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下稲葉耕吉君 そこで、私は私なりに安全性、信頼性を保つためには三つの要件がある、こういうふうに考えるわけでございます。
一つは、人的
要件といいますか、この業務に携っている人の問題。二つ目は、組織的な要件。安全性、信頼性のために組織というものが十分機能しているかどうかというふうな問題。三番目は、この組織を運営するために法律的なバックアップといいますか、例えば刑罰法令の適用だとかというものが十分に行われているかどうか、そういうふうに考えるわけでございます。
そこで、人的要件につきましては、これはもちろん法務省の
関係者の方々がおやりになるわけでございます。特に重要なのは、いわゆる
登記官の方であろうと思うのでございます。もちろん人格的に立派な方が、しかも経験豊富で職責の重大さを自覚いたしまして、本当に正義感に燃えてお取り組みいただくというふうに思います。
先般現場を見させていただいて、
登記官の方はそういうふうな
意味では比較的責任の重い方でございますので、年齢的にも機械に弱いみたいなお話も伺いましたけれども、そういうふうな問題は、今申し上げましたような人的な問題はいろいろ法務省でお考えになっていてこれは万全である、万全にしていただきたいということで、きょうは二番目のまず組織的な要件と申しますかをお伺いしたいと思います。組織的な要件というのは一番最初におきまして、人的要件というのは、これは信頼
関係が中心になるわけでございます。ただしかし、信頼がもちろん前提に立つわけですが、信頼するしないとにかかわらず組織的に問題が起きないように体制をつくるということが大事なことだと思うわけでございます。
そこで、組織的な問題として御
説明を受けましたのは、分散
処理・三階層ネットワーク方式と、それから
登記官コード及びパスワードを入力しない限り
登記ファイルに変更を加えられない。これが大きな柱であろうと思うのでございます。これは当然のことでございまして、結構なことだと思うわけでございます。三階層で従来どおりおやりになって、そして天災等に対しても、例えばそれぞれの段階でバックアップされるというふうな処置ができておるわけでございまして、結構なことだと思うわけでございます。ただ、最初に確認のために申し上げましたけれども、従来なかったことは何かといいますと、
全国のリアルの
コンピューターによるネットワークができるということでございます。その点は従来余りなかったわけです。その辺についての安全性の点検というのが私は大事じゃなかろうか、このように思うわけでございます。
昨年の五月に、刑法等の一部改正によりまして、
電子情報処理組織に関連する不正行為に対処するための刑法の一部改正というふうなものもなされました。そういうようなこともその
一つのあれだと思うわけでございます。
そこで、その当時いただきました
資料を見てみますと、「コンピュータ関連不正行為の発生状況」、法務省の
関係資料でいただいたものでございますが、これは「CD犯罪以外のコンピュータ関連不正行為」ということで犯罪の認知状況が出ております。「不正
データの入力」、「
データ・プログラム等不正入手」、「コンピュータ破壊」、「コンピュータ不正使用」、「プログラムの改ざん・消去」、そういうようなこと、それから犯行の業種別及び部内か部外かというふうなことで「銀行」、「農協」、「信用金庫」、「郵便局」、「サラ金・クレジット」、「大学」、「官公署」、「その他」というふうなことで
資料をいただいておるわけでございます。これによりますと、内部犯行が六十二件、外部犯行が九件、不明が四件、計七十五件、こういうような実態になっておるわけでございます。
そういうふうなことを前提とし、そしてまた最近の新聞報道でもおわかりになりますように、例えば西独のハッカーが数年にわたって五十の米軍
コンピューターシステムに侵入しまして、その中にはSDI計画
関係も入っていたというふうに伝えられております。あるいは国内におきましても、端末機の不法な操作によりまして他人の
データを盗用いたしまして、年金を引き出した事件等も報道されております。あるいは筑波の文部省高エネルギー物理学研究所の
コンピューターに西独のハッカーが侵入して、西ドイツで捕まったというふうな事例等もあるわけでございます。
先ほどお話しのように、Aの
登記所でBの申請を受けられる、
商業登記の場合の先ほどのお話ですね。そういうふうなことでございましたけれども、私は、組織的にそういうふうなのを防止するためにどういうふうな対策をお考えになっているかどうか。これをお伺いしたいのが第一点です。
それから第二点は、パスワードだとか
登記官コードに関連いたしまして、私もプロ野球が好きですのでよくテレビを見ておりますと、キャッチャーとピッチャーがよくサインを出しております。あるいは監督がサインを出している。あれが毎日同じサインだったら盗まれると思うんです。そういうふうに思います。あるいはかつての戦争のときに、日本の暗号が米軍にとられちゃいまして、解説されちゃって、そして大変ひどい目に遭ったというふうなこともあるわけです。それから、
現実に今度は暗証番号を使いまして、CD犯罪等を見てみますと、暗証番号というのは大体生年月日だとか電話番号だとか、そういうふうなのがよく使われているわけなんですけれども、そういうようなことで盗用されるというふうなこともあるわけです。
そこで、
登記官コードあるいはパスワードの更新につきまして、十年一日のごとくだとやっぱり組織的な問題が必ず起きてくる、そういうふうなことについて何か配慮しておられるのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
それからもう時間も参りましたので、せっかく刑事
局長がお見えになっておられますから一言だけお伺いいたしておきたいと思いますが、先般の刑法改正によって、先ほど態様別にいろいろ申し上げましたけれども、あれで十分対応できるのかどうか、ハッカーなんかについてどういうふうなことなのかどうか、あるいは
資料を不正に入手された場合に
手数料を出せば見れるんですが、
手数料も払わぬでごそっと持っていかれるような場合等もあるだろうと思います。その辺についての法的要件、これについてお伺いいたしたいと思います。