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1988-04-21 第112回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時八分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大木  浩君     理 事                 下条進一郎君                 前田 勲男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 小島 静馬君                 佐藤栄佐久君                 中曽根弘文君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 向山 一人君                 青木 薪次君                 梶原 敬義君                 高杉 廸忠君                 矢原 秀男君                 井上  計君                 木本平八郎君    衆議院議員        物価問題等に関        する特別委員長  村山 喜一君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     海野 恒男君        通商産業大臣官        房総務審議官   山本 幸助君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        通商産業省通商        政策局次長    吉田 文毅君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     安楽 隆二君        工業技術院長   飯塚 幸三君        工業技術院総務        部長       山本 貞一君        資源エネルギー        庁長官      浜岡 平一君        特許庁長官    小川 邦夫君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        国土庁長官官房        参事官      菅野 利徳君        外務省中近東ア        フリカ局中近東        第二課長     木村 光一君        農林水産省構造        改善局計画部地        域計画課長    東   諄君        建設省建設経済        局調整課事業調        整官       和里田義雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出) ○地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 青木薪次

    青木薪次君 田村通産大臣がアメリカへ行って頑張っておられる姿をテレビで見ましたけれども、きょうは出かけられる前よりも元気な姿でありまして、産業技術立法は今日の時代に適応いたしました非常に内容のある私は法案だと思いますので、ひとつ大臣も積極果敢に答弁をお願いいたしたい、このように思います。  産業技術向上を図って、あわせて国際交流進展を図ることによって国民経済国際経済環境との調和ある発展をさせることを目的とすると第一条に書いてあるのであります。要するにこの「産業技術」という用語は通産省所管のものだけを指すと第二条で定義をされております。通産省所管分だけ向上すれば、国民経済世界と調和ある発展をするという目的意識の是非についてはこれはさておきまして、他省庁所管のものを含めた我が国科学技術全体における本法の立脚点といいますか意義についてはどういうものだろうかということについて大臣から御説明をいただきたいと思います。
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) まずもって、お礼を申し上げます。  去る十四日の夜、成田を立ちまして向こうで三泊の、第二十一回であったと思いますが、四極貿易大臣会合がカナダのバンクーバー郊外のエープリルポイントというところでございました。また改めて御質問にお答えをして御報告申し上げますが、大変実りあるいい会議でございましたが、皆様方には、十五、十六、十七、十八日と、土日は入ったとは申せ、四日間日本を留守にしまして大変御迷惑をおかけしたことをおわびを申し上げます。しかし、国際会議はなるべく、これは通産大臣だけという意味じゃありませんが、国際会議は閣僚といい議員外交といい、どんどんと外へ出ればそれだけの収穫はあるということを身をもって感じてまいりましたが、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  今の新法の背景及びその意義というものについてのお尋ねと思いますが、我が国が二十一世紀に向かいまして経済社会発展の原動力であります技術開発の能力をさらに発展させるとともに、いわゆる技術ただ乗り論などの国際的批判にこたえまして、世界経済発展のために相応の貢献を行うためには、我が国がみずから基礎的、先導的な技術開発の積極的な推進を図ることが喫緊の課題となっております。  この産業技術法は、このような我が国産業技術をめぐる内外の諸情勢にかんがみまして、研究開発充実効率化、また民間での基礎的、先導的研究を支援する研究基盤施設整備、国際的な共同研究に対する助成などの施策を講ずることといたしておりまして、これらの業務を、新エネルギー開発実施研究開発に対する蓄積を有する新エネルギー総合開発機構に総合的、計画的かつ効率的に行わせる措置を講ずることによりまして、産業技術向上産業技術分野における国際交流進展を図って、もって国民経済国際経済環境と調和のある中長期的な発展に寄与することを目的といたしておるものでございます。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、基本方針内容についてでありますが、この法律の第三条に、通産大臣NEDOに行わせる業務について、その総合的、計画的かつ効率的な実施のための基本方針を定め ると書いておるのでありますが、この内容はどういうものであるんだろうか、どの程度のものであるだろうか。  研究開発実施期間といいますか、六年になるのか七年になるのか八年になるのか、そういった期間、それから内容などについて細目にまで及ぶものがあるとするならば、それもお聞きいたしたいと思うのであります。
  6. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 御質問の点でございますが、法律の第三条で基本的な事項を一号、二号、三号と分けて書いておりますが、若干イメージを申し上げますと、まず、やはり最近の産業技術に関する研究開発をめぐる内外情勢基本的認識を全般的に書くことになろうかと思います。それから産業技術に関する研究開発あるいは研究基盤施設整備等の基本的な考え方をそれぞれの業務に従いまして内容を書くということになります。  今御質問の、研究開発業務内容でございますが、現在通産省が行っております研究開発業務といたしましては、三種類ございまして、一つ大型工業技術研究開発制度二つ次世代産業基盤技術研究開発制度三つ医療福祉機器技術研究開発制度でございます。  第一のいわゆる大プロと私ども申し上げているものにつきましては、国民経済上非常に重要で、先導的な大型工業技術開発目的とするものでございまして、実施期間は六年から十年というようなことでやっておりまして、今度の基本方針でも、今申し上げましたようなことがイメージできるようなことを書くことになると思います。  また、第二の次世代産業基盤技術研究開発制度につきましても、次世代産業の確立のために必要な非常に基礎的、基盤的な技術開発目的としまして、研究開発実施期間は八年から十二年を想定しております。このようなものについてその内容がほぼわかるような表現で基本方針で書くことになろうかと思います。先ほど申し上げました医療福祉機器につきましても、実施期間は四年から七年でございますが、同様今申し上げましたようなことが基本方針の中にイメージとして入るということでございます。  また、新NEDOの行う業務の第三の柱として国際共同研究助成業務がございますが、そのことにつきましても、国際共同研究チームによる研究助成するということを考えておりますので、そのことについての基本的な考えを書くということになろうかと思います。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、私は代エネ開発の将来の方向についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、NEDOはもともと代エネ研究開発のための機関であったものに、相次ぐ石炭合理化という問題にかえてその事業団が合併してできたものであります。設立時からぬえのごとき存在であったものがその後アルコール専売事業民営化によってアル専事業部を引き取って、さらに石炭三法による貯炭管理会社を引き受け、さらに今回は工技院が行ってきたプロジェクトの元締めともなろうといたしておるのであります。ですから、このことはオイルショック、そして代エネというようなこと、あるいはまた石炭合理化、それからアルコール工場、それから石炭管理会社というようなことになっていったと思うんです。  この歴史は、通産省組織NEDOが最も使いやすかったという結果であろうと思うのでありますが、NEDO本来の代エネ省エネ研究支障を来すことにならないかということを実は心配をいたしておるのであります。  石油情勢緩和基調下であることにもよるのでありますが、本年度予算で代エネ予算は大幅に削減されております。調べてみると三三・五%も削減をされたのであります。この分野の将来の展望を危ぶむ者は私だけではないのでありまして、代エネ開発の将来の方向については一体どういうように考えているのか、御答弁いただきたいと思います。
  8. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) 御指摘のとおり、国際石油需給は現在は緩和しておるという見方が一般的でございますけれども、九〇年代には逼迫化するおそれがあるという見方が一般的でございます。また、日本エネルギー供給構造は依然として脆弱でございますし、また代替エネルギー開発には長い時間を要するわけでございますから、御指摘のとおり着実に推進をしていくということが必要であると考えている次第でございます。  昨年の十月に、総合エネルギー調査会策定をしていただきましたエネルギー長期需給見通しによりましても、地熱を含みます新エネルギー等のウエートは六十一年度には一・四%でございますけれども、七十五年度、二〇〇〇年には五・三%まで引き上げていきたいというような目標が掲げられているわけでございます。現在NEDOを中心といたしまして、一つ石炭液化石炭ガス化、さらには石炭からの水素製造というような石炭高度利用技術に取り組んでおります。二つ目太陽エネルギーでございます。それから三つ目地熱利用でございます。四つ目にその他ということになりますけれども燃料電池、風力、アルコール、さらには超電導応用といったような分野に取り組んでいるわけでございます。  御指摘のように、六十三年度いわゆる石特石油代替エネルギー政策関係予算は約三〇%程度減になっているわけでございますけれども、これは御高承のとおり石油税収の大幅な落ち込みによりまして全体の施策状況を見直した結果でございますけれども、目玉になっております石炭液化プロジェクトにつきましてはプロジェクト規模あるいはスケジュールの見直しをやっておりまして、ともしびは消さないという姿勢は引き続き維持しているつもりでございます。  なお、石油代替エネルギーといいますか、代替エネルギー政策につきましてはただいま申し上げました石特会計のほかに電源多様化勘定利用ということも並行して行っているわけでございます。この両者をあわせてみますと、六十三年度には合計をいたしまして千百九十六億円の予算を計上いたしておりまして、石油代替エネルギー政策の若干の足踏み分というのは全体としましてはかなり中和をされているわけでございまして、基本的には従来の路線を引き続き推進をしていくということには変わりはないというぐあいに考えております。  なお、NEDOに新しい業務が追加されるわけでございますけれども、いわゆる一般産業技術のうち、例えば新素材でございますとかあるいは半導体でございますとか超電導とかさらにはバイオといった技術エネルギー分野へと大変広範な応用が可能なわけでございまして、こうした業務がつけ加わりますことがむしろ代替エネルギー技術開発促進するあるいは融合効果を発揮するというようなことも期待できるのではないかというぐあいに思っておりまして、前向きに私どもとしては受けとめているわけでございます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、機構定員の面からちょっとお伺いいたしておきたいと思うんでありますが、NEDOの今回の業務追加に伴いまして、一部三課が新設されるということになったわけですね。そこで、十七名の定員がつくとのことでありますけれども、今の説明からいってみましてもこの人員で十分だろうか、NEDOの既存の業務支障はないだろうかということが実は心配されておるのであります。  工技院は、大プロ等業務に八十名程度人員を充てているということでありますけれども、この人員はどうするのか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) まず、先生指摘の、NEDOの増員を私ども新しい部のために十七名を考えているのは御指摘のとおりでございます。  確かに十七名というのは少ない人数でございますが、NEDO総務経理系統の方々の助勢も得ましてこの十七名で何とかやってまいりたいと思っておりまして、他の業務支障が生ずるということはないと確信しております。  同時に、工業技術院の職員もこの新しいNEDO業務につきましては、特に当初段階において は相当のバックアップあるいはアドバイスをしてまいりたいと思いまして、万支障がないようにしてまいりたいと思います。  工業技術院の今の研究開発業務に携わっている人員でございますが、NEDOがこういう新しい形で発足いたしましても基本的には人数なり体制は変えないつもりでございます。基本的な施策策定なりあるいはテーマの選定なりといったようなこと、あるいは産業技術審議会というのがございますが、そういうところに諮問をして基本方針を定めていくというような仕事は今後とも残りますので、御指摘工業技術院定員については基本的には従来どおりということで考えてまいりたいと思います。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 今回の法律によって、従来工技院が行ってまいりました大プロ次世代、それから医療福祉技術開発などの国家研究プロジェクトNEDOに移管されることになるのだけれども、この結果、研究目的がより一層明確化されるとともに、費用効果概念が導入されて研究効率性が前面に出されることになるだろうと思うんです。結局、当初の一般会計から特別会計にシフトが進むにつれて研究開発内容についても制約が強まっているという批判があるんでありまするけれども、その傾向が一層促進されることにならないだろうかということについて心配されておりますが、お伺いいたしたいと思います。
  12. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 通商産業省といたしましては、特別会計によって研究開発を行うことがふさわしいと考えられるものにつきましては、その原資を御指摘のように一般会計ではなく特別会計に求めてきたところでございます。しかし、特別会計はそれぞれ特定目的に用いられるものではございますが、従来私ども工業技術院特別会計によって行ってまいりました研究開発はそれらの目的に合致したものでございまして、特段の制約がかかるとは考えておらないわけでございます。また、研究開発のうちもちろん特別会計になじまないものもございますが、それらについては一般会計によって今後も進めるわけでございまして、これらについては一般会計予算の確保について私ども努めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 国による研究の本質というものについてお伺いいたしたいと思うんでありますが、大プロ等性格費用効果概念の導入により変化をしてしまうのではないかという懸念があるわけでありますが、それを私はお聞きいたしてまいりました。このことは、国の手になる研究とは何かという本質的な疑問につながるものだと実は思うんです。  すなわち、本来の大プロ等目的は、国民経済上重要かつ緊急に必要とされる技術であって、その開発に多額な資金長期研究期間を要するために民間における自主技術開発を期待しがたいものについて、国が資金を負担して産学官の有機的な連携のもとに行う研究であって、収益性に乗らないが、重要なテーマについて国が金を出して行う制度であったはずだと思うのであります。また、この筑波の国の研究所も大幅に機構改革を行いまして、今日的なテーマというものについて即応し得るような体制に改めることであると思います。  私は、これらの動きがすべて一連のものであって、国の研究性格がより効率性、より収益性重視方向に移行しておりまして、この法律もまさにその流れに乗ったものであると考えているわけであります。これは、基礎研究重視の建前とは全く相反しているのみならず、自由な創造性を阻害して、百年の大計を誤るものとなりかねないと考えているわけでありますが、その意味で御意見を伺いたいと思います。
  14. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) これまで我が国におきまして研究開発費の中で占める基礎研究の割合というものが欧米諸国に比べて低い水準にあって、我が国は特にその基礎研究面におきまして海外に多くを依存しているというふうな声があるわけでございますが、今回この法案を御審議いただいておりますのは、そのような状況を踏まえまして先導的、基礎的な分野における研究開発を一層充実させよう、強化させようということを目指したものでございまして、これらの業務効果的に行うこととはしておりますけれども収益につながるというふうなことで収益性重視方向にいったものではございませんで、リスクの高い創造的な研究開発推進を図るということが基本的な目標でございます。  個々の事業について申し上げますと、まず大プロ等研究開発事業につきましては、今後も民間では実施できないリスクの大きな研究開発を行うものでございますし、また新たに行います研究基盤整備事業は、先端的な研究開発に必要な大規模研究施設整備あるいは開放いたしまして民間等における基礎研究促進を図るものでございます。また国際共同研究推進事業におきましても、国際的な共同研究チームに対しまして助成を行うということによりまして基礎研究助成するわけでございますので、一層その強化充実を図るということを目指したものでございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 私は、院長、はやりのテーマばかり追っかけているんじゃないかということを実は懸念をいたしております。そのことは、収益ばかり考えているじゃないかということでありまして、だめなものと思われるものについては全部つぶしてしまえという考え方工技院の根底にあることを実は恐れております。  最近の新聞によりますと、「最近の急激な技術革新進展社会ニーズ変化基礎研究分野の変遷に対応し、このうちの四十の部を”スクラップ”し、かわりにバイオコンピューター研究を進める「超分子部」など四十二の部を新設する。このように工技院研究分野を全面的に見直し、組織を大刷新するのは筑波研究所を一斉に移転した四十四、五年以来のことで、これにより、研究の重点を基礎的、先導的分野へ移すことを狙う。」、こう書いてあります。  また、意見として、「公設試験研究機関がよって立つ地域産品評価研究こそ与えられた課題であり、税の負託にこたえる道であるはずだ。約三十年間、公設試験研究機関に身を置いた経験からそのことを強く感じている。」と、技術供給代表と言われる中村先生の「公設研究機関の役割」ということで雑感が載っておりまして、結局、技術標準化とか、国でなければできないこととか、民間企業委託機関とか、中小企業の自前の検査施設を持っていないところや人材が少ないとかというところについては非常に対応が軽い。中小企業を相当軽視することになりゃせぬかということも私ども心配いたしております。  特別の場合に、中小企業も力を持ってきておりますけれども、総じて中小企業対応力がない——技術力とか人材とか施設がないんだということのためにそうなっていくことを心配いたしているわけでありますが、その点について非常に有識者もまた産業規模中小企業者心配している。この点について、心配じゃないんだよという院長の見解をちょっと聞いておきたいと思います。
  16. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 中小企業における技術開発力につきましては、もちろん大企業と比べましてさまざまな差があることは事実であろうかと思いますが、私どもの基礎的な技術開発というものは広く公開をしておりますし、また特に中小企業に視点を向けた施策といたしましては、今御指摘公設試験研究機関、これは各都道府県にあります試験研究機関でございますが、そこと私どもとの間で連絡会議あるいは研究分科会を常時持っておりまして、私ども国立研究機関が持っております研究開発ポテンシャルを各都道府県公設機関に移転いたしまして、各都道府県公設機関はまたそれを地元の中小企業に移転する、あるいはいろいろな技術相談に応じる、技術指導に役立てるというふうな仕組みを持っているわけでございます。  最近では、例えばNC工作機械、またメカトロニクス、そういうような非常に先端的なものにつきましても分科会の活動を非常に活発にしており まして、私どもの高いポテンシャルをできるだけ中小企業まで浸透させるよう努力しているところでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 それで、心配いたしておりますのは、工技院性格が変わってくるんじゃないかということであります。  今後のことについてお伺いいたしたいと思うんでありますが、工業技術院業務のかなりの部分がNEDOに移行することになるわけですね。そうすると、工技院は従来の産業技術の中枢的な存在から、極論すれば筑波国研の事務局化してしまうんじゃないかということを大変心配いたしているわけでありますが、工技院はどのような存在となるのか、存在意義をどこに見出すのか、お伺いいたしておきたいと思います。
  18. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) この法律によります事業が始まったといたしましても、工業技術院は十六の試験研究所を維持してまいるわけでございますし、またそこにおける研究計画、立案、実施評価ということを続けてまいるわけでございます。  また、新たにNEDOに委託する研究開発事業につきましても工業技術院におきまして十分な当初の計画等を立案するわけでございまして、その評価、それからその後の普及等につきましても、さまざまな事業を展開することが必要だと思いますし、また工業技術院といたしまして政策的に支援をしてまいるという必要がございますので、従来と格段違った性格になるというふうには考えておらないわけでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 国際研究内容についてお伺いいたしたいと思いますが、この法案の重要な柱の一つに、国際研究協力事業というものがありますね。この国際共同研究チームに対する助成でありますけれども、現在どのようなテーマ共同研究がなされておりまして、今後どういうような研究がなされていくだろうかということが心配されているわけであります。率直に言って外国人の研究者が日本になかなか来たがらないと言われている。こういうようなことについて、今回の事業ではそのような状況は果たして改善されるのかどうか、外国の技術者が来たがらないという現状についてお認めになっているのかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  20. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 現在でも筑波工業技術院研究センターには多数の外国人研究者が参っておりまして、私どもの所員と共同的な研究をやっておるわけでございます。新しくNEDOが行う国際共同研究助成と申しますのは、新たに特に生体機能と物性機能、この二つに重点を置いた分野につきまして各国の研究者と共同研究を行うというようなチームに対して研究資金を提供するということでございまして、我が国の現在持っておりますポテンシャルに関心のある外国人研究者が積極的に参加してもらえるものであろうというふうに期待しているわけでございます。  外国人研究者を迎えるにつきまして、既に筑波等では多くの研究者が定着しておりまして、比較的問題はないと考えておりますが、もちろん日本語の問題あるいは住居の問題等がないわけではございませんが、それらにつきましても今後の受け入れ数の増大に向けまして改善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 私の質問についてそんなことはないとおっしゃるわけですが、四月五日の日本経済新聞に、   技術摩擦の解消をめざし日本政府が米国などに約束した外国人研究者の大量受け入れが難航している。制度をつくり、門戸は開いたものの、日本に来たいという外国人研究者がなかなか見つからないのである。三百人という当初の目標に対し、今年度中に確保できそうなのは五十人足らずという。住宅、研究費、給与などの条件の悪さに加え、日本での研究が科学者としての経歴にプラスにならないという評価もあるようだ。研究開国への道は険しい。 というようなことを書いてあるんです。この記事は認めますか。
  22. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 各国によりまして事情は若干違うと思いますが、特に米国におきましてはいわゆるポストドクター、博士課程を終了した研究者の競争が非常に厳しゅうございまして、国外に出るということに対してなかなか感情的な面で抵抗があるというふうな事例もあるようでございます。  一方ではアメリカのNSF、国立科学財団から私ども工業技術院研究所特定いたしまして研究者を派遣したいというふうな要望が寄せられておりまして、現在折衝中でございますが、そのような動きから見ましても、私ども日本に来たがらないというような一般的な表現は必ずしも妥当ではないのではないかというふうに思っております。また、特にヨーロッパからの研究者につきましてはかなり積極的な希望が寄せられているところでもございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 NICS等においては非常に期待されていて、アジアにおける一大教育センターであるということも言えると思うんですね。私はそのいろんなデータを見たわけでありますけれども研究成果の国際交流において忘れてはならないことは、今言った発展途上国、NICSを含む、これらに対する交流だと思います。  現在、我が国の大学の外国人留学生の受け入れは二万二千百五十四人に達していると言われております。その八八・四%がアジア人であり、アジア地域における一大教育センターだというように言われておりますけれども、このことは大学以外の研究所とか研究プロジェクトにも言えることだと思いますが、途上国、特にアジア諸国との研究交流の現状及び将来の展望についてお聞きいたしたいと思うんであります。今言った、NICSその他東南アジア諸国との技術交流はどうなっているのかということを踏まえてお答えいただきたいと思います。
  24. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) まず、私ども筑波での数字をちょっと申し上げまして御参考に供したいと存じますが、六十一年度の数字でございますが、先進国から受け入れたのが六十五名でございます。これは筑波とそのほか地方に私どもあと七つの研究所を持っておりまして、全部合わせた十六の研究所でございますが、六十五名受け入れておりまして、他方発展途上国からは百二十七名でございます。そういう意味発展途上国の方が多いのは事実でございます。  今後の見通しでございますが、私どもとしては発展途上国の方の受け入れも必要だと思いますが、新たに今度各省で設けられました予算措置を講じられました外国の研究者の受け入れの制度におきましては、伺っておるところではほぼ半分以上程度はやはり先進国からということを考えておられるようでございますし、今後は先進国の方々の数字もふえてくるんではないかと思うわけでございます。  さらに工業技術院では、国際産業技術研究事業というのも進めておりまして、これはテーマを決めまして東南アジア諸国等と進めておるわけですが、これまでに十七カ国、七十七テーマにつきまして研究協力を行っておりまして、この制度につきましては今後とも拡充を図ってまいりたいと思っております。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 理工系大学の留学生の受け入れ等についても努力されているようでありますが、このデータによりますと、全体で二万二千百五十四人で、アジアが八八・四%、そしてASEANが一二・六%、北米、カナダを含む、これが四・五%、こういう状態ですね。ですから、今総務部長の言われた点については、そのことを期待しながらこの国際化時代に対応するということが必要だと思っております。  今後の方向性についてでありますけれども、この法律は、従来国の手で行われていた国家研究プロジェクトNEDOに移管することによって、民間資本の導入、外国人研究者との交流の弾力化というものがやりやすくなって、結局のところ最小限の予算で最大限の効果を求めるという、いわば民活の研究版だと言われております。  しかし、このようなスキームの変更によって、研究テーマ、方法等、全般にわたって民間意見が、入ってくることは必定であり、従来のプロジェクト性格が一変してしまうおそれがあることもこれまた否定できないというように思います。基礎研究充実を掲げて本法案を出しながら、結局研究収益ベース化を促進することになる、すなわち軒を貸して母屋をとられるといいますか、そういうことになりかねないという危険性も持っております。  このような結果になることを防ぐために、政府はよほど強い科学技術研究振興の方向性を持たなくてはいけないと思うのでありますが、ここで大臣にその辺のお考えをいただきたいというように考えております。
  26. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 大臣からお答え申し上げます前に一言申し上げますが、私どもの今度の法律の基本的な理念は、最初院長からも申し上げましたように、まさに基礎研究の重視ということでございます。大臣からもそういうお話がございました。そういう気持ちでやっておりますので、今度の法律の各所に、今先生も御指摘なされましたが、国際的なことを配慮し、かつ基礎研究に志向するということを明確にしております。  私どもとしてはこの法律の指示に従いまして、そういう方向で運用上も注意してまいりたいと思いますし、予算の獲得もそういう努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  27. 田村元

    国務大臣田村元君) 御答弁になりますかどうですか、あるいはおしかりを受けるかもしれませんが、日本の基礎技術研究というものは、これは本当は思い切った、全政府的な構想でやるべきものと私は思うのでありますけれども、こういうものをやろうというのでも、なかなか予算折衝その他で苦労をしなきゃならぬというようなところは率直に言ってございます。  でございますので、使えるものはとにかく使おうということでありますが、今ちょっと青木さんおっしゃったような、そういう趣旨の御懸念はないんじゃなかろうか。また工技院もしっかりと、通産省はもちろんでございますが、監督はしてまいります。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 大臣のことだからいいと思いますけれども、私はやっぱり安易に臨調とか行革路線に乗っかっていっちゃいけないということも考えているわけです。  現状では、予算については一般会計から特会予算へ大きくシフトしてきていることから、研究開発内容についての制約が強まっているといった問題も一部では生じております。さらに、最近の傾向としては、産業技術として大規模なシステム技術開発よりも、バイオとかエレクトロニクスといった顕微鏡下にあると言われているような、こういう分野での研究が活発になってきていることから、大プロ自身も二十周年を一つの機会ととらえて、新たな展開を図るべき時期に差しかかっているのではないかという声も上がっているんです。こういった問題意識から、少しずつではあるが検討作業が進められてきている。  すなわち、基礎研究費が少ないと言いながら、この法律を出してきている考え方というもの、このことは理解はするけれども、理解できない面もあるわけです。そういった面について追加して答弁がありますか。
  29. 田村元

    国務大臣田村元君) これはちょっと役人に答弁させるのはかわいそうだと思うのですが、まあ理解できる、できないという以前に、担当しておる工技院院長を初め担当者が非常にほぞをかむ思いでもどかしさを感じておることも、また率直に言って事実だろうと思うのです。  こういうすばらしいことなんですから、計画を立てたら財政当局がどんどんとふんだんにこれに投資してくれるというのならばですけれども、いいことをするのにも頭を下げていって、け飛ばされなきゃならぬというようなことで、私は時々、日本の国の行政というのはすべて一つまみの大蔵官僚によって左右されておるんじゃなかろうか、当節は国会議員も公開財源まで自由にならないような、逆算して決められておるようなことで、これは少しひがみかもしれませんが、私自身はそういういら立ちを抱いておることは事実でございます。  これからも私ども、一個の政治家という立場に返ってからでも、こういう苦労しておる工技院なんかは、特に工技院とか特許庁なんというのは地味な仕事でございますが、私どもきめ細かく、しかも力強く応援をしてやりたいというふうに思っておりますので、どうぞ与野党問わず、先生方におかれてもよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、研究基盤整備施設の関係に質問を移したいと思っておりますが、施設の今後の予定でありますけれども、この法律の施行によってNEDOによる研究基盤施設への出資の道が開かれることになるわけでありますが、各施設について何点か質問いたしたいと思っております。  まず、研究基盤施設として建設の予定されているものは地下無重力環境実験センター、海洋生物機能研究センター、それからイオンの工学センターの三つだということが言われておりますが、今後どのような施設の建設を考えていらっしゃるのかお伺いいたしたいと思います。
  31. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 先生今御指摘のとおりの三プロジェクトを六十三年度に手がけるつもりでございます。  若干詳細に計画を申し上げますと、第一の地下無重力環境実験センターにつきましては、北海道の上砂川の閉鎖した炭鉱を活用いたしまして、その立て坑八百メートルの中に無重力落下装置をつくる。十秒間の無重力実験が可能になります。このために今私ども想定しておりますのはほぼ五十二億円程度でございまして、基礎的な物性研究その他、あるいはバイオ等にも活用できる施設でございます。  二つ目の鉱工業海洋生物利用技術研究センター、いわゆる海洋バイオでございますが、これにつきましては総事業費六十億円程度考えておりまして、岩手県の釜石市と静岡県の清水市に立地を想定しております。この施設は寒流と暖流にすんでおります生物をそのままの状態でとってまいりまして、各種の化学薬品あるいは医薬品の原料、染料といったようなものをとる、あるいは接着剤を開発するというような研究に大変有用なものでございます。  第三のイオン工学センターでございますが、これは非常に速いものから低速のものまで各種のイオンビームの装置を備えて新材料の研究開発に資するつもりでございますが、総事業費ほぼ七十八億円程度で、関西地区のどこかの学園都市の予定地だと思いますが、関西に立地する予定でございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 この施設の運営主体の関係でありますが、これは大変いいことだと思っておりますけれども、第三セクター方式が採用されるということのようでありますが、その名称とか資本金及び主な参加企業、団体をお聞かせいただきたいと思います。
  33. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 実はこの法律を通していただきますと、十月一日からNEDOを新組織としまして、それから今先生指摘の第三セクター、株式会社をつくることになるわけでございますが、実は名称は先ほど申し上げましたような、まだ私ども略称的に申し上げております無重力環境実験センターというような名称しか今の時点では考えておりません、例えばでございます。  それから資本金も実はまだ明確ではございませんが、ただ全体の所要経費の半分程度は資本金で賄いたいと思っておりまして、その半分のほぼ三分の二程度NEDOから出資をする。出資のうちの三分の二程度NEDOが出資する、基本的にはそういう考えでございまして、その他残りの出資はそういう研究に興味のある企業を中心といたしまして、これは企業になると思いますが、それからあと地元の県とか市等も想定しております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 施設利用料金でありますけれども施設建設後は当然料金を取って運営されるということになると思うのでありますが、この料金の設定は重要な問題です。第三セクター方式をとる以上、ペイするだけの利用料金を設定することが必要である反面、我が国基礎研究推進するという見地からはできるだけ安くかつ利用しやすい料金設定が不可欠であろうと思うからであります。  特に、真に創造的かつ先鋭的な研究は二十代の院生レベルで多くなされるという事実を考えるならば、これらの施設は大学院生でも手軽に利用できるものでなくてはならないと思うのでありますが、政府はこの施設利用料金として考えているのはおおよそどの程度の線であるか、お伺いいたしたいと思います。
  35. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 具体的には個々のケースで計算するしかないんですが、まさに先生今御指摘の、基本的には収益ももちろん考えなきゃいけない、最低限の収益というか、あるいは赤字にならない程度のことは考えなきゃいけない、そのぎりぎりの線で政策目的を追求いたしたいと思いましてできるだけ安い料金を設定したいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたが、総資金の半分は資本金でございますし、残りの半分は借入金だと思いますが、その借入金の大部分、七、八割程度と考えておりますが、七、八割程度は例のNTTの売却益を財源といたします無利子融資を仰ぐことになっております。そういう意味で、資金的には非常に安いというか全般的には非常に無利子に近い資金でできるわけでございます。そういう意味で、先生指摘の政策的にかつ安い料金にという点はかなり実現できるのではないかと考えておるわけでございます。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 その中で、無重力施設のところでありますけれども、今部長から説明がありました地下無重力環境実験センターに関してでありますが、三井砂川、これは炭鉱が廃鉱になったところでありまして、ここに指定されたというのはさすがは田村大臣だと私は考えました。しかし、アクセスの点で若干問題がありますので、この点もひとつ考えてやっていただきたいと思うのでありますが、地下八百二十メートルの落差があって十秒間の無重力状態を得る、そうして超電導でブレーキをかけるということの中に私は画期的なものがあると実は思っているわけであります。  しかしながら、同種の施設を科学技術庁が岐阜県土岐市で計画中であり、また航空機を使った無重力実験が通産省の大阪工業試験所、NASA、宇宙開発事業団などで計画されているようであります。また、施設が実際に稼働する一九九〇年代には無人の宇宙実験システム、フリーフライヤー、これが国家プロジェクトとして計画されているということを聞いておりますが、事故によって中断されておりましたスペースシャトル計画も再開されることになると思うのでありますけれども、これはこの予備的実験もできるんじゃないかというような期待もされているわけであります。  このように、本格的な無重力と手軽な無重力がいわゆる手軽に得られるようになると、十秒という中途半端な無重力の需要はどの程度あるか実は疑問なんであります。したがって、通産省として、この需要はどの程度あると考えているのか、また、ユーザー確保への対策はあるのかないのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  37. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 御指摘の無重力実験でございますけれども、元来、無重力の状態と申しますと、質量、密度の違うものが、例えば液体の中に沈降しないとか、あるいは浮力を受けないとか、それから熱的な対流がないとか、さまざまな地上では得られない条件が得られるわけでございます。したがって、十秒間と申しますのは比較的短い時間ではございますけれども、例えば結晶ができ上がるというふうなプロセスの一部では非常に速い現象もございまして、そういうところで偏りのない、また、完全な結晶が無重力のもとでは得られるというふうなこと。あるいは重力の影響が小さいために逆に表面張力の影響が非常に強く出てまいりまして、非常に形のよい球形のボールでございますね、ボールの形が実現できるというふうな応用もございまして、さまざまな実験がこれから行えるものと期待しているわけでございます。  具体的に需要がどういうところにあるかという御質問でございますが、電子分野それから金属あるいは鉄鋼分野、化学分野それから材料分野等の実験のほかに、バイオ分野においても利用が期待できるわけでございますし、また、御指摘のように、将来への宇宙における実験の予備実験的な活用も期待されておるわけでございます。  特に、この無重力実験センターの場合には手軽に繰り返して実験が行える。いろいろな条件を変えようと申しましても、宇宙に一度上げてしまったものはなかなか難しいわけでございますが、これは地上でございますので、さまざまな条件が手軽につくれるというふうなことで、私どもとしては非常に広い需要が期待できるというふうに考えておるわけでございます。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 新聞によりますと、科学技術庁も岐阜県土岐市に、多少小規模ながらも同様計画施設計画しており、ユーザーの奪い合いになることはこれはもう必至であるというように言われているわけでありまして、これもなかなか注目すべき点だと思っております。  その次に、この無重力施設の点について科学技術庁の施設と比較して質問いたしたいと思いますが、科学技術庁の施設は無重力時間は五秒と、砂川の施設より質的に落ちるとのことであるけれども、場所的には今言った岐阜県土岐市であり、JR中央線、中央高速からも近く、アプローチ条件は絶好だと言われております。他方、砂川は今申し上げましたように、札幌からも距離があるのでありますけれども、こういう点のハンディもいろいろあって、一長一短はあると思うのであります。  釜石についても言えることでありますけれども、遠隔地の施設は安価な滞在設備、冬場でも手軽に行き来できるような交通手段の整備等も配慮する必要があると考えるのでありますが、その点は大丈夫か、私の言いたいのはアクセスの点について考えろということでありますが、いかがですか。
  39. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 上砂川町というのは大変遠いところのような感じがいたしますが、実は札幌から函館本線で一時間強でアクセスできます。かつ本年秋に札幌から行っております高速道路で奈井江インターチェンジというのもできる予定でございますので、私どもとしては東京から向こうへ行く場合は飛行機で飛ばなきゃいけないという問題はございますが、こういう基本的な重要な実験を行うという場合には、この立地上の問題はそれほど大きな問題ではないと思っております。
  40. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) ただいまの無重力実験センターと産炭地域振興の関係につきましては、先ほど先生指摘になったとおりでございまして、実は六十三年度の予算折衝の過程におきましても、まさにそういう観点から田村通産大臣大臣折衝まで上げて取り上げていただいたテーマでございます。そういう意味で、先生指摘の点は私ども非常に重要な点だと考えております。  アクセスの問題につきましては、また性能の問題につきましては、既に工業技術院から説明があったとおりでございますけれども、私ども、せっかくこういうセンターができるわけでございますから、これを新しい産業の地元振興に結びつけていくという考え方が必要不可欠だと考えております。  例えば地元の企業が共同利用をいたしますとか、地元企業と大企業の共同利用とか、あるいは公設の試験所とか大学と地元企業の共同利用とか、こういった点を大いに促進をしてまいりまして、これによって新しい産業の芽が地元に起きていくという体制をぜひつくりたいと考えております。そういった観点から、所要の調査経費等を機 械工業振興資金によって確保いたしておりまして、どういう体制がいいか勉強を進めまして、さらに踏み込んだバックアップというようなことも考えてまいりまして、地元密着型というような特性をぜひこのセンターに持たせたいと考えております。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 今長官の言った、地元密着型ということは非常にいい思想でありますし、今後そういったことになっていくんじゃないかということを私ども考えております。  これは、例えば無重力の実験事業というやつは、私どもよくわからぬのでありまするけれども、攪拌した場合に重いものが下へ下がる、そして軽いものは上へくると、これを無重力状態で混合すると今までにない合金ができるとか、あるいはまた新素材ができ上がるとか、これは分子の結合ででき上がるというようなことが言われております。  この物を均質にまぜ合わせるというようなことなどによって画期的なものが出てくると思いますが、今のこの三井砂川の炭鉱跡地では、この地下無重力実験センターに次ぐプロジェクトとして、坑道内の爆発による極限環境を人為的につくり出すということによって、多結晶のダイヤモンドを生産する研究を行おうとして、この基盤技術研究促進センターから六十二年度分二千万円の融資を受けるとのことでありますけれども、これはどのようなものなんですか、お伺いいたしたいのですが。
  42. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 今先生指摘のとおりでございまして、その炭坑の中で、炭坑というか、廃坑の中で爆薬を爆発させまして二千度以上の高温を得まして、かつ数十万気圧というような高圧を得ることができます。炭素材料をそういう状態におきまして工業用ダイヤモンドを分離する技術、それと分級する技術開発しようと、そういうプロジェクトでございます。  これは、先生今御指摘の基盤技術研究促進センターの六十二年度の新規プロジェクトとして取り上げまして、六十二年度二千百万円融資いたしまして、四年計画でございますが、総計五億円強の融資を基盤センターから行うというプロジェクトでございます。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 また、このプロジェクトによって地元の雇用創出効果というものについて我々は期待いたしたい。さっきも地元志向ということを言われたんでありますが、いろいろ炭鉱も大分廃鉱になっていくわけですね。他の炭鉱跡地もこのような同じようなプロジェクト計画があるか、この点についてお伺いしたい。
  44. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) 御指摘のように、今後産炭地域の振興を考えます際には、いわば炭鉱が残しました遺産といいますか、炭鉱の持っておりますいろいろな施設、ユーティリティー、あるいはマンパワー等を有効に再活用していくというのが重要な手法であると考えております。  従来までは、これは大変素朴な例ということになるかもしれませんけれども、炭鉱の温排水を活用いたしましたスッポンの養殖でございますとか、あるいは戦争中の従業員用の防空ごうの跡を利用いたしましたマッシュルームの栽培とか、そういった工夫は行われているわけでございますが、ただいま御質疑の対象になっておりますような、いわばハイテクの時代にマッチしたプロジェクトというのは今回が初めてでございます。しかし、非常に大きな先例としての意味合いを持っておりますことは先生指摘のとおりでございまして、今後いろんな分野におきましてこれを先例にしましてさまざまのアイデアを見つけ出しまして育てていきたいと考えております。  昨年の十一月に産炭地域振興審議会から提出をされました建議の中にも、炭鉱及びその関連施設、賦存資源等の有効活用について積極的に取り組むことという内容が盛り込まれているわけでございまして、これは今のような流れを踏まえたものでございます。従来のさまざまの施策あるいは今回の法改正によりまして生まれてまいります施策等に加えまして、産炭地域の場合には地域振興整備公団からの出融資制度というような仕組みも上乗せすることができるわけでございますので、ぜひいい知恵を見つけましてもっと多角的な利用を進めてまいりたいと熱望いたしております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、この海洋生物研究センター設立の意義についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、研究基盤施設として海洋生物機能研究センターが先ほどの説明のように釜石市と清水市で計画されておりますが、海洋バイオは現在最も注目されている分野一つでありまして、我が国の最も得意な分野だと思うんでありますが、そこで、まずこの施設の概要と研究テーマをお伺いいたしたいと思います。
  46. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 海洋生物と申しますのは陸上の生物と違いまして、まだ十分に研究されておらない面が多いわけでございます。そういうことで、最近海洋生物に着目いたしましたバイオテクノロジーというものが非常に注目をされておるわけでございます。  それで、ただいま先生質問の海洋生物利用技術研究センターでございますが、ここにおきましては海洋の生物を利用いたしまして有機の顔料であるとか、あるいは香料、染料、接着剤などの化学製品、あるいは工業用の材料を製造する技術研究開発が非常に注目されておりますので、そのような研究開発に使うことのできる、あるいはそういう研究に必要な研究施設整備いたしました研究センターでございます。そして、それをこのバイオ、海洋における生物の、特にこの鉱工業への利用応用するというふうな研究をしたいという民間の方々の供用に供しよう、そういうセンターでございまして、具体的には先生のお話のように、現在釜石と清水の二カ所に設置することが予定されております。  そこでは具体的な施設といたしましては、海水が実際に海の中に存在するのと同じような条件を実験室の中で長く保存をいたしまして維持することのできるような施設、また海洋生物のいろいろな機能を調べるための分析装置、そのようなものが設置される予定でございます。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、このセンターが設置される清水市の東亜燃料を初めとする大手十二社で海洋バイオ研究会を発足させまして、センターを利用した海洋バイオ製品の開発事業を行っていくということのようであります。資本力にすぐれた大手企業の参加は、これはいいわけでありまするけれども地域中小企業との連携も忘れてはならないというように考えます。  地域振興の実を上げるためにも地元の中小企業、特に研究開発企業のセンターの有効活用を図ることが必要であると思います。そのためには、単に利用可能性を開くだけでなくて、出資企業への参加、それからセンターとの共同研究開発、情報の公開等の施策が必要とされると思いますけれども、この点についてお聞きいたしたい。私は、研究開発研究組合といったようなものをつくったらどうかというような私案を持っておりますけれども、この点いかがですか。
  48. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 御指摘のとおりでございますが、昨年九月に海洋バイオ研究会というのが大手企業十二社でできたというふうに伺っておりまして、私どももそういう関係の方々との情報の交換は行っております。  取っかかりとしては、民間との間ではその十二社でございますが、今後それをもっと広げることを私どもとしては考えておりますし、かつ地元の研究開発型の企業、あるいはその他の研究開発意欲のある企業との共同での研究なり、あるいは今先生指摘の出資をいただくなり、そういうようなことができれば私どもとしてはこの制度の趣旨が一番生かされることだと思いますので、ぜひそういう方向で考えられれば幸いだなと思っておる次第でございます。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、公害の予防の点からちょっとお伺いいたしておきたいと思うんでありますが、センターは直接海とつながるんですね。清水市は実は私の郷里でありまして、この場所に立地されるということについて、これは港であります から、海水を直接取り込んで研究が行われるということになるわけでありますが、この場合に心配なのは、研究物質の海洋への流出、すなわち毒物とか廃棄物といったものが海洋汚染に対して心配とならないかという点でありまするけれども、防御策とか監視制度は万全であるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  50. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) もともと海洋バイオとここでは言っておりますが、海洋生物利用研究センターで行う研究は、海洋汚染を招くようなものではないと私ども考えておりますが、もちろんその研究の過程で廃棄物等が出ることは十分考えられるわけでございます。それに対しましては、このセンターに適切な排水処理施設を設置するなど、海洋汚染がそれによって起こるようなことのないように指導してまいりたいというふうに考えております。  なお、若干つけ加えさせていただきますが、本研究開発では海洋生物の機能を利用いたしまして、海洋の浄化を行うような技術開発も考えられるわけでございまして、そのような目的にこのセンターを利用していただくことも非常によい方向ではないかというふうに考えているわけでございます。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 この海洋バイオセンターは非常に注目されておりまして、カニやエビの甲羅あるいはカブトムシやゴキブリなどの表皮に含まれるキチン質は、三十年代後半ごろからおもしろい物質として基礎研究が進められてきたというようなことが言われると同時に、ズワイガニからキチン質を取り出して汚水処理剤として出発、それから最新技術で人工皮膚、スピーカーの振動板とか制がん剤、基礎化粧品など用途が急増中であるとのことであります。  ここに福間理事がおりますけれども、おだてるわけじゃないが、松下電器産業が昨年十月に発表した世界初の超薄型大面積振動板スピーカーシステム、これはAEP、低音用振動板の強化剤として用いられている。もう用途がすばらしい形で発展をしているし、期待を持たれているということで、人工骨だけでなくて、特殊樹脂的働きに注目されたスケソウダラから天然アパタイトをつくっていく、天然アパタイトは顕微鏡で見ると六角柱を並べたような格好になっており、その間に幾つものすき間がある。このすき間に酸素や菌を取り込んで固定化することができるので、イオン交換樹脂的な働きをする。この作用を生かして、バイオリアクターやイオン吸着剤としての利用が考えられている。さらに海水中に溶け込んでいるウランなどの希少金属を吸着回収することも可能だということでありますから、私はこの問題についてはこのような期待、可能性が秘められているというように考えます。  ただし、第三セクターが効率性が先になって管理が軽んぜられると、今のような毒物が流れたり廃棄物が流れたりすることがあったら、これは人間の手に負えないような形になるということでありますけれども、この点は非常に心配されているわけであります。この点についてもう一度特に注意するという御意見をお伺いしたいと思います。
  52. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) このセンターにおきまして、海洋汚染をもたらすようなものが流出する、そういうようなことは絶対ないように私ども細心の注意を払って指導してまいりたいというふうに考えております。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 海水が直接入ってくるわけですから、例えば台風とかあるいはまた津波とか、特に私どもはきのうもいろいろ議論いたしたわけでありまするけれども、ああいうV型のところは津波の高さが非常に高くなる。ですから、その面における一つの堰堤状のものというのですか、そういった遮へいできるものをつくっておきませんと、そのままどうっと丸太が流れてきたり、あるいは海水の油が入ってきたり、また逆にいろいろと毒物が薬品の中にありますとそれが流れていったり、そういう危険が心配されますので、篤と御注意をお願いいたしたいと思っております。  それから欧米諸国において、日本は基礎的な研究は他国に依存して、直接利益に結びつく製品化技術に特化しているという声が非常に強い。田村大臣もその点は非常に御苦労なすっていると思うんでありますが、技術ただ乗り論というものが高まっているわけでありますが、私どもはそんなふうには考えておりませんけれども、しかし基礎研究のための施設整備することは大切だと思うのであります。  本法案に基づいて計画されている施設は、それぞれ研究開発に必要不可欠なものでありますが、これまで私が質問いたしてまいりましたとおり、幾つかの問題点があろうと思うのであります。特に立地点が遠隔地に偏っているというようなこと、あるいはまた研究者の利用に当たって大きなそごの原因となってくるというふうなことが心配されるわけでありますが、既存施設利用したとはいえ、基礎研究は集積の効果が必要であり、気軽に何度も実験できる環境が必要であると言われていることを考慮いたしますと、利用にやや手間がかかるという心配はないだろうかというようなことも考えられているわけであります。  地域振興とか基礎研究とか研究の交流とか、国としても財政支出を最小にして民間資金を導入するというようなことも考えていらっしゃると思うのでありまするけれども、そういうようなことも考えつつ、この問題については地域対策としての効果等もいろいろ考えていってもらいたいと思うし、産炭地とか基礎素材産業の企業城下町等の産業構造の転換によるところの犠牲になった地域の活性化等については、私は焦眉の急だと実は思っているわけでありまして、別のより大型の政策を発動させるべきものだということも考えているわけであります。  この法律によるプロジェクトは、地域開発とか基礎研究充実とか対外政策など一石で何鳥も追ったものであると思いまするけれども、この結果、どの面から考えてみても不十分なものとなったというようなことのないようにしていかなきゃならぬと実は思っているわけであります。  今回のこの施策は非常に結構でありますけれども、次の機会からポイントを絞った政策を発動する必要が出てくると思います。これは特に通産行政における一番大きな私は科学性と国際性、経済性を持った政策の一つだと思うんでありますが、基礎研究というような点にポイントを絞れば、せっかく筑波という大研究センターがあるけれども、これとの関係について施設の立地を考えるべきではないかという意見だって実はあるわけであります。こういったような問題点を含みつつ大きく国際化時代、科学技術の時代、経済の時代というような時代に踏み込んだわけでありますので、この点から国際性の問題等加味いたしまして大臣の御意見、御所見を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  54. 田村元

    国務大臣田村元君) このたびの砂川のは御承知のようないきさつがありまして、その決定につきまして若干といいますか、相当私にちょっと無理があったかもしれません。何とかやりたいという一念でございましたから、これは恐らく商工委員会でも石特でも衆参を問わず、また与野党を問わず同じ思いだったと思います。  しかし、これだけの立派なものをやるわけでございますが、それはそれとして、今おっしゃいましたように科学技術、特に基礎技術というものは、ここに答弁資料があって院長がさっきから私に読め読めと盛んに突き出しておるんですが、もうこれは読まないで率直に申します、答弁資料というのは往々にして言いわけが多くありますから。日本の従来は、基礎技術というものを無視したわけじゃないにしても、余りこれに重点を置かないで、外国がつくり出した、あるいは考え出した基礎技術、これをノーハウを買ってきて、そしてもとをつくった外国よりもいいものをつくってしまうというようなところが多分にあったと思うんです。  私の知っておるある会社でございますけれども、俗に言う多段炉という炉がありますが、この多段炉でエアポリューションをどういうふうに防 ぐかということで研究する。ところが、やっぱりアメリカから買ってきた方が安上がりでいい、基礎技術といえどもそれを完成させるまでに時間がかかるし金がかかるし、もうそれよりでき上がったものを買ってきて、そしてそれをいじくりながらよりよくした方がいい。そういうようなことで、アメリカのデンバーかどこかの技術を買ってきたというのを私も聞いたことがありますが、いずれにいたしましても今の日本はそういう時代は過ぎたと思うんです。  やはりみずからの手で世界に冠たる基礎技術をつくり上げていく、いわゆる科学国家になる、技術国家になる。同時にそれは、今も非常にいいことをおっしゃったわけで、国際性に富んだものでなきゃならぬ。と同時にまた、一面、経済性というものを無視するわけにいかない。そういうような問題をそれぞれうまく組み合わせながら今後これを強力かつ英知を持って進めなければならないと思います。  非常に示唆に富んだ御所見を今拝聴したわけでありますが、そういう御意見を無にしないように、工技院を初め通産省は全力を挙げるようにこれからも私から督励をいたす所存でございます。
  55. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の大臣のお話を聞いていまして、もう私も言うことないんで、申し上げようと思ったことは全部回答が出ちゃったわけです。ただ、この問題は非常に重要だと思いますので、繰り返しになりますけれども少し申し上げたいと思うんです。  その前にちょっと飯塚院長にお聞きしたいんですが、ここに法案が出てまいりましたね。これはとりあえずということだろうと思うんですけれども、これがうまくいったら、あるいはうまくいかなくても、この次、来年なり再来年なり、この構想をもう少し拡充したいとお考えになっているのか、これはこれで十分だというふうにお考えになっているのか、その辺をまずお聞きしたいんですが。
  56. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 六十三年度の政策をいろいろ私ども検討してまいったときに、このようなシステムをこれからの産業技術開発のために必要だと考えて法案をつくり、御審議いただいているわけでございますが、個々のプロジェクトにつきましては、私どもまだまだこれでは不十分である。もちろん資金面等いろいろな課題はございますけれども、今後ますます基礎研究充実に必要な事業というものを展開してまいりたいというふうに考えております。
  57. 木本平八郎

    木本平八郎君 実は、これはばらしちゃ悪いかもしれないけれども、レクチャーに来ていただいた通産省の事務官の方が、やはりこれも一生懸命に駆けずり回って大蔵省やなんかに行って予算を何とかとってきたんだというお話なんですね。確かに立場はわかりまして、先ほども大臣がちょっと言われたけれども、どうも大蔵省にすべて引きずり回されていて、大蔵省からとれる範囲の予算でしかやれないというふうなことが現実にあると思うんですね。  私、実は最近商工委員会法案審議に参加さしていただいて、どうもしょっちゅう私は渋々賛成する。この法案もそういう感じなんですが、どうも何かいらいらしている感じなんです。何でだろうなと思ってよく考えてみますと、どれもこれもどうも中途半端という感じがするんです。もっと思い切ってばんとやらなきゃいかぬのじゃないかという気がするんですよ。  それで、大臣一つだけまずお聞きしたいんですが、先ほども大臣おっしゃっていましたけれども、今の日本は国際的な経済大国にもなりましたし、国際的な立場も考え、これだけの大国になったんだから、少し方向を変えていかなきゃいかぬのじゃないか。これは先ほど大臣もおっしゃったとおりなんですが、この法案なんかに限って申し上げますと、やはり役人さんがおやりになる範囲はこの程度だと思うんです。しかしながら、国の置かれている立場を考えますと、やっぱり予算的にももう一けたは必要なんじゃないか。七十七億ぐらいですよね、出てきたのは。この程度じゃしようがないんじゃないかという気がするんですよ。  そのためには、やっぱり先ほども大臣がおっしゃいましたように、政治家が先頭に立って、まず日本はこの方向でいくんだということを決めて、その中で役人の方が立案されていくという転換が必要なんで、やはり役人が何とか工夫しながら一生懸命苦労してやっていくというふうなもうそういうやり方はちょっと変えなきゃいけないんじゃないか。したがって、政府が考えて、国際的な立場から日本の科学技術開発というのはどうなけりゃいかぬかということだって、これでやろうという方針を決めて、そのためにはもちろん予算なんかもとってこなきゃいかぬわけですけれども、そういう方向に転換しないと、こういうふうな盆栽的なやり方を続けていたんじゃ日本の現状に合わないんじゃないかという気がするんですよ。その辺の大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  58. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はおっしゃるお気持ちはよくわかるんですが、私も政治家としては全く同感でありますけれども、どうもやっぱり役人というのはよく言えば良識、悪く言えば勇気がないというんでしょうか、私は通産大臣になりましてから予算でそれほど苦労していないんですよ。ということは、苦労させに来ないんですよ。  今まで私もいろんな問題を取り扱いましたけれども、こういう問題なんか非常に崇高な問題ですから、これ以外でもそうですけれども、米や新幹線や道路のようにやればいいんですよ。私は役人に言うんです。百人や二百人の国会議員ならすぐおれは動員してやる。そして真夜中におれが先頭に立って主計局に乗り込んでいって、そして大いに騒ぐ、それぐらいしたっていいんじゃないのかと。これは飯塚君に言ったわけじゃないんですけれども、ところが、お気持ちはありがたいが、それによって財政当局との間にしこりを残しては後がやりにくくなりますので、大臣、ひとつしばらくちょっと静かにしとっていただけませんでしょうかと。静かにしておるうちに全部終わっちまうというようなことでございましてね。  私は政務次官をやったのが建設政務次官でございました。古い話でしょう、三十五年ですから。伊勢湾台風の後始末。それから、労働は大臣も政務次官もしました。これは大したことはなかったが、運輸なんというのはこれはなりふり構わぬですよ。事新幹線だ、国鉄対策だ、空港対策だなんということになりますと、なりふり構いませんよ。そして、予算のときに私はいつも思うんですが、建設省とか運輸省といいますと、予算編成のときに深夜こうこうと電気がついて、国会議員が各部屋でとぐろを巻いていますよ。そして、みんな熱気むんむんたるものがある。通産省の場合は、やっぱりできがいいんでしょうかね、非常に静かでございまして、通産とか外務とか、そういうところは静かなんですね。ですから、やはりもっと野性味を持った方がいいんじゃないか。  ちょっと悪乗りしたような格好で恐縮ですけれども、木本さんのせっかくの御意見でございますので、あえて私の感想を申し述べました。これからは、仮に私は野に下っても、商工族として残って皆さんのお仲間入りをさせてもらうわけですから、大いに頑張らねばというふうに考えております。
  59. 木本平八郎

    木本平八郎君 大臣、ぜひ今後とも、通産大臣をおやめになりましてもひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、飯塚院長に、院長としてじゃなくて研究者としてお伺いしたいんですが、日本の基礎技術研究開発というのは果たしてこういうことでいいんだろうかということですね。今の立場じゃちょっと言いにくいかもしれませんけれども、今後日本としてはこうあるべきじゃないかというふうなことを、常々お考えになっていることをちょっと承りたいんですがね。
  60. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) しばしば諸外国、特に先進諸国に比べまして、日本の基礎分野における研究ポテンシャルがまだ足りないのではないかと いうような批判があることは事実でございまして、これはやはり先ほどもお話がございましたが、やはり積み重ね、今までの蓄積というふうなものが足りないというのがまず第一点に私ひしひしと感じているところでございます。これは人的な意味での蓄積と、それから資金投入の面の蓄積と両方あるかと思います。  特に今回の法案におきましては、私ども資金的あるいは設備的、施設的な蓄積がこれまで足りなかったのではないかということで、このような提案をさせていただいたわけでございまして、あわせて、一層研究者、技術者の資質の向上と、それからよい研究者の育成というふうなことがこれからも大きな課題になっていくのではないか。そのためには、また外国研究者との交流を深めるということが非常に大きな力を発揮する。  ところが、私ども研究所研究者が国際会議に出たいと言ってたくさん私のところへ来るわけでございますが、なかなか予算が十分でないものでございますから、そういう点では、一人当たりの機会の数がまだ十分でないというふうなことを常々感じているわけでございまして、そういう国際交流の機会をもっとふやしたいということが私の大きな願いの一つでございます。
  61. 木本平八郎

    木本平八郎君 今のお話にありましたように、私はやはりこういう研究開発というのは、日本の立場とか日本のためとかという観点から、世界において我々がどういう役割を研究開発分野で果たさなきゃいかぬかという時代になってきていると思うんですね。  したがって、日本のためには余り役に立たぬかもしれぬけれども、これは世界のために非常に必要だということであれば、やっぱり日本は積極的に貢献していかなきゃいけないんじゃないか。日本がここまでの大国になりまして、大国としての責任を果たせということを外国からも言われるわけですね。  その果たす方法には、例えば防衛の問題もありますし、ODAの問題もありますね。しかし私、防衛なんか余り積極的に果たせそうにもないから、ODA、それは相当私はやっていると思うんですね。あと一番大事な問題は、研究開発部門で世界に貢献していくことが非常に必要なんじゃないか。それは、口では皆さんそういうふうにおっしゃるわけだけれども、本当に世界のための研究開発を自分たちが役割として引き受けるんだということをはっきりしなきゃいけないんじゃないか。その時期に来ているんじゃないかという気がするんですね。  例えば、民間の場合は研究開発しますと特許を取るわけですね。しかし、政府機関がやった場合は特許を取らずに、世界どこでもお使いくださいということだってあり得ると思うんです。そういう点で、こういう科学技術研究開発というもので世界に貢献していくという方法というか、可能性というか、理想みたいなものですね、そういう点はどういうふうにお考えになっているか。御所見を承りたいんです。
  62. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 国際的な貢献をもっと果たさなければならないという先生の御意見をありがたくちょうだいしているわけでございますが、私ども例えばヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、これは生体の機能の基礎研究でございますが、これを提唱いたしまして、現在科学技術庁とその他七省庁で協力をいたしまして、その実現に向けて努力をしているわけでございます。  例えば、こういうような国際共同研究にもっと日本が力を入れる、しかもその成果はむしろ論文である、特許ではなくて論文であると、そういうことでできるだけ公開をしていく、そういうようなスタンスで現在進めているわけでございます。  この新しいNEDOにおきましても、もう一つ、生体機能だけでなくて物性機能についても同様の助成を行う。これも基礎研究面での支援だと思いますが、そういうものを有効に活用して一層力を入れてまいりたいというふうに思っております。
  63. 木本平八郎

    木本平八郎君 去年、筑波の電総研を見学させていただきましたときに、あそこでパラフィンに酵素をなにして、太陽光線でオレフィンかなんかをつくる、そのプロセスをついこの間完成したばかりだということで我々は見せてもらったわけですね。水素がこう出ていましたね。  ああいうのは民間なら必ず隠して、特許をがちっと押さえるまで絶対に言わないんですね。ところが、やっぱりさすがあれは政府の研究機関です。論文書けさえすれば特許なんか余り要らないというか、すぐそうして公開をされていた。日本は今までどちらかといえば、先ほど大臣もおっしゃったけれども、外国の技術を持ってきて、そして自分の方は隠して、何かそろばん計算を非常にすばしっこくやっているという感じがあったんですね。  ところが、やはりそっちの方はそっちの方でやっていかなきゃいかぬけれども、これはもう民間に任しておけばいいと思うんです。やはり政府機関研究というのはそういうふうな論文システムでどこにでも公開していくというふうな、少し大人というか、大人風のやり方に変わっていかなきゃいかぬじゃないかと思うんですね。  それでまた、先ほど言われたように、研究者が外国へ行きたくてもなかなか出張旅費も出ない、私はそういうところが基本的に研究体制としては非常におくれていると思うんですね。後進性のもう最たるものだと思うんですよ。その辺をそれじゃどうするか。これは、大蔵省とかけ合っていてもなかなか予算をつけてくれないということは事実だろうと思うんです。  それで、私ここでも何回も申し上げているように、冠講座というのをやってみたらどうだということを申し上げているわけですね。そして、冠講座でも大蔵省は自分の予算の中に入れてということを言うかもしれませんけれども、それはそこでまた田村大臣なんかに交渉してもらえばいいんで、私はやはりそういうふうな別の資金源を探して、そして研究開発をやっていかないと、今までの延長線上では、予算がふえても二十億余計ふえるぐらいでしょう。そんなものじゃ僕は仕方がないと思うんですよね。  冠講座はまた何かいろいろ反対もあって、そんな企業に一々ひもつきされちゃかなわないということですけれども、私が申し上げているのは、企業の寄附じゃなくて個人の寄附を求めるということを申し上げているわけです。今は現実に、この辺なんかでもちょっとした千坪も土地を持っている人はもう何百億という資産家ですし、そのままだと相続税でがっさりいかれちゃうというふうなことなら、それは寄附しようかと、百億単位で寄附しようかという人はいっぱいあると思うんですね。そういうのを積極的に何とか開発できないだろうか。これは、ほかのことに冠講座というか、民間の寄附ということを言うとまたいろいろ差しさわりがあるかもしれませんけれども、そういう基礎研究のようなものに充てるということなら、私は国民というか、世論もオーケーしてくれるんじゃないかという気がするわけです。  ぜひそういったところ、これはもうむしろ国会の方、政治家の方の問題かもしれませんけれども田村さんのような実行力のある方を口説いて、そういう方向に持っていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするんです。この御所見を伺うとちょっと苦しいかもしれませんけれども、軽い意見で結構ですから、いかがですか。
  64. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 現在のところ、民間資金を直接国の研究機関の方に導入するということはできないということは御理解いただいていると思うわけでございますけれども先生指摘の、個人の篤志家の資金を活用させていただくというふうな方法については、また広い意味で検討させていただきたいというふうに考えております。  なお、現在基盤技術研究促進センターで、そういう個人の篤志家の方の資金によりまして、外国人の研究者を招聘する制度がございまして、そういう意味では既に活用する場もございますので、また検討させていただきたいと思います。
  65. 木本平八郎

    木本平八郎君 外国人をどういうふうにして招聘するかというのは、次のまたこれ同じような頭脳法案が出てきますので、そのときに申し上げますけれども、やはりぜひ今後とも工技院としては、こういうふうな法律をつくってやっていくということも非常に大事ですけれども、科学技術庁なんかとも協力していただいて、日本の今後と科学技術開発のあり方というのをもう少し国民にPRしていただいて、そういう理解のもとに進めていただくということが非常に大事じゃないかと思います。  では、一応時間が来ましたので、この辺で終わります。
  66. 大木浩

    委員長大木浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開会
  67. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 法案審議の前に、政治課題の一点について質問いたします。  四月の十八日に、ペルシャ湾にあるイラン洋上石油施設二カ所を米軍が攻撃いたしております。これについては、米国はこの攻撃が十人の負傷者を出した十四日の米フリゲート艦触雷事件に対する報復であると強調をしているわけでございます。また、イラン側はこの攻撃に即刻応戦をして、数時間後には同湾内の米国系企業が操業する場所について砲撃をいたしております。英国旗を掲げた香港船籍のタンカーも攻撃をしている。こういう状況の中で、ペルシャ湾情勢が双方の報復合戦によって一気に緊張が高まっているのは事実でございます。  まず先に、外務省に、これらの軍事衝突の原因とか、そうして収束の見通しを含めて日本の態度はどういうふうにとったのか、そういう点を伺いたいと思います。
  69. 木村光一

    説明員(木村光一君) お答えいたします。  先生の御質問は、今回のペルシャ湾におきます米イランの交戦のいきさつ、それから現状、また今後の見通し、それと政府の立場ということだと思います。  まず、交戦のいきさつでございますが、先ほど先生の御質問の中にも御指摘がございましたとおり、日本時間の十八日の十四時ごろでございますか、米海軍はペルシャ湾内のイランの海上油田プラットホーム二カ所を攻撃いたしました。米国はこのような攻撃につきまして、去る十四日、米国フリゲート艦サミュエル・ロバーツがペルシャ湾航行中にイランの敷設した機雷に触雷したと、その事件に対応した措置であるとしております。  さらに、米側攻撃直後の日本時間の同日十七時ごろでございますけれども、イランはアラブ諸国連邦内の米企業操業の油田を攻撃するとともに、同湾内の英国籍タンカー一隻を攻撃いたしました。その後、日本時間で同日二十二時ごろでございますが、ホルムズ海峡付近におきましてイラン艦船と米軍機が交戦した事実がございます。ただ、十九日以降でございますが、これまでのところ米イラン間の直接の軍事衝突というのは起こっていない模様でございます。  次に、米側の今回の措置につきまして、イランの機雷敷設等の敵対行為に対応した自衛権の行使であると、そういたしまして、あくまでもイランの攻撃の抑止を意図した措置であると私どもは承知しております。これに対しまして、我が国は米国が今回の措置をとるに至った事情は理解するものであるという立場でございます。  我が国といたしましても、ペルシャ湾の緊張の増大を憂慮いたしておりまして、同地域における事態の鎮静化が図られるよう強く期待しているところでございます。  ちなみに今後の見通しでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、鎮静化の方向にございまして、それぞれ米、イランともに、特にアメリカの方はレーガン大統領みずから議会に対する書簡または記者会見等の席におきまして、事態がおさまりつつあると、これ以上これがエスカレートしないように期待するということを申しております。一方、イランの方は報復すると申しまして、またその報復が完了したと、報復を行ったというニュアンスの発言をいたしておりまして、一応今のところ、十九日以降は事がおさまるような方向にいってるというふうに見ております。
  70. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 本来であれば外務大臣にお伺いしたいと思うんですが、今あなたの日本政府の態度というあれで、米軍の攻撃に対して、新聞も報道されているけれども日本政府が理解を示したという、非常に素早い情勢判断に対する態度を示したというのはプラスなのかマイナスなのか。これは外務大臣に問うべきだと思うけれども、あなたから見てどうですか、外務省。
  71. 木村光一

    説明員(木村光一君) 先生御承知のとおり、私どもはイラン・イラク紛争が勃発以来いろいろと外交努力を尽くしておりまして、特に和平への環境づくりということを唱え、特に両紛争当事国に対応のパイプがあるという立場を生かしまして、独自の立場から言うべきことを言い、また関係の諸国に対しても外交努力を払ってきたところでございます。  今回の事件につきましても、昨年十月に同じような事件がございましたことを先生御承知かと思いますけれども、そのときにも私どももアメリカ側の通報等を判断いたしまして、今回米国がこのような措置をとるに至ったことを理解するという立場を明らかにしたわけでございます。
  72. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、通産省に伺いますけれども我が国がこのホルムズ海峡を通過している石油依存度は何%ぐらいになっていますか。
  73. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) 一九八六年におきましては、原油調達量のうちの五五・六%でございます。一九八七年におきましては、若干この比率が上がっておりまして、五七・四%でございます。
  74. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 こういう石油依存度の高い日本の国において、やはりペルシャ湾の紛争というものがイ・イ紛争だけではなくして、世界の平和をリードする米国という立場から見ると、国連軍を中心として世界の平和に寄与していかなくちゃいけない、こういう大きなウエートを持っているわけでございますけれども、そういう形の中で、やはり世界の平和という立場を考えたときに、これは通産大臣にちょっと質問申し上げたいのでございますが、政府筋がいきなり米軍の攻撃に対して理解を示す、まあイギリスの場合は攻撃をされている、だから米軍の攻撃に対してサッチャー政権は即座に米軍の攻撃に対して支持を表明している。日本の国がなぜこんなに早く米軍攻撃に対して、今石油依存度のパーセンテージを伺ったわけですけれども、米国の対応について日本政府がこんなに早く理解を示すという態度を表明した、これの真意はどこにあるのかということを私は非常に疑問に思うんです。  私は、政府閣僚のいろんな方々の見解を伺っておりながら、通産大臣は非常に世界的に公平で、そうして言いたいこと、正しいこと、間違い、非常に明確におっしゃっておられて、私は通産大臣の、周辺のお立場があっても非常に公正な見解というものがいろんな場所でも示されている、こういうふうに私も非常に敬意を表しているんです。  この新聞報道では、官房長官が竹下総理大臣の意を受けて、外務省等とも調整をしながら、いきなり米軍の攻撃は理解をする、こういう世界に見解を示したと思うんですが、やはりこれは閣僚会議の中において恐らく田村通産大臣等にも、こういうことだからと、通産省はもう国民生活や国民経済に一番直結する、そういう原油の状況の中でそういう複雑な判断の中で、しかも日本が平和を希求している、イラン、イラクに対して等距離のきちっとした平和への態度を示している、そういうふうな今までのものを皆打ち破って、理解を示 したという、簡単な言葉でありますけれども、これは私はちょっと軽々ではないか、こう思うわけでございます。  私は、これについては通産大臣はナンバーツーでございますから、そういう意味で外務大臣とか官房長官というよりも通産大臣の御見解を伺いまして、そして正当な私の判断にしたい、こう思っているわけでございます。
  75. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) 大臣からの御発言の前に、恐縮でございますが、若干事実認識につきまして申し述べさしていただきたいと思います。  先生から御指摘があり、また先ほど外務省からも説明がございましたように、米フリゲート艦サミュエル・ロバーツが触雷したというのが引き金でございます。このフリーゲート艦は、先生御承知のとおり、クウェートタンカー護衛という任務を持ちまして米国海軍が送り込んだものでございまして、護衛を終了いたしまして引き返す途中で触雷をしたというものでございます。  一時期かなり触雷等がございまして、国際的な広い協力によりましてこの触雷を防ぐための掃海等が行われ、ほぼそういうものはなくなったというぐあいに認識がされておりました。実際上もこういう触雷事件が全くなくなっていたという状況下におきましてこれが起きまして、さらに伝えられるところによりますと、この問題のもの以外にも幾つかのものが発見をされたというような状況もございまして、果たしてどのレベルのどういう指示によって行われたかどうかというようなことは必ずしも断定し得ないわけでございますけれども、ともかくかなり新しい危険な状況が発生をしていると、機雷敷設というようなことが行われたというぐあいに判定せざるを得ないというような状況があったということは事実として言えるのではないかというぐあいに思っております。
  76. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は私からコメントができればいいんですけれども、私、このときバンクーバーから帰ってくるときでございまして、日本へ帰ってから聞いたわけです。それももう夕方で、帰って四極の記者会見を夜の七時半からしたというような状況でございまして、実質私は十八日のことは存じませんので、ちょっとコメントのしようがありませんが、結論から言えば、我々は石油のいわゆるエネルギーの安定供給を受けたいということは、これは明々白々なことでございます。  実は、きのうインドネシアのスブロトさんがやってきましてお目にかかりました。これは有力な次期OPECの事務局長候補と言われる、産油国では非常な実力者の一人でございますが、いろいろと話し合いました。こういう問題は外務省が、つまり外務大臣が窓口で物をおっしゃるのが一番筋だと思いますし、大概のことなら私もずばずば言いますけれども、あの中東というのは何が何やらわからぬところがありまして、私も自信を持って物を言うことがちょっとできないのです。  かつて私は、高碕達之助先生のお供をしたりして、まだ廖承志さんとの間で細々としたパイプの、当時私は中国へ行って帰ってきて、日中議員連盟をつくったりしてやったわけですけれども、そういうときは見通しというものに自信があったし、先行きにも自信がありましたけれども、中東だけはちょっとどういうことか、もうちょっと勉強させてください。
  77. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私もアフガニスタンの和平協定を見ておりましても、地域紛争の解決にアメリカとソ連が主導的な役割を果たしている。武器を売るにしても売らないにしても、終結するにしても、この二大国がすべて主導している、こういうことは明らかだと思うんですね。今回もやはり大国という大きな立場から見れば、同じレベルの中でやはり小さい国が来たから殴り返していくとかというふうな平行線上のものではなくして、やはり大きな立場と、そういうふうな一つの場が想定されるのです。  確かに今大臣言われておられますように、見通しは本当に分析難しい地域だとは思うわけです。しかし、今申し上げた米ソ主導というもので地域紛争というものが解決をされている。こういうふうなことを見ると、日本政府の態度表明というものはちょっと早過ぎる。だから、やはりアメリカと日本というものが非常に経済で大切な二国の、これはお互いが大事にしていかなくちゃいけない問題はありますけれども、こんなに軽々に外交問題ですべきでないというふうに、世界平和の大きな立場から見て私は非常に不満を思うものでございますが、通産大臣はそのときいらっしゃらないということですから了とするところでございますが、私の態度は、日本外交というものはやはりもっと真剣に考えて表明をしていかなくちゃいけない、こういうふうに思います。  そこで、通産省にちょっとお伺いするんですが、こういうことによって、落ちつくとは思いますけれども、株式関係の動きを見ておりますと値というものはまた平常に戻っているようでございますが、日本における価格変動というものは現況分析から見てどういうふうに考えているのか伺いたい。
  78. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) まず極めて目先のことでございますけれども、今回米国の攻撃の対象になりましたナスル油田でございますけれども、生産量が約四万バレル程度と言われております。そのうち日本が引き取っております量が、最近のペースでございますと二万六千バレル・パー・デー程度でございます。それからもう一つのサルマン油田でございますけれども、これは一九八三年ごろ十一万バレル・パー・デー程度の生産があったという情報もございますが、どうも最近ではほとんど生産が行われていなかったというような状況のようでございます。それから、イランが攻撃をしたと目されておりますムバラク油田は一万バレル・パー・デー以下の生産量のようでございます。  そういたしますと、日本が現に引き取っております油の量は、影響を受けるところとしますと二万六千バレル・パー・デーぐらいでございまして、現在日本が買っております原油の総量に対しまして一%にも満たない、〇・八%ぐらいというようなことでございまして、今回の一連の攻撃によりまして物量的な影響はほとんどないと考えられます。現に引き取っております企業も直ちに代替は可能だと言っておりますので、物量的な影響はまずないと考えております。  そこで価格の方でございますが、これは先生御承知のとおり、OPECの過剰生産の状況の中で大変弱含みになっておりましたけれども、価格立て直しということでOPECと非OPECとの間の協議を今月二十六日にもやろうかというような風潮が、状況が出てまいりまして、かなり速いペースで価格が持ち直していたという状況のもとでこれが起きたわけでございます。  このトラブルによりまして、そういう動きがある程度加速されたかというような状況もあったわけでございますけれども、先ほど来外務省からも話がございましたように、どちらかといいますと早期鎮静というような見方の方が強いわけでございまして、結果として、今までむしろ思惑によりまして価格が上がり過ぎておりまして、早期鎮静というような報道によりまして利食いなどが出まして、むしろ価格が反落をしているというようなのが今の状況でございます。結果としましては物量面でも価格面でもほとんど影響を受けなかった。今後はむしろOPECと非OPECの協議がどうなるかというあたりが焦点になるということではないかと思っております。
  79. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案について、同僚議員の御質問等もございまして、極力重複を避けて質問をしたいと思います。  まず最初に、私もこの二、三年国会で、日本の科学技術に対する専門家である大学教授とか、国会に来ていただいていろいろの質疑を重ねたり、そうして日本で先端企業研究施設やいろんなところを視察さしていただきまして、異口同音に学者の人たちが述べていらっしゃることは、日本の学者の、例えばアメリカの場合であっても、頭脳流出の一つの大きな原因は、基礎科学に対してや はり国も民間も、今は変わっているけれども、やっぱり力の程度というものは非常に低い。先ほども通産大臣から基礎科学に対しての基本的な姿勢を述べていらっしゃいましたが、全くそのとおりでございまして、我が国が基礎科学に対して本当に力を入れなければ先進諸国から非常な批判を受ける、こういうことは当然だろうと思います。  そういうことで、まず第一に当局に伺いたいと思いますけれども、主要国の研究費の比較を、先進諸国の特に米国、西ドイツ、フランス、日本と対比をしたときに、通産省としてはその数字の中からどういう分析、見解を持っているのか、まず伺いたいと思います。
  80. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) まず私から数字的な事実を申し上げたいと思います。  一九八五年度の数字でございますが、我が国研究開発総額、これは全体の総額でございますが、絶対額では八・九兆円でございます。アメリカに次ぎましてこれは二位でございます。アメリカは二十五・九兆円という額でございます。GNP比率で見ますと同じ年で二・八%でございまして、これは西独に次いで世界第二位でございます。  マクロベースで今申し上げましたように日本研究開発活動というのは有数の水準に達していることは事実でございますが、いろんな問題もございます。一つは、研究開発費に占める政府の負担割合が日本が非常に低いということでございます。一九八五年度で二一%でございまして、先生今挙げられました国の中では最低水準でございます。諸外国はほぼ四割程度——いろんな差もございますが、日本は極めて低いわけでございます。かつ、近年の研究開発予算の伸び率を見ますと、これも物価で調整いたしまして実質ベースで各国は一〇%前後この五年間を見ましても伸びております。五年間で十数%前後でございます。日本はこの五年間で実質ベースでは横ばいでございます。名目では一割ぐらい伸びておりますが、実質では横ばい、そういう状況でございます。したがいまして、政府負担割合というのはここのところ低下する傾向にございます。  第三に、もっと大きな問題というか、先生今御指摘ございました基礎研究に限ってみますと、日本基礎研究費比率は一三%でございます。正確に申し上げますと一二・九%でございます。西ドイツが二〇・五%、フランスが若干年次は違いますが二〇・九%、アメリカは国防費を除いた数字でございますが、一六・七%ということで、やはりこの四カ国の中では日本は最低の水準ということでございます。数字の事実関係は以上のとおりでございます。
  81. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 主要国の研究費の比較を今伺ったわけですが、通産大臣、数字の面からのちょっと御質問申し上げたいんですが、確かに通産省も、そしてまた各省庁もそういうふうに基礎科学を中心として非常に力を入れていらっしゃるわけでございますが、政府負担の割合というものが主要国の研究費の比較から見て二一%である、それがだんだん低下の方向に来ているんだというふうな御答弁をちょっと伺っているんですが、私は問題は、やはり頭脳流出にしても諸外国からいろんな今後も攻撃があろうかと思いますけれども、本当にこれは国が力を入れなければいけない問題が今端的な数字の中にも出ているわけでございます。  通産大臣の午前中のお話もお伺いをいたしましたけれども、改めてこの数字に対して通産大臣として、また政府の代表閣僚として御答弁を、これに対して将来どうあるべきであるか、こういうことで伺ってみたいと思います。
  82. 田村元

    国務大臣田村元君) どういう表現でお答えをすればいいのかちょっと戸惑いますが、あえて申せば、国際的な観点から見れば恥ずかしい、また日本の政治家として考えれば何とも情けないこと、そういう気持ちでございます。  実は、これは悪い意味でなくいい意味で見てやっていただきたいのでありますが、通産省という役所の役人は、他省庁に比べて予算要求等あるいは施設とかいろいろな問題について、俗に言うなりふり構わずというところが割合にないんです。よく言えばインテリの紳士型というんでしょうか、悪く言えば憶病者というんでしょうか、いずれにしても自分で確固としてこれは必要だと、何が何でもやらねばならぬということで、一たび決心をすれば全省を挙げてこれに取り組み、あらゆる政治家に対して果敢なアタックといいますか、お願いを申し上げる、そしてそういうムードを高めて、あたかも先ほど申し上げた新幹線のごとく、道路のごとく、あるいはその他の公共事業のごとくやるべきではないでしょうか。  しかし、これは今に始まったことではないと思います。けれどもまた、そういう非常に教養味豊かで紳士的な官僚であるという点がまた通産省の役人のいいところでもあろうかと思うのです。でございますから、これからなるべく私ももっと野性味を持つように大いに教育をいたしますが、委員各位におかれましても党派を超えてどうぞ何かと御教示のほどを賜りとうございます。
  83. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も、最近通産省関係の基礎科学に対する熱意、これは非常に評価をいたしております。通産大臣の非常に謙虚なお立場で述べていらっしゃることも本当に尊敬をしながら伺っているわけでございます。  それで、いずれにいたしましても、この法案を契機としまして、全体的に日本のレベルアップをどうしてもしていかなくちゃいけないし、充実もしていかなければならないわけでございます。  もう一つ予算関係で、六十三年度の科学技術関係予算、特に通商産業省関係の減になっている項目等がございましたら、簡単でいいですからおっしゃっていただきたいと思います。
  84. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 科学技術関係予算案の総額を申し上げますと、通産省の六十三年度の額は二千二百十二億でございまして、これは特別会計一般会計を含めたものでございますが、大変残念ですが、前年度に比べて〇・一%の減でございます。わずかではございますが、減でございます。
  85. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 とにかく六種類ぐらいございまして、増減でそういう低さにはなっておりますけれども、項目ではまた一八%もダウンをしている、これはエネルギー対策費の研究開発費ですが一八・四の減である。そういうような状況になっておりますけれども、トータルでは今お話しがあったようでございます。  私も今回の産業技術に関するこの法案に対しては賛成でございますが、ここで一つ今の時点でいただいております資料の「法律の必要性」の中で、「二十一世紀に向かって我が国の高い技術開発能力をさらに発展させる」、また二番目には「国際社会への貢献を果たしていくことが急務であり」、また三番目は「大型研究開発施設等の研究基盤の整備、基礎的・先導的分野における研究開発充実、国際研究協力の強化」、これを一体的に行う体制整備したい、こういう必要性を訴えられておりますけれども、こういう研究課題というものが、やはり今回法案を通すことによって持続して充実したものになっていかなければいけない、こういうふうに私は思うわけでございます。  先ほど昭和六十三年度科学技術関係予算の項目の増減を述べていただいておりましたのは、せっかくいいものができても、これが年々予算が減少するような体制であれば、これはせっかくの意欲というものが全部消えていくと思うのでございますけれども、そういう意味におきましては、この研究課題というものが将来やはり年々予算充実をしていかなければいけない、こういうふうに私は考えておりますけれども、この点に対して当局ではどういう決意で臨んでいこうとされているのか、伺いたいと思います。
  86. 浜岡平一

    政府委員浜岡平一君) まず、先生指摘予算、せっかくの法案が出ながら予算面でその裏づけがないではないかという御指摘と受けとめますが、この予算面につきまして若干の釈明をさせていただければと思います。  エネルギー対策費中の研究開発費二千二百六十億円でございまして、御指摘のように一八・四% 減っております。金額にいたしまして約四十億円ということになろうかと思いますが、これはひたすら、いわゆる石特会計によって賄っております石炭液化予算がちょうど四十億減っておりまして、すべてはこれに起因すると申し上げていいと思っております。  御高承のとおり、財源を従来従価税でございます石油税に依存をいたしておりまして、決算ベースですと大体四千億の収入がありましたものが千六百億円程度まで低下をするというような実態になりました。六十三年度暫定措置といたしまして、租税特別措置法で八月から従量化することをお認めいただいたわけでございます。六十四年度も私どもはぜひ従量化いたしたいと思っておりますが、いわば財源面でのもとへ戻すプロセスの途中というような状況にあるわけでございます。  そんな中で、何とか全体のつじつまを合わせようということで、御高承のとおり石油価格の下落等もございまして、石炭液化が実用化に乗るタイミングというのが従来予測されておりましたよりも大分先へ延びているというような実態もございまして、歴青炭液化プロジェクト開発スケジュールを三年程度後ろ倒しにいたしまして、かつパイロットプラントの規模二百五十トン・パー・デーから百五十トン・パー・デーに縮小したということがすべての原因でございます。  私どもこの石炭液化技術というのは二十一世紀、日本が大きな期待をかけるべき大事なプロジェクトだと思っているわけでございますが、現在の状況下ではむしろプロジェクトそのものをやめるべきだというような声も随分関係業界にございました。この声を耳にしながら、今申し上げたような窮余の手をとりあえず打ったわけでございます。率直に言いましてまさに泣いて馬謖を切るという思いでございましたけれども、しかし、この見直しました計画によりまして、今後着実に石炭液化の灯を消さないように前進をしていくという気持ちには変わりはないわけでございます。財源面でも、今申し上げましたような、いわば再構築の最中でございますので、ある程度そういう面にも期待を寄せていただいていいんではないかと思っている次第でございます。
  87. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) ただいまエネルギー関係の研究開発予算につきましては浜岡長官から申し上げたとおりでございますが、それ以外の研究開発予算につきましても今後ますます基礎研究の重要性が高まると認識しておりますので、鋭意予算の確保に努力してまいりたいというふうに考えております。
  88. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最後に、時間も参りましたので通産大臣に一言だけ伺いたいと思いますが、確かに二十一世紀に向かっての我が国の高い技術開発能力、こういうことで国際社会でやはり貢献をする立場というものは非常に要求されると思います。そういう国際研究協力の立場という中で、やはり日本が今後注意すべき問題点、通産大臣は外国をいろいろと飛び回っていらっしゃいまして、こういう点はやはり注意してやっていきたい、そういうようなことがございましたら一言伺って、質問を終わりたいと思います。
  89. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、通商産業大臣になりましてから約二年近くになってまいりましたが、その間十数回外国へ行きました。そしてしみじみ感じましたことは、日本は決しておごっちゃいけない、謙虚でなければいかぬけれども、しかし、世界の経済大国であるという認識と責任感というものはこれは当然持たなければならぬと思います。  昨年のOECDの閣僚理事会のときに、スウェーデンでございましたかちょっと名前を忘れましたが、ヨーロッパの国々からアメリカと日本とドイツという世界の大経済国がしっかりしてくれなければこの地球はどうなるんだという発言。それからもう一つは、これは表現としては、日本人としてちょっと複雑な感情でございましたが、世界の三大強国と言われる米日独がよほどしっかりしてくれなければ我々はどうしていいかわからなくなるし、世界に大変な経済的な悪影響を及ぼす、こういう発言もございました。  私は、特にこれという理由はありませんでしたけれども、大学時代に焼け野原で深川から国会議事堂が見えた、私の母の実家は深川でございますが、深川から国会議事堂が見えた。駅の地下道では飢え死にの死体をまたいで歩いた。そのころのことをふと思い出して、何とも言うに言えない気持ちになって、別に決して帝国主義的でもなければ負け惜しみでも何でもない、何でもなく今昔の感という気持ちから涙滂沱としてとどむるあたわなかったことでございました。  これからの日本は、基礎技術の問題にしろ、貿易の問題にしろあるいはその他何につけても世界の大経済国であるというこの自覚だけはしっかり持って、そして少なくとも世界じゅうから喜ばれ、慕われるような国に成長していくべきである。このように思います。
  90. 市川正一

    ○市川正一君 我が党は、これまでも技術開発のあり方として、政府が基礎研究を軽視ないしは重視してこなかったことについて指摘し、その改善を強く主張してまいりました。同時に、それを進めていく際の基本的な立場についても見解を明らかにしてきたところであります。  そうした上に立って、今回の法案内容に関してでありますが、まず、NEDO実施する予定の研究開発事業、すなわち大型工業技術次世代産業基盤技術医療福祉機器技術、さらに国際共同研究推進事業などは、従来から工業技術院実施してきたものであり、また、研究基盤整備事業も他の制度の活用で対応できるものでもあります。  それをなぜ新しい法律をつくり、組織を変更してまでNEDO事業を移さなければならないのか、その積極的な理由をまず伺いたいと思います。
  91. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) お答えいたします。  まず、新規事業三つ追加いたしましたが、そのうちの第一の研究開発事業につきましては、今御指摘のように従来工業技術院がやっているものでございます。ただ、これにつきまして通産省としては基本的な施策の立案に力を入れまして、実際の実施を総合的に、かつ民間の活力もあるいは民間人材も投入いたしまして効率的にできるNEDOにそれはやっていただこうということにしたわけでございます。NEDOは、先ほどからも答弁もございましたが、新エネルギーにつきまして研究開発を従来からやっておりまして、そういう人材なりノーハウ、経験を持っております。そういう意味で、NEDOが行うのが極めて適切であるというふうにまず考えたわけでございます。  それから第二の研究基盤整備事業でございますが、これは今度新規の事業でございまして、この研究基盤整備事業につきましては、そういう開放型の施設というのは、世界的にも、例はないことはございませんが、私どもが想定しているようなものはまだございません。国公立研究機関で一部開放をすることもございますが、法律上の制約もございまして、ごく一部邪魔にならない範囲内で使っていただくという程度でございます。そういう意味で、今回私どもは、先ほどから申し上げておりますような予算制約もございますし、正直なところ、民間資金もあるいはNTTの無利子融資も導入いたしまして、さらには産業投資特別会計資金も仰ぎまして、いろんな知恵を絞って研究基盤整備事業を行っていこう、そのためには今度私どもが考えておりますようなNEDOが第三セクターに出資して共同出資会社をつくってそこでやっていく、そういう仕掛けしか私どもとしては方法がないと考えたわけでございます。  それから……
  92. 市川正一

    ○市川正一君 済みません。各論じゃなしに、総論的にどういう積極的な意義があるのかというふうにおっしゃっていただかないと、一つ一つやられたら……
  93. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 大変恐縮でございますが、積極的な理由は、私どもとしては最初申し上げましたが、NEDOが従来研究開発事業を新エネルギーについてやってきた経験がある、そこ にやっていただくのが私どもとしては効率的であり、かつ今度の三つ事業はそれぞれ相関関係がございますので、三つ事業を総合的にやる機関が必要だ、NEDOを活用するのが適当だと考えた次第でございます。
  94. 市川正一

    ○市川正一君 途中ではしょって恐縮でしたが、要するに効率的、総合的、そういう研究開発の進め方でNEDOということになるようであります。  そこで議論を進めますが、研究開発事業について申しますと、従来の工業技術院からの委託による研究と異なってNEDOからの委託による研究ということになりますと、そこから得られる工業所有権などの成果は国有特許などの国有財産にならないで、NEDOまたは研究に参加した企業、あるいは研究組合のものになると思いますが、間違いございませんか。
  95. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 御指摘のとおり、通産省がやっている場合は通産省でございますが……
  96. 市川正一

    ○市川正一君 要するに国ですよね。
  97. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) はい。NEDOに私ども資金を出資いたしまして、NEDOが行う場合にはNEDOのものということになります。基本的にはそういうことでございます。
  98. 市川正一

    ○市川正一君 つまり、先端的な技術開発を行う大企業が、国の資金を国の規制から離れて比較的自由に使う、そしてその成果も国に帰属するんじゃなくてそれを担当した企業のものになるということに相なるわけです。  ところで、現在工業技術院において今後NEDOに移される研究に従事している研究者は、そのプロジェクトと一緒にNEDOに出向することが将来問題になることが考えられる。そこで確かめておきたいんですが、その研究者の意に反して出向させられたり、出向したらもとの研究機関に戻れなくなったり、あるいはもとに戻っても出向していたことを理由に昇給や昇格などに格差が出るというようなことがあってはならぬと考えるんでありますが、その点を確認いたしたいと思います。
  99. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 今回、大型プロジェクト次世代産業基盤技術等の研究開発の委託部分について、NEDOにその事業を行わせるということでございます。しかしながら、NEDO事業の遂行上、国立の研究機関研究者がその専門的な知識を活用するためにNEDOに出向するというふうなことは、既にエネルギー分野ではございますし、今後もあり得ることではございます。しかしながら、出向に当たっては、従来からも研究者の意向は十分に尊重し人選をしておるわけでございますし、今後も研究者の意向を尊重してまいる所存でございます。
  100. 市川正一

    ○市川正一君 確認をいたしておきます。  そこで、研究基盤整備事業についてお聞きしたいんでありますが、これは大臣にお答え願えれば幸いですし、また院長でも結構でございます。  現在予定されている四つの施設はいずれも先端性が要求されるので、これを効果的に活用できるスタッフも必要になってまいります。また、五年程度で設備の更新が必要だという声も聞いております。これに対応するには、それにふさわしい人的、財政的裏づけがまた必要でもあります。その反面、広く利用させるためにはできるだけ料金は安くする必要もあります。言うなれば矛盾した課題を内包しているわけでありますが、こういう点について十分検討されておられるのかどうか、将来の展望も含めてどのように検討されているのか、この機会にお伺いしたいと思います。
  101. 飯塚幸三

    政府委員飯塚幸三君) 人材的な問題あるいは財政的な問題についての御質問でございますが、研究基盤整備事業につきまして、六十三年度では、既にお話が出ておりますように、地下無重力環境実験センター、それから海洋生物機能研究センター、イオン工学センター、この三つを現在検討しているわけでございますが、これはいずれも民間の基盤整備会社の設立と並行して詳細な事業計画を詰めていくことになるわけでございます。その際に、多方面の技術者、学識経験者の参加を得まして、技術的な観点から十分に検討を加えることとしております。  また、当然今御指摘の使用料の問題、設備更新の経費等々財政的な観点からの検討も必要でございますので、民間の出資者あるいは金融機関についても加わっていただいて検討を行うことになろうかと思います。  いずれにいたしましても、これらは新たな基礎研究のための基盤設備でございまして、新しい技術フロンティアを切り開くための施設設備でございますので、長期的には非常に大きな広い範囲の需要を私どもは期待しているわけでございますが、そのために勢い長期計画とならざるを得ない。そのためにこそNEDOの出資あるいはNTTの無利子融資あるいは民間の出資、それから産業基盤整備基金の債務保証等を私どもは考えているわけでございます。  そういうことで、このプロジェクトについては十分な技術的な検討を各方面の人材の専門的知識を結集して進めてまいりたいというふうに考えておりますし、財政的な面についても十分に検討してまいりたいと思います。
  102. 田村元

    国務大臣田村元君) 私にということでございましたのでお答えをいたします。  六十三年度に着手を予定しておりますプロジェクトにつきましては、経済的にもまた技術的見地からも十分検討した上で選定したことでございますが、さらに具体的な計画策定に当たりましては多方面の技術者や学識経験者、民間サイドの参加を得まして万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  103. 市川正一

    ○市川正一君 あえてこう申しますのは、現場では、これは比喩でありますが、十万円のコインランドリーというようなことも耳にいたします。放置しますと巨大な浪費にもなりかねないという懸念も持ちますので、どうかこの点は腰を据えた対策をひとつ検討願いたい。  次に国際共同研究でありますが、助成の対象は、日本研究者が参加すれば、研究が仮に外国で実施されるものも含まれるのかどうか。例えば日米科学技術協力協定に基づく研究どもこの対象に含まれるのかどうか、さらに工業所有権などの研究成果の帰属と配分はどうなるかということについて非常に懸念が持たれておりますので、この三点についてお伺いしたい。
  104. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 第一点は、海外でも対象になるということでございます。  第三点の成果の帰属の問題については、私どもとしては研究実施者ということで、NEDOとか国とかということじゃなくて、研究実施者を対象にしようとしております。  それから、日米科学技術協力協定のプロジェクトも対象となるのかという点につきましては、日米科学技術協力協定の具体的な対象範囲等まだ最終的には私どもきちっとしたものを聞いておりませんので、今後どういう範囲のものになるかわかりませんが、観念的なあるいは技術分野という意味では合致することはあると思いますが、現時点では、私どもはこの国際共同研究グラントの方は個人ベースで申請をしていただく、そういうチームに対して出すということを考えておりますので、私どもとしては日米科学技術協力協定のものをそのままやるということを現時点で意識をしておるわけではございません。
  105. 市川正一

    ○市川正一君 第二点がどうもあいまいなんですが、要するに日本人が一人でも参加すれば対象になる、そしてこれはアメリカでやろうとどこでやろうと対象になるわけですから、私は平和目的や自主、民主、公開の原則から外れた国際共同研究まで助成される危険性に道を開いているということをこの際は指摘しておきたいと思います。  そこで前へ進みますが、例えば、助成を受けた日米共同研究による特許をアメリカに出願したところ、安全保障を理由に秘密指定を受けた場合、去る十二日に合意したMDAに基づく秘密特許の手続細目によって、日本でも公開されない可能性が生じてまいります。国費を使って助成しながら、その成果が国内で自由に利用できなくなるお それが生ずると思うんでありますが、その可能性は否定なさいますか、肯定なさいますか。
  106. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) アメリカの特許出願において秘密命令が発出されるかどうかというのはアメリカの特許商標庁、国防省の運用でございまして、私ども運用の詳細については承知しておりません。ただ一般論的には、NEDOが行う共同研究は基本的には平和目的分野であると理解しておりますので、一般的には予想しにくいところではないかと考えております。
  107. 市川正一

    ○市川正一君 一般的にと言って、これは具体的な問題ですよ。それで、あなたがアメリカの方の運用はわからぬからといって、そんな無責任なことを言われたんでは困るんです。その可能性は大いにあるんです。  そこで続いて聞きますが、これは我が国産業技術発展に大きな影響を及ぼす問題なので伺いますが、MDA四条協定に基づく秘密特許制度の手続細目が十二日に発表されました。それによりますと、協定出願と同じ技術内容の出願が通常の方法で申請された場合、協定出願は秘密にされております。したがって、その内容は、特許庁もまた通常の方法で出願した者も知らないわけですから、当然その後願は特許になります。その後で協定出願の秘密保持が解除になって通常の手続によってそれが特許になったときはダブルパテントになるわけでありますが、その際に、後願の特許権はどういうことになりますか。
  108. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 一般的な協定出願制度の運用としましては、第三者が同じ内容の発明について出願しておったものが出願公開されましたときには、通常の流れでは、アメリカの方の協定出願は秘密の解除の手続が行われます。そうしますと、秘密解除を行われた以後は協定出願も通常の特許手続に戻りますので、その協定出願の秘密解除がなされたものともともと第三者の出願とが同じく審査対象になりますので、一般的には後願である第三者の出願がパテントを先にとってしまって後にひっくり返るということは非常にまれだと思います。  しかしながら、御指摘のような後願がパテントになることがないかと言われますと、まれにはある。その場合にはどういう調整をいたすかと申しますと、特許法八十条に、後でパテントが無効になった場合の救済規定がございまして、無効になった第三者の特許につきましては無効になっても通常実施権を有することができるというふうに規定しております。それはどういうことかといいますと、工場建設等、その生きておるうちに準備をしたものが否定されないでそのまま利用できる、そういう形でバランスをとり調整をとっておるわけでございますので、そういう意味では大きな混乱が生ずるということはないのではないかと考えておるところでございます。
  109. 市川正一

    ○市川正一君 まれであろうとまれでなかろうと、そういう危険性、そういう可能性はあるということになる、あなたもそれは今認められたとおりです。  それから、八十条云々とおっしゃったことは、これは結局法定実施権の問題でしょう。しかし、法定実施権と特許権というのは同じものじゃないんです。明らかにこれは違うんです。仮に、後願の特許権者がその権利を譲渡していたら、当然その特許権も取り消されることになりますが、これでは権利の保護と安定性に欠けることになりませんか。
  110. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 特許権としては、無効になった以後はその権利そのものは承継されておっても承継を受けた者が権利をそのまま持つことはないこと、御指摘のとおりでございますが、それは通常実施権という形では残るわけでございます。したがいまして、御指摘のように完全な意味のもとの特許権のままで保護されるというわけではございませんが、法定通常実施権という範囲内で保護されていることは確かでございますので、万全ではないにしても経済的に大きな混乱を来さないような法的調整がとってあるということであります。
  111. 市川正一

    ○市川正一君 経済的なメリットの問題じゃなくて、基本的な権利の保護にかかわる問題です。  日本国特許法の正規の手続に基づいて出願し、そして特許になったにもかかわらず無効にされ、そしていろんな意味での被害をこうむるわけですから、後願の権利者は国家賠償の訴えを起こすこともあり得るんですが、これでは工業所有権制度の信頼を傷つけるだけでなしに、制度の運用に対して重大な混乱と支障を来すことに相なりませんか。
  112. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 実はこのケースの場合は、本来であれば先後願で後願でございますので権利になり得なかったものがたまたま先願が秘密保護のままで、後でわかってひっくり返るということで、本来権利者でなかった者が一たんパテントをもらい、その後無効になると、こういうことでございますので、特許法体系上は、本来権利がなかった者だということを一方では着目し、しかしながら一たん権利をもらったという形になって、その間は善意であったということもあわせ考えますと、バランスとしては、こういう法的に通常実施権を与えるということが、両方勘案してバランスのとれた判断であると、そういうことで特許法上こういう八十条の規定が整備されておるところでございます。
  113. 市川正一

    ○市川正一君 そういう後で云々とおっしゃるが、出願者自身の責任じゃないわけでしょう、何かまるでぼろもうけしたようなことをあなた言うけれども。それで特許庁自身だって、いわば秘密なんだから知らぬわけでしょうがな。出願者の責任じゃないわけでしょう。そういうあなたのバランス感覚はどこか狂うておると思うんだ。  それで、もう時間がないので先へ進みますが、この協定出願の手続でありますが、この出願はアメリカ政府、具体的には私はアメリカの国防省だと思うのですが、ここからの協定出願である旨の証明書が添付されることになっており、特許庁がこれを確認する。その際、協定出願の技術内容まで特許庁は見られるんですか。それとも形式的な要件が整っているのかどうかだけを見るんですか。その点はどうですか。
  114. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 協定出願を受け付けた時点では、必ずしも特許性があるかどうかの実質的な審査をする必要がございませんので、審査官がこの出願内容を見るということはいたしません。  御指摘のように、協定出願であることの証明をする資料がついておるかの確認をしたところで、特許事務処理をとめることにしております。秘密が解除された以後には、通常出願に戻りますので、それ以後は実質審査等の後の手続が行われると、こういう関係でございます。
  115. 市川正一

    ○市川正一君 ということは、その協定出願の技術内容が既に日本国内では特許にされている技術内容であっても、アメリカが秘密指定をすれば、そのまま受け入れるということになるわけですね。
  116. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 一般に特許出願の段階では、出願されたものが、既に前に同じものについて特許があるかどうかをチェックするという体制になっておりませんわけですが、本件につきましても、同様に協定出願がなされた場合に、既に日本に特許があるかないか、あるいは出願が先にあるかどうか、その段階ではチェックをしないということになります。
  117. 市川正一

    ○市川正一君 要するに、言うままうのみですがな。それでは準協定出願、つまり協定出願の改良発明のようなもの、これはもう御存じのとおりで説明いたしませんが、そういう出願は、それが準協定出願に該当するかどうか、どうやって判断するんですか。特許庁は協定出願の技術内容を見ていないから、それが準協定かどうか判断できないことも今おっしゃったとおり明らかです。ということは、日本の防衛庁が添付してくる差出書を信用する以外にはもうないということになりますが、そういうことなんですか。
  118. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 御指摘のように準協定出願の場合には、準協定出願提出書というものが 出願人から添付されることにしておりまして、その書類をチェックすることによって、特許庁としては準協定出願であることを確認する。その確認ができるための必要な協力を防衛庁にお願いをすると、そういう体制になっておりまして、御指摘のように、一々特許庁で発明内容を詳細に、準協定出願について見た上でということでなくて、その準協定出願提出書に必要な記載事項があることを確認することによって、処理するという形をとっております。
  119. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、仮に特許庁が技術内容を見ないということになれば、準協定出願者やあるいは防衛庁が広く先端的な技術を秘匿し、独占しようと思えば、そう思う出願に準協定出願の表示をすればええことになるわけで、それを防止する手だてはないということに相なるわけですね。  逆にまた、工業所有権制度に唯一権限のある特許庁が準協定出願かどうか判断しようとすれば、協定出願の技術内容も準協定出願の技術内容も見なければならないという、こういうことになってくる。それは、ちょうどあの戦時中の苦い教訓から廃止した工業所有権制度を大きくゆがめる秘密特訓制度を導入することになる。そういうことを許してならぬと思うんですが、その両者の上に立ってどういうバランス、どういう制度を歩もうとなさるんですか。
  120. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 二つの点の御質問かと思いますが、準協定出願について形式的チェックだけ、したがって、仮に広く準協定出願と称して出てきた場合にチェックできないではないかという点について、私の先ほどの御答弁が足りない部分がございまして、通常の事務処理としては円滑に事務処理するために準協定出願提出書の記載事項だけで確認、処理すると申し上げましたが、どうもその流れで問題がありそうなときには、幹部職員によって必要に応じてチェックをするという仕組みをあわせ考えておりまして、異常なことが起こらないようにチェックするということは特許庁の事務処理として考えております。それから、もちろん防衛庁とは随時必要な協議というものは行っていきますので、みだりに広がった運用を防衛庁がするというふうにも考えておりません。  それから、一般的秘密特許のようなものにつながりはしないかという点については、私どもはこの五六年協定というものが、独自の開発が無関係な人間によってなされたものが決して秘密指定されないという仕組みになっておるところは大切なところと思っておりますので、そういったものまでかぶせるような一般的秘密特許制度の方へ広げるというような考え方は持っておりません。
  121. 市川正一

    ○市川正一君 しかし、現実の今進んでいる事態はかつての秘密特許制度の道へ進む危険性を持っている。  私は、残念ながらもう既に時間が参りましたので、問題を集約して最後の質問にしていきたいんですが、もし特許庁が技術内容を見ることになれば、特許庁全体にMDA協定に基づく秘密保護法の網がかぶせられることになります。そういうことになることはお認めですね。イエス、もうやりとりの時間がありません、イエスと……
  122. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) そうでございます。
  123. 市川正一

    ○市川正一君 したがって、それは工業所有権制度のみならず我が国の民主主義にとっても重大な問題に相なると思うんです。  そこで、私最後に大臣にお伺いいたしますが、この秘密特許制度の事実上の導入で問題になるのは、アメリカの対ソ軍事戦略、産業競争力強化の一環としての技術戦略に日本が取り込まれた結果、本来、公開の原則が不可欠の工業所有権制度をゆがめ、技術開発の重複投資を放置することなどによって、我が国産業技術発展に重大な障害をもたらすものと考えます。アメリカが軍事優先の技術開発政策をとってきた結果、産業全体の競争力を失ってきたその誤りを日本でも繰り返すことになります。また、いかなる技術が秘密であるか否かの判断さえもアメリカに任せるという主権放棄の立場に立っております。しかも日本国内では秘密にする特許情報も、外国では公開されてしまうというような結果にも相なります。  私ここに持ってまいりましたのは、四月十四日付の日経新聞です。この日経新聞も「将来に禍根を残す秘密特許制の導入」という社説を掲げております。その中に、「これほど重大な事柄について、国会審議も経ず、例外措置という小手先の対応で済ませた政府の態度は納得できない」、この日経新聞もそういうふうに論じております。さらに同社説は、日本の主権の放棄に通ずるとさえ断じておりますが、かくのごとき合意は私は断固として撤回すべきであると考えるのでありますが、かねがねアメリカにきっぱりと物を言うことを信条と称されております田村通産大臣の所信を最後にお伺いいたしまして、残念ながら時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
  124. 田村元

    国務大臣田村元君) 一九五六年協定の第三条に基づきます措置は、公開原則の一部例外となるものでありますが、いわゆる一般的な秘密特許制度ではございません。極めて限定的な例外措置であると理解しております。  いずれにしましても、本件は特許手続に関する既存の条約に基づく措置であることでございますから、特許手続を所掌する特許庁としては、つまり通産省としてはこれを実施すべき立場にございます。
  125. 市川正一

    ○市川正一君 終わります。
  126. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  128. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  言うまでもなく、研究開発推進する上で、基礎研究から応用研究、実用化技術研究開発など、各段階のバランスのとれた研究開発を進めることの重要性については改めて述べるまでもありません。  しかるに、この法案は、基礎研究先導的分野研究を重視することを標榜はしておりますが、実態はその目的にそぐわないばかりか、以下指摘するような問題点が含まれているので反対であります。  反対する理由の第一は、これによって進められる研究開発や国際共同研究が、実は、アメリカの技術戦略に取り込まれ、我が国技術開発のあり方をゆがめるものになるからであります。  アメリカのレーガン政権は、対ソ軍事戦略の一環として、またアメリカ産業の競争力強化のため、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける知的所有権の保護問題、日米武器技術供与、SDI研究への参加、日米科学技術協定、秘密特許制度の導入、我が国における先端技術研究プロジェクトに対する参入などを要求しております。こうしたアメリカの技術戦略の展開のもとでは、NEDOを通じた産業技術研究開発や国際共同研究などの自主的、平和的発展が歪められ、また共同研究の結果得られた成果もアメリカに独占される危険性さえあるのであります。  その理由の第二は、本法成立後は、研究開発を総合的、効率的に実施するとして改組されたNEDOを経由して支出されるため、ますます国民の目の届かないところで大企業本位に使われることになるからであります。  さらに、これまで研究開発の結果得られる工業所有権などの成果は、国民の貴重な予算を使って研究したものであり、国有財産になっていましたが、今後はNEDOとの共有、委託を受けた研究組合や大企業との共有へと、その制度を改悪していく条件をつくるものであります。  その理由の第三は、改組されたNEDOの行う研究基盤整備事業特定の大企業の利益に奉仕する性格を持っているからであります。  例えば、北海道に建設予定の無重力実験施設は、砂川にある炭鉱の旧立て坑は三井石炭鉱業の所有であり、実験装置は三井建設と三井造船が共同で開発を進めているものであります。海洋バイオは、新日鉄釜石と東亜燃料清水の遊休施設利用するものであります。  さらに、膨大な国費をつぎ込むこの施設は、アメリカの内需拡大要求にこたえるために計画されたものであり、関係業界の中にも、採算性ばかりでなく、最先端技術施設それ自体の維持管理について危ぶむ声も出ているものであります。  以上、主な問題点を指摘して反対討論を終わります。
  129. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 大木浩

    委員長大木浩君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたした。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  133. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提出者衆議院物価問題等に関する特別委員長村山喜一君から趣旨説明を聴取いたします。村山喜一君。
  134. 村山喜一

    衆議院議員(村山喜一君) ただいま議題となりました無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、無限連鎖講の防止に関する法律は、多数の市民を巻き込んで社会問題化していたいわゆるネズミ講をその対象として制定されたものでありまして、ネズミ講に関与する行為を禁止し、罰則を設けるとともに、その防止に関する調査及び啓蒙活動に関する規定を設けることにより、ネズミ講のもたらす社会的害悪を防止することを目的としたものであります。  この法律は所期の目的を達成し、ネズミ講の活動は一応の鎮静化を見るに至っていたところであります。  ところが近時、現行法がネズミ講を金銭の配当組織と規定していることを奇貨といたして、国債あるいは商品券を用いたいわば新しいネズミ講とでも言うべきものが出現し、再び社会問題化しております。  この新しいネズミ講は、その配当の対象を金銭ではなく国債あるいは商品券に置きかえただけで、終局において破綻すべき性質のものであるにもかかわらず、いたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的損失を与えるという本質において、今までのネズミ講と何ら変わるところのないものであります。  現行法の制定当時におきましては、金銭の配当組織をその対象とすれば必要にして十分であると考えられましたが、このような新しいネズミ講の出現に見られますように、その後の社会経済事情の変化は立法当時予想もしなかったものを用いたネズミ講を生み出しているのが実情であります。  したがいまして、このような事態に対応するため、国債、商品券等を用いた脱法的なネズミ講につきまして法の綱をかぶせ、これに関与する行為を禁止する等の措置を講ずることができるよう現行法を改正することが必要であり、これが、この法律案を提出した理由であります。  次に、本案の主な内容につきまして申し上げます。  無限連鎖講の定義規定を改正いたしまして、無限連鎖講として規制する配当組織の配当の対象を金銭、有価証券、貴金属その他の金品に拡大し、これに関与する行為を罰則をもって禁止すること等といたしました。  なお、本案は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することとしております。  以上が本案の提案理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  135. 大木浩

    委員長大木浩君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もなければ、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。  無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 大木浩

    委員長大木浩君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、委員長より政府に申し上げます。  最近、国債等を用いた新しいネズミ講の出現により、このままに放置するならば多くの被害者の発生が懸念され、社会問題となっているのはまことに遺憾であります。  今回の法律改正を機に、政府は、無限連鎖講に対する監視、取り締まりの一層の強化、徹底を図るとともに、法改正の趣旨の周知と啓蒙に努めて国民の注意を喚起し、今後、新たな被害者が発生することのないよう、被害の拡大防止と再発防止に万全を期するよう強く要請いたします。  また、現実に被害者が存在するということについて、政府としても留意するよう要望しておきます。
  137. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) このたびの法律改正におきましては、委員各位の御尽力により速やかな審議が進められ、政府といたしましても今回の改正が被害の防止のため多大な効果をもたらすものと感謝いたす次第でございます。  政府といたしましては、ただいまの委員長の御発言を踏まえ、また法律改正の趣旨にものっとり、関係省庁間で連携をとりつつ、引き続き消費者保護のため施策推進に努めてまいる所存でありますので、今後ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
  138. 大木浩

    委員長大木浩君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  140. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  141. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 本法律案質疑に入る前に、通産大臣に、四月十六日カナダのバンクーバーの郊外で開かれました四極通商会議の問題、何が一体問題であったのか、課題とその成果について最初にお尋ねいたします。
  142. 田村元

    国務大臣田村元君) 今回の四極貿易大臣会合は、カナダのバンクーバーの郊外、エイプリルポイントというところがございまして、そこであったわけでございます。構成メンバーはいつもの顔ぶれでありますが、カナダだけはかわりまして、カーニー大臣予算局長官におなりになったものですからクロスビー大臣にかわった。そのクロスビー大臣が議長を務められたわけであります。  今回のこの会合では、米国の包括貿易法案、それから最近の貿易環境の評価及びウルグアイ・ラ ウンドの主要項目が主題でございまして、特にクロスビー議長の御配慮もあったのでしょう、この包括貿易法案が一番最初の議題にされて、そしてヤイター代表からるる説明があったわけであります。それに対して討議が行われたわけであります。  そしてこの件に関しましては、いろいろなやりとりはありましたが、結論から申しますと、私からECのドクレルク代表、カナダのクロスビー代表に提言いたしまして、アメリカ議会に高まりつつある保護主義と徹底して闘っておられるアメリカ行政府を高く評価しよう、そして激励しよう、こういう私から提案をいたしまして、三極でこれを合意して、ヤイター代表が丁重にお礼を言うような場面もございました。そして一層の努力を要請したわけであります。  その次の、最近の貿易環境の評価につきましては、世界の貿易環境が不均衡の解消に向かって改善し始めたことを指摘して、関係者の同意を得ました。もう既に流れは変わった。こういうことで、例えば日本の貿易体質も大きく体質改善されて、いい姿に定着しつつあるし、世界の流れは変わったという表現で物を言いましたけれども、これは皆が賛成であってそのとおりだということでございました。  それからウルグアイ・ラウンドの主要項目につきましては、サービス、知的所有権それから貿易関連投資措置、発展途上国の特別な扱い、ガット機能の強化、農業等について意見交換を行いました。  この中で特に御報告をしなきゃならぬことは、サービスや知的所有権については、先年のプンタデルエステにおけるウルグアイ・ラウンド発足のときの途上国と今の途上国とは若干感覚的に変わってきておるからこれを大切にしようというような雰囲気が相当強うございましたし、それからまた、発展途上国の特別な扱い、もうこれはやめてしまえというような——やめてしまえというか、やめてしまうというような国ももちろん御承知のごとくあったわけでございますけれども、私から、NICS、途上国、この国々はまだまだ経済基盤が脆弱である、しかもNICSは輸出依存率が実に数十%である、これに関税その他いろんな面で特別の扱いをすることをもし手控えたならば、あるいはやめたならば、新たなる累積債務国をつくり上げてしまって気の毒な状態に追い込むことになるであろう、だから我々は広く途上国をむしろ守って育成するという考え方の上に立たなきゃならぬ、これが先進国の責務でもある、と同時にNICSに対してこれを脅威と受けとめるよりも機会、いわゆるオポチュニティーとして受けとめるべきである、こう言って私が途上国、NICS擁護論を展開いたしましたが、まことに残念ながら合意は得られませんでした。むしろ同意を得られませんでした。しかし、私がNICS擁護をいたしましたことは正しかったと今でも自分で思っております。  今度の会合は、昨年の四月以来の四極貿易大臣会合でございましたが、これは特に丸一年ぶりということでございますが、他意あったわけでも何でもないので、すぐにまた六月にアメリカのミネソタで四極があるのですけれども、ミネソタとの間にわずか二カ月じゃないかと、それは違うので、結果としてそうなったので、カナダのいろいろな事情で本来昨年の年末にやるやつがずれ込んだ、アメリカの方、ミネソタの方は計画どおりやるということでくっついたということでございます。この一年間、賢島四極から先般のバンクーバー四極の一年間、本当に進展したなという感じでございました。
  143. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 重ねてお尋ねしますが、十八日の日経の朝刊に「四極通商会議の二日目を終え、おそろいの服を着て記念撮影する(左から)」云々と、大臣がヤイターさんとドクレルクEC委員の肩に手をかけた写真が、非常によく、大臣が一番よく写っているんですよね。ほっとしたようなちょっと悪童のような顔をして。  そこで、一つは農業問題ですね。私は食糧の自由化には問題がある、こういう立場ですが、農業問題で一体どういうような議論がなされたのか、それが一つ。  それから、もう一つは東芝条項ですね。この関係について四月十九日の同じく日経ですが、通産大臣のコメントが載っておりまして、こういうことを言われておるんですが、「米議会の法案提出は野球で言えば予選。決勝は大統領の対応だ」と、こう大臣がおっしゃった記事が載っているんですが、東芝条項の関係の見通し、この問題。  それから三番目に、NICSの関係について大臣が頑張っておられたのを何回か新聞で見ました。これは確かに大臣が言われたように正しいと思いますが、NICSは大臣あるいは日本の努力に対してどのように評価をされているんでしょうか。その三つについて。
  144. 田村元

    国務大臣田村元君) まず農業問題から申しますと、私は所管じゃありませんから直接余り多くを語りませんでした。小林大使がむしろ前面に出たわけでありますが、農業問題は、我が国としては農業政策の見直しに着手して進めておるよということを説明しておりましたが、農業問題に関しましては難しい問題で、アメリカとカナダが一つのグループで、日本とECが一つのグループで、もうこの四極というのは常に一対三か二対二か、まあECと組んだりECとけんかしたり、アメリカと組んだりアメリカとけんかしたりということでございますけれども、それは一つ一つの問題でございますから。ただし、ドクレルクEC代表も農業に関しては非常に自分のECの立場を明確に物を言っておったようでございまして、特にの激しい論争はございませんでした。  それから東芝問題でございますけれども、この包括貿易法案中の外国企業制裁条項についても相当突っ込んだ議論が行われました。私はバイ会談でもこの問題は相当突っ込みました。日本側からこの条項に対する問題点を指摘いたしまして、まことに遺憾であると。それに対して米側からはこの条項をめぐる米国議会の厳しい状況について説明がございました。しかし、これはヤイター代表と私とけんかにもならないんです、ということは、ヤイターもまたアメリカの議会の保護主義と闘っておるんですから。ですから、いろんな事情の説明があってこちらの意見も言った。  それから、米国議会の動きは依然として流動的ではあるけれども、外国企業制裁条項は参加国が主体的にココムの規制を行うというココムの基本的な考え方に反するとともに、参加国の協力強化の努力を阻害するものであって、我が国としては引き続き米政府に対してこのような条項が成立することのないように最大限の努力を行うことを要請いたしたわけであります。これに対してある種のいろいろな対応、私に説明やら意見やらというものがございましたが、これはちょっとはばからしていただきたいと思います。  私が申しましたのは、米議会で法律案がどうこうというような、これは野球というか試合で言えば予選のようなもので、最終的には大統領と議会との対決である、これが決勝戦だ、こういう意味で申したのでありますが、実際そうだと思うんです。日本の議会とは全然違いますから、そのシステムが。  まあきのうあたりの新聞を読んでおりますと、何か相当明確に大統領が拒否権発動を言っておるというようなことが記事に出ておったようでありますが、私とヤイター代表との話し合いでは拒否権を発動するという明言というものはありませんでした。しかし、大統領は当然なすべきことはなすだろうというようなことでございました。  それから途上国、特にNICSでこざいますけれども、私がNICSあるいは発展途上国擁護論、育成論というものを言い出したのは、これは今度の四極が初めてじゃないんで、先般の西独のコンスタンツで行われました、NICSも出まして、途上国も出まして、三十数カ国でやりました貿易大臣会合、このときに私がこの意見を述べたわけであります。日本はジャパンでJであります。韓国はKであります。席が全く隣同士でござ いまして、私がこの私の持論を展開いたしておりましたら大変にこやかに私に対して目礼をされました。決して悪いことじゃないと私は思っております。  それからもう一つ、これはコンスタンツのまた前の話でございますけれども、バリ島であった貿易大臣会合では、あるNICの国が私に対して、私に抗議を申し込んだんじゃないんです。そうじゃなくて、私に同じ顔をしたアジア人同士、東洋人同士という気安さで言ったんだろうと思いますが、なあおい、このNICSという言葉だけはもう使わぬでくれよと、こんな差別的な言葉は、どうもこれを使われることは嫌だなということでありまして、まあしかしみんなが使うからしようがないけれども、なるべく気をつけるようにするよと言ったら、頼むよと言っておりましたが、総じて今アジアNICSは日本にいいんじゃないでしょうか。
  145. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうも御苦労さまでした。  さて、地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案、これは短く言うと頭脳立地法ということでございますが、どうも最近のこの種の法律というのはちょっと読んですぐ何をする法律かというのがわかりにくくてしようがないんです。特に最近私は通産省から商工委員会に出てくる幾つかの法案の中でそれを感じてしようがないんですが、これもうちょっとどうにかならなかったんですか。
  146. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 先ほど先生お読みいただきましたように、全く御指摘のとおりでございまして、本法の正式名称が長いということは一見してわかるわけでございますが、ということは、それでは一見してわかりづらいかという問題になるわけでございますけれども法律の名称というのは、法制局等ともいろいろ議論いたしますと、法制的にはむしろ法律目的とか内容を正確に表現したものとなっている必要があるということで、法制局を中心に政府部内でこれは実は相当議論をいたしました、その結果でございます。  結論としては御理解賜りたいということなんでございますが、ただ一方、法律の名称が国民にとってわかりやすくなじみやすいものであるということが望ましい点につきましては御指摘のとおりでございますので、私どもといたしましても、一般的な略称といったものとして頭脳立地法という通称でいろいろ関係者に御説明などをさせていただいておりまして、この頭脳立地法という略称が一般に使っていただければありがたいな、こんなふうに考えている次第でございます。
  147. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 答弁要りませんけれども、確かに法律目的とか内容、これを読んで見ますと、地域産業高度化に寄与する特定事業の集積の促進意味は書いているとおりですね。ところが、この法律が何をイメージしているのか、書いている言葉じゃなくて、何を指しているのか、どういうことをあらわそうとしているのかということが、これは確かに読めばそのとおりですが、それほど意味がまたわかりにくいんですね。以後、そういう点もあわせて質問をしてまいります。  この法律案が提出をされるに至りました背景、あるいは立法に至る調査検討の経緯、この辺について簡単でいいですが要約してお答えください。
  148. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 実は、大都市圏と地方圏のアンバランス問題というのは従来からずっとございまして、その時代時代に対応して私ども産業立地政策をやってまいりまして、これまで工業再配置政策とかテクノポリス政策などいろいろやってきたわけでございますが、やはり工場を中心とした工業の再配置に重点がございました。しかるに最近の産業の構造の高度化、ソフト化というのは、研究所とかソフト産業とかそういう産業の頭脳部分のウエートが非常に高まるということで、そこが重要なわけでございますが、実はそれが最近の国際化、情報化等々の中で東京圏に集中するという傾向がこの二、三年非常に顕著になってきたわけでございます。  一方、円高、産業構造問題等々もありまして、地域経済の方は非常に疲弊していく、こういう状況の中で私どもとしては、何とかこれから中長期的にも構造的にも地域経済を活性化する新たな強力な施策を考えなければならないということで、実は本構想はその一つとして今回出させていただいているわけでございます。  具体的にそういうものを構想いたします経緯といたしましては、実は一昨年あたりからそういう問題意識を非常に強く持ちまして、初めは専門家も特に若手と申しますか、専門的な方々を集めた研究会を開いたり、あるいは地方公共団体と盛んに接触してヒアリングをしたりということをやりまして、そしてだんだん構想を煮詰めてまいりました。  実は、昨年の三月に立地公害局に地域経済活性化研究会というものをつくりまして、ここに産業界、学界あるいはジャーナリスト、シンクタンク等々、あるいは地域関係者も含まれておりますが、一流の有識者の方々に集まっていただいて地域活性化の問題の御検討をいただき、そこからも実は頭脳立地構想というようなものが一番重要なものの一つではないかという御結論を得たわけでございまして、昨年の六月にこの中間報告が出たわけでございます。  また政府全体といたしましても、昨年の六月にようやく多極分散型国土を形成していくという四全総がまとまりまして、この中でも同様の趣旨のことが強調をされているわけでございます。  また、もう少し具体的な話といたしましても、私どもはもうちょっと実態を明らかにしたいということで、例えば通産省では特定サービス産業実態調査、サービス業の実態というのはなかなかわかりにくいわけでございますが、これの実態調査、地域分布等の把握に努めるとか、あるいは具体的にこういう産業の頭脳部分の立地に関しましていろいろアンケート調査なども実施しましたところ、産業支援サービス業等の多くが最近の東京の地価高騰とか東京の過密化という、そういう東京のデメリットがいわば顕在化してくる中で、優秀な人材を逆に地方に求めるというような兆しも出てきているとか、あるいは地方市場の顕在化というようなメリットの面もいろいろこのアンケート調査からわかってまいりまして、私どもはそういうことも頭に置きつつ頭脳立地構想を進めたいというふうに考えを固めてきたわけでございます。
  149. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこで、今御説明ありましたようなことを私も読ましていただきまして、大体経緯については理解ができます。  私のところは、後からまた少し詳しく述べるかもわかりませんが、大分県のソフトパークというのを御存じですね。ソフトパークは、かつての大分工業高校の跡地を利用して、そこに第三セクターの研究開発人材育成センター等、要するに地方のセンターをつくりまして、その周辺に電算機センターの学校が二つありますし、またソフト関係の企業二つ。それから、今度NTTと絡んでまたやろうとしておりますが、敷地は余り広くございませんが、それをもっと大きくしたようなことが要するにねらいだろうなと、これは大体おぼろげに私はわかるんです。しかし、そんなところをねらっているとしても、あなたが今説明されたことあるいはこの法律内容等を見てもなかなかやっぱりぴんとこないんですね。  したがって、逐一質問をしてまいりますが、本法律案の言う特定事業というのはどういうことか。そして、それを政令で定める、このようになっておりますが、具体的にどういう業種を今考えておるのか。簡単で結構です。
  150. 安藤勝良

    政府委員(安藤勝良君) これは御案内のように政令で定めることになっておりますが、基本的には日本産業分類によりまして抽出していくということを考えておりまして、その中では、一つの要件といたしましては、何といっても直接的に産業に寄与するものであること、また対事業所サービスのウエートが極めて高いということ、三番目にやっぱり立地の可能性、これが非常に強いということ、そういった要件が満たされることが重要じゃないかと思います。そういった面から今後精査 いたしまして政令の指定に持っていきたい、こう考えておるわけでございます。  具体的にもう少し申し上げますと、五つのカテゴリーに分かれるんじゃないかと思います。一つ研究開発能力の向上といったこと、これは自然科学研究所が対象になる。また情報能力の向上という面からは、ソフトウエアとかあるいは情報のサービス業、こういったものが対象になる。もう一つ、商品開発の能力向上という面ではデザイン業、こういうのが代表的なものかと思います。生産管理の向上、こういった面では機械修理業とかこういったものが対象になる。最後に経営能力、マーケティングの向上という面では、経営コンサルタントあるいはリース業、こういったものが対象になるのではないかと考えておるわけでございます。これは外生化したサービス産業でございます。  なお、企業内にありますウエートの高いものとして、研究開発部門とかあるいは情報処理部門とか商品開発部門とかいったものも考えられるわけでございまして、こういったものも法の対象に考えてみたい、こう考えております。
  151. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それからもう一つお伺いしますが、集積促進地域とはどういうようなところを今考えているのか。例えば都市でいいますと、これは交通の便利もよくないといけないし、いろんな条件がどうもこの法案の中では想定されているようでございますが、その集積促進地域とはどういうところか。
  152. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 特定事業を集積いたします集積促進地域の要件は、法律の第三条の各号に掲げてあるわけでございますけれども、要するに、研究所とか情報サービス業等々の産業の頭脳部門を集積するというためには次のような点が重要ではないかということを考えておるわけでございます。  一つは、まずそういう産業の頭脳部門を利用する方と申しますか、ユーザー的なものがまずいるということが前提になりますので、これを利用いたしますのは地域産業高度化のために集積するわけでございますから、当然工業等々の産業の集積がある程度既に存在している地域、もちろんこの集積促進地域だけでなくて、その周りの地方経済圏全体に存在するということでよろしいのではないかと思います。それからまた、この特定事業を集積していく場合に、今全くないというようなところではなかなかポテンシャルが低いということになりますので、そういう特定事業もある程度存在しているというようなところになろうかと思います。  こういう需要面に対しまして供給面でございますけれども、供給のいろんな条件をこれから整備していくというのも一つ目的ではありますが、既にある程度の条件は必要ではないかということで、一つは、やはり産業の頭脳部門に従事し得る高度な人材の確保というのがある程度可能であるような地域、それからもう一つは、高速交通施設に加えまして特定事業に必要な情報を提供できるような施設整備されている、そういう地域を一応考えているわけでございます。  それで、この細則につきましては、法律ができましてから集積促進指針というものを政府でつくるということで、その中で細かく決めるわけでございます。  いずれにいたしましても、各地域計画の熟度とか地域ポテンシャルとか、そういうものをこの法律上の要件とかあるいは集積促進指針に合わせまして具体的な地域を考えていくということで、私ども具体的な地域をあらかじめ現時点で想定しているわけではございませんけれども、一応、地方経済圏の産業の全般的な高度化でございますので、地方経済圏の中心的な地位を占める都市だとか、あるいは地方経済圏全体がその集積地域を活用できるというような観点から見て適切な位置にあるような都市、そういうものを含みます、ある程度今申しましたような産業とか関連インフラの整備されたポテンシャルの高い地域、そういうところではないかというふうに考えております。
  153. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 卑近な例でちょっと恐縮なんですが、例えば、大分でいいますとソフトパークが既に、ちょっと小規模ですが、ありますね。その周辺にもう一つちょっと大型のものを考えたいという場合には、それはやっぱり条件によりましたら対象に考えられるわけですか。
  154. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) その辺の具体的なことにつきましては、その地域の個性、特性を尊重するというのが法の建前でございますから、ある程度多様な形があってもいいんではないかというふうに考えております。  したがいまして、先ほど申しましたように、多くの場合には地方経済圏の中心的な都市というのが先ほどの条件を満足する場合が多いと思いますけれども、しかし他方、いろいろなそのあたりの地方経済圏を考えた場合に、この地域にこういうものがあるのが適切だというようなこともあろうかと思いますが、その辺は具体的な地域の実情に応じて最も適切なやり方、場所選定をやるべきじゃないかというふうに考えております。
  155. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この進め方でございますが、まず主務大臣が集積促進指針をつくって、そしてそれに対して都道府県がこの指針に基づいて集積促進計画をつくる。そして主務大臣に申請をすることによって今度は主務大臣がここで検討して条件に合っておればこれを認める、こういうことになっていよいよ着手になるわけでございますが、この集積促進計画には集積促進地域の区域、特定事業の集積の目標業務用地、道路、住宅施設整備及びその施設整備に必要な土地確保のための農用地の整備等を定めるというようなことが指摘をされておりますですね。  その場合に、一体どこが土地を造成して、だれが工事主体になってこういうことを進めていくのか、二つのパターンに分かれておると思いますが、その点についてお尋ねします。
  156. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 一応いろいろなソフトあるいは知的なインフラと申しますか、そういうものを整備していくという中で、この法律ではいろいろあるわけでございますが、特に産業支援団地というものと、それから産業支援基盤施設というものを考えておるわけでございますが、産業支援団地というのはソフト団地とか、あるいは研究所団地とかという、そういう特定事業を集めてくる受け皿でございまして、これにつきましては地域振興整備公団が地元の要請に基づきましてお手伝いする場合には、そういう団地と申しますか、特定事業業務用地をつくるということになるわけでございます。そういった土地の関係におきまして、ここにも書いてございますような農用地の整備等々に関していろいろ関係省のまた御協力を得るというふうなことで、そういうことをやっていくということになるわけでございます。  それからもう一つの、やはり地域振興整備公団が関係します中核的な研究開発あるいは人材育成等の、そういういわば特定事業集積の核となるような施設、この施設づくりについてもお手伝いをしたいということでございまして、これにつきましてはいわば地域公団みずから造成いたします産業支援団地に中核的にそういうものを設置するというやり方もありますし、それから、あるいは県等の既にある業務用地につくるというやり方もありますが、いずれにいたしましてもこの地域公団が出資をいたしまして、それからまた地方公共団体、あるいは民間の方々の御協力も得て第三セクターをつくりまして、これに今申しました地域公団の出資と、それからNTTの無利子融資等を活用いたしまして中核的な施設をつくる、そういうようなことを考えております。
  157. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大体全体先にずっと進んで、後からまた意見も申したいと思うんですが、助成措置について大体三つのパターンに分かれておりますが、簡単に説明をしてください。
  158. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 助成措置でございますけれども、まず特定事業を集積するということでございまして、この特定事業の中には当然民間企業のものが多いわけでございますけれども、その 民間企業の立地インセンティブを付与するということが非常に重要かと思います。  そこで、この法律では税制と金融があるわけでございますが、税制につきましては特定事業を営む者が事業の用に供する償却資産というものを取得した場合に、建物等と機械等につきまして特別償却が認められるというのが国税関係のインセンティブでございます。それからこのほか、やはり特定事業を営む者が必要に応じてこの特別土地保有税の非課税とか、あるいは事業所税の減免、あるいはまた固定資産税につきまして地方公共団体が特別に軽減するという措置をとった場合には、減収補てんをするという地方税関係のインセンティブも決めております。  それから、金融関係でございますが、特にこの特定事業の場合には担保能力が弱いというソフトでございますので、そういうこともあろうかということで、特に産業基盤整備基金による移転資金とか、立ち上がり資金等の借り入れに対する債務保証というものを法律で決めさせていただいております。  それから第二番目が、やはり特定事業民間企業を集めるための核として、あるいは地域産業高度化がこの法律目的でございますから、そのための技術高度化、頭脳の強化ということに役立てるための先ほど申しましたような中核的な研究開発等の施設づくりということで、地域公団が出資を第三セクターにしたり、あるいは業務用団地の造成をするというのが第二でございます。  また第三に、特に産業の頭脳集積というような場合には、やはり道路、住宅その他の公共施設、広くは生活環境とか都市環境等々の整備が極めて重要でございますので、この法律の中におきましても、主務大臣がそういうことに努力する、あるいはその関係の施策を講ずるということがありますと同時に、この点につきましては広く国土づくりに関係することでございますので、政府全体の御協力も得てそういう環境整備もしていきたいというふうに考えております。
  159. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大まかに言いまして、三つ助成措置について今説明がありましたが、努力規定、努力目標というのがその周辺のインフラをしっかりするとか、いろいろ農地の関係でこういうものも努力目標として掲げられております。  国土庁はこの頭脳立地法に対応するために、主務大臣一つですが、国土庁としては一体何ができるのか、何をしようとしているのか、それもなかなかぴんとこないんですが、ちょっとその考え方をお伺いをします。
  160. 菅野利徳

    説明員(菅野利徳君) 先ほど、安楽局長の方からも御説明ございましたけれども、頭脳立地構想というものが円滑にいく上にはそういう特定事業を支える人材の定住、定着というものを促進する上での関連の施設整備というのが不可欠ではないかと考えている次第でございます。また、本法の対象になります集積促進地域が今後のそれぞれの地域における交流の一つの拠点として機能していくという面からも、交通あるいは情報通信といった関連のインフラ整備というものも非常に不可欠な問題になってくるのではないかと思います。  そういう意味におきまして、法律案の中におきましても集積促進計画の中でいろんな住宅、道路その他の施設整備について記載をすることになっておりますし、十四条におきまして、国及び地方公共団体がそういった計画の達成に資するために必要な施設整備に努めるというような配慮規定も置かれているわけでございます。  国土庁といたしましては、関係行政機関あるいは地方公共団体との連携を図りながら、こういった施設整備に努めていくということにしたいと考えております。  具体的には、こういった施設整備計画等々に基づきまして、それぞれの事業官庁におきまして関連施設整備推進されるわけでございますけれども、国土庁におきましても各省と連絡調整を密にするほか、必要に応じまして国土総合開発事業調整費等を活用することによりまして、その推進が図られるように努めていくということといたしたいと思っております。
  161. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 建設省もこの法律ができますとやっぱり仕事が出てくると思うんです。どういうことを建設省としてはやるのか、役割があるのか、それをお尋ねします。
  162. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) お答えいたします。  私ども建設省といたしましては、これまでも各種の産業政策に連携いたしました形で各種基盤整備というものを進めてまいっているわけでございますが、先生今御指摘のように、この法律目的であります地域産業高度化、特に頭脳集積、これを促進するというためには私どもとしての役割は非常に大きいものというふうに考えております。特に、こういう集積をするということになりますと、先ほど来お話がありますように、相当都市的な環境あるいはそこに集まって仕事をする人たちの生活環境に始まり、いろいろな環境の問題という観点から各種の整備を図っていかなきゃいけないということになるわけでございます。  先ほど来出ておりますように、道路の整備あるいは住宅その他各種都市施設等々、私どもいろいろな基盤整備の所管をしているわけでございますが、そういうものにつきまして重点的に投資をし、各種整備を進める、そういうことによりまして活力あり潤いのある地域づくりを鋭意進める、そしてそれによりましてこの頭脳部分の集積がますます促進されるようにするということに努めてまいろうと考えております。
  163. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 農林省おいでですか。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 農林省のこともちょっと書かれておるんですが、農林省はどういうことをやるんですか。
  164. 東諄

    説明員(東諄君) 農林水産省といたしましては、この整備が、いわゆる安定した雇用機会の創出などを通じまして、地域経済の発展とか農業への活用を通じました農山漁村の活性化、それから農林漁業の振興にも寄与するものでありまして、農政推進上からも有意義なものだと考えております。  このような観点からいたしまして、本法の第十六条におきまして、都道府県策定いたします促進計画で定めます特定事業の集積が促進されますよう農地法による農地転用の許可等の処分について配慮を行うことになっておりますし、また契約の内容といたしまして、施設整備に必要な土地の確保に関連いたしました農用地の整備に関する事項を定めることといたしております。
  165. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 通産省、大体場所とすればこういう団地を造成する場所あるいは大きさ、規模、その辺はどういうようなところを、今農地の問題も出ましたし、道路の問題も出ましたが、考えておられるんですか。
  166. 安藤勝良

    政府委員(安藤勝良君) ソフト団地でございますから、いわば中核団地みたいなああいう大きなものは必要ないと思います。研究とかあるいは情報処理関係の、あるいは研修関係の施設をつくるものですから、それほど大きな用地を必要としないと思います。大体二十ヘクタールぐらいあれば十分じゃないかなと、これはいろんな先例等も調べてみますとそのぐらいあれば十分と、こう考えております。  なお、場所でございますが、余り都市環境と隔離したようなところはいかがかなという感じがしておりまして、といって余り市街地に接近しても問題でございますから、その中間あたりの適当なところが私は適当じゃないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  167. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大体私も皆さんがイメージをしていることはわかってきたんですが、    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 要するに、都市から少し離れて地価も余り高くないようなところに交通の便利もよくして団地をつくる。その団地の中に第三セクターで研究開発をするそういう施設設備をつくる。一方、その周辺にソフトに関係する今五つの業種ですか、あるいは新聞あたりでは十六ぐらいの業種を通産省は想定をしているというようなことも載っておりますが、そういう株式会社、企業を持ってきて、そこ で要するにソフトに関係する、高度技術に関係する企業活動をする。  それに対して、土地の造成なんかに国は支援をする。一方では、進出した企業に対しては減価償却をまけたり、あるいは各種の減免の措置をとるとか、あるいは債務保証をするとか、こういうことをして誘致をする、要するにそういうことなんですね。そういうことでいいんですか。
  168. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  169. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこで、これは小さなことなんですが、特に優遇措置の一つとして減価償却を機械については三〇%、建物については一五%特別償却云々と、こういう優遇措置が言われておるんですが、企業がそういうところに土地まで買ってきて特別償却をやるような、そんな力が最初からあるのかどうなのか。いつも私は皆さんが出してくる法律を見てこんなのが入っていますからよく思うんです。私も貧乏会社でずっときたものですから特にこの辺、いつも減価償却前とんとん、減価償却後黒字とかそんなことばっかりよくやったんですがね。そういう要するに特別償却で恩恵をこうむっているような例が、これまで通産省は幾つもこの種の法律を出してきているんですが、そういう例があるかどうか、ひとつお聞きをします。  それから、これは答弁は要りませんが、私は、地方公共団体が特定事業を行う者に対して固定資産税を減免した場合には、その減収額については地方交付税によって補てんをする、これは非常に企業にとっては魅力なんでしょうね。この点は私は非常に力になると思うんです。  さっき聞いた点はいかがでしょうか。
  170. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 助成措置として特別償却の制度を使っている他の例について具体的な効果をと、こういうお尋ねでございますが、先ほど来の御議論の中にも出てまいりましたテクノポリスの助成措置との比較において御説明をするのが一番わかりやすいのかなと思います。  五十九年度から六十二年度、これは六十二年度実績見込みということになるわけでございますが、トータルいたしまして七十一件の特別償却の適用件数がございまして、それによります減税額が約二百六十億円ということになりますので一件当たりにいたしますと三億円余りの減税がこの制度によって受けられるということになっておりますので、これはかなりのものなのかなという気がいたしております。  ただ、このほかにも例えば民活法とか、それから昨年成立させていただきました産業構造転換円滑化法なんかでも同じような助成制度を導入いたしておりますし、民活法は御案内のように十数件の計画の認定を終わった段階で、まだ施設が出てまいりませんので適用事例はございません。ただ、こういうものについては、前々御説明しておりますように、実際に収益が黒字に転換するのは大分先ということになりますので、先生お尋ねのような意味での特別償却がどれだけ効果があるのかなと、こういう点は確かにこれからの問題として出てくる可能性はあると思います。  それから、産業構造転換円滑化法の中では転換計画の認定を受けたものが九件ほどございまして、この計画に従って新しい設備を導入いたしますればこれについて特別償却制度の適用があるということになりますので、これについてはいずれその効果が、まだ数字としては把握できておりませんが、把握できるものと思われます。
  171. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 テクノポリスの関係の進出企業というのは、ちょうど五十九年ごろというのは非常によかったですね。だけれども、その後の半導体なんかがずっと値が下がりましたからそう一概に比較ができるかどうかわかりませんが、私も民活法の審議に加わり、また基盤技術円滑化法案、そして今言われました産業構造転換法、これらのときに出てきますからいつも疑問に思ったんですね。だから、これはやっぱり何年か引き延ばしてやらないと、短い間じゃなくて、相当何年間かしてやらないと、もともといいところが出きた場合はそれはいいかもしらぬけれども、やっと生きて息をしているようなところがまたそこをやった場合というのはそう簡単にいきませんから、そういう点では希望いたしておきます。  次に、土地の問題ですが、団地をつくりまして、例えば東京なら東京のソフト関係の企業が北海道とかあるいは九州とかどこかあちこちにこれをもとにして移るということがイメージにあると思うんですが、そうした場合に、やっぱり団地内の土地が安いということが非常に魅力になると思うんですよ。これは質問通告はしていませんから難しいと思うんですが、あなた方、やっぱり東京の企業が土地に対する魅力というのは、工場の地価が安い、それは非常に大きな魅力なんですよね。その辺については、大体どのくらいなら東京周辺の企業がこの辺の土地なら魅力があるなと言うと思いますか。我々はじかにそういう話を聞いていますから、あなた方は一体どう思いますか。
  172. 安藤勝良

    政府委員(安藤勝良君) 大変難しい御質問で、私も実は県にいるときとかあるいは地域公団に出向しているときに企業誘致関係に携わりまして、企業のいわば地方進出に対する考え方等いろいろ勉強さしていただきましたんですが、少し時間もたちましたので最近のあれはよく存じ上げておりませんが、当時私が携わっていたころは、内陸団地あるいは臨海団地等では大変土地の値段も違いがございまして、地域差も当然ございます。東北、北海道は、御案内のように内陸部では大体坪三万からせいぜい五万という感じですね、九州の方は若干高うございますが、臨海団地で申し上げますと大体六万とか八万とか、こういう感じでございまして、地域差もございます。  当然やはりこういった都市部から地方へ行く場合、土地の値段というものが大変企業にとっては魅力である。そのほか雇用問題とか、あるいは消費立地を期待している企業についてはそこのいわゆる需要、こういった面が非常に重要である。いろいろ企業によりまして進出のビヘービアには違いがございますが、土地に関しましてはやはり安い方が確かに企業さんは魅力を感ずることは事実でございます。ただやっぱりロケーションというものも大変問題になりまして、やはり非常にへんぴな山手のような土地はこれは安いけれども不便であるというようなことから、ただ土地の値段だけでは決めかねるということも多々ございました。ただ、私が携わったころは内陸団地に関してはやはり三万から五万ぐらいのところが適当な、企業さんが進出しやすい値段じゃないか、こういうふうに受けとめておりました。
  173. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私のところは、例えば臨海工業地帯の奥に中小企業団地をつくりました。それが売れなくて、そして最初は安かったんですね。安いというか買い手がない。ところが、それは今までコストに全部、金利が上がれば利息の分で坪当たり単価が上がってきますから、売れなくて十年もたちますと大変高い団地になるわけですよね。  だから、私はこの法律意味しているところというのは、知的な刺激も必要だ、こう言っている。赤いちょうちんも近くにある、都市の文化的な機能もすぐ味わえるようなところ、そういうところですから、今審議官言われたのはテクノポリスあたりを想定した金額でしょうが、もうちょっと高いと思います。もう少しは高くてもいいけれども、しかし土地が非常に高くなるとそれは行きませんよ、今まであったところで辛抱してやろうかと、こうなるわけです。だから、用地買収に対する助成措置が公団にはいろいろあると思いますが、その助成措置をもう少し何とかならぬのかと思うんですが、お尋ねいたします。
  174. 安藤勝良

    政府委員(安藤勝良君) こういった事業を展開する場合におきましては、いわば優良用地をいかに円滑に確保するかということが大変重要なことでございます。今まで地域公団におきましても、中核団地等の造成等におきまして税制上の優遇措置、これを適用してきたわけでございます。具体的に申し上げますと、租特法におきまして、宅地等の造成をする場合におきまして特例措置が設けられております。国あるいは地方公共団体、またはこういう宅地造成等をやる特定機関において は特例措置が認められております。地域公団もその対象機関になっておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、用地確保に当たりまして、譲渡所得につきまして一千五百万までの基礎控除が認められておるわけでございます。また、長期譲渡所得課税につきましても、四千万を超える場合におきましては一般の税と変わった特例措置もございまして、いろんな意味で用地確保の円滑化に寄与するような税制が適用されるようになっておるわけでございます。千五百万でございますから、かなりの規模の用地についても無税で農民等から譲渡をいただける、こういう措置になっておりまして、こういったものも適用しながら用地の確保の円滑化に地域公団は努めているところでございます。  なお、先ほどの御質問にもう少し補足さしていただきたいと思いますが、先ほど私が経験したというのは相当前のことでございましたので、ちょっと安目な値段で言ったかもしれませんが、最近は確かに土地の値段も全国的に若干上がっておるということもございまして、我々の今予算上の積算で申し上げますと、大体平米二万五千円程度かかるんじゃないかということで積算しておりますので、坪で申しますとやはり七、八万ぐらいかかるかと、こういうふうに考えております。
  175. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ありがとうございました。  それでは、昭和六十三年度における財政措置についてお尋ねをいたします。  地域振興整備公団の特定事業用の業務用地の整備について二十五億円を予定されているようですが、それからそれに対する一般会計からの利子補給金が一千万円、所要利子についての二〇%補給、こういうことですが、民活法じゃないが、掲げているのはいいんだけど、実際一年たったときに、これはどうなったのかと、この前じゃないけど、こうなる心配が非常にあるんですが、今当面土地造成が幾つで、それから第三セクターで研究開発施設をつくろうとしているのが幾つか、それから全体のそれぞれ各地域から要請の上がっているような、そういう動きについてお尋ねをいたします。
  176. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 六十三年度でございますけれども、今先生指摘いただきましたように、産業支援団地の方でございますけれども、一応予算上は三団地分で事業費二十五億円ということで計上させていただいております。それでできるだけ金利を安くするということで一般利子補給金が一千万円ついておるわけでございますが、ただ、この点につきましては、従来から地域公団では中核工業団地の方も同様なメカニズムでやっておりますので、これもそういうものに準じた形で造成して分譲していくということで、少しでも安く分譲できるようにということでいろいろ支援をやっておるわけでございます。  一方、中核的な研究開発施設等の産業支援基盤施設でございますけれども、一応五施設分の出資総額三十億円というものを産業投資特別会計の方から予算をいただくことになっております。三十億円と申しまして五施設ということは一施設六億円ということになりますが、これ以外にNTTの無利子融資というものも活用できることになっておりまして、一応一つ施設としては、施設によって違うと思いますけれども、私ども事業規模として十八億円ぐらいのものを考えておりまして、そのうちかなり、三分の二と申しますか、約七割前後になるかと思われますけれども、そういったオーダーの部分が地域公団の出資あるいはNTTの無利子融資で賄えるということでございまして、かなり支援性の高い、第三セクターではございますけれども、そういう施設づくりになるのではないかというふうに考えております。  そういうことでございまして、これから法律を成立さしていただきました後には早急に政省令をつくりまして、そしてその後先ほど申しました法律に書いてある地域の要件とか、あるいは計画承認のときの基準とかといった指針というものを政府全体でつくります。これもできるだけ早くやりまして、そして地元の方で御関心のある地元が、都道府県が市町村と相談をされて具体的な地域も含めた計画というものを申請されてくるということになりますので、それを政府の中で検討して承認するということになりまして、そしてその承認ができましたら、助成措置の活用も含めて地域の主体的な取り組みでいろいろな事業が進み始める、こういうことになりますので、私どもといたしましても、地域からのいろいろな希望とか大変たくさん問い合わせ等が参っております。したがいまして、こうした地元の関心とか期待に沿うべく、時間が非常に十分あるというわけではありませんけれども、できるだけ早急に準備も進めつつこの予算を使って所期の目的に努力していきたいというふうに考えております。
  177. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 第三セクターへの出資金のお話も出ましたが、出資者はだれとだれがするのか、これが一つと、NTTの無利子融資の融資条件、この二つを最初に。
  178. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) まず、逆でございますけれども、NTTの無利子融資の方から申し上げますけれども、全体といたしまして先ほど申し上げましたように、地域公団の出資を母体といたしまして、これに地方公共団体あるいは民間の出資も加えまして出資というものが全体でできるわけでございます。大体それが五〇%ぐらいがその出資だといたしますると、そのうちの三分の二ぐらいがケースによって若干違いあると思うんでございますけれども、それが地域公団の出資ということになるわけでございまして、したがって全体から見れば約三分の一ということになるわけでございます。それから出資の残りの部分につきましては、地方公共団体あるいは民間の地元ということで集めていただくと、こういうことでございます。  それから、融資の方につきましては、やはりNTTの無利子融資というものを活用できるようにしているわけでございますけれども、これにつきましては三年据え置きを含む十五年間というのが一応の融資条件となっておりまして、こういうものを活用して施設づくりをすると、こういうことでございます。
  179. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この場合、研究開発にかかわる第三セクターは株式会社ですか。それとも別な法人で考えているんですか。
  180. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) これは株式会社でございます。ただし、先ほど申しましたように本法の趣旨がこうした情勢の中で地域に頭脳立地を促進するということでございますので、できるだけ支援性の高いものにしたいということで株式会社の形態である第三セクターではございますが、出資の三分の二というものを地域公団が出すということにいたしたわけでございます。
  181. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこがまた問題でございまして、出資者は、地方公共団体というのは県もそうなんですが、市町村も財政が物すごく今厳しくなっているんですよ。それで、私ども大分のソフトパークの例もそうなんですが、したがって県庁も幾らか出資するから全く関係のない市町村も、過疎地の市町村も何ぼか出資してくれ、これは株式会社じゃない財団法人か何かそういうことなんです。それから民間の人たちもまさに出資をする、これは寝せ金になりますよ。実際に配当できるような状況にはなかなかならない、第三セクターのそのセンターは。ここのところは物すごく問題があると思うんですよ。  NTTの融資はいいけれども、地方団体に、県なら県から何ぼずつ持ってくれとか、あるいは民間企業の連中に出資してくれと、ここに非常に無理があるわけなんです、皆さんこのつくる法律実施に移す過程の中で。ここのところはよく調査されましたか。
  182. 安藤勝良

    政府委員(安藤勝良君) 今我々の予算上の試算でいきますと、いわゆる地方公共団体なりあるいは民間に出資を期待する分は一七%程度でございますから、十八億の一七%ですから三億程度とこうなっております。これにつきましては、当然予算折衝の中で大変我々も大蔵省等にも理解を深めてもらったわけでございますが、あわせまして地 方公共団体等からもどの程度の出資なら可能かということの御意見も聞きながら最終的にセットさせていただいたわけでございます。
  183. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ただいいとか悪いとかじゃなくて、問題は皆さんがこういうセンターをあっちこっちにこれから民活でもつくりますよね。しかしその中で出資をせよということで、余り田舎に行きますともうかった経営者は少ないですけれどもね。そこから出資をさせる、それは未来永劫じゃないけれども、こういうセンターの場合なかなか配当が来るような状況じゃないと思うんですよ、そういう研究開発試験設備の。だから第三セクターでやるんでしょうが、そこに出資をさせる、あるいは市町村でも全く関係のないどこか山の中の市町村も出資をするとか、しかしよそもやるからおれのところもやらなきゃしようがないと、そういうようなことに非常に無理があるというのです。そこのところは調査をされましたかと聞いているんです。
  184. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 私どもこういう構想を進める過程におきましては、具体的な地域というものを想定してやっているわけではございませんけれども、県からいろいろヒアリングしたりあるいは県の御要望等を聞く過程におきまして、これはもちろん一般的な形でございますが、この程度であれば、簡単ではないと思いますし地域によっても違うと思いますが、何とかやれるのではないかというふうに思っておりますし、それからまた、この規模自体につきましても一応さっきの予算の積算の規模等を申し上げましたけれども、若干の弾力性もございますので、この地元の資金事情とそれからこれの必要性等々勘案して施策を進めていきたいというふうに考えております。
  185. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移ります。  通産省、今力を入れてきましたテクノポリス構想ですね。これは要するに当初テクノポリス構想というのを通産省が最初に打ち出したときから今日に至る間、最初に想定をしておったような状況になっているのかどうなのか、その点について最初にお伺いをします。  それからテクノポリス構想と本頭脳立地法がやはりイメージをしているその二つのかみ合わせというのか、どういうようにかみ合わせて持っていこうとしているのか、その点についてお伺いをします。
  186. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) まず第一の点でございますが、テクノポリス政策が現在までにどうなっているかということでございますけれども、五十八年の七月に法律ができたわけでございますが、それ以後現在までに二十四地域が一応開発計画を承認されるということでテクノポリスの建設が進んでいるわけでございます。  それで、これは制度発足後まだ日が浅いということになりますので、その成果につきまして十分な評価を行うには今後さらに時間を要するわけでございますが、しかし現時点において一応この成果というものを見てみますと、まず企業立地でございますけれども、これはいろいろな数字のとり方があるかと思いますが、一応五十九年から六十一年までの三年間と申しますのはテクノポリス法ができて以後の三年間ということでございますが、それとテクノポリス法施行前の五十六年から五十八年の三年間という前後の三年間で比較してみますと、テクノポリス地域におきましては工場立地が一・四倍に増加しているということでございます。面積ベースで申しますと一・八倍に増加しているということで、全国平均を当然のことながら上回っているわけでございます。  それからまた、テクノポリス政策というのは地域工業の技術高度化するということも非常に大きな目的としておりますので、いろいろな施策をやっているわけでございますが、その点につきまして例えば研究開発機関等のいろいろな整備もいろんな形で行われているわけでございまして、それはそれなりに進んでおります。特にテクノポリスで強調してまいりました地域産学官共同研究事業でございますけれども、これは毎年ふえてまいりまして、六十二年度では年間百九十件の産学官共同研究事業が出てまいりまして、これに基づいて地元における新製品や新技術開発事例もふえているというようなこともございます。  それからまた、地域研究開発型の企業、地元企業を育成するという観点から実はテクノポリス開発機構というのがそういう研究開発企業に対して債務保証事業というものをやっておりますが、これなども六十二年度末で百四十七件のケースが出てきているわけでございます。こういうことで私どもとしてはまだスタートでございますし、それから特に一昨年から昨年にかけて円高不況とか全国的ないろんな問題もございましたもので、すべての地域ですべての点で全く順調ということは必ずしもありませんけれども、全体として見ますればおおむね着実に進んでいるというふうに考えているわけでございます。  それから、次にテクノポリス法と本法の関係でございますけれども、一言で申しますと、今までこの工業再配置法、テクノポリス法、そして今度の頭脳立地法という形で産業構造の変化に合わせてそれまでの政策を強化し、そしてさらに拡充するという形でやってきておりますので、当然本法もテクノポリス法と同様な地域経済開発立法の一つということで、テクノポリス法の施策目的をさらに達成しやすくする、それからテクノポリス地域だけではなくて全国的な地域の産業の頭脳の集積にも役立つという、そういう両方に役立つものでございます。  そういうことで、地域経済開発立法という点ではテクノとこの頭脳立地は同様なわけでございますけれども、やや細かく目的を見ますと、テクノポリス法というのは、やはり高度技術に立脚した工業開発——ハイテク産業を呼んでくるとか、あるいは地元でハイテク技術開発しあるいは利用して地元の工業全体を高度化する、こういうことでございまして、その工業開発を中心として、しかもそれを産学住が一体となった町づくりという側面を強調して進めるというような目的でやっているわけでございますが、本法案の場合には、産業の頭脳部分、特定事業と呼んでいるわけでございますけれども、そういう工場とか生産部門以外のソフト部分、これは工業の中にもございますし、それからサービス産業として独立したものもございますが、そういうソフト部分全体を地域に集積させるということで、地域産業全体の高度化目的とするということになっております。  この結果といたしまして、施設の対象も、今申しましたようなことで、片方は高度技術工業ということに着目しているのに対して、頭脳立地法の場合にはサービス産業あるいは企業内のソフト部分という産業の頭脳部分に着目しているということでございます。  そしてまた、助成措置の場合も、例えば税制の特別措置の場合も、今申しましたように、片方は工場が中心、片方の場合にはソフト部分が中心というようなことがございますのに加えて本法の場合には、先ほどの知的インフラと申しますか、ソフトインフラと申しますか、そういうものを地域公団がやるというような施策を加えているわけでございます。  ただ、そういうことでいろいろ差異はございますけれども、テクノポリス自体ももともと技術高度化——技術というのはやはり頭脳に基づくものでございますから、そういう意味では同一の方向に向かっていることは事実でございまして、今度の産業の頭脳部分というのはもっと広い観点からやるわけではございますけれども、テクノポリス法に対しては補完、強化をするということになりますし、さらに、テクノポリス地域だけでなくてほかの地域も含めた地域産業全体の活性化を図るということでございますが、いずれにしても、これらの法律を相互に有機的に連携いたしまして地域産業づくりをしていきたいというのが私どもの考えでございます。
  187. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 頭で考えて現実にないものを想定して答弁をされるものだから言葉一つ一つはわかるんです、竹下さんのあれじゃないけれども、しかしなかなか具体的にイメージがわかないんです ね。  そこで、ちょっと問題は変わりますが、この団地を造成して、そこの中に研究開発施設をつくる、ソフトの企業のいろんなのを持ってくる、どっちにウエートがかかっているんですか。研究開発にウエートがかかっているんですか。その団地の中にソフト関係の頭脳の企業を呼んできて、労働者を呼んでくる、あなた方がこう言っているのはどっちにイメージを、ウエートをかけているんですか。
  188. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 申しわけございませんが、両方ということになるかと思います。  と申しますのは、最終的にはこのかなり広い集積地域特定事業が都市の部分でも都市の郊外でもずっと集積する。それから、そういう民間企業だけじゃなくていろんな形の頭脳的なものが、これはもちろん公設の試験所から、あるいは大学の研究所ももちろんありますし、第三セクターもあれば地域公団のやるようなものもある。いろいろできて、それで全体としての立派な集積促進地域ができるというのが目的ではございますが、先ほどの中核的な施設というのは、とりあえずはこの特定事業を、民間企業を呼んでくるためにも、非常にそういうものがあると来やすいというか、そういうこともございますし、それから今の施設自体が地元の企業高度化にいろんな形でお役に立つという両面があるわけでございます。
  189. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 おたくが多分つくった資料でしょう、参考資料としていただいておりますが、「集積促進地域イメージ」。これが二十ヘクタールになるのか、もっと小さいのかは別として、そこに研究開発施設をつくる。研究開発施設がどうも大きく映り過ぎているんだけれども、こんな研究開発施設にそんなにたくさん大きいのをつくって、そこにどんどん人が来るような状況なら結構なんですけれども、そうは簡単にいかぬでしょう。そんなに大きな敷地を、十ヘクタールあるいは二十ヘクタールとるんなら、やっぱりその中に企業を持ってこなきゃ、団地は造成したけれども公団はちょっと先で困るんじゃないですか、土地を持ってどんどん上がっていくと。
  190. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) ちょっと私の御説明も悪い点があったかもしれませんが、公団がソフト団地をつくりまして、そして造成して分譲するというのは、民間企業と申しますか、特定事業に分譲するわけでございます。それから、その中にその地域公団のつくる中核的な施設も置こうと。そうしますと、受け皿もあるし、それからその中核的施設との交流というようなこともあって特定事業が来やすいのではないかということでございます。さらには、その団地全体がまた一つの核になってもっと広い集積促進地域に集積してくるというようなことを考えております。
  191. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 要するに、頭脳ですから人なんですよね。そういう高度技術を持った、ソフトウエアあたりに強い人がいっぱい集まるかどうかというのが、これが結局最終的なんでしょう。そうしますと、やっぱり政策的にあなた方が意図しているのは、東京にいろんなやつが一極集中しているから人もどんどん帰そうということなんだから、研究開発施設に人がそんなにたくさん集まるわけじゃない。そうしますと、その周辺に、さっき五つと言われましたか、十六ですか、業種を張りつける。そこにソフトの頭脳労働者がいっぱい集まるということを考え、そこにウエートを置かないと地域にとっては余りメリットがないですよ。だから、団地の中に特定企業がたくさん来て、そこにそういう頭脳を持った労働者がたくさん来るというのがねらいじゃないと、どうも私はぴんとこないんですよ。ここのところをしっかりお聞きしたいんです、一言でいいですから。
  192. 安楽隆二

    政府委員(安楽隆二君) 私ども確かに人材、そういう人たちが集まるということが一番の基本的なものの一つであると考えておりますので、今の団地の中の特定事業にももちろん来るし、それから団地以外の集積促進地域にも特定事業においてそういう人たちがたくさん雇用されるというふうに持っていくことを最終的には考えているわけでございます。
  193. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 問題は、したがってやっぱり東京に一極集中している、情報関係に関連している、あるいはこういう研究部門やあるいはソフト関係の人たちが地方にどれだけ集まり仕事をしてくれるかと、そういう環境づくりになるかどうかというのが問題で、若干の例を申し上げます。  時間が余りないんですが、A社という大型コンピューター等を使って、主にソフト会社なんですが、これはコンピューターの事務をやって大きくなった会社なんですね。そこのある部長さんに聞いてみた内容なんです。ここの企業は、まさに大都市にウエートがかかって仕事をしているんですが、現場の労働者、特に女子のこういうソフト関係の労働者の場合はやっぱり東京指向が強い。それから、地方になぜ行きたくないかというのは、これはひっくるめてなんですが、教育環境、例えば学校の関係、進学校とか、そういう教育環境ががたっと落ちるんじゃないか。あるいは文化の面で非常におくれている、そういう知的な刺激がない。行ったって自分の技術向上にもそんなに役立つような先生も指導者もいるかいないかわからない。そういうところが非常にやっぱり二の足を踏んでいる、ここが問題点だと指摘をされているんです。  マーケッティングの部門としては大都市周辺だ。しかし通信回線が完備をしてそれらのセキュリティ対策が整えられると地方拠点都市への移転もあるいは考えている。そのときに土地とかそういう立派な能力を持った労働者が集まるかどうか、良質な労働者が集まるかどうか。それから住宅と交通の便ですね、良質な環境があるかどうか。それからもう一つは経済的に、地方に行って母ちゃんはこっちにおって二重生活で経済が破綻するようじゃこれまた意味ありませんから、そういう問題の指摘をされておりました。  それからもう一つは、情報処理に関係しております協会の御意見を聞いたんですが、ソフトハウスの立地条件としてはユーザーに近いこと、人材が集まること、交通が便利でいいこと、こういうことを、これは普通の指摘ですが言っておる。それから、地方移転への条件としては、大都市との間の交通の便利がいいかどうか、それから通信ネットワークが完備をしているかどうかですね。ですから、情報通信処理の関係のネットワークの早期完成、これをやっぱり待っている、こういうことを言われております。  私の質問のまとめと意見になるんですが、要するに私はこの法律を見て果たして、大分県ソフトパークなんかありますが、例えばそういうところにこういう施設をつくって頭脳の皆さんがどんどん帰っていく、Uターンするとか、あるいはたくさん企業が来て、特定事業が来てそしてそれが採算に乗って仕事ができる。東京や大阪や大都市から注文をとって地方におってそういう事業ができるかどうか、ここがなかなか今でもまだぴんとこないんです。  やっぱり、今さっき二つの例で指摘がありましたように、まず一つは交通の便利が悪い。知的な刺激がない。自分の技術向上に役立つような指導者がそんなにいるわけでもない。文化の施設が東京から行ったら都落ちのようなカルチャーショックに恐らく陥る。教育の問題もあるいは離れ離れでなるかもしれない、そういう問題。いいのは自然環境。ゴルフ場がいっぱいありますし、安い。あるいは海が近い、魚がとれる。そんなことなんでしょう。だから条件としては非常に悪いことばっかりなんですね。さらにこの法律をつくってじゃ何とかしようというけれども、それにそんなに魅力があるかどうか、どう考えてもいま一歩の感がします。  したがって、今言いましたような問題がやっぱりある。これだけで解決できない問題がいっぱいある。それらをひっくるめて、やはり中央から地方に頭脳が移るようなそういう対策を通産省を挙げて、国を挙げて頑張っていただきたいと思います。  いろいろ非常に抽象的な質問のやりとりになり ましたが、大臣、私はそう簡単に今の東京へどんどん流れている流れを変えられるわけはない。それをあえて何とかしようということですから、相当腹を構えて、地方の自治体の皆さんや企業の皆さんとも打ち合わせをして、特に東京にあるそういうソフト関係の企業に対して強い要請をしながら政策運用をしていただきたいと思うんですが、大臣の決意を最後にお聞きして終わりたいと思います。
  194. 田村元

    国務大臣田村元君) 御指摘のとおりでありまして、この構想の効果を着実に上げていくためには、今後の長期的かつ責任あるフォローが必要だというふうに考えております。  通産大臣といいますのは産業立地大臣という立場でありますから、当然通産大臣が中心となって、主務大臣間はもとより、関係大臣とも緊密な連絡をとりながら積極的かつ効果的な施策を進めてまいりたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、効果が上がらなければ何にもならぬのでありますから、そういう点でかたくなな姿勢でなく、いろいろな意見に謙虚に耳を傾け、取り入れるべきは取り入れるという姿勢が必要であろう、このように思います。
  195. 大木浩

    委員長大木浩君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会