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1988-04-28 第112回国会 参議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十八日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田沢 智治君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 川原新次郎君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 世耕 政隆君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 久保  亘君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部大臣官房総        務審議官     川村 恒明君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省教育助成        局長       加戸 守行君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    坂元 弘直君        文部省学術国際        局長       植木  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        外務大臣官房外        務参事官     田辺 敏明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 久保亘

    久保亘君 法案中身お尋ねします前に、非常に差し迫った問題でもありますから、六十五年度入試から実施されます共通テストの問題について二、三必要なことだけお聞きしておきたいと思いますが、この共通テストに対する私立大学参加見通し文部省として今どのように把握されておりますか。
  4. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) このたびの昭和六十五年度から予定しておりますいわゆる新テストでございますけれども、これにつきましては国公私立を通じましてこれに参加をする、あるいは利用をすると申しますかという大学はこの七月ごろをめどに参加するしないということのその当該大学としての方針発表していただくという予定にしておりますので、まだ具体にもちろんどこの大学参加をするしないということを明確に意思表示をされたケースはないわけでございます。  ただ、国公立大学につきましては従来からの長い経緯がございますし、それから私立大学につきましても、かなり大学で真剣に御検討いただいているという状況のようでございますので、ある程度の参加が見込めるものと思っておりますが、現段階ではそれ以上想像になりますので申し上げるのをお許しをいただきたいと思います。
  5. 久保亘

    久保亘君 先般、文部省入試改革協議会ですか、ここが報告され発表された方式というのは、これは六十五年度の入試に対して行われる共通テストの最終的な考え方として文部省としてはもう決められたものと理解していいんですか。
  6. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 入試改革協議会という組織ができておるわけでございますが、この組織国公私立大学、それから公立私立高等学校関係者が御参加をいただいてつくっておる組織でございますけれども、その組織で数年にわたって御検討をいただいたわけでございまして、当初は昭和六十一年の七月にあるまとめを出していただいたわけでございますけれども、それをさらに各方面にさらして種々検討し加えた結果として、先般二月にいわば最終的なまとめということで発表をいたしたものでございますので、協議会としては現在のところ特別の事態の生じない限りはあれが最終的なまとめであるというふうに私ども理解しておりますので、あの報告にのっとって実施について文部省として可能なことはやっていかなければならない、こう思っている次第でございます。
  7. 久保亘

    久保亘君 その内容について、また改めて法案にも関連をしてお尋ねする機会があろうかと思っておりますけれども、私がきょうどうしてもこの問題でお聞きをしたかったのは、特に高等学校の側に非常に混乱を生ずるおそれがあると思いますのでお尋ねするわけでありますが、国大協アンケートをとられて、この共通テスト実施時期、それから内容についても多くの意見が出されておりまして、これは高校関係者の間からも意見がございますが、特に国大協アンケートの結果をまとめて、そして文部省に対しても、これらに対して、改革協議会の出したものにさらに改善の要求を行われる、こういう報道がございますが、この辺は今から調整余地が残っておるんですか。
  8. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 国立大学協会関係アンケートの結果というのが、けさほどでございましたか、新聞報道されておりまして、私どもどういうことかということを国大協に問い合わせをしたわけでございますけれども、一部にこの実施の時期等につきまして、反対というわけではないけれども十分高校側と話し合っていたのかどうかというような質問でございますとか、あるいは高校への影響が今後どうなるだろうか、十分議論する必要があるなというような懸念とかいうのが一部の大学からはそういうアンケートの中に書かれてあったということで、新聞報道等で何かあたかもかなりのところが反対をしているかのごとく報道されていることとはかなり実態は違うやに聞いておるわけでございますけれども国大協としては現在そういうアンケートを取りまとめ中の途中の段階なので、それを踏まえてさらに十分検討するということであろうかと思います。  御質問はこの間の二月の最終的なまとめについての変更余地があるのかどうかということであろうかと思いますけれども、私どもとしてはもちろん現在まだ実施までいっている段階ではございませんから、一切全く動かす余地がないというふうに考えているわけではございませんけれども関係者としてあれだけ合意をして、そしてこれでいこうということになっておるわけでございますので、私どもとしてはあの線に沿って進めていくというふうに現段階では考えておるところでございます。もちろん、細かい点での微調整というようなことは、これからいろいろな実施段階ではあり得ることだとは思っております。
  9. 久保亘

    久保亘君 内容の細かい点についてはいろいろまだ検討をされることは必要だと思いますが、特に実施時期についてこれがいろいろ意見がある。しかも高校関係者側からの意見受験生の側からの意見というのは非常にもっともなことでありまして、もともとは共通一次も、高校教育混乱させないということから共通一次の実施時期をずっとおくらしてきた経緯があるんです。それが今度の共通テストではまた十二月に戻ってくる。このことに対しては、私は特に高等学校の側からの意見というものを十分に聞いて判断しなければならぬ問題だと思うんですけれども、その判断がおくれますと高等学校にとっては非常に迷惑なことなんでありまして、したがって、今国大協からもそういう意見が出てくる。それから私、予算委員会でも申し上げましたけれども国大協だけでなく私立大学に対しても、学長に対して新聞社が行ったアンケートの結果では共通テストというものに対する評価は必ずしも高くない。  これはまあいろいろそのアンケートの結果の見方もあるでしょうけれども、そういうものが報道されたこともございまして、したがって共通テストの時期とかあり方とかというものがぐらぐら変わっていくということは、非常に受験する側は迷惑な話でありまして、それで受験者立場に立って、生徒立場に立って物を考えないと、大学側考え方とか文部省の行政的な判断だけが先行してこういうものが決まっていくということについては非常に問題だと思っております。その最終的にこういう形になるという判断、七月というのは私は大変遅いのではないかという感じがするんですが、この点についてはどういうふうに考えられますか。
  10. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これの新しいテスト実施する場合の考え方そのものについては、既に昭和六十一年の夏に公表して以来、各方面に御理解を求めてきたわけでございますし、その後さらに詰めを行いつつ、先般、ことしの二月に最終的な形での発表も行いました。いよいよこれでいきますということで天下にお示しを申し上げているということでございますので、御理解をいただくだけの時間はかなり置いてきたつもりでございますが、それにいたしましても、特に国公立の各大学あるいは私学私立大学におきまして具体にこれを使うか使わないかということについての判断をいただくのには、例えば五月とか六月とかいう段階では時期的に間に合わないであろうというようなこともございまして、一応七月ということを念頭に置いておるわけでございます。これは、従来から共通一次を始めますときとか、あるいはいろいろな形での入試についてのかなり大幅な改革を行うというときには、高校二年生の夏までの段階には大体こんなふうになるということを理解していただくというように努力をしてまいったわけでございますので、そういう意味で今回もことしの夏というのが二年生の夏の時点ということで一つのぎりぎりの限界であろうということで、七月という時点を設定して各大学での御検討をお願いしているわけでございます。
  11. 久保亘

    久保亘君 この問題はもっと関係者意見を事前によく聞いてやらないと、文部省がこれが最後方針だと思ってこの改革協議会報告を受けてこれを発表したら、その後これは大変困るという意見が次々に出てくるというようなことでは非常に問題だと思うんです。共通テストそのものの問題についてはきょう私申し上げませんけれども高校教育受験生立場を尊重した決定の仕方、手続というものをきちんとやるべきだということを申し上げておきたいんであります。  それから、このことと関係をして、東京大学は六十五年度から全く新しい東大の試験やり方というものを検討されているということが言われておりますが、このやり方については文部省としてはいろいろ大学側から意見を聞いておられるんでしょうか。そして、これに対してはどういう御判断をお持ちでしょうか。
  12. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 東京大学の御検討の詳しい状況までは承知をいたしておりませんけれども文部省といたしましては、いわゆる受験機会複数化の問題でございますけれども複数化の問題に関連いたしましてはAグループBグループという分け方、あるいはかつての一期校、二期校という分け方、いずれも大学間の格差をもたらしたり、あるいはまた専門分野別のあるいは地域別のアンバランスが出てくるというようないろいろな問題があるということもございまして、かねてから各大学入学定員を二つに分けて、全大学が二回ずつ実施をするという方式の方が全部平等であって公平であって、しかもバランスの問題も生じない、しかも複数化趣旨が貫かれるという意味では適切ではないかということで、国立大学協会にはお話をしてまいったわけでございます。  現在まだそこまで全体がいっておりませんで、今私が申し上げたのは国大協用語で言えば分離分割方式というのに近いことであろうかと思いますが、それと従来タイプのものと併存という形で現在進んでおるわけでございますが、そういった中で東京大学がこの分離分割という方式を考えようということで御検討が進んでいるということ自体は、私どもは全体の複数受験の問題を受験生立場に立ってわかりやすいものにしていくという意味からも方角としては適切な方角であろう、こう思っておる次第でございますけれども、ただ現在、東京大学内部で御検討中ということでございまして、けさ新聞に載りましたことにつきましても私ども内部検討中ということで報告をいただいておりません。そういう段階でございますので、個別、具体けさ報道されたことのよしあしということについては発言を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、せっかくの複数化をよりわかりやすい方向へ持っていこうという御努力というものは、これは評価するに足ると、こういうふうに思っている次第でございます。
  13. 久保亘

    久保亘君 非常にわかりやすくなるという見方もあるんですが、ややこしくなってわかりにくいという見方もあるんでして、そしてそれぞれの大学が、国立大学がある意味では大学のエゴというか、そういうことで自分のところにいわゆる偏差値のすぐれた学生を集めたい、あるいはとにかくいろいろな意味で優秀な生徒を集めたいという考え方が先行して、特別な採用の仕方というものをそこだけで考えていくということになれば問題があるんじゃないか。やっぱり全体の問題として東京大学がお考えになっているということで報道されております問題というのは、私は非常に検討に値する考え方一つだと思っておりますけれども、これは全体の問題としていろいろやられるべき問題で、あちこちで大学がおれのところはこれでやる、おれのところはこれでやると言って打ち上げてくるのが、果たしてそれが入試改善方向へ向かうのか、混乱を大きくするのか、その辺はよく検討しなければならぬ問題じゃないかなと、こう思っております。  それから、十二月実施というのは、もう高等学校教育に対する影響が非常に大きいことはだれにもわかることなんです。あえて十二月実施ということをやられた、この背景には私大参加ができるだけ可能になるということの配慮があったのではないかと思っているんでありますが、実際には私どもが受けます感触では私立大学参加は余り望めないのではないか。望めない理由は、共通テストによる序列化私立大学まで波及するということに対する憂慮があることが一つ。もう一つは、私立大学教育機関であると同時に、これは今の社会においては一つ経営としての任務も負っているわけでありまして、だから入試による共通テスト利用することによる入試手数料収益減ということは、私大経営に非常に大きな影響を及ぼすということも言われておるんですが、こういうことに対する配慮というものを十分に尽くした上で私大参加を呼びかけておられるのかどうか、これはどうですか。
  14. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) いわゆる序列化の問題につきましては、いろいろな見方があると思いますけれども、私は共通一次という形のものが従来の序列というものをかなり、何と申しますか、顕在化させたという意味での影響があったと思っておりますけれども共通一次のあるなしにかかわらず、現在例えば私学につきましても、某々受験雑誌等によれば、全部ここは何点の大学、ここは何点の大学とはっきりと序列ができ上がっているというような実態もあるわけでございますので、これ自体共通テストそのものによってこういう問題に必ず直結するとは思っておりません。ただ、やはりそういうことに直結するおそれを少なくするためにということも含めまして、今回の新しいテストの場合にはその利用の仕方を各大学、例えば五教科五科目全部一斉にやるというような方式でなくて、各大学によっていろいろな使い方がありますと、自分のところでやる独自の試験との組み合わせのやり方もいろいろ工夫をしてやっていただくというようなことによって、そのことが新テスト成績そのもので全部が比較されるということにならないようにというような配慮をできるようなことをいたしておるわけでございます。  またもう一点は、受験料等収入の問題につきましては、これは各大学受験料収入につきまして、どれだけの金額で独自の試験についての受験料を取るかということについて制約をするという仕組みは全然考えてないわけでございますので、各大学でそれぞれ独自に従来と同等にお取りいただいて構わないことであろうと、こういうふうに思っております。そういう意味では、受験料収入にじかに響くというふうにはこれまた私ども考えておりませんし、幾つか具体参加方向で御検討いただいている大学の方々とお話ししても、その点は全然心配していませんと言われるところが、具体検討しておられるところでは、そういう言い方をしておられるわけでございます。
  15. 久保亘

    久保亘君 きょうは、この問題は法律と直接関係ございませんのでこの程度にしておきますが、今の最後お話ね。私立大学受験料をどう決めるかということについては、これはもう文部省としては全然そのことに対して、共通テストとの関連性は持たせないんだと、こうおっしゃれば、受験生の方は、そうすると共通テストを受ける分だけ受験料がふえる、こういうことになるわけでありましてね。そう簡単に割り切って、関係ございませんというわけにはまいらぬでしょう。だから、その辺は私は十分御検討をいただいておきたいと思います。また別の機会共通テストの問題については詳しくいろいろとお尋ねをしたいと思っております。  もう一つ私立大学の問題について、大東文化大学長から文部省に対して、理事長解職勧告を求める上申書が提出されたということでありますが、非常に異例なことでございますが、文部省はこの上申書を受け取っておられるのか、そしてどういうふうな御判断をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  16. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) この問題、私学部長担当しておりますので、私もちょっと詳しい点を十分承知をいたしておりませんけれども、先般、大東文化大学の学長さんだったと思いますけれども、お見えになりまして、理事長についての解職勧告をしてくれと、違法行為があるというような御指摘があったということは承知をいたしております。  ただ、現在問題にされております事柄は、そのものは、要すれば寄附行為改正手続の際に、十分なる理事会の承諾は得られないままに文部省認可申請を出したということで、これはまあこの点については後刻、後日理事会追加承認を受けているということのようでございますけれども、そういったようなことがあったということで法令違反というような申請のようでございますが、私ども、その点につきましては、これまで十分検討いたしました結果、その認可申請を、何と申しますか、認可を取り消すというほどの大きな変更内容ではないというような判断をいたしまして、これにつきましては特に問題とするに当たらないという判断をしておるわけでございますが、そのほかの点につきまして何かあるのかどうかということは、先般いただきました上申書等につきまして、現在、十分内容的な検討をさせている段階でございます。
  17. 久保亘

    久保亘君 今、局長言われたことは、ちょっと私気になりますね。大学の、私立大学寄附行為理事会決定したものと違う寄附行為変更文部省申請して、それを文部省認可した。この寄附行為変更理事会決定とは違うではないかということになって、それで文部省としては、まあまあそれはそう問題とすべきことはないからいいだろうという、そういうことはちょっとぐあい悪いんじゃないですか。やっぱりきちっと正規の手続に基づき、決定に基づいて変更認可申請が出されていないということが明確であれば、その寄附行為変更認可は取り消して、改めて提出させるということでないとおかしいのではないでしょうか。そういうことが学園の内部の紛争になって学生にも迷惑かかるというようなことは、これは私はよくないことだと思うんですが、今、局長言われたようなことで処理されていいものですか。
  18. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) どうも突然のお尋ね担当政府委員が来てないものですから、私ちょっと正確を欠くかもしれません。ただ、今回のその改正中身そのものがいわばかなり字句修正に類するものであったということでございまして、要すれば附則等整理の仕方が、理事会承認されたものが非常にわかりづらい整理になっていたので、その整理の仕方を改めてそれで出してきた、こういうことのようでございます。それにしても、理事会承認を得てなかったというのは、それは万全なものでないことはもう確かでございますけれども、その点については指摘があって後、後日理事会追加承認を得たということでございますので、それで改めて申請のし直しをするということまでやらなくてもいいであろう、こういう判断をいたしたということでございます。
  19. 久保亘

    久保亘君 また、それじゃその担当者がいらっしゃる機会にここもお尋ねしたいと思うんですが、大東文化大というのは前にも学長理事者の間でいろいろ問題があったと私記憶をしているんですが、それでなぜそういうことが繰り返し起こるのか、その辺のところについても文部省としての御見解をひとつ改めて示していただきたい、こう思います。  それから、安永委員の方でまた後いろいろ私大助成問題等についてもお尋ねがあると思いますけれども、私、一点だけお聞きしておきたいのは、六十一年度の私立大学経常費補助金交付状況というのをいただきました。これを見ますと、管理運営不適正による不交付校一覧というのがございまして、大学で四校、短期大学で四校、管理運営不適正により私学助成をストップされている大学があるわけです。その大学、短大合わせて八校のうち七校が福岡、埼玉が別に一校ございます。これは福岡県に七校も集中しているのは何か理由がありますか。
  20. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これは私も全くわかりません。なぜ福岡にだけこういう事件が起こるんだろうかということを部内でも時々話し合っておりますけれども理由はちょっとわかりかねるわけでございます。当てずっぽうで申し上げますと失礼になりますので、お許しをいただきたいと思います。
  21. 久保亘

    久保亘君 これはまた後で質問がありましょうから、それじゃ、私がお聞きしたいこともありますから、また別の機会にやります。  それでは、少し法案についてお尋ねいたしますが、私学共済のこの長期経理収支見通しというのをどのように検討されておりますか、ちょっと簡単に説明してください。
  22. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 私学共済組合長期経理でございますけれども、まず現状を申し上げますと、昭和六十一年度の決算が確定しておりますけれども、この確定額によりますと、収入が約二千七十五億でございまして、それに対する支出が約九百三十八億でございます。収支差額が約千百三十七億、これは当然そういうことで黒字でございまして、この黒字差額は将来の年金給付の財源として当然積み立てていくわけでございます。そういう積立金、まあ保有資産と申しておりますけれども、これが約一兆一千五百四十四億というのが現在の姿でございます。  それで、これがただいま、将来どうなるかということでございますけれども、将来の見通しにつきましては、これはいろいろな可変要素がございまして、例えば毎年のベースアップがどうなるかとか、物価の上昇がどうなるかとか、いろいろな可変要素がありますから、大変困難でございますけれども、かつて昭和六十一年にそういうことで財源率の再計算ということで将来見通しをしたことがございます。そのときにそういう一定の仮定条件を置いて、例えば今の掛金率はそのまま据え置くんだ、掛金率は据え置くが、ベースアップも少しあるだろう、それから資産の運用利回りも多少はよくなるかもしれぬ、そんなことで計算をしたことがございますけれども、掛金率をそのままに据え置いておくとすれば昭和八十三年にその単年度の収支が赤字になる。その当時、八十三年で支出が二千七百九十億に対して収入が二千六百九十三億でございますから、そこで単年度に赤字が出る。その時点までにそういう黒字でございますから保有資産の方はふえておりますから、その保有資産の取り崩しを始めるわけですけれども、掛金率をなおそのまま据え置くとすればそれから十年後の昭和九十三年になりますと、せっかく積み立てた保有資産もすべて吐き出しになって赤字になる。平たく言えば長期経理としては制度が成り立たなくなるというのが、これはたまたま現在の掛金率を据え置いたままの見通しですれば、そういうことになるということでございます。
  23. 久保亘

    久保亘君 そうすれば、そういう掛金率を据え置いた場合に九十三年ですか、収支が償わなくなる、こういうことに見通しを持ちますと、この私学共済としては当然掛金率のアップということを検討していくことになるんでしょうね。それでその試算も行われておりますか。
  24. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 年金数理として将来的に安定した制度としてこれを維持しなければなりません。そういう観点から御案内のとおり五年に一遍の財源率の再計算、つまり平たく言えばそういう将来の計算をするわけでございまして、でございますから、この前六十一年にやりましたから、この次は六十六年にこれを実施するつもりでございます。ですからその時点で正確に、またその時点での見通しをしたいと思っておりますが、先ほどの計算申し上げましたけれども、これは掛金率を据え置くという計算ですから掛金率を仮に引き上げるとすれば逆に年金数理的にこれが将来とも安定した制度にできる、それは当然仮定の計算としてはできるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、これは六十一年の計算でございますし、その六十六年の再計算の際にさらによく将来の見通しを立てていきたいというふうに考えております。
  25. 久保亘

    久保亘君 六十六年になりますか、再計算は。六十六年が再計算の年度になりますか。
  26. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 多分御疑問は厚生年金との差だと思いますけれども、厚生年金は六十四年が再計算期に当たっておりまして、この私学共済はそのできたときの経緯その他がございまして、それからずれているわけでございまして、次は六十六年になる、前回が六十一年の十二月に実施しております。
  27. 久保亘

    久保亘君 六十六年度ということになりますと、大体傾向を見ながら検討を始めにゃならぬのだろうと思いますけれども、他の年金との関係その他を考えながら大体目安というのを置いてみておられますか。
  28. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 先ほど申し上げましたように、当然将来ともこの制度が安定をする、この長期経理が破産をするようなことになりますればこれは大変なことでございますから将来とも安定をするということが第一でございます。現在掛金率もこの制度自体が成熟度が非常に低いということもあって安定をしているわけでございますけれども、これは仮定の計算でございますが、前回その六十一年の際に計算をした、先ほどちょっと省略をいたしましたが、仮に掛金率に手をつけるとすればこれを引き上げていくと、例えば五年ごとに千分の十五、一五パーミルずつ上げていくということで仮定計算をしますと、昭和百年の時点以降、掛金率が千分の二百二十二、二二二パーミルの時点でこれが安定をする、こういうことでございます。  それでこの種の計算は例えば厚生年金なんかもやっておられるわけですけれども、ちょっと私、今手元に数字がございませんが、その厚生年金の場合だとこれが多分千分の二百九十ぐらいのことになろうか、計算上は厚生年金といえども掛金を引き上げればそれは安定をする。ただ、そういうふうに千分の三百近い掛金率をとることがいいのかどうかということはそれはまた一つ制度の問題としてあるわけでございますから、その辺はこれからの公的年金全体の中でその掛金率の姿というものは考えていかなきゃならないし、その際に給付のあり方その他も総合的に考えてやっていかなきゃならないだろう、そういうふうに考えております。
  29. 久保亘

    久保亘君 掛金率について手をつけない場合のことを最初に言われましたけれども、その場合の年金改定率と、それから収入の基礎となる給与の改定率といいますかアップ率というものは、どういう率で試算されておりますか。
  30. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 最初に申し上げました計算の場合は毎年のベースアップが五%、それから資産の運用利回りを七%ということで置いているわけでございます。
  31. 久保亘

    久保亘君 給付率は、支出の。
  32. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 給付自体は現在の給付で定められた率でまいるわけでございます。
  33. 久保亘

    久保亘君 いや、年金改定が行われていくことを念頭に置かなきゃいけないですよ。現状のままというわけにはいかない。そうすると掛金の方はあなたは今毎年五%給与がアップしていくということで計算してあると、こう言われた。そうすると年金改定率というのは幾らでしょうか。
  34. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 失礼しました。六十一年の制度改正でいわゆる自動物価スライド制がとられておるわけでございますから、その年金の額の改定は基本的に物価でこれが上昇する、こういうことでございます。そこで、先ほど前提として毎年のベースアップ率を五%というふうに申し上げまして、その場合の物価の上昇率がどれくらいになるかと、こういうことでございますが、この計算をしたときの厚生年金考え方はいわゆる三、五、七、物価が三%、ベアが五%、資金運用が七%と、こういう考え方でございますので、我々の場合もほぼこれと同様でございます。先ほども申し上げましたのはベースアップの五%の中へ物価上昇がこれは飲み込まれるという形でこれを計算したと、こういうことでございます。
  35. 久保亘

    久保亘君 そうすると、そういう一つのこれは試算でありますからそれはそれでよいとしても、結局私学共済というのは成熟率が非常に低い。しかし、一方では年金の一元化によって基礎年金の拠出金というものはかなり大きい負担が私学共済にかかっておりますね。そうすると私学共済年金受給者が受け取っていく拠出年金の交付金といいますか、給付金といいますか、それの額と私学年金が他の年金に負担する拠出金というものの割合というものは非常に私学共済の方は負担割が大きいという結果が出てくると思うんですが、どういうふうにごらんになりますか。
  36. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 昭和六十一年に御審議をいただきまして、基礎年金制度というものが六十一年四月から導入をされたわけでございます。そこで、この基礎年金というのは結局世代間の助け合いでいこう、それをしかも国民レベルで助け合いをしようと、こういうことでございますから、それぞれの共済組合がその頭割りによって組合員とその配偶者、頭割りによってその経費を負担していく、こういう仕組みでございます。それでこれ、実際に数字が確定をするのは精算方式でございますから、六十三年の数字は当然まだでございますし、六十二年も確定しておりません。たまたま六十一年度の数字を手元に持っておりますけれども、六十一年度にそういう制度ができまして、その拠出をした額、基礎年金に対して拠出をした額が三百三十一億でございます。三百三十一億出したことに対して、その組合員分として基礎年金の方からもらった、その給付分として交付された額というのが百四十億でございます。  でございますから二百億近い差があるわけですけれども、つまりそれだけ持ち出しということですけれども、御案内のとおり、この基礎年金制度には拠出金の三分の一が国庫から補助をされる、こういうことでございます。でございますから、三百三十一億出したことに対して国庫からの補助金が百十五億ございます。ですから平たく申しますと、三百三十一億出したことに対して、交付金としてもらった分が百四十億、それから国庫補助金が百十五億、合計二百五十六億もらっております。でございますから、三百三十一億出したのに対して二百五十六億もらったということでございますから、差し引きの持ち出しというのが七十四億ぐらいというのが六十一年度の確定数字でございます。
  37. 久保亘

    久保亘君 将来これがバランスがとれるのはどの辺ですか。
  38. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) これは基礎年金の制度自体がこれから拡大をしていく、しかもこれからの高齢化社会ということでございますから、厳密な意味でバランスがとれるということはないわけでございます。これは要すれば、その基礎年金を受給される六十五歳以上の方に対する年金額、年金所要額をすべての年金制度、共済制度で頭割りによって負担をしていく、こういうことでございますから、これは典型的な世代間の助け合い制度になる。だから、共済だけの立場でこれをやるとすれば当然そこのバランスはとれるんだろうと思いますけれども、全体の年金制度、公的年金制度の中の位置づけで考れば、やはりこういう、いわゆる持ち出しと申しましょうか、そういう形は今後とも続くのではなかろうかというふうに思っております。
  39. 久保亘

    久保亘君 私学共済の場合に、これは年金の一元化に伴っての問題でありますから、当然でこぼこをそれぞれの共済制度間で埋めていくということになるんでしょうけれども、そのことが掛金のアップの根拠になるということになれば、私学関係者としては非常に負担をかけるということになるわけなんですね。それで、この問題についてはいろいろ検討はされているんですか、掛金との関係でどういうふうにやっていったらいいかということについて。
  40. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) この問題は、ただいま御指摘がございましたように、結局公的年金制度の、制度と申しましょうか年金自体の一元化の話と絡むわけでございまして、ですから単に私学共済だけの立場で物を考えれば、そもそもそういう基礎年金というふうな制度はしない方がいいということでございましょうけれども、やはり高齢化社会に向かって、これからの国民としての生存権を最低限保障する制度としての基礎年金を導入した以上は、これはやむを得ないこと、みんなでその負担を分かち合うということなんだろうと思います。  先ほど私六十六年の再計算の際にというふうに申し上げましたけれども、結局これから七十年にかけての一元化、あるいはさらにそれ以降の公的年金制度全体の動きというものを見きわめないと、なかなかそういう計算ということも難しい、こういう意味でございます。五十年、六十年にかけまして公的年金制度の大改正が行われてこの基礎年金制度が導入された。その基礎年金制度が導入されて、それぞれのいわゆる給付の一元化ということが図られて、そうしますとこれから主として負担の一元化という形になるわけでございます。それがこの基礎年金制度で一部その負担の問題が出てきているわけでございますけれども、これからさらに六十四年以降のことを考えますと、かねて問題になっておりますJRの組合の問題もありますし、それから厚生年金制度で言えば、年金の支給開始年齢を六十歳でいいのか六十五歳にした方がいいのかというようなこともございます。私学共済の場合は支給開始年齢の問題については直接関係はしませんけれども、そういう問題。  それから、今そういうふうに幾つかに分かれております共済制度、あるいは共済と年金の間の財源調整の問題、そういうもろもろの問題を見きわめながら将来の設計をしていかなくちゃならない、こういうことでございますので、先ほど申し上げましたように、まず厚生年金、国民年金が六十六年にそういう再計算をされるということもございます。その辺を踏まえながら今御指摘のような問題点に今後対応していかなきゃならないというふうに考えているわけでございます。
  41. 久保亘

    久保亘君 私学共済のずっと過去の実績を見てまいりますと、大体共済の支出というのは五十七年度あたりから五、六十億の支出増が続いておったんですが、六十年度で六十八億の支出増になっておりますね。六十一年度で急に四百二十九億の前年対比の支出増になってくるわけです。それからは、六十二年度が百九十六億、六十三年度が百二十一億、四百二十九億六十一年度ふえた分にさらに付加されていっているわけなんで、この財政状況というのを見てまいりますと、私学共済長期経理の財政というのは、これは逐年窮屈になっていくんじゃないかという感じがいたします。そして今あなたの方で言われたのは、収入の方は給与改定が毎年五%行われるという判断に立って計算されているわけですね。果たしてその給与改定が五%幅でずっと進むのかどうか、これが一つ収入の方の問題。支出の方は今の拠出金が大きくなっていくという問題がございますね。そういうことを考えてまいりますと、この私学共済の経理というのは将来にわたって非常に心配な面も出てくるのではないか。その場合に、それが掛金率の引き上げに転嫁されていくということになるという単純なやり方では問題があるように思うんです。この点はよく検討をしていただきたい点であります。  それからもう一つは、私学共済積立金というのが逐年ずっとふえてまいりますが、しかしこの積立金を支出との対比で比べますと、六十一年度では、年度内の支出に対する積立金は十二・三一倍もございますが、掛金を五年置きに千分の十五上げていくというやり方をしましても、しかも給与改定率を五%に見込んでいっても、この年度末の積立金というのはずっと支出に対する比率はかなり速いスピードで減少してまいりますね。だからそういうことを見てまいりますと、私学共済というのはやっぱり長期の経理見通しをきちんとして、そしてその見通しに立って共済そのものについての考え方というのが樹立されていかないと、なかなかこれは困難な問題がそう遠くない時期にあらわれるのではないかという気がいたしますが、私が今言ったようなことは懸念されることではありませんか。
  42. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 御指摘のとおりでございまして、結局これまでこの制度の成熟度が低いということで、掛金はたくさん掛けていただくし、支出の方は少ないということで、この積立金というか保有資産がどんどんふえてきたと、こういうことでございます。  ただ、その結果、例えば昭和五十二年時点でその保有資産は二千四百九十六億、約二千五百億ほどでございましたけれども、これが十年間ぐらいのうちに現在、先ほど申しましたように、一兆一千五百四十億というふうなことになっていると、こういうことでございます。これはひとえにそういう制度が拡大をしてきた。これはいろいろな要素がございまして、この十年間というのはやはり私学の新増設が非常に多うございましたし、それから私学共済の特色としては非常に若い方が多い。全国で一万三千校と申しますけれども、この三十数万人の組合員のうち半分は女性でございます。特に幼稚園におられる若い女性が若いときに十年ぐらい勤めて、それでやめていかれると掛金だけはちゃんと置いていっていただく。そんな形で成長してきたわけでございますけれども、これからのことを考えますと、そんなに組合員がたくさんふえるという時代でもないわけでございます。しかも基礎年金の制度も導入され、共済組合自体が非常に成熟度も高くなっていくわけでございますから、現在のように積立金がさらにどんどんふえていくということは見込めないわけでございます。  今のままに掛金率を据え置いておけば、遠からず四、五年のうちにもう積立金は食い込まれてきて、そこから先はどんどんこれを取り崩しを始める。先ほど申しましたように、かなり甘い計算をやって八十三年には単年度の収支が赤になるわけですから、そこから先は積立金を取り崩す。しかも積立金自体のふえ方はそれまでにどんどん減っていくというふうな見通しでございます。でございますから、この制度の長期的な安定ということを考えると、そういう昭和八十三年はおろか昭和百年ぐらいのころまで見越した制度にしなくちゃなりません。ただ、これをやるにつきましては、先ほど御指摘の、例えば基礎年金に対する拠出金がふえるではないかという御指摘でございますが、それはそのとおりだと思いますけれども、大体基礎年金のレベルが現在のままでいいのか。四十年間勤めておって、それで六十五歳から月五万というレベルでいいのかどうかという御議論もあるように承知しておりますし、そうすると、そこが仮にレベルを上げるべしということになれば、その基礎年金の拠出金がふえる。ただ、その場合に、それを国庫補助で補うのか、掛金で補うのかという、つまり国民に負担を求める際にそういう租税負担でいくのか、そういう社会保障の負担でいくのかというふうな非常に大きな制度的な問題もあるわけでございます。  でございますから、やはり七十年の一元化というのはそういう意味で大変重要なことでございまして、そういう公的年金全体としてのバランスがとれて、しかもみんながこれからの高齢化社会に安心ができる生活を維持する、それだけの負担をやはり世代間の助け合いでやっていかなくちゃならない。そうすると、やはりその負担の適正化ということは避けて通れない課題だと思っております。そういう全体的な見通しを立てるという意味において、ただいま先生の御指摘になったそういう将来の厳しい見通しというのはしっかり受けとめて進んでいかなきゃいけないというふうに思っております。
  43. 久保亘

    久保亘君 やっぱり公的年金一元化が将来どういうふうになっていくのかという問題、それからこの私学共済としてもそういう全体の年金制度の移り変わりの中でどういうふうに今後なっていくのかという問題等について全体像というものをやっぱりきちんとしなければいけない時期に来ているんじゃないかと思いますし、またこれらの問題について組合員並びに年金受給者に対して私学共済の財政の現状というようなものをよくわかるように知らせるということが負担者である人たちに対して必要ではないのか。そういうことで私学共済も、あれは月刊かな、お出しになっておりますけれども、ぜひそういう年金制度の将来像とか財政の現状とかいうものについてもっと詳しく周知をさせるというようなことが今の私学共済の財政の状況その他を考えてみると必要になってきているんではないかと、こう思います。これは私の意見として申し上げておきます。  最後に、短期の方についてです。こちらの方はどういう状況にあるのか。それから、短期給付の掛金率をやっぱり相当引き上げていかざるを得ない状況にあるのではないかと思うんですが、この点について少し現状を簡単に御説明ください。
  44. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 短期給付につきましても、ただいまの長期とほぼ似たような状況でございます。その短期給付は、従来これは単年度決済と申しますか、毎年所要額を掛金で徴収するということで、昭和六十年までは基本的に黒字の基調で参ったわけでございますけれども昭和六十一年度に収支差が出ました。昭和六十一年度に収入八百二十億に対して支出が八百二十二億で二億円の赤字になったわけでございますが、六十二年度はこれが非常にまた赤字がふえるわけでございます。  六十二年度のまだ決算確定しておりませんけれども、現時点での見込みで申しますと、収入が八百五十九億に対して支出が九百十九億でございますから、差し引き六十億の赤字。前年度が二億の赤字、それから六十二年度が六十億の赤字と、こういうことでございます。当面六十一年なり六十二年なりと申しますのは、それまでの黒字でもって累積してきた利益金がございますので、六十二年度決算においてもこの累積利益金を取り崩すことによって掛金の改定ということは考えておりません。この六十二年が仮に六十億で赤字が確定をいたしますと、累積利益金二百五十九億ございますから、ここから六十億を取り崩してもなお残りが百九十億、約二百億の累積のまだ利益金がございますから、これの取り崩しによって対応するということでございます。したがいまして、今御指摘の掛金の改定ということは現時点では考えていないと、こういうことでございます。
  45. 安永英雄

    安永英雄君 私も法律案質問に入ります前に、私学全般の問題について質問をいたしたいと思います。  特にごく最近の私学関係大学で不祥事件といいますか、マスコミの取り上げるような問題が非常に起こっておるわけです。これがちょうど昭和五十八年ぐらいのときに、いまさっき質問があっちゃいましたが、私も福岡でございますけれども福岡を中心にしてたくさん事件が起こりました。経常経費補助の不正受給、あるいは学園内のこれは刑事事件にまで発展するような問題が起こりましたし、あるいは学校法人の管理運営という問題で非常に適正を欠くといういろいろな事件が多かったわけであります。  私はごく最近の、マスコミばかりを申し上げておかしいんですけれども、やはりちょうど五十八年当時のような状態に今来ているんじゃないか。これはもう文部省内にもこの問題は、五十八年当時文部省の中枢部までこの問題は及んで、不正事件として調べを受けるというふうな事件まで起こった当時、文部省としては厳しい態度で全国の私学を指導した。特に文部省の次官通達というのは異例の強い口調で各私学に対しての指導をしたわけです。それにもかかわらず、今日に至ってもうひどいときには一日の新聞の中に二つの私学あたりの事件がダブって出てくるぐらいの甚だしい不正事件が起こっておるというふうに思います。したがって、ここでやっぱりはっきり五十八年当時に毅然としてとったああいった態度が必要な時期に来たんじゃないかと私は思いますので、あえて指摘をしたいというふうに思うわけです。  先ほど久保委員の方からも質問があって答えられなかったんですが、時間もありませんから、昭和医科大、それから専修大学の商学部、大東文化大昭和大学、これについて事件の内容、それから対策、こういったものをかいつまんで簡単に説明してください。
  46. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 確かに最近マスコミでいろいろ私学、先生が今挙げました大学等について取り上げられているわけでございます。ただ、先生が例に挙げました昭和五十八年当時の九産大、国士館その他の大学の事件とはやや私は様相が違うんではないかという感じを持っているわけでございます。いずれにしましても、マスコミに取り上げられまして、それから先生が今挙げました大学の事件の概要につきまして御説明をいたしたいと思います。全般的に私の感じとしては内紛的な要素が強い事件ではないかという感じでございます。  最初に、先生昭和医科大学と挙げましたが、昭和薬科大学だと思いますが、昭和薬科大学の事件でございますが、昭和薬科大学ではかねてから学長理事長が対立しておりまして、本年の一月三十日付で昭和薬科大学の鈴木学長学長職を懲戒免職したわけでございます。それに至るまで、例えば一月三十日付の前の日付で教授会議三十二人から鈴木学長解職要望書が理事長あて提出されたりなんかしているわけでございます。解職の理由は、柴田はなという前の理事長でございますが、前理事長が死亡後、上田という方が理事長職務代行に選任され、さらにその後理事長に選出されたわけですが、これを鈴木学長、鈴木学長も女性の方でございますが、鈴木学長がこの理事長選任決議を認めないで、裁判所に職務執行停止の仮処分命令の申請をしたわけでございます。これは後ほど裁判所から却下されております。言いかえれば、裁判所の判断も上田現理事長というのは適正に選任されておるというふうにしているわけでございます。現在では上田理事長の選任無効確認訴訟などを起こしまして理事会と対立をしておるというところでございます。それから二番目に、この大学が都心から地方に移転するということで今いろいろ計画を持っておるわけでございますが、この移転をめぐって理事、監事あるいは教職員が多数リベートを受領したということを公言して新聞報道されたわけでございます。これは内部で調査委員会も設けていろいろ調査したがそういう事実がないということで、個人と学校法人の名誉と信用を著しく傷つけたというような理由で解職を行ったわけでございます。二月十日で現在鈴木学長は東京地裁に地位保全の仮処分の申請を行って争っておる最中でございます。これが昭和薬科大学の問題でございます。  それから専修大学のいわゆる無籍学生事件、幽霊学生事件でございますが、これは新聞報道報道されているとおりでございまして、大学として入学許可を行っていない者が幽霊学生として学校内で授業等を受けておるという事件でございます。三月に理事会に調査委員会を設置いたしまして、渦中の人物であります鳥倉教授をいろいろ調査するということにしていたわけでございますが、とりあえずいずれにしてもこの鳥倉という元専修大学教授を有印私文書偽造罪の罪で警視庁に告訴いたしました。大学としてはまだ十分内容については問題の整理がついていないので後日全体として文部省報告をしたいというようなことが三月三日に私どもに言ってきたわけですが、その後本人から事情聴取をしようという段階に至らないまま三月二十五日に同教授が逮捕されたため、調査委員会としては捜査当局の捜査の進展を見守りながら引き続き調査を実施していくということにいたしておりまして、調査結果を報告する段階に至っていないということでございます。私どもとしましては、現時点でこの件についてどうであるかというふうな論評を差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、鳥倉教授の個人的な不祥事件ではなかろうかという感じを持っておるわけでございますが、いずれにしましても専修大学当局からの正式な事実関係に関する報告を待って必要な指導、助言をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから大東文化学園の問題でございますが、これは大東文化学園の寄附行為変更認可申請をめぐりまして、理事長と教学側と争っている問題でございます。やや詳しい説明は時間の関係で割愛させていただきますが、いずれにしましても私どもはその寄附行為変更認可にかかわる問題については既に手続的には若干形式的なミスはあったと思いますが、実態的なミスはなかったというふうに判断いたしておりまして、一応この問題は文部省の方から見ますと解決している問題ではないかというふうに考えているところでございますが、先般大東大学学長ほか一名、二名の連名で文部大臣あてに理事長の解任勧告を文部省が行うようにという上申書が提出されておりますが、今申し上げましたとおりの感じで一応解決した問題だというふうに理解いたしているところでございます。  それから昭和大学でございますが、昨年の五月に監事が六十一年度の決算監査を行った際に、年度末の有価証券の保有高が前年度に比べて大幅に増加している、前年度、有価証券保有高が約三億円であったのが六十一年度末は二十七億円となっておるということで調査したところ、当時の紺野理事長が有価証券の売買を行っておるその結果であるということが判明したわけでございます。このため監事は学校法人昭和大学寄附行為二十三条から見ると、株の売買は二十三条に違反するおそれが非常に強いので厳重に注意するようにという指示をし、即刻株を全部処分せよという勧告があったわけでございます。それに基づいて株の処分はいたしたわけでございますが、この問題をめぐりまして、五月に至りまして理事会で協議した結果、全会一致で紺野理事長の辞職勧告が決議されまして、同日開催されました緊急理事会で紺野氏がこの勧告を入れて理事長、理事を辞任いたしたわけでございます。その後、さらに教授としての身分も懲戒免職をするということで、昨年の六月二十九日に理事会が紺野元理事長、これは教授でありますが、教授の身分も剥奪して解雇処分を決定したわけでございます。その後の問題が、東京地裁で教授の地位保全処分申請を紺野前理事長が起こしまして、東京地裁で争われてきたわけでございますが、本年三月十一日付で学校法人昭和大学と紺野前理事長との間で和解が成立いたしまして、紺野氏は教授として学校に戻るということで一応学内の紛争は決着を見たわけでございます。  以上が概要でございまして、全般的に言うと先ほど申し上げましたとおり、昭和五十八年当時の極めて異例と申しますか、書類を改ざんして補助金を詐取する、あるいは学内で殺人事件を起こすなどという事件から比べますと、やや内部紛争的な様相の強い事件がここ一年間の間に幾つか起きているというような感じでございます。
  47. 安永英雄

    安永英雄君 最後に総括して傾向のお話ありましたが、私もまさにそのとおりだと思う。一番やはり五十八年当時と違った点は、今説明がありました昭和大学の問題だと思います。いわゆる株式の問題であります。現在私学の間では、現在の低金利の時代、それから財テクの雰囲気といいますか、そういった中で苦しい私学経営もありましょうけれども、とにかくこの際株の売買によって資金運用をやっていこうというこの動きは、ただ単に昭和大学の問題だけではなくて、全国的にこれは非常に多いんです。  今の昭和大の株の運用をめぐって云々という話がございましたけれども、これは私は文部省にも大きな責任があると思う。この株の売買ということ、いわゆる資金運用という方法でこの株の売買ということを認めているんですかどうですか、お聞きしたい。
  48. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 学校法人が資産運用をどういうふうに運用するかということについては、私どもとしては学校法人みずからがその責任において判断すべき事柄であるというふうに考えております。いたずらに資産を例えば普通預金なり今のような低金利時代にそういう形で遊休状態に置くということはいかがなものであろうか、むしろその効率的な運用を図ることが一般論としては重要なんではないか、必要なんではないかというふうに考えております。  ただ一方、これらの資産が学校法人が設置運営する学校の教育、研究活動を支える大事な資産であるという点から見ますと、具体的な資産運用に当たりましては、安全性を旨といたしまして、慎重な取り組みが必要なんではないかというふうに思っているところでありまして、この点については私ども私学の集まりの段階で、効率的な資産運用は必要であるけれども、同時に十分その点は慎重な取り組みをしていただきたいということは指導しているところでございます。特に株式投資につきましては、株価がそのときどきで上下変動するという性格を有しているわけでございますので、株式で資産運用する場合には安全性の見地から、不安を伴うリスクを十分考慮した上で特に慎重にやっていただきたいという指導をいたしているところでございます。
  49. 安永英雄

    安永英雄君 今のような文部省の態度ですからね。これは株の売買勧めるわけじゃないけれども、容認している。そこから問題が起こってくるわけです。あなた方も調査していると思うけれども私学寄附行為を定めておる法人の中のほとんどがこういう文句ですよ。運用財産のうち現金は確実な有価証券を購入するか、または確実な金融機関に預託して理事長が管理する。今のようなあなた方が指導しているから、こういういわば内規といいますか、法人の寄附行為の規定で皆やっておるわけです。だから、今もおっしゃったように確実な有価証券というのはどれを指しているんですか。これは明らかに現行では株式、これも含まっているというふうに認めているんですか。
  50. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 大体、今先生御指摘のとおりに、学校法人の寄附行為を見ますと、現金は確実な有価証券または確実な金融機関に預託し、理事長が管理するというような規定になっておるのが一般的でございます。学校法人がその寄附行為にそういうような規定をした上で、確実な有価証券というのは一体どういう範囲まで入るのかということは、寄附行為を制定しております学校法人みずからが主体的に定義して決めるべき問題であるというふうに考えておりますが、一応有価証券といって裸で言った場合に、何が有価証券に入るのかという一般的な定義と申しますか、有価証券の範囲としましては国債、国庫債券あるいは地方債証券あるいは特別な法律により法人の発行する債券、例えば住宅公団が発行する政府が保証する債券、それから社債券、それから特別な法律により設立された法人の発行する出資証券、例えば日銀出資証券などでございますが、それと株券、それから証券投資信託または貸付信託の受益証券などが一般的に有価証券の範囲であるというふうに言われておりますが、この確実な有価証券と言った場合の確実な有価証券の範囲についてはそれぞれ寄附行為を決めております各学校法人みずからが決める問題ではないかというふうに考えておりますが、ただ、先ほど申し上げましたとおりに、私どもとしては、その有価証券で資金運用する場合には十分慎重に対応をしていただきたいということを一般的に指導しているところでございます。
  51. 安永英雄

    安永英雄君 法人にお任せしているお任せしていると言っていますけれども、これは国民の血税で、我々としてもやはり経常費の二分の一を目指しながら、国の予算の苦しい中からやっているわけでしょう。私は経理の内容はどんぶり勘定とは言いませんけれども、その中に今平気で、今もこの有価証券とは何かと言ったら債券というのをはっきり入れている。私はここにも昭和大学の問題も、現在起こっておる全国的な財テクブーム、ひどいところはとにかく株でうちの学校の資金というのはつくるんだと。私は知っていますが、理事長室に行ったら株屋さんの部屋ですよ。理事全部集まって毎日毎日とにかく株の上がり下がりをやりながらやっている。今あなたがずっと株のあれを有価証券の種類並べたけれども、調べてみなさい。債券でしょう、皆。株券ですよ、これ皆。そういう状態が今蔓延している。その中でやはりここで文部省指導に当たらないと、それぞれ法人がやっていましょうというわけにはいかぬ状態が今来ているんですよ。  特に私はひどいことを調べてみたんですが、これは法人の関係ですから株にかかる課税というのは非課税でしょう。そこをねらって学校の法人外の者もその中に自分の資金入れている。そして一緒にもうけを上げているところがある。あるいは法人の中のあるいは理事というふうな人が自分の個人財産をその学校の法人の株の中に打ち込んで、そしてもうけながらそれから引いていっているというふうな悪らつな方法もあるんですよ。今起こっている。私はこれは許されないと思うんですよ。  文部省の方で従前のような危険のない債券を認める、しかもその中に株券も入っている。危険のない債券なんていうのがありますか、特に株券なんというのは。ないでしょうが。それをあなた認めている。しかも学校法人会計基準、これの二十七条あたりはそれは認めて、こういう報告をしなさいという明示まで法律でやっている。私はどうしても納得できないんですよ。今知らぬ顔して、文部省知ったことじゃありません、法人がそれぞれやるでしょうと、こう言うんですが、少なくとも年間の報告というのはあるはず。したがって、私学関係の今持っている有価証券の金額でいいですから、どれくらい持っているか、これはつかんでいると思いますから報告してください。
  52. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 私ども補助金を出しておる学校からは毎年決算書をいただいておりまして、当然のこととして貸借対照表をもらっているわけでございます。その中で有価証券の科目に計上されておる金額は、大学法人で申し上げますと、大学法人三百十七法人全体の六十一年度末における有価証券の科目は四千二十八億円でございます。一法人あたり約十三億円でございます。ただ、先生御指摘のとおり、この四千二十八億円は有価証券でございまして、全部が全部株ではございません。これは地方債とか国債とか、これは元本が後で下がるという心配のない、あるいは政府保証債、これも元本が後で下がるという心配のない一般的なそういう債券も含めて全体として四千二十八億円という数字を私どもつかんでおります。
  53. 安永英雄

    安永英雄君 株券の所有というのを調べる気はありませんか。これらは調べたら出てくるんです。あなたたちが調べぬだけの話です。
  54. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 今のところ私ども株券所有状況というものを調べるという考えは持ってはおりませんけれども、ただ確かに先生御指摘のとおりに、資産運用を効率的に行わなければならない。そしてしかも低金利時代でございますので、どうしても大学がそういう有価証券取引で資産運用を効率化しようという動きが最近目立ってきていることは事実でございます。しかも、これは単に大学だけではなくて、およそ経営体、個人も含めまして一億総何とか時代ということで株の売買等に走る傾向があるわけでございます。今までの状況で見ますと、ずっと値上がり基調で来ておりますので、恐らく株で運用しておる大学で、学校法人で、それで損をしたというところはほとんど私はないんではないかという、それだけにやや安易になっておるんではないかという感じは私どももそういう感じを持っておるわけでございます。したがいまして、この際改めて私どもとしては、最近の資金運用の加熱ぶりについては一般の学校法人、大学法人等に十分注意を喚起していく方途を考えてまいりたいというふうに考えております。
  55. 安永英雄

    安永英雄君 そこまで言われるなら株券を保有するということは認めつつ、それの運用について指導するというのはどういう指導をしますか。私はいろいろ考えてみたんだけれども、指導の方法というのはないんじゃないか。もう有価証券の中で株券は保有してはならないというのはこれは一つ明確な言い方ですよ。それから、今も言ったように、危険な有価証券というものの定義をはっきり文部省が示すことですよ、この定義を。今聞いたところいろいろなことを言うけれども、定義を決めていけばはっきりする。それから株の売買についての制限を今度はやるべきです、制限を。それから有価証券の額の限定をやるべきです。そして一番大事な近々のこの問題は蔓延していきますから、これはやっぱり相当腰を入れてしなきゃならぬが、先ほども申したように、私大の有価証券保有高の調査というのは厳格に今から短期間のうちにやってしまう。これも抑止力になりますよ。  私は以上の点を文部省は早急に態度を決めなきゃならぬ、今決めなきゃならぬ。ここらあたりどうですか。指導すると、こう言うけれども、規定にはそういう運用については私学にお任せをする。その中でどんな指導をするんですか。これは相当明確な指導しないと大失敗になりますよ。もう昭和大学あたりのような事件はあっちでもこっちでも起こる。起こらぬところは全学を挙げて株に熱を上げておるところですよ、全学。だから漏れてこないんです。  ついでに申し上げておきますと、これは私立の医科大の有価証券保有高を私は調べてきたんです。あなた先ほど総額を言いましたけれども、そんなものじゃないですよ。一つの学校で、名前はあえて言いません、後から報告を求めます、私は。これは短期長期合わせまして四百三億三千三百九十七万七千円、これ一校でとにかく有価証券をこれだけ持っておるんです。この中の株も知っていますけれどもあえて言いません、ここでは。株券をどれだけ持っているのか。二番目には長期短期合わせて二百十一億二千四百五十二万七千円。次に百二十一億九千七百四十九万四千、それから、ある大学は百三億、全部読み上げませんけれども、とにかく膨大な債券を持ち、その中に占める株券の比率というのは半分近いんです。はっきり言っておきます。  大体こういう状態が今あるのに、これは一部の医科大だけです。私学の医科の関係だけです。総合大学の中にありますいわゆる医学部、こういったものは除いておりますが、これあたりも全部やらなきゃならぬし、短大、これあたりの、短大はひどいですね、私の調査では。これは係じゃないと思いますけれども、今盛んに生徒減が予想されながら私立の大学がどんどんできている。このときのいわゆる基礎になる資金というものは文部省に見せなきゃならぬ。あれあたりも株券で平気で見ているんですね、あなたのところは、これは係が違うんですけれども。新しい私立をつくるときには自己資金というのははっきり金額が決まっている。その金額はなかなかできないが、株券を持ってきておる。ひどいときには名前かりて持ってきておるでしょう、そのときだけ名前をかりてきて。そして規定の何十億とか何百億とか、こういう金額は株券でやる。文部省の方もそれに判こを押して設置を認可する。とにかく株は横行しているんですよ、どこも。これを何とかとにかく文部行政の中で抑えないと、それは金は出すけれども物は言わないというのが私もこれは信念ですよ。文部省私学に対する態度としては、金は出すけれども、指図はしないし物は言わないという、大学の自治というものを守ることは本則だけれども、私は、私学に対する助成というのを、こんなことを続けておったら意欲がなくなりますよ、これ。国民も黙っちゃいませんよ。  この前の質問じゃありませんけれども、修理費、これまで出しているんでしょう。私学に対しては設備の修理費あたりまで出している。私学には相当つぎ込んでいるわけです。それは物を言っちゃいけない、指図はいけないけれども私学みずからが崩壊しますよ、これで。もうあなた、平気で、私学は金がないけれども株でとにかく支えているんだ、株で支えるから心配するなと、こういった形でしょうが。先ほど言われたように、私学に対して指導をしますと言うだけでは済まされない現状だと私は思うんですが、どういう手を打ちますか、お答えください。
  56. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 最初にちょっと訂正しておきたいと思うんですが、私ども設置認可を認める場合には株券で認めたことはございません。あくまで、株を持っておる、有価証券を持っておるといった場合でも、設置に必要な経費については設置認可申請書を提出する段階で全部預金化して現金で、預金でなければだめだということで、それ以外の有価証券があるからというのは設置認可申請を受理いたしておりません。その点は厳密にやっているつもりでございます。  それから、今先生が御指摘のありました指導の問題でございますが、そもそも学校法人がどういうような資産運用をするかというのは、本来的には私先ほど申し上げましたように当該大学の責任で決めるべき問題であるというふうに考えておりますが、ただ、先ほど来言っておりますとおりに、元本が保証されないものに運用をする場合には、極めて慎重にも慎重を期すような運用をするようにと。それから、たまたま株などは、先ほども申し上げましたとおりに、ここ数年間は値上がり基調にあったということもあって、やや安易に流れているというおそれもあるわけでありますので、私どもとしては、私学理事者の集まり等あらゆる機会を通じまして、その点について注意を喚起してまいりたいというふうに考えております。
  57. 安永英雄

    安永英雄君 時間ありませんけれども、今度集まったところで注意すると言うけれども、今まで株でもうけよったけれども、今から下がるぞ、用心せいと、こういう指導ですか。それじゃだめですよ。そんなことじゃ、あんた、この問題は解決できないんですよ。私は、もういっときしたら、全部資料出してはっきりしますよ。指導しなきゃ、指導方針持たなきゃ、この問題について。集めておいてから、株は危ないですよ、こう言う。しかし、株券というのは認めている、財産として。その中でどういう指導ができますか。これ、はっきりしてください。
  58. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 危ないから気をつけろということではなくて、傾向としてはここ数年間の値上がり基調ということで、株で損をしたという経験が余りないということで、ややもすると安易に資金運用でそっちに資金が流れていっている嫌いがあるのではないかということで、いずれにしましても資産というのは学校法人が設置する学校の教育研究活動を支える大切な資産でありますので、具体的な資産の運用に当たっては十分安全性に留意をして今後運用していくように、特に株の運用について、株で資産運用する場合には十分注意するようにという、そういう指導をしていきたいというふうに考えております。
  59. 安永英雄

    安永英雄君 私はそれではだめだと思うんです。私が先ほど言っておったのと同じことで、株は危ないからと言うたら、株を外したらいいじゃないですか。また、株が危ないからと言うたら、このパーセントの、ここだけぐらいは認めるとか、何か制限をするとか、何とかしないと学校つぶれますよ、下手すると。あなたはそこまでいって責任が負えますか。私は、何回繰り返したところで、今のような形で、株は危ないですから気をつけなさいという指導だけではいかぬような気がする。何かここで根本的にこれは考えなきゃならぬので、これ以上私は申しませんが、この点についてのやっぱり指導計画、こういったものをひとつ皆で検討してもらいたいというふうに思います。今までどおりの指導ではいかぬというふうに注文をつけておきます。  次に、例の福岡の問題であります。私立九州産業大学、これが五十七年ごろ、先ほどいろいろありましたように、毎年百人以上の裏口入学、そして寄附金取って使途不明、教員の肩書を詐称して私学振興財団から五千万以上の補助金をだまし取る、こういうことで文部省としても、当時の森文部大臣あたりはもう法規に照らして処分するというくらいこの委員会で言った、強く出たわけであります。時間がありませんから、その内容等はもう十分わかっておるはずですから申し上げませんけれども、当時私学財団の方に二十五億八千万の返還を求めて、これを全部取り上げた。そして、向こう五年間補助交付をしないということで打ち切ったわけです。これは五十年七月、私学振興助成法ができて初めての事件だったわけで、これは厳しい態度だったんです。それは毅然とした文部省の態度も私はうかがえた。にもかかわらず、その五年というのを一年残して、三月末に特別補助を除いた二五%の二億一千四百万、これを支給したと聞きますが、これは本当ですか。
  60. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 九産大の事件の概要につきましては、先生十分御承知のことでございますので、あえて私からは御説明は割愛させていただきますが、制裁措置、管理運営上の不祥事件等を未然に防ぐということで、不祥事件で補助金をカットした場合には五年間補助金を出さないということを、昭和五十八年度にその制裁措置を設けたわけでございます。その制裁措置の第一号にかかったのがその九産大と国士館大学であったわけでございますが、ただ当該大学における速やかな改善努力を促すという、そういうために制裁期間中であっても改善が進んでおるところには緩和措置をしてやるということもあわせて設けたわけでございます。  同九産大につきましては、先生が今御指摘になりましたとおりに、本年の三月に六十二年度の補助金の二五%であります二億一千四百九十万円を交付したわけでございます。そういう不祥事件を起こした九産大に対しまして、文部省指摘した改善事項は、まず第一点は運営体制の刷新、それから第二点は、先生も今ちょっと言及いたしました入学者選抜方法の公正化、それから第三点は教員組織の充実、それと第四点は経理の適正な処理、それから内部監査機能の強化、以上五点でございました。  これらの五点につきまして、九産大の取り組み状況をそれぞれについて御説明申し上げますと、まず第一の理事体制の刷新と運営の適正化の問題でございますが、これについては、五十八年十二月に、問題の渦中の理事長でありました鶴岡三郎理事長が引責辞任し、新たに稲井という人が新理事長に就任いたしました。    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕  ところが、その就任したときの理事の構成を見てみますと、他の理事十二名についてはわずか五名しか交代しなかった。しかも事件の重要人物である平野昭一副理事長は留任してしまった。また事件の中で監事としての役目を十全に果たさなかった監事三名も全員留任したということで、五十八年の鶴岡三郎理事長が引責辞任したが、その後も、稲井理事長体制も、文部省としては実質的な意味での改善が図られたというふうには了解できないということで、さらに理事体制の確立を指導したわけでございます。  このような経緯を経まして、昭和五十九年八月に、稲井理事長、それから全理事が辞任いたしまして、その後青木という方が理事長として就任いたしまして、すべての理事体制を刷新し、そしてその新理事体制のもとで自主的な改善が進められてきているということでございます。具体的な措置としましては、教学側の理事を四名から六名に増員する、監事の入れかえ、補充、評議員の強化、運営体制の整備を図るという観点から諸規定を整備するというようなことも今日まで行ってきているわけでして、私どもとしましては一応運営体制の刷新はできたというふうに理解しているところでございます。  それから入学者……
  61. 安永英雄

    安永英雄君 ちょっと、時間がもうないんで……
  62. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 入学者選抜方法につきましても、理事者が入学者選抜に入っておるとか、あるいは寄附金を取って入学を認めるということで、教学側の意見が必ずしも一〇〇%通らないという形で選抜されてまいりましたが、その後、教学側が全責任を持って入学選抜を行うという体制にいたしましたし、それから教員組織の充実につきましても、不足分を充実して大体設置基準を満たす教員組織を充実いたしました。  それから経理の適正処理につきましても、適正にその後処理をし、経理の公開についても私ども一般的に指導していたわけですが、六十二年度決算からは経理の公開を行うということも決めております。  それから、内部監査機能の強化についても、先ほども申し上げました三名の理事体制をしいて、監査法人による監査も従来より強化するということで、一応私ども改善が前へ相当進んだというふうに判断いたしまして、六十二年度まで制裁期間でありましたけれども、六十二年、二五%の補助金を交付するということにしたわけでございます。
  63. 安永英雄

    安永英雄君 まあ私、今おっしゃった全部について一々現地で調査したんですけれども、これは全部、あなたが言ったように、文部省の方で、これで大丈夫と、この指導五項目は完全に果たされておるというふうな状態じゃないですよ。これ、時間がありませんからもう申し上げませんけれども。これはとにかく五年あるのを、もう完璧だから一年さかのぼってやってもよろしいというような状態じゃない。まして、あなたのところで何か言っているそうだけれども、来年からは一〇〇%出すと、こう言っておる。そんな状態じゃない。時間がありませんから、また改めて私はやりますけれども、これは今これをもう補助金を出して、そしてあなたのところが、もうあれだけ厳重に五項目を守れと言ったけれども、完璧だと、そういう判を押したら大変なことになるんです、あそこの学校は。これだけはもう一回起こる。これだけは私は注意申し上げておく。  六十二年度に会計の、経理の公開をやるというのは、これは怪しげなものですよ。今までずっとやってないんです。私は九州各県の大学のデータとったけれども、九州産大は全部欠けている。あの法律で決められておるあの項目全部非公開ですよ、ずっと非公開。しかも六十二年度はまだもたもたしているんですよ。それはそのはずですよ、あんた。まだあの鶴岡が持っていった帳簿類その他がないんだから、これが返ってこない限り公開できないんだから。ことしの、六十二年度公開するというけれども、公開のしようがないんだ。公開したら、これはもう大変なことになるんですよ、今度は。そのときに私は問題にする、これ。できもせぬことをあなたの方がしんしゃくしちゃって、そして何もかにも、会計その他あれだけの問題が全部片づきましたというような状態じゃないですよ。これは注意をしておきます。  これは時間が本題に入らぬ前に終わっちゃったんですけれども一つだけ聞いておきたいと思いますが、年金の問題について聞きたいと思います。先ほど久保委員からいろいろ現在の私学共済の運用について質問がございましたが、何といっても、あの頭にかぶさって長期の展望ができないのは、年金制度の改革昭和七十年に向かって一元化するという、こういう方向が国会で確認をされておるということなんですよ。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕 そして一階建て、二階建てのところまで行きまして、肝心の私学とかそれぞれの特色、これを生かすためにはどうするか、それで受給とあれとのバランスをどうするかという問題の最後のあれになっているわけですね。その段階が一応六十四年度でできるだけやろうじゃないかという中間で区切りがある。  そして一番やっぱりネックになるのは、何といってもやっぱりJR関係のいわゆる鉄道共済、この問題がどう解決するかという問題も一番大きな問題なんですから、これは直接厚生省は来ていませんけれども、何か公的年金制度調整連絡会議というものがあるそうでございまして、それにも局長クラスが全部出てずっとやっておられるということですから、JRの鉄道共済、あれはもう官房長官、厚生大臣、大蔵大臣、運輸大臣、大物がとにかく責任を持ってこれはやるということで話が進められておりますが、この解決の見通しはどうかという問題と、それから七十年に向けてどういう検討が進められておるのか。これあたりのめどが立たないと、長期とか短期とかいっても、これは基本的に今から私学の運営をやっていく場合には、これはもう七十年という、しかも一応の線引きという地ならしが六十四年、来年なんですよ。そこらあたりの事情を勘案しないと、これはただ今までのような形で細々といって、先の方では大体だめになりますよというふうなことを毎年毎年繰り返しておったって、これは非常事態が来るだけです。そこらあたりの見通しをひとつお聞かせ願いたい。
  64. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 御指摘がございましたように、七十年にその一元化を図る、そのために六十四年の再計算の際にできるだけ地ならしできるものはする、こういう方針でございます。先ほど申し上げましたように、六十四年に財政の再計算をするのはこれは厚生年金、国民年金でございまして、例えば私学共済はそれから二年ほどずれるというようなことがございますから、六十四年に共済も含めた地ならしのための制度改正をするのかどうか、その辺もこれからの議論でございますけれども、いずれにしろ七十年の一元化に向けてこれから六十四年以降制度改正ということも考えなくちゃならない、こういうことでございます。  そこで、ただいま御指摘がございましたように、現在閣僚会議からの御命令がございまして、事務レベルで公的年金制度調整連絡会議という我々の事務的な会議がございまして、今そこでこの地ならしというものについてどういう方向でやるのかという議論をしているところでございます。ただ、その議論の対象が年金の、今御指摘のような財政の将来の見通しでございますとか、それから負担の仕方、それから特に負担の中でも、一つは各制度間の、共済でも四本制度がございますし、さらに年金制度もある、そういう中での財政調整のあり方とか、その財政調整で言えば、ただいま御指摘の特にJRの問題、これが六十五年以降さらに深刻な事態になるということでもございます。さらに言えば、たばこの方もまた深刻になってくるであろうというようなことがございます。それから支給開始年齢につきまして、現在でも既に厚生年金等本則において六十五歳、だけれども現在は六十歳になっている。一体この六十を六十五歳にすることの可否、その場合の雇用の問題というふうに、非常に対象となる範囲が広うございます。その辺につきまして事務的に現在いろいろな角度からそういう問題について個別に詰めをしているわけでございまして、その六十四年の地ならしがどういう形になるかということを現時点で申し上げるということはちょっと差し控えさしていただきたい。  ともかく、そういう七十年の一元化に向けてのいろいろな給付と負担とその両面にわたって事務的な検討をしているというのが現在の状況でございます。
  65. 安永英雄

    安永英雄君 終わります。
  66. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会    〔理事林寛子君委員長席に着く〕
  67. 林寛子

    ○理事(林寛子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、大臣は少し途中中座されるというお話でしたので、最初に大臣のおられるときに聞いていただき、またコメントもいただくかもしれませんので、ちょっと質問の順序を、お知らせしたのをちょっと変えまして質問さしていただきます。  それでは、留学生と海外子女教育ということについてまずお話を承りたいと思うんですが、留学生受け入れ体制というのは、現在、国費、私費、それから外国政府というふうに分けてあるようですが、どうなっておるか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  69. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 留学生は今日本の大学等で学んでおりますが、全体で二万二千人おります。そのうち今先生がおっしゃいました私費留学生の数が圧倒的に多いわけでございますが、一万七千七百一人、それから日本政府が奨学金を出しておりますいわゆる国費留学生が三千四百五十八人、それから残りの九百九十五人が外国政府が奨学金等を出して派遣しております留学生でございます。
  70. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 二十一世紀に向けて十万人受け入れ体制をというふうなことが方針として決まっておるようでありますけれども、この十万人留学生の内訳をどのように想定しておられるか、承りたいと思います。
  71. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 二十一世紀初頭に十万人を受け入れるという構想を立てましたときに、いろいろ有識者の方の御意見などを承ったわけでございますが、その当時国費留学生と私費留学生、私費留学生の中には外国政府派遣留学生の数も含めておりますが、日本の場合は大ざっぱに言いまして二対八、こういう感じであったわけでございます。  しからば、二十一世紀初頭にどのくらいの割合で想定するのだろうかということになりまして、諸外国を調べましたところ、米国が二%余り、それからフランスが八%ぐらい、西ドイツが五%ぐらい、イギリスが四%ちょっとというところがいわゆる国費留学生の比率でございまして、日本も恐らく今後は私費留学生が大幅にふえていくだろう、そういう意味では十万人ということもフランス並みということで考えておりましたので、やはり大体フランス並みの八%を丸めて一割ぐらいが国費留学生、残りの九割が私費留学生あるいは外国政府派遣の留学生を含む、こういうふうに考えまして、一万人が国費留学生、九万人が私費留学生、こういう想定をいたしているわけでございます。
  72. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、最近外国留学生、特に東南アジアの方の留学生が病気になって、そのまま医者にかかれなくて亡くなったと、バングラデシュでしたか、のが出ておったようでありますが、私もかつて米国留学をいたしましたので、当時日本は非常にドル三百六十円の時代でございまして、大変アメリカの経済から比べるともう雲泥の差で、一番怖かったのが病気になったときの医療費であります。特に当時は歯が大変高くて、アメリカへ行くときには歯を全部治して行け、眼鏡も予備持って行けと言われておったような時代でありますが、私はアメリカへ行ったときは月あの当時で二ドル、三十年前でありますが、月二ドルの保険を掛けて行ったかと思っております。  それで、ああいうバングラデシュの学生のを見ますと、私はやっぱり医師としても非常にこれはミゼラブルなことであったなと思いまして、このことをお尋ねしたいと思うんですが、留学生の健康管理ということはどういうふうになっているのか。例えば私が申し上げたように、たしか学生学生健康保険か何かあって、大変安くそれでかかっているんじゃないか。ただし医学部のある大学とない大学とで違うのかなと、その辺をひとつお知らせを願いたいと思います。
  73. 植木浩

    政府委員(植木浩君) ただいまバングラデシュの青年が亡くなられたというお話がございましたが、このバングラデシュの青年はいわゆる大学等で学ぶ留学生ではなく、また日本語学校で勉強しております就学生でもなく、私どもが法務省から聞いたところでは観光などの短期滞在の在留資格でおいでになった、亡くなられたのは大変お気の毒でございますが、そういうふうに承っております。  その医療費の制度につきましては、まず最初に申し上げました留学生につきましては、文部省の方で国庫補助事業といたしまして国費、私費の全留学生を対象にいたしまして医療費補助制度、医療費の八割補助制度というものを実施しております。したがいまして、掛金なしに病気になられたり、事故を起こしたときは八割を国の方で日本国際教育協会を通じて負担をしておりまして、六十一年度でも約一万一千件支給件数がございます。  それから、今先生がおっしゃいました保険の点でございますが、国民健康保険にも掛金を掛ければ対象になるということで、この場合は七割が支給をされますが、残りの三割につきまして今申し上げた文部省の方の医療費補助制度でその八割を見ますので、合計九四%が支給をされるという仕組みになっております。  なお、その就学生、日本語学校等で勉強しております就学生につきましては特別な制度はございませんが、就学生は通常短期間在留する人が多いと思いますが、一年以上在留するということが認められる場合には、掛金を掛ければ国民健康保険の適用もできるということになっております。その他、大学等で医学部や病院がございますので、留学生の健康管理等にはできるだけ気は使っておるつもりでございます。
  74. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 二十一世紀と言っても間もなく、もうあと十年ちょっとでありますが、十万人というと現在の約五倍になりますね。そして、なおかつ国費留学生を数%から一〇%というと、九割が私費及び外国政府留学生になるわけで、そうすると今のお話だと本人掛けない場合で八割でしたね。だから大変ないい制度、留学生にとっては非常にありがたい制度だろうと思うんですが、そうすると費用も大変かかってくるだろうと思うんです。それで、その十万人体制に向けての今の就学生ですか、そういういわゆる予備軍というふうなものを含めて環境整備、健康管理だけではなくて環境ですね。語学の研修も含めて、下宿、食事の習慣の違い、いろいろなことがあろうかと思うんですが、そういう環境整備についてどういう取り組み方を考えておられるか、ひとつ承りたいと思います。
  75. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 十万人というのは、いわゆる大学等高等教育機関で勉強する学生でございます。就学生はそれとは一応別に考えております。留学生につきましては、先生御案内のとおり、宿舎の対策とかあるいは私費留学生対策とか、教育指導体制の充実とか、いろいろな施策を総合的に推進をしているわけでございます。  いわゆる日本語学校等で勉強しております就学生につきましては、文部省といたしましては、その学習目的が必ずしも皆さんが大学進学を目的としているわけでもない。単にといいますか、日本語だけを勉強しようという人も非常に大勢おられるようでございますし、またその学校の設置形態も、各種学校、専修学校等のもございますが、株式会社でおやりになったり、あるいは団体でおやりになったり、千差万別でございます。そういうわけで、文部省の方では、こういった日本語学校の教育水準をともかく上げようということで、研究協力校の指定をしたり、日本語教員の養成をしたり、あるいは日本語の教材とか教授法の開発等を一生懸命やっているわけでございます。そういうわけで、就学生につきましては日本語学校の教育水準を上げる、教育環境をひとつまず充実しようと、そういうことで文部省としては努力をしているわけでございます。
  76. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 これに対して、今のは主として文部省側の対応かと思いますが、私学はどのような協力体制というか、私学に対してはどういうふうな指導をされているんでしょうか、留学生の受け入れですね。
  77. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 私立学校には大変大勢の主として私費留学生が在学をしておりますし、また今後十万人という場合にはやはり非常に大きな役割を私学は果たしますので、現在行っております施策としては、先ほど来申し上げております医療費補助などは、これは国立大学にいようと私立大学にいようと全部国費、私費を問わず適用になるわけでございます。近年円高等に伴いまして急激な生活上の困難ということに対応するために、昨年の秋から私立大学の私費留学生の授業料の減免措置、三割減免というものに対してこれを国庫補助で支給をしているということで、六十三年度八千人以上の人を対象にするということが一つでございます。なお留学生数に応じまして、私立大学等に対しましては、私学の経常費補助の中で特別助成の枠で学生数に応じまして文部省の方から補助金を支出しておるということを行っているわけでございます。
  78. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 環境整備の中で、特に語学が問題だと思うんですね。日本語というのは、やっぱりラテン系の言葉と違って、全くもう文章構造からすべてが違うし、文字がアルファベットでいきませんし、イントネーションも違うし、「私」という一人称だけでも何十あるのか、いっぱいありますし、非常に困るわけですね。丁寧語がいろいろとありますし、我々でも困ってしまうんです。  何にでも丁寧語をつけるのかと思ったら、私なんかやっぱり昔のものですから、「お茶」には「お」というのがつくけれども、「お紅茶」というのはだんだん慣れましたが、「おコーヒー」というとどうしてコーヒーに「お」をつけるのかと思ったり、まして「おトイレ」なんかいうとどういうことになるのかなと。「お」がつき過ぎるんですね。私は、敬語の「御」のつけ方について文部省もひとつどこか減らすのを、標準「御」のつけ方なんというのが出してもらえるとありがたいなと思うぐらい思っているんです。これは御返事要りませんけれども、それで「御」が入っちゃうんですが、これは返事は向こうからのお返しだからお返事だと思うんですけれども、何というかな、まあいいわ、そんなことしていると時間がまたなくなりますから。  そこで、奨学金のことなんですけれども、私はアメリカ留学の経験からいって、奨学金が我が国では大学の奨学金というのは非常に少ないんじゃないかと思うんですが、国の場合と、国は国費で来ればそれっきりになるのか、私費で来た人がアプライできるような方法があるのか、私学ではどの程度奨学金ということについては枠を持っているのか、これは全く枠なしに日本人と競合でやるのかなんというようなことをちょっと伺いたい。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕
  79. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 奨学金あるいはそれに関連するものといたしましては、文部省関係で予算を組んで日本国際教育協会の事業として行っておりますのは私費外国人留学生に対する学習奨励費という制度がございます。これは学部学生月額四万円、大学院生月額六万円を私費留学生に対して選考の上支給をしているというもので、これは六十二年度二百五十人を六十三年度は五百人に倍増いたしております。それから若干ではございますが、私費留学生のうち優秀な方につきましては国費留学生の切りかえ採用ということも行っております。  なお、大学等でも奨学金を持っておりまして、現在五十二大学で七十基金持っておりまして、約八百人近い私費留学生の方が奨学金をもらっております。また民間のいわゆる奨学金団体、これも六十四団体ございまして、月額五万円とか十万円のが多うございますが、千八百人の方が奨学金の支給を受けている、こういう状況になっております。
  80. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ここで大臣に、今までの留学生、特に二十一世紀十万人留学生受け入れ体制を志向して、外国人留学生に対する大臣のまとめたコメントをひとついただきたいと思います。
  81. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 私どもが一番気をつけなければいかぬと思いますのは、留学生の方々、数が先行をいたしておりますけれども、やはり魅力ある学習の環境を私どもはつくって差し上げる。そして、まず自国を出られる前に日本の学校のあり方あるいは宿舎のあり方、あるいは民間宿舎はこういう状況であるという事前の情報をできるだけ的確に把握していただくように努める必要がある。もちろん、留学中の魅力ある環境というのももちろんでありますし、また留学を終えられました後、それぞれ優秀な方々でありますから、それぞれの自国あるいは海外におかれて相当重要な方向を歩まれる、それぞれの職につかれると思うのでありますが、その場合どのような職につかれて、どのような環境におられるか、多少のアフターフォローを私どももしていく。その三位一体となってお世話をすることによって、日本に学んでよかったという、学習の内容と同時に親日感情を育てて、そして末長くお互いのかけ橋になっていただく人材として育っていただくように心しなければならない、そのように感じております。  一方で、留学生のほかに、先生最初にちょっとおっしゃった就学生の問題ですね。これは短大、大学以上のところで学ぶ一年以上の学習をなさる方を留学生、それ以外の方々を、一応就学ビザで入られる、就学ビザというのが専門用語かどうか知りませんけれども、つまり六カ月のビザで入ってこられる。そういう方々が非常に多種多様でございますし、そこで学ばれるやっぱり日本語学校のあり方が多種多様でありますし、これはこの辺は早急に省庁間で連絡をとりながら研究をしなければならない問題だということをつけ加えさしていただきたいと思います。
  82. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私、今大臣言われたように、非常にこの点は大事だと思いましたのは、アフターフォローですね。これはアメリカなんかですと、もうそれこそ絶えずディスカッションして意見聞くんですね。一杯ごちそうして、まあ一杯じゃない、一食ですけれども、ごちそうしてくれながら外人の、外国人学生、フォーリン・スチューデント・アドバイザーがおりまして、まあ二月に一遍ぐらいでしょうかね。全部呼んでくれて、フリーに何でもかんでも言わせて、そして、それをすぐ改善方向に用いるわけですよ。これ非常に大事ですね。もう今でも間に合うわけです、すぐ変えられると。これ非常に大事だと思います。  それから、日本語学校の話、私の経験で申し上げますと、私の行った大学で、我々は英語できるということで行きました。しかし講義を聞いてわかるわけはないんですね、やっぱり。私、研究者になって大学学生で行きました。ですから、講義を聞いてノートをとって試験受けるというのはもう大変なストレスでございましたけれども、英語を教え、まあアメリカ語ですね、これは。アメリカ語を教える学校が大学の中に夜間あるんですね。ですから、できない、どうしても不安な人はそこへ夜通って、夜は夜でそれを受ける。昼は昼で授業を受ける。こういうのを並列しているんですよ。日本の、まあ日本は今どうなっているかわかりませんが、一年間日本語学校に入れておいて受け入れる、千葉だかどこかありましたね、外語、神戸でしたか。そういう一年、特殊な日本語教育ではないんですね。私の場合はハワイのユニバーシティー・オブ・ハワイで六週間でした。これは英語の特訓を受けた、一日八時間。そして私はピッツバーグ大学ですが、そこへ行って、もうすぐ試験を受けさせられたと、こういうことで、それでも英語はなかなか日常会話的になんかいくものじゃありません、私はです。ですから語学はやっぱり真剣に考えていただいた方がいいと思うんです。  それから、大臣の時間の都合もありますので、次は日本人学校、海外における日本人学校の将来計画について伺いたいと思うんですが、海外進出企業が、貿易の不均衡をめぐって日本企業はどんどん海外に進出をする、そういうことになってきている。一方、外交官も単身赴任ということは日本的発想であって、外国では家族というのが普通でありますから、企業も同じでありますが、そういうことで、一般に子女も一緒に家族ぐるみというのが世界の今日の状態でありますが、その場合に、現地の学校に子女を入れるのか、それとも日本人学校をつくってそこに入れるのが原則なのか、数が少ないから現地に入れるのか、それとも数さえ多くなってくれば日本人学校をつくって入れようとしているのか、それは現在はどうなっておりましょう。これ管轄は文部省ですね。
  83. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 海外におきます在留邦人の増加並びにその同伴する子弟の増加ということが非常に顕著になっておりまして、六十二年度で既に義務教育年齢段階の児童生徒数が四万一千人を超えておりまして、十年前に比べますと約倍増している状況でございます。これら海外におきます子女の教育の問題でございますけれども、基本的には私ども臨教審答申でも御指摘がございますが、日本人としての基礎の育成を重視しながら、現地事情を勘案して、できる限り現地で得られる体験を多く積ませることが必要であるというぐあいに考えているわけでもございます。ただ、国ごとによりまして、それぞれの国が持っております事情が違います。あるいは教育事情等も異なりますし、あるいは抱えられております子女の特性等もそれぞれ違うわけでございますので、現地の日本人社会におきまして、現地校に通わせることを選択するか、あるいは現地校に通いながら補習授業校という形で日本語の勉強もあわせてする場合もございますし、あるいは日本人学校という形で全日制の教育を日本人の子弟と同様に受けてもらうというような多様な方法があるわけでございまして、いずれを選択するかはその現地での御判断にゆだねるということでございます。  したがいまして、現在までそれぞれ各地におきまして、例えば日本人学校の設立の要望あるいは補習授業校の設立の要望等がございますれば、その現地の実態に見合った形で国としての対応を行っているところでございまして、現在海外におきます日本人学校としては八十三校、補習授業校としては百二十校が設置され、そこに三万人を超える日本人子弟が学んでいるという状況でございます。と同時に、現地学校のみに通っておられる方も約八千人程度いらっしゃるというさまざまな実態にございます。
  84. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それじゃ、次の問題は外務省の方にお願いをしたいと思いますが、昨年ですね、九月に私たち衆参両院の議員の人口問題の懇談会で北京に参りましたときに、衆参数人の先生方で北京の日本人学校を視察いたしました。昨年の九月であります。そのときに、それは中国の学校を借りて中学と小学校が仮校舎で、校舎って一部ですね、借りてやっておりました。それでやはりコンクリートの打ち抜きみたいで、何だかお化粧してないようなコンクリートで大変その意味では少し、我々の言葉で言えば粗末かもしれませんが、我々だって昔そういう時代があったかと思いますけれども、そういうところで北京なんかは急激に日本人の在留者がふえてきたということで、日本人学校をつくろうということになって現在進行中であったということで、実は九月に伺って十一月に私のところに手紙が校長先生から参りまして、それを見ますと、ほぼ建設が六三%、校舎の完成度が六三%である、明春開校予定というからもう開校しているかもしれませんが、募金が円高不況で企業から色よい返事がもらえないので、北京の日本人商工クラブ会長以下役員は大変憂慮していると、そういう現状報告で、多分少し応援してくださいということだったと思うんですが、それを見まして、私は学校というのは文部省が建てるのかと思ったらこれ外務省、外務省なんですね。そんなことがあって、はてどうなっているのかと、全額現地で負担するのかなと、そんなことありましたので、外務省にきょう来ていただいたわけで、ちょっとお願いいたします。
  85. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 先生に大変御心配いただきましたけれども、幸いにしまして、北京の日本人学校、本年四月に四階建ての立派な校舎が完成いたしました。私も今のポストについた直後ぐらいですから、去年のやっぱり九月だったと思いますが、相当気にもなりましたので実際に工事現場にも行って、一階から四階までまだ工事やっている最中でしたけれども、一応見てまいりました。先生の御心配のおかげもあったと思いますけれども、幸いにして立派に校舎もできまして、生徒ももう新校舎で勉強しているということでございます。現地の在留邦人の人たちもいろいろ御協力をくださいまして、資金的にも何とかやりくりしてやってきているようでございます。どうもありがとうございました。
  86. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のような募金がままならないというようなときの助成の道というのはどうなっているんでしょうか。あるいはもっぱら外務省でしょうか、文部省もタッチするんでしょうか。
  87. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 一応仕事のやり方といたしましては、校舎の建設等につきましてはこれ外務省が責任を持つ、それから先生の派遣等につきましては文部省の方で責任を持っていただく、大まかに言ってこのような仕事の区分になっております。我々の方といたしましては、校舎の建設について大体費用の半分は国庫で面倒を見ている、あと残りの方は関係の御父兄の方に御協力をいただくというようなのが一応の基準でございます。
  88. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 現地におきますその一種の自助努力のような形でそういう学校建設されるわけでございますが、その際どうしても募金活動ということは必要になります。そういう意味におきましては、これは税制上のいわゆる損金算入の優遇措置というのを講じていただかないと寄附の集まりが悪いわけでございますし、現在北京日本人学校の募金につきましては、海外子女教育振興財団を窓口といたしまして募金活動を進めたいということで、これは大蔵省におきます、そういう今申し上げたように、財政上の優遇措置の指定を受ける必要がございまして、現在その打ち合わせ中でございますが、この大蔵省に対しましても、指定に際しては外務省並びに文部省で復申をつけまして、その促進方、指定に対する協力方要請を行おうとしている段階でございます。
  89. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 海外子女の帰国した場合のいじめの問題は、大臣またお帰りになってから今度やらせていただきます。  それでは、主題である私学共済のことで質問をさせていただきますが、短期経理の件ですけれども、退職者医療制度が昭和五十九年度施行された、老人保健法が五十七年ですか、施行されておるわけですが、その場合の共済の、医療費との関係が主なんですが、年次別の収支というのは一体どうなっているか、御説明をいただきたいと思います。
  90. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 私学共済の短期経理の収支でございますけれども、短期経理自体は過去ずっと健全な収支になっておった。たしか昭和四十五年以降だと思いますけれども、六十年までの間は、特別の事情があった年は別ですけれども収入と支出は健全な収支差がございまして、若干の毎年黒字を計上し、それが累積利益金として計上されてきた、こういうことでございます。  ただ、昭和六十一年からこれが赤字が出ておりまして、例えば六十一年で申しますと、収入が八百十九億円に対して支出が八百二十二億円でございまして、収支差額が二億四千七百万円ほど出ておる、こういうことでございます。それが六十一年でございますけれども、六十二年度、これはまだ決算が確定しておりませんけれども、現在の見込みで申し上げますと、収支差がさらに広がってまいりまして、収入が八百五十九億円に対して支出が九百十九億円、収支差が約六十億円というのが現在のところの見通しでございます。
  91. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今連絡がございまして、大臣お出かけになるのが少しおくれているようでございますから、先ほどの質問にやはり戻らせていただきます。今の短期経理の件はその後続けさせていただきます。  一つは、海外の日本人学校を持ってはいるけれども、やはり海外子女は日本の受験戦争を対象にするものだから、中学三年になるとほとんどの者が帰国をする。そしてまた、現地においても塾の必要性があって、塾が海外に進出されているということが出ております。だから、いかにこの入試ということが日本人の生活体系の中に非常に大きなくさびを打ち込んできているのかなと、これに振り回されている家庭がいっぱいあるんじゃないか、そういうことを私は憂慮している者の一人なんですけれども。それから今度、帰国子女が学校でいじめられている。これはもう幾つか実例があるようでございます。それで、このいじめの原因とその対応ということなんですが、いじめの原因はいろいろあるでしょうが、対応については何かやっておられますか。
  92. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のとおり、帰国子女にかかわるいろいろないじめの問題、それから外国籍の子供たちも現在全体で約九万人ぐらいおるわけでございます。帰国子女が毎年一万人ずつぐらい帰ってくるわけでございますが、この外国籍の子供と帰国子女の子供を日本の学校教育として受け入れる場合に、私どもが留意すべき点が三つあると思っているのでございます。  その第一点は、やはりいずれにしても日本語が必ずしも十分でない。日本人子弟といえども、ちょっとアメリカなまりになるとか、アメリカ人じゃないかというふうに子供にいじめられる点がございます。ですから、小中学校では日本語の指導ということに第一にそれぞれの先生が留意すべきである、これが一つでございます。  それから第二点としては、特に国語と社会でございます。教科としての国語と社会というのがやはり帰国子女や外人子弟は大変難しいのでございます。この国語と社会というふうな外人子弟や帰国子女が非常に難しいものはやはり学力の問題でおくれていきますし、この点は教科指導で十分注意すべきである、これが第二点でございます。  それから第三点としては、先生御指摘の生活指導、生徒指導の面があるわけでございます。これがやはり四、五年前から起きております校内暴力とか、いじめの全体の問題としても考えなければいけませんが、特に外国籍の子供、帰国子女につきましては、思いやりの心とか正義の問題とか協調の問題とか、こういう点について、道徳教育とか特別活動、その他ホームルーム等で、特に先生方が配慮すべきである、こんな考えを持っております。  具体的に、それじゃそれをどういうふうに文部省として実施していこうかということでございまして、六十二年度からこういう国際的な問題として帰国子女等を預かる子供に対する教育課程やカリキュラムをどうするかという研究指定校を東京で一校とか何校か頼むことにしております。その実際の例などを含めまして、私どもはこれからの一つの参考事例をつくってまいりたい。それからもう一つは、やはりそういうカリキュラムの問題と具体のケアの問題をもう少しサンプルとして集めていきたいというふうなことで、これから少し力を入れてまいりたいというふうに思っておりますので御承知いただきたいと思います。
  93. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) ただいま初中局長から学校教育一般の中におきます考え方の御説明がございました。帰国子女教育そのものの観点から若干補足させていただきたいと思います。  帰国子女につきましては、いわゆる帰国子女の持っている、ある意味では日本人の子弟の中に溶け込むことの困難性等も十分考慮いたしておりまして、現在施策としては、国立大学附属学校におきます帰国子女教育学級を設置するとか、あるいは帰国子女教育研究協力校を指定する、あるいは帰国子女担当教員の研修会を実施するとか、あるいは受け入れ推進地区を指定する等、そういったような各般の施策を講じておりますが、基本的には帰国子女教育に対します教育考え方といたしまして、私どもは帰国子女教育の手引きを作成して、帰国子女を受け入れている学校に配付しておるわけでございます。  その中の考え方としましては、一つが教師全員が一致協力して共通理解を持つことという事柄でございます。第二点は、一般の児童生徒に対する指導でございまして、いわゆる帰国子女が生じている背景も理解してもらう。そして、外国での生活の様子であるとか、言葉遣い、言語が違う、あるいは学習内容が違うこと、あるいは生活習慣も違うというようなことを、いわゆる一般の児童、受け入れられます学級の児童生徒に十分な理解を求めること、これが第二点でございます。それから第三点としましては、帰国子女に対する偏らない指導ということでございまして、もちろん今日本語のわからない子供たちに対する特別な扱い等はございますけれども、特にその帰国子女を持ち上げるようなことによりまして、かえって反発を買うことにならないような、いわゆる溶け込むような形の指導が必要であろうということでございます。第四点といたしましては、当然のことでございますが、帰国子女のいわゆる保護者に対します連絡を密にすること。それから第五点は、一般家庭に対する呼びかけを必要とする。つまり受け入れされます一般の子弟の保護者の方にも、子供たちに十分その趣旨理解させるということを家庭にも呼びかけるということ。大体今申し上げました五つのようなポイントを中心としての手引きをお配りし、また指導を申し上げておる段階でございます。
  94. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私、ついこの間のNHKテレビで「絆」というのを見たんです。これは文化庁の芸術作品賞受賞という、帰国子女のいじめの問題でございますが、加戸さんが文化庁におられたときの賞でございましょうか。ごらんになったですか。その賞を出された理由はどのポイントでしょうか。
  95. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 私が文化庁次長を去りました後に芸術作品賞を受賞したものでございますが、内容等は十分承知いたしております。
  96. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ポイントは御存じですか。
  97. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) この内容は先生御案内のとおりでございます。アメリカに七年在籍した中学生が二年で日本に帰ってきた。恐らく高校受験のことがあったと思うわけですが、どうやら内容は、梗概によれば、やはり先生との間のトラブルがある。つまり先生の英語を直す、こういう問題、先生との間の問題がある。生徒同士の間でもトラブルが起きている。果たし合い、決闘のようなことになった。それで最後には神経性胃潰瘍で母親が連れて帰る。こういうふうな内容のようでございますね。この作品の内容に端的にあらわれておりますことは、やっぱり先生の問題というのは非常に大きゅうございます。先ほど申し上げましたように、先生の指導が日本語なり教科なり生徒指導で、帰国子女、外国籍を持つ子供に対して一番配慮しなければいけないのが、この先生はどうも少しいこじになって対応するというふうな面がある。これは一つの作品でございますけれども、端的にはそういうあらわれがある。それからもう一つ生徒同士の間でも帰国子女に対して特別な目で見る、帰国子女もそこで若干対抗的になる、こういうふうな一つの構図があらわれておるわけでありまして、一つの姿としてはやはり今の帰国子女の問題点が浮き彫りにされている、こんな感じを持っておる次第でございます。  ただ、つけ加えて申し上げますと、東京のある学校では、私どもちょっと調べましたところでは、駒留中学校でございましたか、この学校ではかなり帰国子女が多いのでございますけれども、ここは学校が非常にうまく指導をしている。必ずしも意識して帰国子女を特別扱いしない。そのかわり生徒の中のリーダーに帰国子女に対しては温かく協調的にやれよということを先生が事前に指導しておく。先生が特に干渉しないけれどもそういうことでかなり非常にうまくいっている。「絆」という作品の例とは非常に対照的に現実にうまく動いている学校があるんでございますね。そういうことがありますとすれば、やはり個々の学校の対応がそれぞれ配慮がなければこの問題はうまくいかぬ。これは私ども、都道府県教育委員会、市町村がそれぞれ努力しなければならないというふうに思うわけでございまして、先生御指摘の作品は一つの大きな参考になるというふうに思っておる次第でございます。
  98. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今御指摘になった二点、私も非常にそう思って、大変これはいい作品だなと思って感動して全部見たわけです。それで、今御指摘のような点、私も外国から帰ってきまして、日本人の発音にはfとthとrですね。この発音、fというのはvも一緒ですけれども、この発音が日本の古来の発音の中に入っていないわけで、これがあるかないかの大違いがあるわけですね。ライスカレーと言うと外国人びっくりするわけだ。ライスカレーなわけですね。ライスと言うとシラミの複数でございますから、シラミをかけたカレーということになるわけで、そういうことなんですね。それで、私は実は帰ってきたばかりなものだから、これを一生懸命子供に教えたわけですよ。学校へ行って直されて帰ってきちゃうんですよ。しかし、文句言いに行くと、学校の先生というのは神様みたいに偉いわけで、子供を人質にとられているという感覚が親にはありますから、間違っていても仕方がない。  これはしかし我が国の教育だけじゃなくて、すべて我が国の社会にはそういう面があるのではないか。先生が今のこの「絆」でも発音直されて、権威を主張するわけですよ、私のは正しいんだと言って。それは現地の発音と違うんですからね。だけれども、やっぱり我が国では、今のは先生と生徒なんですが、会社に行けば社長と部長と課長とその下の人と、これみんな権威で境しているんですね。ですから、その権威を主張して、権威が侵されるんじゃないかという意味のいたけだかな感じがあるわけだ。そういう別な表現で言うと、昔の官僚的ということなんです。今はそんなことはないと思いますけれども、加戸さんみたいに名人もおられます。だからこれは話別でございますが、昔の官僚ですね。そういうものがあるだろうと思うんです。  それで、もう一つ私が感動したのは、子供同士で友也君というのがいじめられて、本当にけがをしたり暴行を受けるんですね。そのときにおまえは日本人じゃない、日本人の顔をしたアメリカ人だと言うんです。子供は、そのときだったか後だったか忘れましたが、僕は僕だということを主張しているんですね。そこなんです。国際化というのは僕は僕だでなきゃだめなんですね。私が言った個の確立なんです。本当は大臣に聞かせたかったんですけれども、これは林委員からもまだ個の確立が出てないってこの間御注意を受けましたので、本当はそのつもりでわざわざ「絆」をポイントに据えて持ってきたつもりなんですけれども、おられないので残念でございますけれども、まあひとつ大臣に申し上げてください。  僕は僕なんだという、この個の確立がなければ日本人は集団の人間なんですね。ですから、日本人だという一つのイメージから少しはみ出たのは全部つまみ出される。入学試験も同じですよ。この中からはみ出たのはみんなだめなんだ。ですから、これが直るというのは私は相当な年限かかると思いますよ。一世代や二世代で直るわけないものね。だから相当時間かかりますね。だから日本人が集団行動から脱するときが来なければ日本人は国際化はできません。  スポーツだってそうでしょう。黒岩だとか橋本聖子だとかというのは僕は僕だでいっているんですね。ノーベル賞もそうです。日本人だと言ってないんだから、あの人たちは。僕は僕なんだ、私は私なんだから。だから橋本さんなんて、私は自転車でうまくいくのかどうか知らないけれども、あのファイトですよ。偉いものですよ。女だから批判受けるかもしれない。しかし彼女はどうだかわからないけれども出ていくわけだ。だから僕は僕だ、私は私だ。この個というものがなきゃだめなんですね。ですから、私は文部省教育の中に、個性じゃないんですよ。個ですよ。個性というのは、前にも説明しましたからやめますけれども、個性なんというものは遺伝なんだから、だから個というものは遺伝に環境が加わって、教育が加わってそれがいい方向で伸びていくというものですから。自分の考えが主張できなきゃいけませんね。だから、赤信号みんなで渡れば怖くないですか、あれなんか典型的な集団行動ですよ。もっとも最近みんなで何とかお参りしましょうとかというのもあるようでございますから、これも集団行動ですね。だから集団行動というのはこれは個がないんです。個がない。そこが我が国と欧米との大きな違い。  ココムにしたってそうじゃありませんか。傍系会社だかなんか知らないけれども、そっちがやられているのに親方の社長がやめるというのは、あれ見たとき私も不思議だなと、どうしてなんだろうか。親戚、知己一同辞職をしてひたすら平伏するのか、まるで昔の侍の系列ですね。一人何か切腹させられたらあとは全部首になる。あの精神がいまだに我が日本の現代において生きているんじゃないか。変な話になりましたけれども、ココムなんか出すつもりはなかったんですけれども、すぐ脱線しちゃうんです。いや、あれだってね。いや、やっぱりちょっと言っておきましょう。商工委員会でありませんから何か言うチャンスがない。  あのときもアメリカからは因果関係があると言ったけれども、スクリュー問題です。だけれども証拠がないんだな。中曽根さんは証拠がないけれども、疑いが十分あると言ったんです。本当かなと。外国的発想でいけば、論理的に証明されないものはうんと言う必要はなかったんです。私はあのときそう思ったです。私がその立場にいたらはねつけますね、ちゃんと出せと。そうしたら最近は証拠、因果関係なかったと言っているんですね。何年も前にもうスクリュー下がったと言っているんです。これが日本人ですね。だから日本人は国際化にはほど遠いんだな、ほど遠いと思います。これはもう私はやっぱり貿易だけじゃないですね。自由化、いや、やめます。そんなこと言っていると、場所が違いますので。  ただ、私は個の確立という、文教委員会で主張しておりますことを今応用問題として申し上げたので、「絆」はその点で私は感動して見たんです。僕は僕だ、これだと。だから友也君というのは、アメリカで教育を受けようと日本で受けようと、英語だろうと日本語だろうと、僕は僕なんだ、その僕を認めないのかと。これは教育の基本だと思いますね。そこを何か方法をひとつ考えて、私はいじめというのは、たしかこれもここで申し上げたような気がするんですが、いじめの基本は個をみんなが持っていないからだと思うんですね。集団いじめなんです。一人一人のいじめなら勝負になるんです。かみついたって勝つかもしれないですからね。集団でやられるからいじめが成立するんです。そして集団でやられるから、賛成しようとも助けようと思っても手が出せないんです。みんな集団なんです。ですから、個というものがなかったら、国際貿易も国際化も国際会議も何にもない。これは私の年来の主張でございます。そういうことでございまして、その次に私学共済に戻らせていただきます。  そこで、今の六十一年度が二億何千万だかのマイナスで、六十二年度のが六十五億でしたか、何か短期経理で。そうなると、掛金というのは、これは現状のままでいくということなんでしょうか。それとも近い将来上げるとか、何かそんなことを考えているんでしょうか、どういうことなんでしょうか。
  99. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 先ほども申し上げましたように、この私学共済の短期経理が六十一年以来赤字に転じているわけでございます。それで、この短期経理の仕組みというのは、これは年金の場合と違いまして、年金の場合は、長期的な見通しのもとに制度が安定的に運用できるということを想定して年金数理でもって計算をしてその掛金率を決める、こういうことでございますけれども、短期経理の方は、基本的にはいわゆる賦課方式と申しましょうか、毎年の掛金率を毎年の所要額で決める、こういう仕組みになっております。ですから、毎年の所要額が上がれば当然掛金率もこれも上げていく、所要額が減れば掛金率も下げるというのが、制度の基本的な仕組みから言えばそういうことになっております。  でございますから、こういうふうな赤字が続くということになると、それは当然掛金率にはね返るのではないか、こういうことでございますけれども、幸いにと申しましょうか、先ほど申し上げましたように、ここ十数年来、そんなに多くはありませんけれども、毎年度余剰金が出ていて、それを積み立ててまいったということがございます。その累積の利益金というのが現在のところ、仮に六十三年度のこの六十億というお金を差っ引いたとしても約二百億円、百九十九億円ほどの累積利益金がなおあるわけでございます。でございますので、六十三年度も見通しとしては前年度を上回る赤字が出ることは予想されますけれども、ともかくこれだけの累積利益金がございますから、当面はこれの取り崩しでもって対応したいというふうに考えております。
  100. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、保健医療事業の方に質問を移らせていただきますけれども、これは私が第百二国会で私学共済質問をしましたときの積み残しみたいなものではないんですが、内容が少しずつ変化していると思いますので、これについてのデータを伺いますが、私学共済では医科大学との提携によって無料健康相談をやっておられるということがこの前に出ておりまして、私は無料健康相談という事業に対して、大変これはユニークな発想だということで関心を持ったわけですが、現在その提携病院の数がどれくらいあるのか、それから利用状況がどうなっているのか、そしてどんな内容なのか。もう一つは、電話相談というのがあのときに出ておりまして、電話相談というのもこれはなかなかユニークだな、こう思いまして、この点について御説明をいただきたいと思います。
  101. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ただいま御指摘をいただきましたように、私学共済の事業として、昭和五十一年以来でございますけれども、この私学共済に加入しております私立医科大学の病院と提携をいたしまして、組合員とかその被扶養者の健康上の不安とか疑問とか、そういうものに対して健康相談をする、これは直接の医療行為は行いませんで健康相談をする、こういうことでございます。それで、現在これをやっております実施病院でございますけれども、全国的に全部で二十二の医科大学の附属病院でこれを実施いたしております。  それで、そのやり方としては、直接病院に来られる場合もありますし、今お話のございました電話のようなこともありまして、これは組合員が何人これを利用したかというのは必ずしも正確ではございませんけれども、少なくとも組合員が組合員と名のって相談に来たというのが、昭和六十一年度でございますと八百二十七件と、こういうことでございます。それで、内容はいろいろの相談、その医療行為を伴いません健康上の心配ということの御相談でございますから、いろいろなタイプの相談があるわけですけれども、非常に多いのが、最近やはり高齢化に伴いまして老人の病気の問題でございますとか、在宅介護の問題とか、そういうものが今相談の中心になっているというように承知をいたしております。
  102. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のお話で私ちょっと奇妙に思ったのは、この前質問しましたときには年々利用件数がふえている。昭和五十九年で千七十二件と私はメモしたんですけれども、六十一年が八百二十七というとちょっと減っているんですね。何か非常に健康診断がうまくいって減ったのか、何か理由がありますか。
  103. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 御指摘のとおりでございまして、五十九年度が千七十二件、六十年度が八百七件、それから六十一年度が八百二十七件ということでございまして、これはそういうこの健康相談の結果、組合員が健康を保持し、相談する必要がないということになったというわけでも必ずしもないわけではなかろうかと思っておりますが、実態としてはかなりあるんだろうと思います。ただ、割と正確に押さえようとしますと、組合員であるのかないのかわからない。そういう要件をきつく縛って、あなたは組合員ですか、組合員証は何番ですかということで相談をしておったんでは、これはまた非常に来づらいということもございますから、そこは割とそれぞれの病院でオープンな形で受け付けておられるということでございまして、そんなこともあって、今申し上げましたように、これは組合員であることが明らかな相談件数と、こういうことでございます。
  104. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこで、電話相談というのがございましたので、現在話題のエイズについては電話相談というのがあったかどうか。まああっても報告がないのかもしれませんが、何か小耳に挟んだことがあるかとかということでありますが、どうですか。
  105. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) そういうお話がございましたので、ちょっと当たってみましたけれども、現在までの御相談のその件数の中には、そのエイズに関する相談例はないということのようでございます。
  106. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 もう一つ、総合的健康管理センター、仮称というものを設置する方向検討していると。それには何か大きく分けると三つの項目があって、心身の健康と個人の運動指導、それから食生活、特に成人病対策のようでありましたが、そういう答弁の内容だったんですが、何かこの総合的健康管理センターの設立計画が立ち消えになったようだというふうに聞いたんですけれども、どうなっているか。そして何か理由がありますか、消えた理由ですね。
  107. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ただいまお話のございました総合健康管理センターの構想でございますけれども、これはもう十年近く前になりますけれども、その私学共済組合の中に設置された健康管理専門委員会というのがございまして、そこでいろいろ御議論をいただいたというときに、今後の私学共済の事業の一つとしてそういう健康管理のセンターをつくってはどうかというお話が出たわけでございます。  実際にもそういうこともございまして、そのための建設を進めようではないかというところまで一時話が参りまして、五十八年度の事業計画でその調査研究費を計上するとか、それから五十九年度からまずそのための土地の取得費を計上しようというようなことで、実際に予算的に六十年度あたりは十四億というふうな予算を計上したというところまで進んだわけでございますけれども、一方そういう事業が進んでいる中で、先ほどお尋ねもございましたような短期経理の方の収支も余りぐあいがよくなくなってきたというようなこともございます。そんなこともあって、この管理センターを果たしてつくることが適当かということについてさらに検討する。この当初の構想でございますと、全国に大体七ブロックぐらいこういうものをつくろう、こういうことでございました。そういうものができれば組合員の健康の管理、保持増進という観点から非常に役に立つということは、これは皆さんお認めいただいていたわけでございますけれども、やっぱりよくよくこうやってみると、どうしてもお金がかかる、こういうことでございます。  最初に、まず七ブロックの中で関東地区で伊豆の方につくろうというところまで計画が進んだわけでございますけれども、そこで仮にそういうものをつくった場合に収支計算をしてみるとどうなるかというと、その当時の試算でございますけれども収入が約十四億に対して支出が二十六億ぐらい。それに元利償還をやっぱり二、三億入れなきゃいかぬということにしますと、基本的に毎年の収支試算は十五億ぐらい出てくる、こういうことになるということでございます。  そうしますと、現在この共済組合全体の事業の中で、それだけの福祉事業の福祉財源で、現在千分の三掛金率をちょうだいしまして事業をやっております。千分の三と申しますと大体約三十億円、これが福祉財源になっているわけですけれども、年々の福祉財源の約半分に相当する十五億円を年々一つのセンターのために費やしていいのか。しかもそれを利用できる組合員の数はおのずから限られるというようなこともございまして、しかもこれをやる以上は全国七ブロックにつくらなきゃいかぬ。そうしないと組合員全体に対する公平な利用ということが期せられないというようなことがございまして、やはりそれやこれやを考えますと、こういう施設をつくることが本当に効率的な財源の活用方法かというふうなこともございまして、まあもう一つは土地の取得の方もやや難航したということもございまして、一応この計画自体はそれまでにし、ただそういう形の組合員の健康管理というものを積極的に進める。それをこういうセンターを新しくつくるというのとはまた別の形で何かそういうことができないかというようなことで、このセンターの構想を生かせるようなやり方は何かないかというようなことで、もう一度よく検討してみようではないかということで現在に至っていると、こういう状況でございます。
  108. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 これに関連しているんですけれども、退職者医療制度というのができたわけですが、国立の大学ですと定年は新設大学でも六十五歳が普通です。東大が六十、それであと旧帝大が六十三かな。そのほかは大体六十五ですから、七十歳までの老人保健法でカバーするまである年限があるわけですが、私立大学等では定年がもっと長い人が多いように私は思うんですが、それでも当然退職者医療制度でカバーされるのがあると思いますけれども、その加入割合というのはわかりますか。
  109. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 今お話がございましたように、退職者医療制度というのはたしか五十九年にこれができたわけでございまして、六十歳以上の退職された方で六十歳から七十歳までの間の方が対象になるわけでございます。七十歳以上はいわゆる老健法の対象になりますので、この方は六十歳から七十歳までの方でございますけれども、私どもの方で今数をつかまえているかということでございましたけれども、退職者自体、この私学共済の方から言えば退職年金をお支払いする人の数はわかるわけでございますけれども、その方々が私学共済を退職して果たして次に就職をしないで全く国民健康保険のみに入っておられるのか、再就職をして別途健保の方に入っておられるのか。健保の方に入られますとこれは健保の方の組合員でございますから、そこのところはよくわからないわけでございます。でございますので、仮に六十一年度末の退職年金の受給者の数を押さえてみると約五万八千五百人おられます。五万八千五百人の中で七十歳以上の方、これはもう明らかに老健法の対象の方でございますから、これが三万五千二百人ほどおられる。残りが二万三千人ほどですけれども、今申し上げましたように、この二万三千人の方が全く職についておられないのか、職について健保の方に入っておられるのか、この追跡ができておりませんので、したがって何人ぐらいそういう方がおられるのかという数につきましては詳細を承知していない、こういうことでございます。
  110. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうですか。わかりました。  それで、私学共済法第二十六条に、健康保険法改正の際に健康保険法第二十三条に入った予防給付の項目を私学共済法では二十六条に入れたということでありましたが、これは組合員とその被扶養者ですね。その家族について予防給付を実際に行っているケースがあるのか、あればどういうデータになっているだろうかということをちょっと承りたいと思います。
  111. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ちょっと手元に持っておりませんが、私学共済でやっているそういう広い意味での健康保持事業ということでつかまえてみますと、一つは健康相談でございますとか、それから人間ドックというような事業でございますとか、あるいは健康管理のためのPRの事業、そんなたぐいの事業を幾つか実施をしている、こういうことでございます。  それで、その中で特に大きい人間ドック関係で申し上げますと、これは組合員及び被扶養者で三十五歳以上の人に対して人間ドックを利用する場合にその経費について補助をするというようなことがございますし、それから健康管理についてのパンフレットと申しましょうか、もう少ししっかりした資料をずっとつくっております。例えば昭和六十年には目で見る健康として、私学共済組合員の健康白書というものをつくって全員にお配りをして、健康についての注意を喚起をしているというような事業を実施しているところでございます。
  112. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 最後に、人間ドックの話が出ましたので、これをお伺いして終わりたいと思いますけれども自分の経験から言うと、私は大学にいたときに、北大ですが、医学部なら医学部に何名本年度はというふうに補助金を出してくれる数が割り当てられておったわけですが、私立大学の場合の人間ドックはどうなっているんでしょうか。これはだれでも応募すればやってくれるのか。しかも給付が、国立の場合は大学によって違うはずがないと思うんですが、半額くらいの補助でなかったかと思うんです。私立は何割になっていますか。その枠があるのかどうか、それを承りたいと思います。
  113. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 私学共済の場合の人間ドックでございますけれども、先ほど申し上げましたように三十五歳以上の組合員またはその被扶養者がその対象になるわけでございまして、利用の回数については年一回、この私学共済組合は直営病院の私大病院というのを持っておりますけれども、ここでは実施しておりませんので、それ以外の各種の民間の人間ドックを利用していただく、その利用していただく場合の利用料金の補助をするという仕組みでございます。年一回に限ってこれを補助する。その補助率は利用料金の八〇%の補助をするということでございます。限度がございまして、余り高いところは困りますから、最高限度で、一泊二日で言えば例えば四万五千六百円ということで限度額を抑えておりますが、通常はこの範囲内に大体入るということでございます。そんなことでございまして、そのための予算を六十一年度で六億一千万ほど計上しております。  それで、この事業は割合に利用者が多いわけでございまして、例えば六十一年度で申しますと、約一万八千人ほどの方がこれを利用されておるという状況でございます。
  114. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の枠があるかどうかということなんだけれども、希望者は全員なんでしょうか。それにしちゃ、六億というのは金額からいくと少ないなと今思ったんですけれども
  115. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 私学共済の方からいえば、ただいま申し上げました予算的に六億一千四百万というその予算額を計上し、その予算額の範囲内で抑えるわけでございますけれども、基本的には毎年の利用状況を勘案しながらこれを計上しておるということでございまして、この人数の中に入り込んでおるということでございます。ちなみに、一万八千人と申しましたけれども、六十年度は一万五千人、五十九年度が一万三千人、ですから毎年この利用者は着実にふえてきておる、こういう状況でございます。
  116. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 どうもありがとうございました。終わります。
  117. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣が衆議院の本会議からまだ戻られませんから、最初、私学共済の問題で政府委員質問いたします。  まず財政面で見ると、この経営者と教職員、折半主義をとりながら、享受する権利においては必ずしも平等とは言えないというのが実態だと思います。  そこで三つほど質問をしますが、まず教職員の資格は経営者の届け出制になっている。資格があるのに、掛金負担を逃げるために届け出ないという事態もかなりある。一方、不当労働行為による安易な首切りや、そのために共済組合員の資格を喪失するということもある。こういった点で、基本的に共済組合はそういう組合員の権利を保障するという、この基本的原則が貫かれるべきだと思うんですけれども、その点はどうかということが一つ。  それから二つ目に、そのためにも運営審議会のメンバー、公立共済には教職員組合の代表が入っているんだけれども私学共済の場合には入っていない。しばしば国会でも議論になってきている点でありますけれども、その改善のために文部省としてどういう努力と指導をやっているか。  それから三つ目に、生徒の急増で講師の採用が増加をしてきています。当然、加入する条件のある教職員が経営者の一存で未加入にされているのが少なからずあるわけですけれども、今日、パト労働者といえども健康保険に加入をする、そういう指導方向を国としてとっておるわけですけれども、学校の非常勤講師といえば最低雇用期間は一年、長いものだったら二年、三年もあるという、そういう状況で、ひとつ非常勤講師の共済への加入を促進するように一段と徹底をしてもらう必要があるんじゃないかという、以上三点。どうですか。
  118. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 私学共済組合は、先生御指摘がございましたように、組合員の福利厚生のためにつくられている制度でございますから、その組合員の福利厚生を増進するという観点から、あらゆる事業が行われているということでございます。  そこで、御指摘がございましたけれども一つはその組合員資格の確認の問題であろうかと思います。つまり組合員資格、現在三十七万人ほどおりますけれども、その資格について、これが学校法人からの届け出ということで今処理をしておると、こういうことでございます。それをその学校法人が恣意的に届け出るのでは困るので、組合の方でいわゆる職権確認をしたらどうかということではなかろうかと思いますけれども、これはやはりこの私学共済制度が、それぞれの私立学校の健全な発達に資するということで、それぞれの学校というものを基礎にし、学校法人というものを基礎にして運営されておるということからいえば、その雇用関係の学校と組合員となる人、つまりその教職員との雇用関係の存在というものは、基本的にやはりそれは学校法人で確認をしていただくことが第一ではなかろうかということでございます。雇用関係関係のない第三者が入っていって、この両者の間には雇用関係があるから、これは組合員にするというようなことは、やはり制度としてはなかなかできないことではなかろうかというふうに思っております。基本的な建前はそういうことでもございますし、まあ実際問題として、三十数万人の組合員について、その組合員資格を共済組合の方で個別にやるということは、事務的にもこれはほとんど不可能なことでございます。  現在たまたま、先ほどちょっとお話がございましたけれども、退職をしてから短期給付だけ受けたいという方がいわゆる任意継続の組合員という形でおられるわけですけれども、この任意継続の一万人ほどの方、これはやめちゃって自宅におられる方で短期だけを受けておる。その方のは結局個別の処理になっておるわけですけれども、非常に事務的にも手続が大変で、これを何とかしなきゃぐあいが悪いということの検討の対象になっているというような状況でございますから、ちょっと基本的な建前からいっても、また実際の事務処理からいっても、やはりそれは学校法人の方で、この者を新しく組合員にした、この者は雇用関係がなくなって組合員であることをやめたということを学校法人で確認をしていただく。その学校法人の届け出をもって進めるということが最も現実的な方法ではなかろうかというふうに思っておるところでございます。  それから二番目に、運営審議会のメンバーのお話がございまして、私学共済組合には御案内のとおりに運営審議会、この適正な運営を図るという観点から運営審議会が設けられておりまして、理事長の諮問機関でございますけれども、文部大臣がこれを委嘱するという形になっているわけでございます。ただ、この運営審議会のメンバーというのは法律上二十一人でございますけれども法律的にいわゆる三者構成になっているという点、これはほかの共済組合と違っておりまして、組合員の関係と、それから法人の代表の方と、それから学識経験者と、いわゆる三者構成で七人ずつがこれに出ていただくと、こういう仕掛けになっているわけでございます。  で、先ほど申し上げましたように、文部大臣がこれを委嘱させていただくわけでございますけれども、やはりこれは私学の組合、私学の教職員でできている組合でございますから、その組合員とそれから学校法人の関係の委員を選ぶ場合には、やはり私学側の御意向を反映することが大切だということでございまして、これは二十九年にこの制度が発足して以来のことでございますけれども私学団体からこれを推薦していただく。具体的に言えば、全私学連合という組織が、幼稚園から大学まで組織をした全私学連合という組織がございますけれども、そこでもって組合員の代表、それから法人の代表をそれぞれ選んでいただくということになっております。これはただいま申し上げましたように二十九年以来の仕掛けでございますけれども、それ以来私学共済組合は健全な運営が確保されておりまして、この仕掛けというのは、現時点でこれを改めるという必要につきましては、私どもそれを認めていないし、この形でやっていくことが私学全体の発展のためにも一番いい方法ではないかというふうに考えているところでございます。  それから三番目に、講師のお話がございまして、私学国公立の学校と違って、そこは私学のいい点だと思いますけれども、非常にフレキシブルな雇用関係というものをとっておられる場合が多い。したがいまして、いわゆる非常勤講師とか時間講師という名前の場合でもいろいろなバラエティーがあるわけでございます。でございますから、その名前だけで私どもこれを組合員にするとかせぬとかというのはなかなか難しいので、やっぱり実態を押さえるということが大切だろうということでございます。でございますから、組合員資格は専任の人に限るということで、専任というのは臨時に使用される者であるとか、雇用される者であるとか、あるいは常時勤務に服さない者であるとか、そういう者を除くわけでございまして、専任というその実態があれば、それはたとえ時間講師、非常勤講師という名称であってもこれは組合員にする、こういうことでございます。  何が専任かということが大変難しいわけですけれども、主として学校法人から受けている給与でもって主たる生計を支えているということで、別の言葉で言えばその方の年間の経常的な収入の約六割以上がその学校法人から得ているならば、この方は専任であろうという扱いにしよう、こういうことでございます。それと……
  119. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっと簡単にしてください。
  120. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) もう一点は、雇用関係が二月を超えるということで雇用されておれば、例えば一年間限りの講師でありましても、それは二カ月以上あれば、これはすべてその当初から組合員にするということでございまして、その辺はむしろそういう臨時に任用される者につきまして公立学校共済の場合のように一年を超えなければだめということではございません。二月以上の任用期間が定められていれば、これは組合員にするという扱いにしておるところでございます。
  121. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 なおほかにいろいろ聞きたい点があるんですけれども、大臣も戻られましたし、ちょっとテーマを変えます。  時間が余ればさらに法案についてお聞きをすることにして、私も午前中、久保委員や安永委員からありました私学における民主的運営の重要な事例として、久保委員の質問にも少しくありましたが、大東文化学園の問題をもう少し突っ込んでお尋ねをしたいと思いますが、    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕 お話ありましたように、去る四月の十四日、大東文化大学の学長理事杉本良吉さん及び同学園の常務理事村田克己両氏から学校法人大東文化学園寄附行為変更認可申請に関する件についての上申書というものが文部大臣あてに出されたということで、文部大臣、この上申書お読みになりましたか。
  122. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 学長理事外一名の名前で出されました上申書は目にしております。内容を読んでおります。
  123. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、この上申書の中では改めて申し上げるまでもなく、学園理事長の下田博一氏が法令違反または寄附行為違反の事実があるので、私学振興助成法第十二条第一項四号に基づいて、同理事長に解職を勧告されたいという趣旨でありますが、この上申書に既に先立って、同大学には五つの学部がありますが、その構成員約三百人を超えるという連合教授会が二回にわたって同理事長の退任勧告を決議しているという、このことを文部省承知ですね。
  124. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) この上申書が十四日に提出された後に確認いたしまして、そういう事実があるということは確認いたしました。
  125. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 こういうような異常な事態の原因といいますか、上申書でも述べている法令違反、または寄附行為違反の事実とは一体どういう事実を指しているんですか。
  126. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) どういう事実を指しておるのか、私ども必ずしも十分にこの趣旨理解できないところがあるわけですが、経緯を申し上げますと、大東文化学園で寄附行為変更しようと、これは評議員の数その他を変更しようということで、六十一年三月二十七日に評議員会及び同日理事会も開かれたわけでありますが、寄附行為変更についての審議をいたしまして、評議員会、理事会ともに寄附行為変更についての審議は可決したわけでございます。それからさらに、四月二十三日に至りまして、新しい寄附行為、こういう形に変更しようということで三月二十七日に可決いたしました寄附行為の附則部分、これは技術的な経過措置を決めた部分でありますが、その技術的な経過措置を決めた附則の部分について改めて改正しようということを諮りましたところ、それも評議員会、理事会でともに可決されたわけでございます。それを受けまして、八月十九日に寄附行為変更認可申請書が私ども文部省の方に提出されまして、若干の事務的なやりとりがあった後に、十月二十四日に寄附行為変更認可を行ったわけでございます。  この間、実は四月二十三日に決めました技術的なこと、経過措置を定めた附則の部分がございますが、その附則の部分につきまして理事会に諮らないで、実態的にはこの附則の趣旨を全く変えていない。言いかえれば、四月二十三日に決められました附則というのは六項から成り立っているわけでございますが、私どもに提出してきたところを見ますとこれが三項に整理されておる。言いかえれば、六項で形成されておりますけれども、若干ダブって書いてあるようなところもございますので、それを整理いたしますと、実態的には何ら変わりのないものを技術的に整理すると三項になったわけでございます。その三項にすることについて必ずしも評議員会、理事会で改めて承認を得なかったという若干手続上のミスはございますが、そういうこともございまして、十月二十四日に寄附行為変更認可を私どもがした後に、十一月十九日に緊急の理事会が開かれたようでございます。それで附則の文言整理がこういう趣旨である、四月二十三日に決められた趣旨実態的には何ら変わりはないということが説明されまして、同月、十一月二十六日に改めて理事会を開きまして、新寄附行為を確認する、了承するということがそこで決められたというふうに私ども聞いているところでございます。  そういう意味で、学校法人大東文化学園の寄附行為変更に伴う一連の事柄は、六十一年十一月二十六日をもって、一応学内でもそういうことで決着を見たというふうに私ども理解しているところでございます。
  127. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 長い答弁をされていますけれども、あなたの今の答弁の中でもありましたように、四月二十四日段階申請、そのときには六項目の決議というのが添付をされている。一方、八月十九日のその段階での寄附行為変更申請の決議録、これは三項目に整理をされておるということで、さして変わりないんだというふうに恣意的な解釈をされていますけれども、しかし少なくとも今述べられたように、三項目に整理するに当たって、あなたの言い方によると必ずしも厳格に理事会の議を経たものではないらしいという、そこが重大なんですよ。そういう形でこの申請を出してきたということで、その後、学内で、三名の監事がいるわけですけれども、監査報告書、六十二年五月の二十二日、監事といえば学園における監査を行う権限と責務を持った重要な役職でありますけれども、ここが「理事の業務執行に関しては、寄付行為変更認可申請手続を除き不整の行為又は法令に違反する事実はないとみとめます。」と。逆に言えば、寄附行為変更認可申請手続については不整の行為または法令に違反する事実があったと、こういうことなんであって、正式に監査報告書でそういうふうに出てきている。このことは認めますね。
  128. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 監査報告書で昭和六十二年五月、そういう報告書が出ておるということを私ども承知いたしております。「認可申請手続を除き」という認可申請手続の部分で問題のありますところは、先ほど私が長々と御説明したとおり、実態的には何ら変わりのない技術的な変更申請で行った段階で、その技術的な変更を行った文言についてあらかじめ理事会の議を経なかった。しかしながら、あらかじめ理事会の議を経た四月二十三日の理事会、評議会で満場一致で承認されたその趣旨内容とは全く同一でございまして、技術的な変更を加えて私どもに提出してきたということでございますので、私どもとしては、手続上なるほど慎重さにおいては欠けるところがあったかもしれないけれども実態的には問題がなかったんではないかというふうに考えております。
  129. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 なぜそんなに弁護をするんですか。あなたも認めるように、理事会の議を公式に経て出されてきたものじゃない。それが六項目を三項目に整理するに当たって、ほぼ中身としては同じだというのは、そういう恣意的解釈じゃないですか。それは文部省が既に認可行為をやったから、まあそういうふうな言い方でもしないと文部省の責任も問われてくるので、つじつまを合わせるためにそういうことを言うのかしらぬけれども、そんなことを、恣意的な文部省の解釈を、それを強弁をしたらだめですよ。とにかく理事会の議を経ないままで出されてきた。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕  それともう一つ。あなたは六十一年の十一月二十六日の理事会で追認されているという言い方ですけれども、その理事会の決議録、これ資料として出せますか。私は、これも下田理事長が勝手に作為をし文部省に偽造の文書を出しているんじゃないかという疑いがありますから。それ出せますか。
  130. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) これは内部の資料でございまして、私どもに部内資料として報告をいただいたものでございますので、学校法人当局の了承を得なければちょっと出すことは控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、学校法人当局の御了承を得れば資料として提出することはやぶさかじゃございません。
  131. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 学校法人当局の了解をとってくださいよ。なぜならば、あなたの、その後、追認手続がやられていますということを正当性の一つ理由に挙げるから、それならば一遍その文書を証拠を出しなさいという議論に当然なっていくじゃないですか。だから、これ何としても出してもらって、それを子細に点検したらこれまた偽造の疑いあるんですよ。二重、三重の偽造をやっているんじゃないかという疑いが極めて濃い。  さらに、監査報告のことは認めましたね。それから六十二年の六月十八日に理事長に対して勧告書というものが出ていますね。今後とも事態の重要性にかんがみ理事長は善処しろ、偽造して行った寄附行為変更認可問題について。というこのことやら、それから決議録の八月十九日段階文部省寄附行為変更に関する正式の申請が出るその決議録、これに決議録署名人ということで小野理事、井上理事、二人の理事の連署があるわけですけれども、判こをついていませんね。判こをついてないと思うんですよ。これはその後このお二人の理事は、例えば十二月九日の連合教授会の席上で、私らが知らぬ間に自分の名前を書き込まれて文書が出ているということを教授会の場で発言をしている。こういう一連の事実認めますか。勧告書が出ているという問題、それから二人の理事が了解もしてないのに名前が決議録に書き込まれている、判こがついてないという、こういう作為がやられているという事実認めますか。
  132. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 一番最初の勧告書についてはちょっと承知いたしておりません。  それから、私ども申請書の添付資料であります議事録の署名人ということで小野理事、井上理事のところに判こがあったかという点については、判こは押してございません。
  133. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ありませんね。  もう一つ、このお二人の理事が、私らは知らぬ間に署名をしたことになっている、名前が勝手に書かれているということを昭和六十一年十二月九日の連合教授会の席上で発言をしているんじゃないですか。
  134. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) その発言をしたかしないかについては私どもちょっとまだ確認はいたしておりませんが、この上申書の「理由の要旨」という中で、文書を見ますと、ちなみに両名については十二月九日の連合教授会でそういう事実がないという発言をしておるという、そういう記述の部分はございますが、これについてはまだ確認はいたしておりません。
  135. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それならばそういう事実をよく調べた上で、まあちょっと手落ちがあったか知らぬけれども、ずっと経過見て別に大してとやかく問題にせにゃならぬほどのことじゃございませんというその結論を軽々に言いなさんなよ。結論だけ先出しておいて、どういう経過をたどっていろいろな文書の詐欺、それから公文書偽造、そういうことがやられてきたかということの子細な検討もやらないで、結論先にありきというようなことで言ったらだめだよ。  文部大臣ね。とにかく大学というところは真理と正義をたっとぶ学問の府でなくちゃいかぬと思うんですよ。だから人をだましたり、本人が了解もしてないのに勝手に書面に名前を書き込まれていろいろな認可の文書が文部省へ出されてくるという、そんなことが、まあ今はそれを文部省がかつて認めたことについて、あなたの文部大臣じゃないときだからそれはまた別に論ずるとして、まず大学側の基本姿勢の問題として、そういう文書詐欺、公文書偽造とも言うべきそういうようなやり方で、正式に理事会の議を経てないものを経ているかのごとく偽ってやってくるという、こういうことはこれはあってはならないことだ。でありますから、安永先生の質問のときにもお話が出ておった、昭和五十八年の七月二十九日付の文部省事務次官通達で「学校法人の管理運営の適正確保について」ということで、そこの第二項、「いやしくも法人の運営に関する諸決定が正規の機関、正規の手続の外で行われることのないようにすること。」というこの通達に照らしたって、これは重大な違反行為だというふうに私は思うんですけれども、文部大臣、そこの基本的な見解、どうでしょうか。
  136. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 最近、こういう大学をめぐって幾つかのトラブルが耳に入るということ、それ自体大変遺憾なことだと思っておりまして、安永先生の御質疑にもあったわけでありますし、また佐藤委員からも御指摘をいただいた点については、この今挙げられました学園はもちろんでありますが、少なくとも理事、教学側、これがやっぱり信頼される関係の中で相協力し合って、そしてフェアな運営をしていくことが根本である、このように考えておりますし、今後そのように一層の指導をしてまいりたい、こう思っております。
  137. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣としては抽象的な表現でありましたけれども私立大学とはいえ、大学のフェアな運営が全うされなくちゃならぬという言い方で、私が幾つかの具体的な事実を挙げて指摘をしたことについて、これはちょっと困ったことだなというふうに大臣もお感じになったに違いないというふうに思うわけでありますけれども、とにかく大学側のそこに一つの問題がある。こういう文書詐欺、公文書偽造までしてやってくるというやり方。それからもう一つは、それを受けた文部省の方の態度の問題がございます。で、文部省がこれを軽々に認可を、内容と経過をよく調べないで認可をしたために、いや認可をとったんだからということで、にしきの御旗をとったみたいな格好で、理事長がその後も一向に反省し態度を改めようとしないということで、学内で事態がますます紛糾をしてきているということになってきているわけです。文部省がフェアな判断をしなかった、ここにもう一つの問題があります。  そこで、最初四月の二十四日に出てきた申請、その段階では話があったように、六項目決議で、その六項目の附則による決議録を付したもので、これは四月の二十三日にこういうふうに決めましたと、こう出てくる。そして、その後八月十九日に正式のやつが出てくる。そのときには三項目に整理しましたと。しかし、その三項目を決めたのは同じく四月の二十三日付と、こういうことです。大体ちょっと考えただけでも、同じ四月二十三日に決議しましたということで、最初は六項目で出てきた、後は三項目で出てきたら、これはよほど目が狂ってでもいない限り、これはちょっとおかしいな、調べてみる必要があるんじゃないかというふうに考えるのが私は当然だと思うんだけれども、どうですか、文部省
  138. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 私どもの方に大東文化学園の寄附行為変更をしたいということで最初に御相談にあったのはこの上申書にも書いてありますように、昭和六十一年四月十六日でございます。この段階で私どもの方に持ち込んできた附則の部分は三月二十七日に決められた附則でございまして、三月二十七日の附則を四月二十三日に六項目に変えたというそういう附則ではございません。三月二十七日の附則をもって、本則の方は全然変わってないわけですが、四月十六日に相談があったわけですが、書類が不備、整っていないというようなことで申請受理には至らなかったわけでございます。
  139. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いやいや、私の聞いていることをすりかえたらだめだよ、勝手に。  私が言っているのは、同じ四月二十三日の理事会で決めましたと称しつつ、四月の二十四日には六項目の附則を決めましたという形で出てくる。同じ日に決めましたと称して八月十九日には三項目に整理しましたということで出てくる。同じ日に二つ違ったことを決議するというようなことはあり得ない、そもそもその段階でおかしいなというふうに考えるべきではなかったかと、素直に認めたらいいんですよ。過ちは改めるのにはばかるなかれとか、こう言うんだから、率直に認めて、早くちょっと正常な姿に戻させるための指導を機敏に行うというのが文部省の責任じゃないか。  文部大臣、こういう事態、経過のもとで、学長理事とそれから常務理事、大学にとってはいわば中心人物だと思うんです。この二人の人が連名捺印をして上申書という形で、本当にここらで一遍きちっとしないと学園の未来が重大だということで、そうざらに幾つも幾つも上申書が出てくるわけじゃないでしょう、いろんな大学から。という、ここまで思い詰めて事柄が文部大臣あてに出されてきたんですからね。ぜひ事態を重視してもらって、まあ文部省がとってきた今までの経過は経過として、一遍本当に真理、真実は何かということをよく調査をしてもらって、いやこの上申書の言い分が間違っているというなら間違っている。やっぱり手を打って改善すべき点は改善をする。そういうことで、至急に必要な調査と文部省としての対処すべき方向について真剣に御検討願いたいと思いますが、どうですか。
  140. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) この件について大要は聞いておりました。しかし御指摘の点もございますので、委員会終了後さらによく研究させます。
  141. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 真剣にやってください。だから、本日以降ひとつよく調査をして、まず真実を明らかにする。そして、その上で文部省として指導すべき点があれば指導するということを御検討願いたい。ちょっともう一遍確認するようですけれども、お答えください。
  142. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 経緯については先ほど御説明したとおりでございます。いずれにしましても、再度私どもももう一度調査をして必要ならば必要な措置を講ずるということにいたしたいと思っております。
  143. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣も同じ御意見と聞いてよろしいですか。
  144. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 今政府委員から答えましたように、再度調査をいたさせます。
  145. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  146. 勝木健司

    ○勝木健司君 私学共済というものは私学の教職員の相互扶助により福利厚生を図っていこう、そしてまた私学教育の振興に寄与することを目的として設立をされた。それ以来三十四年が経過したわけでありますけれども、この設立当初の目的というものは現在果たされてきておるのかどうかということで、今までの経緯、また現状、事業内容も含めて簡潔に御報告いただきたいというふうに思います。
  147. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ただいまお話がございましたように、私学共済組合私学の教職員の福利厚生の充実に資する、よってもって私学の充実振興、さらには我が国の学校教育の振興に資するということで昭和二十九年に設置せられたわけでございますけれども、それ以来その事業は着実に伸展をしてまいりまして、その設立の趣旨をほぼ現在に至って満たしておるのではないかというふうに承知しております。  御案内のとおりに、そもそもは昭和二十九年につくられたわけでございますけれども、その後幾つかの制度の改変はございます。がしかし、基本的には二十九年の設立のときに、その当時の国家公務員共済組合法に準じてこの事業を行う、さらに三十七年に新しい現行の国家公務員共済組合法に準拠いたしまして国家公務員と同様の仕組みに、給付にするというようなこと、それから六十年には基礎年金制度の導入、公的年金制度の一元化の一つとしてその基礎年金制度を導入するというふうな経緯を経てまいってきているわけでございます。年金額につきましても、昭和四十四年以来、これは国家公務員共済組合の年金額に準ずる、それで毎年その改定を図るということでまいったというような状況でございます。  現在組合員が三十七万人、学校数が一万三千校でございますけれども、長期と短期とそれから福祉事業、三つの事業をそれぞれ運営しているわけでございます。  長期給付につきましては、御案内のとおりに、これは退職等に伴う年金の支給ということでございまして、年間一千億近い給付をいたしておりますし、それから短期給付の事業というのは、いわゆる医療給付が中心でございますけれども、その関係の事業は毎年これはまた八百億円程度の事業をやっております。さらに福祉事業といたしまして幾つかの事業を実施をしております。例えば組合員等の医療、保健、保養のための施設を運営するとか、あるいは長期経理積立金を運用いたしまして組合員に対して住宅等の建設の貸し付けを行うとか、あるいは組合員の貯金を受け入れて行う貯金事業でございますとか、まあそんなたぐいの事業を行いまして、これまた組合員の福利厚生の充実に資しておるのではないかというふうに考えております。
  148. 勝木健司

    ○勝木健司君 六十一年度の年金改革によって消費者物価指数が五%を超える増減があった場合に、それを基準として翌年の四月分以降の年金額の自動改定が行われるということになったわけでありますけれども、六十二年の物価上昇率は〇・一%上昇にとどまったわけでありますけれども、この私学共済組合年金も厚生年金及び国民年金における措置に倣って改定が行われることになっておるということでありますが、今後とも消費者物価指数の上昇に照らして他の年金に倣って改定を行うのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。
  149. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) その六十年の制度改正の際にいわゆる物価スライドの自動スライド制というものが制度上導入された。ただ、これは消費者物価指数が五%を超えて増減をする場合に、政令でもってその率で改定を行うということでございます。  そうしますと、その五%というのは何を基準に、どの年度を基準にするのかということでございますけれども、ある基準年度を基準といたしまして、それから何年後であっても五%を超えればその時点で初めて上げる、こういうことになるわけでございます。そうすると、最近のように物価が安定しておりますと、それが累積されて五%になるまで数年間は改定をしないというのがこの六十年の制度改正の際に取り入れられた制度でございますけれども、ただ、そういうことにいたしますと、わずかとはいってもやっぱり消費者物価は動いておる。年金の実質的価値を確保するという観点から言えば、物価が動いたときにはなるべく早くこれに順応した形でやっぱり年金額もスライドをしなければならない、こういうことでございます。そこで、この制度の本則とはやや特例的な形で、たとえ物価が〇・一%であっても上がれば、その実質的価値を確保するという観点から、特例的に法律でもってその年金額を改定しよう、こういうことで昨年もお願いをし、本年もただいま御指摘がございました〇・一%でございますがお願いをする、こういうことでございます。  来年以降どうするのかということでございますけれども、これは一つは、やはりその私学共済も公的年金制度の一環でございますから、私学共済だけでその年金率の改定ということはない。その意味ではほかの厚生年金なり共済制度と横並びということで改定になるんだろうと思います。その際に、やはり物価が仮に五%動かなくても特例的にその年金改定をするのか、あるいは本則に戻って五%に達するまでこれをしないとするのか、それはやはりそれぞれの時点での判断でございますけれども、私ども立場から言えば、やはり年金受給者の方の生活のことを考えると、できるだけ速やかに物価が動いたときにはそれなりの改定を今後ともさせていただくことが必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  150. 勝木健司

    ○勝木健司君 国公立学校共済との格差についてでありますけれども、格差というものはなくなっていると考えてよろしいものかどうか。また格差があるとすればどのような点にあるのかということで、将来の見通しも含めてお伺いをしたいというふうに思います。
  151. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) この私学共済制度ができましたゆえんは、やはり同じ教職員で私学の教職員が国公立学校の先生方とそういう面で差があってはいけないということで二十九年に制度がつくられ、それ以来その国公立の教職員とこれに準ずる形で制度を整備するということで進められてきたわけでございます。したがいまして、現時点で国家公務員でございますとか、あるいは公立学校の先生と制度上の差があるかということになりますと、それはまあほとんどないというふうに御理解いただいた方がいいと思うんです。  国家公務員と公立学校の教員の間にこれは若干の差はございます。それは掛金でございますとか、給付の算定の基礎になる額をどういうふうに押さえるかについて国家公務員と地方公務員の押さえ方が違うということで、やや技術的な差はございますけれども、それは国家公務員と地方公務員の間の差であって、その場合、私学共済は国家公務員共済に準ずるということでございますから、そういう点で国家公務員共済とほぼ同様の形になっているということでございますから、内容的に現時点で国家公務員や地方公務員と差があるということではございません。
  152. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、先ほども同僚議員からありましたけれども、極めて健全だと言われ続けてきました私学共済の経理でありますけれども、六十一年度から短期経理が赤字になったと。また、六十二年度も約六十億円ぐらいの不足金が生じるだろうというふうに言われておりますけれども、その不足金の状況、また六十三年度を含めた将来の収支状況見通しはどうなるのかということと、そしてまた、それの短期経理予算の改善のためのどういう措置をとられるつもりなのかということで、先ほどもありましたけれども、重ねてお伺いをしたいというふうに思います。
  153. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 短期経理の問題でございますけれども、六十一年度から収支差が赤に転じたということでございまして、六十一年度は二億四千七百万ばかりの収支差で済んだわけでございますけれども、六十二年度はさらにこれが広がってくるということでございまして、大体現時点での決算の見込みで六十二年度は収支差が六十億円ぐらいになるだろうと、こういうことでございます。  それで、六十三年度でございますけれども、これはこれからの年度でございますが、現時点で予算で計上しております数字で申し上げますと、収入を九百億と見込んでおりまして、それに対して支出が九百八十一億でございますから、収支差が約八十一億、八十一億の赤字というふうに予算上これを計上しております。これは主としてこれだけの赤字が生じますというのは、御案内のとおりに昭和五十七年度に老健法、老人保健法という制度が施行された。五十七年に老健法が導入され、それから五十九年に退職者医療制度というものが新たに設けられ、それから六十一年度に先ほどの老健法の改正がございまして、いわゆる加入者案分率を引き上げるということが行われた。この加入者案分率は今後さらにまた段階的に引き上げられていくということでございます。現在案分率は九〇%でございますけれども昭和六十五年からは一〇〇%にこれが引き上げられるというようなことでございまして、そういう老健の制度と退職者医療制度という二つの制度がこの短期経理の上に大きな影を落としてきている、こういう状況でございます。  六十三年度以降、これからどうするのか、こういうことでございますけれども、当面は先ほど来申し上げておりますように、これまでの累積利益金がございますから、それをともかく食いつぶすということでしのごう。これからの見通しを立てますと、本来はこの短期給付事業というのは現役の方の医療費、医療給付をカバーする、その御本人なり御家族が病気になったときの医療給付をカバーするということでございますから、この短期経理ができたときの状況を見ると大体支出の七、八割は医療給付、現役の方の医療給付であったわけなんです。それが現在では、医療給付の占める比率が六割ぐらいに落ちてきておる。なぜ六割になるかというと、先ほどの老健と退職者医療の方がふえてきた。結局、この老健と退職者医療というのは、現役あるいはその家族でなくて、六十歳以上の方あるいは七十歳以上の方の医療費だということでございます。これからの高齢化社会を考えると、この六十歳以上、七十歳以上の方の医療費がふえることはあっても減ることはないということでございますから、この短期経理自体は非常な苦しい状況に今後推移するであろうということでございます。六十三年度以降、その累積利益金のある間はともかくこれは食いつぶすということでありまして、その後の対応につきましては全体の状況を見ながら、また対応を考えていかなければならないであろうというふうに考えております。
  154. 勝木健司

    ○勝木健司君 いろいろな各共済は軒並み掛金を上げたか、もしくは上げる予定だというふうに聞いておりますけれども、このような経理状態では私学共済でも来年あたりで掛金を引き上げることは必至だというふうに思われますけれども、どのような見通しを持っておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
  155. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 先ほども申し上げましたように、現在の累積利益金の六十二年度末の赤字を差し引いた残りが約二百億円、百九十九億円でございます。それで先ほど申し上げましたように六十三年度はさらに八十億ぐらいの赤字が出るとしますと、累積利益金をそこで取りつぶしますと残り百億ぐらいしかない。そうすると、六十三年度は少なくともこの予算の数字でいけばその引き上げということを考える必要はございませんが、六十四年度以降どうするかというのは大変深刻な話になってくるわけでございます。  それで、その短期経理の掛金というのはいわゆる年金数理方式でございませんで、毎年の所要額を賦課方式でもってそれを掛金で徴収するわけでございますから、積立金がなくなれば掛金をこれは引き上げざるを得ない、現状のままで言えばそういうことになるわけでございます。それは現在の仕組みのままでいけば、その後掛金の引き上げということに相なりましょうし、それは多分今御指摘がございましたように、他の共済もそういう対応をとるのではなかろうかと思っております。しかし、私どもとしてはできるだけそういう最悪の事態は避けたい、全体の状況を見ながらその対応を図っていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  156. 勝木健司

    ○勝木健司君 高齢化社会の中で年金の一元化というものが求められておるわけでありますので、その際、私学共済年金も将来の一元化へ向けての準備というものを進めるお考えがあるのかどうかをお伺いをしたいというふうに思います。
  157. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) この一元化につきましては、御存じのように五十九年の閣議決定及び六十二年の関係閣僚懇談会の申し合わせ事項がございます。五十九年では、給付と負担の両方の制度を見直しながら、七十年を目途といたしましてすべての公的年金の一元化を目指すということになっております。そのすべてのというのは、三種七制度を含むものでございますけれども、六十二年の懇談会では、その七十年を目途に一元化をするということを再確認をいたしながら、なおかつ六十四年度が財政の再計算期に当たりますので、その点で、地ならしという言葉を使っておりますが、地ならしできるものは地ならしをしていく、しながら七十年を目途に一元化しようと。その精神は、先生おっしゃいますように老齢化社会が到来をいたす、そういう中で公的年金制度が十分にその機能を発揮することは社会生活、国民生活の安定上極めて重要である。そういう大前提で行われるべきものでございますので、私どももその一員としてそれを目指して努力をしていこう、こう考えて努力をしているところでございます。
  158. 勝木健司

    ○勝木健司君 私学共済の仕事の一つに福祉事業がありまして、その宿泊施設を設置しておるということでありますけれども、ここ数年来毎年のように会館の設立あるいは保養所の改築を行っておるようでありますけれども、ほかの共済と比べて施設の整備状況はどうなっておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。  またあわせて、私学共済の経理収支の悪化の状況の中で、ただ需要があるからといって次から次へと設置していいものかどうかということですね。本当に組合員のためになるのであるのかどうか。また、もちろん会館とか保養所の運営が健全に運営されておるということであれば結構なことでありますけれども、一方では掛金の負担がふえてきておるように思います。将来どうしようかという議論がされている中での新設を続けるというのは、どうもいただけない話じゃないかなというふうに思います。そういった意味で各施設の利用状況、また健全経営していくための目安となる分岐点はどこにあるのか、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。
  159. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) 福祉事業についてのお尋ねでございますけれども、福祉事業の中で大きな柱で宿泊事業があるわけでございます。ただいま先生御指摘がございまして、会館を次から次へつくっているではないか、こういうお話でございますけれども、必ずしもそういうことでもございませんで、現在設置しております施設はいわゆる御指摘になりました会館、ガーデンパレスと称しておりますけれども、この会館が全国で七カ所、それから宿泊所が八カ所、それから保養所というのが八カ所ございまして全部で二十三でございます。  その会館でございますけれども、確かに昨年の秋に仙台に仙台ガーデンパレスという宿泊施設、会館を設置をいたしました。これはかねてから昭和四十九年以来全国に七ブロック置こうと。七ブロックの北海道、それから仙台、東京、愛知、大阪、広島、福岡、こう七カ所に拠点となる会館をつくって、これはもちろん宿泊施設でございますけれども、そのほかに私学共済組合の支部的な役割も持たせて、例えば組合員に対する健康相談でございますとか、年金の御相談でございますとか、そういうことも兼ねてやろうということで計画的につくってきたわけでございます。おかげさまで昨年に宮城県の仙台の会館がオープンをしたわけでございまして、これで一応会館の方の新設は終わりというふうになっているわけでございます。  こういう会館を含めて施設が二十三カ所あるのが多いのか少ないのか、こういうことでございますけれども、これはほかの共済組合との比較がなかなか困難でございますけれども、例えば国家公務員の共済組合で言えば七十七カ所でございますとか、公立学校共済も七十六ぐらいあるというようなことで、公立学校共済のように各県に組合員が散らばっているという状況では必ずしもない。私学共済の特殊性で、そういうただいま申し上げましたような拠点的なところに固まっているというようなこともございますから、そういうことを勘案をしますと、これくらいの設置の状況が他の共済組合と比較してもそれほどバランスを失しているということではないんではなかろうかというふうに思っております。  そこで、せっかくこういう施設を設置するわけでございますから、やはりこれが効率的に使われなくちゃならないのは御指摘のとおりでございまして、現在会館について見ますと、単年度の営業ベースではもちろんこれは黒字でございますけれども、施設の減価償却とか、そういうことを考えますと会館全体では年間約十億ぐらいの赤字にはなっております。ただ、赤字になっておりますけれども、この利用者というのを見ると非常に共済組合の場合は利用率が高い、組合員の利用率が高いと、こういうことでございまして、大体こういう施設を利用される方のうち四〇%強が組合員ないしその家族ということでございまして、そういう点では組合員の役に立っているのかなと思ったりいたしております。会館の例えば宿泊の方の稼働率なんかを見ますと、大体六四、五%というところがベッドの回転の稼働の状況でございますから、こういう施設で稼働率が六四・五%というのはそんなに悪い状況ではございません。この辺でいいところまで来ているのかなというふうに思ったりはしております。  しかし、今後とも先ほど申しましたように会館全体としてはやはり減価償却まで入れての十億の赤字を出して、それが結局福祉財源をそこに充当するという形になっているわけでございますから、施設全体の、何といいますか、効率的な利用でございますとか、経営の健全化ということはこれからも心してやっていかなきゃならないんじゃないかというふうに思っております。
  160. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、この機会私学のあり方全般について質問をいたしたいというふうに思います。  私立、いわゆる学校法人立の義務教育学校についてでありますが、これらの学校は確かに現状ではいわゆるエリート校が多いというふうにされておりますけれども、実際は学費の高いということが多くの父兄を遠ざけている面もあるのではないかというふうに思われます。学校選択の自由という面から、あるいはまた義務教育費無償の原則から見て、私立の義務教育学校についてどうお考えなのかお伺いをしたいというふうに思います。
  161. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃいますように、教育基本法第四条で、義務教育九年間の普通教育が義務化されております。その二項で義務教育無償の規定がございます。残念ながら、国公立の義務教育の無償を定めたものでございまして、そういう意味では私学はこの規定に入らないとは申しますものの、やはり九年問の義務教育、それを広く受けさせるという精神は酌み取るべきであろうと思います。そういう面で、特に私学はそれぞれの建学の精神がございますし、義務教育時期を私学に学ぶという意義も大きいものがあろうと思いますが、にもかかわらず、その敷居を高くしておるという言葉で申していいのかどうかわかりませんが、父母負担が大きいという面でそれが遠ざけられるというようなことがあるのは甚だ残念でございます。そういう意味で、私どもがとれる範囲としては、私学助成の一環をさらに充実強化をいたしまして、そして義務教育期間の私学に学ぶ方々をより学びやすくするということに努めることはぜひ必要なことだと考えておりまして、その面で一層の努力をいたしたいと思っております。
  162. 勝木健司

    ○勝木健司君 私立の高等学校また大学も含めまして、国公立と比べまして大変学費の格差は大きいということで、新聞等々でも国公立に比べて私立の負担というものは二倍以上も多いというふうに報じられておりますし、また今月の六日ですか、文部省発表されました六十一年度学生生活費調査でも東京に下宿する私立大学生の年間の学費、生活費が合わせて百九十七万円もかかるということで、親の仕送りも百六十四万円に上ったというふうにされております。そういった意味で、教育費の家計に占める負担というものは特に中堅層のサラリーマンにとっては非常な圧迫になっておるというのが実情であります。このような重い教育費負担の現状について、先ほど文部大臣は私学助成を含めて考えていきたいということでありますけれども文部省として具体的にどういう対策をとっていかれるのかお伺いしたいというふうに思います。
  163. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃいますように、やはり調べてみますと幼小中高含めまして私学の方が学納金その他多くなっております。そういう中で、特におっしゃいますように父母負担の面で、例えば勤労者世帯をとりましても家計支出の中で教育費の負担割合というものは年代層によって相当その率が違ってまいります。四十五歳から四十九歳あたりの方々が一番家計費に占める教育費の割合が多いという点がありますので、それを含めまして具体的な方策といえば三つ申し上げられると思います。  一つ私学助成であります。もう一つは一方で育英奨学の道を充実をいたしまして、学ばんとして経済的に学びにくい優秀な方々を学びやすくする、こういう点でありましょう。それからもう一つは税制面でありまして、これについては、例えば所得税軽減のようなチャンスがあれば、さっき申したような特に教育費負担を重く感じる年齢層に対して特段の配慮をしてもらいたいものだ、また私どももそれを主張したいと、こう思っております。ただ、たまたま政府税調その他で今御討議をいただいておりまして、その中でもいろいろ御論議をいただいておるようであり、まだまとまったものを拝見しておりませんが、何かその辺でいい知恵が御提案をいただければありがたいと思っておりますが、当面私どもが考えますのは今申し上げた三点の対策を進めることにあろうかと、こう思っております。
  164. 勝木健司

    ○勝木健司君 今税制面で、政府税調が最近の新聞でも教育扶養控除制度を新設したいということが中間答申で述べられるというふうに言われておりますけれども、そういうことについても文部省としても積極的に働きかけていただきたいというふうに思います。  時間の関係で次に進ましていただきますが、国会決議でも私学経常費助成二分の一の早期実現というものをうたわれておりますが、この間の財政状況から経常費助成は低迷を続けておるように思います。二分の一補助達成の見通しはあるのかどうか。また私たち民社党が主張しております当面四分の一助成というものを達成する見通しはあるのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。
  165. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 確かに私学振興助成法が本委員会で五十年の七月に可決されましたときに、法律上は二分の一以内補助することができるというふうになっておるが、可及的速やかに二分の一の補助になるよう努力すべきであるという附帯決議をいただいたわけでございます。その附帯決議を私ども踏まえまして五十一年から逐次私学助成の増額に努力をいたしてまいりまして、一時は大体三〇%ぐらいまでいったことがございます。ところが、先生御承知の五十六年に至りましていわゆる行財政改革ということで臨時行政調査会、臨調が発足いたしまして、私学助成につきましては総額を抑制するという答申をいただいたわけでございます。そういうことと、それからちょうど五十七年ごろから、いわゆる概算要求基準がゼロシーリングないしはマイナスシーリングというようなことで国の財政が厳しくなってきたということと両方相まちまして、五十七年度は前年同額、五十八年度は前年度より二・三%三角、五十九年度に至っては実に一二%も前年度より削減されまして、六十年度、六十一年度に至ってやっと前年度と同額を確保することができたわけでございます。六十二年度、前年度はそれまでの前年度同額以下という私学助成の傾向にやっと歯どめがかけることができまして、わずかでありますが、大学高校とも五億円増ということになりました。六十三年度、本年度はさらにそれがわずかでありますが十億増というふうに私学助成を若干でも伸ばすことができたわけでございます。  ただ、これからも私ども私学助成につきましては、文部省の要求、予算編成、概算要求の段階から予算編成に至るまで、予算の最重点事項の一つとして真剣に従来にもまして取り組んでまいる覚悟ではございますけれども、それだけ努力してまいりましても、正直申し上げまして六十一年度ベースで申し上げますと、私学全体の経常費に対する割合というのは一八・二%でございます。先生が将来二分の一に達する見込みがあるのか、あるいはさらに一歩譲って四分の一、二五%に達する見込みもあるのかという御質問でございますけれども、なるたけそれに近いように早く到達するよう、厳しい財政状況の中ではありますけれども努力だけは一生懸命したいというふうに考えているところでございます。ただ、何年先にそういう見込みがある、あるいは一両年で何とかするというわけには今の財政状況のもとではそういう口幅ったいことは言えないわけでありますが、先生方の御支援も得ながら最大限の努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  166. 勝木健司

    ○勝木健司君 私学並びにその財政状況については、収益事業またいわゆる基本金制度など、さまざまな疑問や批判が出ておるように思います。今なお不明瞭なところが多いように思われますが、私学も広い意味での公の公教育であり、公共性を持つ以上、その財政について授業料を負担する父母、学生、補助金を負担する国民の前に明らかになっていなければいけないんじゃないかというふうに思いますが、どうかこれにつきましてお伺いをしたいと思います。  あわせまして、もう時間の関係で、私学の自由ということはもちろん重要でありますけれども、公教育あるいは学術水準の向上という面から考えますと、文部省がよい私学を育成することはやはり必要じゃないかというふうに思われます。そういった意味での政策官庁への脱皮を求められている中で、例えば通産省は産業政策という形で日本の産業の育成に大きな役割を果たしてきたわけでありますけれども、国際的にもやはり高い教育研究水準を持った私学の育成へ向けて政策努力を、文部省としてもいま一層の努力を集中すべきであるだろうというふうに思います。そういった意味での文部大臣の、私学振興の中長期的な計画を策定し、またその中での誘導策など検討する考えはおありかどうか、お伺いをして質問を終わりたいというふうに思います。
  167. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) せっかくの御質問でございますから、基本的に私から申し上げまして、細かくは政府委員からお答えをさせますが、私学の前段でおっしゃいました点につきましても、これは重要なことでございまして、学校法人の会計基準も昨年八月に改正をされました。そういう点で少なくとも経営上フェアでそしてやはり万人から信頼を受けるということがまずすべての前提であろうと思います。  その中で特に私学にお触れいただいたわけでありますが、私学は先ほども申したように、それぞれ建学の精神を持ち、特色ある教育を進めていく中で有意義な教育の場であると思っておりますし、そういう面で先ほど申しように、公財政支出の面では、私学助成あるいは育英奨学、そういうものを含めてまいりたいと思っておりますし、今政府委員からもお答えいたしましたように、国会決議もございます。少なくとも二分の一補助という努力目標をいただいております以上は、年々それに向かって最大限の努力をいたしていかなければならぬと思っております。そういう面では中長期的に私学のあり方を見つつ、この助成に最大限の努力をするということはもちろん必要でありますし、心がけてまいります。同時にまた、これからの推移を見まして、言わしていただければ、私学経営そのものがやはりそれなりの経営努力をしていただく、この両々相まって私学の振興に心していきたいと、このように考えております。
  168. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 前半の部分についてちょっと補足答弁をさしていただきたいと思いますが、確かに先生御指摘のとおり、私立学校も私学の自由というのがありますが、同時に、公教育を補助金をもらいながら負担しているわけですから、常に公共性を自覚して自主的に健全な経営を行っていくことに努めなければいけないというふうに思っているところでございます。  そういう観点で、経理の処理につきましても適正に行うということ、同時に学校法人は財産目録、貸借対照表等の財務諸表を常時備えつけておかなければならないことになっておりまして、言いかえればそれは必要な場合、関係者の閲覧に供するというふうな建前になっているわけでございます。ただ、どの範囲の者に閲覧させるかということは各私学の自主的な判断に任されているところではございますが、私どもとしましては、こういうような私学の公共性の高い事業に携っておるということにかんがみまして、常日ごろ学校経営者に対しまして学校経営についての父兄等の関係者の協力も得るというような必要性なども含めまして、財務状況関係者に明示する、公開するということが必要なんではないかというふうに指導をずっと続けてきているところでございます。  現在、大学法人で申し上げますと、大体七割程度の大学法人が一般に内部の学報などで公開をいたしておりますが、今後とも経理を公開するという点についてはぜひとも指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  169. 勝木健司

    ○勝木健司君 終わります。
  170. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会