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国務大臣(
竹下登君) まず最初は、資産格差の問題等につきましての認識を問う、こういうお話でございました。
最近の
地価高騰によります土地の資産価値の上昇は、土地を持っている者と持っていない者との間の格差を拡大することとなっておりますことは御指摘のとおりであります。それが両者の間に不公平感を生じさせておる。経済の円滑な運営のみならず、社会の安定という点からいっても重大な問題であるというふうに認識をいたしております。
そこで、
地価高騰の抑制を図るために、
国土利用計画法によります
監視区域制度の機動的な運用、そして御指摘にもありました金融機関に対する指導の強化、土地
税制の改善、これらの
対策を講じておるところであります。
確かに、
東京圏では
地価が下落に転じるなど鎮静化が急速に進んでおるというふうにも見られます。今後は、諸
機能の地方分散、住宅宅地の供給促進等によりまして土地需給の緩和を図って、
地価の安定、ひいては引き下げに努力してまいる、このような
考え方でございます。
次の問題、
財政再建の目標達成見込みがあるかないか、こういう端的な御質疑でありました。
引き続き節約等
歳出削減の努力を続けていくならば、その
実現の可能性は、これまでと比べると大きなものとなっておるというところが私のお答えでございます。
次が
所得税減税の問題であります。
これは、
税制改革についての
中間答申をいただきまして、
税制の抜本的改革の一環として、中低所得者の税負担軽減と中堅所得者層を中心とする負担累増感等に配慮して、所得税の最低税率の適用対象所得の範囲の大幅な拡大等の累進緩和及び人的控除の引き上げ等の提言が示されたわけでございます。したがって、これから御
議論を踏まえながらこの問題について引き続き具体的な
検討に入る、こういうことであります。
それから、六十二年度の
税収見込みにつきましては、確かに何がしかの自然増収が期待できるのではないかと思われますが、何分、三月期
決算法人という問題が残されておりますので、確たることを申し上げるわけにはいかないということであります。
偶発的な
要因によるにせよ、そうでない
要因によるにせよ、税の増収が生じる場合には、今の極めて厳しい
財政事情から見ますと、まずはそれこそ
財政法、また先般議了いただきました
財源確保法等の建前からいえば公債減額に充てるべきものであるというふうに
考えます。
それから、六十五年度以降の繰り延べ等のもろもろの
措置をどうするか、こういうお尋ねでございます。
それこそ経済情勢等を見きわめながら、毎年度の
予算編成の際に適切に
判断し、対応すべき問題であると思います。
定率繰り入れをどうするか、こういうことでございました。
定率繰り入れというものは五十七年度以降停止されておりますが、六十三年度も同じような
考え方で停止しております。六十四年度以降の取り扱いにつきましては、そのときどきの
歳入歳出等の動向、そして国債整理基金の
資金繰り状況、これを見ながら毎
年度予算編成の中で決めるべきものであるというふうに
考えております。
なお、六十四年度以降の補助金カット、この問題もお尋ねがありました。
暫定
措置の期間終了後における国庫補助負担率の取り扱いにつきましては、これまでの経緯や
内容、諸情勢の変化、そして国と地方との役割分担、こういうことを勘案しながら対処していくべきものであるというふうに
考えます。
それから、次が与野党合意の
減税問題についてでございます。
これは、今まさにこれらが行われておるところでございますので、それらの話し合いの推移を注意深く見守らせていただいておるということであります。
それから、
不公平税制の問題でございますが、
税制改革についての
中間答申においても述べられておりますように、所得課税において負担の公平を図りますとともに、税体系全体として実質的な負担の公平、こういうことも言われておるわけであります。資産の問題もあります。いずれにせよ、
国民が公平感を持って納税し得る税体系を構築することが大事だ。
国会等の
議論を踏まえながら、もともと
税制改革に対する
議論というのは不公平感というものから出たものでありますだけに、これに対して十分留意していくつもりであります。
それから、よく言う節度あるという言葉は防衛について具体的にはどういうことか、こういうお尋ねでありました。
これは、
我が国は憲法のもと、専守防衛に徹するなどの
基本理念を堅持して、大綱水準の達成を図ることを目標としております中期防衛計画、これに従って各年度において今度は経済
財政事情等、そうして諸施策とのぎりぎりの調和を図っていくということがこの節度ある防衛力の整備であるというふうに
考えております。
それから、ODA問題につきまして援助
基本法等の御提示があっております。私も承知しております。
この問題につきましては、
国会による計画の承認という問題がございます。これは
国会によって採択されました
予算の範囲内で、相手国のニーズに応じて相手国と協議しながら具体的プロジェクトを決定するという現在の仕組みでございますので、あらかじめ計画の承認ということについては困難な点があろうというふうに
考えております。
情報公開等につきましては、従来から案件ごとの発表、
政府並びに援助実施機関の刊行物などによって公表してきております。また
国会に対しましても、相手国の
立場も配慮しながら随時説明いたしましたり、資料の
提出を行ってきておりますので、今後ともこのような
措置を誠実に実行してまいるという
考え方でございます。
それから、施策に関する
報告を事後
国会へ
提出するということにつきましては、
国民の一層の理解を得るとの観点から、その御
趣旨を
政府としても参考としてまいりたい、このように
考えております。
会計検査院の指摘事項の問題でありますが、これは厳正かつ効率的な
予算の執行に努めておりましても、不適正使用の事例が生じておるということは事実であります。これは遺憾であります。不当事項等につきましては、その周知徹底を図るなど再発防止に努めますとともに、
予算の執行に当たる者のモラルの一層の確立にも努力しなければならないと
考えております。これからも御
趣旨のごとく、
予算の厳正かつ効率的な執行に努力してまいる決意であります。
公務員の綱紀粛正問題についてでございます。
再度申し上げますように、まさに
公務員は
国民全体の奉仕者として、職務の公正な執行について
国民の
疑惑や不信を招くことのないよう常に留意し、綱紀の厳正な保持に努めるべきであることは当然であります。したがって、不祥事が発生していることはまことに遺憾であります。改めて
姿勢を正して、御
趣旨を体し、
国民の信頼にこたえていきたい、このように
考えます。
次に、日米首脳会談の問題でございます。
六月、ロンドンでレーガン大統領と会談する予定でございます。まだ予定でございますが、米ソ首脳会談直後にお会いする。時間的にもそうでございますので、米ソ首脳会談の模様につき直接レーガン大統領から話を伺おうという
考え方に立っておるわけであります。したがって、日米首脳会談の問題につきましては、今直接そうした話を伺おうということを
考えておるわけでございますので、日米間の牛肉、かんきつ問題についてこの機会をとらえるとか、そういう
考えをあらかじめ持っておるわけではございません。この問題につきましては、別途、今後ともぎりぎりの努力をしなければならないというふうに
考えておるところであります。
以上でお答えを終わります。(
拍手)
〔
国務大臣宮澤喜一君
登壇、
拍手〕