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1988-05-17 第112回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政大臣官房人        事部長      白井  太君        郵政省貯金局長  中村 泰三君        郵政省簡易保険        局長       相良 兼助君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    杉崎 重光君        厚生大臣官房政        策課長      清水 康之君        厚生省健康政策        局医療技術開発        室長       西本  至君        厚生省年金局企        画課長      横尾 和子君        通商産業省機械        情報産業局電子        機器課長     本田 幸雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  郵便年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 及川一夫

    及川一夫君 まず第一に、本法案とはこれまた直接関係ございませんが、前回委員会におきまして、電波法改正医用機器を使用不能にする、あるいはそうなってしまうということについては問題があるという立場に立って御質問、また御意見も申し上げたわけですが、その際の奥山局長お答えに、すとんと落ちるものがございませんでした。その後いろいろ私も調べてみたわけでありますが、なおその疑問の点がございますので、若干の時間これについて質問することを御理解いただきたいと思います。  まず第一に、行政措置によって医療機関医療器具というものが使用不能に陥る。したがって、使用するためには新しい技術開発をするとか、新しい技術開発された機械を改めて購入するとかという結果になるというのは、果たしていいのか悪いのか。いかがなものかという認識を私は持つわけです。そういった点では、患者立場に立って物を考えるということが大変重要だというふうに思うわけですが、政府行政機関というものを見たときに、この問題にかかわって患者立場に立つのはどこかということを考えてみますと、やはり厚生省ではないかと、こういうふうに実は考えるわけであります。  したがいまして、まずもってこの施行規則改正に当たりまして、不要電波問題に関する調査研究、この中に当然厚生省参加をして、また郵政省厚生省との間で綿密な連絡をとりながら、少なくとも病院、あるいは患者に迷惑がかからないように細心の配慮をするというのが私は当然だというふうに思っているわけでありますが、この問題に対して厚生省はどういうふうに受けとめておられるのか、厚生省の方おいでになっているというふうに思いますが、まずお伺いしたいというふうに思います。
  4. 西本至

    説明員西本至君) 昭和六十一年の郵政省改正に際しまして、厚生省といたしましては、重症患者のモニターに必須の医療用テレメーター規制されることになれば、人命に直接かかわるおそれもあるということから、改正によって医療現場で支障が生じることのないように申し入れたところであります。また、日本医師会等におきましても、同様の観点から要望がなされたと承知いたしております。  さらに、昭和六十二年の電波法の一部を改正する際にも、無線局開設免許除外等で、医療用テレメーターに関する申し入れを行ったところであります。昭和六十一年全国アンケート調査によりますと、医療用テレメーターは、現在三百床以上の医療施設の九割以上で用いられているというほか、発射する電波も極めて微弱でありますために、他の機器への障害もほとんど考えにくい。さらに改正後の基準によりますと、今後実用に耐えないものとなり、その影響は大変大きなものであるということから、極めて慎重に対処をお願いしたいということとともに、私どもといたしましても、今後関係者との間で十分協議を進めてまいりたいと考えている所存でございます。
  5. 及川一夫

    及川一夫君 今御回答いただきました点は私も全く同感で、既にそういった考え方も私は申し述べているつもりなんですが、問題は、この不要電波問題に関する調査研究という報告書があるんですが、この不要電波問題懇談会には厚生省参画をしているんですか。
  6. 西本至

    説明員西本至君) 参加いたしておりません。
  7. 及川一夫

    及川一夫君 ということになりますと、奥山局長にお伺いしたいんでありますけれども電波法施行規則改正に当たって前回からさまざまな論議が出ていますように、医療機関患者に対して大変な結果をもたらすということが御存じであれば、局長諮問機関といえどもやはり参加をさせて意見を求める、それをしんしゃくした上に一つ結論を求めていく、こういう作業というのは当然考えられるべきだというふうに思うんですが、この懇談会厚生省参加させなかったという理由は一体何ですか。
  8. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 不要電波問題懇談会につきましては、無線機器安全性あるいは信頼性を確保すると同時に、これらがもたらす障害について抜本的な対策を講ずるのにどうしたらいいかという、そのまだ序の口の検討のための調査検討の場として六十一年の六月に発足したところでございますが、この調査検討の中で専門委員方々、その道のそれぞれエキスパートでござい ますが、の方々にお集まりいただきまして、さまざまな事例、あるいは障害を起こすメカニズム等について御検討いただきました。そこで、さまざまな無線機器、あるいは電子機器がもたらす障害というものが非常に広範囲にわたるものであることが露呈してまいりましたので、この懇談会自体報告はひとまず六十二年に終えまして、引き続きまして本格的にこの検討を行うために不要電波問題協議会というものを発足させたところでございます。  これは昨年でございますが、この中にはただいま先生からも御指摘ございましたように、厚生省はもちろん入っておりますし、医療関係団体でございます日本医用機器工業会参画しておりますし、また、厚生省の御推薦に基づく医科大学の教授も入っていただいております。現在はその懇談会から協議会に既に検討の場が引き継がれまして、この協議会の場で厚生省初め関係の省並びに団体と十分綿密な意思疎通を行っているところでございます。
  9. 及川一夫

    及川一夫君 いろいろやってきましたという話はいいんですが、この懇談会厚生省というものを参加をさせなかったという理由は何ですかと聞いているんです。
  10. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先ほど申し上げましたように、まずその実態を把握するところから始めたいということで、懇談会形式ということから学識経験者、あるいは関係する部外の先生方ということで、これにつきましては関係各省どこも入っておりません。  したがって、先ほど申し上げましたように、懇談会報告を受けて、いよいよ本格的にこの検討を行う段階になった協議会の場で改めて厚生省のみならず関係各省にもお呼びかけをいたしまして、今その場で協議を続行していると、さらに掘り下げた検討を続けているという段階でございます。
  11. 及川一夫

    及川一夫君 専門家、それから関係する人というふうに言った場合には、厚生省あるいは通産省なんかも関係があるようですよね、これは。機械工業という、医療機械機械工業ですか、こういった問題でも通産省はさまざまな会合をやっておられるようですからね。だから、確かに純粋に客観的にという意味合いでは、それぞれの省庁が入ってないことはわかるんですが、その場合に、それを患者立場とか、あるいは医療機関立場という言葉に置きかえますと、なぜ入れないんだろうかと。むしろ一番先にそういったところから聞くのが問題を引き起こさない、それこそ大事な措置ではないかというふうに私なんかは考えるんですけれども、しかし、今いずれにしても過去形になってますから、それ自体は問いませんが、これに関連をして、今回答の中にありましたように、不要電波問題協議会とそれから電波開発センター専門検討委員会を設けるということがこの前の答弁の中で出てまいりましたですな。  それで、特にこの南波開発センターというのは財団法人になっている、ここに郵政省立場専門委員会を設けて検討すると、そこから出た一体答えというのはどういう意味合いを持つんだろうと。あるいはその協議会との関係は一体どうなるんだろうと。どこから出てきたものが正規に郵政省として考慮、配慮範囲内に入って、そして十二月に何らかの検討結果を出すと、こう言われているんだけれども、一体この関連性はどうなるんだろうと。そして、そこに出席をさせるというのは、どこどこが一体構成要素になるのかというようなことを含めて、なかなか整理されないんですけれども、一体その辺はどうなっていますか。
  12. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 不要電波対策協議会の方は、医療用機器のみならず、不要電波を発射するあらゆる機器全体を対象にいたしておりますので、大変広範多岐にわたる検討内容になっております。したがいまして、先ほど先生から御指摘ございました関係各省も、単に厚生、通産のみならず、そのほか労働省等々も含めまして、非常に各省にまたがる行政分野をカバーしております。各省からも御参画をいただいておりますし、関係団体も数十団体参画をしております。  しかしながら、昨今問題が提起されておりますように、医療用テレメーターという、その中の特異な分野といいましょうか、ある一部の分野につきましては、特定の分野につきましては非常に急を要するということから、特に財団法人電波システム開発センターという公益法人がございますので、この場に専門的な部会を設けまして、これは医療用テレメーターに関する部分のみを扱う部会を設定していただきまして、この中で急遽といいましょうか、できるだけ早急に結論を得たいと思っております。その構成員でございますが、実は今鋭意検討はしていただいておりますが、医療関係者はもちろん、それからこういう機器メーカー等、あるいは学識経験者等にお入りいただくことが適当ではないかというふうに考えております。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 一つ要請申し上げておきますが、時間の関係もありますから余り追及めいたことは申し上げませんけれども、要するに、この電子機械工業会がこの問題に対して、大変大きな問題だということで、何回か郵政省に対していろいろ申し上げたいという気持ちがあったそうですが、いずれにしてもこの報告書が出される前に、また出される中で意見を聞かれたことはないと。またそうお答えに、聞いたことがないというふうに局長も答えましたね。そして報告書ができ上がった後呼んで、いろいろとサゼスチョンしたというふうに私は受けとめたんですけれども、その際、こういった部分人たちから見ると、直接入ってやはり論議参加をしたいという気持ちのあったことをそんたくをしたのでしょう、電波システム開発センター、ここに専門検討委員会を設ける、その際には皆さんにも入っていただきますよというふうに聞いているんですが、その後何の音さたもないので心配が先に立ちますと。そのうちに新聞でお医者さん困ったという話が出てくるものだから、なおのこと郵政省は、我々の立場なり意見というものをどう一体取り上げるつもりなのかと、こういう疑問を持っておられるというふうに私は把握をしているわけです。  ですからぜひ、厚生省の方も答えられたように、人命にかかわるんですということを言われているわけですからね、やはりあらゆる分野というか、広い範囲にわたって意見を聞きながら、この問題についての処理をお願いをしたいということ、そういう構成要素にしてもらいたいということを御要請だけ申し上げておきたいというふうに思います。  そこで問題なのは、一体この問題のポイントは何かということなんですね。私は電波監理を強める、規制を強めるという意味は、郵政省のいろんなものに書かれている。大臣の談話の中にもあったことを記憶しているんですけれども衛星放送、それからどちらにしても電波生活そのものを、言葉は悪いけれども監理をしていく、つまり生活をエンジョイしていく、豊かな生活のために大いに役立っていくのが、もう電波というものを通してやる時代になってきましたよと。したがって電波監理というのは非常に重要な問題だし、一たんそれで間違いを起こせば、とんでもない結果を引き起こす。だから電波妨害障害を起こすようなことのないように規制措置というものを考えていただく、こういうことに要するに我々は受けとめているわけですよ。  そうすると、この医療用で使う電波というのは、いわば微弱電波と、こう言われているわけだから、強い弱いという関係では、弱いものが強いものを制するわけはない、強いものが弱いものを制するんだと、こう理解をしますと、医療用で使っている電波放送テレビとか、そういう電波妨害するなんということはあり得ないという常識で実は僕は議論参加しているつもりなんですよね。ところが、それがあると、こう言われた。しかも強い電波か弱い電波を制するという意味で、医療用電波に対して強い電波があって、患者自体の生命にかかわることだって出てくるんだから電波規制は必要だと、こういうことをこの 前答えられているわけなんですよ。確かに言われるとおりなんだが、しかし、弱い電波を強いものが制するなら、弱い電波を強くしなければ強いものに対抗できないじゃないかと、こうなってくると、どういう論理性が一体これはあるのかなという疑問を私は実は持つわけなんですよ。この疑問は技術的なものでしょう、技術的に解明されればいい問題だと思うんだが、問題は、要するに弱い電波放送電波妨害するという、妨害したという例は本当にあるんですか、ないんですかということがまず第一点なんですよ。  それから、医療機械同士電波妨害を起こして機械がとまったという例もあることはあるんですよね。しかし、これは私は病院内の問題、医療器具同士の問題ということになるのではないか。したがって、これはそういう議論をするよりも、実際にそういったことがあったのかなかったのかということを、これまでの経過の中で事例があるなら出してもらいたい。こういうことにまあなるんですが、どうも郵政省皆さんにいかに尋ねてみても、まれに微弱電波放送電波妨害したという例はあるが、まれにと、こう言うんだけれども妨害の数は、この前も数字申し上げましたように、約一千件ぐらいありますよね、三年間で。その中でわずか二件だと言われている。だから、まれなんですよ、これ。しかし、それだって果たして医療用電波妨害したのかどうかも確証は必ずしもないんですね。アメリカの例でもわずか三件なんですよ。それは実際問題として、この不要電波問題に関する調査研究報告書の中に郵政省自体がちゃんと資料として入れている。この中にあるんですよ。ちょうど五十五ページでしたかな、五十五ページに、こういう箱になっていますけれどもね。この赤くしているところが要するに電波妨害が起きたという、それが二件あるだけなんですね。  それからもう一つは、通産省の六十二年度医用電子機器電波障害対策ということで、これあるんです。これもかなり詳しいものなんですよね。これは機械同士むしろ電波障害が大体中心ですよ、これ読んでみますとね。ただ全体的な例としてテレメーター、特にテレメーターですな。これが加害者側になった例というのがありまして、「まれに他の無線設備やラジオ・テレビ妨害を与えることもある。」と、あったとは言っていないんです、これ。しかも「まれ」というふうについているんだな。だから、これは恐らく郵政省で掌握をしている、先ほど申し上げました、それが土台になってこういう書き方になっているんじゃないかというふうに思うし、それから被害者側の例ということで、同じくテレメーターが「他の強力な電波源から影響を受け、受信不良に陥ることが起こりやすい。」ということで、起こったとはみんな書いてないんですよね。  だから、そうこうすると、どうも電波妨害という意味では、この医療関係電波というのは、ほとんど関係ないというふうにもう申し上げて、断言しても心配がないじゃないかと。それだけのものがあるだけに、この問題はぜひとも十二月までの検討の中で、全体の意見をまとめる中で、医療分はとりあえずこれはもう別扱いにする、新しい技術、新しい機械が出るまでは現行のもので対応してもよろしいという、例外にすると、こういう結論になったって何ら不思議はないじゃないかと。こういうふうに私は結論づけているんですが、いかがですか。
  14. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) まず電波の強い弱いのお話でございますが、これは出力の強い弱いだけで妨害を与えたり、与えられないという即断はできないわけでございますし、御承知のとおり、電波というのは、距離を置けば置くほど急速に減衰いたしますので、したがって、発信源とそれから妨害を与える機器との相関関係になりますので、必ずしも出力が強い受信機であっても障害を受けることは多分にあり得るわけでございます。これは別に医療用テレメーターに限ったことではございません。  そこで、今御指摘医療用テレメーターにつきましては、確かに御指摘のとおり、これまで障害を与えた、あるいは障害を受けた事例というものは非常に少ないことは事実でございます。これは各専門方々がお集まりいただきました際にも、そのことは一致した御意見でございます。ただ、これが皆無とは言えない状況であるということと、それから、昨今急速に社会の隅々まで電子機器、あるいはマイクロエレクトロニクス機器が急速に普及をしておりますので、従来考えられなかったようなときに、予期せざるときに予期せざる障害が起きるというケースが現実に、これは医療用テレメーターということでなくて発生しておりますので、これらを予防的にやはり対策検討するのも行政の重要な課題であるというふうに私どもとしては認識している次第でございますので、いずれにいたしましても、近く発足する予定のこの財団法人の中における部会におきまして、関係方々の御意見が十分反映された結論が出ることを期待したいと思います。  現時点で、先生が断定されましたような結論にするということを私が申し上げるのは不遜でございますし、まだそこまでの検討は進んでおりませんが、いずれにいたしましても、関係者方々の御意見は十分伺いながら、この部会は進められていくべきものであろうというふうに考えております。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 私もある意味じゃ口酸っぱくして物を言っているつもりですから、意図するところは御理解いただけるというふうに思いますが、まあ電波というやつは、どっちにしたって、奥山局長と私のでびをガツンとぶつけただけでも電波が発するということだってあるわけですからね。電波妨害障害が起こるような自然現象だって間々出るわけでしょう。ですから、私は、そういうものであるだけに、余り医療機械などをとらえて他のものと同じように取り上げる、あるいはとらえるということについては非常に疑問を持つわけですよ。しかし、これはいずれにしても科学の問題でもありますから、科学的に証明されるものは証明されるものとしてきちっとしていただかなきゃならぬと思いますが、そういう意味では大いに議論してもらって結構ですが、ぜひ厚生省の方が言われるようなことに対してこたえるような結論になるようにお願いをしておきたいと思います。  同時に、この問題について通産省の方、おいでになると思うんですが、この医用電子機器電波障害対策事業調査研究報告書という立派なものがあるんですが、これは一応、日本機械工業連合会日本電子機械工業会、両方で出しているものなんですが、通産省は、これにはどの程度かかわった内容になっているのでしょうか。
  16. 本田幸雄

    説明員本田幸雄君) 通産省機械情報産業局の中に機械安全化・無公害化委員会というのがございまして、毎年いろいろな問題のある機器を取り上げて検討しております。これは公害問題とかいろいろございますが、最近このような不要電波問題もございまして、六十一年度に通産省のこの機械安全化・無公害化委員会でその問題を取り上げまして、その結論を受けまして、今おっしゃいました日本機械工業連合会とそれから日本電子機械工業会というところで一年間調査をやりました。そしてその結論が、調査結果が今先生お見せになっておりました調査報告書でございまして、この結論を受けまして、六十三年度も医療関係を含めまして、この不要電波問題を取り上げて検討していきたいと思っております。  それから、今郵政省さんがおっしゃいました不要電波協議会、ここにも通産省は入っておりまして、国全体の中でも位置づけまして協力していきたいというふうに思っております。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。  この二つを見ると、非常によくわかるんですよ、こっちは絵になっていますからね。漫画風に書いてあるところもあるんで、非常にわかりやすくなっているわけですが、この電波問題は奥山局長もおっしゃるように、確かに生活全般について大変な進出ぶりですから、私も大変大きな関心を持っておりますが、どうかひとつ先ほど申し上げましたような意味で、問題が出ないように結論を 出されることをお願いをいたしまして、この問題に対する質問は終わります。  次に、郵便年金問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まず最初に、年金ということになりますと、高齢化社会ということが同義語になって出されてくる昨今だというふうに思います。したがって、この年金問題について、制度の充実強化を図るという観点から法律改正案が出てきているというふうに私は認識をするんですが、とするならば、省として高齢化社会というものは一体どんな社会を言うのか、そのイメージはどう描かれているのかということと、その問題点は一体何か、この二つについてまずお伺いしたいと思います。
  18. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいま先生から御指摘がありましたように、急速に進展しております高齢化社会、この高齢化社会国民皆様自助努力で対応されるその一つの有力な手段としての個人年金でありますけれども、今回改正お願いいたしますのは、さらに国民皆様年金を使いやすく御加入いただけるようにという趣旨からお願いをいたしておるわけであります。  その年金の背景といいますか、その背後に大きくありますところの高齢化社会についてのお尋ねでございますけれども、世界の先進諸国におきまして、高齢化現象というのは、つとに生じてまいっておるというふうに理解をいたしております。六十五歳以上の高齢の方が人口に占めます割合が大体一けたから二けたへ移るという、そういうような状況になりますのに、ヨーロッパ諸国の中、特にフランスあたりでは百十年をけみしておるわけでありますけれども、この段階を我が日本の場合は二十五、六年で経過をするというように、特に問題点は、非常に急ピッチで高齢化の現象が襲ってきておる、生じてきておるということだろうというふうに理解をいたすわけであります。その高齢化がそのように進展をしておりますのは、我が国におけるところの平均寿命が極めて短期間に大変改善をされておる。医療技術等の進歩あるいは食糧その他、戦時中と比べまして栄養の改善と申しますか、そういう点もありまして、急速に伸長しておるということが大きな原因だろうと思うわけであります。  昭和三十年当時、男性の平均寿命が六十三・六歳という数字がございます。このとき女性は六十七・八歳でございます。二十年たちました昭和五十年に男性七十一・七歳、女性七十六・九歳、さらに十年ほどたちました最新の資料で、昭和六十一年には男性が七十五・二歳、女性が八十・九歳ということになっておりまして、現段階では世界で最も長寿であるというふうに言われるような状況になっておるわけであります。大体この三十年間の平均寿命の延びといいますと、ただいま申し上げましたように、男性の場合で約十二歳、女性の場合で約十三歳ということになっております。このような短期間におけるところの非常に急速な人口の伸びというものは世界に例を見ていないわけでありまして、現在我が国で六十五歳以上の人口が約一割、つまり十人に一人でありますけれども、これが二十一世紀の声を聞きましたときには五人に一人、さらにその後二十年で四人に一人、二五%のラインに近づくという推算もあるわけであります。  こういうふうな状況になってきたときに社会と申しますか、どういう様相を呈するかというお尋ねだと思うのでありますけれども、全般的に申しまして、国民の寿命が延びることは大変喜ばしい、慶賀すべきことである。したがって、長寿社会というような呼称も使われるというふうに思うわけでありますけれども、また一方、陰の部分も生じてまいる。それに伴ういろんな問題が発生をしてくるというふうに考えられます。人生五十年と言われました時代から、今人生八十年、昔の高齢の方に比べまして昨今の、老人と言うのもはばかられるような、まさに壮者をしのぐ方が非常に多いわけでありまして、六十代、七十代の方でもかくしゃくとして——かくしゃくという言葉も当てはまらない、青年同様の体力でおられるような方もお見受けするわけでございまして、大変なシルバースポーツと申しますか、朝晩体を鍛えておられる方もおられますし、またバスを仕立てて老人の方たちが全国各地をツアーで回られるといったような、大変楽しい情景も一方ではあるわけでございます。  しかしながら、多くの人が七十、八十という、平均で八十歳というようなことになりますと、やっぱり一方におきまして、病気に見舞われる方も相当ふえてまいられる。したがいまして、最も大きな問題といたしましては、特に年をとられてから寝たきり等の状況に陥られる、あるいは痴呆症状を呈する方、この増加というものが最も大きな問題であろうというふうに考えております。現在、昭和六十年時点で寝たきり老人、痴呆性老人、どちらも約六十万人というふうに報告されておりまして、この六十万、六十万の数字が昭和七十五年時点では寝たきり老人が約百万人、痴呆性老人が約百十万人。それから昭和八十五年の時点では寝たきり老人が百四十万人、痴呆性老人が百六十万人。現在の状況でまいりますと、昭和八十五年時点では約三百万の介護を要すべき御老人がふえてまいるという状況が出てまいります。これが一番大きな問題でありますけれども、特に過疎現象を呈しておりますような山村の地域等において最も問題が重く発生をするというふうに感じられるわけでございます。  そのほかに高齢化社会ということになりますと、若年労働力が不足をしてまいるということが片一方にありまして、しかも子供の数が少ないわけでありまして、高学歴化というそういう状況、さらには現在でも一部に見られておりますけれども、モラトリアム型の学生等が次第にふえてきておるといったような点から、実際の労働について変化が生じてくるのではなかろうか。一つ機械化によるロボット等の採用、あるいはまた、現在も一部において議論のあります外国人労働者の導入問題といったようなこともやがて生じてくる、このようなことを考えておるわけでございます。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 大臣、ああいったことはだれでも言うんですよ。皆書いてあるんです。問題は、その上に立ってどうするかということなんですよね。これは別に局長を責めるわけじゃない。政府だって、高齢化社会という言葉はあるけれども、じゃ高齢化社会どないすんやねと、こう聞かれたときに、今のところ的確に答えてくれる人はまずいないですね。ですから、何か大変だ、大変だ、大変だということは強調しているだけで、じゃどうするんだということになると、今一番出ているのは、何か税制改革が出てきているような感じだけなんですよね。僕はそういうものではないじゃないかと。もう少し高齢化社会というものを、どうあるべきかということになれば、実態はもうみんなわかっているわけですからね、こうしたい、ああしたい、こうすべきじゃないかということを描くべきだと思う。  そういう立場に立っての実は答弁が、年金問題を扱うだけに何かあるはずだと、なけりゃおかしいと、こういう気持ちで御質問申し上げたつもりです。高齢化社会問題は、それは五分、十分で語られるものではないと思いますよ。ただ私は、少なくともこの高齢化社会というのは、今までのように楽隠居であるとか、あるいは悠々自適で老後を暮らすとか、そういった社会じゃない。老人と言われようと何と言われようと、高齢者自身がやっぱり責任を持って社会に貢献をしていくという、はっきり言うならば、死ぬまでそういう気迫を持った社会づくりをしていかなければいけない。そして、若い者は若い者として、やはり高齢者の残してきた財産というものを大事にしながら、それを利用しながら、さらにその社会を発展させていくような形のものを考えなきゃいかぬと思っているんですね。私は、とりわけ何か老人ホームであるとか、何々ホームだということで、あっちだ、こっちだといっていろんなものをつくられていくんだけれども、あの方式はもう、うば捨て山方式だというふうに思っているわけです。ああいうものはやめなさいという前提に立って高齢 化社会を描きたいと思っているんですね。  むしろ高齢者は、やっぱり若い者と一緒でなきゃだめなんですね。だから、高齢者こそ東京のど真ん中に、高層建築でもいいんですよ、高齢者の人たちが夫婦で住めるそういうホームを建てて、そしてプールであれ、まあゴルフ場までつくれるかどうかは別にして、テニスだなんだという、あるいは医療機関だという、そしてその周辺に、俗に若い者と言われる家族がいわば取り巻くと、そして歩いて三十分、四十分で行き来できるような、そういうような社会というものをつくっていくということが私は非常に大事じゃないか。だから、今土地問題でいろんな議論があるんですが、国の土地などというものはそういうものに提供をしていく。そういうものを軸にしながら新しい東京、新しい大阪、まあ私は仙台ですから、新しい仙台というようなものをつくっていく発想がないといけないと思うんですね。ですから、私はそういう意味で、とりわけ簡保局長と、こう言うんだけれども、生命保険の問題だってあれでいいのかどうかと、高齢化社会を考えれば考えるほど私は見直すべきだという気持ちの方が非常に強いんです。  少なくとも子供を育て、教育し、世帯を持たせれば、まあ大体親としての役割、任務はすべて大体終了したと言ってもいいんじゃないでしょうか。そこから先は夫婦で本当の生活をしていく時代だと思うんですね。それだけに生命保険などというのは、いわば及川一夫なら及川一夫が途中で死ぬ、残された妻や子供はということを考えての発想が生命保険になっておるんですね。少しでも財産を残しておこう、生活に困らないように。一体こういう保険というものは、このままにしていていいんだろうか。むしろ高齢化社会というなら、もう子供たちに金を残すとかいうことじゃなしに、夫婦二人がいかにして高齢化社会を過ごしていくかという、そういう生活費というものを考えた保障を社会的にあるいは自助的にどう確立をしていくかということが私は非常に大きな課題だと思っているんですよ。  だから、生命保険を利用するのはもう大体四十歳ないし四十五歳までと、四十歳、四十五歳になったら、もう年金に金をかけていく、つまり自分たち夫婦に金をかけていくという、そういう発想に立って私は年金というものを考えるべきだ、あるいは生命保険というものを見直すべきだ、こういうことも私は非常に関連をしているというふうに思ったものですから、高齢化社会についての見解はどうだ、こうお聞きをしたんですが、どうでしょうか、発想として間違いということはないと思うんだけれども、イメージ的に、大臣郵政省の親分としていかがですか。
  20. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 先生のそういう御発想がこの速記録の中に残っていくということが私は大変大きな意味があると思っております。  確かに明治生まれの方々というのは大変体力——そのころはお母さんのおっぱいから三七%のカルシウムが出たという、今は一七%しか出ないそうです。それは化学調味料で御飯をつくるものですから、どんどんどんどんカルシウムが減っていく、そして骨が弱くなる。ですから、今死亡率が一番高いのは昭和四年生まれだと言われるんです。それはなぜかというと、昭和の恐慌の時代に、不況の時代に身ごもって、そして戦争中に食べ物がなくて、戦後は食べ物がいっぱいになったからうんと食って太ったという、そういう世代が一番死亡率が高いと言いますが、私のいとこも同い年だったんですが、五年ぐらい前に死んだときに、その月だけで同じ年の者が十五名心筋梗塞で同じ病院に収容された。これは大阪の堺の病院でございますが、そんな話を聞いたりしますと、長生きをするお年寄り、そして子供がだんだん弱くなってきている、その上に出生率が非常に低下をして一家に一・七四、二名生まれていないというような状況では、もう頭でっかちの人口構造になって、確かに先生のおっしゃるようにいろんな心配がありますが、人間は必ず死にます。これは一休禅師様のお歌だったと思いますが、「生まれては死ぬるなりけりおしなべて釈迦も達磨も猫も杓子も」という、だれでも最後は死ぬんだ、散る桜、残る桜も散る桜なんて言いまして、人生必ず最期が来るわけでございます。  ですから、それに合わせてどういうふうな年金、保険を組み立てていくかというのは大変大きな問題で、特に日本は、今経済大国になって蓄積がいっぱいふえましたから、それをどうするんだという問題が基礎になって、今一生懸命にいろんな将来の計画に対して物事を考えているような気がしますが、確かに先生の御指摘のような、子供をどういうふうにふやしていくか。私なんか結婚式に行きますと、祝辞の中で必ず最後には、あなた方夫婦なかなか体格がいいから注文を出す、五人産んでくれなんというあいさつをして帰ってくるんですけれども。そうしませんと、高齢化社会というのは、やがてその大きな層が欠落をするときが来ると思います。  脳さえしっかりしていて、ほかのところが病気にかからなければ百二十歳まで人間は生きると、こう言いますけれども、食道がんになったり、先ほどお話のありました、歩けなくなったり、特に運動が足りませんと、さっき局長がおっしゃいましたが、運動をしておきませんと、足という字は口が止まると書いてありますから、ちょっと止まるという字がいびつな形になっていますけれども、口が止まると書いて足と言います。歯根がん原因説とかいって、歯の根が全部がんの原因だという説まであります。昔の歯という字は、入という字を四つ書いて、そして止まると書いてありましたが、肉が入る、米が入る、野菜が入る、魚が入る、それが止まると歯になってしまう。今これ米という字になっていまして、米が止まると書いて歯となっております。  そんなことを考えますと、我々この人間というものの宿命を持った中で、そしてまた、家族のつながりというのが大変核家族化していって、昔は保険とかそんなものしないで、お母さん大丈夫だ、おれが面倒見るから、お父さん心配しなくても僕がいるじゃないのなんていうので、社会というのは保っていった。そのきずなが切れ始めている。大変心の欠落した部分を保険とか年金で補おうとしているんじゃないかなと。そういうところに社会全体の、先生の御指摘のありましたことのほかに、私の気持ち先生のお言葉につけ加えて申すとしますならば、そんなところ全体をどう考えたらいいのかなというのが、これからの政治の大きな課題ではないんだろうかな。  土地は高い。日本一つ売ったらアメリカが二つ買えるなんて言う。だからこそ蓄積ができていく。土地買えないから、どんどんどんどんお金ためて、不安な中にどうして老後を保とうかとみんな悩んでいると思います。その悩みにどうこたえていくかというのが、相良局長とか郵政省でこれから年金とか保険の行政を担当していく者の今描いておかなければならないビジョン。ミネルバの夕暮れにフクロウは飛ぶなんていいます。知恵というのはどうも夜が来ると飛び始めるけれども、明るいうちにはなかなか知恵というのは羽ばたかないという皮肉なことわざがありますから、早く知恵を出しておく必要が、今経済大国と言われているときにこそ、将来の大きな計画の基本というものを立てるべきではないか。  先生のお話を拝聴しながら、どういうふうに持っていったらいいのかな、本当にこんなことこそしっかり決めなきゃいけないけれども、経済要素というのはみんなそれぞれに違いますから、それを一律化して考えられないことの悲劇、それぞれの人生の蓄積がそれぞれに違う立場をどういうふうに最大多数の最大幸福というのをどこへ持っていくかという、その基点の決め方にいろいろな心配を感じますし、しっかりしなきゃいけないなという思いにもなるわけでございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 一九二九年は大不況でございますから、私は生まれからして貧乏な社会に生まれてきたということになるわけですけれども、別に死に急いでいるわけじゃないんだけれども、確かに死亡率が高い。生きている者は、こっちの方の脂 肪率が高いわけですけれども、まあお互い一緒に日本の社会の中に住んで、そういう問題を抱えながら来ていますが、しぼうの話はともかくとして、ぜひ高齢化社会問題ではこれから大いに政治家としても議論を交わしながら、世界に冠たる社会づくりを私はしていくべきだと、こう思っています。  そういう前提に立ちまして、そこで今、ある意味では高邁な意見をそれぞれ交わしているわけだけれども局長、そういったことが念頭にあって、郵便年金充実強化というものが出されたというふうに理解してよろしいかな。それとも、そうでないとすれば、郵便年金というものの位置づけというのは一体どうなるんだろうと、どんな位置づけでこれは出されてきているのかなという疑問がちょっと出てくるんですがね、今後のあり方の問題を含めまして、そこはどうですか。
  22. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 先ほど及川先生が御指摘になられましたとおりのことであるというふうに私どもも理解いたしております。昔と違いまして、子育てが終わりましてからの夫婦二人の長い人生が再スタートするわけでありまして、この期間の二人の人生をより豊かに実りあるものにするというのが、日本という高齢化社会を迎えておる国の最も大きな課題であるというふうに思います。  私どもの保険年金につきましても、したがいまして、先生の意を体しまして、昨年は夫婦年金、夫婦保険というこの二つの、商品と申し上げますと、前の国会で先生から御注意を受けましたので、大変言いにくいわけでありますが、新製品を昨年発売させていただきまして、大変好評裏に推移をいたしておるわけでございます。確かに一定の高齢になりますと、万一の保障というよりも、まさに高齢の方自身の生活の保障が最も第一義的であるというふうに考えまして、今回も一時払い、あるいは即時年金という新しいサービスといいますか、製品、商品を戦列に加えますのは、まさにそういう高齢化社会に対応したニーズにこたえると、そういう意味合いがあるものでございます。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 率直に局長気持ちは言われていますから、あれですが、そうすると、今現在の郵便年金の、我が国の中で占める自助年金の割合ですね、加入している数で見ると、どのぐらいになるんでしょうか、七十二万対三百八十万ぐらいですか、民官という意味でとらえますとね。ある意味じゃ微々たるものですね。それから郵便貯金ですね、銀行預金と郵便貯金の割合でいくと、むしろ凌駕しているというか、拮抗しているというか、かなり郵便貯金の占める割合というようなものが大きいんですよね。だからそんな意味でいうと、年金なんかについて、今の現状の割合でいいのかどうか。もう少し積極性を持って自助年金開発、新商品というものを出してもいいのではないかと、こう思うんだが、これまた民需圧迫という、そういう議論がすぐ出てくるものですから、なかなか大変だと思うんですが、やはり国がやっている事業という意味でいいますと、民間のものとはやっぱり違いまして、単に収益だけを求めていくわけじゃない、安くていい品物と、こうなるわけだから、もう少し積極性があって、この関係ですね、民間年金と郵便年金関係、割合、これはもう少し膨らんでもいいんじゃないかと、膨らましていくということになったら民需圧迫との関係で、それならばどのぐらいが一体限度なのかということを推しはかっていく必要があるというふうに思うんですが、これまで大蔵省あるいは民間との関係で何かそれらしい論議をしたことはあるんですか。
  24. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) まず、現在の年金の市場におきますところの私どもの郵便年金のシェアといったようなものについて御説明さしていただきますけれども、まだこの新しい個人年金というのは大変歴史が浅うございまして、御案内のように、この郵便年金も五十六年から再スタートを切ったわけでございます。現在この普及状況というのはまだ一〇%程度でございまして、保険が既に世帯加入率で九一%を超えているという、これと対比をいたしますと、まだまだ今後大いに普及発展を図るべき分野であるというふうに思うわけであります。  この一〇%程度のシェアの中で、それでは郵便年金はどうなっておるかと申し上げますと、現在一番新しい資料では一九・一%というのが郵便年金の占める割合でございます。発足当時と申しますか、五十六年当時はこれが一割でございましたので、その後逐年シェアが増大してまいって、現在はほぼ倍になっておる。しかしながら、やはり圧倒的に多いのは民間生保の個人年金と、こういうことになっておりまして、私どもとしましても特段郵便年金を今後進めていく上で制肘といいますか、それをブレーキをかけるという話は昨今は出ておりませんので、今後とも民間生保あるいは農協共済等ともお互いに相補いながら、手を携えてこの市場の形成に力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 最後になりますけれども、そうしますと、積極的に対応したいという意思表明というふうに思うんですが、今度の制度改正の中で一時払い、一括払いといいますかね、大きくどんと払う、これは所得控除との関係ですね、年掛け、掛金だけで一万円であろうと五万円であろうと、要すれば五千円控除するということになっておるんですが、これは一時払いで五十万であろうと三十万を掛けようと、どっちにしても要するに五千円ですわね。そういう制度になっているんですが、そうすると、必ずしも税金という問題は、余り損得で議論すべきじゃないという気がしますが、いわば現行から見ると、ちょっと大きな矛盾だなということが一つと、それから、これは決まったわけじゃないけれども、自由民主党税調の議論の中では、保険とかいうものの掛金などについては、この際ああいった措置はやめると、恐らく減税を大きくするから必要ないではないかという発想かもしれませんけれども、そういう動きとの関係などを含めて、この問題どう説明されますか。
  26. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 今度開始いたします一時払いにつきましての税金の関係のお話でございますけれども、御案内のように、年金の税制は一般の生命保険料のほかに別枠で五千円だけ所得控除が認められておる、簡単に申し上げますと、こういうことでございます。  まず、生命保険料の所得控除最高五万円の方でございますけれども、現在のところ、一世帯当たりの生命保険料の年間支払い額が平均しまして四十四万円という数字がございます。したがいまして、所得控除五万円というのは、生命保険に九割以上の世帯が御加入でございますので、ほとんどのところで五万円の枠を使い切っておられる、こういう状況にございます。そうしますと、年金については、残る別枠の五千円というのが一つの税制上優遇措置の金額であるということになるわけでありまして、五十九年からこの別枠制度が創設されたわけでありますけれども、いかんせん余りにも少額であるという点もありまして、税制という点では、確かに一時払いの方がその五千円といえども恩典に浴さない、一回だけしか恩典に浴さないという点がありますので、先生指摘のような点では、確かに若干不利であるということは言えると思います。  私どもとしましては、ただいま申し上げましたような状況でございますので、五万円という所得控除を少なくとも倍に十万円に引き上げる、また先ほど来先生がお述べになっておられますように、今後の年金の持つ重要性という点を勘案いたしまして、この年金の五千円につきましても、十万円までの控除を認めるべきであるということを関係の向きに要望いたしておるわけでございます。そういうことで、今後とも年金税制等については及ばずながら全力を投入してまいりたい、このように考えております。
  27. 大木正吾

    ○大木正吾君 及川委員の後を受けて、少し具体的に御質問いたしますが、今度のこの改正の三つの問題点、今お話ありました、一回で掛金払い込 むという制度ですね、同時に直ちに支払い開始ができる制度、失効した場合の特別な復活の扱い、大体この三、四点になっておりますが、いわばこれ以外に例えば限度額の問題でございますとか、あるいは運用を年金、簡保分けて運用しているか、一緒にしているかわかりませんが、いずれにしても運用の方が相当にやっぱり民間の生命保険との関係で優劣が起きてくるわけです。商品といたしましてね、だと考えますので、大体この程度の問題をぶつけて、こんなものを今国会に出すことはないんであって、やるならもう少し、さっき及川さんも言ったけれども、とにかくあなた、もっと年金時代なんだから、保険時代じゃないんだから、郵政省はこういったものをやりたいんだよと、全体的にね。金額は千二百万円にしたいんだよと、年間にして個人年金で。これは個人差が出てきますが、そういった問題を含めて検討したことがあるのかないのか、あるいは関係方面と話をしたことあるかないか、その点どうですか。
  28. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 新しい個人年金を五十六年に創設をいたしました際にも、いろんな関係方面との折衝がございまして、その紆余曲折の後に現在の形で限度額最高七十二万円、それで一時払い即時年金等については見送りという形でスタートをいたしておるわけでございます。その後五十六年から七年を経過いたしまして、社会経済の状況も相当大きな変化をいたしておりますので、私どもといたしましては、当時いろいろ御議論もございまして、衆参両院でも附帯決議をいただいております即時年金の実施について、それを中心とする年金法の改正ということで今回お願いをいたしたということでございます。  現在の年金の加入状況というものを見ますと、大変残念ではございますけれども、一件当たりの年金額は約二十万円というような状況でございますので、年金というもののその役割を高く評価しながらも、実際において加入をするという現実の問題になりますと、このような金額ということが一般的でございまして、そういう意味からは、先ほど普及率がまだ一〇%程度であるということも申し上げましたけれども、この普及の問題とあわせまして、今後とも少しずつの努力の積み重ねという形でまいるのが現実的であろうと、このように思っているわけでございます。
  29. 大木正吾

    ○大木正吾君 社会労働委員会におきましても、今二階建て年金から三階建て年金議論が今国会でやっているわけです。この案などを見ていきましても、大卒の場合には大体四十五万円の収入に対して、年金にして三十八万円とか、あるいは今度の努力方向として二十七万円にしてもらいたいとか、そういったこともございますし、同時に、これは新聞の切り抜きで、五月七日の新聞で、東京新聞ですか、個人年金で云々で、成長状態が書いてございますが、年二〇%の成長と、こう書いてありまして、今の保険局長の話と全然違うんだ、印象が、これどう考えましてもね。あなたおっしゃることはね、一件二十万円でしかないと、そしてシェアも少ないと、同時に及川委員にうそをついているんですよ。五十六年から年金が始まったんじゃないんでしょう、これは。郵便年金の歴史はもっと古いでしょう。そんなことあなた、ぬけぬけと言っちゃいけないよ。戦争のために年金が無価値になったということは承知しているけれども、制度はあったんですからね。本来ならば昭和三十年ごろ復活をしておって、そしてもっと四十年ごろに保険から年金にどんどん切りかえていくニーズが出てきていいはずなんだよ。そういったことをやらずにおいておいて、そして五十六年から始まったからシェアも少ないし金額も少ない、そういうことはこれは弁解にすぎないということなんですよ。  私は、だから疑いの眼で見るわけじゃないけれども、簡易保険の募集の方が率がいいからとか、あるいは定額貯金の方が率がいいからとか、保険と貯金の扱い者は違いますけれども、そういったくだらぬ勘ぐりをしたくなるんですよ、はっきり言うと。たしか四年ぐらい前に言ったことがありますよね、もっと年金の市場を見直しなさいということを何遍も。記録調べてくださいよ、私がしゃべったことをね。民間、個人年金しゃにむになってやっているんじゃないかと、何をやっているんだと、こういったことで激励したことがあるはずだけれども、あなたは局長じゃなかったけれどもさ。そういったことを考えたときに、私たちはもう少し郵便年金についてやる気があるかないかということも含めて、もう一遍しっかりした答え方をしてもらいたい、こう思うんですがね。
  30. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) あるいは私の御説明が言葉足らずであったかとも思うわけでありますが、新しい個人年金の発足ということで、五十六年というふうに説明をさしていただいたわけでございます。
  31. 大木正吾

    ○大木正吾君 もっと正確に答えなさい、正確に。
  32. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) それで現在のところ、一千世帯当たり年金の保有状況というのは百四件というものが最新の資料でございまして、そういう意味では、世帯当たりで一〇%程度という普及率ということになっております。確かに五十六年当時から見まして、私どもの郵便年金も、あるいは民間生保の個人年金、農協共済の個人年金も大体対前年二〇%程度の増率で来ておりまして、現在の普及率がやっとその一割程度というのが実態でございます。しかしながら、対前年の二〇%という伸びでもありますと、これはやはり十年とか十五年という時間の経過によりまして、この普及率というものはまた大幅に伸びてくるということも予測されるわけでございます。そういう意味で決して取り組みが不足をしておるというふうには思いませんし、生命保険が現在既に九一%を超えておるという普及状況等々を勘案いたしましても、今後の年金分野というものは、ますます発展をさせていくべき分野であるということを痛感いたしておるわけでございます。
  33. 大木正吾

    ○大木正吾君 ここに年金証書を持ってきてみたんです。これは二月十九日に受け取った方の受取ですよね。共済年金は、あなた方の先輩もらっているはずだから聞いてごらんなさい。ちゃんと五月のもらえる受給期が来たときには、五月の二日ぐらいには、もうぱあんと通知が来ますよね。これは一体どうなっているんですか。支給日が二月十九日、五月十九日、八月十九日、十一月十九日。本人がね、これっぽっちの紙ぺらですよ。掛けた金額が千四百万円弱なんだよ。四回に分けて掛けたんですよ。そういったものを掛けていた人が、郵便局から年金の支払い日はいつだという通知をもらえないんですよ。本人が気がつかなかったら、もらえずにほっぽっとかなきゃならないですよ。別に金利計算をするつもりはございませんけれどもね。そういった状態の現実の問題を持ってきて話をするんだが、これから一生懸命やりますよでもって通せる——まあ通さざるを得ないんだろうけれども、もうちょっと年金についてあなたが熱心に考えているというんだったら、さっき及川委員が質問したときに答えたんだ、大臣も答えたんですよ、保険時代じゃないよと。今社労でもってやっている企業年金なり、あるいは新しい年金に対する問題についても、退職金をどんどん企業年金に繰り込んでいこうという制度の改廃、充実問題でしょう、結果的には。こういった問題についてあなた方、これから通知を出す気がありますか。どうなんですか。現実の一つの問題として聞きますよ。
  34. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 現在、郵便年金にお入りをいただきました場合、その年金の支払い日についての周知でございますけれども、私どもの仕組みといたしましては、三カ月置きに年四回お支払いをいたすというシステムになっております。それで、まず御加入をいただきましたときに、最初のお支払いの前々月に、今後の年間分のお支払いが何月何日になるということ、それと金額をお示し申し上げて御案内をいたしておるという状況になっておるわけであります。  今、公的年金の方のお話がございまして、公的年金の方は支給期が同じように年に四回でございまして、その支給期の数日前に通知が参るという システムになっておりますけれども、私どもの方では、年金証書に支給日とそれから金額を記載してございまして、公的年金の場合は、年金証書にはその記載がございません。したがいまして、公的年金ではその都度案内をいたして、その通知書が兼受領証という形で受領の意味を兼ねておる。したがいまして、公的年金の場合は、その通知書をあわせて郵便局なりの窓口へお持ちいただきまして御提出をいただく、そういう仕組みにたっておりますために、私どもの方と若干やり方が変わっておるということでございます。  今後の問題でありますけれども、私ども本年の四月から郵便振替口座を通じまして郵便貯金に直接年金をお払いするというシステムをとったわけでございますので、この郵便振替口座に私どもが年に四回振り込みをいたすということで御契約をいただきますならば、振り込みの当日から郵便貯金の利子もつくということにもなりますし、払い出しをされるのも、いつでも御本人の御希望で御自由に払い出しができるということにもなりますので、今後はこちらの方の周知ということについていろいろ御案内を申し上げたいと、現在はこのように思っておるところでございます。
  35. 大木正吾

    ○大木正吾君 それは納得できないことですね。というか、今私がもらいにいきましたと、あなたの支払いはこの次あと二カ月後の何日ですよと、こういう話があるとか、そういうようなことでもって局長ね、六十五歳以上の方々年金受給者はいわば喜びというか、郵便局はサービスがいいぞという気持ちになりますかね、これ。同時に、今あなた後で話された郵便貯金通帳に振り込みができていつでも支払いができると。あなたみたいに金持ちの人はそれでいいんだよ。やっぱり公的年金プラス二階建て、三階建てかもしれません。あるいは個人、これしかない年金の方もいらっしゃるでしょうね、自営業者の場合等ね。そういった分についてもうちょっと綿密に、あなた自身の頭の中身を解剖して、どうしたら相手が喜んでくれるか、どうしたら相手が魅力を感じてくれるかについて、どうなんですか、本当を申し上げて、これは通知を出すことについては大分コストがかかるんですか、かからないんですか。どうなんですか、一体。  公的年金は出せるけれども、郵便年金は出したら損だと、出せないと。貯金局長の方は、MMC十万円でもやりますよと、こういう話をしていますよね。そういったこと、一方ではたった十万円でもってMMC、コスト別に心配ありませんと、こう言っているんだよ。年金の方は会計が別かもしれぬけれども、あなたの年金はいつ支払い日ですよということの通知が何で出せないんですか、これは。私はね、七十歳、七十五歳、八十歳、取りにいかなければ損だというようなけちな根性を持っているとは思わないよ。思わないけれども、とにかくあなた、その程度の親切さというものがあってしかるべきと、こう思うんですが、大臣——こんなこと大臣に聞くことない、大臣しゃべらなくていいんですがね、とにかく局長、本当にまじめに考えなさいよ。やる気ないですか。やらぬと言うんだったら、これは粘るよ、ここでもってストップだよ。
  36. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 一番最初に何月何日ということが明確になっておるというのが、ある意味では御親切という点もあろうかと思うわけでございますし、それから郵便貯金にこの年金を振りかえるというのは、多くの加入者の方からの御要望というものも今までございましたので、そういう措置をとるということでもございます。それによりまして、多くの方が郵便貯金への振りかえという点を御利用いただくことになりますれば、通知という問題は解消いたすということになろうかと思うんでありますが、先ほど申しましたような仕組みの違いもございますし、現実にそれでは通知を最初を除きまして毎年あと三回御連絡を申し上げるとなれば、その三回分の通信費が余分に要るということは、これもまた事実でございますが、何もその通信費の点だけを申し上げているわけではございません。  以上のような答弁ではどうも——検討さしていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  37. 大木正吾

    ○大木正吾君 そんなけちな話をここでやろうと思ってなかったんですよ。あっさりあなたの方でもってやりましょうと。それはやっぱりあなた、民間の生保との競争なんだからね。しかも土台の方は、株式の問題とか土地の問題とか、いずれにしたって資産の運用でもって大変に不利な状態の中にあるわけでしょう。あなた方の言っている整合性というか、貯金局長がMMCは十万円でもやりますよと言っていることと、年金のこの今私が出した方は七十二万円満額入っているんですよね、二十万円じゃないんですよ。同時に、あなた御自身が年金時代だということを認めたんですよ、さっき及川さんへの答弁の中でもって。というならば、若干コストがどうなろうとも、やっぱり郵便局は親切だなと、こういうイメージを出すことは当然じゃないの。役人というのは、どうしても一遍言い出しちゃったら、大臣も困っちゃうんだけれども、私が言うことが正しくても——私はあなたのことを考えて言っているわけだよね。郵便年金がもっともっと伸びてもらいたいということを考えて申し上げているわけです。それでも大臣は、なかなか大木さんの言っていることは結構です、こう言えないんですよね。しかし、局長は言えるんだからね。どうなんですか。前向きに検討するとか、あるいはこういうことについて検討して、なるべく早期実現するとか、あなた一遍でも七十歳になったときのことを考えてごらんなさいよ。そういったことを考えて、こんなくだらぬ問題でもって議論やめましょう、お互いに。
  38. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 民間生保の場合は、個人年金につきましては年に一回の支給ということが大半でございますので、そういう点等もにらみ合わせながら、できるだけ各般の、先ほど申しましたようないろんな方途をあわせながら検討をさしていただきたいと思うわけでございます。
  39. 大木正吾

    ○大木正吾君 検討ということは前向きの検討であって、必ず実行していただけるということなんで、もし実行されなきゃ私がどなり込んでいくと、こういうことにいたしましょう。  このことでやっていてもしようがないから、次の問題に入らしていただきますが、これは厚生省の方にも伺いたい問題でもございますが、老齢者の生活の状況等について若干伺っておきたいと思うんです。  公的年金を結果的には受けている方でありましても、一般の新聞やその他の経済誌等を見ていきますと、六十五歳以上の場合一千五百万程度の預貯金がどうしても必要だ、そういった形で発表されておりまして、実際に一千五百万以上の預貯金を持っている方々は、六十五歳以上の方になっていきますと、二〇%未満でしかない、こういうような統計等もあるわけだし、実際には貯金の保有額は五百万未満で、これは大体三五%ぐらい、こういう総理府の統計の調査の発表がございますね。こういった方々年金等を中心とします平均所得の場合には、六十五歳の男子、六十歳の女性、こういった方の世帯で見まして二百十四万六千円、全世帯平均でもって四百七十二万、こうなる状態ですね。  それから、勤労者の老後生活依存状態という、これも総理府の統計からくる資料でございますけれども、結果的にはやっぱり公的年金、恩給も含めますけれども、こういったものにだんだん依存する方々がふえつつありますね。そして現在では、四二%ぐらいの方々がそういったものを貯蓄したい、こういう気持ちを示している。これは気持ちです、実際の計数ではございません。同時に、公的年金の受給者の実態で見ていきますと、十八万四千円以上とか、十七万二千円以上という方々は大体二〇%にも満たない。十三万円未満の方々は五九・八%、約六〇%を占めている、こういう状態ですわね。こういった問題について、厚生省方々も総理府の統計でございますから御承知のことと存じますが、これについての所感はどうですか。
  40. 清水康之

    説明員(清水康之君) お答えをいたします。  老後の生活の状況あるいは貯蓄状況、勤労所得 の状況といったことについてのお尋ねでございましたが、私ども六十一年にやりました国民生活基礎調査というのがございますが、それによってみますと、高齢者世帯の所得というのは、全世帯平均で二百三十九万円ということになっておりまして、先ほどお話しのように、全世帯平均年間所得で約四百九十三万円でございますから約四八%程度、半分ぐらい、こういうことになっているわけでございますけれども、御存じのとおり高齢者世帯は世帯員の数が少のうございますから、世帯員一人当たりということで見てみますと、高齢者の場合百五十二万円、全世帯平均では百四十五万円、ほぼ一人当たりで見ますと、同じぐらいの水準ではないかというふうに考えております。  また、消費支出の実態でございますが、家計調査年報で見ますと、六十五歳以上の方の消費支出は年間二百四十八万円ということで、全世帯平均の三百三十二万円に対して約四分の三ぐらいというふうな状況でございます。これもしかし、一人当たりで見ますと、高齢者世帯は八十八万円、全世帯平均が九十万円ということで、ほぼ同水準にあるのではないかと思います。  貯蓄のことのお話がございましたが、貯蓄状況について見ますと、昭和六十一年の貯蓄動向調査によりますと、世帯主が六十五歳以上の方の貯蓄額というのは千二百五十万円強ということになっておりまして、全世帯平均の六百二十五万円に対しましては、約二倍ぐらいの金額になっております。これも世帯員一人当たりで見ますと、高齢者世帯は四百四十三万円、全世帯平均は百六十九万円ということで、二・六倍ぐらいというふうな実情になっております。  また、勤労者世帯の実収入というものを、やはり総務庁の家計調査年報で見ますと、世帯主の平均年齢階層が三十代、三十歳から三十九歳までの場合は四百七十七万円、四十代、四十歳から四十九歳までは五百八十九万円、五十歳から五十九歳までは六百四十七万円というふうな数字になっております。  また、老後生活を一体何に依存していようと考えているのかというふうなお話がございましたが、若干古うございますけれども、私どもが五十八年に有識者を対象にしてやりました調査では、九〇%以上の方々が公的年金自助努力の組み合わせで生活を支えていきたいというふうに答えておられまして、自助努力のみとか、公的年金のみというふうな方は極めて少ない状況でございます。  いずれにしましても、私どもは高齢者層の生活というものは、やはり高齢者層が非常に多様である、お金が非常に乏しいといいますか、そういう方もおられる一方、経済的にはそう不安のない方もおられる、非常にある意味では二極分化の状態にあるというふうに考えておりまして、それぞれに見合った、ふさわしい、適切な、きめ細かい対策をしていく必要がある、こう考えているわけでございます。
  41. 大木正吾

    ○大木正吾君 お答えになった中の非常に気に食わない部分というのは、言えば全世帯四百八十何万でもって、大体人数で割っていくと、そんなに違いない、こういう部分ですよね。六十五歳でもって仕事がない、七十歳でもって仕事がない方々、そういった方々と、これから課長になろうか、あるいは審議官になろうか、あるいは局長にもなろうか、係長になろうか、そういったように賃金が若干でも上がっていくという、同時に、あと二十年働けるという人間、これとの関係というやつはあなた余り考えてないですよ。そういう答弁するから役人というやつは全く魂がないということなんだよね。そうでしょう。余分な答えすることはないんだよ、今。その辺が非常に大変な問題なんですよ。  別に高齢者は、金が欲しいだけじゃないんですよ。定年六十歳を六十五にしてくれとか、六十五になっても頑健だから働きたいという人とか、たくさんいるわけでしょう、結局はね。人間というやつは働かなきゃだめになっちゃうんだよ。セコハンの自動車みたいにすぐにぶっ壊れちまうんだよ。そういったもっと血の通った話が、答えというか、厚生省あたりからはこれは返ってこないと、外務省とか文部省からは返ってこない、なかなかね、予算委員会見ていても頑強だからね、あいつらはね。厚生省はやっぱりあなた、人間生活国民生活を面倒見る省だからね、そういった立場でもって物を考えてほしい。これは私の今の答えに対する言えば感想というかね、意見ですから、そういうことよく聞いておいてください。  それから、予算委員会にも出た問題でございますけれども、勤労者所得分布の分位、あるいは貧富の拡大状態とでもいうかな、余り言葉はこれ好きじゃないけれども。大体昭和五十五年からずっと引っ張っていきまして、第一順位と第五順位ですね、その関係でもって二・五五倍が二・八一倍に変わっている。これは最近の財テク状態等の反映かもしれませんね。それから消費動向推移、これが第一位の場合には、五十九年に二・八が六十一年マイナス〇・五、ちょっとこれ数字がはっきり読み取れませんが、第五分位の方々が二・四から一・一と、こういうふうになっているものがありますね。それから貯蓄等の増高格差、これは第一順位の方々が、五十六年から六十一年にかけましての状態ですけれども、四十二万一千円ふえている、これに対して第五順位の方々が一千七十万円から一千三百八十九万円と三百十九万円ふえていますね。同時に、貯蓄種類別を見ていきますと、第一階層の方々はいつでも流動できる普通貯金が圧倒的に多い。第五順位の方々は株式、証券、定期等で圧倒的に六九%も占めていると、こういう状態ですわね。これ見たらわかるように、ここ数年間は社会的に経済動向は極めて良好である、国の税収も極めて良好である、産業構造はぐんぐんと変わっている、世は財テク時代である、そういった中でこういうような要するに弱い層がだんだんと生活弱めていき、逆に金持ちの方々がふえていくという、こういう状態については厚生省はどういうふうにお考えですか。
  42. 清水康之

    説明員(清水康之君) お答えをいたします。  勤労者世帯の五分位階級別の所得につきましては、今先生お話しのとおり、いろいろ分位によって差が当然出ているわけでございます。六十一年の調査によりますと、平均の世帯所得が五百四十四万円でございますけれども、第一分位の方は三百一万円ぐらい、第五分位の方は八百六十二万円ぐらいということで、御指摘のとおり、またその資産運用の実態につきましても、第一分位の方と第五分位の方ではいろんな差があるということも事実だろうかと思います。私どもとしましては、この所得階層別、先ほど申し上げましたとおり、同じ高齢者といいましてもいろいろな態様の方がおられるわけでございますので、二極分化の傾向があるということも承知しておりますので、十分そのような実態を踏まえながら、それぞれの所得の方にふさわしい対応をしていかなければいけないというふうに考えておりまして、大変抽象的な答えで恐縮でございますが、やはり明るい活力ある長寿社会をつくっていくと、長生きしていて本当によかったと思っていただけるような安心できる社会をつくるためにいろいろ健康、医療、福祉、所得、各般にわたって努力していかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
  43. 大木正吾

    ○大木正吾君 社労委員会じゃありませんから、ちょっと突っ張った言い方、出しゃばった質問をして申しわけないんですが、公的年金等について、これから二%前後消費者物価が上がったと仮定いたしましたような場合ですね、これは先行きスライドといいましょうか、そういったことについては、厚生省は先行き考えておられますか。
  44. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 年金のスライドでございますが、先生指摘のような物価の上昇のケースで申しますと、物価が五%以上上がった場合には、法律でそれに見合った給付の引き上げをすることが義務づけられております。ただ、これまでのところ五%未満でございましても政策的な判断でスライドしているところでございまして、ただいま六十二年の物価の上昇と見合ったスライド法案をお諮りをしているところでございます。
  45. 大木正吾

    ○大木正吾君 イギリスのローソン大蔵大臣が、最近ちょこちょこと何か、アメリカや日本はもうちょっと金利を上げる状況に持っていけということを言っただけでもって、ぐらぐらと世界じゅう、地球上の金融市場が動く世の中ですからね。大体五%ものいわゆる物価上昇ということはなかなかこれからの今の世界経済、日本経済の状態からいたしましても異常な状態ですから、この辺の問題については、ぜひむしろ世界経済、日本経済等のマクロ的な状態なりをシミュレーションしながら、言えばやはりそういったものを追っかけていくわけでございますから、五%という数字については、ぜひ今後再検討の課題にしておいていただきたい、こう考えます。  さて、これは大臣の出番になりますが、大臣よろしゅうございますか。  中曽根さんのときには、あなたは大臣やっておられなかったから別に罪はないんですが、この中曽根さんの五年間というやつが予算委員会でも問題になりましてね。そして結果的には、五年間に当然増経費でもって、社会保障費は一〇%前後上げるべきものが大体二%から二・六、七、〇、九とか、大体これぐらいの水準に抑えられてきました。その間に防衛関係の費用は三六%も増高をいたしましたですね。私、こういったものを見まして、これは済んでしまったことだというふうに言ってもいいんですが、問題は今後の経済動向、竹下さん恵まれておりまして、私、別にNTTの関係がかつてあったから言うわけじゃありませんが、あれだけじゃなしに、経済動向等も極めてファンダメンタルズ強くなっておりますし、する中で、公的年金について、これは大臣、政治問題だと私は思うんですが、将来、今の五万五万プラス二階建て、そして今度三階建ての厚生省の御努力ですね、こういったものについて、要するに今自民党税調もやっておられますし、政府税調もやっていますけれどもね、税制を変えようと、まず不公平税制を直そうと、その次に新しい税体系にしていこうと。  私は、頑強な何というか、直接税論者でございますから、余り自分の意見に反したことを言ってもどうかと思うんでございますが、いずれにしても五年後、十年後の経済動向というものは、大体皆さんが御努力しながら四%前後継続的に上がっていかないと、国際的な日本の経済努力も認めてもらえないでありましょうし、同時に、そういったもののずっと推移でもって、宮澤さんがおっしゃる形でもって六十五年度に赤字公債発行がもう要らなくなったと、今度は返済だと、こういった段階になった場合には、言えばキャンペーンの問題の議論をここでもってしたくはございませんが、高齢者社会がすぐ目の前に来ているよと、だから新しい税体系に直すのだと、こういうふうな問題が当然これは出てくるでしょうけれども、私はそういったもののキャンペーンの仕方、キャンペーンはキャンペーンでやむを得ませんが、もうちょっとしっかりしたお互いに計数的なものとか、シミュレーションとかですね、さらに保険係数等の整理をしながら、やっぱり税体系というものを見直していくというんならば、将来物価スライドという話、さっき申し上げましたけれども、夫婦ともに五万五万でいいんだという、このところの部分とか、あるいはその上の部分とか、国民年金との整合というものも出てくるかもしれませんけれども年金の土台部分について、経済動向が大分変わってきているわけです。しかもお互いの努力でもってそのことは維持することが可能だと、こういうふうに判断いたしますれば、むしろ私は、将来の高齢者社会への準備だ、こういうふうにほえてばかりいないで、やっぱり年金についてもある程度は、自助努力も当然しますけれども、しかし、公的年金についても見直す時期も来る、来てもらいたいと、こう考えているんですが、中山大臣、この辺のことはいかがですか。
  46. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 先生の御指摘のとおりに公的年金自助努力、その組み合わせをどんなふうに将来描いていくか。今郵政省で貯金残高百十八兆円、簡保の契約高は百二兆円になるという大変な、世界で一番大きな銀行、第一勧業銀行が三十四兆円かそこらでございますから、郵政省関係だけでも大変な大きな資金を持っておりますが、逆に三月末になりますと国債、公債の発行残高は百五十九兆円という、これはもうピラミッドを逆さまに立てて、担いで走っているような私は日本経済、財政状況だという気がするわけでございまして、これにもし、日本の周りが今平和でございますからよろしゅうございますが、このピラミッドを逆さまにして走っているその途中、石ころにでもつまずくようなことは果たして考えておかなくてもいいかという、国家の将来を予測をした中で、特に財政的な面からも国家自体も考え直す税財政制度の、この国民の九五%が中産階級だと思い始めている中での対応というものが、国民の力は大変大きくなってきて、国家の力が財政的に小さくなるというようなことではぐあいが悪いというのが、政府税調に諮問を出して中間報告を得、また今、私ども政府・与党の中においても税制改革というのが議題になっていることではないかなと。  それが、今おっしゃったような高齢化社会に対応するだけということではなしに、経済大国が世界にいかに貢献をするかという意味でも、国家の力、平和を維持しないと、この経済大国というものは維持できないという前提に立ちます限りは、いろいろと対応を考えなければならないときではないかなと。そんな意味で、これからの対応を私は大きな戦後の転換点としてとらえていくような気持ちを持ちながら、これからの政治課題に向かって取り組んでまいりたい、そんなふうに思っております。
  47. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣のおしゃったことは、それはよくわかる面もあるわけですが、結果的には、日本が世界一の債権国になりましたと。したがって当然の問題として、内需の拡大は当然でございますが、言えば債務国に対する援助の問題とか、そういったことについても、ODAの問題についても考えざるを得ないということは当然だと思いますが、ただ問題は、中心になって日本が経済成長を豊かにしていく状態が、余り波が大き過ぎたり動揺があったら、これは大変なことなんですよ。その動揺の中心、動揺させない中心が四%ないしは四%前後の成長と、こういう問題になりまして、問題は、成長の中身の問題が問われてくるわけですね。  ですから私は、幸いにして日本の場合は社会資本のおくれが極めて激しいわけですから、そういった面でいきますと、割合に息長くこれは、言えば労働時間短縮等を含めて経済成長は可能だろうと、こう見ているわけでありまして、このことが結果的には外国に対する援助、言えばアジア的マーシャルプランでも何でも結構ですけれども、ODAでも結構ですけれども、そういった面ではぜひ両面の問題としてとらえてもらいたいと同時に、さっき申し上げました、社会保障給付の公的水準を上げること、スライドさすことですね、これ自身は消費につながっていくわけですから、それ自身が国内景気を、内需を拡大するんですから、そういった面からも広範な意味合いでもってとらえて、ぜひ政策の一環として大臣に大いに発言をしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  さて、最後になりますけれども、運用益の問題について、二、三同わせていただきたいと思います。  これは現在の、まず局長から伺いますが、簡保・年金の基金の運用状況について簡略に説明してくれませんか。
  48. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 現在、簡保・年金資金につきましては、最も新しいところで、五月の初めの段階で三十七兆円という数字を記録いたしております。これらの三十七兆円の原資は、ごくかいつまんで申し上げますと、そのうち三分の一は財投に、言いますところの政府関係機関、道路公団でありますとか、中小企業金融公庫等が代表的な例でありますけれども、そういうところに貸し付けをいたすといったような形がとられておるわ けであります。  それから、またほぼ三分の一につきましては、この簡保・年金資金が全国から集められました資金であるということを勘案いたしまして、地方公共団体に貸し付けをする、あるいは地方債を保有するという形になっております。残る三分の一につきまして、その中でまず契約者の方が貸し付けを希望されるわけでございますので、この契約者貸し付けを最も優先的に考えておりまして、ここに充てます金が大体全体の四%から五%というような形になっておりますけれども、それらを差っ引きました残りにつきまして、できるだけ有利に運用するということで一般的な債券等々に運用いたしておる。これがごく大まかに申し上げた運用の状況でございます。
  49. 大木正吾

    ○大木正吾君 ここに一表ございますけれども、「簡保・民間生保・国家公務員等共済組合の資金運用対象比較」というものをいただいておりますが、例えば株式の場合には簡保・年金はゼロ、だめと。同時に不動産もだめと。証券投資信託もだめと。この括弧というやつがわかりません。「外国債(政令)」と、こうなっておりますが、これはその都度相談されてやることになるのかもしれませんが、大体あとまだバツがたくさんございますが、結果的にはどういう意味合いでもってこういうふうにされているかわかりませんが、民間の生保・年金の場合におきましても三割、三〇%前後の限度額を設けて株式投資が認められているわけですね。そういったこと等、結果的には不動産のことは一応別にいたしましても、何でこういう差があるのか、あってよろしいのかどうなのか。これは結果的には掛けている掛金、国民方々に対する給付に影響する、給付が減るわけでありますから、そういった面で重要な関心を持たれていることと思いますが、あきらめですか、もうこれは当然これでいいんだと、こういうふうにお考えですか。
  50. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 民間の生保機関との運用利回りにおきましては、四十年代まではかなり格差がございまして、一%以上の格差がずっと続いてまいったわけでございますけれども、五十年代に入りまして運用範囲も徐々に拡大をしてまいったということ、そのほかできるだけ有利運用に努めたということもありまして、現在では余り差がないところにまで到達をいたしております。しかしながら、依然として格差は生じておるわけでございますので、私どもとしましても昭和六十二年度の予算要求におきましては、この積立金をもちまして直接株式の所有、株式が購入できるよに要求をいたしたわけでございます。関係の向きともいろいろ折衝いたしましたけれども、株式については国の資金を元本保証のないものに運用するのはいかがなものであろうか。また、株式を取得する、株式運用ということによりまして、取得をされた会社に、いわゆる企業支配といったような懸念が生ずる、そういうおそれもあるのではないかといった反対意見もございました。  私どもといたしましては、これらの意見につきましては、私どもが短期間に株式の売買を、いわゆるディーリング的に行うということであるならば、その懸念等もあるいはごもっともであるかもしれませんけれども、本来生命保険、年金の資金が大変長期的な資金であるということから考えますと、長期間保有するということによって過去の実態を、実際の状況からは当然のことながら日本経済の成長力に投資をするようなものでありますから、はるかにキャピタルゲイン等を見ましても利回り向上に役立つものである、元本云々という話は単なる議論にしかすぎないというふうに思うわけでございますし、また企業支配といったようなことは、もともとそういったことを私どもも毛頭考えてもおりませんし、仮にその懸念がありますならば、一つの企業に対する投資額をパーセンテージで抑えるとか、その他いろいろ方法もあるわけでありまして、私どもとしては決して釈然としたわけではございませんけれども、この六十二年の予算の編成に当たりましては結局、簡易保険年金福祉事業団が現在ございますけれども、加入者の福祉のための事業団として存在するわけでありますけれども、ここに簡保資金を貸し付ける、そして事業団が金銭信託として運用するという方策で、間接的ではありますけれども、この株式にタッチをするという形をとったわけでございます。  今後もう株式についてあきらめたのかという御質問でございますけれども、ただいま申し上げましたように、私どもは決して簡保本体におきますところの株式への運用を断念いたしたわけではございません。ただ、昨年からの事業団運用という状況が生じましたので、当面この事業団によりますところの指定金銭信託の運用の結果というものをよく見きわめた上でさらに判断をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  51. 大木正吾

    ○大木正吾君 ちょっときょう資料持ってまいりませんでしたけれども、昨年ですか、アメリカの国債ですか、これに対しまして差損が起きたことがございましたですね。あれはどういうふうにしていわば始末というか、解消というか、そういった形をされたんですか。
  52. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 御案内のように、五十六年から外国債の運用を開始いたしまして、既に何年かになるわけでありますけれども、六十一年度末、つまり六十二年の三月三十一日の時点で、実際に取得をいたしました外国の債券、その購入価格と六十一年度末の三月三十一日という時点におきますところの当時の為替レートで購入をした債券について改めてその金額を計算をしてみると、アメリカはドルばかりではありませんけれども、総体として為替の差損が約三千億生ずるという計算になったわけでございます。もちろん、この為替差損というものは現実に損が生じたわけではありませんので、かつまた三千億につきましても、これはその時点ですべて売却をすればということでありますが、債券の売却につきましては、当然のことながら一つ一つの個々の債券が、例えば残存期間でありますとか、それについております金利のクーポンの高さによりまして市場の値段が一々違うわけでありまして、私どもが保有をしております外国の債券というものは大体五十七、八年、五十九年当時にかけましての大変ハイクーポンの債券を所有しておりますので、仮に市場で合わせて売却をするということになれば、そのキャピタルゲインというのも相当見込まれるということもございます。  いずれにしても私どもの簡保資金は長期的な運用ということで、短期的な売買というものを基本的に考えておりませんので、その為替差損というのは一応計算だけにとどまるわけでございますけれども、それが現在も推移をいたしておりまして、今年度末では、まだこれは決算等と相関連いたしますので、まだ今後しばらくの間さらに各般の数字を検討いたすことが必要でございますけれども、大体のところ、いろいろ運用に工夫を凝らしましたけれども、この一年間の為替レートのさらに一段の低落という現象が歯どめがかかっておりませんで、約一千億程度の為替差損が生じておる。さらに生じておる。つまり、計約四千億の為替差損の計算ということになろうかというふうに考えております。
  53. 大木正吾

    ○大木正吾君 まだ用意した質問ございましたけれども、時間がありません。それで、最後にこれは私の方からお願いというか、注文なんですが、さっき年金加入者に対する通知の問題をささやかに取り上げたわけですが、ああいったことについても局長の言わんとすることは、確かに局長の主張としてそういうことでしょうが、やはり新聞等の取り上げ方、あるいは国民全体のニーズ、ここにたくさんあちこちの保険会社、第一生命から日本生命のものたくさん集めてきましたけれども、これ一々どうなっているかということをやってもつまらぬ話だし、同時に、社労でもってやっています企業年金部分に対する三階建て年金の問題についても若干勉強させてもらいましたけれども、そういう点を総合的に含めてみて、個人年金である郵便年金に対する郵政省、あるいは関係局長、あるいは関係局の方々のもう少しやはり社会のニーズにこたえた、言えばサービス、あるいは金融 に対する敏感な反応、新商品の開拓、こういったものについて、私自身が見た目では非常にやはり、忙しいということもありましょうが、消極的である、こういうふうに判断をいたします。  したがって、この問題については、ぜひ私は民間生保と競争して勝てということを言うわけじゃありません。ありませんけれども、国債が窓販始めたらすぐにぱっと売れたと同じように、やはり国民の信頼の度合いというものは強いわけですから、そういった意味合いにおきまして、郵便貯金あるいは簡易保険と同様に、要するに国民のニーズが年金にどんどん切りかわっているんだと、退職金の欲しい一般のサラリーマンも、自分の退職金をだんだんふやしながら企業年金の方に積み上げていっているんだということ、これは一つの証拠ですよ、結果的には。そういった実際の証拠があるわけなんだから、それと違ったものではありませんから、四階建てか三階建てかの違いはありましても、自分のもらう退職金——家をどうするんですか、そういった場合には。そういったことも出てきますよね。自分のマイホームがないのに年金ばかりと、こういうこともありましょうね。そういった議論はきょうこの場でやる分ではありませんが、ただ私は全体的に申し上げて、年金に対する郵政当局、大臣に申し上げては失礼ですけれども、いずれにいたしましても、これはもう少し社会的ニーズにこたえる御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  54. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  55. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便年金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  56. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初に大臣にお伺いをしたいんですけれども、一時払いや即時年金を行うというこの法改正でございますが、私、これは昭和五十六年ですか、法改正が行われたとき逓信委員会に所属しておりませんので、よく承知はしていないんですが、大臣は博学ですからよく御存じだと思いますけれども、この一時払いの採用ということでございますけれども、郵便年金制度の改善により資金が集中し、金融秩序に大きな影響を与えると、こういう強い意見があって、五十六年のときには、この発足に当たって、今回改正になるいわゆる一時払いだとか、即時年金だとかということをやらなかったと。今回の改正でなぜこういうふうに実施されるようになろうとしているのか、その理由大臣からお聞かせいただきたいと思うんです。
  57. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 昭和五十六年の新郵便年金の発足当時と、その後七年を経過した現在とでは非常に状況が著しく異なっていると思われます。特に、当時は郵便貯金が急増をしているという問題が背景で、資金が官業に集中をするという懸念が、一般にそういうふうに普及をした感覚的なものとして受け取られていましたですが、現在見てみますと、官業にのみ資金が集中しているという状態ではないと思いますし、千世帯当たりまだ百四件、我が国の個人年金の普及状況はまだ十分ではありませんし、さらに普及を図ることが必要だと。朝からの議論でもございましたように、これからの人口構造の変化というものに対応していかなければならないということでございまして、高齢化社会、それから老後生活に備えるために官民の自助努力とそれから個人年金に対する国民の期待が非常に増大をしているということでございます。郵便年金制度の充実を求める加入者の要望というのがふえております。  それから、昭和五十六年度の郵便年金法改正の際には、即時年金の実施について検討するように両院で附帯決議がついておりまして、七年間という時節が過ぎていったわけでございますが、郵便年金を一層利用しやすいものとするために、今回法律改正を提案さしていただいたというのが趣旨でございます。
  58. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 状況の変化ということでございますけれども、具体的にどういう変化があったか、もうちょっと詳しく教えていただけますか。
  59. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいま大臣から答弁がありましたけれども、五十六年当時は民間生保でありますとか、銀行、信託銀行等、当時の郵貯に資金が集まり過ぎているという、そういう批判の上に立ちまして、簡保の方でも一時払い即時年金を実施をするということであるならば、さらに一層官業にまた資金が集中をすると。民間の資金調達に支障があるという御意見が圧倒的であったわけでありまして、私どもその当時郵貯に資金が集中をしておるのは、これは一時的な現象にすぎないということを郵政省としても主張したんでありますけれども、当時はそういう経緯のもとに実施をせずに今日まで至りました。  状況の変化があるというのは、その五十六年の発足の前の五十五年度の資金のシェアで申し上げますと、簡保の当時の資金シェアは民間生保、農協等と合わせてでございますけれども、そのうち三四・一%が簡保のシェアであったわけでありますが、六十一年度の状況を見ますと、それがシェアが低下をいたしまして、三一・三%になっていると、こういったことでありまして、資金の集中というものは過去において起きていないと、これが主たる状況の変化でございます。
  60. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、郵便年金の加入状況を見てみますと、昭和五十七年から新契約が徐々に伸びて、数字では伸びております。六十二年の十二月末では十九万件と、前年度対比で一二四・四%、こういうふうな数字が出ておりますけれども、占拠率も個人年金の二三・九%、この数字からいきまして、郵便年金の順調な伸びの理由はどこにあるのか、それをどのように分析しておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  61. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 高齢化社会の進展が徐々に進んでまいりまして、いろいろ老後の生活に対する議論が一般的に行われるようになりまして、そういう面におきまして自分の老後についての関心を持つという、そういう傾向が非常に強くなってきておる。さらにはまたいよいよ核家族化をしているというような状況等もございまして、個人年金で補完をするということについての御認識が一般的に高まり、ニーズがふえてまいっておるということが背景にあろうかと思うわけであります。  具体的に商品で申し上げますと、昨年の四月一日に夫婦年金を発売いたしたわけでありますが、この夫婦年金が大変好評をもって迎えられておりまして、これがまた大きな戦術を占める一つの原動力になっているということでございます。私どもの郵便の年金に限りませんで、おおむね民間生保も農協も伸びは大変よろしいということでございます。
  62. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、今回のこの法案の改正によって、退職金や保険金などのまとまった資金を、いわゆる掛金に一括して年金を掛けると、こういうふうになるわけですけれども、この掛金の一括払い制度、それから加入後直ちに支払い開始となる。こういうことになるわけでございますけれども、郵便年金の加入は、そうすると、どのぐらい増加すると予想されるか、その点はどういうふうに計算しておられますか。
  63. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 現在、民間生保あるいは農協におきまして、一時払いの個人年金が発売をされておりますので、これらの新契約の中に占めますところの一時払いの契約状況というものを調べてみますと、五十六年から六十年までの五年間で、民間生保の場合、一時払いによる加入は一・四%という数字が、新契約に占める割合として一・四%という数字が出ております。農協の方ではほぼ同じでありまして、一・五%という数字になっております。したがいまして、私どもも今回新たに発売いたします一時払いの商品の御加入 というものは、大体二%弱程度であろうかというふうに推算いたしまして積算をいたしますと、大体年間四千件程度の件数になろうかと思います。
  64. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次は、個人年金の税制のいわゆる認知の調査によると、先ほどもお話ありましたけれども、掛金の税制優遇措置を知らない人が、郵政省の簡易保険局で六十二年の九月ですか、個人年金に関する市場調査、これによると五八・五%と、半数以上の人が知らないと、こういう人がおるわけです。生命保険の方は優遇措置があると、こういうことを知っている人は割合と多いわけです。我々も確定申告をするときに、私も正直言って知らなかったわけなんですけれども、そういうことで個人年金という制度は郵政省だけの問題ではございませんけれども個人年金の税制の優遇措置の周知徹底、これは欠けているように思いますけれども郵政省としてはこの周知徹底についてはどういうふうな方法で今まで周知さしてきたのか、この点はどうなんですか。
  65. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) この年金の別枠によります所得控除が五十九年に創設をされたということもありまして、確かにまだ一般に広く知られているという状況になっていないというふうに思われるわけであります。  私どもの御契約者に対する、あるいはお客様に対する周知の方法でございますけれども年金契約の申し込みをいただきました年金契約者のお客様に対しましては御契約のしおりをお渡し申し上げておるわけでありますが、この中に年金の税制に関しますことをある程度詳しく御説明を申し上げている。それから、毎年一千万部以上調製をいたしておりますけれども、一般の周知パンフレット、これをお客様に交付をしたり、郵便局の窓口に配備をしたりいたしておるわけでありますが、これにおきましても保険とあわせまして年金の税制について周知をいたしておるわけでございます。  なお、毎年この所得控除の税額のシーズンになりますと、簡易保険事務センターから掛金払込書を、証明書を発行いたしまして、これを郵便局を通じまして年金契約者の方々に持参するなり、あるいは郵便でお送りしてその証明をいたしておる、こういうことをやっておるわけでございます。
  66. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ということは、外務員を通じてパンフレット等で説明をしている、対応している、こういうことでございますけれども、もちろん額も少ないということもあるかもしれませんし、またそのほか、政府税調の減税の問題を含めて年金保険の五万円をなくそうという話もありますけれども、そうなると矛盾はしてきますが、何かたとえ五千円であってもこの周知する、周知徹底する方法、外務員、パンフレットではなくて、何かいい方法は考えられませんか。何か考えておられますか。
  67. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいまも申し上げましたけれども、実際に御加入をいただいております方に税の季節の前に控除の証明書をお届けをするということによりまして、少なくとも御契約をいただいておりますお客様にはきちんとその認識をいただくということになろうかと思います。  あとは一般的に先ほど申しましたようなパンフレット、その他の広報等で周知を申し上げておるわけでありますし、また政府広報につきましても、毎年十二月号につきましては、この生命保険、年金の控除について特に力を入れてもらうように毎年依頼をしておる、こういう点もございます。
  68. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それに関連して、この個人年金に関する市場調査、これによりますと、現在の年五千円、この点については、額は確かに少ないような気がするわけです。そこで、税制優遇措置の拡大ということで、その希望がこの調査によると過半数の五四・五%、こういう数字が出ているわけですけれども、先ほど申しましたように、政府税調では五万円の保険料控除、これをなくそうとかという、これは減税との兼ね合いのお話でしょうけれども、そこからいくと矛盾はするわけですけれども、この五千円というのは、ちょっと少ないような感じがするんですが、この点大臣はどのように考えておられるのか、拡大の方向にあるのかどうなのか、この点はいかがですか。
  69. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 個人年金の掛金控除制度というものが急速に到来をします高齢化社会に対応するために昭和五十九年度に創設をされたものですが、まことに時宜を得たものと考えておりますが、これから二十一世紀に向けて、老後生活の安定のために国民自助努力を一層支援するという趣旨から、郵政省としてもその引き上げを要望しておりますところでございますが、今後とも関係方面の理解を求めて、特にそういう面の配慮を重ねてまいりたい、こんな気持ちでおります。
  70. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ、この調査によると、老後の生活に対する意識を初め、個人年金の加入状況、いろいろ調査しておりますけれども個人年金の需要動向ですかについてはどういう結果になっているか。私、これ数字を見ましたけれども調査した結果、保険局としてはどのようにこの調査結果を受けとめておられるか、御感想を述べていただきたいと思います。
  71. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 今回の市場調査は昨年の秋に実施をいたしまして、三年ごとに時系列の流れを見るために実施をしてまいりたいというふうに考えておるものでございますけれども、特に老後の生活に対する意識の面、さらに現在個人年金に加入をしておられる状況、それから個人年金に対する御加入の御意思の有無といったような点を中心に調査をいたしたものでございます。  まず加入状況でございますけれども前回三年前に調査をいたしましたときには大体八・九%という数字が出てまいっていたのでありますが、今回はこれが一三・五%というふうに、四・六ポイント上昇いたしたということになっております。一般的には先ほども申し上げましたけれども、一千世帯当たり百四件というのが公式の統計でありまして、この調査ではやや加入率が高いようになっておりますけれども、これは調査の対象者が三十歳から五十九歳という、そういう年齢層で、年金についての加入率がやや上目に出ると。さらには百四件といいますのは、あれは生命保険関係だけの年金でありますけれども、この場合は信託銀行の年金も加味されておるという点で数字が若干多目に出ておるということでございますが、そういう状況のほかに、今後どのように個人年金について考えておるかということを申し上げますと、「近いうちに加入したい」と積極的におっしゃっておられますのが四・二%でございます。それから「余裕ができたら加入したい」これが四八・四%でありまして、合わせて五割を超えておる、こういう状況になっておるわけでございます。  特に注目されますのは、三十代の比較的若い年齢層の方で年金に加入する意欲を示しておられる、あるいは老後の準備ということに関心を持っておられるということがございまして、今回の一時払い即時年金の制度につきましても、加入年齢について大変貴重な示唆を受けたというようなところがあるわけでございます。
  72. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 厚生省にお尋ねしますけれども、公的年金で老後の生活は維持できると考えておられますかということですか、国民年金の場合、夫婦二人とも自営業者の場合には合計で月額十万円、大体こういうふうに思われますけれども、この場合でも老後の生活は維持できないと、こういうふうに私は思うんですが、この点厚生省はどう考えておられるのか。
  73. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) サラリーマンの場合ですと、厚生年金の新規裁定の年金額、二十年以上加入の方の年金額が六十一年末で十八万円を超えてまいりました。これに対しまして、総務庁の消費実態調査の方で消費支出額を見ますと、無業の高齢者夫婦の場合でございますと、十五万八千円というふうな形でございまして、サラリーマンの年金につきましては、おおむね平均的な消費支出をカバーできるものではないかというふうに思っております。  御指摘国民年金だけを受けている御夫婦の場 合でございますと、本年ベースで十万四千円ということになるわけでございます。この基礎年金の給付水準というのは、基本的に老後の生活費全体をカバーするということよりは、負担の面もございまして、消費支出のうちの例えば食料費であるとか、住居、光熱費であるとか、基礎的な部分をカバーするという形で給付水準は定められておりますので、その意味では御満足のいくような形で生活全体をカバーできない場合もあると思いますし、また自営業、あるいは農業という方々の所得水準というのは非常に多様な姿をとっておりますので、それぞれかなり高い生活水準を得ておられる方にとっては不十分な点があるのではないかと思っております。
  74. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 さらに厚生省にお伺いしたいんですけれども、公的年金制度は日本の高齢化が進んで、今急速な高齢化、高齢化社会だ、こういうふうに言っておりますけれども、数字の上からいけば、一九八五年は六十五歳以上が六人に一人、こういう数字になっておりますし、二〇一〇年には、今のままでいくと六十五歳以上が二・八人に一人、こういう数字になるわけですけれども、高齢化が進んだピーク時ですね、こうなった場合、現在の年金制度をさらに維持しということになると、国民に豊かな老後の保障をするだけのことはできないんじゃないか、こういうふうに考えられますけれども、こういうことについては、厚生省としては、ここは逓信委員会ですけれども厚生省としてはどういうふうにお考えになっておられるのか。
  75. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 厚生年金国民年金につきましては、昭和六十年に大改革をいたしたわけでございますが、その基本的なところは、今後の負担増に耐え得るような形で年金を見直していくという内容であったわけでございます。二十一世紀に入りまして高齢化がピークに達する時点において、国民の負担を保険料率で申しまして三〇%を超えないところに抑えるという形で将来に向けての給付水準の適性化も図ったところでございまして、その意味で、前回改正を踏まえますと、ある程度御負担についての御理解が得られるならば、今後とも維持をしていくことができるというふうに考えている次第でございます。
  76. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 厚生省、結構ですよ。  また郵政省に戻りますけれども、この調査の件ですけれども、老後のための準備をしている世代の準備金額の平均は、不動産を除いて、二百万円未満が二二・三%、これが一番多いわけでございますけれども、次に三百万円から五百万円ということになっておりまして、平均金額では九百二十五万五千円ですか、こういうふうになっております。今回の法改正は、この郵便年金制度をより一層利用しやすいものとする、こういう改正の法案で、直接関係ございませんけれども、この郵便年金は、老後のための準備手段としてほぼ満足のいく制度と考えておられるのかどうなのか、この点はどういうふうにお考えですか。
  77. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいま厚生省の方からもお答えがあったわけでございますけれども、私どもの方の考え方で申しますと、総務庁の六十一年度の家計調査によりますと、六十五歳以上世帯の月平均生活費が約二十万七千円ということになっております。これに対しまして、公的年金の平均年金給付額は、夫が老齢厚生年金、妻が老齢国民年金を受けているという標準的なケースで考えますと、社会保険庁の六十一年度事業年報によれば約十七万八千円ということになっておりまして、したがいまして平均的な生活費、それから平均的な給付額を比べてみますと、約三万円程度のギャップがあるというふうになるわけであります。現在の郵便年金の加入限度額は、最高年額七十二万円、月額で六万円でございますので、現在の段階では一応この限度額の範疇でギャップを埋められるものと、このように考えておるところでございます。
  78. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最後ですけれども、郵便年金の受取額についてでございますが、郵便年金法第十四条に「年額七十二万円を超えてはならない。」と、こういうふうに規定されておりますね。基本的に私的年金は公的年金を補助する制度と考えておりますけれども、年額七十二万円というのは、これは余りにも少ないと思いますし、郵政省は五十五年の予算要求のときに二百四十万の要求をした、こういうふうに聞いておりますけれども、二百四十万というこの数字は何か根拠があって出したと思いますけれども、それはさておいても、今後この額の引き上げの考えはあるのかないのか。私は引き上げるべきだと、こういうふうに努力すべきだと思いますけれども、この点をお伺いいたします。
  79. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいま先生からお話がありましたように、この新しい郵便年金を創設するに際しまして、五十五年度の予算要求では、限度額を二百四十万円ということで予算要求をいたしておりました。これは全世帯の消費支出をすべて郵便年金でカバーしようという、その意気込みはまことに壮であったわけでございますけれども、結果から申し上げますと、現在の七十二万円という形に落ちついておるということでございます。  私どもとしましても、この七十二万で満足をしておるのかと、端的にお答え申し上げれば、そうではございませんけれども、現在の郵便年金の実際の加入状況という点を見てみますと、一件当たりの平均が二十万円であるということもこれありまして、さらには全体の普及率がまだ一割程度であるということも勘案しますと、まずはこの普及を先行させて、できるだけ個人年金について多くの方の御理解を得る、そういう状況の中で改めて社会経済状況等を勘案しながら、さらに限度額の問題を検討してまいる、このように考えておるわけでございます。
  80. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 当時の二百四十万円の予算要求した理由というのは、今おっしゃったように、全世帯の平均的消費支出が月額二十万円だから二百四十万と、こういうこともありますし、当時非常に意欲的だったと、また高齢化社会を迎えて当然であると、私はこういうふうに思うんですけれども、そうすると、今の答弁だと、今のままで満足していると、こういうふうに解釈していいのか、それとも意欲的に始めたんですから、それこそ意欲的に努力をしてもらいたいと思いますけれども、もう一度はっきり、これから引き上げるつもりがあるのかないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  81. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 先ほどお答えの中でもちょっと申し上げたつもりでございますけれども、端的に申し上げますと、決してこれで満足ということではございません。民間の個人年金の限度額というものは大変高うございまして、三千万でありますとか、一千万という数字が出ております。そういう点も考え合わせまして、決して七十二万で足れりと、これでよしとするわけではございませんが、直ちにその限度額の引き上げ云々をということにつきましては、重ねて申し上げませんけれども、先ほどのように、まずはここしばらくの間は普及の方に全力を挙げさせていただきたい、このように思うわけでございます。
  82. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  83. 山中郁子

    ○山中郁子君 今回の郵便年金法の一部改正は既に議論がありましたように、掛金の一時払い制度の採用、即時年金制度の採用、契約後復活制度の採用などを柱にしているものでありまして、法全体から見れば、まだまだいろいろと改善すべきことはありますが、一定の改善であり、さらにこれによって不利益をこうむるという事態があるということもないので、私どもは本法案には賛成をする立場であります。  この機会に、ぜひひとつ同じく簡易保険局で扱っております簡保の法人契約の問題について明らかにしたいと思っております。  今郵政省で、法人契約などについて、パンフレットでいろいろ宣伝をされている、かなり派手なパンフレットで、紙も立派なパンフレットなんですけれども、この中で、「法人契約は経営者のロマン実現をお手伝いします」という、そういう キャッチフレーズで、これ二十二ページですね、それで売り込んでいるんですね。この法人契約の形態は三つあると郵政省は言っておられますけれども、具体的にそれはどういう形態なのか、それから契約全体の最近の数、これは東京郵政管内で結構ですけれども、お示しをいただきたい。
  84. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) いわゆる法人契約と申しますのは、保険契約者が法人、つまり会社とか企業でありますが、保険契約者が法人でありまして、被保険者を従業員等として加入をする生命保険契約のことでございまして、この契約形態は受取人がどなたであるか、これによって先生今おっしゃいましたように、三つの形態に分けられるということに相なります。まず保険金の受取人を当該法人とするものが一つでございます。それから保険金受取人を従業員、この死亡の場合はその遺族ということにも相なりますけれども、従業員とするもの、それから三番目は、受取人を満期の場合は法人で、死亡保険金の場合は受取人が従業員の家族とするもの、この三つの形態があるわけでございます。  なお、これらいわゆる法人契約の数についての御質問でございますけれども、法人契約について別に調査をいたしたことがございません。ただ、私どもの方で六十一年度の新契約の件数につきまして、その契約の締結の際、どこで御契約をいただいたかという調査をいたしたものによりますと、自宅で契約をいただいたというものが七九・八%、窓口で御契約をいただいたというものが一二・五%でありまして、職場、ここで七・七%という数字に相なっております。職場の契約がすべて法人契約ということにはなりませんで、職場にお訪ねしまして個人的に御加入をいただくケースも大変多うございますので、この七・七%の範疇の中にあることは間違いございませんけれども、いわゆる法人契約というものがどの程度かということについては、つまびらかにいたしておりません。
  85. 山中郁子

    ○山中郁子君 局長ね、余りそういういいかげんなことはおっしゃらない方がいいと思うんですけれどもね。これだけ法人契約をお勧めしますといって大キャンペーン張っていて、それで幾つ法人契約がとれたかを調査してなくて数も押さえてないなんて、そんなことがありますか。そういう全くデータも何にも考えないで郵政省は仕事をしていらっしゃるの。それは通用しないですよ。こんな立派なパンフつくって、それで法人契約はこれだけお得ですと、そして財テクの上でも大変得なんだと、安全性、有利性、流動性、さまざまな宣伝していて、そして法人契約がどのぐらいとれたかという数を全然把握していらっしゃらないという、そういうことなんですか、本当に把握していらっしゃらないんですか。
  86. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) はい、大変申しわけないんでありますが、数字を把握いたしておりません。
  87. 山中郁子

    ○山中郁子君 私に申しわけないと言う必要はちっともないんであってね、あなた方、そういういいかげんな仕事をしているということがこの国会の場で明らかになったわけであります。郵政省は、そういういいかげんな仕事をしているということです。  それで、その中で、今御説明がありましたけれども、法人が契約者で、被保険者が従業員で、それで一つのパターンは、満期になった場合に法人が受け取る。それで死亡した場合も、あなたは何か故意かなんか、そのときはそのことはおっしゃらなかったけれども、このケースの場合は死亡したときも法人が受け取るんですね、遺族が受け取るわけじゃない。だから従業員は名義を使われるだけ。二番目のケースの場合には、おっしゃったとおり、満期の場合は従業員が受け取る、そして死亡した場合は従業員の家族が、遺族が受け取る。それから三つ目の場合には、満期は法人が受け取り、死亡した場合は従業員の遺族が受け取るということですが、これは中身はちょっと問題があるんですけれども、今あなた方が、私が取り上げましたこの中で、経営者のロマンなどといってお勧めになっていらっしゃるのは、この三番目のケースだと思います。そうですね、ちょっとそこのところは確認してください。
  88. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) いわゆるいろんな団体に、職域が多いわけでありますけれども、職場にお邪魔をして保険の勧奨をいたしますときに、いろんなケースがあるわけでございまして、そこの個々の従業員の方に御加入をお勧めするケースもございますし、あるいはグループならグループの代表者の方にお願いをするというケースもあろうかと思います。そういう個々のケースによりまして違うと思いますが、このいわゆる法人契約ということでお願いをする場合は、今先生からお話がありましたように、大体のパターンというのは、満期のときには受取人が法人であって、死亡の際は従業員の家族というケースが多いだろうというふうに思います。
  89. 山中郁子

    ○山中郁子君 多いだろうと思うんじゃなくて、ここに書いてある、このパンフにね。そのことが書いてある。だから確認すべきことはきちんと確認をしてください。  それで、これを郵政省の方で職員に法人に勧めさせる、つまりそういうお客さんをとる仕事をさせる上で、被保険者は従業員の配偶者や子供でもよいと、そこを含めてもいいというふうに郵政省が指導しているという事実があると聞いておりますけれども、そういう姿勢でおられるわけですか。
  90. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 従業員の家族も含めてよいという指導を私どもがしておるわけではありませんで、これが保険料が二分の一で損金に算入をされるという税法上のメリットがあるというケースがこの場合あるわけでありますけれども、それに対するところのその従業員の範嶋の中に、従業員の家族を含めるということも可能だというふうな解釈になっておるというふうに理解をいたしております。
  91. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、郵政省がやはりそういうふうに解釈しているということは、勧誘の方、職員の方たちがそういうふうに法人に、会社に行ったときにそういうことができますよということで勧誘するという、そういうことがやはりあるということですね。
  92. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) これは税務当局の法人税に関する基本通達の中で、家族を含めることができるということを言っておるわけでございますから、聞かれるということになれば、税法上そういう取り扱いになっておりますよということは、あるいはお話を申し上げると、こういうことに相なろうかと思います。
  93. 山中郁子

    ○山中郁子君 基本通達のどこにその家族を含めるということが出ているのか、ちょっとそれは教えていただきたいんですが。
  94. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 私も法人税についてはむしろ門外漢と申し上げてよろしいかと思うのでありますが、手元にあります資料によりますれば、法人税基本通達九の三の四、「養老保険に係る保険料」という項目の中で書いてあるわけでございます。
  95. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると大蔵省が、きょう私、税制のそこにも一つ大きな問題があると思っているんですけれども、そこの大蔵省も含めた議論をするとても時間的余裕がありませんので、郵政省の見解としてお伺いしたいんですけれども、大蔵省が法人税の基本通達の中でそういうふうに言っているから、郵政省としてもそれに乗って、一生懸命宣伝させてもらっているんですわと、こういうことですか。ありていに言えば、砕けて言えば。あなた方の姿勢として。だってそれはうんと宣伝していらっしゃるのよね。何も聞かれた場合にこう印申し上げていますという、そういうことじゃないのよね、このパンフをごらんになってもわかるように、宣伝しているんだからね、積極的に。だから、聞かれた場合には大蔵省がそういうふうに言っているから、いいと言っていますという程度のことじゃなくて、それで一生懸命これでとろうといって、やっているんでしょう。それでおたくの方はそういうことで、職員に対してもちゃんと手引をつくって配付しているわけよね。だ から積極的におやりになっているわけ。だから、大蔵省がそういうことで解釈を出しているから、郵政省としてはそれを積極的に使って、それで法人のお客をとろうと、そういうことでやっていらっしゃるんですね。あなたがたまたま聞かれたらやるという、そういうことじゃないでしょう。
  96. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) このパンフレットは、これは東京郵政局で「首都の郵政」という、毎年これは作成をいたしておると思いますけれども、電気通信関係、郵便関係、郵便貯金関係、それに私どもの簡易保険、郵便年金関係と、それらにつきまして、新しいデータ等を紹介いたしておるパンフレットでございまして、特に東京郵政局におきまして、このいわゆる法人契約等については取り組んでおるということでございまして、私どもとして、これを全国的にどうこうしろということを、特に重点的に指導をしておるというところまでまだ来ておりません。
  97. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、東京郵政局が勝手にやっているけれども郵政省としては、そのことを積極的に推進する立場にはないということで受けとめてよろしゅうございますか。  ついでにあわせて伺いますけれども、東京郵政局で、外務員の手引の中で、「個人で保険料を支払うより、法人契約の二分の一損金算入した場合との節税比較」として、今あなたがおっしゃいましたように、大蔵省がそういうものを出しているから、法人税基本通達九の三の四で出しているからということで、これを印刷してわざわざ教育しているわけ。そして個人が年間保険料を百万円支払うと、個人の確定申告でどのくらい節税できるか試算してみると、年収一千万円のサラリーマンで家族二人の場合、生命保険料控除により、所得税、住民税合わせて二万円が節税できます。  しかし、法人契約で二分の一損金算入した場合にはということで解説をして、この場合には二十六万五千円節税できる。だから、こういうふうに個人の節税よりも、ずっと法人で入った方が節税できるんですよ。日本の税体系がいかに企業、法人に有利で、個人に不利であるかということが明らかになるまさにその内容そのものでありますけれども、今の税制改革論議の中のその問題点郵政省が図らずもここで文書をもって証明したということになるのだと私は思いましたけれども、こういうことも含めて、あなた方はそれでは、それは東京郵政局が郵政省の指導とは無関係に独自にやっているのであって、郵政省としてはそういう積極的な方針をとっているものではないということなのかどうか。もしそうだとするならば、今後東京郵政局に対して、何らかのやはりこういうやり方に対する御指導をお考えになる余地があるのかどうか、あわせてお答えをいただきたい。
  98. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) この企業、法人に保険をお勧めをするということにつきましては、まだ歴史が浅うございまして、全国的にこういうお勧め方をどこでもやっておるというわけではございません。全国の郵便局、あるいは地域におきまして保険を勧めていく、私ども普遍的な保険の普及が一つの使命でございますから、それを勧めていくという際にいろいろ創意工夫、知恵を絞りましてお勧めをするということはあってしかるべきものというふうに考えるわけでございまして、まだ全国的な並びの状況から見まして、私どもとして特にこれを重点的にセールスの中で推し進めるというほどのところまで来ておりませんけれども、東京郵政局では意欲的にこれに取り組もうという、現在そういう段階であるということでございます。
  99. 山中郁子

    ○山中郁子君 あなたは普及が使命だとおっしゃったけれども、簡易生命保険法の第一章第一条、この法律の目的に何が書いてあるのか、私がここで読み上げなきゃわからないわけじゃないでしょう。「この法律は、国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もって国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」と、こういう内容なんですよ、目的が。あなたが今使命だと言ったのは、普及することだけが使命だとおっしゃった。全然違うじゃないの。  それで、問題は、あなたは三つパターンがあるというふうにおっしゃったけれども、その一つは、法人が掛けて、この場合には損金にならないけれども、受け取るのは、従業員は全く関係ない、名前をかすだけなのね。そうすると、今度はその人たちが家庭で掛けようと思ったって、もう枠を掛けちゃってるから掛けられないんですよね。それで、実際には現場では、本人の一人一人の承諾を得るとか、本人が希望してやるとか、そういうことの何の確認もないでやっていくような傾向が現実に出ているんです。判こを集めて、そして、そうすれば一人だけ嫌だと言うわけにいかなくなるわけね。一人だけ嫌だと言うと、やっぱりできなくなるから、会社として掛けられなくなるから、そういうことが一つある。  それから、二番目の問題で、そのために福利として、従業員の福利厚生の面から会社が、法人が掛金を掛けて、それで退職する、満期になったら従業員がもらう。そしてまた、亡くなったら従業員の家族がもらう。これが本当の意味での福利、この精神につながるわけですね。そういうことはあり得る。だけれども、一の場合も三の場合も、結局三の場合も結論的に言えば、従業員が退職前に亡くなった場合であって、そしてしかも、保険金が退職金を上回った場合だけがその遺族に支給されるという、そのメリットがあるだけなのね。だから、結局は法人の会社の退職金を助けると、こういう形になる。私はだからそういうものを、こういう形で節税になりますよと、個人でやっていたら損だけれども、法人でやればこれだけ節税になるんですよ、いかに日本の税制が法人に有利かということまで麗々しくプリントをして、それで印刷をして、それで勧誘をするということが郵政省のおやりになることか、東京郵政局であろうとなかろうと。ということについての私は問題提起をせざるを得ません。  先ほど申し上げましたように、法人契約の被保険者となった場合は、簡保に入ることが今制約されることに結局なっちゃうわけね、一人枠がありますから、千三百万。そして、退職前に亡くなるというようなことがなくて、六十歳で仮に定年を迎えたとするでしょう。そうすると、規定の退職金を受け取ったというだけであって、そして生命保険入ろうかということになっても、もう年齢制限その他でもって入れないというような、そういう制限が逆にかぶさってくる、そういう状態が生まれてくる、矛盾が多いやり方だということも言えるんです。簡保法の第一条に照らして、その目的とするところの一条に照らしてもそういう矛盾の多い問題になってくるということで、私はやはり一部の保障拡大、それがしかも会社の税金の節約だみたいなことで宣伝するというようなことは、ちょっとなりふり構わなさ過ぎるやり方だと思わざるを得ませんけれども、いずれにしても一部の保障の拡大と引きかえにそういう制限が加わってくるということが問題の根本的な所在だというふうに考えています。本人の意思も十分に尊重されていないケースが間々出ています。  ですから、今私が提起した問題点については、郵政省としては少なくとも節度を持って、ちょっと実態も把握して検討もしてもらいたいと思いますけれども、一番最初に数も御存じなかったような無責任な状態でいるつもりはないと思いますので、こういう法人の契約はどのくらいあるのかという調査もあわせて検討していただく、それから調査の数の御報告をいただきたい。
  100. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) このいわゆる法人契約につきましては、今まで申し上げましたような形の中で、特に東京郵政局においてとり行い方を現在研究中というような段階でございます。したがいまして、そういう状況につきまして、私どもとしても十分関心を持ち、また注視もしながら必要なデータ等も収集をいたしたいと、このように考えます。
  101. 山中郁子

    ○山中郁子君 最初の質問に対する調査結果の御報告をいただきたいということはよろしいですね。
  102. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 大変申しわけありませんが、最初のとおっしゃいますと。
  103. 山中郁子

    ○山中郁子君 どのくらいあるのかということです。そして形態別に何%かと。すぐでなくてもいいですよ。
  104. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 結果的に法人契約という形で上がってこずに、個々の個人の契約という形で私どもの方データは集積されますので、にわかにこのいわゆる法人契約というものをつかみ得るかどうかという点が、私、ただいま自信がちょっとないわけでございます。そのつかみ方についても研究をさしていただきたいと、このように思うわけでございます。
  105. 山中郁子

    ○山中郁子君 そんなことはなくて、つかめるようにちゃんとなっているはずです。じゃ、それはお願いいたします。  次に、これはこの機会にひとつ、かねてから私、前にも問題提起をしたこの当委員会でもありますし、ほかの委員会でもあるんですが、ぜひ一歩でも二歩でも前進をしていただきたいということで、大臣にもぜひ聞いてほしいと思います。  それはですね、まず、我が国が一九七五年の国際婦人年から十年間、国連婦人の十年を通しまして、さまざまな男女差別の撤廃の問題に、この国会でもそしてまたいろんな団体、婦人団体やさまざまな職場でも取り組んできたということはよく御承知のところだと思います。そして女子差別撤廃条約を批准し、我が国におきましても男女雇用機会均等法が成立をし、そして今また二〇〇〇年に向けてのさらに一層男女差別を撤廃するための、真の男女平等を実現するためのグローバルなプログラムかつくられて、そしてさまざまなところで努力をされているという、こういう事態にあるということをまず一番最初のベースに御認識をいただいて、それで具体的な問題に入るわけでありますけれども、東京逓信病院の看護婦さんに、この際何としても、ぜひとも今まで壁になっておりました公務員宿舎の入居の実現の道を開いてほしいということなんです。  余り時間がないので詳しいことは申し上げられませんが、東京逓信病院では看護婦さん、私の調査によれば二百七十一名、交代勤務者百九十六人おられます。この交代勤務は三交代です。このうち既婚者が四十七名、このうち夫が郵政の職員であるという五人の方たちが宿舎に入っています。そして夫が病気、その他でもって極端に収入が低いという方が四人宿舎に入っておられるという状況で、たくさんの方が宿舎に入ることを希望しておられるにもかかわらず、入ることができないでいます。  それで、しかし、看護婦さんは三交代の変則勤務で、子供さんを育てながら、勤務は特別に、非常に困難な勤務を強いられているわけですね。そういうことで住宅問題というのは、すごく深刻な問題なんですね、通勤その他の問題も含めて。それで、一方では看護婦さんが全国的に、東京逓信病院だけの場合ではなくて足りないと。それでせっかく看護婦さんとして訓練を経て、養成されて現場に出ても、結婚して子供さんを産んで、そしてそういう困難な勤務の中で、通勤状況も非常に悪いということになると、長く勤務できないでやめざるを得ない。そういう状態が出てきて、二十七、八歳の人が結婚して、子供もできる時期であるんだけれども、逆に仕事もだんだんと本格的にベテランになってくるという、そういう時期に、引き続き看護婦として働きたいと強く願っている人がたくさんいらっしゃるにもかかわらず、こういう勤務や住宅事情のためにやめざるを得ないという人が続出しているんです。  それで、たしか東京逓信病院でも、三年間で七人以上の方がそういう事情で退職されているというふうに思うんですけれども、この辺についてはどういうふうに認識されていらっしゃるかということが一つ大臣の御意見は後ほどまとめて伺います、御意見というよりもお約束いただきたいわけなんですけれども。  それで今、病院周辺の宿舎、郵政省の宿舎が幾つかあるんですけれども、そのうちはっきりしているものだけでも九段の北宿舎が三戸あいています。あいているはずです。それから富士見宿舎もあいているはずです。だから、なぜこういうところに看護婦さんを入れないのか、そこをね、一つは看護婦さんの仕事の大変さということ、それからまた、なれたベテランの看護婦さんが仕事を続けていきたいと願っている人たちの職場を確保して——もったいないのよね、そういうふうにせっかくベテランになってきた看護婦さんが、通勤事情や子育ての関係でもって、宿舎に入れれば仕事が続けていけるにもかかわらず宿舎に入れない。これは男女差別でもあるわけで、だから、そういう点は何とかして打開をしてほしいと私は思うんです。  これは経過がありましてね、いろいろな経過があるから、それを一から今伺うつもりはないんですけれども、一番最初に申し上げました女子差別撤廃条約を批准した日本の政府として、また官庁として、そして女性の職場としての一つの代表的な職種である看護婦さんの職場で、そばにあいている宿舎が、部屋があるのに、女だからといって入れないというような恥ずかしいことをぜひとも、恥ずかしいし、もったいないことをぜひともやめて、女であろうと、看護婦さんであるからなおさらのこと、入居の道を開くという英断をぜひこの際下していただきたい。これが私の——これさえいいと言っていただければ、もう終わってもいいというぐらいなものなんです。まず郵政省としての御見解と、道を開いてくださるというならもういいですよ、よく聞きますよ。だけれども、開かないのだったら余り長々しくしゃべらないでね、まだ言わなきゃならないことがあるんだから。
  106. 白井太

    政府委員(白井太君) 郵政省の宿舎事情につきましては、過日の当委員会においても別の先生からの御質問がございましたわけでございますけれども、特に東京、大阪等の地域においては必ずしも宿舎事情が十分でない、もっと端的に言いますと、宿舎事情が大変苦しいというような状況にあるわけでございます。  ただいまの先生の御指摘の東京逓信病院の看護婦さんの問題でございますけれども、いわゆる単身の方、あるいは独身の方につきましては特に問題はないわけでございますけれども、世帯者としての看護婦さんの場合の宿舎への入居の問題であろうかと思うわけでございます。これはまさに釈迦に説法かと思いますけれども、いわゆる公務員宿舎につきましては、職員、あるいは主としてその職員の収入によって生活をしているという人が、いわゆる家族が住むために宿舎を設置するということが法律上決められておるということでございまして、入居条件といいますか、あるいは優先的に入居していただく場合の基準的な考え方として、その世帯の生計を主に維持している方が職員であるのかどうかということで認定をせざるを得ないと思っておるわけでございまして、したがいまして、職員の方の収入によって、その家族の方が皆さん生活をしておられるという場合には、できるだけその方の住居の困窮度というのを考えて入居していただくということを考えておりまして、逓信病院の看護婦さんの場合もそのような考え方でやっておるわけでございます。  ところで、後半の部分、逓信病院の近くに幾つかのあいた宿舎があるのではないかという先生のお話でございますが、戸数についてはともかくとして、若干あいたのがあることは事実でございます。ところで、宿舎につきましては、逓信病院の近くにある宿舎が、すべて逓信病院の職員の方が入るための宿舎ということでもないわけでございまして、そこで実は、ただいまの時期というのは、ちょうど夏の定期の人事異動を直前にした時期でもございまして、一、二カ月後にはまた人事異動によりまして東京に転勤をしてくる方も相当数いるわけでございまして、そういう方のために、人事異動の時期の直前になりますと、どうしても何世帯かはそういう方のために多少部屋があきましてもとっておかざるを得ないというような事情もございまして、これは九段北とかあるいは 富士見の宿舎に限らず、都内の近くの宿舎においてもそのような状況になっておるということは事実でございます。
  107. 山中郁子

    ○山中郁子君 誠意を持って答えてほしいのよ。私が言っているのわかるでしょう。志村先生が拍手してくださっていますよ。要するに超党派的な、しかも雇用機会均等法を国会で全会一致で成立させたのよ。それで世界的な今の取り組みの中で、どうして日本がそういう恥ずかしいことをいつまでもしてなきゃならないんですか。個別のことを私は今短い時間の中で、あなたのその官僚答弁で時間を食われてやることはできないですよ。大臣にぜひともお伺いしたいの。大臣もいろいろ博識でいらっしゃるから、たくさんおしゃべりになるけれども、ぜひともかなめのところを答えていただきたいの。大臣のお考えで、今後の検討ということでも結構ですよ。女だから男だからという——悪知恵つけちゃだめよ。男だから女だからということでなしに、この経過は私もいろいろ知っているんです。今まで論議がありました。だけれども、看護婦さんの場合なんか特別にやはりそういう要求が強くて、今私具体的に一人のケースを知っているんですけれどもね。  三人の子供さんを持っていらして、それで二人の子供さんの保育料を七万円払っていて、だけれども結局遠くでは、実家に住むという条件はあるのだけれども、そこからでは通えないので、新宿にアパートを借りて、家賃十三万ですよ、十三万円で借りるのは安い方だけれども、今新宿あたりでね。そうやって働いているの。そうやって働いているこういう人たちは、少なくとも郵政省としては積極的に公務員宿舎、今女性はほとんどシャットアウトされているんですよ、女性だということでですよ。だから、極端に御主人の方が病気だとか所得が低いということがあれしていることは事実です。だけれども、主として生計と言ったって、それほどのくらい違うかという違い方が、それじゃどこまでいいのか悪いのかというそんな話になったら、それは精神が失われて、理屈でとにかく女は入れないということをやるというだけの話になるんですよ。  その証拠に、世帯主でなければいけないとか、いろいろな経過があるんです。だったら、それじゃ女が世帯主になれば、そうしたらいいのかと、こういうことだって問題になってくるわけよね。今郵政だけじゃありませんよ、国家公務員みんなそうだけれども、今郵政の問題言っているから言いますけれども、郵政の職員が世帯主であって、それで郵政の宿舎に入っている。だけれども、その場合に、主たる生計というのがどのくらい、少しでも多い方が主たる生計だというふうに言うなら、奥さんの方がよっぽど高い給料もらっている人はいっぱいいるんですよ。皆さん方もいらっしゃるでしょう、その中にもきっとね。そういう人たちについてなんか何も調査しないのよ。女房の方が幾ら高い給料もらっているなんて、そんな調査しないのよ。男はいいのよ。男はそれでも入れるの。女が何でそれじゃいけないのかと。これは明らかに雇用機会均等法にも反するし、それからそのよって立つ理念である女子差別撤廃条約にもとるものだということを、私は何としてもぜひとも中山郵政大臣の御在任の間にですね、この問題は、特に看護婦さんという特別な問題を持つそういう職業関係でもありますし、それにまた、郵政省としても大事な人たちですから、ぜひともここで前進する、壁を開く道をつくっていただきたい、これが私の強い要求でありますし、大臣に対する初めて本格的に申し上げる要望だと思います。
  108. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 昭和四十九年に私も労働省の政務次官をしておりまして、そのときちょうど国連の国際婦人年記念が開催されましたし、そのときに恐縮でございますが、私のおふくろに日本の代表で行かないかという話がありましたのですが、もう体を悪くしておりましたので、藤田たき先生がそのとき婦人代表で行かれました。私は、東京プリンスホテルで国際婦人年記念日本婦人問題会議というのがありましたときに、天皇陛下、皇后陛下をお迎えして、行幸、行啓を煩わして、そのとき私が開会の辞をやったことがございます。  私のまことに、これまた私事にわたって恐縮でございますが、おふくろも先生とは名前が逆でございまして、自民党の方でございますから中山でございましたが、そんなことでございまして、婦人の問題というのは、私は一番気にしているところで、特に婦人問題には興味とそれから政治的な意欲を燃やしておるつもりでございます。この間も郵政省で二百七十名になんなんとする叙勲者の方の中にも、逓信病院の看護婦さんの方々で宝冠章をもらわれた方々が非常に目立ちましたので、私はごあいさつの中でも、御婦人の立場で叙勲を受けられるような大変御努力をいただきました皆さんに敬意を表しますということを申し上げたわけでございます。逓信病院が十五ありますが、その中でいろいろ看護婦さんの皆さんが御努力をいただいております。その方々にできるだけ御不便をかけないような、先ほど部長が私に耳打ちしましたのも、男女差別は決していたしておりませんということを強調をされたわけでございます。ですから、その意を体して、私ども先生のお言葉はよく肝に銘じまして、今後鋭意病める人たちの本当のお世話をする方々に敬意を表するためにも、いろいろと検討してまいりたい、かように申しまして、決して男女差別はしません。むしろ職場におられる御婦人方、特に日本は女性の方が数が多いのでございますから、その女性の皆さんに敬意を表するためにも、我々行政の中で配慮してまいるということをお約束いたします。
  109. 山中郁子

    ○山中郁子君 配慮とか検討とかというお言葉がありましたので、ぜひともそれは、今私が申し上げた、私が指摘した上に立って、それを受けとめて、そういうふうにおっしゃったというふうに私は理解をいたします。  男女差別がないというふうに局長が言われたということですけれども、それは局長の悪知恵であります、私に言わせれば。男女差別があるから問題があるのです、そうでしょう。男の人なら、男の人が世帯主でいる郵政の職員の場合に入れてよ、女が入れないというのはなぜなのかという、そこのところは差別じゃないか、一つはその問題なんです。それは公務員全体の問題ですよ。だけれども、その上にさらに確かに今大臣が言われたみたいに病める人の、病気の人の看護をするという、そういう大事な仕事をしている、しかも勤務状態も大変困難な状態だ、そういう状態の中で働いている、そして今一つの例を申し上げましたけれども、そういう本当に涙ぐましい努力をして働いているのよね。そういう人たちに対して、より大きな配慮を、今大臣配慮するとおっしゃいました。より大きな配慮郵政省として、本当に政治の立場に立って、小理屈を並べないで、つまらないことで、主たる生計がどうだとか、男女差別はしてないだとか、そういう見え透いたことを言わないで、その中身の本質をとらえてやっていただきたい。大臣が約束をされたことをあなた方が、役所の方たちが、役人の方たちが、幹部の人たちが本当に政治の方向として身をもってまじめにやってくださるという気持ちがなければ実現できないんだから、だからそこのところを私は初めから申し上げておりました。大臣がお約束いただけましたので、私はこの問題は遠からず何らかの壁が打ち破れるものと期待をいたしますし、また、もしそこが進まないようでしたら、また何回でも繰り返しこの問題は実現を図るために提起をしなければならないと思っております。  終わります。
  110. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 今回の改正、掛金の払込制度あるいは支払い制度、それから復活と、大きく三つの柱になっておるわけでありまして、いずれもこれは改善の方向で結構なんでありますけれども、新しい制度が五十六年に年金法としてできて、それから六、七年たつわけであります。それから変わったというふうにも受けとめてもいいんですが、しかし、これはもうむしろ考えようによれば、その当時時点から当然このぐらいのことは考 えられたことであったと思うんでありますが、なぜできなかったのか。それはいろいろと当時の大蔵省あたりとの折衝もあったと思います。それが今度発効するわけですけれども、その中で今までの年金契約の失効状況は現在どのような状態ですか。まずお尋ねしたいと思います。
  111. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 六十二年度、まだこれは見込みでございますけれども昭和六十二年度の数字で申し上げますと、失効件数は七千八百件程度でございます。失効率が保有契約に対しまして一・一%程度に相なろうかと思っております。保有契約はふえておりますので、件数自体は少しずつふえてまいっておりますけれども、失効率で見ますと、例えば昭和五十八年当時は二・六四という数字が逐年減少してまいっておりまして、六十二年度は一・一程度になろうか、こういうことでございます。
  112. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これは失効することのないように外務員初め郵務局でいろいろ努力されて、そういうふうに改善されてきたと思うんですけれども、そういう復活制度を設けられて、今後これがどのぐらい利用されるというふうに見込まれておるのか、お尋ねしたいと思います。
  113. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 失効制度は簡易保険の方についてはずっと以前から設けてございますので、簡易保険の失効、復活というものが参考になるわけでございます。簡易保険の五十七年から六十一年度まで五カ年間の平均ということで見てまいりますと、一たん失効いたしました契約のうち、復活ということで約一八%程度がさらに契約継続ということに相なっております。したがいまして、先ほど申しました七千八百件、これの一八%程度が復活ということになりますと、およそ一千四百件ほどになるということでございます。
  114. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 復活関係以上で終わりまして、次に簡保関係でお尋ねしたいんですけれども、現在の郵政三事業のうち、貯金の方はマル優廃止ということで一時的にその契約もダウンした。若干それが鈍化傾向ではあるけれども、復活するような状況でありまするけれども、大変これは問題もある。郵便についてもいろいろと競争の激しい時代を迎えておるわけでありますが、そういう二事業と比較して簡保事業の運営が比較的順調なような報告、データも見るわけでありますけれども、この好調の要因というものをどういうふうに把握されておりますか、お尋ねいたします。
  115. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 大変評価のお言葉をいただきましてありがとうございます。  まず数字をちょっと申し上げさしていただきますと、簡易保険、郵便年金昭和六十二年度の新契約状況でございますけれども、簡易保険の方は件数が七百八万件でございまして、対前年比一〇九%、保険金は十五兆円でこれも一〇九%に相なっております。郵便年金は件数二十五万件、対前年比一二四%、年金額が五百四十五億円、対前年比一三九%。いずれも前年を上回りまして順調に推移をいたしておるところでございますが、これは一つはやはり生命保険、個人年金に対しましての多くの方の御認識、お客様のニーズの高まりがありますし、また六十二年度について申し上げますならば、夫婦年金、夫婦保険という時宜に適しました新商品の創設というものがあずかって力がある。もちろん関係職員の営業に対します努力というものが報われつつあると、このように考えるわけでございます。
  116. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 この事業運営が好調なこと大変結構なんでありますけれども、簡保については民間の生保と比較してみますると、ここ十年間の保険金契約高の実績では簡保と民間生保とも同様の伸びを示しているわけでありまして、契約件数で見ると、民間生保の方がはるかに高い伸びを示しておるという実績があるわけです。保険業界において簡保のシェアは最近どのように推移しているのか、説明願いたいと思います。
  117. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 今先生件数の面で民間生保の方がはるかに高い伸びを示しておるというふうに御指摘がございました。恐らく先生の御指摘の数字は、団体保険も民間生保やっておりますので、団体保険も加えての数字ということになろうかと思うんでありまして、私ども簡易保険の個人の保険ということで比較をいたしますと、件数で実は昭和五十一年、ちょうど十年前でございますが、件数では簡易保険のシェアが三六・〇%でございました。これが十年後に三三・八ということで二・二ポイントほどシェアの面では低下をしておるという状況にございます。  これを契約金額という点で申しますと、五十一年当時が一一・一%、これが一〇・二%と、これもやはりわずかではございますけれども、シェアが落ちておる。したがいまして、個人保険ということにつきましても民間生保、あるいはこれは農協もあるんでございますけれども、簡易保険はややシェアを落とした、こういうことを大変遺憾でございますが、認めざるを得ないわけでございます。
  118. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 今たびたび出ておりますいわゆる農協、これは特に農村部というんですが、郡部にシェアを持っておるわけでありますが、その簡保の契約者の層ですね、昨年の市場調査で見ますると、簡保の場合、青年層、それから壮年層といったところに弱いところがあるんじゃないかという面が見られるんですけれども、それらの原因分析というものは何かなさっておりますかどうか、お尋ねしたいと思います。
  119. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) やはり一つは家庭にお伺いをして募集をするということが長い間の簡保の募集の態様でございました。したがいまして、昔からでありますけれども、お子様が誕生されるというときに記念に簡易保険に入っていただく、あるいは小学校に入学をされるというときに御加入をいただくという、この幼児期の加入率が大変簡易保険は高いわけでございます。これは民間生保に比べまして、はるかにぬきんでておるという数字が示されております。また一方、老年層になってまいりまして、六十歳前後というところでの加入率も、これまた簡易保険につきまして、赤ん坊のとき入って、また回帰をされていただくというわけでございまして、老年期にはまた簡保にお帰りいただくと、こういうケースが一般的であります。  御指摘の青壮年、大体二十代の後半から五十代前半ぐらいまでのところが実は簡易保険の泣きどころでございまして、何とかしてこの部分について普及を高めるという、そういう点からも取り組みが必要だというふうに思うわけでございますが、やはり職域への訪問が不十分であるということが一つと、それぞれ民間の職域におきましてはやはり資本系列等がございまして、そういうところでの取引といったようなものがどうしても影響を与えるというようなこともございます。  それやこれやでなかなか職域開拓も難渋しているわけでございますが、ただ二十五歳から四十四歳の青壮年層で見ますと、六十一年度は二二・五%でございました。これが六十二年度二三・四%というふうに若干ではありまずけれども増加をいたして、取り組みが少し芽が出てきたかなという感じでございます。今後とも積極的にこの層への開拓ということでやってまいりたいと思うわけでございます。
  120. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 資本系列だとか、あるいはそういう職域への進出ですか、これは私もわかるわけですけれども、やっぱりもう一つ大きな理由があるんじゃないか。つまり、商品とかいう言葉は余り適当ではありませんけれども使わしてもらいますと、結局魅力のある商品、例えば民間生保においては変額保険といったような、商品そのものの青年あるいは壮年層のニーズにこたえる魅力ある商品がないというところも一つの大きな原因ではないかと思うんです。もちろんこの変額保険というようなことになりますと、郵政の本質からいきましても簡保事業の趣旨にある程度問題がある点も考えられないわけもないわけでありますけれども、これは保険勧誘という現場の勧誘する人の立場に立てば、やっぱり主体はそういう魅力ある商品ではなかろうかと思うんですけれども、その点について何か新しい商品を提供するというふうな 努力が必要だと思うんですけれども、その点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  121. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 商品という言葉を使わしていただきますけれども、商品の販売が成功いたしまして伸びていくためには、大きく分けまして三つの要素があるというふうに考えております。  一つは、当然のことながらその商品の質の問題でございまして、良質のニーズに合った商品の開発、それの製品化ということがまず何よりも第一になるであろうということでございます。それから、これらの商品がただ開発されただけではそのままでございますし、これをやはり正しく世間の皆様方に知っていただく。そのための周知あるいは広告、宣伝という、そういう技術も錬磨をして正しい商品知識を持っていただき、お客様になっていただく、これも必要であろうかというふうに思うわけであります。それから三番目が強力な販売組織でありまして、その点全国に二万を超えます営業支店を持っております郵政といたしましては、これは何よりも大きな武器と言えるわけでございますが、今先生指摘の、民間で開発されております変額保険は一昨年、六十一年の十日から民間生保のうち十九社で発売をいたして現在も販売中のものでございます。  変額保険は、御案内のように資金を主に株式に投じまして、株式を中心とした有価証券で運用いたしまして、その運用成果に応じて保険金が変動するという商品でございます。したがいまして、株式を中心として短期間にその変動ということが起こるものでございますから、これにつきましては、やはり一般の保険と勘定を分離いたしまして、それだけでやっていくという体制が必要であります。まずこういう問題点一つありますのと、直接株式に運用が可能であるということがまず大前提になるわけでございまして、まだ簡保年金では、この直接の株式運用という点が道が開けておりませんので、そういう点の解決すべき課題がまだ多いわけでございます。当面開発は困難と申し上げざるを得ませんけれども、なおこういうふうな新しい形の保険につきましても研究だけは続けてまいりたい、そして条件の整備ということで取り組んでまいりたい、このように思っております。
  122. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 バックボーンになります運用利回りとか、あるいは運用対象、いろいろと枠組みがはめられておりますから、これは難しいことだとわかるわけであります。したがって、それを全部取っ払えばいいんですけれども、それもそう簡単なものではないと思いますけれども、いずれにしてもそういう方向で努力をしない限りにおいてはいつまでたってもいい条件のものはできないわけでありますから、恐らくこの問題も質問あったと思いますので省略しますけれども、ひとつそういう点での努力をお願いしておきたいと思います。  それとの関連で、二、三お尋ねしますが、昨年来の円高に伴って簡保資金による外国債、これは主として米国債でありますけれども、新聞でもよく出まして、多大な為替差損、評価損ですね、これを発生させておるわけでありますけれども、現在の為替差損がどの程度か、まずお尋ねしたいと思います。
  123. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 六十一年度末の六十二年三月三十一日現在で約三千億円の為替差損という数字になっておりましたが、六十二年度末、つまり六十三年三月三十一日の時点ではさらにそれが千億ほど増加をいたしまして、現在のところ約四千億の為替差損を生じておるものというふうに見込んでおります。
  124. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 簡保資金の運用が債券のいわゆる長期保有という原則のもとで安全を期していることはよくわかるわけでありますけれども、実際それだけで資金の有利運用は可能なのかどうか、前の問題とも関連するんですけれども、どういう考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  125. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 簡易保険の運用の歴史をひもときますと、大変創業当初は小さな範囲で契約者貸し付け等を地方債程度からスタートをいたしたわけでありまして、戦後におきましても、昭和三十年代ぐらいまでは民間生保との運用利回りの格差が三%程度開いていたというような時期も続いたわけでございます。それが四十年代に入りまして、大体一%から二%の間ぐらいまでに少しずつ差を縮めてまいっておりまして、五十年代でどうやらそれほど大きな開きがない、〇・一とか〇・二程度の運用利回りの差ということで現在まで至っておるわけでございます。もちろん基本的には国営保険としての資金でございますので、財投協力その他に大半を投入して、どちらかというと、低利の資金運用ということを続けてきたということもかなり大きな理由でございますし、資金運用範囲につきましてもまだ十全ではない、民間生保に比べまして格差がある、こういう点もございます。  したがいまして、今後の問題といたしましては、なお運用範囲の拡大、多様化に努めると同時に、財投関係でしばしば私どもが苦しみますのは、地方公共団体への貸し付け等がとかく五月に集中をいたします。それから、財投機関等も公庫、公団あたりは年度末の三月に集中をするといった、借り入れの時期が季節的に大変偏っておる、そのために資金の運転等が非常に難渋をいたすわけでございまして、こういうところの平準化といったようなことにもぜひとも取り組んでまいるといったようなことが必要であろうかと思うわけでございます。
  126. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 現在の外貨建て債券の運用を見ると、カナダ・ドルとか、あるいはアメリカ・ドルの占める割合がかなり大きいようであります。外債運用のリスクを考えますと、もっと対象となる通貨を分散させて、為替変動による影響を小さくするのも一つの方法だと思うのでありますけれども、最近の外債運用の方針についてどのようになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  127. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 先生ただいま御指摘のとおり、外債に運用いたしますのは、国内債に比べまして幾分なりとも有利な果実が見込まれるというケースを主とするわけでありますし、また一面におきましては、国内への資本投資と外国への資本投資といったようなこともある程度兼ね備えまして危険の分散を図るといったような面もあるわけでございます。  それで、外国の投資につきましては、できるだけただいま御指摘のように多くの国に、かつまた多通貨に、多くの通貨に分散をして投資をするというのが望ましいわけでありますので、従来にも増して現在多くの通貨を運用するという状況になっております。  数字で若干申し上げますと、五十九年度末はカナダ・ドルとアメリカ・ドル合わせまして、これが全体の外債運用の中で七二%ほどを占めていたわけでございますけれども、これを逐年このウエートを落としてまいっておりまして、六十二年度末では五割を切りまして、約四九%というところまで数字が下がってまいりました。逆に私どもが力を入れておりますのは、為替差損の問題を生じません円建て債の購入ということでありまして、この円建て債は現在のところ二三%、全体の外債の中で円建て債の所有が四分の一弱というところまで参っておる。そのほかにヨーロッパの複合通貨でありますところのECU債にこの両年資金を投じておりまして、大体六十一年、六十二年度で合わせてECU債に四千億ほど投じてまいっております。それから、ドイツ・マルクは六十二年度で特に主力商品として取り扱ったわけでありますが、これも七百億を超えるような購入といったようなことで、そのほかフィンランド・マルカとか、フランス・フラン、オーストリア・シリングといったような多通貨に分散をするというスタンスをとっておりまして現在に至っておる、こういう状況でございます。
  128. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 そういった多角化をすることによって、安全で、できるだけリスクを少なくするということは非常に結構なことでありますけれども、今後とも円高が予想される中で、一方ではド ル下支えの簡保資金によって外債投資を求めるという声もありまするし、まるっきり反対に他方では、保険加入者の貴重な財産の目減りを招くような外国債投資を自粛したらどうだという声もあるわけであります。相反する意見になっていくわけでありますけれども郵政省として今後どのような方針で簡保資金による外国債投資というものを進めていくのか、お尋ねしたいと思います。
  129. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 基本的な外国債の運用につきましては、国内における運用と比べまして、同等以上の運用が可能であるというふうに見込みましたときに実施をいたしたいというのが基本的な考えでございます。そのほかに先ほど申し上げましたような危険分散という意味合いもあるわけでございますけれども、そういう状況下で六十二年度におきましては、六十一年度に比べまして三千億ほど外債への投資を控えたという結果が出ております。昨今のいわゆるドル安というような状況も、なお歯どめがかかったというところまでいっておりませんので、今後ともそういう点については十分慎重に考えながら、全体の運用利回りというものを一方でにらみながらやってまいる、それが基本的な今後の対処の仕方というふうに考えております。
  130. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 ちょっとここで角度を変えまして、新しい商品について尋ねたいわけですが、六十二年九月より夫婦保険というのが、先ほどからも出ておりましたような夫婦保険が販売されたわけでありますが、販売状況及びその購入者の層ですね、どのようになっているか、お示し願いたいと思います。
  131. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 六十二年九月から夫婦保険ということで発売いたしまして、発売以後七カ月たちましたが、この間に募集件数二十四万件ございまして、保険料額として三十七億円、保険金額四千六百億円と大変好調な売れ行きということで終始をいたしました。  これを御加入いただきました年齢層ということで見てみますと、やはり三十歳以上の各年齢層で割と好評を得ておりまして、特に五十歳前後のところでこの率が高いというふうな数字が出ております。数字を若干申し上げますと、全体の占率のうち、二十歳代が六・九%、三十歳代が二六・三%、四十歳代は三七・六%で、五十歳、これはまあ最高年齢が五十五歳までの加入でございますが、五十歳から五十五歳で二九・一%ということになっておりまして、五十歳を挟みまして前後のところが一番御加入が高かった、こういうことでございます。
  132. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、簡保と年金事業の営業関係についてお尋ねしたいんですけれども、最近大都市部では、平日の昼間不在世帯というのが非常にふえております。そして大都市部での簡保におけるシェアは低い。農村の方は、農協とかそういうところで年金・保険等、縁故関係、地域的な連携でなかなか伸ばしにくい。そうすると、ねらいはやはり大都市部をねらっていかないと顧客獲得はなかなか伸びにくいんではなかろうかと、こういうふうに思われるわけであります。  したがって、そのためには、例えば現在も多少行われているかもしれませんけれども、勤務時間を昼間から夜間へずらすとか、あるいは変形勤務時間にするとか、あるいは休日にもセールスをするというような体制、これは労使間の話し合いが必要でありますから、そう簡単には現場の苦労を考えると言えないことでありますけれども、しかし、伸ばそうとすれば、そういう一つの方法も手段として考えられると思うわけですけれども、これらについて、そういう勤務体制について体制を整えるというか、そういったことについて郵政省の何か考えていることがありましたら、お尋ねしたいと思います。
  133. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 御婦人の在宅率が次第に日中減少してまいると。一つは仕事を持たれる御婦人がふえてまいる、それから仕事につかれていないいわゆる専業主婦と言われる方も外出の機会が非常に多くなったといったようなこともございまして、いろいろ調査をいたしますと、日中の時間帯の不在であるお宅がだんだんふえてまいっておるというのが一般的傾向でございます。こういうこともございまして、昭和六十一年度から始業時刻の繰り上げ繰り下げ二時間を、二時間以内ではございますけれども、これを実施をいたしまして、全国の郵便局において、ほとんどの全部の郵便局でこの始終時刻の繰り上げ繰り下げによって平常は対処をいたしておるわけでございます。  今御指摘のありました休日といったような点につきまして、あるいは夜間におけるセールス活動といったような点、今後の週休二日制がさらに全般的に展開されてまいるといったような社会経済情勢も片一方あるわけでございますし、利用者の方々の御要望が那辺にあるかということもまた十分把握をしながら、事業を取り巻く環境等を慎重に検討して、今後対処をしなければならぬというふうに現在のところ思っております。
  134. 平野清

    ○平野清君 午前中大臣から一休さんの話が出ましたけれども、私、一休さんほど人生達観しておりませんし、先ほど及川先生昭和四年生まれだということで、大臣からおどかされましたが、私も昭和四年生まれで、何かちょっと心臓が悪くなったような気がするのであります。それにつきまして、今、年金の話をしていますけれども年金の話を聞くのは、やっぱり長寿社会が来たから年金の問題がこれだけ重要になったと思うんです。先ほど山中委員から、看護婦さんの問題が出ました。この間の厚生省国民生活調査会で私たち聞きましたところ、二十一世紀に備えて要看議、看護をやる医師、看護婦、家庭奉仕員、そういう人たちが百二十万人も要るというわけですね。だから先ほどのお話、私よく真相はわかりませんけれども、看護婦さんとか家庭奉仕員という人が本当に働ける立場をつくらなければ、どんなに年金の問題をやったり長寿社会の話をしても意味がないと思いますので、先ほどの山中委員のお話は私非常に共鳴しますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  それで早速質問に入りますけれども、この簡保年金加入のための福祉政策についてお伺いいたします。  この加入福祉政策というのは、沿革を調べてみましたら、簡保年金始まったころの日本人の死亡率が大変高かった、その死亡率をいかにして低めるかということが簡保年金の利益にもつながるということで、診療所制度ということから始まったというふうに書いてありました。そのために、昭和三十年に熱海の簡易保険年金加入ホームというものが最初に開かれた。いわば加入者福祉施設というものが老人ホームから始まったというふうに解釈していいと思うんです。  先般、私、これだけ年金が普及してきたんだから、年金と介護施設、それと老人ホームとを直結した現物給付的な老人ホーム、介護ホームというものを郵政省がこの年金と直結して考えたらどうかという御質問を申し上げました。そのときに相良局長さんが、これは簡保事業団とこの問題についてプロジェクトチームをつくって検討しているというふうなお答えをいただきました。その検討結果がどうなっているのか。  聞くところによりますと、何か簡保事業団では千葉県の浦安市に新型のマンションを建てて、終身介護ホームの建設を検討しているというふうに聞きました。その内容について、まだこれからなんでしょうから全部わかってないと思いますけれども、ぜひその内容をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) ただいま先生からお話がありました加入者ホームの新設計画がございまして、現在候補地を東京都の近郊であります浦安市に求めたところでございます。今後この浦安市に建設を進めてまいるということになりますけれども、昨年この委員会で申し上げましたように、あの時点で簡保年金福祉事業団と簡易保険局との関係者がプロジェクトチームをつくってずっと検討を続けてまいりました。なおまだ現在検討中の大変困難な問題も多いわけでありますが、現在の加入者ホームにおきます機能のほかにディホー ム、これも片仮名ですのでどうも——これ日帰りのホーム利用と申しますか、それから短期間の御利用、ショートステイ、これは介護を要される方が、例えば家族の方々が短期間どこかに行かれるようなときにお預りをする、そういう施設といったような点、それからまた、在宅の現在介護を要する形で、家族の介護を受けておられる方を日帰りで入浴サービスをするといったような、こういう点を実験的にでも取り組みができないかどうか、それに伴う問題点等を今詰めにかかっておるわけでございます。特に介護を要するということになりますと、そのための専門家がどうしても必要でございますし、その専門訓練を受けるといったような人材の確保というものも必要でございます。  それから、老人病対策等に関連しまして、医療機関との連携の問題もあるわけでございます。それから介護というのは、現時点におきましては、やはりかなりの人手を要しますので、経費面におきましてはかなり高額な経費が必要となる。受益者負担ということでまいりますと、そこら辺の問題をどういうふうな形で見ていくのかということも非常に大きな問題でございます。あれやこれやございますが、ぜもとも今度の浦安に新しく設けます加入者ホームについては、すべてが取り組み可能とは思いませんけれども、少しでも多くのパイロットプランという形で取り組んで、今後の簡易保険の運営のための資料というものも得たい、このような考え方で現在やっておるところでございます。
  136. 平野清

    ○平野清君 この問題だけやっても四十分すぐたっちゃうんですけれども、今のお答えの中でも幾つかぜひお聞きしたいことがあるんですけれども、ちょっと時間がありませんので。  例えば、介護ホームでお医者さんが必要だったり、看護婦さんが必要なのは当たり前なんで、民間でも企業として相当乗り込んできているわけですね。その反面、特別養護老人ホームに入りたい人が二万人も待っているというわけですから、積極的に進めていただいて、官業として皆さんが安心して入れる模範的なものをひとつつくっていただけば、それが民業のホームにも相当なブレーキをかけると思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、税金のことでちょっとお伺いしたいんですが、最近の新聞報道によりますと、政府の税制調査会及び大蔵省では、生保、損保、それからこの簡易保険等の税の控除額を圧縮するなり全廃しようというような考えが盛んに新聞報道に出ておりますけれども、仮に事実としたらどういうお考えでそれをやられようとされているのか、ちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  137. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 生命保険料控除とか、あるいは損害保険料控除とかいったものにつきましては、六十一年の十月に政府税制調査会で抜本答申が出ました。また、去る四月二十八日には中間答申が出されております。  それらの答申におきまして、本制度につきましてどのように考えているかということを申しますと、この制度は昭和二十六年にできた制度でございまして、それ以来かなりの長期間を経過してきている一つの政策税制であると。その加入率も相当の水準に達して最近余り変化が見られないということ、またこれによる減収の規模もかなりの額に達しているというようなことを認識としてまず示しておられます。  その上で、昨年の九月には利子課税制度についての見直しが行われた。また今回、有価証券の譲渡益課税につきましては、現行の原則非課税の制度を原則課税に改めるというようなことにも留意いたしまして、本制度の見直しを行うことが適当であるというふうに答申をちょうだいいたしておるわけでございます。  政府といたしましては、これらの答申の趣旨を踏まえまして、保険料控除のあり方につきまして、その見直しを進めていきたいと思っております。
  138. 平野清

    ○平野清君 今お聞きしていますと、税制で普及を促進する意味がないほど普遍的になってしまった、いわゆる政策減税をやる必要はないというふうに聞こえるわけですね。先ほどの午前中の質疑でも、相良局長さんは、せめてその控除額を十万円ぐらいまで上げてくれることを郵政は望んでいると、ということは一般庶民もそう思うのですね。先ほどの話にもありましたとおり、四十四万円ぐらい保険料を平均納めている、五万円きり控除がない。その五万円さえ少ないと思って、年末調整のあれをやるときに一枚きり張れない、あとの五、六枚は全然無意味だと。そのときの寂しい気持ちというのは、一般の庶民は皆さんそう思うのですが、それをみなし法人とか医師優遇課税とか、そういうものを全部ほっぽっておいて、庶民がささやかに、年末調整のときにたった一枚きり張れないものも、五万円から三万円に落としてしまうというような、片手落ちのいわゆる税制改革のように思うのです。すべてが公平にやられるならそういうことも仕方がないと思いますけれども、その点どうでしょう。まだ決まらないものに文句をつけてもしようがないということになりますけれども、決まってしまってから文句をつけたって何にもならないので、その点もう一度お聞かせいただけますか。
  139. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 今回の中間答申におきましては、税制における公平の確保ということについて非常に重視いたしておりまして、ただいま御指摘をちょうだいいたしましたような項目につきましてもいろいろと議論をいたしております。例えば医師の社会保険診療報酬の課税の特例につきましても、結論といたしましては、これが税負担の公平の観点から見直しを進める必要があるということを答申されているわけでございます。私どもといたしましても、このような税制における公平確保ということの重要性を十分認識いたしまして、今後とも進めてまいりたいと思います。
  140. 平野清

    ○平野清君 大蔵省の方が頑張っても、自民党税調や何かで決められて、法案で通ってしまえばそれっきりなんですけれども、片っ方で一生懸命国民自助努力をしなさい、公的年金のほかに郵便年金その他で一生懸命老後に備えなさいと言っておいて、片っ方でそういうささやかな減税額を切ってしまうということが、どうしてそれが公平につながるのか、私たちはわかりません。  それじゃ、今おっしゃったことが本当なら、みなし法人やそれから医師優遇課税、宗教法人、協同組合、そういうものがきちっとお約束ができたときに初めてこれをやってもらうのが本当だと思うんですけれども、ただ、あなたに今これ言ったってしようがないので、ぜひ庶民の立場で大蔵省としては最後まで頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それでは、ほかの年金、簡保の大きなことについては諸先生からいろいろ御質問ありましたので、私、細かいことを伺います。  まず、外務員の指導についてですけれども、だんだん生保が新しい商品を出してきて、いろいろなところへ入り込んできて、物すごく詳しく説明をいたします。時には、一人落とそうと思ったら、女性軍三人ぐらいでやってまいります。たまに私、家にいたときに、郵便局の方が参りますと、いろいろな質問をします。しますけれども、何か余り税制に対する知識がないんです。それから民間商品と比べることをしますと、全然答えられない人も間々ある。それから、もっと大事なのは、将来の郵便局の簡保・年金をやっている人には、私たちの一般庶民の生活設計コンサルタント的な、いわゆる指導者というか、それぐらいの素養が必要になってくると思うんですよ。そういう点は実際にどういう指導をされておるのか。  それからもう一つは、これは私のところに来た人じゃないんですけれども、忙しいものだから、オートバイで飛んできて、帽子もとらないで、いきなりでかいかばん広げて、今月分いただきに来ました、はい、幾らです、ぽんと判こ押して、はいどうもと。そういう人もいる。中には多分そういう人もいると思いますけれども、そういう接客態度も民間の生保なんかと比べると全然雲泥の差がある。それから、あの大きなかばん何とかならないですかね。がらっとあげて、もう古びたかば んの中から一人一通探すのに、まあいっぱい十人も二十人もの中から、ゴムをほどいてね、あれ、もうちょっと地域別にうまく入るような、それでオートバイにぱっと積めるような、いいかばんでもだれか考案してあげて、いつも決まった真っ黒い帽子と、あのでっかいぼろぼろのかばん持って入ってくるというのは、何か入ってやろうという気がしないのじゃないかと思うんです、OLなんかが見たら。  その点女性職員をもっと外務員に使ったらいいと思うんですけれども、まず簡保・年金関係の女性職員というのは、ほとんどないのじゃないかと思うんですね。それほど苦労して年金・簡保集めるんなら生保へ行って、取引高によってうんと金をもらった方がいいという女性はそっちへ行っちゃうんだろうと思うのだけれども、中には郵便局員となって、ずっと公務員として働けるなら女だって、男女雇用均等時代という今話がありましたけれども、男に負けないぐらい年金・簡保とってやろうという女性だっていると思うんですね。そういう女性の採用、そういうこと今までのと一緒にお答えいただけますか。
  141. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 現在、全国に簡易保険・郵便年金を担当いたします外務のセールスマンが約二万七千名いるわけでございます。平野先生のお目にとまりまして、何かお見苦しいところをお見せしたのが若干名いたのかもしれませんが、大変申しわけないと思います。  ただ、この前私ども某新聞の、大変こういうセールスに詳しい論説委員の方においでいただきましてお話をお聞きしたときに、やはり郵便局というものは、中年のおじさんが額の汗をふきふき、こんにちはと言って入ってきて、いや、きょうは暑いですねと、その姿を見て日本国民というのは安心するんだ、こういうお話もいただきましたわけでございまして、変にスリットの入りましたサイドベンツかなんかのやつを着ますと、かえって何かそぐわないといった御批判もまた別にあるのかもしれないと今お聞きなしながら思ったわけでございます。  しかし、いずれにしましても、外見はまた別といたしまして、中身の方はもちろんこれからの時代でございますから、お客様のニーズに十分おこたえできるような、そういう素養と知識というものを兼ね備えるということが当然のことでございまして、私どももこれらの訓練、あるいは講習会等につきましては随分意な用いておるつもりでございます。コンサルティングセールス法といったようなことも特別に年間何千名という職員にやっておりますし、それから生命保険と税、郵便年金と税、これにつきましても新任業務訓練のときから一生懸命教え込んでおる、こういうことをやっておるわけでございます。なかなかいろんな時代の移り変わりが激しゅうございまして、商品等、特に民間における商品等もいろいろ勉強するのにもいとまがないようなこともございますし、私ども自身の新製品の開発も年に幾つもやっておる状況でございますので、第一線のセールスマン諸君も大変苦労をしておるというふうに思っております。  しかしながら今後は、やはり現在一部実験中でありますけれども、セールスマンが訪問いたします際には、オフィスと連動しております端末機によりまして、いろんなデータをそこで取り出すことができる、お客様の御要望に応じた御説明が直ちにできるような、そういう仕組みも現在実験をいたしておるところでございます。  分厚いかばんといいますのは、いろいろ商品がふえまして、特に男性と女性で保険の料金等が変わるような仕組みを採用して以来、そのための資料あたりも二倍になるといったようなこともございまして、そういう意味ではできるだけ早く端末機の開発ということを成功させたい、このように思っておるわけでございます。今後ともひとつよろしく御指導をお願いいたします。
  142. 平野清

    ○平野清君 時間がないので幾つか一遍にまとめると、何か全部茶化されちゃうみたいだけれども、言っている趣旨は後でよく考えてください。
  143. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 失礼しました。女性外務員についてお尋ねがございました。どうも失念いたしましたが、現在、簡易保険のセールスマンで女性は約五十名全国におります。実際郵便局におきます外務員の職員採用ということで、別に男子、女子ということで何か決めておりませんで、どちらでも応募があれば、かつまた試験に合格をすれば採用いたすというシステムになっておりますけれども、大変残念なことに、郵便局の外務職員に対する女性の応募というのは極めて少のうございまして、そういう意味からも、あるいは今後セールスウーマンという形におきましては何らかの採用について別の方途を検討する、そういうことも必要なのかというふうに現在思っておるところでございます。
  144. 平野清

    ○平野清君 どんどんふやすようにしたらいいと思いますけれども、そのときにはやっぱりユニークな服装を考えてやってくださいね。——いや、それはいいですよ。
  145. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 今年十月一日からは、これは女性ばかりじゃなくて男性も、全国一斉にとはまいりませんけれども、イメージを一新するということで、チェンジしようというふうに思っておりまして、今年十月を期しまして一部地域から、特に都市部の地域から男子、女子職員の制服を新しいものにかえてまいるということで取り組んでおるところでございます。
  146. 平野清

    ○平野清君 よくわかりました。朝から一人で、孤軍奮闘されていましてお気の毒だと思いますけれども、郵便局員の地域との密着性についてちょっとお伺いしてみたいと思うんですが、先ほども出ましたとおり、今後土曜日、日曜日完全閉庁になる。それで土曜日、日曜日にセールスをやろうと思っても、なかなか今のお答えだとやれないような気がします。そういう場合に、地元にソフトボールとか軟式野球とかテニスとかいっぱいあるわけですね。もう十万ぐらいの都市になると、ソフトボールチームだけで七十チームぐらい、野球チームでも五十チームぐらい持っているのがどこにでもあると思うんですが、私、二、三市を調べて野球連盟、ソフトボール協会に問い合わせたら、郵政省で入っているのがないですね、余り。だからそういうところにでも、あれだけの職員かいて、ソフトボール大会、野球大会なんといったら大概日曜日なんですよね。そういうところにも積極的にチーム編成して乗り込んでいって、そういう人たちと親密度を増す。それによってもう一回それを、方々でやっていらっしゃるところもあると思いますけれども、それを市民との接点の場にするとか、いろんなことをお考えになる。  それからもう一つは、一番もったいないのは、何か成人になった、一月十五日に成人になる人だと思うんですけれども、全国で何万といるわけですね。それに対するアピールなんかは、アピールというか、宣伝ということをされているのかどうか。例えば、もう二十になって大人に第一歩踏み入れたんだから、こういう年金というものが非常にあなた方の将来に備えて大事になりますよというふうな、まあ郵便をただで配れるということは会計が違うから、金がかかるかどうか私わかりませんけれども、市役所へ行けば名簿は全部ある、郵便はただで配れる。何かそういうところまで気を配ったセールスポイントがあるような気がするんですが、そういうのはどう思いますか。
  147. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 全国を二万数千の店でカバーをしております郵便局といたしましては、もちろんのこと地域に密着をいたしまして、地域の方々とお互いになじみになりまして、かつまた御信頼いただくということがまず何よりも大事なことだというふうに思います。そういう点から、いろんな郵便局におきまして、先生今おっしゃいましたようなスポーツ大会とか、あるいは文化サークル的なもの、これらの活動というものはかなり活発にやっておるというふうに思っております。  ただ、郵便局で選手を組んで出ていくというよりも、どちらかといいますと、裏方といいますか、そういう催し物をこちらの方で御支援申し上げると、そういうケースが郵便局の場合は多いわけでございまして、昨年度から私ども簡易保険で 特に手がけてみましたのは、全国二十八カ所でやったわけでございますけれども、どうもちょっときざったらしいので言いにくいんでありますが、愛とふれ合いのバザーというものを全国二十八カ所でやりました。東京、大阪等では三万人、四万人の地元中心に多くの方がおいでいただきまして、中山郵政大臣には大阪城の広場で特に御参加をいただいたわけでありますけれども、地元との結びつき、リサイクルといったような点で改めて郵便局を見直したという声も多かったわけでございます。それから、成人の日は、東京では成人の日マラソンということで、特に二十歳になりました男女にペアを組んでいただきまして、マラソン大会をやるといったようなことも実施をいたしましたし、全国でマラソンにつきましても何万人という人の参加があった。こういう点については大いに今後とも意を用いてやってまいりたいと、そのように考えております。
  148. 平野清

    ○平野清君 一生懸命やっていただいておるのはわかりますから、今後もぜひひとつやってください。  例えば郵便局舎なんかを貸したり、お客様サービスルームでもって子供の絵の展覧会とか、写真展とかやっていらっしゃるようですけれども、市民を対象にした簡保・年金を含めた生活設計講座というようなものも、ほかの講座と含めて魅力ある講座でも開かれれば、例えば老人クラブとタイアップするとか、商工会、青年団とタイアップするとか、局舎を使ったそういう講座を開けば随分局に対するイメージも変わってくると思うんで、そういう点もぜひ、いろいろな点で配慮されたらいかがかなと思います。  それでは、がらっと変えまして、簡保の加入限度額についてですけれども、六十一年九月から九年ぶりに最高一千三百万円まで認められましたけれども、長寿社会を生き抜くためにこれではとても足りないと思うんですね。先ほど来この問題出たと思いますけれども、せめて二千万円まで郵政省が音頭をとって猛運動を展開すべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  149. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 昭和五十二年以降ずっと一千万円ということで据え置きでありました限度額につきまして、六十一年九月に十年ぶりに、一定の条件が付されておりますけれども、一千三百万円まで加入ができるような措置となったわけでございます。そのときの政府内部でのいろいろ意識統一といたしまして、この限度額についてはおおむね五年、あるいは消費者物価の騰貴率が一五%程度になるといったようなことをめどにして、改めてそのときの状況によるというようなことを意識統一といいますか、そういうことで千三百万まで引き上げたわけでありまして、一千三百万で簡易保険としてどうかということになりますと、まさにこれは多々ますます弁ずの世界でもございますけれども、今申し上げましたような状況もございますので、今しばらくはこの中でやっていくということになるのかなというふうな感じでございます。
  150. 平野清

    ○平野清君 今度は郵便年金の方ですけれども、契約限度額のアップについては何回も御質問がありました。受け取る最高額が七十二万円、月額六万円ということになっています。国民年金が平均して十万円ぐらいだと思いますし、厚生年金が七万円と仮にしました場合、月額二十三万円にしかならないわけですね。これはほかの先生も何回もおっしゃいましたけれども、これは各自の自助努力によって受け取り金額が当然違ってまいりますけれども、これもう少しアップするのが重要だと思います。ただ、アップすればそれだけ掛金高くなりますし、加入する人もなかなか難しくなりますけれども、二十三万円だったら、大臣が振りまいている夢のハイビジョンは買えないような気がするんですね。だからそういう点で、ハイビジョンが買えるぐらいの限度額に頑張っていただくようにこれはお願いしておきます。  それから加入年齢ですけれども、これも長寿時代に即応して、やはり六十五歳かもしくは七十歳ぐらいまで延長して、今あります十年養老みたいなものをですね、例えば五年養老というようなものも創設したら長寿時代にぴったり合うような気がするんですが、いかがですか。
  151. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 加入年齢、今保険の方の加入年齢を先生おっしゃったんでございますね。年金につきましては今度一時払い、それに即時年金お願いしておる。これが実現の暁には、市場調査の結果、三十代の若い人でも用意があるということもわかりましたので、五歳程度加入年齢の引き下げということをいたしたいと思っておりますし、一時払いでありますれば、最高年齢も七十五歳ぐらいまでは、特に年金でございますので御加入いただいてもよろしいのではないかということで現在検討を進めております。  保険の方につきましても、六十一年から六十五歳という形での加入年齢の引き上げをやったわけでありますが、今先生御提案の、五年の大変短期の養老保険というものは、私どもといたしましては、それは保険という色彩は非常に薄れる、どちらかといいますと、金利選好という点に大きく傾斜をいたしたような商品でありますし、ことしの四月からの税制で、民間が発売をしております一時養老五年以下の期間のものについては分離課税二〇%ということで、いわゆる一般の金融商品と同等の取り扱いの措置がなされておるということともにらみ合わせまして、目下のところそのような短期の保険を手がけるということは慎重にしていくべきではなかろうかというふうに考えております。
  152. 平野清

    ○平野清君 時間ありません。最後に、今総理府の広報問題で大汚職事件が出てきて大分問題になっておりますけれども、その中で郵政がもらっている総理府広報の割合と金額はどのぐらいになっておりますか。
  153. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先生御案内のとおり、政府の広報予算というのは、総理府におきまして大体年間百十数億の予算で政府全般の広報をやるということで、その媒体としてはテレビあるいは新聞、あるいは定期刊行物を各種発行をしているわけでございますが、私どもとしましても、各省同じ立場になるわけでありますが、その中でできるだけ各省としての主張を取り入れてもらいたいということで、いろいろ官房長会議とか、あるいは担当者であるとか、広報責任者が会合するとか、そんな形の中で、あるいは資料をつくったりしまして、ぜひひとつこういうことをお願いしたいということをアピールを重ねておるわけであります。  政府全体として、やはりその年その年の情勢で重点的にやらなければならないこと、しかし同時に、また絶えずやらなければならないこと、いろんな選択をしながら進めていっておられるところでございますが、私どもとしては、ただいま申し上げたような形で事業、あるいは行政とも国民生活に非常にかかわりの強い分野でございますので、できるだけ取り上げてもらうようにということでいろいろやってはいただいているところでございますが、ただ、今申しましたように、非常に広範な媒体に及ぶものですから、なかなかこの比率というのは具体的には出せませんが、例えばテレビで「あまから問答」なんというような三十分番組がございますが、これには去年、就任直後でございましたが、中山大臣も早速出ていただいて、事業、行政全般のPRもしていただいたんですが、その前七月にも前唐沢大臣に出ていただいたというようなことで、結構それなりの頻度で理解をしてもらっているというふうには考えておるところでございますが、大いにこれからそちらの方も欲張っていきたい。ただ私どもも、特別会計の事業の分野はこれとは別途に予算を組んで、ただいま御指摘にありますが、年金のPR等も、あるいは保険のPR等も別途にこれも努力をいたさなければならぬ、こういうふうになっているところでございます。
  154. 平野清

    ○平野清君 いいです。
  155. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  郵便年金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  157. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会