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政府委員(坂元弘直君) 確かに最近マスコミでいろいろ
私学、先生が今挙げました
大学等について取り上げられているわけでございます。ただ、先生が例に挙げました
昭和五十八年当時の九産大、国士館その他の
大学の事件とはやや私は様相が違うんではないかという感じを持っているわけでございます。いずれにしましても、マスコミに取り上げられまして、それから先生が今挙げました
大学の事件の概要につきまして御説明をいたしたいと思います。全般的に私の感じとしては内紛的な要素が強い事件ではないかという感じでございます。
最初に、先生
昭和医科
大学と挙げましたが、
昭和薬科
大学だと思いますが、
昭和薬科
大学の事件でございますが、
昭和薬科
大学ではかねてから
学長と
理事長が対立しておりまして、本年の一月三十日付で
昭和薬科
大学の鈴木
学長を
学長職を懲戒免職したわけでございます。それに至るまで、例えば一月三十日付の前の日付で教授会議三十二人から鈴木
学長解職要望書が
理事長あて提出されたりなんかしているわけでございます。解職の
理由は、柴田はなという前の
理事長でございますが、前
理事長が死亡後、上田という方が
理事長職務代行に選任され、さらにその後
理事長に選出されたわけですが、これを鈴木
学長、鈴木
学長も女性の方でございますが、鈴木
学長がこの
理事長選任決議を認めないで、裁判所に職務執行停止の仮処分命令の
申請をしたわけでございます。これは後ほど裁判所から却下されております。言いかえれば、裁判所の
判断も上田現
理事長というのは適正に選任されておるというふうにしているわけでございます。現在では上田
理事長の選任無効確認訴訟などを起こしまして
理事会と対立をしておるというところでございます。それから二番目に、この
大学が都心から地方に移転するということで今いろいろ計画を持っておるわけでございますが、この移転をめぐって理事、監事あるいは教職員が多数リベートを受領したということを公言して
新聞報道されたわけでございます。これは
内部で調査委員会も設けていろいろ調査したがそういう事実がないということで、個人と学校法人の名誉と信用を著しく傷つけたというような
理由で解職を行ったわけでございます。二月十日で現在鈴木
学長は東京地裁に地位保全の仮処分の
申請を行って争っておる最中でございます。これが
昭和薬科
大学の問題でございます。
それから専修
大学のいわゆる無籍
学生事件、幽霊
学生事件でございますが、これは
新聞報道に
報道されているとおりでございまして、
大学として入学許可を行っていない者が幽霊
学生として学校内で授業等を受けておるという事件でございます。三月に
理事会に調査委員会を設置いたしまして、渦中の人物であります鳥倉教授をいろいろ調査するということにしていたわけでございますが、とりあえずいずれにしてもこの鳥倉という元専修
大学教授を有印私文書偽造罪の罪で警視庁に告訴いたしました。
大学としてはまだ十分
内容については問題の
整理がついていないので後日全体として
文部省に
報告をしたいというようなことが三月三日に私
どもに言ってきたわけですが、その後本人から事情聴取をしようという
段階に至らないまま三月二十五日に同教授が逮捕されたため、調査委員会としては捜査当局の捜査の進展を見守りながら引き続き調査を
実施していくということにいたしておりまして、調査結果を
報告する
段階に至っていないということでございます。私
どもとしましては、現
時点でこの件についてどうであるかというふうな論評を差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、鳥倉教授の個人的な不祥事件ではなかろうかという感じを持っておるわけでございますが、いずれにしましても専修
大学当局からの正式な事実
関係に関する
報告を待って必要な指導、助言をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
それから大東文化学園の問題でございますが、これは大東文化学園の
寄附行為の
変更認可申請をめぐりまして、
理事長と教学側と争っている問題でございます。やや詳しい説明は時間の
関係で割愛させていただきますが、いずれにしましても私
どもはその
寄附行為の
変更認可にかかわる問題については既に
手続的には若干形式的なミスはあったと思いますが、
実態的なミスはなかったというふうに
判断いたしておりまして、一応この問題は
文部省の方から見ますと解決している問題ではないかというふうに考えているところでございますが、先般大東
大学の
学長ほか一名、二名の連名で文部大臣あてに
理事長の解任勧告を
文部省が行うようにという
上申書が提出されておりますが、今申し上げましたとおりの感じで一応解決した問題だというふうに
理解いたしているところでございます。
それから
昭和大学でございますが、昨年の五月に監事が六十一年度の決算監査を行った際に、年度末の有価証券の保有高が前年度に比べて大幅に増加している、前年度、有価証券保有高が約三億円であったのが六十一年度末は二十七億円となっておるということで調査したところ、当時の紺野
理事長が有価証券の売買を行っておるその結果であるということが判明したわけでございます。このため監事は学校法人
昭和大学の
寄附行為二十三条から見ると、株の売買は二十三条に違反するおそれが非常に強いので厳重に注意するようにという指示をし、即刻株を全部処分せよという勧告があったわけでございます。それに基づいて株の処分はいたしたわけでございますが、この問題をめぐりまして、五月に至りまして
理事会で協議した結果、全会一致で紺野
理事長の辞職勧告が決議されまして、同日開催されました緊急
理事会で紺野氏がこの勧告を入れて
理事長、理事を辞任いたしたわけでございます。その後、さらに教授としての身分も懲戒免職をするということで、昨年の六月二十九日に
理事会が紺野元
理事長、これは教授でありますが、教授の身分も剥奪して解雇処分を
決定したわけでございます。その後の問題が、東京地裁で教授の地位保全処分
申請を紺野前
理事長が起こしまして、東京地裁で争われてきたわけでございますが、本年三月十一日付で学校法人
昭和大学と紺野前
理事長との間で和解が成立いたしまして、紺野氏は教授として学校に戻るということで一応学内の紛争は決着を見たわけでございます。
以上が概要でございまして、全般的に言うと先ほど申し上げましたとおり、
昭和五十八年当時の極めて異例と申しますか、書類を改ざんして補助金を詐取する、あるいは学内で殺人事件を起こすなどという事件から比べますと、やや
内部紛争的な様相の強い事件がここ一年間の間に幾つか起きているというような感じでございます。