○矢原秀男君 確かに被害について、消費者の啓蒙については
努力をされている一面は評価もできるわけでございますが、私も手元の資料を見ておりますと、今
お話があった六十年五月に
訪問販売トラブル情報
提供制度、六十一年の九月には
消費者トラブル連絡協議会、六十一年の十二月には
産業政策局内における
訪問販売等問題研究会、それから六十二年の十一月に同研究会の報告、六十二年の十二月は通産
大臣からの
訪問販売等の
取引適正化のための方策のあり方、こういうふうに非常に
努力はされていらっしゃるのでございますが、果たしてそれが国民の家庭の中に実際に本当におりていくような、そういう徹底の仕方であるかどうかということになりますと、やはりこれはちょっとまだ問題があるなと私も
感じているわけでございます。
そこで、
訪問販売のトラブル情報
提供の実績でございますけれ
ども、通産省からこの
制度に基づいて実際の情報
提供の文書をいただきました。毎年ほぼ年末に出しておられるようでございますが、毎回同じような手口のものが紹介されておられる。また、消費者に対して注意を喚起するという点では評価はいたしますけれ
ども、それがやはり根強くは周知、徹底はできない、こういうふうに私は受け取るわけでございます。また、当局から注意を受けた企業では、解散もしくは
訪問販売の業務停止をある
程度は行って効果的と評価をされているようでございます。
こういう中で、ちょっとトラブルの多い
訪問販売の一覧等を見ておりますと、やっぱり一番多いのが利殖商法であって、
海外の先物
取引、国内私設市場先物
取引、国内公設市場先物
取引、こういう中でセールスマンとのやりとりというのが、「今買えば必ずもうかる」、「今なら損はさせない」と投機的な危険を告げずに、高収益を保証し、「短時間でよいから」、「一口でよいから」と巧みに
取引に誘い、次第に
取引を増加させる。
二番目に多いのがアポイントメントセールスで、英会話教材、ビデオ教材、レジャー会員権、印鑑、音響映像製品。これらの会話を見ておりますと、電話やはがきによって、「選ばれました」、「当選しました」、「よい話がある」と
販売目的を隠して喫茶店や営業所に呼び出し、断りにくい
状況で
契約に導く。
三番目に挙げられておりますのが
教育サービス商法でございますけれ
ども、中学高校生用学習教材、英会話教材、幼児用教材。塾、教室、家庭教師、電話相談など
教育サービスつきがセールスポイントだが、その
契約内容があいまいである。
四番目がキャッチセールスで、健康食品、化粧品、美容サロン、モデル講座、ショッピング会員券。これらの会話のやりとりは、駅前や繁華街で、「アンケートに答えてほしい」、「美容に関心はないか」などと
目的を隠して近づき、路上であるいは営業所へ誘って
販売商品を強く勧める。
五番目が健康、美容商法で、健康食品、健康機器、羽毛布団、美容機器、美容サービス。これらの対話は、「体質改善」、「宿便をとる」、「万病に効く」、「特定の病気によい」、「やせます」、「美しくなる」などと客観的に認められていない、また証明しにくい効能効果というものをうたって誘っている。
六番目に多いのは見本工事、モニター商法で、外壁材料取りつけ工事やベランダ、サンルーム、太陽熱温水器。これらの会話は、「見本工事として割り引く」、「モニター料金で」、「キャンペーン
期間だから」などと割引料金を示すが通常価格であったり、さらに料金が割高な場合、品質、施工が悪い場合と、こういうふうなことになってまいっているようでございます。
その次が開運商法、まあ新聞にも出ておりますけれ
ども、霊感商法で、印鑑、つぼ、数珠、塔、高麗ニンジン製品など。これらのやりとりは、「手相を見てあげる」、「姓名判断をする」と近づき、「不幸になる」、「病気になる」、「先祖のたたりがある」などと心理的な不安に陥れ、先祖の供養のため、開運のためにとして
商品を買わせている。
その次がホームパーティー商法で、なべ類、電気掃除機、洋装下着、化粧品。「料理講習会を開きませんか」、「ホームパーティーを開きませんか」と
販売目的を隠して人を集めてその会場を
販売の場とする。
こういうふうに非常に複雑多岐な商勧誘というものが行われて、これが消費者が賢明である場合にはいろいろとまた防止等バランスがとれると思うのでございます。先ほどからも被害金額等々の集計のやりとりがございましたけれ
ども、本当に、国の該当の省が数多くございますけれ
ども、私は消費者のために、国民の皆さんの家庭生活を守るために、国、そして国が動けば
地方行政が動きますけれ
ども、そういう行政が本当に国民生活を守るために周知徹底の運動とか、そうして相互的な意見の交換とかというものが連携をされているのかということを
考えますときに、私は国の
努力は足りないと、こういうふうに思います。これは通産省だけと言えば申しわけないですけれ
ども、多くの
関連する省庁のそういうふうな
努力が私は足りない。
国民生活を守る、本当の命をかけた闘いというものを行政の中でやっていらっしゃるのか。それは大金持ちの方は別ですけれ
ども、まじめに働いているサラリーマンの人たち、福祉を受けていらっしゃる、生活保護を受けている人、年金で高値安定の物価の中で生活にやりくりをされていらっしゃる方々がふとしたときにだまされてしまう。そういうときに、国や
地方行政が本当にもう少し力を入れておればそれらの被害を受けられた家庭を守っていけたんではないか。
そういう点から見ると、一生懸命通産
大臣も
努力されていることは私も評価しますけれ
ども、これは事務当局に答弁を求めるよりも通産
大臣に御答弁いただきたいんですけれ
ども、ちょうどこの
訪問販売等の
審議をしているわけですし、国民の皆さんや消費者の皆さんが喜んでいただけるような対応がこの
法案が通過すればほぼできるんではないかなと思います。きょうまで私は国の立場で消費者の皆さん、すなわち国民の皆さんを守るための本当の力いっぱいの行政
努力がされたのかということになりますと、私はもっともっと
努力をすべきであったな、足りなかったな、こういうふうに非常に私自身も責任を
感じるわけでございますが、行政だけではなしに、与党、野党の我々政治家全部がやっぱり国民の皆さんの立場に立ったときに、我々も力が足りなかったなと思います。今私が個々の問題を申し上げましたけれ
ども、私の質問に対しまして通産
大臣としてどういうふうな見解なのか伺いたいと思います。