○丸谷
金保君 実は、先般私ワインの
関税をいっそ廃止したらどうかという提言をして、ちょっと
大臣はのみ込めないようなことだったんで、ところがやっぱりげすの勘ぐりがありまして、ああいうことを丸谷委員が言うのは、バルクワインを
無税にすると
日本の
国内の
メーカーがえらい得をするからだ、生産者は困るんだと、こういうふうなことを言う人もいるんです。しかしそれは全く違うんで、そこのところをひとつ考えていただきたい。例えばオーストラリアへ行ったら一本だけであとは税金取るでしょう、
関税。みんなやっているんです。フランスだってやっていますしアメリ
カだってやっています。そして、なぜ取るんだと言ったら、オーストラリアは、いや、
関税を取らなければ、南米の安い酒がどんどん入ってきたらせっかく育ててきたオーストラリアのワイン産業とワインのブドウ畑というのは負けちゃうと、こう言うんです。
そういうふうにそれぞれの国にはそれぞれの
理由があるんですよ。だから、
日本が
関税を外せと言ったってそれは外せっこないんです。そうしたら、牛肉やオレンジだって
日本は
日本の事情があるんだと、こういうことで切り込めるじゃないかと。また、一歩譲って、それじゃ外しましょうということになるとどうなるかといいますと、私はこの間、オーストラリアで二十ドルぐらいのこれは高いけれ
ども、いろいろ研究用もありますのでワインを八十六本買ってきたんです。ところが、この二十ドルもするようなワインでも、
関税をきちっと計算してもらって払いましたら、
関税は一本百円につかないんです。計算したのがここにございますけれ
ども、かからないんですよ。そんな程度なんです。ですからそれは、二千円の酒をこちらへ来ますとどうしたって四千円か五千円で売らざるを得ないんです。例えば今の向こうで三百円くらいの酒でもこちらへ来ればいろんな流通過程を通って千円くらいということになるんです。そうすると、三千円、四千円の酒で百円の
関税がかかっている、かかってないというようなことはそれほど大きなウエートを占めないんです。
むしろもっと大変なことは、農民を圧迫しているのはブドウのジュースなんです。濃縮ジュースがIQ品目から外れて、ちょっとアルコールを入れますと自由に入ってきますでしょう。既にオレンジジュースが三千キロリッターを超えるくらい入っているんです。これがこっちへ来て酒になる。オレンジのみでは酒になりませんよ、これは全部ジュースになりますわね。こういう底抜けがあるんです。ワインの場合も同じなんですよ。ちょっと五倍くらいの濃縮ジュースにアルコールを一%以上入れましてこちらへ来て五倍にまた薄める。これは完全にジュースに戻るんですよ。その上で
メーカーが
国内産のワインとしてこれをつくってワインで売りに出している。いいですよ、それは。しかし、
関税の百円が耕作農民を圧迫するというなら、それ以上もっともっと耕作農民が実際に困っている問題は別なところにあるんですよ。農水省、この事実御存じですね。