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説明員(浅見敏彦君) いわゆるふるさとづくり財団につきましての
大蔵省の反対理由といいますか、見解を述べよとの御質問でございます。
まず、地域活性化の重要性という点につきましては、ただいま
自治省御当局からも御
答弁がございましたし、また
梶山自治
大臣を初め竹下内閣において大変熱心な取り組みがなされておるところでございますように、今日の我が国にとりまして多極分散型の国家を目指していくということ、すなわちいわゆるふるさとづくりを進めていくということは、私ど
もといたしましても極めて重要な課題である、かように認識をいたしております。ただ、御質問のこの財団構想というものにつきましては、実は大変大きな問題が数多くあるというふうに
考えております。せっかくの御質問でございますので、幾つかの代表的な問題点につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。
まず第一に、政策金融との整合性を損なうという点でございます。
御
承知のように、地域活性化のための政策金融といたしましては、まず開発銀行あるいは北東公庫、中小公庫などのいわゆる
政府関係金融機関がございまして、それぞれの根拠法及び予算等によりまして定められたところに従い、政策目的に沿った出融資を行っておるわけでございます。さらに、ただいまお話のございましたいわゆる
地方民活、すなわち地域活性化のための最近の
措置といたしましては、御高承のように、昨年十月に民間都市開発推進機構というものが設立されまして、開発銀行を通じる低利融資制度が発足いたしております。また、昨年五月でございますが、産業基盤整備基金というものがやはり法律に基づき設立されまして、さまざまな債務保証あるいは出資、
利子補給等を行っておるわけでございます。
これらはいずれも法律に基づきまして、政策金融全体としての整合性を保ちながら、間接的な融資を行うといったことなどを行っているわけでございます。さらにはNTTの無
利子融資制度が法律に基づきつくられ、開銀等を通じまして地域活性化融資を行っておりますことは御高承のとおりでございます。
このように、政策金融の諸制度は国会におきます貴重な御審議を経ましたそれぞれの法律に根拠を持っておりまして、その対象ですとか金利あるいは融資の方法などにつきまして、政策の重要性に応じてそれなりのバランス、整合性、あるいは体系というものができているというふうに
考えているわけであります。その理由と申しますのは、これらの制度が原資といたしまして国民の貴重な貯蓄、資産等を使っているということとともに国民の税金も使われるということで、我々国民の
負担につながっているからである、かように
考えておるわけでございます。
ところが、ただいま御質問の本件財団につきましては、
自治体が独自に、全国に一つ民法三十四条の法人としておつくりになるという構想と承っておりまして、しかも極めて広範な対象分野について無
利子融資を行う制度であるというふうに
承知をいたしておりますので、法律または予算という形での国会での御審議ですとか、あるいは
予算編成過程を通じる
関係省庁間の調整という手続が基本的にはなかなかとられないといった点で、手続的にも実態的にも既存の政策金融との整合性が保たれ得ない制度になってしまうのではないか、かように
考えているわけでございます。
それから第二でございますが、行
財政改革の精神に反するのではないか、あるいは議会制民主主義のルールに
もとるのではないかというようなことも御
指摘をさせていただいております。
と申しますのは、本件財団は、
地方債の
起債あるいは
交付税措置など国の制度ですとか国民の税金を使って長期低利融資を実現するための組織でございますから、その本質はいわば地域開発銀行という政策金融機関をつくろうというものと
考えてもいいのではないかと思うわけでございます。ところがそのような組織を、法律に根拠のございます特殊法人または認可法人、あるいはいわゆる指定法人というようなものもございますが、そういったものではなく単なる民法上の財団法人としてつくるということは、内容的にはそれらと何ら変わらない組織を事実上国会でのチェックなどの手続を経ないでつくるということに相なりまして、行
財政改革の観点からも、あるいは
財政に関する議会のチェックと申しますか、
財政民主主義のルールからも大きな問題ではないかなと、かように
考えているわけであります。
ちなみに、本件構想のような広範な対象に対しまして直接低利で融資する財団というようなものは、現在まで我が国には全く例がないと
承知しております。
その他、例えば、個々の民間営利
事業への転貸のために
地方債を
起債いたしまして、その利払いを
交付税で
措置するというようなことが果たして妥当かなというような問題点も
指摘されているところであります。
以上、時間がございませんので若干の問題点の例示にとどめさせていただきますが、いずれにいたしましても、本件構想につきましては極めて問題があると
考えておりまして、今後、地域活性化のための政策金融上の
措置に関しましては関係各省ともよく御相談し、
政府部内における十分な調整が必要である、かように
考えている次第でございます。