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1988-03-31 第112回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     松本 英一君  三月三十一日     辞任         補欠選任      松本 英一君     大木 正吾君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政大臣官房人        事部長      白井  太君        郵政省郵務局長  田代  功君        郵政省貯金局長  中村 泰三君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        郵政大臣官房建        築部長      黒川暢一郎君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長・専務理事  中村 有光君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会専        務理事      松本 幸夫君        日本放送協会理        事        尾西 清重君        日本放送協会理        事        植田  豊君        日本放送協会理        事        井上  豊君        日本放送協会総        合企画室局長   中野 正之君        日本放送協会予        算部長      中野 正彦君        日本電信電話株        式会社常務取締        役高度通信サー        ビス事業本部長  鴨 光一郎君        日本電信電話株        式会社経理部次        長        加島  修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (郵政省所管)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、大木正吾君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     ─────────────
  3. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 添田増太郎

    添田増太郎君 私は当初三十分質問をする予定でございましたが、諸般の事情で十五分に圧縮をいたしました。したがいまして、質問はできるだけ十五分の中で長くやりまして、答弁は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  私は二つ質問をいたしたいと思います。一つは、六十四年度事業収支見通し経営計画並びに財源確保について、二つ目事業運営についてであります。  御承知のとおり、六十三年度の予算は、きのうもいろいろと説明がございましたが、一口に申しますると、赤字収支受信料値上げしないで、いわゆる予算編成をしたということは、私どもはこれは高く評価しなければならないことであると存じます。しかし、逆に考えますると、まさに急場しのぎ穴埋め予算、こういうことも実は言えるのではないかと思うわけでございます。言うなれば、来年は間違いなく受信料値上げ考えざるを得ないということが、いわゆる暗示されておるわけであります。  しかし、受信料値上げということは、私どもは安易にこれは言うべきものではないと、かように考えるわけであります。やはり中期的、長期的な経営計画というのを立て、みずから経営最大努力をして、もって国民理解を高めておくという環境整備が必要なはずであります。ところが、御存じのとおり、川原会長が十二月の二日、定例記者会見におきまして、いわゆる六十四年度は受信料値上げをしたいというような旨の実は発言があったようであります。こういうことを考えると、その前に環境整備ということが必要であって、私どもはそういう努力をして、後に受信料値上げという話が出てしかるべきであったと、かように考えるわけでありますが、その辺の会長見解をお聞きをいたしておきたいと思います。あわせまして、六十四年度の収支見通しはおおむねどうなるか、その辺も御説明を願いたいと思います。  NHK事業収支の構造は、これは考えてみると、赤字的基調に立っておるということであります。つまり、テレビ世帯数の鈍化、反面また衛星放送やあるいはまた国際放送等拡充強化、あるいはまたニューメディア実用化番組のさらに資質の向上、こういうことは総じて支出の増大につながることになるわけであります。ところが、近年、NHKのいわゆる財政計画を見ると、大体三カ年計画を策定いたして、三カ年の収支の相償、いわゆる相償い方策を講じてきておるわけであります。しかし、今日のように本格的な衛星 放送、そういうものをにらんだやはり経営計画というものが、その三年という短期的な計画ではもう対応できない状態になってきておることは周知の事実でございます。したがって、新しいBS3等をにらんだいわゆる中長期的計画の策定、こういうものが必要になってきているわけでありまして、その辺の事情等についてお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  それから財源確保、これはやはり受信料体系の見直しということが私は必要ではなかろうかと思うわけであります。例えばカラーテレビ、それから普通テレビ契約、こういうものの料金というものを一本化してしかるべきであろう、あるいはまたテレビ複数台数、こういうものに対する割り増し制度の導入を図ったらどうなのか、あるいはまた、カーラジオ料金等設定を図るべきじゃなかろうか。言うなれば、今税制の不公平問題がいろいろ論議されておりますが、受信料の不公平というものを根本的に洗う必要があるんじゃなかろうかと思うわけでありますが、その辺の見解をお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  それから、御存じのとおり、社会的、教育的見地から、いわゆる受信料各種免除金額でいうと現在は百十九億ほどになっておるわけでありますが、これは大変私ども結構なことだと思うわけであります。しかし、受信料というのは、これは一般視聴者が実は負担をいたしておるわけであります。したがって、福祉教育の観点から、いわゆる各種受信料免除をするということは、むしろこれは国や地方自治体がいわゆる負担すべきことであろう、かように考えるわけでありまして、ひとつ大臣にその辺の見解をお聞かせいただきたいと思うわけであります。  それから、財源確保の方途でありますが、世界百六十九カ国の中で、テレビ放送いたしておるのは百四十二カ国、ラジオが百三十七カ国と承っておるわけでありますが、日本NHKと同じようないわゆる放送機構を持っております国々、全く同じ国はないようでありますが、そういう国々を調査しますると、大体その財源はほとんど日本と同じように受信料広告料国庫交付金、そして副次収入となっておるわけでありますが、この広告料の問題でありますが、もちろんこれ、放送法九条の第三項の営利目的禁止規定ということは私ども十分承知をいたしております。しかし、国や地方自治体、あるいは公共事業団体、こういうところのいわゆる告知放送、このくらいは料金取って放送してもいいんじゃないかと考えるわけでありますが、その辺はいかがなものでございましょうか。  それから、国際放送、これは国是として今後とも当然強化してまいらなければならないことであろうと思うわけでありますが、これは世界放送状態を見ますると、ほとんどイギリスのBBCにしてもオーストリアのORFにしてもスイスのSBCにしても、どこの国においても大半は、つまり国際放送経費というのは全額国庫交付金で賄っておるんです、これは。我が国も若干の交付金があるわけでありますが、これはやはり基本的に国がそういうものについては政策として負担をするということは私は当たり前のことであろうと思うんですが、この辺の見解について大臣のお考えをただしておきたいと思います。いかがでしょう。
  5. 川原正人

    参考人川原正人君) 基本的な点についてお答え申し上げます。  昨年の十二月に私が記者会見で、六十四年度には料金改定お願いせざるを得ないのではないだろうかということを記者会見で申したことは事実でございます。これはちょうどそのころに、今御審議いただいています六十三年度の基本的な考え方として、六十三年度は受信料改定するのかしないのかということをかなり執拗に問われまして、ちょうどそのころに経営委員会において、基本的に現行料金据え置き予算を編成しますと、それでよいからやれという段階でございましたので、率直に六十三年度は料金据え置き予算を編成する覚悟ですと。ただし、恐らくそれでもなお若干の赤字はどうしても出ざるを得ないと、これ以上六十四年度も現行料金経営を続けることは大変困難だということを申し上げたわけでございます。  確かに御指摘のように、料金改定を云々する前にはまず環境整備というか、経営努力がもっと必要ではないかということ、そのとおりでございまして、私どもその努力を今までも続けてまいりましたし、なおこれからも続けなければならないと思っております。そしてその結果を長期的な視野でもって国会にも視聴者の皆様にもお示しして、その上でもし御負担をいただくとすれば、何がしかの御負担をいただくことを十分に説明しなければいけないというふうに考えております。ただ、その環境整備のために私どもは、まずは今の制度の中で受信料、あるいは副次収入がもっと上げられないのか、増収できないのか、この努力をさらにしなければならないと考えております。そのために、実は両三年前からいろいろ部内で検討しまして、新しい営業体制、今までの料金契約収納をもう抜本的に変えるという決心をしまして、今その準備に入ったところでございます。これには関係労働組合等の十分なまた理解がなければ効果が出ませんので、今鋭意その努力を続けているところでございます。  さらに副次収入につきましても、協会がいたずらに商業主義に走るのではありませんけれども協会の持っておりますいろいろな番組資料、あるいはノーハウ、あるいは場合によれば余裕のある不動産等の活用をして、少しでも協会財政を助ける、そして受信者への負担の増を少しでも抑える努力をすべきであろうと、そのためには実は今度の放送法改正に当たりましても関係当局にはいろいろお願いもしたところでございます。  それから、一番の問題は、何といいましても衛星放送でございます。この衛星放送を今後どう展開していくか。私はこの席でも何回か申し上げましたけれども、この衛星放送の能力を十分に発揮して、そして国民の方々の福祉に役立つ、そしてさらに可能ならばというか、今としては私はもうそれしかないと思っておりますけれども、この衛星放送の利益を享受していただいた方にはそれ相当の負担お願いすべきであろうというふうに考えておりまして、ただし、このことをどこまで普及が達成できるか、そしてどの程度の将来その見込みが立つか、この見込みを立てませんと私どもの長期の見通し展望が立ちません。この点が今一番問題で、これを今後数カ月の間に鋭意詰めました上で、少なくとも六十四年度の事業計画予算を御審議いただく際には、その辺の展望を当然出さなければいけないというふうに考えております。  基本的には以上のようなことでございますが、なお足りませんところは担当の役員からお答え申し上げます。
  6. 林乙也

    参考人林乙也君) 基本的には会長の方から御説明があったとおりでございますけれども、六十四年度の収支見通しにつきましては、御案内のように、六十三年度におきまして受信料を据え置く中で運営するわけでございますが、全体といたしましては二百二十億余の収支不足を生ずるわけでございまして、六十四年度におきましては、これをさらに百億ないし百五十億程度上回る収支不足が生ずるのではなかろうかというように考えております。もちろんそれに対する措置といたしましては受信料の増収、副次収入の増加、徹底した効率化というようなことを今後さらに詰めまして、今後の財政運営について考えてまいりたいというように考えております。  その際に長期的な計画を持って臨むべきであるという先生の御指摘については御指摘のとおりであるというふうに考えておりますし、また受信料体系の問題にいたしましても、衛星料金設定いかんということの中で、いずれにいたしましても受信料総合料金としての性格の中でいろいろ考えてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  7. 川原正人

    参考人川原正人君) 一言先ほど環境整備でつけ忘れましたが、いろいろな環境整備の中でもう一つどもが非常に重大だと考えておりますのは、やはり我々の経営姿勢の中で、より効率的で合理的な経営体制をとることだと思っております。これは既に五十九年度の料金改定の際に、私は六十五年度までに一万五千人という、一応要員の数で申し上げればそのようなことを一つの指標として立てまして、もちろん数を減らすことだけが目的ではありません。よりすぐれた番組をより少数の人間で、より少数金額でつくるということが最大目的でございますが、そういう計画も立てましたし、これをもって終わりではありません。経営というものは、常に合理的な経営を目指さなければならないと思いますので、そういう要員の数、経費等につきましてもさらに効率的な計画を立てまして、目標を立てましてそれを目指して努力を続けてまいりたいと、こう考えております。
  8. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) お答えを申し上げます。  NHK受信料免除処置と申しますのは、放送法三十二条二項によりまして実施されているわけでございますが、教育的な見地、社会福祉的な見地から百十九万件、百十九億というものが免除されているわけでございます。NHKの大変苦しい財政事情の中でこれを今後どういうふうにしていくかということは政府でも検討をしてまいりたい、かように考えております。  それから、命令放送に関しましては、六十三年度の予算の中で千四百万ふやしまして十四億ばかり出しておるわけでございますが、これも郵政省一般会計が二百四十八億と大変少ないわけでございますけれども、その中でも最大限の努力をいたしまして、NHKに対していろいろな意味での期待をかけておりますわけでございますが、自主放送に対しましてどうすべきかというのは、自主放送NHK自体の問題でございますので、私どもはその問題あわせましてこれからも充実をさしてまいるために努力をいたしたい、かように考えております。
  9. 宮田輝

    宮田輝君 時間がないからといって早くしゃべるわけにもまいりませんけれども、近ごろの放送は、時間の割に情報量を入れ過ぎようとお考えなのか、割に早口なのが多いように私ども年配の者には感じられてなりません。例えば、ニュースを聞いておりましても助詞抜きというのがある。何々はとか、何々がの「は」とか「が」を抜いてしゃべる方が目につきます。NHKとは申しませんけれども放送全般について。例えば「きょう日本航空ストライキに入ります。」こういうことをおっしゃいます。「きょう日本航空は」とか「日本航空ストライキに入る」こういうことではないかと思うんですが、うわさによりますと、今度またキャスターにかなり早口の方が登場されたということを伺っております。尾西さん、いかがですか。
  10. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 確かにテレビジョンニュース、あるいはもろもろの番組におけるアナウンサーを初めといたしまして、出演者がかなり早口になっているという傾向はございます。先生指摘のとおりでありますけれども、それが日本語の乱れにつながるというようなことは私どもは厳に戒めてまいりたいというふうに感じております。
  11. 宮田輝

    宮田輝君 NHK言葉の点でも頼りにされている面がございますので、どうかひとつ言葉を大事にしていただきたいということをお願い申し上げます。  衛星放送は何といってもニューメディアの花形と言っていいのかもわかりません。大臣衛星放送、あるいはその次に参りますハイビジョンについての政府の基本的な考え方をおっしゃっていただきたいと思います。
  12. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私ども衛星放送、それから国際放送に関する努力というのは毎年積み重ねられていっているわけでございますが、特に日本考えが、国際的に情報の交流という意味で、地域をふやしまた量をふやしていく必要があると思います。モスクワ放送は一日六時間、中国の放送も六時間、それからドイッチェ・ベレというのが一週間に二回でございましたか、オーストラリアも一週間に二度日本語放送などを、外国が特に日本に対する日本語放送をふやしてきておるときでございますので、そういう意味相互性を持たせまして、相互情報を交換して、かつての日本の第二次世界大戦なんというのは、全く情報不足から私は起こったものであると思っております。  あのころを思い起こしてみますと、短波放送受信機国民が持つことを禁じられたということがございましたが、その意味では大いにこれから国際放送もふやしてまいりたい、かように考えておりますし、衛星放送に関しましても、カルガリーのオリンピックの中継で、一般放送の中ではその量が少なかったということでございますが、これは時差の関係がありましたりして対応ができませんでしたが、しかしそれが逆に衛星放送に対する注目を集めたことは、妙な表現ですが、けがの功名と申しますか、私はこれが衛星放送普及に大いに役立つものと考えております。  昨日もお答えをいたしましたが、ハイビジョンに関しましては、画期的な高度映像社会を招きますために、七千万台の普及率からいきますと、このハイビジョン国民全般に行き渡るころには六十兆の国民総生産につぎ足しになるという、大きなGNPに対する効果期待をされるものでございますし、それからテレマーケッティングと申しますか、その画像を通じて物品が日本地域の格差を私はなくするために大きな役割を果たすであろうと。そしてまた、地域との情報の量がこれによってふえて、日本列島があまねく山間僻地に至るまで即時に情報が伝わるという効果がありますものでございますから、私どもBS3、六十五年の後期と言われておりましたが、私はできるだけひとつ前倒しでやっていただいて、一九九〇年四月の一日から九月の三十日まで花の博覧会という、経済として、エコノミックアニマルの国家であると言われておりましたものが、花と緑という心を世界に、日本人の本当のわびさびの心を私は知らせる機会が、ハイビジョンという高度な映像によって電波に乗せられることに期待をいたしております。  政府部内におきましても、先般総理が訪韓をされました際にも、総理にひとつ韓国オリンピック開会式閉会式実況放送実験放送段階として実施をさしていただくことを韓国逓信部長官呉明長官と話をいたしておるところでございますが、総理からも盧泰愚大統領によろしくお伝えを願いたいということを私、閣議後の総理との話し合いでお願いをしたようなことでございまして、この実験放送はことし行われるわけでございます。九月の十七日から十月の二日までのオリンピックの際にそれが実施されるわけでございますので、それが大きく世界注目を集めることに期待をしながら、そこから大きくひとつハイビジョンに向かって前進をしてまいりたいと思っております。
  13. 宮田輝

    宮田輝君 御高説ありがとうございました。  今、衛星放送受信者は大体五十二万ぐらいと伺っております。先ほど受信料の話も出たんでございますが、衛星放送受信料というのは、ちょっと違う性格のものではなかろうかと思うわけです。私ども子供のころ鉱石の受信機ラジオを聞いておりました。ちくちくさせながら、感激してラジオを聞いたもんでございますが、そのときが受信料一円でございました。それから普及したせいでしょうか、あるとき七十五銭になり、そして私がNHKに入ったころは五十銭でございました。戦後はインフレでずっと上がってまいりましたけれどもテレビジョンが始まってテレビジョン料金カラー料金がまたつきました。  衛星になりますと、受信料値上げということではなくて、衛星受信料というのを設定するという時期があるとき必ず来るであろう、こう思うわけでございます。カラーになったときが百二、 三十万の普及ではなかったかと思いますが、衛星は今仮に五十二万とすれば、ことしじゅうに恐らく今の大臣のお話のように、積極的にいろいろ普及推進を図っていきますと百万ぐらいにはなるであろう。そうすると、いつかこれは設定していかなきゃならない。いつどういう形で、大体どのくらいが考えられる線であるのか、おわかりだったら会長、教えていただきたい。
  14. 川原正人

    参考人川原正人君) 率直に言いまして、いつどのようにして幾らということは、今は全く私も申し上げる段階でないんです。ただ、衛星料金と申しましても、これは当然そういうものを考える場合には、この国会において御了承いただかなければそれはできないことでございますし、その前にはまた関係当局等ともよくお打ち合わせしなければならぬことだと思っております。  それから、仮にこれは一つの算術でございますけれども、今百万という数字指摘されました。確かに私ども日本人の感覚として、百万というのは一つの何か物事を決心する私はメルクマールだと思っております。したがって、百万の方が衛星をごらんいただけるように、世帯としてなった。そしてその方から全部仮に何がしかの御負担をいただけるということを考えまして、仮に今の衛星にかかっている経費は、六十三年度予算では全部ひっくるめて、減価償却費も何も入れまして大体百五十億ぐらいでございます。百五十億円を百万で割れば一万五千円という数字が出てまいります。これを月で割れば恐らく千二百円とか千三百円の数字になるわけでございますけれども、ただ一番私どもが慎重に検討したいと思っておりますのは、実は本放送という形をとって、しかも何がしかの御負担をいただくと。その方法はいろんなことが考えられるわけでありますけれども、何がしか料金をちょうだいするということになりますと、今は試験放送実験放送ということで、非常に安い見料で番組を集めてちょうだいしております。これがそういうわけにはいかなくなると思います。  国内の放送の再放送等でも、通常は三割とか五割の見料を、著作権をお持ちの方にお払いするのがその十分の一ぐらいで今試験放送は使わせていただいております。 そういうものは恐らく十倍ぐらいになると思います。物によってはそんなにはならないかもしれませんが、三倍、五倍というものは出てくる。百五十億円のうちの番組経費が約半分ぐらいの今七十億、八十億と思いますけれども、これがとてもそんな金額では済みません。仮に百五十億円というものが、もし全体の経費が五百億円ぐらいかかるというふうに算術計算をいたしますと、先ほど言いました百万の方に御負担いただくのはその三倍あるいは四倍という数字になってくるわけです。ただし、御指摘のように百万の方が二百万になればまた御負担いただくのは半分で済む。その場合に、最初は採算が合うような金額を初年度からちょうだいして、数がふえてまいれば料金を下げるという方法もありましょうし、あるいはある一定の、そのときの普及の進展の何といいますか、速度を勘案しながらある一定の、三年なり五年なり先の経営計画を立てまして、そこである予測のもとに一つの五年計画で採算を合わせるということでの料金、御負担設定の仕方もあると思うんです。その辺から先は何とも今申し上げられませんので、その辺をあと数カ月のうちの間にいろんなデータを集めて、話を詰めて、かつまた必要な手続をとって御提案申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
  15. 宮田輝

    宮田輝君 良質放送を安くサービスしていただくということが一番大事なことでございますので、ぜひひとついい道を探っていただきたいと思います。と同時に、不公平にならないようにお考えをいただきたい。衛星をいつまでも全くフリーで楽しめるということになりますと、これは難しい問題もまた出てまいります。  質のいい放送にもいろいろございますけれども、去年私の耳にも随分入ってまいりましたが、地震のときに放送中の、あれは斎藤さんでしたか、アナウンサーがぐらぐら揺れているスタジオで、慌てないでください、火の元を確かめてくださいということを何度も言った。これは私も見ていたんですけれども、大変よかったと思うんです。当たり前と言えば当たり前なんですけれども、当たり前のことを、非常の場合にその職責を全うするということは大事なことでございますので、どうかひとつ全職員にそういうことは徹底していただきたいと思います。  このところ世の中は大変景気がいいようでございまして、民放各社は二けたのパーセントの増収増益にあるという景気のいいニュースもございましたけれども、公共放送NHKにあっては、余り景気に関係がなさそうでございます。つまり、経営環境大変厳しいわけでございますけれども、そういう中で衛星放送普及あるいはハイビジョンの開発、期待される大きな仕事がございます。ラジオの昔から六十三年、NHKにはそれぞれの時代のニューメディアを推進してきた歴史があると思います。今のこの時期にも、放送新時代の開拓者として多くの人々の期待にこたえていただきたいと思います。会長の御決意と大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもの仕事は、すぐれた番組、豊かな放送視聴者の方にお届けするということにあると思います。特に、現代のように非常に高度の情報化社会という時代におきまして、また国際化と言われるように、アメリカで起きたこと、ソビエトで起きたことがその日のうちに我々の生活に影響してくるというような時代には、この国際的な情報も十分に視聴者の方にお届けしなければならないという意味におきましては、高度情報化社会に適応したような新しいメディア、これをできるだけ早く開発し、またそれを視聴者の方にお役立てするように努力をいたします。また、内容も、今のような時代にふさわしいようなものを的確に公正な立場で報道してまいりたいと考えております。
  17. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 宮田先生のような、NHK宮田輝かと言われた名アナウンサーで、日本全体のふるさとの心みたいなものが、私はああいう番組を通じて非常に日本人の伝統と歴史みたいなものが、私は心のつながりとして出てきた。日本全国に七十局のNHKの支所があるわけでございますが、あまねく北から南まで、今日まで大変日本人の公共放送として愛されてきたNHK財政状態を健全なものにし、そしてまた、私どもはそのNHK放送の内容には全く信頼性を置いてお任せをしながら、健全な公共放送として育成していく道に邁進してまいりたいと思いますし、それからまた、御指摘のありましたハイビジョンという高度映像化社会に対する大きな目標を掲げておりますので、それに対する全面的な、行政の段階でも政府段階でも支援をしてまいりたいと、かように決意をいたしております。
  18. 宮田輝

    宮田輝君 ありがとうございました。
  19. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初にお許しいただきたいのですが、昨日から本日にかけて六十三年度のNHK予算の審議をしておりますけれども、多少重複するところがあると思いますけれども、この点はお許し願いたいと思います。  最初に、経費の大半を受信料で賄っているNHKのこの受信料の問題でございますが、郵政大臣は、NHKの六十三年度予算について、「おおむね適当であると」、こういったことで、事業計画の実施に当たっては、NHKは営業活動の刷新を積極的に進めることにより、受信料収入の増加を図るとともに、全般的な効率化及び経費節減の徹底を図ることにより、六十三年度の収支予算上見込まれる支出超過額を極力減少されるよう努めることと、こういうふうにありますが、NHKは、六十二年の十一月の末で放送受信契約数は約三千二百万件である、こういうふうに聞いております。受信料収入は、ここ数年微増にとどまっていますけれども、この点について、受信料収入の点について何か具体的な対応はあるのかどうなのか、この点を最初にお伺いいたします。
  20. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) お答えいたします。  先生承知のように、協会は五十年代に三回の 料額改定を実施させていただいたわけでございますけれども、このところ受信料の増収額というのは一%台にとどまっているというのが実情でございます。  一方で私ども今までの仕事の流れを考えてまいりますと、経費率が非常に高くなってきている。経費率を何としてもこれから先抑えていかなきゃいかぬだろうということを私たちは今までの営業活動を考えながら反省しているところでございます。それは、経費率等を下げるというのは、一つはやはり業績をできるだけ向上していくということが必要でございますし、もう一つは効率的な事業運営を徹底していくということが必要だというふうに考えます。  それから、世の中の今のNHKに対するいろんな見方の中で、三千二百万の有料契約者があるけれども、まだ未契約者がかなりあるんじゃないかという厳しい御指摘もございます。そういった幾つかの点から考えまして、私どもとしては、これから先の営業活動をやっていく上で克服しなきゃならない幾つかの課題があるはずだと、その課題を摘出してみようじゃないかということで、ここ両三年にわたって検討を続けてまいってきたわけでございます。  そこで、私どもとしては、三つの課題というものをまず設定したということが一つございます。それはどういうことかと申しますと、未契約者が多いということ、あるいは仕事の能率が余りよくないということの原因は、お目にかかれない人が大変多くなってきているという実情があるということでございます。それは国勢調査等の結果でも出ているわけですけれども、単身世帯が今七百九十万というような状態になってきている、あるいは配偶者を持っておられて働いておられる世帯が九百三十万ぐらいある。ほとんど昼間おいでにならない方たちがおられるわけです。こういう世帯の方に対してお目にかかるのがなかなか難しいという状況がございますので、このお目にかかれない方にできるだけ会える、お目にかかれる体制を整えようじゃないかということを一つの課題として考えております。  もう一つは、世帯移動が大変大きい。大都市圏の場合には、一〇%をかなり超える世帯移動がある。そのためにどうしても契約を、世帯移動をされる方がNHKに届け出てくださればいいんですけれども、なかなか届け出てくださらないということになると、新たに契約を結ぶためにどうしてもタイムラグが出てしまう。それらのタイムラグをできるだけ短縮する必要がある。この世帯移動対策というものを考えなきゃいかぬだろう。  さらには面接困難な契約の拒否でありますとか、あるいは支払いの拒否であるとか、そういうような状況も一方では起こってきている。そういったものにどう対応していくのか、これも今までの放送法によって契約が義務づけられているのだという、そういった立場だけでの説得ではなかなか対応ができないという状況がございます。そういったようなものを一応三つの課題として置きまして、それに対してこれからチャレンジしていこうというふうに考えているわけでございます。  そういった意味で、これは一方で働く人たちの意欲を十分に考えながら仕事のやり方を変えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、そのためには十分な組織との話し合いというものも重ねてまいりたいと思っておりますし、同時に、ある一定の年限も必要であろうというふうに思います。六十三、六十四年度は暫定的なシステムのバックアップによってこういった問題にチャレンジしていこう。さらに六十五年度からは本格的に新しいシステムを開発して、六十七年度までにはこれを定着させたいというふうに考えております。つまり、徐々に体制を整えながら従来の仕事のやり方とは全く違う形のチャレンジをこれからしてまいりたい。このことによって、私どもとしては六十七年度をめどにして、現在よりも三百億以上の増収が図れるだろうと思っておりますし、経費率も現行の料金を前提としても一五%台に落とし得るんではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  21. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 今、三項目に向かって努力をする、こういうことですけれども、今テレビのない家はございませんし、まずないと私は思うんです。テレビなしで生活する人というのは、ほとんど私ないんじゃないかと思います。  そういった意味で、今の三項目に関連しますけれども、受信契約世帯の管理だけではなくて、全世帯の管理というか、調査をするとか、それから言葉は悪いですけれども世帯移動の追跡調査をするとか、それはそれとして、人が移転した場合に、これも言葉は悪いんですけれども、その先どこへ行ったのか追跡調査をするとか、こういう具体的にやっていくことによって私は契約数がふえるんじゃないかなと、こういうふうに思いますので、その点も参考にして、ほとんど受信料で賄っているNHKにとってはこれが使命というか、仕事でございますから、ぜひそうしていただきたいなと、こういうふうに思うわけです。  それに関連して、毎年NHKが発表している受信料収納率ですか、これは九七%以上ですけれども、実際の受信料の滞納者というのは不払い者が三%ぐらいだと、こういうふうになっておりますけれども、本来契約対象者の三割以上が払っていない、こういう話もあります。さらに総務庁の統計調査によると、六十二年度末の事業所の数は、全国で六百七十九万事業所になっております。NHKは非世帯契約対象は百五十万件と見て百三十七万台の契約をしておりますけれども、実際には私はそんな数字ではないんじゃないかなと、これは想像ですけれども、そう思うんです。  NHK受信料不払いは、今軽く一千万件、相当な数ですけれども、一千万件を超えている、こういう報道もあるんですけれども、この報道に対してNHKはどんなふうに考えておられますか。
  22. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 今、一般世帯に対しましては、世帯契約という形で契約を結んでいただいているわけですけれども、また事業所については、設置台数ということで契約を結んでいただくということを建前にしております。ただ、今までの仕事のやり方という点で考えますと、仕事のやり方が契約者管理を重点に置いた仕事のやり方ということになっていたという事実がございます。今先生一千万という数字をお挙げになられましたけれども、私どもが現在推定しております未契約者の数というのは三百数十万件ではなかろうかというふうに思っております。  それはどういうことでそういう推定になるのかと申しますと、これはもちろん国勢調査をベースにした一つ数字がございます。さらには政府の各関係機関の調査をベースにいたしまして、そして単身世帯の場合には、これは経済企画庁の勤労者動態調査というようなもので調べているわけでございますけれども、単身世帯テレビ所有率というのはかなり低いんじゃないだろうか。一般世帯の場合は九八%以上が持っているであろうという推定で私どもは計算しておりますけれども、単身世帯の場合は五〇%から六〇%の間ぐらいかなという推定がいろんな統計から出てまいるわけでございます。そういったものをベースにして考えますと、私どもとしては、今三百万程度の一般世帯の未契約があるんじゃなかろうかというふうに思います。  さらに事業所の場合ですけれども、事業所も確かに六百七十万というような数の事業所があるわけですけれども、その大部分は中小企業でございます。そしてまた、世帯と事業所とが一体になった形でのテレビの設置というものがございますので、これは当然のこととして世帯契約として処理してまいります。そういうものを控除してまいりますと、それに一般の大企業の場合でも各事務所にすべてテレビを置いているかというと、決してそうじゃございません。私どもも直接伺って、いろんな状況も伺ったり、あるいは文書による問い合わせ等もしておりますけれども、決してすべての部屋にテレビがあるというようなことは全くございません。そういった点で考えますと、今全体の契約の対象となる台数というのは百五十万ぐら いになってしまうんじゃなかろうかというふうに思います。しかし、この百五十万という数字は必ずしも私はこれで妥当な数字だというふうには思いません。もう少しあるだろうというふうに考えております。そしてそれに対する今の契約が百三十数万でございますので、さらに百五十万をかなり上回るであろう数に対してこれからも挑戦してまいらなきゃならぬだろうというふうに思っているところでございます。
  23. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、要員効率化計画についてお伺いしますけれどもNHKの六十三年度予算の主な支出を見てみると、人件費が総収入三千五百十一億円のうち約その三分の一、千二百十八億円であるわけです。報道機関であるから私は適正人員の基準はこれは定められないと思います。しかし、人件費の比率がその反面高いように思われてならないわけです。経営事情は違いますけれども、同じ報道関係の民放と比べてみると、NHK六十一年度職員の数一万五千八百三十二人、他の民放である東京放送系列TNN、日本テレビ系列NNN、フジテレビ系列FNS、どれを見ても八千数百人、六千人、五千人と、NHKの職員数から見ると半分、三分の一、これは単純計算ですけれども、こういう数字が出ております。もちろん民放はラジオテレビ、電波が二つ、それに引きかえNHKラジオが二つ、テレビが二つ、それに加えてFMもあるし、それから文字放送もあるし、さらに衛星テレビ、こういうことで国際的な仕事もしているのもこれは私は承知しておりますけれども、それにしても人員がちょっと多いような気がするわけですけれども、この点についてはいかがお考えですか。
  24. 植田豊

    参考人(植田豊君) 御指摘のように、NHKが今一万五千を超える規模でございます。民放はテレビラジオを同時にやっておる全国系列で、八千人前後の規模の系列のところもございます。ただ、もう先生方既に十分御承知のとおり、私ども公共放送の業務の内容、あるいは研究所等も包含しました全体の責任といいますか、責務といいますか、そういうことから見まして直ちに対比することが適当でないという面もございますが、一面民放との今単純な対比で申し上げますと、一番ネット系列の多い局で三十局弱、あるいは二十五局程度といったような系列で全国が構成されておるわけでございます。  私どもは全国四十七都道府県にくまなく体制をしきまして、チャンネル数で言いましてもテレビ二系統、ラジオ二系統、FMあるいは国際放送というようなことでやっております。あるいはこの中には特別にNHKの場合にございます受信料収納体制、これで二千名を超える体制があるわけでございます。直ちに比較がなかなか難しいんでございますが、必ずしもNHKの現体制が著しく多いというふうには言い切れない面があろうかというふうに考えております。ただし、これで当然だと私どもは思っておりません。あらゆる側面から業務の見直しをしまして、要員のさらなる効率化努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  25. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、人員削減による合理化をやっていると言いますけれども、私は実際の数字から見て自然減だけを期待していると、こういうふうに思われてならないわけです。どういうことかというと、出資会社に出向社員が出ておりますけれども、出向社員というのは、これはもちろん出向すれば出向した会社から給料はもらうわけですから、NHKといわゆる経理の面では関係はなくなるわけでございますけれども、出向社員の五十九年から毎年の削減数がここに出ておりますけれども、例えば五十九年が三百三十人、六十年が三百三十人、六十一年が三百六十四人、それから六十二年が三百七十人と、こういうふうに出ておりますけれども、この数の中でもちろん増員がありますから純減数、五十九年が三百三十人のうち二百二人、これが純減数、それから六十年が三百三十人のうち二百人が純減数、こうなっておりますけれども、五十九年から始まったこの出向社員の数を調べてみますと、二百二人のうち百四十四人が出向社員と、こういうふうになっているわけです。  そういうことで、出向した人というのはまた何かあればすぐ戻せる、こういうことなんで、もちろん先ほど言ったように、出向すれば出向会社から給料はもらうんだから関係はないといっても、実際に合理化のために積極的にやっている数ではないんじゃないかなと、こういうふうに考えるんですけれども、本当に合理化をしようという、こういうNHKの対応が見られないんですけれども、この点についてはいかがお考えですか。
  26. 植田豊

    参考人(植田豊君) 冒頭、数字を一言申し上げさしていただきたいと思いますが、昭和五十五年から二千人の効率化計画、途中で何度か新たな効率化計画をつくりましたけれども、五十五年当時からということで見ますと、二千人の効率化計画に取り組んでまいりました。六十二年度まででおおよそ千四百五十人の効率化を、純減をいたしました。この純減の効率化のうち、先生指摘の出向分がそれではどれだけあるのかという——この協会自体が従来やっております仕事を減らしまして、その分を本当に一切なくしてしまう効率化というのもございますし、一部を関連団体に移しまして本体を身軽にするという効率化もございます。  今先生の御指摘の出向に関して、従来やっておりました仕事を関連団体に移して本体を身軽にした分はどれだけかといいますと、二百二十人が今関連団体に出向をいたしまして、従来本体でやっておった仕事を行っておるということでございます。千四百五十人から見ますと、おおよそ一五%が出向して仕事をしておるということでございます。これ以外に、出向者総数ということになりますと、各関連団体の自主業務といったものがございまして、例えばNHK放送研修センターがNHK職員の研修以外の研修業務ということで、NHKの職員が出向しておる分がございます。この分を含めますと多少ふえるわけでございますが、効率化に絡む、本体のスリム化に絡む出向者ということになりますと、以上のようなことでございます。  この際、一言恐縮でございますが、なぜそれでは出向が必要かということでございますが、一番端的には委託業務によって質が下がっては困ります。特に番組でございます。放送番組を委託したら、それで本体の人を減らしたらいいということになりません。何としても公共放送番組のクォリティーは絶対に守ってもらわないと困る、そういう側面から、例えば御承知NHKエンタープライズというところにディレクターが出向するということは、今現在私どもとしてはどうしても必要だというふうに考えておるところでございます。  また、設立当初の団体が、今現在出資規定整備に伴いまして幾つかの団体がスタートしたばかりでございますが、こういうところにも一部出向して業務に当たっておるわけでございます。ただ、私どもは、この出向に当たりまして右から左へ本体でやっていた体制をそのまま移すんではなくて、二割程度減らしながら関連団体でチャレンジをしてもらいたいという努力もいたしておるところでございます。今後それぞれの関連団体での人の成長ということも見守りながら、また慎重に考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  27. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 話はわからないんでもないんですけれども、それじゃ関連団体ですね、ここにNHKさんからもらってある会社名、それから収支決算、ここに出ておりますけれども、関連団体がこれ幾つありますか、二十幾つこれありますけれども、関連団体が、まあ始まったばかりのところもあるし、歴史の古いところもありますけれども、大体半分以上はこれは赤字ですわね。例えばこれは研究所ですけれども、ATR通信システム研究所というのは昨年六十一年度ですか、五億八百万の赤字、それから同じく自動翻訳電話研究所八億七百万、それから視聴覚機構研究所五億六千八百万と、こういう赤字になっているわけです。  これは人数を減らすために、極端に言えばそう いう関連会社をつくって、そこへ人数減らすために出向させると、悪く考えればそういうことも考えられると。しかも出向社員で行ったところが赤字になっている。私はこれはちょっと腑に落ちないわけなんです。そういうことで、いずれにしても合理化ということで人員減らしをやっている。こういうことについて積極的に私はやっていただきたい。  なぜかというと、国鉄も民営化になりまして、けさの新聞見ても、確かに民営化になっていろいろな関連事業を旧国鉄はやる。そして人員削減もやった。もちろん民営化になるときに、旧国鉄は借金を清算事業団に置いていってやったから、一年たってもうかったんだろうと、こういうことも言えるかもしれませんけれども、いずれにしてもみんな一生懸命やった。その結果、黒字になってきた、黒字になったと。それも想像つかない黒字であるという、きょう新聞に出ておりましたけれども、私はその最大の要因というのは、やっぱり人件費の削減だと、こういうふうに思うんです。そういった意味で、NHKが資質において、いわゆる放映するものが低下したのではこれは困りますけれども、もうちょっとスリム化して、そして健全な経営のできるNHKにしていただきたいと、こういう意味で私申し上げたわけですから、よろしくお願いしたいと思います。  それに関連して、口座振替制度というのは五十九年から導入されたわけですけれども、これは受信料の収入コストの削減という意味で、私は振替口座の制度をつくったと思いますけれども、ここでお尋ねしたいのは、NHK契約収納関係費が三百七十九億八千万と前年比十四億四千万円、これ増加しているわけです。  今お聞きしましたように、口座振替制度が導入されてから今日まで、この口座振替はどんどんふえているわけです。現在約二千二百万世帯と、こういうふうに聞いておりますけれども、また来年度は百万世帯増加し、口座振替は全体の七三%、こういうことでございますが、コスト削減のために導入されたはずの振替制度によって収納関係費が増加しているのはこれはどういうわけなんですか。減らすべくやったのが、いわゆる関係費がふえていると。これは聞くところによると、残った人というのは、収納するためには今までの倍以上の経費がかかるとか、手間がかかるとか、こういうことになるんでしょうけれども、どういうわけで、こういう制度を設けて、そして口座数がふえたにもかかわらず、いわゆる収納経費というのはふえている、これは矛盾しているんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがお考えですか。
  28. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 契約収納費が確かに人件費を含めまして六百三十二億ということが六十三年度の予算でございますが、これは人件費を含めた全体の額でいいますと、六十二年度に比べまして一億数千万円の減になっております。ただ契約収納のためにかかる直接のお金という点でいいますと、これは確かに先生指摘のようにふえているわけでございますが、これは主として先ほど来申し上げております新しい業務体制をサポートするためのシステムの開発費ということが、これがふえた一番大きな原因というふうに御理解いただきたいと思います。  ただ、先生の御指摘のように、七〇%を超える口座振替ということになっているんですけれども、これは、五十八年に新しい仕事の体制を一回つくりました。その当時の口座の利用率というのは五〇%ぎりぎりという状況だったわけです。これはやはり口座をどうしてもふやしていかなければ収納の安定、あるいは仕事の効率化ということにつながらないということで、仕事のやり方を変えると同時に、五十九年度の料額改定お願いいたしましたときに口座料金設定させていただいたわけです。そしてそれ以後、これは関係職員初め受託者の大変な努力もございまして、そして口座がふえてまいった、これは毎年予想を上回る形でふえてまいりまして、今七〇%を超える状態になってきているというのが実情でございます。  同時に、この口座が七〇%を超えてきているとはいいますけれども、私どもとしては三千百万を超えます有料受信者というものを確実に、管理ということはよくないんですけれども、把握してまいらなきゃならない、そのためには毎年三百万、六十三年度の場合ですと三百四十万ぐらいの新たな取り次ぎをやりませんと、四十三万の増というのは確保できません。つまり、三百四十万を超える取り次ぎをいたしまして、一方で三百万近い減少という数字が出てまいります。その差が増になるわけでございますので、そういった新たな取り次ぎを常に繰り返しながら三千万の受信者をふやしていくという努力をしてまいらなければならないという状況が一方にございます。  それから、もう一つは、七〇%の口座というふうに言うんですけれども、またこの口座の受信者を維持していくということのためにも当然各種情報を処理してまいらなきゃなりません。これは全体として年間に発生します情報量というのは、千二百万から千三百万の情報量がございますけれども、そのうちの半分は口座の受信者から発生する情報量でございます。これも適切に処理してまいりませんと、現金にかかわることでございますからトラブルの原因になりますので、これも人手で的確に処理してまいらなきゃならないという状況がございます。  そういったその三千万の維持、あるいは口座をふやしていくという、その裏側にいろんな人手をたくさん食う仕事があるわけでございまして、そういったことからどうしても人件費が減ってこないという問題も起こってまいるわけでございます。そういったところを何とかして解決するためにどうすればいいのかということになりますと、やはり本格的なコンピューターシステムの導入ということが必要になってまいります。従来の勘定系に偏っておりましたシステムを情報系を加えたシステムに変えて、そして仕事をバックアップしてまいりたい、そのことによって能率を上げたい、つまり、先ほど来申し上げております五十九年以来努力してまいりました成果をこれから先刈り取ってまいりたいというふうに考えているのが現状でございます。
  29. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 先ほど受信料の増収計画についてお伺いしましたけれども、それはそれとして、NHKの九七%主義、受信料に頼って経営をやっていると、こういうことでございますけれども、昨日からきょうにかけて財政状況が非常に厳しいと、こういうことでございますが、このNHKの九七%主義というのは、NHKの総収入の九七%を受信料に頼って、NHK番組のいわゆる九七%をNHK自体で制作する、いわゆる純血主義というのか自前主義というのか、公共性ということもあって、独自性の強いいわゆる経営形態をとっているわけでございます。これからは先ほど申しましたように受信料制度だけに頼らず、番組の制作においても収入を上げていくという方針をとっているようでございますけれども受信料収入以外の副次収入、増収の何か具体策というのは、雑収入も含めておありになると思いますけれども、その点御説明いただけますか。
  30. 井上豊

    参考人(井上豊君) 今先生お尋ねの件にお答えする前に、先ほど先生の御質問の中で若干誤解の点があろうかと思いますので、これはぜひ解かさしていただきたいというふうに考えております。  先ほどのお話の中で、ATR通信システム研究所で五億強の赤字が出ているではないか、こういう御指摘がございましたけれども……
  31. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 何ですか。——もう一回言ってください。
  32. 井上豊

    参考人(井上豊君) 関連団体の関係におきまして、私どもが確かに出資を現在しているわけでございますけれども先生御存じのように、NHKと共同して放送の調査研究を行う事業に対しまして、私どもは郵政大臣の認可を得て出資ができるようになっているわけでございます。そういう意味でこのATRに対しまして二百五十五万円、全体の資本金比率でいいますと、〇・一%の出資を しているということはございますけれども、これは協会の将来にわたります通信システムでありますとか、あるいは光通信でありますとか、そういう共同研究をすることによりまして、将来より大きな技術研究の成果が上がるであろうと、こういうことで私どもやっておるわけでございまして、先生おっしゃいました五億八百万というような赤字が直ちにNHK負担になっているということではございませんので、そこだけはぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに考えております。
  33. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それはわかっております。
  34. 井上豊

    参考人(井上豊君) それから今、受信料以外の収入でございますけれども、経常的な収入といたしましては先生御存じのように副次収入、さらに財務収入、雑収入ということもおっしゃいましたけれども副次収入につきましては放送番組の多角的な活用でありますとか、あるいはテキストの発行、特許権をたくさん持っておりますけれども、特許の実施許諾に伴います収入でありますとか、いろんな副次収入の増加に努めているわけでございます。六十三年度予算では二十八億三千万円を計上しておりまして、事業収入全体といたしましては〇・八%にすぎません。しかし、今後とも放送法九条の「営利を目的としてはならない。」という趣旨に即しまして、私どもの公共的な使命を十分認識をしながら、今後時代の進展に即して、より副次収入の増加につながるように努力をしたい、こういうふうに考えております。定量的なことを今申し上げるものを持っておりませんけれども経営一つの目標といたしましては、今後五年間でこれを倍増していくという努力目標を立てて鋭意努力をしているところでございます。  財務収入につきましても、手持ちの一般資金の運用でありますとか、あるいは放送債券の償還積立資産の効果的運用によりまして、大体年間で、ことしの予算でも五十五億を計上しておりますけれども、財務収入として年々この増加に努めているわけでございます。雑収入につきましても、協会の施設貸与でありますとか、そういうことで可能な限り今後も増収にこれがつながるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  35. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間がないんで、まだ大事な衛星放送、それから電波障害等幾つかあるんですけれども、最後になって大変恐縮ですけれども、苦言を二つだけ申させていただきたいと思います。  一つは、大河ドラマの「武田信玄」のタイトルのいわゆる文字についてでございますけれども、私は一昨年の十一月に当委員会で、NHK五十九年度の決算の審議のときに、住まいの相談の件で質問をいたしました。すなわち、一級建築士の資格を偽って、電話で住まい相談をしてきたいわゆる消費者に、視聴者ですか、に対して、マイホーム資金や、また業者のあっせんをして、その工事代金を横領したと。こういう件について質問をしたわけですけれども、そのときそちら側で、NHK側では、そういう人選については慎重に対処しますと、こういうことでございましたけれども、今回のこの「武田信玄」のタイトル文字の件でございますが、それとは多少趣も違いますけれども、もちろんタイトルの題字だけで中身とは関係ないわけですから、視聴率がふえるとかいい作品であるとか、こういうことはもちろん言えないわけでございますけれども、私はこのタイトル文字を書いた人が経歴詐称であったと、こういうことでございますが、こういう点については前にも申しましたように、私はもうちょっと慎重でなければいけないんじゃないかと。ましてや受信料でやっているNHK、公共性の高いもの、この信頼、信用という面からいって、社会的責任も含めて、こういう人に書いてもらうというのは、これは私はどうかなと、いただけないなと、こういうふうに思うのですけれども、この点についてどういうふうに考えておられるのか、今後どうするのか、それともチェック機関をつくるのかどうなのか。  むしろ私は大河ドラマという、いわゆる国民番組でございますから、これは提案になるかもしれませんけれども、この大河ドラマに取り組む熱意を持って、会長自身が「武田信玄」と書かれた方が国民にも親しみがあって、たくさん見られるんじゃないかなと、こういうふうにも思うのですけれども、この点について一点お伺いします。
  36. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 番組のタイトルの題字をだれに書いてもらうかということは、これは当然のことながら番組のイメージに合う人、合う書体というような考え方から検討するわけでございますが、今回の場合には、「武田信玄」の若々しいイメージというものを一つイメージをいたしまして、この御指摘の書家に魅力を感じてお願いしたわけでありますが、この書家が所属するプロダクションの方から私どもへ参りました経歴というものが実は違っていたということでございまして、まことに遺憾なことであったというふうに考えます。  これからも私どもは既存の、既成の方々ばかりではなくて、いろいろな分野における新人の発掘に努めたいわけでありますけれども、今後はこのようなことのないように十分に気をつけてまいりたいと思っております。
  37. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ苦言ですけれども、二、三日前に、二十八日ですか、新聞に盛岡放送局のナンバーツー、副局長が消えたと、こういう記事が出ているんですけれども、もちろん私、これ全部このまま信用するつもりはございませんけれども、いなくなったということはこれは事実のようでございます。それから聞いてみると、その前の昨年の十二月に帯広放送局のやはり副局長が失踪したというんですか、いなくなったというのか、その後出てきていろいろ弁明はしているようでございますけれども、私はこの地方局のナンバーツーの人が、こういう立場にある人が続けて二人も、何の理由かこれはわかりませんけれども、失踪したということについては、私は個人の事情はともかくとして、その裏には、その背景には、やはりNHKの人事管理、労働管理、こういう面で何か問題があるような気がしてならないんですけれども、これは深く追及するつもりはございませんが、こういう点については注意をしていただきたいし、この点について二人続けて失踪したと。岩手の方はまだいまだにわからないと、こういうことでございますけれども、この点についてどういう考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  38. 植田豊

    参考人(植田豊君) 事実といたしましては先生が御指摘のとおりでございます。地方局の副局長局長を補佐いたしまして局内取りまとめの責任に当たる者がまことに残念なことでありますが、行方がわからない状態が今なお続いておることは事実でございます。この人事管理につきまして、私どもは日ごろから十分意を用いておるつもりでございますが、いずれもまことに残念でございます。  私どもNHKが特段に厳しい環境にあり、国民の皆さんの御信頼にあらゆる側面から責任を持っておこたえをしなきゃいかぬ。その厳しさが募っておることが各職員の緊張感の高まりに一面なっている面もございますが、いわば私どもとしては、公共放送としての当然の責任でございます。何としても国民の皆さんの御期待にこたえるように職員一同さらに努力をいたしたいと思っております。人事管理面でも今後さらに十分留意してまいりたいと、かように考えております。
  39. 山中郁子

    ○山中郁子君 六十三年度のNHK予算審議でありますが、私はまず第一に、NHKが六十三年度からスタートさせるとしております新営業構想というものについて、幾つかお伺いをしたいと思います。  NHKからいただいた資料によりますと、「新営業構想では、契約収納活動の推進に必要な視聴者情報を収集し、それを活用した効果的な活動を展開することとしている。」と述べられておりますが、まず私は第一に、この情報が厳重に管理されなければならないものであるということは当然の前提として、今個人情報の売買なども社会的な問題になっている時代でありますから、それは当然の前提としてNHKがお考えのところだと思いま す。そうではありましても、NHKの場合にはやはり特別な事情があるというふうに思います。  それはなぜかといえば、NHKがこのようにして集めた情報は実際には委託集金人の方に渡さなければ意味がないわけですね。そういう点では役に立たないわけですから、委託集金人の方がその個人情報をどう扱うかということが大変重要な問題になっています。委託集金人というのは、本来ならば、私どもNHKの正規の職員として対処されるべきであると基本的には考えておりますけれども、現実にはNHKの外部の人たちであるし、下請、そういう方たちによって多く占められています。契約は交わすけれどもNHKの労働管理は及ばないということは事実であると思います。しかも非常に流動的です。  NHKの資料を見ましても毎年二割近くの方がやめておられる。そして昭和五十六年から六十一年の六年間に委託集金の方で仕事をやめた総数は、ほぼ現在の受託者の数に匹敵する、そのぐらいたくさんの方がやめていらして、出入りが大変激しい不安定な職場だと言わざるを得ない面があると思います。もっと正確に言うならば、こういうNHKが集めた視聴者の個人情報NHKの外部に、つまり、NHKの直接の職員でない人たちのところの仕事の手段として使われる、こういうことの本質を私はひとつ考えてみなきゃいけないだろうと思います。  で、こういう事情を背景にして考えますと、個人情報の管理という問題は、公務員の場合には守秘義務が、公務員の地位とそれから生活との引きかえというか、端的に言えば引きかえによって課せられています。そういう国や地方自治体よりもはるかに厳重で、また目配りのある管理がされなければならない、そういう背景を持っていると思いますが、まずこの点をどう考えておられるか、お尋ねをいたします。
  40. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 先生指摘のように、この情報の集中化ということに伴いまして、コンピューター処理の普及ということによって、個人情報の管理というものの大切さというものは、これはもう大変今厳しく論じられているところでございます。私どももそういった今の世の中の流れというものを十分踏まえまして、この情報の管理というものに当たってまいりたいというふうに考えております。  で、御指摘のその受託者が確かにかなり入れかえが激しいということも事実でございます。逆に申しますと、それだけまた受託者の仕事も大変だということも言えるんではなかろうかというふうに思います。そういった受託者の仕事をサポートするという意味で、やはり情報をきっちり管理して、そして、それを適切に運用してまいるということが必要なんではなかろうかというふうにも思っております。  この受託者が、それではその与えられた情報というものをどういうふうに管理していくんだということにお触れになりましたけれども、私どもとして、今受託者との受託契約のありようというものについても根本的に見直そうというふうに考えております。その受託者との契約の中にも守秘義務を明確にしてまいりたいと思っております。職員の場合は当然のこととして就業規則の中に守秘義務があるわけでございますから、これとあわせて我々としては個人情報の管理というものを徹底してまいりたい、あわせて各営業局所、全国で九十一局所あるわけでございますけれども、このすべての局所に個人情報管理責任者を置くということも、これもやってまいりたいと思っております。  それから、当然のことですけれども、日ごろの仕事がどうしても世帯を訪ねて、そして契約を結んでいただく、あるいは収納していただくという仕事がベースになるわけでございますから、どうしてもプライバシーにかかわる可能性が非常に多い職場でございますので、そういった意味での受託者、あるいは職員の教育訓練というものに対しても考え方を徹底してまいりたいと思っているところでございます。
  41. 山中郁子

    ○山中郁子君 その点については、私も委託集金人の方たちの仕事が過重になるという方向で管理が強化されるということだけではまさに問題を残し、あるいはまた拡大するだけであって、やはり基本的には現場で働く人たちのモラルと自覚、それが上から押しつけられる、ないしは強化される、そういうものによっては育たないし、生まれないものだということは、よく基本に置くべきことだというふうに思います。つまり、NHKの仕事として、そういう公共放送を支える仕事の重要な問題としての誇りを持つ、持てるような管理、そしてまた営業の職員の方たちとの連帯感、そうしたものも育てていくという、そういう配慮を抜きにしてはやはりこういう問題が解決をされていかないんじゃないかということもともに指摘をしておきたいと思います。  それからもう一つは、訪問時間帯を有効にするということで、これも昨日来多少問題が出ていたように私も受けとめましたが、二十三時まで、つまり十一時までですね、夜の十一時までの集金を行うということになっているんです。で、公共事業の場合でも遅いときでも二十一時ですよね。それから、いわゆるサラ金規制法に基づく大蔵省銀行局長発の通達では、サラ金業者がしてはならない行為として、夜九時から翌朝八時までは電話、電報、訪問して取り立ててはいけない、してはならないということを挙げているんですね。訪問販売法でも時間制限をしています。  そういう社会的な情勢のもとでNHKが二十三時までやるというのは、私やっぱりちょっともう一度再検討すべきことであろうというふうに思うんです。それは犯罪問題などもありますけれども、それも既に衆議院の逓信委員会で我が党の佐藤議員も指摘したと思いますが、もっと言えば、突き詰めて言えば、十一時にですよ、夜の十一時に契約をとりに来るというような行為に接して、NHKはなかなか大したものだ、頑張っているなというふうに思う人が多いのか、あるいは非常識、NHKも非常識だというふうに思う人が多いのか、それはちょっとお考えになった方がいいんじゃないでしょうか。私は決してそれがプラスイメージとして、NHKのステーションイメージにプラスするものとは思えない。そこら辺のことは大いに慎重に配慮されるべきじゃないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  42. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 受信料制度というものは、その受信者NHKとの相互理解関係の中でなければ成立しないものであるというふうに私どもとしては考えております。ですから、NHKの仕事のありよう、あるいは番組というものについて受信者NHKを信頼する、あるいは高いイメージを持ってくださるということが私は必要だというふうに思っております。そのことをベースに置いてこの契約収納活動というものを考えましたときに、契約収納活動のためにNHKのイメージを落としてしまうような仕事のやりようというのは、これは絶対に避けるべきであるというふうに思います。  私どもとしても、この二十三時の勤務ということについては、これはいろんな試行、いろんなテストを繰り返してまいりました。同時に全国九十一局所あるわけですけれども、そこでその職場討議等も一般職あるいは管理職含めまして実施いたしまして、六千にも上るいろんな提言を受けて、そういうものをベースにしてこの仕事の新しい取り組みをやってまいりたいというふうに考えているわけです。そういったことも、あるいは受託者組織との間で検討委員会をつくりまして、そこでもう数回にわたって綿密な仕事の打ち合わせ、検討委員会でございますけれども、そういうものを開いて細かい問題については話し合っております。そして、そういったいろんな周到な準備の上に立って、この二十三時の問題というものを出してきているわけでございまして、私どもとしては、この二十三時にいきなり伺って、それで契約収納活動をやるというようなことは考えているわけじゃございません。これは、その事前に十分なその予告も必要でございましょうし、あるいは訪問メモ を何度も投入してまいるということも必要でございましょうし、あるいは場合によっては番組情報等についての提供というようなことも必要でしょうし、いろんな形の手順を踏んだ上で、二十三時という問題を実施してまいりたいというふうに考えているわけでございまして、二十三時の問題というのは、やはりいろんな実験の結果からも、二十一時までにはお目にかかれない人でも、二十三時ということになりますと、急激に面接率が上がってくるということも実証されております。日曜日よりもはるかに面接率が高いということも実証されております。そういった時間帯を有効に、NHKのイメージを落とさない形でどういうふうにやっていくのかということは十分考えてまいりたいと思います。
  43. 山中郁子

    ○山中郁子君 慎重にイメージを落とさない、かえって一生懸命やっているつもりがマイナスになるようなことのないように対応なさるという御回答だと受けとめました。社会的には先ほど申し上げましたように、そういうことは非常識だということで、サラ金なんかでも、もう法律でも禁止されているんだということを改めて指摘しておきたいと思います。  次に、衛星放送の問題について、二、三お伺いいたします。  きょう、私がここでNHKにぜひ考えていただきたいと思うことは、まあ一つなんですけれども、それは衛星放送が最近番組紹介が非常に目立つんですね。それで昨日もお話しがありましたけれども、私も受信機は持っていませんけれどもね。さまざまな華やかな衛星放送番組にそれこそ誘われて受信機を無理して買うとか、あるいは何か感情を逆なでされるとか、そういう視聴者の中の話題というのは今かなりたくさん出ているんです。私が問題にしたいのは、果たして衛星放送が、NHKが一生懸命今視聴者の夢をかき立て、これでもかこれでもかというように衛星放送受信機を買いなさい、そして衛星放送をごらんくださいと言っているような、責任を持ってNHKがそういうことを言えるような安定した状況にあるのかということを私はひとつきょうは問題にしたいんです。  それはもう私が申し上げるまでもなく皆さんがよく御承知だと思いますが、例えば五十九年二月二十三日、BS2aの打ち上げ後二月二十三日にモノパルスセンサーが故障した。五十九年三月二十三日、A系統中継器故障。同じく五十九年五月三日、R系統中継器故障。六十年七月二十四日、太陽電池の発生電力低下。六十年十月十四日にB系統中継器の出力低下。あるいは六十一年六月三日、姿勢制御用CPU故障。それからまた六十三年三月六日、つい最近サーモスタット故障。これは2bを打ち上げてからの話でありますけれども、そのほかにもいっぱいあるんですね。  それで、きのうからのお話で、基本的な、つまり衛星放送を行う基本にかかわる故障ではないので、しのいできている、あるいは克服してきているから大丈夫だと、こういうお話があるんですけれども、諸外国の状況を見た場合でも、ごく最近、もちろん御承知だと思いますが、西ドイツで二月二十五日に、打ち上げ直後に太陽電池パネルが開かず故障していた放送衛星について、失敗に終わったという声明を出しているんですね。以前にも幾つかの国で放送衛星の失敗というものがあって、今現実にほかの国で満足に飛んでいる放送衛星はないと私は理解しておりますけれども、その辺の御理解はいかがでございますか。
  44. 中村有光

    参考人中村有光君) 先生が御指摘になりました、外国での放送衛星の状況はどうなのかということにつきましては、通信と放送の区分が若干つきにくい、大変融合している国、例えばアメリカのような場合で、非常に放送衛星に近い衛星の場合には、非常にたくさんの衛星が運用されていますけれども、厳密に放送衛星ということに限りますれば、先行していますのは日本でありまして、間もなくヨーロッパで幾つかの衛星が上がってくるというふうに聞いております。
  45. 山中郁子

    ○山中郁子君 つまり、ないんですよね。私は、やはりそのこと自体が、現在まだ放送衛星に関して言うならば、開発途上の時期だという認識をすべきだと思うんです。それで、あなた方はいろいろ大丈夫だ大丈夫だとおっしゃるし、これからはどんどんできていくんだとおっしゃるけれども、じゃ、その保証はどこにあるのかといえば、それはやはり私が先ほどずっと挙げましたけれども日本放送衛星BSの場合でもBS2の場合でも、次々といろいろな故障が出てきて、そのたびに郵政省の方や私どものところに御説明に見えますよね。いや、こういう故障が生じたけれども、これは大したことはありません、これで大丈夫ですなんて、何回もいろいろ御丁寧に説明に見えますけれども、つまり、それはそういうふうにまだ安定してない状況にあるということだと思うんです。  そこで、私はちょっと端的に伺いますけれども、今はそれで一生懸命衛星放送こんなにすばらしいと言って宣伝していらっしゃいますよね。本当に煩わしいくらい地上波の普通のテレビで出てきますわね。ひょっと、ああそういう番組をいつやるのかなと思って見ると、ああ衛星放送だ、こうなる。そういうことで宣伝していらして、もし何か事故があって、パンクしたらだれが補償をしてくれるんですか。高いお金を出して受信機買いますわね。で、やっぱりだめでしたと。私はあり得ると思うんですね、十分ね。現に今まであったわけだから、実験放送の過程で。今まだ実験放送だとおっしゃっているけれども、どっちにしても、今たくさんの人に一生懸命買わせようとしているわけでしょう。それで受信させようとしているわけでしょう。そして、もしパンクしてだめになったといったら、一体だれが責任を持ってどういう補償ができるのか。そこのところを私はちょっと端的にお伺いしたい。  もう一つは、私は奇妙なことだと思うんですけれども、これだけNHK衛星放送衛星放送って宣伝していらして、それを受信するためには受信機をつけなきゃいけないわけよね。その受信機の電機メーカーが何にもそれの宣伝してないんですよね、民間放送のコマーシャル見たって。その宣伝にお目にかかったことはないですよね。  つまり、実際にはこれは両面、二つの面があると思いますけれども一つは、やはりメーカー自身がこの分野の問題についてもう一つ確定的な確信が持てないのかどうか。それからもう一つは、自分たちがお金かけて今宣伝しなくても、NHKが一生懸命宣伝してくれているから、メーカーとして宣伝する必要は今ないという状況だという、そういう幾つかの側面があると思いますが、いずれにしてもNHKのこの宣伝を見て、ああいう衛生放送をやっぱり見たいなと思って、高いお金を出して受信機を買った方たちがどんどんふえてきて、そして絶対これ以上故障が起きない、だめにならない保証がないという場合に、だめになったらどういうふうになるんですか。そこのところちょっとお尋ねしたい。
  46. 中村有光

    参考人中村有光君) 先生衛星放送または放送衛星というものが実用化に対してまだ未熟だったんじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもは二十年近くの研究開発をしまして、私どものみならず、宇宙開発事業団等々と放送衛星に関しましては実験用の放送衛星という段階を踏み、先ほど御指摘放送衛星二号aの事故を十分生かして、次の放送衛星2bというものの試験を強化しまして打ち上げたものであります。そういう意味で、過去のトラブルというものをまた次に起こさないように努力をしまして、実用というものへ私どもは十分果たし得るというふうに思っておるわけでございます。  これは日本だけがこういうふうに認識しているというのではなくて、世界的にどこの国でも行われている一つの技術レベルといいますか、技術水準で、例えば二つの衛星を上げて、それを一組として実用に供するというような形のことは、我々もそうでありましたし、ヨーロッパの諸国でこれから行われるものも同じような考え方をとっております。そういう意味では、決して実用の段階で未熟だったんじゃないかというふうには私どもは 思っておりません。また、それでは全部おかしくなるか、放送が、全く電波が出なくなるかということについては、私どもとしてはそういうふうに考えておりません。ただ、そういう場合に、万々が一のときの状況の代替ということについては、当然次の衛星ということの寿命を読み込んで計画をしているわけでございますし、時期によりましては、代替措置の工夫ということをしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  47. 山中郁子

    ○山中郁子君 いや、私は極端に否定する立場に立っているわけじゃないんですよ。だけれども、そういうことは十分あり得るでしょうと言うの。現に西ドイツは失敗したわけだから。そして日本だって、aが失敗しているわけでしょう。それでそのほかさまざまな失敗というか、故障を起こして、次々と故障を起こしているわけですね。 小さい故障だから代替機能でもってやってきているわけでしょう。だからまだ開発途上なんだから、いつどういう故障が起こるかわからない状況のもとで、やはりそれはだれにも保証してもらえないんでしょう。  そういう事態が絶対起こらないとはあなたもおっしゃれないし、きのうの委員会でも郵政大臣は信じたいと、確信をしたいというニュアンスでおっしゃいましたので、確信しているとはおっしゃらなかったわけね。だから、つまりそれはだれが見てもそうなんですよ。それはだれも保証できないことなのね。その場合に、NHK番組宣伝というものを見て、ああ見たいなと思って、たくさんのお金を出して無理して買った人たちはどうするんですか。電気機器メーカーに補償を求めることだってできないし、NHKに、それじゃ返してくれということだってできないでしょう。それはどういうふうにお考えですか。その人たちは、結局はNHKを信用して、NHKに惑わされたために損したと、こういうことになっちゃうわけですか。
  48. 林乙也

    参考人林乙也君) 先生指摘のように、現在の衛星放送は試験放送として番組、それから設備も含めまして放送及びその受信のための調査、開発のために行っておるわけでございます。当然、衛星という宇宙空間のことでございますので、万が一の事態ということもあるいはあろうかと思いますが、ただいま技師長の方からも御説明がありましたように、私どもといたしましては、放送衛星が今後とも十分安定に運用していくということを確信し、その上で今後の計画を進めていっておるわけでございますが、やはり衛星の今後の主要なメディアとしての展望、あるいは現在まで投じました経費の開発成果というものを速やかに国民の方々に還元するためには、その普及ということを積極的に考えていかなければならないものというふうに考えておりまして、十分周到な、かつ慎重な配慮は必要でございますが、一方において積極的な態度、方策というものも必要だというふうに考えておるところでございます。  その衛星放送普及のためには、やはり番組内容を受信者の方に御理解いただくのが何よりも必要なわけでございますが、現在の普及段階のもとでは、新聞のラジオテレビ欄などでの取り上げ方ということについてもまだ十分ではないこともございまして、番組内容の周知手段というものが不足しておるように感じておるところでございます。  そういったことで、地上テレビにおきまして、放送による衛星放送の周知ということにつきまして、やはり国民の方々に十分御理解いただいて、それで、その上で衛星放送をごらんいただくというようなことに努める意味から地上放送でも放送いたしておるわけでございまして、決して受信設備のメーカーのためにPRしておるというようなことは考えておるものではございません。
  49. 山中郁子

    ○山中郁子君 私はもう少しやはり節度があるべきだと思うんですね。視聴者がやはり冷静に選択できる、そういう節度を持った番組の内容の案内でも何でも——今はとにかく夢をかき立てて、買いたいなと思う人は、もうとにかく買いたくてしようがなくなる。カルガリー・オリンピックの問題もそうですけれども、そういうふうにだけしていったら、何かのときにどういう責任をNHKが持てるのかと、実際それは持てないと。したがいまして、だから視聴者が冷静に判断できるような節度を持った——衛星放送に対する番組の内容の案内にしても、それからその他いろいろなさまざまな衛星放送の現状のデータにしても、情報の提供にしても、そういう態度をやはり堅持すべきであるということを私は意見として申し上げます。  最後に国会中継の問題についてお尋ねをいたします。  これは昨年来から申し上げていることでありますが、既に衆議院の逓信委員会NHK審議の際にも我が党の佐藤祐弘議員が質問をいたしました。私はその上に立って、やはりどうしてもこの機会に川原会長考えていただきたい。  去る二月六日の衆議院予算委員会中継中に我が党の正森議員の質問を浜田前予算委員長が妨害して、我が党の宮本議長を誹謗する発言を繰り返しました。予算委員会は大混乱に陥って、テレビを見ていた人は一体どうなるのかと、まさにかたずをのんで見守っていたんです。そのときにNHKは六時で中継を打ち切ったんです。そしてその後の七時のニュースでも、この問題を一切報道しなかった。その後NHKには、一万六千件の苦情電話や問い合わせの電話があったということはNHK自身もおっしゃっておられる。そして一定の反省も新聞紙上で述べておられたり、また、さきの二十四日の衆議院の逓信委員会でも述べておられました。  あの予算委員会の事件は、その後の国会情勢に大きな影響を与えたというだけでなくて、国民の大きな関心を呼んだという上でも国政上の重大事件だったんです。その証拠には、あの場面はまさに特だねだったわけですね。その後各放送局が繰り返し繰り返し放送したことでもわかりますでしょう。その特だねをみすみすNHKは、自分が生放送していて、そしてそれを打ち切ったんです、放棄したんです。そしてしかも七時のニュースでもそれを報道しなかった。その大失態の本質は何かということを私はぜひ考えていただきたいと思う。  一つは、NHKが報道ジャーナリズムとしての鋭敏な感覚を欠いていた、あのときですよ、少なくとも。そういうことの結果でしたね、これは間違いないことなんです。じゃ、それはどうしてそういうことになったのか、それは特だねよりも、あなた方が視聴者に伝えるべき特だねよりも、これをこのまま続ければ共産党の宣伝になるというふうに思われやしないか、そうなってはまずいという、まさに括弧つき政治的判断ですね。その配慮を優先した結果だということは明らかだと私は思います。  もう一つの問題は、それはなぜそういうところにあなた方が陥ったのかといえば、私たち共産党は、一貫して国民と国政を結ぶきずなで、国民が生きた政治を知るチャンスである国会中継、特に予算委員会の中継について、政治的公正を確保するという上でも国会中継を途中で打ち切るようなことはやめるように再三にわたって申し入れていたんです。これは過去の経緯を言えば、衆議院の予算委員会の各党の理事によって連名で申し入れた経過もあるようであります。これをかたくなにNHKは拒否してきたんですね。そういう官僚的な体質の結果、それが私は現場のミスだとか、判断ミスだとか、そういう問題じゃなくて、NHKの報道ジャーナリズムとしての本当の生命にかかわるところを麻痺させる、そういうところに陥ってしまっているというところの具体的なまさに結果があそこで露呈された、そういうところであったと思います。  あの事件が視聴者の中に国会審議とそれから国会中継への関心を高める契機になっていることは明らかです、その後の経過から見ても。あなた方は一定の反省を示してはいらっしゃるようだけれども、それならば今後やっぱり改善をすべきです。私は何も共産党がそういう不公正な扱いを受けているからと言っているんじゃないんです。ど この党であっても、政治的公正、中立があなた方の使命の重要な一つである、公共放送としての重要な一つである以上、どの党がそういう扱いを受ける事態になったとしても、それは改善しなきゃいけない。これがNHKの任務です。具体的には、あなた方の編成権による選択肢は幾らでもあるんです。  私たちは、例えばということで教育チャンネル、第三チャンネルに切りかえるとか、あるいは録画に回すにしたって、そんな夜中になるような非常識なことでなく、もう少し早めにやるとか、とにかく視聴者がそれを見る上で妨害にならないように、阻害されないような、そういうことをどの党の質問であれ、NHKは公共放送のその使命において果たすべきだ、改善するべきだということをかねてから主張してきましたけれども、あの問題に対するあなた方の一定の反省が聞かれている上は、ぜひともこの機会にその問題についての改善のための努力を、せめて改善のための努力の意思をここでお示しいただきたい。会長、いかがでしょうか。簡潔でいいですから、わかりやすく言ってください。
  50. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  七時のニュース放送しなかったということにつきましては、私どもの現場の判断では、浜田委員長記者会見を行うというような情報もございまして、現場ではそうした情報をまとめた上で放送すべきだという判断をしたわけでございます。事実、その後八時四十五分のニュースでは、トップで詳しくお伝えしたわけであります。しかし、視聴者の方からすれば、七時のニュースは、その日一日起きたニュースをまとめて見せてくれる時間であるという期待がございます。その期待に対して沿い得なかったということについては、私どもの編集判断のミスであったと存じておりますし、大変遺憾なことでありました。しかし、これを機会に、私どもがこれまで、昭和五十三年以来続けてとっております国会中継に関する編集のルール、ないし原則を変えるということは考えておりません。
  51. 山中郁子

    ○山中郁子君 どうして考えていないの。私はね、そこのところを会長に伺いたいの。会長は衆議院の予算委員会で、佐藤祐弘議員の質問に対して、その理由を、各党の代表者と話し合って決めたことなので変えられないと、こう答弁されたんです。これは一体どういう意味ですか。 事前にNHKの方たちに質問要旨をお話ししたところ、いろいろ言っていらっしゃった。あれは会長の言い間違いであったとか、あるいは趣旨が伝わってないとか、そういうことをおっしゃいました。後で私、だから会長にはっきり伺いたいんだけれども、私の質問する時間が大変限られておりますので、そのときの議事録を、速記を起こしての会長の答弁を先に御紹介しておきます。会長は、こういうふうに答弁されているんです。  これは長年にわたりまして、国会の場においても各委員委員長、政党の方々といろいろお話をした上で、ようやく、今この辺が私どもの編集上の立場からいっても最も妥当なところだというところで編成しておりますので、今すぐにこれを変えるつもりはございませんと、これがあなたの御答弁なんですよね。私ども共産党は、NHKとこういうことでお話をさせていただいた経過はありません。あなた方も、この放送についても、共産党を除いて御相談をなすっていらっしゃるんですか。  私、会長の御答弁しかいただきません。そういうことで、今まで以上にこれから先もやるんだと。私たちの声を、それは私の声じゃないのよ、共産党の声じゃないのよ、あのときにたくさん寄せられた国民視聴者の皆さんの声なんです。NHKは公共放送として政治的に中立公正であるべきであるという期待、それから、ニュースは本当に国民の知りたい権利、そういうものをNHKは保障するべきだと、そういう視聴者期待、そういうものに向かって、なぜあなた方は、とにかく検討してみたい、努力をしてみたい、大相撲やプロ野球、そういうものなら延長できるけれども国民の主権の最高の権限の場であるその国会での中継が、どうして一秒たりといえども中継が、例えば切りかえられないのか、延長できないのか、融通がきかないのか、そこのところの理由は、こういうあなたの御答弁に基づけば、まさに政治的な、そういうしがらみの中で、ますますそれを固執していくという泥沼に陥らざるを得ないんです。率直に公共放送たるNHKの責任者の立場に立って、私どもが何回も具体的に提起もしているし、多くの方々が希望している、そういう方向を改善に向けてせめて努力する、検討していこうという御答弁をぜひともいただきたい。 会長の御答弁のみを要望いたします。
  52. 川原正人

    参考人川原正人君) まず、衆議院の方での私の佐藤委員に対するお答え、私もそのようにお答えした記憶があります。ただ、私自身が個別に各政党の方々とこの問題についてお話ししたことはございません。私があのとき申し上げました趣旨は、確かに言葉が足りなかったかもしれませんが、従来本会議のことであれば議長、実際には議院運営委員会の委員長、それから各委員会の中継等であればそれぞれの委員長お願いを申し上げまして、そして私が聞いておりますところでは、そういう場合には、原則的には委員長がいわゆる理事会と申しますか、各党の代表のいらっしゃる、あるいは理事懇談会と申しますか、そういう場でお話しになって、その上で私どもは許可をいただいているというふうに理解しております。  そのような意味で、私は各政党の方々と、私が直接ではありませんけれども、恐らく委員長を通じて、そういう形での御了解をいただいているというふうに理解をしているわけでございます。直接私がこの問題について各政党の方とお話ししたことはございません。むしろ共産党の代表の方が抗議に見えましたときにお会いしたのが唯一と言ってもいいと思います。それ以外はございません。  それから出先の者も、それは非公式にはいろんな場で、いろんな先生方にいろんな御質問を受けまして御説明していることはあると思いますけれども、正式に直接政党の方々と御相談したことはないと思います。  それからもう一つ、この国会中継のありようにつきましては、るる申し上げておりますとおり、いろんな意味で、ある種の国会の運営の中で、大変難しい問題を御了解いただきながら放送しているわけでございまして、しばしばこのNHK国会中継が逆に審議に影響しているのではないかという御批判までいただいている様子がございますので、これは簡単に私どもの判断だけで中継の時間をこうする、ああするということはとてもできるものではございません。といって私どもは、これが今一番いいんだ、これしかないと、絶対にこれしかないというふうにも思っているわけではございません。それは番組のことでございますから、常にこれは、そのありようについては私ども編集上の立場から、また番組の伝え方の立場から、これは当然常に検討はしているわけでございますし、今後とも、これも衆議院でお答えしましたように、未来永劫これしかないということを申し上げているわけではございません。そういうことは当然検討いたしますけれども、今この時期においてこれをどうするこうするというお答えはとてもできないと。番組のありようにつきましては、私どもいろんな形で常に研究を続けてまいる、そのことはもう当然のことでございます。
  53. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、川原会長がおっしゃったのか、どなたがおっしゃったのか、わからないけれども、今読みましたように、私どもはということであなた表現されているから、NHKとしてこういうことをなすったということでしょう、それを指摘申し上げました。少なくともNHKとして、各委員会の委員長、政党の方々といろいろお話しした上でこうしたと、こう言っているんです。私どもがあなた方に要求に行ったりしたのはこういうことではなく、改善しなさいということを言いに行ったんですよ。私は、NHK会長として、残念ながら人格と見識にかかわる御答弁をいただ いたというふうに思います。  最終的に申し上げます。ますますそういう態度を固執されている限りは、一般的な番組改善を否定するものでないという中に、故意に意識的に一般論の中にまぜていってしまう、そういう態度に固執されている限りは、この問題はこの問題としてこの指摘に基づいて、私ども指摘だけじゃありませんよ、多くの人々のそういう指摘に基づいて検討してみると、そういうことを明確にされない限りは、ますます公共放送としての責務からも、あるいは視聴者期待からも乖離していくということにならざるを得ない、そういう道をとらざるを得ないではないかということを最後に強く警告を申し上げまして、私の質問を終わります。
  54. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  55. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  56. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 最初に断っておきますけれども、ちょっと中座した時間もございまして、ダブることがあるかもわかりませんが、お許し願いたいと思います。  まず一番目に、この新営業構想について一点お尋ねしたいんですけれども、営業というと一般的には非常にもっと幅の広い感じを持つわけですが、中身はいわゆる受信料収納の改善計画と言った方が的確なんでありますけれども、これが五年かかるというふうな計画になっておるようですが、受信料の収納というのはいつも問題になる、それだけにまた苦労なさってみえるわけですけれども、もっとこれ早くできないものなのか、なぜ五年かかるのか、お尋ねしたいと思います。
  57. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 今先生のお話で、営業というのはもう少し広いものじゃないだろうかというようなお話もございましたけれども、事実私どもこれから先の契約収納活動を進めていく上で、従来の仕事のやり方でいいのかどうなのかということの反省からスタートしたいというふうに思っています。  それは私どもの唯一の商品と申しますか、視聴者に楽しんでいただく番組が我々にとって命でございますけれども、そういった契約収納活動というものと番組との結びつきといいますか、そういったようなものをやはり契約収納活動の中に、これは法律で決まっているからお支払いいただくんだということではなくて、番組情報でございますとか、あるいは経営のありようの問題ですとか、そういったようなものを含めて、NHK全体を理解していただく活動とあわせて契約収納活動を進めていきたいというふうにも考えているわけでございまして、決して契約収納ということだけをベースにした活動ではない活動を展開してまいりたいというふうにも考えているところでございます。  私どもの新しい、まあ新営業構想と呼んでおりますけれども、新しい仕事のやり方になぜ五年もかかるのかという御質問でございますが、この営業活動といいますのが、全国三千九百万世帯という膨大な世帯一つの対象になります。それから六百七十万を超える事業所も対象になってまいるわけでございます。そういった膨大な量のお客様を対象にする仕事でございますので、これはどうしてもコンピューターのサポートというものが何としても必要であるというふうに考えております。現在もコンピューターを使っているわけでございますけれども、コンピューターライフというふうなものも考えてまいりませんと、やはり全体のコストという点でも問題が生じてまいろうかと思います。そういう意味考えますと、当面はやはり暫定的なシステムで、今のコンピューターに若干の付加機能を加えて仕事をしてまいる、それでサポートしていくという形をとりたいというふうに考えております。  先ほど申しました三千九百万、あるいは七百万近いその事業所を対象としてまいる上では、まず第一段階として全体の未契約の数の登録ということを考えますと、これはそのことだけでどうしても二年はかかってしまうという数字になります。これはその経費の点も考えつつ計画を立てているわけですけれども、そういったベースを完全に整えるのに二年かかる。その間に我々としては、新しいコンピューターシステムを導入して、それの情報系の整備ということを重ねまして、使い勝手のいいシステムを導入してまいりたい、そして六十六年から本格的に新しいシステムによる仕事をしてまいりたいというふうに考えます。全体として現場のやる気を損わない形で、同時に確実に日常的な業績を確保しながら仕事の改革をしていくという点、あるいは今申しましたシステムの状況という点から考えまして、どうしても我々としては六十七年度定着ということをめどにしてまいるのが妥当ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  58. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 今ちょっとお答えに出ていたんですが、放送番組を含め料金収入云々ということで、具体的にはどういうことなんですか、その営業活動の中心というのは。
  59. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 従来の営業活動が契約の取り次ぎと収納ということに重点を置いた仕事でございました。なかんずく、従来のシステムの設計の仕方が収納をベースにしたシステムであったという点がございます。そういったシステムのサポートというものがある意味で限定されたものであったと。同時に我々自身の物の考え方も、放送法三十二条による契約義務ということをベースにして、そして受信契約による支払い義務ということで我々としても活動してきたわけでございますけれども、そういう形だけではなくて、やはり視聴者番組に接していただかなければ、どうしても契約に結びついていかないということも現実の問題としてはございます。  そういう意味ではやはり番組をできるだけ見ていただくための活動もしてまいらなきゃいかぬというふうに思いますし、あるいはいろんな形でのイベントを我々として実施しているわけでございますけれども、そういったイベントの広報というような形を通じて受信者との触れ合いを深めていく、そういう受信者理解を、NHKの事業活動に対する理解を深めていただくということをつけ加えて、これを私ども縦軸というふうに言っているんですけれども、従来の法律をベースにした活動というのを横軸とすれば、それに事業活動全体を理解していただくための活動を縦軸に据えて、横軸、縦軸合わせた活動ということで営業活動を展開してまいりたいというふうに考えているところです。
  60. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 この問題言っておったら時間がかかりますので省略しますけれども、結局結論は、そういうことになっていけば、もう営業を、見ていただくとか理解していただくのならNHK全体の問題ですし、問題は従業員なりそういう業務に携わる第一線の人の質の問題といいましょうか、教育を含めたですね、従来は収納一本やりできたわけですから、それに新しいものを加えるとすればそれなりの資質の向上、そこにまた労使間のいろいろな問題が私は出てくると思います。 これ以上この問題に突っ込んでもしようがありませんので、ひとつできるだけ成功することを期待したいと思います。  二番目に、次に非世帯契約で、これも既に出ておりましたけれども、具体的にひとつお聞きしたいんですが、例えばホテルですね。 ホテルはいまどの部屋でも全部テレビがあるわけですね。例えば五百室あれば五百あると。あるいはロビーをカウントすればもっとあると思います。このホテルの契約は今具体的にはどういうふうになっていますか。
  61. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) このホテルと事業所の契約というのは私どもとしても一つの大きな課題だ というふうに思っております。  このホテルにつきましては、営業案内でございますとか、あるいは広告でございますとかということで部屋数等は明らかにわかるわけでございます。そういう意味で、部屋数をベースにして、ほとんどの部屋にテレビがあるという前提で経営者と話し合って、契約の台数をちょうだいするという形の営業活動になっております。
  62. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 先ほど事業所の場合には必ずしもどの部屋にもテレビはないから非常にカウントは困難であるということで、私は逆にホテルということを持ち出したわけなんですけれども、今もどうもその話でいくと、きちっといっているのかどうかちょっと不安なような気がするんです。私は、むしろこれは将来の問題だと思いますけれども料金体系の中で考えていくべきだと思うんです。  例えば床屋さんなんかで、店にテレビのない床屋なんてないはずです。それを今度夜になったらそのまま居間へ持っていくということはやらないはずです。必ず二台あるはずです。しかし、その契約は非帯に難しい。ちょっと何といいますか、床屋さんの契約というのも、そういう点で私は素直に応じてくれる人もあればなかなか応じない人もあると思う。そんなのに時間かけておっても大変だし、そういう場合の、いわば業務用とかいうような形で、あるいはまたホテルの場合には何台以上ならどういうふうな料金をちょうだいするという、いわゆる段階的な意味においてのですね、今までのような一本やりの、一台で一契約、一口数というんじゃなくて、そういうことも将来的には考えて収納政策、このぐらいのことは当然過去にも考えられたことだと思うんですけれども、今後料金そのものの値上げもあることはもう必至ですし、そういうやはり実際現場で契約する人ができやすいような方法も考えてやらないと、私は現場の人もかわいそうだと思う。踏み込むこともできないわけですから、ないと言われればそれまでですからね。そういう点での仕事のしやすい方法を考えてやることも、そんなものは当たり前のことだと思うんですけれども、今まではなかったような気がしますので、将来のひとつ検討事項としてお願いしておきたいと思います。これはまたそういう意味で不公平を是正していくことにもなるわけですから、そういうことをお願いしておきます。  それからまた、小さい問題ですけれども、今カラーテレビと白黒の料金の違いがございます。 設定当初は確かにカラーにするための新しい機器、設備、そのための費用を見返るためのカラーと白黒の差がついたと思うんですけれども、現在はカラーだから、あるいは白黒だからといって、別々の機械を使っているわけじゃありませんし、恐らくカラーの機械でやっているわけですから、一本化したっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  63. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 確かに現在もまだ百数十万の普通契約があるということは事実でございますし、私ども放送しているのはすべてカラー放送しているわけでございますから、実態として考えると、果たして百万を超える普通契約というのが実情に合っているかどうかという点で考えますと、私は合っていないんじゃないかというふうにも考えております。ですから、今年度もできるだけ普通契約カラー化する、カラー契約に変えていくという努力をやろうじゃないかということで、当初四十八万の予定でございましたけれども、実績は五十五万をかなり超える契約カラー化されるというふうに考えております。さらに、六十三年度の予算につきましてもカラー契約の増というものを、全体の増が四十三万ですけれどもカラー契約の増を五十六万ということに置いて活動を展開しようというふうに考えているわけでございますが、同時に、普通料金カラー料金に変えるべきだというお話も一つの検討の課題としては当然あるというふうに思っております。  ただ、現実問題として、本当にモノクロテレビがないのかということで考えますと、事実問題としては、三年前まではかなりの数の出荷台数が記録されております。それから、最近もまた、NICSから安いモノクロテレビが入ってきているという事実もございます。  それから、同時にもう一つ考えなきゃいかぬと思っておりますのは、今モノクロ契約カラー契約との間に五三%の開きがございます。ですから、一挙にモノクロ契約カラー契約にするということは、モノクロの方にとっては五三%の値上げになってしまうということにもなるわけなんで、そういったことが果たして妥当かどうかということも考えまして、まず第一義的には、一本化するための基盤整備をやっていかなきゃならない。それはやはりモノクロ契約カラー契約にできるだけ変える努力をしていくことが当面は必要じゃなかろうかというふうに考えております。
  64. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 私ども素人だからよくわかりませんけれども、コストはもう違わないんじゃないかということから申し上げておるわけなんですね。現実はよく知っております。確かにそうすれば五割アップになる。しかし、コスト主義からいくならば、正しいものは正しく私は主張したっていいと思うんです。それはサービスと言えばそれまでですけれどもね。そういう点はやっぱりきちっとするものはきちっとしてもいいんじゃないかと思うんです。  それから、次に郵政省の方にお尋ねしたいんですけれども、ある程度ニューメディア普及ないし実用化していきまして、こういう段階になってくると、NHKが保有するメディアの規模からして、視聴者に大きな負担がかかってくるというのは今までの議論に出ておるわけであります。そこで、NHKが保有するメディア数ですね、国際放送を除けば地上系テレビが二波、それから中波放送は二波、FM一波、衛星テレビは二波、計七波になるわけでありますけれども、今後受信料値上げの問題もたびたび言われてきておるわけでありますから、そろそろそういう面等を勘案した上で、兼ね合いから再検討する必要があるんではなかろうかと思うんですが、御見解いかがなものでしょうか。
  65. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今先生からもお話ございましたように、衛星放送につきましても、本格的な実施の段階になりますと、かなり経費を必要とするようなことになってまいります。その他のニューメディアの実施につきましても当然コストがかかるわけでございまして、現在のところは視聴者の皆様方に御負担いただくというようなことはないにしても、いずれ御負担をいただかなきゃならぬということになりかねないわけでございます。  したがいまして、NHKニューメディアを今後実施するに当たりましては、NHK財政事情とか、国民負担との関係についても検討が必要であるというふうに思います。いろいろと保有すべきメディアのあり方について検討する際には、ニューメディア普及促進の必要性とか、あるいは国民が公共放送たるNHKにどのような期待をしているかとか、あるいはニーズに的確に、あるいは効率的にこたえていくためにはどのようなメディアを組み合わせた方がいいのかというようなことなど、いろいろと検討しなきゃならない問題もございます。また民放があるわけでございまして、民放との関係というものにつきましても考えていかなきゃならぬわけでありまして、衛星放送実用化段階におきましては、NHKの保有メディアのあり方等も検討する対象にはなるんじゃないかというふうに私ども考えております。
  66. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、衛星放送関係で、二、三お尋ねしたいんですけれども、近々百万台ぐらいの需要者数になっていくだろうというお話もございました。そして、かつまた百万というのが一つの決断の時期でもあると、こういうふうにおっしゃられたわけですけれども、ある電気メーカー等によりますと、今の番組内容はマニア向けで、大リーグやアメリカンフットボールなど人気の高いスポーツがシーズンオフに入った途端に衛星放送関連機器の購入がとまったということで、衛星放 送普及促進のためには、やはりもっと大きなイベントというものをいかにつないでいくか。マニア向けばかりでなく、一般大衆が興味を持って見る番組というものをつくらなければ、いわゆる発展性も期待できないわけですけれどもNHKとして番組制作ですかね、そういった方針はどうなのか、お尋ねしたいと思います。
  67. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 先生おっしゃるように、スポーツシーズンが終わった後販売が減ったというような話も聞いてはおりますけれども、具体的に数字によってどれくらい減っているかということについては承知しておりませんが、確かにそういう大きなイベントというものがございますれば、これが大きな引き金になって普及が促進されることは間違いございません。  私どもといたしましては、昨年のスポーツシーズンの終了以降で申し上げますと、例えば若者向けのヤングウイークスペシャルというようなイベントを起こしましたし、また米ソ・サミットにつきましては世界じゅうの、米ソ・サミットに関する報道をお伝えするというような試みもやっておりますし、また年末年始、あるいはカルガリーのオリンピック中継などというようなぐあいに、かなりいろいろなイベントを通じて普及の促進を図っているつもりでございますが、今後は、例えば四月からはアメリカの大リーグが始まります。また、四月の十日には瀬戸大橋の開通ですとか、五月には米ソ・サミット、あるいは六月にウィンブルドン、九月にソウルのオリンピック大会というようにメジロ押しに行事がございますので、そういう行事を引き金にして、普及を図りたいというふうに思っております。  基本的には番組編成の方針といたしまして、やはり二十四時間放送を通じて、世界の生の鼓動をお伝えするということに最大の重点を置いておりまして、その次にPCM音声という、衛星放送の持っております特質を生かした音楽番組、さらには時間に縛られないスポーツ番組の中継などといったものを中心に編成するというのが基本の方針でございます。
  68. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 衛星第一テレビジョンで二十四時間放送をやっておるというわけでありますけれども、この二十四時間放送というものに対する視聴者の一体評判はどうなのか。本当に二十四時間やらなきゃならないのかどうかという問題。確かに今までの新聞等によりますと、新しい衛星放送関係、百人ぐらいでやってみえるという大変画期的なことのようでございまして、そのことはすばらしいんですが、番組制作あるいは二十四時間放送をやっていくということになって、さらにもっと充実していこうとすれば当然人員もふえなきゃならないわけですけれども、人員がふえるのは別にしまして、そのことじゃなくて、本当に二十四時間やらなきゃならないのかどうか、それに対する視聴者の、まだ五十万足らずでございますけれども、評判といいますか、意向というのはどういうふうに把握されておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  69. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 御承知のように地球は自転しておりまして、私どもが眠っております間も世界では人間の営みというものが行われているわけでございまして、人間の営みのあるところには必ずニュースがあるということでございまして、私どもとしては、やはり生に近い形でその世界の鼓動をお伝えしたいという考え方に立っているわけでございます。そこに二十四時間放送意味もまたあるわけでございます。  昨年、衛星放送の受信装置をお持ちの方々を対象に私どもで調査をいたしました結果、衛星放送のよい点は何かと、幾つかの項目に分けて設問をしたわけでありますけれども、最も多いのが二十四時間放送をしていること、これは二〇%に及んでおります。それから、その次に音質がよいこと、これが一五%を超えております。三番目にホットなニュースを長時間放送していること、これが一三%を超えております。四番目が見たいスポーツ中継が見られるということに一〇%以上の人がマルをつけておりまして、私ども考え方というものがかなり受け入れられているというふうに考えております。
  70. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 実際、普通の人は夜、日本の場合、見る方は夜中じゅう、二十四時間じゅう起きているわけじゃないわけでして、そういった視聴者の、確かに見ている人もあるでしょう。そういういろいろな、特殊という言葉を使っちゃいけませんけれども、そういう必要のある人とか、職業の人とか、そういう人は見るでしょうけれども一般的には必ずしもそうではないわけですね。そのために非常に経費がかかるということになれば、これはやはり一つの問題点にもなってくるわけでしてね、確かに時差があるわけですから、ホットなものを生にということになれば、当然そういう体制をとらなきゃならないわけですけれども、実際、それは受ける方はほんのごく一部の人であって、あるいはまた、これからのニューメディアの発達によっては職業的にそういうものが出てくるかもわかりませんけれども、そういう特殊な人のために二十四時間、しか経費をかけてということになって、その経費がそのためにということになると、これは大変な問題でありまして、これは一つの検討課題だと思います。  そこで、郵政省の方にお尋ねしたいんですけれども、周波数の問題で、現在国際的に我が国が使える衛星放送の波は八波ですか、あるそうなんですけれども郵政省BS3のチャンネルを三つに絞った理由は一体何なのか。民放の力を引き出すためにも電波をもっと開放していく、こういった政策をとって、NHKばかりじゃなくて、衛星放送費用の負担を軽減していくという、こういうことも考えていくべきではないかと思うんですけれども郵政省のお考えをお尋ねしたいと思います。
  71. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、衛星放送用チャンネルといたしましては八チャンネル私どもの国に割り当てられております。現在、BS2によりまして、NHKが二チャンネルを使用して、試験放送ということで衛星放送を実施しているところでございますが、BS3の段階では、BS3の打ち上げ能力からいたしまして、三、四チャンネルの搭載が可能でございます。それ以上のチャンネルはちょっと難しいというような状況もございます。また衛星放送普及が緒についたばかりでございまして、先ほど来といいますか、お話ございましたように、世界的にも未経験の分野でございまして、我が国だけが直接衛星放送をやっているというような状況下にございます。放送の技術開発の動向だとか、あるいは視聴者の需要動向だとか、さらには世界的な動きなどを総合的に見ながら、考えながら段階的にやっていかなきゃいかぬ。また段階的にやっていくことが適当ではないかというような観点から、使用チャンネルをBS3におきましても三チャンネルとさせていただいているような次第でございます。  今後の八チャンネルの利用方針でございますが、BS2あるいは六十五年に打ち上げられますBS3、六十六年に打ち上げられますBS3bですか、というものの運用経験を見ながらといいますか、経験を経ながら、あるいは技術開発の動向等も総合的に勘案して検討していくことが必要じゃないかというふうに思っております。したがいまして、現在のところはBS3におきましては三チャンネルという形で、NHK二チャンネル、民放一チャンネルという形で取り組んでいるところでございます。
  72. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 衛星放送は以上にいたしまして、次にNHKの業務拡大、なかんずく副次収入問題について、二、三お尋ねしたいと思います。  放送法の改正の中にもNHKの業務の拡大があるわけです。法が改正されますと、一体副次収入はどの程度ふえると見込んでいられるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  73. 植田豊

    参考人(植田豊君) 今回の改正案で新たに設けられることになっております九条三項による業務でございますが、NHKがこれまで長年にわたって蓄積してきましたノーハウ等の経営資源を積極 的に社会還元を図るために活用したいと考えております。ただ、申し上げるまでもございませんが、株式会社という形で一般には展開することになろうかと思いますが、私どもの公共放送としての本来業務にいささかでも支障があってはならないというふうに考えます。したがって、実施体制等々慎重に検討いたしたいと思いますし、また需要の見通し等も新たに取り組むわけでございますので、慎重な検討が要るかと思っております。現段階、改正に伴います副次収入の増加見通しを申し上げられる段階に至っておりません。ただ、私どもといたしましては、私どものような公的な企業体の経営がしばしば独善的になりがちだという御指摘をいただくわけでございます。この放送法の改正が、私どもが世の中の風に当たりなさい、世の中の苦しみを苦しみとしなさいといった国民からの指示であろうかというふうにも解されるわけでございます。積極的に取り組んでもまいりたいとは思います。  ただ、以上申し上げたような理由で、副次収入の増大を急ぐ余りに公共放送の枠を踏み外すということがあってはならないというふうに思います。一定の節度をもって慎重に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  74. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 私はむしろ、立場をはっきりしなかったが、副次収入をもっとふやす方向でやるべきだという立場をとっておるわけなんですけれども、御案内のように、NHKは営利を目的としてはならない、こういう制約がありますし、かつ今後の受信料の収納もそう多くの伸びを望めない。結局、そうであれば受信料にのみ頼らなきゃならないという、おのずと決められた体質があるわけでありますから、値上げをすれば、常に国民の目からは、やっぱりNHK親方日の丸だというふうな非難を受けるわけです。そういうものを避けていくためにも、せっかく持っておるノーハウを活用して、こういうことについてのぎりぎり努力をしていますということにおいて私は副次収入をもっとふやす方向で努力なすっても構わない。  ただ問題は、むしろ法的に一つの矛盾している点がございます。副次収入たりとも営利を目的としてはならないと、こういうふうに制約されておるわけで、非常にこれは矛盾しておるところなんですけれども、営利を目的としない、そして副次収入を詰めて、どうやって組んでいけばいいのかという疑問も持つわけなんでありますが、そういった緩和策について大臣何かお考えありますか、お尋ねしたいと思います。郵政省でも結構です。
  75. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 営利を目的としないということになっておるわけでございますが、基本的には個々の業務を行うに当たっては、営利を目的としてはならないという意味だというふうに私ども考えておりまして、したがいまして、適正な対価をいただくということ、その業務につきましては、基本的にはコストになるわけでございますけれども、具体的な判断に当たっては民間との関係だとか、民間に与える影響とか、いろんなことを考えてやっていくべきだというふうに思っております。  また、NHKが特定の者のみの利益となる場合には、その者から適正な対価をいただくということは、他の受信者との公平の観点からも当然だというふうに思っております。したがいまして、放送法の改正で考えております、従来NHKが蓄積してまいりましたノーハウを国民に還元していただくと同時に、対価としての収入を得ていただくということによって、例えばスタジオ等があいているときにお使いいただく、そのかわりに対価をいただくというふうなことで収入をふやすことも可能だというふうに私ども考えておるところでございます。
  76. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 副次収入の問題いろいろありますけれども、今言った設備を貸すとかいうことでも、これは地方においては非常にNHKそのもののPRにもなるわけですし、そういった場合のコストといえば、当然それに見合う利潤も必要なわけでございまして、そういった面ではもう少し積極的であってもいいんではないかなという気が私はするんです。そういう意味から申し上げました。  次に、障害者対策の一つとして、聴力の障害者が文字放送受信機を買いやすくするために、昭和六十二年七月一日から厚生省の身体障害者世帯更生資金貸付制度の対象品目に文字放送受信機、アダプター内蔵型が追加されましたが、その利用状況はどのようになっているのか。またNHKとしても、午前中にも出ておりましたが、衛星放送のPRは非常に御熱心でございますけれども、こういった方々に対する、このような制度があるということについてのPRは余り私も見たことないと思うんですが、少ししてあげた方がいいような気がするんですけれども、お尋ねしたいと思います。
  77. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げますが、この利用状況については、NHKとしては把握しておりませんが、私どものやっております文字放送の中で、この制度が施行されているということを六十二年七月の五日から八月の四日まで一カ月間にわたって周知をいたしました。もちろんこれは文字放送でございます。総合テレビではございませんが、文字放送以外にも今後適宜こういう制度があることを周知してまいりたいというふうに考えております。
  78. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 最後に、経営委員会の活動内容についてちょっとお尋ねしたいと思います。  NHK一つの最高の意思決定機関であるわけでございますけれども、もう少し活動内容というものをPRして理解してもらう必要があるんではなかろうか。例えば具体的には衛星放送等のニューメディア時代にどう対処するのかとか、あるいは経営の現状、将来、受信料の使途等受信者に周知してはどうかと思うのであります。当然審議会の指摘事項として、五十七年一月のNHK長期ビジョン審議会報告の指摘事項としても、広く国民を基盤として経営に当たっている経営委員会性格を一層明らかにするために、国民に対してその活動状況を公表することを考慮すべきである。二番目として、受信料によって運営されているNHKは、経営に関する情報は公開することを基本として考えるべきであろうと、こういう指摘事項もあるわけでございまして、当然そういうことも考慮した上でのPRというのは視聴者に対しても、今後の料金問題あるいは衛星ニューメディアと取り組んでいくというNHKとして、視聴者にやはりあらかじめそういうことをもう少しPRしていく必要があると思うんですが、お尋ねをしたいと思います。
  79. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 先生指摘のとおりに、NHK受信料で運営され、また広く国民的基盤に立つ企業体であるという点から考えて、経営の実情なり、あるいは経営に関する情報はできるだけ国民の前に明らかにしていくということは必要なことであるというふうに考えております。そういった趣旨から申しまして、経営委員会で審議され、あるいは議決された事項のうち重要なものにつきましては、できるだけ執行部の手を通じて責任者が記者会見をいたしまして、審議結果についての公表というようなことは随時行っているところでございます。  また、経営委員会の審議の状況というものをそのままオープンにするということが果たして適当かどうかという問題は、また別の角度からも考えなきゃならない問題があろうかというふうにも思います。経営委員会の中でも、経営委員会の活動状況についてもう少し明らかにする必要があるんじゃなかろうかというような意見が最近かなり交わされているということも伺っております。いずれにしても、そういったことも経営委員会自身がお決めになる部分がございますけれども、私どもとしても先ほど申しましたNHK性格という点から考えて、できるだけ国民の前に明らかにすべきことは明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  80. 青島幸男

    ○青島幸男君 まず最初に、地上波における衛星放送のコマーシャルの点についてお伺いいたしますけれども、再三当委員会の委員の方々からも御 指摘がありましたように、何となく大げさなんですよね。最近のを見ますと、もし衛星放送の受信設備をお持ちになれば、六時間おくれでアメリカの大リーガーの野球がそのままごらんになれますとか、あるいはワーグナーの楽曲、四日にわたって全曲楽しめるとか、つい最近は、報道番組を充実して、地球上に五十億ほどの人間がいるけれども、そこでさまざまの生活が営まれておる、それを世界じゅうのテレビネットワークを通じて、何万台というカメラで逐次追いかけて、その隅々の方々の日常の息吹をそのまま茶の間へお伝えしますというように、大変なものですね。これ見ないやつは、アホだっていうような言い方なんですよ。  どうしてそれを地上波でやってくれないんだろうと、私どもその設備を持っていない人間はひがみますよ、本当に。それで、ウナギで言いますと特上です。それで、我々見ているの並みですよ、地上波というのは。いかにもそういう扱いなんですね。その特上というのは、国産の中串のウナギで、生きのいいやつをやるから、いかだでつくって特上です。六千五百円ぐらいの感じでしょうかね。並みといいますと、外国産の冷凍で千五百円のウナ丼でね。そのぐらいの開きがあるような印象を受ける説得の仕方です。もともとそういう意図があっておやりになるんだから、この点においては非常に効果的になっていると思いますけれどもね。しかし、そのことで果たして視聴者が、そんなことをすることをNHKに求めた覚えはないぞというお考えをお持ちになる方も多々おいでになると思いますよ。  ですから衛星放送一般普及されて、機器が安くなって、どなたでもエンジョイできるようにするという究極の目的があるにしても、このやり方がちょっと縁日のヤシの商法に似ているんじゃないかというような、商品をぴらぴら見せびらかしておいて、後でというような格好ですね。そのやり方が少しえげつなさ過ぎるんじゃないかというむしろ反感を買って、何だ、もうこれだったら絶対買ってやるもんかというような意識を持たれる方さえおいでになるような気がするんですけれども、これは私一人の考え方ではなくて、他の委員の方々からも近い発言があったのを御記憶だと思いますけれども、そういう批判もNHKに寄せられているに違いないと思いますけれども、その辺をどう踏まえておいでになるか。それから、今後ともこういう形でPRをお続けになるおつもりか、それがどれだけの効果期待できるとお考えになっていらっしゃるか、その点お尋ねしたいと思います。
  81. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 私ども衛星放送に関するPRが一般視聴者に反感を抱かれるということになると、私どもの方の気持ちと違うわけでございますけれども、確かに総合テレビの中で衛星放送の魅力と申しますか、衛星放送番組をいろいろPRしておりますが、これは御承知のように、新聞のテレビ欄にはほとんど出ておりません。何時から何というような程度のことはございますけれども、一体どういう出演者がどういう話をするのかというようなことを含めて全くわからない。そこに番組PRという点から限度がございます。そういった意味で、放送を通じて私どもは補完情報として衛星放送番組をお伝えしているわけでございます。  また、もちろん衛星放送という新しいメディアについて、その特性とか利点とか、そういったものを一般に知っていただきたいという我々の希望からいろいろな、先生ごらんになるのはちょっと過剰というふうな御印象だと思いますけれども、我々としてはそれを知っていただきたいという気持ちからやっているわけでございます。並みと特というような感覚は毛頭ございませんが、例えばお話にございました大リーグ、これは六十三年度の編成では、月曜日に一応大リーグアワーとしまして、アメリカの本場の野球の状況というものをお知らせする番組を新設してあります。衛星放送では、毎日大リーグの野球中継をいたしますが、これは総合テレビでこういうことをやっても一般の方々には余り喜ばれないといいますか、もっとほかのものを、バラエティーに富んだ番組を見せてもらいたいという希望が必ず寄せられるであろうと思いますけれども、私どもとしては地上波、特に総合テレビ視聴者の方々にも大リーグを御紹介したいという気持ちから、こういう番組設定しているつもりでございます。  また、そのワーグナーのお話は、「ニーベルングの指環」のお話だと思いますけれども、これは全部やりますと十五時間かかってしまいます。一つ一つ抜き出しても二時間半とか三時間とかというような長時間になりますので、余り番組編成の時間枠に縛られない衛星ではやりやすいわけでありますけれども、総合テレビのような番組枠がかなりきっちり決まっているところでは非常にやりにくいということがございます。しかし、私どもとしては、この「ニーベルングの指環」を教育テレビか総合テレビか、いずれを含めて今後地上波でも放送するように検討してまいりたいというふうに考えております。地上波の方を軽視するつもりは毛頭ございません。
  82. 青島幸男

    ○青島幸男君 その衛星放送の可能性を皆さんに知っていただこうという思いが余って、何となく地上波の方が並みに見えるという結果になっているのかもしれませんし、私どものひがみかもしれませんけれども、もし視聴者の方々にそういう反感をもたらしたら何にもならないことになりはしないかということです。ましてや、それでなくても音はきれいだし、画質は落ち着いているしということで、幾つもの利点を持っているということからしますと、一層そうじゃないかという気がします。それで、やがてはアンテナを買わされ、受信機の設備を買わされると、衛星放送だけまた別途料金ということになるんじゃないか、それを目途としてPRに励んでおるに違いないということになると、なお一層反感を買われるんじゃないかという気もしますので、その辺は十分に御注意いただかないといけないと思うんです。  元来私は、受信料自体というものが、NHK受信料のありようというものはおかしいのだということを当委員会において再三申し上げておりますけれども、実際のことを言って、テレビ受信機をお買いになって、御自宅へお持ち帰りになれば当然見られる可能性があるわけだから、即座に契約をなすっていただきたい、NHKを支えていくための負担金として御拠出いただきたい、これは民法上言うところのはっきりした契約ではないわけですね。  ですから税金なのか、あるいは分担金なのか、賛助金なのかということが実にあいまいですね。しかNHKさん、再三伺っておりますと、分担金として御理解いただいた上で御協力いただいているという言い方をしますけれども予算の審議でも何の審議でも受信料という言葉は明確に使っておいでになるわけですね。受信したための対価だという考え方はとりたくないとおっしゃりながら、明確に受信料なんですよ、これ。で、その辺のところをずっとあいまいにしたまま今日まで至っているわけですね。ですから、そのことで払うのが嫌だということで拒否なさる方もおいでになるし、それから米軍などは、地位協定を盾にとって、日本の税金は払えないという格好で拒否なさるわけでしょう。  それが税金なのか、分担金なのかということが明確でないことがネックになっていると思いますね。きちんとした契約になってごらんいただくんだったら、対価として払っていただきますということだったらどこでも通ると思うんです。ところが、欧米の習慣からすると、どうも日本的なNHK料金の徴収の仕方というのは納得しかねるところがあると思うんですね。だからこういうあいまいな、契約に基づかないあいまいな金は払いたくないというのが彼らの感覚で当然だと思うんですね。  ですから、もうちょっと明確にしなければいけないのじゃないかということは再三私は申し上げておりまして、でき得れば、NHKの電波を特別の信号を交えて流すと、その信号を解読して映 像に変える設備をNHKが各御家庭に配付をして、それの損料並びに使用料として対価をいただくということになれば、一軒一軒その機械を持って伺って、その機械を通さなければNHK映像が見られないから、はっきり水道料金や電話料金のようにお互いの認識の上、納得の上に料金の収納も、支払いもできるというシステムになるはずだし、そこが明確になれば、嫌な方はごらんいただけないわけだし、ごらんいただいてないところから取るつもりはないと、これは当然のことですし、もしごらんいただきたいんならNHKのこの機械をお使いください、よってそれ相当の料金をいただきますということであれば、明快に区別がつくわけですから、そうなれば、ごらんになりたいという方が率先してNHKにお申し込みになるでしょうし、多くの方々が方々に頭を下げて、なかなかお目にかかれないと言いながら、労苦に耐えて料金を集めて回るよりも、より的確に確実に、しかも納得ずくの上で収納できるんじゃないかということで、私は再三そのことを提案いたしましたけれども、今のところ即座にそうやる気はないという御返事を毎回いただいておりますけれども、今もそのお考えにお変わりはないかどうか、お尋ねいたします。
  83. 林乙也

    参考人林乙也君) ただいま先生からもお話がございましたように、NHK受信料性格でございますが、NHKは公共放送といたしまして、全国あまねく豊かな番組放送する責務を有しておるほか、放送及び受信の普及発達のための調査研究なども、また国際放送の業務などもいたしておるわけでございます。  すなわち、番組の上でも教育番組だとかあるいは福祉番組というような形で、直ちに視聴率、あるいは経済計算だけからいたしますと十分には成り立ち得ないような番組につきましても、総合的な業務運営の中でそれを行っておるということから、NHK受信料というものにつきましては、その業務を維持運営するための公的な負担金というような形で理解できるのではなかろうかというように考えております。もちろん放送法の、サービスに対する受益者負担というものの考え方は全くないではないわけでございますけれども、全体として理解するならば、いわゆる総合料金的な性格を持っておるものというように考えるわけです。  今後ニューメディアの進展、あるいは多メディア化の進展の中で視聴環境、視聴態様というものもいろいろ変わってまいろうかと思います。その中で今後の受信料制度あるいは体系というものが、どういうものが望ましいのかということにつきましては、私どもも鋭意研究してまいらなければならないというように考えておるところでございますが、ただいまの御指摘のような点につきましては、例えばペイ・パー・ビューといいますか、ある特定の番組について、視聴したものに限って料金を支払うというようなことにもなりかねないことを考えました場合に、やはりなお検討すべき問題が多々あるのではなかろうかというように考えるわけであります。  ただ、やはり今後の多メディア化あるいはニューメディアの進展の中におきまして、ただいまの御指摘も十分私ども念頭に置きながら、NHK受信料の現在の基本的な性格のもとで、どういうような形がとり得るであろうかということについては今後とも研究してまいりたいと考えております。
  84. 青島幸男

    ○青島幸男君 研究していただきたいと思いますね。  極めて日本的な風土に基づいたやり方でして、私はこの制度自体を否定してはおりません。歴史的な経緯を踏まえましても、多くの方々の協力に基づいてNHKはかなり高い精度といいますか、率で徴収をしていますね。雑誌でも新聞でも、こんなに高い、確実に収益を上げている、収入というか、徴収しているところはないぐらいにきちっとできていると思います。ということは、何となく我が国の国民性といいますか、大変従順といいますか、政府あるいは政府機関に協力的といいますか、中には今でもNHKは国営だと思っている方もおいでになるわけでして、郵便局の方が取りに来たと同じ感覚で、払わなかったら手が後ろに回るんじゃないかというような気持ちでお支払いいただいている方もいると思うんですよ。  しかし、そういう感覚で実に日本の風土に合ったやり方があるからこそ、今まで高い収益といいますか、徴収率をおさめていると思うんですけれども、でもそれにいつまでも甘えすがっていたんではいけないと思いますね。もうちょっと理解を深めて、その上で成り立っているんだということをお考えいただきたいと思いますし、この制度を否定しないというのは、一時、不払いの方が多くなったりして経営基盤が危ぶまれるという時期に、これはやっぱり法律で集めることに枠をかけたらいいじゃないかというお話も出まして、しかし、これはNHK郵政省との間で話し合いがついた経緯も私は承知しております。  これはいかに何でも法律で罰則まで科して、料金として徴収してしまうというのはなじまないんじゃないかと。今までだってこれで結構上手にいっているし、これからもNHKは、国民の皆さん方に理解を求め、協力を仰いでいく体系をきちっと整えていけば、必ずや所定の効果を得られるであろうということのもとに行われてまいりまして、しかも幸いなことに今そうなっておりますね。ですから、これは世界的にもまれに見るケースだと思いますけれども、これは一にかかって国民の皆様のそういう御理解のたまものだというふうにNHKさんはお考えになっていらっしゃると思いますけれども、その辺を損なわないようにしていかないと、本末転倒と申しますか、不払い同盟の急伸展みたいなことに遭いまして、理解がいただけないということに結びつきはしないかというのを不安に思っているわけです。  今までの経緯を見ましても、その辺もおかしいんですが、衛星放送の発足自体がおかしいんですよ。大臣はきっとこの経緯を御存じだと思いますけれども、まず、古い話になりますけれども、VHFをやめまして、全部UHFにしたらいいじゃないか、それで国民の財産である電波の有効活用の上から、今あるVHFをあければ、ほかにたくさん有益に使えるから、そうしましょうという方針を郵政省がかつて打ち出したことがあるんです。  私はそれに対しまして、今でもカバーし切れないように難視聴地域が多いのに、Uにしたらもっと金がかかるし迷惑もかけるしうまくいかないから、Vでこのままおさめておくぐらいがいいんじゃないかと言って、延々反対しましてやっと十年後に、Uに一斉に転換することは不可能だということをお認めになりまして、郵政省はこの旗を下げられたわけです。その後、じゃどうして難視聴地域解消しようかという話になりまして、やがては有線というものが発達してきて有線になるか、あるいは衛星というものが将来はできて、そこから地上波と違った格好でおろしてくれば必ずや難視聴地域は解消できるんじゃないか、だからこそVをこのまま一遍にやめるのはやめなさいというのが私の主張の中にあったんですけれども、やがて星が上がりまして、幸いに星でカバーできるようになりました。そうすると、さまざまの離島までもこれは割に比較的楽にカバーできるようになりまして、着実に絵と音が送れるようになりました。これはこれで結構だと思うんです。しかし、この星を上げるについては、まずそもそもの目的は、難視聴地域でよくテレビがごらんになれない、音が聞けないという方々の御不自由をなくするために、しか放送法上の建前もありますから、NHK衛星に頼って放送を始めて、難視聴地域解消に当たったわけです。これは成功したんです。そもそもそこから始まったんですけれどもね。  難視聴解消はそれでいいと。しかし星には大変な可能性がある。音もきれいだし、絵もきれい、しかハイビジョンまで流せるという可能性がある、この可能性を全く無視しておいてはこれはしようがない。だから総合と違った波を一波別に流 して、より一層エンジョイといいますか、御利用いただくようにしたらどうだろうという、ここが私はちょっと出っ張り過ぎたと思うんですね。そこで総合放送教育放送番組の編成と同じものだけを流せば何ら問題はないんです。しかし可能性があるから、そこへ全く新たな番組の編成を組み込んで、新たな一波として流し始めたわけです。しかもそれは視聴者の了解を得てという段取りを踏んでないという認識を私は持っているわけですね。ですからその辺が、全くずるずるべったりに新しい一波をNHKは獲得したわけですね。このことをそのまま放置して、何の法制上の枠もなしに、勝手に可能性があるからといって、積み重ねていっていいんだろうかという疑念が今でもあるんですけれども、その点について、経緯を踏まえた上で、大臣どうお考えになりますか、御所見を伺います。
  85. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私は、先ほどの受信料の問題から公共放送として、先般も申しましたように、日本は太平洋プレートの大きな地震国家としての基盤の上に立っているということで、いつどんな大災害が起こるかわからない。機械をつけて、そしてNHKを見ていなかったら払わなくてもいいとか払うとかという問題ではない。私も大変日本的なやり方だなと思ってお話を聞いておりましたら、偶然日本的なやり方だというお話が出てまいりましたんでございますが、そんな意味で、私は公共放送としての務めは、特に国内放送だけでなしに、国際的なものに裏打ちをするというところに大きな私は価値があるのではないか。日本的なものでいつまでも置いておいていいのか、法律で決めた方がいいのかというのは、これは法律ではっきり決めていない。日曜日が休みだという法律はありませんし、東京が首都だという法律もありませんが、何となく東京は国会があるし、首都だなと思っておる。日曜日は、これは慣習で何となく休んでいる。国民の祝日に関する法律というのは、ちゃんと一年に十二日休みなさいと。日曜日と重なったら明くる日は休みとっていいですよという法律ありますけれども、日曜日が休みだという法律がない国でございますから。  それ考えておりますと、やはり国際的な衛星を使っての交流、今のところはアメリカのプロ野球が見られますなんという話でございますが、これはいわゆるエンタープライズとか、コングロマリットというような多国籍企業が地球上を覆っておりますわけでございますから、それによって寝ない銀行、寝ない証券取引、そんなものに対応するためには、私は世界がすぐに見られる組織というのを国家が維持しておく必要があるんではないか。政治的に、そんな政治家として国家の安全、それから世界との協調、それから日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識なんと言われるようなところもありますから、世界との常識のすり合わせをする国家の大きな政策的な面として、公共放送NHKにそういうものを私は持ってもらう必要というのが、難視聴の地域を解消することから出張ったというお話がありましたけれども、そういうことではなしに、これは六十二年度の予算の審議の最中でも、いろいろ事業計画の中でお示しを申し上げたというようなことを、ちらっと私も小耳に挟んだことがあるわけでございますが、郵政省へ参りまして、いろいろと話を伺った中でも、事業計画の中でも、そういう話は昨年度出てきたというようなふうに伺っておりまして、先生も民放の方で大活躍をされたり、いろいろテレビ番組で御活躍をされておられる方でございますから、民放と公共放送、両々相まって、いかに国民の文化水準の向上とか、それからまた放送普及とか、それからNHKがその意味でも番組の技術とか、それから中身の先導的な指針を示していくかということの重要な使命があるように思いますので、ひとつ何とぞ御理解をいただきたいと、かように思います。
  86. 青島幸男

    ○青島幸男君 全然話がかみ合わないんで、私の方は戸惑っているんですけれども、どうしましょうね。  本来難視聴地域解消で始めたはずなのに、星に非常に可能性があるものですから、また別の一波をつくって、総合放送教育放送とまた違った内容のものを放送するようになってしまった、いつの間にか。ということは、新たな一波をつくってしまったということになるわけですから、それが国民のコンセンサスを得ないで、NHKさんの一方的な恣意的な歴史的な経緯でなってしまったということに、私は非常なむしろ憤りを感じていると申し上げているわけでしてね。世界じゅうの電波によって、我々が世界じゅうの出来事に常に注目をしていなきゃならないし、また我が国の考え方なり行動なりも世界じゅうの方々に御理解いただくように努めなきゃならないことは、大臣と全く同じ意見なんですけれども、そのこととこのことは別物だと思うのですよね。  それで、その視聴者のコンセンサスが得られないままここまで来てしまった、これから先の問題ですね。これから実際に本放送といいますか、星による本放送が始まったら、別途料金をお取りになるわけでしょう。お取りになるときの受信者との契約のありようですよね。これをまた同じようにおやりになるのかどうかですね、今の総合放送のありようと。また、あいまいなものの上にあいまいなものを重ねるようなことになりましてね。例えば、じゃ米軍が基地の中でパラボラ上げて受けたらこれはどうなさるおつもりかというのはすぐもう出てくる問題ですし、それから、そのような契約の仕方とか、受信料の集め方というのにいつまでもあいまいさを残しておきますと、いずれ国民の納得が得られないことになりゃしないかということを私は危惧するんですけれども、その辺はどうお考えですか、会長
  87. 川原正人

    参考人川原正人君) いろいろな意味で大変示唆に富んだお話だと思っております。  私どもの事業というものはこれはすべて受信者の方、ほとんどの国民の方でございます。完全な御了解なしにはもう経営そのものが成り立ちません。先ほど来のお話のように、受信料ももちろんそうでございますし、衛星放送もそうでございます。そして特にこの受信料につきましては、おっしゃるとおり、いろいろな理屈の上では料金のちょうだいの仕方というか、NHKを支えていただく手段は理論としてはあると思うんです。私どもはそれは常々部内でも検討はしております。ただ、おっしゃるとおり、今の受信料というものが、ともかくも国民受信者の大多数の方の支持を得まして、順調にお金を収納させていただいて経営ができておりますんで、私どもとしては、この受信料という制度経営をずっと続けていきたいと。何といいましても、これはすべての受信者が平等に御負担をいただくという意味で、本当に表現の自由というか経営の自立性というのは一番確保できる手段だと私は思っております。これがどこか特定の方からのスポンサーといいますか、まとまって資金の援助を受ける、ちょうだいするのは、どうしてもその方の私は影響下に入ってしまう、これは避けたいと。それを避けるために、今一つの方法として、確かに御指摘のような一種のペイテレビといいますか、これが理論上あることも私どもよくわかっております。  実はもう御承知のとおり、既にイギリスにおいては、ピーコック委員会というものがこれを提案しております。しかし、これに対してBBCが言っていますように、やはりペイという感じになりますと、これはやはりどうしても対価、資本主義経済の中の商品の販売と同じような方向にどんどん流れていくことは私は必定だと思います。そうしますと、やはり事業採算といいますか、利益といいますか、採算に合いにくい仕事というものはどうしてもなおざりになっていくだろうと。つまり、本来テレビというメディアが持っております、例えば教育効果を発揮したその種の教育番組とか、あるいは非常に一部の方が、大勢の方は必ずしも御鑑賞にならぬかもしらぬけれども、非常に教養の深度の深い文化的な番組等はどうしても後回しになっていくと、ペイされにくいですから、という傾向がどうしても私は出てくると思います。そこに我々は非常に危険を感じておりま す。  ですから、今のやはり受信料制度NHK経営をしていきたいと考えておりますが、例えば今御指摘のように、もしそれでは衛星放送、別の方式でこの料金制度考えますと、私はこれは、一つの統一された事業体の中に二つの方式による収入源というものは、副次的な収入というものはもちろん考えておりますけれども、主たるメディアに二つの方法というものは、これは非常に考えにくいと。むしろそれは経営を切り離さざるを得なくなってくるだろうというふうにも考えますので、今のところは私どもはやはりこの受信料制度の延長の考え方の中で、衛星放送も全国の受信者の方の支持を得て経営をしてまいりたいと今は考えております。
  88. 青島幸男

    ○青島幸男君 会長今お話しになりましたことは私もよくわかります。完全にペイにしますと、ペイしないものは流さないというようなことになりますと、NHK自体の存在意義すら失われると思います。それで、私としては、現状今NHKがこういう料金の徴収の仕方で支えられる基盤の上に立っているというもとで、一方では広告収入によって支えられている民間放送というものが並立して、それぞれがそれぞれの主体に基づいて番組編成をして、国民の方々に御享受していただくなり御批判を仰ぐなりしてますね。そういうありよう自体というものは、私は他国に例を見ないいい制度だと思っておるんです。で、民放には民放の特色もありますし、それはまたそれごらんになって御批判もなされば、援助面等求めていらっしゃる方もおありでしょうし、それは民放各局いろいろ色がありますし、情報は多ければ多いほどいいと思います。そして、その中に、何が偽りで何が本当か、何が自分の趣味に合っているか、何が嫌いか、取捨選択ができますしね。みずからの教養を高める上にも真実を知る上にも大事だと思いますから、この制度はこのままでいいと思うんです。  だからこそNHK一般の方々の、有権者の方々の——有権者じゃないですな、どうして有権者になるんでしょうね。私も政治家になりましたな。受信者の方々の御信頼をつなぎとめるということの上に成り立っているわけですから。それに、もともとNHKは利潤追求をするためにできている協会じゃありませんからね。ですから何で、ヤシの商法と先ほど申し上げましたけれども衛星放送はこんなにすばらしいよと、こういう設備を買って、どんどん協力をしてくれれば、もっといい目に遭えますよというような、営利目的と思われるようなコマーシャルの流し方をして、人心をあおるなというようなことを私としては言いたいわけですよ。ですから、そういうやり方をしないで、協力の仰げるようにするやり方はないだろうか。で、今おっしゃられましたね。今の制度の上にまた別の集金制度を積み重ねるというのも、おっしゃるとおり私は何かと混乱を招くばかりだと思います。  しかし、やがては、他の委員からも御発言ありましたけれども、今の状況でいって、百万台、二百万台、あるいは五百万台を超えるような数になれば、本放送として改めて国民の皆様方のコンセンサスを得て、それで受信料というものの体系をはっきりさせて、かくかくしかじかでございますと、こういう放送を御享受なさいますと、分担金としてこういうことを御協力仰ぐことになりますと。で、これは今までの総合放送教育放送とは別途いただきます。そのかわり、星が落ちたときはどう補償するかというのもこれはなきゃいかぬと思いますけれどもね。しかし、そういうことで逐一受信者の皆さん方のコンセンサスを得ながら、皆さん方の御理解を損なうことなく進めていかなきゃならないというのがNHKの基本方針だと私は思っていますし、そういう方針でやらないと、せっかく今まで築いてきた信頼関係ももう台なしになりまして、また別途法制で定めなきゃならないだろうというようなかた苦しいことになりますと、不払いで突っ張っている方々にしても、法で決めて枠組みでということになったら、ますます先鋭化すると思いますね。ですから、アングラで見ようとか、いろんなことを考えるんじゃないかと思いますね。そういうことにならないことを私も望んでおります。  で、そのうち、やがては百万、二百万というオーダーで受信設備を持っている方がふえてきますと、もう内蔵型のも出ると思うんですよね。特別に衛星放送用受信設備を別に買ってきて、セットの上に乗せて、それからアンテナをつないで見るということではなくて、もう既にその衛星受信の設備を内蔵したものは即座に出ると思いますね。その場合ですね、その内蔵して受けられるという受信機を持っている場合ですね。これは実際本放送開始になって料金徴収ということもうたい上げて、国民の御理解を得て後の話だとしますよ、仮定しますよ。私は衛星放送そんな夜中まで見ないし、今ある七チャンネルで十分だと。そのほか見たら忙しくて寝る間がないから、私は見てないと言いますね。従来のあなた方の考えだと、見られる設備をお持ちになったら即座に契約していただかなきゃいけないんですから、見ようと見まいと契約してもらいますという迫り方をするんじゃないかという心配が私はあるんですけれども、いかがなものですか。
  89. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 衛星料金設定の仕方の問題にももちろんよろうかというふうに思いますけれども、原則は私どもとして現行の受信料制度の延長線上の中で考えたいという考え方を持っておりますので、そういった考え方によりますと、私どもとしては、やはり設置された方からちょうだいするという形になります。現在でもテレビの設置については届け出、受信契約によっては届け出なければならないということが決められているわけですけれども、実情は届け出がほとんどなくて、我々が伺って、そして届け出書にサインしていただくという形をとっているわけなんで、そういったような形をとらざるを得ないんじゃないかと思っております。
  90. 青島幸男

    ○青島幸男君 そこのところがね、NHKは国の機関じゃないわけですからね。設置したら契約してもらわなきゃならないんだといってその受信者のところへ行きますと、土足で踏みにじられたという気をお持ちになる方もおいでになるわけですよね。中には、理解のない方は、ほかの民放全部ただなのに、何でおまえのところだけ金取るんだという、いまだにそういうことで突っ張っている方もおいでになりますよね。しかし、宿命的にこうなっているわけですね、受信料制度が。ですから、これをこのまま放置しておくのは、実にあいまいさの上にあいまいさを重ねる問題で、後々いろいろ疑点を残すんだから、きちっとやるべきものはした方がいいんじゃないかということを私再三申し上げてまいりまして、まあ幸いなことに上手に運営がなっておるからこそのことだと思うんですけれども、余り突っ込んだ追求がなされてないように私拝察しました、残念ながら。  繰り返し繰り返しこのことを言いながら、私の意図と全く違った方向に、いかにも衛星放送がすばらしいものである、一日も早く皆さんおつけになって、別途料金をお支払いなさいというような経営姿勢に見えますんで、反対討論みたいになりますけれどもね、今まで私、NHKさんの予算に反対したことないんですけれどもね、もう何か腹に据えかねるという感じがしまして、今度は賛成しかねるということを明確に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  91. 平野清

    ○平野清君 質問の前に、NHKの首脳の方にちょっと御報告をしておきます。  この委員会でも何回か埼玉県の鳩ケ谷市の鳩ケ谷放送所の跡地の払い下げ問題で御質問申し上げました。昨年ですか、売却契約が終わりまして、そこに埼玉県最後の県立高校ということで鳩ケ谷高校が明日開校いたします。大変な御努力をされて県や市のために用地を提供してくださったんで、県や地元は大変喜んでいるということをまずもって御報告しておきます。  早速質問に入りますけれども、きのう川原会長は、民放のことで御質問があった際に、NHK番組さえろくに見てないんだからというような御 発言をなさったと耳に残っているんですが、実際に会長としてはどのぐらい毎日番組をごらんになっているのか。というのは、新聞社の社長や会長ですと、刷り上がってきた新聞、各社並べてどこでも読めるわけです。それで次長なり部長なりを呼びつけて、こんな特だね落としてけしからぬじゃないかとやれば済むわけですね。でも会長としてなかなか、そういう電波というものは、映像というものはそうはいかない。じゃ、どのぐらい現実に自分の番組を見られているのか、民放を見て比べられているのか。それから、NHKのふだんの番組についてどういうふうに思っていらっしゃるのか、これ簡潔で結構ですから感想をお願いします。
  92. 川原正人

    参考人川原正人君) 私は仕事でございますから、もちろん自分のところで放送しておりますテレビラジオはできるだけ見たり聞いたりしなければいけませんし、また同時に、現実にはやはり民放のいろんな各社との間で意識的な競争ではありませんけれども、お互いに切磋琢磨して仕事をしておりますし、非常に関心を持っております。  それから、現実にも若干民放の番組を拝見することもありますけれども、具体的にいいますと、ほとんど毎日、朝と夜と自分のところの番組を恐らく二、三時間、それからどうしても見損なったものは私の執務室でVTRのあるものは取り寄せまして、仕事の合間合間に見るのが限度でございまして、正直言いまして、民放さんの番組を余り見る時間はございません。休みの日等に家族の者がプロ野球などを楽しんでいると横から一緒に見ているというあたりが限度でございます。正直に申し上げます。
  93. 平野清

    ○平野清君 それはもうその程度で結構でございます。  受信料の問題については再三他の委員の方からも御発言がありました。そこで基本的に戻って聞いてみますと、NHKとは何かということに帰結すると思います。一般の人は、受信料というのは、受信の対価だと思っていらっしゃることは当然です。だから、おれはNHKを見ないんだから払わないということが多いと思います。前の先生の御質問の中にもそういうことが再三出てまいりました。そうしますと、三百五十万と言われる未契約者と正直に払っている人との間に不公平が起きます。その点については会長さんも、不公平な点を解消しなきゃいかぬから一生懸命努力しているんだというふうに言われております。こういうふうに正直者がばかを見ないようなために一生懸命やっていらっしゃるわけですけれども、いろんな問題が付随して起きてまいります。  例えば、最近のタクシーにテレビがどんどんどんどんふえております。自家用車にもふえております。最近若い人は時計にまでテレビをつけています。そういう時代を迎えて、そういう料金の回収——回収といいますか、受信料をどういう形で取られようとしているのか。そういうものはもう仕方がないからということであきらめてしまうのか。その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  94. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 公平負担ということの追求ということは我々の責務としてやってまいらなきゃならぬというふうに考えておりますが、今普及しております小型のテレビ、あるいは液晶テレビというふうなものがどのくらい出ているのかというのは、これは出荷統計等で推定するわけですけれども、じゃこれが契約の対象になるのかならないのかという点で考えますと、今の私ども考え方としては、世帯単位の契約ということにしてございます。そういうことで、小型テレビだけを持っておられるという状況は非常に少ないんじゃなかろうかというふうに思います。そういう意味では、液晶テレビ等の小型テレビの所有者を別に契約願うというようなことはしておりません。現実には世帯単位の契約契約が済んでいるという考え方に立っております。
  95. 平野清

    ○平野清君 世帯単位と申しますと、でもハイヤーやタクシーはこれは別だと思うんですね。一世帯とは言えないんで、先ほどの委員さんが御質問になったとおり、これは事業所の問題だと思うので、そういう点もはっきりしないと今後に大きな問題が起きてくると思うんです。  その受信料の集金についてですけれども、この三月一日に全受労、全日本放送受信料労働組合の皆さん七十九人が、東京地裁に地位保全等仮処分の申請を出されたと聞いております。その内容というのは、四月一日以降、現実の委託地域を受け持つ受託者としての地位保全、二番目に、四月以降過去一年間の平均事務費の支払いという、この二つのことを求めて地位保全を要求されたんだと思うんですけれども、これすべて新営業構想というものに大きく関連してくると思うんです。では集金委託者の方がこうまでして、裁判所に訴えられるほど大きな問題点があるに違いないんですけれども、じゃ実際に委託者は平均一人当たりどのぐらいの世帯を担当されているのか、それから平均の実働時間はどのくらいなのか、平均手取り月収というものはどのくらいなのか、平均年齢というものはどのくらいなのか、受け持ちの何%以上を集金したらその人は合格点がもらえるのか、そういう点についてお話をいただければありがたいと思います。
  96. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 今、先生指摘の東京地裁への仮処分の申請の問題でございますけれども、これちょっと全受労という組合、これは全日本放送受信料労働組合という組合が申請したものでございます。  これは御理解を深めていただくためにちょっと時間をいただいて御説明させていただきたいと思いますけれども、受託者の今の全体の全国の数は三千七百名ほどございます。このうち日本放送協会集金労働組合、これはN集労という一番大きな組織でございますけれども、これに加盟しておりますのが二千三百人でございます。それから、NHK集金労働組合連合会というのがございまして、これに加盟しておりますのが三百人でございます。そして先ほど申しました全日本放送受信料労働組合、全受労と略称言っておりますけれども、ここに加盟しておりますのが九十人でございます。そしてそのほかは三重県に一つ労働組合が、二十名で結成されている組合がございます。これに未加盟の方約千人を加えまして約三千七百人の受託者が働いているというのが実情でございます。  今、先生の御指摘の仮処分の申請をいたしましたのは、全体として一番大きな組合でございますN集労という、日本放送協会集金労働組合から分裂いたして結成された、九十人で組織する組合のうち七十八名が申請しているというのが実情でございます。その仮処分の内容は先生指摘のとおりでございます。我々としては、新しい営業体制を実現してまいりますために、やはり受託者の十分な理解が必要だというふうに考えまして、一年三カ月ほど前に我々としては新しい仕事のやり方の基本方向はこういう方向でやりたいんだということを各組織に示しまして、そしてその後検討委員会というような委員会も設けまして、相互に十分に理解を深めて進めていこうじゃないかという姿勢で交渉をしてまいっているわけでございます。そして、昨年末に我々としましては、これから先の仕事の進め方の具体的な内容を盛り込みまして、さらに交渉を煮詰め、検討委員会等でも並行してお互いに意見を言い合おうじゃないかということで検討を続けているのが現状でございます。  それで、そういう交渉のさなかに、三月一日に先ほど先生が御指摘になられたような、お挙げになられたような内容の仮処分の申請が突然なされたわけでございます。我々としては交渉の過程でございますし、窓口を閉じたわけでもございませんし、そういう状況の中で突然そういう仮処分の申請がなされるというのは、これは交渉を放棄することになるんじゃないだろうか。我々としては、あくまでも交渉を通じて平和的に円満にお互いに理解し合って、新しい仕事に移っていこうじゃないかという姿勢で話し合っているわけでございますので、我々としては、全受労のそういった仮処分の申請というのは極めて心外なものだという ふうに思っている次第でございます。  それで、先生のいろいろお挙げになられた受け持ち数は大体どのくらいなのかという御質問お答えさせていただきますけれども、これは都市部とそれから大都市圏、あるいは困難地域というふうに申しているんですけれども、いずれも大都市圏なんですが、ここは六千から八千ぐらいの受け持ち数になろうかというふうに思います。この中には、受け持ち数として持っておりますので、口座受信者も入っております。口座受信者の中にも移動がございますので、そういった方も地域管理という建前から一応その受け持ち数の中にはそれは加えてございます。  それから、実働の日数はどのぐらいなのかということでございますけれども、大体平均いたしまして、一期を二カ月というふうに組んでございます。仕事の単位を二カ月を一期としてくくっておりますけれども、その一期で大体四十一日から四十二日ぐらいが大体平均的な稼働日数かというふうに思います。 それから、ほとんどの受託者は、九五%程度の受託者が専業でこの仕事に当たっているという状況でございます。  それから、年齢でございますけれども、これも五十七歳ぐらいが平均かというふうに考えております。  それから、平均の月例の収入でございますけれども、これは大体三十万円が月例の報酬というふうに考えております。
  97. 平野清

    ○平野清君 三千七百人のうちのわずか九十人と言いますけれども、どういう組合の組織か僕はよくわかりませんけれども、これから契約を結ばれる新営業構想というものをやはり一人でも多くのそういう受託者に説明をしていただいて、集める方が納得して、安心して働けるようにしてもらいたいと思うんです。聞くところによりますと、今平均五十七歳とおっしゃいましたけれども、四十歳ぐらいですと、今平均実働時間一カ月当たり二十時間くらい、それをもう十日ぐらいでこなしちゃう人もいますし、オートバイに乗れないで自転車っきり乗れないような人は、二十五日も一日じゅう駆けずり回るという人もいらっしゃるでしょうし、ほとんどの方が口座に入っておるところは大変集めやすいわけですし、新しいマンションや新興住宅地帯で、先ほどのお話にも出ましたとおり、共稼ぎ世帯が多ければなかなか会えないという、地域差の問題もいろいろあるかと思うんです。よくよく労働組合の人たちの意見を聴取していただいて、この新営業構想というものがうまくいくようにお願いしたいと思います。
  98. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 一言訂正させてください。  今の平均年齢五十七歳というふうに申し上げましたけれども、五十一・五歳ということでございまして、訂正させていただきます。
  99. 平野清

    ○平野清君 まあその点は、そう大して私の発言関係ありませんので……。  次に、衛星放送のことでお伺いします。  他の委員の方からも、この衛星放送のことについては過剰宣伝だとかいろんなことで御指摘がありましたので、同じことを申し上げては何もならないと思いますけれども、確かに毎日のように、衛星放送を見なさいと言わんばかりのああいうPRをされますと、もうやっかみ半分で、そんなもの見てやるものかというふうに私も思っていることは事実です。ただし、六十二万人が百万人、二百万人になったときに有料化されるということをお答えの中で私たち聞き取っております。  それでは伺いますが、最初の目的に難視聴地域の解消ということがあったわけですが、じゃ打ち上げて有料化した場合に、そのもとの一番大事だった難視聴地域の人たちからもお金を取ろうとしているのか、共同に負担してもらうのか。  それから、衛星放送料金衛星放送サービスに対する対価料金として現行受信料の付加料金という形で徴収しますと、現行受信料との性格の整合性が合わなくなってくると思うんですね。そういう点はどうするのか。  それから、今せっかく一生懸命集めていらっしゃる普通の受信料に加えて衛星放送受信料を集めることになりますと、先ほどの組合の方たちが改めて一軒一軒受信契約を結びに歩くわけですね。そうしますと、一生懸命合理化したやつが、今度衛星放送でまた集める方を多数採用しなければいけなくなるのじゃないか。この三つの点について簡単にお答え願います。
  100. 林乙也

    参考人林乙也君) 衛星放送に対する負担の公平を期するために、衛星放送受信者から何がしかの御負担を将来いただきたいというように考えておりますことは先生の御指摘のあったとおりでございます。その場合に南北大東島、小笠原につきましての難視世帯として現在位置づけられておる地域について、新たな衛星料金につきましての料金をいただくことになるのかどうかというようなことについては今後の検討課題ではなかろうかというふうに考えております。  衛星受信料についての形態でございますけれども、私どもとしては、あくまでも現在の総合料金制度の原則のもとにおける体系というものを考えておるわけでございまして、衛星放送についてだけ対価料金考えるというようなことは考えておりません。  いずれにいたしましても、衛星料金の問題につきましては、国会におきまして予算の御承認をいただきました上で定められることでございますので、なおこの点につきましても、十分詰めた上でまた御審議をいただく機会を得たいというふうに思っております。  それから、最後の集金の付加でございますけれども、確かに衛星放送を含む料金設定いたしました場合に、現在の集金の労働以上に何がしかの付加といいますか、負担が加わることは御指摘のとおりでございますけれども、これらの点につきましても極力その負担を軽減する方策というものを見出してまいりたいというふうに考えております。
  101. 平野清

    ○平野清君 この衛星放送問題聞いてますと、これちょっと誤解しないでほしいんですけれども、何か新しい間接税の話と同じような気がするんですね。 だんだんだんだん間接税というのが本物になっちゃうのと同じように、衛星放送も難視聴だなんて言っているけれども、だんだんだんだん委員会で何回もやっていると、最初の方の委員会の方は——大分前の話ですよ、衛星放送というのは、難視聴地域解消のことだからそれ以上出っ張るのはいかぬとか、いろんな話だった。それがだんだんひとりでに認知されるようになってきているんですね。何かそこいらがどうも、私も青島先生と同じなんですけれども、仮にですよ、一つのビルがあります。五十世帯住んでいるとして、衛星放送を見たいと、そうすると共同アンテナをしなきゃいかぬ。個々につけようと思えば、新しいマンション組合かなんかが、空調設備さえ窓枠の外へは出しちゃいかぬというような厳しいマンションもあるわけですね。そうすると、どうしても共同アンテナをつけなきゃならない。そうすると、五十世帯あるうち五人ぐらいしか衛星放送を見たいという人がいないとすれば、あとの四十五人は見たくないんだから、おれは知らぬと。そうすると、高い金を五人で分担しなきゃいかぬ。  それからもう一つの問題は、これからのマンションは初めから共同受信アンテナをつけておいて、入居者全員にそれを共同で分担してもらうようなことを考えてくる建設業者が多いと思うんです。そうすると、あのビルは初めから全員衛星放送を見られる世帯なんだから、当然もらいにいっていいんじゃないかという形になりますね。そうすると、おれはあそこのところを切っちゃってあるから見てないんだというようなことを言っても、なかなかNHKさんとしては、ドアをあけて踏み込んでいって、それを調べることができないと思うんですね。そういう問題も起きてくると思うんです。  特に今度、清水谷の宿舎に、私たちの部屋全部に、どこヘアンテナをつけたんだかわかりませんけれども衛星放送が見れるようになったんです。私はそれをだれからも聞かなかったので、し ばらくの間知らなかった。いつの間にか、ぽんぽん押しているうちに、二が出たら衛星放送をやっているんですね。ああ、これはいつか何か紙が入ってきたのこれかなということがあったんですけれども、そういう事態も起きかねないと思うんですよね、今に。  それからもう一つは、先ほどの委員からも御質問がありましたとおり、長期間故障してしまった場合、それじゃその料金はどうやって補償するのか。三カ月なら三カ月の間故障しちゃった場合には、もうしようがないからあきらめてくれとおっしゃるのか。こういう三つのケース、どういうふうにお考えですか。
  102. 松本幸夫

    参考人松本幸夫君) 先生指摘のとおり、現実にマンションに入居しておられて、そこの管理組合の構成員の方々の意見がまとまらないという場合、これは当然あるわけでございます。しかし、我々として、入居者の合意形成に直接かかわるということのなかなかできない立場でございますので、そういった場合一体どうするのかというような御質問でございますけれども、これは我々としては、やはりできるだけ技術的に、こういう形であれば適正な値段で受信できる、受信が可能であるというような御相談には応じるということになろうかというふうに思います。  それから、個別におれは要らないからというような方も出てくることも当然あろうかというふうに思います。ですから、私どもとしては、これから先の料金の徴収という場合に、共同受信の方との関係をどういうふうにするのかというのは、これは非常に難しい問題だというふうには思っております。しかし、できる限りそういった共同受信施設を管理しておられる方との連絡を十分にさせていただくというような方法を講じるなり、あるいはできるならば、そういった共同受信施設の管理者が代理人として徴収していただけるなら、これまたありがたい話だというふうにも思いますし、またその法律によってそういったことが決めていただけるならば、これまたありがたいことだというふうにも思いますけれども、新たに受信料設定したと仮定して、それから先のマンションあるいは共同受信施設との対応というのは、いろんな今考えられる限りでもかなり複雑な問題があろうと思いますので、それについては十分な対応策を検討してまいりたいと思っております。
  103. 平野清

    ○平野清君 御指摘申し上げたとおり、これからの本当に有料化を考えていらっしゃるんなら、いっぱいいろんな問題があると思うんです。早急に、細かい点からいろんな点から、もう全局挙げて対応されるように望んでおきます。思わぬ障害が起きかねないと思うんです。  次に、よくNHKの肥大化という問題を耳にいたします。私、民間出身ですから、別にそうかといって民間の人の肩を持つわけじゃありませんけれども川原会長、ある新聞のインタビューで、NHKというのは新技術の開発をする、新しい技術を開発する義務を負っているんだと、だから一生懸命いろんなところへ、衛星とか何かに手を出すのは当たり前なんだ。NHKは総収入三千四百億円しかないのに、民放の方は一兆三千五百億円もある。これほどの差があるのに、民放はどれだけのサービスをしているのか、おれにはよくわからぬと。東京、大阪でこそ五波あるけれども、地方では二波しかないじゃないか。私ども衛星を含めて四波も賄っているんだと。  ちょっと私、それは新聞記者の聞き方にもよるんでしょうけれども、何か会長さん居直っちゃって、この間のどなたかの国会答弁じゃありませんけれども、小倉税調会長ですか、新聞や雑誌に言ったことは責任を負えないとおっしゃるかもしれませんけれどもNHKというのは機構も違えば、歴史も違えば、地域性と言っても全国的な大きなネットワーク持っていらっしゃるので、余りこういうふうに大きな新聞を相手に、民放を目のかたきにしたような発言をされるというのは、ちょっと読者の方が、はてなというふうに思いかねないと思うんですね。  その新聞一生懸命見てましたら、民放の方の言い分もいっぱい書いてあるんですね。ニューメディア業務の拡大は受信料値上げにつながるんじゃないか。それから非営業団体なのだから、営利目的の私企業への出資は禁止すべきだとか。副次収入の拡大はNHK本来の目的に逸脱しているとか。特定企業とタイアップして広告を容認するのはおかしいとか。民活導入という名をかりて名古屋局舎ではテナントを同居させ、民間業社から地代や賃貸料を取ろうとしている。こういうことを民放の代表なり識者が批判しているわけです。  このNHKの肥大化ということについて、会長としてどういうふうにお考えでしょうか。この新聞の言うとおりじゃなくて、もうちょっと謙虚に民放と共栄共存できるような御発言をいただきたいんですが……。
  104. 川原正人

    参考人川原正人君) 最初に、その御指摘の新聞、多分朝日新聞の「わたしの言い分」というところだと思います。あの内容につきましては、私責任を持ちます。そのような趣旨のこと発言いたしておりまして、決して言いわけはいたしません。御指摘のとおり、あのときに民放さんの言い分というのをむしろお示しになって、それに対し何かこちらの言い分はというような趣旨のたしかインタビューだったと思うので、私どもの立場を一応述べさしていただいたということでございますが、決して私は、民放と敵対の関係を持つなんていう気持ちは毛頭持っておりません。  先ほどもどなたかにちょっと御答弁の中で申し上げましたけれども、私は意味のない民放との何といいますか、競争とか競い合いということはいたしませんけれども、お互いやっぱり切磋琢磨をしていくべき同業者だと思っております。その意味で、いろんな番組を出しておられますし、私余りそうたくさん見てないんですけれども、確かにいかがかなと思う番組もそれはないことはないと思うんですけれどもしかし、大変いろんな人の話聞きまして、民放さんが努力しておられるという話も承知しております。特に最近は、ニュース報道の分野でも、ひところとは違った形での非常に意欲的な形の努力を重ねられておられるということも承知しておりますし、私どもそれに刺激されて、いろいろ向上しなければならない、あるいは反省しなければならない点が多々あるということを十分に承知しております。その意味では十分に手を携えてといいますか、共同しながら、しかも切磋琢磨しながら日本のジャーナリズムの質の向上のために、あるいは文化水準の向上のためにやはり努力をしていくべきだと考えております。その点では、全くこちらだけがよければいいというような気持ちは持っておりません。  それから、肥大化、巨大化という点で申し上げておきますと、私どもいたずらに肥大化してはいけないというふうに思っておりますので、十分気をつけてはおりますけれども、ただ、この放送世界といいますか、通信の世界といいますか、情報世界は、今本当に技術革新というんですか、ハイテクノロジーの進歩に支えられましていろんなメディアが入ってきている。しかも、このいろんなメディアをより有効に使えば、国民の方に本当に豊富な情報も提供できますし、それから文芸、その他の分野でも文化水準を高めることができるはずだと。そうであるならば、私たちのやはりこれは義務としても、この新しいハイテクノロジーを十分に活用すべきだと。それはまた、これはNHKだけでなくて、私は放送事業者の任務だろうと思っているわけでございます。しかし、既存の仕事の上に新しいものを積み重ねていきますと、どうしてもそれは巨大、肥大になっていきますので、その過程では、文字どおりスクラップ・アンド・ビルドということを考えなきゃいかぬと思っております。したがいまして、どうしても経費とか要員のところに、最後に数量的に示すとなると出てくるわけでございますけれども、もっともっと効率的な事業運営というのは心がけなければならないというふうに思っております。  それから、先ほどの先生の御質問にもありました、またその他きのうからきょうへかけましての当委員会の御質疑の中で、衛星放送のPRのあり ようについて厳しい御批判をいただきました。  私どもの意のあるところは尾西が申し述べましたように、何とかしてこの衛星普及して多くの方に見ていただきたいと思う余りに、これまた一種の最近のいろんなコマーシャル手法を少しまねし過ぎた点もあろうかと思います。その点については、結果として、そんなもの見てやるかと言われては、これは全く私どもの意図に沿わないわけでございますので、その点につきましては、この委員会での先生方の御発言、御指摘を受けましたことを十分私ども考えてまいりたいというふうに思っておりますので、なお一層御叱正いただきたいと思います。     ─────────────
  105. 上野雄文

    委員長上野雄文君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。     ─────────────
  106. 平野清

    ○平野清君 会長の御発言を聞いて安心いたしました。会長さんというのは、普通の人は、何か十二月の幾日ですか、年末になると、年末助け合いで、皆さんに大変ありがとうございましたなんていうことで画面に御登場になりますけれども、普通のときはめったに会長の顔というのは視聴者見てないわけですね。ああいうふうに新聞で、何かばかにぱんとはねつけたような記事見ますと、どんな人かなと思っちゃうものですから、なるべくなら、NHKの主張をなさるのも結構ですけれども、民放とうまくやるような、言いたいことは、おっしゃるのは御自由ですけれども、そこはひとつよろしくお願いしたいと思います。  次いで、その民放との関係なんですが、オリンピックの放映料に移りますけれども、今度この御報告書を見ますと、予算書を見ますと、何かNHKが八〇%、民放が二〇%の割合だ。で、しかもソウルのオリンピック放送計画を見ますと、民放単独のところがほとんどいい番組、例えば体操、水泳、柔道、新体操、女子バレー、ほとんど民放が七時から九時までのゴールデン時間を握っていらっしゃる。何か先ほどのことに関連するわけじゃありませんけれども、強いことを言われた割には、何かお金の面や時間の面を見ると、民放百五十社に全面的に押されてしまって、NHK経営的に大変苦しいのに、相当な無理をされて負担率を容認なさったように思うんですけれども、その案分の問題と、それからゴールデン時間の問題と二つお答えいただけますか。
  107. 川原正人

    参考人川原正人君) 中身の詳細は後で担当の理事からお答え申し上げます。  このオリンピック経費負担につきましては、まさに私ども民放とこれ張り合っては日本放送事業にマイナスばっかりだ、そのことは、モスクワ・オリンピックのときのことが私どもとして非常に痛い経験でございますし、反省もしておりますし、民放の諸君ともその点は十分に話し合いまして、とにかく全くの世界的な売り手市場といいますか、独占市場であるこのオリンピックに対しましては、とにかく日本放送事業者は一緒にやろうではないか、そうでなければ全くもう振り回されてしまうし、必要以上の経費を払わされるということで、もうスタートのときに、あのモスクワ・オリンピックの後からこれは話し合いまして、そういう協力体制をしいてきたわけでございます。  それで、確かにNHKが八割を負担し、民放さんは二割ですが、八割も負担している方がこれだけかという気持ちは、正直私にないではありませんけれども、やはりこれは日本放送事業といいますか、オリンピックに対するテレビのありようから言いまして、どんなことがあってもこれは手を携えていかなきゃいかぬという決心のもとに、できるだけ譲らなきゃならぬところは譲るし、こちらが確保しなきゃならぬところは確保するという趣旨で話をやっとまとめたところでございます。  なお、詳細については担当の役員から申し上げます。
  108. 平野清

    ○平野清君 それで結構です。もう時間がありませんので……。  御注文ばかり申し上げたんで一つだけ。一つだけと言っては変ですけれども、私のところへ感謝の電話がかかっております。何かサラリーマンをやっていらっしゃって、機械か何かに巻き込まれて足を切断された方が、ある日、NHKの六時三十分からの六・三〇とかいう放送があるんだそうですが、その中で、身体障害者運転能力開発訓練センターの無料講習会がありますというような何かスポットを流してくださったんだそうです。それで、自分としては、もう足も切断してしまったし、とても車なんか乗れないんじゃないかと思っていて、このPRを見たので早速電話してみた。そうしたら、もう自分なんかよりもはるかにひどい、両手もないような人も、それから両足のないような人もこの身体障害者運転開発センターに通っていらっしゃって、苦心の末免許をとって大変社会参加に貢献しているということを聞きました。この方も一生懸命今免許取得のために頑張っている。NHKの方も、こういう公共的な財団法人で、世の中に役に立つようなことがあったら、ほんの二十秒か三十秒で済むんだから、こういうものをうんとふやしてほしいという希望がありました。希望だけ申し上げておきます。あと一、二分しかありませんので、もう一つだけお尋ねいたします。  大阪放送局の移転問題なんですけれども、現在のNHKの大阪放送局があるところに、大阪市が今の建物のところに考古館と言うんですか、考古資料館を建てたいので移転してほしいという話が大分前からあったようです。ところがその移転先が、かの有名な難波宮跡ということで、ごく最近の新聞でもごらんになったと思いますけれども、五世紀の建物群が十二棟も出てきて、学者によれば仁徳天皇の高津宮の跡ではないかというようなことになってまいりました。こうなりますと、考古作業がどんどん進展するに従って、相当重要なものが出てくる可能性もある。そうすると、作業が六十三年で終わろうと思ったものが六十四年、六十四年で終わろうと思ったものが六十五年ということになりかねないと思います。NHKとしては、これだけの文化財の跡にどうしても新局舎をお建てになりたいのか、それとももうこれだけのものが出てきたら、あきらめて新しいところを大阪市なり府と相談されて探そうとされるのか、どうしてもそこに建てるということなら、これだけの史跡を守るためのどういう建物が最適なのか、それからどういうふうな位置づけでその放送局をつくったらいいかというようなことも考えなければならないと思うんです。そういう点について、ぜひ歴史をライフワークとしている自分としては聞きたいので、お答え願いたいと思います。
  109. 井上豊

    参考人(井上豊君) 先生お話しのとおり、この用地は、大阪市の大阪城公園と難波宮遺跡公園の連続一体化構想というものに私ども協力をするということで、現在のこのBKの会館から移転するということで進めているわけでございますけれども、私ども放送会館を移転し、大阪市はそこへ体育館を建てかえになられる、こういうことで進んできているわけでございます。  今お話しのとおり、文化財の発掘調査を取り進めている最中でございますけれども、まだ全体の四分の一程度を発掘したという段階でございまして、五世紀後半と推定されます幾つかの遺跡が出てきております。したがいまして、この調査がもっと進んだ段階で、大阪市とも十分御相談をいたしまして、当然のことではございますけれども、文化庁あるいは大阪府の教育委員会とも重々協議をいたしまして、その指導に基づいて今後の対処方針を定めてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、現在時点ではなおこの発掘調査を慎重に進めていきたい、こういうふうに考えております。
  110. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  112. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、いわゆるNHK六十三年度予算案に対して、反対の立場から討論いたします。  よく知られているようにNHKは、国会での政府演説と衆参両院における各党代表質問並びに予算委員会総括質問の各党一巡目の質疑を中継放送しておりますが、これは公共放送として国政と国民を結ぶための当然の責務であります。特に予算委員会は、国政全般にわたって、各党と政府が一問一答形式で議論を闘わせる場であり、主権者である国民にとって、政府政策と各党の主張を質疑を通じて直接知ることのできる重要な機会であります。言うまでもなく国民の知る権利は、憲法の主権在民の原則の前提であり、この権利が保障されてこそ国民の積極的な国政参加の道が開かれるのですから、NHKの役割の重要さは言うまでもありませんが、同時に、放送法第四十四条第三項に、「政治的に公平であること。」を義務づけているように、公平の原則が貫かれなくてはなりません。  ところが、実際は、予算委員会の中継は、特定の党の質問が午後六時、ないし大相撲があるときは午後五時で打ち切られ、深夜の録画放送に回されるという事態が続いております。 我が党は、それがどの党であれ、特定の政党に限って、多くの国民の視聴が著しく困難な深夜に放送されることは、国民の知る権利を制限するとともに、公平の原則にも反するという観点から、再三にわたって中継放送時間の延長や、教育テレビへの切りかえなどを含め是正を検討するようNHKに申し入れてまいりました。しかし、NHKはかたくなに改善の努力をしようとしないまま現在に至っています。このような態度がいかに不見識なものであるかを如実に示したのが、ことしの衆議院予算委員会で、浜田前予算委員長が、我が党の議員の質問を妨害し、暴言を繰り返すという事態のさなかに予算委員会の中継を打ち切ってしまった事件であります。  これは、NHKがこの問題に対するかたくなさの余り、何を視聴者に伝えるべきかという報道ジャーナリズムとして最も肝要な判断力をも失ってしまった、その本末転倒ぶりを露呈したものであります。  我が党は、NHKの報道姿勢や経営姿勢に公共放送としての問題点が少なからずあることを指摘しつつも、国民のためにさらに放送文化の向上に努力してほしいという期待を込めて、近年、特別な問題がない限り予算案には賛成の態度をとってまいりました。しかし、このように憲法が保障する国民の知る権利を軽視し、国民の大きな批判を浴びながらもなお予算委員会中継のあり方を改善しようとしないNHKの態度を厳しく批判する立場から、本予算案を承認し得ないことを表明して、反対の討論を終わります。
  113. 添田増太郎

    添田増太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、これに承認を与えることに賛成の意を表するものであります。  この日本放送協会昭和六十三年度収支予算事業計画及び資金計画は、「おおむね適当なものと認める」との郵政大臣の意見が付されて、国会に提出されたものであります。  日本放送協会財政は、極めて厳しい状況にありますが、昭和六十三年度の収支予算において、現行受信料を維持しており、受信者への負担増を抑制しております。このような状況の中で、協会は、引き続きテレビジョン及びラジオ放送網の整備を図り、国内放送においては、視聴者の意向を吸収してニュース・報道番組を刷新し、大型企画番組計画しているほか、衛星放送についても、その特性を生かした番組編成によって、一層の普及促進を図ることといたしております。  国際放送においては、国際間の理解促進に寄与するため、放送時間の延長、相互交換中継方式の導入など、その充実を図ることといたしております。  また、業務全般にわたって要員効率化経費の節減を図り、さらに受信料負担の公平を期するため、新営業体制の導入を計画するなど、厳しい経営環境に対応した適切な方策を講じております。  なお、本件の審議においては、各委員から、日本放送協会のあり方に関して有意義な示唆を含む質疑が行われましたが、日本放送協会は、これらをその事業運営の上に的確に反映し、一層国民の信頼にこたえるよう期待するものであります。  我が党は、かかる観点から、日本放送協会昭和六十三年度収支予算等について、その適正な執行を期待いたし、これを承認するに賛成する次第であります。  以上です。
  114. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 挙手多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。
  116. 大森昭

    ○大森昭君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送の不偏不党と放送による表現の自由を確保するとともに、放送の社会的影響の重大性を深く認識し、国民放送に対する信頼を一層高めるよう努力すること。  一、協会は、厳しい経営環境に対処するため、事業運営効率化及び営業体制の刷新を徹底し、ニューメディア時代に対応する長期的展望に立った経営計画を早急に確立すること。  一、衛星放送については、難視聴対策に配意しつつ、放送衛星の特質を生かした番組編成により、その普及・発展を図るとともに、ハイビジョン放送実用化に向けた諸施策を請じること。  一、進展する国際化時代に適切に対応するため、国際放送について、交付金等の確保、海外中継の拡充による受信改善などに努めるとともに、映像メディアによる国際交流を積極的に推進すること。  一、協会は、地方文化の向上に資するよう、地域に密着した放送サービスの充実を図ること。  右決議する。  以上でございます。
  117. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中山郵政大臣並びに川原日本放送協会会長から発言を求められておりま すので、この際、これを許します。中山郵政大臣
  119. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 日本放送協会昭和六十三年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。  これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
  120. 上野雄文

  121. 川原正人

    参考人川原正人君) 日本放送協会昭和六十三年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。まことにありがとうございました。
  122. 上野雄文

    委員長上野雄文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  124. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管を議題といたします。     ─────────────
  125. 上野雄文

    委員長上野雄文君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日の委員会に日本電信電話株式会社常務取締役高度通信サービス事業本部長鴨光一郎君及び同社経理部次長加島修君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  127. 上野雄文

    委員長上野雄文君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  128. 及川一夫

    ○及川一夫君 時間を節約をいたしておりますので、極めて限られた問題について御質問申し上げたいと思います。  その一つは、最近の電気通信情報産業にかかわる問題で、政策官庁である郵政省が一体意図的なのか、それとも勝手なマスコミのニュースなのか、内容が内容だけに大変気になる点があるわけであります。したがって、郵政省関係当局の胸の内、腹の内を聞かしていただきたいということであります。それは、例えば三月の二十四日でございますが、日経新聞に「NTT分割検討 競争・料金下げ促す」と、こういうふうに書いてありまして、一体何だろうと私は思ったわけです。つまり、事業法の見直しという問題では条件が整ってない、したがって先に延ばす、こういうことが一般質問で、所信表明に対する御質問で明らかに実はなっておりまして、我々もやむを得ない事情、こうのみ込んで実はおったんですが、翌々日に、途端に郵政省がそういうことを電気通信審議会ですか、ここに要請したということになりまして、その意図は明確に次のような内容で対応するものというふうに断定的に書かれておりまして、それで分割やるとか、競争料金を下げるために、それを促すために審議会は始まったとか、もう五月からどんどんどんどん始めていくようなお話が実はこの中に書いてあるわけです。  正直申し上げまして、素人である我々からいえば、条件がそろってないんですから、四月に向けてですね。だから、そういうことだというならば、大体一年ぐらいは、じっとひとつ会社の動向を見守って、その上でさらにこの条件を整理して、どうするということが審議会で、あるいはまた郵政の態度として出されてきて、また委員会にも必要ならばおかけになると、こういうふうに認識しておったところが、もう郵政の意思としてこういうことだというふうに流されておる、一体どうなんだろうと関係者に聞くと、全然関知しません、まあ審議会にさらに審議をしてくださいということを申し上げましたけれども、分割とかいろんなことを言うた覚えはありませんということで返ってくるんですね。  それから、きのうの朝ですか、同じ日経新聞で、大体こういう記事は日経新聞が多いんですけれども、どういうわけか知りませんけれども、日経新聞の記事によって、さらにまた役務別損益明細表、こういうものを求めて郵政省が腹を決めたとか、逆に言えばそういったことは一切、今のNTTとかその他がやってないような、そういう印象で実は流されてくるわけです。どうも委員会が終わった途端にこう出てくる。委員会で出た意見を見ているのかどうか知りませんけれども、極めてどちらがどれだけ意図的なのか、しかし、委員会に出ているのは郵政省なんであって、日経の方が出ているかどうか私はようわかりません。しかし、日経の方も裏をとらずにこんなことを書くわけはないわけでしてね。ということになれば、一体郵政省はどうなんですか。その三十日の記事についても、いやそんなこと言った覚えありませんと、こういう答えしか返ってこない。これはピンポン玉みたいなものですよ。ですから、こんなことで一々踊っていてはしようがないという気持ちもあるんですけれども、この際ひとつ明確にしていただきたいということで、次のことを質問します。  その一つは、まずNTTの郵政省に対する報告ですね、これは一体、何か取り決めがあるんでしょう。ないんですか。あればどういったことで大体今の損益という問題について報告をされているのか、その実態をひとつ明らかにしていただきたいということが一つと、それから、郵政省はこの記事についてどうお考えになるのか。否定をされるのか肯定をされるのか。むしろ積極的に発表したものか、そうでないものか。もし発表したものだとするなら、その意図は何かということについてお答え願いたい。  そして最後に、私は、せっかく整理をしているわけですから、事業法の見直し以下いろんな問題あることはみんな承知しているわけで、したがって、やっぱり環境整理という意味を含めてそれぞれ先生方からもいろんな意見が出ているわけですから、そういう環境が整理されたものを作為的にひっかき回すようなやり方ということを意図されているならやめてほしい、もう少し慎重にしてほしい。そうでないと、つまらない誤解の上に、しか目的以外の要素でもって論議が大変な方向に行ってしまうということになりかねないことを私は心配するんですよ。そういう意味で、今申し上げた点について、まずNTT並びに郵政省からお答え願いたいと思います。
  129. 加島修

    参考人(加島修君) それじゃお答えを申し上げます。  今先生から御質問がございました、サービス別の収支について、NTTは郵政省に対してどうしているのかということでございますが、御案内のとおり、電気通信事業法三十三条に基づきまして、電気通信事業会計規則というのが郵政省令としてございます。この中で損益計算書、貸借対照表、その他の財務諸表をNTTが作成し、そして郵政大臣に報告することが義務づけられております。  この中で、今先生の御質問のサービス別収支については、電話事業、電信事業、電信事業というのは加入電信、テレックスでございますが、電信事業、それから電報事業、専用、データ通信、ディジタルデータ電送、そして無線呼び出し、無線 呼び出しはポケットベルでございます。その他という八つの役務別の収支を役務別明細表ということで郵政大臣に御報告を申し上げているところでございます。これは毎事業年度の決算終了後三カ月以内に報告をするというふうに義務づけられております。  以上でございます。
  130. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) まず三月二十四日の、郵政省はNTTの分割の検討を始めたという記事についてでございますが、これは結論から申し上げまして、私どもそういう事実はございません。ただ、憶測いたしますと、三月十八日に電気通信審議会に二十一世紀を展望した電気通信産業のあり方を諮問いたしました。その中に、需要動向に対応できるネットワークのあり方とか、ISDN化の進展に伴うサービス、あるいは料金のあり方、それからNTTのあり方といったようなことも検討項目に織り込まれておりますので、こうした諸課題をこの諮問の中に掲げてあることから、恐らく新聞の方で憶測いたしましてこのような記事にしたんではないかと思います。あの記事の中で、五月から郵政省に作業部会か分科会を設けて検討する運びであるというようなことも書いてございますが、そのようなことはございません。諮問いたしました諸課題につきましては、審議会におかれまして今後どういう段取りで、何から検討されるかというようなことは審議会の方で今後検討される手はずになっております。  それから、三月三十日付の日経新聞に役務別の収支の記事が載っておりますが、これは、私どもは電気通信審議会から御答申をいただきました中で、競争条件の整備という観点から、NTTが現在行っているサービス別の収支について手続をさらに整備したり、あるいは適切な開示、公開をする必要があるというような御指摘を受けておりますので、これにつきまして、私どもやはり内部相互補助の防止の見地から、その収支の分計あるいは明確化について適切な方法をこれから検討したいと思っております。この記事にありますように、現在私どもが具体的な結論を出したというようなことではございません。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、三月十八日の電気通信審議会で将来に向かって御指摘をいただきました諸課題につきまして、今後適切に対応をしたいと思いますし、必要な事項についてはNTTとも十分意思疎通を図ってまいりたいと思っております。
  131. 大森昭

    ○大森昭君 実はこの間東京の某所で、組合主催でありますが、普通局長さんが集まって、それから特定局の共通幹事さんというんですか、組合の役員が集まりまして、東京郵政局長初め三事業部長が事業の現状について報告をし、お互いに厳しい環境の中で事業を進めていこうという、歴史的に大変画期的なことをやられたんですが、その場で大変東京が苦労しているわけですね。例えば郵便、もう私が言うまでもないんですが、三分の一取り扱いをやっておりますし、収入では三分の一を確保しているわけです。したがって、東京について、具体的に今日のような状況の中で何か特段の計画がありますか。
  132. 田代功

    政府委員(田代功君) お説のとおり、東京は全国の郵便の約三分の一を扱っておりますし、小包だけを例にとりますと四割が東京から出ていく、非常に大きな比重を占めているところでございます。現在は都内の郵便は東京中央郵便局のほかに晴海の集中局ですとか、小包は南部、北部に二つ置きましたし、また輸送のセンターを二カ所置いたというようなことで、六カ所に分けて東京の郵便を実は今さばいている状況でございます。しかしながら、毎年相当な勢いでこの郵便がふえておりますので、いずれこの今の状態では行き詰まりが予想されますために、将来の計画としては、東京のこの大量の郵便を、三多摩地域は多摩に新しく大きな郵便局をつくりますし、それ以外の東京都二十三区につきましては、江東区に東京郵便集中局というものをつくって、この二つの巨大な郵便局によって東京の郵便をさばこう、こういう計画でございます。  江東区に設けます郵便局は、敷地八万平米の土地に延べ約十万平方メートルの規模で局舎をつくりまして、この三月に着工しまして、二年後の六十五年の夏には完成を予定いたしております。また、多摩の郵便局は二万一千平方メートル程度の局舎規模のもので、ことしの夏には完成する予定でございます。この二局ができ上がりますと、今後約十五年程度は、若干の増築その他はあるにしても、東京都の郵便を十分にさばけるんではないか、こういう計画にしております。
  133. 大森昭

    ○大森昭君 非常に東京も苦労しているわけでありますが、今局長の言うような計画があるようでありますが、恐らく集中局ということになりますと、夜勤もやるでしょうし、深夜勤もやるわけですから、当然それに対応する、地方から出てくる出身者も多いわけですから、例えば一つの例でありますが、住宅などについてはどういう計画になっていますか。
  134. 白井太

    政府委員(白井太君) 先生お話しございましたように、集中局におきましては特に夜間に郵便物を処理するというのが郵便のスピードアップということで大事な点になるわけでございまして、そのために、そこで働く方については朝早く出勤をいたしますとか、あるいは夜遅くに退局をするとかいうようなことになってくるわけでありまして、当然近くに宿舎を確保するという必要性がより強くなってくるわけでございます。現在具体的に、その近くについての宿舎の計画を今持ち合わせているというわけではございませんけれども、基本的には先生の御指摘のように、そうしたところに働く職員の人ができるだけ便利のよい交通事情のもとで出勤ができるというようなことを確保する必要があるわけでございまして、宿舎等につきましてもできるだけの努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 大森昭

    ○大森昭君 前回も指摘をして少しかみ合わなかったんですけれども、どうかひとつ本省の幹部の皆さん方にお願いをするんですが、営業体制ということは、口で営業体制と言ったって現場では大変な騒ぎで、いろいろやるわけですね。それに見合ったいわゆる予算のシステム、経理の仕方、例えば被服にいたしましても、この間もちょっとテレビでやっていましたけれども、銚子港へ行きましてイワシを詰めて、あんなときはそんな制服なんか着ていたってだめですわね、イワシ臭くなっちゃって。当然そうなれば被服規程を改正するのか改正しないのかわかりませんが、そういうものを扱うときにはどういう服を着せるとか、あるいはお祭りだとかよく皆さん行かれると思うんですが、いろんな催しのとき出張所が出ますね、あの出張所にこれまた制服で郵便の取り扱いなんというんじゃなくて、お祭りならはんてんも着なければいかぬし、いろいろなことがあるわけですね。  住宅の問題でも東京の中をよく見ますと、大変高いところに管理者住宅がありますよね、二戸ぐらいぽこっと。それを売って、今言うようなところへ土地を買ったらいいじゃないかと言うと、それはなかなか会計上はそうはいかないと。売った土地は雑収入で、そして新たに買うのには大蔵省に承認をもらわなければならない、こういうシステムでしょう。だから、なかなか住宅も思うように適切にできないというようなこともありますので、なかなか難しいことはたくさんありますが、どうかひとつ営業体制の中で、さっきも言いましたように、東京の管理者も組合の役員も、郵政局長みずから陣頭指揮に立って一生懸命現場でやっているということを御理解をしていただいて、現場だってやりいいように、ひとつ予算の使用などについても工夫していただくことをお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  136. 平野清

    ○平野清君 まず一般会計予算についてお尋ねをしたいんですけれども、先般出版されました郵政省詰め記者の郵政省のことについての本を見ましたら、郵政の逓信委員会というのは、将来の展望がすばらしい委員会なので、議員がこぞって逓信委員になりたがっているなんて書いてあります。  大臣が就任されて、まず予算を見て一番驚かれたんじゃないかと思うんですね。この特別会計は それこそ膨大な金額をお持ちですけれども郵政省そのものは二百四十七億七千万円、物すごい極めて小さな、金額的には各省の中でも下の方から数えた方が早いくらい。その中で、大臣予算説明資料にも「国際放送の充実を含む放送行政の推進」ということを書いてございます。NHKの方も国際放送についてこれからは力を入れていく。今私素人ながら見てみますと、この二百四十七億の中から国際放送のお金も出るわけですね。  今までゼロシーリングであった郵政省予算が、何とか六十三年度では前年比わずか一・二%ですけれどもふえてまいりました。大変喜ばしいんですけれども、初めから規模が小さいのですから、一・二%ふえたって、たかが知れているんですね。そこへせっかく実力ある郵政大臣いらっしゃったんですから、もうちょっとこの郵政予算というものを閣議の中で踏ん張ってもらって、これからもう国際放送だ、やれいろんなところで郵政の仕事がふえていくわけですね。頑張ってもらって、予算をもう少しふやしてもらわないと、幾らこんなところで国際放送充実といったって、たかが知れていると思うんです。  つきましては、この国際放送をこの一般会計から出すなんというようなことじゃなくて、発想を転換していただいて、例えば外務省とか文部省、それに郵政省の三省合同予算にするとか、この国際放送を特別予算にするとか、そういうような方法をお考えにならない限り、大臣が幾ら活字化されたって実現しないと思うんです。  こんなふうにこの数字を見ますと、国際放送金額、六十年は五十九年よりも千六百万円減りました。六十年、六十一年は同額のままでしたけれども、六十三年にはわずか前年比千四百万円ふえている。これでもって国際放送が充実したとは言えないと思うんですね。だから、ただいまも附帯決議をして、国際放送を充実するように国会じゃ毎回のように附帯決議。でも数字を見ている限り、このままのシステムでは、国際放送の充実はとても望めないと思うんです。国際放送というものを何か別な形に切り離して、国家的な意味で、NHK交付金やるからお前の方だけやれというんじゃなくて、違った形で国際放送を充実する時代が来たように考えますけれども大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  137. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今、先生お話ございましたように、大変厳しい財政状況のもとで、六十三年度におきましては前年度比千四百万円を増額いたしまして、十四億五千万円という交付金確保したところでございます。そのほかにも、六十一年度から国際交流基金から海外中継経費の一部の助成をお願いしておりまして、これもそう大した額じゃございませんが、そういうようなことだとか、あるいは相手国との間で交換中継という形で、まあカナダとの間に予算が通過したら四月早々からやるようになっているんですが、これは経費的にはかなり安くできるというようなことで、これをさらに充実していきたい。これをさらにというか、ほかの国にも交換中継できるようなところはないかどうかというようなことで検討していきたいというふうに現在考えて検討しているところでございます。  それから、財源につきましても、国際放送は大変重要でございまして、国際放送理解促進のためにもやっていかなきゃいかぬことでございますので、財源措置としても幅広く検討していかなきゃいかぬというふうに考えております。  短波の国際放送関係は今日までかなり進んでまいりまして、南西アジア、あるいは中米あたりの中継局の交換中継が可能となればかなりカバーできるようになりますもんですから、今度考えられますのは、先ほど来NHK予算の審議の際にも出ておりました映像の問題が出てくるんじゃないかというふうに思います。私どもといたしましては、映像は社会的な影響力も強いし、国際交流といいますか、理解を深める上でも大変重要だと思っておりまして、六十三年度予算国際放送映像関係のわずかな金額でございますが、五百万円ほど調査研究費をいただいておりますので、その中で今後の映像のあり方について検討していきたいというふうに考えております。その際にはNHKとか郵政審ということに限定することなく、幅広く皆さん方の御意見を聞きながら、よりよいものにしていきたいというふうに思っております。  ただ、映像につきましては、直接短波のように相手国に放送するというようなことができない、DBS原則という直接衛星放送の原則等もございますものですから、いろいろとクリアしなければならない問題もあるわけでございますが、幸い六十三年度、先ほど申し上げましたように調査研究費を認めていただいたものですから、その中でいろいろと検討して、よりよいものをつくり上げていくように努力していきたいというふうに思っております。
  138. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今局長から御答弁申し上げましたが、私も郵政省に行きまして一般会計と特別会計の関係などを、本当にあの建物全部が、郵政省一省が入っているという巨大な役所であるのは特別会計の方でございまして、一般会計の方は二百四十八億と、先生のお話にありましたように、大変一般会計は小そうございます。  それから、放送も直接昔の国営放送という形でやっておるのではございませんで、千四百万ふやして十四億というような、間接的に交付金としてNHKに交付するというような形でやっておりまして、NHK予算の審議、先ほどもお願いをいたしまして御可決いただいたわけでございますが、その中でも再三申しましたように、私も国際放送というものは大変重要なものだという実感をしみじみと持っておりまして、放送行政局長にもいろんな私の私見をも申しておるんでございますが、今先生のお話のありました、海外にODAとか、そんなもので経済援助というのをやっておるものの裏打ちをするためにも、いろいろとこれから国際放送に力を入れるべく、今も南西アジア、それから中米あたりにはまだ日本の電波が行き届いておりません。  日本が一体何を考えているのかという日本情報を提供する電波が世界じゅうの隅々まで行き渡り、また今局長の話のありましたDBS原則という、外国に衛星を使って直接にこちらの情報を伝えてはいけないという、いろいろな原則があるようでございますが、相互性でございますので、それらの問題も国際協調の中で、外国との相互番組を交換するようなものが今は実際に行われておりますけれども、お互いが国内の情報を、これは言葉がわからなくても画像を見ればわかるわけでございますから、短波放送は、言葉理解していただく方以外には理解していただけないわけでございますから、その辺での高度な映像社会を構築するための国際性というものも相呼応してこれからの放送行政の中で考えてまいらなきゃならないなと、先生の御指摘のとおりだと思っております。
  139. 平野清

    ○平野清君 経済大国と言われて久しいわけですから、ぜひ大臣に頑張っていただいて、予算をうんと獲得していただくようにお願いいたします。  次に、先般六十二年の通信白書というのを配っていただきまして、そこを見ましたら、ポストが遠いという不満が四三・八%、それにしたがってポストをもっとふやせというのが二二・五%、それから、切手を売っているところが少ないという不満が三一・九%、だからしたがって切手の売り場をふやせというのが一八・三%もあります。今大変郵便物もふえて好調のようでございますけれども、このように国民のニーズが郵便ネットワークの充実にあるわけです。例えば小包を集荷委託をしている業者とか、それからキオスクに頼むとか、駅の近くのたばこ小売店に切手の売りさばきをお願いするとか、もうちょっとこの通信白書に出ているような国民の要求にこたえる道を図ってもらったら、もっと郵便も出しやすくなるんじゃないかと思います。  例えば、イギリスなんか切手の自動販売機が六十一年度調査だとロンドン市内に四百五十台もあるというふうにございます。 日本は公衆電話が七十万個あるのにポストは十四万本きりないという、そういうこともありますので、駅前なんか見ますと、NTTは、さすがに電話ボックスを四つも五つも並べて、ずらっとあるんですね。郵便を出そうと思うと、駅から五十メートルも六十メートルも戻らないと出せないようなところにポストがある。駅のJRとの土地の問題その他があると思うんですけれども、私が毎日のように利用している駅などは、百メートルも二百メートルも戻らないと駅前にポストがない。こういうこともありますので、この通信白書にある国民の要望にどういうふうにこたえるのか、お考えをお聞かせいただきます。
  140. 田代功

    政府委員(田代功君) 通信白書の中で引用しております調査は、総理府が六十二年の二月に調査いたしました「暮らしと情報通信に関する世論調査」をもとにいろいろ分析をしているものでございまして、ただいまお話しのように、いろいろなまだ不満がございます。不満なり要望なりいろいろ多岐にわたっておりますが、例えば小包の取次所などもここ二、三年前から郵便局のほかに、例えば切手の売りさばき所ですとか、あるいはコスモ石油といったガソリンスタンドですとか、そのほかいろいろなところに現在委託先をふやしているところでございまして、今お話しのございましたようなところにもこれから声をかけてお願いをしていきたい。これは民間の宅配便が全国で十五万カ所ぐらい取次店があるのに比べますと、まだまだ私どもの方が少のうございます。そういった意味では、これも大いにふやしたいと考えております。  また、切手販売所ですとか、あるいはポストの数も今御指摘ございましたが、私どももなるべくいい場所に、特にポストなどを置かせてもらいたいということで、駅その他ともかけ合っているところでございますが、やはり実際に出そうとすると、今お話しのように若干歩かなきゃいかぬとか、いろいろな不便の声も私どもの耳にも入ってきております。ただ、ポストで言いますと、車で集めるものですから、例えば駅の構内に入っていくとか、あるいは車を遠いところにとめて取りに行くとか、あるいは駅の地下街などになりますと、非常に私ども仕事の上ではつらいところがございますもので、その辺の普通の手段では集められないところは何か別な方法でも考えられないかとか、そんな相談も今実はしているところでございます。  そのほか、この調査を見ますと、相変わらずまだ誤って配達されるとか、着くべきものが着かなかったとか、壊れて着いたとか、いろんな苦情が出ていることも数字になってあらわれております。パーセンテージは、今先生がお読み上げになりましたのは、不満があるという人の中で、例えばポストが遠いというのが四三%でございまして、全国民の四三%という意味ではございませんので、そこだけは誤解のないようにお願いしたいと思いますが、それにしてもやっぱり不満は不満、要望は要望でございますので、これからも大いに頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
  141. 平野清

    ○平野清君 はい、わかりました。一層の御努力お願いしておきます。  最近新聞を見てびっくりしたんですけれども、郵便貯金は十年間引き出したり預け入れをしないと、国庫の特別会計に入ってしまうということは知ってましたけれども、その金額を見ましたら、六十二年度で三十五億九千七百万円あるというんですね。これは国家の言葉は悪いですけれども不労働所得なわけです。これは三十五億もあって、先ほど申し上げたとおり、二百五十億きりない郵政省がこれをいただけたら大分違うんじゃないかと思うんですよね。そういう意味で、ただこれ国の特別会計に戻してしまうんじゃなくて、政令なり法律なり何か改正していただいて、その三十五億もある金が何か違った形で国民に還元できないものかどうかというふうに新聞を見ながら考えました。ただ特別会計に入って何に使われたんだかわかんなくなって、一般に消費されちゃうんじゃなくて、例えば郵貯会館の建設費に充当するとか、何かいろんな方法があると思うんです。こういうのも頑張っていただいて、これはおれの方の金だと言って死守してくれるような考えはありませんか。
  142. 中村泰三

    政府委員中村泰三君) せっかく郵便貯金を御利用いただいたことになったにもかかわりませず、十年間も一切御利用がないというようなことで、この権利消滅の制度があるわけでございますが、私ども十年間御利用がないから直ちに権利消滅として郵貯特会の方に雑収入として収納をしているわけではございませんで、十年間経過後に権利消滅することのないようにお客様には催告をいたしまして、催告をして何らの御返事がない、二カ月後に消滅するという、規定上はそうなっておるわけでございますけれどもしかし、貯金の原簿を保管しております十年間は、この権利消滅の期間を過ぎましても請求があればお支払いするようにいたしておりますし、また、新聞等でもそういった権利消滅することのないようにいろいろと注意を喚起しているというようなことでございます。  したがいまして、例えば定額貯金でいいますと、定額貯金が十年間を過ぎますと通常普通貯金になるわけですが、それで十年間、なおかつ十年間利用がないというわけでございますから、まあ永遠にとは申しませんが、睡眠口座をそのまま続けていくというわけには事業経営上もまいらぬだろうというふうに考えております。  したがいまして、そういった権利消滅をした、六十一年度でいいますと三十六億に近い雑収入となるわけでございますが、それは郵貯特会の収入として入りまして、当然郵貯会館の建設費等にも回っておるわけでございまして、できるだけ利用者に還元するような施策なりサービス改善なりに活用されるように私どもも事業を命じてまいりたいというふうに考えております。    〔委員長退席、理事大森昭君着席〕
  143. 平野清

    ○平野清君 通信白書に戻りますけれども、通信白書の別のところでこう書いてあります。情報化の進展する中で、必要な情報をいかに入手するかを初めとして、情報活用能力はますます重要なものとなってくるとあります。一方では、ニューメディアは、知名度が高まっているけれども、費用の負担が生じることや、操作性の悪さ及びその人の触れ合いの減少に対する不安から、関心の高さの割には利用意向は全体的に余り高くないと書いてあります。そして、結論として、今後情報活用能力の一層の涵養が重要だというふうに結論づけております。その後、どういうことが情報活用能力の涵養なのかなと思って読もうと思ったら何も書いてないんですね。言いっ放しなんです。この今後の情報活用能力の国民への一層の涵養方法というのは何をお考えですか。
  144. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生おっしゃいますとおり、情報活用能力というのはいろいろ考えられるわけでございますけれども、端的に申しますと、例えばパソコンですとか、あるいは一定のディスプレーに文字なり画像、図形なりの情報が映りますビデオテックス、キャプテン、ああいうようなものを操作する能力というものも考えられるわけでございます。私自身、実はテレビのビデオ撮りもできないので余り大きなことは言えないんですが、ああいう機械類になじむというのは、いろいろそういう機会を与えて、機会を提供して、そしてそれに習熟してもらうということが大事だと思います。  で、そのほかいろいろ能力活用ということでは考えられるわけでございますけれども、私どもが今この関係でやっております施策をちょっと御紹介申し上げますと、まず、テレトピアと申しまして、地域情報化を重点的に促進しているところでどういうことをやっているかということですが、情報化推進の啓蒙指導策ということで、テレトピア地域の担当者、これは百五十名程度の方々に年一回地域情報化の郵政省の施策を御説明申し上げまして、情報化ということについて理解を願っているというようなこと。  それから、テレトピア地域の自治体を構成メン バーといたしますテレトピア促進協議会の会合、これは年一回の総会ですとか、適時開催される幹事会、あるいはブロック会議、こういったところでいろいろ勉強してもらう。  それから、地方の電気通信監理局という監理機構があるわけでございますが、その電気通信監理局単位で開催しておりますニューメディア懇談会、あるいは部会活動というのがございます。ここには自治体ですとか、あるいは企業などから幅広いメンバーに集まっていただいて、いろいろニューメディアを含めた情報化についての勉強をしてもらうというようなことがございます。  それから、これは郵政省の外の専門機関によりまして人材育成をしようということで、電気通信高度化協会というところがやっておりますテレトピアセミナー、あるいは刊行物などによる普及啓蒙活動というものもございますし、情報通信技術研修センターによります情報通信技術者の養成、研修というようなものがございます。  それから、これは民活法の特定施設ということで、テレコムプラザという電気通信の新しい機械類、キャプテンですとかCATVですとか、そういう機械類と、それを手にとって勉強するといいますか、やってみる、そういう研修会議施設、そういうようなものが一緒になりました、ニューメディアのデパートと学校が一緒になったものでございますが、それを今私ども全国各地でつくってもらうように、税制上あるいは財政上の支援措置で推奨しているわけでございますが、そこでの展示施設、研修施設、こういう共同利用施設を御利用いただいて、地域の方々の情報通信の活用能力の向上をお願いしたいというふうに考えております。  それから最後にもう一つ。これは情報通信活用能力の涵養ということで、いわゆるコンピューター支援による教育、この通信白書にもCAI(コンピューター アシステッド インストラクション)というものを考えておりますけれども、これはコンピューターを使っていろいろ勉強する、コンピューターをフルに使えるような、そういう情報通信活用能力の育成ということで、これをどういうふうに推進していったらいいかということで今内部で検討しておりまして、この結果、これは昨年の十月から情報通信分野における人材育成支援システムに関する調査研究会ということで、今いろいろ勉強して検討してもらっているんですが、ことしの十月に報告をいただいて、またさらに新しいこの面での施策を考えてまいりたいと思っております。以上でございます。
  145. 平野清

    ○平野清君 大体わかりましたけれども、これは五十歳と言ってはいけないのか、六十歳まで上へ上げなきゃいけないのか、なかなか難しいんですけれども、ワープロ一つでもなかなかさわろうとしない人が多いわけですね、ある年齢いった人は。今お話を聞いていても、何か技術者を育てるとか、いろんな高度のものを育てようとかいうようなことだけなんですね。だから、やっぱりこれからの情報化時代に備えて、学校教育とこういうものとが密接に関連していなければ国民の総レベルが上がらないと思うのです。郵政省だけでおやりになるのは大変難しいので、先ほどの話じゃありませんけれども、これも文部省などとタイアップしていただいて学校教育に、義務教育の中にパソコンを入れるとか、もう高校へ行ったらソフトを導入してもらうとか、そういう形でこういうニューメディアに対する国民の総レベルアップを、技術者の育成も大事でしょうけれども、そういうこともぜひ考えていただきたいと思います。  そういう意味で、今行われております「さいたま博覧会」、その中に「ふれあい郵政館」というのがございます。大変今の先端技術をあれしていて、ドーム型でなかなかいいと思うのですけれども、ああいうものも七十二日間だと思いますけれども博覧会が終わったら、さっとつぶしてしまうんじゃなくて、どこか地方を巡回されるとか、それからどこかにいい場所があったら常設館として残すとか、そういうような御努力をされたらいかがかと思うのですが、どうでしょうか。
  146. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) お話しございました「さいたま博覧会」というのは、県の現状ないしこれからの埼玉県の持つ可能性というものを広くアピールしたいということで設けられたようでございますので、私どもといたしましても、地域と非常に深いつながりを持つ郵政省といたしましても、こうした機会に地域と密着しております郵便局がどのように県民の皆様の生活にお役に立っているか、あるいはこれからの高度情報社会の構築に郵政、あるいは電気通信の役割というものはどんなものかということをぜひ御理解いただくのにいい機会だということで、御指摘のような「ふれあい郵政館」というものをつくったわけでございます。  その中では、今先生お話しのようなパソコンだとか、あるいはキャプテンだとか、あるいはテレビ電話だとか、いろんなシステムを導入いたしまして、今申しましたねらいをわかりやすく、子供さんたちにも理解できるようにということでつくって、大変おかげさまで好評でございますが、ただお話の、これ実は非常に短期間でございますので、一たん買ってしまったら後が困ってしまうものですから、そもそも短期間だということで、全体をリースという仕組みにいたしまして、経費の節減を図って参加をした次第でございます。    〔理事大森昭君退席、委員長着席〕 したがいまして、これをよそへ持っていくというわけには今回の場合は不可能でございますけれども、御案内のとおり、大手町に逓信博物館ということで、もちろんこれは郵政だけじゃございませんが、電気通信あるいはNHK放送といったものも含めまして展示がございますが、これもいろんな工夫を、同様の工夫をしてございます。近々またこのシステムを一遍改めたいなと思っておりますので、今先生お話しのような「さいたま博」の経験なんかも大いに生かして、よりニューメディアに親しまれていくような、そうした展示をぜひひとつ考究してみたい、かように考えておる次第でございます。
  147. 平野清

    ○平野清君 次に、小包追跡システムについてお尋ねをいたします。前の委員の方からもこの問題について御質問があったかと思います。ダブったら大変申しわけないのですけれども、聞くところによりますと、データに入っている期間が何か二週間というふうにお聞きしたように思います。小包がどういうふうになっているか、あの人のところに届いたのだろうか、返事がないから長期不在だったんだろうかというふうな心配のために、いろいろ郵政省にもお問い合わせがあったためにこの追跡システムというものをお考えになったと思うのですね。だけれども、二週間ぐらいですと何か意味がないような気がするので、届いて喜んだ人はすぐ返事をくれるでしょうし、行方不明になってしまったり、本当に届いたかどうかわからないときになって、初めてあの郵便小包はどうなったんだということが問題になるので、二週間ぐらいでデータが消えてしまったんではちょっと心配なんですね。むしろ三週間なり一カ月ぐらいそのデータが残っていることによって、この小包追跡システムというものが本当に生きるんじゃないかというふうに考えるのですけれども、いかがなものでしょうか。
  148. 田代功

    政府委員(田代功君) お説のとおり、確かに私どものシステムでは二週間でデータが消えることになっております。この二週間と申しますのは、小包を配達し終わってから二週間、こういうことでございますので、長い場合には私ども郵便局に十日間とめ置きます、不在で連絡がとれないときなど。とめ置きますもんで、差し出したお客から見ますと二週間プラス最大十日というところまでになるものでございます。今まで着いたかどうかという問い合わせが郵便局に来ているのを見ますと、大体一週間ごろに来るのが一番多い。私どもの今までの経験からいいますと多いものですから、配達し終わって二週間、ですから大体お客さんが差し出して三週間ぐらいになるもので、この程度で大体の役に立つんじゃないかなという見込みを現在立てておりますが、何せまだことしの十月 から始めることなものですから、始めてまたお客さんの動向ですとか、あるいはデータの容量を大きくできないかとか、そういったことでいろんな角度から引き続き検討はさせていただきますが、ひとまず二週間で始めさせていただきたいと思っております。
  149. 平野清

    ○平野清君 これはもう民間会社はとっくにやっているんですね、早くから。固有名詞を挙げるとまずいですけれども、何か動物の絵の書いた業者なんかは、どこどこに持っていって、今どこの倉庫にありますから、明日配達します、もうすぐわかるんですね。郵便局に聞くと、さあうちの局は出たんだけれども、向こうの局に着いていると思いますなんというような返事が来て、大変不評だったためにやっと重い腰——なんて言ったら失礼ですけれども、この十月から開始されるんだと思うのです。だから後発なんですから、その民間の大手業者よりもよりいいサービスじゃなければまた負けてしまうわけなんで、ぜひいろんな国民の声を聞いていただいて、十月開始した後も改善するように望んでおきたいと思います。  それから次に、プリペイドカードについてちょっとお伺いしたいんですけれども、これも何か新しく発売をされる、もうされているのかな、されるように聞いておりますけれども、実際にJRや地下鉄のメトロカードと違って、なかなかカードでもって切手を買ったりなんかするのは難しいような、難しいというか、そんなにあるのかなというような気もするんですよね。しかも、カードで使えるのが郵便局の中だったりそばだったりするんなら、何もカードで買わないで、局員から買えばいいんで、そういう点も心配ですし、発売される方はどのぐらいの利用価値があるとお考えになっていますか。
  150. 田代功

    政府委員(田代功君) 今御提案申し上げています郵便法の改正案の中にも、このプリペイドカードの発行ができるような法律の整備お願いしておりますので、よろしくお願いいたします。  テレホンカード並みに普及すれば、もう私ども笑いがとまらないという感じなんですが、切手と電話の違いございますので、私どもも今的確に予測することは困難でありますが、一つは世の中だんだんキャッシュレスといいますか、カードの時代に移行しつつありますので、そういった意味では、郵便局のサービスもカードを利用できるようにしておくというのは私必要なことではないかと思います。そういった長期的な世の中の動きに対応するという側面が一つございます。  そのほかに当面の利用価値といいますと、例えば込んでいる郵便局の窓口ですと、切手一枚買うのに何人も並ぶなんということが今現実に起こっております。これはいろんな角度から解消しなければいけませんが、そういうところですと、お客様ルームにこういう機械を置いておきますと、小銭がなくても、自動販売機の方に行けば簡単に並ばないで買えるといったことも可能だと思います。あるいはこれから、これまた大変お金のかかることですので徐々にではありますが、郵便局の外にもこういった自動販売機をふやしていきたい。これもコインが使えるもの、あるいはカードが使えるもの、いろいろあろうかと思いますが、そういった意味で夜間でも、つまり切手の販売店が閉まった後ででも使えるような状態にしておく、これも必要なことかと思っております。  それからもう一つは、郵便局の窓口で、例えば小包を持ってきたお客さんが、現金でなくてこのカードで払うことができる、こういった仕組みもとりたい。あれやこれや考え合わせますと、爆発的な利用価値があるかどうかはともかくとして、これから先の世の中にこういったものも必要なものではないか、それなりの利用価値があるんではないか、こういうことで始めさせていただきたいと思っております。
  151. 平野清

    ○平野清君 ぜひ始める以上は笑われないように頑張ってほしいんですが、私、提案するんですけれども、ホテルとか駅とか、そういうところにも置かれたらいかがかと思うんですよ。それから反対にプレゼント用というか、景品といおうか、例えば美容院なら美容院、平野美容院なら平野美容院に来たときに、料金をおまけするんじゃなくて、このカードが仮に五百円なら五百円としますね、ひとつそれを進呈しますから、またぜひいらしてください、そういうことで積極的に美容院、床屋さんとか、それから大型店舗とか、そういうところに贈答用として置かれたって役に立つと思うんです。そういうところにも売り込まれたら、郵政省考えている範囲じゃなくてもっと販路は広くなるような気がするので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、池袋の例だそうですが、郵便局舎の土地信託方式というのが初めて認められて、郵便局を建てた場合に、その郵便局が持っている土地を利用して、そこに高層化して、上にテナントを入れるとか、住居を入れるとか、新しい試みだということで、何かテレビで見たような、新聞だったかで見たような気がするんですが、郵便局も新しく改築するに当たっては土地の問題で大変だと思うんですね。なかなかいい方式だと思うので、こういう郵便局の土地信託方式というものをどんどん進められたらいいような気がするんですが、どんなものでしょうか。
  152. 黒川暢一郎

    説明員黒川暢一郎君) ただいま先生指摘の池袋郵便局でございますけれども、これは借り入れの特定郵便局として設置しておるものでございます。この池袋郵便局の改築に際しまして、局舎の所有者が土地の有効活用を図るために、土地信託によりまして建物を建設することとしましたので、その一部、すなわち十階建ての建物の一階部分、二階部分を郵便局として借り入れることにしたものであります。  それから、国有地の場合でございますが、郵便局用地などの国有財産の売り買い等につきましては、先生承知のとおり、昭和六十一年の国有財産法の改正によりまして、土地信託による建物の建設の道が開かれたところでございます。都心部などの郵便局局舎の建設に当たりましては、敷地の有効利活用という観点から、土地信託によることも一つの有効な方策であるというふうに思っております。この制度につきまして検討を進めていく必要があると考えておりまして、現在地方公共団体が行っております公有地信託の実例等の収集、あるいは信託制度を郵政事業用地に導入する場合の仕組み等について研究を進めているところでございます。
  153. 平野清

    ○平野清君 まだまだお聞きしたいことがあるんですが、先ほどからずっと続いておりますし、この後本会議もありますし、関連した質問で長引いてしまうと時間切れということになってしまいますので、郵政省の人に今までいろいろな委員からいろいろな発言がありました。あしたから新年度が始まります。また心を新たにして頑張っていただくように激励をした上で質問を早目に終わらせていただきます。
  154. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 他に御発言もなければ、これをもって昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会