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神谷信之助君 もう時間が余りありませんからなんですけれ
ども、かつて五十六年の五月二十六日の当
委員会で、一番最初にこういう減免
措置がずっと広がっていった時期に論議をしたことがあります。当時石原さんや土屋さんが御答弁なさったわけですけれ
ども、その当時は、何といいますか、減免
措置をする特別の事由について、四十九年から五十年ぐらいまでの解釈では、
負担能力のない者、そういう事態が起こってそういう状態になった者などを
対象にするというのが
地方税法解説書の中には書かれていたんですね。これは石原さんなんかが書いています。五十年から以降ぐらいの解説書にはそれが幅広くなってきて、もっと拡大解釈ができるように文面が変わったという点を取り上げてやっているんです。
そのときは、減免
措置は
条例に基づいてやらにゃいかぬのだけれ
ども、包括的
条例が多くて、あとは要綱とか規則というのが圧倒的に多かった時期ですね。今は
条例化しているところがずっとふえましたが、あのとき取り上げた大阪の市長会の問題や、それから茨城県やいろんなところは規則あるいは要綱でやっていて、
条例は包括的な規定しかなかった。今はずっと
条例化している。そういう
状況にはなってきています。しかし、そういうものを認めざるを得ない、それは
市町村の実態でありますからそうせざるを得ないんだという答弁なんですよ。
それで実態はどうだったのかといったら、当時解放同盟を中心にして
要求闘争が広がり、そして差別糾弾が広がっていくという
状況の中でそうやらざるを得なかった。一面同対審の答申で、地域における社会的経済的劣悪な条件の改善というやつがあって、それと相まって片一方ではそういう運動
団体の行き過ぎといいますか不届き至極な行為があった。そういったものが十八年間経過をしてこういった
意見具申が出てくる
状況が起こってきたわけでしょう。
その
意見具申の中でこう言っていますね。「
地方公共団体の主体性の確立については、国は、積極的な助言、
指導を行うべきである。」国の責任は回避することは許されないという
趣旨の強い文言が入っています。これは私はそのときから
指摘をしていたんだけれ
ども、
市町村の自主性だということで、現実には現場ではもう締め上げられて困っているのを、自主性やからおまえさんらひとつ頑張りなさいという程度にしか言えない。そういうものに対して
自治省自身が、あるいは総理府の同対室も含めて国自身が、そういう点で毅然とした態度をとれない。そういう状態が各地で、縁もゆかりもないのに四百万も金を取られた、大分県のある町なんかそうでしたね、四百万円もばっとふんだくられるというような事態が起こってくる。こういった
状況がだあっと広がったわけでしょう。
だからそういう歴史をふまえて、今度は
地方公共団体の主体性の確立については国は積極的な
助言指導を行うべきだというように
指摘したいと思うんですよ。さっき議長の御招待のパーティーで環境庁長官の堀内先生と
お話ししておったんだけれ
ども、やっぱりこの問題を解決していく上では、
市町村が本当にしっかりしてくれればもうほとんど解決するんだと先生はそうおっしゃっていましたけれ
どもね。そうすると、
市町村がしっかりしようとすれば、
自治省がその点で本当に適正なそういう
指導というものを自治体任せにしないで
考えなければならぬというように思うんです。
これは単に行政的にできるわけじゃありませんから、大臣、この問題は本当に江戸時代以来の歴史の古い問題です。しかし差別をいつまでも許しておくわけにはいかぬ。経済大国日本だと言われながらこういった不当な差別がいまだに温存されていることは許されないし、今起こっておるような現象を許すということが新しい差別を生む、それを助長する要因になっているという
指摘もされているわけですから、ひとつ自治大臣、この点について大臣の政治的識見も踏まえて決意のほどをお伺いして、もう時間ですから質問を終わりたいと思います。