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政府委員(
鈴木直道君) 最初に御
指摘なさいました
規制導入時の問題点でございます。確かに
お話しのように、現在
フロンは国民生活の面あるいはまた産業活動の面で非常に幅広く利用されておるわけでございますが、それを今後
規制をするわけでございますけれ
ども、例えば来年、
規制導入時期に六十一年の水準に
規制するわけでございます。これは実質的には約三〇%近い
削減になるわけでございますので、これをいかに円滑に実施に移すかということが当面の課題でございますし、それ以降さらに二割
削減、さらには五割
削減ということでございますので、相当厳しい実は生産
削減になってくると思います。
そうなりますと、当然、今おっしゃいましたように、需要家に対します
影響は非常に大きいだろうと想定されますので、私
どもはそれを事前に、いかにそのような混乱にならないように手を打つかということを非常に重要視しております。そういう
意味で、今後、私
ども需要
業界と十分に
お話し合いをしながら、かつ、きょうもいろいろ御
議論ございましたけれ
ども、絶対
供給しなくちゃならないような分野につきましては、あらかじめ当然ながら手を打っていくし、またその
規制を強化していく過程では、過渡的な問題といたしまして、御
指摘のように価格の問題が出てくるかもしれません。これにつきましても十分手を打っていかなくちゃならないと思っております。
ちょっと仄聞でございますけれ
ども、例えばアメリカなどは、むしろ価格を上げた方がいいのではないか、価格を上げればむしろその消費が減る、あるいはまた
代替品の
開発が進む、こういう
議論がややまじめに
議論されております。ただ、政策の選択といたしましては、そういうのをとりませんで、やはり今回のような生産
規制でいくということを最終的には決めておりますけれ
ども、我々といたしましては、
日本の行政の手法としては、そういうような価格を引き上げて進めるというよりは、むしろやはり着実に需要
業界の
経済的な面、あるいは技術的な面を十分配慮して、しかしまた円滑に
規制を進めるという態度で柔軟な、何といいますか行政
指導で対応するのがいいのかもしれない、かように考えておりますし、私
どもはそういうものを選択しようと思っておるわけでございます。
それから、むしろ消費段階で厳しい
規制をした方がいいのではないかという意見があるがというようなことでございますけれ
ども、もちろんそういう
議論もございましょう。ただ、この
フロンというのは非常に使われ方が多様でございまして、発泡剤でございましたり、
冷媒でございましたり、あるいは洗浄剤でございまして、非常に使われ方が千差万別でございますから、それを公平に同じような負担を与えながら
規制をしていくということは非常に技術的に灘しゅうございますし、この
フロンの非常に特殊性でございますけれ
ども、どこで使われましても
フロンが
フロンでなくなるということはなく、ずっと
フロンでございますので、やはり一番合理的で公平な
規制は生産段階であるというようなことで、今回は国際的に生産
規制という手段を選んでいるわけですけれ
ども、ただ
お話しのように、それですべてかとおっしゃれば決してそうではございません。やはり消費サイドに
規制という
観点よりも、むしろいかにその
削減を円滑化するかというような
観点で、むしろ助成策を有効に活用しながら円滑に
転換をしていく、あるいはまた
回収・再
利用設備の導入をしていただく、こういうような発想がいいんではないか、かように考えているわけでございます。
そういう
意味で、先ほど御
指摘ございましたように、ことしの
予算なり
税制で助成策を立てておりますけれ
ども、ただ、これ今後さらにまた
規制が厳しくなってまいりますので、それに対して十分有効かどうかという点については私
ども見直しまして、必要がございますれば、御支援をいただきましてさらなる助成策の強化などを考えたいと思っているわけでございます。
それから、
最後に御
指摘ございました化学産業の総合的な視点、これは
安全性とか
環境とかという視点と、むしろ産業自身が国民生活なり
経済産業構造の中でいかに定着していくかという両方の視点があると思いますけれ
ども、その前者の視点では、実はOECDの中に
環境委員会というのがございまして、実は小島
委員が私
どもの政務次官をしていただいているときに副議長としてそれに参加していただきまして、その会議で非常に重要な決定をしていただいたわけです。やはり有効に化学品を
開発して普及をしていく、その前提としてやはり
安全性のチェックをしなくちゃいけない、各国それぞれ実はやっておりますけれ
ども、従来その情報交流は必ずしも十分いっていなかったわけでございますが、おいでいただいたときに、それを今後積極的に情報交換をするということをお決めいただいておりますので、今後その面で国際的にデータベースが次第にできてくると思います。そういうことをベースに、化学品そのものが実際上有効に機能を果たすようにしていきたいと考えております。
化学産業そのものでございますけれ
ども、これは昨今私
どもこういう位置づけをしているわけです。
日本の産業の中で、例えば加工組み立て産業、それからエレクトロニクス、これは非常に世界的水準に達しておりますけれ
ども、実はそれは電子産業だけの力でそこまで達しているのではなくて、やはりそこに非常に性能のいい電子材料、これを化学産業が
供給しているからこそ発展しているわけでありまして、やはり化学産業と素材産業と加工組み立て産業、それぞれが技術向上に関しましてフィードバックをしていくというような形で発展しているわけでございますので、やはり今後、化学産業そのものが、より産業構造全体の中の上昇に非常に寄与していく重要な産業であるという位置づけもございます。
さらには、中長期的にはバイオテクノロジーだとか新素材とか技術革新の種が今後あるわけでございますし、それをてこにして私
ども発展していかなくちゃならないわけでございますが、実は、新素材もバイオも化学の分野の問題でございます。実は半導体製造技術というのも化学、ケミカルの問題でございまして、化学産業は、たまたま現在世界的な水準までは実は達していないわけでございますけれ
ども、ますます今後の重要性は増してくるだろうと考えておりますので、特に技術
開発の問題を重要視してまいりたいと思います。
さらには
国際化の問題が別途ございますけれ
ども、これはいろいろ御
議論いただいていると思いますが、技術
開発と
国際化というものにいかにこたえるかということが化学産業の今後の大きな課題だと思っておりますので、
先生方のお知恵もいただきながら、その辺につきましては遺憾なきを期したいと考えているわけでございます。