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1988-04-27 第112回国会 参議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十七日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十五号   昭和六十三年四月二十七日    午前十時開議  第一 日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第二 千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第四 特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第五 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 港湾法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案内閣提出衆議院送付)  第八 無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  第九 地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案内閣提出衆議院送付)  第一〇 消防法の一部を改正する法律案内閣提出)  第一一 森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一二 義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一三 放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一四 特定弔慰金等の支給の実施に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案趣旨説明)  一、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  一、多極分散型国土形成促進法案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には依然として厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政改革を強力に推進し、その対応力回復を図ることが緊要であります。  このため、政府は、昭和六十三年度予算におきまして、歳出の徹底した見直し合理化等に取り組むことにより、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質から脱却し、公債依存度を引き下げるという努力目標達成に向けて着実に前進することといたしております。  まず、歳出面におきましては、国民健康保険制度改革を初めとする既存制度施策見直しを行い、特に経常経費について一層の節減合理化を行うとともに、内需拡大の要請に配意し、一般公共事業費についてNTT株式の売り払い収入を活用すること等により前年度当初予算に対し二〇%増という極めて高い水準確保するほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしております。  他方、歳入面におきましては、税制につきまして、税制抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、当面早急に実施すべき措置を講ずるとともに、税外収入につきましては、可能な限りその確保を図ることといたしております。  しかしながら、昭和六十三年度におきましては、なお財源が不足するため、特例公債発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ停止などの措置をとらざるを得ない状況にございます。  本法律案は、以上申し述べましたうち、昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置として、同年度における特例公債発行国債費定率繰り入れ等停止政府管掌健康保険事業に係る繰り入れ特例について定めるものであります。  以上、昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     ─────────────
  5. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。丸谷金保君。    〔丸谷金保登壇拍手
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、ただいま趣旨説明がありました昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案に対し、日本社会党護憲共同を代表して、総理並びに関係大臣質問いたします。(「原稿なしでやれよ」と呼ぶ者あり)  まず、財政再建財確法関係。  大蔵省は、財政改革を進める基本的考え方として昭和六十五年特例公債からの脱却という努力目標を掲げ、公債依存度も本年は五十年以来の低い水準になったと自画自賛しております。これは見せかけで、六十三年度国債残高百五十九兆円、その利払いに要する経費は二〇・三%、六十五年度公債残高は実に百六十六兆円に及ぶことになっております。  そもそも、赤字国債を六十年度から借りかえを行うことにしたときから借金がふえるのは当たり前の話であります。この構造的財政赤字に手をつけない限り、財政再建などとても望むべくもありません。特例公債依存体質脱却を手放しで喜ぶ状況ではないのであります。  ちなみに、昭和五十年度先進主要国との対比を見ますと、公債依存度日本利払い比率でアメリカ、政府債務残高比率イギリスがそれぞれ最高であったものが、六十三年の現在ではいずれも日本が最も高く、財政不快指数日本が一番であります。  五十八年度から増税なき財政再建をうたい文句に一般歳出の伸びを抑えてまいりましたが、実際は歳出抑制よりも、国民年金国庫負担金の繰入額を一時的に減じた先送りとか、補助金特例法というツケ回し赤字国債の借りかえや国債整理基金への定率繰り入れ停止措置等によってつじつまを合わせてきたのにすぎません。  また、NTT株売却での一時しのぎも六十六年が限度です。そのため、政府は、増減税同額という名のもとに大幅な税制改革を計画し、間接税の導入により後年度における自然増収分借金のしりぬぐいに使おうとしていることは見え見えであります。こういうのを昔の人は衣の下からよろいが見えると言っております。内需拡大を求める外国からの圧力で、歳出抑制も限界に来ております。  財政中期見通しの中でも、ただ単に、借換債を含めた総国債発行額をできるだけ抑制することによって、国民総生産に対する公債残高比率をできるだけ低くとどめるよう努めるというだけでは、国民は何が何だかわからないのであります。総理増減税同額ということで増税はしない、二〇%を超える利払い増税なき財政再建はできるのでしょうか。もしできるとすれば、国債を具体的に減少していく手だてをお示しください。  次は、財政中期展望地方財政についてお伺いいたします。  地方への補助率カットは、国の財源不足を補うための緊急避難措置として、六十一年度から六十三年度の三年間の期限つきで実施されております。その総額は四兆三千二百三十九億円にも達します。  かつて、中曽根総理は私の質問に答えて、下水道の補助率カット交付税及び特例債で見ておるから地方自治体影響を及ぼさないと答弁しておりますが、これは認識不足も甚だしい。例えば、投資的経費臨時財政特例債にしても、元利償還金の五〇%しか国は負担しませんし、国保事業地方負担分については地方交付税で見ると言っておりますけれども、しょせん固有財源である交付税の枠内で配分するのでありますから地方負担がかかるのであります。  自治大臣は、二月十八日の衆議院予算委員会で、緊急避難的な措置だから補助率の引き下げの特例措置は廃止さるべきだと答え、大蔵大臣も、地方自治体にとって好ましいことではないと認めておりながら、その後だんだん怪しくなってきております。第一、財政中期展望の中で、六十四年度以降、補助率等は法令上の本則によって算出しているのでございますから、再度この措置を生かすべきではありません。それでは何のことはない、地方負担赤字公債脱却ということではありませんか。大蔵自治、両大臣の見解を伺いたい。  次は、キャピタルゲイン課税について。  六十二年九月の大蔵委員会で、株の売買で九億九千万円の利益を上げても、その人が一銘柄だけの場合には課税にならないという答弁を承っております。ですから、私は、こういうものに課税することが不公正税制の解消だと申し上げましたところ、大蔵大臣は、キャピタルゲイン課税するとすればマイナスのときにそれを差し引かなければならなくて、税務行政上極めて大変だという考えを示されました。  そこで、御提案申し上げます。  先日、オーストラリアの大蔵省を訪ねた折、キャピタルロスキャピタルゲインのあったときにのみ差し引いて、他の所得との差し引き勘定には使わないという方式をとっていることをお聞きいたしました。こういう方式をとれば、昨年、大蔵大臣お答えになったようなキャピタルロスの場合の事務的な煩雑は避けられると思います。ですから、いろいろ知恵を働かせて、十億近い利益に一銭の税もかからないというような社会的な不公平をまず是正していただきたい。  税制改革は一括だというのは、政府があくまで間接税を導入したいという下心のための理論づけにほかなりません。日本社会党は、税制改革に何でも反対というのではありません。ただ、今指摘したような税の不公平にメスを入れて、それによってまず所得減税に手をつけ、二十一世紀に向けての対策としては、出るをはかって入るを制すという財政の大原則に従って十分時間をかけて検討すべきだと言っているのであります。そんなに急いでどこへ行くか、間接税借金のしりぬぐいに行くでは困るのであります。二十一世紀を目途にした財源対策は、二、三年かけて衆知を集め、後世に笑われないものにすべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。  次に、発展途上国累積債務問題。  大蔵大臣は、国際通貨基金あるいは世界銀行が発展途上国累積債務を事実上買い上げる形で債務国負担を軽くする構想を蔵相会議の中で各国に打診しております。私は、このことに必ずしも反対するというわけではありませんが、財確法案審議と並べてみますと、ちょっと変な気分がいたします。  いいですか、この法案が通ると、政府はシンジケートを通じて金融機関に債券を買ってもらう、つまり借金をするわけです。国はお金がなくて苦しいから、利息だけは払えるけれど、本来十年で返さなければならない赤字債も借りかえをして、ますます借金がふえていくという状態にあります。大変苦しい。しかも、国債のほかに、厚生年金繰り入れ特例地方交付税特別会計資金運用部借り入れなど、いわゆる先送りした隠れ借金、これも二十兆円以上あるという状態です。  そんな苦しい政府が、お金を借りている金融機関に助け舟を出そうというわけです。まあ、金融機関も国の政策協力して二千億ドル以上も貸し込んだわけですから、借金利息を返すためにもっと借金させてくれという国もあるので、その対応が困難なことはわかります。  その上、一ドル百二十五円に換算して二十五兆円にも上る貸し出しです。これが一ドル二百円のときに貸した金なら十五兆円の目減り、百七十五円のときに貸した金でも十兆円の目減りですから、国に協力したばかりに大変だと言っていると思います。  だから、私は、昨年もこの壇上から、円もそろそろ基軸通貨としての政策へ踏み切るべきだと提言いたしましたが、宮澤大蔵大臣は、なかなか難しい問題がたくさんあると言ってまともに受け入れてはくれませんでした。ドル高になったときのデメリットはもちろんありますが、円建てであれば十五兆円も十兆円もの目減りは出ないはずです。基軸通貨にするためには、平価切り下げというような大きなハードルについても真剣に考えなければならないでしょう。こうした兼ね合いについて、大蔵大臣考え方をこの機会にもう一度お伺いいたしておきたい。  それから、農家借金も何とかしてください。これだって、政府構造改善政策に従って四国や九州でミカンをふやし、北海道で牛をふやしたりなど、金融機関と同じように国の政策協力したのです。国の補助事業つまり国が奨励した事業が原因でできた借金肩がわりも満足しないで、自由化だけ先に進めるのは断じて許せません。これは農林水産大臣質問するところですが、きょうは出席しておりませんので、総理、かわってお答えください。  最後に、もう一点。  総理、あなたは明後日からのイタリア、イギリス等、六月にはカナダでのサミット後ヨーロッパへ、八月には中国と、精力的に首脳外交を展開しつつあります。  ところで、今、人類は従来の経験律では全く予測できない科学技術の進歩、宇宙化時代対応する国際問題等、暗中模索の状態にあります。それだけに、経済大国日本総理に求められるのは、地球人類の未来に対する責任、人類がこの地球という小さな星の中で果たすべき使命、世界観哲学に裏打ちされたにじみ出るような人間像と世界政策ではないでしょうか。  少なくとも、国際政治の現実の中でもそうした目的意識に裏打ちされた哲学が必要ではないでしょうか。その上で初めて具体的な貿易摩擦発展途上国累積債務原発事故による食糧汚染への恐怖、相次ぐ国際テロ対策、平和と軍縮へのかかわり等々の問題と取り組むことができると思うのであります。竹下総理のリーダーシップがいかなるバックボーンによって支えられているのかを国民の前にぜひお示しください。  そして、文部大臣総理がせっかく海外で努力しても、国内の留学生問題がうまくいかなければ効果は半減します。  実は、文部省発表留学生数は二万二千人ですが、これは短大以上に在学する留学生であって、そのほかに日本語学校に通っている二万人近い就学生がおります。これらの日本語学校は約五百校ほどありますが、設置基準もなく簡単にビザが取れて、二年間に切りかえができるということから、大学に行く目的以外の人たちが単に働くために来日しているという事実も多くあります。これが法務省用語就学生という扱いになっております。  ここにいろいろの問題が起こり、最近留学生には部屋を貸すなというようなことにまで発展してきて、まじめに勉強している留学生が憤慨しております。設置基準もない日本語学校を野放しにしている日本政府、特に文部省に対して批判が高じて、反日感情も高まっております。文部大臣は、短大生以上の二万二千人を対象とした留学生対策を考えるだけでなく、日本語学校就学生二万人に対しても留学生対象の枠内として対応していく必要があると思われますが、いかがでございましょうか。  そして、総理貿易黒字国、つまりお金持ちになった日本が、なぜ財政に困って財確法のような法案を毎年提案しなければならないのか、お金をもうけている人たちからなぜ税金が取れないのか、こうした外国人の素朴な疑問にもどうか答えてください。  それから、もう一つ。  この財確法提案は、これを予算案と同じようにできるだけ並行審議ができるようにすべきものだと思います。地方自治体に対してはそういう法律がありますが、国にはそれがないからといって、財確法というような予算関連法案をいつでも予算案が決まってから審議するというのは決して正常ではありません。総理には提案権があります。どうか財政法に従って十二月中にでも予算案並び関連財確法等法案を議会に提案して、並行して審議ができるような状態をつくるように御協力願いたいと思います。  以上申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 多岐にわたる質問でございましたが、整理いたしまして、まず私の方からは増税なき財政再建という問題についてお答えをいたします。  御指摘のとおり、我が国財政は百五十九兆円に上ります国債残高を抱えて、歳出予算に占める利払い費の割合が二割を超えるなど、極めて厳しい状況にあります。御指摘のとおりであります。財政改革を強力に推進して、財政対応力回復を図ることが喫緊の課題であると私も思います。そこで、まずは新規の特例公債発行をゼロにするための六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標達成に向け最大限の努力を今日までも払ってまいりました。  今後とも、この努力目標達成に向けて既存制度施策見直しを含め、経費の徹底した節減合理化に努めなければならない、このように考えます。既発公債についても、今後ともその円滑な償還を行ってまいる所存であります。  それから次の問題、地方財政。これは大蔵大臣自治大臣からお答えをいたします。キャピタルゲインもそうであります。  それから債務累積問題と財確法円高問題につきましては、大蔵大臣からそれぞれお答えがあると思いますが、円高の恩恵の面について私から触れてみたいと思います。  我が国経済内需を中心として着実に拡大してきている背景といたしましては、これまでの円高進展等によりまして物価安定の効果、これが経済全体への浸透という点もある、このように私は思っております。したがって、これからの経済政策運営には物価安定への努力、これをしていかなければならないと考えます。  その次が、農家負債の問題についてお尋ねがございました。  負債対策重要性につきましては、かねてより私も承知をいたしております。各種金融措置、そして個別指導など、種々の経営改善対策の一層の推進に積極的に今日までも努めておりますが、今後とも農家の負債問題については、個々の農家の実情に応じて対応するという基本姿勢で取り組んでまいる考え方であります。  次の問題は、これから私の外交日程がございます。これについての考え方を問うということでありました。  外交問題に対するお考え方、傾聴すべき意見だと私も承らしていただきました。  なかんずく、相互依存がますます深まっておる今日の国際社会におきましては、自分本位な行動は許されない。各国が互いに痛みを分かち合いながら、国際社会の中でともに長期的な繁栄を確保していくことが重要である、このように考えます。  今や国際秩序の主要な担い手の一人となった我が国といたしましては、懸命に汗を流して日本の豊かさと活力というもので世界に貢献する、こういう立場を貫いてまいりたいと考えております。  その次の問題は、留学生就学生文部大臣からお答えがございます。  私どもといたしましては、先般、留学生対策閣僚懇談会をつくったということだけに私からはとどめさせていただきます。  それから、金持ち日本財政赤字アンバランスとでも申しますか、そういうことに対する御意見もございました。  我が国財政は、石油ショック後の景気の落ち込みと税収の伸び悩みの中で、大量の公債発行によって各種公共サービスの拡充、そして景気回復を図ってきたわけであります。それで今度は公債残高が累増した、こういう結果をもたらしてきております。したがって、御協力をいただきながら、既存制度施策見直し等により毎年毎年節減合理化に努めてまいりました。六十三年度予算においても、特例公債の減額を図るなど、着実に努力目標達成のために努力をいたしております。  現行税制におきましては、企業や個人の所得に対して適正な税負担を求めておるところでありまして、いわば特定のところに貿易黒字というのが偏在しておるということではなく、この点は課税の公平、税制経済に対する中立性といった点からも我々としては関心を持たなければならないところでございますが、いずれにせよ、財政が厳しい状態にあり、全体の経常収支というのは御指摘のような状態にある、そういう側から見たときのある種のアンバランスというのを国民一人一人が心の中で調整していく必要があるのではないか、このように考えております。  それから、いつもの御質問でございますが、最後予算関連法案提出審議の問題でございます。  財確法というもの、丸谷さんから質問を受けるのも七年間でございます。最初の五年は私で、二年は宮澤大蔵大臣でございましたが、本当にこれだけ毎年財確法質問をこうして受けるということは、それこそお互いが財政赤字というのは大変な問題だよという問題意識が強いからであろうと思っておりまして、不規則発言の中で原稿なしでやれという発言が私にも聞こえてまいりましたが、本当によくおわかりになっておると私も思います。  したがって、予算関連法案として、少なくとも財確法予算提出と同時期に出すということを習慣づけてきておるわけでございますが、他の法案につきましてもいろいろ工夫しまして、いわゆる予算関連法案は別の形で可能な限り早く国会に提出するという習慣が今や定着しつつあるのではないか、ある意味において御評価いただければ幸いである、このように考えます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 円高の問題について私からお答えするようにという総理の御答弁でございました。  確かに、私は丸谷議員の言われますことはそのとおりであろうと思います。円高が急速に進行いたしましたために卸売物価が急速に下落をいたしまして、一番大きいときは一〇%以上前年対比で下落したわけでございますから、これが消費者物価等を通じて物価安定に寄与したことは間違いのないところであると思います。その還元が十分である十分でないという議論はございますけれども、しかし、これによって輸入する原料、燃料、材料が下落したことは間違いのないことでございますし、もう一つ我が国周辺のいわゆる新興工業国から、為替差がこれらの国に有利になりますので、我が国に対する工業製品の輸入が非常にふえた、それもしかも安いという状況もこれに加わったと思います。  ですから、おっしゃいますことは事実でございますが、同時に、おっしゃいますように、通貨量は非常に高い。マネーサプライが一一とか一二とかいうことは、これはやはり普通に考えますとかなり高い流通量でございますから、私はインフレの心配があると思ってはおりませんですけれども、この高い流通量には絶えず注意をしていく必要があると思います。この一、二年の財政経済運営が一方において円高によっていろんな意味でいい影響を受けた面があるということは、私はおっしゃるとおりであると思います。  それから次に、財源対策をどうして急ぐのかというお話がございましたが、このたびの税制抜本改正は、やはりシャウプ以来四十年近くたちまして、御指摘のような不公平感であるとか重税感であるとかいうことがやや耐えがたいところまで来ていて、直間比率も非常に大きく直接税に傾いたというこの時点で直さなければならないということは、多く国民の思われるところだと思いますが、同時に、この時代がまた十数年先に高齢化社会を迎える時点でもございますから、それらを展望いたしまして、この際抜本的に改正をお願いいたしたいと検討しておるところでございまして、それは財源対策と申しますよりは、むしろそのような税制全体のこの際改正をしたい、そういう方に私どもの考え方の重点がございます。  それから補助率引き下げのことでございましたが、六十一年から三年間引き下げをいたしますときに、関係各省庁で検討、協議をいたしましてこれは暫定措置といたしたわけでございますから、明年は暫定措置が切れるわけでございますので、できるだけ速やかに関係各省庁で協議をいたしたいと考えております。経済情勢、国、地方の行財政の配分の問題等々を勘案しながら、できるだけ早く協議を始めたいと考えております。  次に、キャピタルゲインの問題で大変に示唆に富んだお話がございました。  キャピタルゲインを、今政府税調では素案といたしまして、これは原則課税にすべきである、納税者番号制度には時間がかかるかもしれないから、これと切り離した形で早期に結論を得たいと言っておられるわけですが、申告納税で行われます場合に、キャピタルゲインがあればキャピタルロスもある、その場合キャピタルロスを引くべきではないかという議論は有力な議論としてございます。  それから、仮にキャピタルロスの方が大きかった場合にはこれはどうするかという問題が御指摘のようにございまして、キャピタル、つまり有価証券の売買益を普通の所得と別のものだと観念するならばキャピタルロスが多くてもその赤字分はそこでとまりでいいではないかというお考えになると思います。しかし、他の所得所得という意味では同じだということになれば、もしロスが大きければ他の所得の方へそのロスも繰り込ませて引くべきではないかという議論もあり得ると思います。  これは、いずれにいたしましても私は立法論の問題であると考えておりまして、今後そういう段階になりましたときにまた政府としても検討をし、また御検討もいただきたい。その際に、御指摘になりましたことは大変に参考になることでございます。  次に、累積債務の問題は、やはり債務国の自助努力あるいは民間銀行、国際金融機関及び先進国側、債権国側というものの共同の努力の中で、現実には国によってケース・バイ・ケースで片づけるより仕方がないということなのでございますが、先般、私がIMFの暫定委員会の機会に累積債務を買い上げたらいいだろうと申したのではございません。  これは、いろいろ影響が大きゅうございますので申し上げさせていただきたいのでありますけれども、やはり基本的にはケース・バイ・ケースでやるべきである。私の言おうといたしましたのは、我が国のように国際機関中心の国は、このような仕事は国際機関がもう少し積極的に参画をして、我々は国際機関を助けるという形でそれに入っていくという方が国民感情としては実は受け入れやすい。ラテンアメリカの国というのは比較的遠い国でございますので、そういう我が国国民感情もある日本としては、一生懸命やりたいが、そういうことを検討してくれるべきではないかということを申しました。  これは、なお、その金融機関そのものを救済すると申しますよりは、やはり世界におけるそれだけの累積債務国の現状は世界経済全体に影響がございますので、それをどうかいたしたいというのがもとより本意でございます。  おっしゃいますように、日本政府自身が借金をしておるわけでございますから、よその国の借金まで手が回るかという、そういう国民感情は私はあると思いますので、したがいまして、余計そこは国際機関を中心に我が国が寄与していくということの方が受け入れられやすいのではないかというふうに思っておるわけでございます。  最後に、円の基軸通貨の問題についてお話がございまして、円がもう少し大きな国際的役割を背負うということは、私はそれ自身にはもとより反対ではございません。そのために、円取引をめぐる自由化というものを国内でも今日のように進めてまいりました。ただ、現在の段階では、やはり決済通貨としては、円は輸出はともかく輸入には一けた、まだ一〇%使われておらないというのが今日の現状でございますから、やはりもう少し円が決済通貨としても使われるように、それは結局市場の自由化ということにかかると思うのでございますが、それを推進してまいりたい。その結果として円が少しずつ大きな役割を担う、そういう道を広げていきたいと考えておるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  9. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) お答えをいたします。  私に対する質問は、六十四年度以降の補助負担率の取り扱いの問題でございますが、ただいま大蔵大臣からも御答弁がありましたように、国庫補助負担率の引き下げは、国の極めて厳しい財政事情を背景として六十三年度までの暫定措置として行われておるものでございます。したがって、六十四年度以降の取り扱いについては、原則としてもとの補助負担率に戻すべきものでありますけれども、具体的には六十四年度予算の編成過程において関係省庁で協議の上定められるものと理解をいたしております。  自治省としては、各事業の性格、国庫補助負担制度の意義等を踏まえつつ、国としての責任が全うされ、地方財政の健全かつ安定的な運営が確保されるように検討を進めていく考えでございます。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  10. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 留学生就学生問題について御指摘でございました。  総理からもお話がありましたように、このたび関係閣僚懇談会を開いていただきまして、各閣僚が連携を密にしながらその対策に当たるという会議を発足させていただいたわけであります。文部省としては、大学、短大等で学んでおられる留学生対策、これはまさに重要な問題として取り組んでおります。  先生の御指摘は、主に就学生の問題でございました。日本語学校等で学んでおられるのはいわゆる就学生にとどまらないことは御存じのとおりで、留学生の方々、就学生の方々、あるいは外国子女の方々、あるいは中国等の引揚者の方々等、多種多様でございます。また、就学生そのものの学習目的が多種多様でございます。一方、日本語学校の設置形態がまた多種多様でございます。  簡単に申しますと、専修学校あるいは各種学校で日本語教育を行っておりますもの、これは文部省の専修学校設置基準各種学校規程に基づいて設置が許可されております。そのほか、そういう設置基準のないもの、例えば株式会社、団体、個人等で設置されている日本語学校が百五十機関以上ございます。そこでは設置基準がございませんで、さまざまな日本語教育が行われているのが事実でございます。  文部省としては、これらの日本語学校の教育水準が向上いたしますように、研究協力校の指定ですとか、日本語教員の養成、日本語教育研究協議会の開催あるいは日本語教育能力検定試験、日本語の教授法、教材の開発等の施策を実施しているところでありますが、さらに本年度におきましては、日本語学校の質的な向上を図りますために、その教育内容とか教育期間等につきまして標準的な基準を策定してみよう、そのための検討に着手することといたしております。  今後とも、法務省等関係各省庁と連絡を密にしながら対策を図ってまいりますが、その就学生諸君を留学生対策の枠内で見られないかという最後の御質問でございますが、これは学習目的が今申したように多種多様にわたっておりますので、さらに実態把握に努めまして、慎重に研究することといたしたいと思います。  以上でございます。(拍手)     ─────────────
  11. 藤田正明

    議長藤田正明君) 和田教美君。    〔和田教美君登壇拍手
  12. 和田教美

    ○和田教美君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十三年度財源確保に関する法律案及びそれに関連する問題について、総理並びに大蔵大臣質問いたします。  最初に、竹下総理の真意をただしておきたいのは、去る十八日の内閣記者会との懇談の席における総理発言についてであります。  その際、総理は、六十三年度減税についてあくまで税制の抜本改革の一環として実施する考え方を述べて、減税法案だけを切り離して今国会に提出することに否定的な意向を示されました。しかし、これは三月八日の与野党国会対策委員長会談での、六十三年度減税のための法案は今会期中に処理するよう最大限努力するという与野党間の約束を総理・総裁みずから踏みにじるものであります。しかも、この発言は、六十三年度減税は野党要求の規模の所得税等はこれを実施するという、去る十二日の自民党回答をも空文化するものであり、六十三年度減税を大型間接税導入のてこに使おうとする意図が露骨であります。  我々は、このような術策のみが目立つ不誠実な態度を到底容認できません。十八日の発言を撤回し、直ちに六十三年度減税法案の協議を進めるよう要求するとともに、公党間の合意や約束を一体どのように考えておられるか、まず総理の見解を伺っておきたいのであります。  政府・自民党は、野党の減税要求について引き延ばしを図りながら、一方で大型間接税の導入を軸とする税制改革については異常な熱意で政府税調や自民党税調の審議を急がせております。シャウプ税制改革以来の抜本的税制改革は、国民各界各層の利害に密接にかかわる問題であり、それだけに、なぜ今税制改革が必要かとの理念を広く国民に理解してもらわなければなりません。  ところが、政府・自民党の今日までの税制改革の経緯を振り返ってみますと、大平内閣は財政再建を理由に一般消費税を打ち出し、これが国民の反撃を受けてつぶれると、鈴木内閣では増税なき財政再建に変わりました。戦後政治の総決算路線の一環として税制改革を位置づけた中曽根内閣は、売上税の導入を強行しようとしましたが、これまた公約違反で失敗に終わりました。  そこで、竹下内閣は長寿・福祉社会の実現のための税制改革を旗印に掲げております。なぜ内閣がかわるたびに、数年間の短期日のうちに税制改革に関する理念がこのようにくるくる変わるのでしょうか。これでは自民党政権の税制改革に関する基本理念が一体どこにあるのか、国民には全く理解できないのであります。  総理は、事あるごとに国民の納得の得られる改革案づくりを口にされますが、竹下内閣における税制改革の進め方も、改革の全体像を示して国民の理解を求めるという正道を踏み外しております。そればかりか、政府税調を隠れみのに世論誘導を策し、国会では意味不明の答弁を繰り返しています。そして、明確なのは、まず初めに新型間接税の導入ありきということだけであります。  しかも、その内容は、昨年、国民世論の反撃によって廃案になった売上税と本質的には何ら変わっておりません。総理の言う国民の納得の得られる改革案とは、要するにEC型あるいは一般消費税型付加価値税のいずれにせよ、将来にわたって大増税必至の大型間接税の導入を強行することを意味するのか、明確な答弁を求めます。  税制改革については、世論調査でも大多数の国民はその必要性を認めております。しかし、同時に、まず優先すべきは現行直接税内の不公平の是正であるとしております。したがって、真っ先に取り組むべき問題は、直接税の中に存在する多くの不公平にメスを入れることであります。例えば、有価証券譲渡所得などキャピタルゲイン、あるいは大都市の地価の急騰により多くの含み資産を持った大法人などの資産に対する課税の適正化であります。ところが、今回の改革案では、税調素案に見られるように、これらの不公平是正に向けての取り組みは全く希薄で、申しわけ的であります。政府はこのような不公平をいつまで温存させておく気か、総理大蔵大臣答弁を求めます。  六十二年度の税収は好調で、現在のペースで進めば、第二次補正後に比べ、さらに二兆数千億円の自然増収が予想されます。政府は、かねてより自然増収はまず特例公債の減額に充てるとしてきました。しかし、自然増収は本来税の取り過ぎですから、減税という形で国民に返すのが当然であります。殊に、六十二年度第二次補正で赤字国債の減額を図った直後であり、今回は減税財源に使うべきです。  また、NTT株式の売却益も、六十三年度以降三、四年間は減税財源として使えるものであります。さらに、今も指摘したように、キャピタルゲイン課税のほか、大法人の持っている土地の含み資産益に対して数年間にわたり資産再評価税を課すなど、資産ないし資産性所得に対する課税の適正化を速やかに実行すべきであります。以上挙げた財源を組み合わせることによって、大型間接税を導入しなくても大幅な所得税減税の恒久的財源確保できると考えます。総理大蔵大臣答弁を求めます。  ほとんど絶望視されていた昭和六十五年度特例公債脱却という財政再建目標が、税の自然増収の伸びに助けられ、現実味を帯びてきました。しかし、仮に六十五年度特例公債発行ゼロという目標が達成できたとしても、私がさきに予算委員会で指摘したとおり、それは後年度への負担の繰り延べや地方財政、特別会計へのツケ回しの結果であって、多分に見せかけの財政再建でしかありません。国債費の定率繰り入れ停止分を含め、二十四兆円ものツケ回し、先送りの借金をどう処理するのか、お答えを願います。  また、大蔵省の中期的な財政事情の仮定計算例によれば、この財政再建は六十四年度以降一般歳出の伸びを〇・七%以下とほとんどゼロに抑え、国の財源不足を補うため三年間限りの緊急避難措置として導入された社会保障や公共事業補助率削減を六十四年度以降も継続することなど、容赦のない歳出削減策が前提にあって初めて可能となるというものです。  五十八年度から続いているマイナスシーリングは、防衛費などは別枠扱いで異常突出させながら、福祉、社会保障、文教、雇用あるいは中小企業などの予算を厳しくカットしたため、いわゆる財政の二極分化を一層促進する結果となりました。財政の二極分化を是正するためにも、概算要求基準、つまりシーリング方式は見直すべき時期だと思いますが、総理大蔵大臣の御意見を伺いたい。  さらに、一律圧縮型の歳出削減がもはや限界に来ている中で、六十四年度の概算要求基準はどう設定されるのか、あわせて大蔵大臣の見解を求めます。  また、国債の累計残高は、六十三年度末で百五十九兆円、対GNP比四三・五%、年間利払いは十一兆円と大きな負担になっております。国債残高を減らすことが重要な課題であることは言うまでもありません。しかし、私はそれによる負担を一方的に国民大衆に押しつけるやり方には反対です。  むしろ、今後の財政運営は、住宅の質的改善、国民生活に密着した社会資本整備を柱とする公共投資の拡大などと並行して、積極的に所得、消費を増加させて内需をさらに拡大し、それによって税の自然増収を確保することです。またそれこそが財政再建を着実に進める道であると考えます。国債依存度を一〇%以下にすることもまた可能になるというふうに考えるわけでございます。しかし、そのためには、六十六年度以後どういう目標で取り組むかなど、実効性のある長期的な財政再建計画を速やかに策定する必要があると思いますが、総理大蔵大臣の見解を伺いたいのであります。  最後に、日中平和友好条約締結十周年に当たり、いよいよ友好関係を深めていかなければならないときに、今回の靖国神社参拝をめぐる奥野国土庁長官の発言は極めて重大であります。中国を初めアジア諸国との友好を阻害するものであります。竹下内閣の外交姿勢とその責任を問われるものと言わざるを得ないのでありますが、総理はどう考えておられるのか、奥野発言の内容についての見解、他国の指導者への非礼、長官の責任問題も含めて明確な御見解をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、私に対する第一の質問は、四月十八日の内閣記者会との懇談の際の発言が新聞に報道されたことについての内容に基づくものであります。  そもそも、公党間の合意、約束、これは大変に重いものであります。減税問題については、三月八日の与野党国対委員長会談合意に基づきまして与野党間でさまざまなお話し合いが行われ、四月十二日の与野党国対委員長会談では、六十三年度の減税については野党三会派の要求する規模の所得税等はこれを実施するとの合意がなされておるものと承知しております。六十三年度減税問題については今後の与野党間の話し合いを見守ってまいりたい、これが基本的な考え方であります。  そこで、私の発言についての報道は、かいつまんで申し上げますと、従来、昭和五十二年度、五十三年度、御記憶の方が多いと思いますが、いわゆる前年度剰余金を当てにした戻し税を行ったことがあります。そうして、その後、その反省から与野党の協議がなされ、五十六年度でございましたか、いわゆる、俗にラーメン減税と言われました、今年度税収の中から年末に調整するという戻し税をやったことがございます。その後、やはり戻し税というものでは恒久性がない、こういうことからいたしまして、専業主婦控除の一部を前倒しする形における減税というものが大蔵委員会等で議論され、それが実施されたことがございます。  したがって、やはりそのように所得減税というものは恒久性のあるものにつながることが好ましいという与野党の御議論を踏まえて私がややレクチャーの形で行った、こんなことでございます。  それから、税制改革の理念についても、今日まで要するに、いわゆる一般消費税(仮称)は、国民福祉充実のためには安定した財源が必要であるという前提から行われた、こういろいろ歴史的な経過をお述べになっての考え方でございましたが、やっぱり私は、それなりに政策の継続性は存在しておるというふうに思っております。  高齢化社会の到来、そして経済社会の一層の国際化、そこで税制改革そのものは避けて通れない。シャウプ税制以来いろいろなひずみ、ゆがみができて不公平感が出ておる、だから所得、消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築することが必要だ、こういう考え方であります。  そこで、五十九年末の税調答申におきまして指摘されたそういう必要性が、それが六十年九月、中曽根総理からの諮問を受けて精力的な審議が行われまして、そして六十一年十月に「税制の抜本見直しについての答申」が取りまとめられ、その一部は去年の秋の臨時国会において実現を見たわけでございますが、しかし道半ばであるという今日の状態です。したがって、その後いわば廃案になったりいろんな事態が起こったという事情をも十分認識の上に、さらに今度は税制全般について所得、資産、消費均衡のとれた審議を今税調でお願いしておるということになるわけであります。  したがって、これで見ますと、一般消費税はこれは御案内のとおり安定的財源ということが念頭にあった。だから、本院においても、一般消費税をやめるときにも安定的財源確保は必要である、こういう決議をしていただいているわけです。そこで、その中に、まずは行政改革をやれ、こう御決議をいただいておる。その行政改革をやるためには退路を遮断しなければならぬというのがいわゆる土光臨調の増税なき財政再建を旨として行政改革をやれよ、こういう御提言であったと思うわけであります。それが今日まで続いてまいりました。  中曽根内閣は抜本改正を手がけ、そしてそれは昨年の臨時国会でその一部は成就いたしましたが、多くはこれが廃案等になった。これを今もう一遍税調で、基本的には国民不公平感というようなものを意識しながら、もろもろの事情を加味して御審議いただいておる、こういう経過をたどっておる。したがって、政策の継続性というものは私は存在しておるというふうに思っておるところでございます。  間接税ありきと、こういうことをおっしゃっておりましたが、租税の税率というのはこれはまさに国会における審議、議決が必要なものでありまして、国会こそが税率引き上げの最大の歯どめであるという考え方でございまして、まず間接税の導入ありき、そして税率の引き上げありきなどということは全く考えておりません。  それから、不公平税制の是正は、直接税内におけるいろいろな不公平があるじゃないか、これは税制調査会等からもこの負担の公平の確保ということでいろいろ御指摘がなされておるところであります。  それから、所得税減税。恐らく恒久的所得税減税の問題についてもいろいろな財源があるではないか、こういうお話でございました。各方面の議論を踏まえて引き続き検討すべき課題である。  そして、財政の二極分化傾向というお話もございました。これは大蔵大臣から前の税制問題を含めてお答えがあろうかと思っております。  それから、六十六年度以後きちんとした対応をしろ、一口に言えばそういう御叱正でありました。今のところ、とにかく六十五年度までの第一目標を達成しようということで一生懸命やるべきだと思っております。  それから、最後に奥野発言の問題の御指摘がございました。  御指摘の奥野国土庁長官の発言が、中国の新聞等の批判的反応を招くという事態となったことは遺憾に存じております。政府としましては、戦前の我が国の行為が国際的には侵略であるという厳しい批判を受けているという事実を十分に踏まえ、日中共同声明の中で述べられておる過去の歴史に対する認識にいささかの変化もないということを改めて確認したいと考えております。  なお、靖国神社公式参拝問題に関する政府の立場は、これは既にたびたび明らかにしておりますように、公式参拝の実施を願う国民や遺族の感情を尊重することは政治を行う者の当然の責務でありますが、他方、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切な配慮をしなければならないという基本的なことをたびたび国会でも申し上げておるところであります。  詳細にわたっては、担当大臣からお答えがございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税制改正に当たりましては、いわゆる不公平感の除去というものが何よりも先決であるという国民の声が高いことは私どもも強く感じておりまして、このたび改革案の検討に際しまして、そのことは大変に大事なこととして考えております。  また、税制調査会におきましても、その点について幾つかの指摘がございまして、まず御指摘のいわゆる直接税内の不公平是正でございますが、有価証券の譲渡益課税を原則として課税にする、あるいは社会保険診療報酬についての特例に問題がある、またみなし法人課税制度のあり方についても言及がございます。  それから、これは不公平感と申しますより重税感と言う方がよろしいかもしれませんが、個人の所得税、いわゆる中堅層の重税感が非常に強いということについても、税率構造あるいは控除等で改めていきたいと思っております。  法人税につきましては、例えばすぐに要らない土地を買って値上がりを待っておる、その借入金の金利が経費になるのはおかしいではないかというような指摘、これもそのとおりと思います。何か制度を設けなければならないと存じます。  それから、相続税については、養子縁組をたくさんして相続税を軽くするということも、何とか税の立場から防ぐ方法がないかということにつきましても考えなければならないと思っておりまして、いわゆる不公平感是正がこのたびの税制改革の先決題間であるということは強く感じております。  それから、恒久財源のことでございますが、これは何度も申し上げましたのでくどくなってもいけませんが、NTTの売却益というのは、今、御承知のように、昨年お認めいただきました法律によって処理をさせていただいておりまして、これを減税財源にすることは、いっときの収入であることもありまして、どうも適当ではないのではないかというふうに考えております。  それから、自然増収が仮に出ましたときには、全体としてはやはり特例公債に依存しているわけでございますから、自然増収が出ました分だけは発行を予定しております赤字公債発行を取りやめるということがまず第一にすべきことであろうと考えております。これは金利のつく金でございますから、この点は御同意いただけるであろうと存じます。もし自然増収が出ましたら、まだ発行を控えておりますものがございますので、まずその分を取りやめたいと思っております。  それからなお、財源として資産、いわゆる企業の持っております土地の値上がりに対する課税にっいてでございますが、これも以前に申し上げたことがあるかと存じますが、所得課税として考えれば、このキャピタルゲインは実現をしていない含みでございますから、担税能力ということについて問題が当然にあるだろうと思いますし、そのような含み資産を保有しているという意味であれば、これは固定資産税等保有税の役割になるのではないか。現実の問題といたしまして、大きな土地を持っておりますのは概して基礎産業でございます。装置産業でございますが、これは我が国経済のやはり基礎でございますが、必ずしも好況ではございません。ということで、そういうところに大きな影響が出るのではないかということも考えなければならないと存じます。  それから、財政がいろいろ後年度に問題を残しておるということは御承知のとおりでございます。いろんな意味で工夫、やりくりをいたしましたから、かなり大きなものを表面に出ない形で後年度に残しておるということは御承知のとおりでございまして、それだけいわゆる財政再建というのは根が深い問題だと思っております。  それはそういう事情でございますので、やはり今後とも節減合理化を図っていかなければならないと思っておりますが、その中で定率繰り入れをその一つに数えるかどうかということにつきましては、これは法律でもって停止をさせていただいておりますが、国債償還には国債整理基金は資金繰り上も支障がなく動いておりますので、繰り入れ停止しました分何年間かを今後国債整理基金に返さなければならないという関係にはない、このことは和田議員もよく御承知のことと存じます。  それから、今後、来年度でございますか、いわゆるシーリング等々の概算要求基準をどうするかということでございますが、今の段階ではまだ考えをまとめておりません。シーリングということにもいろいろそれなりにメリットもあり、また弊害もありということは存じておりますが、何分にも特例公債を六十五年度までには脱却してしまいたいということを現実の目標として考えておる点もございまして、六十四年度の概算要求基準もそういう意味ではなかなか緩めることは難しいのではないかというふうに思っておりますけれども、なおまだ最終的に決定をいたしておりません。  今後、もっと長い時間を見ながら財政の再建を考えなければならないということは、そういう計画を考えなければならないということはそのとおりだと実は思っておりますのですが、まず六十五年に特例公債脱却のめどがつきましたならば、その後の公債依存度の引き下げ等を含めまして、また先ほどお話しの、いわゆる一時的に措置をいたしました後年度に残しております部分がございますから、それもあわせまして、歳出歳入を見通しながら、やがて少し長期の財政再建の計画を考えなければならない時期が来る、そのためにもぜひ六十五年度には特例公債脱却いたしておきたいと考えております。(拍手
  15. 藤田正明

    議長藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  16. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、日程に追加して、  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。宇野外務大臣。    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  18. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 本年三月二日に東京において署名いたしました日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。  政府は、日米両国を取り巻く最近の経済情勢の一層の変化にょり、在日米軍経費が著しく圧迫されている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保することを目的として本年一月以来、米国政府との間で交渉を行いました結果、三月二日に我が方本外務大臣と先方アンダーソン駐日臨時代理大使との間でこの議定書に署名を行うに至った次第であります。  この議定書は、現行の日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の第一条が、在日米軍従業員に支給される調整手当等に要する経費我が国による負担について当該経費の二分の一に相当する金額を限度とすることと定めておりますところを、当該経費の全部または一部を負担することに改めることを規定いたしております。なお、この議定書は、前記の協定の効力の存続期間中、すなわち一九九二年三月三十一日まで効力を有するものとされております。  日米両国を取り巻く最近の経済情勢の一層の変化により、在日米軍経費が著しく圧迫されている事態の中で、この議定書締結を行うことは、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持及び在日米軍の効果的な活動の確保に資するものと確信しているところであります。  右を御勘案の上、この議定書締結につき御承認を得られますよう格別の御配慮を得たい次第であります。  以上が、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  19. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松前達郎君。    〔松前達郎君登壇拍手
  20. 松前達郎

    ○松前達郎君 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました日米地位協定第二十四条についての特別協定改正議定書につきまして質疑を行うものであります。  政府は、我が国防衛政策の枠組みとして、平和憲法のもと、集団的自衛権の不行使、専守防衛、非核三原則、武器輸出三原則、海外派兵の禁止等を基本とすることを表明してまいりましたが、日米安全保障が発効して三十六年間の現実の推移は、これらの原則の形骸化の歴史であったと言っても過言ではないと思うのであります。特に、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインが作成されました昭和五十三年以降の十年間には、日米共同作戦計画、シーレーン防衛、極東有事、相互運用性等の共同研究が進められ、また今年一月には、有事来援の共同研究が合意されましたが、それらの内容は国会にも国民にも知らされないまま、日米安全保障体制が変質化されつつある現実に危惧の念を抱かざるを得ないのであります。  在日米軍経費日本負担につきましては、日米地位協定第二十四条において、日本側の負担とされる基地、施設の提供を除いて、在日米軍を維持することに伴うすべての経費日本国負担をかけないでアメリカ側が負担すると明らかに規定されているのであります。しかるに、政府は、本来アメリカの負担であるべき在日米軍従業員に支給される諸手当を肩がわりするため、昨年、特別協定締結し、今回さらにこの肩がわりを拡大しようとしていることは、地位協定趣旨を一層ないがしろにするものであり、対米外交のあり方から見ても極めて重要な問題をはらんでいると思うのであります。  私は、このような認識に立って、以下、総理及び関係大臣に具体的に質問を申し上げます。  第一に、本特別協定改正の経緯について、竹下総理にお尋ねをいたします。  今回、政府が在日米軍経費日本負担を増加することとしたのは、昨年十月七日に政府が決定した「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」によるものであることは明らかであります。そこには、「米国が、ペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている状況の下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う。」と明記されているからであります。  そこで、お伺いいたしますが、今回の特別協定改正は、中曽根内閣が決定したこの政府の方を具体化したものであることに間違いはないかどうか。もしそうであるならば、ペルシャ湾におけるアメリカの役割と在日米軍経費我が国負担増加とはいかなる関係にあるのか理解に苦しむものであります。アメリカは、アメリカの戦略に基づいて行動をしているのであります。また一たんこのような理由を認めることになりますと、我が国の防衛費はアメリカの戦略上の理由によってとめどもなくふえ続ける可能性がありますが、この点、総理はどのように認識されますか、お伺いいたします。  さらに、政府は、今回の措置がアメリカの要求によるものであることは明白であるにもかかわらず、あくまで我が国が自主的に決定したものであると主張しております。しかし、改正の背景となった為替相場の変動は、昨年の特別協定の成立以降一三%程度の円高となってはおりますものの、負担の限度を諸手当全額に引き上げるほどには上昇していないのであります。何ら切迫した事情もないのに協定発効後一年も経ずして改正を行うことは、余りにも定見のない無節操な態度と言わざるを得ないのでありまして、政府が自主的に決定したと言う以上は、その理由を明らかにしていただきたいのであります。  第二は、思いやり予算のあり方について竹下総理にお伺いいたします。  昭和五十三年度から実施されている我が国の思いやり予算は、この十一年間で二十倍となり、その総額は六千九百億円に達しようといたしております。本来アメリカが負担すべきであったこの巨額な費用が、政府財政再建の名のもとに国民生活関連経費が厳しく削減され、大型間接税の導入が図られようとしている我が国の困難な財政事情のもとでさらに増加されようとしていることは問題と言わざるを得ません。  今後、アメリカからの防衛費分担の要求はますます強くなると予想されるのでありますが、政府は、これにいかに対処されるつもりか。条約上の義務とはなっていない支出が思いやりという形でふえ続けることは、国民にとって許しがたいところであります。政府は、思いやり予算のあり方を見直すつもりはないのか、総理の見解をお伺いいたします。  第三に、政府の対米外交姿勢について、竹下総理及び宇野外務大臣にお伺いいたします。  昨年十二月十七日、アメリカ民主党のジョン・ロックフェラー上院議員は、議会で次のように演説をしたと言われております。すなわち、日本は現在、世界で六番目の軍事費支出国であり、一九九〇年にはイギリス、フランスを抜いて世界第四位になる。また日本の防衛費の伸び率は、過去五年間で実質五・六%となり、NATO諸国の一・八%をはるかに上回る。また日本の航空機は、米国がアジアで展開している全航空機よりも多く、艦船については米第七艦隊の二倍近い駆逐艦を保有している。さらに、日本は在日米軍駐留費の二十億ドルを負担し、これは米将兵一人当たり三万五千ドルで、NATO諸国のどの国よりも高いと述べているのであります。  自衛のための戦力とされている我が国自衛隊が、今や西欧諸国をしのぐほどに強化されているこの実態を総理はどうお考えでしょうか。  しかしながら、一方では、本年二月二日のアメリカ下院軍事委員会の同盟国の責任分担に関する部会公聴会で、リチャード・パール前国防次官補は、特に日本努力不足を取り上げ、強く我が国を非難したと伝えられているほか、貿易摩擦関連した日本の安保ただ乗り論は依然として根強いものがあると見受けられるのであります。  我が国防衛力の増強に加えて、在日米軍基地がアメリカの世界戦略にとってどれほど重要な役割を演じているかを考えますと、我が国の実態が安保ただ乗りとはほど遠いものであることは明らかであります。  アメリカからの防衛分担強化の圧力は、アメリカの議会、国民各層に我が国の実態が理解されていないためであり、その責任の一端は我が国政府にあると思います。政府は、アメリカの対日理解に対して積極的に行動するとともに、広くアメリカの各層に我が国の実態を知らせる努力をする必要があると考えるのでありますが、御見解を伺いたいのであります。  政府のこれまでの対米外交姿勢は、アメリカの一方的要求を唯々諾々と受け入れているように見受けられるのであり、このような姿勢はかえってみずから安保ただ乗り論を肯定する結果となっているのであります。安全保障はあくまでも国益優先でなければなりません。政府に毅然たる自主性を要請したいのでありますが、無理でしょうか。総理の御決意をお聞かせいただきたいのであります。  第四に、在日米軍基地従業員の雇用の安定について、宇野外務大臣にお伺い申し上げます。  大臣は、ただいまの趣旨説明で、この議定書締結を行うことは在日米軍従業員の安定的な雇用の維持に資するものと確信すると述べられました。このことは、仮に本議定書承認された場合、協定の有効期間である昭和六十七年三月三十一日までの間、これら従業員の雇用は完全に確保されるものと理解されますが、この点を明確に約束していただきたいのであります。  第五に、沖縄の基地問題について、宇野外務大臣、瓦防衛庁長官にお伺いいたします。  思いやり予算は、これまでその多くが沖縄の米軍基地の提供施設の整備に充てられてまいりました。沖縄は、改めて申し上げるまでもなく、日本のわずか〇・六%の面積であるにもかかわらず、在日米軍専用の施設、区域の七五%がそこに集中しており、復帰後もいまだに占領状態が続いているとの県民の不満が強いのであります。このような状態は、沖縄の振興開発の大きな障害となっているのであります。  さらに見過ごすことができないのは、米軍の訓練などによる航空機騒音、流弾事故、軍人軍属等による交通事故や刑事事件、麻薬事犯などの住民への物心両面にわたる被害であります。  政府は、昭和五十七年の第二次沖縄振興開発計画あるいは昨年七月の第二次沖縄振興開発計画後期の展望と戦略において、いずれも土地利用上大きな制約となっている米軍施設、区域の整理縮小をうたっているのでありますが、施策は遅々として進んでおりません。  そこで、政府にこの際、提供施設、区域の全面的な見直しを求めるとともに、基地の整理縮小の問題を日米事務レベル協議の対象とし、一日でも早く基地の整理縮小が実現するよう要請いたします。またあわせて、キャンプ・ハンセン、あるいはキャンプ・シュワブの両施設での実弾演習の廃止と訓練の安全管理の強化を求めます。これらの点につきまして、政府の今後の方針と決意をお伺いいたします。  最後に、有事における米軍の来援研究の問題について、竹下総理並びに宇野外務大臣及び瓦防衛庁長官にお尋ねをいたします。  今年一月、日米防衛首脳協議において、我が国有事の際の米軍来援に関する共同研究が合意されました。この問題をめぐる国会の論議から、政府は、日本有事における体制整備を着々と準備しつつあることが明らかになりました。一九八一年のアメリカの国防総省報告書には、アメリカが地球的規模での戦略権益を守るためには、二国間取り決めを通じて、戦時に米軍の兵たん支援を行う旨の約束を受け入れ国から取りつけることが絶対に必要であると明記されているのでありまして、有事来援研究はやがて新たな協定に結びつくことが予測されるのであります。  ポンカス、すなわち米軍装備等の事前集積は、この研究の中核的な課題であると推測されるのでありますが、研究の内容はつまびらかにされておりません。  政府は、有事来援研究の合意に際しては、有事来援に密接に関連のあるホスト・ネーション・サポート、事前集積、有事立法等の諸問題の関連性について十分な検討を行ったと思いますので、これらの関連について明確にお答えをいただきたい。  また、有事来援研究問題に対するこれまでの政府の国会における対応については、シビリアンコントロールの実効性に疑問を抱かざるを得ない場面が見受けられたことはまことに遺憾であります。総理は、有事来援研究の合意に先立って、事前に十分なシビリアンコントロールを行っておられたのかどうか、また今後、シビリアンコントロールの実をいかに確保されようとしておられるのか、総理の見解と御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  21. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初の私に対する御質問は、いわゆる労務費特別協定改正の経緯とペルシャ湾問題との関連、こういう御指摘であったと思うわけであります。  政府としましては、昨年、日米両国を取り巻きます経済情勢の変化によりまして、在日米軍経費が急激に圧迫されている事態にかんがみて労務費特別協定締結した、こういうことは趣旨説明でも申し上げたとおりでございます。したがって、この今般の改正は、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図って、もって我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保するためのものであって、特にペルシャ湾安全航行のための具体的施策として行うものではないということでございます。  当時、私は自由民主党の幹事長でございましたが、昨年十月七日の首脳会議におきましても、その点については私どもも確認をいたしておるところであります。  それから、思いやり予算ということについての御質疑がございました。  これは、そもそも我が国財政が厳しいことは御指摘のとおりであります。一方、我が国全体の例えば一人当たり所得等いろいろ比較いたしてみますときに、かつて安保条約締結当時あるいは十分の一と言われ、七分の一と言われた一人当たり所得等の事態から大きな変化が起きておることも事実であります。したがって、できる限り私どもとしましては日米安保体制の効果的な運用を確保していくという観点からしてこの努力をしていかなきゃならぬ。今後とも、安保条約の目的達成との関係、そうして我が方の財政負担との関係、そうして社会経済影響、あらゆるものを総合的に勘案しながら適切に措置していくという性格のものであろうと思っておるわけであります。  それから、防衛ただ乗り論とか、あるいはロックフェラー発言、そうしてリチャード・パールさんの発言等々の御意見がございました。  ロックフェラー議員の演説というのは、私も読ませていただいたわけでございますが、米国の議会関係者が我が国の防衛努力について関心を有することは、これは日米安保条約というお互い信頼関係に立っておるわけでございますから自然のことであろうと思います。したがって、一つ一つコメントするわけにもまいりませんけれども、我が国の防衛についての米側の期待というものを表明される点もたびたびあることだと思っております。が、しかし、あくまでも自主的判断に基づきまして、憲法及び基本的防衛政策に従って節度ある防衛力の整備を行っていくというのが基本的な考え方であります。  安保ただ乗り論というようなことも、よく私どもも耳にするところであります。しかし、安保条約というのが現実存在し、そして今日までも、昭和三十二年の第一次防からずっと今日に至っております経過を見てみましても、憲法及び基本的な防衛政策、これに従ってあくまでも自主的に判断すべきものであるということにはいささかも変わりのないところであります。そうして、私どもといたしまして、今、国際的に見ましても単独で国の安全を確保することは困難だ。そこで我が国としては、必要最小限の自衛力を整備する。そして、日米安保体制を堅持することによって今日までの我が国の平和と安全というものが確保されたということをきちんと理解しておくべきものであろうと思います。  もう一つ、米議会に対して我が国の防衛政策をきちんと各界各会派それぞれ意見交換等の場において説明すべきである、こういうお考えでございましたが、私もそういう努力はすべきものだと思っております。  それから、沖縄基地問題につきましての御言及がございました。  沖縄基地の整理縮小問題につきまして、施設、区域の整理統合については可能なものから一つ一つ実現すべく努力をいたしておるところであります。  それから最後に、有事来援研究の問題について私、防衛庁長官、外務大臣それぞれにお尋ねがございましたが、私からはいわばシビリアンコントロールという面からお答えしたいと思うわけであります。  何としても政治が軍事に優先する、シビリアンコントロールというものが一番大切であると思います。中期業務見積もりというようなものが防衛計画、中期防というものに変わったということも、それこそ背広が、そしてまた安全保障会議が、閣議が、さらに国会がそれに対してシビリアンコントロールをするための一番重要な役割を果たす指標になってきたのではないかというふうに私も思っております。  したがって、自衛隊の最高指揮官であるのは内閣総理大臣たる私でございますが、最終的には国会のシビリアンコントロールというのがやっぱり一番大切なことであるという認識の上に立ちながら、シビリアンコントロール、寝ても覚めてもシビル、シビルとこれからも唱えていきたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  22. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 松前議員にお答えいたします。  ただいま安保ただ乗り論、そうしたものに関するロックフェラー発言あるいはパール前米国防次官補の発言に関しましては、総理からお答えございましたから重複を避けたいと思いますが、確かに御指摘のとおり、政府はよく理解をしていてくれますが、議会並びに一般ではそうでもない、こういうことでございます。私たちも極力、議員の方々に出会いましたときには、我が国には憲法の拘束があり、なおかつ、かつて戦場と化したアジア周辺の諸国からは経済大国日本は軍事大国になるのではないか、そういう懸念が表明されていることもある。もちろん、日本は軍事大国には絶対ならない。かくのごとくいろんな問題におきまして常にPRを重ねておるところでございますが、なお一層努力をいたしまして、やはり日本日本として節度ある防衛を自主的に行っておる旨お伝えいたしたいと考えておる次第であります。  その次は、今度の改定は基地の従業員の雇用の安定を目的としておるが、ではその基地の従業員の雇用の安定は今後図れるかというお話でございますが、もちろん我々といたしましては米軍にそのことを約束してもらい、なおかつ期待をいたしておる次第でございます。一つの具体的な例といたしまして、先般も沖縄の海兵隊における従業員の解雇問題がございましたが、これが幸いにも無事解決をいたしたということもその一つの例ではなかろうか、かように存じております。  その次は、沖縄の米軍基地に関してでございますが、ただいまも総理も若干お触れになられましたけれども、やはり安保条約の運営の円滑化のためにはどういたしましても安定的な基地の存在ということも大切なことでございます。もちろん、沖縄の基地の比重は非常に高いということも私たちは重々承知いたしておりますので、常に地域住民の方々との間におきまして、仰せのとおり物心両面この影響は常に考えなくちゃならぬ、あつれきが生じないように考えなくちゃならぬ、かように私たちといたしましては努力をいたしておる次第でございます。  なおかつ、日米安全保障協議委員会におきましては、既に沖縄県における施設、区域の整理統合計画、これができ上がっておりますから、鋭意このことの推進をただいま行っております。もちろん地主の考え方もございますし、あるいはまた移転先の問題等々もございますから、いろいろとおくれている面もあるかもしれませんが、可能な限り返還の着々とした実現、これを図っていきたい、かように存ずる次第でございます。  最後に、有事来援の研究に関しまして、有事立法等々のことにもお触れになった次第でございます。  今回の有事来援は、御承知のとおり日米共同防衛の指針の一環として行うものでありまして、その研究の結果に関しましては、日米両国ともに予算化するとか、立法化するとか、行政上の措置をとるとか、一切そのようなことは義務づけられておらない、そのことが前提となっております。したがいまして、有事立法のための有事来援の研究であるというふうなことは成り立たないわけでございますが、しかし、有事立法そのものは、この研究を離れまして一般的には研究することは必要であろう、こういうふうに考えられます。  しかし、現在、政府といたしましては、防衛庁の面における有事立法の研究はただいま進められているところでございます。しからば、第五条、日本有事の際の研究でございますから、そのときの米軍と我が国内の法令との関係はどうかという問題が残る次第でございますが、これは一応防衛庁と国内法との関係、そうしたものが吟味をされまして、一応結論が出た段階においてなさるべきではなかろうか、かように一般的には考えられるわけでございますが、現在といたしましてはそのようなものに政府は着手をしておらないというのが現状でございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣瓦力君登壇拍手
  23. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) お答えいたします。  有事来援研究につきましては、外務大臣からもお答えがございましたが、私からも若干重複いたしますがお答えをいたしたいと思います。  この研究は、日米防衛協力のための指針に基づく共同作戦計画の研究の一環といたしまして、我が国に対する武力攻撃がなされた場合の我が国防衛のため、時宜を得た米軍の来援を得ることにつきまして研究するものでございます。  さきの日米防衛首脳会談では、ポンカスを含め具体的な研究内容について話し合ったわけではなく、この点につきましては今後日米間で検討していく問題でございます。いずれにいたしましても、この研究におきまして、有事のホスト・ネーション・サポートや有事における米軍の行動に係る法制について研究するものではないことは従来から申し上げておるところでございます。  なお、指針におきましては、後方支援に関する日米間の相互支援の研究は、ガイドラインに基づく各種の研究を通じまして明らかにされた項目がある程度出そろった段階で、別途改めて行われるものとされております。  また、現在の有事法制研究は、あくまで自衛隊の行動に係る法制上の問題を対象としているものでございますが、いずれにいたしましても、有事における米軍の行動に係る法制上の問題につきましては別途慎重に検討されるべきものである、かように考えております。  次に、有事来援研究について総理と相談をしたかということでございますが、日本有事において日米が有効な対処行動をとり得るよう日米防衛協力のための指針に基づいて防衛庁が共同作戦計画の研究等の各種の研究を行っていることは、総理にも従前から十分御承知いただいているところでございます。さらに、指針に基づき自衛隊と米軍との間で行われる研究につきましては、ガイドラインを取りまとめた際、防衛庁長官の責任において行うことが閣議の席で了承されておりますが、研究に一応の区切りがつくその都度総理に御報告を行うことといたしておるわけでございます。  なお、沖縄におきましての米軍基地の整理縮小、この問題につきまして外務大臣からも御答弁がございました。  施設、区域の整理縮小を日米事務レベル協議に諮るべきであるということについてでございますが、沖縄におきましての施設、区域の整理統合につきましては、安保条約の目的達成と沖縄振興開発計画の推進との調和を図りつつ、かつ土地所有者等の意向も配慮いたしまして、日米安全保障協議委員会において了承された計画に基づきまして実施してまいっておるところでございます。この計画の推進に努めることが肝要であると考えております。  最後に、キャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブにおける実弾射撃演習を廃止し、訓練の安全管理を強化せよとのことでございますが、米軍が日常の訓練を通じまして練度の維持向上を図ることは、安保条約の目的達成のために不可欠でございます。訓練に際しての安全管理の徹底につきましては、米軍も従来から配慮しているところでございますが、我が国政府といたしましても、機会あるごとに米側に注意を喚起いたしておるところでございます。(拍手)     ─────────────
  24. 藤田正明

    議長藤田正明君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  25. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、米軍地位協定に関する特別協定改正する議定書について質問します。  まず初めに、奥野国土庁長官の重大な違憲発言についてお聞きをいたします。  かつての日本の侵略戦争は、アジア諸国民が二千万人も殺され、筆舌に尽くせない大きな惨禍をもたらしたにもかかわらず、日本が侵略国なのかなどと日本の責任を否認し、侵略戦争を合理化するに等しい発言は重大であります。総理、あなた御自身はかつての十五年戦争を侵略であったとお認めになるのかどうか、明確にしていただきたい。また皇国史観に立って憲法違反の靖国神社公式参拝を当然視するなど、たび重なる暴言は許されるべきではなく、厳正に対処すべきではありませんか。総理の見解を伺います。  今日、世界の流れは米ソによるINF全廃協定の調印、アフガニスタンからのソ連軍の撤退など変化を示している今、日本においても平和と軍縮への努力が特に強く求められているのであります。ところが、竹下首相は、六十三年度予算で軍事費を五・二%アップし、また日米首脳会談では在日米軍経費負担日本肩がわりを約束し、さらに米艦船の我が国寄港に際してはアメリカに核の有無の確認すらしないなど、我が国を日米軍事同盟のもとで米核戦略のアジア最大の前線拠点に強化しつつあるのであります。このことは、世界の平和を求める流れに逆行するものであり、断じて容認することはできません。総理、こうした事態は世界の流れに逆行するものとお考えになるのかどうか、明確に答弁をいただきたい。  今回の特別協定の改定は、アメリカがペルシャ湾安全航行を口実とする大規模な軍事力投入による支援要請にその発端があります。在日米軍の駐留経費を大幅にふやすということは、事実上ペルシャ湾の米軍作戦費用を肩がわり分担するということになるのではありませんか。  一九八〇年三月、ピンクニー米国防総省東アジア・太平洋局長は、アメリカの目標は米軍人給与以外のすべての基地維持費を日本負担させると証言しています。その後、自民党安倍幹事長の在日米軍基地の日米の負担割合を五分五分とするとの発言は、米側の意向に沿ったものと言わなければなりません。しかも、マンスフィールド米大使からも、日本世界で最も寛大であると言われているありさまであります。こうして次々にアメリカの要求を受け入れる日本政府の態度は、国際的にもまれに見る従属性をあらわにしていることは明白ではありませんか。  そもそも、米軍の日本駐留は、一九八四年、米国防総省の同盟諸国の貢献度報告によると、太平洋軍の任務については米国にとっての主要な兵たん線の防衛にあると述べているように、日本をアメリカの世界戦略の最前線拠点として使うためであって、マンスフィールド大使も、米軍の日本駐留はアメリカ自身の防衛のためと認めています。このために、安保条約の適用地域が中東のペルシャ湾にまで拡大され、重大な変質をもたらす危険さえ押しつけられようとしているのであります。  現在、米海軍横須賀基地に米海軍中東部隊の旗艦ラサールが修理のために入港していますが、そのリトナー艦長は、修理が終われば秋から年末にかけてペルシャ湾に戻ると語っております。なぜ政府は、中東部隊旗艦ラサールに米海軍横須賀基地の使用を許しているのか、安保第六条違反ではないのか、明確な答弁を求めます。  アメリカの中東艦隊は、ワインバーガー国防長官も確認しているとおり、日本のタンカーを護衛する責任を負っているのではありません。しかも我が国は、条約上何ら負担すべき義務のない在日米軍駐留経費日本負担増という形で間接的にせよ財政援助をするということは、アメリカのペルシャ湾への武力介入を支持することになるのであります。  総理、あなたは、アメリカの武力介入に直接にしろ間接にしろ資金を出すということは、戦争と武力による威嚇を禁じている日本国憲法の精神を真っ向から踏みにじるものとお考えにならないのでしょうか。お答えいただきたい。  次に、本議定書において我が国が全額負担する日本人従業員の八つの手当は、もともと地位協定二十四条一項で米軍負担が義務づけられていたものを日本側が全額負担するというものであって、一年前には日本側が二分の一を限度として負担するとしていたのさえ投げ捨てた、言語道断な屈辱的なものであります。しかも、一年もたたないうちに改正するとはまさに朝令暮改のきわみであります。総理、国権の最高機関である昨年の国会の意思を踏みにじってまでアメリカの要求にこたえようとされるのでしょうか。国会と国民に対する責任を明らかにしていただきたいのであります。  在日米軍駐留経費日本肩がわり負担分は、一九七八年度の思いやり以来次々と拡大されてまいりました。一九八八年度は、今回の特別協定の改定で日本人従業員の八つの手当を加えると日本人基地従業員労務費の五一%にもなり、在日米軍の軍事施設建設費の日本負担は九七%となっています。総理、在日米軍基地従業員の本給負担や、それに伴う地位協定の改定は今考えていないと言っていますけれども、将来ともやらないと明確にしていただきたいのであります。  在日米軍駐留経費がこれだけ問題になっているにもかかわらず、米側負担が義務づけられている合衆国軍隊を維持することに伴う経費の具体的な項目が一九八六年度を除いて明白になっていないのであります。一九七八年度より一九八七年度まで、各年度ごとに二十四条一項に基づいて米側が支出している項目ごとのデータを国会に提出していただきたいことを強く求めるものです。  さらに重大なことは、竹下内閣の気配りは、日本国民に対してではなく米軍に向けられているという問題であります。  国民の暮らしと営業、緊急に求められている地価、住宅対策や異常円高の打開にかかわる予算を厳しく抑えて、生活保護世帯を大幅に減らし、生活保護打ち切りに一層拍車をかけ、国民健康保険制度の大改悪、国立大授業料の値上げなど、社会的弱者、中小企業のための施策は次々と切り捨てられています。しかも、在日米軍駐留子弟には二十五人学級を保障しながら、日本の子供たちの四十人学級計画はいまだに達成率四〇・五%ではありませんか。このような日本の子供たちへの冷たい対応に多くの父母、教師は、この協定改定に新たな怒りを示しているのであります。文部大臣の御所見をお伺いいたしたい。  総理、アミテージ米国防次官補は、日本の軍事費分担は米兵一人当たり約五百六十七万五千円で世界最高だと称賛しています。日本の社会的に恵まれない人々にこそ、世界に誇れるこの思いやり予算を実行すべきではないでしょうか。社会保障政策の充実について総理の見解を求めるものです。  最後に、在日米軍駐留経費負担増などの日米安保条約に基づく軍事費拡大のためには、その財源として、最悪の大衆課税である新大型間接税の導入を前提にしていることであります。総理、世論調査にも明らかなように、今日、軍事費拡大に反対する声は広範な国民の声であり、新大型間接税導入計画の完全な放棄と軍備の削減に努力することを強く求めるものであります。明確なお答えをいただきたい。  このように、日本世界の核軍縮の大勢に逆らって、アメリカの対ソ核戦略の一大前進拠点として強化され、米核戦力を補完するものとなっていることは極めて重大でありまして、私は、日米安保条約並びに本特別協定改正する議定書の撤回を強く求めて、質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初の御質問は、さきの戦争は侵略戦争か等々、奥野発言に関するものでありました。  戦前の我が国の行為について、これが侵略であるという厳しい国際的批判を受けてきていることは事実でありまして、この事実は政府として十分認識する必要があると、いつもお答えしておるとおりであります。政府としては、かかる事実を踏まえて平和への決意を新たにするとともに、このようなことを二度と起こさないよう心がけていきたい、このように常日ごろ申しております。  それから、奥野発言につきましては先ほども和田さんにお答えを申し上げましたが、御指摘の奥野国土庁長官の発言が、中国の新聞等の批判的反応を招くという事態となったことは遺憾であります。政府としては、現在においても日中共同声明の中で述べられている過去の歴史に対する認識にいささかの変化もないということを改めて確認したいと思います。  なお、靖国神社公式参拝問題に関する政府の立場は、既にたびたび明らかにしておりますように、公式参拝の実施を願う国民感情、これらを尊重すること、これまた政治を行う者の当然の責務であります。そして一方、国際関係を重視して近隣諸国の国民感情にも配慮しなければならぬ、このような考えをたびたび申し上げておるところであります。  次に、本件に対するもろもろの御質問がございましたが、何分基本的な考え方を異にいたしますので、整理してお答えすることにいたします。  いずれにいたしましても、米ソ間でINF条約調印が行われた、これはもとより歓迎すべきものでございますが、これと我が国の防衛力の問題は、御案内のように、平時から保有すべき防衛力を定めた大綱のもとで節度ある防衛を進めておる、こういうことに尽きると思います。  それから、日米軍事同盟、対米従属、こういうお話がございました。  いつも議論いたしますように、我が国の日米安保条約を効果的に機能さすためのいろいろな今日までの歴史がございます。いずれにいたしましても、我が国は自主的にすべて配慮して事を決する、こういう立場をとる考えであります。  労務費特別協定改正とペルシャ湾、この問題も、先ほど申し上げましたように、ペルシャ湾における米軍の行動を支援するための具体的施策というものではないというふうに御理解を願いたいと思います。  それから、労務費特別協定の問題につきましては、経済情勢の変化、為替等の変化、これを御理解いただきたいと思っております。  そこで、今次のものは暫定的、限定的な性格のものでありまして、今般明らかにされた措置以外の措置をとることを検討してはいないということであります。  さらには、今度は資料提供の問題がございました。  できる範囲で御提出するよう努力をいたします。  それから、社会保障政策の問題は、これはとにかく国会でも議論しながら今日までもいろいろ工夫してお互い構築してまいりました。揺るぎない社会保障制度を築くためにこれからも努力しなきゃならぬと思っております。  間接税導入を放棄しろということでございますが、今法律案が出ておるわけではありません。たびたび申し上げますように、あるべき所得、消費、資産等の均衡のとれた税制はいかにあるべきか、こういうことで十分国民各界各層の意見を伺いながら、国民の納得が得られるような成案を得るべく今日努力しておるわけであります。  重ねて申し上げます。防衛計画の大綱に従って、今日、我が国の防衛力というものは節度を持ちながら進めておるところでありまして、私どもはそれ以外の意思によって防衛費云々という考え方を基本的に持っておるものではありません。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  27. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 立木議員にお答えいたします。  労務費協定の改定がペルシャ湾の肩がわりではないかということに関しましては、総理からお答えがございましたが、あくまでもペルシャ湾はペルシャ湾そのものの話でありまして、これとは関係ございません。ただ、ペルシャ湾のいろいろなことを決めました昨年秋の決定におきましては、なお書きで書かれておるというだけのことでございます。  また、米兵の本給以外のすべての基地維持費を日本負担させるという方針を米国は持っておるのではないか、こういうような御質問もございましたが、政府といたしましては、米国がそのような方針を持っておるとは承知いたしておりません。  続きまして、ラサールの問題でございます。  これはラサールの艦長がいろいろなことを発言いたしておりますから、外務省といたしましてもその真意のほどを尋ねました。その結果を御報告して、御理解を賜りたいと思います。  つまり、ラサールは、中東艦隊旗艦としての任務を離れ、第七艦隊の指揮下にある、こういう状態であります。したがいまして、米側の説明によりますると、整備後どの部隊に配属される予定かは決まっていない、これがラサールに関する話でございます。  したがいまして、第六条違反とおっしゃいましたけれども、一応第六条には、米国は我が国の区域並びに施設を利用することができる、それは日本の安全並びに極東の平和と安全に寄与するためである、こういうふうに示されておりますので、第六条に違反するといった指摘は当たらない、かように存じます。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  28. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 在日米軍駐留子弟の学級編制と対比をいたしまして、四十人学級計画について御質問でございました。  小中学校の四十人学級につきましては、昭和五十五年度から昭和六十六年度までの十二年計画に基づいて行われておりまして、六十三年度においても着実な推進を図っているところでありますが、今後も着実な推進に努めつつ、目標に向かって最大限の努力をいたしてまいります。  以上です。(拍手
  29. 藤田正明

    議長藤田正明君) 質疑は終了いたしました。  これにて午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時二分開議
  30. 藤田正明

    議長藤田正明君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、日程に追加して、  多極分散型国土形成促進法案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。奥野国務大臣。    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  32. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 多極分散型国土形成促進法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  近年、我が国経済の国際的地位が急速に高まり、金融、情報等の分野において世界の重要なセンターとしての役割が増大するに伴い、東京圏への業務機能、中枢管理機能等の集中が一層促進され、東京圏においては、地価の高騰を生じ、他方、地方圏においては、急速な産業構造の転換の過程で構造的不況に陥り、雇用問題が深刻化した地域が多く見られ、人口減少を生じている地域も少なくなく、国土政策の観点から多くの弊害を生じております。  本法律案は、このような状況のもと、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し、並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより、さきに策定しました第四次全国総合開発計画の基本的目標である多極分散型国土の形成を促進し、もって国土のそれぞれの地域がそとに住む人々にとって誇りと愛着を持つことができるような豊かで住みよいところとなるようその実現に寄与することを目的としております。  また、多極分散型国土の形成は、現下の土地問題に対する基本的な解決策の一つにほかなりません。すなわち、近年の東京等の地価高騰については、基本的には諸機能の東京への一極集中に伴う土地の需給の不均衡により生じたものであり、多極分散型国土の形成により、東京を中心とする土地の需給の緩和を図ることが求められております。そのためには、本法律案に基づく諸施策を積極的に実施する必要があります。  次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、国の行政機関等の移転等についてであります。  国は、行政機関及び特殊法人の新設等に当たっては、多極分散型国土の形成に配慮するものとし、東京都区部に立地する行政機関等について、移転基本方針に基づき、その東京都区部からの移転に努めるとともに、内閣総理大臣は、行政機関等の東京都区部への立地等に際し、関係大臣意見を述べることができることとしております。また、国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所等が適正に配置されるよう、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。  第二は、地方の振興開発についてであります。  国及び地方公共団体は、地方の振興開発を推進するため、地方都市における都市機能の増進、農山漁村における生活環境、産業基盤等の整備、人口の著しい減少等によりその基礎条件が著しく変化した集落の再編整備等の推進に努めることとしております。  また、都道府県は、地域の特性に即した産業、文化、学術、研究、交流等に関する特色ある機能を集積させるため、地域における創意工夫を生かしつつ、振興の拠点となる地域の開発整備に関する基本構想を作成し、主務大臣承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、税制上の特別措置、固定資産税等の不均一課税に伴う地方交付税補てん措置地方債の特例、資金の確保、公共施設の整備の促進、農地法等による処分についての配慮、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずるほか、必要に応じ、関係する省庁と都道府県が集まり、本地域の開発整備に必要な事業や法令による処分が円滑かつ整合的に行われるよう協議するための促進協議会を組織することができることとしております。  第三は、大都市地域の秩序ある整備についてであります。  国及び地方公共団体は、大都市地域の秩序ある整備を推進するため、防災上必要な措置を講じつつ、大都市の機能の改善に資する施策の推進に努めることとしております。  また、内閣総理大臣は、東京圏について東京都区部への一極依存構造を是正し、その周辺地域に職住の近接した自立都市圏を形成するため、業務核都市の整備に関する基本方針を定めるものとし、都県は、これに基づぎ、業務核都市基本構想を作成し、主務大臣承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、第二の場合と同機、税制上の特別措置地方債の特例、資金の確保、公共施設の整備の促進、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずることとしております。  第四は、住宅等の供給についてであります。  国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施するものとし、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、優良な宅地開発の促進及び宅地開発と鉄道新線建設の一体的な推進のために必要な措置を講ずるとともに、市街地における住宅等の供給を促進するため、土地の合理的かつ健全な高度利用が図られるよう努めることとしております。  第五は、地域間の交流の促進についてであります。  国は、地域間の交通の利便性と情報の流通に関する地域格差の是正等に配慮しつつ、高速交通施設の総合的な体系の整備と情報・通信基盤の整備の促進に努めるとともに、地域間の経済、文化等に係る多様な交流の機会の増大等に努めることとしております。  以上のほか、国は、多極分散型国土の形成に資するため、国の権限を地方公共団体またはその長等に委任すること等に努めるとともに、公共事業の実施に関し適切な配慮をすることとしております。また、内閣総理大臣は、総合的かつ計画的に実施すべき多極分散型国土の形成の促進に関する事業について、関係行政機関、関係地方公共団体及び関係事業者相互間の連絡調整を行うこと等により、その円滑な実施に努めることとしております。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手)     ─────────────
  33. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大木正吾君。    〔大木正吾君登壇拍手
  34. 大木正吾

    ○大木正吾君 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、多極分散型国土形成促進法案について、総理初め関係閣僚に対し質問いたします。  法案の内容に入る前に、本法案提出責任者であります奥野国土庁長官の最近の反中国発言について伺います。  奥野長官が、靖国神社参拝に関連して中国の鄧小平氏を名指しで誹謗し、重要な日中外交関係に背を向ける発言をいたしました。このことは見逃し得ない外交事件であります。そして、昨年の九月十八日の本院本会議における決議に反するばかりではなく、侵略戦争を正当化するがごとき言動でありまして、まことに許しがたい問題であります。この機会に、奥野長官の発言の取り消しと謝罪、そして事態の責任を明確にすることを求めるものであります。総理並びに奥野長官の明確な見解を求めるものであります。  さて、この法律案は、既に御承知のとおり、第四次全国総合開発計画、すなわち四全総をベースにしたものであることは申すまでもありません。四全総といえば、竹下総理も鮮明に御記憶のことと存じますが、一昨年の暮れ東京一極集中の開発構想を中間報告として発表したものが、発表と同時に全国的に反対運動がわき起こった問題の多い計画であります。批判の多かったこの東京一極集中の四全総は、結果的には御破算となり、わずか七カ月後に東京一極から多極分散の開発構想を基調とした新しい四全総計画へと変えざるを得なくなつた、そして閣議決定をされたいわくつきの計画であります。  改めて申し上げますが、竹下総理、東京一極集中という暴政は、たちどころに地価暴騰、そして土地狂乱から地上げ屋等の横行による社会狂乱という現象を誘発し、所得格差や社会的不公正を一層拡大させ、都心の空洞化を進めたのではありませんか。したがって、政府は、これらを解消する手段として、この多極分散に逢着したというか、それを余儀なくされたというのが真相ではないでしょうか。  竹下総理、こうした重大な経緯をたどり、かつ全国的な問題を背負ったこの法案に対する基本的な抱負、認識、そして現在考えているポイント的なことをお尋ねいたします。  さらに、総理が昨年の自民党総裁選に向けて出版された「ふるさと創生論」は、この法案の下敷きであるとの誇りをお持ちになっているやに伺っていますが、総裁に就任すると同時に、なぜかこの本が絶版になったと伝えられております。それはどういうことでしょうか。巷間伝えられているところによりますと、それは総理の真意が、多極分散は到底不可能で、多分東京一極集中はとめられないのではないかと認識したからだと言われていますが、これについての総理の明確な見解を承りたい、こう考えます。  加えて、総理並びに国土庁長官は、この法律で本当に多極分散型の国土建設ができると思っておられるのか。さらに、遷都や分都に真剣に取り組む決意がありますかどうか。また都心及び周辺地区の地価の高値安定下において、この法律に言う業務核都市とは、東京都心の外周を既存の二重構造からさらに三重、四重の外周市街地をつくり上げるという、いわゆる東京圏の拡大発展なのではないか。そして、地価高騰を拡散することになるのではありませんか。表現をかえますれば、多極分散というよりは展都ではないかと思うのでありますが、お答えをいただきたいのであります。  また、最近、各省庁から競って出されております東京湾巨大開発構想を見ると、あなたは中曽根総理以上の東京一極集中のデベロッパーではないかと思えてなりませんが、いかがでしょうか。この法律を生かすには、総理、いかなる理由があろうとも、これ以上の東京集中開発は断じてストップする以外に方策はありません。総理の決意を伺います。  また、多極分散の場合、大学などの移転、立地など重要な課題が含まれると思いますが、生涯学習社会の確立、高等教育機関の適正配置、学園研究機関の整備などのあり方にどう対処されようとされるのか、文部大臣の見解を伺います。  さらに、法案には行政権限の地方移譲に努めたいといういわゆる努力規定がございますが、政府は、この際、中央が握る許認可等の行政権限の地方移譲を具体的、計画的なスケジュールを作成して着実に取り組むことであります。それは、移譲についての調査検討委員会を新設、早急に移譲を断行して、日常的に見られる中央への現代的参勤交代の不合理性に終止符を打ち、既に欧米先進国に定着している地方分権制を確立して、我が国の民主政治を再構築することであります。そして、それら地方には、行政権限と同時に財源を保障することも必要不可欠であります。国土庁長官及び自治大臣の所感を伺います。  なお、この法律によって多極分散型の均衡ある国土形成を図るといっても、今日の我が国の土地法制では所定の実績は期待できないと見るべきでありましょう。なぜならば、我が国の現行の土地法制は、残念ながら西ドイツ初め米、英、仏など先進国にはもちろんのこと、台湾、韓国にもはるかにおくれている実情にあるからであります。  したがって、政府が本当に東京からの集中排除、地方への分散という歴史的大事業を実行しようとするなら、まずそれ以前に土地基本法を早急に制定すべきでありましょう。申すまでもなく、その基本法には、土地は国民共有の資源であって、その利用は公共の福祉を優先するという近代政治の公理を規定し、国民的認識を啓発、確定しなければなりません。総理及び国土庁長官の見解を伺います。  いずれにいたしましても、この法案の言う多極分散型国土形成ほど、言うことは易しいのでありますが、実行の難しいことはないと考えます。我が国においては、土地政策の無策から深刻な資産格差を生じさせ、社会資本の不足と相まって経済大国などとはほど遠い生活を強いられているのが国民の偽らざる実感であります。  土地は、国民共有の財産であります。地価が一部地域で安定してきているとはいえ、それは高値安定でありまして、国民にとっては手の届かない高ねの花であることに変わりはありません。しかも、貧富の格差、社会悪の増殖を促進する根源でもあります。  情報化、国際化、加えて高齢化と、産業、社会は激変しています。世界の先進工業国と言われる我が国が、国民生活の基盤をなす土地問題では後進国はおろか三流国であるということはまことに嘆かわしいことであります。先進国にふさわしい民主的な国土形成に政府は大胆に取り組むことを要望いたしまして、私の質問を終わります。    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  35. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、本法律案の質疑に入る前に御発言がございました。  御指摘の奥野国土庁長官の発言が、中国の新聞などの批判的反応を招くという事態となりましたことは遺憾に存じております。  政府としては、戦前の我が国の行為が国際的には侵略であるという厳しい批判を受けているという事実を十分踏まえ、日中共同声明の中で述べられておる過去の歴史に対する認識にいささかの変化もないということを改めて確認したいと存じます。  なお、靖国神社公式参拝問題に関する政府の立場は、既に明らかにされておりますように、公式参拝の実施を願う国民や遺族の感情を尊重することは政治を行う者の当然の責務でございますが、他方、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならないというものであります。これが基本的考え方であります。  さて、今度は本案につきまして、まず四全総の中間報告から説かれた問題でございます。  一昨年末に公表されました四全総の調査審議経過報告、いわゆる中間報告は、四全総を策定する前段階として、国土審議会の計画部会において基本的な考え方を中間的に取りまとめられたものでございます。  政府としては、この中間報告をもとに、地方自治体を初め、いわゆるいろいろな意見がございました。そういう各方面の意見を通じて内容を充実いたしまして、最終的な四全総として取りまとめを行った次第であります。  この中間報告でも、東京一極集中に伴うさまざまな問題点の指摘、そしてその問題点の指摘からくる多極分散型国土形成の必要性、こういうものも述べられておりますので、基本的に考え方が変更したということにはならないではなかろうかというふうに考えております。  法案に対する抱負を述べよ、こういうことでありました。  人口及び諸機能の東京一極集中を是正しまして、まさに多極分散型国土の形成を促進することは、土地問題の基本的な解決を図るためにも現下の内政の最重要課題の一つであると認識しております。本院においても、土地対策特別委員会等の論議を通じてもこのことを中心に御鞭撻をいただいたところであります。したがって、それこそ多極分散型国土の形成を強力に推進するための法律であって、その確実な実施を図ることがまず必要であるというふうに考えております。  本法案につきましては、諸機能の分散を図りながら交通、情報・通信体系等の基礎的条件の整備を進め、振興拠点地域の開発整備など、地域みずからの創意と工夫を基軸とした地域整備を推進することがポイントであり、そして関係省庁、地方公共団体等の協力のもとに各般の施策が総合的に実施され、地域の特性を生かした魅力ある地域づくりが進められるよう万全を期していかなければならないと考えております。  次が、「ふるさと創生論」という私の書きおろしの書物のことでございますが、私も来月、国会議員生活三十年を迎えるわけでございます。一政治家として長年考えておりましたことをその都度書きおろしたものを整理したものでございます。したがって、今にして思えば、表現の仕方など反省すべき点もあるなと思って読み返しております。昨年出版いたしました当初は、売れ行き順調というふうに聞いておりましたが、その後どうなっておるか、私も実は質問書を見まして本屋へ問い合わせをしようと思いましたが、時間がございませんでした。しかし、絶版ではないようでございます。  それから、多極分散型国土建設の可能性についてお尋ねがございました。  この法案は、まさに多極分散型国土の形成を促進するためのものでありますし、国の行政機関の移転、振興拠点地域の開発整備等の具体的な措置を講ずるとともに、特に確実に推進を図ることを要する重要な施策についてその方向を明瞭にいたしまして、総合的な実施を図っていこう、いわば多極分散型国土形成のための施策の基本ともなる基本法というふうに位置づけをいたしておるところであります。と同時に、地方公共団体相互の連絡などを一層密にしていくというのは当然のことであります。  遷都、分部ということになりますと、これは国の機関等の移転については、先般その方針を決定して、これに基づいてその実現に取り組んでおるところであります。所要の調整を行いながら着実にこれは推進してまいろうと思っております。  首都移転問題ということになりますと、これは国民生活全体に大きな影響を及ぼすものでございますので、政治・行政機能と経済機能の相互関係のあり方などを踏まえて、引き続き検討すべき大きな課題であると思っております。  業務核都市についての御意見がございました。  東京圏においては諸機能の東京都区部への過度の集中を是正し、これらの機能の適正な配置を図る。これによって地価の高騰、交通混雑、住宅難等の大都市問題の解決を図る必要がある。そういうことから区部外に業務核都市を整備していこう、こういうことでございます。  一極集中是正と臨海部の開発とも関連してまいりますが、国土の均衡ある発展を図るためには、まず東京圏への人口及び諸機能の集中を抑制して、多極分散型の国土形成を図ることが必要という認識であります。しかしながら、東京圏におきましても、先ほどの問題でも申しましたように、住宅問題とか防災等の諸問題、そういうものに対して適切に整備していく必要があるわけでございます。したがって、東京の開発をやめて住みにくい東京にするという考えは持っておりませんで、臨海部の再開発を推進するようなことも、先ほど申し上げました住宅問題等大いに必要であると考えております。  次に、土地基本法の制定についてお述べになりました。  これは、かつて土地対策特別委員会において、その素案を私も拝読させていただいたことでございます。今日でもいろいろ公共の福祉の観点から種々の規制が行われておるところであります。したがって、まずこの適正な運用ということに一層努めてまいらなきゃならぬという整理はいたしておるところでございますが、基本法となりますと、国民の財産権に深くかかわる問題でありますので、それこそ各方面でのいろいろな議論を踏まえながら国民的コンセンサスを得るような努力、これが大切ではなかろうか、このように考えておるところであります。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  36. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 先日、記者の方からお尋ねを受けまして、私が答えるに当たりまして、中国の悪口を言うつもりはないとお断りをして申し上げましたことからも御理解いただけますように、誹謗の意思は全くございません。  また、私はさきの戦争において近隣諸国に大変な迷惑をかけたと考えておりますし、国会においても何回かお答え申し上げてまいってきております。  私は、国際社会に処するに当たりましては、私たちアジアに生を受けた者がまずお互いに理解を深め合い、力になり合っていかなければならない、こういう考え方を持ち、物の本にも書いておる人間でございます。日本国民は、みんな中国人民には深い親近感を持っていると思います。それだけに、日中両国は単に迎合し合う、単に反発し合うだけではなしに、考えの違いにも論議を重ね、理解を深める努力をすることこそが日中の真の友好を打ち立てる道ではないかと思っているものでございます。  多極分散型の国土が実現できるかという問題や土地基本法の問題につきましては、総理からお答えがございました。  また、政府関係機関の移転についてもお話がございましたが、関係閣僚、多くの方々とお話をしておりまして、皆さん、竹下内閣の政策にふさわしいものにしようじゃないか、なるべく例外をつくらないようにすることが職員に理解を求めやすいとおっしゃっていただいているわけでございます。しかし、まず事務当局間に十分意思の疎通を図って、お互いに考え方の違いのないようにしたい、そんなことで時間をかけているところであることを御理解いただいておきたいと思います。  業務核都市が東京圏の拡大や地価の高騰につながるのじゃないかということにつきましても、総理からお話がございました。  やはり東京一点集中、したがいまして道路も車であふれてしまう。電車も幾ら詰め込んでも乗り残しをしてしまう。となりますと、やはり中心をたくさんつくっていくことじゃないか。東京都はそういう意味で多心型の都市構造にしようとしておるわけでございますし、首都圏はまた多核多圏域型の地域構造にしようとしているわけでございまして、その多核多圏域型の地域構造の一つが業務核都市でございます。そうなってまいりますと、そこに通いますためには、今の交通渋滞も相当に緩和されるわけでございますし、マイホームも持ちやすくなるようになってくるわけでございまして、職住近接の地域社会がつくりやすいのじゃないか、こう判断しているわけでございます。  行政権能の移譲や財源確保の問題につきましては、私も全く考え方は同じでございます。しかし、今直ちに国の権能を地方に移すということになりますと、それだけで大変な日数がかかるわけでございますので、努力義務規定を置きましたり、あるいは振興拠点開発構想につきましては促進協議会をつくりまして、知事や政府関係機関が集まって迅速にそれらの構想を実現させるような努力をしようという計画を織り込んでおるところでございますので、御理解をいただきたいのでございます。  財源の問題につきましては、現在は地方税として徴収しておりますのが三割、国税として徴収しているのが七割でございます。しかし、地方団体が使っておるのは全体の七割であり、国として使っていますのは三割にすぎませんので、地方団体を非常に重視していることには違いはないのでございますけれども、その財源の多くが事細かに中央から拘束を加えられているところに問題があるのじゃないかと考えるわけでございまして、これらの点につきましては御趣旨の線に沿って私も努力をしていきたい、こう思っているところでございます。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  37. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 多極分散と教育機関の移転について御質問でございました。  多極分散型国土形成の促進は、文部省といたしましても重要な課題であると認識をいたしております。  文教行政上におきましても、従来から大学等の高等教育機関の適正配置、筑波等の学園都市づくりへの協力とともに、生涯学習社会の実現に向けた教育、文化、スポーツ施設等の全国各地域における均衡ある整備充実に努力をいたしておるところでありますが、おっしゃいますように、生涯学習社会の実現は、教育改革の重要な柱でありますと同時に、多極分散型国土の形成に資するものと考えておりまして、今後ともその実現に一層努力をいたしてまいる所存でございます。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  38. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) お答えをいたします。  国から地方公共団体への権限移譲は、国、地方を通ずる行政の簡素効率化の観点のみならず、今、内政上の重要課題であります多極分散型国土の形成を促進する上からも極めて重要なことだと考えております。  政府においては、地方の自主性、自立性の強化を図る観点から機関委任事務の見直し等を着実に進めること等を行政改革の実施方針として定めているところでございます。今後とも、地方分権を推進する観点から、国と地方との役割分担の見直しを進めるとともに、財政需要の増大に対応して地方財源の充実確保のために努力してまいる所存でございます。(拍手
  39. 藤田正明

    議長藤田正明君) 答弁の補足があります。奥野国務大臣。    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  40. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 総理と私の発言との間に食い違いがあるように受け取られた方があったようでございます。  私の発言が中国の新聞で反発を買っておりますことは大変残念なことでございます。これからも発言につきましては、それらのことも十分留意して当たっていかなければならないと考えておりますことをつけ加えさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  41. 藤田正明

    議長藤田正明君) 馬場富君。    〔馬場富君登壇拍手
  42. 馬場富

    ○馬場富君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案について、総理並びに関係大臣質問を行うものであります。  今国会の重要課題である本法案の質疑に入る前に、総理の国会の対応についてお尋ねいたします。  これまでの総理答弁は、世間では言語明瞭なれども意味不明と言われておりますが、あなたは国民から選ばれた総理大臣であります。まず、いずれよりも先んじて国会で総理自身の意見を示すべきであると思います。税制では国民に対して六つの懸念を示されましたが、かえって国民は、総理に対して重大な懸念を抱いております。本法案審議に当たりまして、総理のこの点についての基本姿勢をお聞かせ願いたいと思います。  さて、全総計画は、第一次計画以来、均衡ある国土の発展が目標でありました。しかし、現実は、都市機能の東京集中は地価の暴騰を初め都市問題が発生し、また地方圏では産業構造の転換による雇用問題等が深刻化して、日本経済は二極分化が進む結果となってしまいました。これを解消するための本法案でありますので、二十一世紀に向けて国民が安心して住める国土づくりが基本でなければなりません。  以下、具体的に幾つかの問題について質問いたします。    〔議長退席、副議長着席〕  まず最初に、東京問題について質問いたします。  急速に発生した土地の需要は、土地投機等により異常な高騰となり、最近では一時鎮静化したかに見えますが、都心部においては、私どもの調査では、外面は静かでありますが、共同賃貸住宅や分譲マンションの中では住宅が事務所や店舗等にかわり、かつての土地転がしが住宅転がしに姿を変えて急速に進んでおります。この点をどのように把握され、対処するお考えか、お伺いします。  このために、住宅事情はますます悪化し、総務庁のデータ等でも、東京圏に住むサラリーマンの人々は家計は圧迫され、通勤時間も一時間から二時間と、勤務先から遠くて狭い家に高い家賃で住まなければならなくなったのであります。一極集中の被害は、東京圏に勤務する人々の犠牲によって補われているということになります。このような問題こそ優先して解決されるべきであると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。  また、このような住宅問題の解決について、二、三の提案をいたします。  その一つは、通勤者に通した住宅の建設であります。  先日、ヘリコプターで都心五十キロ圏内の空中視察をしましたが、大きく広がった東京を整理する必要を痛感しました。  今、都内の大川端で住宅建設が進められておりますが、賃貸住宅で、同じ場所で同じ規模の三DKの家賃が東京都営で五万五千二百円、住宅・都市整備公団で十七万一千円、民営では二十九万九千円であります。  このような大きな差があることは今さら説明するまでもありませんが、なぜ私がこの例を出したか。都内の高値どまりの土地に民間による住宅を建てても、三十万円もする家賃では多くの人々には手が出ないことになります。今、日本の住宅は、公的住宅が一割、住宅金融公庫関係が三割となっております。そこで、大都市圏においては、シンガポール方式のように公営、公団等の公的機関による大量の直接供給の建設が必要ではないか。また宅地供給の不足にしても、公的機関のメリットを生かした供給のあり方も検討すべきであると思うが、どうか。  提案の二は、住宅を優遇する制度の創設であります。  今回の土地高騰の原因は、住宅地が容易にオフィス用地として利用できたからであります。それは我が国の土地規制が大枠型の用途規制であり、宅地と農地についての区分があるだけで、住宅と住宅以外の建物が同じ土地に建設できるからであります。住宅地にはそれ以外の目的の建物は制限できる制度が必要であります。憲法の住む権利からもこの問題の検討をすべきときに来ていると思うが、どうか。  次に、深度地下の公的利用についてでありますが、地価高騰のために、都心部においては道路を建設するのに九九%が用地費にかかり、公共事業すらストップという状況であります。このため、深度地下の公的利用について、建設省においては技術、採算性等について研究されておりますが、その内容について説明されたい。  また、各省の権益に対して民法との整合が必要となりますが、法務省は運輸省や各省との整合についてどのように対処されておりますか。  また、空中権についての見解もお願いいたします。  あわせて、この問題についての総理の見解をお尋ねいたします。  また、多極分散型の国土形成を図るためには、莫大な基盤投資が必要となります。多極分散については、経済成長にマイナスの効果も出るのではないかと言われておりますが、今後二十一世紀までどの程度の実質経済成長率を見込んでいるのか、さらに四全総計画と新経済計画との整合性はどうか。  次に、国の機関等の移転については、閣議決定されて以来、第一弾、第二弾と候補が報道されておりますが、このうちどの程度が移転可能か。またこれによる分散の効果をどのようにとらえているのか。また首都機能の移転については、遷都、展都、分都、改都などの形態がありますが、そのいずれの構想で検討されておるのか、総理のお考え方をお尋ねいたします。  法案では、大都市の秩序ある整備が挙げられておりますが、経済審議会では、特に関西圏、名古屋圏については東京の持つ国際金融、国際情報通信、文化発信等の機能の一部を分担し、東京の都市整備を提言しております。本法案との関係と、本法案趣旨からも効果的な施策であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  東京一極集中という異常事態の発生の要因は、明治以来の中央集権政治にあります。このため、中央にある行財政権を地方に大幅に移譲することが肝要であり、四全総の描く多極分散のかなめでなければなりません。本法案ではこの点が消極的で、絵にかいたもちに終わる心配があります。総理はどのように取り組もうとされているのか、お尋ねいたします。  また、地方分権については、受け皿として地方ブロック制や道州制等の意見もありますが、この点についての見解はどうか。  また、国際化時代を迎えて国際的なトラブルが多くなってきておる。土地問題もその一つであります。都心で事務所、公邸を民間から貸借している国は、家賃の高騰により大使館を閉鎖する状況にあると言われております。また、さきの在日外国公館等の売却問題について東京都だけに任せるような姿勢でよいのか。他国からもこのような問題が提起され、各国間の不平等ということも心配されます。その上に、国公有地は国土利用法の適用でないのに在日外国公館が適用されるのは理解できないとの意見もありますが、これらにどう対処するのか。  また、これと対照的な問題として、日本の投資家が海外で土地投機を行い、ハワイなどでは新たな摩擦を呼んでおります。こうした集中的な海外不動産投機の実態を調査し、その対応策を検討すべきであると思いますが、総理の見解をお尋し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  43. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初は、私の言語明瞭、意味不明、こういうことに対するお尋ねでございました。  元来、人様の御意見をよく聞く方でございますので、よく聞いておりますとやはりよくお答えしなきゃならぬというので、いささか饒舌に過ぎてそんな印象をお与えすることもあろうかと思いますが、今後とも心して対応しなければならないと毎日毎日反省をしておるところでございます。  さて、まず法案審議への姿勢でございます。  東京一極集中を是正して多極分散型国土の形成を促進いたしますことは、何としても基本的な土地問題の解決と、こういうことであります。この法案はその中心となるものとして極めて重要と思っております。法案の国会審議に当たりましては、それこそ言語明瞭になるように精いっぱいお努めするつもりでございます。  それから東京の住宅事情改善への取り組みでございます。  東京等の地価高騰に対しましては、土地取引の適正化、諸機能の地方分散などの施策を講ずることによって、地価の安定ひいては引き下げに努力しておるところでございますが、適正な居住者負担のもとに居住水準の向上を図ることをやはり基本的な目標に置きまして、そこで第五期の住宅建設計画、そうしてまた公的住宅の建設あるいは金融公庫融資の問題、住宅税制措置の拡充、こういうことを総合的に講じていかなければならないと考えております。  大深度地下の公的利用についてでございます。  大深度地下の公的利用を促進することは、今後大都市における社会資本整備を進める上で大変必要なことだというふうに思っておるところでございます。行革審の土地対策検討委員会、これは三月までのヒアリング及びディスカッションを受けまして今月から報告案審議を実施中と承知しております。この論議は、土地対策にかかわる各般の分野に及んでおりますので、地下の有効利用についても種々の観点から論議が交わされてくるであろうという期待をいたしておるところでございます。  遷都、分都、展部、改都、こういうことに対しての取り組み方でございますが、とにかく今、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図ろうということで一生懸命やっておるところでございますが、首都移転問題、こうなりますと国民生活全体に大きな影響を及ぼすものでございますので、今、国民的規模での議論、これを踏まえていかなきゃならぬというふうに考えております。  四全総におきましても、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図るために、高次の都市機能を東京圏が一元的に担うのではなく、各地域が適切に分担することが必要である。経済審議会の関西圏でございますとか名古屋圏に関する提言も、そういう趣旨に沿った御提言であるというふうに理解しております。  この問題を進めるに当たりましては、財源移譲あるいは行政権限の地方移譲、こういうものが当然出てくるわけであります。住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体において、こういう考え方を基本的に持っておりますので、この方向で今後さらに四全総または臨調答申、これを踏まえて進めていかなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。  そうして、国と地方を通ずる行財政改革の推進も当然必要なことでございます。地方財源確保と安定のため、今後とも適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  道州制構想ということにもお触れになりました。  これは地方制度の基本にかかわる極めて重要な問題でございます。臨調の基本答申におきましても、「都道府県の広域化による地方圏の行政機構については、長期的、総合的な観点から検討を行うものとする。」とされておるところでありまして、まさに慎重な研究が必要であると思っております。  やはり、ここで地方への権限移譲という問題は、道州制等の導入のいかんにかかわらず、地方自治の充実発展、多極分散型国土の形成等の観点から必要なものでございますので、今後とも進めてまいるということを重ねて申し上げておきます。  それから、在日外国公館問題についてお触れになりました。  大変これは外交的にも重要な問題であると認識しております。今、外務省におきまして、まずいかなる協力を行えるか、こういうことについて具体的研究を行っておるところでございます。本件の重要性にかんがみまして、研究結果が得られ次第、この成果を踏まえて適切な可能な解決に向けて、外務省だけでなく政府全体の責任で対応していこう、こう考えておるところであります。  国公有地と外国公館の問題も出ておりますが、基本的にこの問題は、緊急土地対策要綱というような閣議決定をしましたものを基本といたしまして適切な対応をしていこうと思っております。  それから、最後に、海外不動産投機が大変相手の国民感情を刺激していけないじゃないか、こういう御趣旨の御質問でございました。  不動産業者や金融機関等によります海外不動産投資については、相手国の国情、国民感情等に十分配慮して、新たな国際摩擦、こういうことを招いてはならないという考え方であります。今後、関係省庁と密接な連絡をとりながら、必要に応じて適宜、業界に対しても注意を喚起する等の適切な措置を講じてまいる所存でございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  44. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 土地利用のあり方につきましては、御意見私もおおむね同感でございます。  現在は、消極的な規制が中心になっているわけでございますけれども、私も積極的にこのようなものをつくるべきだというような利用のあり方が望ましいな、そのためにも都市計画で地区計画というものがもっと発展していくことを期待している一人でございます。  国の機関の移転の問題は、まず民間の事務所、事業所等に移転を求めているわけでございますので、国も率先して政府関係機関を移転させるべきだ。そのことを通じて過密の弊害を救っていきたい。同時に、三十三区の外に出ることによりまして、その政府関係機関が核となって地域の活性化の役割を果たしていくことを期待いたしておるものでございます。  現在考えております政府関係機関の移転は、強いて申し上げますと、展開立地していきます展部であり、分散立地していきます分都でございますので、展都、分都を総合したものだとお考えいただきたいわけでございます。  この計画、四全総の達成時期、昭和七十五年度までの間に我が国はおおむね中成長の成長を続けることができるという推定のもとに、七十五年度においては実質国民総生産五百兆円というような予測をいたしておるところでございます。  関西圏または中部圏につきましては、総理からもお話がございました。  大阪を中心とする関西圏につきましては、東京に準ずる全国的な世界的な中枢機能を担ったところにしたい考え方でございまして、関西国際空港でありますとか、関西文化学術研究都市でありますとか、あるいは瀬戸大橋でありますとか、いろんな計画が推進されておるわけでございますけれども、これらを通じまして独創的な産業と文化を創造する中枢圏域として整備していきたいと考えているところでございます。  また、名古屋を中心とする中部圏につきましては、名古屋東部丘陵研究学園都市構想の推進、東海環状自動車道の整備等を進めまして、先導的な産業分野に関する世界水準を持った研究開発機能を備えた産業技術の中枢圏域として整備していきたいという考え方を持っているところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇拍手
  45. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 第一に、住宅の確保についてであります。  市街地において住宅以外の立地を規制する制度としては、住宅及び学校など住宅の近隣に必要なもの以外禁止されている第一種住居専用地域、住宅及び住宅の近隣に必要な施設のほか、小規模な店舗、事務所等に限り建築できる第二種住居専用地域が設けられております。  これらの地域を、地区の将来の土地利用の方向を見定めつつ、地区の実態をも十分配慮して都市計画で指定するよう地方公共団体を指導してまいりたいと存じます。  第二に、大都市圏での住宅政策のあり方についてであります。  住宅・都市整備公団の賃貸住宅及び分譲住宅については、大都市圏の中堅勤労者にとって適正な対価で供給できるよう、国において利子補給等の財政措置を講じているところであり、昭和六十二年度においては千七百九十億円を交付したところであります。今後とも、適正な対価で住宅を供給できるよう施策の推進に努めてまいる所存であります。  シンガポールでは、公共住宅建設主体である住宅開発庁がほとんどの住宅建設を担い、その結果、現在では国民の約八五%が賃貸及び分譲の公共住宅に居住しているという世界的にも極めてまれな住宅政策を進め、国民の居住水準の向上に成果を上げていると聞いております。しかしながら、この背景には土地所有に関する考え方等において我が国とは大きく異なる諸条件があり、必ずしもそのまま我が国に導入することは困難と考えておりますが、今後の住宅政策を進める上での参考にいたしたいと考えております。  なお、我が国における公的住宅の建設については、第五期住宅建設五カ年計画に基づきその推進に努めてまいります。  建設省においては、近年の逼迫した宅地需給に対処するため、各般の施策を総合的に講じてきたところでありますが、供給促進策については、特に住宅・都市整備公団等公的主体による宅地供給量の増大を強力に推進することが重要であると考えております。このため、昨年十月閣議決定した緊急土地対策要綱を踏まえ、六十二年度から五年間の住宅・都市整備公団による住宅地供給量を過去五年間の約一・八倍に増大するよう最大限の努力を図っているところであります。  建設省としては、今後とも住宅・都市整備公団が公的宅地供給主体としてその役割を適切に果たすよう指導してまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣林田悠紀夫君登壇拍手
  46. 林田悠紀夫

    国務大臣(林田悠紀夫君) 深度地下の公的利用につきましては、総理からただいまお答えのとおりでありまするが、民法との関連につきましての考え方お答え申し上げます。  土地の所有権は、土地所有者の利益の存する限度におきまして土地の上下に及ぶと解すべきであり、その限度を一概に特定することは困難であると思われます。しかしながら、財産権の内容は、憲法二十九条二項の定めるところによりまして、公共の福祉に適合するように法律で定めることになっており、民法二百七条は「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」となっているので、憲法二十九条の趣旨に沿った法令により、所有権の空中、地下に及ぶ範囲を制限することは可能であると考えます。  なお、大深度の地下において土地所有権の拘束を受けないで地下鉄や道路などを敷設する制度につきましては、運輸行政、道路行政等を所管する省庁において、その立法の必要性、技術的可能性、現行法制との整合性などを検討すべきものでありまするが、法務省といたしましても、民法との整合性を図る観点から、これらの省庁から協議の申し入れがありましたならば、十分協力してまいりたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣中尾栄一君登壇拍手
  47. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 馬場先生にお答えさせていただきます。  私どもの経済企画庁に関する御質問は四点ほどかと思います。  まず第一に、その問題点を一つ一つ申し上げてみたいと思いますが、多極分散が進むと今までの東京集中による効率化のメリットが失われて経済成長に対してはマイナスになるのではないか、そのような御懸念の御質問かと思います。  東京圏への一極集中によりまして、東京圏における地価の高騰、居住環境の悪化、交通混雑、需給の逼迫、あるいはまた自然災害に対します脆弱性の弊害が高まる一方、地域経済におきましてはひずみや相対的な地盤沈下をもたらしまして、このような動きを放置しておきますると、均衡のとれた我が国経済社会の発展が阻害されるおそれが強いと思うのでございます。  こうした観点から、我が国経済社会が解決を求められておりまする課題の一つといたしまして、東京圏への過剰な依存から脱却をしなければならない、地域経済社会の均衡ある発展が挙げられると考えるのでございます。  このような発展を図ることによりまして、我が国の需要構造が変革をされまして、内需主導型経済構造への転換、定着が図られると考えており、こうしたある意味における経済構造調整努力によりまして、中長期的な経済発展の基盤が築かれていくものと考えておる次第でございます。  第二点の問いは、二十一世紀までの経済成長を、どのようにこれをとらえておるのかという御質問かと思いますが、中長期的な経済運営の考え方及び見通しにつきましては、現在、経済審議会において昭和六十三年度から昭和六十七年度までを計画期間といたしましての新経済計画について御審議を賜っているところでございます。  今般発表されました同審議会企画・公共部会の報告では、内需主導型経済構造への転換、定着の結果といたしまして、計画期間中の実質経済成長率を三カ四分の三%程度と見込んでおる、このようにお考え賜りたいと思うのでございます。  政府といたしましては、新経済計画の最終答申が出されるのを受けまして、今後とも内需主導による適度な経済成長を定着させるように努めてまいりたいと存じ上げておる次第でございます。  第三点の問題といたしまして、新経済計画と四全総の整合性をどのように考えていくのか、こういう御質問でございましたが、これも既に総理が先ほど御指摘賜りましたので簡略に申し上げてみたいと思いますが、新経済計画につきましては、現在、経済審議会において取りまとめが行われているところでございまして、今般、同審議会の四部会、一小委員会の報告が発表されたところでございます。  これらの報告におきましては、四全総でも考えられている東京圏への一極集中の是正並びに地域経済社会の均衡ある発展我が国経済社会の当面解決すべき課題として取り上げられておる次第でございます。したがいまして、この課題の解決のための方策といたしまして、地方イニシアチブによる地域の活性化、あるいは中枢都市を核とした広域経済圏の戦略的な育成、あるいは広域経済圏の交通・通信網の整備等を進めようとしておるものでございます。  このような考え方は、四全総の考え方とも基本的に軌を一にしたものでございまして、これから取りまとめられます新経済計画でもこの考え方は十分に取り入れられていくものと考えておる次第でございます。  最後に、御指摘の中に地域・産業部会、すなわち経済審議会のその部会の中で、関西圏、中京圏につきどのように考えておるのか、こういう御指摘でございました。  経済審議会におきましては、昨年十一月に内閣総理大臣から新しい長期経済計画の策定につきまして諮問を受けまして、現在、審議、検討が進められているところでございます。  先般取りまとめられました同審議会地域・産業部会の報告では、均衡のとれた地域経済社会実現のための基本方向として、中枢都市を核とした広域経済圏を戦略的に育成することが重要であると考えておる次第でございます。  その際、関西圏、中京圏につきましては、東京の持つ国際金融機能、あるいはまた国際情報通信機能、産業技術機能、あるいは文化創造・発信機能、そういうものに対しましての一定の部分を分担いたしまして、東京圏にさらに対抗し得るような広域経済圏として発展させることが最も肝要であろうと考えておる次第でございます。  以上をもってお答えといたします。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  48. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 近藤忠孝君。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  49. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、多極分散型国土形成促進法案について質問をいたします。  今、国土政策の最大の焦点は、東京一極集中を是正するかどうか、暴騰地価を引き下げるかどうかであります。  そこで、総理に単刀直入に質問いたします。  本法案及びその施策により、第一、東京一極集中が是正され、多極分散が実現すると本気でお考えか。第二、今や社会問題、国際問題にすらなっている地価高騰について、高値安定ではなく、暴騰前の水準に引き下げる意思がおありか、またその方策をお持ちか、御答弁いただきたいのであります。  問題の解決は、思いつきや小手先の措置ではなく、今日の異常事態の根本原因を直視し、これに抜本的なメスを入れることであります。  この問題の根本には、世界的規模で活動する多国籍企業による二十四時間体制での情報の収集、管理、世界的な金融操作のための中枢管理機能の集積化、効率化の要求をも反映した国際都市東京の一極集中問題があります。そして、その業務用ビル拡張などの要求にこたえ、土地の投機的買いあさりに狂奔した大手不動産業者や膨大な資金を提供した大銀行、生命保険会社などこそ地価暴騰の元凶なのであります。  しかも、政府は、これを放置したばかりか、中曽根内閣は民活の名で都市計画、建築規制などの一連の緩和措置をとり、国有地を高値で大企業に払い下げて周辺地価を大きく押し上げ、さらには、政府みずから国際都市東京を叫んで大規模都市再開発構想を推進し、過大なビル需要予測を立てるなど、大企業の土地買いあさりをあおり立ててまいったのであります。  円高ドル安のもと、日銀が為替市場介入のため供給した円資金が土地投機資金に回ったことは宮澤大蔵大臣も認めたところであります。政府・自民党の中枢でこれを推進してきた総理、この責任をどう反省しているのか、またこの基本を変えない限り土地問題の解決は不可能ではないのか、明確な答弁を求めるものであります。  政府は、口を開けば需要供給論を唱えています。しかし、大資本本位の開発による土地供給をふやせば、東京一極集中は促進されるだけであります。その反面、地価が下がる保証は何もありません。需要供給論は地価高騰の真相を覆い隠し、大規模開発を促進するための自己弁護ではありませんか。  以下、法案に即して質問いたします。  第一に、政府機関の地方移転であります。今行われようとしておりますのは、つり合いのとれた国土発展とは無関係に、見通しもなく、名目的な数合わせの移転であります。これでは多極分散の効果が上がらず、また移転さえ困難となるではありませんか。  第二に、本法案は多極分散型国土の形成を目的にしておりますが、この三月、東京臨海部開発推進協議会が発表した東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設の整備等に関する基本方針は、これに逆行するものではありませんか。広大な都の埋立地に、通信衛星を介した国際的な高度情報通信基地を中心に、交通施設、上下水道、緑地など産業基盤を国や都が整備し、そこへ民間大企業が金融、補助金、税制のインセンティブを受けながら業務用インテリジェントビルや高級住宅を建設していく計画であります。これは投機的利益をねらって世界じゅうに大量の資金を動かしている大銀行や証券会社などの多国籍企業が、昼夜を分かたず活動する二十四時間都市をつくるためのものではありませんか。  第三に、業務核都市についてでありますが、現在計画中の五つの業務核都市と臨海部副都心を合わせると合計で八十六万人の新規就業人口の増加が見込まれます。これがどうして集中解消に役立つのですか。都心における地価高騰や集中がもたらす弊害を周辺の東京圏全域に広げるだけであります。東京圏と地方との差が広がるばかりだとの批判を否定することができますか。  第四に、本法案は、地域の特殊性を生かした地方振興をうたっていますが、今切実に求められている地域振興策には無縁のものであります。今、地方は、政府の異常円高是認、構造調整政策の推進のもとで、石炭、非鉄金属の相次ぐ閉山と縮小、鉄鋼、造船、繊維産業などのすさまじい人減らし合理化、企業の海外進出による空洞化、失業の増大、中小企業、地場産業の転廃業、休業の続出、牛肉、オレンジの自由化、農林水産業の破壊など、まさに地域経済崩壊の危機に直面しております。このような国際的産業構造調整政策は直ちにやめるべきではありませんか。  本法案の実施法的性格を持つ地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案は、主として大企業とその系列子会社である頭脳産業の地域への立地に対し、用地提供、関連施設整備、NTT株財源の無利子融資、税制上の各種恩典措置で支援するものであります。地域振興よりは、大企業や系列会社の地域立地を優遇するものであり、さらに地域経済活性化のために苦しい努力を続けている自治体に大企業誘致競争をあおらせ、いつ来るかわからない企業のために自治体の出費や基盤整備を進めさせることになるのではありませんか。今、地方財政の拡充こそ必要であるにもかかわらず、逆に自治体と住民に新たな負担を強いることになるではありませんか。  第五に、宅地供給の促進問題であります。  本法案の実施法的な性格を持つ大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案は、緊急大規模に宅地供給を促進するためと称して、首都圏など三大都市圏の市街化調整区域に大手不動産業社などが保有する五十二カ所、四千五百十ヘクタールの土地を対象に、五ヘクタール以上まとまった土地を宅地開発するものであります。現在、地方自治体は、乱開発防止のため宅地開発指導要綱などで厳しく規制しておりますが、その規制緩和を求める資本の要求にこたえようとしているとしか考えられません。答弁を求めます。  しかも、大資本が営利目的で供給する住宅は、既に一般サラリーマンにとって購入不可能な価格になっております。安くて住みよい公共住宅を大量に建設、供給することが目的であるならば、大資本が買い占めている土地を、その購入価格と現在までの保持にかかった金利負担相当額をプラスした適正価格で地方自治体が優先的に買い上げる制度をこそ創設すべきではありませんか。  最後に、私は、真に地方を振興し、つり合いのとれた国土政策への転換、対米従属、大企業本位の経済政策から国民本位の経済政策への転換こそが国土問題の真の解決の道であることを強く主張し、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) お答えいたします。  まず、本法案により多極分散は実現するか、こういうことでありましたが、それらを促進するためのまさに基本法だ、こういうふうにお考えいただければ結構でございます。  そうして、地価水準の引下げにつきましては、御案内のように、昨年十月に閣議決定しました緊急土地対策要綱、そこで監視区域制度、さらには金融機関に対する指導強化、したがって、今後安定、そして引き下げ、こういう順序で対応すべきものであると考えます。  それから、地価高騰の原因について、種々な御意見を交えて御質問がございました。  国際都市東京というのをあおり過ぎて仮需が起こったとか、いろいろなことがございましたが、確かに国際金融都市としての東京というのが今日位置づけられておることも事実でございます。しかし、当面、先ほど申しましました土地対策要綱に基づく諸施策を行っていくとともに、さらにこれからは、それこそ諸機能の地方分散等を図って安定を図ってまいりたいと考えております。  それから、東京臨海部等の開発は逆行ではないか、こういう御趣旨質問がございました。  地価対策としては供給をふやしていくことが有効でございますので、逆行であるとは考えておりません。  さて、政府機関移転の多極分散効果というものは、これを着実に実施することによりましてその効果が出てくるものであるというふうに考えておるところであります。  それからもう一つ、臨海部開発の問題は、言ってみれば、いわゆる大都市問題の解決というためには、これは住宅問題でありますとか、交通問題でありますとか、すべて総合的に考えなければならないために四全総において位置づけされている課題であると思っております。  業務核都市が、言ってみれば地価高騰と集中拡大によって弊害をもたらすのじゃないか、こういう御意見でございました。  それこそ、いわゆる現在の東京圏内における一極依存型、これを解消しようという考え方でございます。  さて、今日までいわゆる円高に伴いまして、製品輸入の増加とか輸出の停滞、また海外生産の動きも活発化しておりますことから、産業構造の転換が加速化されて、そこで一部産業、地域が厳しい環境にある、こういうふうに私どもも認識しております。これらの点につきましては、産業構造転換の円滑化に努めてまいりますとともに、やはり新分野開拓等の構造転換に対しても、いわゆる地方振興の立場からも、また産業構造転換の立場からも支援してまいりたいと思っておるところであります。  それから、地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律、これは円高によります産業構造調整の進行など、地域経済を取り巻く現下の厳しい現状にかんがみまして、今後の成長が期待される研究所、ソフトウエア産業などの産業の頭脳部分の地方分散を推進することによって、地域経済発展を図ることを目的とするものというふうに考えておるところであります。  また、良質な住宅宅地の供給のため、公的供給、民間供給、大変重要な問題であると認識しております。第五期住宅建設五カ年計画、こういうものに基づきまして、これが計画的推進を図ってまいりたい。  最後におっしゃいましたように、国民本位の経済政策というようなもとにおけるいろいろな調和のとれた開発をしようというのが、まさにこの基本法の精神でございます。(拍手)    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  51. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 大部分、総理からお答えいただいたようでございます。  これによって多極分散型の国土を実現できるか、高値安定になるのじゃないかといったような御意見もございました。  私は、新聞記事で高値安定という言葉が出ますたびに冷やりとするわけでございます。昨年暮れから値下がりを始めた、もっと下げていかなければ地方の地価が上がっていくじゃないか、だからこのまま安定では困るわけでございまして、そんなことを書かれてしまったらますます下がりにくくなるじゃないかという心配を常に持っているわけでございまして、地価をもう一段下げていかなければ地方の地価がバランス上上がっていくという心配を抱いておりますだけに、ぜひ一層の努力を続けていきたい、かように考えているところでございます。  政府関係機関の移転につきまして、名目的な数合わせというお話がございましたが、首都機能を一括移転するという問題、それは今ここで政府が結論を出せない。それにかわるものとして、首都機能が一括移転いたしましてもついていく必要のない政府関係機関は、この際原則としてみんな二十三区の外に出てもらおうじゃないか、こういう考え方に立っておるわけでございまして、単なる名目的な数合わせなどのことは一切考えておらないことでございます。  臨海部の開発が、何か大規模事業者に奉仕しているような意味合いの御発言がございました。  東京を考えます場合に、肥大化を防止するために工業立地制限法という法律がございまして、工場をつくってはいけない、大学をつくってはいけないということになっておるわけでございます。あるいはまた、木造家屋が密集しているようなところについては、再開発を進めていきませんと安全を保てないと思うわけでございます。  同時にまた、世界の企業が東京を目がけて立地を求めてきているわけでございますだけに、世界的な中枢の都市にふさわしいような施設を整備する。臨海部におきましてインテリジェントビルをつくっていく、セキュリティーの点についても万全を期していく、さらにまた、宇宙衛星を情報や通信の媒体にしていけるようにテレポートをつくっていくといったようなことも私は大変重要なことじゃないか、こう思っているわけでございまして、こういうものをつくるからそこへいろんな企業が集まってくるのじゃございませんで、世界の金融センターになったから集まってきているわけでございます。それにふさわしいような機能を持った都市、地域社会をつくっていかなければならないということでありますことについて御理解をいただいておきたい、こう思います。  また、業務核都市をつくることが周辺の東京圏をさらに広げていくことになるじゃないかというお話がございました。  先ほどもちょっと申し上げましたように、中心を幾つもつくっていこう、こう考えておるわけでございます。中心を幾つもつくっていきますと、大都市の今持っております住宅難でございますとか、交通渋滞でありますとか、そういう問題がかなり私は解決していくのじゃないか、こう思うわけでございまして、そういうことを通じてマイホームを得やすいようにしたい。また土地の値下がりにも私は寄与する面が出てくるのじゃないか、こういう期待を持っているところでございます。  また、地方振興についての御意見もございました。  これまでは、どちらかといいますと、新産都市をつくるのだ、テクノポリスをつくるのだ、みんな中央から企画を示しまして、この企画に合うものをおまえたちがやるなら政府協力をするよということだったのでございますけれども、今度は地方の方で地域の特性に合った計画をおりくりなさいよ、創意工夫を尽くしなさいよ、それなら中央政府協力をしていきましょう。手づくりの地域振興政策を考えておるわけでございまして、今までは中央集権的な地域開発だった、これからは地方分権的な地域開発をやるのだという発想の転換をしておりますことについても御理解をいただいておきたい、こう思います。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇拍手
  52. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 三大都市圏における逼迫した宅地需要に対処するため、良質な宅地の供給の促進を図るための緊急措置を講ずることが必要であります。本法案は、このため、国と地方公共団体が密接な連絡調整を図りつつ、優良な宅地開発事業を推進しようとするものであります。  ただいまも国土庁長官からお答えいたしましたが、地方公共団体の立場を十分尊重することは当然のことであります。国民の住宅需要にこたえるべく、今後とも大都市地域における宅地供給の促進に努めてまいりたいと存じます。(拍手)     ─────────────
  53. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 勝木健司君。    〔勝木健司君登壇拍手
  54. 勝木健司

    ○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案につきまして、竹下総理大臣並びに関係大臣にお伺いいたします。  本法律案は、現在、緊急の課題であります東京一極集中の是正、地方の振興、大都市などにおける土地問題の解決を図り、もって第四次全国総合開発計画にも示された多極分散型国土を形成し、国土の均衡ある発展促進をその目的に掲げております。この点、従来の全国総合開発には見られなかった取り組みであり、基本的にはこの考え方のもとに国民が快適で豊かな生活を営める国土づくりを推進していくことを望むものであります。が、しかしながら、問題として残されているのは、今後いかにしてこの法律案で示された施策を具体化し、実効性あるものとしていくのかということであります。  私は、この点を明らかにし、国民の前に示すことが必要であると考え、このような見地から、以下の諸点につきまして質問いたします。  まず、多極分散型国土の基盤をつくる上で、土地問題の解決が不可欠であります。  竹下総理、現在、土地問題は終わったのでありましょうか。最近、都心部の地価の上昇が落ちついた、あるいは若干の下落が見られるということをもって土地問題はもはや過去のものとしようとなされるのか。そうではなくて、今こそ将来に向けた抜本的な土地問題の解決を講ずるべきときではないでしょうか。今国会でも宅地供給促進のための提案などがなされましたが、残念ながら法制度の一部手直し、臨時緊急的なものにとどまっております。  そこで、我が党が主張しておりますように、土地問題の解決に当たっては、土地の利用と所有との基本理念であります土地は国民全体のため公共の福祉を優先して合理的に利用するという国民共通の意識の確立と、さらには法律相互間の体系的な整合性や統一性を図ることが必要であります。このような見地から、地価抑制や土地利用の基本を定めた立法措置を講ずるべきであると考えますが、総理並びに国土庁長官のお考えをお伺いいたします。  さらには、都市計画法や建築基準法を改正し、地域の特性や実情に応じた快適な町づくりを推進するために、実態に合わなくなった用途地域などや建築規制のあり方を見直すべきであると考えますが、この点、建設大臣のお考えをお伺いいたします。  次に、地方の活性化についてでありますが、さきに経済企画庁より発表されました県民経済統計を見ますと、大都市と地方との格差はまた広がっております。そこで、地方活性化、地域振興策の強化充実を急ぐ必要があります。  竹下総理大臣総理はしきりにふるさとづくりを言われております。が、しかし、本法律案からは地方振興、いわゆる「ふるさと創生」の将来が見えません。そこで、本法律案で示された振興拠点地域の開発整備の具体的内容と整備のスケジュールはどのようになっているのか、お示しいただきたいと思います。  また、拠点整備と言われるが、問題は行政権限や財源が中央である東京に集中していることであり、このことが企業の中枢機能の東京一極集中を招いている大きな原因の一つとなっているというのが現実であります。そこで、この是正のためには、ただ単に行政機関の移転にとどまらず、権限や財源地方移譲の促進を具体的かつ計画的に進めることが必要でありますが、この点いかに取り組まれるのか、総理大臣の御見解をお伺いいたします。  国土の均衡ある発展のためには、公共事業や地域の活性化対策などについて、計画的かつ総合的に実施することが必要であります。縦割り行政の中でこれらの事業がばらばらに計画され、実施されている現状は、根本的に改めるべきであります。この点、昭和五十八年の臨時行政調査会の最終答申において、総合調整機能の強化が必要とされ、そのため総合企画会議の設置が指摘をされております。しかしながら、これはいまだに設置されていないのが現実であります。今後、この政府の総合調整をどのように行っていかれるのか、総理の具体的かつ明確な答弁を求めるものであります。  次に、東京一極集中の是正策についてお伺いいたします。  東京集中を是正し、国土の複眼化を図っていく上で、例えば関西圏の機能強化が重要であると考えます。そこで、現在、大阪において関西新空港の建設が着々と進められており、大阪が国際都市としての機能の充実強化を図る一つのステップとなっております。しかしながら、この周辺環境の整備という点では、今後解決するべき課題が幾つもあります。日本で初の二十四時間空港としての機能を発揮させるためには、そのための都市再開発や地域交通体系の整備といったハードの面と、これを活用するソフトの両面の整備を進めるべきであります。  また、大阪と周辺の京都、神戸、奈良等の関西圏内で一体となって進められている関西文化学術研究都市や明石大橋といったプロジェクトと有機的に連係づけることにより、関西圏の全体の浮揚に資することとなると考えます。この点、関西新空港の整備と周辺環境の整備、さらには関西圏の国際化への対応についてどのように取り組んでいかれるのか、総理並びに関係大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、政府関係機関の移転策についてでありますが、これについては政府部内の足並みの乱れなどもあり、実現性について危ぶむ声があります。  竹下総理は、就任以来、この政府行政機関の移転について、その実行を確約されてまいりました。今回の法律案にも、政府行政機関の移転が最初に掲げられております。もしも総理の提唱された政府関係機関の移転がとんざすることがあれば、この法律に基づく行政機関の移転についても困難視せざるを得ません。そうなりますと、まさにこの考えがいかに形式的で場当たり的であったかとの証左となってしまいます。  そこで、竹下総理の目指す政府関係機関の移転を行政改革地方活性化に資するものとした実行へ向けての具体的な手順と御決意につきまして、総理大臣の明瞭かつ率直な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、地価が一部鎮静した、したがって終わったのじゃないか、こんな考えは御指摘のとおり最も戒めなければならない考えと思っております。本院に土地対策特別委員会ができたそういう環境が、今日、問題解決の方向へ進めておるわけでございますから、まさにこれが終わったなどという安易な考え方には立ってはならないと自分にも言い聞かせておるところでございます。  そこで、基本法の点についてお触れになりましたが、今日まで各種法令によりまして公共の福祉の観点からいろいろな規制がございます。これらの法令の適正な運用に努めてまいるのは当然のことでありますが、基本法、こういうことになりますと、国民の財産権に深くかかわる問題でもありますので、各方面の議論を踏まえ、国民的コンセンサスを得なきゃならぬ。私も素案を拝読させていただいておりますが、そのような考え方に立っております。  それから、振興拠点地域整備の点についての御意見がありました。  そもそも、今度の考え方というのは、上で各省庁がいろいろなメニューをつくって、この中で当てはまるものを選んでいらっしゃい、こういう姿勢ではなく、その地域地域のまさに歴史とか伝統とか文化とか、そういうものから積み上げたものにどのようにして振興拠点地域を整備していくかという考え方に基づくものでございますので、したがって、いわゆる地域振興の拠点となる地域を開発整備する、そのために必要な税制、金融上の措置を講ずる、こういうものでございます。  これが開発整備の規定につきましては、地方公共団体等にそれこそ周知の期間を与えなきゃならぬ。そしてまた、改めて地方意見も聞いて、関係政省令の整備を行うため、法の施行は、法公布後二カ月以内で政令で定める日とされておる、こういうことであるわけでございます。  それから、基本的には行政権限の地方分権、そしてまた地方への財源移譲、こういうことを考えなきゃいかぬ、そのとおりであると考えております。  今日までも国、地方の役割分担についていろいろな検討をし、また実施もしてまいりました。臨調答申、それから機関委任事務の整理合理化、これらを推進し、さらには四全総の精神を踏まえて一層推進していかなきゃならぬ課題だというふうに思っております。したがって、多様な財政需要の増大、こういうことに対しましては、地方財源確保と安定のため今後とも適切な措置を講ずるべきであると考えております。  それから、五十八年の新行革大綱におきまして、「経済計画、国土計画等各種行政計画の立案に当たって関係機関相互の連携を密にする等その調整の円滑化を図る」「このため、必要に応じ関係審議会の会長等からなる懇談の場を設けるものとする。」こういう方針が決まっておるわけでございます。御説のとおり、今後とも必要と認められる事態が生じた場合には、答申の趣旨に沿うよう適切に対処してまいる考え方であります。  二十四時間空港、このことについてお触れになりました。  関西文化学術研究都市など各種プロジェクトの着実な進展によりまして、まさにこの関西国際空港等が中心になって関西圏の活性化、国際化を進めていきたい、このように考えておるところであります。  それから、最後に、国の機関等の移転の問題について、とんざしたらいけないぞという御激励とも言うべき御質疑でございました。  先般、その方針を決定いたしました。もともと昨年の八月の概算要求基準のときには考えていなかったことでございますので、新内閣ができましてから方針をまず決定し、そして今その方針に基づいて実現に取り組んでおるところでございまして、所要の調整を行いまして、これは着実に推進してまいらなければならない、このように考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣奥野誠亮君登壇拍手
  56. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) この法律は、基本法のようなものでございますだけに、今後も国や地方公共団体や民間の事業者ともに協力をしながら具体的に進めていかなければならないわけでございますだけに、それらの連携を密にしながら、確実にこの目的達成するように努力をしていきたいと思います。  同時に、国土庁は、国土行政の総合的な計画、立案、調整の推進機関でございます。この立法をてこにして、一層強くその推進機関としての役割を果たしていくことができるようになるのじゃないだろうか、その責任を一層重く担うことになるのじゃないか、こんな考え方をしているところでございます。  関西圏の活性化を図ることについての御意見もございまして、全く同感でございますが、そのことを通じまして西日本全体の活性化にもつながると考えますし、東京圏への一極集中の是正にも貢献すると考えますし、我が国全体の均衡ある発展を図るため早急に実施すべき事柄であるとも考えるわけでございます。それだけに、これも御指摘いただきましたが、二十四時間空港建設、これも進められているわけでございますし、瀬戸大橋その他大規模プロジェクト、それらの開発メリットといろいろな施設との連携を図りながら、関西圏の活性化、国際化を進めるために努力をしていきたいと存じているところでございます。  昨年、促進法ができまして、基本方針をお示ししました。それを受けまして、京都府、大阪府、奈良県三者が具体的な建設計画を中央に上げてまいって、内閣総理大臣承認をしたところでございます。そして、国土庁に関西文化学術研究都市建設推進室を設けたところでもございまして、御趣旨に沿って努力を続けていきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇拍手
  57. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 魅力ある国土を建設するためには、地域の特性に応じた町づくりの推進が重要であると認識いたしております。都市計画、建築規制においても、地域の特性に応じた対応が図られるよう、地区計画制度及び集落地区計画制度を創設するなど、地域の実態に即したきめ細かな町づくりのための制度の充実を図ってきたところであります。  また、最近の産業構造の変化等により発生する工場跡地等を活用して、魅力ある都市づくりを推進するための再開発地区計画制度の創設を行いたいと考えているところであります。  なお、関西地域におきます関西空港、東瀬戸大橋、学研都市、これらのプロジェクトに関連をいたします道路、公園、下水、あるいは宅地、住宅等については計画を進め、その事業を実施している次第であります。でございますから、この供用開始に合わせて道路等の供用開始も進めていきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣石原慎太郎君登壇拍手
  58. 石原慎太郎

    国務大臣(石原慎太郎君) 関西国際空港についてお尋ねがございました。  この空港は、我が国の国内及び国際空港の需要の著しい増大に適切に対処するために、我が国初の本格的二十四時間運用可能な空港として目下その早期の開港が望まれております。  関西国際空港株式会社は、昭和六十二年一月末に建設工事に着手し、六十七年度末開港を目途に新工法によって現在鋭意工事を進めております。運輸省としましても、関西国際空港の早期の開港、また会社の事業の円滑な推進が図られるように最善の努力を尽くしてまいるつもりでございます。  また、関西国際空港の立地に伴い必要となります道路、鉄道等の関連アクセスの整備については、六十年十二月、関西国際空港関係閣僚会議において決定されました関西国際空港関連施設整備大綱に基づきまして、関係省庁、関係地方公共団体などと十分に連絡と調整を図り、空港建設の進捗状況対応して、計画的に関連施設の整備を進めることとしております。決して、成田の二の舞は踏まないつもりでおります。  また、国は、六十三年度において全体構想についての検討をするための基礎調査に着手することとしております。(拍手
  59. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  60. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一 日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件  日程第二 千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件  日程第三 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長森山眞弓君。    〔森山眞弓君登壇拍手
  61. 森山眞弓

    ○森山眞弓君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、国際熱帯木材機関本部協定であります。  この協定は、国際熱帯木材機関の本部が横浜に設置されることに伴い、この機関がその本部において十分かつ能率的に任務を遂行できるようにするためにつくられたものでありまして、機関、その職員等の地位、特権及び免除について定めたものであります。  次に、千九百八十七年の国際天然ゴム協定であります。  これは、千九百七十九年の国際天然ゴム協定にかわるものでありまして、天然ゴムの価格安定、供給の確保等のために緩衝在庫を設置し運用すること、天然ゴムに関する情報を収集すること等について規定しております。  最後に、オゾン層保護条約及びオゾン層破壊物質に関する議定書は、それぞれオゾン層の保護のために国際協力の枠組みを定めること及びオゾン層を破壊するおそれのある物質の消費、生産等を規制することを内容とするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  62. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより三件を一括して採決いたします。  三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。  よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。      ─────・─────
  64. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第四 特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案  日程第五 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長関口恵造君。    〔関口恵造君登壇拍手
  65. 関口恵造

    ○関口恵造君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案の主な内容は、第一に、法の廃止期限を七年延長すること、第二に、特定不況業種に係る事業所以外の事業所のうち、労働大臣が認定した一定の事業所を特例事業所として法の失業予防措置対象とするとともに、下請事業主の範囲を拡大すること、第三に、事業転換による雇用機会の確保など失業の予防のため一定の措置を講ずる事業主について、雇用保険法の雇用安定事業として特別の措置を講ずるとともに、事業主が行う在職者の職業転換に必要な教育訓練の実施について特別の措置を講ずること等であります。  次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の発生が今後においても引き続き予想される状況にかんがみ、法の有効期限をそれぞれ五年延長するものであります。  委員会におきましては、以上二案を一括議題として審議を進め、産業構造の変化に対応した雇用対策特例事業所の認定基準、高齢者の雇用対策、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の再就職促進等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了し、順次採決を行いましたところ、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  なお、特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議が全会一致をもって付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  66. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより両案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  67. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。  よって、両案は全会一致をもって可決されました。      ─────・─────
  68. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第六 港湾法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長中野鉄造君。    〔中野鉄造君登壇拍手
  69. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、港湾の整備の促進を図るため、地方公共団体の出資に係る法人に対し、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法に基づく収益回収型の無利子貸し付けを行おうとするものであります。  委員会におきましては、港湾整備事業における収益回収型無利子貸し付けの有効性、港湾再開発をめぐる諸課題への対応等各般にわたり質疑が行われましたが、その詳細は会議録をもって御承知願いたいと存じます。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党小笠原委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  70. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  71. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  72. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第七 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第八 無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第九 地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大木浩君。    〔大木浩君登壇拍手
  73. 大木浩

    ○大木浩君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案は、我が国産業技術の向上及びこの分野における国際交流の進展を図ることが我が国経済の中長期的な発展のために必要とされる現状にかんがみ、新エネルギー総合開発機構の名称を新エネルギー・産業技術総合開発機構に改めるとともに、同機構の業務に、民間の産業技術に関する研究開発能力等を活用した研究開発、研究基盤整備、国際研究協力等に関する業務を追加し、さらに産業基盤整備基金に研究基盤整備に必要な資金に係る債務の保証の業務を行わせること等の措置を講じようとするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党市川理事より反対の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案は、衆議院物価問題等に関する特別委員長提出に係るものでありまして、国債等金銭以外のものを用いた無限連鎖講、いわゆるネズミ講が出現している状況にかんがみ、これによる被害の発生を防ぐため、国債等の物品を用いた無限連鎖講の開設等を禁止しようとするものであります。  委員会におきましては、村山衆議院物価問題等に関する特別委員長より提案理由の説明を聴取し、採決を行いましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案は、最近における内外の経済的環境の変化のもとで、産業の集積の程度が著しく高いレベルに達していない地域において、地域産業高度化を通じての地域経済発展と産業の配置の適正化が要請されている状況にかんがみ、これらの地域の産業の高度化に寄与する特定事業の集積を促進するため、集積促進指針及び集積促進計画の策定等について定めるとともに、地域振興整備公団及び産業基盤整備基金の業務に特定事業の集積を促進するために必要な業務を追加する等の措置を講じようとするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党市川理事より反対の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  74. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  まず、産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案及び地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  75. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。  よって、両案は可決されました。  次に、無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  76. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ─────・─────
  77. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一〇 消防法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長谷川寛三君。    〔谷川寛三君登壇拍手
  78. 谷川寛三

    ○谷川寛三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ、危険物の判定基準の合理化等を図るため、危険物の定義を明確にするとともに、試験による危険物の判定方法を導入すること、並びに一定の場合には市町村長等が危険物施設に対する許可を取り消すことができるものとすること、及び危険物取扱者試験の受験資格を緩和すること等を主な内容とするものであります。  委員会におきましては、危険物施設や青函トンネル、瀬戸大橋など長大トンネル等の防災対策、消防職員の勤務体制等をめぐる問題、危険物の規制のあり方等の諸問題について熱心な質疑を行いました。  質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対しましては、危険物の安全対策に十分配慮し、法の運用に万全を期すること等を内容とする附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  79. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  80. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  81. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一一 森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岡部三郎君。    〔岡部三郎君登壇拍手
  82. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、林業生産基盤の整備の促進等を図るため、森林開発公団が、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法に定める措置を活用して、林道の開設等及びこれに要する資金の貸し付けの業務を行うことができることとするものであります。  委員会におきましては、林業の諸情勢に対する認識、林野関係公共事業事業量の維持拡大、山村地域の振興と林業労働力の確保、森林におけるリゾート開発のあり方、森林開発公団の現状と将来の見通し、NTT資金Aタイプ事業の性格と公共事業実施のあり方、特定森林総合利用基盤整備プロジェクトの内容、NTT資金供給の見通し等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して諫山委員より反対である旨の発言がありました。  討論終局の後、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     ─────────────
  83. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  84. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  85. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一二 義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長田沢智治君。    〔田沢智治君登壇拍手
  86. 田沢智治

    ○田沢智治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、児童生徒が急増している地域にある公立の小中学校の施設の整備を引き続き促進するため、これらの学校の校舎の新増築に要する国の負担割合の特例措置昭和六十七年度まで継続するほか、関連法律の規定の整備を行おうとするものであります。  なお、衆議院において施行期日の修正が行われております。  委員会におきましては、児童生徒急増市町村の今後の推移とその対応策、学校規模の適正化、不足教室の解消等施設整備の方針、アスベストの除去対策、養護学校等の施設整備と高等部設置の促進などの諸問題について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑終局の後、日本共産党を代表して佐藤委員より昭和六十三年度分及び政令で定める市町村に係る国の負担率の引き下げ措置を撤廃するための修正案が提出されました。  次いで、本修正案に対して内閣の意見を徴し、反対である旨の発言があった後、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決、原案は全会一致をもって可決、よって本法律案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  87. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  88. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ─────・─────
  89. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一三 放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長上野雄文君。    〔上野雄文君登壇拍手
  90. 上野雄文

    ○上野雄文君 ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、放送の健全な発達を図るため、放送の計画的普及を目的とする制度を設け、放送番組審議機関に関する規定を整備するなどの措置を講じ、日本放送協会が行う業務等に関する規定を整備し、有料放送に関する規定を設けるとともに、放送局の免許に関する規定を整備するなど放送に関する法制の整備を行おうとするものであります。  委員会におきましては、放送普及基本計画の策定のあり方、放送番組の質の向上対策、NHKの業務範囲の拡大、有料放送の導入の理由、ニューメディア時代対応した放送制度の検討等の諸問題について質疑が行われました。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山中委員より反対、自由民主党を代表して添田理事より賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、放送行政への国民意向の反映、放送制度のあり方の検討など六項目から成る附帯決議案が提案され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  91. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  92. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  93. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 日程第一四 特定弔慰金等の支給の実施に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長名尾良孝君。    〔名尾良孝君登壇拍手
  94. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、昨年秋成立いたしました台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律に基づき、台湾住民である日本の旧軍人もしくは旧軍属であった戦没者等の遺族及び戦傷病者で著しく重度の障害の状態にある者またはその戦傷病者の遺族に対し弔慰金または見舞い金を支給するものでありまして、その額は戦没者等または戦傷病者一人につき二百万円とし、記名国債をもって交付しようとするものであります。  委員会におきましては、弔慰金等の支給を記名国債によることとした理由、台湾以外の他の類似ケースに対する政府対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  95. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  96. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十三分散会