○安井
委員 食い違ったままでずっと今でも来ているというのは非常におかしいことなんですけれ
どもね。
いずれにしても、今も
国会答弁を取り上げてお話がありましたけれ
ども、私もいろいろ調べてみても、当時の佐藤榮作総理
大臣は、北についての請求権というのは全く白紙だということを繰り返しておりますし、一九七四年の木村俊夫外務
大臣などは、現在の韓国ないし韓国
政府が朝鮮半島全体における唯一の
政府であるという認識は
日本政府は持っていませんというふうにはっきり言っていますね。これは当時大分波紋を呼んだわけであります。一九七三年の高島条約
局長の衆議院外務
委員会での答弁でも、北との
関係を
日本が将来設定するに当たって第三条または日韓基本条約というようなものは何ら妨害にはなりませんという答弁もしております。これは今のアジア
局長のお答えで確認されたと思います。
よく
日本社会党は日韓基本条約に反対して今もそれを認めていない、韓国も認めていない、けしからぬ、こう言われるわけでありますけれ
ども、現存している条約を認めるも認めないもないわけであります。また、大韓民国は南半分を支配する立派な国であることも、これは認めるとか認めないの問題ではありません。ただ、時の政権のビへービアについての
批判があったことは間違いありません。ただ私
どもは、朝鮮半島を支配する唯一の
政府が韓国であるということはあの条約の中からは見ることができないわけで、それは認められません、こう言ってきているだけであります。ということになりますと、社会党の言い方と
日本政府とは何も変わりがないんですよ。
日本政府にかわって社会党が怒られている、そんなようなことになっているのではないかと私は思います。
そういう中で、南北の間で一種のデタントが進んでいます。
日本の植民地支配から解放された後、今日まで東西の冷戦
状況が非常にティピカルにあの半島の中にあらわれてきたということを言ってもいいのではないかと思います。いろいろな曲折はありましたけれ
ども、最近は流動化して、特に南の韓国の方はずっと続いてきた軍事政権が新しい共和国となって、
憲法を改正し、大統領選挙や
国会の選挙、民主化の方向に進んでおり、心配されたテロもなくソウル五輪は成功しました。盧泰愚大統領の七・七宣言から各種の首脳会談の提案、またこれに対して北の金日成主席が条件つきながらもこれを歓迎する
発言等があって、南北対話の機運は醸成されつつあると言ってもよいと思います。ちょうどきのうからきょうの
新聞にかけて報道されている朝鮮民主主義人民共和国側の新しい決定もあります。この朝鮮半島の動向というのは
日本の平和と繁栄に非常に大きな影響を持つものであるし、
世界の平和にもあるいは政治情勢にも大きなインパクトを持つものであることだけは間違いないと思います。
そこで、この朝鮮半島の緊張緩和、南北の自主的平和統一、こういうことが達成できるために、
日本の我々もいろいろな
努力を重ねていかなければならぬのではないかと私は思うわけです。そのうちに統一問題については、もう時間がだんだん減ってきましたので、少し私のひとり語りになってしまうかもしれませんが、統一の
あり方については、これはもう南北立派な国なんですから自主性に任せていくということが必要で、南には南の構想があるし、北には北の構想があります。そして、利害
関係の対立もこれは当然です。しかし、徹底的に話し合ってもらうことが必要なので、
日本はむしろ中立的な立場でそれを見守っていくということが大切ではないか、私はそう思うわけです。
それから、緊張緩和の問題も、これは北の軍隊と南の軍隊と米軍の駐留軍、この三つが三十八度線で向かい合っているわけであります。したがって、これもその三つで話し合って決めてもらうよりしようがないので、何しろまだ休戦協定が行われたままになって今日まで四十年来ているわけです。撃ち方やめという格好のままで今日まで来ているわけですから、いつ何どき何が起きてもしようがないという状態なんですね。やはりこの三つが話し合って平和宣言を出してもらって、平和協定にしてもらわなければいけない。そして、兵力の削減だとか平和ゾーンの設定だとか今いろいろなことが言われているわけでありますから、
日本としては南北の緊張、軍事緊張が高まるような行動には加わらないということ、これが
日本にでき
ることではないかと思います。
ですから、
日本の
政府としては、今申し上げましたような態度で臨んでいくべきであり、特に
日本としてやることがあると思います。これは
日本だけがやらなければいかないことがあると思います。それは過去三十六年間、朝鮮半島の人民に植民地支配で大変な苦痛を与えてきたわけですね。その償いを南に対しては不十分であるとはいいながらもこれまでやってきたはずです。有償、無償のお金も一兆円に近い金が向こうに渡され、いまだにまだ渡されています。そのことによって南の人民は決して満足したとは思っていないと思いますけれ
ども、とにかくやってきたことだけは間違いありません。ところが、北に対しては戦後四十年ただの何
一つやっていないというのが今日の
現状であります。何しろ南と北が対立しているのをよいことにして、北を敵視する
政策すらとって北の反発を受けてきたというのが
日本の今日までの
あり方ではなかったかと思うわけです。ですから、私は、今やることは何といっても植民地支配の反省、それを原点にして償いをするということからでなければならないと思います。
それに対して、今までは韓国側が
日本の北への接触について反発があったのですけれ
ども、盧泰愚大統領の
発言の中にもそれは拒まないということをはっきり言っているわけであります。また、北の大統領もこの間の建国四十周年の記念式典のとき、社会党の山口書記長も出席したわけでありますが、そのときの演説の中で、国交のない資本主義国とも経済、文化、人的交流を進めるということを言っておられます。ですから、さまざまな条件は整ってきていると思います。とにかく償いをすること、そのことから我々は始めなければならないと思います。直接対話をやること、何か北東アジア課長はあす
ソ連に行くというふうな
新聞記事もけさ出ておりますけれ
ども、ほかの国の様子を聞くのも結構だと思いますけれ
ども、やはり北との直接対話を開始するということ、そのためにはいろいろなことが必要になってくると思います。そのことが今非常に大切である、私はそう思うのですが、外務
大臣のお
考えを伺います。