○栗林卓司君
大臣の
財政演説を手元に置きながら今お伺いをするわけでありますけれ
ども、中を拝見しますと、これは今
国会の冒頭の
大臣の
財政演説でありますが、第一の
課題としては
内需を中心とした経済の持続的成長を挙げておられますし、第二は
財政改革でありますし、第三の
課題は税制の抜本的
見直しでありますと、こうお書きになっています。それぞれごもっともでありますし、特段異論はございません。ところが、ではどういったぐあいになさるんですかと考えてみますと、必ずしもその中身は明らかではございませんで、どうしても手探りで何をお考えになっているのか探るような質問をするしかありませんので、以下、時間の関係があるので税制問題に絞りながら、どういったことをお考えになっているのか、お尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、「国民各界各層の御
議論等を拝聴しつつ、国民の納得が得られるような税制改革
関連法案を取りまとめるよう引き続き最大限の
努力を傾けてまいる所存であります。」こうお書きになっておるのでありますが、文章としてはどこといって反対する何物もないんです。といって、「国民の納得が得られるような税制改革
関連法案」というのは具体的にどういう中身なのか。本当に国民の納得が得られるような税制改革
関連法案をお取りまとめになるのでありましたら何の問題もないのでありまして、問題はどうやって国民の納得が得られるような税制改革
関連法案をお取りまとめになるのだろうか。そこがやっぱり今我々もそうでありますし、多くの納税者、有権者の不安と関心の
一つになるんだろうと思うんですね。
そこで、もう
一つ伺ってまいりますと、今の税制改革
関連法案について、そのしばらく前で「国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な説体系を構築することが不可欠であり、」という旨を述べておられます。その「所得、消費、資産等の間で均衡がとれた」とは、一体どういう税体系を頭の中でお考えになっているのか、これは
予算委員会でもいろいろ問題になりました。同じ質問を私はここで繰り返すつもりはありません。で、何も理詰めでこの質問を私は申し上げるつもりはないんです。
〔
委員長退席、
理事梶原清君着席〕
理解をするためにお尋ねするんですが、「所得、消費、資産等の間で均衡がとれた」というのは、資産についてはそれぞれの残高、それから消費あるいは所得についてはそれぞれのある期間における大きさ、そういったものの見合いで、だれが見てもなるほどと納得のいくようなそういう税
負担を求めていくのが、おっしゃる「所得、消費、資産等の間で均衡がとれた」税体系ということになるのでありましょうか。
経済企画庁の国民経済
計算の
昭和六十一年度の数字を見ますと、六十年末の土地の残高は千十六兆円であります。千十六兆円になってきた経緯というのは、土地の改造等で価値が付加されたものが三兆円、値上がりによって地価が増高したものが二百四十四兆円、前年度末の残高が千二百六十二兆円、約一千兆を超えるような土地の残高ということを頭に置いて税
負担を求めていくということが
大臣が言われている均衡がとれた税体系ということをおっしゃるので、また雇用所得を見ますと、六十一年度の場合は総額百八十三兆円であります。これは企画庁の
計算で大きくくくってみればということでありましょう。一方、民間最終消費支出は百九十三兆円であります。もっとも考えてみますと、雇用所得で得た百八十三兆円が形が変わって民間最終消費支出になるのでありましょうから、数字が似ているのはまことによくわかるのであります。そうすると、所得と消費それぞれに
負担を求めるというのは、たまたま数字が似ているからと単純に考えて伺うわけじゃありませんけれ
ども、結局これは二重課税ということになるんだろう。百八十三兆円の所得に対して所得税が課せられ、税引き後の可処分所得に対して、その消費支出に対してさらに間接税がかけられるということは理屈上二重課税ということになるのではないか。そうしますと、間接税というのも片一方で所得税を中心にした直接税を基幹税として将来とも維持していくというお考えであれば、そんな大きな割合にしてしまうということはやはり税体系のつくり方としてはおかしいことになるのではないのか。
一方、その土地問題にさかのぼりますが、これは従来の
政府の役割分担の中では主として自治省の担当でありますけれ
ども、これはそういう自治省の担当
部分について従来の、土地だけで申し上げておりますが、土地に対する課税のあり方について精査をしながら正しい課税を求めていくということを言外にこの「所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系」という
言葉の中でおっしゃっているのであるのか。
〔
理事梶原清君退席、
委員長着席〕
その場合に、それは時価をもって課税をするのがだれが考えても一番無理がない税のやり方でありますが、その場合、
生活に深いかかわりがある財産に対してどのような課税を求めていくのか、これはこれで重大な政治
課題だろうと思うんです。そういった
部分については、どういう展望をお考えになった上でこの「所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系」という
言葉をお使いになったんだろうか。それは、
大臣が自治
大臣を督促してでもその資産課税をやらせるということを内心にお考えになってのことなんであろうか。
以上、拝見するたびにいろいろな疑問が吹っ切れないのでありますが、以上について御所見をまず承りたいと思います。