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1988-04-19 第112回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     山田  勇君  四月十四日     辞任         補欠選任      山田  勇君     橋本孝一郎君  四月十五日     選任          陣内 孝雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        防衛庁装備局通        信課長      新貝 正勝君        科学技術庁研究        開発局宇宙企画        課長       青江  茂君    参考人        通信放送衛星        機構理事長    廣瀬  弘君        通信放送衛生        機構理事     大竹 利男君        通信放送衛星        機構理事     木村 悦郎君        宇宙開発事業団        理事       入江 敏行君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本委員会は、委員一名が欠員となっておりましたが、去る四月十五日、新たに当選されました陣内孝雄君が本委員会委員選任されました。(拍手)     ─────────────
  3. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会通信放送衛星機構理事長廣瀬弘君、同機構理事大竹利男君、同木村悦郎君、宇宙開発事業団理事入江敏行君及び同船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、中山郵政大臣から趣旨説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  6. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における無線通信技術の進歩に対処して、宇宙における無線通信普及発達等を図るため、通信放送衛星機構産業投資特別会計出資を受けて行う業務等に関し所要規定の整備を行うとともに、あわせて、通信放送衛星機構役員任期を改める等所要改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、通信衛星の定義を、無線通信を受信してその再送信を行うための無線設備及びこれに附属する設備のみを搭載する人工衛星であって、固定地点からの無線通信を受信して固定地点へその再送信を行うための無線設備を主として搭載するものに改めることとしております。  第二は、通信放送衛星機構理事及び監事の任期を三年から二年に改めることとしております。  第三は、通信放送衛星機構は、その所有に係る放送衛星について通信放送衛星機構の行う業務のうち、政府から衛星所有資金に充てるべきものとしてされた出資に係るものに係る経理であって、当該所有に係る部分については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理するとともに、この勘定において利益を生じたときは、政令で定めるところにより、これを国庫に納付するものとしております。  なお、この法律施行期日は、区分経理等に関する規定については、昭和六十三年十月一日から、通信放送衛星機構役員任期等に関する規定については、公布の日からとしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  7. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 及川一夫

    及川一夫君 まず最初に、言葉使い方とその内容について認識を一致さしておきませんと、混乱をしますんでお聞きしたいんですが、今大臣提案されました前提として、通信放送衛星という、通信放送、それぞれの衛星という意味が含まれているんですけれども、どうも書物を見ますと、衛星放送衛星通信という言葉が出てきてみたり、通信衛星放送衛星というふうな言葉が出てきてみたり、それぞれ私は意味があると自分では思っているんですが、どっちがどういうふうに正しいのか、はっきりしておかなきゃいかぬと思うんですね。  実はここに月刊誌「世界」で、「NHK衛星放送への疑問」と書いてある。ところが論じているのは、今大臣提案をされております放送衛星、それに対する批判的な座談をやっておるんですね。ところが、このタイトルは「衛星放送」と、こうなっているわけです。それで大臣提案通信並びに放送衛星と、こういう使い方をしているんですね。私はわかっているつもりなんですが、書物を見ますと、いろんなものに交互に使われておるものですから、一体何を目的として、何を意識して論じているのかというのがどうも明らかにならない。非常に困ったものだというふうに私は思うんです。したがって、この際、法律改正提案されているわけですから、法律で使っているタイトルが一番本当なんだろうと思いますから、通信衛星とか放送衛星といった場合の意味、それから衛星通信衛星放送といった場合の意味、これをひとつ明確にしていただきたいというふうに思います。
  9. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 及川先生がおっしゃいますとおり、確かにいろいろこの用語が使われる時点における意味合いといいますか、前後の文脈なり、あるいは使っている人のその言葉に込める何といいますか、意味というものによって多様な使われ方をしていることは事実でございます。そしてまた、きょう御審議いただきます通信放送衛星機構法の論議に当たりましては、この点について、しっかりお互いの共通認識を持っておくことも大事でございます。  そういう意味で、私なりに整理させていただきますけれども通信放送衛星機構法で対象としております通信衛星放送衛星というのは、これはその衛星通信衛星として通信の用に供される、通信用のその電波地上から発信されまして、そしてそれを衛星が受けて、そしてまた地上へその通信内容を送る、それが非常にハードウエア的に見ますと大容量の回線、大きな通信量を処理できるような何といいますか、中継器衛星に備えつけているというものでございます。  同じく放送衛星というのは、やはり放送用電波地上から受けまして、そしてそれをまた中継器を介して地上に戻す、この場合、通信衛星と違いまして放送という波が全国日本放送衛星の場合、全国まず大体カバーして電波が発射される、それを直接アンテナで受けてその放送の何といいますか、映像なりを受けとめる、こういう内容だと思います。  で、衛星通信なり衛星放送という場合でございますが、これはそういう通信衛星なり放送衛星を使ってサービスを行う、いろいろ役務を提供する、そういう放送なり通信の仕方、それを地上のマイクロウエーブなりファイバー、ケーブルなどを使ったりした場合とは違って、衛星というメディア、衛星という媒体を使ってそういう通信放送を行う、そういう場合に衛星通信なり衛星放送という使われ方をしているんではないか。大方の意味するところを概略整理いたしますと、そういう内容になるんではないかというふうに考えております。
  10. 及川一夫

    及川一夫君 局長、余り難しいことを言わぬでほしい。国民一般からいえばどっちも同じなんでして、受ける方からいえば。それを区分けするには、確かに専門家の中では必要なことかもしれないなと私は思っているんですよ。つまり、通信とか衛星というのが頭に来た場合と、通信衛星の場合に衛星という言葉が頭に来た場合の違いをはっきりさしておけばいいと。それは宇宙事業団あたりがどういう使い方をするかといったら、衛星通信衛星放送という言葉が割合と多いんですよ、文書なんかを見ましても。ところが、郵政省の方は通信とか衛星というのが頭に出てくるわけですよ。  だから、サービスハードソフトハードと思えばいいだけの話で、宇宙事業団の方はハードでしょう、恐らく。皆さんの方はソフト、こう考えりゃすぱっと割り切れるわけですよ。中身じゃなしに、呼称がその人の認識で勝手に使われている。まだ全然わからずに使っている人もある。私だって、時と場合によれば、あるときには衛星通信と言ってみたり、あるときには放送衛星と言ってみたり、わからずに言っておった段階があるわけですよ。だからこのことはひとつ、ただ国民の方からいえば、衛星通信と言おうと放送衛星と言おうと、通信放送は区分けはせにゃいかぬけれども、どっちにしても、衛星放送放送衛星であれ何であれ、要するに衛星放送に違いはないというふうにしか思っていないわけでしてね。  だから、余りこの辺力こぶを入れて素人が論じ合うと本当におかしくなっちゃう。ですから、ぜひともそういった点は、これから一生懸命、放送衛星の時代が来るということで、皆さんキャンペーンも張られて、大体去年の年末だけで、十五秒ごとに放送衛星放送衛星ってやったやつを何か計算すると、民間のレベルでは五億四千万ぐらいになるそうですからね、広告料が。NHKが使って宣伝しておったでしょう。それほど宣伝をされたわけだから、少し素人わかりのする言葉共通語としてやっぱり使うぐらいの発想がないと議論が弾まないし、またこれに対する関心が高くならない、こんなふうにも思うので、あえて老婆心なんですが、郵政省の方も、また宇宙事業団の方もそういう意味では少し考えていただきたいということを一点申し上げておきたいと思います。  そこで、衛星放送という言い方をするんですが、この衛星放送BS2a、b、これが障害を起こして、今予備機に切りかえられて放映がされているわけですが、その後のBS関係放送衛星はどういう状態か、五年間なら五年間、寿命が来るまで現状維持というものができるのかどうか、現状についてひとつ教えていただきたいというふうに思います。
  11. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 放送衛星でございますが、BS2b、現在2aがちょっと中継器二つほどぐあいが悪かったものですから、2bを使って衛星放送をやっているところでございます。  2bにつきましては、もう先生毎度御心配かけて申しわけなく思っておりますけれども、六十一年の六月に姿勢制御系中央処理装置、いわゆるCPUと言っておりますが、中央処理装置A系統に異常が生じました後、昨年末以来テレメトリーエンコーダー、これはいろいろその衛星のデータを送ってくるものでございますが、それと二次推進系温度制御用サーモスタット、この二つの異常が発生したわけでございますが、それぞれ冗長系予備系に切りかえましたり、あるいは手動に切りかえましたりして、その後順調に放送を維持しているところでございます。また、打ち上げ以来五回、いわゆる食期間といいまして、衛星が陰に隠れる、ああいう時期があったわけでございますが、何ら問題は生じておりません。  現在までのところ、BS2bによる二チャンネル放送の実施に申し上げました状況で特段の問題はないと判断しております。おっしゃるとおり寿命期間、こういった状態で、私ども放送に支障のないような状態で運行されることを祈っている次第でございます。
  12. 及川一夫

    及川一夫君 まあ祈っているわけですから、祈りが実らぬときには故障が起こるということにつながるわけですが、そこで問題なのは、当時故障が起きたときに、原因は何かとこうお尋ねしたときに、検討中、調査中というお話でして、なぜ一体故障が起きたかということは必ずしも明らかにされてないんですが、かなり時間もたっています し、しかも祈るという前提ではあるけれども五年間大丈夫だと、こういうふうにおっしゃるわけですから、その原因について大体解明ができているのではないかというふうに思うので、それをお知らせ願いたいと思います。
  13. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) テレメトリーエンコーダーでございますけれども、これにつきましては、私ども承っておるところによりますと、現在、宇宙開発委員会においてこの異常原因について調査いたしております。同じくこの三月に生じました、先ほど申し上げましたサーモスタット不安定動作、これも宇宙開発委員会において調査しております。こういった次第でございまして、私どもこの調査結果を待ってこれからのまた事故防止に資したいというふうに考えておる状況でございます。
  14. 及川一夫

    及川一夫君 いや、局長専門家だと私は思っていませんからね、その程度のお話なら聞く必要ないんですよ。どういうふうに何が一体原因だったのかと、その原因そのものについて、開発事業団の方おいでになりますから、ちょっとお聞きしたいと思います。
  15. 船川謙司

    参考人船川謙司君) それでは、BS2b大変皆様に御心配かけておりますが、一番初めに起こりました問題は、ただいま局長から申し上げましたように、姿勢制御電子装置CPUと称しまして、いわゆるコンピューターに当たるところでございますが、これにつきましては、大体宇宙開発委員会の方でもいろいろ御審議願いまして結論が出されております。  これは中央処理装置の中の読み出し専用メモリーがございまして、そういう半導体メモリーでございますが、そこに読み出すときに電力を供給する電力制御用回路というのがございまして、これも半導体ICなんかでできた回路でございますが、そこの中の部品がどうも故障したらしいというところまでは突きとめられたんでございますが、そこから先はなかなか、もう既に上がってしまったものでございますので、そこから先の突きとめというのは非常に難しいということで、その範囲までしかわかっておりません。ただし、これにつきましては、BS2aでも同じような回路を使い、またBS2bも御承知のとおり切りかえましてからずっと故障を起こしておりませんで、同様のものが非常に宇宙実績がほかの衛星にもございまして、我々の方としましては、今まで乗り越えてこられましたので、余り心配することは多分ないんじゃないかというふうに考えております。  それから、最近になって起きましたテレメトリーエンコーダーのことでございますが、これにつきましても現在宇宙開発委員会の方で、これは第四部会と申しまして、いろいろ故障原因調査のところで今御審議願っているところでございますが、大体の範囲は、これ実際の運用は機構の方でおやりになっておりますので、機構の方あるいはNHKさんの方と協力しまして、いろいろ原因追及をやっておりまして、大体の範囲は突きとめられて、そのことにつきまして今いろいろ審議願っているところでございますが、なかなかこれも宇宙に上がっておりまして、手にとって調べるというわけにはいきませんので、ピンポイントすることはやはり多分難しいんじゃないかと思いますが、鋭意ピンポイントできるようにまだ探求を続けているところでございます。  それから、もう一つサーモスタットでございますが、これは温度調整のために軌道制御等に使います二次推進系燃料が凍らないようにサーモスタットで自動的に温めているわけでございますが、それのサーモスタットがどうもときどきぐあいが悪くなるというようなこともございまして、これは機構の方でいろいろ運用されるときに、A系統ぐあい悪くてB系統にして、それがぐあい悪くてまた手動にしたというようなことがあったわけでございますが、これにつきましても現在第四部会で御審議願っているところでございますが、これは比較的余り、このために衛星が悪くなるとか、そういう大きな問題になることはまずないだろうというふうに関係者の意見は一致しております。これも相当衛星としては実績のあるものを使っているわけでございますが、残念ながらたまたまそういうものがどうもまじり込んだんじゃないかというふうに考えております。  大体以上でございます。
  16. 及川一夫

    及川一夫君 上がってしまったものだから地上にある機械とは違う、それはそうですわね。それだけにまたこれは金がかかる問題ですから、どうしてもある意味じゃ慎重にやらなきゃいかぬということにもなるんですが、問題は、原因がわかれば、それ自体を次の段階に生かしていくというのが常識ですわね。したがって、大体範囲はわかったというところまではおっしゃられたわけですが、さらにBS3というものを打ち上げるに当たって、そういうものが生かされていかなきゃいかぬというふうに思うんですけれども、とりわけ今回の問題は、BS2東芝で、今回のBS3は日本電気というふうに仕事をされる方がかわっていますよね。  企業競争の厳しさとか、こういう技術というのはなかなか企業秘密みたいな話があって、あるということになりますと、相互の胸襟を開いたような事故原因、それを直すための、またそれを二度と繰り返さないための技術上の相談とかいうのが一体どうなっているのかなと。抜け目なくまた慎重に対応されているんだから、当然のこととしてそれは連絡し合ってやっているんだろうというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
  17. 船川謙司

    参考人船川謙司君) BS2のいろいろな発生しました故障の問題につきましては、事業団、それから当時の東芝が一致協力して原因探求したわけでございますが、これにつきましては、おかげさまで本当に何といいますか、どうしてもわからないことは残念ながら残ったわけですけれども、できるだけの手段は講じまして、例えば一番大きな問題になりましたTWTが途中でだめになった、進行波管が途中でだめになったというようなことにつきましても、そういうやつに対してはこの次どういうふうな試験をしたらいいかという方法が確立しましたので、この次のBS3に対しましては、これ日本電気の方でやっておるわけでございますが、そういう進行波管テスト方法にはBS2で得ました体験を入れまして、今度はもう本当に食を何回も模擬した、先ほどお話ございました食を、食期間は非常に温度上がり下がりがひどくて、衛星にとっては非常にひどい、苦しい環境になるわけですけれども、それを模擬する試験を十分行うというようなことをメーカーの方にやらせておりまして、そういう体験はフルにBS3の方に我々としましては生かすように指導していると自信を持って言えると思っております。
  18. 及川一夫

    及川一夫君 もう一つお伺いしたいのは、衛星寿命ですよね。BS2の方は五年で、これから打ち上げるのは七年であると。その決定的な違いというのは燃料、こういうふうにお聞きしているんですが、開発途上にあるわけですからなかなか思ったとおり、一、二の三でいくわけにいかないということはよくわかるんですけれども放送衛星サービス開始ということが口にされるような時期に来ているだけに、どうしても頭の中をよぎるのは、一体これはペイをするのかということを考えなきゃいかぬ。とりわけNHKというものが中心になってそれらを担当する、またやっていくということになりますと、どうしても五年、七年という寿命の問題とかかった開発費、あるいはかかるであろう開発費、これらを意識せずにはおられない。それを意識しないで、オープンについて結構でございますというふうには、なかなかこれは政治家といえどもそう軽々に言えるものじゃないなあと思うんですね。  したがって、そういう観点から少しお伺いしたいんですが、まず、NHKの方においでいただきましたけれども、これまでかかった、大ざっぱで結構なんですけれども、この放送衛星開発にかかった総体の金と、その中におけるNHK負担NHK自体ではそれをどういう形で償還といいますか、減価償却の問題を含めた償還計画、あるい は金利の問題などもあると思うんですが、大ざっぱで結構ですから簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  19. 林乙也

    参考人林乙也君) まず、放送衛星につきましての建設費総額でございますが、五十五年度から六十一年度までに放送衛星二号、BS2に対しまして投じました建設費が三百五十一億でございまして、また放送衛星三号に六十年度から六十三年度までに投じました建設費が百十五億でございます。そのほか地上施設といたしまして、五十七年度から六十三年度までに六十三億ほどの施設を建設いたしております。総計いたしますと、衛星関係建設費は、五十五年度から現在まで五百三十億というのがNHKで投じました建設費でございます。  これにつきましては、御案内のように、放送衛星二号につきましては、国の開発費としての負担を四〇%、NHKが六〇%負担いたしております。また三号につきましては、国におきまして三五%の御負担をいただき、残りの六五%をNHKが三分の二、また日本衛星放送株式会社が三分の一ということで負担をしてまいっておるわけでございますが、今回の機構法改正に伴います措置によりまして、さらにNHKの六五%の三分の二、すなわち四三%が三九%にまで軽減されるということに相なるわけでございます。  また、この建設費資金でございますけれども、これにつきましては、各年度の資金計画におきまして、自己資金とそれから外部資金によって賄っております。自己資金のほとんど大部分減価償却費でございまして、また外部資金放送債券長期借入金でございます。衛星につきましての特別に区分いたしました資金計画に相なっておりませんで、建設費計画全体の資金計画によって賄っております。全体といたしましては、現在まで大体平均いたしまして、自己資金が七〇%、それから外部資金が三〇%ということになっておりまして、その案分で放送衛星関係の建設費外部資金の金利を仮に計算いたしますと、五十五年度から六十三年度まで約四十五億円という計算が出てまいるところでございます。
  20. 及川一夫

    及川一夫君 要するに大ざっぱな話、NHKは今まで五百三十億投資をしてきているというふうに理解をし、金利が四十五億ということですから五百七十億、恐らくBS3打ち上げ完了まで含めれば七百億は超えるという形ですね。その間一銭も要するに収入がないわけですね、放送衛星からは。今は試験やっておるわけですから、だからお金はもう出しっ放しになっておるわけで、このままにしておけば金利がどんどんかさんでいくというわけですから、これは三千五百億のNHKの年間予算というものに比べますと二〇%強、いわば支出負担をしていると。大ざっぱな話ですけれども、そのような形になると思うんですが、そういう理解でよろしいですか。
  21. 林乙也

    参考人林乙也君) 年度を通算してのことでございますので、累積額と単年度の事業規模につきまして直接比較はできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、NHKの事業予算に占める衛星放送関係の経費というものが相当の負担になっておることは御指摘のとおりでございます。
  22. 及川一夫

    及川一夫君 そこで、これは局長、また大臣の感想も聞きたいと思うんですけれども、我が国が国際化という課題にいろんな面で対応しなきゃいけないということを考えますと、技術開発の面でも基礎素材のことがいろいろいわれているように、何らかの面で世界に先駆けて、失敗をいとわずに投資をすることも国際化の中の我が国の対応の一つであることは私も認めるわけなんですが、そういう前提に立ちつつもこの放送衛星、我が国だけが一応成功したような形になって試験放送をやっている。しかし、アメリカではやらない、イギリスでもやってない、西ドイツは失敗した、こういう形のものなんですね。しかもその理由が気になるんですけれども、あれだけテレビジョンが発達しているアメリカで、費用効果の面からいったら放送衛星は引き合わないと、こういうふうに言っているわけですね。それでむしろ通信衛星を使ってのCATV、これで十分と、こういう発想でアメリカではおられるというわけです。そしてイギリスでは、BBCが受信料をとってまでやるべきものではないと、国も金は出さぬと、こういうことをはっきりいわれて実はいるわけであります。ドイツの場合には我が国と同じように打ち上げをしたんですが、問題にならないくらい失敗してしもうて、それこそ予定した四チャンネルが危ないというふうにいわれている状況にあるようですが、しかし、西ドイツとしては国策としてどうしてもやりたい、こういうことで方針は捨ててない、こういう状況にあるんだというんですね。  他国が失敗したり、やめているからやめろとは私は言いません。しかし、我が国も振り返ってみるならば、今NHKの専務がおっしゃられましたように、大変な金がかかっているわけでありまして、しかも全く今のところは収入がないわけですから、これは収入を取り返す、収入としてこの開発費を取り返すということを考えてみても、果たして今何年先に取り返せるかなんということは、いかに郵政大臣優秀であっても、僕は断定はできないと思う。時と場合によれば、祈る気持ちでおるという、そこだけをつかまえれば、大失敗に終わっちまうということだって実は考えられるわけですよね。  ですから、そういった点では私は、もうある意味では腹を決めてかからなきゃいかぬという側面を持っているというふうに思うんですが、そういう世界の状況と、今立たされている放送衛星の立場と、それから今後に対する決意といいますか、そういうものは局長どうですか、どんな思いですか。あなた二年ぐらいでおやめになるからという前提で答えてはだめですよ。続いていくということを前提に答えてください。
  23. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 諸外国におきます放送衛星状況及川先生お話しいただいたとおりでございまして、西ドイツが私ども大いに注目しているところでございますけれども、TV・Satlですか、これがちょっと失敗したということで、TV・Sat2について、いろいろ障害を早期に解決して打ち上げるように検討中というふうに承っているところでございます。アメリカの状況は、まさに先生の今おっしゃったとおりでございます。  そこで、日本がどういうふうにこれから持っていったらいいかということでございますけれども、確かに私、これ考えまするに、BS2、いろいろふぐあいが生じまして、今日動いているわけでございますけれども、やはり技術的に克服できるもの、再発の防げるもの、これは何としてでも原因を究明した上で再発を防止する。一つは、技術的におよそ回避できるものは何とか回避できて、やはり万全を期して上げていく。先ほど事業団からありましたように、BS3にBS2の教訓を反映して、同じようなことは避けるように手を打ったという報告がございましたけれども、そちらの方向でいくということがやはり基本ではないかと考えるわけでございます。  ただ、それを取り巻くいろいろな状況、特にそういう例えばNHKのようなユーザーが危険負担をするということについて、そういう条件をどういうふうにこれから検討していったらいいかということも、やはりあわせて私ども考えなければいかぬわけでございます。つまり、いろいろ手を尽くしても起こり得る状態、それを次善の策といいますか、そういったことが起きた場合の回避策というものも、やはりこれは人間社会の知恵として考えなきゃいかぬと思いますので、BS3は現在そういったことで技術的に万全を期して、六十五年、六十六年の打ち上げを期したいと思っておりますが、やはりそれ以降の放送衛星技術的な側面はもとより、そういったリスク負担をどういうふうにしていくかという問題は、やはりあわせて検討していかなきゃいかぬ。技術的なものとそういった社会的な、制度的な保証、両方あわせ検討して、やはり日本が世界よりいささかリードして進めましたこの放送衛星というもののこれまでせ っかく得た技術的なノーハウ、いろいろな経験もやはり大事にして、将来の宇宙時代に備えていく必要もあるんではないかと考える次第でございます。
  24. 及川一夫

    及川一夫君 私も別にやめろと言っているわけじゃないんで、やめてはいかぬ、やり抜かにゃいかぬという前提なんだが、いろいろと物を考えるに当たって、浮わついた考え方じゃこれは私は大変なことになるという気持ちなんですよ。まだまだ成功の見通しが完全についたというものじゃないんじゃないか、そういう前提に立って、やっぱりある一定の緊張感を持って対応するというふうになりませんといけないんじゃないか。私は、今度のこの衛星機構法律改正という問題があるんですが、これ自体を通して見ても、何かそこに何となく浮わついたものを感ずるものですから、あえて問題意識を持ってもらいたいということで指摘をしたつもりなんですがね。  私は一つの緊張感を持っていかないと大変ではないかという気持ちがあるということを申し上げて、同時に、どうもNHK負担が非常に多いという感じがしてしようがないんですよね。ですから一つ聞きたいのは、いろいろと開発費について負担をしてきていますね。国が負担をしたり、NHK日本衛星放送株式会社負担をしたり、今度は衛星機構が入ってくるんだというお話もあったんですけれども、一体この負担割合というのは、根拠的に見て一体どういうことでこの負担割合というものを決めたんでしょうか、それをまず聞いておきたいと思う。
  25. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) BS、これはちょっと経過をたどりますと、まず本当の実験用ということで五十三年に打ち上げましたBS号、これは全部あくまで開発、実験用開発ということで国が負担して上げたわけでございます。BS2は、これはユーザーでありますNHKが六割、それから開発を担当しておりますNASDA、宇宙開発事業団が、国が四割ということで分担しました。BS3は、NHK及びJSBが六五%、NASDAが三五%、当初そういう割合で、七十五億円が入りましたので、それが五九%と三二%という割合になるわけでございますけれども、基本的な考え方としては、この放送衛星を進めるに当たりまして、国として必要な自主技術、外国の衛星に頼らないで、日本もみずから衛星を開発して打ち上げていこうという、そういう自主技術の開発、それと、それを実際に上げて放送なり通信なりという実用、実際の用途に供するという、そういう実用に供するという両方の要素を持った衛星ということできましたので、その辺を両者で分け合ったのが実態でございます。この割合が四、六、ないしは三五対六五ということになりましたものでございますけれども、これは開発の要素ですとか、実用の広がりといいますか、実用がどの程度あるかというようなこと、あるいは国家財政なども勘案しながら、ちょっと私、パーセンテージと割合とをさっき混同しましたけれどもBS2の場合が四対六、それからBS3の場合は、三・五対六・五というような割合になったというふうに聞いております。
  26. 及川一夫

    及川一夫君 根拠的なものは要するにないんでしょう。口が悪いから許してもらいたいけれども、極端に言えば、つかみ金みたいなものだと私は言わざるを得ないと思うんですよ。ただ、それにはちょっと理由があったように思いますね。難視聴問題を解決するというのが衛星を打ち上げる一番先の発火点でしょう。その限りではこの放送法の中に、NHKはあまねく公平に、みんなに見えるように、聞こえるようにせにゃいかぬという法律がある。したがって、それを解決するためにどうするかということになったら、どうも衛星の方が安いようだからといって、こっちの方に手をつけたわけでしょうが。ところが、現実の問題としては、衛星が上がる前に相当この難視聴問題を解決してしまったと。そこで打ち上げた、開発費を投じてきたそれをどうするんだという議論から、どうもこの委員会などでも、新しい商品開発を衛星というものを通じてやるべきじゃないかというふうに走っていっているんですよね。  だから当初の目的から言うと、難視聴問題だけならNHKが中心になって、視聴者が相応の分担をして、そしてみんなが見られるようにしようということは筋が通るんですけれども、今度は衛星を通していろんなサービスをやろうということになってくると、やや趣が違ってくるんですね。しかも日本衛星放送株式会社というものがそれに参加をしていく。しかも今度、衛星機構までが何か参加をしていくような内容になっているわけですよ。そうすると、NHKだけが大きく負担をするというのは一体どういうわけだと。  NHKというと、川原さんを思い出すんだけれども、別に僕は川原さんが気の毒だと思って言っているんじゃないんですよ。NHKには受信料払っているわけですからね、みんな、テレビ持っている人は。その人たちの受信料で、そしてまた衛星放送が始まると、それに受信料をプラスすれば、またそれを負担せにゃいかぬということでしょう。だから負担割合、負担割合というけれども、とにかく視聴者に多く多くというふうにいくのか、軽くいくのか、一体ここはどうなんだということをもう一度僕は問い直すべきではないかという気がしてならないわけです。もちろん、これはもう六十三年度のやつは決めていることですから、それをどうこうしようとは言いませんけれども、しかし、これから六十六年に向けて、あるいはまた、BS4という話ももうそろそろ出ているというようなこともちょっと耳にするわけですよ。それはそうですわね、五年、七年の話ですからね。だから十年先のことを考えると、それだっていろいろ考えなきゃいかぬじゃないかというような議論が出てくるわけですわな。だからそういう意味合いで、ぜひこれは郵政大臣大臣がおられるうちにどうこうなるかどうか知りませんけれども、少し視点を変えて放送衛星問題、これからの開発についても考えてみるべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  27. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) お話伺っておりまして情報は高くつくという、これからの時代の議論が先生によって起こされているなという気がするわけでございます。  特に日本は、この間も今度四月一日から名前を変えていただきました通信総合研究所へ行きましたが、電波で太平洋プレートを監視していますと、ハワイが日本の方に毎年九センチずつ近づいてきていると。大変な地震国の、太平洋プレートの上にマグマが日本列島の下へ入り込む。それがある一定の周期でもとへはね返る。そのときに大地震が起こる。予算委員会で伺っておりましたら、千二百年の間に七十回の地震が起こっているという話を、この間答弁されるのを聞いておりましたわけでございます。  難視聴解消という、いわゆる公共放送としてのNHKが、あまねく日本列島二千八百キロ、三十七万平方キロの中に住まいをしていらっしゃる方に危険をいかに知らせるか。公共放送として負担率が大きいというのは、私はその辺に意味があるんではないかと思いますし、確かにこの間、CS3aをお打ち上げになりました後の皆さんが成功を祝っていらっしゃるちょうど当日に私、筑波にお邪魔をすることになりまして、次に用意されておりますCS3bの方を、今組み立てていらっしゃるところを見せていただきました。まずもう恐ろしい精密機械という印象を深くしたわけでございます。  NTT武蔵野通信研究所で私はICのネクタイピンを記念にいただきましたが、その一つのネクタイピンの中のICが、かつて私どもが電蓄、電気蓄音機なんて言っていた時代の真空管二十万個に匹敵するそうでございます。ですから、カフスボタンとネクタイピンとを総合しますと、六十万個の真空管を私抱えて歩いていることと同じことになるという、時代の隔世の感を深くしたわけでございますが、その意味でこれからの日本がアメリカのように、かつて地球が大変革をしたときにも動かなかった大陸の上に住んでいる国と、日本のように光ファイバーを隅々まで引きましても、 大地震でもあればこれはもう寸断されるわけでございます。そのときは、空間からおりてくる情報というものが日本列島にあまねく行き渡るということは大変価値のあることではないか。それが同じように、その大陸の両側にありますドイツと日本、これ考えてみると、ドイツが失敗をして日本が成功をしているということは日本技術者、そしてそういうものを担当していらっしゃる方々の大変な御研さん、その努力に私はもう大きな評価をしたいというふうに考えておりますので、これからの情報化社会に先行投資をする。日本は下水や道路、そんなものは大変諸外国に比べて社会資本の投入がおくれておりますが、情報だけでは世界におくれることがないようにという私は気既が認識されまして、ある種日本人としての誇りを感じておる、そんな状況でございます。
  28. 及川一夫

    及川一夫君 大臣居眠りされているとは思いませんけれども、私が大臣にお伺いしたのとはちょっと外れて御答弁が、見識のほどは重々お伺いしておきますけれども、要するに負担の話ですよ。これを成功させるために負担というものを考えたときに、視聴者とか受信料を払っている人にちょっと多くかけ過ぎているんじゃないかと。当初の目的からいえば難視聴どころじゃない、大変なこれは商売をやろうという、そういうものに変わってきているということを考えると、これまでのものだって僕は言いたいんですよ、本当は。だけど、今ころっと変えるわけにいかないからだけれども、これから先もあり得るんですね、これ。打ち上げる話は。それだけに少し考えてみたらどうかということを、ぜひ大臣にも考えてもらいたいということを要請しておきます。  時間の関係もありますから、本体の方に私の質問を移したいと思います。  まず、通信放送衛星機構というものの役割と任務というのは一体どういうものなんですか。改めてちょっとお聞きしておきたいと思います。
  29. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 通信放送衛星機構の役割でございますが、端的に申し上げまして、通信衛星あるいは放送衛星の打ち上げ、これを例えば通信衛星の場合NTT、あるいは放送衛星の場合NHKなど利用者からその打ち上げを受託、打ち上げてくださいよという仕事を頼まれまして、そしてそれを宇宙開発事業団に打ち上げてくださいなと再委託する、こういう仕事。それから、打ち上がっております通信衛星なり放送衛星がちゃんと軌道に乗って順調に動いているかどうか、それを管制するといいますか、後をフォローして十分にその機能を果たしているかどうかをチェックする、そういうような仕事が主たる仕事でございます。
  30. 及川一夫

    及川一夫君 放送衛星実現のためのハードを中心にした仕事と、それから維持管理といいますか、そういうものだと私も思います。  そこで、そういった衛星機構がなぜ今回中継器一つ持たねばならないのか。確かにハイビジョン専用のものとして衛星機構中継器を持つ、所有する。そこで七十五億という話が出てくるわけですが、なぜそうしなければいけないんですかと。しかも、予備機中継器を持つというわけでしょう。本体の方の三本は、NHKが二本で一本は日本衛星放送株式会社、こうなっているんですね。予備機というのはあくまで予備なんでしてね、これ。現実にBS2故障が起きて予備機に切りかえざるを得なかった。予備機がなかったら一体どないになるんだ、今どうなっているだろうということになるわけでしょう。  しかも、このハイビジョンの専用チャンネルということで確保するそうですが、それは別に衛星機構ソフトの面まで含めて運用するということではないようですね。何か民間会社をお集めになる。民間会社が、会社がつくられて、そこが使いたいというとき貸してあげると、こういうことが前提になっているようなんですが、当然そこには契約ということが成立しますね。ところが本体の方が、NHKさんと日本衛星放送株式会社の使っている中継器が仮に障害が起きたということになったときに、今度は予備機がまともに使えないということになるし、使うには契約をした、そのハイビジョン関係の会社に使用をストップしなきゃいかぬと、こういう事態も出てくるわけでしょう。一体何で、そんなことまで予測できるのに、あえてこの衛星機構の役割、任務、先ほど局長が言った意味で決まっているのに、別に法律改正はしてないようだけれども、運用で変えるのかどうか知りませんが、中継器を持つということ、そこまでなぜしなきゃいかぬのか、これがようわからぬのです。そんなことやったら、かえって契約違反とか、あるいはNHKにしたって日本衛星放送株式会社にしたって、ユーザーとの関係では大変な問題が起こるんじゃないか、そうなればですよ。容易に想像できるわけでしょう。それなのにあえてハイビジョンの専用回線を衛星機構がなぜ持たなきゃいかぬのか、これわかりません。どういうわけですか。NHKの方、結構です。
  31. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) ただいま及川先生機構がなぜトランスポンダーを持つのか、機構がトランスポンダーを所有することに伴う予想されるいろいろな問題点をいみじくも御指摘されまして、私どもそういう問題それぞれについて対応しなきゃいかぬというふうに考えております。  ポイントは、なぜそういう問題がありながら、それを予期した上で機構があえてトラポンを持つのかということでございます。これはやはり私どもハイビジョンという新しい、しかも非常にこれから時代にマッチして、人たちに喜ばれるそういう映像、高度な映像を送れる、そういうものを何とか普及していこう。技術的にも未知のこれからいろいろやらなきゃならないことも多うございますし、それだけにまたリスクといいますか、衛星自体とは違ったいろいろな開発をしなきゃならない。それがうまくいかない場合の予想される状態、いろいろリスクもあるわけで、そういうものもやはり承知の上でハイビジョンというものを普及していきたい。ではそれをやるのには、現在放送衛星の三号で、a、bそれぞれ、これは及川先生御承知のとおり、中継器が三、それについての予備機それぞれ三つ備えた上で、bについても三、予備系が三ございまして、主系としては六本トランスポンダーあるわけでございます。  放送衛星自体についていろいろやばいところがあるのに、何でそういうことをというお尋ねもあろうかと思いますけれども、もしこれが正常の状態で、a、bともに上がっているとすれば、bについてはaというものの予備的な役割を果たしながら、その予備的な役割が必要でない場合にはやはり使えるわけでございます。いわばそういう使用可能な状態にあるbの予備機一つ使って、それじゃ、ハイビジョンというものの普及のためのいろいろな試験放送をやってみようじゃないかということでございます。  じゃ、それをなぜ機構がやるかということでございますが、やはりこれは認可法人ということで、郵政大臣の認可を受けてできました公正中立な機関であるということで、これからどうなるかわからない一つのハイビジョン放送というものを手がけるのにふさわしい性格を持った機関ではないかというふうに考えるわけでございます。かてて加えて、これまで通信放送衛星機構通信衛星なり放送衛星なりの取りまとめをして、委託をして、そういったことについての運用も含めた技術を持っており、ノーハウを持っておりますので、ハイビジョンについて、そういう新しいことをやるのにもふさわしいんではないか、そういったところで、この通信放送衛星機構にハイビジョンの普及のためのトランスポンダーを持たせるということでございます。  ちなみに、現行法の解釈としては、現在までのところ通信放送衛星機構は、自分でトランスポンダーを持つ形態ではございませんが、法律は、それは持ってはいけないという規定はしておりません。持ってもいいし持たないでもいい。持った場合については、自分の持ち分をやはりNHKやJSBと同様に事業団に打ち上げを委託するという格好になります。参考までにちょっとその辺も触れさせていただきました。
  32. 及川一夫

    及川一夫君 いや局長ね、あなたすらすらとそうやって答えているけれども、僕は大変な発言だと思いますよ。だって一体、開発費一つ見たって、どのぐらいかかるんですか。BS2を見たって五百八十億ぐらいかかっているんでしょう。それは予備機を含めてですよ、これ。そんなに、あなたみたいに予備機が必要でないような発想なら、何も予備機なんか上げなきゃ半分で済むんじゃないですか。機械的にも半分で済むんじゃないですか。二百六十億とか、高くいっても三百億でいくと。それだけ負担減りますよ。それと同時に、あなたのような発想でしたら、料金の決め方だって、コストに物すごい影響しますよ、これ。しないんですか、これ。七百八十億かかるという場合のコストと、五百億で済みますという場合の料金としてのコスト、これは違うんですか、違わないんですか。  そういうふうに考えていきますと、やっぱり宇宙にぶち上げる話なんで、宇宙開発事業団の方もおっしゃっているように、上げてしまった以上、故障が起きても手でつかむわけにいかないと、だから断定的に物が言えないということを盛んに言われておるわけでしょう。だから、物の用に供するためにはどうしても予備機を上げたいということで一緒に上げているんじゃないですか。それを勝手に空き線があるから、地上の空き線があると同じような意味で使ってしまえみたいな、そういうことで、しかも衛星機構にこれをやらせるという、持つというのはどう考えても理屈が合わないし、何を考えているのかなと。そんなに簡単なことなのかと、これ。宇宙に上げる話というのはね。しかも民間の契約というのは、もう厳しいものでしょう、これ、契約違反が行われたら。大体もともと、これは宇宙開発事業団に文句言うわけじゃないけれども、障害が起きてしまって、保険かけた、かけないから始まって、こんなもの引き取る、とれないというような、そういう話まであった問題でしょう、これ。それを今何となく安定しているからといって、次上げるやつも安定するという前提で、しかもハイビジョンの専用チャンネルとして予備回線、予備からとるというのは、私はどうしてもこれは納得いかないですな、これ。答えてください。
  33. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) あるいは私、及川先生が先ほどから戒めになっておられる浮わついた何かニュアンスがあったかもしれませんけれども、決してそういう意味合いではございませんで、BS3bのトランスポンダーを一つ機構所有して、そしてそれでハイビジョンをやるということの意味は、予備機としての役割を果たして、そしてその上で行うということでございます。3aが三つトランスポンダーを持っておりまして、これが2aと違うところでございますが、bについても同様でございますけれどもBS2の場合にはa、bという二つ中継器があって、それについて予備機一つということであったわけでございます。  BS3になりますと、a、b、cという中継器が三つありまして、それぞれについて予備系、何といいますか、予備の冗長系のものがついております。3bにつきましても、a、b、cという主系がございまして、それぞれについて三つの予備機がある。そういうわけで、それぞれについての中継器の予備をとったということで万全を期しているわけでございますし、そのほか2について生じたふぐあいの防止にもということで、その上で、じゃbの予備機の一台を使ってハイビジョンをやったらどうかということでございまして、何といいますか、予備機ということの機能を考えた上で、予備機としての働きもできる上でこういうことができるんではないかということで、こういう提案を申し上げた次第でございます。
  34. 及川一夫

    及川一夫君 どうも局長、いよいよやっぱりわからないですよ。一対一、三対三でしょう、予備機と本体の関係は。間違いないですよ。それで本体の方が、三本のうち二本だけ故障起きて、一本は絶対起きないなんということはあり得ないでしょう、これ。三本、一、二の三になるかもしれませんよ。だって姿勢制御装置一つが狂ったって、これは全部パアでしょう、中継器が何ぼよくったってね。だから中継器だけじゃないですわな。姿勢制御装置まで含めて考えたらいろいろ出てくるわけですよ、これ。まあ姿勢制御装置の場合、手動でやるという方式があるということは聞いていますけれどもね。しかしどっちにしても、三本に対して三本の予備機であることは間違いないですな、これ。だから、そのうちの一本でも予備機を使っていて、三本パアになればどっらかとめなければいかぬわけでしょう、これ。予備機の方をですね。だから、そういうふうに考えると、今のような御説明じゃどうも私は納得できない。  と同時に、行政改革に関する当面の実施方針というのがありまして、五十九年の一月二十五日閣議決定というのがありますね。ここでは「特殊法人等の民間法人化」ということがありまして、「通信放送衛星機構については、宇宙通信政策や公衆電気通信事業等の今後の推移及び利用者保護にも配意しつつ、民間資金の円滑な導入等経営基盤の安定化等を図り、民間法人化するための条件整備を進める。」と、こう書いてある。これの一環なんでしょう。行政改革の一環と違いますか、これ。民間化することを想定した場合に、何々をというのがやっぱりあるんじゃないですか。そうじゃないんですか、これ。
  35. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) これは民間法人化しろという宿題を政府としていただいていることは事実でございます。五十九年の行革大綱では、民間法人化の条件整備を図ることということでございます。今回産役から出資を受けて、トラポンを所有するということも、いわばこれまで打ち上げを委託したり、あるいは管制をしたりという、そういう業務だけに限られていた衛星機構が、こういう仕事を持つということによって将来のまた経営基盤の安定にもつながるということになりますと、その経営基盤の安定性をもって、やはり民間法人化する場合の一つの条件ができたということにもなるわけでございます。  そういう意味合いもございますけれども、やはりこれは同時に、中立なノーハウを有する機関がこのトランスポンダーを持って、そしてそれをハイビジョン放送をしたいという放送事業者に貸す。なかなか自分でお金を出してハイビジョン用の試験をする、自分でお金を出して中継器を買って、あるいは借りて、そしてそれをやるということになりますと、最初に民間の放送事業者が飛びつくというのはいろいろ無理があるだろうと。やはりこれは産投資金のような公的な資金、しかもいわゆる内需拡大とか、いろいろ産業的な政策目的も達成し得る、そういう性格を持った資金を使ってやるのにふさわしいんではないかということでございまして、技術的な懸念、事故発生に伴う問題、これは私ども十分承知はしておりますものの、やはりそういった試験にも踏み出したいということでやった次第でございます。
  36. 及川一夫

    及川一夫君 私はね、BS3を打ち上げても、すぐその日からサービス開始ができるとは思っていませんよ。どんなに見たって半年ぐらいは試験放送おやりになるんじゃないですか。時と場合によれば、自信が持てなければ一年ぐらい、それ自体でテストも一年間ぐらいやらなきゃならぬことも想定しておかなきゃいかぬということも聞いていますよ。だから私は、最初に緊張感の話をしたんだけれども、どうもこういう発想というのは、機械の安定よりもソフトの方だけがどんどんひとり歩きして、どんどん宣伝して、しかも放送衛星ですから、当然アンテナからチューナーからみんな買わなきゃ聞こえないわけでしてね、そんなこんな考えると、宣伝だけが先に行っちゃって、機械の安定の方は、もうおっかなびっくりやっているということになったら、もし失敗したらその反撃は大変ですよね。大臣が一人二人やめたからって済むもんじゃないなんというような話になりかねないというふうに私は思いますよ、これ。  だから私は、やっぱり機械が本当の意味で安定、つまり予備機を上げぬでもいいぐらいになれば、それは別ですよ。何ぼ上げたっていいです よ。だってBS4という話の中には、中継器四本にしようという話だってあるわけでしょう。3の中だって現実にそういう話があったけれども、どうも重過ぎてうまくいかないということもあって、最終的には三本になった話も聞いているんですよ、僕は。だから、やっぱりもう少しハードの方を重視されるべきだと、そしていざというときにそれに対応できる体制だけはしばらくの間私は維持すべきだというふうに思うんですよ。したがって、これ自体はどうも法律には関係なさそうですから、衛星機構がこういう中継器をどうのこうのというやつは。ないようですから、僕はぜひ考えてもらいたいと思いますね、これは。大臣いかがですか、今までの議論聞いて。
  37. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 大臣がお答えになるかと思いますけれども、私もう一度及川先生お話し申し上げておきたいと思いますが、確かにおっしゃいますとおり、どうも我々、今までいろいろなトラブルは経験しながらも現在動いていると。そしてまた、それについての対策も講じた上での新しい衛星が上がる、そしてそれが十分な状態で動いていて使えるとなると、何かそれを使わなきゃもったいないと言うと変でございますが、やはりそれを使って何かできたらどうかということに発想が行きまして、それの一環としてこういうハイビジョンということになったわけでございますけれども、やはりそうなっても先生おっしゃいますとおり、技術的な安定性、信頼性ということは絶えず繰り返して、反すうして念頭に置かなけりゃいかぬわけでございまして、それを十分に踏み締めながら新しいものに挑んでいくという姿勢が大事だと思います。  そういった意味で、BS3につきまして、この予備機でトランスポンダー、ハイビジョンをやるということは、いろいろな技術的な問題もある上でのそういう施策だということをさらに念頭に置きながら進めなきゃいかぬという意味で、そういう自戒の念をもう一度強く思いを浮かべる次第でございます。
  38. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今、局長から御答弁申し上げましたように、先生の御議論を聞いておりまして、私どもなお心を引き締めて対応していかなきゃならないなという気持ちでございます。  衛星というやつは一遍打ち上げますと、先ほどからお話がありますように、橋をかけてこれ修繕に行くわけにもいきませんし、シャトルのようなものがいずれできて、それで衛星を追いかけて、やがて宇宙で修繕をするような時代が来ると思いますが、信頼性工学とかいう学問があるそうでございまして、ボタンを押したときに本当に動くかどうかという、それをいかに精密を期していくかというような学問も行われているようでございますが、大勢の受信者の方々の浄財をいただいているわけでございますので、このハイビジョン放送が実施できますと、七千万台のテレビが、もしハイビジョンになったとしたら六十兆円のGNP継ぎ足しというものが見込まれるという話も伺っておりますので、慎重を期しながらひとつ技術陣の方々、そしてその運営する者は心を引き締めて、これからの宇宙衛星放送時代に対応してまいりたいと思います。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 これからも議論する場があろうと思いますから、きょうはこの程度にしておきたいというふうに思いますが、ただ、法律を見ますと、何も反対するものないんです。ところが、こういうときにこそ危ないというお話、これは大臣なんかもう七回も当選経験を持っておられるから、それはもうお気づきだと思うんですよ。だから、私は別に疑っておるわけじゃないんですけれども通信衛星の方にも関係するんですよね。ここで言うハイビジョンと、こうおっしゃるけれども放送大学の問題なども通信衛星を使って、本来なら放送衛星の方を使ってという話もあったそうですが、高くつくというような話もあって、それで通信衛星の方を使う。  つまり、通信衛星を使っても使えるわけですよね。ここで予想しているようなお仕事というやつはね。だから何か、それだって必ずしも安定している状況の中にないのに、安定というのは競争関係ですよ、またここで新たのものをつくって、それでどんどん競争を促進することはいいけれども、何か過当競争になって、あっちで倒れこっちで倒れみたいな、そういう話が社会的、政治的問題になることが想像されるのになあということも実は内々あるわけですよ、僕の気持ちの中にはね。だから、もう少し総合的なというか、理性的な発想で問題をとらえていかないといけないというふうに思っているわけでありまして、その点ひとつ意のあるところを酌んでいただきたいと思います。  最後に、時間は私、割り当ては二十四分までですからございませんが、役員任期の問題というと、えらいまた落ちた話になりますけれども、なぜこういうふうに変えられるのか、僕は余りようわからぬのですわ。ただ行革答申の中にあることは事実ですね。「特殊法人等」という「等」の中に何か認可法人も入っているという認識で、政府関連事業ということで役員任期も変えられたと思うんですが、変えるんなら両方変えりゃいいものを、偉い人だけは三年にしておいて、偉くない方は二年にするなんというのは、あんまりぴんとこない。私から言うと、ぴんとこないんですね。私はあの行革答申をどう読むかの問題だと思うんですよね。私はこんなところに問題があるという意味で出されたとは思ってないんですよ、実際に私も体験してきているわけですから。  とにかく天下り総体が多いという話ね。だから時間があれば、本来郵政にはどれぐらい事業団に行っておられるんですかと、全部お聞きしたいくらいですよ。これから広げる予定はおありですか、それとも縮める方針ですかと、こういうことだって聞きたいわけですよ。そういうものを踏まえて本来議論しませんと私はだめだと思うんです。天下り総体の問題、それと行った先での報酬の高さの問題。それと同時に、年齢七十歳以上の方がおられたら大変失礼だけれども、要するに自民党さんもお決めになったように、選挙の場合に七十歳以上というお話があるでしょう。あれは一般的な常識なんですよね。七十超えられても、あっちだこっちだというふうにおられる。それは元気なのは結構な話なんだけれども。ただ、そういうことがあっちでもこっちでも理由なくして続けられているという実態があるではないかというような問題とか、それからやめられるたびに退職金をいただく。その退職金がまずもって一千万円以下なんということはあり得ない。大概三千万、四千万、五千万だなんというような話が乱れ飛ぶわけでしょう。そういうことに対する私は批判が大きいというふうに思うんですね。  したがって、理事任期を三年を二年に変えるということは、一体何の意味があるんだろうか。本当の励みになるんだろうか、これ。むしろ理事長さんと一体感が逆に出てこないことになりはせぬかと、そっちの方が逆に心配だと。ただ一つ、いいなと思うのは、これは大臣のお仕事とは思いませんが、郵政省の人事が大変回転がよくなるということぐらいじゃないのかなと思ったりするんですよ。そんなことに重点を置いてこれを改正するということになれば、私は問題だと。仕事中心じゃないかと。仕事がいかにこのことによってプラスになるかという前提に立って改正するというふうにしませんと、私はちょっとおかしいんじゃないか。余りにも行革答申だからといって、さらりとやっちゃうと、そういうものではなさそうに私は思うんですが、いかがですか、局長。これは人事部長かどうか知りませんけれども。官房長じゃないの、これ。
  40. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 冒頭先生がおっしゃいました、臨調答申の心を読めということは、まさにそのとおりでございまして、私は、臨調の趣旨も、こういった認可法人を含めました特殊法人などの運営、あり方ということについて、一つの反省を促したというか、問題点を提起したということであらうと思います。  ただ、それが具体的な形でどうかと。特に組織を運営します役員、そういうもののあり方はどう かといったときには、やはりその組織自体についての安定的な運営ということと、それから活性化を図っていかなきゃならない、両方の要素を満たさなきゃいかぬという意味合いで、その両方がたまたま数字で活性化をねらうという意味では、三年を二年にし、安定的な運営を期待するという意味では、理事長の三年をそのまま据え置いたということになろうかと思いまして、そういう機械的な切り分けで、それを各省横並びでやったということだけに私どもとどまらないで、そこに盛られているこういった法人運営についての何といいますか、趣旨といいますか、気構えといいますか、そういった点はやはり読み取って、運営についてこれからも配意していかなきゃならぬ、そういう意味合いに受けとめるべきだというふうに考えております。
  41. 大木正吾

    ○大木正吾君 同僚委員の質問とも関連いたしまして、今回の法改正そのもの自身、これは余り問題にするべき問題でもなさそうな項目が並んでいるわけでございますが、言えば機構をつくりましたときに、本委員会に在席いたしました関係等もございまして、今の同僚委員の問題とも関係いたしまして若干質問したいんですが、機構が今やっている仕事、これについて、大別して説明していただけませんか。
  42. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 機構業務でございますが、まず通信衛星あるいは放送衛星、こういう衛星の打ち上げを利用者でございます、例えば通信衛星の場合にはNTTなど、あるいは放送衛星の場合はNHKなどから委託を受けまして、そしてそれをもって現実に打ち上げをやります宇宙開発事業団にその仕事を再委託すると、そういう仕事が一つでございます。それからもう一つは、現実に打ち上がっております衛星通信衛星なり放送衛星が正規の軌道に乗って通信の機能あるいは放送の機能を正常どおり果たしているかどうか、そういったところについて管制をするといいますか、チェックをする、そういう仕事、これがございます。主な仕事としては以上でございます。
  43. 大木正吾

    ○大木正吾君 私の感じでは、できた当時から考えておったんですが、確かにNHKあるいはNTT等から依頼を受けたり、民間からもあるかもしれませんが、そういったものを受け取りましてね、そして事業団の方に対して衛星の打ち上げを依頼する、こういうふうに考えておりまして、現在のお仕事ということになりますと、上がっている衛星について管制センターからいろんな調査をしたり、同時に監視制御、さらには保全運用、そういった仕事をすることが機構のお仕事と、こう考えておったんですが、さっき及川委員とのやりとりの中でも出てきましたけれども、何か新しい分野にどんどん仕事の幅を広げていく、こういう感じがいたすんですが、これについては塩谷さんもう一遍、さっきの答えの繰り返しかもしれませんが、当初の発足のときとは少しく違ってきていませんかということについてはどうですか。
  44. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) これは確かに当初の機構の役割というか、仕事として考えられましたのは、以上二つが主要点でございます。今、私どもがここでお願いしようとしておりますのは二つございまして、それは昭和六十六年に打ち上げを予定しております放送衛星三号のb、予備機のbのトランスポンダーを一つ所有いたしまして、その所有資金産業投資特別会計から出資を受けて、そしてそれを打ち上げ費用ということで宇宙開発事業団に払い込みまして、その結果トランスポンダー一台を所有して、そしてハイビジョンの普及のために、それを放送に使いたいという放送事業者にお貸しする、そういう仕事でございます。  もう一つは、これはやはり法律改正の中でお願いしているわけでございますけれども機構が扱います通信衛星、これは固定地点間の通信を扱う衛星でございましたけれども、これからは、その固定地点間の通信を主として扱う中継器を載せますけれども、それ以外に若干移動体、船ですとか自動車ですとか、そういう移動体との通信ができるような中継器も載せる。そういう通信衛星も管制などの業務の対象として扱う、そういうような点。そういう意味では、当初の機構とは役割が広がるわけでございます。これは技術的にも昭和五十四年当時から放送衛星、あるいは通信衛星についていろいろ進歩してきまして、今日の意味での放送衛星通信衛星のいろいろな諸機能というものを考えた場合に、そういうものの維持管理をする衛星機構としては、やはりその時代に合った形で仕事内容も改めるという意味で妥当なものではないかというふうに考えている次第でございます。
  45. 大木正吾

    ○大木正吾君 五十四年に衛星機構法案として逓信委員会ででき上がったときには、そういったことは私たちの頭の中になかったんですよね。あくまでも言えばNHKなりNTTなり、あるいはKDD、その他民間の業者ですね、そういったものから委託を受けまして、そして事業団に発注いたしまして、打ち上げを依頼して打ち上げてもらう。そしてその間のつなぎというか、そういった仕事をやるんだと、こういう意味でもって受けとめていましたからね。こうなりますと、どうもこの何といいますか、宇宙事業団のお仕事ともダブってくる面も出てくる、そういうことはございませんか。
  46. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 通信放送衛星機構は、やはり利用者とそれからハード衛星を打ち上げる事業団、この間にありまして、特にこういった点がユニークといいますか、衛星機構としての存在意義のある仕事ではないかと思うわけでございますが、利用者、例えば通信衛星の場合、今度上がりましたCS3などが特にそうでございますけれども、利用する方が大変多くなってきている。そうしますと、そういう利用者の何といいますか、調整というか、利用を取りまとめて、そして衛星として打ち上げるように委託するということで、やはり開発をして打ち上げるという事業団とは違う仕事ということになるんではないかというふうに考えております。
  47. 大木正吾

    ○大木正吾君 逆にユーザー的に見られていますNHKとかKDDとか、民間の業者等々との関係はどうなりますか。
  48. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) ユーザーとの関係では、いろいろ衛星についての要望、利用者としての要望もございますし、また、これまで手がけてきておりました通信衛星なり放送衛星なりの打ち上げ委託、あるいは管理、管制ということで、そういった点についてのノーハウもございますので、そういう利用者との間の相談に乗るということで、それぞれの利用者の意向を十分酌み取って、しかもそういうものについて公正中立な機関として仲介するということでの役割が果たしていかれるのではないかというふうに考えております。
  49. 大木正吾

    ○大木正吾君 全く私、わからないんですよ。とにかく四十四年に宇宙事業団が、これは内閣のもとにできましてね、そして五十四年にきょう審議しています機構が発足をしたんですね。  その当時の話の中では、結果的にはNHKとかあるいはNTT、要するに通信放送衛星等の問題については大ざっぱに来たものですからね。まさか機構が、それ自身が物を持って、そして商売するなんということは――ただ産投資金から来るからこうするんだという、こういうへ理屈ですよ、これはあくまでもね。産投資金から来るからやらなきゃならぬということはないはずなんですよ。そうじゃないですか。余り理屈をつけて、世の中の物事を混乱させてほしくないんですよ。  今、宇宙事業団自身だって、郵政省、文部省、どこかもう一省ありますよね、通産省ですか、どこか三省ぐらいの関係でもっていろいろ話をしているはずですよね。中山大臣さっきおっしゃったけれども、まさしく未来はバラ色だと、三年、五年後、ハイビジョンでもってばあっといくんだと、こういう話もありましたわね。そういったときにこそ、もうちょっと問題の流れをすっきりしてもらいませんと、混乱してくるんですよ。ユーザーはユーザーとして仕事をしなさいと、機構はユーザーの混乱を、あるいは衛星故障とか、そういったものについてもっと真剣に点検しなさ い、保証しなさい。つくる方の研究陣、打ち上げる方は打ち上げる方でもってまた考えていただく。むしろ私たちに言わしめればNHKとか、中山大臣がおっしゃること、あるいはNTTがおっしゃること、そういったことに比べて、さっき及川さんもちょっとおっしゃったんだけれども、どうもやっぱり研究体制といいましょうか、衛星の中身の部分なり、その原点の方がしっかり基礎が固まっていないんじゃないですかと、こういう話を言いたいところなんですけれどもね。  今ここでもって聞くと、またこういったものを持ちましてね、そうしてユーザーとも関係をし、同時にまた、故障の関係では事業団と連携、そこでもやるでしょうけれども、双方と関係して、何かごちゃごちゃしてくるわけですよね。私は、この問題について納得できませんからね。きょうこれについて、明確な答えを塩谷さんが答えても納得いたしませんから、一度これは相談していただくなりいたしまして、もうちょっとね、政治的な問題かもしれませんけれども、大所高所からもう少しすっきりした、要するに衛星時代というか、宇宙時代といいますか、そういった問題について物事の整理をする必要があろう、こう考えているわけなんでありましてね、もう一遍塩谷さん答えてみてください。
  50. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 先生最初におっしゃいました、産投資金を受けるから通信放送衛星機構がこれをやるのかということ。確かに産投資金の受け皿というのは、こういう認可法人のようなある程度公的な機関であるということは事実でございます。  ただ、やはりこういう通信放送衛星機構というのは、当初大木先生おっしゃいましたように、仲介して、自分は中継器を持たないで、利用者の意向を受けて、そしてその打ち上げを事業団にやっていただいたと、そういうスタートの役割と違ったものをお願いするということは事実でございます。ただ、これはぜひ御理解賜りたいと思うのでございますけれども、やはりこれからそのハイビジョンという放送を普及させたいと。しかし、それについてやはり未知のものでもあるし、リスクを伴うものであるから、いきなり民間の事業がそれを手がけるというのも無理があるだろうと。じゃ、それを試験でここまでやれるという見通しがつけられるのは、どういうふうな機構で、どういう組織で、どういうお金を使ってやったらいいかということを考えた場合に、ハイビジョンという将来産業政策上も意味のある仕事、そしてそういったリスクのある、しかもいろいろな成果いかんによっては、大変そういう成果がどこに帰するかという意味でまた注目を引くであろう、そういう技術の帰属の問題。そういうことも考えますと、公正中立なこういう衛星機構にその仕事をやってもらったらどうかということでございます。  その意味では、スタートのときと違ったことをお願いするわけでございますけれども、今日の時代に対応した新しい仕事を、ではどういうふうに割り振っていったらいいかという政策上の問題でこういうことに落ちついた次第でございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  51. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは問答ですから、どんなに塩谷さんからそう言われましても私は納得ができませんし、同時に、いわば我が国の宇宙関係なりあるいは衛星関係のお仕事をこれから展望したときに、今のうちに余り各省庁が縄張りとか、あるいは今あなたがおっしゃった、ハイビジョン問題についてもNHK自身が真剣に取り組んでいる問題ですよ、結構。それにリスクを与えたくないとおっしゃった、さっき及川さんも質問しておったけれども、七百億ぐらいの金は使っておる、こういう形になるという話もありましょうし、言えば有料化の問題も出てくるわけですよね。だから、そういったことの中でもって産投資金、二十何億か知りませんが、そういった資金の問題でもって、そしてリスクを負わせたくないから云々ということは弁解ですよ、あくまでもね。それは衛星機構だけでできるはずないじゃないですか、ハイビジョン問題はついて。できますか。NHK抜きにしてできますか。事業団抜きにしてできますか、これは。できないでしょう。  だから、やっぱりあなた少しね、自分たちが得手勝手に何か仕事をどんどんふやしていってね、また通産省を刺激して、あちこちで縄張り問題が起こるから、なるべく早く地固めしてしまおう、陣地をつくってしまえと、こういうことはやめてほしいんですよ。私にはっきり言わせていただければ、情報通信省をつくるべきだと、はっきり言ってそう思う。その時代ですよと。とにかく移動通信もどんどん衛星でもってやるでしょう、今度ね。世の中の産業どんどん変わってくるんですよ。あんまりこまっちゃくれた仕事でもって、ここでもって手を出しておこうなんということはやめていただいてね、もう少しすっきりと、宇宙事業団はどこに属するか、衛星機構はどこに属するか、そしてユーザーは一体どういうものがあるか、三段階ぴしっと整理をして、仕事分野もきちっと決めてもらって、そして私は、この問題については、やっぱり立法化するなりなんなりすることがどうしても必要だろう、こう考えて、大体展望しているんですね。ですから、大臣に一言、この問題については、難題吹っかけるようで申しわけないけれども、私の考えが間違っているかどうか、御批判いただきながら御発言いただきたい、こう考えます。
  52. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) いろいろ大木先生御指摘の問題、ごもっともでございまして、私どもこのハイビジョンという問題につきましても、これは何もこの衛星機構が産投からお金をもらって、トランスポンダー一台持つということでできるということでは決して考えておりません。やはり先ほど来大木先生も御指摘のように、放送衛星上がるのにつきまして、NHKを初め事業団いろいろな点でお金も負担しましたし、技術的な改善の努力ということを積み重ねて今日、六十五年、六年にBS3を上げることができようかという時期になってきているわけでございます。  そこに何といいますか、ちょっとこの辺が勝手だというあるいは御印象かもしれませんけれども、それなりの負担をしてトランスポンダーを一台いただいて、そしてそういうハイビジョンの衛星放送がやれたらということで今度の改正をお願いしたわけでございます。いろいろこの辺の問題につきましては、それぞれの関係機関がこれによって今まで果たしてきました役割、そしてそれに基づきます契約取り決めなど変わることもありますので、その辺は大木先生おっしゃいましたように、おのおのの役割というのをそういった変わった時点できちんと整理して、新しい体制で臨まなきゃいかぬというふうに考えている次第でございます。
  53. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今局長からも御答弁申し上げましたが、技術の進歩というのは本当に目をみはるようなものがございますから、最初考えておりました点と少し軌道を外しているんじゃないかという先生の御心配がございますが、しかし日本宇宙開発というのは、総理大臣の諮問機関に宇宙開発委員会というのがありまして、そこで各省庁の意見をまとめながらやっておるということで、大変進歩しますその技術とか、それから移動体に対する利用をさせるためにも、特に私、NTTが民営化されまして以来、第一種の電気通信事業も三十五社になっておりましたり、第二種は五百三十という大変な数でございます。それにいかに対応するかということで、万遺漏なきを期しておるものと私は信じておりますが、先生の御指摘もございますので、ひとつぜひこの法案を通していただきながら、お見守りをいただいて善処を期したい、かように責任者として御答弁申し上げたいと思います。
  54. 大木正吾

    ○大木正吾君 いずれにいたしましても、私どもといたしましても、これは文句を言うだけじゃなしに、あるべき姿ですね、そういったものをモデルとして自分たちでもつくってみまして、そして大臣にもお出しをしますから、そういった際にぜひ、今政府全体でも関係ありましょうけれども、文部省とも関係ありましょうが、何といっても郵 政省が一番大事な中心機関ですから、そういった中で、国民の立場に立って一体どうすりゃいいんだと、こういった問題について、何か青写真でもつくってお出ししますから、ぜひ検討してもらいたい、こう考えております。  さて、問題は、先ほどもお話ありましたが、バラ色の時代にいよいよ入る、こういう話が大分この間、NHKの予算のときにも出ましたけれども、移動通信衛星も大体実用化することは近づいてきていますわね。そういった中で、ハイビジョンとあわせまして、大変な衛星時代に入るわけでございますが、それに対しまして、少しく最近衛星関係の事故が多過ぎる。まあ西ドイツは失敗しちゃったというお話がさっきもありましたけれども、最近の事故について、郵政省なり事業団どちらからでも結構ですから、主な事故についてちょっとお話伺えませんか。
  55. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 通信衛星放送衛星の事故につきまして大変皆様に御心配をかけまして、事業団としては申しわけなく思っておりますが、大体我々の方で上げました通信衛星放送衛星につきまして大体どんな状況になっておるかということを、一部先ほども申し上げましたけれども、まとめてお答えさしていただきます。  まず通信衛星でございますが、五十八年の二月の四日に通信衛星の二号a、CS2aというのを上げまして、その後五十八年の八月六日に通信衛星の二号bというのを上げました。この両衛星はおかげさまで大変順調でありまして、現在までほとんど支障なくユーザー、これはNTTその他若干小さいユーザーさんおられますけれども、そちらのユーザーさんの方で順調に通信に用いられていると伺っております。  一方、この通信衛星二号の後継衛星であります通信衛星三号aにつきましては、本年二月十九日に打ち上げました後に機能確認作業等を進めておりましたが、三月十一日になりまして、通信用アンテナを制御する装置にふぐあいを生じております。このため制御装置をA系からB系に切りかえまして、衛星の機能を正常に回復させて、現在まで衛星状況は安定しております。現在原因究明に全力を挙げて取り組んでおりまして、本年夏に打ち上げを予定しておりますCS3bにつきましては、検討結果を踏まえまして、必要に応じ所要の措置を講ずるということで準備を進めております。  それから放送衛星につきましては、既に先生御承知のとおり、BS2aで中継器にふぐあいが二系統生じまして、現在予備機としてNHKの方に、予備衛星として待機しているという状態でございますが、先ほど申し上げましたように、この中で一番大きな問題になりました進行波管の問題につきましては、これは原因がおかげさまで完全にわかりまして、それの十分な対策をとることができまして、BS2bでは打ち上げ年度を若干ずらしましたけれども、その後進行波管につきましては全く正常に作動しておるわけでございます。しかしながら、先ほどもちょっと申し上げましたように、姿勢制御電子装置のふぐあいが生じまして、これもA系からB系に切りかえましたけれども、その後は正常に姿勢は保持されております。  また、昨年の十二月になりまして、衛星状態地上送信してくるテレメトリーエンコーダーと称するところが若干ふぐあいが生じておりますが、これもA系からB系に切りかえまして順調に運用されております。そういうことで、BS2bは現在正常に放送に供されておるということは御承知のとおりでございます。我が方で上げました通信衛星放送衛星につきまして、概況を御説明いたしました。
  56. 大木正吾

    ○大木正吾君 ちょっと別の角度から伺いますが、衛星の本体で国産のウエート、同時に輸入ですね、そういった関係はどうなっていますか。
  57. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 事業団発足の当初は、人工衛星系の技術につきまして、米国から技術及び機器の導入を行っておりまして、その後技術試験衛星等によりまして、各種人工衛星に共通な技術を系統的に開発しまして、それを気象観測、通信放送等の実用衛星の開発に反映するというふうなやり方でしてきたわけでございますが、最近に至りまして非常に国産技術が向上いたしまして、昨年から上げております衛星につきましてはほとんど日本の自主技術で、少なくとも基本的な設計は全部日本でやっておるような状態でございます。  もう少し細かく申し上げますと、まずCS3aでございますが、これは五百五十キロ級のスピン衛星でございますけれども、一部の部品、コンポーネントは外国のものを若干まだ使っておりますけれども、大きなシステム、サブシステムにつきましては全く自主技術でやっておるところでございます。  それから、こういう静止ではなくて、三軸型中高度周回衛星というのがございまして、お聞き及びだと思いますが、海洋観測衛星、MOS―1というのを上げましたけれども、こういう周回の三軸衛星につきましても、これもほとんど自主技術でやっております。これも若干まだ国産化されてない部品が入っておりますけれども、ほとんど日本技術でやったというふうに考えています。  それから、この次、H1ロケットで地球資源探査衛星というのを上げますが、これにつきましてはシステム、サブシステムの自主技術開発に加えまして、主要部品も国産化するということで鋭意努力しております。  それから、もう一つは、昨年八月に技術試験衛星V型というのを上げまして、これは現在、郵政省の方でいろいろ移動通信の実験に使っていただいていますが、三軸の静止衛星ということで、これも初めて国産技術で完全に日本でできたわけでございまして、全く衛星システム、サブシステムを自主技術で完全にできて、静止三軸という技術を確立することができたというふうに考えています。  この後もっと大型の二トン級の静止三軸衛星、ETSVIというのを鋭意開発を進めまして、これができますと、非常に最先端の技術日本のものにすることができまして、世界の最高水準の衛星が国産化できるだろうというふうに考えております。  以上、人工衛星技術につきまして御説明いたしました。
  58. 大木正吾

    ○大木正吾君 ブラックボックス等、前から事故が多かった問題の箇所などはやっぱり国産で今できるんですか。
  59. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 昔「あやめ」というECSという衛星を上げまして、そのときにアポジモーターがぐあいが悪くて二機――一機はアポジモーターとはっきり断定できないんですが、少なくとも二機目はアポジモーターが悪くて、軌道投入に失敗したことがございまして、そういうものは確かにその当時ブラックボックスに近かったわけでございますが、その後鋭意自主開発を進めまして、先ほど申し上げましたETSVでは、全く国産のアポジモーターを積んで静止軌道投入に成功しております。  それからもう一つは、これはロケットの方でございますが、ロケットの方もNII時代は誘導装置が、アメリカから導入いたしましたディグスと称する誘導装置が入っておりまして、これはなかなか手を触れさせてもらえなかったわけですけれども、昨年から上げております、今度CSで三機目になりましたH1ロケットでは、これは完全に国産化しておりまして、この国産化した誘導装置で非常に良好な軌道投入に成功しております。
  60. 大木正吾

    ○大木正吾君 ロケットの、これは二トンクラスのものを種子島では準備中ということを聞いているんですけれども、ただ、今お話ちょっと伺っておりましたけれども、ブラックボックスあるいはアポジモーター、そういった非常に難しい、日本で開発がなかなか難しかった問題についてはまだまだ海外に頼らざるを得ないと、こういう話も聞くんですが、この辺は今のお答えを信頼して、もちろんしてあげなくちゃいけないんですが、間違いなく国産技術でもっていけるんですか、本当に。
  61. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 現在もう既にETSVIにつきましては技術的に開発できる見込みは十分立っております。それからもう一つは、ロケットの方でございますが、HIIにつきまして、今いろいろ開発を進めておるところで、山場に差しかかっているところでございますが、技術的な見通しはついているというふうに我々は考えております。  ただし、いろいろまだ先ほどから衛星などでふぐあいが出ますように、部品の問題というのがなかなか難しい問題がございまして、これは数万点の部品を使ってこういうものを組み立てておりますので、その中で信頼度の高い部品を極力使っておるわけでございますが、それをしていてもなおかつ残念ながら部品からふぐあいが起こってくるという例が、最近の例では非常にそういうのがちょっと多くなっておりまして、こういう問題につきましても事業団として総力を挙げて対策を今検討しているところでございます。
  62. 大木正吾

    ○大木正吾君 お話としてはきょうは承りましたけれども、いろんな専門家の話、意見を聞きますと、日本衛星本体の中の一番機能のすぐれている部分というものについては、まだまだ日本の国産化技術に到達しない、こういう話が多うございまして、私、別にきょうの答弁を信頼しないというわけじゃないんですが、ただ問題は、今の大学等におきましても航空工学などの学科はありますわね。しかし、宇宙工学という学科はたしかないんじゃないでしょうか。これはさっきの話じゃありませんけれども機構衛星を持つ持たないという話も大事な問題ではございます。中山大臣ね。大学がこれからの時代を、本当におっしゃるようにNHKもやりましょうと、NTTも移動通信やりましょうと、こういった衛星時代に入っているのならば、僕は今いろんな学生を集めてきまして、その方々が学校で教わったものを応用化していくというには最低三年から五年かかりますわね。この人材は非常に貴重ですよ、なかなか大変なものですよね。  ですから、そういった意味合いで非常にギャッブを感じますことは、やっぱり自分もきれいな画面のテレビを見たいという気持ちも、私個人も確かにあります。それから同時に、一般の国民の方方もそういった気持ちもどんどん強くなるでしょう、ニーズがですね。だからそういったことでありましょうし、同時に移動通信等が出てきますと、物すごいたくさんのサービスができますわね。そういったことも結横なんですが、ユーザーのそういった気持ちなり国民のニーズに対しまして一番心配なことは、上げるたびに少し故障が起きるという話も報道されますしね、同時に事業団の方が大変苦労されていらっしゃると思いますけれども、何といっても人材の確保、こういった面につきまして、言えばそこにいて、生涯研究して、そしていけるという、こういうような機構、組織になっているかどうかですね。  ある意味では、やっぱりおれ文部省へ行きたいよ、大蔵省へ行きたいよ、通産省へ行きたいよと、こういった人の方が学生の中には、言えば東大その他の大学を出た方々の中には多いかもしれませんけれども、やっぱりそういった面のことから考えておきませんと、何かユーザーの宣伝とか販売とか、そういったことばかり先行しまして、足元の方がぐらぐらしている、そういった状態では困りますからね。そういったことを含めて大臣の所見を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) まことに大事な御指摘をいただきましたが、これは例になるかどうかわかりませんけれども、この間四月十日に本四架橋へ行ってまいりましたが、そのときに若い技術者が、大変優秀な人たちがそういうものをつくってくれた。だれがスターだということないんだけれども、こういう技術に関して大変優秀な人たちが育っているという話を伺ったところでございますので、今先生の御指摘のありましたことは、私も一遍関係大臣に伺ってみますが、先般筑波の宇宙開発事業団に行きました際には、パーティーに参加している若い人たちがジーパンをはいたりして、大変気さくな格好をしていらっしゃるんですが、優秀な方々にたくさんお目にかかりました。特にこれからの宇宙の空間に我々対応していかなきゃならない郵政省といたしまして、先生の御指摘がどんな形になっていくか、また先生御自身に御報告に上がるようなことにいたしたいと思いますが、関係省庁にひとつ問い合わせてみたいと思います。
  64. 大木正吾

    ○大木正吾君 終わります。
  65. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとして、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  66. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  67. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 午前中の質疑をお聞きしておりましたけれども、多少ダブるところがありますが、御了承いただきたいと思います。  五十八年十一月十八日の放送衛星BS3に関する当面の進め方、これによると、使用チャンネル数はNHKが二チャンネル、民放が一チャンネルで決定しておりましたが、六十五年打ち上げ予定のBS3では、ハイビジョン放送を行うことはその中には考慮されていなかったように私は思いますけれども、このBS3をハイビジョン放送に利用するということは、本来の衛星の設計や利用目的とずれるものと考えますが、このハイビジョン放送には次の衛星、つまりBS3の後のBS4ですか、そこまで待てないのかどうなのか、率直にお聞きいたします。
  68. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) BS3の利用に関する方針につきましては、先生からもお話しございましたように、五十八年の十一月十八日ですか、に出されました放送衛星三号に関する当面の進め方というのがございますが、その前に五十八年六月十五日に発表いたしました「放送衛星3号(BS―3)の利用について」というものもございまして、その二つの方針に基づくものでございます。  今回、BS3を使って行うハイビジョンは、ハイビジョンの普及促進を図るために、BS3の予備機を使うことは先生御案内のとおりでございまして、本来の放送であるNHK二チャンネルとそれから民放一チャンネルの放送に支障のない範囲内において予備機を活用して、一般の放送事業者が利用して、試験放送として実施していただきたいということで提案さしていただいたものでございます。このような措置につきましては、五十八年の六月の十五日に発表した放送衛星三号の利用についての中で述べておるんですが、「放送衛星2号(BS―2)による放送技術の開発実験の結果等を踏まえ、新しい放送サービスの導入が可能である場合には、所要の措置をとった上で実用化を図る。」ということが書かれております。その「所要の措置」というものの一環として、今回やらしていただこうというふうに考えているわけでございます。  BS3の寿命が七年であることを考えますと、BS3に続く衛星の打ち上げは昭和七十二年ごろというふうに想定されるわけでございますが、ハイビジョンの普及促進のためには、できるだけ早く必要な措置を講じて普及促進を図っていく必要があるんじゃないかという観点から、今回のようなハイビジョンのために専用チャンネルをBS3のbでとらしていただいて、普及促進を図っていこうというふうにしたわけでございます。
  69. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それに関連して昭和五十九年当時、BS3に関する当面の問題、今申しましたこの進め方の中に、チャンネル使用については、最初四チャンネル搭載可能として放送大学学園のいわゆる利用も考えていたようですが、臨時行政調査会の答申等から利用困難と、重いとかそういう話が あったようでございますが、放送大学学園等については、特に全国をカバーできるもので、この放送衛星が非常に適当ではないかなと、こういうふうに思いますけれども、なぜこれをやめたのか、その困難な理由ですね、これをお伺いしたいと思います。
  70. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ちょっと不正確な理由になるかもしれませんが、放送大学学園につきましては、四チャンネルの中でやっていただこうということで当初考えていたわけですが、財政事情等から利用することは困難になったというふうに聞いております。その結果、BS3の利用主体は、NHK二チャンネルとそれから一般放送事業者一チャンネルということでやることになったというふうに承知しております。  一般放送事業者はつきまして一チャンネルを使うわけですが、これにつきましては、二チャンネルにしないで一チャンネルにした理由といたしましては、BS3の段階では未経験の分野でございますし、衛星事業に対して幅広い運用経験を積み重ねて、BS4以降の本格的な衛星放送の発展に結びつけていくべきであろうというようなことで、先導的な役割を果たしていただくというようなことからも、過渡的な段階として一チャンネルを使用することにしたというふうに承知しております。
  71. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 不正確な答弁じゃ困るんだけれども、要するに放送大学学園というのは、私千葉で、千葉にあるんですけれども全国をカバーするのがこれが公平というか、皆さんのための、国民のためのいわゆる放送大学だと、こういうふうに思うんです。そういった意味で、今言ったような理由で、困難で今回はできなかったと、こういうことですけれども、将来は放送大学学園のいわゆる放送放送衛星でやろうという、こういう検討事項には入っているのかいないのか、その辺はどうなんですか。
  72. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) さしむきはCATVを利用した方々が学習センターを利用していただいて、放送大学学園に学んでいただくというようなことを考えておりますが、それとビデオを使ってというやり方もあるわけでございますが、これらについては、かなり検討が進んでいるというふうに聞いております。  それから、放送衛星を利用しての学園の放送につきましては、いろいろと問題点もないわけではございませんで、関係者との間で連絡会をつくって詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
  73. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ちょっと話変わりますけれども、午前中の及川委員の、いわゆるこの機構がトランスポンダーを一つ持つと、こういうことは非常に矛盾をしているんじゃないかと、こういうお話だったんですけれども、私もその理由がまだはっきり理解できません。  確かに未知の世界に挑戦するのには何事もリスクが伴う、これはもう当然でございますし、またそうしなければ技術の発展もありませんし、国民へのサービスもできないと、こういうふうに私は思いますけれども、もし故障をしたら困るということで、いわゆる予備機をつくってあるわけでしょう。その予備機があいているからということで、いわゆる機構一つ持つと。それにはお金がかかる。お金は分担して何分の一ですか、いわゆる産投会計から出すと、これはわかりますけれども、それじゃ事故が絶対に起こらないという、こういう保証もないわけです。万が一ということを考えて予備機をつくるんだから、これは理屈になるかもしれないけれども、それだったらば、万々が一故障が起きた場合にこれが放映できない、一般利用者から見てこれが映らないと、こういう事態になった場合にはそれではどうするのかと。先ほども話がありましたけれども、もちろんJSB等と契約は結ぶでしょう。そのときに契約をまず破棄をするのか、それとも迷惑をかけたいわゆる利用者に対して何か補償を考えているのか、この点はどうなんですか。
  74. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 放送衛星2bにつきましても若干のトラブル等がございまして、これの経験を踏まえまして、放送衛星の三号につきましては、信頼性を向上させるためにいろんな努力をしているというふうに聞いております。放送用中継機器の評価試験だとか、各種試験の強化を図っている、トランスポンダーの複数化等リスク回避のための方策を実施しているところでございます。したがいまして、衛星放送の実施が故障によって中断するような事態は考えにくいわけでございますが、今後ともさらに一層信頼性向上のために努力をしていかなければならないというふうに思っております。  3bのワントラポンを利用してやるということにつきましては、あくまでも予備機の機能をあわせ持って行うということで考えておりまして、試験放送として実施さしていただきたいということで現在のところは進めさしていただいているような次第でございます。
  75. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私の聞いているのは、予備機というのは、本体が故障した場合に予備機であって、それを予想しての予備機でしょう。だから、その先に万々が一故障した場合には、その補償はどうするのか、これを言っているわけです。それまで考えているのか。実際にこういうふうにします、そういうふうにしますと言わなくとも、そういう補償をどうするのか、そこまで考えているのかいないのか、それを聞いているんです。
  76. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今申し上げましたように、BS3につきましては、放送衛星の信頼性の確保のために、あらゆる努力を講じて、万々一故障のないように努力していかなきゃいかぬというふうには考えているわけでございますが、したがって、そういうような事態は私どもとしては予想したくないし、予想しにくいところでございますが、万々一故障した場合には、その放送が中断するわけでございます。その中断したときに料金をどうするかといった問題かというふうに思いますが、それにつきましては、衛星放送料金をどう決めていくかといった中で決めるべきことでございまして、現在衛星放送料金というものをまだ詰め切ってこのようなものだというような姿が描かれている状態状況ではございませんので、具体的に料金をどのようにしていくか、返還していくとか、あるいは取らないとかいうようなことにつきましては、今お答えはできかねる状況にございます。
  77. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 余りよくわからないな。  要するに、私が言うのは、具体的に料金制度がこうなったから、故障した場合にはこういうふうにする、そういう料金は幾らにしろとかそういうことを言っているのじゃなくて、迷惑をかける、万々が一の迷惑をかける場合があるんだから、絶対故障しないとはあなた言えないでしょう。そういう場合には、こういうふうにするという考えを今持っているのか、持っていないのか。持っていなかったら非常に不親切になりますよ、これは。それこそ宣伝ばかりして、もうければいいというのじゃないけれども、外国に負けないように、それこそこういういいものをやったということで一生懸命やるのは結構ですけれども、そういうことではなくて、やっぱり裏づけを持って、担保を持ってそれでやっていかないと、やっぱり信用できないですよ、それは。決意発表だとか、それから確信だとかというのは、これはみんな持っているんだから。絶対故障しないとは言えないんだから、そういうことをやっぱり考えて、裏づけを持ってやっていきますよと、こういう説得力のある答弁をしてもらいたいんですが、どうですか。
  78. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 大変難しい御質問でございまして、私どもとしては、確率的にできるだけその故障をもたらさないように、来さないようにということであらゆる努力を講じていくわけでございます。先ほど来通信政策局長の方からの御答弁にもありましたように、今度のBS3につきましては、三トラポンをaにおいて持っておりまして、その三トラポンだけではなくてそれの予備、あるいは冗長系等々の手だてを講じております。  それで、bの方の予備機を今度はハイビジョン放送の専用放送のチャンネルとして使わしていただくということでございますが、これにつきましては試験放送という形でやらしていただくつもりでございまして、これらにつきましても万一故障するおそれがあるんじゃないかということでございますが、試験等々十分重ねまして、故障を来さないようにしていきたいというふうに考えております。信頼性の向上というのがまず第一でございまので、信頼性の向上について最大限の努力をしていきたいということでございます。  それで、視聴者に対しての補償とかなんとかということをお尋ねかもしれませんが、これらにつきましては、受像機についての補償というようなことは制度的に国としてもできかねるというふうに考えております。
  79. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 通信衛星CS2によるハイビジョンの実験の概要について聞かせてください。
  80. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 次世代のテレビとして最近注目されていますハイビジョンでございますが、この画像伝送につきましては、NTTがNHKの協力を得まして、技術蓄積を行うために通信衛星を使いまして、先般伝送実験をしたというふうに聞いているところでございます。具体的には画像品質の評価とか、波形伝送特性の確認等を実施しているんだというふうに聞いております。  それで、将来、ハイビジョンは放送衛星だけではなくて、CATVを使っても可能なわけでございます。そういたしますと、通信衛星を使って、CATV事業者に番組供給するということも考えられないことではないわけでございます。そういった可能性を秘めておるものですから、画像伝送実験をしているということでございます。
  81. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 郵政省は、NHK、NTTと共同で、通信衛星CS2を使って、ハイビジョンの映像伝達実験を実施し、特定者間で送受信するハイビジョン劇場などは早ければ六十四年度中に実現しようと、こういうことでございますけれども、各家庭へのいわゆる本格的なハイビジョン放送昭和六十六年ですか、放送衛星BS3bを打ち上げてからと思われますけれども、このハイビジョンの試験放送の実施期間と実用化の見通しについて、郵政省はいつごろと考えておられるのか。
  82. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生お話しございましたように、ハイビジョンの放送につきましては、六十五年に打ち上げ予定のBS3を使いまして本格放送に移っていくんじゃないかというふうに考えております。BS3aでは、当初試験放送として一部ハイビジョン放送の実施も想定はされますが、本格的にはまだその後になっていくんじゃないかというふうに思います。また、BS3bにつきましては、ハイビジョンを普及促進する観点から、ワントラポンをハイビジョン専用放送として使わせていただいて、一般放送事業者というか、主たるところはNHK日本衛星放送会社でございますが、それに利用していただいて、ハイビジョンの普及を図っていきたいということで計画しているところでございます。放送の区分といたしましては、全期間中試験放送として、3bの場合はワントラポンが使われるというふうに私どもは想定しております。  それで、ハイビジョン放送の本格実施といいますか、実用化の時期でございますが、これにつきましては受信機の普及状況とか、あるいは技術開発の動向だとか、いろんな要素を見きわめた上で、なおかつ放送事業者の意向等も参酌して検討していかなければならないということでございまして、今からその時期を明確に申し上げることは大変難しい状況にあります。
  83. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 このBS3の開発経費というのは、昭和六十年から国といわゆる利用者、NHK、JSBが負担してきたわけでございますけれども、このBS3の開発経費七百八十四億円というのはもう変わらないわけですけれども、産投会計から七十五億、こういうふうに今度決まるわけですけれども、この七十五億の産投会計から出資するこの根拠、これが一つと、この出資によってNHK、それから日本衛星放送、いわゆるJSBの負担軽減額、出資比率は少し変わると思いますけれども、どういうふうに変わるか、この点を教えていただきたい。
  84. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 産投会計から機構出資を予定しております七十五億円という金額でございますが、根拠ということで申し上げますと、鶴岡先生おっしゃいますように放送衛星三号、これの開発経費は全部で七百八十四億円でございます。で、これはaとb、それぞれ三本ずつ、合計六本のトランスポンダーが搭載されておりますので、平均計算でいきますと、七百八十四を六で割った約百三十億、一本当たり百三十億円という計算になります。機構が持ちますトランスポンダーは、これは予備機としての機能を果たした上でということでございますので、NHKやJSBが持っております完全な本機としての機能ではございません。万一の場合には、予備機としてですから、本機が万一のときにそれを明け渡すというようなこともございますので、約百三十億円の六割程度の七十五億円というふうにしたものでございます。  それから、もう一つのお尋ねの、この七十五億円の産投出資で、NHKあるいは日本衛星放送負担がどうなるかということでございますが、BS3の総経費七百八十四億からこの七十五億円を引きました残りの七百九億円、これにつきまして、従来どおり三五%を宇宙開発事業団が、六五%をNHK及び日本衛星放送負担する、こういうことになります。その結果、NHKは三百七億円で約三十三億円の負担減、それから日本衛星放送は百五十四億円で十六億円の負担減でございます。総体として、したがいまして、この負担比率で言いますと、NHKが三九%、日本衛星放送が二〇%、こういう負担比率になる計算でございます。
  85. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、放送衛星BS3は、昭和六十五年の夏にa、そして昭和六十六年にbを打ち上げると、こういうふうに聞いておるんですけれども、現在使われているBS2放送ができないというような大きなトラブルはなかったようですけれども、小さな部分的なトラブルは何回かあったわけです。これは次のBS3を打ち上げるために重要なトラブル、BS2のトラブル、いろいろ参考になったでしょうし、研究材料にもなったと思いますけれども、このBS2を参考にして、BS3に改良を加えた、それはどういう点があったか、この点はいかがでございますか。
  86. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) お尋ねの点につきまして、幾つかございますので、若干専門的な術語が入って恐縮でございますけれども、申し上げたいと思います。  まず、これはBS2を開発しておりますときに有効であると認められました中継器、トランスポンダーでございますが、中継器の長期熱真空試験といいますか、熱に長い時間さらして、それでどういう反応があるかという、そういう試験を開発あるいは製作の必要な段階で実施したところでございます。  それから、数多くの進行波管増幅器といいますか、TWTAと言っております。これは地上からの電波衛星から地上に向けてまた放送するために電力を増幅するわけでございますが、その増幅するための装置を進行波管増幅器と言っております。この中にあります真空管、これが進行波管というものでございますが、この進行波管増幅器、TWTAを製作しまして、長期にわたりまして、これも寿命あるいは信頼性の評価試験なり放置試験を実施したところでございます。  それから第二は、これもBS2aで出ました進行波管電力を増幅するための装置のトラブルの経験に基づきまして、その進行波管のカソード、カソードというのは何というんですか、電子を放出する陰極をカソードと言っているようでございますが、そのカソードの材質ですとか、あるいは電子銃部の構造を見直しまして、カソード付近の電極間の絶縁が劣化するのを防止したと。  それから、コレクターと言っておりますが、電子をとらえる部分だそうですが、このコレクター の電極材料を、何か放電の原因となるような粉が出ないように、粉じんが出てそういう放電の原因となるような、そういう粉が出ないように銅とする、そういう電極材料を銅とするなど設計なり製作上の改善を図ったというところでございます。  それから第三は、これもBS2aで生じました太陽電池パドル、これは人工衛星の電源を確保するため太陽電池を張り詰めた翼でございますが、その太陽電池パドルが汚れるといいますか、ごみがつく、そういう反省を踏まえまして、プルーム・シールドという遮へい板を取りつけまして、アポジモーターで燃焼後にいろいろ排出されますガスによります太陽電池パドルへの汚染を防止したということでございます。  それから最後に、追跡管制系、TT&Cと言っておりますが、その追跡管制系の信頼性を向上させるために国産品を使用した。国産品を使用したから直ちにというわけではないんですが、とにかく透明性のある、午前中でもお話が出ました、ブラックボックスが少なくなって、どこがどうなっているかというのがわかりやすい、その国産品を使用して、部品の選定あるいは熱真空試験において十分な信頼性の確認を実施した。  以上でございます。
  87. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 話前後しますけれども、一点だけ。機構が今度トランスポンダー一つ持つことになるわけですけれども、このトランスポンダーを対価を払って利用する者が民間にもちろん出てくるわけですけれども、今考えられるのはどういうところが考えられますか、予定されておりますか。
  88. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 通信衛星機構BS3bのトラポンを一本保有いたしまして民間等にリースするということでございますが、主として私ども考えておりますのは、現に衛星放送地球局を設置して、BS2によって放送をやっておりますNHK日本放送協会、それから設置を予定しております、設置計画を持っております日本衛星放送会社が考えられる、現時点においては主としてその二社が考えられるというふうに思います。
  89. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ハイビジョンのことについてお聞きします。  次世代のテレビと言われるハイビジョン、このハイビジョンというのは、今のテレビとは根本的に違うわけです。今までのテレビというのは、ブラウン管をのぞくように見るものであったが、しかし、ハイビジョンテレビというのは体験的視聴というんですか、実際に体験したような感覚になる。こういうすばらしいテレビであるわけですけれども、そこでお尋ねしたいんですが、郵政省は白黒テレビの普及やカラーテレビの普及には宣伝というんですか、こういうふうにした方がいい、そういうふうにした方がいいという、いわゆる何も手伝わなかったけれども、このハイビジョンについては、これも今まで何回か話に出ておりますけれども郵政省の中にハイビジョン推進室までつくって、ハイビジョンの普及に、その振興策といいますか、これに盛んに力を入れている、熱心であると。こういうのはどういうわけで、私から見ればちょっと背伸びしているんじゃないかなと。また最先端を行くのは郵政省であると、こういうことでやっているのか、その辺はわかりませんけれども、白黒テレビ、カラーテレビのときには黙っていたとか、何も言わなかったのに、ハイビジョンは、そら、ハイビジョンだ、ハイビジョンだ、こういうふうに言うのはどういうわけなのか、その辺はどういうふうにお考えなんですか。
  90. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生お話にございましたように、ハイビジョンは現行テレビに比べますと大変高画質であり、また高音質が期待される臨場感あふれるものでございます。次世代のテレビと言って過言でないものでございます。従来のテレビは、NTSC方式と称しておりまして、米国で開発されて日本に入ってきたということで、いわば手本が手近にあったわけでございます。そいつを、そいつをといいますか、米国において普及されたものを我が国において二十八年に導入いたしまして、それ以来、それからカラーテレビに発展してきたというのが現状でございます。一方のハイビジョンというのは、我が国が独自に開発したものでございまして、いわばお手本は世界どこを見てもないわけでございます。先ほど来お話繰り返しておりますように、大変高画質なものでございまして、国民の多様化する、高度化したニーズにもこたえ得るものでございますので、ぜひとも早急に普及していきたいということが一つございます。  それと同時に、内需拡大の面からいたしましても、これからの産業に与える影響というのは非常に大きいわけでございまして、そういう意味合いからも国がある程度支援措置を講じてやっていかなければいかぬというふうに考えているところでございます。そのようなことから、ハイビジョンの普及促進につきまして力を入れて、今いろいろと手だてを講じている次第でございます。
  91. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ハイビジョンというのは、聞くところによると、現在だと二百万ぐらい実用化になった場合にかかるとか、百万だとか、五十万ぐらいに何とかなるんじゃないか、こういう話がありますけれども、いずれにしても金のかかることでございますし、その前に、ハイビジョンまでいかなくとも、現在大型画面で気になる走査線ですか、ほとんどこれが目につかなくなり、それから可能な限り高性能の良質な画面のいわゆるEDTVの普及については郵政省はどういうふうに考えておられるか。このEDテレビというのは、現在のテレビより五万円ぐらい価格が高いテレビだと、こういうふうに聞いております。それでもいいんじゃないかなとも思うんですけれども、将来はハイビジョン、これは当然やるでしょうけれども、この辺の考え方はどういうふうに考えておられますか。
  92. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ハイビジョンとEDTVは、現在のテレビとの互換性からいたしますと、ハイビジョンの場合はございませんで、新幹線と在来線というような関係といいますか、ちょっと離れた関係にあるわけでございます。EDTVは現行テレビとの互換性がございまして、どういうような措置を講じていくかということでございますが、送信側と受信側が一体となって改良することにより画質の改善が図られ、ちらつきもなくなりますし、解像度も高くなる。それから都市部で目立ちますゴーストも解消することができるという意味合いにおきまして、大変今のテレビからいたしますと、一歩前進した形のものになるわけでございます。私どもといたしましては、これもハイビジョンとあわせて進めていきたいということで、現在電気通信技術審議会において、技術的条件について審議をしていただいているところでございます。六十三年度中にできましたらまとめていただきたいというふうに期待しているところでございます。実験なども東京のキー局といいますか、放送事業者、あるいは大阪の放送事業者なども参画してやっているというようなことでございまして、六十四年度からはそういう方たちが順次EDTV放送を開始するんじゃないかというふうに思っておりますし、またEDTV受信機も同時期に発売されるものというふうに考えられます。  今先生おっしゃいましたように、EDTVの方は、今のハイビジョンの価格に比べますと相当安くて、量産段階では現行よりも数万円高いぐらいで手に入れることができるんじゃないかというふうに思っております。EDTVはテレビの大画面化とか、あるいは高画質化にもこたえるものでございますので、ハイビジョンとあわせて普及促進に努力していきたいというふうに考えております。
  93. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ、ハイビジョンの普及によって内需拡大に効果をもたらす、こういうことですけれども、内需拡大に効果をもたらすということについて、郵政省はどんな考えを持っておられますか。先ほど私申しましたように、今では二百万、百万と言う人もいる、五十万と言う人もいるけれども、大体どんな価格になって、どんな内需拡大に効果をもたらすのか。
  94. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ハイビジョンの普及促 進を図っていくわけでございますが、普及率の予測というものは大変難しいわけでございますが、最近のあるところの調査によりますと、ハイビジョンの普及促進策が効果的に働いた場合には西暦二〇〇〇年で、世帯普及率が四五%と仮定した場合でございますが、累積の市場規模が十四兆五千億円、単年度でいきまして、二〇〇〇年の市場規模が約三兆四千億というような数字が出されております。いずれにいたしましても、ハイビジョンは新たな市場を創出して内需拡大に大きく貢献するものと思っております。この中心となるのは放送でございますが、放送以外にも映画だとか印刷だとか、大変幅広い分野に利用されやすいものでございますので、かなりの内需拡大効果が期待できるんじゃないかというふうに思っております。  それから、現在、ハイビジョンの受像機は先生おっしゃいましたように手づくり、注文生産というような形でやっているものですから大変価格が高いわけでございますが、今後技術開発を進めてまいりまして軽量化、何といいますか薄型化といいますか、と同時に、大量生産に結びつけることができれば安くもなるんではないかというふうに考えられるわけでございます。  私ども普及促進を図っていくためには、何といっても受像機の価格が安くなければ、なかなか皆さん方に手にとってといいますか、お買い求めいただけないというふうに思っておりますので、五十万円前後に、五十万円前後でもちょっと高いんじゃないかというようなお話もございますが、五十万円前後にまで下がることが必要というふうに認識しております。受像機の価格は量産効果によりまして、普及促進を図っていけば量産効果が出てまいりまして、価格も下がっていくというふうになるんじゃないかというふうに考えます。
  95. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間がございませんので、最後に大臣にお伺いしますけれども、ハイビジョンというのは、現在のテレビに取ってかわるものでございますけれども、今おっしゃったように、いずれにしてもすばらしいものだからお金ももちろんかかる。そのお金の、価格の面もそうですけれども、やっぱり内容の面、番組の面、こういう点もですね、国民に価格の面では負担にならないように、それで番組の面については不公平にならないように、こういうふうに不公平感を助長するような、そういうことになっては、これはもうもとのもくあみというか、何にもなりませんから、私は不公平感をなくすために、また国民の余り負担にならないように、こういうふうにすべきだと、こういうふうに思いますけれども大臣のお考えを聞かせてください。
  96. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私が郵政大臣に就任いたしましたのが十一月の六日でございましたが、その後、十一月の二十五日にハイビジョンの日というのが初めて開催されまして、ハイビジョンウイークというのが始まりまして、私も現物を見せていただいて、全くそのすばらしさに感嘆をしたわけでございます。  十一月の二十五日というのが千百二十五本、今のテレビの走査線というのは、五百二十五本の走査線を一秒間に六十枚の絵を送ってやっております。それが先ほどからお話のありましたIDTV、インプルーブド・ディフィニションTVという。その画面を今度は、ブラインドがこう食い違いになりますように、間が一本ずつ抜いてありますやつを、今度はICでそれを制御しまして、その間を埋めていく、これがいわゆる精細度化テレビといいますか、エクステンディド・ディフィニションTV、EDTVと言われるものでございますが、それを今度は全く違った方式で千百二十五本、確かに先ほどからお話のありましたように、これに対しまして欧州諸国では千二百五十本という、ちょっと違う数字を出しておりまして、アメリカの方では、今度は互換性があるものというもので千五十本という、ちょうど五百二十五本を倍にしたもの、これが各国で今食い違いになっておるわけでございますが、それを何としても話し合いで規格を統一していくべきであろうといろいろ関係者努力をいたしておりますわけでございます。  このハイビジョンで高度映像化社会、テレマーケティングといいますか、テレビで物を見せて、それで市場開発をやるというようなことの効果とか、それから映画が大変簡単に、今「武田信玄」もこれで一部撮影をしておるようでございますが、すばらしい画面と画面とを重ねていきますと、非常に安上がりで映画ができる。それからまた印刷とか、それからファッションなんかは女性の方を立たせておいて、それで着物をどんどんどんどんハイビジョンで重ねていきますと、更衣室は入って着がえなくても自分に似合う洋服がわかるとか、とにかくそのすそ野の広さというのはすばらしいものだという実感を持っておりますので、これは五十万円ぐらいになるということでございますが、そのために郵政省の方では、ハイビジョン貯金というのも始めておりまして、ぜひひとつお入りをいただきたい。そのハイビジョンが出ましたときには買いやすいようにというので、そういう貯金も始めております。  それから、いわゆる花の博覧会というのが一九九〇年の四月の一日から始まりますので、何とかこのハイビジョンで花の博覧会という、花とハイビジョンというのは非常にいい取り合わせじゃないだろうかと思っております。  六十五年の末にBS3aを打ち上げるということでございますけれども、できれば前倒しをして、ハイビジョンとそれから花の博覧会を何とかドッキングさせることができないだろうかとしきりにこの間からお願いをしているわけでございますし、それからまた、呉明という韓国の逓信部長官が来られまして、九月の十七日から十月の二日までの今回行われます韓国の百六十一カ国という多数の国家が参加する――日本のオリンピックは九十四カ国しか参加しませんでしたが、そのオリンピックの開会式と閉会式を実験放送として両国の協力でやる。実際に日本で二百台を五十カ所に置いて見ていただく。試合の内容は、三十時間おくれでビデオで見ていただく、そんなことも考えておりまして、大いにハイビジョン普及に努力をいたしておるところでございますが、それがいろいろな意味でのすそ野の広い経済効果を生み出していくのではないか、それが必ず国民皆さん方に高度な映像化社会とともに、いろいろな意味での日本の進展につながっていくものと、かような意味で大いに先生方にもよろしくひとつ御指導、御鞭撻をお願いしたいと、かような気持ちで現在おるわけでございます。
  97. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 宣伝ももちろん結構でございますけれども、私が申し上げるのは、不公平感、負担にならないように、郵政省の方としては、また大臣としては国際規格の統一ということにも努力をしてもらいたいし、また量産体制をつくるのに努力もしてもらいたいと、そういうことを申し上げているわけなんで、よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  98. 山中郁子

    ○山中郁子君 ハイビジョンの実用化に伴うテレビ放送の将来像という点について初めに伺いたいと思います。  既に幾つかの議論がありましたけれども一つは、ハイビジョン放送に全部衛星放送が移行するということを想定しておられるのかどうか。これはハイビジョンの推進に関する懇談会報告、「ハイビジョンの将来展望(二十一世紀初頭のハイビジョン)」などなど郵政省のいろいろな文書に幾つかのことが出されております。二十一世紀初頭のハイビジョンとして、例えば「ハイビジョンの将来展望」の中で、ハイビジョン放送の番組内容について、①はNHK総合プログラム。②は民間の総合編成局。③が民間の専門放送、例えば映画。④民間の専門放送、例えばスポーツ。⑤民間の専門放送、例えば音楽。そしてまあ、ちょんちょんちょんと、こうなっているんですね。⑤までそういうふうに書いてある。  すると、これは従来型のNHKの二チャンネル、それからJSBの一チャンネルを合わせて八になるというふうに想定しておられるのか。日本が使えるチャンネルが八チャンネルだということは国 際的に決められているわけですから、この八チャンネルはそういうふうに考えて想定して、この将来展望の中に書かれてあるのか、あるいは全部とにかく移行するということでもって、総合編成はNHKとJSBの二チャンネルであって、あとの六チャンネルは結局民間専門放送としてできるであろうと、音楽とかスポーツとか映画とか、そういうふうに考えておられるのかどうか、そこのところをちょっと聞かせていただきたい。NHKにもおいでいただいていると思うので、NHKの御見解もあわせてお伺いをいたします。
  99. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ハイビジョンの実用化につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますように、昭和六十五年に打ち上げられますBS3で行う予定でございますが、すべてをハイビジョン放送で行うかどうかにつきましては、放送事業者の経営状況だとか環境だとか、いろんな面から判断しなきゃいかぬわけでございますが、BS3の段階では、すべてをハイビジョン放送でやるということは、受信機の価格だとか放送機材に関する費用とかいろんな面から見てそう容易じゃないんじゃないかというふうに判断しております。  それからBS4でございますが、先生お話にございましたように、八チャンネルの我が国の割り当てがございまして、これにつきまして懇談会の報告書の中にそのような記述があるということでございますが、八チャンネルの使用計画、八チャンネル全部乗せるかどうかということも含めましてすべて現時点においては未定でございまして、これにつきましてはBS3とか、BS2の受信機の普及状況等を見て検討していかなければならない話でございまして、報告書のように、すべてハイビジョン放送でやるということが決まっているというわけじゃございません。  それから、ハイビジョンの推進に関する懇談会の報告書にある記述でございますが、これは懇談会の立場で、期待とか希望とかを込めて述べたんではないかというふうに私ども理解しておりまして、それが郵政省の見解としてまとまったものとかいうものではないわけでございます。繰り返しますが、八チャンネルにつきましては、具体的にどのようにするかということはまだ未定でございまして、これからの検討課題でございます。
  100. 林乙也

    参考人林乙也君) ハイビジョン放送につきましては、これはもう先生御案内のように、NHKといたしましては、免許を得て開始可能な放送でございます。したがいまして、今後ハイビジョンについてどのような免許が得られるかということに係るわけでございます。ただいま郵政当局の方からもお話がございましたように、今後の問題かと思います。  ただ、一点だけ申し上げられますことは、現在の放送とハイビジョン放送は、先ほど来からいろいろお話もございますように、全く性格を異にする放送でございます。また、放送の周波数あるいは受信機のコンパティビリティー等の点からいたしますと、現在の方式の放送とハイビジョン放送というものは、ここ当分の間別個の放送として展開されるのではなかろうかということは申し上げられようかと思います。
  101. 山中郁子

    ○山中郁子君 私、最初にハイビジョンのテレビ放送の将来像について申し上げましたけれども、そうなんです、今やはりそれが模索されている状況でしょう。だから、将来像がどうなるのかということを私は今からやっぱりいろいろと議論もするし、また考えてもいかなきゃいけないことだと思うのね。そのために、何か局長は人ごとみたいにおっしゃるけれども、これは郵政省局長の私的諮問機関のハイビジョンの推進に関する懇談会の報告でしょう。で、本がつくられていて、その本にはちゃんと郵政省が監修したと、こうなっているから、余り人ごとみたいにおっしゃらないで、その中で私が今御紹介したように書いてあるから、将来BS4の段階で、日本が最終的に八チャンネルを持つというところに符節が合ってくるような書き方がされているので、そういうことはどのようにお考えなのでしょうか、展望されているのでしょうかというふうにお尋ねをしたわけで、今すぐ決まっているなどというふうにはとてもだれだって思ってやしません。そういうことはわかっています。ですから、もう少し親切にというか、あなた方が諮問機関として出しているところで検討されたものとしての報告が出ていて、そういうふうに出されてきて、これを見ていると、どういうことが考えられているのかなというふうにみんな思うわけですから、そういうことに対して、郵政省郵政省なりにお考えが当然おありになると思うので、そういうことをちゃんと答弁をしていただきたいと希望をしておきます。  次の問題としては、そうしたら地上波テレビは、将来展望としてどうなるのかという問題なんですね。従来方式でいくのか。将来展望、つまり私が申し上げました文書ですね、それによりますと、「従来方式のテレビは、パーソナル化が進み、依然高い人気」を維持していくであろうという趣旨の分析になっているわけですね。つまり、だから一家に一台の時代から一人に一台ということになって、ハイビジョンが入っても、ハイビジョンは一台、もし仮にできたとしても個別にやはりパーソナル化していくから、従来型のテレビもやはり依然として人気があって維持されていくだろうというふうにここの将来展望の中では分析されているんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。NHKの方にもあわせて同じように御見解をお伺いします。
  102. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 現在地上で行われております放送は、国民生活に不可欠な情報を提供する、あるいは国民生活に最も浸透した重要な情報提供手段でございまして、大変なじまれているものでございます。  ハイビジョン推進懇談会の報告書の中に、「パーソナル化が進み、依然高い人気」と書いてありますのは、私ども推測でございますが、こんなことを意味しているんじゃないかというふうに思います。国民の日常生活が大変多様化してまいりまして、また個別化も進んでおります。家庭内等における放送番組の視聴につきましても個人ごとに選択が異なるわけでございますので、受信機も今でもかなり数がふえておりますが、二・何台というような推測も出ているようでございますが、いずれにいたしましても、個々人に受信機が設置されて、個々人が設置してといいますか、そういう傾向が強まって、同時に、そのような形で日常生活に不可欠の情報をキャッチするというようなことで、従来方式のテレビも依然として高い需要を期待できるんじゃないかというふうに考えてそのような記述をされたんじゃないかというふうに思います。  こういうことから、私どもといたしましては、ハイビジョン等衛星に関する放送が盛んになりましても、地上放送の社会的な役割の重要性というのは変わらないわけでございまして、両々相まって国民生活に不可欠の情報を提供し、あるいは国民のニーズにこたえることができるんじゃないかというふうに考えております。  繰り返しますが、地上放送衛星放送は調和ある発展が図れるんじゃないかというふうに期待もしておりますし、そういうふうにも考えているところでございます。
  103. 林乙也

    参考人林乙也君) 大体いま郵政御当局の方からお話がありましたことと全く同じことを申し上げることになるわけでありますけれども、超長期的に現在の地上テレビがハイビジョン放送に移行していくのか、あるいは全く将来とも別個の一つの領域をそれぞれが占めていくのかという御質問かと思います。非常に長い将来のことについてはなかなか予想しがたいところでございますが、私どもが現在予測し得る範囲のレンジの中では、受信機の価格、普及のテンポ、それからコンパティビリティー、それからハイビジョンになじむ放送内容、そういったものからいたしますと、現在の方式のテレビとそれからハイビジョン放送というのはそれぞれ別個の領域を占めて展開されるであろうというふうに考えております。
  104. 山中郁子

    ○山中郁子君 今、林さんのお話にあった、非常 に長い将来ということではなくてとおっしゃった展望の目安ですね、どのぐらいというふうにお考えですか。ちょっと参考のために聞かせてください。
  105. 林乙也

    参考人林乙也君) やはり十年か十五年ぐらいということは、少なくともそのくらいの期間の範囲ではハイビジョンの方に移行するということは考えられないのじゃなかろうかというふうに思います。
  106. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうですね。いずれにしても、ハイビジョン放送が二十一世紀のという修飾がついて喧伝されているわけですけれども、あと十二年とか十三年とかという、そういう時期ですね。先ほど郵政大臣が何かハイビジョン貯金のことなどもおっしゃっておられましたけれども、この将来展望やその他郵政省の関与するさまざまな分析を見ましても、やっぱりちょっと楽観的だなというふうに思う面がどうしてもありますわね。  二十一世紀になればハイビジョンが全世帯の五〇%も普及するというようなことで、けさほど来から議論がありましたけれども、果たしてそうなるのかどうかということは、やっぱり国民の生活様式あるいは経済動向、生活様式をもっと具体的に言うならば、つまりレジャーとか余暇とか、そういうものをどういう形で求めていくのか、今のままの延長線上で考えて、休日にはくたびれたから横になってテレビでも見るかという、そういう延長線上でいくのか、あるいはもっと積極的な、外へ出てアウトドアの積極的なそういうレジャーへの志向が高まっていって、余りテレビというのは、ハイビジョンであろうとなかろうと、テレビを見る時間というのがどう動いていくのかというようなことについては、やはりかなり深い洞察というか、責任ある検討が必要だと私は思うんです。  そうしないと、やはりこの前衛星放送のときにも申し上げましたけれども、いわば世論をミスリードするというか、そういうことにもつながる危険があると思いますので、これは私ども、例えば逓信委員会で議論する立場はあります者も含めて、やはり責任のあることだと思いますけれども、この辺はちょっとひとつ大臣の御見解というか、御感想を聞かせていただきたいと思います。
  107. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 御指摘のとおりに、これからの経済動向というものがどうなっていきますか、なかなか予測のできないものがあるわけでございますが、今のところ、一九六四年にNHKで開発をしてくれましたハイビジョンというものが、新たな電気事業の中での受像機械業界にも大きな興味を持って見守られているようでございまして、またいろいろなISDN化、NTTでもISDNの初めてきょうその第一波が出るわけでございますが、そういうさま変わりいたします情報産業に対しても大きな期待を持って見られているということで、政府といたしましてもそういうものを何とか育成をして、新たな内需拡大と、それから国際経済の中での日本の経済を、大きく地歩を固めた情報部面での新しい社会資本の充実に向けて確立をいたしたい、そんな願望を我々は持っておりますものでございますから、着実に伸びていく方式を考えながら、かつ国民に疎外感を持たせないような、また大量に機器ができることによりまして、低廉な価格で提供できるような――私も研究所で壁掛け受像機というのを見せてもらいましたが、狭い家の中で、今のような大きなハイビジョンの受像機ではちょっと大き過ぎるんじゃないかなと。郵政省の玄関の入り口を一遍ごらんいただきたいと思いますが、左側に今ハイビジョンの受像機が置いてございますけれども、少し大きいなという感覚は持っておりますので、いろいろな意味で研究を重ねていただきまして、もっとコンパクトなものに仕上がり、そして皆さんに親しんでいただけるようなものになっていけば大変好都合であると。先生の御指摘もよく理解できるつもりでございます。
  108. 山中郁子

    ○山中郁子君 当面というふうにさっき林さんがおっしゃったのは、やっぱり十二、三年とか十数年とおっしゃいましたね。やっぱり要するに、二十一世紀を目指してという、ハイビジョン構想というのはね。その先の話は、ハイビジョンに一本化していく、衛星放送に一本化していくという、そういうふうにおっしゃっているわけじゃないのはよく知っていますけれども、そういう問題が出てくるので、今大臣にもお尋ねいたしまして、見解も伺いましたことは、ひとつやはりかなり将来にわたって責任が問われてくる問題であるという認識を持つ必要があるなというふうに私は強く思っております。  先ほど局長は、そういう社会的な責任という、地上波における従来型放送についてもそれなりの社会的責任というか、役割があるというふうにおっしゃって、私も特にローカル放送の観点から言って、大変重要な役割があって、それだけの問題ではありませんけれども、この問題一つとってみても、やはり軽々な形での見通し、楽観的なハイビジョンへの見通しだけに依存することであってはならないというふうに考えています。  もう一つは、BS3の段階では、ハイビジョンは試験放送ということになるというふうに郵政省は衆議院の質疑でも答弁されていますけれども、この段階で、つまり試験放送段階では、広告放送あるいは有料放送というふうにはならないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  109. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) BS3bを使いまして、通信放送衛星機構が一本トラポンを保有してやる放送につきましては、試験放送としてやるということで考えております。  それから、ハイビジョン放送につきましてでございますが、広告放送と有料放送とあわせてやるか等につきましては、その発展状況、つまり受信機の普及状況とか、それから技術開発の動向等実用化に至る過程でいろんな要素を考えていかなければならないわけでございまして、その発展段階に応じて決定していくべき問題だというふうに考えておりまして、今の時点で絶対あり得ないというようなことではないわけでございますが、当初はやっぱり試験放送でやらざるを得ないんじゃないかというふうに思っております。
  110. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、試験放送段階でJSBがハイビジョン放送に乗り出すということは、有料あるいは広告放送、同時にそういう問題が出てくるということなので、そういうふうに考えざるを得ないということですか。つまり、民放が試験放送段階でハイビジョンに乗り出すという可能性は、どうしても広告放送だとか有料放送だとかというシステムと結びついてでなければ考えられないだろうという、そういう御見解ですか。  それじゃ、もっとわかりやすく、民放は、どういうふうにハイビジョン放送試験段階で乗り出してくるのか、JSBはどういうふうになるというふうに考えておられますか、予測されていますか。
  111. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) BS3aの段階で、当初JSBがやるにしても実験放送的なものになるんじゃないかというふうに思います。六十六年に打ち上げられます3bを通信放送衛星機構が保有いたしまして、それを主としてNHKとJSB、日本衛星会社が試験放送という形で、ハイビジョン専用放送として使っていただくということを考えているわけでございまして、その初期の段階では、広告放送とか有料放送というのはちょっと考えられないんじゃないかというふうに思います。
  112. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、試験放送段階でのさまざまな有料放送だとか、あるいはNHKの受信料の問題もそうですけれども、そういう点については慎重であるべきだと思っておりますので、その点を申し上げておきます。  それから二番目に、この法案に関してですが、通信放送衛星機構の将来展望なんですけれども、臨調や宇宙開発委員会長期政策懇談会の報告においても、機構の民営化あるいは産業化などということがうたわれています。ハイビジョン推進事業主体のあり方に関しても、郵政と通産の間で、民間か特殊法人かで争いがあったというふうにも報道されているし、またいわゆる縄張り争い の問題なんかがたびたび議論になります。こうしたことの主張の主な争点と、それからその評価ですね、そういうものについては郵政省はどういうふうに考えておられるのか。それからまた、郵政省自身は、この通信放送衛星機構の将来展望をどういうふうに考えておられるのか。臨調や長期政策懇談会などにおける民営化や産業化の問題と絡んでどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  113. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) お尋ねの第一点でございますけれども、これはハイビジョンを普及したいということでいろいろ私どもは促進策を考えまして、昨年暮れ産投の出資要求をめぐっていろいろ事務的な折衝を行ったところでございます。  このハイビジョンの普及促進のためには、やはりそのハイビジョン放送を行います放送事業者が共同して使用できるチャンネルを設けると。試験的なものでございますし、これからのものということでございますので、共同して、どこか公的なところがお金を調達して、そしてそれを比較的安い値段で借りて、そのハイビジョン放送をやれたらという、そういうチャンネルを提供する、そういうことで魅力ある多彩なハイビジョン番組が供給される必要があるわけでございます。私ども機構がこういったチャンネルを設けて、ハイビジョン番組が供給されるのに大変適した中立公正な機関ではないかということ、あるいは放送衛星に関するノーハウも有しているということで、機構にその役割をやってもらうことにしたわけでございます。  それで、今度はそれに加えて、いわゆるソフトといいますか、ハイビジョン放送設備などの整備事業、衛星からチャンネル、トランスポンダーを使って、ハイビジョンのチャンネルを流す、それを使うということも大事ですが、地上でそれを受けて、そしていろいろ番組をつくって、それが現実に一般の人の目に映るようにする、そういうスタジオ設備といいますか、そういう地上放送設備、こういうものの整備事業も大事だろうということで、これにつきましては、結論として日本開発銀行からの出資を受ける株式会社といいますか、民間法人、こういうものができて、その辺の仕事をやってもらおうかと。そういう二つの形での総合的な普及促進策を実施したい。両々相まってハイビジョンの普及促進のための基盤整備をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、お尋ねの後段でございますが、現在、通信放送衛星機構は、御存じのとおり認可法人という経営形態をとっておりまして、臨調の答申、それを受けまして、政府の行革大綱では民間法人化という宿題――ただ政府としてのこれを受けとめた結論といたしましては、その前に民間法人化するための条件整備をする、例えば採算がとれるようなこともやって経営基盤を安定させる、そういうようなことが一つの民間法人化の前提となる条件整備の一つだろうということで、たまたまこのハイビジョンのためのトランスポンダー所有業務というのが、その条件整備の一つに当たるだろうというふうに考えられるわけでございます。  では将来の民間法人化ということについてどう考えているかということでございますけれども、これは、これから先の本格的な宇宙通信時代の中での機構の果たすべき役割ですとか、あるいはこれからの機構の経営状況などを踏まえまして、さらに検討してまいりたいというふうに考えております。
  114. 山中郁子

    ○山中郁子君 機構の設立当時、衛星の公正中立な利用、また営業本位にならないために、特殊法人の機構として成立させるということになったわけで、その辺の議論も大いにあったわけですよね。それで、この原則は今も大変大事な意味を持つものと私は考えております。それで通信衛星の公共性はこれから一層高まっていくわけですので、具体的にも将来的にもそうした機構設立当初の公正中立な利用や営業本位にならないための保証ですね、そういうものを将来的にも維持していく態度を郵政省はきちんと持っていただかなければいけないし、そういう点でのお考えはいかがでしょうか。
  115. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) おっしゃいますとおり、機構についての公平性あるいは非営利性ということで、この認可法人はスタートしたわけでございます。そもそも、いろいろ利用者が来てその辺の調整をするといった立場から申し上げましても、機構の公平中立な立場というのは考えられなければならない大事なことだと思います。そういうことを念頭に置きつつ、将来に向けての民間法人化という宿題もまたあわせていただいておりますので、その辺を考えながら検討を重ねてまいりたいと思っております。
  116. 山中郁子

    ○山中郁子君 次の問題なんですけれども、本法案の成立によって可能になる移動体通信の問題であります。  移動体通信衛星利用の需要は、どういうふうに予測をされておられますでしょうか、船とか航空機とか車とかいろいろあるわけですけれども
  117. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 移動体衛星通信、これは現在ハード的には昨年の八月にETSVという実験的な衛星を上げまして、これからいろいろその移動体衛星通信技術的にも実際の実用面で可能かどうかというのをテストしながら実現に向けていくわけでございますけれども、そういった段階でもございますので、その需要動向というのをイグザクトといいますか、正確に推計することは困難でございます。  ただ、これは私がお知恵拝借ということで、宇宙通信政策懇談会というところでいろいろ検討してもらった案でございますけれども、船で一万隻の潜在需要が見込まれるのではないかという一つのデータがございます。主として日本近海の二百海里内を航行する三百トン以上の船、これが約五千隻ございます。及び二十から三百トンの小型船舶のうち、沿岸無線電話未加入分の約五〇%、これも五千隻ということで、両方合わせて約一万隻がこの潜在需要の一つの数として考えられるというデータの報告がございます。  それから、トラックなどの陸上の移動体でございますけれども、これはちょっと数字的に、船みたいに何か根拠を持って申し上げられるデータはないのでございますけれども、やはり陸上移動体、トラックを初め多いものですから潜在需要は大きいものと考えられるわけでございます。需要ということの見通しについては以上でございます。
  118. 山中郁子

    ○山中郁子君 一言でいいんですけれども、あなたが例えば今具体的に船の数字を挙げてくださいましたね。その中には自衛隊は入っていますか。
  119. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 入ってございません。
  120. 山中郁子

    ○山中郁子君 自衛隊は、潜在需要がないという判断をされているということですね。
  121. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 私、今入ってございませんと申し上げましたが、どういう分類でその数のカウントをしたのか、あれはしませんので訂正をさせていただきますが、入っているか入っていないか、ちょっとはっきりしません。ただ、大まかなトータルの数字としてこういう数が挙げられるということでございますので、ちょっと訂正させていただきます。
  122. 山中郁子

    ○山中郁子君 では後ほど細かい数字はお示しいただきたいと思います。  防衛庁に来ていただいていると思うのですが、お尋ねをいたしますが、現用の通信衛星CS2におきましては、自衛隊は硫黄島との通信回線を専用線十四、それから加入電話四、その他公衆電話三をNTTから借用しています。このことが衛星の平和利用の原則に反するとして国会でも大きな問題になりました。この経過は御承知のとおりです。  ところで、ことし打ち上げた通信衛星CS3は、CS2の後継機に当たるわけですけれども、防衛庁では自衛隊の使用計画をどのように考えておられますか。つまりCS3における使用計画です。
  123. 新貝正勝

    説明員(新貝正勝君) お答えいたします。  防衛庁としましては、先生御存じのように、防衛庁自体がCS2を使っておるというんではなくて、NTTとの契約において使用しておるわけでございます。したがいまして、NTTとの間で今のような専用回線契約、あるいは加入電話契約等によってCSを利用さしていただいているということでございますので、NTTの方がCS2からCS3にその回線を移行するようなことがあるというような場合には、引き続きましてNTTから同様なサービスを受けられるものであるというふうに考えておるところであります。
  124. 山中郁子

    ○山中郁子君 同じ量のということで理解してよろしゅうございますか。
  125. 新貝正勝

    説明員(新貝正勝君) それは防衛庁の通信回線の需要の動向によることでございますので、現在の専用回線十四、加入電話四回線、公衆電話三というものが将来におきまして需要がふえるというようなことであれば、そのときどきに応じましてお願いをいたしたい、こういうふうに考えております。
  126. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは既に問題になっております国会決議との関係、あるいは機構法の成立の際の附帯決議、その他重大なかかわりのある問題でありますけれども、さらに来年打ち上げが計画されている宇宙通信株式会社の通信衛星の一本の中継器をNCC、つまり防衛庁ですね、自衛隊の専ら通信を行うという計画でNCCが所有するわけですけれども、この免許申請が出されていると思いますが、いつ出されて免許がおりたのかどうか、あるいは国際的な手続、つまり国際機構への登録その他はどうなっているのか、ちょっと簡潔にお知らせいただきたい。
  127. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NCCから出ております申請でございますが、これは昭和六十一年の十月九日に郵政省に対しまして電波法に基づく無線局の免許申請という形で出されております。  この無線局の開設を必要とする理由は先ほど来お話ございましたが、このNCCが専ら一の者、この場合には防衛庁でございますが、防衛庁という専ら一の者に対しまして提供する電気通信事業を行うために人工衛星局の免許が必要だということで、その開設の申請を出してきているものでございます。国際条約、具体的には国際電気通信条約に基づく無線通信附属規則、いわゆるRRでございますが、そのRRの規定にのっとりまして現在、国際的な周波数の調整にかけております。かけましたのが、六十一年の十一月十二日に我が郵政省からIFRBという国際機関に国際調整の手続を行いまして、IFRBから世界各国、今大体百六十カ国ぐらいITUに加盟しておるかと思いますが、加盟各国に対しまして、この調整のための公表が行われましたのが六十二年の二月二十四日でございます。自後今日に至るまで国際的な周波数調整はまだ継続中ということでございますので、免許申請につきましては、なお審査継続中ということでございます。
  128. 山中郁子

    ○山中郁子君 時間が余り残されておりませんので、私の方から調べて伺ったことについて申し上げますが、申請の内容というのは、使用目的としては艦船から艦船、あるいは地上から艦船、そういうことであります。  それで防衛庁に伺うんですが、このNCCの利用で言う地上あるいは艦船、それは地上局は何カ所でどこに置く予定というか、考え方を持っていらっしゃるのか、艦船数はどのくらいのものとして考えていらっしゃるのか、お示しいただきたい。
  129. 新貝正勝

    説明員(新貝正勝君) 地上局につきましては、二局を予定しております。  まず東部海岸地球局ということで、千葉県の飯岡というところに一カ所は予定しております。それから、西部の海岸地球局につきましては、現在まだ具体的に決定してはおりませんが、いずれにしろ海上自衛隊の基地のあるところというふうに考えております。  それから、艦艇でございますけれども、中期防の期間中におきましては約四十隻を予定しております。  以上でございます。
  130. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣にもぜひお聞き取りいただきたいのですけれども、今のように艦船と艦船、艦船と地上通信、これはまさにもう軍事利用そのものなんですよね。これが平和利用ということはない。ましてや非軍事利用ということではないことは明らかであります。今回の法改正によりまして、機構がつまり移動体通信の機器を載せた通信衛星を扱えることになるわけで、まあ将来ですけれども、移動体通信を自衛隊にも利用させるということになれば、結局四十四年の国会決議の、我が国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議で明確にしている平和の目的に限るという問題、それからその後さまざまな国会の議論の中で明らかにされている非軍事利用だということで明確になっている、そういうことをさらに踏みにじることになってしまうということであります。  同時に、五十四年のこれはたしか六月五日に採択されたものだと思いますが、この機構法の制定時の附帯決議にも平和利用の目的に限るということが明記されているわけです。この問題は、六十年の予算委員会でいろいろ議論がされました。その経過はもう時間がありませんので、私がこのことに深く立ち入る余裕がありませんけれども、このときも御承知のように政府は、通信衛星利用が一般的になったから自衛隊の利用、つまり軍事利用も、平和利用を目的とするということに限るとした国会決議に反しないんだという、全く詭弁とも言えないような論外の論で押し切っているわけです。  もともとその通信衛星というのは、一般的に利用するためにつくるのであって、軍事に利用するのではだめだという決議があるし、また機構が設立されたときにも、事業団が設立されたときにも附帯決議でそのことが何回も繰り返し平和利用に限るということが明確にされているにもかかわらず、これを無視して軍事利用、自衛隊の利用、今防衛庁が述べられましたように実際に利用もしているし、これからも通信衛星が変わっていけばしていきたいと、こういうふうにおっしゃっているわけだから、そういう点で政府の態度は非常に不当でもあると同時に、今後の問題としても大きな問題を残すということを私は改めてここで指摘をしておかなければならないと思います。現行の通信衛星の利用も当然のことでありますけれども、この法改正に基づいて行われることができるようになる移動体間の通信について絶対に軍事利用をさせてはならない、反対であるということを私どもの立場から明確に申し上げるとともに、そうした立場をとるべきではない、断固としてこれはさせてはならない、そういう姿勢を郵政省として、政府として堅持をすべきだということを強く警告をいたしまして、私の質問を終わります。
  131. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 放送衛星通信衛星ですね、これのまだ非常に未完成の段階が多いわけでありますが、現実にBS2aは故障を起こして待機中である。2bが三回故障を起こしたけれども、何とか動いて衛星放送を現在やっておるというようなお話が午前中もあったわけでありますが、問題は、したがってBS3を打ち上げるにしても、当然過去の経験を十分生かして打ち上げられることはもう当然でありまするし、そのことは午前中のお話でも聞いているわけなんですが、問題は我々が素人的に考えまして、推進する立場というのは、常にとにかくやりたいということなんですね。それをチェックしていくという、ある程度コントロールするというか、そういういわゆる推進とコントロールという、何か高技術であるだけに我々一般にはわかりませんから、そういう体制的なものも私は非常に必要じゃないかと思うんですが、そういう推進に向かって、それをよりよく成功させるための体制的なものについてどういうふうな考え、現在の体制を持たれておるのか。あるいは持たれてないとするならば、これからやっぱりこういう分野はどんどん進展していくわけですから、私はやはり推進と、チェックというとオーバーですけれども、ある程度それをコントロールするような体制が必要でないかというような気が するんですが、そういった問題についてお伺いしたいと思います。
  132. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) ごもっともなお尋ねだと考えます。私ども、先ほど来からBS2a、bの状況にかんがみまして、ハード的といいますか機械の部品という観点での安全、信頼性向上ということについて、いろいろBS2の後継衛星でございます3a、bについてとりました措置はるる申し上げたところでございます。いろいろ冗長系をふやしたり、あるいは地上試験を強化したり、あるいは国産品を多数投入して、どこがどうなっているかをはっきりつかめるようにしたというようなことがその例でございます。  おっしゃるとおり、いろいろ新しい施策を推進するということと同時に忘れてはならないのは、万一のときに、じゃそれがどうなのかという配慮でございまして、そのための体制ということで、これはいろいろ事故などの経過にかんがみまして、例えば宇宙開発事業団におかれましても、事故検討専門委員会といいますか、ちょっと名前はそのとおりでないかもしれませんけれども、そういったことについて専門のプロジェクトチームをつくって、その辺の予防と後の措置ということについて万全を期しているように承っておりますけれども、また私どももいろいろ関係機関と連絡したり指導する立場から、事業団機構、あるいは利用者でありますNHKさんなども含めまして、その辺十分な連絡体制をとっているというところでございます。  なおまた、今宇宙開発委員会で行われております事故原因調査検討結果を踏まえまして、さらにどういう措置をとっていったらいいか、これからも引き続き考えてまいりたいと思っております。
  133. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 結局は現在の機構でお互いに連絡を密にしながらチェックしていくという、同じ機構の中だけでの体制だと思うんです。こういう高技術の問題ですから、それをチェックするというのは、非常に失礼な立場に立つかもしれぬけれども、何か私は素人目に見ても、推進と、それに対する批判的な立場に立って、やはりチェック機構を持っておいた方が物事を進める上において非常に万全ではないかというふうな気がいたします。  さて、現在のBS2のa、b、これはとにかく今の状態で動いていますけれども、もし万が一bが不能となりますと、これは衛星放送にも大変な影響を与えますし、したがって、計画されておるBS3を繰り上げて打ち上げをするというようなことは可能なんですか、不可能なんですか。
  134. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) BS2に続きます3aでございますが、これは目下のところ昭和六十五年度にa、それから六十六年にbということで、とりあえず3aにつきましては六十五年の夏の時期に打ち上げという予定で、目下綿密な計画を立てて、予定どおり順調に進められておるという状況でございます。  万一の場合ということでBS2a、bが故障して、どうしてもだめになったという段階で、BS3aの打ち上げを繰り上げることができるかどうかということでございますが、当然そういった時点におきましてはいろいろな対策を考えなきゃいかぬと思いますけれども、目下のところ、この3aの打ち上げにつきましては衛星の開発スケジュール、それから打ち上げ用のロケットの開発スケジュール、それからほかの衛星の打ち上げ計画との調整、こういう問題がございまして、2a、bがいずれも故障したからといって、直ちにBS3aを繰り上げて打ち上げるということはちょっと困難な状況でございます。
  135. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 非常にそういう意味では祈るようなという午前中の話にもなりまするし、薄氷を踏むようなという感じにも受け取れるわけなんです。  問題は、非常にリスクも多いわけですから、現行の今の開発、打ち上げ、それからこれに関する所有者であるNHKとか民間放送会社、これの経費をできるだけ負担を軽くしていくという立場でいきます場合に、一つとして考えられるのが保険契約のリスク回避の問題で、政府負担する。例えば輸出入保険に見られるような保険制度を放送衛星の開発、打ち上げ、運行についても創設すれば、その分だけでも一つの経費節減になるわけですけれども、それに対して、政府としてそういった保険負担に応じる考えがありますか、どうですか。
  136. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 確かにこのリスク、これが所有者であるNHKあるいは民間放送会社だけで負担するということについて、いろいろそのリスク回避のために考えられる手だてという意味で、橋本先生おっしゃったことも一つ考えられることでございます。私どもこの輸出入保険に見られる保険制度というのも勉強させていただきまして、これはもう御存じのことと思いますけれども、輸出入あるいは海外投資で生じました為替取引の制限などの対外取引に伴います危険をてん補するということで、貿易保険の特別会計をつくって、輸出入業者のリスク軽減を行っているということでございます。  こういうこともあるということを私ども勉強いたしましたが、さらに、じゃ同じような考え方をこういう衛星というものに使えるかどうかということについては、いろいろ国としてそういうことができるのかどうなのか、関係機関、宇宙開発事業団を所管しております科学技術庁初め、そういった関係の機関などとも密接な連絡をとりながら、幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。
  137. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 午前中のお話にもありましたように、将来すばらしい内需拡大産業になる、十五兆円ともあるいは六十兆円とも言われる、これは国家的事業と別な言葉で言えば言い得るものなんでありまして、そういうものこそ私は国家が負担してやるという立場に立ってもいいんじゃないか。民間なりNHKというふうなところに任していくというのも非常にそれ酷な話ではないかというような気がするわけです。  これからの展望を見た場合に、そういう意味で、ある意味においては私はこれはまた別の一つの意見ですけれども、打ち上げそれから所有をむしろ国が負担して全部やった方が私はいいという考えを持っておるわけなんですけれども現状も今のこんな状態ですから、そういうことは言っても間に合わない話ですけれども、そういう点からひとつ御検討願っておきたいと思います。  それから、先ほどとちょっとダブるかもしれませんけれども通信衛星機構、行革でも指摘されておりましたように、将来の民営化という問題も抱えておるわけで、そのプロセスはどうなっていくか、まだはっきりしませんけれども、そういう段階になった時点で、私は今言った開発、打ち上げ、所有、そしてユーザーという関係をもう少し整理する時期が来るんじゃないか。例えば機構が打ち上げから完成、維持、所有、そしてあとユーザーに賃貸しをするというふうな方法一つだと思いまするし、今はどれもこの段階で決めておくことは不可能でありますけれども、そういうやはり整理していくという姿勢、そういう中で負担をできるだけ国もかぶっていくというふうな運営が必要ではなかろうかと思います。  そこで、この機構が民営化に向かっていく時期といいましょうか、そういうものは一体どのぐらいの時点に考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  138. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 将来民間法人化しろということの宿題をいただいているということは毎度申し上げているとおりでございますが、今度トランスポンダーを所有してリースをするということ、それがあわせて経営基盤の安定を通じて民間法人化の一つの条件の整備になるということを申し上げているわけでございます。これが六十六年から行われるわけでございまして、それから先の、ハイビジョン放送のそういう促進という観点から、機構の持っておりますトランスポンダーがどのように利用されていくか、それに応じて機構の経営状況がどういうふうになっているかという ことが、そのいった先の時点での一つの判断材料になろうかと思います。それから先、いろいろハイビジョンの普及ですとか、何かいろいろな周囲の条件などもあわせて考えていかなければいけないと思いますし、またそういった時代において、じゃ機構がまたどういう役割を期待されるかというようなこともあわせて考えていかなけりゃならぬと思います。  そういった意味で、せっかくのお尋ねでございますが、民間法人化が何年先だということはちょっと具体的な数字では申し上げられません。定性的にいろいろな、こういう考えられる検討材料というものを考えた上でという意味合いで申し上げさしていただきたいと思います。
  139. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これ設問してないんですけれども、先ほどもちょっと出ましたので、もしおわかりでしたらお尋ねしておきたいと思うんですけれども、非常にハイレベルの技術でありますね、したがって技術者陣というんでしょうか、その確保、将来産業が伸びていく、そういう技術陣の確保という面について、どれだけの技術者数を想定されるのか、あるいはまた、その想定に向かって果たしてそれだけの人材が集め得れるのか、それいった問題について何かお考えがありますか、お尋ねしておきたいと思います。
  140. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 日本衛星の開発に当たりましては、宇宙開発政策大綱といいますか、どういう形で衛星の開発を進めていくかということについて、内閣総理大臣の諮問機関でございます宇宙開発委員会でそういったことについて一つの方針というものを立てまして、それによりますと、自主開発といいますか、自主技術を開発していこうということで、日本なりに極めて初歩的な段階からスタートして、いろいろな体験を積みながら、日本なりのロケットも含めた衛星の開発、打ち上げ技術を集積してきたわけでございます。その過程では当然宇宙開発事業団、あるいはそれをさらに請け負いましたメーカーの技術陣、こういったものの協力があったわけでございます。その過程で衛星技術についての先生おっしゃいました技術陣の養成といいますか、技術陣の育成というのはおのずから行われたというふうに考えております。  これからもそういった自主技術開発路線をとっていくのか、あるいはせんだってCS3の打ち上げのときに、一部新聞報道をめぐりまして議論が出ましたように、外国の衛星、外国の通信衛星を買った方が安くつくと、国内の国産衛星は高くつくから、将来どうしたらいいのかというような議論も出ておりまして、そうした場合にはこれは、それはそれで一つの意見ではあるんですけれども、反面、自主開発路線でせっかく培われてきました日本技術陣というものがそこで中止するというか、休止するということにもなりまして、これまでの何というか、一つのノーハウの積み重ねがどういうことになるのかということも考えなきゃいかぬわけでございます。  で、承りますところによりますと、そういった日本衛星が高くつくということの一つ原因は、非常に数が少ない、手づくりの衛星を何年かに一遍上げるということも原因一つでもございまして、アメリカのように大量に同じ規格のものが上げられれば、そういったコスト面の隘路も打開できるというふうに聞いておりますので、将来そういう外国の要請にもこたえて、逆に日本衛星がそういった量産も可能になるということになれば、日本技術陣、ひいては先生おっしゃいました技術者の養成というハイテクの伝承もおのずから可能になると思いますので、この衛星のあり方ということについては、いろいろな立場から議論があるんでございますが、技術者の養成という点から言えば、そういったところが一つの方向ではないかというふうに考えられる次第であります。
  141. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 先ほどから出ておりましたハイビジョン関係について、二、三お尋ねしたいと思いますが、もう既に新聞でも出ておりますように、ソウル・オリンピックですね。あれ二百台、五十カ所ですか、設置されるようですが、それはどこへ設置されるのか、五十カ所。それと、それは一体だれが負担していくのか、お尋ねしたいと思います。
  142. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生からお尋ねのソウル・オリンピックでございますが、生中継と、それからビデオと合わせまして、放送衛星を使いまして国民の方々に見ていただこうということで現在全国五十カ所、約二百台ということで準備を関係者との間で進めているところでございますが、まだ最終的な詰めが終わっておりません。今、鋭意検討しているところでございます。  それから、経費負担につきましては、関係者皆さん方の間で話し合いをしながら詰めて、負担していただく方向で検討しているところでございます。
  143. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 ちょっとわかりにくかったんですが、もうオリンピックもそう遠くないんですし、それから設置の場所、それと関係者と言うんですけれども、どういう関係者なんですかね。いろいろなスポンサーがつくんじゃないかと思うんですが……。
  144. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) いろいろな方が関係しておるわけでございまして、メーカーとか、それから地方公共団体、その他いろんな方々に御負担していただこうと、NHKとかいうものもある程度協力をしていただくということでございます。それから、そのほかにはデパートだとか、配置場所等につきましていろんな面が考えられるわけですけれども、これにつきましても現在整理をしておりまして、最終的に発表をできるような段階にまだ来ておりません。できるだけ早く決めて、オリンピックが九月十七日から開かれる予定になっておりますものですから、その前何カ月か、二、三カ月か前になるかと思いますが、その時期ころまでには確定をしなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  145. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 まあ申し込みが殺到しておるような感じの話も聞いたわけですけれども、ひとつ早く決定していただきたいと思います。  それから、ハイビジョンの規格統一の問題なんです。まだまだ未完のものでございますけれども、国際的にはいろいろなこの統一問題について、日本、カナダ、アメリカ、あるいはECの関係とか、もう既に問題出ておるようであります。これは恐らく将来の機器メーカーとの関連も絡んでくるかと思いますので、こういった統一規格の問題というのは国際的に非常に進展は私は難しいと思います。その場合に、日本としてはNHK方式をどんどん進めていくのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  146. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ハイビジョンの国際統一規格問題でございますが、これにつきましてはCCIRの場で、日本とカナダとアメリカと共同提案という形で日本の規格を提案さしていただいたところでございますが、なかなか勧告にまで至りませんで、意見が分かれているところでございます。その後、ECが新しいHDMAC方式というようなことを検討し始めまして、提案をしているような状況でございまして、その間の検討会もしようということで、先般ECと日本との間で作業部会をつくりまして協議をしたところでございますが、これにおきましてもまだまだ意見が一致するというところには至っておりません。この秋にももう一度作業部会を開いてやろうというようなことで考えているところでございます。  国際的にハイビジョンを普及するためには、やはり何といっても国際的な統一規格ができることが国際番組交流を図る上でも大変望ましいことだと。現在、NTSC方式とPAL方式とSECAM方式と三方式に分かれておりまして、その間のコンバーターを必要とするような事態にございまして、若干手間暇かかるわけでございますんで、これがスムーズに行われるためには、何といっても国際統一規格づくりが大切だというふうに思っております。  そういうところから、非常に厳しい予断を許さない状況でございますが、日本の立場が理解できるようにさらに努めていかなければならぬ。実用 段階に近いのは何といっても日本の方式だけでございます。できるだけその理解を深めて、我が国の方式が世界統一規格として取り上げていただけますように今後とも一層の努力をしていきたいというふうに考えております。
  147. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 じゃ最後に、この問題について大臣のひとつ御決意をお願いしたいし、それから今度大臣、連休中にヨーロッパの方ですか、行かれるようですが、そういった問題も出るのかどうか、ひとつあわせてお願いしたいと思います。
  148. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、日本の千百二十五本とそれからヨーロッパの千二百五十本とアメリカの千五十本という三つの方式がどういうふうになっていくのかということで、大変心配をいたしておりますが、現実に映像を映すもの、それから受信機、これが現実に存在をしておるのは日本でございますので、先般二千四百五十六ありますアメリカのCATV社の会長のマニーという人が来られまして、この人が、自分たちは日本の方式にアメリカのCATV業界で投票をしたという大変心強いことを言ってくれましたし、つい数日前、何日でございましたか、レーガン大統領がそのCATVの大会に出席をされまして、いわゆるNHKのハイビジョン方式、NHKの方式に対して賛意を表明してくれるような大変ありがたい演説がありました。今その演説の原本を取り寄せてもらって、こちらからひとつ感謝の気持ちを表明するような手紙でも差し上げようかと考えております。  そんなことで、このハイビジョンが非常に大きな希望を秘めた新しい機材として期待を込めまして、これから私も二十八日、委員長以下皆様方のお許しを得て、第三回の電気通信の会議で英国に行き、それからフランスの関係者と話し合いをしてくるつもりでございます。ストラスブールの、フランスとドイツの国境の郵便局も見てまいろうと思っておりますんでございますが、今度の会合は、国際VANに関する会合でございますので、ハイビジョンの話は出ないかと思いますけれども、いかに美しい画面が日本では実際に映像化されているかということも、ひとつ雑談の中ででもPRをしてきたい、そんな気持ちで行かせていただきたいと思っております。
  149. 青島幸男

    ○青島幸男君 本法案につきまして、私はここで告白するのもなんでございますけれども、いろいろ先に質問に立たれました委員の方々の御発言を伺っておりますうちに、私の不勉強がだんだん身にしみて、後悔をされてくるような状態でありまして、甚だ不見識でありますけれども、もう一回勉強をし直してこの場に臨みたいというふうに思うくらい反省をしておるわけであります。  聞けば聞くほど問題点が多いんじゃないかという気が実はしているわけでありまして、この一貫した流れの中で、こういう問題が出てきておるというのをはたと悟ったのは、郵政省の考え方とか対応の仕方が実に行き当たりばったりで、基本に哲学がないというような印象がまずあったんです。それはある面では仕方のないことかもしれないと思うんです。ということは、我々が予想もしかねなかったような急速なテンポで、予想外の進展をしてきましたんで、ここのところ十五年ぐらいは、まさか放送衛星などというものが宇宙のかなたに存在をして、これを地上から制御して、そこへ当てた電波がそのまま戻ってきて、それを一般の国民が、一般の家庭において受信できるというようなことは夢にも考えておりませんでした。  ですから、次から次に出てくるそういう新しい技術に対応するために一貫性に欠けた部分があったかもしれないというのは、多少許せる部分もあると思うんですけれども、しかし、それにしてもちょっと指針の立て方が甘かったんじゃないかという気がします。  というのは、そもそも難視聴解消のために打ち上げた衛星ですけれども、これがかなりの可能性を持っているということで放送大学をやろうじゃないか、これも行き当たりばったりの話だったと思うんですけれども、それで最初はそれをNHKにさせたらどうか、NHKの教育放送みたいなものを拡充発展させれば、それで事足りるんじゃないかということになりまして、NHKはそれはとんでもない、できませんという話になりまして、じゃ別個のものを立てようじゃないか、かねや太鼓で放送大学を宣伝なすって、しかしいつの間にかしり切れトンボになりまして、地上波で関東地方のみというような格好になりました。  それも、ただ単に衛星のふぐあいだけではなくて、何となくお祭り騒ぎが終わった後というような格好で、竜頭蛇尾と申しましょうか、先ほど局長お話ですと、CATVを通じてやったらいいだろうとか、あるいはビデオを通じて全国ネットにできるんじゃないかというようなお話まで伺いましたけれども、実際には衛星が上がるからこそ放送大学というのが、全国一般の方々が終身修学の機会がある、これはすばらしいことだというんで行われてきたんですけれども、どうも内容と実態は全く違ったものになってきているという気がします。  衛星放送ができて、NHKがこれで二十四時間、たとえ試験放送とはいえ、従来の総合放送と教育放送のほかに新たに一波を設けたという格好で放送をずるずるべったりに行っているというのが、私はもう承知できないという考えでおるんですけれども、その上BS3が上がれば、今度はハイビジョンもやりたいと。このハイビジョンというのは大変な可能性を持っておって、大臣お話ですと、六十兆からの需要を喚起するかもしれないし、一般の方々が共有の電波を享受して、しかも文化の発展、それから社会資本の充実、国民生活のすばらしき向上などというふうに、何かユートピアみたいなお話をなすっておられるように私聞くんですけれども、必ずしもそうはならないんじゃないかという気が実はしているんです。  と申しますのは、新たに衛星放送が行われる、各家庭でそれを受信するための設備をするということは、国民各家庭の受信者に新たな負担を強いるわけですね。新たな負担を強いたものが、果たしてその先にあるものは何かということを明確に描いておかないと、とんでもない事態になりはしないかという気がします。  というのは、NHKだけで今一チャンネル、三チャンネルありまして、その上二十四時間放送していますね。その上にBS3が上がると、今度はハイビジョンをやるわけですね。そうすると、そのほかに民放もハイビジョンをやり出す。そうなりますと、今八チャンネルある上に、新たな衛星放送が一波とそれからハイビジョンが二波ということになりますと、十一波にわたるわけですな。そのほかビデオがありまして、それで一般の視聴者のニーズが多様化しているからとはいつも省の方はおっしゃるんですけれども、多様化したくて多様化してきたわけじゃないと思いますよ。  私ども終戦すぐにラジオしかありませんでしてね、あと新聞ですか、タブロイド版の新聞に連載小説が出てくるのを毎朝配達を待って読むとか、あるいは調子のよくないラジオに耳をつけるようにして聞いておりましたけれども、それはそれで不幸だと思っておりませんでしたよ。物はない。物が潤沢にあれば幸せだという考え方は、もう今や古いと思いますね。  終戦のときも腹が減って困りましたけれども、うちだけじゃないよ、隣近所皆そうだ。もし不幸という考えが生まれるとすれば、それは不平等から生まれると思いますね。うちだけじゃないんだ、食い物は。よそもみんなそうだ。だから我慢しろと言われれば、私も子供のころそう思いましたよ。ラジオしかないことをそれほど不幸と思いませんでした。  それが白黒のテレビができて、それがカラーになってというのは、技術の発展とそれに伴う方々の努力と、あるいは営利目的で民放局が各局努力をして、NHKもそれに切磋琢磨といいますか乗って、技術的なあるいは内容の充実を図ってこられた。で、隣の家のテレビは色がついている。うちのは色がない。だからお母さん、買ってちょうだいということが新たな需要を生みましてここまできたわけです。各家庭に今や一台と言わず二 台、三台というように存在するようになりました。しかし、これが本当に十分なる必要欠くべからざる情報を送っているかと言いますと、そうではない。人間生活、ドラマを見なくても、野球聞かなくても死にやしないわけですな、これは。だけれども、必要欠くべからざるものと言えば災害時における情報とか、大臣再三おっしゃいましたけれども、それはとても大事なことで、これは絶対に命にかかわることですから確保しなきゃならないと思います。  しかし、一般ユーザーが願って多様化してきたニーズではないということをまずお考えいただきたいというふうに思いますし、それから、そういうニーズを改めてつくることが確かに景気の上昇につながるかもしれないけれども、それは新たな国民負担の上に乗るんだということも御承知おきいただきたいし、きれいな絵が、きれいな音が送れるようになる、見られるようになるということもすばらしいことには違いありませんが、きれいな絵やきれいな音だけ聞いているわけにまいりません。人々を引きつけたり、人々を高めたりするのは、やっぱり行われている放送内容だと思います。どんなに美しい絵で、美しい音で放送しても、野球の嫌いな人にそれを見させるというのは酷な話ですし、クラッシック音楽が好きな人にずっと聞いていろと言ってもそれは酷な話です。人人がチャンネルを選ぶのは、自分の好みによって自分が高められる、自分がエンジョイでき、自分が知りたいものを知られるという、そういう動機でチャンネルを選ぶわけですね。ですから、必ずしも美しい映像が、美しい音が流れれば、それで人は幸せになるとは私は思いません。  こういうことを考え合わせますと、新たな危険を冒して星を上げて、しかも新たな負担皆さん方におかけして、受像機なり受信機なりをつくっていただいて、その先に見えてくるものは本当に人々の幸せだろうかということを私は大変懸念しております。一家に一台以上のテレビが出て、それは多様化しているんだから、一人一人がパーソナルなものを選ぶ。言い方は大変きれいですけれどもね、パーソナルなものを選ぶということは家庭崩壊につながるわけですよ。  私の友人がこのごろ田舎に帰りたくないと言うんです。なぜかと申しますと、せっかく汽車を乗り継いで、かなたの田舎へ帰りまして、やっと家族にめぐり会って、ただいまって奥へ声をかけると、こたつを囲んでいる家族が、昔は一斉に振り向いて、ああ、お帰り、どうだった、まあここへお座りと言って、こたつを囲んで酒の一杯も酌み交わしながら、東京でこういうことが起こった、あれからおまえがいなくなって、このうちではこういうことがあったよという交流があって、初めて家族の温かさの中に溶け込めてですね、ああ、田舎へ帰ってよかったなと思うと言うんですね。ところが、このごろ、ただいまと言って帰ると、ああ、ちょっと待ってくれ、今、武田信玄見ているからと言って、座敷の中央にあるテレビにみんな向こう向いて座ってしまうと言うんですね。それが終わってから、そうか、おまえ帰ってきてたんだなと。それじゃ帰る気がしないと言うんですよ。  それと同じように、おじいちゃん、おばあちゃんは盆栽の番組を見ていらっしゃる。お父さんは野球の放送。高校のむすこはロックを見ている。それぞれの部屋にそれぞれのテレビがあって、食事の間じゅうイヤホンかけて子供が食事をしているというような状況を私は決して幸せだと思いません。従来の床の間にかわって、仏壇にかわってテレビがあって、それに一家じゅうがかじりついていなきゃならないとも思いません。複雑多岐にわたった社会状況の中で、さまざまな情報が流れるということもこれは決して――さまざまな情報の中から何が真実かを得ることは我々の権利ですし、そうあるべきだと思います。しかし、だからといって、それが必ずしも人々を幸せにするとは思わないので、先ほどもさる委員の方から御発言がありましたけれども、何でもかんでも可能性を追求して先走ってしまっていいんだろうか。ある日それは控えて、抑制して、この先に何が見えるかということを考える立場にいなきゃならない。その責任は我々にあるはずだということを申されまして、私も同感です。  そういう意味から申しますと、大臣言われるように、必ずしも先はバラ色ではないんだという気がしますけれども、その点に関してはどのようにお考えか、まずお聞かせください。
  150. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 青島先生、私と同じ年でございますので、私の思いをそちら側で代弁していただいているような、全く同感の部分がたくさんあります。  この間、近畿ケーブルネットワークというのが今度始まりまして、それに行きますと、二十四チャンネル、音声十七チャンネルという、先生の今の御指摘よりもっと多いものが実用化されるということで、テレビで話ができる。今のテレビとテレビで話をしているんじゃなくて、今度は座敷とテレビが話を始める。それから、こんなことはどうでしょうかとクイズを出しましたら、そのうちのどれを選んでくださいと言うと、画面にパッと結果が出てくると。国会にこういうのを置いてもいいですねなんて冗談を言うて帰ってきたんですが、確かにおっしゃるように、情報をたくさん出されるということは、受け取る側がそれで支配をされるという懸念も確かにあります。  今も現実には、牛が生まれたときに、牛の子供の脳にICを埋め込んで、それをアンテナで支配すると、どこの草が茂っているからそっちのを食えということをアンテナ一つでできる。牛を牧場で好きなように人間が追って、山へ上げたり谷へ下げたりする必要もなくなるというような話も聞いたりしますと、確かに心配でございまして、これは、ラフカディオ・ハーンの「常識」という話の中に、おもしろい話が載っておりまして、余計なことを言いますが、ある高僧が、修業がたけてから、庭に毎晩のように真っ白な象に乗った普賢菩薩があらわれる。そこへ半漁半農のお百姓さんが来られたので、お前も見ていけ、拝んでいけと言われた。夜中になったら、それがあらわれた。そうしたら、その半漁半農のお百姓さんが弓に矢をつがえて、その普賢菩薩の胸めがけて矢を放って射殺した。そしたら和尚が嘆き悲しんだのに対して、私は毎日殺生して歩いているので、そんなものは見えるわけがない。あなたにだけ見えたというなら信用すると。朝まで待ってくれということになって、明くる朝、血潮のしたたっているところへ行ってみると、大きな洞穴の中に矢に射抜かれた大ダヌキが死んでいたという話です。  もう学問も何もたけたその和尚さんは、悲しいことに本物とにせものを見分ける常識がなかったけれども、学問も何も、字も書けない半漁半農のお百姓さんは、百姓ではあったけれども、その人には本物とにせものを見分ける珠玉のように光る常識があったという、ラフカディオ・ハーンの「常識」という短い話でございますが、私は、このごろの情報のはんらんを、どうしてそれを見分けるか。  余計なことでございますが、これもモーゼという人がエジプトでピラミッドをつくった後、祖国へ帰るというので、四十万人を連れて出発したときに、斥候を出した。十二種族。そしたら、十種族の代表は行かないでおこうと帰ってきたけれども、二種族が行こうと言ったのを、その行こうと言った二種族の少ない方の意見をとって出発した。今度は逆に、ヨシュアという人が、モーゼが死んだ後、また十二人の斥候を出して、今度は十人の言うことを聞いて出発をした。二人が行かないでおこうと、十人が行こうと言った。これは何を意味しているかというと、指導者が偉大な場合は、情報は質でとれ、指導者が平凡な人間のときは、情報は量でとれという教えだと、こう言います。  ですから、先生のおっしゃる問題は、私も本当に懸念をしておりますし、もう家族のホテル化と言うんだそうですが、もうみんな御飯が済んだら自分の部屋に入って、自分の好きなテレビを見て、まるで食堂にだけ寄ってきて、飯を黙って食 って、そして部屋へ戻っていくという、これは家庭のホテル化というのだそうでございます。その問題も一体どう考えたらいいんだろうか。そして昔のように、お父さんやお母さんは指導をしない。テレビで勉強をしない。いろんな問題がこの問題の背後にあることは、一枚の紙でも、印刷してある方と裏の真っ白な方とありますから、これをどうするかというのはもう国家の基本で、もう教育の問題とか、いろんな問題にかかわってくる問題で、実は正直言って、青島先生のお考えに対して、私もむしろ同感でございますというぐらいの気持ちでございますから、これをどう思うかと言われても、これ、答えがありません。  えらい長いことしゃべりましたが、それは青島先生に、逆にこっちから質問をしたいぐらいに思っております。議事規則に違反するそうでございますから、質問ができないのが残念ということでございますが、全く同感でございますというのを答えにしておきたいと思います。
  151. 青島幸男

    ○青島幸男君 長い長い例のお話などお聞かせいただきまして、私もこれといって、御質問をもしいただければ、いや、私はこうしたらいいと思いますという回答を全く持ち合わせていないのを正直に告白しますけれども、私もどうしていいか、よくわからないのです。  例えば軍事目的に使っちゃならないというようなことは、もう実に明確でよくわかると思います。それからもう一つは、役員任期を何年にしようというのは、それはお話し合いで詰めればわかることで、これは反対のしようがありませんけれども、もっと平たく考えてみますと、予備の設備を使って機構が一波を有する、しかもそれは将来民営化することに向かっての足固めにもなるというような格好でお話をされますと、先々の天下り先を今のうち確保しておく魂胆が両局長にあるんじゃないかという勘ぐりさえしたくなるほど怪しげなものだという気がするんですよ。  実際問題として、ハイビジョンというのは、大臣ごらんになって大変感激なさったそうですけれども、私も見まして確かに美しいとは思いますけれども、あれは横長で、今のサイズと違いますから互換性がないんですね。それで、そうなりますと、もしその完成の暁には家庭に、しかもせっかくハイビジョンで見るわけですから、こんな小さな画面で見ていてもハイビジョンの特性が生かせませんから、やっぱりかなり大型なものにならないと特性が生きませんね。そうすると、その大型なものを従来あるテレビの屋上屋を重ねるごとくに置きまして、これはとても四畳半向きにはいかないわけですよ。そういうものにそんなに――  それで、私はこの法案自体の問題よりも、この運営の問題の方で疑問点があるんですけれども、例えばNHKで今二十四時間放送をやっている。その上にこのハイビジョンをやろうとしている。NHKは、必要最小限のことは、放送法にもあるように、全国あまねく住んでおられる人々に平等に良質、あるいはいい音で放送を享受していただく、そこまでが精いっぱいでしてね、それから先は営利事業じゃないんですから、お先棒を担いで二十四時間衛星放送をやったり、しかも先々それを発展させて別途料金を取ろうなどという、商売っ気たっぷりな魂胆をあからさまにしているというのは、私、今もって許しがたいんで、しかし、これはNHKさんを責める問題でありまして、この機構法自体の問題じゃありませんから、放送法のときにまた改めてこの問題を提起しまして御議論いただきたいと思いますけれども、本日のところは、私も不勉強で、甚だ不見識で申しわけないんですけれども、素朴にこの法案の改正に持っております疑問を表明しまして、この際は引き下がりますけれども、今後また改めて機会を得ました際にもうちょっと詰めたいと思います。ありがとうございました。
  152. 平野清

    ○平野清君 今、青島先生から大変有意義な質問がありまして、御本人は質問じゃないと言っていますけれども、私、今ちょっと同じような御質問をしようと思ってたんです。  朝からずっと聞いていますと、ちょうど二〇〇〇年になるころ、すばらしいバラ色の社会が来て、天まで本当にバラ色で満ちてくる、内需拡大が進む、大変日本経済に潤いがある。そうすると、どっかで聞いていますと、あと十五年たつと、二十一世紀には大変な高齢社会になっております。それで、政府の金はないから、今からそれに備えて、新しい形の間接税を導入してその将来に備える。聞いてますと、何か年限がぴったり合うんですね。何か不思議なような気がして、一生懸命高い間接税払って、まあ高いか安いかはこれからお決めになるんですけれども、払って、ハイビジョン見て、寝たきり老人がいい色を見て喜んでいるのがバラ色の社会かなというふうに、何かいいことと悪いことが交錯する形で脳裏をよぎるわけです。  何か先ほども、白黒を持っていた人がカラーに移るときに、親にねだってカラーにしたといいます。そのときは大した問題じゃなかったと思うんですけれども、今度カラーから隣がハイビジョンになれば、その差は物すごく大きいわけですね。あの村には、金持ちの三軒は持っているけれども、あとはなかなか買えないというような、ただでさえ持てる者と持てない者との差が大きいと言われ出した今、これからそういう二十一世紀が始まるころに、ますます持てる者と持てない者との差が広がってきちゃうような気がする。  それで、今度ちょっと矛盾するかもしれませんけれども宇宙開発委員会の長期政策懇の報告によりますと、十五年間で六兆円の投資が必要だという。その六兆円何でかなと思って聞いてみましたら、日米欧で六十兆円の宇宙開発費が必要なんだと。日本はGNPの世界の一割を占めているから、六兆円出さざるを得ないだろうということなんだそうです。それで、じゃ今の宇宙予算見てみますと、たったわずかの一千億円ぐらいなんですね。それで、言っていることと出していることとの差が余りにもギャップが大きい。何か私、この宇宙計画というのはどこに長期ビジョンがあって、どういう形で進んでいるのか、現実との差がはっきりわからないんで、そこをもう一回長期的な展望で、どういう宇宙開発を頭に描かれて、ハイビジョンとか宇宙衛星とかというものを一生懸命宣伝されているのか、ちょっと私たちにもわかるように説明してください。
  153. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) お尋ねの宇宙開発関係についての見通しといいますか、多少時間的な幅を将来に置きましての考え方でございますけれども、私どもこの通信衛星、あるいは放送衛星など宇宙通信部門で所管しております業務の普及発展に努めてきたわけでございます。  郵政省におきます宇宙開発と申しますのは、平野先生今おっしゃいましたように、総理大臣の諮問機関であります宇宙開発委員会が決定いたしました宇宙開発政策大綱を尊重いたしまして、私どもで所管しております通信衛星放送衛星の研究を中心に実施したわけでございます。そしてその研究が進みまして、衛星というものを具体的な物として、通信衛星なり放送衛星なりをこの物としてつくります、いわゆる開発の段階に入った場合、この場合には宇宙開発委員会におきましての審議を経まして、宇宙開発事業団に行ってもらっているというところでございます。  この辺のくだりをちょっと五十九年の宇宙開発委員会で定めました宇宙開発政策大綱を申し上げますと、「人工衛星の研究について、利用機関が、」「利用機関が、」というのは、利用を所管する省庁がという意味でも同じでございます。「または、利用機関の要請に応じ」、そういう直接利用機関の要請に応じまして、「宇宙開発事業団が、それぞれ利用の実態を踏まえた研究を進め、」、これが研究でございます。「これらが開発段階に達したときには、宇宙開発事業団において開発を行うこととする。」ということで、まあ科学衛星の開発のような、文部省の宇宙科学研究所で直接やるようなものを除きまして、大体こういうことで、宇宙開発事業団が物としての衛星を開発すると、こういうことでやってきたわけでございます。私ども、こういう過程で、これから先、この分野に おきます研究をさらに積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  154. 平野清

    ○平野清君 では本題の方に入りますけれども、これも何回も委員の方が御質問になりました。認可法人としての機構理事と監事の任期が三年から二年になる。臨調の方針に沿われたということですけれども、ちょっと調べましたら、七十八法人中四百七十二人、理事、監事がいらっしゃるそうです。その四百七十二人中三百六十三人が天下り、しかも四人に一人が渡り鳥、政労協の白書で見ますと、天下ってきた人が四年半いると退職金一千五百万円。普通のサラリーマンにとっては大変な金額だと思うんです。  そういう意味で、何回も御質問に出ましたけれども、この機構の中で、今まで三年だったから、じゃ再任妨げないんだから六年、では二年なら三回やればまた同じ六年になってしまう。じゃ二期やって四年なら、よそへ天下りということになろうと思うんですね。この機構の中からは絶対天下りを出さないとお約束いただけますか。
  155. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 御指摘の理事及び監事の任期でございますが、これは役員任期は二年とするという臨調答申の趣旨に沿って改正しようとするものでございます。  なぜ役員任期が二年、それも理事、監事が二年で、役員のトップにございます理事長は従来どおり三年なのかという議論は再三出るわけでございますが、これは臨調が、こういう法人を活性化しようというねらいを込めて一つのその何といいますか、ねらいのポイントといたしまして活性化と組織運営の安定化、この両要素を一つの物差しで二年ないし三年と振り分けたというふうに理解しまして、要はこういった法人が、本当に仕事を通じていろいろ社会経済のお役に立つように持っていかなきゃいかぬというふうに私ども考えているわけでございます。そういうわけで、この任期一つの物差しで変わりましたけれども、これは決して天下りを助長することになってはいかぬというふうに考えるわけでございます。  私どもこれから先、こういった特に技術の進みぐあいの激しいこういう認可法人でございます機構でもございますので、その辺の運営ということについて十分配意してまいりたいと思っております。
  156. 平野清

    ○平野清君 こういう事実をしょって立つ理事や監事ですから、できれば四年なら四年、再任はやらない。それで途中で二年ぐらいたって、とてもあの人、言葉は悪いですけれども、ぼけてしまってだめだということになったら、そのときにはもう一回差しかえるとか、何も右倣えするんじゃなくて、きちっと機構に合った形の人事をしたらいいんじゃないかなと思います。  次に移ります。機構法改正案第五条第三項においては、機構衛星所有について、「他人と共同してするものに限る。」とはっきり書いてあります。その理由は何なのか。また、BS3については、共有部分しか持てない機構がどうしてトランスポンダーをリースできるのか。何か非常にわかりにくいので、むしろ機構衛星全部を所有した方が一元化してやりいいんじゃないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  157. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 機構放送衛星に対します所有の形態でございますが、これは端的に申しますと、衛星の全部を所有するということは考えていないということでございます。それほどのまた必要もないということでございます。したがいまして、当面この機構放送衛星に対します所有につきましては共有形態しか考えていない。したがいまして、法律上の文言も共有形態に合わせたという次第でございます。  七百八十四億のうちの七十五億ということの出資で、機構放送衛星の共有持ち分を所有するわけでございますが、この共有持ち分という概念は、ちょっと観念的、概念的でございまして、全体七百八十四億のうちの七十五億。ですから、全体の部品が有機的に結びついて衛星という一つのまとまった役割を果たす機械になるわけでございますので、具体的にどの部分をどこが持って幾らだというわけではなくて、全体について、そのお金に応じて案分比で持つ、そういうことになります。  ただ利用の形態といいますか、それでは放送衛星を具体的に利用するのはどうかといいますと、トランスポンダー、中継器が六つございまして、その六つのうちの一つを確保して利用する、それがちょうど七十五億円という出資に見合った分だということでございまして、観念的な持ち分と具体的な利用の形態、それが別でありながら何といいますか、具体的に利用するときにはその案分比で、大体利用の状況も行われているという次第でございます。  それから、全体をもってどうかということでございますが、これは先ほどお尋ねもございました点で、一つの御意見として私、橋本先生から承ったのでございますけれども、利用者のリスクが大変多い。だから国ないしは国に準ずるような公的な機関が衛星所有して上げて、そして具体的にもう使えますよという状態になったら利用者に利用させる、リースさせる、そういう形態も考えてみたらどうかというような御意見もありました。そういう一つの想定される状況の中で、機構もそういう中の一つの機関としてどうかという御意見でございますならば、あるいはそういう第三者所有的な衛星の形態という一つの検討課題として承りたいと思っておりますが、現在のトランスポンダーでハイビジョンの試験放送をやる、普及のための一つの足がかりをするという状況では、部分的にトランスポンダーの一部を所有するという形態で必要十分ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  158. 平野清

    ○平野清君 次に、機構法改正案の第三十四条についてですけれども、利益が生じたときには積み立てておいて技術開発のために使ったらいいというふうに思うわけですけれども、どうして国庫納付しなければならないのか。また、国庫納付に関する政令の定める時期とその内容についてはどうなっているでしょうか。
  159. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 利益の処分に関しまして、ただいま平野先生がおっしゃったとおりの規定改正したいということでございますが、その規定は産投出資を受けております認可法人、ほかにも幾つかございますが、それの認可法人に通例のものでございます。  産投出資の場合は、単に出資したっきりということでなくて、産業政策上いろいろな具体的な政策展開の過程で利益が生じたと、そうした場合には積み立てると同時に、残余については国庫に納付しよう、産投会計はまたお返しする、こういう規定になっているようでございます。    〔委員長退席、理事大森昭君着席〕 その辺は他の認可法人と同様のものでございます。そういうわけで、この辺について、いずれまたしかるべき段階でその辺についての政令を定めるということになろうかと考えております。
  160. 平野清

    ○平野清君 そうしますと、機構に対する出資はむしろ産投よりも一般会計から出した方がいいような気がするんですが、どうなんでしょうか。
  161. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) この機構がトランスポンダー一合を所有してハイビジョンの普及促進を図るということ、これは先ほど来いろいろな機会に話に出ておりますハイビジョンの受信機、受像機を初め関連産業、いろいろな映像産業、映画ですとかあるいは印刷、あるいは診療、そういった実生活のさまざまな面で使えることがあります。そういったことで内需の拡大ですとか、あるいは他の関連の産業開発の効果があろうかと。そういうことになりますと、そのためのお金というのは、一般会計の出資よりもその産投会計の出資の方がふさわしいんではないか。産業投資特別会計法の第一条によりますと、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資、出資及び貸し付けを行うことにより、国民の経済生活の発展と生活の向上に資する云々ということもございまして、よりふさわしい資金ということで産投出資に着目したものというふうに考えております。
  162. 平野清

    ○平野清君 ちょっと話題変えますけれども、米 国で、先般プレイボーイ社が通信衛星を使って番組を流していたところ、突然一分か二分間、悪魔がたたるぞということで、何か怪メッセージが入って、せっかく何かを見ようと思っていた人々をがっかりさせたという事件があったんですけれども、それから、そのほかにもいろいろな妨害電波が入って、二分も三分も画面が消えてしまったというようなことがあるようですけれども、この電波ジャックということに対して、将来ハイビジョンや衛星放送をやる場合に、既にもうやっていますけれども日本ではそういうことはあり得ないんでしょうか。
  163. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 基本的にはいわゆる電波ジャック、あるいは放送ジャックと呼ばれるような無線局に対する妨害行為は、地上のさまざまな無線設備に対する場合と空の衛星の場合と同じでございます。    〔理事大森昭君退席、委員長着席〕 つまり無線というものが、そもそも本来的にむき出しで置かれている無線局から電波が出るという宿命を負っておりますので、それに対して、例えば衛星であれば軌道位置と正確な周波数、その他の諸元が的確にわかれば、だれか強大な電波を出す技術力を有するものであれば、これに対して妨害を与えることは可能でございます。これはアメリカの場合に限らず、日本その他各国においても人工衛星の局というものは、無線局というものはそういう宿命を負っておりますので、今後ともこういう妨害がないという保証は基本的にはできないだろうと思っております。  技術的にそれでは解決する方法はないのかということでございますが、金とそれから労力をふんだんに使って技術を開発すればできないことではないわけですし、現にスプレッドスペクトラム方式という、広帯域スペクトラム方式というようなものでやりますと防げる手はございます。しかしながら、実際にはそういう技術的には開発されている手だてでございましても、費用対効果の面から実用ではまず使われることは非常に少のうございますので、一般的にコマーシャルベースで行う無線局の場合には、このような妨害が入り得る余地がございます。したがって、これにつきましては現行法の建前は、すべてそのような違法な行為を行った場合に後からそれを捕まえて処罰をするというのが現行の電波法の建前でございますので、今後とも電波の適正な運用並びにその監視につきましては十分に私ども措置を講じたいと思いますけれども、もしそのような妨害行為が起きました場合には、現行の電波法にのっとりまして、厳正な処罰を行ってまいりたいということでございます。
  164. 平野清

    ○平野清君 後で処罰するということですけれども、にせの非常災害情報とか、軍事的なにせ情報を流されるとえらいことになるわけで、そういうことも当然考えられるんでしたら、事前の措置を十分にとっていただくようにお願いしたいと思います。  それから、科学技術庁の方に来ていただいているんですが、日本宇宙衛星、ロケットは鉄砲伝来の種子島というところから打ち上げるようになっているんで、鉄砲と衛星、非常に日本近代化のおもしろい結びつきだと思いますけれども、聞くところによると年二回しか上げられない、一回に四十五日ですか、これから長期計画を立てて打ち上げていくときに、果たして種子島の一カ所だけで済むのか、仮にどうしても済まなくなった場合には外国基地との提携問題とか考えられるのか、そういう点。それから、なぜ種子島が二回きり上げられないのか。聞くところによると、漁業交渉権にあるんじゃないかと思いますけれども、その点を御説明いただきたい。
  165. 青江茂

    説明員(青江茂君) お答え申し上げます。  人工衛星の打ち上げの機会につきましては、先生今御指摘のとおり、夏季、冬季それぞれ二回ということで制約がされておる状況にあるわけでございますけれども、ただ当面の問題としまして考えますに、現在種子島におきまして、HIIロケットの射場の建設というものを今進めてございまして、もしこれが完成いたしました場合には、それぞれ夏季、冬季各二回ずつ上がるというふうに拡大が図られるというふうな可能性も今追求してございまして、こういうことでございますれば、当面の問題としましては、打ち上げ需要に対応できるんではないかというふうに私ども見ておるわけでございます。  ただ、今後さらに長期的な視点に立ちました場合に、我が国の宇宙開発というものの飛躍的な発展を図ろうということであるならば、この打ち上げ機会の増大ないしその弾力性の確保といいますものは一つの重要な課題ではないかということで、今先生の御指摘の点を含めまして、より長期的な課題といたしまして私ども考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  166. 平野清

    ○平野清君 純国産ロケットの開発内容について質問出してあるんですけれども、午前中でしたか、詳しく郵政省の方がお答えいただきましてわかりましたので、それは割愛させていただいて、ちょっとこれついでと言っちゃ申しわけないんですけれども、各国が通信衛星とか軍事衛星、もうどんどん上げているわけですね。聞くところによると、地球の宇宙の中に衛星の墓場ができて、大変な問題が起こるだろうというようなことも聞くわけです。ただ、素人的に本当にどこの地点にだめになった衛星がぽかっと浮いているのか、それが将来ぶつかり合うのか、これから有効な衛星もぶつかるのか、そういうこと全然ちょっとわかりませんので、突然の質問で申しわけないんですが、おわかりになりましたら、どういう状態になっていて、将来そういう危険性がないのかあるのか。
  167. 青江茂

    説明員(青江茂君) 大変申しわけございませんが、今手元に正確な数値持ち合わせてございませんのであれでございますけれども、御指摘のような点一部にあるわけでございますけれども、ただ、これも当面の問題といたしましては、確率的な問題として考えるならば、現実的にその対応をしなければならないといったふうな事情にはないというふうに理解をいたしてございます。
  168. 平野清

    ○平野清君 BS3が上がって、ハイビジョン放送やなんかが始まって、故障したらどうするかということがさんざんほかの委員の方からも出ましたけれども、何かこれ新聞かちょっと雑誌で読んだんですが、万が一のことがあると大変な社会問題、政治問題になる。NHKはそういう事態を大変恐れて、万が一に備えて、アメリカの通信衛星メーカーに故障した場合の支援体制をひそかに打診しているというふうに書いてあったんですが、本当にそういうことがあり得るんでしょうか。
  169. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) おっしゃる点は、私どもは承っておりませんが……。
  170. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。
  173. 大森昭

    ○大森昭君 私は、ただいま可決されました通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一、本格的な衛星放送に向けて、ハイビジョン実用化に対する助成措置など積極的な施策を推進し、放送サービスの向上による国民福祉の増進に資すること。  一、通信衛星放送衛星については、信頼性と安定性を高めるため、その技術基盤の強化に努めること。  一、進展する宇宙通信時代に対処するため、通信放送衛星機構の経営基盤の一層の安定化を図るとともに、その公正かつ効率的な運営に配意すること。  右決議する。  以上でございます。
  174. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中山郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山郵政大臣
  176. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 慎重なる御審議をいただきまして、ただいま通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じまして承りました御意見につきましては、今後通信放送行政を運営していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。  また、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  177. 上野雄文

    委員長上野雄文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  179. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、中山郵政大臣から趣旨説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  180. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、放送の健全な発達を図るため、放送の計画的普及を目的とする制度を設け、放送番組審議機関に関する規定を整備する等放送番組の編集等に関し所要の措置を講じ、日本放送協会が行う業務等に関する規定を整備し、有料放送に関する規定を設けるとともに、放送局の免許に関する規定を整備する等放送に関する法制の備整を行おうとするものであります。  次に、法律案概要を申し上げます。  まず、放送法の一部改正内容でありますが、その第一は、放送普及基本計画に関する事項についてであります。  郵政大臣は、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとし、放送普及基本計画には、放送国民に最大限に普及させるための指針等放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項、放送対象地域及び放送対象地域ごとの放送系の数の目標を定めることとしております。  第二は、放送番組に関する事項についてであります。  テレビジョン放送並びに日本放送協会の中波放送及び超短波放送について、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならないこととしております。また、放送事業者は、放送番組審議機関が答申し、または意見を述べた事項があるときは、その概要を公表しなければならないこと等審議機関に関する規定を整備することとするとともに、経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項、その他郵政省令で定める事項のみを放送事項とする放送または臨時かつ一時の目的のための一定の放送を専ら行う放送事業者については、番組基準の制定及び審議機関の設置を要しないこととしております。  第三は、日本放送協会に関する事項についてであります。  日本放送協会の目的について、豊かで、かつ、よい放送番組による国内放送を行うほか、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務及び国際放送を行うことを明らかにするとともに、日本放送協会は、郵政大臣の認可を受けて、その保有する施設または設備を一般の利用に供し、または賃貸すること等の業務を行うことができることとし、これらの業務に係る経理については、その他の経理とは区分して整理しなければならないこととしております。また、理事及び監事の任期を二年とし、日本放送協会が郵政大臣に提出する毎事業年度の業務報告書、財務諸表には、監事の意見書を添えなければならないこととしております。  第四は、有料放送に関する事項についてであります。  有料放送を行う一般放送事業者は、有料放送の役務の料金その他の提供条件について契約約款を定め、郵政大臣の認可を受けなければならないこととしております。また、何人も、契約約款に基づき、有料放送事業者とその有料放送の役務の提供を受ける契約をしなければ、当該有料放送を受信してはならないこととするとともに、有料放送事業者は、正当な理由がなければ、その有料放送の役務の提供を拒んではならないこととしております。このほか、郵政大臣は、有料放送の役務の提供条件が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、受信者の利益を阻害していると認めるときは、有料放送事業者に対し、契約約款の変更の認可を申請すべきことを命ずることができることとしております。  その他所要規定の整備を行うこととしております。  次に、電波法の一部改正内容について申し上げます。  第一は、免許の申請の審査に関する事項についてであります。  郵政大臣は、放送局の免許の申請の審査について、郵政大臣が定める放送用周波数使用計画に基づいて、周波数の割り当ての可能性を審査することとするとともに、放送用周波数使用計画は、放送普及基本計画で定める放送系の数の目標の達成に資することとなるように、電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項を勘案して定めることとしております。  第二は、免許の有効期間に関する事項についてであります。  放送局の免許の有効期間について、五年を超えない範囲内において郵政省令で定めることとしております。  その他所要規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、昭和六十三年十月一日から施行することとしておりますが、日本放送協会の理事及び監事の任期に関する改正規定等については、昭和六十三年八月一日より施行することとしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  181. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会