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政府委員(
田中宏尚君) ただいまお話しありましたように、
漁業共済制度は
PQ方式をとっておりまして、ある
意味では価格の下落を補てんする、我が国の
共済制度では例を見ない
仕組みにな
っておるわけでございます。今回そういう中で、基準
漁獲数量概念というものを導入させていただくことに相なっておるわけでございますけれども、これは、そもそも
PQ方式自体がどういうことでとられてきたかといいますと、
漁業の場合には、単価も違う、大きさも違うものがあわせてとられる、いわゆる混獲されまして、単に数量概念だけで
共済をやっていては十分な効果が出ないということが
一つございましたし、それから取引なり
漁民の感覚といたしましても、何トンとれたかということじゃなくて、幾らで売れたかということが過去の経験値からいっても頭の中にあり、商取引慣行上もそっちが優先してきていたということに着目いたしまして
PQ方式をとってきたわけでございますけれども、一方サケ・マスの大型定置
漁業の現況を見てみますと、ふ化放流
事業を行っているという特殊な事情から申し上げまして、近年サケ・マスの回帰量はかなり高
水準で推移してきておりまして、これを反映して漁獲量そのものもかなりいいという
状況に御承知のとおりあるわけでございます。
しかし、こういうふ化放流
事業をやっているということからいいまして、あらかじめ予想される漁獲量の増加に伴う魚価の低落という面が
一つございますし、そういうことで連年のように残念ながら特定の
地域それから同一
漁種、ここで多額の
共済金が支払らわれてきてしまっているということを見てみますと、やはり全体で救い合おうという
漁業共済という相互救済の精神を基調として初めて成り立っている
制度から申し上げますと、必ずしもいい話ではないんじゃないかという感じが
一つしているわけでございます。
そういう全体の話と同時に、サケ・マスの大型定置
漁業自体にとってみましても、このまま放置しておきますと毎年の多額の
共済金の支払い、それを追っかけるような形での
共済掛金の上昇という悪循環を招来する危険があるということでございまして、そこで何とかそういうものを断ち切って、サケ・マスの
共済につきましても安定的に今後継続してまいりたいということで、
関係者ともいろいろと協議をいたしまして、サケ・マス大型定置
漁業の場合には一般の
漁業の場合と違いまして混獲の問題を余り心配する必要はないということで、一定の場合に
漁獲数量に着目した
共済金の支払いの特例措置というものは
技術的にも可能であるということで、今回こういう改正をお願いしたわけでございます。
我々の基本的
立場といたしましては、こういう特殊事情から今回お願いしておりますので、やはり収穫
保険方式、いわゆる
PQ方式の基本を何とか維持する。維持するためにはこの程度の経過的な
改善措置というものを加えなければ根っこからおかしくなってしまう心配があるということで、現地にとってはある
意味では厳しい話かもわかりませんけれども、全体としての
PQ方式の根幹を今後とも守っていくというために、何とかこういう改正をお認めいただきたいという気持ちで今回提案をさせていただいている次第でございます。