○菅野久光君 私は、
日本社会党・護憲
共同を代表し、竹下
総理及び
関係大臣に質問するものであります。
総理、あなたはみずからの著書である「ふるさと創生」で、
政治家になった動機として、戦後の故郷の荒廃した山河を見、「二度と戦争が起こらないような、」そして「二度と国土が荒廃しないような世の中にしたい、という気持が強烈に働いた。」ということを言っておられます。そして、これからも一人でも多くの幸せを願って「無限の理想をめざす初心だけはつねに忘れることなく、」歩き続けたいと述べております。
私は、いまだ若輩ではありますが、このような
政治信条は私自身も常日ごろから大切に持ち続けていきたいと心に念じているものだけに、率直に共鳴いたします。
そして、
憲法前文も、「国政は、
国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は
国民に由来し、その権力は
国民の代表者がこれを
行使し、その福利は
国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、」と明確に規定し、我々
政治家に指針を示しております。
そこで、私たち
政治家は、こうした基本
理念に基づいて、国政が真に
国民のものとして根づいているかどうかについて常に真剣に検証する義務があると思います。私は、
総理がその本で、「今日の
日本は、素晴らしい」「歴史的にも稀なほど幸せな状態にある。」と言われておりますが、この認識とは必ずしも一致しない。いや、ある面では全く大きな格差を感ぜずにはいられない現実があると言わなければなりません。
国民一人当たりのGNPが
世界でトップとのデータは確かなものかもしれませんが、
国民一人一人の
生活に金持ち国
日本の実感はないし、また、これまでどんな軍国主義国家も平和を語らなかった国はないように、
我が国も常に平和を強調しながら、
世界の
軍縮の傾向に逆行してひたすら
軍拡路線を走っていること、また、毎年繰り返される六十万人を超える死傷者を出す交通事故など、深刻な問題は枚挙にいとまがありません。
そして、さらにごく身近な例として挙げるならは、
総理は認識ないのかもしれませんが、北海道は今、零下二十から一二十度にもなる寒さの最も厳しい季節であります。こうした中で、道内に多くある無医村地区で苦しむ人々、廃墟同然となった炭鉱の町で出稼ぎ先からの仕送りを待つ家族、農畜産物の自由化は農民の死活問題と心を痛める農家の人たち、ことしはどうなるかとかたずをのんで漁業交渉を見守る港の人たち、そして国の政策で撤去された鉄道沿線では、吹雪の中、いつ来るかわからないバスを待つ老人や子供たち等々の
生活実態があります。そして、これらはすべて今までの
政治と深く結びついているのです。
こうした現実を直視するとき、私は、
国民に自助努力を強要する
政治から、真に
国民が求める
政治へと大きく転換させなければならないと決意を新たにするものであります。それは
総理の「ふるさと創生」で強調する、
日本人が
日本人として誇りにできるようなしっかりとした
生活と
活動の基盤をつくることに通ずるものではないでしょうか。
問題は、美しい言葉やキャッチフレーズで飾られた政策と現実の
国民生活とのギャップの根本原因を明確にし、
国民生活の安定向上に資する具体的施策を実行することが、今日、
政治に課された
責任であると思いますが、まず
総理の認識と
責任ある答弁を求めます。
以下、こうした立場から幾つかの具体的問題について質問することとします。
最初に、防衛問題についてでありますが、瓦防衛庁長官は、去る一月十九日、アメリカのカールッチ国防長官との会談で、わざわざ
日本側から、
日本有事に備えての
米軍戦車などの
日本への集積を含む
米軍来援方法についての
共同研究を提案し、新兵器の日米
共同開発とともに双方で
合意したということであります。
竹下内閣発足早々、なぜ今この時期に、これほど重要な問題について決断をしたのですか。新防衛庁長官は、国際軍事情勢の把握と判断を誤っており、不適任のように思われてならないのであります。
総理は、事前にこのことについての相談あるいは指示をしていたのですか、明確にしていただきたいと思います。
今、
世界は大勢として
軍縮の方向で動いており、まさに
我が国が
平和憲法の精神にのっとり、「武力による威嚇又は武力の
行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という方向に自信を持ってイニシアチブを発揮するときではないでしょうか。それを、あえて
米軍の対ソ戦略に完全に組み込まれ、
日米軍事一体化、そして極東有事の際の補給基地化することを進んで希望するというこの構想は
余りにも危険であり、断固
反対するものであります。そして、武器備蓄が具体化すれば、候補地は北海道以外にないと言われていることから、五百八十万道民の怒りは頂点に達していることを申し上げておきたいのであります。私は、重ねて強調しますが、このような緊張激化政策は直ちに撤回することを求めます。
総理の明快な答弁を要求いたします。
次に、
農業問題で伺います。
今日、
農業にとって最大の
課題は、市場開放の問題であります。昨年十二月のガット総会における
農産物十二
品目の自由化裁定案を
政府は拒否されましたが、その後の経過は、拒否とは百八十度違う自由化受け入れの方向で、既に
総理訪米では米側にその旨を伝え、二月のガット理事会で裁定受諾を報じられていますが、事実ですか。わずか二カ月足らずの間の
政府の方針変更の理由は何ですか。ガット裁定を拒否したのは、
日本農業の死活問題と判断したからではなかったのですか。国際化の進む
世界経済のもとでの
日本農業の位置づけと、農民が安心して従事できる農政の展開について、
総理の答弁を求めます。
竹下
総理は、
農産物自由化問題で
米国大統領にきちんと対応すると約束されたと報じられておりますが、きちんとの
内容がわかりません。世間では八
品目の自由化を言うのか、前回拒否の焦点となった脱脂粉乳、でん粉を含む一括受け入れかと大変心配し、かつ混乱もしておりますので、明確な答弁を求めます。
我が党としては、
地域農業と
地域経済を守るため、十二
品目すべての自由化に
反対であることを再度表明したいと存じます。
また、いわゆる国内
対策についてでありますが、
政府は、ガットの裁定を受け入れた後、それにより
影響を受ける
地域のために国内
対策を講ずる方針であると聞きます。その一環として、ガットとの整合性を考慮しながら関税割り当て制を採用するそうでありますが、その
内容を御説明いただくと同時に、そのような措置が何年ぐらい継続する
見通しなのか、明らかにしていただきたいと思います。また、このたびの
予算には、この国内措置のための
予算が組まれておりません。補正
予算で対処する方針であるというのは事実かどうか、またその場合、国内措置のための
予算は何年で、どれくらいの
規模になるのか、また、そもそも国内措置の中身はどうなるのか、はっきりとお答えください。
北海道にとって、でん粉と脱脂粉乳は主力
農産物であります。それだけに、北海道
農業の死命を制する重大関心事なのであります。沖縄のパイナップルも同様ですが、農林水産省の適地適作、競争力ある
農業の指導に従い、巨額負債を背負いながら営々と努力してきた農民の
方々に、
政府は自由化だからやむを得ないと言うだけでは済まないはずであります。
各国とも、それぞれの国の
農業保護にウェーバー条項を設け、また、国家
貿易品目除外などで手厚い
対策がとられているのに、
我が国農業だけが工業製品の過大輸出による
貿易黒字の犠牲を強いられることは、
農業の立場から納得できないのは当然であります。
総理、外圧から
日本農業を守る方針を明確にしていただきたい。
次に、森林、林業の問題についてお尋ねいたします。
森林は、人類生存にとって不可欠な
環境資源であります。また、社会資本として定義づけられるべきものであります。近年、
国民の森林へのニーズや期待は高まっております。しかし、
政府の最近の
調査を見ましても、保安林の一割以上がその機能を発揮しておらず、山地災害危険箇所は
調査時点の八年間で三割も増加し、十七万六千カ所に達しております。また、間伐は緊急に必要な森林面積の七割しか実施されておりません。
総理は、多極分散型国土の
開発を掲げていらっしゃいますが、産業
空洞化が進み、また、新しく
伸びていく産業の立地も一部の
地域に限られている中で、
総理の言葉どおりの国土利用を行おうとすれば、
農業や漁業の
振興とあわせて森林、林業に対する手厚い施策が必要不可欠と存じますが、いかがでしょうか。
森林を保全し、林業を
振興するためには、第一に森林に対する
相続税について
制度改正が必要であります。時代の変遷とともに、民有林の経営は大変厳しい
状況に置かれており、
相続税を納付する資金を得るため若い木を無理に伐採したり、経営の効率性を犠牲にしても林野を細分化して売却するなど、森林、林業にとって悲惨な事態となっております。この際、
農業用地
課税同様、林業経営を続ける間は
相続税の納税を猶予するといった
制度改正が必要ではないでしょうか。
第二に、後継労働者の育成が必要であり、そのため林業経営の
改善、林業労働者の労働条件、福利厚生の
改善が必要と思いますが、いかがでしょうか。
そして第三に、新しい
全国森林計画で計画している六万七千九百キロメートルの林道開設の完全実施。
第四に、大手デベロッパーに依存しない国、自治体主導の山村リゾート
開発が必要と
考えます。
これらについての
総理の御
所見を伺います。
次に、難問の山積する漁業問題についてお尋ねいたします。
我が国の遠洋漁業は、一九七七年以来、撤退に次ぐ撤退を重ねておりますが、特に北洋漁業は、
米国北太平洋漁業管理委員会が本年の対日漁獲割り当て量ゼロを勧告するに至って、大きな転機を迎えたと言わなければなりません。こうした事態によって深刻な
影響を受けてる北洋はえ縄、刺し網などの
関係漁業者に対し手厚い救済
対策が講じられてしかるべきだと思いますが、
農林水産大臣はどのような措置をとるお
考えか、お伺いいたします。
また、北洋漁業を含めて遠洋漁業は、水産たんぱく食糧の供給、漁業基地
経済の安定、そして漁船乗組員の雇用などの面から、今後とも適正
規模を維持することが必要不可欠と
考えますが、そのための漁業外交及び遠洋漁業業政策の基本方針について、
総理のお
考えを承りたいと存じます。
次に、現在
我が国の
民間団体とソ連
関係機関との間で進められているサケ—マスのふ化放流に関する合弁事業などの
拡大傾向や今回の
米国の措置から見ても、北洋漁業は今後ますますソ連水域への依存度を高めていくことが明白であるため、
政府はこれら事業を政策的に支援すべきだと
考えますが、
農林水産大臣にはその御意思がおありでしょうか。
さらに、ソ連水域における漁獲割り当て確保など北洋漁業の安定を図るためには、善隣友好の見地に立った対ソ
関係の
改善が必要であり、日ソ漁業交渉の際、毎年紛糾の一因となるソ連漁船の寄港問題な
どもこのような観点から対処すべきであります。したがって、寄港地を
関係道県において持ち回りとする問題は、単に農林水産省の所管として限定的に
考えるのではなく、
政府全体で積極的に取り組むべきだと
考えますが、
総理を初め
関係各大臣の明確な答弁を承りたいと存じます。
次に、
社会保障に関連して、障害者問題に絞って質問いたします。
竹下
総理は、政権樹立前から前内閣の施策の継承を約束してまいりました。しかし、
財政再建の名のもとに行われた五十八
年度からの五年間の
予算編成は、自立自助や民活を唱えて
福祉予算を
削減することに専念してきており、その路線だけは継承してほしくないと
国民は願っているはずです。
もちろん、私は
政府が何もしなかったとは申しません。例えば、一九八三年からの十年を国連が「国連障害者の十年」とし、「完全
参加と平等」を目標に掲げました。その前半の五年が終了したわけですが、この間に
年金などの
所得保障も一応の前進を見せたし、精神障害者の人権を守る視点からの法
改正も行われました。さらに、本年四月から障害者の雇用率も〇・一%引き上げられ、法の対象に精神薄弱者も加えられることになりました。しかし、完全
参加と平等の社会にはまだまだほど遠いと言わざるを得ません。
例えば、聴覚障害者の
政治参加についてであります。政見放送や本
会議、
予算委員会の
国会中継放送にも手話が入っておりません。本日、この本
会議場に手話通訳者を伴って十五、六名の聴覚障害者の
方々が傍聴に来ておられますが、手話適訳の派遣費用は自費なのです。このようなことを
考えますと、聴覚障害者の
方々に対する手厚い施策が求められていると思います。特に急がれている手話通訳の
制度化について、厚生大臣の誠意ある答弁をお願いいたします。
総理、このような
実態をどうお
考えになりますか、御
所見を伺います。
また、不況になれば直ちに障害者の雇用は解雇など深刻な問題に直面し、雇用率は決められていても守らない
企業が多くあるというのが
実態であります。
政府は、障害者
対策について前半の五年をどのように分析しているのか、また、その反省の上に立って後半の五年間にどのような施策を進めようとされているのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。また、雇用確保のためいかにして障害者の職場の開拓に努める
考えであるのか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。
次に、
教育問題についてお伺いいたします。
まず、留学生問題についてであります。現在、
我が国が進めている二十一世紀初頭に留学生を十万人受け入れる計画は、国際的公約とも言うべきものであります。言うまでもなく、留学生の受け入れは国際的な相互理解や
教育、
研究水準の向上のほか、
発展途上国の人材育成に対する
貢献など、今日の
我が国が置かれている国際的な地位、役割から見て、極めて重要な国策となるべきものであります。しかし、昨今の急激な
円高は、留学生、とりわけ
私費留学生の
生活を困窮させており、このままでは本計画の達成が難しくなるおそれがあります。
政府は、新
年度予算で
授業料の
減免措置、学習奨励費の支給等によって
円高の救済策を講じておりますが、その対象は
私費留学生の一部でしかないなど、極めて不十分であります。これでは留学生の対日イメージが悪くなるばかりであります。
貿易摩擦などで対日
批判が高まり、
日本に対する偏見も一層その度を増している今日、留学生こそよき
日本の理解者となるよう
政府は全力を尽くすべきであります。そのために、救済対象学生数の枠をもっと広げるなど、思い切った対応が必要ではないでしょうか。
総理の御
所見を伺いたいと思います。
また、留学生の中で多数を占める
私費留学生に対して、もっと抜本的な
援助策を講じることも必要であると
考えるのであります。
我が国は、諸
外国に比べ留学生に対する大学や
民間の
奨学金が非常に少なく、その受給者数は年間二千人
程度でしかありません。
円高差益や
貿易収支の黒字分の一部を
還元する意味で、留学生事業に対する寄附等を
企業に働きかけ、それにこたえた
企業には税制面でのより一層の優遇措置を講じるなど、その拡充を図ることも必要ではないでしょうか。
加えて、
我が国の大学が留学生にとって魅力あるものとなるよう、
政府及び大学当局は特段の努力をしていく必要があると思います。今後の
充実策について文部大臣にお聞きしたいと思います。
次は、教員
養成の問題についてであります。
教員
養成のあり方については、
我が国の
教育の現状と今後の方向、教員を取り巻く
環境など幅広く
検討した上で、これからの教員はどうあるべきかを
考えなければならないことは当然であります。そこで、今後のあるべき教員像について
総理の
見解をお伺いしておきたいと存じます。
次に、具体的にお伺いいたします。
政府は、臨時
教育審議会及び
教育職員
養成審議会の答申を受けて、大学院終了者のための専修免許の創設など、教員免許を三種類にする改革及び新採用教員に対する初任者研修
制度の
導入を図ろうとしております。
まず、三本立て教員免許
制度については、教員が上級の免許を取ろうとするのは当然のことであります。そのため、残念なことではありますが、授業や本来の自主的、主体的研修をおろそかにせざるを得なくなるなど、学校がさらに管理的、形式的にならないか、また
教育現場に学歴主義を持ち込み、学歴社会
是正の
理念にも逆行するのではないかと思うのであります。そして、初任者研修
制度についても、研修が
教育技術偏重になり、新任教員一人一人の個性や意欲、創意を失わせ、
教育にとって最も注意しなければならない無気力教員を生み出すための鋳型にはめることにならないか、あるいは指導力のある優秀な指導教員の確保が困難ではないかなど、
教育の根本にかかわっての懸念もあります。
総理は施政方針で、「国際社会の中でたくましく
活動できる個性的で心豊かな青少年を育成する」、また、「子供たち一人一人の個性をいかした創造的で多様な
教育の
実現を目指し」と言われていますが、この方針に反することになるのではありませんか。このような疑問、不安に対する文部大臣の
見解を明らかにしていただきたいと思います。
制度は、一度つくるとしばらくは変えることができません。国家百年の大計を誤らないために、
我が国の今後の
教育に強く
影響を与える両
制度がこのように大きな問題点を抱えている以上、拙速は避け、法案提出は見合わせて、もっと慎重に
検討すべきであります。むしろ、当面は研修休暇
制度の創設や学級編制基準の一層の
改善など、本来の自主的、主体的研修をしやすくする条件づくりこそ先決と
考えますが、文部大臣の御
所見を伺いたいのであります。
次に、アイヌ民族に対する
政府の対応について伺います。
中曽根前首相は、一昨年の九月、自民党
全国研修会において、
日本は単一民族であり、人種差別問題はないという趣旨の発言をし、多くのアイヌの
方々から怒りの抗議を受けたことは記憶に新しいところであります。しかし、昨年八月五日、国連先住民
会議において
日本政府代表部は、
日本政府は
日本が単一民族国家であると主張するものではなく、またアイヌの人々の存在を否定するものではありませんと
世界各国に向けて公式に答弁しております。このように、
政府は、
外国に対しては
我が国に先住民族としてのアイヌ民族の存在することを認めております。このことは、今日まで
我が国が単一民族国家であるとのかたくなな姿勢から、先住民族としてのアイヌ民族の存在を認めたことであり、評価いたします。そこで
総理、ここで改めてこのことを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
そして、今後の対応として重要なことは、国際人権規約のA、B両規約の第一条に規定されています民族の自決権を具体的にどのように保障し、実行するのかであります。
そこで、お尋ねいたしますが、第一は、
政府は昨年十二月二十四日、人権規約についての第二回目の報告書を国連事務局に提出しました。そして、今回の報告書では、少数民族自体が存在しないような誤解を招かないように表現したとのことですが、第一回報告書とどう変わったのか、その
内容を外務大臣から明らかにしていただきたいと思います。
第二に、アイヌ民族問題は、ただ単に北海道の問題としてとらえるのではなく、
日本の近代国家への成立過程におけるアイヌ民族の置かれてきた立場を正しく理解するとともに、多民族国家としてのアイヌ民族の地位を明確にし、これまでの
福祉中心のウタリ
対策から脱却し、アイヌ民族としての自立、自決権を基本に据えた施策が必要であります。
そこで、
総理府が窓口となり、アイヌ民族の代表を含めた国家行政組織法第八条の規定に基づく正式な審議機関を設置すべきであると思いますが、
総理の答弁を求めます。
第三は、北海道旧土人保護法にかわるべき新しい法律制定についてであります。
このことについては、北海道知事の私的諮問機関の中で
検討していることは御承知のことと思います。北海道ウタリ協会は、一九七九年以来、これからのアイヌ民族問題解決のために法律案作成の
検討を重ね、その結果、アイヌ民族の権利の回復を前提にした人種的差別の一掃、民族
教育と
文化の
振興、
経済的自立
対策など、抜本的かつ総合的な
制度を確立すべきであるとの結論を出しましたが、こうしたアイヌ民族の運動に対して温かい配慮と積極的な手助けが必要であります。
総理のお
考えを伺います。
また、国連の人権委員会では、コロンブスがアメリカ大陸を発見してからちょうど五百年目に当たる一九九二年を記念して、国際先住民年にする決議が
検討されているとのことですが、
政府は、国連総会等においてこの決議によもや
反対することはないと思いますが、あわせて
見解を求めます。
そしてまた、国連のデクエヤル事務総長が
世界人権宣言四十周年に向けてメッセージを送りましたが、この
内容の具体化を強く求めるものであります。
最後に、多極分散型の国土づくりで伺います。
均衡ある国土の
開発と
発展は、歴代
政府が唱えてきたところですし、
国民の願いでもあります。しかし、
我が国の
経済が
発展し、豊かになればなるほど
地域間格差は
拡大し、そして人々の
生活は、
東京からの距離に比例して貧富の差を
拡大しているのが
実態であります。
総理は、ふるさとづくりを提唱されておりますが、国土
開発でこれまでの格差
拡大、
地域経済崩壊の保守党
政府の政策をどう根本的に改められようとしているのか、どうも明確ではありません。これまでも不均衡な国土の
開発を言明した
総理はいないのに、
国会答弁や
国民への公約が裏切られてきたことは歴然たる事実であります。したがって、竹下
総理のお約束も口先だけに終わるのではないかと地方住民は半信半疑で聞いておりますので、具体的に均衡ある国土づくりの政策を詳細にお示しいただきたいと思います。
さらに、
地域間格差によっておくれた
地域については、
民間活力も力不足で思うに任せません。したがって、
予算や公的資金の後進
地域への傾斜配分によって、先進
地域との格差を縮めるような政策を長期かつ計画的に行うべきであります。
そこで提案ですが、
総理は、
東京の臨海部や都心部の再
開発によるふるさとルネッサンスを言われますが、これは過密
地域だけを見てのことです。よって、この際は、
地域の主体性と創意工夫を生かした村興し、産業興しの強化推進を図るため、
研究開発機能や
情報、知識、人材育成等に関する新しい産業の地方への分散配置、
先端技術産業やソフトウエア産業の地方への誘導策を盛り込んだ二十一世紀を目指す工業再配置計画を
策定すべきであると
考えますが、いかがでしょうか、
見解を承りたいと思います。
また、一省庁一機関の地方移転を閣議決定いたしましたが、早くもいろいろな問題が出ているようであります。ことしはたつ年でありますが、竜頭蛇尾に終わらぬよう
総理の決意をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
〔
国務大臣竹下登君登壇、拍手〕