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1988-03-30 第112回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後三時十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        外務省北米局安        全保障課長    岡本 行夫君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長・専務理事  中村 有光君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会専        務理事      松本 幸夫君        日本放送協会理        事        尾西 清重君        日本放送協会理        事        植田  豊君        日本放送協会理        事        井上  豊君        日本放送協会総        合企画室局長   中野 正之君        日本放送協会予        算部長      中野 正彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  5. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十三年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は三千五百十一億円と前年度に比べ四億二千万円減となっておりますが、これは、前年度において固定資産売却による特別収入五十七億七千万円が計上されていたこと等の事情によるものであり、収入の基本である受信料収入は五十二億円の増加となっております。一方、事業支出は前年度に比べ百二十億二千万円増の三千六百三十五億四千万円となっております。この結果、事業収支における不足額は百二十四億四千万円となっております。  この不足額につきましては、昭和六十二年度以前からの繰越金百二十四億四千万円をもって補てんすることとしております。  資本収支におきましては、資本収入は七百四億九千万円、資本支出は五百八十億五千万円となっており、このうち、建設費として衛星放送継続に必要な設備整備老朽の著しい放送機器更新整備等のために四百四十億円を計上しております。  また、債務償還に必要な資金百三十七億五千万円のうち百三億二千万円が不足となりますので、長期借入金をもって補てんすることとしております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、あまねく全国において受信できるよう、テレビジョン放送においては、衛星放送継続に必要な設備整備を取り進め、ラジオ放送においては、中波放送局及びFM放送局建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図り、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力業務の合理的、効率的運営徹底することとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、昭和六十三年度事業運営に当たって、特に配意すべき三点の事項を示した上で、おおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  6. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  7. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となってお ります日本放送協会昭和六十三年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  昭和六十三年度事業運営に当たりましては、極めて厳しい財政状況にあることを十分認識し、さらに収入の確保を図り、極力業務の合理的、効率的運営徹底するとともに、視聴者の要望にこたえて、放送全国普及とすぐれた放送実施に努め、公共放送としての役割を果たしてまいる所存であります。  まず、昭和六十三年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  建設計画につきましては、衛星放送継続に必要な設備整備を取り進めるとともに、放送番組充実のための機器整備を行うほか、老朽の著しい放送設備等の取りかえを実施することとしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送におきましては、ニュース報道生活情報番組刷新特別企画番組積極的編成及び地域放送充実など、公共放送使命達成に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいります。  また、衛星放送については、その特性をいかし、地上放送とは異なった魅力ある番組を編成して、普及促進に努めることとしております。  国際放送におきましては、国内の新送信設備全面運用開始に伴い、放送時間を拡充し、ニュースインフォメーション番組や各地域特殊性に即した番組を編成し、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外中継については、新たに海外放送機関との交換中継方式を導入し、効率的な受信の改善に努めることとしております。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、営業活動刷新事務効率化を推進し、受信契約増加受信料の確実な収納に努めることとしております。  広報活動につきましては、視聴者理解信頼を一層強固にするため、積極的な広報活動と、衛星放送を中心としたニューメディアについての広報を一層推進することとしております。  調査研究につきましては、番組視聴状況等番組調査と、新しい放送分野技術開発研究放送技術発展のための基礎研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり、業務効率化を積極的に推進し、要員については、年度内三百人の純減を行うこととしております。  また、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、事業収支において収入総額三千五百十一億円を計上し、このうち、受信料については三千四百億四千万円を予定しております。これは有料契約総数において、四十三万件の増加を見込んだものであります。  また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、その増加に努めることとしております。  これに対し、支出は極力圧縮に努め、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息など、支出総額を三千六百三十五億四千万円にとどめておりますが、以上によってもなお生じる事業収支不足百二十四億四千万円は、六十二年度以前からの繰越金をもって補てんすることとしております。  また、本年度債務償還のために必要な財源百三億二千万円については、借入金により措置することとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費四百四十億円、放送及びその受信進歩発達に必要な調査研究を行う法人等への出資に三億円、放送債券償還等に百三十七億五千万円、総額五百八十億五千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源及び事業収支不足に充当するため、前期繰越金減価償却資金放送債券及び借入金など、合わせて総額七百四億九千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会昭和六十三年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業視聴者負担する受信料により運営されていることを深く認識して、一層効率的経営を目指すとともに、すぐれた放送実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしくご審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  8. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 及川一夫

    及川一夫君 まず最初に、会長から事業計画及び資金計画について御説明ございました。承っておりまして、この御説明内容は、昨年の提案における説明内容と違った点、新しい点、こういったものはあるでしょうか、それを実はお聞きしたいのであります。  昨年のやつを見ましても、日本放送協会としての事業運営は非常に厳しいということも言われておりますし、国民のニーズにこたえていきたい、さらには広報に努め国民信頼もつなぎとめていきたい、効率化を図りたい、副次収入について力を入れたい、建設研究。こう触れられておりまして、そう目新しいものはないように私は受けとめました。同時に、違ったといえば、衛星放送に対して、本日は提案案件はございませんけれども、いずれにしても放送衛星にかかわる問題について番組充実強化したい、そうして試験をそのまま継続したい、有料化の問題について方向を決めていただきたい、こういったことがあるようでございますし、国際的な行事ともいえるオリンピック行事をどのように国内に伝えていくか、こういう意味で率先垂範してNHKがその先頭に立って行こう、こういうことはあろうかと思うのであります。  もし違ったものがあるとすれば、昨年に比べますとマイナスとして出る約百二十四億、これを資本収支に送ったものをもう一回引き戻して丸々マイナス分に充てたいというところが違っているだけのように私は受けとめたのでありますが、NHK責任者として、国際化時代とか、あるいは国際化に対してどう対応しようとするのか、国民意識の改造の問題を含めまして、やはり放送という分野は大変大きな課題だというふうに私は思っています。それだけにもう少し六十三年度のみならず、ここ三、四年といいますか、五年ぐらいの展望に立ってNHKというものはこうありたい、同時にまた、放送内容についてこのようにひとつ変えたいものだ、厳しいがやってみたい、こういった内容というものがこの中に含まれて御提起されているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  10. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かに今私が御説明申し上げました事業計画並びに収支予算についての説明言葉の中は昨年と比べてそれほど際立った変化があるいはないかもしれませんが、本来NHKの任務が一年間でそれほど基本的に変わった状況でもございませんので、私どもとしては、今の高度情報化社会の中で、NHKに課せられました報道言論機関としての使命を一層充実してまいりたいということでございます。ただ、前年度ともちろん状況は違っております。私ども事業計画の中で一番力を入れて今回御提案申し上げておりますのは、何と言っても衛星放送充実でございます。この普及のために一層力を入れてまいりたいということ。それから、通常の今までの地上放送という番組におきましても、やはり今の高度情報化といわれる、あるいは国際化世界の中で、この激動する世界情勢の中での日本のありよ うというものを正確に視聴者の方々にお伝えしていきたい、これには一層力を入れております。  それから、数字収支予算の面では、御指摘のとおり一番変化がありますのは、実質的に六十三年度予算赤字であるということでございます。前年度予算は、事業収支を全部収支合わせまして赤字は出しておりませんけれども、残念ながら本年度、ぜひその赤字を出さないようにいろいろ努力してみましたけれども、やはりオリンピック放送等を控えてどうしても重なる経費がございますので、二百数十億円の実質的な赤字が出ております。ただし、これに対しましては前年度までに鋭意努力をいたしまして、収入をふやし、あるいは経費節約して、言ってみれば貯金をしておりました百二十数億円を全部投入しまして、一応一般事業収支の面は採算を合わせましたけれども債務償還費がどうしても出てまいりませんので、この分百億円を借入金で賄った。これは質的な一応変化を来しているところでございます。  昨年この席で、六十三年度があるいは協会財政にとって一つの転換点になるかもしれないという意味の私は御説明を申し上げましたけれども、六十三年度は一応受信料据え置きのままで予算は編成いたしましたが、実質的には赤字の中に入らざるを得なかったということでございます。そのためにはいろんな努力もし、節約もし、さらに合理化も進めますし、数字の中では今までこういうことはやっておりませんでしたけれども予備費も過去の経験にかんがみまして十億円削るという緊急な措置もとってこういう予算を編成した。このところが数字の上では非常に変わっている点かと思います。しかし、なお我々は予算執行の過程においてはさらに努力をいたしまして、この赤字幅をできるだけ少なくしてまいりたいと考えております。
  11. 及川一夫

    及川一夫君 内容的に見ましてもかなり予算的には窮屈な内容だということは私自身も検討してみてよくわかるわけです。ただ、窮屈だという前提でやるべきこともやらない、あるいはやってほしいことにもこたえていかないということであっては、これはならないことだというふうに思うんですね。後で触れる問題かもしれませんけれども、例えば国内放送の問題で九十二億ほど増にはなっておるんですが、しかし、これは本当にこれまでの国内放送というものを充実強化される、あるいはまた、今会長がおっしゃられたように、高度情報化社会というものを意識して、あるいは先ほど私が申し上げた国際化というものを意識して、日本国民全体が総じてさまざまな問題に対応していかなければいけない、それに対して情報としていろんな問題を提起していただけるのはNHKだというふうに思っているだけに、一体九十二億という、増というものがそういうものに使われるのかどうかという期待を持って眺めてまいりますと、あくまでも数字上の問題でありますけれども、例えばオリンピックについては約六十七億の支出が必要だ、衛星放送番組充実強化ということを前提にして約六十九億ですか、これを組んでおられる。二つ合わせても百三十億ということになりまして、借金になろうかもしれないという、あるいは赤字になると言われる百二十四億をオーバーしちゃっているわけですね。逆に言えばそのための増額であって、国内放送などを充実強化する、いろんな課題にこたえていく、こういう意味のどうも増ではなさそうだ、こう私は受けとめるわけです。  そうしますと、一体何だろうと。もちろん今日の放送ということに対して、番組的に見て、また質的内容から見て、もうこれ以上ないという満足すべき状態だというものであれば、新たな課題として出てくるオリンピック衛星放送にお金を使うということは別に悪いことではないと思うんですね。しかし、その他の項目を見ましても、いろんな窮屈があるという条件の中では、受信料値上げをしないということは評価されても、そのためにいわば番組全体がよれよれになってしまうということになったのでは、私はNHK役割使命というものは果たすことにはならない、こんなふうに思うんです。  ですから、必要なときには大胆に問題提起をしていくということも大切だし、国民全体が理解していくためには放送ビジョンというものが示されて、あるいは中央放送番組審議会等で出された意見というものが紹介されて、そういうものにこたえるためにもぎりぎりいっぱい、こうしてもああしてもどうしても受信料改定が必要だというならば、堂々とやはり問題を提起されるぐらいの気持ちがあってしかるべきじゃないか。それがあるならばもう少し、会長放送記者としての体験もあるわけですから、いろんな世の中の出来事に、いい悪いを含めてさまざまな批判に遭ってきたと思う、そういう中でこうしたいというようなことがあってしかるべきだなというふうに思うんですが、どうもそういうものが出ないということは、結果的には財政が窮屈だと、受信料改定もお願いできないと、こういう気持ちが先行されてこういう態度をとられているのかなあというふうに私は思ったりするわけです。会長、この辺いかがですか。
  12. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども事業の生命は番組でございます。視聴者期待にこたえられるようなすぐれた内容番組を出すことが私ども最大使命でございます。もしそれに支障を来すようなことがあれば、本当に経営としての責任を全うできないということになります。大変窮屈でありますし、かなり無理を重ねている面もありますけれども、一応受信者への負担ということも考え合わせれば、六十三年度受信料据え置きの中で最大努力をすべき時であろうと。もちろん番組の方でも、ニュース報道生活情報番組等については最大努力を投入いたします。番組の時間等におきましても、朝あるいは夜間のそういう報道番組については全力投球をいたしまして、これらの今の激しい変化時代の様子、あるいは国際的な日本が担わなければならない役割等、あるいは国際化の中でのいろいろな情勢等はもうこれは十分に報道できるという自信を持っております。しかし、その他の面では、たとえ番組経費といえども節約できるものは徹底的に節約をするという姿勢を貫いております。そして幾らでも、それは番組経費というものはあればあるにこしたことはないんですけれども、だからといって受信者の方にまた新たな負担をお願いすることも、これまたそう安易にすべきではなかろう。我々は六十三年度はもうぎりぎりのところまでの努力をして十分な責任を果たすという決意をしているわけであります。  ただし、一言つけ加えれば、恐らくこの努力も、六十三年度がいっぱいいっぱいの努力であって、六十四年度にはやはり財政的には何らかの措置をお願いせざるを得ないのではないかというふうに今は考えております。またそれにつきましては、改めて六十四年度事業計画をつくります際に、もう一度先の将来を考えまして、また御提案申し上げたいというふうに考えております。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 お気持ちはよくわかります。その前提で、きょうは大臣に余りお伺いするのはうまくないという気持ちを持つんですけれども、今会長がおっしゃられた心情というものを郵政大臣としても受けとめておられるというふうに思うんですが、しかし、なおかつ百二十四億という、パーセントにすれば四%以下の割合かもしれませんけれども、大変なやはり赤字ということになるし、私から言えば、別に百二十四億円だけが食いつぶしだと思っておりません。そのほかに長期借入金の問題もあるわけでありますし、あるいは六十二年度で財産であった土地の売却、こういうものも既に食っているわけですから、だから、私はそういう意味でいうと、これを認めるということは、結果的に受信料値上げというものを認めるのと同じことだと、そのぐらいの気持ちを実は持っているわけであります。  したがって、大臣にお伺いしたいんですが、今最後会長が触れられました、どんなに頑張ってみても六十三年度ぎりぎりと、こういうお言葉が実はあるわけです。このことについては大臣いかが なんでしょうか、監督する立場ですから立ち入った話はできないのかもしれませんけれども、ぜひお伺いしておきたいと思います。
  14. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 川原会長以下NHKの皆さんが大変に御努力をいただきまして、大体受信料値上げというのが四年に一度と言われております。常ならばことし、六十三年度の今回提出しております予算の中でいろいろ議論があるかと思っておりましたが、御努力の結果、本年度はそういう計画はないとおっしゃっていただいております。  私どもも三点指摘しておりまして、その第一点に、協会営業活動刷新を積極的に進めることにより、受信料収入増加を図るとともに、全般的な効率化及び経費節減徹底を図ることにより、昭和六十三年度収支予算上見込まれている支出超過額を極力減少していただくように努めることというような趣旨のことを申し上げておりまして、受信料が未収納の区域も、対象者も多いようでございますので、その辺にも鋭意御努力をいただきたい、かように念願をいたしておる次第でございまして、これから衛星放送充実とか、それから国際放送とかいろいろな、逆にNHKに御努力をいただかなければならない面も多々ありますものでございますから、私ども、また監督官庁として、会長以下の御努力にどういうふうにこたえていくか、協議をしてまいりたいと、かように考えております。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 きょうの段階で断定的に物が言えるとは私も思いません。  いずれにしても、百二十億を超える負債というものが出るということを予算段階でもう明言をするわけですからね、したがって食いつこうと思えば、これどうするのやどうするのやという話ばっかりになりそうですが、そう言っていては事態が進みません。したがって、これはこれからのNHKはもとよりなんですが、とにかく会長もおっしゃられたような意味を含めて、来年の予算でそれこそ大変な事態にならないように配慮をしていただきたいということを申し上げて、次に進みたいと思います。  そこで、NHK長期借入金の問題なんですが、借入残額ですね、六十二年度末ということになるんでしょうか、今決算が出ておりませんからわかりませんが、それと同時に、NHKが金を借りる場合に当然限度額というものがあるのではないかというふうに思いますが、その限度額というのは一体幾らなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  16. 井上豊

    参考人(井上豊君) 長期借入金の六十二年度末の残高は九百億というふうに見ております。  先生今お尋ねのように、この借入金の限度額があるのかということでございますけれども協会の場合大変難しいところでございますけれども、今申し上げましたように、長期借入金放送債券の両方を入れまして残高が九百億ということで、これは額にいたしますと過去において最高ということでございますけれども、ちなみに協会事業活動の基盤でございます受信料収入に対する割合を見てみますと、およそ二九%でございます。これは過去のことでございますけれども昭和三十九年、東京オリンピック段階ではこの借入金放送債券、両方合わせまして、対受信料収入に対します割合は五〇%というような時代もございましたので、私どもできるだけこの比率は少ない方が望ましいことでございますけれども、この限度額については、特にこれまででなければならないという額は持っておりません。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 私も十分に勉強したわけではございませんが、聞くところによると、NHKの資産の約三倍までが限度額だというふうにお聞きするんですけれども、今NHKの資産と言われるのは幾らなんでしょうか。
  18. 井上豊

    参考人(井上豊君) 先生今御指摘の点は、放送債券の発行額の限度につきましては、放送法の四十二条の二項に、協会の直近事業年度のバランスシートによります純財産額の三倍を超えることはできないというふうになっておりますけれども、そういう意味で、六十一年度の決算時点での協会の純財産額ということで見ますと、千八百七十七億円でございます。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 そうすると、借入金の限度額というものは特に設けてないと、法律的にも規制されていないと、こういう認識でよろしゅうございますか。
  20. 井上豊

    参考人(井上豊君) 放送債券につきましては、放送法に「純財産額の三倍をこえることができない。」という定めがございますので、単純に計算すれば四千億強あるいは五千億を超えるという額が出てまいりますけれども、これは法律上の定めでございまして、現実論としてはあり得ない数字だと、こういうふうに私ども理解をしております。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 そうしますと、この長期借り入れの問題というのは、参考人もみずからおっしゃられているように、九百億という数字になっていると、過去最高であると、こういう御発言がございますね。したがって、今後の問題としては、これを膨らませるということよりは、どうやって返していくかということにかなり頭を使わなきゃならぬのだろうと理解をします。そうしますと、大体この九百億というものについて、全体は厳しいわけですから、一体返済計画というのは現状どう立てられているのかということをお聞きしたい。
  22. 井上豊

    参考人(井上豊君) 先生もう既に御存じのとおり、NHK全国あまねく良質の電波を全国の御家庭に届けるというのが最大使命でございまして、そのためには施設の建設あるいは改良ということで、建設費財源として、私ども減価償却資金受け入れ等の自己資金のほかに、今議論になっております放送債券でありますとか、あるいは外部の長期借入金資金調達をしているわけでございます。  そういう意味で、これは放送債券の場合でございますと、十年ないし十二年の償還期限がございますし、長期借入金につきましては十年の返済期限ということで資金調達しているわけでございます。したがいまして、調達いたしました資金の十分の一を毎年返していくと、こういうことでございますし、放送債券の場合でございますと、三年据え置きまして、その四年以降八%ずつの償還を計画として持っているわけでございます。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 それなら今回提案予算の中で十分対応できると、こう理解してよろしいかということと、来年度以降もおおむねそういう考え方で返済はできるんだというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  24. 井上豊

    参考人(井上豊君) 外部資金といえども当然これは私ども受信料を基本とした財源でもって返却をしていかなきゃいかぬわけでございますし、現在九百億というふうに申し上げましたので、これを平均してみればこの十分の一で九十億ということになるわけでございますけれども、六十三年度以降、当分の間大体百億前後の外部資金の償還が続くものだというふうに考えておりまして、これを基本に置きまして、来年度以降の長期的な資金調達計画を立てるべきだと、こういうふうに考えているわけでございます。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 そういった事態にあるさまざまな条件を少しお聞きして明らかにしていただきたいというふうに思うんですが、そういう意味で次の問題として申し上げたいのは、この受信料というものを決定をするという項目が、法律はあると思うんですが、この受信料のひとつ性格ですね。どうも一般的な料金の値上げをぱぱっと決めるようなものでもなさそうだし、だからといってNHK予算を見れば、受信料予算全体の中の九〇%を超えている、それだけのエリアを持っているものですから、これが中途半端に入ってきたんじゃ、もうみんなパアだということになりかねない。したがって、この受信料というものの一体性格というものをどういうふうに我々は受けとめればいいのか。  それと同時に、特にこの問題との関係で出てくるのは民放における広告料との関係。広告料というのは料金ではないという、そういう言い方も実 はお聞きするわけなんですが、しからばこのNHK受信料との関係というのは、民放における広告料と関連をさせて一体どういうふうにこれは受けとめればいいのかなということが疑問になってくるんですが、この点お答えをいただきたいと思います。
  26. 林乙也

    参考人(林乙也君) 受信料の性格についてのお尋ねでございますけれども放送法の三十二条におきまして、「協会放送受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送受信についての契約をしなければならない。」というように定められておりまして、この性格につきましては、いわゆるNHK事業を維持、運営するための公的な負担金というように一般理解されておるところでございます。  また、その受信料の月額は国会が毎年度NHK収支予算承認することによって定められることになっておるわけでございまして、これを直接的に理解いたしますならば、毎年度受信料収入は、この各年度事業運営に必要な経費に見合うものということになるわけではございますけれども、現実的な運営といたしましては一定の期間、三カ年なら三カ年の計画の中で、その期間中の収支を相償う見通しの中で受信料の月額について定めていただいておるところでございます。  また、一方それを業務運営の点から見ますと、受信料と申しますのは、NHK業務、すなわちテレビ、ラジオ、国際放送、それらの業務を総合的に運営するための負担金ということからいたしまして、いわば総合的な料金、いわゆる総合料金というように見られるわけでございますけれども、そういった点からいたしますと、総合的な経営の原価というものに着目いたしましてお決めいただいておるということと考えておるところでございます。  また、民放の広告料との関係でございますけれども公共放送、民間放送の併存体制のもとにおいて、NHK受信者から直接御負担をいただく料金によって維持運営することを基本とし、また民間放送におきましては、広告料収入ということによって運営されてきておりますことが現実の姿でございまして、そこらあたりに公共放送、民間放送の併存体制というものが保たれておるのではなかろうかというように考えておるところでございます。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 どこに主体を置いて今答弁されたことを理解したらいいのか、非常に納得の、すとんと落ちるような状況じゃないんですけれどもね。普通受信料にしろ何にしろ物の値段を決めるときには、コスト主義というのが普通世の中通っていることですわね。ですから、そういう意味で料金のことを抜きにすれば、民放がやっていることとNHKがやっている放映というのは、情報提供というのは何の違いも僕はないんだろうと思いますね。ですから、要するに情報を提供するという、サービスを行っているというふうに平易に考えたって、そんなに指弾されるようなものじゃないんだろうと私は思うんですよ。  そう考えていきますと、今お答えになったような公的負担金だというような意味、あるいはNHKというものが情報提供のためにいろいろなことをやっていかなきゃならぬのだが、そういう意味運営費という言葉ですね、一体こういうことは、例えば法律のどこかに、あるいはまた附則なら附則、施行規則なら施行規則、あるいは郵政省の行政指導の中にきっぱりとうたわれている言葉なのかどうか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
  28. 林乙也

    参考人(林乙也君) これはあるいは郵政省の方から御答弁いただく性質のものかと思いますけれども受信料のいわば積算根拠を具体的に規定の上でお示しいただいているものはないわけでございますけれども、すべて受信料の月額は収支予算国会承認の中で定められるということになっておるわけでございますので、その事業計画収支予算について適当なものと認める中で定まっていく。  ただ、現実の問題として、先生がおっしゃいますように、NHK放送事業といたしまして、放送サービスを行っておるわけでございますから、全く受信者の感覚からいたしますと、受益といいますか、受益者負担という感覚を抜きにして受信料というものの性格を考えるわけにはまいらないわけでございますけれども、ただしかし、一方におきまして、それは直接的な対価料金かということになりますと、私どもはやはり公的な、いわゆるNHK事業を全体として賄っていくための負担金だというように考えるのが適当ではなかろうかというように考えております。  また、具体的に料金を定める場合に、やはり現実にはテレビを設置していただいておる方に契約を結んでいただくという形になっておりまして、それはNHKの行う放送サービスのうち主要な放送サービスに着目して、それに基づいて料金を御負担いただいておるということでございます。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 局長、後であわせてお答え願いますが、これは会長にも大臣にもぜひお願いしたいというふうに思っているわけですよ。というのは、別途放送法の改正が一つ出ていますね。しかもこれは二十五年、四十三年と、ちょんちょんと、抜本的には二十五年だったというふうに思いますが、制定ですね。四十三年にもありましたけれども、その後全然もういじってない。それで今回こうなっているわけですね。しかもラジオにしろテレビにしろ、大変な発展ぶりでしょう。そして今や衛星放送までやろうという状況なんですから、私は受信料という問題についてどう位置づけるかはきょう別に答え出すつもりはありませんけれども、ぜひNHKの持っている使命役割の範囲の中であっても、やはり受信料というものは、その活動内容と比較をしてどういうものにすべきだということを私は検討する価値があるんじゃないかなというふうに思うんです。  そして少なくとも民放で言う広告料は料金でなくて、NHKのは受信料で料金だと、だからNHKはいいなから始まって親方日の丸と、こう出てくるような発想というか議論というか、そういうものはぜひ卒業したいという気持ちが非常に強いです、僕は。広告料金だって、あれは料金じゃないですか、広告は何のためにあるんですか。物を売るために、買ってもらうためにやるわけでしょう。広告費というのがちゃんとあるわけですよ、どんな企業にも。それが全部コストにはね返っていっているわけでしてね。だから結果的には物を買えば、そういう企業が出した広告分も含めて我々が負担をしていると。全体が負担しているんじゃない、買った者が負担していると。こういう違いがあったにしても、私はやはり料金というふうに理解をして、だから民放たりといえどもいいかげんな番組を編成して適当なことをやっちゃいかぬということに私はなるんだろうというふうに思うんですよ。  この議論というのは成り立つかどうかわかりません。しかし、これから先の問題として、衛星放送有料化の問題もあるわけですから、あわせて少しやっぱり議論をして、少なくとも国民間につまらない意見の対立がないようにしてNHK放送事業が行われるというふうにしていくべきだと思うんですが、この辺ひとつどうでしょうか、検討課題としてこれから受けとめて、郵政省の側も政策官庁として少し突っ込んで検討してみようというお気持ちはございませんか。
  30. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今先生からのお話ございましたように、放送法及び電波法の一部の改正を今国会に提出さしていただきまして御審議をいただく予定になっておりますが、その中身といたしましては、一般放送事業者といいますか、民放とNHKとの共存体制、併存体制といいますか、の上で、従来長い間法律構成もその発展段階に合わせた形になってきておりませんものですから、民放、御承知のとおり昭和二十五年放送法が制定されまして以来どんどんふえてまいりまして、また新しいメディアも次々と出てまいりました状況下に法律構成が合ってないというようなことから、放送の現状に合わせて直すわけでございますが、併存体制は維持するという形でお願いしてい るところでございます。  今先生お話がございましたように、民放は広告料に依存して経営をやっていくという形でございまして、林参考人の方からも話ございましたように、NHK国民の皆さん方に負担していただく特別な負担金である受信料というものを財源として経営をやっていただくという形で来ているわけでございます。  いろいろと御議論もあるわけでございますが、現在提案さしていただいております法案の中では現行の受信料体系を維持して、その中でNHK努力によって受信料収入増加等々を図っていただくと同時に、国民にも受信料の性格というものを十分理解していただきまして、NHKのテレビ等が受信できる設備を設置していただいた方には負担していただくという現在の法律の条文、あるいはNHK予算収支予算承認のときに受信料が定められているという、先生十分御存じのことなんですが、そういう形は維持していこうという中身にしております。  放送法及び電波法の一部改正の中身といたしましては、そういう形で御提案させていただいているわけでございますが、先生の御意見等もお聞かせいただきましたので、これは今回の法案の提案の中身ではございませんで、将来の問題として検討さしていただきたいというふうに思います。
  31. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先生から大変貴重な御指摘をいただいたと思います。やはり昭和二十五年以来の放送法の改正がこの後に予測されるわけでございますが、その当時はNHKだけでございましたが、今は民放が百五十社になっておりまして、その上、そんな中でNHKが、この太平洋プレートの大変物騒な大地の上に、この日本というのは地震国だと言われております中に、いつどんな災害があるかもわかりませんから、NHKというのは、死んでもマイクを離さないという大きな国家的な使命が私はあるように思います。  そういうことを考えますと、国民の皆さま方にそういう面の理解を私は徹底する必要があるんではないか。片や民放、これは倒産すれば——まあそんなことはないんでしょうけれども放送は終わるわけでございます。そういう極端な例を申していいかどうかわかりませんが、また一方、私、政治家の一人として、このごろの学校で、ある先生から、冗談のような本当の話を聞いたんですが、授業が始まって十五分ほどすると、先生、ここらでコマーシャルという、先生にそういうことを言う生徒がいる。どうも日本の子供たちの頭の中は、十五分置きの細切れ頭脳になってきているような感じがする。  特に放送にお金がかかるというのが、いろんなコマーシャルに会社の名前がずっと羅列をされるのを見ておりますと、昔一社で支えていた放送が支え切れない。ここからは何々会社が放送いたしますというようなことをしばしば聞くわけでございますが、それはそれで価値あるものとして、今NHKは月に千四十円、それから、白黒のテレビはあれ幾らでしたかね、白黒のテレビがまだある前提になっておりまして、口座に振りかえると五十円安くなるんですか、沖縄がまた安くなっておりますし、私どもこの放送料金の関係でも未収納の九十四万件、百万件近い未収納、未払いの受信者がいるようでございますので、以前から受信機を売った中に放送料を含めてはどうかというような議論も大分あったことはございますが、これはもうほとんど普及してしまっていますので、今新規に売れる受信機というのは微々たるものだということでございまして、そういう方法も考えられませんし、先生の御指摘のように、一にかかって国民の御理解を得ながら、NHKというものの存在の国家的な価値というものを私は認識していただくような普及活動をする必要がある。先生の御提案に感謝いたしております。
  32. 及川一夫

    及川一夫君 大臣の若さあふるるお答えにこの際乗らしていただきまして、物のついでじゃないけれども、ぜひこれだけは解決してもらいたい受信料ということで、次に提案したいというふうに思うんですが、まあ聞きようによっては当たり前なんですけれども、要するに、この委員会でも取り上げられたと思いますが、米軍の受信料の問題なんです。家族の皆さん、軍人の皆さんが家を構成されておるときにテレビを見ておられると思うんですが、これは私は、この前の国政調査に行ってお聞きした話なんであります。  とにかくテレビ放送始まって以来、びた一文払ってないのがアメリカ軍の皆さんと関係者ということに実はなっておりまして、それでもちろんこれは過去に取り上げた経緯があるんですね。それで米軍が、時間の関係もありますから一口で言えば、日米安保条約に基づく地位協定ですか、この中で米軍の関係者は日本の租税は払わぬでもよろしいということになっている。ついてはラジオ、テレビは、日本の場合には、どうして国営ということになったのか知りませんけれども日本政府が関与しているということになるんでしょうね。したがって、これは受信料ではなくて税金だ、租税だ、こう理解をするから、この際払わぬでもよろしいという文書指示が、文書見解が出ているわけです。これは外務省にも確めたことですから違いはないというふうに私は思っておりますけれども、実際それ以来外務省も交渉したらしいんですけれども、結果として言うならば、そんなに言うなら手紙とか電話かけるのはよろしいと、払ってくれと電話かけるのはよろしい、米軍の人たちがそれに応じて払うのも勝手だと、しかし、その見解は取り下げない、こういう形で今現在もきているわけですね。これは私は大変なことじゃないかというふうに思うんです。  なぜかと言えば、NHK予算を見たって約三百八十万ぐらい、いずれにしても納めない人がいるとか、出さない人がいるとか、契約しない人がいると、こう言われているんだけれども、それに対して六百億を超えるような金をかけて一生懸命契約をしてくれ、集金に応じてくれと言って多くの関係者がやっておられるわけでしょう。ましてや、この話は沖縄で聞いた話ですからね。米軍は沖縄に集中しておられるわけでしょう。たくさんの方がおられる。そこに電話をかけたり、はがきを出したり、時と場合には行きたいんだけれども、基地内だから入れない。それで今まで二万一千件も手紙でもってやったけれども、それに応じたのはたった十二件という状況に実はなっているわけですよ。これは私はこのまま放置できないと思いますね。そうでないと、米軍の人たちは、そんなことはどうでもいいと。日本国内に一緒におって、むしろ日本人が日本国内には主権持っているのに、主権のある者に何か払え払えと、こう言われていると。こんなふうになったんでは、沖縄の基地であるだけにというと語弊がありますけれども、私は大変な問題になるだろうと、不信感というものは出てくるだろうと。NHKに対しても米軍に対してもということになるんじゃないか。私はこの辺ぜひとも郵政大臣に真剣に取り組んでもらいたい、こう実は思っているわけであります。  私の言ったことに事実に反することがあれば外務省から指摘してもらって結構でございますけれども、もしないとすれば、ひとつ郵政大臣いかがですか、この問題ぜひ解決してもらいたいと思うんです。
  33. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 大臣が御答弁なさいます前に、私の方から一言。  おおむね先生のおっしゃられたとおりでございますが、事実関係をなお敷衍して申し上げさしていただきます。  本件は、御承知のとおり従来から在日米軍、その構成員であります軍人家族の方々がNHK受信料を払わぬという問題でございますが、先生御指摘のとおり、地位協定の第十三条に定めます租税公課に当たるとしまして、米軍はこの支払いは必要ないという立場でございます。私どもは、それはそうではないということで、意見は平行線をたどったままでございますけれども、米軍は、積極的な米軍としての見解は表明しないけれども、その考え方は撤回しないという立場でございます。  もう一つ、もちろん米軍側には感情論がございます。私どもは安保条約に基づいて日本を防衛するために参っておりますけれども、残念ながら日本語を解する人たちはほとんどおりません、したがいましてNHKは見ておりませんという感情論がもちろんございますんですが、これは私どもは、NHK放送というものは見ていても見ていなくても払っていただかなければいけない分担金的な性格のものであるということを説得しているわけでございますが、これまたなかなか米軍側には釈然として受け入れられないところでございます。  その後NHKと米軍、そうして外務省と在京米大使館等の話し合いが行われまして、現在は、米軍は、個人として米軍人に対してNHK受信料を徴取する勧奨活動を行うことは妨げないという立場でございますが、現在に至るまで米軍基地へNHKの方の立ち入りの問題が実現してございません。これは地位協定上第三条の米軍が有します管理権との絡みで生じてきている問題でございますけれども、外務省としては、NHKがお入りになりたいという米軍への申請に対して、これまでも累次口添えを行ってきておりまして、今後ともこの面での努力は続けていくつもりでございます。
  34. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今外務省の方から答弁がありましたとおりでございますが、私どもといたしましても、外務省と協議をして口添え等をお願いしてやっていただいているわけでございます。三月の十八日にNHKの方が申し入れをいたしまして、先ほど外務省の方からお話ございましたように、外務省からも口添えしていただいたんですが、米軍から立ち入りについての申し入れに対する返事が来ていない状況にございます。地位協定の解釈の問題、先ほど話にございましたようにあるものですから、今後とも外務省と協議しながら対処してまいりたいというふうに思っております。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 この辺でこれは終わりますけれども大臣、私はやっぱり現地の関係者の血のにじむような気持ちとして実は聞いてきているんです。やっぱり財政がこういう状況ですから、NHKの中央の方もいろんな意味節約、あるいは受信料をできるだけ契約をしてもらうようにと言って、かなりけつをたたいていると思いますよ。それに応ずれば応ずるほど、やればやるほどなかなかうまくいかないということと、それから実際に沖縄から生放送をやろうということになりますと、島がたくさんあるものですから、いろんな経費がこちらよりもかかるということもあるんですね。いろんな文化の面で報道したいこともあるけれども、お金の関係でできない、残念だと。こんなことも含めての忌憚のない話でしたよ。だから私は、別に米軍に敵意を抱いている立場じゃございませんけれども、やはりお互い日本列島に住むならば、その住んだ国の規定に従っていただくということは当然のことじゃないか、日常生活であるだけに。そういう意味で、ひとつ問題解決のために、今局長からも御答弁いただきましたから、努力していただきたいということを申し上げまして、次の問題として、新営業構想というものについてお尋ねしたいというふうに思います。  いろんな意味努力が含められているようでありますが、まず新営業構想というものについて労働組合との関係、これはどういう扱いになっているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  36. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  私ども営業活動を積極的にこれから進めてまいります上で幾つかの今まで作業を進めてきているわけでございますけれども、これから先の業績の向上ということを確実に果たしていくということと、経費率を全体として引き下げていくということのためには、今までの仕事のやり方を抜本的に変えていかなければならないというふうに今考えております。その仕事のやり方を変えていくということになりますと、当然勤務の条件等も変わってくるわけでございますので、私どもは当初、新営業構想についての考え方の方向をまとめた段階で組合にその考え方を提示いたしまして、我々としては、これをどうしても実行してまいらなきゃならぬということも伝えてございます。そしてまた、その内容についても話し合いを続けてまいっているわけでございます。これがおよそ一年余りもう既にたっておりますけれども、その上に立ちまして、私どもとしては、新営業構想の具体的な内容というのはこういうものだというものを示しまして、現在組合と折衝を続けているところでございます。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 もう一つ、実際に受信料契約をしたり集金をされる方々は、協会員という方々と、それから実際に請け負っておられる方々と二つあるようにお聞きするんですけれども、とりわけ、NHKから委託を受けてやられる関係の労働組合があると思うんですが、どういう状態なんでしょうか。
  38. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) ただいまの御質問の意味が受託者との間の話はどうなっているのかという意味での御質問でございますれば、これは当然のこととして、一年余りにわたってまず第一に考え方の方向を示しまして、具体的な仕事のやり方はこういうふうになるんだという話し合いと、さらに受託者の場合ですと事務費体系の問題がございますので、仕事のやり方が変わりますから、事務費体系についてはこういう形に変わっていく、さらには契約条件についても変更してまいらなきゃならぬということで話し合いを続けているところでございます。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 そこでお聞きしたいんですけれども、恐らくこの新営業構想というのは、昨年も出ましたけれどもNHK一万五千名体制ですか、こういったことがあって、その中で受信料というものの領域をいかに広めるかということと、同時にまた効率化ですか、そういう角度からこの新営業構想なるものが私は出てきていると思うんですけれども、そうしますと、やはりこの発想の根本というやつは一万五千人体制と、日本放送協会は一万五千人体制でいこうという、そして毎年毎年やってこられて、来年大体終着点だというふうに私は記憶しているんですけれども、この一万五千人体制ということについて大体目標どおり、目的どおりまず完了できるというふうに判断されておりますか、どうですか。
  40. 植田豊

    参考人(植田豊君) お話しのとおりでございまして、六十四年度に五十五年から開始いたしました二千人の効率化計画、最終的に六十四年度で一万五千人に達する予定で順調に推移をいたしてございます。六十二年度末でおおよそ千四百五十人の効率化を達成いたしました。六十三年度の今回の事業計画予算の中では六十三年度中に三百人の純減を目標としてございます。計画どおり進んでおるというふうに申し上げられようかと思います。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 ということになりますと、大体そういう目的が労働組合の話し合い、意見を言ってみさせて進めておられるというふうに私は思うんですけれども、その目的が達成をされるということになれば、要するにそこで大きく踏まえて、一万五千人体制でこれからいずれにしてもNHK放送事業というものをやっていこうと、こういうふうになるというふうに私は理解をするんですが、そういうものを踏まえて、この新営業構想というものが出てきているというふうに理解してよろしいですか。
  42. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 私ども事業運営をしてまいります上で、効率化の進め方という点につきましては当然労働組合との間で十分な話し合いを続けているところでございますけれども、この効率化計画が一万五千人体制というところで終わるのかという意味での御質問だと仮にいたしますと、私どもはそういう考え方をとっておりません。さらに前へ進んで、いつでも仕事の内容というものは見直しつつ、効率化徹底して進めてまいらなきゃならぬというふうに思っております。現実にこの新営業構想を考えましたときに、六百三十三億の契約収納費がかかっている。これはどう考えても今の世の中の常識から考えて多過ぎやしない かという点への反省というものからスタートしているところでございますので、私どもとしては、一万五千人体制の中でそれを考えているということではございません。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 そうすると、また改めて一万三千名体制であるとか、一万四千名体制であるとか、そういうお話が何となく出てくるような感じがするんですけれども、ただ皆さんもお考えいただかなきゃならぬというふうに思うのは、何といってもやっぱり働く労働者、一雇用不安というのは一番困るんですね。力が入らない。ですから、やはり企業経営者として行う場合には、そういった展望というものを明らかにした上で仕事を、お互いに責任を果たしていくということでなければ私はならないだろうというふうに思うんですよ。そういった点ではぜひ会長にもお考え願いたいというふうに思うんですが、私も別に未来永劫一万五千名体制で、そのままで動かないものだとは思っていませんよ。時と場合によればふえることだってあるわけですからね。あるいはそれは減ることもあるでしょう。しかし、それはありとあらゆる文化とかあるいは科学の発展によって裏づけられるときもあれば、内容的に仕事が減ってなんというようなことだってあるわけですね。ですから一概に、画一的に考えてはいません。  ただ、皆さん方にぜひとも、恐らく御存じだと思うんだけれども、よく民放との対比が出るわけですね。ところが民放も確かに大臣がおっしゃられるように、百五十社以上超えていますよ。百五十社あるんだけれども、結構系列化されておりましてね、中央にある民放の系列を受けて放映をしている。こういう放送会社というものを全部調べてみて、一体それの人数というのはどのぐらいいるんだろう。つまり全部集めれば全国ネットですね。NHK全国ネットでやっておるわけですから。  そういう前提で、非常に機械的かもしらぬけれども、実際にどのぐらい要員がおられるのかということで各都道府県にある放送会社を全部調べてみますと、合わせると二万八千九百名もおられるわけですよ。このほかに俗に言う下請といいますか、請負会社というか、放送番組をつくっている、またそれを請け負って飯を食べている、そういう労働者も実はおられるわけですよ。請負率というものを見ますと、NHKと民放では、民放の方が非常に多い。NHKは少ない。これをどうするかというようなこともそれはあるかもしれませんが、問題は、下請に出すというのは、下請の労働者が今度は泣いているわけですよね。  これは、私はかつて自分の過去の経歴で、組合の代表として中曽根総理大臣にお会いをしたときに話が出たんです。つまり、ここにいる代表は、全部大企業労働者の代表であるけれども、総理、何とかなりませんかね。何ですか。大体、政府から十億円の工事料でもって元請が受けて、工事が始まって、実際に仕事をしている労働者の関係会社がどのぐらいの値段で請け負ったのかと、ばあっと足してみたら四億にしかならない、四億にしか。つまり四億円でできるというわけですね、これ。それじゃこの間の六億はどうなったんだと、ここが問題なんですよ。だから何でも下請に出せばいいというものでは私はないように思うが、いずれにしても、これは下請がいいか悪いかというよりも、こういう構造をどうするかという大きな課題ですからね。ここでそれは論ずることはできないでしょう。  そういったことを横に置いても、実際問題として、放送局におられる本社員だと言われる人たちの人数というのは調べてみますと二万八千九百人もおられると。こういうことですから、それはNHKに比べれば、数字上では一万三千名も上回っていることは事実ということになるわけですわね。ですから、余り観念的に、世の中の目があるからというだけでもって、もしこの新営業構想というものを考えているとすれば、私は非常に間違いを起こすことになりやせぬかということと、もう一つは、先ほどお話がありました、集金をされる労働者の皆さんのことなんであります。  私が聞く限りにおいては二つの意見がこの新営業構想にはあるようですね。一方では、今の立たされているNHKの現状というものをまともに受けて、そして受けて立とう、つまり話し合いに乗ろう、こういう立場の人と、真っ向から反対ということで、第三者機関といえば裁判ないしは労働委員会ということになるんでしょうが、そういうものに持ち込んででも争って、この新営業構想というものについて改めるというのか、撤廃するというのか、そういう意味合いのことを主張される方と二つあるということを実は私はお聞きするわけなんであります。  この問題、特に四十歳から六十歳の人が中心だというふうにもお聞きします。それだけに人生の上では最も大事なところじゃないですか。減税の話が出てくるとこの辺ですわね。まあ六十歳のところはどうのこうのあるかもしれませんけれども。いずれにしてもそういう人たちが主流になって、十五年もあるいは二十年も働いておられるということなんですから、そういう意味ではこういう人たちに不信を買うような、このことが起点になって大変な問題に発展するようなことのないようにしないと、いかに受信料集めようたって集めることはできない。これは夜の夜中まで行こうという発想ですからね、この新営業構想は。これ自体にも私は疑問を持ちますよ、さら金の集金と違いますからね。受信料ですから。公器の受信料ですよ。それを夜の夜中まで、もちろん前もって電話かけて行くんだ、会ってくれるということが前提だとかいろんな説明はついているようだけれども、話をするように、そううまくいくものではなかなかないと思いますね。だから大変な私は負担になるように思うんです。したがって、この辺は私は非常に疑問持っているんですが、いずれにしても労使の話し合いで決めることですから、問題点だけは指摘しておきたい、こう思っております。  そういった点で、ひとつ会長いかがですかね、この問題どうお考えですか。この一万五千名体制では会長とも論議をした記憶がありますので、ぜひお答え願いたいと思います。
  44. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども経営をより合理的、能率的に運営したいというふうに考えておりまして、数字的に一万五千人にすればそれで終わりというふうには考えておりません。私どもはすぐれた番組を出すことが何よりの仕事でございますけれども、同時に受信者の方に余り負担はおかけしたくない、できるだけ負担は少ない方がいいと。しかし、今の状況から見ますと、どうしても今後やはりある程度の負担はお願いせざるを得ない時期が早急に来ると思います。そのNHKがみずから企業の中において合理的、能率的経営をしてないということであっては、これは受信者の方の期待にこたえられないと思います。  その意味で、既に数年前から一つの数量的目標として一万五千ということは言いましたけれども、実はその中身は、その一万五千じゃなくて、実はより合理的、能率的な経営のやり方があるはずだ、あるいは番組のつくり方もあるはずだ、それを達成することが目的でやっているわけでございます。したがいまして、数字的に一万五千になったから終わりというものではございません。さらにより能率的、合理的な経営を目指して私ども努力すべきだと思っておりますし、さらに加えて、能率的な経営をするために要員を減らすことが可能ならば、もっともっと私は減らしたい、減らすべきだと思っております。  それから営業構想というものも、これは単に一万五千に数字を合わせるために考えたものではございません。協会受信料は、やはりすべての受信者に公平に負担していただかなければならない。ところが、実際にはまだまだ御負担いただけないでいる家庭がかなり残っております。こういう方々に対しまして、ぜひ契約をしていただいて受信料負担していただきたい。そうでないと、払っておられる方から見て余りに不公平ではないかという御疑問が出てまいります。そのために、それではどうしたらいいのかというところで従来 やってまいりました営業活動を全部再点検いたしまして、外部の経営調査機関の知恵もかりまして、部内でも特別なチームを編成して全部再点検をいたしました上で、今までのやり方を変えて、こういうやり方をすればもっと契約に入っていただけるはずだ、それが新営業構想でございまして、例えば御指摘の夜遅くお伺いするというのも現実にテストケースでやってみましたら、夜の十時、十一時にお伺いすればお会いできる家庭、昼間行ってもお会いできないけれども、夜行けばお会いできた。そうしてしかも、ああ今までNHKが来なかったから払わなかったんだ、じゃわかった、払いますよという家庭がテストケースの中からかなりの割合で出ているわけでございます。これをそのままにしておいて、私どもがもはや財源がないとか、値上げをお願いせざるを得ないということを言うべきじゃない。まずみずから努力すべきところはとことんまでやってみて、その上でどうしてもこれでもだめだというときに初めて受信料のさらなる負担をお願いすべきである。そのためには何が何でもこの新しい営業構想を私ども実施に移したいと。  しかし、もちろんこの種の合理的な経営合理化につきましては、それは労働組合というものとのお話し合いも十分しなければならないということもよくわかっております。その点はさらに誠意を持って交渉を重ねて、しかし視聴者、全国民期待にこたえるためには、私はこの合理的経営効率的経営、あるいは新営業構想というのはもっともっと進めていかなければならない、そういうふうに考えているわけでございます。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 この問題、多くの問題は労使間交渉でお決めになると思いますから、これ以上言及はいたしませんが、いずれにしても新しい構想を発想し、また実現に移すときには、私の経験からいっても、まずもって本当の意味での理解と納得というものがあるかないかによって私は勝負は決まると、こう思っています。それだけにぜひとも問題の提起というものに対して、真正面から取り組んでくる意見というものについては正しくひとつ受けとめていただいて、そしてこれがよりよい効果を上げるように期待をしたいというふうに思います。  おおむね最後になりますけれども、一つだけ副次収入の問題。どうも法律を読んでみますと、営利を求めてはならないということにNHKはなっていますね。副次収入の問題は、今現在そういう命題でやっておられるわけですね。これをさらに強化しようということなんだと思うんですが、予算を見ますと、おおむね二十八億ぐらいですか、収入を見込んでいるようなふうに私は読んだんですが、大体この副次収入によってどのぐらいの収益の幅を広げられるおつもりですか。
  46. 植田豊

    参考人(植田豊君) NHKという非常に高度な公共性を持つ団体、受信料という極めて高度な公的なお金をお預かりいたします我々が、株式会社に出資をいたしまして副次収入をふやすべく努力をするべきだということが、現行放送法での私どもに対する御命令かというふうに解しておるところでございます。従来、受信料にすべてを頼ってまいったといってもいいかと思いますが、副次収入の拡大、経営財源の多様化を図りなさいという御命令を、放送法を通じて私ども国民からいただいているというふうに解しておるわけでございます。  ただ一方で、先生おっしゃいますように公共放送でございます。公共放送としての公的な使命を逸脱するようなことがありましては、受信料制度そのものにひびが入りかねないという認識も私どもは深くいたしておるわけでございます。NHKならではの、公共放送ならではのノーハウの社会還元とあわせて副次収入を図りますけれども、本来の公共放送としての使命役割を逸脱することがないように特別の抑制、節度といったものを考えながら努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、副次収入の今後の見通しもおのずから限度があるんではないかというふうにも考えておるわけでございます。今私どもの議論の過程ではございますが、五年後ぐらいに今の副次収入の倍増が図れないだろうかといったような議論をしておる過程でございます。
  47. 及川一夫

    及川一夫君 この問題は、私から言わすと生煮えみたいな感じがしまして、なかなか難しい問題だと思いますね。副次収入、しかし営利を目的としてはならない。それを機械的に言うなら、プラス・マイナス・ゼロでやれという、それなら副次収入にならないじゃないか、こういうロジックにどうも聞こえるわけですよね。ですからやることはいっぱいあると。やればそんなに人から言われぬでも、これくらい収入上がるんじゃないかと思っても、やれないという事態が私はかなりあるように思う。  そういう意味で、今日の放送法だって、やっぱりできるだけ国民負担をかけないと、こう言うなら、かけない方法を法律自体でも道をつくってあげないとならないんじゃないかと私は思うんですね。もう二十五年以来のやつを後生大事に握っちゃって、それ以上はもうどうにもならぬという中で、副次収入副次収入と言ったって、そんなにあなた目が覚めるようなものが出てくるはずがないんでありますから、だから大騒ぎするほどのものじゃないじゃないかというふうな気がしてならないんです。いずれにしても放送法改正の問題がありますから、その際に譲ることにして、最後に私はぜひ次のことだけ申し上げておきたいと思います。  NHK予算全体を見たときに、努力はよくわかります。そして何とかしなければいかぬというお気持ちもわかります。ただ、果たしてそういくのかどうかということになりますと、百二十四億の赤字という問題がのっけから要するに出ているという問題と、それから、資本収支から次から次と一年間の経費に回されていっているという問題と、さらには長期借入金にしても六十二年度末で九百億、六十三年度で約百三億ぐらいお借りになるという提案ですね。そうすると一千億ですね。そして返済は毎年百億ぐらい払っていかなきゃならぬというような事態、あるいは衛星放送というものを口軽く言うんだけれども、その安定性はいかがかということが頭をちらっとよぎりますと、今まで三百四十六億かけているという問題、そうしてこれから3aでは、a、b両方合わしてNHK負担は三百四億ぐらいですか、合わせて六百四十億ないしは六百五十億、これだけの金をまた負担していかにゃいかぬ。  こういう現状というものを考えますと、いや努力しますというだけの話で、この予算でよろしいのかどうかということになりますと、私は必ずしも心から賛成というふうにならないなと、お気の毒という気持ちを含めながら、どちらにしてもこれが一体本当に提案をする姿勢であるのかどうかということ自体に正直言って疑いを実は持つわけであります。したがって、そういう立場に立って、いずれにしても提案をされておるし、これでやりたいと、こうおっしゃるんですから、それ自体に反対する気はありません。そういう前提に立って、NHKのこれからの努力に対して期待をしたいということを結びにして、私の意見を終わります。
  48. 大木正吾

    ○大木正吾君 番組関係の問題について、二、三お伺いいたします。  一つは、スターウオーズじゃないけれどもニュースウオーズのような話がございますが、最近十チャンネルの久米君の番組、あるいはNHKから出ていきました森本君がTBSに登場する番組が組まれておりますが、いずれにいたしましても番組のその後の会議の中身、私も詳細には存じませんが、社会的なニーズというものもありましょうが、いろんな世の中の出来事から始まりまして、スポーツまで含めて、物すごくやっぱり国民のテレビに対するニーズが変わってきていまして、ドラマがだんだんと視聴率が減りまして、そして低俗化している。大河ドラマとか、あるいは朝の八時十五分の番組等は私もたまに見ますが、これも別に悪くはないと思いますが、民放等の場 合には、とてもじゃありませんが、見ておれぬというものが多い感じもいたします。そういった中で、最近の話題として、これは本当なのか、これ確かめてみたらわかりますけれどもNHKが九時、NC9からニュースの夜の十一時の番組までつなぐという話もございますが、そういったことを含めてニュースウオーズですね、これについての感想を会長と担当局長からお伺いいたしたいと思います。
  49. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、ニュースに対するニーズと申しますか、需要が高まっているということは確かであろうと思います。これはその背景に情報社会とか、あるいは国際化の進展という問題があるだろうと思います。しかし、私どもといたしましては、先生言われるように、ニュースウオーといいますか、報道戦争といいますか、そういうものに挑戦するというつもりは毛頭ございません。特に、民放と視聴率において競争するというような考え方はございません。また、ニュースを娯楽化しようという考え方もございません。私どもとしては、今度新しく新設いたします「ニュース・トゥデー」という番組の中で、国民生活に深いかかわりのある問題について深く掘り下げ、詳しくお伝えしたいというふうに考えているわけでございます。
  50. 大木正吾

    ○大木正吾君 民放と競争しないというお話があったんですが、私も視聴率中心主義じゃございませんから、別に競争してもらいたいとは思っていませんが、ただ例を挙げていきますと、例えばの話が、これはちょっと大臣には余り聞こえのいい話じゃないですわね。売上税をつぶしたその犯人の一端という立場でもって、久米君がある雑誌で指摘をされた話がちょっとございました。同時に、やっぱりこれだけのニュースに対しまする関心が高まってまいりますと、従来ですと、私たちも放送局の中に入ってたまに見ていますと、そばに記者がおりまして、そして記事を書いておって、ぱっといわば放送する方に渡しますと「それを読んでおればよかったんですね。最近ですと、例えば現地に、上海の列車事故もございましたけれども、ああいった問題についても現地に記者が飛んで行って、現地から報道している。あるいは証人の方々というか、あるいはその周囲にいた方々の意見を聞くとか、多彩なものを取り入れて番組の厚さといいますか、豊かさというものをつくっているわけですね。そういったことでやっていかれるわけでしょう。どうなんですか、これ。競争しないとおっしゃったことと、ニュースの中身の豊かさを追求するということについては、どういう違い、どういうふうに考えていますか。
  51. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもはこュースを詳しく、なるべく今おっしゃったような列車事故であれば現場から詳しくお伝えしたいというふうに考えております。
  52. 大木正吾

    ○大木正吾君 大変な、九時の「ニュースセンター9時」から始まりまして、「ナイトワイド」につなぎますと長時間の番組になりますからね。相当これは中にどういうものを挟むかわかりませんが、大体レコードとか、NHKでもってしゃべって、僕らもたまに出ましたときに、二分と五十秒になりますとあと十秒とか、二分半になったらあと三十秒とか出てきますわね。レコードの一回転の歌が大体三分以内ということになっていまして、人間の耳というのは、三分以上人の話を聞いていますと、大体もう飽きてくると、こういう傾向を持っているわけでしょう。そういったこと等も考えますと、九時から十一時半、十一時過ぎまでの報道になりますと相当なものだと思うんですね。ですから、競争しないのはいいんですけれども、しかし十チャンネルとかTBSの方にお客さんとられることは決して好ましいものじゃないと思うんですよね。ですから、そういった面の工夫について、私たちは当然の問題として、これつなぐことになるんですか、ならないんですか。もしつなぐならば一体どういうふうな工夫を現在しているのかどうか、そんなことについて聞かしてください。
  53. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 今お話の中にございました、九時から十一時というわけではございません。十時二十分でございます。したがいまして、八十分間の放送でございます。しかし、その八十分間のうち、およそ二十分ぐらいはその日のスポーツというものについてお伝えするつもりでございまして、いわゆる一般ニュースについて申し上げれば、およそ一時間ということでございます。
  54. 大木正吾

    ○大木正吾君 まあ余り私の言っていることがのみ込めてないような感じもしますが、やっぱり視聴者は生のものが見たいわけですよ、まず生のものが。そして生のものを見るわけにいきません場合には、いわば現場にいた方々の御意見などを証言として聞きたい、だから現地から報道してもらいたい、そういつたものもあるわけです。ですから、そういったことを追求していきますと、結果的には豊富な番組、豊かな番組、魅力のある番組ということになりますと、これは競争にやっぱりなっていくわけです。ですからそこに難しさがあると思うんです。  これはそこでもって話を打ち切っておきますが、いずれにいたしましても、八十分あるいは一時間、百分なんていう番組になりますと、相当なやっぱり工夫が要りますからね。いずれにしても、私が言った言葉も適切じゃなかったかもしれませんが、ニュース競争とでも言いましょうか、お互いに時間帯延ばして競争していこうといったときに、NHK番組はつまらぬよと、こういうことになってしまってはいけませんから、そこだけは注意してやはり考えてもらいたいと思いますよ。別に私は商業放送をやれということを言っているわけじゃないんですからね。  それから、少し嫌みになりますが、実はつい最近「ぐるっと海道3万キロ」ですか、何かそういう番組がございまして、三宅島の番組最後に終わったんですが、これを見たときに、おやっと思ったんですが、まあいわばあそこの村会議員選挙の宣伝カーが回っていまして、そして島のうんばというおばちゃん方が時々登場するんですが、そして何とインタビューを受けた村民の方々の人数を調べてみますと、三人が全部、新しい米軍の艦載機の夜間訓練基地賛成派の方々の意見がインタビューで出てましたね。反対派の意見は全然出ませんでしたね。ただ、画面全体から伝わってくる私の受けたイメージは、あそこは女性が強いですからね、中山大臣「本当に強いですからね。女性が強くて、おれたちが島を命がけで守ると、こういう気持ちが伝わってくるわけですよ、画面から。むしろ女性の方々の態度から伝わってきておって、もちろん電波ですから、通信ですから、いわばNHK報道網を使い、途中では、メディアとしては媒介してくれているわけですからね。しかし、島にいるおばあちゃん方の、おばさん方の要するに気持ちといいますか、態度、それは見ていまして、物すごい勢いでもって、迫力を持って伝わってきます。だから、私はそれを見て、インタビューは少なかった「ほとんどなかった。反対派の中からなかった。それは辛抱しようかと思ったけれども、ちょっとこの辺のことについては嫌みとして申し上げておきたいわけで、本論はこの次なんです。  七月か九月に、中山さんも署名されるんでしょうけれども、臨時国会が開かれるかと思うんです。そのときに、今度新間接税問題が当然出てくるでしょう。最近予算委員会でも問題になっていますけれども、有識者といいますか、私は有識者に入りませんから、当然アンケートはなかったわけでありますけれども、有識者のアンケモトを集めて、それが八割以上が賛成だと、こういうやつがあって、大分野党からも文句言われていましたね。ああいった問題等を含めたり、また、朝日新聞等見ていますと、並べ方が反対というやつが出ていますわね、きのうですか。ああいったものなんかについて非常に僕はデリケートな編集、編成になろうと思うんですがね。NHKは売上税のときにほとんど報道してないんですよ「あえて申し上げますがね。どこかでもって集めたアンケート をたまにやったことはたしか一回か二回はありました。それ以外には、それは生のといいますか、売上税どう思いますかという問題に対するインタビュー等はほとんどなかったんですね。それと同時に、これは余り言いたくない問題でございますけれども、もう一つタブー的に扱われている問題が国家機密法の問題ですね。  いずれにしましても、ニュースをふやしますと、こういうものがどんどん出てきますよ。問題は、出てきたときに皆さんがどういうような報道の態度をとられるかです。簡単に公正、中立にいたしますよだけでもって済むかどうか。大臣と私が見た場合には、全然同じことを報道されても、大臣があれは結構だと言うことを私は反対だと言うかもしれません。逆の面もあるいはあるでしょうしね。そういった問題等出てくるわけだから、ニュース番組をふやすことは結構だけれども、私はそういった問題について聴衆といいますか、視聴者がたくさん食らいつく番組はね——中山さんと私は大げんかを、口論を昔やったことがあるけれども、そういったことが起きるぐらいでなければ視聴者は私は見ないと思うんだ、はっきり申し上げて。そういったものについてのこれからの見通しはどうなんですか。
  55. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 今後の国民課題に対するNHKの姿勢という御質問だと思いますが、その前に、若干誤解もございますようですので、私からできればちょっと誤解を解くべくお話を申し上げたいと思います。  先生が最初に挙げられました「ぐるっと海道三万キロ」でございますが、これは三十分のドキュメンタリー番組でございます。この「ぐるっと海道三万キロ」の最終回を三宅島でやったわけでありますけれども、この島に在住している詩人の詩を縦軸にいたしまして、島の人々の生活というものを描いた番組でございますが、たまたま村会議員の選挙があった直後でございまして、この問題にもちろん私どもも触れたわけでございますが、全く反対派という人たちが出ていないというお話でございましたけれども、私どものカウントでは反対派の人が四人、賛成派の人が三人、それぞれいろんな形で意見を述べております。特に親子で賛成と反対に分かれたと、お母さんと息子でございますけれども、この二人については両者の意見をかなり詳しく聞いでおりまして、息子さんがお母さんのところへもう立ち寄らなくなった、お母さんの方はもう来なくてもいいんだというようなことを言っているような場面もございました。ちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、今後の国民課題、税金を初めとするいろんな国民課題につきましては、私ども公共放送として、当然のことながらこの問題について積極的かつ先見性を持って取り上げていきたいというふうに考えております。
  56. 大木正吾

    ○大木正吾君 別に三宅島のことをここでもって私は言い合おうと思って言っているわけじゃないんですがね。ただ問題は、ニュースウォーズという言葉はもう使いませんけれども、大変なニュース時間帯を延ばしていく。同時に競争相手がといいますか、いわば民放の中でもって久米君だとか森本君だとか、キャスターとして割合優秀な方々が登場されまして、相当そっちの方に視聴者がいくだろうということも予想されますので、とにかくやっぱり「スポーツとニュース」、あるいは「NHK特集」とかいい番組がたくさんあるわけですから、そういった面で番組の問題の深さといいますか、豊かさ、そういったものの追求についてはぜひ考えてもらいたいし、公正な報道についても十分に考えてもらいたい。  私自身もしNHKの編集局の担当でしたら、臨時国会でもってどうなるか。自民党の方々は、ここに大先輩、たくさん大臣クラスがいるわけだけれども、結果的には新型間接税が出ましたときにどういう報道をされるか非常に心配でなりません、これは端的に申し上げて。非常に担当者がお苦しみになるであろう、こういうことをむしろ御同情的に申し上げておるわけでございまして、とにかく視聴者を失わないことと、そういった政治的な半面を持つ番組については非常な苦心が要るだろうと、こういったことを申し上げている次第なわけです。  二つ目の問題は、実は質問の通告をしてなかった問題でございますけれども、きのう飛び込んできたものですから、そしてこれ、川原会長NHKに関係ないというと関係ないんですが、しかし関係なくはない、ドラマをつくりました中でもって出てくれば関係ある問題なんですが、子供の喫煙に関するコマーシャル、あるいはいわば民放の喫煙コマーシャルの問題なんですよ。これについて、NHKとして状況の把握をしておられるはずでありますが、八五年の五月から二年たった昨年の五月までの間に、要するにたばこを大いに吸いましょうというコマーシャルですね。私、友人にもたばこ会社の方がおりますから、私がこういう質問をしたら、恐らくその方は私を後でもって呼びつけて怒るかもしれませんけれども、民族の大切な問題だからあえて申し上げるんだけれども、どの程度承知されていますか。
  57. 川原正人

    参考人川原正人君) 私、なかなか自分のところの番組さえ十分見切れていないので、民放さんの番組、見ないことはないんですけれども、ちょっとそのたばこのコマーシャルについては私承知しておりませんので、御容赦願いたいと思います。
  58. 大木正吾

    ○大木正吾君 じゃ会長よろしゅうございます。私の方から申し上げますが、これきのう調査していただきました資料でございますが、八五年の五月、二百六十七本、放送時間四千八百四十五秒ですね、コマーシャル、CMです。その次の八六年五月が一千六百十三本、三万一千五秒ですね。そして昨年の五月が二千七十九本、そして四万二十秒です。こういう状態でもって民放の方では、いわば外国たばこの関税の撤廃等もございましたけれども世界保健機構等の勧告を無視いたしまして、どんどんどんどん日本の一流テレビがたばこをもっと吸いなさいと宣伝しているわけですよね。もっと吸いなさいとは別に書いたわけじゃありませんがね。要するに、たばこの販売を伸ばすためのコマーシャル、CMをやっていると、こういうことなんですよ。  これについて、例えばの話がアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、オーストラリア、スウェーデン、イタリー、ノルウェー、ソ連と、全部これは禁止ですよね。禁止して、コマーシャル全然してないんですよ。そして東南アジア、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、これはやってないんですよ、この四カ国見ても。こういった状態を見たときに、私たちが非常に思いますことは、いわばたばこの母親に対する、胎内の子供に対する影響とか、同時に健康に対する、がん等の影響とか、そういうところで随分と何遍も何遍もこれ報道されていますから私が言うことないと思うんですが、こういう状態の中でもって「これは感想で結構ですから、大臣、いわばNHKは民放には関係ないとはおっしゃっても、やっぱり放送メディアとしては関係はございますから、そういった意味合いでどのような感想をお持ちかどうか、大臣会長から同わしてもらいたいと思うんですがね。
  59. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 職責上は放送の中身には触れられないということなんでございますが、先般も先生にあれはテレビ神奈川でございましたか、CATVの中で、中学生の受験番組の中でやっているがどう思うかというお話がありましたので、私も、それはそれとして、内容には触れられないけれども、自分が十七歳の男の子を持つ父親としたら、カルシウムが骨の中から溶け出して、これは栄養学者に聞いた話なんでございますが、夜中に余り、夜更かしして勉強すると子供に大変悪い影響を与える、特にカルシウムが不足をすると暴力的になる。だから母親はだしジャコでおつゆをつくったり、かつおぶしをできるだけ子供に食べさしてほしいという親の気持ちを申しました。  私、実はたばこを一切口にしたことはございません。私のおやじも酒もたばこもやりませんでし た。おふくろもそうでございました。私は酒は飲みます。酒は飲みますが、たばこはのみませんので、先ほど先生の将来の日本人のことを憂えてというお話、これは大事な話だと思います。特に女性の場合は、妊娠中にたばこを吸うと、ニコチンの影響は胎児に大変大きな影響を与えて、それが生まれてからの体格、体質に大きく影響をするということを考えますと、私は先生の御指摘あそばしている御意思のほどを、将来の日本人の体質、体格、それから体力の問題として考えなければならない問題ではないだろうか。  特に、今体格はよくなったけれども、体力が落ちているということを申します。一時大変流行した喫煙という慣習が、今は世界的な評価として、特にアメリカのたばこの箱には、たばこはがんの原因になりますという表示をしなければ売れないというようなことでございますから、たばこをつくっていらっしゃる業界の方々のお気持ちもさることながら、これは国民の将来を考えると、我々はその国家の将来におもんぱかって対応をする必要があるのではないか、そういう気持ちで、感想をとおっしゃれば、そんな感想を持っております。
  60. 川原正人

    参考人川原正人君) 民放の個別のコマーシャル、番組について私も十分に見聞しておりませんので、意見は差し控えさせていただきたいと思うんですけれども、私ども自身の番組におきましても、やはり時々何でこのような場面、このような表現をするのかということを反省しなければいけないと思っておりまして、それは部内で始終そういう反省はいたしております。  それから、民放の幹部の方にも、表現の自由というものを我々が今の社会で享受し、それを一〇〇%生かしていくためには、やはりみずから節度を持って番組でもコマーシャルでも実施すべきであろう、そうでないと表現の自由そのものに外部からの制約を招きかねないんではないか、そういうことは率直に民放の幹部の方ともお話しすることがございます。私どもみずからも含めまして、本当に表現の自由というものを、十分にまた我々がジャーナリズムとして自由を生かしていくためには、やっぱりみずから節するところがなければいけないだろうというふうに感じております。
  61. 大木正吾

    ○大木正吾君 これはお願いということで申し上げておきますけれども、小学校の方々でもって十人のうち三人がたばこを吸った経験者がいるということとか、中学生の場合には五人、半分ですね、ちょうど七五三なんですが、高校生が大体十人のうち七人がたばこを吸った経験がある、こういう統計もあるわけです。ですから、こういったことは珍しいということもあってやっている子供たちが多いと思うんですが、とにかく世界的に、先進国はざっと全部、ほとんど禁止ですね。民放でも禁止ですよ。同時に、言えば割合に中進国といいましょうか、そういった国々も近隣の諸国も禁止している。日本のCM見てアメリカ人がびっくりしたという話もございますので、これはぜひ大臣会長に民放の関係者とお会いになって、そういった問題については、画面の中にも出てくる場合がございます、CMもございます、そういった問題については自粛をされるようにぜひ、言えば今まさしく日本人の将来といいましょうか、人類学、人類の健康上の問題としましてお願いしておきます。  次の問題に入らしていただきますが、国際放送についてでございます。  これは前にも私申し上げたことがございますけれども、非常に日本国際放送、今度は一つだけは工夫されまして、よそへ電波を送りまして、そこからまた中継してもらうということになっておるようでありますが、これについて、会長、いら立たしいというお気持ちじゃございませんですかどうですか。国際放送の現状であります。
  62. 川原正人

    参考人川原正人君) 国際放送につきましては、やはりこれだけいろいろ国際化ということが進み、お互いの国、あるいは国民がお互いを理解しなければならない情勢の中では、私どもとしてもできるだけ力を入れてまいりたいというふうに考えております。  今御指摘の面は、主に私どもが今実施しております短波放送のことだと思いますけれども、これもおかげさまで今年度三月いっぱいで八俣の新しい送信所が完成いたしますので、かなり出力も増してまいりましたし、また余裕も出ましたし、それから関係官庁のお計らいで交換中継ということが可能になりました。外国の基地を借りてNHKの短波放送を出すかわりに、また外国にNHKの八俣の送信所をお貸しすることによって経費節約も十分にできるということになりまして、この道はもっと可能ならば広げてまいりたいというふうに考えておりますが、ただ、この国際放送受信料がどこまで割けるかという問題につきましては、これはかねがね私どもには、おのずと受信料からこの国際放送に投入できる経費には限界があるであろうし、政府の方からさらに御協力いただけるならばありがたい。特に海外の基地を建設する等については今いろんなお話も進んでおりますけれども、もっともっと協力いただきたいということ。  それからいま一つ申し上げさしていただければ、やはり国際的な理解の面でも、やはり映像を通じての理解というのをもっと力を入れて進めるべきではないか。短波は短波でもちろん国境を越えて電波は届きます。そういう効能もあるんですけれども、やはり映像による訴える力に比べれば、映像による国際理解ははるかに強いわけでございます。このためには、これまたNHKだけでできることではございません。特に海外に映像番組を輸出することは本来のNHKの目的でもありませんし、受信料もそんなに割けるもんじゃありませんので、これは政府のお金と言わずに、あるいは民間の資金等も統合して、何か新しい力を結集して、海外の放送局に日本のことを理解していただくような番組をもっと積極的に提供できないだろうか。  そのためには、外国で放送される場合には、私ども番組にスポンサーがついてもコマーシャルがついても私は構わない。そういう形でもいろんな企業の力もかりまして、海外向けに何か新しい、そういう映像によって日本理解していただくような仕事をする組織ができないものか、これは私の今頭の中だけにあるようなものでございますけれども、ぜひそういうものを今後展開していくべきではないかと考えております。
  63. 大木正吾

    ○大木正吾君 東京がどんどんあるいはニューヨークを追い越すぐらいの金融市場になって、私もこの産業構造という問題で、私たちが学生時代とか、あるいは終戦後昭和三十年、四十年代は、銀行などの場合に私たちがささやかな貯金を持っていきまして、貯金で工場施設をつくって物を生産して、言えば私たちに供給してもらう、こういうふうに単純に考えておりましたけれども、最近はこの金融が為替にしても株式にしても、これ自身が一つの大きなマーケットといいますか、一つの産業を構成してきているわけですね。これはしかも世界じゅう、東京市場が閉鎖したらすぐに今度はニューヨークが動き出す、ロンドンが動き出す、こういう状態ですね。二十四時間、間なしで世界じゅう動いているわけですよ。そういった状態の中でもって通信、KDDあるいはNTT等の対応は相当急がれているわけでありますけれども、私自身ずっと考えまして、やっぱり単にそういった経済、産業上の問題だけではありません。文化の問題とかスポーツの問題とか、もっと国際化時代にふさわしい日本のあり方の問題とか、そういったことが広範にありましょうから、そういった点では、非常に国際放送の貧弱さについては、実はいつもNHK予算審議する場合に私自身も悔しいなという感じがしてならないわけですが、大臣に大変申しわけないことを伺いますけれども、六十三年度予算はまたこれ少しウエートが減っているんですね。ここのところひとつ中山大臣のいる間にどうでしょう、もうちょっと何か私たちも応援団になりますからね、せめてやはり少し上昇傾向をたどるようにしてもらいたいと思うんですが、大臣の所見いかがですか。
  64. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私も短波を聞く趣味を持っておりまして、BBCの朝七時の日本ニュースなんというのは、大変貴重なニュースを時々情報源として得ることがあります。そういうことでございますから、海外に行くときには短波受信機を持っていくんですが、なかなか日本放送つかまえたことがございません。やはりこれだけの世界の平和をいわゆる情報を交換することによって郵政省は達しようとしているときには、公共放送でありますNHK国際放送というのは、もっと強化すべきだと私自身も率直に思います。ガボンにアンテナを建てましたり、それからカナダに建てましたりして、今地球のできるだけの部分、南米の北部それから南部、それからアフリカの南の方など、まだ地球の上で日本放送が行ってないところがあるようでございます。これは海外に、特に働く人たちがたくさん出るようになりました関係も考えますと、日本の祖国の放送、特に海外におりますと、時々日本がないのではないか、日本のことが一週間ぐらい滞在している間に全くテレビを見ていても放送がない場合があったりしますから、そんなことを考えますと、祖国で今何が起こっているかということを海外にいる日本人にも私は知ってもらう必要がありますし、日本がどういうことを考えて対応しているのかということは、国際放送は相互性でございますから、このやりとりをする時間をうんとふやす必要があるのではないか。  そしてまた、郵政省として、私、きのうも実はここにおられる局長さんに申し上げておったのですが、今十八地域、二十一カ国語で放送しているけれども、私がBBCで聞いた範囲では、BBCは百五十カ国の言語専門家によって世界のアングラ放送までキャッチしている。そういう話を聞いたことがございますので、もっと多くの世界放送を聞く必要がある。日本の国はそんなものどこかで聞いているんだろうかという私は疑問を率直に役所の皆さんに投げかけておったところでございます。世界じゅうの言葉で、世界じゅうの情報をとってこそ、平和国家としての私は情報交換の使命を果たす日本国家になるのではないかと思っておりますけれども、ことし私がこうして席におりますときに、国際放送予算額上減っておるということは実に残念だと思いますが、今後私も懸命に努力をいたしたいと存じますし、先生も支援していただくそうでございますので、与野党一致してこういう問題に関して前進を見るべきであると、今痛感をしておるところでございます。
  65. 大木正吾

    ○大木正吾君 最後でございますけれども放送衛星の方の故障その他についての心配はございませんか、どうでしょうか。
  66. 中村有光

    参考人(中村有光君) 昨年末若干の姿勢を制御する部分などにふぐあいがございましたけれども、予備系に切りかえまして現在安定に管制運用されてございます。私どもは今後の二チャンネルの放送継続に支障ないというふうに考えております。
  67. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほどの私の答弁の中で、NHKの中でのパーセンテージが落ちておりますが、郵政省の方では、国際放送に関する予算額はふえておるそうでございますので訂正をしておきたいと思います。局長からもう少し詳しく。
  68. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) NHKの自主放送とあわせた国際放送の中でのウエートは先生おっしゃるように減っておりまして、前年の率でいきますと、二三・八%が六十三年度予算案では二一・七%とちょっと減っておりますが、私ども一般会計予算に占める割合でいきますと、五十八年当時四・二%であったものが五・九%というふうにふえておりますし、六十二年度予算と比べましても千五百万円ふやしまして十四億五千四百万円という形になっております。蛇足ながらつけ加えさせていただきます。
  69. 大木正吾

    ○大木正吾君 時間がありません。最後になりますが、今中村技師長の方から伺いまして安心というか、心配を持ちながらNHKの将来を考えながら幾分安心はいたしましたが、とにかく放送衛星が百万の結果的には受信者を迎える時代が近づいていると、同時にその次の時代はハイビジョンであると、こういうふうに大体放送メディアの発展というものは考えられるわけでありますが、通産省等もこういった問題については関心を持ちながらいろんな研究体制その他準備しているかのごとき情報が入ってまいりますし、同時に文部省等も関心があるような感じで話ございますが、こういった問題については、私たちやはりNHK御自身が今度のこの国会で出された法律案、まだ内容を全部すべてを検証しておりませんが、早くやはり出すべきものだろうと、こう考えているわけで、法案のときにもまたその意見も申し上げますが、いずれにいたしましてもハイビジョン時代はまさしく新しい放送時代に入る、こういうふうに考えるわけでございまして、それについて今後のステップ・バイ・ステップ、しかもハイビジョン時代といったらこれは大変な時代ですから、そういった問題についての会長の見解、同時に大臣の御見解、そういったものを伺って終わりにしたいと思います。
  70. 川原正人

    参考人川原正人君) ハイビジョンにつきましては、私は将来ハイビジョンが映像文化の中心に座ってくる時代が必ず来るだろうと思っております。ただ、これは放送分野だけでは私はなかろうと思います。恐らくこのハイビジョンという技術手段というものは、例えば映画の世界、あるいはいわゆる最近イベントというようなことを言われておりますけれども、いろいろ催し物の会場におけるファンへの訴える手段として、あるいは自治体とか公の団体等が住民の方々にいろいろなことを告知する場合の手段等にも十分これは使われ得るメディアであろう。そういう意味では、決して放送だけのものとは思っておりません。私どもの技術研究所が開発しましたこの新しい手法というものは、いろいろな映像文化の世界の中に十分浸透していって、恐らくこのハイビジョンがその中心をなすであろうというふうに思っております。  しかし、そこまでにはいろいろなまだ解決すべき問題が多々あろうかと思いますし、もし電波でもって放送という事業、電波でもってこれを日本じゅうに出そうといたしますと、今の地上の電波は幅が狭くてとても入り切れませんので、衛星の電波、これを使うしかないわけでございまして、その意味では、私ども将来のハイビジョンに備えても、この衛星放送をさらに普及をさせておきたいというふうに考えております。現実にそのハイビジョン映像を具体的にお見せできるのは、今NHKが開発しました方式しか世界じゅうにないわけでございますけれども、ただ、これをめぐりましても世界のいろいろな国々のいろいろな立場あるいはメーカーの立場、放送事業者の利害等が複雑に入り組んでおりますので、これらを一つ一つ着実に解決しながら前進を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  71. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) かつて日本で、オリンピックがありました年に研究開発が始められましたハイビジョンというもの、NHK研究者の方々のすばらしい知能と先見性を実現したのが私はハイビジョンである。普通のテレビでございましたら走査線が五百二十五本しかないのが、千百二十五本という大変高性能画像と申しますか、それから縦が三に対して横が五・三三というシネマスコープ型の画面。これは今実際に普及しておりますIDTV、それからEDTV、それからハイビジョンという、旧東海道線と、それから旧東海道線の上に新しい形の列車を走らせているのと、それから新幹線というものとの違いのような、特に新幹線という、在来線とは全く違った技術とすばらしいスピードで日本の経済というのが大活性化したわけでございますから、二十一世紀まであと十二年ばかりの間にこれがGNP十五兆円をつけ足すのではないかという、それが普及していきましたら、またどんどんGNPがその価値を付加していくという可能性のあるものでございます。  先般もアメリカのCATV二千四百五十六社の代表でございますマニーという方が来られましたが、この方が、自分たちは日本の方式に投票をし たということをおっしゃっていただいておりますし、世界の注目を浴びております。  それから先般、呉明という韓国の逓信部長官にお越しいただきまして、私はそのときに、韓国での今度の九月十七日から十月二日まで行われますオリンピックの開会式、閉会式の実況放送を実験放送としてさせていただけないだろうかという申し入れをいたしました。それに対しまして、呉明長官は大変明るい見通しをおっしゃっていただきまして、今私にも韓国に来るようにという御招待状をいただいておりますが、今度の新内閣でもこの逓信部長官、呉明長官が留任をなさいましたので、実際にKTAという日本のKDDのような組織があるわけでございますが、会場からそのKTAまで光ファイバーを引きまして、それで衛星を使って日本に実験放送をしていただく見通しがついてまいりました。日本には六十七万の韓国の方がおられるわけでございまして、その方々にも祖国で行われるものを見ていただけるように我々も努力をしなければいけないと思っております。  特に六十五年の末になりますと、BS3、いわゆるブロードキャスティング・サテライト3aというものを打ち上げて、放送の実際の段階に入ろうとしておるわけでございますが、ちょうどその一九九〇年四月一日から大阪で花の博覧会が実施されますので、むしろその花の博覧会の実施に合わせて何とかこれの放送ができないものだろうかという希望をも私は実は申し述べているような次第でございまして、今川原会長からお話がありましたように、いずれはこれは相互性を持ったテレビになりますでしょうから、地域の活性化に大きく貢献をすると。現物のものを現物のように見せる画面にいたしましたら、この情報化の何といいますか、達成をいたしたいと思っております郵政省的な感覚から見ましても、地域と中央を直結する、距離とそれから時間をゼロ化するという効果に大きな貢献をするのが私はハイビジョンであるという希望を持っておるわけでございまして、この問題に関しては、懸命にひとつこれがソフトを充実させること、それから、お話のありました海外とのこのハイビジョンを、EC諸国とかそれからアメリカとの間におきまして、あつれきのないような外交的な政策もあわせてとってまいりたい。  一日も早くハイビジョンが一般家庭に普及しますように、郵政省といたしましては実はハイビジョン貯金というのも始めておりまして、このハイビジョンが一般普及するときには五十万円ぐらいになるのではないか、そのときに買いやすくしていただくために今から貯金を奨励しておるということもつけ加えておきます。
  72. 大森昭

    ○大森昭君 大先輩のお二方がもう質問されておられますから、ダブらない範囲でやりたいと思うんですが、会長、さっきの一万五千人体制、最終的にはよく労使で話し合ってということで、結論はいいんですが、どうもその前に御答弁された方は、順調に進んでいますとか、それから一万五千人にこだわらずにもっとできれば人を減らしてもいいんだというようなニュアンスに私は聞こえたんですが、私が今さら言うまでもないんでありますが、事業運営というのはやっぱり人が大事でありまして、私がNHK予算で一番気に食わないところが、この何名減らすとか賃金が幾らですという、これが一番私の気に入らないところなんですよ。  NHK予算に反対したいぐらいなんですけれども、少なくとも労使の関係で、やっぱりある程度詰めてから——一方的に順調に進んでいるとか、少なくともこの場で、何かさっき一万四千とか七千とか言ったかなという気もするんですが、そういうようなことでは大変困るんでありまして、なぜかといいますと、例えば番組の制作でも大部分を外部委託にすれば何人だって人は減りますよ、そうでしょう。もちろん委託したものが悪いとは一概に言いませんが、しかし、主としてNHK公共放送を守るために受信者の協力を得なきゃいけないし、いい番組を送らきゃやいけないし、そうでしょう。そこがなかなか民放とは違うところなんですよ。それで、働いている皆さん方に活力を持って働いてもらうという、これ三本柱なんですよ。にもかかわらず、何か人を減らすものは順調にいっていたり、あるいは一万七千か八千でもまだいけるように聞こえたんですが、そう言われなかったですかな。
  73. 植田豊

    参考人(植田豊君) 先ほど私がお答えをいたしましたので、一言申し上げるのをお許しいただきたいと思います。  私どもが労働組合の理解なしにこの効率化を進めておるということは全くございません。この千四百五十人、今日までの純減に関しまして、すべて労働組合と十分に協議をしながら今日に至っております。もちろん組合の立場といたしましては、労働者の権利を守るという立場がごさいますけれども、私どもとしては、組合と今後とも十分話し合いながら効率化努力をいたしたいと思っております。  なお、この効率化は、単に人を減らすということをもってよしとしているわけではございません。今日まで減らしながらなおかつ衛星放送、ハイビジョン等の新しいメディアへのチャレンジもしてきておるわけでございます。減らすべきところは思い切って減らし、必要なところには人を充てるという重点的な人の配置を今後とも注意してまいりたいと思っておるところでございます。
  74. 大森昭

    ○大森昭君 だから、そういうように言えばいいんですよ。労使でいろいろ協議をして、大変難しい事業運営だけれども、お互いにやっていますと言えばいいのに、さっきあなた、何かそういう前段なしで順調にいっていると言うから、勝手に人を減らして番組の——だって、外部委託だってもう既に現在八%ぐらいになっているんでしょう。この予算書でどういうぐあいになっているのかわからぬけれども、六十三年度も外部委託のことについてはややふやそうという内容なんでしょう。そのことはきょうはもうこれでいいですけれどもね。だから、そういうように人を減らすために何かいろいろ外部に委託をしたりなんかするだけが果たしてどうかなという気持ちがありますから、よくひとつ話をしてもらいたいと思うんですよ。  これを読みますと、会長ね、さっき給与につきましては適正な水準を維持することとしておりますと、こう言うんだけれども、私も随分会長には毒舌をついた方ですが、会長も民放との格差については最大努力をしたいということで、最近は少し格差については努力していただいているんですが、どうかひとつここに書いてありますように、予算は一応のことで組んでありますけれども、どうかひとつ賃金も正直に申し上げまして、それはいろんな会社がありますけれども、民放と比較しますと、そんなによくないんですよ、きょうは一々やりませんがね。ボーナスなんかがっぽり入るんですから、民放の方は。いや正直言って。ですからその辺のところは、いろいろ公共事業でありますから何もかも一緒というわけにはいかないと思うが、ここに書いてありますように、「適正な水準」というのは、産業別に比較をしますと、大体民放の方々が基準ですよね。まさか郵政職員と適正な水準を保つわけじゃないんでしょうから、そうでしょう。そうすると、民放の方々の賃金は一体どのぐらいかと、我がNHKはどのぐらいかというような比較が第一ですよね。だからぜひひとつ今後も適正な水準を保つように努力をしていただきたいと思うんです。  そこで、実は放送番組についてもいろんな意見がありまして、相撲の番組三時間なんて必要ないじゃないかと言ったら、私怒られてね、相撲が嫌いですかなんて、終わってから言われたですよ。質問が終わりましたら、先生は相撲嫌いなんですかと、嫌いじゃないんだけれども、まあ三時間もやる必要あるのかねと言って怒られたわけですが、そこで今、大木先生からも話がありましたけれども番組は確かにそうなんですね、いいと言う人がいる反面、また悪いと言う人もいるんですね。これは非常にその人によっては大変なんですが、そこで視聴者会議などを開いて、比較的N HKの場合には視聴者意見を吸収していると思うんですけれども、吸収した結果というよりかも吸収の仕方といいますか、例えば従来と変わったことはあるんですかね、六十三年度は、番組について。
  75. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 先生の御質問は、視聴者の意向がどのように番組編成に反映されているかということかと思いますが、私ども視聴者会議を初めといたしまして、番組審議会あるいはモニター制度というようなものもございます。そういったパイプを通じていろいろ視聴者の意向を承っているわけでございます。特に番組審議会につきましては、番組編成の前と後に詳しく番組審議会のメンバーの方々に御意見を伺っております。特に中央番組審議会では、これが番組審議会として、私ども会長から諮問する事項になっておりまして、そういう意向が十分反映されているものと私どもは考えております。
  76. 大森昭

    ○大森昭君 けさ、実は夕べから国会がもめてましてね、NHK予算は日切れ法案だし、どういうぐあいになるかなと思って、朝ちょっと六時のニュースで何か言うかと思って、リモコンをぱっぱぱっぱとやりましてね、ところが、私は五時五十分にやったものですから、一番はガーガーガーガーといっているんですよね。三番は何も映らないんだね。あとの番組は全部やっているんです。四以下全部やっていました。そうすると、これは長い伝統で、大体朝が早いのがいいかどうかというのは、僕は実は朝ね、ほかの番組と同じぐらいな時間にやってもいいんじゃないかなという感じはするんだけれども、しかし、とにかく一番初め六時からニュースが始まるでしょう。あの辺のところは、きょうリモコンでこうやって、一と三がガーガーで、あとずっとやっているんだけれども、何か特別意見なかったですかね、そういうのは。
  77. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 放送時間の延長につきましては、朝早くしてほしいという要望と、もう少し夜遅くまでやってほしいという要望がございます。また、これは若干世代によって違うようでございます。若い人は夜遅くまでやってほしいと、お年を召した方は朝早くというように要望が分かれております。  この問題につきましては番組審議会でも諮りまして、いろいろ議論をしてまいったわけでありますけれども、六十三年度につきましては、朝六時から二十四時までということで、今年度同様にしたわけでございます。
  78. 大森昭

    ○大森昭君 そう言われると思ったから——私は言われているんです、あの人たちから。そう言われると思ったから私は言ったんですよ。朝五時五十分にやったんですよと、リモコンで全部一から三から四からやったら、ほかは全部やっていて、あなたのところだけやってないんだから。だから、年がとっているとか若いとかいう問題じゃなくて、平均からすれば変わっているんだから、NHKの方が。だからどうかなということを言ったんで、余りそう簡単に言わないで、ほかのところがやっているんなら、それは恐らく、正直に申し上げますとね、僕ら悪口言いたくないから余り言わないんだけれども、すべてのことが、NHKがいいわけじゃないんですよ、番組だって。正直に申し上げますと。朝六時のニュース聞くでしょう。七時のニュース聞くでしょう。ちょっと変わったことあるかもわかりませんが、全く同じですよ。だから、僕はあえて七時なんかは、もう民放の方を見るんですよ。そうすれば、例えば民放だって、ちゃんと新聞に出たことについて一々解説したり、だから余り、それは全体としてはどうか知りませんが、個々の番組からいけば、そうね、NHK番組はいいなんて思っていてやっておったんでは受信料入らなくなるから、僕は心配して言っているのは、一般的な基準からいって、五時五十分に一から十二までやったら、二つだけがガーガーガーガーいって映らないんだから、まあ考えてもいいんじゃないでしょうかと、こう言っているわけです。  それから、これも問題なんですけれども、「衛星放送については、その特性を生かし、」「魅力ある番組を編成して、」というのはまだいいんですよ。これ、「地上放送とは異なった」と言うんですね。何か知らないけれども地上放送衛星放送の見ている比率というのは、今圧倒的に地上放送が多いんでしょう。だから、これきょう聞いてわかったんだけれども、この間のオリンピック放送は、衛星放送の方が終始一貫放送していて、地上放送は抜粋でしょう。違いますか。
  79. 尾西清重

    参考人(尾西清重君) 先生の御質問はカルガリー・オリンピックのことだろうと思うんですが、私どもの編成では一応サラエボ、前回の冬季オリンピックのときよりは三十時間ぐらい多い番組編成をしております。サラエボのときは四十一時間でございましたが、今回は七十一時間編成をしております。それから生中継につきましては、サラエボと今度のカルガリーでは場所が違います、また時差がございますので、非常に中継しにくい時間ではございましたけれども、サラエボを上回る時間を生中継しております。  ただ、黒岩選手の五百メートルの競走のときにわずか二分間番組を中断して放送したことについて、予告が足りなかった、あるいはもっと長く見せてほしかったという御希望がございましたことを申し添えておきます。
  80. 大森昭

    ○大森昭君 衛星放送普及するためにいろいろやっていることはわかるんですよ、その意味合いもね。だけれども、今圧倒的に地上放送放送されていて、何かコマーシャルないと言ったって、しばしば入りますよ。衛星放送が非常によくて、何か知らぬけれども、僕は持ってないせいか、ひがんで言うわけじゃないんだけれども、きょうのあれ見ても、何か衛星放送は魅力あって、地上放送は魅力ないとは書いてないけれども、やっぱり衛星放送も大事だけれども、余り衛星放送普及するために衛星放送ばかりに、さっきの話じゃないけれども衛星放送というのは本来有料で、これから取ろうというんでしょう、これから先は。今無料なんだから、衛星放送はまだ悪くて地上放送がよくていいんだから、ちょっと言い過ぎかもわからぬけれどもね、と私は感じますよ。  それから、さっき非常に力強く、星には事故がないと言われましたね、会長さんのお隣の方で、中村さんがね。だけれども、私の調べによると、この間起きた事故、十二月に起きたのに、これ二月に発表しているんですな。そういうのを見ると、何か事故が起きたやつをすぐ発表すると、どうも放送衛星がうまくいかないんじゃないかという誤解があるから、ある程度の、あれはいじくるわけにはいかないんでしょうけれども、調整してから二月に発表と、だから三カ月もおくれているんですよ。そうすると、あなたは何か自信たっぷりに、もう故障なんてないということを言われますが、どうも私どもはちょっとね、前にも例があるし、そういう発表の仕方も、三カ月もずらして発表しているような状態を見ますと、必ずしもどうかなという気持ちを持つんですが、それは少し心狭き男になるでしょうか。
  81. 中村有光

    参考人(中村有光君) 先生がおっしゃるとおり、起きましたふぐあいというのは、衛星の状態を地上の方へ伝えてくるテレメーターというところの問題でありまして、これは直ちに通信放送衛星機構というところが、二つあるうちの一つから片側、もう一つの方へ切りかえたということで、切りかえて、先ほど申し上げましたように十分安定に運用できていると。その切りかえた状態の後の状況を見ると同時に、壊れた方の状況というのがどういう状況なのかと、ある程度観察するということがあったと思います。  私どもは通信放送衛星機構というところから報告を受けまして、そこでの調査の状態ということで、その発表の仕方ということについては、NHKというよりは、むしろ通信放送衛星機構並びに宇宙開発事業団の方なんでありますけれども、本質的には起こったことをその程度に応じて皆様にお知らせするということは、もう先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、その辺のどの程度の問題をどういう時期に合わせてやるかということは関係者の、特に宇宙開発委員会の方の調査の状 況ということに大変かかわる問題で、若干そういう意味では手続的に時間がかかったというふうに聞いておりますけれども、大変大きな問題だったからおくれたということじゃなくて、私は逆のケースだったというふうに考えております。それほどでもないというと大変語弊がありますけれども、そういうもともと二つあるものの、二つ用意してあるので、それを片側に切りかえていくという問題という意識でその処理をされているというふうに思います。
  82. 大森昭

    ○大森昭君 ちょっと僕にはよくわからないけれども、それほどでもないから延ばしたんですか。いや、それほどでもなければ発表しなくてもよかったんじゃないかという気もするんだけれども、まあそれはいいですけれどもね。  それで大臣、いずれにしてもNHKというのは、ある一定のやっぱりことしかわからないところがあるわけですが、放送衛星機構だろうが宇宙開発事業団だろうが、郵政大臣権限あるわけだから、その発表の仕方は今言ったようなことでいいと仮にしてもですよ、しかし、やっぱりどんなに細かいことであろうと、どういうささいなことであろうと、少なくとも郵政省が把握しなきゃそれは困るわけですよ。これは問題が起きたら、それは発表の仕方だけで今中村さん言われていますけれども、これは発表の仕方だけの問題じゃないですからね。たまたま大きな事件にならなかったからよかったけれども、もしかあなたのところの判断でもって三カ月もおくらして、それが大変なことだったら、大変な責任ですからね、今の場合はいいとしてもですよ。だから、郵政大臣はそういう大きな視野で、少なくともあらゆる情報が郵政省に入って判断できるようにしてもらいたいのですが、今日現在では、大臣としては大体うまくいくという自信はあるんでしょうか。
  83. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) BS2bというのが故障したということでございますが、何か推進力を微調整する、燃料を吹きつけるところが少し痛んだようでございます。それをすぐ補完するものに切りかえたそうでございますので、今中村さんの御答弁にありましたように、大したものでないという意識が、報道機関がそれを取り上げたところから、何か隠していたような印象があるかもわかりませんが、補足して局長から技術的な話はおっしゃっていただいたらいいと思いますが、そういう補完をするものを初めから予備的につけておりますので、全くこれ放送をいたしますのには御心配がないというような私は報告を受けておりまして、意識的に発表の時期をずらしたとか、そんなことはないと私も信じたいと思います。
  84. 大森昭

    ○大森昭君 まあ、ハイビジョンの問題もさっき出ましたし、協会もこれから何やかんやと大変新しい分野努力しなきゃならない点もあるんだろうと思いますが、どうかひとつ働いている人たちの意見も十分聞いていただいて、新しい分野にひとつ邁進していただくことを最後にお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  85. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会