○
岡島委員 それぞれ具体的に取り組むわけでございますけれども、やはり私は、交通安全対策の一番大事なのは何かといいますと、交通事故に対する考え方というのは全く違うわけで、交通違反、交通事故に対する考え方がどうも食い違っているという感じがいつもしております。それは何かと言うと、交通事故に遭ったときには、しまった、損をしたという、また、事故を起こしたときに、違反をしたときに、そういう感じが先で、罪悪感情よりも損得勘定が先だ、そんな感じがしておりますから、それはやはり
学校教育全体の中で一つのあり方を求めていかなければならないだろう。だから私は、交通事故も交通安全対策もすべて教育だよ、そういう結びつけ方をよく言いますけれども、そういう点につきましても御留意をいただきたいと思います。
あと、留学生の問題、大学入試の問題がございますけれども、割愛をさせていただきまして、
科学技術庁の問題について一、二お伺いをさせていただきたいと思います。
まず一つは、これからの日本の科学技術の問題についてどのようにお考えでおられるのか。科学技術の振興というのは経済社会の発展の基盤であり、産業活動の活性化、生活水準、福祉の向上に寄与しているわけであります。我が日本は、第二次世界大戦後のまさにゼロの状態から、内外の厳しい経済情勢の荒波の中を突き進み、このような豊かな社会を築いてまいってきたわけでありますけれども、我が国がこれまで、欧米諸国から技術導入を初めとする積極的な
技術開発とその成果を利用して産業の振興に努めてきたことは申すまでもありません。今日目覚ましい経済成長をなし遂げておりますけれども、我が国にとりましては、今後、科学技術立国を基盤として位置づけていかなければならないと思います。
しかし、実態を考えますと、アメリカや西ドイツなどの主要国と日本との最近の科学技術の
研究費の統計を比較してまいりますと、総額における政府
負担の
研究費の割合が、アメリカでは四八・二、西ドイツでは三九・六、フランスでは五三・七となっておりますが、我が国では八兆円有余でありますけれども、しかし、政府の
負担度はわずか二〇%程度であります。この辺が、我が国の科学技術の振興が民間企業の主導型だと言われるところだろうと思いますけれども、しかし、これから日本があらゆる分野で国際的な視野での活躍を期待される中で、科学技術を通して積極的に世界に貢献するということをよく言われますが、そういう日本の色彩を明確にしていくべきだろう、こう思います。
そこで、政府が中心となってこれからの科学技術の振興に向かって財政的にも大きく取り組んでいかなければならない、こう思いますけれども、
科学技術庁長官のお考えをお聞かせいただきたい。
その次の問題としては、時間がそうありませんから続いて御質問申し上げますけれども、
基礎研究の強化の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
科学技術の振興は我が国の重要政策の一つでありますけれども、とりわけその一番大事なのは
基礎研究だ、みずからの力で革新的技術シーズを生み出していくことが必要だ、こういうふうに考えるわけであります。
そこで先般、ノーベル賞を受賞されましたMITの利根川教授に話を聞く機会がたまたまあの前後にあったわけでありますけれども、そのとき利根川教授が言いました言が私には印象的に残りております。何かといいますと、日本は科学技術の
研究について言えばまず
研究環境がよくない、こういうことを言われました。それはなぜかというと、本来
研究に没頭しなければならない年代の連中あるいはまたそういう学者が、雑用に追われて
研究をするような雰囲気じゃありませんよ、それをまずしっかり是正をしなければだめですよというようなことを言われまして、同時に、だから
基礎研究がどうも十分できないんだ、そんなことを実は利根川教授が
指摘したことを私は記憶しております。
そういう面から考えまして、科学技術立国を目指すということをかねてから各分野において言われておるわけでございますけれども、やはり先進国の一員として、今までいわば外国から受信的に受けていた、それをひとつ日本からの発信的な、そういう発想の転換といいますか、さらに受動的なものから能動的へという転換を少なくとも
基礎研究の段階でしていくことが国際協力の中で必要だ、私はこんなふうにも思っております。そのためには、私は、従来の単なる教科書の中から学んでくるというそういう勉強だけではなくて、やはり新しい分野に切り込んでいく、また新しい進むべき道を見出していくという本当の意味の
基礎研究というものが必要だろう、そしてそのことが全人類の一つの資産になる、そこに果たしていく日本の使命といいますか責任といいますか、そういうものが今日求められているという、それによってまさに皆さんが言われます国際社会に貢献し得る日本の
技術開発が生まれてくる、こう私は考えておるわけでございますけれども、
科学技術庁長官の以上二点についてのお考えをお示しいただいて、質問を終わらせていただきます。