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1988-05-24 第112回国会 参議院 大蔵委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和六十三年五月二十四日(火曜日) 午前十時四分開会 ─────────────
委員
の異動 五月二十日 辞任
補欠選任
田 英夫君
野末
陳平
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
村上
正邦
君 理 事 大浜
方栄
君 梶原 清君 藤井 孝男君
志苫
裕君 多田 省吾君 委 員 井上 裕君
大河原太一郎
君
河本嘉久蔵
君
斎藤栄三郎
君
斎藤
文夫君 坪井 一宇君 福田 幸弘君
矢野俊比古君
山岡 賢次君 山本 富雄君 鈴木 和美君 丸谷
金保
君 本岡 昭次君 塩出
啓典
君 和田
教美
君 近藤 忠孝君
吉井
英勝
君 栗林 卓司君
野末
陳平
君
国務大臣
大 蔵 大 臣
宮澤
喜一
君
政府委員
大蔵政務次官
佐藤栄佐久
君
大蔵省証券局長
藤田 恒郎君
大蔵省銀行局長
平澤 貞昭君
大蔵省国際金融
局長
内海 孚君
事務局側
常任委員会専門
員
保家
茂彰
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
証券取引法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
金融先物取引法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○新
大型間接税
の
導入反対
、
マル優
の
存続
と
国民本位
の
税制改革
に関する
請願
(第六一
号外
三六件) ○
大型間接税
の
導入反対等
に関する
請願
(第七七
号外
三六件) ○新
大型間接税
の
導入反対
に関する
請願
(第一四七
号外
一件) ○
大蔵省財務局
の
大幅増員
に関する
請願
(第一四九
号外
二件) ○
大型間接税導入反対
に関する
請願
(第三八六
号外
五〇件) ○
税制改革
に関する
請願
(第六一三号) ○新
大型間接税
の
導入
を取りやめ、
大幅減税
の
早期実現
に関する
請願
(第九九二
号外
一三件) ○
大型間接税
の
導入反対
、大幅な
所得減税
に関する
請願
(第一三四〇
号外
二件) ○
新型間接税導入反対
に関する
請願
(第一四六六
号外
一〇件) ○
税制
の
抜本的改革
に関する
請願
(第一六八四
号外
三件) ○電波による
たばこ広告廃止
に関する
請願
(第一七〇一
号外
一五件) ○未婚の母への
寡婦控除適用
に関する
請願
(第一七四四
号外
一件) ○
コインロッカー事業
に対する
新型間接税
の
導入反対
に関する
請願
(第一九二二号) ○
継続調査要求
に関する件 ○
委員派遣
に関する件 ─────────────
村上正邦
1
○
委員長
(
村上正邦
君) ただいまから
大蔵委員会
を開会いたします。
証券取引法
の一部を改正する
法律案
及び
金融先物取引法案
の両案を一括して
議題
といたします。 両案に対する質疑は、前回終局いたしておりますので、これより両案の
討論
に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
吉井英勝
2
○
吉井英勝
君 私は、
日本共産党
を代表して、
金融先物取引法案
、
証券取引法
一部
改正案
の両案に対して
反対
の
討論
を行います。 まず、両案のうち、
先物市場
の
開設
についてであります。近年のアメリカを中心とする
金融先物市場
の異常な
肥大
は、
ドル危機
を契機とする
変動相場制移行
など、
世界経済
の
危機
と
動揺
によるものであります。しかし、
先物市場
の拡大はその原因となった
経済
の
危機
と
動揺
を何ら解決しないばかりか、
為替相場
、
株価
、金利などの
変動
を一層激しくする一方、
世界経済
の
カジノ化
とも言うべき懸念すべき事態を招来しているのであります。
我が国
において新たに
取引
される
先物商品
は
株価指数
とか、そのオプションなど、
現実経済
と大きくかけ離れた架空の
商品
であり、しかもその
取引
は
差金決済
で行われ、少額の
証拠金
で巨額の金を動かすことができる極めて
投機
的な
市場
であります。
政府
は、リスクヘッジの
必要性
を強調していますが、
投機
とヘッジは
混然一体
であり、極めて
投機色
の強い
市場
になることは避けられません。 我が
国大企業
は近年、財テク、
マネーゲーム
に狂奔していますが、
先物市場
の
開設
は一層この傾向を助長し、
銀行
、
証券会社
はますます
肥大
の一途をたどることは明らかです。とりわけ、
大衆
の
預金
を預かる
金融機関
が
先物取引
に乗り出すことは、
大衆預金
の安全や
信用秩序
の維持の観点から大きな問題をはらむものであります。 第二に、
証取法
の一部
改正案
のうち、
企業内容開示制度
の見直しの
部分
についてであります。
企業内容開示制度
は
証券取引法
の大きな柱をなしており、
投資家
の
投資判断
のためだけでなく、広く
国民
が
企業行動
を
監視
し、その
社会的責任
を果たさせるためにも重要な
制度
であります。本
法案
は
簡素化
の名目で、
発行開示制度
を形骸化し、基本的に
継続開示制度
のみにしていこうとするものであります。しかし、
現行制度
は両
開示制度
ともまだ極めて不十分なものであり、その
充実強化
こそ求められているのであり、これを大
企業
の機動的な
資金調達
を容易にするためという理由で後退させる本
法案
には
賛成
できません。 第三に、
証取法改正案
のうち
インサイダー取引規制
に関する
部分
についてであります。
インサイダー取引
は、一部
会社関係者
による
一般株主
を犠牲にした
不正行為
であり、諸外国でも厳しく
規制
が加えられているものであります。ところが、
我が国
においては、
現行法
でも
規制
できるにもかかわらずこれを全く放置し、
インサイダー取引
や
株価操作
がまかり通っていたことについて、
政府
の
責任
は重大です。この点で本
法案
は、
現行法
に加 えて
インサイダー取引
に係る
法律要件
を初めて明確に規定し、
違反者
に
刑事罰
を科すことにし、あわせて
未然防止
のための規定を整備するものであり、もとより不十分な点もありますが、今後
国会
と
国民
が
監視
を強めるならば一定の効果も期待できるものであり、
賛成
であります。 以上のことから、両案について我が党は、
金融先物取引法
については
反対
、
証券取引法
一部
改正案
については、
インサイダー取引規制関係
は
賛成
でありますが、その他の点で
反対
であるので、全体としては
反対
の態度をとるものであります。
村上正邦
3
○
委員長
(
村上正邦
君) これにて
討論
は終局したものと認めます。 これより両案の
採決
に入ります。 まず、
証券取引法
の一部を改正する
法律案
の
採決
を行います。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
村上正邦
4
○
委員長
(
村上正邦
君) 多数と認めます。よって、
本案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、
金融先物取引法案
の
採決
を行います。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
村上正邦
5
○
委員長
(
村上正邦
君) 多数と認めます。よって、
本案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、
志苫裕
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。
志苫裕
君。
志苫裕
6
○
志苫裕
君 私は、ただいま可決されました
証券取引法
の一部を改正する
法律案
及び
金融先物取引法案
の両案に対し、自由民主党、
日本社会党
・
護憲共同
、公明党・
国民会議
、民社党・
国民連合
及び
新政クラブ
・
税金党
の
各派共同提案
による
附帯決議案
を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
証券取引法
の一部を改正する
法律案
及び
金融先物取引法案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、次の
事項
について十分配慮すべきである。 一
金融
・
証券先物取引等
の
導入
に当たっては、特に
一般
の
委託者
の保護に万全を期するため、その正確な知識の普及、的確な情報の提供がなされるように努めるとともに、過度の
投機的取引
、不正な手段を用いた勧誘、過大な
広告等
が行われることのないよう指導・監督を行うこと。 一
金融
・
証券先物取引等
の
導入
に当たっては、
我が国金融
・
証券市場
が国際的な役割を果たしていくことを踏まえ、適切な条件のもとに
取引
が行われるようその
国際性
に十分配意するとともに、その運用においても遺憾なきを期すること。 一
証券先物取引等
については、先般の
株価下落
の
経験等
を踏まえ、
現物市場
との
整合性
のある管理・運営に努め、もって
現物価格
の安定に資するものとなるよう配意すること。 一
内部者取引
の
規制
に当たっては、その
規制
の対象となる範囲が具体的かつ明確になるよう努めるとともに、
行政当局
、
証券取引所等関係者
において
未然防止体制
の
整価
、
市場監視
・
検査体制
の
充実
に万全を期すること。 一 今回の
企業内容開示制度
の
改善
を機に、
我が国発行市場
の
活性化
を図るため、今後とも
発行市場改革
を推進すること。 右
決議
する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
村上正邦
7
○
委員長
(
村上正邦
君) ただいま
志苫
君から
提出
されました
附帯決議案
を
議題
とし、
採決
を行います。 本
附帯決議案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
村上正邦
8
○
委員長
(
村上正邦
君) 多数と認めます。よって、
志苫
君
提出
の
附帯決議案
は多数をもって本
委員会
の
決議
とすることに決定いたしました。 ただいまの
決議
に対し、
宮澤大蔵大臣
から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。
宮澤大蔵大臣
。
宮澤喜一
9
○
国務大臣
(
宮澤喜一
君) ただいま御
決議
のありました
事項
につきましては、
政府
といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
村上正邦
10
○
委員長
(
村上正邦
君) なお、両案の
審査報告書
の
作成
はつきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村上正邦
11
○
委員長
(
村上正邦
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
村上正邦
12
○
委員長
(
村上正邦
君) 次に、
請願
の
審査
を行います。 第六一号新
大型間接税
の
導入反対
、
マル優
の
存続
と
国民本位
の
税制改革
に関する
請願外
百八十一件を
議題
といたします。 本
委員会
に付託されております
請願
は、お手元に配付の
付託請願一覧表
のとおりでございます。 これらの
請願
につきまして、
理事会
で協議いたしました結果を御報告いたします。 第六一号新
大型間接税
の
導入反対
、
マル優
の
存続
と
国民本位
の
税制改革
に関する
請願外
百八十一件は、保留とすることになりました。 以上、御報告いたしましたとおり決定することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村上正邦
13
○
委員長
(
村上正邦
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
村上正邦
14
○
委員長
(
村上正邦
君) 次に、
継続調査要求
に関する件についてお諮りいたします。 租税及び
金融等
に関する
調査
につきましては、
閉会
中もなお
調査
を継続することとし、本件の
継続調査要求書
を議長に
提出
いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村上正邦
15
○
委員長
(
村上正邦
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 なお、
要求書
の
作成
につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村上正邦
16
○
委員長
(
村上正邦
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
村上正邦
17
○
委員長
(
村上正邦
君) 次に、
委員派遣
に関する件についてお諮りいたします。
閉会
中の
委員派遣
につきましては、その取り扱いを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村上正邦
18
○
委員長
(
村上正邦
君) 御
異議
ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
村上正邦
19
○
委員長
(
村上正邦
君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。
今期国会
、本
委員会
におきまして多少なりとも新味を出せればと努力をしてまいりました。おかげさまで八件の
重要法案
をいずれも
充実
した
審査
を行い、すべて議了することができました。これもひとえに
委員各位
の御理解と御協力のたまものと心から深く感謝申し上げます。 なお、御報告いたしますが、本
委員会室
の
委員席
の
配置等
、
改善策
を進めております。来るべき
臨時国会
には環境の整った第三
委員会室
で
審査
が行えるようになると存じます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時十四分散会