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政府委員(
矢野浩一郎君) 多くの項目にわたりましての御質問でございますが、まず最初に
消防団員の減少の原因をどう考えておるかということでございます。
昭和五十九年十二月に
消防庁内にこのための
検討委員会を
設置いたしましてその減少原因についての分析
検討を行ったわけでございますが、やはり御
指摘のようなことでございます。高度成長時代に都市への著しい集中が見られましたけれ
ども、
消防団はもともと
地域社会に基盤を置くものでございましていわば地縁的な性格が強い。そこへもってきて農山村部では人口
流出、特に若年層の激減によりまして団員も減少したわけでございますが、逆にそれが流入いたしました都市部におきましては、これは人口がふえたにもかかわらず団員数はやはりふえなかった、こういうことでございます。
またいわゆるサラリーマン化に伴いまして職住分離が進み、昼間その住んでおる町にはいない、どこかに勤めに出ておるというような
人たちが多くなったことによりまして
消防団員の減少が進んできたということ。また社会の一員としての役割意識というものが昔ほど強くなくなってきた、希薄化してきたということにも
消防団員の減少の大きな原因があろうかと思います。
そこで
消防庁といたしましてはこのような傾向に対応いたしまして、やはり
消防団というものはこれはボランティア活動の代表的なものでございますので、そういったボランティア活動が
地域の防災に大きな役割を果たしておるという
観点からその活性化を図る必要があるということで、
昭和六十一年度、六十二年度の両年にわたりまして国庫補助事業としての
消防団活性化モデル事業を
実施したわけでございます。
このモデル
実施市町村の
状況を見ますと、それぞれ工夫を凝らしまして団活性化のためのいろいろな総合的
対策を
実施しております。
消防団拠点
施設の
整備であるとか、あるいは無線機器、安全装備品の
整備とか教養研修用資機材の
整備、こういったようなことを行っておりまして、これらの点において団員の士気高揚が図られまた出動率が上がるというような経過が見られた、こういう
報告をそれぞれ
実施をしました市町村から受けておるわけでございます。
そこで、これはモデル事業として
実施したわけでございますが、このモデル事業をさらに全体に及ぼすために、
昭和六十三年度からは新たに
消防団活性化総合
整備事業ということで全面的にこれを行うことにいたしておるわけでございます。この考え方につきましては、モデル事業で得ました経験をも踏まえまして、
内容的にはモデル事業と比較的同じものが多いかと思いますけれ
ども、一つは教養研修面つまり
ソフト面の充実、それから
消防団活動に必要な
施設とか装備の強化というハード面、こういうものを
内容とした総合
計画を、これは市町村の自主的な発想による創意工夫をできるだけ期待してつくっていただきまして、これに対して国庫補助を行うということによりまして
実施をしてまいりたいと考えております。
そのほか
消防団員の手当等処遇の問題についてのお尋ねもあったわけでございますが、これは国におきましては従来より地方交付税で所要額を詳細に規定して
措置をしておるところでございますし、また毎年その引き上げに努めておるところでございまして、本年におきましても若干ではございますがこの引き上げを図ったところでございます。
ただ実際の支給につきましては市町村が条例でそれぞれ決めます。いわゆる団員の報酬につきましては交付税で決めましたものと余り違いはございません、平均的に見ますとほぼそのとおりに
措置されておりますが、出動手当につきましては実
は交付税の
措置額と実支給額との差がかなり大きゅうございまして、実支給の方が小さいわけでございます。これらにつきましてはやはり重要なことでございますので、市町村に対してもその改善を行うように、あるいは都道府県の
消防主管課長等に対しましても十分
指導を行うように私の方からもたびたび申しておるところでございます。今後とも努力を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。