運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-07-07 第112回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年七月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     菅野 久光君  六月三日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     刈田 貞子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 高木 正明君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 北  修二君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 八百板 正君                 諫山  博君                 三治 重信君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        農林水産政務次        官        吉川  博君        農林水産省経済        局統計情報部長  海野 研一君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        農林水産省農蚕        園芸局長     吉國  隆君        食糧庁次長    近長 武治君        資源エネルギー        庁石炭部炭業課        長        斉藤 真人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和六十三年産米生産者米価に関する件)     ─────────────
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十五日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。  また、去る六月三日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として刈田貞子君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  及川順郎君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事刈田貞子君を指名いたします。     ─────────────
  6. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十三年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、昭和六十三年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。近長食糧庁次長
  7. 近長武治

    説明員近長武治君) それでは、本年の生産者米価諮問の内容について御説明申し上げます。  昭和六十三年産米穀政府買い入れ価格につきましては、昨日、米価審議会諮問させていただきました。その諮問概要について御説明申し上げたいと思います。  まず最初に、諮問諮問説明について朗読いたします。     諮  問   昭和六十三年産米穀政府買価格について、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。   昭和六十三年七月六日          農林水産大臣 佐藤  隆     諮問についての説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織・集団を広範に育成し、我が国稲作の体質の強化を図っていくことが現下の最大の課題となっており、このための各種施策を鋭意推進しているところであります。   また、米の潜在需給ギャップの拡大に伴い、昭和六十三年度においては水田農業確立対策の推進と併せ米需給均衡化緊急対策を実施しているところであります。しかしながら、消費減少傾向の強まりと四年連続豊作等から過剰傾向が強まっており、三度の過剰処理を回避するための的確な対応が急務となっております。   なお、米の管理に係る財政運営も、国家財政が厳しい状況にある中で、一層困難な局面に直面しております。   他方、稲作については単収水準上昇投下労働時間の減少、更に一般経済情勢面では労賃上昇率鈍化等をみております。   本年産米穀政府買価格につきましては、以上の事情総合勘案の上、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。  続きまして、お手元にお配りしております「昭和六十三年産米穀政府買価格試算」について御説明いたします。  資料説明に入ります前に、算定基本的な考え方についてあらかじめ御説明申し上げたいと思います。  基本的な考え方といたしましては、本年産につきましては従来の算定方式に基づき、最近の米需給の趨勢、生産性向上状況経済実勢を的確に反映した算定を行うこととしております。  すなわち、算定方式といたしましては生産費及び所得補償方式によることとし、対象農家平均生産費について、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえをし、実際の支払いを要しない自己資本利子及び自作地地代についても一定評価方法により算入いたしまして、これらを合計した評価がえ生産費平均単収で除したものに収量変動係数を掛けまして、求める価格つまり米全体についての農家庭先価格でございますが、この求める価格算定しております。  具体的な算定式につきましては資料に基づいて御説明申し上げますが、その際の主要な点について申し上げたいと思います。  まず、生産費対象農家でございますが、生産費対象農家につきましては需給均衡を図るために、現在、前年度に引き続いて水田農業確立対策を実施しております。さらにこのほか、消費、流通、生産の各般にわたる米需給均衡化緊急対策を実施しているわけでございますが、消費減少傾向の強まり、四年連続豊作など過剰傾向が強まっている、これが現下の米の需給事情でございますが、こういうような需給事情米価算定に的確に反映させるということにしているわけでございます。すなわち、生産費対象農家といたしましては、農家生産費の低い順に並べまして、その累積生産数量比率一定数量、本年の場合七六%でございますが、この一定数量になるまでの農家をとっているわけでございます。  それから、この一定比率を求める際の分子につきましては、六十二年産では生産予定数量千十万トンに在庫減予定数量二十万トンを加えた数量をとりましたが、本年は六十三米穀年度末、つまりことしの十月末でございますが、六十三米穀年度末の在庫が二百三十万トンを超える、こういう需給事情もと生産予定数量は九百八十二万トンをとっております。  それから、分母当たります潜在生産量につきましては、六十三年度における潜在生産量千三百七十万トンでございますが、この潜在生産量から、六十二年と同様に、他用途利用米生産予定数量四十七万トン、本年の場合四十七万トンでございますが、この他用途利用米予定数量のほかに、転換畑相当分を含みます永年性作物等定着分、これが三十三万トンになります、この定着分を控除しております。  それから、主な算定要素について御説明申し上げたいと思います。  まず、家族労働評価に用います都市均衡労賃とり方につきましては、基本的には六十二年産とり方と同様に、常用労働者数五人以上千人未満事業所規模製造業賃金について、都道府県別米販売数量ウエートにより加重平均した賃金という考え方に立って算定しております。  それから、自己資本利子及び自作地地代につきましては、金利動向影響するわけでございますが、六十二年の三月以降、預金金利が安定的に推移している、こういう金利事情を踏まえまして、実勢金利をとることとしております。具体的には、自己資本利子金利とり方といたしましては、現行の農協六カ月定期と一年定期の一年平均をとっております。  また、自作地地代評価につきましては、六十二年産と同様に、固定資産税評価額を元本とする土地資本利子考え方に立ちまして算定しておりますが、その際の適用金利につきましては、最近の金利動向を踏まえて十年利付国債直近一年平均応募者利回りを用いております。  それから次に、企画管理労働につきましては、現行算定方式もとでこれを算入することにつきましては種々論議のあるところでございますが、六十二年産において暫定的な取り扱いとして、過去のデータに基づいて一部算入したところでございます。本年におきましても、担い手層には企画管理労働を付与するという観点から、六十二年産について統計情報部緊急調査をいたしたわけでございますが、この緊急調査結果に基づいて担い手層生産シェア相当分を算入しております。  以上のことに加えまして、単収につきましては六十二年産と同様に、米価算定適用年直近三年、平均十アール当たり生産費と単収を基本としつつ、収量変動平準化のための一定係数、つまり生産費単収と推計により求めました平年ベース生産費単収との比率になるわけでございますが、この係数を用いることにより収量変動影響を緩和するようにしております。  以上のような方式による試算結果は、一―五類、一―二等平均包装込みのいわゆる基本米価で、現行米価より四・六%低い一万六千七百四十三円となります。なお、最近の米の嗜好の変化に即応して歩どまり加算は廃止することとしております。  それでは、以下資料によって具体的に御説明申し上げたいと思います。  「六十三年産米穀政府買価格試算」という資料でございますが、最初算式が書いてございます。このPは求める価格でございますが、分子が十アール当たり評価がえ生産費になります。三年平均でございます。それから、分母は十アール当たり収量でございまして、これも三年平均でございます。分子分母の割り算の結果に対しましてαを掛けて、それに六十を掛ける。これは六十キログラム当たり評価がえ生産費というふうになるわけでございまして、これによって求める価格が得られるわけでございます。  その際、家族労働費につきましてはここに書いてございますように、都市均衡労賃により評価がえをしております。  それから物財雇用労働費につきましては物価修正する等、価格決定年評価がえしたものを用いているわけでございます。分母の方は、価格決定年の前三年における各年の対象農家の十アール当たり平均収量でございまして、その結果に先ほど御説明申し上げましたαを掛けておりますが、このαが収量変動平準化係数というふうに言っております。この資料で五ページになりますが、五ページの3というところに収量変動平準化係数についての説明をしてございます。これは六十キログラム当たりに引き直す際に生じます収量変動を平準化していくということでございますが、上は、米生産費調査におきます価格決定年の三年前までのそれぞれの年の、米販売農家の十アール当たり平均収量でございます。  それから下は、米生産費調査におきます米販売農家の十アール当たり平均収量と、農林水産省統計情報部作物統計調査に基づきます十アール当たり収量との関係から計測いたしました算式を用いまして、そしてそれに価格決定年のそれぞれの一年前、二年前、三年前の平年収量を代入して求めたそれぞれの価格決定年の平年ベース米生産費調査による米販売農家の十アール当たり平均収量、ちょっと込み入った算式に見えますが、そういうようなことで収量変動平準化係数を求めます。それが本年の場合は一・〇二五と、こういうふうになるわけでございます。  もとに戻っていただきまして一ページでございますが、そういうふうな算式によって求める価格Pというのが出るわけでございます。具体的な数値は次のページでございます。  以上のような算式を用いますと、求める価格Pは一万六千三百二十四円になるわけでございます。これに、さらに運搬費百八十四円を加えたものがいわゆる基準価格と言っているものでございまして、一万六千五百八円になります。この一万六千五百八円を一―三等の一―五類平均とそれから三類との格差、それから一―三等平均一等との格差、それぞれマイナス十九円、プラス百二十六円でございますが、これを加えあるいは減じまして、その結果が一万六千六百十五円、この数値ウルチ類一等裸価格でございます。私たちいわゆるへそ価格と称している価格でございますが、これが本年の場合一万六千六百十五円になるわけです。  これをもとにいたしましてウルチ一―五類、それから一―二等平均包装込み生産者手取り予定価格を次の算式によって算定をいたします。一―二等の三類と一―五類平均との格差一等と一―二等平均との格差、それに包装代をそれぞれ加える、または差し引いております。この結果一万六千七百四十三円という数値が出るわけでございますが、この数値が本年の生産者米価でございます。前年が一万七千五百五十七円でございますので、八百十四円の減、四・六%の減ということになるわけでございます。  残りの数値につきましては、時間の関係説明を省略させていただきますので、御参照いただければありがたいと思います。  以上をもちまして、諮問米価についての概要説明を終わらせていただきます。
  8. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、昭和六十二年産米生産費調査結果を聴取いたします。海野統計情報部長
  9. 海野研一

    説明員海野研一君) それでは、お手元に配付してございます昭和六十二年産の米の生産費について御説明申し上げます。  六十二年産の水稲の生産費及び収益性概要が一ページ目に載っております。これは昨年と同じく、玄米十俵以上販売農家平均でございます。  まず、左の欄を見ていただきますと、十アール当たり物財費が〇・三%の増、労働費一・九%の減ということでございまして、費用合計から副産物を差し引きました第一次生産費で〇・四%の減。さらに、これに資本利子地代を含めました第二次生産費で〇・二%の減と、十アール当たりでは減少をいたしております。これは一つには省力化が進んできたということ、もう一つには、円高傾向によって物財費の増が抑えられたという二つの要因があると思います。  ただ、その右に六十キログラム当たりがございますが、六十キログラム当たりでは、昨年の単収は決して低いものではございませんが、一昨年が五百四十キロという数字でございました。それに比べますと五百二十六キロということで、単収が落ちております関係で、六十キログラム当たりでは二・五%の増ということになっております。  それから、下の方に収益性が書いてございます。粗収益では七・七%の減ということで、これは価格低下、品質の低下収量減というようなものが組み合わさってできております。  それから、その下に所得がございます。所得になりますと粗収益減少とほぼ同じ額の減少でございますけれども、分母が小さくなります関係減少率は一六・四%という大きな数字になっております。  それから二ベージ、三ページにもう少し詳しいものが載っております。まず、費目の構成でございます。  省力化が進んでまいりましたが、やはり労働費が三六・二%ということで一番大きいわけでございます。次いで、農機具費肥料費賃借料及び料金農業薬剤費という順でございまして、この五つを合わせて全体費用合計の八六・七%を占めるということになっております。  さらに、費目別に見てまいりますと労働費は、労賃単価はやや上昇いたしましたけれども、投下労働時間が五十・四時間と前年に比べて三・四%減少しておりますので、前年を一・九%下回るという結果になっております。  次に、農機具費でございます。農機具費は、農業機械利用効率化というような面から農家機械購入減少しておりますけれども、作付面積減少によって十アール当たり負担額が増加したということで、二・一%前年を上回っております。  次に、肥料費でございます。肥料費は、これはほとんど原材料が輸入品でございますので、円高影響をストレートに受けまして肥料価格が下落をいたしております。その関係で前年対比七・五%の減ということでございます。  賃借料及び料金はほぼ前年並みでございます。  それから、農業薬剤費につきましては価格はやや低下をしておりますけれども、中国、九州地域の一部でウンカが発生したというようなことがございまして、殺虫剤の使用が増加しておりますので、前年を一・四%上回っております。  それから、作付規模別に見てまいりますと十アール当たりでも、六十キログラム当たりでも作付規模が大きくなるに従って逓減をするという傾向を示しております。これは、作付規模の大きな階層ほど農機具利用効率化が進んでいるという面、さらに省力化も進んでいるというような面もございまして、規模が大きくなるにつれて逓減をしているわけでございます。生産費が最も高いのが〇・三ヘクタール未満層。これに対しまして、それぞれの規模の割合が書いてございますが、大きな規模ほど逓減ということでございます。  それから、収益性につきましては、先ほど一ページ目で御説明したとおりでございます。十アール当たり所得が非常に大きく落ちておりますけれども、これは八時間当たりに直しますと労働時間が短縮しておりますので、一三・四%と十アール当たりに比べれば小幅な減にとどまったということでございます。  四ページ以下統計表がございますので、適宜御参照いただければ幸いだと存じます。
  10. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大臣米価審議会では大変御苦労さまでございました。  私は、最初に御質問を申し上げるにつきまして、どうしても納得のいかない部分というものが余りにも多過ぎるものでありますから、そこできょうは大臣からいろいろと御所見をお聞きすることを中心にさせていただきたい、こんなふうに思っております。  最初に、今回六十三年産生産者米価については引き下げ諮問をされました。私は、この引き下げ諮問についてはどうしても納得のいかないものがあるわけであります。特に私どもは、例えば社会党のみだけではありませんで、言ってみれば公明党さん、共産党さん、民社党さん、社会民主連合さんといった野党共同でもって総理にも申し入れを行うなどということをやってまいりました。そしてまた、農業農民団体皆さん方も非常に強く現行維持をされるように希望をしてこられました。そういう経過がありますだけに、四・六%の引き下げというのは余りにも大幅な引き下げになるのではないか。なぜこのような引き下げという御決意をなさったのか、その辺のところをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 冒頭に、昨年来十二品目問題、牛・かん問題、さらにこのたびの米価ということについて、委員長初め委員各位に大変御心配をかけてまいりました。何かとまた御示唆、御教導もいただいたことをありがたく感謝申し上げておきたいと思います。  昨今の米をめぐる内外の諸情勢を見ますと、生産性の高い稲作担い手を広範に育成して我が国稲作の健全な発展を図らなければならない。また、四十年代における第一次過剰、五十年代における第二次過剰、そしてこのたびまた三次の過剰ということで、その処理が懸念をされる状況にありまして、これを回避するためにはどうしたらいいであろうかというようなことについて、これはやはり対策をいろいろ考えなければならぬ。こういうことが緊急の課題になっておるということは御存じのとおりでございます。  本年産生産者米価につきましては、米価審議会で了承されましたその経緯は改めてあるいは申し上げるまでもないかもしれませんが、一言つけ加えておきまするならば、昨年の米価決定時の経緯にかんがみ昨年九月以降、小委員会で新しい算定方式を実は検討してこられました。そして、その集約された意見が先般答申をされたのでございます。私は、その答申を受けたわけでございます。時期的に見て非常に厳しい農業情勢、農産物の状況内外とも難しい時期に実は唐突として出されたという感じを持っておられる方もおられるようでございますけれども、そういう経緯があったということをここで改めて申し上げておきたいと思いますが、こうした新しい算定について関係各方面と調整を鋭意進めてきたところでございます。  しかし、今も申し上げますように、内外ともいよいよ厳しい状況の中で、日本たたき農業たたきということを実際私自身が感じておるこの時期にいかがなものか、私自身も考えないでもございませんでした。それらを含めまして、諸般の情勢からして、新しい方式については生産者を初め関係者皆さんの理解を深めつつ、六十四年産米政府買い入れ価格から適用するということにいたしまして、本年は従来の生産費及び所得補償方式によって算定をすることにしたわけでございます。なぜ切り下げたのかという御質問でございましたが、以上のような経過で、私といたしましてはあのような諮問を出したということでございます。
  13. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今御答弁をいただきましたが、今回米価審議会の小委員会でいろいろと御検討をされた新しい算定方式要素とり方、こういうものについては六十四年度に送られた、こういうことも今言われたわけであります。それは担い手層というものを一・五ヘクタール以上に置くという、そういうことで計算をされるということのようでありますが、一たんこれを六十四年度からということにされようがされまいが、従来方式生産費及び所得補償方式だというふうに言われようが言われまいが、言ってみれば四・六%引き下げというのは、これはもう大変な大きな幅ということに、昨年に比べれば少し小さくなっているとはいえ大変大きな幅だ、こういうことになるわけであります。  もし、これが一・五ヘクタール、来年からということになりますと、今の稲作経営全体から見ても約九割の稲作経営というのが再生産をするための生産費割れをする、こういうことになるわけであります。もちろん、そういう生産費割れが起こった農家の中から、歯を食いしばって頑張っていってさらに拡大をする者が中に出てくる、こういうことを期待されているんでありましょうが、それにしてもかなりの多くの稲作を担ってきた農家というものが農業経営が成り立たなくなってしまう、そういうことになるわけであります。ことしの四・六%引き下げを行いますといたしますならば、やはりそれが一・五ヘクタール以上イコールではなくても、生産費割れを起こすという部分が必ず出てくる。こういうことになるわけであります。  そういたしますと、言ってみればこうした生産費割れを起こす農家をつくっていって、そしてそれによって規模拡大をするのではないか。これは勘ぐりだというふうに言われると非常にあれですから、大臣が主体的にそういうふうに考えてはおられないと思いますけれども、しかし外から見ていくとそういうふうに勘ぐられても仕方がないような結果になるのではないだろうか、こんなふうに私は心配をするわけでありますが、その辺のところをどのようにお考えになっているか。  これからの規模拡大ということとあわせて、そうすると経営規模の小さい農家我が国稲作経営からいけば、将来の五ヘクタールなどということを考えていけばなおさらのこと、現在の圧倒的な多数を占める経営規模の小さい稲作農家というもの、これを将来どういうふうにしていかれるのか、その辺について何か特別の対策を立てておられるのかどうか。その辺の対策を立てなければ、私は生産費から除外をしていくとかあるいは価格面から調整をしていくということは非常に問題があるのではないかというふうに思うわけでありますが、その辺大臣はどのようにお考えになりましょうか。
  14. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) きのうときょう米価審議会が行われておりますが、それに先立ちまして先般二日間にわたって間口の広い、奥行きの深い御議論をいただくために米あるいは米価あるいは稲作をめぐる状況、この三つを主体といたしまして、従来の前広米審と俗称言われてきたその会議よりももっと間口広く、奥行き深い形で二日間御議論を米審の委員皆さんにお願いをいたしました。その際、私も出席をいたし、いろんなやりとりもあったわけでございますが、生産者を代表する立場にある方々からは、あるいはその他の一部の方々等を含めまして一・五ヘクタールというものについて相当な意見の交換があったことは事実でございます。同時に、構造政策というものについては共通してといってもいいぐらい価格政策とあわせて万々怠りなくやるべしと、こういう御指摘もいただいたところでございます。  後段の方はともかくといたしまして、前段の一・五ヘクタールにつきましては、今考えてみますと皆さんに誤解を与えておる部分があるとするならば、これはもう少し説明のしようというものがあったのではないかなと、私自身実は反省もいたしております。今一・五ヘクタール以下のものは切り捨てるのかというような意味の、そういう表現は使われませんでしたけれども、そういう意味のお話がございました。  私自身、戦前の封建社会における農業のあり方その経緯、それから戦後の農地改革という大改革、これから出発した耕作権と財産権を同時に持つことのできた自作農というものができ上がったその経緯の中から考えてみますと、消費のないところに生産はない、採算性の追求も考えていかなければならない。消費の減退もこれを何とか防ぎながら拡大を図らなければならない。お互いが苦労してきたところでございます。  規模拡大をするにいたしましても、農業自身が例えば〇・五ヘクタールの農業者が五人集まれば二・五ヘクタールである、三人集まれば一・五ヘクタールである、そういう意味の一・五へクタール、そういう集団でということを考えながら規模拡大あるいはコストの低減、こういうことを合わせて構造改革がまた進むものであれば、そしてそういう中で担い手も育っていくものであればと、こう考えながらの一・五ヘクタールであるということをひとつ御理解をいただければ非常にありがたい。  そしてその集団、組織あるいは営農集団というものは、従来からありまする生産法人あるいは農事組合法人、そういうような一つの規則というか決めというか、そういうあえてかたくなという表現は使いたくございませんけれども、今まであったそういうものとは違ってもっと気楽に集団化ができるようにすることによって、何としてもひとつコストは下げていかなければならない。そして、ウルグアイ・ラウンドに向けてのあるいはいろいろな内外価格差の問題もあるし、いろんな国々が農業問題で苦労をして改革に改革を重ねようとしておるときに、やはり足腰の強い稲作農業にしていかなければならない。そういう意味で一・五ヘクタールというものが設定をされておる。  私の承知しておるおつき合いのある農業者におかれても、親戚縁者が集まって、そしてある親戚の一人に稲作農業を任せる。任せるといっても、少なくとも機械化されたその機械農業の部分だけはひとつ集団化をする。あと水回りあるいは肥料、こういうものは自分でやりますよと。農薬等の散布はその地域、その部落でもってやりますよと、こういうような形の中で親戚縁者が集まって相談をしながら五へクタールあるいは七ヘクタール、これは私の承知しておるところでもそういうものがありますし、そういうところは採算性の追求をしながら、コストを下げながら、そして我々はそれで生きていくんだという気概を持っている方も徐々にふえてきておるということも承知をしておりますので、そういうものを育てていかねばならぬ。しかし、そういうことすらできないところはどうなのかということも今お触れになったわけでございます。  若干答弁が長くなっておりますが、相当広範囲な御質問でございますので、随時お答えを申し上げているところでございますが、中山間地における農業というものは一体どうなのかと。そういうところにおける稲作はどうなのかということになりますれば、その立地条件としての個性をどう生かすことができるか。有機農業がどう育つかなとか、あるいはリゾート関連の関係でどうなっているかなというようなことあるいは国土自然環境、そういう部分は特にまた、平場もそうでございますけれども、中山間部においてはまた特にそういう問題もございますし、そういう多面的な使命を持った農業が、稲作農業がどう生かされているかということを真剣に考えていこうという意図を持って取り進めておるところでございます。
  15. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大臣の意気込みというのは、私もいろいろと感ずるところがあるわけであります。しかし、大臣が一生懸命で取り組んでおられればおられるほど、やはり逆に心配の方もいろいろと私の方も多くなってくるわけであります。  と言いますのは今の一・五ヘクタール問題、これは議論をまたすれば随分いろいろとあるわけでありますけれども、それこそ大臣も言われましたように、立地条件によってあるいはその地域によって、西日本と極端に言えば北海道とかというような大きな地域的な差だとか、あるいは複合も二つくらいの複合しかできないところあるいはいろいろな形で複合がかなりうまく多角的にやれるところとか、いろいろ条件等、マーケットの位置だとかいろいろなことがみんな重なってまいります。  そういうことを考えてまいりますと、経営規模というのを私は、その中の稲作部門ということであっても単純に面積規模だけでは考えることができない。そういうものを持っていると思うものですから担い手と言ったときにも、担い手層のあり方というようなものについてはいろいろと細かい御検討をしておられると思うけれども、やはりそれがわかってもらえるようにいろいろと工夫をしていただかなければならない、こんなふうに思うわけであります。  しかも私は、そうした将来の農業我が国農業のあり方、その中における稲作の位置づけというようなもの、これを明確にしていただくということがこれによって、だからその中でこういうふうにしていきたい、こういうことがはっきりと示されていくということが非常に大事だと思うわけでありまして、それだけに、その前に価格政策でいろいろと調整を図っていくということは非常に危険があるのではないか、こういうことを私は心配するわけであります。  将来大きな規模拡大で、そしてまた消費者ニーズの要望しているようなそういうものに対応していこうとするならば、その方式がある程度めどが立ってくるまでの間、私はそれこそ常識的に考えれば据え置きしながら、その間で対策を立てていくというようなことが普通であれば常識なのではないだろうか、こんなふうに思うものですから、今回の引き下げについてはなかなか納得がし切れないというふうに申し上げているわけであります。  最後に、もう私の持ち時間がなくなって次に移らなきゃなりませんから、一言だけ申し上げておきます。  大臣が主体的に、いろいろと主観的にもう一生懸命対外折衝をやってまいられることはこれはわかります。しかし、そういう中で大臣になられてから、結局ガットの関係では八品目の自由化を受け入れなければならなかったし、また牛肉、オレンジも結局自由化をしなければならないということになりました。そして、今アメリカ側は米の自由化の要求というような形にまた発展をしようとしております。私どもは八品目のときに既に順番としてアメリカの路線がそうなっているということで随分心配をして申し上げましたけれども、結局そういうふうにずっと動いてきております。この流れをどうやって食いとめるかということが非常に大きな課題だと思うのでありますけれども、その辺のところを大臣はどういうふうにお考えになっているかをお聞かせいただいて私は終わりたいと思います。
  16. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 後段の部分の前に先ほど前段の部分で、私なりにおまえはやっておるけれどもなかなか理解し得ないよというお話がございましたが、原則的なことで毎回申し上げておるので、お聞きにもならなかったし私も言わなかったわけでございますけれども、米農政については自由化はやらないということは明言をしておるところでございますし、食管の根幹は堅持するということで、これはもう昭和十七年の法律であろうと、幾ら古くてもいいものは残していくのは当たり前でございますから、生産者のためにも消費者のためにも残していく。そして、乱高下のない形のひとつ安定供給体制を保っていく、この原則は、せっかくの機会でございますから改めて重ね重ね申し上げておきたいと、こう思います。  今たび重なる対外交渉、その中にあって表現としては非常にやわらかい表現ではございますけれども、恐らく譲りに譲って丸裸になった佐藤と、こうおっしゃりたいのかと、そこまで言うと私の言い過ぎかもしれませんが、私は、実はきのうも衆議院での農水で言われておるわけでございますから、きのうのことだから頭の中にありまして申しわけないのでございますが、言い過ぎかもしれませんけれども、私は対外交渉をやるについて特に牛・かん問題、またさきにあった十二品目問題、これらを通じまして外交交渉非常に機微に触れる問題が多うございますし、言葉は悪うございますが、駆け引きがあるかないかと言ったら実際ございます。そして歩み寄りがあるかないかと言ったら、歩み寄りをしなければ交渉にはなりません。  そういう中にあってぎりぎりの選択を、またぎりぎりの決断をするということになってきておるわけでございまして、それでも守るものはなお守らねばならぬということで守っておるのが、答えは外交交渉に関して言えば、外交交渉の結果と国内対策とあわせて、私はそれらの関係する牛肉であれあるいはかんきつであれ、この存立を守るということで今は国内対策に全力を挙げ、その最終的な詰めをやっておる最中にございます。  ある人はまた、国内対策もたもたしてないで、農林水産省はいつでも遅いと、早くやれとこういうおしかりを受けたこともございました。しかし、外交交渉が終わらないうちに私どもの国内対策を表に出すわけにはまいりません。いろんなことを、外交交渉の決着がこうなったらこうする、ああなったらああするという、いろんな考え方を想定しながら、そして具体的な詰めをやってきている。国内対策というものは当然事後になることは、これはまた言わずもがなのことでございますがお含みおきをいただきたい、こう思うわけでございます。たび重ねてその存立は守るということに全力を挙げておりますから、これは守ります。  それから、アメリカからの米、この自由化要請があると前に注意をしておったけれども、とうとうやってきたではないかという意味のお話がございました。これは、そういうことは断じて譲らないと言ってきた経緯にかんがみ私は、あらぬ発言がアメリカ側からあった場合には直ちにこれに反応を示し、そして外務当局に対しまして外交チャネルを通じまして調査をさせる。  そして、例示をすればヤイター代表の風圧発言あるいはリン農務長官の発言、一部報道ではございますけれども、国民に与えるインパクトは、生産者のみならず消費者にも与えるインパクトは大きゅうございますから、そういう意味でその都度対応をしてきたところでございまして、ヤイター発言につきましても、二国間交渉というものは米は、ヤイターがこの間日本に閣僚折衝として初めてアメリカが来ましたときに実は私に釈明をいたしました。リン農務長官発言についてヤイター代表自身が釈明をいたしました。マンスフィールド大使が同席をされまして同じように釈明をされました。その後の風圧発言につきましても、それは大変に騒がせて済まなかったと、釈明とおわびの連絡が参っております。  なおまた、外務大臣と私に対して閣議における発言であるその重みから手紙を発出いたしたい、こういうことも伝わってきておりますので、今後とも勝手な言動ありとするならば、これは主権国家として許すわけにはまいらぬ、このことだけは申し上げておきたいと思います。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 今稲村委員から牛肉、オレンジの問題について質問がありました。臨時国会が何か七月召集予定ということでまだ日にちは決まっておりませんが、臨時国会の中身が中身なものですから、この中で概算要求の段階までこういう委員会を開くことができるかどうかということは極めて難しいのじゃないかなというふうに思いますので、今この機会でなければ時間がありませんので、牛肉、オレンジの関係についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  大臣は、牛肉、オレンジの交渉に当たって口癖のように守るべきものは守り、譲るべきものは譲るということをおっしゃられて交渉に臨んでおられたわけでありますが、結果的には自由化ということになりました。農家の人たちは正直言って大臣が言われていた守るべきものは守る、譲るべきものは譲るというそれが一体何だったのかなというふうに思っているわけです。何か結果だけ見れば守るべきものも譲り、譲るべきものは譲るというような結果になったのではないかというふうに言う人もいるわけです。ですからこの辺、守るべきものは守る、譲るべきものは譲るという、その守るべきものは何であったのか、そこだけ――譲るべきものはもう譲ったからこれはいいんですけれども、守るべきものは一体何だ、どのようにお考えであったのか、そのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  18. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 前に、この場でも申し上げたことがあったかとも思うわけでございますけれども、中曽根初の訪米のときに、私も当時自由民主党の立場において随行をいたしました。アメリカ議会における議員との対話集会におきまして農産物問題が出まして、私から譲るものは譲れるが絶対譲れないものもあるんだ、守るべきは守るんだ、それはひとつ承知をしておいてくれ、どこの国でも同じだよとこういうことを言ってきて、私がそういう言葉をそれ以来ずっと言い続けてきておるわけでございます。今度の交渉に当たりまして全部譲りっ放しであったではないかと、一口に言えばそういう御指摘でございます。  昭和四十二年というともう二十年も前のことになりますが、ケネディ・ラウンド、これは関税問題が主体でございます。そのときからもう農産物の問題は始まるわけでございます。具体的には自由化、そして枠の問題ということで中川・ストラウス会談、これが六十三年でございますか、(「五十三年だ」と呼ぶ者あり)五十三年。今、不規則発言がありましたけれども、彼も随行したわけでありますから。ストラウス・中川会談に私どもも参りまして、そしてそれからもう十年、そういうことでことしの四月一日からはとにかく無協定状態になる。協定が切れる。しかし、四月一日からは完全自由化実施、そこから始まっているわけであります。  それで、こじれてこじれて話し合いがつかず、一月の竹下・レーガン会談によってとにかく話し合うべき問題である、テーブルをつくろうということで、ところが自由化しないんだったらテーブルはつくらない、四月一日からはもう自由化だと、こういうことでございますから、それはむちゃな話だということでそれをけったことも一つ、私は決してこれを威張るわけじゃございません。その点は向こうが譲っているわけでございますから。四月一日完全自由化はアメリカがあきらめたということは、どうせここでやっている私の発言は、ワシントンに三十分後にはすぐ活字になるんですからはっきり申し上げておきますが、そういうことでお互いが話し合った結果である、これだけを申し上げておきます。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 時間がございませんから、その点についてはこれ以上言いませんが、問題は自由化を決定したわけですから、国内対策なんですね。今説意やっているということなんですが、これからどのような手順でいつごろまでに国内対策についてお決めになるのか。いろいろ話が出ておるわけですが、今度七月召集予定の臨時国会でやるのかあるいは農林水産省のシーリングの枠外なのか、あるいは要求額に上限を設けない別枠予算を六十四年度の予算ではつけるだとか、いろんなことが言われているわけでありますけれども、そこのところがやはり早く見えないと関係者は非常に心配なわけですから、早くやっぱり見えるようにする、その責任が私はおありだと思うんですね。その辺のところはいかがですか。
  20. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) そのとおりでございます。国会が十一日からということがどのような話し合いになるのか、国会の議運マターで結論が出されることでございましょうから、私からはいつあるかということは申し上げられないわけでございます。しかし、一日も早く国内対策について、あるいは畜安法をどうしたらいいのであろうか、あるいは果樹振興法にまで及ぶものであろうか、立法府にお願いすべきものは何なのか、そのほかの具体的な施策、これは何なのかということで実は説意詰めを、先ほど申し上げるように行っているわけでございます。  しかし、問題は金がかかる。財政当局には相当な理解を仰がなきゃならぬということもあるわけでございまして、そのために政府・与党申し合わせで、まあ佐藤はしつこいと言われるぐらい外務大臣あるいは官房長官、通産大臣労働大臣、そして地方農政の関係もございますので自治大臣、全部署名をとって、そして財政的な問題等も含めながら私がとった措置についてその対策には一致協力をする。こういうことでちゃんとしてあるわけでございますから、私どもが詰めたその結果、国内対策として外交交渉の結果、あわせてとった施策が牛肉、かんきつの存立を守るという結果に必ずなるようにしますので、ひとつさよう御承知おきをいただきたいと思います。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 一日も早く、とにかく国内対策について詰めをして関係者にひとつ明らかにしていただきたい。  財政当局の話がいろいろと出ておりますが、六十二年度で自然増収いろんな関係やっても一兆九千億ぐらい何か浮くような決算状況だというようなことなどもあるわけですから、これだけ何というんですか、経済の上向きには貿易関係がかなり大きなウエートを占めている、そのいわば農業というのは犠牲になっているというのが一般的な考え方です。そこで税収が上がっているわけですから、その税収を痛めつけられている農業に振り向けるということは、これは当然あってしかるべきことだというふうに思いますので、上限を設けないでどんとひとつ予算をつけて国内対策をしっかりやってもらいたい、今こそ本当に足腰の強い農業をつくるために、大臣の特段の努力をお願い申し上げたいというふうに思います。  ある雑誌では、自分の所管の事項について一番詳しくわかっているのは宮澤大蔵大臣佐藤農林水産大臣だと二人の名前まで出ているわけで、それだけに力のある大臣だというふうに思いますので、国内対策だけはひとつしっかり農民が安心できるようにやっていただきたいというふうに思います。  時間もありませんから一つだけお尋ねをいたしますが、新算定方式ですね。この新算定方式は一年凍結とかあるいは先送りというようなことに昨日なったわけでありますけれども、これはいろんなことがあったとしても、来年からは何が何でもこの新方式でやるんだということであれば、私は非常に問題だというふうに思うんです。凍結ということであれば何というんですか、そのままの状態にしておく。しかし、その凍結したものが解けるまでの間に、これはちょっとうまくないものが入っているぞというようなことであれば、それは解かしても例えば使わないということだってあり得るわけです。やはり日本の、特に稲作農業にとっては将来的に大変な問題を含んでいるというふうに私は思います。  例えば担い手の問題にしてもあるいは小規模農家の問題なんかについても、本当にこの小委員会で論議されているような方向に行かないような状況になっていくのではないかということが非常に心配されるわけです。その辺をもっと、もちろん国会でもそうでありますが、いろんな関係者の間でも論議を深めて、大方が納得できるような方向を見出すという努力が私は必要だというふうに思うんです。  どこかで何かを決めた、その決めたことでやるからおまえたちは納得せい、そういうことだけではいかない日本の稲作農業の将来にとって大変な問題を持っているというふうに思いますので、その点この新算定方式の扱いといいますか、そういうことについて、ただ単に凍結とか先送りということだけを決めたようでありますけれども、そのことだけでは私はやっぱり問題が残るというふうに思うものですから、この機会に大臣のその点についてのお考えを聞いて、私の時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  22. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 一・五ヘクタールの問題でございますけれども、来年からは実施ということにいたしております。おりますが、しかし皆さんが言われる御趣旨もわかります。これは前段稲村委員に私がお答えしましたように、構造政策とあわせて価格政策をやっていくという観点からも、そうして担い手を育て上げていくという観点からも、私といたしましてはその一つの具体策としてこうした算定でもってあらゆる立場の方々がお集まりになっていただいて、相当時間をかけて審議をされた審議会の集約された意見というものをそんたくいたしつつ、なお改めてまた構造政策もこれから考えながら、そしてことしの米価を今晩決めることになりましょうか、あした決めることになりましょうか、いずれにしても、今審議をいただいているところでございます。  その際はやはり将来の展望、そういうことにつながる私の考え方米価決定のときには国民に申し上げながら、その中にあってのことしの米価であるという、私の取りまとめた考え方を私の談話として出さなければならぬなと考えておるところでございます。  なお、先ほどえらいお褒めをいただきましたけれども、私に力ありとするならば当委員会のおかげでございます。
  23. 本村和喜

    ○本村和喜君 大臣どうも連日御苦労さまでございます。  先ほど来より同僚議員から、もう米価の問題についてある程度の論議が尽くされたわけでございますが、違った観点から質問を二、三さしていただきたいと思います。  二月の農産物の十二品目問題、六月の牛・かんの問題等、大変内外の難しい問題、国際化、自由化の問題が押し寄せてきた中での今年度の米価の決定劇であったわけでございまして、私どもは生産者ともどもに、そういう国際化の非常に波の激しい中での米価の決定であるだけに、重大な関心と新たな決意を持っておったわけでございますが、決定が出ますと現行の据え置きはおろか四・六%の引き下げということに相なって大変落胆をいたしているわけでございます。  しかしながら、米価算定方式の先送りをいただいたわけでございますが、今の大臣の御答弁によりますと、六十四年からは新算定方式導入でやるのだという決意が述べられたところでございます。その新算定方式の導入についてでございますが、今日まで中核農家に対します生産対策あるいは構造政策も種々講じられてまいっているところであります。これが導入をされまして、今後短期間で、果たして中核農家に焦点を当てました米価決定が行えるほど抜本的な生産対策や構造政策が推進できるのかどうなのかという不安を私どもは持っているわけでございます。具体的な手だてについての御所見を承りたいと思います。  また、農道あるいは水利施設、区画整理の基盤整備にかかわる農家の負担というものが非常に多額に上っておることはもう御承知のとおりでございますが、米価引き下げられますと稲作農家がますます経営が苦しくなるのではないか、また基盤整備に伴う農家負担の対策を具体的にどのように進めていかれるお気持ちであられるのか、さらに米価引き下げられるのであればそのコストの引き下げが先決であるわけでございまして、コストの中でも大きな比重を占める農業資材の価格引き下げ、節減対策を具体的にどのように進めていかれるお考えであるのか、その点もお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 何点か御質問でございますが、新しい算定方式というものを来年からやるということ、さらに今度の引き下げ諮問ということについては厳しい状況の中で、さらに厳しい選択を意識しながら私も諮問をいたしました。しかし、それだけに先行きについて責任を持たなければならぬと、かように心得ておるところでございます。米は自由化しないそして食管の根幹は堅持する、こういうことで安定的な供給体制を図っていくという観点からも責任は私どもにあるわけでございますので、そういうことで努力をしてまいりたい、こう思っております。  コストの引き下げということについては、先ほども一・五ヘクタール、〇・五ヘクタールの農業者が三人集まれば、そして集団化してくだされば従来の集団化の、かたくななと言うとちょっと言い方がなんでございますけれども、もっとさらっとしたやり方で簡単にという意味でございますが、そういうことでひとつ営農集団ができ上がるあるいは組織集団ができ上がるということをどんどん進めていくことによって、コストの低減ということはぜひとも図っていかなければならない。そのコストの低減は、農家の懐に入るお金というものがやはり歩どまるという、その歩どまりには影響しない、影響しないどころか少しずつはよくなるという目標を持ってやらなければならぬと、こういうふうに思っておるわけでございます。  その他、農家負担の問題について、基幹的な水路あるいは農道、道路、そういうものについての土地改良事業に関連をしての負担問題というのは従来ともこの委員会質疑が繰り返されてきたところでございます。  極端なことをおっしゃる方はただにせよという御意見も実はちょうだいをいたしております。しかし、ただにするわけにはいかぬけれども、やはり工夫はしていかなければならぬ。なぜかといえば農村社会におきましても混住社会でございまして、従来の農業の用排水という問題が下水道、都市下水道とのかかわり合いにおいて一体その負担はどうなのかという、そういう問題もございます。例示をすればいろいろあるわけでございますが、そういうことを頭に置きながら、ひとつその地域社会全体としてどうなるかということで、そこらにまいりますといわゆる縦割り行政ではなくて横の連絡をとりながら進めてまいりたい、こう思っております。  残余の問題は事務当局から答えさせます。
  25. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 生産資材費の削減の問題につきまして、私からお答え申し上げます。  稲作コストの低減という点から、資材費の節減が非常に重要な課題であることは御指摘のとおりでございます。私どもこの問題につきましては、生産、利用、流通の各面におきましての合理化に努めていく必要があるというふうに考えております。  機械の問題につきましては、何よりも利用面での効率の改善ということが必要でございますので、生産の組織化あるいは農業機械銀行方式にもいろいろ昨年の御論議を踏まえてことしから改善を加えてまいっております。また、肥料とか農薬につきましては土壌条件なりあるいはきめ細かい病害虫の発生予察、こういうものに応じましてむだのない使用をしていくというような利用面での改善が一方であるというふうに思っておるわけでございます。  また、資材の供給価格なり流通の問題につきまして、これは御承知のとおり、全農と製造業者との価格交渉がベースになりまして流通価格が形成をされているという状況にあるわけでございます。私ども、メーカー段階につきましては関係省庁の御協力もいただきながらできる限りの合理化をやっていただく、また機械等については、むだな附属品を省いたシンプルな機械の開発ということにも力を入れていただくというようなことをお願いしてまいっておるわけでございますが、流通段階を通じまして競争条件を整備していく。また、海外に安いものがあるという場合には、一部の肥料等につきましては輸入がふえてきておるということも御承知のとおりでございますが、そういったものの活用ということも当然競争条件の整備という中には入ってまいろうかというふうに思っております。  そういった各面の努力を総合いたしまして、生産資材費の低減に今後とも努力をしてまいる必要があるというふうに考えておるところでございます。
  26. 松山光治

    説明員(松山光治君) 土地改良の実施に伴います農家負担の問題、基本的な点については大臣から今お答えがあったところでございますが、私から事務的に若干の補足をさしていただきたいと思います。  物価の問題あるいは整備水準の問題等、そういう状況の中で事業費の増高ということがあります。他方、昨今の農業をめぐる厳しい状況がある。そういう中で土地改良の負担をめぐりまして現場でいろいろと御苦労をいただいておる、そういうことにつきまして私どもも事態を厳しく受けとめておるところでございます。  基盤整備は非常に重要な仕事でございますので、これを円滑に進めていくことが重要な課題であるわけでございますが、私どもといたしましては、事業の実行に当たりましてできるだけ事業費が安上がりで済むような工夫をいろいろとしていくことがまずあろうかと思っております。  こういう観点から、やはりどの程度の整備を行えばどれくらいの費用がかかるか、そういうのを複数の事例で示しながら、それぞれの関係の方にこれだけの費用をかけて、これだけのものをやるんだというようないわば選択をしていただくといったような方法をとりたいということで、既にそれに着手しておるわけであります。また、同じ工事にいたしましてもできるだけ経済的な工法を工夫する。もちろん私どもの予算の配分におきましても工期が長くなるということが負担の増加につながってございますので、できるだけ重点的な予算の配分を行いまして工期の短縮に努めるといったようなことを軸に現在進めておるわけであります。  幸い、六十三年度の予算配分の後の結果を見ますと、工期も二年程度縮小になっている形をとっておりますし、それから事業費の点でも若干ではございますけれども、これまで増加しておりましたのがむしろ減少するというふうな成果も得ております。そういうことを踏まえて、これからもできるだけ負担が少なくて済むような事業を的確に進める、こういうことでやっていきたいと思っております。  それから、既に事業が完了いたしまして償還に入っておる地区の負担の軽減の問題、重要な課題であるわけでございますが、既に高率の助成を行いました上での問題でもございますので、なかなか制約のある話でもございます。私どもとしてはやはり地区の実態に応じてやっていけるようにということで、これまでも計画償還の問題でありますとかあるいは負担金の償還を円滑にするための対策をことしから新たに入れたわけでございますが、今までの工夫をできるだけ生かすような方向でこれからも考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 本村和喜

    ○本村和喜君 今工期の短縮の問題が出ましたが、ぜひ工期の短縮には重点を置いていただきたいと思います。物価上昇に合わせて工期が長くなればなるほど負担増がまいっているわけでございまして、私どもの福岡県でも例がございますので、その点も踏まえて今後工期の短縮にひとつ鋭意努力をいただきたいと思います。  それと、担い手を本格的に育成していくため中期的に見た作付面積価格、需給見通し等を多少具体的に農家に示してやるべきではないかという考え方を、私持論として持っておるわけでございますが、その点についてのひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 中期的な目標値の設定というのはなかなか難しい問題であると思っております。しかし、何か一つやはり考えなければならぬ、こう心得ております。生産者に経営の目標を示す、また構造政策あるいは生産対策を推進するとともに、価格政策の運用方法を明らかにするためにも何がしかのひとつ中期的な、例えば目標生産費、目標価格というようなものが、何がしかの形であることが望ましいなと私は考えております。  ただ、生産費は、これは毎年決定すべき価格とどのように関連づける必要があるかということも問題が多うございますし、すぐさま目標値を設定するということは非常に困難ではありますけれども、さきの米価算定委員会報告、その中にもありますように、目標生産費をいわばガイドラインとして設定することが適当ではないか、こういう考え方も持てるわけでございますから、そういう意味でガイドラインぐらいはどう示すことができるか、これは重要な問題である、こう思います。そういう意味で検討してまいりたい、こう思っております。どんなふうになるかということをまだお聞きになっておりませんけれども、そこまで言われてもちょっと答えられませんのであしからず。検討は即刻しなければならぬ、かように思っております。
  29. 本村和喜

    ○本村和喜君 四十年代に第一次の供給過剰問題が出まして、五十年代、今度は第三次過剰供給問題で悩んでおられるわけでございますが、やはりこの問題の解決は消費の拡大であると思っております。我が国の食文化の見直しという点、たびたび私どもお聞きをいたしているわけでございますが、今の消費拡大の国民に対する運動の展開といいますか、どのような運動を具体的にやられていくのか、その点についてお尋ねをいたします。
  30. 近長武治

    説明員近長武治君) 消費拡大の問題はいろんなことを考えながら進めていかなければならないと思いますが、特に米の問題について申し上げますと、やはり基本はそれぞれの家庭で食べる御飯の消費量というところになると思います。最近は、米についてのかつてのようにいわれのない考えというのは大分払拭されてきております。おかげさまで日本型食生活というような考え方も日本の国民各層の中でだんだん定着してきておりますので、こういうような考え方がさらに幅広く定着していくように進めていくということが一つであろうかと思います。  それから、もう一つは学校給食でございます。学童期におきます食体験というのがそれからの食生活に大変大きな影響を及ぼすというふうに考えられますので、文部省の方と十分に連携をとりながら今米飯給食を進めておりますが、おかげさまで大体九八%程度の普及率になっております。週におきます実施回数も年々ふえてきておりますが、大都市等では学校におきます米飯給食がまだいま一歩というところでございますので、そういう点に力を入れていかなければいけない。  さらに本年、米需給均衡化緊急対策の中では、消費純増策ということについて農業団体等も中心になって取り組んでいくということでございまして、各地域におきましてそれぞれの地域の創意工夫を生かしました取り組みが今進んできております。こういうような体験を基礎にしながらますます幅広い活動が展開されるようにというようなふうに思っております。  さらに、米につきましては、単に御飯の形で食べるだけでなくて加工食品ということも大変大事でございますので、米についての新しい加工食品について業界でもいろんなアイデアがあるようでございますので、そういうアイデアを促進するようにということで、例えば新加工食品を開発するためにテスト用のお米が必要であるという場合には、食糧庁の方から、一定の条件に合致する場合には無償で提供するというようなことも進めております。そういうようなことを進めながら、米消費拡大について幅広い活動あるいは幅広い運動が展開できるようにというふうに考えております。
  31. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 俗な言い方で率直に申し上げておきたいと思いますけれども、消費拡大については、今食糧庁次長から申し上げましたように、いろいろ苦労をしておるわけでございます。関係者にもいろいろ知恵を出してもらったり、やっておるわけでございますけれども、日本型食生活、これが国際的に評価をされる中で、ある人は調味料ではしょうゆだよあるいはたんぱく源としては魚だよという人もおります。  しかし、何といっても米、これがもう少し理解されないかな、それじゃそういうおまえのところはどうなのか、こう問われると実を申し上げますと、農村地帯において極めて残念なことでございますが、統計上、農村部における落ち込みが都市部における落ち込みよりも高いということなんでございます。そういう意味におきましては、私も生産消費両者の立場に立つとは言いながら、私も生産者対策には相当な関心、執念を持っている一人でございますので、消費拡大についてはひとついろんな角度から努力をしてまいりたい、決意だけを付言いたしておきます。
  32. 本村和喜

    ○本村和喜君 先ほど次長からの答弁の中で、食体験、幼児のころからの食体験ということに重点を置いての御答弁がございました。私どもも同感でございまして、今後とも学校給食を通しまして幼時の食体験を完全実施に持っていっていただきたいことを要望しておきます。  最後になりますが、先ほど米の自由化の問題等についての御質問なり大臣の答弁があったわけでございますが、ヤイター代表、依然として米の自由化を求めるというようなことが新聞にちらほらと出ているわけでございます。せんだっての新聞の世論調査によりましても、米の自由化については六割以上が反対であるということ、米の聖域論といいますか、そういう世論調査の結果も出ているわけでございまして、まさに日本農業というのは日本の文化であるわけでございますので、その観点に立って今後ともひとつ大臣に御精励をいただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  33. 刈田貞子

    刈田貞子君 大臣質問さしていただきます。  私は、先ほど稲村委員の方からもお話がありましたけれども、本年の生産者米価決定に当たって、大臣がどんな基本姿勢で臨まれたのかということをやっぱり伺わなければならないというふうに思います。  そこで、新算定方式は一年凍結したということにはなっておるわけですけれども、一年後には必ずこれをやるということに決定をした、逆を言えばそういうことになるわけでございます。したがいまして、農民の側からは、それならばせめてことしは据え置きであってほしかったということも声として出ております。だけれどもことしも四・六引き下げ、来年から一・五ヘクタール以上でなければカウントされていかないような新算定方式が実際に適用されて、これを基本的には将来的に五ヘクタールまで規模を高めていきたいんだ、三年をタームとしてやっていく、こういうふうなお話もありますと、これは基本的に四年連続引き下げの道を開いたのではないかというようなことさえ、きょうの新聞では論評されております。  前広のときに、ことしの米価算定の仕方についての六通りの試算が出ておりますね。六通りの試算の中では引き上げ一二%から引き下げ一三%まで、その幅たるや物すごくあるわけです。まさにこの選択をどれをやっていくかというのがことしの一つの行政政策、政策の基本の精神だというように私は思つたわけです。一体、大臣最初引き下げありきという立場で臨まれておるのではないというふうに私は思いますけれども、まず、その基本的な考え方、さっき稲村委員に御説明なさったのを一生懸命聞いていましたが、意気込みはわかるんだけれども、基本的姿勢が私にはまだのみ込めませんでしたので、改めて伺います。
  34. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 数字にわたる点も御説明しなければならぬと思いますが、それは食糧庁の次長に答えさせます。補足をさせたいと思います。  私は、まず米というものは極めて重要なものであるということは毎々申し上げておるとおりでございまして、これが自由化はしない、そして食管の根幹は堅持をする、こういう中にあって、しかし米国との間にいろんな話が従来とも出てまいりました。いろんな発言等がございましたけれども、二国間で扱われることはないと私は信じておる。ウルグアイ・ラウンドでは米だけではなくてあらゆる国々があらゆる農産物、あらゆる制度、これを俎上に上らせて、そしてニューラウンドの結論を出そう、中間レビューはこの十二月にやろうと、こういうことでございますから、米は今度ウルグアイ・ラウンドと書く人もおりますけれども、米に限らずいろんな国がいろんな農産物を制度も含めて俎上に上らせるというのはもう去年来言われておることでございます。  そういうことを頭に置いて昨年末、ウルグアイ・ラウンドに対する我が国の方針というものを提案したことも既に御承知のとおりでございます。  さて、本年の生産者米価決定に臨む基本的な考え方というものもなかなかわかりにくい、こういうお話でございますが、内外の諸情勢を見ますと、今ウルグアイ・ラウンドのことでも触れましたように、やはり生産性の高い稲作担い手を広範に育成していかなければならぬ。そして、我が国稲作というものは国存する限り続くわけでございますから、そういう意味において発展を図っていかなければならぬ。同時に、四十年代の第一次、五十年度の第二次過剰時代、その経験に徴して、今度はまた三度目の過剰ということになったのでは、需給バランスということを常に頭の中に置かなければならぬのは当然でございまして、そういう事態に対して的確に対応することが必要だぞと、こういうことも考えておるわけでございます。  また、本年産生産者米価それ自体については小委員会で、先ほどもその経緯を申し上げました。何かこう日本たたき農業たたき、その中に米まで佐藤たたくのかと、こういう御意見もあろうかと思いますけれども、昨年来の経緯があると、去年の米価決定以来の経緯があるということもひとつぜひ御理解を賜りたい。しかし、もっとわかりやすくするためには若干の時間が必要だと、こういうことでございます。そういう意味におきまして、私ども内輪の関係者が集まりまして、そして六十四年度から実施ということで、その間に本米審の前に行われた二日間の米審の意見等も頭の中に入れながら、諮問をするに際しましてはあのような決定に至ったということをひとつぜひ御理解をいただきたい。  また、政府・与党重大な責任がございます。そこで一つの確認事項が明示をされ、そしてそれを確認し合ったわけでございますけれども、その確認事項について農業団体もそれに合意をしていただいたという経緯もございます。  しかし、いずれにしてもその最大の責任は、また決定は私自身がやらなければならぬことでございますので、きのうの衆議院、きょうの参議院、皆さんの御意見もお聞きしながら、そしてこの場が終わりますれば、私直ちに米価審議会に戻りまして御意見を拝聴しながら答申をいただき、そしてその上で、私は決定をしなければならぬと、こういうことでございます。
  35. 近長武治

    説明員近長武治君) 米価審議会委員要求によりまして、食糧庁の方から幾つかの数値を提出しております。  米価算定基本的には対象農家をどういうふうにとっていくかという、それから算定に当たっての各要素について評価がえをしなければいけない要素がございますので、それをどういうふうにとるかということでございまして、補足的に御説明申し上げますと提出いたしました趣旨は、あるいは各委員の御要求の趣旨は具体的に、例えばどういうふうな要素をとればどんなような感じになっていくのか。それから経過措置というような問題が今回の算定方式のときもございましたので、そういうようなことを恐らく念頭に置いた御議論をされるという際の参考の資料ということだと思います。私たちこの算定は概算で出しておりますので、諮問値のようにきちんとした計算ではなくて、かなりラフな概算で出しているということだけ補足的に申し上げさしていただきたいと思います。
  36. 刈田貞子

    刈田貞子君 おっしゃることはよくわかるし、大臣が一生懸命になっておられるのはよくわかるんです。大変なときの御苦労をしょい込まれた大臣だなと私は本当に思っておりまして、一生懸命やっていただいていることに感謝はいたしておりますが、現実問題としてそのツケがどうしても生産現場に行かざるを得ないということに、私たちは大変同じ立場で苦慮しているわけです。責めているんじゃないんですよ、大臣。  それで、今言われたのを聞いていますと生産者米価決定に当たっては、今できているところのこの大幅な需給ギャップが大きなそのバックにある、背景にあるということ。それからもう一つは、海外からのいろいろな諸般の情勢ですね、こういうものがある。この二つが背景にあると思うんです。だけれども、具体的に言えば、これは生産者自身の問題じゃないんですよ、本当は、私はそう言いたい。だけれども、少なくとも生産者はその現場にいるためにそれをしょい込まざるを得ないという立場に立たされているんだと、こういうふうに理解しなきゃいけない。  いろいろな緩和措置のようなものも考えていかなければならないわけですけれども、特に今言われた需給事情を勘案するということになりますと、これに対しては生産者は自分たちでその米を生産しながら、しかし水田農業確立対策第一年、初年度では減反を目標値を上回って協力しましたよ、よく御存じのところです。それからさらには自主調整保管、これも自分たちで拠出金を出して、そして六十一、六十二それから六十三年度分やると二百二十億でしょう。みんな自分たちで拠出して自主調整保管に協力しておる。生産団体でもやっぱりこのぐらい痛み分けをしながらやっているんです。  さらに、それなのになおかつそのツケを、その米価決定にさらに短期的にこの需給ギャップがあることは私もよくわかるんです。第三次の過剰という、こういう問題があるものだから、さらにそれを農民にしょってもらわなきゃいけないというこの考え方に対しては非常に問題があるんじゃなかろうかなと、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
  37. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 価格政策だけではなくて構造政策も必要だ、両方あわせてどうやっていくか、稲作は何としても守り育てていかねばならぬ、そこに担い手の問題もあるということで生産調整というものをずっと続けながら、そして御協力をいただき、特に思わざる過剰な事態に緊急対策として、緊急措置としてまた減反をお願いする、それも協力してくださっておられる。本当に汗をかいてくださっておる生産者のことを考えますと頭の下がる思いでございます。  そういう皆さんが将来とも日本の国民の主食を守っていくために、安定供給をしていくためにどう足腰を強くしていくか。そのためには懐に入るお金の歩どまりが減るのではうまくないぞ、そういうことも考えながらいろんな工夫をしてお互い汗をかいていかなければならない。特に、政府米、自主流通米、この二つを合わせてそして米の安定供給体制を図っていこうという、そういう中にあって自流制度について相当なまた農家にあるいは農業団体に、あるいは今度は流通改善の中で卸の方々にもいろいろ御無理をお願いいたしておる。そういうことでお互いに汗をかきながら、消費のないところに生産はないという原則を頭に置きながらもできるだけ、じゃ、どうやっていくかということになりますと、今私どもが考えておるやり方というものが将来に向けても必要ではないか。そのためにぜひひとつ御理解をいただきたいものだ。  それは役所の机の上だけで考えたのではだめだ。審議会というものに対する批判は、私も実はこの肩書になる前に批判をしたこともございました。しかし、米価審議会ぐらい熱心な権威のある審議会はないと思っております。それだけにこのたびの諮問につきましても、私は米審の委員の方々から大変なおしかりもいただいておる。まあしかられない前に、きのう諮問をするときは深く心からおわびも申し上げながら諮問を申し上げた、こういういきさつにございまして、どうかひとつそういう意味における長きにわたるこれから行く先のことも考えながら、そしてことしの米価というものがあるんだということに御理解をいただきたい。  その結論は今晩になるかあしたになるか、それは私自身が出さなければならない。そのときには私の談話はやはり今までにない形で、将来に向けてそしてこのたびがあったのだということで、ひとつそれが本当に生産者にも消費者にも理解をしていただけるような、国民全体に理解をいただける米政策を感じとっていただけるような談話を発表したいものだ。しかし、それは段々の御議論をいただいてからのことである、米審の答申をいただいてからのことである、こう申し上げておるわけでございます。
  38. 刈田貞子

    刈田貞子君 申し上げたいことがいっぱいあるんですけれども、私時間ないものだからちょっと大臣に。  これは、日本の優秀なる農林水産省広報室がつくられたなかなか消費者に理解してもらえない農業、比較的頭のかたい農林水産省が漫画でようやったと私も言いたいところなんです。ナウないいのができたと思う。  ところが、この「まんが日本農業入門――はじめまして明希子です!」という本でございますが、この本の中で大臣、私一ついただけないせりふがあるんです。おばあさんの言葉をかりてこういうせりふがある。日本の専業農家は食っていけない、日本の専業農家は食べていけないなんてことが起こってんじゃねえか、こういうせりふがあるわけです。そうすると、農林水産省は専業農家――今専業農家という言葉が何か出てこないんです。先ほどから聞いていますと担い手農家、中核農家でなぜか専業農家という言葉が出ませんね。私は、兼業という言葉があるのなら対語としては専業だと思うんです。だけど、今専業農家という言葉が出てないけれども、これは少し古いのかな、専業農家が食っていけないということが起こるんじゃと。これは農林水産省の基本的認識なんです。私、これはまずいと思います。  これで、現状認識をしてもらうための漫画を私は、消費者の間を回って説明しているんです。農水省さんに相かわってやっているんですけれども、これはよくわかるんです、農業のプロセスが。いいんです。だけど、箇所箇所にちょっとひっかかるものがあるんです。特に今のここのところ、なぜ専業農家、そうしたら主役の明希子ちゃんいわく、日本のみんなの食べ物をつくってくれている人たちが食えないということはおかしいねと。これは都会の明希子ちゃんですけれども、そう言っているわけ。いい場面をつくっているんだけれども、私は専業農家が食べられないという認識を基本にこういうのをつくるというのはまずいと思う。  今度お願いしたいのは、先ほど来同僚の委員の方からも出たように、今ガイドラインと言われた。ガイドラインじゃなく、本当の基本構想というものを早く立てなきゃだめです。これからの農業の絵を早くかかなきゃだめです、それがないからみんなが不安に思っているんですから。絵を早くかくこと、そしてそれをこれでつくって、またもう一度パートツーを消費者の間に、国民の間に出して新たなる御理解をいただく。そして、これはもう過去の本にしちゃう。こういうことにしませんと、食っていけない専業農家ベースにつくった入門というのは、私は余りよくないんじゃないかと思うんです。大臣、熱心に読まないかもしれないけれども、私は相当赤線を引っ張ってあります。御感想を。
  39. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 実は、私自身前々から、政治も行政もわかりやすくなければ国民に満足を与えることはできない、あらゆる政治活動の部分でそういう言い方をしてまいりました。農林省で十七年前、農林政務次官やったときもそういう意味のことを私は随所に言っておりました。テレビでもそういうことを当時言ったことを覚えております。このたび、私が就任いたしましてからも、私程度が平均だというとちょっと思い上がった言い方になるかしれませんけれども、ここにいるお役人の皆さんよりは相当学問的にもおくれている方かもしれません。しかし、国民多数の実感として受けとめられるようなことに頭を切りかえていってくれ、学問的に論争するときは論争する。しかし、一般国民にわかりやすいように、おれがまずわからぬのだからおれに教えるつもりでやってくれ。こういうことでそういう意味では、私も答弁はなるべくわかりやすくということで時々品のないことを言ったりして恐縮に思っておりますが、俗な言い方をして恐縮だと思っておりますが、そういうつもりでおるわけでございます。  その漫画も私見ております。見ておりますけれども、全体のトーンからすると、まあよくぞ農水省も頭を切りかえつつあるな、それは感じてもらえるのではないか、しかしスポット的に抜き出すと今おっしゃるように……
  40. 刈田貞子

    刈田貞子君 整合性がない。
  41. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 整合性かないと言われると、全体を見ると整合性はあるんじゃないかなと。しかし、現実私より程度の高いあなたがそうおっしゃるのでありますから。  パートツーと今おっしゃいましたが、やはり毎年少なくとも一冊ぐらいは漫画で、ただ割合年配の方に言わせると、おまえ今度農林省は漫画を出したそうだけれども、漫画で茶化すのか、こうして怒る方もおられるわけであります。そうではございません。私がわかりやすくやれやれと言っているものですから、お気にさわったらごめんなさい、こう言っているんです。私はわかりやすく行政を進めるという意味で、今委員おっしゃる意味はよく理解できますので、さらにパートツー、パートスリーに向けて努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
  42. 諫山博

    ○諫山博君 竹下内閣が誕生してまだわずかな期間しか過ぎていません。通常国会が一回行われただけです。しかし、この短い期間での実績を見ていると、農産物十品目の自由化、それに続いて牛肉、オレンジの自由化、さらに生産者米価の大幅な切り下げ、私は、竹下内閣は日本の農業に壊滅的な打撃を与えた政府として名を残すのではなかろうかと思っております。  牛肉、オレンジの自由化問題についてアメリカでさまざまな報道がされています。日本は圧力をかければ折れるという、いわゆる風圧発言もその一つです。それと別に、六月二十六日のAP通信の記事に次のようなことが報道されています。通信を送ったのはファームライター、農業記者であるケンダル・ドンという人です。  「ごく最近、強い腕力を使って日本との新農業協定に到達した〔日本と新農業協定を達成したが、これは力づくて行われた〕」。これは記者の表現です。さらに記者の表現で、「ビクトリー イン トーキョー」、「東京での凱歌」という表現が使われています。そして交渉の中で、日本の指導者の姿勢には「ファンダメンタルチェンジ」、基本的な変化が起こった、合意に到ろうという新しい意思を示した。日本政府の役人の間で、突然物事がわかり始め、また考えが進んだりしてきた。これは農業貿易開放を求める強い米国の圧力によるものである。こういう表現です。  この圧力の中身についてヤイター氏の発言が紹介されています。  ヤイターいわく、私の見るところ、圧力には二つの源泉がある。その一つは世界じゅうの市場開放を求める攻勢的な要求だ、もう一つは貿易紛争をガットに持ち込んで解決しようという米国の決定だ。この二つの圧力によって日本政府の姿勢に「ファンダメンタルチェンジ」が起こった、こういう言い方です。しかも、日本は十二品目の輸入制限を緩和すべきであると決定を下した。この勝利によって、米国は牛肉及びかんきつ制限の救済を求めて再びガットに行く準備をしているという通知を日本にした。こういう圧力で日本政府はアメリカの要求を認め、アメリカから見れば、これは「東京での凱歌」であるという言い方をしております。これは六月二十六日のAP通信です。資料は国会図書館にあります。  日本は風圧をかければ幾らでも折れる、これはマスコミでも問題になりましたけれども、この発言が行われたとされているのは六月二十九日です。これは佐藤農水大臣の求めに応じてそういう発言の真否が確かめられたと聞いています。そのときに駐米大使を通じての回答は、ヤイターは風圧発言をしたことはない、しかし講演会場で配付されたテキストの原稿にはその言葉が書いてあったというふうに私たちは承知していますけれども、そのとおりでしょうか。
  43. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 今委員おっしゃる後段の部分は、既に私が我が省の農政クラブにおいて記者会見で解説をいたしております。それは報道として流れております。御承知おきをいただいておるものと理解をいたしております。  前段の部分については、竹下内閣発足後短期間でと言いますが、私自身の感じを言わせてもらえば、振り返ってみればあっと言う間に過ぎたようであるが、もう十一月六日からきょうは七月も過ぎているわけでございますから、随分何か長い感じもするなと私は思っております。総理自身がどういう感想を持っておられるか総理でなけりゃわかりませんが、私は今日までの間に日本農業が壊滅するに至ったというふうに受け取られるような御発言がありましたが、私は、私のやってきたことに責任を持たねばなりません。日本共産党がどのような表現で言われようとも、御意見は御意見として承りますが、私は全責任を持ち具体的な対応を進めている、こういうことをお答え申し上げておきます。
  44. 諫山博

    ○諫山博君 ガット十品目の自由化を受諾したときに、私たちは今からでも遅くない、これは拒否すべきである、そうでなければ次に控えている牛肉、オレンジでまともな交渉はできないのではないかと言いましたけれども、残念ながらそうなりませんでした。  ところが、AP通信はまさにそういう表現をしているわけです。十二品目の輸入制限を緩和した、これはアメリカから見れば勝利だと。この勝利に基づいて牛肉、オレンジの交渉に入ったというのがAP通信の評価です。  そこでお聞きしたいんですけれども、牛肉、オレンジの交渉でアメリカ側はどういう内容の譲歩をしたのでしょうか。
  45. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほど来お答えをいたしておりますように、長い歴史的経緯がございます。それはここで繰り返しません。しかし、少なくともその経緯の中で、最近時点を申し上げれば、ことしの四月一日から完全自由化実施、こういうことで去年来思い込んでおるアメリカに対しまして完全自由化四月一日ということは、これはアメリカの譲歩であると理解するしないはあなたの御自由でございます。  私は先ほども、このことについて、決して威張って言うわけじゃございませんが、ただただ一枚ずつはがれていったわけではない、こう申し上げておるのであります。  なおまた、この場であなたともやりとりをしたことがございますけれども、私は日本の主権は守る、いろんな今日までの間に私がここで答弁すべきことではないと思いますけれども、米ソの覇権という問題についていろいろ議論がされてきたこともお互いが承知のところでございます。そういう中にあって、日米農産物交渉において覇権主義がそれに適用される、覇権主義が土台となってやってくるとするならば、それは友好国ではないと私は思っております。しかし結果は、友好国としては依然としてあるという認識でございますことを申し上げておきたいと思います。
  46. 諫山博

    ○諫山博君 私は、AP通信の記事を紹介しましたけれども、アメリカ側では我々の勝利だ、「ビクトリー イン トーキョー」という表現を使っている。これは明らかに日本を屈服させたという言い方なんですね。牛肉、オレンジについていうと、アメリカは四月一日実施と言っていたのを実施期間を猶予させたということがアメリカ側のただ一つの譲歩のようですけれども、それに比べたら日本の譲歩というのは大き過ぎたと思います。  大臣は、輸入の自由化は困難だと言われました。しかし、自由化は認めております。輸入課徴金をかけて幾らか輸入を規制したいと努力されたようですけれども、輸入課徴金もアメリカの反対によって通らなかった。国の主権に属する関税の税率についてまでアメリカがいろいろ注文をつけた。そういう点から見ると私は友好国という言葉を使われていますけれども、まさに世間で言っているように、アメリカは日本を五十一番目の州と見ているあるいは植民地、属国並みに扱ってきているのではないかという感がしてしようがありません。そして、その中で米の自由化という問題さえちらほら提起しつつあるというのが現状だろうと思います。  そこで、米の問題に移りますけれども、一年後、三年後、五年後の米作農家について農水省はどういう予測をしておられるのでしょうか。例えば米をつくる農家の数はどのようにふえていくのか、減っていくのか。米を所得の中心とすることができるような専業米作農家といいますか、こういう人たちのこれからの変動はどうなっていくと見ておられるのか、お聞きしたいと思います。
  47. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 後段の方は事務局から答えさせます。  前段で厳しい御発言もありますが、そこまでおっしゃるならば、私も自分が責任を持ってやった交渉を決して誇大に威張って言うわけじゃございませんが、長きにわたる経緯の中で主権国家としての立場は何としても守りたい、こういうことで閣僚折衝は初めて日本で行われた。今までは日本から行ってやっておる。高級事務レベルは交互にやっておった。閣僚は必ずアメリカのワシントンでの交渉に日本が出かけていく、初めて日本に来た。それぐらいは日本共産党であっても評価をしていただきたいと率直に申し上げておきます。  後段は食糧庁次長に答えさせますが、アメリカの報道を引用してのお話しでございます。いろんな報道、自由の中でございます。私自身も日本のある週刊誌では、英語をしゃべれない佐藤隆、そのとおりでございます。その次がいけない、標準語もしゃべれない佐藤隆、こういうことを言われまして、そう言われてみれば東京弁ではないかもしれないけれども、日本人には通用する言葉であると心得ておりまして、しかしそんなことは言うまでもない。報道は報道の自由がございますから、それを国家権力によって抑えつけるような日本ではないということも考えればそう腹を立ててもいけないなと、こう思っております。
  48. 近長武治

    説明員近長武治君) これからの日本の稲作像ということでございますが、御案内のように、現在日本の稲作というのは他の作物に比べますと大変規模拡大のおくれている分野でございます。特に全体の中でいいますと、ちょうど高度経済成長の時期に、農業者として中心になっておられた方がだんだん農業の主場面からリタイアしていく、こういう時期を迎えておりますので、だんだん高齢化が進んでいます。  ただ、その中で徐々にではございますが、個別経営の面あるいは生産組織の面で規模拡大あるいは生産の組織化が進行していくということは事実でございまして、最近の特徴では大体一・五へクタール未満層減少してきており一・五ヘクタール以上層で増加している、こういうような流れでございますから、これから先生御指摘のように三年後、五年後どういう姿になっているか、当面は今進行している姿が年齢の高齢化とかあるいは構造の変化ということで大体三年後、五年後というのは現在の姿がもう少し進んだ状態になっていくというふうに見られるわけでございます。  ただ、稲作をめぐる状況、もう一つ大変難しい問題は需給問題でございます。需給の不均衡というのは大変大きくなってきているわけでございます。そういう点からいたしますと、現在私たち、長期見通しというのは昭和六十五年度を目標年次とするものを持っているわけでございますが、そろそろこの長期見通しの見直しをしなければいけないということでございます。その際には、やはり稲作だけでなくて他の作物も含めた長期見通しということでございますので、新しい見通しをできるだけ早期に策定しなければならない、そのために農政審議会の中の企画部会に需給専門の委員会を設けまして今策定作業に着手したと、こういうような状況でございますので、こういう中での検討を通じながら需給面、それから当然のことながら今後におきます稲作も含めた農家像というものを明らかにしていかなければいけない、かように考えております。
  49. 諫山博

    ○諫山博君 私が質問すると、農水大臣は大変戦闘的になられるようですけれども、私は農水大臣だけを非難しているんじゃないんです。私がむしろ反省を求めたいと思っているのは自民党・竹下内閣です。竹下内閣の基本的な姿勢が今のような状態をつくり出している、さらにそれをさかのぼれば日米安保条約がある、私はそういう観点意見を述べているわけです。  さらに申し上げますと、これから米作農業がどうなっていくのかについて食糧庁の方から説明がありました。しかし、これからの日本の農業というのは今言われたようなきれいごとではなくて、例えば日米諮問委員会で出されているように、米とか麦とか牛肉とか酪農などはもう外国に任せればいいじゃないか、国内では果樹とか野菜とか草花とか小さな家畜類を養えば、それで足りるという方向に農業がずっと進んでいるのではなかろうかということを懸念するわけです。私は、これでは独立国として余りにも情けないと思うんです。やはり自覚的な農民が言っているように、安全な食糧は日本の大地からという立場を農業政策の中で生かしてもらいたい。安いから外国のものを買うというんじゃなくて、安全な食糧は日本の大地からつくり出すべきだということを私は最後に要望したいんですけれども、大臣の御回答をお願いします。
  50. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 戦闘的にならないように答えたいと思いますが、戦闘的にさせないでいただきたいとお願いをいたしておきます。  農業自体が経済合理性、合理主義あるいは安易なコスト計算それだけでいくものではない、こういうようなことも従来私は申し上げているところでございます。例示をすればそういうことでございます。
  51. 三治重信

    ○三治重信君 米価の最近の決定で、今度せっかく米価審議会が一・五ヘクタール基準で生産費を出して、そして将来の米価の決定に役立つようにという答申が今年実行されなかったというのは、農林省としては大変残念なことだろうと思っておりますけれども、私は、個人的には非常にいい方向が出てきているんじゃないか、こう思っております。やはり耕種農業、穀物の収穫の基準というものは、国際的にいくと非常に耕作面積の拡大というものが基本になっていかないとそれこそ国内農業の荒廃につながる。規模拡大をして生産をやって初めて耕種農業というものが成立するんじゃないか、こういうふうに思っておりましたところ、こういうふうな規模拡大の線での生産費を決定して、そうしてしかも将来見通しで逐次下げていく、こういう線が出たことは、一つの方向としては非常に進歩してきたと、こういうふうに思っております。  ただ野党としては、いろいろ農家の農産物が非常に国際自由化の中で切り下げられて農業所得が減るということについては、ある程度現状維持ということを望むという意思表示はしますけれども、農林省として日本の農業を背負っていくということになると、国際自由化は大臣の努力にもかかわらずやむを得ない大勢になっていくと思うんです。国際的な自由化というものが、あらゆる農産物が。ましていわんやウルグアイ・ラウンドを日本も承知してその線の交渉になってくるというと、これは農産物全般的に自由化をしていかなければならない。自由化の中で日本農業をどうして維持していくか、食糧自給率をどうして維持していくかということをやっていく、自由化を阻止してそうして農業を守るんだということでは、私は農業政策としては時代おくれだと思うんです。  自由化の中で日本農業をどうして維持していくかということでの発想を農林省の農業政策として、また価格政策としてやっていく。その中で価格政策というものは自由化をやっていくというと逐次下げざるを得ない、こういうふうな見通しのもと農業政策が行われなければならない。価格を下げるということは生産費を下げるということ、そうすると生産費を下げる方策を主として今後検討していかなければならない、こういう方向でぜひやっていただきたいと思うんですが、御同意をいただけると思うんですけれども。
  52. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 今おっしゃる表現をすべて私がこの場で全く同感でございますという立場には実はございません。冒頭おっしゃったように、農林水産省としては残念であったろうという米価審議会とのかかわり合い、このことについては行政と審議会の結びつき、接点、そういうことを改めて考えさせられるような考えを私も持ちました。そういう意味で私自身米価審議会委員皆さんに、昨日開会に当たり心からなるおわびを申し上げたところでございます。しかしまた一面、最終的な政治判断、行政が責任を持てるようにどうしていくかという政治判断をするためにお役所に育った者ではない、またお役所の肩書きでない私が議院内閣制のもとで任命をされておるという責任はまことに大きいわけでございまして、いろんな御意見をひとつ含みながら私自身は努力を重ねていかなければならない。  特に急速な国際化、それに追いついていけない部分も確かにございます。それは追いついていかなければなりません。なりませんが、同時に国際化の中で孤立をしてはならない。といって日本の国の食糧政策に過ちがあったのではならないということで、そこらのバランスも頭の中に置きながら最善の努力を続けておる、こういうことでございますのでしかるべく御理解を賜りたい、こう思います。
  53. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、ぜひ今後の検討の中でひとつしっかりした線を出していただきたいんですが、生産費を下げるのは生産農家自体ひとつどういうふうにして引き下げていくかということなんだけれども、そうするとこれは購入する資材もどうして引き下げていくか。ここに農協が一つ入っていて、今月の「諸君」にも出ているけれども、あれは非常に農林省としては見たくもない記事だろうと思うんです。「諸君」の今月号の屋山太郎氏が出している記事を私は夕べ見たのですけれども、それはいいんですよ。それはいいんですが、方向として私は農協の関係、流通関係農家が購買する分も販売も流通関係は、農協はもう今の現状でいいんだというそのままの情勢でやっていくと、農産物自由化の中でやはりコスト的に私は農協の現在の運営は非常にマイナスじゃないか。もう少し効率的にやる必要があるのじゃないかということが一つございます。  その中で農協が生産指導の役割をやって、これは戦時中そういうふうにして農会つぶしと一緒にしちゃったということなんですが、私は、農協を本当の経済団体にして農業の制度的なものや政治的な動きは昔の農会を復活する、あるいは今の農業会議所をそういうふうにしていって、やはり政治や制度的なものと農協がもう完全な、純粋な自由化の中における農業の流通関係を、買うのも売るのも両方とも農家の味方になるような農協の運営をするように、経済に専業するような制度的な分業体制を、政治的な問題や制度的な問題のやつは農業会議所なりなんなりそういうふうな非経済団体の方で全国的な組織をつくっていくということの方が、この際、自由化に当たって重要じゃないかと思うんですが、いかがですか。質問の項目には入れてなかったのですけれども。
  54. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 国際化の中でのあるべき姿、御見識を承りましたが、農協あるいは農業会議所、この使命というものは何ぞやというようなことも触れられたわけでございます。  私のつき合いの範囲で申し上げますと、農業会議所、その歴史を考えましても農地の有効利用増進、そういうことで改革を進めていくべきだというような提言もかつて農業会議所からございました。私が参議院にいるときでございました。要すればあのときが農地の有効利用、所有権と利用権の分離をした形の中でどう農業発展していくかという提言があったように記憶をいたしております。非経済団体としての活動を既にやっておられるという意味で私も記憶をたどっておるわけでございます。今後ともそのような形で提言もいただきたいと、私は農業会議所に期待をいたしておるところでございます。  農協に関しましては、私自身も農協系統で相当期間生活をしてきた人間でございます。しかし、そういう私であっても今日の農協というものが国民に理解をされ、消費者はもとよりということでございますけれども、農協構成員である生産者自体にも農協離れがあるのではないか、こういう御指摘も今日までいろいろいただいております。これをどう本来の姿に持っていくべきかということで、しかしその精神はまたずっと古くなりますが、産業組合時代からの精神というものが厳然として生かされていかなければならない。そういう中にあって時代の変遷に伴って、やはり農村社会においてあるいは農業分野において農協が果たすべき生産対策あるいは販売対策あるいは流通にまで及んでという今のお話でございますが、そういうことを真剣に考える必要がある。  私は、総務庁の指摘もありますけれども、そういう指摘をまつまでもなく、私自身前からそういうことを考えておったわけでございまして、感想として率直な形でお答えになるかどうかわかりませんが、申し上げておきたい、こう思います。
  55. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私は、食糧わけても日本人の主食であります米は、今日的国際情勢の中にあっては依然として戦略物資と考えております。したがって、食糧安全保障の立場からの対応は極めて重要であります。反面、世界的には自由貿易の潮流は否定することができませんし、貿易立国より民族の生きる道のない我が国にとっては、このことをもまた重視しなければならないと思います。食糧安保の立場だけを国是とするかあるいは自由貿易を国是として食糧安保を破棄するか、いずれかの一方の道だけを選択する方針をとるなれば、それなりの対応は可能でありますが、そのことは極めて危険な選択であります。  先ほど農林水産大臣は米の自由化はやらない、食管の基本は堅持をするという決意を表明されましたが、決意だけでは守り得ないことを歴史が示しております。第三の道は、食糧安保にも貿易自由化の世界の潮流にも対応できるぎりぎりの方策を選択することができたとすれば、ある意味では説得力がありますが、果たしてそのような道があるのか、そのような選択が可能なのか、ここにも問題がございます。  佐藤農林水産大臣は、我が国の置かれておる現状を直視され、どのような道を選択するのがより適切と考えておられますのか、またその選択をした道を守る手法はどうあるべきと考えておいでになりますのか、所信を承りたいと存じます。
  56. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 委員の持論であります食糧は戦略物資であると前にも承ったことがございます。また、食糧安保という考え方も必要であろう。しかし、自由化への道ということもこれは貿易立国として当然であろう。私は、そういう意味も込めまして国際化の中で孤立をしてはならない、こう申し上げておるわけでございます。  とは言いながらも、私自身は日本の食糧政策に禍根を残すようなことがあってはならないのは当然だと、こういうことで、国際化の中にあっていかにまた農業の体質を改善しながら足腰の強いものにしていくかという努力はしていかなければならない。そのためにも米は自由化はできない。同時にまた、食管の根幹は堅持をするということで、そしてそれはただそれだけのことではだめだ。それがわかってもらえる形は何なのであろうかということになりますと、米はもっと消費拡大をしなきゃならない。米をどんどん食べなくなっていって米は自由化しないよとはこれは言い切れません。  やっぱり米の消費拡大は守ろう、拡大していこう。それがだんだん落ち込んでいる。しかし、それはまた食生活が変わってきた現実というものを考えるとある程度はやむを得ないけれども、どんどん落ち込んでいって、もう米がパンにかわっていっていいんだというようなことがあるであろうか、それはないであろう。ないとするならばやっぱり米を守らなければならぬ。こういう考え方で、足腰の強い稲作農業というものを推進していかなければならぬ。こういう基本的な考え方で、今委員おっしゃるような御意見を両立した形でひとつ努力をしていく必要がある。  しかし、それはまたわかりやすくいきませんと、一・五ヘクタールという言葉が出てくれば、じゃ一・五ヘクタール以下は全部切り捨てかということに思い込んでしまう。一遍思い込んだものをなかなか訂正しようといったって無理だ、だから一年もかかりますよ、こういうことにもなる。そういう反省もしながらひとつ努力をしていきたい。  そして、集団化、組織化への道というものをこれは農協と一緒に考えていかなきゃならぬ。生産者団体と一緒に考えていかなきゃならぬ。こういう意味で、政府・与党の責任は明々白々でございますけれども、与党側におかれては農業団体の合意もいただきながら、それを頭に置いて私は諮問をした、こういうような経緯もございまして、そういうところにも委員おっしゃるような両立ということの意味がにじみ出ておると理解をしていただければありがたい、こう思います。
  57. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 佐藤大臣の農政に関する提案の説明ですとか質問に対する答弁を承っておりますと、例えば農政審議会の答申の趣旨を念頭に置きとか、米価審議会答申の趣旨を尊重してというような文言がよく使われておいでになります。立場上当然かとは思いますが、政策の展開の結果は、例えば構造政策の積極的な展開を強調されてはおっても規模拡大はなかなか遅々として進んでおりません。米の消費拡大対策や流通の改善合理化対策を進めると申されておりましても、第三次減反が目前に迫っておりますという状況は否定できません。稲作生産性向上を図りつつ米の国内自給方針を堅持する決意を表明されておっても、今や信頼性は極めて薄く、生産者はもちろん、消費者も全く冷めた状況であるのではないか。このような中でいかに呼びかけられましても、意欲的に立ち上がるといった状況とはほど遠いものがあることを憂えております。  そうしたらこのような原因はどこから来るのか。言葉は悪いですけれども、机上の計画で生産農家がついてこないのか、実際の営農の段階で実行できるようなものではないのか。要するに、政府の指針が営農の現場で熱意を持って迎えられるようなものでなければ何の価値もないのだと私は思うのです。  これが、今日の日本農業の停滞の原因となっておるように私は思いますけれども、この辺のところを大臣はどのようにお考えになっておいでになりますか、所信をお尋ねいたしまして、時間の関係であとの質問は午後に譲らしていただきます。
  58. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 前段、農政審あるいは米審、その集約された意見答申等を言われるけれども、それはだれが信頼するであろうか、不信を買っておるのではないかという意味の御発言がございました。私は、審議会関連の一つ答申を、これを一つのよく世に言われておる隠れみのとして使おうとは思っておりません。諮問をするに際しましても、農政審に対してもあるいは米審に対しても、あらゆる機関に対して御意見を伺うときには我々自身考え方もある程度示しながら、そして自由な御論議をいただいて、そして集約された意見というものが相当程度公約数であるということを頭に置きながら、私自身は農政を進めてきたと思いますし、今後も進めていくべきである、こう思っております。  それにしても、意欲のない農業者がどんどんふえてくるのはどういうことかという意味のお話もございましたけれども、その責任はだれなのか、その責任は一にかかって政府の責任であり、政府の中では、竹下内閣としての責任はまた農政については私の責任である、かように考えておるところでございます。その責任を果たすためには現場の声も聞かなければなりませんし、いろいろ手だてをやっておりますけれども、例えば稲作については、私が今日の肩書になる前にも、四、五年前北海道の稲作生産者から自由化だけはやらぬでくれ、米価は上げなくてもいいという極端な表現で自由化への道をたどらぬようにという切々たる訴えを聞いたこともございます。  そういうこと等も含めながら一体何が消費拡大につながるか、そうして需給バランスを当然考えないでいいということにはなりません。考えなければなりません。そして、そういう担い手が育つためにはどういう構造政策が必要なのかということを私なりに頭に置きながら農林省のお役人を督励し、そしてわかりやすい農政を進めていかなければならぬ。こう思っておりますので、日本全体の農家農業者がみんなもうあきらめておるぞと、そこまではおっしゃっておらないわけでありますけれども、私は相当意欲に燃えておられる方もある、そこに焦点も当てなければならぬ、焦点の当て方が今まで足りなかったのではないかという反省も含め、私は努力を続けなければならぬ、こう思っておるところでございます。
  59. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十二分開会
  60. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十三年産米生産者米価に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 一井淳治

    ○一井淳治君 日本の農業は危機とも言うべき激動の時代を進んでいるというふうに思いますけれども、お米の輸入自由化ということは絶対にあってはならないというふうに思いますし、また、食管制度はあくまで堅持されねばならないというふうに思いますが、いかがでございましょうか。結論だけで結構でございます。
  62. 吉川博

    説明員(吉川博君) 米は国民の主食でございますし、かつ我が国農業の基幹作物であります。したがいまして、生産性の向上に努力しつつ、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を踏まえまして、国内産で自給する方針を堅持してまいりたいと思います。  食管制度につきましては、米を政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してはその再生産を確保してまいるわけでございます。また、消費者に対しましては安定的に供給するという制度の基本は維持しつつ、さきの農政審議会報告の方向に沿って事情の変化に即応し、広く国民の各層各界の理解と協力が得られますよう、適切な運営改善を図っていくことといたしております。
  63. 一井淳治

    ○一井淳治君 非常に長い御説明であったわけですけれども、これはある程度幅があるかもしれませんが、食管制度を堅持されるというふうにお聞きしていいわけですね。
  64. 吉川博

    説明員(吉川博君) はい。堅持してまいる所存でございます。
  65. 一井淳治

    ○一井淳治君 食管制度は国内の問題でございますから、これはいろいろ困難な事情がありましても乗り切っていけるというふうに思いますが、自由化の問題は、国際的な問題で我が国だけではどうにもならないということがあります。米の輸入自由化は行わないということは政府は繰り返し言うておられるところなんですけれども、これをどのように実現していかれるのか。特に、最終的にはもう主権を発動して、交渉が決裂しても米の輸入自由化は行わないというふうにはっきりとした決意があるのかどうか、その辺をお尋ねしたいというふうに思います。
  66. 吉川博

    説明員(吉川博君) 米は日本国民の主食でございます。我が国農業の基幹をなすものであります。また水田稲作は、国土や自然環境の保全上不可欠な役割を果たしているのみならず、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついているものでございまして極めて重要な作物でございます。このような米の重要性にかんがみ、今後とも国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持していく考えでございます。
  67. 一井淳治

    ○一井淳治君 これは外交問題ですから、どういうふうに進めていくかということはなかなか言いにくいということがあるかもしれませんけれども、相当事前にいろいろ打つべき手は打っていただく、最終的な決意というものもはっきり持ってやっていただかなきゃならないというふうに思いますので、重ねて強く要望をさせていただきまして次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  農政の展開につきまして、私はどうも農林省のお手持ちの資料は十分ではないんじゃないかという気がしてならないわけでございます。  最近、農工法の審議に私も加えていただいたわけでございますけれども、例えば農工団地が農村部に新設される、そういった場合に周辺の農業構造にどのような変化が起こっていくのか。例えば大農経営がどうなっているのか、専業がふえているのかどうかあるいは農業の優秀な担い手となるべき若い人たちが工場にとられているのかどうかというふうな問題も、いろいろ農林省の方に聞いてもわからないし、その実情がわからないわけでございます。それから完成された農工団地につきましても、例えば長期間売れ残りのものがどれくらいあって、これを抱えた自治体がどういうふうな財政的な影響を受けているかというふうな問題についてもはっきりした統計資料がないということで、こんな状況では確固とした農業政策の実行ということが非常に難しいんじゃないか。農政を実施されても、その影響や効果が十分につかめない、そういったことで一貫性のある農政といいますか、それができなくて場当たりの農政になってしまうんじゃないかというふうな非常に心配な気持ちもあるわけでございます。  この統計や指標の収集という問題についてどのようにお考えか、お尋ねしたいというふうに思います。
  68. 海野研一

    説明員海野研一君) お答え申し上げます。  農林水産省としては、これまでも農林水産行政を進めていく上で必要な統計資料を整備いたしますために、農林水産業と農山漁村の実態と動向を実情に即して的確に把握するという考え方で各種の統計情報を作成、提供しているところでございますけれども、ただいま委員御指摘のような問題は私どもも認識しております。そのような点も十分踏まえまして農政の効率的な、効果的なかつ適切な推進に資するため十分配慮しながら進めてまいりたいと考えております。
  69. 一井淳治

    ○一井淳治君 今回の米価審議の中で政府の方では、稲作については大規模な経営を重視してそちらの方へ持っていこうということが明らかになったというふうに思います。そうして、それのための誘導策をとられるんじゃないかということを感じておるわけでございます。過去の農政を見ますと、農林省とすれば一生懸命やられたとは思うんですが、例えばミカン園が広範囲につくられていった、それが今は縮小転換に大わらわというような状況でございます。また酪農経営につきましても北海道あたりに行きますと、酪農民は、これは全員じゃないと思いますけれども、かなりの人が借金で首が回らないというふうな状況の方もおられるわけでございます。将来大規模経営に誘導されたとした場合に、またもついていった農民が借金まみれになってつまずくということがあってはいけないということで、先回りして質問をさせていただくわけでありますけれども、私は規模拡大だけでそう簡単に生産コストが下がるというふうには思わないわけでございます。  ここからが質問でございますけれども、一つのモデルとして耕地面積が一・五ヘクタール、これは最近の米価審議会の小委員会報告の中で、将来発展可能性のある農家の最下限ということで一・五ヘクタールを見られたわけですから、それで一・五ヘクタールをここでモデルとして取り上げるわけでございますが、米の専業農家で夫婦二人で働いている、雇用労働力がないというような一つのモデルを設定した場合に、そういった農家の方が現在使っている機械や施設を使って耕作反別を拡大していった場合、生産費のコスト低減はどれくらいまで図られていくのか、そういった点をお教えいただきたいというように思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  70. 吉國隆

    説明員吉國隆君) どういう規模でどういう営農をやれるのか、またそのコストはどうなるのか、こういうお尋ねでございますが、御承知のように、地域の土地条件それから機械、施設としてどういうものを整備していくかということにもよりますし、また共同作業というようなことでピーク労働をどのように崩していけるかというようなこともいろいろ関係いたしますので、一概にどういった経営が可能で、どういうコストでということを決めつけるわけにはいかないわけでございます。  せっかくのお尋ねでございますので、全く今の機械の能力というものに着目をいたしましてどの程度までできるかということをごく粗っぽく申し上げてみますと、夫婦二人というお話であったわけでございますが、前提として、わせ、おくての二つの品種を作付している、これは品種の数によって労働力の回転が異なってまいります。二品種の作付をしているという前提で二条植えの田植え機、二条刈りの自脱型コンバイン、こういうもので耕作をすると仮定いたしますと五、六ヘクタールという規模が可能ではないかというふうに思っております。当然四条値えの田植え機なり四条刈りの自脱型コンバインということになりますと、規模が大きくなりまして十ヘクタールないし十二ヘクタール程度の耕作が可能であろうというふうに思います。  また、先ほども申し上げましたが、ピーク時の労働との関係で、例えばそういうピーク時だけ一部補助労働を入れるとかあるいは生産組織で共同作業をやるといったような形をとるといたしますと二、三割、さらに耕作面積が拡大すると考えていいのではないかというふうに思っております。  コストの面はちょっと正確な試算をいたしておりませんが、労働時間等につきましては、今のような体系で計算をしますと相当現在の平均に比べて下がるというふうに見ておるわけでございます。
  71. 一井淳治

    ○一井淳治君 私の方もはっきりした計算をしているわけではないけれども、例えば現在収穫をしている収穫量が仮に倍になれば、今使っている農家の納屋では入らない。そのために納屋を新しくつくらにゃいかぬということがそこで起こってくると思いますし、また農作業というものは一週間なら一週間以内の刈り取りの時期に一斉にやってしまわにゃいかぬというふうなことなどありまして、機械のように規模を拡大していけばだんだんとそれに応じて生産コストが小さくなっていくということには、もうとてもとてもならないと思うんです。  場合によっては、ほんのわずか生産規模を拡大することによって納屋ももう一丁建てにゃいかぬ、あるいは大型の機械に借りかえをしなくちゃいけないとかいろいろな問題があって、それからまた、余り一生懸命働いておったら、最近のことですから奥様からいろいろと文句を言われるといったことなんかあって、なかなか規模を拡大したから即コストが下がるというふうにはいかないで、現実の農民の生活の中では、ほんのわずか規模を拡大すると大変な借金をせにゃいかぬというようなことも起こるんじゃないかというふうな気がしてならないわけでございます。そういった点も十分考えながら、それで農家の実情を、さっきの質問でも申し上げましたように、よく把握されながら将来の農政を、特に米についての農政を進めていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  それから次に、米の生産費算定につきまして耕作面積一・五ヘクタールの農家を基準とするということで一つの目標が出た、私どもはこれを認めるわけにはいかないというふうに思いますけれども、法的にこれを考えてみた場合にどうかという問題を私質問したいわけでございます。  食糧管理法の三条二項を見ますと、「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨」とする、そういうことで生産者米価を定めるというふうになっておるわけでございます。御承知のとおり、一・五ヘクタール以上の層というのは農家数の八・八%でございまして、九割の農家は除外といいますか、切り捨てられるというふうな状況でございます。そうしますと、一割ぐらいの農家を対象にして生産者米価を決めていくということになりますと、やはり「米穀ノ再生産ヲ確保スル」という法の趣旨に反するのではないかという気がしてならないわけであります。  実際にも一・五へクタール以下の層が多くて、こういう人たちはだんだんと農業をあきらめなくちゃならないんじゃないかというふうな方向が出てくるでしょうし、また地域的にも、私は岡山の出身でございますが、割合農業外の一般の生産関係に従事している人たちの労働賃金が高いものですから、労働力が農業から農業外へ移行するというふうな傾向が強いわけでございます。生産コストを安くされますと、そういう傾向が一層助長されるというふうになってくるわけでございます。したがって、法的にも問題ですし、実質的にもいろいろ大きな問題を抱えているわけでございまして、一・五ヘクタール層を米の生産費算定について取り上げられるということは現在の農政上正しくないんじゃないかというふうに思いますので、その点をお伺いしたいと思います。
  72. 近長武治

    説明員近長武治君) お尋ねは、今回米価審議会の小委員会の報告書にございます新しい算定方式についてのお尋ねであるわけでございますが、まず新しい算定方式の対象になる農家をなぜ一・五ヘクタールとか五ヘクタールというふうに考えたかということについて簡単に前提としてお話ししたいと思います。  まず、これからの育成すべき中核的な担い手というようなふうに評価し得るのは個別経営で見たときにはどういうふうになるか。これは稲作労働時間でございますとかあるいは生産性、それから農家経済の中におきます稲作所得のウエートあるいは機械の経済的利用、こういう点から見ますと五ヘクタール以上層というのが出てくるわけでございます。現在のいろんな稲作機械、新しいのが出てきておりますが、こういう機械を効率的に使っていくというふうになりますと技術的な点では五ヘクタール以上ということが規模の面では大変重要な点になってくるわけです。しかし、現実の農村は欧米とは違いまして農場性農業ではないわけです、日本の場合には。やはりいろんな形で、地域の中で農地が動いていったりしているわけでございます。  そうやって考えてまいりますと、一つは、これから中核的な担い手として大変強い発展可能性を持っている農家規模ということも考えていかなきゃいけないわけです。いろんなデータを集約してまいりますと、そういうような規模の下限としては全国レベルで見ますと一・五ヘクタールぐらいになっていくというような点が一つあるわけです。  それからもう一つは、日本の稲作というのは個別経営だけではなくて生産性の高い生産組織あるいは集団の今後育成すべき稲作農業についての中核的な担い手である、こういうふうに考えられるわけでございます。したがいまして、この米価審議会答申の中では、中核的な担い手を対象とする算定方式が妥当であるが、当面は生産、販売実態から見て現在の稲作担い手層、つまり一・五ヘクタール以上の個別経営農家とそれから生産組織集団をも対象として考えていったらどうだ、こういうような考え方でございます。それが前提でございます。  そういうふうに考えてみますと、現在の米の中でそれぞれどのくらいのウエートを持っているのか。まず五ヘクタール以上層も含めました一・五ヘクタール以上層の個別経営農家、これは販売数量の中の大体四四%ぐらいを占めているわけでございます。したがって、個別農家という点だけで見ますと一・五ヘクタール以上層の販売数量の中に占めるウエートは大体四四%ぐらい、こういうふうに考えられるわけです。しかし、生産性の高い生産組織集団というのがどのくらいあるのか。いろんなデータを総合して、これはかなり推計が入りますが、大体生産組織が抱えているそういう中から出てくるお米のウエートというのは、販売実績で見まして大体四分の一ぐらいになると考えられます。  それからもう一つは、これははっきり生産組織集団というふうに加入しているかどうかという点はございますが、一・五ヘクタール未満の層の中で一・五ヘクタール以上層よりも高い生産性を持っている農家というのが約一割ぐらいございます。これは、例えば作業受委託だとかいろんな形で、生産組織集団ではないけれども、いろんな形で実質は高い生産性を持っている、こういうふうに考えられるわけです。したがいまして、仮に一・五ヘクタール以上層を中心にする価格算定した場合には、以上のような経営あるいは生産組織あるいは生産集団から生産される米というのが実際は米価算定の中の対象になってくる。こういうふうになりますと、大体販売量の中の四分の三ぐらいになる。これは一部重複がございますのでまだラフな推計でございますが、そのくらいの実態に考えられる、こういうようなことでございますので、先ほど数量的な点については違う見方があるということを申し上げておきたいと思います。  それから、後段で御指摘になった食糧管理法の条文との関係でございます。食糧管理法の第三条二項に、生産者米価は「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういうふうになっているわけでございます。米穀政府買い入れ価格の決定についての基本的な考え方をこの条文は示しているわけで、大変重要な条文でございます。  そこで、こういうような考え方もとにして具体的な算定、あるいは特に今回の場合には対象農家とり方というところが重要でございます。今までの――今までといいますか、ことしも適用して諮問米価算定いたしました場合には、潜在需給ギャップということを考慮いたしまして、必要生産比率で、数量でやっております。今回の場合は七六%でございますが、その七六%というのは結局生産性の高い農家、つまり生産費の低い農家からずっと積み上げてまいりまして、そして全体の生産量が七六%に該当したところのその内側に入る農家について、それを算定農家にして計算しているのが現在の計算でございます。これからはもう一つそれと同じように、今度一・五ヘクタール以上層の農家をやっていくときには、同じような考え方でどこかのところで算定農家の範囲を定めていく、こういうふうになるわけです。  法律的にはどういうふうになってくるか。これは、結局最終的には米価に関する政策上の判断の問題というところに帰着してくるわけでございます。具体的な算定方式における対象農家とり方というのは、例えばお米についての生産事情、全体として同じような規模農家がまんべんなく行き渡っているような大体昭和三十年代ぐらいまでの日本の農村の場合と、現在のようにかなり規模の間が分かれてまいりまして、大きな規模農家あるいは大きな生産組織と、それから何といいますか、第二種兼業農家の中のほとんど土曜日、日曜日を中心にする稲作農家というふうに分かれている場合とはかなり生産事情も違ってまいると思うんです。あるいは需給事情を中心にする経済事情も違ってくる。  そういうようなことを踏まえながら米についての政策的な判断をどうするか、こういうことでございまして、最終的には食糧管理法に基づいて農林水産大臣が決定をするわけでございますが、当然のことながら、この政策判断に当たっては米価審議会意見を聞くということになるわけです。  今回は、昨年の九月以来小委員会を設けまして、米価審議会の中で十分御議論をいただいた上での担い手層を基礎にした米価算定方式、こういうことでございますので、米価に関する政策判断としては慎重なる手続がとられているというふうに考えるわけでございます。かような状況でございますので、政策判断の上でも妥当であると思いますし、食糧管理法の条文の上では何ら問題はない、かように考えている次第でございます。
  73. 一井淳治

    ○一井淳治君 これまでの法律の条文の解釈をことしから変えるというわけにはいかないと思います。これまでも米の生産数量の全体がどうかというふうなことではなくて、やはり個別農家を中心にして考えていたというふうに思うわけです。  最近、農水省の農業調査によりますと、五十六年から五十九年までを見ますと、一・五ヘクタール以上の農家はふえており一・五ヘクタール以下の農家減少しているということであったわけですけれども、五十九年から六十一年を見ますと、一・五ヘクタールから二・五ヘクタールの層が減少に転ずる、六十一年から六十二年を見ますと、三ヘクタール未満農家減少しているということで、米価が下がっていきますと、兼業農家の方は採算は赤字でも頑張れますけれども、さっきの農林省のお出しになった漫画がまさにそのとおりで、専業農家は食えないというふうになっていくわけで、将来米価が下がると規模拡大は進まないで一・五ヘクタール以上の農家層はだんだん例外化していくんじゃないかというふうに考えるわけです。  そういう意味で、この食管法の三条二項にますます反するような状況が出てくるのじゃないかというふうに思いますので、その辺ももう一遍よく考えていただきたいと思うわけです。これは、もし答えていただいたら、私の質問時間の半分を超えるようになりはしないかという心配がございますので、要望としてお願いさせていただきたいというふうに思います。  それから次は、圃場整備の問題でございます。農民の間からは、実は無料で、全部国庫負担で圃場整備をしてほしいというような声も現実にあるわけでございますけれども、そうはいかないということで、やはり圃場整備の費用を工事内容や規格などを工夫してできるだけ安くして、その安くした分だけ国や公共団体の補助はそのままにしておけば、農民の負担は少なくなるんじゃないかというふうなことも考えられるわけでございます。  今までかなり要件等が厳重で、規格に合わないと国の助成の対象にならないということもあったようでございますが、これからは現地のいろんな状況に合わせて特に安く圃場整備ができるようにいろいろ考えていただきまして、農民の負担をできるだけ軽くしていっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  74. 松山光治

    説明員(松山光治君) お話がございましたように、圃場整備、一定の公共性を持つわけでございますが、同時に私的な財産の価値の増進につながる、こういうこともございまして、事業の規模でありますとか、公共性でありますとかあるいは地域の特殊性を勘案いたしまして補助率を決めておるわけでございます。  なかなかこの補助率を上げていくというのが困難な事情にあることはおわかりいただけるかと思いますが、そういう状況の中で委員御指摘のございましたように、できるだけ農家負担を軽減していくという趣旨で事業費を低いものにしていく、我々もますます考えていかなきゃいかぬ話だと思っております。事業の実施の仕方においてできるだけ経済的な工夫を凝らしていくとか、けさほども申したところでございますけれども、費用ということとそれから整備水準ということをよく地元でも考えていただいた上で適切な御判断をいただく、こういうふうなことが必要ではなかろうかというふうに思っております。  なお、私ども事業を実施するに当たりましては、一定の技術的な水準という意味で計画基準をつくってこれを進めておりますが、この計画基準、決して画一的にこれを適用していくという考え方ではございませんで、通達上も地域の実情に応じて創造的な事業の実施をするようにというふうなことも指導しておるわけでございます。  ちなみに、若干の例でちょっと御理解をいただきたいと思っておりますが、昭和六十三年度、本年度に採択いたしました圃場整備の地区で区画の考え方がどうなっているかというのを御披露したいんですが、一応標準としては三十アール区画ということが言われておるわけでありますけれども、六十三年度に採択いたしました地区で三十アール区画になっておりますのは四〇%でございます。五十アール以上の区画の地区の面積が三割、逆に二十アール未満の地区の面積が一割強、こういうふうなことでございますので、私ども、これからも地域の実情に応じた弾力的な事業の執行という点に心していきたい、このように考えておる次第でございます。
  75. 菅野久光

    菅野久光君 時間が限られておりますので、私の方も端的に質問をいたしますので端的にひとつお答えをいただきたいというふうに思います。  まず具体的な問題ですが、今回米審に対して四・六%の引き下げ諮問したわけであります。従来方式算定した場合幾らの引き下げになるのか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  76. 近長武治

    説明員近長武治君) 新しい算定方式というのは、大臣から申し上げましたように、昭和六十四年産米から……
  77. 菅野久光

    菅野久光君 従来のと言っているんだから……。
  78. 近長武治

    説明員近長武治君) 従来のということでございますが、今回は御案内のように従来の算定方式で計算をしております。  要素とり方については、例えば需給事情が昨年とことしとの違いがあるとか、それから金利が違うとかいうような点で具体的な数値は違っておりますけれども、算定方式については大体昨年と同じでございますので、今の御質問については、従来の算定方式というのは、まさにことしは従来の算定方式で計算しておりますので四・六%の減、かようになっておるわけでございます。
  79. 菅野久光

    菅野久光君 いや、要素を変えたわけでしょう。
  80. 近長武治

    説明員近長武治君) はい。
  81. 菅野久光

    菅野久光君 だから、要素を変えないで昨年と同じような算定方式でやったら幾らになるか、そのことを聞いているんですよ。
  82. 近長武治

    説明員近長武治君) 米価審議会の事前審議のときに食糧庁の方から概算的な算定をお示ししておりますが、前年の方式の中でいわゆる修正六十二年方式というので大体四ないし五%程度である、こういうふうに申し上げていると思います。
  83. 菅野久光

    菅野久光君 きのう生産者団体に説明をしたのでは、事前米審では大体今四%ないし五%と言ったようですが、四%だったと。しかし、その後要素を変えてそれで四・六%になった、そういう説明をきのうしたということなんですが、その点は間違いありませんか。
  84. 近長武治

    説明員近長武治君) 私、昨日ほとんど衆議院の委員会に出席しておりましたので、農業団体とそれから食糧庁の事務担当者との間で具体的に、恐らくこれは非公式な話だと思いますが、承知しておりません。大体算定の仕方については、要素とり方はどういうふうにとるかという点があろうかと思いますが、今回いろんな意味合いできちっと算定したつもりでございますので、今までの従来算定方式というのはまさに現在行っている算定でございますので、きちっと計算いたしますと四・六%減になる、かように理解できるのではないかなと思います。
  85. 菅野久光

    菅野久光君 いや、きのうの説明では、四%であったが資本費だとか機材の金利をどのようにとるだとか、それから企画管理労働をどういうふうにとるだとか、そういうふうに要素を変えたわけでしょう、それで四%だということを言ったんだけれども四・六%になりましたと、そういう説明だったというふうに何人かの人から皆同じように聞いているわけです。それはそういう説明をさせたということでいいんでしょうか。
  86. 近長武治

    説明員近長武治君) 要素の中身になってまいりますとやや具体的に申し上げた方がよろしいかなと思います。  要素の中で、今お話しのように、一つ評価がえをするときの利子をどういうふうに見ていくか、こういうことでございます。昨年もことしも農協の六カ月定期と農協一年定期平均を使っております。本年の場合には一年間の平均を使っております。昨年の場合には五年間の平均を使っております。  実は、金利についてはなるべく近い時点で使うというのが従来からの米価算定一つ考え方でございますが、昨年の場合には非常に金利が急激に下がった時点でございます。したがいまして、そういう意味合いで大変異例――異例と言うとおかしいんですが、大変特別な扱いであろうかと思いますが、昨年の場合には五年間の平均で出してございます。昨年の決定米価のときに五年平均でやりますと四・五八%にたしかなっていたと思います。今回は農協の定期の六カ月と一年定期平均でございますので、三・一二%になっております。そういう点が一つ大きい点ではないかなと思います。  それから、企画管理労働については現在の算定方式の場合に、企画管理労働を入れるべきであるかどうかということについては大変論議のあるところでございます。新しい算定方式の場合には、企画管理労働を入れるということについては米価審議会の中でもおおむねの意見の一致を見ておりますが、従来の算定方式については相当論議のあるところでございます。ただ昨年は、いろんな論議がございましたが、企画管理労働というのを入れてみようというようなことでございましたが、データがないわけでございます。たしか四十年代のかなり古いデータしかなかったんですが、そういうデータを使いまして企画管理労働を入れたわけでございます。  そのときにもやはりあらゆる農家についての企画管理労働を入れるというわけにはいかないであろうということで、当時、対象農家生産量に占める全体の中の一・五ヘクタール以上層のシェア相当分ということで一時間入れております。今回は、緊急に統計情報部の方で企画管理労働についての調査をいたしました。その中で、昨年と同じような考え方で一・五ヘクタール以上層のシェア相当分、こういうことで〇・七時間入れております。それぞれ都市均衡労賃ということで評価をして、都市均衡労賃米価算定要素の中に付与している、こういう点でございまして、まだ、例えば自作地地代でございますとか、その他の違いがございますが、大きい点では企画管理労働評価の入れ方の問題、それから自己資本利子率の問題ということでございます。  それから、もう一点大きいのは需給ギャップの問題でございまして、今回は七六%の需給ギャップの計算をしておりますが、昨年の場合には七九%で計算しております。昨年と現在とではかなり需給事情が違っておりますので、一定の計算の仕万をいたしまして七六%、これはいわゆる潜在需給ギャプ反映必要量比率方式ということで計算した結果でございます。  そういうような形で、それぞれ要素の項目は同じでございますが、以上申し上げましたような点が昨年とことしとは違っている。そのほかに、当然のことながら収量変動の平準化係数につきましても対象になる年が一年ずれておりますので、昨年は一・〇三九、本年の場合には一・〇二五でございますので、それぞれ価格の上では違いが出てくる、こういうことでございます。
  87. 菅野久光

    菅野久光君 従来方式でやっても要素とり方で、これは変わってくるわけですよ、そうでしょう。例えば、この金利だって昨年までは五年間の平均でやってことしは直近の一年ということでしょう。しかし、これだけ金利が安くなっている、その安くなっているところだけをとるわけですから、これは当然下げ幅が大きくなるのは当たり前じゃないですか。高い金利のときのやつは全然見ないんだもの。だから、初めにもう四・六なら四・六という数字を持っていて、それにいかに合わせるような要素を入れるかということでしょう。従来方式と言いながら要素とり方で幾らでも数字というのは変わっていくんだ。そこのところは、これはやっぱり生産者の人たちにはちょっと理解、納得ができないんじゃないか、そういうふうに思うんです。  それから、企画管理労働でも今までは全農家ということで……
  88. 近長武治

    説明員近長武治君) いや、今までも全農家じゃございません。
  89. 菅野久光

    菅野久光君 従来やってきたというように聞いているんだが、そこは違うんだったら違うでこれはいいですよ。  ただ、金利の問題については完全に要素とり方というのが、方式は従来どおりであっても要素とり方が違う。その辺もどうも納得がいかないというのが生産者の人たちの偽らないこれは気持ちなんです。その辺をどのように説明されますか。
  90. 近長武治

    説明員近長武治君) 今金利とり方について論議があるわけでございますが、基本的にはこの金利を適用すべきところは自己資本利子率でございますから、米価算定の中ではいわゆる所得付与的な要素になっているわけでございます。したがって、なるべく近い時点におきます農協金利を使うということが米価算定の上でも望ましいわけでございます。昨年の場合には、御案内のようにかなり金利が変動をした直後でございますが、今回の場合には、比較的最近は金利状況が安定している時期でございますので、やはり本来の姿に戻って一年間の平均で行った、こういうところでございます。  それから、企画管理労働につきましては、前回の場合には相当古いデータで計算したのが、全農家でいきますと企画管理労働に相当するのが約二時間ということでございますが、今回計算してみますと、それよりも相当企画管理労働に与える時間が低いわけです。これはどういうことであるかというと、その間に稲作農業についても規模が広がってきているわけです。そういたしますと、これは十アール当たりで計算いたしますので、調査時点がこれだけ二十年ぐらい差がございますと、全体としては実態としても企画管理労働に該当する時間数としては減ってきている。減ってきているというようなことを今年の場合には算定の上で一番新しいデータでございますので、それを用いて米価算定を行った、こういうようなことでございます。
  91. 菅野久光

    菅野久光君 今の稲作農家状況というのは、農林統計でも実は農業の粗収益に対していろんな負債の償還額、これが昭和六十一年度で北海道の場合でありますけれども、全道平均で二四・七%、粗収益に対して実に四分の一ということなんです。こういうような実態が農林統計の中でこれははっきり出ている。そういう中で、今回のように価格を下げるということになっていったときに、ここの利率というのはもっともっとやっぱり上がっていくことになるわけです。実際に農家経営という観点から考えて、負債の償還額というのは大体どの辺といいますか、その粗収益に対して償還額がどの程度なら経営的にやっていけるんじゃないかというようなふうに考えておられるのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  92. 近長武治

    説明員近長武治君) 私たちは、米価算定をするときにやはり北から南まで多様な形の農業経営があるわけで、その中で、特に稲作経営については専業的な経営として相当大きな経営もあろうかと思いますし、それから他の農業経営との組み合わせでやっているというようなことがあるのですが、米価算定という面ではその中の稲作部門というところにどうしても着目して、一定生産費調査に基づいて要素とり方についてもかなり慎重に検討した上で、それぞれ一定評価をしながら算定をしていく、こういうような点でございます。  今御質問農家の負債がどのくらいであればどういうふうになるかという点については、ある意味ではそれぞれのいろんな経営タイプがございまして、私見でございますけれども、そう一概にかくかくであるというふうには言いがたいのではないか。例えて申し上げますと、比較的最近時点で経営規模を拡大するとか、いろんな投資を行ったところというのはかなり全体の農家の中の負債は大きいと思いますが、それなりに従前に比べて収益力という点ではあるいは上がってきているのかもしれない。それからまた逆に、同じ稲作農家の中でもいろんなタイプをやっているとそれぞれのところのまた負債というのがあるので、お答えにならなくて大変恐縮でございますが、農家経済の中でどのくらい負債があるのが望ましいのかというのは、私自身もいかように判断していいのか判断に苦しむものでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  93. 菅野久光

    菅野久光君 どのぐらいあったらいいのか、借金はないにこしたことはないわけですけれども、しかし現実的にはそういうことにはならないわけですね。これはもう農林水産省で出した統計ですから間違いのないところです。約四分の一は負債の償還に充てられているというのが農家の経済の実態です。そういう中で米価引き下げるということになっていけば、それによって影響を一番受けるのは規模的に見てどの辺だというふうにお考えですか。
  94. 近長武治

    説明員近長武治君) これも大変難しい御質問でございますが、規模的に見ますと、相当大きな経営規模になりますと現在の米価においてもかなり、これは計算の上でございますが、相当余裕が出てくる。それから規模の小さい経営になりますと、生計費の中で農外所得でもうほとんど賄われているというような点がございますと、稲作収入が全くウエートがないとは言いませんけれども、かなりそういう点では、どういう表現が一番適切なのかわかりませんが、価格について比較的生計費の中での影響が受けにくい階層かなという感じがいたします。そういう点からしますと、これから担い手的な方を目指していく、そういうような階層というのが価格の上でいっても、私たちの実感からいきましてもあるいはいろんな方の直接的な御意見をお聞きいたしましても、そういう経営階層が米価について相当影響の度合いが高いのかな、そういう実感を持っております。
  95. 菅野久光

    菅野久光君 担い手と言われている層ですね、五ヘクタール以下、その辺のところが私は米価引き下げによって相当な影響を受けるのではないかというふうに思うんです。そういうことからいけば、米価を下げるその前にもっとやらなければならないことがあるのではないか。それは主食である米を安定的に供給するために担い手となる農家を構造政策とか生産対策によって育成しなければならない。その成果として生産性の向上が図られたなら、その時点で初めて生産者米価引き下げるということが私は物の順序だというふうに思うんです。ところが、そういう政策というのが今現実的に胸を張ってやっています。だから大丈夫ですというふうに言えるような状況にありますか。
  96. 近長武治

    説明員近長武治君) 構造政策とそれから価格政策とのまさに兼ね合いといいますか、その問題であろうかと思います。現実に価格政策のみが先行していくということについては、特に米のように相当程度農家の経済の中でも影響のあるというところについてはそういう御議論であろうかと思います。そういう点からいたしますと、構造政策とそれから価格政策というのはいろんな意味合いでそれぞれ何といいますか、テンポをお互いににらみながら並行して進んでいかなけりゃならない、そういう点だと思います。  それからもう一つ、日本の稲作については地域によっての違いがございますが、欧米のような農場性農業というところも一部あるかもしれませんが、基本的には一定の地域の中でそれぞれ水管理等で結びついている、そういうところでございます。したがって、価格政策だけで規模拡大のインセンティブを与えられるということではなくて、当然のことながら地域の中での農地の流動化でございますとか作業の受委託だとか、先ほども説明がございましたが、いろんな点での共同作業だとか、そういうことをかみ合わせながら進めていかなきゃいけない、こういう点でございますし、これは私たち米価を決定する際にも常に念頭に置いておるところでございます。  それからもう一点、生産費所得補償方式というのも現在の食糧管理制度の中では大変重要な点ではないかなというふうに私は思うわけでこざいます。しかし、この生産費及び所得補償方式についていろんな方面からかなりきつい御批判があるということも事実でございます。  日本の稲作について全米作農家をそのまますべて生産費所得も補償できるようなそういう価格になっているのではないか、こういう御意見もあることは事実でございます。そういう点については、これからの米価算定の対象というのは稲作について強い意欲を持ち、高い技術あるいは資本装備を持ちそれから就業時間だとか、そういう農家経済の中での所得の面でも他産業従事者と決してそういうウエートその他の点でも匹敵する、そういうような生産性の高い個別経営農家あるいは生産組織あるいは生産集団を対象にする、こういう考え方でなければ生産費及び所得補償方式について、特に生産費のほかに所得も補償する、こういうようなのが現在の生所方式でございますが、そういうことについてかなり幅広い御理解を受けるということについてはだんだん難しくなってくるのではないかなというふうに考えるわけでございます。  そういう点を考えれば、これからの米価算定基本方向としては担い手層――担い手層というのは、今はまだ担い手ではないかもしれないけれども、担い手への高い発展可能性を持っている、そういうふうな表現でございますが、そういうところに焦点を当てて価格政策を持っていかなければならない。そういうふうにすることによって構造政策の進展と価格政策というのが両々相まつというふうになっていくのではないかな、かように考えるわけでございます。
  97. 菅野久光

    菅野久光君 午前中の大臣への質問でも来年から新算定方式でやります、こう言っているわけです。私先ほど言いましたように、まだ構造政策とか生産対策がそういう形ではきちっとなっていない。もう価格引き下げだけが先行しているような私は形だと思うんです。ですから、そこのところはこの一年間で予算的にもきちっとした施策が講じられるのかどうか、そこのところが大変心配なんです。そこがきちっとされないで新算定方式が先走りをするということになると、意欲を持って規模拡大なんてそれはとんでもない話です。価格がどうなるかわからない、そんな状況の中で規模拡大なんかできますか。そんなことを考えていきますと、今どういう構造政策をやろうとするのか、どういう生産対策をやろうとするのか、その辺をやっぱり明確にしていく。  そして、それがこの一年間であるいは来年度の予算の段階でもきちっとできないときには、来年から幾らそれはやると言ったってやっぱりやることは私は無理だと思うんです、新算定方式で。それだけ先に決めちゃって、あとのやつはならなかったらならなくても仕方がないじゃ済まないというふうに思うので、それで私は、きょうは午前中大臣に言ったわけです。その辺についてはどのようにお考えですか。
  98. 近長武治

    説明員近長武治君) 先生十分御案内のように、構造政策について今まで何も行っていないわけではございませんし、いろんな形で進められてきているというふうに理解しております。ただ、既にとられている政策だけで十分であるかどうかというところについては、これからもまだ内容なりを充実していかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。  それからもう一つは、従来ややもすると価格政策の方が一律的である、こういうような御批判もあるわけでございます。来年度、来年産以降新算定方式が適用されるということがはっきりしたわけでございますので、これがまた構造政策なり生産対策なりに対する一つの新しい展開への契機になるというふうにも考えられますので、これからもいろんな方面からの御意見を拝聴しながら、構造政策と価格政策あるいは生産政策というものがそれぞれお互いに、それぞれが平仄を合わせながら進んでいくというような考え方で、私たち食糧庁だけでこの問題できるわけではございませんので、また省内でも、いろんなところにも我々の方からも新しい政策などもお願いしながら進んでいきたい、かように考えているわけでございます。
  99. 宮島滉

    ○宮島滉君 まず、近長食糧庁の次長さんに、今回の米価諮問に当たって大変御苦労なさったかと思うんです。従来と違った問題が非常に多かったように、実は私ども党内におきます小委員会の中でも議論を重ねてまいったところでありますけれども、その諮問案づくりにつきまして御苦労のほどの御感想をひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
  100. 近長武治

    説明員近長武治君) 今回米価決定に際しましては、一昨年、昨年におきます米価決定のいろんな事情ということを十分に考えの底に入れてこの問題に取り組んでいかなきゃいけない、こういうふうに思ってきたわけでございます。したがいまして、特に昨年産米政府買い入れ価格を審議していただく米価審議会の中でも、「米をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、算定方式基本的検討を急ぐこと。」、こういうことでございます。これは米価算定について、例えば毎年毎年需給事情で、それぞれ要素についていろいろ理由はあるんだろうけれども、それぞれ変更されるということについてのいろんな御意見、それから今後の米の状況の中で、やはり需給事情なり、それから足腰の強い稲作といいますか、広い意味での担い手についての方向づけとあわせながら米価をどういうふうに考えていくか、こういうことで、昨年九月以来新しい算定方式について取り組んできたわけでございます。  しかし、今回米価算定についての具体的な諮問値を作成するに際しまして、諸般の情勢から新算定方式については、これから生産者を初め関係者の方々の理解をさらに一層深めつつ、昭和六十四年産米穀政府買い入れ価格から適用する、こういうことになったわけでございまして、本年は従来の生産費及び所得補償方式により算定するということになったわけです。その場合に、ことしの米価算定当たりましては当然のことながら、米需給の趨勢でございますとか、現に進みつつある生産性向上等の状況あるいは最近の経済実勢等、なるべく的確に反映さしていく、こういう基本的視点に立ったわけでございます。  算定した結果、四・六%という諮問値になったわけでございますが、ことしの米価算定については、私たちも事務的にも随分いろんな意味での苦労を重ねてきたというのが実感でございます。
  101. 宮島滉

    ○宮島滉君 私も、今回の米価についての議論の中で問題が余りにも多過ぎる、非常に議論の中でややもしますと論理性に欠くといいますか、ふん詰まったという感じを非常に強く実は受けたわけでございます。したがって、今後の価格政策を含めながら果たしてどのように実は議論していかれるのか、その点についてのお伺いもこれからいたすわけでありますけれども、なぜにやはり今回の新算定方式について農家なりあるいはまた団体が拒んだのか、そのあたりが非常に疑義を感ずるわけなんです。したがって、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  102. 近長武治

    説明員近長武治君) 新算定方式については、私たち米価審議会での相当時間もかけたいろんな角度からの論議でございますので、ぜひこれは六十三年産米から実現したい、こういうふうに思っていたわけでございます。ただ、具体的に関係方面と調整を図ってまいりますと、例えば牛肉、かんきつ問題という論議が先に出まして、なかなか算定方式のところまで議論が進んでいかないというようなことも事実としてはあったわけでございます。そういう点からしますと、そういうことをきっかけにした生産者の方々の中に、これからの農業についての先行き不安感というのが、私たちのまさに実感ではございましたが相当強まっているのかなというようなところも一つあったわけでございます。  それからもう一つは、新算定方式については確かに昨年の九月以来時間をかけて論議し、その折々当然この検討の小委員会の中には学識経験者の方だけでなくて、生産者の代表の方あるいは消費者の代表の方もお入りいただいております。そういう点からしますと、生産者団体の方は、この新算定方式を検討するための小委員会の議論についてそれぞれ組織の中でまた並行して議論が進められているのかなと、こういうふうに私はみずからとしては理解をしていたわけでございますが、なかなか生産者の方の段階までには論議は十分にはあるいは浸透していなかったのではないかなと。報告書が出ましたのが六月の九日でございますが、それまでの間の現場における議論ということがどのように進んでいたのかなというようなところ、そういう点も新算定方式についての理解が生産者の方の段階までにあるいは十分浸透していなかったのかな、こういうような点。  それからもう一つ、これまで幅広く構造政策、生産対策というのを十分に進めてきたわけでございますが、現実に米価算定について担い手層というような考え方が出てまいりますと、構造政策、生産対策についていま一歩見直しをしていきたい、こういうような気持ちが関係者の中にあるいは出てきているのかな、こういういろんな角度からの論議があるいはお感じがあったのかなというふうに思います。  最終的には、大臣にいろんな角度からの御判断をお願いいたしまして、本年産からの適用ということを見送りまして来年産からと、こういうふうになったわけでございます。したがいまして、これからもまだ新算定方式についての論議は続くと思いますが、関係者の御理解が得られるように、これからも私たちは十分に努力してまいりたい、かように考えております。
  103. 宮島滉

    ○宮島滉君 ただいま伺っておりますと、昨年来、米審の小委員会におきましても、この新算定方式については議論がされていた。しかしながら、生産者の十分な理解を得るまでにいわゆる説明等を含めてできなかったということについて御反省もなさっていらっしゃるようでありますが、ずばり言っていわゆる生産者側に何か不安を持たせたんじゃないかと私は思う。ですから、その不安とは一体何なのか、お答えいただければ非常に結構だと思います。
  104. 近長武治

    説明員近長武治君) これは若干、私の個人的な印象という面もあろうかと思いますので、そういう点はお許しいただきたいと思うんですが、一・五ヘクタール以上層は販売数量の中で四四%である、したがって残りの、つまり一・五ヘクタール未満稲作農家はすべて政策の対象の外になる、切り捨てられるのであると、こういう御議論が一番強かったのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  やはりそういう点は、私たち、この新算定方式が出ていくときに、そういうことがあってはならないということを懸念をしていたわけでございますが、この新算定方式についての批判をするサイドからすれば、これは格好なる標的になるわけです。私たちは価格政策の上での米価算定一つの、つまり生産費調査というのは個別経営のそれぞれの経営データを積み上げていくものでございますから、そういう算定上の一つの手法による制約でそういうふうになると、こういうことをるる御説明したんですが、そういう点がある意味では農家の方々あるいは農業関係の方々の不安になっているのかなというふうに思います。  逆に言えば、経営規模の拡大でございますとかあるいは生産組織というのは担い手層だけでできるわけではございません。先ほどお話しいたしましたように、日本の稲作農業というのは水管理を通じてそれぞれ地域ぐるみ、地域ごとに結びついているわけです。したがいまして、それぞれの地域の中でいろんな調整をしながら規模拡大ということが進んでいくわけでございますから、今宮島先生からの御指摘のように、価格政策ということと、構造政策も単に国の予算の裏づけのあるものが政策だけじゃございませんので、現場でのいろんな活動というのがこれから活発に行われるようにということにも気を配りながら、私たちはこれから進めていかなきゃならないんじゃないかなと、かように考えております。
  105. 宮島滉

    ○宮島滉君 私は今伺っていまして、いわゆる新算定方式というのは価格政策の基本的な姿勢である、そのように実は御答弁をいただいたと思うんです。  そういたしますと、水田農業確立対策基本の中には三つほど、先ほどから出ておりますように、構造政策、生産政策そして価格政策、これが大きな柱になっていると思います。ですから、少なくともこの三位一体となって新しい稲作農業、足腰の強い農業を実はつくっていこう、こういう姿勢であろうと思います。  その中におきます新算定方式が、今おっしゃるように農家に不安をもたらしたということでございますけれども、少なくとも政府としては、今回の米価運動の中でこの姿勢だけはきちっと貫かれてくるのではないか、このように実は受けとめていたわけです。ところが、残念ながら一年間凍結する、こういうことでございます。そこらあたりには、確かに今御説明を伺って理解するわけでありますけれども、ややその姿勢に、これからの農業を踏まえてやっていこうというその緒についておるときに、いささか農林水産省の姿勢の弱腰といいますか、そういうものを含めてやや感ずるところがあるんですが、その点についてはどういう御所見をお持ちですか。
  106. 近長武治

    説明員近長武治君) 日本の稲作の問題については、私たち基本的には理解と協力という考え方で進めていくべきであるかなというふうに思うわけでございます。  今回の新算定方式については、先ほど来まだ御議論がないもう一つの面があるわけでございます。  それはどういう点かといえば、現在日本の米についての大きな問題の一つ需給均衡の問題でございます。長い間米の生産調整に関する政策を進めておりますが、まだ需要と供給が一致する、こういうふうになっていないわけです。それにはかなり財政負担が伴うということも事実でございますが、国民の需要に結びつかない農産物を生産するというのは、生産するサイドから言ってもなかなかやりきれない点なんですが、この点について申し上げますと一部だけではないんですが、かなり強い意見で、米価需給均衡方式でやるべきでないか、こういうような提案というのが出てくるわけでございます。  この米価審議会の小委員の中でもそういう論議がございました。しかし、需要と供給が一致するような価格というのは、私たちまだ今まで算定もしたことがない点でございます。そういう点からすれば、需要と供給が均衡するような、まだ私たちも算定したことのないような価格ではなくて、やはりこれからの日本の稲作農業を担うべきあるいは担う可能性をかなり強く持っておられる方を中心にする新しい算定方式というのは、宮島先生の今御激励をまた強く受けましたので、そういうことを旨としながら、これから幅広く農業関係者の方も含めまして御理解を得るように努めていきたい、かように考えております。
  107. 宮島滉

    ○宮島滉君 今御答弁の中で、将薬の価格政策の中でいわゆる需給均衡価格、これは大変重要だと、こういう御答弁がございました。  そこで、米価審議会の議論の中で、この価格算定に当たっては生産費よりも需給調整面を重視すべきである、このような議論がなされておるようであります。そうして一方では、新しい算定方式の導入は食管の基本を維持することが前提であるとも実は議論されておるわけです。このことは、米価算定に当たっては生産費所得補償方式を原則としていることと、それから需給均衡価格を採用することの両面性を実は意味しております。そうしますと、現実的にこれはどうも二律背反するようなことになるんですが、どうなんですか。どのようにこれを運用なさるつもりなのか、少し伺います。
  108. 近長武治

    説明員近長武治君) まさに先生御指摘のように、担い手に着目した生産方式と、それからそのものずばりの需給均衡方式というのはなかなか両立しがたい点がございます。  したがいまして、今回の米価審議会の小委員会の報告書は、結局潜在的な需給ギャップを直接的に反映させたいわば理論的な需給均衡価格水準といいますか、これを目指すような価格というのは相当低い水準になるというふうに見られるわけです。そういうような機械的な米価決定というのは、これからの中核的な担い手の育成に支障を及ぼす、したがいまして、これを避けて担い手層、そういうところに着目した米価算定をした上で、この水準が結果として潜在的な需給ギャップの縮小に資する水準になっているかどうかを検証しなさいと、こういうような考え方でございます。  したがいまして、整理してお話し申し上げますと、担い手層に着目した算定を行って、その水準が需給均衡、潜在的な需給ギャップの縮小に資する、そういう水準になっているかどうかということをチェックしなさいと、こういうようなことでございますから、そういう考え方でいけば食管法に基づきます生産費所得補償方式ということが十分維持できるし、それから需給均衡にも方向としては役に立っている。しかし、単純なつまり理論的あるいは機械的な需給均衡価格を目指すようなそういう方式は、今回の新算定方式の中でもとられるようなことにはなっていない、こういうことでございます。
  109. 宮島滉

    ○宮島滉君 もう少し突っ込んで実はお伺いしたいと思うんですが、生産費よりもいわゆる需給調整面を重視すべきであるという米審の中での議論、これは大変私は注目すべきことだと思うんです。その背景というのはどこにあるかといいますと、もう御承知のとおり、過剰米にあると思うんです。ですから、この過剰米を需給均衡化するということになれば、現在の七十七万ヘクタールのいわゆる減反面積を当然調整しなければ実際できないことになると思うんです。ですから、天候等特別な災害等を含めましたことがあるならばいざ知らず、平年作でいく限り過剰米というのは現状から推測しますと、これはどうしても避けがたき数値になるのではないか、私はこう思います。したがって、そこでこの需給面からの価格形成をやらなければいけないんじゃないかということは、当然私は議論として出てくることであろう、こう思います。  そうなりますと、先ほど私が突っ込んでとこう申し上げましたのは、食管制の傘の中で、両面の相矛盾する現実問題を踏まえて我々は解決していかなきゃならないわけなんです。そうしたときに、その傘である制度というものは何ら議論がされていないのか、それも踏まえて議論が若干なされているのかについて、少し伺いたいわけでございます。
  110. 近長武治

    説明員近長武治君) 米価審議会の中の小委員会では、現在の食糧管理法に基づきます生産費所得補償方式ということを念頭に置いた議論が進められてきている、かように思っておりますので、そういう点では今の食糧管理法をまた別な姿、形にするというようなことは、米価審議会の小委員会の中の議論ではそういうことは前提ではなかったと思います。  ただ、新算定方式の議論のときに、担い手育成ということのほかに需給均衡ということが非常に強く意識としてございますから、その議論が進んでまいりますと、先ほどちょっと触れました理論的な需給均衡水準というような論議が常に見え隠れした形で議論としては出てきていたと、こういう状況でございます。
  111. 宮島滉

    ○宮島滉君 先ほど同僚議員の質問に答えて、政府としては食管制度はあくまでも堅持していくんだ。こういう御答弁も実は伺っていたところでございます。しかしながら、先ほどから私申し述べますように、余りにも問題点が多過ぎる。ですから、転作の拡大についての限界感もある。それから需給ギャップを縮小する数量にもややもすると限界が来ている。あるいはまた、他用途米としてのいわゆる需要開発米の拡大というのも、これも数量的な伸びというのは余り期待ができない、こういう問題を抱えていますとどうしても私は、食管制度というのは堅持しながらも何かそこには抜本的な政策、それぞれなされておるわけでありますけれども、極めて強い姿勢で臨んでいかなければ、私はこれは大変じゃないかな、このように実は思っておるところでございます。  もう少し突っ込んで伺いたいわけでありますが、少し時間の制約も受けておりますので、先ほどから価格政策を進める上に立って最も大事なのは構造政策でもある、あるいは生産対策でもある、こういうことでございます。そこで、構造政策について少しお尋ねをしておきたいと思うんです。  構造政策の中では、何といいましても圃場整備、これが積極的に進められなければならないわけなんです。そこで、年次目標がそれぞれ出されておるわけでありますけれども、残念ながらまだそれが遅々として進んでいない、このような状況にございます。したがって、目標の七〇%の農地整備率を少なくとも六十七年には達成したい、こういうような政府としてのお気持ちであられるようでありますけれども、残念ながらまだ今日に至ってもそれが四十数%にしかすぎないということは極めて残念に思うわけであります。  そこで、少し小さいことでありますけれども、私の出身である長崎県をとってみますと、残念ながら全国のその半分の数値にも至っていない、こういう現状に実は置かれておるわけなんです。その一番大きな理由は何かといいますと、もう御存じのとおり平たんな農地というのは非常に地域的に少ない、山間地を抱えている、それも傾斜地である、こういう状況でございます。したがって、整備事業をやりますとどうしても他の地域と違いましてコスト高になる。つまり聞きますと、他県が一〇〇の費用に対しまして長崎県は約一四〇%、四割高になる、こういうことでございます。そのことが一番大きなネックになりまして、今日に至るも全国で一番最低の整備率になっている、こういう現状でございます。  ですから、ひとつ御要望でありますけれども、予算の傾斜配分、そういうものはできないものかどうか。そうでなければ先ほど一番冒頭に私お伺いしましたように、地域格差がこれからどんどん出てくるわけなんです。米作においては出てくると思います。そうしていかなければやむを得ない一面もあると思いますけれども、しかしながら何といっても先ほど同僚の先生から専業農家は食えないような状況にあるんじゃないか、こういうような御指摘もあっておりました。少なくとも九州の農家というのはほとんどが複合経営です。ましてや私どもの長崎県は狭い土地で、複合の中で水田も営んできている。これはやめるわけにはいかないんです。  だとすれば、今政府がとっておられるようないわゆる姿勢としての集団化、これの方向に向かって私どもは進んでいかなければならぬ、そのためにも何といっても整備事業が私は喫緊の課題だと、こう思うんです。ですから、そのことについて少し細かい御要望をしたようでございますが、御所見を伺って私の質問を終わりたい、かように思います。
  112. 松山光治

    説明員(松山光治君) これからの構造政策の推進に当たりましては、地域の条件に応じて地域の農業の振興を図っていくというこういうことで、画一的な考え方ではなくて、今複合経営というお話もありましたけれども、複合経営を主体にしながらあるいはまた個別経営だけではなくて、集団化を進めるところは進めるといったような多様な形態の推進が必要だというふうに思っておりますが、その場合に基礎になりますのが、御指摘にございましたように基盤整備、特に圃場整備の問題でございます。  今、先生の方から御指摘がございましたように、かなり圃場整備の実施状況には地域差がございます。土地条件なりあるいは地元体制の問題等々、いろんな地域差の反映があるわけでございます。今の圃場整備事業の基本的な考え方は地元の申請に応じてこれを進めていく、こういう考え方をとってございますので、私ども、予算の傾斜配分というお話もございましたけれども、地元からの申請を受けまして、よくこれからも御相談をしていきたい、できるだけおくれているところについてはやはり進めていただく必要があるのだろうと、このように思っておるところでございます。  ただ、そうはいいましても、またお話にございましたように、なかなか条件に恵まれないところを一体どうしていくんだ、こういうお話でもございます。その点につきましては、御案内のように、振興山村でございますとか過疎地域等の土地条件あるいは気象条件に恵まれない地域につきましては、従来から平場よりも有利な補助率を設定する、あるいは採択基準の緩和を図るといったような努力もいたしてきております。六十三年度におきましても、これは例の揮発油財源の身がわり農道でございますが、これも振興山村、過疎地域で実施するものにつきましては、従来の五十ヘクタールという面積から三十ヘクタールに緩和しておるといったようなこともございます。なかなか財政事情その他からしてそういう意味での条件改定というのは難しい事情にあることも事実でございますけれども、私どもも引き続き全体としてレベルアップをするにはどうすればいいか、こういうふうな観点からいろんな問題を考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  113. 刈田貞子

    刈田貞子君 午前中に引き続き少し各論について質問さしていただきますが、先ほど午前中に、昭和六十三年産米穀政府買い入れ価格試算についていろいろ御説明をいただきまして、それから今同僚委員算定要素とり方等についての答弁を伺っておりまして理解してきた部分もあるんですが、重ねてお伺いをしておきたいと思います。  まず、先ほど話のございました、私も基本的な考え方を伺いたかった企画管理労働費の算入の仕方でございますね、カウントの仕方についてさっきの話はうなずけるような気もいたしますが、このたび農水省で緊急調査を三十九項目にわたってなさいましたね、その中からどんなことが得られたのかということを一つ伺っておきたいというふうに私思います。  新算定方式の中では、今後この企画管理労働というのは当然考えられていかなければならない重要な要素だというふうに私は思っています。ただ、先ほど来お話がありましたように、全農家を対象にすべきかどうかということには小委員会でかなりの論議があったことを私も知っておりますが、この点について三十九項目の調査の中でどういうところがどういう問題になったのかというようなことについて、この際伺っておければと思います。
  114. 近長武治

    説明員近長武治君) 企画管理労働米価算定の際に取り入れるということは長い間論議が行われたわけでございます。ただ、これは調査の上では大変難しい問題を含んでおりまして、直接圃場にかかわらないものですから、どの程度の範囲のものを企画管理労働とあるいは米価算定に算入すべきものとして考えていくかということでございます。今回、統計情報部の方も稲作企画管理労働に関する緊急調査ということでございまして、そういうような調査の中で、例えば簿記記帳にどのくらい時間を費やしたとかあるいは資金調達だとか技術習得だとかあるいは集会出席だとか、こういうような項目について調査をしたわけでございます。  米価算定委員会報告の中でも担い手層、さらには中核的な担い手に着目した算定方式というふうにした場合には企画管理労働米価に算入することが必要だ、こういう大体方向にはなっているんですが、具体的にどういうやり方をしていくかということについてはまだ具体的な調査がなかったものですから、米価審議会算定小委の中でもそこまで突っ込んだ論議にはなっておりません。  したがいまして、今回は緊急調査でございまして、まず六十三年産には一定のものについては算入したわけでございますが、さらに米価が終わりましてから、またこの調査結果なども担当の統計情報部ともよく打ち合わせをしながら、先々どうしても企画管理労働が必要であるということの認識がございますので、調査の仕方ももっと工夫するところはないかというようなことも含めてさらに内部でも論議していきたい、こういうふうに考えております。
  115. 刈田貞子

    刈田貞子君 現場を歩いてみますと、いわゆる担い手層という方たちが兼業農家の水回りまで一生懸命見てやっていたり、それから集落の運営まで全部負担しているというような部分があるんですね。それは必ずしも米価算定の中の企画管理労働というものに入るか入らないかは別といたしまして、すべてその層に何でもみんな集約されてしょい込まされているという部分がすごくあるわけです。これらが非常に負担になっているというのもあるんです。こういうのをカウントするのかしないのかというのは別として、やっぱり今後の新しい農村農家の絵を描いていく上においては、十分具体的な現場の生産労働というものとは別な形の一つの労力として考えていく必要があるのじゃないかなというのが、私は現場へ行っての実感なんでございますけれども思いました。  したがいまして、こういうもののとり方考え方というのは大変大事な一つ要素になってくるだろうと思います。今回は〇・七ということが出ておりまして、昨年は一ですね、そうすると、この辺の差はどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。
  116. 近長武治

    説明員近長武治君) 前の調査と今回の調査、若干調査の仕方自身の差もございますが、全体として規模が大きくなってきておりますので、十アール当たりに換算いたしますと時間数は減ってきているというようなところが基本ではないかなというふうに思います。例えて言えば、集会出席というのは面積の大きい方も小さい方もそんなに変わらないんだろうと思うんです。ところが、五ヘクタールの人が出たときと三十アールの人が出たときにそれを十アールに引き直しますと、片方は三で割るし、片方は五十で割る、こういうふうになりますので、そういう面積の違いだとか中身をよく分析した結果じゃございませんが、そういうようなところもあるのではないかな、かように思います。
  117. 刈田貞子

    刈田貞子君 これについては、私もまだいろいろお伺いしたいことがあるんですけれども、また改めて別な機会に伺ってみたいと思います。  もう一つ要素の問題として、そちらにもたしか御通告してあったはずですが、私、地代の問題を伺ってみたいんです。  今回の算定要素の中で自作地地代がさっき十年の直近とおっしゃっていらっしゃったようですね。これの考え方ですけれども、どうして私が地代の問題を持ち出すかといいますと、いろいろここで内外価格差の問題なんかを自分で調べてみているうちに、アメリカの稲作生産なんかと、それから我が国稲作生産の中でこっちの地代の問題が大きく差があるわけです。あと労働力の問題です。これが大きなやはりウエートになって価格差をつくっているという感じがいたします。たしか地代で一対四十五で、それから労働力で一対二百というような数字を私読んで記憶しているように思うんです。したがいまして、この地代考え方というのはこれから確かに大きな課題だとは思うんですけれども、それがまた大きく生産費そのものにはぬ返ってくるものですから、これは非常に痛しかゆしの大変厳しいテーマじゃないかというふうに思うんです。この辺の基本的な考え方をまず同わしていただきたいと思います。
  118. 近長武治

    説明員近長武治君) 地代の問題は、米価算定の際の問題とそれからもう一つは、日本の農業経営の上でそういう地代、土地の値段というのはかなりこういう高密度社会でございますので、農業以外の土地利用等のインパクトというのはやはり有形無形に受けているわけです。そういう問題をどういうふうにして解決しながら日本で農業経営が営めるようにしていくかという問題があるわけでございますが、今回は米価の問題でございますので、米価にかかわる問題に限りまして御説明さしていただきたいと思います。  自作地地代というのは、現実としては費用として経営の外に支払うものではないわけです、これは自作地地代でございますから。したがって、その自作地地代というのを米価算定の上でどういうふうにコストとして評価するか、こういうふうになっていくわけです。そういう点からいたしますとコストといいますか、あるいはこれは生産費及び所得補償方式ですから、この自作地地代というのは米価算定の上では所得付与的な部分である、こういうふうに理解をされております。自作地地代評価についてはもういろんな考え方がございますが、やはり水田というものを土地資本としてとらえまして、これに対して一定資本利子を付与する、こういう考え方がこれまでも米価審議会等でも大体多数の意見であるというふうに理解されております。  具体的なやり方は、結局固定資産税評価額直近の、今回の場合直近一年でございますが、十年利付国債応募者利回り、これの直近一年の平均を掛けてそして計算をする、こういうようなやり方をしているわけでございます。したがって、自作地地代評価については、米価算定の上では所得付与の一部をなすというところでございますので、本当にいろんな論議があるわけでございます。例えばもうその辺の土地の値段で評価しろという議論であるとか、いろんな議論があるわけですが、もうこれについては最近は以上のようなやり方でやっております。ただ、利付国債応募者利回りについては、昨年はかなり利回りの変動があったというような事情がございましたので、直近五年の平均をとっておりますが、本年は、やはり最近は比較的応募者利回りが安定してきておりますので、直近一年をとっている、こういうことをつけ加えさしていただきます。
  119. 刈田貞子

    刈田貞子君 先ほど宮島委員の方からもお話しがありました基盤整備の問題でございますけれども、今現在、土地改良事業の農家負担分というのがまだありますね。最初にやった改良分の償還が終わらないうちに、また次の償還分を払うというようなことが重なっているような農家がたくさんあります。十アール当たり二十五万から三十万ずつぐらいの単価で払っているようなところがあると思います。だけど、そういうふうな種類のものの中で、これは私最近知ったんですけれども、圃場整備とか大規模客土あるいは農道整備なんかのような土地造成的費用というもの、こういうのは直接計上されてないわけですね。そうでしょう。それで、ただそれはその人の田んぼの資産価値を高める効果を持っておるからという考え方に立っているわけでしょう。  私が言いたいのは、さっきおっしゃった結局土地資本利子に対する評価というふうに言われたんだから、こういうものはその土地資本を高めていく手段なんで、それに対する費用というものも考えてもいいんじゃないかというようなこと、これはどうでしょうか。
  120. 近長武治

    説明員近長武治君) 大変私たちが内部でかなり専門的な議論をするときの議論に突っ込んでいるものでございますが、まさに御指摘のようなところでございまして、つまり土地改良事業を行いますと理論的にはその土地の評価が上がるわけです。そういたしますと、その評価の上がった分が現在は固定資産税評価額でやっておりますが、その評価の方に影響するはずだ、こういうような理論的な枠組みになっているわけです。したがいまして、土地改良費の中でも何といいますか、土地の価格に反映すべきものについては年々の生産費の中では米価算定しない、こういう考えになっております。  したがって、結果としては、理屈の上では最終的には何らかの形で米価のコストにはなるわけですが、直接的ではなくて、それがめぐりめぐって価格算定の中になる、こういうことでございまして、これは現在の米価算定のいろんな要素を組み立てるときに相当議論をした上でこういうような考え方を採用しているわけです。
  121. 刈田貞子

    刈田貞子君 ところが、生産農家では具体的にその月々に払っているお金の額というのは正確に把握しているわけです。それだけに数字で痛みをちゃんと持っているわけです。だけど、その効果というのが回り回ってしか反映してこないというのは、やはり生産者にとってみれば非常に歯がゆい話になっているわけです。この辺は今後の課題として考えていかなきゃいけない問題じゃないかというふうに私は思っております。  それから、時間がないので次の問題として、これは昨年も申し上げましたけれども、いわゆる生産性向上をどう還元していくかということで、先ほどの御説明なんかによりましても生産性を向上しては悪いような形に書いてあるわけです。つまり「しかし」と書いてあって、「しかしその生産性、単収当たりが上がって労働力が減少した」というような形で書いてあって、本来農水省の政策としては単収を上げ、そして労働力の投下をできるだけ少なくしていくという、生産性の高い、何というのですか、水田の経営というものを志向して今もいるわけですね。だけど、結果的にそれが今度は自分たちの米価を下げていくということの要素になっていっちゃうわけでしょう。  さっき大臣生産農家所得の歩どまりを考えてという言葉を一生懸命使っていらつしゃった。それから次長の言葉の中にも、生産性向上を反映してということが御説明の中にありまして、私書きとめておきましたけれども、事実上はそうなっていない。それは、先般発表されたこの統計のところでも、農業所得基本的には平均で七・一%下がっちゃったということ、その主たる原因というのは昨年、これは六十二年度の農業所得です。これは、主なる原因は減反にかなり協力したということと昨年の五・九%の米価引き下げが大きに影響しているという論評があっちにもこっちにもありますし、現に生産農家でもそう言っているわけです。これは平均で七・一ですからね。東北農政局なんかではたしか一二・幾つです。逆に九州農政局あたりの平均は、この間聞きましたけれども、七・一よりももうちょっとたしか低いはずです。  いずれにしても、軒並み農業所得というのは下がっている。事実上これは昨年の米価引き下げが大きく影響しているんだろうと。そうすると、農家所得の歩どまりを云々と、大臣は言っておられるけれども、事実上、結局生産性の向上メリットというのは逆作用しているんじゃないかというふうに私は思うんですが、どうでしょう。
  122. 近長武治

    説明員近長武治君) 現在の生産費所得補償方式というのは、現実に実現した生産費ということをもとにして考えておりますので、農家生産性向上メリットをどういう形で還元するかどうかということは、今の方式では大変難しい問題にはなるわけです。  その間の事情を簡単に御理解を得るために申し上げたいと思うんですが、今の生所方式もとでは、例えば物価の動向だとか資材の投入量だとか労働時間、こういうことを反映した生産費を用いて算定する、これが大前提でございます。例えば労働時間が減少した、しかしその減少した実績は米価算定には織り込まない、こういうふうになりますと、この算定方式の本旨にももとるわけでございますし、やはり算定方式そのものについての幅広い理解を得るということにはなかなかならないんだろうと思うんです。  ただ、そういうようなことではございますが、現実の米価算定する際には、例えば労働時間で言いますと過去三年間の平均労働時間を用いております。そういたしますと、現在は労働生産性は趨勢的には向上してきておりますから、二年分ぐらいの大体差があるわけです。それが計算上の問題でございますが、現在は過去三年間の平均労働時間を、例えば労働時間の点で言えば用いている。そうすると、おおむね二年前の労働生産性の水準が反映された米価になっておりますので、その二年分の労働生産性向上分というのは生産者の方にメリットとしてまだとどまっている、こういうふうにもなっている。これは算定のまさにテクニックの上での問題でございます。  理論的には生産費でございますから、その生産費が下がっていけばそれだけ価格算定の上では価格が低くなってくる、こういうようなことになるわけでございます。いずれにいたしましても、そういうような考え方でございます。  それからもう一つは、同じ農家の中でも生産性向上努力をいたしまして平均的な経営よりも高い生産性を持っている、そういう生産者の方は、現在の方式でも当然のことながらその生産性の差に見合う利益が常に帰属するわけでございます。つまり、現在の米価算定というのはかなりの数の算定農家もとにしておりますから、そういうような平均的な経営よりも高い生産性を持っている農家には、当然のことながら生産性の差に見合う利益が常に帰属する、こういう関係になっているということにも留意しておきたいなと、こういうふうに思います。
  123. 刈田貞子

    刈田貞子君 それから、みんな聞きたいので簡単に教えてください。  私、物財費のことを申し上げてありますね。物財費が意外と下がっていないんです。物財費も細かく調べてみると、下がっていると思われるのは光熱動力費とそれから肥料ぐらいで非常に物財費が下がっていない。これをもうちょっと引き下げなければコスト低減につながっていかないということで、これをしっかり指導していかなきゃならないんじゃないかなということを思いますので、それをまず伺うのと、あわせてコスト低減に必要な規模拡大が進んでいないということです。  規模拡大が進まない理由に地域営農集団の育成のための支援措置を何か講ずるべきではなかろうか。生産団体でも、一農協十集団組織ですか、の育成なんということで大変心がけて努力しているんです。だけど、なかなかその集団組織の育成というのも難しいところがあるようでございますので、今後、地域営農集団の育成にどういう措置を講ずるようにお考えになっていらっしゃいますか。  公庫の話も一緒にやってしまいますので。  例の金融公庫の担い手、中核農家規模拡大経営資金の拡充について、六十三年度から条件改定が行われたけれども枠がある。その担い手が都府県で二・四ヘクタール未満層の人、北海道で八ヘクタール未満層の人については対象外とするということ、この枠は規模拡大に歯どめをかけるのではなかろうかということ。  この三点あわせてみんな伺ってしまいましたので、お答えいただきたいと思います。
  124. 近長武治

    説明員近長武治君) まず第一点は、私の方から答えさしていただきたいと思います。  米の生産費の中で物財費のウエートというのはかなり高うございますが、その中でも、肥料、農薬等もございますが、農機具費というのが大体二五%ぐらい生産費の中ではあるわけでございます。第二次生産費ベースで見ますとそのくらいになるわけです。  最近やはり規模間において農機具費の違いというのは相当大きゅうございます。同じような機械を大きな面積で使うのか、小さな面積で使うのかというのは十アール当たりの換算でいきますと相当違ってきます。したがって、方向としては、生産性を上げるという点からすれば、農機具を使う規模を大きくしていく、これは個別経営の中で大きくしていく方法もありますし、営農集団なり共同で使っていくというような方法もあろうかと思いますが、私たち価格算定しているサイドから見ましても、そういうような工夫というのが現場でもっと行われてしかるべきだなと、かように感じております。
  125. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 生産集団と申しますか生産組織の育成につきまして、私ども従来からいろいろと努力をしてまいっているわけでございます。  一つ二つ申し上げてみますと、農業生産対策事業の中で生産組織の機能向上対策という、これは特別指導事業でございますが、生産組織のできるだけ質の高い共同化を行っていくというような観点から取り組んでおるわけでございまして、機械施設の有効利用ということもその重要な観点一つになっております。また、農業改良資金の中におきまして、生産組織におきまして能率的な技術を導入していくための必要な機械施設、これに対して無利子資金を供給するといったような制度も設けているわけでございます。  また、今後の稲作農業との関係でどういうことを目標に進めていくんだというような御議論もあちこちであるわけでございますが、実はことしから、一昨年の農政審報告に示されました生産性水準、指標がございますが、二十ヘクタール程度、例えば中型機械化体系で、三人程度の常時労働力でコストを今の半分程度に下げるといったようなことが現在の技術水準のもとで可能であるというような試算が出されているわけでございますが、こういった試算に基づきます各地域に当てはめましたモデル的な組織をつくっていく、こういったことにも現在取り組んでいるわけでございます。  そういった各種の努力を通じまして、先ほど来御論議出ておりますように、今の機械化農法なり先進的技術に見合った生産構造というものをつくっていく必要があるという見地から努力をしておるわけでございますが、今度の価格につきましての方向づけというようなものにも関連をいたしまして、私ども今後ともさらに政策体系を見直しながら、何とか地域の実情に応じまして思い切った推進ができるような施策の改善について、なお努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  126. 松山光治

    説明員(松山光治君) 農地取得と資金の要件の問題でございます。  御案内のように、従来の貸付限度額一千七百万円でございましたけれども、本年度から特定貸付限度額として個人の場合で五千万円、農業生産法人の場合で一億五千万円というかなり大きな枠を設定することにしたわけでございますが、こういう枠を設定いたしましたのは、平たく申しますと既にかなりの規模に達しておる人でもう一段と高い経営を目指すんだけれども、従来の枠ではおさまらない、そういう人目当ての枠の設定ということで考えたわけでございまして、そういう意味で内地で申しますればおおむね三ヘクタール以上、下限としては二・四ヘクタール程度という要件を設定しておるわけでございます。したがいまして、その要件を満たさないような規模の方につきましては、まずは従来の千七百万の枠をフルに活用していただいて一段上がっていただく、その上でさらに頑張るという希望の方にはまた五千万円を活用してもらう、こういうふうな段階的なやり方をやっていただくのがいいんじゃなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  127. 刈田貞子

    刈田貞子君 それじゃ、意欲というのが救えないじゃないですか。
  128. 松山光治

    説明員(松山光治君) 現実の農地取引の実態とも絡むわけでございますけれども、一挙に大きな借金を抱えてというのもいかがかと思います。実際の農地取引の例からいきましても、日本の場合には一農場というふうな形での取引は比較的少ないわけでございますので、大体今のようなことでやっていただけるんじゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  129. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十二年から六十二年までの間の幾つかの農業指数を調べてみました。農業パリティ指数が一一〇・五%になっています。消費者物価が全国平均で一三四・四%、製造業の労働者の賃金指数が一六〇・三%、ところが生産者米価は一〇一・九%、ところが、さらにこれが今度の米価決定引き下げられようとしているという状況です。十年前に比べまして消費者物価も、労働者の賃金も相当程度上がっているのに生産者米価が切り下げられようとしているというのが現実で、米作農家の人が怒るのは当然だと思います。すべての米作農民がこの引き下げで打撃を受けますけれども、とりわけ打撃の大きいのは中核農家ではないか、担い手ではないかということが食糧庁から説明されました。私たちもそうだろうと思います。  そこで、そういう状況の中で、とりわけ深刻な打撃を受ける者は年々政府に対して償還をしている米作農民ではなかろうかという問題を質問します。例えば農水省からいただいた資料では、昭和五十二年度と六十二年度を比べますと、補助かんがい排水事業は十アール当たりの負担が三万七千円から五万一千円になっています。これは全国平均です。圃場整備事業の年間償還金が昭和五十二年は十三万七千円、六十二年は二十五万九千円。もともとこういう償還というのは米作による収入で償還をしていくという建前でつくられているはずです。農家が支払わなければならない金額は年々上昇しているのに農家の手取りになる生産者米価は上がっていない。むしろことしで下がろうとしている。  こうなりますと、普通の米作農家は圃場整備などで国に年々支払いをしているとすれば支払いができるはずがないということになると思います。よそから借金でもしてくれば別ですけれども、米作による所得で年々の償還というのはできない仕組みになっているのではなかろうかと思うんですが、この点どうですか。
  130. 松山光治

    説明員(松山光治君) 年々償還額がふえているという、まずお話があったわけでございますが、若干区別して考える必要があろうかと思います点は、着工年次が新しくなるにつれましてこれまでのところ平均的な償還額がふえてきているということは事実でございますけれども、過去に完成いたしましたところのものまでがふえてきているということではないということを一つ、まずは申し上げておきたいわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては今のような厳しい農業情勢もとでは、先ほどもお答えしたところでございますけれども、これからの取り組みに当たりましてはできるだけ事業費が少なくて済むような、そういう工夫をいろんな面で凝らしながら進めなければならぬというのが一つと、それから具体的に償還料の問題の起こっております地区について、御案内のような計画償還制度なり、償還金の円滑化対策なりを有効に活用した個別具体的な問題としていろいろと対応していく必要がある、このように考えておる次第でございます。
  131. 諫山博

    ○諫山博君 今の私の質問は全国平均的な問題として取り上げました。その中でも特に深刻な問題が生じている福岡県山門郡大和町の大和干拓地について質問します。  ことは農水省が相当力を入れて進めた国の干拓事業で、造成された土地が三百三十ヘクタール、その中で水田が二百六十一ヘクタール、入植者が二十五戸、一戸当たりの面積は四ヘクタール、これは米作を目的とした干拓地です。従来からの農民が二百六十五世帯ありますけれども、一戸当たり平均の面積は〇・六へクタールこの干拓地を入手しております。  初めの説明では米が五百六十キロとれる、麦が二百七十キロとれる、こういうことで干拓事業が始まりました。ところが、恐らく農民の人が予想もしないような大変な状態が出てきております。入植して間もなく陥没が始まる。その陥没も平均して一メートル以上、中には二メートルぐらい干拓地が陥没する。当然米作、麦作に深刻な影響が出てきました。このままでは農業が続けられませんから何とか農業が続けられるようにしてもらいたいといろいろ政府や県に要求しましたけれども、なかなか行政はしてくれません。  そこで、入植した農民あるいは前から居住している農民の人たちは、自分たちで陥没した土地にかき上げをしてさまざまな努力をしながら米作、麦作に努めてきた。幾ら要求しても政府も国も県も何もしてくれませんから結局甚大な被害が累積している。この問題で、例えばかき上げの費用で一戸当たり二千二百万円自分で出したところがあります。減収が初め説明されたものに比べると、現在までで一戸当たり三千万円に達しているというところもあります。こういう陥没状態が起こり、入植した農民が自分の力でかさ上げをし、減収がずっと続いているという状態であることを農水省は認識しておられましょうか。
  132. 松山光治

    説明員(松山光治君) 今お話しの大和干拓、御指摘のように三十三年度に事業着手をいたしまして、四十六年度に竣工したところでございます。入植後しばらくたってからのことでございますけれども、地盤沈下が始まったということでございまして、それに伴いましていろいろと地元の方に御苦労をおかけしておる、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。  どの程度減収したか、なかなか地盤沈下と減収との関係、難しゅうございますので、恐らくいろんな試算があろうかと思いますし、かつまた御自分で客土をする等の御苦労をされておるということは承知いたしておりますけれども、具体的にそれぞれどれぐらいの金額になっているかといったようなことについては、私ども今データは持っておらないわけでございます。  本干拓地におきます地盤沈下をめぐる問題の難しさといいますか、複雑さは、それがいかなる理由によって生じたかということが必ずしも明らかでない。国といたしましても県なり通産省とも関係のある話でございます。私どもの九州農政局、それに福岡通産局、県といったようなところで合同の連絡会議をつくり、寄り寄りいろんな相談をしながら、かつまた専門家に委嘱いたしまして原因の調査をいたしたわけでございますけれども、特定できないという結論を六十二年にいただいたという経緯がございます。  私どもといたしましては、今国としては何もやってくれないというふうなお話もあったわけでございますけれども、営農上の問題にかかわることでございますので、原因が特定できないというところではございますけれども、できるだけ地元の方々の御苦労にこたえていくという趣旨も込めまして排水対策事業等についての助成も行ってこれまで対応してきたという、こういう経緯があるわけでございます。
  133. 諫山博

    ○諫山博君 入植者は、一戸当たり四へクタトルの水田を耕作するいわゆる中核農家となろうとしてここに入ったわけです。そして、この土地は子々孫々まで美田として使用するというつもりだったと思います。この陥没について農民には責任はない。陥没のかさ上げというのは、本来農民が自分でやらなければならない性質のものではない。この点は農水省お認めですか。
  134. 松山光治

    説明員(松山光治君) 責任があるかないかという点についてはなかなか議論があるのかもしれませんけれども、要するにいかなる理由でこの陥没が起こっておるのかがはっきりしないというところに問題の難しさがあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、農民みずからの自助努力としていろいろ御苦労があるということのほかに、私どもといたしましても排水対策その他について御協力申し上げておる、こういう実情にあるわけでございます。
  135. 諫山博

    ○諫山博君 私が聞きたいのは、陥没の原因をつくったのは農民ではない、この点はどうですか。
  136. 松山光治

    説明員(松山光治君) それは、そういうことではあろうというように思います。
  137. 諫山博

    ○諫山博君 陥没の原因をつくったのが農民でないとすれば、これを復旧する責任も農民にはない、これはどうですか。
  138. 松山光治

    説明員(松山光治君) 農民みずからの営農改善への自助努力として、今そういった対応をおやりになっておるんだろうというふうに考えておる次第でございます。
  139. 諫山博

    ○諫山博君 この土地は、わかりやすく言えば売り買いです。農民は買い主、政府は売り主です。欠陥の土地を売りつけたわけですか。本来この干拓地というのは美田として農民に売ったわけでしょう。ところが、実際は重大な欠陥が生じた。これは売り主である政府の責任ではありませんか。
  140. 松山光治

    説明員(松山光治君) 竣工いたしまして売りましたときには何らそういう事態がなかったわけでございまして、また先ほども申しましたように、いかなる理由でこういった沈没現象が起こり始めたのかという点が明らかでないという意味におきましても、政府の責任であるとも私どもは考えておりません。
  141. 諫山博

    ○諫山博君 それではだれが責任をとるんですか。  私はこう思います。政府の方で、例えば三井という第三者の責任を証明するということになれば復旧の責任は三井にあるでしょう。損害補償の責任も三井にあるでしょう。しかし、三井の責任であるということが証明されない限り売り主である政府の責任だ。これは常識じゃないですか。
  142. 松山光治

    説明員(松山光治君) 地盤低下が起こっているようなものを売ったということであれば別かもしれませんけれども、私どもの方で配分をいたしました後何年かたってそういう現象が起こってきた、その原因がなかなか特定しにくいという難しさを持っておるという、そういう問題でありまして、私どもとしてもある意味では、今先生からおしかりを受けているという意味では被害者の一人になるのかもしれないなというような気もいたすわけでございます。
  143. 諫山博

    ○諫山博君 それは無責任過ぎますよ。売ったときには陥没は起こっていなかったと言いますけれども、これは長期にわたって農地として使用するはずの土地でしょう。それが長くたたないのに陥没が起こった、原因がはっきりしないから政府の責任ではない、政府も被害者だ。何という言い方ですか。欠陥商品を売りつけたわけじゃないですか。  そこで、通産省に質問します。  この干拓が計画されたとき、干拓が開始されたときに、この土地は鉱業権が設定されていたはずです。さらにその後、三井に対する施素案が認可されています。干拓が計画され、干拓事業が開始されたときに施業案は既に認可されていましたか。
  144. 斉藤真人

    説明員(斉藤真人君) 質問にお答えしますと、ここの地域の海底の炭田を開発するということで当時、日鉄鉱業株式会社という会社が鉱業権を二十六年に取得しております。そこで日鉄鉱業株式会社は、ここのいわゆる海底炭田の開発のために三十年三月、採鉱権に関します施業案を申請しております。ただ、この段階の施業案といいますのは、調査といいますか、試掘を中心とする施業案でございます。  さらに歴史を経ていきますとこの日鉄鉱業は三十五年一月、人工島の開発に着手いたしまして本格的な開発作業にスタートをしております。しかしながら、四十二年でちょうど立て坑の開削は終わったわけでございますが、四十三年の四月になりまして水が出てくるということがございまして、作業はそこでストップしております。そこで、日鉄鉱業は鉱業権を三井石炭の子会社に当たります有明炭鉱という会社に譲渡しております。この譲渡の時期といいますのが昭和四十八年の三月になります。それで、四十八年の三月から現在の開発といいますのがまた再開されまして、石炭の採炭というのが行われるようになりましたのは五十一年からでございます。  以上でございます。
  145. 諫山博

    ○諫山博君 いずれにしましても、農水省がこの地で干拓を計画したときには、この周辺で石炭が採掘されるだろうということは予定されていたわけです。  そこで、干拓地を決めるに当たって、通産省の求めによってもっと干拓地を狭くする必要がある、そうでなければ鉱害の被害を受けるということで、初め予定されていた地域よりか干拓の面積を狭くしたという経過があるでしょう。どうです。
  146. 松山光治

    説明員(松山光治君) この干拓事業、昭和二十八年から調査を開始いたしまして計画の取りまとめに当たっており、三十三年から事業に着手したわけでございますが、今御指摘がございましたように、着手に当たりまして通産局等の方から干拓の堤防線を少し下げてほしいという御要望があったわけでございます。これは言ってみれば地上、地下の間の一種の利用調整、鉱害を防ぐための調整といったような性格のものではなかったと思いますが、私どもとしましては、そういった申し入れを受けまして当初計画を縮小いたしまして事業に着手し、四十六年度に竣工したということでございまして、私どももそれなりの配慮をしてきたつもりでございます。  なお、これに関連しまして、今通産省の方からお話のございました四十八年三月に有明炭鉱が採掘に着手する、そういう施業案の認可を得るに当たりまして、福岡の通商産業局長から干拓堤防よりも沖合三百メートル以内を採掘禁止制限範囲とするということと、それから採掘の深さは第四紀層、底面直下五十メートル以深にするといったような条件がつけられておったというふうに聞いておる次第でございます。
  147. 諫山博

    ○諫山博君 陥没の原因がまだ明らかにされていないということから対策を放置することは売り主である政府には許されません。今農民が減産による被害、復旧工事による被害を現に受けているわけです。これに対してどうしようとしているのか、対策がありますか。原因が明らかにならないから対策は講じませんというのは、これはひど過ぎます。対策を聞かしてください。
  148. 松山光治

    説明員(松山光治君) 今申しましたように、四十六年度の竣工でございまして、四十八年度からの採掘という関係でございますから、私ども計画の樹立なり実施自体に問題があったというふうには考えられないわけでございますけれども、先ほどもお答え申しましたように、原因がはっきりしないからといって確かに営農上の問題でお困りになっておる、できるだけ我々としてもお手伝いしたいということで過去にも二度ほどにわたりまして排水対策等の面でのお手伝いをさせていただいたという、そういう経緯があるわけでございます。私どもとして可能な範囲内で地元の御要望も踏まえた今後の対応を考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  149. 諫山博

    ○諫山博君 私は、法律家として助言しますけれども、原因と責任が明らかにされないから政府に責任がないということにはなりません。これは政府の売り物です。そして、農民に責任がないことは明らかです。三井の責任になるのか、売り主である政府の責任になるのか、どっちかです。三井の責任であることが証明されない限り政府の責任だということを検討してください。  そこで、私が最後に申し上げたいのは、こういう状況の中で徴収金だけは実に厳しく取り立てようとするわけです。これは高利貸し以上ですよ。延滞金まで払えと言うでしょう。延滞金を払わなければ滞納処分にするということまで言っております。払いたくなくて払わないのじゃないんですよ、収入が減っているんです。かさ上げのために莫大な費用を負担しているんです。本来政府がやらなければならないのにそれをやらない。そこで農民が泣く泣く自分が負担している。ところが、今言われたように原因がはっきりしないからというようなことで徴収だけはびしびしやる、延滞金まで取る、これは悪質なサラ金業者以上じゃないですか。少なくとも徴収はやめなさい。まして延滞金を取るなどということは、これはもう許されません。この点に限ってはどうですか。
  150. 松山光治

    説明員(松山光治君) 今の制度的な枠組みによりますと、干拓事業の負担金は国と県との関係では県からちょうだいいたす、こういうことになっておるわけでございます。地元との関係は県が条例をつくりまして、いただくものはいただいていくという、こういう仕組みに相なっておるわけでございまして、かなり限られた制約条件の中にある。第一義的には地元と県の関係として償還条件の問題が考えられる仕組みになっておるということを申し上げておきたいと思います。
  151. 諫山博

    ○諫山博君 ことしの六月二十七日に、干拓鉱害被害者の会の人たちが福岡県庁に行って県知事あてに要求書を提起しました。これは農林大臣と三井石炭鉱業株式会社にも届いているはずです。具体的に五項目の要求をしています。そして、この五項目に対して七月いっぱいに回答してもらいたい、その回答は文書を送りつけるだけではなくて文書で回答すると同時に、被害者の代表に説明をしてもらいたいということを求めていますけれども、これには応じられますか。
  152. 松山光治

    説明員(松山光治君) 県とも関係のある話でございます。私ども要求はいただいております。よく県等とも相談して適切な対応を図っていきたい、このように考えております。
  153. 諫山博

    ○諫山博君 農水省の方では原因が明らかでない、原因が明らかでないから責任者もはっきりしないということのようですけれども、さらに原因を明らかにする努力をすべきだと思いますが、これはしますか、農水省と通産省の両方に聞きます。
  154. 松山光治

    説明員(松山光治君) 先ほども御説明申し上げましたように、過去に専門家に委嘱いたしまして原因のための調査を行ったという経緯がございます。私どももできることならば原因をはっきりさしてもらいたい、こういうふうな気持ちを持っておるわけでございますが、専門家の調査によりますれば原因が特定できない、今後とも調査を行う必要があるかもしれないけれども、なかなか難しいんじゃないかというふうな実は結論も出ておるわけでございます。これからの取り扱いにつきましては関係省庁ともよく相談してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  155. 斉藤真人

    説明員(斉藤真人君) 今構造改善局長からお話がございましたように、いわゆるここでの地盤沈下といいますのは、軟弱地盤の脱水によります圧密沈下であるということははっきりしているというような専門家のレポートをいただいているわけでございます。その原因につきましては特定化できない、なかなか難しいということでございまして、引き続き、今局長からお話がございましたように、関係者と相談しながらできるだけやっていきたいというふうに考えております。
  156. 諫山博

    ○諫山博君 農水省はなかなか三井の責任だということが証明できないということのようですけれども、農民から見れば三井の責任であるかないかよりも、とにかくこういう商品を売りつけられて徴収だけはびしびしやられて、そして営農は到底成り立たないという問題をどうしてくれるかということです。私が福岡県で聞いたところでは、今のまま放置するわけにはいかないから何らかの措置は講じなければならない、その具体的な措置としてはこういうやり方がいいのではないかということまで検討してあるようですけれども、そうでしょう。どういうことを今考えておられるのか、それともこれは原因がはっきりしないからもう放置しておくということなのか、これからどうするつもりかというのを説明してください。
  157. 松山光治

    説明員(松山光治君) 先ほど申し上げておりますように、原因がはっきりしないから放置するといったようなことではございませんで、これまでも地元の意向も踏まえながら我々にできる範囲で、例えば排水対策事業等の形で営農条件の整備の問題に取り組んできたつもりでございます。現在福岡県が具体的にどういうことをお考えになっているのかつまびらかではございませんけれども、できるだけ営農条件の整備ができるように、これまた福岡県の意向あるいは地元の意向も聞きながら私どもの可能な範囲内での対応をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  158. 諫山博

    ○諫山博君 福岡県、福岡県と言われますけれども、責任は福岡県にはないんです。これは政府ですよ。福岡県が徴収事務をやっているのは政府にかわってやっているにすぎないわけでしょう。ですから、対策を講じるとすればその責任者は福岡県ではなくて国だという点はどうですか。
  159. 松山光治

    説明員(松山光治君) 原因が特定できないという意味では政府の方に責任があると言われても、これまたちょっと私どもも困るわけでございます。別に福岡県と相談しながらというふうに申し上げましたのは、地域農業のあり方をどう考えていくか、これはやっぱり地元福岡県でありあるいは地元そのものでもある。我々としてはそういった地元の意向も踏まえながら、私どもとしてできる限りでの御協力、対応を考えていきたい、このように申し上げておるわけでございます。
  160. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  161. 三治重信

    ○三治重信君 米の過剰対策なんですけれども、けさの算定方式のときにちょっと数字をおっしゃった、六十三年度末に二百三十万トンの在庫が予想されるというふうな数字を言われたと思うんです。こういう第三次過剰対策が予想されるとかいうことだけでなくて、現実に二百三十万トンからの過剰米となると相当な過剰米対策がなければまずいんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
  162. 近長武治

    説明員近長武治君) 現在の米の需給事情というのはこの十月末、つまり現在進行中の米穀年度末には大体二百三十万トン以上の持ち越し在庫が生ずる、こういうふうに見込まれているわけでございます。  ちなみに政府在庫はどのくらいが適切であるかというと、通常百万トン程度が一番望ましいわけでございますが、百五十万トンを超えるということは、政府在庫としてはもう過剰である、こういうふうに思っているわけでございます。ただ、十月末二百三十万トン以上という持ち越し在庫というのが現実にはいわゆる管理米と言っておりますので、政府在庫だけじゃなくて、例えば自主流通米についての持ち越し在庫でございますとかその他の数量、もう全体で二百三十万トンということでございますので、これが十月末にはどういうような状態で在庫になるかということも、もう一つ見きわめなきゃいけないということでございます。  さらに、こういうような在庫状況になってきているというのは、消費の減退傾向の強まりということも相当あるわけでございますが、四年連続豊作というような事情もあるわけでございます。したがいまして、本年の出来秋が一体どういうふうになるのかということも私たちこれからの取り扱いを考えていくときに重要なる要素でございます。  いずれにいたしましても、このような中で今後とも食管制度の基本を堅持していかなきゃならない、そのためには過剰処理というのを三回目をやるということは何としても避けなければならないというふうに思われるわけでございます。    〔委員長退席、理事水谷力君着席〕 したがいまして、これから生産者団体あるいは政府が一体的になってこの問題に取り組んでいかなければならない、かように考えているわけです。
  163. 三治重信

    ○三治重信君 そういうふうになると、結局今年の出来秋いかんにもよるけれども、もしも二百三十万トンあるいはそれ以上の過剰米が出てくるということになると、今度は六十四年の作付制限に向かうということになるのか、それとも米の作付制限をとことんやっていくというと、もう日本の農業そのものが僕は破壊されるような気がするんです。  そうすると、結局水田の転換対策というものを基本的に変えないと米の対策というものが金ばかりかかって日本農業を滅ぼすということになるのじゃないかと思うわけなんです。そうすると、結局米の過剰に対して処理の方法や、それから稲作生産に対する補償がやはり結果として安過ぎるからこういうことになるというふうにもなるわけなんで、転換対策費なんかももっと考えてやらないと、水田そのものが非常におかしなものになってしまうんじゃないか。こういうふうに思っておるわけなんですが、いかがですか。
  164. 近長武治

    説明員近長武治君) ただいま申しましたような需給状況でございます。ただ、この問題は本年の十月末に大体二百三十万トン程度の持ち越し在庫になるだろうというのは、昨年の作柄がはっきりしたときに大体私たちとしては、そこまでは予測をしていたところでございます。したがいまして、今の年度でございますが、六十三年度におきましては、六十二年度から開始されました水田農業確立対策を継続して実施していくほかに、米需給均衡化緊急対策ということを今行ってきているわけでございます。  具体的には需給ギャップの縮小ということを行うわけでございます。これは大体三十万トン程度の需給ギャップの縮小ということをそれぞれのいろんな方策を講じながらやっていく。さらに、政府在庫の上限でございます百五十万トンを超える分については生産者団体、これは具体的には集荷も行っているわけでございますから、そういう段階での自主調整保管あるいは自主流通米の在庫の保有、そのほか販売業界における在庫の持ち方、そういうような方法によって対応することとしてきているわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、本年産米の作柄というのは大変大事でございますので、現在米消費の減退傾向もさらに強まっております。それから米の過剰基調というのも強まっておりますので、これから米の需給均衡をどういうふうに図っていくか、具体的にどんな対策をしていくかということは、先ほどの繰り返しになりますが、ことしの作柄状況を見ながら生産者団体等も含めて十分協議して検討していきたい、現時点ではそういうふうに考えております。
  165. 三治重信

    ○三治重信君 日本で現在、二年なり三年なり長期に品質を落とさぬで、一つ今考えられるのは冷凍貯蔵だろうと思うんですが、そういうような貯蔵能力というものがどれぐらいあるのか。  それから私は、一つ過剰対策でやはりもみの貯蔵というものを、しかも農家や地方の各在宅で貯蔵させるような方策も考えぬと、全部米にしちゃって袋へ小さく詰めちゃって倉庫に積んでやるというと、あれはすぐ品質が悪くなっちゃってだめなんです。我々の小さい農家のときは二年や三年家で、もみで貯蔵しておけばできたわけです。今の農家にそういうことをやれと言っても、また設備が要るだの何だのということに若干はなるかもしれない。それならそれで、そういう個々の農家でなくても農協なり何かで農業倉庫そのものをもう少し再検討して、もみの貯蔵というものをある程度考える対策というものも必要じゃないかと思うんですが、そういう貯蔵施設の弾力化というものを考えたらどうかと思うんですけれども、いかがですか。    〔理事水谷力君退席、委員長着席〕
  166. 近長武治

    説明員近長武治君) 玄米を保管する方法の中で低温貯蔵というのがございまして、最近は低温倉庫も大分数がふえてまいりまして、やはり低温の形で保管しておきますと品質が非常に良好な形で保持できる。一年あるいは場合によってはそれ以上の年数がたっても、新しいお米とそう遜色のない品質になってきておりますので、現在は政府におきましてもあるいは農協関係の倉庫におきましてもかなり低温倉庫がふえてきているわけです。  それからもう一つは、もみの保管の問題でございますが、これは一般的に玄米の常温の保管に比べますと病害虫の発生が少ないとか、それからお米自身が古米化していくというような点は、なかなかそういう進度は遅いわけでございますので、品質保持の点ではいろいろ利点がある。最近は、農村各地ではカントリーエレベーターが善及してきております。出来秋に、今農村の収穫期の中ではかなり自脱型コンバインというのが普及してきておりまして、収穫量の大体七割強ぐらいが自脱型コンバインになってきております。
  167. 三治重信

    ○三治重信君 自脱型というのはどういうのですか。
  168. 近長武治

    説明員近長武治君) 自脱型コンバインというのは、つまり収穫のときにもみの形でいきなり圃場で収穫をしていくということでございます。  したがって、そういうようなことが普及してまいりますと、農家のレベルで、その段階でもみを直ちに玄米にするわけではなくて、カントリーエレベーターの中にもみのままで持ち込むわけです。それで、しばらくカントリーエレベーターの中で保管しながら、そのカントリーエレべーターで保管している間に水分でございますとかその他をある程度貯蔵していく。したがって、今後米をもみ保管するということを考えていくといたしますと、このカントリーエレベーターの利用ということが考えられまして、かつてのように農家の納屋で保管をするというような形ではないであろうと思います。  ただ、もみの保管というのは、玄米に比べますとばらの形でいっても大体一・五倍ぐらい、もし包装、何らかの形で袋等に詰めますと二倍ぐらいの倉庫収容力になってくるという点でいきますと、保管の経費の上では玄米の保管に比べますとかなり割高になっていくというふうに思われるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、豊凶の差というのは米については当然伴うわけでございますので、なるべくお米の品質を保持しながら保管していく。したがいまして、低温保管でこざいますとかあるいは何らかの形でのもみ貯蔵というようなことはこれからも、私たちはいろいろ研究を積み重ねていかなければならないというふうに思うわけです。  ただ、この問題と過剰の問題というのはやや次元が異なる点がございまして、豊凶の差に基づくある一定年産の間の過剰の問題というのは若干保管をしておけばいいわけでございますが、構造的に過剰になっている問題というのは保管の問題とは別な次元で対策を考えていかなきゃいけない、かように考えている次第です。
  169. 三治重信

    ○三治重信君 カントリーエレベーターをつくるときに僕は、この前のときの農水委員会のときに、カントリーエレベーターでもみの貯蔵を考えたらどうか、こう言ったら、カントリーエレべーターというのは収穫してきたやつの乾燥やそれから玄米にするまでの調製をやるだけであって、貯蔵には向かないということを言われたから、そんなえらい高い金を出して、農村の田んぼの中へカントリーエレベーターをそこらじゅうへ建てるけれども、これは単に兼業農家をますます離農化させるもとじゃないか。  金をかけて、もう全部機械でやらせてそしてカントリーエレベーターへ運べば、兼業農家は自分で自作しているみたいだけれども、なに何もやっていない、いわゆる米の生産には何もタッチしていないという格好になるように、農林省は一生懸命そんな兼業農家農業をやめさせるようなことばかりやっているんじゃないか。こういうぐあいにちょっと皮肉を言ったことがあるんだけれども。  私は、日本の農業の今の米の貯蔵や運搬みたいな、一部は小さな袋に詰めてトラックへ載せてやっている。こんなばかな超時代おくれの流通関係をやっているからいろいろ何でも諸掛かりがかかってしようがない。だから、カントリーエレベーターで貯蔵しておいて、必要なときだけちゃんと玄米にしてでも、白米にしてでも全部出せば、袋作業やなんかも要らぬようになってくるんじゃないか。本当の末端のいわゆる消費者に分けるときのビニールの袋詰めだけやれば、生産から消費まではカントリーエレベーターでやって、そしてそこで精米までして、そしてスーパーや米屋が売る袋詰めまで全部やれば、流通関係のやつは一俵幾らだの何だのという、米俵に詰めたりなんかせぬでも済むということなんです。  だから、米の値段を下げていくというのに農家の手取りを減らさぬで米の価格を下げる手段はまだ幾らでもあるし、それから米が過剰になった、さあ対策だ、減反だと言わぬでも、そこを少し弾力性を持たすようなことを考えたらどうかと思うんですが、それはきょうの質問の中には入れてなかったけれども。  だから、カントリーエレベーターの利用方法ね、もっと流通関係の合理化のために利用する方法、生産したらそこから消費の場面へすぐ出せるぐらいまでの合理化をやって、途中のあっちへ運んだりこっちへ運んだり、一々袋に詰めてトラックで運ぶなんというばかなことはやめる。僕なんかが一遍ベルギーやイギリスへ行ってみたときに、小麦なんていうのはどんなのだって袋へ入れて運搬しているのは一つもありゃしない。みんな貯蔵している大きなカントリーエレベーターからどんどんとってきて、はかるのもトラック一台当たり幾ら入っているからトラックでぱあんとやってしまう。それも今度は製粉会社へ持っていってやるということなんです。  そういう意味においてもっと本当に流通関係においては、農家生産費低下に努力させにゃいかぬけれども、今の日本の農業は一般に生産から消費に至るまでの過程に実にむだが多い。今現在むだというか合理化が行われていない。もっと一般のほかの商品みたいに流通の合理化を、生産者から消費者へ直接渡るまでの合理化というものをもっと考えてもらいたい。これは質問に入れておかなかったんだけれども、ついでに言っておきます。  私は、けさも大臣にも言っていたけれども、農協なんかが生産対策とかなんとかということよりか、やはり農協は経済団体だからもっと流通合理化を農家まで、農家が買うものをもっと流通段階を少なくして安くする。農家がつくったものを消費者にまで、直接市場まで持っていってきちんと安く売るという、流通関係をもっと本当に合理化しないというと農産物の値段を自由化していくと下げざるを得ぬのですね。下げていったときにどこへしわ寄せをしていくかといったら私は、流通経費の節約にもっと力を入れて、農家にばかり値段を下げるということでないようなことをひとつぜひしてもらいたい。  食糧庁なんか殊にもう流通関係に膨大な金を出しているわけだから、これをひとつぜひ合理化してほしいと思います。  要望して終わります。
  170. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 午前中に引き続いてお尋ねをいたします。  昭和六十四年度からに一年先送りをされたようでありますが、今回意図されました新米価算定方式にいたしましても、第三次のお米の過剰が心配されておりますが、片や減反面積の拡大が限界に来ておりますので、価格引き下げることによって需給を調整する。すなわち消費の拡大を図るとともに、わずかでありましても内外価格差の縮小を図ってあわせて小農の離農誘発、その農地を中核専業農家規模の拡大に資する方策のようではありますが、これは従来の農政の延長線上にあります考え方で、このような価格政策だけでは極めて困難にしてしかも複雑な構造政策の展開は到底不可能だと私は考えておるのであります。  その上に、さらにこの政策でさえが激変緩和措置等を考えてみますと、かなりの長期を要するように思われますけれども、これで世界の流れに対応できるのでしょうか、こういう疑問を持ちます。また、この計画には将来像も明確に示されておりませんけれども、この計画に沿って生産農家規模拡大や後継者の確保に積極的に取り組めるのでしょうかという疑問を持ちます。  一例ではありますけれども、拡大農業に取り組む決意で会社をやめて帰農をして五年、ようやく五・四ヘクタールまで拡大をいたしました。その間橋をつくったり排水を改良したりで毎年百万円余りの赤字でした。そして、この値下げを迎えようといたしておりますのですけれども、子供はもうやめた方が傷が浅いのではという意見です。内輪でもめておりますとの告白がありました。値下げする前になぜ構造改善事業をしてくださらないのかという声はこの辺から出ておるのだと私は理解をいたしますのですけれども、米作農家の将来像も明確にならないままで農林水産省として本当に責任を持てるのでしょうか。こういった点から御所信を承りたいと思います。
  171. 近長武治

    説明員近長武治君) 価格政策と構造政策については、今回新算定方式を提示した後にかなり論議が行われているところでございます。構造政策よりも価格政策のみが先行するというのは、先生御指摘のようにやはり好ましくない点というのがあろうかと思いますので、当然のことながら価格政策と構造政策とがあるいは生産対策も含めてバランスよく進んでいくということが必要ではないかなと思います。  ただ、価格の問題というのは引き下げが行われますと、いろんなところでそれぞれに痛みの生ずる問題でございますので、なるべく農林水産省としても将来の日本農業の姿ということを提示しながら、価格政策なり構造政策なりが進んでいくようにというふうに考えております。  今回の米価審議会の中の小委員会の報告書の中でも、これからは生産者に目標を示して、構造政策、生産対策を推進して価格政策の運用方向を明らかにする、こういうようなことのために中期的な目標生産費について検討を行うことと、こういうふうに提案されているわけでございます。したがいまして、こういう米価審議会の小委員会の御意見もございましたので、省内でそれぞれ知恵を出し合いながらこの目標生産費について検討に着手したいと、かように考えております。これが、農家の方がこれからの営農改善を進める際の大きなガイドラインになるのではないか、かように思います。
  172. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 お説ではありますけれども、この新方式で果たして農地の集約化が進むというように私は思うことはできません。さらにそれどころではなしに、やっぱり過剰防止のための消費の拡大でありますとかいうこともこれも難しいのではないか。こういうことを実施していきますと、兼業農家が困ります前に中規模農家が崩れていく心配さえ出てくるように思いますのですけれども、その辺の御所見はいかがですか。
  173. 近長武治

    説明員近長武治君) 日本の稲作農家はいろんな規模でいろんな形の営農をしているわけです。稲作を専業にしながら相当大きな規模で経営を行っておられる方もおりますし、土曜、日曜を中心にする稲作を行っている方もおられますしあるいは施設園芸等々複合的な形での土地利用をやっておられる方がいると思います。  それぞれ地域の特色を持ちながらいろんな営農があるわけですが、日本農業の特徴というのは、特に稲作については水によってつながっている。そういう意味では、地域の中におけるそれぞれの営農というのをどういうふうに考えていくかということでございますので、当然のことながら、価格引き下げられたからといって直ちに規模の小さい兼業農家の方が農地を大きな方に貸したり売ったりするという姿にはならないと思いますので、当然地域ぐるみの中で、それぞれの特徴を生かした規模拡大なり広い意味での構造改善を進めていかなければならない、かように考えております。
  174. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後に、将来の日本農業のあるべき姿をどのように考えておられるのか、三つの項目だけについてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一点は、食糧の自給政策は将来とも堅持していけるという自信を持っておいでになるのでしょうか。けさほども農林水産大臣は、堅持をする、自由化はしないと、このようにおっしゃっておいでになりましたが、その辺もお聞かせをいただきたいとともに、さらに規模拡大に本格的に生産者が取り組んでも、その農家に犠牲を強いるようなことになっていく心配はありませんのか。  次は、コスト低減は農家の努力だけでは私は限界があると思います。例えば農機具でございますとか農薬ですとか、さらに肥料、農用資材等、これらの価格は野放しになっております。こういう状態の中で米価だけが政府の決定にかかってそれがだんだんと値下げされていく、今の新価格方式算定だけを見てみましても大変なことになっていくことが予測をされております。  その次の問題は、内外価格差が余りにも大きいからということで低減の一つの理由にしておいでになりますけれども、そうしたら、この内外価格差はどれくらいまで縮小をしていったら日本農業が、米作農業が生きていかれると予測を立てておられますのか。以上の点についてお尋ねをします。
  175. 近長武治

    説明員近長武治君) 最初に米の内外価格差、一番最後にお話しになりましたが、どの程度まで縮小すべきか。これは最近、円高傾向もあるわけでございますが、そういうような事情もございまして、米についてもかなり内外価格差が出てきております。例えば、日本とアメリカというふうに比較いたしますと生産者価格で六倍程度、消費価格で三倍程度になっております。そのほか、タイと比較しても相当な価格差があるわけです。  ただ、そういうような内外価格差について、米について一体どのくらいまで下げていくのか。これはやはり食糧管理制度だとかあるいは日本の米生産についての国民の理解あるいは支持を得るためには、どの程度までというようなことも大変重要なファクターではないかなと思います。  単純に外国並みになっていくというのはあるいは機械的にそこまで外国の価格に近づけていくのは、例えば日本とアメリカの稲作作付面積であれば一五〇対一でございます。それから賃金で見ますと日本の賃金はタイの二十倍ぐらいになります。そういうことを考えていけば、機械的に外国の価格に近づけていくというのは日本の稲作のためにも適当ではないというふうに思うわけでございます。  したがいまして、日本の限られた国土条件の中で最大限の生産性の向上を図っていく、それを価格の上では的確に反映していく、こういうことを通じて極力内外価格差を縮めていく、こういうような考え方でこの問題に取り組んでいくべきではないかなと、かように考えております。
  176. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 資材費の節減に関連いたしましてお話のありました点、お答え申し上げます。  資材費の節減につきましては、利用する農家の段階での努力というものも私どもまだまだ、特に機械の効率利用という点につきましては大きいんじゃないかというふうに思っておりますが、資材価格引き下げという点につきまして、これは関係のメーカーの方での合理化努力というものを今後もお願いをしていかなくちゃならないという問題がありますと同時に、現在の資材価格の形成は全農との間の交渉によりまして値決めが行われているという状況にあるわけでございまして、そういう交渉の中で適正な価格形成が行われるというふうに生産流通全体を通じまして競争条件を整備しながら、そういった努力を続けていくということになろうと思っております。その両面におきまして今後努力を続けていきたいと考えております。
  177. 吉川博

    説明員(吉川博君) 米の自給方針についてお答えしたいと思います。  米は日本国民の主食でございますし、我が国農業の基幹をなすものであると信じます。また、水田稲作は、国土や自然環境の保全上不可欠の役割を果たしておると思うのであります。我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついてきたと考えます。極めて重要な作物でございます。  このような米の重要性にかんがみ、今後とも国会におきます五十九年の米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持していく考えでございます。
  178. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  179. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  180. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 稲村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村君。
  181. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る昭和六十三年庫生産者米価決定に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     昭和六十三年産生産者米価決定に関する決議(案)   政府は、昨日、米価審議会に対し、昭和六十三年産生産者米価について、四・六%の引下げ諮問を行った。   昨年に引き続く生産者米価の大幅な引下げは、農業所得減少と減反政策の強化に苦しんでいる稲作農家の経営を一層窮地に追い込むとともに、八品目及び牛肉・オレンジの自由化決定等に伴う不安と相俟って、農業・農村の活力低下をもたらすことは必至であり、極めて遺憾である。   また、作付面積一・五ヘクタール以上の生産費のみを対象とする新算定方式の実施が本年は見送られたとはいえ、諮問された米価は米の販売シェアの大宗を担っている農家層のコストをつぐなうものでなく、規模拡大を志向するいわゆる中核的農家の経営に大きな打撃を与えるものである。   よって政府は、昭和六十三年産米価の決定に当たっては、算定要素を抜本的に改善し、米の再生産稲作農家所得を確保する価格の実現を図り、引下げは行わないこと。   あわせて、稲作農業の将来展望を切り開くため、農業生産基盤の整備と農家負担の軽減、生産規模の拡大と後継者対策をはじめとする担い手育成対策の強化、農村地域の活性化対策の拡充、生産資材価格の引下げ、国の責任による米の需給均衡対策の確立と米の消費拡大対策の強化等について万全の措置を講ずること。   また、食糧管理制度の根幹を堅持するとともに、我が国農業農家経営を守るため、米の輸入自由化要求に対しては、完全自給を確認した国会決議を踏まえ、断固として拒否すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  182. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまの稲村君提出の決議案につきましては、その取り扱いを改めて理事会で協議いたします。  暫時休憩いたします。    午後四時四十分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕