○橋本敦君 今の
局長のお話によってもやりたいというあなたの気持ち、
法務省の立場はわかります。しかし、私が問題にしているように、この特会
制度のもとで、結局こういった大きなプロジェクトをやっていくということになって、全体計画、資金計画がなかなかはっきりしない中で、はっきりしているのはこれから十五年の間に、通常のペースで言えば二回
程度の
手数料の値上げはあるだろうと。しかし、それにプラスしてこの
コンピューター化推進のための資金に見合う負担の値上げをやらなきゃならぬという、そういうことも
考えているという
国民負担の増大がはっきりしたわけですね。そこで、この問題については非常に
国民の立場から見て大事なんですから、それに見合う
サービスが
国民の側に得られるか、こういう問題があるわけです。
そこで、先ほどおっしゃった全国オンラインネットワークで、一カ所でどこの
登記も見られるということですが、これも
登記証明事項をもらおうとすれば、先ほど猪熊
委員がおっしゃったように、長距離のオンラインを、回線を使ったという費用まで負担しなきゃならぬということで、これも経費が高くなるわけですが、具体的にそういう必要が
国民の中にどれだけあるかというと、そんなにしばしばあるものじゃない。例えば岡山の町のだれかが北海道の土地を調べるということの必要性が一生のうちにどれだけあるだろうか、ほとんどありませんよ。そしてまた同時に、そんな遠くでなくても、私の住んでいる大阪なら大阪で、私が調べなきゃならぬというのは
調査等でそれはあり得ますが、一般の人にとってはそうないですよ。
だから、そういう全国オンラインネットワークで瞬時にして多くの
登記事項を手に入れて、費用を何ぼかけてもいい、それが便利になるというのは、これは特別の目的を持った人かあるいはデベロッパーか、
不動産会社か、そういう限られた範囲になるんです。一般
国民はそんなに必要があるという、そういう
状況じゃありません。
そしてもう
一つの問題について言うなら、今度は
登記事項に関連をするんですが、先ほどお話が出ておりますように、現在有効
事項が
コンピューターインプットで移行されるわけで、
不動産の経過について、経歴については経費その他を
考えて当面やるということではない、こうおっしゃっている。
ところが、
国民個人にとってはめったにないことだけれども、特定の
不動産の
権利関係を、その経歴をさかのぼって調べなきゃならぬ方がよっぽど多いんです、遠いところのをとるよりも。また、遠いところの場合もそういう場合があるんです。例えば所有権の移転がどういう
原因でなされておるか、代物弁済か、売買かあるいは三項による所有権移転の
登記が抹消されたことによって所有権関係が変わるのか。そういうことで所有権のまさにその本体、実体がどうかということを
検討する場合には、現在
登記事項じゃなくて過去にさかのぼった経過を調べるということの方がはるかに必要が多い。
裁判所で起こっている所有権確認の訴訟などというのはほとんどそうです。
だから、そういうことを
考えますと、
国民のニーズにこたえるためには現在
事項だけじゃなくて、簡単な
登記証明事項じゃなくて、やっぱりそういった
不動産の経歴、ヒストリー、これがわかるというシステムがあるということが大事です。それをわかるためには
閲覧制度があることが大事です。そして、
閲覧制度に基づいてそれを見きわめて、そしてその
謄本がとれるということが大事です。これが今までの経過ですね。こういうことがなくなるということについては、私は
国民の側から見て
権利保全のためにも重大な問題だと、こう思っておるんですが、民事
局長はどうお
考えですか。