○
政府委員(安楽隆二君) まず第一の点でございますが、テクノポリス政策が現在までにどうなっているかということでございますけれ
ども、五十八年の七月に
法律ができたわけでございますが、それ以後現在までに二十四
地域が一応
開発計画を承認されるということでテクノポリスの建設が進んでいるわけでございます。
それで、これは
制度発足後まだ日が浅いということになりますので、その成果につきまして十分な
評価を行うには今後さらに時間を要するわけでございますが、しかし現時点において一応この成果というものを見てみますと、まず
企業立地でございますけれ
ども、これはいろいろな数字のとり方があるかと思いますが、一応五十九年から六十一年までの三年間と申しますのはテクノポリス法ができて以後の三年間ということでございますが、それとテクノポリス法施行前の五十六年から五十八年の三年間という前後の三年間で比較してみますと、テクノポリス
地域におきましては工場立地が一・四倍に増加しているということでございます。面積ベースで申しますと一・八倍に増加しているということで、全国平均を当然のことながら上回っているわけでございます。
それからまた、テクノポリス政策というのは
地域工業の
技術を
高度化するということも非常に大きな
目的としておりますので、いろいろな
施策をやっているわけでございますが、その点につきまして例えば
研究開発機関等のいろいろな
整備もいろんな形で行われているわけでございまして、それはそれなりに進んでおります。特にテクノポリスで強調してまいりました
地域の
産学官の
共同研究事業でございますけれ
ども、これは毎年ふえてまいりまして、六十二年度では年間百九十件の
産学官の
共同研究事業が出てまいりまして、これに基づいて地元における新製品や新
技術の
開発事例もふえているというようなこともございます。
それからまた、
地域の
研究開発型の
企業、地元
企業を育成するという観点から実はテクノポリス
開発機構というのがそういう
研究開発型
企業に対して債務保証
事業というものをやっておりますが、これな
ども六十二年度末で百四十七件のケースが出てきているわけでございます。こういうことで私
どもとしてはまだスタートでございますし、それから特に一昨年から昨年にかけて円高不況とか全国的ないろんな問題もございましたもので、すべての
地域ですべての点で全く順調ということは必ずしもありませんけれ
ども、全体として見ますればおおむね着実に進んでいるというふうに考えているわけでございます。
それから、次にテクノポリス法と本法の関係でございますけれ
ども、一言で申しますと、今までこの工業再配置法、テクノポリス法、そして今度の頭脳立地法という形で産業構造の
変化に合わせてそれまでの政策を強化し、そしてさらに拡充するという形でやってきておりますので、当然本法もテクノポリス法と同様な
地域経済
開発立法の
一つということで、テクノポリス法の
施策の
目的をさらに達成しやすくする、それからテクノポリス
地域だけではなくて全国的な
地域の産業の頭脳の集積にも役立つという、そういう両方に役立つものでございます。
そういうことで、
地域経済
開発立法という点ではテクノとこの頭脳立地は同様なわけでございますけれ
ども、やや細かく
目的を見ますと、テクノポリス法というのは、やはり高度
技術に立脚した工業
開発——ハイテク産業を呼んでくるとか、あるいは地元でハイテク
技術を
開発しあるいは
利用して地元の工業全体を
高度化する、こういうことでございまして、その工業
開発を中心として、しかもそれを産学住が一体となった町づくりという側面を強調して進めるというような
目的でやっているわけでございますが、本
法案の場合には、産業の頭脳部分、
特定事業と呼んでいるわけでございますけれ
ども、そういう工場とか生産部門以外のソフト部分、これは工業の中にもございますし、それからサービス産業として独立したものもございますが、そういうソフト部分全体を
地域に集積させるということで、
地域産業全体の
高度化を
目的とするということになっております。
この結果といたしまして、
施設の対象も、今申しましたようなことで、片方は高度
技術工業ということに着目しているのに対して、頭脳立地法の場合にはサービス産業あるいは
企業内のソフト部分という産業の頭脳部分に着目しているということでございます。
そしてまた、
助成措置の場合も、例えば税制の特別措置の場合も、今申しましたように、片方は工場が中心、片方の場合にはソフト部分が中心というようなことがございますのに加えて本法の場合には、先ほどの知的インフラと申しますか、ソフトインフラと申しますか、そういうものを
地域公団がやるというような
施策を加えているわけでございます。
ただ、そういうことでいろいろ差異はございますけれ
ども、テクノポリス自体ももともと
技術の
高度化——
技術というのはやはり頭脳に基づくものでございますから、そういう
意味では同一の
方向に向かっていることは事実でございまして、今度の産業の頭脳部分というのはもっと広い観点からやるわけではございますけれ
ども、テクノポリス法に対しては補完、強化をするということになりますし、さらに、テクノポリス
地域だけでなくてほかの
地域も含めた
地域産業全体の活性化を図るということでございますが、いずれにしても、これらの
法律を相互に有機的に連携いたしまして
地域産業づくりをしていきたいというのが私
どもの考えでございます。