○久世
公堯君 国土庁長官にもぜひお願いをいたしたいのでございますが、今自治
大臣から御提言のありましたようなことを、
国土審議会でもひとつ御検討いただきたいし、また総務庁が来ておられるかもしれませんが、総務庁の方にも
臨時行革審でぜひともこの問題だけに絞って結構でございますのでお願いをいたしたいと思うわけでございます。
それから、権限の委任でも本省と
地方支分部局との間における権限の委任、これはもう各省庁に通ずることでございますが、ひとつ各省庁にお願い申し上げたいのは、
地方支分部局に権限を移すならばそこで完結するように、従来とかく二重
行政のそしりもございますので、ぜひそうお願いをしたいと思うわけでございます。
もちろん各省にお尋ねをいたしますと、もう政令でも省令でもそうなっているとお答えになるわけでございますが、事実上の行為として必ず両方に行かなければいけない。御
承知のごとく、今東北でも九州でも
交通が非常に発達をしておりまして、もし
東京で済むなら飛行機ですぐ行ける。また
地方支分部局で済むならば電車で行って帰ればいい。この二重
行政をぜひとも排除していただきたいし、また今度の振興拠点地域の協議会などは恐らく
国土庁の本庁が
中心になられると思いますけれども、やはり
地方支分部局の意見も聞けなんかということになりますと、例えば静岡県なんかは、
地方農政局と通産局については
東京の所管でございますが、
地方建設局や
地方運輸局につきましてはこれは名古屋の所管でございます。
そういうそごもございますので、このあたりもひとつ二重
行政の組織にならないように、また受ける
立場というものを
考えて処置をしていただきたい、このように思う次第でございます。
ただいま、この権限の委任についてお尋ねをしたわけでございますが、
東京一極集中を是正し多
極分散型の
国土を
形成する上において、今回の法律、あるいは既に閣議決定等で
政府みずからが範を示して
行政機関等の
移転を率先して行われる、また将来にわたって継続的にこれを
推進するという制度をこの法律の中において立法化されましたことについては、敬意を表するものでございます。しかし、
行政機関の
移転だけでは到底
東京一極集中というものを是正することはできない。権限の委任も大事でございますれば、またそれ以上に、先ほども
お話のありました民間の
機能と申しますか、経済的な中枢管理
機能というものの
移転が極めて重要な
課題だと思うわけでございます。
また、今
国会におきまして、通商産業省におかれましてはいわゆる頭脳立地法というものを制定されまして、そして最近の経済のソフト化やサービス化、そういうものに
対応する頭脳部分というものを
地方に立地させる
促進の
政策というものをおつくりになったわけでございます。これも大変敬意を表するものでございますけれども、しかし、今の
一極集中というものの実態を見てまいりますと、先ほどからいろいろと
お話がありましたように、本社
機能もそうでございますが、特にエレクトロニクスの系統なんかを見ておりますと、
東京圏に所在しております試験研究
機関でございますとか民間企業の研究機構とか、それから工場だとかというのは、そこで生産をしているというよりは、いわゆる注文生産でございます。
大型のシステム、例えば航空会社のシステムでありますとかJRのシステムとか、あるいは大型の病院のシステムとか二十四時間のスーパーマーケットのシステムとか、そういうようなものを受注生産で試作を重ねる、したがって先ほど
大臣がある若い経営者とおっしゃっておられましたが、やはり営業部門とそれからシステムエンジニアというものはどうしても
東京にいなければいけない。その数がおびただしいものである。そうなりますと、こういう大型のシステムというのはなかなか頭脳立地法だけでは
地方に
移転しないと思うわけでございます。
なかなかこれは難しい問題だと思いますけれども、経済的な中枢管理
機能をいかにして
地方に分散するか、ぜひとも具体的な
政策を今後において御検討をいただきたいと思うわけでございます。特に
答弁は要りません。
また、通商産業省にこの際お願いをしたいわけでございますが、おつくりになりましたこの頭脳立地法をその趣旨に従ってぜひ実現していただきたいということ、さらに現在、
昭和四十七年につくられました工業再配置法に基づいて工業再配置計画をここ十数年間やってまいられました。これも大変成果が上がっておりますが、漏れ承るところによりますと、今新工業再配置計画、今回の頭脳立地あるいは経済のソフト化とかサービス化に伴って新しい産業
政策上の見地から今つくっておられるということを承っております。ぜひともこれを実りのあるものにしていただきたいことと、二十一
世紀に向かってはさらにこの範囲を拡大して、工業再配置といいますよりは産業再配置計画というようなものに発展をさしていただきたい、ぜひこのようにお願いしたいし、これは同時に
国土政策の問題でもございますので、
長官、よろしくお願いをいたしたいと思います。
次に、過疎地域の振興についてお伺いをいたしたいと思います。
先般発表されました過疎
対策の
課題によりますと、過疎地域の現況というものを極めて精緻に分析をしておられまして、また、それに対していろいろとやってこられたこと、またこれから残された
課題、特に最近におけるところの高齢化の問題とか、あるいは企業誘致の問題とか、あるいは地域の活性化の問題とか、いろいろと適切な
課題についての分析がされております。
また、ことしの過疎白書に限らず、今まで毎年
国土庁の方から発表しておられます過疎白書につきましても、よく見せていただきますと非常にその内容がよくできているわけでございますが、しかし、さて、過疎地域を含めたハンディキャップ地域の振興をどのようにすべきかという点につきましては、どうも決定的な
政策というものがないように思われてならないわけでございます。
加えて、
昭和六十四年度で現在の過疎地域振興特別措置法が十年の期限を迎えるわけでございます。その後の過疎法制というものをどのように持っていかれるのか、過疎法だけではないと思いますけれども、ほかのいろいろとハンディキャップを持った地域の振興立法もかかると思いますが、とりあえずはこの過疎法の今後の後継法制というものについてどのように
考えておられるか、実は拝聴したいと思うわけでございます。
昨年の十一月末でございました、全国過疎地域振興連盟の定期総会が九段会館で開かれましたときに、前
国土庁長官の
奥野大臣が出席をされまして、そして一般的なあいさつをお述べになりました後に、今の
東京一極集中というものは、同時に
地方においては県庁所在
都市の
一極集中になっている。したがって、そういう
関係から今後過疎があるいはふえるかもしれない。これに対してやはり適切な措置というものを打っていかなければいけないし、特に過疎法が期限切れを迎えるからそれに
対応する
意味においても財源措置というものを十分に考慮してやらなければいけない、こういう趣旨のごあいさつをされましたときに、会場からは万雷の拍手が沸いたわけでございます。私はこの拍手というのは過疎市町村の熱いまなざしと、それから
国土庁に対する大きな
期待が秘められていたのじゃなかろうかと思います。
そういう
意味も含めて、この過疎
対策、特に六十四年度で切れますところの過疎の後継法、これについてどのようにお
考えになるかお伺いしたいと思う次第でございます。