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志苫裕君 いや、こっちへしりを持ってこられても困るのでね。
そこで、ちょっと各
主務大臣はそのお配りした資料を見ながらしばらく私の言うことを聞いてください。
私は、行政の総合力を発揮できるかどうかが均衡ある
国土形成の決め手になると言いましたが、これをもうちょっと敷衍してみたいと思うんです。第四次を既に数えようとする全国総合開発計画のいきさつを振り返りながら、行政の総合力はどのように発揮されたのかという点に視点を合わせます。
第一次計画以来開発の手法には、時代的な背景を持ったそれぞれの違いがありました。あるときには工業を中心とする拠点開発を言ってみたり、あるときには大規模プロジェクトを言ってみたり、今度のように
情報化、
国際化というようなものを背景にしたそういう集積とか、さまざまに時代的背景は違いますが、一貫して分散あるいは均衡ある
国土の発展というお題目を掲げたことは確かなんです。
だけれ
ども、これを人口動態を指標にとってみると、五十年代の前半にちょっと戻り
現象はありますけれ
ども、趨勢としては分散の
効果はことごとく上がっていない。一貫して
集中。かつては三極ぐらいに
集中したのが今
一極になっているという状況。その理由というのは、
集中集積のメリットを求める資本の論理、経営の論理といいますか、そういうものもあるんでしょうが、逆に言えば政治や行政がまことに無力だったということにもなるんでしょう。
逆に
集中集積に力をかしたということだってあるわけでして、いい例がデメリットを除くために分散よりもやれ再開発だ、やれデレギュレーションだということで、あるいは税制上の特典だというふうなことで、
都市で公害を起こせばその会社に手厚く公害防除の税制上の特典を講じれば出ていかぬでそこに居座っていくわけですから、
集中はむしろ進むわけですよ。あべこべのことをやってきているんですよ。もう
一つは、総合計画とは名ばかりで、行政の縄張りに固執して総合力が発揮されたためしがないというのが、私は一貫して分散をうたいながら
集中が進んだという大きな理由に挙げられるとも思います。
各
省庁は、先ほ
どもちょっと二、三の
大臣に聞いたんです、新しいプログラムが出てまいりますと、都合のいい
部分だけをつまみ食いして、自分が今までやってきたことをちっとも変えもせぬで、ああ今までやったのは今度の新しい計画のものだなんてなことを言うて、つまみ食いしていたんじゃないですか。大体
総理、ちょっと考えてみなさいよ。総合開発計画というふうなものは閣議決定等を経て出てくるんでしょう。行政のトップにある
総理大臣みずからが、総合計画と言われるものにどれほどの注意を払ったんでしょうね。一体どれだけの関連があったかわからぬが、第二次計画が出ると田中首相は列島改造論、第三次の計画が出ると大平
総理は田園
都市構想、第四次が出ると
竹下総理はふるさと創生論、そうでしょう。ですからそういう名前のついた事業というのが今お配りした資料に残っておるんですよ、いろいろと。
なぜそうなるのかというと、そういうものが出てまいりますと、苦労してつくったであろう総合開発計画なんていうのは横っちょに置きまして、当面行政のトップが言うそういう
構想論に迎合して、どこの省もネーミングだけそれに合わせて、自分が今までやってきた仕事をしっかり握ったままそれを継続しているわけですよ。
これは自治
大臣に聞いてもらいたいが、自治体の側にも問題なしとしない。
地方の時代を提唱しながら、みずからは創造する意識が希薄で、新しいネーミングの事業の取り合いを演じて、ひたすら中央へ利益を運ぶ選良と結んで補助金取りにきゅうきゅうとしておった。自分の地域を創造する、総合的にプランニングするという、そういう意欲に乏しかったというふうなことが言えるわけだ。
今申し上げた資料を見てください。これは
総理、我が優秀な調査室のスタッフが一生懸命まとめてくれたんです。私も見てびっくりしちゃったね。
国土づくり、まちづくり、地域振興、いろんな名前がつくかもしれませんが、一口に言うと多
極分散型国土形成だ、のための
法律も予算措置に基づく事業もこんなにいっぱいあるんです。
私はどれとどれがどう違うのかわからぬ。例えば田園
都市構想モデル事業というのは
国土庁の所管の予算措置等によるものとなっています。これは三全総が出たときにたまたま大平さんが田園
都市国家
構想を述べたので、それの名前を使うと大蔵省あたりの通りがいいかなと思ったのかわからぬがね。そうしたら、これと似たようなことを自治省あたりも、何とか圏
構想とか何とか圏
構想と。今度
竹下さんが「ふるさと」ということを言うたら、その前からあったのかもしれませんが、
建設省、ふるさとの川モデル事業、自治省、ふるさとづくり特別
対策事業と、これはしばらくふるさとばやりだね。
こういう形で、私はこの仕事の
一つ一つはそれなりの地域づくりに役に立っていると思いますよ。しかし、それを総合的に何かの
一つの目標、
一つの目的に位置づけておる仕事はだれがやっているんだ。そして、例えば新産業
都市なら新産業
都市というのがありますね。これを一例にとりますと、これは第一次の総合開発計画で、どっちかというと装置産業等を中心にする拠点開発
構想だった。それが時代の推移、変遷に伴ってそのような構造変化が起きてきて、今度の各地域における拠点振興というふうに転化をするわけですね。
そうなってくると、時代の
役割を終え遺物となったようなものには改廃が行われなきゃだめですよ。遺物になって荷物になっておるのであれば、荷物の落ちつき場所を探してやらぬといかぬですよ。そういうふうな一種のサンセットとでもいいますか、そういう作業調整はどこもやっていない。役所というところは病気でありまして、一遍握った仕事は時代の
役割を終わっても、別の名前に変えて残す癖があるんですよ、これは。こういうものについて総合調整、進行管理、サンセットというようなものが行われない限り、一次の上に二次が乗っかって、二次の上に三次が乗っかって、膨らむばっかりなんだ。
この問題を
総理、あなたがじきじきに指図なさるか、進行管理役を設けるか、点検をなさるかしなければ進みませんよ。どうですか。