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糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました
地方交付税法の一部を改正する
法律案につきまして反対の討論を行います。
以下、主要な反対理由を述べます。
第一には国民健康保険制度の改悪が挙げられます。
国民健康保険制度は国庫負担と保険料をもってその費用を賄うことが制度の根幹でありますが、政府は近年、国庫負担率の引き下げ、さらに退職者医療制度創設における加入者見積もりの誤りなど
地方自治体に多大な
財政負担をもたらし、なおかつ今
国会において提出、
審議されている国民健康保険法改正案においては都道府県負担制度の創設及び
市町村負担の強化を図ろうとしております。
この改悪により六十三
年度において新たに都道府県四百四十億円、
市町村二百五十億円、計六百九十億円もの負担転嫁を行い、このうち交付団体分五百五十億円を
交付税に特例加算するとしておりますが、これは医療制度の充実という課題を放置したまま単に
地方への
財政転嫁を図るものであり、
交付税制度をねじ曲げるもの以外の何物でもありません。
また医療費適正化プランを作成し高額医療費団体についてはその団体負担とする計画を策定しようとしておりますが、かかる
方針を実施するのなら多くの団体において多大な負担増となることは明らかであります。我が党は、国の責任の明確化と国庫負担の充実、そして退職者医療制度にかかわる今後ともの国の
財政補てんを強く要求いたします。
第二に国庫負担率のカットの問題であります。
六十三
年度政府
予算案においては、特例国債発行を昨年策定の
財政の中期展望を上回って一兆八千三百億円減額し、その一方において国庫補助負担率の特例については六十三
年度においても一兆六千五百六十九億円にも至っております。
もともと国庫補助負担率の特例は国の
財政再建、縮小均衡
財政を根拠として実施されてきたものであり、今日においては中止すべきであります。
福祉も教育もこのカットの悪影響を受け、住民負担の増大とサービスの切り下げ、教育環境の後退等が顕著に進行していることは
地域の経済社会にとって最大の脅威となっております。六十四
年度においては約束どおりこの特例は廃止し、国庫補助負担率を復元させることをことしの夏の概算要求時において明確にし、
地方債の増発にかかわる償還財源については国が責任を持って補てんするよう強く求めます。
第三に、
地方財政計画も
交付税制度も大きく変質していることを挙げなければなりません。
地方財政計画は、
地方財政の財源保障のための計画から
地方への
財政負担転嫁の穴埋めのためのつじつま合わせの計画に堕落し、
財政の単
年度主義は根底から崩壊し、
地方財政は継ぎはぎだらけとなっております。
地方財政において二年以上にわたり財源不足が一割程度以上生じた場合においては税目の拡充や税率の引き上げを行うという
趣旨で定められている
地方交付税法第六条三の二項の規定も、負担転嫁と
地方債の増発によって死文化していると言っても過言ではありません。
五十年代以降財源不足の大半は
地方債の増発で賄われ、今日その傾向はますます強くなりつつあります。この結果
地方団体の公債費負担比率は上昇の一途をたどり、負担率二〇%を超える団体が一千団体にもなっています。またこうした結果六十三
年度末における
地方の借金は約六十七兆円にも膨らみ、六十三
年度交付税交付総額も、その実額は既往の借金の利子充当などにより法定税率に基づく金額を割っております。
地方財政は六十三
年度収支均衡とされておりますが、実際は、不況対策、一雇用対策もままならず、行政ニーズの拡大にも的確に対応できなくなっております。まさに
地方財政の収支均衡はつくられたものにほかなりません。
以上、六十三
年度における
地方交付税法一部改正案の問題点の骨格のみを
指摘いたしまして、反対の討論を終わります。