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1988-05-24 第112回国会 参議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月二十四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十八日     辞任         補欠選任      永田 良雄君     大塚清次郎君  五月十九日     辞任         補欠選任      大塚清次郎君     永田 良雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政大臣官房経        理部長      山口 武雄君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        通商産業省機械        情報産業局企画        官        望月 晴文君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長・専務理事  中村 有光君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会専        務理事      松本 幸夫君        日本放送協会理        事        尾西 清重君        日本放送協会理        事        井上  豊君        日本放送協会総        合企画室局長   中野 正之君        日本放送協会予        算部長      中野 正彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第百八回国会内閣提出) ○放送法及び電波法の一部を改正する法律案に関する請願(第一三六一号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  3. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書益びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和六十年度の貸借対照表等によりますと、昭和六十一年三月三十一日現在における資産総額は三千三百二十九億七千七百万円で、前年度に比し二百七十億三千三百万円の増加となっております。これに対しまして、負債総額は一千五百十一億二千四百万円で、前年度に比し百九億三千九百万円の増加となっております。資本総額は一千八百十八億五千三百万円で、前年度に比し百六十億九千四百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産六百二億六千三百万円、固定資産二千五百五十九億一千三百万円、特定資産百六十四億四千六百万円、繰り延べ資産三億五千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百二十五億三千九百万円、機械及び装置七百九億七千四百万円、土地二百十五億一千九百万円、その他の固定資産一千八億八千百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債六百二十三億二千百万円、固定負債八百八十八億三百万円であり、固定負債内容は、放送債券四百八十億一千万円、長期借入金二百五十一億九千三百万円、退職手当引当金百五十六億円となっております。  資本内容につきましては、資本一千四百七十六億九千八百万円、積立金百八十億六千百万円、当期事業収支差金百六十億九千四百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。経常事業収入は三千四百七億六千三百万円で、前年度に比し四十六億四千九百万円の増加となっております。これに対しまして、経常事業支出は三千二百五十七億五千万円で、前年度に比し百二十一億五千百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は百五十億一千三百万円となり、これに経常事業外収支差金十九億一千九百万円を加えた経常収支差金は百六十九億三千二百万円となっております。これに特別収入五億一千五百万円を加え、特別支出十三億五千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は百六十億九千四百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  5. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は三千三百二十九億七千七百万円で、この内訳は、流動資産六百二億六千三百万円、固定資産二千五百五十九億一千三百万円、特定資産百六十四億四千六百万円、繰り延べ資産三億五千五百万円、このうち固定資産内容は、建物六百二十五億三千九百万円、土地二百十五億一千九百万円、機械及び装置七百九億七千四百万円、放送衛星七十九億五千百万円、その他の有形固定資産無形固定資産五百六十四億五千九百万円、出資その他の資産三百六十四億七千百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、二百七十億三千三百万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づく衛星放送設備整備、テレビジョン、ラジオ放送網整備番組設備整備等により固定資産が百九十六億三千五百万円増加し、また、事業収支剰余金発生等により、流動資産が七十六億五千五百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は一千五百十一億二千四百万円で、この内訳は、流動負債六百二十三億二千百万円、固定負債八百八十八億三百万円、このうち固定負債内容は、放送債券四百八十億一千万円、長期借入金二百五十一億九千三百万円、退職手当引当金百五十六億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百九億三千九百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受金増加等により流動負債が十五億円増加し、また、長期借入金等増加により固定負債が九十四億三千九百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千八百十八億五千三百万円で、この内訳は、資本一千四百七十六億九千八百万円、積立金百八十億六千百万円、当期事業収支差金百六十億九千四百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し百六十億九千四百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は三千四百七億六千三百万円で、前年度と比較し四十六億四千九百万円の増加となりました。これは主として受信料増加によるもので、受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は四十四万件増加し、当年度末には三千六十三万件となりました。  次に、経常事業支出は三千二百五十七億五千万円で、この内訳は、国内放送費八百九十四億七千七百万円、国際放送費二十三億三千万円、契約収納費三百五十億九千八百万円、受信対策費十二億五百万円、広報費十五億七千六百万円、調査研究費三十八億五百万円、給与一千百十七億九千四百万円、退職手当厚生費三百二十七億二千九百万円、一般管理費八十八億一千四百万円、減価償却費二百九十一億四千八百万円、未収受信料欠損償却費九十七億七千四百万円となっております。  これは前年度と比較し百二十一億五千百万円の増加となりましたが、主として放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策の推進及びこれらの事業遂行に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百五十億一千三百万円となり、これに経常事業外収支差金十九億一千九百万円を加えた経常収支差金は百六十九億三千二百万円であります。これに特別収入五億一千五百万円を加え、特別支出十三億五千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は百六十億九千四百万円となりました。このうち、債務償還等資本支出充当は八十三億五千四百万円であり、事業収支剰余金は七十七億四千万円であります。なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  6. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。三原会計検査院第五局長
  7. 三原英孝

    説明員三原英孝君) 日本放送協会昭和六十年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和六十年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和六十一年八月十五日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年の十二月八日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 及川一夫

    及川一夫君 六十年度の決算報告ということなんですが、どうも頭を整理する上で実感がわかなくて、率直に言って困っております。事態はもう前の方へずっと進んでいまして、既にNHK受信料をどうするかという問題に差しかかっているという中で、六十年度を見たら黒字でございますからね。これを頭の中でどう整理するのかというのは、非常に難しい問題が率直に言ってあります。もちろん、これは委員会自体運営の問題、あるいはその決算報告をする時期の問題、作業に対するいろいろな疑問も率直に言ってあるんですが、これはひとりNHKだけの問題ではなしに、郵政事業に言えることだし、政府全体の予算支出並びに決算ということに当てはまる問題ですから、別途の場で大きな議論にしなければいけない、こんな気でおりますが、いずれにしても六十年度の決算自体については、NHK当局努力も認められますが、なお黒字の大きな要素ということになれば、予定された事業をちょっと差し控えた、その結果がたまたま金が余ったというだけの話であって、やはり問題点としては、そういったことを含めての内容であるということを前提にしながら、当面する問題を含めましてお伺いをしたいというふうに思います。  その第一の問題点は、経営委員会構成人選という問題についてでございます。一つにはこの経営委員会構成の問題なんですが、前回も私の方から指摘をいたしました。十二名の構成員、十六条に基づいて教育文化科学産業その他、そういう階層から公平に代表を選ぶということになっているのですが、実態を見ますと、必ずしも公正になっているというふうには言えないと私は思っているわけでありますけれども、再度ひとつ、これは郵政省ということになるんでしょうか、選考する責任者郵政省であり、内閣がそれを指名して国会で承認するという形をとっておりますから、郵政省に再度、この経営委員会構成について、法律指摘したとおりになっているかいないかという問題について、同時にまた、法律要素を受けて今日経営委員というものが選ばれているかどうかについて、まずお伺いしたいというふうに思います。
  10. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) NHK経営委員会は、ただいま先生のお話にございましたとおり、内閣総理大臣が任命をいたすわけでございます。郵政省直接ではございませんで、法律の決めはさようなことになっているわけでございますが、私どもの所管する法律でもございますので、そういう意味経営委員のあり方について御答弁をさせていただくわけでございますが、法律にも「その選任については、教育文化科学産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とあるわけでございまして、しかも、法律におきましては全国だけではなくて、地域的にもできるだけ各地域を代表するようにという趣旨があるわけでございます。私ども、経営委員が任命されるに当たりましては、この法律趣旨にのっとって、できるだけ広い範囲から多くの人材が選ばれて、そして法律の期待しております公共福祉に関して公正な判断ができる、そして広い知識を有する、経験を有する者という、そういう法律にのっとるように努力をいたしているつもりでございます。  これに関しては、政府が一方的な判断にならぬよう、特に法律国会同意を要するということで担保規定を設けていることでもございまして、現にまた国会で一人一人についての同意をお願いしている次第でございますので、今後とも法律趣旨に照らして、できるだけ広い範囲から人選するように努めてまいらなきゃならぬ。現にこの趣旨に照らして、現在の人選はおおむね妥当なものだというふうに考えておるところでございます。
  11. 及川一夫

    及川一夫君 読み上げるまでもございませんけれども、十六条には、まず全体的に物を見、判断できる知識能力を持っている人、これは全体に当てはまる問題ですね。そういう人たちの中から、十六条では「教育文化科学産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」と、こうなっているわけです。あなたが言っているのは、知識能力を持っているという人から選んだというだけであって、では各分野からということが当てはまるか当てはまらないかということになれば、実態的に見て私は当てはまっていないじゃないかという見解を持っているんです。  そういう前提に立ってさらにお伺いいたしますけれども、各委員の皆さんの分野というものを判断するにはどうなんですか、肩書でもって判断してよろしいんでしょう。それを伺いたい。
  12. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 単に肩書だけではなくて、現在どういうお仕事をされておるかだけでなくて、法律規定にありますように、「公共福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験知識を有する者のうちから、」と、今先生のおっしゃられた趣旨法律がうたってございますから、そういう意味では既往の経歴ということも大きな要素になるものと考えておるわけであります。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 今なっている方々は、あなたが今後段の方で言われた能力知識を持っている人、これはいいんですよ。僕はそれを否定しない。だけれども、どういう分野の人かというふうに見たときには、わざわざ経歴というものが添えられて判断を求められるわけでしょう。  それで、経歴の中からどういう人かということを証明するのが、この郵政省の方から出ている資料がありますね。こういったものについて資料をいただいたわけですよ。実際に人選をされる場合のお仕事、それから立場というものをも含めた名簿をひとつもらいたい、そしたらこれを持ってきた。その中にそれぞれ、日本碍子株式会社会長であるとか、あるいは大塚製薬工場の社主であるとか、そういったことで全部書いてあるわけですよ。だから、ああ、この人は財界だな、産業でも薬ということになるからこれは科学だなと、こういう判断ができるわけでしょう。  そういうことでずっと見ていくと、新聞社社友というのがあるわけです。その新聞社社友というのが十二のうちに三つもある。新聞社ということになれば、マスコミということになるでしょう。じゃこれはマスコミから出ているんだなということになると、別にマスコミから出ることはいいんだけれども、何で十二人のうち三名も占めなければいけないのかと。四分の一占めるということになると、果たしてこれは公平だと言えるんだろうかというふうになるはずなんですけれども、そういう物の見方、考え方はだめなんですか、受けとめ方はだめなんですか。
  14. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 現在、今先生お話しのとおり、委員を分類するというのは、いろんなお仕事もお持ちですし、そうした意味合いから的確に分類するというのはなかなか困難ではございますけれども、ただ、今お話し言論分野から三名出ておられて、それぞれの方々肩書新聞社社友であるということは仰せのとおりでございます。  この法律規定には、またこれも先生の御指摘のとおり、放送事業者もしくは新聞社通信社、その他ニュースもしくは情報頒布を業とする事業者、あるいは事業者が法人であるときはその役員もしくは職員等の者は除外をする、こういう規定になっておるわけでございますが、ここで申しておる趣旨合いは、NHK経営特定立場に偏らないように、そしてNHK自主性が全うできるようにという趣旨で、こうした放送事業者初め、放送用機器、あるいは政党の役員等特定立場を代言する危険のある者をあらかじめ排除するという趣旨合いであって、現在出ておられる社友方々というのは、先ほどから申し上げておりますように、広い経験知識を有する、そして文化あるいは言論、こうしたものを代言する方々として人選をお願いし、この方々もせんだって、六十二年の暮れにも国会同意を得て再任をされた方が二人現におられるような次第でございます。  そうした意味合いで、人選については、できるだけ各般のことを考えながら対処しなければならないことは仰せのとおりでございますが、そうした視点に立って選任をし、同意をお願いしておるというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 余り能力知識の話はしないでよ、認めているんだから。そうじゃなしに、質問に合わせて答弁してもらいたいと思いますよ。  僕は今、社友であるから、新聞社であるからだめだと言っているんじゃないんですよ。しかし、現実にまた厳しい議論あるんですよ。あなたが今読み上げたやつ、「放送事業者若しくは新聞社通信社その他ニュース若しくは情報頒布を業とする事業者」は、要するにだめだと書いてある。社友といえどもそういう体験者ではないか、関係はあるんだからだめだという説だってないわけじゃないですよ。私は今、それを言おうとしているんじゃない。マスコミ関係者の方が、元ということが前提になって、これは社友だと思うんですよ。私は詳しくはわかりません。社友というのはどういう仕事をやられるのか、どんな関係なのか。ただ、一般的にはその新聞社にとって大変功績のあった人、そういう方々が私は社友になるんだろうと思う。そういう意味ではかなりの枢要なポストをたどってきた方々ではないかなと思うが、そこまではせんさくしませんよ。  いずれにしても社友という肩書がついている。これがこの人の今の立場でありますということを証明しているわけですから、その方々が十二人のうち三人もおられる、四分の一を占めているということは果たして公平というふうに言えるのかどうか。これが私は大きな疑問なんですよ。それと同時に、単にこういう一表を持ってきたって、正直言ってわからないんですよ、三人ということはわかったけれども。いつ、どこで、どうしてこうなったのか、全然わからない。だから少し作業を進めてもらって、こういう一覧表にするとわかるんですよ。一体官房長、それなら一番さきの昭和二十五年ですか、放送法ができ上がった時点経営委員は要するに八名でしたよね。そのときに社友という肩書を持っている人がいたのかいないのか、あるいは社友という肩書の人が出てきたのはいつなのか。一名であったものが二名になったのはいつであって、三名になったのはいつからかということについてはっきりさせてくださいよ。
  16. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 古いことではございますが、確かにかつて経営委員は八人でございまして、その後三十四年に至りまして十二人になった次第でございますが、肩書を見回しまして言論界の方だと目される分類をあえていたしますということになりますと、一番最初にこの経営委員におなりになった言論界の方とおっしゃるのは、毎日新聞の阿部真之助という方が三十一年五月におなりなのが一番早い時点かと思う次第でございます。  その後、また人選はいろいろいたしておりまして消長はございますが、二人と目される時代が三十四年九月でございました。その後また一人になられた時点もあるようでございますが、五十二年の六月からはお二人、それから五十五年の四月以降、多少空白の期間もございますが、おおむねそこから以降は、したがってこの七年ないし八年は、新聞界の方が三人経営委員の中に選任されておられるという事態は続いております。したがいまして、全体の状況はいろいろ消長ございましたが、ここ数年間はただいま申し上げたような状況に相なっておるということでございます。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 大臣、今お聞きしましたように、いずれにしても五十二年から三名になっておるわけですよ。これはもちろん国会にも責任がありますよね、どっちにしたって承認したんですから。しかし、出してくるときには、大臣もおわかりのように議院運営委員会で読み上げるだけでしょう。そして今、したがって経営委員会構成は何々代表が何名で、何々分野は何名でなんて、そんなこと言わないですよね、政務次官は。ただ、この方はやめるから、この方を後任によろしくと、こういう話だけでしょう。  そうすると、経営委員会構成がどうなっているかなんというのは、正直言って議院運営委員会だってわからないわけですね、任期がばらばらですから、これ。だから私は、こういうある意味では間違いを起こすんだろうと思うのですよ。だから、これは私は議院運営委員会の方にも要請はしておかなきゃいかぬと思いますね。少なくともそういうことによって、バランスを欠くようなことがないかどうかということまで含めてひとつ判断をしてもらいたい。もちろん内々で提案をする、まあNHKの問題であれば、郵政省がこういった配慮は私はされるべきじゃないかというふうに思うんですよ。ですから私は、マスコミ界の方が入って結構ですから、しかしそれにしても全体の四分の一を占めてしまうということは、やっぱりいろいろな誤解を受けることになりはしませんか。マスコミ界だけが有能な人がおって、ほかはいないのだみたいな話をされても困るわけですわね。そういった点があるということをぜひ郵政大臣にもお考えいただいて、これからの問題としてはバランスのとれたものにひとつしていただくということを強く私は求めたいのですが、いかがですか。
  18. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先生の御指摘のように、ある種の偏った人選というものが誤解を受けるといけませんので、公共放送としてのNHKの公正を期するためにも、今後国会の御指導を得ながらそういう面での配意をしてまいりたい、かように申し上げておきたいと思います。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。よろしくひとつお願いしたいと思います。  もう一つ、この経営委員会構成人選の問題の中で、経営委員となる資格の問題ですね。その資格条件は十六条に書いてありまして、その四項には、要するに欠格条項、委員となれないという条件が書いてありまして、今読んでみると、これはどういうことなのかなというふうに考えたりなんかしたくなるような項目もないわけじゃありません。しかし、それはもう法律が今決まっているわけですから、それを正確に理解する以外ないんですが、例えば「政党の役員」というのがありますね。政党の役員は端的に言ってだめだが、政党員はいいが、五名以上になったら何かだめだとか、いろんなことが書いてあるわけです。じゃこの意味は一体どういう意味を持つんだろうと、なぜ政党の役員が外され、同時にまた、同じ政党員が五人以上になったらだめだというふうになるのか。アメリカのFCCあたりの規定などを見ますと、むしろ政党員でなければ放送関係経営委員にしないというような逆の立場の論議も現実に存在して、またそれが実行されているんですよね。確かに二大政党ですからね。だから、政党が放送というものを変な意味で独占をするようなことになったら大変だという意味で、逆に政党員でなければいけないなんというようなことが書いてあるのかもしれませんけれども、国それぞれだと私は思います。ですから、そういう意味では、ここに書かれていることもわからないわけじゃないんだけれども、そうなら一体政治にかかわるような仕事に立候補されるということになった場合に、それがこの欠格条項から見ると、一体認められるのか認められないのかということになるんですが、この辺官房長いかがですか。
  20. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) お尋ねは、これはこの規定どおり、立法趣旨と申しますか、どういう趣旨で設けられたのかということに属するかと思うのでありますが、御指摘のとおり、この十六条の欠格条項は必ずしも均一な思想でもないようでございまして、前段の方は禁錮に処せられたとか、そういう意味で先ほど先生の御指摘の、公正な判断はできるかどうかという点について疑問がある部分は一応排除する。同時に、御指摘のような条項を含めていろんな事業者も排除するということになってございますが、全体としてこうした十六条の規定というものは、やはりこれはNHK公共性にかんがみて放送の内容が不偏不党たることを確保しようという、そういう趣旨合いのものから出ておると思われるわけでございまして、そういう意味で特に政党の役員というのは大変影響力も多かろうから、これは排除をいたそう。同時に、これはまたできるだけ広範囲に人を選ぶとなれば、単に政党員のみのゆえをもって排除することもいかがかということで、ただし全体の中での構成比率を一定比率内に抑える、こんな趣旨合いから今の規定が設けられておるものだろうと考えておるわけでございまして、ちょっと明確なお尋ねじゃなかったんですが、前段の方はそういうふうに考えておるところでございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 それなら少し明確にしていきたいと思いますが、今現在の経営委員の中で最近辞任された方はおられますか。
  22. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 最近ということでは、私はまだその事態は承知をいたしておりません。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 辞任してないという前提に立って、じゃもう少し詳しくお伺いしたいんですが、この欠格条項の中にもう一つ「放送事業者若しくは新聞社通信社」というのがあるんですが、この「放送事業者」という中に放送番組の企画、制作及び販売、こういうものは入りますか。
  24. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 法律規定では、これは先ほども引用いたしましたので重複は避けますが、「放送事業者若しくは新聞社通信社その他ニュース若しくは情報の領布を業とする事業者」ということでございますので、もしその会社がこれに該当するかどうかというのは、主としてやっぱりこうした実態がどうかと、こういう法律規定が設けられた趣旨合いは先ほども触れましたが、やはりNHK公共放送としての使命に重大な影響を与えないようにという配慮から設けられたものだと思うんでございますが、そうした趣旨合いに照らしてみるには、やはり実態がどういうことになっているかという点がまず第一に判断要素になるものと思われます。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 要するに放送の番組というものを企画をして、制作をして、それを販売をするということですから、これ自体、NHKで販売はやってないけれども、放送の企画をし制作をしているという面はNHKに当然ありますわね。それと同じような仕事をやり、それにプラスをしてそれを販売をするんだ、そういう事態ということになりますと、そういう方が経営委員になるというのは、これは認められるんですか、どうなんですか。会社ですよ、これは。会社自体がそういう会社だと。
  26. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 先ほども申し上げましたとおり、放送事業者新聞社通信社等、基本的にNHKと類似の業務がございますし、同時にまた、ある意味の利害関係もございますから、こうした会社がNHK経営に参画するというようなことで、NHK言論報道機関としての特性がゆがまないようにという趣旨だろうと思いますので、したがって、法律の解釈どおり、こうした事業を営む社の代表という者は入ってはいけない、こういうことになっているものと理解しております。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 時間の関係もありますから、ずばり要請しておきたいんですけれども、今代表者というようなお話だが、やはり常務とか専務、こういう方々で、代表権がなくても会社の運営には大変な役割を果たしているという方が経営委員になるということについては疑問があるなという気持ちがするわけです。お互い人間関係ですから、経営委員といえどもどんなお仕事をされているかというふうな話あたりから、NHKの放送番組の企画、制作によもや大変な影響を与えまいと思いつつも、そんな疑いがあるというようなことが出てくるんじゃないか。そういう方が経営委員になっているということは余りよろしくないんじゃないかということであります。  それと同時に、その方が何か週刊誌とか新聞をいろいろにぎわしているでしょう。そういう方はおりませんか、今の経営委員の中に。
  28. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 現在の経営委員の方で、先ほどから御指摘いただいている放送事業者と目される会社に属しておられる方は、私どもいないと判断しておるわけでございます。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 一つは比例代表区の候補者に要請されて、それを受諾をしたということで盛んに新聞に書かれ、同時にまた週刊誌でも紹介されている、こういう方がおる。その方がこの株式会社の常務をやっておられまして、その会社の定款を見ますと、今言ったような放送番組の企画、制作及び販売というものを業とする、もちろん十一ぐらいある中の一つなんですけれども、ということが実はあるわけですよ。  ですから、会社の話はこれは根本的な問題ですから、法の解釈がどうなるかということにもよるんでしょうが、前段の国会の、いわば政治を目指して候補者になるということになりますと、過去にも例がありましたよね。それで、どんな論議が逓信委員会でされたかということも会議録によって明らかです。そして当時の郵政大臣が、明確に法の規定によれば違反ではないかもしれないけれども、本人自身の良識の問題である。私はやはり辞任をすべきだと思う、立候補が事実ならばということでもって、たしか昭和五十二年の三月ですかの衆議院の逓信委員会で、そういう答えが大来さんの場合に実は出ているのであります。  ですから、ここまで明確になってきますと、本人を含めて受諾ということになってくると、これはどうなんだろうと。確かに法律からいって押しつけるようなことじゃないかもしらぬけれども、経営委員会運営その他にそれこそ政党色が出るというんですかね、問題が起きないのかということが出てくるんですが、この点いかがですか、大臣。どうも大臣にも大変関係があるようですよ、これは。
  30. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) いろいろお話ございますが、この方が属されている会社といいますか事業体は、私どもの承知をいたします限りは、ニュース頒布を業とするという六号には該当はいたしておらない。実態としては、主として商品研究というようなことを主力とする事業体だというふうに理解をいたしておるところでございますので、念のために申し上げさしていただきたいと思っております。  なお、いろいろ記事が掲載されているということは私どもも見聞きをいたすわけでございますが、正式には私ども承知をしていないわけでございます。法律上の論議といたしましても、国会議員というものは国家公務員という中で、これは常勤ないし非常勤を含むという意味で、広く解すれば国会議員は確かに欠格条項にはなってございますから、そういう事態になれば直ちに法律上の問題になるかと思うのでございますが、そうした議論はさておき、いろいろそうした論議が出ることに関しては、これは法律の条項に照らしてみて直ちに右だ左だということは言えないわけでございますので、この辺は経営委員としての御本人の判断にまつことになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  31. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) この十六条でも「五人以上が同一の政党に属する者となることとなつてはならない。」ということが書いてございますし、立候補予定者についての規定というものは別にないわけでございますが、先生指摘のように、私ども公共放送であるNHKというのはどこから見ても透明な、そしてどこから見てもクリーンなものにしておく必要があると思いますので、これはいずれ御本人からお話があるのかどうか、その辺はひとつ私どもも寄り寄りこれからいろいろ対策を立ててまいりたい、かように思っております。
  32. 及川一夫

    及川一夫君 これは善処をお願いしたいというふうに私は思いますが、率直に言ってこういう問題は本人は気づかないものですよ、言われないと。私も体験があるんです。これはNHKの皆さんおられるけれども、私は中央番組審議委員やっておったときに、小さな小さな記事でしたよ、及川一夫は比例代表区に立候補することを第何回中央執行委員会で決定したと、もうそれだけでもって、直ちにNHKさんは動きましたよ。ちょっと及川さんという話です。何だろうと思ったら、ちょっと言いにくいんですが、こんな話ですよ。私はそこで、ああそうですか、政治色が出ますからね、なるほどと。結構です、それやってくださいと言いました、私はそのときにね。  ですから、これは官房長、あなたの立場ではそういう答弁しかできないだろうけれども、今大臣がおっしゃられたように、本人が言うてくるのではないかという、そういう期待感が確かに目いっぱいかもしれませんよ。しかし、あなたの方からそういう行動を、礼を尽くして考えてもらうようにしむけませんと、この問題知らずに行っちゃうんですよ、これ。だから私はこれ以上申し上げませんけれども、ぜひ大臣が、言葉にはされなかったけれども、良識ある措置をされる、また本人も考えるべきであろうと、こういう立場に立った結果が出るように期待をして、この問題について終わっておきたいと思います。  それで、二つ目にお伺いしたいのは、三月の実施の世論調査をめぐっての問題であります。  まず第一にお伺いしたいのですが、十七日ですか、衆議院の大蔵委員会で同様の論議が、間接税問題ということで論議をされました。その結果、朝日新聞にこういう尾西さんの立派なお写真も含めて載っているわけであります。これはどういうことなんでしょうか。反省をし、率直に非を認めて、それでこれからは二度と再びこのような措置はしないということを表明されたようになっておるんですが、そういうふうに我々受け取ってよろしいですか。
  33. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 大蔵委員会の議事録を詳細に御検討いただければ、私が衆議院の逓信委員会で申し上げたことを一歩も出ておりません。
  34. 及川一夫

    及川一夫君 要するにあれですか、間違いはなかったと、現場の判断に間違いはないし、編集権の問題であると、こういうことをあなたは今言われたんですか。そういう考え方は変わってない。にもかかわらずこういう報道がされた、こう受けとめていいんですか。
  35. 林乙也

    参考人(林乙也君) 衆議院の逓信委員会におけるNHKの答弁と大蔵委員会におきましての答弁についての御質問があったわけでございますけれども、NHKといたしましては、これまでの両委員会におきます答弁は論旨を変えたものではございませんで、両委員会におきまして同様のことを御答弁申し上げたのでございます。その答弁の内容は、全体といたしまして、世論調査の制度的な位置づけとその運用について御答弁を申し上げました。  本件の「くらしと政治」につきましての世論調査でございますが、四十四条におきまして、放送番組についての国民の、視聴者の意向を聴取するための世論調査が定められておりますが、問題になっております「くらしと政治」につきましては、この四十四条に定める調査というものではございませんで、ニュース番組についての情報の素材を収集するための調査というように考えておるところでございます。  ただ、私どもNHKといたしましては、公共放送の使命と責務にかんがみまして、四十四条に定める調査、あるいはそれ以外の調査につきましても特に区別はいたしておりませんで、それを国民に公表することを基本にいたしております。ただ、公表に当たりましての方法につきましては、NHKにゆだねられておるものでございますので、放送あるいは印刷物等によって公表しておりますことを御答弁申し上げました。  また、その運用につきましても、今回の新聞報道等で問題になりました、集約された賛否のいかんによって放送したり、あるいは放送しなかったのではないかというような報道などもあったわけでございますが、これは担当の理事からもあるいは御答弁申し上げますが、世論調査の実施の時期と、それから政府税調の素案の発表の時期が相前後いたしまして、調査の時期は政府税調の素案の発表前、ところが、集約の段階におきましては政府税調の素案の発表後というようなことで、そのままこれを公表いたしましたのでは視聴者の誤解を招きかねないという編集判断に基づいて放送いたさなかったものでございます。  今後の取り扱いといたしましても、「くらしと政治」というような世論調査は今後とも実施することになるわけでございまして、当然国民の関心の強い間接税問題というものにつきましても調査するわけでございますが、今回のように客観情勢の変化といいますか、がなければ、当然にこれは取りまとめた数字といいますか、率というものをそのまま公表してまいるということにつきましては、今までの取り扱いもそのようにいたしてまいったことでもございますし、今後ともそれが変わりないことを御答弁申し上げたところでございます。
  36. 及川一夫

    及川一夫君 聞かぬことを言わぬでもいいですよ。大体わかっておるんだから、あなた方が何をおっしゃられたかみんな知っているんですよ。会議録も全部読んでいます。だから問題は、ここではこの報道というのは、大蔵委員会では今あなたが答弁されたこととは違う。つまり、世間一般が思っている、また、我々が思っていることに気持ちを合わして、今後の問題を意識してそれで答弁をされた、認められたと、こう受けとめられる内容なんですよ。だから、それは事実かどうかと聞いているんだから、事実でないと言うなら、ないとはっきり言ってくださいよ。それから議論するんじゃないですか。
  37. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私は、その新聞の編集について、とかく申すべき立場ではございませんので、そのことについては、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。  私が冒頭に申し上げましたように、私たちの大蔵委員会における発言は、先ごろ行われました逓信委員会における発言と全く変わるものではございません。
  38. 及川一夫

    及川一夫君 それでいいですよ、前提がそうですから。そこで、私は会長にお伺いしたいんですが、何か税調の素案が出てくる前に、あるいはまた、前にやりたいという気持ちが、おくれて出てしまって、下手をすると、それ自体に対する賛否ということの誤解を与えかねない、こういうことから編集権の問題として放映しなかったと、発表しなかったと、こうおっしゃられているわけでしょう、これ。なぜ一体誤解を与えることになるんですか。それを聞きたいんですよ、どんな誤解を与えることになるんですか。
  39. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 少なくとも私どものねらいは、政府税調の素案が発表された段階で、これに対して賛否を問うという設問をしたわけでございます。したがいまして、その中身のない、あるいは実体のはっきりしないものについて賛否を問うということは、これは必ずしも正しい調査結果というふうには私どもは基本的に考えなかったということが一つございますのと、今先生から御指摘のございました政府税調の素案の発表と、その調査の結果がまとまったという時点が重なったために、この二つの要素でもって私どもの編集判断として放送しないことを決めたわけでございます。したがいまして、誤解という言葉は、まさしく我々の意図に反してこの政府税調素案に対する一般国民世論の動向というふうに受けとられるおそれをそういうふうな表現で申し上げたわけでございます。
  40. 及川一夫

    及川一夫君 誤解を与えて困るのは、一体じゃだれだと判断するんですか。一体あなた方があれを発表されて——もちろん誤解を受けないようにしなきゃいけませんよ、同じ発表するんでも。だからマスコミでも言われている、いろんなところで言われているように、これは素案と違いますと、それ以前の調査ですとつけりゃいいじゃないかと、こういうふうに言う人がたくさんおるでしょう。そうすりゃ、いいの悪いの言ったって、これは素案のじゃないと、こうなるわけだからね。しかし、それでも困る人いるかもしれませんよ。困るのはお互いさまで、私はこういう議論をしながら、自分でやっぱり考えていますよ。こういうものというのは、もろ刃のやいばなんですから、お互い賛成、反対があるとすればね。たまたまどっちに立っているかだけの話なんですよ。だから、そういう意味では、あなた方は誤解を与えるというふうに勝手に判断されているけれども、一体誤解を与えて困るのはだれなんですか。あなたが困るんですか。それとも視聴者が困るんですか。国民全体が困るんですか。政府税調が困るんですか。一体だれが困るというふうにあなた方は考えたんですか、これ。
  41. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私どもの編集判断の中には、だれが困るかというようなことは一切考えておりません。
  42. 及川一夫

    及川一夫君 そんなら何で出さないんですか、困らないんなら。誤解もへったくれもないじゃないですか。  それで私は思うんだけれども、仮に素案が出る前に出したって、一定のショックを与えますよ、あれは。例えば、政府税調の中でいろんな階層の方々がおられるわけでしょう。そうして論議をしているさなかに、NHKが世論調査をした結果、反対が四八%ですと、ぱっと出したということになったら、それは税調の中で議論する人は、NHKがやったってこうなっているじゃないかと、こんなのおかしいと言って、まとまりかけたのがぶち壊れるというようなことだって、議論ですからあり得ますよ、それは。それこそそれだって、それについてけしからぬと思う人から思えば誤解を与えたことになるんじゃないですか、これ。  だから、出したら誤解を与える、出さなければ誤解を与えないとおっしゃるけれども、どっちにしたって誤解は出てくるんですよ、これは。そして反発も出てくるんですよ。いいじゃないですか、それが世論調査ですよ。それをどういうふうに国民が選択していくかの問題なんですよ。そういうふうに私は考えたら、あなた方がとるべき措置というのは、少なくともこの時期にこういう調査をやるべきでなかったというだけの話なんですよ。それをあなた方は、誤解だ何だかんだ言って隠しちゃったんだから、それで公表と言うけれども、冗談じゃないですよ、あなた。何で公表したんですか。  それならお聞きしますが、あなた方が出している機関誌的なものがここにありますが、「放送と文化」というのはちょっと違うようですけれども、これは放送界全体の問題のようですが、この中に「技研月報」があるでしょう。こんなもの内々の問題じゃないですか。技術的な問題ですよ、これは。僕らだってわかりません、こんなもの見たってね。あと同業者との資料の交換というか技術の交換、こういうものでしょう。研究年報ですよ、これは。NHKがやっている、これはまさに部内誌ですよね。それで「放送研究と調査」、こうなっている。これがあなた方が言う公表と、こう言うんでしょう。これは何部出ているんですか。三千部じゃないですか。  それで、私だけかもしれませんけれども、正直言って去年の三月から来なかったんです、私の部屋には。これは今、国会議員の中に配られているのは逓信委員だけだと私は聞いていますよ。それはそうでしょうね、三千部と限られた部数なんですから。逓信委員だけ相手にして、これ公表したことになりますか。マスコミに配っていると言われる。放送界にも配っていると。いいですよ、それは結構です。だけれども、それは全部特定の人間じゃないですか。私が五月号を見たのは、新聞を見て、あっ、うちにも来ているはずだが、ちょっと持ってこいと言ったら、ないと言うんです。おかしいなと思ったら、一年分ないんです。だから国会担当に話をして持ってきてもらいましたよ。何で来なかったのか、理由がわからぬという。その程度のものなんだ、こんなの。何で配布漏れになったのかわからぬという程度。気配りが全然ありません。絶対にこれは渡さないと大変なものだなどという代物じゃないんですよ。それを公表の道具にして、公表だ、公表だと言われるんですか、これ。そんなばかな話がありますか。どうですか。
  43. 林乙也

    参考人(林乙也君) まず最初に放送と印刷物でございますけれども、やはりメディアの特性に応じて行わなければならないことを申し上げまして、印刷物でございますけれども、この配布先につきましては、ただいま先生が申しましたように、三千部というような形でございますけれども、その配布先といたしましては、公的な図書館だとか研究所、学会、官公庁、新聞社、それから民放、広告・調査関係機関、出版関係というようなところ、関係の記者クラブにも配っておりますが、そういうところへは無料で配布をいたしておるところでございます。  私どもといたしましては、どうしても印刷物というものが、やはり調査の全体をそのまま端的に集約するといいますか、取りまとめるということでは非常に適当な方法だというふうに考えておるところでございます。
  44. 及川一夫

    及川一夫君 林さん、よく考えてくださいよ。これを仮に国民、視聴者に配ったとしましょう。だれが読みますか、こんなもの。よほどの専門家でないと読もうとしないんですよ。  ただ私は、こういうふうにしなければならない、ぜひそうしてほしいと思うのは、新聞の世論調査とテレビの世論調査はやっぱり違うんですよ。新聞から来る影響というのは結構少ない。影響力というのは割合ない。しかし、目から入ってぱっとくるやつは、もう強烈なんです、これは。ところが、テレビ放送には限界がある、世論調査のね。何千名を対象にして調査をしたということは言えたにしても、質問事項の一つ一つをこれは言うわけにいかない、放映時間との関係でね。  だから、十二月のものが出たときに、おかしいじゃないかと。条件つきといったって、条件つきの中身がわからない、これは。どんな条件がついていたのかわからない。新聞に比べたら、もう片手も二手も落ちているじゃないか、無責任だと、こう思ったんですよ、私は。ところが、調べてみると、なるほどこれでもって詳しく出ている。新聞並みに詳しく出ている。新聞はその日のうちに別の面できれいに出ちゃいますからね。だから、あれには文句があるというのは、意見の違いということなんでね、これの場合には文句はあるけれども、どこに言いようもない。これを見て初めて納得するか、問題ありとして問題を指摘することができる。ないよりはましだという意味を含めて、いずれにしてもテレビ放送のニュースの補完としてこれは重要であることは私は認めますよ。そういうものだというふうに私は思っているんです、これは。こんなものを公表の手段だというふうにあなた方が考えられることについては、私は絶対に容認できない。  どなたに聞いても、テレビが世論調査をして公表するというのは、電波を使うということ、放送という技術を使うということ、ブラウン管に映るということ、これが公表だと、みんな思っていますよ。こんなものは主義主張の違いじゃないですよ。それをあなた方が、今回指摘をされたからといって、無理無理これで公表したと、こうおっしゃるんだが、それはちょっと無理と違いますか。十二月の問題については放映をされた、結構ですよ。私もある意味ではショックでしたよ。四六%も賛成した、条件づきで。ところが、この条件づきの内容だって、あなた読み上げてごらんなさいよ。大変むちゃくちゃじゃないですか、これは。だから、NHKの内部にも設問の仕方に問題があった。つまり賛成か、反対か、わからないという聞き方をしなかったんでしょう、十二月のやつは。三月のやつは賛成、反対、わからないと、こう聞いたから、気持ちがそのままストレートに出ただけの話ですよ。それが四八%という、反対ということなんだ。  十二月のはあなた、違うじゃないですか。誘導が入っているとか、いろんなあれがありますよ。例えば「直接税と間接税の比率を見直すために、なるべく早く導入すべきだ」という設問なんですね。私だって、これは導入すべきだということにぱっと入れたくなりますよ。なぜなら直接税が問題になっているからなんですよ。間接税は不公正税制との関係なんかがあるからね。僕はチェックをしたんだけれども、聞かれた限りにおいてはこれにしか、出そうと思えばチェックしようがないですな。所得税は高いというふうに言ってきた、私も。いまだに高いと思っている。だからということはありますよ。財源をどうするかといったら、意見の対立があるじゃないですか。だから、そこのところを考えると、この設問は余りにも人を食った話だと、みんなにつけさせるようにこれは聞いていると、こうしか思えないんですよ。  それから、「導入はやむをえないが、国民大多数の合意がえられるよう、時間をかけて検討すべきだ」、これが実は一番高かったんですよね。「時間をかけて検討すべきだ」ですよ、これ。時間をかけて検討すべきだという時間は一体どのぐらいなんですか。我々は三年ぐらいかけるべきだという気持ちがある。政府部内ではすぐ決めろという意見もあるけれども、大方一年半みたいな話がある。しかしそれも今すぐ決めて、実施をするのは一年半だとか、一年だとか後にやろうではないかと、こういう意見なんですよ。全然そういうものが出ない段階で、この「時間をかけて検討」、恐らく時間をかけて検討すべきだということにウエートを置いて、二六%というハイレベルの比率が私は出たのだというふうに思いますよ。  それから、「高齢化社会を考えると、福祉を目的とする税金なら導入してもよい」、これだって、福祉税にするからといって、間接税になるかどうかわからないんですよ、これ。福祉税そのものを直接税でやれという意見だってあるんですよ。だから、あなた方はどういう意図を持って福祉目的というふうに言われたのか。これだって聞いてみなきゃ、なかなかチェックできないんですよ。  そういうふうに設問自体が非常に誘導的であるとか、何か賛成を高くするために目的、意識的にやっているんじゃないかという、それこそ誤解ですよ、受けるようなことをあなた方自身がやっているじゃないですか。それを堂々と発表されたんですよ。発表された限りでは、世論調査ですからね、その結果に対してとやかく言ったってしようがないという気持ちでした、私らは。だから逓信委員会等で別にとやかく言っていないでしょう、僕らは。本当にそうなのかということはただしていなきゃいかぬ。それは何もあなた方にただすんじゃない、国民全体にただしていかにゃいかぬ、こういう意味合いのことは私は感じましたけれどもね。  だから私は、何だかんだ言ってみても、十二月に放映をして、三月のものはやらなかった、単純に言えばこれだけの話なんですよ。それをあなた方はよかったと思うのか、悪かったと思うのか、悪かったらどうするかというふうに考えるのか、ここだけなんですよ。それ以上のものは何もないですよ、この問題は。どうですか、その点。
  45. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 先ほども御説明申し上げましたように、私どもは、三月時点の調査は、私どもの考えていた政府税調素案に対する賛否を問うものにはならなかったということで、この調査結果については、先ほど来申し上げておりますように、新型間接税の政府税調素案が出た時期と重なったということもありまして、放送をしなかったわけでございます。それから十二月の調査につきましては、先生今いろいろ御指摘、これは私どもとしては今後の参考にさしていただきたいと思いますけれども、私どもとしては誘導しようとか、あるいは賛成に導くための質問などということを考えたわけでは絶対にございません。  それから今後の問題でございますけれども、私どもとしては、この税制の抜本改革というものは国民生活に大きな影響を及ぼす重大な問題だというふうに認識しております。したがいまして、我々は必ずしも世論調査だけではありませんけれども、あらゆる番組でこの問題についていすらんな判断の材料を提供し、さらに国民的な議論の場を提供することによって、NHK公共的な役割を果たしたいというふうに考えております。
  46. 及川一夫

    及川一夫君 論点はいろいろあるんですよ、あなた方がお話しになっている中でね。だから総締めくくり的にやらなきゃいかぬと思いますがね。  今のお答えでも、本当の意味で反省というか、いや悪かったなと、これはやるべきじゃなかったと、やっぱり放映すべきだったという気持ちなり考え方というのはどうも聞こえない、そういうふうにはね。それが倒れない限り、変えない限り、私は引くわけにいかないんですよ、これは。  だから、会長もおっしゃられているんだけれども、現場の判断は正しかった、編集権の問題だ。何ですか、この編集権というのは。僕はようわからぬ、そんなもの。別に編集権に我々は畳み込んでいってとやかく言おうなんて、そんな気持ちじゃないですよ。あなた方がやられた過去形の問題についていろんなところから批判が出ているし、僕らも批判持っているんですよ、こんなのおかしいやないかと。こんなことでは放送法で言う公正中立とかいうものが一体守られるのかと。世論調査をやった、出してくれた、その人たちに対してどういうふうに一体こたえるんだ。本人たちは放映されるものと思っている。それがいつの間にかこの雑誌に変わっちゃった。じゃ、ちゃんと千八百名のアンケートに応じてくれた人に全部配りましたか、これ。断り書きをつけて、こういう理由で放映できなかったので、アンケートの結果についてはこれをもってかえますというふうに配りましたかいな、これ。配ったということは聞いていませんよ、私は。何にもしていないじゃないですか。それなら協力してきた人に対して一体どういう気持ちで対応するんですか。べらぼうだと思いますね、そういう点は。  それと同時に、この編集権の問題についてぜひ伺いたい。もし編集権ということでこの問題を処されるというならば、中央番組審議会の問題であるとか、地方番組審議会の問題であるとか、視聴者会議の問題であるとか、こういったところで出た意見というのは、そしてあなた方が採用したら、それは編集権を侵されたことになるんですか、これ。お聞きしたいです。僕はもう尾西さんはいいと思う。あなたそれ以上言えないもの。だから、ここまで来ればやはり責任者が物を言ってくださいよ、会長
  47. 川原正人

    参考人川原正人君) 私かたくなに編集権云々と申しているつもりはないんです。率直に申しまして、三月のその時点では私もはっきりした相談を受けたわけではございません。これは現場においていろんなことをやっておりまして、その判断だと思うんです。後になって、せんだって聞きまして、いろいろ経緯をずっと聞いていった過程で、少なくともその新型間接税の世論調査だけでなくて、あのときは随分多項目にいろいろ聞いているようです。その中で新型間接税については、まさに御指摘のとおり、テレビにおける発表ということが、政府税調の発表におくれて発表になった。そこへ言ってみれば、やや古い前提のままで質問した結果が出てきたというところで、これをそのまま流しては誤解を生ずると言って、ニュースセクションがその新型間接税の部分はいかに何でもこれは誤解を生ずるであろうと言って、そこは放送しなかった、そのニュース判断は、私はそれで妥当だったとやっぱり思います。恐らくそうせざるを得なかっただろうと思います。  ただ、今御指摘のように、もともとそういう政府税調の骨格がわかるであろうという前提で調査をしようとしたのに、そこがずれてきたなら、そこはいかにもその項目については、その時期にそういうことをすべきじゃなかったんじゃないかという御指摘につきましては、私はやはり、いろんなほかの項目もあったかもしれませんが、その調査の過程においてはあるいはもっと何か処置があったんではないかということは正直感じます。ただしかし、そこまで三月の何日かに来て、まさにその世論調査の結果と政府税調のおくれて出てきたものが重なった時点では、そういう判断をしたのは私としても妥当というか、やむを得なかったというふうに今でも思っております。  ただしかし、こういうことでいろいろ各方面の御批判を受ける中で、およそ世論調査のありようについては私どももっともっと勉強する必要がある。あるいは設問の仕方につきましてもどういう形で、特に事柄がデリケートであればあるほどその設問のつくり方については我々もっともっと勉強しなきゃいけない。あるいはその調査の時期につきましても我々が世の中の動き、これを十分に見きわめて、そこで誤解——誤解といいますか、間違ってもその調査結果が、これおかしいではないかと視聴者に思われるようなタイミングをとらないといいますか、そこは慎重にその時期も考えるべきだということにつきましては、私は今回の事件を含めまして各方面の御批判を率直に承りたいと思っております。  それで、これはこのままで終わる問題でございません。今尾西も申し上げましたように、今後ともこれは大きな問題でございますので、あらゆる番組を通じまして、さらにいろんな角度から情報を視聴者の方に提供していきたい。その中ではまた慎重にいろんな各方面の御意見も聞いた上で、世論調査のやり方もさらに深く慎重に検討して実施してまいりたいというふうに考えております。
  48. 及川一夫

    及川一夫君 まあ率直に受けとめると、こうおっしゃられているんですから、我々の主張していることも理解された上で今後の問題に対応すると、こういうお答えと受けとめますが、よろしいですか。よろしいですか、それで。
  49. 川原正人

    参考人川原正人君) 先ほど番組審議会云々の御意見もありましたけれども、非常にその言葉を私言いにくいことがあるんですけれども、各方面の御意見は十分に率直に受けとめます。そして、私どもの方の責任において、今後の番組の編集制作に十分にそれは受けとめた上で、私どもの判断で考えさしていただきたい、こういうふうに思います。
  50. 及川一夫

    及川一夫君 その最後の方の私どもの判断というのが余計なことだと言うんだ、わしは。今議論しているのは、三月の問題についてどうしてああいう扱いになったのか、それが間違いじゃないですか、こう言っているんですよ。それを率直に受けとめるとまで来たから、理解してくれたなと。そんなら今後の問題はどうするかということはあるけれども、気持ちはまず一致したぞと。だから、まあ端的に言わしてもらえば、あれは悪かったと、もう今後ああいうことはすまいということを率直に認めているはず、また認めなければならないと私は思うんですよ。そういう意味の率直さというものが、率直に受けとめるという言葉であらわされたというふうに私は思うんですよ。  そうでなければ、それは何議論してみたって、最後は私どもに任してくださいと、こう言われたって、前段がはっきりしないのに任すわけにいかないなんというような議論になりかねませんよ。だから、私は改めて言いますけれども、編集権とかそういうものに関係している、おまえには編集権がない、あってもここまでだ、こんなこと言おうとしているんじゃないんですよ。本当に放送法で言われる公正中立ですか、あるいは政治的にどっちにも曲がらないみたいな、そういうのがあるでしょう。これを守るためには、そういう角度からいっても、あれ自体は私は決していい処置だったとは思わない。むしろNHK全体の放映について信頼性を失うということになりかねない、それが心配だと、こういう思いがあって声を大にしているんだというふうに会長受けとめてもらいたいんですよ。  だから、今後のあり方としては当然のこととして、やっぱり世論調査としてやった以上は、だれの目から見てもね、これはまあ放映しなくてもいいものというのは、それはあるかもしれませんよ、中には。しかし、こういう税制、つまり民主主義の根幹にかかわる問題でしょうが。そういう問題で、あなた方も意図して、とにかく国民全体の意思を集約してみようと、こうはかられたんでしょう。十二月と三月の間には、あなた、わずか三カ月の間しかないんですよ。それだって十二月に対する批判があるから、私は気持ちの上で動いたというふうに見ていますよ。  ここにも実際問題としてあるんですよ。この今度の問題に対して、あるいは十二月の問題に対するね。いろんな方が言われていますよ。例えば「NHKはだれに向いて放送しているのか。世論調査に協力した人に対しても無責任すぎる。我々には考えられない判断」だと言って、フジテレビ系の「スーパータイム」の小櫃真佐己編集長が言っているとか、あるいは労使関係の中でもあなた方議論になったでしょう。恐らく労働組合だって、それは直接的ではありませんよ、NHKを担いでいるのは。だけれども、道義的には大変な責任を持っているんですよ、労働組合といえどもね。そういう立場の方でもやはり「自民党三百議席の現状で自己規制がはたらいた結果、公表しなかったのだと思う。」従業員を代表してちゃんと言われているんだ、こういうふうに。「公表しなかったのだと思う。こうした積み重ねによって視聴者から不信を招くのが一番怖い」それはそうでしょう。だから逓信委員会でもあったようですが、受信料を集めている方々、この方々がどう言われているかということだってあるんですよ。  NHKに対する信頼が高ければ高いほど、こういったことをやると不信どころか罵倒になっちゃうんだ、これ。それで現場の人たちは苦しむんですよ。そういうことも含めてあなた方考えたら、いつまでもおれのやったことは正しいなんてこと言えますか、こんなの。さらに、あなた方もお使いになっているんでしょう。元NHK放送世論調査所長の川竹さんという方もおっしゃられて、「NHKは自民党べったりとは思わないが、右にも左にも偏ってはいけないという考えにとらわれて自己規制作用が働きがち。たいした意図があって放送しなかったわけでもないようだ。ただ、非公表にした結果、世間がどう取るかを予測できなかった判断の甘さとニュースセンスの欠如を感じる」と、こう言われているんだ。  すべてではないかもしれませんけれども、やっぱり関係者が、あるいは皆さんを取り巻いている方々、我々も含めてといってもらっても結構ですよ。NHKさんよ、あれはまずかったんじゃないですかと、ああいうことはやめてくださいと、そして信頼性を持続してくださいと。数字に戸惑うような世論調査というのは、書いた人はもちろんのこと、やっぱり結果というものについていろんな不安とか期待とか、いろんなものを含めてあるわけですから、この世の中、あんた百人が百人とも皆賛成なんて、そんなことあり得ないんでね。足りない点はいいじゃないですか、NHKならNHKの論議の中で論調を組み立てて、大いに解説でも何でもやったらいいじゃないですか。  そういう道もたくさんあるのにもかかわらず、何ですか、例えばこの前、日曜日の「視点」というやつがありましたね。あの中で学校校則の問題をとらえていますよ。あの放送の仕方見てごらんなさい。あれはまさに、おしゃべりになっている方々が、今の校則には問題がありという前提お話しになってますよ。我々ストレートに受けとめる。もちろんその中間中間にはそういう考えに立てない人のものも放映をしながら、しかしながらと、こう言っているんですよ。だから、これだって放映をしておいて、誤解だ、へったくりだといって出てくるんだったら、「視点」でも何でもいいからやりゃいいんですよ。そして、素案の前であったと、だから、これはそれとは違うということを前提にしながらいろいろ解説すりゃいいじゃないですか。いろんな論点を多角的に出しなさいとなっておるんだから、法律上、それをなぜ遠慮されるんですか。ぱっと出た結果だけが気になってやね、だれに言われたのか知らぬけれどもということに私はなってくる。何ぼ首振ったってだめですよ。こうしか取れない、我々は。この種問題というのは、あなたが何ぼ抗弁しても、取る側がどう思うかが大事なんですよ、これは。それで相場は決まっちまう。それが嫌なら、はっきり言って、担当をかえるか何かして、経営陣をかえるか何かして、それで、いや、そんなことはありませんと、こうでも言ってもらわないことには、うんと言えない、わしらも。そういうものだということをぜひ考えていただきたい。  だから、会長、どうなんですか、率直に受けとめるという中身ですよ。私の言っていることは、すべて満点とは言えません。大変失礼なことも言っているかもしれない。しかし、心の底ではNHKの信頼ですよ。そのためにはあの問題の扱いは、放映すべきだった。そうした上に立って誤解を解く、誤解が起きたら誤解を解くやり方があったはずなんだと。そこまで考えると、この際NHKは非を認めて、今後こうしたことをしないという前提に立って、いろいろと編集権を行使されて大いにやっていただきたい、こういうふうに思うんですがね、いかがですか。
  51. 川原正人

    参考人川原正人君) 先ほど申しましたけれども、私の今の立場と心境から申しまして、あの時点でのニュース判断としては、私はあれで妥当だったと今でも思っております。ただ、私どものやりました過去のいろんな番組、この新型税制に限っても結構でございますけれども、いろいろな番組なり世論調査なりのやったこと、やり方、その具体的な方法、それがもう全く非の打ちどころがないなどと私は思っておりません。我々大いに勉強をしなければならぬ点が多々あるというふうにみずからも思っておりますし、特に今回の問題について、各方面から寄せられました意見に対しましては率直に耳を傾けております。そして、どうしてこういうふうな誤解を受けたのかなということにつきましても、私どももそれはいろいろ部内でも議論はいたしております。したがいまして、そういうことは今後の番組の制作なり編集の中に私は十分に反映さしていきたい。そして間違いのないような番組の制作をさらに続けてまいりたいと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  52. 及川一夫

    及川一夫君 まあお認めになったのかならないのか、私はようわかりません。ここは、この種問題では何もあなたの命がとられるわけじゃないんだから、すぱっと認めるところは認めていきませんと、尾を引きますよ、必ずこれは。中央番組審議委員の人、私存じ上げているものですから、何人かにお聞きしましたよ。論議したそうですね、これ。議論になったそうですが、なぜあんなことをしたのかとね。るる今のような御説明されたけれども、十三人の審議委員の皆さんが何か納得したような話というのは、ほとんど出てこないんですよ。だから、我々が一方的に物を言ってるんじゃなしに、やはりだれが見ても、だれが聞いても、私は自民党の先生方だって、そんな思いをしている方がないとは言えないと思いますよ、これ。何もこんなことが自民党にとって得か損かって考えてみたら、必ずしも得じゃないですから。何かへたすりゃ政権与党だから、力を使ってNHKきりきり舞いさせて、それでこれを押し込んじゃったなんてとられたら、これ大変でしょう。えらい迷惑だと、こう思っているかもしれませんよ。  だから、私はこの種問題では本当に、あの時点ではと言われるんですよ、会長は。あの時点では正しかったと、それは思ったからやったんでしょう。だけれども、経過として、結果として見たら、これほどの批判があるんだということについて、なぜ率直に耳を傾けるのなら認められないんですか。お認めになった方がいいんじゃないですか。さっぱりしますよ、その方が。そうして、御協力全面的に僕らできますよ。そういうものだというんだ、これは。  親が子供をしつけるときもそうじゃないですか。まず悪いことは悪いこととして認めて、しかし、なぜそうなったのかということを考えようと言って親が語りかけるじゃないですか。あなたがそういうことを子供にやっているのに、なぜあなたは、今なされておることについてそういう気持ちにならないんですか。私、非常におかしいと思いますよ。私は、ぜひこの問題は、まあ言葉はいいけれども、それはもう間違った、自己批判しますなんて、そんなことを言えなんて言いませんよ。しかし、あれは正しい措置じゃなかったな、今考えてみれば。だから今後ああいったことのないように、ひとつNHKとしてもきちっとした対応をしますというふうに私は言うてくれないと、またそういう気持ちで一致しないと、下がれないという気持ちがするんですよ。いつまでもこんなものごたごたごたごたしておくべき問題とは違う、こう思うんですが、会長いかがですか。
  53. 川原正人

    参考人川原正人君) お話しのお気持ちは私もよくわかりますけれども、私の立場と答弁としましては、御意見は十分に承りますが、今後のことはあくまで私どもの責任において処理をさせていただきたい。決して御期待を裏切るようなことは、今後の番組においてすることはありません。十分にその点は視聴者の皆様方の御期待にこたえるような番組の編集、制作をやってまいります。
  54. 及川一夫

    及川一夫君 気持ちの上じゃ大分傾いているようなんですがね。言葉にならないというのは、日本語を御存じないんならしようがないけれども、立派な日本語を使っておられるんですからね。NHKは模範的なんですから、日本語は。なぜ、そこまで言っているのに、さっと出ないんですか、これ。まさか年のせいじゃないでしょうね、これは。そんなにあなたあれですか、現場のことを考えてくれることはいいけれども、何かそう言ったために尾西さんやめるんですか、こんな問題で。そんなことでも考えているんですか。冗談じゃないですよ。人のやることですよ。間違いはありますよるそれを率直に認めるか認めないか。認めないでけっぱるか、けっぱらないか、こうなりゃ力ずくですわ、これはね。そういうふうになるんですよ。そうすると、結果としてやめる、やめないなんという話になっていく。それは私だってそんな気持ちは一切ないんですから、だからもう少しこの事態というものを、これ以上もう論議をしなくとも済むようになぜできないんですか。毎回毎回やっていくようになりますよ、今度。我々の目も今度は一つ一つの番組に目をつけていて、それで一々逓信委員会でやっていたらどうなるんですか、これ。できないわけじゃない、むちゃだという議論は出てくるかもしらぬけれども。だから、そういうふうにしないためにも、私はさっきから会長や重役の皆さんだけに焦点を合わしているのは、そこで済ましたいからなんですよ。余り郵政大臣とか、特に放送行政局長などに言わすと、それが一つのきっかけになって、日常つまらない介入をされたら困りますからね。だから、焦点を合わさないだけなんですよ。どうですか、もう一度会長ね、お願いしたいですよ。
  55. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  56. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 速記を起こしてください。  今、長田委員と大木委員からもいろいろ御意見ございました。理事会で後ほど協議をしたいと思うんでありますが、及川君の質問、まとめの質問をしていただいて、及川君の質問を終わりにいたしたい、こう思います。
  57. 及川一夫

    及川一夫君 発言としては、さまざまなことを申し上げましたけれども、長田先生郵政事業のみならず、電気通信事業、放送各般にわたっての先輩でありますし、せっかくの御提議でもございますから、ぜひ理事会で、NHKが本当の意味で国民から信頼される、また、されている立場を持続できるような結論を出していただくようにお願いをいたしまして、この質問を打ち切ります。  あと私も与えられた時間が来ていますので、予定されたNHK決算自体については、余りとやかく御批判めいたことを申し上げる考えはないんですが、国の予算、つまり郵政省予算決算ということでは、現状これでいいのかということで郵政省に見解をお伺いする予定でありました。しかし、時間が来ているもんですから、大変経理部長には申しわけないんですけれども、次の機会に譲らしていただくか、あるいはまた、決算委員会を私まだ持っているもんですから、二十六日に総括質問に立つ予定になっておりますので、場合によればそちらの方に鉄砲が飛んでいくかもしれませんけれども、私の質問これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  58. 大木正吾

    ○大木正吾君 私も実は非常に決算問題に絡みましては、むしろ今後の経営方向ということを考えて非常に良好であるという、私個人のこれは考えなんですがね。むしろ今後の、例えば三年サイクルごとに値上げしました問題が四年半に延びている問題でございますとか、そういう点含めてまあよくやっているなということを言いたかったんですが、ただ問題は、この問題のどにつかえてましてね、今の話がですね、あとの質問に入るちょっと気持ちに至りませんので、むしろその理事会の結論が出てからにしてもらいたい、こういうふうに考えます。
  59. 上野雄文

    委員長上野雄文君) それでは午前の質疑は一応これで打ち切りまして、再開は午後一時とし、休憩をいたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  60. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題とし、質疑を行います。  まず、日本放送協会会長より発言を求められておりますので、これを許します。川原参考人
  61. 川原正人

    参考人川原正人君) 先ほど来の及川先生の御質疑に当たりまして、私から申し添えたいと思います。  本件の審議に当たりまして、御指摘をいただいた諸点については率直かつ厳しく受けとめ、今後とも公共放送の使命と責務の達成に万全を期しますので、御了承をお願いしたいと思います。
  62. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 及川一夫

    及川一夫君 会長から御発言がございましたが、内容的に十分なものではないと言わざるを得ませんが、会長の御発言を次のように受けとめて質問を終わらせていただきたいと思います。  いずれにしても、この問題について大変長時間論議をいたしましたが、長田先生から御発言がございまして、理事会で論議をしていただき、その上でただいま御発言をされた内容会長から発言をされたということを記録にとどめたいことと、内容的に率直かつ厳しく受けとめるという問題と、公共放送の使命と責務の達成にも万全を期しますので御了承を願いますという、中身としては、私の立場では反省という意味を含めて御答弁になったものと、こう理解をして終わりたいというふうに思います。
  64. 大木正吾

    ○大木正吾君 きょうの委員会は、六十年度決算審議委員会でございまして、ある意味では三年に一遍の値上げをずっとやってきましたNHKが四年、そしてことしの場合には赤字予算でございますけれども、新しいメディア時代に備えまして、ハイビジョンその他、とにかく新しい経営形態ですね、そういった面に向けて御努力をしていただく、こういうことでもって、たしか予算審議の際にも私は何件か前向きのことを申し上げたわけでございまして、そういったことを中心にしてもっとしっかりやってほしい、こういったことの自分の質問なり意見を用意しておったわけでございますが、実は尾西君の方の、新聞報道ですから正確には記録まですべて調べておりませんが、問題の発端の際に、これについては、もう率直に申し上げて、言えば公共放送あるいは中立を守る、そういった立場等から、やっぱり取り扱いが間違っていたということが、ぴしっともう当初から出ておれば、これほど各新聞等に載ったり波及したりしたことはなかったと思うのですね。その方がNHKのためにはよかったと思うのですよね。しかし、新聞がその後も何遍も取り上げていますし、衆参の国会でも、大蔵委員会、逓信委員会等でも何回か取り上げられている。  今及川さんの方では、及川さんの発言を含めて時間の関係もあり、質問を打ち切られておりますが、私はもう端的に申し上げて、きょうは会長発言の中間部分にございますが、率直かつ厳しく受けとめ、まあ言えば、これに対しまして、それにつけ加えて誤りでありましたとか、あるいはおわびいたします、そういった言葉が一言欲しいという気が今でもしておるんですが、その方がはるかにNHKの将来のためにはいい、国民の信頼を取り戻し得るというような私自身の見解なんです。要するに、きょうの報道についても、この周辺には新聞記者の方々マスコミ方々がたくさんおられますからね、頑としてNHKは、自分たちのやったことについては間違っていなかった、こういう態度を崩さなかったということが、もしさらにハレーションを呼んで、そしてこれがまあ言えばNHKの公正報道の問題にもとる、そういったことになってきますと、結果として国民の信頼というものは失われていきます。そういったことを憂えるものですから、結果的に言えば、この会長発言に対して、私自身は極めて重要な問題点について不満が残ります。したがって、何回か理事会の合議の模様も伺いましたけれども、結果的にはどうしてもこれ以上の発言はできないという会長のお気持ちのようですから、私は、むしろNHKの将来を憂えるために、もう一歩突っ込んだ回答がどうしてもできないかどうかだけを最後に確かめてみたいと思うんです。会長にもう一遍、率直かつ厳しく受けとめる後に、三月二十四日時点の問題について誤っていなかったかどうかについて、率直な意見を再度聞かしてもらいたい、こう考えています。
  65. 川原正人

    参考人川原正人君) 私といたしましては、るる私の気持ちは率直に申し上げまして、その最後の御答弁として、いずれにいたしましても、御指摘をいただいた諸点については率直かつ厳しく受けとめて、今後とも私ども公共放送の使命と責務の達成に万全を期しますということを繰り返して申し上げるしか今はないと思っております。
  66. 大木正吾

    ○大木正吾君 そういうことでございますれば、私の今後のNHKの将来の経営、国民の信頼に対する感じ方が、会長と私自身の将来の展望についての見方が若干違いますので、きょうの質問は、この問題について極めて不満あるいは遺憾だということを申し上げ、以後の質問は差し控えさしてもらいます。終わります。
  67. 上野雄文

    委員長上野雄文君) なお、念のため申し上げますが、先ほどのNHK会長の発言は、及川委員の質問に対する御答弁、こういうことで、理事会の協議の結果というものではないということについて御了承願いたいと思います。
  68. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私も今問題になりました世論調査の件で、私は私の立場で質問をしたいと思いますけれども、私の意見というのは、午前中長時間かけて及川委員とやりとりをされましたけれども、私も及川委員と同じ意見でございます。したがって、具体的にこの点はどうだったのか、経過はどうだったのかということについて、私は一つ一つ話すつもりはございません。  ただ、私が申し上げたいことは、世論調査はたくさんやりますし、いろんな設問がございますけれども、今回のこの世論調査、なぜこんなに問題になったのか、疑惑になったのか。その基本というのは、やはりいわゆる新消費税といいますか、大型間接税といいますか、この問題を含んでいたために、その賛否のいわゆる公表の過程が問題になったわけでございます。国民が一番関心を持っている問題でもございますし、聞くところによると、七月には国会が召集されるなんという話もございます。国会を挙げて税制国会だと、こういうふうに言われている現在でございます。  その税制改革についても私から述べるまでもなく、三十何年来のいわゆる大改正であると、こういった大きな問題を処理しようといういわゆる税制国会、その基盤になるのは、恐らく私の想像するのには、この消費税がその大半を占めるんではないかと、こういうふうに思うわけです。そのことについてのいわゆる今までの経過、十二月には発表した、三月には発表しなかったと、こういうことになったんで、こういういろんな議論が出てくる、文句の一つも言いたくなる、こういうことになってきたんじゃないか。まあそちらの答弁では、政府の税調とかち合うとか、素案とかち合うとか、また政府税調の調査と間違われるとか、こういうふうに言っておりますけれども、また公表するに際しては、先ほど及川さんから話があったように、私も持っておりますけれどもこの雑誌で公表したと、こういうことにそちらは言っておりますが、NHKは言っておりますけれども、この本にしたって、お話のように、これはたしか三千部とおっしゃいましたけれども、これは機関誌でもありますし、ましてや部数にしても無料で千部ですか、それから店頭で二千部、十二月に放送したのは放映をしたわけですから、放映したのとこの雑誌で公表したのと、これは私から言うまでもなくどれだけの差があるか、こういうことになるわけです。  そういった意味で、結論としては、今会長から冒頭に、及川委員の発言については、率直かつ厳しく受けとめ、今後とも公共放送の云々と、こういうふうに言っておられますから、今回の件については今後厳しく受けとめ改善されると、このように私はしていただきたいと、こういうように思います。  そこで、それに加えて、それならば今後具体的に言って、今回これだけ結果としてみんなに疑惑を抱かせ、何かあったんじゃないかと、こういういわゆる疑念を抱かしたことはこれ間違いないわけですから、具体的に番組編集について、また世論調査をするならば、その設問について、さらに世論調査のこの時期の問題について、こういう点については今後どういうふうに取り組んでいくのか、この点をもう一度私の方から確認をして、決意を伺って私はこの質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。会長から言ってください。
  69. 川原正人

    参考人川原正人君) 今議論をされております新型間接税の問題につきましては、これは国民の生活にとっても大変大きな影響をもたらす問題でございますし、あるいはもっと広く日本の将来の政治の問題としても大変に大きな問題かと思います。私どもとしては、これが十分に国民といいますか、私どもの視聴者の方に十分理解されるように、そしてまたいろんな角度からこの問題が討議されるように、そしてまた国民の意思が世の中に反映できるように、あらゆる方途を講じまして番組の制作、編集に当たりたいと思います。その過程におきましては、また世論調査等の必要もあろうかと思いますけれども、その設問等につきましては、さらに過去の経験を踏まえまして、また先ほど来申し上げておりますように、ここで御指摘いただきましたいろんな諸点につきましては、十分に率直かつ厳しく受けとめまして、参考にさしていただいて、これからの番組の編集に当たってまいりたいと思います。そして、私どもの使命と責務の達成に万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  70. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私、納得したとは言ってないですから、その辺は間違わないように、きちっと今後どうするか見守っておりますので、やっていただきたいと、よろしくお願いいたします。  次に、NHKの関連事業への出資額とその受取配当金についてでございますが、昭和六十年のNHKの出資額は十三億六千万円。そこで、通信放送衛星機構の十一億二千万円を除き関連事業に対する出資は二億三千万円、こういうふうになっておりますけれども、これに対して受取配当金は、この数字でいきますと二百八万円、こういうことになっておりますが、この数字は出資額に対して、受取配当金の額でございますけれども、余りに少ない、こういうふうに私は受けとめるんですけれども、一般企業ならば一割配当とか八分配当とか、そういうことですけれども、数字上でいくと一%配当、こういうことになるんですけれども、この辺はどのようにNHKでは考えておられますか。
  71. 井上豊

    参考人(井上豊君) 六十年度の決算で出資会社から受け取りました配当金は、先生の御指摘のとおり二百八万円でございます。これは設立されて間もない会社が非常に多うございまして、いまだ利潤が計上できないか、あるいは十分でないためにこの配当がないものでございます。これらの会社が事業活動を今後展開をいたしまして、より一層成長してまいりました場合には、私どももその配当が受けられるということを期待をしているわけでございます。  協会が関連会社に出資を行う目的といたしましては、協会の業務の一部をその会社に委託をいたしまして、全体といたしましては、より効率的な協会業務の運営を可能にするということと、それからこれらの会社を通じまして協会がこれまで蓄積をしております、例えば放送番組等のいわゆる二次利用等によりまして、協会の持っておりますノーハウ等を受信者の皆様、ひいては社会に還元すること、こういうことを目的としているわけでございまして、このことによりまして、より協会経営財源を多様化して副次収入の増加に結びつけたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、私どもは放送法の基本にのっとりまして節度ある事業運営をしていかなきゃならぬことは当然でございますけれども、協会の得ております配当は、今申し上げましたような基本的な考え方の中でやっておりまして、私どもとしては配当だけを期待をいたしまして関連の事業に出資をしているわけではないということを御理解を賜りたい、こういうふうに考えております。
  72. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ということは、節度ある経営をしておる中で一%というのは少ないから、これ以上、二%、三%、一割、こういうふうに配当金の額が増加できるように、そういうふうに思っていると、こういうふうに理解してよろしいですか。
  73. 井上豊

    参考人(井上豊君) 確かに先生指摘のように、私どもの関連事業、正確に言えば九社でございまして、これに対しまして二億余の出資をしているわけでございます。二百八万円のもとになっておりますのは三社から配当を受けておりまして、その三社について申し上げれば、一〇%ないし六%の配当を受けているわけでございます。したがいまして九社平均といいましょうか、全体の投資額に対しましては、先生指摘のとおり一%弱になっているものでございます。
  74. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、カラーテレビと白黒テレビの料金の一本化の件でございますが、NHK長期ビジョン審議会調査報告書、この中の報告によりますと、   現在、NHKのテレビジョン放送は全面カラー化されており、放送実施経費の面からみれば、カラー契約と普通契約の料額を区別する意味はなくなっており、既にカラー契約数は契約総数の九〇%を超えている。   したがって、カラー・普通契約の一本化については、実施の方向で検討すべきであり、その時期については普通契約視聴者の実態などを含め総合的に検討していくのが妥当と考える。 こういう報告書が出ておりますけれども、このカラーテレビと普通契約の一本化について、NHKとしてはどんな考えでおられるのか、その点をお伺いいたします。
  75. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  現在、白黒契約がおよそ百五十万ほどございます。全体の契約者の五%程度の契約数になっているわけでございますが、私どもとして先般の国会でもこの問題についての御指摘があったかというふうに記憶しておりますけれども、当然放送はすべてカラーの放送をしていて、受信の方でどういうふうになっているのかということで、モノクロ契約という問題が出てくるわけでございますが、現在の状況からして、白黒受信機がほとんど国内生産という形では出荷されていないという状況もございます。ただ、数年前までは十万ないし二十万ぐらいの出荷があったという事実も一方ではございます。また最近、NICSから白黒の受像機が入ってきているという話もまた一方でございます。そういった状況も考えまして、私どもとして何としても実情に合わせた形でこれを変えていく方向に努力してまいらなきゃいかぬというふうにも思っております。  先生御承知のとおり、私どもに立入調査権がございませんので、現実に数年前に買い求められた白黒テレビをもって、私はこれで見ているのだというふうに示されますと、いや、ほかにカラーがあるはずだということでお話を申し上げても、なかなか御理解がいただけないという実態もございます。しかし、私どもとしては、総数契約増を一応四十三万と六十三年度も考えておりますけれども、カラー契約については五十六万契約をふやしていこう、つまり白黒契約をカラー契約にできるだけ転換して、カラー契約の増を図ってまいりたいという施策をやっているわけでございます。  そういった意味で、私どもとしてはなるべく早い時期にこの白黒・カラーの一本化という方向を実現させるための基盤の整備というものをやっていかなきゃならぬというふうに思って努力しているところでございます。  ただ、一方でもう一つ考えておかなきゃならぬというふうに私ども考えておりますのは、カラー契約の料金と白黒の料金との格差が今五〇%以上ございます。それで、現実に今白黒で見ておられる方がおいでになるとすると、それを一本化することは五十数%の値上げになってしまうという状況がございます。もし白黒の受像機を使っておいでになられる方が経済的なある意味で弱者であるというような場合が仮にありとしますと、その方から五十数%の値上げをするということの是非という問題も考えなきゃならぬだろうというふうに思います。そういった点を十分に検討いたしまして、私どもとしては、なるべくこの白黒・カラー一本化の方向に向かって、これからも努力してまいるというのが現在の私どもの姿勢でございます。
  76. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それに関連することですけれども、この報告書の中に、今のは(イ)の項目ですけれども、(ウ)の項目に「テレビジョン複数台数割増制」受信機の複数所有世帯、下にあって、二階にあって、奥の間にあって、こういうのが大分ありますけれども、その割り増し料金についても、今おっしゃったように、立入調査権がないわけですから非常にこれ困難だと思いますし、難しいことだと思いますけれども、このことについても、この報告書では何らかの方法は考えられないのかと、検討できないかと、こういう報告書になっておりますけれども、この点はどういうふうにNHKは受けとめておられますか。
  77. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) この複数台数制につきましても今の実態が、恐らく六〇%以上の家庭で複数の受信機を持っておられるだろうという調査も既に出ております。そういった状況から考えて、真剣にこの問題も考えてまいらなきゃならないんですけれども、現在の世帯単位の契約の状況というものもあわせて考えてみますと、今、未契約がかなりの数あるという認識も一方で当然持っておるわけでございます。現在の受信料制度を確実に維持していくためには、私どもとしては、現在の未契約の方との契約というものをもっと徹底的に推進してまいるということが不公平感を少なくしていくための一つの道ではなかろうかというふうにも考えております。一方で未契約がある状況の中で、立ち入りで調査できるという権限のない複数台数制を導入するということは、さらに不公平感を増幅してしまうというおそれが一方であろうというふうに思います。そういった点で、私どもとしては、まず第一義的には現在の未契約の方々に御理解を賜って、より徹底した公平負担というものを実現してまいるということを第一段階の課題というふうに考えております。  そういった上に立って、さらに複数台数制についてどういう具体的な方途を考えていくのか、割引、つまり割り増し的な形で料金を設定するのかどうかということも今後の問題として考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  78. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、これは国に関係があるんで大臣にお答え願いたいんですけれども、受信料の免除制度ですけれども、これもこの調査報告書の中に出ているわけですが、受信料免除の件ですけれども、五十六年度予算では免除総額は約八十四億円。この審議会で言っていることは、「NHKが国や地方自治体による福祉政策や教育政策の肩代わりをすべきではないとの認識に立」ち、「逐次、免除措置を廃止し、有料化していくことが妥当な方向と考える。」こういうふうに言っているわけですが、六十三年度の受信料免除状況を見てみますと、免除総数は約百十九万件、免除総額は百十九億円、こういうふうになっております。そのうち本来国が受信料を支払うべき学校、福祉施設等については六十五億八千万、これだけ免除されているわけです。  NHKは六十三年度より新営業構想によって受信料収入を少しでも多く上げようと、こういうふうにしているわけですが、免除されている学校や施設については国が支払うべきだと、こういうふうにも私は思うんですが、この件について大臣はどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  79. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) まず、事務的に局長から御答弁をいただこうと思いましたが、先生指摘のように、今度高等学校とかそれから公民館等に対する受信料の免除措置を廃止したところでございまして、NHK経営の面から考えますと、その措置ますます廃止の方向に向かっていかなければならないのかなと思いますし、また郵政省から見ますと、郵政省の一般会計というのは二百四十八億という微々たるものの中から懸命にNHKに対するいろいろな配慮をいたしてきたところでございますので、そんな面で、私どもも郵政省自体の予算的な措置を堅実にふやしていって、両々相まって大きなショックを余りそういう福祉関係その他の方々、学校関係教育関係、そういう方々に与えないような配慮が必要なのではないか、そういう対応をいかにこれから充実さしていくかということだと思っております。
  80. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃ具体的に事務当局から何かこういう考え方について、もちろん私は例外は設けなきゃいけないと思いますし、こういう部分については国で支払うのが当然である、こういうふうにも思うところがあるんで、もうちょっと詳しく事務当局から何かお考えがありましたら。
  81. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 大臣からも御答弁申し上げましたように、長期ビジョン審議会の提言を踏まえまして五十八年度以降、先ほどのように公民館、高等学校等につきましては免除措置を廃止してきたところでございます。現在、免除措置を講じているものとしては、先生も御指摘ございましたように、社会福祉的な見地と教育的な見地から実施しているものはございますが、これにつきましても、NHKの現下の財政事情からいたしますと、NHKが本来負担すべきものかどうかといった点でもいろいろと問題があるというふうに私どもも考えておりまして、再検討しなければならないというふうに現在考えているところでございます。
  82. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それではNHKサイド、NHK側にお聞きしたいんですけれども、NHK側とすれば財政困難なところですから、そうしていただきたいというのは、これはわかっておりますけれども、今言ったように、もちろん弱い立場というか生活困窮者、そういう人に対してはこれは免除するのも私は当然すべきことではないか、こういう点もよくわかっておるんですけれども、今言ったように、国が支払ってもいいんじゃないかなと、こういう部分も私はあると思うんです。そういうことで、NHKサイドとしては、学校は文部省管轄でございますし、福祉施設は厚生省関係ですけれども、NHK側としてこの文部省、厚生省には何か働きかけというんですか、そういう相談はされておられるんですか、おられないんですか。
  83. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 私どもも受信料の性格という点から考えて、NHKがこの種の免除を続けていくということが妥当かどうかという問題については、若干、これは受信料の性格から考えて多少違うのではなかろうかという感触を持っております。これは毎年のことなんですけれども、私どもとしては、やはり一方的にこの免除措置を廃止するということは、現在の状況から考えて、やはり弱者に対する問題というものが当然出てくるだろうというふうに考えまして、これを一方的にやるわけにはまいらぬ、そういう意味関係の、これは厚生省、文部省に対しまして、毎年のように何とか財政援助を講じてほしい、その上で我々としては免除ということに踏み切りたいんだということは申し上げているところでございます。これは郵政省とも十分お話しいたしまして、郵政省の御指導の中でも、政府部内の意向として、私どもの希望の実現ということについてお力添えを賜っているところでございます。
  84. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次の問題ですが、郵政省にお聞きしたいんですが、このNHKの営利目的禁止の解釈ですけれども、NHKが目的業務及び目的外業務を行うに当たっては営利を目的にしてはならない、こういうふうに、私が言うまでもなく規定されておりますけれども、この営利目的禁止規定は、NHKの非営利性と民放と区別をするいわゆる基礎原理でありますけれども、経営環境の変化に対応して、財政困難とかいろいろなことがありますけれども、ここでいたし方ないと、こう言うか、ある一定の節度を持ってやれば、この規定は運用面で弾力的に運用する、こういうふうに解釈もされるんですが、郵政省はこの営利目的禁止についてどんな解釈をされているのか、この点どういうふうに解釈されていますか。
  85. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生のお話にございましたように、NHKと民放との併存体制のもとに放送事業は行われてきているところでございます。一方は国民全体に経営基盤といいますか、受信料という負担で経営を任されている公共放送として、一方は私企業として広告料収入によって経営基盤をなしておるというようなことで、おのおのその特徴を発揮してまいってきているところでございます。NHKに営利目的を禁じておりますのは、こうした併存体制の趣旨からいたしまして、私企業と同様に利益を上げることを目的として業務を行うことは、この併存体制という趣旨から、公共放送としての趣旨からももとるというようなことで、こういう規定を置いているわけでございます。  ただ、今回、目的外業務九条三項を設けまして、副次収入を得られるような道も講じたところでございますが、これにつきましては、従来NHKが蓄積してまいりましたノーハウ、あるいは施設等を賃貸すること等によって副次収入を得ようというものでございまして、いずれの問題におきましても、NHKの行う業務がある特定の人にとって利益となる場合には、その者から適正な対価を得るということは、他の受信者との公平という観点からいたしましても当然認められるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、このこと自体は、適正な対価をいただくということ自体は、営利目的に反することではないというふうに思います。適正な対価ということで副次収入を得るという道は営利目的に反しないというふうに私どもは考えておるところでございます。
  86. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、先日の放送法の改正で、NHKは業務範囲の見直しがされたわけでございますけれども、現在の副次収入を含めて、収益の目標は額にしてどのくらい予想されておりますか、簡単に。
  87. 井上豊

    参考人(井上豊君) この営利を目的としてはならないという基本的な考えは、今成川局長から御答弁があったとおりでございまして、私どもも今回の業務範囲の見直しによります収益の目標につきましても、NHK公共性ということから考えまして、おのずから限度があるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、私どもは許される範囲の中で、できるだけ副次収入の増収に努めたいというふうに考えておりまして、一つの目標といたしまして、今後五年間で倍増をしたい、すなわち一〇〇%アップというようなことも五年間で一つの目標にしたいというふうに考えております。先生御存じように、この六十年度決算の中での副次収入は、およそ二十五億円でございました。
  88. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私の聞いているのは、放送法の改正によって業務範囲が見直されたわけですから、目標はどのぐらいになっているか、その額を、今の二十五億円じゃなくて、その倍ならば五十億円ですけれども、まち五十億円ということでいいですか。
  89. 井上豊

    参考人(井上豊君) 今申し上げました二十五億円というのは副次収入の全体の決算額でございまして、今回の業務範囲の見直しによりまして、そのことが直ちに金額的に幾らになるというふうには私ども考えていないわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今後五年間で倍増ということで申し上げますならば、例えば六十一年度はおよそ三十億円でございましたので、それに引き続きます五年間の中で倍ということでございますから、六十億ぐらいを一つの目標に全体の副次収入を持っていきたい、こういうことでございます。
  90. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうなると、これはもちろん目標ですから、そこまで達するかどうかこれはわかりませんが、これからの努力次第、またいろいろ制限があるわけですから、何でももうかるものはやっていく、こういうことにはならないと思うんですけれども、現在では六十三年度までは値上げしないと、こういうふうに言っておられますし、六十四年度からはやはり受信料の、そうなってくると今の受信料では維持できない、したがって六十三年度まではいいけれどもと、こういうことになっているようでございますけれども、この副次収入の増加によって何とか新営業構想というのもございますし、努力しておられるわけなんで、もちろん受信料の収入の増加もこれもあるわけですから、具体的に言って六十四年度も今のままで努力をしていけば値上げをしないで済むんじゃないか、こういうふうに思われますけれども、この点はどういうふうに予想されますか。
  91. 林乙也

    参考人(林乙也君) 御案内のように、五十九年度の料額改定に当たりまして、NHKといたしましては、五十九年度から六十一年度までの計画を定めたわけでございまして、その三カ年の収支均衡という計画を策定いたしたわけでございます。  その実績といたしましては、この三カ年に二百二十四億の計画を上回る持ち越し金といいますか、剰余を実現することができまして、その成果を受けまして六十二年度、六十三年度の受信料を据え置くことで現在まで事業を進めてまいりました。しかしながら、六十三年度予算におきましては、単年度で二百二十七億円の収支不足ということになっておるわけでございまして、御指摘のように財源の多様化、受信料収入の一層の増収、あるいは経費の節減ということにつきまして、引き続き最大の経営努力というものを重ねてまいりたいというように考えておりますけれども、この三カ年計画達成後の二年を経過いたしました六十三年度の予算編成の状況を見ますと、六十四年度以降の財源措置について何らかの措置を講ぜざるを得ない状況ではなかろうかというように考えておるところでございます。  私どもは、しかしながら安易に受信料の改定というものを考えるべきでないことは十分自覚しておるつもりでございまして、衛星放送あるいは国際放送、新しい営業構想、効率化等の経営課題の克服に万全をといいますか、最大の努力を傾注いたしまして、そういったものとの何といいますか、将来に向けての展望をはっきりさせる中で、六十四年度以降の財政運営について考えてまいりたい。今年度の後半になりますけれども、六十四年度予算編成時までに今後の財政運営についての考えを明確にしてまいりたいというように考えておるところでございます。
  92. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間がなくなりましたので、まとめて二点だけお伺いします。  一点は、公共的ないわゆる放送企業体のNHKと、個人の創意と工夫による自由濶達な放送、いわゆる民間放送、この併存体制は、前回の放送法改正のときも今後とも維持するということは結構だと、こういうふうに私も思っておるわけでございますけれども、しかし放送サービスの現状から見てみますと、NHKのメディアは、テレビは総合と教育の二チャンネル、ラジオは中波二、超短波、FM一、国際放送一の四チャンネル、テレビの音声多重放送と文字放送で地上波は八系統、それと衛星放送二チャンネルの合計十系統のメディアを今所有しているわけですね。  そこで郵政省にお聞きしたいんですが、過日の報道によると、郵政省は、NHKが保有するメディア全体のあり方について検討する、こういう記事が出ておりましたけれども、その中で公共放送としてのNHKが使命を果たすに当たり、どのメディアが必要であり、また、これまでふえ続けてきたNHKが保有するメディアの中で既に使命を終えたものがないか否か、これを検討すると、こういうことでございますけれども、具体的にどういう検討が進められているのか、これが一点。  それに関連してもう一点は、私が思うには、例えば民放が既に開局しているFM放送、これは二十四社ありますね。それから文字放送が二十一社ですか、こういう点、先ほど言った点からいけば、このようないわゆるメディアについてはチャンネルプランということの兼ね合いを含めて私は民放に任せてもいいんじゃないかなと、こういうふうにも思うんですけれども、この点についてどう郵政省の方はお考えなのか。二点だけお伺いして、私の質問を終わります。
  93. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) まず第一点目でございますが、具体的にNHKが行うべき放送のあり方といいますか、放送の種類につきまして見直しを始めたというような報道があるが事実かということでございますが、これにつきましては、まだそういうような研究会とか勉強会というようなものを設けてやっていることはございません。事実ではございません。しかし、今衛星放送は試験放送ということでやらしていただいているわけでございますが、これが本格衛星放送時代が来たときに、公共放送としての保有すべきメディアのあり方につきましては、いずれ検討しなければならない時期が来るんではないかというふうに思います。  その検討すべき視点といたしましては、国民の放送に対する多様化、高度化する需要とか、あるいはNHK経営状況、それから放送の普及、発達に果たすべきNHKの先導的な役割等々を総合的に勘案いたしまして、その保有すべきメディアはいかにあるべきかということを考えなければいかぬというふうに思っております。現時点におきましては、現在NHKがやっております放送メディアは適正な規模であるし、問題はないというふうに考えております。  また、FM等につきましても御指摘ございましたのですが、FMは中波放送と相まって全国普及義務がNHKに課せられております。音声放送を全国的に普及するための重要な手段となっているわけでございます。そのようなことから、引き続き視聴者のニーズを満たして、NHKがFM放送をやっていくということは必要ではないかというふうに思っておるところでございます。  それから文字放送でございますが、二十一社現在文字放送の民間放送会社があるわけでございますが、これにつきましても、テレビジョン放送の補完的な機能を果たすということでやっていただいているところでございます。文字放送の受信機にいたしましても、現在のところまだ十数万というような状況でございまして、なお普及が十分ではないというような状況にあるわけでございます。したがいまして、これにつきましても、現時点におきましてはなおNHKが実施していくべきものだというふうに考えているところでございます。
  94. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  95. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど川原会長から、午前中の及川委員質疑に関連をして、指摘を受けた諸点について率直かつ厳しく受けとめ、今後とも公共放送の使命と責務の達成に万全を期すので了承していただきたいという趣旨の御発言がありました。私は、先ほど委員長が発言されましたとおり、この川原会長の御発言が理事会でもって議論になって了とされたということではないということは重ねて明らかにいたします。  その上で、川原会長にまずお伺いをするのでありますけれども、率直かつ厳しく受けとめということであるならば、当然のことながら今大きな問題になっております、三月段階での新型間接税導入をめぐる世論調査の結果を発表しなかったことはまずかった、そして、国民から大きな批判を受けていることについては反省をする、そのことを明らかにすべきだと思います。それでなければ、率直かつ厳しく受けとめるということが単なる言葉だけになってしまう。  まず初めに重ねて、大事なことでありますので、川原会長にそのことをお伺いをいたします。
  96. 川原正人

    参考人川原正人君) 私としましては、三月の二十日過ぎだったと思いますけれども、あのときの私どもの世論調査をニュースに取り上げる取り上げ方につきまして、あの時点ニュース判断としては、私は妥当であったと今でも思っております。  ただ、その後いろんな御意見がございましたし、本日もいろんな御指摘がありましたので、それらの御指摘いただいた点については、率直にかつ厳しく受けとめて、今後とも私どもの使命と責務の達成に万全を期したいと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  97. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのときに正しかったと思ってなすったんでしょう、間違ったことをしたということはないんだと思いますよ。だけれども、その後の経過で間違っていたということを率直に認めるならば、間違っていましたと、そうならなければ本当に率直に厳しく受けとめたことにならない、子供だってわかる理屈です。私は、NHKの基本の姿勢として、そこの問題がはっきり国民の前に明らかに示されない限りは、このような形であなた方が国民の批判を切り抜けようとしても到底容認することができないということを、まず態度を初めに明らかにしておきます。  そして、この問題に関する世論調査のことに入りますけれども、まず十二月の世論調査の問題です。  設問と集計に絡んで、私は明らかに世論誘導があったということは考えなきゃいけない問題だと思っています。  第一に、八つの選択肢を設けて、一つが早期導入賛成五・四%、二つ、「導入はやむをえないが、国民大多数の合意がえられるよう、時間をかけて検討すべきだ」二六・一%。そして、「高齢化社会を考えると、福祉を目的とする税金なら導入してもよい」一四・八%。これを合計して四六・三%が、新しい間接税については条件つきで導入はやむを得ない、あるいは導入すべきだと答えたと言って、再三報道をしているんです。つまり、こういうやり方で四六%の回答が新型間接税の導入に肯定的だというふうに報じるのは明らかに誘導的なやり方だと思います。  長年NHK仕事にかかわってこられた常磐大学の後藤和彦教授ですか、この方も朝日新聞の紙上でこの点を指摘されております。「十二月調査の間接税導入賛否を問う設問も、内容ニュースにしたまとめ方も、NHK世論調査の常識やルールにはずれるものだったと思う」、また「間接税導入への賛否や、導入する際の条件を聞くなら、まず賛成か反対かをずばりたずね、次に、反対と答えた人たちに条件を一つずつあげてそれらへの賛否を聞いていくのが、NHKも含めて一般に科学的世論調査の設問方式だ。」、コミュニケーション論の専門の方ですけれども、そう述べておられます。  だれが聞いてももっともな話だと思いますが、どういう背景や条件があっても、この三項目の回答を一緒にしちゃって、条件つき賛成というふうに報道されたのは少なくとも適切ではなかった、私はそう思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。
  98. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 十二月の調査、あるいは設問の仕方、あるいはくくり方がかなり誘導的であったという御指摘でございますが……
  99. 山中郁子

    ○山中郁子君 もうちょっと大きな声で話して、簡潔にね。
  100. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私どもの専門家の考え方では、これは必ずしも誘導的な質問の仕方ではないというふうな認識を持っているところでございます。  ただ、くくり方について、これを条件つき賛成とするということにつきましては、御指摘については謙虚に受けとめたいというふうに考えております。  この調査は、そもそもある間接税に関する素案なり骨格なりというものが明らかでございまして、それに対する世論の動向、反応というものを確かめたわけではなくて、むしろその税に関する意識調査に近いものをねらったわけでございますので、こういう設問にしたわけでございます。
  101. 山中郁子

    ○山中郁子君 くくり方が適切でなかったということはあなたはお認めになった。だったら、くくり方によって四六%が賛成だという報道を再三なすったのよね、明らかに世論誘導じゃないですか。そういう結果をもたらしているんです、現実の問題として。今尾西さんもお認めになりましたように、くくり方はやっぱり問題があったと。でしょう。で、あなたが何回もいろいろ国会で答弁されているけれども、はっきりしてない段階でいろいろ聞いて、税に対する一般的な考え方を聞いたんだとか、いろいろおっしゃっている。それだったら、何でこんなくくり方をして、そして新型間接税の導入に賛成だ反対だみたいなことをおっしゃる、そういう結論を出す、私はそういう点は明らかに世論を誘導する、そういう結果をもたらしているということを申し上げました。  で、その設問や集計が新型間接税についての世論を適切に反映していないということは、今尾西さんもお認めになったと思いますけれども、十二月二十一日に発表された、その次の日ですね、日経新聞の大型間接税に関する世論調査の結果も、賛成が二四%、反対が四九・三%。同時期ですよね。同時期でやはりそういうかけ離れた結果が出ている。そして、何よりもあなた方自身がその後NHKの三月調査で証明しているとおり、大型間接税の導入に反対するというのは、大きな国民の声として流れてきているんです。だから、あの時点で、あのように四六%賛成だというような、そういうくくり方をして結論を出したということは、まさに国民の世論をそのように誘導していくという役割を、あなた方がどう抗弁しようとも、果たそうとしていたということは事実である、そう思います。  それで、私は会長にお伺いしたいのですけれども、会長はその後のNHKの三月調査、これが問題になったときに定例記者会見で述べておられますが、十二月調査と三月調査の結果が正反対と出たのはどう思うかという、そういう質問に対して、世論調査というものは、NHKの調査も含めて質問の仕方で答えが変わるものだ。情勢の変化はないのに賛成から反対へ変わったりするだろうかという質問に対しては、そういうこともあると思うと。このように答えたというふうに報道されています。これはやはり、会長のこのときの記者会見でのお話も、あわせて十二月調査が世論を適切に反映していなかったということを認めるものだと思いますけれども、会長の御見解をお伺いいたします。
  102. 川原正人

    参考人川原正人君) 私は、具体的にいつの調査の質問がどうこうという観点では、今までお答えをしてまいっておりません。一般論としまして、世論調査というものは、設問の仕方というのが非常に大事だと。これは私どもが質問を、間々調査の回答用紙等回ってくることも自宅にありますけれども、見たり、あるいは活字メディアにおいて行われているいろんな世論調査の結果の発表等を拝見しておりまして、なかなかこういう設問では、一体どっちに答えるべきものなのかなというふうなことを正直私が感じておりますので、世論調査というものは、その設問の仕方が大変微妙であるし、大事だし慎重にしなきゃならぬと。そこのところの設問の仕方に、あるいはその調査の時期のタイミング等に慎重な配慮がないと、同じようなことに対して異なった数字が出がちであると。そういうことを私申し上げているわけです。それはもちろん、私どものやっていることに対するやはりこれからの戒めでもあると思っております。そういうことを申し上げているわけでございます。
  103. 山中郁子

    ○山中郁子君 質問の仕方によっては変わるものだなどという気楽なことを言わないでもらいたい。そういうことなんですよ、私が一つは言いたいことは。つまり、すべての調査がそうですよ。だけれども、この新型間接税の導入の問題は今の国民の暮らしにとっても、日本の政局の焦点になっている重要な問題ですよね。そのことに賛成と出るか反対と出るかというようなことは、質問の仕方によっては多少は違いますよというようなことは言わないでもらいたい。つまり、そういうことの結果によって世論は誘導される。そういうことが、今NHK当局も認められましたように、くくり方が不適切であったということの結果が示しているということを私は肝に銘じていただきたい。  それで、三月調査の件に入りますけれども、この中で問いの十一には、「新型間接税を導入しようとするならば、国会を解散して国民に信を問うべきだという意見があります。これについて、あなたはそう思いますか。それとも、そうは思いませんか。」という質問がありますけれども、これに対して回答は、そう思う 四二・四%、そう思わない 三三・一%、わからない、無回答 二四・五%となっております。これをテレビで報道しなかったのはなぜでしょう。新聞などで、まだあった報道隠しと、このように伝えられたりしているその件でございます。
  104. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) この原稿は担当の経済部から、もちろんテレビ、ラジオ共有の出稿として二十四日の晩に出されたわけでございます。ところが、二十四日の晩になりまして上海の列車事故が起きたと、日本の高校生が乗っていたという一報が入りまして、ここで多数の死者が出たということも情報として入ってまいったわけです。私どもは、突発的な大事故や大災害の場合には正確な情報、あるいは一刻も早くその映像を伝えたいということで、もちろん夜勤の者、泊まりの者ひっくるめてほとんど徹夜に近い作業をするわけでございます。何よりもまず映像の手配あるいはその選択、編集あるいは中継の準備、そういったことが大きな我々の仕事になるわけでございます。そこでほとんど徹夜に近い作業の後、私どもは朝、上海における列車事故の報道というものをいたしたわけでございます。これは各社に先駆けて私どもがスクープに近い形で報道したというふうに思っておりますが、その大きな事件、事故が起きたことによって、ラジオの場合ですと、これは言葉によって伝えるということがございますので、それほど時間的な制約を受けることがございませんけれども、テレビの場合には、やはりその映像、生々しいその姿というものが我々にとっては最も伝えるべき情報だということで、これはラジオで七時のニュースでお伝えしたわけでございますけれども、テレビの方はそういった事故のために放送をしなかったということでございます。
  105. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、そのことについて、二つぜひ明らかにしていただきたいと思うんです。  それは、新型間接税を導入しようとするならば、解散して国民の信を問えというのは、もちろん我が党も一貫して主張しております。これは政局を左右する重大な問題なんですよ。しかも、そう思うと答えた人が四二・四%で最も多かったということは、これは大きなニュースですよ。そして同時に、午前中に及川委員指摘されておりましたけれども、こういう数字をラジオでたあたあたあっと聞かれるそれと、実際に画面でそういう数字がちゃんと出て、あっ、これは大きな流れだな、傾向だなということをみんなが知るということは、テレビの視聴者とラジオを聞く人と比べてみたって違うし、わかるし、おのずとわかることです、あなた方が判断するのにね。だから結局、またも隠しかと。大型間接税、新型間接税導入するなら解散して信を問えというのが最も多かったとなると、政府・自民党に大変都合が悪い、これはやっぱりラジオあたりで少しお茶を濁しておいた方がよかろうと、こう思ったに違いないというふうに国民が思ったとしても、あなた方反論できますか。上海事件のほかに何にもニュースをテレビで報道しなかったわけじゃないですよ。仮にどんな事件があったって、それはもちろんあなた方報道の任務がある、それに大きく時間を割く、画面を割くということはありましょう。だけれども、これだって重大な問題なんですよ。最初の、先ほどあなた方もくくり方がまずかったというふうにお認めになった昨年の結果を一体何回繰り返しましたか、しつこく。それと対比してみて、やっぱりNHKは隠したいものは隠す、都合のいいものは出す、そういう印象を国民に与えなかったとは絶対言えないし、私は事実そういうあなた方の思惑があって、権力に対する、時の政府に対するおもんぱかりがあって、こういう結果を生み出したということは明らかだと思います。  会長にお伺いをいたしますが、こういう結果が出ているにもかかわらず、どうしてテレビで報道しなかったのか、そのしなかったということは余り適切な措置ではなかった。当然短時間であろうと、そんな長々時間とらなくたっていいけれども、短時間であろうと報道すべきではなかったでしょうか。会長にお伺いしています。
  106. 川原正人

    参考人川原正人君) ニュースというのは、これは確かにどうしても報道しなきゃならない問題というのもあるんですけれども、非常にその日のニュース内容といいますか、性質によりまして、ニュースの配列とか分量とか、あるいは取り上げる取り上げないというものが結果としてはそのニュース判断で左右されるのは、これは避けられないことでございます。これは私どものニュースだけでなくて、活字メディアにおいても多分同じことがあるだろうと思います。そういう意味で、たまたま上海におけるああいう大事故が起きて、まさにテレビが一番視聴者に対して責任を果たすべきそのようなことが起きた場合に、多くのニュースがその陰に隠れるというか、取り上げ切れないということは、これは私はやむを得ないことだろうと思っております。
  107. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに申し上げましたように、率直かつ厳しく受けとめなんておっしゃっているけれども、違うじゃないかということはここにもあらわれている。何で一言、やっぱりあれは報道すべきであったとおっしゃらないんですか。  あわせて申し上げますけれども、ラジオで報道したとおっしゃるのよね。ラジオで報道したというふうにおっしゃるけれども、この十問では、それこそ問題になっている新型間接税ということが誤解をされると、タイミングからいって誤解をされるから報道しなかったんだという、その判断は誤りではないとずっと言い続けて今日に至っている。だったら、同じ新型間接税の言葉が入っているのは何で誤解がないんですか。誤解がないという判断が成り立ってラジオで報道されたんですか。
  108. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 今先生の言われた、私どもが編集判断によって放送しなかったということにつきましては、るる御説明申し上げたとおりでございまして、この中身がはっきりしないものについて賛否を問うということが果たして正しい調査であるかどうかという問題がございます。ところが、この設問は、新しい間接税を導入するに当たっては解散をして国民に信を問うべきであるか否かということでございまして、新しい間接税の中身に触れるものではございませんので、これは我々編集判断として放送すべきであったと思ったわけでございます。
  109. 山中郁子

    ○山中郁子君 報道すべきであったとするならば、なぜテレビで報道しなかったのですかと。最大の今メディアであって、多くの方々がテレビによって情報を得ているのに、そういう判断なすったのなら、なぜテレビで報道しなかったんですかということを言っている。この問題はそういう重要な問題だから報道してよろしかろう、報道すべきだと判断したと。それなのにどうしてテレビで報道しなかったんですか。三十秒でも一分でも時間がないわけじゃないでしょう、上海事件全部やっていたわけじゃありませんでしょう、そこのことを言っているの。会長、誠意を持って答えていただきたい。さっきあなたがおっしゃったように、率直かつ厳しく受けとめて、整合性のある、納得できる答弁をしていただきたい。
  110. 川原正人

    参考人川原正人君) 今、尾西理事から申し述べましたように、設問の項目によっては、これはその前の日ですか、二十三日の政府税調骨格の発表と余りにも矛盾するような設問になるから、これは放送をやめましょうという判断は、私はこれは妥当であったと今でも思いますけれども、今のもう一つの問題につきましては、これはあくまでもテレビのニュース、ラジオのニュース、これはそれぞれにやっぱりメディアも違えば私どもの報道の姿勢も変わってまいります。特にあの上海の列車事故というような問題につきましては、これはあの当時ごらんいただいた方も多いかと思いますけれども、まさにテレビの映像が、これは向こう側のテレビ局の協力も得まして、かなり視聴者にとって、ぜひ見ていただきたいような画面がたくさん送られてまいりましたし、これはどうしてもニュースの時間の中でも相当の時間を使って国民の方に報道しなければならないという判断に立つわけでございます。そうした場合に、幾つかの他のニュースの項目が結果としてはみ出していくとか、取り上げる余裕がなかったということは、これは私はやむを得ない措置だったというふうに考えているわけでございます。
  111. 山中郁子

    ○山中郁子君 同じ調査で、片方の新型間接税は誤解をされるからといって報道しない、片方の新型間接税は誤解がされないんだからいいんだといって、しかし、テレビでは報道しないでラジオで報道する。余りにも国民を、視聴者を愚弄したあなた方、言い方ですね。それは上海事故は大事件ですよ。あなた方がそれを力を尽くして報道する責務はあります。私はそんなことをいささかも軽視しておりません。ただ、上海事件が起こったからほかのことを何にも報道できないということではないし、ほかのことだっていろいろ報道していたんですよ、よく私は覚えていますけれどもね。そういうことを申し上げている。国民を愚弄する言いわけはもういいかげんにやめていただきたい。そして、繰り返しますが、率直かつ厳しく受けとめるなら、ちゃんと反省をして、今後そういうことをやらないという約束をすべきです。それをなさらないんだから、だからそうしたことは言葉だけだとしか受け取れないということを私は改めて痛感をいたしました。  続いてお伺いいたしますが、尾西さんが関連する委員会で、この問題が取り上げられている委員会でいろいろ答弁されている中に、具体的には今、私は十二日に行われました衆議院の逓信委員会の議事録を持っておりますけれども、この結果を発表するということが誤解を招くということの説明の中で、こう言っておられます。「このタイミングを選んで国民の世論調査の結果を発表したということでむしろ意図を疑われるおそれがある、また一般に誤解されるおそれがあるという判断をしたわけでございます。」、「意図を疑われる」というのは、だれにどういう意図を疑われるということですか。「一般」という意味では、それに続いて御丁寧に「一般に誤解されるおそれがあるという判断をした」、これとは別に、「むしろ意図を疑われるおそれがある、」こうおっしゃっている。だれにどういう意図を疑われるとあなたは思っていらっしゃるんですか。
  112. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私どもの意図は、この三月の十二、十三の両日の時点では、当然のことながら新型間接税の素案というものが発表されるであろう、その中身がある程度はっきりした段階で、この新型間接税について世論の動向というものを確かめてみたい、これが私どもの意図でございます。  したがいまして、この二十三日の時点というのは、私どもが調査した時点状況が一変しておりまして、私どもが調査した時点では、まだ新型間接税が素案も骨格も出ていないということで、私どもの意図というものが正しく理解されないということを申し上げたわけでございます。  もう一つは、その私どもの行った調査をこのまま放送すれば、これが新型間接税に対する世論の反応というふうに受け取られるということを申し上げたわけであります。
  113. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのことは何回ももう、コメントつければいいじゃないか、クレジットつければいいじゃないかと幾らでもお話が既にあったんです。だれに疑われる、だれに意図が疑われるということなんですか。
  114. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私どもの考えは今申し上げたとおりでありまして、私どもの意図が伝わらない、正確に伝わらないと、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  115. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は言葉じりつかまえて言っているんじゃないの。あなた何回もこういう言い方しているんですよ。「むしろ意図を疑われるおそれがある、」自分たちの意図がこうだと今おっしゃったけれども、それじゃ、この発言は取り消すわけね。意図を疑われるということは、だれかに疑われるというふうにあなたは心配なさったわけでしょう、NHKは。だから伺っているの。だれに疑われるというふうにあなた方は心配なさったんですか。それね、たった一回ちらっと言っちゃったというんじゃないんですよ。何回もこういうふうにおっしゃっているの。だから私は、だれにどういう意図が疑われるというふうにお思いになって、こういうふうに発表を差し控えたんですか。それこそ新型間接税導入を図る自民党竹下内閣のそのやさきに、そこのところにたまたまNHKが世論調査して、結果として新型間接税導入反対という一つの大きな世論が出たと。NHKが自分たちに逆らって、時の政権与党に逆らって大型間接税導入の反対の旗振りでもするのかというように意図を疑われたらかなわないから発表しなかったと多くの人が思ったって、何の無理もない、自然な解釈ですよね。だれに疑われると思ったんですか。
  116. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私どもがいつも放送の対象としております一般視聴者でございます。
  117. 山中郁子

    ○山中郁子君 一般視聴者が疑うなんていうこと何にもないじゃないですか。一般視聴者に対してあなた方は世論調査したんでしょう。そしてその結果がそういうふうに出たんでしょう。だったらコメントをつけて、これはこういう時期のだと言ってすれば、だれも疑いませんよ。一般視聴者がどういうふうに疑うんですか。  私は、そういうことで重ね重ねこれらの問題について言ってきたけれども、まさにNHKの中に一つの、自主規制と言えば言葉はきれいだけれども、もっと時の政府権力にすり寄っていく、結びついていく、それを恐れる。その裏表の問題としては、かつて私が逓信委員会でもさまざまな具体的な事例を挙げて質疑をいたしましたけれども、公にされていない自民党とNHKを初めとする各放送会社との懇談会があって、その中でさまざまな圧力が加えられているという事実があります。そういうことに今NHKは深く思いをいたして、そして本当に中立公正、公共放送たる自分たちの仕事をどこによって立って、国民の視聴者のために仕事をするのかということをはっきりさせていただかなければならない。  私は、再三にわたって予算委員会のNHKによるテレビ中継の問題について申し上げてまいりました。また、党としても直接NHKに改善方を申し入れてまいりました。これはかつて、繰り返しますけれども、すべての党が総意としてNHKに申し入れたという衆議院の経過もあります。こういう問題が重ねて起こってきている状況です。つまり、政治的な中立公正をNHKがどうやってきちんと守って国民の視聴者の信頼を得るかという、こういう問題が重ねて起こっている時点でございます。  あえてもう一度私は会長に伺います。私どもが繰り返し訴えてまいりまして、また要求もしてまいりました、予算委員会における政治的に中立公正を保障するテレビ放映、中継を実現するために今後誠意ある努力をされたい。あえて会長の御答弁を求めます。
  118. 川原正人

    参考人川原正人君) この問題につきましてもたびたび申し上げておりますとおり、私どもは、私どものテレビジョンの編成の時間の配分の中で、どうしても多くの視聴者の方の御期待にこたえるためには、今のような編成しか今のところは知恵が出ないというか、対応の方策がない。決して特定の政党、特定の候補者の方を対象にして私どもは差をつけているつもりはございません。全く時間によってその中継のありようを考えているわけでございまして、決して政治的な立場でもって中継をするしないということをしてはおりません。しかも、万が一その中継時間にかかった場合は、必ずその分は録画にいたしまして、その日のうちに放送を出すという処置も講じているわけでございます。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  119. 山中郁子

    ○山中郁子君 一つ一つのケースをとってみれば、特定の政党の特定の質問者の質問が夜中に回されるんですよ。そうでしょう。それがどういう積み重ねをしてきたか今ここで申し上げている時間はありませんけれども、あなた方よく御存じのとおりなんです。そして、しかもそれは別な時間に視聴者に届ける。真夜中ですよ。十二時過ぎることさえあるようなそういう真夜中に視聴者に届けることによって公共放送たるNHKの使命が果たせますか。  私もNHK六十三年度予算審議で取り上げたところでありますけれども、ことし二月六日の衆議院予算委員会での当時の浜田予算委員長の暴言による委員会混乱の最中に中継を打ち切った問題、しかもその直後の七時のニュースでこの問題を一言も報道しなかった問題、そういうことは記憶に新しいところです。また、かつてのロッキード疑獄判決を前にして、一九八三年三月のNHK世論調査で、当初予定されていたロッキード関係の質問項目がNHK上層部の意向で五問すべて削除されたこと、そういう事実も今までたくさんあるんです。  私はこうした一連のNHKの姿勢が、今大型間接税導入是か非か、国会解散して信を問うべきかどうか、そういう具体的な重要な問題をめぐって全国的に国民的な問題として大きくクローズアップされてきた、このときこそNHK放送法にうたわれる理念に照らして、その使命に照らして、まさに率直に厳しく反省もし改善もする、そういうチャンスだと重ねて申し上げます。  最後に、午前中及川委員指摘をされましたが、私もこれは大変重要な問題だし、大変厚かましい話だなというふうに率直に言って思います。昨年十二月二十二日に経営委員に任命された佐藤欣子さん、これは今国家機密法推進の弁護士としても大変名高い方です。中曽根前総理とも親交があるということが多くの人によって知られています。この人が、不偏不党、中立公正を柱とする公共放送NHK経営委員としてふさわしくないということで、我が党は議運でも本会議でも反対をいたしました。しかし、多数でこの方が承認をされました。そうしたらどうでしょうか、まさにそのおぜん立てをした中曽根さんの手によって中曽根派のパーティーに出て、比例代表候補という麗々しくこういう、週刊誌に出ていますけれども、名札をつけて、しかも事務所も開設する、そしてリーフレットまで出して、公然とこういう予定候補者としての活動を開始しているんです。私は局長から法律上どうのこうのということを伺うつもりは毛頭ないし、そういう時間もないんですけれども、見てください、これですよ。明らかな候補者活動じゃないですか、まさに。それでNHK経営委員としてそのままいて、そして経歴に麗々しくNHK経営委員と書いてある。中曽根派がまさにNHK経営委員の人事を私物化して、自分の好みの議員にしたいと思う人を経営委員にして、そしてなったら今度は比例代表候補だと言って、披露して回っていると言われたってしようがない事態ですね。(「失礼なこと言っちゃいかぬよ」と呼ぶ者あり)そんなこと事実ですもの、実際問題そうでしょう。  私はそれで皆さんにも伺いたいんだけれども、伺いたいというか、考えてほしいんですけれども、例えば、NHKの番組に出ておられた小野清子さんとか西川潔さんは、選挙に出られるということが固まった時点で番組をおりられています。それはNHKの意向でもありましょうし、御本人の意向でもありましょうし、その辺がどういう兼ね合いであったか詳しいことは私は存じ上げません。しかし、それが常識というものです。番組に出演する出演者ないしはタレントならおりなくちゃいけなくて、経営委員ならそのまま居座って、そして自民党中曽根派の比例代表候補でございますと言って、こうやって宣伝して歩いていいのか、NHK経営委員というのはそういうものだったのか、それはみんな思いますよ。会長の御感想を伺いたい、それでいいのかどうか。
  120. 川原正人

    参考人川原正人君) NHKの番組の出演者のことでございますと、私いろいろ判断も意見も申し上げられるんですけれども、経営委員というのは国会同意を得て内閣が任命されておられますので、ちょっと私は、ここは意見を差し控えさしていただきたいと思います。
  121. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから私は感想を聞かせていただきたいと申し上げたんですね。西川さんにしても小野さんにしてもごく最近の話ですよ。その段階で番組をあなた方がおろすようになすっているわけでしょう。だったら、経営委員だったらいいんですか。経営委員がそのまま自民党の比例代表の候補者としてこういう大々的な活動を始めていて、そのままNHK経営委員として肩書も使ってやっていらして、NHKの中立公正、不遍不党ということは維持されるのですか。それは大変まずい話だ、よくないことだ。先ほど午前中、大臣もそういう点では少し何とか早くしたいという趣旨と私は受けとめたんですけれども、そういう御発言をされていましたけれども、したがって会長にその点についての、まず余りNHKとしてはこういう事態はよくないはずだと思いますが、いかがでしょうかということをお伺いをいたしました。重ねて御発言がいただければ、御感想が伺えればそれにこしたことはないと思っておりますし、あわせて大臣に重ねて、先ほど私は、及川委員の質問に対して大臣がお答えになったことは、何とか善処はしなきゃならぬと、このままいることはよくないというふうに思っていらっしゃるように受けとめましたけれども、その点はいかがでございますか。大臣に最後に、最後というか、その点についてもう一度御発言をいただきたいと思います。
  122. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) NHK会長もお答えになりましたように、国会の御承認を得て、そして経営委員に御就任になっていただいております方でございまして、この経営委員として、今リーフレットなどお見せいただいたわけでございますが、これはNHKの放送で画面で影響力を及ぼしていらっしゃる方ではないと。先ほどから小野現参議院議員のお話、それから西川議員のお話などありましたが、この方々は直接画面に出てのお話でございますので、女性として大変御立派な方でございます。検察官から弁護士になられて、八面六臂の活躍をされているという方でございますから、御人格の上からは全く申し分のない、女性としての経営委員に御就任いただく最高の人物だと思っておりますので、そういう方でございますから、みずからこれから起こることに対する御判断は、私は佐藤欣子女史にお任せをしておけばいいのではないか。さような趣旨で、国会が選びましたNHK経営委員という、そういう崇高なお立場に対する私は敬意とともに、その御判断にお任せをしたいということの期待の意思を表示いたしましたのが午前中の御答弁であったと、かような意味で、先生と同じ女性として活躍をしていらっしゃる方に対する私どもの男性からの敬意も込めまして、御答弁にいたしたいと思います。
  123. 山中郁子

    ○山中郁子君 委員長、最後に一言。  タレントさんとか画面に出る人ならみんなに影響を与えるからやっぱりおりてもらうのがあれだけれども、経営委員なら画面に出ないからということは、経営委員の任務の崇高だとおっしゃる割には具体的な重要さを何にも御存じないんじゃないかなと言わざるを得ないと私は思います。そこのところは、経営委員というのは、一番のNHK経営のあれの根本のところなんですよ。だから、重要な役割だということを申し上げています。  人物評価については、人それぞれでありましょう。そのことについて私が今さら余計な時間をとって、また大臣の評価に対して反論をするという時間はもう与えられておりませんので、質問はこれで終わります。
  124. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 質問申し上げる前に、先ほど来から問題になっておりますNHKの世論調査の結果の発表に対するとった態度について、私も一言。意見を申し上げたいと思います。  確かに川原会長がおっしゃられますように、あの時点においてとった判断としては決して間違っておらないという御判断のようでありますし、確かにそうであったかもしれません。しかし、それがその後世論の反撃といいましょうか、あるいは委員会等で、衆参両院におきましても問題になり、大きくNHKのその判断に対する反論があるわけであります。それらに基づいて、先ほど及川委員に対する率直かつ厳しく受けとめ、今後とも公共放送の使命の云々という御答弁がありました。しかし、私、誤解という問題について、非常にNHKさん、まさに誤解しているような気がするんです。質問の一部にも出ておりましたけれども、そういうふうに誤解するであろうというその判断は、別な角度で言えば、私は人を甘く見ている。視聴者を、言葉は適切じゃありませんけれども、ばかにしてないかという気がする。その判断が私は問題だと思う。したがって、今後受けとめて、その使命達成される上において、NHK判断というものに私は厳正を求めていきたい、ひとりよがりではいけないということをあえて申し上げておきたいと思います。  質問に入ります。  収支改善について、決算書を拝見しまして、六十年度というのを、今六十三年度でこういうことをやっているのもどうもぴんとこないんですけれども、そういう性格になっておりますからやむを得ませんけれども、そういうことでお尋ねしたいんですが、六十年度というのは、三年計画の中間年になるわけであります。五十九年度が七十億の改善、そしてさらに六十年度が六十五億円の改善ですか、それからさらに六十一年度の好決算が相まって、六十二年度並びに六十三年度における受信料も据え置くことができた。これが大きな要因になっておるということが今までの説明であったわけでありますが、六十年度決算において、計画に比較して事業収支が改善された主な理由は何だったのか、また五十九年度における収支改善の大きな理由は何だったのか、お教えいただきたいと思います。
  125. 井上豊

    参考人(井上豊君) お答え申し上げます。  昭和六十年度におきましては、先生指摘のとおり、事業収支差金は、予算に対しまして六十五億円の改善でございました。これは収入と支出に分けますと、収入で六億の改善でございます。支出におきまして五十九億の節減といいましょうか、支出減ということで六十五億になったわけでございます。  一方、五十九年度の七十億につきましては、収入におきまして十八億の増、それから支出におきまして五十二億の減、その結果七十億になったわけでございます。しかしながら、その内容につきましては若干異なっております。五十九年度につきましては、五十九年度から皆さんの御了解を得まして受信料を改定さしていただいたわけでございます。この年は四十三万件の総数増を予定していたわけでございますけれども、受信料改善をした直後の年度ということもございまして、総数におきまして約十八万件のショートということがございまして、受信料につきましては、およそ八億円の予算に対しまして減ということでございました。そのほか副次収入、財務収入等の増によりまして結果としては、収入全体としては十八億の増になったわけでございます。  一方、六十年度につきましては、これは私どもも第二年次ということで営業活動も積極的に展開をいたしまして、受信料につきましては、およそ一億弱ではございましたけれども、予定に比べて六千万円程度の増でございましたし、また副次収入、財務収入につきましても十億以上の増の結果、先ほど申し上げましたように、収入全体としては六億の増につながったわけでございます。  支出につきましても、先生御存じのように、五十九、六十につきましては、私ども予定をいたしました衛星放送の二波装置体制というものが、2a、2bの状況の中で故障した、あるいは打ち上げが延期されたということもございまして、衛星経費を中心に事業運営費が残った、あるいは予備費が両年度につきましてもおよそ二十億円程度残った、そういうことが主な支出減の理由でございます。
  126. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 そういうふうな努力なり、あるいは計画運用の、計画どおりいかなかったという原因によって一応の決算がなされておるわけでありますけれども、巷間六十四年度の受信料額の改定はもうそろそろ必至ではないかというふうな声もあるわけです。そうしますと、今までの実例でもあるわけですけれども、本委員会の附帯決議にもありますように、そういった際においては、長期的展望に立った経営計画のもとで六十四年度以降の経営を考えるべきだと。そういった場合に、NHKは従来経営計画の策定に当たって、外部の有識者によるところの審議会等を設けて検討して、それはある程度時間がかかりますから、そうして準備をするというようなことになるわけですけれども、そういった長期的な経営計画の策定について現在どのような作業を行っておるのか、考え方をお尋ねしたいと思います。
  127. 林乙也

    参考人(林乙也君) NHKが長期的な展望計画を持って今後の経営に当たらなければならないという点については先生の御指摘のとおりでございます。  高度情報化の進展、他メディア状況の進展の中で、現在の協会事業運営は非常に厳しい状況に立たされておるわけでございまして、六十四年度以降の長期的な経営計画の策定に当たりましては、衛星放送の今後の展開、ハイビジョンなどニューメディアの進展、それから映像メディアによる国際交流の積極的な推進を含む国際放送の充実、新しい業務体制のあり方、効率的な事業運営、これらの経営課題というものについて、はっきりした見通しと展望というものを確立していかなければならぬというように考えております。  現在私どもとしては、まずは何としても協会としての計画といいますか、考え方を確立しなければならぬということで、これに全力を実は入れておりまして、その上で次に、ただいま先生の御指摘もございましたような関係方々協会としての考え方をいろいろお伺いしてみたいというふうなことも含めまして、まずは現在、協会としての今後の経営についての展望の確立に努めておるところでございまして、その上で次のステップを考えてまいりたいと考えております。
  128. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 そうすると結局、協会自体が中長期にわたるこの長期計画の骨格というんでしょうか、そういうものをまず決めなければ、そういった有識者による審議会というんですか、そういったものを持つことはできない、これは段取りとしてわかるわけですけれども、相当これ時間がかかってくるんじゃないですか。それと六十四年度料金値上げという問題がちょろちょろ新聞でも、これはまだ正確さはどうかとは思いますけれども、これとにらみ合わすと間に合わないような気がするんですけれども、重ねてお伺いいたします。
  129. 林乙也

    参考人(林乙也君) 六十四年度の予算編成策定時までには、そこらあたりの問題を含めまして固めてまいりたいというように考えております。
  130. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 会長にちょっとお尋ねしたいんですが、受信料そのものの千四十円の評価なんですけれども、これはNHK受信料というのは、その収入のほとんどを占めておるわけでありまして、即財政事情との関連が非常に強いわけであります。現在の受信料は他の料金水準と比較してどのような感想をお持ちですか。例えば新聞とかあるいは雑誌、印刷メディアの料金とか、あるいは民放の広告費との比較、これは非常に難しいかもしれませんが、広告費との対比等、あるいはまた電話料金、情報通信料金、いろいろな新しいニューメディアによる料金というものがある中で、この千四十円という現行受信料はどういうふうにお考えか、感想をお持ちでしょうか。
  131. 林乙也

    参考人(林乙也君) 会長からお答えする前に私の方からどういうふうな状況かということだけを簡単に御説明申し上げたいというように考える次第でございます。  他の何と申しますか、料金指数あるいは物価とどういった形で比較するのが適当かということにつきましては、いろいろ問題もあるところでございますけれども、一応主要な公共的な料金を四十三年をベースにして現在を比較いたしますならば、カラーの訪問一カ月が四十三年当時四百六十五円であったものが千四十円ということになっております。また、カラーの口座の振替は九百九十円ということでございますので、それぞれ二・二四倍、あるいは二・一三倍というのが四十三年との比較でございますけれども、電話料金こそ二・一四倍というふうに、ほぼ受信料の動きと指数的には同じでございますけれども、他の公共的な料金は、なべてこの倍率を上回っております。  例えば水道料の家庭用の最低料金につきましては、当時一カ月の料金と申しますか、百円のものが八百円というように八倍になっておりますし、また国鉄の運賃の幹線の初乗り運賃というのが、四十三年当時二十円のものが百四十円というふうなことで七倍にもなっております。それから、すべてを比較するわけにはいきませんが、新聞代の朝夕刊のセットの月決め料金と申しますのが、当時六百六十円であったものが現在は二千八百円というような形で、四・一一四倍になっておるというようなことを考えますならば、現在の受信料の料額と申しますのは、非常にこの間抑制的に経過しておるということは御理解いただけようかと思います。
  132. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 まあ確かに他の物価なり、あるいはよく似たそういうものと比較すると私は努力しているような気がするわけです。もちろんその点は評価したいと思うんです。しかし、それはやっぱり受信料徴収との関連もありますので、後の問題に移したいと思いますが、次に衛星放送の関係についてお尋ねしたいと思います。  衛星放送はいろいろと過去にも質問ございましたが、現在順調に普及しておるというような報道がなされております。一体どのぐらい今普及しておるのか、さらにまた、今後の普及の見通し、ソウル・オリンピックでハイビジョン等の、あるいは衛星放送を含めてやるわけですけれども、そういったものにさらに拍車がかかっていくだろうと思われるんですが、どういうふうな普及見通しを持っておるのか、お尋ねしたいと思います。
  133. 林乙也

    参考人(林乙也君) 昨年の七月の衛星第一テレビジョンにおきます二十四時間放送の開始以降、放送衛星の特性を生かした魅力ある番組を編成してまいって、現在まで順調に普及が進んでまいっております。六十三年の四月末現在で、衛星放送の受信世帯数は全国で六十二万四千五百世帯というように把握いたしておりまして、その内訳といたしましては、個別受信が二十三万三千世帯、共同受信が三十九万世帯ということになっておりまして、大東島、小笠原諸島の世帯数が千五百世帯ということでございます。  私どもといたしましては、今後の普及につきまして、ソウル・オリンピックというものを一つの普及のばねにしたいというようにも考えておりますし、また今後の衛星放送の事業としての確立に向けて少なくともといいますか、年末時点までには百万世帯を超える普及ということに向けて努力してまいりたいというふうに考えております。
  134. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 それは非常に結構なことなんでありますけれども、次のこれは、やっぱり衛星放送料金の設定のあり方とも関連してくると思うのでありますが、NHKでは六十四年度から衛星放送料金を設定するという意向を示唆されているようであります。この場合どういう形で設定されるのか、例えば受益者負担に基づいて、衛星放送の受信者に現行受信料を上乗せする、そういうのも一つの方法でありましょうし、あるいは総合料金という形で、衛星放送の経費を含めた全体の経費をすべての受信者から負担していただいて、そして衛星放送を受信していないものには割り引いていくとか、いろいろな方法があると思うんですけれども、料金の設定のあり方についてどのようなお考えをお持ちですか、お尋ねしたいと思います。
  135. 林乙也

    参考人(林乙也君) 現在まで衛星放送の経費につきましては一般の受信料の負担の中で運営してまいったわけでございますけれども、今後の衛星放送の一層の事業展開ということを考えました場合に、やはり視聴者の方々の負担の公平を図る意味からも、衛星放送を受信しておられる方々と地上放送だけの受信者の負担についてはそれなりの格差を設けるのが負担の公平からいきましても適当ではないかというふうに考えておるところでございます。  その受信料の形態につきましては、現在NHK受信料は、協会の業務を維持運営するための特殊な負担金ということで、いわばテレビ、ラジオ、それから国際放送等を含むいろんな業務全体につきましての総合的な料金という性格を持っておりまして、その性格というものは、衛星料金を設定した場合もやはりその基本的な性格のもとで定めるべきであろうというふうに考えております。  具体的な姿といたしましては、先ほども申しました来年度予算事業計画の策定時までにそこらあたりの考え方をきちんと詰めてまいりたいというふうに考えておりますが、例えば衛星放送を受信する料金と衛星放送を含まない料金というような形の料金体系などが一応考えられるのではなかろうかと思っておりますが、これにつきましても今後なお詰めてまいりたいと思っております。
  136. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 ここでもまた問題になってくるわけなんでありますけれども、共同受信に対する衛星料金徴収、衛星料金を徴収する場合、この共同受信について各個別の家庭が衛星放送を受信しているかいないかの把握は非常にこれできにくいんじゃなかろうか。したがって、料金徴収にさらにまた、それでなくても今までのNHKの料金徴収にも随分苦労なすっておるわけでありますが、それらをあわせてどのように対策を立てるつもりなのか、お尋ねしたいと思います。
  137. 林乙也

    参考人(林乙也君) 確かに御指摘のように、共同受信施設の受信世帯との契約の問題と申しますのは非常に困難で、かつ重要な問題だというふうに考えております。  私どもといたしましては、現在もその方針で進めておりますが、特に都市型CATV等の、いわばCATV事業者との関係で放送の再送信の承認を行います際に受信契約、あるいは受信料制度につきましての視聴者の理解というものとCATV事業者との協力関係と申しますか、理解と協力関係の確立に努めておりますけれども、そういうような考え方のもとに、なお一層衛星料金の設定のときに具体的にどういうふうな手当てを講ずる必要があるのか、例えば料金体系の上でも工夫の余地があるのかないのか、する必要があるのかどうかというふうなことなども含めて詰めてまいりたいと考えております。
  138. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 まだまだ確実にでき上がっていないわけですけれども、しかし、もう来年という問題になってくれば、その営業対策自体も今から準備してかからないと広報活動を含めて問題を残すような気がします。ひとつ早急にそういう問題に対する対策を立てる必要があるんじゃないかという意見を申し上げておきたいと思います。  次に、NHKの長期ビジョン審議会の調査報告に関連する問題で、二、三お尋ねしたいと思います。  まず、よく問題になっておるわけでありますが、受信料の性格の明示ということであります。この指摘では、受信料の性格を一段と明らかにすることを含めた制度上の措置を考慮することも必要であろう。こういうことが言われておるわけであります。当然審議会では、この現行受信料制度については基本的に支持しておりまするし、また現在、受信料については多くの国民の皆さんから、一応のこの性格についての理解は得ておると見られます。しかし、一部には受信料に対する誤解、あるいは意識的な不払いがあることは事実でありまして、これがまた受信料支払いに対する不公平感を根強く国民に持たれておるということにもなっておるわけであります。したがって、その受信料の性格というものをはっきりすることは非常に私は重要だと思いまするし、今言った共同受信、あるいはその他のこの問題を含めて受信料の性格をきちっとすることがやはり非常に基本的な問題だと思うんですけれども、これに対するNHKの見解、郵政省の見解、それぞれお尋ねしたいと思います。
  139. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  長期ビジョン審議会の報告書で御指摘のような記述があるわけですけれども、まずこの報告書でも、前提としては、NHKみずからの理解を深めていくための経営努力というものが必要だということも指摘しておられるところです。NHK受信料の性格というのが、NHK維持運営のための特殊な負担金ということになっておりますけれども、これは、私は受信料の性格として適当な規定であろうかというふうに考えております。これをやはり国民の皆様方に理解していただくということが、我々のこれから先経営努力の焦点になる問題であろうというふうにも思っております。  このために、私どもとしては昨年来、この席でも何度か申し上げさせていただいている新営業構想の策定ということを志したわけでございまして、これはあくまでも従来の放送法による受信料の契約義務というものを盾にとったお話ということではなくて、やはりNHK事業活動全体を理解していただく、あるいは番組の視聴の促進ということとあわせて営業活動を拡大していく、そしてまたその過程で受信料の性格というものも理解していただくという活動にしてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、この営業構想の執行に基づく仕事のやり方を徹底してまいることによりまして、私どもとしては公平負担をさらに徹底し得る、そして受信料制度をより安定した形に引き上げ得るというふうに考えて取り組みたいと考えているところでございます。
  140. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今松本参考人の方からお答えしたことと大体同じでございますが、NHK受信料は、NHK経営基盤を支える特殊な負担金制度として定着しているわけでございまして、長期ビジョンでもその問題につきましては基本的に支持されているところでございます。  この提言の中でいわれておりますのは、受信料の支払い義務制の問題を一つ言っているんじゃないかというふうに思いますが、それは受信料収入確保の一つの方策としては考えられるわけですけれども、それをやったといたしましても、NHK受信料につきまして国民の理解を得なければ制度として成り立たないわけでございます。NHKが不断の努力によりまして、訪問活動あるいは理解を求め、受信料を支払っていただくということを積み重ねていかなきゃいかぬ、あわせて同時に、よい番組を提供することによって国民の信頼と支持を得ていくということをしていく必要があるというふうに思います。  今松本参考人の方から新営業構想等につきましてお話がございました。私どもは、現時点におきましては、現行の受信料制度で支払い義務制を導入することなくやっていきたい、NHK努力とその状況を見守るといいますか、期待をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  141. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 そうしますと、何ですか、NHKの方は特殊な負担金という結論、一口に言えばそういう理解だし、郵政省の方は、やはり支払いの義務を負わせたいわゆる料金体系として考えているという、ちょっと何か違いがあるような気がしたんですけれども。
  142. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 提言の趣旨の中で支払い義務制の問題につきましても触れているようでございますが、私どもといたしましては、現在支払い義務制を導入する考えはないということでございまして、NHKが新営業構想等で経営努力といいますか、経営効率化を図る、経費を落とす、経費を節減すると同時に、収納の増加を図っていくというようなことをもくろんでおりますので、それの成果を期待しているということでございます。支払い義務制につきまして導入するという考え方はないということでございます。
  143. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 そうすると、こういう指摘はあったけれども、事改めて、従来と同じような料金に対する性格は、認識の上で新営業努力によってカバーしていこうということなんですね。それはそれとしていいんですけれども、私は問題があるような気がするわけです。やはり不公平感ということからくると問題もあります。  それから、先ほどのどなたかの質問にもありましたけれども、複数に対する割り増し制とか、あるいはカラーと普通契約の一本化という問題で、例えばカラーと白黒ですと五〇%のアップになるといいますけれども、千四十円というものから見ればですね。しかもNHKは、白黒だからといって、白黒用の設備で送っておるわけじゃなくて、カラーで送っておるわけです。したがって、カラーのときに上げたわけですから、当然理論が通るものは通すべきだ。ただ単に、そういう上がるから、負担かけるからといって、正しい理論まで通さないから、それだったら払わぬ方が得だ、こういうことになってくるんです。私は、正義は正義として通していくべきだ、そういうことを注文したいと思います。  さらにまた、複数台数割増制の調査にしても、立ち入り検査権がない。したがって、深夜とか休日出勤等で努力をしておる、これは何度も聞いております。しかし、一向に直っておらない。これは未契約第一でやっておりますからと。これは言いわけばっかりなんでありまして、本当にそういうものをやっぱり根絶していく——ゼロということは難しいかしらぬけれども、そういう努力をやはり厳しくやらないと、私は問題がいつまでも残っていくような気がするわけであります。これは意見ですから、あえて答弁は要りません。  次に、細かい問題ですが、カーラジオ料金の設定、これも審議会で出されておりますが、これは法改正の必要もあると思いますけれども、あるいはまた収納方法にも検討の必要があると思いますが、NHKはどのような検討をなさっておるか、お尋ねしたいと思います。
  144. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 御指摘のように、カーラジオの受信料金を新たに設定するということになりますと、当然放送法の改正も必要になります。そしてまた、これの徴収をどういう形でやるのかという問題も新しい問題として出てこようかというふうに思います。  同時にまた、カーラジオ、あるいはドライバーの受益感がある放送内容というものに変えていくことも、やはりカーラジオの料金を設定するための前提条件にもなろうかというふうに思いますが、現状では必ずしもカーラジオ料金を設定するほどにドライバーに受益感のある放送が十分なされているかどうか、ドライバー向けの放送という意味でいいますと、なかなかここも問題があろうかというふうに思っております。  料金を仮に設定して徴収するという形になりますと、これはいろいろな方法はあるわけでございますけれども、一つの例として車検時に、カーラジオ料金を一括収納するような方法だってあるじゃないかというような御意見も時々承るんですけれども、これもやはり現行の道路運送車両法というような法律がございます。そういった法律趣旨に照らして考えましても、なかなか一括して車検時にカーラジオ料金を収納するというようなことも難しい問題が当然起こってまいるわけでございます。  そういった意味で、私どもとしては、今の時点でカーラジオのための料金を設定するということは少し問題が多過ぎやしないか。同時にまた、料金を徴収するためのコストというものを個々について考えてみますと、これも果たしてコストに見合う料金が設定し得るかどうかという問題等ございまして、今のところ、さらに検討を続ける問題かというふうに考えておるところでございます。
  145. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 告知放送、いわゆるお知らせですね。これの有料化についてお尋ねしたいと思います。  これも報告書にあるわけですけれども、「国、地方自治体、その他公共的な事業体若しくは団体の告知放送を有料化する可能性も考えられる」ということが書かれておるわけですが、当然広告放送収入ということになりますと、これは民放との関係がありまするし、NHKの性格からして問題があるわけでありますけれども、経営財源の確保方策の一つとして、そういった国とか地方なり公共的な団体のいわゆるお知らせ放送ですね。これらに対してサービスする必要はないと思うんで、当然いただくべきだ。先ほどの料金でも出ておりましたけれども、いわゆる特殊な負担料金だというならば、いわゆる現在、学校とかそういうところで料金をサービスしておるようでありますけれども、これはやっぱりしかるべくこういうものはいただいて私は当然だと思うんです。そういう何かこう、しゃきっとしたものがないだけに、これはやっぱり第一線で、いわゆる料金を取ろうとする人の一番私は苦労するところだと思いますよ。きちっとしたものはきちっとした姿勢をとらないと、強い者勝ち、言いたい方の者が勝ちということになってくると、いよいよ私、料金収入が取りにくくなる。そういう面からあえて言うわけですけれども、お考えあったらお聞きしたいと思います。
  146. 林乙也

    参考人(林乙也君) いわゆる経済のソフト化とか、あるいはメディアミックスというような状況の進展の中で、NHKといたしましても経営財源というものを多様化していかなければならぬという考えのもとに施策を進めておるところでございますが、今回の放送法の改正によりまして、そこらあたりの業務のNHKの保有する施設、ノーハウというものの有効な活用の道が開かれまして、今後十分ここらあたりについて取り組んでまいりたいというように考えております。  ただいま御指摘の告知放送の点につきまして、昭和五十七年当時の長期ビジョン審議会の報告書の中にただいまの御指摘もあったわけでございまして、私どもといたしましても、その点については十分検討してまいったわけでございますけれども、その報告書の中にもございますように、「NHKが自らの番組編集の一環として行っている各種の告知放送との対比で、NHKの放送の不偏不党性を損なわずに実施しうるかなどの点を十分留意のうえ、NHKが今後なお検討を続けることが望ましい。」というような報告書の中におきましても御指摘がございますように、私どもといたしましては、NHKの編集の責任のもとにおける放送というものは、やはり今後とも引き続いて維持していかなければならないというように考えておりまして、この告知放送ということでの財源、収入と申しますものについては、現在の時点においては、端的に申しまして消極的な考え方を持っておるところでございます。
  147. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 国民のためのNHK、そしてみんなで負担しておる、それが公共放送はただでいいというのは、私はそんなのおかしいと思うんですよ。負担すべきなんですよ。そんな遠慮する必要ないですよ。私はそういう態度が、やはり第一線営業の料金収入でいろいろと折衝する人が大変困るところだと思うんですよ。みんなの設備なんだから、みんなの設備で放送しておるんだから、そういう放送するのはいただきますと言っても、私は何にも論理的に間違ってないと思います。遠慮する必要はない、こういうことをあえて言っておきたいと思います。  終わります。
  148. 青島幸男

    ○青島幸男君 まず、六十年度の決算のお話でございますけれども、これが予算として提出された時期には私は賛成をしておりますし、いろいろ御報告を受けますと、NHKさんの経営努力のかいあってか、黒字まで出しておられて、会計検査院の報告によれば、何ら疑点を差し挟む余地はないということでございますし、そうした一連のことから考えますと、反対をする理由はないわけでありまして、本件についても、私は本日賛成に回るつもりでおります。  ただ、再々話が出ておりましたけれども、NHKのやっております事業の総合的な負担金として、そのことを受信者の方に理解していただいて、そのために受信料、名目は受信料ですけれども、負担金を支払っていただいて、それを拠金にして事業運営されておるということになりますと、これはもう基本的にNHKと受信者との間の信頼関係以外にはよって立つところはないわけでありまして、だからこそ今回のような疑点が生じて、さまざまな論議を呼ぶようなことは厳に避けなければならないことであったと私は思います。  そういう存立の基盤を持ったNHK運営のあり方と、広告収入に頼る民放のあり方が両々相まって国民の上に種々の情報を流す、これを受信者は、それぞれの情報を自己によって判断しながら、さまざまな情報の中からみずからの指針なりを見出していく。しかも、それが民主主義にのっとった方向で、自己努力に基づいて国の一員として責任を果たしていくということになるはずでございまして、私は民放とNHKがそういう形で共存することにも心から賛意を示しておりましたし、今までのNHKのやり方にはおおむね反対をしてこなかったつもりでおりますし、それからこの逓信委員会に私も二十年近くいさせていただいていますけれども、割合私はNHKさんにはむしろ好意的であったつもりでおりますし、NHKさんは不偏不党を貫かれようとして経営努力をなさっていらっしゃるという認識を持っておりました。ですから予算案の審議につきましても、決算につきましても、余り反対という立場をとってきたことはないわけです。  でも、今までの一連の報道にもありましたことも背景にしまして、けさほどから及川委員初め各委員方々のお話、質疑の間に見られましたことは、やはり牽強付会とまでは申しませんけれども、会長しばしば言われましたように、あの時点で現場がとった判断は間違いではなかったと思うということを再三発言されましたけれども、ほかの委員の方も、それはそうかもしれないけれども、事の経過に従って、これを歴史的な経緯としてとらえてくれば、恐らくあの現場の判断は必ずしも正しくはなかったんではなかろうかというぐらいの御発言があっても、決して会長に傷がつくこともなかったろうし、そういう率直な態度でおられた方が間違いが少なかったと、ほかの委員方々と同様に私も思います。及川委員初め多くの方々がもう細かく御質問になりましたし、その点について再々お答えも承りました。ですから、もう私も重ねて御質問申し上げることはない。しかし、腹の底にありますNHKへの信頼が非常に損なわれたということは、私にとってもとても残念です。  やはり私は、この報道をすればタイミングが悪いから、もしかしたら誤解を生むかもしれないという判断こそ誤解であったし、それが誤解でなかったと言い繕って、しかもそれに固執なすっていらっしゃる態度は、全く一般の方々の認識を誤解しているということでしかないと思いますし、よってもって会長の御発言も、そのまま私は正直に、素直に認識する、了承するというわけにはいかないというのが今の心境であります。このことも私は大変残念です。もし今後もこのような態度でNHKさんがおられるならば、大したことはできませんけれども、不払いの先に立って旗を振すらうじゃないかというような気分までいたしておるところでございます。その辺は重々御理解をいただいて今後に期していただきたいと思うんですけれども、そういうNHKさんのひとりよがりといいますか、それが非常にここのところ目立ってきているような気がしてならないんです。  例えば、先ほども出ました衛星放送の話ですけれども、私再々申し上げておりますけれども、衛星放送がうまくいく、いかないの問題は別にしまして、これを無理やり推し進めようとなさっているということが私にはどうしても理解できないわけです。これが一般の受信者の方々の信頼を深く損ねやしないかという、そういう危惧も持っております。  幾つか羅列して、質問の形よりも私、意見だけ申し上げて終わろうと思いますけれども、まず衛星の性能に全く全幅の信頼を寄せるというには至ってないですね。現状の片肺飛行のような不安定な状態を見ましても、次に上げられる衛星のことを考えましても、一〇〇%安全だということは、まずどなたも保証できない。それがまず第一です。しかも、衛星によらなければこの放送が不可能だということです。さまざまな実験を繰り返した上で、一〇〇%安全だという認識が得られて、それにのっとって前へ進むならともかく、それがだれも保証し得ないという状態を大前提にしてスタートしたということ。しかも、これを本放送にして料金を取ろうという、そういう考え方に立ち至ろうとするには、前提として余りに不安定要素が多過ぎるんじゃないですか。  それからもう一つは、第二点は、たとえ行われましても、受信者一人一人に二十万なり三十万なりという新たな負担をかけるわけですね。これが量産になれば幾らか安くなるとは言い条、やはり新たな負担をかけることは事実でありますし、その負担をかけることを前提としているのに、盛んに衛星放送の利点ばかりをうたい上げて皆さん方を誘い込もうとしているという姿勢、それもちょっとおかしいと思いますし、それから受信者の増大に私は期待が持てません。というのは、金や太鼓で宣伝しました文字放送にしましても、大変文字放送はいいですよ、便利ですよということで、あれ出たときに随分宣伝もなさいましたが、いまだに局長に伺いますところによると、十数万台しか普及していないということですね。  確かに今受信機の台数が四千万とかあるそうですね。これだけになるには、三十年代にいろいろな時代的な背景もありますね。我が国は高度経済成長に乗って非常に経済の進展を見た。それと同時に、世界的な視野も開けて、オリンピックもあった、あるいは皇室における結婚式などもありまして、非常にそういう意味でテレビに対する関心が高まってきました。量産によってテレビの受信機の金額も安くなりましたし、技術の進展によりましてカラーもきれいになりました。そういうさまざまな背景があってこそ、今の保有台数に短期間の間に伸びたんだ、そういう認識でおります。  こんなような背景は、今の衛星放送にはないんですよ。四六時中七チャンネルで放送して、その上にビデオがあったり、レンタルショップなんて大変な繁盛しておりますね。人間一日二十四時間しか一人頭ないわけですからして、どう頑張ってもそんなに見られるものじゃないですし、職業として情報を集めている人間でも、ついにはくたびれますね。ですから、これ以上衛星放送を幾ら力入れておやりになっても、そんなに普及が見込まれるというふうには私は考えません。  もう一つ、一番大事なことは、四点としましては、NHKは受信者の利便とか期待とかというものを考えるより先に、何より衛星放送ありきと、先に衛星放送を考えて、それを何でもがむしゃらに普及発展せしめようとしているような姿勢がうかがわれるわけですね。それは国策であるかもしれませんけれども、別にNHK郵政省でもないし、文化庁でも文部省でも通産省でもないんですから、それをこんなに率先、旗を振ってですね、何千億産業だか何兆産業だか知りませんけれども、新たなパラボラアンテナとその施設、受信施設をしゃにむになって旗振って、経済力を喚起するかもわかりませんけれども、そんなにする必要はないんじゃないかということですね、NHK立場から考えて。これが一般の方々の中から、衛星放送というのは大変便利らしい、どこにいてもよく見えるらしい。だから何とかNHKでやってくれないだろうかというような声が沛然として起こって、皆さん方の御需要にこたえましょう、ニーズの多様化にこたえられるように我々も努力しますという格好でやるんなら理解できるんですけれども、そんなにリスクの多いものを率先して旗振らなきゃならないというのは、どうして営利目的でもない協会事業として、ここまでの姿勢で取り組まなきゃならないのか。私はどうしても理解ができません。  しかも、衛星放送はどこからでもよく見えるとは申し条、市街地などではむしろ東南の方向ですか、その開かれた方向にパラボラを、衛星が視界に入るような状態に向けなければ受信ができないんですね。現在のような市街地の状況からしますと、これは新たな、もしそういう見たいという要求があれば、これは新たな難視聴を生みます。ですから、新たな格差を生みますね。その辺はどういうふうにお考えなのか。  もうどんどん続けてまいりますけれども、受信料の徴収の問題にしましても、今も橋本委員からお話出ましたけれども、共同受信しているのと自分でパラボラ持っているのと、それから見ている人と見てない人と、再々NHKさんが言われますように、NHK事業を総合的に理解していただいて負担金を払っていただくということになりますと、その総合の中には衛星も入る話でしょう。それで衛星料金は、見ている人と見てない人とどういうふうに分担して負担するんですか。ちょっと考えられませんよ、それは。さまざまな疑点があります。で、もしうまくいったと考えましょうか、それでは。あるいは非常にうまくいったと考えますと、衛星放送がNHKの思惑どおりに何千万台という格好で普及したとしますね。そうすると、今ある地方のUHFの局はどうなるんですか。これ放送のチャンネル体系がまるで変わっちゃうんじゃないですか。全部UHFに変えろとおっしゃるわけですか。利害がやはりぶつかってくるでしょう。民放も一波とって、そこで共同で民放の経営による波もつくろうということだとすれば、それは地方のUHF民放局はみんなそこに集合して乗れと、こういうことですか。  それからもう一つ。NHKのおっしゃるように、衛星放送が大層魅力あるものとして皆さん方に受け入れられて発展していったとしますと、地上波で放送している総合放送と教育放送はどうなるんですか。屋上屋を重ねる形で三波、今の人数でやっていけるんですか。どうしたってどこかで手抜くか、あるいは労働強化につながるか、あるいは資金不足で新たな値上げに結びつく方向に行くんじゃないですか。  そういうことを一々考えてきますと、何回も言うようですけれども、利益追求型の企業だったら私は何も言わないんです。なるほど多少新たな分野に向かってでかい収入を得ようと思ったら、少しぐらいのリスクはしょっても、やがては日本国家の文化のためにもなるのかもしれないから、社運をかけてやりましょうというんなら、勝手におやりいただいて結構なんです。ところが、NHKはるる申し上げておるように、受信者の方々との信頼の上に負担金を分担していただいているという性質から言いますと、何も受信者の方々はそんなことを望んでいませんよ。なぜそんなことをしなきゃならないんでしょうね。  それで、うまくいっていて、皆さん喜んで見ているとしましょう。星がふぐあいになったらどうするんですか、それは。シャトルに乗ってあそこまで出かけていって、手を伸ばして直すことできないんでしょう。新たな星が上がるまで、あるいはふぐあいが直るまで放送できない。料金体系はきちんとできたし、一般には普及したし、今まできのうまで見えていたやつが、きょうは見えない。これは食でもない、何でもないんだ、ふぐあいを生じたらしい、あるいは落っこってしまったらしい。そのときに大慌てしてもだれも保証できませんね。しかも、もっと悪いことには、この先つなげていきたいハイビジョンというのがあるんだそうですね。  そんなこんなを考えますとね。今十分に満足しているんですよ、一般の受信者の方々は。機械の技術の進展もありまして、ハイビジョンとまがうんじゃないかと思われるほど各社の今の一番新しい受像機を見ていますと、とても絵がきれいになりました。それで本当に絵のきれいさに関心のある方、音のきれいさに関心のある方は既にそういう機器を選んで見ていらっしゃいます。でも、大部分の受信者はそれほど、ハイビジョンほどクリーンな絵を望んでないですよ。御近所の御家庭とか皆さんの御家庭の中を考えてください。もう本当にゴーストのないきれいな絵を年じゅう見ていらっしゃいますか。相当このチャンネル調子悪いけれども、今野球おもしろいからといって、隣からのぞくと、ゴーストは出ているし、時々ちゃかちゃかいうしなんというようなひどい映像でも見ていますよ。  そういう実態から考えますとね、そのハイビジョンに対する要求、確かに絵はきれいでしょうけれども、それが今の技術水準の先端の三十何インチかのいい受像機で見ますと、それは確かに私もハイビジョンを研究所で見せてもらいました、ハイビジョンはきれいですけれどもね。遠目にはそのハイビジョンと見まごうばかり美しいですよ、今はね。無理やりハイビジョンまで持っていってしまおうという、そういう一連の流れを何のためにやっているのかということが私には全く理解できませんし、そういう今申し上げましたような独善的な経営のあり方が、勝手に誤解を生むんじゃないかといってアンケートの結果を一方は発表し、一方は発表しないという不手際を生じさしているんじゃないですか。もうこれ最後に言って私、終わってしまいますけれどもね、NHKさんは、はっきり言って現在の地上波をきちんとやっていただいて、不偏不党、だれからも信頼されるNHKを築いてくだされば、それでいいんです。技術開発も大事だと思います。これやめろとは言いません。それ試験所に任せればいいんです。試験放送で確実なものになるまでどれだけでもお続けになったらいいじゃないですか。答弁は要りません。言うことだけ申し上げまして、ただ最後に、非常に残念なことは、私はNHKに対する信頼を持ち続けることができなくなったという事実だけは申し上げておきます。  終わります。
  149. 平野清

    ○平野清君 いつも私一番最後なんですけれども、いつもですと質問を十五ぐらい用意しておいて、三分の一ぐらいやれればいいほど先輩諸兄、先生が全部やっちゃうので、ああ、これもだめだ、これもだめだということなんですが、NHKさんの世論調査のおかげで、質問が全部重複が何もないんですね。それで時間がいつもの四十分だから、これやめるの惜しいな、これやめるの惜しいなって、ちょっと困っているんですけれども、それでもなおかつ世論調査の結果は一言どうしても言わなきゃ気が済まない。  この世論調査の問題、NHKさんは、大きな二つの過ちを犯したと思うんですね。一つ目は、ニュース判断の結果で、編集判断に属する問題だと。新聞報道は誤りはないけれども記事の扱い方、見出しのつけ方で、あたかもNHKの報道が偏っているような印象を与えるのは、まことに遺憾だとはっきり国会で答弁なさっている。午前中からずっとほかの先生方もおっしゃいましたけれども、注釈をつければ誤解を招くこともなかったろうし、それからもっと申し上げたいのは、税調の中間答申ですよね。出たときにごらんになって、世論調査の内容が、そんなにあれを見て普通の国民が、これ税調の中間答申見た結果、だからおかしいんだというほど中間答申ははっきりいろんな問題出してないんですよ。要するに、新型間接税は導入するという基本姿勢ははっきり出しました、確かに。しかし、それは初めからわかっていることなんですよ。そういう諮問を受けて答申をつくって、中間答申やっているんだから、そうでしょう。初めから新型間接税導入を前提にして一生懸命審議してきたんです。それが一つ全然解釈が違うと思うんです。  それから二つ目の間違いは、A紙がその問題を一面のトップで、でかでかと扱いました。今記事の扱い方、見出しのつけ方がおかしいと言ったけれども、A社は、これは自分の特だねだと思った。よそが全然つかんでないと思うから、ぽんと一面やったんですよね。そうでしょう。そうしたら、その記事を見たときに、これは自分のところにとって大きな問題だなと思うと同時に、ほかの社もね、これは抜かれてしまったけれども、余り小さく扱えない重要な問題だというんで、全部各社追っかけていきました。そうですね。その追っかけてきた次の日に、NHKの首脳陣は、恐らく国会に呼ばれるだろう、国会でどう答えなければいけないだろうということは、首脳陣急遽集まって答弁をお考えになったと思うんです。  その答弁をお考えになった結果が、余りにもくるくる変わっちゃってね。だからA社が特だねでやって、各社が全部あれだけの大きな、追っかけるにしては相当大きな追っかけ方ですよ。B社は四段で追っかけてくる。そのときに国会からどういう追及を受けるかをきちっと判断されたら、あんなにくるくる答弁変わって、衆議院が終わって参議院で、きょうまでこんなにまで追及されることがなかったと思うんですね。だから私はそういう意味では、逆説的に言えば、A紙のトップを見たときに物すごく怒りました。サラリーマン新党としても、こういう大きな間接税の問題をネグってしまうなんてとんでもないNHKだ。だけれども、今は半分NHKに感謝しています。ということは、ネグってくれたことによって国会も取り上げる、新聞も毎日のように取り上げてくれる。ああ間接税問題、国民が全部これによって関心をもう一度売上税のときと同じように示してくれた。そういう意味で、私はNHKに感謝します。  ただ一番心配なのは、今会長及川先生にお答えになって、これから一生懸命やるとおっしゃいましたけれども、これからのNHKの世論調査が出す数字その他について、みんなが疑問を持つと思うんですよね、今度は。そういうことまでするなら、今度出てきた数字に何か作為がないか。今度は、例えば政府案がきちっと決まったようなときに世論調査をやったら、NHKと一般の新聞、日刊紙と数字が違った場合、違って当然だと思うんですけれども、NHKの方が税金の問題なんかに、新型間接税に反対という人の数字が仮に物すごい低かったとします。これは公平に世論調査をやったとしたって、あっ、NHKは前の、前科があるから、やっぱり数字は、この数字ちょっとどこかで何かしているんじゃないか。僕はそういう意味で、これからNHKさんに対する国民の信頼が大きく崩れちゃったこと、非常にもう、今青島先生もおっしゃったとおり、私も悲しいと思います。  特に、これ本当かどうかわかりませんけれども、六年間一生懸命やられた川原会長が、衛星放送やいろんなことにいいことが決まったので、勇退なさるというような新聞記事も出ています。せっかく六年やられた方が、いい花道を飾っておやめになるのかなと思ったら、こういう形で、仮に本当におやめになるんだとしたら、本当にお気の毒だなと、そういうふうに思うんです。これは別に青島先生と同じようにお答えいただきませんけれども、そういう意味で、これからはもう数段の努力をしないと、この不信感というものは除去できないと思いますので、大いに頑張っていただきたいと思います。  質問に入りますけれども、きのう埼玉県知事選が告示になりました。それで、恐らく朝十時の両陣営の出陣、保革両陣営の出陣ですから、多分お昼のニュースではやったんだと思うんですが、七時のニュースでは全然触れてないんですね。それで夕刊各社見ましたら、一面のトップのところもあれば、第二トップのところもある。社会面で雑感を長々と各社全部やっています。それで、七時のニュース楽しみに見ていましたら、一声もない。それでちょっと私、この世論調査のことがあったから勘ぐったんですよ。民放見ていたら、畑さんは間接税反対と叫んだ、関根さんは、税金のことを言うと損だからと一言も触れなかったと民放言っているんです。そうすると、両方の発言を映すと、片方は間接税で、片方は間接税触れないから、これは埼玉知事選、地方のことだからやめておこうというふうに、それこそニュース判断をしたんじゃないかと私は勘ぐる。だけれども、この埼玉知事選は御存じのとおり、単なる埼玉だけの選挙じゃないんですよね。首都圏決戦と言われるほど間接税を左右する問題だと思うんです。  だから、この間の前回のときも言いましたとおり、ローカル放送についても、神奈川県とか埼玉県とか千葉県の県単位の放送をしてもらいたいと言ったのもこういう点にあるんですけれども、この点いかがですか。それとも、僕ちょっと七時の始まった直後電話かかってきたんで、何秒かテレビの前を離れたんですけれども、やったんでしょうか、やらなかったんでしょうか。
  150. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 私は七時のニュースのオーダーを見ておりませんし、私もきのうからきょうにかけてはこの委員会のための準備に忙しかったものですから、ニュースをずっとフォローしておりませんけれども、畑さんともう一人の対立候補の方も立候補なすって、そしてそれぞれに出陣式というようなことをなすっている風景を私のところのテレビで見ましたので、今その時間帯が何時であったかはつまびらかに記憶しておりませんけれども、やったことは間違いないと思います。
  151. 平野清

    ○平野清君 そういうことで、心はどこかへ飛んでいたらしいんですけれども、七時じゃないことだけは事実だと思います。ただ、そういうふうに勘ぐられないようにしてほしいんですよね。  じゃ次に、この決算のことで、監事の監査報告についてお聞きしたいんですけれども、放送法二十六条四項によりますと、「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」と書いてあります。六十年度の業務について、監事はどのような報告を経営委員会に対して行ったのか。経営委員会に多分会長さんは御出席していると思いますので、その概要を御説明願います。
  152. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいま御指摘のように、監事の行う監査につきましては、法二十六条に、「会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」というように規定されておるところでございます。また、この国会で成立いたしました放送法の一部改正によりまして、監事の経営委員会への出席と意見陳述、業務報告書、財務諸表への監事意見書の添付が法定化された点につきましては御案内のとおりでございます。  六十年度の決算についての監事の監査の結果でございますが、あくまでもこれは現在の法のもとにおきましては経営委員会に対する報告義務ということになっておりますので、その点をお断り申し上げなければならないわけでございますけれども、放送関係及びニューメディア関係、営業関係その他の経営全般につきまして、六十年度におきますNHKの各業務の執行状況というものに触れつつ、やはり一応業務の効果的な実施ということを監事としてはお認めいただいておるところでございますけれども、それぞれの業務について、なお今後検討すべきことについてもお触れになられたものを経営委員会に報告いたしておるところでございます。
  153. 平野清

    ○平野清君 今お聞きしていますと、経営委員会に報告したので細かいことは言えないというふうに聞こえるんですけれども、当委員会では、五十五年の五月十三日に監事の監査報告書を積極的に国会に提出するように求めております。今までそれ以来出されたことがないと聞いているんですが、その点はいかがですか。
  154. 林乙也

    参考人(林乙也君) 各年度の業務報告書の中に、監事の監査の状況について、その概要に触れて報告をいたしておるということでございます。また、経営委員会に報告しておるんであって、それを特に私どもが取得しなければならぬという意味で申し上げたのではございませんので、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  155. 川原正人

    参考人川原正人君) 法律上の建前は今、林が申し上げたとおりでございますけれども、決して中身をオープンにできないというものではございませんし、従来とも私といいますか、執行部がかわりまして国会等御質問がありましたら御報告申し上げております。  今般も、六十年度に対してどういう監査の報告があったのかということは、今私が申し上げます。  このときの監事の監査報告は、一応前提としまして、五十九年度から六十一年度までの経営計画の第二年度として、おおむねその成果を上げたものと認めるということを前提にいたしまして、あと個々の放送あるいはニューメディア、営業等につきましては、次のように報告が行われております。  まず放送関係につきましては、当時、六十年度の私どもの放送の中では、特に目立つ業績としましては、「NHK特集ルーブル美術館」というものを放送いたしまして、このような大型の企画番組が非常に充実をされた。かつまた国際的な共同制作、海外領布などもかなり効果を上げたということを指摘した上で、今後協会は視聴者の要望を先取りして、すぐれた放送番組の開発を進め、公共放送にふさわしい公正で質の高い放送の実施に努力することが重要である、こういう御指摘もいただいております。  それから、国際放送についても、長いのでちょっと省略いたしますけれども、いろいろ受信状況の改善に努めたけれども、今後とも海外中継局の利用を含めた受信状況の改善に努力するとともに、交付金の適正な増額など国の積極的な施策を求めていくことを要望する、こういう指摘がございました。  それから、新しいニューメディア関係につきましては、ちょうど五十九年度に放送衛星二号aの事故等がありまして、その後を受けまして、関係機関による徹底的な究明が行われ、二号bはその結果を生かして是正措置が講ぜられたとしながら、今後本格的な衛星放送の実現のために、技術的信頼性を確保して、放送サービスの確実な提供を行うよう慎重に計画を推進するよう要請するという監事の指摘でございました。  それから、営業関係につきましては、六十年度は、特に契約活動を早期に展開したことによって、契約総数は計画を上回る増加となった、受信料収入も予算に比し増収となったという評価をいただいた上で、さらに近年の口座振替利用者の急速な伸びに対応し、業務全般にわたり抜本的な見直しを行い、効率的で経済性の高い新しい営業体制を早期に実現するよう要請するという指摘がございました。  あと経営全般ということで、今後さらに業務全般にわたり徹底した見直しを進めて、効率的で創造性の発揮できる業務運営の体制を確立するとともに、財務運営においては経費の節減と収入の確保を図り、可能な限り視聴者の負担増を来さないよう努力することが重要であるというふうな御指摘をちょうだいしております。
  156. 平野清

    ○平野清君 よくわかりました。  今内部監査を充実することはもちろんですけれども、NHKという公共放送立場から、外部監査ということも考えていい時期じゃないかと思うんですね。内部の監査だけでやって、しかも会計検査院の監査は受けていますけれども、例えば値上げを前にして、内部監査だけでもってこういうふうにつらい、こういうふうにつらいというんじゃなくて、そろそろ外部監査、いわゆる監査法人による等の外部監査の検討の余地があるんじゃないかと思いますけれども、その点はいかがですか。
  157. 井上豊

    参考人(井上豊君) 私どもは放送法によりまして、会計監査は、会計検査院の実地検査を受けるということになってございまして、先生指摘のような考え方も、部内の研究の過程では私どもの財務、会計につきまして、より信頼性を増すために監査法人の検査を受けたらどうかというような研究もしてございますけれども、今は放送法に基づきまして会計検査院の実地検査を受けている、こういうことでございます。
  158. 平野清

    ○平野清君 NHKでは近年、業務委託による経営の能率化を積極的に進めているわけですけれども、受信料の適正な使用を確保するという立場から、NHKが業務を委託する場合の受託者にもその限度において監査を及こらせという意見がありますけれども、郵政省はどうお考えですか。
  159. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今度放送法を改正させていただきまして、監事の監査機能の強化を図らせていただいたところでございまして、現実に監事がどのような監査をやっているのかということは、私ども詳細は今把握しておりませんが、経営状態全体を見ていくために、その面でもいろいろと調査をしているところじゃないかというふうに推測いたしますが、細かいことに関してはNHKの方から答弁させていただきたいと思います。
  160. 井上豊

    参考人(井上豊君) 私、先ほど放送法に基づいて会計検査院から実地検査を受ける、こういうふうに申し上げておりますけれども、当然のことでございますけれども、協会が委託をいたしました業務につきましては、これは会計検査の対象になっているわけでございます。
  161. 平野清

    ○平野清君 ちょっと質問が下手だとみえて、よくお答えいただけませんでした。受託者にもと申し上げたつもりだったんですが、それは後日に譲ります。  それで、NHK予算決算、特に予算の場合には圧縮して、五十五分か五十分ですけれども、テレビで全国放映されます。そのときにちょっとばかり何かグラフが出て、NHK予算説明なさいますけれども、あれだけじゃちょっと国民はわからないと思うんです。自分できちっと電波を持っていらっしゃるので、NHK予算決算を、例えば「視点」なら「視点」というようなああいう番組を使うなりして、国民に理解を得るために図解を使うとか、それから大型テレビドラマ「武田信玄」をやる場合には、こういうような形で一生懸命節約するけれども、このぐらいかかるんですよとか、それから視聴者を入れた形でそれに対する意見を言うとか、何かそういう予算決算を視聴者にわかりやすく説明する番組を適時やったらいいんじゃないか。いいって、そんなにしょっちゅうやるわけじゃないでしょうけれども、年に二遍とか三遍とかおやりになったらいかがかと思うんですが、どうですか。
  162. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 先生おっしゃるように、NHK予算決算について視聴者の理解を得るということは大変重要なことだということは、御指摘のとおり私どもも認識しております。  現在では、NHK予算につきましては、視聴者参加による例えば放送も考えられないことはございません。しかし、現在のところでは衆参の逓信委員会で行われるさまざまな議論を通じて、国民の代表でいられる先生方の御意見、あるいは私どものそれに対するお答えを通じて視聴者の方々の理解を得るという判断に基づいてやっているわけでございますが、確かにおっしゃるように、さらに深い理解を得るために、先生の御意見を含めて今後どういう方法があるのか、番組を含めて研究してみたいと思います。
  163. 平野清

    ○平野清君 逓信委員会は必ずしも予算なり決算そのものをずばりやっているわけじゃありませんのでね、値上げ問題を控えているときなんか、特に予算決算を十分に説明をするということが第一歩のような気がするんですね。だから、国会中継とは別な形でお考えいただきたいと思います。  それから、きょうちょっと通産省の方に来ていただいているはずなんですが、ちょっと時間がずれ込んだので、たった一問のためにずっと待っていただくのは悪いから、先にやらせていただきます。  ハイビジョン関係の会社の設立について、郵政省と通産省の方にそれぞれお伺いしたいんですが、郵政省では、六十三年度にハイビジョンの地上用設備や機器をリースする会社を設立しようとして日本開発銀行から融資を受けていらっしゃる。何か聞くところによりますと、通産省の方も同じハイビジョン関係の会社を計画されている。両方の立場から簡単に設立される会社の内容をおっしゃっていただけませんか。
  164. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ハイビジョンにつきましては、先生御案内のとおり、放送に対する国民の高度化、多様化するニーズにこたえるものとして、次代のテレビとして期待されているところでございます。その普及のためにはソフトの充実が大変重要であると同時に、国民の理解を促進することが大切だということで、六十三年度予算におきまして、開銀からの出資を得まして民間の会社をつくりまして、民間法人をつくりまして、それにハイビジョン放送設備の整備とそれからハイビジョンライブラリーの事業等をやらせたいということで、現在取り組んでいるところでございます。
  165. 望月晴文

    説明員(望月晴文君) お答えいたします。  ハイビジョンの技術につきましては、放送という潜在的な大変大きい分野に加えまして、私どもの関連業界でも、例えば映画産業であるとか、あるいは印刷業であるとか、幅広い用途が今検討されているところでございまして、私どももこういった幅広い用途に使える大変立派な技術をぜひとも産業として育てていきたいという気持ちでございまして、本年度の開銀出資会社、こういったものを、今具体的には内容を検討中でございますけれども、その普及のための一助になるような会社をぜひ設立したいというふうに考えております。
  166. 平野清

    ○平野清君 ちょっと郵政省の方にもう一度お尋ねしたいんですが、今通産省がお答えになったようなことはどうお考えになりますか。
  167. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 私どもは放送を所管しておりまして、放送の早期普及という観点から取り組んでいるわけですが、通産省の方からの先ほどの御答弁によりますと、印刷とか映画とか、幅広いそういう分野での、そちらの方のアプローチでございまして、そういう理解をいたしているところでございます。
  168. 平野清

    ○平野清君 郵政省の方はソフトの面というふうに解釈していいかと思うんですけれども、それだったら何も両方で、何か縄張り争いみたいにしているような印象を受けるんですけれども、聞くところによると、通産省の方は、郵政省と手を結んで一生懸命やった方がいいんじゃないかというようなことを言われたら、郵政省の方は、いや自分で独自のことをやっていくんだということで、新聞紙上をにぎわしたことがあります。手を結んでやる利点と独自にやろうとされる利益というのはどういうふうに違いますか。
  169. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 内容につきましては、お互いの所掌によって要求して認められたところでございまして、私どもは先ほど申し上げましたように、ハイビジョン放送の早期普及という観点から、郵政省所管の分野であります放送の発達に寄与する事業ということで、今度の会社を設立したいということで現在準備をしているところでございまして、そういう観点で今後とも取り組んでいきたいというふうに思っております。
  170. 平野清

    ○平野清君 ちょっとよくわかりませんけれども、何か結果的には同じことをやろうとされているんでしょう。中身は違いますよね。だけれども、できたらこういうものこそ両省が一緒になって、一本化された方がいいような気がするんです。何かつまらない縄張り争いのような気がしますけれども、これ以上聞いても御本人の方が、郵政の方が、いや、我々は自分だけでやるんだと言われれば何ともいたし方ありませんけれども、せっかく通産省の方が郵政省に手を差し伸べられたら、一本化されたらどうなんでしょう。
  171. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先ほど所掌のことで申し上げましたのですけれども、放送と映画、印刷とかという分野は大分違いまして、通産省の構想とも異なる部分がかなりございますので、私どもは独自の考え方で、放送を主たるものとしてやっていきたいというふうに考えているところでございまして、それによって、よりよいものができていくんじゃないかというふうに私どもは期待しているところでございます。
  172. 平野清

    ○平野清君 通産省の方は、ほかに何か発言ございますか。
  173. 望月晴文

    説明員(望月晴文君) 私どもは今具体的に会社の内容をこれから詰めていく最中でございまして、その過程におきまして、関連業界からは、場合によっては大変実際の業務としては類似するような会社になるんではないかということから、ぜひ一本化してほしいという陳情も受けたりしておりまして、この点いかが扱うべきかという点につきまして、郵政省さんとも今後ともよく御相談を申し上げながらやっていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、これからの検討にゆだねたいと思いますが、先生の御趣旨もよく体してやりたいと思います。
  174. 平野清

    ○平野清君 通産省の方、ありがとうございました。結構でございます。  衛星放送についてお伺いしますけれども、ちょっとこれ、青島先生が言われたような気がするんですが、ちょっと質問のことで気をとられていましたので……。  衛星放送が難視聴地域の対策で出発したことはもう何回も耳にたこができるほど聞きました。だけれども、今度は衛星放送が仮に本格化した場合、高いビルとビルの間に、例えば二階建ての民家が一軒ある、その方が衛星放送を見ようとしたら、とてもじゃないけれども、何十メートルも高いアンテナを立てなきゃいけない。それから、密集マンションでは見られないかもしれない。それから、大雨が長く続いたり台風が来れば見られないかもしれない。この難視聴対策で打ち上げた衛星が、今度また衛星の難視聴地域ができた場合、そういうときにはどうなさるおつもりなんですか。
  175. 中村有光

    参考人(中村有光君) 衛星の電波は、日本の全国に向けて放送されているわけでございまして、都市部においては、電波の強さからいって十分受信できるような状況になっている。かつて難視と言われていた、言葉の上での電波が届かないとか、非常に弱いという意味合いとは違うかと思います。特に、地上の電波がビルによって遮られて難現になるというのは通常受信障害と申しておりますけれども、その辺の救済の仕方というのは、またこれは別のやり方だと思います。現在、衛星放送でもって、特に都市部で若干の受けにくい、例えば窓が全然南側にないとかといういろんなことがありますが、それらはやはり受信者の方々の細かい工夫といいますか、そういうことによって解決をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  176. 平野清

    ○平野清君 何か衛星放送を一生懸命宣伝されておいて、見えない人は受信者が一生懸命細かい方法で何か考えると。放送を見ていますと、衛星放送のことだけはやるけれども、細かいことは電気屋さんと相談しろと必ず言っていますよね。NHKは放送のことだけどんどん言っておいて、見ることについては電気屋と相談しろと、何か非常に無責任なような気がするんですよね。今のお答えも、個々の見ようと思う人が自分で工夫しろと、何かちょっとおかしいんじゃないですか。
  177. 中村有光

    参考人(中村有光君) NHKの場合には、今申し上げたような条件のときに、どうやったならば受信できるのかということについては、いろいろの形でもって受信業界の方々にお知らせをしたり指導をしたり、または御相談に乗ったりということをしております。ただ、個々のケースについて、NHKが直接受信機の設置の問題をするということは避けているというふうに御了解いただきたいと思いますが……。
  178. 平野清

    ○平野清君 何か、ではだれでも見れるというような誤解のないようなPRをぜひしてほしいと思いますね。いざ見ようとして電気屋さんに相談したら、おたくはだめですよと言われたら、そんなばかばかしい話はないわけで、宣伝の場合にも、そういうことはたまにはきちっとPRしていただきたいと思います。  次に、NHKの肥大化がさんざん言われて、NHKさんもどうしたらいいかなということでお考えになっているかもしれませんけれども、思い切ってこの際、NHKを二分割されたらどうかなというような気もするんですよ。NTTさんもあれだけ大きいから、今後早急に二分割するという話も出ています。例えばNHKさんの場合、国際放送の分離とか、それからラジオのFM、AMの分離とか、そういう考えはございませんか。例えば国際放送というのは、国内は公平なんだけれども、外に出す電波については国策という面をしょっていると思うのですね。だから、第二NHKとかなんとかいうような形にして、今郵政省二百四十八億ですかの小さな予算の中から一生懸命補助金をもらっていますけれども、別会社にして外務省からも文部省からも負担金をもらうというような形にすれば、違った形の経営ができるんじゃないかというふうに考えますけれども、これはもう完全な素人的考えでしょうか。
  179. 林乙也

    参考人(林乙也君) 御指摘のように、NHK経営の形態につきまして、NHKは視聴者からの理解と御支持のもとに運営していかなければならない事業でございます。今回の放送法の改正に当たりまして、公共放送と民間放送の併存体制というものが改めて再確認されたわけでございまして、私どもといたしましては、やはり基本メディアにつきましては、公共放送、民間放送の併存体制というものを今後ともやはり維持すべきではなかろうか。ただし、その場合におきましても効率的な経営、また視聴者の方々からいただく浪費だとか、あるいは肥大化というようなそしりを受けることがないように絶対に努めていかなければならぬというふうに思っております。  ただいまの国際放送につきまして、現在NHKは、命令放送を含めまして自主放送とあわせて放送をいたしておるところでございまして、やはり現在の世界情勢の中で、短波による国際放送の番組面、あるいは受信改善の面については引き続いて努力をしていかなければならないというふうに思っておりますし、その際には、現在までNHKが築き上げてまいりました実績というのは、やはり尊重していくべきであろうというふうに考えております。ただ、状況的には映像による国際交流ということが、番組の国際交流ということが非常に重要な問題になっておりまして、そこらあたりを今後どういうふうに展開していくべきかという問題がございます。そこらあたりにつきましては、郵政省御当局を初め関係の向きと十分お話をさせていただきながら、経営形態の問題といいますか、運営形態の問題も含めまして今後検討すべき課題ではなかろうかというふうに思っております。
  180. 平野清

    ○平野清君 NHKのホールの外部利用について、ちょっとお聞きしたかったんですけれども、時間がなくなってしまったので、次回に譲らせていただきます。あと一、二分しかありませんので……。  さっきの世論調査のことではありませんけれども、視聴者の苦情、要望の処理について、現在どういうふうに処理をされているのか、特に諸外国の放送局ではどんな形をとっていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
  181. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 御承知のとおり、NHKは受信者の御支持、御理解によって成り立っている企業でございますので、受信者との接触、あるいは要望、苦情というものを適切に処理してまいらなきゃならないということはかねがね考えているところでございます。  先ほど先生もお触れになりましたけれども、各種の世論調査ということが一つのベースとしてございます。そのほかに、全国で五十三カ所で視聴者会議というものを持っております。これはそれぞれの地域の各分野を分けまして、十二分野ぐらいに今なっているかと思いますけれども、それぞれのオピニオンリーダーというような方々にお集まりいただいて御意見を拝聴する、あるいはNHKに対する苦情を述べていただくというような機会をつくっております。これは全国の放送局でやっているわけでございまして、年間に三回ないし五回というぐらいの回数で、これは昭和五十二年から継続的に、また組織的にやっておるものでございます。  それから、そのほかに地域を細かく分けまして、視聴者懇談会という形で、視聴者の御意向を承るというような場も設けております。これは年間延べ千五百回ぐらいの回数になろうかというふうに思っております。そういった形で、視聴者からの御要望あるいは苦情を伺いまして、これを分析して、あるいは整理いたしまして理事会に報告する、必要なものについては定期的に経営委員会にも御報告するというような措置をとっておりますし、当然出てきた御意向について、現場にこれをフィードバックして、現場の適切な処理に回すという問題もございます。そういった形で視聴者との接触というものをできるだけ密にしてまいりたいという努力をしているところですけれども、それ以外には当然のことですけれども、電話、文書、あるいは面談というような形で、接触がいろんな形でございます。そういったものについても、しかるべき視聴者センターでございますとか、視聴者コーナーというようなものを設けて対応をしているところでございます。  それから、外国の場合はどうかということで申しますと、これも少し言い過ぎかもしれませんけれども、NHKのような形で、直接視聴者から放送機関自身が料金をちょうだいする、視聴者と直接向かい合ってお話をするというようなことは、外国の場合余り例がございませんので、NHKのような形をとっているところは少ないというふうに思います。もちろん具体的に出てまいります日常的な電話、あるいは文書、面談、これは当然のこととして処理していると思いますけれども、組織的な形でのNHKのような形は少なかろうかと思います。  ただ、イギリスでは、第三者機関としての放送苦情処理委員会というのが、これはアナン報告書というのが出まして、それに基づいて設けられておりますけれども、それはどっちかといいますと、全般についての苦情というよりは、プライバシーを守るということが主眼になっているようでございます。この苦情処理委員会が頻繁に開かれているというような話は聞いておりません。処理する件数は非常に少ないという話を聞いております。
  182. 平野清

    ○平野清君 終わります。
  183. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、NHK昭和六十年度決算報告に関し、反対の討論を行います。  周知のように、今政府・自民党は大型間接税の導入に躍起となっており、あらゆる手段を使って世論操作を繰り広げているのが現状です。  こうしたとき、NHKが今年三月に行った大型間接税反対四八・二%の世論調査結果を、誤解されるおそれがあるとして報道しなかったことは、昨年十二月、同じ大型間接税問題で世論調査を行いながら、その設問や集計の仕方が不備なため、賛成四六%と出た結果を再三報道した経過ともあわせて、公共放送としてのNHKのあり方が根本から問われるという重大問題になっているのであります。  この事実が明らかにされて以来、衆議院逓信委員会での集中審議が行われたことを初め、他の幾つかの委員会でも取り上げられ、マスコミも逐一報道してきました。それだけ大型間接税は国民の重大関心事であり、その世論調査結果を公正に報道しなかったNHKの姿勢を批判しているのであります。ところが、NHK首脳は、国民の批判や疑問に誠意を持ってこたえようとせず、きょうに至るも三月調査結果を報道しなかった編集判断は誤っていなかったという態度に固執し続けています。NHK首脳の言い分は、つまるところ、番組編成権はNHKにあるのだから、何をどう放送しようとNHK判断次第だということになってしまうのであります。  電波は公共のものでありますから、民放といえども例外ではありませんが、とりわけ受信料制度を経営基盤とする公共放送たるNHKの主人公は国民、視聴者であります。したがって、NHKが厳しく留意すべきは、政治的公正を確保し、国民の知る権利を守るための編成権であり、自主判断であって、政治的公正を著しく欠いた放送を行ったり、国民の知る権利を妨害するような番組編成の権利や自由がNHKにあるのではないということであります。  我が党が強く改善を求めてきた予算委員会中継のあり方、また浜田氏暴言をめぐる報道姿勢、さらには今回の世論調査結果隠しという、これらの一連の出来事は、時の権力にすり寄るNHKの危険な体質から必然的に起こるべくして起こったのだということは、今日に至ってますます明らかになったところであります。我が党がNHKの今年度予算に反対したゆえんは、まさにここにあったのであります。  これらの点について、NHKの誠意ある反省と責任ある改善の約束がされないまま、本決算を了とするわけにはいかないことを表明するとともに、重ねてNHKの猛省を促して、私の反対討論を終わります。
  186. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  188. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  190. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、請願の審査を行います。  第一三六一号 放送法及び電波法の一部を改正する法律案に関する請願を議題といたします。  本請願につきましては、理事会において慎重に協議いたしました結果、保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  192. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会