○栗林卓司君 もちろん、この文章
一つ一つは
税制調査会の構成
委員の方々がお書きになったんだろうと思うんです。ただ、私がなぜ申し上げているかといいますと、仮にそうであったとしても、これを納税者、
国民が見るわけでありますから、ああ、これは事実に反するなと思ったら反しておりますと言わなければいけないし、これは改革を急がなければいけないなと御判断になったらその対策を発表されなければいけないし、そういう敏速な対応が必要なのではありませんかという意味で申し上げているのであります。重ねてのことになりますからお答えは求めませんが、私が言っている意味はぜひ御理解をいただきたいと思いますし、こういった点をないがしろにしますと、おっしゃっている抜本的
税制改革にさわりになりますぞということなんですよ。
そこで、この中を拝見しますと、これは
税制調査会とすると随分無理な御
議論をなさっているなと感じている点があるものですから、その点について今度は
政府の御所見を承りたいと思います。
所得税、例えばこう書いてあるんですね。「
昭和五十年代以降、本格的な
所得減税がほとんど行われてこなかったこと等により、サラリーマン世帯の
税負担率は倍増しており、また、給与
所得に対する源泉
所得税の国税収入に占めるウエートも大幅に増大してきている。」、事実私はこうだろうと思うんです。ここに問題点をお感じになって、こうお書きになっているんです。
そこで、これを解決する道なんですが、考えてみると、ことに書いてあるように
昭和五十年代以降、本格的な
所得減税が行われてこなかったから
税負担率が倍増してしまった。これを直そうと思ったら、おくればせながら本格的に
所得減税をやればいいんです。そのときに、いや、減税というのは恒久
財源がなきゃできるものではないなどと言われますと、ちょっとやっぱり
国民の方はけげんな気持ちにならざるを得ない。というのは、
税負担率が倍増だから相当取ってきたんでしょう。取ってきた税金はどこへ行ってしまったんでしょうか。これは全部使っちゃったんです。あの使った分を取り戻しさえすれば減税はできるではありませんか。これは行政の内幕を知らない
国民だから言う勝手な理屈かもしれませんけれ
ども、素朴な納税者の気持ちとすると、そう考えるのが私は普通ではないかと思うんです。
もう一方、個別消費税で
負担するのはもう限界であって、いろいろな
対外摩擦の原因になっておる、こういう記述もあるんですが、それも振り返ってみると、取りやすいところに
税負担を求めた結果としてその
税負担率が高まってきてしまった、これを直すためにはどうしたらいいか。今まで取り過ぎてきたんですから、その分はどこかに回っているんですから、返してもらったらいいじゃないですか。したがって、取り過ぎているんですから、まず減税をしたらどうですか。これが素朴な納税者の気持ちだと思うんです。
そこで、
政府税調が随分無理な
議論をお立てになっているなと思いましたのは、今の給与
所得の
税負担率が倍増になった、あるいは個別消費税に対する
負担がふえてきた、こうしたものに対して、これは一切合財何もかにも
新型間接税を導入すれば全部解決できる幸福な道があるんですと言わんばかりに書いてあるんですが、これを政治の舞台に置き直してみますと、こちらでは
税負担率が倍増です、したがってこれは減税しなければいけません。減税の
財源は
新型間接税。それから個別消費税の修正、これも
税負担を減らします。しかし、その見合いとして
新型間接税。そうすると、
新型間接税と今言っていますけれ
ども、これをわかりやすく言い直しますと、新しい増税をするという意味ですよね。
片一方では給与
所得者に対しては比較して減税、個別消費税の
世界に対してはこれも比較して減税、ところが片一方では増税をする。この減税をされる人と増税をされる人が全く同じであれば、右手でやって左手で取り戻すようなものでありますけれ
ども、全く同じであるわけがない。必ずこれは違うんです。そのときに、あそこで減税になるんだからこっちでは
負担しようじゃないか
という、そんな世論が出てくると御期待になるとしたら、これはよほどむちゃな話です。
所得税の減税
財源としてこちら側に幅広の増税、個別消費税は消費税としてこちらも同じように幅広の増税、こんなことが政治的に成り立つわけはないじゃないですか。
成り立つ場合はどういったことかといいますと、実は従来増税をしたことによって賄ってきた行政サービス、それは何としても必要だから新しい増税を納税者の皆さん承知してください、したがってあの行政サービスは維持をいたします、ことにコンセンサスがあれば別ですよ。ところが、そんなコンセンサスがあるわけはない。
そうなりますと、いかにも理屈で考えて、片一方で減税するんだから見合いは恒久
財源、したがって皆さんに広く
負担していただいたのはいかにも理屈にかなったような
議論に見えますけれ
ども、情においても理においても全然これは通らない。通らないとみんなが感じ始めたから、今何を言っているか、とにかく延ばせや、秋までなんて言うなよ。それは、今まで増税によって賄ってきた行政サービスがやはり新しい税をつくってでも維持しなければいけない内容なのかというと、みんな首をひねっている。それを明らかにしていただかないと我々は
税制の
抜本改革のテーブルには着けません、今多くの人がそう言っているような気がするんです。
したがって、なるほど
政府税調が
指摘するように、給与
所得税は
負担率が倍増という始末になりましたし、個別消費税も時に
貿易摩擦の対象になるようなほってはおけない
状況ではありますけれ
ども、そのほってはおけない
状況をその他の
国民の大多数がやっぱりほってはおけないと考えていただけるのだろうか。これは日本の場合は到底期待ができない。
そうなりますと、今までは
税制の
抜本改革という、見る人によって見ようが何ぼでも変わってくる玉虫色の表現で
議論が転がっているような錯覚を与え続けてまいりましたけれ
ども、ここにきて
議論をもう一遍
整理をして、前に進むのかどうするのか、一体時間をどれぐらいかけるのか、この
議論をしていかないと、今
政府が御計画になっているいわゆる
新型間接税の導入問題も結局は売上税の二の舞になるのではないんだろうか。
先ほど御
議論がありましたけれ
ども、
高齢化社会を迎えてとよくおっしゃいます。しかし、
高齢化社会を迎えるその
高齢化社会とは一体何なのか、イメージは全然そろっておりません。やがて年をとってそんな社会が来るというのはみんな知っておりますけれ
ども、一体その社会がどんな社会なのか、そのコンセンサスはできておりません。それが増税なのかどうかさえコンセンサスはできていないんです。しかも、今まで取り過ぎた税金の分で使ってしまったじゃないか、それを戻してもらえる、言うなれば行
財政改革をもう二段、三段と進めるためにはどうしたらいいのか、これも答えを出していかなきゃいかぬ。これが到底一月、二月、半年でできる仕事だとは思えない。これが余り日限切って焦ったってだめですよという声が日とともに高まってきた
理由ではなかろうかと思うんです。
そこで私がお尋ねしたいのは、片方で
税制のひずみがあったとして、それを直すためには当然それは恒久
財源が必要になる。一見理屈ではわかる理屈に見えますけれ
ども、これは有権者、
国民の判断からすると全然わからない極めてそっぽの
議論をしている。この
政府税調のこの書類を見ながらしみじみそれを感じましたので、この点について
大臣の御所見を伺います。