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政府委員(
鈴木直道君) 最初の、発展途上国への配慮規定の問題でございますが、このような地球的規模での
環境対策ということを今後円滑に進めるためには、私
ども先進国のみならず、当然発展途上国の協力も必要でございます。一方発展途上国におきましては、やはり
フロンそのものが生活の向上あるいはまた経済の発展に欠くことができないという要素も別途あるわけでございますので、その辺を配慮いたしましてこの
議定書におきましては、一人当たりの消費量が〇・三キログラム以下の発展途上国につきましては
規制措置の導入を十年おくらせることができるという特例措置を講じているわけでございます。その
趣旨は、先ほ
ども申し上げましたように、できるだけこの
条約議定書に参加を求めると同時に、将来やはり
規制措置に参加してもらいたい、その辺を考慮しているわけだと存じます。
それから、
我が国がそれではNICSに対しましていろんな技術の輸出等について
抑制措置を講ずるのかという点でございます。
先ほど申し上げましたとおり、NICSに対しまして
条約の参加を積極的に求めるというために先ほどの配慮事項を設けているわけでございますが、入ってこない非加盟国に対しましては、やはりそれに対します例えば
フロンの
製造技術とかあるいは
フロン使用技術の輸出を
抑制すべきである、こういうことをこの
条約議定書の中で言っております。私
どもといたしましては、当然それを守るということでございまして、
フロン製造技術の輸出等につきましては、当然その非締約国に対しまして輸出が行われないように今後厳格に指導してまいるわけでございますし、さらにはまた輸出にかかわる経済協力等につきましても
関係省庁との連携のもとに万全を期すという
考え方をとっているわけでございます。
それから、最後に御指摘がございました
法律第三条の基本的事項の中で発表いたします
フロン及び
ハロンの基準限度の中に、
議定書に認められております一〇%の上乗せ分はどのような形になるのか、こういうことでございますが、この法三条の基本的事項をなぜ公表するかといいますのは、最初に
お話がございましたように、
国民の
方々に今後どのような形で
フロン等の
規制が段階的に厳しくなっていくのかという長期展望を示すということがその目的でございまして、
一般国民さらには産業界が供給
削減に円滑に
対応できるように具体的な数字で今後の
削減目標をこの計画の中に書くことにしております。したがいまして、今おっしゃいましたこの一〇%の上乗せ分というのはこの数字の中には含めないで、今後の段階的な
削減の目標を明確に示すという
考え方でございます。
それではその一〇%分はどうなるかということでございますが、これは、例えば発展途上国の中で、
条約には参加しているけれ
ども国内に
設備を持っていない、そのような国で、かつまた
フロンの需要があるという国に先進国が輸出を従来しているとすれば、仮に
規制を厳しくやるとその輸出を国内に回してしまうことがありますので、それを避けるために上乗せを認めて、
条約に参加する発展途上国への輸出を認めていこうというのがこの一〇%の上乗せの
趣旨でございます。
このような事態があった場合には、その際に具体的に措置はしていくわけでございますし、また
議定書に「産業合理化」という言葉が書いてございますが、ある国がどんどん段階的
削減になりましてもうその
生産単位としては必ずしも成り立たないような規模になった場合に、その
設備をやめてある国に輸出を求めてくる場合があると思います。その場合に、求めてこられた国がこの上乗せ規定を利用して、向こうの工場は全廃してこちらから供給する、この逆のケースもあると思いますが、
趣旨といたしましては、そのようにその段階的
削減が
世界的に円滑にいくようにということを
趣旨といたしましてこのような措置がこの
議定書の中にあるわけでございます。