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1988-05-16 第112回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十六日(月曜日)    午前十時十一分開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      糸久八重子君     梶原 敬義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本嘉久蔵君     理 事                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 小川 仁一君                 志苫  裕君                 馬場  富君     委 員                 井上  孝君                 石井 一二君                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 水谷  力君                 梶原 敬義君                 安恒 良一君                 片上 公人君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 三治 重信君                 山田  勇君                 野末 陳平君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣  梶山 静六君        国 務 大 臣  内海 英男君    政府委員        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        総務庁長官官房        審議官      新野  博君        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        防衛庁参事官   児玉 良雄君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        経済企画庁総合        計画局審議官   宮本 邦男君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        国土政務次官   大原 一三君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        大蔵大臣官房審        議官       瀧島 義光君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        藤田 弘志君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        林野庁長官    松田  堯君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        通商産業省立地        公害局長     安楽 隆二君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省航空局長  林  淳司君        建設大臣官房総        務審議官     中嶋 計廣君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   福本 英三君        建設大臣官房審        議官       青木 保之君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   前川 尚美君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省税務局長  渡辺  功君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        法務大臣官房参        事官       細川  清君        外務大臣官房儀        典官       松井 靖夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査 ○多極分散型国土形成促進法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、糸久八重子君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、内海国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内海国務大臣
  4. 内海英男

    国務大臣内海英男君) このたび国土庁長官を拝命いたしました内海英男でございます。  私は、奥野国土庁長官土地対策を引き継ぐとともに、かつ、それを発展させるべく尽力してまいる所存でありますが、就任に際しまして、土地対策に取り組む私の決意を申し上げたいと存じます。  土地対策は、現下内政上の最大課題であると考えております。  今回の東京都心部に端を発しました地価高騰は、東京周辺地域に、さらに主要都市中心商業地等へも波及いたしましたが、これに対し政府においては、緊急土地対策要綱に基づく諸般の政策等により、政府を挙げて取り組んでまいりましたところでございます。  地価は、最近に至って、東京都において下落に転じる等鎮静化の傾向を強めておりますが、次に述べますように、引き続き適切な対策を講ずることによって、適正な地価形成を図るとともに、二十一世紀を見通した長期的な展望のもとに国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい国づくり地域づくりを進めてまいる所存でございます。  第一は、土地取引適正化であります。  本来、地価問題は、需給バランス確保により解決すべきものであります。しかし、今回の地価高騰を増幅させたのは、実需を当て込んだ投機的な土地取引等であり、これに適切な対策を講ずることが当面重要であると存じます。  このため、国土利用計画法に基づく監視区域制度機動的運用土地関連融資適正化に係る金融機関に対する指導不動産業者等に対する指導徹底等所要の措置を引き続き講じてまいるほか、昭和六十三年度税制改正において行った居住用財産の買いかえ特例の原則廃止を初めとする土地譲渡益課税見直し等税制の活用、適正かつ合理的な国公有地等処分等を行ってまいりたいと考えております。  第二は、住宅宅地供給促進であります。  現下土地問題に対処するためには、ただいま述べました土地取引適正化により地価を安定させるとともに、基本的には東京への一極集中という国土構造そのものの是正が必要でありますが、これとあわせて、東京圏等における住宅宅地事務所床需給バランス確保する必要があります。  このため、住宅宅地開発都市開発促進等により住宅宅地供給計画的推進を図ることとし、特に、優良宅地開発及び住宅建設促進都心部東京湾臨海部開発等大型プロジェクト推進都市開発推進等に積極的に取り組み、良好な都市環境に恵まれた住宅建設に配慮しつつ、宅地事務所用地等供給に努力してまいります。  第三は、諸機能地方分散推進であります。  昨年、二十一世紀への国土づくりの指針として、多極分散型国土形成基本的目標とする第四次全国総合開発計画を策定したところでありますが、土地問題の解決に資する意味からも、四全総で示された諸施策を総合的かつ強力に推進していく必要があると存じます。  このため、多極分散型国土形成促進法案国会は提出したところであり、現在本委員会において御審議をお願いしておりますが、その一日も早い成立を御期待申し上げますとともに、その実施については責任を持って万全を期してまいりたいと考えております。  また、多極分散型国土形成のための一つの方策として現在内閣を挙げて取り組んでおる国の機関等移転については、引き続き、その推進全力を挙げてまいる考えであります。  以上、土地対策に取り組む私の決意を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進全力を挙げて取り組んでまいりますので、委員長を初め委員皆様方の御指導、御協力を何とぞよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
  5. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまの内海国務大臣所信に対し質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
  6. 小川仁一

    小川仁一君 内海長官所信を、決意をお伺いいたしました。大臣になられて三日目で委員会審議ということですから、これは大変御苦労さまでございます。長年の政治的なキャリアもあられるから、十分重責は果たされると思いますが。  さて一般的な質疑に入る前に、きょうは各大臣おそろいの予定でございましたが、所信というので長官だけがおいででございますが、お聞きいたしたいことは、奥野長官は当委員会においても、東京地価高騰対策等について熱心に対処されましたし、委員会質問でもみずから答弁を買って出るといったような積極的な態度をお示しになりましたが、しかし、相入れない歴史観に基づく御発言で、また内閣方針とも異なる発言をされて辞任をされました。この結果、一つ法案を会期中に衆参で違った二人の大臣提案したり、あるいは答弁をなさるという結果、まことに珍しい形がつくられたわけであります。参議院のこの法案審議中にまたおかわりになるということはあり得ないと思いますけれども、いずれにしてもいろいろな政治的な情勢とかいろんな問題が絡みますものですから、この機会にひとつ大臣から、奥野氏の発言に対する御感想というかお考えをお聞きしたいと思うんです。  それで、国土庁長官が政治的にそういうお話をなさる場合がないわけですけれども、自民党の大臣としてはいろいろな行動があられるわけですから、特にお聞きしておきますが、問題になりましたのは靖国の公式参拝の問題と中国に対する日本侵略意図がなかったというふうな意味の御発言中心でございました。ぜひひとつこのお考えについて長官のお考えといいますか、政治理念といったようなものがございましたら最初に伺っておきたいと思います。
  7. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 小川先生には日ごろ衆議院の時代から大変お世話になっておりまして、このたび参議院委員会で御質問を受ける立場になりまして大変光栄に存じております。  まず、その第一番の御質問奥野長官辞任に至った発言に対する私の感想を述べよと、こういうことでございます。  私も、第二次大戦には学徒出陣海軍航空隊におった関係もございまして、戦死した同僚もおるわけでございますから、公式、非公式ということを抜きにいたしまして、戦友の霊を慰めるという意味で靖国神社には参拝をいたしておる者でございます。ただ、その立場、政治的な立場ということを配慮いたしますときに、第二次世界大戦という中において日本はこの戦いには敗れたという敗戦国の結果になったわけでございますけれども、そこに侵略的意図があったとかなかったとかというような議論までなされた奥野発言というものは少し行き過ぎであった、やはり国の重要な国務大臣という政治的な立場におられる方の御発言としてはいかがかと思う。私は日中の平和条約が締結され、善隣友好の体制で国交の正常化、交流が活発になされておる今日、それに水を差すような発言は不適当であると、こういう解釈で私はこれを受けとめておるものでございます。
  8. 小川仁一

    小川仁一君 その問題をここでおきまして、所信表明を含めての質問に入ります。  竹下総理内政最大課題として土地問題を考え土地対策担当大臣を設けておられましたが、新長官はいわゆる特命大臣に任命されたのでしょうか。
  9. 内海英男

    国務大臣内海英男君) そのとおり、土地対策に対する任務もあわせて辞令をちょうだいいたしました。
  10. 小川仁一

    小川仁一君 この委員会というのは、東京土地暴騰に対しての地価抑制、さらには住宅宅地確保、こういった問題を目的として設けられた委員会というふうに承知をいたしております。したがって、本来であれば土地対策についての具体的な討議が行われるものと期待をいたしておりましたが、今回出された法案を見ますと、非常に長期的ではあろうかと思いますけれども、具体的な問題には触れておりません。  先日の総理府の調査によりますと、不公平感不満というものの表現の中に、東京都区民が七三%も土地問題に対して不満をお持ちになっている。これは非常に大きな事実でございます。こういうことを考えますと、この東京土地対策に対する短期的なといいますか、具体的な対策については今後どのようにおやりになるか、御説明願いたいと思います。
  11. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のように、東京都心部中心といたします土地高騰というものに端を発しました今回の土地問題でございます。したがいまして、それが地方にも波及をいたしていったというところから緊急閣僚会議等設置等もございまして、政府も最重要課題であるという観点のもとに積極的に取り組んでおるわけでございまして、私が担当大臣としての任命を受けましたのも、元来は国土庁企画調整機関役所でございまして、余り実施部門予算等も持っておらない役所でございますので、その企画調整については総理から特に強力な指導を逆に要請されまして、予算は持たなくても実行に当たっては強力な指導力を発揮して地価抑制全力を挙げて努めるようにと、こういう指示でございました。  でありますから、関係閣僚会議等がまだ私が就任以来開催されておりませんけれども、そのことも重ねて私から関係閣僚にもお話しを申し上げて、皆さん方の御意見によって法案成立等を見ました暁には積極的にこれを推進して皆さん方の御期待に沿う決意就任をいたした次第でございます。原則的には、地価抑制というものを積極的に抑え込もうと、こういう姿勢で臨む決意でございます。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 そうしますと、決意はわかりましたけれども、土地対策の具体的な提案あるいは具体的な法案、こういったようなものに対して今国土庁なりあるいは土地閣僚会議なりが国民に対して示すようなものというものはございましょうか。
  13. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御案内のとおり、今新行革審においてもこの問題を取り上げて御審議をいただいておるようなわけでございまして、国を挙げてこれが最重要課題であるという認識のもとに積極的に取り組んでおります。  具体的な案といいますか、都心部の再開発であるとか周辺の核となるような地域分散型の政策を進めることによって一極集中から多極分散へと、こういうような基本方針のもとに地価抑制土地は投機的な材料に資するものではないという観念を定着させるようにいたしまして、銀行等の不当と見られるような融資等については厳重に指導してまいりたいと、こういうようなことで具体的に対応していきたいと思います。  また政府機関の一部地方移転というようなことも促進をいたしまして、一極集中から多極分散型へと移行することによって地価抑制、抑え込もう、こういう決意でございます。
  14. 小川仁一

    小川仁一君 今もお話がありましたが、地価対策というのがいろいろな方向で進められているようであります。例えば臨時行革審の中に土地対策部会といいますか土地臨調と通称言われる研究部会を設けさせる、こういう形を一つとっております。今までの臨調なりあるいは政府審議機関でございますと、その答申を待ってから法案をお出しになる、こういう形で物事が進んでいたように感じます。教育臨調にしても、答申が終わってことし教育問題を文部省が出す。あるいは各委員会でも、審議会の中の答申によってそれに基づく法案を出す。  ところが今の進行状態を見ておりますと、これは土地臨調の方は七月でないと答申は出ないようでございます。一方、土地問題を中心にしたこの委員会は長期的な多極分散化法案と称されるものを審議して、もう場合によったら五月二十五日段階では法案を通してしまう。何か非常に対応が今までのやり方と違っているような感じがするんです、ちぐはぐな感じがするんです。それで私は、できればこの委員会の中で土地臨調討議している中身、せめて中間報告でもいただいて、それをもとにしながら今度の法案対応する、あるいはこの委員会の使命を果たすための方式を持ちたいと思ってやったところですが、全然、中間の状況はもちろん、何もこちらの方には提出されないわけです。  したがって、一体政府自身地価対策、あるいは東京一極集中をどうするかというふうな問題を本当にこの委員会審議させるつもりなのか、こっちは適当にお茶を濁しておいて土地臨調が出した結論をやっていこうとしているのか、これは一体どういう意図なんですか。このことについてお話しを願いたいと思います。
  15. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 今までやってまいりました地価対策の経緯につきまして、私の方から事務的にまず説明させていただきたいと思います。  今回の地価高騰は五十九年とか六十年とかそのころから東京都の中心部から地価高騰が始まったということでございまして、それに対応いたしまして政府といたしましても土地対策閣僚会議というようなものを設けるとか、そのほかまた臨時行政審議会中間答申というようなものをいただきまして、昨年の十月十六日に閣議で緊急土地対策要綱というものを決定いたしまして、現在御承知のような国土利用計画法に基づく監視区域の積極的な運用とか、それからまた金融機関に対する指導とかいろんな行政を展開してまいった次第でございます。  それからまた、中間答申なり既に決定しました対策要綱に基づきまして供給対策分散対策も進めるべきであるということでございまして、御承知のように、今国会におきましては建設省の方でいろいろ供給対策のための法案というものを提案いたしまして、この国会審議をいただいているというようなことでございます。  また、分散対策につきましても、まずできるものから進めていこうというようなことで、行政機関移転という問題にも取り組んでいるということでございますし、また、四全総推進ということで現在審議いただいております法案を提出しているわけでございます。現在、行政改革審議会土地対策の今後の進め方につきまして基本的な諸問題を検討していただいているわけでございますけれども、この答申につきましても、答申政府に提出され次第、私どもとしてはそれを具体化すべくいろいろ検討を進めて、また国会審議を今後いただきたいというようなことで考えている次第でございます。
  16. 小川仁一

    小川仁一君 いや、私の聞いているのは、政府方針はこっちはこっちでやらせ委員会委員会でやらせと、こんなふうになってここに整合性がない、どういう形で整合性をとるのか。  私は建設委員会もやっていますから、例えば再開発法でこれも確かに土地対策方向は出るだろうと思う。これは建設委員会で勝手にやっている。土地対策に対する整合性というふうなものがないというところに非常に大きな問題があるような感じがして、どう整合性をとられるのか。臨調それからこの委員会に対する政府方針提案、それから各委員会における幾つかの提案、こういうものの整合性のとり方を、今後の進め方を含めてお伺いしたい。
  17. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変手厳しい御批判も含めた御質問をいただいたわけでありますが、率直に申し上げまして整合性ということになりますと、法案の御審議をいただいて国会で通していただけば、その実施に当たりましては土地問題の担当を命ぜられております私の責任におきまして整合性をぴちっとつけまして私が責任を持って推進してまいりたい、こう考えておる次第でございます。整合性の中核は私だと思っておりますので、その点は今後とも御指導いただいて、こういう点に整合性が足りないということであれば御遠慮なく御指摘をいただきたいと思います。  何にいたしましても、それぞれの委員会法案が別々に提出されておるという形でございますので、私もなりたてで不勉強なところがございますが、国会を通していただいた時点で、私が政府土地対策閣僚会議担当責任大臣として企画調整の任に当たる者でございますから、その整合性につきましては私が十分先生方の意を体して強力に推進してまいりたい、こう考えております。
  18. 小川仁一

    小川仁一君 国土庁が強力な調整機能を発揮して各官庁の整合性をとってやっていただく、そのことについては長官決意としてお聞きをいたします。  ところが、縦割りでございましょう。そう簡単じゃない。もうめいめい勝手みたいな省庁のやり方を今後の審議の中でどういうふうにしていくかということが非常に大きな課題だろうと思いますが、大体この土地問題等特別委員会というのが今後も続くかどうかもわからないわけですよ。どういう形で整合性を持った法案具体性を持った法案審議するかという場合に、委員会を残してくれとはあえて申し上げませんが、関連する幾つもの土地対策なり国土政策になる対応法案を一緒に討議してやる、総合的に討議をしてやる、こういう方法をどこかの機会に設けなければこれは全然意味がない、こういう感じがするんですが、その点についてのお考えを伺いたい。
  19. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいまもお答え申し上げましたとおり、法案成立さしていただいた暁には、内閣自体の最重要な課題としての責任という立場内閣全体の責任においてこれを強力に実施する、その企画調整責任者が私であると、こういった信念で、この問題には強い決意で臨みたいと考えております。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 それではぜひそうお願いしますが、例えば交通機関一つの線をつくる、あるいは建設委員会一つの様式をつくる、こういったような法案がそれぞれの委員会に出るときには、これは国土形成促進法の中のどういう位置づけになっているのか。そして、それは他の法案とどうかかわりがあって、例えば建設交通法案がどうかかわりがあって新しい国土形成方式になるのか。こういうものをそれぞれの法案に織り込む等の配慮をぜひお願いしたいと、お願いを申し上げておきます。  さて、この委員会の性格としての土地問題でございますが、過日発表された六十二年度の高額納税者の上位百人のうち六十七人が土地長者と、こう言われております。もう土地を売り、あるいは土地転がしだけで巨額のお金を手にしておるわけであります。昨年も同じような傾向がございました。地価上昇は鎮静化したという言い方をしておりますが、首都圏の住宅あるいは地価は、四年前に比べると約三倍になっております。  したがって、先ほどの決意表明にもありましたけれども、土地転がし、一番の原因が金融機関の不動産融資、これにあるような感じがいたします。土地問題の根本的な解決のための、具体的にこれから、こういうこととこういうことをこのようにするというふうな長官のお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほど局長の方から事務的な御答弁もございましたと思いますが、地価対策の具体的な方策といたしましては、国土利用計画法監視区域の制度を機動的に運用して地価高騰を防ぐと。その効果はある程度上がって、鎮静化というような先生のお言葉にもございましたが、さらに突っ込んで、高値安定でなく、引き下げる努力を私どもはしていかなきゃならない責任がある、こう考えておりますので、さらに土地税制の改善、こういったようなことも具体的にやってまいりたい。さらに、金融機関の融資ということにつきましても厳しく規制をして、土地投機等についての、土地で金がもうかるというような観念のもとにやる不当な土地投機というものについての融資等については、厳格な規制をするように指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  また、今回御審議をいただいております多極分散型の国土形成というような中から、宅地開発あるいは都市の再開発、こういったもの、土地高騰というのは、ある意味におきましては需給のアンバランスの結果がそうなったと。需要に対して供給が足りないということが最大の原因でもあるわけでございますから、国公有地の公的機関に対する有効な活用、こういった形も推進をいたしまして、または東京都の臨海部の開発、あるいは東京を中核とした付近、あるいは多極分散型の国土形成という、大きな国土全体の観点の中から地域的なバランスのとれた国土の均衡のある発展、こういった意味土地問題に対する需給のアンバランスを直していくことが、まず地価を平均的に抑え込むという結果になるのではないかと思います。  東京地価高騰につきましては、ロンドン、ニューヨーク、東京という、国際経済の中の三極の一点を占める日本の経済の今の実情からいきまして、ある程度国際化あるいは情報化の時代の中で、東京集中的な事務所の増設ということが急激に行われた結果が、都心部の商業地域等において異常な地価高騰を来した。また、それによって都心部から出される一般の住民の方々が周辺の住宅地の買いあさりをやった。いろいろな原因もありますけれども、その原因を一つ一つ解消する努力を重ねることによって土地の需給のアンバランスを直す。そして、高値安定でない、平均的サラリーマンが自分の家を持ち得る程度まで努力を続けていかなきゃならない。これが私どもの当面課せられた大きな責任である。こういった立場でこの問題には全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  22. 小川仁一

    小川仁一君 最後に、行革審の土地対策検討委員会が六月に予定されている基本答申の中に、冒頭で、今回の土地高騰責任政府対応のおくれがあり、厳しく批判されなければならないとして、政府責任を明記しているように新聞で報ぜられております。  今、土地高騰の原因、これは一般的には中曽根内閣責任、こう言われているんです。特に一九八三年の三月、建設省の丸山次官を首相官邸に呼んで、山手線の内側はすべて五階以上の建物を建てられるよう容積率を見直せという指示を与えたところから、もう都内の土地、不動産会社は小躍りして買いあさりになった。こういった傾向も、すべてではないが、かなり責任があると思うんです。  そういう立場から、土地国会に臨む政府立場として、行革審の指摘、あるいは一般的に言われている、私が申し上げたようなこと等の反省、政府責任というものについてお考えを伺って、終わりたいと思います。
  23. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のように、結果論から申し上げますと、先生の御指摘のようなことも政府の反省材料の一つになるかと思います。しかし、余りに急速に日本の経済の構造が変革をいたしまして、国際化、情報化という時代が日本に押し寄せてまいりまして、世界の、国際経済の中の三極の一極を担うだけの力が日本についてきたということで、外国資本あるいは外国企業等の東京進出、あるいは経済界のやっぱり情報源となる。国際化の時代に対応する基地としての東京、世界の一極の東京ということで、できるだけ政府機関のある都心部に企業が内外の企業を問わず集中したということは、これまた事実だと思います。  中曽根内閣での私も当時の建設大臣でございまして、山手線の内側、ごらんのとおり、拝見いたしますと、まだ平家建てのうちもある、二階建てのうちもある、相当老朽化したお宅もある。いろいろ個々に御事情があって、それなりの立場で御主張や御意見があると思いますけれども、現在の限られた日本の狭い国土の中でいかに有効に土地を活用するかという観点から、恐らく中曽根総理がそういう御発言をされたと思います。これは土地の有効利用、有効活用、それから土地の環境整備、横に広がってしまったものを立体化することによって、空間を、緑の多い住みよい潤いのある都市環境をつくりたい、一面こういった願望もあっての発言ではなかったかと、こう思っておるわけであります。  それが、意に反して、先生の御指摘のような地上げ屋等の動きに拍車をかけるというような結果に相なったことについても、その点については反省をしなきゃならぬ点もあると、こういうふうに考えますけれども、真意は限られた国土を有効に活用すること。しかも、全国に比して高い東京都心部土地をいかに有効活用するかということで、老朽化した家というものについても考え方を新しくすべきじゃないかというような意味を含めての、中曽根総理発言であったと私は考えておる次第でございます。  答弁になったかどうかわかりませんけれども、私の感想を含めてのお答えにさせていただきたいと思います。
  24. 馬場富

    ○馬場富君 新任長官に対しまして、何点か御質問いたします。  最初に、前奥野国土庁長官が、最も重要な課題一つである土地問題の担当大臣でありながら、肝心の土地問題以外の問題で辞任するに至ったことは、まことに遺憾と言わなければなりません。今回後を引き継がれた内海長官はその責任は私は極めて重大であると思いますが、まず次の点についての長官の見解をお伺いいたします。  第一点は、内海長官は竹下内閣の閣僚として、我が国の過去の歴史に対する認識と、外交の基本政策についてどのようにお考えてみえるか、その点をまずお伺いいたします。  あわせて長官は、大臣就任に当たって、竹下総理からこの問題については、どのような指示をお受けになったか、この二点をまず最初にお伺いいたします。
  25. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほどの小川先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども、奥野長官の個人的な見解というか、信念といいますか、その問題について触れることは私としては御遠慮申し上げる方がよいと思いますが、私の見解といたしましては、私も海軍航空隊の一員として戦争に参加をいたした者でございます。祖国防衛というような意味も含めて、純粋な気持ちで戦争には参加をいたしました。しかし、結果的に見れば、我々の同期の者が多数戦場に散った者もございます。したがいまして、その霊を一年に一遍か二遍は慰める意味において頭を下げて謝ると。皆さんの犠牲によって私は今日元気で国政の場で働かせていただいておるという気持ちを込めて拝ませていただいておるという心境でございます。  奥野先生の御発言につきましては、私の関するところではございませんので御遠慮をさせていただきたいと、こう思います。  それから、竹下総理から国土庁長官を仰せつけられました際には、土地対策というものは竹下内閣の最重要政治課題であると。ぜひ全力を挙げてこれに取り組んで、国会の先生方、あるいは関係方面の方に理解と協力をいただくように努力をせよ、こういうお話で、国土庁長官を仰せつかったわけでございます。
  26. 馬場富

    馬場富君 次に、土地対策の問題について質問いたします。  大臣お話のように現下内政上の最大課題である土地問題の担当大臣になられたわけでありますが、とにかくこの土地問題については、大きく分けてやはり東京問題と地方の問題とに分けて私は考えていかなきゃいかぬと思うんです。そういう点で長官は、東京都における地価も一応は下落か安定に転じてきたという考え方を述べられましたが、私はこれは一部分の問題であって、全体的にはやはり東京土地というのは六十二年度も上昇しておるという認識でありますが、この鎮静化した原因というのはいずこにあるとお考えでしょうか。 ○
  27. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 緊急の土地対策閣僚会議の設置とか、遅まきでございましたけれども、政府が真剣に取り組む姿勢を示し、ある意味においては土地の売買等についての強力な指導あるいは金融機関に対する不合理な融資の抑制、こういう引き締め対策実施したということで、国民といいますか、不当な地上げを行うという業界の方方に、これ以上土地ではもうからぬというような気持ちが相当強く響いたのではないか。そういうことで、また国民の皆さん方からいっても、一生かかっても住宅は持てない、これではならぬというようなことの批判も非常に強く高まってまいりまして、それと相まって政府の、遅まきではございましたけれども、政策の浸透もある程度御理解をいただいた結果であると、こう考えております。  さらに努力をして、高値安定から幾らでも引き下げなければならない、こういうことが私に課せられた使命である。  これは需給のバランスが崩れておる、要求する者に対して供給が足りないというところに大きな問題があると思いますので、需給のバランスということからいいまして、宅地供給ということにつきましても強力に関係方面にお願いをいたしまして、またその促進を図ってまいりたい。あるいは国有、公用地というようなものについても、できるだけ庶民の潤いのある住まいの場あるいは環境、こういうものに重点を置く。ただ土地によって赤字を埋めるとか、土地の売買でもうかるという意識というものをできるだけ、土地はもうかるものではない、土地でもうけるものではないというところまで指導していかなきゃならないのではないかと強く考えておる次第でございます。
  28. 馬場富

    ○馬場富君 解決策の中に今の需給のバランスのこともおっしゃいましたが、一つはやはり今回の地価の高値安定というのは、そういう政府の引き締め対策によって一時的におさまっておるものでありまして、東京都内をずっと回ってみますと、上がる要素というのが多分に多いわけです。特に金のだぶつきとか、それから土地に対する投機意欲というのは全然まだ沈滞したわけじゃありません。  そういう点でこれは私は、先ほど長官は一言であれですね、高値安定よりも引き下げることだと。私もそれはもっともですけれども、東京土地を今高値高騰にあるのを引き下げるという一言でおっしゃったけれども、それは私はそう簡単でないと思いますが、どのようにしてお引き下げになるお考えかひとつ聞かせていただきたい。
  29. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 国土分散型の法案、一局集中から多極分散型への法案の御審議をお願いいたしておるわけでありますが、その中で政府機関移転というものも含まれてございます。その移転した跡地というものも有効活用の需給のバランスの中に組み込まれていけば非常に効果的な運営ができるのではないか、こういうことも一つ私の考えの中にはございます。ですから、政府機関移転についていろいろ各省間の意見等もございますけれども、これは竹下内閣として強力な指導力を発揮してでも実現をいたしまして、その跡地等につきましては地域住民の皆さん方のニーズにこたえるような形で有効に使う。これがやはり需給のバランスの大きな問題になるであろう。  また、赤字によりまして非常な苦労をした国鉄、これが民営に移りまして清算事業団というものがございますが、ややもすると、赤字を早く解消するために大きな土地を処分しよう、こういうことをやりますと、一般公開入札というようなことでやりますと地価高騰にまた拍車をかけるというようなこともございますので、地方公共団体等とも十分相談をいたしまして、それが有効に地域の住民のニーズにこたえられる方向で話し合いを進めてまいる。こういうことも需給のバランスを保つ上においては非常に効果的な運営だと、こう考えております。でありますから、分散型の促進法案につきましてはぜひ早い成立をお願い申し上げたい、こう考えておるわけでございます。
  30. 馬場富

    ○馬場富君 大臣の御答弁になったことは最も常識的な答弁だ、現実に即していないと私は言いたいと思うんです。  東京土地高騰問題というのは、日本だけじゃなくて世界の中でも異常高騰です。もう人が住める東京土地の値段じゃありません、都心部においては。そういう状況で、この対策というのは急がなきゃならぬです。地方土地対策とは別個にして強硬にこれは行わなきゃならぬ問題なんです。今回の土地国会の重要性というのも私はそこにあると思うんです。先般も私は質問で申し上げましたが、この土地高騰というのは、東京都の諸機能が限界に来ておるバロメーターでもあると、こういうふうに言いました。だから、その影響というのは各方面に影響してきておるわけです。  例えば、今一言でおっしゃいましたが、政府機関移転でも、この土地問題始まって以来、前長官就任以来、もうやかましく言われた問題ですが、各省間の機能調整等が難航してなかなか、一点、二点とマスコミ報道では載るけれども実際に進んでおらぬというのが現状なんです。そんなことで果たしてこの緊急を要する、今跡地の話まで出ましたけれども、跡地どころか今おるのが移転することすら大問題なこの問題に対して、長官、よほどこの問題だけは腹をくくってお臨みにならなければ私は本当に絵にかいたもちに終わってしまうと思うんですが、そこらはどうでしょうか。
  31. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 政府機能移転問題につきましては、この七月をめどにいたしまして原則的にどの省も出してもらうということで強く御要望しておるところでございます。  七月中ということは、来年度の予算概算要求に間に合うようにというような具体的な目標をつけまして、予算的な問題も絡んで七月中には全部決めていただく。強力な指導力を持たせていただいて、竹下内閣の重大使命である土地対策ということからいきまして、多極分散型の法律に基づいて政府機関の一部移転政府が率先してやることによって民間の皆さん方にも御理解いただけるのではないか、こういう考え方でございます。
  32. 馬場富

    ○馬場富君 土地対策について、金融引き締めや監視区域の問題においては一時の安定は見ましたよ。だが、政府の打ち出した土地対策によって強力に安定したという点は、需給問題についてはまだ一つもその効果は出ていません。だから今のこの問題についても、政府機関移転等についても随分言われたわけですから、僕はいずれのことよりも、具体的に長官が七月なら七月に決定して必ず移転ができる機関というのは、長官の中にどれほどのものが確約できるか教えていただきたいと思います。
  33. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 機関移転のただいまの現状について御報告申し上げたいと存じます。  現在、私ども国土庁それから総務庁、内政審議室、大蔵省四省におきまして移転機関の原案を検討中でございます。二十三区にある機関の中にはいろんなタイプの機関もございまして、国際関係あり、文教関係ありさまざまな問題がございますので、もう少々時間をかけて検討した上、七月に十分間に合うように検討いたしたいと存じますが、現時点で移転可能な数を申し上げるという段階には至っておりません。
  34. 馬場富

    ○馬場富君 それから、先ほど長官から言葉が出ましたが、今国会でこれから後から審議される多極分散型の法案にいたしましても、それは確かにあの法案が現実に実施されれば効果は上がると思うが、だがその実施までにはかなりの期間が必要だと思うんです。それをもって今の東京高騰を下げる対策の緊急対策にはならぬと思うのです。その法案自体を見てみても、訓示規定やそういうものが随分多いわけです。実施法案であるが残念ながら実行できる内容が少ないんです。  そういう点で東京問題については私は何点か提案をしてまいりましたが、東京問題で一番大きい犠牲を受けておるのは、土地高騰のために中心部で、東京二十三区では住めなくなったサラリーマンや、そういう住宅を持った人たちだと思うんです。遠くて狭いところで高い家賃で住まなきゃならなくなってしまったということが、今度の大きな東京問題の弊害です。それはおる人の問題もございますけれども、その使用の価値が違うんですよ。住宅というのはやはり価値が一番低いんです。だからそういう高い土地住宅を建てたってとても住めないわけです。そういう東京問題についてまず速急に解決しなきゃならぬのは、私は住める町東京をつくることだと思うんです。  それに対する緊急対策を私は国土庁としても建設省としても打つべきじゃないか。やはりその基本は、こういう事態になった以上、下げる方策も一つは長い時間をかけて考えなきゃなりませんけれども、緊急対策としては私は公共の発動が必要だと思うんです。だから、大臣は、この中にもありますように、国有地の活用とか、先ほど出ました国鉄の用地の問題もあります、そういうものを民間やそういうものだけ考えずに、まず最優先に私は住宅政策の発動によって強力に推進していく場にすべきだ。そうしていけば私は、公共の住宅対策やそういうものを発動していけば、そこには必ずや地価の安定が生み出され得る最高の原因があると思うんです。  今の日本の神話的な土地の投機的な気持ちや、あるいは結局所有権から来る利用権への強い問題等については、これは国民的なコンセンサスを得るために時間が相当必要だと思うんです。即座にやりたいんだけれどもなかなかやれない難問題があると思うんです。それを補うものは、やはり私は政府土地対策であり住宅対策だと思うんだ。その政策が優先して行われることによってそこに結局、制度の改革じゃなくて予算の方法によって解決できる問題があるわけですよ。  国有地を使って住宅をつくるとか、そういう優先的な方法を考えていけば、そこに一つ地価安定の最も急速な対策があると、こう思って提案しておるわけですけれども、この点どうでしょうか。
  35. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今御審議をいただいております多極分散型の国土形成法案につきまして、これが通れば土地対策というものの一つの大きな、全国のネットワークの中で考えられる一つの基本法みたいな形になっていくのではないかと思います。  したがいまして、私が先ほど申し上げました、七月中に政府機関移転の問題の各省庁別の原案を出せということでございますのは、結局予算の裏づけ、あるいは企画調整機関としての国土庁立場からいたしまして、この法律がこういうような国会の先生方の御審議によって成立をした、したがってこれに従って宅地開発促進しなさい、住宅公団、住宅金融公庫におきましてもそれぞれの対応を充実するように予算的な措置も講じなさいと、こういうような指導的な役割も演ずることができるのではないか。  その基本になるものがこの多極分散型の国土形成法案。こういうものがあって初めて調整官庁として各省庁に指導的なある程度お話し合いもできるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 馬場富

    ○馬場富君 長官宅地供給のアンバランスの点もおっしゃっておりますし、宅地供給が必要だということもおっしゃっていますが、それじゃ東京圏内、特に東京都内ですよ、宅地供給をどのようにしてなさる考え方がありますか。
  37. 内海英男

    国務大臣内海英男君) なりたてで、余り急に具体的なことをお聞きになられてもちょっと難しいことでございますが、私が五、六年前に建設大臣をやっておりました当時は、まだ国鉄の汐留駅の跡地の問題等につきましても態度がはっきりしておらなかった、こういうようなこともございまして、あそこを何か有効活用する方法がないかとか、あるいは東京湾の埋立地に新しい環境の町づくりができないかと、こういう問題もございました。東京ということに限られた場合には、そういった点からあそこをいきなりオフィス街にしようというようなことではなくて、もっと潤いのある、都心部においてのせっかくの国公有地としての汐留跡地あるいは臨海部の埋立地、こういうようなものを都民の憩いの場あるいは住宅というものに引き当てたい。  さらに、そうこうしているうちに政府機関移転の跡地というような問題にも取り組んでまいれば必然的に、そう右から左に解決は難しいかと思いますが、鎮静化にさらに拍車がかかって、地下げの方向に傾いていくのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 馬場富

    ○馬場富君 だから、長官はいいことをおっしゃっていますが、私はもう一番初めの早急な効果の上がるのは国公有地しかないと思うんです。そこに焦点を当てる。  先般も大川端の、佃島、あそこの例を言いましたけれども、都営住宅で五万五千円、三DKが。住都公団で十七万、民間の三井で二十九万、同じ三DKが。それだけ違うわけです。だから、公団の制度等の政府の援助も一つ考えながら、やはり公共用地の活用というのは東京都内では最優先に公共に私は取り組まなきゃいかぬと思う、緊急を要する問題だと思うんです。それがまず前へ出ていく。私は、民活じゃなくてまずそれが前へ出ていくことが、政府として国民に対し、都民に対して模範を示すことになるし、安心感を与えていくことになると思う。  そうしていけば、そこに予算の問題があるだけの問題であって、公営住宅だって公団住宅だってかなり安価なものが建つことができる。佃島ですら五万五千円、公団は十七万ですけれども。これだって政策的な配慮を予算措置で行えば安くできる方法もあると思うんです。  そうしていきますと、汐留あたりと言わなくたって、大井にしたって国鉄用地が随分あいていますし、あるいは国有地が都内にも随分あります。そういうところに今こそ私はいわゆる公共の発動をさして、そこで宅地供給なり住宅供給なりを考えていくということをやれば、今、あしただってできることなんです。その問題についての手は全然打たれていないんです。それで外の方の土地供給とか民活の問題とかばかりを言っているんです。そうやったってだめなんですよ。  それよりもまず都内の問題でそういうものに取り組んでいくことによって、政府はやる気だなと、本当にそういう問題が実施されていけば私はそういう民間の投機的意欲だって鎮静化してくると思うんです。それが私は都民を今苦しめておる土地高騰に対して政府責任を持ってやり得る唯一の対策だと思うんです。だから、やはり公団でも結構ですから、土地供給できるような公的なものをしっかりとつくって供給に当たるということと、やはり公共の住宅政策、これについて都内では本腰を入れて取り組む、この二点が私は先決問題であると思うんですが、大臣この点についてはどうでしょうか。
  39. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変結構な御提案で、私も同感でございます。そういった方向で積極的に取り組んで、早い機会鎮静化から抑制、さらに下げるという方向に努力するには先生が今申されたようなことを急速に政府政策として実行に移すということが肝要であるということの認識も先生と同感でございます。
  40. 馬場富

    ○馬場富君 最後に長官に。  先ほどバロメーターと申しましたが、こういう異常高騰が起こったということはやはり日本人への警鐘だと、それは東京に早鐘が鳴っておると見た方がいいと私は思います。国際化を迎えまして、日本だけではなくて、日本の首都だけじゃなくて、世界の機能中心になりつつあるわけです。そうしたときにこのような土地高騰、私は対外的に言ったってこのままいけるわけではないと、こう思うんです。  そういう点で、ここらあたりで私は、長官が、土地問題が大きく国会で論議されたのを契機として、少なくとも日本土地の物の考え方の中で、所有権に対する利用権の問題等について、日本の国民の中にコンセンサスを得るようなやっぱり国土庁としての教育のあり方や、あるいは考え方の転換等について、しっかりと臨んでいただきたい、こう思うんですが、この点はどうでしょうか。
  41. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生の御指摘、一々ごもっともだと思っております。ただ、政府側としてこれを実行に移しますときには、土地に対するいろいろな今までの法制上の制約もある程度はございますが、憲法上の財産権の問題等が絡みまして非常に難しい問題が横たわっている点もございます。したがいまして、先生が御指摘のように、まず最初に国公有地の活用、こういうところから土地というものを有効活用して国民のために供するという考え方に立って土地行政推進していかなきゃいけない、こう考えておるわけでございます。
  42. 内藤功

    ○内藤功君 奥野国土庁長官の後を受けられて内海長官就任されたわけですが、奥野長官参議院会議における答弁というのを私は直接聞きました。いろいろな発言をしておりますけれども、特に中国との戦争の問題、これはやはり政治の原点にかかわる軽視すべからざる問題だと思いますので、あえて最初に所信をお伺いしたいと思うんです。  特に中国との戦争について、日本政府に侵略の意思がなかったと言い切っているようであります。それから、盧溝橋事件に端を発した中国との戦争は偶発的であったと。盧溝橋事件が偶発的だというんじゃない、日中戦争についてそういうことを言っておられる。この後者の方は、参議院会議での、私も直接耳で聞いた発言であります。私は、この一世紀にわたる日本の政治の歴史の中で、この中国との戦争に端を発した十五年間の戦争というものは、日本の歴史にぬぐうべからざる汚点、償うことのできない損失を日本の人民に与えた。三百十万人亡くなったですね。アジアの方は二千万人亡くなっておる。これを反省して、反省の言い方や仕方はいろいろあるでしょう、これを反省して再びこういう歴史を日本に、アジアに繰り返さないというのが政治家の出発点だ。  私は多くを申しませんが、そこが、立場とか政党とかイデオロギーというのを超えて、政治の共通点でなきゃならぬと思うんです。こういう点で、今の憲法、政府の行為で再び戦争の惨禍を招かないようにする、前文でございます。それから九条、国際紛争解決の手段としての戦争のみならず、武力の行使は許さないと。こういうところに、はっきり侵略というのは憲法に書いてないけれども、あの中国との戦争、その後の戦争はもう侵略であって許せないものだという気持ちが私は込められていると思うんですね。  先ほど大臣は御答弁で、戦争の御体験を述べられ、また、これはいかがかと思うと、不適当だという御答弁をされたのは当然だと思いますが、「少し行き過ぎ」というお言葉がありましたが、私は、そういう意味で、少し行き過ぎというような問題じゃないんです、これは。この点はやはり、あなたは同じようなことを起こされる方じゃないと私は思いますが、厳しい批判がなきゃならないと思います。  もう一つは、内閣責任ですね。これはしかし、別途私は総理その他その関係のある方にお尋ねしたいと思うが、いま一度あなたの御所見を承りたいと思うんです。
  43. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 奥野長官発言につきましては、私が余り突っ込んだことを申し上げる立場にもございませんし、その直接の発言を聞いたわけでもございません。新聞報道その他から拝見をいたしまして、不適当な発言であると。日本の政治家として、国際国家日本立場あるいは善隣友好の国策、平和憲法、さらに日中平和友好条約、こういった前提に立った日本の外交政策の中で不適当な発言であると、こういうふうに私は解釈をいたしております。  あくまでも日中平和条約の原点に戻って善隣友好の実を上げていくという両国のかたい契りの中で条約が結ばれた現在でございます。人的交流、物的交流、経済交流、学術文化の交流ということが盛んに今活発に行われておる現状においては、不適当な発言であったと。  個人的なことで恐縮でございますが、私も中国で生まれた人間でございますから中国のことについては多少は承知をいたしておりますが、本当に兄弟のような国でなくてはいけない国が過去の不幸な戦争によって傷がついたということについては、厳しい反省のもとに、将来へ向かって平和友好ということを築き上げていくのが我々政治家の任務であると、こう考えております。
  44. 内藤功

    ○内藤功君 法案の基本的な問題をお伺いしたいと思うんですが、ずばり今度の法案東京一極集中が解決できるかという基本を私はまず大臣に聞きたいと思うんです。  これは四全総推進する法案だと言われておるんですね。四全総というのは多極分散東京一極集中を直すということ、一面で確かにそういうことを言っておるようです。しかし、実際にそれを何よりもまず実行しなければならないのは一体どういうことからかということを私は考えてみると、今日東京一極集中最大の起動力となっているものは何か、私は東京で住まっている人間としていろいろ見て、考えてみますと、これはもう内外の多国籍企業の非常に活発な活動、それから先ほどお話しのあった地上げ屋を使っての大規模な都心に始まる土地の買い占めですね。それから乱開発を進めること。こういう地価暴騰を引き起こした根源の、いわば大手企業グループの活動を正面にやっぱり据えて、立ち向かってこれを規制するということでなきゃいかぬと私は思っておるんです。  ところが、特に前内閣から始まりました政府は、この根源に効果的な手を一体打ってきたかどうか、こういう点です。特に最近は、東京湾岸一帯を中心にしまして、内外の大企業が国際的な金融センター、情報センターをつくるということを中軸とする東京開発方向を非常に強めておるんです、ここがポイントですね。大企業の本社の東京集中はとまっておりませんよ。丸の内の超高層ビルの計画というのもいよいよ進めようとしている。そのかわり東京駅はあの外見を残すというようなこと、これは結構ですが、それと引きかえと言ってはあれですが、そういうことをしながら周りは高層ビルを建てていく。こういうふうに、一方で集中抑制を言いながら、実際は集中促進政策を推し進めている。一部の政府機関がほかに移転したってそんなことぐらいでこの集中は片づくものじゃございません。  私のお聞きしたいのは、こういうふうにこの四全総とこの法案というのは一極集中是正と多極分散という聞こえのよい、いわば美辞麗句を表向き言っております。言わないよりいいでしょうね。しかし、その美辞麗句を言いながら、現実にこの東京に集まっておる一極集中というのを政府は抑えていない。また、この法案では抑えられない。抑える保証がないというふうに私はまず思うんですが、いかがでございましょう。
  45. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 大臣が所見をお述べになる前に、この法案四全総との関係及び東京都の開発等考え方について簡単に御説明申し上げたいと存じます。  やはりこの法案の趣旨は、多極分散、多核的な国家構造をつくるということでございますが、そのためにも、ただいま先生のお話しになりましたように、東京都、特に都心部一極集中を、首都圏及び東京都においても是正することがぜひとも必要でございます。そのためには千葉、神奈川も含めました東京湾岸の開発及び都心部の再開発等も含めまして、都心部集中しておりますオフィス事務床需要を散らし、なおかつさらにその外に業務核都市というような都市群を構築いたしまして分散を図る、それがひいては全国的な分散の一翼も担うというふうに考えて、この法案を提出しているわけでございます。
  46. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生の御指摘の中にもございましたが、東京一極集中しておるこれが、多極分散型のこの法律によって実が上がるかどうかという御疑問を投げかけられた御質問と承ったわけでございますが、なるほどそういう見方もあるかと思います。しかし、多極分散型の国土形成を図るこの法律を通すことによって、地域の振興あるいは一部なりとも地方政府機関を分散させる、機能を分散させるという効果はこの法律ができることによって企画調整機関責任者である私どもがとり得る指導力の裏づけになる、こう思っておるわけでございます。  アメリカにおきましては御存じのとおり政府はワシントンにございます。経済国際都市としてのニューヨークは経済都市として世界の大都市の中にあるわけでありますが、できることならそういう形、あるいは西ドイツのボンは政府機関集中しておるけれども経済都市はフランクフルトであるとか別な地域に置いておる。こういうような他国の例もございまして、日本が今すぐにそういうことを考えてみたところで一朝一夕にできる問題ではないと私は思っております。  しかし、この多極分散型国土形成促進法という基本になるものを御協力いただいて今国会で通していただくことによりまして、調整機能を十分発揮いたしまして、法案に盛られておる趣旨を実行に移していくことによって多少なりと東京一極集中されておるものが、地方の時代という合い言葉で数年前まで言われておりましたけれどもなかなか地方の時代が来ない、そういうものに拍車をかける多少の効き目はあるのではないか。  こういった点から私どもは、東京も含めてですね、それだからといって東京からいろいろな機関を持ち出すだけで東京はどうなってもいいという考え方は私どもは持っていない。やはり東京も住みよい環境の中で再開発なり、都心部にある事務所その他も環境の整備をして再開発をするなり、臨海地帯、埋立地帯というものも、東京都も相当な土地を造成されておるようでございますから、そういうものも地域住民のために有効に活用できるような生活環境の場として提供できないものだろうか。あるいは東京だけではなく、埼玉県、千葉県、神奈川県、こういった隣接の地域に職住近接の潤いのある町づくり、住まい、都市づくりというものを考えて、東京都のこの過密状態、地価高騰というものも含めて対処していくのが、この一極集中から多極分散型へという中で、東京についてはそういうふうに私も受けとめてそれを促進しなきゃならない。  ただ東京にあるものを地方にまくんだというような簡単なことではなく、地方の活性化のためにもこの法案はぜひ早く上げて国民の皆さん方におこたえをして、どこにいても住みよい生活環境がつくり得られるような、何でも東京に来なければ用が足せないというような時代じゃないような方向に持っていきたい。これが私の頭にある多極分散型の国土形成という考え方の基本にあるわけでございます。
  47. 内藤功

    ○内藤功君 法案の細かい論議はまた午後いたしますが、この法案には地域振興についての具体策が驚くほど欠けているんですね。一方、移転ということはかなり詳しく書いてあるということだけここで申し上げておきます。  それから、政府機関の、今あなたの頭にある程度のと言っちゃ失礼でございますが、頭におありになるような移転ではどうしようもないくらいの集中が進んでいるということを、私は時間もありませんので指摘しておきたいんですね。  一つは、統計によりますと、一体、集中というのは何が集中しているのかということを具体的につかむことが必要ですね。私は、金融、国際、情報、大企業本社、これが一番数字ではっきりしていると思うんです。全国的なシェアでいきますと、手形の交換高は東京圏が五三・二%ですよ。銀行貸出残高は四七・六%、在日外国銀行従業者数六六・九%、外国企業事業所数五八・一%、情報サービス、調査、広告業従業者数五二・五%、十億円以上資本金の企業の本社数五九・五%、政府統計などから調べますとこういうシェアになっていますね。  今、東京湾岸のお話をいろいろやられましたが、大臣、もう少し精密に調べていただきたい。就業人口がどうなるのか。東京テレポートの構想というのがありますが、十三号埋立地にテレコムセンターというのをつくるというんですね。この就業人口が十万人、来訪者が一日三十万人、こう発表されています。それから幕張新都心構想、いわゆるメッセというやつですね。十三ヘクタールの国際見本市の会場、ハイテク企業の高層インテリジェントビル三棟、外資系企業のインテリジェントビル三棟。これが就業人口十万人、居住人口二万六千人。もう一つみなとみらいですね。これは横浜に大規模国際会議場をつくる、展示場をつくる、テレポート、ホテルをつくる。これの就業人口十九万人、居住人口一万人。  これ、全部足してみますと幾らになりますか。これだけでも——まだいっぱいあるんですけれども、この三つは動き出していますから。この動き出しているものだけで就業人口四十万であります。ほかの構想も数十件ありますね、いろいろ雑誌などに出ているのを集計してみますと。そういうことになったら東京圏の集中は、一体こういう四全総に言っているようなこととかこの法案でこれから論議するようなことで抑えることができるのか。  私は、結論的に言ってこのようなことではできない。仮に善意というものを、非常に熱意というものを認めたとしても、熱意があっても方策が適切でなければ抑えられない、こういうふうに思うわけなんですが、午前中の質問としては私は時間がないのでこれが最後の質問になりますが、大臣の御所見を伺っておきたいと思うんです。
  48. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御案内のとおり、国土庁調整機能の役柄を持っておる役所だと解釈をいたしておりまして、事業官庁ということとはちょっと性格が違っておる、なりたてでまだ勉強も足りないと思いますけれども。こういう基本的な国づくりの方策というものを法案として国会にお願いして、これを成立さしていただくことによって、土地行政あるいは多極分散型の国づくりというものについてある程度基本になる指導力も持てるのではないか。これがなければ、ただ企画、立案、調整といいましても、じゃ予算はおれの方にあるんだからそんなことを言ったってやらないよ、こう言われてしまえばどうにもならない。  そういう意味におきまして、土地問題、こういった問題については強力な指導力を持ってしっかりやれという意味で、私が就任をいたしましたときに竹下総理から辞令を三枚ちょうだいいたしました。一枚は国土庁長官という辞令でございましたけれども、もう一つ土地問題に対しては強力な指導権を持ってしっかりやれというような中身の辞令だったと思います。そのほかにもう一つありましたがちょっと忘れましたけれども、何でも三つももらいましたものですからあれですけれども、土地に対する指導力を強力に発揮しろ、こういう意味が非常に込められたああいう辞令を別にいただいたことがございませんので、相当それに対して責任感じて強力に推進しなきゃいかぬという決意で私は臨んでおるつもりでございます。
  49. 三治重信

    ○三治重信君 大臣は急な御就任で、またきょうはあらかじめ質問も提出しなくて直接の御質問になって、若干御迷惑なところもあるかと思うんですけれども、私は今度の法案についてのやつは同僚の山田議員に基本的なことを質問していただくことにいたしまして、国土庁として今一番重要な問題になっております土地問題について御所見をお伺いしておきたいと思うんです。  まずは、何といっても東京圏、次いで大阪圏、この二つの東京圏、大阪圏の土地をどのぐらい土地価格を引き下げることができるか、これが今度の土地政策のポイントだろうと思うわけなんです。そのためには、一般的に今土地の価格が鎮静したあるいは一部下がったのがある、こういうことが言われておりますけれども、大臣所信にもありますように、国土計画法によって土地監視区域をやって監視する、こういう重要なことをやっていくためには、やはり情報をしっかり国民に提供するということが必要だと思うんです。  それで、まず一つ事務当局の答弁で、後大臣答弁していただきたいと思うんですけれども、そのためには私は監視区域、またその周辺の、東京圏と大阪圏の土地をどういう人が提供して売っているのか、土地供給者はどういう人が売っているのか、あるいは買い取りはどこなのか、殊に土地は恐らく個人が持っている人が売って、買っているのは法人なり金の相当自由のきくところが買っている。そういうぐあいにするとどういうふうな土地の動き方をしているのかというのが国民にわかるという意味において、ぜひ土地を売る者と買う者とを、個人と法人と別ぐらいに定期にひとつ発表してもらいたい。  それから、やはり何といってもこれは大蔵省なんですけれども、土地の融資についての実態、これは大蔵省と協議してぜひ各金融機関ごとに、銀行なり信用金庫なり信託銀行なり、あるいは保険会社なりというようなものの土地への融資の実態をひとつぜひやってもらいたい。  それから毎年、つい最近、これはことしなんかも所得番付の高額者が、先ほどもありましたように半数以上が土地の所得だと、こういうような人がどういうふうにして売ったか、相続なのかあるいは土地の処分が主としてなのか。  こういうような少なくとも三つぐらいのことを、大きなところはひとつ毎年一、二回は国民に国土庁として総合的に発表してもらうようなことをやってもらいたいと思うんですが、それについての御所見をお願いします。
  50. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) まず土地取引の実態でございますけれども、私ども地価高騰のおそれのある地域とか、それからまた現在監視区域実施しているような地域につきましては、土地取引につきまして網羅的に土地登記簿に今当たりまして、それで調査をいたしているわけでございます。これは実際には都道府県に交付金を出しまして調査をいたしておりまして、東京都の場合には六十一年の暦年につきまして、例えば東京の十一区につきましてそういう調査を既に実施いたしまして、昨年の中ごろにその内容をある程度公表したわけでございますけれども、確かに地価高騰が激しい時期におきましては法人の土地取得というものが非常にウエートを高めていると。しかも、その法人が同じ土地につきまして一度、二度取引をしているというようなケースも非常に目立っているというような実態があるわけでございます。  私どもはこの調査を六十二年も実施しておりますし、また六十三年も実施するということでやっておりますけれども、ただ、土地登記簿を当たってやるということでございますので、多少タイムラグといいますかそういうものを置いて実態をつかむことができるというような状況でございまして、これは逐次実態を把握し次第集計をいたしまして公表をしたいというふうに考えております。  それから土地に対する金融の実態でございますけれども、これも全国の銀行貸出残高の調査がございまして毎月日銀の方から公表をいたしておりますけれども、この中で不動産業に対する貸し付けというものがおおむね土地に対する貸し付けを示しているのではなかろうかというふうに思っております。これも昨年六月、七月ごろまでは前年対比三十数%の伸び率ということで大変な伸びであったわけでございますけれども、昨年の七月以降特別ヒアリングというような厳しい指導実施した結果、昨年の末には一七%の増というようなことでとどまっているわけでございます。その中でも、銀行の中で都市銀行とか信託銀行とかそういうところはかなり融資残高を圧縮しているというようなことが出ているわけでございますけれども、最近では地方の銀行とかそれからまた相互銀行とか、そういうところの融資残高が伸びているというようなこともございますので、私ども大蔵省の方と十分連絡を密にいたしまして、今後ともそういう地方銀行とか相互銀行の指導にも当たってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それからまた、高額所得者の売却事由というようなことにつきましては、まだ私ども詳細を把握しておりませんので、この件につきましても今後いろいろ勉強してまいりたいというふうに考えております。
  51. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今局長からお答えがございましたが、地価の公示につきましては国土庁が行うものと都道府県で行うものと、それから自治省関係で行うものと、あるいは相続税の表示というようなことで、これは大蔵省ですが、幾通りかございます。  したがいまして、それぞれによって制度なり目的なりが違っておりますのでなかなか把握するのが、国土庁の方は毎年新聞等にも出しておりますけれども、その他のものについては余り公開がなされていない。それぞれ制度、目的が違うということかと思いますが、これの一元化ということができれば地価対策にもある程度相当な関連が出てくるんじゃないかなという感じがいたします。  銀行等の監査にいたしましても、大蔵省の所管でやっておられるんだと思いますけれども、私有財産の、所得その他の預金量なんというものの個人的な把握をするということ自体がなかなかできない銀行の慣例みたいなものもございまして、そういう点でなかなか把握が難しいのではないか。東京では、全国的な例からいきまして土地を売買した方が高額所得者になっておるという、土地に対する意識が大変強いわけでございますが、私の方は大変おくれている地域でございますので、高額所得者の九〇%はお医者さんだというような地域でもあるわけでございます。その地域地域によりまして、土地を売ったことによって税金がうんとふえた人あるいは医療行為によって非常にもうけた人と、いろいろ各種あると思いますけれども、東京の場合には、おっしゃるとおり土地の売買あるいは相続、こういったことによる所得で高額所得者番付に載った、こういう例がどうしてもこういう地域に偏って出てくるのではないかと判断をいたしております。  こういったことのバランスをとる意味におきましても、多極分散型にした方がよりよいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  52. 三治重信

    ○三治重信君 御答弁にもありますように、多極分散型の目的もいわゆる一極集中ということを排除するということなんだけれども、結局それが実現できれば土地の値段も下がるわけなんです。土地の値段を下げなくちゃならぬというのは、私はやはり国民生活から見て、サラリーマンが一生かかっても自分の住む家すら取得できないということは、国民生活というんですか、感情から見て許すべからざることだと。そういう意味において、施策集中点を東京と大阪の土地を値下げする、この値下げができるかできぬかが結局いろんな法律や政策をやっていく上の結果としての判断になる。  ここをひとつ考えて、先ほど質問したように、いろいろの資料があるわけなんだから、いろいろの資料を総合して毎年一回ずつ、去年からことしに対してどういうふうに土地の値段が変わったかということをしっかり国民にわかるように発表していただきたい、それを特にお願いしておきます。  それからいま一つ土地対策というのに私の基本的な認識を申しますと、政府や一般的には土地の利用計画とか利用する部面とか、それから土地の値段がどうこうということの方が主になる。むしろ民間の方は、土地を買う人なり土地を持っている人はどういう観点でそういうことが行われているかというと、やはり資産価値として持つ。日本人は外国人と比べて非常に土地に対して資産として持つ。自分たちのステータスという問題もあるけれども、最近はやはり自分の財産保全のために土地を持つ、田舎においては先祖代々の土地だ、こういう線もあるけれども、それもやはり資産として持つ。  ここを忘れないで対策をせぬと、資産として持つ国民の性情ということを考えると、私はやはり土地の売買ということだけでなくて、地主には地主としてそのまま持たせていながら、地主に土地を利用さす、提供しなさいと。土地のいわゆる賃貸借、この制度をしっかり確立してもらう。僕なんかに言わすと、大体政府が一番、公共事業をやるのに土地をみんな売れ売れと言って売らして、それで上積みをしてやるために土地が高くなる。むしろ政府が、何でも利用するものについては土地を貸しなさいと。道路をつくるから貸しなさい、飛行場をつくるから貸しなさい、地主はあんた持っていなさい、地代はずっと払っていきますよと、こういうふうにして、土地政府が買わぬでみんな土地を利用して徹底してやれば、もうその土地の値段というものは非常に抑えられる。  それはあるいは大蔵当局から見ると、地代を払うよりか買った方が安いとか、利害打算はあるかもしれぬ。しかし、土地に対する国民の感情というものを本当に見ていくならば、国民に資産として土地はできるだけたくさん持たせて、政府が買うんじゃなくて、持たせて、そうして利用権だけを取り上げる、取り上げると言っちゃ悪いんですが、それは正当な報酬をもってやるというふうに僕はぜひ方向転換をしてもらいたいと思う。  これは外国と非常に違う国民の性情からいって、地主というものは地主として存在させて、そして国みずからが土地を提供しなさい、そのかわり正当な地代は払いますよというふうな慣習でやると、公共事業でも何でもすべて画期的に僕はいくと思うんですよ。  私の田舎なんかでも、市に、土地を売るよりか借りてくれと。道路はさすがに言わぬけれども、学校をつくるなり公会堂をつくるというようなときには買うと言わぬで借りてくれ、いつまででも貸しますというふうな現象が非常にあるということもひとつ考えながら、土地対策として、地主から買い上げるよりか土地を利用するということにひとつ重点を置いた土地政策をやってもらいたい。  それはまた財テクとしても、法人がめちゃくちゃに土地を買い集めるということについての規制というものをぜひ図る。そのためには私は土地の保有税、土地の固定資産税というものを自治省と相談してぜひ、土地を持っていることによって管理費が相当かかるんだ、法人がただ土地をたくさんもうけるためにだけ買うということに保有税がかかる、管理費がかかるんだということをですね。これは何といいますか、保有税しか私は経費がかかるということはないだろう、こういうふうに思うわけなんです。  そういう意味において、ぜひひとつ税制改革の中においても、いわゆる土地税制というものは大方ついたみたいだけれども、いわゆる実効の上において土地の税を上げるということが土地の値段を下げることだ、こういうことでひとつぜひ対処して、財テクの抑制対策というものは税金をむしろ上げるという方向で統一をしてもらいたいと思うし、そういうようなためにもやはり土地評価額を、先ほど大臣が言われたように、統一してもらって、そうすることによって土地の評価額をもっと上げないと、実際の税率を上げなくても土地の評価額を時価の半分で評価しているわけだ、みんな今。  我々、所得税はもらっただけの金で全部税率がかかってくる。土地を持っていると土地の実際の価値の半分しか税金はかかっていない、こういうことになるんですから、その点の基本的な態度をひとつ大臣からぜひ考慮してもらうようお話ししておきます。
  53. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 私から現行の制度なり行政の中身につきまして簡単に説明いたしまして、大臣から所信を述べていただきたいと思います。  まず、土地の賃貸借を促進するといいますか、そういう観点でございますけれども、私どももこういう非常に地価が高くなった状況でできるだけ土地の有効利用を進めるためには、やはり賃貸借とか信託とか、それからまたいろんな総合請負制度とか、そういう土地の権利者が事業に参加して有効活用を図るという仕組みが非常に重要であるというふうに考えている次第でございます。  また、借地法等につきましては、現在法務省の方でいろいろ検討を進めておりますけれども、定期借地権というようなものもいろいろ検討していただいているというようなことを伺っている次第でございます。  また、土地の保有税の関係では、現在の固定資産税の評価の適正化ということにつきましては自治省がいろいろ取り組んでいるというふうに聞いておりますし、また、現在特別土地保有税という制度もございまして、これもこの四月一日から、大都市でやっておりますミニ保有税ということにつきましては強化するという方向で進めているわけでございます。  それからまた、公的評価の一元化につきましても、非常にいろいろ難しい問題がありますけれども、私どもとしてはその実現を図る方向でいろいろ研究を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  54. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 局長答弁で大体尽きておるわけでありますが、基本的な考え方について申し上げてみたいと思います。  土地を買い取るのではなくて借り上げる、賃貸借契約でやる方法がいいのではないかという御提案でございます。私もそれは大変いい発想だと思うのでございますけれども、そこを借り上げて恒久的なビルなり学校なりが建ってしまいますと、そこに私有権があるんだか何だかわからなくなってしまいまして、代が何代かかわっていきますと、そこに土地があって税金だけはぴしゃぴしゃ来る、それから相続する場合も、自分が全然利用できない土地に対して相続税ががばっと来る。結局その学校に買ってくれとかその市町村に買ってくれというような問題も出てくるので、これはやはり相当検討を要する問題ではないかと思うわけでございます。  貸していただくということになれば、非常にいろいろな事業促進のために役立つ、こういった考え方で私も大変いい御提案だと思っておるんですけれども、そういった問題が出てきて、一代目から二代目、三代目になったころになると、だれの土地だかもうわからなくなる。学校の方も校長先生がかわってしまって、市長もかわる、担当者もかわるということになると、あの学校の土地はおじいさんのときの土地だったと言っても、返せと言ってももう返せない。地代はもらうけれども固定資産税にも該当しない。こういうようなことで、逆に後々尾を引くような感じもするわけでございます。  私がヨーロッパの方へ参りましたときに、国の制度として違う国ではございましたけれども、土地対策としておもしろいなと思った国があります、名前は差し控えますけれども。都市における土地はすべて国のものである、その上に建てる建物は個人のものである。農村における農地というものは耕す者の農民の土地である。農民は農地を私有できる。農民をやめて都会で住むということになった場合には、農民をやるという意欲の者にその土地を、私有地を渡す。こういうような制度のある国も見てまいりましたけれども、これは国の制度の違いもございますから一概にどうこうは言えませんけれども、日本東京地価高騰ぶりを見ますと、そういったことのある国もあるなということを今思い出しておるわけでございます。  先生の、買収するのではなくて借り上げ制度を利用してやったらどうかという御提案については、それがうまくいけば大変いいと思いますけれども、後々また難しい問題が何年か後に尾を引くようなことにならなければいいがと。そういった運用上の問題もあるかと私の考えを述べたわけでございます。どうも失礼いたしました。
  55. 野末陳平

    ○野末陳平君 前国土庁長官奥野さんの所信表明のときには、「住宅宅地供給促進」というところに、「市街化区域内農地の宅地化の促進等」という文言が入っていたんですね。新しい内海国土庁長官所信表明を見ておりますと、その部分がちょうど欠落しているわけなんですけれども、これは何か特別のお考えがあってのことなんでしょうか、その辺をまずお聞きしたい。
  56. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 宅地供給につきましては、先ほど長官からもお話がありましたけれども、既成市街地の高度利用というほかに、縁辺部の市街化区域農地も含めて新規開発を進める、そういう必要性は変わっておりません。私どもとしては、前長官考え方と今回の長官所信表明とは同じ考え方で進めてまいるということで考えております。
  57. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私の決意表明に対する御質問でございますから、私からもお答えを申し上げさしていただきます。  前長官がこの国会で既に所信表明をやっておりますので、私かわりましてその直後でございますので、欠落した部分もあるかと思いますけれども、そういった意味も含めて土地問題には積極的に対処していきたい、こういう気持ちには変わりはないということだけ申し上げておきます。
  58. 野末陳平

    ○野末陳平君 都市部においては特に農地の宅地化というのは重要なテーマでして、これは多分宅地並み課税を実施するというところとも関連がある。もっとも、宅地並み課税を実施したからといって、それが宅地供給に直結するということはなかなかすぐに期待できない面もあろうかと思いますが、それにしても長官の今のお答えを受けましてさらにお聞きしますと、そうすると、この宅地並み課税というものについて、これを市街化区域内の農地にどういうふうに今後きちっと厳しく実施していくのか。その辺のお考えを、直接の担当じゃないでしょうけれども、一応お聞かせ願いたいと思います。
  59. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 国土庁といたしましても、市街化区域内の農地の良好な宅地への転換を促進するためにはどうすればいいかということにつきましては、いろいろ実態を調査したりいたしまして勉強している次第でございますけれども、やはり都市的な基盤整備といいますか、そういうものを行うことが非常に重要であるということ、それからまた土地利用の計画に基づきまして計画的に転換を進めるということが極めて重要であるということで、現在国土庁といたしましては農住組合制度を活用するというようなことも推進している次第でございます。宅地並み課税の問題につきましては、現在長期営農継続農地制度というものを厳格に実施するということで実施している次第でございます。
  60. 野末陳平

    ○野末陳平君 それから長官にお伺いしますが、政府機関を一部地方移転するということに長官が積極的な御発言がありまして、これは大いに結構なことだと思いますけれども、そういう場合に私個人思うんですが、やはり東京大学を移すことを考えるべきではないかと思ったりするので、直接の御担当じゃないかもしれませんですが、私立大学はどんどん地方へ行っているんですけれども、東大だけがなぜ本郷と駒場に頑張っているのか。どうもその辺が、果たして都心に東京大学がなければいけないのか。これは今どういう意味があるのか。その辺を考えますと、東大をも積極的に地方に移していくという、これは東京への一極集中を排するという点で非常にプラス効果もあるだろうと思うんです。  この問題については長官はどういうお考えをお持ちか、参考までにお伺いしたいと思います。
  61. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 東京大学も含めまして国立大学等の移転についても文部省御当局とは折衝をいたしております。ただ、東京大学というお名前を直接お出しになりましたから申し上げますと、やっぱり歴史と伝統がございまして、東京にあってこそ東京大学ということに相なるかと思います。したがいまして非常にその点については文部省当局も抵抗があるんではないか。その他の学校等について対応していくように多面的に文部省と交渉して、何らかの成果が上がるように持っていきたいと思います。
  62. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、そこがやはり時代の要請であり、また国家的な利益を考えた場合に、いつまでも東大は特別だというようなことでこだわっていたらだめだと思うんです。ひとつ引き続き積極的に国立大学の移転というものも考えていただきたいと思います。  それからもう一つお聞きしますけれども、土地供給促進のために公共用地の有効利用などもお考えの中にあるようで、これも非常にいいテーマだと思いますけれども、公共用地といった場合にいろいろありまして、たまたま公務員の宿舎なども今後どういうふうにあれを有効活用したらいいか、これも手をつけるべきテーマだと思うんですね。  今までのケースは、要するに古くなれば建てかえる、そして公務員宿舎としてそのまま使うということしか考えておらなかったようですが、それも都心の一流地に何カ所もあって、そのような独占が果たしていいのか。やはり公務員宿舎の有効利用を今後積極的に考えていくという、これも今回この法案には直接入っているわけじゃないんですけれども考えてほしいと思いまして、これについても長官のお考えをお伺いして、それで終わりにしたいと思います。
  63. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私どもが気づかない点について御提案をいただきまして大変ありがたいと思います。  大体公務員の住宅、都心にあるのは三階か四階、せいぜい五階建てぐらいなものでございますから、それが古くなって建てかえるとすれば、民間の人も一部上の方に入れるというぐらいな有効利用をすれば地価問題等を伴わないで利用価値が出てくるということも考えられますので、今後関係の官庁とも相談をいたしまして、そういう方向で取り組んでみたいと思います。
  64. 野末陳平

    ○野末陳平君 今の御答弁は非常に前向きでいいと思うんですけれども、公務員宿舎、これは駐車場なんかの場所もとってあったり、それから古いままであったり、これは予算関係で新しくできなかったりという事情もあったりするんですが、民間にそれを活用させるということが果たして可能かどうか微妙なところもあるでしょうが、少なくも有効利用ということを考えれば、今都心の公務員宿舎の土地は一番有効利用されておりませんね。  その点でひとついろいろないいアイデアを出して検討して、民間利用も結構でございますが、都心の土地というものの活用が恐らく地価の問題にもいい影響を与えると思いますので、それを重ねてお願いして、これで終わりにします。
  65. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 以上で内海国務大臣所信に対する質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  66. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  多極分散型国土形成促進法案を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。小川君。
  67. 小川仁一

    小川仁一君 午前中に続いて、今回は多極分散法についてお伺いいたします。  主要な内容について順次伺いますが、この法案の性格、これは、努めるというところがいっぱいございまして、いわゆる努力法案、また、こうしなきゃならないという訓示規定みたいなもので、法律の性格上そういうものかもしれませんが、これを実行していく上に国土庁としては本当に大変な努力、各省庁との連絡が非常に必要だと思います。  その中で、具体的に国の行政機関の移動等について伺いますが、非常に大きな声で言われているようですが、移転候補は、最初は国土庁試案で百五十から二百と言われておりましたが、国の機関等移転推進連絡会議などというものの条件では二十七ぐらいと言われいるようであります。こういうような形でどんどん減少していきますが、そうすると、最後には何もなくなっちゃうんじゃないかという心配さえあるんですが、現状、見通しについて伺いたい。
  68. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この法案の内容につきましては、努めるとか、検討するとか、努力するとかというような言葉が多く使われているという御指摘でございますが、提案をいたしました国土庁そのものが各省庁の企画調整機能を持たせられておる役所ということでございます。特に緊急土地対策というものにつきましては、担当大臣として責任を持って土地対策を強力に推進するように、こういう指示をいただいて現に大臣を務めさしていただいておるわけでございます。  省庁の移転政府機関移転等につきましては御指摘のような状態が報道等によって伝えられている向きもございますが、予算編成の概算要求が行われます八月末まで、七月末の時点で各省庁にはできるだけ御協力をいただきまして、内閣総理大臣土地対策に対する非常な決意をあらわす意味におきまして、地方分散ということで各省庁には指導力を発揮していただいて、強力な地方移転が実現するように取りまとめを行いたい、こういう決意で臨んでおるわけでございます。  御期待の数そのものに、ずばりそこまでいくかどうかはわかりませんけれども、最大限の努力をいたしまして、努力目標に近づくように頑張りたいと思っております。
  69. 小川仁一

    小川仁一君 努力目標に近づくようにというお話でございますが、なかなか大変なことだと思うんですよ。  国の機関移転東京の過密解消、集中抑制地方振興などと言っておりますが、私は、東京というものが持つ都市機能というものがそう簡単に分割できるものじゃないというような感じがするんです。やっぱり総合的な一つ機能。だとすれば、大きく分ければ政治的な行政部門と経済とかというふうな分け方にしかなってこないじゃないか。何かしら、分散といって東京一つの総合的な都市機能がずたずたに切られるというようなことは、ちょっと考えにくいような気がするんです。こういうことについてのお考えについて。  もう一つ幾つかのものを移転するとすれば、今までの方針ですと跡地を売却してそれを移転費用に充てるなどというふうに新聞の報道もされていますが、跡地を売却して移転費用ということになると東京地価抑制にはとてもならないと思うんで、この移転費用についてどうお考えになっているか、二つお伺いしたいと思います。
  70. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お尋ねの二点についてお答え申し上げたいと存じます。  第一点の都市機能の点でございますが、確かに東京は首都としての機能を果たしておりまして、官公庁はその重要な一翼でございます。しかし、今回移転の対象としております機関につきましては、国の出先機関、関東地方等を所管いたしますブロック機関あるいは教育機関、研修研究機関あるいは特殊法人等でございまして、例えば首都機能一括移転というふうな、そういう意味での中枢管理機能を直接担うものではございません。間接的なものでございます。したがいまして、首都機能の中枢部分については今回触れておりません。  それから跡地でございますが、これは筑波の研究学園都市に対して研究機関移転した前例がございます。この実例も、ほとんどすべての土地を公園緑地あるいは学校、公共公益施設等に利用し、または利用するという計画になっておりまして、今度の移転についてもその先例を考慮しながらやっていきたいと考える次第でございます。  ただし、筑波の場合につきましても、特特会計を用いまして、その跡地は公共公益施設に使いながらなおかつ国の機関移転の財源にもしたという実績もございまして、今回もその先例を検討しているところでございます。
  71. 小川仁一

    小川仁一君 今のお話だと特特会計で売るというようなお話ですが、国鉄清算事業団の方は凍結している、機関移転の跡地の方は売る、こうなったらやっぱり方針としては食い違いが出てくるんじゃないですか。  それからもう一つ、今筑波学園のお話が出ましたが、この都市移転跡地から九カ所、約三百三十ヘクタールが利用計画が決まっていない、こういうふうな状況が依然として存在しているわけです。ですから、こういう利用可能な跡地というものが今どの程度あるのか、その利用についてどう考えているのか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  72. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  国鉄清算事業団跡地の問題と国の機関移転跡地の問題でございますが、ただいまも申し上げましたとおり、国の機関移転跡地等につきましては、筑波の例を申し上げたわけでございますけれども、これは公共公益施設でございますので、専らそれを取得する相手が地方公共団体、契約方式は随意契約方式でございまして、したがいまして、一般的に公開競争入札する場合と違いまして、直接的な市価に及ぼす影響というものはこういうケースの場合にはないものと考える次第でございます。  それから、ただいまもお話しございました筑波跡地の具体的な処分例でございますけれども、これにつきましては、現在のところ、処分完了しております土地、それから処分計画が定まっておりながらなおかつ処分未定の土地、及び非常に小規模でございましてまだ処分の方針そのものが明確に確定されていない土地と、それぞれございますが、全体規模からいたしまして三百数十ヘクタール前後というような土地でございますので、未処分地がそれだけの大きな規模がなかったかと存ずる次第でございます。あるいは他の政府機関等で例えば演習林等、全国的に見ればお尋ねのような土地等も存在するかもしれませんが、私どもではただいまのところ把握しておりません。そんな現状でございます。
  73. 小川仁一

    小川仁一君 国有地、各行政機関が持っている土地、さっきは国鉄清算事業団の話もしましたが、その方針一つ一つ違う感じがするんです。国鉄清算事業団は凍結しようと言っている、これは借金を払わなきゃならないから大変ですわ。筑波学園都市の方は三百ヘクタール以上の未利用地をそのまま置いてある。  そうかと思うと、これは林野庁にお伺いしますが、林野庁はその持っている行政財産ですか、あれをほとんどお売りになっている。しかも、利用計画が決まらないところにまで民間に払い下げている、こういう方向になっているんです。何が一体こういう国の財産または国が面倒を見なきゃならない財産の処理の基本方針なのか。ここを明確にしてもらわないと次の宅地住宅の拡大という問題に移りにくいと思いますので、明確にお答えを願いたいし、特に林野庁はほとんどお売りになっていますから、林野庁の考え方というのは一体どうだったのか、はっきりしてください。
  74. 松田堯

    政府委員(松田堯君) お答え申し上げます。  林野庁は現在特別会計で経営管理を進めているところでございますが、一兆七千億余に及びます累積債務を抱えておりまして、経営改善計画を組みまして、自主的な再建努力を進めているところでございます。  その中にありまして、土地等資産の見直しを行いまして、直接経営の用に必要のないところにつきましては見直しを行いまして処分を行うことにいたしておりますけれども、処分を行う場合に当たりましては、従来から公用、公共用優先の原則に即しまして、地方公共団体等の公的機関への売り払いを優先させているところでありまして、売り払いに当たりましては事前に関係公共団体と十分調整を図りながら進めているところでございます。
  75. 小川仁一

    小川仁一君 東京都内のあなたの持っていた行政土地、公共団体に売ったのは幾つで、そして民間に売ったのはどれくらいで、しかも利用計画がないものを売っ払ったというのがどれくらいあるか、はっきりしてください。
  76. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 先ほど申し上げましたように、売り払いに当たりましては公共団体等の意見を聞いた上で進めているところでございますが、五十六年から六十一年までの東京都内におきます処分につきましては、処分件数が九件ございます。そのうち、公共的な土地処分ということに該当いたしますものにつきましては二件になっておるところでございます。
  77. 小川仁一

    小川仁一君 公共団地が二件ね、あとは何に使っておるの。民間にどんどん払い下げて、それが都内の土地の価格上昇の原因になっているということについての反省は。
  78. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 処分に当たりましては、会計法上の規定に即しまして処分をいたしておるところでございますけれども、公入札等につきましては六本木宿舎につきまして公入札を行ったところでございます。そのほか成城の公務員宿舎、小石川の公務員宿舎、東京営林局研修所につきましても公入札を行っておりますが、それ以外については随契で処分をいたしておるところでございます。
  79. 小川仁一

    小川仁一君 反省点を聞いているんです。  まあお答えにくいかもしれませんが、林野庁の公務員宿舎跡地の公入札というのが地価高騰の大きな原因になっているということについての反省はないかということをお聞きしたつもりですが、御返事がないようです。私が聞いているのは、ルールを聞いているんじゃない。どこの官庁だってルールによって持っているものを売っていますよ。ルールに乗らない売り方というのはない。  ただ、国有地や各行政官庁の土地をルールどおりとは言いながらも、時価あるいは市価をもって売り払い、しかも利用計画のないところまで売っているという状況があって地価高騰させているということについて、林野庁だけではなしに、政府自体として強い反省をしてもらわなければ東京住宅問題等は解決しない、宅地問題等は解決しない、こう考えるから今のような質問をしたんですから、後でも結構ですから反省するところがあったらよく考えておいてください。  次の課題に入ります。  次は同じ国公有地の問題になってまいりますが、私たちの先輩議員である渡辺惣蔵議員が昭和四十四年の衆議院建設委員会で、営利事業に国有地を何十年にもわたって貸しているという事実がある、こう指摘しております。  この貸付先会社名、貸し付け開始の時期、それから貸し付けている面積、賃貸料、契約期間、御報告願いたいと思います。
  80. 藤田弘志

    政府委員(藤田弘志君) 東京都内に所在します大蔵省所管の一般会計所属普通財産で、民間営利企業に対し貸し付け中の国有地について、主な貸付先等を申し上げたいと思います。ただ、これらは私契約上の内容でございますので、貸付相手方の了解を得ております。  帝国ホテル、雅叙園、後楽園スタヂアム、東洋海運倉庫、京北倉庫、ミツウマ及びイワオ工業でございます。貸付時期は、物納財産を除きまして終戦後の昭和二十六年までに貸し付けられたものでございます。それから現契約上の貸付期間は、堅固な建物の敷地となっているものにつきましては三十年、非堅固な建物の敷地となっているものについては二十年等となっております。それから貸付料につきましては、民間の賃貸料の水準に応じました適正な額を徴収しているところでございます。  以上でございます。
  81. 小川仁一

    小川仁一君 ちょっと帝国ホテルをお聞きしますが、昭和二十二年貸し付け開始、数量一万二千八百七平方メートル、貸付料年額五億六百九十七万五千円、これがあの地区における貸付料として適正かどうか。それから、国民の土地でございます。先ほど言った民間営利会社関係にお貸し付けになっているようですが、これをどのようにして今後国が運用していくのか、国有地に対する基本的な考え方も含めて御答弁願いたいと思います。
  82. 藤田弘志

    政府委員(藤田弘志君) お答えいたします。  まず、賃貸料の水準がいかがかというお話でございますが、私ども賃貸料の決め方は大体民間実例に従っておりまして、東京を除きますまず全国について申し上げますと、全国の民間実例の調査をいたしましてそれに従ってやっておりますが、特にその地域が全国の水準とは違う場合にはその地域に合わしております。それから特に大規模な土地につきましては、民間鑑定士の鑑定もとっております。ただ東京につきましては、土地事情、借地料の状況も大分違いますから、全国の実例じゃなくて、個別に周辺民間実例を調査いたしまして、さらに大規模な土地につきましては民間鑑定もとりまして決めております。  それで帝国ホテルの借料でございますが、これは民間賃貸実例を調査しておりますが、それから民間精通者の鑑定資料もとっておりますが、大体今の水準で大きな格差はございません。  それから今後どうするのだということでございますが、これは別に帝国ホテルだけじゃなくて先ほど申し上げましたような案件全部について申し上げますと、これらのほとんどは旧軍財産を戦後間もなく戦災復興のために貸し付けたもの、あるいは物納財産として国が、帝国ホテルは物納財産でございますが、国が引き受けたものでございまして、その段階で既に借地権が付着していたものがほとんどでございます。これらの貸し付けは私法上の賃貸借でございまして、建物の所有を目的としたものでありますから借地法の適用を受けることになります。このため、借地の場合、貸付相手方が借地法によって保護されておりまして、相手方が契約の継続を望む限り、国が貸付契約を解除して貸付地の返還を受けることは現実には極めて困難であろうと考えております。  なお国としましては、こういう事情にかんがみまして、現在一般的には新規貸し付けは行わないことにしております。また、既に貸し付け中の財産につきましては、貸付相手方に対しまして買い受け勧奨をいたしまして、相手方の同意が得られましたものにつきましては売り払い等の処分を進めているところでございます。  それから、先ほど来国有地処分の基本原則は何かということで一部林野庁からもお答えがございましたが、私どもの考え方は、まず国有地というのは国が利用するのが大原則である。国が将来とも利用する予定のないものにつきましては、これは公用、公共用に使うのをまず優先すべきだということで、国が使う予定のない国有地につきましては公共団体等に買い受け勧奨をいたしまして、利用計画をとりまして公共団体等に売り払いしているところでございます。それから公共団体等から買い受け要望がない土地につきましては、まず一般論から申し上げますと、処分の必要があります場合には、これは会計法の原則に返りまして入札という処分をいたすわけでございますが、現在地価高騰地域におきましては、入札処分といいますか、公用、公共用以外の処分を見合わしているところでございます。この点は国鉄用地につきましても同じでございます。  以上でございます。
  83. 小川仁一

    小川仁一君 帝国ホテルの土地が国有地だというのは、私実は今度のこの建設省の再開発法とそれからこの法律を審議するために古い議事録を調べてみて、渡辺さんの発言でわかったんです。多分東京都内のほとんどの人はあすこが国有地だと思っている人はないんじゃないか、こういうふうな感じがするんです。それを貸しただけの理由が当初はあったかとは思いますけれども、しかし新しい建築物をつくらしてしまった。七十二年の契約期間といったってあれは七十二年には返ってこない。私は、国民の財産である国有地が適正な価格で貸されているといっても、やっぱり特定の人に使用されているという意味において非常に問題がある。  前に宅地に国有地を開放しろと言ったら、同じ大蔵省がこういう言い方をした。国有地は国民全体のものであるから、そこの部分に宅地住宅等をつくって特定の人に貸すということは公平上いかがかと思われるという答弁をしておられる。その質問質問によってこういうふうに物の言い方が変わられますというと、私たちとしても大変大蔵省のやり方というものに信用ができなくなる。したがって、私は、それが公共的という言い方でごまかされておりますけれども、帝国ホテルとかその他、倉庫に貸しているところもありますね。ゴム会社に貸しているところもある。そういうのは別段公共的な用地だとは思われない。ぜひきっちりした方針を立てて、答弁に矛盾がないように今後やってもらうように要求をしておきます。  さて次に、地方の振興開発問題について伺います。  今度の法案地方開発というのは、随分ページ数をとって非常に大きく書いております。しかし、今までの地方振興というのは非常に難しい問題がございました。例えば工業団地をつくってみる、あるいはテクノポリス構想をつくる、そういうことをしてもなかなかこれが成功していない。  岩手県の例なんですが、かつて岩手県は、早稲田の研究グループが北上遷都というものを提唱いたしまして、私もそれを読んでみましたが、なかなかいいことも書いてあります。歴史的に日本の首都は南西から北東へとか、また広大な土地、水、四季の移り変わり、いろんなことを書いてあります。今それを言うつもりはありませんよ、それ言うとまた東北の熊襲だなんと言われる可能性があるから。それを言うつもりはありませんけれども、そういうすばらしい環境があって、非常に地方の人が苦労してそこにいろんな団地をつくったりいろんなことをしておりますけれども、なかなか成功していない。地域公団の中核工業団地でも利用率を見ると非常に落ちている。こういう問題について、今度の地方振興の中でどう積極的に取り上げてこれを拡大し、積極的にそこに産業なりいろんなものを移してやるかという努力が非常に強く要求されており、また意図しておられるだろうと思うんです。  岩手県ではもう一つ工業団地がある。岩手開発といいまして、県、市町村、三井、三菱、住友が出資してつくった第三セクターがございます。これも工業団地を造成した。ところが、産業構造の変化の中で土地が売れない。大変な負債を抱えて、新聞では事実上の倒産などと書かれているし、また北海道東北開発公庫から四十五億円もの融資、これも苦労しておられるようです。ですからまずここでぜひお願いしたいことは、こういう地方の工業開発あるいは工業団地の造成というもの、今までの一から始まって四に至るまでの全国総合開発計画の中を受けて市町村、県がこれを計画した。実際にはそこがうまくいっていない、地方財政が非常に困っている。特にこういう地帯、こういう地域、岩手だけじゃないと思う。積極的な資金の応援も含めて対策をとらなければ、ただ口で地方振興と言っても絵にかいたもちになってしまいます。  そこで、要望になりますか、質問になりますか、まず、こういったような資金面で非常に苦労している地方の第三セクターや工業団地の開発に対して資金面の大きな応援をしてやる。さらには、これに、県の努力だけではなしに、国が一緒になって産業あるいは工場を移転さしてやる、こういう努力に真剣になってもらいたいと思います。そうしなけりゃ書いている法案意味がない、こう思うのでお考えをお伺いします。
  84. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) お答え申し上げます。  四全総がそもそも先生が御指摘のような東京一極集中、また地方圏における非常に深刻な問題の発生に対処する意味で策定されておりますが、その趣旨を体して今回御提案申し上げております多極分散法におきましては、第三章で「地方の振興開発」という章を置きまして、一般的な努力義務規定のほかに振興拠点地域の整備という新しい制度を創設いたしておるわけでございます。この制度は従来の地域開発諸制度に比べまして幾つかの画期的な特徴を持っているというふうに私ども考えております。  一つは、国が主導して地域指定を行い、一定の要件にはまる地域だけを振興していく、そういう従来の国主導型の考え方を転換いたしまして、地域主体の地域整備という考え方で、都道府県に地域振興の基本構想を立ててもらい、これを国が承認をして支援、推進していく、こういう制度にまずなっております。  もう一つは、単機能でなくて複合的な機能集積を地方圏で図っていこうということでございまして、公共事業による基盤整備と民間事業者による施設整備を組み合わせまして総合的、計画的にこれを進めていこうということでございます。  もう一つは、国、都道府県が一体となって地方振興事業を支援していこう、こういう考え方でございまして、都道府県及び関係行政機関が一緒になって必要に応じ促進協議会を設けて各地域の振興事業を進めていく、こういう考え方をとっております。  こうした制度によりまして、過去につくられてまいりましたいろいろな地域開発の事業も、継承されて新しく力強く活性化していく、こういうふうに考えております。
  85. 小川仁一

    小川仁一君 法案を見て中身はわかって聞いているんだから、聞いたことに答えてください。  大臣どうですか、これ、過去の分が引っ込んでいるとこれから新しくまたかぶせたって、こっちが成立していなけりゃ新しい構想計画なんて出てきませんよ、基本計画。だから、過去の分に対して思い切った手を打ってやらなければ次の対策ができないが、ここの部分をどうするかということを聞いているんです。援助してあげなさいと言っているんです。
  86. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 小川先生の御郷里と私のところは隣同士でございますので地域的に大変よく似通っておると思います。私の方でも地域振興整備公団によって地域開発、地域を整備いたしておりますけれども、なかなか思うように企業が張りつかないという悩みもあります。  先生の御指摘のように県自体も悩んでおるし、中央のてこ入れも多少手ぬるいところがあるというようなことでございますが、今回の御審議をいただいております多極分散型の国土形成ということで、それこそ地方の時代という言葉が叫ばれるようになりましてから随分年月をかけておるわけでございますから、竹下内閣の看板でもありますふるさと創生というところの基本的な立場に立って言うならば、四全総そのものがふるさと創生、多極分散型の国土形成につながる、そして地方の振興にもつながるものである、東京一極集中から多極分散へ、こういうことで今まで立ちおくれておりました地域の整備あるいは振興というものがこの法案成立によって加速され、国民の認識もその方向に向かって、各地方公共団体も活性化の方向に勢いづいていくのではないか、こういうふうに確信をいたしておるものでございます。
  87. 小川仁一

    小川仁一君 十分な手当てをして地方の都道府県や市町村が夢を持ってこの法案に対処できるような方式を、ぜひ政府として責任を持ってやっていただきたいと御要望申し上げます。  同時に、機関移転問題でどこを移すか苦労しておられるようですが、いい案があるんですよ。まずその代表が防衛庁ですな、六本木、市谷。何も東京都内で市街戦の演習までする必要はないんですから、部隊を全部減らして、統合して移していたたけばいい。今ちょっと調べてみましたら、東京都内だけで二百四十九万一千平米の土地があるんです、自衛隊の跡地、防衛庁の土地。しかも、防衛庁は六本木から市谷へ移ると言われております。あの六本木の地下設備や何かに大金をかけた大したやつをまた市谷へ持っていく。むだ遣いですよ。そして、しかも市谷では、地元の新宿区が反対の区議会決議まで上げている、来てもらっちゃ困ると。私は近代戦争というのがどういう性格かもわかりませんが、まさか東京都内で日米合同演習をやるような状況を予想してはいないと思うんです。  統合して思い切って都心から移していく、そしてその空地に国民が非常に必要としている住宅を大きくつくっていく、こういう考え方を持っているんですが、いかがでございましょうか。
  88. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 具体的な防衛庁の六本木の庁舎移転といった問題も御指摘になりましたけれども、それも含めまして防衛庁側ともいろいろ関係機関を通じて交渉をいたしております。  その跡地の問題等の活用につきましても、従来から先生方から御指摘のあるように、地価高騰につながらないような方策で住民の皆さん方に喜んでいただける環境づくりをしたい、こういうことで考えておるわけでございまして、何も自衛隊そのものを中央に何でもかんでも置かなきゃならぬというような考え方ではない、また、自衛隊は自衛隊としての任務上の問題もあるかと思いますので私どもからとやかく言う筋合いは差し控えさせていただきますけれども、六本木の跡地の問題、六本木を移転させるという基本方針につきましては鋭意努力をいたしまして、御期待に沿うように話し合いをやっておる最中でございます。
  89. 小川仁一

    小川仁一君 六本木の土地が七万七千平方メーター、市谷が二十二万五千平方メーター、大変な広さですよね。そのほかにも非常に大きな、二千を超える土地があるわけでございますから、私は今本当に庶民が必要な住宅というものをこの地区に建てるためには、真剣になって防衛庁の所在地をどこにするかという問題を考えていただきたい。  それから、防衛庁がおいででしょうが、新宿区議会の決議というものは、これは区民の意思としてまともに受けとめていただけますか、どうでしょうか。
  90. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) お答えいたします。  防衛庁本庁のあります檜町の周辺が商業化の進展に伴いまして、国土の有効利用ということからこのたび市ケ谷駐とん地その他に配置がえをするという計画を立てたところでございます。で、この計画に関連をいたしまして、新宿区議会からこの計画に住民としては反対であるという決議がなされていることは承知しておりますが、この計画の実施に当たりましては私どもとして、地元のお考えを十分に聞いて、十二分にお話し合いをして、調整していきたいと考えております。したがいまして、今後、地元の理解、御協力が得られるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  91. 小川仁一

    小川仁一君 終わります。
  92. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 小川君の質疑は終了いたしました。  次に、梶原君の質疑に入ります。梶原君。
  93. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁長官、先ほどのごあいさつの中で、ごあいさつの文書を持っておりますが、長官のあいさつを聞いておりまして、本法律案を審議するに当たって長官は一体どういう基本的な姿勢であろうかと、こう思っておりました。  この内容を見ますと、まず第一に東京首都圏における土地対策が大事だと。そのために二番目には、東京首都圏の土地問題、この問題の解決のためには住宅宅地供給。その三番目に、そのために東京首都圏の土地対策の一環の中で本法律案が出てきているような、そういう内容に読めるわけでございますが、この点に対して大臣の基本的な姿勢をお伺いします。
  94. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 一昨年あたりから、東京都心部中心といたしました国際化、情報化の時代で、いろいろな企業が中心に事務所を求めるというような強い流れの中で異常な地価高騰、あるいは土地の買いかえ、また土地が投機的に利用された、また金融機関土地に対する異常な融資、こういうようなことで地価高騰してきた。これはすなわら、提案の理由にもございますように、東京という大都市一極集中的な機能が集まり過ぎておる。  こういうことで、今国際経済の中でロンドン、東京、ニューヨークという三極ということが定説になっております。そういう中でございますから、外国企業あるいはいろいろな企業が東京に進出してくる。こういったよそからの要望というものも東京に集約されてきたということがこういう異常な事態になった。こういうことで、政府といたしましても緊急土地対策要綱というようなものを設けて、この抑制全力を挙げて取り組んできたことも事実でございます。  したがいまして、四全総におきましては、一極集中型の国土開発計画というものの見直しをする必要がある。地方の時代ということが言われ、定住圏構想というものも中には出てまいりました。あるいは新産都市建設というような時代もありました。こういうものを含めまして、やはり地方の時代にふさわしいような多極分散型の国土形成をすることによって、一極集中東京の過密した状態を住みよい環境に東京もすると同時に、地方にも潤いのある地方の発展が図られるというような、両面から見た政策として私どもとしては多極分散型の国土形成ということを推進いたしておるわけでございます。
  95. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は非常に感銘して読んだ一文があるんです。それは、マッキンゼー社の上級コンサルタントマネジャーをしている茂木敏充という人ですが、昭和六十三年二月の「中央公論」の「都会の不満 地方の不安」と題している論文の中で、次のように強調しております。  すなわち、同じ日本の中に首都圏イコール先進国と地方イコール後進国という外国ほどにも違う二つの地域社会が生まれた、その不均衡は対外貿易不均衡以上に大きい、こう指摘をしております。さらにまた、日本列島に大きな亀裂が生じつつある、対外貿易不均衡以上に深刻な国内での不均衡の問題だ、一つの国境の中で同じ民族が経済活動を営んでいるから注目をされていないのだ、こう言っているんですね。そしてまた、首都圏と地方後進地域との間を国内貿易という形で彼はとらえているんですが、昭和六十一年度の我が国の対米黒字七兆七千億円、これに相当するような額の先進中央、首都圏と地方後進圏との間に貿易格差が出ていると。すなわち首都圏から国内他地域に対する出超は六十一年で約八・七兆円、彼はそう計算をしております。  私は九州の大分県の出身ですが、そういう中央と地方の格差が広がっておる、人も金も物もです、そういう状況というのがよくわかっているわけです。したがって、大臣の先ほどの所信表明のあいさつ、今の答弁からしますと、まず東京をどうするか、そのために多極分散型の国土形成するんだという、地方は二義的になっているような印象を最初から受けました。この点について、茂木氏の指摘と私が現実に地方の過疎の状況を見て全く私はそうだと思うんですが、各大臣、一言ずつ感想を短くお聞きしたい。非常に残念ですが、質問時間が一時間ということですから、いろいろ用意しているものですから、ぜひできるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。
  96. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 「中央公論」に出ました文章を先ほど取り寄せてちょっと拝見さしていただきましたが、いい御指摘をされておるなというふうに感じております。  御承知のとおり、三全総に至るまでの間は、国土の均衡のある発展という旗印のもとに、新幹線であるとか高速道路というものを重点的に整備をして平均的な国土の、どこに住んでおっても同じような生活レベルでやっていけるというような構想のもとにこの仕事は進められたと思うわけであります。ところが世の中は逆な方向に走りまして、結局便利になりました関係上どんどん東京東京へと集中的に逆現象が出てきた。政策の誤りではなかったにしましても、一つの見通しの違いといいますか、そういうものが出てきたということもこれ事実だろうと思います。若い青年たちはどんどん地方から部会へと、地方はますます過疎になり地域格差が出てきた、都会はますます過密になり生活水準も高まり給与も余計もらえるようになった。  こういうようなことで、しかし余り過密になり過ぎてもう行くところまで行ってしまったというのが現在の東京の姿ではないかと思うんです。これが地価高騰の大きな要因をなしている。今こそ原点に戻って地方振興、地方分散ということを積極的に旗印に掲げてやらなきゃならない。第四次全国総合開発計画、この趣旨を生かす意味におきまして、多極分散型の国土形成、つまり地方の時代にふさわしいことを政府中心になって強力に推進していかなきゃならない、こういう努力目標といいますか、そういうことで、与えられた現在の緊急土地対策から我々が感じ取っての結論がこの法案に集約されておる、こう思うわけであります。  でありますから、今度こそ本腰を入れて、地方の時代にふさわしい、多極分散型と言いますけれども、各地域に各極となるような、東京一極じゃない、東北には東北としての極、あるいは北陸には北陸としての極、そういった多極分散型の極を設けることによって一極集中型の政策を見直していこう、そして地方の発展を図り地方の時代をつくっていこう、こういう性格のもの、その基本になるものが今回御審議をいただいておる多極分散型の国土形成法案である、こういうふうに御理解いただければ大変ありがたいと思う次第でございます。
  97. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 地方税制的な観点から申し上げますと、昭和三十五年、東京の都税収入、これは約三二%弱でございましたけれども、二十年たった五十五年にはこれが約二七%まで低下をいたしております。その時代の産業構造を考えてみますと、やはり二次産業が中心でございまして、広い土地、人を求めて企業が地方に立地をすることが望ましい時代であった、さように考えるわけでございますが、近々の実例を見ますと、ここ一、二年でそのシェアが約二%強回復をいたして東京の税収がふえております。私は、このままで推移いたしますと三、四年で、この二十年間に地方分散が進んだものが五年間でもと以上に戻るのではないかなという感じがするわけでございます。  それはなぜかというと、今国土庁長官が言われましたように、日本の円高が強まり、しかも財政が硬直化をして、貿易摩擦の解消やらあるいは諸外国に対する約束、これを遂行するためにはどうしても内需の振興をしなきゃならない。これを公の財政出動ができないからどうしても民間に頼らざるを得ない。民間に頼るという場合は規制緩和という一方式をとったわけでございますが、これはその意味では私は内需振興に役立ったし、ある意味で貿易摩擦の解消にも大きな貢献をしたわけでございますが、結果として民間のやれるエネルギーというのは、資金にしても人にしてもノーハウにしても、ありとあらゆるものが大都市集中をしておりますから、民間の活力という場合のたった一つの欠点は大都市集中になってしまったこと。しかも円高で、今までの二次産業中心から国の内外を通じて日本に押し寄せたものは三次産業化、金融やあるいは情報やサービスの産業が向上したことでございますから、地方の大きな土地や人間を求める必要がなくなったということで、いわば東京集中が強まったわけであります。  ですから、私も茂木先生のこの論文を大変興味深く読んだことを記憶いたしております。  今まで集中のメリットを求め、あるいはその広さ、大きさ、これを求めてやってきた産業構造が変わったわけでございますから、今までのエネルギー、——私は公のエネルギーが決して地方分散の努力をしなかったとは思っておりません。しかし、民間の集中のメリット、これと地方移転をしようとする公の理論、これがある場合民間が強かったということは現実でございます。今の時代を見ますとはるかに民間エネルギーの方が強い。この集中のメリットを受けようとするエネルギーが強いわけでございますから、今までのような公の対応地方分散というか地方の疲弊を防ぐことはなかなか困難だと思います。  今こそ思いを新たにしてやらなければならないと思いますし、日本の民間、特に産業活動は経済性、能率性、採算性を求めて闘ってきたわけでございますが、今の日本の国力というか、経済界の力は、多少地方分散というデメリットを考慮に入れても私は企業の国際競争力はあるという感じがいたしますから、その意味地方分散というのを進め得る好機だというふうに考えておりますので、この論文は大変すばらしい論文だというふうに考えますし、私自身が自治大臣として都会の不満地方の不安、これを何とか解決するために頑張ってまいりたいという心境でございます。
  98. 梶原敬義

    梶原敬義君 せっかく本当に丁寧な答弁をいただいているんですが、時間がないものですから、あとはもう簡単にひとつ。
  99. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 私まだ茂木論文を拝見しておりませんけれども、お聞きしますと首都圏が先進国、地方が後進国という切り方は私は必ずしも賛同できないんです。  私、東京出身ですけれども、むしろ大都会、首都圏の生活の便利さというものは非常に圧迫されておりまして、交通手段一つ見ましても大変なものがございます。そういうものの解消を含めまして、地方の方々のいらいらというか不安もわからないでもございませんが、これは中央に集中している情報に対する一種の飢餓感だと思いますけれども、むしろ東京に住んでいる人、大阪に住んでいる人の方がもう精神的にも肉体的にも苦痛を味わっておるわけでありまして、私はこういう首都圏のためにこそ多極分散型の国土をつくっていく必要があると思っております。
  100. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 各大臣からお答えいたしましたが、おおむねそのとおりでございますが、私は建設省立場でやはり後進地、そういうところに力を入れて均衡ある発展に持っていかなければならない、かように思います。茂木先生の論文は論文としていいところを見ておられる、こういうふうに感じておる次第であります。
  101. 梶原敬義

    梶原敬義君 答弁は要りませんが、今言われましたように、東京の出身の大臣はやっぱり地方のことは本当におわかりにならない、今運輸大臣が言いましたようにね。ですから、これはいわば東京のために地方があるんではなくて、地方があって東京があるし、東京があって地方があるわけで、私どもも、地方というのを、東京の二義的に地方をどうするかということを考えてもらっちゃ困るんです。あとその辺については逐一触れていきます。  法案についてお尋ねいたしますが、多極分散型国土の概念について簡単に申し上げますと、多極分散型国土というのはいかなる姿の国土を一体言っているのか。響きのよい言葉が耳には残るんだが、なかなか私どものイメージがわかない。この点について第一点お聞きします。  第二点目といたしまして、多極という以上は、極となる圏域が全国的に展開されることになると考えますが、いわゆる何カ所程度どのような極をどうするのか、大体イメージがあって法案ができたと思うんですが、この二点について、これもできれば簡単にお願いします。
  102. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 多極分散型というのは東京一極集中の反対で、比喩的な概念でございますので余り厳密な定義はいたしておりませんけれども、安全で潤いのある全国土の上に特色ある機能がたくさん成立する、そして特定の地域への人口や諸機能の過度の集中がなくて、地域間、国際間で相互に活発な交流が行われている国土、そのようなイメージが四全総には描かれております。したがいまして、極の数というのはあらかじめ幾つというふうに限定できるわけのものでもございませんが、ある程度広範な地域の発展の核となる地域を極というふうに呼んでいいのではないか。  したがいまして、現実には地方中枢都市、中核都市、あるいはそれに準ずる各都市が、非常に都市化が進んでおり情報化が進んでおりサービス化が進んでいる時代でございますから、そうした地方における都市機能が総合的に集積され発展していくということが究極的にはたくさんの極をつくっていくことにつながる、こういうふうに考えております。
  103. 梶原敬義

    梶原敬義君 「振興拠点地域の開発整備」ということがうたわれておりますが、これは具体的にどういう地域なのか、これが第一点。  それから、現在振興拠点地域として予定されている地域が既に幾つかイメージされているんじゃないかと思うんですが、それがあるかどうか、第二点。  第三点としては、将来にわたって、各県で言いますと一地域、あるいは地方ブロックに一地域というような枠になるのか。各県でやるのか、ブロックでやるのか、あるいは県でも県の中に二つぐらい入れるのか。  この三つの点についてお尋ねします。
  104. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 今度の法案における振興拠点整備の制度は、まず都道府県が基本構想を立てていただくところから出発いたします。その基本構想としてどのような地域をどのぐらいの範囲でもって拠点地域というふうに定めるか、これは都道府県の創意工夫、選択にゆだねられております。したがいまして、あらかじめここが拠点だということを国の方から決めてかかるわけではございません。  ただ現実に、現在都道府県段階で自主的自発的にいろいろな構想を持っておられまして、これは例を挙げていけば切りがないわけですが、例として申し上げますと、北海道では国際医療産業複合都市構想というような構想がございます。東北地方にはインテリジェント・コスモス構想というようなのがございます。あるいは三重県には北勢高度技術都市圏整備開発構想というようなのがございますし、九州にはアジアランド構想、アジアの交流拠点をつくろうというような構想がございます。こうした地域が自発的に立てた振興構想に法律的な制度的な裏づけを与えまして、国の関係機関が一体となってこれを支援し推進していこう、こういう考え方でございます。  したがいまして、数についてもあらかじめ決めませんけれども、各都道府県がそれぞれ自発的に構想をつくっていただければ、各県に拠点整備が図られていくということにもなりますし、また複数県が連合してかなり大規模の構想を推進しようということであればブロックの拠点のような整備も可能になってまいります。
  105. 梶原敬義

    梶原敬義君 重ねてお尋ねしますが、大臣の最初のお話では核が、ちょっと大きな規模での核のお話のようでございましたし、今局長答弁では、県が一つの素案をつくるということになる、あるいはもっと大きな連合の場合もあると、こういうことですが、御承知のように地方で県知事なんかをやっている人は、隣の県がそういう振興地域になって自分のところの県が振興地域にならぬで、それでおさまるわけがないんです、こういう場合はね。これは常識ですよ。  そうしますと、数というのは、極というようなのはどういう極なのか、県ごとに柱が立つ極なのか、あるいは大きな九州なら九州ごとに立つ極なのか、要するにどの辺のことに本当に基本的なウエートを持っているのか。各県ごとにどんどんどんどん極が立つのなら県ごと強化すると言えばそれでいいわけでね、ちょっとそこのところが大臣よくわからぬのですが、どうですか。
  106. 内海英男

    国務大臣内海英男君) まだ具体的に、この法案成立した段階で各県がそれぞれの対応で案をつくって持ち込んでくるんじゃないかと思いますけれども、現在出ているのは、局長が言いましたように、北海道のことであるとか、東北のインテリジェント・コスモスというような東北地域全体にまたがるような構想等もございます。また、東京の首都移転というような大きなことは将来的な問題といたしましても、東京一極集中を排除するという性格も含めまして千葉県の幕張あたりにも多少の計画を持つというような話も聞いておりますし、横浜のみなとみらい何とかというような計画もあるようでございますし、それぞれ地域によって創意と工夫に基づいたそれぞれの案を今この法案成立した時点で対応できるように検討して成案を急いでおるんじゃないかと私どもは受けとめておるわけでございます。  局長が申し上げた具体的な例は今現に話が出てきておるという時点の問題だと思いますが、各県ごとにめちゃくちゃに出てくるということはそうないんではないかというふうに感じております。
  107. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、少なくとも一つは必ず出てくると思うんですね。テクノポリス構想のときにもたくさん出まして、それを十六ですか集約をするのに大変だったわけですね。この三十二条におきまして「国は、公共事業の実施に関し多極分散型国土形成が図られるよう適切な配慮をしなければならない。」、こう規定をしております。いずれにしてもこう規定している以上は国からも幾らか応援があるということでしょうから、そういう点から見ましても、特に三大都市から遠く離れた非常に厳しい格差の拡大をしている地域においては、これはもうどこもここも手を挙げるに決まっていますよ、事前に操作をして抑えれば別ですがね。  私はその点についてもう一度、後でいいですからしっかりお考えを聞いておきたいと思います。  それからこの第四全総において公共投資千五百兆円、大体七二年から二〇〇〇年までに見込んでおるようでございますが、具体的なその積み上げがあってのことなのかどうなのか、それが一つ。  それから経済企画庁が新しい新経済計画を今策定中だと聞いておりますが、これはこのような公共投資を見込む場合に経済成長率を一体どのくらい見込むのか。私は四%前後の経済成長率が不可欠だと見ておりますが、その点はいかがでしょう  それから三番目に、経済企画庁は多極分散型の国土形成考え方、それに必要な国土基盤投資規模を新経済計画の中に今度は明記するのかどうなのか、この点についてお伺いをいたします。
  108. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 三点のお尋ねのうち後の二点は経済企画庁の方からが適当と思いますが、第一点だけお答え申し上げます。  四全総におきましては、昭和六十一年度から七十五年度、目標年度の七十五年度までの間に官民合わせた広義の国土基盤投資といたしましておおむね一千兆円程度を想定いたしております。これは我が国の経済において内需主導による中成長がそれまでの間維持され、七十五年度の経済規模が五十五年価格ではかりましておおむね五百兆円台になることを前提にいたしますと、余り過去の投資比率を変えなくてもこの一千兆円の国土基盤投資が可能である、こういう想定になっております。
  109. 宮本邦男

    政府委員(宮本邦男君) それでは残りの二点につきまして経済企画庁からお答えさせていただきます。  まず、現在策定中の新しい経済計画でございますけれども、これは六十三年度から六十七年度までの五カ年間を対象といたします計画でございまして、その点でまず今お答えがございました四全総とは計画期間が違っておるわけでございますが、現在経済審議会において取りまとめが行われておるところでございます。成長率等についてもまだ最終的に計画として決定されたわけではございませんけれども、この計画の基礎となります部会報告が既に発表されておりまして、その中で企画・公共部会というのが経済全体の、マクロフレームと申しますけれども、成長率を含めて議論をいたした部会でございますが、これが四月に発表いたしましたものでは次のように計画期間中の成長率を想定いたしているわけでございます。  今回の経済計画におきましては、言うまでもございませんが、対外不均衡を是正すると同時に、国民生活の質を画期的に向上させるということのために思い切った経済構造調整を推進する、そして内需主導型経済構造への転換及び定着を実現することが最大課題となるものと考えられております。このために計画期間中、六十三年度今年度から六十七年度まででございますけれども、計画期間中の経済の姿としましては、国民の豊かさに直結する内需につきまして実質成長寄与度で見て四カ四分の一%程度と、昭和五十年代後半の実績、これが三%弱でございましたので、これを一%強上回る相当高い伸びを見込んでいるわけでございます。  他方、内需に対しまして外需というのがあるわけですけれども、これの寄与度は昭和五十年代後半では輸出が非常に伸びたということでプラスでございましたけれども、この計画期間中は対外不均衡の是正、これが一つの重要な課題でございますものですから、それを反映いたしましてマイナスを見込んでいるわけでございます。したがいまして、外需がずっとマイナスを続けるということもございまして、この結果といたしまして計画期間中の実質経済成長率はこの企画・公共部会の報告では三カ四分の三%程度と見込んでいるわけでございます。  それから第三番目の点でございますけれども、まず多極分散型国土形成による地域経済社会の均衡ある発展を図るということは、これは言うまでもございません、我が国の経済社会が直面している重要な課題一つであると認識いたしております。したがいまして、新しい経済計画におきましても、広域経済圏の戦略的な育成等いろんな方策、さらには社会資本整備のあり方等々が示されるのではないかと考えておるわけでございます。  なお、今後の社会経済をめぐる諸情勢、これは言うまでもなく極めて流動的な要素も多く……
  110. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこら辺はもう時間がないのでいいから、投資規模が入るのかどうかということを聞いているんですよ。
  111. 宮本邦男

    政府委員(宮本邦男君) それにつきましては、社会資本整備も事態の変化に弾力的に対応しなくちゃいけないということで、投資額の議論よりも整備のあり方等が重要な課題であると部会等々で議論されているところでございます。
  112. 梶原敬義

    梶原敬義君 入るのか入らぬのか、具体的な数字は。
  113. 宮本邦男

    政府委員(宮本邦男君) 今の部会報告は四部会それから社会資本小委員会という五つでやっておりますが、その部会報告には入ってございません。
  114. 梶原敬義

    梶原敬義君 ここまで経済をつくって多極分散型国土形成するということですから、新経済計画の中にやはりきちっと数字も織り込んでおくべきだと思うんです。要望しておきます。  次に、これまでの全総計画における反省の問題でございますが、昭和三十七年には全国総合開発計画、いわゆる新産都法、それから昭和四十四年新全国総合開発計画日本列島改造計画法、昭和五十二年第三次全国総合開発計画法、いわゆる定住圏構想というのが出てきたわけなんですが、要するにこういうのを次々にやったあげく地方は非常に過疎になり、貧しい状態になり、東京一極集中になってきた。まずこの点についての反省は一体どうなのか、これをお伺いします。  第二点として、従前の今までの構想というのはこれはもうこれ限りに死んでしまうのか、さらにやはりそれはそれで生きていくのか、この点について。これを調整したと言えば余りにもこの法律の内容も本当にふわっとして、さらに意味がない法律のような感じがしてなりませんが、その点についてお尋ねをいたします。
  115. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 先生御指摘のように、一全総は拠点開発構想、新全総は大規模プロジェクト構想、三全総は定住構想という形でいずれも国土の均衡ある発展を目指してまいりました。その時代時代の時代背景に沿った形で一定の成果は上げたと思いますが、昭和五十年代後半以降の急激な産業構造の変化あるいは国際化、情報化、ソフト化の進展、こういった変化にさらされまして御承知のような東京一極集中が起きているわけでございます。  こうしたことから四全総は、いずれも過去の三つの総合開発計画の成果を踏まえつつ、さらに反省を加えてこれを継承し、今の時代状況に合うように発展させた形でもってつくられているのが四全総でございます。  一全総で拠点開発構想ということで出発いたしました新産業都市あるいは工業整備特別地域、これは工業開発中心に始めたわけでございますが、現在では、御承知のような産業構造から、もはや工業開発一本やりではその地域の発展は図れないということになっております。したがいまして、こうした地域については、新たな産業変化の方向を見きわめながら、多様な産業発展の方向を模索しつつ拠点整備を図っていく、こういう考え方で対処していきたい。その意味で過去の計画の反省を取り込んで、新しく地方における拠点整備を図ってまいりたい。こういうふうに考えております。
  116. 梶原敬義

    梶原敬義君 変わりますが、中央行政機関の位置する東京への企業集中、本社中枢機能の集積に関する世論調査があるんです。  これは東京都が東京の経済的中枢機能の実態ということで調査した内容でございますが、東京に本社、本店を置くメリットとして幾つか挙げておりますが、一番ウエートの高いのは仕入れ、販売などの取引が有利というところが四三%、二番目に行政機関との接触に便利というのが二〇%、金融取引が有利というのが七%、自社の統率に便利というのが七%、企業イメージアップが五%、すぐれた人材を得やすいというのが三%、東京交通の要所であるというのが三%、その他が一三%になっています。  これでもわかりますように、すべてが中央で決められるようになっておりますから、中央行政機関との接触がやっぱり必要だから東京に位置するというところが非常に多い。政府機関だけではなくて会社も全部東京にある。東京ですべてが決まるからというところからやはり東京への一極集中がずっと進んでくる、こういうことだと読めるわけでございます。  第四条で、国の行政機関等の移転について幾つか規定をしております。したがって枝葉の行政機関のところを移すんじゃなくて、やはり大きな部分を、幹をどこかに移さない限りにおいては、これはまた何年かたって見直しの時期が来て、一生懸命努力して、そのときには少し土地対策や何かで少し役立ったんだが、しかしやっぱりだめでした、こういうことになるのは間違いないと思うんです。その点で、思い切って国会機能とかあるいは中央官庁の主な部分を移す、こういう基本的な腹構えをしなければならない時期だ、二十一世紀を見込んで。そう思うんですが、その点はどうですか。
  117. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生のお話の中身を想像いたしますと、遷都論あるいは分都論というものにつながっていくような感じに受けとめたわけでございますが、この問題はまた別な大きな国家的観点に立ちまして、裁判所関係あるいは行政関係あるいは国会関係という大きな国の中心的な機能を移すというものは分都論、遷都論、いろいろな首都移転にもつながる大きなものでございますから、その問題と今回の多極分散型とはおのずから性格が違ってくると思います。  ただ、今企業のお話が出ましたが、幾つかの例を挙げて、東京に本社を置くメリットということについて具体的な数字を示されてのお話でございましたが、ごもっともなことだと私どもも思っております。ただ、ある若手の新しい経営感覚を持っている者は、もう本社機能東京に置かなくてもいい、本社機能を全部住みよい、生活環境のいい、従業員のためにもいい環境のところへ移して、東京には営業部門と関係官庁との連絡的なものだけを残せば業務は足りると。  いろいろ電子関係の機器も発達いたしまして、その場でもって情報がどんどん入ってくる時代でございます。でありますから、何も本社機能全部を東京に置かなければならないということはないという、非常に新しい感覚の経営者も相当若手の中におりますので、こういう多極分散型国土形成というようなことになってまいる国の方針が出ていけば、自分たちの考え方にこれもある程度マッチしたものだ、よしやろうというような促進意味にも弾みがつくのではないかなと一面考えておるわけでございます。
  118. 梶原敬義

    梶原敬義君 その点は難しい問題でございまして、ちょっと民間の本社問題等のお話が出ましたので次に移りますが、第五条に「国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所、研究施設、教育文化施設等の施設の国土の全域にわたる適正な配置を図るため、これらの施設について、これらの施設が過度に集中している地域からその他の地域への移転又は当該地域における新設若しくは増設を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と。ここでちょっとお伺いをしますが、「必要な措置を講ずる」、こういうことですが、余り何かぱっとしないんですが、どういうことですか。  それから次に、例えば東京、神奈川——例えば私が九州からこっちに来るときに羽田におりるときに上から見ますと、川崎方面に化学工場がいっぱいありまして、煙を出していまして、それはもう大変に曇っておりますね。こういう地域がたくさんあるわけでございます。一方、新産都でつくりました臨海工業地帯というのは、私もあっちこっちを見てみまして、私の地元の大分県というのは比較的優秀ですが、それでもまだペンペン草が生えているところがあります。宮崎の日向市の新産都の工場というのは随分遊んでおります。随分不平を言っております。臨海工業地帯で遊休しているのが既に今四千七百七十二ヘクタール、それから内陸工業用地が九百八十六ヘクタール、さらに同じ中身ですが、土地開発公社と地域振興整備公団が抱えている土地を合計しますと、これは自治省の資料によりますと、二万六千ヘクタールの工場が遊休している。  臨海産業の日向もそうなんですが、あちこち臨海工業地帯ではやはり工場に来てほしいわけですよ。内陸部のそういう工場用地を持っておる町村長に会いますとよく、何でもいいから工場を持ってきてくださいと。これはもう本当に真剣になって言われるんです。それは農業が非常に厳しいわけですから、何かないかと。そうしなければ家がつぶれていきますから。こういう状況なんです。  こういう状況でありますから、本当に抜本的に、特に東京なんか、地価の高い工場はやはり思い切った手当てをして移ってもらう。それを公有地にして、そこに安い高層のアパートをつくって皆さんに入ってもらう。これが今、一挙両得というか、両方を解決する手段になると思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  119. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 企業の方の側の意見等もいろいろ聞いてみますと、やはり高速道路がありますかとか、新幹線でどのくらいかかりますかとか、そういうようなことを具体的に聞く企業が多いです。やはり四全総と両々相まって第十次道路整備五カ年計画、五十一兆円ですか、これを強力に推進することによって、道路整備もあわせてやって初めて私は企業の採算性にも合う立地条件が整う、こういうふうに思うわけでございます。  したがいまして、多極分散型と申し上げましても、具体的な実施の段階に至りますと、高速交通体系の中にその立地が適合するような状態にならなければ、なかなか言うべくして具体的には推進できない。一つの基本理念としての多極分散型国土形成という法律の理念を生かすには、そのバックとなる高速交通体系の整備、そういったものもあわせて進めていきませんとなかなか実効が上がらないのではないか。そういう意味におきましても、土地対策とあわせて地方分散、そういった政策を進めるにいたしましても、やっぱり新しい時代に対応する高速交通体系というものも必要だと思います。
  120. 梶原敬義

    梶原敬義君 いみじくも大臣から、やはりそういう工場を仮に移すにしても新幹線がどうなっているのか、道路網の整備がどうなっているのか、こういう問題を指摘されました。それに関連をしまして具体的な問題で少し議論をしてみたいと思うんです。  これは九州の地図です。ここが北九州市です。北九州市からずっと塗っておるのが九州の東海岸道路と鉄道網、大体同じようなところを走っておりまして、そして、これを見てもわかりますように、後で運輸省に答えてもらえばいいのですが、小倉から大分まではやっと今JRが複線化してきまして、さらに十三キロ単線の部分が大分までまだ一部残っております。それから大分から宮崎を通って鹿児島へと行くのは、これはJR九州になりましたから、採算が前提ですからもう永久に複線化にならないでしょう。  鉄道網はそういうことです。したがって、小倉からこの大分なら大分に来るのに、速い電車でも約二時間かかるんですね、百三十キロぐらいが二時間かかる。これは企業の来手はおりませんよ。  それから道路で言いますと、小倉から大分まで十号線が走っておりますが大分時間がかかる、車で走って二時間以上かかる。それから大分から宮崎に行く道路というのは、これまた十号線が、これは片道一車線ですからところどころラッシュでネックになってどうしようもないんです、特に県南においては。こういう状況になっている。  今、九州横断道というのを長崎から大分につくろうとしておりますが、これが完全に開通するのは昭和七十年代も恐らく半ばぐらいになるんじゃないか、だんだん延びておりますからそういう状況になるんじゃないかと思います。それから、四全総で小倉から鹿児島までの東九州自動車道というもの、これを一本線を通すんだと。これが果たして二〇〇〇年までにどういうことになるかさっぱり、今計画の段階なんです、こういうふうな状況なんです。これはただ大分とか九州の東海岸だけを言うのではなくて、恐らく裏日本とかもですね。  大臣も御承知のように、今過疎率の一番高い県というのが鹿児島ですね、鹿児島の次に大分、それから北海道、島根、宮崎と、こういうようにずっと続いておる。大変な状況です。仙台の方は少しはいいんでしょうけれどもね。そういう状況でございまして、こういうような問題について私は以下運輸省や建設省質問をしまして、建設大臣国土庁長官に、先ほど言いましたようにそういうインフラ整備、交通網の整備、高速ということのお話でしたから、さらに積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思うんです。  運輸省。小倉、大分、宮崎、鹿児島へ抜ける鉄道網の現状について、それから複線化の見通し。それから、我々はミニ新幹線をここへ、小倉から少なくとも大分まで走らせて、小倉の人が一日働いて、ミニ新幹線で一時間ぐらいで別府に来て別府温泉に入って、次の日朝早く起きてまた労働にカムバックする、このくらいの夢を描いているんですが、運輸省いかがですか、この点は。
  121. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  まず第一点の日豊本線の問題でございますが、日豊本線全体を大分以北と大分以南ということで分けて現状を申し上げますと、大分以北は営業キロが約百三十キロでございますが、そのうちの百二十キロ近くが複線化されております。残りの十三キロのあたりのところがまだ単線の部分が若干残っておるという状態でございます。それから大分以南につきましては、宮崎までの間全部単線でございまして、まだ複線というのはございません。  それで、この辺の措置につきましては、大分以北の問題につきましては、もう先生御高承のとおり、六十一年度のところで一応一部の区間につきましての複線化を完成した段階で今申し上げた十三キロが残っているわけでございますが、ここの線路容量と輸送量との比較で現状を見てみます限りは、また線路容量の方に余裕がございますものですから、現在までのところ、JR九州といたしましてそのことにつきましての計画を特に持っておりません。それから、大分以南の問題につきましても同様の状態ではないかと考えております。  それからもう一つのミニ新幹線の話でございますけれども、この辺の問題につきましては、ミニ新幹線は現在福島—山形間の在来線の活性化という観点からのモデル事業といたしまして、新幹線の高速のメリットを在来線の方にまで広げるという趣旨で、現在、六十三年度から地元の第三セクターがそこの工事を開始するということで、それにつきましてもJRの東日本がそういうことにつきまして積極的にやりたいということを言い、地元も大変御熱心に要望されまして、地元負担も第三セクターにつきまして行うような形ができ、国の方も一部その助成を出すというような形で今年度から進めたいと思っているところでございます。  小倉—大分間の問題につきましても、今のような、地元で、関係地方公共団体あるいはJRの九州、そういったようなところで第一義的にそのようなことにつきましてどのようにお考えになるかというようなことをお決めいただくのがまずは第一の話ではないかと考えております。
  122. 梶原敬義

    梶原敬義君 建設大臣、東九州の道路事情は大臣が一番よく御承知ですが、実態を若干お聞きになって、一体いかにこの四全総の中で生かしていくのか、早く住民の期待にこたえるのか、お聞きしたいと思うんです。
  123. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 東九州、先生の地元の大分、あるいは宮崎、鹿児島、大変交通事情がよくない、これは十分承知をいたしております。  東九州道路、これにつきましてももう速やかに調査をいたしまして、できるところから、できるところといいますか急ぐところから事業化を進めてまいりたい。昭和七十五年までに高規格道路につきましては一万四千キロのうち九千キロ程度の供用を開始したい、こういうふうに思っております。  それからもう一点は、先ほどお話もございましたが、横断道路、これも今鋭意進めておりますが、今後努力をしてまいりたい、できるだけ大分、宮崎、北九州含めまして道路網の整備、特に高速自動車道の整備に努めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  124. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間が参りましたが、最後に国土庁長官、私はこの問題で商工委員会でもやはり工場再配置の問題、田村大臣質問したんですが、東九州はもううんざりするというわけですね。そういうところに、先ほど言いましたように、工場を持ってこようとしてもやっぱりなかなかそう簡単にはいかないわけですよ。したがって道路、鉄道網、空、そういうものの整備については、やはり東京、大阪、名古屋、こういう三大都市圏からちょっと離れた非常に便利の悪いところについてはこの際もっと重点的に力を入れていくと。  私は去年アメリカのサンフランシスコや西海岸、ずっと見てまいりました。私が非常に感銘を受けたのは、あのゴールデンゲートブリッジが五十年前に既にできた。あるいはその他、ゴールデンゲートブリッジよりももっと南にもまた橋が前後してできた。非常に社会資本が充実しているんですね。それからロサンゼルスへ行きましたら、あそこの水は全部ロッキー山脈から引いているというんです、雪解け水をですね。そしてあの都市が営まれておるわけです。  今の時期に、やはりおくれた地方をもっと重点的にやらないと、これはまたいつやれるかわからない、そういう危機感を非常に持っておりまして、その点について先ほど大臣は積極的なことを言われましたが、実情は私が言ったようなところが非常に苦しい呻吟をしているわけですから、本当に熱意のある答弁と取り組みをしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  125. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私も大分に参りましたことがございますが、飛行機で参りましたんで、大変大分市から離れたところに飛行場がございました。具体的なことで申し上げますと、道路で行くよりホバークラフトで行った方が速いんだと、こういうことで海上を快速艇に乗りまして大分市に伺ったことがございます。道踏は非常な渋滞で役に立たないというか、会合の時間に間に合わない、また帰りの飛行機にも間に合わない、こういうことで往復ともホバークラフトを利用さしていただいたので、その経験からいきましても大変道路事情がおくれておるということは承知いたしております。  この四全総と第十次道路整備五カ年計画というものは表裏一体のものだと私は考えております。それを実行していく国民的なコンセンサスを得て地方の振興を図るためには、多極分散型の国土形成という理論武装をした上で、具体的に四全総の中身の裏づけは、骨格となるのはやっぱり第十次道路整備五カ年計画だ、こう考えております。 したがいまして、私の所管ではございませんけれども、建設大臣とも十二分に御相談をいたしまして、国土の均衡のある発展を図るという大きな目標に向かって予算的にも御配慮をいただくような、実効の上がるような多極分散型の国土形成ができるように御相談をしてまいりたい、こう考えております。
  126. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 梶原君の質疑は終了いたしました。  次に、久世君の質疑に入ります。久世君。
  127. 久世公堯

    ○久世公堯君 私はまず最初に、この多極分散型国土形成促進法の国土政策における位置づけについてお伺いいたしたいと思います。  四全総は、東京一極集中を是正し、多極分散型国土形成を図ることを目的といたしております。また、先ほど計調局長お話しになりましたように、この四全総は、全総、新全総、三全総の歴史の上に立っており、またこの事業というものを承継、発展させることを目的としているわけでございます。  我が国の国土政策の歴史を振り返ってみますと、東京集中というのは何も今に始まったことではなくて、全総、新全総、三全総を通じて、大都市集中を排除し地方への分散を促進するということは一貫した国土政策課題であったと思うわけです。もちろん最近は国際化、情報化に伴う東京一極集中というところに従来のそれとは若干の背景の相違はございますけれども、いずれにしても地方分散地方振興の必要性、課題ということは終始変わらぬ国土政策であったと思うわけでございます。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕  そこで、この問題を解決するためには、最近経済審議会の地域・産業部会の報告にもございましたように、広域経済圏と申しますか、大阪圏なり名古屋圏というものを東京に匹敵するような諸機能を集積した経済圏にすることがまず先決かと思いますが、同時に地方都市、それも札幌、仙台、広島、福岡といった地方中枢都市、さらに各府県庁所在都市といった地方中核都市、さらにその下の一つの県にナンバーツー、スリーというような地方中心都市、もうこれは既にモデル定住圏や地方生活圏あるいは広域市町村圏という政策でやっておられるわけでございますが、いずれにしても地方都市周辺地域を一体とした地域の振興を強力に推進すること、これが一貫した国土政策だったと思いますので、それを今後も推進する必要があるだろうと思うわけでございます。  翻ってこの法律を見てまいりますと、三本の柱と言われております行政機関移転、振興拠点地域の整備、あるいは業務核都市の整備というものはいずれも重要な問題でございますし、またいろいろと総論的な規定がたくさんちりばめられておりますけれども、これも必要な政策と思われるわけでございます。  しかし、今申し上げましたように、多極分散型の国土形成のためにはやはり地方都市とその周辺一帯を一体とした整備というのが非常に大事なことであると思いますので、もう少しこの法律で明確にかつ具体的にお示しいただきたかったと思うわけでございます。  しかしまた、一方において考えてみますと、この法律はあくまでも四全総実施法でありかつ基本法的な性格を持っておりますから、この総論的な規定、例えば地方都市について申しますと第六条の規定、それでできるだけ速やかに例えば地方都市整備法とか地方都市圏整備法というようなものを近い将来におつくりになるお考えがあるかどうか、そのあたりをお伺いいたしたいと思います。国土庁長官お願いいたします。
  128. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 具体的な御質問でございますので、まだそこまで就任早々で勉強する時間もございませんでしたので、お答えすることは責任をかえって果たすことにならないかと思いますが、先生のお考え方に私は全く同感を持っております。  ただ、そういった地方振興の具体的な法案を出すのか出さないのかということに限って御質問をいただきますと、まだ私はそこまで存じ上げておりませんので、事務当局に答えさせるようにいたします。
  129. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 今大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、地方都市はその周辺地域と一体となって存在するものでありまして、それを一体としてつかまえて振興を図る必要があるということは全く御指摘のとおりであると存じます。この法案の中にそのような趣旨も明記しておるわけでございますが、今後とも地方都市の総合的な振興策を積極的に展開していく必要がある、こう考えておりますので、本法案の規定の趣旨に沿いまして関係省庁と十分連携を図りながら、地方都市及びその周辺地域の一体的な整備振興方策につきまして多角的に検討してまいりたい、かように考えております。
  130. 久世公堯

    ○久世公堯君 自治大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、今の地方都市の整備あるいは地方都市周辺地域の一体的な整備というのは、自治省も従来こういうような政策をお進めになってきたと思うわけでございますが、この点についてどのように大臣はお考えでございましょうか。特に将来、地方都市圏の整備というような新しい政策をお考えかどうか。  そのときにひとつお考えいただきたいのでございますが、私は力のある都市都市圏というものにはそれなりの権限というものを付与していいだろうと思います。したがいまして、現在指定都市制度という制度がございますが、これを要件を緩和するなり、あるいは拡大するなり、あるいは指定都市に次ぐ準指定都市制度というようなものをお考えになる、あるいはまた都市連合というようなものをお考えになって、そして地方自治制度上こういう問題についても、より解決をしていくというお考えがございますでしょうか、お願いいたします。
  131. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 多極分散型国土形成を図るためには、御指摘のとおり地方の振興、特に地方都市周辺地域を一体というよりは、むしろこの法案の大きなねらいは、これが目的でもあろうというふうな重要な課題というふうに考えております。  その方向としては、地方中核都市等を中心とする都市圏の整備の推進が必要であるというふうに考えております。こうした域圏整備については、自治省においても従来から広域市町村圏施策実施してきたところであり、約二十年近い実績の中で一定の成果を上げているところであります。今この一極集中という大変な時期に逢着をして、再構築をすべく懸命な努力を払ってまいりたいと思いますし、今先生御指摘の指定都市の制度の見直し、あるいは準指定都市制度の創設、あるいは都市連合等大変興味深い御提案でございますので、この実現のために早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  132. 久世公堯

    ○久世公堯君 自治大臣に権限の委任についてお伺いをいたしたいと思います。  実は衆議院土地問題等に関する特別委員会でもたびたび権限の委任ということが問題になっておりますし、また、いろいろ世上のテレビとか新聞とかにも、今回の多極分散型国土形成促進法に関連して権限の委任こそ重要だということが言われておるわけでございます。  ところで、この権限の委任の中にはもちろん本省と地方支分部局という問題もございますが、国と地方公共団体との間の権限の委任というのが極めて重要な課題だと思うわけでございます。ところが、この国と地方との権限委任あるいは事務配分というものを考えてみますと、昭和二十四年のシャウプ勧告で事務配分ということが言われまして以来もう三十数年間、たびたび地方制度調査会等を通じてこの答申なり勧告なりが出ているわけでございます。  つい先週でございましたか、今開かれております二十一次の地方制度調査会においても、その小委員会で、多極分散型の国土形成ということも含めて、国と地方との間の事務配分について具体的な項目が十数項目提案されておりました。ただ、それを見ましたときに、十年前の十七次調査会のときの答申案とほとんど内容が同じでございます。要するに、長年いろいろ言われたけれども実現できなかったのが権限委任、事務配分の問題ではなかろうかと思うわけです。  また、臨時行政調査会、第二次臨調においてもいろいろと行政改革の実績を上げられたわけでございます。私は大変な偉大な成果だと思うわけでございまして、特にJRの民営化なりNTTの民営化を初めとして、定数の削減なり、そういう面では非常な成果を上げられましたが、臨調答申をしておられる国と地方との関係、事務配分なり財源配分という点につきましては、もちろん幾つかの成果は上がっておりますが、大山鳴動してネズミ一匹というぐらいの実績ではなかろうかと思うわけです。  そこで、ひとつ自治大臣にこの際お尋ねをしたいわけでございますが、今一番必要とされておりますのが東京一極集中排除、多極分散型の国土形成、これは地方自治にとって極めて大問題でございますので、ひとつこの点に絞って事務配分というものをお考えいただけないだろうか。もちろん地方制度調査会というものがございますけれども、同時にこれは国土政策の問題でございますので国土審議会の問題でもあり、またこの臨時行政調査会の後の新しい臨時行革審の問題でもあろうと思いますので、そういう三者というもので御相談いただいて、この点だけに絞ってひとつ事務配分、権限委任というものをお考えになるお考えはないか承りたいと思います。
  133. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 大変貴重な御指摘でございまして、確かに地方分権という議論は長い間いわば制度論として自治権の拡大運動の中であったことでございますし、それにかてて加えて今一極集中の弊害から多極分散型の国土形成をするという地方振興論、こういう二つを兼ね合わせて今回特に分権論が活発に言われているわけであります。  ただ、私が一つ懸念をいたしますのは、三千三百という地方自治体、それぞれ異なった環境を持っております。ですから画一的な分権が果たしてできるのかどうなのか。各都道府県においても各市町村においてもそれぞれ違った状況に置かれますから、例えば農地法をどの地域も全部欲しいかというと、私の町村は欲しくない、私の都道府県は欲しくない、私の方はむしろ都市計画法の方が欲しいよという、それぞれ私は地方から選び得る立場があっていいのではないか。中央で画一的に考え地方分権ということよりも、あえて私は最近になって選択的分権という言葉を使っているわけでありますが、都道府県や市町村が中央の権限のメニューを見て、私の市町村は、私の都道府県はこの権利とこの権限が欲しい、そういう選択が可能になれば私は分権が進むのではないか。  ともすると画一的なものはきれいに見えがちでございますから、そういうことがなかなか取り上げられませんけれども、私は全国を画一的に見て分権をしようと思っても言うべくしてなかなかできない、そういうことがありますので、特に今一極集中から多極分散をするためにこの法案が出されているわけでございますが、その中で何と何と何の法律が、例えば暫定的であっても地方に一時期移転ができれば実効が上がるという問題があれば、制度としての地方自治拡大論とはまた別個な意味で取り上げることができるように検討してまいりたいと思いますし、この問題については先生御指摘のように地方制度調査会からたびたび立派な答申をちょうだいしておりますが、その中での決定権限があるわけではございませんから、国土審議会や行革審等にも話を持ち込んで、三者で協議ができる機関が果たしてできるかどうかわかりませんが、実質そういうものの意見の交換ができる場を何とかつくりたいということで今研究をさしております。
  134. 久世公堯

    ○久世公堯君 国土庁長官にもぜひお願いをいたしたいのでございますが、今自治大臣から御提言のありましたようなことを、国土審議会でもひとつ御検討いただきたいし、また総務庁が来ておられるかもしれませんが、総務庁の方にも臨時行革審でぜひともこの問題だけに絞って結構でございますのでお願いをいたしたいと思うわけでございます。  それから、権限の委任でも本省と地方支分部局との間における権限の委任、これはもう各省庁に通ずることでございますが、ひとつ各省庁にお願い申し上げたいのは、地方支分部局に権限を移すならばそこで完結するように、従来とかく二重行政のそしりもございますので、ぜひそうお願いをしたいと思うわけでございます。  もちろん各省にお尋ねをいたしますと、もう政令でも省令でもそうなっているとお答えになるわけでございますが、事実上の行為として必ず両方に行かなければいけない。御承知のごとく、今東北でも九州でも交通が非常に発達をしておりまして、もし東京で済むなら飛行機ですぐ行ける。また地方支分部局で済むならば電車で行って帰ればいい。この二重行政をぜひとも排除していただきたいし、また今度の振興拠点地域の協議会などは恐らく国土庁の本庁が中心になられると思いますけれども、やはり地方支分部局の意見も聞けなんかということになりますと、例えば静岡県なんかは、地方農政局と通産局については東京の所管でございますが、地方建設局や地方運輸局につきましてはこれは名古屋の所管でございます。  そういうそごもございますので、このあたりもひとつ二重行政の組織にならないように、また受ける立場というものを考えて処置をしていただきたい、このように思う次第でございます。  ただいま、この権限の委任についてお尋ねをしたわけでございますが、東京一極集中を是正し多極分散型の国土形成する上において、今回の法律、あるいは既に閣議決定等で政府みずからが範を示して行政機関等の移転を率先して行われる、また将来にわたって継続的にこれを推進するという制度をこの法律の中において立法化されましたことについては、敬意を表するものでございます。しかし、行政機関移転だけでは到底東京一極集中というものを是正することはできない。権限の委任も大事でございますれば、またそれ以上に、先ほどもお話のありました民間の機能と申しますか、経済的な中枢管理機能というものの移転が極めて重要な課題だと思うわけでございます。  また、今国会におきまして、通商産業省におかれましてはいわゆる頭脳立地法というものを制定されまして、そして最近の経済のソフト化やサービス化、そういうものに対応する頭脳部分というものを地方に立地させる促進政策というものをおつくりになったわけでございます。これも大変敬意を表するものでございますけれども、しかし、今の一極集中というものの実態を見てまいりますと、先ほどからいろいろとお話がありましたように、本社機能もそうでございますが、特にエレクトロニクスの系統なんかを見ておりますと、東京圏に所在しております試験研究機関でございますとか民間企業の研究機構とか、それから工場だとかというのは、そこで生産をしているというよりは、いわゆる注文生産でございます。  大型のシステム、例えば航空会社のシステムでありますとかJRのシステムとか、あるいは大型の病院のシステムとか二十四時間のスーパーマーケットのシステムとか、そういうようなものを受注生産で試作を重ねる、したがって先ほど大臣がある若い経営者とおっしゃっておられましたが、やはり営業部門とそれからシステムエンジニアというものはどうしても東京にいなければいけない。その数がおびただしいものである。そうなりますと、こういう大型のシステムというのはなかなか頭脳立地法だけでは地方移転しないと思うわけでございます。  なかなかこれは難しい問題だと思いますけれども、経済的な中枢管理機能をいかにして地方に分散するか、ぜひとも具体的な政策を今後において御検討をいただきたいと思うわけでございます。特に答弁は要りません。  また、通商産業省にこの際お願いをしたいわけでございますが、おつくりになりましたこの頭脳立地法をその趣旨に従ってぜひ実現していただきたいということ、さらに現在、昭和四十七年につくられました工業再配置法に基づいて工業再配置計画をここ十数年間やってまいられました。これも大変成果が上がっておりますが、漏れ承るところによりますと、今新工業再配置計画、今回の頭脳立地あるいは経済のソフト化とかサービス化に伴って新しい産業政策上の見地から今つくっておられるということを承っております。ぜひともこれを実りのあるものにしていただきたいことと、二十一世紀に向かってはさらにこの範囲を拡大して、工業再配置といいますよりは産業再配置計画というようなものに発展をさしていただきたい、ぜひこのようにお願いしたいし、これは同時に国土政策の問題でもございますので、長官、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、過疎地域の振興についてお伺いをいたしたいと思います。  先般発表されました過疎対策課題によりますと、過疎地域の現況というものを極めて精緻に分析をしておられまして、また、それに対していろいろとやってこられたこと、またこれから残された課題、特に最近におけるところの高齢化の問題とか、あるいは企業誘致の問題とか、あるいは地域の活性化の問題とか、いろいろと適切な課題についての分析がされております。  また、ことしの過疎白書に限らず、今まで毎年国土庁の方から発表しておられます過疎白書につきましても、よく見せていただきますと非常にその内容がよくできているわけでございますが、しかし、さて、過疎地域を含めたハンディキャップ地域の振興をどのようにすべきかという点につきましては、どうも決定的な政策というものがないように思われてならないわけでございます。  加えて、昭和六十四年度で現在の過疎地域振興特別措置法が十年の期限を迎えるわけでございます。その後の過疎法制というものをどのように持っていかれるのか、過疎法だけではないと思いますけれども、ほかのいろいろとハンディキャップを持った地域の振興立法もかかると思いますが、とりあえずはこの過疎法の今後の後継法制というものについてどのように考えておられるか、実は拝聴したいと思うわけでございます。  昨年の十一月末でございました、全国過疎地域振興連盟の定期総会が九段会館で開かれましたときに、前国土庁長官奥野大臣が出席をされまして、そして一般的なあいさつをお述べになりました後に、今の東京一極集中というものは、同時に地方においては県庁所在都市一極集中になっている。したがって、そういう関係から今後過疎があるいはふえるかもしれない。これに対してやはり適切な措置というものを打っていかなければいけないし、特に過疎法が期限切れを迎えるからそれに対応する意味においても財源措置というものを十分に考慮してやらなければいけない、こういう趣旨のごあいさつをされましたときに、会場からは万雷の拍手が沸いたわけでございます。私はこの拍手というのは過疎市町村の熱いまなざしと、それから国土庁に対する大きな期待が秘められていたのじゃなかろうかと思います。  そういう意味も含めて、この過疎対策、特に六十四年度で切れますところの過疎の後継法、これについてどのようにお考えになるかお伺いしたいと思う次第でございます。
  135. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 過疎問題につきましては、先生御指摘のとおり期限切れを間近に控えておりますので、過疎地域の方々は大変御心配をされておるということも承っております。過疎地域につきましては、私どもの方に伝わってくる話では、過疎に指定されておると補助率がいい、いろんな仕事をやる面に過疎から外されると困るなんという逆説的なことも一方にはあるわけでございます。  ところが、現実には過疎がだんだん進行してまいりまして、高齢化が非常に著しく進んでしまっておる、若い青年たちはどんどん都市へ流出してしまう、労働力もなくなってくる。その他、生産基盤あるいは公共施設等もある程度の整備は進められたとは言いながらも、生産基盤は労働力の低下とともに非常にまだまだおくれておる。国土の均衡のある発展を図るという趣旨からいきましても、また、今回の多極分散型の国土形成、こういった趣旨からいきましても、過疎地域に対しては、さらに法律の期限切れを迎える時点に当たりまして、我々も過疎地域の人たちのよりよい生活環境ということも考え合わせて、さらに心温まる施策の実行について何らかの具体的な成案を得て御期待にこたえなければならぬな、こういう感じを持っておるわけでございます。  何かにつけて非常に立ちおくれておるし、高齢化が非常に進んでおる、生産基盤も非常に立ちおくれておる、こういうようなことにつきましてもまだまだ過疎地域については温かい政策を実行していく必要がある、こういった考え方のもとにこの多極分散型国土形成という中で、過疎地域についても地域振興といった意味で引き続き対応していかなきゃいかぬ、こういうふうに考えておるものでございます。
  136. 久世公堯

    ○久世公堯君 多極分散型の国土形成するためにはまだいろいろと課題があろうかと思います。行政機関移転につきましても一つ大きな問題でございますが、これについては時間の関係から省略をさしていただきたいと思いますが、ただ一点、この移転対象機関に勤務をする職員に対しまして、例えば手当上の特例でございますとか、あるいは住宅居住環境について何らかの優遇措置というものをお考えでございましょうか。承りたいと思います。
  137. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 具体的にそういう地方に分散をすることになった機関につきましては、そういう点についても十分な配慮をして、生活環境が著しく悪化することのないように、現状の生活が十分維持でき、子供の教育あるいは家庭環境というものが維持できるような温かい措置を考えながらこれはやっていかなきゃいかぬものと、そういう努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  138. 久世公堯

    ○久世公堯君 先ほどから国土庁が調整官庁として調整権というものを持っていろいろとこれからこの法律の実施に努めなければいけないということについて何度か大臣からお考えを承った次第でございます。  国土庁がつくられましたのがたしか昭和四十九年でございましたが、そのときに国土庁設置法の第四条というところに政令で定める公共事業についての調整権限というものが書かれてあったわけでございますが、この政令というのがその後十数年の間ついにつくられることがない幻の政令になってしまったわけでございます。しかしながら、この法律ができた、そしてその推進役、実施役として国土庁中心に立たなければいけない。そういう意味でこれをひとつきっかけとして、過去のことは過去として、国土政策にかかる調整官庁としての大きなステップではなかろうかと、私はこのように思うわけでございます。  ただ、国土庁が調整官庁として真の機能を発揮するためには、素手ではなかなか無理だろうと思います。昔から色男金と力はなかりけり、こう申します。私は国土庁はぶ男であっていいから、ひとつ金も力も持っていただきたい、このように思うわけでございます。歴代国土庁長官は美男でいらっしゃいますので、ぶ男の例を引いたら大変失礼でございますが、ひとつ金も力も持った国土庁になっていただきたいと思うわけです。  国土庁には国土総合開発調整費というのがあるわけでございまして、ことしも当初予算におきまして既に百億余りの調整費がついておりますし、たしかことしはNTTのBタイプということで約一割ぐらい増加されたと承っているわけでございます。しかし、この程度では大変不十分だと私は思います。また、六十三年度からはこの調整費の中で民活事業を支援するための公共事業にも調整費を充当し得るというたしか制度になったと承っております。民活事業こそこれから地域の活性化にとっても非常に大事な問題でありますし、この多極分散型の国土形成する上においても非常に重要な問題だと思うわけでございます。  そこで、例えばこの公共事業の調整費というものを、公共事業費の額の一%というと大変な額になるわけでございますが、例えば一%といったような公共事業費に比例した額というものをひとつ調整費として閣議決定でもする方策はないだろうか。もちろん公共事業をお持ちになっておられる各省庁からはいろんな異論もあろうと思いますし、また最近のように公共事業が潤沢になりますと、どうもそれぞれの省庁がそういう調整までやってしまうという問題もあろうかと思います。いろいろと難問はあろうかと思いますけれども、今申し上げましたのは一つ提案でございますが、この金と力をひとつ持っていただきたい。この点についてのお考えを承りたいと思います。
  139. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変国土庁にとりましてはありがたい御提言を賜りまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  従来から、いろいろな役所予算が決まりまして、それが現地におきまして不十分だというようなこと、あるいはよそでついた事業、例えば川と港湾というようなものが連続してある場合に川の方が進んでしまって港湾の方がおくれておると、アンバランスになってその効果が上がらない、こういうような事業が各地にございます。それに対して調整費というのをちょうだいしたり、運動したりしていただいたこともございますけれども、多少なりとも枠がふえればそれなりの効果が上がるのではないかなと思うときがしばしばございます。  したがいまして、先生の御提案のような気持ちも私には十二分にあるわけでありますが、この多極分散型の国土形成ということを強力に推進して企画調整の役に立つというのには、やっぱり力を多少持たせていただきませんとなかなかやりにくいと思うのであります。言うことを聞いてくれて、このくらいのことはこの地方のためにはやれますよというようなことがなければ、これはだめ、あれはだめ、こうしなさい、ああしなさいというだけでは全く無手勝流で、法案だけ通ったわ、調整しろといっても、自分の方の分を減ずってよその役所にやるなんという役所はございませんから、やはり大いに御鞭撻をいただきまして、調整費を来年度の予算編成の段階におきまして大幅にふやしていっていただくような先生方の御協力を私もこの機会にお願い申し上げておきたいと思います。
  140. 久世公堯

    ○久世公堯君 自治大臣にお尋ねをいたしたいと思うわけですが、自治大臣は従来の国土政策立法では主務大臣にはなっておりません、余りなっておりません。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 私の記憶によりますと、昨年の総合保養地域整備法とそれから今回の多極分散型国土形成促進法において主務大臣になっておられるわけでございます。多極分散型国土形成というのは国土政策課題でございますとともに、まさに地方自治そのものの発展だと思うわけでございます。また、二十一世紀に向かっての地方自治にとっても、ある意味では最も重要な課題ではなかろうかと思います。そこで、本法において主務大臣になったということについての心構えについてお伺いをいたしたいと思う次第でございます。  また、ただいま国土庁長官の方からお答えもあったわけでございますが、国土総合開発調整費の機能と同じような意味におきまして、公共事業と単独事業との間においても事業に係る調整というのがいろいろ必要だろうと思うわけでございます。これにつきましてはまた民活の問題もありますのでいろいろこれからも大きな問題になると思いますけれども、私はぜひとも事業調整債というようなものを創設したらどうだろうかとかねがね思っているわけでございます。これにつきましては特に御答弁は要りませんけれども、自治大臣は、先ほどからのいろんな御答弁にありましたように、非常に国土政策についても地方自治との関係でいろいろな新しい提案をされておられるわけでございますので、この多極分散型国土形成促進法の推進意味において、ひとつ幅広い見地から推進をしていただくようにお願いをしたいと思います。  ただいまの主務大臣になったことについての心構えについてお伺いできればありがたいと思います。
  141. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 我が国経済構造の変化等に伴い人口、産業等の東京への一極集中が進む一方、地方と言うと言葉は悪いんですが、大都市に対する地方では地域経済の停滞あるいは衰退が見られまして、大都市地方の格差が拡大をする傾向にありますから、これを是正しなけりゃならない。  そして、今回の主務大臣になりましたことについては、積極的にこの計画に参画をして努力をしてまいりたいと思います。いわば地方自治体側ではむしろ受け皿でございますから、既に工業団地の造成やら、先ほど御指摘があったペンペン草が生えているというような問題もございますが、いずれにいたしましてもふるさと対策特別事業やら、あるいはふるさと財団的な構想を持っておりまして、受け皿は精いっぱいこれから振興をして、多極分散ができるための方策を検討して実現してまいりたいというふうに考えております。
  142. 久世公堯

    ○久世公堯君 多極分散型国土形成促進法は、これからの国土政策にとっても大変重要な基本法かつ実施法の任務を持っているだろうと思います。それは同時に二十一世紀に向かっての我が国のこれからの発展、それに深く結びついている、そういう大事な法律でございますので、国土庁長官には、この法律が通りましたならばひとつ早速その実施推進のためにお尽くしになることを祈願いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 久世君の質疑は終了いたしました。  次に、和田君の質疑に入ります。和田君。
  144. 和田教美

    ○和田教美君 新長官の御就任のあいさつの中で、「地価は、最近に至って、東京都において下落に転じる等鎮静化の傾向を強めております」と述べておられます。確かに、国土庁が発表いたしましたことし一月から三カ月間の一都三県における監視区域での地価動向調査の結果では、住宅地について都全体でマイナス一・八%と前期に引き続いて下落をいたしております。  しかし、一・八%とか数%というふうな数字は、実際に地価が下落したというふうなことに当たるのかどうか。とにかく五十九年の水準に比べますと三倍も上がった東京地価が何%か下がったといっても、それは実質的には横ばいにすぎないのであって、内海長官も認められるようにまさに高値安定ではないかというふうに思うんです。ですから、単に地価を下げるというふうなことではなくて、大幅に地価を下げるということを政策の第一目標、中心目標にしなければならないというふうに思うのですが、その点についての長官のひとつ御決意のほどをまずお聞かせ願いたいと思います。
  145. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 再三申し上げておりますように、社会経済の状況が急速に変化をいたしまして、東京中心とした国際化、情報化ということ、世界経済の中で三極と今言われておりますが、ロンドン、東京、ニューヨーク、こういった都市につきましては、急激な国際化、情報化の中でビルの需要、事務所の需要というものが世界的にも強く求められてきた、こういうところで都心の地価高騰を招いたし、まただぶついておった金融事情というものが土地投機に不動産業者等を通じて拍車をかけたという点もあって高騰を招いたと思うのでありますが、土地対策緊急政策といいますか、政府の方で打ちました効果が徐々にあらわれて、先ほど申し上げましたように鎮静化あるいは幾らか下がりの傾向にあるというような状況にございますけれども、まだまだ先生がおっしゃるような状況であることも事実でございます。  したがいまして、土地というものは投機の対象になっても得をしない、ばかを見るというくらいなところまで行政的に政府が積極的に乗り出していきませんと、なかなかこれは需要と供給のバランスによって上がったり下がったりすると思います。したがいまして、政府は今後とも多極分散型の国土形成法というものの中におきまして、新しい宅地開発あるいは住宅建設促進、こういった意味におきまして、公共用地等についてはできるだけ地方公共機関がそれを有効に活用していただくというような方向で、需要に対する供給を十分果たすような役割を公共用地にやってもらおう、こういった積極的な気持ちでおるわけでございます。  したがいまして、先生がおっしゃいましたように、地価は上がる前ぐらいまでに戻したいというのが私の気持ちでございまして、それでまた下がればなお結構なことでございますけれども、できるだけ、土地投機というものはもうかるものじゃなくて損するものだということになればやる者もいなくなると思いますので、多少そういうことも強力に進めるような形で、多極分散型国土形成法案の趣旨に沿いまして積極的に地方の振興を図ると同時に一極集中というものを是正する。これはやはり地価抑制にも大きく作動してくる、こういうふうに私は考えておりますので、全力を挙げて御趣旨のような方向で頑張ってまいりたい、こう思う次第でございます。
  146. 和田教美

    ○和田教美君 これは国土庁の事務当局にお聞きしたいんですけれども、東京地価がとにかく上がらなくなったということに比べて、地方にどんどんその地価高騰が拡散しているという傾向が国土庁調査によっても明らかになっております。  六十三年の地価公示によりますと、大阪市の商業地が四五・一%、神戸市が四四・四%、それから名古屋市の商業地が二九・五%、福岡市が二七・二%の上昇ということで、地方の大都市の商業地を中心に特に地価高騰が目立っております。その後の傾向については、先ほども言いましたように、東京については一都三県の監視区域における地価動向調査の結果が出ておりますけれども、地方についてはその後の傾向というのはどういうふうになっているのか。地方は相変わらず騰勢が出ているのかどうか。その辺のところをもしデータがあればひとつ御報告を願いたい。  それから、なぜこういうふうに少し時期がおくれて東京から地方都市にどんどん拡散傾向が続いていくのかという原因についての御説明を願いたいと思います。
  147. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 東京以外の地方の主要な都市についての地価の状況でございますけれども、東京の次に大阪圏がかなりの上昇を示したわけでございます。  大阪圏につきましては、中心商業地が相当の上昇を示したわけでございますけれども、昨年の末あたりからその上昇傾向が鈍化をしているというふうに私ども報告を受けております。これは昨年の十二月から大阪市でも監視区域の設定というようなこともございまして、そういう政策の効果があらわれたのではなかろうかというふうに思っております。  それ以外の、例えば名古屋とか札幌、仙台、それから広島、福岡、こういうようなブロックの中枢的な都市につきましては、こういう都市でもかなりそういう地方での一極集中の傾向というようなものがございまして、いろんな諸機能がそういうところに集中する傾向がありまして、それからまた、一部大手の機関投資家といいますか、東京の資本がそういう都市土地を買ってビルをつくるというような動きもございまして、いわゆる中心商業地の地価高騰がかなり見られたわけでございます。私どもは、こういうような都市におきましても監視区域を積極的に運用するようにということを指導いたしておりまして、現在それぞれの都市におきまして監視区域を機動的に運用しているという状況でございます。  大阪以外のこういう地方都市中心商業地の状況でございますけれども、現在のところぼつぼつ騰勢が鈍化傾向を示しつつあるというふうには聞いておりますけれども、まだ監視区域の効果が、監視区域の設定もことしの初めとか、そういうことがございまして、必ずしも十全の効果が発揮していないという状況でございますので、私どもといたしましては、今後とも監視区域の機動的な運用なり金融機関指導というものを積極的に実施してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  148. 和田教美

    ○和田教美君 先ほど内海長官から、できれば地価高騰前の状態に戻したいという大変意欲的なお話がございまして、非常に結構だと思うんですけれども、問題は、具体的にどういう手段をとるかということだと思うんです。  そこで、その一つの問題として、東京地価がとにかく鎮静化してきたということについてどういう政策手段が一番効果があったのか。今お話のございました例えば監視区域の設定だとか、あるいは土地融資に対する金融の自粛だとか、そういうふうな指導ですね、そういうふうな問題が効果があったのか、その辺のところをどう考えておられるのか。それから、これからの手段として一番重要だと考えておられるのはどういう点なのか。その辺を、長官でなくても結構ですから、お答えを願いたいと思います。
  149. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 今回の東京中心とした地価高騰は、商業地におきまして業務管理機能東京への集中ということで、事務所ビルの需要の増大というようなこと、それから住宅地については買いかえ需要というようなことで、それが基本的な要因であるというふうに考えておりますけれども、さらにこれに加えまして、金融緩和状況にも支えられまして、実需を当て込んだ手当て買いとか、投機的な需要というものがかなり地価高騰を増幅したという面が大きかったわけでございます。  このような認識に基づきまして、まず投機的な土地取引抑制するという観点から、監視区域制度の機動的な運用とか金融機関に対する指導強化、それからまた税制の改正でございますけれども、昨年十月から実施いたしました超短期重課制度とか、それからまたことしの四月一日から実施しております居住用財産の買いかえ特例の原則廃止、こういうような施策実施してきたところでございますけれども、これからさらにこの地価鎮静化し値下げをしていく、下落をさせていくというためには、やはり土地の需給を緩和していくというための施策を強力に進めていく必要があるというふうに考えている次第でございます。そのための住宅地供給対策ということで、今国会でいろんな法律も審議いただいておりますし、これからまたいろんな対策を進めていく必要があると思います。  それからもう一つは、需要の分散ということで、現在審議していただいておりますこの多極分散型の促進法案、こういうものを十分に活用いたしまして需要の分散を図っていく、多極分散型国土形成というものを促進していくことが基本的に重要であるというふうに考えている次第でございます。
  150. 和田教美

    ○和田教美君 今、大都市地域における優良な宅地供給するということが大事だというお話がございましたけれども、このことは今議題となっております多極分散型国土形成促進法案の中にもそういう趣旨のことが書いてございます。しかし、東京圏において常識的な通勤範囲で庶民の手の届く優良な宅地開発というものが今の状況で果たしてできるのかどうかということについて、私はいろいろ疑問点があるのではないかというふうに思うんです。  衆議院だったと思いますが、建設大臣の御答弁で、通勤時間は大体どのくらいが限度かということについて、大体九十分を限度とするというふうなお答えがあったように記憶しているんですけれども、そうなると大体三十五キロから四十キロぐらいということになります。ところが、四十歳台の平均的サラリーマンで年収の五倍、つまり大体三千万、これぐらいが要するに住宅、一戸建ての住宅を買える限界ではないかと思うんですね。  そうすると、今の地価だととてもそんな九十分の範囲内では買えない。買えるところは大体二時間以上もかかるというふうな状態ではないかというふうに思うんですね。そのためにも地価をどんと下げるということが絶対に必要だと思うんですが、なかなか国土庁長官の抱負のとおりにはいかないんじゃないかと思うので、現実問題として東京周辺の通勤圏でサラリーマンが一戸建て住宅を手に入れることがだんだん困難になってきているという現状を踏まえて、宅地開発はもちろん必要ですけれども、同時に安くて良質な公共賃貸し住宅、それも家賃はせいぜい数万円ぐらいのところというふうなものを大量に建設する、そういう問題について国として本格的に取り組む時期に来ているんではないかというふうに私は思います。  先日この委員会東京の大川端の都営住宅や公団住宅建設状況を見たのですけれども、都営住宅は数万円の枠内に入っておりますけれども、公団住宅の場合は十数万円、十七万ですか。さらに、同時に建っている民間マンションの場合は二十数万円になるだろうと、家賃が、そういうふうに言われておる。こういうものはやっぱり、中堅サラリーマンというものに焦点を当てた場合に、国の政策としては私はもう非常にプアなものであるというふうに考えざるを得ないわけです。  そこで、一体六十三年度予算で公営公共住宅建設、これはもちろん地方自治体だとか公団住宅建設も含むわけですけれども、一体どれぐらいふえているのか、どれぐらい割り当てているのか、また家賃はどのぐらいを見込んでおるのか、その辺のところをひとつ建設大臣からお答え願いたいと思います。
  151. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 前段お話のありました通勤圏の問題でありますが、通勤圏はでき得れば一時間が望ましい、やむを得なくても一時間三十分、九十分ですね。二時間ということではもう通勤圏としては無理だ、こういう認識に立っております。  それから、お話にございましたように、今一戸建てあるいはマンションを含めて持ち家を買うというのは東京中心部では大変難しい、これはもうお説のとおりであります。しかし、先ほど国土庁長官もお答えでございましたが、私どもはどうしてもこの地価を下げなければならない、地価を何としても下落に導かなければならない、こういうふうに思っております。それに関連いたしまして、再開発とかあるいは大都市周辺開発とか、あるいは区画整理法の改正とかいろいろお願いをしたわけであります。区画整理法はまだ参議院で御審議をいただくようになっておりますが、こういうことで進めてまいりたいと、こう思います。  率直に申し上げまして、この大川端の家賃の問題とか分譲は、民間はもちろんですが、民間はいろいろありましょうから。少なくとも住都公団で十数万円というのは家賃として高い。であるから、こういうものはしばらく何とか見合わして、もっとも今始めておるところは別でございますけれども、今後本当に中堅勤労者の間に合うように、中堅勤労者が入れるようなものにするように住都公団にも指導をしておるわけであります。今の地価で計算いたしますと大変難しい、でございますから、でき得れば今の再開発等をぜひともこの住都公団でやって、それで住都公団の再開発土地、これを利用して安い家賃でと、こういうことで進めてまいりたい。  具体的な戸数は政府委員から答弁をいたさせます。
  152. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十三年度の住宅建設計画戸数関係につきまして御説明申し上げます。  六十二年度当初に比べまして、六十三年度、まず国庫補助住宅につきましては、五万四千戸を五万七千戸と三千戸の増を図っております。また、公庫住宅、これは融資全体を含めまして六十二年度当初五十二万が五十四万五千戸でこれも二万五千の増でございます。公団住宅につきましては二万五千戸同数で計画をしておりまして、政府施策住宅関係全部合わせまして六十二万二千八百二十が六十五万一千七百二十となっております。
  153. 和田教美

    ○和田教美君 家賃の方は。
  154. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 家賃の細かい資料につきましては手元に持っておりませんけれども、公営住宅につきましては、一種につきましては所得階層三分の一までの層でございましておおむね四万円前後、四万から五万ぐらい、それから二種につきましては下から六分の一の階層でございますけれども、二万から三万ぐらいを目途に供給しております。また公団住宅につきましては第三分位、中位をねらっておりまして、七万から八万ぐらいのたしか数字でもって供給すべく努力をしているところでございます。
  155. 和田教美

    ○和田教美君 七万か八万と言う。現実は今建設大臣からお話があったように十数万ということになっている。それはもう政策予算に計上している数字と全然違うわけですね。その辺は早急にひとつ是正をしていただきたいというふうに思います。  次に、臨時行政改革推進審議会土地対策検討委員会、いわゆる土地臨調は今月の末に最終報告書をまとめるということだそうですけれども、その中で国公有地の利用について、公用、公共用の用途を優先すると明記する方針だというふうに報道されております。そして大都市地域では、国有地などの具体的な使途について、公共住宅用地として活用すべきだというふうに述べておるというふうに報道されておる。これは中曽根前内閣推進した国有地などの民間への払い下げ、いわゆる民活路線ですね、これを事実上修正するものだというふうに私は思うんですけれども、政府もそれで異存がないのかどうか、その辺をまずお聞きしたいのでございますが、さらにこの特別委員会で先日参考人の意見聴取をしたわけですけれども、ある参考人は、東京都の臨海部副都心の建設計画、これについても住宅地が少な過ぎる、もっとふやすべきだというふうな意見を強調されておりましたが、その点についての御意見等をお聞かせ願いたいと思います。
  156. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 国公有地を住宅に利用する、この点は私どもも常にお話もしておりますし、これは実は国公有地といえども地価をある程度安くしてもらわないと、今の公示価格でいただいたのでは住都公団に先ほどのお話の数万円、七、八万円までで住宅供給せよと言ってもちょっと計算上無理がありますので、そういうことに価格と両方で折衝をしていきたい、こういうふうに思っております。  それから臨海部の問題につきましては、住宅をできるだけ多くするように話をしつつございます。また、そういうふうに計画変更をいたしておりますのである程度の住宅ができる、こういうふうに思っております。具体的には政府委員から答弁させます。
  157. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 臨海部の住宅についてお答えいたします。  ただいま越智建設大臣からお話がございましたとおり、昨年の十月時点での都の臨海部開発中間検討結果といたしましては、臨海部副都心及び晴海・豊洲埠頭五百五十ヘクタールの住宅開発の居住人口を約十万程度と見込んでおりました。その後建設省の御当局等の申し入れにより我々検討委員会でも検討し直しました結果、ただいまの臨海部副都心及び晴海・豊洲地区の居住人口につきましては十一万ないし十二万とほぼ二割程度増加の計画として取りまとめたところでございます。
  158. 和田教美

    ○和田教美君 私は、昨年の十二月九日の本委員会で国公有地の増改築承諾料の問題を取り上げました。具体的に申し上げますと、物納財産の土地などで多いケースなんですけれども、国有地を借りて家を持っている人が建物が老朽化したために新しく増改築しようとするときに増改築承諾料というのを国に払わなければならないということです。ところが、この承諾料を計算する基準が東京都の場合と国とで違っておると。国の場合には時価修正率を掛けることになっているので、東京都に比べると国の場合は約二倍になるという問題ですね。  具体的な例として私申し上げたのは世田谷区東玉川のAさんの場合ですけれども、東京都の算定基準だと七百九十万円なのが、国の算定基準で算出すると時価修正率を掛けるため千七百七十八万三千円ということになると。べらぼうな話で、このAさんは建築費よりも承諾料の方が高くなるということで結局やめちゃったと、こういうことなんですね。  ところが、それと同じような例がこの四月十四日付の朝日新聞にも投書で大きく記事が出ておりました。この人は目黒区に住んでいる大学の名誉教授で、二階に九畳、それから一階に四畳半の増改築を計画して関東財務局に届けたところ、四百五十万円の承諾料を払えと言われたと。そういうことで、この投書に対して、これはまるで国が不動産屋になっているみたいで納得できないというふうな反響が相次いでいるという記事でございました。  そこで、とにかく国と東京都でこの基準のとり方が全く違うというのはいかにもおかしいということで、せめて東京都並みまで下げたらどうかと言ったら、大蔵大臣は検討さしてもらいますということだったんですが、その後検討の結果がどうなっているのか大蔵省当局からお聞きをしたいと思うのと、もう一つ東京都の場合は国ほどではないけれどもとにかく一応取っているわけですね。ところが東京近県、例えば埼玉とか千葉とか神奈川とか、そういうところの地方自治体はどういうことになっておるのか、その点はひとつ自治省に調べていただいておりますから、お答えを願いたいと思います。
  159. 藤田弘志

    政府委員(藤田弘志君) お答えいたします。  個別の内容につきましては個人にも関しますから答弁を差し控えさせていただきますが、基本的な考え方でございますが、さきの土地国会で先生からも御指摘がございまして私ども調査しました結果、東京都の増改築承諾料の算定方法につきましては、東京都は算定の基礎となります貸付土地の評価を相続税課税標準価格をベースとしております。国の場合には、これは時価修正率という言葉を使ってはおりますが、貸付土地の評価に当たりましては公示価格をベースとしております。相続税課税標準価格と公示価格をベースとしている、そのベースが違いますから増改築承諾料に開きが生じておることは先生のおっしゃるとおりでございます。  私どもの考え方でございますが、国有財産の貸し付けに当たりましては、財政法の規定に基づきまして、適正な対価によらなければならないことになっております。普通財産の貸し付けというのは私法上の賃貸借でもございまして、適正な対価とは従来から民間の取引水準に応じたものとすることが最も妥当であると考えておりまして、増改築承諾料についてもこの考え方に基づき徴収しております。  なお、民間では増改築承諾料のベースとなります貸付土地の価格は時価でございます。また、地主と借地人との間で増改築の協議が調わないときに裁判所が解決されることになりますが、この場合も貸付土地の時価額をベースに増改築承諾料が算定されているところでございます。したがいまして国としましては、民間取引に準じた増改築承諾料を算定するためには公示価格をベースとする現行の算定方式がより妥当であると考えております。この基本の考え方はこのまま踏襲いたしますが、ただ増改築承諾料につきましては、先ほど来申し上げておりますように、民間の取引水準に応じまして算定することにしておりますため、随時民間の取引事情を調査いたしまして必要な見直しは行っているところでございます。
  160. 小林実

    政府委員(小林実君) ただいまの御質問の点につきましては、あらかじめお聞きしておりませんで今持ち合わせておりません。
  161. 和田教美

    ○和田教美君 いや、通告しましたよ。
  162. 小林実

    政府委員(小林実君) それは、じゃ事務的にミスがございまして私ちょっと承知しておりませんものですから、早速調べさせていただきます。
  163. 和田教美

    ○和田教美君 大蔵省が考え方を変えないというのは大変遺憾ですけれども、これはぜひとにかく政府の中で、決してちっちゃい問題ではないと思うんですね、ひとつ調整をしていただきたいというふうに要望いたします。  次に、多極分散型国土形成促進法案の内容に入らせていただきたいと思います。  この法案は、東京一極集中機能の分散、それから地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備などによって多極分散型国土形成促進することを目的にうたっております。そして、四全総推進法という性格を持っているというふうに政府は言っておるわけでございますが、ところで、この法案に書かれております多極分散型国土形成という目標は大体いつごろまでに到達するおつもりなのか。先ほどのごあいさつの中にも二十一世紀に向かってというふうな表現がございましたけれども、二十一世紀に初めてできるということですか。その辺はどうでございますか。
  164. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私の決意表明の中で二十一世紀に向かってという表現を使いましたが、二十一世紀というとあと十三年ばかりありますので、一つの言葉の表現だと思いますけれども、努力目標としてそこを目指して我々は新しい時代に対応していかなきゃならない、こういう決意を申し述べた、こう受けとっていただければありがたいと思います。
  165. 和田教美

    ○和田教美君 いや、二十一世紀に入るまでに大体格好をつけるということなのか、二十一世紀に入ってしばらくたってから格好がつくということなのか、その点はどうですか。
  166. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 四全総の計画期間はおおむね昭和七十五年、紀元二〇〇〇年を目標としたものでございます。したがいまして、計画期間内に達成すべき課題昭和七十五年までに達成すべきこととなっておりますが、ただ、四全総は長期の構想計画でございまして、四全総課題の中にはもう少し長期、つまり二十一世紀の初頭十年ないし二十年、つまり今から考えますと約三十年ぐらいの期間にわたって整備していくべき、例えば全国一日交通圏構想というような課題が含まれております。そうした長期の構想課題につきましては二十一世紀初頭までに達成する、こういう考え方になっております。
  167. 和田教美

    ○和田教美君 この法案には、東京都区部における人口、諸機能の過度の集中の是正に資するため行政機関移転に努めなければならないという規定がございます。内海長官も、懸案の政府機関地方移転問題については多極分散を図る竹下内閣政策の柱の一つだ、そして例外を設けると各省庁なかなかまとまらないから原則移転でいきたいんだということを就任後述べておられます。まことに結構だ、そのとおり断行していただきたいと思うんです。  ところが、現実に今の状況は、政府移転計画の作業が各省庁の抵抗によってどんどん後退してきているというふうな報道が盛んに出ておりますね。政府推進連絡会議は第二弾の移転計画について、地方ブロック機関、特殊法人、試験研究機関、国立大学など、東京都区内にある約二百の政府機関移転対象とするということでスタートしたはずなのが、最近の方針だと、その方針を一応棚上げにして二十七の地方ブロック機関移転にまず全力を挙げるという方針に転換をしたというふうな報道もあるわけですが、そういうことになっているのか、それが事実かどうかお答えを願いたい。  とにかくこんな調子で、国土庁長官が幾ら力まれても、なかなか原則移転ということは実現が難しいのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  168. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 就任に当たりまして記者会見の中で申したことだと思いますが、原則移転ということを大臣が明言しなければ、結局例外を認めるという裏が出てまいります。したがいまして、おれの方は例外だ、おれの方は例外だということになると結局何らの目的も達成しない。ですから私は、あくまでも原則を貫きたい。  そして、御審議をいただいておりますこの法案成立さしていただくことによって、この裏づけによって私もある程度強力に、関係機関に御協力をいただいて、ぜひ目的に近づくような方途で地方分散ができるように頑張りたいと思うわけであります。この法案が私のバックボーンになるような形で、政府機関等いろいろな移転について強力に進めていく大きな頼みの綱だと私は思っておるわけでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
  169. 和田教美

    ○和田教美君 もう一つ気になるのは、竹下総理はこの移転問題を政策の目玉の一つにしているわけですが、ところが、四月二十五日の衆議院土地特別委員会で、下から積み上げてきて四省庁の意思統一をして、それから閣議決定に持っていきたい、私が強いリーダーシップで抑えつけようというような思い上がった考えはございません、こういう趣旨の発言をされております。  下からの積み上げを基礎とするならば、各省庁の抵抗で行政機関の実効ある移転などとてもできないと私は思うんで、まさに蛮勇を振るわなければならないのだと思うんですね。また、法律案には民間の施設の移転の定めもございますけれども、政府の方がこんな弱腰というか、ふらふら腰では、政府が民間の範になるということもなかなか難しいだろうと思うんですが、その点についていかがお考えですか。
  170. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 竹下総理の御性格にもよるかと思いますけれども、私といたしましては、この法案を無事成立さしていただきましたら、この法案の成果というものについては私が担当大臣として責任を持つわけでありますから、積極的に関係省庁に呼びかけて実現に向かって協力をいただく、さらに総理にも御協力をいただく、こういうつもりで信念で当たってみたい、こう思っております。
  171. 和田教美

    ○和田教美君 次に、業務核都市の整備の問題についてお尋ねをいたします。  法案の第四章で、東京都区部の人口、諸機能周辺地域への分散のため、東京圏の一都四県、東京、神奈川、埼玉、茨城、千葉ですね、の業務核都市の整備について定められております。そこで、この業務核都市というのの基本方針は、昭和六十年に国土庁が作成した首都改造計画に即して決められるのか、また具体的にはどの地域を業務核都市として予定しているのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  172. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  業務核都市は、ただいま御質問の中にもございました、昭和六十年に取りまとめました首都改造計画の中に定められておりますほか、首都圏整備基本計画においても明記されているところでございます。具体的には、八王子、立川市、これが一ブロックでございます。それから神奈川県におきます横浜、川崎市、これが一つでございます。それから埼玉県の浦和、大宮、これも一つでございます。それから千葉県の千葉市。それから茨城県南部の土浦市と筑波研究学園都市、これも一つのグループでございまして、これを業務核都市と位置づけまして、さらに副次核都市というのを設けております。青梅市、厚木市、熊谷市、成田市、木更津市、これを副次核都市として位置づけておるわけでございます。
  173. 和田教美

    ○和田教美君 業務核都市の基本構想というものは主務大臣の承認を得るということになっておるわけですが、そういう段階になって、この首都改造計画に書いてある地域以上、それ以外のものは新たに業務核都市として指定するという考え方はないわけでございますか。
  174. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 現在の関係計画の中でそう位置づけられているということでございまして、計画の変更及び法律に基づく諸手続が完了すれば、将来にわたって追加することもあり得ると考えております。
  175. 和田教美

    ○和田教美君 ところで、体系的な首都圏の整備を図るためには国の主導が必要とされるでしょうけれども、それならば国の地方に対する資金等もろもろの援助、これも大いにやらなければならないというふうに思いますし、法案にもそう書いてございます。資金の確保に努めなければならないという努力規定があるわけです。これは単に業務核都市だけではなくて、この法案のもう一つの柱である地方の振興の拠点地域基本構想に定める中核的民間施設の設置についても、やはり同様に「必要な資金の確保に努めなければならない。」というふうに書いてございますが、書くことは容易だけれども、先ほどからも議論が出ておりますように、一体どの程度の面倒を見るのか、その辺のところを少し具体的に構想をお聞かせ願いたいと思います。
  176. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) この法案の具体的措置規定であります地方の振興拠点地域の開発整備、それから東京圏におきます業務核都市整備それぞれに国の支援措置、資金の確保を初め、法律に定められております。資金の確保につきましては、例えばNTTの無利子融資制度その他融資制度を講じてまいる所存でございますし、それからまた税制上の優遇措置をいろいろ講ずることにいたしておりますし、それからこれは地方だけでございますが、不均一課税に伴う資金の補てん措置を講ずることにいたしております。  その他、資金の関係ではございませんけれども、公共事業を重点的にその地域に投入する、あるいは地方債の特例を認める、それから農地法に伴う農地転用の許可等に当たって特別の配慮をする、こういった支援措置を具体的に講じてまいる所存でございます。
  177. 和田教美

    ○和田教美君 法案の二十二条では東京都区部の人口、諸機能東京圏へ分散するため業務核都市の整備を図るということがうたってありますが、皮肉な言い方ですけれども、この業務核都市の整備が成功すればするほど、一面東京圏への集中をかえって助長することになりゃせぬか。つまり、なるほど東京中心部からは要するに多少業務核都市方向に拡散をするでしょうけれども、しかし全体としてこの東京圏というものがさらに魅力のあるものになって、全国的にはさらに吸引力をつけて人口を集めちゃう、全体的に人口過密地帯が拡散するというふうなおそれはないかどうか。それを避けるためには、この法案がもう一つの柱にしております地方の振興拠点地域等の開発整備とバランスがとれて進行しなければならない。業務核都市の方が先に進んじゃうというようなことではだめなんですね。  ですから、そういう意味で多極分散型国土形成というこの考え方とどういうふうに整合性をとっていくかというふうな点についてのお考えをお聞かせ願いたいわけです。
  178. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今までの国土開発計画でいきますと、一極集中東京がもうパンクの状態にまで追い込まれてしまった、こういうことから地価高騰、いろいろな条件が出てまいりましたけれども、今先生のおっしゃったようなことが懸念される点も多々あるかと思います。ただ、それは東京の一極という立場に立っての分散であって、多極ということは他の地方にまた東京の極を小さくしたようなものが幾つ中心的な極ができるということにこの法案の中身がなっておると私は思うわけであります。  したがいまして、東京の一極にある中の枠の中で多少わきに広がるかもしれませんけれども、全体的な国の計画としましては、何極かの極、多極になってその地域地域の発展に貢献していく、こういう意味で私は必ずしも、さらに東京集中的にまた一極集中が過大になっていくんではないかという御懸念もおありかと思いますけれども、その一方、多極ということで力を地方の発展に備えてまいりますので、まあまあうまくいくのではないかと私どもは思っております。
  179. 和田教美

    ○和田教美君 そうはおっしゃいますけれども、この法案では東京圏のみについて業務核都市の整備ということが決められておるわけですね。それで、今大臣お話のようなほかの極になるべきものというのは、例えば近畿圏、中部圏というようなものもございますね。その大阪圏、名古屋圏というふうなものについての業務核都市というものは全くないわけですが、それはまた別に考えるということなんですか。その点はどうですか、特に東京だけということにしているのは。
  180. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  業務核都市については、首都圏計画で定めました後に近畿圏計画が定められ、さらに中部圏計画が現在作業中でございます。この近畿圏、中部圏両計画の作業段階で地元公共団体及び財界等にいろいろ御相談申し上げたわけでございますが、大阪及び名古屋といたしましては、まだ首都東京との関係で中枢管理機能を大いに呼び寄せたい段階である、目下綱引きの段階にあるので、まだ大阪の中心、名古屋の中心から分散を計画的に図るには時期尚早という御意見でございました。首都圏においてそういう施策をおとりになることは必要であろう、いずれ名古屋、大阪がそれについていけるような実力を蓄えたいというような御意見でございましたので、現在、そういう必要が生じた段階で法整備をすることにいたしまして、首都圏だけにいたしております。
  181. 和田教美

    ○和田教美君 次に、この法案のもう一つの柱である地方振興開発についてお尋ねしたいんですが、この法案で定めております「振興拠点地域基本構想」というもの、これは従来の地方の振興計画と一体どの点が違うのか、御説明を願いたいと思います。
  182. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 法案の制度を一々御説明申し上げることは控えますが、従来の地域開発制度と異なった新しい点といたしまして私どもは四点考えております。  一つは、従来国が地域指定をいたしまして、国主導型でおおむね地域開発を進めてまいりましたが、今回の場合には地域主体の地域づくりということで都道府県が主体となって基本構想をまとめてもらう、これを国が承認する、こういう制度にいたしております。  もう一点は、複合的な機能集積を図るということでありまして、工業機能だとかあるいは観光機能だとか、単機能でなくて現代の経済社会情勢に適合した複合的な都市機能の集積を図っていくということを考えております。  第三には、国、自治体による一体となった支援措置を講じていくということでございまして、具体的には必要に応じて促進協議会をつくり、関係機関が一緒になって構想を推進していくという仕組みをつくっております。  第四点は、この法律に基づく独自の、先ほどちょっと申し上げましたような独自の支援措置のほかに、既存の民活施策その他各般の諸施策を総合的に活用して、糾合して地方圏における拠点整備に役立てていこう、こういう考え方をとっております。  以上四点が大体従来の制度に比べて非常にユニークな新しい点ではないかというふうに考えております。
  183. 和田教美

    ○和田教美君 第七条では振興拠点地域基本構想を都道府県が作成するというふうになっておりますが、この振興拠点地域というのは各都道府県で大体めどとしてそれぞれどれくらいの数を想定しているのか。もちろん、広さだとかあるいはそれぞれの府県の特性によって数は一定できないと思いますけれども、それにしても大体、そんなに数が多くないと思うんで、その辺をまずお聞かせ願いたいのと、もう一つ、主務大臣による振興拠点地域基本構想の承認の条件として人口及び諸機能が過度に集中している地域及びその周辺の地域以外の地域となっておりますね。つまり、人口及び諸機能が過度に集中している地域はこの対象から除くということになっておるわけですけれども、この対象から除かれる地域というのはどういうところですか。大都市というふうに考えていいんですか。もう少し限定されておるのか、お答えを願いたいと思います。
  184. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 拠点地域の整備は、都道府県が地域の特色を生かしながら構想を立てるものでございますので、あらかじめ国のサイドから数や場所を決めてかかるということはいたさないのであります。したがいまして、一つの県の全域に振興効果を及ぼすような拠点整備ということを一つ考えられる県もあるでしょうし、それから複数の県が連合してもっと大きな拠点整備を考えられる場合もあるでしょう。あるいはもう少し小さい範囲で、県の中で二つか三つの構想を長期にわたって考えられるところも出てくると思います。ただ、いずれも熟度に応じて逐次承認をして推進を図っていくという構想でございますので、全体で何カ所というふうに指定して用意ドンで一斉にスタートする、こういう制度ではございませんので、ある特定の地域にたくさん基本構想が出てきて別の地域は全然出てこない、そういう偏りがないように考えていきたいというふうに、数の問題はそのように考えております。  それから、過度に集中した地域は避けると条文にございますのは、具体的には東京圏における既成市街地、本当の都心に近い地域、それから名古屋圏における名古屋の旧市街地、それから近畿圏の既成都市区域、そういったところは拠点整備の対象地域から外したいというふうに考えております。
  185. 和田教美

    ○和田教美君 拠点地域基本構想の承認の問題ですけれども、今までは国の方でまず方針を示して、こういう方向をとるなら国は許可しますぞ、認可するぞ、あるいは援助しますぞというふうな行政指導をやっていたわけですね。今回は、先ほどから説明がありますように、地方の創意工夫、自主性を尊重するということで、国の関与の仕方としては承認という割とソフトなものになっておると私も思います。しかし、地方の振興開発であるから地方の自主性を尊重するのはもうこれは当然のことであって、今言いましたように従来の政府の姿勢から比べるとあるいは一歩前進とも受け取れますけれども、しかし具体的な問題になってくると国が関与する。例えば承認に当たる主務大臣、これをちょっと調べてみましたら、これは第二十五条でちゃんと書いてあるんですけれども、総理、農水、通産、運輸、建設、自治及びその他の大臣というふうに、これだけでももう大変数が多いわけですね。そういうことから、実際の事務をやってくると、各省庁の思惑部分が絡んで、地方の独自性が薄められる。船頭多くして船山に上るというふうなことになって、この法案が絵にかいたもちになる危険性を十分持っていると思うんですね。  それだけに国土庁の調整官庁としての役割は非常に重要だと思うんです。将来の方向としては国の関与はだんだん原則としてやめる方向に持っていくぐらいのことをしなければならないと私は思うんだけれども、その辺について、国土庁長官とそれから自治大臣のひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  186. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) まず私から、制度の仕組みの面でおっしゃる趣旨の点をお答え申し上げたいと思いますが、先生御指摘いただいたように、今度は承認基準を定めてその基準に基づいて県の構想を承認する、そういうソフトな仕組みにしておるわけですが、その承認基準自体もいわゆる繁文縟礼は避けまして、ごく基本的な要件を定めまして、それに該当すればできるだけ都道府県の裁量の余地を大きくするような形で承認してまいるつもりでございます。  また、先ほど申しました具体的な支援措置の一環として既存の民活法に基づく支援措置を考えておりますが、その場合にも従来の民活法に基づく規模の要件を十億から五億に引き下げる、あるいは施設に関するかなり細かい要件につきましても緩和措置を考えていく、こういったことを考えておりますので、従来以上にはるかに地方公共団体の自主性が尊重される制度になっているというふうに考えております。
  187. 和田教美

    ○和田教美君 地方への権限移譲という問題については私もぜひ質問したいと思っておったんですけれども、時間も参りましたので、その点は既にもう質問も大分出ておりますから省略をさせていただきます。  そこで、運輸大臣がせっかくまた来ていただいたので、ひとつ鉄道新線の問題についてお聞きしたいわけです。  東京周辺地価の異常な高騰によって、通勤新線の計画が、例えば常磐新線だとか、そういう計画の見通しが立たなくなっている、あるいは大幅におくれそうだというふうな報道が最近ございました。現在の状況はどうなっているのか、果たしてめどがつくのか、その辺のところを、どうなっておるのかということが一つと、それからもう一つ法案の第二十七条でございますけれども、宅地開発と鉄道新線の建設の一体的推進ということがうたってございます。それは具体的にどういう施策考えておるのか。例えば鉄道会社に土地の先買い権を認めるかわりに鉄道会社に転がり込む多大な利益を駅前の周辺開発あるいは地方公共団体を通じての社会資本の整備というふうなものに充てるという開発利益吸収という考え方なのか、それともその利益を鉄道の新線の延伸費用に充てるということなのか、いろいろな考え方があると思うんですが、運輸省としてはどういう考え方なのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  188. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 東京にかかわります交通問題で常磐新線というのは焦眉の問題でございますけれども、なかなかいろんな問題がございまして思うようにまいりません。具体的な御報告は政府委員からさせていただきますけれども、百年河清を待つようなことがあってはならないと思うのですが、いろんな障害がございます。  それから、今度の法律案の二十七条二項では、非常に住宅需要が多い大都市地域においては、宅地開発と鉄道新線の建設を一体的に推進するために必要な措置を講ずるよう努めることが求められておりますけれども、その具体的な方策、つまり宅地開発と鉄道整備との整合性確保、また用地取得の円滑化と開発利益の還元施策については今運輸省と建設省中心となって検討を進めております。ちょっと両省の間に議論の食い違いもあるようでありますけれども、それをもすり合わせておりますけれども、いずれにせよその際、鉄道用地取得の円滑化という重要な問題を進めるために、その手段の一つとして運輸省は鉄道事業者に対する先買い権の付与を考えようと思っておりますが、ただ、これはまたいろいろ派生する問題がございますので、どういう形にするかということを今建設省と討論している最中でございます。必要がありましたら、具体的には政府委員から答えさせます。
  189. 熊代健

    政府委員熊代健君) 基本的に大臣が御答弁申し上げたところでございますが、東京圏の鉄道網整備の状況について、それから協議の中身について少し御説明したいと思います。  六十年の七月に、先生御承知かと思いますが、東京圏の鉄道整備、これは一応二〇〇〇年、昭和七十五年を目標にした高速鉄道網を中心とした交通整備ということでやられております。そこで指摘されております新線建設あるいは複々線化というものは全体で約五百三十キロという量に上ります。現在までに約五十六キロが開業いたしております。現在、百六十六キロにつきまして工事中でございます。  それから先生御指摘の常磐新線等につきまして、ほかにもMM21線とかいうような具体的な構想がございます、これらにつきましては関係者も多いのですけれども、運政審の答申自身も、特に常磐新線については重要な路線ということを指摘しておられますので、一都三県並びにJR東日本、運輸省ということで具体化のための検討を鋭意続けております。MM21につきましても似たようなことで、今後その計画実現のためにいろんな難しい条件はございますが、運輸省として最大限努力をしていきたいと思います。  それから先生御指摘の先買い権の問題でございますが、これは用地を広くということじゃございませんで、千葉ニュータウン等におきます事例にかんがみますと、宅地の整備と鉄道の整備がえてしてそごを来しやすい。これを一体的にやるシステムというものと、それから具体的に土地を買う場合に、鉄道事業について現在いわゆる先買い権が認められておりませんので、その路盤といいますか、線路を敷設するのにせめて先買い制度というものを認めたらどうかなということで検討しておりますので、当然鉄道の敷設のためのコストを下げるといいますか、非常に膨大な資金が要るものですから、そちらの方向での考え方で現在建設省と協議を進めておるということでございます。
  190. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 和田君の質疑は終了いたしました。  次に、内藤君の質疑に入ります。内藤君。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 午前中に大臣東京一極集中がこの法案で本当に是正できるかという点についての直接の質問を行ったわけでございますが、私の提起をした東京湾岸のいわゆる臨海部開発計画初め四十万の就業人口を予定しておる諸計画について、これを集中是正という観点から見直す、規制する、こういう方向、御答弁が全然ない、こういうところで午前中の私の質疑の時間が終わったわけであります。  本法案四全総推進法案と言われておるわけですが、四全総はそもそも、東京圏が金融、情報等の面で世界の中枢的都市、そういう都市一つとして発展するということを強力に押し出して、そのために都心部東京湾臨海部の総合的整備を進める、こういうことが主軸で貫かれてしまっておるんです。私は、ここのところにやっぱりメスを入れなきゃならぬという観点で質問したいと思います。  四全総の決定前にたしか住友不動産の安藤太郎会長が、この方は国土審議会の会長でもあるわけですが、時の総理に提言を出しまして、その中で、東京中心部等に立地する事務所の費用負担のあり方等の検討に当たっては、いたずらに東京からの事務所の追い出しをねらいとすることなくということを特に強調したんです。その影響を受けたと思うんですが、四全総の中では、東京中心部等に立地する事務所の費用負担等のあり方も含め幅広い観点から適切な措置を検討する、こういう何か非常にあいまいな結果になってしまったんです。この委員会で私前に奥野大臣にも質問したんです。やっぱりこれでは本当の規制にならぬ。私は午前中の時間で時間が足りなくてそこまで提起はできなかったんですが、新たな二十四時間営業と言われる内外多国籍企業の事務所の東京都内への進出、これを規制するということを真剣にお考えいただく必要があるんじゃないか。立地の規制ですね。それから要すれば、今たくさん出ております、例えばこれは三月二十六日付の「東洋経済」ですが、この中にもいろいろな計画が数十件あるようですね。こういうものを見直す。全く無政府状態です。それから許可制あるいは特別の事業所税の検討ということを真剣に考えなきゃならぬ。  今私の言った幾つかの問題のうち、その一部でも今お考えになっておることがあるのかないのか、この点をまず伺っておきたいんです。
  192. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 五十年代の後半以降起こりました東京一極集中の現象は、東京にも弊害をもたらし地方にも弊害をもたらしたわけであります。東京にも弊害をもたらし、地方にも過疎化の進行とか構造不況の進展とか両方の弊害をもたらしたわけでありまして、四全総はその両方を解決し、東京もこれから世界都市機能を担う都市としてふさわしい都市に再編成しよう、そういう考え方に立っておりますので、この法案もそういう考え方に沿って東京圏を多核多圏域の都市として再編整備していく。同時に、地方を拠点整価を通じて振興していく、こういう考え方に立っているわけであります。  そういう全体のフレームワークの中で、単純にいわゆる追い出し税というものを採用するかしないかという議論でなくて、財政、金融、税制と幅広い角度からこの問題の検討を深めていく、こういうことになっておりまして、私どもも鋭意今後検討を積み重ねていく、そういうつもりでございます。
  193. 内藤功

    ○内藤功君 追い出し税を単純なという表現を使って言われるんですが、私が納得できないのは、こういう方法もあるああいう方法もあると具体的な規制の方法を出してそして言われるならいいんですが、何にも方法がないんですね。これが非常に今の御答弁、私の納得できないところなんです。  私が今朝来非常に執拗にこの点が根本問題だと政府に迫っておりますゆえんのものは、大変失礼ですがなめられているんじゃないかという感じがするからなんです。  一つ具体的に出しますと、例えば、今度は三井不動産の会長坪井東さんという方ですね。この方は行革審の土地対策検討委員会の主査代理をやっていらっしゃるわけです。最近出ましたある雑誌で、これは「Will」という雑誌でありますが、対談でこうおっしゃっていますね。「臨調政府も、東京一極集中を何とか避けようといろんな方策を打ち出そうとしていますが、どういう手を打つにしろ中途半端なことでは解決しないんじゃないかと思います。東京一極集中はますます進むんじゃないでしょうか。」と、こうその対談の相手が聞いたのに対して、「そうですね。まず止められないと考えるのが正解でしょう。残念ながら……。」と、こう言っておりますね。  これは私は、長い対話ですけれども、この中で非常に核心をついていると思うんです。これはやれるならやってみろという開き直りじゃないですか。今こういう法案が出ているけれども、やれるならやってみろと。行革審の担当者で大手不動産の一方の旗頭の坪井さんがこういうことを言っている、こういう状況なんです。  だから私はこの法律が無力だとは言いません。使わなくちゃいけないんです、できる以上はね。しかし、並み並みのことじゃこれはできない、中途半端なことじゃできないと思うんです。ですから、私はさっき言ったような数項目の規制を真剣に考える必要はないかと提起したわけなんです。今度は大臣いかがですか。
  194. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今先生から御指摘になられた安藤さん、住友不動産の最高責任者でもあるわけでございますし、また坪井さんは三井不動産というような、いずれも不動産業界の大物と言われる人たちだと私は解釈しておりますけれども、その方たちの認識と行政の方の責任を持っております私どもの考え方というのは当然開きがあると私は思うんです。事業をやっておられる方と、それを行政的に指導し国民的立場に立って行政を行うという者の考え方というのは開きがあって当然だと思います。  したがいまして、そういう指導立場にある方方も、やはり一極集中東京よりも多極分散型の、政府が今度国会にお願いして成立を図っておるこの法律ができれば、やっぱり魅力ある町づくり、魅力ある多極分散日本国土形成ということに乗りかえるというくらいな考え方も当然ああいう企業のトップの方でございますからあると思うんです。  ただ、現状におきましてはそういう方々のいろいろな土地、建物、その他いろいろなものを従来からの一極集中の中でやっておられますから、これがこの法律ができることによって、なるほど自分たちも新しい時代に対応して二十一世紀に向かっての国づくりは別な方向考え方を変えなければいけないかなという、ある意味における、国会の御審議を得てこれが成立するということは国民の皆さん方のコンセンサスを得たものだと、こういう解釈に立てば当然御理解をいただいて協力をいただけるんではないかと、私はそう思っております。
  195. 内藤功

    ○内藤功君 国家全体の立場からの政府立場と事業者の立場は違うという前提は当然だと思う。その立場に立つならば、少なくとも私がさっき提起をした幾つかの命題のうちの一つ二つぐらいはここでやるというお答えがあって初めて、そういう業者の方も、政府決意、その法の持っている決意、威力というのを感じると思うんですね。このことを申し上げておきたいと思います。  それでは次に、法案の内容に若干入りましてお伺いいたしますが、「業務核都市」の問題なんです。  まず、細かいことでありますが、業務核都市についてはどんな地域を考えているのかということと、いわゆる「東京圏」は政令で決めるといいますが、具体的にどんなことをお考えになっているか事務当局からお伺いしたい。
  196. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  業務核都市は首都圏基本計画等において既に名称を出して定められておりますけれども、八王子、立川がこれが一つでございます。それから横浜、川崎市、これも一つでございます。それから浦和、大宮地区でございます。それから千葉市、それから土浦市、筑波研究学園都市、以上が業務核都市でございまして、このほかに副次核都市として青梅市、厚木市、熊谷市、成田市、木更津市、これが計画上の業務核都市として位置づけられているものでございます。  それから東京圏のことでございますけれども、これはこの業務核都市を想定しておりまして、いわゆる近畿圏、中部圏等においてこの位置を定めないということのために、この法律上で特に東京圏ということで限定的に扱っているわけでございます。
  197. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問をよく聞いていただきたいんですが、法案の二十二条で、区部と社会的経済的に一体である政令で決める区域というのはどういうところをお考えかという質問なんですがね。
  198. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 失礼いたしました。  既成市街地と近郊整備地帯でございます。
  199. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し具体的に地名で言えないんですか。
  200. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答えいたします。  既成市街地は東京都区部、それから武蔵野市、三鷹市でございますね、三鷹市の一部だと思います。それから川崎市、横浜市の一部でございます。近郊整備地帯はその周辺でございまして、かなり幅広い地域を定めておりますので、後ほど資料として提出いたしたいと思います。
  201. 内藤功

    ○内藤功君 東京の区部に一番近いところで例を挙げてそのイメージを聞いていきたいと思うんですが、立川、八王子業務核都市ですね、これはどういうような構想であるのか。それからその場合に、立川市と八王子市というのはくっついているわけじゃなくて、その真ん中には昭島、日野、多摩というような市が存在するわけですね。これは一体、この業務核都市という構想の中に含まれるのかどうかという点をちょっと伺っておきたい。
  202. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 立川、八王子の業務核都市に係る計画構想は、先ほど申し上げましたとおり第四次の首都圏基本計画において定められておりまして、類似のその定めをしておりますのが第二次の東京都長期計画等がございます。第四次の首都圏基本計画におきましては東京中心部と連携をとりながら適切な機能分担を図るというところで立川、八王子ということでございますが、その両市の区域に厳密に限定しているわけでございません。隣接の昭島市等についても含まれる可能性がございますが、これはこれからの法律成立後の計画の内容にわたるものでございます。
  203. 内藤功

    ○内藤功君 この立川、八王子業務核都市に企業立地を希望する企業の状況、需要といいますか、そこに入りたいというそういう状況を政府としてはどのように把握し、見通しておられるか、その根拠があればお示しいただきたい。
  204. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 具体的な事業の計画策定等につきましてはこれからのことと存じますが、私どもでアンケート調査的なことを行ったことがございます。ただしこれは具体的な各企業の立地の意向を個別的に確かめたものではございませんで、例えば八王子、立川に対する企業のイメージ調査、どのような印象を持って見えるかというようなこととか、その企業自体について将来の、八王子、立川とは限定しておりませんが、本社移転の計画等をお持ちかというようなことをお尋ねしたものでございます。したがいまして、具体的に私どもとして個々の企業あるいは企業グループとしての動向を把握しておりませんが、私どもの本来の業務核都市の性格からいたしまして都心部からの企業の誘導ということを中心としてこれから考えてまいりたいと存じます。
  205. 内藤功

    ○内藤功君 この立川、八王子にどのくらいの従業者を誘致してどのくらいの規模にするという計画が、今国土庁の方での見通しあるいは認識というものがおありですか。
  206. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  具体的な雇用の創出という点では詳細な数字というものを詰めておりません。全体としての就業人口の増加というような中で具体的な数字というものはこれから定められるというふうに考えておるところでございます。
  207. 内藤功

    ○内藤功君 八王子、立川では国土庁それから建設省が入りまして具体的に企業立地の調査昭和六十年から六十一年にかけて実際に行ったことはありませんか。国土庁の大都市圏整備局、防災局、建設省建設経済局、都市局、道路局、こういったところの人が入りまして民間の法人等の協力も得て、そして具体的に幾つかの企業に対して立川、八王子に実際本社を移す気持ちがありますか、計画がありますかというような調査をやったことがありませんか。
  208. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 先ほど申し上げました意向調査というようなことでございまして、国土庁がやりました調査でございます。昭和六十年から六十一年度二年間にわたりまして調査いたしました。調査費といたしまして行政部費として約七百万円をかけておりますが、この調査内容は立川、八王子業務核都市の位置づけとかその役割とかというものを把握しようということでございまして、その一環といたしまして企業の立川、八王子業務核都市というものに対する、構想に対するイメージと申しますか、いわゆるどういう印象を持ってとらまえているか、どんな例えば好もしい印象があるのか、あるいは例えば問題点があるのかというような調査をしたわけでございます。
  209. 内藤功

    ○内藤功君 小出しに言われるんで私の方からずばり言いますが、この立川、八王子地域への企業立地調査というのをやったんだけれども、本社を立川、八王子に持ってこようという企業はほとんどゼロに近かったんですね。そして一番多いのは店舗、それから教室ですね、いろいろ教える教室、そういったものを立川、八王子なら持っていきたいというのが一番多かった。それからその次が営業所ですね。それから倉庫、配送部門、それから事務、計算部門と。本社はやっぱり東京の区部に置いておいて、立川、八王子に持ってこようという企業はほとんど見られなかったと。私はこういう数字をつかんで聞いておりますが、いかがですか。
  210. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  立川、八王子地区開発整備に対する要望という形でとっておりまして、必ずしも個々の企業の移転動向というものを的確にお聞きしたわけではございません。ただし、イメージ調査という観点からいたしまして、各企業が立川、八王子というものをうちの企業でこう位置づけておりますと、例えば現在事業所を持っておりますとか、あるいは倉庫を将来つくりたいとか、そんな御回答があったと承知しております。
  211. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、立川、八王子両市では専門家、学者を入れ、国土庁建設省、運輸省等の本省課長を入れた実際の調査委員会をつくって、実際の調査はこういう国土庁の人や何かが入ってやっているわけですね。私のここに把握している数字を申し上げてもいいですけれども、この調査の結果一番多かったのは店舗、教室を持っていくのにいいというのが一番多かった、本社はやっぱり東京に置いておくと。こういう意向で、私はこれで果たして東京区部から業務核都市としての立川、八王子にこういう移動といいますか、東京都心部における一極集中を立川、八王子に持っていくことができるかどうかということは、この今の日本の企業の状況では非常に疑わしいということをここで私の判断として申し上げたいと思うんですが、国土庁いかがですか。
  212. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 企業と申しますのは、現時点での町の実態等におきまして、あるいは現在までの動向によりまして判断されるものでございます。  私どもで考えております計画というのは、将来国とそれから地元とが協力いたしましてそういう方向開発整備をいたしたいということでございますから、現在の都心部の例えばオフィスの床の賃貸価格等を調査いたしますと、もう既に大阪の倍あるいはそれ以上に超えているというような状態がございまして、東京周辺、比較的近傍に例えば半値以下での床が供給され事務所が供給されるということになりますと、例えば本社そのものは移転しなくてもバックアップをするといいますか、その相当の機能部分が移転できるという可能性も私どもはあると考えまして、今後さらに詳細にそういう意味での可能性の調査等も踏まえながら進めていきたいと考えております。
  213. 内藤功

    ○内藤功君 だんだん質問してきますとわかってきましたが、法律はつくったんだけれども何にも裏づけというか、手のない、ただつくったと、つくってみましたという感じがだんだん私はしてきたんです。間違っていたら反論をしてもらいたいのですが、容易なことじゃないと思うんですよ。  八王子というのは、昔の江戸と甲州の間に存在する都市で、産業の長い歴史を持ったところですよ。それから今度は圏央道というのをあそこへつくろうとしている。圏央道問題を抜きに八王子、立川業務核都市が成り立ちますか。大変な反対運動をやっているわけですから、八王子、立川は。それからハイテク産業というのを入れて、それでこの地域の産業の活性化が図れるかどうか、今までの八王子、立川の産業の活性化が図れるかどうか、これも疑問ですしね。それから国道十六号線の交通を緩和するためと称して圏央道を入れたのだけれども、逆にこれが交通の渋滞を新しくつくるという問題があるんです。  それから地価高騰、これは四月の十六日付の新聞ですが、八王子市が郡から図書館の跡地を払い下げる、六十億円かかるというのです。三・三平米当たり千四十二万円にこの八王子市の北側の土地が値上がりをしているというこういう地価問題。下水道普及率は二二・五%で、こういうものが片づかない業務核都市東京都心に次ぐ都市なんというのが果たしてあり得るかどうか。もう問題点がいっぱいありますよ。  先ほども同僚議員が言いましたが、業務核都市という非常に華やかなものが先行して、そしてこのアンバランスのあるものが次々とできていく、しかも、その具体的な内容ははっきりしていないということじゃないんですかね。いかがですか大臣、今までの問答、まだいっぱいありますけれども、幾らでも続けますけれども、これは業務核都市というものが一体どういうイメージを持っているのか。ただ法案でつくっても、それが一極集中是正のような目玉になり得るのかどうかという点、今の問答を聞いてどうお考えになりますか。
  214. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 承っておりますと、地元には地元としてのいろいろな事情もあるかと思いますが、それを行政の側に立つ者が理解を求め、協力を求めていくのが我々の仕事だ、こういうように考えておりますので、さらに努力をして、業務核都市というものが有効に地元の発展につながるものであるという認識を持っていただくように我々も努力しなきゃならぬ、こう思っております。
  215. 内藤功

    ○内藤功君 努力にも見通しのある努力と徒労なものがあるということを申し上げておきたいと思うんです。  そこで、次に進みますが、こういう東京一極集中というものが進む中で一番被害を受けているのはやはり都市住民。特に東京では世帯の六割が借家人だと言われておりますね。特に年配の方、お年寄り、それから病人の方、体の不自由な障害者の方、それから母子家庭などの所得の低い方、もろにやはり地代、家賃の問題、それから明け渡しの問題が直撃しているわけなんです。  私自身、この間、久しぶりですが借地借家法律相談所というところへ行きまして、自分で何件か当たってみました。それから法律事務所の方々に最近の借地借家の傾向も聞いてみたんです。それから東京で一番大きな組織を持っている品川の借地借家人組合というところへ行って傾向をずっと聞いてきたんですが、最近の相談の九九%は建物明け渡し要求を受けてどうしたらよいかという相談です。これまではそんなに多くなかったんです。  これまでは、更新料というのは払う義務があるかどうかとか、建物が古くなった場合の明け渡しの問題とかいうのがあったんだが、そういうのは最近ぐっと姿を消して、今まだ老朽化していないんだが建てかえをしたい、あるいは土地の有効利用をしたいということで出ていってくれと。法律的に言うと解約申し入れとか更新拒絶とか言うわけですね、そういうのが多い。それから、内容証明郵便が来て法的にというのはなくて、大体、おれが買ったんだといって地上げ屋さん、それにまがうような方が登記簿にも名前が出ていないのにおれが持ち主だといってやってくるというのが多い。最初にマンション計画に協力するという文書に三文判を押させるんだそうです。そして外堀を埋めておいて、この間あれに判こを押したんだから今度は立ち退き料が幾らだと、こういう順番で来るのが多いと、こういうようなことを私どもいろいろ聞いてきました。  まずこれは、現在東京都内でかなり高齢者の方が八十歳、九十歳の方も含めて都心部に住んでいるんですが、移転料で数千万の金をもらいましても、税金で、まず五千万もらった人は千七、八百万取られる勘定になりますかね。残りのもので今度は行こうとしたって、買う家もないし、それから六畳一間七万円とかワンルームマンションが十万円から十数万円というところもありますから、これは新しい借家へ入ろうといったって、とてもこういう人は無理だと思うんです。今の東京の老人問題の根本は、東京だけじゃないと思います、都会の老人問題の基本は老人の住宅問題、受け皿をどうするかということと、それから守ってやる手はないか、法的に、裁判所も含めて。この二つが私はもう非常に深刻な問題だと思うんです。これは政治の、やはり国政の問題だというふうに本当に感ずるわけなんです。  そこで、私はまず、これは建設大臣のお仕事だと思うんですが、西ドイツでやっておると言われるような、いわゆるアパート、マンションの建設に際して、低家賃の入居者を入れるという方針を持ったアパート、マンションを建てる人については低利子あるいは無利子、長期で、西ドイツでは百年返済というのがあるそうですが、長期、低利子あるいは無利子の融資をしていくというような制度の創設の問題、これをやっぱり真剣に考える必要があるんじゃないか。  もう一つは、家賃補助制度です。お年寄りなどに対する家賃補助制度の創設をやっていく必要がないか。建設大臣それから建設省の当局は、国会答弁では、支払い能力がどういうふうに把握をされるか、あるいは家賃補助制度実施のため新たな膨大な人員、組織、体制が必要だろうというようなことを言いまして、まだ研究課題だと言っておるんですが、私はやっぱりもう一歩進めて、研究課題じゃなくて、これを実際実施に移すという真剣な検討を始めていく必要がある。これは余りゆっくりというわけにいかないですね、高齢化社会に臨むに当たって。高齢化社会は医療保険や年金だけじゃなくて住宅をどう保障するかというのが問題だと思うんですが、これは去年の十二月に私がこの委員会でも問題提起をしてありますから、あれから約五カ月たっているから大臣も当局も必ず研究しておられると思うので、再度まずこの二点についてのお考えを伺いたいと思うんです。
  216. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) まず、西ドイツで行っております社会住宅と称します、低利でもって融資をいたしましてこれを償還率一%——一%というのは利子でございませんで、償還の率が一%という形でもって、低額所得者に対しまして住宅供給をしているという施策がございます。  こういう施策に対しまして我が国としましては、そういう低額所得者に対しましては、まず公営住宅というかなり手厚い、国の補助金を投入いたしまして公共団体が直接経営するというそういう制度が現にございますし、また民間の賃貸住宅供給に際しましては低利の資金、公庫資金でありますとかあるいは住宅公団方式を使いまして長期の割賦ということで低利の資金を使う、そういう形になりますけれども、こういう方法でもって民間賃貸住宅供給にも施策上これを対象として取り上げているところでございまして、こういう制度、西ドイツにもいろいろな施策はございますけれども、それはその国の社会情勢、いろいろの状況の違いによりまして、それぞれの社会の中で一つ方式としてそれぞれ定着しているところでございまして、西ドイツの問題につきましてはいろいろと勉強はしておりますけれども、我が国といたしましては現在の施策を重点的に充実してまいりたいと、こう考えているところであります。  また、民間に対します家賃補助の問題でありますけれども、これにつきましてはまず対象といたします世帯を確定するというような事柄、それからどの程度の居住水準を目標に置くかというような事柄、あるいは補助の金額をどの程度にするかという事柄、いろいろございます。  それからまた、先ほど御説明いたしました公営住宅というかなり手厚い低額所得者対策施策が現に実効を上げておりまして、これが日本の国としましては定着をしております。そういうこととの整合をそれではどういうふうにとっていくかということもこれ問題でございまして、そういう点におきましてこれは研究をさせていただいている、こういうところでございます。
  217. 内藤功

    ○内藤功君 まだ実態を中央官庁は十分把握していないと思いますね。  これは読売新聞の五月八日付ですが、地価高騰やアパートの建てかえで立ち退きを迫られるひとり暮らしのお年寄りが激増している。毎日新聞の四月二十日付夕刊にも、駅、地下道などで野宿をするお年寄りがふえていると、こういうことが出ていますね。現在、民間の住宅から出ていって、さっきのように新しい借家を求めようとしても、不動産屋でほとんど断られて行くところがない、こういう深刻な社会問題が発生しています。私が三番目に提起したいのは、東京の中野区を初めとする七区二市で現在、ひとり暮らしの六十五歳以上の方のために民間アパートを借り上げて、所得に応じて五千円ないし五万円の家賃で提供する、こういういわゆる老人アパート借り上げ方式というのがとられているんですね。時間の関係でこの内容の詳しいことは私は今申し上げられないけれども、こういう方法をやはり国全体としても検討する時期に来ていると。目黒区では、最近、二部屋の空き室を募集したところ四十六人応募者があったと。  こういう状況で、もう地方自治体だけにこれを頼っていることはできない。住宅政策の一環、老人政策の一環としてこれはやるべきことだ。本当なら厚生省と一緒になってこれは内閣レベルでやるべき問題だと私は思うんですね。この老人アパート問題についても昨年の委員会で私は提起をしたし、御研究なさっていると思いますが、建設省いかがですか。
  218. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 老人の住宅問題につきましては、それぞれ老人の住宅の困窮している状況に応じましていろいろの成果の適用があろうかと思いますので、例えば生活保護世帯につきましては住宅扶助の制度が現にございますし、それからまた低額所得者の世帯に対する住宅供給対策としましては公営住宅の制度がございます。また、この公営住宅の適用に当たりましても、老人の一人世帯も施策の対象とすることにいたしまして、公営住宅制度ができました時点におきましては同居をいたします親族を必要とすることでございましたけれども、途中におきまして改正いたしまして、現在では男子につきましては六十歳以上、女子につきましては五十歳以上ということでもって、単身の老人世帯も施策の対象にしているところであります。  東京の中野区を初め各区で実施しております老人のアパートの借り上げ制度と申しますのは、いろいろの事情で住宅に困窮される方々に対しまして、例えば和室の六畳と台所がついている小規模のものを区が借り上げまして、それをごく低家賃で実施するというようなことでございまして、こういう施策につきましてはこれは住宅対策として建設省の所管する事柄であるのか、あるいは老人の施設として厚生の福祉のサイドから対応する事柄であるのか、そこら辺のところにつきましては各区独自の判断で、それぞれ規模は小さいですけれどもやっておるところでございます。  したがいまして、今後の老人対策の問題につきましては、高齢化社会がこれから厳しい状況で来ますので、こういう各般のそれぞれの施策を整合をもって実施すべく、厚生省当局とも御相談を申し上げながら新しい施策について取り組んでまいりたいと考えております。
  219. 内藤功

    ○内藤功君 厚生省に言えば、住宅だから建設省の問題だと。建設省に言うと、福祉の問題で厚生省。こういうことを言っていちゃやっぱりいかぬと思うんですね。政府全体での総合的な対策が望まれるわけですよ。  最後に私は、外務省と法務省にも来ていただいておりますので、時間の関係でまとめて一問ずつ質問しますから明快に答えてもらいたい。  法務省には、現在のこういうお年寄りを初めとする都市部の住宅状況の窮迫した状況でありますから、こういうときに追い打ちをかけるような借地借家法の改定というのは思いとどまるべきだと私は思っているんです。法務省は今借地借家法の改定をやって、いわゆる解約申し入れ、更新拒絶に必要な正当理由の中に土地の有効利用というようなものを入れて明け渡しを緩和するという方向と伝えられておりますが、この作業の現在の実施状況、それから見通しというものはどういうふうになっているかという点をお伺いしたいと思うんです。私は、大正八、九年の借地借家法ができたとき、昭和二十一、二年の終戦直後の住宅難の改正のとき、それ以上の必要性をもちまして現行の借地借家人保護の規定は少なくとも維持されるべきだということを強く主張したいと思うわけであります。  もう一点外務省に伺いたいのは、最近ある発展途上国の在日公館、大使館ですがね、家主から、これもやっぱり建てかえをやるというので賃貸借契約更新拒絶の申し入れを受けて、そしてどうしたらいいか対応を迫られてある人のところに相談に来たということを、私は漏れ承ったわけなんです。条約によりましても、外国公館に便宜を与えるというのは各接受国の義務というふうに条約上されておる。日本には百五の大使館があると言われておる。こういう問題について宇野外務大臣に対して三十数カ国の在日公館の代表の方が善処を求めに行ったところ、宇野外務大臣はこれについて対応を約束されたという報道を私は見ましたが、これは当然のことだと思うんですね。こういう認識と、それに対する対応はどうなっておるのかという点を、時間の関係で便宜上二つを一時にやりましたが、御答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  220. 細川清

    説明員(細川清君) お答え申し上げます。  法制審議会における借地法、借家法の改正作業の状況でございますが、この作業は昭和六十年六月から準備的作業を始めまして、同年の十一月に借地借家法改正の問題点を公表して各界の意見を聞きました。その後、この寄せられた意見を踏まえまして現在審議を進めておるところでございます。現在具体的な改正案を作成すべく審議中でございますが、審議が順調に進めば、本年中に試案を公表いたしまして再度各界の御意見を伺うという予定になっておりまして、その意見を踏まえてその後さらに審議を続けたいというふうに考えているところでございます。  それから地主さんあるいは建物所有者からの建てかえの必要あるいは高度利用の必要が正当事由になるかどうかという点でございますが、これは従来の最高裁の判例でも、正当事由につきましては、所有者側の事情ばかりでなく借り主の方の事情も考慮しなければならないということになっているわけでございまして、したがいまして、高度利用だけが単独で個別的にそのことだけで正当事由があるというふうな方向には多分ならないだろうというふうに考えているところでございます。
  221. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 簡潔にやってください。
  222. 松井靖夫

    説明員(松井靖夫君) お答え申し上げます。  現在、東京に百五あるうち約半数が賃借をしておりまして、大使館はやはり地価高騰、家賃の高騰というのは非常に大きな負担になっております。私どもとしては、ウィーン条約上におきましてはその派遣国、外国が東京に公館をつくることを助けなければいけないということになっておりまして、私どもの考え方といたしましては、通常の場合においてはこれについて各種の便宜を与えれば済むのだろうと思いますが、現在の東京地価あるいは家賃の現状からすれば、特にそういう自前の建物、土地を持っていないところについては何らかの実質的なやはり協力をしていかなければいかぬというふうに私ども考えております。で、昨年の十二月から外務省で研究をしておりまして、いかなる方策が可能なのかということで各方面の知恵も拝借しておりまして、できるだけ早く私どもとしてはこういう大使館の活動の基盤というものが安定化するような一つの方策というものが打ち出せるように努力をしたいと思っております。
  223. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 内藤君の質疑は終了いたしました。  次に、山田君の質疑に入ります。山田君。
  224. 山田勇

    ○山田勇君 まず、内海長官にお伺いをいたします。  内海長官におかれましては先週末、まさに青天のへきれきと申しましょうか、突然の国土庁長官就任という事態となったわけですが、しかしながらそのキャリアを拝見いたしますとなるほどまさに適性と考えるわけでございます。そこで、法案質疑に入る前に長官国土行政に対する所信をお伺いしたいと思うのですが、前奥野長官は、おやめになりましたが、国土庁の限られた権限の中で土地問題等に意欲的に取り組んでこられたと思います。多極分散のこの法律案にいたしましても前長官の尽力によりまとめられたと言ってもよいと考えるのですが、新長官のそのキャリアには不足はございません、その手腕、見識に大いに期待するものでございますが、新長官土地問題に取り組まれる積極的な姿勢、所信をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  225. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先週の金曜日の夜中に認証式を終わりまして、土曜日半日勉強をして、日曜日も勉強をいたしまして、勉強時間はわずかに二日でございますが、委員の先生方の御協力をいただきまして審議を進めさせていただきますことにつきましては、まず感謝を申し上げる次第でございます。  奥野長官は、土地問題という国家的な緊急課題に積極的に取り組まれるという責任を持たれて、前大臣として十分な御活躍をされ、多極分散型国土形成法案の立案につきましても積極的に貢献をされたと私自身思っております。  その御熱意を受けて、私もこの法案をぜひ皆様方にお願いして一日も早く成立さしていただいて、この法案に盛られた趣旨、精神というものを具体的に行政の中に生かして、一極集中という過度の東京に偏った現状から、多極分散型の国土形成ということで、地方の活性化にもつながり、地方の発展にもつながる、こういった意味合いにおいて時宜を得た法案である、こういう考え方のもとに、ぜひ早い御審議をお願いして成立さしていただきたいと心からお願い申し上げておるものでございます。
  226. 山田勇

    ○山田勇君 本法律案の提出は、ここ数年来の東京を初めとする大都市地価高騰東京一極集中、また産業構造の変化など地方経済の停滞を解決するものと理解しており、また、昨年まとめられました第四次全国総合開発計画に示されました多極分散型国土形成促進を図るため基本的な方針を示したものと認識いたしておりますが、今後はまずこの法案で示されました施策の具体化と早期実施が必要であると考えますが、取りまとめの責任者である国土庁長官決意をお伺いしたいと思います。
  227. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この法案は、御案内のとおり、第四次全国総合開発の中身を受けて、それを実施に移す段階でこういう法律案ができ上がった、作成された、こう思っておるわけであります。先ほども申し上げましたように、東京周辺一極集中ということで過度な行政の、あるいはいろいろな機関、民間企業、あるいは国際化、情報化の時代でさらに加速的に地価高騰を来して非常な弊害をも生じてきておる。こういったことから、多極分散型の国土形成を図らなきゃならぬということで四全総はうたい上げておるわけでございまして、それを受けてこの法案を作成し、御提案申し上げておるわけでございまして、東京の過密化の対応に幾らかでも役立てば、さらにこれが多極分散ということで地方都市にもそれなりの潤いを与え、国土の均衡のある発展が図れるということに相なれば、大変法律の趣旨としても、四全総の中身からいきましても、それに適応する形になるかと思います。  ただ、関係省庁が幾つかございまして、国土庁は御案内のとおり企画調整といった仕事が主でございます。先ほど久世先生からもお話がございましたとおり、余り予算的な実力を持っていない役所でございますから、いろいろ予算を持った、力を持った役所の御協力をいただくにはある意味においては非常に難しい問題もあるかと思いますが、この法案が通りました暁にはそれなりに国土庁も力を得て、総理大臣指導のもとにある意味の成果が果たせるのではないか、こういった決意でお願いを申し上げておる次第でございます。
  228. 山田勇

    ○山田勇君 さらに国土庁にお尋ねをいたします。  従来は、法律によらず、いわゆる全総計画があり、あとは個別立法、個別施策によって分散や産業立地のための施策が講じられてきましたが、成果のあった面、また失敗をした面、社会経済の変化に十分対応し得なかった点などいろいろあると思います。そこで、従来の全総あるいは定住圏構想に対する評価はどのように認識をしておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  229. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) お答えいたします。  第一次の全国総合開発計画は、昭和三十七年に策定されまして、拠点開発構想という構想を中心に進められました。これは工業を中心に新産業都市あるいは工業整備特別地域の整備、三大都市圏以外の地域に工業開発を進めようとするもので、それなりにその時代には成果を上げたというふうに考えております。しかし、この地域は現在では新しい産業構造の変化に対応しにくい状態になってきておりますので、その点を反省し、新たな産業展開を図るという方向四全総は一全総の成果を継承しているわけでございます。  それから第二次、新全国総合開発計画は、昭和四十四年に策定されまして、大規模プロジェクト構想というのが中心でございました。特に新幹線、高速道路等の整備を大々的に取り上げたわけでございますが、このときの構想はほぼ完成期に来ておりまして、国土の主軸は形成された。しかし、これからは縦の主軸だけでなくて、国土を横断する軸、あるいはネットワーク状に地方都市間を結ぶ高速交通体系が必要だ、こういう時代に到達をしておりますので、その意味で新全総の成果を継承し、さらに発展させていこうという性格を四全総は持っております。  それから第三次全国総合開発計画は、五十二年策定で、定住構想でございまして、これは当時の時代背景もありまして、地域主導の地域づくりということを進めましてある程度成果を上げまして、人口の三大都市圏への集中昭和五十年代の前半には停止したわけでございます。その意味で一定の成果はあったわけでございますけれども、その後五十年代後期に起こった新たな国際化、情報化あるいはサービス化、そういった大きな経済社会状況の変化にそのままでは対応し切れなくなってまいった。地域間の交流が活発化しているという現実に着目いたしまして、定住構想をさらに発展させる意味で、交流ネットワーク構想という構想を掲げたのが四全総でございます。  このように、いずれも過去の計画の成果を踏まえ、かつ現在の経済社会状況に照らして、反省すべき点を反省して構成しておりますのが四全総でございます。
  230. 山田勇

    ○山田勇君 過去の全総の失敗といいましょうか、反省した点をまた受け継いでいくなど、十分整理をして今後に生かしていくことが大切であるということは言うまでもありません。  まず、国の行政機関等の移転についてでありますが、法律案では基本方針を定めるものとなっています。これは、今検討が進められているいわゆるこの一省庁一機関移転方針を示した四つのカテゴリーといいますか、その方向を継承するということになるのでしょうか。その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  231. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 移転基本方針の内容といたしましては、一つに、行政機関等のうち移転に努めるべきものの範囲を定めております。二点としましては、行政機関等の移転に際し配慮すべき事項、こういうことも考え合わせて内容を打ち出しておるわけでございます。  これらについては、基本的に現在検討されている移転考え方に沿ったものとなろうと思いますが、移転の趣旨が十分に果たせるよう検討する必要があるというふうに受けとめて私どもも努力していかなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。
  232. 山田勇

    ○山田勇君 今後、七月にこの移転機関の閣議決定がなされる場合には、それは本法律案によってなされるということになるのでしょうか。またこの法律案では、今進められている移転とは若干ニュアンスが違う、長期的には中枢機能も含むという方針が示されることになるのでしょうか、この点はいかがなんでしょうか。
  233. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 本法律案におきましては、立法権、司法権及び内閣等の行政権の中枢機能は除いてございます。したがいまして、本省、本庁等の中央省庁自体の移転も今論議されております首都機能のあり方に関連する問題でございまして、その影響も多いことから、幅広い観点から、引き続いて別な観点からこれを検討していかなきゃならぬと思っております。  移転基本方針の内容は、基本的には現在検討しておる移転考え方に沿ったものとなろうと思いますが、今後は法律に基づいて政府みずからが率先して機能分散を図るよう、実効のある施策をすることがまず第一に肝要であろう、こう考えておるものでございます。
  234. 山田勇

    ○山田勇君 個人的に見解を述べさせていただくならば、この移転の中にこの中枢機能というものも含まれないと意味がないなという気もするんですが、当初はこれは含まれていたんでしょうか、それとも大蔵省との折衝の中で多少トーンダウンをしたんでしょうか、その辺もょっと聞かせていただきたいと思います。
  235. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  この法律の規定では、必ずしも明確に首都の中枢機能が除外されるような形にはなっておりません。しかし、この法律の本来の性格が四全総実施する法案ということでございまして、その母体となります四全総におきまして首都機能の一括移転、いわゆる遷都というような問題につきましては、これを国民的課題として長期的に検討するということで、一応四全総の中身の計画内容からは——さらに別途の長期のものとして扱っておりますので、我々当初から、解釈といたしましてこの法案の中身としては、いわゆる中枢管理機能そのものというようなものは除外するというふうにお答えして、また解釈しているわけでございます。
  236. 山田勇

    ○山田勇君 今局長の方から遷都論の問題が出ましたが、長官はちょっとこれと遷都論とは違う議論になろうというようなことが先ほど来のお答えの中でもありましたが、しかしこの法律が本当に煮詰まっていくというか、行政的に全部クリアされていきますと、これはやっぱり遷都論に突き当たっていくんですね。僕はそういうふうに思うんですが、長官とは多少その辺の意見で違いがあるかもわかりません。  法律でこの行政機関移転等を定める以上は、従来の内閣の連絡会議の設置、そこでの検討の域を出ないものでは不十分だと考えますが、その点はいかがでしょうか。また、現在進められている一省庁一機関移転はどの程度の規模になるのか。また、七月の閣議決定が最後になるのか。もしそうであれば、この法案の提出の意味がないと思います。さらに、これは何年計画で行うのか。当然、計画的に行おうとすれば、計画案としかるべき事業費の確保策を講じなければならないと考えますが、この点はいかがでしょうか。
  237. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) この法案成立後は、現在進めております国の政府機関移転につきまして、当然ながらこの法律の手続に準拠した手続と出しますか、によることになろうかと思っております。したがいまして、七月に予定しておりますその閣議決定は、当然ながらこの法案に基づいたものとなりまして、中身についても現在詰めつつあるものというふうに考えているわけでございます。  また、七月以降のそのお尋ねでございますけれども、七月の機関移転の内容自体がまだ未確定でございますので、それ以降に問題が残るかどうかというものにつきましては現在お答えを差し控えさせていただきます。  また、予算措置その他の措置等につきましては、この七月の機関移転の閣議決定の際に、ある程度見通しを持って決定できるものは決定し、そのようなものにつきましては、機関移転推進連絡会議が石原官房副長官を長とし各省事務次官をメンバーとして構成されておりますので、そちらの方で検討することになろうかと存じます。
  238. 山田勇

    ○山田勇君 大蔵省にお尋ねしますが、この計画の促進については当然予算面での十分な配慮がなされるものと思いますが、その点いかがでしょうか。
  239. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) ただいま大都市局長から費用に関する部分につきましてもお答えをいたしたところでございますけれども、この移転を賄います費用についてどういう財政措置をとるかと。これにつきましても、移転のまとまりぐあいも見ながら財政方式を今後よく検討してまいりたい、こういうふうに思っております。その際各省庁からいろいろ御要望も出てまいると思いますが、これからの何年もかかる事業ということになるでしょうし、財政事情あるいは行財政改革の趣旨といったようなことをいろいろ踏まえて、先行きも見つついろいろ検討してまいる必要があると思っております。  いずれにいたしましても、これを円滑に推進できるような費用の負担ということを考えなければいかぬということで、よく御相談をしてまいりたいと思っております。
  240. 山田勇

    ○山田勇君 多極分散型国土形成には交通ネットワークの整備が不可欠でありますが、法案の二十八条でも「総合的な高速交通施設の体系の整備」として盛り込まれておりますが、運輸大臣、せっかくおいでをいただいておりますので、具体的にはどのような考え方をお持ちでしょうか、運輸大臣の方からお伺いしたいと思います。
  241. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 多極分散型の国土形成をしますためには、やはり高速交通網というものがその骨格になるべきだと思います。  高速道路の方は建設省の所管でございますけれども、運輸省は高速鉄道網と空を分担しているわけでありますが、整備新幹線、それからもう一方では地方の空港のジェット化、これを受ける二眼レフ構造の東京と大阪のメガロポリスにございます空港をさらに拡充するために羽田の沖合移転、あるいは関西新空港というものを手がけておるわけでございます。  整備新幹線の方は御要望も非常に強いんですけれども、しょせん先立つものの問題でありまして、促進委員会をさらに分化いたしまして、財源をどう獲得するかという財源検討委員会と、とても一遍にはできませんから、どれから手をつけていくかという順位を検討する委員会で今検討中で、一応八月までに何らかの結論を出し、御要望にこたえていきたいと思っております。  それからもう一つ、地域にありましては、空の問題でありますけれども、各地域地域で地域間の空のネットワークをつくるため、コミューター、それからさらに近い距離の連絡のためにヘリポートの空港というものの整備を、法律もつくりましてこれから進めていくつもりでございます。
  242. 山田勇

    ○山田勇君 コミューターについてはまた次の機会にいろいろとお話を伺いたいと思います、質疑もさせていただきたいと思います。  最後になりますが、多極分散型国土形成促進法案には竹下総理が掲げるふるさと創生の精神が盛られていると思います。土地対策機関移転問題のほかにも、他省庁の事業まで一括して対象とする面も多く、他省庁との調整は一筋縄ではいかないと考えますが、先ほど来の国土庁長官決意を聞いております。不退転の決意で臨まれることを強く期待いたしまして、私の質問を終わります。
  243. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 山田君の質疑は終了いたしました。  次に、野末君の質疑に人ります。野末君。
  244. 野末陳平

    ○野末陳平君 宅地供給促進に関して農地の扱い、特に大都市圏のですけれども、市街化区域の農地、この扱いは非常にネックになっているといいますか、気がつくところがいろいろありますので、これを中心にまずお伺いしたいと思います。  初めに建設大臣にちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、農地が営農ということになりまして相続税を二十年猶予されるというこの制度ですけれども、これが今本来の目的のようにプラスに機能しているのか、それとも弊害が出ているのか、建設大臣立場でどういうふうな御所見をお持ちでしょうかね、感触で結構ですが。
  245. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 市街化区域内の農地につきましては、長期営農、このことも確かに大事なことであろうと、こう思います。しかし、全体がそうなっておるというふうには思っておりません。むしろ土地の値上がりというようなことを考えている方もあるやもしれませんので、私ども建設省立場で言いますと、市街化農地につきましては、長期営農ということであればなかなか難しいことでありますけれども、何とか市街化区域から調整区域にまとめていただくとありがたい。市街化区域の中の農地については、でき得れば宅地供給に御協力をいただくということが、建設省立場で言いますと考えられておるような次第であります。
  246. 野末陳平

    ○野末陳平君 ところが実際は、宅地並み課税の問題もありますが、それよりも相続税の猶予という、これが僕が思うところ非常に問題なんです。これは、もちろん農水大臣立場からも意見を聞かなきゃいけませんですけれども、この制度があるがゆえに、例えば最近は山林を農地にするという動きもありますし、それから公園とか遊園地とかレジャー菜園とか子供の広場とかいうものに借地契約を結んで提供しているんですけれども、その契約解除の申し入れが続々と出ておりまして、すべてこれが農地の相続税の猶予と関連しているんです。  そこで、今の建設大臣のお立場、私も支持したいところなんですけれども、もろもろの問題を含めて、どうなんでしょう、二十年相続税を猶予するというこの優遇措置というものが、果たして現在考えられる公共性という立場から今後も必要だというふうにお考えですか。実際に農業をやっているかやっていないかということは別にして、そもそもこの制度はもうマイナス面が多いんじゃないかと見ているんですが、いかがでしょうか。
  247. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 今の制度自体はやはり長期営農として二十年間の猶予をしておると。この制度については、まじめにやっておるしまたまじめに今後もやろうとする人にはそのことも私はやはりいいと、こういうふうに思います。ただ、先ほど申し上げましたように、この制度を悪用してやられる方がおるといたしますとこの制度はよくないと、こういうふうに思う次第であります。
  248. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうなると個別ケースでいい悪いということになりまして、私は制度自体の問題点を今指摘したいと思っているんですが、農水大臣がお見えになりましたので改めてこの問題をお聞きしますけれども、農地の長期営農で二十年相続税が猶予されているというこの制度が、本来の農業を保護する、あるいは都市部の農業を育成するような本来の趣旨から外れているということを指摘したいと思いまして、まずこの制度そのものについて農水大臣のお立場から御所見をお伺いしたいと思います。
  249. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 農地の相続税の納税猶予制度、このことが悪用されておるのではないか、従来ともしばしば質問をいただいてきたところでございます。農地価格の高騰に伴う相続税負担の増大に対処いたしまして、農地の切り売り、これを防止し、農業経営の存続を図るために昭和五十年に実は設けられたものでございます。大都市近郊におきましても、すべての農地が宅地化するわけではなく、そこでまじめに農業を営む人々がいるという現状があるわけでございます。この制度は、これらの農家が営農を継続するために大きな意義を有しているものと私どもは考えております。  なおまた、大都市圏の市街化区域内の土地利用の問題等につきましては、現在臨時行政改革推進審議会において検討が進められているのは御案内のとおりでございます。今後その答申を踏まえながら検討していくべきものと考えておるところでございます。いずれにいたしましても、この制度が悪用されておるという批判を受けないように適切な指導をしてまいりたい、かように考えております。
  250. 野末陳平

    ○野末陳平君 悪用というのは、多分サラリーマンで、月—金は勤めていながら相続税の納税猶予欲しさに土曜、日曜にちょこっと農業をやる、そういうようなのがよくないということかもしれないと想像したんですが、私思うに、悪用の問題じゃなくて、そもそも土地を売らずに値上がりを待つ、あるいは売り惜しみをしているという、それがこの二十年の納税猶予と密接に関係があるんですよ。  そこで具体的にお聞きしますが、さっきちょっと触れたんですけれども、特に大都市圏で多い現象ですが、本来は借地契約を結んで公園やレジャー菜園、子供広場、遊園地、そういうものに提供をしていたんですね、今までは。自治体に提供して公共性に非常にプラスになったそういう利用が、そろそろ相続が近くなりますと、それがそのままだったら大変な相続税になりますので、農地に復元したいために契約の解除を申し出るわけです。もうこれは相次いでおりますよ、ここ数年。しかもこれからはますますふえる。となると、自治体としては非常に困っちゃうんですね。  ですから、私が農水大臣にお聞きするのは、農業をまじめにやっていてその存続のためには大きな意義を有していると。それはもう現実にはかなり建前に近くなっておりまして、今のように提供していた、本来農業をやっていない土地を、相続税を二十年猶予してもらえるこの恩典欲しさにみんな契約解除ですよ、本当に。もう幾つもありますよ。自治体は困っております。ですから、となると本来はそういう公共性の用途に供する場合は特別の税制上の恩典を加えるべきだということになって、それもまたそれで考えるべきことですが、そもそもその原因が農地に復元した方が得だということでの契約解除なんですから。僕はどうも、やはり二十年の納税猶予というのは今や大臣がおっしゃるようなプラスの面は都市部においては薄れつつある、そういう立場からこれを見直したいと思っているんです。  そこでお聞きしますが、こういうような借地契約の解除で公共に使われてきたものがどんどん減ってくる、そういう事実に対して、この制度との関係でもってどうでしょうか、やむを得ないと、この制度がそれでも必要だというお考えでしょうか。
  251. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 具体的な事例を全部私が実は残念ながら承知をしておるわけではございません。どんどん結果的に悪用した結果になっておる、そして、この制度を利用するだけという目的で公園だとか、あるいは大都市圏の地域においてはそういう実態が非常に多いのである、それではおかしいではないか、そういうのがたくさんあるぞと、こういうことでございますので、私も調査をいたしてみたいと思いますけれども、農業委員会の判断に大きくゆだねておる点もございますので、そのような事例を調査し、そしてなおかつ、農業委員会に対しまして適切な指導は、そういう事例が多いとするならばしなければならぬ、こう思っております。  今ここですぐやれと、こういうふうにおっしゃりたいと思いますけれども、私といたしましてはそこまでの状況に、今御発言のような内容になっているかどうか、その実情を、そこまでではないかなと、実はちょっと甘いかもしれません、おっしゃられることからすると。しかし、調査をしましてひとつ適切な指導をしたいと。適切な指導をした上でまた制度全体をどうするかということになりますればまたそのときのことでございますけれども、調査をいたしたいと、こう思っております。
  252. 野末陳平

    ○野末陳平君 これには非常にいろいろな問題がありまして、これは建設大臣、自治大臣と大蔵大臣、この三者でいずれきちっとしなければならぬと思うんですが、要するに公共の利用に供している、これを継続するならば相続が発生しても税制上の何かの恩典を考えなければ多分だめじゃないかなと。しかし、それはそれでやり、農地に復元して営農を約束すれば二十年は納税を猶予しますと、これを両方そのまま続けるというか、そのまま優遇措置を与えることはどうか。こういうことをやっているから都市部の農地というのが宅地になかなか転用もできないし、それから批判も浴びるのだと思いますので、問題は二つあるんです。  ですから、契約解除が二十年の猶予をねらった考え方であるから、それがどうかというのと、もう一つは利用継続をする人には何か恩典を与えないと、自治体が現にみんな契約解除されて困っている、この二つをひとつ検討していただきたいと思いますのですけれども、僕の考えを言えば、相続税の二十年納税猶予というのは全く今や大臣がお答えのような農業をするというような面はもうないようですね。しかし、さらに調査の上いろいろとお考えをまとめてください。  それから、山林についてもちょっと最近目立ってきた現象でございますから聞いていただきたいんですけれども、山林も、これは森林相続税というふうに普通の人は言っているんですけれども、非常に評価がきつくて、まあ木がありますからその面もあるんですが、評価が非常にきつくて森林あるいは山林、これを相続する場合には大変なんですね。  売るったって買ってくれる人がいませんし、かといって木をどんどん切っちゃわなきゃお金ができないしという、これもばかばかしいというので森林をお金をかけて農地にするんですよ。農地にすると相続税が山林のときに比べてべらぼうに安くなるのは当然で、お金をかけて農地にして、そのお金の分よりもさらに得をするというのでこれをやっているんですね。これも農地の相続税が余りにもほかの相続に比べて優遇されていて、しかも本来農業を続けていない人が営農という意思表示をして土曜日にちょこっとやったって営農だというようなこの現実があるから、ほかにもまだあるんですが、農水大臣、となるとやはり都市部においてはちょっと事情が違う。  露骨な言い方をすると、都市部の地主さんは相当欲が深くてしたたかですから、その辺のことも考えて建前だけではちょっとどうかなと思いますのですが、この森林の問題とそれの農地転用、この辺はどうお考えですか。
  253. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 都市部の土地所有者が全部悪人だというふうに決めつけるわけにはまいらぬと、私は性善説の方でございますからそんな悪い日本人はいないんだという建前に立ちまして。  いずれにしても、今お聞きすれば、山林を農地にすることによってなお相続税の一つのデメリットを防いでいこう、こういうこともあるんだというお話でございますが、農を業として本当にやっておるのかどうか、続けてきたのかどうか、そして続けるのか、この判断、これの一点に集中されるのではないか、こう思います。そういうところからの考え方でひとつ先ほど申し上げるように調査もいたしますし、それから適切な指導もいたしたい、こう思っております。
  254. 野末陳平

    ○野末陳平君 すべてこれらは、都市部の地価が異常に上がり過ぎたということから欲が出て、欲が生ませた悪知恵ですけれども、しかしそうやって悪用できる法律がそこにあるんですから、やはりその辺の根幹をちょっと見直したいと思うんです。  農水大臣にあえてまたお聞きしますけれども、山林は都市の緑をというようなことも含めて奨励しているんです、一方ではね。緑のために山林を維持する、大変な経費をかけて。相続が発生したらがばっと相続税を取られる。農業は、腐ったキャベツだ、クリ林だ、それをやったって農業だ。となると、何かすぐ業としてとかまじめにやるとかと言いますけれども、そのまじめとか業の境目が今なくなっているのが現実なんですよね。だから僕らは気の毒だと思いますよ、都市の緑のために山林に金をかけて余り引き合わない事業をやっていながら、相続が迫ると、どうなるかと不安になる。現実に農業をやればほとんど税金は要らない、こっちは莫大な税金を取られる、こんな矛盾したことがあればこれはもう性善説の人だって考えますよ、自衛のために。これは善悪じゃなくて自衛策としてやっているんで、そういう意味からして法律、きょうは農業の相続税の猶予だけしか取り上げませんけれども。  どうでしょう、もう一回お聞きしますが、都市の緑のためにはやはり山林は必要なんでしょう、森林は。そうすると、その人たちが相続税で農地に比べ非常に不遇であってきついというこの現実について、これをどういうふうにお考えになるか。恐らくそういう陳情も行っているんじゃないかと思うんですけれども、一つそれをお聞きして終わりにします。
  255. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 都市であっても緑は必要である、花も育てよう、こういうことで、やや哲学めいた話ではございますが、積極的な行政指導に心がけておるところでございます。  先ほど来私が申し上げておりますことは、私も、あなたほどは知らないかもしれませんが、多少都市、大都市圏における農業をやっておる人を知っておるわけでございます。東京におきましてもパセリをつくる、セロリをつくる、そしてみずからが朝四時半に起きて青果市場に届けている、そういうまじめな農業者の声も実は聞いておるわけでございます。  しかし一方においては、確かにおっしゃるように法律をつくれば必ず逃れる者がいる。それが当たり前だなんというそんな不謹慎なことを私は言っておるのではなくて、それをどう防いでいくかという意味で、まじめな人にはその制度の趣旨は生かしていかなきゃならぬ。その工夫をしなきゃならぬ。しかし、今日地価高騰のためにまた大変欲の出ている人もいる、こういうことでございます。でありますから、私も調査をいたしまして、そして適切な指導を加える。あるいはその結果制度に及ぶかもしれませんが、いずれにしても調査を、実情というものを見きわめてみなければならぬと、こう申し上げておるところでございます。
  256. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会