにも初歩的な、まるで正直な、絵でかいたような談合の図式であったろうと思います。当然そのことは改められたようでありますけれども、それ以後、各党からそれに対するいろんな意見なり提言がございます。それにつきまして、公取は公取なりのまとめをいたしておるわけでありますが、このときの各党の御意見の中で、与党の自民党も含めていろんな御提言がございます。これはもうすべてが受け入れられることでもなかろうかと思いますけれども、その点、それ以後どのようにこういうものに建設省としては対処してきたのか、お答えを願いたいと思います。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  263. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お話しのように、昭和五十九年当時、いろいろと談合問題をめぐって各党からの御提案があったこと、お話しのとおりでございます。そういった中で、あえて申し上げるまでもなく、その後いわゆる独禁法に関する建設業関係のガイドラインというものが決定されているわけでございますが、私ども、いずれにしましても、各党からの御提案あった事項というものがそのまま素直にどう反映したかということは一々申し上げませんけれども、みんながいろいろとお考えになったその集大成としてガイドラインができておる、こういったふうに認識している次第でございます。建設業においてこのガイドラインをしっかりと理解し遵守していただく、これが所管行政を預かるものとしての私どもの務めとして指導いたしておる次第でございます。  ガイドラインというものは、言うまでもなく特定の、具体的に言うと独禁法にわたるようなことを許しているものでは決してないわけでございまして、そういったことがない中での限られた世界での情報提供、情報交換というものを軸としたガイドラインでございます。そういった意味での情報交流等は必要なものと理解しながら、それを一歩踏み外して、いわゆる独禁法違反という事態にならないようにということは、私どもその前もそうでございますが、それ以来引き続き、折あるごとに強力に指導させていただいている次第でございます。
  264. 大矢卓史

    ○大矢委員 五十九年二月二十一日に公取の事務局から、「公共工事に係る建設業における事業名団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」というものが出ておりますけれども、この「事業者団体」というのはどういうところを指してこういう指導をされたのか、お答えを願いたいと思います。
  265. 望月薫雄

    ○望月政府委員 独禁法上で言いますいわゆる事業者団体というのは、先生御承知のとおり非常に幅広い概念でございますので、かなりの数があろうかと思いますが、私どもその辺は実態をつかめる立場にございません。  ただ、建設省といたしましては、建設業法に基づいて大臣なり知事に届け出をすべき建設業者団体が現在は全国で九十五団体ございます。こういった団体を通じまして、私ども折に触れて行政指導をさしていただいているというのが現状でございます。
  266. 大矢卓史

    ○大矢委員 こういういろいろなことをされまして、その結果が依然として先ほど申しましたようなことが出ておるわけであります。決して直っておらない、といいますよりも、もっともっと強化された形で関西の方は頑張っていらっしゃるわけであります。  それはやはりこのガイドラインにも問題があるのではないか。こういうことをやってもよろしい、ああいうことをやってもよろしい、そして最後に書いてございますのが「一定のルールを定める等により受注予定者又は入札価格を決定したりするようなこととならない限り、独占禁止法に違反することとはならない。」ということであります。以前に静岡県で決めましたようにちゃんと規約が書いてありまして、そこでこういう定めで受注予定者を決めるとか、また、これだけの価格で入れなさいということを決めなければいいんだということが書いてあります。  このような形で指導されますと、やはり皆さんが寄って一つの団体をつくって、そこでいろいろな情報提供活動もやりなさい、それから経営指導活動もやりなさい、その他もろもろの積算からいろいろなものについても全部情報提供いたしますよ、そして最後の、この受注予定者を決めたという証拠を残さなければ、この価格で入れなさいということを言わなければ独禁法違反になりませんよという、そこまで丁寧に、逆に業界にこういうことをやりなさいということを指導していっている結果、関西ではそういうことがもっともっと大きな力になって今日までやってきたのが現状だろうと思います。これについて大臣、いかがですか。
  267. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほど政府委員からお答えいたしましたように、いろいろ経営の合理化であるとかあるいは技術の面とか、そういう共通の勉強をしようというのがこの協会なりそういった団体であろう、かように思う次第であります。でございますから、そういう勉強をお互いにしていただくことはいい、こういうふうに思います。あるいは、いろいろ特殊な工事等をいたします場合に、これはどういうふうにやればいいというようなことの勉強をお互いにしていく、この範囲は許されているものだ、私はかように思います。ただ、それでは計算をして合計幾らになってというところまでいくと、これは独禁法に触れるのでなかろうか、こういうふうに思います。でございますから、団体があくまでもいろいろ勉強をしていくということについては許される範囲でなかろうか、こういうふうに解釈をいたしております。  そして、この談合問題については、もちろん業者の指導は建設省が主体になっていたしますけれども、やはり各発注機関も協力をしてもらわないと、先ほどお話にございました、予算が決まったら私の方がやるようになりましたからと言うてもしあいさつに来たとすれば、今ほとんど指名制度でございますから、その業者はどうぞひとつ指名から外しておいていただいたらそういうことにならない。そういうことに協力をしていただいて、もちろん業界の方を強力に私ども指導をしていきたい、こう思いますけれども、各発注機関もよく目を光らせてそういうことが厳正に行われるようにひとつぜひともやってもらいたい、私はこういうふうに思う次第であります。
  268. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣のおっしゃるとおりだと思います。そうしていただければそういうことがなくなるのだろうと私も思います。しかし、それができないほど大きな力を持っているということを大臣もよく御認識を願いたいと思います。  その一つの例が、六十二年五月二十九日に、東大阪市の下水道工事、延長五百三十二メートル、シールド工法でもって国の補助金が二分の一の工事を十五社に指名をして発注をいたしました。ところが、これに対する十五社がそろって五割増しの入札をしたようであります。もちろん不調に終わりました。そして、それから十日ほど過ぎました六月十日に改めて別の十五社を指名して再入札を予定いたしましたが、全社が口頭で辞退を申し入れてきました。入札ができなかったわけであります。  発注側で自分たちで考えた、大臣おっしゃるようにやりました。ところが第一回目は五割高であったし、第二回目は全社が断ってきた。業者十五社をかえて、またあと十五社を指名いたしましたら、その十五社全社が口頭で断ってきた。これは一社、二社が辞退したということではなくして全部が断ってきたということは、それだけ業者の団体の力が強い。大臣おっしゃるように、発注者側で勇気を持ってやってもらいたい、やりました結果がこういうことになってしまった。  そして第三回目、八月二十日に、内容を多少変えまして一般競争入札という形にしてこれの入札を行いました。  第一回目の予定価格と申しますか、事業費は五億五千九百八十五万円である。それに対して五割増しの八億二千五百万円で皆が入札をして、それ以上で入札をいたしまして不調になって、そして二回目は業者が辞退。そして三回目には、五百三十二メートルから七百二十七メートル、シールド工法にまた推進工法もつけ加えましてこれを発注して、ようやく六億八千七百四十五万円でこれが落札になった。初めの八億二千五百万円にはならなかったわけであります。それだけのキロ数をふやして、延長して埋設の工事量をふやしましても六億八千万円でおさまったわけであります。どういう理由があるかは私は知りません。しかし、当初が五割増しであり、二回目は全員辞退であり、そして関西の業者でなくして東京の業者がこれを六億八千万円で落札をした、こういうことがその当時から報道されておるわけであります。  そして市の方は、公取の大阪事務所に対して談合の疑いがあるということで調査請求を九月十四日にいたしておりますし、九月十九日に、二回にわたって市への信頼を著しく裏切ったということで、このゼネコン三十社に対して二年間の指名停止処分を行いました。  しかしながら、六十三年六月十七日に公取から東大阪市に対して回答が参りまして、独禁法上の措置をとらないという文書でもって回答が来ました。いろいろと聞いてみますると、先ほど私が申しましたように、第一回目にはどなたも落札をしておらないから、受注予定者がないのでこれは独禁法の違反にならない。第二回目も、これまた辞退をしたのだから、受注予定者が何もないからならない。そういうことで、独禁法の違反にならないということのようであります。  そうなってまいりますると、大臣おっしゃっていただきましたように、そういう業者を入れないようにということでもしやりましたら、こういう結果が返ってくる。それでいて、あげくの果てに、東大阪市は業者のそういういろいろな圧力に負けたのか知りませんけれども、この八月二十六日に、まだ一年も余しながら、今月の十日前後だと言われておりますけれども、今後大型工事の発注予定が八件、金額にして九十一億円もあり、公共工事発注に支障が出るという理由で、この指名停止というものを解いておるわけであります。元来、反省をしていただく意味で指名停止をしているのに、今度は、仕事が九十一億も出るからこれらの業者三十社の指名停止を解除しないと工事ができないからという理由で、指名解除をやっておるのであります。これが今の関西における建設業界の実力であり、実態である。このことにつきまして大臣、どのようにお考えですか。
  269. 越智伊平

    越智国務大臣 今お聞きをいたしましたが、その実態は私も全然つまびらかでありませんけれども、私が感じますのは、今の十五社・十五社、三十社が実際に受注をしてないということで、公正取引委員会は摘発というか、そういうことをしなかったのであろう。また事実、談合、話し合いをしておったかどうかもわかりませんけれども、業者といいますのは、自分の方の工事の手持ちの問題もありますし、いろいろございます。ただ、どういう理由で二年間の指名停止を解除したのか、それも今のお話だけでは十分わかりませんけれども、業者も非常にたくさんあるわけでございますから、やはりきちっとするものはしていただいた方がいいのじゃなかろうかという感じだけでございます。これはもうちょっと事実関係を調べませんと何とも言えませんが、私の感じとしては、それが悪質であったとすればやはりきちっとしていくべきであるし、悪質でなかったということになればまた考え方も違ってくる。  しかし、いずれにしても、談合というような問題につきましては十分指導をしていきたいし、また発注機関も御協力をいただきたい、こういうふうに感じます。
  270. 大矢卓史

    ○大矢委員 一連の経過はこういうことですけれども、やはり何か理由があったのかもわかりません。  下水道の補助金を出していらっしゃる担当課並びに自治省の方から、恐らくこれは調査していらっしゃると思いますので、私が申しました以外に特別なこういう理由があるのだということがございましたらお答えを願いたいと思います。
  271. 木内啓介

    ○木内政府委員 今先生から経緯の御説明がございましたけれども、私どもが大阪府の方から聞いておったところはほぼ先生のおっしゃったのと同じでございます。  ただ、大阪府が一応補助金適正化法等の関係で適正な工事がなされているかどうかということをチェックする立場にあります。したがいまして、府からいろいろ聞いているわけでございますけれども、その府が市の方の設計とか積算を詳細にチェックした結果、そういった市の設計とか積算は妥当なものであったという報告を受けておりますので、追加させていただきたいと思います。
  272. 秋本敏文

    ○秋本説明員 東大阪市における事例につきまして私ども詳細には承知をしていないのでございますけれども、先生から御質問通告をいただきまして電話等で照会をいたしましたところ、ただいま先生から御指摘ありましたような関係ではないかというふうに承知をいたしております。  府を通して照会いたしましたところ、談合の事実について、御指摘にありました公取のような判断もあったといったようないろいろな事情があって、市としてもそのような判断をしたものだろうというふうに承知をいたしております。
  273. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、お聞きのように、何か事情が特別にあったのかな、市の方で積算間違いをしたとか、業者の方が五割増しで入札する限りにはそれだけの市の方にも落ち度があったのかなと当初思っておりましたけれども、それもないのだ。ですから、そういうように入札をしていただくと五割も高くなるし、次の業者を指名すると全員が辞退をする。法律的には、公取はこれは談合でも何でもないのだ。常識的に考えて、子供じゃあるまいし、十五社が一斉に五割より高い入札をしたり一斉に辞退をしたりするようなことは私はあり得ないと思う。それは話し合いがあったからで、これは先ほど申しましたように受注をするための談合はしてないんだ、だから公取の方は、あれは問題にならない、独禁法にひっかからないということでございますけれども、やはりこういうことも含めて、情報収集も結構ですけれども、余りにも行き過ぎたことをされると、大臣、せっかく先ほどおっしゃいましたように、受注者そのものが一体だれなのか、受注者が自分で判断をして行うことが何もできない、そこまで業者団体が、業者団体の中にもそういう方ばかりではないと思いますけれども、しかし、その業者団体の指導者によって関西はこれまで長い間そういうことで引っ張られてきた。それがこの間の新村先生の質問で氷山の一角が出た。これを機にやはりこの業者団体の体質を変えていただかないと、それに泣いておる業界の方もいらっしゃるのでありますから、永久政権が続いてその団体から外れますと自分たちの会社の存続にもかかわる、そういうような運営では大変困るわけでありますから、これを機会に業者団体、任意といいながら、それは建設すべての点で一番の実力を持っていらっしゃいます大臣として、今後の業界指導ということについての御見解を承りたいと思います。
  274. 越智伊平

    越智国務大臣 先生指摘の業界、先ほど九十何団体あると言いましたが、その団体の指導でそれを行ったかどうかはもうちょっと調査してみないとわからない、そのほかに何かあったのかもしれないと私は率直に思っております。少なくても建設省で認可いたしております団体にそういうことがあれば厳重に注意もいたしますし、指導をしてまいりたい、こういうふうに思いますが、私は、ただ業界団体だけであったのかないのか、そういうところも含めて今後検討をしてみたい、こういうふうに思う次第であります。
  275. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣よく御存じのように、業界団体が表立ってそういうことをするはずがない、それはそれをするまたやみの団体があるのではないかということも今におわされたわけでありますけれども、しかし、やみの団体といっても、やはりその根本は業界団体でありますから、業界団体に対して強く指導されますとやはりそこまで行くことと思いますので、大臣の決意を示されましたように、今後ともこういう不明朗なことのないように努力をしていただきたい。  そこで、私もいろいろな話を聞かしていただいておる中で、なぜそういう談合体質から抜け出すことができないんだといいますと、その中の一つに、もし話し合いに加わらずにその落札をした場合に、保証人制度というのがございます。これはすべてではないと思いますけれども、その保証人制度が大きな足かせになっておる。その団体から外れて自分がもし入札をして落札をいたしましても、保証人を立てなければならぬ。先ほどの全員が辞退しろと言ったら辞退するような体質の業界ですから、保証人に、ならないようにということになりますと、実際の保証人を立てなさいということになっておりましたら、せっかく落札いたしましても仕事ができないというのが現状のようであります。だから、非常に短絡的な考え方ですけれども、この保証人制度を外してもらえば、そんなにみんなが徒党を組んでそういう談合体質を発揮しなくてもいけるんではないかという業者の方もいるわけであります。そのことについて、どういう根拠でもってこの保証人制度があるのか、それをまずお聞かせを願いたいと思います。
  276. 望月薫雄

    ○望月政府委員 今先生から、完成保証人制度とその談合体質というものが微妙に結びついているんじゃないかという御指摘でございますが、私ども結論的に割り切らして言わせていただきますならば、これは全く無関係のものである。完成保証人制度、こういったものは本来的に必要であるというゆえんをもって、現在公共事業については一般的にこれを採用させていただいているという次第でございます。  もう御承知のとおり、保証人制度としては、何も完成保証人ばかりでなくて、言うなれば金銭保証人あるいは履行保証保険、こういった道もあるわけでございますが、事公共事業に関しましては、私どもやはり一番大事なのは、予定された設計どおり、また予定された工期の中できちっと仕事をしていただくというのが最大の課題である、最大の目的である、こういうふうに認識しておるところでございまして、こういったものがいささかでも狂うということはある意味で行政目的に非常にそごを来す、こういった重要な部門を持っておるということから、とにかく工事を予定どおり完成する、これを達成するために完成保証人制度というものは今日あるし、今後ともやはり重要な役割を果たすのではないか、こういうふうに認識している次第でございます。
  277. 大矢卓史

    ○大矢委員 それではお聞きいたしたいのですけれども、今の入札制度というのは一般競争入札制度ですか。
  278. 望月薫雄

    ○望月政府委員 もう申し上げるまでもございませんが、入札制度としては一般競争入札制度を初めとしまして随意契約あるいは指名競争入札制度があるわけでございますが、公共事業については現実に私どももやはり発注者として信頼のおける事業者に仕事をしていただく、こういったものを担保する具体の現実的な対策として、あり方として指名競争入札制度をとらしていただいております。
  279. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、今の御答弁で、先ほどの御答弁と全然相矛盾するところがあるのですね。片一方では、もし万が一心配だから保証人を立てなければならないと言い、片一方では、その仕事の性格上一般競争入札でないんだ、信頼のできるところへ指名競争入札をやらしているんだと言っている。全然言うことが相矛盾することを言っていると私は思います。私は、建設なり発注者の方々の業者選定というのはやはり信頼をいたしておりますから、その選定をされた業者が信用ならぬからそういう工事完成のための保証人を立てることが当たり前なんだということは、みずからが行っておることに対してみずからが否定をしていることになる。そういう矛盾をしたことをいかにも正しいことのように言うということは、これは専門家の大臣、常識的に考えていかがですか。  ただ、やはり工事のことですから、私も経験をいたしましたけれども、これもまた大阪府の役人がかみまして、机一個のところへ仕事を発注しておった。それが何回か仕事をしたならいいけれども、初めにとった仕事でけつを割ってしまって、下請に迷惑をかけた。そのときに役所に行きますと、そんなものはお金を払ってないんだ、下請は金をもらってないんだということで非常に困ったことがある。ですから、やはり役所は役所として自信を持って選んでいらっしゃる業者ですから、私は役所がやっていることが間違いだということは決して思いませんから、これはこれで信用がある方である、しかし万が一のことがあってそういう下請等に迷惑をかけてはいけないということであるなら、保険制度でもって補完できるのではないか。保険制度でもって補完できるということがいろいろと書いてあるわけであります。その点はこの制度というのはどうなっているのですか。
  280. 望月薫雄

    ○望月政府委員 御指摘のとおり、また私が先ほど申し上げましたように、保険制度も保証の一形態としてあることは御指摘のとおりでございます。  ただ、今私が御答弁申し上げたことが自己矛盾だという御指摘でございますけれども、実はそうじゃなくて、基本に据えている一つの考え方のルールとして、いわゆる信用のおけないあるいは不安な業者というものが入ってこないようにといいましょうか、そういったことのまず一つの大きな入り口として指名競争入札制度というものをとることによってすっきりしよう、こういったのが指名競争制度を私どもとっているゆえんでございます。このことは中央建設業審議会の答申等でもすっきりと御提言いただいている経過があることは先生御存じと思いますけれども、そういった中で、かつ具体の、請負事業者がそうはいっても万が一ということがないわけじゃございませんので、そういったことに備えて私ども、工事の実行を間違いなく担保する、こういった目的のために、先ほど申しましたように金銭保証保険の部分でなくて工事完成保証というものをぜひこれはとらせていただきたい、とっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  281. 大矢卓史

    ○大矢委員 建設業法に言います前受け金の保証のところで「保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。」ということで、この前受け金制度につきましては保証人を立てなくてもいいんだということがございますけれども、そうですか。
  282. 望月薫雄

    ○望月政府委員 御指摘のことは建設業法二十一条のことかと思いますが、おっしゃるように前払い保証を行っている仕事については言うなれば保証人を立てなくてもよろしいということが、条文上そういうふうに読める規定がございますが、これは整理して読ませていただきますと、発注者が請求する権利を書いているのが実は二十一条の規定でございまして、そのただし書きでそれを排除しているということであるわけでございます。したがって、前払い保証を行っている工事といえども、私どもこれが保証人を立てることを禁止されているものとは思っておりませんで、これは当事者同士の合意、契約の中でルールとして置くことは許されているものと、こういうふうに考えている次第でございます。また、必要なものというふうに私ども考えて運用させていただいているという次第でございます。
  283. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは大臣、それなら全部読みますけれども、第二十一条には「建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたときは、注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができる。」と書いてある。請求しなさいとは書いてない。請求することができる。「但し、公共工事の前払金保証事業に関する法律第二条第四項に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。」と書いてあるのです。  この条文どおり解釈をさせていただきますと、「この限りでない。」と書いてあるのに、両方とも要るんだという今の御答弁は納得できないです。大臣、今読み上げたこの条文からどうお考えですか。
  284. 越智伊平

    越智国務大臣 発注者側から申しますと、やはり完全に担保するということが大事であろう、かように思う次第であります。先ほどのお話のように、十五社を選定いたしますには最もその事業、その工事にふさわしい方を十五名指名をする、そして正当な競争によって落札をしていただく。その十五名を選定したわけですから、十五名の方々は皆立派な業者である、こういうことから、その中から保証人をいただくというようなことが今常識的に行われております。その間に、先ほどお話しのような談合とかあるいはその他の悪質なことがあれば別でございますが、そうでない限り、今言ったようなことでスムーズにこの事業が進展していく、こういうことが望ましい。でございますから、談合問題とは別に、談合とかそのほか圧力やそういうことで妨害したりすることのないように、十五社指名いたしますと十五社できちっと競争していただく、その十五社の中から落札者が決まればその中からどなたかに保証をしてもらう、これは完成保証でございますけれども、先ほど政府委員が答弁いたしましたように、ぜひとも立派な工事を指定された期日内にできるようにやっていただく、これがスムーズな流れ方である、こういうふうに解釈をいたしております。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕
  285. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは建設業法の中の二十一条、一、二、三とございますけれども、私が建設省の方から説明をお聞きいたしました中では、こういうことをすれば保証人が要りませんよということの説明を聞いておりますし、この条文を見ましても私はそうだろうと思います。  それでまた、この公共工事標準請負契約約款、この中で保証人を立てることになっておりますが、その保証人を立てる、第五条の(A)、(B)、(C)、この中で(C)という、保険に入ってその保険証書を提出をすれば、その一つが満たされればいいんだというようになっておると聞かされておる。しかし、聞かされておる中で、今言われましたように原則的にはこうだ、こうだと言われましても、やはり法律なりそういうものにのっとって運営をしていただかないとならぬわけでありますし、また法律が私が聞きましたことと違うような解釈になっておるとするならば、やはり今申しましたように談合体質というものを少しでも直していこうというのなら、こういう保証人の制度の問題も考えていただく。そして金銭的なものについては、やはりこれだけ保険制度が発達をいたしておるのでありますから、保険制度でもって十分に補っていくことができるのであります。  そういうことでありますから、受注者側でいいかげんな業者を選択して仕事をさせておるということであるなら別ですけれども、決してそうでないと私は信じておりますから、そういう事故が起きるのが当たり前のような形でやられることは私は納得がいかないし、今後この問題、談合ということを少しでも体質を直していこうとされる気持ちがあるのなら、この保証人の問題について十二分に大臣の方で検討していただいて、また、しかるべきお答えを出していただくことを御期待を申し上げたい。最後大臣から一言御発言をお願いをいたしたい。
  286. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設業法二十一条のただし書きの解釈をめぐって、私どもの担当者の方から先生の方にそういう御説明をしたというお話、今私もちょっと聞いてびっくりしている次第でございますが、私あえて申し上げさせていただきますことは、繰り返しになりますけれども、一般的な民間工事も含めての話とは別に、私ども公共事業の話をちょっとさせていただいているわけでございますけれども、その間においては、やはり予定どおりの工期の中でしっかりした工事を完成する、これが何といっても最大の重要テーマでございます。そういったものを裏づけるための制度として工事完成保証人制度というものは意義があるし、そういった意味で、建設省としてもあるいは各発注者としても、公共団体等でございますが、こういったものについての意義というものは高く認識している現状でございます。今後とも私どもはそういった観点に立って引き続きこれをやっていきたい。  ただ、今先生おっしゃった談合との関係、これは先ほども私が御答弁申し上げましたけれども、この問題とはおのずから別でございますが、この談合に関する厳しい対処の仕方というものについては先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもも関係業界団体に対する濃密な、あるいは折々に触れての指導というものを一層強めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  287. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほどから局長さんの方で、談合体質とは全然無関係だという答弁を繰り返してこられましたけれども、私ども業界から聞いておりますのは、このことがあるから談合体質から抜け切らないんだ、このことを解決してもらったら談合体質が改善されるんだということを言われておるので大臣にお聞きをしたわけでありますので、そういうことも踏まえて今後御検討願えることを御期待して、一言お願いいたします。
  288. 越智伊平

    越智国務大臣 談合問題については、先ほど来申し上げておりますように十分強力に指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。  保証人のことについての御質問については、前払い金に対する保証人は、御承知でありましょうけれども北海道、東日本西日本という保証会社がございますので、そこで保証した場合には前払い金を受け取ることについての保証人は要らない、こういうふうな解釈を私はしております。工事の保証人が要らないよという説明は何かの間違いでなかろうかと思います。工事の保証人は、やはり工事の完成保証人でありますので万一の場合を考えてどうしてもこれは必要だ、こういうふうに思っております。前払い金を受け取る場合の保証は保証会社の保証でよろしいということの説明がちょっと間違ったか何かでないか、こういうふうに思いますのでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  289. 大矢卓史

    ○大矢委員 また次のときにやろうと思いましたけれども、保証会社のことまで出ましたので。  これは今三社でやっていることも知っております。しかし、保険会社でもやっておりますし、届け出があればそんなに難しい問題でなくして許可をするようだということでございますので、前受け金についてもどんどん広げていただいたら結構ですし、また工事全体の保険の問題も扱っておりますので、そのことについても今後検討していただいて、工期等をおっしゃいますけれども、さっき申しましたように自分で自分が選んだ業者が信用ならぬということであっては、そういう業者が選ばれるということはそういう人に何かそこでおかしな問題があったのではないかということになりますので、そういうことのないことを私は信じておりますから、そういうことを信じている我々に対して、信用ならぬ業者なんだというようなことはお言いにならない方がいいんじゃないか。  金銭的な問題について補完をしていくという意味で、そういう保険制度を使った中でできるんだという説明を私は聞いておりますからお尋ねしたので、できなければ、それは一体どの法律でできないということになっておるのか。その根拠は一つもないわけでありますから、法律に基づかないものをどんどん拡大解釈してそういうことをやられるということは非常に迷惑でありますから、それも含めて検討していただくことをお願いして、時間でございますので、終わらせていただきます。
  290. 野中英二

    野中委員長 野間友一君。
  291. 野間友一

    ○野間委員 本四公団理事の方、大変御苦労さまです。また長い間の工事、御苦労さまでございました。  きょうは、まず瀬戸大橋建設に絡む問題についてお伺いしたいと思うのです。  私も現地を通ってきたわけですが、四月十日に開通しました。このパンフレットを私も持っておりますが、小島―坂出ルートは昭和五十三年十月に工事に着手、九年六カ月の期間をかけて一兆一千九百億円の工費をかけて建設をした、こう記載されております。しかも、この完成によりまして本州四国間の所要時間は、道路ではこれまでの三分の一、鉄道では四分の一に短縮され、人、物、情報の行き来が活発になった、二十一世紀にかけて西日本地域活性化に役立つものと期待される、こう述べております。  こういう文言からしますと非常にバラ色なんですけれども、しかし、既に御承知のとおり、何度も国会でも論議になりました騒音公害の問題とか、建設委員会でも問題になりましたような例の談合、今も話がありましたが、こういう問題を我が党の中島議員も取り上げて、いろいろな陰の部分がこれまた明らかになったのも事実だと思います。きょうは私は、この陰の部分の一つでありますけれども、幾点かにわたりまして特に本四公団に対してお聞きをしたい、こう思うわけであります。  この工事についてでありますが、大規模な海洋工事、現在でもまだ仮設備の撤去作業が行われております。いろいろ聞きただしておりますが、一般船舶の航行安全あるいは漁船についてもそうですが、こういうことを念頭に置いて工事をやってこられました。そこで、まず初めにお聞きしたいのは、いわゆる航行安全対策、この中身について簡単に御説明をいただきたいと思うのです。
  292. 大橋昭光

    大橋参考人 大橋でございます。航行安全対策について御説明申し上げます。  私ども、海上海中で大規模な工事をやってまいりました。また今後も他のルートで続いていくわけでありますが、この工事全体の安全対策のみならず、特に第三者被害を未然に食いとめるということで、航行安全対策というものに非常に重きを置いてやってまいりました。  まず航行安全対策のフローでございますが、どういう段階でどういう工事が行われるか、そのために海上がどういう形で利用されるかということがまず一つございまして、学識経験者、それから関係官庁、海事関係の方々を入れました本州四国連絡橋航行安全調査委員会というのをつくりまして、そこで工事中並びに工事完成後の航行安全対策につきましてのいろいろな議論、御審議をいただいて、さらにそれを踏まえまして、現地の実情に、即したやり方でもって、現地の海事関係者等のお力を得まして現地でいろいろ審議をいただきました。  その結果、工事作業区域というものを設定し、かつ、その作業区域の中で作業をいたします作業船であるとか通船、またその作業区域のそばを通航します一般通航船舶との間の航行安全を図り、かつ、全体の工事の安全に資するということで警戒船業務というものを起こしまして、その工事区域の外側、いわゆる警戒区域と言っておりますが、警戒船を用船いたしまして、そこで今申し上げましたようなことを警戒船にやってもらうわけです。――よろしゅうございますでしょうか。
  293. 野間友一

    ○野間委員 安全対策の中の一つとして警戒船の配置、これがあったということ、私もいろいろな資料をいただいておりますけれども、その中に書いてあります。  そこで、この航行安全対策そのもの、これは幾つかございますけれども、すべてが工事と不可分のものであるということで、当然これ自体についても具体的に工事仕様書もつくりまして、そして公団が発注して請負人がそのとおり受注し履行するということになっておると思いますが、イエス・ノーだけで結構ですから。
  294. 大橋昭光

    大橋参考人 そのとおりでございます。
  295. 野間友一

    ○野間委員 そこで、警戒船の配置についてお伺いしますが、具体的にどんな仕事をしておったのか、今も仮設工事の撤去をやっておりますが、ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  296. 大橋昭光

    大橋参考人 警戒船は先ほどの工事区域の外側で二十四時間連続してその海域にとどまっておりまして、その中で、作業をする船の誘導であるとかあるいは作業中の他の船舶との出会いの調整の問題、それから不用意に一般の船舶が中に入ってくるというようなことを排除して、もってその区域の全体の安全をつかさどる、こういう仕事でございます。
  297. 野間友一

    ○野間委員 今かなり減って九隻でしょうかね、減っておりますが、いろいろな書き物を見ますと、常時、工事中は全部で十八隻が警戒船として配置された、こうありますけれども、間違いございませんか。
  298. 大橋昭光

    大橋参考人 隻数においては間違いございません。
  299. 野間友一

    ○野間委員 そこで次にお聞きしたいのは、船の契約ですけれども、私いろいろ調べてみますと、これは工事と一体のものですね。工事そのものについて工区を分けまして、公団がJV、ジョイントベンチャーに発注される。それで、そのジョイントベンチャーがさらに、ここでつくっておりますのは何か企業体があるようですね。企業体は、組織表を見ますと、番の州地区海事総合企業体組織表、たくさんございますけれども、こういう関係で、公団、それからJV、それから企業体、そして末端は一杯船主かどうか知りませんけれども、それを全部雇い入れて警戒船として配置する、こういうことでございますか。
  300. 大橋昭光

    大橋参考人 契約は工事と一体不可分でございますので、工事を直接やります共同企業体に、工事とあわせまして警戒船業務もその中に公団から契約として入れてございます。そして、工事を請け負います共同企業体が別途警戒船業務に携わる会社ないしは船主と契約をしているという状況でございまして、共同企業体によりましてその中身は若干違っているように見受けられます。
  301. 野間友一

    ○野間委員 それでは、委員長のお許しを得て資料を配りたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
  302. 野中英二

    野中委員長 どうぞ配付してください。
  303. 野間友一

    ○野間委員 この資料を大橋さん、見ていただきたいと思うのです。一番最後の紙を見ていただきたいと思います。  資料四と書いてありますね。これは公団からいただいた資料でございます。そのうちの警戒船要目表というのがございますが、これを見ますと、いわゆる与島南工事区域、それから三つ子島工事区域、それから番の州沖及び番の州沖第二工事区域、大きく分けて番の州の工事については三つの工区がある、こういうふうになっておりますね。そして三つの工区について警戒船、船名が伊勢丸、第五有生丸云々、こういうふうに記載がありますよね。警戒船について言いますと、予備船はともかくとして、伊勢丸から宝丸まで十二隻ありますが、その一番最後の欄の所属会社名を見ますと、五栄海陸、これは五栄海陸興業という会社だと思いますが、これが十一隻、それから三洋海事というのが一隻と、こういうふうに配置されておったわけですね。いかがですか。
  304. 大橋昭光

    大橋参考人 そのとおりでございます。
  305. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、伊勢丸、第五有生丸等々、やまと丸を途いて十二隻のうちで十一隻が五栄海陸という会社に所属するものであった、そういうことでございますね。  そこでお聞きしたいわけですけれども、もう一つお配りした資料の中で資料三を見ていただきたいと思います。先ほども申し上げたように番の州地区海事総合企業体組織表、これはジョイントベンチャーがつくったものでございますが、警戒船についての一つの体系がございまして、トップが、代表が菱化海運ということになっておりますね。そして左の方に、これは食料まで船に積んで警戒船に運ぶ、右の方は油を給油する船、警戒船にタンクを積んで運んでいって給油するという図式が全部ここに書かれております。大橋さん、これはジョイントベンチャーがつくった資料ですけれども、警戒船については大体こういう配置で間違いないと思いますが、いかがでしょう。
  306. 大橋昭光

    大橋参考人 この資料は私どもから出ておりませんので即断ができませんけれども、おおむねこの線であったのではなかろうかというぐあいに推察されます。
  307. 野間友一

    ○野間委員 先ほども公団の資料を配っておりましてお聞きしたのですが、これによりましても五栄海陸興業株式会社、責任者が浜田譲さん、下にずっと船名が書いてありますが、十二隻のうちの十一隻がこの方の所属、こういうことになっておるので間違いないと思います。  そこでお聞きしたいのは、五栄海陸興業が十一隻の警戒船を仕立てて警戒に当たったようでありますが、警戒船の燃料費について公団としての見積もり、これはA重油をたくようですけれども、例えば一日の消費量をどのくらいと見積もっておられたのかということと、それから燃料費の請求あるいは支払いはどういうふうになっておったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  308. 大橋昭光

    大橋参考人 積算の細かいことでございますが、私は十分明るいわけではございませんが、戒船の業務につきまして、警戒船一隻当たりという単価でもって、その中で警戒船の損料、乗組員の賃金、それから燃料費、オイル代等もこの中に入ると思いますが、それに経費をかけて一隻当たりということでやっておりますので、燃料というものは精算対象にはなっておりません。
  309. 野間友一

    ○野間委員 今そのようにお答えになりましたけれども、じゃ順次お聞きしたいと思います。  私が独自にいろいろ調査をした結果明らかになったことは、この警戒船、今五栄海陸という名前を挙げましたが、これは十一隻ございますが、これらが使う燃料を毎月の使用量の約三倍の水増しをしておるということであります。このやり方について見ますと、毎月ごとに給油の量、それから毎日の使用量、残油の数字、これを五栄海陸から各船主に対してこのようにしなさいというふうに指示を出して、その指示どおりに五栄海陸に報告させるというようなことを手続的にとっておりましたが、その中で約三倍の水増しが報告されております。こういう実態は御存じかどうか。
  310. 大橋昭光

    大橋参考人 何の報告も聞いておりませんので存じ上げておりません。
  311. 野間友一

    ○野間委員 そこで、お配りした資料の一をごらんいただきたいと思います。大橋さんも一応見ていただきたいと思います。資料の一ですね。  これは五栄海陸興業株式会社、一番下に書いてあるようにここの用紙でありますが、五十九年一月度とございますね。左側の半分が伊勢丸、それから右側の半分が第五有生丸。便宜、時間の関係で伊勢丸について私の方で御説明をしたいと思います。  これは五十九年一月、左に一から三十一までずっと数字が並んでおりますが、これは一月のそれぞれの日ですね。それからその次に補油と書いてありますが、これは給油であります。一月七日、二万と書いて、消して六千リットルと書き直してありますが、これを書き直したのは五栄海陸ではなくて別の人なんで、これはここで書くべきじゃなくて、ちょっとこれを取って考えていただきたいと思いますが、補油のところは、七日が二万、十九日が三万それから二十八日が一万五千、トータルで、これは消してありますが六万五千、こういうふうに数字が出ております。つまり給油したのは、五十九年一月分、一月七日、十九日、二十八日。その次は一日の使用量で、二千百八十からずっと書いてあります。それから、残油が七日、十九日、二十八日と書いてあります。この表ですが、これは今申し上げたように五栄海陸が、例えば五十九年一月度にはこれだけ補給した、残油が幾ら、こういうことを指示をして、このとおり書きなさい、報告しなさい、そう言って指示をした文書そのものなんです。後でこの補油の数字のところを消して書いてありますのは、別の人が実際の量の数字を書いたわけであります。  その次をめくっていただきますと、受領書というのがございます。これの読み方は、五十九年一月七日、三菱石油株式会社が供給者、船名が伊勢丸、港名が坂出、これは船で燃料を運びますから、給油船名が№2共亜丸、こういうことになっております。この荷物の、荷物というか商品の数量等については下にございますが、A重油が六千リッターと書いてあります。これは日付が五十九年一月七日ですね。そうすると、最初の一月度のところを見ていただいたらおわかりのように、一月七日、実際には二万リットルではなくて六千リットルというのがこの受領書で明らかなんです。  もう一つめくりますと、若干コピーの関係で薄くなっておりますが、同じような受領書があります。受領書というのは油を受けた人が供給した人に出すもので、最後にサインがあり名前が書いてありますが、これは同じ年の五十九年一月、一月十日のように読めますが、これはコピーの関係で、十九日なんです。これを見ましても、A重油が六千リッター、六千という数字がありますね。ところが最初の一覧表を見ていただいたらおわかりのとおり、十九日は、領収書には六千リットル、一覧表では三万と書いてありますけれども、実際には六千リッター。  同じくもう一つの受領書を見ていただくと、これもそうなんですが、同じく伊勢丸で、一月二十八日、A重油が五千リッターとございます。ところが一覧表の二十八日の補給量は一万五千となっておる。  ですから、これを足しますと、要するに五栄海陸が指示をしたこの文書による補給、給油のトータルが六万五千リッター。ところが領収書から見ますと一万七千リッターにしかならない。このことが、今の五十九年一月度という五栄海陸の指示をした文書と三菱石油に発行しております燃料の受領書、この中で明らかになってくるわけであります。これを見ましたら、数字から明らかなように、指示文書では二万、三万、一万五千ですからトータル六万五千、これだけ給油していることになっておりますが、実際の伝票によりますと、六千、六千、五千ですから一万七千リッター、こうなっております。しかも、この領収書と指示文書の日付は全く同じでありまして、しかもこれは船でずっと、第二共亜九等々で運んでいって、そして伊勢丸のところまで行ってA重油を給油する、補給する、こういう関係になっていますから、これは間違いないわけです。そうしますと、これはおかしなことに、実際には入れてないのに三倍に水増しをして、そして五栄が指示をしてこれを上に請求する、こういう仕組みになっておるわけであります。  私は、こんな法外なことがあろうはずはないと考えましていろいろ調べたわけです。ある人が調べたものを、これは実際に使った分について機関士が機関日誌をつけておりますが、それの毎日毎日の消費量、実はその文書もあるわけですが、これは配った資料にはつけておりません。これは五十九年分がなくて、六十二年の一月分以下はたくさんあるわけです。これを見ますと、機関士は機関日誌にきっちりつけてやらなければならぬ義務がありますが、それで、毎日どれだけ使ったかということが全部日付ごとに書いてあります。これは機関日誌から整理して表にしたものですけれども、これはお渡ししておりません。これを見ましても、一日平均の燃料使用量は六百九十七リッターとなっております。これは義務でもありますし、非常に正確にずっと書いてあります。ですから、いろいろな資料を見てみますと、実際に使用した量と補給した量がほぼ符合するわけなんです。ですから、これは法外に請求しておるということがこのことによってもわかるわけです。  それで計算してみますと、伊勢丸の場合にその差は毎月平均約五万一千リッターです。A重油は今リッターが約三十円相当でありますから、金額にいたしますと毎月百五十三万円の水増し。年間にしますと、伊勢丸だけで千八百三十六万円の水増しというのがこの資料の中で出てくるわけです。こんな法外なことがあるはずがないと思って調べたのですが、機関日誌にはやはり私が申し上げたように実際には給油した伝票と大体数量が合うわけです、これは年度が違いますけれども。ですから、今申し上げた五栄海陸がつくったこういう指示というのは、全く勝手気ままに数字を起こして、そしてこれを上に対して請求するという仕組みになっておると思うのです。  そこで、番の州地区の場合に、先ほど申し上げたように十二隻の警戒船がございます。これは公団の資料にもございますし、そのとおり間違いないわけですが、このうち六隻が五百馬力、残りが千馬力でございます。伊勢丸の場合には実際には千六百馬力ですけれども、千馬力以上ということからいえば千馬力。そうしますと、この千馬力の場合の油の消費量が今申し上げました数字とすれば、五百馬力の場合には単純に計算してその半分として九百十八万という数字が出てくるわけです。そうしますと、これは全部が全部疑惑なんで、正確なことはこれからの調査に待つしかないわけですけれども、番の州地区の場合に五百馬力が六隻、それの水増しが九百十八万円、千馬力が六隻、この水増し分が千八百三十六万円、これはトータルしますと、一年間で十二隻の分が、これは十二隻全部あるかどうか私も定かではありません。しかし、伊勢丸がそういうことであるとするならば、それが当然推測されるわけです。そうしますと、一年間で一億六千五百二十四万円の水増しということに相なるわけです。こういうことは本当にけしからぬと思いますけれども、公団の方としてこういう数字をごらんになってどういうふうにお考えになるのか、お聞きしたいと思うのです。
  312. 大橋昭光

    大橋参考人 初めてお伺いする話でございまして、まことに不可解でございます。  先ほども申し上げましたように、こういうことが仮にあったとしましても、公団がそれをもとに油代を別途払ったというような事実は全くございませんし、燃料に関しましては五十六年に実態調査をいたしまして、それに基づいて燃料は五百馬力なり千馬力幾らということで積算をしておりまして、一隻当たりの中に全部組み込まれておりまして、個々には若干増減が勤務状況によってありましても、それは精算対象にならないということでございますので、一体これはどういう意図でなされているかということが全くわからないというのが実感でございます。
  313. 野間友一

    ○野間委員 そこで、お配りした資料の二というのをごらんいただきたいと思います。三菱石油の受領書の後にございます。この用紙ですね。これをごらんになったらわかりますように、これは六十年四月度、「記入後破棄して下さい」、こう書いてありますね。いろいろ調べてみますと、水増しがこのころ発覚しかけた、これはえらいこっちゃということで、今後も含めてですが、今までの分も指示をした書類ですね、「記入後破棄して下さい」、こういうことで、この後は実は書類がないわけですね。この資料の二を見ましても大体工作の仕方がこれでわかると思うのですね。  例えば、これは六十年の四月度でしょう。伊勢丸について見ますと四日、十三日、二十二日、いずれもこう数字が出ておりますね。これをまず五栄海陸が記入しておりますね。それから使用についても七日、十七日、二十六日、これは勝手にここに書いてあります。残油のところについてもこう書いてある。こういうことで五栄海陸は、給油の日と量、使用したのをこの六十年四月度は三カ所ばかり数量が書いてあります。それから残油が三カ所。この間は適当に数字合わせ、ごろ合わせでこれを埋めろということがこの資料二からうかがわれるわけですね。これも一番下に五栄海陸という同じ用せんですが、これはちょっと消えております。冒頭に申し上げた五十九年の一月度の資料と同じものが使ってあります。これがいろいろ問題になりかけてさすがにびっくりして「記入後破棄して下さい」、これはほかにもたくさんございますけれども、それでその後は破棄された、こういう経過なんですね。  そこで私は、悪いことをしていなければこういう破棄してくれとかいうことを言うはずがありませんし、法外に三倍も水増しするというようなことについて、これは一体だれがどういうリスクを負うのかということが次に問題になってくると思うのです。今、大橋さんは、公団としては関知しない、こういうお話のようでございますが、これは五栄海陸あるいはその下の一杯船主、一杯船主に対して五栄海陸が指示をして、その文書どおりに油の購入した量を書きなさい、そしてそれを五栄海陸に出させる、こういうことをして、五栄海陸はその船主からこんなものを上げさせて決して得にはならないわけでしょう、これだけ払わなければならぬということに形の上でなりますから。だから上へ上げていく。だから企業体になるのか。番の州の組織表を見せましたけれども、あの中の企業体になるのかあるいはその上のジョイントベンチャーになるのか。まことに不可思議なことですね。しかも、ジョイントベンチャーとか企業体、こういうものは、自分がみすみす損をするのにこんなことを認めて過払いというか、必要以上に払うわけがない。そうしますと、考えられるのは、下から上へ上へと上がって、結局公団がその分を負担したのじゃなかろうかということが、一応理屈の上から、そういう一つの疑いを持たざるを得ないと私は思うのですね。  これは別のケースですけれども、本委員会でも問題になりましたが、関西新空港をめぐる談合の問題、これも関西空港は知らない。そしてジョイントベンチャーがあって、海士協という砂のグループがあって、そして山がある。こういう中で逆ざや云々というのが新聞にも報道されましたけれども、経路としてはこれと同じようなことが考えられるわけですね。だから、五栄海陸がこういうことを指示して三倍も水増しするということは、それをもとにして上へ請求するという以外に常識的に考えようがないわけですね。そうしますと、JV、ジョイントベンチャーとしても、上へ上げる以外には、自分がそのリスクを負うのか、あるいはそれは嫌々払ってもほかのところで何か操作をしてそのリスクを埋めるということになるのか、全く不可解なことが今御説明しましたようなことの中で明らかになってくると思うのです。これをお聞きになって公団としてどういうふうにお考えになるのか。  そして、これは不可解なことですから、また後の二つのルートもございますし、警戒船は必置条件ですからね。あるいは東京湾の横断道路等々これから実際に工事する場合に、海洋工事の場合に必要ですからね。こういうことがまかり通っておるとするならば、これはえらいことになりますから、私はその点を今後の問題も含めていろいろ質問しておるわけです。  しかも、トータルをいたしますと、これは着工して完成するまで大体九年六カ月、まだ仮設備の撤去工事にかかっておりますが、約十年といたしまして、十二隻体制で計算しますと、年間の水増し額が一億六千五百二十四万円、これはあくまで推測でございますけれども、それを十年間で掛けますと十六億五千万、こういう莫大な金額になるわけですね。ですから、これが一体どこへ、だれが、どういうふうに負担したのか。私は、下から順番に上へ行ったのじゃないかというふうに思わざるを得ないと思います。だとするならば、これだけの大きな金額がむだ遣いされた、こう言わざるを得ないと思うのです。  恐らく公団大橋さんとしても寝耳に水で、こんなことないというふうに否定されるとは思うのですけれども、実態として私ども調査した結果こういうのがございますから、ぜひこの点について、どういうふうに考えられるかと同時に御調査を願いたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  314. 大橋昭光

    大橋参考人 先ほど申し上げましたとおり、まことに不可解だという念を今でも禁じ得ません。こういうようなことで公団が後からJVからの要請を受けて燃料代を払ったというような事実は全くございませんし、それから、共同企業体の方は公団との契約に基づきまして誠実に警戒船業務並びに工事も履行しております。そういうことから考えまして、私は公団がそういう結果のしりぬぐいをしたというようなことは断じてないとここで断言したいと思います。  それから、もともと工事そのものは、本四公団工事を直接担当いたします共同企業体との間に交わされたことでございまして、共同企業体が、その他の例でもございましょうが、その中の警戒船業務をどういう形態でやるかというのは、まさに企業体の意思にかかわる問題でございまして、企業体とその下請との間で金銭問題その他いろいろこういうものがあったとするならば、それはその当事者間の中でいろいろ調整をしてもらうというのが建前であろうと思います。  ただ、先ほどからも御指摘がございますように、本四公団はこれから他の残されております事業がございますルートでも海中の工事をやっていかなければいけませんので、そういう意味で、今まで瀬戸大橋等で海上の事故がなく安全にやってまいりましたのは、まさにこういうような仕掛けといいますか、海上交通といいますか、海上工事の航行安全対策という一つのシステムがあったればこそというぐあいに考えておりまして、今後こういう疑念が生ずることのないように、これからまた新たに公団と契約を交えます直接工事をやります共同企業体とは、建設省でもいろいろ定めておられますが、元請・下請関係合理化指導要綱というようなものもございますし、そういうものを踏まえまして指導して、こういう疑念の生じないような形で工事をやっていきたい、このように考えております。
  315. 野間友一

    ○野間委員 と同時に、どうも不可解なことがございますから、これは実態はどうなのかという真相をぜひ一遍お調べいただきたいと思いますが、いかがですか。
  316. 大橋昭光

    大橋参考人 先ほども申し上げましたように、この件は共同企業体並びにその下の警戒船業務に携わる者との間のことでございますので、公団としては直接関与するという立場にはないというぐあいに理解しております。
  317. 野間友一

    ○野間委員 法務省がお越しだと思いますが、具体的な事実関係を申し上げました。これがもし事実とするならば明らかに詐欺罪になると思いますが、刑法上の評価と同時にぜひ一遍御捜査いただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  318. 古川元晴

    古川説明員 ただいまの御議論をいろいろ拝聴いたしてはおりましたけれども、何分にも基本的な事実関係につきましてあいまいでございまして、直ちにここで何罪が成立するかというようなことについて御答弁申し上げることはできかねる次第でございます。もとより一般論として申し上げれば、いかなる場合でも刑罰法令に触れる事実があれば捜査機関において適切に対処するということは当然でございます。
  319. 野間友一

    ○野間委員 いや、一般論を聞いておるのじゃなくて、具体的な事実、証拠を示して、これが事実であるとするならば疑いがある、こう申し上げたわけであります。これが事実であるとすれば刑法的には詐欺罪成立が当たり前なんですけれども、こういうものを踏まえて、きょうの論議を踏まえて法務省が対応するのは当然だと思いますが、もう一遍。
  320. 古川元晴

    古川説明員 繰り返すようで恐縮でございますけれども、いろいろ拝聴いたしておりましても、とにかく基本的な関係が極めてあいまいでございまして、直ちに御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  321. 野間友一

    ○野間委員 これは実際けしからぬ話なんで、それではもっと具体的な事実を突きつけてまた改めて私は論議をしたいと思います。  建設大臣、お聞きのような経過なんですけれども、こういうもの、これは公団の関与云々は別にして、工事に関して水増しは許されない。これが事実であるとするならば、ぜひ私はこれについて御調査いただいてこういうことのないようにしなければならぬと思いますけれども、所感で結構ですから、大臣から一言。
  322. 越智伊平

    越智国務大臣 公団理事から御答弁申し上げましたように、工区工区を設定いたしまして、共同企業体で工事を施行してもらう契約をしたその中に警戒船を含んでおる。要は、第一番にはその警戒船の単価の見方がどうであったか、正当なものであったかどうか、その問題があります。それから、水増し請求をしたといたしますと、そのこと自体は好ましいことではない、こういうふうに思いますけれども、それがどこまでいったのか。少なくとも今の話でいきますと、その点も共同企業体以下のことでありますから、その契約に違法があるとか非常にたくさんの見積もりをしておったとか、あるいは後で支払いをしたとかいうことになりますと、これは公団の責任ではございますけれども、それはないといたしますれば、それ以下のことでございますから、余り望ましいことではないけれども、直接建設大臣がこれはどうだというところまではいかない、こういうふうに解釈をいたしております。
  323. 野間友一

    ○野間委員 しかし、今後本四公団はまだまだもう二つ海上工事をするわけで、警戒船、これは必置なものですから、どうしても必要なんですよ。しかし、こんなものだれも損をしてまでかぶる者はないわけですよ。上へ上へ上がる以外にないわけですよ。これは常識です。  私はその点重ねて調査と、それから善処の仕方を要求して、時間がありませんから、最後に二問ばかり、別の質問についてお伺いしたいと思います。  運輸省からお越しいただいておりますが、海南市の高架事業についてまずお願いしたいと思うのです。  和歌山県海南市におけるJRの海南駅周辺の鉄道高架事業についてでありますが、この点について従来から私も建設省運輸省にいろいろお願いしてきたわけであります。工事の進捗が非常におくれておりまして、事業費ベースで進捗率がまだ二〇%。早期の完成が本当に待たれるわけですけれども、これはぜひ早期に完成をしていただきたい、これが一点であります。  二つ目は、運輸省に対しての要請ですが、この高架事業が非常におくれておる関係で亀川の踏切の四車線化、これがどうしても必要になってくるわけですね。これは今JRの西日本でありますけれども、この亀川の四車線の踏切をつけるわけですね、これをぜひ早期に実現できるようにひとつ御指導いただきたい。その前後が四車線になりまして亀川の踏切だけが二車線のままで、そうしますと、ちょうど砂時計のように真ん中が狭いわけでありますから、どっと車が来てそこで物すごい渋滞をして、一日大体三万三千台の交通遮断量になっているわけですね。大変なことになりますから、高架化にするのが非常に長いので、それまで当面の具体的な緊急の措置として、ぜひこの四車線についての踏切を早期に実現していただきたい。この点が二つ目。  もう一つは、同じ海南市の県道沖野々森小手穂線というのがありますが、これは前後から新しい立派な道路ができておりますけれども、野上鉄道の踏切のところ、阪井六号、七号の踏切が近くにございますけれども、ここに踏切をつくらなければならぬ。こういう点でこの踏切をつくらなければどうにもならぬわけですね。私はこれも、大阪の運輸局にも参りましていろいろなお願いをしておるのですけれども、早期にこの踏切が実現できるように運輸省に対してもぜひお願いしたいと思いますが、その点についてまとめてお答えいただきたいと思います。
  324. 木内啓介

    ○木内政府委員 お尋ねの三点のうちの第一点を私の方から答弁させていただきたいと思います。  連続立体、先生のおっしゃるとおり予定よりおくれております。一般論として、連続立体は大変いい事業でございますけれども、関係方面も多いし、事業量も多いし、いろいろな面でおくれがちなんで、一生懸命やっているところでございますが、ここも若干おくれて、若干といいますかかなりおくれております。  そのおくれた理由は、国鉄との協議調整あるいは用地交渉、用地の面が大変難航しましておくれておるわけでございますけれども、六十二年に用地問題も一応好転してまいりまして、六十三年の用地買収が八割以上の進捗になる予定でございます。  そういうことで、今後用地買収をさらに進めていくことによりまして、仮の本体工事といいますか、本体工事に入っていく予定だと聞いております。私どもの方としても可能な限り推進に努めてまいりたいと考えております。
  325. 澤田諄

    ○澤田説明員 御指摘の二点目についてお答えいたします。  JRの亀川踏切の拡幅の件につきまして、現在県道が四車線として踏切近くまで整備が進んできておるということでございますが、鉄道の高架化工事につきましては先ほどの御答弁で若干完成がおくれるということから、本年に入りまして、和歌山県から、道路拡幅計画に合わせて踏切拡幅の要望がJR西日本にあったと聞いております。JR西日本としては、基本的には立体交差化の早期完成ということが望ましいわけでございますが、道路交通量あるいは高架化完成までの時期ということについての暫定措置ということもございますから、都市側と協議を行っていると聞いております。  この拡幅を行う際、四車線道路の踏切としますと、その四車線道路の中央に立体交差化の橋脚ができるということでございまして、工事等における安全性を考えますと、この部分の高架橋を先に完成させたいということで都市側と話し合いをしていると聞いております。  以上でございます。
  326. 本多辰巳

    ○本多説明員 最後の野上電気鉄道に絡みます踏切道の新設についてお答えいたします。  踏切道の新設は、基本的には鉄道の保安上望ましくないということではございますけれども、地形の状況等でやむを得ない場合は、それに代替する保安対策を講じることを前提にして認めるようなことで今まで指導してきておるわけでございます。  御指摘の踏切道につきましては、地元の近畿運輸局も入りまして、地形の状況等も勘案した上で、鉄道事業者であります野上電気鉄道と和歌山県でいろいろ協議をいたしました結果、この八月に、近接する踏切道についていろいろ保安対策を講じるということに相なりましたので、これを踏まえまして当該踏切道の新設を認めるという方向で対応していきたいと思っております。
  327. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので終わります。
  328. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散