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国務大臣(宮澤喜一君) まず、昨年法律改正をお願いいたしまして社会資本整備勘定を設けさせていただきましたのは、この金の使途の本則は国債償還でございます。その年度に現金償還の来ます部分についてその償還に充て、及び国債整理基金特別会計にある程度の余裕金を置く、それが第一でございますが、二百五十万円というような売却ができましたので、それを上回る余裕が出てまいりました。
そこで問題は、今大木
委員の言われましたように、その余裕をなお繰り上げ償還してでも国債償還に充てるか、それともその年に現金償還をすべきものを償還しました残りは社会資本の整備に充てた方がいいかという、そういういわば選択の問題に昨年度の
補正予算を編成する
段階で直面いたしまして、それが緊急経済対策を講じたときのあの
補正予算でございますが、私どもとしては、償還期の来た公債を償還した残りはやはり社会資本整備に、いわば公共事業系統のものに使うことが我が国の内外に対するあの
段階での要望にこたえるゆえんであると
考えましたので、そこで償還いたしました残りをA、B、Cというタイプに分けまして使うことを法律でお認め願ったわけでございます。ただ、これは使い切りにいたすのではございませんで、貸し付けでございますから、返ってきましてやがてまた国債償還に将来向けられる、こういう
制度を設けました。それが第一でございまして、これはなぜ繰り上げ償還までしなかったか。繰り上げ償還をするか公共投資をふやすかというその選択の問題に当たりまして、私どもは社会資本整備の方に充てる方がいいと
考えたわけでございます。
第二の問題に関連いたしますが、その際、殊に地方の経済の落ち込みがひどうございますので、なるべく地方の面的な開発というものにこれを充てたらどうであろうか。すなわち、毎年十億円の下水工事を十年で百億やるよりは、いっときに面的開発で、下水も要る、街路整備も要る、あるいは河川も要る、そういうところへいっときに百億円なら百億円投入をする。それによって地方のいろんな
意味でのプロジェクトを応援することができるわけでございますから、そういう形にした方がいいのではないかということを
考えましてああいう
制度を設けました。これはしかし貸し付けでございますから、何年かたちますと返ってこなければならないわけでございますが、そのときには先々いずれにしても公共事業の
予算を計上するわけでございますから、それを計上する形で、いわば右のポケットから左のポケットへ返ってくるよるにいたしておけば、今緊急に地方のそういう開発を、いわばこれは公共事業の補助金の前渡しのようなものでございますが、取りまとめて渡すことによって地域づくりができるではないか、こういうふうに
考えましたのが第二の理由でございます。