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1988-02-16 第112回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年二月十六日(火曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員の異動  二月二日     辞任         補欠選任      吉川  博君     坪井 一宇君  二月十六日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     諫山  博君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村上 正邦君     理 事                 大浜 方栄君                 梶原  清君                 藤井 孝男君                 志苫  裕君                 多田 省吾君     委 員                 井上  裕君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 坪井 一宇君                 福田 幸弘君                 藤野 賢二君                 矢野俊比古君                 山本 富雄君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 本岡 昭次君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 諫山  博君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君    衆議院議員        大蔵委員長    越智 通雄君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   佐藤栄佐久君        大蔵大臣官房総        務審議官     角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    日向  隆君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     赤保谷明正君        農林水産省経済        局国際部国際経        済局長      野崎  修君        食糧庁管理部企        画課長      日出 英輔君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件) ○昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、租税及び金融等に関する調査議題とし、財政及び金融等基本施策につきまして、宮澤大蔵大臣から所信聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  3. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。  二十一世紀を目指し、今後、我が国が進むべき道は、対外的には、真に豊かで活力のある経済社会建設し、対外的には、各国との協調を図りつつ、国際社会に占める地位にふさわしい役割を積極的に果たしていくことにあります。  昨年の我が国経済は、円高進展等にもかかわらず、物価が安定基調を維持する中で、内需中心として景気が回復から拡大に向かった一年でありました。個人消費は堅調に推移し、住宅建設は高い水準にあり、さらに設備投資も着実に増加するなど国内民間需要は堅調に推移しております。  一方、国際経済情勢を見ますと、主要国間の大幅な対外均衡等背景に保護主義的な動きもなお根強く、また、開発途上国における累積債務問題も、いまだに解決を見ておりません。  私は、今後の財政金融政策運営に当たり、このような我が国の置かれている状況を踏まえ、二十一世紀に向けての我が国の進むべき道を展望しつつ、以下に申し述べる諸課題に取り組んでまいる所存であります。  課題の第一は、内需中心とした経済持続的成長を確保していくことであります。  政府は、昨年夏に補正予算を編成して緊急経済対策を実施するなど内需拡大に努めてまいりましたが、昭和六十三年度予算におきましても、厳しい財政事情のもとではありますが、社会資本整備の促進のためNTT株式の売り払い収入の活用を図ること等により、一般公共事業費について、前年度当初予算に対し二〇%増という高い水準を確保したところであります。  また、金融政策運営につきましては、内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、適切かつ機動的に対処してまいる所存であります。  さらに、持続的成長を確保していくためには、為替相場の安定が重要であることは申し上げるまでもありません。このため、昨年末には主要先進七カ国の蔵相・中央銀行総裁による声明を発表し、ルーブル合意に立脚しつつ経済政策協調についての各国積極的取り組みを再確認すると同時に、これ以上のドル下落世界経済成長にとり逆効果であるとの共通認識を示したところであります。この点につきましては、先般の日米首脳会談においても確認されております。今後とも、各国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えております。  第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。  財政改革の目的は、一日も早く財政がその対応力を回復することにより、今後急速に進展する人口の高齢化国際社会における我が国の責任の増大など今後の社会経済情勢変化に弾力的に対応し、豊かで活力ある経済社会建設を進めていくことにあります。  このため、昭和六十三年度予算におきましては、歳出の徹底した見直し合理化等に取り組む ことにより、特例公債発行額の減額に最大限努力を払い、公債依存度を一五・六%にまで引き下げたところであります。これは昭和五十年度以来の特例公債発行下では最も低い水準であります。この結果、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質から脱却し、公債依存度を引き下げるという努力目標達成に向けて着実に前進することとなりました。  しかしながら、このような努力を行ってもなお、昭和六十三年度末の公債残高は百五十九兆円に達する見込みであり、国債利払い費歳出予算の約二割を占めるなど、財政事情は引き続き極めて厳しいものとなっております。  来るべき世紀に向かって我が国内外から求められている課題に、財政が十分対応できるよう、今後ともこの目標に向けて財政改革をより一層強力に推進してまいる所存であります。  第三の課題は、税制抜本的見直しであります。  今後の高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化を展望するとき、抜本的な税制改革実現は避けて通れない課題であります。このため、国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、所得消費資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築することが不可欠であり、早急に成案を得ることが必要と考えます。  このような認識のもと、現在、税制調査会において、我が国にとって望ましい税制のあり方とその実現に向けての具体的方策につき、精力的に御審議願っているところであります。  国民各界各層の御議論等を拝聴しつつ、国民の納得が得られるような税制改革関連法案を取りまとめるよう引き続き最大限努力を傾けてまいる所存であります。  第四の課題は、我が国の国際的な地位の向上に見合い、調和ある対外経済関係の形成に努めることであります。  世界的な対外均衡等背景とした保護主義的な動きには根強いものがあります。我が国としては引き続き各国に対し対外均衡是正努力を求めると同時に、みずから率先して市場アクセス改善経済構造調整等を進め、自由貿易体制維持強化に努めていく必要があります。  このような観点から、昭和六十三年度においては、特恵関税制度改善、関税引き下げ、撤廃等改正を行うとともに、現在進められているウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、建設的な役割を積極的に果たしてまいりたいと考えております。  金融資本市場自由化国際化につきましては、昨年六月に「金融資本市場自由化国際化に関する当面の展望」を発表し、その後、その方向に沿って、各般の措置が講じられてきているところであります。  さらに、先物市場整備拡充につきましては、証券先物市場の一層の整備金融先物市場の創設及び海外金融先物取引の一層の自由化を進めていく予定であります。  今後とも、我が国金融資本市場内外に対して十分な貢献を果たし得るよう、一層の自由化国際化を進めてまいりたいと考えております。  開発途上国自助努力を支援するとともに、累積債務問題の解決を図り、もって世界経済成長と繁栄に資することも我が国の大きな国際的責務であります。  このため、政府開発援助につきましては第三次中期目標について七年倍増目標の二年繰り上げを実施するとともに、現在実施しております三百億ドルを超える官民アンタイド資金還流措置達成に全力を傾けているところであります。  次に、昭和六十三年度予算の大要について御説明いたします。  昭和六十三年度予算は、財政改革を強力に推進するとともに、内需拡大要請に配意することとして編成いたしました。  歳出面におきましては、国民健康保険制度改革を初めとする既存の制度施策見直しを行い、特に経常経費について一層の節減合理化を行うとともに、一般公共事業費についてNTT株式の売り払い収入を活用すること等により前年度当初予算に対し二〇%増という極めて高い水準を確保するほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。  この結果、一般歳出規模は、三十二兆九千八百二十一億円と前年度当初予算に比べ三千九百八十七億円の増額となり、これにNTT株式の売り払い収入に係る産業投資特別会計への繰り入れ一兆三千億円、さらに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計予算規模は、前年度当初予算に比べ二兆五千九百八十七億円増額の五十六兆六千九百九十七億円となっております。  次に、歳入面におきましては、歳入の基幹たる税制につきまして、税制抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、当面早急に実施すべき措置を講ずることとし、土地住宅税制について見直しを行うとともに、石油税について増収措置を講ずる等の税制改正を行うことといたしております。  税の執行につきましては、今後とも国民の信頼と協力を得て、一層適正、公平な税務行政を実施するよう、努力してまいる所存であります。  また、税外収入は、前年度に比べ大きく減少しておりますが、可能な限りその確保に努めたところであります。  公債につきましては、以上の結果、その発行予定額は前年度当初予算より一兆六千六百億円減額し、八兆八千四百十億円となっております。その内訳は、建設公債が一千七百億円増の五兆六千九百億円、特例公債が一兆八千三百億円減の三兆一千五百十億円となっております。  また、昭和六十三年度においては、十四兆五千百二億円の借換債の発行予定しており、これを合わせた公債の総発行額は、二十三兆三千五百十二億円となります。  財政投融資計画につきましては、内需拡大社会資本整備資金還流措置推進等要請にこたえ、資金の重点的・効率的な配分に努めたところであります。  この結果、昭和六十三年度の財政投融資計画規模は二十九兆六千百四十億円となり、前年度当初計画に対し、九・四%の増加となっております。  この機会に、昭和六十二年度第二次補正予算について一言申し述べます。  昭和六十二年度第二次補正予算につきましては、給与改善費国民健康保険特別交付金義務的経費追加等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしており、この結果、昭和六十二年度一般会計第二次補正予算の総額は、歳入歳出とも第一次補正予算に対し二兆三百三十九億円増加して、五十八兆二千百四十二億円となっております。  なお、昨年不成立となりました売上税法案関連歳入歳出につきましては、この際所要の補正を行うことといたしております。  以上、財政金融政策に関する私の所見の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、昭和六十三年度予算関連するもの五件、昭和六十二年度第二次補正予算関連するもの一件、その他二件、合計八件でありますが、このうち、七件につきましては、本委員会において御審議をお願いすることになると存じます。このほか検討中のものとしては税制改革関連法案があります。今後、提出法律案の内容について、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 以上で大蔵大臣所信聴取は終わりました。     ─────────────
  5. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 次に、昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題とし、提出者衆議院大蔵委員長越智通雄君から趣旨説明を聴 取いたします。越智通雄君。
  6. 越智通雄

    衆議院議員越智通雄君) ただいま議題となりました昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案につきまして、提案趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、本日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものであります。  御承知のように、望ましい水田利用形態に可能な限り誘導する見地から、政府等から稲作転換を行う者等に対し、水田農業確立助成補助金交付することといたしておりますが、本案は、昭和六十二年度の同補助金に係る所得税及び法人税について、その負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。  すなわち、同補助金のうち個人交付を受けるものについては、これを一時所得収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は一時所得必要経費とみなし、また、農業生産法人交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮記帳特例を認めることといたしております。  なお、本案による国税の減収額は、昭和六十二年度において約六億円と見込まれるのでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案提出を決定するに際しまして、内閣の意見を求めましたところ、稲作転換必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。  以上がこの法律案提案趣旨とその概要であります。  何とぞ速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  7. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  本案並びに租税及び金融等について質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣所信表明については、また時間をとって詳しくお聞きをし、ただすべきはたださなきゃならぬというふうに存じておりますが、きょうはわずかの時間でございますので、一、二の点についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  所信表明の中で、各国協力によって為替相場の安定を図るということでございますね。安定を図ると言うからには、安定帯価格というものが当然なきゃならないんじゃないか。どうもいまいちそれがどこら辺なんだということが見えてこない感じを国民全体が持っていると思うんです。ここで言う安定を図るというのは、一体どの程度で安定を図るということなのか。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、現在の状況を先に申し上げました方が端的なお答えになると存じますので申し上げますが、昨年の暮れにいわゆるG7合意がございまして共同声明が発表されたわけでございますが、それによりますと、これ以上ドル下落することはアメリカを含めまして各国にとって逆効果である、こういう認識が示されました。そうして為替の安定のために政策協調を続け、市場における共同行動をとる、こういうことでございますので、今の段階におきます合意は、これ以上ドル下落することは好ましくない、それを防ぐべきである、こういうことになっております。  で、これというのは何かということは、実は意識的に明示をいたしておりません。強いて言葉で申しますならば昨年の暮れごろの水準、それも漠然とした表現になりますが、というふうに御理解を願うべきかと存じます。それをドルが下回るということは好ましくない。  ここに至りますまでの間にはこの一両年経緯がございまして、G7あるいはG5が集まりますと、現在の水準あたりで安定をさせたいというようなことを何度か言っておりますが、それは会合がありますたびにその水準は、変動相場でございますので、事実問題としては変化をいたしておりました。したがって、そのたびごとにそのあたり水準をということを申しておったわけでございますが、この場合にも、その範囲はやや漠然としておりますし、時日の推移とともにその水準そのもの現実の問題としては変化をしておったということは、過去一両年の結果から見ますと、そう申し上げるべきかと存じます。  ただ、ただいまは昨年暮れに申しましたG7共同認識によって、これ以上のドル下落というものを防ごうと、そういう認識共通をいたしておるということでございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうも結局よくわからないんですけれども、これ以上は下げないように各国認識が一致した。で、努力する、協力する。ここが安定帯になるというふうに考えていいわけですか。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこは確かにいろいろ市場との関連もございますので、極めて明確な言葉は使っておらないわけでございますが、昨年の暮れの、それは現在のでございますが、合意はこれ以上ドルが下がるということは逆効果であるという認識を一つ示しております。  次に、それならこれ以上ドルが上がるということについてはどう考えておるかと申しますと、いわばルーブル以来の二年間のこの努力というのは、ドルを引き下げてきた努力でございますが、それを無にするようなところまでドルが上がってはこれはまた困ると、当然のことでございますがそう言っております。したがってドルが下がるということについてはこれ以上は困ると言い、上がるということはついては過去一年半—二年間のそういうものを無にするようなところまで上がりてくれては困ると、こう言っておりますので、そういう意味ではこれ以上のドル下落にいわば歯どめをかけたという要素が非常に強うございまして、それならドルがこれ以上上がっていくことについてはということになりますと、それはかなり広い範囲で非常に上がってくれては困るがというような認識を示しておりますので、一つの点を中心にしまして、左と右と同じ幅でと言っておるわけではない、こういうふうに御理解願ったらいいかと思います。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 といいますのは、大臣、これはきょういただいた数字なんですが、八七年度の貿易黒字幅八百六十六億八千八百万ドルですか、これはまだ確定値ではないけれども、おおよそ固まってきた数字だと。昨年に比べると大分下がっているんですよね、貿易黒字幅が八六年度より八七年度の方が。まあ大体こんなところだということで、まだ概数だけれどもというただし書きがついておりましたけれども、八百六十六億ドルというのは余り違わない数字ですね。  ところが、資本流出、いわゆる長期資本収支の赤字は千三百七十一億ドルぐらいある。資本流出というのは、昨年が千四百五十億ドル程度ですから、前年に比べてやや下がっているけれども、貿易黒字幅ほどの下がりのパーセントではないわけなんです。  そうしますと、日本黒字で随分金があるようだけれども、全部アメリカその他へ出払っちゃっていますね、金は国内になくて。この幅が八六年度より八七年度の方がふえてきているということになりますと、為替相場の安定がどこら辺で、最低というのは今ここだ、あと幾らか上がる程度のところの上下で、これ以上下げないということだというふうに安定の表現をおっしゃいましたけれども、これはそこがどこになるかによっていわゆる流出資本に対する価値は物ずごく変わってくる。そうしますと、非常に今何か日本は裕福になったというけれども、こういう数字を見ている限り実際にはちっとも裕福になっていないですね。機関投資家なり何なりが外国投資した分を入れるから裕福になっているので、国内では余り裕福になったというような実感を持てないのは、こうした貿易黒字とそれから資本流出との関係を見るとよくわかるんです。  大臣、いかがなんですか、こんな調子でどんどん下がってきたドルがこの程度で安定されます と、相当日本流出した資本というものは目減りをすることになりますね。このことのある段階における不況感というものが国内にはね返ってくるというふうなことにならないでしょうか。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまいろいろな点で御指摘があったわけでございますが、まず長期資本収支、これは収支ネットを言っておるわけでございますが、片方で本邦資本流出、それから外国資本の流入、そのプラスマイナスを合計しておりますものでございますから、仮に昭和六十二年度において、先ほどお話しの六十一年度は千四百四十七億ドルでございますが、六十二年度の場合には多分外国資本ネット流出になっておるのではないかと思います。つまり、日本からの外国資本の引き揚げがあったということを計算しておかなければならないのではないかと思いますが、そういう要素が一つございます。  それから次に、おっしゃいますように、相当大きなものがそれにいたしましてもネットとして長期資本支収として流出をしておる。これはその非常に大きな部分アメリカに行きまして証券等々の投資になっておる。それはそのとおりでございます。この点は、円が高くなりますと、いわば為替差損を生じ得る部分でございます。おっしゃいますとおりでございます。  ただ、現実の問題としては、日米金利差が相当大きゅうございますために、我が国で運用するよりはアメリカで運用した方がはるかに有利であるということ、それからまた、証券あるいは債券そのものが値上がりをいたします場合には当然それだけの利益があるわけでございますので、いわば生じ得べき為替差損を計算いたしましてもなおアメリカ投資した方が有利である、こういう計算から投資をされておる向きが多いということを申し上げられるであろうと思います。そういうことから申しますと、確かに為替差損というのはある意味で殊に生保等々の投資には生じ得るわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような理由からこのような投資が行われておるということかと存じます。  次に第三の問題は、しかしこれらの資本我が国にとどまって、我が国内需——殊社会資本等々の内需に貢献すればなお好ましいということは私はあえて否定をいたしません。我が国にはたくさんのやりたい仕事があるわけでございますのでそのとおりかと存じますが、金利差がございますために我が国でとてもアメリカと同じだけの金利を提供する者はおりませんから、実際にはなかなか金利の低い我が国にこれらの資本がとどまるということは困難である。したがって、特定のプロジェクトについてやや高い金利を提供することによって一部の資本我が国に誘導するというようなことは時々ございますけれども、経済全体といたしましては、金利差というもので高い金利を求めてアメリカ投資されておるというのが実情であろうと存じます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 にもかかわらず、アメリカはまだ日本の公定歩合の問題についてとやかく言及したり、いろんなこともございますけれども、きょうはお米の方の問題がありますのでそうしたことは——ただ、もう一点だけ大臣に。  そういう点で国内にお金がだぶつかないはずなのに、これは私は特に大蔵ではいつでも注意しておかなければならないと思うのはマネーサプライなんですが、国内のマネーサプライは十月、十一月、十二月と棒上げにパーセントが上がってまいりましたね。このことはほかの委員会でも取り上げて御答弁なさっていると思いますけれども、こういう国際収支の中でどんどん日本に入ってきた貿易黒字外国へ出ていっている、一方で資本流出していながら一方で国内のマネーサプライがこういうふうに異常な増勢を続けてきた原因は一言で言うと、大臣、何でしょうか。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは主として日銀当局が中心になりまして、マネーサプライがかなり高い、M2プラスCDでも一一・五とかいうような水準でございますし、日本銀行券そのものの平残も二けたである、原因は何であるかということを大変にいろいろ検討しておられますけれども、結局十分明らかではない。  いろいろなことが言われておりまして、例えば証券であるとか土地であるとかいうものの投資にはとかく現金が必要である、あるいはキャッシュディスペンサー等々でかえって現金そのものを銀行としては用意しなければならないということが結果になっておるとか、いろいろなことは言われております。しかしそれと同時に、我が国そのものが、殊に為替安定のために介入をいたしますと、これは従来ドルを買う場合が多かったわけでございますので、円がそれだけ市場に出るということはおっしゃるとおりでございます。それから、昨年の秋近くまでは国内設備投資の意欲は非常に鎮静しておりましたために、そこの資金需要がないということもそうであったと思います。日銀当局がその間にあって、過剰流動性がインフレ等々につながりませんように十分な調整をされたことも事実でございます。  それはそうでございますが、以上のような理由がやや我が国の流動性というものを高めておったということは、御指摘のとおりであろうかと思います。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 御指摘のとおりであるけれども、大臣として、この程度のマネーサプライの増加が続いていってもインフレ懸念はないというふうにはっきりここでおっしゃっていただければ大変ありがたい。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国経済の非常に大きな供給力並びに最近自由化によりまして周辺の国からもいろいろなものを輸入することが自由であり、現実にまたそれが行われておる。また、それを買う程度の外貨資金はそれをはるかに上回るほど持っておるということから考えますと、私は日本にインフレの懸念は全くないものと考えております。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題等についてはまたゆっくり伺う機会もあるかと思いますので、法律案の内容について。  これは提案者の方にお聞きしたいんですが、提案理由の中に、昭和六十二年度における減収額は約六億円と見込まれる、こういうふうに出ておるんです。これの六億円と見込んだ積算の基礎はどういうはじき方をしたのか。
  19. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは極めて大ざっぱな推計でございますが、水田農業確立助成補助金、六十二年度約二千億円ございます。そのうち過去の実績等を勘案いたしまして、その課税対象となるものが約五%、約百億円前後と見てございます。それから、こうしたものにはもちろん必要経費もございますのでそうしたものを控除する。まさにこれは一時所得としての特例でございます。それから、一時所得でございますと、一人当たり五十万円の特別控除額がございます。控除後その二分の一が課税所得となるわけでございますので、そうした計算をやってまいりますと、課税対象額と申しますか、課税額はおおむね二十億円程度ではないかと見込まれるところでございます。これに平均の上積み税率を適用いたしまして、おおむねこれによりますところの減収額は六億円程度と見込んだものでございます。  ただ、先ほども申し上げました極めてマクロ的な推計であることにつきましては、その点御理解を賜りたいと思います。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 主税局長が大ざっぱな推計と言うんだから、まあ何をかいわんやと思うんですがね。実は私は非常に不思議に思うのは、きょうの質問に備えて一応資料要求をしたんですが、全くわからないという返事しか返ってきてないんです。例えば二月中に一時所得の申告の受け付けがどれくらいあるんだと。というのは、二月の十五日、十六日と毎年慌ただしくこの法案の審議をしなきゃならないというのはどうも解せないので、それで一体二月中にどれくらいあるんだろうと。私はほとんど二月中にはないのでないかというふうに考えておりましたので、そういう数字がわかるかと。あるいはまた、大体この法律によって総件数とそれからおおよその申告される金額とはど れくらいになるんだということもわからない。それは申告書の中で、申告書の一時所得は一本だから出てこないということで出せないという答えが返ってきている。しかし主税局長、いかに大ざっぱといえども、計算をしなければそういうものは出てこないわけでしょう。ところが、出せないと言うんです、そんなものはできないと。これは一体どういうわけなんですか。
  21. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 米の転作補助金につきましては、もう委員十分御承知と思いますが、一時所得と従来みなされてきておりまして、その交付額が一時所得の特別控除額五十万円を超えてくる場合でございまして、なお、他の農業所得等と合算して納付税額等が出る場合に実際は申告されてくるわけでございます。  実際にその直近の六十一年分で見まして、農業所得者の数は約三十二万人でございますが、そのうち約一万二千人が一時所得を有する者として税務統計上は把握しておりますけれども、この一時所得を有する者として申告してまいりました一万二千人の中で、転作補助金に係る一時所得がどのくらいあるかということについては私ども個別に把握しておりません。したがいまして、厳密に言いますと、転作補助金に係る一時所得としてどのくらいが申告されてくるかということはわからないわけでありますけれども、ただ、先ほど申しました理由からしまして、この転作補助金に係る一時所得を有し、かつ納税額がある農業所得者として申告されてくる人の数は、これはそんなに一般には多くない。私ども仄間するところによりますと、一アール当たり二万円前後の転作補助金だといたしますと、かなりの転作の面積がないとこの五十万円を超えることになりませんので、そういう感じがいたします。  また、今申し上げました我々が把握しております一時所得を有する農業所得者約一万二千人から見ますと、実はこの農業所得者以外にこの転作補助金に係る一時所得を申告している人が若干あると思うんです。これは例えばその他所得等で農給合算も申告してくる場合、これは確かに転作補助金に係る申告があるものがあると思います。しかし、それは私ども経験から言いますと、ごくわずかではないかと思うわけです。  そんなことを総合して考えますと、委員のお尋ねは正確にお答えできないことは残念に思いますけれども、私どもとしては一時所得を有する者として農業所得者のうち約一万二千人が申告してきておりますが、大体その辺の数字ではなかろうかと、こう推定しております。ただ、御指摘もございましたので、この申告の状況につきましては今後の申告に当たりまして注意深く見てまいりたい、かように考えております。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 話はわかるんですよ。しかしそれなら、約六億円見込まれるということはどこから出てきたんですか。あなたはできないと言うんだ。できないのはここに提案理由でどうして出てくるんですか、できないものが。
  23. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 先ほどもお断りいたしましたところでございますが、そうした綿密な実績資料というものはございませんが、例えば今説明のございました三十二万人で一万二千人ぐらいであると、それはおおむね四%程度数字になるわけでございます。そうした数字等を勘案いたしまして、極めてマクロ的ではございますが、この支給額のうちの五%が納税者を対象とされた補助金であるというふうな極めて大胆な推計をさせていただきまして、六億円というものを一応御説明申し上げているところでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 全然その御答弁では意味がわからないですね。全然わからない。これはできないと言うから本当はできないかと思って、私は地元のことを言うのも悪いんですけれども、池田の農協へ電話したんですよ。そしたら、ここは大体三百戸全部五十万超なんです。水田農家で五十万以下というのはほとんどいないんです、一時所得。だから全部申告しているんです。それはすぐわかりますよ、池田税務署で。皆さんの方はやっぱりそういうのをちゃんと積み重ねてやっているんでしょう。ただ、我々素人が言うと、今のように資料出せない、わからない。わからない数字がどうして六億円出てくるんです。そうしたら、これはごさんぱちですか、次長の言う話を聞いていれば、全然計算のしようがないと言っているじゃないか。計算のしようがないものがどうして積み上がるんですか。
  25. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 北海道のように大変作付面積の大きいところはかなりな方が五十万円超となる場合もあろうかと思われるわけでございますが、全体約二千億円、その関係者は約三百万人でございますから、一人当たりにしますと六万円程度かというマクロの計算は出るわけでございますので、全体としてはそれほど大きくはない。そして、しかもこれが必ずこの水田補助金の対象となる一時所得かどうかはよくわからないと次長から御説明申し上げました。それが一万二千人であるというあたり、それから農業所得者三十二万人の中でのウエート、こういったものを使わしていただきまして、マクロ的に推計をさしていただいているところでございます。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 主税局長さん、だんだんわからなくなってくるんですよ、説明聞いているとね。  というのは、大体これで一時所得として申告している地域というのは、今おっしゃったように限定されるんですよ、北海道とか新潟とかね。その反別の小さいところはもうほとんど限りなくゼロに近いくらいなものしか出てこない。めっそでもここからは一件も所得がそんな申告があるものはないだろうというようなこと、税務署ではわかりますよ。そうすると偏ってるしね。ここに「本案による国税の減収額は、昭卸六十二年度において約六億円と見込まれるので」とあるからには、見込まれる基礎がわからないで国会に出てくる数字になりますか。これは議員提案だから、それは我我が悪いといえば悪いけれどもね。そういう数字についての資料が何かというとわからない、出せないということになるんですが、これ出せますでしょう。六億円、ガラガラポンのめっそですか。そんなことないでしょう。
  27. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 私どもとしては、やはり何らかの推計をお示しする必要があるわけでございますが、私どもが実際にそういう第一線の実地調査等は当たっているわけではございませんので、これは国税庁それから農林省からいろいろな推計の基礎となる基礎的なデータを教えていただきながら大胆に推計さしていただいているところでございますので、実際の個々のケースに当たってという立場には私ども必ずしもございませんので、さりとて何らかの数字をお示しはする必要があるわけでございますので、ぎりぎりのところといたしまして、必ずしも私どもこれが大きく実態と離れているものではないということで、ある意味では割り切って大胆にお示しをしているところでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもちょっと納得いかないんですが、それじゃ例えばこの六億の基礎となった計算式、これは資料として出していただけますね。こういう計算でこうなったと、その計算が合っているかどうかわからない。しかし、こういう計算でこういう数字が出たんだと言うことはできますね。
  29. 水野勝

    政府委員(水野勝君) それはございます。それは先ほど申し上げましたことの繰り返しでございますが、六十二年度、この補助金は千九百四十億円あると聞いておるわけでございます。  そこで、そこの次の点が推計でございますが、その中で納税者対象分というのをどう見込むか。これが先ほど国税庁から説明申し上げた計数等を参考にさしていただきまして五%と見た、この点が先生の御指摘のこれはまさに推計でございます。それで、千九百四十億円のうちの五%、したがいましてこれは九十七億円と推計されるわけでございます。その次に必要経費を控除する必要がございますが、これも推計でございまして、二〇%と推計さしていただいているわけでございます。その次が一時所得たる特色といたしましてお一人当たり五十万円が特別控除され、それからそ の残りの二分の一が課税所得に算入されるということになるわけでございます。先ほどの五%が九十七億円、この必要経費が二〇%で残額の所得額が七十八億円、それからお一人当たり五十万円ずつ引かれます。七十八億円でございますから、そこから五十万円の特別控除を控除し、それを半分にする、したがいまして残りは二十億円になる、こういう算式でございます。  そういたしますと、通常の計算でございますと、必要経費を控除した残りが七十八億円、それからこの計算によりますところの課税対象所得が二十億円、差額は五十八億円でございますので、これだけがこの制度によりまして課税対象外となる所得である。その五十八億円、これがこの方々の所得者の上積み税率をどのくらいに考えるか。これもまあ推計でございますが、おおむね一一%前後と見ますと六億円という数字が出るわけでございまして、算式としてはそういうことでございます。  ただ、その中間に申し上げました五%でございますとか二〇%でございますとか、そこは推計をさしていただいておりますので、大胆なマクロ的な推計であるというふうにお断りをしているところでございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 後でよく聞かしてください、もう少し。全然納得できない。  ただ、この機会にお米の問題もう少し取り上げたいと思うんですが、農林省にお伺いしますけれども、米の需給均衡化緊急対策というのを十二月に発表になりまして、実はそれに基づいて私ども酒の議員連盟でも純米清酒をつくろうということで、国会も大いに張り切って純米酒推進議員連盟もこれは大変いいことだというので会員のところはその仕組みを配ってくれたんです。‐  この清酒用原料米の供給増加についてのメモというので、一月に全中と全農がその基本的考え方と取り組みの仕組みをそれによって出しております。しかし、これもどうも食糧庁が言うところの需要開発米についての骨子、農林省の骨子とそれから食糧庁のそれについての説明を見ましてもわからないことがたくさんあるので、これはどういうことかお聞きいたしたいんですが、結局米の需要が落ち込んだから生産調整もしなけりゃならなくなって七十七万ヘクタールやっておりますね、まあさしあたりこの法案のとおりのことが行われているわけなんですが、それでも結局百八十万トンの在庫予定が二百三十万トンにふえて、さらにまた緊急に三十万トンだけは何とかしなきゃならぬ、こういうふうな話なんですが、それで食糧庁、需要開発米として生産するというのはどういうことなんでしょう。もう米の買い入れは済んじゃっているんですよ。済んでいるのに、価格のいかんによってさらに需要開発の見込める分野にあるので、この需要開発のための価格条件を備えた米を需要開発米として生産する、というと二毛作でもやったんですか、どうなんですか。
  31. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 御説明申し上げます。  米需給均衡化緊急対策、六十三年度からやるわけでございますが、先生のお尋ねの需要開発米の関係は六十三年産米でやる対策でございます。  それからちょっと参考までに申し上げますと、もう一つは消費純増策というのを需給ギャップ縮小の手段として私ども取り上げておりますが、これにつきましては六十二年産米からやれるということでございまして、今売り出しております政府米でありますとか自主流通米でありますとか残っております超過米、六十二年産米のいわゆる政府管理米を使ってやれる対策が消費純増策でございます。当初のお尋ねの需要開発が六十三年産米でございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、六十二年度で八十万トン余ったので、さらにこの法案に載せる減反のほかに、需要を大急ぎでふやしていく。その中で他用途米その他をここで言う何といいますか、新しい言葉が出てきたんですが、需要開発米とこういう名前をつけて扱っていくと、こういうことですか。
  33. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) ちょっと細かくなりますが、六十二年度から水田農業確立対策をやっておりまして、その過程で実は生産量が例えば作況が六十二年度の場合一〇二になったとか、需要が落ちたということで実は六十三年度から、水田農業確立対策を実施するほかに、米需給均衡化緊急対策を実施するということでございます。  この米需給均衡化緊急対策の中身でございますが、幾つかに分かれておりますが、一つは、今までやっておりました他用途利用米の拡大等によりまして、極力主食用以外の世界でお米を使ってもらうという形で実質転作の数量を減らしていくという努力が一つございます。  それからもう一つは、地域レベルで需給のギャップを縮小する手段ということで私ども幾つか挙げておりますが、その中に実は今先生お話しになりました需要開発米というのがございますが、これは食用以外の世界でお米を原則として充ててもらうという世界のものだけを限って需要開発米と言っておりまして、ちょっと分類としますとややこしゅうございますが、他用途利用米とは別の概念でございます。ですから、典型的に申し上げますと、例えばえさ米でありますとか、ないしは工業用のアルコールでありますとか、ああいうものに充てられるものを需要開発米と申し上げております。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 酒米はどっちに入りますか。
  35. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) いわゆる消費拡大の中で酒米の話は私が申し上げました消費純増策ということで酒用に、例えば純米酒でありますとか本醸造でありますとか、通常の酒に比べまして米をたくさん使うものについてうまく計画をつくりまして純増策につながれば、この米需給均衡化緊急対策の中でもいわゆる限度数量が戻るという形で仕組みをつくっている世界の中に入っております。当然先生のお尋ねの話は、酒米については、もちろんそのほかに一般的に自主流通米でありますとか政府米でありますとか、通常の需給の世界の中で使われているものがございますが、そのほかに需給ギャップ縮小の話としてお話しになるとすれぱ、今言ったような消費純増策の中にあるものでございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっともう時間がなくなりましたので、実はこの一時所得の問題では、例えば農業関係では共補償というふうな形で減船と同じような減反であるとか、青刈りであるとか牛の問題、ミカンの問題、いろいろあるわけなんです。それらが一時所得になっていないというふうな、税法の整合性からいうと問題点もございますし、それから酒米につきましても、本当に米の需要開発をするなら、私たちが年来言っているように、清酒というのはもともとは酒一升米一升だったんだから元へ戻せと、戦前の。それ以外は合成酒と言って、アルコールが入っていますよという別の分類だったやつをみんな同じ、級別でも何でも特級もあれば一級もあれば二級もあると、今度税法を改正するとしてもそういうふうなことの仕組みは極めてあいまいになっている。ここら辺すきっとすると、これは米の需要なんかは私たちはもっともっと伸びると思っているんです。  それで、今度は酒の税法も変わるようですが、こういう機会に大臣思い切って、そうしたお酒の中で日本酒、さらに日本酒の原料である米の需給が戦前と同じようになるようなシステムを実は考えていただきたい。提言したいこともたくさんあるんですが、時間も来たようですから、酒税の今度の抜本改正に当たってはやはり日本酒が米の需要と直接つながるような方向について酒税改正はお考えいただきたいということを要望申し上げて終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうですか。
  37. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 今回の抜本改革の中で酒税の改正予定をされておるところでございますが、その中心は昨年秋におきますところのガットによる勧告、これによりますところの税負担の合理化でございますが、その際には、直接ガットとは端的には関係はございませんが、清酒の税率のあり方につきましてもそうした国際化の進展の中でどのような位置づけをお願いをするのがいい か、現在税制調査会で検討中でございます。委員の御趣旨もお伝えしまして、検討をしていただくことにいたしたいと思います。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは大臣に一つだけ。  今ガットの問題が出ましたが、いつも何というか、日本が貿易障害だ、貿易障害だと言われていますので、ワインの関税、今もかかっているんです、これを全廃したらどうですか。我々ワインをつくっている日本のメーカーにしてみれば、全廃してもらっても戦っていけると思います。逆にたまには格好よくやってください、出ていって。いいですか、これをやるとアメリカでもフランスでも困るんですよ。フランスの議員連中と私が話をすると、彼らは日本の関税のことを文句言うけれども、おまえら何だと、自分のところはアルジェリアから来るやつでも何でもみんな関税かけているじゃないかと言ったら、いや、我々はやっぱりフランスの農民を守らなければならぬからね、仕方がないと、こう言うんですよ。幸いにして、ブドウをつくっている日本の農民というのは大半が食べる方ですから、ごくわずかなワインの原料の問題は我慢しますよ。こんなことを言うとあちこちから袋だたきに遭うかもしれませんよ。少なくとも私はそう思っているんです。  ですから、ひとつその点大臣いかがですか。はりきりわかったと言ってくださいよ。わからなければわからないでも、検討するでもいい。何でもとにかくいいからどうぞ。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私、不案内でございますので、よく検討させていただきます。     ─────────────
  40. 村上正邦

    委員長村上正邦君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、吉岡吉典君が委員辞任され、その補欠として諫山博君が選任されました。     ─────────────
  41. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、初めに大蔵大臣税制等の問題で若干質問させていただきます。  我が国税制がシャウプ勧告を受けまして昭和二十五年から累進総合課税になりましたが、その翌年からいわゆる骨抜きになりまして、利子所得の源泉分離選択課税の復活等が行われましてずっと今日まで来ておるわけでございます。昨年も本委員会で論議がございましたけれども、この総合課税の再構築、そしてまたキャピタルゲイン課税の強化という面につきまして大蔵大臣のお考えを。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般的に個人所得課税というのは、すべての所得を総合して累進に税率を適用すべきではないかということは原則論としてはそのとおりであると考えております。ただ、現実に、所得によりましてその性格にかんがみ、実質的な課税の公平を実現するため、あるいはその他の政策的な要請に基づきまして、例外的に総合課税によらない形式を踏む場合もございます。例えば利子所得が現在分離課税になっておりますのなどはその一つの例でございますし、また御指摘の株式等々によるキャピタルゲインにつきましては、何度か申し上げておりますが、これを公平に、行き当たりばったりでない、キャピタルロスとキャピタルゲインを正確に捕捉しまして行政を行うということにただいまの体制が十分でないという現実がございますので、御指摘のような課税のいたし方をいたしております。それも昨年の改正で強化をいたしておりますが、すべてのキャピタルゲインが総合課税の対象に現実になっておるというわけではございません。それを公平に、公正に行政を行いますために、これはいかにすれば可能であるかということをただいま税制調査会で御検討願っておるわけでございます。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨年、マル優制度の廃止とともに、附則条項に五年をめどに総合課税に向かうということでもあり、私はこれは早急に行うべきだ、このように思います。  最近、渡辺自民党政調会長が、昭和五十四年の衆議院、参議院本会議における一般消費税導入反対の国会決議の見直し、これを言いました。その後、国会決議は尊重するという総理の答弁もございましたけれども、さらにまた二月九日ごろ渡辺政調会長は、この国会決議を見直ししなくても一般消費税は導入できるんだ、こういう発言を展開しておりますが、まことにけしからぬことで、国民を欺く高慢な姿勢だと言わざるを得ませんが、大蔵大臣はこのことをどう考えておられますか。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 渡辺政調会長の御発言の正確な内容を存じませんが、ただいま私どもの党内で税制問題について検討いたしておりますので、その中で自由な討議、渡辺氏個人意見としてあるいは言われたことがあるかと存じますが、それはいずれにいたしましても党の役員としての正式な発言というわけではございません。  次に、国会決議でございますけれども、国会の御決議をどのように考えるかということは、これは国会御自身のお定めになるところでございますから、私どもはとやかく申すべきではございませんが、財政再建に関して国会の御決議がある限りにおきまして、それに対して、それを尊重して私どもは行政をいたすべきことはもちろんのことでございます。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 またさらに、政府税制調査会の直接税部会が一月二十二日ころ、いわゆる株式の売却益、キャピタルゲインを現在の原則非課税から原則課税に転換する、あるいはその効果を上げるために納税者番号制の導入も検討する、こういう審議をしているわけでございます。私は、こういう方向は当然だと思っております。  ところがまた、一月二十五日ころ渡辺政調会長が、これは広く報道されましたけれども、このキャピタルゲイン課税に対しまして、少女趣味やひがみ根性だけで決めるべき問題ではないとまことに水を差すような発言をしております。私は、大変これもけしからぬ発言だ、このように思っておりますが、大蔵大臣はやはり同じような考えを持っておられますか。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これも渡辺氏の個人的な御発言、その内容を私は確かめてはおりませんけれども、恐らく株式のキャピタルゲインというものは、先ほど申しましたように行政的には非常に難しいものでございますので、きちんと制度を整えてかかりませんと、結果としていわば時々目につくものだけが対象になる。それはいわば公平な行政とは言えないではないか、やるとすれば公平に落ち度なくやらなければいけないということを言おうとしたものではないかと思っておりまして、そういうふうに私、渡辺さんのそれも個人の御発言を解釈しております。  政府といたしましては、多田委員が言われましたように、一般論としてすべての所得ができる限り総合課税されることが望ましい。ただ、キャピタルゲインの場合には先ほど申し上げましたような理由がございますので、それを行政に公平に、公正に取り入れられるために必要な条件は何か、どうすれば可能であるかということをただいま税制調査会で私どもからお願いをして御検討を願っておるということでございます。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨年からの議論の続きでございますけれども、私どもはやはり株式売却益等の原則非課税を原則課税にした上で、やはりそれらを含めて総合課税化に向かって緊急に行うべきである、このように主張しているわけでございますが、大臣の御答弁をお聞きしておりますと、非常にまた消極的な御答弁に終始しているようでございまして、大変残念に思います。  ところでまた、きのう埼玉県の越谷市で政府税調の公聴会が開かれました折、小倉税調会長が十三日に発言した内容が大分いろいろ言われた、このように言われております。この十三日の小倉税調会長の発言というのは、「新型間接税は欧州共同体(EC)型付加価値税が理念型で、あとは堕落したもの。衣食住と教育、医療は非課税か低い税率にしたらどうか」こういう発言だそうで、前にもこういったことをおっしゃっていたらしいのですが、どうもまだ政府税調でも大型間接税が何もはっきりした審議や検討が行われていないのに、 税調会長があたかも大型間接税の導入が既に決定したような、しかもEC型付加価値税が望ましいとかまたいろいろ言っておりますけれども、大蔵大臣はこのことに対してどう思いますか。
  48. 水野勝

    政府委員(水野勝君) ただいまお話しのございましたように、現在まさに税制調査会はこの間接税の問題も含めて精力的は御検討をいただいておるところでございます。税制調査会としてではございませんが、税制調査会の中の基本問題小委員会が、一応今月の初めに「基本課題」というのをまとめてございますが、その中におきまして「現行個別消費税体系の矛盾を是正する方策及び我が国に適した課税ベースの広い間接税の導入の是非。」、ここまでは基本問題小委員会がまとめておるところでございます。  しかし、これも税制調査会としての決定ではございません。まさにこういう「基本課題」をまとめつつ、その中で活発に議論が行われておるという段階でございますので、間接税としてはこういうものが固まったとか、その中の具体的な課税、非課税はこうであるとかということは全くまだこれからの課題でございます。  地方公聴会でございますので、かなりいろいろ個人的なお立場から、むしろ余り枠をはめないで個人的なお立場も含めて自由に御議論をいただくという雰囲気のようでございますので、いろいろ税制調査会の側からも御意見や御指摘等は出ておるようでございますが、税制調査会としてはまだまだ現在精力的に検討中の段階であるということで対処されておるようでございます。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 どうも私の質問に対して、はぐらかしたような御答弁でございまして非常に不満でございます。  私がお聞きしたのは、十三日に小倉税調会長がEC型付加価値税が適当だというような発言をなさった、そのことに対して十五日の越谷市における公聴会におきまして多くの人たちから、どうも会長がああいうことを言うのは大変誤解を招くとか、お年が七十七歳だから脳欧化症ということではありませんけれども、注意したいとか、税調の方々からもそういう意見がかなり出ているわけですね。意見表明者や傍聴者からも、もう新型間接税導入は決まったのかとこういった反発も大分出た、こういうことが報道されているわけです。ですから、政府の税調会長としてそういう発言をなさったこと、それからその公聴会の波紋、そのことに対して大蔵大臣はどう思われますかと聞いているんです。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私、直接それを伺ったわけではございませんけれども、今の小倉会長のお立場というのは、この方はもう申し上げるまでもなく税調には会長の期間も非常に長くおいでいただきまして、今度もたりてお願いをいたしたようなわけでございますので、本件の今までの経緯もよく知っておられます。また、この公聴会というものもなるべく肩の凝らないようは自由な意見を出してもらいたいということで運営をしておられまして、そんたくいたしますのに、そういう立場からなるべくいろんな議論を世の中でしてもらいたい、その上で帰趨を見たいという、そういう基本的な気持ちを持っておられるようでございます。でございますから、今まで検討の結果、例えば欧州型の付加価値税というようなものが理論としては非常にすぐれておる、そういったようなことをいろんな観点から、これでなくちゃならぬという意味ではなくて、いろんな議論を紹介される意味で言っておられることだと思います。もちろんそれは正式に言えば税調会長のお立場、つまり税調を代表して言われておるわけではございませんで、税調は今皆さん手分けをして世論を聞いておられるわけでございますから、税調の意見というものが今あるわけではございません。  そういう意味で、先ほど申しましたように、長い間の学識経験者として本件についてのいろんな考え方をできるだけ広く紹介しよう、そして世論をひとつ聞いてみよう、こういうお立場で言っておられるものと私は理解をしております。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はそうは思わないんです。やはり税調会長として、個人的な意見であろうとも、EC型付加価値税が望ましいような発言をなさることは非常によろしくないと思います。ですから、税調委員の方からも反発が出ているわけでございまして、その点はやっぱり注意していただきたい、このように思います。  それから大蔵大臣は、所得税減税、相続税減税、私たちは早急に本年度やるべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 所得税減税は昨年国会はおいて御承認をいただいたわけでございますが、これで抜本改正で考えておりますすべてが実現をしたというわけではございません。相続税につきましても、昭和五十年に定めました税率構造がそのままでございますから、これも直さなければならぬ。  したがいまして、私どもが申し上げております所得消費、資産というもののバランスのとれた抜本改正というものを、案を得ましたならば御審議をいただきまして、その中でそれらのことも解決を図っていきたいと考えておるところでございます。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はやはり、所得税減税、去年も若干行われましたけれども、本年度はさらに追加して行うべきであると、そして相続税減税も早急に行うべきだと、このように考えております。どうも政府はその二つの減税を秋ごろ新型間接税と抱き合わせて行おうというような非常によろしくない態度をとっているのではないかと、このように私たちは恐れております。この所得税減税、まあ野党は二兆円ないし二兆五千億円ほどいろいろ考えておりますけれども、所得税減税等含めて、これは今の不公平税制を是正すればきちっとやっていけることでございます。  この前も中央大学の富岡教授等の話が出ておりましたが、どうも大企業でも法人税をゼロにしているところが多いわけでございまして、日本の九大商社なんかは法人税はほとんどないわけでございまして、その原因の一つが外国税額控除制度というもので国外所得を多く計算できるような仕組みになっておりますから、我が国における法人税は納めなくてもいいというような姿になっておりまして、前からこれは問題になっております。そのほかタックスエロージョン——課税ベースの浸食あるいは虫食い、こういった現象が多々ございまして、そういったものをきちんとしますと、所得税あるいは法人税におきまして相当な増収になる、増収というよりも当然納めるべき税金を納めていただく、このようになるわけでございまして、富岡教授のお話では、こういった不公平税制の是正によって所得税で三兆八千八百億円、法人税で三兆九千百億円、それは有価証券のキャピタルゲイン課税によって三兆円、合わせて十兆七千億ほどの減税財源が生まれる、そうすればこれで所得税減税や相続税減税をきちっとやれます、政府が考えているような新型間接税といったものは必要ないのだと、こういう意見も吐露されておりますけれども、私も同感でございます。  さらに企業保有の土地や株式に対しまして資産再評価税、こういったものを加えれば当然財源はたくさん出てくるわけでございまして、逆進性の強い新型間接税、こういったものは導入する必要は毛頭ない、このように考えます。大蔵大臣はどのようにこれをお考えでございますか。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 例えば法人税法におきます引当金でありますとか、あるいは配当軽課の部分でありますとか受取配当でありますとか、いろいろな問題につきまして抜本改正を昨年考えましたときに見直しをいたして御提案をしましたことは御記憶いただいておることと存じます。その他租税特別措置法で所得税につきましても殊に中小企業関係のものが残っておりますが、その他のものはかなりもう整理をしてまいったと思っております。おりますが、しかしどうしても入り用なものは残さしていただきますが、なおできますものは順次それは整理していくことが望ましいとは思っております。そういうことは、しかし随分既 に進んでおりますものですから、本当は入り用なものを除きましてどれだけの税源になるか。  最後は土地等の課税についてお話がございましたが、これは前にも申し上げたことがあるかと存じますけれども、実現しない差益に大きな課税をするというととは事実上無理なことでございます。そういう御主張があることを存じておりますけれども、これはなかなか理屈の上でも問題がございますし、また現実に課税をするといたしますと、実現しない利益に対してどのような担税力が納税者側にあるかというようなこともございまして、大きな歳入は望めないのではないかと思います。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣のせっかくの御答弁でございますけれども、私どもはまだまだやはりこういったタックスエロージョンという問題は数多く残っている、このように思います。  個人所得課税につきましても、配当課税の見直し、有価証券の譲渡所得課税の問題、土地の譲渡所得課税の問題、こういった問題がまだ課題として残されておりますし、今大臣がおっしゃったように法人の所得課税につきましての受取配当金課税の是正とか配当軽課措置の廃止とか、それからまだ残っている引当金制度の是正あるいは税務会計制度自由化の是正、外国税額控除制度の是正あるいはタックスヘイブン、こういった問題がかなりあると私は考えております。  さらにもう一点お尋ねしたいのは、NTT株売却に関してでございますけれども、現在NTT株は上場一年を迎えたわけでございますが、株価は第二次放出時と比べてちょっと低い水準になっております。第三次放出分は予定どおり百九十五万株行う御予定があるのか、最近また渡辺政調会長が第三次は半分ぐらい放出したらどうかなんてこともおっしゃっているようでございますが、このNTT株は管理相場だという声も聞かれるわけでございますけれども、大蔵省はどのような対策をとられますか。
  56. 足立和基

    政府委員(足立和基君) 六十三年度の国債整理基金の特別会計の歳入予算におきましてNTTの収入額はネットで三兆八千億円余売却収入を見込んでございます。これは考え方といたしまして、百九十五万株、第一次、第二次と同数の株数を売却するということを前提に、予算原案作成時までの一カ月間の平均をその価格といたしまして、それを基礎といたしまして安全率八〇%掛けで算出をしたわけでございます。  今お尋ねの、予定どおり行うのか、どのように行うのかということでございますが、これは制度論として申し上げますと、この百九十五万株というのは特別会計の予算総則八条にもございますけれども、最高限度額というものを定めたものでございまして、現実にどれだけ売るのかということは、そのときの証券市場を初めとする金融市場等を勘案しながら判断してまいりたいと考えておりまして、現在まだ具体的な考えを持っておるわけではございません。  それから、お尋ねの管理相場であるというようなことにつきましては、私どもはそのような考え方は持っておりません。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税臨時特例法案につきまして若干質問いたしますが、昨年度まで、昭和五十三年度から六十一年度までは水田利用再編奨励補助金でありましたけれども、今回からは水田農業確立助成補助金、このようになっているわけでございます。農水省としましてはどのような施策改正、改良を行おうとされているのか。今までは行政主導の転作という色彩でありましたが、今度はどうも生産者団体と行政との一体的な対策の推進ということをねらっているようでございますが、いかがでございましょうか。
  58. 赤保谷明正

    説明員赤保谷明正君) お答えを申し上げます。  二つ御質問があったと思いますが、一つは水田利用再編対策と水田農業確立対策の相違点、改善点はどういうところか。もう一つは今回の対策は農業団体と行政とが一体となって推進していると、具体的にどういうことかという御質問かと思います。  まず最初の御質問でございますが、六十二年度から実施してまいっております水田農業確立対策、これは一つには水田を活用して生産される作物、これは稲と転作作物両方ございますが、そういう作物の生産性の向上あるいは地域輪作農法の確立とが需要の動向は応じた米の計画的な生産、そういうことをねらいといたしておりまして、生産者、生産者団体の主体的な責任、取り組みをもって、それを基礎にいたしまして一体的に推進しているということでございます。  それで、水田農業確立対策とこれまで実施してまいりました水田利用再編対策の主要な相違点、四点ございます。  まず第一点でございますが、従来の対策は米の計画的な生産とそのための他作物への転換に力点を置いた対策であったのに対しまして、今回の対策は稲作、転作を通ずる生産性の向上あるいは地域輪作農法の確立、そういった水田農業の体質強化を中心に据えております。それから需要の動向に応じた米の計画的な生産、こういうことを一体的に推進しているということが第一点でございます。  第二点目といたしましては、従来の対策は行政主導型といいますか、上からのといいますか、そういう行政主導の面が非常に強かったわけでございますが、今回の対策は生産者、生産者団体の主体的な責任を持った取り組みを基礎に生産者団体と行政とが一体になって推進している。これが推進上の相違点でございます。  それから三点目の相違点でございますが、従来の対策は米から他作物への転換を重視した奨励措置でございましたけれども、今回の対策は構造政策を重視した助成措置といたしているところでございます。  それから四点目は、従来の対策は将来とも我が国の農業、稲作を担うそういう地域あるいは担い手の育成という観点がやや希薄でございましたが、今回の対策はこのような観点、今申し上げました将来とも我が国の農業、稲作生産を担う地域だとか担い手、そういうところにおいて米生産の大宗が担われるように配慮している。そういうような大きく分けて四点の改善というか、相違点がございます。  それから、水田農業確立対策、農業団体と行政とが一体となって推進している。これは具体的に申し上げますと三点ばかりございます。  一つは、転作等目標面積の配分に当たりまして、従来は国から県、県から市町村、市町村から個々の農家へという形で配分をしておったわけでございますが、今度の対策におきましては農業団体と行政とが一体となってそれぞれ配分をいたしておるわけでございます。それで、末端の市町村から農家へ対する割り当て、配分、その状況を見てみますと、全市町村の約九割の市町村におきまして行政と農業団体が連名でやる、あるいは同時並行に配分をするというような形で一体的に推進をしておるわけでございます。  それから、今度の水田農業確立対策で新たに地域営農加算という加算制度が設けられましたが、この加算制度は農協等が中心になりまして地域の水田農業の確立を計画的に推進することをねらいとしたものでございます。農協が一体となってやる、そういう加算制度交付の対象になっているところが、全国ベースで見まして転作面積の約六割にこの加算金が交付されている。そういう意味で農協も一体的は実施しておる。そのほか、この対策を推進するに当たっての協議会、市町村にございますが、それにはほぼ一〇〇%農業団体が加入している。そういうふうなことで一体的に推進しているということでございます。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、農産物自由化の問題で御質問いたします。  十二品目に対しましては、その六品目までウエーバー品目等と称してアメリカが輸入制限をしておきながら、日本は対してはガットへの提訴とい う強引な方法を貫きました。政府もこのたびのガット理事会で自由化勧告の一括採択を受諾された。大変残念な姿になりました。ところが、やはり果たせるかな、アメリカは牛肉に関しましても非常に高圧的な態度で、今年三月末の協定期限切れ後も交渉がまとまらない場合はガットに牛肉も提訴する、こういう強硬な通告をしてきた。このように言われておりますが、今後の見通しについて農水省はどう考えておられるのでしょうか。
  60. 野崎修

    説明員(野崎修君) 今先生御指摘の牛肉、かんきつの問題でございますが、私ども従来から牛肉、かんきつにつきましては二国間による円満な解決を目指して、できるだけ早くアメリカ側と話し合いのテーブルに入るということでアメリカ側と話をしてきております。先週、私どもの経済局長が訪米いたしましてこの旨を申し入れたところでございますが、今先生御指摘のとおり、アメリカの立場は、自由化時期の明示を条件としたものでなければ話し合いに入れないというようなことでございます。同時に、現在のまま、話し合いに入れないまま推移した場合、現在の協定期限は御承知のとおり三月末日で切れるわけでございますが、四月に入ればガットに提訴することがあり得べし、そういうことでアメリカ側からの話があったわけでございます。  今申し上げましたように、日米間の立場は非常に隔たりが大きいわけでございますが、そういう意味で非常に厳しい状況だという認識でございます。今後ともさらに二国間による円満な解決を目指して、できるだけ早く話し合いのテーブルに着くということでアメリカ側にも働きかけてまいりたい、そういうことでございます。
  61. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 最初に、大臣税制の抜本改革の日程について質問をしたいと思います。  新聞報道によりましても、三月中に政府税調からの答申を受ける、四月、予算が通ってから、それは昨年の売上税で予算と一緒だったものだから失敗したので、今度はこれを別にしまして、予算が通ったならば法案を出して、しかしすぐ審議しないで、野党のメンツも一応考えて、次に臨時国会を召集してそこで十月にはどうしても通す、大体新聞にそう書いてあります。そこで、大臣にひとつ腹づもりをお聞きしたいと思うんです。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 新聞にそう書いてあるとも存じませんが、もしそういうのがございましたら、それは推測ということでございます。かねて申し上げますように、昨年ああいう結果になりましたので、今度はできるだけ広く国民のお考えを聞いて、そうして、まあまあそれならばやむを得ないと考えていただけるようなものを御提案しなければならない。この機を逸しますと、もう当分の聞こういうことはできないと思っておりますので、その点を大変慎重に考えております。  したがいまして、ただいま政府税調で各地で公聴会をやっていただいておりますのも、一つの予断を持たずに国民各層の御意見を聞かしていただくということでございます。したがいまして、政府税調がそれから後どのような、いわばたたき台とでも申しますか、幾つかの案を考えてみようとお考えになるまでにはまだまだ相当私は時間がかかるのではないかと思っておりまして、私どもの方でそれを、政府税調がまず機も熟した、考え方も幾つかにたたき台としてまとめられると自然に御判断になられますまでは、私どもとしてこちらのスケジュールということでお急がせをするとか、お願いをするとかいう気持ちはございません。したがいまして、もし税調の方でいろいろなたたき台をお考えの上、その上にまた国民の議論も聞かれまして案をおまとめになる、その段階がいつになりますか、私どもも予測、予見も持っておりませんので、したがいまして、今近藤委員の言われましたようなスケジュールを持っておるということはございません。  ただ、政府・与党でいつぞや話をいたしましたときに、できるならば今年のうちに国会の御審議、御決定を得たいと、できるならばという気持ちはないわけではございませんけれども、それはしかし、まずそのための国民がほぼ納得される、あるいはやむを得ないとお考えになるような案ができるという前提のことでありまして、その前提が立ちませんとそのようなことを願いましてもそれはできないことでございます。ただいまとしては、そういう案ができますことを、税調の御努力にまっておるということは尽きるわけでございます。
  63. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今国民の不満あるいはいら立ちは、竹下さんまた宮澤さんがちゃんと一つ考えておるんだけれども、そいつを出さずに、しかし予定どおりのコースで進んでいくんではないか、こういうやはり疑いをみんな持っているんです。それを裏づける発言もあります。  証拠で申しますと、先ほど小倉税調会長の大胆発言がありましたが、もっと大胆な発言があるんです。これはきょうの毎日に載っていましたけれども、これは宮守村で「(税調の結論は)みんな分かってるんだ。あとは時間稼ぎをしているだけだ」と、随分大胆な発言だと思いますけれども。要するに、売上税と名前は違うけれども、同じようなものを結局は出して、そうなっていくためのいわば前の作業をやっているにすぎないんじゃないかということがこの発言からもこれはもう十分推測できるわけです。そして私は、税調が今やっていること自身も、ある意味では世論誘導じゃないかなと思うんです。  そこで、これは主税局になりますか、お聞きしたいのは、大体公聴会の公述人、あれはどうやって選ぶんですか、事務局として大体財務局がこれはやっているんでしょう、基準は何なんです。
  64. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘ございましたように、全国で公聴会を行うに際しましては、事務的には各地の大蔵省の出先機関である財務局に相談をして決めているところでございます。財務局におかれましては全体の、全国的なバランスも見ながら、その地元におきますところの経済界、労働界、地元公共団体等々、関係者の御意見を幅広くお聞きして決定をいたしてきていると聞いております。
  65. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 幅広くと言ったって、やっぱり選ぶのは、これは実際腹の中には大型間接税を考えている大蔵省の現場が——水野さんの直接指示かどうか知りませんけれども、いわばその指揮系統の中でやるわけだから、私はそういう中で公述への選び方そのものにもそういう誘導があるんじゃないかということをこれは疑ぐるんですが、断じてないと確言できますか。
  66. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 現在までのところ六カ所で開催をいたしておるところでございますが、新聞報道等にもございますように、極めて多種多様な御意見が出ているところでございまして、そうしたところから見ましても、一つの方向に絞ったような考え方で各財務局なりで選定をしているということはないと言えるのではないかと思うわけでございます。  また、もちろんお手伝いをいたしております事務局として、お手伝いをいたしております私どもとしては、毛頭そういう考え方は持っていないわけでございまして、そういうことでございますと、かえってこの公聴会というものがおかしなものになってしまうわけでございます。あくまでこの公聴会の趣旨に即した方法でそれぞれの公述人の選定も行っておるところでございます。
  67. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に、大臣所信にもありました所得消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築するということが不可欠であると言っておられますけれども、この三者の間で均衡がとれた税体系というと、大体宮澤さんはどんな、例えば比率も含めてどんなバランスを考えておられるのでしょうか。
  68. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 現在のこれを大ざっぱに分けましたところの、例えば直接税、間接税、こういった比率で見ますと、御承知のように決算の出ておりますのは六十一年度、これが七三%対二七%という大ざっぱな数字になっておるわけでございますが、これがシャウプ勧告のころあるいは昭和三十年代前半におきましては大体五〇対五〇であった。これはそれぞれの時の経済情勢等をも 反映するものでございますが、また税制のその時代への即応度によってもいろいろ変わるところでございます。とにかくこのように十年、二十年を経過いたしましたところ、一方的に一つの方向に直接税のウエートが上がり間接税のウエートが下がってきているという、ほっとけばこういうことになるというところが一つの問題点ではないかと思うわけでございます。  したがいまして、こうした数字日本税制としてあるべき比率である、直間あるいは所得消費、資産、こうしたアプリオリに一つの数値というものがあるわけではございませんが、現実の問題としてとにかく一定の方向にそのひずみが拡大してきているという点はやはり事実としてあるわけでございますので、こうしたものを前提といたしまして、ほっとけばとにかくそういう方向にまいるという税制の性格を持っている、この税制をどのように対処していくかというところが基本的な問題ではないかと思うわけでございます。
  69. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の局長の答弁は直間比率の問題ですよ。大臣が言っておられるのは所得消費、資産で、これは税の分類として全然違う概念でしょう。ところが、これが今私たちは大変疑惑に思っているのは、実際の政治宣伝の中ではごちゃごちゃにされておるんです。  私は竹下総理や宮澤さんの発言を注意深く聞いていますと、所得消費、資産としか言っておりません。ところが、渡辺政調会長それから渡部国対委員長、このあたりは直間比率だと。それから安倍幹事長もそうですね。五対五まで言っていますね。そして、しかもそれが公約にまであったなんと、こんな事実に反することまで言っておりますけれどもね。それは明らかに違う概念ですよ。それを今の局長のように、私が所得消費、資産と聞いたのほ直間比率で答弁しているんだから、どうも大蔵省もそうではないかなと思うんです。  これについてはこの大蔵委員会でも竹下大蔵大臣の時代に随分議論してきました。竹下さんが大蔵大臣のときに、これは六十年二月十二日の予算委員会ですが、小倉税調会長も出ておりて、こういう答弁をしていますね。「比率というのは結果に出てくるものだ」、「てんから直間比率はどれぐらいがいいのだというようなことは考えたことが実はありません。」、それから中曽根総理もほぼ同じことで「結論として直間というものが出てくるんだろうと思って、初めから何%にしようという計画的なものではないと思います。」、これを受けて竹下大蔵大臣も「直間比率はいかにあるべきかというものでなく、各種税制の組み合わせの結果として出るものであるという事実認識だけは、いつも税制論議をします中においてしていなければならぬ問題だ。」と。要するに、公正な税制を求めた結果にすぎない、それ自身がひとり歩きしちゃいかぬということは、この委員会でも何度も議論をしてきて、またこれが私は学問的な正しい立場だと思うんです。ところが、その竹下さんが総理大臣になったそのもとで、その自民党の有力な党役員が直間比率を目標にして今宣伝しているというのは、これは私は大変問題だと思うんです。  そこで、宮澤さんへの質問は、直間比率については先ほど私が紹介したような中曽根総理、当時の竹下大蔵大臣と同じお考えでしょうかな。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 伝統的に直間比率はかくあるべしということはアプリオリに考えられるものではないというのは、私はそのとおりだと思っておりますけれども、ただ我が国が今現実に七二強対二七強、二八弱でございますか、これは幾ら何でもバランスを外れておるということは私はもう明らかだと思っておりますものですから、これは直す必要があると思っております。
  71. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その議論に入るとちょっと長くなりますけれども、一言だけ言っておきますと、じゃあいつこの直間比率が大きく変わったのか。昭和三十五年には直接税五四・三%、間接税四五・七。ほぼ半々ぐらいでしたが、大きく変わったのは大体昭和四十年代にかけてです。三十五年、四十年から五十年ぐらいにかけてですね。この段階で大体七、三に変わって、その後はほぼ大した差はなしに推移してます。  じゃあ、なぜ三十五年から五十年にかけてこのように急激に変わったかと申しますと、これは要するに、あの当時の高度成長そしてインフレもありましたから勤労者の名目所得がふえたけれども、減税が少なかったので所得税がふえたんですよ。比率を見ても法人税以上に所得税が莫大もなくふえている。要するに、圧倒的多数の勤労者の負担増で所得税がふえたわけです。間接税は額もずうっとふえているから、そんなに間接税が減ったわけじゃないんです。  そのときには宮澤さん何やっていたかちょっと記憶が私ありませんが、直間比率が問題だと、要するに急激に変わったときにこそ問題にすべきなのに、そのときだれもほとんど問題にしなかったわけです。その後昭和五十年代からずうっとほぼ横ばいに来ましても、そのときも余り問題にしなかった。今税制改革が必要になって、そのときに直間比率を声を大にして言い始めた。まさしくこれは意図的で政治的なものであろうと見ざるを得ないんですが、端的にお答えいただきたいと思うんです。
  72. 水野勝

    政府委員(水野勝君) お示しの三十五年から五十年代あたり、この時点におきまして直接税の比率が上がっておりますのはまさに高度成長と勤労者の所得の上昇によるものであろうかと思うわけでございますが、その時点におきましてはむしろそういうことを背景として多額に発生いたします自然増収を所得税減税に向けまして、それでもなおそのような上昇は見られたところでございます。五十年代に入りますと、安定成長と申しますか、そういう成長の過程となり自然増収は余り発生はしない、一方におきまして財政需要というものはかなりあるわけでございますから、五十年代に入りましては酒税は四回、たばこにつきましても四回増税をお願いをいたしたところでございますし、またその間石油税を新しく創設をお願いをするなどといったところでございまして、もう所得税減税は余り行いません一方、間接税をほとんど毎年のように増収措置をお願いしてまいったところでございます。  そうしたところからいたしまして、間接税の比率の低下はかなり食いとめられたところではございますけれども、それが二七、八%に下がってきた。しかも、そうした過程におきまして、五十九年度におきましては酒税の増税をお願いいたしましても、ついにそれが全く増収としてあらわれないというふうな極端な現象にまで立ち至った。ここにおきましてはもはやそれぞれの個別の税目を見直して税収維持を図るということはもう限界に来ているというところから現在の税制改革の問題ともなっているところでございますので、このまさに御指摘の三十年代、四十年代、五十年代の直間の比率はそうした日本税制のひずみをある意味ではあらわしているのではないかと思うわけでございます。
  73. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 きょうはその議論の入り口だけにしまして、法案がありますので法案の関係で質問したいと思うんです。  この転作奨励に関する課税の減免ですが、さっき六億円という話がありました。ただ、問題はそれに対する固定資産税の問題で、せっかく税の減免をしながら、転作した農家にとっては余り効果が出ていないんじゃないか。と申しますのは、水田を畑に変えると当然地目変更になるはずです。ところが、大多数はほとんど同じ田として評価され、そして課税されている、こういう状況ですが、これについて自治省が一定の指導をしておるようです。御答弁いただきたいと思います。時間がないから簡単にね。
  74. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) まず、地目の認定の問題でございますけれども、固定資産評価基準によりますと、地目の認定と申しますのはその土地の現況によると、こういうことになっております。この現況判断するに当たりましては、単にその利用の状態のみに着目するのではなくて、耕地の形態それから利用状態等を総合的に考慮して田なり畑の認定を行うと、こういうことになっておりま す。  今お話しの転作等につきまして、例えば大豆のような永年性作物以外の作物へ転作されました場合には、やはり耕地の形態が田の設備をまだ残しているということ、それから耕地の利用状態が湛水を必要としない作物を耕作しているという場合でもいつでも田として利用し得る状態にあると認められるということ、そういったようなことから、その土地の本来の利用目的が田として耕作することにあると認めるのが適当であると、こういうようは考えておりまして、転作の場合でも永年性作物以外の場合には原則として田として認定するのが妥当であると、こういうような考え方で課税団体を指導いたしておるところでございます。
  75. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣、今の答弁のとおりでして、せっかく転作しまして畑にしたって、永年作物と申しますとこれは果樹ぐらいなもので、余りないんです。だから、実際畑作していましても田の課税なんです。  そこで、あともう時間ないんで端的は幾つかまとめて質問しますので、後でまとめてお答えいただきたいんですが、この田と畑との評価価額の違いが三対一、要するに田の方が全国平均三倍であると聞いているが、そのとおりかどうか。だから、これ三倍だったらせっかく転作したってもとどおりのやつかけられたら全然意味ないんです。これが第一点ですね。  それから、今あった自治省の通達がたしか行っています。永年作物についてはこれは畑に評価せよというんですが、しかし実際自治体は聞いてみますと、そういうことが徹底していないんです。だから、農民は全然知らぬで、果樹にしたけれども全く今までと同じ評価になっておるというので、これはひとつ徹底をしてほしいというのが第二点です。  それから次は、自治体によっては確かに、これは新潟県の十日町市ですが、ちゃんと広報でこういう申告をしてくださいと言って、しかしこういうことをやっているのは少ないですね。ほとんどは知らせたりしない。しかし、私はこういうのを知らせることはこれは丁寧でいいんだけれども、元来、知らせに本人から申し出があって初めて田を畑にすべきものでなくて、これは賦課課税主義ですから、しかも役所の指導を全部転作しているんですから、どこがどう変わったということは全部わかっているんですよ、台帳があるんだからね。それでしかも現況でやるということですから、私はこんな申し出があるまでもなく積極的に自治体の方でそういうのを評価がえをせよと、税収が減っちゃうのでみんななかなかやらぬかもしれぬけれども、やっぱりそれは決まったことだから、ひとつそういう指導をしてほしい。  最後の質問は、問題は現況主義によると、そして水田として利用されているかどうかが問題なんだけれども、しかしそちらの通達は、水田として利用される可能性があると、可能性があるということで田にしちゃうんですね。しかし、現況がどうかということと可能性とは全然違うんだから、これは現在畑にやっておれば、しかもこれは政府の方針で仕方なしにやっておるんですよ、これは対しては、それはきちっと畑として認定しその課税を行うべきである。  以上、幾つか申したけれども、時間がないので端的にぱっぱっぱっとお答えいただきたいと思います。
  76. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) まず第一番目の御質問でございますが……
  77. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 簡潔にお願いいたします。
  78. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 昭和六十一年度の固定資産の価額等の概要調書によりますと、反当たりの全国平均価額は、田が八万五千八百四十七円、畑が二万七千九百六十九円でございまして、田は畑の約三倍でございます。  それから第二番目の御質問でございますが、市町村への指導の問題につきましては、従来から各種の会議、研修会その他あらゆる機会をとらえまして市町村への周知方を行ってきたところでございまして、また六十三年度の土地の評価がえに当たりましても、引き続いで都道府県を通じまして市町村への指導、それから周知を行っているところでございます。  それから第三番目の御質問でございますけれども、地目の認定は、先ほども申しましたように、土地の現況それから利用目的、こういったことに重点を置きまして市町村が実地調査等によりまして土地全体としての状況を観察して認定すると、こういうことになっております。この場合一般的には、地目の認定に当たりまして、それぞれの市町村の実情は応じて調査に必要な資料等を収集して行われているところでございます。今後とも引き続き、このような方法によります適正な地目の認定につきまして地方団体を指導してまいりたいと考えております。  それから第四番目の御質問でございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、この土地の現況を判断するに当たりましては、単にその利用状態のみは着目するのではなくて、耕地の形態、利用状態、こういったものを総合的に考慮して田なり畑の認定を行う、こういう考え方で行っておるところでございますので御了解をいただきたいと思います。
  79. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 税制改革の問題にりいて若干お尋ねをいたします。  所信の中に「国民の納得が得られるような税制改革関連法案を取りまとめるよう引き続き最大限努力を傾けてまいる所存であります。」と、こうあるのでありますが、ここで「国民の納得が得られるような」というのは実際にはどういう意味なのか、この点をお尋ねしたいんです。もう少しこれは具体的に言い直してみますと、売上税のときのようなまねは絶対はしないようなという言葉に置きかえられるのではないかと思うんですが、その点はいかがなんでしょうか。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨年、政府が御提案いたしましたものが国会で廃案となりました。それについては私どもも深い反省をしておりまして、そのような過ちを二度操り返してはならないと、こういうことをここで申し上げておるわけでございます。
  81. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 おっしゃるとおりだと思います。  そこで、売上税の反省でありますけれども、なぜ国民の勉得を得られずに廃案に至ったか、その理由というものを幾つか挙げてみますと、改革案の中身そのものに関する問題点と、それから進め方に関する問題と、二つあると思うんです。例えば非課税を大変ふやしたというのは、これは改革の中身に関する問題でありますし、それから拙速という批判が大変強うございました、これは進め方に関する問題です。そこで特に意識をされている問題はどういったことでございましょうか。
  82. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま栗林委員が非常に端的に言われましたそのことに尽きておりますが、中身の問題とそれから進め方の問題とやはり両方あったというふうに考えておりまして、その中でどこがまずかったかとおっしゃられれば、それは言えばたくさんございまして、いろいろ反省をしなければならないことがあると思っております。
  83. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 当時の大蔵省の担当官の皆さんにとってみると、非常に苦みに満ちた反省だろうと思うんですが、その反省の弁をたまたまあるところで文書で拝見したものですから見ておりますと、なるほどなと思ったのは、なぜ拙速と言われたのかと考えてみたら、これは税務担当の人間の持っている感覚と国民の感覚のずれだったと。税務担当者は、一般消費税が昭和五十四年、その後ではOA機器に対する課鋭もありました。ずっとやってきたんだけれども、国民の方は突如として目の前にわっと具体案が出てきた、この印象が非常に強かったのではないか。なぜかといいますと、前回を見ますと、税調は諮問したのは昭和六十年の九月でございました。その後では公聴会も三回ほど開きました。だんだんにやって答申も六十一年にありました。そういうことをしながら、最終的にこれでまいりますよという形が出てまい りましたのは、実は自民党税調の最終案提示。そのときに国民は、そうか、これでいくのか、こうなった。ところが、これが出ましたのは十二月五日、そして最終答申が十二月二十三日、翌年の二月四日国会提出、この間が余りにも時間がなさ過ぎた。これが拙速という批判があれだけ出た原因なのではあるまいかと、こうしみじみと書いておいでになりました。私も当時の、拙速だなという私が感じた感じも含めて思い返しながら、まことにそう思うんです。  そこで問題は、最終案が出てから法律案になるまでの時間、これが拙速かどうかを決める一番の決め手ではないか、こんな気がするんですね。したがって、売上税のあの失敗を繰り返さないためには、いつの日か最終案が出てから、それが法案になり国会に提出するまでの間には相当の期間がないと、やっぱり拙速という国民の批判は避けがたいということになるのではないか。私はそんなことを理詰めで申し上げて以下のことにお答えを伺おうというつもりは別に毛頭ないんですけれども、そこに時間をとることが必要だと仮に考えてみますと——今度も公聴会ずっとやっております。三月の三日に終わるんです。終わってから政府税調では最終討議が始まるんでしょう。で、自民党税調はそれを受けとめながら最終案を出してくる。さあ、それが出た段階法律案になって国会に出る、これは今国会ということで考えますと、五月の二十五日でこの国会は終わりですから、五月の二十五日に法案出てくるということになりますと、最終案が決まってから法案になるまで、やっぱりいかにも時間が短い、拙速だという批判はやはり同じように出てくる。  したがって、まだ税調の議論はこれから始まるんでございましょうけれども、それを踏まえて自民党税調も含めて最終案を固める、国会に出す、この辺についてはよほど思い切ってゆったりした幅を持っておかないと前回と同じ過ちを繰り返すのではないか。年内に成立などという心ないことも一部で取りざたされているようでありますけれども、それもこれも前回のあの反省を一切教訓としていない心ない発言ではないんだろうか、そうつくづく思うものですから、この点についての大臣の御所見とあわせてお伺いしたいと思います。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前回の場合、今、日をお挙げになってこのような急ぎ方であったとおっしゃいました点はそのとおりと思います。関係者は長いこといろいろ検討しておったのでございますけれども、国民がごらんになったのは幕があいてから後でございますので、そこをやはり長いこともう国民にも知っていただいた未だというような、錯覚と申しますか、自分たちが長く苦労しておっただけに、ついつい国民もある程度の問題についての知識、御理解があると考えた嫌いはあったと思います。  そこで、そのような反省に立ちますと、今回できますならばまずこれという案を持たないままで国民に対して問題の所在——前回の今回でございますから、国民もある程度の問題の所在は知ってらっしゃるわけですが、成案というか予断を持たないままで国民に前回どこが悪かったかというようなことを聞かしていただく。願えるならば、どういうことならまだまだ受容が可能であるというようなことも公聴会等々の場を通じて聞かしていただいて、しかしそれはやはりそう申しましても抽象的なものでございましょうから、それならばもう少し具体的には、例えばこういう案でございましょうか、あるいはこういう案でございましょうかというような、仮にたたき台という言葉を使わしていただくのならそういうものでもう一遍国民のお考えを聞いて、ならば、その上で案をまとめるのが一番いいのではないか。そういうことが仮にできるといたしますと、まとまった案の中にはもう国民のお考えがかなり入っておるし、また国民も突然新しいものが飛び出したわけではない、いろいろ御議論の未だということがわかっていただける。今のようなやり方ができれば、私は比較的国民にわかっていただいた状況で国会に案を出して御審議がいただけるようになるのではないか。  これは口で申しますと易しいようでございますけれども、実際にそれをどういうプロセスでやりていくかはなかなか御指摘のように簡単なことではございませんので、そういうようなやり方を実質的にどうやればできるだろうかということを税調でもいろいろ御検討であり、私どももいろいろ考えておるところでございます。
  85. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間いいですか。
  86. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 時間が参りました。  他に御発言もないようですから、昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  87. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会