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神谷信之助君
地方団体の要請に基づくというチェックがあるというようにおっしゃるんだけれ
ども、例えば
東京の森ビルによる赤坂、六本木の都市再
開発事業、これは組合施行で六十一年の四月に完成して、インテリジェントシティーアークヒルズというんですか、そういうものができたわけでしょう。これは
東京都も補助金を出しています。ところが実際できたけれ
どもそれは住民にとって一体どういうことになったのか。再
開発の前には五百人余り権利者がいたわけです。ところができ上がってみると残ったのは五十人ぐらい、結局権利者棟に入居できた住民はわずかに三十世帯で残りは全部追い出されている。
だから自治体が要請をするといっても、先ほどおっしゃったように
民間活力の活用だ、再
開発だと言ってそういう大手のデベロッパーの
計画を自治体自身が支持をしてそしてやっていったらこれはどういうことになるか。そこにはビルができそういう町ができて、そこに今まで住んでおった人たちはみんな追い出されてしまう、こういう状況になるわけです。そこに住んでいた住民がそのまま住みやすい環境がつくられていくという状況じゃない。
土地開発公社が
先行取得する
土地は、それを利用することによってその
地域に住んでいる人たちの環境がよりよくなり住みよくなっていくということで初めて
先行取得をして、そして公園ができ道路ができ、あるいはいろんな施設ができる、それをこの
法律自身も期待をしねらってい
るわけでしょう。ところが、今までこの
法律がなくてもそれができた、森ビルの六本木の再
開発のように。今度これを
改正したらもっと大きな顔をしてどんどんやられるという事態になるでしょう。
全国で
事業の完了した都市再
開発の借家人転出率というのは、組合施行の五十五地区で五七・八%、公共団体施行の四十二地区で六六・二%という数字もあります。だから結局そこに住んでいた人たちが追い出され、歴史ある町が破壊をされていく。どこへ行っても同じような町がつくられていく。
地方の比較的大きな都市ではそういう状況にしかならない。そして後に残っているのは、それに参画し入り込んだ森ビルを初め大きなデベロッパーが大もうけをすることだけ、こういう状態になる。まさにそういう道をこれがさらに促進をし誘発をするそういう今度の
改正になっているんじゃないのかという点が一つです。
もう一つは、先ほ
ども話がありましたが、運営に対する
主務大臣の監督権限の
拡大の問題です。今度、運営の健全さの確保ということで
業務是正の命令を出すことを設立団体に対して求めることができるということになっています。先ほどの答弁を聞いていますと、
大臣がそういうことを直接やるよりも
都道府県知事がまず第一にやるので、よっぽどのことでなければ
大臣はという
お話でした。
知事さんがやるにしても、保有地が長期にわたって残っている、そしてそれをできるだけ効果的にやりなさいと言って、先ほどの答弁では駐車場とか運動場とかあるいは貸し事務所ですか、そういう形でやっているという
お話でしたけれ
ども、これができますとだんだん今度、そんなむだなことはするなということでその
土地をもう売りなさい、処分しなさいという問題がどんどん出てくる、健全な運営ですからね。その
地域に住んでいる住民の意思いかんにかかわらず、知事さんが全県的あるいは
全国的な角度からの必要な
開発計画に基づいて、その自治体の持っている、あるいは自治体が設立団体である
土地開発公社の持っている
土地を提供させるということが可能になるわけでしょう。
私はこの点では、先ほ
ども言いましたように
国民生活に必要な施設用地の
取得がますます困難になっているときに、そういう遊休地の効果的な利用という名目を口実にして逆に大資本の
土地利用に貢献をする、そういうことに使われるということになるに違いないというように思うんですが、そうならないという
保障はどこにあるのか、歯どめはどこにあるのか、この点はいかがですか。