○
国務大臣(
竹下登君) 私も今
井上さんがおっしゃったような批判があるということを承知しておりまして、それだけに余計なことを事ある機会をつかまえて、要するにせっかく押し上げた荷車が手を放すと一挙に坂をがらがらとおりてきてしまう、そういうことであってはならぬという表現を最近時に触れ特に主張をしておるところでございます。
確かに
昭和五十四年十二月の財政再建に関する決議でもそのとおりでありまして、まず行政改革をやって、それによって財政再建に資しなさい、そして二番目にはいわゆる歳出の適正化を行いなさい、その上で税制改革を抜本的にやりなさい、こういうのがあの決議の
趣旨でありますだけに、事実、みずからのここのところ過去五、六年を振り返ってみますと、行政改革について一生懸命やってきたような気がいたしております。その果実が
NTT売却資金等において活用されるようになったということが、あれで一つの果実が生まれたんだというので、むしろ気を緩める要因になってはいけないなということを一つは自分に教えております。
それから二番目の行財政改革、財の方でございますが、これも長い間、私の
予算は本院においても縮小均衡であるといって随分批判を受けたわけでございますが、やはりその
前提にありますところの財政改革の一つの目標、第一段階は、六十五年度赤字公債体質からの脱却とか、その後今度は公債残高自身を低めていく努力とか、そういうものは初心に返っていつまでも守っていかなきゃならぬ課題だと。だから、ことしの
予算編成に当たりましても、その内需拡大の問題と財政改革の問題を両立させなければならぬというところに大変な苦心を払って、さらに、各
関係者には結果として強制したことになるわけでありますが、経常費部門における削減というのは依然として従来の方針を貫いていった。したがって、おっしゃいますとおり、やはり行政改革そして財政改革、これはきちんと踏まえた上でのことであらなければならぬ、断じて後退を許すようなことをしてはならないと思っております。