運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-05-20 第112回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月二十日(金曜日)    午前十時三十二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     二木 秀夫君      近藤 忠孝君     吉井 英勝君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本嘉久蔵君     理 事                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 小川 仁一君                 志苫  裕君                 馬場  富君     委 員                 井上  孝君                 石井 一二君                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 水谷  力君                 糸久八重子君                 稲村 稔夫君                 安恒 良一君                 片上 公人君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 吉井 英勝君                 三治 重信君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        農林水産大臣   佐藤  隆君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣  梶山 静六君        国 務 大 臣  内海 英男君    政府委員        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        国土政務次官   大原 一三君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        水資源部長    大河原 満君        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        法務省矯正局長  河上 和雄君        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  長谷川和年君        外務省経済局次        長        内田 勝久君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   土居 信良君        大蔵大臣官房審        議官       瀧島 義光君        大蔵省理財局次        長        藤田 弘志君        大蔵省国際金融        局次長      岩崎 文哉君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        林野庁長官    松田  堯君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸大臣官房審        議官       金田 好生君        運輸大臣官房審        議官       橋本 昌史君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省航空局長  林  淳司君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        建設大臣官房総        務審議官     中嶋 計廣君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   福本 英三君        建設大臣官房審        議官       青木 保之君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省税務局長  渡辺  功君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        法務大臣官房参        事官       細川  清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○多極分散型国土形成促進法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、秋山肇君が委員を辞任され、その補欠として野末陳平君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 多極分散型国土形成促進法案を議題とし、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。志苫君。
  4. 志苫裕

    志苫裕君 国土庁長官総理から三つの辞令をいただいたそうでありますが、その一つが何であったか忘れるほど熱心にこの法案答弁に当たっておられるんで、真摯な態度には敬意を表しますが、しかし、竹下内閣看板政策だからこの法案成立さしてくれと、そう熱心に訴えるほど内容のある法案とも思えないというのが率直に言って私、同僚議員のこの二日間の審議を通じての印象であります。一体竹下内閣看板はあるのかどうなのか、あるいはまた上がったまんまになっておる地価はどうするのか、そういうことから取り上 げたいんですが、幸い午後総理おいでになるということですから土地問題などはその際にするとして、どうしても長官答弁で気になることが二、三ありますので、そこからまず伺っておきます。  長官はしばしば、幸い地価鎮静化している、下がったとは言わぬが鎮静化している、で、多極分散で今度は下げていきたいんだ、こういうお話なんですね。この答弁は全くと言っていいほど地価対策にはなっておらないということをお気づきになっているのかどうなのか。あなたは、さしあたって地価高騰悩み居住水準の向上を求めておる人々、いわばそれらは救急患者なんでありまして、その救急患者に何も手当てをしないで日ごろの健康法をせっせと説いておられるような話なんだ、これは。  ですからこの問題から入りますが、一極集中排除、多極分散はいつごろまでにあなたは実施なさる、いつごろをめどに置いて完成なさるおつもりなんですか。
  5. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私ども土地というものに対する観念、特に国公有地という立場に立った土地に対しましては、国民の限られた貴重な共有財産という位置づけのもとに、できるだけ住宅対策を、この地価高騰はやはり需要と供給アンバランスから生じた現象であり、それが急速な国際化情報化、こういった中で世界の三極の一極を担う東京に集約的にその現象が顕著にあらわれた、こういうことでございますので、いろいろな土地緊急対策要綱というようなことの実施、あるいは銀行に対する指導、こういった手当て等も多少の効果を見て、先生指摘のように鎮静化というような形が出てきたということに相なるかと思います。  そこで、さらに私どもは、多極分散型の国土形成というこの法律中身に入らしていただくわけでありますが、ぜひ国公有地等を有効に活用して土地供給というものを促進さして地価の引き下げに役立てたい。国鉄清算事業団というような立場で多くの赤字を抱えてその処理に苦慮しておる国鉄清算事業団に対しましても、現在のそういった地価対策あるいは土地供給事情というようなものもあわせまして国民の、しかも都民の住宅対策にこれを役立てたい、こういう趣旨でこの法案を御提出しお願いして、この法案成立の暁には、調整機関という役割を持っておる国土庁といたしましては、積極的に総理主導のもとにこの成果が上がるように、国会先生方の御審議中身を十分受けてその実施には早急に対応してまいりたいと、こういう決意でおります。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 いや、私の聞いたことに答えてください。私のお願いしたのは、わあっと上がって、わあ大変だというんで政府政策よろしきを得て上がるのはとまった。しかし、そこでとまっておっちゃ困るんですよ。それじゃ悲鳴はおさまらない。下げてくれというストレートな地価対策土地問題が求められている。いわば救急患者なんだ。  それに対してあなたは、今もお答えになったけれども、ぼつぼつ多極分散で下げていきたいと。多極分散というのは新全総でも今世紀末なんだ。一極集中排除で二十三区から外へ官公庁を追い出すだけでも五年、十年の話じゃないでしょう。ということになると、さっきお答えにならないが、多極分散はいつごろまでにどれだけの経費を投じてやるのかということも後ほどお答えいただきますが、それまでのんびり待てという土地対策では国民は承知をしない。  あなたは随分体も大きいし、西郷さんみたいな風貌をされておって、のんびり屋かもしれませんが、国民はのんびりじゃ困る。多極分散成果はいつごろをめどに上げようと、こういう構想なんですか。
  7. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この法律成立さしていただいた暁には強力な政府施策の一環といたしましてできるだけ早い成果が上がるように全力を挙げて各省庁の御協力と御理解をいただいて推進する以外にこの法案趣旨成果を上げることは難しいと率直に認めざるを得ませんけれども、これは非常な決意でこの法案中身実施というものについては、今何年度にどうなるであろうというようなことまでの見通しは私自身先生の御指摘のようにつけるわけにはまいりませんけれども、これはやはり各省庁が重大な決意を持ってこれにこええて御協力をいただくということが大前提だと思います。  したがいまして、そういった趣旨徹底を図って急速な対応をいたさなければいけない、こういう決意で臨む覚悟でございます。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 長官は立案に当たっていない。  政府委員、簡単でいいですが、この法案効果あるいは成果を、それは地価という意味じゃないですよ、多極分散による均衡ある国土の発展というもの、あるいはとりあえずは二十三区内から外側へ一省庁機関、国の行政機関を移して何らかに寄与をしようというのは、どれくらいの期間でどれくらいの経費をかけて実現しようという構想のものですか。簡潔に答えてください。
  9. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 緊急対策としての地価対策につきましては、昨年来種々対策を講じられてきておるわけでございますが、それとあわせて長期的、基本的に多極分散型国土形成を図ることが根本的な土地問題の解決に資する、こういう観点からこの法案は出されておりまして、中身としては四全総重要課題推進していく、こういう内容になっております。したがいまして、四全総と同様、二十一世紀初頭を目指して粘り強く推進していく、こういう内容になっております。  ともかく今生じている東京一極集中の流れを変えて、一歩でも二歩でも前進していく、こういう内容になっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 長官、二十一世紀、粘り強くと、こう言う。二十一世紀、粘り強く、地価高騰を待っておれない、これが国民の現実なんです。  当面の緊急対策とあわせてとおっしゃるが、当面の緊急対策地価が下がっているんじゃないんです。長官自身がマスコミでもコメントしているように、上がるのが何とかとまったわい、ありがたいことだと。それで国民はちょっとも楽になっているんじゃないわけでしてね。さまざまな施策の支障が取り除かれているわけじゃないんで、そこのところがどうものんびりしているじゃないかと。政府施策が効を奏して上げどまりになっておると言うが、そういう言い方を胸を張って言うのであれば、政府が何もしないでおって上がったんだということの裏返しなんでしてね、これは。  総理おいでになったところでいわば地価対策土地問題はやりますが、もう一つ私やっぱり、あなたは新任ですね、そうなんでしょう、まだ何となく直接その衝にある者というよりは少し外側にいた者という印象がぬぐい切れないんですが、高値安定では困る、あるいは土地投機は損をするものだということにしたいものだ、土地でもうけようという考え方はやめてもらいたい、あるいは未利用地公共の用に使えるようにしたいと。私、あなたが同僚委員お答えになる主要なものをちょっとメモしてみた。これは、国民がそう言うておる、直接衝にない者がそうぼやいておるというんならわかるんですが、国土庁長官一緒になってぼやいておっちゃだめなんですよね。  これに対して、だからこうする、ああするということを機敏に手を打ってもらわなきゃ、必要なら即座に立法作業にも入ってもらわなければ。こういう点について、何となく他人事、長屋の奥にひとり住まいなさっているおじさんと同じように、一緒になってぼやいておるという域を出ない。その人たちはあなたにそのことを希望しているんですよ。あなたに求めているんです、手を打ってくれと言って。そういう構えが何か少し欠けておられるんじゃないですか。いかがですか。
  11. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 国民皆さん方の大方の世論といいますか気持ちが、先ほど先生指摘のような、私の答弁の中で表現をいたしたことが私はよそから眺めて第三者的な論評をしておるというような意識に感じ取られた向きもあるかと思いますが、そういう現状を踏まえて積極的に宅地供給ということを促進しなければならない。  その具体的な方策としては、さしあたり国公有地活用、こういうことに重点を置いて対応してまいりたい、それが当面の緊急な東京一極集中で過密化した東京対策といいますか、そういうものについての私の考え方でございます。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 国公有地活用供給論、それも結構でしょう。しかし、いまだに活用されたためしはありませんがね。首都圏人々悲鳴を上げてからもう一年、一年半という歳月がたとうとしているわけで、まことに遺憾な話ですが、それもまた総理おいでになったらやります。  もう一つ、今も国公有地活用といういわば供給論ですよね。あなたももうしばしばお答えになっていますが、土地価格というのは需給アンバラが主な原因だ、そういう認識を示しておるから、今の御答弁もいわば供給面からお話があったんですが、しかし、それだけで解決するんでしょうかね。土地という、生産をすることもできなければ移動させることもできない、そういう商品を需給論だけで律することができるのか。これはやっぱり大問題じゃないんですかね。  土地法制は、資本主義の国、我が国と同じような経済体制をとっておる国においても、むしろ市場原理に任せておる国の方が少ないのであって、土地公共のものという概念を確立している国や都市がむしろ多いんじゃないですか。それを根底に置いてさまざまな法制利用方法を考えているそういう国が多いのであって、にもかかわらず、この目の前にある困った状況を前にしても依然として需給論一本で土地対策をお考えになりますか。いかがですか。
  13. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 土地問題に対処するために諸外国におきましても我が国と同様にいろんな土地制度を構築しているということがございまして、先般公表いたしました六十二年度の国土利用白書におきましても、諸外国土地制度につきましていろいろ比較検討を行って、今後の我が国土地制度検討に役立てたいということを行ったわけでございます。  我が国におきましても、憲法上私有財産権を保障しながらやはり公共の福祉の観点から種々規制を行っているという実情でございます。私ども実施しております国土利用計画法を初めといたしまして種々規制を行っているわけでございますけれども、現行以上の規制を行うかどうかということにつきましては、国民財産権にいろいろ深くかかわる問題でもありますので、現在行革審の方でも検討していただいておりますけれども、そういういろんな検討なり国民のコンセンサスを得ながら今後そういう問題に検討を深めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 土地問題を議論する、必要な施策を講ずるのが目的で設置されたのがこの委員会でして、なるほど東京土地がぼんぼんと上がっていくのはそこから超過利潤が上げられるからなんですね。だから投機が行われる、将来上がるだろうって。また事実、上がってきたというふうなものを裏づけにしているんでしょう。ですから、その根源を絶つにはそういう超過利潤を生むだろうという集中のメリットを壊してしまう以外にないわけで、ですから集中排除、多極分散というこういう発想に立つことは正当性のある論理だと思いますよ。  しかしそれは非常に迂遠な話であって、迂遠な話とは別にもう一つ土地対策土地法制土地概念を形成したもろもろの施策が要るということをこの委員会議論しているわけですよ。それが土地臨調等を経ながら間もなくまた本格的な議論に供されるものと思うのですが、それを担当なさる長官の御答弁は、二日間にわたって土地問題に対するお答えができておるのは、土地価格需給アンバラがもとだ、したがってあと三十年だか二十年もかけて供給をふやしてとまっておるのを下げたいんだという、これじゃ答えになっておらぬということを私は指摘したんで、この点はなお後ほど総理も交えて当面何の手を打つか、どのような法制を講ずるかということはひとつ長官一緒になって議論してもらいたい、このように思います。  前段の質問は時間が限られておるので、法案に関して、せっかく各大臣おいでになっていますから、中身に入ります。  この法案四全総というものを下敷きにした実施基本法ということになるんですが、宣言部分実施法部分の二つがありますけれども、どちらかというと実施法部分というのは少なくて、宣言法部分が多い。したがってどうしても抽象的な意味合いを受ける、こうなるんです。  さて、第一条の効果を期待するためにその宣言部分を本当に実行に移していきますと、宣言部分を後ろに置いた実施法というものが陸続と出てこなければこの法案は役に立たないことになりますね。これは当然のことです。どんな地域計画が出てくるかもわからぬからお答えにくいんでしょうが、各省どのような実施法というふうなものが必要になってくると思われるか、自分の所管に関して思いつくものがあったらお答えいただけますか。
  15. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 私からまとめてちょっと制度中身を御説明させていただきたいと思いますが、おっしゃるように本法三つの具体的な措置規定、すなわち政府機関移転業務核都市整備地方における振興拠点地域整備三つ具体的措置規定と並びまして広範な分野にわたる努力義務規定を置いてございます。この努力義務規定部分は、いわば各種個別法に対して基本法的な役割を果たして、施策の基本的な方向づけを行っているものでございます。  したがいまして、国の関係行政機関あるいは地方公共団体におきましてそれぞれその内容に即して、まず既存の各種施策各種法制の的確な運用を図っていただくということが大事であります。さらに必要な諸法制、諸施策の拡充あるいは新たな法制化を図るということが進められていくことによりまして、本法趣旨が実現していくものというふうに考えております。  さしあたって本法案を受けて今後新たに制定することが予想される実施法としては、現時点では宅地開発鉄道新線建設との一体的な推進を図るための法律検討されておりますが、このほかにも関係省庁において今後継続的に積極的な個別法検討作業が進められることを期待いたしてございます。  なお、本法案内容に関連して今国会成立が図られた主な法律としては、いわゆる頭脳立地法、それから大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法、これらが挙げられるところでございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 主務大臣が何人かおいでですが、皆さんのところで、この法案が通過をして、四全総絡みで当面法制等をもってこれの実施に当たっていこうというふうに想定されるものがございますか。
  17. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 建設省といたしましては、今回九本の法律を提案して成立をさしていただきましたが、この法案はすべて四全総絡み、特に、今国土庁からお話がございましたが、大都市地域における優良宅地開発促進緊急措置法、これなどは全くそのとおりであります。四全総絡みといいますと、道路整備緊急措置法あるいは奥地等産業開発道路整備臨時措置法改正ですね。それから地上げ屋と言われるようなことで宅地建物の取引に大変な問題がございましたので、宅建法改正をいたしましてこれを強化する。あるいは再開発法あるいは土地区画整理法、こういうものを改正いたしまして、これも宅地住宅供給ができるだけ早くしかもスムーズにいくように、またこれが今まで以上に進展するように、そういう意味改正を図ったわけであります。  でございますから、四全総並びに今回のこの法案等々の絡みで先取りといいますか、先取りというよりも全般的な土地住宅、これの供給促進しようという関係法案建設省としてはもうすべて提案をし御審議をお願いして成立をしたような次第であります。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 ほかにありますか、何かとりあえずのものが。
  19. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私、今まだ始まってわずかな時間でございますが、御質問を聞いておりましていよいよもって感ずることは、この法律を実効あらしめるというためには、従来あった縄張りを超えることができないのかというような批判を仰ぐようなことがあってはならない。農林水産省におきましては、特にそういうことで指弾を受けないようにしなければならない、抽象的でありますが、そう考えます。  具体的には、例えば先ほど本会議で上げていただきました農工法農村工業導入法、こういうことも多極分散型の一つの例示としては当然のこととして私どもは、国会の御議論を既にいただいてきょう成立さしていただいたわけでございますから、そういうことに万遺漏なきよう、実効あるように進めてまいりたい、こう思っております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 運輸省は何か当面予定されるものがありますか。
  21. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) この法律の眼目を促進するために、都市間を結ぶ高速交通網あるいは大都市周辺にさらに新しい宅地を開拓していくための新しい通勤線、あるいは在来線の複々線化とか、あるいは新しい地下鉄の造成、そういったものが考えられると思います。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 今農水大臣から先回りしてお話がありましたが、これは総理を中心に皆さん一緒に考えてもらうことになると思いますが、行政の総合力をどうやって発揮するかということが大きいテーマになるでしょう。だけれども、今ちょっと御答弁お話がありましたように、既に幾つかの施策をやっておられる。これは全部四全総絡みなんですと。大体役所はそうなんですね。一全総が来ると、おれがやっているのはそれなんだ、こう言う。二全総になると、おれがやっているのはそれなんだ、こう言う。三全総でもそう言うんです。いつでもそう言うんですね。しかし、それを統合的に別にどこぞが進めているわけでもない。  多極分散法律をつくろうとしていますが、政府はいつでも多極分散なんだ。それを改めていかない限りこういう目的は達成できぬがなという感じが強いので、総理が出たらじっくりやります。余り時間もなくなってくるので私は焦点を一つ絞る前に、情報によりますと、本法の策定に当たって各省の縄張り調整に難航した、あるいはまた、衆議院での答弁なんかを聞いていると、一省庁機関の移転の方針にも抵抗が強くてなかなか決めさしてもらえなかったというようなことを前長官がぼやいておったようですが、調整作業で難航したのはどこですか、どの点ですか、簡潔にひとつ答えてください。
  23. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 法案作成作業に当たりましては、各省庁との調整が難航したというよりは、大変広範な調整が必要であったために時間がかかったというのが正確だと思いますが、その理由を申し上げますけれども本法内容である多極分散型国土形成促進を実現するためには政府が一体となって各般の施策を総合的に実施していく必要がございまして、その意味で、文字どおりあらゆる省庁がこの法案に関連を有するものになっているわけでございます。  特に、重要な施策につきまして国等の責務を明らかにしておりますし、また関係省庁協力し、一体となって地方公共団体構想実現を図る振興拠点地域の開発整備制度を新しく設けるといったことから、各省庁が責任を持って推進しております各種分野の行政との調整が必要になったというのがその理由でございます。しかしながら、観点を変えれば、このように広範な調整を経て立案された本法案だからこそまた政府を挙げて積極的な取り組みを行っていく上でプラスになるというふうに考えております。
  24. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまの御質問機関移転の関係について御説明申し上げます。  ただいま私どもと各省との間で話し中ではございますが、その論点となっております点を一、二点御説明いたしますと、各省の御主張の中には業務量の相当部分東京都二十三区に存すること、及び合理化、効率化の観点からいいますと地方分散はそれに対して相反するというような御主張でございます。しかし、私どもの申し上げておりますのは、均衡ある国土を発展させ地方を振興するという四全総立場からいたしますと、合理化、効率化のみを主張すればそれは当然東京一極集中につながる、それを、多少それに対して反することがあってもこれを推進することが今度の機関移転の中心であるということを申し上げておりまして、大分意見も幅寄せをしておりますので七月までにはまとめ上げたいと存じております。
  25. 志苫裕

    志苫裕君 これをまとめておる国土庁はそう言うんでしてね。ところがそう思わぬのも世の中にはおるわけでして、それでまとまらない、手間がかかるということなんでしょうが、時間の関係もあるから、私は本法の眼目に焦点を絞ってあと各大臣にもお伺いしていきます。本法の眼目は中央集権型の国土形成から自治分権型への転換にあるとしばしば前長官も述べておられるし、ここでもそのニュアンスのお話があります。  なるほど鎖国を解いて近代化を歩いた日本の歩みというのは中央集権の歴史であったわけでして、追いつき追い越せという時代に中央集権という手法は非常に効率が上がるわけですね。もう一切見向きもせぬで、わき目も振らんで走るわけですから。それはそれなりの成果を上げたと言っていいが、同時にそれがこれからの時代では邪魔になる、桎梏になったという発想がこの法案には盛り込まれておる、こう前長官も力説をするわけであります。  そう力説なさる方が、中央集権の権化とも言うべき旧内務官僚の出身者であったというのは随分迫力のある話だこれは本当はね。だけどその長官は変なことをしていなくなっちゃったけれどもね。しかし、そういう哲学を変えるほどに施策展開の中身が変わろうとしているかどうか、いささか疑わしい。私は地方自治をライフワークにしておる人間でありまして、その視点から特に一筋縄でこれを信用するわけにいかないという立場が強いですね。  それはともかくとして、今まで国が要件を指定して条件に当てはまるものを拠点整備した手法を改めたことが本法の特徴であるというのが、本委員会における政府委員の説明になっていますね。事実そういうことが随所にうたい込まれておりますが、象徴的にうたわれておるのは、三十一条に、国の行政機関の長に属させられた権限を地方公共団体またはその長に委任すること等に努める。さて、「努める」という訓示ではちっとも何も実現しないわけですが、この努めるという規定を受けてどのような法改正が準備されますか。
  26. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 権限移譲につきましては、おっしゃいますように三十一条の努力義務規定にとどめておるわけでございますが、これは個々具体的な国の諸権限につきましては各個別法による規制趣旨、あるいは国と地方公共団体間の法律に基づく権限配分が定められておりますので、個々的にはさらに根本的な考え方等について研究、検討を深める必要がある、こういう考え方から、本法においては努力義務規定にとどめたものでございます。  御承知の地方制度調査会等で権限配分全体の問題を議論されておりまして、これらの結果を踏まえて今後各省庁におきまして、国土庁ももちろん入りますが、継続的な努力がなされるものというふうに考えております。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 局長、せっかくの答弁だけれども、まるっきりだめなんだな。これだけのものを時間をかけてつくるには振興拠点地域整備しよう、そうすれば、自治体のさまざまなプランにもよるだろうが、こういう点、こういう点、こういう点に許認可事項は山ほどある。そういうものを想定すれば、当然それについては、運用で緩和できるものは何か、法律改正によらなければならぬものは何かと。まさに本法地方分権に画期的な意味を持つというんだったら、それぐらいの頭を先にめぐらして立法をしなきゃいかぬと思うんですよ。  それで、振興拠点地域の開発整備を例にとってどれぐらいのいわば許認可事項があるかということを、時間の関係もあるので事前に国土庁から聞いておいた。どうも私はこれだけじゃないと思う。その後のものを入れると、農地の転用許可から始まりまして約十一項目、通産のガス事業の認可規制まで、あるいは国立公園の問題とか水道事業とか、そういうものまで含めますと十一項目ですが、私は全部当たってはいないんですが、二十項目を下らないでしょう、振興拠点の整備をするだけで。運輸省関係でも、早い話がバスの停留所まで一々お百度を踏まなきゃならぬぐらいの話になっているわけですから。  さて、一々触れる時間がありませんが、各省庁大臣おいでですから、あなた方のところばかりじゃないんですが、各省庁大臣は自分に属する権限を積極的に移譲する用意があるかどうか、これはこの法案の決め手になりますのでお答えいただけますか。
  28. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 建設省では、特に土地の問題、宅地の問題、住宅の問題等に関しましては、許認可事項として、都市計画法による開発許可、それから建築基準法による確認、こういうことがあると思いますが、既にもう地方に移譲をしております。  強いて考えられることは、確認事項を、県と大きい市によりまして、規模によって主事を県が持っておるところと市が持っておるところがございますが、これをさらに市の方へおろしていくというようなことを今後指導してまいりたい、早く開発なり建築なりの確認ができるようにそういうことに努力をいたしてまいりたいと思っております。
  29. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 農地法による農地の利用等について、あるいは森林法による森林の保全等について、法律改正によってただいま直ちに権限を移譲しなければならぬというふうには考えておりません。  しかし、これからの地方振興、さらにいろいろな声を考えますと、その運用面でどの程度できるか、積極的な対応をしていかなければならない、こう考えております。
  30. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 運輸行政の統一性、公益性ということからしますと国が許認可権を持つべきだと思いますが、しかし物によりましてはやはり地方の実情に照らして処理した方が好ましいものが幾つかございます。  こういうものは従来も地方の出先機関あるいは地方公共団体の長そのものに移管もしてまいりましたし、また、これから先いろいろ社会の変化で地方の主体性というのが強調され、それにのっとって実情を一番知っている地方公共団体が独自の判断ですべきものについては積極的に分散というものを図りたいと思います。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 自治大臣、ちょっと答える前に済みません。  自治大臣立場は積極的に地方へ移譲してくれという立場でしょうが、何かこの間小川委員に対して、選択的分権論などと大分学説を発表なさっていましたが、一口で言えば中央省庁への気兼ねだ、みんなよこせといってもあの頑固者がよこすわけがないからほどほどにちょっとずつ分けてもらおうという発想ですよ、私に言わせるとね。遠慮なんかすることはないですよ、これが竹下内閣看板政策であって、内閣の存亡をかけてやるというんだから。内閣の閣僚たるもの、四の五の言うわけがないんで、気兼ねなんかせずに、必要な権限を地方に移すというぐらいの気構えであなたは対応しなければだめですよ。どうですか。
  32. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 御説のとおり、自治省はいわば地方自治体側の主張に立つわけでございますから、今委員指摘のように、各省庁としてぜひともこの関係を御理解いただいて分権が進むように努力をしてまいりたいと思います。  ただ、私が前半申し上げたことは、特に拠点振興地域を指定いたしますと、せめてその地域だけでも何らかのことをしなきゃならないということになりますと、行政は往々にして画一性が強いわけでありますから、どの都道府県にも、どの市町村にも、例えば都市計画のあるいは農地法の、それを全部おろせといってもなかなかそれは全国の広範な見方からいたしますと難しい点もありますので、気兼ねというよりはやりやすい方式を何とか見定めてみたいということで、選択的な分権ができないものかどうか、こういうものもあわせ考えておこうという気持ちでございます。
  33. 志苫裕

    志苫裕君 今ちょっと触れられたけれども、なるほど振興拠点だけに、ある地域にだけ権限が移譲されてほかのところには移譲されないというふうな問題等が生じては、これまた行政の不均衡とかそういう問題が出ることは確かなんですね。ですから私は、たまたま振興拠点を例にとって、どの程度の許認可事項があるだろうか、そこをやりやすくするためにどういう形で権限移譲をするかと。農水大臣のように、運用でと言いますが、法律国会で決めるわけであって、それを簡単に運用でまたやられても行政の専権になっていくわけで、それはなかなか運用といっても面例なところもあるわけですね。  例えば、こういうことは考えられるんですか。この許認可権限は、たまたま承認基本構想という発想に立っていますね。承認というのも、分権だと言いながら承認してやれというので、何か国土庁の役人も能がないなと思うんだ。分権とそれほど言うんなら、承認と言わぬで、何か別のうまい言葉がなかったのかね。もう少し自主性が出るような基本構想という言葉があったんじゃないかと思っておれも考えたが、出てこないので提案はしませんが。  とにかく自治体がいろんな計画を立てる、そんなことでいいだろう、それは大いに進めましょうや、さまざまな手伝いもしますよというふうになったのだから、それからさらにお百度を踏んで一々、ちょっとこの面積を何とかしてくれませんかとか、この田んぼを何とかしてくれませんかとか、この線路を何とか、許可どうとかというふうなことでなくって、その構想が承認されたら許認可は一括授権になるような、そういう手法は考えられないものですか、国土庁長官どうですか。
  34. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 全く御指摘のように、地元でも手続をとり、また中央へ持ち込んで承認を求めなきゃならぬ、こういう二重の手間を省く意味において地方にできるだけ自主的な権限を持たす、これがこの法案趣旨だと私は思いますので、一々東京なり県庁の所在地まで行かなくても済むような方法で地方に権限を任せる、これを運営面で十分生かしていきたいと、こう思っております。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 時間も来ました。私も今どこかに整合性がないことを確信を持って主張はできませんが、例えばそういう一括授権法のようなものができるとすれば、それはひとつ検討してみてくれぬかという提案をしておきますが。  最後に、一極集中は実は地方財源にもあるわけですね、自治大臣、ここはたまたま国土の話ですが。この間、地方財政がおかげさまで幾らか財政事情もよくなってきて黒字が出た。調べてみたら東京が半分以上だ、あと残りの半分は三千三百が受け持っておるというまさに地方税、地方財源の一極集中が進んでおるわけで、これも見逃せない状況なんですよ。  それを解消する方法として、地方財源全部がふえるんじゃないが、俗に言う親会社、子会社は別々に今は課税をします。そうすると、会社の都合によってはいわば収益の移転を親会社、子会社が勝手のいいことをやるわけでありまして、特に子会社でも支店でも今まで、例えば埼玉県とかそういうところにあったものまで全部東京都下に入ってくるという状況もあるわけです。こういうことを考えますと、関連企業間の、わかりやすく言うと、親会社、子会社、これの所得を全部集めて合算課税をする。合算課税をして今の本店、支店と同じような、私、従業員数が多いと思うが、地方の自治体にいいとなれば敷地面積の方があるいはいいかもしれませんね、あるいは投資額でもいいと思いますが、どちらかというと地方の方に有利と思われる外形を用いて地方公共団体間の配分、分配基準を定める、こういうやり方をとれば地方税、地方財源の一極集中はある程度均衡ある国土の発展になる、そういう手法について自治大臣、どうですか。
  36. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 委員指摘のように、現在地方税の偏在あるいは一極集中と言われる、特に法人事業税を中心としましてその動向が顕著でございますので、研究会を設けてこの分割基準、同一企業内の事業所とか工場に対する分割基準をどう見直すか、今その作業を進めております。  しかし、今委員指摘の合算課税、これはなかなか国税の状態を見ましても難しい点がございます、国内法の整備をしなければなりません。しかし一つは日米間で行われている、多分先生はそれを念頭に置いてと思いますが、移転価格税制がございますから、自動車業界等においては、国税当局間で話し合いをすれば、アメリカと日本のいわばどちらに利益があったかという、そういうこともされております。  それから、日本でも進んだ企業は既に連結決算を社内のいわば経営の基盤とするためにやっております。親会社が幾ら品物をつくって売ってみても、販売会社がそれをストックしていては現実には会社の経営状態は明らかにならない。むしろ不健全要素を持っているわけでございますから、そういうものの連結決算制度を何とかまず会社間でおのずからその経営の安定のためにやらせるべきだということと、冒頭申し上げましたこの事業の分割基準、こういうものを見直しをいたしまして、今はどうしても親会社に、子会社に利益をためて親会社が赤字になるという例がたまにはあるのかもしれませんが、大体親会社に吸収をするのが通例でございます。  それから本社と事業所、工場間においてもそうでございますから、そういうものを考えますと、本社所在地の多い東京において税収が高まることは当然でございますから、この分割を何とか方法を考えてみたいということで目下研究をいたしております。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 終わります。
  38. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 志苫君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場君の質疑に入ります。馬場君。
  39. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、私十八日の本委員会で今非常に社会問題となっております原野商法について質問をいたしましたが、自治大臣よりの答弁がなかったので再質問させていただきます。  実は、この問題につきましては、先般も私お話し申し上げましたが、建設大臣国土庁長官からはだまされた者も悪いというようなお話も出ましたが、それはとんでもない話でありまして、この件につきましては、この前質問した件等については、もう新聞等でも御存じのように、警察の方が熱心に動いていただいて問題を提起されております。これは企画庁の国民生活センターの方でも調査されましたが、全国的に相当大きな数に上っておる。私の耳に入ってきただけでも相当の数がありますよ。  だから、これは一つは大きな社会問題だという点が一つあることとあわせまして、私はずっと調査の段階で一例を、北海道の長万部町のことに私は触れましたが、人口九千五百人の町で原野商法でだまされて買った、その数が、北海道以外の人の土地の所有者が一万八千二百三十件あるわけです。あんな小さな町でですよ。この面積は九百十一・五ヘクタールありまして、それで結局その町の面積の中の六%を占めておるわけですよ。  それで、そのためになお大変なのは、町が大変なんです。いわゆる百坪か二百坪ぐらいに割って売ってしまったから、固定資産税の対象にもならない。林野の方は荒れほうだい、十年もほったらかしてある。買った方も大変ならこれを抱えておる市町村も大変だと。私は長万部だけでなくて北海道の何カ所かも調査しました。ほとんど同じようにある、しかも日本全国にあるわけです。これは私は自治省においても関係省庁においても政治問題だと思います。だから、この点について自治省の見解を私ははっきりとお答え願いたい。
  40. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) まず、前回の御質問の際、政府委員答弁が御質問趣旨に即しておらず、また私が答弁をいたさなかった失礼をお許しいただきたいと思います。  いわゆる原野商法につきましては、開発計画、有効活用の予定がない原野を細分化し、地域外の多数の者に分譲するものであることから、一般的に固定資産税上の問題のほか国土保全、環境保全などの問題が発生する等、市町村行政の面にも種々問題が発生していることが考えられるわけであります。したがいまして、特に北海道や栃木などいわゆる原野商法が行われているとされている地域の地方公共団体から事情を聞くなどしてこの問題について調査をし、また勉強をいたし、関係省庁とも連携をとりながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  41. 馬場富

    ○馬場富君 林野庁におきましても、白老町なんかはもう関係者に実は通達も出して、その荒れほうだいの林野に対してどうしようかということを問いかけておるわけですが、林野庁はこれに対してどういう見解をお持ちでございますか。
  42. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 原野取引のようなことが横行しておりますことは、国土保全あるいは林業振興の観点からも大変大きな問題である、このように考えておるところでございます。全国的な調査につきまして関係省庁と協議しながら検討してまいりたい、このように考えております。
  43. 馬場富

    ○馬場富君 国土庁も、先般長官は先ほどのような話でしたけれども、山林は国土に入りますよ、長官。いいですか。だからそういう立場からいけば、これは国土庁だって関係があるじゃないですか。そういう森林の健全育成の立場からいったって、国土保全の上において東京だけが国土じゃないですよ。北海道の山林だって、九州の山林だって国土ですよ。はっきり御答弁願いたい。
  44. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生指摘のとおり、山林ももちろん国土でございます。  ただ、山林が投機的な売買の対象に使われるということは、例えば山林のままで相続をいたしますと山の木を全部切り落としても相続税が払えない、これを農地に変えてしまいますと相続税もうんと軽減される、こういうような非常な矛盾もありますし、そういうところに目をつけた不当な宅地業者の人たち土地投機をあおるような宣伝をするというようなことで、それに引かれてひっかかるというような例も非常に多いような感じもいたします。  原因は、山林のままで相続をいたしますと大変な税金がかかってくる、これを農地に転用するという形に格好だけでもしておくと大分違うと、そういった非常な矛盾。我々自身政府側にあって矛盾を感じておりますが、そういうところを巧みに利用しておるような感じもいたすわけでございますが、そういう面につきましても、今後関係地方公共機関とも連絡をとりまして、そういうことの起きないように努力をしてまいりたい、こう思っております。
  45. 馬場富

    ○馬場富君 それで建設大臣も先般の答弁では非常に不満でございますが、こういう宅建業法の許可を受けずにやる業者というのは不法なんですよ。おわかりですね。それから宅建業法の許可を持っておってこういうことをやるのもなおこれは悪いです。両面からいって問題があるわけです。  かつて私は、この席で土地を無許可でやった最上恒産を指摘したことがありますけれども、あれだって事件になったんじゃないですか。それと同じように、この問題だって、いわゆる無許可で宅建を扱っておるような人は不法でありますし、許可を受けてやっておる者にしてみたってなお問題じゃありませんか。建設大臣、はっきりした答弁をしてください。
  46. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 私が先般答弁をいたしましたが、その趣旨は、宅地であろうと農地であろうと、あるいは林野であろうと、土地投機の対象にするということはいかがなものであろうかと、こういう思想から出ておるわけであります。それをもう一つ考えますと、土地はだれのものかと、こういう議論も行われております。  そこで、私が申し上げましたように、宅建業者の許可を取っておる者については、十分指導もし、今後不正があれば適当に処分をしていきますと。また、宅建の許可を取っていない者についてはなかなか取り締まりが難しいのでありますけれども、これは警察等とよく連絡をとってひとつそういうことが行われないようにしてまいりたいと、こういう話であります。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたように、実際に山林経営なり、あるいはその他はっきりした資産として自分が用途に供するものはいいけれども土地高騰につながる、いわゆる地上げ屋と言われるような行為を行う者のそういう言葉になるべくだまされないようにしていただきたい、一般の方も、要は土地も見ないし現状も知らないのに先に金を出すというようなことは慎んでいただきたい、こういう趣旨を申し上げたような次第であります。でございますから、もちろん宅建業者あるいはそういう商行為を行う者もこれはそれなりの処分をいたしますが、投資をなさる方も投機の対象に、そういう言葉にだまされないようにひとつ注意をしていただく、こういう趣旨を申し述べた次第でありますし、そのことには変わりございません。
  47. 馬場富

    ○馬場富君 ここで本法の、大都市圏の秩序ある整備という中で一点、中部国際空港についてお尋ねいたします。  経済審議会等でも、特に関西圏、中部圏については、東京の持つ国際金融、国際情報通信、文化創造、発信等の機能の一部を分担し、東京圏の一極集中是正のための重要な二極であるということが言われておりますし、私は最も実現可能な効果的な一つのこの法案の運用方法であると、こう考えますが、国土庁長官はこの点についてはいかにお考えですか。
  48. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 名古屋圏のことについてでございますね。  名古屋圏の整備につきましては、この多極分散型の中で最も重要な地点と私どもは位置づけておるわけであります。したがいまして、国際間の旅客の利用というものも年々ふえておるわけでございまして、二十一世紀を展望してまいりますと、国際交流のさらに一層の進展が予想されるわけでございます。そういった意味におきまして、中部圏は、国といたしましてもその中枢機能あるいは国際交流の拠点といったような機能を持つ非常に重要な地点であるというふうに位置づけをいたしておりまして、将来とも人的交流、産業経済の中核的な役目を担う地域である、こういった位置づけにおいて整備を進めていかなきゃいかぬと、こういう決意でございます。
  49. 馬場富

    ○馬場富君 今説明のあったように、国際化の中で、また東京一極是正をするために、関西圏とあわせて中部圏の果たす役割は私は大きいと思います。だから、そういうためにも、国際化を迎えた中でやはり国際空港が、東京空港あわせて関西空港に比しまして、こういう点に一つは分散という形ででも、国際空港の必要性というのが位置づけられるのじゃないかという点で、長官はどのような位置づけをお考えでしょうか。
  50. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私も先般名古屋に参りまして、名古屋の市長さんを初め知事さん、その他経済団体の方々とも御懇談をしてまいりました。  その際、将来航空の産業の中核的な役割を担う中部圏、こういった位置づけのもとに整備構想というものを進めていかなきゃならない地域だと位置づけておる、こういうことで国際交流の大きな中枢を担う国際都市名古屋、中部圏、こういった位置で今後の発展を図っていきたいというような大変強い御要望があったことを承っておりますし、ごもっともなことだと思って、私どもはそういった認識でこれに取り組んで御協力を申し上げたいと、こう思っておるわけでございます。
  51. 馬場富

    ○馬場富君 運輸省航空局の方から、国際化の進展に伴いまして、名古屋を中心とする中部圏の国際旅行者の数が急増しておるわけでありますが、現在の名古屋空港ではターミナルビル等が狭隘で大変困っておるというのが実情ですが、その対応についての御説明をひとついただきたいと思います。
  52. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在の名古屋空港のターミナル施設につきましては、これまでに国際線それから国内線のエプロン、あるいはターミナルビルあるいは貨物ビル、あるいは道路、駐車場といったような整備を現在まで進めてきたところでございます。  国際線ターミナルビルにつきましては、六十二年三月に一応の拡張整備を終えておりますけれども、最近の国際線旅客需要は非常に急増しておりまして、これに対処するためにさらに一層の拡張が必要でございます。その具体化に向けて現在国際線ターミナルビルの拡張について検討を進めておる段階でございます。
  53. 馬場富

    ○馬場富君 今説明のように、現在の名古屋空港もかなり国際線が飽和状況でございますし、地元三県一市官民挙げて中部国際空港の実現にやはり、期成同盟も結成されておりますし、調査会みずからも活動をしております。  そういう努力もありますので、みんなの一本の願いというのは何とか六次空整に間に合わしたいというのが念願です。そういう切なる願いというのをぜひひとつお考えの上、運輸大臣にこの点についての御見解をお尋ねいたします。
  54. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 名古屋空港は今東南アジア方面を主に九路線週百十四便、これは日本でも成田、伊丹、福岡に次いで第四位の頻度でございます。国際空港としての機能を果たしているわけですが、御指摘のように大変ターミナルは御不自由なさっていると思いますけれども、これを拡充すれば当面これから増すだろう需要にこたえられないことはないと思います。  ただ、先ほど国土庁長官も申されましたけれども、これからの多極分散型の中で、今東京と大阪を中心にした首都圏と近畿圏が二眼レフの構造を果たしているわけですが、これを分散するということになれば、やはり従来非常に産業の集積の高い名古屋地域というものが有力候補になってくるわけでございまして、そういった将来というものを見越しますと、さらに国際航空の需要というものが見込まれまして、これに対応できる新規の空港というものも十分考えるべきだと思っております。
  55. 馬場富

    ○馬場富君 実現のために地元においても能動的にやはり、空港構想部会とか、あるいは空港立地部会、あるいは航空技術部会等の三部門により熱心に研さんが続けられております。特に技術部会においては未来型航空機発着等、受け入れ等についての研究も随分進んでおるわけでありますが、参考までにレーガン大統領が提唱されたオリエントエクスプレス等についての研究開発について航空局長より御説明願いたいと思います。
  56. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 超音速旅客機といたしましては現在コンコルド、これが存在するわけでございますが、公害とかあるいは経済性といった観点がございまして、十六機生産されたということで、それにとどまっておるというのが現状でございます。  一方、最近の航空技術の進歩というものを反映いたしまして、既存の超音速機の問題点を克服して、より時間短縮効果の大きい次世代の超音速機というものを開発しようという動きが最近ございまして、アメリカにおきましては、先生指摘のように、一昨年レーガン大統領がその年頭教書でオリエントエクスプレスというような構想を発表されたわけでございますが、現在そういう構想を受けまして航空宇宙局、NASAでございますが、そこで超音速機の研究開発に着手をしておるというふうに聞いております。  これらの構想が具体化するためには、使用するエンジンでありますとか機体の材料等につきまして技術的な諸問題がございますし、さらにソニックブームの問題、環境問題、経済性の問題等いろんな問題がございます。そういうことから開発には相当年月を要するとは考えておりますけれども、いずれにしてもアメリカではNASAを中心に、レーガン大統領の構想を受けて、具体的な研究開発に着手をしたということを聞いております。
  57. 馬場富

    ○馬場富君 以上のように、航空技術におきましてもそういうように研究がなされておりますし、また国際空港にふさわしい構想あるいは立地の立場からも、地元だけの研究ではなくて、東京、関西または各国の国際空港の調査等に経験もある、またそういう点についての研究も大変重ねてみえます運輸省の指導的な立場からの参加というのが、六次空整のスケジュールからいっても必要な時期に来ておるんじゃないかというように地元の人たちは声を強くして実は求めておるわけでありますが、この点についての理解度を航空局長よりお願いいたします。
  58. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 中部国際空港につきましては、今後の中部圏の発展と密接な関連を有するということでございますので、まず地元におきまして十分調査をしていただいて、それに基づく幅広い地元での議論あるいは検討というものが必要であろう、それがまず先行するであろうと考えております。  そういう観点から六十年十二月に地元の地方公共団体等によりまして中部空港調査会というものが設立されまして、これが中心になりまして現在総合的な調査研究を進めておられるというふうに聞いております。  調査に当たりましては、先生指摘のように、航空需要の問題とかあるいは空域の問題、そういった極めて専門的あるいは技術的な検討項目がかなり多うございますので、運輸省といたしましては、これらの事項につきまして従来からいろんな助言あるいは指導を申し上げておりますし、今後もそういう御要望に応じまして必要なアドバイスあるいは協力、こういうものを十分行っていきたいというふうに考えております。
  59. 馬場富

    ○馬場富君 運輸大臣におかれましてもこの点についてぜひ、地元の強い要望にこたえまして、運輸省よりのやはり積極的な指導、実現に努力されることを私は切望するわけでございますが、この点についての御見解はどうでしょうか。
  60. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 新規の名古屋国際空港ができるとなりますと、これは決して中部地域だけではなしに日本全体の有力な玄関口になるわけでございまして、そういう観点からも運輸省は国全体のことを考えながら、また地元の方々の御意向もしんしゃくして、中部地方だけじゃなしに日本全体がその新空港によって非常に大きな便宜をこうむることができるようなそういう配慮をしながら御相談に乗っていきたいと思っております。
  61. 馬場富

    ○馬場富君 次に、ことしの長者番付の圧倒的な上位は土地関係が多かったわけであります。億以上の資産家が六十万戸も生まれてきたというような状況ですね。大都市圏の土地を持っている人と持たざる人との資産の格差というのは、国土利用白書でも指摘しておりますが、ひどい状況にありますが、この点について国土庁長官はどのように理解されますか。
  62. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 税の問題から見られた御指摘でございますが、御指摘のとおり、東京におきましては、異常な地価高騰ということを受けまして固定資産税地価表示価格というものも見直しが行われて、それに基づいて税金がかかったというような結果から、土地に対する税金というようなことで、長者番付の中には御指摘のとおりのパーセントで土地による税金を納めた方が長者になっておる。これは白書に御報告申し上げたとおりだと私は思っております。
  63. 馬場富

    ○馬場富君 ここで特に、企業が事業目的でなく財テクのために土地を取得した場合の借入金利について、損金算入というのはこれは認めてはいかぬ、やはり課税の対象にすべきだと考えますが、大蔵省どうでしょうか。
  64. 瀧島義光

    政府委員(瀧島義光君) お答えいたします。  企業が借入金をいたしましてそれによって土地を取得するという場合におきましては、それが個人企業であれ法人企業であれ借入金の利子は損金に算入できるということになっております。一方、土地について値上がりが生じましても、その値上がり益というものが売却という形で実現されるまで課税されない、こういうことになっております。したがいまして、この間隙を利してといいましょうか、利して企業による土地取得というものが思惑的に行われることがよく行われております。このような問題に対処すべく、今先生から御指摘がありましたように、借入金の利子損金算入というものをある程度制限するということを考えてはどうかと実は私ども検討しているところでございます。ただ、これを一般的に行いますと、思惑ではなくてまじめな意図で借金をして土地をお買いになっている、そういう企業にも打撃が及ぶということになりますので、そうしたまじめな企業に及ぼす打撃が余り大きくならないような、しかも思惑的土地取得を抑えられるような仕組みはないものかということにつきまして今検討をしているところでございます。
  65. 馬場富

    ○馬場富君 もう一つの問題は、個人や中小の同族会社の場合は土地に対して相続税やそれに相当する税金がかかるわけでありますので、世代間で土地を保有することは事実上だんだん困難になってくるというのが一般の個人や中小同族会社の関係ではありますが、これに対して、株式を上場する大企業の場合は相続に相当するものがないので土地を永久に保有するということもでき得る、こういう税の矛盾が一つ起こっておりますが、この点は大蔵省どのように考えておりますか。
  66. 瀧島義光

    政府委員(瀧島義光君) 今委員が御指摘になられましたような御意見を時々私どもも耳にいたします。  個人が土地を持ちますと、その土地が相続されたときに相続税の対象になります。個人が企業を起こしまして、その土地を直接保有するということではなくて同族法人の株式を持つという形で間接的に土地を保有するという場合には、個人の相続財産の中には土地という形ではなくて同族会社の株式という形でそれがあらわれてまいります。土地の値上がりがありますとそれが株式の価格に反映するということでそれは相続税負担にはね返ってくるわけであります。この同族会社が発展をいたしまして、所有と経営が少しずつ分離していく、同族会社の株式を少しずつよその人が持っていくということになりますと、経営にタッチしておりませんよその方は、その株式につきまして、その株式を持っている人が亡くなった場合に遺族について相続税がかかってくるわけであります。  このような過程がだんだん拡大していきまして、所有と経営が完全に分離する、今委員が御指摘になりました大企業のような場合はそうでございますが、その場合には、まさに株式を相続された方につきまして相続税がかかる。会社の持っております土地が非常に優良なもので価値が高いということであれば、それは株式の評価にそれがおのずからあらわれてまいりますので、そのような形で相続税の対象になるということであります。したがって、企業の場合、特に大企業の場合にはその土地の含み益が一切相続税という形での負担の対象にならないというのはいかがかと思っております。
  67. 馬場富

    ○馬場富君 現行の税制が法人の土地保有やあるいは土地転がしに有利な条件というのは実は長官、多いわけです。そういう点で、これではやっぱり、東京圏の土地は法人だけが買って保有してしまうという結果になりつつあるわけです。個人は買えなくなって保有もできなくなるということになると、東京土地はこのままの情勢では将来、数十年後には東京都内には、土地は個人所有がなくなるというような結果すら出てくるんじゃないか、何かの対策を立てなければ。私は、こういう点で異常事態が発生しておると見ております。  先般もずっと東京都内の都心部や各方面の調査をしておりますと、かつて庶民の皆さん方が行って貸し家やあるいは土地を探す場合に、駅前や町の真ん中に、玄関先に札を張ってやっておったような、そういう不動産業者の数多くの人に会いましたが、ほとんどが言っておりました。この土地の値上がりというのは我々にとっても致命的だ、もう商売をする人たちがいない、ほとんどが大きいものによって左右されてしまっておる現状だ、本当に今の土地政策というのはなっていませんねというのが、そういう中小不動産屋の切なる声でした。  ここらあたりの点について長官はどのように理解されておりますか。
  68. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私も現にそういう話をたびたび耳にいたしております。  逆に、政府部内の形になるかと思いますけれども、税金で結局国が取り上げてしまうというような形で、相続したらもうなくなってしまう、結局国が土地転がしの手伝いをしているようなものじゃないかというような極論をする人もあります。固定資産税その他の地価表示価格が上がることによって相続税も上がってくる、こうなると結局はもう国に取られてしまうというような形、あるいは地上げ屋に買われてしまう、こういう話も聞いておりますから、抜本的に東京地価対策というものについてはもっともっと鋭い権限を持ってある程度強力な制度運営が必要であるとしみじみ感じておるものでございまして、その点は委員指摘のとおりだと認識いたしております。
  69. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 馬場君の質疑は終了いたしました。  次に、近藤君の質疑に入ります。近藤君。
  70. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 前回も申しましたが、この法案は多極分散国土をつくるというんですが、東京都都心部や臨海部の大規模開発はどんどん進める、これは防ぎ得ない。分散策の方も、政府機関東京二十三区からの移転、それから業務核都市整備。それから地方振興は、これは一昨日も指摘いたしました東北インテリジェント・コスモス構想など、内容はまだ漠として果たして実行されるかどうか定かでない、こういう地域振興拠点整備構想だけであります。  これでは具体的実効性に欠ける。分散どころか東京一極集中の強化拡大以外の何物でもないと私は思うわけであります。  そこで、もうきょうはわずかな時間でありますが、東京改造の最大の目玉である臨海部副都心開発について質問をしたいと思います。  まず、臨海部副都心開発の背後には、鉄鋼、建設など大手大企業でつくっているJAPICの非常に活発な動きがあるのが重要であります。それが委託調査や東京湾シンポジウムなどをやっているわけであります。昨年、二月二十四日でありますが、経団連が「東京臨海部開発促進に関する提言」を出しておりますが、その内容をひとつ簡潔に御説明いただきたい。
  71. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  経団連の提言の内容でございますが、大きく三つに分かれておりまして、第一が国際化情報化に対応した首都機能の整備及び民間参加による内需拡大の観点から東京臨海部の早期開発の必要性を指摘しております。二番目といたしまして、民間を含めます関係者におきます開発プランに対するコンセンサスの形成と民間資金を活用いたしましたインフラ整備など、開発促進のための基本的課題を指摘しております。三番目といたしまして、民間を含む関係者合同会議の設置及び整備事業運営における民間活力の活用と開発促進のための基本方策を提言しております。  以上の三点でございます。
  72. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 JAPIC、それから経団連の臨海部開発促進の動きと並んで、大企業が有明地区それから十三号テレポート計画などに続々と群がってきているわけであります。で、民間大企業グループがつくっている研究会がたくさんできております。  そこで、これは国土庁になると思いますが、十三号地テレポート関係四団体、それから有明地区関係三団体、その名称と主な参加企業について御説明いただきたいと思います。
  73. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 初めに、十三号地のテレポート関係等でございます。  初めに東京テレポート研究会、これは東京海上、新日鉄等七十二社から成ります。二番目としてTAS、これはトータル・エリア・サポートでございますが、TAS委員会、三井物産等六十一社から成ります。三つ目として東京テレポート推進協議会、富士銀行等三十三社から成ります。四番目として東京ヒューマニア研究会、伊藤忠、第一勧銀等八十八社から成ります。  それから、有明地区でございます。  第一に東京港ウォーターフロントプロジェクト研究会、三井物産、三菱商事等十三社、他に地権者四十二が参加しております。二つ目として有明ウオーターフロント開発研究会、伊藤忠、長銀等九社に地権者十九が入っております。それから三つ目といたしまして有明地区開発研究会、丸紅等十二社に地権者二十一が参加しております。  以上でございます。
  74. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今冒頭に挙げた企業が幾つというのは、そのほとんどが大企業であるということを申し上げておきますが、結局、臨海部副都心開発をめぐってこういう大企業グループが入り乱れて受注合戦を展開している、私はやっぱりそのことは明らかだと思います。  そこで次の質問は、この東京都の臨海部副都心開発基本計画の策定に当たって、基本構想フレーム、それから都市機能配置、都市基盤整備、情報通信基盤整備都市経営事業計画など、この計画の最も重要な骨格部分の調査がすべて大手シンクタンクに委託されているという、こういう事実です。  これは答弁をやっていると時間がなくなっちゃうのでこちらで指摘しますと、これは全部東京都の委託ですが、例えば三菱総研は、五十八年度から六十二年度に主なものだけでも合計十テーマ総額一億七千四百五十二万円の委託調査を都から受注しております。それから野村総研は、同じ期間に合計七テーマ総額一億三千三百九十万円をやはり都から受注している。それからこれは日本交通計画協会、元建設大臣瀬戸山さんとか元運輸大臣の細田さん、元防衛庁長官谷川さんなどがその役員に就任していますが、ここにも臨海部新交通システムの委託調査、昭和六十年度から六十二年度にかけて合計五テーマ総額一億五千七百二十四万円行っております。  こういう事実を国土庁は承知しておりますか。
  75. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 東京都の方から承っております。——東京都の方から承っております。
  76. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 つまり、そのとおりだということですね。そう答えるからちょっと聞きそびれたんです。  このように、東京都と国が推進する臨海部副都心開発基本計画は、そもそも計画の仕掛け人がJAPIC、そして財界であります。基本計画のもとになった各種調査もすべて三菱総研や野村総研などの大手シンクタンクの委託調査に依存、そしてその事業をめぐって受注合戦を展開しているのも大企業グループ。となりますと、ここで長官から大局的にお答えいただきたいんですが、これはどこから見ましても、これから進んでいくこの副都心計画は大企業丸抱えの開発計画と言わざるを得ないんじゃないか、こういう結論が今の答弁からも出てくると思うんですが、どうですか。
  77. 内海英男

    国務大臣内海英男君) なるほど先生の論法でいきますと大企業の名前が次々と出てくるわけでございますが、何といいますか、大企業にもやっぱりシンクタンクといいますか頭脳集団も、相当人材もおるわけでございます。調査といった部面についても、ある意味においては相当政府機関よりすぐれているところも私はあると、こう思うんです。ただ、でき上がった副都心としての位置づけというもの、でき上がった時点においてそれの利用計画をするということになれば、これは東京都の独自の計画になりますけれども、これをただ大企業の利益のために事業所を設けるとか、そういったことだけじゃなくて、それは都や国土庁とも十分打ち合わせをしていただきまして、そして住民の福祉あるいは住民に十分活用していただけるような方向に持っていくのが私どもの仕事であり、多極分散国土形成の一環として考えていかなきゃならないところだと思うんです。  このままほっといて、先生がおっしゃるような、大企業が計画立案から何から全部参画して、今度仕事をやるときにも大企業がやって、大企業がそこへ建物を建ててまたそこで金もうけをしてと、こういうふうにずっと大企業で結びつけられるという性格のものではないと思う。  要するに、計画立案ができた時点から責任の行政官庁は私は東京都だと思うんです。それを指導する立場からいっても、国土庁といたしましては、こういう多極分散型の国土形成促進法というものができたことでもあり、この趣旨にのっとった利用計画というものを十分作成してもらわなきゃ困る、してもらいたいということで指導していきたい、こう考えております。
  78. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私が受注合戦と申し上げたのは、約四兆円とも称されるこの事業費が、今私がずっと答弁を聞いてきたようなところへ行く。そういう意味の内需拡大だということを一つ重要な側面として持っている。それからまたあとの問題も同じことが言えるんですが、そういうことであります。  そこで問題は、この臨海部に住宅棟も建てるというんですが、建設大臣、これが果たして都民が払える家賃になるかどうか、こういう問題なのであります。当委員会に参考人で出てまいりました土地臨調参与の石原舜介氏は、私の質問に対して、原価でいくと家賃は二十万円を超えてしまう。何とか政策家賃で十二、三万に抑えることができないかと都に努力を要請していると答弁しております。  それから三菱総研の尾原重男事業政策部長の「これから十年驚くべき東京新図式」という著書では、三菱商事、三井物産を幹事とした民間大手十一社でつくっている研究会が打ち出した有明ハーバーシティ構想が紹介されておりますが、こういうぐあいに書いてあります。   民間レベルでの「有明ハーバーシティ」構想も、日本人の一般庶民が入居できるような価格で提供できるかは疑問である。おおよその試算をしてみても、一平方メートルあたりの一カ月の家賃は、五千円から、一万円。百平方メートルのマンションだと、月々、五十万円から百万円という価格になる。そうなると、庶民感覚とは相当なズレがあるから、入居できるのは、やはり企業が家賃を負担する外国人ビジネスマン及びその家族ということになるだろう。 つまり、臨海部副都心開発で予定されている住宅棟は、結局民間の不動産業者に任されているわけで、とても一般庶民が、都民が入れるような家賃ではないんじゃないか、一体だれが入居するのか、この辺について建設大臣いかがですか。
  79. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 副都心の臨海部につきましては、まず住宅をできるだけ多くしてもらいたいという要請をいたしております。その中にありまして、今いろいろお話がございました、また参考人の意見やいろいろ各企業等が打ち出しておることも、全部は見ておりませんけれども、いろいろの意見があっていいんではないか、こういうふうに私は思っております。  ただ、私どものやりますことは、公営住宅をある程度確保して、公営住宅で中堅勤労者以下が、以下というのは言葉がどうでしょうか、とにかく大衆が利用できるような住宅供給に努めてまいりたい、いろいろ意見のありますことは、企業の御意見等はそれとして結構でありますが、私どもは公営住宅を建設する、こういう方向で進みたいと思っております。そういう意見を申し上げておる次第であります。
  80. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣のお言葉ではありますが、そういう努力をしましても果たして本当に庶民が入れるのかどうか、これは今の計画がずっと進んでいくとどうも定かでないんですよね。  そこで、私は一つ提言があります。これは臨海部の貴重な都有地ですから、私は、住宅問題をとったて、大企業あるいはその関係者というような、そういうための利用はやめて、もっと緊急性のあるホームレス人口の解消を初め、公的賃貸し住宅を大量に建設すべきだという立場から申し上げます。  今仮に臨海部副都心開発計画の用地のうち、テレポートやインテリジェントビル群などの業務機能を立地させる用地は除いたとして、そのほかの住宅、ホテル、商業地などの機能を受け持つ約百四十ヘクタールの用地がありますが、ここに公営賃貸し住宅を建てるだけでも相当なものになろうと思うんです。これは私の方で東京都に確認されている試算のケースでありますが、この百四十ヘクタールの土地に練馬区光が丘団地の例と同じ建て方をすると仮定して試算しますと一万三千戸の建設が可能であります。それから、仮に四百四十八ヘクタール全体を対象にして、公団、公社、都営の公的賃貸し住宅を同じ方式で建てようとすると四万一千六百戸が建てられる。つまり、一世帯二・五人平均として、約十万人が居住できますね。  当然その反面としてこの地域の就業人口は三万人以下に抑える必要がありますが、建設大臣、こういうある部分を、一定割合を庶民のためのというんじゃなくて、もっと全面的に庶民、都民本位に有効利用するという、こういうことはお考えにならないんでしょうか。
  81. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 御承知のとおり、この事業は東京都が主体でやっておる事業であります。でございますから、私どもも、住宅に適当な安い価格で入居できるように、分譲なり賃貸なり、こういう方面の要請をいたしまして進めたいと思いますけれども、この問題は東京都が主体性を持っておりますのでどうぞひとつ東京都の方にもその旨を十分話しておいていただきたい。ここは国会でございますから、建設省としてはそういうことを要請して進んでまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  82. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 もとより東京都の方には我が党の東京都議団の方から十分申し上げておることですが、やはり建設省の指導の問題として、この全体、これはやっぱり国家的計画の一つですから、そういう面からこういう面を大いに強調してほしいと思うんです。  あとわずかな時間、最後の問題になります。  日本政府が在日米軍向けに実施している思いやり予算でありますが、これは一般国民向けの公営住宅と比べて建設工事費、広さの面で極めて優遇されております。これは防衛施設庁からもらった資料ですが、土地購入費を除いた工事契約額のトータルで、昭和六十年度は六百二十五戸、三百三十一億四千万円、一戸当たりが五千三百二万円。昭和六十二年度は六百二十三戸、二百六十一億円、一戸当たりが、四千百八十九万円となっております。もとより家賃はゼロです。今、昭和六十年度の思いやり予算三百三十一億四千万円をとると、その全額を公営賃貸し住宅の建設費に回すとしますと、公営住宅一戸当たり事業費は平均千三百七十二万円、そのうち国費負担分は六百七十九万円。ですから、仮に国費負担ベースで計算して四千八百八十戸の予算が確保できるわけであります。  先ほど建設大臣東京都へ言えと言ったけれども、今度は政府部内の問題としまして、こういう思いやり予算はやめて、その分を公的賃貸し住宅建設費に回すよう、大蔵省とひとつ積極的に建設大臣折衝されるおつもりはありませんか。
  83. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 思いやり予算と住宅建設は直接つながる問題でございません。思いやり予算の方は防衛庁なり外務省の方でひとつやっていただきまして、私どもは、住宅政策住宅政策として大蔵省と十分折衝をいたしまして住宅の建設に努力をしてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  84. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 反論したいけれども、時間が参ったのでこれでやめておきます。
  85. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 近藤君の質疑は終了いたしました。  次に、三治君の質疑に入ります。三治君。
  86. 三治重信

    ○三治重信君 土地対策の問題をまず取り上げさしていただきます。  先日、大臣就任のときに、土地対策として公共事業、買収ばかりじゃなくて賃貸借も考えたらどうか、こういうことを申したら、賃貸借は後の始末に困る、こういうような、また、それにいいことがあればまた考えてもいいよというような御答弁だったと思うんですけれども、現に地方土地開発公社というのが各県、市町村にもたくさん出ておるが、ただ買うばかりでは僕は余り能がないじゃないかと。公共事業やこういう関係でやる場合には借地もやっていいんじゃないかと思うんです。それは、個人では、土地を売却する必要のときにはいつでも公社が買えばいいわけで、それもしかし、公共事業で買うとなると、売れぬと言うと、売れ売れといって高くしちゃう。  だけれども、一たん借りちゃって、今度は地主がどうしても相続なり、あるいは自分の事業なりで売ることが必要だと思ったときには、国としては公示価格で買う、あるいはそれはいつでも買う、こういうことにすれば、予算措置としても公社で売買すればいつでも後で清算ができる、債務負担行為をつけておけば翌年度で予算化すればいいじゃないか。こういうふうに思っておるわけなんですが、一つお答え願いたいのは、現に土地開発公社というものがもう全国津々浦々にできているんじゃないか、その状況を御説明願って、そして公共事業等についてもできるところから、全部賃貸もひとつ検討して、こういうような土地そのものを確保するために専門の機関までできているんだから、買うばかりじゃなくて賃貸借も考えそして必要なときにはいつでも買えるようにしておく。長い期間で事業をやるための前提として、土地を買わにゃならぬというふうな考え方は改めたらどうか、こういうふうに改めて御提案します。そのためには特別立法も要るんでしょうけれども
  87. 小林実

    政府委員(小林実君) お答えいたします。  土地開発公社は全国で約千五百ほどございます。仕事は道路、公園の公共施設、公用施設の土地の先行取得、それからみずからの責任において行います公営企業に相当する事業といたしまして、住宅用地、工業用地等の造成事業を行っているわけであります。  土地開発公社が用地を借りたらどうかということでございますが、現行法ではあくまでも地方団体あるいは国から依頼を受けまして公共用地の先行取得をするということでございます。法律では借り上げというようなものを予定しておらないわけでございます。公共施設につきましては、やはりその効用を発揮するためには永久的に所有関係をはっきりさせる必要があると思いまして、私どもといたしましては、そのお考えがあるならばやはり国なりあるいは地方団体に買っていただくのが筋であろうというふうに考えておるところでございます。
  88. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生の御指摘のような方法で土地対策というものが現実にやれるといたしますと私どもも大変やりやすいという点については、先生のお考えに私も同調申し上げたいという気持ちでおります。  ただ、現実に河川、道路のような場合、半永久的に所有者の利用が排除されるというような問題もございます。また、そういう点で所有者が同意をしないという例が非常に多い。それからまた、借地方式ということをやりますと、被補償者の生活再建が不十分で、国に貸しておくということにはなりますけれども、大変安くて、そのときそのときの生活再建が土地利用というものの制約を受けながらも補償が思うようにされていないというようなことになるというような問題点もあるかと思うんです。遊水地のようなところ、あるいは区分の地上権の活用といったような面でやれるというところもあるかと思います。  何にいたしましても、大都市の緻密な土地利用という点におきまして、市街地では建物と道路とを一体点に組み合わせて何とか有効に活用できないかなというようなことを今検討中でございまして、地上権の問題、あるいは地上権を利用するあるいは譲渡する、こういうようなことができたらどうかというようなことを今検討しておるところでございまして、先生の御提案、それが実現できれば大変公共事業の推進にも役立つのではないか、こう思っておるところでございます。
  89. 三治重信

    ○三治重信君 役人さんはもう簡単ですから、買うように今制度がなっているからそういうことをやることはないと思うんだけれども、せっかく国土庁ができて土地政策をやるというからには新しい観点でできぬかということ。これは立法しないと、借り上げでも何でも立法した方がいいと思うんですが、そこをひとつぜひ検討してもらいたい。  事実、私の方の中部圏の中では、土地を売るより市が借りてくれと。学校でも何でも借りてくれと。先祖代々の土地だから売るのはいやだ、借りてくれれば幾らでも貸す。それから我々、国民生活調査会でも議論があって、国が本当に土地を利用してくれるならばいつでも、むしろただでもということを望む人がたくさんいるんだというふうなことまで議論が出てくる。大分思想が変わってきていると思うんですよ。ひとつその点、とにかく何でも買えばいいんだということを検討してもらいたい。  その次に、国鉄清算事業団のたくさん持っておられる土地、これは今国土庁政府が処分するな処分するなということになっているんだけれども、これはいつまでかかるかわけがわからぬ。それよりも東京と大阪だけでも清算事業団土地については早く跡地の利用計画を決めてもらって、利用計画によってこれは私は信託方式で上屋をどんどん建てて、そしてその上で処分するようにすれば、土地の売買ということじゃなくて、しかも跡地の利用が全部できるように上屋を建てた上で処分するという方法でやれば早く片がつくんじゃないか。こういうことを特にやる。  そうしないというと、供給をふやすふやすといっても、この清算事業団土地だけいつまででも高くなって売れないんだということになっちゃまずいと思うんですが、いかがですか。
  90. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  清算事業団の用地につきましては、六十二年の十月に閣議決定されました緊急土地対策要綱におきまして、地価を顕在化させない土地の処分方法について検討を進めまして速やかに結論を得るということとされております。現在清算事業団に置かれております資産処分審議会においてその検討をしていただいているところでございます。  それで、先生の御指摘土地信託を活用する方法も今資産処分審議会の中でその一方法として検討がされているところでございますけれども、この方法については、事業団が抱える膨大な長期債務がございますが、その長期債務の元利償還額に見合う信託配当が確保できるかどうかというようなことを含めました問題も抱えておりまして、さらに検討を加える必要があるというふうに聞いております。
  91. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 先般杉浦理事長ともお話しいたしまして、今のようにとにかく立ち往生しているだけでは能がないので、委員指摘のように、ただ土地信託方式ではなくて上に物をつくってそれを何か処分していくことで借財をとにかく埋めていく、そういう積極的な方法をぜひとりたいとおっしゃっていました。自分たちだけではアイデアがないのでいろいろひとつ参考になる方々に会わせていただきたいという御要望がありましたので、今凍結ということになっておりますけれども、これがいつ凍結が解除されるかわかりませんので、第三、第四の方法を考えるように事業団も努力をするようですし、私たちも手伝いをしたいと思っております。
  92. 三治重信

    ○三治重信君 住宅やオフィスの供給をふやしたいというんなら、非常に優良なやつがあるんだから、ぜひこれは積極的にやらぬとみんな進まぬじゃないかと思うんです。  次に、土地の賃貸の公共事最への利用というものの一環として、借地借家法の改正を法務省の方で検討されておるわけなんですが、これも私は多年要望していたんですが、やっと改正の着手をしておられるわけです。これはいつごろできるか。またそのときに、農地の方はもう賃借権について、規模拡大で所有権と耕作賃借権を離すことを随分やっておられるわけなんですが、農林省の方でひとつ農地の賃貸借をどういうふうに展開しているか、そしてそのときのやはり一番の問題は、所有権者が土地を無条件で返してもらえる、一定の期間が過ぎれば。今の借地借家のやつだというと、借り主が返すときにもう三分の二も所有権をというのか、価値の取得をするなんというから借地や借家ができないようになってきている。借地、借家をするなら借り賃だけ出しているだけで、土地の所有権に対して価値を取得するというのはやはりこの際改めてもらったらどうかと、こう思うんです。  農林省の方は進んだ対策をとっておられるんですが、それをひとつ御披露願いたいと思います。
  93. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 農地の賃貸借の問題でございますが、農地の流動化を進めていくという点からいたしますといろんな手法があるわけでありますけれども、自作地の移転をするという形をとりますれば、地価の問題でございますとか、なかなか土地は手放しがたい、こういう事情もございまして、私どもやっぱり賃貸借をどう進めていくかは非常に重要な課題だと、こういうふうに考えております。  今先生から御質問のございましたのは、農用地利用増進制度ということで農用地利用増進法に基づきまして行っておる事業でございますが、耕作者の耕作権の保護とそれから貸し手の貸しやすさといったようなものをどういうふうな形で調和していくかという観点から種々議論を重ねた結果でございまして、言ってみれば、市町村が間に入りまして地域の中で地域ぐるみで自主的に農地の賃貸借についての調整を行う、そういう形でもって貸しやすくかつ借りやすい制度にしたらどうか、こういうのがこの制度でございます。  具体的には市町村が実施方針を決めまして、それに基づいて市町村あるいは農業委員会、農協、集落の関係の方々、そういう地域ぐるみで貸し手と借り手の掘り起し活動を行うわけでございますが、その結果が市町村によって関係権利者の同意を得る形で一定の計画に取りまとめられるわけでございます。  この農用地利用増進計画と呼んでおります計画を農業委員会が決定する、それを公告いたしますれば権利の設定と移転の効果が生じるという仕組みでございます。この場合に、農地法の十九条に法定更新の規定があるわけでございますけれども、この規定の適用を除外いたしてございまして、したがいまして、一応賃貸借の期間が満了いたしますれば自動的に農地が貸し手に返還されるという仕組みになってございますので、貸し手としても安心して賃貸借に踏み切れる、また逆に借り手の側からいたしますと、市町村が間に入っている、あるいは兼業農家の実態からいたしますれば、一定の期間ごとに農地の賃貸借の取り決めができるということがございますので比較的継続して借りやすくなる、この辺のところが実はねらい目でございまして、おかげさまでこの制度を入れましてから、五十年当時六千ヘクタール程度の賃貸借の規模でございましたが、最近の実績では四万ヘクタール台、六十一年の場合には四万七千ヘクタール余の賃貸借がございますが、そのうちの四万二千ヘクタールはこの事業に乗った形でございまして、私どもこういうものを有効活用しながらこれからの農地の流動化を図っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  94. 細川清

    説明員(細川清君) お答え申し上げます。  借地借家法の改正につきましては現在法制審議会において審議中でございますが、審議が順調に進みますれば本年中に改正の試案を公表できるのではないかというふうに考えております。従来の法制審議会の審議の仕方を見てみますと、試案の公表後四、五カ月を置いて一般の方の意見を徴し、その後さらにこれを踏まえて最終答申に至るということになっておりますので、最終的な答申は早くても試案の公表後一年程度たった後ではないか、このように考えている次第でございます。  それから、もう一点の内容についてでございますが、先ほどの御質問と関連する点につきましては、審議の中で、当初の借地期間が終了した場合には当然所有者に土地を返還する、そういう定期借地権という制度検討しておりまして、これにつきましては、農地と違いまして建物の居住者の保護とか、あるいは借地人の投下資本の回収の保護という難しい問題もあるわけでございますが、御指摘のような趣旨を踏まえまして私どもとしてもその実現に努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  95. 三治重信

    ○三治重信君 国土庁長官、ひとつ聞いておいてもらいたいんだが、大都市土地を下げる下げると言っていても、二割や三割下がっても一般の庶民やサラリーマンから見るととてもじゃないが買えたものじゃない、そんなものを買っていたら土地を十坪か二十坪買うだけで一生涯の働きが全部費える、それなら、賃貸借でできるようなことをやればまだ非常にマイホームを持つことも可能性がある。  これはひとつ借地借家法の改正とともに、大都市だけでも特別そういう賃貸借ができる特別立法対策というものを、これは地主も保護するが借家人も保護する、借家人が借りていることによって土地の値段の三分の二も返すときに取得するんだというようなやつは、何かさっきの農林省みたいに、市町村なりなんなりが保証してそこの間に入るというようなこともひとつぜひ考えて、対処してもらいたいと思います。ひとつこういうふうにあらゆる点から利用部面と所有関係とをできるだけ分けていく対策を、そこへ法律をつくるなり、市町村なりが入っていくということを特に考えてやっていただきたいと思うわけです。  あとの質問はまた総理に、午後に譲りまして、長官、ひとつ土地対策を特に考えてほしいと思います。
  96. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 三治君の質疑は終了いたしました。  次に、野末君の質疑に入ります。野末君。
  97. 野末陳平

    野末陳平君 土地対策はいろんな手があると思いますけれども、私が今まで考えてきたことで、またこの質疑を通じてなお一層その感を強くしたんですが、やはりこれは土地の利用に関して今以上の規制を考えざるを得ないんじゃないか。言いかえれば、公共性というものをもう少し第一義に考えて、公共性を個人の利用の自由というものよりもやや上に置く以外にないかなと思っておりまして、そこで、ちょっと考え方を幾つか聞いていただきますので、両大臣の御所見を伺いたいと思うんです。  まず、もちろん都市の中心部においての話ですが、いまだに木造の平屋があったりあるいは二階家があって、これが古くなっても、しかも周囲の環境が変わっても、ここはおれの土地だからおれの自由にしたいんだという、気持ちは当然それはいいんですけれども、周囲に合わせていかないであくまでも自分の土地は自分が自由に使えるんだと、公共性のことを考えずにそれにこだわり続けるという人が、もちろん御年輩の方ですけれどもこういう方がおりますが、こういうような自分の持っている土地だから自由に使っていいじゃないかという、ここら辺をやはりある程度我慢をしていただいて、これを公共の用に供するという、そういう方向を、まあ強制するというのは語弊がありますが、そちらの方向にいくべき時代に来たんじゃないかな、こう思っているんです。  まず、これについてはどういうふうに長官はお考えでしょうか。
  98. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私も先生の御提案のとおり町を通ると意識いたしておるんですけれども、大体私どもの把握しているところでは、その土地に生まれその土地で育った今や高齢者になられている方で、この家で自分の人生を終わりたいというような気持ちのある方も多い。さらに、これを公共の用に供するためにやるという趣旨はわかるけれども、そうなるとまた多額の資金をかけて、現在はもうただ同然のように自分は自分の土地の古い家の中に住んでおれるけれども、この年になって新たに借金をまたしょって、新しい家には入れるかもしらぬけれども、建って入るときにはもうあの世へ行ってしまうというようなことだから、私は私なりにこの家で生まれてこの家で死にたいというような気持ちも随分これ作用しておるのではないだろうかという点も配慮に入れながら、何とかならないものかなということをしみじみ感じております。  でありますから、土地国民共有の利便に供するというような大きな観点に御理解を示していただく、年齢的な問題もありまして、まだまだ自分に活力があり、将来の展望も自分が持って新しいものをつくっていく、それを拠点にしてまた生活設計を立て直して頑張るんだというような立場にある人と、もうこの生まれた家で、古くなってぼろぼろになっておるけれども、ここで人生を全うしたい、こういった気持ちの人も随分あるという実態をとらえまして、先ほど来申し上げておりますように、土地の問題というのはやっぱり需要と供給のバランスをとるということでございますから、幸いこの法案を今国会成立さしていただくならば、できるだけ関係省庁の積極的な理解をいただいて早期に移転を図っていただく。  そして、その移転後の土地というものは当然国有地でございますから、その国有地を利用して、土地手当ては要らないという形でそこに新しい賃貸マンションなり、あるいは公務員住宅の古くなったのを建て直すというような場合に、それを高度化する、高層化するということによって民間の方にも利用していただく、こういうような多角的な運営ということも考えていかなきゃならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  99. 野末陳平

    野末陳平君 今の長官お話にもありましたけれども、年寄りは特にそうなんですが、ここに住むなというわけじゃないんで、別に追い出してどこかへというわけでなくて、もっときれいにしたらいいじゃないかという提案に対しても耳を傾けない人が多いんです。中には意地でやっている人もいますからね。そういう場合には資金的な援助は幾らでも方法があるわけですから、何か理解をしてくれないかなと思っても、現行法ではやはりそれがどうにもならぬという、その辺も随分土地政策のネックになっていると思うんです。  それから、都市部の農業もそうなんです。僕がこれを言いますと何か農家をいじめているようにとるんですけれども都市部の、特に僕の知る限りでは東京の二十三区内ですけれども、そこに仮に農地があっても、その農地は非常に収益性は低いし、いわば趣味ですね。趣味的な採算のとれない農業を、これは職業の自由だとか、これは昔からの仕事だからという理由だけで続けている人が現実にいる。その場合に、まじめに農業をやっているんだからいいじゃないかと、法律はそうなっているんですけれども、それもしかしそろそろ考え方を変えるべきときで、職業選択の自由であろうが、地主の利用の自由であろうが、それよりも公共性を考えてもっと有効に使う方があなたにも得だというようなそういう説得ができればいいけれども、できない。となれば、やはり利用の制限というものを今以上に考える、そういう方向へ踏み出すべきときが来ている、そういう感を強くしているんです。  建設大臣、今の都市部の農業、これを制限してしかるべきじゃないかと思っているんですが、それはいかがでしょうか。
  100. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生の御意見は私も同感であります。今国土庁長官お答えをいたしましたが、第一番に用途別の区分の見直しも、公聴会というのがありまして、大勢でなくても何人か反対する人が強く言いますとその方に向かっていくような傾向がございましてなかなか難しい、用途変更の場合も。  それから農地の問題につきましても、長期営農に反対するものではございませんけれども、草ぼうぼう、あるいはキリを植えたりクリを植えたりしておるようなところは何としても供出をしてもらいたい、こういうふうに思うわけですけれども、それがなかなかできない。でございますから、本当に長期営農を希望する方は交換分合でもして一定の地域に集めて、あとは市街化の目的の用に進めるべきだ、私はこういう考え方を持っていろいろやっておりますが、民主主義が徹底いたしまして、現在の法制度ではなかなか難しいのが実情であります。しかしそれであきらめたのでは仕方がございませんので、努力をいたしておるところであります。
  101. 野末陳平

    野末陳平君 現行法ではいろいろ難しいのは十分承知の上ですけれども、しかし地主の自由だという考え方が第一義になって公共性がどうしてもその後になっているというのは、もう今や土地政策としてはおくれている、そういう感じがしますので、今後とも、まず考え方の基本を変えるところからいろいろと検討していただきたいと思います。  これで終わります。
  102. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 野末君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  103. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、沓掛哲男君及び近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として二木秀夫君及び吉井英勝君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  104. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 休憩前に引き続き、多極分散型国土形成促進法案を議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。志苫君。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 総理、どうも御苦労さまです。  総理一つの内閣が精魂を傾けても後世の評価にたえるような仕事はまあせいぜい一つだろうという意味で一内閣一課題という言葉が使われますが、竹下内閣にとっての一課題は何ですか。
  106. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もちょっとその点整理してみたのでございますが、昭和の、例えば講和の調印吉田さん、日ソ協定鳩山さん、岸先生で安保改定、池田さんで高度経済成長政策、そして佐藤さんの沖縄返還、そんなようなのが歴史にけじめのつく課題としてあり得るのかな、そういうことが言えると思いますが、さてということになりますと、やっぱりこれだけ多様化した今日、一課題に絞るというのは大変難しい話だな、外交はどうだと言われれば世界に貢献する日本ということになりたい、内政はどうだと言われれば前内閣からの至上命題の一つに税制改革がありますと言わなきゃならぬだろう。  しかし、当面の土地対策委員会というものができた、それはいわばだれが主張してできたんじゃなく国会内に非常に環境が盛り上がって自然にできたということになると、土地問題ということになれば、それはやっぱり多極分散とかあるいは少し図に乗って言わせていただければ私の考えるふるさと創生というようなものかなと、こういうことでございますので、いつも言語明瞭意味不明でございますが、これだけ多極化しておりますと一つで簡単に言えと言われると非常に難しい問題だ。私の経験からすれば、佐藤内閣が終わった後、何が課題であったか、はい、沖縄返還と、こう答えられたと。そうしたものは残念ながら断定的に言うだけの自信がないなと、こういう感じでございます。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 あれもこれもというのは情念の世界でありまして、そう理論的、体系的なものでもないわけですが、ふるさと創生を世に問うて登場した竹下さんですから、しかも中央政治の場を踏んで階段を上ってこられた方ですから、一課題は均衡ある国土の形成なのかなというように思いながらお伺いしたのですが、たまたま新任の国土庁長官も、とにかくこれは竹下内閣の内政上の重要課題なんで、多極分散法案を通してくれと熱心に訴えておられまして、何か経世会の事務総長か何かをおやりになった人らしく、これはなかなかのことを言うとるなと思ってお伺いしておったのです。  ただ、ちょっと今税制のお話に触れられましたが、税制も国民注視の的ですからね。しかし、税制に関して言えば、あなたがいろんないきさつを経て総理大臣になったらたまたまそこにあったという代物ですよね、これは。もちろん税制も重要ですが、あなたが税制を一内閣の一課題だと、あるいはまた今度の多極分散も一内閣一課題だと。本当の意味で内閣をかけてやるんだというのであれば、これは今何か自民党税調でもいろんなことをやっておるようですが、支持基盤の声の大きさとか利害調整ばかりにきゅうきゅうとしておって、中途半端で不公平を温存してかえって拡大するようなものじゃ後世の評価にはたえられない。  やっぱり大多数の国民と後世の評価にたえ得るものに内閣の存在をかけるのであれば、時間もかけたらいいし、総理みずからがさまざまなところで意見を聞く、勉強もするというそういうスタンスでやってもらいたいものだということを要望しておきたいんです、きょうは税制のところじゃありませんけれども。ちょっと私、あなたが中曽根内閣の後継という意味で触れられたので、中曽根内閣の一課題というのはあるいは行政改革だというふうに当事者はおっしゃるのかもしれません。  だけれども、冷静にこれを見ますと、官業を民業に転換したということが目立つ反面で、集権的官僚機構や縄張り、こういうものについては実は手もついておらないというふうに私は感じますね。もともと中曽根さんは総理を目指して総理になった方のようでして、図らずもという方じゃないんで、図ってなった人でしたね、それだけにあれもこれもという気負いを随分感じました。しかし、それは理論体系とか政策というものじゃなくて一種の感情、情念でありましたから、しょせん情念の世界というのは状況をつくろうと思って流されるという欠陥も持っていたようでありまして、就任早々気負ってみたことは大体途中で変えてこられたというふうにも思うような気がいたします。  だから、この内政上の重要問題、当面の土地問題から将来を展望した本当の意味での均衡ある国土発展、あなたや我々が生まれたこの僻村にも政治の日が平等に届くということに存在をかけるのなら、それはそれなりに精いっぱいやってもらいたいし、あれもこれもと言わぬで、税金なんかは休んでもよろしいと、こう私は、しかし休めない問題でもあります。  そういう思いである意味では、あなたを応援するわけじゃないが、あなたがおやりになるというなら、そういうことに精魂を傾けて内閣の信を問いながらやるべきだと、こう思いますが、いかがですか。
  108. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政策の継続性というものがある限りにおきまして、私は続いてきたいろんな政治課題というのがやはり重要課題であるということをいつも思っております。  だが、今の御意見を聞いておりますと、しかしそこには色合いの差というものもおのずから政治の世界には出てくるんじゃないか。その色合いというものが、僻村とおっしゃいましたが、確かに私の生まれ在所も僻村でございますが、そういうところから思いをいたしてみますときに、このいわゆる国土の均衡ある発展というようなものが私の長年の政治理念の中に存在し、そうした色合いが幾ばくかでも出てきておって、それが皆さん方の世論の環境の醸成とともに、これらの法律になって御審議いただいて今日に至っておるということから言えば、やはり竹下政治というものの、一内閣一仕事というほどに私は気負ってもおりませんが、色合いの大きな一つではなかろうかというふうには思わせていただいております。
  109. 志苫裕

    志苫裕君 今ここで私が申し上げたいのは、やあ税金もやりたい、多極分散もやりたい、土地の値段も下げたい、サッチャーさんにもレーガンさんにも覚えめでたくなりたいというようなことをいろいろ言うておると、何もできない。まあ当面税制がいや応なしに日程に上るんでしょうが、その点に関して言えば、これで税制改革が終わったと言ってしまえば、中途半端のものがこれは不公平として恒久的に残るわけでありますからね。  そういう意味で、急がずにやるべきだという主張をして、次に参ります。  これは、長官ともこの委員会同僚委員がしばしばやったんですが、長官があなたの意を酌んで、竹下内閣看板政策なんだ、多極分散は内政上の重要課題なんだからと言って訴える割には余り中身がないんですよ、これはね。同僚委員から自民党、与党の委員からさえも、本当にこれを国土庁はやれるのかと。昔から色男金と力はなかりけりという話があるが、やるには相当のことも要るがというような話もあったぐらいですが、これはちょっとおいおい詰めます。  総理ね、この委員会は実はたまたま今こういう議論をしていますが、東京及び周辺の異常な地価高騰を端緒として国民生活あるいは産業活動に死括的影響を及ぼす、あるいは影響を持っておる土地問題について有効な方策を講じようというので設けられたんですね。また、あなたを長とする閣僚会議政府に設けられたのも同様の意味を持ったんだと思いますね。そして、この法案というのは、さきに策定された四全総実施のための基本法的性格を持つものではあるが、やっぱり発想方法としては現下の土地問題も背景に置いておる、こういうふうに言われておるのですが、非常に迂遠な、東京一極集中というふうなものに超過利潤のメリットを見出して投機が行われる、そこで地価が上がるんだからその需要を規制するためには、均衡ある国土の発展をやっていけばそういう根源が絶たれるから地価対策になる、こういう説明に理由がないわけでもないですよ。風が吹けばおけ屋がもうかるぐらいの、間に幾つかの講釈を入れなければなりませんけれどもね。  しかし、そんな迂遠な話を待っておれないんです。政府委員の説明によりますと、多極分散はできれば二十一世紀ごろまでに何とかしたいということで精力的にやりたいものだというお話でした。あるいは、とりあえず二十三区に少し手をつけようというんで、一省庁機関外側に移すというのだって、七月にまとめて八月に予算を出して、それからああでもないこうでもないと言っておって、筑波の例だけ見たって十年やその辺でおさまる話じゃないということになってまいりますと、地価対策土地問題というふうなのには急ぎの間に合わないものだということがはっきりします。  そうしますと、それはそれとして、いわゆる当面する土地問題、地価問題ですね、これは十二月七日のこの委員会でも総理みずからも加わりましていろいろ議論をした、そういうものを何か政策なり法律に収れんをしてここに持ってくる義務があるんですよ。政府はみずからやる立法で必要なものは国会へ出す、こういう責めを皆さんも負っているはずなんだが、そっちの方はさっぱり影も形も見えないのはこれはどういうことなんですか。
  110. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そもそもこの土地委員会ができたのは、私も先ほど申し上げましたように、時宜を得た各党の合意が何か極めて自然にできたと。そのときの背景には、確かに東京都区部を中心とする地価高騰、全く上がっていない僻村等もあるわけでございますから、そういうところから問題意識は出たと。で私どもは、それについていろいろ御議論をいただいたが、たまたま今も御指摘がありましたように、そういう問題とちょうど軌を一にして第四次全国総合開発計画が出た。  それの基本ともなるべき法律というのがやはり中長期を考えた場合必要ではないか。それならばどこで受けていただけるか。これは政府に選択権があるわけじゃなく、国会土地特委がよかろう、こういうことになって御議論をいただいておるというふうに私自身考え方を整理しておるわけでございます。それは大変ありがたいことだと。  しかし、今おっしゃいますのは、それはそれで結構だろうが、しかし、ああして本院にこの土地特委ができてからいろんな議論を行ってきたじゃないか。で君らの方は言ってみれば、いや、監視区域を設定いたしましてこれの機動的運用をやります、やってまいっております、そうして一方、金融機関等に対して指導を強化いたしまして、現在鎮静化の傾向が出つつある。こういうようなことを言うが、新しい法的措置というのは行っていないじゃないかと。  この御指摘は私にも理解できます。まあ強いて言えば、税制の中で土地の短期譲渡とかいう点は手をつけたといたしましても、土地制度そのもの、なかんずく私権制限を含む新しい立法というようなことを今生み出しておる、現実問題として審議をお願いしておるものではない。  それらの問題は、やっぱりこうした議論を通じながら、行政指導の中で既存の法律等によってこれはできるもの、あるいは行政指導でできるもの、だんだん詰めていけば、この点はやっぱりちゃんとした法律改正を必要とするではないか、こういうものが出ていくであろうということも期待しながら、こうして一問一答をさしていただいておるというのが現状でございますので、御指摘なさいましたように、あれだけ緊急性を持って我々議論をしてみた、それが今法律の体形になって緊急立法の形のようなもので出ておるものがないではないかと言われれば、それはそのとおりであるとお答えをすべきであると思います。
  111. 志苫裕

    志苫裕君 そのとおりでありますと言われたばかりじゃ私もちっとも腹が膨れないんでしてね、何かやってもらわぬといかぬのです。  この委員会では随分さまざまな議論もしたわけだし、日本の社会にずっと根づいてきておる土地観というものの洗い直しを初めとしまして、所有、利用のあり方、あるいは私権の制限方法、あるいは地価のメカニズム等々にも踏み込んで随分多様な論議をしたわけで、もちろんそのうちの一部、例えばことしのこの間通過した税制改正などに供給促進というふうな面で幾つか出ている。  しかし、あれが役に立つかどうかは私らは疑問だと言って、私たまたま大蔵委員会でしたが、これは役に立たぬよと言って反対しました。  それはそれとして、ただもう少し根本的な土地のありようというふうなものに踏み込まなければいかぬ。長官から国公有地の拡大とか利用の御答弁がありましたが、もちろんこの地価問題の対応には、公有地をどれだけ余計持ってそれを種にして都市政策あるいは住宅政策を一体どれだけ展開できるかということも重要な側面ですが、同時にストレートな土地法制そのものが要るというのも皆さん、もう既に総理の認識というのは述べられたんじゃないですか。それは、土地公共のものという理念の上にこの利用を中心とした土地法制を考えてみようということはおおよその合意だと思ったんです。  これは土地臨調があるという御答弁になると思うんですよ、恐らく。一方で諮問しておいてそれとは相談なしに勝手なことをやってくるなら、それなら後これは要らぬわいと言われるんですが、この次の総理への質問関係があるので、土地臨調の日程がどんなところになっておるんですか、ちょっと説明してくれますかな。
  112. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 臨時行政改革推進審議会の中に土地対策検討委員会というのが設けられておりまして、大槻先生委員長でございますが、この委員会のレベルで現在審議されておりまして、本審議会、親審議会でございますが、の報告は五月の末を予定しております。親審議会の御検討、それを受けまして本格的検討をされまして、六月中に御答申が出るという予定でございます。
  113. 志苫裕

    志苫裕君 それぐらいのことは新聞に出ているんでね。これは前にも同僚委員が聞いたから言わないが、土地臨調と政府税調とは違うものだろう、性格は違いますが、例えば政府税調を例にとりますと、そこに出された資料は全部国会議員にも届けられるし、こういう論議のまとめをいたしておりますという資料も届く。ところが土地臨調は、毎日の新聞のように、いや素案がまとまった、第一章はこう書いてあって第二章はこうで、一番最後の方はこうなっておるというようなことがもう、恐らく単なる新聞へのリークじゃないでしょう、ちゃんとあれは配られるんでしょう。  国会議員だってさまざまな議論がある。それがまたいい意味で向こうに反映されればでき上がってくるものはいいものなんで、土地臨調というところは所管が気がきかないのか秘密主義なのか、なぜそういうふうな情報をしかるべく提供しないんだ。
  114. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 審議会の、親審議会における検討あるいはまた土地対策検討委員会における御検討がございました後に、担当官からこれはどういう模様の、内容審議がなされたかということについて記者にも御説明をいたしております。しかし中身につきましては、いろいろの事柄がございますので、この報告書案あるいは検討案の内容そのものを発表することはいたしておりません。
  115. 志苫裕

    志苫裕君 記者に発表するといったって、相当なスペースで載っているわな、新聞に。それなりに我々も勉強の材料になるし、必要があれば意見を言う材料になるわけだが、余り雑音を言われてはいい案がまとまらぬからおまえらには知らせないと言えばそれっきりだが、そういうものは、記者に発表するぐらいのものがあったら土地委員会ぐらいには情報として提供しなさいよ。それは意見として申し上げておきますが。  そこで総理、よくいろんなところに、審議会とか調査会に頼みますと、今そこでいろいろ諮ってもらっているので、出たら考えますわとこういうことになるんですが、土地臨調の答申は今の日程で出てくる。答申を待って当然検討作業が行われ、必要な予算措置やそういうものと同時に必要な立法措置も講じられるというのが作業手順になるものと思います。どういう手順でどういう機構で土地臨調の答申を具体的な施策にこなす立法に回すということが行われるんですか。
  116. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず第一に申し上げたいのは、今志苫さんは土地臨調とおっしゃっております。観念的には私もそれで間違っておるなどと申すつもりはございませんが、最初に新しく内閣を組織させていただいたときから、本当はそのどこの場がいいだろうかということを実際一応は悩んでみました。たまたまちょうどそのどんぴしゃりに当たる審議会等が存在していない、あるいは建設省にお願いしようかなというと宅地供給という観点になっていくとか、いろんな問題がございました。  さようしからば、こういう土地対策については、いわゆる規制緩和等の議論から行革審で今議論していただいておる問題があるので、行革審に頼もうじゃないかというので、これは私が決断いたしまして行革審へお願いした。人数も手ごろであるとか、いろんな理由もございました。そこで鋭意やっていただいて、それで税調でいつも申しますような国会審議を正確に税調にお伝えするというような感じとは違って、向こうの方が国会の論議を見ながら、ちょうどまたタイミングが合ったように閣僚会議ができてそうしてこの委員会ができたわけでございますから、熱心に議論していただいておる。  そうしますと、これを答申していただきますと、やっぱり今指摘された部分、これは法制上の問題じゃないか、これは行政行為の中において行われることじゃないかというもろもろの問題の仕分けというのは、私は閣僚会議国土庁が中心になって仕分けをして、これは立法でお願いすべきもの、あるいは行政行為の中でそしゃくすべきものというようなものが出てくるのではないかというふうに考えておるところであります。  ただ、地方分散の問題がございます。この問題がもう一方に存在しておりますが、これになりますと、私の若干大蔵大臣経験者的感覚からいうと、いわゆる概算要求基準決定までに具体的なものがある程度整理されなければいかぬなという気持ちが一方にあることも事実であります。
  117. 志苫裕

    志苫裕君 土地問題、税制もさることながら、土地というのは、日本人が土地というようなものに執着を持ってきた一種の習慣の領域にまで立ち入ってメスを加えなければ、いわば近代的土地法制は生まれない。大仕事だと思いますよ、これは。それだけに、今にわかにどういう、いつごろまでにどのような仕分けをして、いつごろまでに立法措置をということはお約束できぬと思うが、しかしまず始まるのは、予算編成を目がけてさまざまな予算措置やあるいは制度政策が提起されるという意味では、そう遠からぬときに我々もまたこの委員会でその議論ができる、このように期待をしておきましょう。  先ほども言いましたが、本来の役割、この委員会役割土地対策にあるんだけれども、諸般の事情でそれがなかなかできない、それに専念できない。あいつらは委員会を設けて何をやっているんだなんと言われるといささか肩身が狭い。これが土地委員のメンバーの気持ちだろうと思うんだけれども、それはいずれ休会中であっても、委員長の采配がよろしければそういう議論の場もあろうと思って、その分は後回しにすることにいたします。  ただ私は、この間の十二月のときの委員会で、土地は単なる需給のバランス論だけではだめだと。土地の値段そのものについて公定制という概念はあながち間違っていないと。しかも、土地土地一般で律してもだめなんで、利用形態に応じて個々の土地の取り扱いや判断基準を設けるということをする。北海道の土地東京土地は違うんですから、住宅用地と工場用地も違うんですから、田んぼとまた宅地も違うわけですから、土地土地一般にしないで、土地の利用に応じてその個別の判断基準というふうなものを法制に盛り込むべきだと。  そして、生存権的部分に当たる宅地であるとか、小さな商いの資産用地であるとかというようなものは、これは一種の公定値段にしたっていいと。そうしたら、公定値段というのは自由経済上受け入れられないみたいなことを言ったけれども、冗談じゃありませんよ。一定の地域を指定してそこの値段を決めていくというふうなのは、公定じゃないですか。現在の国土利用計画法は事実上の、監視区域については公定値段を設けるという制度なんです。  それが憲法上合憲とされているんですから、私の言う土地の公定価格制は憲法上ではそれは肯定されるはずだということを改めて申し上げておきまして、やっぱり土地の利用形態に応じて個別の判断基準を設けるということ、課税の場合だって現実にそういう考え方で生活、生業用の資産には課税評価も税率も違うわけだし、その辺、のっぺらぼうと遊んでいる土地に対してはうんとふんだくる、それで世の中の役に立てるということを現実にやるわけですから、土地一般じゃなくて個別の判断基準を設けるべきだということをこの機会に改めて主張いたしておきます。  時間も迫りますから法案に入りますが、総理、いろいろとここでもやってきましたが、この法案は基本法的性格を持っております。そして実施法的な部分よりも宣言法的な部分が多いという意味では、すべての課題が今後に残っておるという性質の法案です。そして、その今後の成否を占うものは行政の総合的な力が発揮できるかどうか。もしこの法案をやって、そして第一条の目的を達成することに幾らかでも期待をつなぐとすれば、それに向かって行政が総合力を発揮できるかどうかに私はかかってくると思います。日本官僚機構特有の縦割り行政、縄張り争い、こういうふうなものがある以上は期待なんかできないというふうに思います。  一番多極分散になっておるのは政府なんですから、国土はこれからですけれども。逆に政府の方が一極集中にならないとこれだけの大仕事はできないということを、私はしみじみ、長官同僚議員あるいは主務大臣同僚議員のやりとりを聞いて、その感を強くした。しかも竹下内閣看板政策だというんだから、その看板政策実施しようという法案であれば、竹下内閣の閣僚たるもの各省庁の縄張り根性などとけちなことを言うとらぬで、この目的達成のために総合力を発揮するのかしないのかにかかるという感じがいたします。元締めに当たる国土庁に金も力もないことはもうわかり切った話なんです。それは長官はなかなか力量のある方かもしらぬが、役所の世界は金と力、権限がなければ何もできないところなんだから。  という意味で、総理、その点は本当に、これを内政上の重要課題にしてやろうとすれば、あなた自身がまさに先頭になって行政の総合力を発揮しなきゃできませんよ。その点はいかがですか。
  118. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘の点、私はもっともだと思います。したがって、土地対策閣僚会議を私、総理自身が仕切るということで発足したのもその一つであろうかと思います。  問題は、今後、確かにおっしゃいましたように基本法であり、私もこれをいろいろ読みながらどこのところで行政が一番機能するだろうかというようなことも何回か議論をいたしてみました。例えば地方振興開発というようなことを考えてみたりいたしますと、いわゆる促進協議会というものができて、ここがいろんな各省の施策の調和、中和をすることになるのだな、やっぱりこうしたところが工夫の存するところだと。確かにこれは言ってみれば訓示規定とか奨励規定とか、そういうような感じがするではないかとおっしゃれば、その御批判は十分あろうかと私は思いながら、そういう協議会等を現実問題として動かしていく場合、調整機能を持つ国土庁の力というものは大変に発揮しなければならないものであるだけに、それを発揮し得る環境としてむしろ当委員会国会等におけるいわば声援のみならずいろいろな鞭撻を賜りたいものだというふうに考えておるところであります。  いつも思いますが、日本の役所の機構というものは、本当にある種のシンクタンクとしては相当なものだ、ただし縄張り争いなかりせばというようなことを私も思ったことがございます。したがって、そういうもののない中で御鞭撻にこたえて国土庁がまさに総合調整機能を発揮し、それが発揮しやすい環境を行政府の長たる私も十分踏まえていなきゃならぬし、国会の御鞭撻等がその大きな背景となるであろうということをお願いをしながらお答えをいたします。
  119. 志苫裕

    志苫裕君 いや、こっちへしりを持ってこられても困るのでね。  そこで、ちょっと各主務大臣はそのお配りした資料を見ながらしばらく私の言うことを聞いてください。  私は、行政の総合力を発揮できるかどうかが均衡ある国土形成の決め手になると言いましたが、これをもうちょっと敷衍してみたいと思うんです。第四次を既に数えようとする全国総合開発計画のいきさつを振り返りながら、行政の総合力はどのように発揮されたのかという点に視点を合わせます。  第一次計画以来開発の手法には、時代的な背景を持ったそれぞれの違いがありました。あるときには工業を中心とする拠点開発を言ってみたり、あるときには大規模プロジェクトを言ってみたり、今度のように情報化国際化というようなものを背景にしたそういう集積とか、さまざまに時代的背景は違いますが、一貫して分散あるいは均衡ある国土の発展というお題目を掲げたことは確かなんです。  だけれども、これを人口動態を指標にとってみると、五十年代の前半にちょっと戻り現象はありますけれども、趨勢としては分散の効果はことごとく上がっていない。一貫して集中。かつては三極ぐらいに集中したのが今一極になっているという状況。その理由というのは、集中集積のメリットを求める資本の論理、経営の論理といいますか、そういうものもあるんでしょうが、逆に言えば政治や行政がまことに無力だったということにもなるんでしょう。  逆に集中集積に力をかしたということだってあるわけでして、いい例がデメリットを除くために分散よりもやれ再開発だ、やれデレギュレーションだということで、あるいは税制上の特典だというふうなことで、都市で公害を起こせばその会社に手厚く公害防除の税制上の特典を講じれば出ていかぬでそこに居座っていくわけですから、集中はむしろ進むわけですよ。あべこべのことをやってきているんですよ。もう一つは、総合計画とは名ばかりで、行政の縄張りに固執して総合力が発揮されたためしがないというのが、私は一貫して分散をうたいながら集中が進んだという大きな理由に挙げられるとも思います。  各省庁は、先ほどもちょっと二、三の大臣に聞いたんです、新しいプログラムが出てまいりますと、都合のいい部分だけをつまみ食いして、自分が今までやってきたことをちっとも変えもせぬで、ああ今までやったのは今度の新しい計画のものだなんてなことを言うて、つまみ食いしていたんじゃないですか。大体総理、ちょっと考えてみなさいよ。総合開発計画というふうなものは閣議決定等を経て出てくるんでしょう。行政のトップにある総理大臣みずからが、総合計画と言われるものにどれほどの注意を払ったんでしょうね。一体どれだけの関連があったかわからぬが、第二次計画が出ると田中首相は列島改造論、第三次の計画が出ると大平総理は田園都市構想、第四次が出ると竹下総理はふるさと創生論、そうでしょう。ですからそういう名前のついた事業というのが今お配りした資料に残っておるんですよ、いろいろと。  なぜそうなるのかというと、そういうものが出てまいりますと、苦労してつくったであろう総合開発計画なんていうのは横っちょに置きまして、当面行政のトップが言うそういう構想論に迎合して、どこの省もネーミングだけそれに合わせて、自分が今までやってきた仕事をしっかり握ったままそれを継続しているわけですよ。  これは自治大臣に聞いてもらいたいが、自治体の側にも問題なしとしない。地方の時代を提唱しながら、みずからは創造する意識が希薄で、新しいネーミングの事業の取り合いを演じて、ひたすら中央へ利益を運ぶ選良と結んで補助金取りにきゅうきゅうとしておった。自分の地域を創造する、総合的にプランニングするという、そういう意欲に乏しかったというふうなことが言えるわけだ。  今申し上げた資料を見てください。これは総理、我が優秀な調査室のスタッフが一生懸命まとめてくれたんです。私も見てびっくりしちゃったね。国土づくり、まちづくり、地域振興、いろんな名前がつくかもしれませんが、一口に言うと多極分散型国土形成だ、のための法律も予算措置に基づく事業もこんなにいっぱいあるんです。  私はどれとどれがどう違うのかわからぬ。例えば田園都市構想モデル事業というのは国土庁の所管の予算措置等によるものとなっています。これは三全総が出たときにたまたま大平さんが田園都市国家構想を述べたので、それの名前を使うと大蔵省あたりの通りがいいかなと思ったのかわからぬがね。そうしたら、これと似たようなことを自治省あたりも、何とか圏構想とか何とか圏構想と。今度竹下さんが「ふるさと」ということを言うたら、その前からあったのかもしれませんが、建設省、ふるさとの川モデル事業、自治省、ふるさとづくり特別対策事業と、これはしばらくふるさとばやりだね。  こういう形で、私はこの仕事の一つ一つはそれなりの地域づくりに役に立っていると思いますよ。しかし、それを総合的に何かの一つの目標、一つの目的に位置づけておる仕事はだれがやっているんだ。そして、例えば新産業都市なら新産業都市というのがありますね。これを一例にとりますと、これは第一次の総合開発計画で、どっちかというと装置産業等を中心にする拠点開発構想だった。それが時代の推移、変遷に伴ってそのような構造変化が起きてきて、今度の各地域における拠点振興というふうに転化をするわけですね。  そうなってくると、時代の役割を終え遺物となったようなものには改廃が行われなきゃだめですよ。遺物になって荷物になっておるのであれば、荷物の落ちつき場所を探してやらぬといかぬですよ。そういうふうな一種のサンセットとでもいいますか、そういう作業調整はどこもやっていない。役所というところは病気でありまして、一遍握った仕事は時代の役割を終わっても、別の名前に変えて残す癖があるんですよ、これは。こういうものについて総合調整、進行管理、サンセットというようなものが行われない限り、一次の上に二次が乗っかって、二次の上に三次が乗っかって、膨らむばっかりなんだ。  この問題を総理、あなたがじきじきに指図なさるか、進行管理役を設けるか、点検をなさるかしなければ進みませんよ。どうですか。
  120. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 調査室で作業していただいたとおっしゃいましたが、私もこの種のものを整理いたしてみまして、それの総合調整をどうするかというところで、この地域立法に関する問題等を含め国土庁でこれはやられるべきだという考え方に立ちまして、したがって今度の法律の中の地域開発の協議会というのがもろもろの法律に基づくものの調整、例えの例でございますが、一つの町の開発計画が出た場合、これは、この法律に基づく道路計画は何年ごろに予定しておる、これは、この問題については直ちに予定しておる、そういうようなものを総合調整して一つの目的達成のために最も機能するのが協議会じゃないかな、こういうふうな考え方で、この法律自身の作成過程においてそういう感想を持っておったことは事実でございます。  大体、私も感じておりましたのは、まずはいわゆる全国総合開発計画、昭和二十五年でございますから本当にまだ国会といえども、あるいは行政府といえどもGHQの間接統治下にあったような時代からこういう計画がなされ、さて結局私反省してみますのに、その後列島改造論が出て、そうして今おっしゃいました田園都市構想というようなときには当時私も大変に情熱を燃やしたわけでございます。「田園都市構想」というポスターが出ておって大平総理の顔が真ん中にありますと、本当に田園そのものの顔のような感じもいたしまして物すごい気持ちを持ったことが、私もそういうところの出身でございますので、あったことがございます。  したがいまして、それらの問題は最終的にはこれは内閣一体、特に内閣が調整機能を持っておりますのでこれでやらなきゃならぬと思っておりますが、この法律に基づくもろもろの関係については、国土庁自身を全体が国会をも含め御鞭撻いただくことによって、その効率を上げていかなきゃならぬというふうに考えております。  もう一つ感じておりますのは、したがって昭和五十五年までは大体日本語でございました。日本語と言うとおかしゅうございますが、片仮名も日本語でございますけれども、五十六年、私五十五年にも大蔵大臣をしておりましたが、あのころからいろいろ片仮名の予算が出るようになりまして、私の英語力もなかなかこれに追いつけないほど片仮名の予算ができてくるようになりましたが、そういうものをも含めてやっぱりきちんと機能するような総合調整機能、これの国会からもバックアップをお願いしたいという気持ちであります。
  121. 志苫裕

    志苫裕君 私の時間も終わりになりますが、そこで各大臣、一言ずつお伺いしたい。  私は、本当の意味で多年の念願である均衡ある国土の形成をするには、各省庁が縦割りとか縄張りとか従来の仕事の行きがかりとか、そういうものを超えた行政の総合力を発揮するためにそれなりの力を発揮せぬといかぬということを指摘しました。そして今までのいわば遺産のような蓄積がこんなになっている。これが役に立たぬとは言わないが、おのずから系統的に整理をするものはする、全体をどこかの局で進行管理するものはする、時代の役割を終えたものについては新しい施策に、古いものの落ちつき場所を探して新しいものの開発をするというふうなことをしなければこれはやっていけないということについて、ひとつそれぞれ御所見をいただいて質問を終わります。
  122. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘の各省庁ことにいろいろとこういう計画があることも事実でございますが、近々国土審議会を持ちましてこれらの法律につきまして、余り現在では効果のないもの、あるいは引き続きやっていかなきゃならぬもの、こういうような色分けをしてすきっとしたものに改めたいと思っております。  先生指摘のように、日本の行政は縦割りと言われておるような形でございますが、新しいこの多極分散型国土形成法案につきましては、国会の御審議を踏まえまして、先生方の御意見等も十分お聞かせいただきましたのでそれも十分配慮の中に入れて、がっちりとしたもので推進をいたしたい。これは当然竹下内閣の内政上の大きな重要な施策の一環でございますので、総理の指導力もおかりいたしまして、所期の目的達成のために全力を挙げてまいりたい。  以上でございます。
  123. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のような縄張り争いがあっては大変であります。午前中の御答弁でも国土庁長官から予算は十分持たないというお話がございましたが、十分国土庁ともその他の各省庁とも連絡をとって、この法案趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
  124. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 午前中もちょっと触れましたけれども、縄張りがあってはならない、それを超えて最善の努力をいたしたい。そして農村に活力がある多極分散型というものが定着をしていく、そのための一環としての農政というものが推進される、こういう考え方で努力いたしたいと思っております。
  125. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 四全総の骨組みであります新しい時代の新しい高速交通網というのは、部分的には建設省の部門もございますし、また自治省などと相談しながら、どういう分担で行うか、いろいろな問題がございますが、これはやっぱり性格からいっても運輸省だけでできる問題ではございません。これからも関係省庁と緊密な連絡をとりながらそういう実現を果たしていきたいと思います。
  126. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 委員指摘のように、どちらかというと今までの地方自治体は各省庁の事業を、よく言いますと選択をし、それを地域のものとして消化してきたために、ある意味で独自性がなかったという反省もいたさなければなりません。  今ちょうど地方自治が充実をしてまいりまして、これからはどちらかというと地域の独自性、自主性、これを最高限度に発揮できるようにどうすればいいか、それには御指摘のように分権やあるいは財源措置をどうするか、こういう問題をひっくるめて、特に受け皿である自治省としては各省庁の縄張りをなるたけなくしてもらうように懸命な努力をしてまいりたいと思います。
  127. 志苫裕

    志苫裕君 終わります。
  128. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 志苫君の質疑は終了いたしました。  次に、下条君の質疑に入ります。下条君。
  129. 下条進一郎

    下条進一郎君 ただいま同僚議員質問に対しまして、大平総理のお顔は田園都市にふさわしいというお話がありましたけれども竹下総理は大変日やけしてお元気そうで、日本の顔としても大変に頼もしいように存じます。  そんなことで、承りますと、六月三日にはロンドンで日米首脳会談があるやに承っておりますが、総理はそれに対してどんなような御決意や御構想をお持ちで御出席なさいますか、お尋ね申し上げます。
  130. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度、今報道されております日米首脳会談、実は少し話が長くなって申しわけありませんが、私自身、この国連特別総会に行きます際に、レーガン大統領あるいはゴルバチョフさんがその総会にいらしておる機会があるならば、そこで首脳会談といいますか、お会いしたいというような希望を持っておりましたが、たまたまその時期がまさにモスクワで米ソ首脳会談が行われるわけでございます。そういたしますと、そのときにお会いすることができませんので、その後ヨーロッパへの私の訪問日程がございますので、その間に許されればお会いする機会を得たいというようなことを、まあレーガン大統領とお会いしましてもほかの国の場所を借りるわけでございますのでその辺のことも気持ちの上で配慮しながらいろいろ折衝しておりましたら、米ソ首脳会談からの帰りにロンドンでお会いできる、こういう日程がとれたわけでございます。  したがって、当初考えておりました主目的とでも申しましょうか、それはやっぱり米ソ首脳会談の問題を率直に、どういう結果になるかいろんな予測が出ておりますけれども、大統領の口から私の耳へ聞かしてもらいたいという極めて素直な気持ちでお願いをし、それが実現しそうな傾向になったというふうに考えておるところでございます。
  131. 下条進一郎

    下条進一郎君 ありがとうございました。  それでは法案の方に入らしていただきます。  現下の土地高騰、これがいろいろな施策を講じた結果ようやく鎮静化の兆しを見せてきた、こういうことでありますが、政府としては中長期的な政策の一環といたしまして、一月二十二日に閣議決定をして、政府機関の移転再配置を決定されたわけでございます。新聞等によりますと、ちらほらいろいろな候補の土地が出て、あるいはまた機関が出てくるということでありますが、現在この重要な課題がどのように取り運ばれておるか。また将来の最後の見通しといたしまして、いつごろ最終的な答えが出るか、この点についてお尋ね申し上げます。
  132. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは正確を期すために国土庁長官からのお答えが適切かと思います。たまたま私もこの問題につきましてはたびたび報告をいただいておりますので、私が消化しておる範囲のことで申し上げてみたいと思います。  今お話がありましたように、いわゆる方針というものは決定したわけでございます。そうして幹事会等をつくりまして、今四省庁と申しましても内閣では内政審議室でございます。それから国土庁、総務庁、大蔵省、この四省庁でそれをさらに詰めをしていただいておりまして、可能なことならばごく近い閣議でさらに四省庁の詰めについての方針の拡大を御了解いただきまして、そうして今度は個別省庁との折衝に入っていくというような手順、その後今度はいわゆるリストを先生方の前にお出ししなきゃならぬというふうに考えておりますが、それらのことが今私の念頭にありますのは、先ほども申しましたように、概算基準設定までにそのところまではいかなきゃならぬなというふうに思っております。私自身から各閣僚の皆さん等に申し上げなきゃいかぬのは、いわばそれぞれの事情もあろうがこの統一した方針に従って最大限の協力をしてもらいたいという要請も、近々行われる会合でしなきゃならぬことだというふうに考えておるところでございます。
  133. 下条進一郎

    下条進一郎君 大変大事なことでございますので、ぜひこの問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、この問題が出てから、これに関連いたしまして遷都論というものが随分方々で取りざたされております。大阪だ、琵琶湖だ、仙台だ、松本だといろいろ、名古屋も入ってきて、百家争鳴でございます。これは問題を大きくするためには、ある程度関心を高める意味において意義があろうかと思いますが、私はやはりこういう問題は、原点に立ち戻って、どういうふうに首都機能というものを考えていくかということがまず一番最初に大事ではなかろうかと思います。  例えば、東京集中する、こういうことでありますが、一体東京になぜ集中するかというと、やはり国際的な世界の中の日本、その首都としての東京の機能、それからまたアジアにおけるNICSの兄貴分としての東京、そういう機能、そしてまた日本の中の首都である東京の機能とか、こういういろんな機能があろうかと思います。そういう意味で、東京が今持っておる首都機能、あるいは本来の理想的な首都機能というのはどういうものであるべきかという考え方と、それから一方それに対しまして、首都においてはもう必要がない、むしろほかにあった方が活用される、そういうもの、それはどういうふうに整理していったらよいか、そういうものの基本的な構想総理から伺いたいと思います。
  134. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる首都機能、こういうことになりますと、首都というものの定義は何ぞや、こういうことになると思います。それについて明確な定義があるわけじゃございませんけれども、常識的に諸外国等の事例から考えますならば、国会、中央省庁、こういういわば政治、行政の中心となる機能を備えているものというのが首都ではないかな、こういうふうに考えておるところであります。  それに、いわば統制経済からあるいは政府主導型とでも申しますか、いろいろな経過を経た当時の時代から、産業機能等々もこれがその行政機能を中心にして集中してきたという傾向があるのではないか。それで、それではいけないというようなことで、例えば工場とか大学の新増設を制限したりしたこともございますし、それからやっぱり顕著な例としては筑波研究学園都市というもの——長いことかかりました、しかしながらあれはやっぱり確かに新しいすばらしいものができたなと私も思っておりますが、そういういろんな努力を積み重ねて今日に至っておりますので、いわば行政機構というものも、東京都区部にあらなければならない必然性のないものはやはりそれぞれ分散した方がいいんじゃないか。  そうしてさらに産業、それからやっぱり教育でございます。よく東大を移せという話がございますが、東大が島根県へ来たら東大と言えなくなりますので、その辺のネーミングの問題は別問題といたしまして、やっぱり教育というものの分散というようなものも当然考えられなきゃならぬだろう。  そういう頭の整理をしながら、一方、今もおっしゃいましたように、それを機としていわゆる首都移転問題というのがクローズアップした。国民次元でこの問題が議論されるようになったということは、私は不自然でもありませんし、今御指摘なさいましたように、一つの流れを象徴するいいことだとも思っておるわけでございます。  ただ、これについてはやっぱり今度は、いつも申しますように、いや展都だ、遷都だ、分都だ、いろいろございますが、そういう言葉の整理も逐次なされておりますけれども国民生活に影響することが余りにも大きい問題でございますので、今軽々に私自身が内閣として、このような首都移転をも含めた計画を考えておりますというところまでは率直に言っていっていない。そういう環境というものがどう熟していくかということで、これからそれはそれとして終始しながら、その問題と関連なく、都区部に存在する必然性のないものの移転とか、分散とか、そういう問題に力をいたすべきではなかろうかというふうに考えております。
  135. 下条進一郎

    下条進一郎君 これに関連いたしまして、多極分散というものを、いわゆる入れ物の移動というような物の考え方とあわせまして、その中に入る人間の機能、そういったものをやはり考えながらいかなきゃならぬ、こう思いますけれども、そういう場合には非常に地道な道をたどらなきゃならない行政改革、そういうものの一環としてきちんと位置づけしながら事を運ぶ必要があるのではなかろうか、こう考えるわけでございます。  現在、中央集権が非常に偏っておる、こういうことの一例といたしましては、年末における予算の陳情でこの霞が関はごった返す、あるいはまた地方でいろんな事を運ぼうとした場合の許認可が非常に厄介で、申請書を何十もつくり、そして中には東京へたびたび足を運ばなきゃならないというようなこともありますものですから、そういう意味においていろんな規制の緩和というものも相当思い切ってやる必要があるのではなかろうか。また、国土の有効活用という点から考えましても、従来の画一的な物の考え方でなくして、例えば建物の場合を考えましても高さの制限の問題あるいは消防法上の規制の問題、あるいはまた道路、河川の規制というものが、こういう時代にはそれぞれもう見直していく必要のあるものが出てきておるだろう。  そういうことで、思い切ってそういうものを地方に権限の移譲できるものは移譲していくということになりますと、おのずからこういうものの一極集中というものが多極分散にはずみがついていくだろう、こう考えるわけでありますが、そこらの地方への権限移譲の問題については、どのようにお考えでございますか。
  136. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆるデレギュレーション等をやることによりましていわば行政事務そのものを簡素化し、それがひいては行政コストの低減にもつながるという問題と、それから今おっしゃいました行政の権限そのものを地方に移譲することによってのいわば行政経費の節減と、私はもう一つは消費者コストの節減にもなるんじゃないか。  その消費者コストの話をしましたら、いや、内需振興に反するじゃないか、むしろ陳情団が来て内需を振興しているんじゃないかというような話をなさった方もございましたが、しかし、消費者コストというものがこれからの行政改革というものにやっぱり一つ入れられなきゃならぬのじゃないかな。何か今経済審議会で審議していただいておる中に、そういう趣旨のことの発言があって入れていただけるような報告を聞きまして、やれやれありがたいことだと思っておるわけでございますが、したがって今度さらに、昨日でございました、地方制度調査会からまた、これもきちんとした法律に基づく調査会でございますが、私どもに報告書を、答申でございますね、いただきまして、なるほど残っておるものを一つ一つ掲げておられました。これらのことはもう移譲すべきじゃないかと。  私ももっともだなと思うものもたくさんございますので、従来の臨時行政調査会から指摘を受けたもの、そうして今度は臨時行政改革推進審議会になってから指摘を受けたもの、その中でやったもの、やらぬもの、いろいろ整理してきておりますが、これらのものをも含めて昨日答申を受けたものもさらに精査いたしまして、これらは各省別に、内閣と総務庁が中心でございますが、お呼びしたりして、自治省との間の調和を図っていけばある程度のものは進んでいくんじゃないか、そういうのが地味な地道な行政改革というものじゃなかろうかということについては、全く意を等しくいたしております。
  137. 下条進一郎

    下条進一郎君 そういう面の影響として、地方分散が行われていくわけでありますけれども、首都機能で要らなくなったものを地方へ持っていくというと、地方の方は要らぬものを受け取るのかと、こうなることは私は余り好ましくない、こう思います。  そういう意味において、総理が言っていらっしゃいますところの新しい国づくり、ふるさと創生というその目標をはっきりさせていただいて、その中で、例えば研究機関の移転等の問題につきましても、従来の研究機関はそのままではない。今度移転する研究機関につきましては、二十一世紀に向かってどういうようにその研究機関が発展していくものであるか、それらを長期的な見地から組み立て直しまして、そして新しい意味での研究機関の移転になる。そしてそれを起爆剤として地方都市が発展していく、そういうような構想を 打ち立てながら地方分散を図っていただきたいと思うわけでございますが、その点はどのようにお考えでございますか。
  138. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど自治大臣からもちょっとお話があっておりましたが、私が申しておりますふるさと創生というのは、いわば中央でいろんなメニューをつくって、これに合致したようなものがあれば計画を立てて、どうぞ幾ばくかの補助金も用意しておりますからいらっしゃいましというものであってはならぬと。その地域地域の伝統とか特徴とか歴史とか、そういうものを重んじながら、その地域の方々が参画した青写真を協議会等を通じ政府がどのようにサポートすることができるか。こういうような方向で進めたいと思っておりますと、それに対してマッチするであろうあるいは研究機関でございますとかいろんなもののその地方への定着が、その青写真を描くのに非常な中核としての大きな役割をなすんじゃないかというようなことは私自身も考えてみております。  今まででも、あるいはこの地方はあれがあったからそれを中心にして栄えてきたんだというところが、いわば研究機関であるとかあるいはたばこの工場であるとかそうしたものがそういう実を上げた例もないわけではございませんだけに、可能な限りそういう地方分散していくものがその地域の核的要素を持ちながら青写真を描いていただける土台になれば大変幸せなことだというふうに考えております。
  139. 下条進一郎

    下条進一郎君 そこで、いろんな構想の中から地方政府機関がそれぞれ移っていくということを想定いたしますと、それらがぽつんぽつんと方々にあったのではなかなかその機能は発揮できない、その意味においていわゆる高速交通道路網の整備ということは非常に大事でございます。また、それが徹底すれば地方においてもこのままでもどんどんまた大きなメリットが出てまいります。  高速道路のみならず、新幹線あるいはリニアモーター、さらにはまた便利で簡便なコミューターの空港を随所に建設していくというようなことで、それらを全体の国のネットワークとして組み立てていくということが大変必要だと思います。そして、すべての地域がそれぞれ競争しながら発展して個性を生かしていく、こういう姿がこれからのいわゆる日本全体の発展の一つの姿として望ましいのではなかろうかと思いますが、こういう点について二、三の関連で御質問申し上げます。  整備新幹線、これはもう各地域全体に希望が非常に高いわけでありますけれども、例えば一例をとりますと、東海道新幹線はかなり消耗が激しく、その代替線というものが強く望まれる時期が目睫に迫っている、こういうことから考えますと、北陸新幹線その他を私は整備促進する必要があるのではないか、今の構想とあわせまして考えるわけでございます。八月までに何らかの答申が出るということになっておりますが、毎年これは延ばし延ばしになっております。こういうことでは非常に残念でございますので、今回はこういう大きな構想とあわせましてこの問題の解決に早急に取り組んでいただきたいということが一つでございます。  それからまた、高速道路、この間の大型連休ではもうほとんど渋滞でどうにもならぬという状態になりましたんですが、これは二車線が非常に多い、こういうものを三車線にするとか、あるいはワシントン—ニューヨークのターンパイクというのは二階建てになっておりますね。二階建てなら用地買収が要らないわけです。ですから、トンネルとか橋のところは困りますけれども、そうでないところはそういうようにして解決していくというようなことができないかどうか。また、日本のような領土の狭隘なところでは思い切って大深度の地下鉄の建設を考えていったらどうか、このようなことで幾つか問題があろうと思いますが、ひとつ問題の解決についてどのような御所見をお持ちでございますか、お願いしたいと思います。
  140. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる日帰り圏とか、あるいはそういう高速道路体系への一時間以内のアクセスとか、そういうことが言われてきております。それは私もそのとおりだと思っております。  基本的な問題が幾つか例示されてのお尋ねでございますが、その中で新幹線整備に関する問題につきましては、確かに長い間後送り後送りということになっております。したがって、いわば今政府・与党等におかれて濃密な作業を進める段階に来たという報告を受けておりますので、それこそ八月末まででございましたか、それに結論が出ることを私どもも強く期待しておるということでございます。  それから何車線かに拡充していくという案は、これはそれぞれの道路網の中で計画が行われて進められておるということも承知しておりますが、二階建て高速道路というのは、これは私も建設大臣の経験はございますものの、かなり古い建設大臣でございますので、実際に行おうとしてみると、私は単純にトンネルへ入るときにここのところから上が通らなくなるんじゃないかというような単純な話をしておりましたが、環境上、技術上なかなか難しいものだということは聞いておりますが、専門的知識を持っておるわけじゃございません。道路整備そのものにはおっしゃるように賛成でございます。  それからいわゆる大深度地下の公的利用の問題、関心を持って私も承らしていただいておるわけでございます。いろいろな議論がございますが、まさかこの下を掘ってみてブラジルまでいわば財産権が生ずるとは私も思いませんし、適切な判断が、この間運輸大臣からも話を聞いたことがございますが、行われるのは大変好ましいことではなかろうかというふうに考えております。  いささか常識の範囲を出ない答弁でございましたが、これはあるいは建設大臣、運輸大臣からお答えするのが適切かと思います。
  141. 下条進一郎

    下条進一郎君 以上で大体項目の質問を終えたわけでありますが、今回の政府機関地方移転ということは多極分散構想を実現する上におきましても大変大事なことでございます。また、それには、先ほどの総理お話にございましたような基本的な構想、そしてまたふるさと創生という大きな夢を描きながらぜひ前進していただきたい、こう思うわけでありますが、これにはいろいろと障害が伴うことは当然でございます。機能的にそれは可能かどうかとか、あるいはいろんな歴史があります。  しかしながら、やはりこの問題を手がかりとしてこの多極分散が必ず実現するものであるというふうに信じておりますので、ぜひともこの問題の取り組み方については、非常に困難があろうかと思いますけれども、ぜひかたい決意で臨んでいただきたいと要望いたしまして、総理の最後の御決意を承りまして、私の質問を終えたいと思います。
  142. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど志苫さんへのお答えにも申し上げましたが、私どもも不退転の決意でこれに臨みたい。新聞紙上で、また腰砕け、でございますとかあるいは、抵抗によって挫折か、でございますとか、そういう記事を読みますと、私自身も顔には出しませんが決して愉快ではございません。  したがいまして、全精力を傾けてこれが実現に邁進いたしますので、客観的な立場から本委員会を初めとする国会の御支援を心からお願いいたします。
  143. 下条進一郎

    下条進一郎君 ありがとうございました。
  144. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 下条君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場君の質疑に入ります。馬場君。
  145. 馬場富

    ○馬場富君 きょうは総理も出ていただいておりますので、今までの質問の中で重複する点もございますが、締めくくりの意味でひとつ御答弁賜りたいと思います。  総理は先般、四月二十九日から五月九日にかけましてヨーロッパを視察されました。イギリス、西ドイツ、イタリア等を訪問され、各国の首相と懇談されまして、その中でやはり日本の内需拡大への非常な大きな期待の声とあわせまして、総理のふるさと創生論が大変論議を呼んだと聞いておりますが、どのような点が評価されたか御説明願いたいと思います。
  146. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先般の訪欧の際、ふるさと創生論を政策の一環として説明したというほどではございませんが、私の書物等がそれぞれの国の言葉に訳されまして、いろいろお読みになっていただいたようでございます。やっぱりヨーロッパ諸国も、それぞれの国によってニュアンスの相違はございましても、いわば経済成長というものをやってきたが、物の豊かさの中にお互いの政治家としての尺度を置き過ぎて、心の豊かさというものが欠けておったのではないかという反省からいたしまして、私の「ふるさと創生」というようなことに御関心をいただいたのではないか。  ただ、若干の相違がございますのは、なかなか英訳等が難しい言葉でございまして、例えばネーティブプレースということになりますと、自分のルーツというような感じを持たれる人には必ずしもその訳は適正でない。一番訳語のぴったりするのはやっぱりドイツ語のハイマートじゃないか、こんな表現がございましたが、大部分はフルサトというような言葉を使っていただいて、だんだん言っておる意味理解されておるとすれば私にとってうれしいことだなと思っておるところでございます。  ちょっと長くなりまして申しわけありませんが、ついでの機会に申し上げますと、例えば西ドイツの商業地で一番高いところが一平米、日本円に換算してみて七十八万円だなんという話を聞きますと、ちょっとこの土地問題については向こうになぜ上がったかという説明も難しいし、向こう自身理解が難しかったんじゃないかなと思って帰りました。
  147. 馬場富

    ○馬場富君 特に、ローマ法王との対談の中で首相の「創生論」がかなり評価されて、社会的、経済的な目標でもあるが同時に人間の心とモラルの問題である、正統な価値を含むものだと高い評価をされたそうでございます。外国でも褒められたわけでありますので、日本の国民も大きな期待をかけておりますが、今、国会での土地審議もいよいよ最終を迎えておりますけれども、この法案につきまして、総理が大きく期待をかけられた総理の創生論とあわせまして、やはり実行という二文字が総理の肩に乗っかかっていますことについてひとつ御所見を賜りたいと思います。
  148. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まさに、本法律案をつくって、もって御審議いただこうという気持ちをプッシュしていただきましたのは両院における国会委員会であったと思います。そうして、そのできた法律案をこの場で審議しようということをお決めいただいたのも国会であります。したがって、今の馬場さんの御鞭撻にこたえて、私どもいろんな障害を排除しながらこの問題に取り組んでまいりますので、どうか国会におかれましても私どもの至らざるところを補いながら御鞭撻賜りますことを心からお願いいたします。
  149. 馬場富

    ○馬場富君 訪欧されました総理、ヨーロッパで見た経済大国日本をどのように見られたか、またヨーロッパと比較して日本の生活、土地住宅事情等についてどのような感想を持たれましたか。ヨーロッパから見た日本という立場で御感想をお述べいただきたいと思います。
  150. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 総じて若干具体的に申し上げますならば、イタリーは今経済状態が私どもがかつて予測しておったよりもいいようでございます。したがいまして、特に今後日本の技術関係の資本進出等が好ましいという感じを受けとめてまいった次第であります。そして、最初経済で申し上げますが、英国におきましては、これはまさに日本の進出企業の労使関係というものがイギリスのかつての労使関係に衝撃を与えてくれて、それによって今日のイギリスの経済成長が、急速な成長でございますだけに、かつてに比べればある、こういう認識であります。それから西ドイツの場合は、お互いハイテク等の技術水準はある程度あるわけでございますだけに、これが提携問題というようなことが経済の問題では大変な問題であります。経済の問題に限って申しますと、向こうからこちらを顧みてみますと、その中にまだ貿易のインバランスもございます。  と同時に、ヨーロッパのあのグループを三億六千万と数えまして、アメリカを二億三千万と数えまして、日本を一億二千万と数えまして、それを三角で結んでみますと、余りにも日欧関係というのが他の二極関係に比べた場合に、経済交流等も少ない。可能な限り、少なくとも心の持ち方としては三角形の関係にするぐらいな持ち方で対応しなければならない。それに対して向こう側は、それに期待を持つとともに、日本自身も一層のいわゆるオープンマーケットを含めたそうした問題を期待するという空気が強かった。  経済問題に限って申しますと、そのような感じを受けてまいりました。
  151. 馬場富

    ○馬場富君 かつてECでは五十四年にEC会議で、ウサギ小屋よりひどい住まいに住む仕事狂いの日本人と酷評されました。我々日本人といたしましてこれは非常に厳しい言葉だと私は思って受けとめておりますが、彼らのこの言葉を、総理は現在ヨーロッパを回られまして、ジョークとこれを見てとられましたか、それとも忠告と見てとられましたか。この点をお聞かせ願いたいと思います。
  152. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ウサギ小屋と呼称した原点というのがあるそうでございますけれども、私ちょっとそれを今忘れましたが、私自身はその原点であるという感じ方よりも、やっぱりなお私どもが衣食住の中の住問題についての国民の幸せ感がヨーロッパのそれと大変に違うというような警告として私自身は、原点の問題は別としまして認めたわけでございます。したがって、やはり地価問題というような点について各国の事情等も、それは首脳会談に限らずでございますけれども、できるだけ私なりに知識を持とうと思って歩いてきた、こういうことでございます。
  153. 馬場富

    ○馬場富君 ちょうど総理がEC訪問を終えて、そのことと同時に日本の国土のこの土地の問題とあわせまして、私はやはりウサギ小屋に住む日本人と言ってくれたあの言葉は経済大国の今の日本に与えられた立派な忠告だ、こう受けとめるべきだ、こう思います。例えば、今の日本はそのとおりだからであります。  東京地価は安定したといっても、やはり高値でありますし、サラリーマンの人々の住める地価ではないということは国土白書にもはっきりとその点が言われております。先日も私は新聞社のグラフを見ておりましたら、十八年間まじめに勤めたサラリーマンの人が、家を買うほどの力はなく墓場を買ったという友人の話が出ておりましたが、これほどまでにマイホームの夢をなくした現実というのを総理はどのように認識されておりますか、しかとお伺いいたしたいと思います。
  154. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御党のいわゆる土地本法の概要というようなものを、少し古くなり、数カ月前でございましたけれども、読ましていただいたことがございます。一つは、あれはかつての経済企画庁の数値も下敷きにしていらっしゃいましたが、いわば年収の五倍とかあるいは月収の二〇%とか、そういうところで住宅を持てるようなことが一つの理想像として描けるべきではないかという趣旨の発想でございます。私もそれはもっともだなという感じでもっていろいろ勉強さしていただきましたが、今おっしゃいましたように、東京の都心商業地に端を発した地価高騰によって地域の格差はこんなにできておりますので、私は言うはやすく行いはかたいというのは本当にこれそのものだと。そうすると、中長期的に見ると、やっぱりいわば多極分散ということを政策課題の柱として掲げなきゃならぬという考え方になって、このようにして御審議をお願いしておるというのが実情でございます。  確かに、おっしゃいますように、今ちょっと間違えましたが、西ドイツの中の商業地で一番高いところが平米当たりでございましたが、七十五万なんというんですから、そして東京地価の話が出ますと私に、これは冗談でございますけれども、ついていく向こうの国の大使、帰任しておられる大使の方が、余り私の大使館の土地の値段が高い高いとおっしゃってくださいますな、あなたはいつも大蔵大臣とお会いになりますからと。売って高層にしたらどうだと言われますと私の方が困りますからなどというような冗談が出るぐらいな感じでございました。  これは一人当たりにしての平地面積の相違ももちろんございますけれども、この異常な地価問題というのは必ずやこれは政治の課題として解決しなきゃならぬ問題だという問題意識は持っております。
  155. 馬場富

    ○馬場富君 問題意識を認めていただきました、やはりこれらの人々が安心して住める東京にしなきゃならぬ、それが今日の一つの大きな政策的課題だと思うんです。  だが、今国会、この土地問題も昨年から行われまして、今多極分散法案一本で終わろうとしておりますが、これもかなり訓示規定が多くて、いろんな各方面からの批判が、この急速な異常土地高騰に対して具体策がないという批判が非常に強いわけです。だから私は、この最後の土壇場でもいいから、こういう問題についてそういう人たちのためにも一言、こういうことをやりますということだけは言わなきゃ相済まぬと思うんです。そういう点でひとつその問題等について、そういう人たちを安心させるための具体策をお示し願いたいと思います。
  156. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに審議していただいておる法律案は、いわば基本法と称しておりますが、私自身が最初手がけてみても、あるいは御審議いただく先生方の方から見てもいわば精神規定が多いんじゃないか、訓示規定じゃないか、本当にこれが実行ということで成果が上がるのかというような疑問も持ちながら、御鞭撻をいただいて今日に至っておる問題であろうと思います。  そこで、今できる短期的なものは何か。確かに税制改正等幾ばくかのものはやりましたが、私はやはりいわゆる住宅対策というようなことでこれから第五期の住宅建設五カ年計画、これに基づいた措置等を着実に実行していって可能な限りそのようなニーズにもこたえていくということを御説明申し上げることが今日の少しなりともお答えになるのかなと、こういう感じでございます。
  157. 馬場富

    ○馬場富君 この間発表された白書では外国と日本の土地並びに住宅制度の相違が示されておりますが、土地制度の各国の特異性によるものとしてこれが理解されておりますが、ここで私は、お互いに特異性があるからおのおのだという考え方じゃなくて、日本と外国との土地並びに住宅制度問題を総締めくくりしてみまして、先進諸外国と日本とはっきりした相違点が一つあるんです。  それは、諸外国では住宅については他の目的の建物とは別に住宅優先の制度が明確にされておるということです。法律で定められておるということで、日本にはこれがないということです。日本の憲法にも住む権利がはっきりと保障されていますし、これは基本的人権であります。この点について、今この国会で少なくとも私は、そういう住宅に困った人々のためにやはりはっきりとそういう方向性を出す必要があるとこう思いますが、総理、いかがですか。
  158. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃいましたいわば憲法における生存権の最低保障というものが生活保護であるといたしましても、その中の大きな比重を占めるものが住宅で、住むところというものであるという問題意識は私も持っております。それといま一つ、いわば財産権の問題との調和ということから今日までいろいろな既存の立法の中で私権制限されたものもたくさんございますが、そういうことが今日に至ってきたと。そうして諸外国との差は単なる面積の差ばかりではなく土地に対する考え方の相違というものもあるような気がいたしてなりませんので、今のような御提言というものを念頭に置きながら、私は私なりにも土地に対する基本理念というものを打ち立ててみたいというふうに考えております。
  159. 馬場富

    ○馬場富君 先ほど私も説明しましたように、日本人の土地に対する特異性というのは外国と違ったものがあります。またそれは具体的な神話的なものもあります。これは十分認めておりまして、私はここでそういう制度や日本人の考え方をすぐ変えようということじゃない。土地公共優先の制度改革については国民的コンセンサスを必要とするために時間がかかると思うんです、これは私も認めます。  だが、ただいまの東京土地高騰によって急速に解決しなきゃならぬ最優先課題というのは、東京圏に住む人々が安心して生活できる住宅の建設です。このためにも私は、先般の本会議で言いましたが、シンガポールは東京よりも高い人口密度の中で安い家賃の住宅があります。これは世界の模範の例です。それはなぜかと申しますと、公的住宅が八割を占めているからです。日本は今公的住宅は一割です。  だからここで東京に公的住宅を大量につくることは、先ほど総理がおっしゃいました日本人の土地に対する特異性、それを私は別にしても、土地制度の改革ではなくて、予算の分配によって東京に公的住宅ができるということがはっきりしておるじゃありませんか。ここに一つの問題点がある。ここを私たちがこの国会で間違っちゃいかぬのです。制度の改革というのは私は時間を要すると思う、国民の認識を変えることですから。ところが、東京都で皆困っておるのは、自分たちが住める住宅を求めておることです。そのためにはやはり、公的な住宅をシンガポールではつくっておりますが、私は制度ではなくて予算さえあればできるということです。  先般も私は本会議で大川端の住宅の例を言いましたが、あの銀座から十分の地域、佃島です。あそこで、民間でやれば3DKが家賃三十万円かかるところでも東京都営でやれば五万五千円ではいれるという実例等も出ています。公団でやれば十七万でできるという方法もあります。  私がこういう一つの例を示したのは、やはり政府が本気でやる気があって取り組めば、この問題は住宅政策としてできるということです。制度の改革はしなくてもいいんです。この国会で私たちが見逃しちゃいかぬのはここだと思うんです。東京で今土地高騰という大問題が起こっておる、そして庶民が困り果てておる、どんどん外へ追いやられておる、こういうときにこの緊急課題に経済大国日本、そして国際都市東京、これが総力を挙げて臨むならば、大量の公的住宅の建設ができないことはない、私はこう思いますが、総理、しかと御答弁願いたい。
  160. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今いみじくも土地神話というお言葉をお使いになりましたが、確かに私も日本人の持ち家志向というものは強いというふうに思っております。今先生がおっしゃるのは、その志向はその志向として別に置こうと。今のいわば東京周辺の問題等については、それを解消する一つの具体的施策としては公営住宅をうんとつくることじゃないか、こういう御趣旨だと思うのであります。  必ずしも私自身住宅について今正確にお答えするだけの知識を持ち合わせておりませんが、いわば今度の住宅計画の中における公営住宅部門等における、何と申しますか、傾斜配分とでも申しますか、そんなようなことがあり得るとすればあるのかなと。十分私も勉強さしていただきたいと思います。
  161. 馬場富

    ○馬場富君 ここでもう一点総理にお願いしておきますが、やはり土地の問題でございます、公営住宅をつくるのの。それについて、今国公有地の公的利用の問題が言われておりますが、特に東京圏におきましてはそういうものを最優先で一つはそういうところにあるものについては考えてほしいという点と、先ほどもお話が出ておりましたけれども国鉄清算事業団の用地等についても、私はやはり今こそ国民のために活用を考えるときが来ておると、特に東京圏については。  この二点について御答弁願いたいと思います。
  162. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる国公有地、そしてまた旧国鉄用地という問題につきましては、抜本的な施策ではなく今のところ当面競争入札、格別なところを除きストップと、こういう対応策をしておるのであります。これは決して根本的解決であるというふうには私も考えておりません。しかし、旧国鉄用地にいたしましてもまた国公有地にいたしましても、率直に言ってどれだけのものが公営住宅宅地として、そしてそれが周辺のいわば住環境を阻害しない形の中で活用できるか、こういうことになりますと、なお調査する必要があろう、あるいは専門家はもう既に調査しておるかもしれませんが、私はそういうような考え方でございます。しかしいずれにせよ、地方公共団体等においてそれらを使用する考え方があるということになりますれば、それらの払い下げ等につきましてはこれを優先するという考えは今後とも持つべきものであると考えております。
  163. 馬場富

    ○馬場富君 もう一つ大変この土地国会の中で心配されておるのはまず第一番に政府機関の移転の問題でございます。一月二十二日に閣議決定されまして以来、本法案の本会議でもこれは私質問いたしましたが、その後これは政府の柱のごとく言われておりますが、報道等でいけばくるくるくるくると変わっております。それで責任大臣である長官も今度かわられました。いよいよ危なくなってきたんじゃないかという声すらあるわけです。  だからここでやはり、国の機関等移転推進連絡会議では総理を中心にして国土庁長官、大蔵大臣、総務庁長官、この三者で協議されておると聞いておりますが、総理を中心といたしましてこの問題は七月に結論を出すと言われております。結論よりも、実際に今何機関が必ず移転できるかはっきり言っていただきたいと私は思いますが、よろしく。
  164. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今までどれだけのものが確定されたかということについて私は確かな数字を知っておるわけではございませんが、ほんの数日後に私は、先般、今おっしゃいました決定した方針に基づく拡大方針を決めまして、そして各省との協議に入るように、関係大臣協力をいただくように、そういう会合の場を持ちたいというふうに思っておるわけであります。  確かに新聞報道等によりますと、いや後退したとか、あるいは停滞しているとか、反対の抵抗が強いとかいろんなことが言われておりますが、この問題が起きますときに、本当に総体的に、個々の問題になりますといろんな利害も出てまいりますが、総体的には労働組合の方もちゃんとこの分散は賛成だということを言っていただいておりますので、それが円滑に成就しますためにはある種の期間も必要でございましょうけれども、いわば役所のエゴイズムによって出し惜しみではないかと言われるようなことがないような対応を、近日中の会合で私は方向づけをしようというふうに考えておるところでございます。
  165. 馬場富

    ○馬場富君 ここでその関係の三大臣に一々お聞きしたいがもう時間がありませんので、国土庁長官に。  大蔵省等についてもかなり異議があるという声を聞いておりますが、そういうものにも負けずに必ずこれは実行できるか。この一省庁機関の問題は、この土地国会での竹下内閣の政治生命だと私は思うんです。これができなきゃあかんと思うんです。長官の御答弁を賜りたい。
  166. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま総理からも力強い御決意の表明がございまして、先生からは大蔵省との具体的な折衝がなかなか難航するのではないかというような御指摘もございましたけれども、私が事務当局の者から聞いております範囲におきましては、大蔵省も大変理解を持ってこれに対応するような雰囲気になっておる、こういうことでございますから、法律趣旨に基づきまして力強い行政指導力をもって折衝に当たりたいと、こう思っております。
  167. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、新行革審の土地対策検討委員会東京一極集中の是正策といたしまして、大使館や外務省の一部、国際協力事業団など国際交流に関する機関東京圏外に移転させるという提案が決定したと報道されておりますが、一つはこれについて総理はどのようにお考えか。  あわせまして、これはかつて大使館の土地問題もございましたし、あるいは土地高騰による閉鎖問題等もありまして複雑な問題も絡んでおりますが、また日本の中央省庁の移転もないために、そういう先進国の人たちに大使館だけかわれというのも随分失礼な話だと私は思っておるわけだし、相手方にも難色があるやに聞いておりますが、この点を御答弁いただきまして質問を終わります。
  168. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 在日外国公館問題というのは今二つの問題があるわけでございますが、一つの問題につきましては、要するに余り家賃が高くなっておれないというような問題でございます。  それについては国会等でたびたび指摘を受けておりますので、今外務省を中心にしまして、これは内閣官房もかんでおりますが、鋭意そうした問題が少しでも解消されるような措置を講じようということを考えております。  それからいま一つの在日外国公館そのものを移転するということは、これはやっぱり、御案内のとおり、大使館というのは相手国政府機関でありまして治外法権でもありますし、それは今先生が御指摘なさったように、おまえ出ていけなんというのはこれは非礼千万だと私も思っております。そうしてまた、いわば国際的に見ましても、各国大使館というのはやっぱり外務省、日本で具体的に言いますならば、それらとの連絡の最も密なることを要するだけに、私はそのことは考えておりません。
  169. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 馬場君の質疑は終了いたしました。  次に、内藤君の質疑に入ります。内藤君。
  170. 内藤功

    ○内藤功君 行革審が六月の十五日に基本答申を総理に出す予定と言われております。その中で特に遷都についての検討も促すということが伝えられております。国民生活にも重大な影響を及ぼす問題でございます。  総理のお考えを伺いたいと思うのですが、まず、私のいろいろ調べたところでは膨大な費用がかかる。国土庁の一九八三年の調査によりますると、仮に新首都建設を考えた場合に六十万人規模で五十五・四兆円という試算が一つあると。  国土庁の首都機能の移転に関する調査研究というのが行われましたが、この委託調査プロジェクトに参加をした日本開発構想研究所の飯田さん、鎌田さん、この両氏の試算によりますと、五十万から五十五万人の新しい首都を予定した場合に、必要経費が七兆八千億円から八兆七千億円と、これは今から五年前の数字ですが、こういう膨大な額が試算されております。  この開発構想研究所の両氏によりますと次のように指摘しております。「資金、用地、事業期間の三条件共に遷都は困難な面が多い。七〜八兆円の巨額の資金を投入するならば、再開発へという意見も出るであろう。用地七千〜八千ヘクタール必要となり、用地が確保できるか、また、建設期間もおそらく十五〜二十年程度の長期が予想される」と、移転の「効率の問題は低下は免れず、一時的には混乱が予想されよう。又、現在の社会システム全体の混乱、受け入れ先、東京に与える影響も大きい」と、かようなことが出ております。私これを今出ております「THIS IS」という雑誌の三月号で読みまして、これはなかなか数字的に重大な問題だということを感じました。これらの批判にどう答えるかという問題があります。  もう一つはこれらの財源をどう調達するか。跡地の売却によって資金を獲得するとすれば地価暴騰をもたらしてしまいますね。跡地は恐らく大手企業、建設、不動産企業の乱開発のえじきになるであろう、これは必至であると思うんです。  以上、私の調べたところも一部御披露いたしましたが、ここで総理に御質問したいんですが、総理の遷都問題についてのお考え、私の今指摘した点も含めてお考えを承りたいと思います。
  171. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 遷都問題と、こういうことになりますと、私がいつもお答え申し上げておりますように、今御指摘なさった問題も含め、国民的な大作業も要するし、議論も要するところであろうと思っておるわけであります。  しかし、この議論というものが、いわゆる国土政策観点から一極集中から多極分散へという問題に対して客観的に見て一つ推進的な役割を果たすとすれば、これは私はその意義はあると思っております。が、今初めに遷都ありきという形でこの位置づけをしておるというふうには、まだそこに至っておりません。いろんな角度からの議論を承っておるというのが今日の時点の私自身考え方であるわけでございます。  したがいまして、それについての言ってみれば再開発がいいではないか、こういう意見もございましょう、いろんな意見も出ます。そうしてまた、今度行いますいわば研究機関等の地方分散にしても、財源問題については跡地を売却するという議論もございましょうし、それらも地方公共団体のニーズとの調整の上で行わなければならぬという考え方もございましょうし、その辺を総合的に勘案しながら、私が七月七月とよく言っておりますのは、一つは概算要求までというのは、それに対するいろんな予算等の問題も出てくるであろう、財源問題も議論しなければならないであろうという考え方から七月というようなことを、概算要求までというようなことを申し上げておる一つの理由もそこにあるわけでございます。
  172. 内藤功

    ○内藤功君 先ほど下条議員の質問に対して、そこで遷都と関係なしに政府機関の移転という御答弁でございました。この問題は、今もっぱら一省一機関という、つまり移転対象候補の選定に非常な期間と重点が置かれているというふうに認識をしております。しかし、本質的な問題ですね、移転の効果、移転先をどうするか、跡地の利用形態、移転に伴う収支の予測、それから、非常に重要な地価の暴騰抑制等の影響、これらの本質的な問題が政府機関部内で本質的な論議が行われているというふうに認識ができないんですね。  報道によりますと、これは報道でございますが、「一般的に総理が積極的に持論を展開したと受け止められているが、あれは昨年十二月の土地国会に何の目玉もないため、「何か言わなければ」という発想から出てきたものです。それが独り歩きしてしまった。落としどころを進言するつもりです」と、これは毎日の四月の十五日の記事でございます。これは土地対策に影響のある官僚OBの談話として載っておるわけです。総理、恐らくごらんいただいたんだと思いますが、これを読んだ国民としては、総理は遷都はもとよりですが、政府機関の移転についても本気で言っておられるのかという感じを持たれると思うんですね。この点いかがでございますか。
  173. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 報道機関、報道機関のみならずあるいは国会ででも結構でございますが、いろんな厳しい批判を受ける、それにたえてこそ私は体制政党のあるべき姿じゃないかといつも思っております。だから、できるだけ非礼に当たらないようにお答えしながらたえることをこれモットーにして今後ともやらなきゃならぬなというふうに思っておりますので、報道機関のいろんな考え方につきましては素直にそれを受けとめて自分の反省の糧にすればいいなと、こういうふうに考えておるところでございます。  幾ばくか論評していただいておりますだけに、確かに土地国会という銘を打ちましたのは、私が銘を打ったわけではなく、何となくそういう環境になったのは、やっぱり地価の値上がりというのが一つはあったと思うのであります。そうしてまた、私の一省庁機関というのはちょっと表現がまずくて、佐藤内閣のときの一省庁一局削減計画というごろを覚えておったものでございますから、一省庁機関地方分散と、こういうようなことを申し上げたことがオーバーラップした形でそういう評価を受けましたが、もとより私が内閣総理大臣になりましたのは、きょうで百九十七日目でございます、十一月の六日でございました。したがって、土地国会中におきましてその議論がいろいろなされましても、既に昨年の概算要求も終わっておりますので、大きな予算的な措置というのができる環境にあるとは思っていなかったのであります。  しかし、本院を初めとしてそれらが議論をされまして、そうして今度のこの移転問題につきましても、そういう環境が整備されてきておるというのは私にとっては幸せなことではなかろうかと。どんどん御鞭撻をいただきまして、私は、この問題につきましてそうした新聞の評価があるとすれば、その評価が結果として間違いだったなという評価をしていただけるように頑張っていかなきゃならぬなというふうに考えておるところでございます。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 もう一つお伺いしたいんですが、前回も私引用したんですが、三井不動産の会長であり行革審の土地対策検討委員会の主査代理をやっておられると思いますが、坪井東さんがある雑誌の対談でこういうことを言っておられるんです。  私が一番期待しているのは、首都移転のチャンスを利用して行政改革ができることですよ。新しい都市をつくり、そこに国会と官庁を移転する際それぞれの機能を問い直して新しい国会、新しい行政にふさわしい仕組みをつくれます。  こういうお話なんです。大手不動産の業界及び行革審の土地委員会の有力者のお話です。我々も重視せざるを得ないのですが、政府機関の移転や遷都というのは東京一極集中を是正し地価暴騰に一つの歯どめをするというのが一般庶民の素直な受けとめ方なんですね。ところが、いわば移転に乗じて国会と行政の機能、仕組みに及ぼされるということではこれを国民の受けとめ方、感情と大変違う発想をしておられるなというふうに私は感じます。この深いところは私はそれ以上わかりませんが、総理はこの点についてどのようにお考えになりますか。
  175. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 坪井さんの論文、論文として私はこれを整理して読ませていただいたことはございません。雑誌に載っておった考え方としてその話を聞いたことはあるという程度の認識でございますので、それについての論評をすることは非常に難しいと思っております。ただ、間々歴史的な経緯を見ますと、いわば行政改革というものを、大きな政府になり過ぎてこれをスリムにするためにということが一つと、それから余りにも都市集中したというようなことを一つとして世界の歴史の中にもいわば遷都が行われそれがスリム化を促進したという事実は私も聞いたことがございますけれども、今のような論文に対しての論評をするほどその論文そのものを勉強しておりません。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしましても、国会や行政の仕組みを変えるなどということはこれは大変な問題でありまして、二つを混同されるようなことがあっては断じてならぬと思うわけでございます。  次に、総理に率直にお伺いをしたいんですが、今出ております法案は多極分散東京一極集中是正を旗印としておりますけれども、一方において現に東京湾岸一帯を中心にしまして内外の国際金融センター、広報センターをここでつくろうという動きが非常に強力に進められておるわけであります。前回私もデータを示しましたが、東京集中の指標は資本金十億円以上の大会社の本社の進出、それから手形交換高、銀行貸出残高の全国シェアがここ数年急上昇しております。政府機関の移転については先ほどのお答えのような状況であるのに加えまして、東京には内外の大企業の本社、事務所の集中が非常に強く行われております。政府それから首都を預かる東京都はこれに手をかすことはおやりになりますが、これを規制する動きは極めて私は弱いと率直に言わざるを得ないのです。  そうなりますと、この法案は一体何であろうか。美辞麗句で国民の期待を集めるが、結局判断を誤らせる結果に至るのではなかろうか。先ほど登場した坪井さんは同じ雑誌で、東京一極集中はいかがです、とめられますかという問いに対して、別のところでですけれども、まずとめられないと考えるのが正解でしょう、残念ながら、とこう言っておられますよ。一方で集中是正だと法案にうたっておられて、一方で集中することを大いに歓迎し助けていらっしゃるということが、私にとっては何とも矛盾する動きだと受けとめられるわけなんです。私は毎回この土地委員会で申し上げておりますが、この際、やはり東京集中する内外大企業の事務所というものを立地規制する。許可制あるいはそれに対する特別税を含む特別な負担を課すること。それから、フランスで行われている法律を見ますと、容積率はフランスの土地法では第一条で一〇〇%、ただしパリは一五〇%までできる、こういう法律なんですよ。  こういうものはむしろ緩和していくというようなことで何らかの政府東京への民間企業の集中規制するということをしませんと完全な片手落ち、政府機関の役所をどこへ移すというようなことで血道を上げる、という言葉はいいかどうかわかりませんが、おやりになるだけではこれは解決しないというのが私のごく率直な、素朴な、また毎回申し上げている要請なんであります。この点総理のお考えを伺いたい。
  177. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の素朴な感じ方を持っている人はこれは先生一人ではないと率直に思います。ただ、政治というのを考えてみるときに、一つのところに規制等、許容し得る規制というものももちろんございますが、ある地域から追い出すような住みにくい状態を意識して構築することによって別のところへ、よく追い出しという言葉がございますが、それは政治としてはとるべきでないという考え方一つ基本に私も自分の心を整理整とんしたことがかつてございました。  さすればどうしていくかということになりますと、将来にわたっての人口構造等を考えますと、やはり首都圏がどれぐらいとか、あるいは今の東京都がどれぐらいとか、あと四百万のうちの何ぼを吸収するとか、いろんな議論があっておりますので、それらを私も自分なりの勉強のところの念頭には置いているわけでございますが、可能な限りいわば、今血道を上げるという表現は別としてとおっしゃいましたが、そうした機能が分散することによってそれに付随したものの分散というのも私はあり得るだろうというふうに思っております、大小は別といたしまして。そしてまた、産業立地という考え方から考えた場合には既にもろもろの規制もございますので、そうしたものは集中とは別の考え方の上に今までの法制もいろいろ工夫されておるところではないか。  したがって、東京圏というものの将来像を描いた場合の適正な配置というものを考えた場合に、いわゆる臨海部開発の問題等もございましょうし、そして大きくはやはり均衡のとれた国土開発ということによる一極集中から地方分散へという流れというものを定着させる努力をさすべきではなかろうかなというふうに今考えておるところでございます。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 追い出しではなく規制ですね、また追い出しも含めて、民間の大企業に対する手落ちというものがあっちゃならぬと私はもう本当に思いますね。政府機関だけで問題が解決するものじゃないということを繰り返し申し上げておきたいと思うんです。  私の時間があとわずかになりましたので、総理にあと二点お伺いしたいと思うんです。  それは外国公館の問題です。外国公館の賃貸あるいは賃借、この問題が地価高騰と急激な円高によっていろんな値上げ要求を受ける、さらに明け渡し要求を受ける。これは外交上の一つの大きな問題にもなってきていると思うんです。ウィーン条約によれば接受国というのは公館開設のために便宜を図る義務がある、こういうことがはっきり定められておりますね。外務大臣においては、この問題のチームをつくっていくということを指示したと伝えられますが、これは国内問題のみならず国際的な問題として、内閣として、政府としてどういうふうに具体的に対応、対処をされるかという点を最後に総理にお伺いをしたいと思います。
  179. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘のありました問題につきましては、まず最初外務省で、いかなる協力を行うことが適当であるかというようなことから議論していただきまして、今御指摘のありましたようにやはりこれは内閣、政府全体の責任としてこのことに対応しなければならないというので、私も中間報告等をいろいろ聞かされておりますが、それを定かにするとこまでまだ至っておりませんが、御趣旨を体して十分な対応を政府全体の責任としてやってまいりたい、このように考えております。
  180. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 内藤君の質疑は終了いたしました。  次に、三治君の質疑に入ります。三治君。
  181. 三治重信

    ○三治重信君 同僚議員と若干ダブることがあるかと思うんですが、国の行政機関の移転と権限分配について、特に総理を中心として御質問したいと思うんです。  今問題になっております都区内にある国の機関をどこへ移転しようとしているのか。また、それは単に関東地方の中だけか、それとも各ほかの地域へも相当分散させる意欲であるのか、その基本的な考え方をお願いします。
  182. 竹下登

    国務大臣竹下登君) もし不足することがあったら補足してもらうことにいたしますが、やはり、支分部局につきまして一定の地域を管轄するところ、関東でございますとかいろいろございますが、その問題につきましては、やはりそれは関東圏であって、まさか関東甲信越の国税局が島根県にあるというわけにはいかぬだろうというふうに考えております。  それから、その他の機関、研究所等につきましては、必ずしも関東圏ということを考えておるわけではないようでございます。これも一例でございますが、仮にそれが決まったといたしまして、本四架橋公団が北海道へ行くというようなことはないだろうというふうに思っておりますので、まだそこまでのお答えをできる段階にはございませんけれども、名古屋には名古屋辺の地区のいわば出先機関がそれぞれ存在するように、関東圏でどこかにそうしたものが存在するようにしていくことになるだろうというような感じでございます。
  183. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、機関も決まっていなければ場所もまだ全然決まっていないんですか。
  184. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまの作業状況を御報告申し上げます。  ただいま各省庁に移転についての御意見をお聞きいたしまして、それに対しまして逐次私どもから、先ほども総理が申されました四省庁の取りまとめた意見をお伝えして協議している段階でございます。したがいまして、一月二十二日にその移転候補として挙げられた機関に追加すべき機関につきましては、まだ全体の姿も、また移転先等についても決定しておりません。
  185. 三治重信

    ○三治重信君 この法案と関連があるものとして、十九日の朝日には、地方制度調査会が地方分権についての推進の答申を総理に十九日に出した。そうして、これには、国土開発促進法との関連を考えながら、それに特に強く深い関連のある部面に限って十六項目の権限移譲の答申をしている、こういうふうに書いてあるんですが、これはまさに時宜に適した答申じゃないかと思うんですが、これに対する取り扱いをどう処理されるお考えですか。
  186. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘いただきましたように、地方制度調査会から答申をちょうだいいたしました。「地方公共団体への国の権限移譲等についての答申」ということでございます。今御評価なさいましたとおり、私もこれは大変高く評価すべきものであるというふうに思っております。  そこで、私なりに、答申をいただいてからまだ短うございますが、今までの臨調、行革審等々から指摘されたものでどれだけのものが実現したか。今度書かれております土地利用、まちづくり、実に今度のこの法律にも符合するような水道事業、下水道事業あるいは倉庫業、信用金庫、商工会議所、商工組合、中小企業等協同組合、国際観光ホテル、ガス事業、工場立地、自動車運送事業とかいうような具体的な例示もしていただいておりますので、これと自治省との間に立ってこれは本腰で問題を詰めていかなきゃならぬ問題だという問題意識を持っておりまして、ちょうだいしたばかりなものですから、まだこれをちょうだいして、かく方向で閣議は対応しようというところまでは行っていないという現状でございます。
  187. 三治重信

    ○三治重信君 この多極分散型国土形成促進法のやつはただ入れ物を中央から、東京都区内から移すとか、地方分散さすとかいう外形だけが書いてある。行政機関についての権限移譲がある程度ないと、多極型国土形成についてやはり行政機関については十分でない、こういうふうに思うわけでございまして、特に多極型の国土形成ということになると、地方に相当権限を与えないといかぬと思うんです。  そういうことについて国土庁も、ただ入れ物の分配だけじゃなくて、そういう多極分散型の国土形成ができるような権限を地方へも分配するということにひとつこの法律を機に特に積極的な発言をして、自治大臣協力をして、力を持たすようにせぬと、これは多極分散型の国土形成はできぬ。こういうふうに思うんで、なったばかりでどうのこうのという具体的な問題はとにかくとして、そういう心構えを特にこれを機会に持ってもらいたい。物ばかりじゃなくて中身の問題もひっついているんだということを考えてもらいたいと思うんです。  それとの関連で私はこの遷都の問題も、先ほどから議論されているもの、これも検討は結構なんですが、多極分散型のためにはやはり中央の官庁そのものも、遷都は大変だろうけれども、権限を地方に、相当出先機関を持っている、——我が党は地方の出先機関は現業官庁以外は行政改革からいってなくすべきだ、こういう主張をしているんですけれども、今度遷都というものや多極分散型というものを考えると、やはり中央の持っている権限を中央から取り上げるんじゃなくて、それを地方に分散するようにしたらという考えも一つ私はこの法案について浮かんできたわけなんです。  したがって第一に、現在政府として多極型をやるためにまず考えられるのは、道州制ブロック、道州制のブロックに中央の出先機関の権限をしっかり任せたらどうか。  この間の参考人の意見聴取でも、地域によって中央の出先機関が同じ一つの区域で、ある省は北陸にある、ところがある省は名古屋にある、ある省は東京にあると。同じ一つの県がブロックで違う、別に支配されていると。こんなことは大体やめてもらいたいというような意見があったわけなんです。そういう地方への出先機関も、管轄も各省共通にする。関東地区は、今度は機関の移転からいっても関東地区で、各省の出先機関一つにする、それから管轄区域も再検討をしてやってもらう。ある省は関東甲信越、ある省は北陸は北陸だよと別々にやる、このぐらいのことの統一はひとつ総理ね。  我々は廃止論者なんだけれども、今度の多極型をやっていくためにも、出先機関の管轄区域やブロックの区域が各省庁違うというのは、これは考えてみるといかにもおかしいことなんで、ブロック別に各省の出先機関を統一したってそんなに不都合は起きぬだろうと思う。国税なんかはやはり東京が国の三割も四割も税金を取っておれば関東甲信越の国税のほかに東京国税局があってもこれはおかしくはないと思うんですけれども、一般的にそういうふうなブロック別の管轄区域を統一して、そうして合同庁舎なりをつくって各省が近くにいてそこへ権限を移して、東京まで陳情に来なくてもいいような体制でやると東京の過密化が相当省けるんじゃないか。  これをぜひひとつ検討してもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
  188. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわば出先機関というものについては、一つは権限移譲を可能な限りする、これは逐次やっておりますが、私ももっとやれるものはやるべきだと思っております。  それから、今いわば全国的に配置してみましても、いかにも合同庁舎があって同じ地域を管轄したものがみんな入っておるというような姿は私も好ましいと実は思っておりますが、若干、全部同じにすることができないものもあるいはあるかなと。今一例としての御提示もありました、他にもないわけじゃございませんが、そういうものも念頭に置きつつ今の御趣旨に沿うような形で、例えば合同庁舎が八階まであれば、八階から一階までおりればそれで皆済むような形に本当はしたいものだなということは考えておりますので、大いに検討さしていただきます。
  189. 三治重信

    ○三治重信君 今の東京一極集中の主なものでも、毎年予算時期になると県ばっかりじゃなくて市町村からちっぽけな団体に至るまで群れをなしてこの東京へ集まる。これだけでも東京は随分一極集中になっていると思うんです。そういう陳情なんかが各本省へ、県が来るぐらいならまだいいんだけれども、県の下の下の末端まで来る。まあこれは役人の巧妙なる予算獲得の運動の一つの手かもしれぬけれど、こういうのもひとつ総理ね、予算のとき予算獲得運動で下の方まで運動体を掘り起こす、こんなのなんかはもう少し、永久政権をやっている自民党も陳情団を余り奨励するようなことはやめてもっと抑制するようなことをやる必要があると僕は思うんです。  こういうのは何かやはり党独自でも相当やらぬとますますおかしな一極集中が、東京集中が起きると思うんですが、御意見を伺いたい。
  190. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃったことについては、御党におかれてもたびたび国会でも議論していただいておるところであります。これは内需の拡大にはなるかもしれませんけれども、私も今おっしゃる意見と全く等しくしておりますので、そのことについては十分留意して、御趣旨の線に沿うようにこれからも努力してまいりたいと、このように考えます。
  191. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 三治君の質疑は終了いたしました。  次に、野末君の質疑に入ります。野末君。
  192. 野末陳平

    野末陳平君 きょうは非常にいい質疑が出て私も喜んでいるんです。地方へ中央に集中した権限を移譲していくという、これに総理もかなり積極的なお答えです。まさに地方の知事さんを初めとして自治体の人たちも皆それを望んでいるんですね。もっともそれはかなり、もうほとんどの権限を欲しいということなのかもしれませんが、いずれにしても、地方へ権限をできるだけ移譲していくというのがこれからの当然の流れだろうと思うんです。  がその前に、やはり中央官庁のお役人の意識革命の方が僕は先じゃないかと思ったりして、そこを総理にハッパをかけていただくというか、強力な指導力を発揮していただくというか、それしかないと思うんです。つまり、許認可権でもそれから補助金でも、予算でも何でも、全部権限を独占しておりますから。それが仕事ですけれども、しかし、そういう既得権を少しずつ取っていくということは、行革にはなるけれどもしかし仕事がなくなるんだから、これは抵抗するのが当たり前だと思いまして、そこがこの問題の一番のネックだと思うんです。ですから、その辺のことも含めて総理地方への権限移譲ということ、積極的な姿勢をお答えになったのかどうか、改めてお聞きしておこうと思いますが。
  193. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる行政改革そして地方への権限移譲、地方へ権限移譲をすれば、例えば中央官庁へ出す許可認可申請も、県庁あるいは市町村を通じ県庁を経由し副申をもらって出すというようなものが、県庁で済んでしまうあるいは市町村で済んでしまうということになるということは、これは、行政経費の節減もさることながら行政全体のやっぱり消費者コストにも影響してくるものであって、本来の行革はそこにあらなきゃならぬものだと私も思っております。  そこで、きょうもそういうことを考えながら、いわゆる総定員法というのがございますよね、随分長くなりました、が、それらについても、行革というものは先日までは率直に申しまして国鉄の分割・民営でございます、電電公社でございます、あるいは専売公社でございますと。従来の法律に基づく総裁という数が五つ減ったというんで、それらが社長になったというだけで喜んでおりましたけれども、本来の行革は今おっしゃるようなところにあって、それが行政コストにもつながるが、いわばそれを負担する租税コストにも、消費者コストそのものにもつながってくるというところまでいかなきゃいかぬという意味で、それを本構えでやっていくべきだとみずからに言い聞かせておるのが今日の心境であります。
  194. 野末陳平

    野末陳平君 どうやら次の行革のテーマはその辺じゃないかと思ったりして、今後とも検討をしていくべきだと思っています。  それから次に、先ほど総理お答えの中にも教育の分散の話が出ましたけれども、過日国土庁長官にも御質問したんですけれども、国立大学の移転、これは教育の分散になりますが、これは非常に重要なことだと思うんです。むしろ行政官庁の移転よりもここら辺の方が本当は地方には喜ばれるんじゃないかという気がしまして、特に、若い人たちが大学移転によって来ることは地方の活性化を招きますし、それから東京から大学がほんのちょっと隣の県に移っただけでも、そこは非常に活気のあるいい町になってきているのが現実ですからね。今後とも、どうでしょうか、東大を初めとして国立大学を移転するという方向を真剣に検討すべきだと思うんです。  それで先ほど総理は、島根県に東大はおかしいと、こう言うけれども、あれは東京にあるから東京大学と昔は言ったんでしょうけれども、逆で、田舎の方に東京の名前がある方がよっぽどいいんですからね。ですから、あれは象徴的な名前として、全然そんなものは関係なく、むしろ東大の移転なぞは緊急の検討すべき課題だろうと思うんですが、こういうことを含めまして教育の分散、国立大学の移転、これについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  195. 竹下登

    国務大臣竹下登君) お話をいたしますときによく、地方分散は賛成だと、しかしちょうど子供がことしは東大の入学期でございましてねというような話を私も個人的な話の中で聞くことがあるわけでございますが、この教育の分散、お互いの母校も所沢へ分散をしまして大変に今活況を呈しております。したがってそのことは私はいいことだと思っておりますが、問題は大学の教育研究と、もう一つは大学自治の問題がございます。  したがいまして、大学の自主的な判断が尊重されるべき事項であるという、大学自治というものがあるなということで進めております。それで今度は都内所在の大学に対して、したがって検討してみてくれぬかという段階までが今の段階だと、率直にこのことを申し上げます。が、考え方は私も賛成でございます。
  196. 野末陳平

    野末陳平君 恐らくこの問題はすぐ大学の自治というところに来ちゃうんですね。そこが壁になっておしまいになってしまう。これでは何のための提案かわからなくなってしまいます。しかし東大なぞもコップの中のあらしというのかなんか先生方がもめておりますけれども、あれはみんな昔から本郷というか駒場というか、とにかく東京の中心にあるというそこから来ているんで、あれが地方に行ってもらえば全然変わると思うんです。いずれにせよこの問題も、大学と十分に相談をしながら自治を尊重しつつ考えるべきことですけれども、非常に必要なことであろう、有意義なことであろうと思うんです。  それからもう一問、これは国土庁長官にお伺いしたら非常に賛意を表していただいたようなものですが、現実にどこまで具体化するか。総理に改めてお聞きしたいんですが、公務員宿舎の問題なんです。  かつては、公務員宿舎が都心の一等地にありながら家賃が安いとか、そういうようなむしろやや感情的な不公平感というものが問題になっていたんですけれども、今や、公務員宿舎を幾つか見てまいりましたら、やはり有効活用というものがされていないという感じがしてならないんです。ですから、建てかえたり大きくするには経費の問題その他がありますけれども、そこは公団に頼るか、それとも民間の活力を導入するか、いろんな方法がありますが、国は余りお金をかけずにあの土地の有効利用ということを図る。これも場所が場所、いいところにありますので、うまく活用すれば土地対策ということで有効なパワーになるであろう、そういうふうに思っているんです。ですから、公務員宿舎のあり方、なかんずくこの土地は有効利用ができているかどうかという基本的な観点からこれらを洗い直して、早急にここらも何かいい知恵を出すべきではないかと、そう考えるんです。  これについてのお答えをいただいて、終わりにしたいと思います。
  197. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは大賛成でございます。今まで、私が大蔵大臣のときにも、若干時間がかかりましたけれども、それを高層化して、そうしてその辺には緑地もつくりまして、そうして他の活力もかりて、民間の分譲アパートもつくってというような開発計画が現に実施に移されているというところがあるわけでございますので、これらは今後とも進めていかなきゃならぬ。  ただ、その際に私自身が感じましたネックというのは、その建てかえをやっている間にちょっと出ておっていただく宿舎と申しますか、それが私が思っておったよりも大変に面倒なものだなと、こういうことを感じましたが、ひとつだんだん、昭和六十年来東京都内の問題はなれてきておりますから、そういうのをうまくローテーションを組んでやれば可能じゃないかなと、こういう感じを今でも持っております。
  198. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 野末君の質疑は終了いたしました。  以上をもって本案に対する質疑は終局いたしました。  次回の委員会は来る二十三日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会