○日吉
政府委員 まず今日の救難
措置に関連いたしまして、
防衛庁長官並びに防衛事務次官の
発言を御引用になられたわけでございますが、より具体的にこれについて
発言をいたしておりますのは防衛事務次官でございますが、私
ども救難に当たりました諸艦艇からの報告を受けました内容は何名
救助したというような内容でございまして、当初
通報を受けました状態におきましては、いかなる
状況のもとに、いかなる方法によって何名を
救助したかという報告は受けておらなかったわけでございます。
そういう前提に立ちまして西廣防衛事務次官は、一般のいろいろな御
意見等も耳にしているものでございますから、
自衛隊の艦艇がどのような
行動をとったかということは了知しない上で、一般論といたしまして、かつ個人的な見解といたしまして、
自衛隊というのはいざというときに身命を賭して
国民、国家、国土を守るのが
任務であるから、仮に
潜水艦に救命胴衣の幾つかでもあるならば、そういったものをつけて飛び込んでくれる、これがあらまほしき姿だ、こういうふうに申し上げたのが事実でございます。ところが、後刻報告を受けましたところ、具体的に二名の乗組員が海中に飛び込み
救助いたしておるということがわかったわけでございます。
ところで、具体的にどのような
行動を行ったかという点を御説明申し上げたいと思います。
事故の
発生の当事者でございます「なだしお」は直ちにこのような
行動を起こしております。艦内の態勢を、艦長が直ちに溺者
救助態勢というものをとりまして、
救助要員、ゴムボートを甲板に上げるとともに、約三千メートル前方を
航行しておりました僚艦「ちとせ」に
救助を依頼いたしております。ところが、残念なことに、
事故が
発生いたします前にこの「なだしお」は、
事故を避けんがために機関停止、面かじいっぱいの後、後進いっぱいという形をとっておりまして、おおむね停止したような状態で
衝突をしたわけでございます。直ちに機関を停止いたしましたけれ
ども、後進いっぱいの惰力が働いておりまして、それで二、三百メートル後ろに後退してしまった、
事故発生現場から後退してしまったわけでございます。ところが、通常、遭難者を
救助いたしますときには、大型の艦艇は、スクリューその他の問題がございますので、
事故現場に接近することは非常に危険でございます。したがって、通常の場合にはそこから内火艇をおろしまして、非常に敏速に小回りのききます内火艇で
救助をいたしているわけでございます。
今回非常にとうとい御
協力をいただきました小型タンカー第三松和丸も、やはり近くから内火艇をおろして
救助に当たっていただいております。ところが、残念ながら
潜水艦は、水中におきます自己の
事故あるいは自己が攻撃を受けた場合の
救助用具等しか入っておりませんので、内火艇がございません。したがいまして、
潜水艦みずからが現場に到達しなければならないわけでございますが、これは通常の速力を出しますと泳いでおられる
方々に非常に危険でございます。したがいましで、超鈍足といいますか、極めて緩やかに接近を
していったわけでございます。その接近の過程におきまして二名の方を見つけまして、お一人の方にはブイを投げ、浮き輪を投げて
救助いたしました。それからお一人の方は乗組員が海中に飛び込んで
救助いたしました。それから残りお一人の方はゴムボートで
救助したということでございます。
そういうことでございまして、これは本当に最善、これ以上のことができなかったのかどうかということは確信できませんけれ
ども、主観的には艦員たちは最善の
努力をして
救助に当たったものと私たちは信じたいと思っております。